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1972/09/12 第69回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第069回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
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1972/09/12 第69回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第069回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号

#1
第069回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
昭和四十七年九月十二日(火曜日)
    午後二時十八分開議
 出席委員
   委員長 近江巳記夫君
   理事 中島源太郎君 理事 藤本 孝雄君
   理事 粟山 ひで君 理事 石川 次夫君
   理事 貝沼 次郎君 理事 吉田 之久君
      阿部 文男君    小沢 一郎君
      加藤 陽三君    塩崎  潤君
      橋口  隆君    松永  光君
      渡部 恒三君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      中曽根康弘君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       山田太三郎君
        宇宙開発委員会
        委員      山縣 昌夫君
        科学技術政務次
        官       藤波 孝生君
        科学技術庁長官
        官房長     進   淳君
        科学技術庁計画
        局長      長澤 榮一君
        科学技術庁研究
        調整局長    千葉  博君
        科学技術庁原子
        力局長     成田 壽治君
        郵政省電波監理
        局長      斎藤 義郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十七日
 辞任         補欠選任
  木野 晴夫君     森山 欽司君
  菅波  茂君     中島源太郎君
  森下 元晴君     粟山 ひで君
八月九日
 辞任         補欠選任
  華山 親義君     楯 兼次郎君
九月十二日
 辞任         補欠選任
  稲村 利幸君     阿部 文男君
  大石 八治君     渡部 恒三君
  海部 俊樹君     塩崎  潤君
  福井  勇君     小沢 一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  阿部 文男君     稲村 利幸君
  小沢 一郎君     福井  勇君
  塩崎  潤君     海部 俊樹君
  渡部 恒三君     大石 八治君
同日
 理事木野晴夫君七月十七日委員辞任につき、そ
 の補欠として中島源太郎君が理事に当選した。
同日
 理事前田正男君同日理事辞任につき、その補欠
 として粟山ひで君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
七月十二日
 一、科学技術振興対策に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 科学技術振興対策に関する件(宇宙開発及び原
 子カ開発に関する問題等)
     ――――◇―――――
#2
○近江委員長 これより会議を開きます。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 去る七月十二日の委員会におきまして、委員各位の御推挙をいただき、私が委員長に就任いたしました。微力ではありますが、誠心誠意円満なる委員会の運営につとめたいと存じますので、委員各位の御指導、御鞭撻を切にお願いする次第であります。
 はなはだ簡単でありますが、就任のごあいさつといたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#3
○近江委員長 次に、理事辞任の件についておはかりいたします。
 理事前田正男君から理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○近江委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。
 ただいまの前田正男君の理事辞任に伴う欠員のほか、去る七月十七日木野晴夫君が委員を辞任されましたので、現在理事が二名欠員になっております。この補欠選任を行ないたいと思いますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○近江委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 それでは、理事に中島源太郎君及び粟山ひで君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#6
○近江委員長 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。石川次夫君。
#7
○石川委員 通産大臣を兼ねている科学技術庁長官の中曽根さん、たいへんお忙しいようで、一時の開会が一時間ばかりおくれたわけでありますけれども、そのことに関連をいたしまして、実は通産大臣と科学技術庁長官というのは兼務をすることは相当な無理があるのではないか。科学技術関係の仕事はたいへん複雑多岐にわたっておるし、きわめて重要な側面を、最近特に注目をされておるという現状、そういうことで、この兼任は、中曽根さんがどうこうということでは全然なくて、これは非常に忙しいという面でも無理がある。この点につきましては、自民党の皆さん方も、私が言いますとほとんど同感でありまして、これは二つを兼務することには相当無理があるのではないか、こういうお話がございました。
 ところが、それにかてて加えて通産大臣、いわゆる通産省といたしましては、どうしても経済成長政策というものを守っていく、企業のために守らなければならぬという責任があるわけであります。ところが、科学技術行政のほうは、最近非常な反省が行なわれておりまして、科学と人間との関係はどうあるべきか、したがって、経済成長というものと相敵対といっては語弊があるかもしれませんけれども、対立する関係にある場合が相当多く出てくるような趨勢に置かれておるわけであります。
 そうなりますと、通産大臣と科学技術庁長官という相反する性格を持った政策が出てきた場合に、これに一体どう対処するかということに相当矛盾を感ずる場合が出てくるのではないか。そういうことで、通産大臣と科学技術庁長官、中曽根さんは科学技術庁の関係としてはたいへん昔からおやりになっておられて、非常なベテランであるし、われわれも信頼はいたしておりますけれども、この二つを兼務するということについては相当疑問があるのではないか。共通する部面ももちろんございます。そういう点で、多忙だということだけではなくて、今日的な課題としての科学技術政策というものと通産政策というものとの矛盾点をかかえている両方の兼務ということはいかがであろうかと、こういう感じがしてならないわけでありますけれども、これは単なる意見ということじゃなくて、相当突き詰めて考えていかなければならぬ性格が今日的課題として残っておるというふうに思うのですが、中曽根さん、どうお考えになっておりますか、所信を伺いたいと思うのです。
#8
○中曽根国務大臣 兼任にはメリットとデメリットの両方あると思いますが、デメリットをなるたけ少なくしてメリットを多くするように、誠心誠意心がけていきたいと思っております。
 今日の行政は、量にあらずして質の問題が非常に重要になってまいりまして、特に方向をきめていくというリーダーシップが非常に尊重される段階に入ってきていると思うのです。幸いに藤波さんのような名政務次官が私を補佐してくださいますので、大いに心を強くしておるわけですが、一緒に手を組んで御期待にこたえていくつもりでございます。
 なお、成長政策云々というお話がございましたが、私は通産大臣に就任以来、福祉のための成長、国民の中にある通産行政、そういう視点をとらまえまして、その線でスタートしておるわけでございまして、科学技術庁が考えておる人間のための科学と全く同じ方向にあるわけであります。科学技術の基礎部面からそういうヒューマニズムを持った政策で激励され、方向を指示されることは、通産行政のプラスにこそなれ決して対立するものではないと思っております。
#9
○石川委員 これは議論になりますから、この点はあまり深追いはしないつもりでありますけれども、日本株式会社だというふうな悪評が世界じゅうから浴びせられておる今日の日本におきましては、通産行政というものは考え直されなければならぬ、また福祉というものを取り入れた成長政策でなければならぬという考え方、もちろんそういう転換期に来ておることは、いなめないと思うのでありますけれども、しかし、なお現在の路線というものは、そう早急に切りかえられるという期待も持てないというのが率直な私の感想であります。そういう点で、どうしても企業を守るという立場が通産大臣に課された大きな使命であろうし、企業を守らなくても人間を守るのだという対立関係が出た場合にどう対処するかという問題点が多々出てくると思うのであります。そういう点で、共通したメリットは認めるに私はやぶさかでございませんけれども、通産省と科学技術庁の兼務ということについては、相当大きな疑問を持っておるということを一言つけ加えておきたいと思います。
