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1947/12/08 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第29号
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1947/12/08 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第29号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第29号
  付託事件
○石炭生産確保に關する陳情(第二十
 一號)
○自轉車の價格改訂に關する陳情(第
 三十四號)
○石炭増産運動に關する陳情(第四十
 四號)
○炭鑛國家管理反對に關する陳情(第
 百七號)
○炭鑛國家管理に關する陳情(第百四
 十四號)
○炭鑛國家管理反對に關する陳情(第
 百八十三號)
○石炭政策審議會設置に關する陳情
 (第百九十五號)
○炭鑛國家管理反對に關する陳情(第
 二百四十九號)
○炭鑛國家管理反對に關する陳情(第
 二百五十六號)
○臨時石炭鑛業管理法案(内閣提出、
 衆議院送付)
○亞炭増産に關する請願(第二百七十
 一號)
○配炭公團を即時廢止することに關す
 る請願(第二百八十四號)
○石炭生産損出補償金支拂促進に關す
 る陳情(第三百七十九號)
○配炭公團法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○亞炭増産に關する陳情(第四百六
 號)
○釜石製鐵所銑鋼一貫作業再開促進に
 關する請願(第三百七十九號)
○生産合作社法制定に關する陳情(第
 四百四十七號)
○炭鑛國家管理反對に關する陳情(第
 四百八十號)
○東北地方銑鋼業振興に關する請願
 (第四百二十四號)
○炭鑛國家管理反對に關する陳情(第
 五百六十四號)
○炭鑛民主化に關する陳情(第五百七
 十九號)
○製鹽用燃料割当に關する請願(第五
 百五十二號)
○野鍛冶業用燃料増配に關する請願
 (第五百六十一號)
○釜石製鐵所銑鋼一貫作業再開促進に
 關する請願(第五百七十三號)
○北海道における家庭越冬用燃料の價
 格に關する陳情(第六百三號)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十二月八日(月曜日)
   午前十時十三分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○臨時石炭鑛業管理法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(稻垣平太郎君) これより本日の委員會を開會いたします。委員長は、昨日理事諸君と、今日の議事についてお打合せをいたしたのでありますが、その打合會の申合事項を御報告申上げまして、御了解をお願いいたしたいと存ずる次第であります。
 先ず修正の動議についてであります。御了知のごとく、委員會における修正の動議は、討論の段階で述べられるのでありまするが、やはりこれも動議でありまするから、本院規則第九十條を準用いたしまして、修正の動議も一名の贊成者を待つて議題とするということであります。從つて修正案の提出者は、修正動議を提出し、それが成立して議題となつた後に、修正趣旨について御發言を願うようにいたしたいのであります。
 次に討論でありまするが、討論の同一議題については一人一囘といたしまして、その時間につきましては、本委員會の報告を午後の大體三時に豫定いたしておるのでありますが、その本會議に上程いたし得るように、各自できるだけ時間の短縮を願いたいと存ずるのであります。
 第三に表決につきましては、本院規則第百三十五條を準用いたしまして、委員長が表決に入る旨を宣告いたしました際、現に委員室におられる委員のみが、これを行ない得ることということにいたしたいのであります。
 尚議事の整理上、暫時休憩をいたしたいと存ずるのでありますが、修正案提出の御希望は、その間に委員長の手許まで御提出をお願いいたしたいのであります。その他討論の御希望者は、これは全體の討論の場合も、又修正案に對する討論の場合も、やはりこの間に委員長まで討論者の御氏名を御通告を願いたいと存ずるのであります。
 以上は昨日委員長、理事打合會で申合せた事項でございまするが、只今申述べましたように取計らうことにつきまして、如何でございましようか、御異議はございませんでしようか。
#3
○佐々木良作君 これは修正動議に一名の贊成者が要るというのは、どういうわけですか。これまでの委員會では、そういうことは大體なかつたと思いますが……。
#4
○委員長(稻垣平太郎君) 委員部長から説明いたさせます。
#5
○參事(河野義克君) それでは御命令によりまして、法規の關係について御説明を申上げます。
 參議院規則の九十條に、「國會法及びこの規則において特に定めた場合を除き、すべて動議は一人以上の贊成を待つて議題とする」とございます。それで例えば本會議における修正の動議に、二十人以上という特別の規定がある以外の動議、休憩しようという動議、或いは散會をしようという動議、そういつたものは、すべて一人以上の贊成者が必要であります。それで委員會におきましては、本會議の二十人以上の贊成が必要であるという規定は、委員數からいつて、その適用がないことは明瞭であると存じます。從つて委員會におきまする修正動議につきましては、この九十條を準用いたしまして、一人以上の贊成があることを待つて議題とするという取扱いと、それから從來慣例といたしまして、委員會におけるフリー・トーキングと申しますか、自由審議の建前を尊重いたしまして、必らずしも一人の贊成がなくても、直ちに修正動議として成立せしめるような取計らいもあつたのであります。法規的に第九十條を準用すべしということが考えられるのでありまするが、先例としては、佐々木委員御指摘の通り、必らずしも確立しておらなかつたのでありまして、それでいずれの方法によるべきかということについて、大事なことでありまするから、昨日委員長、理事のお申合せによりまして研究されました結果、第九十條を準用して、一名の贊成を待つて議題とすることが然るべきこであると決められまして、その決められた事項を、只今委員長からこの委員會に諮られておるわけであります。
#6
○佐々木良作君 今の取決めは、一般的な、例えば議院運營委員會その他を中心としての、委員會の運用の一般的な話ですか。それともこの鑛工業委員會の今日の問題だけに特定されたことですか。
#7
○委員長(稻垣平太郎君) 昨日の理事、委員長の打合會におきましては、とにかく本日の議題が非常に重要視されておる關係上、愼重に皆樣と御協議申上げた結果、今日の委員會における取計らいといたしましては、先程申上げたような打合せをいたしましたわけであります。從つて、これを全般に及ぼすか及ぼさんかということは、我々が考えておるわけでもありません。これは又佐々木委員の仰しやるように、或いは議院運營委員會なんかに、この點の解釋をはつきりさして貰うことが將來必要であると考えます。併し今日の議事の進行の上につきましては、そういつた取計らいをいたしたいと、かように打合せをいたしまして、皆樣にお諮りしておるわけでございます。
#8
○佐々木良作君 そうすると、こういうふうに考えてよろしうございますか。修正動議に一名以上の賛成者を得るということは、この委員會の運用上、今日に限つてこの委員會で今の一名以上を必要とするということが決定されたならばそれに從う。從つて一般のことではなくして、ここの委員會の決定によつてこういうふうに今の九十條を引用してやろう、こういうことと考えてよろしうございますか。
#9
○委員長(稻垣平太郎君) 只今佐々木委員の仰しやる通りであります。さように考へております。如何でございましようか。
#10
○帆足計君 議事の運營につきまして一言お尋ねを申上げます。修正案と申しますものは私初めての經驗でお尋ねするわけですが、修正案が多數の賛成を得ましたらその修正案を含めての原案は同時に多數の賛成ということになるわけでありますか。
#11
○参事(河野義克君) それは修正案は一應討論の段階で提出されます。賛成がありますとそれが議題として成立します。そして修正案の動議提出者が修正案の趣旨について辯明いたします。次いで討論の段階が終りまして、採決に入りましたときに、委員長は原案に先立つて修正案を採決いたします。修正案が若し可決されますならば、その條文についての修正案が可決されますから、その部分を除いた原案全部について委員長が採決をされるわけであります。從つてその修正案が可決された部分とそれから修正案以外の原案が若し可決されるならば、それが一つの法律案になるわけであります。
#12
○帆足計君 それじやちよつとお尋ねしますが、修正案だけ賛成しまして、殘つた原案に反對することも可能でありますか。
#13
○参事(河野義克君) 昨日の委員長、理事の打合會でもそういうことが考えられたのでありますが、會議の實際としてはそういう虞れはないことはないのであります。併しながら私は純然たる事務的のことを申しておるのでありますから、そのおつもりでお聞き願いたいのですが、修正案を可決されると言いますことは、原案には大體において賛成だ。併しこの點を修正して貰わなければ困るということで修正案を可決されるのでありますから、修正案に多數の方が可決をなさいました背後には、その方々において大體原案には賛成だという意圖があるわけであります。從來の議會制度で言いますならば、第一議會から第二議會に移すことには賛成だという大體の氣持があつて、ただここだけは修正をしなければならない、こういう氣持でありまするから、そういう氣持を深く御理解がありまするならば、修正案だけの一條が通つて、後全部が否決されるということは本則としてはあり得ないことだと思つております。
#14
○帆足計君 もう一つお尋ねしますが、修正案に賛成いたしまして、賛成いたしましたけれども、その修正案は否決された、その修正案に賛成の一員が修正案を否決されたけれども、どうせ全體として見るときは賛成せねばならんというときは原案に、今度は逆に賛成ができますでしようか。
#15
○参事(河野義克君) 自分の考える修正案の必要性と、それから原案全體に對する自分の修正案の重要性がどの程度であるかという、その方の御判斷によることと思います。自分の修正案が通らなければ、この原案は通すべきでないと考えられる方は、自分の修正案が否決された場合には原案に反對なさるだろうと思います。自分は修正は飽くまでもやりたいけれども、すでに委員會が否決になつた場合には、原案を通すことが妥當だと考えられる方は原案に贊するだろうと思ます。
#16
○帆足計君 原案に贊成しても差支ないわけですね。その場合は……。
#17
○参事(河野義克君) そうです。
#18
○委員長(稻垣平太郎君) それでは他に御質疑はございませんければ、私が先程申上げました打合事項について御異議ございませんか。
#19
○委員長(稻垣平太郎君) それでは御異議ないものと認めます。
 次に休憩の時間についてお諮りをいたします。
#20
○中川以良君 只今より五十分休憩するの動議を提出します。
#21
○村尾重雄君 只今の中川委員の動議に贊成します。
#22
○委員長(稻垣平太郎君) それでは中川委員の動議に御贊成のようでありまするから、中川委員の動議に御異議ございませんか。
