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1947/12/03 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第25号
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1947/12/03 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第25号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第25号
  付託事件
○石炭生産確保に関する陳情(第二十
 一号)
○自轉車の價格改訂に関する陳情(第
 三十四号)
○石炭増産運動に関する陳情(第四十
 四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百七号)
○炭鉱國家管理に関する陳情(第百四
 十四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百八十三号)
○石炭政策審議会設置に関する陳情
 (第百九十五号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百四十九号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百五十六号)
○臨時石炭鉱業管理法案(内閣提出、
 衆議院送付)
○亞炭増産に関する請願(第二百七十
 一号)
○配炭公團を即時廃止することに関す
 る請願(第二百八十四号)
○石炭生産損出補償金支拂促進に関す
 る陳情(第三百七十九号)
○配炭公團法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○亞炭増産に関する陳情(第四百六
 号)
○釜石製鉄所銑鋼一貫作業再開促進に
 関する請願(第三百七十九号)
○生産合作社法制定に関する陳情(第
 四百四十七号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 四百八十号)
○東北地方銑鋼業振興に関する請願
 (第四百二十四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 五百六十四号)
○炭鉱民主化に関する陳情(第五百七
 十九号)
○製塩用燃料割当に関する請願(第五
 百五十二号)
○野鍛冶業用燃料増配に関する請願
 (第五百六十一号)
○釜石製鉄所銑鋼一貫作業再開促進に
 関する請願(第五百七十三号)
○北海道における家庭越冬用燃料の價
 格に関する陳情(第六百三号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十二月三日(水曜日)
   午前十一時六分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○臨時石炭鉱業管理法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより本日の委員会を開会いたします。昨日に引続きまして、総理大臣に対する寺尾委員の発言を許します。寺尾委員。
#3
○寺尾豊君 昨日総理大臣に御質問をしかけておりましたが、丁度首相が急用でお出掛けのことになりましたから、一應留保をいたした次第でありますが、そのときの質問と片山首相の御答弁とに多少の食い違いと申しますか、私の質問に対する総理の御答弁が質問のそれと合つていないというような感じがありましたから、改めて申上げてみたいと思いますが、昨日も申上げましたように、今度の臨時石炭鉱業管理法案、本法案を参議院において審議をするについては、相当な愼重性と尚これに極めてフエアー、一つの明朗性がなければならん。これが私の首相に対する御質問を申し上げる骨子であります。常々総理大臣は、精神方面のこと、いわゆる道義の昂揚を説かれて、眞の日本の再建に対するところの民主化をお説きになつていらつしやる。そうして見れば、今度のように國民に直接非常な関心と関聯を持つておるところの非常な重要法案であり、而もこれは思想的に見て、政府はイデオロギーの上に立つものではないということを常々この法案については御説明をあそばしておる。水谷君などは、敢えて主義といえば増産第一主義だといつたようなことまで……それが眞に眞面目な説明であるかどうかは別として、そこまで言訳をされておるけれども、併しこの法案に対しては、先日細川委員からも縷縷御意見があつたように、何か警戒心が國民の間に強い。これは單に炭鉱業者ばかりではありません。何かこれに対して疑惑というか、極端に言うとこれを非常に警戒をしておる。それはこの國管案というものが動機になつて日本の産業のすべてを次から次へと國家管理にし、或いは國有國営の形に持つて行くのではないかという一つの大きな憂、大きなそうしたことに対する関心が國民から向けられておるということは疑うべくもないことで私はあると思う。こうした割期的な重要法案というものが衆議院において可決はされた。併し甚だ以上の形においてもう曾てないような未曾有の紛糾に紛糾を重ねた上に極めておかしな形において決つたことは事実であります。これは片山首相御自身も目のあたりそれを御体驗あそばして來られたのである。即ち衆議院におけるところの鉱工業委員会等は九月の二十五日に始めておる政府の原案を……。そうして十一月の二十五日でありまするからして、その間約六十日間、回数というものは三十回に余る回数を重ねておる。その間いろいろの問題があつたようでありまするが、紛擾に紛擾を重ねて逐にこれは委員会においては政府の御提出になつたところの原案は否決をされてしまつた。そこへ持つて來て突如として修正案なるものが委員会に示された、就いてはその大修正の箇所、これは與党である民主党から出たということでありまするが、少なくも二ケ月間も審議して來た。最後に委員会が否決をしたものである。そこへ大幅な殆んど原案とは凡そ大きな開きを持つておるところの修正案が示されたのであるから、衆議院の委員会としてはこれに対して相当の審議が必要であるということは想像に難くない。それが僅かにその二時間の間にそれを決めるというような全く参議院の我々が考えるというと考えられないところの條件を約束したのでありましようが、以てこれを、恐らく審議の一回だにこの改正案というものはしておらんだろう、併しそういつたようなことであつたけれども、委員会が更にこれを否決した。それが政府並びに與党諸君からそれでは本会議にというようなことで本会議に持つて行つてまあ通過ができたというのでありまするから、この國管案というものに対しては全く國民というものが大きな疑惑とこれに対する注目をし、且衆議院のあの騒擾に対してはそれがどこに責任がある、ないという問題でなくして、國会そのものが國民から非常に失望され、信頼を失つた國管案というものが、その後我が参議院に廻つて來た。そうすれば参議院というものはこの國管案に対していかなる態度を以て臨むかということはもう私が喋々申上げるまでもない。参議院が独自の立場により二院制度の妙を発揮して、この重大使命を果さなければならん。これは申すまでもないことだ。從つて各委員がこれに対して愼重に審議をしなければならんということと、只今申上げましたように最も明朗に國民の注視の中にあつて先に失つたところの衆議院における國民の信頼、この失墜したことも挽回しなければならん。同時に衆議院の鉱工業委員会においてこの改正案が一回も審議されていなかつたというその不行届といいまするか、審議し得なかつた。否決はしたが審議をしなかつたということは誠に遺憾であるから、そうした事柄をも補う意味において、尚更参議院というものが公正なる態度において十分に審議をしなければならないと深く考えるものでありまするが、ここに去る二十七日から非常に公正、稻垣委員長、この委員長の下に我々委員は眞摯な態度、強力な熱意を以て今その審議の途上にあるわけでありまするが、この際このときに、片山首相にも昨日申上げましたように、有力二三の新聞の報ずるところによるというと、政府が閣僚を手分けをして、閣僚を動員をして、委員であるとか参議院の議員等にこれを勧誘誘導をして、頻りに自党に有利になるべく、政府に有利になるべく策動をしておるかのごとき報道が相当はつきりと報道をされたというところに、私は片山首相が日頃常に民主化を高調され、フエヤーな政治を念願されておる片山首相にして、閣僚等を個々のいろいろの困縁を辿つて説得これ努めておるということは、誠に明朗性を欠くものではないか、少くも政府の閣僚がこの國管案は三千万トンの石炭を掘出すためには絶対必要なものであるということにおいて、我々参議院の議員をしてより説明によつて協力せしむるということの必要があるならば、堂々とこの委員会乃至は公の席上において各閣僚がこれを説得し、説明をするということの堂々たる行き方をなぜおやりにならないか、いろいろの縁故を辿つて、風つぶしに一人々々を説いて廻るというようなことは、少くも今までの政府であれば、今までの過去の政府であれば、これは或いは見逃し、許さるべきであるかもしれないけれども、この民主化の第一歩を踏み出した日本の、而も精神革命を説いておられるところの片山首相にして、私は不可解極まるやり方ではないか、若しこれが事実とすれば誠に暗い政治である。時の政府に大きな権力のあることは私が申上げるまでもない。この権力をバツクにして一人々々を、而も閣僚が説いて廻るというような不明朗なることにおいて若しもこの國管が通つたとしても、私はそれは何ら尊敬すべきものでない。かように考えるものであつて、果して閣僚諸君がさようなことをなされておるか、又片山総理大臣は、その閣僚中にそういうことをやつておる者があつても、これは差支ないとお考えになるか。言わばそうした私が考えてフエヤーでない、権力を持つ閣僚がそういつたような不明朗なる例えば待合政治的なやり方をおやりになつて差支がないとお考えになるか、この点を首相のはつきりした御答弁を昨日お願いをしたわけであります。改めて私の質問を繰返して首相の御答弁をお願い申上げたい。
#4
○國務大臣(片山哲君) 昨日寺尾君の御質問を私ちよつと思い違いをいたしまして失礼をいたしました。寺尾君の御質問中に仰しやられました公明なる態度を以て行かなければならない。フエアーで行かなけしればならないという点につきましては全く同感でありまして、是非ともすべての政治はさようにしなければならない。殊に議会政治におきましては、これは我々といたしましての政治のモツトーでなければならないということを固く守つておるような次第でありまして、過去においてもさように努めて参りましたと同樣に、今後においてもその方針には全く変りはないということをお約束いたしましてもよいのであります。就きましてはこの國管問題についても、待合政治的な暗い戸別訪問とか、縁故を辿つて口説き落すとか、そういうようなことを政府で各閣僚に命じましてやつておるというようなことは全然ないのでありまして、決してそういうような昔ふうのやり方をこの内閣はやつておりません。すべてを赤裸々に、常に言つております通りガラス張りの中で政治をしたい、こういうことに努力をいたしておるのでありまするから、この法案につきましても、すべてを赤裸々にむき出しにいたしまして、あるがままに諸君の前にこれを現わして諸君の自由なる御判断をお願いいたしたい、こういう建前でありまするから、どうか私の申上げました点、公明なる点に終始いたしたいと努力しておる点を御了承を仰ぎたいと存ずるのであります。
 尚衆議院における審議において、又いろいろの策略があつたというような御疑念もあつたようでありまするが、これは私の解釈では決してそうではなかつたと思うのであります。これもこういう問題でありまして、いろいろ各方面の御意見があり、なかなか審議に暇が掛かつたということも止むを得ないと思います。二ケ月の間で質問應答が繰返されたのでありまして、その間に相当突つ込んだ御意見もあつたと思うのであります。大体修正案はその結論として出されたのでありまして、修正案について特に二時間ということを限定したわけではありませんが、委員会の審議がどうも長引いて期日も切迫して來る、会期も段々終りに近づいて來たのに委員会がまだ終らないというのでは困るので、委員会の審疑を二時間と本会議で限定をいたしまして、それに一つ結末をつけて貰う、こういう意味で本会議の案として出したのでありまして、その際は別に修正案の審議をするなとか、或いはそれを削れとか、こういうような意味を含めたのでは決してありません。すべて委員会の審議の結末を二時間以内においてやつて貰う。その当時の考えといたしましては、二ケ月に亙つて審議を繰返したのであるから、もう十分盡して恐らく修正が仮に出るといたしましても、修正の審議も前の二ケ月の質疑應答の中にほぼ盡されておるのであろう、こういう推測の下に二時間という限度を決めたのであろうと私は解釈いたしておるのであります。そういうような次第でありまして、いろいろ御議論の多い問題でありましたから、かような紆余曲折がありましたのも又止むを得なかつたことと思うのでありまするが、政府といたしましては、決していろいろ手段を講じたり策略を用いたりしまして、衆議院の通過を図ろうというようなことをたくらんだことは少しもありません。すべてをあるがままに大衆討議に移す、議会討議に移す、こういうやり方で進んだのでありまして、寺尾君の御意見通り公明なる立場でやつて参りましたつもりであります。又今後においても御趣旨に必らず副いまして、公明なる立場で諸君の自由な御審議、諸君の自由なる御討議に任してこの審議を進めて頂きたいと存じます。が併し政府といたしましては、どうしてもこの國家重大なるときでありまして、石炭増産に邁進しなければならないのでありまするから、この第一國会において最も本案の通過を熱望いたしておる次第であります。そうして石炭増産に対して全力を挙げまして邁進いたしたい、土台として本案を訂正さしたい、かように考えておるのでありまして、増産のための熱意から、是非共本案の通過を心からお願いをいたしたい、かように思つておる次第でありまして、政府の意のある所を十分にお了承を賜りたいと存じます。
#5
○寺尾豊君 いつに変らん総理の御信念はよくわかります。然るが故に、私どもはさる内閣更迭の場合におきましても、我が自由党といたしましても挙つて片山首相を御指名を申上げたようなわけで、又当時マッカーサー元帥からはクリスチャン・ゼントルマンとして絶賛を受けられたというようなことに鑑みましても、深く首相に対して敬意と尊敬を持つておるものではあります。併しこれは私が誠に首相に対して御無礼な申上げ方かも知れませんけれども、最近の片山首相の御身辺に相次いで起るところの諸問題、例えば平野農相の問題であるとか、又林國務相の問題であるとか、新聞記者諸君に対する食言の問題であるとか、こういつたようなことを考えて参りましたときに、片山首相は社会党の党首なるがために、或いは片山内閣の首相であるがために、私どもが尊敬をしておる片山さん御自身の立派な信念と、この行き方というものが犠牲にせられておるのではないか、封ぜられておるのではないかという感を深くするものであります。殊にあなたの腹心であるところの西尾君等がこの國管案に対しても、委員の数を二倍に殖やして、自派に、政府に有利な賛成委員を倍額殖やしてこの國管案を無理押しに通すといつたようなことは、非立憲というよりも、私はむしろこれは陰謀である、かように私は考える。これは恐らく首相の御意図から出たものでないということはわかります。併し現われる諸種のいろいろのトラブルが、我々が非常に疑惑を持たざるを得ないものが相次いで起つておるということにおいて、今少し首相に強くあなたの立派な信念を貫かれて、閣僚その他をも十分把握して、この内閣をして立派な政治を行わしめるということを強力に御実行をして頂きたいのであります。これは私は甚だ御無礼な申上げ方かも知れませんが、率直なる私の氣持を首相に申上げる次第であります。この國管案については、私は泥試合とか或いは揚足取りとかいうことはいたしたくはありません。首相のお言葉をこの際信じて、本委員会並びに参議院が独自の使命の下に自由奔放にこれを審議をするということにおいて、絶対の保障をして下された今のお言葉によつて、これ以上参議院の審議に対するそうした問題は申上げません。どうか一つあなたの立派な御信念を十分に一つ内閣の閣僚諸公の行いの上にも徹底をさせて頂くということをお願いをいたして置く次第であります。
 今一つ御質問を申上げたいことは、只今もちよつと申上げましたように、この法案というものは水谷商工大臣は、イデオロギーの上に立つものではない、敢えて申せば石炭増産第一主義だというように強くこれを否定して、三千万トン増産のための、何らイデオロギーの上に立つものでないということを強調をされておりまするが、内部に含まれておりまするところの思想的なものその他を考えましても、私どもには腑に落ちないところの、ここにイデオロギーが含まれておるではないかという疑を未だ去り得ないものでありまするが、そもそもこの増産ということに対するものについては、すでに昭和十三年に重要鉱物増産法というものが出ておる。昭和十八年とかに改正になつておりまするので、その内容は相当官僚的なところがあります。併しこれを細部に亘つて見るというと、殆んどこの國管案に重複するところのものもあり、私の考えでは、この重要鉱物増産法というものを民主的に改善をするならば、何ら強いて國民一般から疑惑を受けるような、何となくはつきりし得ないような國管案でなくても結構ではないか、そうして例えば石炭増産審議会、こういうようなものをお作りになつて、國力の一切をこれに集中をする、而もその審議会の総裁といつたようなものには片山首相御自身がおなりになる、こういつたような方法にすれば、敢えて國会が紛優に紛優を重ねるような、そうして又各委員から先日來いろいろ御意見もあり檢討をしましたが、この國管案に対しては、幾多の同意し得られないところのものを党派を離れて皆さんが持つておられる。この点において思い切つてこの際、國管案だとかいうようなことをむしろおやめになつて、重要鉱物増産法というものにすべてを織り込んで、今言う大きく首相を中心とした石炭増産審議会といつたようなものをお作りになつておやりになつたならばどうか、かように考えるものでありまするが、首相の御意見は如何なものでありましようか、承りたいと思います。
#6
○國務大臣(片山哲君) 今の寺尾君の御意見は、今までそういうやり方によりまして増産計画をやつておつた建前といたしましては、御尤もな点もありまするが、新憲法下におきましてすべて民主的にやらなくてはならないという点も、寺尾君お触れになつております通り、やはりこの増産計画の機構及び規模も、民主的に國民全体の総意によつて、事業家、労働者双方の下から盛り上る力によつて増産計画が立てられるということが、最も必要だと思うのであります。例えば農村におきましても、食糧を増産しなければならない、或いは農村の文化を発展せしめなければならないというような問題が起りましたるときに、農地制度の改革ということに手を触れまして、そうして小作人の立場を自作農として耕作者の地位の向上することによりまして、耕作者自身の盛り上る熱意と、耕作者の立場を改善して、そうして食糧増産に大いに役立たしめたい、こういうような建前で今日は農地調整法が進んでおるのであります。又都市におきましても、労働組合が結成されまして、労働組合も民主的にして且又眞に建設的な建前でなければならないのは言うまでもありませんが、心からなる國家本位、増産本位、産業発展本位の建前で労働組合が進んで参つて、そうして一國の産業が段々と進展をするようにして行くのが、民主的な産業計画である、こういう意味で從來我が國においては終戰後発足いたしておるのであります。即ち終戰後発足いたしました実際的な民主主義の滲透は、労働組合の健全なる発展、農村においては農地調整法の順調なる発達ということと相俟つて行つておる状態を見まするならば、やはり個々の産業の発展におきましても、事業家及び從業員諸君が本当に一体となつて、新らしき機構の下に、新らしき熱意を以て増産に邁進せられるという建前を作つて、そうしてその自発的な熱情が十分上の方に伸びて行くようなことをするということが、最も民主的な増産計画であると私はかように考えておるのであります。その意味から申しまして、この國管案は本当に日本國に與えられた新憲法の精神によりまして、皆働き易いように、皆事業がし易いように、今までの立前とは幾らか変りまするけれども、変つた範囲内において、そうして喜んで仕事をして貰う、喜んで働いて貰うという努力を國家といたしましてしなければならない、かように考えておるのであります。その意味から申しまして、内閣総理大臣を中心といたしましていろいろの計画を立てましたり委員会を結成いたしましたりしたやり方に、更に一歩を進め、数歩を前進せしめまして、ただ單に増産目当てとしての計画をかように立てたというのでありまして、水谷商工大臣がたびたびいわれております通り少しも観念論ではない、或いはイデオロギーに囚われて遊戯的に観念に囚われた線に沿うて築き上げたものではなくして、心からなる熱意によつて増産に邁進して貰えるという案として、こういう案を作つたものでありまして、その趣旨を十分に御了解願えるであろうと私は存じておる次第であります。
#7
