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1947/08/25 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 商業委員会 第5号
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1947/08/25 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 商業委員会 第5号

#1
第001回国会 商業委員会 第5号
  付託事件
○貿易組合法を廢止する法律案(内閣
 送付)
○中小商工業の再建に關する陳情(第
 百六十四號)
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月二十五日(月曜日)
   午後二時八分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○貿易組合法を廢止する法律案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(一松政二君) 前の委員會に引續きまして豫備審査のための本日の委員會を開きます。申上げておきますが、貿易廳長官の永井さんは、一時からここへ參つておられたので、そうして三時には外へ約束のところがありますので、二時四十五分にここを出たいという前からの申し出でがあるのでありまして、もう三十分しかないのでありますから、どうぞそのお含みで、御意見のあるところをどしどし御發表願いたいと思います。
#3
○中平常太郎君 一應何か御説明を聽くのですか、こちらからすぐ御質問してよろしいのでありますか。
#4
○委員長(一松政二君) 一應法案に對する御説明は大臣がしておりますから、御質問願います。
#5
○中平常太郎君 長官にお伺いしたいのですが、聞くところによると、爲替レートは品物によつて、或いは輸出先によつて、それぞれレートは、そんなに決まつたものでないけれども、とにかく換算率が大分違う、或るところは五、六十圓とか、或るところは百五十圓といい、或るところに至つては五、六百圓というような話を聞くのでありますが、もとより混亂の今日でありますから、一定のレートもまだできたわけではないのでありますけれども、そんなふうに今大分交換率が違うのでありますか。品物によつて色々違うのでありますか。それを伺つて置きます。
#6
○政府委員(永井幸太郎君) お説の通り違うのでありまして、國内の相場が凸凹になつたために、向うの賣値のドルに合せますために、或る品物は六十圓になつたり、七十圓になつたり、百圓になつたり、二百圓になつたりいたします。同じ品物でも無論値段が始終變つて參りますから、只今もこちらで委員長とお話ししたのですが、生絲の如きも、初めはこちらの値段が、非常に安くて、向うの賣値は御承知の通り十六ドルも非常に高かつた。そんな場合は一ドルが五圓ぐらい、その後去年の秋頃は、一ドルが二十圓ぐらいしておつたのでありますが、この四、五月頃までは四十六ドルぐらい、今度繭が二千五、六百圓になりますと、百四十圓ぐらい持たなければいかんと思います。それから同じ品物についてもそういうふうに變りますし、それから品物と品物との國内の物價體制の凸凹のために種々になつております。大體申しますれば、日本固有の品物で、大體日本から買うのが一番よいというような品物は割合ドル對圓が有利なのでありますけれども、日本から必ずしも買わんでもよいとか、或いは新しい日本の商品を向うへ持つて行きたいというようなものは、自然圓の値打が安くなつて參ります。大體そういうことであります。
#7
○中平常太郎君 續いて二、三お尋ねしたいのですが、聞くところによりますというと、バイヤーの中には見切りを付けて、格別なる品物がないというふうに見切りを付けておるのがあるというふうにも聞きますし、又一般が期待したような、状態には、十五日以後において餘り進展していない。今日の物資不足の現状として、とても氣に入るような品物はできないのが本當だというようなところから、可成り失望しておるものが大分あるということを聞きますが、實際こちらへ來たものなどの模樣はどうでございますか。相當期待が持たれるのでありますか。固より今日の場合は枠の中でやる貿易でありますから、具體的なところまで行こうとは、絶對に思わないのでありますが、その見込みというようなものは、貿易廳としてはお持ちになつておる筈と思いますが、期待外れのようなことを段々聞くものでありますから、どういう状態にありますか一つ御説明を願います。
#8
○政府委員(永井幸太郎君) 大體今九月の一日以後でないと、本當の契約及び本當の値段を出せないことになつておる。それは日本に前に來ておつた人も、大分いろいろな事業の調査をしたりして、相當の準備ができておるのに對して、八月十五日及びそれの以後に著いた人は、何らの準備期間がないので、非常にその間不公平である。九月一日以後でないと商賣はできないことになつております。そこで今のところ本當の前哨戰というわけで、豫備的の交渉をしておりますわけであります。具體的の商賣は一つもできておりません。九月一日から始まることになつております。それから期待外れであつたというようなことを言う人も中にはあるだろうと思いますが、大體日本の經濟状態というものは、大體おぼろげながら向うも想像して來ておりますので、今日來まして直ちに大きな商賣をして來ようという人は割合少いのでありまして、むしろこちらに來て大體三週間よりおられんことになつております。特別の場合は延期することになつておりますけれども、主なる目的は日本に來て、メーカーとか、輸出業者と今後の取引の代理店とか、取引先というようなものを拵えて、そうして歸つて行くということに重きを置いておる。今直ちに日本で商品を仕込んですぐに金儲けをしようと考えておらん。種播きに來たのだというような氣持の人が先ず多いようであります。私どもの折衝したところでは、今來ております人は日本と昔取引した經驗のある人が多いようであります。その人らはよく日本の事情を知つておりまして、今折角來たのだから商賣のできるものはして行こう。ない場合は今後のコンネクシヨンをつけて行こうという考えでおりますので、我々も個人取引を始めようということを關係筋よりお話があつた時分に、すぐに大きな商賣ができて、國際貸借が非常に良化するということを豫期して頂いては無理だ。