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1947/12/04 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第26号
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1947/12/04 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第26号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第26号
  付託事件
○石炭生産確保に関する陳情(第二十
 一号)
○自轉車の價格改訂に関する陳情(第
 三十四号)
○石炭増産運動に関する陳情(第四十
 四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百七号)
○炭鉱國家管理に関する陳情(第百四
 十四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百八十三号)
○石炭政策審議会設置に関する陳情
 (第百九十五号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百四十九号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百五十六号)
○臨時石炭鉱業管理法案(内閣提出、
 衆議院送付)
○亞炭増産に関する請願(第二百七十
 一号)
○配炭公團を即時廃止することに関す
 る請願(第二百八十四号)
○石炭生産損出補償金支拂促進に関す
 る陳情(第三百七十九号)
○配炭公團法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○亞炭増産に関する陳情(第四百六
 号)
○釜石製鉄所銑鋼一貫作業再開促進に
 関する請願(第三百七十九号)
○生産合作社法制定に関する陳情(第
 四百四十七号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 四百八十号)
○東北地方銑鋼業振興に関する請願
 (第四百二十四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 五百六十四号)
○製塩用燃料割当に関する請願(第五
 百五十二号)
○野鍛冶業用燃料増配に関する請願
 (第五百六十一号)
○釜石製鉄所銑鋼一貫作業再開促進に
 関する請願(第五百七十三号)
○北海道における家庭越冬用燃料の價
 格に関する陳情(第六百三号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十二月四日(木曜日)
   午前十時五十三分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○臨時石炭鉱業管理法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより本日の委員会を開きます。
 本日から逐條の審議に移ることに相成つておるのでありますが、その前に小林さんがこの前御保留なすつた新鉱の問題について御質疑がありますので、少し時間をその方へ向けます。
#3
○小林英三君 先般二十三年度以降石炭生産五ケ年計画の中で、二十三年度の新鉱開発によります出炭が二十万トン、この内容につきまして、新鉱の名前並びにその出炭量を政府委員から御説明を願いまして、それによりまして改めて商工大臣に質疑をいたしたいことを保留いたして置いたのでありますが、昨日は丁度委員外の質問も沢山ありまして、私は商工大臣にお伺い申上げる機会を失いましたので、本日これの質疑をお願いいたしたいと思います。
 出炭五ケ年計画、生産五ケ年計画によりまするというと、我々に配付されておりまする資料には、二十三年度におきましては新鉱開発によつて二十万トンの出炭高が出る。それを一昨日でありましたか、先般の委員会の席上で以て政府委員から承りまするというと、その新鉱の名前は遠幌地区が五万トン、三井福住二万トン、それから太平洋地区が五万トン、それから赤平地区が二万トン、沖ノ山が一万トン、第一小倉二万トン、杵島炭鉱が三万トンというように承つたのであります。尚その際に私は併せて、これは果して新鉱であるか否やという質問を申上げて置いたのでありますが、これは新鉱であるというようなお話があり、私はこれによりまして調査いたしたのでありますが、これらのものが、中には新鉱もありまするが、すでにもう数年前から着炭をいたしておるのが沢山あります。先ず第一に新鉱と言われたことは、どういうわけでこういう着炭しておるものを新鉱と言われたか、それを商工大臣から、或いは精しい政府委員から承りたいと思います。
#4
○政府委員(平井富三郎君) 新鉱の解釈でございますが、新らしい地区に新らしい石炭を興すために始めましたものを新鉱と一應考えておるわけでありまして、從來稼行を行なつておりまする地区について、その坑道の中に、はたから又大きく坑道を開くというようなものは、いわゆる拡張というように考えておるわけでありますが、そうでない新らしい炭層に向つて新らしく坑口を開けて生産を開始するというものを一應新鉱という範疇に入れて考えておるのであります。
#5
○小林英三君 例えば、私が申上げたいのは、遠幌地区でありますと、遠幌地区の方は、これは夕張の経営でありまして、すでに昭和十九年から開坑いたして着炭しておるということが私の調査にあるのです。昭和十九年からもう着炭しておるものを新鉱というのは、どういうわけでそういうことをいうのですか。
#6
○政府委員(平井富三郎君) 今申上げましたような範疇に、昭和十九年から着手いたして新鉱の開発に着手をいたしておつたということで、この出炭予定はいわゆる從來の、現在通常の出炭ベースに入つておる山でなく、新規に開発されました山からの出炭予定を計上しておるわけであります。從つてその來年度出炭されるというものが、新らしく開発する意図を以て、一九年度から実施されておつたということでありましても、その生産が五万トンと見込みましたものは、これはやはり新鉱の部に入れることは、この範疇から考えて適当であるというように見ておるわけでありまして、この新鉱開発計画というものが今後新らしく着手をいたす。今後新らしく計画をいたして着手をいたすというもののみでなく、いわゆる從前から計画しそれに着手していたものも、只今申上げましたような新鉱という部門に入れることの適当なものについては、その生産分を新鉱の分に計上いたした次第であります。
#7
○小林英三君 どうもその点がはつきりしないのですが、例えば沖ノ山のごときものは八年前からすでに事業に掛かつておつて、そうして今まで斜坑があつて出炭し得なかつたんだが、それもすでにやつておるということになつておるのですが、こういうふうに十九年からやつたり、八ケ年前からすでにやつておるようなものを新鉱と名附けて、その取扱はどういうことを限界として、新鉱とか旧鉱とかいうことを区別つけるのですか、それがはつきりしないのです。
#8
○政府委員(平井富三郎君) 私共が予定しておりますものは勿論、現在開発に着手し一部着炭をしたという程度のものは含んで、この分の出炭を見込んであるわけでありますが、八、九年前から計画いたしましてすでに通常の生産ベースに入つておるというようなものは入れておりません。
#9
○小林英三君 それでは、大体その辺の解釈は分りましたが、次に私は第一小倉炭鉱、これは二万トンを昭和二十三年度、來年度は予定しておるのでありますが、この第一小倉炭鉱はいつ頃許可になりましようか、採掘権は……。
#10
○政府委員(平井富三郎君) 小倉炭鉱の鉱業権の許可につきましては、これは余程前に鉱業権として登録されておるわけであります。
#11
○小林英三君 第一小倉炭鉱ですね。
#12
○政府委員(平井富三郎君) さようであります。
#13
○小林英三君 余程前とは、いつ頃、何年頃に許可になつておりますか。
#14
○政府委員(平井富三郎君) 第一小倉炭鉱を開発いたしまする地区は、大体海底に炭層がございますが、その間の地区に、二、三ケ月前でしたか、一つの鉱区が設定されました次第であります。その分は極く最近のことであります。
#15
○小林英三君 日にちをはつきりおつしやつて頂きたい。二、三ケ月前ですか。
#16
○政府委員(平井富三郎君) 大体二、三ケ月前のように記憶しております。
#17
○小林英三君 それから第一小倉炭鉱の施行案の許可はいつ頃ですか。
#18
○政府委員(平井富三郎君) 施行案の許可はまだしておらんと思います。
#19
○小林英三君 施行案の許可はまだできていないのですか。
#20
○政府委員(平井富三郎君) さようであります。
#21
○小林英三君 そうすると、二、三ケ月前と申しますと大体七、八月頃に許可になつておりますか。
#22
○政府委員(平井富三郎君) 七、八月頃の問題だと思います。これは採掘権でなく試掘権の方でございまして、まだ施行案というようなものも出て参らないのでございます。
#23
○小林英三君 次に水谷商工大臣にお伺いいたしますが、私の聞き及ぶところによりますると、第一小倉政鉱の許可を得ました権利というものは、これは九州の小倉市の市街地の下である。そうしてこの権利を取ることと関聯いたしまして、すでに小倉炭鉱、第一小倉炭鉱でない別の炭鉱である小倉炭鉱というものが、数年前に、一年くらい前でありましたかはつきり覚えておりませんが、とにかく小倉市のずつと……小倉市を併せた新鉱として、海の中までずつと鉱区の権利を出願いたしまして、而もその新鉱につきましては、アメリカの星條旗にも載りました、いわゆる第二の三池炭鉱、日本における最も優秀なる炭鉱、最も優秀なる優良炭の出るところの炭鉱として、その当時新聞紙上に、或いは雜誌に世界的に発表された新鉱区であります。その時にその当時の政府は、その中で小倉市の市街の下になつておる部分、これは公を害するいわゆる公害地であるので、その小倉市の地下に相当する部分だけはオミットして、それだけを許可しないで、海の中に突出したところの新鉱というものを炭鉱に許可をした。そういたしますと、この日本の最も有数なる第二の三池とも称さるべきこの小倉炭鉱の新鉱につきましては、これを掘るにはどうしても地下を通つて、そうして海底を掘つて行かなければならない、そのためには小倉市の下を通つて通路を設けて、そうして海底まで掘つて行くというようなことに相成るのであります。私が先ず第一番に商工大臣にお伺いいたしたいのは、元の政府が小倉炭鉱の出願に対して、而もこういう最も日本の産業力の基礎になりまする優秀なる石炭の採掘できるこの新鉱に対して、小倉市の市街の下はいわゆる公害地なる故を以て不許可にした、そうしてこの石炭の増産に最も必要なるべき採掘権に対して、わざわざ小倉市の下を通る通路を設けるにあらざれば新鉱の開発はできないという、こういうような犠牲をも忍んで、当時の政府はその土地だけは許可をしなかつた。然るにこの第一小倉炭鉱をいわゆる新鉱開発に政府が報告いたしております。第一小倉炭鉱は來年二万トンとこういう予定をしておりますようでありますが、この第一小倉炭鉱のいわゆる権利というものは、どこでもあるかといえば、別の会社の小倉炭鉱がすでに出願をして、そうして世界的に有名である新鉱の中に含まれておる、それを公害地なる故を以て許可をしなかつた、拒絶したものを、第一小倉炭鉱はその同じ場所を出願して、そうして小倉市の市街地は新鉱として許可されておる。これはどういうような法規によつて、元の政府が許可しなかつたものを、社会党内閣の水谷商工大臣は、何によつてこれを許可されたか。どういう法文によつてこれを許可されたのか、はつきり伺いたい。
#24
○國務大臣(水谷長三郎君) それは商工局長の関係でありまして、許可するせんということは商工大臣はやつておりません。
#25
○小林英三君 それをはつきり……商工局長の関係だとおつしやるか、併しあなたの管轄じやないですか。
#26
○國務大臣(水谷長三郎君) それは私の責任ですが、今あなたは何故許可したかということですから、許可したのは、商工局長が許可したのであるという工合にお答えしたのです。
#27
○小林英三君 私は今の商工大臣の御答弁は甚だ不可解だと思う。荀くもそういう新鉱を……而かも世界的に有名な、第二の三池にも比較すべき新鉱、それを一旦不許可にした、その同じ部分を、政府が許可するには余程これは重大なる取扱をなすべきであると思う。それを今商工大臣は、私は知らん。商工局長が知つておるという。そういう軽卒な答弁は非當に不可解であります。はつきりその点御答弁を願いたい。
#28
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今小林さんの御質問は、商工大臣としては、地方商工局長に委讓した権限に基ずいてやつたことでありますので、前の政府で何故許さなかつたかということは私は知りません。今度の政府で許したのは、地方商工局長として許すべきだと思つて許したのでありますが、その善惡に関しては、私が責任を負います。
#29
○小林英三君 私の聞きましたのは、この國管案に対しましても、政府は新鉱開発云々ということを常に言われておる。新鉱を開発することは勿論結構でありますけれども、私の今申上げましたような、小倉炭鉱の新鉱というのは、日本といたしましては世界的に最も有名で、將來を嘱目されておる新鉱である。そういう新鉱の開発につきまして、この第一小倉炭鉱に許可したために、小倉炭鉱では自分が発見した新鉱というものの開発ができない。私の調査したところによりまするというと、今小倉炭鉱では、海の中にある將來のある立派な新鉱に対しまして、最非通路を付けさしてくれ。つまり第一小倉炭鉱は丁度小倉市の、ここに地図がございますが、これは私は本日逐條審議の前に申上げるのでありますけれども、この石炭の國管案に絡みまして余程重要な問題だろうと思います。日本の國が石炭を三千万トン今年度は確保しなくちやならんと大騒ぎをしておりますけれども、こういうような、三池炭鉱にも匹敵するような新鉱を発見して、その新鉱が、現在の商工省によつて許可されました第一小倉炭鉱の許可によつて、この採掘が危ぶまれておる、こういう問題がここに起つて來ております。小倉市の右側に小倉炭鉱がありまして、小倉市と小倉炭鉱の間の海の間に第一小倉炭鉱が発見されておる。その小倉市の下を潜らなければ立派な新鉱の開発はできない、それを一旦不許可になつたものを、この内閣は許可しておる。そうして今日小倉炭鉱が、是非、君の方の許可はそれでいいが、その下に通路を開けさして、そうして石炭の増産に邁進させて貰いたいということを今交渉しておる。ところが絶対に應じない。話に聞きますると、何千万円の金であるなら賣つてもいい、地下に通路をつけるのはいかん、賣るならいいということを今言つて非常に悶著を来しておるのであります。水谷商工大臣は命にかけても石炭の増産をやる、而もこの國家管理にあらざれば石炭の増産はできない、自分は命にかけてもやる。これは結構であります。併し私はこういう立派な、日本で又とないような第二の三池炭鉱が発見されておつて、そうしてこれをどんどん政府は金を注ぎ込んで開発するのが最も必要なことであると思う。それにも拘わらず、それを結果においては妨害するような態度を取られておる。これは私は重大な問題であろうと思いますが、この委員会の席上においてこの点をはつきりさして貰いたい。
#30
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今小林氏の言われたような事情によりまして、昭和二十三年度における小倉第一鉱の計画二万トンの妨害になるという点が事実でありますならば、私の責任においてそれは早急に解決いたしまして、そこに掲げる二万トン出炭目標に妨害にならないように、私の責任において解決いたします。
#31
○小林英三君 それから尚私は非常に心配しておりますことは、政府の新鉱開発の將來の、來年度の予定、五ケ年計画によりまして、二万トンということをいつておる、この二万トンというのは、政府のどういう調査によつて二万トンというものができたか、私の知れる範囲内におきましては、絶対にこれはできないということであります。どういう調査によつて二万トンというのか、ただ机の上の想像でやられたのでありますか、現地の調査によつてはつきりやられたのでありますか、私はどうしてこういうことを聞きますかというと、どうも政府の我々に対する指導というものは、机上で想像でやられたように思われるものが沢山ある。現に私は、二十万トンということを言つておるが、外の炭鉱は別として、小倉炭鉱というはつきりした問題について二万トンを計上されておるが、こういうことは可能であるかどうか、若しこれが事実そういうことができると確信したならば、どういうはつきりした調査によつて、現地の調査によつてやられたのかということを聽きたい。
#32
○政府委員(平井富三郎君) その新鉱の開発の問題につきましては、從來各商工局等からの調査報告等に基ずきまして、新鉱の開発計画を立てまして、一應二十万トンというものを予想しておる状況であります。併し只今申上げましたように、その鉱区の間に新らしい試掘権の設定がございましたので、これらを解決いたしまして二万トン程度の出炭を得たいというように努力をいたすつもりでありますが、尚この新鉱の計画につきましては、先般御説明申上げましたように、更に詳細に企業化に関しまする具体的な調査を尚実施いたしまして、これを確実にやつて行きたいというように考えておる次第でございます。
#33
○小林英三君 私が聽きたいのは、市街地の下にある鉱区は、市街地の下がどうして掘れるかということは、簡單に素人から考えても分るのです。それを國会の、而も專門の常任委員である我々のところへ、二十万トンの計画は、他のところもそうだろうと思うが、特に第一小倉炭鉱については二万トンは來年度は出すと言つておる。それを市街地の下の許可しないものを政府は許可しておつて、而もその市街地の下を掘つて行くのは、どうして掘るのか、どういうことから二万トンと判定できるのですか。
#34
○政府委員(平井富三郎君) 御指摘のように市街地の下を一部掘鑿して行くような計画になりまするので、更に今申上げましたように小倉炭鉱といたしまして海底に鉱区を持つておるわけであります。その海底に通ずる坑口を掘鑿して行くわけであります。その間に第一小倉炭鉱と調整をつけるという問題が新たに惹起されましたので、その点につきまして、只今商工大臣が仰せになつたような方法によりまして、両者の調整を図つて行きたいというように考えておりまして、成るべく小倉市街に掛からんように、一部は掛かると思いますが、掛からんようにいたしまして、計画を進めて参りたいというふうに考えておるわけであります。
#35
○小林英三君 只今も私が質問しました中に、約十鉱の新鉱の名前が言われておる。新鉱というものは、本年の七月か八月か、二、三ケ月前に許可したものが、直ぐ來年から二万トン出すということは、我々素人が考えたつて想像のつかないことであります。殊に今の遠幌などは、十九年にやつておるやつを新鉱として今やつておる、八、九年前にやつておるものが新鉱として言われておる。殊に私は九月十五日の防長新聞に、第一小倉炭鉱の株の公募がしてある。これは推定埋藏量二千万トンとしておつて、そうして大石松男という人が代表者となつて、九月十五日の防長新聞に株の募集を今しておる。そういうものが、どうも市街の下であつて、話を聞きますと、堅坑六百尺も掘らなければ何もできないというような立場にある、それが來年度から二万トンというのは、それはどういうところから出たのですか。
#36
○政府委員(平井富三郎君) 今ここで開発を予想しておりますのは、今お読みになりましたのは第一小倉炭鉱でありますが、その会社ではございませんで、数年前でありますか、十年くらい前でありますか、鉱区を設定しております小倉炭鉱がこれを実施いたすという計画でございます。先程申上げましたように、その海岸に至ります鉱区の丁度中間地区に、今会社の設立を企図しておりますものの試掘権が設定されるというような状況でありますので、その間に鉱区の坑道をつけるという問題が起りますので、これを、只今商工大臣が申上げましたように、商工大臣がこれを解決して速急に実施に移して行くというふうに考えておる次第であります。
#37
○小林英三君 それではこの間新鉱の名前を発表されましたあれは、第一小倉炭鉱ではなく、小倉炭鉱、こういうのでありますか。
#38
○政府委員(平井富三郎君) その通りでありまして、第一小倉炭鉱ではないのであります。
#39
○小林英三君 それでは尚おかしいではありませんか。第一小倉炭鉱というのは、今の新鉱というのは海の中にある、小倉市の下を潜つて通路を開けなければ取れない、それを今の政府が妨害をして、結果においては妨害をするように、それを許しておる。そうして今は通路は開けない、金でくれ、私は噂でありますが、業者から聞いたのですが、そういう通路を開けなければ新鉱の開発はできないと言つておる、その新鉱の開発はできないものを、二万トン出るというのは尚おかしい。
#40
○國務大臣(水谷長三郎君) それは小林さんに先申しましたように、通路をあけさせればいい、それは私の責任であるからということを言つておるのであります。それは私は詳細商工局長から聞きませんでしたが、若し御指摘のような点で、ここに示してあるところの二万トンというものが、掘れないということになれば、これは商工局長のやつたことでも、商工大臣が責任を以て解決するということになつておりますから、要するに今あなたがおつしやつたように、通路を開けさせればいいのですし、更に又鉱業法の改正によりますれば、そういうものは皆命令して、別に金を拂わなくてもやれるのですから、一切は増産の見地から、私の責任において処理したい、このように考えます。
#41
○小林英三君 今商工大臣は簡單に私の責任においてその解決をすればいいだろうとおつしやいますが、それは解決して貰わなければならん。確かにこれは解決して貰わなければならん。併しこの二万トンを採炭するのには、小倉市の下の通路を作るだけでも容易ならざる問題であります。私は石炭の問題につきましては全然素人であります。併し私も外の鉱業には関係しておりますから、大体想像は付くのでありますが、地下に採炭をする通路を作るだけでもなかなか容易ならざる年月を要するのです。それを我々の配付された資料の中に、小倉炭鉱の新坑の出炭量として來年度は二万トン計上してあるということは、全然粗漏な計算じやないか。この点はできるのですか、どうでしようか。
#42
○政府委員(平井富三郎君) 只今の問題から解決いたしまして、掘進を進めて行くわけでありますが、ここで二万トンということでありますが、相当の部分は掘進炭でございまして、炭層に沿つて坑道をあけて行きます。いわゆる坑口をあけて、目的とするいわゆる本当の採炭計画に入る前に掘進炭として相当量得られるというのが、相当部分入つておりまして、そういうものをいわゆる計算の中に入れておるのであります。
#43
○小林英三君 今商工大臣並びに政府委員よりそういうような御答弁がありましたから、私は更にこれを追求してこれをどうという考えは持つておりません。ただ日本の國におきまして、石炭の増産ということは、何よりも一番の急務であります。殊に私は小倉炭鉱によつて発見された、このアメリカの星條旗にまでも賞讃されているというような日本の最も將來性のある小倉炭鉱の新鉱、これを今の内閣になつて全然公害地なるの故を以て不許可になつた部分を新らしい大石某という人に許可した。商工大臣も、私は商工局長がやつたのだから責任はあるが知らんといつておられる。我々の聞き及んだところによると、私は余りつまらない噂を公の席上で発表することは私は嫌いな質であります。深くは申しませんが、ただこれに対しては社会党の國管案に最も関係の深い代議士が関聯をして、そうして商工大臣が御存じの上でこれを許した、そうして今の大石某というものがこれを新炭鉱として九月の何日に新聞に発表している。今日株價は五十円の拂込に対し、すでにプレミアムが附いて七十五円になつているというような現地の噂も聞いておるのであります。社会党はこういうような利権問題については触れない政党であるということを私はよく知つております。この問題につきましては天下の誰が聞いても本当に頷けるような解決をして貰いたい。私の常識的な考えで言いまするというと、これなんかは小倉炭鉱に当然許可すべきものである。若しそういう出炭が出るといたしましても、これは前に先願をしてこういう故を以て許されなかつた、若し時勢の変化によつてこれを許すならば、むしろ私は元の小倉炭鉱、先願者に許すべきものである。それをそういうようなつまらない噂を生むような結果を現内閣はなさつて、新らしい炭鉱を大石某という人に某々代議士の斡旋によつて許されたということを聞き及びまして、こういう問題には断乎として当つて頂きたいと思う。尚通路の問題にいたしましても、或いはこの問題の処理にいたしましても、石炭國管案を繞りまして最も自信のある水谷商工大臣に明快な解決を要望いたしまして、私の質問を打切ります。
#44
○國務大臣(水谷長三郎君) 別に答弁は求めておられませんが、何らか奥歯に物の挟つたような言い方ですから、私からはつきり答えて置きます。その問題に関しまして何だか利権めいたことが行われたというような噂は全然ありません。それは若しあなたがその点を私に対してこの場合責任ある発言をされたら、私としてもこの点は断乎としてあなたと対決してやりますが、あなたはその自信がありますか。
#45
○小林英三君 私は今申しましたように、噂のことについては余り申上げたくないが、少くとも社会党内閣として、我々が想像もつかない、元は不許可になつたものを現内閣は許可しておる、こういうことになつておりますから、この問題に対しては、今あなたがおつしやつたように、明快な裁断をされて、そうして天下の誰からも少くとも変な疑いを受けられないような解決を商工大臣としてして頂きたい、こう思うのであります。
#46
○國務大臣(水谷長三郎君) そういう噂でこういうような公の席上において言われることは、私としても非常に心外です。だからあなたがそういうような噂をなにして何かその言葉を信じて、責任を以て発言されるというならば、私としてもこの問題は不問にするわけには行かない。その点どうですか。
#47
○小林英三君 私はこういうことがあつたということを責任を以て言つておるのであります。そういう噂が現地においても行われておるように聞いておるから、この問題については、あなたがはつきりとそういうことはないとおつしやるならば、新鉱の問題、通路の問題、小倉炭鉱の問題、第一小倉炭鉱との間の問題、これを商工大臣によつてはつきりと御解決願いたいということを、私は石炭増産のためにお聞き申しておる。
#48
○國務大臣(水谷長三郎君) 石炭増産のために、私が責任を以て、あなたがおつしやつたような事実通りのことであれば、これはつきり解決するということは、これは私が断言いたします。併しながら噂に基ずいてこういう公の席上で言われたということは、商工大臣として極めて遺憾であるというだけの意思表示は、はつきりいたして置きます。
#49
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより予定のごとく逐條の審議に移りたいと存じますが、章別に進んで行きたいと存じます。先ず第一章総則について御審議を願います。この第一章については別に御質疑はございませんか。
#50
