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1947/09/23 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 文化委員会 第4号
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1947/09/23 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 文化委員会 第4号

#1
第001回国会 文化委員会 第4号
  付託事件
○京都上加茂ゴルフ場建設に關する陳
 情(第二十四號)
○ローマ字つづりに關する陳情(第五
 十七號)
○群馬縣勢多郡敷島村の古跡發掘促進
 に關する陳情(第五十八號)
○物資愛護思想普及運動に關する陳情
 (第百一號)
○國字國語問題の研究機關設置に關す
 る請願(第七十四號)
○ゴルフ場施設に關する陳情(第百四
 十八號)
○観光國策の確立に關する陳情(第二
 百三十八號)
○ローマ字つづりに關する請願(第百
 八十七號)
  ―――――――――――――
昭和二十二年九月二十三日(火曜日)
   午後二時十三分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○出版關係小委員選定に關する件
○國字國語問題の研究機關設置に關す
 る請願
  ―――――――――――――
#2
○委員長(山本勇造君) それでは文化委員會をこれから開會いたします。
 先ず皆さんにお諮りしたいことがございますが、それはこの前の委員會におきまして出版關係法規の小委員會を設けるということにつきましてお諮りをいたしまして、これは設けた方がいいということで御決議になりましたが、その際に、委員の數と、メンバーは私に一任するということになつておりましたが、それを私御發表いたしたいと思うのでございますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(山本勇造君) それでは委員の數を七人といたしまして、その氏名は岩本月洲君、大隈信幸君、金子洋文君、松野喜内君、赤松常子君、久松定武君、三島通陽君、この七名を指名いたします。
 それでは本日の議題でありますところの、國字國語問題の研究機關設置に關する請願につきまして議したいと思いますが、今日は森戸文部大臣が御出席になつておりますから、先ず大臣から御説明を伺うことにいたします。
#4
○國務大臣(森戸辰男君) 國語研究所設置に關する御請願がありまして、そのことにつきましては、前囘に政務次官が私に代りまして御説明申上げたので、それは繰返さないことと致しますが、そのときに問題になつて、私がお答えすることになつておる點についてお答えをしたいと思います。
 國語研究所を設けるということについては、御請願の通り、私共も社會一般も、その必要を十分に認めておることと存じております。我が國が民主國家として、殊に文化國家として將來國を立てて行きまする上においては、文化の基礎でありまする國語、國字が民主化され、又簡易化されるということは、民主主義の基本的な重要な條件でありまして、人間教養の上にも、又實際上の實用の面から見ましても、極めて必要なことは今更申すまでもないのであります。かようなわけで、私共御請願にあるように國語研究を設けることは全く同感でありまして、過般次官から私に代つてその旨は申上げたのでありますが、その當時、この研究所は國立とするか或は私設とするかというような問題がまだ未決定であつたと思うのでありますが、この點につきましていろいろ事情を考究いたしました結果、研究所は國立とすることが妥當である、こういうふうに私共は考えてここに至つたのであります。これはこの事業が極めて重要なものであるので、國家的な權威を持つたものであることが必要であり、又それ自身恒久的な性格を持つておるものであるという點から、確實な永續的な基礎を持つたものとするのが適當ではないかというような、かような考えを持つに至つた根本の理由があるのであります。他面民間の研究所とするということにも多くの理由があるのでありますけれども、今日の事態といたしましては、殊に民間研究所の經濟的の存立というものが、殊に人文科學方面におきましては、非常に困難な事情にあるというようなこと等を考えまして、これが十分な活動をする上に、どうもそれでは多くを期待できないのではないかという心配があるのであります。國立とする場合はそれではどういう所管にしたらいいかという問題がありまして、或いは内閣の所管にしたらいいという考と、文部省の所管にする方が妥當ではないかということが問題になるのでありますが、これは最近色々な點で新しい行政方面に問題になつておるのと同じ線に副うもののようでありますけれども、冷靜に考えた結果から見れば、これはやはり實際の運營は國の研究所として、文化教育、學問等に關聯のある文部省がこれに當るということにした方が適當なのではないかというふうな結論に達したのであります。併しそのことは又他面官僚的な機關になる心配があるという御疑念も當然あることでありますが、この運營については、各方面の學界、教育界、文化界、その他各方面の委員の方でこの研究所が運營されるということになれば、憂えられている弊害も除かれるのではないかと存じておるのであります。尚設立についても同様でありまして、國語研究所の設立に當つては、その目的が民主的、國家的であることに鑑みて、設立委員を選び、その設立委員には政界、學界、教育界、文化界、實業界等、各方面の權威を網羅するというような形で行われましたならば、憂えられているような弊害もなく、その長所が生かされるのではないかと存じておるのであります。尚この研究所の規模につきまして、先般次官が申上げたかも知れませんが、大體四百萬圓くらいの豫算の規模で始めたらどうだろうというように私ども考えておつたのでありますけれども、併しこの研究所の仕事の重大性に鑑みまして、どうもそれでは不十分であるというふうに考えて、更に再檢討いたしました結果、文部省といたしましては、千萬圓程度の豫算を以て、これに充てるようにしたらどうであろうかというふうに考えておるのであります。これは併し文部省の考でありまして、そのまま大藏省が承認されるかどうかということは未定でありますが、文部省といたしましては、この國語、國字の問題の重要性の大きなことに鑑みまして、先般申上げた豫算額を更に倍加以上にいたしまして、そういうところで……これでも決して十分でありませんけれども、現在の經濟状態等から勘案いたしまして、この程度で一つやりたいと存じておるのであります。この點甚だ皆さんの御希望には十分副い得ないかも知れませんけれども、このところで私共は國語研究所の設立に盡したいと思つておりますので、皆さんの御協力を願えれば幸いだと存する次第であります。
