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1970/03/06 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号
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1970/03/06 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号

#1
第063回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号
昭和四十五年三月六日(金曜日)
   午後一時五十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十八日
    辞任         補欠選任
     長屋  茂君     増田  盛君
 二月二十七日
    辞任         補欠選任
     松下 正寿君     萩原幽香子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         塚田十一郎君
    理 事
                中村喜四郎君
                川村 清一君
                渋谷 邦彦君
                萩原幽香子君
    委 員
                河口 陽一君
                増田  盛君
                増原 恵吉君
                小林  武君
                鶴園 哲夫君
                春日 正一君
   国務大臣
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       総理府総務副長
       官        湊  徹郎君
       総理府特別地域
       連絡局長     山野 幸吉君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する
 調査
 (昭和四十五年度沖縄及び北方問題に関しての
 施策及び予算に関する件)
 (当面の沖繩に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(塚田十一郎君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二月二十七日、松下正寿君が委員を辞任され、その補欠として萩原幽香子君が委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(塚田十一郎君) 次に、理事の辞任及び補欠選任についておはかりいたします。
 伊藤君から理事辞任願いが提出されておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(塚田十一郎君) 御異議ないと認めます。よって、辞任を許可することに決定いたしました。
 先ほど報告いたしましたように、松下君が委員を辞任され、また、ただいま伊藤君が理事を辞任されましたので、理事が二名欠員となりました。
 つきましては、その補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例によりまして委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(塚田十一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に中村喜四郎君及び萩原幽香子君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(塚田十一郎君) 次に、昭和四十五年度沖縄及び北方問題に関しての施策及び予算について政府側の説明を聴取いたします。
 山中総務長官。
#7
○国務大臣(山中貞則君) 私はこのたび総理府総務長官を拝命いたしました山中でございます。
 初めにおわびを申し上げます。
