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1947/12/05 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第27号
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1947/12/05 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第27号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第27号
  付託事件
○石炭産業生産確保に関る陳情(第二
 十一号)
○自轉車の價格改訂に関する陳情(第
 三十四号)
○石炭増産運動に関する陳情(第四十
 四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百七号)
○炭鉱國家管理に関する陳情(第百四
 十四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 百八十三号)
○石炭政策審議会設置に関する陳情
 (第百九十五号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百四十九号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 二百五十六号)
○臨時石炭鉱業管理法案(内閣提出、
 衆議院送付)
○亞炭増産に関する請願(第二百七十
 一号)
○配炭公團を即時廃止することに関す
 る請願(第二百八十四号)
○石炭生産損出補償金支拂促進に関す
 る陳情(第三百七十九号)
○配炭公團法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○亞炭増産に関する陳情(第四百六
 号)
○釜石製鉄所銑鋼一貫作業再開促進に
 関する請願(第三百七十九号)
○生産合作社法制定に関する陳情(第
 四百四十七号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 四百八十号)
○東北地方銑鋼業振興に関する請願
 (第四百二十四号)
○炭鉱國家管理反対に関する陳情(第
 五百六十四号)
○炭鉱民主化に関する陳情(第五百七
 十九号)
○製塩用燃料割当に関する請願(第五
 百五十二号)
○野鍛冶業用燃料増配に関する請願
 (第五百六十一号)
○釜石製鉄所銑鋼一貫作業再開促進に
 関する請願(第五百七十三号)
○北海道における家庭越冬用燃料の價
 格に関する陳情(第六百三号)
―――――――――――――――― 
昭和二十二年十二月五日(金曜日)
   午前九時五十八分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○臨時石炭鉱業管理法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより委員会を開きます。審議の期間も非常に少く相成りましたので、どうかできるだけ御質疑の重複その他は避けるように願いたいと存じておるのでありますが、時々御重複の御質問なんかも出ますようであります。又同時に質疑でなしに御意見等の御発表もあるように見受けるのでありますが、時間も余りございませんので、その点についてはできるだけ各委員の方で御自制を願いたいと存ずる次第であります。尚本委員会の発言をできるだけ多くいたしたいという意味合で、委員長といたしましては他の委員会の委員長並びに委員外の議員の御質問の発表については、これを御遠慮願うように取計らいたいと存じますが、この点について御同意を願いたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(稻垣平太郎君) さよう御了承を願います。御異議ないものと存じます。
 それではこれより昨日に引続きまして第二章の質疑を続行いたしたいと思います。
#4
○堀末治君 第八條についてお尋ね申上げたいと存じますが、これはすでに石炭廳長官と石炭局長と両方に業務の状況に関して報告させると、こういうことになつておるのでありますが、私今までの経驗では、いろいろな官廳からいろいろな報告を沢山受けさせる。その中にも同じものを言うて來るのが隨分沢山あるのであります。今でもそういう嫌いがある。現に北海道には商工局がある。又一方道廳には鉱務官というようなものがあつて、両方からいつも同じような資料を出さされる。なかなかその手数が非常に多いのでありますが、それは或いは道廳とか商工局、こういうようなら或る程度いたし方ないと思うのでありまするが、これは一本の法律で主として石炭廳長官が取扱う、こういうようなことになつておるのでありまするから、これは一本の形式にして例えば一つの調査表を出すというにも、石炭廳長官からこういう報告を二部なら二部出せ、三部なら三部出せ、こういうふうにして頂けば事務の簡捷ができる。殊にこれを全般通じてこの業務計画その他の計画を見ますと、なかなか廣汎な計画で、事務者が非常に殖えると、私かように思うのであります。段々そんなことで、いわゆる坑内坑外のバランスが六対四のが、或いは逆の比率になつて來るということになれば、どちらかと申せば、掘らない者が余計になつて、掘る者の人数が少くなる。かようなことでありますから、成るべくならばこれは一本にして、二部でも三部でも同じものでやる必要なものならば、石炭廳長官から石炭局長に命じて石炭局長が我々の方に命じて頂くと、こういうふうにして頂けば、大変よいのじやないか。同じようなものの調査をさせられては誠に困るのでありますから、これを一本にして頂くわけには参りませんでしようか。
#5
○政府委員(平井富三郎君) その点は昨日もお答え申上げましたように、大体この炭鉱の実情把握ということは、石炭局長が主体になりますので、石炭局長がとりまする報告というものが、当然石炭廳にも送られまして、それによつて必要な業務を遂行しようということが原則になるわけでございます。ただ石炭廳長官といたしましても、例えば後に出て参りますように、石炭廳長官の権限として例えば設備等を讓渡すというような命令を出すこともあるわけでありますが、そういうような場合に、或る報告を徴したり、又臨檢監査の問題にしましても、石炭局長が行う監査に石炭廳の職員を参加せしめるというような場合も考えられます。從つて報告を徴し、或いは監査ができるという権限だけは石炭廳の長官も持つというのでありまして、これの運用につきましては、今おつしやいましたように定期的な監査をさせ、報告も定期的にとる。從來の各種の報告が各種の事業法、工業法その他の関係で徴せられておりますような関係がありますれば、これらは統一して簡素な形で、而も正確な資料を取り得るような仕方に報告を取ることにいたしましても、監査をすることにいたしましても、組織的にやつて参りたいというふうに考えておる次第であります。
#6
○堀末治君 それでは第八條はそれで終りまして、第九條でございますが、これはどなたか或いはお尋ねがあつたかと思いますが、この九條には、つまり監督上必要な命令をすることができる。こういうようなことになつて、五十九條の罰金付きになつておる命令なんであります。從つてその罰金を科せられるというような嚴しいお取り決めのものであるならば、やはり業者から不服の申立ができるということの取り決めをここにして置くことが必要じやないか、監督上必要なる命令をすることができる。若しそれを行わなければ、五十九條の何項かの罰則を受ける。こういうようなことになる。さようなることで、罰則を受けるという程の嚴しい御規定でございますならば、やはりそれに異議の申立、不服の申立をすることができると、いうことにして置くのが本当の業者の権利を尊重することになるのじやないかと思いますが、いかがでございましようか。
#7
○政府委員(平井富三郎君) 他の規定につきまして不服の申立があり、この規定に申立を置きませんでしたのは、この第九條の監督上の命令ということにつきまして、昨日申上げましたように、第一段に報告監督に基いて、はつきりデーターを持つた上で発令する、いわゆる監督命令をすぽつと、闇から鉄砲のような形で出るということではないのでありまして、十分報告を徴し、或いは監査を行なつて、十分の資料を取つた上で出すということが第一点であります。
 第二点は、この監督命令はそれぞれ炭鉱委員会に諮つて出すのでありまして、石炭局長だけの独断で出すものではなくして、多数の意見、專門家の意見というものを徴した上で出すということが第二点、
 第三点には監督上必要な命令ということは、只今申上げました報告、監査という結果に基いてということと照應いたしまして、同時にこの第二章の全体の関係から参りまして、いわゆるこの設備を増設しろとか、或は生産目標を引上げろというような積極的な命令ではありません。言わば非常に不適当な個処がある場合に、それを是正いたすという消極的な一つの内容に限定されておるわけであります。從いまして、この命令につきまして、不服の申立をするという必要はない、かように考えまして、この規定について不服申立制度を設けなかつた次第であります。
#8
○堀末治君 御説明はよく分るのでありますが、併し監査をやつた。委員会に諮つて十分に念入りに調べたのだから間違いがあるような命令をやるわけはない。それに服しなければ罰する。よく分るのでありますが、併しその監査の結果についても、或いは業者の方で、それはこうこうこういう理由の下にそういう実情に陷つたということは必らず言い得ることだろうと思うのであります。監査したから、大勢の意見でやつたから、それを一方的にぴたつとやつて命令に服さなければならんということは、どうしても片手落のように思う。いかにお役所の監査であろうが、或いは大勢で決めたことであろうが、業者がそれをするには何かがつちりした理由がある。殊に業務計画等でも、それぞれこれ程嚴重な計画を立てて遂行するのでありまするから、それを若しもできなければできないと言うなり、お役所からこれは不当だと言われるには、必らず言われるだけの理由があつて、そういう結果に陷つたものだと思うのであります。それですから、どうしても上司の命令に服せないというときには、一通りの不服の申立を認めて置くということがどうしても業者のために必要だと私は考えるのでありますが、いかがですか。
#9
○政府委員(平井富三郎君) その点については御意見の相違ということになるかもしれませんが、これは業務計画の積極面について、もつと炭が殖える筈じやないか、この施設は増設すべきじやないかという点について命令を出すというような場合には、或いはおつしやるようないろいろな疑問が出て來るかと思いますが、いわゆる消極的に非常な不適当な点を是正するという程度のものにつきまして、監査なり報告なりを更に委員会に諮つて命令を出すということに相成りますれば、その心配は私共としてはないのじやないか、かように考える次第であります。
#10
○堀末治君 まあその辺はこれは幾ら言うてもただ徒らに長くなるばかりでありますから、それはそれで意見の相違として置きます。
 その次に、十一條でありますが、「商工大臣の許可を受けなければその経営する石炭鉱業の全部又は一部を廃止し又は休止してはならない」、これも條文通りでよく分るのでありますが、私の仕事の経驗から考えて見ますると、値段は一定に決められる。そうして政府の御方針で上げないということになつて行きますと、幸いに業務計画が完全に遂行されて、赤字がなくて黒字で行けるということなら、私は恐らくこういうことは万々できないだろうと思いますが、なかなかに計画が遂行できない。そうして赤字が出て來るということになると、どうしても業者は、それではやり切れないから、俺は止めたいということになるのじやないか、実はかように思うのでありますが、それもいいですが、その時に持つて行つて許可をしないで、お前止めちやならんといつて、要するに無理に赤字経営を続けて行くということになると、それはやりきれない。そうするとそれは一体無理に政府の命令で経営させられたというので、損失補償を得られることになりましようか、得られませんでしようか。
#11
○政府委員(平井富三郎君) それは昨日申上げましたように、この法律の損失の補償は、具体的な事項に対する命令又は指示ということに対する損失の補償でありますが、この廃休止の問題は御指摘のように経営全般に亘る問題でありまして、その赤字が経営上のロスと言いますか、経営者の経営上の能率の惡いために赤字が出ておるという場合におきまして、それをその鉱山、炭鉱を中止しよう、或いは廃止しようという場合に、これが不許可になりまして損失が出るということは、これは一般の公定價格との問題に相成るのでありますが、若しも設例の場合におきまして、経営者としては万全の能率も発揮しておる。併しその山の炭層の状況その他から、どうしても現在の炭價では赤字が出るというような場合におきまして、それがやはり中止しては困るという石炭の全体の事情から考えられます場合においては、不許可にいたす。つまり生産を継続せしめるというような場合におきましては、炭價の面においてその点を是正するなり、或いは補給金の形で是正するなり、或いは又隣接鉱区と合併その他の方法によるとか、或は公團というような施設において、いわゆる経理関係の尻を持つとかいうような処置を講ずるとか、その経営が何れにしろ成立ち得るような全般的な綜合的な措置を併せて講じて行くべきであろう。それによつてこの問題を解決して行きたいというように考えます。
#12
○堀末治君 私こういうことを考えられるのであります。例えば業務計画を立てて一生懸命にやるが、なかなかよく行かん。それでもう事業主が経営する氣力を失つてしまつて、どうしても私は止めたい。なかなかにお役所のいうようなわけには、どうも自分の腕もなし、氣力も衰えてやれない。そういうときになつて是非止めたいと言つたら、一体それはどうなりますか。
#13
○政府委員(平井富三郎君) これは、例えば個人の事業主の場合は、そういうような場合があるかも知れません。その場合に、その山の経営がその当該の経営者としてはやる能力がないというように、自分として自覚し、自他共に認めるというような場合におきましては、或いは第三者をして経営せしめるというような措置が隨伴して來るだろうと思いますので、それの問題と睨み合せて考えて行くべき問題であろうというように考えております。
#14
○堀末治君 それは運営の仕方にあるのでありますが、ともかくも私がそういう懸念をいたしますのは、業者全体がこの案に反対しておるわけなんです。業者が心持好くこれを支持しておるならば、私の今申上げたような事例は起らないかも知れませんが、とにかく業者はこういうことに対して非常に眞向から反対しておる。而もその中の從業員の一部も連名で反対陳情を出しておる。かようなことでございますので、恐らく私或る程度、商工大臣は頻りに國会で決めたものだから皆恐らく心持好く協力するだろう、こうはおつしやいますけれども、なかなか人間は感情のものでございまするから、もうこんな面倒臭いものになつたらおれは止めてしまおうというようなことで、恐らくこれは通つたあとでそういう業者も私二、三は生まれるのではないかというようなことも考えられる。そうしてあなたの仰しやる通り第三者でやれといつたところで、なかなか誰でも彼でもこれをやるかというと、やることはできない。併しいろいろここに設備の讓渡とか何とかございますが、賣るといつても第三者として経営せしめると見たところが、それらの経営の條件なり何なりがなかなか容易でない。その間やらなければ叱られるからやつておる。やればそこで赤字が出るということになるのでありますが、そういうようなことだけは余り長く申しても何ですから、それらの運営については必ず私はそういう者があるということを予想されるのでございますから、御当局において誤りのない運用を是非お願いしたい、かように存じます。殊にこれには罰金付になつておる。これをやらないことになつて來ると罰金付になつておるようなわけでありますので、特にこの点をお願いいたしたいと思います。又この中に「全部又は一部を廃止し」となつておるのですが、この一部というのはどんなのを想定なさつておるのでございますか。
#15
○政府委員(平井富三郎君) ここで一部と言いますのは、昨日申上げましたように、石炭鉱業の一部ということで、例えば或る業者が北海道と九州の両方で炭鉱をやつておるという場合に、九州の炭鉱を止めるという場合には、石炭鉱業の一部を廃止する。それから九州だけで炭鉱をやつておつて、その炭鉱が一鉱、二鉱、三鉱とある。その中の一鉱、二鉱は休止してしまうというような場合には、それも一部の休止というように考えるわけであります。
#16
○堀末治君 山の分れておる場合はお話の通り分りますが、一つの山の中でこの坑道がどうも採算が合わない。こつちの方がよいから、こつちだけ止めてしまいたいということもあるわけですが、それも一部という解釈の中に入りますか。
#17
○政府委員(平井富三郎君) ここで特にこの條文を起した意味は、生産に非常に大きな影響を持つ休止ということが当然出て來るのでありまして、いわゆる生産計画を立てる場合に、今月はこの坑道を休んで次の坑道をやるというようなことは、生産計画に当然現われて來る問題でありまして、それらの生産計画を遂行して行くための一坑道の休止とか、一事業場の休止とか、作業の手順による休止とか、そういうものは含んでおりません。
#18
○堀末治君 それでは第十條はそれを以て終りまして、第十一條をお願いいたしたいと思いますが、「石炭鉱業の全部若しくは一部の賃貸」となつておりますが、鉱業法の十七條には賃貸ということを認めておらないようでございますが、それとの関係はいかが相成りますか。
#19
○政府委員(平井富三郎君) これは鉱業の一部の賃貸という意味でありまして、鉱業権につきまして言えば、恐らくこの一部の賃貸が起ります場合は、鉱業権については使用権が設定され、設備については賃貸になる。これらの現象を実体的に見まして鉱業の賃貸とこう言つておるわけでありまして、鉱業権自体につきましては、正面から触れておらんわけであります。
#20
○堀末治君 それからこれは甚だ細かいもんであります「炭鉱の事業主である会社」という言葉を使つてありますが、これは「法人」という言葉を使うのが本当でありませんか。
#21
○政府委員(平井富三郎君) 大体会社ということで全部現在ではやつておりますので、会社という言葉を使つたのであります。
#22
○堀末治君 あつさりと法人と直される方がよいのでありませんか。
#23
○政府委員(平井富三郎君) 組合との関係もありますし、現在の実情から見まして、会社と限定する方がむしろ適当であろうと思われます。
#24
○堀末治君 罰則の五十九條に法人という言葉があり、六十二條にも「法人である場合には」とあるわけですから、どうも私はこういう場合は法人と字句を一定するのが、体裁から言つても本当がないかと思いますがね。特にここで会社と指摘するのも、法文の体裁からいうても、字句の整理がなされておらないように思うのですが……。
#25
○政府委員(平井富三郎君) この規定及び後に出て参りまする利益金の処分につきましては、特に具体的に会社と書きまして全部包括できますので、この二つの條文については会社という言葉を使つておりますが、罰則の方は全條文を承けておりますので、法人という言葉を使つたわけであります。
#26
○堀末治君 「合併若しくは解散」ということになつておるのでありますが、これは資金調整法などとの関係はどういうふうになるか、これをするときにはただこれだけの許可でできるのか、或いはそれは資金調整法でそれらの許可を受けなければならんことになりますか。
#27
○政府委員(平井富三郎君) 許可がありますれば、資金調整法の許可は要らないわけであります。
#28
○堀末治君 要らないのですか、それでは第十二條でございますが「特に必要があると認めるときには、石炭廳長官」云々と、こうなつておりますが、これはこの詮議権はどちらにありますか、石炭廳長官、石炭局長、こういうことになつておるのでありますが、これは詮議権はどつちの方になるわけですか。
#29
○政府委員(平井富三郎君) ここで石炭廳長官、石炭局長とありますのは、一つの管轄区域内、例えば九州の山の相互の間で設備、資材の譲渡をやります場合は、石炭局長がこれを行うわけでありますが、例えば九州の山の施設を北海道の山に持つて行くというように、管轄地区が跨りまして、いわゆる全國的な規模において譲渡が行われるというような場合におきましては、石炭廳長官がそれを発令いたすわけであります。
#30
○堀末治君 要するにこれは地区的の関係でこういうふうにお考えになつたわけなんでありますね。
#31
○政府委員(平井富三郎君) その通りであります。
#32
○堀末治君 分りました。そうしますと、この中に「設備又は資材を他の炭鉱の事業主に譲り渡し、又は貸し渡すべきことを命ずることができる。」こういうことになつておりますが、これは鉱業権のことについては考えられておるのでありますか、おらないのでありますか。
#33
○政府委員(平井富三郎君) 設備、資材というので、鉱業権については、この規定は該当いたしません。
#34
○堀末治君 そうですか。それからもう一つここの「前項の規定により命令を受けた者は、」こういうことになつておるのでありますが、どうも昨日から私こういうようなことを申すので恐縮でありますが、何となしに「者」扱いをされるような感じがするのでありますが、これはむしろ「命令を受けたる炭鉱事業主は」と改めては如何でございましようか。
#35
○政府委員(平井富三郎君) 「者」というのは別に侮蔑した意味も何もないわけでございます。
#36
○堀末治君 どうも私昨日も商工大臣とその点で少しやり合つたのでありますが、私の考え方が少し偏窟か知らんけれども、どうも頭から捕えられるような、不愉快な感じがするのでございますが、恐らくこれは私ばかりでなく、そういうような感じがする人もあるでしようけれども、これは当然「炭鉱事業主」と改めた方が、私非常に穏やかでよいと思うのでありまするが、これは如何でございましようか。あつさりと「事業主」とこうなつても、これは衆議院へ持つて行つても問題を起す程のことでもないと思います。あつさり「炭鉱事業主」とお改めになつたら如何でございましようか。
#37
○政府委員(平井富三郎君) 別に「事業主」と改めたから民主的になり、「者」では反民主的だという感じは私共はいたしません。
#38
○堀末治君 もう後間もなくですから……。「他の法令の規定にかかわらず、」とここにあるのですが、「他の法令」というのは、これはどんなのを予想して「他の法令」というのでございましようか。
#39
○政府委員(平井富三郎君) これは主として物資需給調整法等によりまして、命令が出ておつたというような場合に、法令関係が競合するという場合には、やはりこの管理法の命令が優先するんだという意味でございます。
#40
○堀末治君 そうですか。その次の項目で「讓渡又は貸渡の條件は、当事者間の協議によりこれを定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときには、石炭廳長官又は石炭局長が、これを裁定する。」こういうことになつておるのでありますが、これは少し官僚独善に過ぎるような感じがいたしますが、お考は如何でございましようか。
#41
○政府委員(平井富三郎君) これは主として十二條の規定は、所有せる設備、資材……これは使つておる設備、資材を勝手に讓渡すというのではございませんで、いわゆる余剰資材といいますか、遊休資材といいますか、そういうようなものについてこの規定が主として発動されるわけであります。而もその必要性については、炭鉱委員会に諮つてからなされるということであり、それが石炭増産上特に必要があると認められる場合に発せられるのでありますので、これが出ました場合におきましては、その設備、資材の讓渡ということは、石炭増産上急用であるという見地からなされ、これが又客観的にもそう見られるという條件を備えるわけであります。從つてこの讓渡し、貸渡しの條件につきましては、当事者間で協議を行うことが原則でありますが、若しそれが協議ができんとか、或いは協議が調わずという時において、徒らに荏苒日を送るということでは困りますので、そういう場合におきまして、石炭廳長官なり石炭局長なりが裁定するという途を開くことが、この少ない資材の場合におきまして、その遊休資材、余剰資材というものを綜合的に活用する途ではなかろうかというふうに考えました次第であります。
#42
○堀末治君 その次には、「前項の訴においては、讓渡又は貸渡の当事者を被告とする。」、こういうことになつておるのであります。当事者の間で話が纏まらないで、石炭廳長官或いは石炭局長がこれを裁定した。それでその裁定の如何によつて又いざこざが始まるものだと思いますが、そのときにはこの当事者を被告とするというよりも、むしろ石炭局長、若しくは裁定をなさつた人を相手にするのが本当ではございませんでしようか。
#43
○政府委員(平井富三郎君) これは從來こういう場合におきまする一般的な取扱いの例に從つた次第でありますが、要するに裁定は行政官廳がいたす次第でありますが、訴えの金額につきましては、通常裁判所に出訴いたすのでありまして、從つてこの訴えの当事者は行政官廳でない、むしろ当事者にすることが必要になつて來るわけであります。その意味において法律的に当事者にやらしたという次第であります。
#44
○堀末治君 御説明はよく分るのであります。而も例えば單に設備を讓るというので、それはそうおつしやるならば十万円で讓りましよう。それは十万円では高いから五万円にせいというようなことで、なかなか話が落着かない、その結果この裁定は仲を取つて七万五千円と決めた、併しそれで讓ることになれば、これは十万円より讓れないといつたところへ行つて、五万円より出せないといつた者を被告にして爭つて見たところで埓があかない。七万五千円にしろといつた人を相手とすることが本当じやないか、他の法律とのいろいろ今までの関連はございましようが、これらのことは、改めてこれを新らしく拵えた法律だから、当然ここへ持つて行つた方がよいんじやないかと思います。そうして今言うた通り、どうしても七万五千円が妥当であるということを法廷で爭つて、落着けば訴訟を起した者も納得するかも知れませんけれども、自分は裁定するが、喧嘩はそつちでやれというふうなことでは、どうもこの仲裁には甚だ無責任な裁定が出て來るんじやないか、國家の意思を遂行するんだからというようなことで、七万五千円くらいで何とか埓をあけようと言われて見たところが、賣る身になつて見たら、なかなかそれでは納まらん。喧嘩はお前たち二人でせい、俺は裁定だけだから後は知らんというようなことでは、この裁定ということの権威もなし、一方承服するにもなかなか承服できないというようなことになつて來ます。この裁定というものに本当に権威を持たせるためには、今も言うた通り、堂々自分が被告になつて、そうして法廷で爭い、負けたら仕方がないから原告の被告に從えばよし、それでも相手が買わんと言つたらいたし方がなかろうではないかと思うのでございますが、いかがでございましようか。
#45
○政府委員(平井富三郎君) これは裁定をいたすのは行政官廳がいたすのでありますが、例えば十万円では高いから五万円にせいというような訴えをいたしますれば、賣主の方の側といたしましても、いろいろ意見もあろうかと思います。從つて行政官廳が相手方になりまして、訴えを終結してしまう、裁判を終結してしまうということになりますと、当事者一方は意見を述べるような機会も知らん間に終結してしまうということもあり得るわけでありまして、やはりこれは両当事者が互に被告になる。訴えがあつた場合には、相手方が被告になるということが、その当事者の利益を重んずるゆえんでもあり、且つ又通常裁判所に出訴するという建前から見て、貸渡、讓渡両当事者を被告とするという從來の建前の方が、むしろ適当であると、かように考えておる次第であります。
#46
○堀末治君 どうも私よく呑み込めません。私の観念が誤まつておるのか知りませんけれども、裁定をして、そうしてその裁定が不服だと言うて訴が起るわけなのでありますが、どうも私はそういうような結果にならないと思う。從來の慣例はどうあろうか知りませんけれども、私ならば、どうしてもその当事者は、石炭廳長官なり、裁定したその人に持つて行つて、この裁定が誤まりだということを立証しなければならない、そこに私は訴えというものが生れて來る。その裁定がいかん。向うの五万円がいかんというのでなくて、恐らくこの裁定に服することができないから訴えが起るのだと私は思うのであります。初めから向うは五万円だ、十万円だと言うたら、喧嘩にも何にもならない。訴えにならない。相手は十万円で賣らなければならない、俺は五万円より金を出さんと言うのならば、商談が成立たないのであります。これで訴訟をせいと言うのは、この裁定に服さないときに訴訟をせいと言うのでありますから、どうしても裁定をして下さつた方を相手にして、要するにこの裁定が不公平なりということで訴えになると思うのでありますが、あなたさんはそういうふうにお考えになりませんでしようか。
#47
○政府委員(平井富三郎君) 結局讓渡或いは貸渡をする一番の利害関係人が、通常裁判所で意見を述べ、裁判所の裁判をして、両当事者から見て遺憾のないように盡すべき論議は盡し、主張すべきは主張するという機会を両当事者に與えるのが適当であるというように考えております。
#48
○堀末治君 これはおつしやる通りに、両当事者でやれば両当事者がやるに決つておりますけれども、併し当然その両当事者が爭う場合は、石炭廳長官が裁定したということになつて來ると、必らず五万円を主張した人が法廷に呼ばれて、どこから何を根拠としてお前は五万円を主張するかということになつて、証人として出るか、或いは参考人として出るか、必ず出て、それぞれ裁判官の前において、はつきりしたことになると思うのでありますが、私はどうしてもこの訴訟の由つて來るところは、裁定の金額に不服だから、満足ではないから生れるということになるのだから、私どうしても裁定した人を相手にすることが本当だと思うのです。そうなりませんでしようかね。私の考えが誤まつておりましようか。
#49
○政府委員(平井富三郎君) これはどうも見解の相違になると思いますが、一つの讓渡の物件につきましての値段、それは例えば十万円のものを五万円と言う、その間を取つて七万五千円と裁定いたしますれば、賣主の方は七万五千円でも不服なんだが、石炭廰が言うからそれで承服したのだと、併し賣主が五万円と言うのならば、五万円では賣れないのだという実質的な立証の方は賣主の方が適当であり、又賣主をしてやらせるのが適当じやないかと思います。実体的にはそうなると思います。
#50
○堀末治君 そうなつて來るとますますおかしいので、私が申上げるのは、その七万五千円の裁定に対して不服を言うのだろうと思います。石炭廰が決めたのだから仕方がないと、こうなれば話は收まるのでありますが、十万円でなければならないというのを、一方は五万円と言う、そこで裁定を頼む、七万五千円と裁定した、その七万五千円の裁定には承服ができないから、初めて訴訟が生れるのだと思うのでありますが、今の御答弁では少し違いはしませんですか。
#51
○政府委員(平井富三郎君) この訴えを出します場合に、この讓渡物件の評價と言いますか、そういうようなものにつきまして、七万五千円がよいか、十万円がよいか、五万円がよいか、更めて訴えが出まして、客観的に裁判所の眼から見られるわけであります。從つてそういう場合におきましては、この讓渡、貸渡の当事者が被告になるということにいたしまして、両当事者が裁判所においてその評價を主張し合うということの方が適当であろうかと考える次第であります。
#52
○堀末治君 これはなんぼ申しても果てないか知れません。私はどうしても今の御説明には納得行きません。あとの委員諸君が若しも納得行かれたら、又委員諸君から後で意見を承わつて見たいと思いますが、どうしても私はその御意見には納得できないのであります。そのことだけを表明いたして置きます。
 その次に、「第一項の規定による命令をする場合におけるその担保の処理その他必要な事項は、命令でこれを定める。」と、こういうことになつておりますが、その担保の処理ということはどういうことを言うたのでございましようか。
#53
○政府委員(平井富三郎君) これは御手許に配付いたしました施行令要綱の第六條でありますが、それに担保権或いは賃借権等の権利が附属しておるというような場合に、これを消滅させなければ讓受け、借受けの目的が達せられんというような場合におきまする処理及びその取扱いの方法につきまして、六條、七條等にその処理の仕方が記載してございます。
#54
○堀末治君 分りました。それはいずれこれをよく読ませて頂いてから、ことによつたら逐條審議が終つてから又質問さして頂くかも知れませんけれども、そのことを委員長にお願いいたしまして、私の質問はこれで一應終ります。
#55
○帆足計君 ちよつと二、三お尋ねしたいのでありますが、第五條の事業計画の届出でありますが、これは四半期の計画でありますから、当然年次計画或いは長期計画と睨み合わせて政府側に査定して頂かなければならんと思いますが、四半期計画だけ計画を御覧になつたのでは、炭鉱事業の特殊性から申しまして、不十分であろうと存じます。その点どういうふうにお考えになつておりますか、伺います。
#56
○國務大臣(水谷長三郎君) 今の帆足さんの、第五條の事業計画には、年度計画及び五ケ年計画を合わせ考えて作成せしむるのが適当ではないかというような御趣旨でありまするが、その点は私も全く同感であります。ただ事業計画の様式というものは命令で定めることになつておりますので、その様式は、年間計画及び長期計画を添えるようにしたいと思いますので、そういう点から申しまして、お説通りの運用になると、このように考えております。
#57
○帆足計君 この法案で、業界で今心配しております点は、手続が非常に面倒になりまして、届出その他のために、技術者がそういう事務に殆んど忙殺されはしないかということを非常に心配しておるわけであります。從いまして計画の提出につきまして、書類等は十分專門家の審議を経まして、極めて簡素な形で、有効な必要なものだけをお取りになり、從來のように不必要なことまで沢山並べ立てまして、書類だけでも厖大なものになりまして、誰も眼を通す人がないというようなことであつてはならないと思いますが、その点はどういうようにお考えになつておりましようか。
#58
○國務大臣(水谷長三郎君) その点につきましては、他の機会におきましても、外の委員から、この法案通過の曉においては、書類の提出その他に関して非常に手間が掛かるのではないかというお説がございました。我々はその点を特に留意いたしまして、極めて必要なる書類に限り重点的にやつて、簡素化を図りたいと、このように考えております。
#59
○帆足計君 もう一つお尋ねしたいのですが、十三條に鉱区の整理等の問題が入つておりませんが、これは重要鉱産物増産法にあるからということでございまして、併し鉱産物増産法によるいろいろな施策をなされますときに、全國管理委員会にお諮りになるつもりでありましようか、それとも法案が別ですから、これは別個におやりになるようにお考えでありましようか。
#60
○政府委員(平井富三郎君) この点は鉱区の整理につきましては、只今は鉱産物増産法の規定にあるのでありますが、これは大体鉱業法の改正規定に含まれて、來議会に提案される予定になつておりまするが、その場合におきまして、この鉱区の整理分合ということは、やはりこの管理委員会の目的といたしまする一つの事項でございます。管理委員会の事項に三つの大きな項目に分けて上つております中に、当然含まるべき事項でございますので、使用権の設定をいたします場合におきましては、当然この管理委員会の議に諮つて決定いたすということに相成つております。
#61
○平岡市三君 大体質疑が済んだようですけれども、皆さんがお聞きになりまして漏れた点だけ二つばかりお聞きしたいのですが、修正案の第十一條に経営の委任というのがありますが、この経営が委任せられた場合に、いろいろ生ずる責任は、これは事業主が負うことになりましようか、即ち被委任者に対して別に罰則規定がありませんから、被委任者を事業主とお見なしになるのでありましようかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#62
○政府委員(平井富三郎君) この委任と申しますのは、いわゆる民法上の委任でございまして、いわゆる一つの炭鉱というものの経営を委任しますれば、いわゆる鉱業権の処理については当然そこに鉱業権の使用権が設定されるというような点が、法律的には勿論構成されて來るわけであります。從つて受託して実際に事業を営むという者が事業主ということに相成ります。
#63
○平岡市三君 被委任者を事業主とみなすことになるわけですね。
#64
○政府委員(平井富三郎君) その通りであります。
#65
○平岡市三君 それから修正案の第十二條でありますが、法文の形式から申しますれば、大体これで全体として差支えないと自分は考えますけれども、これをもう少し実際界に突き込んで我我が考えた場合に、ここに疑問が起きるわけであります。と申しますのは、炭鉱の設備資材を他の事業主に讓渡す、又は貸渡す場合に、この協議が当事者間において調つた場合には、これを石炭廳長官又は石炭局長が裁定するとなつておりますが、これが裁定する場合において、その結果その價格というものは当然これは官廳が裁定するわけでありますから、公定價格で裁定することになるだろうと思うのであります。ところが現実の問題になりますと、今日の多くの炭鉱というものは、公定價格で配給を受けたものばかりでなく、闇資材、闇設備というものが非常に多かろうと思うのであります。そこでいよいよ裁定ということになる。こういうことになりますれば、他へ要するに賣渡す、或いは闇で流すというような傾向が多分に出て來はしないか、こういうふうに心配するのであります。でありますから、却て協議の調わないときに裁定するということよりも、実際当事者間がどこまでも協議して決めると、こういつた方が或いはよいのじやなかろうかと思われるのでありますけれども、その結果條文から見まするに、命じたものを放任して置くわけに参りませんから、どうしてもここに裁定が必要となる、けれども裁定することになると、これで闇資材その他が横流しになりはしないかと、こういうふうな疑問を持つわけでありますが、その点どういうふうにお考えになりましようか。
#66
○政府委員(平井富三郎君) 裁定の必要性は今おつしやいましたように、命令が出まして両当事者の協議が調わんということで、これが実行不能になるということでは十二條の目的が達成されませんので、裁定という制度があります。勿論両当事者間の協議ということに相当な期間を設けまして協議せしむるということは当然だと考えます。
 それから讓渡の價格でございますが、これはいわゆる余剩資材等をどう取扱うかという一般の方式によつて決定さるべき問題であろうかと、かように考える次第であります。
#67
○大屋晋三君 さつき堀君の御質疑に対して平井さんからの御答弁で、修正案の九條の「監督上必要な命令をすることができる。」というのと、それから修正案の指定炭鉱の方の二十條にも同じ監督上必要な命令を発することができる、こう書いてあつて、同じ法律上の文言で、一方は消極的の必要な命令だ、後者は積極的な必要命令だ、こういうこと何ですが、昨日も私はいわゆる生産拡充用の資金又は資材という点であなたに申上げたのだが、この立法者の法律の解釈は、これは何年か経つたあとに分離上の解釈をしますので、今あなたが解釈上の点を非常にこの法律には余計に私は混ぜておるような氣がするのですが、同じ文句で一方は積極的の命令、片一方は消極的、そんなことは解釈上の問題で、これは全然フレッシュな人が解釈してそういうことは決して生まれて來ない。それは石炭の行政の衝に当つておる人の心持をそこに現わしておる。その人が解釈すれば、これは一見そういうつもりで書いたのだから明らかですが、これを全然違つた而も時の違う異なる人が解釈したら、私はこれが前者、九條は消極的で、二十條は積極的だ、こういうのが少しこれはまずいのじやないか、こう思う。これが第一点と、それから同時に九條の場合に、消極的の命令にしてもやはり命令を出すためには、相手に命令を守るという観念を強いておるわけですから、然らばその命令なりなにがしの内容がいけないという場合には、それに対して不服の異議の申立をするということを、指定炭鉱の場合の二十條の場合と等しくやはり設けなければ、どうしても片手落でいわゆる非民主的で官僚独善というふうに、どうしてもさつきから平井君の答弁を聞いておつて感じたのですが、どうも私はまずいと思うのですが、重ねて一つ御見解を聽きたいと思う。
#68
○政府委員(平井富三郎君) 第九條の方は、先程も申上げましたように、監査或いは報告ということを徹した上でこれを行う命令であります。而も一般炭鉱に対しましては、計画の変更ということはございまするが、その他につきまして、設備の拡張の命令であるとかという積極的な命令は一つも命令権はないわけであります。從つて第九條の一般炭鉱の管理という、一般炭鉱の管理全体の幅というものから当然九條の解釈が生まれて來るわけであります。二十條の方の指定炭鉱の方につきましては、業務計画は石炭局長がこれを指示いたすことになるわけであります。而もこの二十條の書き方は、「指定炭鉱の業務計画の実施上必要があると認めるときには、」というふうになつておりまして、いわゆる監査をなし或いは報告を徹するというような、一般炭鉱の管理のやり方と睨み合せての書き方ということはないのでありまして、書き方におきまして相当廣く書いておるのでありまして、ただ監督上必要な命令という字句だけが同樣でありますが、この法文の構成上の体裁は、非常に異つたところがあるのであります。從つて二十條の方は、業務計画の実施上必要があるということで、非常に廣くなつておりますので、不服の申立をここにしたのであります。即ち業務計画実施上という事業主の業務の運行全般に亘つて、監督上の命令ということが響いて参りますので、その幅が非常に廣くなるという関係上、ここに不服の申立の制度を取るのが適当であろう。第九條の方は、重ねて申上げますが、只今申上げたような一般の管理という点から、監査ということが主であり、その他に指定炭鉱におけるような業務計画全般の運行につきましての建前が違うのでありまして、從つてこれから発する命令というものが、その点から制限される。かように解釈して申上げます。
#69
○大屋晋三君 そうすると、第九條の場合は、監査に対する必要なる命令だから、それに不服を申出る余地のあるべき筈はないと、こういう解釈ですか。
#70
○政府委員(平井富三郎君) 監査をし報告を徹し、実態の調査をいたしまして、その何と言いますか、非常に不適当な点があるのを是正するという程度のものでありますので、これに不服の申立をするということは、却て紛議を起すということでありまして、むしろこの監督上の命令ということで打切つてしまうということの方が、法の運用上適当ではないか、というふうに考えております。
#71
○大屋晋三君 この十一條の場合に対して、昨日商工大臣の御答弁を求めたのですが、もう一遍、これは平井さんの御答弁を伺いたいのですが、この不許可の処分があつた場合は、この命令指示の事項には含まれていないのですか。これは若しそういうような場合に、通常の損失、五章の規定がありますね、あれと連関して、若し不許可の処分があつた場合に、企業主の意思に反して、炭鉱の経営を継続して行つた場合に生ずることがあるかも知れない損失に対しては、通常損失の條項で補償はされないのですか。
#72
○政府委員(平井富三郎君) 修正案の十條の問題だと思います。この廃休止の問題は、先程申しましたように、いわゆる炭價の決め方、或いは経営のやり方という全般の問題に関聯いたして参ります。從つて前回の委員会におきまして、問題になりましたように、炭價の決め方が惡いから赤字が出た、その結果の赤字は、全部國が補償すべきだという建前は取つておりません。それにも照應いたしまして、この廃休止の許可、不許可ということは、後に出て参ります損失の補償の対象にはなつておりませんで、損失の対象になつておりますのは、この法律によつて命令又は指示ということで、積極的に一つの具体的な命令指示がありました場合、通常生ずべき損失ということに相成つておるのであります。但しこの廃休止の問題が、現在の炭價の決め方にも相当影響がありましようし、炭價の問題としてこれは考える。或いは経営のやり方として、先程申上げましたような各種の方法を取るというような、経営全般に対する綜合的な見方からの措置ということが平行せられて、不許可ということに相成るのであります。
#73
○大屋晋三君 その場合に、つまり或る事業主の鉱山が幾つもある場合、或いは單一の鉱山に対して鉱区が四つも五つもある場合に、私が事業主だとすれば、私がナンバー一の鉱区はどうしても採算が引合わないから止めるというような場合に、止めてはいかんと言うて、事業主の意思に反して継続されるという場合があるかも知れないが、この場合には必ず、事業主が止めるというのだから、引合わないから止めるということが前提になろうと思うのですが、そういうことを予想されないのですか。
#74
○政府委員(平井富三郎君) つまりそういう場合が多かろうと思います。事業主が止めるという場合には、引合わんから止めるという場合が多いと思います。それでありますから、これをこのようにいたしまして、引合わんという場合に、経営の合理化をすれば引合う、或いは経営の合理化をしても引合わない、その場合に炭價をどういうふうにしてやるべきであるか、或いは補給金の点、或いは経営主体をどうするかというような点を、綜合的に檢討いたしました上で、これを休止するなり廃止するなりするということが必要であろうかと思うのです。そのための許可制でありまして、そういうときに綜合的措置を取つてやるのでありまして、それがためにこの損失を補價しないということになつております。一つの問題は、いわゆる損失の補償という問題でなくして、炭價をどうするか、経営をどういうふうに持つて行くことがいいかという問題によつて解決すべきであるというふうに考えております。
#75
○大屋晋三君 今の平井さんの、炭價をいかに是正するか、経営をいかに合理化するかという問題は、それはどこでディスカッスしますか。どこで決めますか、生産協議会ですか。
#76
○政府委員(平井富三郎君) 只今の問題でありまするが、これは重要な非常にデリケートな問題でありまするが、勿論今後の取扱の基準となるような問題は、昨日も申上げましたように、炭鉱管理委員会に諮つて、商工大臣がこれを決定して行くわけであります。その標準となるものは、從來から、一般炭鉱につきましても監査を行い、或いは又報告を徴し、常時炭鉱の経営状況というものを精査しておるわけでありますから、これらの点が円滑に運用されるというように考えております。
#77
○大屋晋三君 そうすると、昨日商工大臣にお聽きした点に戻つてしまうのですが、結局管理委員会に諮つて、商工大臣がその存廃を決めるということになるわけですね。そうすると、「諮る」という問題は、これを十分吟味しないと、その「諮つて」というのが非常に曲物ですから、それを解決しないと、ここはどうも分らんのですが、まあ留保しましよう。
#78
○委員長(稻垣平太郎君) それでは大体第二章の御質問も……。
#79
○大屋晋三君 まだ一つあります。それから十條の、新規に着手する場合はどういうふうに考えておりますか。新鉱のつまり開発をするような場合ですね。
