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1947/10/02 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 商業委員会 第10号
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1947/10/02 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 商業委員会 第10号

#1
第001回国会 商業委員会 第10号
  付託事件
○貿易組合法を廃止する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○中小商工業の再建に関する陳情(第
 百六十四号)
○マッチ産業公團制の実施反対に関す
 る陳情(第二百八十九号)
○財團法人理化学研究所に関する措置
 に関する法律案(内閣提出)
○板ガラスの配給機構及び取扱ひに関
 する陳情(第三百四号)
○百貨店法を廃止する法律案(内閣送
 付)
○昭和二十二年法律第五十四号私的独
 占の禁止及び公正取引の確保に関す
 る法律案
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月二日(金曜日)
   午後二時十七分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○貿易組合法を廃止する法律案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(一松政二君) それでは只今から商業委員会を開会いたします。昨日に引続きまして貿易組合法を廃止する法律案を上程いたします。特に物價の関係と、それから金融方面に対する関係で、委員の方の御希望がありましたので、安定本部の方の物價局長並びに大藏省の方はそれぞれ物價局関係の方が今農林委員会に行つておられますから、今連絡をやつております。それから大藏大臣は運輸交通委員会の方に出席されておりまするから、その方とこつちとかけ持ちで、こつちに來ることになつております。先ず先に物價局関係の輸出商品の物價の構成に対して特に皆さんの御質疑のあるところを質問して頂いておる間に、資金関係の大藏大臣の方を都合つけて頂くようにやりたいと思うのであります。尚今局長が農林委員会から來るまでに或いは時間があるかも知れません。幸いに永井長官がここに引続いてお見えになつておるのでありますから、貿易関係の問題につきまして尚皆さんの御質疑を継続して頂きたいと存じます。尚皆さんに特別に御質疑がなければ組合法は今日討論を終結したら如何かと存じまするが、皆さんに御異議がなければそういう運びに持つて行きたいと存じます。若しまだ足りない、來週に持越した方がいい、尤もまだ明日もありますけれども、そういう御意見でありますならば、いかようにでも取計らいますからどうぞ御意見を御発表願いたいと存じます。
#3
○油井賢太郎君 丁度長官がおいでになつておりますから尚引続いて御質問申上げたいと思います。貿易廳の官廳関係の方々が貿易再開に当りまして非常に熱心にバイヤーとメーカーの間に介在してそれぞれお仕事をして下さるのは、これは一面においては大変に有難い話でありますが、その実情を聽いて見ますと、又度を越して有難迷惑になつているというような点も窺われるのであります。一例を申上げますと、バイヤーと直接にメーカーが取引ができた場合において、それが貿易廳に持つて参りますというと、その取引ということを一應認めないで恰かもその間に介在した貿易廳の係の方々が、自分で以てその取引を形成させたが如くに裝おつて、折角のアメリカから來た日本に対して非常に認識の深いバイヤーばかりでなく、その他のバイヤーにもそういう品物を分け與えて、以て自分の功績とするというような話さえ伺うのであります。そのバイヤーは非常に憤慨をしまして、折角自分が今まで多年日本に対する経驗を以て喜んで來朝し、自分で以てその仕事を開拓したのにも拘わらず、日本の官廳関係の人が中に介在して、その仕事を横から奪つて、それで自分の功績とするようなことをされたことは甚だ怪しからん、これはアメリカに帰つて國会を通じて抗議を申込むというような話をちよつと耳にしておるのでありますが、そういう点について長官はお聞取りになつたことがございますか。又將來も官廳方面の熱意の余り自分の仕事ぶりを誇大に見せようというような野心からではありますまいかと思うのですが、その熱意の余りにそういつたような民間の業者の取引の阻害を來たすような事態になつては、これは貿易再開上にも一大不祥事だと私は思うのであります。その点について長官の御意見をお答え願いたいと思います。
#4
○政府委員(永井幸太郎君) 只今の一バイヤーの事情について承つたのでありますが、これは皆滯在する期間が決まつておりますので、皆非常に急いでおりますので、いらいらしておるというような場合もありまして、そういうふうに感じたかと思いますが、物事はやはり当事者の両方のことをよく聽いて見ないと、本当に判断はできないと思います。私の想像しまするところでは、それはこういうことじやなかつたかと思うのであります。初め第一の團体が來ました時に、GHQの貿易課長と私もその他も皆出席しまして、バイヤーを集めましたときに、いろいろそういう限られたストックを賣る場合に、欲しいもの、買いたいものはみな同じようなものに集まるのです。例えば蟹の罐詰とかいうようなものに皆集まる。そういつた場合には初めに申込まれた人が五人あるとすれば、五人に等分して貰う。千箱あるものならば五人で二百ずつに等分する。併し千箱なら要るが二百箱なら要らんというような人があつた場合に、その人はのいて貰つて、あとの四人に等分する、そういうことにきちつと決めまして言渡した筈なのです。そこで今おつしやつたことを想像して見ますと、あなたにそういうお話をしたバイヤーは、或いはこの話を聞いていない人かも知れんと思います。或いはどういう事情だつたか分りませんが……、それは貿易廳の係としましては、そういう場合にその人一人に渡すということになると、あとの四人の人から非常に苦情が出ますので、それで決めました方針に從うて皆に等分したのじやないかと思います。それはよく調べて見ないと分りませんが、多分そういうことでなかろうかと私は信ずるのであります。それから今もおつしやいました役人が非常に熱心の余り、あまり啄を容れ過ぎるというお話ですが、実際は貿易廳は輸出の係は人手不足で困つておりますので、あまりそうおせつかいをしていないつもりであります。但し又貿易連絡員というものを一時限りの雇をホテルに置いておりまして、それに連絡を取らしております。それらが今度來たバイヤーと懇親になつて、今後何かのためにしうよういうことで、少し立入り過ぎることを聞いておりますので、それはそうやつてはいかん。ただ君たちはバイヤーを製造家なり、輸出業者なりが、その方面のどの人に会うたらいいか分らん場合に、それは貿易廳で拵えたダイレクトによつて、罐詰なら罐詰はこの方で扱つている、その中のどれかということが少しも分らんときには、ナショナル・シテイ銀行なり、日本銀行なりに聽いて、どの人がよいということをお前が選定したら、その人に連絡を取つて上げたらいい。そういう連絡だけをせいといつているのでありますが、それがややもすれば熱心の余りもあるし、そういつた考えで少し立入つた場合もありますが、そういうことをやつて貰つては困るということをやかましく言渡しておるのであります。併し何分にも今度の民間貿易再開ということは、こちらの民間の人と向うのバイヤーとができるだけ折衝してもらうことが趣旨でありますから、要らざるおせつかいをしないようにして貰いたいということにしております。なかなかそういうふうに人手がないのでありますから、人手が足りなくて困つておりますから……、そういうことはないと思いますが、御趣旨はよく分りました。
#5
○油井賢太郎君 その場合折角欲しいバイヤーが沢山あるという場合に、値段の点において入札をするというような方法は取れないのですか。
#6