○寺尾豊君 私はかく申上げることは、大きく観察をして今度の國管案なるものが、國家の再建に対して今後の日本経済をどういうふうに立て直すかということについて、國管というものが今後の日本経済の再建に対して、他の産業に対する如何なる影響があるかということに非常なる注意を拂つておる者でありまするが、政府は再三、なんらの主義によるものではない、要するに三千万トンの石炭が出ればよい、こういうのでありますが、この案の内容等を先日來專門的な、私は不幸にして石炭のことは知りません、併し他のこれらの関係をせられておるところの專門的な委員諸君が論じられておるところを聽いておりましても、各條項に亘つてどうも疑問の点が多い、機構いじりに終つておるかの感がどうも深い。もつと現実の問題として、実際に從業員には勤労意欲を昂揚せしめ、事業家は喜んでこれに協力をする、政府のいわれる三位一体の姿が、果してこれででき得るかどうか、この点に割り切れない数々のものがあるように考えられるのであります。マッカーサー元帥が九月十八日にあなたに寄せられた書簡、それに対して十月三日に石炭非常増産対策を決定をされている。又これに基いて石炭増産の委員会を設置をした。他面においては炭業公団に代わる石炭増産対策を決定された。即ちこれらのものは國管案の裏付であるというようにいわれておりますけれども、むしろこれらの諸対策、即ちその中には種々の勤労意欲の昂揚であるとか、或いは民主化であるというようなこともありましようが、そうしたものを自主的に事業家に任せて、單なる機構いじりであるとか、イデオロギーではないかといつたような疑いを持たれるようなものを強いて持つて行かなくても、十月のごときは今までにない二百四十一万トンといつたような数字も挙げているし、先日の政府委員の御説明でも、北海道では六十万トンが八十万トンにもなりそうだというようなことを見ましたときに、敢て國管を実施しなくても、すでに三千万トンの線にも達せんとしているし、この際思い切つて只今申上ぐるところの重要鉱物増産法というものもあるのであるからして、眞に政府が何らのイデオロギーの上に立つものでなければ、そんなにがむしやらに國管案を通す、ただこの國管案においてのみ増産が可能であるといつたような偏見をお捨てになつて、実際に増産ができればいいのであるからして、こういつたような増産案を思い切つて重要鉱物増産案の方に改正案として纏めてしまうということが、むしろ業者、從業員ともに、石炭の生産目的に合うものである。殊に石炭鉱業の民主化等においては、私的独占禁止法であるとか、経済力集中排除法であるとか、制限会社令、その他証券保有制限令、或いはその他幾多の過去の財閥の解体等によつて著々民主化されておるわけでありますから、強いてここでこの間の細川委員の御意見ではないけれども、どんなにこれを内容を変えて見ても、何となくこれに対する割切れない氣持が、國民並びに委員の中にも、どうも欝散をし得ないものがあるというのでありまするから、この際に私は重ねて、これは水谷商工大臣からは縷縷專門的にはお聞きもしているし、片山総理にあなたがフエアーな政治をして行く。この國管案が何らのイデオロギーの上に立つものでもない。増産第一主義だという、ただ増産だけに目的があるのだと仰せになられるから、重ねて申上げるのでありまするが、思い切つて一つこの際國管案だとか、將來それが因になつて大きな國営國有にせられやせんかといつたような疑念を抱かるることのない方法をお執りになることができないかどうか、今一應根本的なお氣持をお聞かせを願いたいのであります。
#8
○國務大臣(片山哲君) 重ねての御質問でありまして、寺尾君を始め諸君におかれましても、増産のために十分に御研究されておりますることについては厚く感謝いたす次第でありまするが、何分政府といたしましては、産業復興に全力を盡くさなければならないのであります。インフレを防止するのも、日本経済の建直しも、財政の健全化も皆基くところは増産でなければならないし、増産の土台といたしましては、石炭の手を著けないことには始まらないのであります。そこで祖國再建に邁進いたしたいと考えておりまする政府といたしましては、國民全体の協力によりまして、産業発展の計画を立てて行こうということから、是非とも石炭に対しましては政府として考えておりまする増産計画を実施しなければ相済まないというような氣持を持つておるのであります。何とかして努力して見よう、それには今までのようなやり方ではどうも満足することができませんので、進んで前進いたしまして、この増産計画としての一つの相当有力なる案として、相当効果を挙げ得る案といたしまして、この管理案を諸君にお示しいたしまして、それで一つ大いに努力をするのであるという、こういう計画を立て進んでおるのでありまして、決して試みにやつておるとか、或いは將來の問題の一つの手引としてこれをやつておるのであるとか、そういうような試驗的なものでもないのです。眞劍なんです。本当に祖國再建に邁進しなければならない、そうしなければ我々としての仕事が手に著かないし、何としてもこの経済問題の大きな荒波を乘り切つて行くわけには行かないというわけで、閣僚におきましても殆んど意見一致いたしまして、この問題に邁進しようということを組閣直後決めましたような次第でありまして、そこで私の施政方針の演説にもいち早くこの問題を取り上げまして、増産を目当といたしまする國家管理案を是非とも実施いたしたいと、こういうふうに組閣直後、又施政方針の演説においてお約束いたしたような次第でありまして、今更これを引下げるわけにも行きません。ただ面目に捉われておるという意味でもなくして、信念的にどうしてもこの重要なる石炭を取上げまして、これに手を著けまして、そうして積極的に國民の福利を増進せしめる基礎になる、國民の生活を向上せしめる基礎になるものである、祖國再建の土台になるのである、こういうような意味でこの案を計画したような次第でありまするから、何とぞ政府の意のあるところを酌んで頂いて十分御審議をお進め願いたいと存じます。
#9
○寺尾豊君 今一つお尋ねしたいことは、この國管案を、例えば通過いたしたといたしましても、その後において、かようないわゆる國管案に、次に何かしなければならんという事業等についてお考えになつておられるかどうか、その点をお尋ねします。
#10
○國務大臣(片山哲君) 只今のところにおいては、この案だけでありまして、外の問題は今は考えていないのであります。
#11
○寺尾豊君 私の経驗その外見るところからいたしまするというと、日本の産業のいわゆる生産のシステム、生産のあり方というものは、御承知のように、欧米先進國、特にアメリカ等に比べまするというと非常に劣つておる、これはもう言わずもがなでありますが、まあ年数にこれを比較するということは、專門的におかしな話でありまするが、数十年恐らく三、四十年も劣つておるのじやないか、そういうふうに考えまする。例えばアメリカの石炭が、僅か日本の四十二、三万の炭鉱労働者と同数のアメリカの出炭高というものが日本の二十倍もある、かようなことから見ましても、日本の生産のシステムというものは非常に幼稚である、かように考えるのでありまする。その上に敗戰によつて大企業というものが、いわゆる資本家と称するようなものが殆んど破壞してしまつた、中小企業というものがその基盤にならなければならん運命になつた、こういう日本の姿において、而もその生産システムが非常に遅れて、家内工業的なもの或いは非科学的なものであつて、非常に能率が挙らない。即ち労働者の努力ということが直接大きな影響をして、機械力であるとか、科学力であるとかいうものが足りないのでありますから、どうしても増産意欲、いわゆる企業家に、労働者にも勿論でありまするが、企業家に非常な企業意欲、旺盛なる一つの事業慾というものを持たせるということにおいて、日本の産業の発展、再建というものが初めて得られる、私はこう考えておる。ところがこういつたような國管であるとかいつたようなことにおいて、一律にこれを管理して行くということの行き方は、その事業家の企業意欲というものを非常に阻害をする、これは事実の問題であります。恐らく國管案に対するこの炭鉱業者等の非常な反対等は單に自分達の利益がどうこうということではないので、事業をするものは、その事業に愡れ込んで、その事業を生命として溢るる企業慾というものが旺盛になつて來るところにこの事業が本当に発展をして行く、成功を收め得るというわけでありまするから、殊に打ちのめされて小さい企業單位になつたのでありますから、これを大きく統制をするとか、特に弊害のある官僚統制に流れるごときことをすれば、もうこの小企業家というものは失望して、企業に対する慾望が全くなくなつて行く、そうすることにおいては、労働者が如何に旺盛なる勤労意欲を持つておつても、これといわゆるタイ・アツプをすることができないというふうに陷り易いのでありまするから、アメリカのようなスイッチを一つ入れれば、ハンドルを一つ廻わせば、ベルトコンベアーに乘せられた製品が、次ぎから次ぎへと出て來るところでは、例えば八時間それを運轉すればどれだけの生産ができる、一ケ月、一ケ年といつたような計算は直ちに出し得られるでありましよう。併し同じ生産をいたしまするについても日本のシステムというものは、労働者が、勤労者が身を以てハンドルを廻すにいたしましても、常に全身体と自分の技術を直接これに集中をしなければならん、こういつた幼稚な形にあるのでありまして、これらについての官僚統制ごときは、徒らに却つて事業家並びにこれらの意欲……企業意欲を非常に阻碍するものである、かように考える者でありますが、今後の片山内閣の行き方として、只今御質問申上げたところ、國管以外に考えていないということでありますが、どうしてもこの技術の面を相当思い切つて進歩研究せしめなければならんと思うのであります。例えば日本の地方々々の生産品にいたしましても、これらを能率化する、機械化する、こういつたようなことに対する大きな政府の指導が必要だと思うのでありまするが、過去の政府は勿論、現政府においても、この技術的な面において、いわゆる生産能率を昂める点において、甚だ施策が欠けているように思うのでありまする。首相はこの技術的な向上、これらについて如何なるお考えを、又施策をお持ちになつておるか。これをお伺いしたい。
#12
○國務大臣(片山哲君) 御説は誠に御尤もでありまして、技術の高揚、振興に努力をいたさなければならないのでありまして、政府といたしましても、技術を尊重する、科学的精神の作興に努力をいたしておるのであります。事業家諸君も只今お述べになりました通り、その事業の樂しみ、事業を経営する喜びを持つておらるるに相違ないのでありまして、本当に新らしい事業を興し、新らしい発明によつて、又新らしき機械力によつて、技術を磨いて産業の発展に貢献せらるることを心より冀い、又十分に指導、援助いたしたいと思つているのであります。それと同樣に、又お考え願いたいということは、労働者も單に賃金を貰つて労力を提供するというだけでも亦興味はなくなつて來るのでありまして、眞に生産に参加して、自分の額に汗したその労働の成果となつて現われてくるという一つの喜びをも同時に與えていかなければならないのでありまして、両々相俟つ必要があろうと思うのであります。そうして産業の発展に役立たしめたいと考えておるのでありまして、今後におきましても、技術の尊重と錬磨及び有力なる新発明、科学の應用等につきましては、各方面に政府といたしまして力を入れていきたいと思つているのであります。そうして眞に國家産業本位、産業発展本位に事業家、労働者共に協力されることを心から切望いたしておるような次第でありまして、技術問題については御趣旨を十分に尊重いたしまして、その実績の挙るように努力するつもりであります。
#13
○寺尾豊君 最後にもう一つ首相に申上げます。私は最近の青年思想、こういつたものを考えますときに、非常に憂うべきものがあるように考えるのであります。これは恐らく片山首相もさようにお考えになつておられることと思いますが、この青年が日本再建に対して如何なる使命を持たなければならんか、如何に自分たちが努力をしなければならんかといつたような氣持、これに対して政府がこの青年たちをして十分にその能力を発揮せしめる、こういうことが欠けておるのではないか、抽象的に青年に対して呼び掛けるということは彼等に何らの仕事を與えずしてその精神の高揚、國家に対する貢献を説いても何ら効果はないと思います。ところが今地方に沢山帰つておる、帰農し、或いは故郷に帰つておる青年等の子弟を調べて見ますと、これらの青年の中には非常に技術者がおるのであります。科学戰と言われるところの今度の戰爭に参加したようなことで、例えば飛行兵もおりましようし、電波兵もおりましようし、通信兵もおりましようし、或いはその外あらゆる工作的な方面、技術方面を研究したところの青年が沢山おる。これらは何をしておるかというと、とかくその折角持つておるところの技術を活かすような仕事は何らしていない。むしろこれらの者はこの今の敗戰になつた日本の姿に或る反應を持つておる。思想的に恨みを持つておるというようなことで、何ら協力をしていない者が相当沢山おるように見受けられる。又これらの者に野良の手傳いをせよと言つたところでなかなかこれらが動くものではない。かようなときに例えばこの石炭の増産等についてはこれらの技術者を大量に御採用になつてはどうか、そうしてこの採掘の機械化、或いはそれらの各地方におけるところの生産、特に輸出生産等に対するこの生産方式について彼等のアイデアによつてこれをいろいろ能率化していく、今恐らく日本全國にこういう多くの技術を持つておるという有望な青年が相当沢山おると思います。何か政府がこの際思い切つてこれらを起用して、折角の石炭増産にお使いになる大きな使命を果せるというようなことになれば青年たちは初めてそこに奮然とその與えられた使命仕事のために一生懸命になるという姿を全國的にお考えになることが必要ではないか、これは私が地方等に帰つて、いろいろの青年に接したときに、その経歴等を聞いたときに、全く惜しいことで、この体力、この精神力、この技術力は日本の経済再建の上にどれだけの力になるものであるか、かように帰るたびに感ずるのであります。これらについて首相は何か一つ思い切つた、具体的な、全國的な、これらの青年をして奮起せしむるの案をお持ちになつておるか、又これからそれをおやりになるお氣持があるか、最後にこの点をお尋ねを申上げる次第であります。
#14
○國務大臣(片山哲君) 全く同感でありまして、政府といたしましてもその点に注意をいたし、檢討を怠つていないのであります。できるだけ希望に満ちておりまする青年を指導して、その純情性を活かして行かなければならないと同樣に、將來ある青年の科学的な進歩発展に非常な期待を掛けておるのでありまして、今後の教育問題につきましても、技術教育を十分に発達せしめたいと考えておるのであります。勤労を尊重するという意味は單に力づくで仕事をするということばかりでなしに機械力を十分に活用し、機械をこなして、科学を実際に適用した勤労でなければ猪突猛進でありまするから、新時代の役には立たないと思つておるのであります。石炭を発掘するにつきましても鶴嘴でこつこつとやるよりも、機械力を十分にこなして機械力を應用いたしまして、増産計画を立てなければならないし、これらに対しましても新らしく若き技術者が続々と出られることを非常に期待し、又その養成に政府としましては努力いたしたいと思うのであります。極く端的に率直に申しまするならば、この増産計画としての國家管理案なども、國家が今までの助成金というような方法を前進せしめまして、本当にそういう方面に力を入れまして、技術の進歩発展やら、或いは機械の設備やら等につきましても、國家全体としてその事業の振興に努力したい。そうして若い人々を大いに働きやすいようにして、働いて貰いたいと、こういう意味の緒、導きをできるだけ與えて行きたい、かように考えておるのでありまして、教育及び実際方面に対しまして、この青年の熱情と、純情とを、且又その好学心と、機械力技術に対する非常な希望を持つておることを、將來とも大いに活用して、これを実際面に活かして行きたいということが政府の熱望するところであります。御趣旨を十分に尊重するつもりであります。
#15
○小林英三君 私はこの際総理大臣に対しまして、相当の時間御質問を申上げたいと思つておつたのでありますが、もうすでに午前中の時間も超過したようでありまするから、一、二御質問申上げたいと思います。この本國会に提出いたされておりまする炭鉱國管案というものは、只今も寺尾君の御質問に対して答弁があり、又水谷商工大臣も常にそう言つておることでありまするが、決してイデオロギーではない。観念論ではない。本当に眞面目に増産を目的とした案であるというように仰しやつております。そういたしますると、その半面におきましては、社会党が常に重要の生産につきましては國有ということを言つておられるのであります。四月の選挙におきましては、天下に高く旆を掲げて國有ということを、國営ということを前提といたしての國管案を標榜しておられるのであります。この社会党がこの選挙当時天下に公表されましたるあの國管というものは本当の観念論である。理窟の上の論である。イデオロギーの論であるというように我々は感じられるのでありますが、そういたしますと、國会に提出せられた國管案というものを、社会党が選挙のときに天下に叫んだ國管案というものと、何かそこに相当の差があるように今聽いたのでありますが、その点は如何でありましようか、簡單に御答え願いたい。
#16
○國務大臣(片山哲君) 社会党の政策として現れておりまする重要産業の國有或いは國営案と、今お出しをしておりまする國管案とは違います。社会党は党としての政策として挙げておるのでありまして、私社会党の責任者でありまするが、これをそのままこの内閣に持つて來てはいないのであります。これはここにお出ししておりまするのは、それとは違つたものでありまして、増産を目当てとするものでありまして、これはたびたび御説明した通りであります。社会党の公約、或いは政策として発表しました案はまあ別個のものでありまして、これをそのまま持つて來ることは不適当と考えておりまするので、持つて來てはおりません。全然別のものであるということを御承知願います。
#17
○小林英三君 只今の御答弁を聽きますというと、社会党が選挙以來常に天下に公約しておりました國管というものは、この國会に出したものとは全然違うということになりまするが、この國会に出された國管案というものは増産を目的とするものであるということは、今も総理大臣も商工大臣も屡屡述べられております。そういたしますると、今総理の仰しやつた社会党のイデオロギーによる國管というものは、全然増産というものには関係ない、増産を目的とするものではないというように解してよろしいのでありますか。
#18
○國務大臣(片山哲君) 社会党の掲げておりまするものは、勿論増産も目当てといたしておりまするし、又新らしい主張も持つておるでありましよう。すべてを包括した綜合的な大計画であります。これをそのまま持つて來ることは今日の我が國の経済状勢、産業情勢、又各般の問題に照し合せまして適当でないと考えておりまするので、特つて來なかつたでありまして、社会党の案は増産を目当てとするものであることは、勿論言うまでもありません。それらを含めた総括的の大きな計画であります。
#19
○小林英三君 そういたしまするというと、本國会に提出されましたる國管案というものと、それから社会党がイデオロギー式に考えておりまする國管案というものには、相当の大きな開きがあると見てよろしいのでありますか。
#20
○國務大臣(片山哲君) 大分開きもありまするし、個々の問題についての相違点もあると思います。
#21
○小林英三君 そうするというと、片山内閣が本國会に提出されました國管案というものは、今まで少しの用意もしてなかつた、急に考え出したのだということを考えてよろしいのでありますか。
#22
○國務大臣(片山哲君) そう突飛な案でもなし、即席にできた案でもありません。やはり平素から考えておつた中の増産案、水谷君のいう増産第一主義という案でありますから、それから割出して参りました案であります。
#23
○小林英三君 然らばお伺いいたしまするが、この國管案が片山内閣によつて考えられておつたということは、六月からこの案が練られておつたと思います。そうして七月の二日に水谷商工大臣が衆議院の本会議においてこういうことを述べられた。國管案の一番の中心点は、管理の対象と管理の方式と二つである。管理の対象はまだ結論に達していないが、当面の問題としては、一定の規模以上の山、一定の規模以上のものは國管を適用したい。対象から外れたものは生産の助長なり、或いは福利、厚生施設を充実するために、國管と同時に石炭公團を設けて、全鉱に対してその斡旋を行わんとするものであつて、この石炭公團の働きによつて、國管の対象となる山と、それから対象にならない山との不公平を是正したいということを七日二日の衆議院の本会議において述べられた、ところがそれ以前に我々が承知いたしておりまする片山内閣の國管案の骨子というものは、これとは又違つておる、即ち商工省案の内容といたしまして、生産集團というものと、資材集團というものを設けて、そうしてこれを以て國管の主体としておる。生産集團は主として金融の面からやつて行き、又資材集團は主として資材の面から政府の任命する役職員によつてその業務を行わしめようというようなことであつたのであります。更に地方商工局に管理公團を配属せしめまして、生産増強の監査或いは業務計画の檢査に当らしめる、こういうようなものであつた。かくのごとく案そのものが何度も何度も全貌を変えて行く、何度も何度も中心点を変えて行く、そうして漸く九月の二十五日でありましたか、原案として出て來た、そうして而も今日の修正案、我々に廻つて参りました修正案というものは、これは先程寺尾君が言つたように全貌を変えておることは、今片山総理の仰しやつたように、國管という問題については、社会党が考えておつたことも勿論増産である。増産ということも加味しておるということを言つておられましたが、この國会に出されましたところの國管案というものは、商工大臣が言われておるように、組織法だと言つておられますけれども、その組織の根本というものが、始終ぐらぐらして変つて來ておるということは、私は甚だ不愉快に堪えないと思います。この提案までに、非常な大きな変更があつて、ぐらぐらぐらついて來たのでありますが、かくのごときものによつて、果して口にされるように増産ができるかということは、極めて私は疑わしいと思うのであります。こういう中心点のぐらついた理由、並びにかくのごときものであつても増産ができるかということにつきまして、総理の御意見を伺いたいと思います。
#24