#80
○政府委員(平井富三郎君) 新鉱の開発は、事業計画等に出て参るわけであります。ただ全然新らしい業者が新らしい事業を始めるという場合につきましては、別段のことはないと思いますが、ただ從來の鉱業法によつて施業案の認可をするというような点で、調整を取つて行くということであります。
#81
○中川以良君 私は先日來、天皇陛下のお供をいたしておりましたので休みまして、或いは質問申上げることが重複いたすかも知れませんが、新らしい九條でございますが、これに監督上必要なる命令をすることができるとございますが、この命令に対して、事業主は不服の申立ができないことになつておりまするが、これはやはり不当な命令が出た場合には、どうでございましようか。それに対して……。
#82
○委員長(稻垣平太郎君) 中川委員、この問題はたびたび出たのでありますから、あとで同僚委員からお聽き願いたいと思います。
 それでは第二章の質疑をこれで終りましたことにいたしまして、第三章に入りたいと存じます。それで第一節を御審議願いたいと存じます。指定炭鉱の指定。第一節について御意見がある方は御質疑を願います。
#83
○小林英三君 この旧の第十四條です。今の新らしい第十三條「商工大臣は全國炭鉱管理委員会に諮つて、前章の規定による外、この章の規定による管理を行うべき炭鉱(指定炭鉱)を指定する。」こういうのであります。大体この基準が修正案に載つておりますが、この前の委員会でもちよつと漠然たる御質問があつたように思いますが、能率、生産費、品位、出炭量というものはどういうような方式によつてこれをお決めになるのでありますか、それを伺いたい。
#84
○政府委員(平井富三郎君) この炭鉱の指定をいたします基準といたしまして、ここに四つばかり挙げておるのでありますが、基準といたしましてこの四つのものが綜合的にやはり勘案せられまして、具体的の指定が行われることになるというふうに考えておりますが、総括いたしまして増産の見地から指定が行われるわけであります。從いまして一つ一つを考えて見ますれば、能率という点について考えて見ますと、非常に非能率である。これを指定炭鉱にいたしまして、能率を上げるということができるという場合には、能率の点から見ますとそういう炭鉱を指定して、百パーセント能率を発揮しておる炭鉱がありますれば、これは一般炭鉱として置くということに相成るかと思います。生産費についても大体同様の考えであります。品位につきましてもその当該炭鉱の品位或いは炭質、炭種というものから見まして、非常に重要なものである。從つてこれを増産させるということが非常な急務であるという場合におきましては、そういう見地からこれを指定する、しないという基準が生れて参ります。又出炭量、これにつきましても各山の増産の可能性等から見まして、非常に出炭余力があるというような点もこの出炭量ということから考えられるわけでありまして、要するにこの四つの基準が互いに組合わされて、いわゆる増産の見地からこれを指定することが必要であるという最後の結論に到達した場合に指定を受けるということに相成るかと思います。
#85
○小林英三君 すると今の能率だとか、或いは生産費だとか、品位だとか、出炭量とかいうものを査定するわけですね。この査定するということがいろいろ相体的なことになつて参りますが、むずかしい問題でありますが、それはどういうふうにして、どういう方法によつてやるのでございましようか、一番根本問題だろうと思います。
#86
○政府委員(平井富三郎君) この指定につきまして、各種の調査は勿論必要である、從つて石炭局でありますとか、或いは管理委員会でありますとか、そういうような一つの管理機構というものを整備いたしまして、この法律の規定によつて必要な監査なり、或いは必要な報告を聽取し、適正な生産費、適正な計画というものを設定いたしまして、指定を行うというふうに考えておるのであります。從いましてこの指定を行います場合には、指定の基準或いは具体的の指定、この両者とも全國炭鉱管理委員会に諮つて商工大臣が決定するという方式を取るわけです。
#87
○小林英三君 今の御説明大変結構なようでありますが、指定の基準の内容について一々決めるということは、商工大臣が全國管理委員会に諮つて決めるそうでありますが、そういうことが各炭鉱によつて、山に三年いなければ勝手が分らんというような状態になつておるものを、この山は例えば能率は非常に低いとか、生産費は非常に高くなつておるから、これはいかんとか、或いは品質はいいとか、或いは出炭量がまだ余力があるというようなことを決めますには、余程これは適当な方法でやらなければならんと思いますけれども、それはどういうふうな方法によつてやるのでありますか、調査團でもやつてやるのでございましようか。
#88
○政府委員(平井富三郎君) この管理法が施行されますれば、監査の問題にしましても適当に組織化いたしまして、調査團というような名目で行きますかどうかは別にいたしまして、その山の実情を常に把握するような方法を講じて行く。又それがこの管理法の一つの目的でもあると思います。
#89
○小林英三君 指定炭鉱を決定するのは大臣がお決めになるのですが、その諮問機関である管理委員会でありますが、果してこういうような、これを決めるのに公正妥当なことを諮問に應じて決めることができるでしようか、こういう重要な問題を決める、指定するか、しないかという境目に……、
#90
○政府委員(平井富三郎君) これは一つのこの管理機構として石炭局の構成、或いは管理委員会の構成ということに、全体の機構の運営よろしきを得るというふうに努力いたしますれば、十分これらの仕事は適正に行くというように考えております。
#91
○小林英三君 全國管理委員会の構成を見ますというと、炭鉱の代表者十人、労働者十人、それから需要者五人、学識経驗者五人というようになつております。これらの人が商工大臣の諮問に應じて、そうして本当に公平な指定するかしないかを決める上におきましては相当なこれは日限を要するし、又全國的にこれを調査研究するということにつきましては、余程これは期間が要ると思うのですが、こういう際におきましては炭鉱の代表者も労働者側も、又需要者側も全部專門的にこれを調査して決めるのですか。
#92
○政府委員(平井富三郎君) これは管理委員会の運用の問題にもよりまするが、管理委員会は中央におきましては大体学識経驗者でありますとか、或いは大量の需要者でありますとかいうものと……主体になりますのは炭鉱の経営者と労働者の代表というものでありますが、この管理委員会の運営につきましては必要に應じ部会を設ける。その場合に特別委員でありますとか、臨時委員でありますとか、或は必要に應じましては專門調査の人を臨時に委嘱いたしまして、そういうような調査をいたし、審議をいたすというようなことも運用上当然考えられて來るのでありまして、この指定の基準、具体的の指定を行います際の必要な調査ということは、石炭廳或いは石炭局、管理委員会、それらの機能を十分発揮いたしまして、過ちなきを期したいというふうに考えております。
#93
○小林英三君 この指定するとか、しないとかいうことがなかなか業者といたしましては重大な問題であると思うのですが、商工大臣が決めることにはなつておりますけれども、そういう全國の管理委員会を使つたり、或いはその下部の組織のものを使つたりする上におきまして、これを決めるとか、決めないというその骨子というような点は、この修正案を見ますというと、能率、生産費、品位、出炭量ということになつております。而もこれははつきりこうだというようなお決めになつてない。相対的の関係である。一つの山におきましては、これは非常にその山としては、全体としては相当に出炭量が出ておるけれども、他の山に比較いたしまするというと、他の山よりも割合に能率が挙つていないというような、いろいろ相対的のことでありまして、これを四つのものをこんがらかして、そうしてこれの指定を決める、基準として決めるということはなかなか容易ならざる問題だと私は思うのです。それにはいろいろな弊害が起つて來ますし、又場合によりましては忌わしいような問題も起つて來るんじやないかと思うのです。例えば能率なら能率というものを一つ取つて考えて、能率が良いとか、惡いとかいうことを考えてやりますれば簡單でありましよう。生産費なら生産費が高いとか安いとかいうことを考えてやることは簡單でありましよう。品位もそうでありましよう。又例えば出炭量ということを、それのみによつてやれば、これは簡單でありますけれども、四つのこの項目を按配をして、そうして而もそれの指定炭鉱を決める決めないにつきまして、四つの項目をこんがらかして研究して行かなくちやならんということは、口では簡單でありますけれども、なかなかこれは容易ならざる問題だろうと思います。併し今までの原案よりは修正案の方がいい。原案はただ漠然として商工大臣が指定することになつております。修正案においてはとにかくこういう具体的のことが決められておるだけでも結構だと思つております。これを決めるという上におきましては、相当これは大きなそこに難点が起つて來るだろうと思つております。こういう点をもう少し我々の合点できるように一つ御説明できないでしようか。
#94
○政府委員(平井富三郎君) 指定の基準につきましては、只今申上げたような方針に基いて、一つのなんと言いますか綜合的評價を行いまして、具体的な状況と睨み合せまして、管理委員会等に諮つてこれを決定して行くというふうに申上げるよりも現在として申上げようがない、さように考えております。
#95
○小林英三君 それは私の今の指定するしないの問題につきまして、なかなかこれだけの四つの項目を参考として決定するということは容易ならざるものである。説明は大体このくらいの程度よりできないということでありますから、それ以上はその点については追究いたしませんが、そういたしまするというと、全國の数百の炭鉱の中で、先ずどういうものを最初基準といたしまして、どういうものから指定して、こういう商工大臣の諮問に應じて決定せられるのでありますか、大体の方針を伺いたいと思います。
#96
○政府委員(平井富三郎君) これは商工大臣からも提案理由の際にお触れになつて御説明申上げたと思いますが、大体指定炭鉱の指定ということは、増産の見地からこれを行うということでありますので、先ず増産に最も大きなパートを占めております大きな炭鉱から逐次実施して行きたいというのが第一の考えであります。その際指定をいたします場合に、一律に何万トン以上の山はこれを指定するという方法を採らずに、能率が良いかどうか、又能率は良いが非常にこの山は増産余力がある。新鉱の開発なり、設備の充実をいたしますれば増産できるというような点等を睨み合せまして、具体的に決定して行くことになるだろうと思います。
#97
○小林英三君 先程の説明によりますと、出炭量の問題につきましても、その山はまだ相当余力がある、余力があるからこれを指定してやらすのだという説明でありましたが、指定につきましては、大体なんですか、優良炭鉱からやつて行こうということですか、どういうことになりますか。
#98
○政府委員(平井富三郎君) 優良炭鉱で能率のよい、設備の拡充も申分なくやつている炭鉱でありますれば、指定はいたしません。
#99
○小林英三君 そうしますというと、経営の困難な所で相当これで余力がある、指定してやればよくなるというような所は経営困難なところでも相当金が掛つてもやらしてやるということになるのでございますか。
#100
○政府委員(平井富三郎君) そういう炭鉱が全体の石炭生産上、石炭の需給の面から見まして、その山の増産を不可決にするという場合には指定いたします。ただいわゆる不良の炭鉱の救済であるとかいうような観点から指定をいたすのではなくて、そういうような炭鉱を指定いたしますことが、直ちに増産に役に立つというような観点からいたしますのであります。
#101
○小林英三君 今度の修正案の第十四條原案では「災害その他の事由により」とあり、その場合に指定炭鉱の指定を取消しを行うのが、修正案では「災害その他の事由により」ということを削除してある。削除してありますが、私はその災害を被つて減産になるときこそ、そういうときこそ、私は國家が援助をして行く。そうして資金、資材をこれに打ち込んで、そうしてこれを育てて生産を上げさすということが私は必要じやないかと思うのですが、この修正案にはわざわざ「災害その他」ということを取つておりますが、そういうときこそ私は必要じやないかと思うのですが、どうですか。
#102
○政府委員(平井富三郎君) そういう考慮もいたしてこれを削除いたしたのでありますが、改正案の第十三條におきまして、指定基準というものは六ケ月毎にこれを決めて行く、非常に彈力性を持たして行くということに照應して、この「災害その他の事由により」ということが削られたのであります。從つて管理の指定及びその指定の取消ということが彈力性を以て運用されるということが、この十三條、十四條の、新らしい十三條、十四條の改正の主眼であります。ただ災害によつて、例えば全炭鉱の生産が休止したというような場合におきまして、これを指定炭鉱といたして管理をいたして行くということの必要性は非常に減退するのじやないかと私共は考えます。というのは、その山に取つて必要なのは、資材、資金の補給をどうしてやるかということでありまして、いわゆるこの業務計画を設定し、その業務計画の実施について考慮するということよりは、復興をどう助成して行くかということでありまして、その際の一番の重点は資金、資材をどう導入して行くかという援助の問題が一番でありますので、これを指定炭鉱にして置くかどうかということにつきましては、尚炭鉱管理委員会の意見等によりましても十分檢討しなければならんというように考えます。
#103
○小林英三君 この管理につきまして、前章において我々が研究いたしましたいわゆる低度の管理、それから指定炭鉱の高度の管理ということに相成つておりますが、特に低度の管理と高度の管理を区別しなくちやならんという理由は……。
#104
○政府委員(平井富三郎君) 指定炭鉱の制度を一挙に全炭鉱に及ぼすということは、非常に画一的な措置であり、又これを管理して行く管理機構整備充実という点から相当問題があろうかと思うのであります。從つてどうしても指定炭鉱と非指定炭鉱というものが当然出て來るわけでありますが、石炭の生産というものの全体は、指定炭鉱だけの生産を、これを増強すればいいということではなくして、やはり全体の炭鉱の生産を増強して行かなければならん。それにつきましては、全炭鉱の実情、全炭鉱の計画というものをはつきりと把握いたし、それに伴つて又資金、資材等の計画が全般的に掴み得るということが必要になつて参りまするので、一般炭鉱につきましては、低度の管理を行う炭鉱につきましては、この章に規定したような管理を行うということに考えております。
#105
○小林英三君 そうすると、高度の管理を行うものにつきましては、特に炭鉱に必要なところの資金或いは資材を思い切つて注入しよう、こういうようなわけで、高度というところの区別を……。
#106
○政府委員(平井富三郎君) 簡單に説明いたしますと、非常に能率のいい山が、特に非常に新鉱その他の拡張にも精進しておる、從つてこれを指定炭鉱にいたす必要は毫もないというような場合におきまして、一般炭鉱になつておつたといたしますれば、その山の拡張計画に必要な資金、資材というものを重点的に注ぎ込むわけであります。從つて非指定炭鉱、一般炭鉱なるが故に、そのために不利な取扱いを受けるということではありませんし、結局その資金、資材の配分というものは生産増強という見地から配分されるわけであります。ただ通常の場合におきまして、例えば指定炭鉱に対し新鉱の開発命令その他によつての業務計画、その他の官の指示等によりまして拡張をぐんぐん行なつて行くという場合に、そこに資金、資材というものが注ぎ込まれます場合においては、これは指定炭鉱なるが故に注ぎ込んだのではなくして、その指定炭鉱の行う建設に必要な資金、資材が入つて行つたというわけでありまして、一般炭鉱だから資金、資材は行かない、指定炭鉱なるが故に、形式的の指定炭鉱のために資金、資材が優先的に注ぎ込まれるということは考えられないのであります。
#107
○小林英三君 今の高度の管理をする上におきまして、資金、資材をどんどん注ぎ込んで行くということは、やはり増産を行なつて、この山は非常に希望があるからやつて行くのだというように取れるのであります、私が昨日逐條審議に入る前に委員長の許可を得まして、いわゆる新鉱開発、新鉱の問題につきまして商工大臣にお尋ねしたのでありますが、これは私は今政府委員が御説明になつておるようなことで満足しておるかどうかという問題を合せてお伺いしたのであります。特にこの小倉炭鉱の発見いたして、許可を得ましたいわゆる新鉱というものにつきまして、これは商工省当局ばかりでなしに、全國的に有名な当時雜誌や新聞を賑わして、我々も非常に意を強うしたものでありますが、こういうものが昨日私が大臣に質問しましたような工合に、小倉炭鉱の新鉱を開発するために、中央にありまするところの、つまり小倉市というものが公害地になつておる。その公害地なるが故にそれは許可されなかつた。それが今度は新らしい内閣の、而も水谷商工大臣の主管されておりますところの商工省において許可するということになりますと、私はその小つぽけな炭鉱ならどうでもいいのです。殆んど今後の日本の再建の何パーセント、或いは何十パーセントが左右されるようなこういう新鉱が発見された、非常に社会的に有望なものになつている。それを今度は妨害するような、結果において妨害するようなことになつておる、これは私は今度の國管案と睨み合せて、而も今新鉱の指定はいわゆる高度の指定をする。そうして新鉱を開発して、どんどん石炭を増産するという考えと睨み合せますと非常に矛盾があると思う。私は昨日水谷商工大臣にもこの点を申上げましたら、水谷商工大臣も、この点に対して善処するとおつしやつたのでありますから、この点は追及いたしませんが、仮にこういうように私が質問したことによつて浮び上つております第一小倉炭鉱、それから小倉炭鉱、この問題に対しまする新鉱開発については、余程政府が思つたことをやらないというと、折角のものが世の中に出ないと思う。この小倉炭鉱の発見をしたという大きなこの新鉱に対しましては、政府はどんな考え方を持つていらつしやいましようか、ちよつとお答えができたら一つお伺いしたいと思います。
#108
○政府委員(平井富三郎君) 小倉炭鉱及び第一小倉炭鉱の問題につきましての大体の考え方、問題の所在その他につきましては、昨日御答弁申上げましたので省略さして頂きたいと思いますが、要するにあの小倉炭田地区の開発が今後の石炭の増産に取つて緊急欠くべからざるものであるというふうに考えておりますので、あの点につきましては商工大臣の言明のような方向によりまして迅速に処置いたしたいというように考えております。
#109
○大屋晋三君 この第十三條の修正された前項の規定による指定の基準がここに四つ程載つておりますが、これは何ですか、能率は例えば五トン七分なら七分、生産費は幾ら幾ら、カロリーは幾ら幾ら、出炭量は幾ら幾らというような工合に、このヘツディングの中味を予め発表して、これの以下のものは管理をするというような工合にするのですか、或いは炭鉱それぞれによつて、そのコンデイションに從つて指定の基準も物差も高い物差、中位の物差、或いは低い物差を適用するのか、このつまり適用の工合はどんなふうになつておりますか。
#110
○政府委員(平井富三郎君) この修正の趣旨が一つの画一的な基準によつて画一的な指定を受けております趣旨から見ましても、例えば能率が五トン七分以上は指定しない、それ以下を指定するということでなく、やはりその山の炭層の状況、操業の状況、稼働の状況等から見まして、できるだけ具体的な判定に基いてこれを決定して行くということが適当であろうと考えます。
#111
○大屋晋三君 それから一旦その指定が行われて、そうしてその指定したこの基準の内容の点がインプルーブされて、そうして相当上の基準のものになつたという場合には、これは指定の取消をするのですか。
#112
○政府委員(平井富三郎君) 指定の取消は、その指定をいたします必要性がなくなりますれば、指定の取消をいたします。
#113
○大屋晋三君 その時期の問題をどういうように考えますか、私の炭鉱が今指定をされて、これは六ケ月毎に定めるとしてありますが、指定をされて非常によい能率が出て、その指定を取消すという場合に、これは六ケ月という期間になつておるが、仮に初めにこの條件に照應して指定をされた。然るに非常に能率が上つて、例えば四月に指定をされたのが三ケ月経つたあとで、この條件よりも上の成績が出たというような場合には、その事実が認識されたら、この六ケ月の途中においてもその取消をするものか、或いはその時期の関係はどういうふうに考えますか。
#114
○政府委員(平井富三郎君) 六ケ月毎にいたしますのは、指定の基準につきまして、常時全体の山の生産というものと睨み合せて指定の基準を確定して行くという趣旨でありまするので、六ケ月毎に指定し、或いは又取消をして行くというようには考えておりません。ただ御説明のような指定を四月にして、それが六月に非常にずつと良くなつたから、その時にすぐ取消すというようなことは、指定の性質から見ましても、いわゆるその生産性の確立、業務の内容が確立したということの認定に十分であるかどうかというような問題も考えられるわけでありますから、要するに指定を取消すという場合には、能率も上り、炭鉱の開発も着々と整備されて行き、その炭鉱の生産体制が確立したと認められた時に、指定の取消が行われて行く。
#115
○大屋晋三君 然らば政府委員は、大体その炭鉱が指定をされて、いろいろな監督を受ける方が、その炭鉱の、つまり業務の遂行発展上によいのか、或いは指定を外された方が炭鉱業者として仕事がやり易いのか、それはどういうふうに考えておりますか、それは事業主の考え方と……事業主はどう考えるか、私もここで聽いて見ようと思つておりますが、政府は一体そこのところをどう考えておるか、指定を受けた方がその事業が発達を速かならしむるということになるのであるか、ひとりで放して、指定の枠を外してしまつた方がいいのか、どういうように考えますか。
#116
○政府委員(平井富三郎君) これは或いは水掛論が循環論になるのかもしれませんが、私共が指定をいたします場合には、指定をすることが増産になるという見地から指定をいたしますので、指定炭鉱につきましては、指定をいたしてこの章にありますような管理を実施して行くということが生産増強上に役立ち得るというふうに考えておるのでありまして、單にその政府の監督とかいう点だけでなく、一つの増産体制というものも、これによつて政府と企業というものが一体になつて、その山の増産強化ということに当り得るというように考えておる次第であります。併し増産体制が確立いたしまして、すでにこの章にありまするような管理というものが不必要だというように認められた場合は、勿論指定を取消す措置を講ずるつもりであります。
#117
○大屋晋三君 然らば一旦指定されてよくなつて、指定を取消された。そうして又惡くなつたら又指定をいたしますか。
#118
○政府委員(平井富三郎君) これはその時の状況によつて決定さるべき問題であります。
#119
○大屋晋三君 先程平井さんのお話に、小林君の御質問の中にあつたのですが、この指定をする。つまりその基準の技術的な目安は四つ出ておりますが、必ずしも不良炭鉱を救済するようなものに対して指定をしない。又非常に優良の炭鉱に対しては指定をしない。指定をした方が増産を促進するというような、而もそれに値する炭鉱を目標にして、いわゆる中核炭鉱というようなものを指定をする、こういうお話でありましたが、これは最初水谷君の御説明の中にあつた趣旨なんですが、衆議院でこの四つの基準が出されて、指定の標準がここに一應ともかくも明らかになつた。今日においてもやはりその観念は変りはないということを、私は先にあなたの説明から看取したのですが、この前にすでに論議を盡しました一般炭鉱の管理の場合に、それの業務計画の変更を命ずるというような行政処置がありましたが、そういうような場合はむしろ一般炭鉱に放置して置かないで、それはむしろ指定炭鉱にしてしまつた方がいいじやないかと私は思うのですが、その点はいかがですか。
#120
○政府委員(平井富三郎君) 業務計画の変更を命ずる必要から、直ちにこの指定炭鉱にいたすということもどうかと思います。勿論常に業務計画の変更を命じなければならんような炭鉱でありますれば、或いは指定炭鉱に指定するということも考えられまするが、一般炭鉱の管理を行います上に、必要性があつて計画の変更命令を出した、そういう炭鉱は直ちに一足飛びに指定炭鉱にしてしまうということも、先程申上げましたような理由でいろいろ困難も伴いまして、不適当であると考えております。
#121
○大屋晋三君 炭鉱の指定の場合に不良炭鉱とか何かで到底自力でやつて行けないというようなものが、指定炭鉱にして貰うというと、あらゆる点において非常に炭鉱経営上息をつくというような関係上、請託、願願運動というような点が非常に考えられるのですが、その点はあなたはどう考えておりますか。
#122
○政府委員(平井富三郎君) 不良炭鉱を救済する意味でこの指定をいたすのじやないということは、先程申上げました通りでありまして、從つて只今御心配になるような点は大体まあ考えられないのでありますが、要するに指定をいたしますことによつて、この業務計画の決定が單に企業者の意思のみによるのではなくして、國の意思、國の要請というものとも合致したものになり、その業務計画の実施上必要な指示等も與えられまして、増産に移つて行くという点でありまするので、いわゆる不良炭鉱を救済するという面ではなくして、増産の見地からこの炭鉱の指定が行われるということであります。從つて資材資金が、先程も縷々申上げましたように、指定炭鉱なるが故にそういう形式的な理由でここに資材、資金を與えるというのではないのでありまして、やはり全炭鉱均らして最小の資金、資材で増産ができるというところに資材、資金を重点的に與える、ただ指定炭鉱の基準は増産の見地から出されますので、非常に増産の余力がある山が指定炭鉱に指定されまして、大きな拡充工事に着手したという場合につきましては、それはその拡充工事に必要なる限度において必要なる資材、資金が確保されるということに相成ると考えております。
#123
○大屋晋三君 この指定をする場合に、先程の御答弁でこの四つの基準は画一的にこれを適用するのではなくして、それぞれの地区の又その炭鉱の実情に應じて、四つの基準を適当にこれをアプライするのだというお話ですが、これは地区の中においても、例えばこの四つの標準に照らし合して、例えば能率なり生産費は甲の炭鉱と乙の炭鉱と等しいが、品位乃至出炭量というような関係において乙の炭鉱の方が劣つておるが故に、これは指定炭鉱にする。甲の炭鉱は指定炭鉱にされないというような場合、又地区が異なつた場合に、例えば常磐を宇部というように、甲と乙との炭鉱があると仮定いたしまして、常磐の甲の炭鉱と、宇部の乙の炭鉱とは品位と出炭量は大体同じだ、俺と同じであるのに、ちよつとも変りがないのに、向うは指定炭鉱になつて、俺の方は指定炭鉱にならないという、つまりそういうような考え方、そういうような批評、或いは怨み言の出る場合があり得ると思うのですが、この問題を解決する方法として、某々の炭鉱はかようかような基準で指定したということが、何らかの機関によつて公に発表されて、何人も行つてそれを見るというようなことができるかどうか、その点に対する……。
#124
○政府委員(平井富三郎君) この指定の基準及び具体的な指定は全國炭鉱管理委員会に諮るわけであります。從つてこの全國炭鉱管理委員会の事業者の代表、或いは労働者の代表というものは、全國各区に跨つたものから選任されます。これは一つの公開の席上において討議されると同樣でございまして、この基準及び指定というものは廣く公表されて、その中で行われるというふうに考えております。
#125
○小林英三君 元の十四條、修正案の十三條ですが、この指定の基準というものは、今の全國管理委員会に諮つて、簡單にお決めになられる、四つの中で三つがコンスタントになつておつて、そうして一つの基準というものは、これは簡單でありますが、例えば大体この四つの能率、生産費、品位、出炭量というものを見るのに、ちやんと枠ができておりまして、そうしてその枠に應じて全國管理委員会でお決めになるというのですが、それは又或る一つの区内におきましてはできるだろうと思います。枠の決まつてないものを、而も総体的にやつて行くものを、管理委員会が無論政府の、商工大臣の何か原案でも出しておやりになるかどうか知りませんけれども、なかなか容易ならざる問題ではないかと思うのです。これを決めるににやはり点数でも附けまして、能率で何点とか、生産費で何点とか、品位で何点とか、点数でも附けて、追放の枠でも決めるように、その人が満洲地方でやつておつた企業については三十点とか、その方が内地の政府事業のこういう面においては二十点とか、それから戰時中に翼賛会のこういうことをやつておつた、これは十点に取るとか、その合計点が何十点は追放にしないとか、何十点以上は追放にするとか決つておるそうです。はつきりしたものは、そのこと自身で追放になりますが、そうでない人は重要な地位に就くときには、満洲時代はこれを何点に取る、その合計が何点以上は追放に決めるそうですが、これなどもそういう工合に、四つの問題について或る点数の枠でも決めて、その点数が合格点になつた場合には指定をするとか、或いはその合計点が合格点以下の場合には指定しないとかいうような、何かの枠がないというと、なかなか我我が会議を開きまして、こういう重要ないろいろなことに関連性のあるものを決める時におきましては、どうしてもこの政府の原案につい釣られてしまうようなことになるのですけれども、諮問機関である石炭の管理委員会というものは、これを決定するという上におきましては、私は先程からたびたびお尋ねしますように、無論調査も研究も必要でありましようが、ややもいたしまするというと、これが形式に流れて行くということがあるわけです。あり勝ちなんです。そういう点に対しまして、この基準の問題につきまして、どういうような具体的なことを考えておられますか、この修正案にあります程度のことでどうにか行くというお考えでありますか、その点をお伺いいたします。
#126
○政府委員(平井富三郎君) 只今御指摘になつたような一つの点数制、綜合点数制でやつて行くということも一つの方法かと思います。そういうような一つの評價の仕方もあろうかと思いますが、ただそういう一つの点数制度式なものだけの基準でやつて行くことは、又非常な一つの危險が伴う。例えばこの山について増産余力があるという点が非常に顯著であるというような場合については、或いは能率のよい山について指定をするということも考えられるわけです。現在稼行しておる面については非常に小じんまりとよくやつておる。併し新規の拡張には手を出したくないということで、又外の山を買取れというようなことも想像できないことはないので、そういうような場合、綜合点数制というのはなかなか適用しにくいというような状況も起つて來るかと思いますので、要すに具体的に指定をいたすわけでありますので、一つのおつしやいましたような一般的な基準、或いはそれと又同時に具体的なその山の特殊な事情、それによつて増産上占める地位という具体的な價値判断からも決定さるべきものであろうかと考えるのでありまして、それらの問題は要するにこの炭鉱管理委員会において、基準と、その他どういう山をまず第一に指定して行くかという具体的な炭鉱と睨み合せながら形成されて行くものである。かように考えておる次第であります。
#127
○小林英三君 今の説明でありますと、私はどうしてそういうことを承わるかといいますと、この指定の基準というものについて、毎六ケ月に決める。六ケ月経つというと又これをやり直すということで、全國的に指定するという、私はこのちよいちよいやる規定というものは、例えば一回指定炭鉱になつて、併し更に又六ケ月経つと、その山の出炭量であるとか、或いは能率であるとか、或いは生産量であるとか品位は、同じ山でありますからコンスタントでありましようが、その他の生産費能率、出炭量というものは必ずしもコンスタントではない。変つて行くのでありますが、六ケ月毎に変つて行くということでありますれば、この前は指定炭鉱でありましても、又六ケ月経つと、商工大臣が又指定炭鉱にしないということも出て來るだろう。又新らしい指定炭鉱を決めて行かなければならんということになりますが、この修正案の小さい文字で書いてあります指定基準を六ケ月毎に定めるということは、これは法文では簡單なようでありますが、併しながらこれを実施して行く上におきましては、商工大臣は、これは余程お苦しみになる。全國管理委員会に諮問されるのでありますけれども、毎六ケ月毎に始終変るところのデーターについてやつて行くということは、容易ならざる問題であると思います。而も委員会といたしましても、一一調査しなければならない。これが若し簡單にできるようにお考えになつているのでありましたら、私はこの指定というものは本当に公平にはできまいと思う。それでありますからして、この指定基準というものに対する考え方というものは、余程しつかりした考え方で、而もこの運営が比較的公平にできるというような基礎、基準を考えて行く必要があると思います。一遍指定したものは十年でも二十年でもすつぽつて置くというものではないのであります。六ケ月毎に決めるという以上は……。
#128
○政府委員(平井富三郎君) 六ケ月毎に指定の基準を定めるということは、六ケ月毎に指定基準を変えなければならんということではないのでありまして、例えば出炭量について、第一次では十五万トン以上の山について、とにかく能率であるとか、生産費であるとか、品位であるとか、或いは増産の余力ということで一つ考えようじやないかという、これも一つの基準になる。次に六ケ月経ちまして、今度は十万トン以上の山について同じ條件で考えて行こうということも考えられます。要するに六ケ月毎に指定基準を再檢討して、その時の石炭の生産の要請というものと、その指定基準というものが合致するかどうかということを再檢討して、必要があればこれを変えて行くのであります。六ケ月毎に指定基準が非常にぐらぐらするというようなことは、運用上から言つても余り考えられないのじやないか、要するに一つの基準というものは、三年なら三年間釘件けになるのじやない。六ケ月毎に再檢討して必要な修正を行なつて行く。その必要の限度においては、勿論指定の追加なり、或いは指定の取消ということもありますが、六ケ月毎に非常に指定基準がぐらぐらして行くということではないと考えておる次第であります。
#129
○小林英三君 その指定の基準というものは何ですか。生産費、出炭量というものに基いて、これを六ケ月毎に決めて行くということになりますというと、指定の基準がぐらつくようなことはありませんか。
#130
○政府委員(平井富三郎君) 今申されました通り、六ケ月毎に定めるということは、六ケ月毎にその時の状況によつて再檢討して、修正する必要があれば修正して行くということの意思を明確にしたものと考えます。從つて六ケ月毎に非常な変動が起るような基準というものは、指定炭鉱の指定という性格から考えても起り得ないものであると考えます。
#131
○小林英三君 そういたしますと、今の御答弁では、私が心配したことと結局同じことになつて來ます。つまり六ケ月前の四つの基準によりまして、或る指定炭鉱を指定する。それが六ケ月毎に定めるということでありますと、その指定した基準が六ケ月後において更に能率、生産費、品位、出炭量というものについて、その基準について再檢討する。再檢討されなければそれでいいのですが、再檢討されたということになりますと、一旦指定した炭鉱をやはり指定について考え直さなければならんということが起つて來るのではありませんか。
#132
○政府委員(平井富三郎君) 指定をいたします基準でございますので、そう始終ぐらぐら非常な大きな変化が起るということはないと思います。例えば出炭量について例を申上げれば、増産余力のある山を指定して行くという方針は、恐らく三年間から三年間変るまいと思います。ただ実際の問題として、指定をして行く順序に、例えば一つの例として申しますれば、先ず十五万トン以上の山について指定炭鉱を指定して行く、次の六ケ月後は十万トン以上の山について考えて見るということも一つの例でありまして、六ケ月毎に指定の基準がまるで変つて、指定炭鉱の指定に非常な変化が起るということは、先ず考えられないのじやないかと考えております。
#133
○小林英三君 更にお伺いいたしますが、その例えば指定基準である能率、生産費というものについて考え、又品位というものは、その山についてコンスタントでありましよう、恐らく変りはないと思う。出炭量の余力というものも大した変りはないと思う。併しその山に不幸にして爭議が起つた。こういう場合を考えて見る。そうすると、確かに能率は下つたに違いない。そうして生産費も爭議が起つたのですから、非常に高くなる。こういう場合を考えると、そういたしますと、爭議のために、指定炭鉱は指定を取消されるということでありますか、どうでありますか。
#134
○政府委員(平井富三郎君) 能率が下がるといたしますれば、無論指定の必要性があると思います。爭議でありますとか、そういう原因で能率が下がるということは、直ちに指定をするとかしないとかいう基準には絶対になるまいと私は考えております。
#135
○堀末治君 先程から大分論議になつておるのは、指定炭鉱の基準内容でございますが、実はこれと同じことがもう一つ考えられるのであります。それは御承知の通り、この間当院に上提されて、常任委員会に付託になつておる経済力集中排除法案、今丁度審議が延び延びになつておるようでございまするが、あの際に各委員からもいろいろ質問が出たのでありますが、いわゆるああいう漠とした法律が行われるということは非常に困る。その委員会において各委員の質問を聽いておりますると、どうかこういう漠としたのでは誠に帰趨に迷うから、できるだけ幅と深さを明瞭にして欲しいということが頻りに申されたのであります。私この基準は、あの経済力集中排除法案の時に各委員から盛んにその質問が出たそれと同じことだと、実はかように思うであります。これらの、要するにここまでに條件が出たならば、成るべくならば、いわゆる幅と深さをぴんとして貰う方が、要するに業者も本当に覚悟ができて安心だと思います。経済力集中排除法案もただ骨だけすつと出されて、肉も皮も附いておらない。それは一に持株会社整理委員会の運営如何にあるのだ、かようなことで、要するにその関係の業者は非常に心配いたしておるであります。それと同じことで、そうしてこの頃になつて、私直接聞いたのではありませんが、集中排除法案が行われるようになれば、直ちにこれこれの会社が、幾百の会社が指定されるであろうということも新聞に出ております。又内容はどこまで本当か分りませんが、初めは凡そ五百ほど排除法案に引掛かる会社もあると聞いておつたのでありますが、その後新聞紙の報道するところによれば、二百幾つくらいで終るだろう、又第一次は幾つ幾つの会社がやられる、こういうことが段段明瞭になつて來る。さようなことから、要するに本案の内容がやや具体的に、実際どこそこの会社を出されるというようなところから適用の範囲が、少し私共に分つて來るような氣がするのであります。私共の会社は実は関係があるので、社員を派遣していろいろ承わつて見ますと、君のところは第一次には入つておらないということを聞いて來て、実は私その報告は昨日受けたのでありますが、多分自分のところは入つておらんと考えておりましたが、やはりいろいろ関係がありますので深くこれを見ております。さようなことで、君のところは入つておらないということを、又私の関係する他の会社も当然これは入るだろうと覚悟していたが、又あの條文からいうと当らないと思うのであります。それも入つておらない。こういうことを実は聞くと、そうなるとあの排除法案というものが何程か私共にぴんと分つて來たような氣がするのであります。さようなことで、この問題については随分各委員からしつこい程の質問が出ておる。政府の御答弁の様子も分りますが、おぼろげに意図が分りますが、一そのこといかがでありましようか、大低これこれは第一次指定になるだろうということを大体調査ができておつたならば、この席上でお話を願われれば、この問題がその実際と比べて、余り論議もなくすらすらと行くのではないか、実は私はかように思うのでございます。それらについて大体お調べがあつたら御発表願えませんか。この間大臣にちよつと事業主が炭鉱管理者になつた場合のことについて、私お尋ね申上げたのでありましたが、まあ十万トン以上のものは個人は二人程しかないから、こういうお言葉があつた、して見ると十万トン以下は入らないのだということも想像されるのであります。左様なことでこの機会に……そうでないとなかなかこの問題はいつまで論じ盡されても、要するに果てしがないことですから、一そのこと、大体今調べてあるのはこの辺、或いは幾つの会社が、或いは幾つの炭鉱がやられるのだということを、ここだけでもお分りであれば、率直にここでお示しを願つたら、案外この問題がすらつと片附くのじやないかと思いますが、いかがでありますか。
#136
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の問題は、この法案におきましても、全國炭鉱委員会に諮つて指定することになつているのでありまして、その全國炭鉱委員会もできず、從つてそれに諮らないで、商工省單独でそういうことを発表することは、あなたの言葉を籍りて言えば、一番非民主的なことでありまして、そういうことは断じてできません。
#137
○堀末治君 非民主的と、あなたはそうおつしやいますけれども、大体要するにこれこれのものは管理委員会に諮ろうと思うているのだということなら、何にも非民主的にならないのじやございませんか。
#138
○國務大臣(水谷長三郎君) これは本会議における提案の理由の説明の場合におきましても、又委員会におきましても、増産第一主義の立場から、大体大きな山を目標として考えているという、以上のことは一つ御了承を願います。
#139
○堀末治君 そうすると、十万トンという話がちよつとあなたのお言葉から漏れたのでありますが、大体十万トン以上を管理委員会に掛けようという思召でございましようか。
#140
○國務大臣(水谷長三郎君) これは商工省案とか安本案とか傳えられているときは、年額〇〇トン以上ということで、或いは五万トン以上、十万トン以上ということに世間では傳わつておりますが、又商工省におきましても、安本におきましても、そういうはつきりした数字を責任ある者から言うたことはございません。大体五万トン以上か七万トン以上か或いは十万トン以上かというように、大きな山をどのように御解釈になるか知れませんが、併し我我の考を率直に申しますと、現在の経済事情の下においては、指定炭鉱というものは成るべく少い方がいいのじやないかと、このように考えております。
#141
○中川以良君 指定炭鉱の問題はどうも漠然といたしているのでありますが、原案より修正案の方がまだ幾らかはつきりして参つたのでありますが、いずれにしましても本法律案は只今商工大臣のお話のごとく石炭増産第一主義になつておりますので、いわゆる増産のための法律でございますので、もう少し余計石炭を出すというのでありますが、仮に二十万トン以上出炭するものがあつて、経営もうまく行つている。労資も協調している。こういう山には資金も例の資金貸付の規則によつて順調に資金も貸出される。そういうところは無理に大勢の役人の手数を掛けて管理しないでも、そのままにすればよいのかどうか、よく出るところは管理する思召かどうか、それを承わりたい。
 それからもう一つはむしろそうやつて順調にやつている山は石炭も出るので、何らトラブルも起きないのでありますから、そういうところはできるだけ國家の経費を省く意味で管理の対象にしないで、從つて出炭の乏しいものや、或いは新規開発を要するもの、或いは私企業として成立たないために、非常に経営が不熱心で労資の関係もうまく行つていない。こういう山こそ人的にも又資金的にもすべての点から行詰ると思いますので、そういうところに優秀な官吏が行く。又全國炭鉱管理委員会とか、或いは地方炭鉱管理委員会で衆智を集めて、そういうところでもつと出すことにすれば、それが本当の増産になり、この法律の精神に副うのじやないかと考えられますのですが、その点につきまして一つ御所見を承わりたいと思います。
#142
○國務大臣(水谷長三郎君) 大体商工大臣におきましても中川さんのおつしやることにおきましては大体同感でございます。ただ大きな山であつて非常に能率がうまく行つておる、或いは炭もどんどん出ておる、國家管理をやらなくとも十分増産の目的が達せられるという点は、さつき平井局長も申しましたように指定はしないし、又指定から後にそういう状態が起つたときには六ケ月毎に再檢討するということはその通りでございます。ただその非能率の山をば單に救済するということでなしに、経営者も労働組合も一生懸念にやつておるが、その山の特殊的惡條件で伸びるべき生産が伸びない、これらに対して國家管理をやれば打開できるというような山をやりたいと思つております。併しながら誰の眼から見ても、これはなんと申しますか、やるべきことをやらないで、そして能率が惡い、それをば救うためにやるというような物差は取ることは絶対にしない。そういう工合に考えておりまして、その非能率の原因をよく檢討してやりたいと思つておる次第であります。
#143
○中川以良君 只今非能率の山のお話が出ましたけれども、これは無論技術的にいろいろな立地條件その他から檢討いたしまして、到底見込みのない山に國家が資金、資材を注ぎ込んでやる必要はないのでありまして、そういうところこそ一應一つ管理をいたしまして、惡い山はもう廃止をしてしまうとか、或いは他に讓渡をするとか、経営を委任するとかというようなことで一つ増産の対象にしたらどうかと思うのでありますが、そういう点もお考え下さいまして、ただ非能率の山は勝手にやらして置く、やらして置けば、これは人的にも資金的にも、資材的にも始終無駄があるのでありまして、そういう無駄のないように政府の力で、この法律の力でやるのが増産第一主義にするゆえんじやないのでございましようか。
#144
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の御趣旨は大体修正案の第十一條の点はそのような趣旨を考えておるという工合に一つ御了承を願いたいと思います。
#145
○濱田寅藏君 議事進行について……大体もう十二時になりましたが、御飯も食べさして頂きたいと思いますし、昨夕のお話に今晩は晩くまでもやつていいというような皆さんの御意向もありましたので、予めお弁当の用意のない方は今夜の六時頃に飯を食べられるように食堂を御手配を願つて置いて、今晩はできますならば十時まででもやりたい、かように考えておるのでありますが、一應お諮り願いたいと思います。
#146
○委員長(稻垣平太郎君) 今濱田委員からの御提案をお諮り下さいということでございますが、いががでございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#147
○委員長(稻垣平太郎君) 本案の審議は、先程も冒頭で申上げましたように、時日もございませんし、できるだけ審議を急ぎたいと存じまするので、審議が捗りません場合には、只今濱田委員のお話のように、夕食後にもお願い申上げなきやならんかと存じております。この点は皆樣の御同意を得て置きたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#148
