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1970/04/24 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 科学技術振興対策特別委員会 第7号
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1970/04/24 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 科学技術振興対策特別委員会 第7号

#1
第063回国会 科学技術振興対策特別委員会 第7号
昭和四十五年四月二十四日(金曜日)
   午後一時十七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         宮崎 正義君
    理 事
                平泉  渉君
                平島 敏夫君
                矢追 秀彦君
    委 員
                岩動 道行君
                金丸 冨夫君
                木内 四郎君
                永野 鎮雄君
                鍋島 直紹君
                船田  譲君
                矢野  登君
                大矢  正君
                沢田 政治君
                森 元治郎君
   国務大臣
       国 務 大 臣  西田 信一君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      矢島 嗣郎君
       科学技術庁長官
       官房会計課長   野崎 博之君
       科学技術庁研究
       調整局長     石川 晃夫君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   柏木 輝彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○宇宙開発委員会設置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(宮崎正義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。宇宙開発委員会設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行ないます。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
 矢追君。
#3
○矢追秀彦君 この法律案の内容につきましては相当議論されておりますので、私は、宇宙開発の全般的な問題について若干お伺いをしたいと思います。
 最初に、長官にお伺いしたいのですが、今回、アメリカのアポロ13号が事故を起こして、無事帰還はしたわけでありますけれども、これによっていろいろな反省とか教訓というものが言われておりますけれども、長官としては、これはどう受けとめて、日本のこれからの宇宙開発にどういうふうにされるおつもりか、具体的にお聞きをしたい。
#4
○国務大臣(西田信一君) アメリカのアポロ計画は、御承知のとおり、アポロ11号、続いて12号と、あのような成功をおさめました。そのシステムの信頼性を非常に高く立証いたしたわけでございますが、今回13号があのような結果で月に着陸を断念して地球に帰ってまいりました。このことは、あれほど水準の高い、信頼性の高いアメリカにおきましても、宇宙開発の非常な困難さと申しますか、これを物語っているものだと率直に受け取めざるを得ないと思います。これについては、全世界の人々が無事帰還するようにということを念願しておりましたし、私もまたそのことを祈念して、アメリカの高い技術を全面的に信頼をして無事に帰ることを祈願した電報なんかを打ったのでありますが、あのようにして無事に帰ってこられましたことは、まことに、非常な困難に遭遇いたしましたけれども帰ってきたということにつきましては、月に着陸ができなかったが、また一面において、アメリカの技術の高さ、あるいは人間の持つところの力というものを感ずるわけでございますが、そこで、われわれ、アメリカの技術を導入しながら開発を行なっておるわが国の立場といたしまして、できるだけ、一応持っておりまする目標、これをその目標どおり達成したいということを考えますと同時に、やはり慎重に対処をしていかなければならないという大きな教訓を得たというふうに考えております。でき得る限り、わが国のシステム工学の力を十分に結集できますような努力をいたしますと同時に、今後、これをいい教訓として、慎重な取り組み方をしてまいりたい、こういうふうに感じております。