#5
○委員長(山本勇造君) 只今文部大臣からの御答辯によりまして、この前の委員會の時からしますと、大變に進んだ規模のものになつて來たようでございますが、これらの點について何か御質問ございませんでしようか。
#6
○三島通陽君 研究所を作るということについては誰も異存がないので、我が國の國語は非常に複雜で、これでは學問を研究する上におきましても、又一般の教養文化を高めて行く上にも、非常に不便でありますので、これを科學的に調査して、そうして整理したいというのは誰も考えておることでありますが、果して文部省にこの研究所を置くのが宜いか、或いは民間に置くのが宜いかということを大分この前に論ぜられたようであります。文部省に置くということになると、官僚化というようなことを一番恐れられて、この前の質疑應答にもそういうことが非常に多かつたようでありますが、只今文部大臣が相當強い信念をお持ちになつて、そうして官僚的でないものを文部省の中に設置しようというような考かのように承つたのでありまするが、何かそういう意味で、具體的にこういうようにしたいというようなお考えでもあれば承りたいと思いますし、又豫算につきましては、この前よりは大分殖えとお考えのようでありますので、これは事務當局でも宜しうございますから、大體どういうよいな構想でこの研究所をお作りになるというお考えがあれば承りたいと思います。勿論これは大藏當局とも折衝されることでありましようし、いろいろ考えがすぐそのまま實現するとは我々も今ここで考えないのでありますが、大體こういう構想を持つておるということが承れれば仕合せであります。
#7
○國務大臣(森戸辰男君) 從來文部省のやることは、隨分官僚的なところも確かにあつたのでありまして、私も民間に久しい間居りましたので、それは痛感いたしておりまして、そういうことを繰返してはならんと私自身痛感いたしておるのであります。同時に併し民間研究所に私も長く關係しておつたのでありますが、今日の事態では又經濟的な點でなかなかそれがうまく運営できないということも自分が痛感しておるところでありまして、一方では、殊にこういう早急を要し、殊に大規模な調査の上に立てられなければならん國語、國字の問題につきましては、私は國庫の支辨ということが必要であるそういう點から、國立ということが必要である。併しその運營はできるだけ官僚的なものを避けて、設立、運營ともに各方面の權威者と關係執を網羅した委員會にするということによつて、いわゆる官僚化の危險を避けるということで、先ず兩方の缺點を或る程度克服され、又長所もできれば多くいたされるということになりはせぬかと思うのであります。これは勿論私共の希望でありまして、當局竝びに委員になられる人とその人の努力にかかるところが非常に多いと思うのであります。
#8
○政府委員(稻田清助君) 只今文部大臣から説明せられました意圖が、今研究いたしておりまする豫算の上に現われておる點から多少御説明いたしますると、第一に、この新しくできます研究所の構成、或いはそのでき上りまして以後の運營が、十分只今の意圖を現わすような意味にいたしますために、設立準備委員會を設け、その構成に十分國内各方面の方の御關與を願つて、間違いなく計畫して參りたい。これを出發點といたしておるわけであります。尚この仕事を繼續いたします上におきましては、單に專属の所員ばかりでなく、廣く各方面から仕事に御關與願います方を大凡百五十人、或いは二百人程度まで豫算としては考えておるわけであります。そうした方々をあらゆる方面から網羅することによつて、一方に偏せず、又官僚化しない調査研究が進めらることと考えております。そうして又この國語研究所の成果を實際に決定いたしますためには、先般も御説明申上げましたように、國語に關しまする委員會を構成いたしまして、この又委員會の構成につきまして、十分意を用いますならば誤まりなきを期することができると考えております。
#9
○金子洋文君 大體大臣の申されたことに賛成でありますが、ただ、いかにしてこの研究所に國民の全般の考えが反映するかということが非常に大事だと思う。その政治的措置を誤まると、樣々な混亂、例えば現代かなづかいの好い惡いは別として、現實に見える混亂、そういうものが起つて來る虞れがある。從つてそういう專門家、或いは民間の人々が進まつて委員會を作るということは當然であると思うが、その委員會に國民全般の考え方が反映するというふうに是非持つて行きたい。こういうことを希望したい。更にこれはその後の問題になりますけれども、決まつたことを國民に押しつけるようなことなく、その決まつたことに國民全體が、討議に參加する。研究に參加する。そういう方式をとらないと、今大臣が仰しやつただけでは果して官僚化が防げるか。十分に民主的にやり得るかということが幾分疑われる。その點を十分考慮して、その研究所を民主的に持つて行つて頂きたいということを希望いたします。
#10
○國務大臣(森戸辰男君) 金子委員の御質問は極めて尤もでありまして、國語、國字は、國民皆讀み、書くものでありますから上の者が、一部の者が勝手にしてはならない。國民の意思が十分に反映いたすように努力しなければならないと考えるのであります。ただ、これは國民が皆話し、書くということではありますけれども、その意思を皆が直接にそういう研究所に表現するということもむづかしいので、適當な代表とか團體とかを通して、そういう意思が現われて來るという形をとらなければならない。又國民の討議に付するということも大いに考慮しなければならぬと思つておりまして、これは公聽會とか、公論會とか、いろいろな民主的な國民の討議、意思表示の方法があると思います。そういうようなものをできるだけ利用して、國民が皆そういうわけには行きませんけれども、關心を持つた人或いはそれらを代表する者がこれに參加できるという方法を取つて行くことが必要であると考えます。