 衆参両院、関係委員会がたくさん開かれておりまして、一時三十分まではすぐ隣の交通対策の委員会に入っておりました。それから直ちに衆議院の予算委員会に参りまして、社会党の小林進君に対する答弁を終えまして直行いたしましたので、心は二つ身は一つ、どうぞお許しいただくようにお願いをいたします。
 この際、沖縄問題及び北方問題についての所信の一端を申し述べさせていただきたいと存じます。
 まず、沖縄についてでありますが、多年わが国民の宿願でありました祖国復帰は、昨秋の佐藤・ニクソン会談によって「一九七二年中に、核抜き、本土並み」という大多数の国民の意志に沿った形で実現を見ることとなったわけでありまして、まことに慶賀にたえません。今後、政府は、施政権返還のための具体的交渉に入るわけでありますが、これと並行して、復帰を円滑に進めるための内政的な諸準備を進めなければなりません。何といっても、四半世紀の間、他国の施政権下に置かれてきた沖縄を祖国に迎え入れるという事業は、政府が真剣に取り組むべき一九七〇年代初頭における歴史的大事業であります。
 私は、この重要なときに、沖縄問題を担当する国務大臣に就任しましたが、微力のすべてをなげうって全力をあげて本問題の処理に取り組んでいく決意であります。
 現在、沖縄県民の間には、復帰を目前にして、復帰後の経済的、社会的諸問題について不安を抱いている向きのあることを私は承知しております。さきの大戦において身をもって祖国の防衛に挺身され、多大の犠牲と甚大な戦禍をこうむりながら、戦後はそのまま長い年月米国の施政権下に置かれてきたことが、国際緊張のもたらした結果であり、祖国日本の努力のみでは解決し得なかった問題であることを理解していただけるとしても、沖縄百万同胞の方々の心情については、一億国民とともに祖国が償いの心を持ってまず事に処すべきであり、担当大臣としての私はこのことを一そう痛感しているところであります。政府は、すみやかに沖縄の将来の展望を含めた復帰対策の基本方向を確立し、沖縄県民の方々が喜んで復帰の日を待ち望むような体制を整える責任と義務があると考える次第であります。
 私は、この認識に立って、今後、豊かな沖縄県づくりを目標に、本土、沖縄の一体化施策を強力に推進するとともに、政府諸機関の協力を得て、早い機会に沖縄復帰の基本方針を策定し、円滑な沖縄の祖国復帰を期し、沖縄県民各位の抱いておられる不安や動揺の解消に全力を傾ける決意であります。
 政府は、さきに沖縄の復帰対策の大綱を決定するため、内閣に沖縄復帰対策閣僚協議会を設置したのでありますが、さらに、現在の総理府特別地域連絡局及び沖縄事務所を改組し、総理府の外局として沖縄・北方対策庁を新設し、その現地機関として沖縄事務局を設置し、沖縄に置かれる返還準備委員会日本政府代表と協力して復帰準備対策の遂行に万全を期することとしている次第であります。
 明年度沖縄援助予算につきましては、復帰準備を本格的に進めるため、一体化施策を一段と充実強化し、かつ、復帰に備えて沖縄の経済、社会の開発、発展をはかるために必要な財政措置を講ずることとした次第であります。その結果、明年度の沖縄援助総額は、一般会計において二百六十億一千六百万円余、財政投融資において七十億円、合計三百三十億一千六百万円余となり、前年度の援助額を百億円以上も上回るものとなっております。これに本土産米穀の売り渡し代金の沖縄における積み立て運用額二十億円を加えますと三百五十億円以上に達し、本年度の援助額に比べ実に五四%の大幅な増額を示しております。
 私は、これら当面の措置に引き続き、沖縄復帰対策の大綱の策定に取り組む方針でありますが、復帰対策の策定及び推進にあたっては、第一に、従来政府が進めてきた一体化施策について、その対象範囲を拡大し、政治、経済、社会、教育等の諸制度について積極的に本土との整一化をはかるとともに、立ちおくれの著しい社会資本の充実、公共施設の整備、社会福祉の充実等本土との格差の是正につとめること、第二に、経済問題については、沖縄経済が復帰に際し急激な変動を来たさないよう十分配慮しながら、長期的展望に立って、日本経済の一環としての沖縄経済の新たな役割りを探究し、その長期開発構想を策定して沖縄経済の維持発展振興に努力すること、第三に、復帰の際に処理を要する諸問題、特に、本土法適用に際しての経過措置等については、沖縄の政治的、社会的、経済的実態に即して慎重に検討し、綿密かつ周到な用意をすること等を主眼といたしたいと存じます。