#5
○矢追秀彦君 で、特に、日本のこれからの宇宙開発も、いま計画に従ってやると言われますけれども、やはり基本的には、要するに、アメリカがやってきたのは、アメリカという国家の威信というものを高めるということで、ソ連ともこういう競争になってやったことは間違いないわけでありますから、そういうものを急ぐあまり、やはり人命尊重といいますか、あるいは平和利用といいますか、そういった点がそこなわれてきたんでは何にもならない。日本の場合には、そういった点をしっかり基本的に踏まえてやらなければ、私は何にもならないと、こう思うわけであります。特に、平和と民主、あるいは公開というようなことが言われておりますが、特に民主的ということが非常に重要な問題になります。この民主的ということはどういうことかといえば、やはり民衆のため、広く国民のためということになると私は思います。そういった意味で、はたして現在の日本のこれからやろうとしておる宇宙計画が、どれだけ直接――間接でも当然ありますけれども、国民生活の向上といいますか、の面にプラスになるか。そこら辺をもう一回基本的に考え直して、そうして、計画を変更してもかまいませんから、やはり、はっきりしていかなければならない。何も、アメリカがあそこまでいったから早く追いつかなければならないと、そういうことではなくして、もっと基本的な構想を練り、やっていかなければならないのではないか。その点は、西ドイツはわりあいに着実にやっておるのではないかと、こういうふうに思うのですけれども、そういった点との比較の上に、これからどういうふうな方向へいかれようとされるのか。いま基本的なお話は承りましたけれども、もうちょっと詰めて、具体的なお考えを承りたいと思います。
#6
○国務大臣(西田信一君) 計画は持っておりますが、その計画に従って努力をしておるわけでございまするけれども、また実際にこれの見直しということも、つまり、十分な成果についての検討、評価等も行なって、そうして慎重に、もし必要があるなら、ただいまお話がございましたが、必ずしもしゃにむに計画にこだわるということではなくて、十分にそこに慎重さをもって取り組んでいく、こういう考え方をいたしておるわけであります。
 しかしながら、一面におきまして、なるべくひとつ計画を達成するような努力をせよという御鞭撻もちょうだいしておるのでございますが、私どもは、でき得る限り所期の目標に向かって努力すると同時に、ただいま矢追先生の御指摘になりましたような慎重さを失ってはいけない、こういう考えでございまして、十分見直し等におきまして慎重を期してまいりたいと考えております。
#7
○矢追秀彦君 先日、政府のほうで、四月の六日ですか、基本計画を発表されたわけですが、これの一番最後のところにあります「アメリカのアポロ応用計画への協力を含め、国際協力を積極的に行なう。」、この項目につきまして、アポロのこういう事故の前の話ですが、今後、こういうふうになって、アメリカのアポロ計画も、いろいろまた変更等も出てくると思います。また、先日NASAの長官も来ておりましたし、ポスト・アポロ計画というものに対する要請等が非常に出てきたわけですが、アメリカのこのアポロ計画、さらにポスト・アポロ計画についての日本の参加の態度なり方向ですね、それを具体的にお伺いしたいと思います。
#8
○国務大臣(西田信一君) ことしの三月の初旬でございますが、NASAの長官ペイン氏が参られまして、アポロ計画以後のアメリカの宇宙開発計画の実施につきまして、日本だけではなくて、西欧諸国にも呼びかけがあったようでありますが、――参加の要請と申しますか、提案があったわけであります。わが国の宇宙開発の基本方針といたしましては、国際協力、こういうことも重視をいたしております立場から、今回のペイン長官の御提案そのものに対しましては、その趣旨に沿って慎重に取り組んでまいりたいと考えておるわけであります。
 ただ、今回のペイン長官の提案の段階では、まだアメリカ自体におきましても具体的な計画を示しておりませんし、したがって、参加の具体的な形態というものも、まだよくわれわれは伺っておらないわけであります。ペイン長官御自身も、今後の提案に対する各国の一応の打診ということでありまして、各国の意向がだんだん明らかになってきた段階で、国際協力の方法、こういうことを検討していきたいのだ、こういうふうに申しておられます。したがいまして、わが国といたしましても、ポスト・アポロ計画に参加をした場合に、国内の宇宙開発計画にどのような関連性が生ずるか、また、どういう形でどういうふうな姿の参加をするかということ等によりまして、技術の問題あるいは経費負担の問題、あるいは参加形態の問題と、いろいろまだ検討をすべき問題が多々ございまするから、精神的には、先ほど申し上げましたように、参加をするということについては別に反対すべきものでもございませんし、そういう方向がよろしいかと考えておりまするけれども、この具体的な方向につきましては、アメリカ側の具体的計画と相まって、その詳細につきまして、国内におきましても、専門家等を含めまして、あるいはまた関係各省とも連絡をとって、いろいろと検討を進めておる段階でございまして、まだ具体的にどうこうというところまではまいっておりませんが、方向といたしましてはわが国に益するところもあるというふうなことも考えられまするので、検討を加えてまいりたいと思っておるわけでございます。