 それから、科学技術行政につきまして、中曽根さんのほうからまだまとまった抱負経綸というものを聞いたことはないのでありますけれども、前々から言われておることで、GNPの大体二・五%の目標だということが言われております。なかなか二・五%に到達いたしません。二・〇一%ですか、わずかに二%をこしたということで一兆円台に乗せたということになっておりますけれども、中身を見ますと、民間が七二%で政府が二八%であったものが、最近は逆に政府の分担が二六%に下がってしまっておるというような状態で、諸外国のことにつきましては、もう中曽根さんに申し上げるまでもないのでありますけれども、英国、フランスあたりは政府が五〇%、あるいはアメリカなんかもっと大きなパーセントを占めておるというようなことと比較いたしますと、政府の科学技術行政に取り組む姿勢というものは、まだまだ諸外国には及んでおらないというような現状であるわけであります。
  〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕
したがって、二八%が二六%に下がったというふうなことを何とか盛り返して、さらに全体の科学技術研究費というものの中において占める政府の割合というものをふやしていくべき任務があるのではなかろうか、こう思うので、まず最初にGNPの中に占める二・五%の目標というものを一体いつごろの時点で達成をするという考えをお持ちか。あるいはまた、政府の占める割合というものがわずか二六%と低下しておるというふうな状態を何とか盛り返して、政府が相当大きなパーセント、たとえば五〇%なら五〇%という目標を立てて、それに対していつごろまでにこれに到達させるというふうなお考えがあるのかどうか。一兆円の研究費といっても、民間の交際費よりはるかに下回っておるわけでありますから、とてもこんなことでは日本の繁栄をもたらすことは不可能ではないかという懸念をわれわれは持たざるを得ないわけです。
 技術導入と技術の輸出を考えてみても、輸入に対してわずか一二%くらいしか占めておらないという現在の実態だし、また技術導入がこれから非常にむずかしくなろうというような世界の情勢の中に日本が置かれておるというようなことを考えますと、なおさら自主独立の技術開発、独創的な技術開発をしなければならぬというのが緊急の課題であろうと思うので、この二・五%の目標、あるいは将来の目標として三%、あるいは全体の研究費の中に占める割合が政府が非常に少ない、これを外国のように持っていくという目標、こういう目標を立てて、それに対して到達をするというふうな構想をお持ちになっていただかなければならぬと思うのでありますが、この点についてどうお考えになっておるか、お聞かせを願いたいと思うのであります。
#10
○中曽根国務大臣 その点は同感でございます。昨年四月に行なわれました科学技術会議の一九七〇年代の科学技術政策についての答申によりますと、わが国の研究投資は、国民所得の三%を目ざして、一九七〇年代のできる限り早い時期に二・五%を達成するよう努力すべきである、こういっております。したがいまして、科学技術会議の示しているラインは三%ということで、しかもなるたけ早く二・五%に到達せよ、こういう方向を示されておるのでございまして、この線に向かって私たちも大いに努力しなければならないと思っております。
#11
○石川委員 これは、前からそういうふうなかけ声というか、目標だけは立てられておるのでありますけれども、現実にはいま私が申し上げたように、政府の占める割合がむしろ低下をしておるというふうな実態なんです。
 それからあと一つ、数字をあげて御説明いたしますと、昭和三十七年と昭和四十五年、この間に国立研究機関――基礎的な研究機関としてはやはり国立研究機関の占める比重というものが非常に重要だ、民間においては基礎的な研究というものはできないのだというようなことを考えますと、国立研究機関の研究費が一体どうなるのだということを調べてみました。そうしますと、昭和三十七年を一〇〇といたしまして、国家予算は大体四倍になっております。ところが、国立研究機関の予算は二・四倍、二四一%であります。それから、これはちょっと余談になって恐縮なんでありますけれども、人間尊重、人間尊重といわれておりまして、ローマクラブの報告を見ても、あるいは日本のいろいろな学者から、それぞれの立場で、西暦二〇〇〇年になった場合には人類は半分以下になってしまうのではないかというふうなおそるべき報告が確信をもって出されておる。こういうときに、人間の健康をどうやって守るんだ、人間の生命をどうやって守るんだということになると、厚生省の各機関、国立研究機関の使命というものはすこぶる重要だと思うのでありますけれども、それがわずかに二二五%という一番低いのであります。こういうことで、目標は二・五%に近づけるんだ、三%に何とかするんだというかけ声だけはもう十年も前から私、聞いておるのです。しかし、こういう状態では、言っておることとはうらはらな方向に行っておるのではなかろうか、こういう感じがしてならないのであります。
 ことばだけではだめなんです。私は特に厚生省関係の研究機関の内訳について申し上げたいことはたくさんございます。たくさんございますけれども、とにかく物価の値上がりにも及んでおらぬというようなていたらくであります。これは国務大臣としての中曽根さんにも大いに記憶にとどめてもらいたいと思うのでありますけれども、人間の生命とか遺伝とかあるいは食品添加物とか農薬の研究とか、そういったものはほんとうに人間の健康に直接影響がある。
 私はここに一冊の本を持ってきておりますが、東大の医学部の教授の白木さんなんかは、農薬公害でもって日本人の人口は五十年間に四千万人減るであろうというふうな大胆な提言をしております。これはここで申し上げる余裕はありませんけれども、根拠があるのです。非常に重大な根拠がある。そういうふうな重大な問題を検討するのは一体どこかというと、それは厚生省しかないのではないかと思うのであります。その予算がほとんどふえておらない、物価の値上がり程度にしかふえておらない、こういう状態で、人間尊重というのはかけ声だけではなかろうかという感じがしてならない。全体の研究の予算が、国家予算の四倍に対して二・四倍だというような状態なんでありますから、推して知るべしであります。
 したがってこれは、何回も科学技術庁長官がかわったつど――研究機関の予算は、もちろんこれは大学の予算とのかね合いもありますから一がいには言えないのでありますけれども、国立研究機関の持つ使命というものは非常に大きいと思うのですが、これだけを見た場合にはお話にならない低調ぶりであるということを考え直さなければならぬ重大な転換期に来ている。したがって、ことばだけではなくて――科学技術会議からこういう報告が出ておるからそのとおりにしたいと思うんだという程度のことでは、私はどうも納得できないのです。こういうふうなものは、ほんとうに具体的な目標をつけて、何年までにやるんだというふうな決然たる態度のもとに研究機関の予算の充実をはかっていかなければとんでもないことになるのではなかろうかという感じがしてならないわけでありますが、それに対する中曽根長官の御所見があれば伺いたいと思うのです。
#12
○中曽根国務大臣 最近はエコロジーであるとか、あるいはそれに関連してライフサイエンスのような新しい分野も出てまいりまして、人間の存在と科学の関係が根本的に究明される段階にもなりました。また、いわゆるテクノロジーアセスメントというような考え方も出て、科学技術の分野に非常に大きい新しい分野がいま開かれようとしておるところであります。したがいまして、従来の分野に加うるにそういう方面にもかなり思い切った投資あるいは研究費を割愛いたしまして、大いに今後伸ばしていきたいと思っております。
 御発言の厚生省関係の分野に関しては全く同感でございまして、よく注意してまいりたいと思います。
#13
○石川委員 いろいろ申し上げたいことはたくさんあるのですけれども、きょうはもっと具体的な問題について伺いたいと思うので省略をするほかございませんが、とにもかくにも国立研究機関というものは非常に冷遇をされておるという実態、その一つのあらわれとして、研究職員というものは優遇をしなければならぬということは、これは中曽根さんも同感ではないかと思うのです。かつて中曽根さんが科学技術庁長官になられましたころ――私も古いおつき合いで、ずっと科学技術基本法の作成も一緒にやっていただいたことがありますが、そのころ原研へ参りましたときに、中曽根さんは科学技術庁長官として、原研の職員については三割か四割ほかの公務員に比べて給与を増さなければいかぬのだということをおっしゃったことが、まだ私は記憶に残っておるわけでございます。
 現状は一体どうなっておるかといいますと、ほとんどほかの公務員と変わっておらないという実態です。たとえば二十二歳でいいますと一〇四%というふうにわずかにふえております。それから最後の四十歳くらいになりますと、一〇七%ということです。そういうことで、私は一つの例として原研を申し上げておるわけでございますけれども、この比較はいろいろな点でちょっとむずかしい点はあるにいたしましても、大体当たらずといえども遠からずという統計ではないかと思っております。しかも原研あたりはきわめて優秀な人材を集めておることは御承知のとおりでございます。まあ知識があるとかなんとかいうことが人間の価値判断の全部の基礎になるわけではもちろんございませんけれども、しかし、ともかく優秀な人材でなければ原研などには入れません。特に東大の物理なんかは最優秀の連中を採用しておるという実態であるにかかわらず、一〇四%か一〇七%、最後の定年になりますとほとんどほかの公務員と変わらないというふうな実態になっておる、こういうふうなことも再検討する余地があるのではなかろうか。研究公務員に対する処遇というものは相当積極的に考え直して、この人たちに使命感を持たせるべきではなかろうかということを原研を一つの例として申し上げたわけでありますけれども、この点はどうお考えになっておるか、伺いたいと思うのです。