○帆足計君 第一章の第二條にありまする「石炭の掘採を目的とする事業場」という、炭鉱の定義がございますが、これは現場に参りますると、比較的規模の小さな山では、本社と事業場とが殆んど一体になつてしておるような場合が相当ございますので、事業場の解釈を、こういう小さな山の場合には本社を含めてして頂くようになつておりましようか、若しそうなつておりませんければ、そうなるように何とかしなければならんというように考えられるのでありますが、その点御説明願いたいのであります。
#51
○政府委員(平井富三郎君) この第二條で炭鉱といいます概念は、いわゆる社会通念によつて決定されるのでありますが、ここに「石炭の掘採を目的とする事業場」、当然のような定義をここにいたしたのであります。小さい炭鉱におきまして本社、事業場一体になつておる場合に、それを含めました事業場、それを一つの事業場、こういうふうに言つておるわけであります。
#52
○岩木哲夫君 只今のことに関聯してお尋ねいたしますが、事業場という概念的な商会通念の御方針は分りましたが、大きな山になりますと、第一坑、第二坑、第三坑という坑口があるわけでありますが、その鉱脈、炭層の次第によつては、これは一般炭鉱の管理を受けるべき坑口と、指定炭鉱の管理を受けるべき炭層、坑口があるだろうと思うのであります。そういつた場合には、これはこの事業場というものは、どのような工合にこれを小分けするのか。同じ会社でありましても、いわゆる一般炭鉱の管理に属すべきものと、指定炭鉱の属ひべきものと、いろいろあると思いますが、これの限界をどのようにいたしたらよいか承わりたいと思います。
#53
○政府委員(平井富三郎君) 大きな炭鉱になりまして、いわゆる第一坑、第二坑、第三坑というような坑口が複数あるものも当然あるわけでありますが、これらが一つの事業場と見られます地理的な條件、経済的、採掘上の條件から見まして、一つの炭鉱と見られます場合は、一炭鉱とみなすわけであります。ただ炭鉱によりましては、或地区において一つの炭鉱を経営し、又は他の地区において炭鉱を経営するといいます場合に、甲の炭鉱については指定炭鉱に指定される、乙の炭鉱については一般炭鉱のままでおるというようなことも、当然あり得るわけであります。
#54
○岩木哲夫君 その場合は、事業主が負う責任と義務ということにつきましても、一般炭鉱と指定炭鉱とは、おのずから軽重があるわけでありますし、これに伴う罰則をその他もいろいろ軽重があるのであります。事業運営の経理上の問題につきましても、いろいろ坑口によつて相違があるのでありますが、こうした問題の混淆の虞がありはしないかと思うのでありますが、これはいかがですか。
#55
○政府委員(平井富三郎君) 業務計画その他が炭鉱ごとに決定されて参りますので、一つの事業会社が、指定炭鉱を持ち一般炭鉱を持つという場合におきまして、その炭鉱によつて、政府の管理の仕方が異なつて参りますのは、明確でございますので、その点の混淆はないというように考えております。
#56
○岩木哲夫君 只今の説明で分りました。次に、第三條の條文は非常に分りにくい條文でありまするが、一度この趣旨を承わりたいことが第一点。
 それからしばしば商工大臣は、組織法である、これを実体は二つの要綱によつてやるのだと言つておられますが、組織法を完備いたしまする、表裏一体を実現化するについては、二つの要綱の要所を又総則に織り込まなければならん。即ち資金、資材、労務、協力、こういつた問題も総則に織り込むのが、非常に順序がいいと思いますが……。尤も労務、協力につきましては、他の項目がありまするが、資金、資材が二つの要綱によつて裏付けられるというような意味が、この管理法には謳つてないのであります。これは固より大臣が組織法であると言われておるから、謳わないことも或いは意味をなしておるかとも思いますけれども、併し他の條文によりますと、ややこれに類した條文も、後に審議される條文には謳つてあるので、非常になまはんかな意味に解せられるので、この際資金、資材の面を、何らか裏付け保障するというような意味合を謳うことこそ政府と事業主と從業者とが、三位一体の石炭増産をするゆえんの本筋であろうと思いますが、かような條文をこの総則に謳われることが適当でないかと思われますが、いかがでしようか。
#57
○政府委員(平井富三郎君) 第三條を先に御説明申上げます。第三條の規定は、いわゆる労働関係の規定でございますが、この法律によりまして、生産協議会におきまして、労働條件に関して協議をいたしまして、そこで決定せられました事項によつて、炭鉱管理者は業務計画を実施し、当然それによつて決められましたところに從つて賃金を拂つて行くというようになりまして、その点につきましては、経営協議会における現在の機能を継承して参ります。從つて生産協議会で決定いたすということも、一般の現在行なつております労働関係との調整、これが明文がありませんと、解釈上疑義を生ずる虞れがあるということで、この法案といたしましては、いわゆる炭鉱の事業主と炭鉱の労働組合との間の労働協約というものは、これを尊重して行くのだという趣旨を明白にいたした次第でございます。即ち労働関係直接の事項について命令をする。例えば労働時間の延長を、この法律の規定によつて直ちに命ずるというようなことは、趣旨としていないのだということを明確にいたした次第であります。この規定を置きました狙いといたしましては、例えば賃金につきましては、現在御承知のように、鉱業所の連盟と労働合組側のそれぞれの團体との間に、全國的な規模において、先ず團体協約が締結されまして、その基準によつて、その山その山の賃金を具体的に決定して行くわけであります。從つて、例えば賃金の問題でいえば、そういう全國的な取決めをするということは、この法律によつて排除しておるのじやないのだという点を、特に明確にいたした次第であります。
 資金、資材につきましては、國家管理を実施いたしまして、当然國が責任を持ち、これを遂行して行くということは、第一條の趣旨にも当然入つておるのでありまして、その点で特に明文を以て規定しなかつたのでありますが、この労働協約の点につきましては、只今申上げましたような意味から、解釈上に疑義を生ずる虞れがあるという点から、特にここに謳つた次第でございます。
#58
○岩木哲夫君 小さい字句などに囚われたくないのですが、第三條の「権限と責任を尊重しなければならない」というのは、どういうことであるかを伺いたいのであります。これは大した問題でないのですが、それよりは、今政府委員のお話によりますれば、資金、資材は國家が責任を以てやらなければならんと言つておることは、よく分りまするが、元來炭業公團にはそうした趣旨が盛られておつた筈なのでありますが、これは先般の説明によれば、新鉱開発の場合に限つたようなことに、先般來説明されたのであります。マツカーサー書翰によつて始めてこの二つの要綱が現われたという次第であるのでありまするが、この辺に多少の私は矛盾を感じておる。政府は資金、資材を責任を以てやるという点に、そこの軽重、熱意というものに、多少疑義を生じておるのであります。併し、これは政府がやろうという決意をすれば、それでよろしいわけでありますが、ただ炭鉱特別運轉資金融資要綱の中に、「融資を受けることを得ないで経営不能に陷る炭鉱を生ずることあるも止むを得ないものとする」という條項があります。この要綱は政府が、管理法と表裏一体、いずれも軽重、甲乙のあらざる重要な要綱である、こう示されておるうちに、融資を受けることを得ないで経営不能に陷る炭鉱を生ずることがあつても止むを得ないものである、或る意味に解しますと、野たれ死にしても仕方がないのだと、これでも政府がいわゆる國家保障をするのかどうか伺いたいのでありますが、これと國家保障の関係はどういう関係があるのかということと、こうしたような二つの要綱に、経営不能に陷つてもかかる炭鉱は仕方がないのだといつたような、突き放したような意味の條項を掲げておるという問題と、今政府が責任を以てやるのだといつたような問題とには、多少矛盾が生ずることが第一点。それから第三條に、労働協約その他を尊重しなければならんということは、よく分つておるのでありまするが、石炭非常増産対策要綱の中に、いろいろ労働力強化或いは健全化に関する事項がありますが、「故意の妨害者に対しては断乎たる方針を以て臨む」という項目がありますが、團体交渉をする権限と責任を事業主が持つておるということも一つでありますが、故意の妨害者に対して断乎たる方針を以て臨むというのは、一例を挙げれば、これはどういうような場合を意味しておるのか。或いはどういう措置を講ぜんとするのかも承わりたい。
#59
○政府委員(平井富三郎君) 権限と責任と言いますか、字句の意味は、事業主といたしましては、炭鉱労働組合と團体交渉を全國的な規模等において現在行われておりますような團体交渉を依然としてやつて行く権限がある。同時に労働組合側からそういう交渉を提起されました場合に、それを受れて締結して行く責任があるという意味でございます。
 それから融資要綱に示されました方針は、要するに炭鉱の経営につきましては、資金、資材の導入その他炭價を適正に決めて行くという問題が根本になりまするが、尚企業側の一番の根本の問題といたしましては、企業を合理化して行くという点が最も企業としては考えなければならん点だろうかと思います。現在の融資の状況におきまして、いわゆる現在の炭價で引合わないものは、結果的に見まして、すべてこれを赤字補償をして行くという方針は採らんという大きな考え方から融資要綱は出ておるのでありまして、いわゆる突き放してしもうという趣旨ではないのでありまして、炭鉱自体としても経営の合理化を強行して貰いたいという意図に基くものであります。炭鉱の國管が実施されましてもいわゆる生産費の切下げ、生産量の増大ということが同時に経営全般の合理化を要求するわけでありますから、やはり國管が実施されましても、政府側といたしましては、炭鉱事業主、管理者その他関係者に対しまして、経営の合理化という点は第一に要求して置かなければならん点だろうと思います。
#60
○岩木哲夫君 そういたしますと、経営の合理化を図つて赤字が出ないようにやらなければならないというのが第一義だと言いましたが、増炭の方が第一義で、少々の赤字があつても政府は増炭に邁進するというのと違つて、経営の方が第一義とするのは、増炭の目的と喰違になりはしませんか。その点はいかがでしよか。
#61
○政府委員(平井富三郎君) 増炭の方法もいろいろあろうかと思いますが、要するに炭さへ出ればよろしい。幾らその経営が非能率になつても、いわゆる炭さへ出ればいいのだ。言い換えますれば、経営費は幾ら掛かつてもよろしい。労銀は幾ら拂つてもよろしいというやり方で増炭をいたしましても、やはり炭價の面、その他物價政策の面からそこに破綻を生じて來るのでありまして、増炭を行います場合におきましては、それらとの調整は十分考えて行かなければならんことだと思います。増炭を行うにいたしましても、現在の全体の経済施策、物價施策、賃金に対する施策から考えまして、最大限度に企業を合理化して、能率的な企業の運営をして行くということは、やはり考えて行かなければならん事項だと思いまして、そういう観点から只今の融資要綱が出ておるわけであります。
#62
○岩木哲夫君 余りくどく申すことも必要ないと思うのですが、どうもその点が……。政府が新鉱開発その他いろいろ資金が必要なら貸してやつて増産をしようというような意味合から、こうした法案なり要綱が出ておるのでありますが、若し政府の命令による結果が思う通りいかなんだ、或いは生産協議会で決議するのか、管理委員会で諮問するのか知りませんが、諮問の結果局長が裁定して、局長がこうせい、ああせいという命令を事業主に出したために、その事業主は局長の命令に服さなければならんわけでありまして、いわゆる新鉱開発につきましての努力をし、事業場を拡張して行かなければならんという場合に、予定が、例えば一億円で行けると思つてやつたところが、もう二千万円出せば出るものがその場合に打切られる。その場合にもう僅かなところだが赤字が起きてもしようがないというような問題はどうもがつちり來ない、而も政府が補償をしなければならん通常の損害と私は考えるのでありますが、どうもこの点が合点が行きませんが、もう一度ちよつと……。
#63
○政府委員(平井富三郎君) 只今の運轉資金要綱は、いわゆる運轉資金に関するものでございまして、いわゆる通常の経営面における経費の節減、経営の合理化という点を狙つておるわけでありまして、とにかく新鉱の開発、或いはその他新鉱以外の企業の拡張に要しまする資金は、現在におきましても、從來通りの方針によつて貸出を行なつておるわけであります。ただ運轉資金につきましてのみ、いわゆる経営面の合理化という点を強くいたす必要がございますので、只今のような措置を採つておるわけであります。御指摘のような新鉱の開発が一億円掛かる、これがもう二千万円あればいいが、足らなくなつたというような場合につきましては、現在でもその不足額は融資しておるわけでありまして、現在の融資委員会でやつておりますのは、いわゆる赤字補償、いわゆる経営上の問題から出て來る、能率の点から出て來る問題を主として抑さえておるのでありまして、設備の新設、新鉱の開発等に必要な企業資金というものにつきましては、從來通りの方針で現在でも進んでおりまするし、國管が実施されましても、その点につきまして異なる措置をするということは考えておらん次第であります。
#64
○岩木哲夫君 運轉資金も事業資金もこれはもう同じわけでありまして、どちらもやはり資金が要る場合におきましては、別に運轉資金と事業資金とがそう区分けされるわけはない。運轉資金即事業資金、事業資金即運轉資金だと考えられるわけでありますが、どうもその点が政府の御見解と遺憾ながら合致いたしませんのであります。殊にこうした場合の融資に関しまする審査委員会などの顔触れを見ますると、実際を申せばこうだというような、事業主とか炭鉱の管理者というものが、その委員会に入つて、その事情を詳しく説明するというようなことがこの融資の委員会の中に含まれておらんというような事態から、この経営不能に陷る炭鉱を生ずることがあつても止むを得ないという意味と関聯いたしまして、非常に冷たい政府の方針、場合によつたらもうどうなるか分らんといつたような、事業主といたしましても虞れを生ずるわけでありまして、折角の管理法を内容外面とも充実一体化するにつきましては、この点を何とか変える必要があるように感じまするが、この点だけもう一遍重ねて伺いたいと思います。
#65
○政府委員(平井富三郎君) 現在は勿論嚴重ないわゆる監督をしましても、商工大臣から申上げましたように、実際的には行われておりませんし、確実な資金計画等につきましても、設定されておらんわけであります。一方炭鉱の赤字というものの実体につきましても、只今監査を実施しておるというような状況でございまするが、國管が実施されまして、一つのはつきりした態勢というものが整いまして、具体的に申上げますれば、石炭局等がいわゆる優秀なエキスパート、それには労働関係もありましようし、資金関係のエキスパートもありましようし、経営面のエキスパートも入ると思いますが、そういうようなはつきりした態勢を以て山の経営というものにつきまして、十分な監査を行なつて行くということになりますれば、融資自体につきましても、非常に敏活にそこに企業主なり、炭鉱経営者の意図する所と政府の意図する所がぴつたりこれは自然に合致して來るという意味におきまして、融資等は非常に樂な運営になるのではないか。現在のところでは、こういう本格的な態勢がございませんで、いわゆる應急的な措置をとつておりまして、これらの現在とつております運轉資金の貸出の要綱等も國管が実施されますれば、合理的に、円滑に運営されて参るというように考えておる次第であります。
#66
○岩木哲夫君 どうもこの点は疑問を持つて、氷解できませんが、余りくどく言いますことも他の議員にお差支になりますので、一應打切ります。
 もう一つお尋ねいたします。故意の妨害者に対しては断乎たる方針を以て臨むということと、労働組合、労働調整法などとの関聯は具体的に言えばどういうわけでありますか。
#67
○政府委員(平井富三郎君) 労働関係につきましては、現在のところ、事業主と労働組合との團体協約によつてこれを解決するという方向え進んでおります。而もその進捗状況を見ますれば、最近の出炭状況からいいましても、順調に進移しておるようであります。從いまして現在のところでは、これに時間延長を、例えば法令で強制するというような措置を講ずる必要がないと考えております國管案におきましても、労資の團体協約によつて、決定されるべき問題はこの生産協議会の運用によりまして、先ず両者の話合で決めて行くという根本の態度を取つておりまするので、この増炭下そういう措置によつては不可能であるということが明確になりました場合に、改めてどういう措置を取るかということは考究すべきであろうと考えておる次第であります。
#68
○岩木哲夫君 私は重ねてこの総則に、資金、資材を裏付けするような点を入れるべきが妥当であると思います。枠だけ固めても、内容が空虚ではいかないのでありますから、これを要望する点と、今申上げます資金融資面におきまする点、成いは融資審査委員会の内容、委員の内容等に関聯する事項等に関聯いたしまして、そうした趣旨をこの中に織り込むべきだという意見を申上げまして、第一章に関しまする私の質問はこれで終ります。
#69
○委員長(稻垣平太郎君) 第一章について外に……。
#70
○小林英三君 第一章の第一條の問題につきましては、只今平岡委員でありましたか、本委員会において質問なさつておりますが、この文章は私はサブヂェクトがどこにあるか分らんために非常に疑問を抱くのでありますが、「産業の復興と経済の安定に至るまで」という問題でありますが、これは産業の復興と経済の安定の成否の標準ということについてこの間平岡委員から聞かれまして商工大臣のお答えがあつたようであります。その外私は疑問を抱きますのは、この石炭の増産計画はもう計画通りに完成してしまつても、産業の復興と経済の安定に至るまではこれをずつと國管案を臨時措置として進めて行かれるのか、或いは石炭の増産によつて、産業の復興もでき、経済の安定もできたということによつて、初めてこれは臨時法案としても、この法案をお止めになるのかどうか、どつちにしてもこの文章では分らんのでありますから、若し私が今申上げますように、産業の復興と経済の安定、これはいろいろ考え方もありましようが、これは実は商工大臣がお答えになつた程度のことで、こうなればこの臨時石炭法案は臨時であつたのだから、これはもう止めるのだというふうになさるのでありますか、この文章だけでは私は石炭の増産計画が計画通りでき上つて何千万トン出るようになつた。これで一先ずこういう時期に來ましても、この文章だけでは産業の復興と経済の安定に至るまでは止めないというように取れるのですが、若し私がお尋ねしますような意味だとすれば、この法律は石炭の増産によつて「産業の復興と経済の安定に至るまで」という意味のサブヂェクトがなければならんと思いますが、この点を一つお伺いいたします。
#71
○政府委員(平井富三郎君) 「産業の復興と経済の安定に至るまでの緊急措置として、」ということは現在のような経済状況というものに対処する一つの緊急措置である。同時にこれが石炭鉱業を管理するにしても臨時であるという点を明確にいたしますために、産業の復興と経済の安定に至るまでの緊急措置として、いわゆる管理の性格が、産業の復興の在り方を根本的にかくあるべしという見地から規定したものでなく、この不安定にあります経済事情に対処するための一つの臨時緊急措置であるということを明確にいたした次第であります。即ち商工大臣が申上げましたように、石炭が四千万トンを超えるという状況になりました場合におきましては、これは貿易その他の関係もございまするが、大体において経済というものの綜合性から言いまして、経済の安定、産業の復興ということが同時に、又石炭の増産が四千万トン遥かに超えた状況に安定をいたし、又石炭が四千万トンを超える生産状況が発生して、そのベースが確立せられるという場合には、他の條件もその間解決されて行くであろうと、こう考えておる次第であります。
#72
○小林英三君 そういたしますと今のやはり意味は、この法律は石炭の増産によつて経済の安定ができるまでやるのだ、こういう意味でありますか。
#73
○政府委員(平井富三郎君) 石炭のこの法律の目的は、「産業の復興と経済の安定に至るまでの緊急措置として」に懸かるのでありませんで、只今御指摘のように、「政府、経営者及び従業者がその全力をあげて石炭の増産を達成することを目的とする。」に懸るわけであります。
#74
○大屋晋三君 私も一條の精神について、若干の御質問を申上げます。前にどなたかの質問があつたかも知れませんが、大体この綜括質問の際におきまして、総理大臣はじめ商工大臣に、委員諸君から、この産業の経営の方向という問題につきまして、いろいろ質疑應答があつたのでありますが、総理大臣も亦商工大臣も口を揃えて、大体産業は國有國営という線でやりたいのであるが、全般的の産業を只今直ちに、その形式で行う意思はないと、石炭においてはこの増産のためには、こういう法案に盛られた方式でやるのが一番いい、こういう信念の下にこの法案を提出された。こういうことでありましたが、この法律の第一條に、臨時に「産業の復興と経済の安定に至るまでの緊急措置として、政府において石炭鉱業を臨時に管理」するという臨時という字が使つてあるのでありまするが、勿論或る一定の所期の目的が完了いたしたときには、この法律を撤回するということでございましようか、この臨時という字をここに浮び上がらした半面には、商工大臣のお考えの中には、やはりこの管理方式を適用される方が、本質的にはいいのじやないかというようなアイデアが、潜んでおるのじやないかと、私はこの一條を見て思うんですが、この点に対して大臣の御見解を承わりたい。
#75
○國務大臣(水谷長三郎君) こういう重要産業は國有國営でやらなくてはならんので、その前提においてやるというようなことを申されましたが、私はこの委員会並びに本会議でそういうことを言うた覚えはありません。これは大屋さんの何かの誤解じやないかと思います。それから只今政府において石炭鉱業を「臨時に管理し」ということは、「臨時に管理し」ということは、これは管理してはならないということである。そういうような考えがあるから臨時に管理し、ということであるというのでありますが、そういうようなイデオロギーとか観念とかいうものに結び付けたものでないのでありまして、それは現状に即した臨時の措置法であるという意味で、この「臨時に」という言葉を使つたのは管理してはならないものをば、臨時措置として管理するから臨時という文字を使つた、そういうようなイデオロギーを結び付けた考えではございません。
#76
○大屋晋三君 それではなぜ永久にこの形式で管理をせずして、臨時におやりになるというわけですか。
#77
○國務大臣(水谷長三郎君) それは臨時立法でありますから「臨時に」というのです。
#78
○大屋晋三君 臨時立法でありますが、立法の目的は、石炭の増産をするということが立法の目的であるはずでありますが、そういたしますと、増産の実が挙がれば、これは直ちに解消すると、そういう氣持で立案されたと解して間違いないのですか。
#79
○國務大臣(水谷長三郎君) それは法文にもはつきり三ケ年ということが書いてありますが、その点で御了承願いたいと思います。
#80
○大屋晋三君 それは私も百も承知で申上げておるのでありますが、大体総理大臣の答弁と、商工大臣の答弁とが非常に喰い違つておるという点に主眼を置いて、実は只今の質問を申上げたのですが、たまたま同僚の堀委員から、この間藤井委員の質問に対した総理のここの御答弁の筆記があるのでありますが、ここに読んで見ましよう。これは、國家のために必要な先ず手初めに、産業の母体である石炭に手をつけました。國家が仕事をする、そうして産業の働きをする、こういう我が國の民主國としての計画を挫折せしめないように、各方面の御協力を仰ぎたいというのであります。云々というところで、先ずあらゆる産業に対しましてやるということは避けて、この石炭鉱業にこの管理の形式をやる。只今はその他肥料、鉄鋼等の管理は考えていないけれども、この石炭に対して國家管理をやるということがここに謳つてありますが、この総理大臣の観念と、商工大臣の観念と私は喰い違つておる所が、この間うちからの質疑應答であると思うのでありますが、そこは水谷さんはどういうふうに総理大臣とあなたのお考えを從來御協調をなさつておりますか、そこを承わりたい。
#81
○國務大臣(水谷長三郎君) 私は総理がどういうことを言われたか存じておりません。ただ私が同席いたしました時には、衆議院の委員会においては、この石炭を臨時管理するが、外のものはやる考えはないということを言われておりました。だからそれが頭にこびりついておりますので、私は総理の考えと、私の考えとは少しも矛盾はないと思います。只今御指摘の点でありますが、先ず國家管理をやる、石炭企業をやるという、先ずやるということは、後も又やるという意味に採るべきか、或いは取敢えず石炭企業だけをやつて、あとはやらないという意味に採るのか。これは総理の心境を聞いて見なければ分りません。ただ今のお示しの点程度の速記並びに前に総理が衆議院の委員会において述べられましたそういう点から考えますと、そう言う総理と私の間には何らの喰い違いはないと、こういうように考えております。
#82
○大屋晋三君 それはその程度にいたしまして、字句の点に対して伺いたいのですが、第一條に「経営者」という言葉が使つてありまするが、この「経営者」という言葉は、在來の原委の、修正されない前の二十四條かと思いますが、そことこことしか使つていない。その外に「從業者」という言葉が使つてあり、又何條でしたか、二十三條でございましたか、「業務に從事する者」という字が使つてある。この三つの用語の定義を一つお示し願いたい。
#83
○政府委員(平井富三郎君) ここで「経営者」と言いますことは、この條文の中に随所に現われて参りまする「炭鉱の事業主」という言葉との区別になるわけでありますが、いわゆる「炭鉱の事業主」というだけでなく、その経営上のスタッフ、具体的に言いますれば、役員というものを含めまして、「経営者」と廣く書きました次第でございます。「從業者」と申しますのは、企業主と雇用関係にある者が「從業者」ということになるわけでありますが、御指摘の業務委員の選任に関しまする新らしい修正案の二十九條でありますが、「業務委員は、当該指定炭鉱の業務に從事する者の中から、炭鉱管理者が、これを選任する。」、「業務に從事する者」と書きまして、「從業者」という言葉を使いませんでしたのは、「從業者」ということが、事業主と雇用関係にある者ということになりますと、これは役員に在る者は入らない。「從業者」には入らないということになるわけであります。併し炭鉱の規模によりましては、いわゆる管理者も役員であり、技術部長も役員であり、或いは生産部長も役員であるという場合も当然予想されますので、ここにおきまして、「当該指定炭鉱の業務に從事する者」と廣く書きまして、いわゆる経営者とか、從業者とかいう区別をなくしまして、「業務に從事する者」という非常に廣い書き方をいたしまして、いわゆる業務の中には当然その炭鉱の業務に從事する役員は業務委員になれる、それを選任しても差支ないという意味を明確にいたしますために廣く書いたわけであります。
 それからその労働委員の選定は從業者からこれを選ぶのでありますが、これは労働條件等につきまして、生産協議会において承け継ぎをする関係上、現在の経営協議会を引継ぐということになりまして、一般の労働関係法規にありますように、事業主の利益を代表するものと認められるものを含まない從業者にいたす必要がありますので、特にその第三項に、前項の從業者には、これを含まないというふうに明確にいたした次第であります。