 次に、当面解決を要する問題として、沖縄における軍関係労働者の大量解雇問題が発生しておりますが、政府としては、今回の大量解雇が沖縄における社会一般に与える影響がきわめて大きく、かつまた、大量解雇をめぐって生じている労使間のトラブルが日米友好のためにも好ましくないものと考えておりますので、当面の措置として琉球政府が行なう軍関係離職者対策に積極的に協力することをきめ、財政的、技術的援助を行なうこととするとともに、米国に対しても離職者救済措置の円滑な処理及び労使間のトラブルの円満解決をはかるため、先般、解雇予告期間を本土並みとすること、退職手当の増額についても本土並みに考慮すること、再就職に備えて基地内における職業訓練を実施すること等を申し入れた次第であります。
 特に、本問題をめぐって全軍労と米軍との間に生じているトラブルにつき、基地機能の維持は関係地域住民の協力と理解なしではあり得ないという認識を日米ともに持ちつつ、特に復帰後に向けての長期的展望に立って労使間の安定をはかることが大切と考えますので、政府としては、今後とも事態の進展に応じて適切な措置が講ぜられるよう米側と協議してまいるとともに、沖縄の現在の雇用形態が労使関係を硬直化させた遠因をなしていると判断されますので、雇用制度の改善について本土に準ずる間接雇用形態への切りかえを目標に、外交ルートを通じて積極的に努力してまいる決意であります。
 なお、これらの復帰対策については沖縄県民の意向をまず優先して反映させるべきであり、この意味においても沖縄県民代表の国政参加の早期実現が望まれますので、各位の格別の御配慮をお願いする次第であります。
 次に、北方領土の問題についてでありますが、沖縄の一九七二年返還が確定した今日、戦後処理として残された最後の懸案である北方領土問題の解決に国をあげて取り組まなければならないと考えております。
 政府は、従来よりソ連に対し、機会あるごとにその返還を要求し、昨秋には、愛知外相の訪ソの際もコスイギン首相との会談において強くその返還を要求いたしたのでありますが、ソ連側は、日ソ間の領土問題は解決済みだとの主張を繰り返すとともに、第二次世界大戦後の領土の現状を変更することは他に波及することとなるので好ましくないと主張し、何ら前進を見るに至っていないことはまことに残念にたえません。このように過去の日ソ交渉の経過を直視するとき、北方領土問題の解決はなかなか容易なことではないと考えさせられます。
 したがって、今後北方領土問題の解決にあたっては、まず政府が先頭に立って努力することはもちろんでありますが、国民の一人一人が北方領土問題についての理解と関心を高め、強力な国民世論を背景にして今後とも粘り強い交渉を続けていくことが肝要であり、同時に、北方領土問題の解決なくしては、日ソ間の真の友好、協力関係の発展はあり得ないとの立場を堅持しつつ、沖縄以後の新事態を踏まえて、新しい国際情勢の展開の中で本問題の解決をはかる必要があると考えるのであります。
 このため、政府は、今回沖縄の復帰準備対策の推進と並行して本問題の解決促進をはかるため、前にも述べましたように沖縄・北方対策庁を設置するとともに、他方既存の北方問題各省連絡会議を通じて関係機関の緊密な連携のもとに政府施策の推進をはかってまいりたいと考えております。また、先に発足させた北方領土問題対策協会を推進母体として北方領土問題に関する国民世論の高揚をはかり、政府、国民一体となって本問題の解決に不退転の努力を続ける決意であります。
 以上をもって所管大臣としての私の沖縄問題及び北方問題についての所信表明といたします。今日まで長い間これらの問題に取り組んでこられた特別委員会委員各位の御協力を期待してやみません。
#8
○委員長(塚田十一郎君) この際、湊総務副長官から発言を求められておりますので、これを許します。
 湊君。
#9
○政府委員(湊徹郎君) 私は去る一月二十日総理府の副長官を拝命いたしました湊徹郎であります。山中長官と一緒に所管の事項、特に沖縄・北方問題について全力で取り組みたいと思っておりますので、今後とも御指導御鞭撻賜わるようお願い申し上げましてごあいさつにかえたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