むしろ漸次講和條約後直ちに貿易を始めたのでは、非常に財界にシヨツクを與えるし、こちらも非常に用意が足らんということになるから、それまでの段階的の處置として、後日に段々と日本の經濟を世界の經濟に空氣が通うように段々として行きたい。そういうことなれば意味があると申しました。大體そういうふうに了解しておる人が多いようであります。そういうわけでありますから、直ちにこれがどれだけの國際貸借の良化に役立つかということは申上げ兼ねるのでありますが、併し參りましたことによりまして、これまでのGHQを通しての商賣というものは殆ど暗中模索の状態でありましたけれども、段々向うから來てくれまして、大體個々の日本の商品の國際的の價値、ドルの賣値というものは、大體この邊に落著くものだらう、こういうものならば、戰後變つた經濟状態の後においても、こういうものならば出るに違いない。こういうものならば多少見越生産をしてもよかろうというようなことも分つて來ます。つまり通商條約が囘復した後においては自由貿易と申しますか、もう少し只今のように制約せられたる範圍内でなしに、もつと廣い意味の貿易が始まりますまでの準備といたしましてどうしてもやらねばならん段階だろうと思つております。
#9
○高瀬荘太郎君 ちよつとお尋ねしたいと思いますけれども、今度民間貿易が開始されましても、大體まあ決濟の仕方は今までと同じようなやり方で行くのでございましようね。
#10
○政府委員(永井幸太郎君) さようでございます。
#11
○高瀬荘太郎君 値段の取り決めなんかまでは民間の商社同士ではやらないことになりますのでしようか。
#12
○政府委員(永井幸太郎君) さようでございます。
#13
○高瀬荘太郎君 そうしますと、大體貿易廳の方でお考えになる場合には、やはりこちらで買上げられて、大體の公定價格でお買い上げになるのでしようが、それから向うで賣るドルの値段との比較によつて一體輸出していいかどうかということをお考えになるのではないかと思いますが、その場合にはやはり大體の爲替のレートということをお考えにならんと決められないのではないかと思いますのですが、それについて何か標準的にお考えになつておるレートというようなものがありますかどうか、ちよつと伺いたい。
#14
○政府委員(永井幸太郎君) 値段の取り決めにつきましては、例のドイツで行なつておりまするような封鎖性の爲替レートも含めておりませんしいたしますから、非常にやりにくいのでございますが、いろいろそれに至るまでに紆餘曲折があるだろうと思いますが、只今のところこういうふうにしようかということであります。大體これまでに日本商品の輸出しました、主としてドルでございますが、ドルの値段が大體分つておりますから、その値段を大體業者にいつておこう、つまりアスキングプライスを大體業者に示しておきまして、大體その邊でこれはもう十ドルであるというような大體の値段の目標を與えておきまして、それによつて、これは月に何ぼできるとか何時頃から何ぼ渡すことができるというような、豫備的な折衝をして貰つてそれから十ドルでは高いから九ドル五〇セントにまけておこうというやうなことを折衝すると思うのであります。その場合には貿易廳が立合いまして、大體貿易廳が決めるのですが、絶えずGHQと相談をし、且つ最後の承諾はGHQが與えるという條件で行きまして、この爲替レートにせよ、コンバーション・レートにせよ他の方法にせよ、それが決まるまでGHQのアスキング・プライスを業者に示し九月一日からその商賣が始まりますから、その頃には書いて貼てつおくくらいにして、誰でも見られるようにしておく、それと後はこの邊まで下りて來ていいというフレフアリング・プライスというものを、GHQと我々の方で、これは新聞には書いて困りますが、フレフアリング・プライスの方は肚を持つておりまして決めようと思うのであります。そこで只今のお尋ねの大體時計なら時計はドルを、何圓ぐらいまでならば輸出しようか、という標準が決つておろうかというお尋ねだと思うのであります。それを大體の大きな商品についてはGHQとも、話合つておりますが、個々の商品につきましては、まだしつかりしたこういうこの線ならば、時計なら二百だつたらやつて行こうとか、こういう商品は今まで惡いけれども少し育てておけば後はよかろうから三百でも辛抱して貰うというような、標準が追つてできると思うのでありますけれども、そこまでは達しておりません。
 それから暫時ドイツでやつております封鎖性の爲替レートとか、或いは日本では結局するところ、理論的には同じでありますけれども、一つの價格のレートを拵えて後價格操作でやつて行こうということもございますが、その時のレートの呼び方を、この間大藏大臣からちよつと注意があつたのでありますが、議會で大藏大臣お話になつたかと思いますが、爲替レートというようなことになると、いかにも非常に誤解を招く虞れがあるから、換算率、臨時の換算率という言い現わし方で、一つ區別しようじやないか、本當の爲替レートの決まるまでエキスチエンジ・レートといわずコンバーシヨン・レート換算率ということで觀念を別にはつきり分るように、純粹の爲替レートじやないという觀念をはつきりさせるために、交換率というようにいつた方がいいじやないかというようなことをいわれました。私非常に結構と思います。交換率はしばらく今のような状態でやつておりまして、日本の商品が、大體アメリカで個々の商品が有する國際的な價値の見透しが、大體しばらくやつておる間に見透しが付こうから、その頃から一つ交換率の取決めを研究したらどうかというふうに考えております。
#15
○高瀬荘太郎君 そういたしますと、個々の商品について大體このくらいのドル價段で賣つてよかろうと、こういうような標準をお考えになつていらつしやつて、GHQと相談して、これならどうかということをお決めになるわけでありますか。ただ賣れば向うで買い手が澤山ある。だから出せばいくらでも賣れるのだ。しかし、値段は安いというような場合にはやはりそういう標準等をお考えになつて、いくら買い手があつても出さんという方針でやらしておりますか。賣れればどんどん賣るというようなことになつておりますのですか。やはりお考えになつているレートと考え合せて、これは損だというようなことを考えて、そういう場合でも賣らすというようなことがやはり實行されておりますかどうか。その點は如何でしようか。
#16