#84
○大屋晋三君 そうすると事業主というのは、会社組織やなんかの数人の者を含んだいわゆる俗に言う重役の者でなしに、親方と言うか、個人経営の單一なる人を指すのですか。
#85
○政府委員(平井富三郎君) 事業主は個人の場合は明確であります。法人の場合にはいわゆる企業自体、法人自体を指すのであります。
#86
○平岡市三君 しつこいようですが、この前第一條で大臣に御質問申上げて、その答弁を得ておりまして、これがただ字句の関係でなく、私は事業計画という意味からこの第一條というものが非常に重要性を持つものではなかろうかと思うわけであります。即ち石炭増産のためには國家といたしましては、全体的に一年、三年、五年というような計画を立てますし、各炭鉱におきましては、又一年とか、或いは各三ケ月というこういう計画を立てて、この計画が本当に実際にマツチするような正確な計画を立てなければならん筈であります。その正確な計画によつてこれを遂行すべく努力する、これによつて増産ができるわけであります。そこでこの第一條にそれが関係いたして來るのでありますが、大臣並びに政府委員の方は産業の復興及び経済の安定ということを結果的に考えて、即ち年産四千トンの石炭を掘り、これを供給するようになれば、これが産業の復興、経済の安定だというように逆な説明をいたしておりますが、私から申しますれば即ち産業の復興と申しますれば、例えば銑鉄で言うならば、これだけの数量を挙げなければならん。紙で言うならばこれだけの数量を挙げなくちやいかん、肥料で言うならば、これだけの数量を挙げなくちやいかん、こういうふうな数量が大体生産できるならば、我が國の産業の復興と言えるだろう。このためには石炭が三千万トン要るのだ。こういうふうな、とにかく一應の我が國の経済の復興ということの目安を立てなくてはいかんと思います。或いはそれは個々の物資別でないならば、昭和何年度の我が國の産業状態を、これを以て経済のそこまで漕ぎ着けることが経済の復興である。これを達成するために何千万トンの石炭が必要だ。そうするならばその到達するまでは、我が國は何年かかるかということをこの前質問いたしましたら、大体五年かかる、こういうふうな説明をなさつたのであります。ところがこちらの六十四條を見ますれば、要するにこの法律の有効期間は三年になつておるのであります。大臣はこれを五年かかるところを三年でやるのだ、こういいますと、事業計画は五年のものを立てるのか、三年のものを立てるのか、五年のものを立つて置いて、そうしてこれを三年で遂行するというようなことは、大臣が政治的には申すかも知れませんけれども、我々が事業をやる場合には、五年の計画を立てれば、五年かかると思うから五年の計画を立てる。これをどうして遂行して行くかということを研究して行くのです。五年の計画を立つて、これをとにかく三年で遂行するような計画は立たんわけです。そこで私はそういうふうな大臣の答弁の、私に対する何と申しましようか、政府的答弁と申しましようか、そういう答弁でありますならば、今まで政府でお出しになつたところの資料統計のようなものは、どうも私から言うとでたらめのものでなかろうかという感じをするわけなんであります。率直に三年と有効期間をするならば、三年で以て復興できる、こう考えていらつしやるのだ。こうして三年の計画をお立てになつて、これを個々の炭鉱に割り振つてこれを推進して行くべきだというふうに私は考えるわけであります。即ちこの期間をいかに定めるかということは、経済の復興をどういうふうに考えるかということは、文字的には下らんようでありますけれども、事業計画というものを國家が立てる場合において重要性を非常に持ちますから、ここをもう一つ御説明を煩はしたいと思うわけであります。
#87
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今のお言葉でありますが、この「産業の復興と経済の安定に至るまで」という場合で、文字の解釈でございますが、それはまあ「産業の復興と経済の安定に至る」というところをどこで押えるやということは、これはなかなかむずかしいと思います。併しながら産業の復興と経済の安定に至るまでの緒を掴んで、もうこれならばこのままずつと押して行けば、月日の経つに從つて産業の復興と経済の安定ができるという工合に、そういう緒という意味でこの「産業の復興と経済の安定に至る」ということを解釈する場合もありますし、或いはその中途であり、或いは完全にこれは産業の復興と経済の安定は百パーセントできたのだという解釈の仕樣もあろうと思うのであります。私は少くとも、この法案を中心にいたしまして三年間石炭の増産を達成いたします曉におきましては、産業の復興と経済の安定というものの目安はこれは立つことができるという考を持つておるような次第でございすま。從いまして今その他の関聯産業に関しまして云云というお言葉がございましたが、それらは皆全部石炭が或る程度出ますならば、それに應じて復興を復活するというのでありまして、石炭は産業のいわゆる母であり、産業のいわゆる食糧であるという関係から、このように書いたような次第であるのであります。
#88
○大屋晋三君 この第二條に炭鉱の定義が書いてあるが、これは一体どういうことですか。それからこの附属……。
#89
○委員長(稻垣平太郎君) その点は先つきおつしやつたんですが……。
#90
○大屋晋三君 そうですか。それから附属事業ということは具体的にはどういうことを指すのですか。
#91
○政府委員(平井富三郎君) 炭鉱の附属事業と称しますものは、炭鉱に附属いたしまして機械工場等が相当規模において行われておるという場合に、これも一つの事業場の範疇に入れ、或いは電力というようなものも、自家発電設備を持ておりますが、そういうものも引つくるめまして、事業場の観念の中に入れて行くというように考えております。
#92
○大屋晋三君 第三條の内容はどういうことを意味しておるのですか。その説明を一つ……。
#93
○政府委員(平井富三郎君) それも先程申上げましたが、これが実体的に行なわれます適例は、全國的な鉱業者の連盟と全國的な労働組合との間の團体協約というものによつて、労銀の基準が先ず決定されて行く。そういうような事業主と労働組合との間の團体交渉ということは、この管理法が施行されましても、当然継続されて行くというようになる。そういう事業主は労働組合と團体交渉をする権限を持つ。同時に労働組合から交渉を提起された場合には、それに應ずる責任があるということを明確にいたし、この管理を行なつて行きますのに、官吏その他炭鉱管理委員会の委員というものは、そういうことを十分認めて行かなければならんということを明確にいたした次第であります。
#94
○大屋晋三君 この四條は決まり切つたことなんですが、特に四條を設けたのはどういう氣持ですか。
#95
○政府委員(平井富三郎君) この規定は法律的には決まり切つたという解釈も立つことも一説でございますが、同時に疑義の生ずる惧れもありますので、特に明確にいたしたいという意味で置いた次第であります。
#96
○平岡市三君 この三條でありますが、この文章を裏から申しますと、生産協議会の議を経て定められた事項について労組と團体交渉をする権限と責任を尊重しなくてもよい、こういう解釈になりますが、さような逆の解釈をいたしてよろしうございましようか。
#97
○政府委員(平井富三郎君) もう一遍おつしやつて頂きたい。
#98
○平岡市三君 生産協議会の議を経て定められた事項については労組と團体交渉をする権限と責任を尊重しなくてもよいという解釈が文章上から出るのでありますが、そういう逆の解釈をいたしてもよろしうございましようか。
#99
○政府委員(平井富三郎君) 逆にそうお読みになるのは非常に無理があると思います。生産協議会自体が一つの経営協議会を継承したものでありまして、生産協議会で決まりました事項は、いわゆる経営者と労働組合との團体協約を実質的に引継いだものでありますから、そういう心配はないと思います。
#100
○川上嘉市君 第一條の「経済の安定に至るまでの緊急措置として」ということをいうと、それが全部であるかのようにちよつと感じますが、文章が拙いので、「措置の一として」というふうにされては……。経済の安定というものは石炭を増産すればよいように考えられるのですが、いかがですか。
#101
○政府委員(平井富三郎君) これは石炭の増産のみが唯一の緊急措置でないことは当然でありまして、その点は当然そう読めるんじやないかというように考えておるわけであります。
#102
○川上嘉市君 私はやはり石炭の増産は一つの措置であるから、「産業の復興と経済の安定に至るまでの緊急措置の一として」とある方がよいと思いますが……。
#103
○政府委員(平井富三郎君) この炭鉱の管理が緊急措置という性格を持つという意味で、「緊急措置として」と書いたんで、そういうふうに御了解願いたいのであります。
#104
○堀末治君 私この間從業者並びに生産協議会のことについて大分お尋ねいたしましたのですが、あの当時の政府御当局の御答弁にはまだ納得行かずにおるのであります。今段々お聞きいたしますというと、從業者というものは、業主と雇傭契約によるものだ、こういうふうに承わりましたが、その御解釈は間違いありませんですか。
#105
○政府委員(平井富三郎君) 間違いございません。
#106
○堀末治君 それではもう一つ、この生産協議会なるものは、先般來総括論で大分問題になつておるのであります。そうして大臣の御答弁では、どうも決議機関でもあるし、ないようでもあるし、その性格が非常に曖昧になつておる。そうして今の平井局長の御答弁によりますというと、これは経営協議会を継承したものだ、かようなことになるのでありますが、経営協議会なるものは、團体協約によつて、労資の間に対等の立場において物が決められると思うのであります。そうするというと、そこに大臣の、決議機関でもあるし、ないようでもあるしという曖昧な御答弁と、経営協議会なるものの性格とに非常に矛盾ができるように感じますが、いかがでございましようか。
#107
○政府委員(平井富三郎君) 生産協議会が、労働條件等につきまして、ここで協議をいたしまして決定されました事項は、労働條件がそこで決定いたしまして、いわゆる團体協約による労働協約と同じ意味があるわけであります。そういう意味で、経営協議会を継承しておるという意味であります。その生産協議会の権限が諮問機関と決議機関の中間であるということを大臣が御説明申上げたのでありますが、これはいわゆる從來の定義付けられました諮問機関と決議機関というものの、どちらかに嵌めようとすると嵌まらんということを、まあ俗な言葉で申上げたと思うのでありまして、いわゆるこの生産協議会の性格というもの自体の内容は、この法律ではつきり決められておるわけであります。例えば業務計画につきましては、後に出て参りますが、生産協議会の議を経られなかつた場合にはどういう方法で決定するか、これは事業主が計画を設定いたしまして、石炭局長に提出するわけであります。そこで意思決定があるわけであります。ただそのときに、生産協議会の議が経られなかつたということを併せて申出て、石炭局長に業務計画を提出する。それによつて石炭局長が業務計画の指示を改めて行くということになるのでありまして、この際の意思決定の方法は明確であります。それから作業計画、労働條件等につきまして、意思決定がない場合は石炭局長の裁定を求める、その裁定によつて企業の意思というものが決定して参るのでありまして、そういう意味におきまして、從來のこの決議機関とか、例えば決議機関といたしますれば、業務計画を例におきまするような場合をとりますと、この決議機関に入つたそういう性格を持つたものだという点を、從來の諮問機関、決議機関という言葉で言い表わそうとすれば中間に入るというふうに申上げたのでありまして、内容的にはこの法律でいかなる事項についてはいかなる方法でやるかというように、事項事項によつて明確に決定されて参るわけであります。
#108
○堀末治君 どうも私今の御説明ではまだ納得が行きませんが、私の知つておる範囲で申しますと、経営協議会なるものは、労資の間の團体協約を憲法として始めて生れて來るものが私は経営協議会だと思う。團体協約の決め方によつて、その性格がいろいろに、その各協約のでき方によつて、その経営協議会なるものが規定されるものだと思うのであります。それを要するに生産協議会が継承するのだということになつて來ると、各山々或いは各会社によつての團体協約が必ず業種によつて違うものと思います。そこでどうもあなたのおつしやる経営協議会を継承するのだという議論は、ちよつと成立たないのじやないかと、かように思うのでありますが、いかがでございましようか。
#109
○政府委員(平井富三郎君) 私が申上げましたのは、実質的に経営協議会を受継ぐ。例えば労働條件につきまして、現在諮問機関的に扱つておる炭鉱はございません。これは法律の規定によつて、團体協約によつて、いわゆる双方対等の立場において、締結されるということが基本の原則になつておるわけであります。從つて現在経営協議会において、労資の問題が議せられる場合におきましては、これは対等の立場でやつておるわけであります。その場合、両者の意思が合致した場合に、労働條件が決定をいたすということになるわけであります。勿論生産協議会は、労働協約によつて設置されるものでありますが、この法律におきましては、その経営協議会というものを合理化し、生産の立場からすべての問題を処理して行くという観点から生産協議会といたしまして、これを法制的に決定いたしたものであります。私が申上げましたのは、実質的にいわゆる労働條件を議する場合においては、経営協議会というような性格は、実質的に引継いで行くというふうに申上げた次第であります。
#110
○堀末治君 そういたしますと、要するにこの生産協議会を、これは法律で強制されるのでありますか、そういう山では経営協議会は要らないというようなあなたの御解釈でございますか。
#111
○政府委員(平井富三郎君) 経営協議会は、この生産協議会において決定さるべき事項については、まあ俗にいう開店休業というような恰好になると思います。
#112
○堀末治君 経営協議会はですね。もう一つお尋ねいたします。昨日もどなたからか委員長に申出があつたと思いますが、「生産協議会の義を経て」という言葉は随分この法令の中に出ておるのでありますが、いわゆる決議機関か、でないかということをまだ私共は納得行かずにおるのでございますが、昨日板谷さんの発言であつたかと思いますが、法制局の方のこれに対する御解釈を聞きたい。こういうことでございましたのですが、こういうものに対する法制的の御解釈を、午後からでも一つはつきりさして頂きませんと、この問題で大分……そういうことでございますから、むしろなんでしたら午後から法制局の方においでを願つて、これに対してはつきりとして法律上の御解釈をして頂きたいと思います。
#113
○委員長(稻垣平太郎君) 生産協議会のところで、法制局から來て頂こうと思つておつたのであります。
#114
○大屋晋三君 委員長の説に賛成いたします。
#115
○委員長(稻垣平太郎君) その点どうぞ私にお任せを願います。
#116
○田村文吉君 議事進行についてお尋ねいたしたいのですが、私の御質問申上げることは十五分か二十分かかると思うのであります。まだ外におありのようでありましたら、中食後にお願いいたしたいと思います。
#117
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれで休憩いたしまして、午後一時半から再開することにいたします。
   午後零時二十九分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十七分開会
#118
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより再会いたします。第一章の逐條審議を続行いたしたいと思います。田村委員は何か午前中に……。
#119
○田村文吉君 大臣がお見えになりましたらと思つておりますが、その前に一つ平井さんに伺つておきます。
 問題の第三條でありますが、先刻から度々この問題についての應答が行われたのでありますが、私ははつきりどうしても呑み込めない点があるのですが、「生産協議会の議を経て定められた事項以外の事項について、」云々というふうになつておりまするが、「生産協議会の議を経て定めらはた事項以外」というのは、どのような事項が想定されるでしようか、その点を一つ伺いたいと思います。
#120
○政府委員(平井富三郎君) これは労働條件にいたしましても、生産協議会において一定の賃金基準というものを決定いたしまして、協議決定いたしますれば、それによつて賃金が支拂われるということになりまするが、生産協議会において具体的に賃金の交渉がなかつた、或いはできなかつたというような場合におきましては、團体交渉によつてこれを決定して行くということになりますれば、これは有効に決まつて行くわけでございます。
#121
○田村文吉君 文章はその通りでありますが、一体どういうようなことが想定されるのでありましようか。
#122
○政府委員(平井富三郎君) これは午前中に申上げましたように、この規定の適例といたしましては、事業者の全國的な連盟、それから労働組合の全國的な連合会、この点は現在におきましては賃金基準というものが全國的の規模における團体協約で決定されております。そういうような團体協約によつて全國的に賃金基準が決定されますと、それに基ずきまして生産協議会において具体的にその山の賃金を決定して行くということになるものでありまして、この管理法が施行されまして生産協議会において最も論議されますのは、この全國的の團体協約によつて決定された賃金基準というものを、その山に具体的に適用して幾らになるかということについて生産協議会においての協議が行われる。こういうような運用になると考えております。
#123
○田村文吉君 全國的の團体交渉によりましてその基準が示され、示された場合にそれに則つて各経営協議会なり生産協議会において協議するというわけでありますから、その生産協議会で審議して賃金のことが決められるのに、それ以外についてということがありますが、このそれ以外ということはどういうことが例として挙げられるでしようかということを伺うのであります。
#124
○政府委員(平井富三郎君) ここにおいて最も予想されておりますのは、今の生産協議会の議を経て定められた事項といたしまして、労働條件は生産協議会においてこれを決定協議いたしますが、その山の具体的の賃金額については、生産協議会が從來の経営協議会に代つて決められる。從つて全國的の規模によつて決められるということになりますれば更にその具体的な適用として、生産協議会において決つて行くということを、第三條が狙つておるのでありまして、これが第三條の一番の狙でありまするが、例えば経理の問題、或いは人事の問題におきまして、若し経営協議会において現在こういう人事については諮問をするとか、或いはこういう人事の方針については協議をするというような事項が現在の團体協約にありますれば、そういう事項はこの事業主と労働組合との團体交渉の現われである経営協議会において協議するというふうに考えております。
#125
○田村文吉君 今例示されましたようなことは、全部生産協議会にある。それ以外に一体何がありますか。
#126
○政府委員(平井富三郎君) 例えば人事につきましては、生産協議会は何も触れておらんわけであります。
#127
○田村文吉君 そういたしますと、今御想定になつておりますることは、人事に関するようなことは、若し問題が起つてもこれで尊重して行かなければならん。こういう意味ですか。
#128
○政府委員(平井富三郎君) そうであります。
#129
○田村文吉君 その点は甚だ不明瞭でありますが、さようなことが相定されて、この條文は入つておるのでありますか。
#130
○政府委員(平井富三郎君) これは生産協議会に付議すべき事項はこの法律によつてはつきり書いてございますので、そういう意味の不明瞭は運用上起り得ない、ただ生産協議会ができれば從來の團体協約によつて事業主と労働組合との間に團体交渉によつて協議するというような事項がありますれば、それはそれとして続けられて行くということも、同時にこの第三條において明確なのでありまして、その間曖昧、不明瞭という点はない、かように考えております。
#131
○田村文吉君 それで、それ以外の例ということは生産協議会に詳しく出ておりますが、どういうことが一体想定されておるか、それを実は伺いたいのです。別に言葉尻や何を質す考えでない、どうしてこういう條文が出ておるのか、私は甚だ実は分らないのです。それで一体生産協議会で大体のことは決められるようになつておるのに、それ以外のこととはどんなことを御想定になつておるのか、そこで私は繰返し繰返しお尋ねを申上げる次第であります。
#132
○政府委員(平井富三郎君) 只今申上げましたように、現在企業主と労働組合との間で協議する、或いは経営協議会へ諮問される、或いはその議が決まつて実施されるというような事項は必ずしもこの法律にありまする生産協議会と一致しない。例えば人事については生産協議会は一言半句も触れておらん。その他の事項につきましてもあり得ると思うのであります。そういうものはそのまま両者の間の取り極めによつて運用して行くということをはつきりいたした次第でありまして、この第三條の一番の狙いは、先程申上げました賃金等につきまして全國的に規模において大体労銀基準と申しますか、そういうようなものが決まり、この具体的な適用が生産協議会において決定されて行く、こういうような運用が第三條が最も予定した点であります。
 第二に、今申上げました両者の團体協約によつて決まつた事項と、生産協議会が法律的に決めました事項の点で、山の團体協約の下で異なつた点があり得るわけでありまして、そういう点についてここではつきりいたした次第であります。
#133
○田村文吉君 尚はつきりとお伺いいたしたいのでありまするが、「炭鉱の從業者が組織する労働組合法に規定する労働組合と團体交渉をする権限と責任を尊重しなければならない。」ということは全國的の業種別によつて協定することを團体交渉と、ここに規定する意思に間違ないのでありますか。或いはそうでなくして各組合ごとに経営協議会、その他によつて協定したことがある。そのことを尊重しなければならないという意味も入つておるのか。その團体交渉ということは全國的の團体の交渉を尊重しなければならんという御意味でありますか、その点を一つ明瞭にお知らせ願いたい。
#134
○政府委員(平井富三郎君) その両方を含んでおるものと考えております。
#135
○田村文吉君 どうも余りはつきり分らないようでありますが、丁度大臣お見えになりましたから、その問題はそのくらいにいたして置きまして、大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、午前中に総則の関係がありますので、資金、資材に関する事項をこの総則の中に規定すべきではなかつたかということの岩木委員の御質問がありました。その当時價格問題についてお触れになつておつたでありますが、増産のためには價格が適正になければ増産意欲を阻害する、こういうことになることは間違いないと考えておるのでありまするが、その場合に、仮に三千三百万トンを來年は予定するという場合には三千三百万トンまで、上から或る程度の所までパルプラインを引いて、それが三千三百万トン採れるまでの價格で値段を大体お決めになる、こういう御趣旨でありますか、この値段の決め方等についてはどういうお考えを、大臣はお考えになつておりますか。
#136
○國務大臣(水谷長三郎君) これは炭價というものは非常に外の物價に大きな影響を與えますので、その決め方は昨日物價廳の第三部長が説明をしたことと思うのでありまして、田村氏も御案内のように商工省におきまして炭價というものは今決めるようにはなつておらんので、物價廳におきまして全部決める。勿論それに対して参考意見はいろいろ申入れはいたしますけれども、決めるのは物價廳で決めるのです。その決め方は昨日物價廳の第三部長が申したように御了承を願いたい、このように思つております。勿論仰せの通りに今の経営形態をそのままにして置く場合におきまして、價格政策というものが生産増強と大いに影響があるということは、これは私も同感であります。そこで政府といたしましても、最近の炭價でうまく行くか行かないかということは、すでに九州、山口も査察を終りまして、常磐、北海道もこれをやつて行くのでありまして、決して炭價というものは釘付けにするというような考えは持つておりません。
#137
○田村文吉君 價格政策が生産に非常に重大な関係を持つということは、大臣も無論お認めになつておるわけでありますが、物價廳で決めるんだからということでありますが、これは又石炭増産には最も大きな関係を持つのでありますので、のみならず、今度これから補償するというような場合に、價格によつて起つて來る問題は補償しないんだと、こういうような御説明に先般伺つておるのでありますが、そうなりますと、私伺いたいのは、一年懸命やつておる、又政府も管理して生産費を安く上げるように努力をさした、さしたけれども、いろいろの事情によつて安く上がらない場合もある。又災害等によつて生産費が高く付く場合も起る。こういうような場合に、或いはさような所に対しては石炭が必要なんだからとにかく掘らせる。掘らせるが、それに対しては補償するとおつしやるか、或いは各炭鉱別にでも値段を一々お決めになつておいでになる御方針か、或いは又或る線にパルプラインを引いて三千三百万トン出るまでの間はこれで行くか、これ以上のものは、これ以上に原價の高く付くものはもうなくてもいいのだ、こういうふうな御方針でおいでになりますか、現在でもさうなんでありますか、今度國管になすつた場合にそういう点についての、ただ物價廳が決めるというだけで商工省は全然御関係なしじや困るだろうと思います。
#138
○政府委員(平井富三郎君) 價格の点につきましては、現在物價廳の主管におきまして價格を決定いたしておるわけでありますが、勿論商工省といたしまして、石炭の生産ということに最大の責任を持つておる官廳といたしまして、石炭の價格をかくすべしという意見は十分物價廳と打合せまして價格が決定されておる状況でありまして、今後もこの國家管理法が施行されるような場合、或いはこの問題を離れましても、今後の石炭生産という点から見まして、炭價はこうすべきであるという要望は強く出すべきであり、又出しておるわけでありまして、過般定められました前決の炭價という制度につきましても、これは石炭廳といたしましては、從來からその点を強く物價廳、安定本部等に要求して参つた点であります。石炭廳といたしまして價格の問題は物價廳の問題であるという態度でなく、むしろ実質的に石炭廳が物價廳に決めさせて行くというような考から、物價廳とも折衝を続けておる次第であります。
#139
○田村文吉君 この問題は非常に増産に関係の深い問題でありますので、この点お伺いするようなことに相成るのでありますが、この後に出て参りますところの、例えばこの炭鉱はもういけないから炭鉱を止めたい、休止したいと言つても、一々管理委員会の許可を得なければ実はできんのであります。さような関係でありますので、政府はとにかく今掘つておるものが一生懸命で努力しておる。こういう形が見えている場合に、生産費が高いからお前のところは赤字が毎月出ておる。これは政府は構うわけには行かない。お前が惡いのだというようなことで行かなければならんのか。併しそれともそういうものは出炭が第一だから、出炭を多くするためには飽くまでも補償してでもやらせる。こういう運営の御方針をお取りになるのか、そういう点を実は伺いたい。