○委員長(稻垣平太郎君) それから尚どうも、先程申しましたが、委員会の冒頭に申上げましたように、どうぞ重複に亘りますような御質疑はできるだけ御遠慮願いますることと、それから御質疑の中に非常に御意見の入る場合もあるのでございますが、御質疑は御質疑として御進行願いたいと存じまするし、尚又できるだけ御質疑も簡潔にお願いしたいと存ずる次第であります。
#149
○川上嘉市君 只今中川委員のお話に非常に大きな所でもつて能率がよくつて管理する必要がない、こういうようなものは今御予想になつておる中にそういうのがありますか、それを一つお伺いいたしたい。実は業者の方で非常に管理になることを希望しないのが沢山あるらしい。そんなふうに感じておりますが、若しそれを能率が上つて、お前の炭鉱はこれ以上になれば管理を解くのだ、こうやつたら勵みになると思いますが、それらの大凡その目標というものを各炭鉱毎に決められるようにしてやつたら、將來実際の増炭に非常な力になりはしないかと思いますが、いかがですか。
#150
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今川上さんの言われることも一應考えられますので、六ケ月毎に再檢討するということが言われてあるのでありまして、その点は炭鉱管理委員会におきましても、十分考えて貰える問題である。このように考えております。
#151
○川上嘉市君 初めから除外するというのがありますかという最初の質問についてお願いします。
#152
○國務大臣(水谷長三郎君) その点は六ケ月毎に再檢討するという趣旨から申しますれば、最初の出発点におきましても、そういうことは理窟の上においてあり得ることと思います。
#153
○田村文吉君 簡單な問題で一つ伺いたいのですが、今の修正案のこの六ケ月に決めるという意味は、定期的に六ケ月毎にやるという意味ですか、一つの炭鉱は期の途中でも指定され、或いは指定解除されることがあるわけですか、例えば年度初めにこれをやる時に、四月なら四月一齊に指定炭鉱にする、六ケ月経つてから指定か非指定か決める、こういう意味でありますか。期の途中でも一つ一つの炭鉱が六ケ月毎に指定を受けるのですか。
#154
○政府委員(平井富三郎君) 六ケ月毎に定めますのは基準を定めるわけであります。從つて基準が六ケ月毎に生産状況を再檢討して、適正なるものに彈力性を持たして行こう、こういうのが趣旨であります。從つて指定は一つの基準に基ずきまして、なるべく一つの時期において指定をいたすことが適当であろうと考えております。これは指定さるべき只今炭鉱として残される炭鉱との振合いもございますので、成るべく指定をいたします場合には、成るべく一時的にやることが適当かと考えますが、指定基準の問題ではございませんので、法律的には勿論期の途中で指定を追加して行くことも可能でありますし、又実際上その必要が出ます場合には、具体的の指定の方は期の途中でこれを行うということも予想され得るわけであります。
#155
○小林英三君 議事の進行についてちよつと希望したいのですが、先程中川委員からして御質問がありましたのに対して、委員長からでありましたか、これはもう済んだことだからあとで聞いてくれというようなお話がありました。私は議案の審議につきまして、時間をできるだけ節約して、そうしてやつて行こうという委員長の方針は誠に結構でありますが、我々も又故意に同じ質問を重複しようとするものではありませんが、ただいろいろな関係からいたしまして、我々委員としても、人の関聯した質問に対して氣が附かない時がある。その時は我々は委員の権利として、同じような質問に触れない場合もないとも言えないと思いますが、それを一々政府委員から、これはもう質問したことだから止してくれということは、私は委員の権能を侵害するというような氣がする。だから我々は努めて重複した質問を避けたいと思いますし、又時間の尊重もしたいと思いますが、委員から氣が附かずに質問がありましたような場合につきましては、折に触れてそういうことがないように十分にその委員の納得が行くように、簡單でもよろしいが、納得の行くような御答弁として頂けるようにお取りなして頂きたい。行き過ぎになりますと、委員に対して侮辱だと思いますから、今中川委員の御質問に対しまして一言希望を申上げて置きます。
#156
○委員長(稻垣平太郎君) 今の御希望御尤もでありますが、中川委員の御質問はこの前中川委員が御欠席になつておりまする間に、二回、三回に亘りまして同じことが繰り返されて御質問になりましたので、後で私は中川委員には御説明申上げようと思つておりましたのですが、同じことが三回、四回に亘つて繰り返されるということは、外の委員のために御迷惑だと存じて申上げましたので、実は同じ質問が繰り返されております場合でも、角度が違つた場合、或いは又同じような場合でも、私はそう一々御注意申上げておるわけではございませんから、その点を御了承願います。ただ中川委員が御欠席になりましたから、事情を御存じないから後で申上げようと思つて御注意申上げたのであります。その点は小林委員のお話の通りにやつておるつもりでありますから、その点は誤解のないに願います。
#157
○宿谷榮一君 只今委員長のお話によりますと、これは委員長の御希望でありますが、後から意見が出て來る場合もありましようが、質疑中に成るべく意見のないようにという御忠告がありましたが、併し審議をして行く上に自分はこう考えるが政府はどうか、こういう意味の意見は私は差支ないと思いますが、そこに拘束が出て來ると、これは審議ができないことになります。ただ政府の御意見だけ聽いて、我々は結論を出せばいいとかいう程度でなくて、満足の行くまで話合つてこの重大な問題を纏めて行かなければならないと思うのですが、この点について、ちよつと疑義を生じたので委員長の御発議に対して伺つたわけでありますが、そういうふうに一つ……。
#158
○委員長(稻垣平太郎君) 今宿谷委員のお話でありますが、私の申上げる意見というのは質疑に関連は無論あることでありますけれども、関聯以上に亘つたような御意見の場合が往々見受けられるのであります。或いは引例等につきましても、引例の方が冗漫になつたりする場合もありますので、実はそういう点についてできるだけ重複に亘らないように御注意を願いたい、こういう意味で申上げたのでありますから、その点は誤解のないように願います。それでは午前中の審議はこれで一應打切りまして、午後再開いたしたいと思いますが、午後は一時十五分からお願いいたします。
    午後零時十五分休憩
     ―――――・―――――
    午後一時四十一時開会
#159
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより再開いたします。第三節は第二節に関係が深いのでございますから、第二節と第三節を併せて御審議を願いたいと存じます。
#160
○玉置吉之丞君 新らしいこの第十五條に、毎四半期の詳細なる事業計画の案を作成して、管轄の石炭局長に出すということになつておりますが、この詳細というのはどういうことなんですか、その内容を伺いたい。
#161
○政府委員(平井富三郎君) ここで詳細な事業計画と書きましたのは、いわゆる一般炭鉱におきまして事業計画を取るということと違いまして、業務計画の説明に詳細の事業計画と、こう書いたのでありますが、これの内容として考えておりますことは、第一に出炭、送炭、山元消費及び輸送の計画、第二に設備の新設、増設、若しくは変更の計画、いわゆる拡充工事に関する計画、それから資材、資金、労務及び動力の取得の計画、次に労務者用物資及び施設の需要の計画、第五が生産費及び支拂賃金の予定計画等を大体予想しておるわけであります。
#162
○委員長(稻垣平太郎君) 御質疑中でございますが、今法制局長官が見えまして、午後から又外の方に行かれなければならん御用事があるので、例の生産協議会の性格について御報告したいということでございますが、よろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#163
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより法制局長官の生産協議会に対する見解について御陳述を願うことにいたします。
#164
○政府委員(佐藤達夫君) この生産協議会は一種の合議体の機関なのでありまするが、この合議体の機関というものは、御承知のようにいろいろな種類のものがございまして、協議会という名前の附いておるものも、或いは委員会という名前の附いておるものもあり、その他沢山ありますが、委員会という名前が附いておりましても、或いは協議会という同じ名前が附いておりましても、おのおのその機関の性格は違つておるのであります。これらの事柄の一々の定義を附けますこと、或いは又これらを分類いたしまして、種類を分けるというような事柄は、これは恐らくは学者のやるべき仕事であろうと思うのであります。で私共といたしましては、おのおの法制上にこういう合議体の機関が取扱われる場合におきましては、その法制の目的なり、或いはその合議体の機関が活動すべき活動の任務というような事柄に着目いたしまして、独自の性格というものを皆持たしておる。必ずしも学者の分類に應じまして第一種、第二種というようにやつておりませんことは、これは御推測を願えることであろうと存じます。でありますからして、これを精密に学者的の表現を用いまして、この性格を申述べるということは、正直なところこれは不可能であろうと思います。ただ大きなところから申しまして、今回のこの生産協議会の性格はどういうものかということを申しますれば、普通に言われております決議機関というものと、それから諮問機関と言われておりますものとの丁度中間の性格のものである。これは恐らく大臣その他からもそういう御説明をしておられると思うのでありまするけれども、これは何人が出て参りましても、さような御説明をするより外はないというふうに私考えております。一應簡單でありますが、御説明いたします。
#165
○委員長(稻垣平太郎君) 右について御質疑のおありの方は……。
#166
○玉置吉之丞君 只今の法制局長官の御説明に関聯いたしてお伺いするのでありまするが、只今のお答えによりますると、過般当委員会で水谷商工大臣のお答えになつたことと同じことをお答えになつておるのでありまするが、そういたしますと、現在においても炭鉱なりその他の事業場において、私的に経営者、労働者との間に経営協議会というものができておつて、それが円滑な運用を見ておるのでありますが、それらの構想から考えて、この生産協議会というものができたものであると私共考えておるのでありまするが、そういう点から行きますと、これを法文化して行く上において、今後のこの運用の上において、そういう諮問機関でもない、又決議機関でもない、中間的のものであるというようなお答えを承わつて、ますます疑念を深めるものでありまするが、もう少しこれを明確にすることができないものでございますか、その点を伺います。
#167
○政府委員(佐藤達夫君) 先程前段に中間という言葉を使いましたために、非常に不明瞭な感じをお抱きになるかとも存じまするので、その点を補正して申上げますれば、只今の御質疑にお答えすることにも相成るだろうと存ずるわけであります。
 先程各法制毎に独立性を持たしておると言つてもよろしいということを申上げましたが、本法案で申しますれば、例えば業務計画の案を決めまする際に、生産協議会の議を経なければならないということになつておりますが、その議を経る手続を執つた後の始末というものは、この法律自身ではつきり書いておるわけであります。これは業務計画について申しますれば、十七條の最後のところにございます。その他三十四條等に業務計画の実施に関しての或る種の事項の基本について事柄を定めるという場合につきましても、その議を経る手続に関聯しての事柄が法律ではつきり書いてあるわけでございまして、その限度におきましては曖昧な点はないというふうに考えておるわけであります。從いましてこの法制の建前をずつと一通り読んで参りますれば、その性格もおのずから明らかになるようになつておりますというふうにお答え申上げるべきであろうと存じます。
#168
○委員長(稻垣平太郎君) 只今生産協議会の御審議を願つておりますので、先程私が申しました第二節、第三節を議題に供すると申上げましたのを、第二節、第三節、第四節までを審議の議題に供するということに訂正いたしたいと存じます。
#169
○大屋晋三君 今の法制局長官の解釈は、これは商工大臣と同じ解釈で、どうも純法律的の解釈であるとは受取れないのです。法律的の解釈をあなたに伺いたい。我々の眞意は、この生産協議会というものがこの中にこういうふうに書かれておる点に対して、法律的にどういう解釈をするか、その答えが諮問機関でもない、決議機関でもない、やはり中間的のものだということで、前後の條文を見れば、その後の運用はおのずから明かである。こんなことがあなたにお聽きしておる眞意ではない。法律的に見てあなたのお答えを分析して見ると、成る程法律学者の解釈はかようかようであるかも知れない。併し私としてはかようかようと申した。私のあなたに聽く答弁が商工大臣と全然同じである。それは政治的な解釈であつて、純法律的な解釈でないと私は考えるのですが、重ねてどういう氣持ですか、お伺いしたい。
#170
○政府委員(佐藤達夫君) 私学者でもありませんので、正直にこの案の意図するところを申上げたわけであります。でありますから法律家的の定義を述べるということも能力は勿論ありませんし、又そういうことを申しますよりも、現実的にこの法案に現われておりますところによつて、その性格なり、或いは運用の筋道というものははつきりするのであろうということをお答え申上げております。最近の立法のやり方は、私共その方の担任をいたしておりますが、余程アメリカ流と申しますか、現実的な行き方というものが最近の傾向でございまして、昔はむしろ大陸流に行政法学的にいろいろ考えて立案もし、又條文の配列等も学者の著書のごとき方法でやつておつた時代もありましたけれども、近頃は極く現実的にとにかく分つて動きさえすればいいのじやないかという建前ですべての法案を我々起案しつつあるわけであります。その辺の事情もお酌み取り願いたいと存じます。
#171
○大屋晋三君 遁辞をアメリカ流におつ被せられたのは甚だ不満足でありますが、要するにあなたの解釈が政府の一代弁人という域を出ないと私は断定申し上げて、これ以上の御答弁がなければ致し方ありません。
#172
○玉置吉之丞君 第十七條の「石炭局長は、地方炭鉱管理委員会に諮つて、指定炭鉱ごとにその業務計画の案の作成上基準となるべき事項を定めて、これを当該指定炭鉱の事業主に指示しなければならない。」というこの「作成上基準となるべき事項」というのはどういうことなのでございましようか。
#173
○委員長(稻垣平太郎君) 法制局長官への御質疑ではございませんね。では堀君。
#174
○堀末治君 今のお話でございますと、経営協議会と同じような性格だというようなお話を承わつたのでありますが、そうするとこれは特にこの議を経るということである。後には、その外のものには、議を経るというようなことはございませんが、特に生産協議会の場合においては議を経る。議を経られなければ云々という、こういうような條項があるのですが、そうすると長官は議を経るということを、どういうふうに御解釈になりますか。
#175
○政府委員(佐藤達夫君) この法案の中には、確か「諮つて」という言葉と「議を経る」という言葉と二通りございます。この「諮つて」の方はこれはもういわゆる諮問機関的の扱いをするという言葉でございます。「議を経る」というのはそれとは多少違いまして、先程申しましたような性格のものであるというような違いがあるわけであります。
#176
○堀末治君 先程申しましたような性格というと、やはりそうすると決議機関でもある、こういうふうに考えるわけですか。
#177
○政府委員(佐藤達夫君) 單純なる諮問機関としては扱つておりませんことは、先程申しました條項でこの議に付した後の事柄、後始末と申しますか、事柄を各條文にはつきり書いてありますから、さような点において單純なる諮問機関とは違つておるということになるわけであります。
#178
○小林英三君 私は今大屋委員の法制局長官に対する質問におきまして、法制局長官におかれては、はつきりした御説明があるということを期待しておつたのでありますが、これは大屋委員の御説明に対しまして今おつしやるような答弁しか得られない。然らば法制局長官をして、これは諮問機関であり、又場合によつて見方によつては決議機関である、こういうようなお考えであるといたしますれば、この協議会というものが諮問機関である場合には、こういうところを以て諮問機関と看做す。それから又決議機関と看做される場合においては、この働きによつてこの協議会のこういうところを以て決議機関と看做すということの法制局長官としてはつきりと御所見を承わりたい。
#179
○政府委員(佐藤達夫君) 先程申しましたように、一口に諮問機関と言い、或いは決議機関と言い、これ自体の定義というものが、これは何人もそれに從い得る正しい定義というものはございませんから、その言葉を手蔓にして御説明すること自身が私は困難なことであろうと思います。ただたびたびの御質疑に対してお答えすることは、例えば業務計画の場合で申しますと、生産協議会の議を経なければならないと書いてありまして、その最後の所に議を経ることができないときは事業主はかようかくかくの手続をしなければならないということがはつきり書いてあるのでございますから、その間の運営については何ら学術的の議論をしなくとも円滑に動き得ると考えるのであります。そうであれば立法の目的は達するのではないかという氣持を持つております。
#180
○小林英三君 立法の目的が達するとか、達しないとかいうことは問題ではございません。私が質問せんとすることは、決議機関には決議機関の機能がある。又諮問機関には諮問機関の機能がある。決議機関と諮問機関とはその運営において違うと考える。例えば法制局長官として、諮問機関であり、決議機関であり、中間機関であるというお言葉であるならば、この法案に対しまして、この点を以て諮問機関と看做すのだ、又見方によつては、この点を以て決議機関と看做すのだというようなはつきりした御見解を、法文についての御見解を承わりたい。
#181
○政府委員(佐藤達夫君) その中間という言葉自身が非常に曖昧な言葉で申訳がないのでありますが、要するに諮問機関というものがこの法文中にありますから、この諮問機関というものと、この生産協議会というものは、これは違いますということは申し得るわけであります。然らばどういう名前を附けたらよいのかと申しますと、正直に申しまして名前はない。或いは学者は何とか機関というような名前を附けるかも知れませんが、この際我々としてはそういう氣持はないのだということを申上げまして、これが先程申しました現実に動きが付けばよいものと我々は考えましたということになるのであります。
#182
○小林英三君 私は法制局長官として、法案のこの部分にこういう條項があるから、この点は諮問機関と看做す、この点は決議機関と看做すということをはつきりとおつしやられたらどうですか、法文について現実にそれを承わりたい。
#183
○政府委員(佐藤達夫君) これはもうたびたびどうも同じことをお答えして恐縮でございますが、決議機関と言い、諮問機関と言う、その定義の問題に絡まつて参りますのでございますから、この点が諮問機関であり、この点が決議機関であるということを申上げること自身が不正確なことになり、且つ困難なことになると思うのであります。どうも定義といいますか、名前を附けるという段階になりますというと、これはちよつと咄嗟に私が勝手な名前を附けて申上げるわけに行きませんし、これを現実にこれを見て行くということは差支ないのじやないかと思います。
#184
○小林英三君 私が聽かんとするところは、つまりこれは決議機関でありますれば、生産管理者というものは、この決議を持つた者に対して動かされる。併し諮問機関であれば現実に管理者という者はこれによつて動かされないこともできる。こういうふうに私は考えておりまして、この法案について、決議機関であるのはこういう点から決議機関と言えるのだ。それから諮問機関というのはこの点から諮問機関と言えるのだということを、はつきり伺いたい。
#185
○政府委員(佐藤達夫君) 例えば業務計画の場合でありますというと、十七條の、先程申しました末頃「生産協議会の議を経ることができないときには、」ということがあります。諮問機関でありますれば、議を経ることができない場合を書く必要がないのであります。この場合は、議を経ることができない場合は、事業主はかような措置を取らなければならないということを謳つておるわけでありますから、その点において違いがはつきりしておるように思います。
#186
○小林英三君 まだ長官の御説明によりましては、はつきりいたしませんで、これ以上はいけないと思いますから、私の長官に対する質問は打ち切ります。
#187
○委員長(稻垣平太郎君) 長官に対しましての御質問がございますか。
#188
○田村文吉君 議を経てという文字が沢山使われておりますが、これは同意を得てとかいうことを全く同じでありますか、或いは違う点がありますか。
#189
○政府委員(佐藤達夫君) これは文字を使い分けておりますごとくに、やはり違うつもりでおります。
#190
○田村文吉君 その点を少し御説明頂きたいのですが、同意を得てという点とどういう場合が違うのですか。
#191
○政府委員(佐藤達夫君) ちよつとどういうふうに違うと言いましても、現実の何か事柄がありませんと分りませんですが、この場合は、要するに生産協議会の議を経てというのが一番適実なるところであろうと、まあ大体なんでありますが、そういうようにお答えする外ないと思いますが……。
#192
○田村文吉君 その場合に同意を得てとなつたらば、内容が異なつて参りましようか。
#193
○政府委員(佐藤達夫君) これは仮定の問題でありますけれども、同意を得てということになりますと、同意を得ない場合には意思決定がないと言いますか、成り立たんと申しますか、そういうような違いがあるのではないかという氣持がいたします。
#194
○田村文吉君 甚だはつきりしないのですが、私は同意を得てと同じ用語に全部のものが使われておるものと在來解釈して、この法案を審議して参つたのでありますが、同意を得てということと、議を経てということが違うということになりますというと、尚この問題につきましては、少し檢討をやり直しさして頂かなければならんと、こう考えておりますが、一應はその問題はそれにいたして置きまして、もう一つ伺いたいのでありますが、労働組合法におきましても、非常に困つた問題になつておりまして、実際の運用上に各種のトラブルが起つておるのであります。それは事業者なり、経営者なりの利益を代表するという者は、組合に入つちやいかんとか、今度のこの法案では、業務委員という者にはさような利益を代表するような者は入れないと、こういうことになつておりますが、この人数から申しますというと、最低五人ずつおるわけであります。五人ずつはいるということになれば、利益を代表する人も五人いるわけでありますが、この法案をお作りになります場合に、利益を代表する人とは、一体どういう人をお指しになるのでございましようか、その点を一つ法制局長官に伺いたいと思います。
#195
○政府委員(佐藤達夫君) これは例えばその会計課長でありますとか、秘書課長というような、そういう利益代表と認められる者は、この利益を代表する者というふうに考えておるわけであります。
#196
○田村文吉君 この点が常に問題に相成りまして、労働組合法の運営上に非常な暗影を投げ掛けておるのであります。中労委あたりでも、非常に檢討しておられますのですが、政府のはつきりした指示が未だにない。ないのでありますので、又ここにこの用語を使つて参つておりますので、今後この点について非常に困るだろうと、こう考えておりますので、もつとはつきりしたことを御明示願えないか、例えば課長であるとか、或いは係長であるとかいう人でも、事実その経営者のためにやる人と、中には課長であつても、実は待遇改善の問題になりますと、やはり賃銀を上げて貰つた方がよい、極端に言えば、炭鉱管理者自体も賃銀を上げて貰つた方がよい、かような事態でありますから、さような場合になつて來ると、非常に性格の矛盾が起つて來るのであります。でありますから、事実この問題が常に問題になる個所でありますので、かような法律をお作りになる場合には、もつと迷いのないように、はつきりした御指示がないと運用上非常に困ると考えるのでありますが、特に会計課長とかいうのでなく、もつとはつきりした法律的の観念を與えて頂きたいと考えます。
#197
○政府委員(佐藤達夫君) 実はかような言葉というものは、只今お話も出ましたように、労働法制等には、こういう表現を使つておりますものですから、かようにいたしておるわけであります。尚この実体につきましては、必要に應じましては商工省の政府委員からお答え願つてよろしいと思います。
#198
○田村文吉君 それじやその問題は保留いたしまして、あとで又伺いたい。
#199
○委員長(稻垣平太郎君) 別に御質問がございませんければ……法制局長官は非常に急いでおられますが……。
#200
○岩木哲夫君 ちよつと伺いますが、生産協議会の議長は、この議題を諮問議題としてやろうか、議決議題としてやろうかというようなこと、或いは中間的な取扱いにしてやろうかという裁量は、議長がやれることになるのでありますか、その点を一つ。
#201
○政府委員(佐藤達夫君) それは、その議長の意思によつて、この機関の性格を結局左右することになりますので、それはできないと思つております。
#202
○岩木哲夫君 そうしますというと、議長は、この問題は諮問したい、この問題は議決したいと裁量できないといつたら、何もかもみんな全部中間というものの結末というものは、どう取扱うのでありますか、多数の場合と少数の場合と、少数でも採択せにやならん場合もあるし、多数によつて決められるという定義を持つのか、どういう仕組でありますか。
#203
○政府委員(佐藤達夫君) この法案の中に、三十三條でありますが、生産協議会の議決につきまして、出席委員の過半数ということにしてあります。そうして但し書がありまして、三十五條一項の但し書の場合には、全員で決めるということになつておりますから、議長限りで裁量はできないわけであります。
#204
○岩木哲夫君 過半数でありましても、これは決議機関と諮問機関の中間であるわけでありますから、敢えて議長が、これを過半数だから、多数であるから議決したい。少数であるから否決したいというように、結論の議題を取扱うのは自由でありますが、やはり多数決によつて表決するのであるならば、完全な議決機関でないわけでありますか、この点を伺いたい。
#205
○政府委員(佐藤達夫君) お尋ねの趣旨をはつきり把握いたしませんけれども、こういう会議体は、その会議体としてのやはり纒まつた意思を決めなければならないから、その意思の決め方を過半数にするか、或いは三分の一の多数決にするか、全員一致にするかということは、すべて会議体についての問題であります。上は國会から下は地方議会についても同様であります。これはさような趣旨の規定であります。
#206
○岩木哲夫君 仰せの通りであります。物を決めようとすれば、多数決が主であろうと思いますが、併し諮問機関でもある場合があるというような御説明もあります故に、諮問機関である場合には、必ずしも多数の意見によつて物が決まるわけでない、少数でもそれを採択する場合があるが、それらの事項は、議長が採決できますか。
#207
○政府委員(佐藤達夫君) ちよつと私の先程申上げ方が惡かつたのではないかと思いますが、この生産協議会が、或る場合には、諮問機関でもあるというように私が申上げましたようにお聽取りになつておられれば、これはどうも私大変言葉が下手なのでなんですが、それは違つておるのであります。生産協議会というものは一つの協議会としての性格を持つておるのでありまして、場合によつては諮問機関的になり、場合によつては決議機関的になるというような意味で私は申上げたのではございません。生産協議会としては独自の性格を持つておるということで、その性格は先程申しました通りということであります。
#208
○岩木哲夫君 その独自の性格というのは、段々の各委員からの結論を集約いたしますと、結局決議機関になるように解釈できますが、さような意味でありますか、どうですか。
#209
○政府委員(佐藤達夫君) これは先程申しました決議機関でもなく、諮問機関でもないということでございます。
#210
○大屋晋三君 どうも法制局長官の答弁は前と後と少し変つて來た。あなたは私の質問に対して、これを断定を強いてしようとすれば、中間体であるが、この前後にある條文を見て、そうしてこれは諮問機関である、又これが決議機関であるという性能が生れる。その他の條文によつて生産協議会の性格がそこに反映して行くという説明をなすつたが、今岩木委員の質問に対してすつかり変えてしまつた。あなたの表現では、確かにそう取れます。
#211
○政府委員(佐藤達夫君) それは私が言葉使いが下手なんでございまして、後で申上げました通りに考えております。生産協議会は場合によつては決議機関になり、場合によつては諮問機関になるというような趣旨で申上げたのではございません。
#212
○大屋晋三君 それでは一体あなたの解釈は、いわゆるその中間の固定体と、こういう意味ですね。諮問機関並びに決議機関にもあるざる中間の、両方の性格を帶びた固定したものだという、固定的の解釈として考えてもよろしうございますね。
#213
○政府委員(佐藤達夫君) 固定と申しますか、場合によつてはどうなるというようなことではなく、やはり只今おつしやるように固定でございましようか、固定的の性格を持つております。
#214
○岩木哲夫君 そうすると段々の各條文によつて議を経て、やはり多数決によつて決められるということになりますと、今申す通り中間的というような言葉を法制局長官ともあろうような人がおつしやるのは、天下にはちよつと言えた話ではない。はつきり決議機関なら決議機関と一應おつしやつたならいかがでございますか。(「その通り」と呼ぶ者あり)
#215
○政府委員(佐藤達夫君) これは結局私の能力の問題になるかと思いますが、無能で誠に申訳ございませんけれども、決議は過半数で行くとか、多数決で行くとかという問題は、これは諮問機関でもあることであり、決議機関でもあることで、これは一つの共通の問題であり、生産協議会の性格は又別の角度から決めらるべきものであるというふうに考えておる次第であります。
#216
○平岡市三君 中間機関ということが非常にはつきり……或いは折衷機関と申上げたらいかがでしようか、この考え方は……。
#217
○政府委員(佐藤達夫君) これはどうも折衷ということと、ちよつと感じが違うような氣がいたしますが、中間機関というのも、実は私はよい言葉ではないと思います。率直に言つて、言い現し様がないものですから、中間機関という言葉を拜借しておるわけでありまして、これは條文を見て頂く外はないということに、どうも結論はなるのでございます。
#218
○中川以良君 そういたしますと前の二十三條、原案でありますが、これには指定炭鉱も炭鉱の管理者を選任する場合には、生産協議会の賛成を経なければならないということになつております。これが若しも生きておるといたしますと、只今長官のおつしやつた通りに、中間体のものでもあり、又諮問機関でもあるという意味でございましようか、これは原案をお作りになつた時はどういう精神でございましたか。
#219
○政府委員(佐藤達夫君) これは原案におきましても「生産協議会の議又は從業者の賛成」でございまして、「賛成」というのは、これは從業者の賛成であります。でありますから生産協議会に関しまする限りにおきましては。「協議会の議を経なければならない。」という言葉に通ずるわけであります。
#220
○委員長(稻垣平太郎君) それでは法制局長官に対する御質疑はよろしうございますか。
#221
○岩木哲夫君 質疑もありまするが、折角ながら長官の御答弁は了承できませんが、時間が経ちますから打切ることにいたします。了承することはどうもでき難いと思つております。
#222
○委員長(稻垣平太郎君) それでは玉置委員からお続けを願います。
#223
○玉置吉之丞君 さつき伺いました第十六條につきまして、局長の御答弁を願います。
#224
○政府委員(平井富三郎君) 十六條の指定炭鉱がその業務計画を設定する場合におきまして、その案の作成上必要といたしまする資材の注入量、或いは資金の注入量等、計画設定の基礎となります事項を炭鉱の事業主に予め指示をいたしまして、大体計画設定の一つの基準というものを與えて、爾後の計画設定を適正ならしめる、便宜ならしめるという狙いでございます。
#225
○玉置吉之丞君 そういたしますと、その基準となるべきものというのは、前に五十條によつて提出を求めております明細と共通するものであると解釈してよろしいと思いますが、そういたしますと、この計画について生産協議会に諮り、それが一つ成案を見て石炭局長の手許へ行き、石炭局長がこれを認めるということに相成つて、そうして仕事に掛かるのでありますが、その場合におきまして、拡充のことはその外に資材を伴うものと思います。例えば坑木であるとか、火藥であるとか、コンベアーであるとか、いろいろなものが要るであろうと思いますが、そういうものの明細がその中に入つておつて、それをお認めになつた以上は、これは石炭局長と申しますか、政府において責任を以てこの資材の供給をしてやらなければならんと思うが、そういう点についての責任は、これはどちらにあるのでありますか。
#226
○政府委員(平井富三郎君) 基準を指示いたしまして、それに基きまして事業主としては尚詳細な計画を立てるわけであります。從つて資材の場合には、例えば鋼材は甲の炭鉱については五千トンの大体供給ができる見込である。その五千トンの内容につきましても、事業主が具体的に業務計画を設定いたします場合には、或いは五千トンが五千五百トンになる場合もありましよし、或いは品種的に見まして、レールが殖えたり、或いはパイプが減りましたり、品種的にも増減が必ず出て來るものと思います。要するに基準を示すということは、その計画設定が資材の供給或いは資金の供給量とかけ離れた計画ができたんでは何にもなりませんので、その爾後の業務計画を設定する場合における必要な限度において、成るべく詳細な基準を指示するのであります。こういうような経過で業務計画ができ上りまして、これをこの法規の定めるところによつて決定をいたし、実施をいたすという場合におきましては、資材の割当は又それぞれの法律の規定によつて、或いは切符の割当によつて、或いはいわゆる統制のない物資も中にはございましようし、それぞれの物資の取得の手続きによつてこれを獲得いたすわけであります。その際大体におきまして問題になりますような資材というものは、大部分原則としてこれは割当制度、切符制度の原因になつておるわけであります。從つて先ずこの基準が示され、業務計画が正式に決定されますれば、それに基く資材計画ということも同時に決定され、それに対していわゆる政府が切符を発券いたすわけであります。例えば鋼材等について申上げますれば、その発券されました鋼材の取得ということは、勿論政府といたしましては業者が獲得いたしますように十分の斡旋をいたすというように考えております。具体的に申上げれば、例えば鋼材類のような規格の多いものにつきましては、個々の発注ではなかなか入手がしにくいという場合は、その炭鉱の必要とする鋼材の種類というものを、鋼材のメーカーとの間に斡旋しまして、これを共同発注するなり何なりするような、同じような効果を以て生産者の生産の計画にそれを載せてしまう。そうしてその取得を拡充するというような斡旋をいたしておるわけであります。それぞれの物資の取得の方法、取得の手続、それに從つてこれを獲得する。その間政府といたしましては、或いは専門の斡旋官或いは協力官というようなものがありまして、その取得を積極的に斡旋するものもございましようし、或いは切符制度だけでうまく運用できるものは、それに委せてありましようし、それぞれの資材の取得のやり方に即して資材の購入をして行くわけであります。從つて政府が斡旋をする場合についての斡旋業務の範囲におきましては、政府としてその斡旋について全力を盡すのでありますが、勿論事業主として盡さなければならない分野においては、事業主として責任を持つて獲得して貰うということに相成つておると思うのであります。
#227
○玉置吉之丞君 そういたしますと、事業主が明細を出して、そうしてそれに対する基準を出す。それに基ずいて政府が檢討をいたして、それぞれの資材を割当てる。そうしてその切符を出す。こういうやり方は今日までもやつておると考えますが、それが殆んど空文に終つて、切符は貰つたけれども現物が入らないというために困つておるということは、ひとり炭鉱ばかりでなくて、全体の我が國産業においては、そういう面が多々あるのであります。すでに又政府が本委員会にお出しになつておられる炭鉱に関する資材の資料等に徴しても、計画の通りに入つておらんことは、これは事実であります。そういたしますと、今までと違つてこういう炭鉱が悉く明細な書類を出し、その基準となるべきものの詳細なものを政府で出しておるから、何らの資材等に余地がないと私は思うのでありますが、それを檢討して案を立てて、そうして切符だけで物が廻らないという事態に即して、石炭が出ないという責任はこれは事業主の負うべきものでない。この資材の世話をするところの私は石炭局長なり、政府がこの責任を負うべきものであるということを考えておるのでありますが、その点はどうでありますか。
#228
○政府委員(平井富三郎君) 私の申上げますのは、すべての資材の購入はすべての責任が政府にあるというふうには私共考えておりません。企業主として盡すべきことは十分盡すというのが企業主の責任であろうと思います。從いまして切符制度の運用全体につきまして、政府としてこれが円滑に行かんという場合の統轄的責任は勿論政府にあると私は考えております。その限りにおいて、政府としましては、或いは行政の運用につきまして、監察委員会その他によつて十分行政の運用につきまして監察を行い、必要な処置を取つて行く、これが運用を誤ります場合の政府の責任というものは、勿論政府として十分取るべきであると思います。併し資材の購入につきまして、すべての全責任が政府にあるのじやないか、企業主はただ必要量を計算して、石炭局長は差出して切符を貰つた、それを貰つて入らんのは企業主には何も責任がないのだ。こうばかり言えない点がありまして、企業主としてやはり切符によつて資材を獲得するというためには、やはり十分努力をして貰わなければならないのでありまして、努力の点につきましては、企業主にもやはり責任があるのであります。從つて資材の購入が、資材の調達の工合が悪いという場合におきまして、切符制度全般としての統轄的な責任を政府において運用すべき手続等を遅滞或いは過失、これらに基ずく責任は勿論政府が負うべきであると思います。併し同時に現在の物資の取得の手続というものは、政府とその供給者と、それを購入する者三者が共同して切符制度を円滑に行なつて行くということが前提になつておりますので、その点それぞれの分野においてその責任は当然負うべきだ、かように考えております。
#229
○玉置吉之丞君 それは段々お話を伺つておれば、まあ今までやつておつたことと変りないことと思います。政府も骨は折るが、事業主も自分の力で努力しろ、それで入らない結果の責任は事業主にある。或る部分のものは政府に責任があるというような意味のお答えでありますが、それであれば敢えてこういうものを、法文化してむずかしく並べ立てなくても、前とちつとも変らないことになります。
#230
○政府委員(平井富三郎君) 私の申上げておるのは、玉置委員の御質問が、資材が入らないということは一切政府の責任であるというふうな御質問の御趣旨かと思いましたので、現在の資材の取得のやり方について具体的に御説明申上げた次第であります。從つてこの國管が実施されました場合においては、政府の斡旋する分野が非常に増加する。例えば坑木その他につきましても、協力官等を設置して、坑木の供出輸送、これらについても政府として各関係官廳に連絡すべき事項は政府として連絡して、これを促進して行く。鋼材につきましても只今申上げましたように、事業者と生産者との間に政府が斡旋をいたしまして、いわゆるメーカーのロールの計画にはつきりと優先的に炭鉱のいわゆる発注計画が乘るようにいたす。或いは機械の製作につきましては機械のメーカーと需要者の間を取もちまして、これは現在非常な効果を上げておるのでありますが、各メーカーの発注を発注別の計画を立てまして、納期等も政府においてそれぞれ督促をいたしまして、これを事業主に早く渡るように努力をいたしておるのであります。今後そういう面における努力というものはますます強化されて行く、それによつて現物化ということが從來より非常に改善されて來る。これは事実であり、又國管を実施いたしました場合に当然打つべき手であろうかと思うのであります。この國管を実施いたしまして、資材の点については從來のやり方に放置して置くのだという意味で申上げておるのではなくして、政府といたしましてはますます政府で斡旋すべきこと、政府において斡旋すれば非常に改善されること等につきましては、ますます政府としては万全の努力を盡してこの現物化に努力して参る。こういう決意でやつておる次第であります。
#231
○田村文吉君 今の業務計画或いは事業計画と申しますか、これが基準が決められて、いよいよ業務計画が各種の手続を経まして決定するまでには、政府では凡そ何ケ月ぐらいお掛かりになる御予定でありますか、これを一つ伺いたい。
#232
○政府委員(平井富三郎君) これは結局企業計画の場合に申上げた次第でありますが、余り早く取りますることは、事務的な処理を続けるには便宜でありますが、計画を設定いたします時期と、その計画を実施する時期との間にいろいろな情勢の変化等もございますので、要するにそれらのことを勘案して、まあ大体一ケ月前ぐらいまでに計画を取り、その間に決定をして参りたい。或いは業務の運営が非常に円滑になつて参りますれば、更にその期間を縮めて行くということも考えられる次第でございます。
#233
○田村文吉君 今のは、実施の一ケ月ぐらい前には間に合したい、こういうふうに御答弁を承わつたのでありますが、この基準が示されてから業務計画た決定するまでにどのくらい掛かる御予定ですか。例えば各管理委員会に掛けるとか、或いは生産協議会に掛けるとか、相当の日数を要するわけであります。それから政府の基準をお示しになりましてから、事業主が炭鉱管理者に案を作らせるというのも相当の日数が掛かるわけでありますから、凡そどのくらいを予定されておりますか、それを承わりたい。その期間です。
#234
○政府委員(平井富三郎君) これも余り早くから指示をいたしますことは、その指示自体が非常に具体性がなくなりますので、大体只今考えておりますことでは、二月前ぐらいに大体の指示をいたしまして、一月ぐらいの間に業務計画、資材計画、資金計画というものをとりまして、その期の前にそれを決定するというふうにいたしたいと考えております。尚これらの基準となるべき指示の事項でありますが、これは毎期々々そう変るものでもございません。現在の資材、資金等の割当につきましても、大体資材等については平均をいたしておるのでありまして、毎期毎期変更が余りないというようなものの見通しについては、或いはそれより前に指示をいたして計画をするという場合もございましよう。或いは資材の方の供給計画の決定が若干遅れて参りますれば、若干遅れた時機に指示がされるということもあるかと思いますが、大体当初の踏出しといたしましては、只今申上げました期間でやつたらどうかと考えております。
#235
○田村文吉君 二ケ月ぐらいでお作りになるという御見込でお考えになつているようですが、今の実際の割当というものは御承知でもございましようけれども、実は來月のものが今月決らないような場合が多いのであります。殊に最近の実例におきまして、例えば石炭の割当を頂きます場合は、大体の割当を済ましたと思うと、今度のような非常対策として火力の方に石炭を廻さなければならんというと、直ぐ変更が起つて來るので、まだ実は割当が來月も決まらないというような情勢に事実あるのでありまして、そういうようなわけであるのに、その間に管理委員会に掛けなければならん、生産協議会にかけなければならんというようなことがありますと、すでに二ケ月もその期間が掛かろうという時間を必要としているに拘わらず、そういうふうな緊急の問題が始終起つて來ますと、恐らくかようなことがありましても一々後で報告するかというようなことに結局はなるのじやないかという心配をするのでありますが、実際の現在の各省の運用の状況がさような状況にある事実を十分御認識だろうと思うのでありますが、その御認識の上でこういうことのやり方がやつて行けるかどうか、これを実は非常に疑いを持つのであります。それでお伺いいたすわけなんであります。
#236
○政府委員(平井富三郎君) 現在物資の割当が一般の供給力、その他経済状況の変動に処しまして、決定が遅れがちであるという点については、御指摘の通りだと思います。殊に物資の割当が一月ぐらい大体月間計画で切られている石炭等についともそういう状況であります。併しこの山の業務計画を設定する場合におきまして、例えば資材の流れ、資金の流れというものを見ますれば、割当の決定によつてこれは正規に決まるのでありますが、実際の流れというものは大体の基準を以て流れているわけであります。これらを見越しまして、指示をいたすのでありまして、特にそれに非常に減少するもの、或いは今期は非常に厖大な、例えば輸入ができて殖えそうだというような特殊な條件というようなものが、恐らく非常な意義を以て予め指示されるということになると思うのでありまして、業務計画を設定する程度の基礎材料となる事項につきましては、これは指示いたし得ると思うのであります。例えば具体的に切符になりまして、五千何百何十トンだという切符自体につきましても、これは御承知のように遅れるかも知れませんが、大体この炭鉱には五千トン乃至五千五百トン程度のものが入り得るということは、從來の割当その他の関係から大体炭鉱につきましては予想されておるところであります。特に一部の犠牲を受けておる産業につきましては、或いは毎期、或いは毎月割当の変動があるというようなことが考えられますが、炭鉱につきましては年間の計画を立て、これを最優先需要として計画を設定して参りますので、この業務計画決定の基礎になります基準事項、実施等に対して指示し得る限界というものは十分にやつて行ける、かように考えております。それから三月間の業務計画でありますが、これもその資材の性質にもよるわけでありまするが、大体多少の変動はありましても、山といたしましては三月程度の計画を設定して、それによつてその資材計画、資金計画の供給に政府、企業共に努力して行くことが必要であろうかと考える次第でございます。
#237
○田村文吉君 もう一つ伺いますが、原價計算をやはりこの中にお入れになるというお考えのようでしたが、それは間違いありませんか、支拂金額を……。
#238
○政府委員(平井富三郎君) 業務計画といたしまして支拂賃金の予定といたしまして、この程度のものを支拂うという計画をとるつもりであります。
#239