○政府委員(永井幸太郎君) 從來餘りひどいレートをもつて見るというと、五百になるとか、なんぼになるということは、賣れてもやめるというような大體申合せをその時々にしておきまして、これ以下はやるとか、やらんとかいうことを餘りきつちり決めておりませんが、その度毎に相談しております。それと今後の情勢によりまして、いわゆる飢餓輸出、耐乏輸出といいますか、ハンガー・エキスポートというものをやつて、如何にこちらが安くても、とにかくドルを稼がなければいかんというような緊急な迫つた事情になります場合は、或いは又そういうことを考えなければならないが、現在のところそういうことをする必要はないと思います。連合軍の好意によりまして食糧も妥當な数量が入つて來るということでありますし、加工原料につきましては先般できました貿易基金等の運用によりまして相當別に入つて來るようになつている。こういう事情を睨み合せて見ますと、非常にドルの値は安い。爲替率が非常に高いものになつておつても辛抱して行こうという必要はまあないと思います。しかし、今後の成行によつてとにかくドルを買い集めようというような國際情勢とか或いはその他の必要に迫りましたら、自然その心持は違つて來ようかと思います。大體繊維製品というようなものはそういう相談をせずとも決つておりました。ただいろいろ相談せんければならんのは雜貨の場合であります。その場合は一々相談しております。今後もそういうように行けるのじやないかと思います。
#17
○高瀬荘太郎君 それからもう一つ伺つておきたいのですけれど、貿易廳が直接の相手になつておやりになつておられるのですが、假りに貿易廳も許可して出した品物につきまして、向うに著いてからクレームが落ちることがあると思いますが、そのクレームについてはやはり貿易廳が責任を負われますか。こちらの輸出業者が直接責任を負われますか。その點どうなりましようか。
#18
○政府委員(永井幸太郎君) 貿易廳が賣り手になりまして、貿易廳のフエバーに信用上入ります。貿易廳が賣り手になつておりますから、當面の責任は貿易廳がとりますけれども、契約に日本の檢査證を最終のものとするということに大體の商品はやれると思います。ところが日本のいろいろの茶とか或いは寒天だとか、いろんなこれまでの組合、その他の檢査機關の整つておりますものはいいのですが、そうでないものはなかなか公團が檢査をすると言いましてもむづかしいと思うのです。併し大體今度の場合は向うの買手が檢査人を誰に頼む。輸出品の檢査を向うから買手が檢査人を任命、指定してくる。その檢査人に見せて、それでよいということになれば、その證明書をフアイナルにするという、そういう契約の條項を拵えております。向うが指定する人がなかつた場合は、公團で檢査をさして頂くということになつております。尚その上で檢査書をフアイナルしておりましても、向うに著いてから三十日以内に甚だしく檢査が不當であるとかいうようなことを見出した場合には、クレームを提起することができるようにはなつておりまするけれども、大體買手がそれぞれ自分の檢査人を指定して貰いたい。その證明書をフアイナルにするというような條項にはいたしております。萬一それでもクレームが來ました場合には、直接の責任者は貿易廳でありますけれども、貿易廳はその製造家に追求する積りでおります。
 尚輸出を承認する場合におきましても、十分不良な製造業者が無責任なことをしないように注意をいたしますと同時に、そういうことのありました製造家は今後の輸出を承認しないふうにいたしたいと思います。この際是非とも國際信義をがち得ませんならば、日本は自滅の道しかないと思います。我我におきましても十分この國際信用を傷つけないように萬全の注意を拂いたいと思いますけれども、ただ政府がいかに注意をいたしましても、檢査人がいかに努力をいたしましても、どうしても業者そのものが我が国輸出貿易の重要性、國際信用を保持することの非常に必要なことを自覺して頂かない以上は、どうもむづかしいと思います。皆様からも十分のその點の御指導を願いたいと思います。
#19
○油井賢太郎君 只今の件に關連するのですが、只今の話ですと、クレームのあつた場合にはメーカーの方にまで損害賠償を貿易廳が要求するというお話ですが、その反對に若し爲替相場關係で以つて貿易廳が買上げたよりも非常に有利に賣れたような場合、それを或る程度メーカーの方に還元して生産意欲を増強するという方策を取つておられるのですか。その點をはつきりお伺いしたいと思います。
#20
○政府委員(永井幸太郎君) 勿論大體同じような品がAのメーカーの拵えたものが五ドル五十セントに賣れた、普通のものが五ドルよりも賣れなかつたという場合に、五ドル五十セントのものを拵えて貰つたものに按分比例で高くお拂いするか、或いはその何割かを拂うか、そういう奬勵策を決めたいと思います。その點につきましても物價廳と我々の方とが集まりまして輸出品物價査定委員會を拵えまして、そういう場合に迅速に處して、惡い人は罰する、よき人はよくなるようにというような奬勵方法を講じております。貿易廳からは新井次長がその方の査定委員に加わつておりますので、そういうことを迅速に取拂いたいと思います。
#21
○油井賢太郎君 只今のお話ですが、クレームがあつた場合に、外國からクレームの損害賠償を受けた場合に、メーカーの方にまで負擔さわるのですから、今のお話にあつたのは貿易廳で買上げるときに、これは優秀だとお思いになつて、幾分の差額をおつけになるようなお話ですが、實際に外國に輸出された結果は、貿易廳で査定したよりも大分違つた評價がされるのではないかと私は思うのです。そういう場合において、クレームがあつた場合、メーカーが、責任を負う以上、やはり一種の概算支拂いという観音から、向うでよく賣れた分に對しては、メーカーに對してペーメントするという考がありますか。
#22
○政府委員(永井幸太郎君) 今の物の取引は、五ドル五十セントになるか、五ドルになるかということはここで決まりますから、そのときに直ぐに拂えるわけであります。向うに行つてから値が變るわけじやない、ここで決まるわけでありますから……。
#23
○油井賢太郎君 クレームの場合は……。
#24
○政府委員(永井幸太郎君) クレームは、買手の指定しまして檢査人に見て貰つて、それでファイナルにするということになつておりますが、著しくごま化しておるという場合は、向うでクレームがついた場合は、こつちで尻を見んならんので、それはメーカーを追求せんならんというので追求する、そういうことであります。
#25
○油井賢太郎君 もう一つ關連しておりますが、實は人絹織物が、第一囘に相當多額に輸出されたそうですが、これは日本の方では、業者竝びに貿易廳方面においても、或る程度差支ないと思つて出したという話を聞いておりました。ところが實際向うに行つてから非常に粗惡品で相當クレームの要求を受けたというような話を聞いておりますが、この點はどんなことになりましたろうか、御發表を願いたいと思います。
#26