#14
○中曽根国務大臣 原研につきましては、あの発足当時、ともかく放射能その他の関係で、危険性ということも国民が心配をしておりました状況でありまして、そういう面から特別の優遇措置も講じようという考えもあり、また人材も集めようという考えで、私の記憶では、たしか一五%アップということで大蔵省を説得をしてやったと思います。それがいま御指摘のようにだんだん落差がなくなったということははなはだ遺憾でございますが、今日の段階になりますと、これは原研だけでなくして、科学技術者全般のレベルを給与の面においても上げなければいけない。この間も人事院総裁にそういう要望を私申し上げてきましたけれども、全般的にその給与水準を上げるように今後努力してまいりたいと思っております。
#15
○石川委員 私の申し上げたいのも、別に原研に限ったわけではございませんで、やはり今日、科学技術の研究ということは、いろいろな面で非常に重要視され、またほかの国に追いつき、追い越すということの基本は、科学技術以外にはないのではないかとさえいわざるを得ないということに関連して考えると、研究公務員というものの待遇というものは、民間に比べたら非常な大きな落差があるのですが、ほかの公務員と比べてもほとんど落差がないような状態になっておることは非常に悲しむべきことではなかろうかと私は考えておりますので、中曽根さんはこの点は十分に御承知のことと思いますから、ぜひ研究公務員の優遇策について積極的に御検討し、また積極的に動いていただきたいということをお願いしたいと思います。
 それから次に、具体的な問題に入りますけれども、科学技術会議のお話が先ほどございましたが、この科学技術会議で、結論的に言いますと、ソフトサイエンスとライフサイエンスと環境科学というものを重視しなければならぬという結論が出ておるわけで、今度科学技術庁長官に就任をされまして、中曽根さんがライフサイエンスに対して非常な熱意を示しておられるということを伺っておりますが、その中身といいますか、その方向といいますか、それがよくわからないものですから、単純な質問として念のために伺っておきたいと思うのです。
#16
○中曽根国務大臣 最近の工業の発達あるいは社会の環境変化等々から見まして、人間の存在と科学の間をさらに深く究明するという分野が開けてきたように思います。いままでのようなブロックした世界でなくして、境界領域を統合的に究明していくというような問題、あるいは全部を一元的に把握するような科学のあり方というような面も非常に重要視されてきたわけであります。そういう面からライフサイエンスの面を開拓するスタートを切ろう、そういう観点に立ちまして、兼重先生に座長になっていただいて、各方面の権威者に集まっていただきまして懇談会を数次にわたって開きました。それでライフサイエンスとは一体何であるか、ライフサイエンスの扱う分野、またそれを究明していく方法論等について、いま学者の意見を徴しましてまとめつつあるところでございます。そういう方法論を確立し、目標を明定しました上に立って、科学技術庁としての政策をどういうふうに確立していくか、次の段階において私たちは努力してまいりたいと思っております。ともかく公害の問題であるとか、先ほどお話がありましたローマクラブの報告等々を見てみますと、ライフサイエンスの重要性というものは、非常に強調されてもされ過ぎないという事情にあるだろうと思います。そういうことをわきまえまして、この分野において日本が独特の研究成果を生むように努力してまいりたいと思っておるわけでございます。
#17
○石川委員 科学技術会議で先ほど申し上げたような結論が出たことは、私は非常に妥当だと思っておるのですけれども、実を言いますと、科学技術会議の構成メンバーというのは、各省の方々を除いてみますと、自然科学の人だけなんです。自然科学者というものはこれからますます優遇されなければならぬことは当然ですけれども、人類文明史的な視点というものが欠けて、何か現象を追ってある程度の結論を出すということになっておる。やはり人間と環境、人間と科学とのかかわり合いというものは一体どうであるべきかというような基本的、根源的な問題から洗い直して、そこから結論が出ておるというような形にはなっておらないと、私は批判的に見ておるわけです。しかし、この結論それ自体は私は間違っておると思っておるわけじゃございませんけれども、そういう見方で科学技術会議というものは再検討する余地があるんじゃなかろうかという感じがいたします。
 それは私の個人の意見でありますけれども、そこでたとえばライフサイエンスの問題について言いますと、遺伝子の人工合成というものがコラーナ博士によって成功したし、RNAとDNAとの関係がひっくり返っておるというふうなことが最近になってようやくわかってきた。それからアミーバの再編成に成功したというようないろんなことがございまして、ライフサイエンスというものは非常に重要なこれからの研究課題であるということは私も認めるにやぶさかでございません。ただ、ライフサイエンスと一口に言いますと、普通考えられますことは胎外受精の関係、試験管ベイビーの問題だとか、遺伝子をどうにか操作ができるというようなことに基づいてこれが悪用されたらとんでもないことになるんじゃなかろうかといった遺伝子の制御の問題、それから生命の合成というものもある程度可能になってくるんじゃなかろうかというのが普通いわれておるところのライフサイエンスという考え方であろうと思うのであります。そういう考え方の限度内であれば、これはもちろん重要な問題であるし、学問的にはどんどん追及をして予算もつけて検討しなければならぬという問題でありますけれども、人間と科学とのかかわり合い、人間と自然とのかかわり合いをどうするかという問題を含めての考え方がライフサイエンスの中に入るかどうかということについて、私はちょっと疑問があるわけです。しかし、まあこれは疑問としてとどめておきます。
 そういうことで、私が申し上げたいのは、むしろソフトサイエンスとしての問題のほうを今日的な課題として取り上げることのほうが急務ではないか。ライフサイエンスというものを取り上げること自体はもちろん重要なことでありますから否定はいたしませんし、学問としてどこまでも掘り下げていく必要性は十分に私も認めるわけでありますけれども、そうじゃなくて、今日ケリをつけなければならぬ、今日解決しなければならぬ問題がたくさんあると思うのです。そういう点で私は、ライフサイエンスは政府の一つの大きなプロジェクトとして取り上げるという問題ではなくて、学者が検討するに値する重要な課題ではあるけれども、今日取り上げなければならぬ問題は、先ほど中曽根長官も言われましたが、テクノロジーアセスメントの時代に入っておる、テクノロジーアセスメントを一体どうして確立をするかという問題のほうが私は今日的な重要な課題であろうと思う。テクノロジーアセスメントということになれば、ライフサイエンスじゃなくて、これはいわばソフトサイエンスの中に入ってくると思うのですが、今日は技術革新の時代ではなくて技術再点検、テクノロジーアセスメントの時代だということがいわれておる。
 まあ余談になりますけれども、テクノロジーアセスメントを技術再点検と日本では訳しておりますが、アセスメントそれ自体は、再点検の再という字はないわけです。ところが日本人が訳すと再点検ということになるのは、科学に対する重大な反省の気持ちが入るから再点検ということばになって翻訳をされてきたんじゃなかろうか、こう思うのでありますけれども、いろいろテクノロジーアセスメントの事例研究、CAI、超高層ビルあるいは農薬の問題等を見てみますと、アメリカのマイター社でもって開発されたような手法も十分取り入れて相当研究されてきておるということを私も認めないわけではないわけなんであります。もちろんアメリカ自体でもまだ最終的な結論が出ておるわけじゃなくて研究の段階であります。
 しかし、テクノロジーアセスメントがほんとうに必要なのはアメリカよりも日本であるということも、これはもう言うまでもない現実であろうと思うのであります。したがって、インパクトマトリクスの関係はいろいろと整理されておりますけれども、しかしそれはプラスで書いたり、マイナスで書いたり、あるいは黒で書いたり、三角をつけたり、バッテンをつけたりするようなかっこうでやってるだけで、どこに重点があって、評価の最終的な結論をどうするのだということまではまだまだいっておらない、これが現実だろうと思うのです。
 このテクノロジーアセスメントを一体どういう組織でもってやろうとするのか、一体どこで責任をとらせようとするのか。大ざっぱに結論を言うならば、私は官僚側でもってこれをやるのは反対であります。これはどうしても純然たる民間で責任を持ち、民間でやる。しかし、このインパクトマトリクスの関係なんかを整理していくというふうな仕事は、官僚機構でもって大いにやったらよろしいと思うのでありますけれども、最終的な結論を官僚側が出すということについては、私はあまり賛成できません。そういうふうなことを含めて、テクノロジーアセスメントというものをどう確立をするかというようなことこそ今日的な課題ではないのか。ライフサイエンスというものの定義は一体どうなんだ、範囲は一体どうなんだということをこれから始めるということは学問の問題であって、それより科学技術庁として今日的な課題としてやらなければならぬのはむしろそういうふうな問題ではないだろうか、こういう感じがしてならないわけでありますけれども、その点は中曽根長官どうお考えになっておりますか。