○國務大臣(片山哲君) これはなかなか重要な問題でありまするから、討議に討議を重ねたのでありまして、閣僚もそれぞれ意見を出し、又各與党の……三派連立でありますから、與党の意見も徴して、そうして練りに練つた結果、九月に國会に提出する、とこういう段取りになりましたので、その過程におきましてはいろいろな案が出ました。併しみんなこれは如何にして増産をするか、この増産を目当とするという点においては一致いたしたのでありますが、増産を行うという具体案をどうするかということにつきましては、いろいろの意見が出ることは、これは止むを得ないことと思います。その意見を練つて今日に参りまして、衆議院で修正を受けたような次第でありまするが、これでもできる、この案で、一部では骨抜きだというようなことを言われまするが、我々は増産のために、是非共これを成立せしめたい、こう考えておるのでありまして、且つ又これでも増産が十分できるのである。これは資材の点につきましても資金の点についても、労働力の点についても、先程から寺尾君から御質問になりました機械力を十分に活用すること、技術をこれから振興して、そうして政府が力を入れまして、その方面に相当突込んで、そうして練磨発展を図るというような点から考えましても、將來力を入れれば、相当発掘できる炭山もあるでありましようから、それらを対象といたしまして行くときには、政府が全力を傾倒してやれば、この案では十分に増産ができる、こう確信をいたしておる次第であります。
#25
○小林英三君 この問題につきましては、只今総理の答弁では満足しないのでありますが、まだ外にも質問もあるようでありますから、私は一先ずこれで終了いたします。
#26
○委員外議員(板谷順助君) 私は委員外の質問でありますので、委員諸君が大体の質問を終つた適当の時期に一つお願いしたいと思うのでありますが、私の質問は相当の時間を要しますので、もう十二時半でありますから……、総理大臣、商工大臣、運輸大臣の御出席を御要求しておつたようなわけであります。逐條審議に入りましても、適当の時期に一つお許しを願いたいと思うのであります。大体の質問でありますから、総理は午後はお差支があるというお話でありまするが、委員長において適当に一つお計らいを願いたいと思います。
#27
○委員長(稻垣平太郎君) それでは午前中の審議は、これを以て一旦打切りまして、午後再開いたしたいと思います。午後は一時半からお集りを願いたいと思います。
   午後零時二十八分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時五分開会
#28
○委員長(稻垣平太郎君) それでは午前に引続き、これから委員会を開会いたします。
 本日午後、和田安本長官が見えるはずになつておりましたが、急にお差支ができましたので、永野副長官がお見えになつております。尚労働省の土井政務次官もお見えになつておりますし、物價廳の第三部長もお見えになつておりますので、それらの方々に対する御質問をお願いいたしたいと思います。
#29
○堀末治君 この間も、これは商工大臣にお尋ねいたしましたのですが、政府委員からの御答弁がありましたけれども、どうもそのとき満足できないように思つたので、もう一遍、甚だ恐縮ですが、繰返させて頂きます。それは五ケ年計画を立てました際に、この間の平井局長の御答弁ですと、はつきりとした産業計画の上に立てられないように思われたのであります。大体今までの所要量その他から考えて、恐らくこのぐらいならばいけるだろうし、いかなければなるまい、こういうような御答弁だつたと思います。併しここにどうしても、先般もお尋ねいたしました通り、我が國といたしましては、産業の再建のためには、少くとも石炭に五ケ年計画があるならば、他の産業にも五ケ年計画がなければならない。私はかように思うのであります。從つてなかなか面倒なことではございましようけれども、大体この石炭と他の産業とを、どういうふうにマツチさせて、この計画が成り立つたか、幸いにありましたならば、この機会にお聞かせ願えれば、大変結構だと思います。
#30
○政府委員(永野重雄君) 只今、石炭の五ケ年計画は立つておるようであるが、他の物資のそれに伴う計画はどうであるかというような御質問でございましたが、実は他の物資につきましても、いろいろな現在の事柄を処理いたしますためにも、一應の見通しとしては、ある方が便利であるし、又必要もあるわけでございまして、いろいろ檢討をいたしております。ただ、これは海外事情、貿易事情その他と関聯いたしまして、まだ不確定な部分等も相当ございますので、はつきりした最後的なものを掴み得ない事情にございます。それなら、なぜ石炭だけできたかということでございますが、これは現在の生産の諸條件から考えまして、石炭が殆んどその隘路をなしておるというような点がございますので、取敢ず石炭については最も先に決める必要があるというようなことで、恐らく先程のお話のように、先般平井局長から申上げたと思いますが、他の物資につきましては、さような意味合いを以ちまして、まだ最後的に発表をいたすまでに固めておりませんので、この点はあしからず御了承願いたいと思います。ただ目先きの処理をいたしますために、その綜合的な研究は勿論いたしております。早く最後案ができまして、御説明いたしますような時機の來るよう、我々としても努力いたしておりますから、さよう御了承願います。
#31
○堀末治君 段々講和條約も近づいて参つております。そうなれば、日本の國内事情も一通り落ちつくことだろうと思うのであります。どうしても産業人としましては、これらの計画がある方が、なんといたしましても、あらゆる物の考え方に非常に宜いわけなんであります。いろいろ骨も折れましようが、できるだけ早くひとつお立て下さることを特にお願いいたして置きます。尚そういたしますと、この御計画を立てるには、安本の方でも御参画になつておりますか、それとも石炭廳或いは商工省だけの御計画なのでありましようか。
#32
○政府委員(永野重雄君) これはいろいろな角度から綜合して計画を立てる必要がございますので、安定本部としても一緒に相談をして立てております。
#33
○堀末治君 それではその点はそれだけにいたしまして、先程もちよつと休憩中に冗談に話したのでありますが、最近の電力不足の事情からして、或いは石炭ばかりが殖えて、電力の不足のために他のいろいろな精製工業が手遅れになつて、ことによると商工省が折角骨を折つた石炭が、工場といわず、山元といわず、徒らに貯炭になるというような心配はなかろうか、非常にそれを懸念されるのでありますが、それらに対するお見通しは如何でございましようか。
#34
○政府委員(永野重雄君) 仰せのごとく最近の電力事情は甚だ逼迫いたしておりまして、我々も非常に心痛に考えております。ただ石炭が出ても電力がなければ処理できない。從つて貯炭になるのではないかというお話もございましたが、この点につきましては、さようなことであつては綜合的計画の面からいいまして実際愚な話でございます。從いまして電力の事情と石炭の事情とバランスを取る必要があると思いますので、石炭があつても電力がないというようなことではいけませんから、そういう場合には、石炭で以て火力発電という手もございますので、その辺が均衡の取れるように計画を立てまして、御注意のような結果が起きないよう万全の注意を拂いたいと思つております。
#35
○堀末治君 それでは石炭の計画の方はそのくらいにいたしまして、昨日も田村委員から大分安本長官にお尋ねがありましたが、各山元の生産者炭價を決めてあります。私の或るもので見たのでは、北九州が八百四十九円、西九州が八百三十四円、北海道の石狩、空知地区が六百六十九円、その他の地区が七百六十九円、随分大きい差があるのでありますが、これらはいずれ原價計算はなさつておることではありましようけれども、実際についてこういう差が見出だされるのでございましようか。
#36
○政府委員(小笠公韶君) 私から只今お尋の件について簡單に御説明申上げます。石炭の値段を決めます順序といたしまして、一應從來全國平均の價格を先ず出します。それでいわゆる炭價水準といわれております九百五十六円、こういう全國平均價格を出しまして、それを地域別に、例えば北海道地区とか常磐、宇部、九州というふうに分けるのでございます。その際に、從來におきましては大体において全國平均をベースといたしまして、各地区の最近の実績を中心として、その各地区の実績の比率を計算して出すようにいたしまして、全國平均の價格を出すということにいたしておるのでございますが、七月に決めました際には、從來は御承知の通り個々の山々につきまして、四百幾つの山につきまして、一々値段を決めたのであります。これを決めるに当りまして、各山の値段の本になるのは、全國平均の炭價水準がこの前に決めましてのは三百四十六円と山元價格が出ております。これを基礎にいたしまして、各山から出しております原價報告届書を中心にいたしまして、その比率で一應決める、勿論その場合におきましては各山の生産計画、生産予定数量その他において修正をいたすのでありますが、基本的にはそういうものを中心に取つて参つておるのであります。ただ最近の事情におきまして、その際各山の自然に出ている格差をそのまま取ることができない事情は、御承知の通り労銀の水準の見方の問題がございまするので、労銀は各地区ともに経営者の側と労働組合の、全体の組合連合会といいますか、そこで決めました價格を採入れることにいたしまして、爾余の事項につきましては、大体ごく最近におきまする各地区の実績を中心にした格差というものを中心に考えているのであります。從いまして各地区の値段の格差が最近の情勢をそのまま織込んでございますので、今申上げましたような各地区に一應單一價格としては出て参つておるのであります。ここで單一價格と申しますのは、今回七月に決めました際には、從來は先程申上げましたように、個々の山について價格を決めるところがいろいろ問題がございますので、七月には少し変えまして、價格の決め方はできるなら一本制がいいというような意見も多々ありますので、いわゆる地区を分けまして、その地区の中に個々の山の生産費の違いというものを別にしまして、一應一本價格の部分と、一本價格でできない山につきましては、その山に対しまして若干の割増しをするという個別價格と一本價格、いわゆる單一價格の二つの制度を布いているのでございます。先程お話がありました各地区の値段というものは一本價格であります。一本價格と申しましても、小さな山に対しましては、コストが割合に掛りますので、それらに対しましては、一本價格の外に、それぞれの割増しを附けておるのでありまして、最高のところ千五百円見当で仰えておりまして、その範囲内におきまして割増しを附けて、大体原價の償いが取れるように、そういうような建前をいたしておるわけであります。
#37
○堀末治君 これは昨日田村委員からも、この点については大分お話があつたのです。私その点は触れませんが、ただこの問の朝日新聞に出たいわゆる北海道の状況を調査して來た特派員の報告によるというと、北海道の炭價は非常に安い。元々安いのだけれども、これでは余り安過ぎて赤字が行く在來のように九州の方で埋合せて北海道の損は少々構わんというような、綜合的な計画をされたときにこれは結構だけれども、併し解体をされて個々の経営になるということになれば、この値段では到底立行かないという意見があつたのでありまするが、政府の方ではこういうことは何と御覽になりますか。
#38
○政府委員(小笠公韶君) 單一價格を採るに当りましても、今お話のあるように、一つの経営者で、或る地区、例えば北海道で相当赤が出るといたしましても、九州で相当黒が出ておるという場合には、通算をするという制度を実は採つて、全体の山の價格を九百五十六円の平均に押付けるような措置を講じておるのでございます。從いまして或る地域の特定の山だけを取ると、もうその当初から赤字になつておるというような、こういうふうな通算主義を採つたのでございます。ところが今お話のような状況でありますので、いわゆる山の経営が分れて來るという場合には、当然考え直さなければいかんのではないかと実は考えておるのであります。
 尚もう一つの問題といたしまして、一應先程申上げましたような考え方の下に地区の單一價格の水準に差を付けておるというのでありますが、この幅の一定の趨勢をベースにして、地区の差を付けたのが適当に行つておるかどうかというふうな問題が事実あると考えております。こういうような趣旨を以ちまして、九月の下旬頃から三月の上旬までかかりまして、大体各地区の問題、各山の実際状況というものを調査いたしまして、月下計数整理を実はいたしておるのでありますが、この目的の一つは、今御指摘の各地区間の單一價格を例に取りますと、それが適当であつたかどうか、價格差と言いますか、そういうような付けたかの問題が適当であつたかどうか、又今後においてどう考えて行つたらいいかというふうな問題を、一つの調査の目標にして実はおるのであります。只今のところまだ計数整理が終了いたしておりませんので、はつきりした傾向は、結論は出ておりませんが、その点につきましては、相当研究を要するものがあると私は考えておる次第であります。
#39
○堀末治君 そういたしますというと、その調査の結果多少この價格の上に修正を試みる、そういうようなお考えでいらつしやるわけですか。
#40
○政府委員(小笠公韶君) 調査の結果の取扱い方につきましては、すぐそれをどう扱つて行くかという問題につきましては、政府の大臣のお考えによることだと実は考えておるのでありますが、そういうふうな点について、從來の價格を決めるに当りまして、実際の状況というものが大量的に把握されて行かなければならん。大量的に各地区、各山の実情を把握する。そうしてそれに基いて將來單價を改訂するというような場合に織込んで行きたいというのが、事務をやつておる私どもの考え方で実はスタートいたしたのであります。そこで只今の御質問につきましては、私はすぐどうすると事務官として申上げ兼ねるのでありますが、今後基本方針を決めます場合には十分にそれを参考にしてやつて行きたいと、こういうふうに考えております。
#41
○堀末治君 そうしますと、只今北海道では大体六百六十九円から七百六十九円とこうなつておりますが、一番高いのはどのくらいで、一番安いのはどのくらいか、大体の平均はどのくらいになるかということをお知らせ願いたい。
#42
○政府委員(小笠公韶君) 各地区の平均表を持つて來るのを忘れましたが、大体全國平均炭價九百五十六円八銭というのが炭價の水準になつておるわけであります。それから六十円ばかりを差引きまして六十円五十銭と記憶いたしますが、それを差引きましたものを各地区の單一價格として割振つておるわけであります。その差引きました六十円何がしというものを單一價格で行かないハイ・コストの山の割増し金として加える、こういうような考え方でやつておるのでありまして、平均的に申しますれば九百五十六円の中から六十円ばかりを差引いた八百九十円近いものが單一價格の平均ということに相成ります。
#43
○堀末治君 そうですか、今御資料がなければ仕方がございませんが、でき得るならばこれは後でよろしうございますから、どうぞお聞かせ願いたいと存じます。それからこの消費者價格は全國一本になつておるのでございますか、これも亦地区毎に違つておりますか。
#44
○政府委員(小笠公韶君) 一應原則的には規格、炭種によりまして同一價格を取るということが実は建前に相成つております。ただ特定産業向といたしましては特別の價格を布いておることは御承知の通りでございます。即ち九百五十六円八銭に二百五十二円の配炭公團の運用経費を加えました数字千二百八円という平均價格が一般の全國的な消費者價格の水準ということに相成つておるのでございます。その中で特定の産業といたしまして、例えば電氣の関係であるとか、或いは製鉄であるとか、或いは肥料工業であるとかいうふうな日本産業の基幹的な産業であり、而も石炭を消費することが相当大きく、石炭の價格がその製品價格に相当に響くというふうな産業に対しましてはこれを六百円基準で供給する。そういたしまして千二百八円との差約六百八円見当というものを國庫が持つということに相成つておるのであります。その他の産業及びその他の用途に対しましては千二百八円ベースで供給するということにいたしておるのであります。その際に各地区でも同じ品種、同じ品位の炭はできるだけ同一價格を建前にいたしておるのでありまするが、例えば北海道において地場で使う場合に運送費というものがやはり少いというふうな関係で、小運送その他の関係から見まして若干の差を輸送の距離に應じて変えております。建前は今申上げましたようでありまするが、例えば北海道の炭を大阪で使う場合と東京で使う場合には若干の相違を持つ。尚石炭を現実に消費者が使いまする場合に公團が最寄駅渡し、或いは最寄岸壁渡しを基準にいたしておりますので、その小運送の経費が相当区々になつて参りますので、実際の支拂額も又それに伴つて差異が出て來るような事情に相成つております。
#45
○堀末治君 これは大体一般産業に向けた数字だと思いまするが、家庭用の炭の單價はどんなことになつておりますか。
#46
○政府委員(小笠公韶君) 特に家庭用の炭といたしましても、今申上げましたような一般の産業に入ると同じような建前で供給いたしております。從いまして品位の惡いものというふうなもの等につきましては割安に相成つておるのでありまするが、他の一般産業向の配炭と價格の特に差を付けるというふうな措置はいたしておりません。
#47
○堀末治君 私北海道にばかり居つて仕事をし、長い間住いしておるのでありますが、どうも私どもこういう全國平均の炭價に決められたので、私どもの産業が内地の産業に比べて非常に大きな圧迫を蒙つている。御承知の通り北海道は寒いところですから、私、主としてアルコール工業でございますが、アルコール一石あたり、或いは一キロ当りの原價が、この石炭の改定によつて非常に高くなる。元はいろいろなフアクターが沢山あつたので、北海道なんですが、幸いに石炭が安いので、どうにか内地の九州あたりの同業者と相当にバランスが取れておつたのでございますが、これを一本炭價に変えられたために非常に不利……九州あたりの業者にして見ると、煖房などは殆んど要りません。併し私どもでは工場の隅々まで、煖房を通しておかなければならん。これはあなた方には御経驗はないか知れませんけれども、休みになつても工場の中は全部スチームを通しておかないと、零下三〇度の寒冷のためにパイプが凍つて破裂してしまうというようなことでございますので、例年十二月三十一日から四日乃至五日まで休むのでありますが、その休む時でも煖房のためにボイラー関係のものは交代番に出て、必らずボイラーを焚いておる。同時に全部の工場の中にスチームを通して温ためる。そうでないと後の機械が皆傷んでしまう。そんなようなことは九州あたりの工場は殆んどありません。そういうようなところから、いわゆる一石あたりの原價が非常に高くついておる。これが私どもとして非常に困るのでありますが、それと同時に又、先般もこの席で申上げたのでありますが、北海道の家庭用の炭であります。恐らくこの辺から南の方にかけては、一家庭で一冬にもつて行つて三トン乃至五トンの燃料炭を使うということはどこもない。北海道はどんな家庭でも、極く少い家庭で節約しても三トンは要ります。最近は二トン三分の配給より貰わないことになつておりますが、なかなか二トン三分では各家庭では持ち切れません。どうしてもストーブ一つには三トン、多くの家庭で五トン六トンは要る。ストーブが二つあれば倍の六トンが要る。かようなことでございますので、先般も陳情が出て、その陳情が本会議で採択になつた。かようなことなんであります。而も北海道は、今まで寒いところにおつて石炭に惠まれておる。それでどうやらこうやら生活が工合よく行つていた。それがこういうようなことで、一本炭價で原價六百六十九円のものが、九百何ぼ、それが千二百何ぼ、各家庭には大方千四百円くらいになる。而も最も惡い炭ばかりが配給されておる。実は北海道の連中は、先般來度々陳情に來るのであります。陳情に來て何と言うかというと、何かと北海道は搾取される。内地のためにあらゆるものを犠牲にされて困る。殊に石炭は誠に困るということを陳情されておるのでありますが、成る程聽いて見るというと、本当にこういうふうな多大の犠牲、六百六十九円の山元の石炭が、各家庭千四百円で配給されておる。これは全國的に考えたことで、その考え方の基本はいろいろございましようけれども、私こういうことは非常に不公平なことだと、実はかように思つているのであります。あすこにおいて産業を営むにしろ乃至又住うにしたところが、國家のためにそういう場所を選んでやつているのであります。それが、こういうことで六百六十九円の石炭が千四百円でなければ家庭に使えない。又千二百円でなければ極く手近にある私どもの工場も使えない。こういうようなことでは、工業としてもなかなか成立たない。又家庭としてもなかなかやりにくいのでございますが、殊に北海道のような安いところでは、もう少し安くやるというようなお考えはございませんでしようか。
#48