#11
○委員長(山本勇造君) 何か外に御質問は……。
#12
○三島通陽君 今、金子委員の言われたこと、大變御尤もだと私も賛成でありますが、尚又この研究所で段々決つて行くことを、これを一般の國民が喜んでこれに參加して、それを實行するというのでなければ意味がないと思います。それは今金子君の言われたように、研究所自體がそういう民主的なものになつて、各方面の聲が、そこに響いて來て、そうして改良が生れ出るというのであればそうなると思いますが、それと同時に、やはり私は言葉というものが大きな時代の流れで、生き物だという感じがするのです、けれども、どんどんそれを人が喜んで用い、芝居で用いる。或いは雑誌で用いる。或いは新聞で用いるというようになつて、民衆が、大衆が喜んでこれに副うような、その線に副つて行くような、何か運動みたいなものが必要な氣が一方にはされるのです。勿論根本的のスタートがそういう今金子委員の言われたようなことであれば、必然的にはなつて行くと思うけれども、併し常にそういう氣に掛けて、努力して行く必要があるではないかという氣がいたしますけれども、何かそういうことについて、文部省のお考えがございますでしようか。一應伺います。
#13
○委員長(山本勇造君) ちよつと私その前に質問いたしたいのですが、只今金子さん、三島さんの質問でありますが、これは研究所でしてね。この研究所は研究をするので、それ以上にそこから或るものを、こうやれと言つて押付けるぐらいのものを、その請願の方、或いは文部省の方も、この研究所にそこまで力を與える研究所になさる必要があるか。それを私は承つて置きたいと思う。それからもう一つは、研究所が設立準備委員會ができてやつて行くということは大變結構だと思いますが、その設立準備委員會ができれば、それによつてこういうものを研究して行くということも、そこで出て來ると思いますが、この前の時に、文部省として、大體總務部及び第一部、第二部、第三部に分けてなさつておるような御答辯がありましたが、それらの點につきまして、文部省としては、今度の規模が大きくなりましたが、併しやり方が、或いは何處かに重點でも置いてやられて行くのであるか。或いはこの前通りのああいうふうなやり方で行くのか、そこらの點を私として承りたいと思います。これは寧ろ稻田局長の方が直接でしようから、稻田局長からその邊の御説明を承つた方がいいと思います。
#14
○政府委員(稻田清助君) 只今の三島委員から御質問のありました第一の點でございますが、例えば例で申上げますと、この二月くらいから始めておりますけれども、各新聞或いは雑誌社の側から議が起りまして、國語をやさしくする運動というようなことに、まあ私共も加わらして頂きまして、全國各地で講演會を開く、或いは放送局あたりも相當積極的に動いております。こうして民間から出る運動と我々と結び付いて現在やつております。こうした點を更に擴充して參りますればお話のような方面が實現できると考えております。
 それから只今委員長からのお話のございました點、やはり私共といたしましては、先般申上げたこの研究所の第一部、第二部、第三部と各部の目標がございますけれども、自然、第一部に願つております國字國語の合理化及び純化に關する調査研究というような點が最も重大でもあり、最も急を要する問題かと思います。
#15
○服部教一君 この運動は大變大切なる運動でありまして、私はこれを作ろうという文部大臣のお考え、文部省のお考えは非常にいいことと思います。もう私の知つておる範圍においても、五十年も前から國字の改良、國語の改良、いろいろ問題がしばしば企てられましたけれども、特別まだ見るべきことがないのでありまして、これは實際むずかしい問題であるのであります。併しむずかしいというて打ちやつておけば今後何十年、何百年經つてもやつぱりむずかしい。そうだから一歩でもこれを踏み出すということが必要であると思う。私の考えておりますことは、この日本の文字がむずかしいために、小學校の生徒、中學校の生徒あたり、これをアメリカその他ヨーロッパ各國の小學校、中學校の兒童の學んでおる知識、教科書、いろいろのものと比較してみますと、日本は同じ學年で以て非常に劣つております。文學がむずかしいために教科書も薄つぺらな教科書であり、又雑誌その他あらゆるものから得る知識というものが、文學がむずかしいために非常に遲れております。あちらの學校をみますとなかなか小學校の四年、四年くらいの生徒になれば、日本の中學の三年、四年あたりで得ておる知識をもすでに了解しておる。學校の教科書以外に盛んに小學校の生徒などが圖書館に行きまして、學校の圖書館だけではなく、その町の圖書館に行きまして、書物を借りて來て澤山の書物を讀みます。そうだから、知識というものは、日本の學校の生徒と比べると非常な差がある。これは文字のむずかしいということから來ると私は思うておりますし、私だけではありません。この節はもう誰でも認めておるのでございます。そこでこれをどう改良するか。ローマ字説もあれば假名文字説もあればいろいろありますが、それだから研究機關を作つて研究するのでありますけれども、私の現在の考を言えば、先ず以て假名にするがよかろう。一種の假名にするがよかろう。こういう考を持つておるのです。これは、これから出きましたら、段々研究をして頂きたいのでありますけれども、大體の方針として私が考えておりますのは、假名に先ず以てする。ローマ字は第二段で、例えば日本のこの言葉というものを假名にすると、非常に變えなければならん。漢字が基になつてできておるのですから、例えば復興というても元へ蹄し興すということで、やはり漢字から來ておる。その言葉は日本の言葉ではない、教科書というてもそうであります。やはり教える科の書物で、漢字から來ておるものであります。そうだから、先ずこれを假名にするということになれば、その文字から變えて行かなければならないことになるのであります。復興といえば元に帰すとか、教科書といわずして教える書物とか、何とか、それから改革して行かんと、意味を成さんことになる。同じようなことが、漢字であるからして、字を見れば分りますし、區別できますけれども、言葉では區別できないことが澤山あるから、それだから、先ずこれを假名にするというについて、先決問題として、言葉を變えて行かなければならんことになるのであります。