#140
○政府委員(平井富三郎君) 商工省といたしましても、又政府といたしましても、現在運轉資金要綱の取つております措置は、現在までの経過によりますと、いわゆる炭鉱で赤字と称するもの自体につきまして、相当経営を合理化し、能率を増進させ得る余地があると見ましてああいう運轉資金要綱にありますような措置を取つておるわけであります。具体的な問題といたしまして、その炭鉱の生産というものが、その炭價においてはいかに経営の合理化を行い、いかに努力しても生産は挙がらない。その山に対する政府の措置といたしましては、炭價の面でそれを是正して行くか、或いは補給金という形でそれを是正して行くか、或いはその経営自体の経理上の地位と申しますか、責任というものは或いは國家或いは公團のごとき性質のものによつて肩替りをするとか、各種の方法を講じて生産を維持して行かなければならない、かように考えておるわけでありますが、ただこの炭價の決定に当りまして、非常に特殊な事情を捕えまして、すべての炭鉱が赤字なく生産ができるという場合におきまする炭價の値上りと、或いはそういう特殊な極く例外的な炭鉱の生産というものはむしろ抑えても、炭價を低くするということの方が全体的に見て利益であるというような場合の調整については、おのずから別個でございますが、大体におきましてその企業経営というものを十分政府としては監査すべきであり、監査の結果その当該炭鉱における生産、その生産費というものが止むを得ないというふうに見られます場合におきましては、炭價の改訂なり、或いは別途の方法を当然講ずべきであろうと、かように考えております。
#141
○田村文吉君 私は実例をもつて一つ御意見をはつきりとさしたいと思いますが、例えば或る炭鉱が自然発火が起つたために出炭量が半分に減つた。これは最善の注意を拂つたけれども、無論若干の過失があつたにいたしましても、最善の注意はいたしたけれども、自然発火によつて出炭量が半分に減つた。それがためにコストは九百六十五円であるものが千五百円になつた。こういうような場合においては政府はこれに対して補償をなさる意味でありますか、補償はしない、値段が九百六十五円と決つておるのであるから、それはその炭鉱の落度だ。こういう意味で、そういうものに対しては補償なさらない。こういうふうにおやりになるか、それを一つ第一に伺いたい。それからもう一つ、さような場合には補償制度によるか、或いは又別に炭價を決めてやるか、こういうお話がありましたが、炭價前決めの大体の原則から行きますと、地区別に炭價を決めて前決めで行く。こういうふうにお決めになつて行く在來の、昨今の御方針でありますか、今後そういうふうに一々ディフィニションの値段をお決めになるのか、そうでなくてやはり地区別に値段は前決めで決めて行くのか、そういう方針でやるとすると、結局さような場合には特に改訂をやるということは事実できない。そこに矛盾があるようでありますので、どういうふうの御方針でおいでになりますか。
#142
○政府委員(平井富三郎君) 第一の問題でありますが、天災に困りましてその事業が非常に大きな損失を受けたという場合におきまして、その損失を直ちに政府が補償するということは、これは不可能であろうと思います。事業を経営して行く場合におきまして、いずれの事業にもあるように、天災に因つて損失を受けるということは予想されるのでありますが、ただその損失を一時に政府が補給金なり、補助金を出して損失をなくしてしまうということはできないと思いますが、その山の生産が回復できますように、その損失を済し崩しに、何といいますか特別償却というような形でその山の経営というものを無理がないように持つて行くというような方法は、その山の占める生産上の地位、その他の関係から当然考えらるべき措置であろうかと思いますが、天災が起つて生じた損失はすべて政府でこれを補償するということは、現在の企業の経営、それに対する國家の補償という措置から見て困難であると考えます。
 それから第二の問題でありますが、現在は大体地域別に一本炭價を決めまして、それによりましてその山の品位等によつて、更に山別の生産者價格というものが決定されて來るわけでありますが、現在におきましても、例えば九州等においては大山の分については、若干その間その特殊性によつて差異を認めておるような状況でありまして、いわゆる全國的に一本の炭價、或いは地区別に純粹な意味における一本に炭價ということにつきましては、それが全体の石炭の生産を増すに役立つか、或いは更にここにアローワンスを見まして特殊な操作を加えて行くことが適当である。それはその山の生産、その地区の生産状況によつて、決定さるべき問題である。かように考えておる次第であります。
#143
○田村文吉君 そういうような御方針でおられます場合には、生産費或いは買取り價格をお取り決めになります場合にパルプラインをお作りになりましておやりになるのか、それとも最高の炭價で以て、原價によつて値段をお決めになるのか、その御方針はどういうお考えでございますか。
#144
○政府委員(平井富三郎君) 只今は丁度その中間のような形をとつておるのでありまして、一應各地区別にパルプライン式な一つの線を引いてそれが標準の炭價になるのであります。個々の山の生産する炭の品質でありますとか、品位によつて、いわゆる具体的な生産者價格が、決つて参りますが、それによりまして非常に多くの生産の減退を來たすというような虞れのある地区におきまして若干の分を、何といいますか一種のコストの低い山の分から一應留保を予めいたして置きまして、それの能率の惡い炭鉱に補給するというような方法も取つておるのでありまして、これは物價政策の面から見まして決定さるべき問題であろうと思います。私らの考えますことろでは、物價政策の面で見ますれば、成るべくは一本炭價でやり、大体の炭鉱が引合うというところで決定をいたして行くことが原則として適当であろうと、かように考えておりますが、特殊な山の状況、又はそういう特殊の山の数、及びその生産量等によつて、一つのパルプライン・システムの嚴格なる適用というものも、やはり若干の例外を設けるということも当然考えるべきことであろうと、かように考えておる次第であります。
#145
○田村文吉君 價格の問題が今日の、よかれあしかれ資本主義時代においては、生産を増加する、しないについては非常に重大なる問題となつておりますので、これは独り炭鉱だけの問題でありませんが、すべての行政が商工行政等におきまして、價格は離れておる。先程大臣からお話があつたように、これは物價局のある統制された見地において行れた物價に從つて行かなければならない苦衷もあるというようなお言葉であつたのでありまするが、これが非常に、このいわゆる生産意欲を増加するしないに関係がある。又労働者の待遇についても非常に関係がある問題なんであります。ここに石炭に関する管理立法ができます場合に、労働も重大なる関係を持つから、これに対する相当に長い條文が労働に関する御規定が出ておる。物價だけが、相変らず最も生産には非常に関係の深い物價に関することが、これには何らの御規定がないのでありまするが、それについてお考えになつたことがありますかどうか、又お考え得られませんかどうか、大臣の御所見を承わりたいと思います。
#146
○國務大臣(水谷長三郎君) 田村委員も申されましたように、生産増強と物價政策という問題は非常にむずかしい問題でありますが、併しながらその價格政策を一つの條文として織込むということは技術的に見ましても非常にむずかしい問題ではないかと思うのであります。そういう点におきまして、我我といたしましても、生産増強に対する價格政策は非常に重要であるということは認めますけれども、それを條文に織込むということはこれまで考えもいたしませんでしたし、又只今もそういうことをやるのはなかなかむずかしいことであると、このように考えております。
#147
○田村文吉君 私の質問はこれで打切ります。
#148
○委員外議員(一松政二君) 私は先ず第一に商工大臣にちよつとこの生産資材のことで、別に具体的の問題ではありませんが、この資材と資金と労力、こういうものが増産に必要であるということは、しばしば仰せられておる通りであります。大臣が北海道その他の常磐でも御旅行にお越しであつた時に、各炭鉱業者からいわゆるマル炭の問題をお聞きになつたことであろうと思うのであります。そこでマル炭はその筋の関係でどうしてもやれない。業者はマル炭があれば少くとも三千万トンは出せるし、マル炭がなければ三千万トンは出せないということも、私は九州に行つておるときにそういうことも聞きます。それで私が特に大臣にお伺いしたいことは、高島炭鉱と、伊王島炭鉱の例であります。ここでは外のものはとも角として、何はともあれ、あの軍艦島の中では住宅を建てる余地が一つもない。資材の鉄骨は何とかなるようなお話でありましたが、セメントが要る。坑内も海底であるために、私は坑内に下りました時にピツトが切れかけておる。坑内のピツトは中止しておる。セメントがないために、これは経営者にも聞きましたし、それから労組の人にも聞いたのであります。両方とも異口同音に言うことは、若しセメントが今の割当より以上この山に必要なセメントが來るならば、これに要する石炭は、或いは多少割増をつけてもそれだけ余計な石炭を掘りますと申すのであります。でありますから今安定本部なり或いは商工省なりが或る一定のセメントの生産高を握つておられると思うのでありますが、セメントの私は一番の隘路は石炭であるから特に言うのでありますが、セメントを余計にやるということは今の決められたる枠内で余計にやることはできませんけれども、そのセメントが來ることによつて、そのセメントを拵えるだけの石炭は余計に働いて出し得る、こういうのであります。これに対して商工省又は安定本部から言えば、これがここで闇取引、物交ということになつて法律に触れる問題であろうと思うのでありますが、これは政治問題で解決のつく問題ではないかと、かねがね思つておるのでありますので、この点について大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
#149
○國務大臣(水谷長三郎君) このマル炭の問題は私も現地に行く度に聞かされておる問題でありまして、只今一松さんの御指摘のように、非常に又便利な問題でありますが、又他面におきましても、或る程度の弊害というものも認めなくてはなりません。例えばこれは單に山だけではなしに、或いは炭鉱地帶の知事なんかは、一つ石炭の機密費を持たしてくれ、初めはどういう意味かと思つておると、知事に或る程度の機密費を出して貰えれば、その現地にある石炭を操つて行けるというようなことで、私は成るほど知事のマル炭という工合に思つたのでありますが、これは私も非常に研究しておりますが、何分にもこの問題は私一人の力でどうすることもできませんし、これはまだ只今のところでは研究題目として一つ皆さんが考えるという程度の御答弁で御勘弁を願いたいと思うのであります。
#150
○委員外議員(一松政二君) 併しながらその問題はもうすでにマル炭が一應許されておつて、非常に弊害がある。無論弊害があると思いますが、無制限にやつておれば、各自勝手にやつておれば弊害が起るけれども、物事は何をやつても弊害なくして起り得るいいことばかり求むることは、これは私は無理だと思います。必らず弊害があると思いますが、例えば特殊の伊王島炭鉱も同じであります。両方火力も強く灰分の少い良い石炭であります。そういう特殊のものを大臣の責任においてか、或いは総務長官の責任においてか、私は関係当局と折衝して、それだけのものだけについてでも認めれば、私は少くとも何十万トンは年に違うと思うのであります。それをただ研究問題として、私が行つてからでももう五ケ月になりますが、それ以前から恐らくそういうことを非常に愬えておることと思うのであります。でありますからして、これは法律を作るという問題よりも、たつた今それだけ増産ができる焦眉の問題でありまして、これが政治力によつて解決できないということは、私は甚だ残念に思うのです。まだそれでも、閣内だけの問題であれば、大した問題はないだろうと私は想像するのでありますが、関係当局のそういうはつきり分つた好感、好感と言えば別でありますが、セメントだけを一つやつて、それから石炭だけ余計やらせるということについては、それが了解が今日得られない事情でありますか。もう一遍伺いたい。
#151
○國務大臣(水谷長三郎君) 一松さんの重ねてのお言葉でございますが、一つ只今のところでは、前の答弁で御勘弁を願いたい。
#152
○委員外議員(一松政二君) それではその問題につきましては、私は関係当局に対する商工大臣の熱意如何がどの程度に響いておるか、私は疑問に扱つておりますが、どうも甚だ私としてはそういう点において、打つ手がありそうなものであると考えておるわけでありますけれども、商工大臣の只今の御答弁でありまするから、甚だ不満足ながらこの問題はこれで打切ります。
 で、先日私が伺いましたいわゆる技術工員の養成につきまして、昨日も楠見委員長から縷々言つておられましたが、まあ幸いにここに表だけを頂いておるわけでありますが、これによりますと、而も残念なことには、この生徒はどういう者が入つているかということについて、はつきりいたさないような政府委員の話でありましたから、その問題は私は深く追及はいたしません。いたしませんが、甚だ残念なことには、全國を平均して、定員の六割五分しか入所していないということ。これはいかなる原因によつてかくのごときことになつておるのか。何かそこに原因があるだろうと思います。私はこういうものには特別に奬励をして人が押しかけて行つて、その押しかけた人が全部炭鉱に働くというような方向に持つていかなければ、私は百の法律を作るよりもこういう目先のこと、たつた今役に立つものの方が重大問題であると思うのであります。なぜこれが六割五分に止まつているか。その原因を伺いたい。
#153
○政府委員(平井富三郎君) この養成の問題につきましては、現在各企業の技術者という者を講師に当てまして、その附近の山の者をそこに入所さして、短期のいわゆる養成を実施しているわけであります。九月末現在におきまする状況は、その表において、差上げた通りであります。中に定員百名としてありまして、入所の実員がないというような点もございますので、目下それらの状況を仔細に檢討しておりますが、要は私はこの問題は、企業家が養成工に対してどれだけの熱意を持つかという点であろうと思います。現在この養成工の問題には、約一千万円内外の補助金を出しまして行なつておるのでありますが、企業におきまするそういう一つの幹部技術者の養成ということに対する熱意というものを、もつと喚び起すということが先決の問題であろう。かように考えております。ただ具体的に各所の状況を調べますれば、具体的にその調査時期における定員と実在人員との違い、或いは設備の不完全のための入所が実際上それに制限されておるというようなことも考えられますが、二十一年度における実績が大体七千名になつておりまして、それらの成績から見ましても、九月末現在における人所人員が少いという点については私共も遺憾に思つておる次第であります。これらの点が結局一つの企業者の養成工に対する熱意の問題、或いは施設において不十分な点があるというようなことがあろうかと考えておる次第であります。
#154
○委員外議員(一松政二君) 只今の政府委員の説明によりますと企業者の養成に対する熱意が足りないのじやないかという御意見のようでありますが、これは然らば企業者の任意に委しておるのでありますか、それを伺います。
#155
○政府委員(平井富三郎君) この仕事につきましては、個々の企業者の仕事に委すのもいかがかという観点及び鉱業会がいわゆる鉱業統制会、石炭統制会の業務を引継いで行われておりますので、その業務は石炭鉱業会において從來実施して、その費用を國庫が補助するという点になつておつた次第でありますが、それらのやり方についても檢討すべき問題があるのじやなかろうか、むしろ石炭廳が直接これを行う、或いは別個に企業自体に委託の経営をさせるか、或いはもう少しはつきりした機関を作るか、このやり方自体についても檢討すべき問題があろうかと考えておりますが、要は企業者のそれに対する熱意の問題が第一であります。その他それに対する設備の不完全というような点から定員が得られないという点もありましようし、或いは調査期日の関係でたまたま入所人員が少かつたというような事情もあるかと思いますが、現在それらの点について調査を進めまして、今後の運営については、十分その運営の仕方全般に対しまして、根本的に考を檢討して参りたいというように考えておる次第であります。
#156
○委員外議員(一松政二君) 御答弁は私は甚だ不満足であります。いかにも商工省は見て見ん振りをしておるかのごとき印象を與えるのであります。増産に熱意を持つべき商工省、或いは石炭廳としてはかくのごとき重要な産業の一番の前面の戰士である。いかに素人の労働者が沢山に炭鉱に寄り集まつて行つても石炭は出るものじやありません。今日のように坑内と坑外との人員が殆んで相半ばしておるような状態では、これは一人当りの出炭量が低下するのは当り前です。これをして低下せしめんように能率的にするには前面の戰士に優秀な戰士を送り込むということが最も大切であります。それに対して今頃研究しておるとか、今頃何かやろうというようなことは、これ程過去二ケ年間において石炭の重要性の叫ばれておる今日、私は商工当局のこの点に対する御説明は甚だ不満足でありまして、失望落胆せざるを得ない。尚私は更に伺いますが、昨年の二十一年度において養成修了者が六千八百七十四名統計に出ておるのでありますが、これらの方は全部坑内か、坑外か炭鉱に働いておりますかどうか、その点分つておりますれば、どういうふうにこういう人が働いておられるか、若し分つていなければ、これをいつ頃分らして頂けるか、御答弁を願いたいと思います。
#157
○政府委員(平井富三郎君) それらの点につきまして、石炭廳といたしましては、各地この養成所の運営を、むしろ從來の考え方におきましては、鉱業会において実施することが一番手つ取り早い適切な方法であるという点で、実施いたさして來たのでありますが、今後は石炭鉱業会との各種の問題もございますので、むしろ石炭廳自身、或いは企業それ自体に運営をせしめるということが適当であろうと考えておる次第でありまして、從來人委せにやつておつたというのではございませんで、從來の状況におきましては、石炭鉱業会が統制会等の各種の業務を引継いで参つておりましたので、鉱業会をして行わしめることが一番手つ取り早く仕事ができるという観点から、そうさした次第であります。
 それから收容人員は、勿論短期養成工の、短期の技術者の養成でございますので、これらは直ちに坑内、坑外それぞれの職場において活動しておるというように予想しておるのでありますが、何名がその後離山し、何名がこれに携つておるかというようなことにつきましては、現在石炭廳の手許に資料がございませんので、ちよつと御報告申しかねるわけでございますが、その点は一つ御了承を願いたいと思います。
#158
○下條恭兵君 議事の進行について……。私は他の委員長が他の委員会において出席して発言する場合は、その委員会の代表的意見を開陳する場合に限つて許されると、こういうふうに聞いておつたのでありますが、私の聞いておつたところが正しければ、今の一松委員会のお話は、この工員の養成その他は商業委員長としての何に関係ないように思いますので、時間の関係もありますから、若し私の了解しておるところが正しければ、適当に御制限願いたいと思います。
#159
○委員長(稻垣平太郎君) これは今下條委員の言われましたように、委員長が他の委員会に出席して述べられる範囲は、その所管委員会に関する事項であり、且つ所管委員会の多数の委員の方の御意見を代表して述べられるべきものであるというふうに決められておることは、事実その通りであります。これは先般の当院の運営委員会においてさよう打合せを済ませたわけであります。ただ私が今一松委員長に御発言を許しておりますのは、この第一條の増産に関聯する事項といたしまして、一松委員長が所管の方の御意見を代表して御質問なさつておると思つて許しておるわけなんであります。さよう御了承を願います。但し一松委員長にお願申上げますが、逐條の審議はまだ第一章だけで止まつておりまして、期日も少いことでありまするし、本委員会の委員の御発言をも得たいと思いまするので、簡單にお願いいたしたいと存じます。
#160
○委員外議員(一松政二君) その点私も了承はいたしております。了承はいたしておりますけれども、石炭が増産するか増産しないかということは、商業委員会としては重大な関心を持つておる。商業及び貿易について、石炭が出るか出ないかということは、あらゆる産業において重大な関心があるのでありまして、商業委員長として十分私はこの点について関心を示しておるし、私は條文の審議は無論承知しております。承知しておりまするけれども、物の出るか出ないかということは、むしろ法律よりも実際問題で、無論法案を審議される場合に、これに並行して、ただこの法案ができたから、從來のように何々対策要綱成れり、或いは何々要綱成れりとして、対策が成つたように新聞に発表されて、それが実際において行われたためしがないのであります。法律はものを惡用するには役に立つけれども、これを善用するには非常に困難があるということを、私は常々感じておるもんであります。要は、その増産の建前をいかに貫くかという精神が、その心構が、上は商工大臣より炭鉱の現場の、今日で言えば地方商工局の石炭の係の末端にまで、いかにその熱意が及び、止むに止まれずやつておるかということが、企業者及び労働者諸君に、その熱意が浸透するかしないかということが、一番増産に関係あると思うのです。これは私は委員長も同感であろうと思う。その見解に立つて私は質問しておるのでありまして、決して所管を離れて私はやつておるとは信じません。
#161
○小林英三君 議事の進行について……。只今下條委員からお聞きの通りの御意見がございましたが、私は一松商業委員長の発言につきまして、只今委員長から公平な判断がありました。私も一松委員長の発言につきましては、商業部門の、商業の常任委員会といたしまして当然の発言と存じますので、委員長の今の御採択のように、一松委員長の発言を十分にお許しあらんこをと希望いたします。
#162
○委員長(稻垣平太郎君) ただ小林委員の、私は先程申上げましたように考えておるのでありまするが、ただ外の委員の御質問の時間もありまするので、ただ簡單に、できるだけ簡單に御質問を願いたいということを申上げたわけであります。その意味合でお願いいたしたいと存じます。
#163
○委員外議員(一松政二君) 北海道に今司令部の方からと商工省の方からと、両方視察團が行かれておることは、新聞及びラジオにおいて発表されておりまするが、その中でもいわゆる労働協約について経営者が非常に、何と言いまするか、弱い立場に立つておつて、それが非常な癌だ。何か全國的の協約よりも個々の山についてやらせるというようなことを、この間ラジオでも発表しておつたのでありますが、私は経営者の労働協約によりまして、坑内における或いは坑外における労務者に対して、鉱業権者或いは山の所長が殆んどその発言権がない。殊に坑内においては出るも入るも労務者の自由勝手になつておる。そうしてそれに更に一つも発言権がない。從來は坑内係、坑外係がおつて、それが各現場によつて一一相当注意もし、それからいろいろな意見も出して、それが肯かれておつたと思うのでありますが、終戰以後今日においてはその方面が非常に欠けておる。それに対して何らの経営者の監督権が行えない現状にあることが、今日の増産の非常な隘路になつておると思うのであります。この点をどうすべきかということについて、大臣の所見をちよつと伺いたいのであります。
#164
○國務大臣(水谷長三郎君) 一松さんのおつしやるような、いわゆる経営者が無力であるとは私も感じません。これは非常石炭増産要綱にも盛られておりまするように、自主的に両者の協力に俟つて、増産態勢を整えて行きたいと思いますが、それがうまく行かなければ、適当な法的な措置を講ずる考えです。
#165
○委員外議員(一松政二君) 実際問題としては、これは勢力関係がありまして、なかなか今大臣のおつしやつたように公平には行つていないのであります。行つていないのでありまするけれども、それを繰返しておることもいかがかと存じまするから、その点はそれで一應打切つて置きまするが、昨日本内委員外議員の質問に対しまして政府委員は、現在の状態においては報告を求めたり或いは監査をしたり、業務上の計画に関與するだけの法的根拠のないようなふうに伺つたのでありまするが、さよう考えておられるのでありますかどうか、その点ちよつと伺いたいと思います。
#166
○國務大臣(水谷長三郎君) その点は昨日政府委員から申しましたように、只今のところでは、いわゆる臨時金融の方策、更に又非常時増産対策要綱、更に現在の特別調査團の推進によりまして、大体自主的に増産体制が整えられて來たという希望を持ち、又その過程にありますので、現在のところでは法的措置は考えておらないという工合に私は理解しており、又そういう工合に聞いておる次第でございます。從つて大体私も或る機会において述べましたが、十一月から十二月にかけまして各山々の職場体制は大体確立できるという見通しを持つております。
#167
○委員外議員(一松政二君) 私は只今の質問は商工大臣にしたわけじやなかつたのですが、商工大臣から答弁を得まして甚だ満足に思いますが、政府は今の昭和十三年に法律になつたこの重要鉱物増産法というものについては、これは、無論石炭を含むということがはつきり書いておるのでありますが、この法律によれば、いかなる報告をも求めたり、或いは檢査したり、どんなことでも管理監督ができるようになつておりまして、私は今度の管理法案は資金、資材の横流れその他を取締るような法案がないように政府が説明せられておることに対して、甚だ私は不思議に思つております。この増産法をどういうふうに考えておられるのか、この点についてちよつと伺います。
#168
○政府委員(平井富三郎君) 鉱物増産法は御承知のように戰前に制定せられましたものでありまして、当時におきましては、この増産法の中心をなしまする規定は、いわゆる鉱業権というものに大体不可分の関係の問題が大部分であります。從いまして臨檢檢査の規定にいたしましても、例えば鉱業権につきまして、使用権なり、或いはそれを收用するという場合におきまして、その対價を決めるというような点、或いは又設備の増設という点につきましては規定があるわけでありまするが、法律全体の建前といたしまして、いわゆる現在御審議を願つておりまする炭鉱管理法というものの一つの監査を含む、更にそれによつて適正な資材計画、資金計画、生産計画を樹立して行くという一つの組織立つた体系法ではございませんので、それらの規定の適用によりまして、直ちにその炭鉱の監査を法的に強制して行くということにつきましては、いかがかというふうに考えた次第であります。
#169
○委員外議員(一松政二君) 若しそうであるならば、重要鉱物増産法というものを何らか改正せなければ今度の管理法案と競合するところがあるとお思いになりませんか。
#170
○政府委員(平井富三郎君) 時期的の問題でありますが、鉱物増産法は來年の六月においてこれは当然失効いたすことになるわけであります。從つて監査を行いますにつきまして、六月までは一部確かに重複する点も出て來るのでありますが、いわゆる監査を実施する機構といたしまして併せ考える場合におきまして、やはり管理法にはつきりした規定を持つて行くということが必要であろう、かように考えておる次第であります。
#171