#23
○委員長(稻垣平太郎君) それでは御異議ないものと認めます。仍つて只今より五十分、十一時十五分に再開することにいたします。それでは一時休憩いたします。
   午前十時二十五分休憩
   ―――――・―――――
    午前十一時五十四分開會
#24
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより休憩前に引續き委員會を再開いたします。
 これより御通告のありました修正案發議者及びその他の討論者につき御發言を認めるのでありますが、議事の整理上、又理事諸君と協議をいたしました結果に從いまして、先ず修正案についての御發言を願い、次に原案全部に亙る討論をお願いたしたいと思うのでありまするが、御異議はございませんか。
#25
○委員長(稻垣平太郎君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。討論は議題に對する贊否を明らかにした意見を御陳述を願いたいと存じます。
 先ずお申出の順序に從いまして、細川君の發言を許します。細川君。
#26
○細川嘉六君 我が共産黨は、國管案に對して全般に亙つた修正案を提出いたします。
#27
○佐々木良作君 今の提出案の動議に贊成いたします。
#28
○委員長(稻垣平太郎君) それでは細川委員に修正の御趣旨を御陳述願います。
#29
○細川嘉六君 現在の我が國の危機というものは、歴史上には重大なものであります。腐敗した、そうして戰時中の專制主義から脱し切れない官僚、それから今日の石炭増産について最も必要な場合、この二ケ年間に亙つて全く増産する力のなかつたこの企業家、これら二つのものに任せておいては到底この危機は突破できません。それで今日必要なことは、思い切つた大改革をやらなければならないと考えます。それで國家の力によつて大規模な資本投下をやらなければならん。それから又世界的水準の、最新な最も進歩した科學技術を即刻全炭鑛に亙つて應用しなければならない。それから個々に錯綜しておるところの炭鑛主の鑛區というものを全體に亙り整理統合して、これを國營に移すべきである、と同時に又これは從來の官僚統制ではなしに、本當に勤勞者が總意總力を發揮できるようにさせる。即ち人民管理に移すべきである、修正案はこういう趣旨のものであります。それでこの修正案は相當長く記述されております。私がここに一々述べることはこの場合時間を費すことを惧れますので、これを代讀させることにしてはどうかと思うのであります。
#30
○委員長(稻垣平太郎君) 只今細川委員より修正案の代讀方を御希望があつたのでありまするが、それを代讀することに御異議ありませんか。
#31
○委員長(稻垣平太郎君) 御異議ないものと認めます。
 臨時石炭鑛業管理法案修正案
 法案の名稱を左の通り改める。
  石炭鑛業國營人民管理法案
 目次中左の通り改める。
 「臨時石炭鑛業、管理法目次」を「石炭鑛業國營人民管理法目次」と改め、「第一章總則」以下「附則」に至る用語を左の如く改める。
  「前文
  第一章 目的
  第二章 國營人民管理
  第三章 運營機關
  第四章 國營人民管理機關
  第五章 國營産業の經理
  第六章 罰則
    附 則」
 「第一章總則」を「第一章目的」と改め、左の前文を、その前に置く。
 「前文
 經濟危機は深化して止まるところを知らない。しかるに、石炭をはじめ鐵鋼、石油、電力、肥料などの重要産業は、獨占金融資本がその生産の七――八割までを握つており、さらにこれらの諸企業は、國家財政と國家金融との救濟なしには存續することができなくなつている。かように重要産業の私的經營は破産に頻し、事實上國家に隷屬している。言い換ればその私的所有に拘わらず、實質上國營化の客觀的前提條件を成熟せしめている。
 國營はもはや極めて自然であり、容易である。
 しかしながら、この國營が官僚統制の方式で行はれるならば、金融資本と結びついてフアシズムの體制の基礎を作り出す危險があるから、勞働組合を始めとする勤勞人民大衆の代表が人民の委任によつて經濟全般に關する監督乃至は決定權を握る人民管理の方式を採用し、全勤勞人民大衆の基本的權利を擁護するとともに中小企業の自由な發展を助成せねばならぬ。
 今やわれわれは、廢墟と化した祖國の再建が、なるかならぬかの岐路に立つている。この際フアシズムとの企てを粉碎し、國營人民管理の拔本的對策を即時實施することのみが、祖國日本の危機を突破し得る唯一の途である。われわれは、この法律により石炭鑛業の國營人民管理の實現を圖ると同時に左の各號に掲げる産業竝に金融機關についても亦同樣の國營人民管理を實現し、計畫的綜合的な運營を期するものである。
 一 鐵鋼、非鐵金屬、石油その他の重要鑛物の採掘又は精錬に關する事業
 二 發電、送電又は配電に關する事業
 三 鐵鋼、セメント又は肥料の製造に關する事業
 四 造船又は鐵道車輛の製造に關する事業
 五 紡績、製絲又はパルプ若しくは洋紙の製造に關する事業
 六 海運、鐵道、軌道小運送その他の運送に關する事業
 七 放送、郵便又は通信に關する事業
 八 鐵道、郵便、通信その他の産業で現に國營に屬するもの
 九 前八號に掲げるものの外、最高經濟會議が國營に移すことを必要と認める産業および指定する中小企業
 第一條を左の通り改める。
   この法律は別に定める重要産業國營人民管理法竝びに金融機關國營人民管理法と相まつてわが國經濟の急速な復興と人民生活の安定向上とを圖るため、石炭鑛業を國營に移し、人民管理のもとにこれを計畫的綜合的に運營すると共に左に掲げる事項の實現に資し、進んで社會主義を實現する基礎を作ることを目的をする。
  一 石炭鑛業についての資本家的經營と官僚統制との撤廢及び人民管理の確立、
  二 資本家的利潤に對する嚴重な制限と統制
  三 營業の祕密の廢止、經理公開價格の適正化
  四 資源、施設等の私的獨占の排除及び財閥の徹底的解體
  五 石炭鑛業竝びに重要産業の計畫的綜合的運營による産業復興の飛躍的促進
  六 隱退藏物資の徹底的摘發及び未利用資源の開發竝びにこれらの合理的作用
  七 石炭の必要産業部門への確實な配給
  八 必要材料の輸入促進及びその計畫的配分
  九 現有生産設備(賠償指定設備を含む)の完全操業
  十 能率向上又は生産増進のための機械化、建設、開發等の強力な促進
  十一 失業の絶滅及び完全就業の實現
  十二 勞働者の生活を保證する最低賃金制の確立
  十三 強制勞働からの勞働者の解放及び勞働力の維持培養に必要な勞働條件の徹底的改善
  十四 勞働時間の短縮及び適正な交替制採用
  十五 研究機關の強化擴充による技術の高度化及びその公開交流
  十六 財閥と官僚統制との壓迫からの中小炭鑛業の解放竝びにその自由な發展及び協同組合化
 第三條を削除する。(全文)
 「第二章 炭鑛の管理」を左の通り改める。
 「第二章 國營人民管理」
 第五條を左の通り改める。
   石炭鑛業管理委員會は所轄炭鑛毎に、毎年度の豫定事業計畫及び毎四半期の事業計畫を作成して地方石炭鑛業管理委員會(以下地管と稱す)に屆出でなければならない。
   豫定事業計畫又は事業計畫を變更した時も同樣である。
   地管はそれを直ちに全國石炭鑛業管理委員會(以上全管と稱する)に報告しなければならない。
   全管はそれを直ちに最高經濟會議に報告しなければならない。
   最高經濟會議、全管竝びに地管はそれぞれの議決によりそれぞれの下級機關の事業計畫の變更を命ずることができる。
 第六條を左の通り改める。
   産業省、石炭鑛業經營局、竝びに地方及び單位經營の運營機關はそれぞれ最高經濟會議、全管竝びに地管及び石炭鑛業管理委員會の議決又は決定竝びに監督に從い事業計畫の實施の責に任ずる。
 第七條を左の通り改める。
   産業省、石炭鑛業經營局、竝びに地方及び單位經營の運營機關はそれぞれ對應する管理機關に對し事業計畫の實施状況を毎月一日以上定期時に報告しなければならない。
 第八條を左の通り改める。
   最高經濟會議、全管、地管竝びにその他の下級管理機關はそれぞれ對應する經營機關の業務の状況に關し必要な報告をさせ又は當該の管理機關員にその事務所、事業場その他の場所に臨檢し、業務の状況若しくは帳簿書類、設備その他の物件を檢査させることができる。
   前項の規定により當該の管理機關員をして臨檢檢査させる場合にはその身分を示す證票を携帶させなければならない。
   各級の經營機關は、その帳簿書類その他一切の記録を整然、且つ明確に記載し、それぞれ對應する管理機關の檢査をうけることができるように整備しなければならない。
 第九條を左の通り改める。
   この法律の規定による報告又は檢査に基き必要があると認めるときには、各級管理機關はそれぞれ對應する各級運營機關に對し、必要な命令をすることができる。
 第十條を削除 (全文)
 第十一條を削除 (全文)
 第十二條を左の通り改める。
   石炭鑛業の各企業は原則として全部を國管に移すが、最高經濟會議の指定する中小企業は國營から除外する。
   國營に移すべき企業の事業主及び經營者は最高經濟會議の定めるところによりその所有又は占有に屬する企業に關する施設および鑛區の全部又は一部を國に貸與しなければならない。
   前項の規定による施設および鑛區の使用料は石炭鑛業經營當局に對應する管理委員會が最高經濟會議の定める方針に基いて適正に定めるものとする。
   前項の規定により使用料が定められたときには、國は最高經濟會議の定める期間第二項の施設を賃借するものとする。
   國營に移すべき企業の事業主及び經營者は最高經濟會議の定めるところによりその所有又は占有に属する資材の全部又は一部を國に讓り渡し又は引き渡さなければならない。
   國は前項の資材の讓り渡し又は引き渡しを受けたときは關係者に對して正當な補償を支拂はなければならない。
   企業を國營に移すについては本法公希の日現在の事實を基礎とする。
   國營に移すべき企業の事業主及び經營者又はその關係者は企業を國營に移すについて妨害となる行爲をなし又は國營に移すべき施設若しくは資材を不當に損耗若しくは隱匿してはならない。
 「第三章 指定炭鑛の管理」を左の通り改める。
 「第三章 運營機關」
 「第一節 指定炭鑛の指定」を削除
 第十三條以下第二十一條までを削除(全文)
 「第三節 炭鑛管理者を削除」
 第二十二條以下第二十五條までを削除(全文)
 「第四節 生産協議會」を削除
 第二十六條以下第三十六條までを削除(全文)
 「第五節 雜則」を削除
 第三十七條及び第三十八條を削除
 「第四章 協力命令」を削除
 第三十九條を削除(全文)
 「第五章 損失の補償」を削除
 第四十條を削除する(全文)
 「第六章 石炭局」を削除
 第四十一條を左の通り改める。
   國營重要産業の運營を擔當するとともに、その關連産業竝びに國營石鑛業に關する行政事務に當る行政官廳として産業省を置く。
   産業省の中に各國營重要産業の區分に從い各産業經營局をおき、國營石炭鑛業に關しては石炭鑛業經營局をおく。
   地方及び單位經營には、それぞれそこ下級機關をおく。
   この法律で定めるものの外、産業者及び各産業經當局竝びにその管轄下の地方及び單位經營の機關について必要な事項は別に法律でこれを定める。
 第四十二條以下第四十九條まで削除
 「第七章 炭鑛管理委員會」を左の通り改める。
 「第四第 國營人民管理機關」
 第五十條を左の通り改める。