#18
○中曽根国務大臣 先に話のありましたライフサイエンスの問題等でも、私はたとえば中国のはり麻酔というようなものは、明らかにこれは科学的に究明さるべきものである。はりというようなものはよく神経痛にきくとかなんとか言います。ギックリ腰にもきくとかなんとかよくいわれますね。これは科学的にはまだよくわからない分野でもあります。これなどはまさにライフサイエンスの一つの課題ではないか。われわれ身近にそういうものを感ずるわけであります。あれだけの大きな手術をしても、中国においては何ら化学を用いないで、はりで痛みを感じないでやっているということはなかなか大きな仕事だろうと思います。
 それから、テクノロジーアセスメントについて考えておりますのは、妙なことでありますが、ソフトサイエンスということをおっしゃいましたが、米ソ間の例の戦略核兵器制限協定、SALT、あれは一つの大きなテクノロジーアセスメント的なものではないか。つまり原爆というような兵器を人類が発明したけれども、これは使っちゃいかぬというブレーキを両方の国がかけておる、ある意味における大きなテクノロジーアセスメントがああいうところへ出てきておる。日本の原子力平和利用三原則の公開、自主、民主ということは、ある意味においてはこれまた同じテクノロジーアセスメントに近いものではないかと思います。結局私は、テクノロジーアセスメントというようなものは開発したものが行なうべきであると思う。ちょうど公害に関してPPPという原則がございまして、ポリューター・ペイズ・プリンシプル、つまり企業者が公害に関して責任を持つべきである。と同じように、技術を開発したり発明した人間がまず責任を持つべきである、そう私は思うのです。しかし、それだけではとてもカバーし切れない大きな変化や反応がそれから出てくることがございますから、その人を中心にして国やそのほかの関係組織が第二次的に惨害を及ぼさないような措置を講ずる必要はあるだろう。官庁関係においては、そういう民間あるいは官庁の研究機関において発明され開発されてきているものを害を及ぼさないように第二次的に監督する、あるいは規制する、そういう立場が各省各省の系統を通じてあらなければならない姿ではないか、そう考えております。
#19
○石川委員 私の質問とだいぶ食い違っておると思うのですが、いまSALTのことや何かのお話がございました。あるいは核三原則のお話もございましたが、それはもっぱら単純な政治的な課題としてのテクノロジーアセスメントであり、単純な政治的判断であろうと思うのです。私の言っておるテクノロジーアセスメントというものは、いま農薬の問題とかCAIの問題だとか、それから超高層ビルの問題だとか、いろいろ簡単なものから手をつけ始めておるようでありますけれども、人間の価値の尺度というものは、マイター社なんかによれば、六つに分類をして、さらにこれをまた四つに再分類をするというようなことで、人間の価値とは一体何だというふうなものを、やっぱりインパクトマトリクスの範囲内に入れて、ある一つの科学技術のテーマが出た場合に、それを全部科学的に詳細に分解をしていく、その比重というものを含めて結論を一体どうするのだという判断にまで持っていくということが必要なんだ、人間の価値というものに相当大きな比重を置いたものの判断のしかた、再点検というものが必要なんだ、事を始める前にそれをやるべきだというようなことが、いま盛んに反省として出てきておるわけでございまして、そういう点こそが、これからは技術革新の時代ではなくて、技術再点検の時代であるといわれておる私は大きな根源だろうと思うのです。したがって、政治的な問題ではなくて、そういう科学的な立場に立ってそういうことをやることが科学技術庁としての相当な大きな任務ではないのか、今日的な大きな任務はそこに置くべきではないのだろうかということを痛感するわけなんです。
 たとえば、あと一つ例を申し上げますと、科学技術庁の資源調査会のほうで、五十年間で東京の緑は全部なくなるという、これは単なる予言ではなくて、確実なデータに基づいて予測として行なわれておるわけです。これに対して一体どう対応するのかということを――研究調整局長いらっしゃいますけれども、この前から私は要望しておるのでありますが、これはテクノロジーアセスメントとはちょっと範疇がはずれますけれども、それはどういうふうな対応策をいまお考えになっておりますか。
#20
○長澤説明員 資源調査会の報告につきましては、この中心となります技術につきまして特別研究調整費を来年度予定しておりまして、約一億五千万円を予定して中心の技術を開発することになっております。
#21
○石川委員 一億五千万円の予算がついたからそれでよいという問題じゃないので、これはほんとうに東京で木が枯れないようにするという熱情を持って、その目標に対して一体どう対処するのかということが解決できれば、日本全体に与える恩恵というものは非常に大きいわけです。これに対して一億五千万円の予算がつきましたということだけじゃ、私は答弁にならないと思うんですよ。それにどう対処するのか、こういうふうな重要な課題が今日目前にある。したがって東京の緑を枯らさないのだということのために対処をどうするのだ、政治をどうするのだというようなことを考えることも今日的な大きな課題だし、それからテクノロジーアセスメントというものは、単なる政治の課題としてではなくて、人間の価値の尺度というものを中心に据えて、そういう観点から洗い直して技術というものを再点検していくというようなことこそが、今日科学技術庁の政策として与えられた最大の課題ではないのか。したがって私は、いま緑の問題を申し上げましたが、それは一つの例として申し上げておるのであって、そういう重要な課題があるときに、ライフサイエンスは学問としてやるべき課題であるが、今日科学技術庁の大きなプロジェクト的な、中心的な課題として据えるのは、ちょっと迂遠過ぎるのではないか。必要がないとは私は申しませんが、もっと先にやるべきことがあるのではなかろうかという感じがしてならないわけなんです。
 こういう点については、今後もまたいろいろ議論をする機会もあろうと思いますからその機会に譲りたいと思いますけれども、ライフサイエンスそれ自体の重要性は、私は否定するつもりは、何回も申し上げておるように毛頭ないわけなんです。しかし、もっと今日的な課題としてやらなければならぬことがたくさんあるのではなかろうか、それを重要な課題として中心に据えてやるべきではないかということを申し上げたかったわけなんであります。
 次に、時間があまりございませんので、次々と問題が変わっていって恐縮なんでありますけれども、宇宙開発の問題について、これは単純な質問になると思いますけれども、運輸省の方は来ておりませんが、気象庁の関係ではWMO、世界気象機関でもって大体四個静止衛星、気象衛星を上げる。アメリカが二個で欧州が一個、日本が一個ということになると、グローバル、世界を大体カバーできるということになって、日本もその責任上どうしても昭和五十一年までに上げなければならぬ。いまのところは一日一回ぐらいしか衛星を通じての気象観測のデータは送られていないけれども、この静止衛星が置かれれば、二十分置きにいろいろな前線の動きや台風の進路などというものが報告をされて、非常に予報というものが確実になってくるので、人類のしあわせと密接な関係があるこの気象予報ということの関係で、これをどうしても上げたいということになっておるわけでございます。
 さらに、放送衛星あるいは通信衛星というものは、NHKあるいは郵政省のほうの関係でそれぞれやっぱり昭和五十一年までに上げたいという希望が出ているわけで、そのためにアメリカに上げてもらおうというような計画が、それぞれの担当のほうから出ますと、これはもちろん中曽根さんも御相談にあずかったのだろうと思いますけれども、やはりいまのNロケットという国産技術の推進というものを中心として考えるということでこれに一応ストップをかけて、それで日本が従来どおりNロケットの国産衛星というものの研究を重視し、それを軌道に乗せた上で、それに基づいて放送衛星、通信衛星というものを考えるというような回答になっておるように新聞からは受け取れるわけでありますけれども、そのように理解をしてよろしいのかどうか。これは開発委員会のほうからもいらっしゃっておりますので、そちらのほうからの回答でもけっこうでございますが、御説明を願いたいと思うのです。
#22
○中曽根国務大臣 先般、郵政大臣から、あれは放送衛星、通信衛星でございましたか、この静止衛星を五十年までに上げてもらいたい、そういうような希望が伝えられました。いま、これは宇宙委員会において、山縣さんを中心にして検討を加えられておるところでございまして、そういう要望を要望として一つの資料として扱っておるところでございます。しかし、私の考えを申し上げますと、ちょっと無理ではないかという気がいたします。やはりいままで計画的に順序を追ってNロケットの開発を自主的にある程度やってまいりまして、五十二年にそれを完了して打ち上げる、そういう計画でいままで進んできたわけであります。それをかき乱して、別の方法でやることがはたして意味があるかどうか、そういう点からこれは慎重なる検討を要することである、そのように考えております。しかし、例のGARPの問題につきましては、国際協力の手前もあって、あの一個分は日本も負担をして気象衛星を打ち上げる、そういう考えを持ってこれは前向きに計画どおり進めていきたいと思っておるわけでございます。
#23