#10
○委員長(塚田十一郎君) 引き続いて補足説明を聴取いたします。
 山野特連局長。
#11
○政府委員(山野幸吉君) 昭和四十五年度の対沖縄援助費その他の予算もこの機会に合わせてちょっと触れておりますので、「等」を入れていただきたいと思います。御訂正をお願いします。
 対沖縄援助費等に関する説明を申し上げます。
 まず、昭和四十五年度の対沖縄援助費についてその概要を御説明いたします。
 昨年秋行なわれました日米首脳会談において、沖縄の本土復帰が一九七二年中に実現することとなったことに伴い、明年度の沖縄援助におきましては、本土及び沖縄双方の復帰準備体制の整備強化に即応し、行政各般にわたる格差の是正措置、各種制度の整備及び産業経済の振興開発等を強力に推進することにより、沖縄の本土復帰の円滑な実現をはかることを基本とし、これがため特に、一 復帰に備え、沖縄経の開発と産業基盤の整備をはかるため、復帰記念事業としての主要島嶼の一周道路の改良整備等の公共投資を中心に、財政援助計画の拡大をはかること。二 社会保障制度、医療体制の整備充実及び文教施設の拡充強化等本土との格差の是正、制度の整備等について援助措置を強化すること。三 琉球政府及び市町村の財政を強化するため、琉球政府行政運営費について援助措置を講ずるとともに市町村交付税に対する援助の増額等により、一般財源の充実をはかること。
等に重点を置き、援助計画を策定したものであります。この結果、明年度沖縄財政援助費は、一般会計分 二百六十億一千六百八十八万余円、財政投融資分七十億円を合わせ三百三十億一千六百八十八万余円となり、これに前国会において成立を見ました、沖縄における産業の振興開発等に資するための琉球政府に対する米穀の売渡しについての特別措置に関する法律に基づいて沖縄に積み立てられる本土産米穀資金の予定金額を加えますと総額は三百五十億円余に達する見込みであります。これにより、明年度援助額は、本年に比して約五四%の伸びとなり、これによって復帰準備は着実に遂行されるものと考えております。
 以下援助計画のおもな内容について逐次簡単に御説明いたします。
 まず産業振興及び国土開発関係の援助といたしましては、農地農業用施設、道路、港湾、漁港、林道等の産業基盤を前年度に引き続き整備するとともに、那覇新港、泊漁港、石垣漁港、西表縦断林道等についても継続して工事の進捗をはかるほか、今後の沖縄産業開発の先導となるべき基盤整備事業を特に復帰記念事業として実施することとし、おおむね一九七二年完成を目途に、沖縄本島、宮古島、石垣島、西表島、久米島等主要五島の循環道路の改良新設を行なうための初年次分の援助を行なうこととし、また、本島北部一帯の広範な水資源の調査及び南部戦跡の整備のための経費について援助することといたしました。
 農林漁業及び中小企業の振興については、財政投融資を拡大し、金融上の援助を行なうほか、特に中小企業につきまして、新たに近代化資金制度の創設、信用保証事業の充実、指導事業の強化等を行ない、復帰に備える体制を整えることとし、農林漁業関係では、家畜導入、糖業振興等従前からの事業にあわせ、明年度においてはキビ作合理化対策、病害虫防除、農産物流通対策、沿岸漁業振興対策、農業試験研究等の事業を加え、基幹産業の体質改善と振興をはかることとしております。
 また、都市計画事業を大幅に拡大して那覇市を中心とする都市建設を推進するほか、下地島に三千メートル級の大規模な滑走路を有する訓練飛行場を建設し、離島の効果的開発をはかることとしております。
 治山事業、河川改修、海岸護岸改修、造林事業等についても前年に引き続き援助を行ない、国土の保全につとめるとともに、新たに国土基本図を作成するための援助を行ない国土の開発利用に資することとしております。
 社会福祉及び医療関係の援助につきましては、国民年金事業に対する援助のほか、各種年金保険制度のうちいまだ実施されていなかった厚生年金保険及び国民健康保険について明年度から制度の発足が予定されますので、新たに本土の国庫負担制度に準じた援助を行なうことといたしました。また、生活保護の基準を、ほぼ本土並みの水準に引き上げることを目途に援助を充実し、身体障害者福祉及び老人福祉対策をはじめ、母子福祉資金、世帯更生資金等についても本土における国庫補助制度に準じた援助を新たに行なう等社会福祉及び低所得者対策の充実に配慮し、児童福祉対策においてもその内容の充実につとめております。