#9
○矢追秀彦君 昨年の七月三十一日の、このアメリカとの協定ですけれども、結局この範囲を出ることは今後ないのか、また、これからアメリカがそういう具体的な案を出してきた場合、また、こういった交換公文を変更して新しいものを結んでいくと、そういうふうな方向なのか、その点はどうですか。
#10
○政府委員(石川晃夫君) 昨年の七月に結ばれました書簡交換につきまして、あれは、考え方といたしましては、日本で開発いたしますQロケット及びNロケットの開発に対する技術協力ということでございまして、その内容におきましては、ポスト・アポロ計画というものは含まれていないわけでございます。したがいまして、もしポスト・アポロ計画におきましてわが国がこれに積極的に参加するとか、あるいはそういうような事態が生ずる場合は、あるいはこれはわれわれのほうから言うべきことではなくて、アメリカ側のほうから何らか協力要請というものが出てまいりましたら、それに対してわれわれがどのようなかっこうで協力していくかということにつきまして別途また検討したいと思っております。
#11
○矢追秀彦君 いま、協力のしかたがいろいろあるわけですけれども、要するに、各国の国産の人工衛星をアメリカが打ち上げるというのもありますし、それから今度は、米国のロケットを各国で打ち上げる、そういういろんな例が考えられるわけですけれども、日本は、現在のところでは、自由圏の中では例外的な存在で打ち上げをやろうとしているわけですけれども、やはりこういう姿勢は、今後ともこの線でいかれるのか。――一つだけあります。器材を積んで打ち上げてもらったやつが確かあったと思いますけれども。そういうふうな、要するに人工衛星打ち上げについての協力関係ですね。いまのままの方向を今後とも貫かれるのか。というのは、かなり自由圏では独自な存在になっておるわけです。そういった点で、国際協力の面において将来まずいことが起きたりはしないか、あるいはそれでもいいのか、その点はいかがですか。
#12
○国務大臣(西田信一君) 宇宙開発に関しまして、その国々によりまして、いろいろ方向が、考え方が違っております。アメリカのロケットを使って打ち上げるほうが経済的であり、また、そのほうがいいという考えの国もあるようでありますが、わが国といたしましては、アメリカの協力を得まして、技術導入ということも考えながら、国内においてロケットあるいは衛星の開発を行なっていきたい、自主的な開発をできるだけ行なっていきたいという考え方をとっているわけでございまして、いまその計画に向かって着々進行中でございます。したがいまして、この交換されました書簡の内容を変更して、あるいはアメリカにロケットの打ち上げを依頼するというような内容に変えていくというような考え方はとっておらないのであります。やはり、ロケットあるいは衛星の開発ということは、一つの大きなシステム工学の集積でございまするから、そういう意味におきまして、日本の工業技術の水準向上ということにも相当大きな関係を持ちまするし、わが国としては現在のところ既定方針を変えようとは考えておりません。
#13
○矢追秀彦君 この間、インドの原子力委員長が、先月ですけれども、来た際に、日本との協力に対し非常に関心を持つというような、特に原子力、宇宙の部門でですね。そういうことを言っておりましたけれども、具体的に向こうの政府からそういう要請があったのか、また、これからそういう方向なのか、そういう場合に日本政府としてはどうするのか、その点お伺いしたい。
#14
○国務大臣(西田信一君) インドから、宇宙と原子力を両方担当するサラバイ氏が参られまして、原子力あるいは宇宙等の開発に関しましていろいろ懇談をいたしました。しかしながら、具体的にインドと日本との協力関係をどうしようというようなところまでは話が出ませんで、現在特別な検討を行なっているということはございません。
#15
○矢追秀彦君 またさっきのアポロ計画との協力関係に関係しますが、新聞で拝見したのですけれども、六月に経済同友会がアポロ調査団を派遣をする、こういうことが出ておりましたけれども、これについては政府は全然タッチをしないのか、あるいは何らかの関係で話し合いをするのか、これをどう評価されているのか。あくまでもこういう民間ベースでどんどん調査団が行き、向こうの計画といろいろ具体的に協力関係というのが生じてきた場合に、政府としてはどういうふうにやっていくのか。その点、お伺いしたい。