○政府委員(小笠公韶君) 石炭が産業製品の基礎的な物資であり、石炭の價格が全國的に一本的であるということが、各種の物の價格の構成、その調和をとつて行く上において非常に重要であるというふうなことが考えられるのであります。そういうような点から見まして基礎物資であります炭價につきましては、配炭公團が直接その荷捌きに当りますと同時に、その値段も一本價格にいたしているのであります。從來生産地であるが故にいろいろな便宜があつたものが、一本價格になることによりまして不便が出て來るということも、お話の通りであると考えるのでありますが、一面におきまして炭の値段を一定にいたしまして、その炭を使つて造つた製品の價格を決める場合におきまして、これをどう見て行くか、こういうふうなその面から考慮するというのが、こういう基礎物資を地域によつて地域差の價格をつけるというより、その方面から考えた方がいいのではないかと考えるのであります。勿論石炭を使いまして造つた製品の價格を決めるに当りましては御承知の通りでありまして、個々の工場の原價を中心にして、それでプール價格を作る場合もございますし、或いは又中庸生産費というものをとるとか、モデル工場で生産費をとる場合もある。又バルブラインというものを作つて値段を決めるようないろいろ方法がございますが、何れにしましても石炭の値段が地元の有利性をなくして全國的に同じ立場にまで來たことによつて生産費が從來よりも増嵩した。その辺の問題を救済するといいますか、考えるのは製品價格の方面から考えて見たらどうであるかというふうに私は考えているのであります。何れにいたしましても、基礎的な物資でありますので、これの價格を一方にできるだけ全國的にやることが適当ではないか。今日のような経済の状況下におきましてはそうするのが適当ではないかと考えているのであります。それから家庭用煖房炭のお話がございましたが、実は昨年も同じ問題がございました。昨年は御承知の通りに十二月二十一日から家庭用石炭をいわゆる百五十円ベースから三百五十六円に、配給に五十七円ばかり加えました四百円あまりに結局引上げたのであります。丁度その際に北海道の家庭用煖房炭としまして、はつきり記憶いたしておりませんが、約一トン半か一トン三分見当が大体平均的に行つたのであります。これは併し全体の観察であつて、遠隔の地には交通等の関係を考えて送り込んでおりまして、都市その他の最寄りのところには殆んど行つていないというような不均衡な状態があつたのであります。ところが約倍額以上に値段が上りましたので、この差を何とかして貰いたいというふうな御意見が地元からございましたのでありまして、丁度今申上げましたような消費乃至配給の眞只中で價格を決めました事情もありまして、関係官廳とも相談の結果、若干の予算を組みまして、同時に北海道廳におきましてもできるだけの御努力を願うということで予算を組んで参つたのであります。即ち昨年においては、その際特定産業向けといたしまして、一般の産業は四百円ベースでやるに対しまして二百円であります。二百円程度に既存配給と同じ意味において直して行く。いわゆる補給金の形をとつたのであります。この措置は実際物價の立場から申しますると、特殊の地域、特殊の場合に値段を区々にして行くということは実際上むずかしいし、又そうした場合に、その低くした負担をどこにさせて行くか、こういうふうな問題もございますので、物價の立場から申しますれば、物價は飽くまで全國的に單一なものというようなものを希望いたすわけでありまするので、本年は丁度七月の初めでありますし、そういうふうな物價の本來の建前から見ても、又これに差をつけると申しましても、その負担額をどこに負わして行くかというふうなことを考えまする場合に、國家の財政の状況等から考えまして、なかなか困難な事情があるような点から、今回は政府から家庭用煖房炭に対する補給金を出すということをいたさなかつたのでございます。需要期に入りましてから、北海道初めいろいろお話がございまするが、そういうふうな建前から、今年は價格政策としてこれを取扱つて行く、措置して行くという方針をせずに、私どもの勝手な意見かも知れませんが、そういうふうな地域差による生活費の差違というものは、給與の形、給與における地域差の問題、その他の方法において考慮をして行くのが順序ではないかというふうな考え方を実はいたしておるのであります。尚給與だけではありませんが、その他いろいろな他の面から、地域差の面を、生計費の地域差を調整するというふうにして頂いて、物價政策を一部局的な問題によつて区々になるということを極力避けて行きたい。こういうふうに実は考えたのであります。
#49
○堀末治君 そういたしますと、いわゆるそういうものは給與に織り込め、同時に又價格を決めるときに、それらも相当に考慮しておる、こういうようなふうな結論の御答弁に承わるのでありまするが、なかなか実際問題はさようになつておりません。私どもの作るアルコール関係のものは、全國一律に値段が決められます。私どもの方のアルコールのごときものにあつては、原料、燃料、諸経費、こういうようなものが原價計算のフアクターをなすのでありますが、その値段が非常に高い。そうしてこれを全國一律に決められる。あなたさんの仰しやるように賃金に織り込めるような價格に決めて頂けばいいのですけれども、賃金も全國一律に決めて、そうしてこの間も政府でお取り下さつたような三千円、千円という越冬資金が出ておるのでありますが、私どもの会社ではやつぱり六千円、二千円という要求を受けておる状況で、或る程度で妥協して出しておる。それらのごときは然らば特定の價格、一方價格政策に織り込まれているかというと、何も織り込んでおりません。全然私どもの方面も同じように取扱われた、原價は一律に抑えられておるというのであります。かようなことであります。あなたさんの御答弁と政府の方針に矛盾があるようでございますが、その辺いかがでございましようか。
#50
○政府委員(小笠公韶君) アルコールの例を取つてお話がございましたが、アルコールの場合には、各地域におきましての原價は一本原價を作つております、御承知の通り。その場合に、石炭の値段は公定價格と言いますか、マル公と言いますか、いわゆるマル公計算でやつております。そこでその場合に全國の生産量予定量、例えば何万キロというようなものを生産するといたしまして、どの程度、どこそこの工場が動く、そこで大体繰業度が二〇%見当に大体なる。そういうふうな考え方の下に適正な原價計算をいたしておるわけでありまして、従いまして、いわゆる炭價の値段が、炭價の高くなつたということによつて、他の地域における場合よりも不利になるというよりも、從來の有利な点が少なくなる。一方逆に申しますれば、いわゆる煖房費というふうな一般管理費の負担が他の地域に比べて負担が重くなる、こういうふうな状況であろうかと考えるのでありまするが、全体に管理費等につきましては、全國の平均値を出して考えておるわけでありまして、全然それを考えていないということではないのであります。そこで又一面から申しますれば、値段を決める場合におきましては、中央生産費と言いますか、それが主として取られておりますので、その範囲内においての操作で大体やつて行けるのではないか、こういうふうに私ども考えておるのであります。
 それから給與の問題で考えたらどうかという御意見につきましては、実は私といたしましては、いわゆる北海道の家庭用煖房炭に対する値段を、特定産業と同じように二重價格制を敷く、安い價格でやるということにする場合に、その安くしただけの財源をどつから持つて行くかという問題が現実の問題としてあるということが一つ、それから國家の財政状況から見て非常に困難であるということが一つ、それから物價の立て方といたしましては、地域によつて或いは又特定の場合にというか、特殊な面においてこれを区々にして行くということが非常にむづかしい。細かく申しますれば、北海道を切り離しますと、各地区の、例えば東北の問題はどうなるかというように、区別の仕方も相当むづかしい問題であり、値段の決め方としては、できるだけ一本で行くというのが適当である、こういうふうな考え方から、今年度の北海道の煖房炭に対する補給金、二重價格制度を取ることをいたさなかつたのであります。從いまして北海道におきまする冬期における生計費の増嵩をなんでカバーするか、こういうお話でございますが、それでそういうふうな煖房費の増嵩という面は、物價の面以外で一つ措置して頂く、その一例といたしまして、最近よくありますような地域差の問題、これを併せてお考えを願つたらどうか、これは一つの私案でございまして、物價の上からそういうふうなものを考えることが現状においてはなかなか困難である、こういう点でございます。
#51
○堀末治君 政府の御答弁、私は満足できないのでございます。併しこれより以上この問題を蒸し返しておつては、本問題の國管案の審議のお邪魔になるから、不満足の意を表して、これで打ち切らして頂きます。
#52
○小林英三君 物價廳と政府の方に一つお願いいたしますが、石炭がすべての産業に影響するところの基礎資材でありますから、それの炭價の決定ということにつきましては、余程愼重を要することは勿論であります。今日の、七月何日でありましたかにありました石炭の價格、只今堀委員から全般に亘つて御質問があつたのでありますが、この價格というものが、果してこれが今日の石炭を増産する上におきまして適正な炭價でありや否やということを私どもは疑いたい。実は私がそういうことを伺いますのは、私ども関係しております鑄物、先般その鑄物の公定價格が決められた、このときに極めて無理な鑄物の公定價格が、而も今御説明になつておりまする第三部長の配下の或る技官でありますが、これが極めて官廳的な狭量なる人物でありまして、これは笑いごとじやない実際問題だ、全國に三千数百軒の鑄物工場があり、この三千数百軒の鑄物工場から、原價計算を決めるのに、僅かに各地区々々から、いろいろ経緯がありましたが、私は石炭の問題を聞くのでありますから略して申しますが、とにかくいろいろな関係がありましたが、僅かに八軒であります。結局八軒の、最初五、六十軒より御聽取になつたそうでありますが、八軒、その八軒の出した原價計算というものも、その技官の自分の手柄に……極めて安い公定價格を決めてやろうというような多分考え方であろうと思うのでありますが、有らゆる方面から原價計算提出に対する條件を與えていわゆる業者は少しの緩みのない、こういうようなことを出したらこういうようなことを調べるぞ、そういうように一つの原價計算に七、八十枚もの資料を出させる。それでありますから鑄物工業家というものは非常に恐れをなしておる。そうして本当に、無論眞面目に出さなくちやならんが、有らゆる方面から考えまして出たのであります。ところが物價廳の方面でありますか、その出した中から比較的にその技官が、その係官が高いと思うものをオミットしてしまつて、そうしてこれなら自分のいいと思うものの中から更に二五%を削つて七五%を取つて、そうしてそれで決定した。それでありますから全國の三千数百軒の業界は大会を開きまして、そうしてこれはいかん、これでは本当に適正の單價じやない。これじや鑄物産業は起らない、品物はできないという決議までいたしまして、甚しいのはその技官に対する忌避に近いような決議まで突き付けたことがあつたのであります。これは又別問題として、こういうふうな模樣におきまして、今の第三部長さんが自からおやりになるならそれは適正のものができるかも知れないが、下にそういうような官吏が沢山おる。私は石炭の炭價につきましてもそういうような嫌いがなかつたかどうか、承るところによりますと、この重要なる石炭の炭價の公定價格をお決めになるのに、石炭に必要な資材の公定價格の改訂というようなものが果して妥当であつたかどうか、詰りいずれ石炭に必要な資材の公定價格が上がるものとみなして、石炭の公定價格をお出しになつたその時に、その石炭の必要な資材の公定價格の改訂というものが本当に完全に行われておつたかどうかということを承りたい。從いまして現在決つておる石炭の炭價というものは無理があるかどうか、無理があれば將來直ちに是正せんとする意思があるかどうか、こういうことをまず承りたいと思います。
#53
○政府委員(小笠公韶君) 只今の御質問の中心点の、現在の炭價の中に含んでおります諸資材の價格が、石炭の値段が決つてから後に決まると、こういう経緯もあるので、石炭の中に含んでおる値上り率で十分にカバーできておるかどうかと、こういうふうに解釈いたしまして、実は石炭が基礎でありますので一番先に決める。その際に主要な木材、或いは鉄材、或いは鉄の二次製品、或いは油とかゴム製品とかいうようなものが要るのでありますが、その値段の予想を付けて石炭の値段を決めたのであります。その後石炭が重要であるが故に、その値段を、それらの物資の値段を決める場合におきましては十分な連絡を取りまして、当初予定いたしたのと齟齬のないように実はいたしたのであります。よくといいますか、偶には現在の炭價に織り込んである新物價体系による價格の値上り額が実際に決めたものよりも多いのじやないかというふうな意見も聞くことがありますが、その点につきましてはその都度精査いたしておるのでありますが、いろいろ炭價の取り方、例えば木材の中でも坑木の取り方なんかになりますと、いわゆる何寸規格のものと何寸規格のもの、長さ幾らのものをどういうふうな按配で決めるか、そういうような一つの前提の組み合せで決めておりますので、その品種の決め方によりまして若干の違いが出て來るのでありますが、当初予定いたした前提の下におきましては、同じ價格で資材の價格が決められておる。私はその点はそういうふうにはつきり考えております。
#54
○小林英三君 もう一つちよつと……実は石炭の炭價の問題につきましては、全國の炭鉱業者が現在非常に困つておる。今日あの改訂以來、日が進むに連れまして非常に赤字が出て來ておる。それは殆んど炭價に無理がある。非常に大きな無理がある。それがために各会社は非常に赤字を出しておるということを言つておるのでありまするが、今の政府委員の仰しやることと大変違うようでありまするが、その点は如何でございましようか。
#55
○政府委員(小笠公韶君) 只今の御質問の趣旨は、現在石炭一トン出すに当りまする実際の生産費と、決めました値段との間の問題でございまするが、私ども炭價を決めるに当りましては、まず第一に考えておりまするのは、大体どの程度の操業をするのか。いわゆる月何万トンを掘るのかということを先ず前提にする。それからもう一つの問題は、人が平均どれくらいの能率を発揮するか。こういうふうな前提を先ず取つておるのであります。それから原價計算に入るのでありまするが、現在の炭價におきましては、安定本部の上期の計画に從いまして、上期が千三百八十万トン余の、月割二百十八万五千トンばかりの計画を二百十五万トンは出るものだ、こういうふうな計算を実はいたしました。それから能率につきましては、実は前期におきましていわゆる昨年度の下期におきましては、平均在籍労務者一人について六・四トンの能率が出る、こういうふうな前提をいたしましたが、十一月から今年の三月までに五・七トンという実績に実は落ちたのであります。そこで今度の炭價を決めるに当りましても五・七トンを一つ掘るという前提の下に実は今度の九百五十六円という数字は作つたのであります。ところが実際問題といたしまして、その後経過を見ますると、八月におきましては全國平均が四・九トンというふうな数字に相成つております。勿論これは速報の関係で若干修正があると思いますが、そういうようなことで能率の問題が予定通り行つておらないという問題もございましようし、又賃金水準の問題にもいろいろ含みがありましたのを上廻つておるというふうな状況もございまして、実際問題といたしましては、あの炭價の前提が充足されていない面におきましての、そういう点から山が苦労しておるということも考えられるであります。唯その前提が非常に無理であつたし、又今後もそういうことはその程度までは行かない、こういう点につきましてもいろいろ研究しておるのでありますが、現実の問題は今申し上げましような状況に相成つておるのであります。
#56
○楠見義男君 私は詳細な点は逐條審議の際にお伺いすることにいたしまして、極く簡單なことだけ二、三点商工大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。お伺いしたい項目だけを先に申し上げますが、一つはこの法案と増産との関係であります。それからその次には工員の養成の問題、それからその次は現場中心か、企業中心かの問題、最後に生産協議会の性格の問題であります。先ず最初にこの法案と増産との関係でありますが、実はこの問題は衆議院、或いはこの参議院でも随分繰返された問題だと思いますので、できるだけ重複して御質問することを御遠慮いたしたいと存じまして、同僚の議員の方にもその点を伺つたのでありますが、同僚の方も余りよく分らない、はつきりしない、こういうようなことも伺いましたので、大変恐縮でありますけれどもこの点をお伺いしたいと思うのであります。私の聞きましたところに誤りなければ、政府委員の方の答弁は、これはこの法案だけで増産になることでなくて、増産のための受入態勢がこれでできるのだと、こういうような、受入態勢と申しますか、態勢ができるのだと、こういうお話であります。又商工大臣の先般小林委員との質疑應答の際の経過を伺つておりますと、國会がこの法案を可決すれば、國会の意思がここにあるのであるから、現在生産者も、企業者も、労働者も、皆賛成はしておらん、喜んではおらんけれども、國会が意思決定をすれば、それに從つて翕然と協力し増産をするであろうというようなお答えがあつたように承知しておるのであります。ここが問題でありまして、実は國会といたしましては、この法案が増産に役立つかどうかということを先決問題として決めるので、國会が決めたから企業者なり労務者が賛成する、こういうことでは本末顛倒しておるように思いますので、その点を実はお伺いしたいと思うのであります。私どもはと申しますか、私は全然これについては、重大なる関心を持つておりますが、白紙の態度でおるのでありますが、私の属しております緑風会の中にも、多数の方は同じように重大なる関心を持つておりながら、併しながら態度といたしましては白紙の態度でおるのであります。その点は我々といたしましては、私もその一人でありますが、片山氏を総理大臣に指名し、社会党内閣ができたのでありますが、多年社会党としては國家管理の問題について論じておられ、又與党である民主党も重要企業については國家管理を主張しておつたのであります。從つてこの内閣ができた以上こういつた國家管理、重要な國家管理案が出ることは当然予想されておつたのでありますが、併し問題は國家管理の内容であり、今申しますように、この法案が増産にどう役立つかということが最も中心の問題であろうと思うのであります。外部からいろいろの意見を聞くのでありますが、反対の方の意見は比較的具体的でありまして、こういうことをすれば、こういうふうに手間をとる。又手数が掛つて結局能率が上らんとか、具体的の事例で以て反対の理由を説明せられておるのであります。ところが賛成の方は勿論これは政府としてもイデオロギーに捉われておらない、増産である。増産に役立つのだというふうに言つておられるのでありますけれども、併し概ね態勢ができるとかいうような抽象的のことが多いのであります。從つてこの点を先ずはつきりと私どもも、私自身にもそうでありますが、同僚の人々にもよく納得ができるように御説明をお願いしたいと思うのであります。
 それからその次の養成の問題でありますが、これは先般一松商業委員長が御出席になつたときの質疑應答を聞きまして、私実は非常に奇異の感を持つたのでありますが、これだけの重要な産業に必要な工員の養成について、政府委員は養成の箇所を余りどこにあるかということも急にも覚えておらない。又厚生省がそれをやつておられると、こういうことでありますが、今申しますように、こういう大事な基礎的の労務者の養成でありますから、これは人任せにやつておつたんではどうしてもそこに血の通つた、精神の籠つた養成ができないじやないかと思うのであります。從つてお尋ねしたいことはこの養成について、厚生省の現在所管であるとすれば、これを商工省が所管をして、本当に力を入れて養成するような態勢に持つて行けないものかどうか、そういう御意思があるかどうかということを第二点として伺つておきたい。
 第三点は現場中心か、企業の中心かの問題でありますが、先般衆議院の松本さんがお見えになつての御説明によりますと、管理の相手方を事業者としたのだと、これは企業一体の原則に從つて修正をしたのだと、こういうような御説明であつたのであります。ところがこの法案を見ますると、例えば十九條、二十條、二十一條、こういつたところで事業主と炭鉱管理者が併立されておるのが明らかにあるのであります。先程の松本さんの修正意見として、又その趣旨として述べられた趣旨が通つていないじやないかというふうにも思われるのでありますが、その辺の事情はどうなつておりますか。又どうお考えになつておるか、お伺いしたいと思うのです。
 最後に生産協議会の性格の問題であります。同僚の藤井君から御質問をいたしたときに、商工大臣はこれは結局諮問機関と決議機関の中間である、労働組合が発達し又強い所では、決議機関の性格を帶びるであろうし、そうでない場合には諮問機関の性格を帶びるであろうと。実際の運営はその通りだと私も思うのでありますが、ところが一昨日でしたか、岩木君からの質問に対して、これは條件つきの決議機関である。條件つきであるという意味は、生産協議会が議決をしないというような場合には、石炭局長が裁定できるのだ。そういう意味において決議機関では完全な決議機関ではなくて、條件つきの決議機関であるというような御答弁であつたように記憶しておるのであります。今の石炭局長が裁定するということは、決議機関であるかどうかということに対する根本的な問題ではなくして、その決議機関、生産協議会が、仮に決議機関ということを完全な決議機関でありましても、例えばこれは例としては惡いかも知れませんが、前の府縣会というのは議決機関でありましたけれども、それが議決しない場合に、原案執行権があるし、府縣会が議決機関であることは、何ら異存は、問題のなかつたことであります。そういうふうに段々とこの性格がはつきりいたさないように思えて仕方ないのであります。又この法文の上から見ますと、諮問の場合には、何々に諮つてと、こういうふうになつておる。それと異なつた文句を使つて、議を経てと、こうあるので、議決機関のようにも、又その中間のようにも見えるのでありますが、そういつた、この法文の中に使い分けから見ますと、議決機関のようにも見えるのであります。又別の法案で、私は農業関係の法案を扱つておるのでありますが、臨時農業生産調整法このような場合には、はつきりと、議決機関の場合には議決を経てと、農業調整委員会がこれは決定機関になつておりますが、そういう場合には、議決を経てということをはつきり書いてある。この法案の場合は、議を経てと書いてあつて、その辺がはつきりしないが、もう一度この問題を伺いたい。と同時に、逐條審議に入りました場合に、或いは必要があれば委員長において、法制局長官の解釈は、法律上の解釈は、どういうように見ておるかというようなことも一つ伺いたいと思つておるのであります。以上四点についてお答え願いたいと思います。
#57
○國務大臣(水谷長三郎君) 楠見さんの四点の中、工員の養成の問題は、政府委員から答弁いたします。後の三点を私から答弁したいと思います。
 この法案と増産との関係は、これまで私も繰返して申上げました通り、この管理法案の第一條にもその点ははつきりと謳つておりますように、「石炭の増産を達成することを目的とする。」ということを言つておりまして、飽くまでも増産の組織法に外ならんのでございます。私が申しました言葉を、政府委員が申しました点と、何らかの矛盾があるように楠見さんは申されましたが……。
#58
○楠見義男君 そう思つてはいないのです。
#59