 また本土との格差是正の見地から社会福祉施設の拡充整備をはかるため、保育所、老人ホーム等を従前に引き続き整備するほか、重症心身障害児施設、精神薄弱児及び養護施設等の新設を行ない、住宅対策といたしましても公営住宅及び財政資金による融資住宅の増加をはかることといたしました。
 精神衛生対策、ハンセン氏病対策、原爆被爆者対策等いずれも前年度の対策をさらに充実することとし、結核対策といたしましては、新たに健康診断費及び在沖患者医療費について援助を行なうようにいたしております。
 なお、沖縄の医療水準の向上のため、かねてから建設を進めてまいりました新那覇病院も明年には完成の運びとなり、その建設の最終年次として、建築費とともに設備備品についても援助するほか、精神衛生対策の一環として、精神病院の増築についても援助することにし、さらには、離島僻地の医療体制を整備する経費として、診療船の購入費援助とともに医療、救難業務等多目的に利用されるヘリコプターの購入費に対し援助することにより、従来から継続して実施してきた無医地区に対する医師派遣とあわせてその対策を充実いたしております。
 軍雇用者の解雇対策といたしましては、御案内のごとく、本年度援助費の中で、特別給付金等にかかる援助措置を中心に一応の応急措置をとったところでありますが、明年度におきましては、まず失業保険の運用に要する財源の援助をはじめ、軍雇用者援護措置費として本土における駐留軍離職者対策に準ずる援護が沖縄においても実施できるよう措置し、再就職訓練のため、本年、雇用促進事業団が着手した総合職業訓練所の設置とあわせ公共職業訓練所の整備及び基地内職業訓練に要する経費についても援助するとともに、離職者の援護指導等のための公共職業安定所の整備についても措置することといたしました。
 文教関係の援助につきましては、教育水準の向上のため、義務教育諸学校の施設備品を前年に引き続き整備するほか、沖縄における高校施設整備の現況にかんがみ、新たに高等学校の施設の整備及び産業教育設備についても援助することとしております。また、琉球大学の整備につきましても、かねて建設中の保健学部の施設は、明年度をもって完成いたしますので、既設学部を含め設備備品の援助を大幅に拡充し、その内容の充実をはかることといたしております。また、義務教育職員の給与費、教科書無償給与費、準要保護児童及び特殊学校児童の就学奨励費、私学振興費、学生招致に要する経費等について引き続き援助を行なうほか、水産高校実習船の建造、教育研修センターの増築等に要する経費について新たに援助することとし、僻地教育の振興についても本土に準じ援助することといたしました。
 次に、琉球政府及び市町村の行財政関係について申し上げますと、琉球政府及び市町村の行財政水準の向上をはかることは、復帰準備のための最も重要な課題の一つでありますので、明年度においては、新たに琉球政府の行なっている国政事務及び県政事務を含め行政運営費の一部を援助することにより、琉球政府の財政力の強化をはかることといたしました。
 また、市町村については、市町村交付税の財源としての援助を大幅に増額し、一体化施策の推進に沿って市町村行財政の充実強化と住民サービスの向上に資することといたしました。
 以上のほか、前年に引き続き、航路標識、気象観測施設、警察通信施設の整備及び南方同胞援護会を通ずる福祉事業の援助を行なうとともに、今年度から新たに市町村消防施設の強化に必要な財政援助を行なうことといたしました。
 また、今年十月本土において実施される国勢調査にあわせて沖縄においても国勢調査を行なうこととなっておりますので、これに対する援助を行なう等本土との一体化の促進をはかることといたしております。また、米軍基地周辺の小学校、幼稚園、病院等の公共建物の防音工事についても新たに援助するほか、昨年秋の台風第十一号及び十二号による災害復旧工事、離島通信及び離島航路の整備調査等住民福祉の向上のための施策を進めることといたしております。
 なお、近く、多年沖縄住民が要望してきた国政参加が実現の運びになるものと期待されますので、選挙の執行に要する経費をあらかじめ計上しその円滑をはかることといたしました。