#16
○国務大臣(西田信一君) 経済同友会がそういう計画を持っておられるということは聞いております。しかし、経済同友会は、アポロ計画に関するケーススタディを通じて技術開発に関する国あるいは民間企業のあり方を調査する、こういうことがおもな目的のように承知をしております。七、八名ぐらいで調査団を派遣されるようなふうに伺っておりますが、先ほどお話の出ましたポスト・アポロ計画との関係は直接はないように存じます。現在開発されておりますこのアポロ計画のような大規模かつシステム工学を活用して実施されております技術開発計画につきまして、民間企業にこれを積極的に研究していただく、そしてこの経過を学び取る、こういうことは、わが国の企業の、技術開発の強化にも役立つと存じますし、しいてわが国の産業経済の発展にもこれは貢献するところがあるというふうに考えられまするので、このことは私どもとしてもけっこうなことじゃないかと考えております。したがいまして、目的が、要するにアメリカの技術開発を勉強しに行くと申しますか、これを学び取るために参るという、こういうふうな考えのように伺いますので、私どもとしても、むしろ歓迎的にこれを見ておるわけでございます。
#17
○矢追秀彦君 この前、長官の所信表明のときの質問でも申し上げたんですけれども、結局、政府と民間のあり方というのは非常にやはり大事な問題になると思います。いろいろな考え方ありますけれども、宇宙開発の場合には国が主体でやるべきであると、こういうことを言う人が多いように思いますけれども、こういうふうに民間が大々的に調査団を出し、これにかなり今後取っ組まれていくと、そういう場合、民間が主導であるというふうなかっこうになってしまうことがあるかどうか、そういうことは絶対にないという立場で政府が指導していかれるのか、その点はいかがですか。
#18
○国務大臣(西田信一君) わが国の宇宙開発は、御承知のとおり、政府ベースで行なっておるわけでございます。しかし、民間の協力と申しますか、これも必要なことでございます。しかしながら、このような宇宙開発は、どこの国でもこれはほとんど政府ベースで行なわれておりまして、民間が主導的にやっておるというところはないと存じますし、宇宙に関する限り、民間ベースが主導型になるということは考えられません。私どもは、民間の協力も得ながら政府ベースで進めていかざるを得ない、いくべきものであると、かように考えております。
#19
○政府委員(石川晃夫君) ちょっと補足して説明さしていただきますが、宇宙条約におきましても、この宇宙開発は政府機関によって行なわれるということになっておりまして、民間では宇宙開発は行なわないというたてまえになっております。補足さしていただきました。
#20
○矢追秀彦君 いま政府主体ということを言われましたけれども、三月にもアメリカのダグラス社と三菱重工業が提携の調印をしておるわけです。これはQロケットの開発についてです。こういうことが今後だんだん起こってきた場合、やはり、アメリカの商社の進出でございますか、そういうようなことで、日本の政府の主体性というものが、要するにアメリカのそういう大きな企業に動かされる、そういうようなことが出てくる可能性というものが私はあるのじゃないかと、このように思うわけです、技術の開発とか、そういう面を含めて。もちろん、アメリカとの協力ということもさっき言われましたけれども、アメリカのいわゆる政府、航空宇宙局と直接そうやっていかれるのはよろしいのですけれども、そういう民間の大きな会社が入り込んできて、そして日本を動かしていくというようなことはあり得ないのかどうか、その点は、いまの宇宙条約との関係でどうなっているのか。
#21
○政府委員(石川晃夫君) お答えいたします。
 わが国で必要とする宇宙開発に関する技術をアメリカの民間企業から導入するということは、現にやっておりますし、今後もあることではございますが、この宇宙開発そのものを、そういう民間主導というようなかっこうで開発することは、今後もあり得ないと存じております。
#22
○矢追秀彦君 最初の話に戻るのですけれども、結局、日本の宇宙開発は、要するに、国威の向上だけを目的とするのではなくて、あくまでも国民一般大衆の利益に結びつくような、要するに生活向上のためになるような宇宙開発でなければならぬ、そういう意味で、先月の十八日の降ひょう防止ロケットの実験、これは一応成功したと言われておりますが、こういうふうなものに非常に力を入れることが大事ではないかと思うわけです。このロケット実験の大体の経過と、それから、成功したと言われておりますが、今後どのように実用化まで持っていけるのか、大体の計画の見通しをお伺いしたいと思います。