それは容易ならん大事なんです。そうでありますから、これはなかなか短日月ではできないことでありまして、先ず數年、二十年、三十年と續く一つの機關になるだろうと私は思うのです。ちよつと調べてちよつとやるというようなことは絶對にできない。言葉から變えて行かなければならないことになつて參るのであります。併しこれから千年、萬年、十萬年、民族の續く限りこの問題は、言葉を變えても、今いる人は不便を感じますけれども、これから段々生れて來る人間には、覺えたから又それが言葉になつているから、不便を感じない。それだからこれは國民將來のためにやらなければならん。現在生きておる人の便利ということからいうと、非常な不便なことになる點が澤山あると思う。けれども將來日本民族が地球上において大を成すという上から、これはどうしてもやらなければならんことと思う。そういう意味でありまして、これは私の個人の意見でありまするが、先ず假名からやつて、そうして元へ帰すという言葉が行われるようになり、段段進んで來て、それをローマ字に元に帰すというようにせんというと、現在の漢字でできた言葉そのままをローマ字にしたときには意味を成さん。今いる人には意味を成すが、もう復興という文字を覺えておるし、文部省という文字を覺えておるので、意味を成すけれども、これから先に生れて來る者が、文部省という言葉がきちつと決まつてしまえばそれでいいようなものですけれども、なかなかこれはむずかしい。過去千年、二千年というて、ずつと續いて來たところの長い歳月の間にできたこの言葉を、漢字であれば耳で聞くだけでなしに眼で見るのですから、そのまま分りますけれども、言葉だけで行こう、假名だけで行こうというならば、餘程改革し、變えて行かなければならんことが段々出て來ると思うので、それが即ち今度の研究會、そういう會ができて研究されるようなわけのものでありますが、私はそういうふうに考えておるのであります。ちよつと一言申上げて置きます。
#16
○委員長(山本勇造君) とにかく皆さんにはそれぞれのローマ字ならローマ字がいい、假名なら假名がいいという御意見はありましようけれども、それをこの委員會で一々やつておりましたら、大變な時間が掛りますし、今ここに議題になつている問題は國語國字の研究機關を設けるという問題でありますから、その研究所を作ることの方の問題に限定して置いた方がいいだろうと思います。私先程ちよつとお話しましたが、この研究所は決定機關であるのか、又研究機關であるのか、それをはつきりさせて置きたいですね。
#17
○三木治朗君 決定機關ではあり得ないと思う。研究機關だと思います。ただ研究されたものは必らず發表になると思う。發表さるべきだと思うのです。そういう場合に、そういう發表されたものに對して、國民が參加するようにして貰いたいということなんです。國民の多數の意見がそれを討議研究するようにして貰いたいということを僕は希望しておるのであります。
#18
○委員長(山本勇造君) 研究所ですからね。又決定機關は別にある筈なんですから、それをはつきりさせておかなければいかんと思います。無論研究所という名前から言つても、これは研究機關でなければならんと思います。もう一つ注意して置きたいことは、この研究所というものはどういうふうなものを研究して行くかということについて、それぞれ……例えば今の服部さんにすれば、假名の御主張のようでありますが、これは注文を付けるというと、やはり研究がむづかしくなるのではないかと思いますので、大きな問題として、これは殊に設立準備委員會というようなものによつて、段々形を取つて行くだろうと思いますから、あまり細かい注文を付けることはどうかと思うのでありますが、併しこの點だけははつきりさせて置かなければならんという點は、僕ははつきりさせて置いた方がいいだろうと思います。それらのことについた如何でございますか。
#19
○三島通陽君 只今三木さん及び委員長のお話を伺つておりまして、私も疑問を持ちますが、この研究所は例えば假名文字にいたす場合、例えばローマ字にいたす場合、例えば漢字併用をいたします場合というような場合について、一々日本語の行き方を研究する所でございますか。或いはそこまで入りましてお伺いいたすのはまだ早いかと思われますけれども、そうして且つそのどれがいいということを決定しないにしろ、結論を導き出すための研究をいたすのでございますか。その邊ちよつとはつきりいたしませんが……。
#20
○政府委員(稻田清助君) 研究所の機能といたしましては、やはり基礎的な調査研究をいたしまして、その結果を審議いたしますために、別に委員會を構成することになると思つております。委員會の結果によりまして、まあ政府の方でそれを實施に移す。又問題によりましては、大きな問題によりましては、國會とも御相談申上げるというようなことにもなるかと思います。
#21
○羽仁五郎君 この問題について前囘の委員會のときに問題になりました點が、今日の文部省側の御説明の中でどうもはつきりしていないので、非常に殘念に考えるのですが、この問題の重點は二つあると思います。一般的に文部省が存續されるのか、それとも文部省がどういう形を取られるのかというような問題も先ずあるのではないか。それで現在は、占領期間中は占領政策に關係して文部省の活動が規定されておるところがありますが、こういう問題が解決した後には、果して日本の新らしい民主的な國家というものは、文部省というものの存在を必要とするかどうかということは、我々が現在ここで輕々しく決定することはできないのではないかという點が第一であります。若しこの問題が十分檢討されない中に文部省の中に可なり今擴張するような方法を取ると、四、五年の後に若し文部省が解體されるという場合には、中間的な、著手したばかりですぐ止めるという研究機關を設けることは、納税者に對して非常に濟まないと私は考えるのであります。文部省は從來そういうことを非常に繰返しておられる。戰爭中には日本の古典の復刻をやるというふうにいつて、案外に費用をかけて、納税者の菅血を用いて古典を蒐集しながら、時代が變ればそれを放り出してしまうということを平氣でやつておられる。これはこの勤勞の中から納税しておられる國民大衆に對して、非常に濟まない問題であつて、從つてこの點が第一の問題である。それから次に一つ日本の民主主義が立法と行政との區別をはつきり守らなければならないということは、すでに皆さんの御承知の通りである。從つて今設立される研究機關というものが、若し基礎研究をやるものであるとすれば、これは絶對に行政官廳である文部省の管轄の下に置かるべきものでないということは、これは明瞭だと思います。若し文部省が研究機關を持つ必要があるとすれば、それは行政上の必要に應ずる程度の研究所であつて、現在の國語政策をやつて行く上に止むなく必要な研究だけをおやりになるという、これならば論理が通るわけですが、併し根本的な、基礎的な研究をおやりになるというならば、それは文部省の中に、或いは文部省の管轄の下に置かるべきものではないということは、明瞭であると考えます。