○政府委員(永井幸太郎君) ちよつとその後の変化は聞いておりません。そのときには等分にすることになつたのですが、そういうふうに、あなたのおつしやるような場合、入札しろということを協議したのでありますが、こういうこともあつたのです。事実を申しますと、束久邇宮に煙草を賣るという話がございましたが、これなどは無茶苦茶な値を入れた場合……今後何年も日本と取引して行きたいというので、初めて日本の物をアメリカへ持つて行つて、紹介したいといつた場合に、確かな者にやつて貰わないと日本の貿易の再開にならんというので、そういう場合には入札しなかつたのであります。そうでなくて、そういつた虞れのない場合は、入札する方がいいかと思いますが、尚考究いたしたいと思います。
#7
○油井賢太郎君 更に熊手が大変評判が好くて、百数十万本契約が成立したということを聞いておつたのですが、その後実際に納められることになつたのは、僅かに三十万本に過ぎず、残りの大半はあたら契約を無効にしてしまつたというような噂も聞いておるのであります。これは又一面から申しますと、熊手の産地におきまして、闇商人が竹の買占めをやつてその契約に当嵌るような竹が非常に暴騰してしまつたので、生産者が引合うことができずに、結局その契約の破棄方を申出たというような話でありましたが、その事実がありますかどうか。
#8
○政府委員(永井幸太郎君) ちよつとそのことを私はだ耳にしておりませんので、取調べましてお答えいたしたいと思います。但し非常に拵えた物が惡くて引取れんということがあるということは聞いております。一遍調べたいと思います。
#9
○黒川武雄君 現在の日本の價格として、輸出の契約はどのくらいですか。
#10
○政府委員(永井幸太郎君) 御承知のように今バイヤーが來ました。民間取引で輸出しておりますものはA表というのでありまして、全体の二割以下くらいのものであります。その中で最近までに司令部と突き合して、司令部が承認したものは百二十五万ドルでありますけれども、今いろいろな手続中のものが更にありまして、今では二百万ドルを相当超しておると思つております。いろいろな部門で別々にやりますものですから、集計をいたしておりませんのと、こちらで契約ができておりましても信用状が來ないとか、司令部の承認がまだ遲れておるとかいうようなことで、いつも実際に契約ができたと業者が思うておるのとずれておりますけれども、金額といたしましては甚だ誇るに足らんのでありますけれども、これらのバイヤーの來ておりまするものは、品物を買うのはむしろ副目的で、今後の商賣をして行くためにいろいろな関係を調べたり、代理店を決めたりというようなことに重きを置いておるようでありますから、この金額の大小によつて貿易再開の價値を判断するわけには行かんのであります。
#11
○油井賢太郎君 輸出のことは大体今までのことで承つたのですが、輸入の状況は全部貿易廳でやつて、一般民間はタッチできないのですか。
#12
○政府委員(永井幸太郎君) 輸入は殆んどでない、政府対政府、貿易廳でやつておりまして、民間が直接にやるものはありません。ただこういう場合に、濠洲から羊毛を持つて來まして、こちらの毛織会社と相談してトップとか糸にまでして、それから輸出するとかいう個人的の前相談はして貰う、いよいよこれがやつて貰うか、やつて貰わんかは貿易廳とGHQが決めるというようなそういう点はあります。表向契約に当るものは貿易廳であります。
#13
○油井賢太郎君 輸出商社が非常に骨を折つて輸出品の幹旋をしたような場合は、そのドル資金を以て、そのドル資金の一部分を以てでも結構ですが、内地の民主物資として必要な物を、民間の創意工夫によつて海外と直接取引をさせるというような方法は取れんのですか。
#14
○政府委員(永井幸太郎君) それは確かに輸出を促進し、業者の奬励になると思うのでありまするけれども、ただ今日の場合の状態では、輸入しますものは食糧と肥料と工業用原料等でありまして、そこで仮に輸出をいたしまして、食糧をその人に輸入を許すということにいたしましても、食糧は全部世界中の割当がワシントンの國際緊急食糧委員会で決められて、どこの物をどこへなんぼを持つて行くということになりまするから、これを輸出した商人に輸入権を與えるというてもその操作がなかなかむつかしいと思うのであります。それと、殊に食糧と肥料は大体陸軍の予算の範囲で、毎年の予算からこつちに持つて來ておりますというような関係で、だから食糧とか肥料に類似するようなものはそれに入れられん。それから原料はと申しますと、綿なら綿、今の回轉基金でアメリカから六千万ドルまで入れて來るというようなことにしますと、それから印度から十七万俵ボンドバーターでやつて來ますと、大体それによつて生産計画を決めてしまいますので、個人がそこに千俵ほど買うて來たということになりますと、今度は生産計画にごとつと嵌め込むのがなかなかむつかしいというようなことで、輸入の商賣が非常に自由性がないので、それをやれば非常にいいかと思いますが、なかなか実行がむつかしい。しかしイタリーは輸出したものの輸出金額の半分とか、三分の一とかの輸入権を輸出者に與えるという方法を取つておりますが、これは今の日本の現状では実行がややむつかしいかと思いまするけれども、調査研究の余地があるように思うております。もう少し自由になりましたら、食糧及び原料物資の世界の供給状態が少し自由になりましたら、そういうことが非常に効果があるのじやないかと思いますが、今ちよつと実行いたしましても、それを実行に当てまする範囲が非常に少いものじやないかと考えます。併し調査研究の余地があるように思つております。
#15
○油井賢太郎君 輸入物資の中食糧品は極く少数の商社の手によつて荷揚げ或いは発送等の運営をされておるように聞いておりますが、何社くらいになつておりますか。
#16
○政府委員(永井幸太郎君) 何社ということをしつかり覚えておりませんが、これは十月四日にこれまでの扱い業者の数を何倍かにしまして、希望者に皆申込みをさせたのであります。そうして各港における人手の関係、信用状態皆調べまして明細の表を拵えまして、そして大体人手の方からいいますれば、神戸、横浜は、この食糧の荷揚げ、その他の輸入手続に必要なる人間が、それのみにかかつておる人が神戸、横浜は二十人以上を持つておる、その他清水、函館、門司、長崎は十人以上という標準を拵えまして、そういう標準に合格した人だけを入札をして貰うことにしております。十月四日に入札をいたしまして、入札というのは、値段はないから、詰り手数料と荷揚料、荷捌料等の入札をしまして、それでやつて行こう。それでも一軒の家で全部独占させるのもいかんから、なんぼだつたか全体の二割五分以上になつたら二番札を取つて貰うとかいう規程を拵えまして、それを二ケ月間継続してやる、二ケ月経つたらもう一遍新たに申込みを取つて、それから資格者を認定して、入札をして貰う。一度入札になつても昔の指定商であるというようなことなく、特権化しないように実績とか、特権とかいうことにならないようにするということをやつております。大体非常に公平にできておる私は考えておるのであります。
#17
○油井賢太郎君 只今の御説明でよく了解しましたが、その取扱いの実費は、なんでも六割を取敢ずお拂いになるそうですが、その残りの四割がなかなか遅れておる。それから今日に至るまで半年間もマージンというものが貿易廳から貰つてないという話も聞いておりますが、マージンを與えないで仕事をやれということは、なにか、又そこに弊害をかもす原因となりはしないか、そういう点についての所見をお伺いいたしたいと思います。
#18
○政府委員(永井幸太郎君) 今審議を願つておりますこれにも関係するのでありますが、少し遅れておるかも知れませんが、できるだけ早く拂うように実際努力はいたしておりますけれども、尚取調べまして、そういうふうに迷惑の掛からんようにいたしたいと思つております。
#19
○委員長(一松政二君) 尚この際皆さんに、この法案につきまして、衆議院におきましては、附帶決議を附けて、そうしてこれを可決しておるのでありまして、速記録その他非常に遅れておりますので、或いは委員の諸君におかれては御承知ない方もあろうかと存じますので、只今私がここで朗読をいたしますから、御參考のためにお聽き取りを願いたいのであります。尚本委員会においてこの法案を取り扱うときに、何か又そういつたような決議を附けるか附けないか、皆さんのお考えの御参考になるかと思いますから、只今申上げます。