#23
○政府委員(石川晃夫君) わが国におきましては、大体年間十三億円程度、ひょうによる害を受けているというふうに言われているわけでございます。このひょう害と申しますか、これを防止する技術を開発するということが必要でございますので、この件につきましては、科学技術庁の国立防災科学技術センターにおいてこの研究が行なわれているわけでございます。この降ひょう抑制実験でございますが、これは、ひょう害を防止するための技術開発を目的として計画されたものでございまして、大体、ひょうが降りますときは、積乱雲の中の水滴が成長いたしまして、それが落下することにより発生するということになっております。それを抑制するわけでございますが、そのときに、積乱雲の中に沃化銀を散布いたしまして、そして水滴が成長するのを阻止するというかっこうをとっております。そして、これは雨として降らすということが非常に大切な研究でございます。これにつきまして、防災科学技術センターでは、これまで、沃化銀を積乱雲の中にまで持っていって散布するという一つの運搬手段として、運搬機というものを開発しております。その機体は、空中でロケットの全体が燃焼して消滅してしまうという消滅型ロケットというものを、そのために開発を行なってきております。ことしの三月十八日と十九日に、ロケットの飛しょう実験と、それからそのロケットの本体が消滅してしまうという確認の実験を群馬県の長野原で行なったわけでございます。実験の結果につきましては非常に良好でございまして、当初の計画どおり飛しょうもいたしましたし、また消滅もしたわけでございます。今後の実験計画としましては、これを使いまして実際に積乱雲の中にこの沃化銀を散布いたしまして、そしてそのときに積乱雲にどのような構造の変化が生ずるかというようなことを実験研究しまして、さらに今後それを実用化に進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
 これに使いましたロケットでございますが、大体長さといたしましては八十センチほどの長さの二段ロケットでございまして、そして直径は一段目の外径が七センチ五ミリでございます。非常に小さなものでございます。この一、二段とも可燃性の強化プラスチックを使っております。大体高さといたしましては五千五百メートルぐらいまで上がりまして、そこで沃化銀をばらまいて、落ちてくるときにはそれが焼けて燃えて、なくなってしまうというようなロケットを使っておるわけであります。
 実験結果につきましては、ただいま申しましたようなことで、非常にうまくまいりましたので、今後は、実際にその降ひょうを抑制するという実験に本年度から進む予定で計画いたしております。
#24
○矢追秀彦君 実用化までの見通しは。
#25
○政府委員(石川晃夫君) 実用につきましては、やはりこの実験結果によるわけでございますが、積乱雲の大きさ、あるいは高度、そのような性質等をこれからも研究しながら、それを散らすためにどのくらいの沃化銀なりあるいは高さが必要かというようなことも検討されますので、この実用の見通しにつきましては、やはり本年度の実験結果によりましてさらに検討されるものと存じておる次第でございます。
#26
○矢追秀彦君 この間打ち上げられた「おおすみ」ですけれども、それのその後の経過並びに現在掌握されているデータ、それから軌道については、うまくいっているのかどうか。わかる範囲でけっこうですから。
#27
○政府委員(石川晃夫君) 「おおすみ」の状況でございますが、ことしの二月十一日に打ち上げられたわけでございますが、初めの予定では大体三十時間ぐらい電波を発射しながら軌道に乗っているというような予定でございましたが、そのうち事故がございまして、六周目ぐらいから発信が弱くなり、とまりまして、大体時間にしまして、予定されている半分ぐらいの時間で送信が途絶えたわけでございます。したがいまして、これを追跡するという方法は電波的にはできませんので、あとは光学的に追跡するよりしかたがないということでございますが、光学的と申しましても、高さが約三百キロから、遠地点におきましては二千五百キロくらいになりますので、このようなものを光学的に観測するということは非常に困難でございます。しかし、この電波の送信が途絶えたあと、東京天文台と、それからアメリカのスミソニアン天文台に、この光学観測を依頼したわけでございます。そして光学観測を行なっているわけでございますが、情報によりますと、二月の十九日と二月の二十四日には、スミソニアン天文台のブラジルとアリゾナの観測所で「おおすみ」らしいものをつかまえたということの報告がございます。また、三月の十一日には、オーストラリアのウーメラの観測所で確実な写真撮影に成功したというような情報も入ってきております。東京天文台では、やはり現在も観測を続けているわけでございますが、現在までにはまだ確認されてはおりません。したがいまして、現在「おおすみ」が回っているかどうかということは、先ほどの写真による資料と、そのほか理論的な計算ということになるわけでございますが、理論的に申しますと、これは数十年間衛星軌道を飛しょうするというふうには考えられるわけでございます。