   重要産業竝びに石炭鑛業の國營人民管理機關として最高經濟會議をおきその統轄下に各國營産業別竝びに石炭鑛業管理委員會をおく。
   石炭鑛業竝びに重要産業の管理委員會は最高經濟會議の定めるところにより産業省及び各産業經營局竝びにその管轄下の各級機關に對應してそれぞれ設置する。
 第五十一條を左の通り改める。
   最高經濟會議は、人民の委任により、石炭鑛業はもちろん國民經濟全般に關する計畫及び政策の立案、政策の決定竝びにその執行の監視監督を行う人民管理の最高機關であつて、内閣に對し獨立の地位を有し、國會に對して責任を負う。
   最高經濟會議の議決は、内閣及び石炭鑛業をはじめ各國營重要産業の各般運營機關に對して、最高の拘束力を有する。
 第五十二條を左の通り改める。
   最高經濟會議の委員は、勞働組合、農民組織、中小企業者團體及び市民組織によつて選出された者の中から、國會がこれを指名する。
 第五十三條を左の通り改める。
   最高經濟會議の委員の任期は一年とする。
   担し、選出母體はその決議によつて任期中でも委員を他の者と交替させることができる。
 第五十四條を左の通り改める。
   各級の管理委員會は、それぞれこれに對應する運營機關が掌る範圍において、左の各號に揚げる事項を決定し且つその決定を執行する各機關を監視監督し、その能率考査を行う。
  一 復興、開發又は新規事業の計畫の調査及び立案
  二 生産計畫の大網竝びにこれと關連する勞務、資材竝びに資金に關する計畫の大網
  三 配給及び輸送に關する計畫の大網
  四 對應する各級運營機關の主要職員の任免その他人事に關する事項
  五 前四號に揚げるものの外、この法律の目的達成に必要な事項
   各級管理委員會の決定に對しては、それに對應する各級の運營機關は從わなければならない。
 第五十五條を左の通り改める。
   各級管理委員會の委員は、それぞれ所轄の當該産業の勞働組合、關連産業の勞働組合及び經營擔當者、農民組織竝びに市民組織によつて選出された者の中から、最高經濟會議がこれを指名する。
   各級管理委員會の委員の任期は一年とする。
   但し、その選出母體はその決議によつて任期中でも委員を他の者と交替させることができる。
 第五十六條、第五十七條を削除する。
 第五十八條を左の如く改める。
   この法律で定めるものの外、最高經濟會議及び各級管理委員會竝びにこれらの委員について必要な事項は、別に法律でこれを定める。
 新たに左の通り挿入し、二條を設ける。
 第五章 國營産業の經理
   國營産業の經理は、各産業毎に獨立採算制を原則として運營する。
   國營産業の會計監査は、各級の管理委員會が、これを行う。
 「第八章 罰則」を「第六章 罰則」と改める。
 第五十九條を左の通り改める。
   この法律の目的を達成するために、最高經濟會議又は各級管理委員會の議決は決定に基く命令又は處分に違反し、國營産業の運營に支障を與えたものは、これを十年以下の懲役に處し、その支障により生じた損害を償うに足りる罰金を併科することができる。第十二條の改正規定の第八項の規定に違反した者も又同じくする。
 第六十條を左の通り改める。
   法人の代表者又は法人若しくは人の代理人使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に關して前條の違反行爲をなしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に對して同條の罰金刑を科する。
 第六十一條、第六十二條を削除する。
 第六十三條を左の通り改める。
   この法律は公布の日からこれを施行する。
   但し、改正第三章又は改正第四章の規定は、それぞれ第五十八條の改正規定又は第四十一條の改正第四項の規定による別に定める法律の公布の日から施行する。
 第六十四條を削り新たに左の二條を設ける。
   經濟安定本部官制は第五十八條の改正規定による別に定める法律の公布の日に、これを廢止する。
   商工省官制、運輸省官制及び遞信省官制は第四十一條の改正第四項の規定による別に定める法律の公布の日から、これを廢止する。
#32
○委員長(稻垣平太郎君) 次に通告順により、帆足委員。
#33
○帆足計君 それではお手許に差上げてございます修正意見につきまして私の意見を申上げます。
 この臨時石炭鑛業管理法案は、幾多紆餘曲折を經まして本日の最終會議になりました次第でありまするが、私はこの法案が全體といたして秀逸であるとは申しません。併しながら運用よろしきを得まするならば、増産への一歩前進の效果はあると考えております。この法案に對しまして我々の持つておりまする實際的なる幾多の疑問の點、その他につきましては政府當局に詳細なる質問をいたし討議をいたし、そうしてそれらの缺陷の大部分は、施行規則竝びに今後の運營方法如何によつて補正され得るものと私は確信いたしております。この法案の眼目の一つでありまするところは、石炭増産に對しまする國家の支援協力を強化し、企業の生産責任體制を強化し、増産に邁進しようとする勤勞者の意思と責任が經營に反映される點におきまして、一つの特色があると存じます。同時に又第二には官僚統制の弊害を排除し、中央竝びに地方の管理委員會の運營を通じまして増産に邁進しようとしまする誠實なる經營者、勞働組合、關連産業竝びに消費者の意思が國の施策に十分に反映される増産の隘路を迅速強力に打開して行く點におきまして一つの特色があると存じます。從いまして本案の運營に當りましては強力に官僚統制の弊害を打破し、本委員會におきまして各委員が熱心に且つ眞劍に討議されましたる要點を運營の參考にいたし、全國民の要望でありますところの石炭増産の一點を念として運營されねばならんと確信いたします。然るが故にこの増産の一點に最も運營の根幹を集中する意味におきまして、私はこの法案の題名に臨時石炭増産、増産という一句を入れまして、同時に管理という言葉を生かしまして、増産管理法案という名に改めますことを皆樣にお諮りいたしたいのであります。
#34
○委員長(稻垣平太郎君) 次に通告順により中川君。
#35
○中川以良君 約十分の休憩の動議を提出いたします。議事進行です。
#36
○委員長(稻垣平太郎君) 帆足さんは進行ですか。
#37
○帆足計君 私は進行を希望いたします。
#38
○委員長(稻垣平太郎君) 今中川委員の十分ばかり休憩の動議がありましたが、これに御賛成の方の御起立を願います。
#39
○委員長(稻垣平太郎君) 多數と認めます。それでは十分間休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
   ―――――・―――――
   午後零時十五分開會
#40
○委員長(稻垣平太郎君) 再開いたします。御通告順により中川委員。
#41
○中川以良君 私は本法案の修正動議を提出をいたします。
#42
○委員長(稻垣平太郎君) 賛成がございましたから修正案の動議は成立いたしました。中川委員の發言を許します。
#43
○中川以良君 修正の箇所につきましては、只今お手許にプリントとして差上げておりますが、尚多少ミスプリント、その他字句を直しまする點がございますので、これから逐條につきまして私が讀みまして、その際に簡單に理由の御説明をさして頂きたいと存じます。
 最初に題名を「臨時石炭増産法案」に改める。これは本法案の根本精神は石炭増産第一主義というのでございまして、而も政府のしばしば言明にございます通り、特定のイデオロギーに捉わるるものでないということははつきり表現をさせまして、各方面におきまするところの誤解を一掃いたしたいと存じまして、かような題名に變更いたしました次第であります。
 次に第十三條第一項を次のように改める。「商工大臣は、前章の規定により石炭増産の目的を達成することのできない炭鑛については、全國炭鑛管理委員會に諮つて、」その次に「前章の規定によるの外、」この項を加えて頂きます。「前章の規定によるの外、この章の規定による管理を行うべき炭鑛(指定炭鑛)を指定する。」これは指定炭鑛の指定に際しましては、一應基準が設けられておりますが、その基準の適用に關しまして、確たる方途が言明されておりませんので、指定炭鑛は増産が十分に行つていない。炭鑛の經營がうまく行つてないというような山を特に指定をするということをはつきりといたさんがために、かような條項を附加えた次第であります。
 次は第二十三條中「所轄石炭局長の監督を受け」を削り、第二項として次の一項を加える。「指定炭鑛の從業者は、炭鑛管理者のする業務計畫の實施に對して、協力しなければならない。」これは第二十三條の「所轄石炭局長の監督を受け」ということは炭鑛の獨自性を十分に發揮いたしまするために削つたのでございます。
 次に加えました項目は、「從業者の奮起を促し心よりの協力を願わんため」かような項目を加えたのでございます。
 次は第二十四條の第三項として次の一項を加える。「前條の炭鑛管理者のする業務計畫の實施に對して、著しく協力しない從業者があるときは、事業主は、生産協議會を經て、これを解職することができる。」これは不良從業者がございました際に、生産協議會の議を經ましてこれを解職いたし、炭鑛の現場の明朗化を期せんがためにかく訂正いたしました次第でございます。
 次は第三十條でありますが、プリントにございませんから一つお書取りを願います。第三十條として次の一項を加える。「炭鑛管理者は、生産協議會の委員を選任する場合においては、同時に、前條の規定に準じて業務委員及び勞働委員について、それぞれ同數以下の豫備委員を選任しなければならない。豫備委員は、委員に事故がある場合に、その委員の職務を行う。豫備委員については、第三十條、第三十一條及び第三十三條の規定を準用する。」、これは原案によりますると、生産協議會の委員は一人以上出席をいたしましたならば協議會が開會できることに相成つておりまして、業務委員と勞働委員とが必ずしも同樣の數を以て協議をいたし得ない場合が屡屡あると存ずるのであります。殊にこの生産協議會の委員の中には、業務委員等のごとき人は本社に屡屡、出張をすることもありましようし、又勞働委員等におきましても、中央炭鑛管理委員に任命をされまして、そちらの方に參つておる場合もございます。又病氣をしておる場合もございまして、かくいたしますると、委員會が常に出席の人數を以ちまして採決いたしまするために、いろいろと紛議を醸す虞れがあるのでございます。飽くまでこれは双方一對一として參るのが至當であろうと存ぜられたのであります。そこにおきましてこの代理といたしまして、豫備委員を豫め選任をすることにいたしたのであります。但しこの豫備委員は、常該炭鑛に關係のない者が出て參りましたり、始終變つたりしては困るのでございますので、この條文にもございまするごとく正式の委員を任命をいたしまする場合の規定を、そのまま全部準用をいたしておりますわけであります。かくして公正なる豫備委員が選任できると存ずるのでございます。
 次に原案の第三十條を第三十一條とし、以下第六十四條までを一條ずつ順次繰り下げる。
 次に第三十四條第一項中「出席した」を削り、同條第二項及び第三項を次のように改める。「生産協議會は、委員の全員が出席しなければ議事を開くことができない。議長は勞働條件の適正化その他從業者の待遇に關する議決に加わることができない。」これは委員會は常に全員出席をいたしまして、これは豫備委員がございますから全員出席が可能と存じます。協議をいたすことにいたしたのであります。これがために條文の初めにありまする「出席した」を削つたのでございます。