(貿易組合法を廃止する法律案に対する衆議院の附帶決議、貿易再開に対処する政府の諸準備については、遺憾ながら萬全の措置を講じたものとは認め難い。本案による貿易組合法が廃止せられた後の四貿易公團の運営いかんは、日本経済再建の前途を左右するものであり、從つて政府は、公團の組織、機構、運営の民主化を図ることに渾身の努力を傾倒すべきであり、官僚の独善的施策を排し、既成特権の復活には嚴重なる警戒を要するものと認める。次に、政府は輸出産業者に対し、資金資材の優先的割当、技術の近代化につき、從來の机上計画を一擲し、強力なる施策を実行することが肝要である。更に輸出品買上價格については、その特性と輸出振興の緊要に鑑み、内需向價格と異なりたる合理的な特殊價格を裁定するよう特段の配慮を望みたい。)
以上三つの附帶決議案を附けておるのであります。尚この点につきましては、もう本委員会においても、再三再四、殆んど質疑應答を重ねて参つて來ておることは、皆さん御承知の通りと思います。ちよつと速記を止めて……。
#20
○委員長(一松政二君) 速記を始めて……。
#21
○大野木秀次郎君 生産價格と輸出品買上價格に差額を生じた場合、この場合の價格調整というものはどうなるのですか。
#22
○政府委員(永井幸太郎君) 只今のお話ですが、輸出品價格を物價廳の物價レベルから切り離して査定のできるようにして、迅速に輸出商談が進められるようにいたしたいということを私は希望いたしまするのでありますけれども、只今の委員の御希望のように、私若し誤解しておるかも知れませんが、國内の生産價格とそれよりも別の輸出價格を決めるとしました場合に、その輸出價格を國内の價格よりも政府が制度的に安くしておるということは、國際関係上ダンピングであるとかいつたような、萬國貿易憲章の趣旨に違反するような感じを外國に與えるということが、大分愼重な注意を要すると思いまするので、この点は只今即答申上げることを差控えたいと思います。そういう憂慮があるということをお含みおき願いたいと思います。
#23
○油井賢太郎君 只今のお話ちよつと腑に落ちないのですが、國内におきまするところのマル公のものは非常に安い物であつて、すべてが、物資の面においても、今の闇の相場から見れば一番安い値で以て配給された物資を以て作られるのが常識だと思います。その際においてひとり輸出品が國内のマル公よりも安い物が出て行くということはあり得ないように私は思われるのでありますが、何かその根拠について御説明願いたいと思います。
#24
○政府委員(永井幸太郎君) 國内の公定價格よりも高い場合は今の言うような恐れはない、ただ公定價格だけを外國の人が市價と見てくれるかどうかという心配があるのであります。つまり外國から見まして日本の市價であるというものと同じぐらいの水準であるならばそれでいいと思いますが、著るしく國内の相場はこれであるのに輸出に特にこれだけ安くしておるというふうに明確に段階をつけて政府の制度としてやるということがいかがかと思うのであります。そういう場合に大体今の場合のように公定價格で一般に通つておるものでありましたら、それより安いということはあまりあり得ないのですから、そういう心配はないかと思います。ただこちらの委員のお話は高過ぎて輸出ができんときに少し安くしたらどうかというようなお考があるのぢやないかと思いまして、私そういうふうに答えたのであります。
#25
○油井賢太郎君 木野木さんそういう御意見でしたか。
#26
○大野木秀次郎君 そうです。
#27
○政府委員(永井幸太郎君) 今のお考だと少しよく考えないといかんと思います。
#28
○委員長(一松政二君) 尚この際ちよつと永井長官に確めておきたいことがあるのでありますが、先日私がこの一億三千七百万ドルのリボルヴィングファウンドについてどれだけの確定したいわゆる借款が得られたかということを聽いたのですが、只今確定しておるのは、確定しかけておるのは綿花の約六千万ドルであるというふうに私は了承しておつて、あとのものはまだ向うの管理委員の方が見えないので、まだ何も確定していないというお話のように承つておりましたが、さようでございますか。
#29
○政府委員(永井幸太郎君) 日本が使い得べき金額は、御存じのように二億なんぼの頭金を三割としたのですから、五億ドル乃至六億ドルになります。併しこの回轉基金を運用して何を買うて当てるかということは、只今のところ六千万ドルの綿花、米綿資金だけであります。他にまだ何も決まつていないようであります。
#30
○委員長(一松政二君) それなら私が了承しておるところと一致しておるのでありまするが、更にこれはまあ議会の責任でもなければ長官の責任でも何でもありませんが、昨日ラジオでその五億円の借款の他に又六千万ドルの綿花の借款ができるようになつたので、それの追加ができるようになつたかの如く放送しておるのであります。そうしてあの放送はこれは議会も政府も特に責任があるわけではないのでありまするが、併しながら國民一般に與える影響はこれはもう一番大きいのであります。政府のどなたかは必ずあの放送を聽いておると私は思うのであります。そういう場合に成るべく國民の判断を誤らないような放送をするように努めて頂きたいと思うのであります。差当り今のような問題があつた場合には、やはり一應あれは昨日かくかくの放送があつたけれども、あれは事実と違いはしないか、或いは事実と違うよということを御注意になつた方がよくはないかと存じます。
#31
○政府委員(永井幸太郎君) 私その放送を聽かなかつたのですが、今後そういう場合があつたならば注意いたすことにします。のみならずあの回轉基金のことにつきましては、食糧もあれで入れ得るようなことをやはりラジオで放送しました。そのとき私は私の方の調査部から注意さしたのであります。あれは最後に一割五分までは、例えば綿花を入れて來たら、紡績会社で不可欠の工場用品等が輸入に俟たなければならんという場合にはそういうものを入れさせる、一割五分までという事項があるのです。そのうちにサプライと書いてあるのです。それを食糧と誰かが譯したものですから、食糧が入るのだというようなことをラジオで言つておられました。困つたものだと思つておりますが、そういうことに氣付きましたら、直ちに注意することにいたします。
#32
○黒川武雄君 中國の場合ですね。中國の場合に対して私共は非常に期待していたのです。初めは七月の初めに見えるようなことを聽いていたのが未だに見えない。十月の半ばには見えるとかいうことでありまするが、それは事実でありますか。それからもう一つはそういうことに対しても貿易廳として何か特に努力しておる、バイヤーを早く入れるというようなことに努力なすつたことはありませんか。
#33
○政府委員(永井幸太郎君) 私共は中國のみならず、中國、東亞、南洋、あの方面からバイヤーに來て貰いたいということを絶えず申しておるのであります。中國の方は状態をちよつと聽いて頂いたらよく分ると思うのでありますが、今度民間取引を許しておりますような商品を買う資金はないのでございます。ああいう消費財を買う資金がない。中國と日本との今までの貿易は、殆んどバーターであります。その品物は日本にもどうしても入れなければならん原材料であつて、日本から支那へ持つて行くものもどうしても向うがなければならん原材料とか生産資材、例えば開らん炭を貰つて來まして、こつちから機関車を出したり、枕木を出しましたり、坑木を出しましたりする。ところが今開らん炭は山はなおつて掘つておりますけれども、それが港まで出て來ない。途中に中共軍が遮断しておりまして出て來ないというようなことで、支那から日本に持つて來るものもない。塩も支那の塩を大分当てにしておりましたが、やはり中共軍のあれで塩も支那から入らん。そういう状態でありますから今度日本から持つて行く機関車とか、そういうもののあれも一つ止めなきやいかん。そこで今度バイヤーが仮に來ましても、バイヤーの買いたもの、そうしてバイヤーに賣ることを許しておるもの、それに対して恐らく南京政府はドル資金を與えないだろうと思うのであります。それから台湾、上海あたりの支那人が來まして、自轉車がほしい、藥がほしいとかいろいろなことを言いますけれども、それは南京政府が爲替支拂資金を渡しませんので、それで支那からの方のバイヤーが來ることも遅れておりますし、十月頃には來ると言いますけれども、果して來るか來ぬか、來ましてもなかなかむずかしいと考えております。そんな状態なのであります。非常に残念なことですけれども、なかなか中國から物を取りましても、それが港まで出て來ませんので、鉄道も惡いし揚子江の船も危いそうでありまして、奧地のものが殆んど港へ出て來ないというような、非常に困つた状態であります。