○政府委員(永井幸太郎君) それは今度の個人貿易の場合と違いまして、政府對政府の場合だと思いますが、どの分を仰しやつておるのが、ちよつと分り兼ねますので、よく調査をいたしました上で御答辯いたしたいと思います。
#27
○佐伯卯四郎君 アメリカに行く物はダラーで行くが、外の方の諮國へ行くのは、やはりダラーであれされるのですか、或いは各國のやつて行くのですか、バーターをしなければならんという際にその基準はダラーで兩方が決めるのですか。
#28
○政府委員(永井幸太郎君) 個人貿易の場合は、ダラー若しくはアクセブタブルカレンシーと書いてありますが、ダラー若しくはアクセブタブルカレンシーで行く、どういうのを引受けてもいいカレンシーかと申しますと、事情によつて非常に違いますので、御承知のように、七月十五日以來普通商業取引で送つた今度の分は要求によつて何等でもドルに替えなければならんということになつておりましたが、新聞でも御承知のようにポンドからドルに替えるということは困るということになりましたので、そういう場合には、どの程度までポンドで賣るのか、アクセプタブルかということが非常にむつかしくなつて參ります。しかし例えば濠洲へ百萬ポンド物が賣れる、濠洲ならば、向うの羊毛をその賣つた値で、賣つて獲得しました賣上代金で羊毛を日本に持ち歸れますから、羊毛を濠洲から持ち入れる範圍内において、濠洲へのポンドの賣値は、これはアクセプタブル・カレンシーということになりますが、事情が非常に變りますから大變むつかしくなつております。しかしポンドとドルのコンパーションということも今は何しましたけれども、何かこれは便法がアメリカとイギリスの間に設けられると思いますし、これは設けられなかつたらアメリカも非常に困るだろうと思います。それから世界中が非常に困る、イギリスなども御承知のように、大體輸入品の四割はポンド、ドルの國から買うて、一割五分くらいよりドルの方へ賣れんということになつておりますから、いつまでもこのままであつたのじやアメリカも輸出ができないで困る、世界中が非常に困るということになりますから、何らかの方法が講じられるかと思いますけれども、今のところでは、まあ日本はドルで買うものが多くて、ポンドで賣るものが多いのでありますから、ポンドで賣る時に、どこまでポンドで賣つたらよいかということが非常に判定に困ります。濠洲のような場合は別でありますが、インドのような場合はインド絹を以て買える、ポンド圏内はポンド圏内の間で相互相殺ができれば、これはまあ非常によいのでありますけれども、そういうことはできんかも知れないというわけでありますから、ドルに今コンマートできる貨幣というものは、ヒイリツピンのバソかカナダのドルかぐらいのものですから、ドル以外で賣るのは非常にむずかしい。併し大體絹製品とか、とうしても生活必需品に對しましては、何とか工面してドルの信用上持つて行つておる人があるようでありますし、それから又關印とか、ああいつた方面は相當ドルのバランスを持つておるらしいのであります。そういうことになりますが、餘程それがあります。
#29
○佐伯卯四郎君 ドルを持つて參りますと、ドルで持つて來た相場というものは、ダラーセントで出すのでありますか。
#30
○政府委員(永井幸太郎君) その場合はダラーであります。
#31
○佐伯卯四郎君 そうするとギルドとダラーの關係を見て、そうしてやはりダラーセントで出して貰うというわけでありますか。
#32
○政府委員(永井幸太郎君) 信用上ドルでやつて來ておりますから、ドルでやつております。
#33
○佐伯卯四郎君 大體みなやつて來ておりますね。
#34
○政府委員(永井幸太郎君) 契約ができれば大體送れるようになつております。
#35
○中川幸平君 大體今の御質問で大分分つたのでありますが、もう一つちよつと聽きたいのですが、今の御答辯であらまし分りましたが、食糧事情はあなたの管轄でないけれども、貿易においてバーター制の關係で引つかかると思いますが、日本は大體粉食は比較的少ないので、粒食になつておるので、食糧の輸入につきましては、ラングーン米とかサイゴン米というものは極めて安い値段で、あちらで退藏されておるような樣子も大分あると聞くのでありますが、ああいうものはドルでもポンドでもそれぞれあちらの相場がありますから、バーター制で今後食糧をあの方面から入れるために、米國の方に依存する食糧がそういう方面のバーター制で雜貨との交換によつて相當入り得るのじやないかと思うのでありますが、極めて安い食糧でありまして、アメリカあたりから來る食糧と違つて安く入る。又日本人もサイゴン米、ラングーン米は食べておりましたので、極めて樂に家庭に入り得るのでありまするし、殊に粒食でもありまするからして、極めて便でありますが、まあ根本のことから言えば、粒食よりも粉食がよいという結論は成り立ちますが、ラングーン米、サイゴン米でも澤山ある、退藏して腐りおるということを聞くのです。ああいうものならば雜貨というものと交換すれば、相當多量に、極めて安價に入りはせんかと思うのでありますが、そういう見透しはどうですか。
#36
○政府委員(永井幸太郎君) 御説の通り日本は外米が入つて來れば非常に助かるのであります。又安いのであります。然るに物によりましては、今アメリカから來ております食糧品は、シカゴあたりから鐵道で來て、船に積み換えて來るというようなものもありますし、運賃からいつて非常に安いのでありますが、ビルマ、佛印、タイにおける米の生産の状況は、大體段々よくなつておりまして、去年は奧地に相當殘つたのでありまするけれども、港への搬出がむづかしかつたのは、集配機構が紊れておりましたり、政治經濟が安定しておらん時でありますから、僅かに港へ出て來たものは英領植民地、海峡植民地、セイロン、ボルネオ、スマトラ、ああいうところへ行きまして、タイが去年あたりは澤山出たのでありますが、タイは英國と協定を結びまして、六十萬トンまで海峡植民地及び英領植民地へ先に供給せい、餘つたら外へやつてもよいということでありましたけれども、その餘りがなかつた。今年になりまして大體二百二、三十萬トンの輸出餘力がビルマ、タイ、佛印を合せた三ケ國で、餘剩米があつたらしいのでありますけれども、これも今申すような状況で、港へ出ることがむづかしい。百三十萬トンぐらいは餘剩米が奧地にあるということであります。これは來年になつたらもう少しこの運送状態がよくなるし、集配機構が整うて、日本から綿布が行つたり雜貨が行つたりしますと、百姓は米を作つて、そうして綿布を買う、こういうことになります。おと年ぐらいまでは、米を一生懸命作つたところが輸出ができん、金にならんということで、段別は非常に減つておつたが、段々段別も殖えて來ておりまして、平常の状態に歸りつつありまするから、來年はもう少しこの三國の輸出餘力が殖える。再來年あたりになれば……來年か再來年か分りませんが、日本へも來るような状況になりまして、日本の……東亞に關する限り食糧事情は幾分よくなるんじやないかと思います。御説の通り、できますればこれらの國から外米を買いまして、こちらから雜貨とかそういうものを持つて行つて交換する。そういう時代になりますれば、食糧に拂う日本の金が非常に減りまするので、非常に日本はこの二、三年後このなりで段々と經濟再建ができますれば、樂な經濟になるんじやないかと思います。