 それから議長は原案によりますると、如何なる場合も議決に加わることができないとなつておりまするが、炭鑛の經営を迅速に明朗に運営をいたさんがために、特に勞働條件の適正化その他從業者の待遇に關する決議の外は、議長が決議權を持つことに訂正をいたしたのであります。これはややともいたしますると、議長横暴の議を招くかと存じまするが、併し議長に對しましては彈劾權が認められておりますし、又そういう横暴を極めるような惡い管理者は、當然石炭局長が解任の命令を出し得ると存じまするので、かようにいたしましてすべての炭鑛の運營が迅速、明朗化せんことを考えまして、かく訂正をいたしました次第でございます。
 以上が修正の要點でございまするが、これの條文の整理につきましては、或いは整理の都合上變更されるかも知れませんので、この點は一つ委員長に御一任申上げることを御承認願いたいと存ずるのであります。
 私は參議院議員といたしましての重大なる使命に鑑みまして、この重大法案に對しましては、飽くまで嚴正公明に檢討を加えまして、産業人といたしまして特に職能代表の立場よりいたしまして、良心と信念とに基きまして本修正動議を提出いたしましたる次第でございます。何率各位の御贊同を切にお願いを申上げる次第であります。
#44
○委員長(稻垣平太郎君) 修正案に對する討論の通告がありましたので、これを許します。
#45
○佐々木良作君 私はこの三つの修正案に對して反對する者であります。本法案は、御承知の通りすでにもう内容の問題をとつくに離れてしまつて、そうして飽くまでも政治的な問題となつておることは、各位が十分に御承知のはずであります。このような場合において、參議院としてどのような態度を執るべきであるかということは、第一にはこの政治問題化しておるところのこれに對して、はつきりと我々の責任を以てこの政治的な問題の扱いに突入して行くか、そうでなければ飽くまでも内容審議というところで以て、飽くまでも内容を批判して行くかという、いずれかの立場であるべきだと思います。この場合におきまして、部分的な修正、特に細川君の基本的な修正は一應別といたしましても、他の二つの修正につきましては、或いは題名であるとか、或いは中の一小部分であるとか、そういうことによつて、この石炭國管問題の本質的な問題は何ら觸れられていない。飽くまで私はこの場合に、參議院として處すべき態度は、時間も迫つておるこの場合におきましては、原案に對して飽くまでも贊成か、反對か、つまり政治的な問題としてはつきりと踏み込んで行くかどうかという態度を、先ず決すべきであると思います。その意味におきましてかくのごとき部分的な修正に對しては、私は絶對反對する者であります。
#46
○田村文吉君 私は修正案に全面的に贊成する者であります。その修正案は、只今中川君から提出されました修正案であります。
 大體この臨時石炭鑛業管理法案が國會の議題と相成りましたことは、私は甚だ實は遺憾に考えておつたのであります、と申しまするわけは、今日の日本の國民があらゆる各種の統制機構によりましてがんじがらめに縛られて參つておりますることが、著しく個人の創意工夫を減退せしめて、經濟の復興に甚だ妨害をしておるような状況下におりまするときに、餘り大した效果もないこの石炭管理法案が、衆議院において、又今日は參議院に、囘付になりまして、愼重に審議をいたした次第でありまするが、御承知の、初め生れました案が、次から次と修正されたり、殆んど全くの混血兒となつて參らねばならなかつたこと、又衆議院においてあれだけの紛擾を起して參つたこと等から考えましても、かような法案はむしろ出なかつたことが大變仕合せであつた。又かような機構いじりをしておる間に、電力は曾て見ざる危機に遭遇して、今後非常なインフレーションを激成するような實態にまで突入して來たのであります。政府も國會も、かような大して有效有益でもない問題を討議しております間に、差當り國民は非常な窮乏に陷つて參つたような状況下にありまするので、餘りかような問題で力を盡して、而も非常な紛議まで起してやるべきではなかつた、かように私は全般的に考えたのであります。尚今年の出炭状況は三千萬トンを目標とされておりまするが、昨年の出炭量に比べて今年の出炭量は、凡そ商工大臣にも承つたのでありまするが、今年度の出炭が約二千八百五十萬トンになろうかというふうに伺つております。そういたしますると、尚今年の九月までの實績で、昨年度の出炭量に比較いたしますると、凡そ二割七分六厘の出炭が増加いたしておりますわけでありますから、この比率を以て參りまするならば、今年の二千八百五十萬トンの數字は、必らず確保されることと考えておりますが、終戰後非常に荒れ果てたと考えます、物質的にも心の上にも荒れ果てたと考えておりました状況が、逐次軌道に乘りまして、昨年よりは二割七分六厘、或いは十月以降の實績を見ますると、或いは三割にも増加して參ろうかという情勢下にあるのでありまして、石炭の出炭状況は、私から考えますると、大體に順調に進んで來ておるのであります。この數量は昭和七年の數量二千八百五萬トンであります。即ち滿洲事變の起りました直後における出炭量二千八百五萬トンをやや凌駕する數字に相成つておるのであります。而も本年度は、未だに秩序の恢復が十分でありません、のみならず前半は價格の後決めでありまして、企業者は努力して一生懸命やつても、やらなくても、値段は後から補償する、かような状況下にございましたので、前半の出炭量は實は振わなかつたのでありまするが、幸いに賢明なる策が採られまして、今日は炭價の前決め制度に相成つておりまするので、私は、この形を以て參りまするならば、本年度の二千八百五十萬トン、これを在來の昨年度に對する比率として明年度參りますならば、明年度は三千六百萬トンの出炭が可能と相成ると思うのであります。それに對しまして、政府では、この國管案というものによりまして、來年度は三千三百萬トンを目標とされておるようでありまするから、私どもは、自然の推移のままでも、三千六百萬トンになるべきである。然るにいろいろ法案を作つて御努力なされても、三千三百萬トンにしかならないというようなことであります。無論これに對しては、政府は三千三百萬トンは最低であつて、もつと多く出す御期待はお持ちになつておるとは考えまするけれども、餘りに實際の數字から考えますると、大した期待が持てないのでありまするが、併し本法案が飽くまでも増産一本で、イデオロギー的のものは全然加えていない。これは總理大臣も商工大臣もはつきりと仰しやつておいでになるのでありまするから、その見地で我々は檢討して參る上に、取敢えず現在の出炭情勢及び來年度における出炭情勢の自然の推移は、申上げて置く必要があると考えたわけであります。
 そこでこの法案の全般を見まして、私どもが直觀的に考えますることは、第一に、責任の所在が、今度國家と企業者とに分れるようなことに相成つて參つたのであります。その點が、私どもは、企業者は一生懸命で、從業員と一緒になつて努力して、そうして自分の責任を全うしたいという考え方が、いくらか國家管理というようなことになりまするというと、炭鑛長初め、自分の責任が、半分は國がやるのだ。うまく行つても行かないでも、これは政府が責任を取るのだ、こういう形に相成りますると、即ち炭鑛長、その現場におる諸君が、飽くまでも自分の責任として、この國家の復興のために全責任を擧げて行くという場合に、血の通つた從業員と本當に手を組んで、一生懸命在來やつて來た、又今後もやるというものに對して、なまなか國家が關知いたすことに相成りまするために、その士氣を著しく沮喪せしめる。かような心配があるのであります。
 第二に御覽の通り、この手續は非常に煩雜になつて參つたわけであります。申上げるまでもありませんけれども、商工大臣、石炭廳長官、石炭局長その他に、いわゆる各種の管理委員會が次いで參りますので、實際の運用をいたしますまでには非常な手數と非常な書類を要することになりまして、或いは生産の實際の責任を背負つておる石炭廳が、いろいろ事務のため、會議のために時間を費されることが多くなりまして、殆んど實際の生産増強のために働くことができなくなるのではないか、かようの點を私は心配しておるのであります。第三に、生産協議會の問題でありまして、この點につきましては、私は商工大臣にもしばしば御質問を申上げて參つたのでありますが、勤勞者の經營參加によつて勤勞者の増産意欲を増進する、これが目的であるという御意味でありましたが、私は經營という大きな面から考えますると、勤勞者の一人々々が現在でも經營に參加していないとは申せないのでありまして、すべてが、一體となつて經營の一部を分擔し、或いは經營の一部を運行しておるわけであります。ただここに生産協議會というものをお設けになりますことは、これは勞働組合として經營に參加するという建前でこの法案ができておるのであります。そこで私は勞働組合の本質から考えますと、勞働組合法は御承知でありましようが、勞働組合法は勞働者の勞働條件、待遇その他經濟的の利益に關することの達成を目的として勞働組合法がはつきりと決つておるのでありまして、今ここに勞働組合がその組織體の計畫その他重要なことに關係をする、又決議機關としてこれが運行を圖るというようなことは、決して勞働者の利益にもならないのであります、と同時に經營の運用上非常に面白くない點が澤山に出て參るのであります。その一例を申上げますならば、若しかような組織が増産に役立つ方法である、勤勞者の増産意欲を増進する方法である、かように國會が認められます場合においては、先ず政府のやつておりまする官業、つまり鐵道、管理しておる電氣、遞信、又各官廳にある勞働組合等々は、すべてこれが能率の増進であり、生産の増強であると考えるならば、すべてがこの組合の經營參加でありまして、大臣が次官、局長と案を練つて決めて來たこともすべて組合に一々諮つて行かなければならず、かようなことになりますることは決して社會秩序を保ち、又その運營を滑かにするゆえんの途ではないと考えるのであります。ただ併かしこの勞働組合で認めておる勞働條件の改善、待遇を好くするというようなことに關することは、これは勞働組合法が、はつきりと決めておることでありまするから、この點についてただ經營者側の方で勝手に決めるというようなことは無理なことでありますし、勞働組合法において守られた權利を犯すことに私は相成ると考えますが、その他の事業の經營全般について、その企畫等について一々組合がこれに容喙し、決議を以てやるというようなことは甚だ不穩當であると私は考えておりますので、この第三點についてこの法案が缺陷を持つておるのであります。