○村尾重雄君 私どうのこうのと発言を妨害する意味じやありませんが、第一章の逐條審議が漸く終ろうとしておるのに過ぎないのですから、非常にまだ條項が沢山ありますから、條項の審議を終つた後に、尚他の委員長がこの会へ來て発言されるなら、これは勿論了解もできますが、只今までの内容を伺つておつても、逐條審議に対して関係のないことばかりで、これ以上は議事進行に非常に障害を來すというふうに考えますので、委員長からお取計らいを願いたいと、こう思います。
#172
○委員長(稻垣平太郎君) 先程一松委員長には簡單にということを申上げて置きましたから、御承知だろうと存じます。
#173
○委員外議員(一松政二君) 私は政府委員の、來年六月にお終いになるからどうであるという御説明は、私は甚だ遺憾に存じます。ということは、今度の國会におきましても、僅かに一ケ月か二ケ月、或いは過去においてあつたようなことに対してまで法案の廃止或いは改正の法案を出しておられるのであります。殊に独占禁止法に関する場合におきましては、そういう法案が沢山出されておることは、商工当局としても御存じの筈であります。過去における事柄からいたしましても、甚だしきは十二月三十一日まで有効なのを、十一月中頃法案として出しておる状態であります。況んやこの重要鉱物増産法は來年の六月まででありまして、これを延長するなり或いは改廃するなり、それにまだ十分の時期があるのであります。現に生きておるこの法律と、今の逐條審議の問題でありまするが、第八條かにおきましての監査監督の規定が、むしろ十七條の方が全面的に強化されておつて、そうして第八條の修正によりますると、これがむしろ條件附きの或る限られたる範囲における監査にしかなつていないのであります。こういう点に対する政府の見解を承りたいのであります。
#174
○政府委員(平井富三郎君) 鉱物増産法を改正いたしますならば、現在各種の必要から管理法というものを出す必要がございますといたしますれば、その中に完全な形において織込んだことが一番適当であろうと、かように考えておる次第であります。尚監査の規定にいたしましても、管理法で言う監査という精神がはつきり出ることが、法律運用上におきましても、これが民主的であると思うのであります。増産法の目的は、先程申上げました鉱業権の得喪等を中心にいたしましたいわゆるその必要のための臨檢檢査という趣旨も相当含まれておるのでありまして、現在必要といたします生産資材がどういうふうに使われておるか、或いは又その結果資材計画、資金計画等、どう織込んで行くべきかという綜合的な見地からする監査というものは、別個のやはり法体系に明確に出すというようなことが、法律的に見ましても妥当でないかと、かように考えておる次第であります。
#175
○委員外議員(一松政二君) もう後一、二問でありますから、そのつもりで……。
#176
○委員長(稻垣平太郎君) 大分時間が経つておりますので、外の審議に差支えると思いますから、その辺で御遠慮を願います。
#177
○委員外議員(一松政二君) もう一問だけ……。
#178
○委員長(稻垣平太郎君) それでは一問だけにお願いいたします。
#179
○委員外議員(一松政二君) 石炭について、鉱業管理法を出されるならば、それならば何故に重要鉱物増産法において石炭の部分を除くとか何とか、この法案の修正があつて然るべきであろうと存ずるのでありまするが、何故にそういう処置を取らないのでありますか。
#180
○政府委員(平井富三郎君) 法律がダブリました場合に、この管理法が出ますれば、管理法によつて法の運用を行つて行くということが当然予想されますし、又それによつて一向法律的に不都合な点もないよかに考えられます。尚鉱物増産法の、例えば事業計画の提出につきまする施行細則、或いは鉱物増産法の施行令、施行規則につきましては、未だ発令されない部面もございまして、事実上鉱物増産法としては、これが完全に動かし得る態勢になつておらない部分もございますので、現在として特に鉱物増産法についての改正法律を施行するという必要もあるまいと、かように考えた次第でございます。
#181
○委員外議員(一松政二君) ちよつと委員長ただ私の言葉だけ、私は総理大臣やそれから労働大臣に発言を求めているのであります。今日は委員の御意向もありまして、今日はこれで打切つて置きますけれども、他日又米窪労働大臣、及びそれから栗栖大藏大臣にも中途で帰られておりまするし、総理大臣に対する発言も留保になつておりまするから、他日の機会にお願いして、一應今日はこれで留保します。
#182
○堀末治君 私先程も申上げたので、又これを繰返すと社会党の方からお叱りを蒙むるかも知れませんが、先程お尋ねしました生産協議会の問題でありますが、どうも私生産協議会なるものの性格をはつきりいたして置きませんと、こういう結果になるのではないかと思うので、政府の御所見を伺うのでありますが、生産協議会は、これができれば開店休業になる、こういうふうに平井局長がお話しになりましたのです。生産協議会なるものは、今度の労働法によつて認められた團体協約を、憲法として運営せられるものだと私はかように思うのであります。この御見解は政府の御見解と一致いたしましようか、いかがでございましようか。
#183
○政府委員(平井富三郎君) 経営協議会はいわゆる労働権の発動に基きまして、團体協約によつて生れ出た一つの機関でございます。
#184
○堀末治君 そういたしますと、労働協約を憲法として運営せられて行く、かようなことになるのだと思いまするが、それは即ち私本当にいわゆる労資平等の立場に立つて、いわゆる下から盛り上がる力によつてこれが協議をなされるものだと、実はかように思うのでございまするが、この生産協議会がかくの通りに法律に決められるということになつて來るというと、政府の権限によつて折角労資の平等の立場において協議せられる、その本当の民主的の運営方法がこの法律、政府の意思によつてぴたりと抑えつけられる、こういうような感じをするのでありまするが、これに即ちいわゆる戰時中の一方的統制なる弊に陷りませんでございましようか。
#185
○政府委員(平井富三郎君) 生産協議会は実質的に経営協議会において論議せられまして、研究されます一つの労働條件等をも生産協議会でこれを行うということに相成つておりまするので、生産協議会の構成につきましては、労資が対等の立場でその問題を処理し得るというようになつておりまするので、その点につきまして、生産協議会が一つの労働権というものを蹂躙して新らしく政府が一方的に押しつけるのだという法律にはならないのじやないか、実体的に一つの労資双方同等の立場で処理し得るような途を開いておるのであります。ただ経営協議会というものが、私が先程開店休業と申上げましたのは、生産協議会の処理事項、協議事項というものと、たまたま一致いたします点については、生産協議会において労資同数かなる委員によつて妥結せられて参りますので、この点については生産協議会が一つの管理法上において法制化された機関といたしまして、その生産協議会の議決によつて運用されて行くということになるわけでありますが、生産協議会自体の存立及び生産協議会において定められます事項以外の事項につきまして、経営協議会は事実上動いて行くということは一向これを妨げておるのではないのでありまして、私が先程開店休業と申上げましたのは、例えば労働條件等につきまして生産協議会が纏つた場合におきまして、更に又経営協議会がその問題について再び論議を蒸し返すというようなことは事実上なくなるのではないか、そういう意味で申上げた次第であります。
#186
○堀末治君 私労働協約というものは、それぞれ労資間の事業の実態からいろいろな形態が生れるものだと思うのであります。中には非常に進歩したのもありましようし、或いは非常に遅れておるのもございましよう。それぞれ労資のいわゆる労資問題に対しての認識の深さ、高さによつてそれらが生れて來るものが、非常に各自各個の個性なり、特色を以て運営されるものであろうと思うのでありますが、どうも私この規定によつてそういう性格が或る程度政府の意思によつて一方的に抑えられて行くというようなことを懸念するのであります。殊に先般來田村委員からいろいろお話がございました、いわゆるこの中には賃金問題が必ず生れて來るのであります。その賃金問題が生れて來て、どうしてもこの生産協議会において、労資の間に議を経ることができないということになれば、いわゆるそれが石炭局長官の裁定になる、こういうことになるのだろうと思いますが、さように考えてよろしうございましようか。
#187
○政府委員(平井富三郎君) 労働條件につきまして石炭局長の裁定を求める場合におきましては、生産協議会の委員全部の同意がありました場合に、石炭局長の裁定にもつて行くというふうにいたしまして、労働條件以外の問題の処理と取扱とを異にいたしておるわけであります。即ち労働基準法、労働調整法の精神に從いまして労働條件そのものに関する裁定ということは、労働者の委員全部が賛成し、いわゆる全員一致で裁定に持つて行くという場合のみ統制にかかるというようにしてあるわけでございます。
#188
○堀末治君 只今の御答弁は頗る明瞭でありまして分りますが、その規定はこの中にございましようか。
#189
○政府委員(平井富三郎君) ございます。
#190
○堀末治君 何條にございますか。
#191
○政府委員(平井富三郎君) 修正の三十五條でございます。三十五條の二行目の但書以下でございます。
#192
○堀末治君 これは併し何でありませんか。生産協議会の議を経た場合に限るというわけでございますね。
#193
○政府委員(平井富三郎君) 生産協議会の議を経たという場合の議決の方法につきまして修正の第三十三條の但書に「但し、第三十五條第一項但書の場合には、出席した委員全員で、これを決する。」というふうにしてあります。
#194
○堀末治君 そうすると賃金問題に対して、こういうことになれば、いわゆる今最も賃金問題に対して権威を持つておる中労委あたりの裁定を受けるということと、これとはどういう関係になりましようか。
#195
○政府委員(平井富三郎君) 個々の山につきましての賃金につきまして粉爭が生じまして生産協議会の議が纏らん、石炭局長の裁定に持つて行くということに全員一致いたしました場合に、石炭局長の裁定を受けました場合には、その裁定によつて両者の意思が合致したと認められる一つの案がそこに設定されるわけであります。
#196
○堀末治君 この問題についてはいずれ又生産協議会のことが議せられるのだと思いますが、尚そういう点については、もう一度商工大臣にも伺つて見たいと思いますから、そのことだけお願い申上げて、私の質問を打切ることにいたします。
#197
○小林英三君 第三條の「商工大臣その他この法律の施行の責に任ずる」「責に任ずる官吏及び炭鉱管理委員会の委員、」こういうのがあるのですが、この「責に任ずる」というのは單に責任者であるという意味でありましようか、或いは責任を取るというような考えでありましようか。
#198
○政府委員(平井富三郎君) これは官吏といたしまして法律施行の責任を持つということになりますので、商工大臣、石炭廳長官、石炭局長という長のみでなく、例えば石炭廳の生産局においてその施行の事務を行います場合は、その生産局長というものも当然入つて來るわけです。
#199
○小林英三君 その今の責任を取るというのはどういう意味ですか、例えば商工大臣、或いは官吏或いは炭鉱管理委員が責任を取るという意味はどういうことを言いますか。
#200
○政府委員(平井富三郎君) 「施行の責に任ずる」ということになつておりまして、この法律が施行されました場合、その施行を行なつて行かなければならない職務にあるというように考えます。
#201
○小林英三君 それでは單に職務にある。そういう意味でありますか、責任云々という意味ではないのですか。
#202
○政府委員(平井富三郎君) 職務にあるということは、同時にその官吏は、官吏としては施行の責にあるというふうに考えられます。
#203
○小林英三君 私は今それを聽きました理由は、この國管案につきましては大臣が始終言つておられるように三位一体、政府と事業家と、それから從業者三位一体ということを言つておられる。從いまして石炭の増産というものをこの案によつて図りますためには、政府も、それから事業家も労働者も、全部がおのおの責任を持つてこれをやらなければならん。ところがこれはまあ逐條審議の後で私は一應論議しようと思いますが、事業家だけの罰則は決まつておる。併し若しこれを三位一体で、政府が自分の責任を完うして、そうして増産を挙げるということにつきましては、大臣は大臣として、官吏は官吏として、石炭廳長官は石炭廳長官としておのおの自分の職分によつて、自分が推進しなければならない重大な責任があると思う。若しその施行のやり方が惡かつたならば、この増産は挙らない。然るにこの罰則では事業家だけを罰しておる。若し官吏のやり方が惡いためにこの石炭の増産ができないという場合には、その責任はどう取るかという問題を私は聽きたいと思つたのでありますが、今ただ單に責任者であるとかいうような意味の簡單なものではなくて……尚それならば炭鉱管理委員会の委員、これはどういうような責任に任ずることになりますか。
#204
○政府委員(平井富三郎君) 炭鉱管理委員会は商工大臣、石炭局長の諮問によりまして、この法律の管理に関する根本の方針、或いは具体的な適用の問題について、諮問に應じて意見を確定して行くわけであります。そういう意味におきまして、炭鉱管理委員会の委員が業務を行います際に、この三條の規定にありますような、企業者と労働組合との團体協約に関する権限と責任というものを尊重しなければならないというように規定しておる次第であります。
#205
○小林英三君 そこで大体責任に任ずるという意味は、大体この第三條によりましてのみの御説明は分りました。
 次に、第一條の從業者という問題でありますが、これは先程もちよつと御質問があつたように覚えておりますが、その從業者という意味は後程第五十七條に、特に括弧して、「(炭鉱の事業主の利益を代表すると認められる者を除く)」と書いてありますが、そうするとここに利益を代表する者と入つておる意味は、廣範囲の意味の從業者という意味でありますか。
#206
○政府委員(平井富三郎君) 第一條の從業者は廣範囲の意味のものであります。
#207
○大屋晋三君 この三條なのですが、どうも私も実はよく分らないのですけれども、一番終いに権限と責任を尊重しなければならないということを特にここに謳つたのは、法律施行の責に任ずる官吏又は炭鉱管理委員会の委員が、生産協議会で議決され、協議されたことを非常に重要視して、この労働協約、労働組合法に関する労働組合との團体交渉を軽んずる傾向があることを恐れて、これのこつちの方を尊ばなければならないというふうな氣持でこれは書いたのですか。
#208
○政府委員(平井富三郎君) 生産協議会の議を経て定められた事項につきましては問題はございませんが、先程申上げましたように、生産協議会は現在の経営協議会を百パーセントカバーしたのでもございますし、それらについて経営協議会で決めて行くということも考えますと、又全國的の規模において、團体協約というものが現在結ばれておるわけであります。そういうものは、そうした権限と責任を互に持つておるのだということをここに明確いたしまして、施行の責にある官吏及び炭鉱管理委員会の委員というものは、十分はつきりした態度で、これを尊重して行かなければならんということを、一つの労働関係の問題に対する取扱い方、特にこの法律の施行に当ります者が十分認識して行なつて行かなければならんということを、一つの宣言的に明確化したわけであります。これがございませんでも解釈上当然出る点ではありますが、幾分疑義を生ずる虞れもあるという関係から、これを明確にいたした次第であります。
#209
○大屋晋三君 そうすると、つまり官吏又は炭鉱管理委員会の委員に対する心構えを示したという意味合に解釈してよかろうと思いますが、その通りですか。
#210
○政府委員(平井富三郎君) 心構えと同時に、この法律の考えております趣旨、いわゆる團体協約は尊重すべきであるという法律の趣旨を闡明したものであります。
#211
○大屋晋三君 その法律用語として尊重ということは、御承知の通り憲法というような非常に大きな基本法には使うのでありますが、こういうように使うと尊重ということは、本当の道徳的のやうなことを現わすときによく使われる言葉ですから、これは何も尊重しなかつた場合には、そうすると制裁というようなことは別に法は考えておらないので、ただまあ心構と、生産協議会と團体協約の双方を扱うつまり目安というようなものを與えたと解釈して、この裏に尊重しなかつた場合には、何とか処分するとか、罰則を適用するとかいうような氣持はないわけですな。
#212
○政府委員(平井富三郎君) 或いは、この尊重するということは、只今申上げましたように、宣言的な規定でございますので、これに基いて直ちに罰則が出るということはないのであつて、その趣旨を明確にいたしたという点であります。但しこの趣旨に違反したような命令を仮に商工大臣が出したといたしますれば、その命令自体が違法であり、命令は無効になるというふうになるわけであります。
#213
○大屋晋三君 その判定は誰がいたしますか。
#214
○政府委員(平井富三郎君) それは商工大臣が発令いたします場合に、この法律の趣旨に副つておるかどうかということを十分に檢討して出すわけであります。併し実際そういう命令が発せられました場合において、その命令に対する不服の申立と申しますか、これは最高裁判所に提訴するわけであります。
#215
○大屋晋三君 この辺で三條を打切りますが、この三條の條文の書き方をもう少し……小委員の諸君の発議もありましたが、もう少しうまく書いて貰いたい、私はまだそういう氣持が残つております。
#216
○委員長(稻垣平太郎君) それでは大体第一章総則の質疑はこれで打切りまして、先へ進んで御異議ございませんか。
#217
○委員長(稻垣平太郎君) それでは第二章炭鉱の管理につきまして御質疑をお願いいたします。
#218
○藤井丙午君 この第五條の届出る毎年度の予定事業計画及び毎四半期の事業計画、これの内容は命令に讓つてありますが、事業計画の大体はどういつたものを内容とすると考えておられますか。
#219
○政府委員(平井富三郎君) それは、この事業計画の意味は、從來の法制におきまする事業法その他に事業計画と称したものと同樣でありまして、具体的には命令によつてそれを定めるわけでありますが、この五條の規定の趣旨が、これによりまして各炭鉱の事業の内容及び資金、資材の要求等を明確ならしめるという意味でございますので、その事業計画の内容としては生産計画を主にいたしまして、それの資材、資金の需要の計画、或いは又拡張計画、拡充計画がございますれば、そういうようなものを同時に提出するというふうに予定しております。
#220
○藤井丙午君 そういたしますと、この個々の届出る事業計画というものは、事業主側の一方的な、つまり生産計画に伴う資材、資金獲得計画といつたものでありましようか、その前提となるべき、いわゆる物資需給計画に基いて大体の資金なり資材なり、そういつたものの綜合的な計画との関聯においてこれを出すか、或いはそういうものと関聯なしに、全然一方的に事業主がこういうものを届出るか、その辺の関係はどうなつておりますか。
#221
○政府委員(平井富三郎君) この法律自体から申しますれば、当初事業主といたしましては、自己の生産計画というものを決定し、それに必要な資金、資材の要求計画書が出てくるわけであります。実際の運用に当りましては、炭鉱管理委員会等におきまして、大体その地区に対する資金、資材の見通し等がはつきりつきますので、運用上は各炭鉱に計画を設定するに必要な資料等につきましては、炭鉱に連絡をいたすことになるわけでありますが、この第五條はそれと裏腹をなすものでありまして、当初は事業主側から先ず報告を取る。それに基きまして非常に大きな資金、非常に大きな資材というものを要求しておりますような場合につきまして、必要がございますれば、次の二項によつて事業計画の変更を命ずるというような点も生じて來るわけであります。
#222
○藤井丙午君 これは今までのやり方から考えましても、大体事業計画を立てるに当りましては、その所要資金なり資材なりに一定の見通しがなければ、事実上これは無論労務計画等も加わるのでありますが、そういつた大体の生産諸要素というものの、一定の見通しの上に初めて計画というものが立てられるのでありまして、只今のお話しで、これはそうすると一般の管理炭鉱の場合におきましては、大体においてそういつた生産計画及びこれに伴う資金、資材等の要求書とでもいうか、そういつたものを出すというのですか。
#223
○政府委員(平井富三郎君) 当初はそういう意味になると思います。但しこれが施行後、若干の時間が得られますれば、管理委員会等の運用によりまして、一般炭鉱につきましても予め基準となるような事項は自ら予め連絡され、審議されるということになると思います。
#224
○藤井丙午君 この指定炭鉱の場合は、業務計画案の作成の基準となるべき事項を定めて指示するということがはつきりしておりますが、一般炭鉱の場合は、その点が少し明瞭を欠くわけであります。そうすると大体石炭局長が管理委員会等とその地区のいろいろな生産計画、生産状況、資金、資材の状況等を勘案して、大体まあ事業主と連絡を取るということに実際の運用はなるわけですか。
#225
○政府委員(平井富三郎君) 逐次そういう運用になると思います。御承知のように炭鉱の数が多いのでございますので、この法律の施行の当初から直ちに指定炭鉱に対すると同じような指示というものも、実際不可能……困難であろうという点で、そういう條項を外しております。從いまして当初の運営におきましては、事業主が、現在におきまする事業主の判断において資金、資材というようなものの計画と一緒に出してくるわけであります。併しこれが一定の時間が経過いたしますれば、その炭鉱に対する資材、資金の計画につきましても、逐次計画設定前に連絡し得るようになるのではないかと思います。併しこの法律施行後、直ちにそういう指定炭鉱と同じような手続を執るということは事実上不可能でありますので、一應この法律といたしましては、事業主から直接そういう指示なしで取り得るという形にいたしておるのでございます。
#226
○藤井丙午君 この予定計画及び毎四半期事業計画を大体作成して届出るのは、当該年度乃至当該四半期の大体どれぐらい前という時間的な関係になつておりますか。
#227
○政府委員(平井富三郎君) これは全体の計画の決定に必要がございますので、できるだけ早く取りたいというように考えておるわけであります。併し計画を余り早く取りまして、いわゆる事業計画の設定が非常に不確実な資料によるということも困りますので、一應三月前、二月前程度にはこれはやはり報告を取ることが必要であろう、さように考えております。
#228
○藤井丙午君 これは田村委員からの依頼で、代つて私が御質問申上げるわけですが、この一般炭鉱と指定炭鉱とどうして区別しなければならないか。つまりその区別の理由を明らかにして頂きたいということでございましたので、代つて一つお伺いするわけであります。
#229
○政府委員(平井富三郎君) 一般炭鉱の管理の重点は、いわゆる監査及びこれに伴う計画の変更なり、或いは業務計画の実施につきまして、監督上の命令をなし得るという点に、一般炭鉱の管理の主体がございまして、要するに事業主に対して一定の監査を行い、必要な場合において監督命令なり、計画の変更命令を出して行くというのが大体一般炭鉱の管理でございます。從いまして事業計画を聽取するに当りましても、報告を取ります場合においても、事業主の計画というものが主体になり、その状況を取りまして、一般的な生産計画、及び資材、資金計画等に資する程度のものを聽取するということになるわけでありますが、指定炭鉱の方は、業務計画自体は、勿論案といたしまして事業主がこれを提出するわけでありますが、同時に指定炭鉱の業務計画というのは、石炭局長が指示をいたすということになりまして、管理の程度が余程変つてくるわけであります。從つて指定炭鉱の業務計画ということは、いわば企業と國とが一体となつい決定するという関係にありますので、特に事業計画よりも詳しい資料を取る必要があるということから、業務計画という文字を通りましてやつておるわけであります。これは管理の仕方の相違から当然出てくる相違であります。
#230
○藤井丙午君 只今の御説明よく分りましたが、田村委員からの質問の依頼された点は、指定炭鉱と一般炭鉱に分けた理由及びその分ける基準、これは商工大臣から先般御説明ありましたけれども、もう一遍その点を明らかにして貰いたいという希望でございますので、代つて御質問するわけでございます。
#231
○委員長(稻垣平太郎君) 分けたという基準は、第十三條でありますから、あとで御質問なすつたらいいのじやないですか。
#232
○藤井丙午君 ではその時に申上げます。
#233
○平岡市三君 第二章は一般炭鉱の管理でありますが、結局指定炭鉱と一般炭鉱と管理方式を異にするということは、結局一般炭鉱を継子扱いにする結果になりはしないかと思うのであります。予ねての公聽会におきまする公述人の労組の代表者の方は、全員が揃つて全國の炭鉱を指定炭鉱とすることを我々の要求の最低限とする。こういうことを公述されておるわけであります。我々が考えて見ますときに、結局國家管理によつて増産ができる。こういう理論が成立つならば、こういうふうな差別をすることなく、全炭鉱を管理にすることが却つて増産になりはしないか。要するにこういう継子扱いをするということは、資材、資金が限度がありますために、それを重点主義的にして、一方の方はこれを軽く見る。こういう結果であろうと思うのでございますが、この関係について大臣のお答えをお願いいたしたいのであります。
#234
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の御指摘の点でございますが、それは現在の経済上、資金、資材の需要等によりまして、やはり一應こういう工合に全部の山を管理の対象とするが、併しそれに対して、増産の見地からいたしまして二段構えにすることが本当の増産の目的に添う所以である。このように考えている次第でございます。更に又労組からの反対は、主として厚生施設その他に関しての、いわゆる継子扱いに対する点でございますが、それらの点におきましては炭業公團に代るべき方式におきまして、それらの継子扱いというようなことはないように、十分にやつて行くつもりであります。
#235
○平岡市三君 今の点につきましては、もうたびたび他の委員から御質問がありましたからこのくらいに遠慮さして頂きますが、その次にこの第五條の予定事業計画、又は事業計画を変更したる時も同様である。即ち事業計画を変更した時も、これも石炭局長に届けなければならん。こう申しますと、その事業計画の変更の範囲はどこにあるか、この事業計画というものは政府から頂きました臨時石炭鉱業管理法施行令要網案、この第二に、株式第二号によりて提出する。こういうふうになつておりますが、株式第二号に記載した事項で、少々の、極めて少数の変更があつた場合にも、これは変更届をしなくちやならんのか、とにかく我々はこの國管によつて非常に仕事がいろいろ煩瑣になるということを、一部非常に心配いたしておるのであります。そこで、この事業計画を変更したる時も同様である。その変更の範囲がお分りになつておつたら一つお示しを願いたいと思うのであります。
#236