#34
○委員長(一松政二君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#35
○委員長(一松政二君) 速記を始めて……。
#36
○油井賢太郎君 さつきダンピングのお話が出ましたが、今の貿易廳でなさつておる貿易というものは、すべて内地では内地マル公でお買上げになつて、向うで欲しいだけのドルを以て決済をしておるというふうに承わつたのですが、そうしますと品物によつては或いは一ドルが二十円に換算されておるものもあり、二百円のものもあり、又ものによつては五六百円のものもあるというふうに聞いておるのであります。するとダンピングの限界というものは、どの辺になるのですか。今の制度によりますと、向うで値段を決めるということになつておりますから、ダンピングの虞れというものは全然ないように思われるのですが、この点を一つ御説明願います。
#37
○政府委員(永井幸太郎君) つまり今のお話は、向うのドルで眺めたときにはその通りなのです。内地の物價はこれである、併し今ドルを示して複数制とか單数制とか、エクスチェンヂを決めていないと分らない、早晩レートを決めなければならんと思いますが、そのときに明かになると思います。エクスチェンヂを決めましたら内地にはこれだけ持つている輸出品を少し安くして、仮に二百ドルなら二百ドルの爲替を盛る、エクスチェンヂが決まつたときの話で今は分りません。
#38
○油井賢太郎君 その複数制のエクスチェンヂはいつ頃から実行されるのでありますか。
#39
○政府委員(永井幸太郎君) これは九月中に日本側の資料を集めましてGHQに四人程の專門委員ができまして、そこの資料をつき合せまして、それをワシントンに出して相談しようということになつておりまして、この一週間くらいに日本側の最後の資料を出すことになつております。それにまだGHQの意見がつきまして、ワシントンへ参りまして協議をすることになりますから、いつ頃からということははつきり申上げかねると思うのでありますが、成るべく早く決めないといかんと思うのであります。今複数制ときつちり決まつた訳じやないのでありますけれども、一本のレートに対しまして價格差を加えたり引いたりするということにしましたら、非常に理論的に公平に行きますのですが、なかなか実行がむつかしいと思いまして、複数制によりまして、その刻みを成るべく少くする。それで公平を期したいというふうに考えている訳であります。少し早く決めた方がいいということもございますが、これは時がとつておりますけれども、時がとるということも亦考えようによりますれば、こちらの賣るドルの値段を期待する時間が與えられるわけでありますから、急がんというわけではありませんが、遅れることも多少の利益はあります。成るべく急いでやりたいと思います。
#40
○油井賢太郎君 それはどつちが日本としては利益であるのか、貿易の進展のためにいいかというようなことはお見通しがついておりますか。
#41
○政府委員(永井幸太郎君) 御質問の要点が分りかねましたが……。
#42
○油井賢太郎君 つまりエクスチェンヂレートを決めるのと、現在のままで推移するのと、それの比較を大局的に見てどちらがいいか、或いは將來の見通しです。
#43
○政府委員(永井幸太郎君) 決めました方が、業者が成るべく多くのドルをとろうという創意工夫を刺戟しやしないかと思いますのと、今おつしやつたように、貿易廳の役人がいろいろ介在してお世話する繁雜を成るべく早く少くしたいと思いますので、レートを與えておきますれば、この間の中に入つて貿易廳がお世話をするということも大分減つて來ますし、もう一つの利益は、複数レートの他にゼネラル・レートを拵えようといつておるのです。大体それが日本の國勢を表わすかと思うのでありますが、ゼネラル・レートというものを拵えますと、それよりも非常に割の惡い爲替でやつて商賣のできている産業は、これは自分の産業は弱体だな、もつと生産能率を上げて、或いは企業整備をするなりしてコストを下げなければ、自分は國際場裡の競爭に負けるのだということがはつきり頭におかれる。そんな利益もありますししますから、やはり早くできた方がいいようにも思います。
#44
○委員長(一松政二君) ちよつと長官に伺いたいのですが、今の複数の爲替レートという場合にそれは商品別を意味するのでありますか。或いは何を標準にして複数にしようという考でありますか。ちよつとその点をお伺いいたしたい。
#45
○政府委員(永井幸太郎君) 商品の種類別にやろうというのであります。ドイツでは極く僅かな五本か六本にしているようでありますが、日本の内情はちよつと違うので、もつと沢山の複数にして、そのレートとレートの間の刻みを少くしてやりたいということにしております。これは上の限度と下の限度が段々寄つて來るものと私は思います。例えば生糸にしましても、十六ドルで賣れておつた頃はこつちが安かつたので、一ドルが五円くらい、それが二十円になり、四十円になり、今では百四十円になつております。雜貨のような高かつた物はその割に高くなつておりません。ずつと寄つております。そこで段々本当の平和條約ができまして、本当の一本のレートに寄つて來るものかと思います。
#46
○委員長(一松政二君) それは日本から物を賣る場合には殆んど專賣みたいな恰好になつて、この商品についてはこのドルじやなければ賣らないのだということになれば、是非買いたい物は買う以外にないのでありますが、それは結局自由貿易の趣旨に反するもので、一方に割りのいい爲替があり、一方に割りの惡い爲替があるということになつたら、私は將來バイヤーはそんな我がまま勝手な爲替を決めるということに対しては抗議を申込んで來るか、非常に苦情を言うようになるか、その点は如何ですか。
#47
○政府委員(永井幸太郎君) 結局日本のために割りのよい爲替を持つているものは、つまり日本の向うの買手に対して無理を言える立場にあると思うのであります。惡い爲替を持つているものは向うにも競爭品も多いし、日本の雜貨品をアメリカに賣つたり、方々に賣つたりするのがなかなかむずかしいので、割が惡くなつているということになりますのですが、やはりこれで割りの惡い爲替は、割りのいい爲替を持つているけれども、日本から買うた方が利益であるということを承知すれば、その点はあまり氣にかけんのじやないかと思います。つまり日本のために割りのよい、向うに取つて割りの惡い爲替を持つているものは、大体日本がそれを押し付け得るような品物が多いのであります。ドイツでやつておりまして、非常に國内で不平があるし、國外で不平があるのでありますが、本当の爲替なしでやるとしますと、こういう無理がなければしようがないのであります。
#48