#37
○中川幸平君 序でに佛印のサイゴン米の方はどうですか。
#38
○政府委員(永井幸太郎君) タイ、佛印、ビルマと合せたものであります。去年はタイが一番輸出力が多かつたと思います。
#39
○委員長(一松政二君) 尚私が長官にお伺いしたいのであります。民間貿易というからには、輸入もあると思いますが、個人間の輸入は一體……或いは特別に向うがこつちの人に好意を持つて、或いは貸して呉める、貸賣りをする、延拂いもしてもよいというようなものに對してはどういうふうにお考えになつておりますか。
#40
○政府委員(永井幸太郎君) これも政府對政府の取引で、入らん原料品、どうしても日本にない、そうしてこの原料品を持つて來たら、それが輸出品に變つて出るというような場合には相談をいたしたいというふうに思つております。
#41
○委員長(一松政二君) それから更に……もう時間がないのでありますが、中華民國が非常に貿易について神經を尖らしておるようであるし、且つ日本の輸出するものはアグレツシブを取つておりますが、それは可なり輸入をチエツクし、向うの産業を破壊するような虞れのあるものは全部輸入を禁止するというような恰好になつて、可なり品質を制限しておるようでありますが、この點に對してどういうこちらは考えを持つて對處しておるのでありますか。
#42
○政府委員(永井幸太郎君) 向うはああいうことを申しますが、ああいう氣持でなくとも、南京政府は今日本から消耗品を輸入するだけのドル爲替を持つておりません。向うはだた開らん炭を賣るとかいうようなこと、臺灣の鹽とか、山東の鹽とかいうようなものを賣りまして、機關車を持つて行くとか、坑木を持つて行くとか、枕木を持つて行くとかいうようなこと以外に、民衆が非常に欲しがつておりましても一民衆の買うような消耗品を買うだけのドる爲替を持つておりませんから、ああいうことを言つても言わんでも、結果は同じことになりますけれども、大體向うの上海あたりの消耗品を作つておる製造家は、この際日本品が入つては自分らが困るからああいう聲を立てておりまするけれども、今あちらの民衆は日本の品物を非常に欲しがつておりますけれども、それに對して南京政府はそれを買わせませんから、ああいうことがあつてもなくても同じ結果になるかと思います。
#43
○委員長(一松政二君) 尚もう少し質問したいことがありますけれども、時間の關係で他日に留保いたして置きます。どうも御苦勞樣でございました。どうぞ皆さん新井次長はまだ殘つておりますから……。
#44
○高瀬荘太郎君 ちよつとお尋ねいたしますが、確か今までの貿易關係では支那に對しては相當の輸出超過になつておると思いますが、この輸出超過のバランスはどういうことになりますか。ドルの債權になつておりますか、或いは支那から將來拂つて貰うということで、どうなるかわからん、債權になるのですか、そういう點についてどうなつておりましようか。
#45
○政府委員(新井茂君) 實はその債權の點は、從來のやり方ですと、全部總司令部の方で御心配を願うということになつておりまして、日本側に對しましてはその點は何ら知らされておらんような關係でございますので、はつきりしたことはわかりません。
#46
○高瀬荘太郎君 それについては去年の末までに貿易が輸出の方は一億二千萬ドル、輸入は三億と言われておりますが、その一億二千萬ドルの中には支那に對する輸出も入つておりましようか。
#47
○政府委員(新井茂君) 今のは確かUSCCが取扱つておる分の計算であります。そういうようなことで御發表になつております。
#48
○高瀬荘太郎君 それもわかりませんか。
#49
○政府委員(新井茂君) それもはつきりいたしません。
#50
○高瀬荘太郎君 それからもう一つお伺いいたしたいのですが、例の賠償の問題と關連いたしまして、施設による賠償でなくて製品による賠償を希望する國があつて、許されるようになるというようなお話が新聞に出ておりましたが、製品の賠償が許されるということになると、貿易の輸出と随分衝突する問題が起きて來るのじやないか、そういう點についてはどんなふうに貿易廳はお考えになつておるか伺いたい。
#51
○政府委員(新井茂君) お話の製品賠償の點につきましては新聞では拜見いたしましたけれども、まだ公式には何らの通達を受けておりません。併しその數量如何によりましては相當一般貿易と衝突を來たすというような部面が御話の通り出て來る虞れは多分にあると思います。私共といたしましてはまあ希望だけから申しますと、成るべくそういうことのないようにということを希望する次第であります。その點につきましてはまだ何も公式のあれは受けておりません。はつきりした見透しはまだつかんのです。
#52
○委員長(一松政二君) 尚私からちよつと伺いますが、中華民國に對して、今伺えば輸出超過になつておると、而も日本は中華民國から輸入したいものが、澤山ある筈です。滿洲大豆にしても滿洲大豆が來ないために味噌に困つておる。あらゆる油脂の原料も而も概ね中華民國から來るのでありまするが、まあ内亂關係もありましようが、そういう原料の輸入について営業者から非常な申請がある筈なんでありますが、こちらから輸出しておる輸出尻があるならば、その間にそれを持つて來ることに相當努力もしておることであろうと思うが、その點はどうなつておりましようか。
#53
○政府委員(新井茂君) 滿洲大豆の輸入のつきましては、從來もいろいろ關係方面に懇請をいたしております。恐らくこれは政治問題、治安の問題で實現を見ないであろう。こつちの方の問題が片付けば輸入の見込みが十分あると思います。それからその外中國からの輸入につきましては從來開らん炭でありまするとか、その他につきましても折衝いたしまして、中華民國自體としては、これはむしろ賛成をいたしておるのでありまするけれども、實際問題として治安状況、その他からして山の方では確保いたしておりまするが、港まで持つて來ることができんという實情のために今日まで實現を見ないような状況になつております。