 次に十三條において指定炭鑛の條項があるのでありまするが、それは一般の炭鑛は、先程申上げましたように順調な生産増加をいたしておる。併し中には政府の強力なお手傳いがありませんと、例えば新鑛の開發のごとき、かようなものに對しては手を延べてやるということならば分るのでありまするが、この條章を拜見いたしますると、商工大臣は管理委員會に諮つて決定する。衆議院の修正案によりまして品質、數量等々を勘案してやるというのでありますけれども、甚だこの點が曖昧でありまして、不十分極まるものであるのであります。私は反對にかようの法案が出ましたときに心配いたしますことは、今日は指定炭鑛にされるというようなことは、恐らくは全國の炭鑛業者は喜ばない。これは事實だろうと考えます。でありまするが、又世の中にはいろいろ變化もいたすのでありますから、私は戰時中における軍需省と申しては惡いが、あらゆる産業人、會社が何とかして軍の管理工場になりたい、或いは軍需會社にして貰いたい、或いは者督工場でもいいからして貰いたいと、非常な請託が行われまして、常に主食の饗應等誠に見るに堪えないようなことを想起するのでありまするが、炭鑛の經營者は如何にして自分の石炭を多く出すか。それには資材が欲しい。今日は勞働力き餘るくらいでありまするから、その點には問題はありますまい。資金が欲しい等々、いろいろの點を官によつて助けて貰いたいというようなことが起つて參りますると、必らずや戰時中に起りましたような請託、饗應等々産業界を腐敗せしめ、官吏を腐敗せしめるような結果が必らず起つて來はせんか。かような點を心配いたすのでありまするが、これは獨り指定炭鑛の指定の場合だけではありません。各種の問題においてかようの問題が起る缺陷が多いのであります。まだ外に私はこの法案の全般を見まして甚だ不十分の點が多いのでありまするから、現在の石炭増産の實績から考えて、而も先般マツカーサー元帥から首相に寄せられた書簡によつて、政府がこれを強力に實行するという氣構えさえおありになるならば、必ずしもこの増産法案を考えなくても實行できる。十分にできるということを私は考えたのでありまするけれども、この法案がすでに提出され、すでに衆議院においていろいろの紛擾を起したけれども、曲りなりに問題とはなりましたが決議されて、本院に送付されたのでありますから、私は實はかような法案は御返上申上げたいと、こう考えますけれども、その邊の事情を勘案し、できるだけ不備な點を修正して、そうして眞に石炭の増産に役立つような意味において修正をして、我々の責任を果すことが參議院の本質から考えて當然である。若しそれ審議の日がないということで、良くても惡くても實際の實情がこのような實情になつておるということを知りながらも、まあ面倒だから、とても審議の暇がないからといつて、この法案を修正すべきものを修正せずやるということは、すでに五十時間餘り我々は委員會においてこの問題を審議したのであります。而も尚これは直す點があるけれどもそのまま行こうじやないかというようなことは、私の執らざるところでありまするので、恐らくは、各條章において尚細かく修正せねばならん點が多々あると思うのでありますが、大體の石炭増産のために幾らかでも役に立たせ、幾らかでも邪魔になるものは削除して、そうして曲りなりにも増産の目的に適うようにということを考えられた中川君の提案に私は賛成をいたすものであります。即ち責任の所在を少しでもはつきりいたしますために、第二十三條の「所轄石炭局長の監督を受け、」とかような點で煩雜な得體の分らないようなことは、はつきりと除いてしまつて、國家はその事業主に對して監督を飽くまでもやる。事業主はそれによつて現場を監督する。これで結構なんであります。いろいろの煩雜なものがないことが、先刻申上げた理由に適合する意味におきまして、二十三條の「所轄石炭局長の監督を受け、」という文字を削除いたしたのであります。尚これは當然なことではありまするが、初めの原案にこれが事業に當るものは指定炭鑛の管理者がやることについては、資本家も勤勞者も共に協力しなければならんと原案にあつたのでありまするが、すでに資本家がその元ずけとして、これが實施に對して強力な命令を受け、而もこれには莫大の各種の罰金がついているのでありまするから、從業者はこれの實施に關して協力をしなければならないということは當然過ぎる程當然でありまするので、私はこの修正に對しても賛成をいたすのであります。
 生産協議會の點につきましては先刻申上げましたような意味において、而も先般來諮問機関か、決議機關かというような問題で甚だはつきりしない。大臣の御答辯ではその中間を行くものである。法制局長官も、學者的には議論があるけれども、その中間を行くものである、そのようなことを申しておられますが、私どもははつきりとした決議であるということに了承いたしまして、これに對する實際の運用のできまするように、即ち勞働條件の適正化、その他從業者の待遇に關すること、これは勞働立法で決められて行くべき問題でありまして、又これに對しては、勞働組合もあり、勞働組合法もあり、又勞働者の正當な主張を蹂躙するがごときことがあつてはなりませんから、この問題に對しては經營者、從業者兩方の意見が假りに同數であつて合致しない場合には、それぞれの手續を經て、或いは商工局長の裁定に動き、或いは又勞働基準法の適用を受けるとありますが、その他の點につきましては、議長がこれが採決に關することといたしまして、勞働條件以外の經營全般のことは、同數の人の外に議長が最後に決をやると、こういうことにいたしまして、いわゆる諮問機關と決議機關について、在來非常の論爭が行われておりましたその中間を取り、而も解釋をはつきりといたすことに本案が、修正案が考えられておりまするので、この點につきましても、私はこの修正案に是非皆樣からの御贊同を頂くように御主張を申上げるのであります。
 次に先刻申上げました指定炭鑛の指定の問題でありますが、餘りに自然的に殖える、又個人の創意が十分に發表されるというようなものを、すく好んで指定炭鑛にする必要はないのであります。さようのものはこれを放置して、できるだけ、或る程度の監督は無論第一章においてございまするが、できるだけ創意工夫によつて、増産の目的を達成せしめるように考えてやるのであります。併しどうしてもさような状態にない新鑛の開發等につきましては、これを指定炭鑛として運營する。ただその區別が何らの標準を置きませんことは、前に申上げましたように、各種の弊害を伴う虞れが多分に多いことでありますから、この點で一歩前進して、第十三條の一項を修正されました點に贊成を申上げる次第であります。
 以上私の修正意見に對する贊成意見を申上げた次第であります。
#47
○宿谷榮一君 私は中川委員の御提出の修正案に贊成であります。外二點の修正案に對しましては不贊成であります。その理由を申述べたかつたのでありますが、同僚の田村委員より詳細盡されておりますので、私がここで述べることは時間を要しますので、簡單に贊成の趣旨を申上げて、私の意思を明確にいたしたいと思うのであります。この管理法案は政府の、しばしば言明され、説明されておるところによりますると、石炭の増産が最大の眼目であるということは、先刻皆樣御存じの通りであろうと思うのであります。併しこの法案の審議を重ねるに従いまして、法案全部を貫きまして、石炭の増産の母體になるべき法案でないという私は結論を得たのであります。
 その理由の一つといたしましては、政府はこの第一條にもありまする通り、増産を行うには經營者及び從業者が相協力してということが強く明記されておるのであります。この管理對象となるべきものは、單に經營とその事業だけであつては相成らんと思うのであります。殊に石炭の生産に關しましては、人の力が七〇%も要するという、人の力に最も大きな理由があるのでありますが、この人を外して、單に經營、現場だけの管理であつては、この増産の目的を本當に達することはできないと信ずるのであります。從いまして只今中川委員の御提出になりましたのは、この人をも含んだ炭鑛鑛業全體を指して管理をしようということに、その起因があるように存ずるのであります。この點に關しまして強く私は贊意を表しておるのであります。殊に指定炭鑛の關係におきましては、爾來政府の御説明によりますといささか難解な點がありますが、この點を、指定の對象となるべき炭鑛を明確にされたという點は、最も原案以上に明確化されたものと思うのであります。一體私は先程も申上げました通り、この原案そのものは、増産できるかどうかという見地に立つて檢討いたしました結果、増産の母體とならないということは前に申上げた通りでありまして、本來この修正案も私は贊成でないのでありますが、先刻佐々木委員からもちよつとこの點に觸れられたのでありますが、年末に際し、いろいろ國民も困難の状況にありますときに、この問題において、政局にいささかなりとも不安を懐くということは憂慮に堪えないものがありますために、不本意ながらこの修正案に私は贊成いたした次第であります。
 以上簡單でありますが私の贊成の趣旨を申述べて、この修正案が通過いたしますように委員各位に御了解をお願いいたしたいと存じます。
#48
○帆足計君 私、意見を述べてよろしうございますか……この臨時石炭鑛業管理法案に對する修正案につきまして意見を述べさせて頂きます。
 私は只今田村委員、宿谷委員の御贊成意見を承りましていろいろ神益されるところがございます。併しながらこの法案を總括して考えますると、この法案には私はまだ研究の餘地が若干殘つておることを痛感するのであります。
 一つは、この名稱につきまして、増産法案ということになつておりまするが、この法案の骨子をなすものは何と申しましても國家管理ということでございます。從いまして管理という名稱を削るということは、私は必らずしも妥當ではないのであるまいかという考えを持つておるのであります。
 第二に、この法案の二十四條の第三項に加えまする文字につきましては、その趣旨自身には私は贊成であります。併しながら立法上の技術といたしまして、この法案につきましては、まだ重大なる疑點があると存じます。即ち一面におきましては、この國家管理法案は、聯合軍と無關係に審議してよろしいという建前になつておることは私は十分に承知しております。併しながらこの條項につきましては、勞働組合との關係におきまして、關係方面をサウンドする必要も、國家管理法案とは全然別個な觀點におきましてサウンドする必要もありますし、法制技術上若干の研究の餘地が殘つておると存じます。現在勞務者に對する經營者の人事權は、團體契約におきましても、服務規律におきましてもそれは可能なことであります。又經營者の人事權の行使は十分に可能でありまするから、この一項目がなくても、あることも一案でありましようけれども、なくともやつてやれないことはないと私は考えております。而もこの法案は、只今見せて頂きましたばかりでありまして、どのような考慮を拂わねばならんかということにつきましては、若干の研究の餘地があるであらうと思います。私はかかる現在の政治情勢におきまして、或いはそういう點におきまして若干の研究の餘地があるという點におきまして、この修正案自體に私は贊成することができないものであります、と申しまするものは、私は、この法案は、總括して國會を通過せしむべきという考えを持つております。併しながら參議院といたしまして、一定の枠内におきまして、この法案の内容を圓滑化し、その内容をよくしまするために、修正の點があるならば大いに考慮すべきであらうと存じておりますけれども、現在の事態から見まして、事態のむしろ紛糾を釀す虞れがあるというふうに、これは私の誤解かも知れませんけれども、觀察しておりますので、私個人といたしましては、そういうような二點から總括的に見まして御贊成いたしかねる考えでおります。一言意見を述べさして頂きました。
#49
○委員長(稻垣平太郎君) これによりまして通告順による修正案に對する討論の通告者は終つたのでありまするが、外に修正案に對する御發言ございませんでしようか。外に御發言もございませんようでございましたらば、これより修正案を含めた本案全體に對する御發言に移りたいと存ずるのでありまするが、食事のために暫時休憩いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
#50
○委員長(稻垣平太郎君) 御異議なしと認めます。一時間休憩いたすことにいたします。二時十分きつかりにお集りを願います。
   午後一時十分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時二十一分開會