○中川幸平君 先程委員長から衆議院の附帶決議を聽かして貰いましたが、成る程その通りでありますけれども、その外にもつと当委員会としても、亦長官としても考えて見なければならんことについて一言申上げたいと存じます。今回の貿易の再開は我々生産業者乃至商人にしても、又國民全般にしても、大変喜ばしいことで、國家再建の黎明を傳えた如く喜んでいる次第でありますけれども、生産の貧弱な実情を考える時におきまして誠に嘆かわしいと考えている次第であります。本日の貿易廳長官の言葉として、貿易は必ず黒字になるという確信があるということも出ておりましたけれども、これは恐らく相当のストツクがあるために、左樣な現象を起しているのでなかろうかというように感じているような次第であります。申上げるまでもなく、戰爭中尤も人的資源のためでもありましようが、商人は要らないということで、殆ど轉廃業を余儀なくされ、生産工場は軍需としての轉換を余儀なくされて、戰爭後それらの残つた工場が相当うまく再轉換ができたと言つてはおりますけれども、それは相当の資材の持合せがあつたから、さような現象を起しておるので、今日この頃非常に弱つておるという状態にあるのであります。殊にどうしたわけか知りませんが、先ず電氣はこれは半不可抗力ではありますが、各工業に人がおらない。引揚者がかように沢山帰つて参りまして、人口が非常に過剩になるというのに、工場に人がない。繊維工業で申しますると、今般生糸が相当國内使用を許されて、いつまでにこれだれの輸出織物を織れ、戰前三十何万台の織機があつたものを、今日十万台かそこらになつておる。これに割り当てて、いつまでに輸出織物を織れといつてやつて見ますると、電氣は一週間に三日も休まなければならん。さて又職工を揃えるといたしますと、どうしてもおらない。これはどういうわけか。申上げるまでもなく我が國の繊維工業の発達の歴史を見ましても、我が國は生産コストが非常に安いために発達したものということは申すまでもないことであろうと思うのであります。電氣が一週三日ということになりますと、そこに大きなコストの狂いがある。又そこで職工を揃えられないということになりますと、又そこに非常なコストが上つて來るということになるのであります。つまり七割操業で幾らの價格ということが、職工がおらないために、それを又五割操業、四割操業の生産をせんならん。物價廳においてもいろいろ心配して貰つて、價格は拵えて貰いますけれども、実状がそういう実状だから、どうも物價廳の決め方が織物業者としては納得できないというようなことになつておるのです。これらの点について実際に、外に仕事があつて人がおらんということならともかくも、そういう人のおらん筈がないにも拘わらず、そういう実状にあるということは、これは余程考えなければならん事柄でありまして、貿易廳としては関係の各省と連絡を取つて、そういう方面にお孃さんであろうが、娘であろうが、働くということに國民を指導するようにせんければ、この貿易の再開を喜んでおりましたところが、糖喜びに終らんかということを特に考えるのでありまして、どうか貿易長官が中心となつて、或いは労働行政と並行せん場面もあるかも知れませんが、そこは國家再建のために、何とかその運動を貿易廳として展開して貰わなければならんというふうに、私共は非常に心配しておる次第であります。これらにつきまして、長官のお考を承りたいと存ずる次第であります。
#49
○政府委員(永井幸太郎君) 只今の、私貿易は必ず黒字になると申しましたのは、我が國の経済再建ができまして、東亞諸地域の政治経済状態が安定いたしまして、我が國本來の貿易の眞面目が発揮されれば、必ず黒字になるということを申上げた次第であります。大分私、先の話を申したのであります。ちよつと誤解のないように……。
 その他生産、輸出産業と言いますか、貿易というものは一つのオーケストラみたいなものですから、すべてのものがそこに影響し集まつておるのでありますから、特に輸出産業といつてはつきり言うこともできないかも知れませんが、それに対する電氣、動力及び労力というものを十二分に活動して貰いまして、生産が上りまして、輸出が増進いたしますように、関係各方面ともいろいろ、從來すでにいろいろやつておるのでありますけれども、尚更この方面に一つ重点を置きまして努力いたしたいと思います。どうしてもこれは國民全体が、日本は貿易によつて生きねばならん、八千万の國民の食糧の約二割ばかりはどうしても貿易で賄わなければならん、國民全体の明日の米櫃を稼いでおるのであるという心持を、皆の人が抱いて貰うということで、ただお金と物との政治だけでは片附かん問題だと思うのでありまして、皆が國家のために國民全体の食糧をこれで稼いでおるんだという氣持になるという、心の方面の啓蒙も必要かと思つております。何分皆樣から御後援御指導を願いたいと思います。
#50
○委員長(一松政二君) 尚皆さんに只今御報告申上げて置きます。物價廳の第一部長平田敬一郎君と貿易局長の藤澤次郎君と今お見えになりましたから、どうぞ今まで留保になつておると思われる御質問を継続して頂きたいと存じます。
#51
○油井賢太郎君 物價廳の方にお尋ねいたしたいと思います。四五日前輸出織物の値段が発表になつたのでありますが、あの輸出織物の値段は、昨年の三月以來すでに一ケ年半になんなんとするに拘わらず、荏苒日を送つて漸く決定されたのであります。その間日本の再建のため最も必要とされる貿易の太宗であるところの繊維品が、殆んど國内に止つておつて、海外に出る機会がないというふうにさえなつておつたのでありますが、何故あのように物價廳といたしまして遅れた御発表をなさつたか、その眞因を一つお伺いいたしたいと思います。
#52
○政府委員(平田敬一郎君) 繊維品の公定價格の問題であろうと了承いたしますが、繊維品につきましては、実は昨年の確か三月末、ものによりましては少し遅れて五月頃、大体昨年の三月の物價体系に基ずく新しい價格というものができまして、それによりまして動かすということに相成つた次第でございます。で、その際に決めましたのは、その当時における賃金の状況或いは企業の状態、それから他の物價との関係、そういうものを考慮いたしまして決まつたのでありますが、その後紡績方面につきましては、相当原價の昂騰がございましたことは事実でございまして、その間一方昨年三月引上げましたその際におきまして價格差益が出て参りまして、その差益の一部を平衡資金として積立てることになつておりまして、その平衡資金の中からその後における原價高をカヴァーいたしまして、一遍決めました價格はできるだけ長く維持するというのはこれは物價政策の鉄則でございますので、そういうことで動かして來てみたわけでございますが、最近と申しますか、平衡資金の集まり方その他がどうも御指摘のごとく十分うまく行かなかつたところもございまして、企業にとりましても相当その間に金融上不便を受けた点がありますことは、私共も重々遺憾に思つておる次第であります。その後公定價格につきましては、とにかくそういう状態を長く続けて参るわけに行きませんから、適当な機会に変えなければならないということは、これはもう明瞭なところでございますが、ただ時期をいつにするか、それをどういう程度でやるかということについてはいろいろ実は問題がございまして、相当大きな問題でございますので、なかなかその間いい考え方が付きませんので、今年のすでに二三月頃以來研究はしていたのでありますが、進捗せず、その間更に全面的に石炭の價格或いは物資の價格等につきましても改正の必要がもうすでにこの二三月頃から私共痛感されておつたのでありまして、この問題はできるだけ早く、処理して然るべきですが、同時に他の問題と合せて考えませんと又それが変態的になりますので、そういうことも合せ考えて処理するということで進んでおる間に、今度の物價体系を全面的に作り変える、こういう問題に相成りまして、この際に新しい繊維品の價格を根本的に考え直して決める。それに関聯しまして今までの輸出品の加工賃等につきまして無理があるのは、その際に一緒に片附けるということに事実上ならざるを得なくなりまして非常に遅れて参つた次第であります。そういたしまして新しい價格体系は大体すでに決まりまして大部分は実施いたしておるのでありますが、而もこれも原則といたしまして八月一日から新しい價格を適用する、こういうことにいたしております。そうなりますと八月一日以前のものにつきましてどうするか、この問題がございまして、この問題は普通の物價でございますと、遡つて処理するということは原則的にいたさないという考え方にいたしておるのでございますが、事実加工賃のごとき非常に特別なものであつて、而も前から特殊の事情があつたようなものにつきましては、そういう原則通りで押通すわけにも参らないということでございますので、目下これにつきましては実績等をよく調査いたしまして、どうするか、今折角資料を整理いたしまして、近く成るべく早く決定するつもりで進捗して参りたいと思つておるのでございます。
#53