 以上のような援助事業を予定し、それぞれについて経費の見積もりを行なっておりますが、災害その他不測の事態の発生等に備え、明年度においてはあらかじめ援助費のうちに調整費を計上し、援助事業の迅速な執行と琉球政府の財政の安定に資することといたしております。
 明年度援助計画実施に要する経費は、本土産米穀資金による二十億円を除き冒頭申し上げましたとおり総額三百三十億余円となりますが、予算計上等については、日本政府と琉球政府との会計年度の相違を考慮し、昭和四十五年度一般会計分百八十五億六千余万円、同財政投融資計画分三十五億円、合計二百二十億六千余万円と、昭和四十六年度一般会計計上予定分七十四億五千余万円、同財政投融資計画予定分三十五億円、合計百九億五千余万円とに、それぞれ区分計上または計上予定いたしております。
 なお、昭和四十五年度の対沖縄援助費は、さきに述べました二百二十億六千余万円に前年度分六十九億五千余万円を加えた二百九十億一千余万円と相なっております。
 次に、以上御説明いたしましたほかに、沖縄の復帰対策の推進体制を整備するための沖縄・北方対策庁設置に必要な経費として三億三千百余万円、尖閣列島及びその周辺の資源調査に必要な経費として三千百万余円、本土産米穀の琉球政府への売り渡しにより生ずる食糧管理特別会計の損失を補てんするための繰り入れ金として二十二億円を含め所要の経費を計上いたし、また、北方領土問題並びに北方地域に関する諸問題の解決を推進するための諸対策に資するための、北方地域総合実態調査経費及び同地域元居住者の実態調査経費等として三百万円余を計上するほか、昨年発足いたしました北方領土問題対策協会を推進母体として今後も積極的な北方領土問題に関する世論喚起をはかるための啓蒙宣伝、調査研究、国民大会、領土展、キャラバン隊派遣経費、北方地域元島民の生業研修経費等にかかる補助金として四千四百万円余、合計四千七百万余を計上いたしておりまして、これらの経費の合計は二十八億四千六百余万円となっております。
 以上をもって私の説明を終わります。
#12
○委員長(塚田十一郎君) 以上で政府側の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#13
○委員長(塚田十一郎君) 次に、沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。
 本調査及び先ほどの政府側の説明につきまして質疑のある方は、順次御発言を願います。
#14
○川村清一君 ただいま総務長官から所信表明をお聞きいたした次第でございます。なお、局長の説明要旨等も含めましてお尋ねしたいことがたくさんあるわけでございますけれども、この問題につきましては後に残しまして、本日は沖縄が当面する緊急の問題について若干お尋ねをしたいと思うわけであります。もちろん、この問題もただいまの長官の所信表明の中にも入っておるものでございますが、問題は、全軍労のストライキの問題でございます。私は、全軍労の第三波のストライキは絶対に回避をしなければならないと、こういう立場に立ってお尋ねをするわけでございますが、第一波は四十八時間のストライキをやり、第二波は百二十時間、この上に第三波が三月二十日ごろに行なわれるといったふうなことも聞いておるわけでございます。しかも、現在の情勢では第三波は避けられないような状態にあるのじゃないかと、こう私は思っておるわけであります。もし第三波ストライキが実施されますならば、これは第一波、第二波の全軍労だけの戦いではなくして、全軍労とともに県労協、教職員会等もストライキに突入すると、こういわれておるわけでございまして、このようなことになりますれば、第二波のときにもあらわれておりましたように、基地に依存して生活しておるサービス業者、こういったような人たちとの対立がますます激化されるということも予想され、そういうような事態になりますれば、まさに県民同士が血で血を洗う、こういったような悲劇が第二波以上に激しく繰り返されるわけでございまして、七二年返還を前にして、まさに民族の悲劇であろうと私は思っております。このような悲劇が起きることを絶対に避けなければなりません。絶対に起こしてはならないと私はこう思い、現在の情勢を心から心配しておるものであります。