#54
○高瀬荘太郎君 この間の新聞で見ますと、水谷商工大臣は衆議院の委員會で、三年後には貿易がバランスする。こう言つておられますが、貿易廳で大體そういう御計畫がありますかどうか、それを伺いたい。
#55
○委員長(一松政二君) ちよつと私から申上げますが、それはこの前のここの委員會で仰しやつたのです。
#56
○高瀬荘太郎君 間違いました。貿易廳の方の調査で何か根據がおありになりますかどうか。
#57
○政府委員(新井茂君) 實は三年先までのはつきりした計畫は立つておりませんが、商工大臣のお話は、石炭が四千萬トン出れば日本の經濟は……。
#58
○高瀬荘太郎君 新聞では四千五百萬トンですな。
#59
○政府委員(新井茂君) 四千五百萬トン出ればということですから、從つてその石炭計畫が三年後にそれを實現されると、今の數字が實現されるという豫想の下にそういうお話をされたと存じております。それだけ出ますれば、無論日本といたしましては收支十分償う程度になるものと存じております。
#60
○高瀬荘太郎君 私の考えでは石炭が四千五百萬トン出ただけで貿易のバランスがとれるように三年間になりそうにも思われないのですけれども、三年先までの十分の計畫がお立ちになつておらんのではつきりお分りにならんかも知れませんが、今度のクレジツトと關連していずれそういう長期計畫もお立ちになるのじやないかと思います。あのクレジツトの運用の仕方が新聞に出ておつただけで、どうも十分にはつきり正確に私どもにも分らないのですけれども、それを今日御説明願えますか、どうですか、伺いたい。
#61
○政府委員(新井茂君) クレジツトの國内の運用でございますか。クレジツト自體の運用ですか。
#62
○高瀬荘太郎君 日本の貿易のための運用の色々な制限がある。今度の貿易囘轉基金の運用……。
#63
○政府委員(新井茂君) 貿易囘轉基金につきましては、實はあの基金はアメリカ側の内部の取扱という性質を持つておりまして、そういう意味で、日本側も内容はある程度知らされたというものでございまするが、あれにつきましては、制限と申しましては結局金額の問題、それからこれによつて輸入されるものが一年以内に輸出されなければならんという點、それから國内向けのものが初めの基金の一五%以上になつちやいかんというそれらの點が主な制限でありまして、それ以外のことにつきましては、あの基金が御承知の通りに日本の經濟を大いに、これによつて復興させ、そうして占領目的を十分達成するということにあるのでありますので、恐らくはその制限の範圍内においては、でき得る限り日本に有利なように取り扱つて頂けるものと私どもは期待をしておるというようなわけであります。從いましてその運用につきましては、日本といたしましては、でき得る限りこれによつて日本に必要な原材料その他を輸入いたしまして、それで以てでき得る限り手取りの多い製品を輸出をして、そうして囘轉基金を殖やして、更にこれによつて雪達磨式に原料を輸入するというような方法で以てやつて行きたいというので、只今經濟安定本部の中に、關係各省から委員を出しまして、その委員會においてこれに基く計畫を、昭和二十三年末までの計畫を樹立するということで作業をいたしておるような次第であります。
#64
○高瀬荘太郎君 今のお話の中に、一年一年に必ず返濟ができてうまく囘轉して行けばいいのでありますけれども、今までの貿易の様子、これから當分の様子を見ますと、必ず輸入超過にならなければやつて行けないのじやないかというようなふうに私は思うのであります。相當莫大な輸入超過にならなければならん、そうなると、今の囘轉基金以外に、やはり何かそういう點についてのクレジツトはどうしても必要になつて來るのじやないかというふうに思いますが、どうでございましようか。
#65
○政府委員(新井茂君) 現在までやつております例えば綿花のクレジツトと申しますか、商品クレジツトによります輸入の實績を見ましても、私共といたしまてはあの基金は必ず雪達磨式に殖えるものと、こういうふうに考えております。例えば綿花につきましては、現在までのところ、この間の總司令部の發表によりましても、すでに八千萬ドルの純手取りができておるというふうな状況で、固く見ても八千萬ドルの手取りをすでに生じておるというふうな状況でありますので、資金を運用いたしまして必要な資材を輸入して來れば、あの資金は必ず段々と殖えて行く、こういうふうに思います。
#66
○高瀬荘太郎君 今までの約三億ドルの借金、あれは全然別個に考えていいことになつておりますか。あのクレジツトで段々こういうふうに稼ぎ出したもので拂わなければならんということになるのですか、その點どうでございますか。
#67
○政府委員(新井茂君) その點ははつきりした公式のあれはございませんが、私共は食糧の輸入はあの基金以外の資金によつて賄つて頂けるものと期待をいたしまして、そういう趣旨において運用を計畫しておるわけであります。
#68
○高瀬荘太郎君 そういう見込は確かにあるのでありますか。
#69
○政府委員(新井茂君) 私はそういうふうなことになるであろうと存じております。
#70
○結城安次君 只今高瀬さんの質問と關連するのでありますが、私共はあのクレジットは輸出するものでなければ物を買えない、併し輸出した場合に餘剩金の何割かは我々の食糧品が買えるということを聞いておるのですが、到底その餘剩金の何割では我々の主食が輸入できるものではない。別に何らかの方法で、クレジット或いは別の方法で輸入する工夫がなければならんと思いますが、その點については、高瀬さんに對する答辯の通り、何か方法が立つと我々了承いたして宜しうございますか。
#71
○政府委員(新井茂君) 現在までのところでも、占領軍の御好意によりまして、代金を支拂わなくてずつと食糧は輸入されて、放出されておるわけであります。こういうことは少なくとも先ず當分は續く見込があるものと私は存じております。
#72
○結城安次君 そうすると、今の私の言つた餘剩金の何割まで宜しかつたのですか。
#73
○政府委員(新井茂君) 純利益の五割というふうになつております。
#74
○高瀬荘太郎君 新聞に出ていたところでは、初めできた借金の半額を超過する部分とか出ておりましたね。
#75
○政府委員(新井茂君) つまり純資産から負債を引いたものの半分と、こういうふうになります。
#76
○結城安次君 棉花を一億ドル買つた、これで二億ドルの棉布が出た、一億ドルの餘剩金になる、そうすると五千萬ドルだけは何に使つてもいいと、こういうことですか。
#77