#51
○委員長(稻垣平太郎君) これより再開いたします。御通告の順序により發言を許します。小林委員。
#52
○小林英三君 私の、衆議院から送付されましたる修正案、いわゆる原案に對しましての反對の討論は、極めて簡單であります。我々は本委員會におきまして、この石炭の國管案を繞りましての政府當局の意見を、あらゆる角度から質して見たのであります。併しながら石炭の増産のために果してこの法案が國家のためになるかならんか、即ち石炭がこの法案によつて十分に増産されるかどうかということにつきましては、我々はあらゆる角度から頷くことはできなかつたのであります。水谷商工大臣は、この委員會の席上におきまして、平岡議員が先般、この石炭の國管法案によつて、果して具體的に石炭の増産ができるならば、政府は具體的にその案を示して貰いたいというような質問をいたしましたのに對しまして、商工大臣は、然らば石炭の國管案によらずして増産ができるという實績を示して貰いたい、結局水掛け論ではありませんかというような意味の答辯をいたしたのであります。私は、この石炭國管案を提出いたしましたる政府が、かくのごとき無責任なる言葉を、而もこの尊嚴なる委員會の席上におきまして述べられるということ自身が、私は石炭の増産に對する将來の見通しが、何にも政府には自信がないということを明らかに掴んだのであります。
 我々は過去を顧みまして、昭和十五年におきましては、一ケ月に四百萬トンの石炭を増産いたしておる、戰時中におきましても月に三百萬トン増産いたしておる、今日はこういう状況である。この明らかなる石炭の増産に對しまする、石炭の出炭に對しまする明らかなる境というものは、これは誰でも分るように、資材と資金と、そうしてこの勞働力であります。その他にもいろいろの理由はありましようが、その勞働力の三つであります。私はこの本法案を見ましても、ごこにもこれらを確保することはできない、むしろ私は從來の法律によりまして、從來の石炭増産法によりまして、それに今日ございまするところのいわゆる特別の融資法により、或いは臨時物資需給調整法によりまする、石炭に重點的に廻すことができる法律によつて、十分にこの目的は達し得ると考えております。若しこの法案が、この参議院におきまして通過いたしました曉におきましては、私はむしろ石炭は増産するよりも減産せざるを得ないというように考えておるのであります。併しながら私は今日この石炭國管法案というものが、私の只今感ずる限りにおきましては、この委員會を通過せんとするような私は豫感を持つておるのであります。若し果してこれが通過いたしましたならば、國家のためにはちつともならない、こういう意味におきまして、私は中川委員の提出いたしましたるところのこの修正案に贊成する一人であります。若しこの席上におきまして、この修正案が萬が一否決されるような場合におきましては、私は斷乎として衆議院から送付いたされましたる修正案、いわゆる原案に對しては、反對せんとする者であります。私の原案に對しまする反對の理由は、かくのごとく明らかであります。
#53
○委員長(稻垣平太郎君) 次は下條委員。
#54
○下條恭兵君 私は先刻提出されました修正案に反對いたしまして、衆議院送付案に贊成いたす者でございます。
 今度の國管法につきましては、いろいろと論議があり、兩院におきましてはそれぞれ公聽會を開いて、名方面の意見も聽いた上で今日に至つたわけでありまするが、私は結論的には、先刻佐々木氏の言われたところの、政治的見解に立つて贊成するという言葉に全面的に同感の意を表する者でございます。それぞれ御意見もあろうと思うのでありまするが、修正案に對する贊成意見におきましても、又只今の小林委員の御意見にいたしましても、いずれも一脈通ずるものがあると存ずるのでありますのが、私は先ず最初にこの修正案、中川案に對して衆議院送付案と比較して見ますると、いろいろな點もありますが、これを總括して申しまするならば、衆議院送付案よりも右へ寄つておることが言えると思うのであります。これは右へ寄つておりましても、左にあると言いましても、極く近いものでありまするが、これに對しまして、小林委員が、修正案ならば贊成するけれども衆議院送付案には反對するという理由が、私には呑み込めないのであります。尚又先程宿谷委員からは、いろいろ政治的の考慮を拂つてこの修正案を通すという御意見もあつたのでありまするが、通すことに對して結論的に御同意であるならば、今後會期は剩するところ三十時間そこそこしかありませんときに、今から委員會で修正いたしまして、本會議に懸けて、衆議院に送付しまして、衆議院で審議する期間があるかないかということに對して、深い考慮を拂う必要があると考えるのであります。
 かようなわけでありまして、私は尚二、三の點について申上げて見たいと思うのでありまするが、本委員會におきまして、最も論議の的となりましたのは、イデオロギーがあるかないかということだと思うのであります。私はイデオロギーがあるかないかと言われますることを、非常に不可解に存ずるのであります。我が社會黨が、社會主義政策を掲げて、今春の選擧におきましては、國有國營を前提といたしまするところの石炭の國管案を掲げておつたことは、皆さん御承知だと思うのであります。然るにこの五月二十三日には、私が黨の委員長片山氏が絶對多數を以て總理に選ばれたということは、私はそのような御政策に對しまして皆さんの御同意を頂いたものと了解いたしておつたのでございます。併し三派連立内閣でありまするために、私は社會黨のイデオロギーと民主黨のイデオロギーと國協黨のイデロギーとがそれぞれ絡み合いまして、今日の現段階において比較的妥當と思われるような今度の法案ができ上つたものと了解いたしておるのであります。そのようなわけで衆議院ではいろいろ經緯はございましたが、とにかく本會議を絶對多數で通つて來たのでございまするし、尚私はここで一應考えて見たいと思いまするのはこの常任委員會制度でございます。私考えまするのに、常任委員會制度は一應檢討して見る必要があると思いますのは、くだくだと申上げるまでもなく、衆議院の鑛工業委員會におけるこの國管案に對する審議の状況から見て行けば、一應明瞭ではないかと考えておるのであります。先程來の御意見でも本案において政局を混迷に陷れしめるのは非常によろしくないというような御意見の御開陳があつたと思うのでありますが、私はその意味において、本委員會におきまして、先程私が申上げましたように、あと三十時間しか會期がないということを御考慮に入れまして、愼重御檢討を願いたいと存ずるのであります。なぜかと申しますれば、現在田村委員の指摘されましたように、電力問題は重大でございます。尚インフレの防止についても重大でございます。尚國際的に日本の置かれた地位からいつても重大でございますが、政局の混迷がどのような結果を齎すかということは、今春の政變におきまして政府の手持米があと三日分にまで追い込まれたということだけでもこの際政局を不安に導くということは重大だと思うのでありますが、本案の政治的意義に鑑みまして、若し本案が本院において否決せられるといたしまするならば、私はその責任の所在がどこにあると國民が判斷するか、こういうことに對して又皆さん委員各位の御判斷を仰ぎたいと考えるのであります。かようなわけで私はいろいろ議論があり、我が黨の立場からいえば勿論不滿足であります。尚又私の職業上の地位などからして、非公式にいろいろと、何故にかくのごとく熱心に國管案を支持するかという御質問を受けるのでありますが、これに對して簡單にお答えを申上げまするならば、私は、一度堤を切りますと利根川の水は關東平野を流し去ります、けれどもこれを適當にコントロールして流し出すときは、非常に有效に水は使えるということを考えておるのでありまして、この考に立つて私は本案を支持するのでございます。以上極めて簡單ではございますが、私の考えの一端を申述べまして、委員各位の良識を以ちまして御判斷を願い、衆議院送付案を無修正可決あらんことを切にお願する次第でございます。
#55
○玉置吉之丞君 私は小林君の中川君の修正案に對する贊成の意見に同意をいたしまして、只今下條君のお述べになつた御意見に對して反對の立場において意思を表明いたしたいと存じます。
 御承知のごとく本石炭鑛業管理法案が去る九月二十五日衆議院に提出されまして以來二箇月間、これが衆議院におきましては相當の波瀾を見て、漸く御承知の通り先月二十五日に當參議院に本案が送付されたのであります。爾來私どもはこの問題に對して、これが今日の國家再建の鍵である石炭増産に對して役立つものであるかないかという、この點を眞劍に檢討いたして參つたのであります。
 而して私はこの炭鑛業なるものは、他の産業と異つて一つの特異性を持つておるのである。即ち山々においては悉く事情を異にしておる。坑内において水の非常に吹き出すところもある。吹かないところもある。又ガスの發生においても事情が違う。又坑内の坑道においてもいろいろな傾斜がある。又それからの距離等についても非常に違つた状況にある。而もこの經營に當つておるところの炭鑛の事業主は親の代から、又自分の代に亙つて、數十年の長さに亙つて經營をし續けて來ている。そういう特異性を持つ炭鑛事業に對して國家の管理を行うということについては、果してこれが他産業、即ち紡績であるとか、その他の機械工業のように、單純に行けるものでないという、この觀點において私は石炭のごときものの増産に對しては、今日の官僚統制、即ち非能率的であつて、極めて無駄の多いということは、現に片山内閣の大藏大臣であるところの栗栖氏は、私の先日の質問に答えてはつきり申しておる。行き詰つたる現在の官業、この一つを考えましても、又本炭鑛問題が衆議院に出て以來、我々は衆議院の委員室まで出て行つて、志免、勝田兩炭鑛の状態を聞きました。これらのことを一つ考えましても、海軍が經營しておつた炭鑛を鐵道省が經營いたしておる。その内面を見ましても、如何に無駄に人を使つておるか、無駄のことの多いということははつきりいたしておる。このときに私は今日の役人に對し官僚に對して國民の聲がどういうことを言つておるか、これは私は考えなければならん。即ち今日の情勢においては、おのおの國民の生活は苦しいのである。その苦しい生活をいたしておるのは役人だけでなく、國民のあらゆる階級は苦しい生活をいたしておる。從つて人によると、往々にして役得を利用されてつまらないことを起しておるというが、如實に世間に現われておる。警察官の行動に對しても國民がいろいろのことを申している。税務官吏もそうである。商工省の役人の中にもそういう人がある。この事實に徴して見ても、現在のごとき待遇を以て、役人を又千人近くも殖やして、地方に石炭局を設けて、そうしてこういうような一つの組織法の下に増産に對して裏付けて行くというような考え方は、考えなければならんと私は思うのであります。その意味におきましても、この點も十分政府當局に質したのであります。併しながら私の頭にはぴんと來るものがない。これらの點を考え、どうしても増産ということを第一の目的とするためには、今どういうことを、どう處置を取つたらいいかということを窃かに考えます時には、成るほど敗戰後において我が國の國民の全體が虚脱の状態に陷つて、生産は獨り石炭ばかりでなく、すべての生産が非常に低下をいたしている、なかんずく炭鑛業においては、その坑内における熟練の人々は朝鮮の人、中國の人、そういう人が多くあつたからで、これが引揚げて行く、尚加うるに徴用工を以てしておつたその人達が引揚けた後に、新規の人が入れ替つたということによつて、一時一ヶ月約五十萬トン内外にまでその石炭の生産が減退をいたしましたけれども、順次これがその生産の増強を見まして、今日すでに先刻我が同僚田村君より指摘いたしましたごとく、本年度において二千八百五十萬トンの炭が出て來ている。