○田村文吉君 それで私は必ずその場合に賃金をこの三ケ月間に幾ら支拂う。こういうことが必ず出て來なければならんと思います。それが生産協議会に掛かる。その点について賃金が幾らと考えて出るわけで、官廳あたりの予算では、もうこれではやつて行けないけれども、取敢えず今年度の予算はまあ現在の、現行の賃金予算を立てよう、こういうことが実は行われておりますが、こういうやはり民間の会社で予算を立てる場合に、賃金の予算をどのくらい、而もこれが生産協議会に掛かるのでありますが、この問題が結局労働者に責任を負わせる。大体予算はこれでやる、賃金は諮つたということになるわけでありますが、その点について後で問題が起る、紛議を残すような恐れはお考えになりませんですか。
#240
○政府委員(平井富三郎君) これは賃金の支拂総額の予算を取るわけであります。從つて賃金を具体的に幾らにするかという問題ではございませんで、大体この程度の支拂賃金総額として、いわゆる生産コストの総額がこのぐらいになるのだという支拂の予定計画を取るわけでございます。具体的の賃金の決定につきましては、大体從來申上げましたような経緯で、生産協議会においてその基準が決定されておりますので、その決定によるわけであります。又業務計画が決定した以後、労賃の値上の要求があつたという場合におきましては、当然その問題について生産協議会で議するわけでありまして、この予算をこう出したから、その期についてはもう賃金の値上の交渉は一つもできないのだということにもならないというように考えております。
#241
○田村文吉君 そうしますと初めの基準をお示しになります場合に、やはりそういう点についての御指示はないのでございますか。
#242
○政府委員(平井富三郎君) これは賃金対策につきましては、只今の現状で申上げますれば、当分炭價、賃金を据置くという政府の方針が明確になつております場合には、これは政府の一つの大きな方針として、炭鉱には当然連絡すべき事項であろうと考えます。
#243
○田村文吉君 もう一つ伺いますが、先刻のお話の中に資材の獲得については、大体優先的に炭鉱に対しては配給しておるのだから、そう大した変りはないということで行き得るであろう、こういう御説明があつたのでありますが、先刻の政府委員から御説明があつたように、実際炭鉱ではそう申しながら、資材の獲得については、皆銘々が非常に努力しておる。非常な努力をしなければ入らないのである。それが昨今御承知のように、例えば坑木を一つ手に入れるといたしましても、事実上輸送難にある。計画を立てるということが困難だ、こういう場合が多いと考えておるのでありますので、私はこの詳細な業務計画とおつしやるものですから、例えばこの三ケ月はお前の所の石炭は幾ら出せ、幾ら出しましよう、どんな輸送方法でやるか、こういうようなことをお決めになるならば、又話が分るのだが、詳細な業務計画と御希望をお持ちになつたところで、二ケ月も審議が掛かつて実際の実情に即したものができようわけはないと、こういうふうに考えますから、それで詳細な業務計画云々とございますので、特に先程佐々木委員からも質問がありましたので、お伺いいたしましたのですが、事実上不可能ではありませんかと、こういう心配をするのであります。
#244
○政府委員(平井富三郎君) 詳細なという文字は、いわゆる一般炭鉱から取る事業計画よりも詳細なという意味でありまして、それを業務計画と称するのでありまして、いわゆる企業といたしまして、三ケ月ごとに当然計画を立てることが必要であり、又一般の物資の需給計画は三ケ月が單位になつて、各産業別の割当が決定されておるのであります。ただそれが切符に変ります場合は、毎月更に実施計画が設定されますが、基本は現在は三ケ月ごとに、物資の需給計画は設定されて参るのであります。從つて炭鉱からもやはり一四半期を單位といる生産計画及びそれに伴う資材の計画、資金の計画というものを提出して貰いまして、その一四半期でとの物資需給計画に確実に織り込むということは必要であろうと思います。そういう意味におきまして、やはり業務計画といたしましては、或る程度の余裕を持つて、資材計画、資金計画、生産計画というものが決定される、それが各四半期計画に織り込まれて行くように努力して行かなければならん、かように考えておる次第であります。
#245
○田村文吉君 今の業務計画が、大体資材の獲得とか、そういうものが主たる問題となつて行くものと私は考えておりますが、さような場合に、今御説明を伺いますと、賃金の問題については、責任をどうこうというわけではない、ただ大体の歳入歳出と言いますか、そういうものを決める程度である、こういうことであるということで、殊更に労働組合の同意を得なければならないような、生産協議会にこういうような問題を諮る必要が全然ないのではないか、というふうに考えるのでありますが、これについて、どうしても生産協議会にまで掛けて、日数を延してまでもやらなければならないことについて、何だかその必要のない問題じやないかというような感じがいたすのでありますが、御所見を承わりたいと思います。
#246
○政府委員(平井富三郎君) 労働者に対しまして、やはりコストとしてはこの程度掛かる、炭價としてはこれだけである、会社の経理の状況というものをやはり知らせる、そういうことが賃金の頻発的な要求ということを抑える途であろうと考えますので、やはりその業務計画というものにつきましては、一種の経理に関する計画と申しますか、会社の経理のやり繰りの大綱と申しますか、そういうようなものが、労務者の側にもやはり十分納得が行くということが、賃金の要求を控え目にさせる、或いは能率を向上しなければ賃金が上らないのだということについての認識を深めて参るゆえんであろうかと思われますので、業務計画としては、單に資材とか、或いは生産計画とかいう物的な面のみならず、一つの経理の面につきましても、この程度の計画については、包含せしめて行つた方がよろしいかと考えるわけであります。
 尚この業務計画の内容でございますが、非常に細かな計画を取るということではございませんので、この樣式は、勿論命令によりまして樣式が決定されるのでありますが、当然企業としても建てなければならん、或いは先程申上げましたように、物資の需給計画等を設定するに必要な限度において、この樣式を定め、報告を徴するのでありまして、その点非常に業務計画の指示をいたしますために、必要以上の細かな計画までも取るというふうなことは、運用上いたさないように考えておる次第であります。
#247
○中川以良君 新らしい十五條でありまするが、指定炭鉱の事業主は、毎四半期の詳細な事業計画の案を立てて出すということになつておりますが、炭鉱の経営は長期に亘つておりますので、いずれの炭鉱も長期計画を持つております。それをただ單に四半期の計画だけを見て、管理委員会等で議論をされるということは、炭鉱によつては非常に迷惑をするのではないか、例えばこの四半期に生産量が少くても、將來の長期計画の準備のために、僅かな出炭量しかないという場合もあると思う。これには少くとも向う五ケ年くらいの簡單な概括的の計画でも添附させるということが必要じやないかと思うのでありますが、そういう点は御考憲になつておりますかどうか。
#248
○政府委員(平井富三郎君) 十五條の規定は、一般炭鉱に関しまする事業計画の徴收と重複いたしますので、毎四半期に取りまする事業計画については、これを適用しないというように、新らしい十五條に書いてございます。その事業計画と申しますのは、毎四半期ごとの事業計画でありまして、一般炭鉱の管理の第五條には、毎年度の予定事業計画を取ることになつております。それによりまして、その山の毎年度の予定事業計画というものは、この法律の規定によつて、当然徴收するわけでありますが、第五條の「命令の定めるところにより」ということで、提出の時期、方法、樣式等を決定するのでありますが、これは午前の委員会でお答え申上げましたように、一年度の計画というものも、少くともその山が数年掛かつて一つの拡充計画を持つというような場合には、それぞれの拡充計画と睨み合せ、長期計画と睨み合せた計画であるというふうになりますので、それらの計画を添附させるということを、その命令を制定いたします場合に考えて参りたいというように考えております。
#249
○中川以良君 そういたしますと、長期の計画というものは、一應命令の中に取ることを規定なさるというお考えでありますか。
#250
○政府委員(平井富三郎君) 毎年度の予定事業計画は、これは一回取るわけでありますが、その際に、長期の計画も合せて添附して出すというような運用に、十分行き得るというふうに考えております。
#251
○中川以良君 そうすると、十五條の二項の「指定炭鉱については、前章中事業計画に関する規定は、これを適用しない」という言葉は、これはどういうことになりますか。
#252
○政府委員(平井富三郎君) 第五條には、一年度を通じてのものは、予定事業計画という文字を使いまして、毎四半期の計画を事業計画と称しておりますので、毎年度の予定事業計画につきましては、第五條は、やはり適用があるわけであります。毎四半期の分は、この業務計画がダブつて参りますので、毎四半期の分だけは適用しない。こういうふうに解釈いたしておる次第であります。
#253
○中川以良君 それから次の十六條についてでございますが、これは指定炭鉱に対しまする資材の斡旋、切符の現物化等につきましては、政府が極力御援助になることは、当然であろうと存じまするが、この資材の斡旋、切符の現物化等につきましては、指定炭鉱をして優先的におやりになるというようなことでお進みでございましようか。
#254
○政府委員(平井富三郎君) 例えば資材の点につきましては、資材の割当について、午前中に申上げましたように、形式的に、指定炭鉱なるが故に、これの取得を容易ならしめるということは、考えておりません。結局、例えば非常に能率のいい炭鉱は、一般炭鉱として存置するという場合におきまして、その能率のいい炭鉱の必要とする資材というものは、むしろ能率の惡い指定炭鉱よりも優先的に充足する必要性のある場合も考えられる次第でありまして、それらの全般的な見地から檢討して参るべき問題であろうと考えております。
#255
○中川以良君 今のお話を承わつて、安心をするのでございまするが、とかく只今非常に能率のいい炭鉱で指定炭鉱にならぬがために、これが継子扱いを受けて、せつかく能率を上げておるものが、資材の斡旋等がうまくいかないために、殆んど資材を指定炭鉱に持つて行かれて、その炭鉱が今度は減産するというようなことがありはせんかということが、非常に懸念されるのであります。この点は一つ十分に御注意を願いたいと思います。今の御言明でもつて非常に安心をしたわけでありますが、これが徹底するように私共は希望する次第であります。
 それから新らしい二十二條でありますが、炭鉱管理者を選任いたします場合に、これは中小炭鉱でございますと、事業主がそのまま炭鉱管理者になるということがあると存じますが、そういう場合は差支ないのでありますか。
#256
○政府委員(平井富三郎君) これは差支ございません。
#257
○中川以良君 次に新らしい二十三條でございまするが、これの第二項が修正でもつて全部削られておるのでございますが、炭鉱管理者のする業務計画の実施に対しましては、從業者は協力しなければならんという二項がここにあつたのでありますが、これがどういうわけで削られましたかよく分りませんが、この法文を通じまして見まする場合に、事業主並びに炭鉱管理者はいろいろの面において制約を受け、制裁規定等にも載つておるのでありますが、いかに事業主或いは炭鉱管理者が懸命に努力しましても、從業者が協力してくれなかつた場合にはなかなか成績は挙げ得ないのでありまして、これは從業者の協力いたします規定並びにこれに対しますところのいろいろの制裁というものが当然伴うべきじやないか、無論これは事業主或いは炭鉱管理者を擁護せんがために申すのではなく、むしろ眞面目なるところの労務者を擁護するがためであります。是非ともこういう規定がなければ炭鉱の経営がうまく行かんではないか、無論惡い事業主或いは不誠意の炭鉱の炭鉱管理者は当然やめて貰うとか、或いは炭鉱の事業を他に賃貸借をさせるというようなことができるのでありますが、労務者の惡い者があります場合には、何ともこれはいたし方のないようなことになつておりますので、労働基準法その他の法令の規定に拘わらず炭鉱事業に対しては、何かの一つの制裁規定と申しますか、制約がなければいかんように私は思うのであまりすが、こういう点についてはどういうように考えておりますか。
#258
○政府委員(平井富三郎君) 二十三條の二項を削りました意味は、炭鉱管理者が第一項におきまして、その業務計画の実施の責に任ずるという、業務計画実施のために万全の努力を拂つて行かなければならんという一つの地位をはつきりさせましたことについては問題ないのでありますが、ただこの法案全般を通じまして、炭鉱管理者は事業主がこれを選任して参るというような関係で、いわゆる事業主と炭鉱管理者という関係を企業と現場との一体化という点から相当の修正をこれに行つておるわけであります。それに関連いたしまして、この規定はむしろ必要ないのじやないかということは、從業者が業務計画の実施に対し協力しなければならんということは余りにも当然である。経営者といたしましても、炭鉱管理者を自分が選任して選んでおるのでありますから、炭鉱管理者を指導し、監督し、援助し、この炭鉱管理者の仕事の仕振りというものに対して、全面的ないわゆる協力という言葉を使いますれば、これも当然であろう。ただこう書きますことが何か企業の中に事業主の外に炭鉱管理者というような一つの大きな独立的な存在ができたような感じを與えるという意味において衆議院において削除した。かように考えられますので、これの從業者が炭鉱管理者に協力をいたすという実体について異議があるというので、これを削除したのではなくて、今申しましたように事業主と炭鉱管理者の調整の関係から、当然の規定として削除した、こういうふうに解釈するわけであります。それから從業者に対する罰則の点でありますが、この法案におきまして、事業主の罰則が参ります場合には、具体的の事項、例えば新鉱の開発の命令が出た場合に開発しない、或いは一番軽く言いますれば、必要な報告を命ぜられた場合に報告をしないというような場合に、それに違反した場合に事業主に対する罰則が規定されておるのでありまして、具体的に一つの命令に対する違反行爲というものが対象になつておるわけであります。從つて経営者のいわゆる経営上の責任、業務計画が指示されまして、その遂行率が八割になつた。どうして百パーセント行かないということで直ちにこれを罰則をかけるというようなことは考えておらない次第であります。つまり業務計画を遂行するということは、この法案におきまして事業主なり、炭鉱管理者といたしましては、その実施の責に任ずるという一般的な宣言規定はございまするが、これは二十パーセント、或いは三十パーセントに達しなかつたと言つて、直ぐそれに対して罰則が行くということは考えておらないのであります。即ち生産責任というものは、これは一つの社会的或いは道徳的な義務でありまして、これを直ちに刑罰の対象にいたすということは不適当であろう、かように考える次第であります。労働者の生産責任、労働責任についても、大体同樣に考えられるわけでありまして、労働時間の延長ということにつきましてもやはりそういう趣旨から取扱われておりまして、労働者のいわゆる生産サボ、経営の経営サボというような抽象的な事項を直接刑罰の対象にするということは避けておる次第であります。今度の非常増産対策要綱においていろいろな労働対策が示されておりますが、これらはやはり全体としての労資の間の話合いによつてこれを進めて行く、それがうまく行かん場合において初めて法的な措置を講ずるということになつておりまして、現在のところ各種の措置によりまして出炭も相当増加しておりますし、労働時間延長に関しても現在進行中のものが相当ございますので、大体労資の間の話合いでこの点が大体解決でき得るという見込であります。從つてそういうような労働対策が行詰りました場合にどういう措置を取るか、どういう法的措置を取るかというような問題はそのときの事情によつて考憲すべきであろうと、かように考えておりまして、この國管法の中には労働者の生産意欲の高揚ということは今の労働対策要綱に示された精神によつて処理すべきものと思いますので、いわゆる事業主の経営責任がここに掲記してないのであります。尚事業主は命令によつて十分遂行する意思があつても從業者がサボる。例えば報告を聽取する場合に、事業主は出せという命令を下したに拘わらず、從業者が故意にサボつて出さなかつたという場合におきましては、事業主は命令違反をいたす意思がないのでありまして、これは反意がないことになりますので、当然刑事責任がないということに相成るわけであります。
#259
○中川以良君 どうもそこに私共は割り切れないところがありますのであります。この点がどうも片手落ではないか。これは眞面目なる経営者、眞面目なる労働者に対しまして甚だ不都合ではないかと思うのでありますが、例えば眞面目なる経営者が一生懸命努力いたしましても、労働者の方が協力しない場合には、その炭鉱は融資を受けられない。成績も挙がらない。從つて事業主は非常にこれは損害を被むるのでありまして、罰則規定が仮にないといたしましても、これは非常な迷惑を事業主は被むるというようなことに相成るでありまして、こういう場合にその労働者に対しまして何ら手が打てないということになつておりまして、惡い経営者に対しましても断乎として排撃し、又惡い労働者に対しましても、これを排除するという何か法文の中にそういう意味のものがはつきり指示されましたら、初めてここで眞面目な労働者、誠意のある経営者も喜んで石炭の増産に邁進いたすのではないかと思うのであります。その点がどうも私共は腑に落ちないのであります。
#260
○政府委員(平井富三郎君) 労働者のいわゆる労働責任につきましては、只今申上げましたように、これは現在の労働関係の処理の原則というものが、労働権を中心にいたしまして、やはり團体協約によつてこれを推進して行くということが主でありますので、直ちに労働時間を延長すべしということを法規によつて強制し、これに從わん場合は、直ぐ罰則に行くというやり方よりも、先ずそういう労資の間の話合いで、これを進めて行くということは、やはり労働者の生産意欲を盛ならしむる所以である。これは労働問題の特質から見まして、多数の労働者の相手にいたすことでありますから、個々の具体的な経営の責任にある事業主という者と、大分性格も変つて参りますし、これに一つの法規によつて強制し、從わん場合は直ちに罰則で行くという方法で行くと、労働者の生産意欲を低下させるという弊害が多くなるのじやないか、從つて現在の労働対策におきましても、先程申上げましたような團体的な協約ということによつて推進することを原則とし、それで行かないぎりぎりの結着の場合は、どういう法的な強制措置を取るか、その時の原則の状況に即した法的の措置を研究いたすという一つの機動的な方法、その状況に合つた具体性を持つた法的措置を取るということの方が適当であると考えておる次第で、この法案の中には労働者の労働責任というものに関連した命令なり、罰則ということにいたした次第であります。
#261
○中川以良君 マツカーサー元帥の書簡の中に、石炭の増産を妨げる者はこれを処罰するというような意味の書簡があるのでありますが、あれに対しましても、やはりなにか明確なる規定がなければならんと思うのでありますが、それについてはどういうふうに考えておりますか。
#262
○政府委員(平井富三郎君) これは只今申上げましたように、現在のところあの中心になりまする労働時間の延長につきましては、大体順調に推移いたしておりまするので、現在のところ法的措置によつて強制する必要はない、かように考えておる次第でありまして、今後の推移によりどうしても法的措置によらなければ事態の收拾ができんという事情に立ち至つた場合に、その事情に即した措置を取ることが至当である、かように考えておる次第であります。
#263
○中川以良君 私は労働時間だけを指摘して申上げるのでなくて、いろいろな意味において、石炭の増産を妨げる者が出て來ると思います。それは單に労働者だけでは無論ないのでありますが、こういう者に対しまして、何か法的措置をその場合になつて取るという考えでありますか。本法律があくまで石炭の増産を第一主義としてやつております以上は、初めからそういうことははつきりしておりました方が、増産に励む者が本当に氣持よくやれるのじやないか、こういうふうに考えます。そういう法的措置を若しもいよいよとなつてお作りになるとすれば、どういうものをお作りになるような御腹案でございましようか。
#264
○政府委員(平井富三郎君) その点につきましては、この労働対策の行き詰りがどういう形で現われて來るかという事情によつて考慮すべき問題でありまして、現在具体的にこういう方法によつて強制をして行くという具体的な方策は持つておらない次第であります。ただ方針といたしまして、この非常増産対策要綱を妨げるという者に対して、特に労働者に対する関係においては、これが自内的な協力をさせるという点を第一主眼的に置いて施策をやつておる。それが順調に現在推移いたしておりますので、どういう具体的な法的措置を取るのかという具体的な事項はまだ申上げかねる時期であり、又その手段について具体的な檢討をいたす段階ではないというように考えておる次第であります。尚そういう一種の生産責任と申しますと、例えば経営者につきましても、経営サボに対する罰則というようなことにも関連して参りますが、私は経営者のいわゆる経営サボという点が一部の方面から言われておりますが、これもやはり法制的に経営サボしたから、いわゆる具体的な命令に反したとかいうのでなくて、全般的に経営サボである。或いは故意にサボつておるのかも知れないというようなものを、この刑罰の対象にいたすということは、不適当であると存じておるのでありまして、これがやはり一つの社会的の、或いは道徳的な責任として、生産意欲をおのおの向上して行くようにして行くことが至当であると、かように考えておる次第であります。
#265
○中川以良君 労働対策が行き詰つてから、始めて考えるというようなお答えでありますが、行き詰まつてから考えたのでは、もう遅いのではないかと考えます。現に労働対策が相当に行き詰まりかけていると、壁にぶつ突かりかけているのではないかと思います。この際に早く事前にそういう対策を講じて頂きましても、仮にそういう規定ができましても、それを使わないように政治をやつて頂けばいいので、これは早くからそういうように指導し、運営如何によつては、いかなる対策を早くお作りになりましても、それがいわゆる傳家の宝刀を拔かんで済むというところに手をお打ちになる必要が私はあると思いますが、それについては、必要はないと、ぶつつかつてから始めて作るんだというお考えでありましようか、それをはつきり伺いたい。
#266
○政府委員(平井富三郎君) 現在の状況におきましては、そういうようなことを予定いたしまして、これを法制化いたすというようなことは、現在の段階における労働対策としては、却つて非常に拙い結果になると考えておる次第であります。
#267
○中川以良君 もう一つ、今の説明では、私といたしましてはどうもまだ得心が行きませんので、一層我々も研究いたしたいと思いますが、政府としても研究して頂きたいと思います。
#268
○大屋晋三君 議事進行について、今夜も勉強するんですから、この辺で二十分ばかりの休憩を……。
#269
○委員長(稻垣平太郎君) 今コーヒーの準備中でありますから、ここでコーヒーを用意しておりますから……。
#270
○大屋晋三君 部屋へ行つて休憩さして頂いたら……。
   〔「大屋君の動議に賛成いたします」と呼ぶ者あり〕
#271
○委員長(稻垣平太郎君) コーヒーを持つて参りますから……。
#272
○岩木哲夫君 私はほんの簡單ですから……生産費の問題と、事業計画に関連してお尋ねしたいと思いますが、炭價というものはいつまでぐらい据え置くのですか。当分というのはどんなお見通しですか。
#273
○國務大臣(水谷長三郎君) これは非常にむつかしい問題です。私もこれまでたびたび答えたのでございますが、あのマツカーサー元帥の書簡に答えて、政府が決定いたしました、石炭非常増産対策要綱におきましても、炭價の問題は、当面これを行わないということを謳つておるのでありまして、この当面ということは、一体どういうことだという工合に、いろいろ追及されたのでございますが、我々といたしましては、大体あの七月の炭價の改定の面におきまして、四方八方の意見を聞きまして、大体あれでやつて行けるという目度の下にやつたのでございますが、その後業者の方からは、これでなかなかむつかしいというような意見もありましたので、九州並びに山口地区の炭價を調べさせましたが、黒字の所もありますし、又赤字の所もございます。更に常磐、北海道も調べましてですね。そうしてそのいろいろの調査結論によりまして考えたいと思いますが、只今のところでは炭價は、これを動かす方法はございません。併しながらそれによりまして、生産に惡影響を與えるというようなことがあつてはならないと思いまして、岩木さんも御案内のように、炭鉱の金融方針を決定いたしましてですね、今生産を続けているというような状態でありまして、これは私個人の希望か知りませんが、できるならば、三月一杯まではこの炭價を保ちたいという工合に考えておる次第であります。
#274
○岩木哲夫君 生産費というものはいわゆる生産コストを意味しておりますのが、出炭量との比率において勘案するのか、この生産費というものが指定炭鉱の基準の一端になつておりますのは、どういうものを実際の狙いといたしておるのでありますか。
#275
○政府委員(平井富三郎君) 指定の基準といたしまして生産費を取りますのは、一つの炭鉱の経営の内容を明確にいたすのでありまして、生産費が非常に高いということは同時に能率が惡いということだろうと思うのであります。同時に又能率の問題以外にも、特殊な事情によつてコストが高くなつておる。何らかの手を打たなければならんという一つの判定の材料になるのじやないか、そういう意味において指定の基準の一つの材料として生産費というものを挙げております。
#276
○岩木哲夫君 もう一つお尋ねいたしますが、事業計画を立てる場合には、生産協議会の議を経なければならんということになるわけでありますが、そこで生産協議会は労働條件、まあ事業計画に関する事項もありますが、労働條件その他安定保障各般のことがありまして、相当これらにかかる基本計画を立てるにつきましては、事業計画を立てるにつきましては、支出面というものは結局こういう協議会では決して縮小されることなく、増大して來ると思つておるわけであります。炭價が若し据置きのままだということになりますと、この事業計画というものにおきまして支出は多くなるが、炭價は据置きである。或いは経営が不能に陷るといつたような場合に対しまする政府の三者一体、事業主の立場も考慮したような増炭目的というものと、事業経営が成り立つて行かないというような場面と、いろいろ非常にむずかしい問題が起ると思いますが、事業計画というようなものに関連した炭價の決め方という考慮はないのでありますかどうか。
#277
○政府委員(平井富三郎君) これはその炭鉱の事業計画、及び事業計画を実施いたしました業務の状況の監査ということについて、炭鉱の経理内容、炭鉱の経営の内容、能率の内容というような点がはつきりして参りますので、この國管法が実施されて、これの運用がよろしきを得ますれば、炭價の決め方ということは、從來のように暇がかかり、從來のように不正確な資料によつて決められて行くということが非常に是正をされまして、炭價政策の上におきましては非常にはつきりした態度を取り得る。かように考えておる次第であります。
#278
○岩木哲夫君 そういたしますると、この増炭目的を完遂するための炭鉱管理をすることは事業計画、事業の実体を監査した結果、このコスト、この炭價ではどうしても増産ができない。事業経営ができない。即ち労働者に対しまする労働條件も好條件を持ち得ないというような観点から、炭價というものはそういうものを基礎としてこれから改訂をしようという解釈にしてよろしゆうございますか、如何ですか。
#279
○政府委員(平井富三郎君) 炭價の決定はいわゆる生産者の方の條件というものと、炭價によつて循環して参りまする物價面、或いは一般の経済現象と関連さして考えて行くべき問題と二つあると思うのであります。いわゆる生産條件の面から見ました点につきましては、管理を実施いたしますことによりまして、炭鉱の経理の内容、経営の内容が明確になりまするので、只今申上げましたような、非常にはつきりした基礎の上に立つて、生産者價格はかくあるべきだという点がはつきりして参ります。それから物價施策から見まして、これがまあ安定物價政策にしろ、低物價政策にしろ、或いは釘付け政策にしろ、そのときの経済の一般的な施策に照應したいわゆる一つの物價政策が立ち得るのでありますが、根本の問題は具体的に言えば石炭の増産ということが第一に考えらるべき問題でありますので、いわゆる一般の物價に及ぼす影響というものと、増産によつて得られる好影響というものと睨み合わして炭價の決定がなされて行くもの、かように考える次第であります。仮に一時的には炭價を非常に急激に引き上げるということによつて非常な利潤が得られるということは、一時的には勿論生産業者を刺戟し、或いは炭鉱労働者の賃銀を殖やし得て、一時的に増炭の結果を生じまするが、それが逆に物價面におきましてインフレを刺戟し、そのために一般の物價体制が崩れて來るということになりますると、その面からの又石炭産業への非常な救うべからざる惡影響が起つて來るでありまして、その間の睨み合せによつて決まるべき問題であろうと考えておりますが、とにかく生産條件の側におきましては、管理によつて石炭鉱業の内容、経理的にも経営的にもはつきりして來ますので、非常に大きな前進をし得る。かように考えておる次第であります。
#280
○岩木哲夫君 そういたしますると、生産條件を第一條件にしますが、一般物價政策の線において考慮を拂わなければならんということになりますが、こうした状態から若し経営が不能に陷つて來た、或いはこうしたことによつて労働條件は優遇して行かなければならん。いろいろの経費は高くなつて來るといつたように、経営が非常に困難になつた場合に生じた損害というものは、通常生じた損害と言つていいかどうか、或いは経営不能に陷つた場合の政府の処置は、こういう炭價政策の結果陷つた場合にはどういう処置を行うのでありますか。
#281
○政府委員(平井富三郎君) 炭價の決定によつて赤字の出ます分は、これは一般的な公定價格制度の運用による損失と認むべきものでありまして、いわゆる炭價政策、炭價を改定するなり、或いは補給金を出すなり、そういう炭價面における措置によつて処置すべき問題であろう、かように考えておる次第でございます。ただ物價の面から見まして現在の炭價を引上げない、現在の炭鉱の赤字の内容等につきましての監査、その結果に対する見解というもの等が、從來までのところによりますると、とかくその間にいろいろな解釈ができておるのでありまして、この國管によつてはつきりした態度で、その経理内容をはつきりして参りますれば、炭價の改訂等につきましても非常に大きな力を以て、政府としては自信を以て、例えば炭價の改訂もしなければならんという一つの考え方にも固まつて來るところであろう、かように考えております。
   〔「暫時休憩を願います」と呼ぶ者あり〕
#282
○岩木哲夫君 そういたしますと、石炭の國家管理法案というものと炭價というものは関連性を政府は持たれるわけでありますが、一般の物價政策という線を重点的に行かれるのでありますか、伺いたいと思います。
#283
○政府委員(平井富三郎君) 國家管理の実施によりまして、國家が炭鉱の経営状況の実相を把握するわけでありますから、炭價政策を大いに合理化するのに非常に役立ち得る、かように考える次第であります。ただ炭價政策の結果いわゆる企業者が出ました赤字というものをいわゆるこの國家管理法の補償で片付けるということではなく、むしろそれは炭價政策の面において調整すべき問題であり、又十分調整し得る、かように考えておる次第であります。
#284
○委員長(稻垣平太郎君) それでは三時四十分まで休憩いたします。
    午後三時十九分休憩
     ―――――・―――――
    午後三時五十二分開会
#285
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより再開いたします。引続き御質疑を願います。
#286
○帆足計君 先程の炭價の問題に連関いたしましてお尋ねいたします。只今物價の統制は終戰直後施行されましたために確かポツダム勅令で行われておると思います。それから物資の統制はやはり新憲法前の議会で物資調整令によつて運用されておると思います。私はこの二つのものはいずれも新憲法前のものでありましたために、行政に対して委任しておる範囲が廣過ぎまして、物價に対しましても、國会は殆んど何の発言権も持たない。又物資の調整につきましても、國会は殆んど何ら発言権を持つていない。現に生鮮食料品等につきましては、世論の帰趨はすでに明白であるに拘わらず、殆んど何らの國会の自由討議も権威も持つていないというような状況でありますことは極めて遺憾と思う者であります。この二つの法令は総動員法に見ましたような総括的な委任立法でありまするが、これに対しまして、私は少くとも次の議会までに國会がその要点だけは握るように改正せねばいけないのではなかろうかと存じております。炭價の問題もその一環といたしまして、数ケ月も不適正な炭價が放任されておる。物の値段と申しますのは、経営にとりまして、最も重要な中軸をなすものでありまして、これをいい加減の状況に置いておきまして、増産ができる筈がないことは申すまでもないことでございます。この炭價の問題に対しまして、國民の声がどういうふうに政府に反映するようになるのでありましようか。政府当局ではすべて何々の関係で等々と申しますけれども、そうして國民の世論が長い間無視されることがよくあるのでありますが、第一にはこの管理委員会がこの價格の問題に対しまして、價格並びに経理の問題に対しまして、どの程度有効なる権限を行使し得るようになつておるのでありましようか。
 それから炭價の決定は、單に石炭増産の面からだけでなくして、同時に綜合的な物價体系の面からも勿論考えられねばなりませんが、この適正なる炭價の設定につきまして、民意を盛り込む、そうして官僚独善を防止するということにつきまして、今後どういうふうなお考えでございましようか、それらの点についてお伺いいたします。
#287
○政府委員(平井富三郎君) 物價の点でありますが、國家管理法の施行と、物價の関係につきましては、先程申上げますように、現在の物價形成の一番基礎になりますことは、特に石炭のごとき自然的條件に多く左右されるものにつきましては、実情をしつかり把握して、経営、経理の内容が明確になるということが、物價政策を推進して行く基準になろうかと思うのであります。從つて國家管理を実施して行きます上に、これらの点が明確になりますることが、適正なる物價を決定して行くという上において、大きな推進的役割を持つという点について先程申上げた次第であります。そうしてこの炭價の問題は増産上の根本問題の一つでありまして、いわゆる管理委員会という面からこれを見ますると、修正案の五十一條の全國炭鉱管理委員会におきまして、調査審議いたします事項の中に、第三号として「石炭鉱業の最高能率発揮に関する事項」につきまして、ここに炭價をかくすることが適正である、かくすることが石炭の生産上不可欠である、というような見当を行なつて行くものと、かように解釈いたしております。
#288
○帆足計君 只今の問題は結局全國炭鉱委員会の機能、権能等に連関する問題でありまするので、それに連関しまする問題は後程御質問することにいたします。
#289
○堀末治君 私のは頗る簡單な質問でございますが、この十六條に「業務計画の案の作成上基準となるべき事項を定めて、」というのでありまして、確かこれはこの要綱の中の樣式第四号ということになつておりますが、別に樣式第四号或いは五号などというような樣式は、この要綱には一つも示されておりませんが、こんなのはいつお示しになるおつもりでありますか。
#290
○政府委員(平井富三郎君) 十六條につきましては、別に命令事項がございませんので、基準となるべき事項、例えば賃金、資材等につきまして、指示を要するという運用で十分やつて行けると思います。
 それからその他の命令事項で、樣式の問題でありますが、これはこの命令の中には、樣式を以て決めるという点まで、要綱の形にいたしておりますが、樣式の点は尚今後の研究に待つところもございまするし、大体業務計画なり事業計画なりの内容について申上げた次第でありまして、あれを一つの表に纏めまして、その表によつてその炭鉱の業務計画、事業計画の内容が、明確にし得る限度において、簡素な樣式を決めて参りたい、かように考えております。
#291
○堀末治君 この要綱は前のものに合せたので、ずれておるのでありますが、この要綱には「指示があつた日から、二週間以内に樣式第四号によつてこれを作成しなければならない。」とありまするし、又「指示があつた日から五週間以内に、樣式第五号により作成し」云々とありますが、これは先程田村さんから御質疑があつたと思いますが、なかなか二週間以内に原案を作成する、又生産協議会の議を経て二週間以内に出すというふうなことは、余程時間的に困難でなかろうかと思いまするが、これはやはり要綱通りに政府はお考えでございますか。
#292
○政府委員(平井富三郎君) この施行令の要綱は、前の政府の原案につきまして作成いたしたものでございまして、今般衆議院で修正されました分に即した施行令の要綱は、実はこれを作成する暇がないので、そのままの形になつておるわけであります。施行令要綱の第九條は、いわゆる二週間以内に樣式第四号によりこれを作成しなければならない。第一項の業務計画の案はこういうふうになつておりまして、前の計画は、業務計画の案の原案を先ず作りまして、これを炭鉱管理者が生産協議会の議を経まして、業務計画の案の原案を作り、それを基礎としまして、指定炭鉱の事業主が業務計画の案を作成して、石炭局長に提出するということになりまして、二段に書いてあつたのでありますが、要するに事業主が案を石炭局長に提出するということは、この新らしい十六條の指示がありまして五週間、約一ケ月でありますが、一ケ月の期間内にこれを提出するということに考えておつた次第であります。先程田村委員の御質問に対して、大体一ケ月程度の余裕を考えておるというふうにお答え申上げた次第であります。そうしてこの修正案が、非常にこの点につきまして簡素化をいたしまして、事業主は炭鉱管理者をして業務計画の案を作成せしめて、所轄石炭局長に提出しなければならないということになりますので、要するにこの指示がありましてから、大体一ケ月程度の余裕をおいて、こういう業務計画の案を提出するというふうに考えております。
#293
○堀末治君 私自分の今までの経驗からでは、なかなか一ケ月では容易ではないと私は考えるのであります。殊に生産協議会の議を経る、生産協議会の議は恐らく二つの重点に掛かるのじやないか、一つには石炭を掘り出す数量、もう一つ面倒なのは、先程からたびたび論議のあつた賃銀問題、まあ賃銀問題はそうたびたび起りませんでしようけれども、数量に至つてはなかなか問題を起すことだろうと思います。政府当局としては、丁度北海道の今の実例のように、相当量をなかなか山では掘れんと言う。そこで管理者としては是非余計掘ればコストも安く付く、安く付けば黒字になるということで、これは余計掘りたいのは当り前でありますけれども、労務者の方から言うと、成るべくなら樂をしたい、これは人情であります。さようなことで、数量の問題で随分揉み合うことだろうと思うのですが、從つてなかなかその精細が、後で本当に管理者が責任を持つという業務計画を作るには、その点の妥協が一番今問題になることだと思います。從つてなかなか三十日では提出が困難だろう、かように思うのであります。ただそれだけを申上げて置きます。
 続いてその一番最後の項に、「前項の場合において、生産協議会の議を経ることができないときには」云々と、こうあるのでございますが、「事業主は、当該業務計画の案を作成して提出すると共に、」こうまあ大変くどいことになつておるのですが、どうせ前に作成したやつですから、その案を出せばよいので、わざわざ衆議院の方で特に作成してと附けてあるのですが、これもどうも僅かの細かい問題でありますが、無駄なことではなかろうか。何もそこにおいて作成してなんと言うて、御丁寧に附けなくてもよかろう。実はこれも簡單なる問題でございますけれども、同時に又ここで命令の定むるところによりと、こう言うてあるのでございますが、これらもどういう命令をここでお決めになるのか知りませんけれども、政府はどういう命令をお出しになるおつもりなんですか。
#294
○政府委員(平井富三郎君) 期間の点についてちよつと申上げて置きたいと思いますが、生産協議会において、業務計画の案を審議する期間でありますが、これは生産協議会において、業務計画を審議いたし、これによつて全山一致の態勢で、業務計画を決めたという態勢を得るために審議するのでありますが、同時に業務計画の性格上、やはり必要な時期において決めるということが、絶対に必要な條件だろうと思います。そこでこれは生産協議会の議には付します。そこで審議はいたします。それで可決いたしました場合には、それがいわゆる当該事業計画として、企業の意思として決定するような次第でありますが、それが議に付せられん。付した場合に纒まらんというような場合に、荏苒手を拱くということでは決定いたしませんので、この末項に事業主が案を作成して、これを石炭局長に提出する。その際こういう経過を経て決まつたのであるから、即ち生産協議会の議を経ることができなかつたという旨を附記して出すわけであります。これが先程諮問機関か、決議機関かと言われた一つの点でありまして、要するに議に付すということの後始末をはつきり附けておるわけであります。從つてこの点で、業務計画の決定ということについて、一つの曖昧もなくなるというように考えております。
 それから「生産協議会の議を経ることができないとき」という意味を、「命令の定めるところにより」ということではつきりしたいというように考えております。即ち生産協議会におきまして、業務計画の案を付議した場合に、これが否決になつたという場合もありましよう。それから生産協議会が開けなかつたというような場合もあろうかと思ます。生産協議会は開きましたが、最後において議事が紛糾して、結論が出なかつた、否決も可決もどちらにもしなかつたというような場合も考えられますので、それらの場合を含むということを、この命令で内容をはつきりいたす。そういう意味の命令でございます。施行令要網の第十條に、この内容が大体書いてあります。
#295
○堀末治君 そうですか、こんな内容も要するに命令と、こう表現したわけでありますね。分りました。
 もう少し……その次、十八條でございますが、「第三項の規定による業務計画の案の提出があつたときには、これを審査した上で、地方炭鉱管理委員会に諮つて、当該指定炭鉱の業務計画を決定し、これを指定炭鉱の事業主及び炭鉱管理者に指示しなければならない。」これは恐らく参考の提出でございますから、議を経られなかつた時の要するにあれですね。
#296
○政府委員(平井富三郎君) 「第一項又は第三項」とありまして、議を経て出した場合及び議を経られなかつた場合、両方を含んでおります。
#297
○堀末治君 そうすると、議を経た場合のことは、労資完全に一致したことですから、そのまま管理委員会でお決めを願つても結構でありますが、若しも議を経られない場合に、管理委員会でそれを今度適当に決定して、それを指示されるわけでありますが、若しもそれを事業主も受けられん、労働者の方もそれではやれん、こういつたような時になつたならば、一体不服の申立をすることができるかどうか。
#298
○政府委員(平井富三郎君) この業務計画の決定につきましては、只今のような場合におきましては、地方炭鉱管理委員会に諮りまして、業務計画の指示をいたすことになつております。この点がいわゆる一般炭鉱の管理と、指定炭鉱の管理と非常に異つた点であります。一般炭鉱の方は事業主の計画という企業の意思というものが主体になつて、それを管理する方の側が、若し非常に直さなければならんというような点がありました場合には、それをそのまま直して行くという程度の軽い管理であります。それから指定炭鉱の方は、いわゆる業務計画というものは、石炭局長が、管理委員会に諮つて、業務計画を決定するという立場になるのでありまして、その点がいわゆる指定炭鉱になりました場合と、一般炭鉱との一番大きな違いでありまして、その狙いは、いわゆる指定炭鉱の業務計画というものは、國の要請というものと企業の意思との両方の合致点をここで見出して行きたいというように考えまして、業務計画は石炭局長の指示したところによつてこれを行なつて行かなければならんという点でありますので、この点につきましてはこの不服の申立制度を認めずに、この業務計画を実施して行くというふうに考えておる次第であります。
#299
○堀末治君 政府のお考えになるのはそれでよく分るのでありますが、併しどうしても協議会が意見が一致しなかつた。しないので止むを得ずそのまま出す。出したら政府で必要と決める。それに対しては管理者はそれでよろしい、是非これでやれということになりますけれども、労働者がどうしてもその数字をやれんというようなことになつたとき、一体それに対して不服を申立てることも何もできなければ、結局その業務計画が指示されながら遂行ができないという結果になるだろうと思うのでございますが、若しもそういつた場合になつたときは、政府はこれはどう処置なさいますか。
#300
○政府委員(平井富三郎君) これは法の運用の問題でありまして、いわゆる政府が炭鉱を管理するという中の強度の管理でありまして、業務計画の決定は政府がこれを行うという、極端に申上げればそういうようなお氣持で、この法案をお読み願たいと思います。
#301
○堀末治君 その氣持はよく分る。若しも労資どちらかがその計画に、それを駄目だといつて協力しなければ、結局駄目だということになりますね。政府がやかましく言つて見たつて、これはせんということになれば、これは容易でないことになる。現に北海道は割当を政府がやつておるのでありますが、いつでも要するに政府の割当は多い。現に北海道の商工局あたりもその数字は多いという。業者も多いと言えば、あなたの末端の官廳まで多い、こう言つておるのを、政府は無理に押付けて、北海道は出ない出ないというのが、この間までの実情なんでありますが、やはりそういう結果にこれがならないかと、私非常に心配されるのですが、如何でございますか。
#302
○政府委員(平井富三郎君) 私共は逆に考えまして、從來政府が企図いたしました計画というものが、いわゆるこれは官廳プランということであつさり片附けられまして、いわゆる企業の意思だけで小さな生産計画が実施されておつたとうい点が、遺憾な点であろうと思うのであります。むしろこの点は企業においては、生産協議会において経営者、労働者共に十分審議を盡す。併し國の要請というものを業務計画の上に盛込む上におきまして、一段と他の関係者の入りました炭鉱管理委員会において、どの程度の計画が適当であるかということを十分審議した上で、業務計画を決定するということが、むしろいわゆる官廳の案だ、経営者の案だ、労働組合の案だというようないろいろの案が、三種三樣に行われておるというような不明朗なことを一掃し得るのじやないか、從つてこの点においては深刻な論議が交わされると思いますが、この運用が進むに連れまして、いわゆる國の計画というものと企業の計画というものが合致いたしまして、從來のようないろいろな経営者の案だ、石炭廳の案だ、石炭局の案だ、或いは労働組合の案だというようなことが防げる。又防ぐように運用して行かなければならん。かように考えておる次第であります。