○政府委員(平井富三郎君) 事業計画の変更と申しますのは、いわゆる事業計画を相当大幅に変更した場合、こういう問題であります。事業計画を設定いたしまして、生産を行なつて行きます上におきまして、その進行上或いは資材、資金の入手等が予定の、例えば八〇%しか行かなかつた、或いは七〇%しか行かなかつたということのために、生産自体についても或る程度の若干の狂いが出て來るのであります。これは事業計画の変更ということにはならん。要するに計画の変更ということは、そこに相当大幅ないわゆる変更が出て來るというふうに解釈しているのでありまして、これは從來の各種の事業法なり、その他のこういう関係の法規の運用上、一つの或る程度の幅ということが運営上当然生まれて來る。かように考えるわけであります。例えば一万トンの生産計画が五千トンになつた。或いは拡張計画をやつておつたが、これを中止したというような場合に、変更ということが成るのでありまして、一万トンの計画が、どうもやつて見たら七千トンしか出そうもない。八千トンしか出そうもないということは、計画の変更ではございませんで、計画に達しなかつたという程度の問題であろうと、かように考えるわけであります。
#237
○平岡市三君 実はこれは罰則規定がありますために、その変更の範囲というものは極く明瞭にいたして置かないといかんと思つてお聞きしているのでありますが、別にここに明瞭なはつきりした一つの基準はまだお作りにならないのでありましようか。
#238
○政府委員(平井富三郎君) 変更した場合におきまして、今申上げましたような基準によつていわゆる計画をやる予定をやめたというものは計画の変更でありましよう。二万トンの計画を五千トンに減したという場合は明瞭な変更になるわけであります。企業自体において変更したと見られる場合には事実上やはり企業自体としても変更としているのであります。担し二万トンの計画が一万八千トンしか行かない。或いは一万五千トンしか行かない。これは計画の変更として、勿論管理する、運用する側も、行政官廳としても、企業自体としても、計画の変更と考えないと思うのであります。その辺はそういう客観的な判断で行くものというふうに考えるわけであります。
#239
○平岡市三君 少し或いはお笑いを受けるかも知れませんが、語句の問題でありますが、予定事業計画と事業計画というものを区別して使つておりますが、事業計画というものは予定的なものでありまして、ただここで毎年度の事業計画を予定といつて、毎四半期の事業計画を單に事業計画という、こういうふうな時期の單なる区別のために予定という字句を附けたり、附けなかつたりしたのでしようか、それとも何か外の意味が含まれているのでしようか。
#240
○政府委員(平井富三郎君) ここに予定事業計画と事業計画と言葉が書き改めた点でありますが、御指摘のように年間の計画も一つの事業計画でありまして、その点から言えば予定と附ける必要はないようでありますが、二項において地方炭鉱管理委員会に諮つて、前項の事業計画の変更を命ずる場合が出て來るわけであります。この場合においてはいわゆる年間の計画というものは一つの大まかな見通しでありますので、変更の命令を出す場合に、具体的に明確な観点に立つて、企業者としても設定いたしました毎四半期の事業計画に対して命令を出すことが適当であるということから、予定事業計画といたしまして、一つの毎四半期に取ります事業計画と区別いたした次第であります。
#241
○平岡市三君 もう一つお尋ねいたしますが、不服の申立てができることに第五條でなつておりますが、この不服の申立て期間中は事業主の提出にかかる事業計画案か、或いは変更を命ぜられた事業計画か、いずれの案で行くかということが何らここに規定がありませんようで、その点不明のようにも考えられますが、政府当局といたしましては、その明記がなくても当然これで行くべきだ、こういうふうなお考えがありましようかどうか。
#242
○政府委員(平井富三郎君) これは別段明記しておりませんのは、不服の申立てをいたしました場合におきましては、その変更の命令によつて変更されました計画によつて事業主が一應計画を実施して行く。その実施の途上におきまして不服の申立てを出しまして、変更申請を出すことも起りましようし、予め早目に変更の申請を出した場合におきましても、法律的にはその命令がありましたら、計画によつて事業主は一應事業を行なつて行くというふうに考えております。
#243
○平岡市三君 ものによりますと、こういう場合に事業主の提出した事業案で行くと、こういうふうに解せられるところも外の箇條にあるようですが、私も今政府委員の方がお答えになつたように解釈はいたしておつたのでありますけれども、場合によると他の場合と混同するような憂いがあるかも知れませんが、條文の構成といたしましてはそれを一條明記した方がよかろうかとも考えておりますが、その点はいかがでございましようか。
#244
○政府委員(平井富三郎君) これは明記いたしませんでも、この法案の運用上当然そういうような解釈が出て來るというように考えておる次第であります。特別に書く必要もないかと考えております。
#245
○堀末治君 第五條でありますが、これはどうも第一條と第三條との関係であるのでありますが、「炭鉱の事業主は、」として「その経営する炭鉱ごとに」というようなことになつておりますので、これはむしろ「炭鉱の経営者は、」というふうに直す方が本当じやないか、こういうふうに思うのですが、いかがでございましようか。
#246
○政府委員(平井富三郎君) 事業主といいましたのは、先程申し上げましたように、法律的に見ますとこの炭鉱の事業主は個人の場合は明瞭でありますが、法人の場合には一つの法人それ自体を指すというので、その法律的な責任の所在を明確にいたしますために「事業主は、」というふうにいたした次第であります。
#247
○堀末治君 それから「命令の定めるところにより、」とこういうふうになつておりますが、この命令の内容はいかがでございましようか。
#248
○政府委員(平井富三郎君) 第五條の命令……本法におきます命令の記載事項は最初の配付資料の中で臨時石炭鉱業管理法施行令案といたしまして御配付してありますが、大体におきまして樣式と提出の時期等をこれで規定するつもりであります。
#249
○堀末治君 いかがでございましよう。この命令の内容をきつちりと法文に定めてしまつた方が面倒なことがないのじやございませんでしようか。
#250
○政府委員(平井富三郎君) 命令の内容は從來の法制の建前から行きましても、実体法ではございませんので、この大体法律の趣旨によつて決定されて行く法律事項のいわゆる手続でありますので、これを命令に讓ります方が便利じやないかと考えております。
#251
○堀末治君 それからもう一つお尋ねいたしますが、予定事業計画と事業計画の御説明がございましたのですが、四半期毎に事業計画を作成する。こういうことになつておるのですが、なかなかこれは実際問題として、いわゆる予定の計画ならば、四半期でも一年でも、二年でも立ちましようけれども、実行予算だというと、到底今のこういうような実情ではできないのではないでしようか、物動計画なども随分丁寧にやつておりまするが、実際資材などが予定通りに入らない。そのために今言つたように、徒らに手数は多くなるけれども、できた計画は実行計画でなくて、いわゆる計画の計画ということになるので、こういうことが実情において行われ難いと私は思いますが、政府の御見解いかがでございますか。
#252
○政府委員(平井富三郎君) 生産計画につきましては、大体三月程度のものは立て得ると私共は考えておりますが、資材の需給計画におきまして、現在例えば石炭の割当にいたしましても、毎月割当が決まるという点ではございまするが、併し生産計画を立てるに必要な程度の、いわゆる資料としての資材等の割当については当然現在割当を受けておる量及び今後の物動計画の需給計画の枠を見ましても、これによつて具体的な切符に現われるようなものは毎月に現われておりますが、需給計画といたしましては、大体三月を單位にいたしておりますので、三月毎にこの計画を立つて行くことは適当であろう。毎月立つて、毎月これを届出ることは計画届出、その他の手続が徒らに煩瑣になるというように考えておる次第であります。
#253
○堀末治君 実は私も今申します通りに、一つの事業を営んでおるのでありますが、この事業計画を立てて事業を遂行して行くというやり方は、実は大正六年から、けちな仕事でもずつとやつております。併し最近になつては、殆んど要するに会社の事業計画が成立たんから立てては見ますけれども、本当にそれには骨を折つても空文に過ぎないことになる。それよりも要するにその時その時にいわゆる首脳者なり経営者が陣頭に立つて、てきぱきと処理して行く方が実際の実情に合うのであります。さようなことで殊にこういうような今電力飢饉等において資材は一層不足しておる。昨日も冗談話で雨乞いでもやれ。片山首相先に立つて雨乞い祭りでもやらなければ、とても電力危機は直りそうもないというような話をした。それだけこのいわゆる電力危機は一般の産業に及んでおつて、これらのことはいわゆる生産が低下しておる。これは隱すことのできない事実になつて現われておる。かようなわけで予測できない、こういうような天災的なことからいろいろな計画が成り立たないのでありまして、実際それを無理に立てて見ても、なかなかそれは容易でないということに思うので、大体この四半期毎の事業計画を作成するということは、これは甚だ面倒である。実は一般炭鉱でございますれば、まだそういう嚴重な処罰を受けたりする業者はございませんけれども、指定炭鉱の場合はそれらに対してなかなか嚴しい処罰等も受けなければならんということになるので、私はむしろこういうような実行計画は、本当に徒らに要するに炭鉱の事業をして事務を煩瑣ならしめる。いわゆる坑内で石炭を掘るよりも坑外において無駄な仕事をしておるというようなことが多くなるということを感ずるのでありますが、併し政府が折角これをやろうというのですから、大体私の意見を申し上げて、これはこの程度に止めて置きます。併しここに「石炭局長は、必要があると認めるときには云々」と、こういう言葉がございますのですが、例えば「必要がある」というようなことはどういうことを予想しておられましようか。
#254
○政府委員(平井富三郎君) 大体におきましてこの一般炭鉱の事業計画を取りまして、ということは事業の実態を明確ならしめるというのが、この一般炭鉱の管理の基礎的な意味でありますので、石炭局長が事業計画の変更を命じまする場合には、増産計画といいますか、その生産計画なら生産計画を遂行して行く上におきまして、事業主としては非常に樂観的な氣持で大きな計画を立てる。例えばとても入手できんよなう資金なり、資材なりの計画を立てるというような場合もございましようし、或いは又その逆の場合もございましようが、そういうことが明瞭であります場合に、その事業計画を変更するということが、その企業自体に取りましても必要であるといういうに考えました場合に、その事業計画の変更を命ずることができる、こういうふうにいたした次第であります。
#255
○堀末治君 どうも私、この前も申したのですが、こういうところにいわゆる官僚統制というものが現われておるのじやないか。石炭局長が必要と認め、これは一般炭鉱でございましても、なかなか事業計画を作るのにはそれぞれ非常な研究と努力と手数を要するのでありますが、そうして届出たものが單に石炭局長の要するに意見によつてそれを変更せい、そういうようなことを言われた場合は、本当に私はどうしてもかねがね心配しておるいわゆる官僚統制の弊に陷るということがないということを、この條項からして、特にその感を深くするのでございますが、その辺の御見解はいかがでございましようか。
#256
○政府委員(平井富三郎君) この計画は一般炭鉱につきましては監査が主になるのでありますが、一つの國の計画といたしまして、今年度は三千万トン、或いは明年度は三千三百万トン計画を実施して行くという場合におきまして、企業主の立てまする事業計画が非常にティミッドであるというような場合、或いは非常に樂観的な、取れもせん資材を予想しておるということが明瞭なような場合におきまして、必要な是正を行おうということがありまして、それ自体につきましての必要性は、この指定炭鉱といたしまする数、その他にも関聯して参りまするが、やはり三千三百万トン達成には、全炭鉱の生産計画というものを適正なところへ持つて行くということが窮極の狙いであり、必要であろうかと考えるのでありますが、そのためにこの変更命令の條章があるわけであります。從つてこれが一つの官僚的な運営にならんというがためには、結局石炭局長及び石炭局の構成員につきまして、いわゆる官僚統制の弊に陷らんというような用意をいたしますると共に、地方炭鉱管理委員会に諮るということにいたしまして、その石炭局の管轄区域内にありまする炭鉱の事業主及び労働者の代表者を主体といたします炭鉱管理委員会に諮つて、これを行うということにいたしまするので、單に一局長の一判断ということだけでこれが行われるとか、又從來のいわゆる官僚統制というような弊には陷らないのではないかというふうに考えておる次第であります。
#257
○堀末治君 それではもつ一つお尋ねしますが、いわゆるこれによつて必ず官僚統制の弊に陷らないように運営して頂くことを特に希望いたして置きます。
 続いてお尋ね申上げたいのは、この細かい字で書いてありますが、「事業主は、前項の命令が著しく不当であると認めるときには、商工大臣に対して不服の申立をすることができる。」こういう條項がございますのですが、これにはなにも不服を申立てる期間を明示してないのでございますが、こんなことも考えられるのであります。例えばそこの炭鉱が、今度の四半期で以て三千トン掘る、政府がまあ三千五百トンやれということで、一遍命ぜられましたが、三千五百トンやろうと思つてやつておる。どうもできそうもなくなつてから、この不服を申立てるということがあり得ると私思うのでありますが、こういう不服を申立てるということの間に期間を置くということが、この條項をして本当に有効ならしめるのじやないか。私こう思うのでありますが、いかがでございましようか。
#258
○政府委員(平井富三郎君) この不服の申立は、今御指摘になりましたように、計画遂行上、そういう疑問も非常に不当な事態に立ち到つたというような点も起り得るかと存じますが、この一般炭鉱につきましては、事業主が計画を設定いたしまして、石炭局長に提出いたすわけであります。從つてそれに対しまして、変更の命令がありました場合におきましては、事業主といたましては、直ちにこの変更の計画というものが、不当なものであるかどうかという判断が、大体直ぐ付き得るものと考えますので、殊に期間を設けず、不服と認めたときには、いつでも不服の申立をできるというようにいたした次第であります。
#259
○堀末治君 極く短い期間であれば結構です。一四半期ぐらいの計画でしたら、まだ結構でございますが、例えば一年中の予定計画を立て、それを政府から変更を命ぜられる。これは少し無理だが、まあなんとか一つやつて見ようと思つたはよいが、そうこうしておる内に、半年経ち、九ケ月経つて、どうもできそうもなくなつた。できなくなつたという見通しがついた時に、不服を申立てる。こういうことも必ずあり得と思うのです。さようなことでございますから、本当に業者をして責任を持つてやらせようというのであれば、私どうしても不服の申立期間を明示して置く必要がある。同時に又それによつて政府の責任も非常に明確になつて來る。出した命令は決して架空な命令でないのだ。必ず業者もやらなければならない、やらせなければならんのだということになると思うのです。從つて私思うのに、ここらへ持つて行つて、政府の責任も何とか明示して置く必要があるのじやないか、一方には不服の申立もやることができる以上には、若しもその不服の申立をしたのが、完全に資材なりなんなりが得られなくなつたというときにおいて、当然政府がその責任を負わなければならない、私かように思うのでありますが、両々相持つて、ここに若しも計画遂行のために、政府が当然約束したものを、約束通り履行できなかつたというものに対しては、要するに政府も同じく処罰を受けるというような、平等な取決めをして置く必要があると思ますが、いかがでありますか。
#260
○政府委員(平井富三郎君) 最初の第一点でありますが、計画の変更は毎四半期の期間のみに限定しております。年間の分は、予定計画というものがありまして、これは年間の見通しを立てる。現在の状況においては、事業主においてもそうでありますし、又それを受取つた場合においても、一應事業主の考えている年間の見通しということを取つておりますので、これに対しては、計画の変更ということは認めておりません。從つて四半期毎の計画について起り得るので、大体期間を決める必要もないというように考えておるのであります。
 それから資金、資材の入手につきまして、それができなかつた場合において計画を立てたということは、それによつて事業主が罰則を受けるということはございませんので、その場合政府のいわゆる資金、資材の斡旋の仕方というものにつきまして、更に努力することは当然であり、又それに非常な過失があつたり、なにがあつたという場合においては、勿論行政上の監察等におきまして、十分対処し得るのではないかと考えております。
#261
○岩木哲夫君 ほんの一点でありますが、お尋ねいたしたいと思いますが、事業主が事業計画を立てることには、指定炭鉱の場合には、局長が凡そその基準等について、原案を管理委員会に諮つて指示するようになつておるようでありますが、これは即ち政府の資金、資材その他各般の情勢が、石炭局長、政府の意図するところが、事業主に事前に齎らされますから、指定炭鉱の場合には、事業計画なり、予定計画が事業主には立て易いが、一般炭鉱の場合には、事業計画を立てて、当局へ出す場合には、これに反して、資金、資材その他の程度、どのようなものをいつどの程度でくれるか、或いはどう助成して貰えるかといつたような点が、聞きに行けば分るのでありますが、分らんのであります。これについては、運轉資金特別措置法でありますとか、非常増要綱とかいうようなものが物を言うと思うのでありますが、一般炭鉱が、その事業主が事業計画をする事前のこうした連絡とか、或いはその実情を掴むということは、それはどういう方法で政府がやるかをお尋ねいたします。
#262
○政府委員(平井富三郎君) 第五條の運用につきまして。予め生産計画を設定するに必要な資料を指示しないという点について、先程藤井委員の御質問に対して申上げた通りでありまして、全炭鉱の生産計画に必要な、具体的な資料というものを、この法律施行当初から指示するということにつきましても、いろいろ問題がありましようし、結局これは或る一定の期間運用して参りますれば、予め指示し得るような運用でも勿論これは行くのでありますが、法律的には、指定炭鉱は、何を申しましても、そう沢山の炭鉱が第一回から指定されるということはないのでありまして、そういう技術的な面からも違つて参りますし、第五條の狙いは、同時にそれによつて、炭鉱側の希望する資材、資金というものを、状況を石炭局として呑み込むというなにがあるので、特に第五條の計画については、予め生産計画設定のいろいろの諸資材を法律の規定の適用として指示するということはいたしませなかつたのでありまして、その事情は御了承願えるものと思います。
#263
○岩木哲夫君 大体政府委員の説明で了承いたしました。
 次に、この管理委員会でありますが、この管理委員会の項目でもお尋ねいたしたいと思いますが、ここに出ておりますから関聯してお尋ねいたしたいと思いますが、管理委員会というのは諮問機関だとおつしやつておられたのでありますが、この諮問の形式と申しますか、最後に石炭局長が決定する様式というものは、やはり多数の意見がある場合に、その諮問の要点とする点を局長が多数の意見を尊重するのか、少数の場合でもそれを取上げる場合があるのか、その点はどのような諮問の様式を使いますか。
#264
○委員長(稻垣平太郎君) 岩木委員、それは炭鉱管理委員会の節にお譲り願つたらどうでございましようか。今この第二章だけの質疑をやつておりますから……。
#265
○岩木哲夫君 そうですか。それじやそれを略しまして、もう一点だけお尋ね申上げますが、炭鉱の事業主は商工大臣の許可がなければその経営する石炭鉱業の全部とか一部とかというものを廃止とか休止してはならんということでありますので、これは許可する場合は管理委員会に諮るとなつておりますが、許可しない場合にどうしますか、お尋ねいたします。
#266
○政府委員(平井富三郎君) この許可しないという場合におきまして、商工省といたしましてはその休止する理由が相当何といいますか、する必要がないというように考えました場合に不許可にいたすのでありまして、大体の場合においてこの一部を廃止、休止という場合の理由如何によつてこの許否が決定されるのでありますが、事業上廃止又は休止さしてしまうということが重大な問題でありますので、その許可をしようとするときには、炭鉱管理委員会に諮らねばならないというようにいたした次第であります。
#267
○岩木哲夫君 許可する場合には只今政府委員の説明の通りであります。私が伺わんとする場合は、許可しない場合にはどういう方法を講じますかということを重ねてお伺いいたします。
#268
○政府委員(平井富三郎君) この法律を文字通り読みますれば、不許可の場合には諮らないでもよろしい、こういうことになるわけです。
#269
○岩木哲夫君 そうすると事業主が石炭鉱業の全部又は一部を廃止又は休止しようとする場合に、その許可をうる場合は委員会に諮らなければならんが、そうしない場合には諮らないでもいいということになりますと、これは通常生ずべき損失に対して政府が責任を完全に負うということでありましようか、どうでしようか。
#270
○政府委員(平井富三郎君) この十條の廃休止の許可につきましては補償の問題がございません。この法律の規定により命令又は指示がありました事項につきまして補償をいたすのでありまして、この第十條の許可ということにつきましてこれを許可しなかつた、或いは許可したということのために起つた損失というものは補償いたしません。そこで次に直ちに問題になりますのは、どうしてもこの山の経営を行なつて行きます上におきまして経営者としては経営難、どうしてもやりきれない、從つてこれを中断して行きたいというような場合が出て來ると思います。仮にその炭鉱が非常に特殊な優良炭質であり、又どうしても石炭事業の関係からこれを掘つて行かなければならないというような場合におきましての措置というものは、個々の命令或いは指示に基く損失に対する補償という制度ではなく、炭價の面において又経営自体の持つて行き方、例えばそれは他の炭鉱と合併して操業をして行く、或いは國においてこれを引受ける、こういうような方法を今後考えて、或いは復興公團等に経営の始末をさせるとか各種のそういう全般的な措置を取るということに相成りますので、この第十條の規定につきましては補償の規定は設けなかつた次第であります。
#271
○岩木哲夫君 只今政府委員の御説明のような工合でありますれば、当然ここに商工大臣は前項の可否を決めようという場合には、炭鉱管理委員会に諮らなければならんという字句が適当であろうと思うのですが、許可する場合には諮る。許可しない場合には必要ない。こういうお話だと、段々の只今の局長の御説明は、即ち可否を決する場合には諮らなければならんという意味を裏書しておるものと思いますが、これは許可する場合のみを限定して否決する場合、そう認めないという場合の字句が現われていないということはどうもおかしいわけでありますが、これは当然可否を決める場合にはということが正しいのではありませんか、お伺いします、
#272
○政府委員(平井富三郎君) それは衆議院でこの問題についての取扱方を御説明申上げたのでありますが、この許可、休止というものの一般的基準は、この管理法を運用して行きまする重要な事項といたしまして許可基準につきまして、予めその管理委員会に諮つて決めておく次第であります。その許可基準に從つて商工大臣が指図して行く。その場合に許可をいたしまして、事業上廃止してしもう、或いは休止してしもうということが生産上に相当の問題を起すという場合には炭鉱管理委員会の議に諮らなければならんということを特に附加えた次第でありまして、只今の御発言のようないわゆる廃休止の一般的基準は重要な事項でありますので、予め炭鉱管理委員会の議に諮るのでありますので、事業廃止休によつて、生産がストップするというような場合の特に必要なる事項として衆議院で附加えた次第でありまして、一般基準を書きますれば、いわゆる許可の可否を決せんとするときはというところまで書く必要もない。かように解釈いたした次第であります。
#273
○岩木哲夫君 只今の御説明により、基準を決めて置くのだつたら、ちやんと明文があるのですから敢えて諮る必要がないのでありまして、諮るゆえんはこれを認可しようか、拒否しようかということだから諮るゆえんがあるのであつて、基準を決めるのであれば明文で明らかで、事業主はこの基準であるからこれはあかんのだ、あくのだということは判然とするのであります。基準があればよいのでありまして、その点にやはり疑問があるからこの委員会に諮るゆえんがあるのでありますから、これは可否というのが正しいのではないかと私はどうしても解釈しますが、政府はどうしてもこれをそうでないとお考えになりますか。
#274
○政府委員(平井富三郎君) つまり私の申上げるのは、許可の一般基準は重要な事項でありますので、明文を待たず管理委員会の章で搾つてございますので、それによつて当然許可の基準が決定される。但し許可をするということは操業上休止さしてしもう。いわゆる生産面から姿を消してしもうということでございますので、その点について特に愼重な取扱をいたすという意味の規定である。かように解釈してあるのであります。
#275
○岩木哲夫君 どうも政府の御説明は了得できませんが、私はこれを以ちまして質問を打切ります。
#276
○入交太藏君 この第九條でありますが、第九條に監査に基き必要があると認めるときには監督上必要なる命令をすることができる。こうありまするが、この命令というのはどういう内容のものでございましようか、これを或る程度具体的に例を挙げて御説明願いたいと思います。
#277
○政府委員(平井富三郎君) 第九條の監督命令でありますが、この法律は從來の規定の仕方と異なりまして、二つ制限を置いてあるわけであります。これは今御指摘になりました「報告又は監査に基き必要があると認めるとき」、こういたしまして、從來の立法例は行きなり監督命令が飛出すというような書き方でありましたけれども、特に報告を徴し又は必要なことは監査をした上で、事態をはつきりさせてから、必要があると認めたときに監督上の命令を出す。更に又この際管理委員会に諮つてこれを出すというふうにいたしておるのでありまして、次に監督上必要な命令という意味は、積極的にこの新鉱をやれとか、或いは設備をどうせよというような積極的な命令ではございませんので、この前の第八條の監査の條文にございますように、例えば資金、資材というものがその目途といたしたところに使われなくて、横流しされたという場合に、そういうことを改めさせるという意味でありまして、いわゆる消極的な意味の命令であります。設備の拡張の指示とかいうような積極的な命令は、指定炭鉱のみに限られておるものでありまして、そういう二つの制限というものを持つた規定であります。
#278
○入交太藏君 そうすると、今の御答弁によりますと、第八條での監査、檢査の結果によつて起る命令でございますか。
#279
○政府委員(平井富三郎君) それを法律的な要件にいたしておりまして、報告を求め、或いは監査をいたしまして、寸分事実をはつきりさせました上で命令が出るという運用になるわけでございます。
#280