○國務大臣(水谷長三郎君) ああ、そうですか。大体増産の組織法というように御了解を願いたいと思います。更にそれによつて我々は何を企図して、増産の組織法になるかと申上げますれば、第一は、石炭の増産に対する各般の施策を、石炭生産に関與する者に十分滲透徹底せしめたいと思つております。即ち政府は、みずから生産現場の実情をば迅速的確に握りまして、國の責任におきまして、事業運営に関する計画及び実施を十分に指導援助いたしまして、増産を制約して参りましたもろもろの條件の拘束をば取除いて、増産体制を確立したい、それと共に、他の行政をば現場の末端にまで滲透せしめるように、この法案を通じて進めるようにしたいということでございます。
 第二は、繰返し申しましたように、行政と経営と労働との三者が渾然一体となりまして、増産第一主義を実行し得る民主的体制を整備することでございます。即ち事業運営に関する重要事項につきましては、すべて経営者の画参権を十分尊重いたしますと共に、そういう意味の決定に当りましては、当事者並びに各方面の経驗者が直接間接にこれに参画することといたしまして、更に現場の労働者も亦議案の決定、実施につきまして、みずから関與することにいたします。このようにして決定されました計画は、現場の責任者を中心にいたしまして、経営者も労働者も相率いて一体となつて、これが完遂に邁進するようにしたいということが狙いでございます。
 第三は、資材、資金の問題でございますが、これを最も効率的な活用を図りたいと思います。政府は從來より石炭超重点主義を採用いたしまして、乏しい國力の中から、他産業及び一般國民生活に相当の犠牲を強要して、最大限度の生産諸要素を投入して参つたのでございます。從つて政府及び石炭生産の関係者は、一般國民に対して、なんらか石炭の緊急増産に対して、最大の効果を挙げるように、十分な措置を講ずる責務を負うておるのでございまして、こういうような三つの観点を達成いたしますところの石炭増産の組織法といたしまして、この法案を提出したような次第でございます。この法案を中心にいたしまして、もろもろの資材の緊急増産対策と睨み合せまして飽くまでも増産第一主義の立場で、この法案の推進に当つて行きたいと考えておる次第であります。
 更に又、現場が中心か、企業が中心かということでございますが、從來の原案は、本社並びに現場の二本建としたのでございますが、この度のいわゆる修正案によりますれば、政府が企業を通して、現場を握るということになつております。現場を握るということは、これは原案と同じでございますが、その道行といたしましても、飽くまでも企業権を尊重して、企業を通して現場を握るという立場に立つているような次第であります。
 更に第三の、生産協議会の問題であります。これは古い府縣会の例も引かれまして、原案執行権と、石炭局長とのいわゆる裁定の問題と併用されまして、比較されまして、いろいろその問題を、もう少しはつきりさせる必要がありはしないかという点でありますが、これも私は、いわゆる專門の法律家といたしまして、的確な定義を下すわけには行きませんが、大体大まかな常識論からいたしますならば、やはり決議機関と諮問機関との中間ではないかと思います。法制局長官が、これに、対してどういう解釈をされるか知りませんが、私は、解釈としては、それでいいのではないかと思います。ただ運用の面におきましたならば、その生産協議会の議は、飽くまでも纏まるように導いて行きまして、生産協議会が纏まらないで、石炭局長の裁定を受けるということは、例外中の例外にしたいという工合に考えておるような次第であります。從つて生産協議会の性格というものが、或いはそういう性格の協議機関と見るか。或いは又條件附な決議機関と見るかは、いろいろの解釈がありましようけれども、私の心の中を素朴的に表現いたしますれば、やはりそれは決議機関と諮問機関との中間であると言うより外にお答えのしようがありません。併しながらこういうようなデーターに対して、或いはこれは決議機関であるか。或いは諮問機関であるか協議機関であるかということは、これは法律学者といたしましていろいろの解釈があるか知れませんが、私といたしましては、狙いはやはり決議機関と諮問機関の中間である。併し運用の面におきましては、そういうような法律上の解釈の混淆を許さないように、飽くまでも生産協議会において議が纏まるようにして行きたいと、このように考えております。
#60
○政府委員(平井富三郎君) 工員の養成の問題でございますが、本日お手許に配付しました資料によつて、御覧を願いたいと思うのでありますが、説明員の方から、現在三十ケ所と言いましたのでありますが、これは大体予算上の措置におきまして、予算を請求する場合において、三十ケ所を予定いたしておりましたが実際の運用におきまして四十ケ所現在設置してございます。これの定員及び現在員は、その表にございます通りでございます。尚二十一年度におきましては、養成修了者は、約七千名でございまして、約半年を一期にいたしまして、養成を進めている次第であります。箇所は多いので、資料によつて御説明申上げるつもりで、説明員がそう申上げたのでありまして、その点は御了承を願いたいと思います。
 それから尚この予算は、國庫から補助をいたしておるわけでありまして、予算の関係におきましては、御承知のように、これらの施設一般が、從來厚生省の所管にございましたので、予算の要求その他実質的な点は商工省でこれを行いまして、予算の管理を厚生省に一應籍を移すというような関係で、これの実施に当つては勿論商工省で実施して行くわけであります。今後の成行といたしましても実質的には商工省としてこの計画を設定しそれを実施して行く。ただ予算の区分としては予算上の技術に從つておる。こういう現状であります。
 尚今後の問題といたしまして工員養成ということが能率の向上から行きましても重大な問題であろうかとも思うのであります。これらの問題が或いは生産協議会を通じ企業としてもはつきりした意図を以てこの問題が採上げられる、こういうふうに期待いたしておりますし、又これを國庫補助のみでやつて行こうということにも行詰りがあるのぢやないか、例えばこれを金融で必要な施設を充足して行くには復興公團を利用して行く。いわゆる福利施設、工員養成の施設について現在炭業公團法に代る案といたしまして御説明申上げました中にも、或いは病院の建設であるとか或いは学校の施設であるとか、こういう点は一つの企業に属する事業といたしまして、これが金融的な企業として行い得ない場合におきましてむしろ金融をつけて復興公團等を活用いたして行く。只今さように考えておる次第であります。
 それから大臣が先程御答弁申上げました中で炭鉱管理者と事業主の関係でございますが、この法案の中で例えば原案を、業務計画の案を作りますに必要な指示は事業主にいたしまして、事業主が業務計画の案を作りまして石炭局長に提出する。その際これが決定されまして、通牒される場合に事業主及び炭鉱管理者に指示するということに相成つておりますし、又計画の変更につきましても申請は事業主からいたしまして、その変更の指示が事業主、炭鉱管理者に指示される。或いは又業務計画の実施上発せられます命令、指示等に対して不服の申立が事業主炭鉱管理者から出し得るという点がございますが、これは事業主と炭鉱管理者の関係は商工大臣も申上げましたように大きな一つの考え方で原案を修正しておるわけでありますが、只今申上げましたような計画の指示等につきましては、一々事業主を通さんでも直接炭鉱管理者に指示してもそれが時間的なセーヴになるのじやないかというような氣持から、この点は原案通りになつておるのであります。不服の申立にいたしましても、炭鉱管理者はやはり実質上の責任者としてこの法律で定められておりますので、與えられました命令に対して、事業主のみでなくこれを実施して行かなければならん責任を持つ炭鉱管理者としてもその申立を認められた方が便宜ではないか、こういう観点から三、四の條文に事業主と炭鉱管理者を並列しておる次第であります。
#61
○楠見義男君 今の商工大臣の御答弁の増産の問題でありますが、尚了解いたし兼ねる点がございますが、それは更に逐條審議に入つた場合に具体的に又お伺いしたいと思うのでありますが、ただ一点お伺いしたいことは、今仰せになつたように、この法案は増産に役立つのだ、こういうことでございますが例えばこの法案によつて差当りの問題としては本年の増産、或いは明年の増産、特に明年三千三百万トンを是非確保するための増産上必要な措置だと仮りにいたしました場合に、この法案によつて事業計画を立て、それが又いろいろの計画を経て指示命令に行くという場合に、結局この法案が四月一日から施行されますと、そういつた手続を経てその決定した事業計画の裏打のために資材なり資金というものを完全に充足して行くことになれば、時間的に言つて明年三千三百万トンを達成する上において非常な時間的のずれが出て來るのじやないか、こういうことを一つの事例でありますが、そういうことすら考えられるのでありますから、その辺を一点お伺いしたいと思うのであります。
 それからもう一つ協議会の性格の問題でありますが、これは今仰せになりましたように、いろいろの解釈が成立つという点が私は又一面においていろいろの混乱を來たす。これはまあ全部がよく理解をしてやつて行けばよいのでありますが、併し解釈がはつきりせんためにそこに問題を生ずる余地があるということを恐れての質問でありまして、私はこれを別に意見として諮問機関がよい或いは決議機関がよいということを申上げておるのではないので、そういつたことが懸念されるので、はつきりした方がよいのじやないか、こういうことをお尋ねしたのでありますが、或いはこれはいつまで経つても盡きんかと思いますが、その点をもう一度お伺いいたしたいと思います。
 それからこの養成の問題につきましては、私の申上げましたのは、結局大事な産業であり、又基礎的な工員の養成であるから、商工省自らが本当に息をかけ、血を繋がらせて、精神を籠めて、直接自分が完備し、例えば農林省で申しますと、水産講習所というものは農林省が直轄してやつておるのでありますが、そういうように直接自分が精神を籠めて養成するような態勢を取る必要がないかどうか、むしろそれが望ましいと私は思いましたので、それに対する御意思があるかどうかということをもう一度お伺いしたいと思います。
#62
○國務大臣(水谷長三郎君) 第一点の時間的ずれの問題でありますが、我々がこの法案を考えました場合におきましても、いわゆるその点を非常に考慮いたしまして、理想に走るよりも現実に即しまして、現状の形を余り変えない点を頭に描きまして、この法案を作案いたしたような次第であります。而もこの法案が辷り出します問におきましては、これまで繰返し述べますような或いは非常対策要綱であるとか、或いはその他に現地に派遣いたしますとか、直接調査團等を出しまして、この法案の辷り出しの地均しを今目下やりつつあるような状態でありまして、そういう点から申上げまして、この法案の四月一日から施行するに当りましての資材資金の面における時間的なずれというものは心配する必要がない。このように考えております。
 それから第二の問題でありますが、この生産協議会の問題でありますが、これは私は大事なことは法の解釈にあらずして法の運用であろうと思うのでありますが、いろいろ解釈は人によつて違うかもしれませんが、この條文に即してこの法を運用して行くという場合におきましては、或いは條件附決議機関、或いは協議機関とか、或いは中間説というようなものがその運用の面におきまして、何らの惡影響を與える問題ではない、このように考えております。
 それから第三の問題でございますが、これは極めて仰せ御尤もな点でありまして、我々が石炭企業に対しまして、こういうような法案を出すというときには、自分の初めの考えから申しますならば、そういうような工員の養成問題だけでなしに、石炭企業に関する労働問題も一つこの法案で扱いたいという考えを持つておつたのでございますが、併しそれはいろいろの事情によりまして、それに関する二つの條文が削除されたことは楠見さんも御案内の通りでありますが、只今御指摘の点に関しましては、これは生産増強その他の関しまして、非常に大きな影響を與えるものでありますが故に、できるならば一〇〇%あらゆる意味におきまして、商工省の責任においてやれたらやつて行きたい。このように考えております。
#63
○宿谷榮一君 私はこれを審議しておりますのに、自分の疑問な点を二、三御伺いいたしたいと思うのであります。極く細かい点でありますが、商工大臣は先日來この席上で御答弁になつていることは、この管理に対する石炭鉱業の全体に対する全責任を商工大臣が負われるというように御答弁を伺つております。同時に、責任を負われますと、炭鉱事業に関する全体の権限が商工大臣に集中されるもので、從つて商工大臣が石炭鉱業全体に対する総元締になるように私は解釈しておりますが、言い換えますと、各地区の山々がそれぞれが会社になるという場合には、いわゆる商工省がその本社になるのだという意味にこれは解釈してよろしいかどうか。この点の大臣のお考えを伺いたいと思います。
#64
○國務大臣(水谷長三郎君) この法案が通過いたしましたときに、石炭生産増強に対しまして、商工大臣が終極的に責任を負わなくちやならんということは申しました。併しながらそういう責任を負わなくちやならんということは、石炭に対する権限が商工大臣に集中して、商工省がそういうような石炭企業のいわゆる総元締、総本社というようなものになるということは、これは別個であろうと思いまして、そういう点は全國炭鉱管理委員会、或いは地方炭鉱管理委員会その他の点を活用いたしまして、極めて民主的に経営して行きたいと思うのでありまして、責任は飽くまでも考えまするが、それに應じて権限をば商工大臣に集中し、或いは商工省が石炭企業の総元締になる、そういうような大それた考えは持つておりません。
#65
○宿谷榮一君 只今のに関聯いたしまして、この法案の内容を見て参りますると、この石炭の事業場、いわゆる現場、会社等がすべて石炭を掘り出してから出すまで全体に対して、申告をすべき点が相当あります。又これに対しての監査行爲が相当ございます。この條文を見て参りましても、第五條、七條、八條、十一條、十二條、十五條、十七條、十九條、三十七條、三十八條に至るまで、すべてこれは認許可に属しております。こういう点から見て参りますると、恰もこれは政府が経営して行くという感を抱きまするし、さような解釈ができますので、只今そういう点をお飼い申上げたのです。全部経営をして行くというような大それた考えはないと大臣は仰しやるのですが、國家の意思を通じてこの石炭の増産を推進して行くということになるならば、やはり行政官廳であるところの商工省の意思というものが現場に直結して行くのでなければ、その目的は達しられないのじやないか、さように私は解釈いたしましたので、義務があると同時に最大の権限が商工省に集中されるのである、こう実は解釈しておつたのであります。併し大臣の御答弁はそこまでは行つていない、民主的な運営によつてこれをやつて行くのだという意味の御答弁でありますが、法案を通じて國家の意思を現場までに滲透してやるというのであれば、そういう解釈を持たなければ徹底しないのじやないか、こういうふうに私解釈したのでお尋ね申上げたのでありますが、重ねてこの点を一つお飼い申上げたいと思います。
#66
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の御指摘の点でございますが、勿論こういうような國家管理というものが、國家と現場との直接の結附ということは望ましいことでありますが、併しその直接の結附けをこの修正案によりましては企業を通してやるというのでございまして、ただその企業を通すか通さんかという点は違つておりますが、併しこの法案によりまして現場をばできるだけ政府が握るようにしたいということは、これは目標は少しも変つておりません。ただその方法が変つておるだけであるという工合に一つ御了承を願いたいと思います。
#67
○宿谷榮一君 大臣の御解釈は分りましたが、そこでこの問題は、これは議論になるかも知れませんから、この程度で私打切つて置きますが、この法案を貫いて、生産を上げて行くということが第一の点に置かれておるようでありますが、この條文の中にあります命令によつて設備の拡張、拡充、改善を行なつて行くという一項がございます。生産を増強して行く意味においては、石炭を掘つて行くことは、單に体でのみ掘らずに、相当機械化する面も多かろうと思います。これらの設備が各山々に相当廣汎な改善施設が必要であろうと思いますが、こういう点に対してはどれくらい設備費が掛かるか、どういう資材が要るかということを、今までの御研究又お調べになつておられるかどうか。その金額と資材等の概数でもお伺いできましたら、お伺いしたいと思います。
#68
○政府委員(平井富三郎君) 只今ちよつと質問の内容を詳しく聽き得ませんでしたが、二十三年度の三千三百万トンの計画に附帶いたしまする資材の所要量は、先般御配付申上げておる通りであります。資金につきましてもその際一緒に御配付してございますが、大体二十三年度の企業設備資金といたしまして、百二十八億程度を現在予定しております。
#69
○宿谷榮一君 只今政府委員からの御答弁は、百二十八億というのは、それは改善とか拡張、設備費になりますか。
#70
○政府委員(平井富三郎君) 百二十八億と申しますのは、三千三百万トンを採掘いたします中、いわゆる企業費の勘定に立つべきものであります。從つて現在採掘しております場所につきまして、例えば選炭設備を新たに新設するとか、或いは新らしく坑口を掘つて行くとかいうような、いわゆる企業費勘定に属するものを全部引つ括めまして、百二十八億というように考えております。
#71
○宿谷榮一君 そうしますと、それはこの法案の中にあります命令によつて施設の拡充等をやるというあの内容になつておるのでしようか。
#72
○政府委員(平井富三郎君) この命令によりましては、設備の拡張等の命令をいたします場合、勿論その資金は只今の百二十八億のうちに含まれておるわけであります。
#73
○宿谷榮一君 その資金は政府が貸出すことになるわけですな。
#74
○政府委員(平井富三郎君) 復金からこれを貸出するというように考えております。
#75
○宿谷榮一君 そういたしますと、ここに損害の補償という点がございますが、一昨日もこの点が問題になりましたようですが、これが三年後には固定資産として他に賣却でき、又適当な價格にできるものもあろうと思います。又石炭を掘つて行くためには消耗するものも相当出て來ようと思うのですが、三年間これを仮りに実施して行くとしますと、この三年間に要する施設の改善、企業設備、いろいろ設備の点やなにやらで相当大きな資金が要るのじやないかと私は見るのですが、今御質問申上げていることはそれらの予算を十分考慮に入れないで、この法案というものは実行できないかという極めて具体的な観点からお尋ね申上げておるわけですから、これは相当の金額になると思いますが、如何ですか。
#76
○政府委員(平井富三郎君) 法案につきまして設備の拡充を命じ得るというふうにいたしておるのでありますが、指定炭鉱につきましては業務計画を取りまして、それによつて業務を遂行して行くわけでありますが、私等の考えておりまするところは、現在の企業といたしましても、やはり増産第一主義によつて企業を運営して行くということになりますれば、企業自体の計画におきましても相当程度の拡張計画というものを以て進むというふうに考えております。ただその計画によつては非常に不十分な点があるというような場合におきまして、この企業の設備の新設命令、或いは新鉱の開発命令が行われるのでありまして、すべての拡張計画、すべての企業計画というものはすべて命令によつてなされて行くということは想像しておらんのであります。
#77
○委員長(稻垣平太郎君) 板谷君。
#78
○宿谷榮一君 まだもう少し継続して伺いたいのですが……。
#79
○委員長(稻垣平太郎君) まだおありですか。失礼いたしました。
#80
○宿谷榮一君 その点は相当國の財政上から將來金を使つて行かなければならないというふうに私は解釈いたしますが、尚この増産対策要綱のうち一、二点ちよつとお尋ねいたしたいのでありますが、先般來からの大臣の御説明によりますと、緊急増産対策要綱の中については、あらゆる手段を盡してもうすでに実施されておるように伺つておりますが、極く細かい点ですが、これは非常に労働者との間に関係のある問題ですが、「職場紀律の確立と給與制度改善」というところの(二)にございますが、「右による誠実な勤労に対しては、その熱意と効果に相應する「報酬を與えるよう賃銀制度を合理化する」、こういうふうに実は書いてあります。この点はこの報酬を與えるということはどういう意味なのですか。その賃金を上げて行くということなのですか、それとも外に物を與えるということなのですが、これはどんなふうに解釈いたしましたらよろしいか、その点をお答えを願いたいと思います。
#81
○國務大臣(水谷長三郎君) それは大体両方含んでいるものと御了承を願いたいと思います。
#82
○宿谷榮一君 そういたしますと、これは企業者が労働者とか、或いは從業員に與えるのか、政府が物を與える場合には別途に報酬として奬勵の意味でお出しになるのか、その点が明確でないように思うのですが、この御返事を伺いたいと思います。
#83
○國務大臣(水谷長三郎君) これはやはり下の「賃銀制度」というものに懸つて來ますので、大体企業者の責任によるものという工合に御了承を願いたいと思います。
#84
○宿谷榮一君 外にいろいろお尋ねしたい点もありまするが、追つて逐條審議の際にお尋ね申上げたいと思います。
#85
○大屋晋三君 議事進行について……もう四時ちよつと前ですから、本案の本委員の質問の希望者がまだあるかも知れませんが、この辺で一應委員外の諸君の発言をお許し下すつて、それから又ここに見えていないが、先程木内四郎君のごときもやりたいと言つておりました。それから又板谷議員並びに木内議員のごときは総理大臣に一遍或る機会に質問をいたしたいと、こういうようなことを言われておりましたし、或いは又先般來お願いしておりました労働大臣なり、或いは運輸大臣はまだ新任の方ができないのですかも知れませんが、それらの方々にもやはり或る機会において來て頂きたい。こういうことは留保いたしまして、今日はこの辺で一應委員外の諸君に発言をお許し下さるように願います。