#303
○堀末治君 政府のお考え方は分ります。併し私重ねて申しますが、果して政府の意図する通りにその数字を皆が呑み込めば結構ですけれども、呑み込めないことが必ずあり得ることだろうと思いますが、併しその辺は何ぼ申しても何ですから、この辺で止めます。
 続いて次に、この計画を出し、又業務の管理委員会に諮つての決定の指示がない、その間は前に出した計画でやつておれ、こういう案であります。そこで心配になるのは、三十日くらい前に出して、ごたごたしておる内に企業が進んで行く。各一四半期のことであるから、僅かに三ケ月のことで、大分仕事が進んで行つて、そうして労資ともその間割り切れない氣持で仕事を運んでおる。その内に政府の方からこれこれだと、ぽんと指示が來た。その指示が又、期間もなし、少々頑張つて見ても、この数量くらいならやれるがと思うても、ふん張つてやろうぜと思つても、期間が短くなるので、もうその計画の遂行ができないというようなことにもなるのでないかと思います。それらに対するお考えはいかがでありますか。
#304
○政府委員(平井富三郎君) これは初めから非常にきれいに行くということはなかなかむつかしいと思いますが、四半期毎の計画が、期を経るに從いまして大体の基準も予め、そのためにこそ石炭局長から計画の基準を予め指示いたすのでありまして、なるべく企業者の立てる計画と國の計画とが、でき上つたところで齟齬しないというように、予め手を打つて実施して行きたいというように考えておる次第であります。
#305
○堀末治君 続いて十九條に移りますが、これは要するに事業計画の変更の停止のことを取決められたものだと思いますが、この変更の場合でも生産協議会の議を経る必要があるか、いかがでございますか。
#306
○政府委員(平井富三郎君) これは十七條の規定を準用しておるので、変更の場合にも生産協議会の議に付する必要があると思います。
#307
○堀末治君 その次に「石炭局長は」云々というて、「指定炭鉱の業務計画を変更し、これを事業主及び炭鉱管理者に指示することができる。」こうなつておりますが、この場合は不服の申立を許されましようか、許されませんでしようか。
#308
○政府委員(平井富三郎君) 業務計画の指示は、先程申上げました理由によつて行われますので、変更指示についても同様に考えております。
#309
○堀末治君 第二十條は監督上の必要命令でございますが、これはずつと早くに命令と指示の質問を平岡君がしたと思いますが、あの時私も聽いたと思いますが、よくあの内容が分りませんでしたが、もう一遍あの内容をおつしやつて頂けませんか。
#310
○政府委員(平井富三郎君) この二十條の法制は、午前中申上げましたように、「指定炭鉱の業務計画の実施上必要があると認めるときは」ということで、いわゆる前の一般炭鉱に対する命令よりも範囲が廣くなつて参ります。從いましてすべて監督上の命令ということのみで措置するということは、却て非常に重くなりまするので、指示という制度を設けまして、指示の制度を活用して参りたい。これによつて起りました損失の補償等につきましては、命令と同樣の効果を持つわけであります。一々罰則にかけてやつて行くということの煩瑣の点が省かれるわけでありまして、大体は指示で運用して参りまして、指示によつては運用できんという場合に監督上の必要な命令が出るわけであります。これはその指示命令の出します範囲が、第九條の一般炭鉱に対する監督上の命令よりも、業務計画実施全般に亘つて参りますので、こういう制度を設けた次第であります。
#311
○堀末治君 これにはやはり最後に「命令の定めるところにより、商工大臣に対して、不服の申立をすることができる。」こういうことになつております。何か要網で見ると、二週間以内に文書を以てとかいうようにあるように思うのでありますが、そうでございましたろうか。
#312
○政府委員(平井富三郎君) これは実施上の指図でございますので、前の事業計画の変更に対する不服の申立と違いまして、期間を限つて早く不服の申立があれば片附けてしまうということが必要でありますので、今のような内容を指定することになつたのでございます。
#313
○堀末治君 こういう條文は罰金附きで、五十九條の適用を受けることになると思いますが、こういうのはなるべく命令の定めるところなどと言わずに、明らかに文書を以て、二週間以内に不服の申立をすることができる、こう明記する方が迷いがなくていいのじやございませんでしようか。
#314
○政府委員(平井富三郎君) この不服の申立の、命令の定めるところにより、という命令は、別にこれはただ施行令で決める、こういうだけの意味でございまして、罰金その他はこれには関連ないわけであります。ただ二週間以内にこれをしなければならんという運用は、これは法の運用上の問題でありまして、或いは十日がいいとか、或いは一週間がいいじやないかというような点もありますので、これらに彈力性を持たせまして命令に讓つた次第であります。
#315
○堀末治君 これは私只今申上げます通り、この命令に違反した者をいうので、五十九條で大分強く罰を受けるようなことになるのでありますから、私はこういう罰則を設けるようなものに対しては、命令でなくやはりはつきりと、要するにそのことを決めて置くということが、私は非常に法文を明朗化するのじやなかろうかと思いますが、いかがでございましようか。
#316
○政府委員(平井富三郎君) 監督上の命令に違反します場合は罰則がございます。その点をおつしやつておるわけでございますか。
#317
○堀末治君 そういうわけであります。
#318
○政府委員(平井富三郎君) それはその通りでありますが、二週間以内にするか、十日にするか、これは運用上の問題でございますし、実体的の問題でございませんので、むしろ命令に讓ることが適当であろう、かように考えております。
#319
○堀末治君 それから二十一條でございますが、この條項と第七條の條項とはどういうふうな関連を持つのでございましようか、一般炭鉱の方の関係だと思いますが……。
#320
○政府委員(平井富三郎君) 一般炭鉱につきましては、第七條の規定によるわけであります。指定炭鉱につきましては、第二十一條の規定によるわけでありまして、全般的に第十五條の二項によりまして、事業計画に関する規定は適用しないということで、重複を省いておるわけであります。
#321
○堀末治君 私第二節の質問はこれで終らせて頂きたいと思います。
#322
○委員長(稻垣平太郎君) 今四節までやつておりますから、それは構いません。
#323
○田村文吉君 只今第三章第五節までよろしいという御意味であつたのでしようか、成るべく順序で進行する御予定であつたのでございましようか。
#324
○委員長(稻垣平太郎君) 先程法制局長官がお見えになつて、例の生産協議会の話がありましたから、議題としてそこまで持つて行きませんといけませんので、四節までと申上げたわけであります。四節まで議題にいたしております。
#325
○田村文吉君 成るべく順序に從つて伺いたいと思います。
#326
○堀末治君 節ごとにもう一遍改めて頂けませんでしようか。
#327
○田村文吉君 私もできたら成るべく順序よくお進みになつた方が進行が早いのじやないかと考えるのであります。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#328
○委員長(稻垣平太郎君) それで結構であります。二節といたしまして、二節の御質疑を願います。
#329
○田村文吉君 二節の中で、今の二十條の、これは字句だけの問題になるかと考えますが、「地方炭鉱管理委員会に諮つて、指定炭鉱の事業主に対し、監督上必要な命令」云々とありますが、それの二項に参りまして、「指定炭鉱の事業主又は炭鉱管理者は、」こうなつておるので、実は炭鉱管理者は事業主の委任を受けて仕事をしておりますので、全く同一の人格である筈であります。不服の申立をするというような場合に、前は炭鉱管理者であつたものを、事業主も入れて、又炭鉱管理者も入れるということが意味をなすかと思いますが、この点はわざと事業主又は炭鉱管理者というのをお残しになりました意味に何か御趣旨がありますか。
#330
○政府委員(平井富三郎君) 修正案におきまして、事業主に炭鉱管理者との関係を修正いたした点は勿論あるのでありますが、併しながら炭鉱管理者が業務計画の実施の責に任ずるということは修正案においても明記されておりますし、その業務計画の実施に必要な権限はこれを委任しなければならないという條項も、いわゆる法定支配人の條項の代りに、むしろ裏から書き現わすような意味におきまして規定されておる次第であります。從つて炭鉱管理者というものは、修正案におきましてもこれは企業主の選任するものでありまするが、同時に一定の権限の委任を受けまして、業務計画の実施の責任を持つ、こういう立場にございますので不服の申立のような事項については命令を受けました直接の事業主、現場において業務計画の実施責任者である炭鉱労務者も亦不服の申立をすることができるということが便宜であるという趣旨から、この点は原案通りにいたした次第であります。この外に業務計画の指示、或いは変更の指示等も、事業主と炭鉱管理者を並べておりますが、やはり同樣の趣旨によつて原案通りにしたような次第であります。
#331
○田村文吉君 さような御解釈とも考えておりましたが、すでに修正案によりまして、政府と炭鉱管理者と直結するようなことが趣旨においてよろしくない、かような意味から修正が試みられたと考えておりまするが、まあ丁度とにかく直接じや工合が惡いから、まあ主人がやるからお前はそこに出ないようにして置いてくれという、こういうふうな行き方になつておりまするのに、この第二節、第三節に参りまして、特に炭鉱管理者というものが大分この條文からは削られております。削られておりますが、炭鉱管理者は、修正案から参りますると、即ち事業主と一心同体であるというふうに考えられて來ておるのでありますから、今更未練がましく炭鉱管理者というような言葉をお並べになること自体が何かしらはつきりしないような感じがするのでありますので、若しこれが全部事業主になりましたならば、どういう実質的に不都合が起るでありましようか、それについての御見解を承わりたいのであります。
#332
○政府委員(平井富三郎君) 業務計画の指示につきましては、事業主と炭鉱管理者の両者に指示する、これは時間的のセーブであろうと思います。本店が東京にあり、事業場が九州にあるというような場合に、石炭局長が事業主を経由して炭鉱管理者に指示するという煩瑣を省く意味におきまして、事業主と炭鉱管理者に同時に指示いたすということで十分意味があると考えております。又同樣な場合におきまして、本社が東京にあり、現場が九州にある炭鉱管理者が、大幅の権限を受けてこれを実施するという場合におきまして、炭鉱管理者にその不服の申立をさせるということが手つ取り早い方法ではないか、事業主と炭鉱管理者の大筋の関係につきましては一体の関係で所要の修正をいたしておりまするが、これらの問題は、物事を運んで行くに便宜の問題であり、どうすることが一番管理に適当かという点から解釈判断せらるべき問題であります。要は今申上げましたような理由で、特に事業主のみに限定するよりも、その原案のまま置く方が便宜ではないか、又適当ではないかというふうに解釈された次第でございます。
#333
○田村文吉君 すでに炭鉱管理者に対する委任の條項も今度決めようということに相成つておりますし、在來の鉱業代理人にいたしましてからが、すでに國の監督上から申しますると、その炭鉱の事業主にやるべき書面もすべて委任されておるという意味で、鉱業代理人のところですべてを弁じておりまするが、併し宛名は、常にその事業主に宛てて書類を出しておる。こういうような具合で、実際が一体のものでありますから、殊更に炭鉱管理者というようなことを持ち出してやる必要が何もないのではないか。併し初めの原案でありますると、炭鉱に直結という政府の方針があつたのでございますから、これは意味をなしておつたのでありまするけれども、すでにさようなことがなくなつて來たというのに、尚且つ炭鉱管理者と全く同一の人格であるべき人に対して、別々に規定するというようなことがはつきりしませんので、未だにこの原案の炭鉱管理者と政府とが、成るべく眞直ぐに一つくつ附いて行きたいというような感じを残していらつしやるではないかと、こういうような感じがいたしますので、実質的にどういう違いがあつてこういうものをお残しにならなければならなかつたのか、これをお伺いいたしたいと思います。
#334
○政府委員(平井富三郎君) 炭鉱管理者と事業主との関係を調整いたしました修正案の提案者の氣持においても、こうすることが便宜であるという意味から残しておるのでありまして、これは事業主と炭鉱管理者との、いわゆる企業の一体的な運用という面と、別段抵触するものでもございませんし、こうすることが便宜である、適当であるという場合におきましては、何ら支障がないのではないか、かように考えます。
#335
○田村文吉君 支障のないというお話は分りましたが、なぜそれが一つのものと見て置いて又支障があると、こういうふうにお考えになるのでありますか。
#336
○政府委員(平井富三郎君) 事業主に限定いたしましても別に支障ありませんが、こういたしますことも別に支障がないというのは、こうした方が便宜な点があるという点から、この案の方が敏活な業務運営ができるという点でやつておるのでありまして、これを管理者が共同の指示を受ける、或いは不服の申立てをすることができるということが、いわゆる未練がましくこういう規定を残して置いたという氣持は、一つも提案者にもございませんし、これを受取りました政府においても、そういう一種の何と言いますか、少しでも肚を残して置きたいというような氣持でやつておるのではないのでありまして、いわゆる指示をする場合に、東京の本社をわざわざ経由して行くということをせんでも、同時に指示して行く。炭鉱管理者というものはこの法律の中にも一つの地位、一つの節を設けて規定されておるものでありますから、それでも十分行けるのじやないか、又そうした方が便宜じやないかという点から、この規定が原案通りなつておる次第であります。
#337
○田村文吉君 分りましたが、別にこれは実質の上から言つて事業主だけになつても差支えないのだと、ないのだが、その方が文書の送達等から言つてもあつた方が便宜ではないか、こういう軽い程度に解釈してよろしゆうございますか。
#338
○政府委員(平井富三郎君) 法案といたしましては、この方が適当であると、かように考えております。
#339
○田村文吉君 ただ我々が考えますことは、すべてが成るべく一体として行くべきものであるのに、殊更に区別を付けて、事業主とか炭鉱管理者とかいうようなことを言い、或いは又労働者というようなことに分けて、そうして國家が管理をして行くという対象になる場合に、一々分れたものになつて行くことが、すべての和を作つて行くという上から言つて、成るべくそういうものはない方がいいのだと、こういうふうに考えるのでありますが、併しこれが実質的にはつきりとしなければならない状態のものは、これははつきりと御区別なさるのは結構だけれども、実質的に害もないか知らんが、何ら実益のないものを、こういうふうに殊更に残してお置きになるということは、何かしら誤解を招く虞れがあるのではないかと、こう考えましたので、何か外に実質的に便宜があるのですか、どうですか。
#340
○政府委員(平井富三郎君) これはただ残して置いたというだけではないのでありまして、この方が便宜ではないかと、いわゆる積極的にこの方が、両者に指示し、両者から不服の申立をすることができるというようにすることが、現在の炭鉱経営の運営から言つて便宜であり、適当である。かように考えておる次第でありまして、これを残すために事業主と炭鉱管理者との一体的な関係が壊れるというふうにも考えておりませんし、又そう考えることがむしろ実際上の運用の便宜を見ませんで、事業主一体という一つの考え方によつて、実際上の必要性も、私の方から言いますれば、或いは無視しても事業主一本に固めて行くのだというような氣がいたすのでありまして、これらの点は、別に事業主、炭鉱管理者との関係という本筋の考え方を離れまして、こうすることが便宜であり、適当である。かように考えておる次第であります。
#341
○玉置吉之丞君 この第二十一條の「指定炭鉱の事業主は、命令の定めるところにより、業務計画の実施状況を所轄石炭局長に報告しなければならない。」とありまするが、この「命令の定めるところ」という意味はどういうことでありますか、それを具体的に一つ伺いたいと思うのであります。
 尚原案では「炭鉱管理者」とあつたのを、修正案では「指定炭鉱の事業主」とされておりまするが、我々の考えによりますると、こういう業務計画の実施の状況を報告するのが、炭鉱管理者からすることの方が実情に即しておるのではないかと思うのでありますが、この修正は、指定炭鉱の事業主になつておるのでありますが、これに対する政府の考え方を一つ伺つて見たいと思うのであります。よく私共が法令を読んで、「命令の定めるところ」という個所が所々にあるのでありますが、ここに含まれておる「命令の定めるところ」というのは、具体的にどういう所を指すかということを伺つて置きたい。
#342
○政府委員(平井富三郎君) 命令は、御手許に配付いたしてありまする施行令要綱の第十四條を御覧願いますと、「毎四半期の終了後一月以内に様式第五号により、これをなすこと。」とありまして、いわゆる提出の時期、様式等を決定いたします。この法律に現われておりまする命令は、原則としてそういういわゆる手続的な規定を命令で規定をいたす、政令若しくは商工省令を以て規定いたす、こういう意味でございます。それから報告につきましては、これは事業主と炭鉱管理者の点を調整いたしましたので、この修正案の提案者といたしましては、業務計画の実施の状況ということは、非常に重大な事柄でございまするので、特に事業主がこれを行うというふうに明白にいたしたものと考えております。
#343
○委員長(稻垣平太郎君) 第二節は、それではようしゆうございますか。
#344
○大屋晋三君 この修正案の十八條の第二項ですが「前項の規定による指示があるまでは」とあつて、指示がなかつたときに、炭鉱業務の実施を事業主がやります場合には、その業務計画は、つまり生産協議会の議の得られなかつた業務計画を以て事業計画を遂行して行くということになろうと思うのですが、大体生産協議会の議が経られなかつた場合には、即ち労務者がその業務計画を承諾しなかつたという場合でありますから、そのときに事業の実行の責は事業主にありまして、而も労務者が、俺はそんな事業計画には承諾を與えないのだから、そんなものを遂行するのに協力する必要がないというような場合も、細かく考えれば想定されますが、そんな点はどんなふうに考えておられますか。
#345
○政府委員(平井富三郎君) この点は、今御指摘のような点で非常に揉めたのであります。この指示があるまでに、企業主の案で行くか、或いは現場の生産協議会において纏まる案で行くか、この点につきまして、相当法案作成の時期におきましても論議されました次第でありますが、この修正案におきましては、一應業務計画の設定及び遂行というものにつきまして、事業主というものが最終の責任を負うという意味におきまして、事業主の立てました計画を取敢えず実施して行くというふうに決つた次第であります。尚この過渡的な取扱い方は、勿論石炭局長にいたしましても、案の提出がありました場合、特に生産協議会の議が経られなかつたような場合における取扱につきましては、迅速に処置いたしまして、この過渡的な期間をできるだけ縮めて行くというふうに努力して参りたい、かように考えておる次第であります。
#346
○大屋晋三君 それで一應その処置は分つたのですが、さような過渡的の期間を短縮することに努める必要は勿論あつて、そうせねばならんわけですが、そのギヤツプの間に、仕事を事業主が遂行して行つて、私が只今指摘した労務者と、この頃はただでさえもいろいろな紛爭の事態が多いのでありまして、そこがしつくり行かないで、その結果事業主が業務計画遂行上に多少の失策ができる。從つてそのために損失が発生するというような場合に、その損失の取扱い方乃至事業主の責任の取扱い方というような点は、政府はどうお考えになつておりましようか。
#347
○政府委員(平井富三郎君) この管理法の業務計画の設定ということ、生産協議会の議に付するということは、いわゆる從業者の経営参加の途を開いた次第でありまして、この際に議が纏まらないという場合の経過措置は、こうするのだという一つの國家の意思を明白にいたしたのでありまして、從來経営協議会におきましては、業務計画が論議せられ、その議が纏まらん場合に、企業主の案を実施して行くという場合に見られますような紛爭は起ることが余りないのじやないか、要するにこれは國家が一つの制度を決めて、実施して行くのでありまして、労働者の経営参加ということに関連して起る一つの措置でありまして、このやり方に対しては、労働組合としても十分了承して進行して行くものと確信しておる次第であります。
#348
○大屋晋三君 若しそのとき起きたらどうしますか。起きる場合が絶対にないとは言えないでしよう。
#349
○政府委員(平井富三郎君) これは労働組合が、一つの輿論的に見まして、非常に不利の立場に立つと考えております。
#350
○大屋晋三君 強いてこの節で御質問申上げなくてもいいのですけれども、平井さんから、只今の田村さんか玉置さんかの質問に対して、樣式第五号で云々という話があつたのですが、そこでつまり管理方式で炭鉱の管理者、或いは事業の事業主なりがいろいろな、いわゆる報告書なんかを出さなければいかんと思いますが、これは一体このフォームがどれくらい、何号式くらいまであつて、何枚くらいあつて……これは我々が過去において非常に困つて來た、役所からいろいろな監督を受けるというと、沢山の書類ばかり提出を命ぜられ、その書類を調整するのに紙とかクラークの手数というものは夥しいもので、なかなかこれは煩雜な問題ですが、何かそんな点で、樣式というような、私の申上げた点で何かお答え願えましようか。
#351
○政府委員(平井富三郎君) 私共は逆に考えまして、こういうような法案がございません場合に、各官廳が計画を持たずに、勝手に報告を徴集するということのために起る弊害が多いだろうと思います。こういう管理制度を布きまして、法律の規定によつてはつきりした樣式を決めてこれを取る。いわゆる計画的に報告を徴集するということになりますれば、報告を徴集するものもおのずから決定されて参りまして、他の官廳が必要とする場合には、石炭局長にその資料を照会し要求するというようになりまして、非常に整備されて参りまして、不必要な報告を勝手に各方面から求められるという弊が是正されるものと考えております。又そういう趣旨から言いまして、いわゆるこの管理の目的が、実体把握ということでございますので、從つて当然この報告を徴することは、企業主としても作成しなければならない実施状況の取纏め程度のものを予想しておりまして、この報告を取るために、非常に大きな手数が掛かるということのないようにして参りたいということを考えておる次第であります。
#352
○大屋晋三君 その問題は、ただ言葉の上で、あなたはそういうふうに御答弁下さつても、ちよつとぴんと來ないので、実際問題として、さようなところは在來よりも、現在のままよりも、この管理法案が仮りに通過して実施された場合には、非常に届出文書というもののヴォリュームが殖えるのじやないかと私は心配しておる次第であります。これはお答え願わなくてもよろしうございます。
#353
○平岡市三君 ただ一つ皆さんのお聽きにならんことをお聽きしたいと思うのでありますが、第十九條に関係のあることでありますが、事業主が業務計画の変更案を提出せる場合に、変更の指示があるまで、提出せる変更案によつて業務を行うのか、それとも元の業務計画によつて業務を行うのか、この案のこれだけですと、その規定がないようでございますが、どちらの業務計画がこれを行うことになりましようか。
#354
○政府委員(平井富三郎君) 変更の案を提出いたしまして、指示があるまでは、從前の計画案で進む、こういうことになります。
#355
○平岡市三君 そういたとますと、ここに炭鉱の事業主というものが、重大な止むを得ざる理由によつて変更書を出しておるにも拘わらず、前の業務計画で以て仕事を継続するとするならば、この業務には非常な支障を來すだろうと思います。私はこの場合においては、原案によらず変更案によることの方がいいと思うのでございますが、その見解はいかがでございますか。
#356
○政府委員(平井富三郎君) これは事実の問題として、法の建前が、業務計画は石炭局長が指示いたすという点でありますので、企業主の主観的の判断のみにいつて、これを変更するということは、又その方面からも弊害が出て参ることと思われます。尚変更の申請がありました場合において、これを迅速に処理するということによつて十分カバーし得るものであろう、かように考える次第でございます。
#357
○平岡市三君 法文を見ますと、遅滯なく、地方炭鉱管理委員会に諮つて、至急指示をすると、こう書いてありますが、例えば一つの炭鉱において大きな落盤があつた、そこは結局一時中止しなくちやいかん、他の新らしい方面に向つて行かなければならんということの起きた場合に、一應炭鉱管理委員会に諮つて、それを待つておるというようなことでは、やはり増産の支障になりますからして、或る程度の止むを得ざる事業計画の変更に対しては、事業主が任意に変更案によつて行けるような方法はお立ちにならんでしようか、やはりこの條文通り行くという建前でございましようか。
#358
○政府委員(平井富三郎君) これは今の御設例のような場合は、自然的にそうなるのでありまして、計画を変更するしないに拘わらず、自然の状況によつて当然業務計画の遂行が不可能になるものと思います。計画の変更とは関係はないと私は思います。ただ計画を変更するということが、計画的にはつきりさせるという意味を持つことに相成ると思います。
#359
○小林英三君 今の各炭鉱から提出する書類の問題で、大屋君からちよつと先程本條に関係して御質問がありましたが、今政府委員の話によりますと、むしろ簡單になるというような感じを受けたのでありますが、私は自分の調査したところによりますというと、一つの炭鉱が例えば労働基準法に関する書類を出すということだけでも大変である。それから鉱業法によるものだけでも約二百通の書類が要る。その一通がなかなかむずかしい書類である。今度は本案が若しも実施されるといたしまするというと、これもやはり百五十通とか二百通とか要るのじやないかと思うのであります。なかなかこれだけのものを沢山拵えるのには、大きな炭鉱では人間を沢山使つてやるのでしようから、何百通というようなむずかしい書類を、それだけの手数を使うということは、場合によつてはできるかも知れませんけれども、小炭鉱なんかはなかなか容易じやないと思いますが、こういう点について政府は御研究になつたことがありますか。
#360
○政府委員(平井富三郎君) これは報告を調整する場合に、他の方の関係によつてこういう報告が來ているかという点も勿論調査いたしまして、決定いたしましたが、要するにこの法律の規定によつて実情が把握できるという必要な最小限度によつて報告を取るわけでありますし、その際に他の関係におきまして徴集している報告等は十分整理をいたしたいと考えております。
#361
○小林英三君 その次に二十條ですが、二十條にはこれは十條にはないのでありますが、命令と指示との区別は罰則の適用のあるなしに拘わらずと解していいのですか。
#362
○政府委員(平井富三郎君) さようでございます。
#363
○小林英三君 そういたしますというと、むしろ指定炭鉱でなしに、一般炭鉱の方が嚴格に過ぎるというきらいはないのですか。
#364
○政府委員(平井富三郎君) これは先程詳しく申上げましたように、第九條の命令は非常に消極的な範囲について出されるわけでありまして、いわゆる業務計画実施上の指図に類するような命令はない、指示はないわけであります。從つて監督命令一本で行きまして、指定炭鉱につきましては、業務計画は石炭局長が決定して指指示するという形になりますし、業務計画の実施上に全般に亘つての命令ということになりますので、指示の制度を置いた次第であります。
#365
○小林英三君 それから十九條の第三項でありますが、石炭局長は第一項の規定及び業務計画云々、業務計画を変更する必要があると認めるときは、遅滯なく炭鉱管理委員会に諮つて云々となつておりますが、この遅滯なくということは、これは字句はこの通りなつておりますけれども、これによりますというと、つまり石炭局長がややもしますと独断で以てこれを変更するというようなことになりがちだろうと思いますが、遅滯なくというのは……。
#366
○政府委員(平井富三郎君) これは変更の理由にもよりますが、先程御説明のあつたような落盤で計画が止むを得ず変更して來るというような場合には、これは問題ないと思います。ただ例えば一つの拡張計画というようなものを止めるというような意味の事業計画、業務計画を変更するということがあります場合は、炭鉱管理委員会に諮つてこれを決定するということになりますので、いわゆる独断專行ということはない。かように考えます。
#367
○委員長(稻垣平太郎君) そういたしますと、二節はこの程度にいたしまして、第三節の御審議をお願いいたします。
#368
○平岡市三君 第二十四條の第二項でありますが、これが法文として甚だ不備であるように私考えられるのでありますが、生産協議会の委員の定数の過半数に相当する委員が炭鉱管理者を著しく不適当であると認めるときには、その旨を誰が所轄の石炭局長を経由して商工大臣に申立をするか。申立をなす人間、即ち申立をなす主格、サブジエクトがここにない。誰が申立を行うことになつておりますか。
#369
○政府委員(平井富三郎君) これは生産協議会の委員誰でもよろしいのでありまして、生産協議会の委員定数の過半数に相当する委員が不適任であると認める時には、石炭局長を経由して商工大臣に申立てることができるということになつておりまして、定数の過半数に相当するものが決議をいたしますれば、その中の委員が申立をすることができるというふうに解釈しております。
#370
○平岡市三君 それでは申立をなす人は生産協議会の委員一人でも申立をなすことができる。こういう意味でございますか。
#371
○政府委員(平井富三郎君) この規定が適用されます場合は、何といいますか、連名で申立をするということになると思います。
#372
○平岡市三君 やはり二十四條でありまするが、事業主が炭鉱管理者が著しく不適任である場合には、どうこうするというようなことが書いてありませんが、若しも事業主が炭鉱管理者が著しく不適任と認める場合には、任意に解任し得るものと考えてよろしうございましようか。勿論今までの政府当局者のお話でありますと、常に炭鉱管理者は事業主と一致するように御説明でありましたけれども、私は必ずしも一致しない場合もあり得ると思います。こういう場合には、やはり事業主と炭鉱管理者というものは一致する場合でありましても、これは性格的には別にしておりますものでありますから、そういう條文がありませんから、事業主が炭鉱管理者が著しく不適任である場合には、任意に解任し得るものである。こういうふうに考えて差支ないでしようか。
#373
○政府委員(平井富三郎君) これはその通りでありまして、選任につきまして企業主が企業主の責任において選任いたすのでありまして、解任についても同様であります。それから事業主と炭鉱管理者が兼任の問題は、企業の規模によつて大体違つて來るのであります。例えば本社が東京にありますならば、東京につきましては、事業主と炭鉱管理者の兼任というものは先ずない。中小の炭鉱におきまして、事業主と鉱山長といいますか、炭鉱管理者になるような人が同しオフィスにおるという場合に、事業主と炭鉱管理者が兼任するという事例が多く起るのではないか。そういう意味で商工大臣は申上げたのであります。
#374
○平岡市三君 二十五條に移りますが、「指定炭鉱の事業主は、業務計画の実施に関し、命令の定めるところにより、必要な、権限を炭鉱管理者に委任しなければならない。」こういうふうに業務計画の実施に関して命令の定めるところによつて必要な権限を炭鉱管理者に委任するようになつております。そういたしますと委任事項につきましては、事業主に代つて業務計画の実施を行うことになりますからして、結局罰則規定に炭鉱管理者に対する罰則規定が見当りませんけれども、委任事項に関して炭鉱管理者が命令に違反した場合には、当然懲役又は罰金に処せられるものと考えますが、やはりそういうふうに考えて参つてよろしうございましようか。
#375
○政府委員(平井富三郎君) この二十五條の規定によりまして、業務計画実施に関して権限を委任されたということは、業務計画の実施の責に任ずる者は、この修正案におきましても、炭鉱管理者は二十三條に明記されておるのであります。その業務を行うに必要な権限、例えば資材を購入する代表権を受けたというようなことが、この極端な例になるのでありまして、命令指示というものは原則として事業主にあるわけであります。炭鉱管理者に直接命令指示が行くのではなくして、事業主に行くことが原則であります。業務計画の変更の指示が管理者と事業主に併行して行くというだけでありまして、事業主がすべて命令を受領するというような関係上、炭鉱管理者については罰則を設けなかつた次第であります。
#376
○玉置吉之丞君 炭鉱の管理者は、当該炭鉱の責任者として能率を発揮するためには業務計画の実施の非常に重い責任を持つておるということを第二十三條に示しておるのでありますが、又只今お言葉のあつたように、生産協議会で過半数以上の委員が炭鉱管理者を彈劾することができる。辞めて貰いたいということを申出た場合、辞めさせなければならんような建前になつておるのでありますが、非常な重い責任を持たされて、全責任を管理者が持たなければならん。そうしてその責任を果すために生産の場面において非常に強力を発揮しなければならんというようなことが起り得ると思うのでありますが、それを実行に移すために何か労働者の側なり、從業員の側の忌避に触れて彈劾されて辞めさせられるというな立場に置かれておるということは、甚だ石炭の増産という目的を遂行する上に私は不可解な條文ではないかと思います。これにつきまして商工大臣の所信を伺つて見たいと思います。
#377
○國務大臣(水谷長三郎君) これは事前に生産協議会の同意を得る、そうして事後に彈劾を受けるということになつておりましたのですが、事後に彈劾権があるというので、事前のいわゆる同意を得るということがなくなつて、事後の彈劾権だけということになつたのであります。これは今度の新憲法によりまして彈劾権というものが、神聖なる裁判官に対してでも認められておるところの規定でございまして、或いはこれをば濫用するというようなことになりましたならば、御指摘のような弊害が起ると思うのであります。併しこの彈劾権というものの運用よろしきを得まするならば、却て関係者が協力態勢を整える上におきまして非常に益するところであろう、こういう工合に考えておる次第でございます。恐らく玉置さんの御質問の要旨は、この彈劾権が濫用された場合に非常に弊害があるのじやないかというような面でございますが、そういう点は又一應考えられますけれども、我々は彈劾権の適当なる運用によりまして炭鉱関係業者の協力態勢をば備えて行こうというところが狙いに外ならんのでございます。
#378
○玉置吉之丞君 私の心配いたしておりますことは、一定の生産目標を生産管理者が與えられたその責任を取るために、相当強硬な力強い指導をせんければ所期の目的が達成できんという場合に、強く出なければならん場合があろうと思う。そういう場合にそれをやればやつたために彈劾されて辞めさせられる。而もこの條項によりますと一方的に炭鉱管理者を著しく不適任であると認めるときは、その旨を所轄石炭局長を経由して商工大臣に申立てをすることができる。この場合には、商工大臣は指定炭鉱の事業主の意見を徴した上で、全國炭鉱管理委員会に諮つて、当該炭鉱管理者を解任すべきことを命ずることができる、こうなつております。これは欠席裁判を受けるわけであります。一生懸命仕事をして、そうして部下から彈劾されたら、呼出しを受けて事を質さず首を切られる、こういうようなむごいことになつております。その点は一体どうお考えになりますか。
#379
○國務大臣(水谷長三郎君) 先程の御質問に対しまして少し私は説明が足らなかつたのでありますが、生産協議会の委員の過半数ということになつて、半数が労働者側、半数が経営者側ということになつておりますから、この彈劾権を行使される場合におきましては、自分と同じ立場に立つておる方からも総すかんを受けるということになる。この生産協議会の定数の過半数に相当する委員というものが彈劾するという場合には、俗に言ういわゆる経営者側からも労働者側からも総すかんを食う。そういういわゆる炭鉱管理者ということになるのでございますが故に、先程申しましたように、このいわゆる彈劾権というものが濫用されるというようなことは、委員会の過半数を占めなくてはならないということによつて非常に抑制されて、殆んど絶対不可能である。このように前の答弁は訂正さして頂きます。更に又勿論そういうことをして商工大臣に申立てることができるが、この場合には、商工大臣は指定炭鉱の事業主の意見を徴した上で全國炭鉱管理委員会に諮つてなにするということになりますから、大体指定炭鉱の事業主と一体をなしておるところの炭鉱管理者の身分上のことに関して、指定炭鉱の事業主の意見を徴することになるのでございますが故に、俗に言う欠席裁判というようなことは行われないのでございます。指定炭鉱の事業主の立場から申しましても、弁護する余地のない炭鉱管理者、即ち生産協議会の総すかんを食い、又指定炭鉱の事業主からも忌避されておる炭鉱管理者が初めて彈劾されるということになるのでございますが故に、十分踏むべき道は踏んで極めて納得の行く民主主義的な彈劾権である、このように解釈しております。
#380
○玉置吉之丞君 そうすると事業主はこの管理者を不適任であると認めて、それを押し通す時にどういう摩擦が起りますか、委員会の半数は管理者を否認しておる。併し事業主はその管理者を信任してこれをやれという場合、そこに一つの摩擦が起ると思いますが、そういう場合はどういうお取扱いになりますか。
#381
○國務大臣(水谷長三郎君) そういうことは一つの過程として起るでございましようが、併しその事業主の利益を代表するところの生産協議会の委員も不適任であると認める場合においては、そういうことは実際上としてあり得ないと私は思つております。
#382
○玉置吉之丞君 私はこの際商工大臣の所信を伺つて見たいと思うことがあるのであります。御承知の通り近頃官廳において職員組合があちこち問題を起しておるようであります。私の縣におきましても税務署の中に二つ程署長を排撃しておつて、而も課長までが職員組合に混つて問題を起しておることを、最近帰りまして聞いたのでありますが、こういう場合にこの法の中に織り込まれておる精神からいうと、その職員組合が財務局長に対しそういうことを上申して運動しておるようでありまするが、そういうような場合に、これは所管が違いますが、財務局長がその署長が惡いからというようなことを大藏大臣に上申して來たら、これを辞めさせなければならん、この法の精神からいうと、そういうことになるのでありますが、あなたは國務大臣として今日の官廳内に起つておるところの職員組合の行動、それらの行過ぎた事柄に対して、こういう法そのものの精神と睨み合せまして、一体どういう考えを持つておりますか、この際伺つて置きたいと思います。
#383
○國務大臣(水谷長三郎君) 労働組合、職員組合というのは、これは憲法上認められたところの権利に基いて組織された團体でございまして、而もその團体が行うところの行動が行過ぎであるかどうかということは、そのいろいろ具体的事実に徴して判断せなければならんと存ずるのであります。只今御指摘の和歌山の例は遠いところでもあり、又私の所管でもないので、果して事実に照らして行過ぎであるかどうかは知らないのでございますが、商工省に関する職員組合といたしましては、商工大臣として極めてその健全化を図る自信を持つております。
#384
○玉置吉之丞君 私はこの生産協議会というものの機構、その狙い方につきましては、何と言うても私はこれに社会党のイデオロギーが含まれておると、こう思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)すでに一昨日の当委員会において……。
#385
○委員長(稻垣平太郎君) 玉置委員にちよつと発言中ですが、その次の節へお入りになつておりますか。
#386
○玉置吉之丞君 ここに生産協議会の問題が出て來ておりますから……。
#387
○委員長(稻垣平太郎君) 生産協議會のときに一括してなすつたらどうですか。
#388
○田村文吉君 只今の玉置委員のお尋ねになりました彈劾権の問題ですが、これは御承知の上で大臣がお答えになつておいでになるならば、それ以上は意見の相違ですから別でございますが、実際の産業界におきましても、官廳におきましても、職員組合がボイコットするということは非常に多いのであります。多いのと同時に勢力爭いと申しますか、職員の中にも、今度僕が工場長とか炭鉱管理者になるのだというような位置にある人が相当にありますので、常に暗躍をする、こういう虞れが多分にある。そこで一人でもやはりその職員の中でこれを蔭に廻つて使嗾したり自分が最後に加わつて彈劾するというようなことは、極めて実例の多いことでありまして、実はこの点が非常に憂慮すべき問題である、こう私は考えておるのであります。そこで炭鉱管理者に仮になる人は、成るべく一つ皆に氣に入るようにして行こう。事業主は彈劾される心配はないから、自分がとにかくいい者になつて置いて、そうして労働條件の問題でもそういうことで行こう、こういうことになりまするから、常に大体多数の人は成るべく一つ皆に氣に入られるようなふうにやつて行こう。こういうことになりまして、秩序が放慢になるような場合が非常に私は多いということは、過去のいろいろの実際の場合において遭遇しておるのでありまするし、考えられるのでありまするが、そこまでは承知の上でこれはどうしてもやるのだと、こういうお考えであるのであれば、これは議論の相違でありまするからこれは別でありまするけれども、非常に私はそういう点を心配するのでありまするし、いわゆる事業場の秩序というものは、実質的にはさようなことがあつてもこれは止むを得ない場合があります。いわゆる佐倉宗五郎でありまするから、実質的に惡い炭鉱管理者がやつておる場合には、そんな法があろうがあるまいがやつてもいいのでありますが、これを法的にかようなことを認めるということは、いわゆる産業の秩序、産業の秩序を結局破壊することになるのであるが、その点について私はいろいろお考えになつたことであろうとは考えますが、実際の事業場の上から言つて、非常に心配の余りでありまするので、敢えて再び大臣のこれに対する御見解と御所信を伺いたいのであります。
#389
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今田村さんの御指摘になつたような事実を万万承知の上でお答えしておるのでございます。御指摘の事実は、若し労働組合の彈劾権だけで炭鉱管理者という地位が侵されるというのならば、田村さんのいわゆる御心配の点は御無理もないと思います。併しながら生産協議会は、繰返して申しますように、労資半半からなつておるのでありまして、その過半数を取るがためには、経営者の立場に立つ人もこれに同意しなければ、いわゆる過半数にならない、いわゆる総すかん、労資双方が総すかんということになるのでございますが故に、田村さんのおつしやるようないわゆる心配はないと思います。むしろこういうような彈劾権が認められておらないといたしまするならば、そういう不適任ないわゆる現場管理者に対して、労働組合、職員組合はどういう手を取るかと言えば、これは一足飛びにストライキに出ることは、火を睹るよりも明らかでございます。いわゆるストライキによつて全山の生産が停止するよりも、合法的な生産協議会の彈劾権を通してやつて、そうして不適任な炭鉱管理者は辞めて貰うということの方と、どちらが一体いいか、どちらがいわゆる事業が円滑に行くかということは、これは火を睹るよりも明らかな事実であろうと思います。
#390
○田村文吉君 議論の相違でありますから、これ以上は申しませんが、そういたしますと、やはりこれは後の問題になるのでありまするが、どの條項にも規定してございませんのでお伺いいたしたいのでありますが、今の炭鉱管理者がさような彈劾をされる虞れがあるという場合に、どんな不適当な、又産業秩序の運行上好ましからざる者があつても、これを一方で労働者の方では彈劾される規定というものが一つもないのでありまするし、労働組合法から参りましても、なかなかさようなことは困難になつておりますが、何かこれについてどこかこの條文の中でお考えになつておることでもありますか、ありませんか、お伺いいたしたいと思います。これは政府委員で結構であります。
#391
○政府委員(平井富三郎君) 労働組合自体の動きに対する彈劾権というような規定は、この管理法案においてはございません。
#392
○田村文吉君 それから今度の修正案によります二十五條に、事業主は炭鉱管理者に必要な権限云々ということがございますが、これはどの程度どういうことをおやらせになる御予定でありますか。この際尚申上げたいのは、例えば炭鉱を経営して参りますると、物を買う、資材を入れる、輸送する、万端のことがありまするので、從つて資金が相当要るのでありまするが、本社でできることはやるかも知れませんが、これは隨分我々が事業をやつておりまする上から言つても、工場長にはどこまでの権限を與えるかということが始終問題になる。そこで実は工場長の中にも、割合に有能な人があつて、大体のことは委して置いていいという人もあれば、中にはあの工場長では十分委してならんというような人もある。数多くの人でありますから、必ずしも最適任の人が常に得られるというわけじやない。そこで今の権限の委任ということが、どのくらいの範囲でどういうものをお決めになろうという御趣旨でありますか、これを伺いたい。
#393