#28
○矢追秀彦君 電波がとまっておるわけですけれども、結局、その場合データの得られ方が少ないのじゃないか。これからずっと回っていって、それでもなおかつ貴重な資料というものが得られるのか。この点はどうなんですか。
#29
○政府委員(石川晃夫君) 衛星からのデータは電波によって受ける。光学的に受ける方法もございますけれども、実際にデータを受けるのは、電波によって、テレメーターによって受けるという方法を現在とっているわけでございます。したがいまして、電波がとまってしまいますと、上からの資料というのが全然入ってまいりませんので、そういう意味の観測資料というのはほとんど今後はないというふうに考えていいのではないかと存ずる次第でございます。
#30
○矢追秀彦君 今回の分析はこれからおやりになるのでしょうけれども、次の段階に対して、こういう、もし電波が向こうからとまった場合に、こっちから発信してできるような装置も今後つけて、できるような方向に持っていけるのかどうか。その点はどうですか。ちょっと専門的なことは私よくわからないけれども。
#31
○政府委員(石川晃夫君) 非常に技術的な問題になってまいりますので、私も十分承知してないわけでございますが、現在、衛星に対する通信、あるいはテレメーター・コマンドというようないろいろな方法が考えられておりますが、せっかく打ち上げた衛星から確実に資料を取る、また、その衛星に対して、衛星を確実に観測の物体として使用するという点につきましては、ただいま先生おっしゃったような方法もあるかとは存じますが、その具体的な問題につきましては十分に承知しかねております。
#32
○矢追秀彦君 時間があまりありませんので、次に、この間日本海洋学会で、アメリカの人工衛星に積んであった原子力電池のために太平洋の海水中のプルトニウム二三八の濃度が高くなっている、こういう研究発表が気象庁気象研究所のグループで発表されたわけですが、人体に危険はないというようなことらしいのですが、もしこういう海洋汚染というものがこういう人工衛星によって起こるケースが今後あるとするならば、これはどういう条約で取り締まれるのか。宇宙条約の第七条の、この中に含まれるのかということです。「その物体又はその構成部分が地球上、大気空間又は月その他の天体を含む宇宙空間において条約の他の当事国又はその自然人若しくは法人に与える損害について国際的に責任を有する。」、これで取り締まれる、と言ったらなんですが、できるのか。
 それと、もう一つ、勧告というのが、「宇宙活動の潜在的に有害な影響」――これは「航空宇宙情報」の資料にありますが、「国連総会は一九六三年の決議一九六二の中で、ある国の計画する宇宙空間活動、あるいは実験が潜在的に有害であると信ぜられる理由がある時は当事国はその様な活動を進めるに先立って適切な諮問を行なうべきことを宣言している。」、こういうふうなほうでいけるのか、この点はどうなりますか。
#33
○政府委員(石川晃夫君) このような問題につきましての勧告とかあるいは提案というものは、従来は、昭和三十八年に国連の総会で決議されました「宇宙空間の探査及び利用における国家活動を規制する法的原則の宣言」というものと、それからその翌年でございますが、宇宙空間平和利用委員会におきまして「宇宙実験の潜在的に有害な影響に関する報告」がございます。コスパル――これは宇宙空間研究特別委員会でございますが、これも大体同じような決議がされているわけでございます。
 しかし、この勧告なり提案と申しますものは、昭和四十二年にできました宇宙条約の中にこの趣旨は全部盛られているわけでございます。この宇宙条約の中で、この勧告なりあるいは提案に関係あるものとしましては、宇宙条約の第四条と第九条という二つがあるわけでございます。この第四条は、これは宇宙の平和利用原則というものを述べておりまして、そうして、核兵器とかあるいはその他の種類の大量破壊兵器を宇宙空間に配置しないということを主眼として第四条ができ上がっているわけでございます。第九条におきましては、宇宙空間の有害な汚染、宇宙空間を汚染しないということと、また、宇宙空間から持ち帰った地球外の物質、これによる地球環境の有害な汚染というものを防止することが規定されているわけでございます。
 したがいまして、ただいまのロケット、衛星によります汚染についての海洋学会の報告でございますが、これは、地球上から打ち上げて、また地球上へ戻ってきたということで、宇宙条約におきましては現在それに該当する項目はないわけでございます。したがいまして、これは公害的な感じを受ける内容のものかと存ずる次第でございます。