○石川委員 郵政省の電波管理局長がお見えになっておりますけれども、この放送衛星、それから通信衛星、これは難視聴の解決だとか、あるいはまたアジア諸国とのABUですか、海外協力の問題、技術をレベルアップするというふうないろいろなねらいを持って昭和五十一年までにはどうしても上げてもらいたい、こういう御希望だろうと思うのです。それから通信衛星についても、これは同じようなことで、どうしてもいまの地上の通信では間に合わない、目一ぱいになってくるというようなこともありまして、通信衛星、静止衛星をどうしても上げたい、こういう熱望があって、やっぱり昭和五十一年ということには変わりないと思うのでありますが、五十一年というこの目標というものはどうしても守る、守ってもらいたい、こういう御希望なのかどうか、ちょっと念のために伺いたいと思うです。
#24
○斎藤説明員 郵政省といたしましては、放送衛星及び通信衛星につきまして、昭和五十三年以降の計画としていままで検討を加えてきたわけでございますが、世界の宇宙開発の現状にかんがみまして、できるだけ早く衛星技術の確立と電波権益の確保をはかる必要がありますので、この計画を繰り上げて、昭和五十一年度を目途として実験用の放送衛星、それから通信衛星を打ち上げてもらいたいということで、この要請を宇宙開発委員会に行なった次第でございます。
#25
○石川委員 いまのNロケットは、ソー・デルタは大体第一段目に適用するということでダグラス社から技術導入をするということをやって、なおかっこの計画は、これは五百キログラム程度だろうと思いますけれども、五十一年には私は不可能ではないか、こう見ておりますが、山縣さん、これはどうなんでしょうか。
#26
○山縣説明員 ただいまのNロケットの件でございますが、御承知のように昭和四十五年、一昨年大幅に開発計画を変えまして、その節申し上げた幾つかの理由がございましたが、その一つといたしまして、現在のNロケットというものを踏まえましてさらに強力なロケットをつくる。従来の固体ロケットではそういうことができませんものですから液体ロケットにかえた、こういういきさつがございます。
 そこで、ただいまの御質問でございますが、Nロケットにつきましては、たいへん皆さまの御援助を得まして、現在、宇宙開発計画どおりにほぼ進んでおります。いわゆる軌道に乗ってまいりました。したがいまして、Nロケットそのものは昭和五十年にでき上がりまして、五十一年、五十二年にいろいろな衛星を打ち上げる。大体静止衛星にいたしましてペイロード約百三十キロ、こういうふうな計画で進んでおります。
 そこで、ただいまの次の段階でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように一昨年の改定のときに、そのあとに続きやすいように改定をした、こういうことを申し上げておりまして、現に私ども事業団ともいろいろ相談いたしまして、大体現在のNロケットが終わると、次には現在のNロケットを改良いたしまして二百五十キロないし三百キロの静止衛星を打ち上げる能力を持たせる、こういう計画でいろいろ勉強もしておるわけでございますが、ただいま郵政省からもお話がございましたように、これを五十一年に繰り上げるということは、まず非常に困難な問題だと思います。と申しますのは、現在のNロケット、すなわち百三十キロペイロードというのは、でき上がりますのは四十九年、打ち上げは五十年、五十一年でございますから、次のNの改良型を、五十一年というときにただいまの通信衛星なり放送衛星のために使うということはこれは困難だと思います。ただ、私どもいま検討いたしておりますのは、Nロケットにつながるものを一体いつ完成し得るかということ、これは簡単に申し上げますと、現在のNロケットが終わる、それに引き続いて次の段階のものにする。従来そういう計画でございまして、私どもの心づもりとしては、昭和五十五年には三百キロくらいのものは打ち上げられるだろう。ところが、これを五十一年に繰り上げるということは非常に困難でございまして、私どもいろいろ検討いたしておりますが、まあ一年なら一年――結局問題は、現在のNロケットの開発をやる、それにつながるいわゆるシリーズに次の段階に行くというのが従来の考え方でございますが、どうしてもこれを早くやらなければならぬといいますと、Nロケットの開発のある時期からパラレルに次のものをやる、こういうことも考えられます。
 また、さらに考えられますことは、ソ連がやっておりますようにロケットをたばねるというやり方がございます。たばね方にもいろいろございまして、ロケットそのものをたばねる場合とロケットエンジンをたばねるというやり方とありますが、そういうことも現在検討中でございまして、そういうことをやりましたらば、従来考えておりました五十五年が一体どのくらい早くなるかというのを検討中でございます。
#27
○石川委員 宇宙開発の問題について申し上げると、これまたたいへん時間がかかる問題ですからあまり申し上げないことにいたしますけれども、私は、国産技術でいくならソー・デルタの技術なんか入れないで、あくまでも日本の技術でやったほうがよろしい、こういう意見をずっと持ち続けておったわけなんです。それは、一つは、日本は個々の技術ではすぐれたものを持っているけれども、システム工学というものが宇宙開発については非常におくれておる。したがって、システム化が確立された上でなければ、技術導入をしてもその上の技術というものは生まれてこないのではないか。したがって、単なるそれだけの技術を導入するということになるし、それから、アメリカからもらえる技術というものが、いつの場合でも一つおくれているものしかこちらへ送ってこないという現実があるわけです。たとえば一段、二段、三段と分かれれば一段だけそっくりセットにして持ってきて、これは決して分解してはいかぬというような形で持ってくるという形にもなりかねないし、ソー・デルタを入れても、これは五百キログラムということになっておりますけれども、その次にはタイタン3を使わなければならぬか、あるいはアトラス・セントールを使わなければならぬかという問題で、ソー・デルタを入れてその上に立って日本が技術を開発するということにはなってこないのではないか。その前にシステム化をまず完成させる必要があるのではなかろうか、こういう感じがしてならなかったわけなんですけれども、ソー・デルタは五百キログラムがせいいっぱいでしょう。そうなりますと、通信衛星と放送衛星はどっちも一応五十一年、三百キログラムというようなことになっておりますけれども、実は放送衛星のことに関して言えば、千キログラム、一トンでなければ採算に合わないというのがいままでの現状におけるところの常識になっておると思うのです。そうすると、ソー・デルタを入れただけでそういう技術まで進み得るかということになると、国産技術ではそこまで発展させることは非常に困難ではなかろうか。また新たな技術を入れなければならぬのじゃなかろうかということを考えますと、いまの段階でアトラス・セントールの技術を入れるのか、あるいはタイタン3というものを入れるのか、そういうふうなことまで開発委員会でもってお考えになっておられますか。
#28
○山縣説明員 お答えいたします。
 ただいまの問題、これは非常にむずかしい問題でございまして、結局日本の宇宙開発を今後どうするかということにからんでまいりますことは、ニードがどうなるかということだと思います。いまお話がございましたように、通信衛星とか放送衛星、これを大型化して将来一トンの静止衛星というようなことはおそらく考えられることになると思います。
  〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕
いま私が申し上げましたことは、現在のNロケットにつながるものは二百五十キロないし三百キロ、さらにそれを一トン近くまで上げるということも、これはよほど先のことではございますが、考えてはおります。そのやり方といたしまして、Nロケットというものを土台にしていくか、あるいは先ほども申し上げましたように、ロケットをソ連式にたばねていくかというようなこともあわせて、目下将来計画を考えております。
 実は、私どものほうといたしましては、この三十年間、ですから今世紀いっぱいの宇宙開発がどうなるだろうかということを考えるために、組織をつくりましていま検討しております。しかし、これは原子力よりさらに宇宙のほうが将来は流動的でございまして、たとえばいまのような大型のロケットというものが必要であるかどうか、これは例のポストアポロ計画によりますスペースステーションができますと、スペースステーションを使ってそういう大きなものを打ち上げる。すなわち、部品というと小さ過ぎますけれども、ある程度のものをステーションに持っていき、また次に持っていき、それをステーションの土で組み立てて打ち上げるというようなことも一方において考えられます。したがいまして、将来、ただいま私どもの考えておりますのは、先ほど申し上げたとおり二百五十キロ、三百キロ程度でございますが、それからいかにするかということは、いま申し上げました長期ビジョン懇談会というものでやっておりますが、これは国際的にも非常に流動的でございますので、なかなかはっきりした結論は出にくい、またここで申し上げる段階になっておらないということを御承知願います。
#29
○石川委員 いまはしなくも山縣さんが、ニードに応じて、そのニードがどう変わるかわからぬ、その情勢に応じて考えるということで、いまのところは端的に言って五里霧中というようなかっこうであろうと思うのであります。
 そのニードの問題なんですけれども、この衛星関係は各省でそれぞれ技術開発をやっておりまして、相当進歩しておるのではないかと思っております。しかし問題はロケットであろうと思うのです。