○政府委員(平井富三郎君) 企業の内部といたしまして、炭鉱管理者の地位は、二十三條及び生産協議会の議長になりまして、各種の業務の実施に当るわけでありますが、ここで問題になります点は、御指摘のように資金の借入れでありますとか、資材の購入でありますとか、つまり外部に対して活動する場合の問題が中心になるわけであります。これは一つの炭鉱管理者の業務の遂行に当りまして、炭鉱管理者をして資金の借入れ、或いは資材の購入をせしめるということが、現場の業務を迅速ならしめるという観点から委任しなければならないという規定になつておりますので、いわゆるその代表、外部に対する代表権の範囲を決定する場合には、その炭鉱の位置、本社と炭鉱との距離的な関係その他の点等が重要なポイントになつて参ると思います。即ち炭鉱の位置が金融を受けるに便利なところにあり、十分炭鉱の現場においても融資を受け得る、金を借入れられるという場合においては、金を借りさせることが適当であろうと思います。ただ例えば復金から相当大きな拡充資金を受けるということは、本社がやる方が能率的であるというような場合には、その権限は本社に留保して置くということが適当でありましようし、要は本社と現場との業務の分配というものをどういうふうにすることが企業全体の能率を発揮できるかという観点からこの代表権の範囲、代理権の範囲を決定して行くべきものであるというふうに考えております。一番問題になります事項は、資材の購入につきましても、九州にある炭鉱の九州地区の工場から資材の購入をするという場合におきましては、その代金の支拂いであるとか、資材の購入の契約であるとか、その事務等第三者に関連する業務というものは、これは炭鉱管理者に委任して、現場即決でよろしいであろう、こういうふうに考えられる次第でありまして、その事項によりまして、本社と現場との業務を合理的に分配調整して行くという観点から、この問題が解決せらるべきものである。かように考えております次第であります。
#394
○田村文吉君 そうしますと、これはただ命令で必要な権限を委任しろということだけを命令でお決めになる御趣旨でありますか、必要な権限を或る程度お命じなさるという意味ですか。
#395
○政府委員(平井富三郎君) 命令の内容に代理すべき権限というものを詳細に決めるということは、これはできまいと思います。ここでは命令で予定しております事項は、この法律が施行されまして、炭鉱管理者というものを選んだ場合に、いつまでに委任をして行かなければならないかというような、委任に関する一種の手続的な規定を命令で決めて参りたいというように考えておりまして、委任の範囲というものは、只今申上げました本社と現場との事務の按配というものが、最も合理的に動き得るという点を基準にいたしまして決定して行くべきものである。かように考えております。
#396
○田村文吉君 そうしますと、その事業主の自由裁量によつてそこまでは委せる。ここまでは委せないということはやつてもいいんだが、とにかく必要なことだけは委せろ、こういう命令だけは出そう、こういう御趣旨ですか。
#397
○政府委員(平井富三郎君) ここの規定は、一つの事業主に対する法律上の義務を課しておるわけであります。つまり炭鉱管理者は二十三條によつて、業務計画の実施の責に任ずるわけでありますので、それに必要な、例えば代表権をこれに與えて行かなければならん。併しその代表権、その業務の実施というものにつきましての分配は、いま申上げました限界から決定さるべきもので、第一次的には、その事業主が先ず必要と認めました権限を委任して行くとようような運用に相成つております。
#398
○田村文吉君 例えば事業主の見解によりまして一つだけ委せる。お前には自分の所では、炭鉱管理人に借金したりするようなことは委されないというようなことでもよろしいのでありますか。
#399
○政府委員(平井富三郎君) 只今申しましたように、本社と現場との合理的な事務分配ということから委任しなければならないという規定になつておるわけでありますから、運用上は、先ず第一段には、事業主の判断によつて委任の範囲が決定して参るわけであります。但しその事業主といたしましては、この法律によつて必要な権限は委任しなければならんという一種の道徳的な義務は負うわけであります。これは直ちに罰則に掛かるということではございませんので、この炭鉱管理者の地位に相当な権限を委任はしなければならんというので、事業主がただ故意に権限を自分に留保して、結局現場は一銭の金も借入れられない。資材の購入も一トンと雖も一々本社の許しを得なければできないという場合に至りましては、これは石炭局長から、も少うし権限を委任してはどうかという指図が出ることは予想されますが、その一段目といたしましては、事業主の決定によつて委任の範囲が決つて來るわけであります。
#400
○田村文吉君 これはもと登記することになつておりましたが、今度は登記がないのですね。必要な権限を委任した場合には、この法律によつて委任されたのであるからということで、第三者に対抗する場合は、どういうことにお考えになりますか。
#401
○政府委員(平井富三郎君) これは支配人の地位でございませんので、登記の必要はございません。
#402
○田村文吉君 いや、登記の必要はありませんが、法律にはこういうふうに決めてある。現場を委した、委任したと言つても、第三者から考えるというと、あの人が委任を受けたと言つておるけれども、俺らは信じられない。こういうような場合に、第三者との契約が起つた場合に、一体、第三者に対抗するようなことができるのでありますか。
#403
○政府委員(平井富三郎君) それは委任の普通の原則によりまして、委任状で行うことになつております。
#404
○田村文吉君 了承しました。一々委任状でなければ第三者に対抗できないわけですね。
#405
○政府委員(平井富三郎君) 第三者が疑いますれば、委任状を出するということになります。
#406
○田村文吉君 それから二十三條の「炭鉱管理者は、所轄石炭局長の監督を受け、」ということになつておりますが、そこでこの二十條の「石炭局長は、指定炭鉱の業務計画の実施上必要があると認めるときには、地方炭鉱管理委員会に諮つて、指定炭鉱の事業主に対し、監督上必要な命令をし、」こうなつておりますので、第二十條から行くと、事業主に対して監督上必要な命令が出せるのでありまして、二十三條に参りますと、所轄石炭局長の監督を受けるということで、殊更にここにエンファサイズされておるのでありますが、この点がちよつとはつきりしないのでありまして、修正案は以前の國家が指定炭鉱を直結しておられた場合を想定された條文が、そのまま残つておるのではないかというような氣がいたしますが、この点おかしくお感じになりませんか。
#407
○政府委員(平井富三郎君) 炭鉱管理者が業務を行います場合に、生産協議会の議長といたしまして、業務計画の実施に関しまして、生産協議会を運営して行くものでありまして、これらの点につきまして、全般的にやはり石炭局長の監督下あるという意義を現わしただけのものであります。
#408
○田村文吉君 ちよつと誤解を招き易く我々感ずるのでありますが、或いは非常に軽くお考えになつた文章のままと、こういう御意見かも知れませんが、炭鉱管理者は、石炭局長の監督さえ受ければいいので、あと事業主とは全然離れて行くかごとき考えを持たせ易いと思う。そこで私は伺つたのでありますが、ただ軽く取つてくれという御趣旨の意味だけでは、ちよつとこの文章が解釈ができかねるのであります。殊に二十條において、必要な指定炭鉱の事業主に対して監督上必要な命令をするということがあつて、今度は又炭鉱管理者というふうになつておりますので、ちよつとおかしくないかと思うのでありますが……。
#409
○政府委員(平井富三郎君) 炭鉱管理者は、次の第四節の生産協議会の議長になりまして、いわゆる生産協議会を自分の輔佐機関といたしまして、業務の実施に当つて、重要な事項は生産協議会の議に諮つて決めて行くわけであります。その際、この協議会の運用等につきまして、炭鉱管理者は石炭局長に再考を求めたりするというような点がありまして、この炭鉱管理者が石炭局長をやはりタイアツプしておるという点は、生産協議会の方にも残つておりますので、まあ監督という文字を残しておいた次第であります。
#410
○帆足計君 先程來の田村委員の御質問は極めて重要な問題であると拜聽しておりました。なかんずく二十四條の炭鉱管理者の権限につきましては、私は從來の日本の経営の封建性から見まして、從來の経営者又は経営補助者の中には、頑迷度すべからざる人物が相当沢山いたと思います。從つて民主革命を機会として、爆発するような勢いで労働組合が成長し、多くの人事排斥問題が起つておりますのは、過渡的現象としては、又一面理由があるようにも考えております。併しながら他面におきまして、そういう意味にして頑迷な経営者の場合は別でありますが、相当能率のよい、而も氣骨のある優秀な経営者は、しばしば自己に信念によつて行動いたしますから、労働組合と正面衝突をすることは多々あることであると思います。從いまして、経営者が苟くも從業員に媚びへつらい、そうして能率的な経営を責任を以て貫き得ないようなことがあつては、決して増産の実を挙げることはできないと思います。從いまして、炭鉱管理者が氣魄と責任を以て、自己の所信を貫き得るような地位を確保することは、極めて重要であると思います。從いまして私は、この労働組合側から排斥を受け、更に経営協議会において不適当と認められた管理者が、十分に自己の立場を主張し、そうして自己の思うことを述べ得る機会を與えねばいけないのではないかと思います。この法案では、事業主の意見を徴した上で、全國炭鉱管理委員会に諮つて、解任を商工大臣がなし得るとなつておりますが、事業主の意見を徴した上と申しますと、事業主はこの場合、炭鉱管理者の一段上の方でありますが、管理者自身が自己の所信について弁明する機会が與えられなければならんと思います。それは運用上やり得ることであると思いますが、商工大臣又は政府委員の方で、どうお考えになつておりまするか、私はこれは運用上でき得る途を正確に明確に拓いて頂いて置かねばならんと思います。ちよつとお答えをお願いいたします。
#411
○政府委員(平井富三郎君) 生産協議会の委員の定数の過半数に相当する委員が、彈劾権を行使いたしました場合に、その両当事者の意見を徴するということは、これは当然のことであると考えておる次第であります。ただ法規に書きますことは、この際に、單に両当事者のみならず、炭鉱の事業主の意見も徴するという、一つの愼重な手続を取るという意味において、これを規定した次第であります。尚全國炭鉱管理委員会にもこの点を諮りますので、單に労働組合がその誤れる観念の下に行う彈劾権の発動というようなことが、むしろこういう管理員員会に諮つてやるというような、法的な場所において決定されて行くという点において、仰制し得るというように考えておる次第であります。
#412
○帆足計君 その場合の生産協議会の成立は、過半数ということになつておりますが、過半数ということになつておりますると、労働組合側が全部反対しただけでは、効果を持たないのであります。そこは愼重に、更に経営者側からも共鳴者が出なければならんということになつておりますから、この場合に、経営者側の方は、本来ならば、統一的行動を取るでありましようが、経営者の中に、下級の課長か誰か一人労働組合側に通じますと、自分の上長であるところの管理者を罷免し得るというようなことになる弊害も一面ありまして、私はここに若干の欠陷があるように見ておりますが、これを一対一の過半数としまして、どういう決議方法が最も適当であるかということは、一應御審議になつたと思いますが、その点につきまして、政府委員のお考えを承わりたいと思います。
#413
○政府委員(平井富三郎君) この点につきましては、通常の生産協議会の議決は、出席委員の過半数ということで大体決まるのでありまして、ただ労務関係だけは、出席委員の全員の一致ということで、石炭局長の裁定に持つて行くということが決められております。この彈劾権の行使については、出席委員の過半数と申しますると、経営者の委員の方が出が惡かつた、或いは労働者の委員が全員出たというような場合もございますので、特に定数の過半数ということにして、一般の生産協議会の出席委員の過半数ということよりも、若干そこに差を附けた次第であります。
#414
○大屋晋三君 管理人の身分上の関係でありまするが、二十二條の二項、三項、四項、原案の大部分の條文を削除しまして、この管理人の選定は事業主が選定して、商工大臣に届ければよろしいということになつて、事業主の裁量に委して、生産協議会や、その他の從業者の賛成を経なくもいいということになつたのでありますが、それに関連いたしまして、この修正案の第二十四條で、生産管理人を解任をするという場合が、ここに二つ規定してあります。第一は、生産協議会における彈劾権を行使する場合、第二は商工大臣が炭鉱管理者を著しく不適任と認めた場合、こういうふうになつておりますが、在來のいわゆる管理人の観念から言いますると、事業主と工場長の関係におきまして、事業主が、自分の選定をした管理人を自発的に事業主の意思において解任ができるというのが、在來の事業経営の思想であります。
 そこでこの法文の場合の管理人と事業主の関係を考えて見ましても、管理人のいわゆる身分上には、二つの場合があると考えます。いわゆる管理人がその事業主の会社の役員である場合と、從業員でいわゆる職員である場合と二つあります。役員である場合には、いわゆる商法上の規定によりまして、その役員が著しく不適任である場合は、いわゆる取締役会なり或いは株主総会なりというようなものの議を経まして、重役が辞めなければならんという規定が商法の上にあります。又この事業主が自分のいわゆる雇傭関係にあるところの職員、從業者を炭鉱の管理人に選定しておつた場合を想定いたしますると、民法の雇傭契約の條文に從いまして、事業主は己の選定をした炭鉱管理人が職員である場合には、これを自由に商法において解任ができるということになつておりまするが、それらの関係とこの場合の解任との関係を一つ明瞭に御説明願いたいと思います。
#415
○政府委員(平井富三郎君) 炭鉱管理者という名称が管理法上の一つの末端の機関としての名称であり、第二十三條によりまして炭鉱管理者の職分、その他生産協議会におきまして、炭鉱管理者の職分が規定されておりますので、管理法上において與えられた一つの地位とも見得るのであります。從いましてこの選任、解任という場合は同時に炭鉱管理者は事業主の一つのスタツフとして活動いたすべきものでありますので、この修正案においては、選任、解任は事業主の意思に任したわけであります。ここで解任と言いますのは、いわゆる雇傭関係を切つてしまう。或いは役員たる地位を退かしてしまうという意味ではないのでありまして、炭鉱管理者たる地位から退かせる。こういう意味でございます。即ち炭鉱管理者を轉任させるという場合も、一應選任、解任という言葉に入るわけでありまして、解任というのは、いわゆる取締役の地位を剥奪するとか、或いは從業者たる雇傭関係を断ち切つてしまうということとは別に考えております。
#416
○大屋晋三君 そうすると、事業主は自分のスタツフであるところの炭鉱管理人を自由に、その意思によつて、いわゆるその地位を去らせることは勿論できるのですね。
#417
○政府委員(平井富三郎君) その通りであります。
#418
○小林英三君 炭鉱管理者の彈劾の問題につきましては、私も相当の質疑を持つておるのでありますが、大臣もお見えになつたのでありますけれども、一應暫時休息願いまして、又お願いいたしたいと思います。
#419
○委員長(稻垣平太郎君) この節だけはやつてしまつたらいかがでしようか。
#420
○下條恭兵君 僅かでありますから、この第三節だけ審議を終つてから休憩を願いたいと思います。
#421
○小林英三君 委員長、私の動議をお諮り願いたいと思います。
#422
○委員長(稻垣平太郎君) 一應食事にしたいという御動議と、この第三節だけは食事に済ましたらどうかという御動議があるのですが……(「食事賛成」と呼ぶ者あり)
#423
○小林英三君 私はいつもそう思うのですが、これは委員長は成るたけ早い時間にやろうという氣持は分りまするけれども、まだまだ相当質疑があるからひと先ずここで休憩したらどうかと申しておるのであります。
#424
○委員長(稻垣平太郎君) それは承知いたしております。大分あるという話でありますが、ただ切りがいいということと、同じ質問を繰返すことのないようにしたいと思いますから……。
#425
○藤井丙午君 折角ここまで運んだのでありますから、第三節だけ一應済まして、それから休憩にしたらいかがかと思います。
#426
○委員長(稻垣平太郎君) いかがでございましようか、よろしうございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#427
○委員長(稻垣平太郎君) それでは第三節の質疑だけ済ませましよう。
#428
○大屋晋三君 継続するなら私にやらして貰いたいと思います。今のは分りました。この第二節において又本修正案におきまして、事業主と管理人の関係が大変修正をされまして、事業主が事業を経営して行く権限が、相当に尊重されて参つたのでありまするが、然るにも拘わらず、第二十三條、原案の二十四條で「炭鉱管理者は、所轉石炭局長の監督を受け、当該炭鉱の最高能率の発揮を目途として、業務計画の実施の責に任ずる。」というので、やはり現場の事業計画の全責任を管理人の方に相変らず重点を置いておるように考えるのですが、その点はどういうふうに政府委員はお考えなのですか。
#429
○政府委員(平井富三郎君) 炭鉱管理者は常時山にありまして、決められました業務計画実施に十全の努力を拂つて行く、こういう地位に在るということを二十二條において鮮明にした次第であります。從つて炭鉱管理者は生産協議会の議長になりまして、業務計画実施に必要な事項を生産協議会の議を経つつ、これを円滑に実施して行くという法律的な一つの重要な地位は、修正案においても行われておる次第であります。その関係におきまして石炭局長との交渉も生じまするし、「監督」という字句を使つておる次第であります。
#430
○大屋晋三君 問題はそこなんです。管理人はその事業の系統におきまして、事業主のスタツフであるということは、これは嚴たる事実であります。然るにこの條文におきまして、「石炭局長の監督を受け」、そうして事業を遂行するということが強くこれは響くのでありまするが、さてこの場合に、炭鉱管理人は石炭局長の監督を主として受けて仕事をやつておる精神か、或いは自分の事業体の直属の指揮者である事業主の監督を受けてやつて行く義務もここにあるわけなんで、つまりその両者の関係を政府はいかにお考えになつておるか、この点は一つ十分に拜聽したいと思います。
#431
○政府委員(平井富三郎君) 只今申上げましたように、炭鉱管理者は事業主がこれを選任、解任をいたすものでありますから、事業主のスタツフといたしまして、事業主の監督を受け、指導を受け、監査を受け、この炭鉱にありまして、業務計画の実施を行なつて行くわけであります。それで石炭局長が必要がありまして命令指示を出します場合には、事業主を通じてこれを行うということにいたしておりまするが、同時に炭鉱管理者が生産協議会の議長となりまして、各種の事項を生産協議会に付議いたす。その結果に從いまして、この業務計画の実施を行なつて行くわけであります。その際業務計画、作業計画その他の事項につきまして議が経られんという場合におきましては、現場の事項につきましてその裁定を石炭局長に持つて行くという関係に在りまして、この関係においてやはり石炭局長と交渉を持つわけであります。併し炭鉱管理者が事業主の第一のスタツフとして、炭鉱にありまして仕事をやつて行くことになりまするから、生産協議会で纒まらなかつたということを、事業主のいわゆる決定に任すということでは、生産協議会の意味を成しませんので、裁定という意思決定は局長がいたすという関係に相成りまするので、この関係において石炭局長と炭鉱管理者というものは、生産協議会の制度と言うものの、一つの労働者と経営者というものとの合議体という関係から、その議の纒まらんような場合には、事業主に聽くことができないので、性格上どうしても石炭局長の指示を仰ぐというような点が出て参りますので、こういうような点においてやはり石炭局長の監督の中にあるのだという点を先ず明示した次第でありまして、事業主の一般上の指揮を受け、現場の事務処理において必要な命令、指示は事業主を通じてこれが行われるのでありまして、その間の企業内における地位、これは法律が何ら変更を加えておりませんので、当然ここにその企業内の通常のあり方によつて処理されて行くということがはつきりいたしますので、特に明文においてはつきりいたさないでも明確であるという見地で、特に規定がないわけであります。
#432
○大屋晋三君 その生産協議会に付してやる事業計画の案件の対しまして、その案件の発現する場合は、石炭局長から事業主を通じてその炭鉱管理人の所へやつて來る。そうするというと自然生産協議会の議を経て、炭鉱管理人がそれをその決議に應じて処理する。その筋はそれでいいのですが、さて石炭局長から、今あなたの御説明のあつたように、直接來た場合の、つまり問題が事業主の意思と相反するような場合に、勿論結果は生産協議会にかけられるようなことになるでしようが、一体そういう場合は予想しておりませんか。命令が二途に出て非常に困るんじやないかというような感じがするのですが……。
#433
○政府委員(平井富三郎君) 事業計画、業務計画について事業主は、先程御説明したように両方の指示があります。更に又不服の申立等は石炭局長にこれをなし得ることになつておりますし、炭鉱管理者が事務計画の実施に関しまして各種の事項を付議して、そうして運営を行います上においてその議が経られなかつたという場合に石炭局長との交渉が出るのでありますが、これは企業主の監督を排除するものでもなければ、それと矛盾するものでもないと、かように考えております。
#434
○大屋晋三君 そうすると、結局要約しまするというと、あなた樣のお考えでは石炭局長の命令と事業主の命令とが余り杆格しない。それを受ける管理人が余り困るようなことはないという考え方なんですな。
#435
○政府委員(平井富三郎君) 炭鉱管理者が両者の命令によつて右するか、左するかと迷うようなことは、この法制上はあり得ないと、かように考えております。
#436
○小林英三君 この修正案の二十四條の、商工大臣は彈劾の問題につきまして事業主の意見を徴されるということがこの二項にも一項にも書いてありますが、この事業主の意見を徴するという問題は相当重く用いるわけでありますか、或いは單に意見を聽き置く程度でありますか、重大問題でありますから……。
#437
○政府委員(平井富三郎君) これは特に炭鉱管理委員会に諮るということと同格に、「徴した上」と書いておるのであります。十分事業主の意見というものを徴して、聽いて処理をいたしたいと、かように考えております。
#438
○小林英三君 そういたしまするというと、一方におきましては生産協議会の委員の過半数によつて著しく不適任であると認めて、これを石炭局長を通じて商工大臣に申出る。商工大臣は一應事業主の意見を尊重して聽いて、事業主はどこまでも私は立派な管理者だと思うということを具申するということになりますと、商工大臣は困りはしないかと思うが、どうでしようか。
#439
○政府委員(平井富三郎君) これは商工大臣が解任を命ずる場合におきまして、関係両当事者の意見を聽くことは当然でありますが、同時に事業主の意見も聽取し、管理委員会における一般的な意見というものも徴するという愼重な手続を経て決定をするということが、彈劾権の行使を適正ならしめる意味において必要であろうと思うのでありまして、相反する意見が商工大臣に強く出るということは、むしろ彈劾権行使というものの性質上当然起るべき問題であるし、又それを十分咀嚼いたしまして措置すべき事項であると、かように考えておるのであります。
#440
○小林英三君 その場合に商工大臣が両者の意見を聽いてこれを全國の管理委員会にかける。こういう場合におきまして両者の意見を聽くのは商工大臣が先ず聽いて、そうしてその旨を全國管理委員会に諮問するのでありますか、或いは全國管理委員会に諮問された上で両者の意見を聽くのでありますか、この委員会の方の過半数の意見というのは……。
#441
○政府委員(平井富三郎君) これは運用の問題でありまして、この法文の通りを見ますれば、先ず事業主の意見を徴した上で管理委員会に、自分はこういう意見を持つておるということを諮るわけであります。
#442
○小林英三君 その第二項にありまする「商工大臣は、炭鉱管理者が著しく不適任であると認める」、こういう意味でありますが、これは商工大臣が、客観的に不適任であると認めるという意味でありますか。
#443
○政府委員(平井富三郎君) これは商工大臣が、炭鉱管理者が著しく不適任であると認めた場合に、この解任命令が発動されるわけでありますが、特にこれにつきましてもやはり事業主の意見を徴し、又は全國炭鉱管理委員会に諮つて行われるのでありまして、その間商工大臣が独断でやるという点は十分防げると思います。尚この規定は万一のいわゆる傳家の宝刀的な規定でありまして、これが濫発されるというようなことは考えておりませんで、いわゆる指定炭鉱といたしまして、この業務計画の実施上重要な地位にある炭鉱管理者の地位というものに対する國家管理の一つの発動として行われるのでありまして、この管理者の地位が、企業主のスタツフとして認められたという点から見ましても、先ず事業主の意思によつて選任、解任が行われる。又それが著しく不適任であるという場合におきましては、企業主の解任の外に、生産協議会における彈劾権発動、これが大体予想されるところでありまして、第三項は、何らかの理由によりまして、生産協議会の議を経ないで、企業主もそのままにして置くという、非常に不活發な、なんと言いますか、経営に対して余り熱のない態度が全般的に企業内にあるというような場合に、こういう規定が発動されることもあり得る。又そういう場合には発動する必要もあるだろうという意味におきまして、これがあるのであります。
#444
○小林英三君 私が今二項につきまして、「商工大臣は、炭鉱管理者が著しく不適任であると認めるとき」という意味なんでございますが、これは商工大臣が、一々方々の管理者が不適任であるか否かということを認めるというようなことは、実際の場合にはあり得ないと思います。炭鉱から聞くとか、或いはそういう噂があつたとか、或いは方々からそういうことが耳に入つたときとかいうことを私は想像しておるが、それを私は聽いておるのです。
#445
○政府委員(平井富三郎君) これは單に一、二の者があの炭鉱管理者は著しく不適任だということを言つて、商工大臣がすぐ発動するということは全然私共考えておらないので、相当客観的に見て、炭鉱管理者の業務の施行振りの監査その他によつて、炭鉱管理者の業務の運行振りが惡いということの具申を、商工大臣が監査なり何なりを通じて得ました場合に起る得るのであります。
#446
○小林英三君 私が最初申上げたのは客観的に見て不適任かどうかということを聽いたのでありますが、そういたしますと、客観的に見て商工大臣が、この炭鉱管理者は著しく不適任であるということを認めるという條項があります以上は、最初の一項目は要らないのではありませんか、客観的に見て不適任であるということは、こういう商工大臣が権限を持つておれば、第一項は……。
#447
○政府委員(平井富三郎君) 第一項と言いますと、生産協議会の……
#448
○小林英三君 そういうものを全部含めて……。
#449
○政府委員(平井富三郎君) 今申上げましはように、第二項の方はいわゆる傳家の宝刀的でありまして、先ず炭鉱管理者の異動につきましては、企業主というものと、生産協議会における彈劾権、これが大体において運用されるものでありまして、商工大臣がそういう事実を握つて、それによつて直ちにこれを発動して行くということではなくして、或いは企業主の措置、或いは生産協議会の措置に待つて、而もそれで行い得ず、その仕事が継続されるという、万止むを得ない場合にのみ発動するということで、企業の一つの人事権と申しますか、そういうものを尊重して行き方であろうと考える次第であります。
#450
○中川以良君 企業主が若しも彈劾されるという場合にはどうなりますか。
#451
○政府委員(平井富三郎君) これは法律の規定がありませんし、事実上の問題として処理することになると思います。
#452
○中川以良君 先程承わりましたときに、中小炭鉱においては企業主が即炭鉱管理者であることがあり得るというお答えがありましたが、その場合には直接企業主が直接彈劾されることになるのですか、そういう場合にはいかなる処置をお取りになるか。
#453
○政府委員(平井富三郎君) この場合には事業主としての立場を彈劾するというのではなく、法律的に言いますれば炭鉱管理者としての不適任という点についての彈劾であります。
#454
○中川以良君 さらゆる点から檢討して、そういう不適任なるいわゆる炭鉱管理者として不適任なる事業主が存在してもよいのでございましようか、又極めて不良なる事業主がいた場合には、政府はどういうふうに処置を取りますか。
#455
○政府委員(平井富三郎君) これは事業主を替えるということは企業の本元をいじくるわけでありまして、そこまで國家管理の施行上強く人事権に入り込むということは却て不適当ではないか、むしろその場合には監督上の命令を発動いたしますとか、或いは生産協議会というものが企業主の何と言いますか、余りだらしのない点を是正して行くように持つて行くということが適当であろうと、かように考えております。
#456
○中川以良君 その逆を申しますれば、再三私が申して水掛論になりますが、不良なる從業員に対しまして、これは事業主といたしましても、炭鉱管理者といたしましても、何らこれを排除するところの権限がないのであります。これは先程政府委員から伺つたのでありますが、何かこれに対しては商工大臣はお考えかどうか、例えば労働政策が行き詰つてからそれを何か新たなる一つ法令を設けようというようなお話でありましたが、そういうことであれば、どういうような一体準備をお持ちでありますか、それから又この法案の中に入れられなければ、石炭の増産のために特別なこういう法律を出すのでありますから、これとは或いは別個に石炭の労働対策につきましても、労働基準法その他の法令に囚われないところの別個の労働の法令を準備をされるかどうか、その点を一つはつきり伺いたいと思います。
#457
○國務大臣(水谷長三郎君) 中川さんの度々の御質問でありますから、私からざつくばらんにお答えいたします。石炭非常増産要綱の最後に、以上のような増産はいわゆる自主的協力によつてやるということをなにしておる。それがうまく行かないときには適当な措置をやる。これはマッカーサー元帥の書翰にも円満なる施行を妨げる者は断乎として所罰せよというようなことを書いてありますし、更に又石炭の非常増産対策要綱の最後にも、故意の妨害者は断乎として処罰するということが書いてあります。あの石炭増産要綱の中に作業規則を設けるということが書いてありますが、即ち健全なる労働組合を育成する、労働組合の育成化という原則に則りまして作業方針を決め、そうして作業規則を決めることになつておるのであります。この作業規則が決まりました以上、その作業規則の違反する者は山から下りて貰うということができるようになるのであります。更に又そこまで行かない場合におきましても、最近北海道で行われておろうとしておりますように、いわゆる或る一定の時間を働き、一定の生産量を挙げた者に対しては、これこれの報奬をやる。その代りにそれ以下の者に対しては、これまで保障しておつたいわゆる主食の配給その他の点においても手心を加えるというような方針でもつて臨むというようなことをしておるのであります。ところが、中川さんのおつしやるのは、いわゆる今から何かそういうような法文を準備して置かなければ、いざという場合に間に合わんという意味だと思うのでありますが、私がずつと現地の報告によりますと、只今の臨時金融方針のあの場合によりましてイロハの作業方式でそれを擇ぶことになつておりますが、更に又今度特別調査團が行きまして各山毎に作業方針、作業方式の調査推進をやりまして、大体十一月、十二月にはこれらのものが一切終つておるという状態に置かれると思うのです。いわゆる自主的に行われておるのでありまして、そういう過程におきまして政府が労働者側の問題に対してこういうような法的措置を取つておるというような内容を発表したり、或いはこういうような準備を具体的にするというようなことは、折角自主的に進行しておるその態勢を崩して、却て弊害が起るのではないかと、こういうのが私の嘘のない考えでございます。從いまして今折角繰返してその点をば重ねて御質問されておりましても、政府といたしましてはそれらの法的措置の内容、そういうようなことをここで述べるということは差控えたいと思つておりますような次第であります。
#458
○中川以良君 そういう法的措置というものは遠からず決まるのでございますか。
#459
○國務大臣(水谷長三郎君) 繰返して申し上げますが、いわゆる十一月、十二月の推移を見まして、これ以上自主的な協力においては、或いは時間の問題とか、その他の作業方式というものが決まらない。そうして何か経営者の方にでも法的措置のつつかえ棒でもなければどうすることもできないということがはつきりしたときに考えたいと思つております。
#460
○堀末治君 私もやつぱりいろいろお尋ね申し上げたいと思つておつたのでありますが、幸いに私がお尋ね申し上げたいと思うた事項は殆んど皆さんからお尋ねになりまして、それを聽いておつてよく分つたのでありますが、ただ皆さんがお尋ねにならないところがありますのでお尋ねしますが、実は石炭局長の監督を受けるということでございますが、これは從つてその石炭局の構成にもよるのでございますが、この監督をするために局長自身が全部の山へ行つて一々監督するというわけにはなかなか参らんだろうと存じますが、実は各山々に特別に局員でも派遣して置くというようなことにでもなるわけでございましようか。
#461
○政府委員(平井富三郎君) これは石炭局の構成が、例えば九州につきましては福岡に石炭局が設置されまして、重要な炭田別に支局ができまして、そこに所要の人員を配置いたしまして山と折衝をいたすというようなことになります。
#462
○堀末治君 これは私共随分この戰時中に苦しい経驗を嘗めたのでございましたが、大部分その監督をしに來る御連中のお若い方々が、何にも経驗のない御連中が來ていろいろなことを調査し、監督して行くのであります。その報告によつていろいろの命令が出た。誠に実情に適さない命令が出て來た。それはもうそんな命令は増産の妨げになるから、社長の私が受けてはならん、私がかように嚴重に言うてあるのであります。ところが私が幾ら言うても、今度は現場に持つて行つて、若い人が言い付ける。こういう事例があつたのであります。今度の、いずれその組織にもよりますけれども、どうせあらゆるこうした沢山の山を局長が全部把握するとうことはなかなか以て容易なことではないので、結局そういう若い経驗のないお方の報告が基礎になつて、いろいろな監督條項が生まれて來るのだろうと、かように思うのであります。そうしますと、なかなか事業主としては非常に経驗もあり、どうせこういう事業をしておる人にはそれぞれ長い経驗を持つて、その道のエキスパートの人が事業の主になつておるのであります。その事業主の意見を撥ねのけて、そうして直接現場に持つて行つて命令を下すという事例が今日まで非常に多いのでありますが、これらの点に対してどう思いになりますか。
#463
○政府委員(平井富三郎君) 石炭局の章で御説明申上げる事項かと思いまするが、石炭局の構成は、大体におきまして石炭局長も民間人、構成員の半数は民間のエキスパートをそれに充てるということにいたしまして、いわゆる少数精鋭主義を採つて行きたいというように考えております。從つて從來の監督官制度のように、若い監督官、経驗のない者を工場、事業場に配置いたしまして、これが直接いろいろの指図をするというような方式を全然採つておらんのであります。エキスパートを石炭局長以下石炭局員にいたしますと共に命令なり指示なりは、炭鉱管理委員会の議を経てから発令されるわけであります。石炭局の構成は、炭鉱管理委員会の活用ということによりまして、その弊は十分完全に拂拭される、かように存じております。
#464
○堀末治君 御趣旨のように是非運営して頂くことを希望いたします。そうでございませんと、どうしてもこれは二重監督になつて、恐らく管理者は非常に仕事がしにくいことになるだろうと思いますから、何卒御趣旨のように運営して頂くことを希望いたします。尚この外、生産協議会の委員の問題で大分皆さんから御質問が出ましたが、これはこの前にも大臣の御説明がありましたし、尚今又中川委員の御質問に対してもいい御説明がございまして分りましたが、いわゆる事業主その者が管理者になつた場合、これはなかなか面倒なことだろうと思いますが、先程の御説明で大体了承いたしておりますが、これらのことについても、特に運営に過ちなからんことを私といたしましても希望いたします。尚又先程帆足委員から御発言のございましたいわゆる彈劾を受けたときに管理者の意見を徴せ、これは私も実はそうでなければならん。どうしても人権を尊重する上においては彈劾をされ放しで、それに対する一言の弁明もできないということは、誠に人権の蹂躪になるとかように存じて、私は是非この條文については法文に明かにして頂きたいとかように思つておつたのであります。幸い帆足委員から非常に熱心な御発言がございましたので、重ねて申上げませんが、成るべくこの法案にそういう趣旨が明らかに盛られることを是非希望いたしまして、私の質問を終ります。
#465
○玉置吉之丞君 今程堀委員からお尋ねになりましたが、ちよつとまだ分らんことがあつたのでありますが、二十三條と二十一條の関係でありますが、業務の実施に関しては石炭局長は事業主を経て監督するのでありますか、直接炭鉱管理者を監督するのでありますか、この点が今の御答弁でありますと、それぞれの機関を経てやるのだ、若い人が行つて直接炭鉱管理者を監督するというような、昔の戰時中にあつたようなぶざまなことは起らんのだというような御答弁でありましたが、どうも二十三條と二十一條の、同じ業務の実施に関する権限を事業主にわざわざ改めてあるのに拘わらず、又二十三條に來て、「炭鉱管理者は、所轄石炭局長の監督を受け」となりますので、そこで先程は一應了解したのでありますが、今の堀委員に対する御答弁によりまして、どうもまだはつきりいたさんのでありますが……。
#466
○政府委員(平井富三郎君) ここで監督といたしました点は、先程も申上げましたように、生産協議会というものの議長になりまして、各種の案件を生産協議会に付議いたしまして、業務計画の実施をして行くわけであります。その際に生産協議会の議が経られんというような場合につきまして、やはり石炭局長の裁定を仰ぐというような関係でございまして、そういう意味におきましては石炭局長の一つの監督に属すということも言われ得るのであります。只今私が堀さんの質問に対して、御答弁申上げた趣旨は、いわゆる監理官みたいなものが事業場に常駐して、それが直接に事業場に命令して行くというようなことはないのであるということを申上げたのであります。
#467
○玉置吉之丞君 そういたしますと、それぞれの機関を経て事業主を通つて必ず行くんだ、こういうことに了解してよろしいでありましようか。
#468
○政府委員(平井富三郎君) その通りでございます。
#469
○玉置吉之丞君 直接炭鉱管理者に対して命令するということはないと心得てよろしいでしようか。
#470
○政府委員(平井富三郎君) 命令指示は絶対にございません。
#471
○玉置吉之丞君 ありませんか。
#472
○政府委員(平井富三郎君) ありません。ただ業務計画の指示が先程申上げたように、事業主及び炭鉱管理者に指示する……
#473
○玉置吉之丞君 事業主ですよ。
#474
○政府委員(平井富三郎君) いや業務計画の指示及び変更の指示、それから不服の申立、これは事業主、炭鉱管理者……先程田村さんからも大分御質疑があつた点でありますが……
#475
○玉置吉之丞君 二十條はもと炭鉱管理者になつておりましたのが、指定炭鉱の事業主に対し、監督上必要な命令をし、又は必要なる指示をすることができる。ただこれに不服のあつた場合には、事業主、或いは炭鉱管理者両方やれる、こういうことになつておりますから、監督上の必要な命令ということになりますから、今の所轄石炭局長の監督を受けということは、事業主が経営して、すべて監督を受けるのだ、こういうふうに解釈いたしてよろしいか、こういうのでありますが……。
#476
○政府委員(平井富三郎君) その通りであります。
#477
○玉置吉之丞君 その通りですか、はつきりいたしませんと……(笑声)
#478
○政府委員(平井富三郎君) その通りでございます。問違いございません。
#479
○委員長(稻垣平太郎君) 第三節はこれで一應審議を了したことといたしてよろしうございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#480
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれで一時間ばかり休憩いたしまして、七時半きつかりに始めたいと存じます。
    午後六時十六分休憩
     ―――――・―――――
    午後七時三十九分開会
#481
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより再開いたします。第四節の御質疑を願います。
#482
○堀末治君 私この四節の審議に入る前に、一言政府委員にお願いいたしたいのでございます。それは先般來北海道の出炭不足について政府の方で調査をなさつた。その報告が少くとも三日頃には本委員会に報告されるだろう、こういうことでございましたので実はその報告を待つておりました。段々この委員会も審議が終了に近附いて参つたのでございまするので、是非ともその間にその報告を承わりたいと存じております。今日はもうすでに五日にもなつておりまするし、大低三日か乃至四日にその報告ができる、こういうことの政府の御答弁でございましたので、この機会に、今日は晩いからできませんでございまするが、明日あたりは是非その御報告を願いたいと思いますが、いかがでございましようか。
#483
○委員長(稻垣平太郎君) 明日中に御報告できるだろうというようなお話でございますが……。
#484
○堀末治君 できるだろうということでございますか。
#485
○國務大臣(水谷長三郎君) 口頭であれば明日午前中にできる予定です。
#486
○堀末治君 そうですか、口頭だけで資料は出ませんわけですか。
#487
○國務大臣(水谷長三郎君) それはちつとばかり困難だろうと思います。
#488
○堀末治君 さようでございますか、それでは口頭だけでも結構でございますから、成るべく一つ詳細に御報告の程をお願い申上げます。尚資料もこの委員会がいよいよ討論に入り、採決に入る前にでき得ることならば、その資料をお願い申上げたいと存じますが、いかがでございましようか。
#489
○國務大臣(水谷長三郎君) それはちつと私まだその調査團の人に会つておりませんので、ここではつきり申上げることはできないと思います。
#490
○政府委員(吉田悌二郎君) 北海道に参りました調査班の方々はすでにばらばらになりまして三日、四日頃帰つております。この前に帰た方もありますが、今日午後商工省へ來て頂きまして、大体お帰りになつた方だけで一應報告を伺いまして、明日午前中にこちらへ代表した方がお見えになりましてお話する準備にいたしております。そういうわけでございますので全部揃つておりませんので、資料等も完全なものはできないと思いますので、大体廻つて來られた方が自分の受持の範囲内においてお話するように御相談ができておると思うのであります。從いまして印刷等の資料につきましては、まだはつきりしておりませんので、成るべくならば間に合うようにいたしたいと思いますが、大体は口頭でいろいろな資料等もお話があることと思います。要旨等は私共の方で書き留めてお配りしても結構であります。
#491
○堀末治君 これは総括質問の際にも私申上げたのでありまして、これは大臣からたびたび御答弁を頂いたので、十月の末には報告できるであろう、実はかようなことでございました。実はそれを私毎々申上げます通り北海道には特に関係が深いのでありますので、非常に調査の資料を参考にいたしたいと思うて心待ちに待つておつた。その後到頭十月にはできないで、何かの都合で十一月の初めできるだけこの本案の審議に間に合わすように、こういうことでございましたし、又間に合わすのが当然政府のなさらなければならない御責任であると実は私お察しいたしたのであります。どうかさようなことでございますので、明日はできるだけ詳細に御報告ができますように、特にこの機会にお願い申上げて置きます。
#492
○玉置吉之丞君 この生産協議会の中には先般からたびたび問題になつたいわゆる社会党のイデオロギーも含んでおると私はこう思うのであります。一昨日の当委員会において藤井委員の質問に答えまして、片山総理は社会党のやはり理念に基いて、そうして去る四月に行われた総選挙において、これを社会党のスローガンとして掲げて選挙に臨んだ。そうして片山内閣が成立したのであるから、その当初に選挙に掲げたスローガンの下に生まれてきたものが石炭の國管問題である。これがうまく行けば続いて他の重要産業にもこれを及ぼしたいというふうな御答弁があつたように思うのであります。又私前刻この問題について触れた発言中に、濱田委員だつたか知らんが、その通りだというようなお言葉があつたように存じますが、そういたしますと、片山総理は極めて正直に率直に考えを表明されておりますにも拘わらず、先般來の当委員会における予備審査の席上におきまして、たびたび同僚の委員から水谷商工大臣に対して、本案の中にはイデオロギーを全然含んでおるかおらんかというお尋ねに対して、全くこれはイデオロギーから出たものではない、生産第一主義だということをたびたびお答になつておりますが、只今その一端をお話申上げた通り、片山総理大臣はこの委員会の席上において、私の申上げた通りおつしやつておるのでありますが、あなたはそれでも尚この前からたびたびおつしやつている通り、全然この中にはイデオロギーが入つておらんかおるかということについて、もう一度私は明確なお答えを願いたいと思います。
#493
○國務大臣(水谷長三郎君) この問題は何遍言うても同じことです。生産協議会は、これは社会党のイデオロギーではなしに、経営協議会を法制化したものです。

#494
○玉置吉之丞君 私はそうでないと思うておるのですが、何遍言うても同じことで(笑声起る)こういうようなことをおつしやるのでありますから、これ以上は、この審議の期日が切迫した際に申上げても仕方がありませまから、又他の機会において申上げたいと思います。
#495
○小林英三君 私は今玉置委員の御質問に対しまして、商工大臣がどこまでもこのイデオロギーによつてではない、生産増強のために石炭の増産のためにやつたものだというお話でありますから、一應それは大臣の言うことであるということを信じまして、ただ生産協議会が果して労務者の生産意欲を向上して、これによつていわゆる國管案の生産意欲になるということにつきまして私は質問を申上げて見たいと思います。尚この生産協議会の問題に関連いたしまして、多少國管案全体の質疑になる点もありますけれども、これは前以て逐條審議に並行して全体的質問もお許し願つておるのでありますが、この生産協議会のこの第四節において、生産協議会を中心にいたしまして最後に御質疑をいたしたいと思うのであります。