○油井賢太郎君 私の申上げた回答としては甚だ只今の御説明では満足できない次第であります。一年半に亙りまして物價並びに人件費の昂騰というものは非常なものがあります。御承知のように今度の絹織物等につきましても公定の二倍の要求に対して物價廳は三・八倍にお決めになつた。そういうようにいたしましてその三・八倍になつたのも一足飛びに三・八倍になつたのではなく、その間に一・五倍、二倍、三倍という道程があるのであります。その間におきまして、今日の日本の財政形態から申しまして、すべて企業家は現在持つておるものをマル公によつて賣渡し、而もその得た代金を以て新しい原料を買う。その場合にマル公で以て買うのにすでに原料或いは原糸代というものは非常に昂騰しておる。そういう場合にはどうしても銀行等より資金の借入れ等を動かしておるというのが実情であります。一例を申上げますと人絹の織物の原糸等につきましても、今まで一千ポンドを持つておつた工場が、だんだん賣買を繰返す中に、元の金ではわずかに二十三ポンドしか買えないというふうな実情まで今日なつておるのであります。その間の道程におきまして、物價廳において事情に即應して、どんどん價格を直して行かなければ、工場の経営等は全く成り立たないということは、これは明白であると思うのであります。從いまして政府がいつも氣にするところの例の闇の撲滅などということも、これは行われないということは必然的に起るものと思うのであります。この点につきまして物價廳の方々は、今後におきましてもこの物價の調整ということを世情に睨み合せて、一刻も早く変りましたなら変つたように変更して行かなくてはならないと私は思うのであります。その点につきまして過去のことはともかく、今後につきましても現在のお決めになつた物價そのものを固執せられるのでありますか。今後の方法等につきましても、大きな問題であると思います。根本方針について御説明を願いたいと思います。
#54
○政府委員(平田敬一郎君) 從來、なかんずく最近一ケ年の結果が非常に價額政策がうまく行つておらなかつたということは率直に私共も認めるのでございます。その原因はいろいろあつたかと思うのでございますけれども、要するに経済の動き全体が然らしめたということになるのと、それから一方は今お話のように物價と申しますか、公定價格と申しますか、それがなかなか機動的に参り得ないといつたようなところから出てくると思うのでございますが、併し一遍決めました公定價格を次ぎ次ぎに変えるという前提で物價対策をやりますると、これはどうも今の緊急状態に対應する物價政策としましては非常に不適当なものでございますので、これは一方企業から申しますと、コストが変れば直ぐ変えるのは当り前である。これは勿論でございますけれども、全体としての物價政策を有効に動かすという見地から行きますと、一旦決めました公定價格は、できるだけ維持するということにせざるを得ない。ただそれを公定價格を單に無理をして維持するということに非ずして、一遍決めました公定價格が成るべく維持できるような経済態勢に持つて來る、このことが必要であるということは勿論でございますが、そういうことをいろいろやりまして、マル公を一遍変えまして、変えたものはできるだけ堅持しようとこういう考へからいたしまして、今回は一定の賃金水準等を予定し、企業の操業條件等も大体現在の條件を本にいたしまして、それによつて原價計算をやつて全面的に公定價格を変えるとこういう次第でございます。從いまして今後企業の操業條件或いは賃金水準これに重大なる変更がございますれば、これは勿論物價は変えなくちやならん、こう思いますが、私たちの考え方は、そういうことがなくて済むようなことに経済を運営することによつて、一旦決められた公定價格ができるだけ長く維持できるようにしたいとこういうふうに考えておる次第でございます。ただ企業、なかんずく紡績業は操業度の変化が原綿の輸入等の関係からして相当あるようでございますので、そういうものに対しましては、一旦決めました價格に対しましても適当な補正を加えるものなり、必要に應じましては、なんらかの予定よりも操業度などが非常に低くなつたというような場合、或いは止むを得ない事情でコストが高くなつた場合におきましては、適当なやり繰りの方法等も考えまして、一方においてはできるだけ維持を図りつつ、同時に企業の運営にも困らないようにするということに努力して参りたいというふうに考えておる次第でございます。公定價格を企業條件が違うから直ぐ変えるというところまでは、どうも公定價格の建前上或いは現在の物價政策の性質上、余り妥当でない。できるだけ維持し得るような状態に持つて行くということに全努力を挙げて参りたい、かように考えておる次第でございます。
#55
○油井賢太郎君 只今の御説明によりまして、物價廳の御意見大体分りましたが、今回決められました繊維製品の價格の形成は原料足す糸代足す副資材足す電力足す人件費等であるということでありますが、勿論いつの場合でもそういうことを詳細に檢討して算定されるのでありますが、工業家が企業によつて得るところの利潤は一つも認めていないということを聞いております、これは事実でありますか。
#56
○政府委員(平田敬一郎君) 利潤につきましては操業條件の非常に惡い企業、こういうものは恐らく出て來ない價格だと思います。ただ操業條件が相当によくて、而も企業の能率が相当よいといつたような種類の企業につきましては、適当な利潤が生れるような價格になつている。そのやり方は例えばパルプラインにいたしましても、七〇%か八〇%、その辺をとつておるものが相当多うございまして、從いましてコストが比較的能率がよくて、低くて済むものは相当な利潤が出る、これに反しまして、條件が余りよくないものは利潤が出て來ない。こういうことに原則としては成り立つ。ただ物によりましてはリストを作りまして、若干グループ別に生産者價格を決めて、その範囲内で今申しますようなことが出て來るといつたようなやり方をやつておるところもございますが、概して申しますと、今の非常に操業の低い、生産の落ちたところの操業の下におきましては、一般的に、あらゆる企業に利潤の出て來るような價格の形成はちよつとむずかしいのじやないか、そういう考え方で処理いたしております。
#57
○油井賢太郎君 價格の形成について尚御質問申上げたいのですが、御承知のように労働賃金等におきましても、政府はすでに千八百円のペースを固執しないということを言つておるのでありまして、我々世情を見ますと、この労働賃金等も必ず近く相当の昂騰を見受けられると思うのであります。又電力等も遺憾ながら諸般の状況よりいたしまして、フールに企業家の方に廻らずに或いは隔日、或いは三日に一辺というようなことにまでなつている。そういう場合におきまして思わん災害であるとか、或いは今言つたような人件費の昂騰であるとか、又安定本部においてはどうお考えになりますか知りませんが、企業家が買いますところの副資材等におきましても、マル公によつて買入られる物ばかりではなく、相当、或いは半分以上もマル公より相当出した値段で買つておるというようなこともあります。こういう点におきまして、今回制定されたような公定價格には利潤が伴わないということになりましては、これは直ぐさまにも損失を來たすということは明らかではないかと思われるのであります。こういう点につきまして物價廳の方々のお考はどういうふうになつておられますか、お答えを願いたいと思います。
#58
○政府委員(平田敬一郎君) 異常特別な原因に基ずきまする損失を、公定價格の上で十分カヴァーできるような決め方をするということは、どうも公定價格の性質上なかなかむずかしいように考えます。そういう意味で能率の惡いものでも或る程度の利潤を認めて置いてもいいのじやないかという御議論も尤もでございますが、地方併しそういうものはあるということを最初から相当予定してやるというわけにも参りませんし、保險料、火災保險料は、当然これは原價に算入いたしておりますが、その他の原因に基ずく損失、これまでも認める價格の決め方ということはなかなかむつかしいように考えます。ただ能率がよい企業はお話の通りリザーヴがありまして、その中で補填し得ることになろうと思います。そうでない企業につきまして尚且つそういうものを全般的に認めるということは行きかねておる次第でございます。今一つ原料資材を闇で買うという問題でございますが、これを公定價格の形成上認めるということになりますと、又その原料資材を作る、それにも多くマル公があるのですが、それを作ります場合におきまして闇で賣ることを原價計算の中に入れるのか、それもおかしなことになりまして、結局物價廳といたしましてはマル公を作つたものはマル公を守つて貰うというのが、本來の建前でありますので、賣る方もマル公、仕入れる方もマル公ということで計算せざるを得ませんし、又そういうふうにやるのがマル公として本筋でないかというふうに考えておる次第でございます。ただ実情が非常に配給がうまく行つていないということがございますので、この点につきましては重要な生産資材等につきましては流通秩序の確立を図りまして、できる限り公定價格によつて、配給ルートによつて必要な企業には確保して、不要な方面には流れないようにする。こういう方策を同時に強くやつて行くということが、いわゆる公定價格政策の、物價政策の重要な前提でございまして、そういうことは今回はできる限りのことをやつて、今お話のような損害ができるだけ少くなるように努める、かような方向に問題を処理する考え方でおる次第でございます。