この趨勢で行くならば、私は現状において増産ができ得る。併しながら今日まで資金資材その他の面において幾多の隘路あり、これに又論議が交されておりますけれども、この問題に對して積極的に乘り出すにはどういたらいいかといえば、即ち九月十八日にマツカーサー元帥が、片山總理宛に寄せられたあの書簡に基いて、政府がすでに石炭非常増産對策なる案を出されている。あの案一本でも私はこの目的は貫徹できる。鑛業者が協力し、從業者が協力し、政府が熱意を以て指導するならば十分であると思うのであります。殊に又それに對して臨時金融對策なるものもできている。これらのものを相併用いたしたならばできるという信念を持つている。その故に私は今日ここに我々が審議いたしている法案を別に通さなくても増産に支障ないという觀點からいたして、私はかような案を御返上申上げたいというのが私の信念であります。併しながら現下の我が國の實情に考え、政局の安定も望まなければならん。石炭の増産というものは一日も忽かせにすることができないということは、これ齊しく國民の考えである。而も本法案に對しては聯合軍の側においても、國會の總意に任すという。この考え方に對しても、占領下における我々國民が國會に籍を持つて、かくのごとき重大なる案を審議する上においては、愼重にも愼重なる考えを以て臨まなければならんという立場におきまして、すでに本法案は衆議院において、我々が削らんと欲するものは、その多くは削つておる、是正をいたしておる。それに加えるに、この目的を達成する上に、只今中川君より提案をいたしておる修正案を以てすれば、十分とは申しかねますけれども、やや完璧を期することを得るというこの立場において、私は中川君の修正案に贊成をいたすものであります。但し若しこの修正案が敗れましたら、小林君同樣私は原案に對して絶對的に反對する意思を表明いたしまして、私の意見といたします。
#56
○林屋亀次郎君 私はこの法案に對しまして、贊意を表しますと共に、その趣旨竝びに希望條件を申述べたいと存ずるのであります。
 本法案は綜合的にこれを見まするに、よく申せば誠に行届いた纏りのいいような仕組になつておるようでありますが、惡く申せば徒らに施行手續を複雜多元化し、殊に石炭増産の鍵ともいうべきスピード、即ち時速を輕く見て、むやみに循環論法を繰り返すような形において業務計畫の立案を規定しているのでございます。必らずしも緊急事態の要請に適應しているとは斷定できん嫌いが多分に散見されるのであります。
 併し條文全體の組立は、各章各節ともよかれ惡かれ小じんまりと有機的に纏まつているようでありまして、或る特定の條文だけを摘み上げての改廢は、直ちに他の關連條項に影響を及ぼし來る虞れもある、又立法上の技術といたしましても、都合の惡い點もあると存じます。搗てて加えて、本法案が本院に回付されてからの審議期間も非常に切迫しておりまする上は、本案に對する贊否はどうしても總活的乃至大乘的見地から、これを決定せねばならん實情にあつたのであります。いずれにせよ、現在の段階において、この程度の炭鑛管理案で滿足する外ないと思うのであります。何分にも本法案に對しまして、我が國最初の國管案の振り出しであり、スタートでありますという見地から、私はここに贊意を表する次第であります。但し本案に贊成いたします以上、本員といたしましても、その責任を感ずる次第であります。殘る問題は本案の實施運營に當り、佛作つて魂入れずの譏りを受けないよう細心の注意をして頂きたいのでありまして、特に本案の民主的要素の裏付けとなつておりますところの、全國炭鑛管理委員會、地方委員會竝びに生産協議會の選考運營に對しては、從來の官僚時代における官僚萬能謳歌のやり方とは、全然異つた新面目を發揮するよう、新らしき考慮を加えられんことを心から希望いたして止まん次第であります。
 本員は以上の希望附きで本案に對して明確なる贊意を表するものであります。
#57
○委員長(稻垣平太郎君) 通告によります發言者はこれで全部終了いたしました。外に發言の方はありませんか。
#58
○大畠農夫雄君 通告の方々の御發言が終つたということになりますると、この後におきます問題は、採決の問題でありましようが……。
#59
○委員長(稻垣平太郎君) 討論ですか。そうじやなしに議事進行ですか。
#60
○カニエ邦彦君 我々は贊否兩論につきましても餘程愼重考慮する必要があるのであります。從いまして暫くの間休憩の時間を與えて頂きたい。
#61
○委員長(稻垣平太郎君) 別に討論に關する發言もないようでありますから……。
#62
○カニエ邦彦君 私は今委員會におきまして初めて喋べらして頂くことに相成るのでありますが、この法案が先程佐々木君が申しましたいわゆる三つの修正案、これに對して……落著け落著け。佐々木君の意見に贊成の意見でありまして、修正三つとも反對の趣旨を少し述べたいと思います。實はこの法案が衆議院から參りました……
#63
○委員長(稻垣平太郎君) ちよつと發言中ですから……。
#64
○カニエ邦彦君 皆樣も御承知のように、かなり衆議院におきましてはいろいろな意見が交はされ、そうして案が練りに練られて、そうして本院に送付されて參つたのであります。私は唯この議員の中に餘りにも我々勞働者の立場を代表して、そうしてこの委員會に我々勞働者の立場を述べる者の餘りにも少かつたことを甚だ殘念に思うのであります。ただ私はこの法案が如何に扱われて來たかということにつきましては、實に殘念に堪えんのであります。併しながら事態がここに至り、そうしてこの三派によるところの修正案がここに持ち運ばれて參つた以上、現在の勞働者が如何にこの法案に對しましては當初から反對を續けて來たかということは皆樣よく御承知の筈であるのであります。併しながら現在の四十萬の炭鑛勞働者が何を考えておるか。この點を一つ十二分にお考え願いたいと思うのであります。唯勞働者の一部のいわゆる左翼と稱される立場の人は現在のこの法案に對しては反對を唱えておるのでありますが、併しながら大部分の勞働者はこの法案が骨抜きにされ、そうしてここに持つて來られたこの法案が我々の本當の意思を代表するものでないが、併しながら我が國の實情と、そうして我々石炭勞働者が如何に今の日本のこの現状から推して、この石炭を掘らねばならないというこの立場に立脚しまして、こんな骨抜きの法案ではあるけれども、これでも我々は我慢をして、そうしてこの法案が可決されたなれば、石炭三千萬トン達成のために否三千五百萬トン、四千萬トン達成のために努力すると言つておるのであります。若しかこの法案をこの場合ここにおいて否決され、又これを握り潰されるというようなことがあつたなれば、日本の炭鑛勞働者は一體何によつて増産に勵むでしようか。僅か殘された本當に蚊の涙ほど含まれておるところのこの法案をたつた唯一の頼みとして、そうしてここにこの法案が通過すれば、共に石炭の増産に勵むということをはつきり大會においても述べておるのであります。かかる意味におきまして、私は多く言いたいことはありますが、時間もありませんので、ただこの場合にこの法案を否決されることにおいて、日本の四十萬炭鑛勞働者はこの今後の増産に對して如何に落膽をして、そうしてこの石炭増産に對して絶對に責任を持たないという結果になることを心から憂えまして、どうかこの意味においてこの原案の通過には、衆議院から送付されました修正案に贊成の意を表する者であります。
#65
○委員長(稻垣平太郎君) 他に御發言もございませんか。
#66
○小林英三君 私はこの際委員長に御注意を申上げ、又希望を申述べたいと思います。昨日の委員長と理事の會議におきまして、委員長は、是非この兩日の討論においては秩序を保ちたい。たまたま社會黨の下條君からはこういう議論さえあつたのであります。つまり各黨から討論者は一名ずつにして、そうして時間の制限を與えたいということまで私どもに申出があつたのであります、理事會の席上において……。私は苟くも新憲法の第一囘の國會、而もこの重要法案を審議する委員會でありまするから、餘りそういうむずかしいことを言うな。我々もできるだけ午前中にこの審議を、討論と採決を終了するつもりであるから、そうむずかしいことを言うな。できるだけ自粛しようじやないかという、こういう意見を以ちまして我々は委員長に申出で、委員長は、然らば時間前に、これをやる前に討論者は申出をして貰いたいということを言われまして、我々は各黨に歸つてその通りを實行したのであります。自由黨におきましても澤山の討論者があつたのでありますが、自粛をいたしまして、できるだけこれを早く午前中に濟ませて、三時までに本會議に出したいという意思を以て我々は今日まで向つて來た。今日もこれは委員長の仰しやる通りに、委員會の始まる前に討論者は通告いたしたのであります。然るに委員長はそういうことを申して置きながら臨時の討論者を許しておる。これは濟んだことでありますから私は言いません。直ちに採決に入らんことを希望いたします。
#67
○岩木哲夫君 この際暫時休憩されんことを願います。
#68
○委員長(稻垣平太郎君) 今岩木委員より休憩の動議が出ましたが、これを採決いたします。休憩に贊成の方の御起立を願います。
#69
○委員長(稻垣平太郎君) 少數と認めます。
#70
○細川嘉六君 委員長は、私が討論に參加することを申出てあるのですが、その機會を與えておりませんが、お忘れにならんですね。
#71
○委員長(稻垣平太郎君) 私は修正案をお出しになつたことについては承知いたしておりましたが、それは討論だと存じます。それに別に又全體に對しての修正の意見の御動議があるというお申込みは受けておりません。但し只今小林委員から昨日の委員長、理事打合會において御發言になつたことはその通りであります。併しながらこの委員會において通告を希望はいたしましたが、それに對してこの委員會で御發言を希望なさる方をお止めするわけには委員會として參りませんと存じましたので、發言希望者はこれを許可いたした次第であります。この點は御了承願いたいと存じます。で細川委員は改めて御發言でありますか。御希望でありますか。
#72
○細川嘉六君 委員長には私は修正案を出したときに政府案に對する私の意見を述べたい、そのことも申したわけですが、通告した……。
#73
○委員長(稻垣平太郎君) 私はあなたからお出しになりました修正案が即ち本案に對する討論と存じまして、その通りに修正案の御説明を願い、尚あなたのこれを御討論と認めたわけでありますが、別に何んでございますか、御意見がありまするわけでありますか。
#74
○細川嘉六君 私は一言この反對の意見を述べたいのであります。
#75
○委員長(稻垣平太郎君) 細川君。
#76
○細川嘉六君 私は共産黨を代表いたしまして政府の……。
#77
○委員長(稻垣平太郎君) 發言中でありますから……、發言を許可いたしましたから……。
#78