○入交太藏君 それから次に第十條でございまするが、先刻段々他の委員からも質問がございましたが、この「石炭鉱業の全部又は一部を廃止し、又は休止」という問題でありまするが、この石炭鉱業というのはその炭鉱の全体を指したものでありますか。それとも一部というのは、その炭鉱内にありまする各事業場が分れておりますので、そういう点も或いは休止し、或いは始める、要するに作業の変更というようなことは、これは時々あるわけでありまするが、そういうものまで及んでおりますものか、それとも又鉱所全体を指しますものでありますか、それを伺いたいと思います。
#281
○政府委員(平井富三郎君) ここに「石炭鉱業」とあります意味は廣い意味でございます。從つて例えば三菱鉱業が北海道と九州に炭鉱を持つという場合に、北海道の炭鉱を全部休むという場合も、やはり石炭鉱業の一部と、こう読めるのであります。それから甲という事業者が九州において一つの炭鉱を経営しておるという場合に、それを全部休む場合は問題はありませんが、第一坑、第二坑、第三坑とある、その第一坑を長期に亘つて休止をして行くという場合においては、それも石炭鉱業の一部と考えられる次第でございます。但し作業上の都合でこれを一時休止するとかいうような問題は、すでに作業計画の方に出て來る問題でありまして、ここで休止、廃止といいますのは、廃止は勿論はつきりしておりますが、休止につきましても相当の期間、いわゆる生産計画に相当の影響のある休止というように解釈しております。
#282
○入交太藏君 今の御説明によりまして大体分りましたが、ただ炭鉱事業場内部の変更は、これは時々これを一々許可を得なければならんといつたようなことは非常に煩瑣に堪えないのじやないか、こう考えましたけれども、今の御説明で分りました次第であります。尚この五條にあります作業計画のことでございますが、これは段々先刻來御質問がありましたが、その炭鉱経営につきましての事業計画は、この四半期毎の事業計画も作成しますけれども、これは極く小さいことになりまして、ここに増産をするがための大きな計画をいたしますためには、相当長期に亘りまする計画をなすことが多いのであります。從いまして長期に亘りますことと、それからそれに対しまする資材、資金という面が揃いませねば、到底この計画は立たないわけでありますので、この計画を立てますにつきましては、相当大きな資金、資材が入用であるのであります。つきましては、この点につきまして政府とされまして、十分な御予定なり、御準備があられることかと思いますが、この点につきましての、政府の準備につきましてのお考えを伺いたいことと、尚この資材、資金の点がこの計画を立てます増産につきましての私は一番の要件だと考えますので、是非共、こういう條件は段段先般來委員からの質問によりましての御答弁によりますと、十分その点は用意があるとは申されますけれども、でき得べくんば、私共はその資金、資材の助成の点をはつきりと條項に謳つて頂ければ、非常に増産の点につきましては助成になると、こう考えるのであります。この点につきましての御所見を承わりたいと思います。
#283
○政府委員(平井富三郎君) 炭鉱の事業計画なり長期の計画を基礎にして決定されます関係上、やはり全般の資金、費材等の見通しを以ちまして、初めて具体的な正確な計画ができるという点は誠におつしやる通りであろうと考えます。從いまして政府といたしましても三千三百万トンと明年度の計画を決定いたしまして、それに必要なる資金、資材というものの供給確保につきまして、安定本部とも折衝を続けておる次第であります。安定本部におきましても、三千三百万トンの計画はこれを必ず達成するという建前の下に、安本としての資材の計画等も現在檢討を進めておる次第であります。必要なる資材はこれを確保するという決意を以て、現在関係各廳において協協議が進められておる状況であります。從いましてこれらの見通しがつきますれば、これは直ちにこれを更に地区別に分けて行きまして、各炭鉱の事業計画の設定にこれを一日も早く御連絡をいたして、計画設定を適正ならしめるように考えておる次第であります。
#284
○入交太藏君 資金、資材につきましての御答弁でございましたが、私はこの点が増産に対しまする業者としましての計画上の資金、資材の面が第一だと考えますので、この法案を以て増産に充てられるならば、私は是非共この点をはつきり條項に謳つて頂きたい。こう思うのでございます。それとこの問題に関聯しまして、先刻堀委員からも触れられましたが、計画を立てまして、これを進めますにつきましては、相当長期に亘りますので、この予定が資金、資材その他の関係によりまして変更を命ぜられるということになりますと、そこに非常に計画が違いますので、その事業主としまして非常に損失を蒙むりますし、又計画が齟齬をいたします関係からいたしまして、増産に対しまする非常なこれは障害になると考えるのでございます。この点につきましては、これは要するに管理されまする政府の責任になると考えるのでございますが、こういう点につきましてのお考えを伺いたいと思います。
#285
○政府委員(平井富三郎君) 管理法自体は、前委員会においてもしばしば申上げましたように、要するに資金、資材の面につきますれば、この管理の実施によりまして適正な計画をこれによつて設定し、同時にその現物化を図つて行くということにこの法律の目的がございますので、その点は第一條において包括的に入つておる次第であります。ただこの法律に必要なる資金は充足すベしという趣旨の規定は、法律の規定としてはむしろ從來の例から見ましても不適当ではないかということで、法律の目的及び第一條の具体的な書き方において十分その趣旨は盡されるものというふうに考えるのであります。それから計画の変更の点でありますが、これも突如として計画の変更がすぼんと事業者に行くということは、從來の例から行きましても、そういうようなやり方は考えられないのでありまして、事業主から計画の提出がありますれば、事前に事業主と十分に懇談をして、お互の納得ずくで計画を変更する必要があれば変更して行くということが恐らく普通のやり方であろう、普通の運用上の問題であろうと思いまして、ただその場合におきまして、事業主と石炭局長との間にどうしても了解がつかんというように、而もその変更の個所が重大であります場合におきまして、炭鉱管理委員会に諮つて、その地区丙おける各業者及び労働者の意見を聞きました後変更の命令が出るのでありまして、いわゆる事業計画を変更し、知らん間に直ちに変更命令が飛び出して來るというようなことは、運用上考えられない次第でございまして、そういうことのために事業主に非常な迷惑をかけるということは、運用上予想しておらないところでありますし、又そういうことは万々しないように運用して参るつもりでございます。
#286
○平岡市三君 第六條についての質問でございますが、「事業計画の実施の責に任ずる。」と書いてありますが、この実施の責に任ずるというのは、どういう意味でございましようか。道徳的責任を問うという單なる意味でありましようか、それとも何か特別の形式で以て責任を問う、こういう意味でしようか、ちよつとその点をお伺いしたいと思います。
#287
○政府委員(平井富三郎君) 第六條は、指定炭鉱の場合におきます炭鉱管理者が、実施の責に任ずるという規定と、一部照應した点もございまして、これは一つの宣言的意味でありまして、一つの事業主としては、その事業計画の実施の責に任じていわゆる生産達成に全力を盡して行くべきであるという趣旨を關明したに止まつております。
#288
○平岡市三君 次に第八條でございますが、八條の二行目に、「生産拡充用の資金及び資材」この特別な言葉をお使いになつておりますが、拡充用の資金、資材という言葉があるとするならば、その反面に通常用の資金、資材或いは経常用の資金、資材、こういうものがあり得ると思うのでございますが、その二つのものがあり得るとしたらどういうふうな区別見解をお持ちになつておりますか、その点を……。
#289
○政府委員(平井富三郎君) これはこの條項のあとで、「生産の状況並びに拡充工事の達成状況」というふうな文字がございまして、それを引つ括めまして、生産拡充用、こういたしたのでありまして、いわゆる生産拡充という言葉が、後段に出て参りまする拡充工事という意味を受けての意味ではなくて、いわゆる生産を達成して行きます上の資金、資材ということでありまして、運轉資金及び企業資金両者も含む、資材につきましても同様である、こういうふうに解釈しております。
#290
○平岡市三君 ちよつと今の御説明が私にぴんと來ませんのでございますが、炭鉱におきまして平常の生産を行なつて行く場合には、通常これだけの資金、資材が要る、それ以上の生産をするためにはこれこれの資金、資材が要る、こういう意味ではございませんのでしようか。ただ單に生産用の資金、資材という、こういう意味でございましようか。
#291
○政府委員(平井富三郎君) これは両者を含めまして生産拡充用、こういたしたのでありまして、いわゆる拡充だけが生産拡充ではないのでありまして、一つの増産計画を立てまして、今月一万トン、來月一万一千トンというように生産を増して参りますることは、一つの生産拡充であり、そういう意味で解釈しておる次第であります。
#292
○平岡市三君 それでありますならば、何も拡充用というような言葉を使わずに資金、資材の使途、生産状況及び工事の達成状況に関して監督をする、こういうふうにお書きになれば十分と思いますが、いかがでございましようか。却てこの書き方によつていろいろの疑念を起して、特に生産拡充用、特別の経常用以上のものだけは監査を受けるが、それ以外のものは経常用のものは監査を受けなくてよいのじやないか、こういうような疑いを却て持たれ易いと、こう考えるのでありますが、いかがでございましようか。
#293
○政府委員(平井富三郎君) 御指摘のように、ただ資金、資材と書きましても、それで十分だとおつしやる点も一つの立派な御意見だと私共考えます。併し衆議院におきまして、生産拡充用といたしました意味は、別に拡充工事に必要な資金、資材というものに限定する意味ではないということも、提案者としてもはつきりいたしておりますし、從來私共が生産拡充と言いました場合におきまして、いわゆる拡充工事ということのみに限定しておるということも考えておりませんので、この字句の使い方といたしまして、生産拡充用、こう言いますれば、いわゆる生産用、もう少し廣く考えますれば生産用というふうに書くのでありますが、このあとの生産の状況、拡充工事の達成状況、こう廣く細かく書き分けておる関係上、上の方も單に生産用とすることもどうかという点で一緒にくつ附けたような、生産拡充用というような用語になつたわけでありまして、私共といたしましては、法律の運用上そういうふうに当然読めまするし、同時に從來の生産拡充という意味から言いまして、廣い意味の、いわゆる廣い意味と申しますか、狭い意味の拡充工事に限定されるものでないというように十分解釈できますので、そのままの文字を取つて、十分運用できるのではないかというように考えておる次第であります。
#294
○平岡市三君 大体その監査という定義からいたしますれば、すべての、即ち大臣が申されました通りに、企業の実態を把握するのだ、こういう意味に解しますれば、監査というものは決して一部の監査ではなくして、すべての資金、資材全体の監査をすべきが当然でありまするから、これは資金、資材と申しますれば、それで沢山だろうと思うのであります。まあその点はいい加減にいたしまして、次に「業務の状況に関し必要な報告をさせ、」こういうふうにありますが、そのときに石炭廳長官又は石炭局長が、これを行うことになつておるのですが、この場合に、石炭廳長官と石炭局長の両者に報告をしなくちやならんのでしようか、それとも両者の一方だけに報告しなくちやならんことになりましようか、その意味をちよつと承わりたい。
#295
○政府委員(平井富三郎君) これはこの法律といたしましては、石炭廳長官も報告を徴し、監査もし得るという権限だけを規定いたした次第でありまして、この法規の條項が実際に適用される場合におきましては、石炭局長というものが主体になりまして、各管内から報告を徴し、監査をさせるということに相成るわけであります。その際、石炭廳からも関係官がこれに参加するという場合におきましては、石炭廳長官が監査をさしたということになる一つの権限だけをここにはつきりさした、両者が報告を徴し、監査ができるという権限だけをはつきりさしたのでありまして、この條項の運用においては、今申上げましたように、石炭局長が主体になり、計画的に報告を徴し、監査を行う、從つて同一の事項について、石炭廳長官からも報告も求められる、又石炭局長からも報告を求められるということは運用上十分これは避くべきものであり、又避けて行くつもりで運用して参りたいと考えております。
#296
○平岡市三君 石炭廳長官と石炭局長の間に権限の区別又は差異があつて、結局聽取するところの報告もおのずからそれによつて違う、こういう意味でありましようか、それともそういうようなことでなく、必要に應じて両者共同一のものを聽取することもあるし、或いは違つたものを聽取することもある。こういうふうなお考えでしようか。
#297
○政府委員(平井富三郎君) 御指摘のような場合も、第一の場合もあると存じます。直接石炭廳長官の権限に属する事項について報告を徴する、或いは監査をするということもあるわけでありますが、この管理の運用に当つては、何と申しましても石炭局長というものが、いわゆる現場と直結した機関でございますので、石炭局長が中心になり、報告を徴し、監査を行なつて行くという運用に相成るかと考えます。
#298
○堀末治君 私第一に、第六條でお尋ね申上げたいのでございますが、この席上でたびたび政府から、商工大臣からお話がございましたので、この法案は政府と業者と労務者、これが三位一体になつてやらなければならない、かようなことで聞かされておるのでございますが、私はその三位一本になつてやるということは、三者が平等の立場に立つてやる、こういうふうに実は考えるのであります。先刻も申した生産協議会、いわゆる労資が平等の立場において経営協議会なるものは行われる、おのおのその分を守るけれども、常に平等の立場で、こういうふうにいわれるのであります。從つてどうしても私この法案を本当に三位一体で遂行するためには、三者の間が常に平等でなければならない、私はかように思うのでありますが、然るにこの法案には「政府の監督に從い」、こういうことになつておる、私この「監即に從い」ということでは、三位一体という今までのお話の精神が悉く抜けておるのではないか、私この三位一体になれば、監督するというようなことでなく、三位一体だという、平等の立場という表現がなければならない、かように思うのであります。先般來たびたび私申すのでありますが、どうしてもこの法案には、いわゆる官僚統制の臭いが抜けないということを、私強調いたしておるのでございままるが、ここにもこういう言葉が出るのであります。私どうしてもこれは三位一体という精神に背くと思いますが、いかがでございましようか。
#299
○國務大臣(水谷長三郎君) 三位一体の協力体制ということは、少しも変りません。件し政府と申しますか、國家というものが経営者並びに労働者より一段高いところに立つて、それで三位一体ができないという理窟は私は理解するわけには行かないと思うのであります。例えば夫婦の間はこれは両方の車のようなものであるとかいろいろ皆形容詞で申します。併しながら日本の家庭生活においては、夫と妻というものは旧憲法の下においてはそれ相当の差別があつた、その場合においてそれが夫婦が協力しておらないということは言えないのと一緒であります。堀さんのいうのは、惡平等主義の上に立たれた議論でありまして、私は承服するわけには行きません。
#300
○堀末治君 どうも水谷大臣から惡平等などというて彌次られたのでありますが、併し私どうも少し私の考え方は違つておるか知れませんが、今あなたは旧憲法における日本の夫婦の問題をお出しになつたのであります。併しその憲法が改められて、要するに男女が平等になつて、併し今までの憲法あるが故に、夫婦はそういう態度を採つたのではなくして、それは長い間の日本の習慣でございます。國柄の風とでもいう方が本当でございましようが、それについて今度は平等の立場ということをはつきりと憲法に決められて、憲法に決められても恐らく日本の道徳観から言えば、あなたが今おつしやつたような立場で行くことだろうと私かように存じます。併し要するにこれらの仕事は、そういう道徳観に立つべきものならば、私道徳観に立つということを明記する必要がある、今平井局長のおつしやるのには、これはいわゆる宣言だ、宣言である以上には、私はどうしても三位一体であるという宣言がなければならん。業者はその責に任ずる。業者に持つて行つて、責に任ずるという非常にきつい言葉を持つて行つて、而も「政府の監督に從い」、私はむしろこれは業者が責に任ずると同時に、政府もこれに対して十分なる協力、助成をするというように定める方が、私はこの法案は本当じやないか、今までの御説明から言えばどうしてもそれでなければならん、私は業者であるならば、非常に屈辱を感ずるものであります。或いはこれは非常に間違つた考えか知れませんが、本当にこれをして増産に三位一体で協力するのだということになつたならば、政府が一段上に立つて「コラ」というような、要するに見識張つた字句をここに用いるということは、私は非常に間違つておる、かように思うのであります。從つて私は特にこれを申すのでありますが、恐らくこれは幾ら申しても切りがなくて、見解の相違或いはお前は惡平等と言われてしまえばそれ切りでありますから、これはもうこれ切り申しません。併し私が業者であつたら必ず屈辱を感ずる、まあそれだけ申上げて次に移ります。
 そうして今度はその「政府」というと、一体何の機関をここでは指すのか、すべてが石炭局長或いは石炭廳、商工大臣、こうなつて來たのに持つて行つて、ここに來て「政府」という言葉が現れて、事業の遂行の上において他の官廳から、一体ここに持つて來てどういう監督を受けなければならんか、労働行政は労働者でやりましよう。その外治安その他の関係においては檢察廳とかその他がやるのであつて、事業を遂行する、石炭を掘るということに至つては、他の官廳の干渉は絶対何も要らない、監督は何も要らないと私は思う。要するに商工大臣乃至は石炭廳長官を相手にしてやればいいと思うのでありますが、それを政府と特にここへ持つて來たゆえんは、どういうことでございますか。
#301
○政府委員(平井富三郎君) ここに政府と書きましたのは、商工大臣或いは石炭廳長官というような、商工省にいたしましても、中央官廳と地方官廳とあるわけであります。それを引つ括めまして政府といたしたのであります。尚政府といたしました理由の第二といたしましては、食糧の確保という点については、これは農林大臣が責任を以て食糧を確保するということに相成りますので、政府という一つの大きな表現を以てこれに代えた次第でございます。
#302
○堀末治君 食糧の確保、それは固よりそうでございますが、食糧は確保して、今言つた通り加配をしてやるわけでありますから、当然それは商工大臣の監督でよかろう、殊に今度、今日も新聞に出たのでありますが、要するに生産の量によつて加配米を殖やすとか、減らすとかいうようなことに、今度の調査班によつて恐らく考えられると私は思うのでありますが、そうすると今言つたような方の監督は農林省がやる、こういうふうな形になると思うのであります。私はそうすれば要するに頗る煩雜になると思うのであります。そういうものを一本に纏めるというのが本当じやなかろうか、私はかように思うのでありますから、要するにどこまでも「監督」ということを入れなければならないというのならば、むしろ「商工大臣の監督に從い」という方が妥当だと思うのでありますが、いかがでございましようか。
#303
○政府委員(平井富三郎君) 只今御説明がまずかつた点もあるのでありますが、例えば労働関係につきましは、労働大臣が監督するのでありまして、生産に関しましては勿論商工大臣、生産増強という立場から、労働問題の処理解決を図つて行くという点につきまして、労働省との間に十分な協議或いは要求等をいたして参るのは当然でありますが、労働基準法の施行ということを考えましても、やはりこれは労働大臣がこれを行うというふうに法律で決められておりますので、特にそういう点も考憲いたしまして、特に商工大臣及び石炭局長或いは石炭廳長官というような具体的な列挙主義を採らずに、政府というふうな包括的な文字を使つた次第であります。
#304
○堀末治君 局長の御答弁はよく分りますけれども、併し労働問題、労働に関係するのは労働省がやる、これは決まつておるのです。何も特にこの條文にわざわざ決めなくても、これは労働関係のことは、全部労働大臣が取扱う、こういうことに決まつておるわけであります。要するにこれは石炭を堀るということ、計画の実施に任ずるということであるならば、私は何も労働大臣が飛出して來たり農林大臣が飛出して來る必要はない、当然商工大臣でいいと私は思うのです。又固より商工大臣がこの法律の施行に対して全責任を負わなければならんとたびたびおつしやつておるのですから、私ここで政府などと言つて、二重三重の、増産そのものに対しては、他の官廳から要らざる干渉の必要はないと私は思う。商工大臣乃至は今言われた通り商工大臣の出店の石炭局長、それだけで沢山、而も現場について石炭を掘り出すということでありますから、或いは基準法に背くとか、或いは今言つた通り爭議をするということになれば、それは当然労働大臣の畑に入りましようけれども、石炭を掘るという事業を計画するということになつて來れば、私は何も他の官廳のお世話は要らない、私はどうしてもさように存じますが、間違つておりましようか。
#305
○政府委員(平井富三郎君) 今おつしやるような解釈を十分成立ち得ると思いますが、この「監督に從い」ということは、要するに事業計画の実施の責に任ずるということに照應いたしまして、一般炭鉱が政府のいわゆる管理にあるという意味の政府というものに照應いたしまして、「政府の監督に從い」、こうしたのでありまして、特定の事業について指示或いは命令をいたすという場合には、商工大臣というようにはつきり限定、或いは主務大臣というように限定しておりますが、この法律の見方といたしましては、やはり政府というような抽象的な書き方の方が適当ではないかというふうに考えている点及び先程も申上げましたこれは見解の相違になるかも知れませんが、そういうような商工大臣というふうに限定するよりも、今申上げたような例もございますので、政府という漠然とした書方の方が適当じやないか、この二つの理由によつて政府という字句を使つた次第であります。
#306
○堀末治君 話は分りましたが、そこらえ行くとどうしても見解の相違でありますから、これ以上長くなつても徒らに時間を費やすだけでありますから、これで止めます。併し責に任ずるという言葉でございますが、責に任ずるというのはどうも私強過ぎると思うのです。又内容的に少し不明瞭ではないかと思う。そんなことを思うのですが、要するに若しもいけなかつたりした場合にはどうするか、責に任ずるという強い言葉を使つてあると、若しも計画がいかなかつた場合はどうなるかということも心配になる。要するに業者としては必ず心配を持つと思うがいかがでございましようか。
#307
○政府委員(平井富三郎君) これは事業計画を実施する責といたしまして事業主としては計画を設定し、同時にその計画を実施して行く責任がある。これは單にいわゆる企業家としての一般的な責任ということも当然出て來る責任でありますが、同時に一般炭鉱につきましても、管理に入つておるという意味で、いわゆる國家管理の一つの体系上この事業計画の実施の責任者は事業主であるのだという点を明確にいたしたのでありまして、当然のことのようではございますが、一つの管理機構として考えました場合に、決められました計画の責任者は主体はそこに事業主が責任を負うのだという点を明確にいたしでのであります。
#308
○堀末治君 これは分りました。そうするとこのいわゆる事業計画が完全に計画通り遂行できなかつたという時には、何か処罰とかいう点はございますか。
#309
○政府委員(平井富三郎君) これは一つの生産責任でございますので、予定事業計画がその通り実現できなかつた時、直ちに法律上の罰則をここえ書くということは不適当であるというふうに考えまして、これはそういう一つの管理機構上における地位を闡明するということに止めてある次第であります。
#310
○堀末治君 そうするとこれによつて責任を問われるということはないのでありましようか。
#311
○政府委員(平井富三郎君) いわゆる司法上或いは行政上の罰金、或いは過料というような手段の責任の問い方はいたしておりません。
#312
○細川嘉六君 商工大臣にお聞きしたい。この第五條に言つておる事業計画、これは私共の見解では生産協議会が作成すべきであると思うのであります。これは余程考えが突飛なようでありますが、実際石炭管理案というものに持つて行かなければならなかつたのは、この前申上げましたように、現場において働いておる者が本当に総意総力を発揮するというのでなければならんというところからこの問題が起つて來ておるのである。詳しいことは申しませんが、現在炭鉱主というものは政府から百五十億台の金を注ぎ込んで貰つておいて、尚石炭も碌に掘れないという大騒ぎである。又昨日の委員会でも、今日お出でにならないが、川上嘉市君のごとき炭鉱の労働者は特別の手当を受けておるに拘わらず働かん。もつと労働強化をやつて長時間働かせなければならんということを述べられました。これは実際本当に労働者の働いておる状態を御覧になつておるかどうか、一つ例を申しますと、実際炭鉱夫というものは命を捧げて危ぶない作業をやつておるのである。長壁式前進法ということで石炭を掘つておるので、危なくて仕方がない。本來ならば長壁式後退法というもつと進歩した採掘をするのであります。それにも拘わらず今日日本の炭鉱というものは戰爭の中から今日にかけて危險な長壁前進式をやつておる。その他坑木が不足しておるとか、排水がうまく行つておらんとか、機械が磨滅しておるとか、こういうような状態で炭鉱夫というものは命を暴らして働いておる。そうして殊に労働組合の発達した……労働組合をここにおる委員諸君は余程お嫌いのようであるが、労働組合の発達しておる所は、実績上出炭量を殖やして來ておる。そういうようなわけで炭鉱の労働者というものは一生懸命になつて生産に努めておる。それにも拘わらず與えられるものはひどい。一度炭鉱内に入つて行つて働くと目方は約二キロぐらい減るものである。現に参議院、衆議院の鉱工本委員会の中からもこの夏炭鉱を視察なさつた、その報告は皆厚生施設が惡いということを一致して述べておられる。それでそういうような状態なのは、全く今日の資本家の炭鉱経営というものは成立つて行かん。やつて行けないことを現わしておるのである。そこで炭鉱の國管案が問題になつて來ておる根本問題は、炭鉱主は駄目だからもう一つの手は現場に働いておる者を本当に働かせる。こういう手より外ないといらところに來ておるのである。然るにこの國管案はもう原案ができる時に骨拔き、修正して又骨拔き、実際はこの案というものは、炭鉱側を、成立たない産業を更に成立たせるために、國民の財政の負担で何とかしてやろうという、誠に資本家擁護の案である。そうして今炭鉱國管案が問題になつて來ておる現状、私的炭鉱が成立たないから、その一つの手として勤労者の手による外ないのでここに來ておる。これが骨拔きである。問題は本当ならば五條においては、この事業計画というものは誰が立てる。これは現場におる者に立てさせる。そうして責任を持つて立ち上がらせる。これでなければなりません。それから殊に昨日の一般質問においては惡いのは皆労働者であるということになつて來ておる。その引合に細川委員が何とかいつたということまで言われた。板谷君はこういうことを言つた。北海道で石炭が出ないのは労働者が惡いのである。労働者を煽つておる奴は退職軍人である。それをやつておるのは共産党である。共産党を彈圧しなければ石炭は掘れないということを速記録について私は知りました。以ての外のことであります。或る方面では必密政府ということを発表した。これは何を発表したか、これは日本においてしつつこい反動主義の者が廣くはびこつておる。民主主義の完成を妨げておる。これを指摘しておる。それをもぢつて、共産党が秘密政府か、秘密工作かなんかやつておるように取られることを板谷君が言われた。板谷君がここにおらんことは誠に残念であるが、そういうことまで言つて、労働者側の本当のところを理解しようとしない。今日の勢力家たち、これは我が國の経済の根本である石炭の問題を論ずる資格がない。私は愼重審議この重大問題は討議さるべきであると思う。併しながらこの炭鉱國家管理案が出て來た。この重大なる時期を理解せずして、この問題は本当に合理的に解決されるでありましようか、民主党にしましても、経営と資本を分離しなければならんというようなことを公に言われた。修正資本主義はそういうことを本にしておるという意味でありましよう。社会党だつて経営と資本を分離しなければならん。そういう意氣込みで実際は炭鉱國管案を作ろうと一生懸命になつてやられた。尤もな次第であります。それでありますから、我々はこの第五條はもうすでにこの問題の解決は石炭の危機を突破する途は、この案では誠に不完全になつて來ておると言わなければならんのであります。