 ところで、日本の宇宙開発ということになりますと、非常にロケットに重点が置かれておるわけです。私はソー・デルタを導入するときに反対をした理由の一つといたしましては、NASAのものは実用衛星としてはほとんどソー・デルタは使われておらなかった。これはどういうものに一番関連が多いかというと、IRBMというものに相当関連が多い。したがって私は、どうしてもロケットに相当重点を置くという考え方は、二ードとしては軍事利用だということが端的に結びついてくるのではないだろうかという感じがしてならないわけなんです。
 それで、タイタン3というふうなものを今度使わなければならぬというふうなことになるとすれば、タイタン3というのは御承知のように軍用衛星とスパイ衛星をほとんど打ち上げておるというようなことにつながってくるわけでありますから、これまたいろいろ問題があるのではないか。一体ロケット、ロケットといっておるが、衛星関係で日本はまだまだ相当開発の余地があるし、やらなければならぬ。特に資源探査衛星、それから魚群探知関係の衛星というふうなものは、まだ当然日本の将来としては考えていかなければならぬ重要な問題だと思うのでありますけれども、ロケットそれ自体の技術の波及効果というのは一体何だろうか。もちろんコンプレッサーの改良とか、あるいは材料工学的な改良とか、いろいろな点で技術の波及効果がないとは私は申しません。しかし、ほんとうに大金をかけてロケットを開発して、そうしてこれをやっていかなければならぬということのニードは、私は軍事利用が一番大きいのだと思わざるを得ないのです。
 そこで私は、端的に言って五十一年までに三百キロの衛星をそれぞれ上げなけれなばらぬというようなことになれば、カナダでやっているように、あるいはフランスでやっているように、自分のところでだめなら、これはアメリカに上げてもらおうではないかという淡々とした形でもってこの研究開発を進めておるという点を学ぶべきではないのだろうか。あくまでも日本の国産衛星にたよってやらなければならぬのだということになれば、どうしたってこれは五十一年には間に合いそうもないわけです。そういうことで私は、ロケットの開発の技術の波及効果というものはあまり高く評価できないのです。いろんな人に聞いてみたのですが、そうたいしてニードに応ずるという形にはなっておらない。私はそれはそれぞれの立場で、コンプレッサーとか材料とかという問題はそれぞれの分野でもっていろいろ開発することができるのであって、ロケットがなければだめだというふうな必要性はないのではなかろうか。全然ないとは申しません。全然ないとは申しませんけれども、そのロケットをそれほど重点を置いてやるという――これは費用との関係ももちろん相当ございます。ばく大な費用がかかるわけです。したがって、そういうものとの関係をずっと考えてみますと、これこそテクノロジーアセスメントの対象として考えますと、衛星のほうに重点を置くというふうに切りかえていって、国産技術はもちろんやってよろしいです、よろしいですけれども、それほどロケットに重点を置いてがむしゃらに進めていくという必要性というものは私個人としては考えられないのです。そういう点で、五十一年に間に合わなければアメリカのロケットを使って上げたって、私は別に恥ずかしいことでも何でもない、それでいいのじゃないかという感じがするわけですが、中曽根長官の御所見を伺いたいと思うのです。
#30
○中曽根国務大臣 やはりある程度国産技術の基礎が確立しておりませんと、科学技術の発達の面からもいかがかと思われます。金を出せばなるほど早く打ち上げられて、簡便に済みますけれども、それでは切り花を買ってきてそれがしおれていくようなものになってしまいます。だといって、いつまでも便々とまた待っていいというものでもありません。したがいまして、その国産技術と外国技術とをどういう程度に調合したらその時期に間に合うかという考え方をもちまして、その調合をうまくやりながら時期に間に合わしていき、しかもできるだけ個性のある国産技術を発達さしていく、そういう方法が賢明であるだろうと思います。
#31
○石川委員 いまのはあまり的を射た答弁だとは思わないのですが、六カ年間に千五百億円もかけて、これは非常な貴重な費用です、それだけの価値があるのかどうかということについて、私個人は非常に疑問を感じている。それで技術の波及効果というものがあればよろしいのですけれども、それはもちろん国産技術として推進をはかるという半面は必要だとは思いますけれども、何でもかんでも五十一年にやろうと思ったってこれは間に合わないという現実の側面が一つあるわけで、そうなればアメリカに上げてもらったって別に国辱だというふうに考える必要もないし、これはどこでも、カナダでもフランスでも、アメリカに上げてもらおうということで計画をしておるわけでありますから、そう国産技術で何でもかんでもやらなければならぬのだということにこだわるほどの必要性というものは私は感じておらないということを強く申し上げておきたいと思います。
 あと大きな問題が一つ残っておりますので、宇宙開発の問題についてはいずれあらためて、私がなぜそういう結論を得たかということの詳細についてはまたいろいろ議論をする場があろうと思いますから、このくらいにいたしておきます。
 最後に、原子力の問題でございますけれども、原子力で一つ二つ、まず最初に中曽根長官の御方針を伺っておきたいと思いますが、遠心分理法とガス拡散の方法と、濃縮の方法に二つあるわけでございますが、日本としては遠心分離法に重点を置くというような考え方にだんだん移ってきているというか、大体方針として決定をしておるというふうにわれわれは理解をいたしておるわけです。これは電力をあまり使い過ぎるというガス拡散法ではまずいということもあるでしょうし、工場の規模だとか建設の速度というものに弾力性を持たせることができるという利点が遠心分離法にはあるわけです。遠心分離法というものは、西ドイツ、英国、オランダというふうなところがいろいろと協力をして開発をしておるその報告などによっても、相当この性能というものが改善の方向が見えてきたというようなこともあって、日本の場合は遠心分離法に重点を置くべきだ、こう私もその方向に対しては全く同感なんであります。
 そこで、実働するのが昭和五十一年か五十二年ということにいたしましても、現在はわずか十台でもってシステム試験をやっているというふうなことでは、とてもこの遠心分離法は問題になりません。来年度には思い切った予算を要求いたしまして、何とかこの遠心分離法というものを成功させるための大がかりなシステム実験に取りかかるのだというふうなことを聞いておるわけでございます。そのためには数千台から一万台ぐらいの遠心分離機というものを並べなければならぬ。とてもいままでのような、たった十台ぐらいの遠心分離機を並べるというふうなことであったのでは問題にならぬわけで、相当思い切った対策というものがとられなければならないと思うのです。そういう点で、積極的にこれを推進するというお考えであろうと思うのですけれども、念のためにこの点について中曽根長官の所信を伺っておきたいと思うのです。
#32
○中曽根国務大臣 遠心分離法を推進するという考えはお説のとおりであります。現在は動燃事業団におきまして、たしか数社からのおのおののアイデアによる製品でいま競演しているわけであります。それで、その結果をおのおのチェックいたしまして長所短所を見きわめ、また、それから総合してどういうタイプのものを新しくつくったら最も能率的であるかという点も、できるだけ早期にこれをチェックいたしまして、そうしてその方式をある程度きめてから大々的にカスケードをふやして、いよいよ中間試験に入る、そういう考え方で進めております。お説のように、濃縮の方法でも遠心分離方法は外国と肩を並べつつある状態で、これならいけるという予想があります。しかし、気体拡散法の場合には非常な隔絶がありまして、これは外国とジョイントベンチャーをやるときに日本の腰を強くしておくという意味において開発をする必要もあるので、開発は続けますけれども、重点は遠心分離に置いていきたい、そう考えているわけであります。
#33
○石川委員 アメリカのほうは、核燃料のウランの原鉱石もあと五、六年で足りなくなるであろう、あるいは濃縮工場をあと一基ふやすというふうな計画もあるようでありますけれども、一九八〇年になればアメリカとしては需要に追いつかないであろう、こういうふうに常識的に予測をされておるわけでございますから、どうしても日本が独自の立場でこの濃縮をやることが必要になってくるということは、火を見るよりも明らかであります。そういう点で遠心分離法というものに重点を置いて、いままでのようなわずか十台でシステム試験をやっておるというような形では、とても成功はおぼつかないと思いますから、これは相当思い切った計画を立ててこの推進をするということをやらなければならぬ段階に来ているのではないかと思いますので、いまの中曽根長官の御意見はまことにごもっともだと思います。ぜひ積極的的にこの実現をはかっていただきたいということであります。
 あと一つ、多目的の高温ガス炉の関係でありますけれども、これは放射能障害が比較的少ないというふうなこともあるでしょうし、あるいは熱効率がかなり高い。それから多目的利用が可能であるというようなこともございます。高速増殖炉が完成するのはいつかといいますと、これはちょっとまだ予測はできなくて、七、八年の差があったのではなかろうかと思うのが、最近相当肩を並べるところまで来たとはいいますけれども、今世紀中に完成するかどうかは、なかなか容易ではなかろうと私は思うのであります。高温ガス炉のほうであれば、相当近い将来に本格的に取り組みさえすれば、これは完成する可能性はあるのではないか。しかもかなり効率の高いものになり得るのではなかろうかという感じがするわけです。中曽根さんは、このことについてもだいぶ御熱心だというふうに伺っておりますけれども、この多目的高温ガス炉について積極的におやりになるというようなお考えで来年度の予算獲得などにも努力をするかどうか、その点について簡単に結論的に伺いたいと思うのです。