 それから第三の點は、前囘に申述べました通りに、又今日も金子委員から御發言がありましたように、國語の研究という問題についても、やはり國語というものは、國民がそれを活かすものであり、從つて國民の支持があるような研究が行われなければならない。國民の支持があるような研究が行われなければならないというのは、例えていえば私はその中でも、具體的にいえば、作家、小説を書かれる方々の力は非常に大きいですが、現在の文部省の關係でできた研究所というものに對して、日本の作家たちが好意を以て協力するということは、事實上私はどうも望めないことではないかというふうに思います。そういう意味で、結論としては、研究所を設置しなければならないという必要は、三島委員もいわれたように、我々に全然異存のないことでありますけれども、これをどういうものとして、どこに設置するかということに問題があるわけで、第一の場合、つまり現在の占領政策の下において、現在直ちに我々が著手しておる國語改革というその行政上の必要に應じてお作りになる研究機關であるならば、これをできるだけ小さいものをお作りになつて、そうしてその必要に應ずるだけのもので文部省でなさるのは結構だろうと思う。それから、そうでなく、もつと、百年の計を立てた基本的な、理論的な、根本的な調査をなさろうとするならば、これはどうしても文部省の外でなければならない。そうして内閣に置かれるということがよろしいか。或いはむしろ現在の帝國學士院というふうなものを改組して、これを民主的に改組して、そういう所に持たれるのがよろしいか。或いはそういう意味の點で、いろいろ文化委員會の委員各位の十分の御討議を經た方がいいのではないかというふうに私は考える次第であります。
#22
○國務大臣(森戸辰男君) 今のお話でありますが、御尤な點もあると思いますが、第一點で文部省はこれからどうなるか分らんから、文部省の所管ではどうかというような意味のように承つたのでありますが、文部省という名前等は別といたしまして、教育、科學、文化を管掌する省が、一國の行政として必要であるということは、これは私は動かせないと思いまするので、その點は私は前提として、お話を我々が考えても、又お話を願つても差支えないのではないか。更に萬一そういうことがありましても、研究所は文部省の一部局ではなく、國家の國立の研究所として運榮の委員會を持つておるのでありまするから、それと運命を共にするという性質のものではないのでありまするから、その御心配は私はないと思うわけであります。
 それから第二の點は、基礎的の學問、研究であるから、それは行政的のものとは違つたものである。從つて文部省に附屬されるよりは、なにか適當なところに置いた方がいいのではないかということであつたように思うのであります。この點は御尤もな點があるのでありますが、他面多くのと言いますか、遺傳學の研究所というものも考えられておりますし、大學というものも一方に教育を掌つておりますと共に、他面では學術の蘊奥を究める學問的な研究をやつておるのでありまして、そういうような科學の面はどこに一體歸屬さしていいかという、若し國家がやるとすればどこに歸屬さしたらいいかという場合には、諸省のうちでこれを求めれば文部省、假に今文部省と名が附いておるものが先ずいろいろな點で適當であろう。政治的の變化で變るからということであれば内閣も同樣でありまして、これは政治的變化の外にあるものではないのであります。ただ學士院その他の學術團體がこれを持つということも、私は確かに一つの考え方であると思うわけでありますが、これは今日の儘ではなかなか直ぐにそういう状況には行かないように思うのであります。從つて基礎的な研究であるから文部省の所管に置いてはならんということには、直ぐには結論できないのではないかと思つております。適當な方法があればその考える餘地があるが、勿論文部省がその研究を一々指導し、研究に一々干渉するというような形であるならば、これは甚だよくないことでありますけれども、大學が自治を認められて研究を進めるように、研究所も又そういうことで純粹な研究を進めるということであれば、あながちそこに強く拘泥する必要がないのではないかと私は考えております。
 それから第三の點は國民の支持という問題でありまして、これも大變に必要なことであると私は思つております。國民の支持ということは一體多くの形態があるわけでありますが、一つの大きな現れは、民主政治の政府であるときには、政府の後ろに大きな國民的な支持があるものではないかとも私共は考えております。戰爭時代の文部省が、いわゆる國民とは離れた組織でできた政府がやつたことを繰返した、いろいろ變えて行つたということが、今日民主的な國民の多數の上に立つた政府がやつたのと同じように御批判されるということは、直ちに私は了承できないのであります。若しそれが非常に變るならば、國民自身が變つたということになるのではないかと思うものであります。そういう意味で、今日の政府が國立としてやりますることが、必しも私は非民主的ではないと思うのであります。けれども併し政府がやるということに併つて官僚化するという危險もあり、御指摘になつたように文藝に關係なさつておるお方の在來御指示がなく、連絡が惡かつたということも確かに眞理であります。殊に國語という方面では、そういう方々の御意見竝びに御協力も十分に得なければならんと存じておる次第でありまして、私共といたしましては在來のそういう缺陷をよく存じておりますので、そういう方面にも力を注ぎたいと思つておるのであります。旁々誠に適切な御注意でありまするけれども、その線に沿いながら進んで行きたいと存じておる次第であります。