 そこで、この所信表明の中にも出ておりますけれども、沖縄問題の主管大臣である総務長官は、今日のこの状態をどのように把握されておるのか、さらにこの状態に対処してどのような施策を具体的になさろうとしておるのか、今日どのような努力をされておるのか、この所信表明だけでは具体的によくわかりませんので、もっと突っ込んでこの際御説明をしていただきたい、こう思うわけであります。
#15
○国務大臣(山中貞則君) 御指摘になったことは私も大体そのように受け取っております。ことに復帰の決定いたしました喜びの裏に不安、動揺、混迷、さらに全軍労ストをめぐります基地依存業者との間のトラブル等につきましては、最も私も胸を痛めておるところでございます。このようなことの起こらないように、復帰に至るまでの二年間というものが、日本のみならず、米国のためにも長期的な友好のいしずえになる二年間にすべきである、私はかように考えております。そのような意味から、今後かような好ましからざる現象が起こらないように全力をあげて努力する責任が私にあると考えております。
 そこで、就任直後から第二波の五日間ぶっ通しのストが始まったわけでございまして、屋良主席もちょうどそのために上京をされておられました。意思の疎通をはかりつつ何とか実をあげたいと努力いたしてまいりましたけれども、施政権が米側にあるという関係と、第二波ストに関しましては、主席が上京されましたのが金曜の夜でございましたので、土曜、日曜はこちらの大使館が休みであり、時差の関係でこちらの月曜日にアメリカ側が休みということになりまして、収拾の交渉相手がいないというたいへんタイミングの悪い時期でございましたため、日曜日の午前零時からのスト突入という現象を阻止できなかったわけであります。私は、このような全軍労ストに見られる現象は、いまの所信表明でも述べましたように、沖縄を四分の一世紀にわたる長い期間他国の施政権下にゆだねた祖国のまず一番先に義務として取り上げなければならない問題であろう、このようなことを続けてはならないということを政府として努力する義務があろうと考えておりますが、そのためには一番の根本は、やはり直接雇用形態というものにその遠因があるように私は思うのです。ベトナム帰りの米兵の銃口と沖縄県民のからだとがまともにぶつかり合うようなことを私はよもやアメリカも好んでやっていようとは思いません。二年後は、どうせ欲すると欲せざるとにかかわらず本土の間接雇用形態そのものになるわけでありますから、この二年の間に、しかもすみやかに雇用形態を、たとえ施政権下であっても、かつて私ども、日本占領治下において、間接雇用の雇用形態が占領中にとられました先例もありまするから、アメリカ側にもとくとそこらのところを、マイヤー大使あるいはランパート高等弁務官等と直接私も会いまして、現在は外務省の外交ルートを通じてそこらのところをかんで含めるようにお話をしているところでございまして、幸いそれに対する反応も、当初は日本政府とアメリカ政府の問題ではないという立場を堅持しておりました米側も、現在では、どちらがより好ましいことに向かうのであるかという観点に立って、たいへん前進をして来つつあるように私は印象を受けておるわけでありまして、この問題をぜひともすみやかに解決して、いろいろな障害がありましても、雇用形態は一時的にアメリカ軍が直接雇用する形でない形で、その雇用主が米側と交渉するというソフトな交渉ができるような形にぜひ持ち込みたい、こう思っております。そのためには、現在本土側との給与水準の違い等もございますけれども、しかし、それを踏まえましても、なおかつ、退職金の率において本土側と三六%ほど沖縄のほうが低うございますので、これらの問題を、原則的には、アメリカ側が日本本土において見ておりまするように、全部見るべきものだと思います。しかし、アメリカといたしましては、昨年の一九七〇会計年度でも、沖縄において二百万ドルのきまった予算の年度内削減を行なったような現象から見、また、ことしの大統領の年頭教書、予算教書等から見まして、このアメリカのインフレに対処する決意の異常なもの、しかもその予算の軍関係予算、海外基地関係の援助予算等についてのきびしい態度というものを率直に認めざるを得ません。そうすると、この問題について米側が責任があるといいましても、やはり本土政府側も何らかの対応すべき準備をしなければならないのではなかろうか。