○政府委員(新井茂君) そういうことです。尚多少不正確な點がございましたが、つまりその他にも金をあの基金で借りておれば、それも引かなければならん、本當の純資産が負債を超過するものの半分、從つてその基金で外の金を借りておれば、それを引かなければならん。
#78
○林屋亀次郎君 二十三年度の輸出計畫と金高というものは、大體どういう御豫定なんですか。
#79
○委員長(一松政二君) それはこの前、資料を差上げてありますが、それが、甚だなんですが、非常に杜撰なんです。今年七月一日から來年の六月末までの輸出計畫ができておつて、それの實現の見込が大體二割か三割というところなんです。甚だ雲を掴むようなものであつて、而もそれは今年の正月頃GHQの方に出した統計表なんで、まあ見込表ですが、而もその二、三割しか實現の見込のないような見込表であります。それにつきまして、實は私さつき高瀬さんに申上げようと思つたのですが、そういう計畫につきまして、そうして今後の我が國の經濟の再建は貿易にある、而もそれを計畫經濟によつてやつて行かなければならんとすれば、その本をなすところの貿易の計畫それ自身が夢のようなものであつて、それを基礎にして國内經濟の計畫經濟がどうして成り立つか、その點についてもつと具體的なはつきりしたことを把握して計畫を立てているかということに對する水谷君の答辯が、高瀬さんが言つたように、見當違いの、つまり今の石炭が四千五百萬トン達成すれば、三年先には輸出入トントンになるというような、私からいえばでたらめな答辯をしているわけであります。けれども、とつさの場合でもあるし、又具體的なことを水谷商工大臣に求めても、勿論私は多少重荷の質問であると思つたから、それは留保して、一應打切つて、それで水谷君の今の答辯であつたわけでありますが、ですから私は苟しくも貿易計畫が確立して、その計畫の基礎の上に日本の經濟が成り立たなければならんのだから、貿易というものの計畫は餘程コンクリートなものが、少くともそのうち七、八割は實現できるという數字がなければならんと思うのです。それを求めたのです。ところがそれに對して大臣は今の見當違いな答辯をしてしまつているわけであります。今、林屋さんから幸にそういう御質問がありましたから、今これを新井次長に改めて私もそれを伺いますが、その計畫はまだ無論立つていないと思いますが、これを一日も早く立てないで日本の計畫經濟を言うことそれ自身が非常な間違いであると思う。殊に計畫經濟の間違いの根本は、つい三、四日前、或いは一週間前まで、計畫遲配とか或いはどうする、こうすると言つておつたことが、食糧の放出があればがらつと違つて、まるきり違つた世の中になるわけである。そういうところに今の計畫經濟の根本的な弱點があるのですが、而も貿易が本をなすと言つておりながら、本の數字を把握していないのです。
#80
○林屋亀次郎君 委員長の言われたように把握していないのでありますか。
#81
○政府委員(新井茂君) この前、當委員會において御説明いたしましたのは……ちよつと速記を止めて頂きたいと思います。
#82
○委員長(一松政二君) それでは速記を止めて下さい。
#83
○委員長(一松政二君) 速記を始めて。
#84
○政府委員(新井茂君) 貿易基金制度が先方において作られるということになりましたので、資材の方の見通しはこれによつて十分付くことになりました。
 それからもう一つ貿易についてむつかしいことは、これはもう釋迦に説法で御承知のことと思いますが、海外にどれだけ出るか、海外に購買力がどれだけあるかという見込を立てることはこれは非常に困難なことであります。私共の現在の力ではそこまで見通すことはとてもできないということのために計畫も一應机上計畫というふうなことになつたのでございます。今度、バイヤー等が來ましたから、或る程度の海外の見通しが付くというふうな事情もありますし、それから又いろいろ關係方面と接觸しておりまする内に私共といたしましてもこの程度のものは出るであろうという見込が段々付くような資料も或る程度頭の中でできるようになりましたので、この機會に一つもつと本當に日本の産業復興竝びに經濟の維持向上の上から見て本當に具體的な計畫を現在作りたいということで、この基金運用を中心にいたしまして、只今安定本部に委員會ができておりまして二十三年末までの具體的の本當にどれだけのものをいくら入れて、いつまでにどれだけの整品を輸出するか。又更にその他に關連しまして石炭の配給をどうするかということの具體的な計畫を作るということで只今やつておるわけであります。それができましたら或る程度そういうふうな餘り机上的なものでなく、相當地についたものができると、かように考えております。
#85
○油井賢太郎君 新井さんにお伺いしたいのですが、今までは輸出された品物の代金というものは貿易廳が圓價を以て現わしていた。それは今後はドル價で以て御發表になりますかどうか、ちよとお伺いします。
#86
○政府委員(新井茂君) これは今まではドルの方の計算は私共は重視する必要はございませんでしたが、今後は大體もう民間貿易の關係のものは私共の手でやる。その他のものにつきましても政府對政府の取引で今までのところは發表するということは困難でございましたが、私共といたしましてはこれもはつきり重視いたしまして、發表できればしたいとかように考えておりますから、これはまあいろいろ關係のある方面の御意向にもよることでありますから、はつきりしたことはちよつと言えませんが……。
#87
○委員長(一松政二君) 尚私がちよつと質問したいのですが、レボルビング・クレジットで今後輸出に必要な原料を先ず持つて來る、それは誠に結構でありますが、それによつて、貿易が規正されるだけでなく、大部分が内地の原料によつて輸出できるものもあるのであつて、日本の今後の貿易はレボルビング・クレジットだけによる原材料の輸入がプラスになつたというので、貿易はその兩方、貿易といつて、特に輸出貿易は兩方の合計にあるはずと思うのです。然るところ食糧の輸入に對する代金は暫く考えないでいいということは、これは獨り善がりだろうと私は思う。今までは見返り物資の輸出、殊に食糧品、殆ど食糧品に追われてしまつておつて、而もあれだけの赤字を出しておつたのですが、今後も先ず先程のビルマ、佛印、タイあたりから食糧が來るようになるまでは、まだアメリカに依存しなければならん。而もアメリカにおいては過去何十年間に見ない程の小麥の値段が今騰つている。鐵材も非常に騰つているし、非常にすべての價格が騰つているように聞いているし、食糧の値段も相當嵩んで來ると思うのです。それを我々はその分だけは全然除外して、輸出代金は輸入代金の原材料に向け得るというふうに考えることは、間違いじやないかと思うのですが、その點はどうですか。