 それから第八條、第九條、これは先程來いろいろと疑問になさつておるが、炭業の状況に関して監査するという、これは規定の上では成るほど立派に監査するようになつておりますが、從來こういう規定の上でやつただけでは、本当の監査はできません。官吏とそれから企業家との結託というものについての醜聞はいろいろと傳つておる。物事は公でなければならん。殊に大資本を、國民の負担であるお金を注ぎ込んでおる以上、監査は單に報告をやつた、受取つたというだけでは駄目である。本当に報告或いは調査というものは公の目に暴さなければならん。そこに邪魔なことがないようにしなければならん。そういう組織或いは規定を作つてしなければ、この監査というものは役立たないと我々は考えます。もうここまで原案はできて來ておりまするが、商工大臣水谷君はここで一つ勇氣を奮つて元に還る氣はありませんか。
#313
○國務大臣(水谷長三郎君) 細川さんの御意見の元に還れというのは、原案に戻れというのでしようか。その原案もあなたは不満足だと言われるのでありますから、結局その元に還れということになると、私は社会党を辞めて共産党に入らなければならんというようなことになりまして、どこまで行くか分らないのですが、元に還れというのはどこに……どの法案を差して言われるのか伺います。原案に還れとおつしやるが……。
#314
○細川嘉六君 ちよつと言葉が足らなかつたが、実際は分つておることだと思うのですが、現場の勤労者を主体とした案に大体すべきである、実際重大問題でありますから、ここまで衆議院でやつさもつさひどい摩擦まで起してやつて來たことにしても、参議院ではここで正しい道に還るということの勇氣はあなたにないか、政府にないか、大事なことでありますからここであなたに申すわけであります。
#315
○國務大臣(水谷長三郎君) 政府といたしましては原案を提出したのでありますが、衆議院におきまして前に述べました大体五つの項目につきまして修正が行われました。併しその修正におきましても政府と現場との関係というものは企業を通すか通さないかという点でございまして、我々は運用の上におきまして十分に現場を修正案においても把握できるという考を以ちまして正修案に同意をしたような次第でございます。たとえて申上げますれば、蝶よ花よと六月てて來た子供が、いざという時に自動車事故で手足に大怪我をする。もうこんな大怪我をするならば親の立場として死んでしまえばいいというのも親の情であります。併しながらこういうような手足に大怪我をしても又一つこの子供を十分に育てて社会の御用に立てるというのも、これ亦親の情でありまして、私はあとの親の情を取りたいと思います。
#316
○細川嘉六君 私は水谷君のそういう比喩ではこの炭業問題は解決できない、今は日本の國は誠に瀕死の重態であります。この重態には重態に必要な藥が要る、政治には政策が要る。その政策を國民は待つておる。政治家としてなすべきことはお互社会階級、社会層の利害、それだけに眼を触れておつては國民は浮べません。この國民全体のためにはやはり我を捨てて日本が実際伸びられる方向へ方針を立てて進むということが大切だと思うのであります。今水谷君とこれを議論したつて片付かないが、こういう大きな本当に公の立場においてこの炭鉱の案が審議されることは非常に望ましい。私は本法の逐條審議において何が正しいか、この点を明らかにしたいと思うのであります。実際愼重審議するといつても、私の利益などに動かされておれば本当の愼重審議は効果はありません。本当に板谷君が共産党は破壞工作をやつておる、石炭増産の妨害をなしたと言われたような、そういう考えで以て各党の立場を見る、或いは共産党の立場を見る、或いは共産党の言うことを正当に見ないということは、これは怪しからん。お互に各党の立場を理解して、何が合理的な立場であるか、その正しいものに勇敢に飛び込んで行くのが政治家であると思うのであります。これ以上は又逐條のときに申すことにしまして……。
#317
○堀末治君 私ずつと逐條に持つて行つてお聽きしたいと思うのですが、第七條のこの「命令の定める」、この命令もこの間お示しになつた要綱に出ておりますでしようか。
#318
○政府委員(平井富三郎君) 一頁の裏の最初に出ております。
#319
○堀末治君 そうすると、この「事業計画の実施状況」というのと、二十一條の「指定炭鉱の業務計画の実施上」こうなつておりますが、これは内容はほぼ同じくらいの程度のものにお考えですか。
#320
○政府委員(平井富三郎君) 業務計画の事業計画よりもやや詳細なものに相成るのでありますが、それぞれの事業計画及び業務計画に應じました実施の状況の報告であります。
#321
○委員長(稻垣平太郎君) 第二章について何か外に御質疑が……。
#322
○小林英三君 議事の進行につきまして、今夜ずつともつとおやりになるのでしたら、この辺で休憩願いたいと思います。
#323
○委員長(稻垣平太郎君) いかがでしようか、このまま第二章をやつてすましたらどうかと思います。
#324
○委員長(稻垣平太郎君) どうぞ第二章についての質疑を御継続願います。
#325
○大屋晋三君 この二章を五條から後で伺いますが、総括的にこの普通炭鉱と指定炭鉱に対するこういう法規、監督、あらゆる点における大体のアイデアの相違を一つ大臣により政府委員、どちらでもよろしうございますから、概括的に一つお伺いいたしたいと思います。
#326
○政府委員(平井富三郎君) これは先程申上げましたように、一般炭鉱の管理につきましては、監査が主でございまして、監査に基きまして、その一般炭鉱の状況を把握し、同時に必要があります場合に、事業計画の変更或いは先程申上げましたような意味の監督上の命令を発するというのが一般炭鉱の管理の概要であります。指定炭鉱はいわゆる指定炭鉱の業務の運営につきまして、或いは生産協議会の設置及び炭鉱管理者制度と指定炭鉱の業務運営につきまして一つの組織を設置しております。それによつて運営をして行くということと、業務計画は石炭局長の指示によつてこれを最後に決定をいたし、事業主が案を決定し石炭局長の指示によつて動いて行く、つまり國と企業者、企業というものとの意見の合一点によつて計画が決定され、それが実施されて行く。從いましてそれに対する監督上の命令又は指示という点につきまして、先程申上げた一般炭鉱の消極面に限られるということよりも相当廣い意味で、命令なり、指示が出て行くというのが大体の本筋的な違いであります。
#327
○大屋晋三君 然らば平たく言うというと、一般炭鉱はいわゆる監査をする、どういうふうに仕事をやつておるか、それを俗に帳面を調べるとかいう観念で監査をやる。指定炭鉱は実体に入つて行く、こういうふうになつておるわけですが、そういうふうに了承してもいいわけですね。そこで一般炭鉱の監査ですが、この逐條にいろいろ盛つてあるのですが、大体において大綱的に考えて、どういう点を監査しようというのが狙いですか。
#328
○政府委員(平井富三郎君) 監査の要目につきましては、第八條の修正案におきましては、いわゆる資金、資材の使途或いは生産の状況並びに拡充工事の達成状況に関して監査するというので、具体的に大体挙げられておるわけであります。
#329
○大屋晋三君 先程のあなたの……私はまだここえ行くつもりはなかつたのでありますが、あなたから話があつたのでありますが、さつきのあなたの説明で、生産拡充用の資金及び資材、生産拡充というのは文章でこれは形容詞ですから、資金資材の上に特に生産拡充用という字を附ければ、これを或る程度制限するという観念になるので、この点に対する御説明はあつたのですが、又衆議院の修正案の提出論者の意見も、これが形容詞ではなくして、特に生産拡充用という言葉は、あなた方の石炭行政に携われる諸君が常に一般の形においてこれを使つておるから、強いてこの字を使つても、奇異な不思議なことはないというので、これを看過したのだというような、これでも間に合う、十分これで役に立つという御説明であつたのですが、これはなかなか法律の用語としてこういう字を用いるということは、今でこそこれくらい一生懸命に皆細を穿つていろいろな点を詮索しておるからいいようなもので、これは非常に漠とした現わし方であつて、甚だ不適当である。それからこれを又細かく少し掘下げて言うならば、例えば先程多分平岡委員の御質疑だと思いますが、この拡充用の資金でない点から、生産拡充用の資金でない、而も政府から融資をされた資金にあらざる自己の調達した資金というようなものがありますし、又この資金の性質には御承知の通り、先程もどなたか触れられたと思うのでありますが、いわゆる経常の、ランニングの資金もありますし、生産拡充用の資金もある、又経常費の資金の中を計理学的に分析すれば、いわゆるランニングエクスペンスなり、又リプロダクションのエクスペンスもある、或いはデプレシエーションのエクスペンスもあるというので、資金の内容を一々形容詞を附けて言えば、それぞれの性格を現わす特殊の資金を意味することになる。然るにこの眞の狙いは、そういうような細分された特殊の資金を現わさない、然るにも拘わらず、こういう言葉で間に合わせられるという御答弁であつたのですが、それでは折角法律用語として非常にアンビギュアスになる、こういうように先程のあなたの御答弁を聽いて思つておつたのですが、重ねてもう一遍一つお願いいたします。
#330
○政府委員(平井助三郎君) 私共は生産拡充用、先程申しましたような意味で、いわゆる下にある拡充工事というような意味に限定はしておりませんので、生産の状況、拡充工事の達成状況から相照應して、生産拡充用というものは解釈すべき問題である、即ち再生産用という、言葉を換えて申しまするならば、そういう意味と同意語においてこの点解釈されるであろう、この修辞の問題につきましては、資金資材の使途とぶつきらに書いても、これでも私共は結構だろうと思いますが、その資金資材の上に再生産用なり生産拡充用なりという修辞を附けることも、その修辞によつて特に狭く意味が解釈される虞れもございませんし、この法案の大体の書き方といたしまして、生産の状況とか拡充工事の達成状況とか、或る程度非常に具体的な全体の書きぶりでございますので、恐らく衆議院においても生産拡充用という文字を使つたのであろうと考えますし、提案者もいわゆる拡充工事にこの資金資材というものの使途を限定して、而も監査というものに限定しておるわけではないのでございますので、政府といたしましてはこの文字によつて別段監査のできない部分が出て來て、この法規の目目とするところと非常に喰違つたものができるというようには考えておらない次第であります。
#331
○大屋晋三君 提案者がそういうつもりではなかつたといつても、ここに書いた文字で、法律というものは一應はこの字句解釈ということに御承知の通りなりますから、生産拡充用の資材と、こう謳つておると、然らざる資金もある。例えば自己の調達した資金というものはありますから、そういうものはどうなりますか。
#332
○政府委員(平井富三郎君) 生産拡充用の資金資材という言葉で十分炭鉱の現在の使つておる資金の監査はなし得る。生産拡充用の資金の監査というのは、單に復金からの融資だけを意味するという意味は一つもこれからは出て來ないのであります。自分の責任、自分の能力において融資を受けた金額も勿論生産拡充用の資金でありまして、そういうような区別はこの言葉からは出てこない、要するに全体の書きぶりがこうなつたのでありまして、單に私が申上げておるのは、提案者はそういう解釈だからというのではございませんで、生産拡充用という言葉は言い換えれば再生産用ということでありますので、それによつて別段この監査の規定が非常な制限を受けるということは、政府として想像できないという意味を申上げ、同時に提案者としてもそういう意図はなかつたということを併せて申上げた次第であります。
#333
○大屋晋三君 そうすると炭鉱業においては普通慣用されている生産拡充という言葉は、我々一般実業、産業方面において使つておる生産というのと同義語なのですか。
#334
○政府委員(平井富三郎君) 要するに二千三百万トン、三千万トン、三千三百万トン、四千万トンというふうに生産が伸びて行く時期において、いわゆる一般の生産計画は、同時に生産拡充計画であり、いわゆる再生産計画であります。末廣がりな計画になつて行くのが、全体的に見ましても考えられます状況でありまして、生産拡充用というのは、その生産計画及び一つの例えば計画があれば、それをも含んだ意味の言葉である。かように私は解釈しております。
#335
○大屋晋三君 だからつまり生産と、生産拡充というのは同じ意味ですね。
#336
○政府委員(平井富三郎君) この場合においては同じに考えられます。但し生産用といいますと、拡充用工事に使う資金は含まぬというような疑問も出て参りまして、生産拡充用と言つた方がむしろ廣く解釈されるのではないかというようにも考えられます。
#337
○大屋晋三君 そういうふうに説明されると分るのです。分りました。そこでこの、他の委員のお触れになつた所は一應オミツトいたしますが、この今の実施の責に任ずるというのは、これは法律的な罰則の適用は、民法の損害賠償も何もないのですが、これはデクラレーション、宣言と承わつてよろしうございますか。
#338
○政府委員(平井富三郎君) その通りでございます。
#339
○大屋晋三君 それからこのしばしば問題になつた第六條の「炭鉱の事業主は、政府の監督に從い、」と、こうあるのですが、いろいろなことが監督に該当すると思うのですが、この監督という字の概念はどういうことを意味しておりますか。
#340
○政府委員(平井富三郎君) いわゆる政府のこの監督に從いと書きました意味は、第一條におきまして、政府が臨時に炭鉱を管理し、という言葉と照應いたしまして、一般炭鉱の事業計画の実施の責任者は事業主が当るのだということと、その炭鉱の事業というものが政府の管理下に入る。從つてこの第八條にあるような監督も行い、或いは第九條におけるような監督上の命令もできるという意味を含んで監督という字を使いました次第であります。
#341
○大屋晋三君 その第八條の只今の「当該の官吏をして」という修正案の狙いと、それから原案とは、一体実際上余り違いはないと思うのですが、これはどういうふうに違うことになりますか。
#342
○政府委員(平井富三郎君) 実体を修正案ははつきりいたした意味でありまして、形式的に申上げますれば、「事務所、事業場その他の場所に臨檢し、業務の状況若しくは帳簿書類、設備その他の物件を檢査させることができる。」形式的に申上げますれば、勿論廣くなるようでありますが、監査の対象から言いまして、「生産拡充用の資金及び資材の使途、生産の状況並びに拡充工事の達成状況に関して、監査」ということになりますれば、実体的には大体同一範囲であろうと、かように考えております。
#343
○大屋晋三君 むしろ実体的には同一だが、狹くなるというような立法者と修正論者と私は同じであると思いますけれども、狹くなるというような感じ、即ち原案においては非常に廣くあつたのであるが、修正案においてはこういう書き方をすれば、原案では何も彼も檢査ができますが、この修正案ではここに謳われておる目標だけにしか監査の眼が通らないというようなデフアレンスか何かありますか。
#344
○政府委員(平井富三郎君) 大体形式的に申せば、原案の方が廣いのでありまして、衆議院で修正した趣旨も恐らく監査の目的というものは、その拡充用の資金、資材の使途を先ず監査する。又生産状況、拡充工事の達成状況を監査するというので、それを端的にここに書きまして、監査の内容というものを法律的に明確にするということは、適当であろうという趣旨であろうかと思います。從つてこの修正になりまして、どういう部分が拔けたかということも、具体的には私共として檢討しておりませんが、形式的に言えば、今申上げたような、監査の範囲が一應明記されましたので、狹くなるというふうに考えられますが、政府側で、この第八條の運用において狙つておりました事項は、この修正案において言い表わしたところとぴつたり合うのでありまして、実体上の運用におきまして、これがために、政府の狙いが一部監査ができなくなつたという点はないと考えております。
#345
○大屋晋三君 そうすると、政府は、あなた方は、この修正案の書き方で、而もこの狙いで、何も彼も万事一般炭鉱の資金、資材の使い方とか、或いは生産或いは拡充工事の達成状態、炭鉱業一切の実情がこれで監査ができるというふうに考えたわけですね。
#346
○政府委員(平井富三郎君) 必要なる監査はこれで十分やり得ると考えました。
#347
○大屋晋三君 そうするとこの文句には書いてない。例えばその炭鉱の賃金政策の面であるとかいうような点にも、何というか、この條項で触れることができるのですか。
#348
○政府委員(平井富三郎君) 生産の状況、生産ということは、資材、資金、労務、これらの綜合的な現われでありまして、生産の状況を監査するということは、労働能率がどういうふうに行つておるかということも、当然監査すべく、又監査され得る範囲であると思います。
#349
○大屋晋三君 そうすると、これは民主党の修正であると思いますが、民主党の諸君は原案をこういうふうに修正して、或いはよく言われました資本家の干渉を受ける面を狹めたというようなつもりで、一定の角度に監査の目標を制限したと考えておると思うのですが、政府の意図するところは、この代替された條文の書き方で、原案と等しい権力をつまりこれで保持し得ると、こういうふうに考えておられるのですか。
#350
○政府委員(平井富三郎君) 形式的には先程から申上げるように、原案の書き方が廣いと思います。併し第八條で政府が狙つております目的は、このはつきりさせられました監査の対象で、必要にして且つ十分に言い現わされておるというふうに考えておる次第であります。
#351
○大屋晋三君 それでは或いは修正を執筆した人は、狙いが外れたかも知れないですね、それをどう思いますか。
#352
○政府委員(平井富三郎君) これは衆議院の修正案におきまして、私は第一の理由は、第八條の書き振りがいかにも旧態依然としておるという点が第一であろうと思います。第二は、監査の対象を明確にするという点であろうかと思います。衆議院におきましても、この管理法を可決いたしましたその提案者の意図が、不完全な監査の規定を置くというふうには私共は考えておりません。
#353
○大屋晋三君 それからこの八條の第二項の、その他の政府職員に臨檢、檢査というものは、これはオミットしましたが、原案のこの官吏その他の政府職員というのは、どういうことを意味したのですか。
#354
○政府委員(平井富三郎君) これは石炭局の法制で申上げる事項でございますが、石炭局の局員には、学識経驗者及び学識経驗ある官吏が過半数を占めるというふうになつておりまして、学識経驗者というのは、政府職員として民間の身分を保有したまま政府職員として石炭局で勤務する。それから民間から官良になりました、いわゆる官吏の身分を取得した者がこの学識経驗ある官吏であるという言葉で表現されておりますが、官吏になりました者は、当然当該官良になる者でございますが、いわゆるワン・ダラー・マン式に政府職員として石炭局で仕事を行う者、これがやはり原案におきましては、監査ができるということになつておりましたのを、修正案においては監査という性格から見て、これは官吏の身分を保有する者が行うことが適当であるというふうに考えて修正したものです。
#355
○大屋晋三君 そうするとこの條文のしまいの方にずつと行く間にも、政府職員という言葉は皆オミットしてこれは止めてしまつたわけですか。
#356
○政府委員(平井富三郎君) ワン・ダラー・マンとして石炭局の職員にはなるわけでございます。併し監査を行います場合は、官吏の身分を保有した者が、現場に臨んで監査をするというだけであります。
#357
○大屋晋三君 この原案の文句の書き方が、臨檢檢査というその文字と、今度代替した監査というその文字との間には、あなた方はどういうふうな差をお考えになつておるんですか。
#358
○政府委員(平井富三郎君) これは差がございません。現場に臨んで檢査をする、監査をするという意味でありまして、ただ原案におきましては、從來の立法例をそのまま採つたわけでありまして、これは衆議院で修正されました、監査をするというふうに端的に書きますことが、文字も柔かくございますし、適当であろう、かように考えた次第であります。
#359
○大屋晋三君 今度の十條ですが、旧案の十一條、「炭鉱の事業主は、商工大臣の許可を受けなければ、その経営する石炭鉱業の全部又は一部を廃止し、又は休止してはならない。」こう書いてあるのでありますが、これは非常に事業計画と経営上に重大な事項でありまして、この修正案では、商工大臣は前項の許可をしようとするときには、全國炭鉱管理委員会に諮らなければならない、こうなつております。成る程修正案の方が原案よりも、これに諮るということだけがいわゆる民主的になつております。ところでいつもこれが問題になるのは、いわゆる諮らなければならない。諮るというつまり解釈論をここに決めて掛からないというと、私の議論も成立しないのですが、先程委員長が、この諮るという意味を解明するディスカッションはあとでやつてくれ、こういう話でしたから、問題だけを提起して置きますが、この炭鉱の事業主が甲の炭鉱、乙の炭鉱の全部又は一部を廃めようか、或いは休止しようかということが、その企業全体のいわゆるペイしるか、ペイしないか、これはいつも我々が事業を経営いたしまするときに、例えば多数の仕事を一つの会社で、異る種類の事業を営んでおりまする場合に、その時の趨勢に從つて、最初は甲の事業が非常に殷盛で、いい採算であつたのが、或る時間の経過と経済界のその時に情勢によつて、非常に採算的に儲かつた有利な仕事も儲からないようになつて、今まで大した仕事でないと思つた乙の仕事が又採算的になり、又在來の企業家でありましたならば、在來やつて來た仕事に、経済界の実情に應じて新規な仕事の分野を取り入れるということに常に敏感に、而も適切にそこらの取捨按配をして行くというのが、この事業経営の要点なのであります。
 そこでこの炭鉱を経営しておる場合に、炭鉱の事業主が数個の炭鉱を経営しておる場合に、その中の一つの炭鉱はいろいろなアクシデントにより、或いは坑道の距離が非常に長くなり、或いはその他の事由によつて廃止しようと考えても、そのときにその廃止しようという事業主のその意図が、この全國炭鉱管理委員会に諮つて、自分の意思がその通り可決された場合はいいのでありまするが、この炭鉱は儲からないから、これはどうしても廃止しようと思つても、この炭鉱管理委員会で廃止しては相成らないという宣言を受けるような場合が仮にありとしたならば、非常にこの炭鉱事業主は、経営上に齟齬を來たすということになるのであります。然るに何故私がさような決り切つたことを申すかというと、この諮つてという場合にですね、炭鉱管理委員会は、炭鉱の善良な正確な判断ができないで、而もその炭鉱委員会の議が纏まらないというような場合には、結局商工大臣の考えで、これは諮つてですから、やるということになる。然るにこの商工大臣が、その炭鉱の廃休止に対して正確なる判断をしてくれる場合は結構なんでありまするが、たまたま事業主の判断と商工大臣の判断とが喰い違うというような場合があるというと、この事業主はいわゆる事業経営上不当なる裁定に屈服をして、その結果は採算が取れないということが考えられる。私は非常にこの問題は重要なことだと考えておるのでありまするが、この辺の見解に対しまして、大臣はどういうふうにお考えになりますか、そこを承りたい。
#360
○國務大臣(水谷長三郎君) 成るほど商工大臣は、その山の事情というものに精通しておらないという議論は立ちますが、併しながらその商工大臣の下のスタッフには、それぞれの專門家がおりますが故に、こういう石炭鉱業の全部又は一部を廃止、又は休止しようというような申出があつたときにおきましては、十分その判断ができる立場に置かれております。從つて私は商工大臣といたしまして、第十條の規定は十分活用できると、このように考えております。
#361
○寺尾豊君 議事進行について……お見渡ししたところ定数も欠けておりますし、もう食事の時間も過ぎておるということでありまするが、この際この辺で打切つて、大分年輩の御病氣のところを推して見えられておるような委員もあるようでありますし、殊に定数も欠けておりますから、明日は少し早目に始めるようにして、本日はこの辺でお打切りになつてはいかがですか。
#362
○委員長(稻垣平太郎君) 速記を止めて……。
#363
○委員長(稻垣平太郎君) 速記を始めて……、それでは本日はこれを以て散会いたします。明日は九時半からお集まりを願います。
   午後五時四十四分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     稻垣平太郎君
   理事
           下條 恭兵君
           小林 英三君
           川上 嘉市君
   委員
           大畠農夫雄君
           カニエ邦彦君
           濱田 寅藏君
           村尾 重雄君
           荒井 八郎君
           大屋 晋三君
           寺尾  豊君
           平岡 市三君
           堀  末治君
          池田七郎兵衞君
           入交 太藏君
           橋上  保君
           林屋亀次郎君
          深川榮左エ門君
           鎌田 逸郎君
           佐伯卯四郎君
           宿谷 榮一君
           玉置吉之丞君
           田村 文吉君
           藤井 丙午君
           帆足  計君
           細川 嘉六君
  國務大臣
   商 工 大 臣 水谷長三郎君
  政府委員
   商工事務官
   (石炭廳管理局
   長)      平井富三郎君
ソース: 国立国会図書館
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