#86
○委員長(稻垣平太郎君) 私もさようにいたしたいと実は考えておりまして、それで板谷君に……。実はお二人希望者がありますので、時間を制限するというわけではありませんが、でき得る限り短い時間で一つお願いいたしたいと思います。
#87
○委員外議員(板谷順助君) 答弁が徹底すれば……。委員外の私に質問をお許し下さいまして、感謝に堪えません。私は石炭増産と重大なる不可分の関係を持つておりまする輸送関係について少しくお尋ねいたしたいと思う次第でありますが、御承知の通り現在三千万トン出すといたしましても、輸送関係が十分行きません。ところで二十三年度に三千三百万トン出しましても、非常に現在の情勢が悲観すべき現状であるのでありますから、いずれ私は運輸大臣が御出席になつたその場合において、それが如何になるか分りませんけれども、必ず運輸大臣に質問することの保留をいたして置きたいと思います。
 そこで私は先ず第一に商工大臣にお伺いしたいことは、昨日のこの委員会において、総理大臣が、新憲法に基いて、民主國家の建設のために、あらゆる重要産業を國営でやらなければならない。國家が経営しなければならない。この石炭國家管理案はその現われである。いわゆる小手調べであるという意味のはつきりした御答弁があつたのであります。そこでこの現われは要するに國家社会主義を遵奉しておるいわゆる理念に基いたものと私は信ずるのでありまするが、勿論現在の社会党といたしましては、いわゆる社会主義を遵奉されるということはこれは天下周知の事実であります。この総理大臣の発言に対して、水谷商工大臣はこれと同じ考えを持つておるかどうか、この場合はつきり一つ御答弁を願いたいのであります。
#88
○國務大臣(水谷長三郎君) 総理が今御指摘のような発言をされたかどうか、私はその場合におりませんでしたが、嘗つての衆議院の鉱工業委員会におきまして、或る委員の御質問に対しまして、総理大臣は國家管理は只今のところこの石炭企業以外には何も考えておらないということを申されております。更に又今日午前中誰かの御質問に対しまして、只今のところこの以外には何も考えておらないという御答弁があつたのでありますが、商工大臣といたしましては、只今のところこの石炭企業に対して、その以外の問題に対しては何も考えておりません。
#89
○委員外議員(板谷順助君) 昨日は確かに今私が申上げたことを仰しやつたのであります。勿論先程の委員会におきましても、現在の國家管理案以外のものは考えておらんということでありまするけれども、現在の我が國の情勢において、將來何時お出しになるか分らんけれども、將來はいわゆる重要産業は國家が経営するということをはつきり仰しやつた。であるから、あなたはそれに対するあなたのお考えが、それはいけないとか、或いは同意であるとかということをはつきり御答弁願いたい。
#90
○國務大臣(水谷長三郎君) 昨日総理が御発言の時に私はおりませんでしたが、先に申しましたように、衆議院の鉱工業委員会の時にはそう仰しやつておりますが、今朝もあなたの仰しやつたのと反対のことを言うておられます。從つて昨日総理が果してそういうことを言われたかどうか、総理に確かめないと私の意見を申上げることはできないのであります。
#91
○委員外議員(板谷順助君) 何れ速記録を調べて又適当の機会にお尋ねすることにいたしましよう。
 そこで私は一つお考えを願わなければならんことは、御承知の通り、例えば國鉄にいたしましても、電産にいたしましても、通信にしても、亦この石炭國家管理案にいたしましても、いわゆる独立採算制を以て経営せねばならんという性質の事業であります。ところが國鉄において、或いは又通信におきましては、あなたも御承知の通り、一般会計に國鉄は五十億、通信は二十五億というものを國民の負担においてこれを計上した。ところが今日まで石炭に対する投資が、私の聞くところによれば、恐らくは百二三十億ということを聞いております。その中國家が補償する金額は恐らくは六十億、その半分ぐらいありはしないと思うが、これに対する國家管理案が、從來のごとき経営、或いは今後、只今宿谷委員にお示しになつたる二十三年度においては百二三十億の金を投ぜねばならんというのであるが、今後この経営によつて確かに投資される金額は回收し得るという確信がありますかどうか。その点をお伺いしたい。
#92
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の御指摘の点でございますが、これは國家管理におきまして、いわゆる経営形態というものは少しも変らないのでございますが故に、貸した金は返して貰わなくちやならんと思つております。
#93
○委員外議員(板谷順助君) 恐らくは貸した金であるから返させるのは本当でありますけれども、私は國鉄或いは通信事業のごときは同じ運命に陷ることでないかと非常に心配しておるのであります。そこで更に私のお尋ねいたしたいことは、この法案を見ますというと、経営権と労働権のこの分野というものは明らかでありません。はつきりしておりません。この点については先般岩木委員が御質問になりました通り、又あなたがこれに対する生産協議会なるものは、諮問機関にもあらず、或いは決議機関でもない、いわゆる條件附の決議機関だという御答弁であります。只今宿谷委員の質問に対するあなたの御答弁もそれと同じような御答弁になつておるのでありまするが、苟も法律を以て制定する場合におきまして、こう曖昧な、將來に紛爭を招くがごとき法案を作るべき筋合のものではありません。これはあなたのお話のように、決して運用によつてこれを左右さるべき筋合のものではないと思うのであります。そこで私はこ点につきまして、政府がもつとはつきりした一つ御答弁を願いたい。更に又労資関係に更に加うるに、今度はこの法案によりますというと、只今宿谷委員に対する御説明のように、最後には商工大臣がこの法文の上から行きましたならば、いわゆる実権を握る結果になる。石炭局長なるものが最後の断定を下す更にその上には、見ようによつては商工大臣がある。いわゆる政府があらゆる実権を握るということは、恐らくは労資爭つた場合においては私はその結果に陷ると、こう信ずる者であります。でありまするからして、この点についてもう少しはつきりした御答弁を願いたいと思います。
#94
○國務大臣(水谷長三郎君) 経営権と労働権が混淆しておるということの一例として、生産協議会の例を引かれましたが、私はこの生産協議会の性格の問題の解釈如何によりまして、経営権と労働権が混淆しておるという工合には考えておりません。即ちこの修正案によりましても、企業を通して現場を握るというようになつておりますので、経営権というものと労働権というものとは区別ははつきりしております。ただその経営の民主化の進行におきまして、或る程度に対する経営への参加というものが……労働組合ができるということは、これは産業の民主化の一つの趨勢でありまして、それは飽くまでも参加でございますが、併し経営権と労働権というものがはつきり区別をしなくてはならないものであり、又この法案においてもはつきり区別しております。ただあなたが混淆と言われるのは、いわゆる経営権に関する一つの参画の問題を以て混淆とされておるであろうと思いますが、そういうようなものは、私は経営権と労働権の混淆ではないと、このよううに考えております。
#95
○委員外議員(板谷順助君) あなたはそう仰しやるけれども、今現に問題が起つておるのではありませんか。即ち炭鉱連盟に対して傘下労働組合が賃金の要求をしておる。賃金の要求をしておるが、万一聽かれた場合においては、七日の間に回答を得られた場合においては一〇〇%全力を挙げて掘る。若し七日間で聽かれない場合においては予定のごとくストライキをやる、行動を開始するということの昨日の新聞をあなたは御覺になつたでありましよう。この点につきまして、先般來石炭増産についてどういう点に隘路があるかということをいろいろ質問された場合において、勤労意欲は如何にも足りない、多くは働かない、併しこれに対しては生産意欲を高めるために、勤労意欲を向上させるために、あなたは詰り待遇改善或いは福利施設をやらなければならんということを仰しやつておるが今現に……。只今私が申上げまする通り、資金の面或いは資材の面においていろいろ支障もあるだろうけれども、要するに現在において労働者が働かない、この結果によつて賃金を出せば働く、一〇〇%働くということを言明しておるじやないか。いわゆる一面においては、見ようによつてはいわゆる増産の目的を達しておる。北海道のごときも、從來六十万トンくらい出ないものが、現在では八十万トン出るということを昨日政府委員が説明しておる。でありますからして、どこに隘路があるか、どこに隘路があるとすれば、結局勤労意欲が不十分である。労働者が働かん。現に北海道のごときは、拘束八時間といつておりまするけれども、事実においては正味三時間しきや働きやせん。そこでそれじや待遇はどうであるかといえば、外、工業から見まするというと相当に賃銀は割合がいい。加配米などを出しておりまするけれども、横流しが到るところに行なわれておる。町場の者が炭鉱に行けば幾らでも闇米を買うことができるという現在の実情であります、でありまするからして、あなたが、この増産を目的とするということであるならば、この勤労大衆を如何にして働かせるか。今申上げましたる通り、賃銀の値上げをしてくれるならば一〇〇%働くということを全國に指令を出しておる。恐らくはこの勤労者の積極的の態度によつて、私はこの目的を達し得るものと、こう思うのですが、どうお考えになつておりますか。
#96
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今板谷さんの私に要求される答弁はどの点か、ちよつと理解をしにくいのでありますが、ストをやることが勤労意欲の低下と言われるのですか。その点がはつきりしませんが……。
#97
○委員外議員(板谷順助君) いや、そういうのではありません。とにかく石炭の増産をするについての隘路はどこにあるかということにつきましては、これは先ず勤労者をどうして働かせるかということが、これが一番の最大の目標でなければならん。この意味を言うのであります。今お話の通りとにかく賃銀を値上げする。待遇を改善するならば一〇〇%働かせるということを全國に指令を出しておる。これをあなたはどうお考えになるか。この点に対するなんらかの適当な措置をお取りになつたならば、目的を達することができるじやありませんか。
#98
○國務大臣(水谷長三郎君) 私はあなたのようにストを彈圧する考えは持つておりません。ストはこれは日本國民に許された基本権の一つでありますから、これを彈圧する考えは持つておりません。併しながら私はストなしに今度の問題を解決する自信は十分持つております。
#99
○委員外議員(板谷順助君) 私はストを彈圧せよという意味で言つておるのではありません。石炭増産については、資材も資金もいろいろな関係がありましようけれども、とにかく勤労者に対する能率の増進ということについて、あなたがどういう手を打つておいでになるか、昨日のお話によりますればとにかく待遇を改善せねばならん。或る程度まで福利増進をやらねばならんというような、これが詰り勤労意欲を向上する道であるということを仰しやつておる。川上委員はそればかりじやない。現在我が國が敗れたために、この破局に対しては精神的になんとか働かせる方法を考えなくてはならんということを言つておられる。だから私は今申上げまするように、勤労者がやり方によつては一〇〇%以上働く力を持つておる。若しこの國管案の運用如何によつては、私はあらゆる産業に重大な影響が來ると思うのですがどうですか。
#100
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今板谷さんの御質問は、政府が先に発表いたしました石炭非常増産対策要綱、更に又炭鉱に対する臨時金融の問題、更に又この國家管理法案、これをよく読んで頂くならば、我々の対策というものは十分分つて頂けるものと考えております。
#101
○委員外議員(板谷順助君) それは読んでおります。読んでおるけれども、実際において働いておらんじやありませんか。それを言うのです。北海道のごときは八時間も働きやしない。これをどうするか。
#102
○國務大臣(水谷長三郎君) それはどうするもせんも、只今特別調査團が参つておりまして、これまで六十万トン出ないのが八十万トン出るようになつておるのですから、政府はこうしておるのですから、何もしておらないのじやないのです。事実がはつきり証明しております。
#103
○委員外議員(板谷順助君) 併し北海道が成績の惡いのは、私が申上げておりまする通り、大体坑夫が殆んど八時間ぐらいより働かない。その蔭に何があるかといえば、共産党の、いわゆる陸海軍の將校が、共産党をアジつて、そうして働くなというような指令を出した、こういう極端な現象が現れておる。独り北海道ばかりじやありません。東京府近の各工場におきましても、共産党が跋扈して、陸海軍の將校がこれに参加をして、地下運動をやつておるという事実があるのでありまするから、私は共産党に対して政府がなんらかの手段を取らざる限りは、決してなかなか増産が容易じやない、こう信ずるのであります。それから又北海道のこの割当について私は一言承りたい。
#104
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今共産党云々のお言葉がありましたのですが、この石炭非常増産対策要綱によりますると、労働組合の健全化、労働組合の自主性の確立と民主的運営により、その健全強化を促進する。それから紛爭議の早期平和的解決、早期平和的解決を図るため権威ある解決に関する特別の労働委員会を設置する、というようにいたしまして、我々といたしましては飽くまでも労働組合の健全化によりまして所期の目的を達成いたしたい、このように考えておる次第であります。
#105
○委員外議員(板谷順助君) 労働組合の健全化は勿論我々も希望しておるところでありますが、私はこの際或いは諸君は御承知であるかも知れませんが、共産主義であるところのソヴイエトの炭鉱の状態を参考のためにお話ししたい。御承知の通りソヴイエトは即ち共産主義を標傍しておるところでありまするが、ソヴイエトは炭鉱は勿論國営であるが、経営者側即ち官吏に対しても重い処罰の規定を設けておる。又労働者側に対しても現場に裁判官を置いて、直ぐ労働者を処罰する規定を設けておる。即ち早引、欠勤を濫りに許さない。欠勤する場合には医師の診断書が必要で、事故があれば予め炭鉱長の許可を得なければならん。若し以上の手続をしないで一日欠勤すれば、普通六ケ月間賃金の二五%減殺の処分を受ける。二、三回になると体刑を受ける、牢屋にぶち込まれる。四ケ月、六ケ月は軽い方だとのことである。これは余りにも極端ではありまするけれども、とにかく能率増進のためにあらゆる手段を盡しておる。又その一面においては、成績のいい者にはいわゆる能率給によつて、最高二倍ぐらいの賃銀が支拂われておる。又ソヴイエトにも労働組合があるけれども、組合長も幹部も自分の現場の仕事を離れて、專門的に組合の仕事をやつておる者は炭鉱にはない。会議はやるが、夜分自分たちの時間にやる。又幹部と組合との協議会もある。炭鉱長が駄目だと言えば、組合長が幾ら頼んでもそれまでである。それから炭鉱長が職員でも、從業員でもお前は今度採炭夫をやれ、或いは坑内係員に代れ、そう命令すると絶対に服從せねばならん。これが現在ソヴイエツトにおける國営炭鉱のやり方だそうであります。或いはこれは極端かも知れませんが、とにかくこの法案によりますというと、事業者に対して重い罰の規定がある。勤労者側におきましては、勿論労働組合の健全なる発達、或いは福利増進ということについては、当然のことでありまするけれども、怠けた者に対して適当な何らかの規定というものを設ける必要がある、こう考えるのでありますが、この法案にはそれを見出すことはできないのであります。あなたはどうお考えになつておりますか。
#106
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今御指摘の点でございますが、この案は飽くまでも企業者を中心とした法案でございまして、命令指示というものが企業者に対して行くものでありますから、その違反に対しての罰則規定が企業者に限つて行われておる、これは法の体系として当り前のことであろうと思います。併しながら石炭非常増産対策要綱、そういうようなものを読んで頂きますと、これは殆んど労働強化、いわゆる労働対策というものが中心になつておるのであります。從つてこの石炭非常増産対策要綱というものを、嘗つて労働組合の代表者に示しましたときには、一体これは労働強化だけじやないか、資本家に対しては、何も書いてないじやないかということを申したのであります。この國家管理法案に対しての罰則に対して今板谷さんが言われますが、これは企業中心にこの法案を運営して行つて、その企業者に対して命令指示をやるのでありまするから、罰則がそれに統一されておるということは言うまでもありません。併しながら労働者に対する政策は、この石炭非常増産対策要綱におきましても十分に勘案いたしまして、政府は必要がありますならば、適当なる法的措置を講じまして、故意の妨害者に対しては断乎たる態度を取るということは、この非常増産対策要綱にも謳つてあります。又マツカーサー元帥が片山総理に宛てられました書簡におきましても、円満なる遂行を故意に妨害する者は、これは嚴にすべきだということも言われておるのでございまして、我々は飽くまでもこの石炭増産というものを、経営者とそうして労働者の自主的協力によつてやつて頂くことを心より期待しておるものでございますが、その自主的協力でどうしてもやつて行けないというときには、適当なる法的措置を講じたいと思うものでございます。ただその労働者の場合におきますと、板谷さんの御案内のように、労働協約なり、労働協約を結ぶその協約違反ということが、いわゆる労働者の犯す過ちになつて來るのでありまして、いわゆるこの法律におけるところの命令指示に対する違反と、その内容本質が変つて來るものでありまするから、同じ場所にそういうような罰則規定を扱うというわけには参りかねるわけでありますが、労働者といわず、経営者といわず、石炭増産を故意に妨害する者に対しましては、政府といたしましては適当な法的措置を講ずる考えであります。
#107
○委員外議員(板谷順助君) この点は幾ら議論しても仕方がないと思いますが、私はこの機会に石炭の北海道におけるところの割当が、恐らくは九州に比べて過大じやないか、そのために今申上げるように労働者が働かない、この点もあります。從つて例えば今度坑木官などをお置きになつて、政府は役人を殖やし、相当の費用をお使いになつておるけれども、御承知の通り現在北海道においては坑木が停車場に殆んど堆積をしておるというのは、從來坑木は十五トンぐらい掘つたものが、現在三分の一くらいしか掘らないから坑道を延ばす必要はない。延ばす必要はないのでありますから、從つて坑木の需要というものが現在においては極めて不足である。そこへ持つて來て坑木官とか変な名前をおつけになつて、役人をお殖やしになる。そうしてこれはどういう措置になるかわかりませんが、行政整理を標榜しておる問題の政府が、而も緊急経済対策を発表されておるにも拘わらず、行政整理をやられない、明年度の予算からおやりになるようなことを言つておられる。これはとにかくといたしましても、例えば北海道の三千万トンの計画を数字的に調べて見ますというと、大体全國の割合から行きますと二八%二になつておる。それから二十一年度の実績が二五%七より相当高い。又昭和十九年度は御承知の通り四千九百万トンの実績でありまして、二九%三出ておる。これに対して九州は、本年度の割当の比率が五二%八、二十一年度の実績が五四%五、ところで十九年度の四千九百万トン掘つた時分の実績は五五%八でありまして、その割当から見ますと、現在の九州の割当というものは大分低い。この九州との比較において考えても、本道の割当が或いは過大じやないか。勿論將來は九州は御承知の通り炭田であつて、北海道は炭山だから、新鉱を沢山開くべき余地は十分にあります。十分にありますけれども、御承知の通り、先年戰爭中には朝鮮人、中國人を多く使用しておつた。本道はこの條件を現在においては全く失つておつて、殊に今お話する通り、新鉱が多い。九州は戰爭の末期に集中生産の対策となつて機械設備が集中しておる、これに反して北海道は保鉱とか旧鉱となるものが非常に多い。從つて資材の購入が九州方面より殆んどない。從つて荒廃した坑内を回復し、或いは資材を大量に導入することが北海道に対する現在の先決條件であります。ところで九州には、御承知の通り互助会といういわゆる中小炭鉱があつて、企業家の生産意欲は割合に強い、であるからして、これらの財閥炭鉱がいわゆる互助会なるものを通じて割合に成績を挙げておるが、北海道は御承知の通り、中小炭鉱なるものは割合に不足であつて、その財閥解体とか、経済力集中排除による経営分割が、現在行われておる官僚中心の國家管理を行わなくていいというようなことを言つておるがために、生産意欲が経営者側においても極めて薄い。この点は要するに経営者が労働攻勢に虞れをなして積極的に仕事をするという意思はない。この点は私は非常に心配をしておるのであります。從つて今申上げまするように、北海道の割当、勿論將來におきましては、相当に出さなければなりませんが、現在の割当から行きますと、少し過大の割当であつて、無理であつて、北海道は出ないというような評判が至るところに傳つておるのでありますが、これに対して商工省においてはどういうような御調査になつておりますか、この点を一つ伺いたい。
#108