 私は凡そ新憲法下におきまして強権を発動いたしまして、私企業を政府の手に收めて、その意思によつてこれを管理経営せんと、こういうことは余程これは私は思い切つた重大なる措置と考えるのであります。一体政府が私企業を取上げるためには、私は少くとも私企業のなし得ざる力を國家がそれを附與するという理由の下に発足をしなければならん。即ち炭鉱を國家管理といたしますためには、先ず石炭生産の重大なる要素になつておりますところの資材、資金、労力につきまして政府の取るべき決心と、政府の取るべき手段、これを明確にして、然る後に初めて私企業の領域に踏込んで、これを眞の公共の利益のために管理するということが私は当然のことであると考える。然るに私共の見たところによりますと、私共の審査するところによりますと、法案のどこにもこうした政府の強力なる意図を発見することができないのであります。私はこの法案の全條を通じまして、全條を流れておるものは、炭鉱をいかにして統制管理するかという嚴しい鉄の掟であつて、これに違反しました場合には、第八條でありまするか、罰則の規定によりまして、事業主は三年以下の懲役又は禁錮に処せられるということになつておる。私は凡そ独立自存の精神というものは事業経営の根幹であると思う。少くとも私は独立自存の精神というものは、事業を経営する根幹である。これが中心であると考えております。私はこの國管案なるものは全條を通じて見ましても分るように、これには増産に必要なる資材、資金、労働力というものを的確に炭鉱に投入せられるというところの保証がはつきりと條文の上に現われていない。妄りに他人の努力の結晶の私企業を官僚の膝下に奪わんとする結果に相成るように考えるのであります。私は只今商工大臣の御答弁でもおつしやいましたが、仮に商工大臣のお言葉を眞なりといたしまして、商工大臣のお腹の中は確かに石炭増産のために石炭國管案は設けられたのであつて、生産協議会というものは労働者の生産意欲を増強するためにあるのだ。こういうことを眞なりと仮定いたしましても、私はこの点につきまして、これから政府の御意見を承わつて見たいと思います。私が只今申上げましたように、少しともこの石炭鉱業を國家の手によつて経営するという、國家の手によつて管理するという上におきましては、資材、資金、或いは動力、労働力を積極的にこれに打ち込むというような面がこの法案の中になくちやならんと思う。若しそうでないといたしましたならば、私は何が故に今まで例えば鉱業法でありまするとか、或いは重要鉱物増産法でありまするとか、こういうようなものが現に嚴然として存在しておる。この存在しておる上に何が故にこういうものをわざわざやつたかということを承わつて見たい。而も國管案によらずともこの現行法を民主的に改正いたしまして、幾らでも増産はできるわけであります。私はこういうように考えておるのであります。而も國管案によりますれば監査は事業計画のみについてやるのでありますけれども、増産法でも又一般の鉱業法でも全般に亘りましてむしろ私はこの増産法でありまするとか、或いは鉱業法でありますとか、こういう從來までの現行法によりまするならば、むしろ全般に亘りまして檢査もできるし、又臨檢もできるし、報告の聽取権もあるのであります。それから又資金の面について考えて見ましても、一昨日の夜でありましたか、この委員会の席上におきまして木内議員が政府委員に御質問になつた中でも、もう現にやつておる。この資金の面につきましても、何もこれによらなくても現に臨時資金調整法がありまして、現内閣によりまして閣議において特別運轉資金の融資要綱というものがちやんと出ておる。そうしてどんどんこれによつて貸出しができるということに相成つておる。又物資の面につきましてもこの昭和二十一年の九月の法律の第三十二号臨時物資需給調整法によりまして制定せられましたところの、超えて二十二年の二月に商工、農林省令の第三号の附表の第一條によりまして、石炭鉱業の必要とするところの資材というものは、坑木にいたしましても、或いは圧延鋼材及び鉄鉱等の第二次製品にいたしましても、或いは銑鉄にいたしましても、或いは油料にいたしましても、或いは重要非鉄金属及びその製品にいたしましても、セメントにいたしましても、これらの重要資材というものは、この法律に基きまして、而もこの法律には物資需給調整官というものがちやんとできておる。この物資需給調整官というものが、これによりましてちやんとこの山のために、石炭鉱業のためにどんどんやれるようにできておる。この行政的措置によりまして、同法を政府が眞劍に運営いたしまするならば、敢えて私はわざわざこの炭鉱國管法案というものを制定せずとも、石炭生産用の資材というものは重点的に十分に配給することが可能であると私は考えておるのであります。先ず第一番にこの問題につきまして商工大臣の御所見を承わりまして、私のこの最後の生産協議会の質疑に移りたいと思います。
#496
○國務大臣(水谷長三郎君) 今御指摘の他の法律とこの法案との関係は、これまで政府委員の平井君より縷々お述べした通りでありまして、そうしてこの法案は私も繰返して申上げましたように、これは石炭増産の組織法でありまして、この組織法を通じて資金、資材、労力がいかように具体的に流れて行くかということを、外のいわゆる法令と噛み合わしてやつて行くというところが、この法案の狙いであると考えております。
#497
○小林英三君 尚私は十二月三日のこの委員会におきまして、木内議員が政府委員の答弁を求められた中にあります。これによつて資材を供給しておるのであるが、どうしてもこの三、四ケ月間のずれはある、現に安本におきまして毎四半期毎に物資動員計画を策定いたしまして、石炭鉱業部門に対して優先的に資材の割当を行なつてあるのでありますが、つまりこのずれがあるというようなことも、若しこの國管案が現に施行されましても、私は今日のような、政府がこういうような資材を配給するちやんと掟があるのに、眞劍に運営しないからこういうことになつて來ておるのでありまして、國管案が成立いたしまして実施されましても、現在のような政府のやり方でありまするならば、これは幾ら炭鉱業者に優先的に資材を配給してやるということができておりましても、これは國管案ができるできないには全然関係のないことであると私は考えておるのであります。尚炭鉱といたしまして一番重要な問題でありまするところの労務者の住宅の問題にいたしましても、昭和二十二年の一月の閣令の第二号によりましに、臨時炭鉱労務者用の住宅の建築規則というものができておりまして、これによつてどんどん炭鉱用の労務者住宅というものはできるわけであります。ただこれらの手続の規定はちやんと立派に現存しておるのでありますけれども、実際において政府はこれを少しもやつていないのであります。少くとも十分に満足ができるような規則だけはできておりましても、やつていないのであります。住宅規則はできておるのでありまするけれども、これはただやることが不手際であるということに私は止まつて來ておると考えておるのであります。
 次に、私はこの生産協議会に移ります前に、先般來たびたび増産の非常対策要綱、こういうものが現にマッカーサーの書簡に基きまして政府はこれを設けて、そうしてこれの根本といたしておりまするところのものは、経営者と労働者側との自主的の協力以外にはないというような意味を以ちまして、二十四時間制の確立は團体協約によつてこれを定める、こういう建前を以ちまして両者に積極的な協力を要請しておるのであります。この実施要綱中にありまするところの、いわゆる重点炭鉱に対するところの資材、資金の優先集中配給であるとか、或いは坑内夫及び坑内の係員に対しまする現行の現場給食を引続いて続けて行くとか、或いは作業の指揮系統を定めるとか、或いは就業規則を労協によつて規定するとか、或いは紛爭議の早期平和的解決のために、石炭の專門の特別労働委員会を設置するとかいうような建前においてやつておられるのであります。而もこの間私がこの委員会において商工大臣から聽いたところによりまするというと、非常にこの点が強調されておつた。ところが私がこの増産対策要綱について聞き及んだところによりまするというと、どうの政府の、現在少くとも商工大臣がお考えになつておることと、今日のこれを廻りましての事情というものは相当かけ隔れておるように考えるのであります。この間も片山総理大臣もおつしやつたかと思うのでありますが、政府委員もそうおつしやつたように考えておりますが、この非常増産対策要綱というものは、石炭の國管案と表裏一体のものであつて、これも大いに推進して行かなくちやならん、現に推進しておるのだというようなお話があつたのであります。我々もそのように聞いておつたのであります。併しこれの実施後の状況はどうかと考えまするというと、これは現在東京におきまして、商工大臣が安心しておられるような状況にあるか否かということは甚だ疑問だと思う。十一月初旬におきまして、商工大臣が首相官邸において何百人の事業主或いは労組の何百人の人を呼んで、而も数日間に亘つて協議を逐けられた。今すでに特別調査團もできて相当にこの問題については進んでおるというような話を私は聞いておつたのであります。併し現場の事情の分つた人たちに、私共が聽いて見ますと必ずしもそうではない。商工大臣はこの点については非常に安心しておられますが、確かにこれは三日も四日もやつて首相官邸で以て全國から事業主も集まり、又労働者の代表者も集まつて御協議はなさつたかも知れない。併しこれは総理大臣でありまするか、商工大臣でありますか、或いは御両者が同時に、交互に立つたか知りませんけれども、確かに政府といたしましてはこれらの事業主並びに労働者の代表者に対しまして、石炭の緊急増産の要を説かれたことは事実であります。併しながらこの席上において非常に増産対策要綱というものが、縷々と各代表者と協議せられたかどうかということは私は疑問だろうと思う。現に炭鉱業者の或る人々は、我々が十一月の初旬であつたか、総理大臣官邸において政府に呼ばれたことは事実である。併しながら我々はこの非常増産対策要綱に基いてこれをこういうふうにしてやる、ああいうふうにしてやるとかいうことについて十分に了解の行くまでに、心行くまでに協議をしたことはないのだ。ただ帰つて見るというと、こういうような要綱がやつて來たのだ。そうしてまあ炭鉱業者の話によりまするというと、或る商工局長のごときは、どうも政府の方からこういうものをおつつけられちやつて、どこの炭鉱に持つて行つても賣れない、賣れないものをどこへ担ぎ歩いても賣れやしないというようなことを言つて、それらの人達が酒席の席上でそういうことを笑い話にしたそうであります。こういうようなマッカーサーの書簡に應えまして、そうして非常増産対策要綱を作られましたことは、これは機宜のいいことと私共も考えておりますけれども、少くとも商工大臣が、今日我々の委員会の席上において、喋々と述べられる程安心の行く程度に、今日その問題が騒使できておるかどうかという問題につきましては、私は幾多の問題があると思うのであります。先ずこの点につきまして、一つ御答弁をお願いしたいと思います。
#498
○國務大臣(水谷長三郎君) その点に関しましても、これまで縷々述べた通りでございまして、とにかくそれを発表してから、生産はぐんぐん伸びておるということは事実であります。このいわゆる生産が伸びて、十月には二百四十一万トン、十一月には約二百五十万トンに手が届き、十二月に二百七十五万トン出すと、このいわゆる生産の足取りが私の言うておることを雄弁に物語つております。この事実は、自由党の諸君と雖も絶体に否認することができない事実であると思います。
#499
○小林英三君 只今商工大臣が非常なる自信を持つてお答え願つております。この増炭非常対策要綱を具体的に推進するために、十二月四日の新聞には、石炭非常増産対策委員会というものをお作りになつたということが堂々と新聞紙上に載つておるのでありまするが、この委員会というものは現在設けられておるのでありましようか。又設けられておるとすれば、どこに事務所を設けて、どういうメンバーの下に、どういう組織の下にこれをやつておられるのでありましようか、それをちよつと承わりたいと思います。
#500
○國務大臣(水谷長三郎君) その点は、特別融資に関する委員会の誤まりじやないでしようか。
#501
○小林英三君 石炭非常増産対策委員会という言葉になつております。
#502
○政府委員(吉田悌二郎君) 御承知のように、この七月以來特別増産対策が石炭復興会議を中心にして推進せられたのでございますが、その後九月に入りまして、労働組合の側と話がうまく参りませんで、石炭復興会議というものは、それ以来休眠の状態になつております。経営者と労務者が互に協力いたしまして増産対策を遂行するという目的で作りましたこの運動は、その実現の方法といたしまして、各山の生産目標等も決めておつたのでございますが、九月になりまして休眠状態になりまして、從いまして、十月以降は一應政府の割当は直接山に傳えて行くというような形を取つておるのでございますが、こういうことは、やはり山の増産意欲を高める上から申しますと十分ではございません。できるならば事業主、労働組合、労資揃つて、自分でどれだけ掘ろうということを決めて、それを推進して行くことが一番よろしいことと考えるのでございます。
 從いまして、石炭復興会議に代るような組織、労資を中心といたしまして、これに石炭業界に経驗の深い方々等を入れました増産対策委員会というものを各地に作り、又全國にもこれを作りまして、そういう石炭の増産に関しまするいろいろな労資双方の推進機関というものを作るということを閣議決定されまして、只今各地方ごとにその組織を進めておるのでございまして、まだ組織が完全にできてはおりませんが、近くこういうものが各石炭の産地ごとに、從來の石炭復興会議のありました地ごとにできる予定でございます。
#503
○小林英三君 実は私も今政府委員の次長から説明を頂戴したように考えておりましたので、お伺いしたのであります。この新聞にも殆んど半ページの四分の一を占領したような大きな見出しで、十二月の四日のこれは工業新聞でありますが、「委員会で施設推進、増産非常対策要綱」という見出しが大きな一号活字で出ておるのでありまして、これによりまするというと、復興会議は現在その活動を中止しておるのであつて、政府は石炭非常増産対策要綱によつて、推進機関設置の件を閣議決定し、中央地方におきまして石炭非常増産対策委員会を設立するということに相成つておる。それで私は今商工大臣に承わつたのでありますが、私は質問したことによつて商工大臣がこれをどうも融資要綱と過つてお考えになつておられまするというと、私はこういう重要な問題が、而も非常増産対策要綱に関連した委員会を作る、而も中央と地方に作る、こういう問題につきまして担当者の商工大臣がこれを御存じないというように私は今承知いたしたのでありますが、政府がこういうような殆んど鳴物入りで新聞に掲げておるのを見ますると、殆んで國民がこれを見ますると、成る程マッカーサーの書簡に答えて増産非常対策要綱に基いてこういう委員会を作つて、もう徹底的にやつているというように私共は、私共ばかりでなしに一般の國民は見るのであります。私は今商工大臣のお答えを聞きまして非常に情なく思つた。こういう問題があります以上は、担当大臣でありますれば、そういう今政府委員の御説明を待たなくても、一番よくお分りになつておる筈であります。度忘れなさつたのかも知れませんが、この問題につきましての現在の推進の状況を一つ承わりたいと思います。重要な問題でありますから……。
#504
○政府委員(吉田悌二郎君) 増産対策委員会というものは只今お話のように、非常に重要な委員会組織機構でございまして、どうしてもこれは速かに作りまして、今後の増産の中心勢力として推進して行かねばならんものと考えております。從いまして各地方商工局が中心となりまして、それらの委員の方々の選任等につきまして、只今それぞれの團体等と折衝いたしまして、組織をいたしますることについて着々実行中でございまして、まだ委員会のできた地方はございませんが、近くそういう委員会が生まれ出ることになつておるのでございます。
#505
○小林英三君 今政府委員の大体の御説明がありまするから、この委員会の問題につきましては今後政府が十分おやりになるものと信じまして、この問題につきましては質問を打切ります。
 次に、私は生産協議会の問題につきまして質問したいのでありますが、その前に先ず第一番に私が考えますことは、この前も私はこの質問をいたしたのでありますが、日本の石炭は大正十五年には月に四百万トンできておつた。戰爭中におきましても、少くとも三百万トンはできておつた。そうして戰時中においては十五、六トンの一人の採炭能力があつた。それが今日はどうであるか。我々が夜晩くまでこの國会の委員会の部屋におきまして、我々が大いに口角沫を飛ばして國管を論じておるということは、これは今年には僅かに三千万トン、來年におきましても僅かに三千三百万トン、再來年も三千六百万トン、こういうように戰時中から考えますると、余りに情ないこの大きな喰違いというものは、何であるかということは、我々は余程檢討しなくちやならん。つまり、この大きな喰違いが、石炭の國管案を我々が審議して、我々がこれを満場一致において通過すれば、これによつてこの大きな喰違いが解決できるのか、少くとも來年は三千三百万トンが解決できるのか、再來年は三千六百万トンができるのか、或いはこれが不幸にして、政府が支持しておりますところの原案並びに修正案、これを我々が通過することによつて、若しこれが反対の効果があつたならば、私どもは國民に対して申訳ない。その意味におきまして、我々はこうやつて夜晩くまでして本当に心髓を掴もうとして審議を続けておるのであります。從つて私はこの問題につきましては余程研究をして見なければならん。その原因につきましても、こういうように余りにも甚だしいところの増産の喰違いができている。これは何であるか、これは我々が聞くまでもなく、専門家が言つております。つまり戰爭中におきまする濫掘であるとか、或いは鮮華人の極めて……水谷商工大臣がこの前私の質問に対しまして、憲兵政治によつてやつておるという話もありましたが、とに角鮮華人は身体を惜しまずに働いたでありましよう。それらの人間が非常に沢山引揚げた、こういうような問題も私はあると思う。併しながら私どもは具に考えなければならんと思いますことは、坑内事情が徐々に今日整備せられている、多少でも整備せられている。そうして炭鉱の労働者も相当補充されまして、とにかく質は多少違うでありましようけれども、四十万人近くの労務者がいるのはこれは事実であります。併しそれらの人達も相当の熟練を得て來ている。これが今日の私は状況だろうと思う。而も今日我々が論議することは、今年は三千万トン、一時は年に四、五千万トンも出ておつたのが、三千万トンを掘るために口角沫を飛ばしてこうやつておる。大きな喰違いがあると思う。これは私共は何がその原因であるかということを考えますというと、いわゆる炭價の問題はコストの問題については、まだ遺憾の点がありまするけれども、とにかく今日コストの問題についても炭鉱業者は非常に困つておる。赤字を出しておることは、これは事実であります。そこでこの問題をとにかく一時解決したといたしましても、資材及び資金の問題、これらの問題は私が只今申上げましたように、何も國管案によらないでもできる。ただ問題といたしましては、生産意欲の問題である。私が今これから生産協議会の問題についてお尋ねせんとするのはそこであります。生産意欲の問題は、私は國管案に対して最後に残きれた問題だろうと思う。然らば経営者の生産意欲はどうでありますか。経営者の生産意欲は炭價政策によりまして炭價は改訂せられて、そうして先ず前決め制度によつて今日やつておる。これは前以て炭價が決まつて來たのでありまして、炭鉱業者といたしましては、会社は毎日毎日の物價の高騰によりまして、インフレによりまして、赤字が出て困つておりますけれども、とにかく七月五日前でありまするか、三日前でありまするか、この炭價が決まる前までに比べまするならば、私はまだ創意工夫によつては相当なことができるのではないかと思う。で問題はただ炭鉱業者といたしましては、今日私がこの委員会におきまして先般申上げましたように、いわゆる全國的の炭鉱業者がこれに反対しておる。ただ最後の残されておる問題は労務者の生産意欲の問題であります。労務者の生産意欲の問題が今日私はこの生産協議会に絡んだ大きな問題であると考えております。労務者の生産意欲というものは、終戰後炭鉱の現場の労働能率は非常に低下しておることは事実であります。又ややもすれば、経営が非常に弛んだことも事実であります。そうして敗戰に伴いまして、深刻且つ急激な精神的の衝動を我々國民全般が受けると同時に、炭鉱労働者もこの敗戰によりまするところの急激なる精神的の衝動を受けておることも事実であります。それから又一番炭鉱の生産の上らないという問題は、封建的國家からして民主主義國家への轉換に当りまして、つまり民主主義を穿き違えて、いわゆる無責任なる放縦勝手な考え方が一時一般國民全体、或いはこれもやはり炭鉱國家管理法の中にも入つていて、そうして自己の主張のみを主張しまして、勤労義務を怠つて、又現場の職員も労働攻勢に押されがちでありまして、指導監督に氣兼ねする。そうして実際の労働時間というものも五時間何分というように相成つておるのであります。これが今日終戰後におきまして、生産の上に非常なる喰違いがあるということに相成つておるのであります。私はこの生産協議会の問題につきまして、水谷商工大臣に篤と承わりたいと思う。それは果して生産協議会によりまして生産意欲が増大できるかどうか、生産協議会によりまして生産意欲が増大できるかどうかということであります。労働者が生産協議会を通して経営参加ができることによつて、又國家管理になることによつて、そういうことのみによつて、大臣が常におつしやるような、炭鉱労働者が國家的の自覚、そうして自分の地位に目覚めて生産意欲を増大できるか、而も生産協議会に参加する者は、炭鉱の何千人の人全部が生産協議会に参加して、そうして自分たちがこの経理に参加できるのではなくして、何千人の内、或いは何百人の内、山によつて違いましようけれども、とにかく全部の炭鉱労働者の或る一部分の人のみが経営参加ができるのであります。多くの人たちは経営参加はできないのであります。この生産協議会には参加できないのであります。自分たちの一部分の代表者のみが参加できる、それのみを以て私は全体の労働者が、本当に國家的の自覚と地位に目覚めることができるでありましようか。私はその点は極めて疑わしいと思うのであります。先ずこの点につきまして、この経営協議会の問題につきまして、一部の人間のみが参加しておるのであるが、全体の人間が同じように経営参加の問題について生産の意欲が向上できるかどうか、地位に目覚めることができるかということにつきまして、大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
#506
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今小林さんの御意見は、山の全労働者が生産協議会に参加ができなければ、勤労意欲が振興しないのじやないかというお説でございますが、私はそういうような筆法から申しますと、日本の國の政治は、八千万の國民が直接にいわゆる政治にタッチする、お互に國民の代表としてタッチするようでは、全國民の政治意欲が起らないという議論と全く同じでありまして、私は遺憾ながらあなたのお説に賛成するわけには参りません。
#507
○小林英三君 私は水谷商工大臣が今のような考え方で生産協議会をお考えになつておるから、尚更この問題に私は反対したいのであります。私は今のようなお考え方で生産協議会によつて労働意欲が向上できるというお考えでありまするならば、私は大変な間違であると思います。私は日本の國民全般の道徳水準なんてそんなものじやない。國家管理になつたからと言つて代表者の一部の者が経営に参加する形を取つたからと言つて、それによつて私は生産意欲は絶対に起らんと思う。例えば普通選挙の場合であつてもそうです。普通選挙が許された時に、本当は長年の國民の希望であつた。その時に普通選挙にしたつて莫大なる棄権者があつた。これはやはり日本の政治意識というものがそこまで発達しないからだ。私が聽かんとするところは、今日の労働者にいたしましても、それだけ目覚めておるかどうか。今水谷商工大臣は私にそういう反感を以て仰せられたようでありまするけれども、私はそういう見方に対しては又反感を以て言いたい。今日新憲法の下で我々は國民全般の選挙によつて出ておる。併しあの補欠選挙はどうであつたか、我々の総選挙はどうでありますか、全國の棄権率というものは相当な大きなものです。私はこれを問いたいのです。それから又日本の道徳水準が発達すれば、或いは私はそういう問題を解決できると思う。ただ経営参加、経営参加と言いましても、一部分の者のみが経営参加しておることだけで以て全体の労務者が満足するとは決して思わない。その点についてもう一遍お尋ねしたいと思う。
#508
○國務大臣(水谷長三郎君) あなたと理論闘爭をいたしますと見解の相違になりますから、事実を以てお答えいたします。例えば鉱山労働者において一番大きな賃金問題、この場合において一体四十二万の労働者が全部一緒になつて、いわゆる資本家と相談するか、そうではございません。少数の者が東京において國体協約をいたしまして、それで決定いたしますれば、四十二万の鉱山の労働者は一糸乱れずその決定に從つておる。これがいわゆる事実でございます。
#509
○小林英三君 私はかかる精神主義的な考え方は今日の経済法則の前には殆んど効果は挙らんと思う。私はむしろ生産意欲を向上する上におきましては、働く者も働かざる者も、一律平等の收入でなくして、一定の固定給の外には能率給制度を大幅に深く組み入れまして、いわゆる炭鉱の坑内夫をどんどん殖やして、坑外夫を減らして、そうして戰時中のように、日本の炭鉱は六〇%が坑内夫、四〇%が坑外夫であつたのが、今日は殆んど逆になつておる。こういう問題を大修正をして、そうして働く者には働くような給料を與える。こういうことが私は今日生産意欲を向上する根本であると思う。そういうような何千人、何百人の中で、僅かな人間が生産協議会に参加して、そうして代表として参加したからと言つて、全体の人間が生産意欲を向上するなんということを考えるのは、甚だお目出たい話であると思う。この問題について商工大臣に御意見を伺いたいと思います。
#510
○國務大臣(水谷長三郎君) 組織における代表制度を否認されるということは、これは民主主義政治のイロハに関して根本的に認識が違つておりますから、私はあなたの説には賛成ができません。
#511
○小林英三君 私は代表権を否認したのではない。代表権によつて果して全体が生産意欲を向上できるかどうか、それよりもむしろこういう方式によつた方が生産意欲が向上できる。代表権を私は決して否認しない。その点をお聽きしておるのであります。
#512
○國務大臣(水谷長三郎君) そのあなたのおつしやるいわゆる生活給と能率給をどのようにやつて行くか、或いは坑内夫と坑外夫との差等をどうするか、そういうことが全部生産協議会で相談されるのであります。あなたがおつしやる議論も、例えば賃金の問題を決めるにいたしましても、坑内坑外の労働者を決めるにいたしましても、全部の山の労働者と相談しなければならないというような考え方でございまして、若しそういうようなことで行くならば、こういうように民主主義に組織された労働組合の、いわゆる本質それ自体を否認されるという考えになりますので、私は労働組合の名誉のためにおいても、そういう考え方には断じて賛成するわけには参りません。
#513
○小林英三君 今の商工大臣のお話によりますと、私の申上げておることを非常に誤解しておると思う。私は労働者の代表、労働代表というものを決して否認いたしておりません。そういうものは生産協議会においてやらなくても、労働協約でどんどんできる。國体協約でどんどんできる。労働組合法においてできておる。それによつてやればいいではないか、こういうのであります。何もこういうことで生産意欲の向上ということを言わなくても、この問題は他の方法で、嚴然としてできておる労働組合法でできることではないか、こういうことを申上げておるのです。
#514
○國務大臣(水谷長三郎君) 生産協議会というものは、そういう團体協約で決つたことをば、一つの山で具体的にどういう工合に動かすかというのが生産協議会でございます。言葉を換えて申上げますれば、團体協約と生産協議会とは表裏一体してやつて行くべきものである。そう御理解願いたいと思います。
#515
○下條恭兵君 議事進行について……只今の逐條審議に入る前に、逐條審議をしながら一般的なことも多少ずつ逆戻りの形で審議して行こうじやないかというふうに打合して、そうしてこの委員会において了解がついておるように私は考えておつたのでありますが、只今の小林委員の質疑は、これを悉く一般質疑の、而も予備審査の時代にすでに論議したことが再び繰り返されておるように思いますし、而もその時間が正に四十五分に達しておりますので、これは逐條審議の方に速かに戻るべきと思いますから、委員長において適当に御整理願いたいと考えます。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#516
○委員長(稻垣平太郎君) 小林委員どうぞ御質問があるならば……但しできるだけ一つ逐條審議の方に移りたいと思いますが……。
#517
○小林英三君 私はただ申上げたいことは、商工大臣と意見を異にしております。今この生産協議会を通しては、私は商工大臣の少くともお考えになつておるような生産意欲は向上できないということだけを申上げまして、一應私の質問を打切ります。
#518
○中川以良君 生産協議会の議長はいかなる場合においても議決に加わることができないということになつておりまするが、これに関しまして一つ原案をお作りになつた趣旨を承わりたいと思います。
#519
○國務大臣(水谷長三郎君) その点はちよつと普通の協議方式と違つておりまして、炭鉱管理者に表決を與えるということになりますと、大体労資が同数になつておりまして、それで必ずどんな問題においても経営者の方が勝つという状態に置かれております。これは非常に運営上面白くないといういろいろの考え方もありまして、特にそういうような規定を入れた次第であります。
#520
○中川以良君 今お話のようにこれは運営上公正を期する意味においてさようにされたと思います。ところが最初原案におきましては、委員の代理者を認めたのでありまするが、代理者が削除されましたのは、これは私共も非常に恐れたのでありますが、無闇やたらな代理者が出まして、その議決に加わつた場合は、誠に面白くない結果を招きますので、当然これはただ單に代理者を認めることができない。然らばこの修正案等に参りますると、この委員の中には、或いは炭鉱管理委員に任命をされる人もあるだろうと思います。そういう人は片方に炭鉱管理委員会があれば、そこに行かなければならん。又業務委員の中には、東京の本社の方に出張をしなければならん人も出ると思います。そこでこの委員会は、この法案によつて見ますると、業務委員と労働委員がおのおの一人以上が出席すれば開けるのであります。ここで以て議決は出席した人数によりますので、非常に不合理を招き、いつも紛爭の種を釀すのではないかと思うのであります。こういうことに対してはどういうふうにお考えでございましようか。
#521
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今中川さんの御質問でございますが、それは修正の第三十六條でありますが、「この法律及びこの法律に基いて発する命令に定めるものの外、生産協議会に関し必要な事項は、生産協議会の議を経て、炭鉱管理者がこれを定める」ということになつておりまして、この生産協議会に関する運営事項というものは、生産協議会の議を経て定めまして、その点は運用において万全を期したいというような考えを持つております。
#522
○中川以良君 そういたしますと、運営で以て代理者を定めるとか、或いは全部揃わなければ開かないということを決めるのでありますかどうでありますか。ただ必ずしも両方が同じ数を集めるということは、非常に困難と存じますので、或いはこういうこともお考えかどうか。つまり何人出ましても、業務委員、労働委員は、必ず一対一であるというふうに考えられることがあるかどうか、そういう点を一つお尋ねしたいと思います。
#523
○國務大臣(水谷長三郎君) 例えば今の経営協議会の運営の場合におきましても、補欠員というような制度がございまして、例えば生産協議会の場合におきましても、仮に五名なら五名の正会員というような工合に、おのおの五名なら五名補欠する。つまり何どきでも勝手な者が代理者になれるという、こういう運営で行きますけれども、府縣会の参事会員の場合でも、いわゆる補欠員というものがありまして、若しその正式のメンバーに、只今申されましたような故障があるときには、おのおのその補欠員から出てやつて行くという工合にやつて行きたいと思います。そこで私らの考えは、大体生産協議会というものは、決を採るとか、そういうようなことは、もう例外中の例外にいたしまして、少し時間が掛かつても、大体全会一致という工合に運んで行きたい。このように考えております。
#524
○中川以良君 只今商工大臣の御説によりますると、これは運営によつて、つまり新らしい三十六條によつてどうにでもなるというお話でありまするが、そうしてこれは決を採るというようなことは、できるだけ避けるというお話がございましたけれども、併し人数によつて決を採るということは、非常な重要な問題で、そういうことに対しまする代理権とかいうようなことは、第三十六條で認めるというようなことが果して話合が付くか付かないか、これは非常にむずかしい山であるに違いないと思う。何故に付かないかというと、原案に代理者というのがあるのを消しております。これは原案にあつたのを消しておるじやないか、それを我々の申合せによつてそういう代理というようなものを認めるかというような議論が必ず沸騰すると思います。こういう点も予めはつきりして頂かないと粉爭の種になると思います。
#525
○國務大臣(水谷長三郎君) この原案の場合に代理者ということが書いてあつた場合におきましても、代理者というものは、どうして決めるかということは、やはり三十六條で決めるように考えておつたのです。だから実質的には少しも変りはないと思います。
#526
○中川以良君 併し最後にはどうもやはりいろいろな解釈によりまして、間違いやすいのじやないかと思うのでありまするが、そういたしますると、仮に三十六條において業務委員と労働委員の人数の如何に拘わらず、その議決権は一対一であるというようなことも決めても差支ないのでありまするか。
#527
○政府委員(平井富三郎君) 生産協議会の議決の採り方につきましては一対一というやり方もございまするし、過半数で決するというやり方もございまして、現在炭鉱の経営協議会においてもこの両者が並び行なわれておる状況であります。そこでこの原案を作ります際に、どちらを採るかという点につきまして、いろいろ議論いたしたのでございまするが、この際むしろ生産協議会というものが生産を本位として行くということから考えて見ますると、一対一という、あくまで労資の対立ということだけを主眼にいたしたものよりも、むしろ多数決で決定して行くという方法を取つた方が適当ではないか、こういう考え方から多数決の制度を原則として採用しました次第であります。
#528
○中川以良君 そういたしますると、やはり代理ということにつきましては、これは一應はつきりしておつた方がいいと思うのでありますが、こういういろいろな紛爭が起きました場合には、今日の御発言によりまして一應議事録に載りますから、或る程度解釈は付くと思いまするが、どうもその点は尚私共といたしましてはぴんと來ないのでありますが、これ以上お話をいたしても解決が付きませんから、これを以ちまして打切ります。
#529
○委員長(稻垣平太郎君) 他に御質疑はありませんか。
#530
○平岡市三君 第二十九條のことで、些細なことでありますけれども、先に二十九條の第二項の最初の行の一番終りの方に、「指定炭鉱の從事者」という言葉が出ておりますが、どこを見ましても全部從業者、從業者、例えば十六頁の方に参りまして一も二、三行とも從業者、從業者、從業者という言葉を使つております。ただここに二十九條の第二項の初めの行の終いに從事者という言葉を特に使つておりまして、実は私は回付されたところのこの條文が、或いは從業者の間違いではないかと思いまして、衆議院の本会議に提出されたものと比較して見ましたが、相変らず從事者というお言葉になつておりますが、これは両者を対比いたして見ますと、これはミスプリントでないと考えられますが、特にこの言葉を使つてあるのはどうも私には理解ができないのであります。最初にこの意味を一つお伺いいたします。
#531
○政府委員(平井富三郎君) 二十九條二項の從事者という言葉は從業者と、こういうことの私はミスプリントじやないかと思いますが、この点は当初政府が提案いたしまして御配付申上げた法案を一遍調べて見たいと思います。
#532
○平岡市三君 確かに私もそう思いまして本会議に提出されたものと比較して見ましたが、やはりそうなつておりますものですから、特殊な関係かと思つて御質問したんですが、確かに從業者の間違ではなかろうかと思います。
#533
○大屋晋三君 私が最初ミスプリント問題を言つたのは、こういうところじやないですが、これは正に間違いで、ミスプリントじやないかと私は思うのです。
#534
○委員長(稻垣平太郎君) 初めのこれにも從事者になつておる。
#535
○大屋晋三君 それだから私はここは保留してあります。
#536
○平岡市三君 継続してよろしうございますか。
#537
○委員会(稻垣平太郎君) どうぞ……。
#538
○平岡市三君 やはり二十九條の第二項の坑内夫、坑外夫の比率を三と二の比率に修正されました理由をお伺いいたしたいと思います。
#539
○國務大臣(水谷長三郎君) これは先程小林委員からも申されましたが、やはり今後の炭鉱の在り方といたしますると、大体坑内、坑外の比率というものは少くとも六十、四十というようにしなくてはならないと思いまして、そういう工合にいたしまして、今後は坑内從業者の方が沢山になるということを考えまして、又そうせねばならないと思いまして、この比率を坑内に重く置いた次第でございます。
#540
○平岡市三君 坑内、坑外の比率というものは炭鉱毎に異なるものであろうと思うのであります。却てこういうふうに規定することが実情に副はないのではなかろうかと私は考えるのでありますが、そのお考えはいかがでございましようか。
#541
○國務大臣(水谷長三郎君) 初めは大体私らの考え方は坑内の方において職員組合なんかが入るというので同数というような考えを持つておつたのですが、今後生産をば増強して行く場合におきまして、坑内には重きを置かなくてはならん。從つて人数の配置轉換その他によりまして多くなるのでございますが故に、このように修正したような次第でございます。只今御指摘のように、山によつて、例えば或る例外の小山などはどうなるかという問題もありますが、場合によれば多少多いような所も現在なきにしもあらずでありますが、大体原則といたしましては、坑内外の比率というものは坑内夫の方が坑外夫より多くなくてはならんのでありまして、又それが望ましい形でありますから、このように改めた次第であります。
#542
○平岡市三君 その点はそのくらいにいたしまして次に條文の言葉遣いでありますが、第二十九條の言葉遣いは私には不明瞭に感ずるわけであります。と申しますのは、どうも業務委員は炭鉱の從業者の、「業務委員は、当該指定炭鉱の業務に從事する者の中から」、即ちこの実質はどうかというと、炭鉱の業務に從事する事業主の利益を代表する者の中から、こういう意味であります。にも拘らずこの語句を入れずに、單に業務に從事する、即ちそういう意味を廣くこれはここに書いてありますように從業者、從業者という言葉を使つておるのでありまして、結局業務に從事いたしておる者であります。これを区別しようとするならば「炭鉱の業務に從事する事業主の利益を代表する者の中から」とはつきりお謳いになりますれば、この文面は明瞭になるのではなかろうかと、つまらんことのようでありますが、ちよつとそれについて政府委員のお答えを願いたいと思います。
#543
○政府委員(平井富三郎君) 第一項の業務委員というものは炭鉱管理者が選任いたすのでありますから、この業務に從事する者の中から炭鉱管理者が、いわゆる経営者側の利益を代表する者、或いは経営者側の主張を主張いたします者から選任いたすということで十分であると考えております。
#544
○平岡市三君 そこは又政府委員の方と私の考え方とは別個の考え方でありますから、まあその点はそのくらいにして保留して置きます。
 次に十六ペーヂの方に移りまして、三行目の「前項の從業者には、指定炭鉱の事業主の利益を代表すると認められる者」、この利益を代表するという判定はどういうところに基礎を置きまして業業主の利益を代表するものと認めるか、認めないかという区別が出て來るか、その判定の基礎をお示しを願いたいと思います。
#545
○政府委員(平井富三郎君) これは労働組合法におきまして労働組合を組織し得る從業者という範囲をこの言葉を以て規定しておるのでありまして、それをそのままこの法文に移したわけであります。要するに指定炭鉱の事業主の利益を代表する、いわゆる從業者の労働條件その他を論議する場合におきまして、事業主の地位に立つて論議する職務にある者ということが言えるのでありまして、これを実例で申し上げれば、例えば部長級というものは大体経営者のスタツフとして解釈しておるのでありまして、更に又課長クラスでも会計課長、秘書課長であるとか、そういう者は事業主の主張を主張するという者であるということが考えられるわけであります。
#546
○平岡市三君 私は中央労働委員会の中立委員をいたしておりまして、いつでもこれが問題になるのであります。事業主の利益を代表する……ところが労働組合として認定するかしないかというところが、いつでもこれが問題になる。即ち課長であつてはいかんとか、課長でもよいとか、部長であつても、これを労働組合に入れてもよいとか、惡いとかいう議論が常に多く、その基準をどこに置くかという基準も始終ぐらつくような現象でありまして、中労委によく問合せをいたしたことがある。それで結局人事権に関與する者はというようなことが一番妥当ではないか、こういうような意味で、人事課長はいかんとか、併し名前はたとえ人事課長であつても、実際は人事権に関與いたしておらん、こういうような場合には、人事課長は労働組合に加入してもよろしい、こういう議論が常に紛糾いたしておる。それで中労委に問合せましても、それにははつきりしたことを言わない場合がある。或いは地方労働委員会に委せるというようなことで、たかだか問題でありますが、もう少しその点を一つあなたの御意見をはつきり御表明願いたいと思います。
#547
○政府委員(平井富三郎君) これは只今私が申上げましたことが、一般的の判断の基準でありまして、その場合、或いは秘書課長が庶務課長という名前になつております場合には、その庶務課長の実際行う業務によつて、具体的に判定すべき問題であろうかと思われます。この問題は労働組合法等における基本的な解釈でありまして、これが実際の適用に当りまして、いろいろと解釈上疑義を生じ、問題を生ずるということもございますが、これはその労働組合法の解釈が、その疑問を解決するたびに、一つずつその範囲が明確になつて來るのでありまして、この問題については、こう書くより以外に、私は方法がないのではないかというように考える次第であります。
#548
○平岡市三君 実際問題としてはそうだろうと思います。
#549
○田村文吉君 先刻商工大臣は、今度の生産協議会は、経営協議会を法文化したものであるとはつきりおつしやいましたが、さようにおつしやつたことに間違いありませんか。
#550
○國務大臣(水谷長三郎君) 私のそのことを申しました理由は、玉置さんが、この生産協議会は、社会党のイデオロギーをなにしたものであるという御発言でありましたから、それよりも、私はむしろこれは経営協議会というものを基礎にしてやつたものであるという意味のことを述べて、社会党のイデオロギーでない、経営協議会によつて発足したものであるということを申したわけであります。
#551
○田村文吉君 はつきりと先刻御宣告になつておりましたから、私はさようにお考えになつていらつしやると考えたのでありますが、多少そういつたような意味であつたという御趣旨であるですね。
#552
○國務大臣(水谷長三郎君) 法制化したと取られても差支えありません。併しそれによつて経営協議会がなくなるという意味ではありません。経営協議会と生産協議会と二本建てになるということは言うまでもありません。
#553
○田村文吉君 そういたしますと、生産協議会の外に、経営協議会というものを存置して置くお考えでありますか、一方は法的のものであると、一方は私的にさようなものを作つて置くということは差支えないものであると、こういう御解釈でありますか。
#554
○國務大臣(水谷長三郎君) その点は、第三條に謳つてありまして、その点から見まして、平井政府委員が、生産協議会ができた職場では、経営協議会というものは開店休と業いうような言葉を使つたようでありますが、そういう状態に陥ることはあるか知れませんが、生産協議会ができたから経営協議会は止めてしまうということは、この第三條の精神から申しましてもできないことであるのであります。
#555
○田村文吉君 第三條はとかく問題になりましたものでありまして、第一章の御質問の時にも申上げましたように、大体かようなことはなくても、一向差支ないことであるようであるがということをお尋ねいたしたのでありましたが、それはあるものはあるでよろしゆうございますが、実際の運用については現在経営協議会というものがあるところもあり、ないところもある。それから炭鉱によりましては一人の事業主は同じような地方に二つも三つも炭鉱を持つている。さような場合には連合協議会というようなものを持つておるのであります。この生産協議会には連合協議会というようなものはお考えになりますか、なりませんか。若し生産協議会というものが常に労働條件、即ち今までの……先刻の大臣のお言葉でありますと、いくらか経営協議会と変つて、同じものを法文化したのであるというが、今度の内容を拜見すると、相当範囲も廣くなつておるのでありますが、さような場合に経営協議会にはあつたが、今度生産協議会についてはどういうふうにして連合協議会とマッチして行くか、調整して行くか、こういうような点に疑問があるのでありますが、その点少し伺いたいのであります。
#556
○國務大臣(水谷長三郎君) その点は第二十六條に「指定炭鉱ごとに生産協議会を置く」ということで、各山々にはそれぞれ特殊條件がございまして、その特殊條件に應じまして第三十四條というものが動いて参るのでございますが故に、指定炭鉱を三つ、四つなにいたしまして連合協議会を作るというようなことは、この法案においては考えておりません。
#557
○田村文吉君 実際問題といたしますと、例えば北海道なら北海道の似寄つたところにございます炭鉱は、やはり共通の労働條件でないと收まらんのであります。でありまするから、自然の要求として連合経営協議会が起つて來ておるのであるのでありまするが、さようの場合に各山々で別々の問題を決められると、その点が非常に運用上困るのじやないかというような心配をいたすのでありまするが、その点はいかがでございますか。
#558
○國務大臣(水谷長三郎君) 大体実際の動きがどうなつておるかということを申上げますと、一番大きな賃金問題というのは、これはもう全國的な團体交渉で決まるというような状態であります。又北海道地域を中心にいたしました團体交渉というものがあつても毫も差支えないと思います。そういうものはそういうところで決まりまして、ただ生産協議会はそれらの團体協約の裏付といたしまして、その山々の特殊事情に應じて、その山々においてその生産協議会で議論が討わされるという工合に運んで行きたい、このように考えております。