#34
○中曽根国務大臣 この点は科学技術庁並びに通産省ともに一致した意見でございまして、協力して開発を進めようと思っております。来年は概念設計をやるところまで進めていきたい。概念設計が進みましたら、また次の段階に進めていく。ともかくこれは日本独得の一つのりっぱな炉をつくるように力を集中していくアイテムにしていきたいと思っております。
#35
○石川委員 この点はそれ以上申し上げませんけれども、多目的高温ガス炉の関係はひとつ――いままで高速増殖炉があって、あるいは新型転換炉があって、あと一つこのビッグプロジェクトができるのかというふうなことになるかもしれませんけれども、どうしても将来に備えて私は必要だと判断をいたしておりますので、やはりこれもビッグプロジェクトというものに取り上げてできればやってもらいたいという強い希望を申し上げておきたいと思うのです。
 それから、最後になりますけれども、原研へ行きまして、私いろいろと実情を聞いてまいったのでありますけれども、あまりにも事故が多過ぎるということであります。これでは原子力の平和利用というものについて国民の間に相当の疑惑、不安というものが出てくることはもう明らかであります。たとえばこの前国会でも、この委員会で取り上げたのでありますけれども、廃棄物輸送管からの漏洩の問題があります。水道管のわきにめくらぶたも何もしない大きな廃水の出る、漏洩する水道管みたいなものがございまして、だれでも行ってひねれば、そこから廃水が出て放射能がどんどん出てしまうというふうな体制になっている。こんなばかげた管理体制が一体あっていいものか。これは初歩以前の問題じゃないかというようなことを私はきびしく注意したことがあります。全くそのとおりだということで、科学技術庁当局としては以後気をつけます、こういうことになっておったわけです。しかし、その後の実態を見ますと、それの起こったのが四月の十九日です。その次に五月の九日にはJRR2の下段プラグが故障したという問題があります。これはこまかに言うと切りがないのでありますけれども、燃料プラグがコンクリートの中をしみ通った重水によって腐食をしてしまった。これはアルミニウムでありますけれども……。その腐食の穴から汚染してしまったという問題が一つあります。これは五月の九日であります。それから六月の八日には、プルトニウム燃料研究室のグローブボックス内のプルトニウムの火災事故というものが起きております。これを所のほうでは事故扱いにしておりません。ところが、消防署のほうでは、原子力火災第一号というふうに扱っておる。とにかく隠そう隠そうという体制で、これを事故扱いにしないという扱いになっておる。それから、その次に六月二十六日には、JRR4の屋根裏の火災事故というものが生まれておる。それから八月の二十日には、JRR3の燃料要素についての事故が起こっておる。それからJPDR2のコアスプレー管に亀裂が発生したという事故の起こったのが八月の十七日であります。それからJMTR、これはあとからまた別に話をしようと思っておるのでありますけれども、大洗にありますところのJMTR、ここの従業員にヘルニア患者がたくさん出てきておる。三五%も出ておるという実態、これは一体どこから出ておるのか。これはまだ原因がはっきりわかりませんが、このヘルニア事故は別といたしましても、これだけの事故が出ておる。それで朝日新聞などにも、これは全国版でありますけれども、稼働中は一基だけということで知事のほうからきびしく注意をしておるという事実があるわけであります。こういうふうなたくさんの事故が出て、この通知は全部科学技術庁のほう、あるいは原子力委員のほうに行っておるのかどうかということをまず最初に伺いたいと思うのです。
#36
○中曽根国務大臣 原研におきまして事故が頻発いたしまして、まことに恐縮に存じておるところでございます。事故の内容をいろいろ点検いたしましたが、炉心にかかる本質的な事故というものではなくて、大体ケアレスミステークによる事故のように思われます。そこで、さっそく原子力研究所及び動燃事業団に対しまして、安全関係の総点検あるいは外来研究員、下請業者に対する教育訓練の実施とか、あるいは施設設備の経年劣化に対する改修、更新あるいは安全教育訓練の強化充実、安全運動推進会議の設置及び職場安全の徹底、安全査察制度の実施、そういうようなことを実施させております。動燃もこれに準じていろいろ対策を講じておるところでございます。そういうような事故を今後引き起こさないようにわれわれも戒めていきたいと思います。
#37
○石川委員 それは当然のことでしょう。ただ問題は、あまりにも事故が多くて、労働組合あたりに行って聞きますと、もう自分で自分が恥ずかしい、こういう事故はあからさまにしたくない、自分の恥をさらすようなものではあるけれども、しかしこの種の問題は原研だけではないはずだ、おそらくどこでも出ておる事故なんではなかろうか、こういうことで、この事故を全部統合して全国的に事故というものはこういうふうに起こって、これはまかり間違えば炉心にすぐ影響するという問題ばかりなんでありますから、そういう問題が起こらないようにするためにはどういう体制をつくったらいいかというようなことを、原研だけの問題としてではなくて、全国的な体制をこれに対してつくるべきではなかろうかというような意見が出ておるわけであります。これは専門家によってこの原因を調査して、その研究の公開をするという体制をつくって、早急にこれを樹立するというようなことをやらなければ、いつまでたってもこの種の事故が頻発して不信感を植えつけるだけではないのかということが私は心配でならないのです。それで所側の態度は一体どうかというと、これはケアレスミスだ、個人のミスだというようなことで片づけている傾向が非常に強いのです。いまの御報告にもそういうような御報告がありました。しかし、ミスがあってもこれは事故にならないんだ、事故があっても災害までは発展をしないのだ、こういう考え方であっては困ると思うのです。ミスというものはあり得るのです。あってもなおかつそれがどういうことでそういうミスが出たのか、また、ミスがあってもそれを事故にならないようにするためにはどうしたらいいんだ、あるいは事故があってもそれを災害までに発展させないためにはどうしたらいいんだというところまでの徹底した解明というか、対策というものは、所側としては全然とられている気配がないと思うのです。ただ個々に注意をしているということであって、体制をつくってそれに対してどう対応するかというような真剣な対策というものは所側にはほとんどなくて、むしろ労働組合のほうが真剣にやっているというようなのが現状なんです。私は、これは非常に嘆かわしいと思っております。
 それで、たとえばJPDRなんかは、従来は出力の倍増をやるために、いわゆる開発とか運転とかというものを優先して運営されてきておるわけです。しかし、こういうふうに事故が多発をするという機会に、JPDRはただ単に軽水炉の開発、運転ではなくて、軽水炉の安全研究のためにこれは活用するというような方向で考え直していったらどうなんだろうか。ただ単にそこに働いておる人がスイッチマンとして動くということではなくて、その人たち自体が、この安全対策のために、材料とか溶接とか設計とか検査とか漏洩検出、そういうものに一体どう取り組んだらいいのかというようなことを考えて、すぐれた研究者、技術者というものを多数そこでもって安全対策として養成をしていくというようなことをやることが必要になってきておるのではなかろうかというふうに考えるのです。この前の廃棄物の輸送管の漏洩なんていうものは、私から言うと全くばかばかしいようなミスなんです。水道管のすぐわきにこういう太いパイプがあって、だれでもねじれるネジがありまして、それをねじったらばあっと水が出ちゃった、こんなばかばかしい、めくらぶたも何もしてない、注意信号としての黄色い線だとか、そういうものは何もつけてない、こういうような全くばかばかしいような事故があって、この委員会でもってきびしく文句を言ったのですけれども、そのあともう幾らもたたない、半年もたたないうちに六つ事故が出ておるわけですね。これでは軽水炉は絶対大丈夫でございますとか、あるいはまたいろいろ言われておるように、まあECCSの問題はまた全然別でございますけれども、これについての不信感なども私もいまだに払拭できないのですけれども、こういうふうな状態であって一体いいんだろうか、これは原研だけでこういう問題が起こっておるのだろうか、ほかではおそらくたいしたことじゃないと言って隠蔽されておるのではないのだろうかという疑念を持たざるを得ないのです。そういうものは全部公開をして、全国的にそれを連絡をして、全国的にそれにどう対処するかというようなことまで考えていかないと、最近起こっておる原子力発電所に対する反対運動なんということについても、これに対して弁駁をする論拠がないじゃないですか。こういう体制をしっかりつくるというようなことをまず考えてもらわなければならないと思うのでございますけれども、その点中曽根長官、どうお考えになっておりますか。いま言ったように、いろいろな通知をしておる、警告をしておる、所のほうでも考えているんだと言うけれども、どうもほんとうに真剣に取り組んでいるというふうな姿勢は私は見受けられないのです。労働組合のほうは熱心です。自分たち自身の安全の問題だというようなことで、事あるたびにこういうふうな厚い資料をつくって、この前の漏洩事故のときだって、一、二、三、四、五、六の提言の中で、ちゃんと第一に、ずっと以前に警告してあったのですね、輸送管の問題は、非常に危険だと。ところが、全然やってない。それで事故が出ている。だから労働組合の警告というものは私は尊重すべき点が多々あると思うのです。それを無視してかかっておると、また同じような事故を繰り返すのではなかろうかということが心配でならないのですけれども、その点はどうお考えになっておるか。全国的にそういう体制をつくって、事故が出れば、それの対策をつくる体制というものをすぐ考えていくというようなことについての配慮がなければ、原子力発電所の設置なんかとても及びもつかないということを私は率直に申し上げたいと思うのですけれども、中曽根長官と原子力委員の山田先生いらっしゃっておりますから、ぜひその点についての御所見を伺いたいと思うのです。