○國務大臣(水谷長三郎君) 私は北海道が九州その他の地域に比べまして、割当が過大であるというようには考えておりません。各地共皆それぞれの事情を勘案いたしまして、適正に抑えておる次第でございます。ただ問題は、北海道の大きな山が九州の小さい山なんかに比べて機械化されておるから、ただ労働力を注げばそれだけ生産が殖えるというような状態になつておらないことは、これはよく分つております。併しながらそれにも拘わらず、割当が北海道の方が多いというようなことは我々は考えておりません。これはまあ九州の方でも、今年の上半期は割当が少なかつたから一〇〇%掘れたと、今度の下半期になると割当が多くなるから一〇〇%に届かない、併し上半期よりも遥かに余計出るというようなことを言つて、只今、單に北海道だけでなしに、九州の方からも割当をもつと減して一〇〇%出るようにして貰いたいというようなことを言われる人もありますけれども、併しながら我々は三千万トン完遂のためにおいては、この割当は最低の線でありまして、北海道と云わず、九州と云わず、この割当に対して一〇〇%の遂行率を挙げて貰わなければ、日本の石炭増産はなかなかできないという考えを持つておりますので、北海道の割当を下げたり、又從つて北海道の割当が九州より苛酷であるというような考えは持つておりません。
#109
○委員外議員(板谷順助君) 私は尚商工大臣にお尋ねしたいこともありまするけれども、先程申上げたるように、主として輸送関係について運輸大臣にお尋ねする積りでありますから、若しそれに関聯した問題に、商工大臣から御答弁願わなければならんことがあるとしたならば、保留いたしまして、この程度で止めます。
#110
○委員長(稻垣平太郎君) これより委員外の議員の方の御質問をお願いいたしたいと思いますが……。
#111
○細川嘉六君 委員外の方でなしに……。
#112
○委員長(稻垣平太郎君) 先程皆さんお打合せをいたしまして、御異議がございませんでしたので、そのように皆さんの御了承を得ておりますので、一つお打合せの通りに実行して行きたいと思います。矢野委員、大体もう一人委員外の方で御希望の方がございますので、大体二十分見当でお願いいたしたいと思います。
#113
○委員外議員(矢野酉雄君) お尋ねをする前に、私は特に参議院の鉱工業委員会の各位に対して、その今までの御奮闘を謝すと共に、是非國民がこの委員会の決定に対して権威と尊敬を拂うようなふうに、委員長初めお取計いを願つて置く者であります。政府の御努力に対しても、心から敬意を表する者であります。私はこの法案の内容について詳細なる質問を申上げるということは差控えます。それぞれの権威ある委員諸君がおられますので、一切これは割愛したいと思います。綜合的の立場、殊に敗戰日本を民主的に建設して行くという最高の理念を実現して行きまする上に、この問題の解決は実に重大なる関聯を持つのでありますから、その立場から、私は政府当局にむしろお願いと質問を兼ねるわけでございます。率直に申しますというと、残念ながら第一回の國会は、國民の前に非常なる権威を失墜したのであります。その一つの大きい原因は、御承知のごとく、いわゆる鉄道運賃その他一切の物價の決定、変動が、一片の政令によつてこれが処置されるということである、と共に、その権威を失墜しました一つの大きな原因としては、結局この法案を審議されました衆議院に、幾多の波瀾万丈が起りまして、そのために関係筋からも忠告を受けるというようなことがあつたやに仄聞しておる次第であります。私はこの祖國を愛し、又我々が指名いたしました総理によつて政治をいたしておりまするこの片山内閣を尊敬するが故に、敢て私はこれから後の質問を展開したいと思うのでございます。
 さて私は、この片山内閣におきまして、二人の大臣が、余り私たち國民の一人としても尊敬のできないような処置が行われました。併し次の農相問題については、この現首班内閣は、非常に愼重に隠忍自重をしておられる。これは結局はこの共立政権において、摩擦を生じないで是非この難局を突破して行きたいという大乗的使命観を持つておられるからであると思う。そういう意味におきまして、私はこの法案も、國民全体が一致協力して、可決するならば可決するし、否決するならば否決するというように実は運びたい。念願としては、この参議院の委員会も、本会議においても、全会一致を以てこれを通過させるならば通過させるというように、政府は、眞心を傾け、力をいたして、そこに努力をして頂かなければならんと思うのであります。最前楠見委員より、生産協議会の問題について、その法規的の性格についての御質問があつたのに対して、商工大臣は、これは決議機関でもない。或いは諮問機関でもない、その中間の性格を持つておると、更に最前私も緑風会の総会に行つて見ると、藤井委員から又この生産協議会の性格についての所見がちようど述べられておつたのでありますが、この一つの問題をどう解釈するかにおきましても、結局企業主体者と労務者と政府が三位一体となつて、法文の單なる文理解釈でない、一つの肚の解釈で、ここに調和的な解釈をして行きたいというような御所見が、私は商工大臣の本音だと思うのであります。そういうような立場から考えて見ましても、私はこの法案をどういうように運んで行くかということを、この参議院の委員会においても、本会議においても、一應も二應も檢討しなければならんと思います。昨日石炭廳に参つて見ますというと、「大臣が、もう少し、石炭の問題ばかりでなくて、電氣の方に力を入れてくれるならば、もつと電氣は、こんなにまで、この非常の事態にまで陷らなくてもよかつたに」というお役人の言葉を私小耳に挾んだのでございます。このように、お互い一つの問題にその力を集中して置きますというと、得てして國政全体の嚴正なる批判を忘れがちであります。山に行つて結局山を見ずというようなことになるのであります。むしろこの問題取扱いのためには、商工大臣自体が山のトツプに立つて、そうして一應も、二應も今まで歩いて來た全貌についての嚴肅なる一つの自己檢討を必要とし、又國会全体としての一つのそうした意味の機能を発揮するのは、私は参議院の権威であると思うのであります。若しそれこの問題が通過いたしたとしましたならば、ここに細川さんがおられますが、恐らく細川さん御一統は御反対になるかとも思われますし、その他自由党の諸君も反対せられるであろうと思います。若しこれが可決されたときにおいては、結局その石炭を増産するに事実上重大なる関聯を持つておる企業者諸君というものが、果してこの法案通過によつて、商工大臣が企図せられるように、全面的に熱意を持つてその増産に協力するだけの肚構えが、更にその肚構えを起すための感情がそこに整えられるかということを考えますときに、私は國家のために非常に深憂する者であります。若しそれこれが否定せられた場合においては、少くとも労務者諸君は、これに対して憤激を感ずる人が又大部分であると思うのであります。実情から申上げまするならば、私はこの法案を通過させるにおいても、又否定した場合においても、いずれにおいても私は憂慮すべき事態が発生するということは、これは決して私のごとく絶対に或る色を持たない、この問題について一人のまだ反対の人ともお会いしないし、賛成者ともお会いしていない、嚴正なる消費者の立場から、業務者側の立場にも立たず、單なる労務者側にも立たず、役人の立場にも立たずに、消費者という嚴正なる立場からこれを考察いたしますときに、私は政府自体には、これを通過せられても、これを否定しても結局非常なる、いわゆる生産協議会の一つの決定を與える場合にも、大調和の中にこれを運ばなければならないという一つの問題を考えて見ましても、かくのごとき目的をそのままに貫徹するということは非常に不可能であると思います。ここで私は提出者であるところの政府自体の嚴肅なるジレンマにあるということを否定することができないのであります。どうしても講和会議の前に國民が打ち挙つてあらゆる民主態勢を強化して行くのが、この講和会議を有利に展開せしめるところの唯一の條件であるのにも拘わらず、この問題の運び方が、右にしても左にしても、可決するにしても否決するにしても、現実の事実においては私は相剋摩擦が生ずるということは、恐らく否定する人はないと思うのであります。参議院は國民輿論の忠実なる代表者であると共に、更には又國民輿論の嚴肅なる批判者という一つの権威を持たなければならない、こういう重大なる問題を、法案を通過さすか否定するかのこの岐路に立つて、私はこの尊敬する我が参議院の委員会が一應も二應もここに冷靜なる立場を以て、一層この案の檢討を願い、又政府当局は、果してこの案を通過せしめたときに、私がかく杞憂するところの杞憂が、單なる机の上の憂いに終るならば、こんな嬉しいことはございませんが、果してこの責任者である商工大臣は、大丈夫第一條に謳つておるところの増産の実を挙げることができるのだ、断乎として御心配は要りません。故にこの委員会諸君、否参議院諸君の満腔の御支持を願いたいというような、断々乎としての信念を以て私たちに率直なる御発表ができるかどうか、私は七千万というこの消費者の代表者として、商工大臣の良心的なる御答弁をお願いする次第でございます。
#114
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今矢野さんからの烈々の御発言を頂いたのでありまするが、私といたしましては極めて不束であり、又力の足らないものでございまするが、この法案通過の曉におきましては、全力をあげて炭鉱関係者の理解と協力を求めまして、石炭増産に邁進したいという決意に燃えておる次第でございます。幸い、この法案が議会に提出されるということが、片山総理の施政方針の演説を通じて発表されましてから後におきましても、石炭の生産は、一歩々々伸びて参りまして、十月のごときは二百四十一万トン、終戰以來最高度の足取りを示しまして、又十一月も大体二百五十万トンに近い成績を挙げまして、更に又十二月、一月には二百七十万トンを目標にして邁進しておる次第でございます。現に北海道のごときは、過去におきまして月六十万トン程度しか出なかつたのが、今や特別調査團その他の施策によりまして日産二万二千トンから二万九千トンまで飛躍いたしまして、大体三千万トンペースに乘つたような次第でございます。從つてこの法案が通過の曉においては、いろいろな摩擦が起つて、石炭の生産増強に惡い影響を與えるであろうという御心配がございましたが、七月以來の石炭増強の足取りから見まするならば、私はそういうような御心配は断じて要らないという確信に燃えておるような次第でございます。さよう一つ御了承を願います。
#115
○委員外議員(矢野酉雄君) これもまだ何人からもこういうような御意見は出なかつたかと思いますが、どうせ原案といたしましては、四月一日からこれが施行されるといたしまして、若しも、そういうことはないかと思いますが、参議院の鉱工業委員会が相当紛乱を生ずるというような場合に、むしろ政府は、一切の労務者諸君も、経営者諸君も、本当に民主日本を建設するために、一つ構想を新たにして、皆が笑つて一つの、水谷商工大臣が大体構想されておるようなものを中心として、更に通常議会において、これを再提出して、そうして國民が快調の中にこれをやるというお考えはございませんか。一九一九年でありましたか、確か英國労働党がその首班内閣となつたときに、彼が直ちに石炭國管を断行するであろうと予想されておつたにも拘わらず、結局それが実現を見たのは二十五年の後であつたかと思うのであります。そういうような先例もありますし、相剋摩擦が生じないで、そうして想を新たにしてやるぞというような、そうした一つの國民的雰囲氣というものを作りつつ、大いに國会に又愬えるというような、これは打明けた御質問でありますが、そういうようなことに対する何かのお含みがございますかどうか、お尋ねして見たいと思います。
#116
○國務大臣(水谷長三郎君) 折角の矢野さんのお言葉でございますが、このいわゆる國家管理法案を、これ以上長く曝しておくということは、私は生産増強に大きな惡い影響を與えるものであると思うのであります。私は一日も早く、この法案が右左、いずれなりとも結論をつけて頂くことが一番望ましいのではないかと思います。不肖極めて微力でありますが、全誠意、全努力を以て闘いまして、後は天命を待つというのが、私の僞らない心境でございます。
#117
○委員長(稻垣平太郎君) 次に委員外の木内議員の発言を許します。木内議員、大体二十分程度にお願いしたいと思います。
#118
○委員外議院(木内四郎君) 時間を限られてもちよつと困りますが、総理大臣に伺いたいのですが、総理大臣は……。
#119
○委員長(稻垣平太郎君) 総理大臣は今日はお見えになりませんので……。
#120
○委員外議員(木内四郎君) 総理大臣に対する質問は後日に留保して頂く、そう了解してよろしうございますか。
#121
○委員長(稻垣平太郎君) いずれ総理の御都合を聞いた上で後刻回答申上げます。
#122
○委員外議員(木内四郎君) この委員会か会期も迫りましたこの際に、わざわざ委員外議員の私に質問をお許し願いまして、愼重審議して頂きますこと委員会の態度に対して私は深く敬意を表するものであります。この際総理大臣に先ずお伺いいたしたいと思いましたが、総理大臣おいでになりませんので、差当り商工大臣及び事務当局に対して二、三の質問をいたしたいと思います。先ず第一に伺いたいことは、商工大臣は、この法案が通れば非常に労務者の方の生産意欲を昂揚する、これが通らなければ生産意欲を昂揚することはできんというようなことを言つておられる。この点に関して私は非常に遺憾に思つておりますることは、この春二月の五日に全國石炭復興会議というものが発足いたしまして、数ケ月に亘つて労務者の代表者と、経営者の方の代表者とが同数出まして、約百名ばかりのものが非常に議論をし、研究をして参つた、その結果六月二十一日になりまして、労資双方とも石炭鉱業の現状は到底このままにして置くわけには行かない。そこで双方ともすつ裸になつて水の中に飛び込む積りで、各々の立場に捉われないで、労資双方一体となつて石炭増産に邁進して行こうという結論に到達したのであります。そうしてその際一致した点を文書に認めて、これは天下に公表し、商工大臣その他にもこれは届けて、そうして労資一体になつてやつて行こうということにしたことは御承知だろうと思います。その時におきまして決めたことを私は簡單でありまするから、非常に重要なことでありまするから、この際要点を読んで置きたいと思うのですが……、「昭和二十二年度石炭生産三千万瓲の目標達成は、我が國の経済を再建し、現下の危殆に瀕する國民生活を安定させるための、絶対的必要條件であることは今更言うまでもないところであつて、我々炭鉱人に課せられた責任は、まことに重大なものがある。我我は常にこの責任の大なるを思い能う限りの努力を続けて來たのである。然るに本年四月以降今日までの実績は目標達成に迄至らず、この儘に推移するならば、本年度三十一万瓲の確保は不可能であり、從つて國民生活の安定は期すべくもないのである。さきに石炭最重点の構想の下に、政府が樹立した諸対策は停滯し勝ちであり、ために荒廃に近い状態にある炭鉱の現状と、極度の資材不足の現状とを観るとき、この打開は容易ならぬものがある。もとより政府の諸対策の完全なる実行こそ、現状打開の正道であり之が急速なる履行を期待するものであるが、ここに我々は自らの力によつて、現下の國民的窮状を救うため、不可能を可能にするために、労働者経営者打つて一丸となり、敢然立つて石炭増産に挺身せんとするものである。」こういうことを言つておるのでありまして、即ち数ケ月に亘る協議の結果、労資双方が自主的に石炭増産に協力して行こうという態勢に、六月二十一日のこの会議で決定に到達したのであります。その当時不肖私は全國石炭復興会議の議長をしておりました。それから約二ケ月後に私は辞めましたけれども、当時私が議長の下にこういう決定をして労資双方打つて一丸となつて石炭の増産に邁進して行こうということになつておつた。労働者の方も振つてこの際は自分の立場に囚われないで石炭増産に邁進して行こうという氣持になつておつた。経営者又然り、経営者は利益があれば、その利益は労務者の方に分けてやろうということで、とにかく経営者は経営者の立場に囚われず、労働者は労働者の立場に囚われず、一致協力してやつて行こうという態勢になつておる。然るにその時突如として商工大臣は石炭國管案というものをここに皆の協議しておるテーブルの上に投げ出して、そうしてそこに、爭いの種を撒いて今日に至つた。この一致した態勢を商工大臣みずからがこれを打ち破つた。そうして今日になつて労働者の協力を受けるためにはこの法案を通さなければならん、これを通さなければ労働者の協力態勢ができんと言われることは、責任ある政治家として如何かと思うのであります。その点に対して商工大臣の明快なる御答弁をお願いいたしたいと思います。
#123
○國務大臣(水谷長三郎君) 石炭國家管理法案によつて得られるものより復興会議に多く期待するわけにいきません。
#124
○委員外議員(木内四郎君) 復興会議の決議について商工大臣の答弁がなければ要りませんが、とにかく労資双方が協力態勢になつておつたものをぶち壞した責任は、私は商工大臣にあると思う。そういう点について商工大臣答弁はありませんか。
#125
○國務大臣(水谷長三郎君) そういう責任は私にないと思つております。
#126
○委員外議員(木内四郎君) 責任がないが、ぶち壞した事実があるということは認められるでしよう。
#127
○國務大臣(水谷長三郎君) 白と黒と見られる上ならば、そういうことを言われるかも知れませんが、一体復興会議がどうして潰れたかということを木内委員は関係者の一人としてもう少し素直に眺められたら結構だと思います。
#128
○委員外議員(木内四郎君) どうして潰れたかということはとにかくとして、その当時労資双方とも一体になつて協力態勢になつて來たという事実は無視することはできんと思います。それをぶち壞したのは、商工大臣その他に責任があるということは、私は言つても差支えないと思う。併しその問題に対して答えられないというならば、これ以上追究しても仕方がありませんから、私はそれは問いませんが、然らば事務当局に私は伺いますが、この問題はこの程度にいたしまして、石炭増産の隘路になつておつた点、又なりつつある点はどういう点にあるか。そういう点に対して打開のためにどういう方策を執つたかということを、一應議論を進めて行く前に聽きたいと思う。
#129
○政府委員(吉田悌二郎君) 石炭の緊急なる必要に対して政府の執りました態度についての御質問でございますが、これは石炭生産の状況に應じまして対策を執つておつたわけでございますが、それを纏めましたものが十月三日に決まりました増産対策ということに集大成されてると考えております。あすこにあります各種の方策は、從來執つておりましたいろいろな増産対策を纏めまして、丁度マツカーサー元帥の手紙が参りましたことと関聯いたしまして、あすこに集大成いたしましたものであります。從いまして労務者の方面、或いは技術の方面その他各能率の増進の問題、報奬物資の問題、各般の問題につきまして檢討対策を立てたわけでございまして、あれを御覽になれば大体のところが明らかだと思います。
#130
○委員外議員(木内四郎君) 極めて簡單な答弁で、私が質問したところと少し違つておりますが、あれを見れば將來取ろうとすることは分りますが、マツカーサー元帥からの書簡によつてその後において初めて取ろうとしたところの対策は分るのでありますが、然らば細目に入つて聽きたいが、資金の面について隘路がどういうところにあつたと思われるか、それに対してあなた方はどういうふうにマツカーサー元帥のお考えによつてではありますが、その前においてどういうような対策をその打開のために執られたかということを私は伺いたい。
#131
○政府委員(吉田悌二郎君) 資金の面についてのお尋ねでございますが、從來炭價の問題は、いわゆる生産費を賄う炭價でなくて、赤字補償によつて生産費を賄うという態勢を執つておりました点があらゆる生産の増強及び能率の向上ということについて妨げになつておつたのでございますが、それを七月以降新炭價が決まりまして、炭價によつて生産費をカバーするという方針に切り換えたのでございまして、この点が政府が執りました最近における資金の面における一番大きな手段だつたと考えております。
#132
○委員外議員(木内四郎君) 最近におきましては七月になりまして炭價の前決め制をお取りになつたことは、今政府委員の述べられた通りであろうと思いますが、石炭の増産の隘路になつておつたことは極く最近のことだけではないのでありまして、例えば去年の四月頃から後の政府の炭價の決め方、私は政府というよりも、むしろ石炭を扱つておつたところの最高の事務官廳、そこにおいて去年の四月から後の炭價の決め方、或いはその資金の面に対する措置というものが適当であつたかどうか非常に疑問だ。例えば昨年の四月頃には炭價が生産者の方の價格は二百数十円であつた。そのときから二百円にずつと据え置いて、それが生産價格が、生産費が四百円になり、或いは五百円になつて來たときにおいて初めて炭價が改訂された。而もそれが昨年の十月から改訂されたが、それが今年の二月になつて初めて改訂されたというような状態、その後においても炭價をこの上半期、即ち四月から後において前決め制とすることになつておつたのが、今言われた通り七月になつておつた。そういうことは大体適当であつたかどうか、こういう問題であります。そういう点はどう考えておられますか。
#133
○政府委員(吉田悌二郎君) 要するに炭價の問題はあらゆる物價の基礎でございまするので、單に石炭だけの必要から炭價を決め得なかつた状況にあつたと考えております。從いまして、成るべく早く炭價を決めるように努力いたしまして、これが七月やつと決定した、こういう次第であります。
#134
○委員外議員(木内四郎君) その決めることに非常に困難なことは、これは認めるのでありますけれども、適正な炭價を決めることが非常に遅れておる、例えば昨年中においてもすべてそうである。今政府委員の言われるように、今年においても早く決めるべきものが、上半期の方の炭價が容易に決まらなかつた、四月から六月のものが七月になつて初めてこれを決められる、四月から前決め制にするというのが七月の何日かになつて初めて実行された。理由はいろいろあるだろうけれども、併しそれが前決めされないで、そのために厖大なる赤字というものを炭鉱の経営者に魚わせたという事実は、私は爭うことができないと思う。そこで理由の困難なことは沢山ありますけれども、そういう点において、賃金の面において非常に窮屈のものがある。その資材の入手についても、その他のことについても非常に困難な状態におつたという事実はこれは爭うことはできない。そこでそういうことは制度の罪ではない、制度の罪でなしに、それを早く決めなかつたことそれ自体が惡いのだ。それから更に金融の面におきましても、赤字の金融をする場合に非常に煩雜であつた、或いは又それを非常に後になつて貸出した、即ち時間的にずれを生じて、その結果経営者の資金難を非常に増したというような事実は、私は爭うことはできないと思う。そういう点についてはそれはできなかつたということだけでは私は済まんだろうと思う、そういう点に対して事務当局は責任を感じておられるかどうかということを私は伺いたい。