○細川嘉六君 政府の國管案に反對いたします。それはこの國管案が上程されなくちやならん理由は、ただ一つ今日石炭を増産しなければならないという、その途を拓く者は、四十萬炭鑛勞働者の總意、總力を發揮するよりほかに途はありません。然るにこの政府案は全然この途を拓いていないのみならず、官僚統制を更に強化するようになつている。それに今この終戰後二ケ年間、炭鑛主は國家から百七十億臺の資金を注ぎ込まれておるに拘わらず石炭は堀れない、堀れない、資材はないし、資金はない、そういうことで全くその經營が無能力だ。今日の日本の危機に際して全く無能だ。それを實證しております、にも拘わらずこの本案はもう落第した炭鑛主と、そうして生産主義と、墮落とに陷つておる官僚との狎れ合いを、ここにこの案によつて激成しておるものであります。我々はどうしても石炭を掘らなけりやならない、三千萬トンはおろか、できるなら八千萬トンを掘らなければ日本のこの建設には足らない。でありますから、どうしても炭鑛勞働者を總立ちにさせなけりやならない。如何なることがあつても、如何なる困難があつこも、我我が炭鑛において働くことは即ち國の運命に關するという確信を以て働く、こういうようにさせなければならないのであります。今日我が國の政治家はこの點を理解しない。この點を理解しない限りは日本の再建なんか考えられるものではありません。私はこの本案において炭鑛主側は大いにその利益を擁護されて、そうして勞働者についてはどうだ、業務委員についてはどうだ。成る程炭鑛管理者というものは設けられておる。これは皆資本家というものの代任者である。そうしてそれによつて任命されておるものである。生産協議會には業務委員と勞働者側同數が出ておる。同數が出ておるから公平なようであるが、業務委員というものは炭鑛主側の利益を代表する者である。結局勞働者はこの生産協議會においてその發言を十分になし得ない。それから現場の管理者は議長になつておる。協議會の議長になつておる。これは決議を左右する大きな力を持つておる。それからこの生産協議會は本當に勞働者がその炭鑛の體驗からして言わなければならないという、そういういろいろの事項をここに言わせるようにはできてはおりません。本當に勞働者に責任を持たせ、そうしてどこまでも採炭に邁進させるというのは、利潤に對する制限、統制、營業秘密の公開、價格の適正化、或いは未利用――利用しておらない鑛區の解放統合、隱退藏物資の摘發とその生産費への利用、現有設備をできるだけ有效に利用させる。山元だとかにおいて横流し、闇の行われるのを防止する、正確な統計を作成し整理すること、一目瞭然に生産の……。
#79
○委員長(稻垣平太郎君) 細川委員御發言中でありますが、先程の修正案のときの御説明と討論と大體同一事項をお述べになつておるようでありますが、同一事項については二度ここで御討論のないことに取決めを、今朝程御報告申上げましたわけでありますから御注意を願います。
#80
○細川嘉六君 原案に對する反對であります。
#81
○委員長(稻垣平太郎君) 原案に反對のことはよく分つておりますが、討論の趣旨が今朝の修正案のときと同一事項に亙つておるように思いますので、御注意を申上げる次第であります。
#82
○細川嘉六君 それじやもうちよつとで止めます……もうよかろうそれじや。それから能率向上のための機械化をやらなければならん。立派な開發計畫を立ててその實施をやらせる。それを監督する。賃金時間、勞働條件に關する事項、それから立派な研究機關の運營、技術の公開公流、これを行なつて炭鑛全體の近代化に努める。こういうような方面にまで生産委員會においてやらせる、そうなれば言うことは言う。そうして責任を持つ。それから又この生産協議會は諮問機關でもない、決定機關でもないと、あやふやなことを言わず、實際において……實際はこれは諮問機關であります。これでは本當に責任を勞働者は持ち得ない。私は虞れる。あなた方は本當に勞働者を理解するということ、これが大事である。これを忘れて何ができます。勞働者はよき待遇だけを求めて怠けておろう、こういうものと解釋されては非常なる間違いであります。本當に勞働者を理解し、これを責任を以てそうして全力を發揮させる。これが増産のただ一つの殘された途である。官僚でもいかん、資本家炭鑛主でもいかん、殘つたものはこれだけである。私は更に申したい。こういうことを申すのはこの三十年來世界の經驗をみますと、如何なるどん底におつこつた國でも勤勞者が政治に對する信用を持ち、即ち政治當局者が國の利益だというと全般の利益を顧みないようなことはない。この絶對の信用。これであつてこそ國が興きる。この三十年間の歴史がこれを證明しております。ここで我々は考えなければならぬというのは、この勞働勤勞者、これに十分なる自覺を與える。國の運命を我々が關連をしておるのだという自覺の下に總立ちにさせる。これこそが一つの途である。これがこの本案において顧みられておらない。成る程生産協議會であるとか、或いは管理委員會、そういうものには形だけの勞働者のサインは許されております。併しながらこういう、詳しくは申しませんが、皆形を與えて勞働者の勞働效果を求めてゐる。勞働者はこの機關によつて締付けられる、責任を持たせられて締付けられる。これは誠に遺憾であります。この國管案がないよりもいいというのは間違いであります。どうかこの案は私と共に否決なさることをお願いいたします。
#83
○小林英三君 私は討論終結直ちに採決に入るべき動議を提出します。お諮り願います。
#84
○委員長(稻垣平太郎君) 別に御發言もない……。では、只今小林委員の動議につきまして、贊成の諸君の御起立を願います。
#85
○委員長(稻垣平太郎君) 多數と認めます。これにて討論は終結いしました。
 これより直ちに採決に入ることについて御異議はございませんか。
#86
○委員長(稻垣平太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。先ず細川委員の御提出の修正案を議題に供します。細川委員の修正案に御贊成の方の御起立を願います。
#87
○委員長(稻垣平太郎君) 少數と認めます。次に帆足委員の修正案に御贊成の方の御起立を願います。
#88
○委員長(稻垣平太郎君) 少數と認めます。
#89
○小林英三君 議事の進行について……。昨日我々が理事會におきまして、委員長がはつきりと、擧手か起立か、或いは無記名投票か、記名投票か、三つを仰しやつて、必らず記名投票によつて行なうということを仰しやつたのでありまするが、如何でございましようか、その點は……。
#90
○委員長(稻垣平太郎君) 無論そう考えておりますが、これは委員長に一つお任せを願いたいと思つております。
#91
○小林英三君 これから委員長の仰しやつた通りに希望いたします。
#92
○委員長(稻垣平太郎君) 次に中川委員より御提出されましたるところの修正案を議題にいたします。中川委員の修正案は、法案の題名を初めの數ケ條に亙つておりまするが、便宜上これを一括して採決の問題に供することに、御異議はございませんか。
#93
○委員長(稻垣平太郎君) 御異議ないものと認めます。本修正案につきましての採決の方法は、記名投票によりたいと思いますが、御異議はございませんか。
#94
○委員長(稻垣平太郎君) 御異議ないものと認めます。それでは採決は記名投票によつて行ないます。先ず委員諸君のお名前を記した投票用紙を、書記をしてお配りいたさせますから、本修正案について贊成の諸君は「贊成」、反對の諸君は「反對」と御記入を願います。御記入が濟みますれば、書記をして投票用紙を取纏めに廻らせることにいたします。
#95
○小林英三君 議事の進行について……。もう一遍はつきりと一つ、中川委員なら中川委員の……。徹底しておりませんから、はつきりお願いいたします。投票について……。
#96
○委員長(稻垣平太郎君) それでは今一囘申上げます。これより中川委員御提出の修正案を一括議題に供しまして、採決に入るわけであります。採決の方法につきましては、先程申上げましたように、記名投票によつてこれを行ないます。先ず委員諸君のお名前を記した投票用紙を、書記をしてお手許に只今配らせましたのでありまするが、それについて贊成の諸君は、修正案に贊成の諸君は「贊成」、反對の諸君は「反對」と御記入を願いまして、御記入が濟みました際に、書記をして投票用紙を取纏めに廻らせることにいたします。
#97
○委員長(稻垣平太郎君) 投票漏れはございませんか……。投票漏れはないことと認めます。
 これより開票いたします。
#98
○委員長(稻垣平太郎君) 投票の結果を御報告いたします。投票總數二十八票、贊成十四票、反對十四票であります。可能同數であります。仍つて國会法第五十條によりまして、委員長がこれを決します。委員長は本修正案に反對いたします。仍つて中川君の提出による修正案は各決されました。
  ―――――――――――――
#99
○委員長(稻垣平太郎君) 次に原案全部を一括して採決することに御異議ありませんか。
#100
○委員長(稻垣平太郎君) それでは採決の方法は前囘と同樣記名投票によつてこれを行いたいと思います。只今御採決を願いまするのは、原案、即ち衆議院送付案であります。衆議院送付案に對する贊否を御記入を願いたいのであります。
#101
○委員長(稻垣平太郎君) 投票漏れはございませんか。ないものと認めます。これより開票いたします。
#102
○委員長(稻垣平太郎君) 投票の結果を御報告いたします。投票總數二十八票、贊成十三票、反對十五票よつて臨時石炭國家管理法案は否決されました。
  ―――――――――――――
#103
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより參議院規則第七十二條によりまして、多數意見者の御署名を頂きますから、順次御署名をお願いいたします。尚本院規則第百四條によりまして、本會議における委員長の口頭報告には、豫め多數意見者の承認を得ることになつておりまするが、それは本委員會における審議の經過竝びに結果を報告することにいたしまして御異議はございませんか。
#104
○委員長(稻垣平太郎君) 御異議ないものと認めます。
#105
○委員長(稻垣平太郎君) それでは明日は十一時より本委員會を開きたいと存じます。さよう御承知を願います。本日はこれにて散會いたします。
   午後三時三十一分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     稻垣平太郎君
   理事
           下條 恭兵君
           小林 英三君
           川上 嘉市君
           中川 以良君
   委員
           大畠農夫雄君
           カニエ邦彦君
           濱田 寅藏君
           村尾 重雄君
           荒井 八郎君
           大屋 晋三君
           寺尾  豊君
           平岡 市三君
           堀  末治君
          池田七郎兵衞君
           入交 太藏君
           岩木 哲夫君
           林屋亀次郎君
          深川榮左ェ門君
           鎌田 逸郎君
           楠見 義男君
           小宮山常吉君
           佐伯卯四郎君
           宿谷 榮一君
           玉置吉之丞君
           田村 文吉君
           藤井 丙午君
           帆足  計君
           細川 嘉六君
           佐々木良作君
  事務局側
   參     事
   (委員部長)  河野 義克君
ソース: 国立国会図書館
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