#88
○政府委員(新井茂君) 今度のレボルビング・バンドの中で利用できるものは、大體輸入品によつて作つた製品の價格ということになつております。從いまして只今仰せの國内産の資材によつて作つた製品の輸出の品物というものは、從來と大體同様のお話の輸出資金の見返りに當てられる。かようなふうに私共は承知いたしております。
#89
○委員長(一松政二君) 輸入資金ということは、むしろ一番大きなものは食糧でありますから、食糧と解していいのでございましようか。
#90
○政府委員(新井茂君) 大部分は食糧でございます。
#91
○委員長(一松政二君) それから尚伺いますが、まあ今のレボルビング・クレジツトは向う一年間に輸出する。尚一年過ぎれば、これは又情勢も變るでありましようから、いろいろな形のクレジツトも豫想されるのでありますが、講和條約も近い。場合によつたら來年の初めかも知れないし、或いは春かも知れないということであれば、講和條約ができ上れば、今の占領政策というものも、そこで一應何らかの形で解決がつく筈でありますが、それ以後は少くともいわゆる獨立經濟でなければならんと思うのです。いつまでも食糧がおんぶをしておつて、そうして養つてくれるかのように考えるのは、私は非常に危險があるし、間違いがあると思う。少くとも講和會議で今から三億ドルになんなんとする輸入超過を全然頭の外に置いて考えていいということは、餘り國民を安易な考えに陷れるのじやないかと思うのですが、その點について貿易廳は、そういうことが國民に知れていいのですか。
#92
○政府委員(新井茂君) 先程申上げましたのは、實はこのレボルビング・バンドが設定されてから、直ぐそちらの方から代金を拂うかということを問題として申上げましたが、講和條約ができて、日本が本當に自分だけの力でやつて行かなければならんということになりますれば、これはお話の通り日本としてはこの代金を自力で以て賄わなければならんということになりまするので、その心構えで以て今後の貿易も只今から準備をして行かなくてはならんと考えます。
#93
○委員長(一松政二君) 私の了解するところでは、このレボルビング・クレジツトそれ自身がもうそういうことを意味しているのじやないかという氣がするのです。餘り今まで持つて來ているのは、もうすでに買いつけて持つて來てくれているのでありますから、向うの勘定で持つて來てくれていると思うのでありまするけれども、來年度から、殊にもう一年以内には講和會議が開かれるというようなことが豫想されるのでありまするから、その獨立勘定で食糧も何もかも輸入して來なければならんのだという建前は、當然私は政府としてはとるべきであると思うのです。その點に對しては、私はまあ意見になりますから、それだけのことを申上げて、私の質問は一應留保しておきます。
 他になにか御質問の方はありませんか。ありませねば一應……
#94
○高瀬荘太郎君 この前の配付された貿易計畫の表というのは、今貰えないでしようか。この前休んだので……。
#95
○委員長(一松政二君) 休んだ方のは皆ボツクスの中に入れてあります。
#96
○政府委員(新井茂君) なんなら又後程お届けいたします。
#97
○高瀬荘太郎君 それではその計畫によりますと、二十三年度はやはり輸入超過になるわけですか。
#98
○委員長(一松政二君) それは百億圓以上の輸出超過になるような數字なんです。
#99
○高瀬荘太郎君 食糧を別にしてあるわけですね。
#100
○結城安次君 食糧は入つております。大變な自信ですから。
#101
○政府委員(新井茂君) その計畫はさつきちよつと御説明申し上げました通り、日本の資材やなんかのことは全然考えませんで、できるだけ日本の物を動かして、輸出したらどのくらい出るかということの基礎の下にできたものでありまするから、その邊お酌みとりを……。
#102
○結城安次君 あの數字は不可能な數字じやありませんか。日本が働けば、それから材料があればですが。
#103
○政府委員(新井茂君) ええ、そうです。
#104
○油井賢太郎君 今まで輸入された食料品の圓價はもう發表になつておりますか。
#105
○政府委員(新井茂君) 圓價は新聞で時々發表しております。
#106
○油井賢太郎君 素計はどのくらいに……。
#107
○政府委員(新井茂君) 價格の方はまだ實は發表になつておりません。數量だけしか……
#108
○油井賢太郎君 ですから、圓價の點を御發表願えませんか。
#109
○政府委員(新井茂君) それはちよつと公式に發表ができんような建前になつておりますから、なんでしたら個別にあとで御參考に申上げます。
#110
○油井賢太郎君 ぜひお願います。
#111
○委員長(一松政二君) 尚私は伺いますが、今度レボルビング・クレジツトに基礎を置いて、安定本部と相談の上で、今輸出貿易計畫を立てると、輸入の計畫も立てての上でありましようが、その計畫は凡そいつ頃できることになつておりますが、若し又でき上りましたらば、一番早く我々としてはその資料を配付を願つて、それを基礎に又説明をして貰うと、檢討を加えたいと思うのであります。その點についてちよつと御説明を……。
#112
○政府委員(新井茂君) お話の趣旨は、安定本部にも傳えまして、よく相談いたしましてお返事いたします。
#113
○委員長(一松政二君) 外に御質問がありませんければ、今日は一應この程度に止めて、又この次の機會に譲りたいと思いますが、如何でありますか。
#114
○委員長(一松政二君) では今日はこれを以て委員會は閉じることにいたします。
   午後三時二十五分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     一松 政二君
   理事
           林屋亀次郎君
   委員
           椎井 康雄君
           中平常太郎君
           松下松治郎君
          大野木秀次郎君
          深川榮左エ門君
           油井賢太郎君
           九鬼紋十郎君
           小林米三郎君
           佐伯卯四郎君
           結城 安次君
  政府委員
   貿易廳長官   永井幸太郎君
   貿易廳次長   新井  茂君
ソース: 国立国会図書館
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