#135
○政府委員(吉田悌二郎君) 我々の努力が十分でなかつた、十分に効果を表し得なかつたということに対しましては遺憾に存じております。併しながら当時の状況の下においては全力を盡してやつた積りであります。
#136
○委員外議員(木内四郎君) 全力を盡したが自分たちの力が足りなかつたから仕方がないと言われる、そう言われれば諒とするのであります。併しそのために、即ちそれが制度の罪ではなしに、それを扱つておる者のまあ今言われたようなことの結果、資金の面においても非常な問題を生じたというふうに私は考えるのであります。制度の罪でなくて、それの運用がうまく行かなかつたためであるということは、あなた方はこれを認めておられるかどうかということを伺つてみたい。
#137
○政府委員(吉田悌二郎君) 諸種の状況からいたしましてああいう制度を取らざるを得なかつたと考えております。
#138
○委員外議員(木内四郎君) 更に私は先程の隘路に対する質問は政府委員の説明が簡單でありましたから私の方から飼うのですが、資材の面からおきましてもいろいろな隘路があつたと思うのであります、そういう点につきましても、例えば去年の第四・四半期の資材などは、石炭の事務当局の非常な配慮によつて、努力によつて割合にうまく行つたと思うのでありますが、今年の第一・四半期の石炭関係の資材の入手の状況を見ますと非常に私は惡かつたと思うのであります。或いは切符の切り方が非常に遅かつたりその他の関係で、殆んどその期の中には資材が山に入つておらないと思う。そういう点についてはそういう事実は私はあつたと思うのですが、あなた方は資材の面について去年以來どういう点に隘路があつて、そうしてその打開のためにどういう努力をされたかということを伺つておきたいと思う。
#139
○政府委員(石坂善五郎君) 第一・四半期以來割当制度が変更に相成りましたために、物資需給計画についても触れまして、又発劵自体も遅れた、こういう関係から現物の入り方が順次遅れて行つた、こういうふうに考えております。
#140
○委員外議員(木内四郎君) そうするとその現物が第一・四半期などには殆んど入らなかつたと思うのでありますが、その点はどうですか。
#141
○政府委員(吉田悌二郎君) 第一・四半期の中に現実に入りましたものはほぼ前年度の第四・四半期の割当の分が入つておつた。それから第一・四半期の後半期、それから第二・四半期にかけまして、第一・四半期の資材が順次入つて來る、つまり約一月くらいずつずれ込んで入つて來る、こういうように考えております。
#142
○委員外議員(木内四郎君) 昨年の第四・四半期などは殆んどその期の中に入つたけれども、第一・四半期には殆んど入つておらんと思うのであります。そういう事実はどうですか。
#143
○政府委員(吉田悌二郎君) この鉱工業委員会に資材の現物の入手の調べを御配付いたしましたが、その第一・四半期の割当に対して、第二・四半期の入手量というものを御報告いたしておりますが、これは第二・四半期に入りましたものでありまして、第一・四半期の割当と便宜比較して御配付いたしております。それによりますれば、第一・四半期に現実に入りました数量が、数字を以て示してあるわけでありまして、何も入つておらんというお話はちよつと了解しかねるのです。
#144
○委員外議員(木内四郎君) そういう点について押問答をしてもどうも始まりませんから、私はこの程度にいたしたいと思うのでありますが、あなた方の方で発表されておるところの石炭非常増産対策要綱というものにおいて、「石炭増産に関する最重点主義は今後においても引き続き一層確実迅速に推進する。特に既定の施策の実績を檢討し不徹底且つ不十分な点は各所管官廳において責任を以て急速に改善実行」せられるということを言つておるのでありますが、そういう点につきましてすでに檢討された結果はどんなことになつておつたか、概略でいいから一つ知らせて頂きたい。
#145
○政府委員(吉田悌二郎君) その檢討について、只今特別調査團を北海道、九州に派遣をいたして、逐次調査をやつております。その結果についてはまだ報告を得ておりません。今現地において調査を始めております。
#146
○委員外議員(木内四郎君) それでは伺いますが、それに基いてこの石炭対策の調査を一方においてやつておられると同時に、一方においてあなたの方は推進班その他を派遣して増産を推進しておられるのですが、それについていわゆる二十四時間制の完全実施を強力に推進すると言われたその結果は、どの程度に今日のところなつておりますか、すでに十月三日にこれを発表されて、今日これが可決になつておりますが、その結果はどの程度になつておりますか。
#147
○政府委員(吉田悌二郎君) 二十四時間制その他の時間延長に関しまする労働協約の問題でありますが、これは十月にこの要綱を発表いたしまして、然る後において炭鉱の工場主、或いは全鉱山の労働組合の首脳部を総理官邸に呼びまして協力を関係各大臣が要請いたしまして、その後現地において推進をしておるのでございますが、段々増産の態勢に全般的な傾向がやはりなりつつある状況でございまして、その結果がここに先程大臣の仰しやつたような増産の実績に現われておると思うのですが、労働協約を締結いたしたものは今日までには二炭鉱あるわけでございまして、その他は只今協約を結ぶことを進めておる状況でございます。
#148
○委員外議員(木内四郎君) 二三鉱というのは二三の山ですか。
#149
○政府委員(吉田悌二郎君) 二つの山でございます。
#150
○委員外議員(木内四郎君) 全体の山の中二つの山ですか。
#151
○政府委員(吉田悌二郎君) 二つの山です。
#152
○委員外議員(木内四郎君) そうするとあなた方の方で就業規則を労働協約によつて規定せしめるというこの職場規律の確立とか、その他の関係のところの規律を、労働協約で決めたというのは二とこだけになりますか。
#153
○政府委員(吉田悌二郎君) さようでございます。
#154
○委員長(稻垣平太郎君) 木内委員は御指定申上げた時間を過ぎておりますが、成るたけ簡單にお願いいたします。
#155
○委員外議員(木内四郎君) あなた方の方でこの石炭増産対策によつて、必要があれば法的措置を講ずるということを言つておられるのですが、その点については今法的措置を講ずる必要があると考えておられるのか、それについて考えておられるならば、どういうことを考えておられるかということを私は伺つて見たい。
#156
○政府委員(吉田悌二郎君) この増産対策を実行する上におきまして、必要があれば法的措置を講ずる、こういうふうに書いてございますが、只今のところはお話合でこの増産対策を実行しております。只今まででは法的措置を講ずるということは考えておりません。
#157
○委員外議員(木内四郎君) そうすると全体の山で二鉱ぐらいしかないけれども、それでも、そういう状態だがまだ今日においては法的措置を講ずる必要はないと考えておられますか。
#158
○政府委員(吉田悌二郎君) 現在労働協約を結ぶことについて、現地において進行中でございまして、只今の状況ではその必要を感じておりません。
#159
○委員外議員(木内四郎君) それから更に新炭鉱開発、新炭鉱新炭層の開発については云々と「所要の機構を整備し、これを推進する」というようなことを言つておりますが、聞くところによると、これについては調査は來年からやるということですが、これを発表した当時から直ちに調査に着手したということではないのですか、どうですか。
#160
○政府委員(吉田悌二郎君) 新炭鉱の調査を石炭廳内に特別の局を設けまして実施する予定をいたしておりまして、予算を御要求申上げておるわけですが、予算が只今衆議院に上程せられておるのでございます。これが通過次第、一月以降その調査を始めたいと考えております。
#161
○委員外議員(木内四郎君) そうすると、これは十月にこういうものを決めてやつたが、予算が一月になつて通つたあと、一月でなければそういうものの調査その他に着手ができないというふうに了解してよろしいのですね。
#162
○政府委員(吉田悌二郎君) 当時はこの議会がこんなに長くなるということを予想いたしませんので、十一月の初め頃には予算が通過いたしまして、もつと早く実行できると考えておりましたのでありますが、段々延びました結果、一月以降の予算を取るということにいたしたのでございます。
#163
○委員外議員(木内四郎君) そうすると、その点は了解しまして、さつき法的措置の必要はないと言われたのでありますが、この石炭非常増産対策というものは、これを実施して行くためには、今のところは法的措置はしないでもできるというふうに解釈してよろしうございますか。
#164
○政府委員(吉田悌二郎君) 法的措置を講せずに実行ができるというふうに考えております。
#165
○委員長(稻垣平太郎君) 再度御注意申上げますが、大分時間が、御指定申上げました時間より経過いたしておりますから……。
#166
○委員外議員(木内四郎君) 委員長、時間はやはり制限されるのですか、委員会にお諮りになりましたか。
#167
○委員長(稻垣平太郎君) 二十分程度にお願いするということを申上げております。
#168
○委員外議員(木内四郎君) 委員会にお諮り願いましたか。
#169
○小林英三君 その時間の制限については、委員長がそういう思召でおやりになつておると思いますが、そういう委員外の方の質問は尊重してよろしいと思います。余り下らない時間の制限はどうかと思います。
#170
○委員長(稻垣平太郎君) それですから大分時間は過ぎておりますから、ただ御注意だけ申上げております。
#171
○委員外議員(木内四郎君) それから炭鉱特別運轉資金融資要綱について伺いたいのですが、この「融資申込をなし得る炭鉱は資金の著しく逼迫せるもので、左の條件の孰れかを充足する」ものでなければならないということが書いてありまして、その(イ)には「本年度第二・四半期の生産能率が前年同時に比し一割以上向上せること」、(ハ)には「上期において三千万瓲ペース生産割当を完遂せること」、こういうのがあるのでありますが、これを決められたのは十月三十一日でありまして、これは過去のことでありますが、これが若し予め発表されておれば、それだけの努力をして、そうしてその資金の融通を認められようということを皆どんな会社でもやつておりますが、過去の過ぎ去つたところの実績によつて、そういうものにはもう金はやらないというお考えですか。この文章から見ればそう見えるのですが、その点は如何ですか。
#172
○政府委員(吉田悌二郎君) 要するに増産に非常に努力せられた炭鉱に対しましては、今後の増産についてもやはり大いに努力せられるだろうということを考えまして、今後運轉資金を融通いたしまする場合においては、この増産の実績を見て、今後も確かに増産するであろうという山に対して、運轉資金を出して行こうというのがこの運轉資金融資要綱の趣旨でございます。
#173
○委員外議員(木内四郎君) そうしますというと、その趣旨は分りまするけれども、そうすると過去の実績においても、その受けられる山というものは、その二項に関する限りは決つてしまつておると了解していいのですか。
#174
○政府委員(吉田悌二郎君) 勿論過去において努力された山は、今後も努力されるであろうということを考えておりますると同時に、確か第一項の(ロ)に、いわゆる増産対策要綱にございますところの作業時間の延長、或いは三交替制の推進というようなことについて、そういう仕事をやろうという山に対しましては、そういうお約束によつて融資をして行こう、即ち今後努力して大いにやろうという山に対しても、やはり融資をして行こう、こういうことを決めておるのでございます。
#175
○委員外議員(木内四郎君) そうすると、(イ)と(ハ)というものは、私の解釈しておつた通りでありますが、(ロ)につきましては、團体協約の成立せるものというのが條件でありますが、先程のお話だと、二つの山だけにしか貸されないということに解釈していいのですか。
#176
○政府委員(吉田悌二郎君) 只今お読みになりましたのは、特別運轉資金の融資要綱でございまして、その他今一つ、この團体協約を結びまする間の繋ぎ資金の融通をいたしまする貸付方式が決定いたしております。それによりますと、鉱業所側において、そういう労働協約を締結して生産を増進して行こうということをお約束される山に対しましては、繋ぎ資金としての運轉資金を融資して、そうしてそのうちに労働協約を締結して頂くというようなことで、繋ぎ資金の融通の問題を決定をいたしております。これも先般お手許に配付いたしてあります。
#177
○大畠農夫雄君 只今委員外議員の発言中でございますが、本委員会としましても、本日を以ちまして一般質疑を終ることになつておるのでありまして、一應委員長から、本委員会の委員が一般質問に対する発言がないかどうかを諮つてからやつて頂きたいと思います。
#178
○小林英三君 議事進行について……今の発言は甚だ奇怪に考えます。先般來委員会におきまして、一應三日で打切つて、後は逐條審議に並行して、一般的な質問をするということに決定しておるわけであります。はつきりその点を……。
#179
○委員長(稻垣平太郎君) 木内委員が、先程、時間の制限を諮つたかというお話でございまするが、一番初に皆樣方にお諮りをいたしまして、委員外の議員の方の数並びに時間については、委員長にお任せを願つたわけであります。それで私、二十分と申上げて、さつき矢野議員に二十分でお願いいたしたわけであります。併し、委員外の議員の方の御発言はできるだけ尊重するという意味で、今十五分程延ばしましたわけでありますが、どうかもう五分だけでお打切りを願いたいと存じます。
#180
○委員外議員(木内四郎君) 委員会の御意向がそういうことでありますれば、これは止むを得ませんから、それはその程度にいたしますが、先程申上げましたように、総理大臣に対する質問は、是非お許し願います。
 只今お伺いいたしたところによると、炭鉱特別運轉資金融資要綱の外に、繋ぎ資金というものがあるから、この方は差支ないというお話であります。ところで伺いたいのでありますが、本要綱によりまして資金を融通され、或いは立入つてその使用状況を檢査され、経営監督をされるというのは、どういう法規の根拠によつてやつておられますか。
#181
○政府委員(吉田悌二郎君) 資金を貸出します條件といたしまして、そういう監査をするということにいたしておるのでございます。法規の根拠ではございませんので、資金貸出の條件といたしまして、そういう監査をするということにいたしております。
#182
○委員外議員(木内四郎君) そうすると、臨時資金調整法によつて、やはりこれは貸出しておるのだと思いますが、臨時資金調整法によつては檢査、監督はできないのですか。
#183
○政府委員(吉田悌二郎君) 臨時資金調整法の関係は、設備の関係であると思います。運轉資金の融資につきましては、貸出の條件としまして、そういう監査をすることにいたしておるのであります。
#184
○委員外議員(木内四郎君) そうしますと、設備資金については、この貸出について、臨時資金調整法によつて貸す。而もそれによつて檢査、監督をする。その他の資金についても、貸付の契約或いは條件として、檢査、監督をする途は十分にある、こういうふうに了解して差支ありませんか。
#185
○政府委員(吉田悌二郎君) 貸出の條件でございますので、監査を拒まれました場合は、強制的に監査をするということはできないと思うのであります。只今御承諾を得てやつておりますが、強制的に監査をするというのではございませんので、その点、法規に根拠のない点においては、若干弱いという点があるのでございます。
#186
○委員外議員(木内四郎君) 私は、貸出の條件によつても、実際問題として、過去において資金を政府が世話をして貸出したような場合において、金の要る者は、その條件に服してやつておりますので、その條件だけでも、十分に根拠はあると思うのでありますが、更に臨時資金調整法によつても、その他の点についても、資金の貸出をした場合には、監督をすることができる規定があると思うのであります。こういう資金調整法とか、これによつてやれば、大体において増産の目的達成に必要なる資金は出すことができるというふうに考えておられますか。
#187
○政府委員(吉田悌二郎君) 貸しました資金の監査の点の御質問でありますが、一應はできると思います。併しながら、先程申しましたように、強制的なと申しますか、その立入つての監査につきましては、やはり貸出の條件では不十分であると考えております。
#188
○委員外議員(木内四郎君) そうすると、ここにあなた方の方で、書面又は実地について嚴重なる経営監督を行なうというようなことを言つておられる、或いは又臨時資金調整法とか重要鉱物増産法によつて資金を貸した場合の檢査監督規定は、十分にないということですか。
#189
○政府委員(吉田悌二郎君) たびたび申上げますが、この監査と申しますか監督と申しますか、これは行政上の措置でやるのでございまして、おのずからそこには、法規に基く監査とは、若干の強弱があると考えております。
#190
○委員長(稻垣平太郎君) 一つこの辺でお打切りを願います。
#191
○委員外議員(木内四郎君) 臨時資金調整法と、この炭鉱特別運轉資金融資要綱について、今言われたような点はあるけれども、併しとにかくここに掲げておられるような檢査、監督、或いは経営の監督までこれをすることができる。又更に臨時資金調整法その他によつて、一定の檢査、監督、帳簿の檢査その他詳細な規定はそこにありますからして、あの程度の檢査監督は十分できる。今度の臨時石炭鉱業管理法案の中に規定してある以上の檢査監督ができるというふうに了解して差支ありませんか、私はそれは事実だと思うのです。
#192
○政府委員(平井富三郎君) 今の御質問の趣旨がはつきりいたしませんが、御質問の趣旨は資金調整法等の監査によつて管理法のいわゆる監査は要らんじやないかという御質問でございますか。
#193
○委員外議員(木内四郎君) 私は要らんとか要るとかということを今言つているのではない。それ以上の監督ができるようにここに書いてあるから、その事実をあなた方事務当局に、事務的見地からこれを伺いたい。こういうことなんです。
#194
○政府委員(平井富三郎君) 法律的には可能であろうかと思います。併し管理をいたします場合に、その管理を効果あらしむるための管理機構の整備ということを睨み合せて考えることが必要であるとかように私ども考えております。
#195
○委員外議員(木内四郎君) 法律的に可能であるということであればそれでいいのです。実はその点を聽きたかつたのです。あとは別の法律に書いて置けば都合がいいとか、その方が体裁が整うということであれば、別問題でありますが、私はその点でそういう答弁があれば、私の聽こうと思つたことは済みましたので、殊に時間も來ましたから、この程度で打切ります。ただ重ねてお願いして置きたいことは、先程も申しましたように、短時間ですから総理大臣に対する御質問を申上げたいと思います。
#196
○委員長(稻垣平太郎君) それは総理大臣の御都合を聞いた上でいたします。
 それではこれで本日の質疑を打切りまして御異議ございませんか。
#197
○委員長(稻垣平太郎君) それでは一般質疑は本日で打切りまして、明日から逐條の審議に移りたいと存じます。
 明日は午前十時からでよろしうございますか。
#198
○委員長(稻垣平太郎君) 一つ御勉強願います。では本日はこはで散会いたします。
   午後五時二十三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     稻垣平太郎君
   理事
           下條 恭兵君
           小林 英三君
           川上 嘉市君
   委員
           大畠農夫雄君
           カニエ邦彦君
           濱田 寅藏君
           村尾 重雄君
           荒井 八郎君
           大屋 晋三君
           寺尾  豊君
           平岡 市三君
           堀  末治君
          池田七郎兵衞君
           入交 太藏君
           岩木 哲夫君
           林屋亀次郎君
          深川榮左ェ門君
           鎌田 逸郎君
           楠見 義男君
           佐伯卯四郎君
           宿谷 榮一君
           玉置吉之丞君
           田村 文吉君
           藤井 丙午君
           帆足  計君
           細川 嘉六君
  委員外議員
   運輸及び交通委
   員長      板谷 順助君
   在外同胞引揚問
   題に関する特別
   委員長     矢野 酉雄君
   議院運営委員長 木内 四郎君
  國務大臣
   内閣総理大臣  片山  哲君
   商 工 大 臣 水谷長三郎君
  政府委員
   経済安定本部副
   長官
   (第一副長官) 永野 重雄君
   総理廳事務官
   (物價廳第三部
   長)      小笠 公韶君
   石炭廳次長   吉田悌二郎君
   商工事務官
   (石炭廳資材局
   長)      石坂善五郎君
   商工事務官
   (石炭廳管理局
   長)      平井富三郎君
ソース: 国立国会図書館
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