#559
○田村文吉君 平岡委員から御質問のありました点は、午前中に法制局長官が見えました時に私は問題を保留いたしておつたのでありますが、この「利益を代表すると認め」るということは、誰が認めるのでありますか。
#560
○政府委員(平井富三郎君) これはその業務の性質上客観的に利益を代表するものと認められる者という意味であります。
#561
○田村文吉君 先刻平岡委員からもお話がありましたように、この問題は常に惱まされている問題なのでありまするが、今度は殊に團体に関する権限が與えられましたり、各種のいわゆる経営参加というような問題が入つて参りまするというところに運用の上で非常な混乱ができる恐れが多いのであります。と申しまするのは、大体どこの工場、事業場に行きましても、課長は大低労働組合に入つておると思います。そこで私は或る一つの例を申しますと、そこにおいては工場長と工場次長だけが経営代表なのであります。或る炭鉱では鉱長と、鉱長の下におります一人、この二人だけしか代表者がいない。あと課長は全部労働組合に入つているのであります。かような実情が実際問題に沢山例があるのでありますが、随分この問題は、この人達が利益を代表するとして、労働組合から退けてしまうかというような問題が出て参りまするが、又のけられても、事実は労働組合として組合員と一緒の利益を受けたいという氣持であり、又労働組合自体から言つても、成るべく有力な人であつて、自分達の組合に残して置きたいという、こういうような実情にあるかと考えますが、この運用が事実上困難ではないか、こういうことを心配するのでありますが、これについての御確信がありましようか。
#562
○政府委員(平井富三郎君) その場合は、例えば規模の小さい炭鉱等につきまして、労働委員の数と業務委員の数の接配等の問題になるのでありますが、そのために業務委員は單に職員という者に限定いたしませんで、先般申上げましたように、「業務に從事する者の中から」ということにいたしまして、役員であつても、その業務に從事する者と認められる者は、この労働、業務委員になるということによつて、十分調整を取つていくというふうに考えております。
#563
○田村文吉君 さような場合には、この会社の役員という者を引張つて來ればよい、こういう意味でありますか。
#564
○政府委員(平井富三郎君) そういう場合は規模の比較的小さい炭鉱について考えられる事例であろうと思います。規模の大きなものにつきましては、勿論委員の数も多くなりますが、同時に各部長或いは課長、いわゆる経営者のスタツフと称せられる者がそこにあるわけであります。小さい炭鉱については、役員がみずから或いは部長なりのような職を兼ねて実際その炭鉱の業務に從事しておるわけでありますので、その関係をそのまま移して参りますれば、大体業務委員、労働委員というものはそれが釣合が取れるというように考えております。尚この生産協議会の委員の数は炭鉱管理者がそれらの状況を勘案いたしまして、これを定めるということにいたしまして、事実上その規模その他を勘案いたしまして運用して参りたいというように考えております。
#565
○田村文吉君 さような問題は命令でもお出しになるお考えでありますか。
#566
○政府委員(平井富三郎君) 二十八條には「生産協議会の委員の数は、命令の定めるところにより、炭鉱管理者が、これを定める。」とありまして、原則的に炭鉱管理者が生産協議会の委員の数を決定いたすわけであります。從つてその規模の大小ということによつて、その他の各般の状況から管理者が委員を決定して行く、ここで命令とありますことは、主として大体生産協議会の委員というものがいかに大きな炭鉱でありましても、非常な多人数になるということは、生産協議会の議事を進める上におきまして面白くないので、それらの最高限程度を定めることにいたしたらどうかというように現在考えております。
#567
○田村文吉君 今炭鉱の大きいところには少くとも五人でありますが、五人ぐらいの経営者の利益を代表する人がありそうなものだと、こういうお考えのようでありますが、これは工場、事業場の大小の問題ではないのでありまして、そこの労働組合の行き方でありまして、大体大きい所は部長まで入つて來る。私も労働委員をやつておりますが、労働委員になつて、部長が入つて來るのは怪しからんじやないかというような議論が出たりした場合もあります程、部長のような人が労働組合に入つておる例が沢山あるのであります。さような場合がありまして、実際に会社の利益を代表しておるというのは工場長だけだというような場合が随分多いのであります。さような場合が多いのに、こういうことをはつきりと、例えば部長とか、課長とか、はつきりした限度をお決めになりませんと、非常に厄介な問題に相成りますので、実情を私は申上げる。そうしてこれが運営ができるかできないかということについてお尋ねいたすわけであります。さような場合にはどういたしますか。
#568
○政府委員(平井富三郎君) これは例えば部長級が職員組合に入つておるという場合におきましても、この個々のポスト、これを見ますれば、やはり経営者のスタッフとして考えられるものは、事実上経営者の利益を代表して参るというふうに考えられるわけでありまして、この当該指定炭鉱の業務に從事する者の中、炭鉱管理者が選任するという場合におきましては、職員組合に入つておる者を仮に指定いたしましても、それも適法であり、一向差支ないのでありまして、これらはその炭鉱の規模によつた役員、及びそれら業務の実際に應じて事業主の利益を代表する。少くとも業務計画でありますとか、労賃の問題につきましては、事業主の利益を十分代表し得る者を選任し得る。又その数は炭鉱管理者が決めるのでありますから、最小限度において決める。大体現在の炭鉱の実情から見て運用がやつて行ける。かように考えております。
#569
○田村文吉君 今の労働組合において、紛議が起ります場合には、労働委員会においてこれを最後の決定をすることはできるようになつておる。これは組合法第十一條でありましたか、労働組合に入るべき人でないということを認めれば、そこで最後の決定が下るわけであります。ところがこれは別に労働組合法を母体としておる法律ではありませんから、この点について誰が認めるかという問題になつた場合には、どういう方法によつてこれを決定しますか。
#570
○政府委員(平井富三郎君) これは労働組合法の文言をそのまま取つておるのでありまして、労働委員はいわゆる労働組合法にいう從業者の組織し得る労働組合というように解釈しておりますので、労働組合法の解釈によつて参りたい、かように考えております。
#571
○田村文吉君 労働組合法にはその問題について異議がありますと、訴え出まして、さうして労働委員会で裁定をすることになつておるのであります。併しこれには別に労働組合法の方法によつて決定をされるわけではないようでありまするから、何によつてこれは最後は決をお決めになりますか。
#572
○政府委員(平井富三郎君) 実体上の問題といたしまして、労働委員会に照会いたすことも自由でありましようし、又或いは労働省の意見を徴することも必要でありましようし、いろいろな方法によつてこの問題は解決して行けるものと考えております。
#573
○田村文吉君 労働組合法における労働委員会は、これに対して最後の判決を下し得るのでありまするが、御参考にはお取りになりましようが、最後の決定はこの法律ではできないのであります。参考にはお聽きになることができましようし、この場合どう考えるだろうというようなことはお聽きになることはできましようけれども、一体そういう爭いが起つた場合には、どうして裁定をなされますか。
#574
○政府委員(平井富三郎君) 爭いは結局この法律の客観的な解釈ということになりまするので、この法律を運用して行きます責任者がこれを決めるということに相成ると思います。
#575
○田村文吉君 そこで私は初めに戻つて、認むるというが、誰が認めるのでありますかということをお伺いいたしたいのであります。
#576
○政府委員(平井富三郎君) 認められるということは誰が認めるという場合もありますし、客観的に事業主の利益を代表すると認められるという用語の使い方もあるのでありまして、ここにおいては客観的に事業主の利益を代表するものと認められるものを含まないという一つの從業者の性格をはつきりいたしたわけであります。
#577
○田村文吉君 私の質問にはつきりしたお答えになつておりませんのですが、客観的に認むるという初めのお話に戻つたのでありますけれども、私は爭いが起つた場合に、誰がこれを決定するかというところが抜けておりませんか、それをお伺いするのであります。
#578
○政府委員(平井富三郎君) 爭いの起ります場合は、炭鉱管理者が、炭鉱労働組合の推薦したものを委員に選任いたすのでありますが、その從業者の過半数が労働組合を組織しておる場合、この利益を代表する者が過半数となるかどうかという際どいところに一つの問題が出て來ると思うのでありますが、この解釈はいわゆるその労働組合の組合員として正当なものなりや否やという解釈でありまするので、その労働組合が指定炭鉱の從業者の過半数を以て組織しておる労働組合かどうかということになりますので、成規の手続きをして決めることも可能であるとかように考えます。
#579
○田村文吉君 成規の手続きということはどういうことですか。
#580
○政府委員(平井富三郎君) それは労働組合が労働委員会にその解釈を正式に問合せまして、それが労働組合が指定炭鉱の從業者の過半数を以て組織するかどうかという解釈を労働委員会に正式に問合せまして、その意見に從うのが一番穏当であろうというふうに考えております。
#581
○田村文吉君 さような場合には、この法律の中に利益を代表する者と認むるというものについての解釈の相違があつたならば、労働組合法の規定するところによるとか何かなければ、これを以て直ぐ労働組合法の標準によるということが言えないと思うのでありますが……。
#582
○政府委員(平井富三郎君) 私が申上げますことは、労働組合に関することであり、労働組合法の解釈によりまするので、労働委員会の意見に從うことが一番適当である。かように考えるのでありまして、この法律の施行の責任は商工大臣にありまするので、商工大臣が、そういう取扱をいたすということを全般的に指導いたす。それで十分であると考えております。
#583
○田村文吉君 最後の決定は商工大臣が認定なさると、こういう御解釈でありますか。
#584
○政府委員(平井富三郎君) 認定をいたすということでありまするが、商工大臣がみずから認定をいたすよりは、労働組合法の中に密接な関係がありますので、労働委員会の意見によつて過半数になるかどうかというように、運用して行くという方針を、商工大臣が決定いたすということが適当であろうと考える次第であります。
#585
○田村文吉君 この問題につきましては、はつきりとした御答弁が得られないのでありまするので、最後に私はこの問題に対する政府で原案をお出しになつたことで、お考えにならなければならん問題があると思うのでありますが、それは何かしら経営協議会というものが何処の工場、鉱山にもあつて、それが理想的に、民主的にすべてが運ばれておると、或いはお考えになり過ぎておるのではないか、こういう実は心配をするのであります。例えば利益の代表者が止むを得なくて労働組合に入つておるけれども、まあこつちの方へ出て一つ話をして見たらよかろうというぐらいに、経営協議会というものの在り方が、場合によりましては非常に嚴重にやつておるところもありまするが、所によつては和氣藹々に問題なく、資格などはどうでもいいから一つ話し合おうじやないかということで、法文化とか何とかなつていない場合が多いのであります。それを今度はつきりと生産協議会として法文化なさるとなると、いろいろの抜け道がある。でありまするから私は大体生産協議会というようなものをお設けになつたことが少しく御不用意でなかつたかと、私は非常に心配しておつたのでありますが、一應この点については尚討論の場合等によく申上げるといたしまして、この問題は打切りにいたしたいと存じます。
 それからお伺いいたしたいのでありまするが、第三十四條の第二項の第四号でありまするが、「労働力の保全に関する事項」というものが述べてありまするが、これはどういうことをお考えになつておりますか、お伺いいたしたいと思います。
#586
○政府委員(平井富三郎君) 「労働力の保全」と申しまするのは、例えば住宅その他厚生施設の整備に関する問題、或いは必需物資の配給に関する問題、或いは又保健衞生に関するような問題等を大体考えております。
#587
○田村文吉君 今御説明になつたようなことは労働條件の適正化という問題の中に入つておるのでありまするが、特に「労働力の保全」ということをお書きになつたのは幾らかまだ外に御意味があるのではないでしようか。
#588
○政府委員(平井富三郎君) 労働條件の適正化と申しますのは、私共が大体予定いたしましたのは、労働時間でありまするとか、労働賃銀でありまするとか、そういう直接労働條件に関しますることでありまして、「労働力の保全」というのは労働力を文字通り保全育成して行くという点から言いまして、今の福利施設の関係でありますとか、或いは必要な物資をどういう方法で獲得して行くかというような点を大体指しておるつもりであります。
#589
○田村文吉君 いずれの労働協約にも書きます用語としますと、いわゆる厚生に関することであると了承してよろしうございますか。
#590
○政府委員(平井富三郎君) 厚生施設が大体中心になるわけであります。
#591
○田村文吉君 そういう意味でありますか。
#592
○政府委員(平井富三郎君) はい。
#593
○田村文吉君 そこで一つお尋ねいたしたいのでありまするが、私は労働力の保全という問題は、どうして労働者を得るか、労働者が足りない場合には何とかして連れて來るとかということがある。一面においては今日の日本の炭鉱は一人当りの出炭高が五トン四分である。戰前は十四トン何ぼであつたものが、今日は五トン四分である。イギリスやヨーロッパの例を引きますと、一ケ月それの四倍以上の出炭を出した。アメリカの話を聞きますると、日本の一ケ月の出炭高を一日で出しておつた。かようなふうに伺つておりますので、段々これが合理化されて参りまするというと、当然に能率も上がつて参らなければならんのでありまするし、又今日のような戰前の山價格にいたしますと、三百倍に相成つておるような今日の石炭の價格でありますが、当然これは能率の増進によりまして直さして行きませんというと産業が復活しない。こういうふうにも考えまするから、余り遠くない中に当然に能率の増進と同時に人員の過剰整理が行われなければならないと私は考えるのであります。今日でも炭鉱に参りますれば、本人が七合のお米を配給されまして、家族は三合の配給を貰つておる。殊に復員者がどんどん帰つて参ります。お互いに血の通つておりまする間でありまするから、帰つて來る人は何とかしてでも使つてやらにやならん。坑内の仕事は骨が折れようが、せめて坑外でよいからやつて呉れ。炭鉱では本年二十五万戸の家が建つ。何処に行つても家がないのだが、炭鉱に行けば家がある。かようなように就職の希望者はますます多いが、能率は段々下がつた計数が出て來ることは、今日炭鉱の能率が惡いという意味でよく言われますけれども、これはそう責めべき問題ではない。今は実は要らないけれども人を使つておるのだ。こういうようなことに相成つておりまするが、昨今官廳におきましても行政整理……。従つて一人当りの收入に対しては食えるようにしてやらんならん。これは当然のことであります。從つて行政整理が起る。こういうようなことになりますから、今度國管になりまして、國家がこれを管理しておりまする以上、お手本として能率を増進させると同時に、余つた人は今までのような人情味ばかり言つてはおられない。整理をしなければならん。こういう場合が起つて來るのでありますが、その場合にこの生産協議会で一つもさような問題について協議する事項が載つておりません。若し一方的にこれをやりますれば、必ず紛擾が起る。さようなことがこの條項の中に一項もないのでありまするが、これは大臣にお伺いいたしたいのでありまするが、能率が五トン四の能率である。今日の炭鉱をこのままにして置いてよろしいか。仮に現在の二千八百五十万トンが五割殖えましたところで、四千五百万トン出ましたところで、一人当りの出炭量は七トン五にしかならんのであります。必ず合理化が叫ばれて來れば、ここに当然整理が起らなければならん。こういうことについて、それが而もあまり遠いことじやない。來年の春か秋にはその問題が起つて來る。今國管案をおやりになりまして、生産協議会の議題までお決めになりまして、さようの問題についてどう御処理なさるお考えでお出でになりますか、大臣の大体の御方針及びそれに対して、若し生産協議会においてこれを仲裁する方法がどこかにあるのでありまするならば、政府委員から御説明を頂きたい、こう考えております。
#594
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今田村さんのおつしやいました大体のお考えに対する答弁は、最近政府が発表いたしました炭鉱の臨時資金要綱にその点は十分に謳つてあると思うのであります。即ち今度の臨時資金要綱の狙いとするところは、炭鉱の経営の合理化に対する繁ぎ資金としてやるということをはつきり謳つてあります。從いまして大体この経営の合理化ということは、独り炭鉱だけではなしに、日本のあらゆる産業においてこれは必然的に行われなくてはならない問題でございまして、敢えて炭鉱だけの問題ではないと思う次第でございます。若しそういうようなことが必要であるといたしますならば、それは個々の山の生産協議会でやるよりも、むしろ團体交渉でやるべき問題でありまして、その團体交渉で決まりましたところの大綱を、山々に持つて帰つて、そして生産協議会の議に付すというのが順序になるのではないかと思います。勿論この生産協議会のいわゆる一から五までの項に、そういう経営の合理化というようなことが書いてないということでございますが、それはそういう一時的のものをば、山の生命がある限りずつと続くところの問題と一緒に並べて書くということは、これは不合理なことであろうと思うのであります。併しながらいかなる場合においても、必要である場合においては「炭鉱管理者は、前項の場合を除くの外、業務計画の実施に関し必要と認める事項について、生産協議会の議を経てこれを定めることができる」という工合になつておりますので、そういう点は十分にこの方でこなして行けると思います。
#595
○田村文吉君 團体協約で方針を決めるから、あとは生産協議会で協議すればできるというお話でありましたが、問題はそこなんでありまして、仮に連合團体協議会において今日のお互の能率は一人当りが七トン、或いは十トンまで上げようじやないか、こういうことを御決定になりまして、さていよいよ現場へ参りまして、生産協議会のこの議に付する場合になるというと、どうも人間が余る、余るからというてどの條項に從つて議題に出しますか。ほかのことと違いまして、馘の問題になりまするというと命賭けであります。いかに立派な國家的の施策であると言いましても、なかなかこの馘の問題になると容易ではないのであります。特に生産協議会という項目を設けて経営参加ということまで仰せになつておりながら、さような問題を忽せにして、事実上協議にも掛けることのできないような、又それを掛ければ紛糾問題を起すような状態にあつたのでは、この生産協議会というものをお設けになつても甚だ増炭になるところじやない、能率を上げるどころじやないというような結果に考えられまするので、実際の事態にはさような場合にはせにやならんということが起ると私は考えるのでありますが、それらについても御同感でありますかどうか、同感ならばどういうふうの方法によつて、國家管理に移つた炭鉱の整理をなさる方法をお見付けになりますか、それを一つ伺いたいのであります。
#596
○國務大臣(水谷長三郎君) その点に関しましては、先に私が申しました今度の炭鉱に関する臨時金融方針をお読み下さいますれば、大体御了解が願えると思う次第であります。
#597
○田村文吉君 先刻もお話がありましたように、これは独り炭鉱だけでありませんで、第一そんな赤字を出しておるところには如何に政府がお勧めになりましても、苟しくも経済の原理を知つてる銀行ならば金を貸しません。それはよく分つております。分つておりますが、どうしても整理をせにやならんとお考えになつておりますかどうか、これを先ず伺つて、整理しないでもいいのだ、仮に自分の考えておる三千三百万トン或いは明後年の三千六百万トンになつた場合でも、今の人員で行かざるを得ないのだ、こういうふうにお考えになつておりますかどうか。又それを整理するとしたならば、折角かような民主的だとおつしやり、又國家の管理にするのだとこの法律をお作りになる場合に、そういうことが考えられないでおる法典というものは、私ども合点が参りませんので、その点を一つ大臣のはつきりした……。
#598
○國務大臣(水谷長三郎君) その点は私が言明するよりも、政府の閣議決定の臨時炭鉱融資方針の決定にはつきり書いてあります。
#599
○田村文吉君 私は閣議決定を不幸にして熟読いたしておりませんから、又眼光紙背に徹するまで行つておりませんから私は簡單の問題をお伺いするのでありますが、大臣は能率を増進せなければならん、合理化せなければならんと仰せになつておりますが、当然に整理が行われるものと、行われなければならんものとお考えになつておりますかどうか、若し閣議決定にありましたら、その点はつきりと私に知らして頂きたい。
#600
○國務大臣(水谷長三郎君) その点も何遍もお答えいたしたように、日本の産業界は如何なる産業と雖も、経営の合理化はしなくちやならんということは当り前でございます。
#601
○田村文吉君 如何でございましようか、私は産業の合理化をせなければならん、産業合理化を……今こんな趣旨になつておりますと、こう申されるのでありますから、その結論はおのずから私ははつきりしておると思うのでありますが、大臣にはそれをおやりになる御勇氣がおありにならないのでありましようか。
#602
○國務大臣(水谷長三郎君) 大臣に勇氣がないどころか、内閣にその決心があるからちやんと方針で決つております。
#603
○田村文吉君 そういたしますると、内閣に御決心がおありになるということは、ひとり炭鉱だけじやないので、経営の合理化をやつて行くためには、さような冗漫なと申しましようか、多くの從業員を置くことが無駄であると考える場合には整理をすると、こういうふうに解釈をさして頂いてよろしうございますか。
#604
○國務大臣(水谷長三郎君) 如何なる産業と申しました中には、勿論炭鉱も含まれております。
#605
○佐々木良作君 今の田村さんの御質問に関連して、非常に細かいことでありますが、先程の二十九條の「前項の從業者には、指定炭鉱の事業主の利益を代表すると認められる者を含まない。」という、この「利益を代表すると認められる者」ということについての解釈が、何かごたごたしておるように今の答弁で私は受取つたのであります。一般にこのような書き方をしておる場合には、当然に「利益を代表すると認められる者」は、法律解釈で一般に社会通念上利益を代表する者と認められるものであつて、特定の人が、例えば商工大臣が認めるか、認めないかということとは直接に私は関連しないと思うのであります。これは当然に普通の解釈ではそうなるのであつて、そういう社会通念を構成する場合に、それならばどこが一番中心点になるかというと、直接にこれと関連を持つて來る場合においては、当然にその前の用語を受けて從業者、労働組合を構成しておる場合には労働組合が中心になる。又労働組合を構成しない場合には過半数で以て云々というものがありますから、当然第一義的にはこれはこの関係從業者が先ず認定する。そこで特にこの條項が設けてあるのは、特別にその從業者が、或いは労働組合が非常に……一般の言葉で言えば御用組合的なものである。非常に労働者のために工合が惡いというような場合には、特にこの規定が動く。上からと言いますか、労働組合に直接関係していないもの、こういうものが認められる場合である。そういう場合は特別の場合であつて、一般にはこれは当然に労働組合なり、労働者なりがこういう管理をするものだと私は考えるのですが、そういう解釈で間違ないかどうか、その場合に特に附け加えたいことは、労働組合法の解釈の場合に、労働組合を組織する労働者の範囲というものが問題になつて、その時の論と言いますか、或はその場合の法律解釈と言いますか、これを一定の基準で以て、例えばどの会社でも、解釈によつて課長の権限が区々であつて、労働者であるものもあり、労働者でないものもある。そのような場合に一定の、例えば課長以上は労働組合に入つてはならない。労働組合以外の労働者でないとか、あるとかいう判断を付けられかかつて、或いは各府縣の労働管理をやつておる個所でそういう解釈をやりかけて非常にごたごたしたことがありまして、相当ごたごたしたが、結局それは労働組合の自主性に任せるということになつたのであります。そういうふうに私は大体解釈してよろしいと思つておりますが、これを施行するに当つて今のように一定の基準をずぼつと設けるつもりが、或いはずぼつと設けるつもりじやなくして、すべてこの場合は商工大臣が認定して決めるという恰好の運用になるのですか、その点を承わりたいと思います。
#606
○政府委員(平井富三郎君) これは先程申上げましたように、利益を代表すると認められる者というのは、客観的に認められる者というふうに御説明申上げたわけであります。その際先ず第一義的に解釈いたしますものは、勿論炭鉱の從業者であり、或いは又炭鉱管理者であり、その関係当事者が解釈いたしますが、これにつきまして紛議ができる、解釈につきまして意見の対立ができたというような場合に、その意見をどういうふうにして調整して行くか、こういう問題が先程田村さんの御質問の点だろうと思うのです。その場合に当事者において意見が一致すれば、それで大体片附くんでありますが、紛議が生じました場合に、この法律の施行は商工大臣が総括的な責任を持つておるわけであります。從いまして商工大臣としてこれをどういう方針でその紛議を処理して行くか、こういう問題になるのであります。この問題の実体は労働組合に関することであり、労働組合法の精神に從つて処理すべきものであると考えられますので、労働委員会、中労委その他地方労働委員会の意見を尊重いたしまして、この紛議を解決して行く。こういう方針を以つて商工大臣が処理して行くべきものであるというふうに考えて御答弁申上げた次第であります。
#607
○佐々木良作君 そうしますと、私二番目か三番目に質問したのですが、これを施行するに当つて特に具体的に基準を設けて、どの炭鉱にも一律に、例えば課長以上はこの利益を代表する者と認めるとか認めないとかいう、そういう措置は取られないと考えてよろしいと思いますが、同時に一つのこの炭鉱においては課長は利益を代表する者と認められないという範疇に入つておる場合もあれば、又この炭鉱についてはこの利益を代表する者という範疇に入つておる場合もある。こういうふうな場合は当然出て來ると思うのでありますが、そういう彈力性があるように解してもいいのかどうか。
#608
○政府委員(平井富三郎君) これの運用につきまして、課長以上は利益を代表すると認めるというような一律的な解釈を商工大臣が下す意思はございません。今申上げましたように、それぞれの労働関係の機関の意見というものを尊重して行きたい。從つて現在各炭鉱にできております労働組合がいわゆる適法に組織されておるという認定の下に運用されておりますれば、その解釈をそのまま取つて行くというように考えております。
#609
○佐々木良作君 大体それで了解したわけですが、特に御注意申し上げたいのは、労働組合がまだ未成熟な段階であればある程、むしろ本來ならば労働組合を育成するような立場からこの規定はあるに拘わらず、從來運用せられて、むしろ労働組合を非常に弱めるような恰好に使われた例があるからして、特に御質問申上げて、施行に当つては十分に注意して欲しいという希望を申上げて置きます。
#610
○田村文吉君 丁度連続質問の途中で打切られましたので、引続いてお伺いいたします。前にお尋ねいたしまして明瞭を欠いておりますので、政府委員にお尋ねいたしたいのでありまするが、「石炭局長の裁定」という文字はこの前にちよつとお尋ねしたのでありまするが、裁定は最終でありましようか、どうでありましようか。その点を……。
#611
○政府委員(平井富三郎君) 裁定はこの際生産協議会の意思の決定がありません場合に、その生産協議会に代りまして石炭局長がその意思を決定するという方法でありまして、最終の決定である。かように考えております。
#612
○田村文吉君 その裁定に服しなかつた場合にはどのようなことになりますか。
#613
○政府委員(平井富三郎君) 生産協議会において議が纏つた場合にそれに違反したと同じような場合であると考えております。
#614
○田村文吉君 その場合を伺つておるのでありますが、その場合に、仮に事業主は裁定に服した、労働組合が裁定に服しなかつた。かような場合にはどういうふうになりますか。
#615
○政府委員(平井富三郎君) これは労働組合を構成する委員、炭鉱管理者の選任する経営者側の委員というものが生産協議会において協議をいたしまして、そこで決定いたしましたことは、労資双方を拘束するというふうに考えておる次第でありますので、團体協約を締結いたしまして、それに違反したという場合と同樣の効果、効果と申しますか、同樣の取扱いをいたすことが適当であろうと考えます。
#616
○田村文吉君 労働組合法或いは基準法において決定されて、その法律に違反した場合の條項は、それぞれのその法律によつて決められておるのでありまするが、これはその点については労働組合法、労働基準法を離れた一つの立法として各條をお決めになつておるのでありますからして、若しその場合に裁定に服しなかつた場合にはどうするかということがはつきりとしておらなければならんかと考えております。
#617
○政府委員(平井富三郎君) 労資双方が全員一致で裁定に服するという意思を表示した場合におきまして、労働條件につきまして裁定を受けるわけでありますので、その場合に裁定がありました場合には、それが最終的の効果を当然生ずる。つまり生産協議会におきまして労働條件につきまして意見の合致があつたという場合におきましては、その労働賃金に関する労資の間の取極めができたものという解釈を、この法律の当然の解釈として取るわけであります。
#618
○田村文吉君 私の伺いますのは、その裁定は、労資双方で裁定に持ち出そうじやないかということで合意してやつた場合、或いはそうでない場合に裁定を下される場合もあるのでありますか、その場合に裁定にお委せすると言つたけれども、そんな條件で裁定されたのでは甚だ我々は不満足であるということで、その裁定に服しない場合には、過去において裁定というものはありませんけれども、中労委の仲裁とか、随分裁定に近いような強い力を持つたもので決定されましても、事実はそれに從わない場合が相当多いのであります。從いましてさようの場合にこれを決定する。從わなかつた場合にはどうするかということが、本法に決めてなければならんと考えるのでありますが、それに対してのお考えを伺う。若しなくても済むならば、どうしてその問題を処理なさいますか、それを一つ伺いたい。
#619
○政府委員(平井富三郎君) 生産協議会において、労働條件につきまして、両者の委員の意見が合致いたしたという場合におきましては、これが労資双方を拘束するものと、これは生産協議会の目的、性格、この法律の書き方から、それが決定されているものと解釈しております。意見が一致しません場合に、労資双方が、石炭局長の裁定に一任するということにつきまして、全員の同意がありまして、石炭局長の裁定を求めたのでありますから、その場合の石炭局長の裁定というものは、生産協議会において、意見が一致した。つまり生産協議会の意思を石炭局長が決定したということになるのでありまして、裁定という法律行爲、行政行爲の内容は、要するに生産協議会の意思決定をいたしたということでありますので、労資双方共その條件につきまして、合意を見たという場合と同樣の法律効果を持つて行く。かように考えておる次第であります。
#620
○田村文吉君 今伺いますのは、それに服從しないで、例えば協議会決定を経営者もしない。或いは労働者もしない。どつちかしなかつたという場合に、経営者が從わなかつた場合には、それぞれの命令に從つて動かないということで縛り得るのでありますが、労働組合がしなかつた場合にはどうなるかということをお伺いするのでありまして、どうか質問の要点をはつきりとお答え願いたい。
#621
○政府委員(平井富三郎君) 労資双方の意思決定によつて決まるという協約に違反したと同じ効果でありまして、民法上の債務不履行の問題が起るものと考えております。
#622
○田村文吉君 或いは民法上の不履行、或いはこの上に、民法上の訴を起すことはできるとお考えになつておりますか。
#623
○政府委員(平井富三郎君) 損害賠償の訴を起すことができると思います。
#624
○田村文吉君 凡そかような石炭の増産のために、一刻も猶予すべからずとしてお出しになる法律に、一方の経営者側に対しては、それぞれの重い体刑までが附けられた罰則が附いておるのでありますが、一方の労働組合においては、これが服從しなくても、何らの刑罰がないと、民法上の損害賠償だけにしていいということでは、余りに頼りない感じがいたすのでありますが、それでよろしいとお考えになつておりますか。
#625
○政府委員(平井富三郎君) 生産協議会において、労働條件につきまして、労資同数の者が出まして、協議をいたしまして、それが纏まつたと同じ効果を持つことになるのでありまして、裁定ということは、命令でも指示でもありませんので、生産協議会における労資双方の意見が合致いたしません場合に、裁定という行爲によつて、意思が決定したということでありまして、言い換えれば、労資がそれに意見の一致を見たということでありまして、これは労資双方のいわゆる契約に属するものであり、その処理、法律効果も、その限界に限定されるのが当然であろうかと考えるのであります。但しこういう生産協議会におきまして、意見が纏まつたこと、或いは又裁定によつて意見の一致を見たと同一の法律効果が生じまする場合におきまして、それに労働組合が違反して尚ストライキをやるとかいうようなことをいたしますと、労働組合として非常な不利益を受けるわけでありまして、そういうことは運用上に先ず考えられないと思いますし、又経営者がこの裁定に反したような行爲をやりました場合もやはり同樣でありまして、いわゆる民法上の債務不履行の訴を起すという程度のことであろうかと思います。
#626
○田村文吉君 服從の義務はあるとお考えになるのでありますか。
#627
○政府委員(平井富三郎君) 労働條件に関する労資双方のことは、いわゆる契約関係でありまして、契約に基いてそれに服從する義務があると考えます。
#628
○田村文吉君 裁定を石炭局長が下す限りにおいては、これは強制し得ると考えておるものでないのでありますか。
#629
○政府委員(平井富三郎君) 裁定は命令でも指示でもありません。いわゆる生産協議会の意思を決定する。言葉を換えて言いますれば、合意のあつたと同じ効果が出るわけでありまして、裁定自体は命令でもございませんし、指示でもございません。
#630
○田村文吉君 その問題は余り私は法律に明るくありませんから、何れ專門の方から又代つて一つはつきりとして頂くことといたしまして、次の問題をお尋ねいたしたいと思います。先刻どなたの御質問でありましたか、生産協議会の議長になる炭鉱管理者は決議権がない。決議に加わることができないというわけでありますが、意見を述べてやることは一向差支ないのでありますか。
#631
○政府委員(平井富三郎君) 議長でございまして、生産協議会の議長といたしまして、意見を述べて行くことは差支ないと思います。
#632
○田村文吉君 ではさように解釈いたします。もう一つ簡單な問題をお伺いいたしますが、先刻中川委員から御質問の出ておりました二人以上でありますと、場合によると、労働組合側だけが二人しか出ておらん。かような場合も起り得るのでありまするが、同数にするということが絶対に必要の條件でないかと考えるのでありますが、先刻中川委員の御質問に対して、必らずしもそうでなくてもよいというような御答弁であつたかと考えまするが、労働委員会の運営等におきましても、五名づつありまするが、必ず両方が三名づつでなければいかんというような運営方法になつておるのでありまするが、これは両方が同数でなくても運営ができるとお考えになつておりまするか。
#633
○政府委員(平井富三郎君) 生産協議会の議事は業務計画その他労働條件に関係しない事項につきましては、これは必ずしも労資同数でなくてもよい場合が相当多いと思います。労働條件に関する問題につきましては、運用上両者の委員もやはり同数出てこれを行なつて行くことが望ましい。又実際上も労資両方とも同数の委員を出して、全員が出席するというように考えられる次第であります。ただ從前のものにおきましては、これを労資一対一という議決の採り方もあるわけでありますが、先程中川委員の御質問にお答え申上げましたような意味で、生産協議会全般の議事の取り方としても過半数が適当であろう。こういうことで過半数主義によつたわけであります。ここで代理者を削りました意味は、代理者ということで、その場その場で勝手な代理人を選んで來る。或いは又甚しきはその職場の從業者でないものを代理人として選ぶというような虞があるということが、衆議院におきましてこの代理人を削除した意味であると思いますが、これは先程大臣がお答えしましたように、若しそういう労資同数どうしても出なければならんというような場合におきまして、どうしても欠けるという場合に対処いはしますためには、この三十六條の「生産協議会に関し、必要な事項は、生産協議会の議を経て、炭鉱管理者が、これを定める」ということで、一種の補欠委員と申しますか、代理者ではございませんが、どうしても欠けた場合に補欠的な委員を出席せしむることができるというような事項を生産協議会の運用として考えることも一つの方法かと考えておるわけであります。
#634
○田村文吉君 この生産協議会は管理者の必要と認めたときに招集するということになつておつたかと思いますが、労働組合側の方、或いは労働者側の方から提案して、この会議の招集を望むことができるのでありますか、できないのでありますか。
#635
○政府委員(平井富三郎君) これは「生産協議会は、議長がこれを招集し」、とこうございますので、会議は議長が招集いたすのでありますが、招集いたしますために或いは議長の必要と認むるときは招集し、或いは労働委員が必要と認めてこれを要求した場合これを招集する、或いは労務員側から必要と認めた場合に招集するというような事項は只今の三十六條の規定によりまして、生産協議会運営規定と申しますか、運営要領というものを生産協議会の議を経てこれを決定して、それによつて運営して行くというように考えております。
#636
○田村文吉君 了承いたしました。最後に大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、生産協議会において、大臣の御持論である労働者の経営参加ということによつて労働意欲を増進させる。この根幹をなすものは生産協議会でありまして、そこでいわゆる私共は学問的のことは分りませんが、権利の伴うところに必ず義務責任がなければならん。こう私は考えるのでありまするが、ただ生産協議会によつて経営権の参加をさせる、或いは炭鉱管理者を彈劾する、或いは経営の内容を追及する、或いは労働條件について、これが決定を迫るというようなことで、経営参加をお認めになるはよろしいが、今日の石炭が出ない出ないということはいろいろ原因もありましよう。併し最も大きな問題は労働の秩序がはつきりとして來ない。かような状態に今日は相成つておりますることを最もよく証拠立てるものは、今度の調査團が北海道へ行かれまして、実例を以て示されておるのであります。事のよいとか惡いとかいうことは別問題でありまするが、それは事実であります。然るに一方においてただ経営の参加というようなことで、実はみずから自分の首を括ることになるかどうか存じませんけれども、さようなことで、一方で経営参加をお許しになるはよいが、一方に責任を負う義務を感ずる、こういうようなことをこの生産協議会の條章の中に入れることが正しいのではないかという見解も、多いというよりは、むしろ私は自然に考えられる理論であると思うのでありますが、大臣はこのことについてどうお考えになりますか。動もすればいわゆる口先ばかりの民主主義で、権利だけを要求して義務責任を忘れること、これが今日の日本の再建を阻んでおる、再建を遅らしておる誠に憂慮すべき状態でありますのに、ただ惡い言葉で申しますると、ただ徒らに媚態を呈するということで、生産が増加するというふうに私は考えないのであります。この点について私は大臣に本当に心からのお心持を伺いたいのであります。
#637
○國務大臣(水谷長三郎君) 生産協議会によりまして労働意欲を振興さすことができるかどうかということは、これは非常に重要な問題であると思います。例えば名刀正宗も持つ人によりましていろいろの作用が起ることは、これは言うまでもありません。生産協議会というものが惡用される場合と、善用される場合と明暗二つの面のあることは、これは何事によらずはつきりしておる点であると思います。從いまして我々はこの生産協議会というものを、田村さんの御指摘のような労働組合に媚態を呈するというようなことで、我々はこの生産協議会というものを何したのではございませんので、終戰以來、労働組合法ができまして以來、あらゆる産業におきましては経営協議会という形体が採られまして、労働者が、片山総理も云われましたように、單に労働力を賣つて、そうして賃金を貰うという立場だけでなしに、経営に或る程度参加いたしまして、その事業の内容というものを或る程度知つて、そうしてお互に資本家と共に苦しみ、資本家と共に樂しむというところへ、労働者をレベルアップをして行くということが本当に産業民主化であり、勤労意欲の高進であるということを、私は信じたいと思う次第であります。そういう点に関しまして、我々はこれまで労働組合法の下に行われておりますところの経営協議会をば、それをばややともすれば経営協議会が分配に重点を置く態度を是正いたしまして、生産に重きを置くという意味におきまして、生産協議会というものをやつたような次第であります。勿論この生産協議会におきましても山々によつてその効用は違うと思います。即ち労働組合の健全に発達しておるところの山における生産協議会、更に又労働組合がうまく行つておらない山におけるところの生産協議会、名は生産協議会で同じでありますが、活用される面においてはこれは違つて來ると思います。併しながらそれらも労働組合の自己反省並びに政府の労働組合の指導よろしきを得ますならば、それは十分にその目的を達することができると思うのでございます。要するところ我々がこの生産協議会というものを作る所以は、できるだけストライキというようなものを避けまして、労働者は経営者の立場を認め、経営者は労働者の立場を認めて、相協力して生産を増強する。その一つの一番大きな途は生産協議会であるという工合に考えております。田村さんの御説のように若しこの生産協議会を外すならば、労働者は資本家に対する主張或いは訴え、爭いは如何なる手段によつて行うかと言えば、それは直ぐにストライキになるより途はない。ストライキを選ばれるか、或いは生産協議会を選ばれるか、二者何れを選ばれるかということになるならば、万人の中万人までがやはり生産協議会によつて生産増強をやつて行くという途を選ぶのが当然であろうと思います。私の生産協議会に関しまする大体の考え方は、以上のような点でございますので御了承願います。
#638
○田村文吉君 私は先申上げたことで、大変私のために時間を費して頂きましたので相済まんと考えまして、打切りにいたしたかつたのでございますが、私のお尋ねしたことに対する大臣の御所信と、お答え下されたことが幾らかちぐはぐになつておりますので、もう一度お許しを頂きたいのであります。
 只今お話のありました無論三位一体で事業というものが滑らかに運営して、石炭も余計出るということは間違のないことである。でありまするが、ただ私のお尋ねしたいことは、権利を與えるはいいが、やはり義務というものをお考えにならないでいいものであるか、責任というものをお取りにならんでよろしいのか、仄かに承わりますところによりますると、商工省の原案には、この点について、もう少しはつきりした原案があつたように伺つておつたのでありますが、私は、そこまで一歩進んで、生産の増強のために、経営に参加させるというならば、一方においてよくないものがある場合には、これはあくまでも断々乎として行く。今度のマ司令部から寄越されました書面の通りであります。でありまするから、そういうことをお考えにならないでいらつしやるかどうかということをお尋ねしたのであります。
#639
○國務大臣(水谷長三郎君) その点私は、法的常識といたしまして、権利のあるところ義務があり、義務のあるところ権利がありまして、権利といい義務といい、別の言葉を以て言い現わしておりますが、それは表裏一体、二者一体のものであります。從つて権利のあるところには必ず義務があるというあなたの御説には同感です。
#640
○委員長(稻垣平太郎君) 大分時間も過ぎましたので、本日はこれで散会いたしたいと存じます。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#641
○委員長(稻垣平太郎君) 明日は、今朝と同じに、九時半きつかりにお集まりを願います。
   午後十時三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     稻垣平太郎君
   理事
           下條 恭兵君
           小林 英三君
           川上 嘉市君
           中川 以良君
   委員
           大畠農夫雄君
           カニエ邦彦君
           村尾 重雄君
           濱田 寅藏君
           荒井 八郎君
           大屋 晋三君
           寺尾  豊君
           平岡 市三君
           堀  末治君
          池田七郎兵衞君
           入交 太藏君
           岩木 哲夫君
           林屋亀次郎君
          深川榮左衞門君
           楠見 義男君
           佐伯卯四郎君
           宿谷 榮一君
           玉置吉之丞君
           田村 文吉君
           藤井 丙午君
           帆足  計君
           細川 嘉六君
           佐々木良作君
  國務大臣
   商 工 大 臣 水谷長三郎君
  政府委員
   法制局長官   佐藤 達夫君
   石炭廳次長   吉田悌二郎君
   商工事務官
   (石炭廳管理局
   長)      平井富三郎君
ソース: 国立国会図書館
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