#23
○委員長(山本勇造君) ちよつと御注意までに私質問を兼ねて申上げますが、先程文部大臣が説明された、この國立という意味は、國家で立てる研究所という意味である。併しながらそれをやつて行くには民間人がやつて行くのだ、ということをはつきり行つておるのであります。從つてそれが文部省になつておるようですが、文部省は毎年の豫算を取るとか、お世話をするとか、そういう點に文部省がタツチするのであつて、研究それ自體をああいうふうにしろとか、こういうふうにしろと指令を出すことを文部省は考えておられないと思うのです。今の大臣の御答辯でも大體そういうふうに聽き取れますが、私の言うように解釋して差支えないですか。大體お世話をする所である。併しながらこういう國立の研究所で毎年相當の金を豫算に取つて行かなければならん。何處が体氣になつてやつて呉れる所がなければいけない。例えば内閣でやるというのも確かに一つの案ですが、二會の名前を申してはなんですからそれは控えますけれども、内閣でやると形が大きくなつていいようでありますが、内閣では本當に澤山のものが來ますから、この問題についてなかなか熱心にならないのでございますよ。そういう場合にま、例えばこういういうような國語、國字という問題は、文部省では非常に前からやつておる問題でありますから、熱心にやるだろうという風に思われまするが、お世話をする所として文部省を考えれば、昔の文部省でなく考えれば、そんなに御心配にならなくてもよいかと考えるのですが……。
#24
○羽仁五郎君 私の心配しておりまする點は、只今の森戸さんの御説明で第一の點ですが、現在日本は一種の軍政期というような時期と思います。民主主義が實行されておるというより、アメリカによつて日本が教えられておる。從つて文部省は教育の内容上についても、文部省は指示權を持つておる。これは併し日本が現在の状況にある限りは、續けられるわけですが、將來においては文部省は純然たる行政官廳になるのであつて、教育の内容については全然タツチすべきではないだろうというふうに私は見透しておるわけです。たとえそれが文化省になろうと何になろうと、それは純然たる行政上の機關であつて、その文化或いは教育、或いは國語の内容にタツチすべきものではない。これはいわゆるチーフ・ガバーメントというものを、我々は作つて行かなければならん。又民間もそういうイニシヤテイーブというものが發揮されなければならない。デモクラシーの基本的原則から來た自明の理ではないかと考えます。それに從つて第二の點でありますが、學術研究が文部省の管轄下にあるではないかというふうに仰つしやつておられますが、森戸さんもよく御承知のように、大原研究所の場合にしても、或いは最も顯著な例は傳染病研究所の例ですが、傳染病研究所が民間に設立されて、そうして著々輝かしい效果を擧げておつたときに、勿論現在の政府ではありませんけれども、それが或いは内務省に移管され、或いは文部省に移管され、或いは大學に移管され、それによつてどれ程日本の民間の自主的な科學研究の熱意というものが阻害されたかということは、我々の決して忘れてはならない、森戸さんの仰つしやつて來た學問研究の自由の鬪爭の我々の歴史なのです。從つて現在の文部省はすつかり變つておる。第三の御説明が事實ならば、私は非常に喜ぶのでありますが、これは森戸さんが一番よく御承知であつて、現在文部省が森戸さんのお考えの通り實に立派に動いておられるかどうか。これは私の判斷すべき筋合ではないのですが、そういうような點で、やはりまだ若しこの文化委員會として御懸念があるとするならば、やはり單に文部省が世話をする國立の研究所だからよいのではないかというだけでよろしいかどうかは、まあ皆さんの御判斷を請いたい次第であります。
#25
○松野喜内君 前囘にもこの問題に關連して希望を申したのでありまするが、今日は森戸文相もお見えになつてその所信を披瀝されました。大體仰つしやることについては了解ができますが、研究の内容等についても、むしろ今後の小委員會等において更に進めるべきだと思う次第であります。細かいことはここに述べませんが、併し今同僚からいろいろ仰しやつた御意見の中、若しこの國語研究所を現在の所管諸省の中に求めるならば、文部省と思うと言われた文相のお言葉は肯かれます。併しながら私はむしろこれは内閣の方に設置して貰いたいという希望を持つのであります。政變があつてもこれは引續き永續的に研究すべきでありますが故は、政變にはこだわることとなく行くべきだと考えます。委員長が言われました通り、或いは内閣にあれもこれま集まつては熱心にこれが研究できない場合もあるということも、或いは懸念せられねばならんかも存じません。けれども、私はこれを内閣に設けるとしても、一番の主たるお世話はやはり文部省でやる。國民全體に關する大問題であります。その他の各省にも深甚なる關係がある。成るたけ内閣直属の研究所であつて欲しいと、こういうつもりなのであります。殊に先程羽仁委員から仰しやつた通り、行政面と立法面から考え、立法部として特にこの點を注意して進めなくちやならない點から考えましても、私は本委員會等が中心になり、そうして我らの手によつてこれを進めたいとまで考えておるのであります。今文部省が練つておいでの構想或いは豫算或いは人事を伺いましたが、それらを參考といたしてその立法的の方的から太いに力を注がねばならん。むしろ文化委員は全員擧つてこの方に參加しなければならんとまで考えるのであります。殊に今日文部省あたりが、教育内容等において、或いは教育行政において、中央の教育行政が多分に地方に委讓される今日において、又教育の思想方面或いは教育の内容方面において、各大學總長、學長その他中小學校校長等が多分にその創意工夫をなすとか、更に多分に委讓するとあれば、從來のごとき文部省の劃一主義とか省令とか押付けがましい教育でなく行くという場面においては、これは文部省のそういう思想的或いは教育内容的においては、今後の行き方において大いに考えねばならん。而も又一方に本文化委員會におきましても論せられるところの場面、單に學校教育のみでなく、社會教育、家庭教育のみでなく、或いは出版方面、殊に新聞、雑誌、放送、映畫竝びに観光事業等、擧げ來れば文化に關係の事業は誠に多いのであります。