#34
○矢追秀彦君 いま言われた九条は、これは、宇宙空間の有害な汚染、地球外の物質の導入から生ずる地球区域の環境変化で、プルトニウム二三八とは違うわけですから、だから私は七条ならばいけるのじゃないかと思ったわけです。いま該当しないとおっしゃるならば、今後こういうふうなケースの場合は、別に何かつくらなければならぬかという問題が出てくると思いますけれども、特にこれは原子力の問題になりますけれども、放射性物質を海へ投棄することを禁止しようというふうな考えの人もありますし、具体的には国連あたりでも検討されていると聞いておりますけれども、やはりそちらの方向で進めるべきなのか、あくまで宇宙条約の七条でできるのかどうか。その点をもう一回お伺いしたいと思います。
#35
○政府委員(石川晃夫君) この学会で話しされました内容は、先ほど申しましたように、衛星に初めから原子力電池を載せまして、それがまた地上へ降りてきたということでございまして、どちらかといいますと、これは宇宙開発に関する賠償協定の中に含めるべき内容のものではないかというふうに考えるわけでございます。
 なお、賠償協定につきましては、現在、国連においても検討中でございまして、まだ最終案を得るに至ってないわけでございますが、その間、いろいろの問題が提起されておりますので、この中で解決されるというふうに考えております。
#36
○矢追秀彦君 時間がありませんので、最後にインテルサットのことをお伺いしたいのです。
 先日、予算の分科会でもちょっと出ておりましたが、このインテルサット協定の今後の見通しと、現在アメリカに、非常に技術導入にたよっている日本の国が、はたしてどれだけ強い発言権を持てるのかどうか。そういう現在の経過、見通し、それから日本の立場――郵政省の方、お見えになっておりましたら、若干お伺いして、終わりたいと思います。
#37
○政府委員(柏木輝彦君) インテルサット協定は、御承知のように、一九六四年に、まだ実用通信衛星の初期の開発時代におきまして、暫定的に、欧米諸国並びにアメリカ、日本、オーストラリア、カナダというような国が十数カ国これに加入しまして出発したのでございますが、その後、実用化の開発テンポが非常に目ざましく、また、この加盟国もすでに七十数カ国になっております。
 それで、この暫定協定で規定してありますように、一九七〇年末までに、参加国は恒久的な協定に切りかえるための会議を行なうということを規定しておりまして、これに基づきまして、昨年の二月、三月に最初の全権委員会議をワシントンで開催したわけでございますが、第一回の会議が不調に終わりまして、さらにその後三度、中間的な会議で、参加国の非常に対立の激しい基本的問題につきましての意見の調整をはかって、さらにことしの二月、三月にかけて全権委員会議をワシントンで行なったわけでございます。この会議におきましても、結局時間切れになりまして、さらに五月に中間的な作業委員会で意見の調整をはかりまして、ことしの秋、できれば最終的な条約の成立をはかりたいというような段取りになっておるわけでございます。
 日本は、この当初の参加国といたしまして、また、宇宙通信の分野におきましても、非常な実績をこの間にあげております関係から、できるだけ早い機会にこの会議が成功するということを目標にいたしまして、また、その間にあって、日本の宇宙通信その他宇宙に関します技術等の問題におきましても、できるだけ日本の国益を伸長していき得るような配慮をもってこの会議に臨んできたわけでございます。特に、宇宙開発事業団ができまして、国産のロケットによります宇宙の開発ということにつきましての目標が次第に固まってまいり、また、このロケットによります国産衛星がいろいろの実用的な用途に使用され得るわけでございますので、そのような場合の権益がこの条約によりまして不当に拘束されないということを目標にし、特に地域衛星、つまり参加国が共同して打ち上げ利用するような衛星を、通信衛星を開発し、これを利用することにつきましての国の権利を確保するということを主眼にして対処してきたわけでございます。この問題につきましては、この組織が商業的な活動を行なう国際的な組織であります関係上、通信需要者が出資してこれの運用に当たるわけでございます。また、この参加国は、アメリカを非常に大きな利用者としているわけでございますが、日本、ヨーロッパ等、宇宙活動についての今後の力が期待できる国々はもちろん、多くのいわゆる後進国もこれに参加しているのでございます。その中にありまして、アメリカは、当初、地域衛星は、これが実用化される場合には、参加国の経済的な利益に反することになるということを理由に、これを禁止するという提案をしていたわけでございます。これに対しまして、日本は、宇宙条約等の国家の権利並びに参加国の権利義務を確保する意味から、ある条件のもとにインテルサットの星と地域衛星とが技術的経済的に両立するような条件をもって打ち上げ利用をするということについての参加国の権利を認めるべきであるという強い反対提案をいたしまして、ヨーロッパ等の支持を得まして、現在の段階におきましては、日本の提案を基礎にしたものにアメリカも同調しておりまして、同時に、アメリカに同調しておりました多くの後進国もこの提案に結局同調したということで、まだこの提案につきましてはこの会議で採択をするまでの段階には至っておりませんですが、ほぼこの見通しが立ってきたということでございます。