#38
○中曽根国務大臣 原子力の事故は全国的にこれを公表するようにわれわれのほうは指示しております。したがって、隠蔽しているというようなことはないと思います。先般関電におきまして若干の事故等はございましたが、これらもすべて公表しておるところでございます。
 なお、御指摘のJPDRを活用するということは、われわれもひとつ検討してみたいと思います。
 それから、事故を引き起こさないように、これは科学技術庁、通産省あるいは発電会社あるいは原子力産業会議等を通ずる連絡会議もございますので、よくわれわれの考えを念達いたしまして、事故を重ねて起こさないように注意してまいりたいと思います。
#39
○石川委員 美浜一号蒸気発生器の事故でもって大体ことし一ぱい動かないんじゃないかと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、そういう事故が多発するという状態のままで、百万キロワットの原子力発電所をあちこちつくるということを言っても、私はなかなか説得力がないという感じがしてなりません。私は原子力発電それ自体を反対しようなんという気持ちは毛頭ありませんし、石油にかわるべきエネルギーとしては原子力しかない。だからこれが円滑に設置されることを心から望んでおるわけでありますけれども、いまのような体制では、私はまことに不安でならないわけであります。
 それから、最後に一つ申し上げます。これは原因がどうもよくわからないのでありますけれども、JMTRに従事をしておる人の中で、四十八名中どうもからだの調子がおかしいという人が三十六名に達しました。三十六名の中で実に十八名が実際に痛んで、医者に見てもらったところが、原子炉第一課というところは調査人員四十三名のうち十九名が確かに悪い。それから五名が的確に治療を受けなければならぬというような、非常に多くのパーセントでもって腰椎ヘルニアという症状が出てきておるのです。これは作業自体に問題があるのか、原子力放射能障害ということに考えるかどうかということについてはまだまだ疑問の余地が多いわけでありますけれども、こういうふうな労働条件というものは相当無理があったのではないか。どこの職場でもこんなにたくさんなヘルニア患者が出てくるなんということは考えられないわけなんです。そういう点で何か報告を聞いてその対策を的確に指示をされたことがありますか、どうですか。これは原子力局長に伺いたいと思うのです。
#40
○成田説明員 大洗のJMTRの作業員に腰痛の患者がかなり出ているということをわれわれも聞きまして、原研の当事者等を呼んでいろいろ検討してまいっておるところであります。組合のほうの見解も出ておりますし、それから所側でもいろいろ検討をやっておるようであります。特に水戸国立病院の外科部長にも患者をやって診療してもらって、そのうち、従来スポーツをやった原因、過去のそういう原因によるものもかなりあるとか、いろいろ所側からそういう説明は聞いておりますが、ただJMTRの作業員にそういう患者が非常に多いということは確かでありますので、この原因、JMTRの作業のやり方あるいは作業員の労働のやり方等に原因があるのかどうか、これは厳重に審査すべき問題だと思っておりまして、いま原研でも、ただ水戸病院のお医者さんだけでなくて、人間工学の専門家あるいは権威あるお医者さんを現場に呼んで、そうしてJMTRの作業と腰痛との関係をもうちょっと徹底的に詰めようということになっております。そうして、その結果によっては、あるいは作業と関連があることは当然改善していくべきだと思いますが、いまそういうふうに現場に専門家に来てもらって作業との関係を早急に検討しようというところに相なっております。
#41
○石川委員 この問題についても所側のほうは、これは先天性のものだとか、あるいは過去に運動をやり過ぎた、それが出たんだとかいうようなことで取り上げようとしなかったんですね。労働組合の側では、これに対しては積極的に取り組んでもらいたいというふうなことを八月十日に強い要請をしてやっと八月二十二日になって五名だけ、とりあえず原子炉第一課の人を調べたのです。そうしたら、五名の中で、自覚症状のなかった人一人を含めて三名までが、確かに異常だ、こういうふうな診断が出ているのです。五名のうち三名ですから、これはたいへんな率で、全体からいうと四十八名中十八名、三七%、こういう人が腰椎ヘルニアに近い、そういうふうな診断を受けておるわけです。したがって、これは労働条件というか、作業条件といいますか、そういうものから根本的に考え直していかなければならぬのじゃないかと思う。どうも所側の態度は、こういうものをどんどんくさいものにふたをするというふうなかっこうで、表に出したがらない。従業員のほうから話が出ると、やむを得ずこれを公表するというふうな態度になっておるので、どうも私はその点が不安でならないのです。こういう点で、よほどこの点については――原因はまだよくわかりません。組合側でも別にこれが放射能障害によるのだとかなんとかという結論を出しておるわけでも何でもございませんけれども、現実にそう多発をするということについては、何らか作業条件、労働条件にまずい点があるということは認めないわけにいかないと思うのです。そういう点なども含めて、どうも労使間に非常な不信感がある。現在のような不信感がわだかまっておったのでは、原研が日本の原子力科学というものの先端に立ってやるという上において非常に大きな障害があるのではないかというような感じがしてなりません。そういう点で、このヘルニアの問題についても、具体的に、積極的にこの対策を考える、その原因を究明するということをやってもらいたいと心からお願いをしてやまない次第なんです。
 それから、先ほど申し上げたように、事故の問題については徹底した科学的究明をやっていく。これは、一つ一つはつまらないものだ、個人的なミスなんだというふうな片づけ方ではなくて、これに対して事故記録を整備をして、これを交換をして、他事業所とも十分に連絡をとって、日本全体の原子力産業関係者がそれに対して対策を考えていくというふうな体制をつくっていくということがどうしても必要なのではなかろうかと私は思わざるを得ないのです。この点について山田原子力委員に何か御見解があればひとつお聞かせを願いたいと思うのです。
#42
○山田説明員 石川先生のおっしゃるとおりでございまして、単に事故の情報を集めて外に出すというようなことでは、現在のところは事故に関する情報は全部外に出てはおりますけれども、それだけでは必ずしも十分ではございませんので、今後事故の原因とか、それの背景とかといったようなものを十分に科学的に突き詰めるということをやっていかなければならないというふうに考えております。来年は安全について予算面で相当力を入れていくことになっておりますけれども、その中で、情報を集めながらさらにこれを検討するグループあるいはユニットといったようなものをつくって、石川先生お話しのようなことに役立てたい、このように考えております。
#43
○石川委員 去年の暮れ押し詰まって、私のほうの党といたしましても、原子力の安全対策についていろいろ具体的な提言をいたしております。今度原子力産業会議でもって出された案がわれわれの案に非常に近いものになっておるということは、われわれとしては非常に歓迎すべき現象だと思っておりますけれども、ただ要は中身の問題であります。それがどういうふうに実現をし、どういう内容でそれが充実をされていくかということが問題であります。いまのように事故が起きてもほとんどそのままで十分な対策が行なわれておらない、あるいは安全対策の予算というものがきわめて乏しい、こういうような状態では――そのほか原子力の問題では申し上げなければならぬことがたくさんございますけれども、きょうは時間がありませんからこれでやめますが、いまのままの状態では原子力発電所の円満な設置ということは不可能であるといわざるを得ないので、十分に国民の気持ちもくんで、また特に原子力産業というものに参加をしておる労働者の意見をくんだ対策をとられるように心から希望いたしまして、私の質問をきょうは終わりたいと思います。ありがとうございました。
     ――――◇―――――
#44
○近江委員長 この際おはかりいたします。
 先般、新潟県、福井県及び滋賀県に委員を派遣し、科学技術の実情について調査を行なったのでありますが、派遣委員より調査報告が文書で提出されております。本調査報告を参考のため会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○近江委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。
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  〔報告書は本号末尾に掲載〕
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#46
○近江委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後三時四十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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