而も直接教育、文化のことでありますが故に、我我文化委員として考えねばならん問題たる観光事業に至つては、文部省に所属するばかりでなく、その關係する諸省は四つにも五つにも及んでおるのであります。若しそれ、今後の改變はどうなりますか。文部省というものの機構の改善、改變ということが必要である。更に文部省のあり方いかんという將來性をお互いに又考えなければなりませんが、ここにおいて、これは文化省というようなことになり、今日の文化、統計研究、學術の實習、さような各般の文化方面のことを扱うとすれば、或いは文部省が文化省となつてその機能を發揮しなければならんと行政面から考える次第であります。かく申すのも、やはり立法的にこれを推進しなければならんと考えるからで、こういうふうに大きく問題を取上げる。永遠の國家の民族のために考えるならば、この國語研究所は大きいところの責任において内閣の下に置いてやるべきではないか。併しその中で一番主たる世話は、なんといつても諸省の中、文部省でやるということにおいては間違いないと思います。私はかように考えるのであります。今までの委員會において、文化の關係にして、文化省のことを力説し、提案し、主唱したものといたしましても、この際本席においてもやはり同樣のことが言える次第であります。私はかような意味において、この研究所を内閣の方面において設置すべしというようなことをお願いしたい一人であります。
#26
○國務大臣(森戸辰男君) 簡單に御答辯いたします。先程羽仁さんの御心配になつたところは、文部省は將來文教行政に中心を置くのであつて、教育、科學、文化内容に關するいろいろな干渉はやるようなことにはならんだろうということであつて、私もそれは非常に贊成であります。併し同時に私は國話研究所も文部省が所管に持つということは、文部省が將來それに一々干渉をして、委員長が御指摘のように、こうやれ、ああやれという内容を指摘する意味で、文部省の所管とすることを適當とするという意味ではなくて、民間の研究所としてはなかなか經濟的に困難である。從つて國家的性質の上からも、國家の事業においてやるべきである。その所管を持たせるとすれば先ず文部省が適當である。そうして設立、運營等については十分民主的な見地から、國民の各層の力がこれに反映するような形で設立され運營されねばならんというふうな形で、文部省がその面倒を見て行くという形になることが望ましいのではないかと考えておるのであります。この點文部省の所管になりましても、羽仁委員の御心配になつたようなことはないのではないかと存じておるのであります。勿論いろいろ實行の上から、目的に副わないことも萬々起らんということは期し得ませんけれども、これは關係者が最善の力を盡すべきだと思つております。尚只今内閣に属させた方がいいという御意見でありまして、御尤もでありまするが、この政變を超越する意味で内閣に属するというのではないので、内閣でありましても私は政變の影響は受けるのではないかと思うのであります。これは總理大臣の直属であります。同時に最近の傾向は、各省に蹄がつたものを皆な内閣に持つて行こうという傾向があつて、總理大臣の下に又各省ができるような變な傾向にあるのでありまして、これでは又非常に事柄が複雜になり、そうして責任をとる者が、委員長の御指摘になつたようにはつきりしないというような結果にもなる虞れがあるのでありまして、むしろ各省に關係しておる。大抵の仕事はそうでありまするが、その中で重點的な地位にあるものが、便宜上その所管をして行くという形で行われるのが、實際の行政處理の上からは妥當ではないかと存じております。國語研究所のごときは、そういう見地から、これはセクショナリズムの意味ではなく、行政の合理的な配合の上から、文部省の所管に置くことが妥當ではないかと考えておる次第であります。
#27
○委員長(山本勇造君) ちよつと速記を止めて。
   午後三時二十三分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時四十六分速記開始
#28
○委員長(山本勇造君) それでは速記を始めて。委員會を繼續いたします。一つ何か御意見を……。
#29
○來馬琢道君 かねがね聞いておりましたことでありますが、私共は只今の問題につきましては、是非この度こそ民主主教の打開せられたる、公に公開せられたる研究所ができまして、一人の貴族院議員のために引張られたり、一人の衆議院議員のために引張られたり、一人の教育界の元老のために引張られたりすることのない方針で、本當に国家のためになる或るものを決めて頂いて、それによつて我々の子孫をもう少し幸福にして貰うということに重點を置いて、本日のこの議案が通過せられんことを希望いたします。
#30
○委員長(山本勇造君) 質問はもうございませんか。
#31
○服部教一君 要するに問題は、文部省の下に置くか、それから内閣の下に置いてもどうせ文部省が世話しなければならん。その二つですね。
#32
○委員長(山本勇造君) ちよつと待つて下さい。それよりもこれは採決に入つてよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○委員長(山本勇造君) そうしますと、第一の問題は、研究所を設置することに御異議ないかどうか。それをお尋ねいたします。
#34
○三島通陽君 私は本請願を採決されんことを提議いたします。私は段々御議論のあつたように、これは本當の民間の何かそういう研究所ができることが一番理想だろうと思います。併し現在の國情を考えますと、それは實際問題としてむつかしいと思うのです。段々文部大臣、又文部當局の話を伺つて、大體そういう精神でこの研究所を作られるというのであれば、今のところはどうもそれより外に途がないじやないか。でありますからこの委員會で非常にいろいろな意見が出て、特に傾聽すべき意見が澤山出ましたが、その意見を十分文部省におかれまして御考慮になつて、そうして準備委員會等でそれを十分研究せられて、謂わば國立民營とでもいうべきこういう機關ができることは止むを得ないじやないかと思います。併しそれができたからといつて、それならば新らしい外の民間團體ができないで宜いかというと、そうじやなくて、又若し機會を見て金も出す人があり、又研究しようという篤學者、又大衆もそれをサポートするというような團體がどしどし自由に出て來てこれは一向差支ない。又そういうものが出て來たらば、この國立の機關はそれと合流するなり、止めてもいいというくらいの自由な考えで、この際はこういう機關が是非必要だから、文部衆なり政府なりに世話して貰つて、ここででき上るということを望むという意味で、この際請願を採擇されんことを望む次第であります。