 なお、この通信衛星組織の運営につきましては、発言権は、利用の度合いに応じた表決数を持つというのが原則でございます。日本は、アメリカ、イギリスに次ぎます三番目の利用の度合いを持っておりまして、このようなことできまりますれば、この通信衛星組織の運営についても強い発言権を確保し得るということになるかと存じます。
#38
○矢追秀彦君 長官に、いまの地域衛星がはたして間違いなく打ち上げられる方向に持っていかれるかどうか、それをもう一回確認したいのと、このインテルサット協定の特別協定の附属書の署名当事者というのは、日本の場合、国際電信電話株式会社になっているわけですね。各国を見ますと、アメリカと日本とカナダだけが民間で、あとは全部政府機関になっているわけですけれども、これを民間にされた理由はどういうところにあるのか、それをちょっとつけ加えてお伺いしたいと思います。
 これで私の質問は終わりたいと思います。
#39
○政府委員(石川晃夫君) このインテルサットと、それからわれわれが開発を進めております宇宙開発計画との関連性でございますが、これにつきましては、先ほど柏木監理官からお話がございました内容も含めまして、われわれ強力にわが国の宇宙開発を進めるという方向で進んでいるわけでございます。
 なお、ただいまの特別協定の問題につきましては、柏木監理官のほうから説明していただいたほうがいいのではないかと思う次第でございます。
#40
○政府委員(柏木輝彦君) 特別協定は、御承知のように、この組織に出資する通信事業者がこの当事者となるわけでございまして、これは本協定の規定に基づきまして、政府が指定するということになっております。したがいまして、現在、国際通信事業を運営しておりますのは、日本では国際電気通信株式会社法によります国際電信電話株式会社でございまして、また、カナダ、オーストラリア等におきましても、政府とは別の事業体が運営しております。アメリカでは、アメリカの通信衛星会社法によりまして指定されましたいわゆるコムサットが、この特別協定の当事者になっております。その他、ヨーロッパ等におきましては、国際通信は国営事業が大部分でございますので、この別表に掲げております国は、国営ということで、そういう意味で、事業体ではございますが、国がその当事者として名前を連ねておるわけでございます。
#41
○国務大臣(西田信一君) インテルサットにつきましては、ただいま経過並びに見通しを申し上げましたわけでありますが、非常にわが国の希望に沿うた明るい見通しが出てまいっておりまするし、日本の宇宙開発は実用衛星を目ざしてやっておりますので、われわれは自信を持ってこれから取り組んでまいりたいと考えております。
#42
○委員長(宮崎正義君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○委員長(宮崎正義君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。
 御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。――別に御意見もないようでございますから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○委員長(宮崎正義君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 宇宙開発委員会設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#45
○委員長(宮崎正義君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○委員長(宮崎正義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後二時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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