#59
○油井賢太郎君 この資材はすべてマル公で計算なさつた。これも御尤もですが、そういうようなお話である以上は、やはり安定本部としてマル公で買い得るように資材も配給まで、全面的に責任を以て今後やつて頂きたいというのが一般業者の希望でございます。更に價格の形成において日歩の計算でありますが、日歩を一銭七厘として計算なさつておるということでございますが、これは事実でありますか。
#60
○政府委員(平田敬一郎君) 日歩の点、企業によつて若干違つておると思いますが、大体まあ最近実際に行われておる金利よりも幾分低いと見ておりますが、できるだけ運轉資金の金利につきましても実際を考慮して價格の形成をやつておるという建前でございます。ただ具体的にどの企業についても関聯しておりますので、今ここではちよつと申上げかねます。そういう考え方でおるということだけを申上げておきます。
#61
○油井賢太郎君 輸出品等のマル公を決定される場合、今いつたように実際借入れられない金利等を以て決算なさつておるということは、いうまでもなく輸出の阻害ということの一原因となるというふうに考えられるのです。こういう点につきましては、須らく業者というものがやはり一生懸命やる以上には、或る程度の利潤を認めてやる。又そういうふうにすることによつて生産に努力をさせてやるというふうに根本的に物價廳並びに安定本部あたりの頭を切換えをして頂きたいということを希望いたしまして私の質問を終ります。
#62
○政府委員(平田敬一郎君) 輸出品の値段でございますが、これにつきましては、原則としましては、國内の統制額によるということにいたしておりますが、ただ輸出品は價格、品質が國内の一般向と大分違う。手の盡し方も普通の場合よりも非常に余計に要りますし、材料等も吟味しておる。こういう点は價格の形成上考慮するということにいたしておりまして、そういう場合におきましては例外價格の申請をして頂きますと、それに基ずきまして、よく内容を拜見いたしまして、できるだけ輸出を阻害しないような、妥当な値を決めるという建前に相成つておりますので、御了承を願いたいと思います。
#63
○油井賢太郎君 一遍終りましたが、更に継続します。輸出の價格を情勢に應じて申告によつて御訂正なさるという、大変耳寄りの話を頂載しました、今後におきまして先程ちよつと申しましたように、或いは人件の費の昂騰、或いは副資材の昂騰等によりまして製品の價格が、生産價格が高くなつた場合には、やはり申請によつて順次加算額等を認めて頂けると私は了承したのであります。そう解釈をしてよろしうございましようか。
#64
○政府委員(平田敬一郎君) 今申しましたのは、一般の公定價格とまあ同じ頭と申しますか、大体同じ基礎の上に立ちまして、それに対しまして、当該輸出品が特別な材料を使つておるとか或いは特別に手数をかけておるとか、できた物が特別によろしいと、こういつたようなことを考慮いたしまして、その分でその原價に加算すべきものがございましたら十分加算して決めるということでございまして、例えば賃金の水準なりその他のものにつきましては、まあその都度適当に動かすということにはこれは参るまいというふうに考えておる次第でございます。輸出品特有の原價高を來たすような事情、これは國内の公定價格を押し付けるということにあらずして、特に例外的な措置をする、こういう意味でございますから、御了承願います。
#65
○油井賢太郎君 どうも今の御回答では甚だ見解の相違というもので、將來におきまして只今の問題は保留し、又順次お伺いすることにいたします。
#66
○委員長(一松政二君) じや私が少し質問いたします。今の平田政府委員のお話しを承つておりまするというと、いわゆる流通秩序の確立を目的として公定價格を先ず決めた以上は、これをできるだけ永く持ちこたえるというお話しでありますが、これは過去の戰時中における物の考え方としては、特別に戰爭ということを目的としてやつておるのでありまするから、或る場合には無理をやつて差支えないと考えるのであります。併しながら物價を決めて、そうして経済の実体を押えんとするのは、これは根本的に観念の誤りがある。なぜかというと、物の値段は実体の現はれである。影を押えて置いて実体を押えようとしてもこれは絶対に押え得るものではありません。経済の根本の観念が間違つておる。これは常に金融面でもそういう問題が起るのでありますけれども、物が動いておるのであつて、幾ら價格を押えておつても、物は実体によつて動くのでありますから、先程油井委員がいわれましたように、幾ら物價を決めて置いても、仮に生産工場にいたしますれば、今日紡績工場の大工場が多くの闇物資を生産して持つておる。それを闇で流して算盤を採つて僅かに生産を続けて、輸出商品まで拵えておるというのが実情であります。これは凡百の日本の國内向け或いは國外向けの生産工場というものが、闇をやらなければ生産というものはその日に止つてしまうのでございます。例えば今物價を決めるときに、政府は千八百円の基準を以てやる。今日民間の工場において千八百円のベースで以て仕事をやつておるというところは殆んどないといつても差支えない。從つて仮に千八百円ベースの労銀で計算すれば、もうそこにそれだけの無理があつて、結局は机上計画に終つてしまうというのが実情でありまして、どうも影の方で実体を押えんとする物の考え方については、これは甚だその当を得ないと私は考えるのであります。特に今日は、私は國内の物價の問題についても非常に意見を持つておりまするけれども、今日は特に輸出貿易のことを審議しておるのでありますから、特に輸出の、輸入の問題もありましようけれども、特に我が國の現状としては、輸出を観点に置いて物を考えて見まするというと、世界の物價というものは、日本の公定價格に何ら左右されやしない。日本がいかなる協定價格を作ろうとも、日本の國内市場がいかに変化しようとも、そんなことには一つも目をくれない。日本の流通秩序を確立し、或いは公定價格を仮に決めて、それを維持するために輸出はどうなつてもいいということにしか考えられなくなる、さつきの議論を極端に推し進めて行くと……。ところが日本の経済状態は、少くとも今後貿易によらずんば、日本の人口を支えて行くことができんというのは、これは何人も考えておるところの常識であります。然らば輸出貿易のできることが前提でなければならん、國内の物價を決めることは、次の段階において考うべきことであつて、如何にして輸出をするかという、輸出をするために低物價政策に置くから、どうしても低物價政策にやろうというて一應そこに公定價格を決めるかも知れませんが、それは今油井委員が申されましたように、主要原料だけを僅かに配給し得る限度で、副資材に至つては、幾ら物價廳で地團太踏んでも、副資材や修繕材料やあらゆる物は、断じて公定價格で配給し得ないのが現状であります。それを配給しなければならん、配給できる建前で物の値段を決めるということに、根本的にそこに実情を離れたところがある。それを僅かに業者がやつておるということは、それを闇の値段で何らかそこで彌縫しておるということなんであります。だからその闇がいけない、闇が結局流通秩序の確立の妨げになるということは、政府みずからの方がその闇を助長しておる。業者は実体をつかんで、そうして生産品を拵えて、そうしてそれを輸出しよう、又それによつて僅かの企業を維持し得るわけであります。それを努めるからには、どうしても或る程度の闇價格なり、いわゆる筋の違つた物の入手の方法もやらなければならんのが、実情なんであります。ところが実体を離れて、物の値段はそういうことを認めないで決めるということになりますというと、実体と物の値段が、影と形が全然別個になつてしまう。ところが影を以て実体を左右して來ようという今の御議論ですと、私は極端にいえば、輸出はどうなつても、國内の値段を維持したい、それからそうすることによつて國内はますますインフレになるのみである、物の値段を結局上げてしまう結果に陷りやしないか、輸出ができない、從つて輸入もできない、國内の物資はますます枯渇してしまう、枯渇してしまえば、どうしても人間は何千万人か死ぬまでは、競爭して食つて行かなければならん、少い品物を競爭して食つて行けば、どうしても高くなるより外仕方がない、極端な議論をすると、そこまで陷るのでありまするが、その点については物價がいわゆる経済の実体の影であるという私の考え方と、物價によつて実体を左右しようというお考え方との間には可なりな食い違いがあるのでありますが、その点について一應政府委員の見解を伺いたいと思います。