#35
○服部教一君 ちよつと一言… 研究所に反對というお方はなかろうと思うのです。或いは又どなたかおつしやると思いますが、あとから委員長からお尋ねになると思いますけれども、ちよつと一言だけ申上げて置きたい。
 先に委員長は、文部省の下において文部省から世話をして貰い、專心世話をして呉れる人が必要だから、文部省の人たちが本氣になつて呉れるというお話でありました。それは御尤もでございますけれども、併し文部省ではこれまででも、例えば中學にしても、六・三・三制度を全部國庫支辧にして貰いたいという要求があつて、非常に因つておる。その他文部省の仕事はまだまだ澤山あります。國語問題だけでなしに……そうしてあれもこれも大藏省に折衝されると、又それもか、又これもかということで、事實問題としてはこの國語の研究所の經費を取る上において、いいようであつて障りになると思いますから、やはりこれは、こういう何十年というように先に亙つて研究を續けられなければならん問題は、内閣の下に置いた方が豫算を取りやすい。
   〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕
文部省の方においてお世話下さるにしても、これは内閣に置いてあるからというので取り易いが、文部省が俺の方に呉れということになると、お前の方はこれも呉れ。これも呉れ。教員の俸給も増して呉れ。六・三・三の費用も國庫支辧にして呉れというように、文部省の金が澤山欲しいのです。それと一緒になつてしまつては、國語研究所の金の取り方がどうもうまく行かんような感じをするのです。それだから、やはり内閣に置いて、文部省でお世話して下さるということになれば、金は餘計出ると思う。一千萬圓なら一千萬圓出ると思う。ちよつとそのことを申上げて置きます。
#36
○委員長(山本勇造君) 研究所を作るという請願を今私は可決という言葉で申しましたけれども、委員會でありますから、これは議院の會議に付するを要するものか、要しないものかということを決議するものであつて、その點のお諮りをするわけです。第一の問題は、今言う通り研究所を作ることに對して異議があるかないか。第二の問題はあなたの言つたように、これの所管をつまり文部省にするか、それとも内閣にするか、この二つの點になるだろうと思います。
#37
○松野喜内君 先ず採擇するかせぬかをお先に決め願つて……御贊成の方が多いようですし、私も率先してこれをお願いしたいと思いますから、是非御採擇をお願い申上げます。
#38
○委員長(山本勇造君) 採擇の點は、これはお諮りしますけれども、大體御異議ないと思います。
#39
○來馬琢道君 先に採決願いましよう。
#40
○委員長(山本勇造君) それでは採擇することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」呼ぶ者あり〕
#41
○委員長(山本勇造君) そうしますと、これの所管の官廬を内閣にするか、それとも文部省にするかという問題が残つておりますが、これはどういうふうにいたしますか。御意見等ございましたら……。
#42
○松野喜内君 私は先程内閣のことを主張しまして、御贊成もありましたが、こういうことはやはり小委員會を一つお作り願いまして、そういうことも兼ねてやつたらどんなものかと思います。今日ここで決めるよりいいと思います。
#43
○委員長(山本勇造君) ちよつと速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#44
○委員長(山本勇造君) それでは速記を始めて。
 そうしますと、この請願を議院の會議に付するを要するものか、或いは要しないものか、それについての採決をしなければなりませんが……。
#45
○大隈信幸君 採擇するかしないか、起立でお決めになつた方がはつきりしていいと思います。
#46
○委員長(山本勇造君) それじや議院の會議に付するを要するものとする方は、御起立を願います。
   〔起立者多數〕
#47
○委員長(山本勇造君) それじや多數でございます。同時にこれは内閣に送付を要するものとお考えの方は御起立を願います。
   〔起立者多數〕
#48
○委員長(山本勇造君) 多數でございます。そうしますと、この特別報告書を議長に提出する必要がございますが、その文書等については、委員長に御一任願えるでしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○委員長(山本勇造君) それじや御異議がなければ、私の方において取計らいます。それでは今日はこれで以て委員會を閉じることにいたします。
   午後四時五分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     山本 勇造君
   理事
           金子益太郎君
           久松 定武君
   委員
           赤松 常子君
           三木 治朗君
           團  伊能君
           徳川 頼貞君
           松野 喜内君
           淺井 一郎君
           大隈 信幸君
           來馬 琢道君
           高田  寛君
           服部 教一君
           三島 通陽君
           三好  始君
           羽仁 五郎君
  國務大臣
   文 部 大 臣 森戸 辰男君
  政府委員
   文部事務官
  (教科書局長)  稻田 清助君
  説明員
   文 部 次 官 有光 次郎君
   文部事務官
   (國語課長)  釘本 久春君
ソース: 国立国会図書館
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