#67
○政府委員(平田敬一郎君) 物價政策に関しまして、非常に実情に即した、有力な御意見だと存ずる次第でございますが、ただ、今の非常に物の少い時代におきましては、実情だけに委せるというと語弊がありますが、実情だけで動くことになりますと、どうも経済の運営がうまく行かぬのじやなかろうか。物の値段が相当高くなるのみならず、それによりまして、結局又賃金が高くなる。財政は赤字を示すといつたような調子におきまして、一方におきましては相当インフレーションが急激に進行する虞れもございますし、他方生産の方も、必ずしも有用な物資の生産は殖えないで、この際といたしましては、あまり急がないような物が殖えると、こういつたようなことになると、なかなか生産の復興もできない。そういうような時代におきましては、どうも実情に委したような経済の動かし方では十分じやないのじやないか。実情を無視したような経済の動かし方をやるのは、これはもういけないということは御承知の通りだと思いますが、実情を考慮しつつ、やはり非常に物の少い戰後の非常状態の下におきましては、配給と物價の統制をやりまして、生産を上げ、インフレを妨ぐという方向に持つて行かざるを得ないのじやなかろうか。これはむしろ緊急事態に対する特別な考え方で、一定の段階になりまして、経済が平常に近い状態になりますと、勿論そういう考え方は捨てまして、実情で動く経済に行くべきだと思いますが、今の実情におきましては、どうも若干無理を伴うわけでありまして、無理も程度がございまして、或る程度の無理はこの際といたしましてはいたし方がない。それによりまして経済が一定の望ましい方向に動くということに相成りますれば、そういうことが経済全体としてはこの際望ましいのじやないか。こういうような考え方から物價統制が行われておるものと私は了解いたしております。ただその間いまお話のように非常にどうも、私共は実際やつてみましても、なかなか今申しましたように動かないで、却つてお話のように逆の効果を生ずるといつたような面が多いことも事実でございますので、そういう面につきましては、余程運用等につきましても愼重な考慮を拂いつつ運営を図つて行くということにいたすべきものじやないかと存ずる次第でございます。物價はなかんずく一番経済の尻尾でございまして、その点は全く御意見の通りだと思いますが、だからといいまして、そこに公定價格を決めまして、配給に伴いまして或る程度経済を動かして行くということが、これが全然できないとか、或いは見当外れということはどうも少しどうであろうか。やはりこの際におきましては、そういう方法で、極力望ましい方向に持つて行くということに努めるより外ないというふうに考えられる次第でございます。
 それから輸出につきましては私の方も極力輸出の振興につきましては、そういうふうに重大な支障のあるような價格の決め方は、これはいたすべきじやないということは、全く同感でございます。ただその際におきまして、今の資材の闇等のお話もございましたが、やはり今の、先程申しましたような考え方で行きますと、資材の配当等を輸出につきまして、極力やはり優先的に確保してやる。それによりまして輸出品の價格が闇を反映して非常に不当に高くなるということがなくて済むやうにするという方向に向つて問題を解決して行くように行かざるを得ない。又そういうふうに行くべきだと思つております。この点はすぐ実効が上るかという御質問もあると思いますけれども、やはり今の状況の下におきましては、そういう方向で極力問題を解決するというのが望ましい解決の方法じやなかろうか、これがすぐ効果を発生しまして、非常に好い結果になるということまでは申上げかねますが、そういう方向に少しずつでも向う、除々に向うということになりますれば、又輸出品等の値段もそう無理なく決め得るということに相成るのではなかろうかと考えておる次第でございます。
 尚もう少し先の段階になりまして、爲替レートのような問題と関聯してどういうふうにするかという問題は、又別途に研究を要する問題であろうと思いますが、今の段階の下におきましては、そこまではまだ立至つていないということを申上げるより外なかろうと存ずる次第であります。甚だ愚見でございますが……。
#68
○委員長(一松政二君) 只今の御答弁のうちで、私はこの物價問題につきましては、既に本会議において私の所見を述べてありますから、速記録をお読み下されば、私の持つておる意見はお分りになるのでありますけれども、今の御答弁の中に私が今自由な價格にこれを持つて行く、私の考え方からいえば、自由に價格を持つて行くのが、一番いいのでありますが、私は今これを自由な價格に持つて行くという観点からいつておるのではないのであります。先程の油井君の質問を基礎として話しておるのであつて、或生産者の方は損が行く。或る基準以上のものは利益を上げて行くという場合に、その物の考え方が一方に儲かり、或いは一方に非常に足りない、儲からないというようなことで、僅かな物の計算の仕方に、私は公定價格を机上で計算すると、必らず囚われると思う。利潤の問題にしても、賃金の問題にしても、一方で政府が價格政策をやつておるし、他の方では実情に合わないと知りながらも、一方でやつておると、ついその方法を採らざるを得ないから、結局実情に合わないというような問題が出て來るので、先程の油井君のお話もあつたと思うのです。だからそういう計算の場合に、僅かな食い違いの点は極力それを実情に合うようにものを考えて、これを決めたらいいじやないか、殊に最近のように、公定價格制度によると、闇よりは高い値段をどんどん決めて行つておる。これらのことは物を自然に任せて置けば、こんな馬鹿なことはない。一遍にものが一倍半になつたり、三倍になつたり、こんな無茶な経済というものは起り得るものではない。例えば北海道の鮭の値段にしても、生の鮭と塩にした鮭とでは値段がまるで差がある。塩干魚は闇よりも高くなつたそうであります。これは皆机上の計画に属するから、そういう馬鹿らしいことをするのであつて、若し物を決めるとするならば、闇物價を一應調査する必要があると思う。闇物價はどの程度になつておるか、それをも調査せずして、今でも極端な例がありますが、これは時間の関係がありますから私は申上げません。物價の問題はこの程度にして置きます。今日はこの程度で散会いたします。
   午後四時九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     一松 政二君
   理事
           林屋亀次郎君
   委員
           中平常太郎君
           松下松治郎君
          大野木秀次郎君
           黒川 武雄君
           中川 幸平君
           油井賢太郎君
           小林米三郎君
           波田野林一君
           結城 安次君
           廣瀬與兵衞君
  政府委員
   貿易廳長官   永井幸太郎君
   總理廳事務官
   (物價廳第一部
   長)      平田敬一郎君
ソース: 国立国会図書館
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