こう考えておるわけでございますが、さらに解雇予告期間等につきましても、現地では四十五日間という原則どおりにやっておりまするし、こちらでは六十日から九十日という相当長期な余裕を持って、精神的にも、あるいは再雇用の期間を時間的に与えるような、そういう幅も含みもある準備をさせておりますけれども、現地ではそれがなされていない。これも予算に関係もあるわけでございますけれども、これらの問題をアメリカ側ともなおいま折衝中でございまして、もしこの雇用形態について米側が日本政府の好ましい形というものに近い形の譲歩を示してくれますならば、私はすみやかに沖縄の人々の退職金について本土並みの措置をとることにいたしたい。かように考えて、関係者と相談しつつあるわけでございます。
#16
○川村清一君 ただいまの長官の御答弁を承りまして私も全く同感に思っております。そういう点で努力されていることについては敬意を表するものでありますが、私もこの第三波のストライキを回避するための条件――最少限度の条件は、いま長官がおっしゃった二つだと思う。この雇用形態を直接雇用から間接雇用に移行すること。そしてそれをもとに、退職金を現在本土の軍雇用者の三分の二程度しかもらっておらないところの沖縄の全軍労の労働者に対して、その差額分を日本政府が何らかの形でこれを上積みする。この二つの条件が満たされるならば、第三波のストライキは何とか回避できるのではないか。その条件を満たすことによってぜひひとつストライキを回避して、民族の悲劇というものを食いとめていただきたいというのが私の念願であります。政府もそういう考えで努力されておる、アメリカ政府に対しても申し入れられておるというようなことはこの所信表明の中にもあります。ただいまの長官の御答弁を承ってわかったわけでございますけれども、そこで、現在なお実現できない、へたすると三月二十日ごろには第三波のストライキに突入するんではないかというこういう心配の状態の中で、なぜ一体それができないのか。それはアメリカの施政権下にあるからと、こういう一言で言われるわけでありますが、このアメリカの施政権下において、施政権が戻ってまいらなくてはこの問題の解決ができないのかどうか。何が一体――もっとネックになっているものがあるのか。これを突っ込んでお聞かせいただきたいと思うんです。
#17
○国務大臣(山中貞則君) 第三波ストが回避できるかできないかという観点よりも、そのような現象がどこから起こっているのだということについて、私は祖国政府がとらなければならない義務は何と何であるかということについて詰めておるわけでございまして、ストの収拾とか決行とかいう条件はほかにもありまして、指名解雇の六名は絶対に撤回しなければストをやるぞとか、あるいは収拾はしないぞとかという、いわゆる組織の雇用者に対するメンツの問題というようなものもやはりからまっておりますから、それらの問題まで本土政府でやれとかいうことはあなたもおっしゃっていないことはわかっておりますけれども、ストを収拾するためにやっているというのは少し直線的過ぎる議論になりますので、私は、そのような好ましくない現象がなぜ起こったかという根本をつかまえて、それを解決して努力したならば、しかもすみやかに解決がもたらされたならば、私も会見して、良識ある指導者と思われる上原全軍労委員長以下の首脳部の方々が、そこらに何らかの御判断があるものであろうと考えておりまするし、そのために努力をしておるわけでありますが、それで施政権が向こうにあるからといって逃げておるというようなお話でありましたが、実はそうではないんでありまして、施政権が向こうにあっても、二年後にはどっちみち施政権も返れば雇用形態も本土並み、すべて本土並みになるんだから、その間においてすみやかに私たちの願っておる雇用形態について直接雇用を避けるような形のものを考えたらどうだということで、いろんな案を出して検討しておるということであります。しかも、それについてはなるべくすみやかに措置をしたいと考えるわけでありまして、私は、これを来年とか再来年とかいう時限においてとらえて言っておるのではありません。現にアメリカ側といたしましても、将未そのような長期的な時限で相談でもしましようというような態度ではないんでありまして、私との直接の接触、間接のルートによりましても、それらの話し合いが刻々と具体化の線に近づいておる。ですから、いつまでとおっしゃっても、それは私たちが単独できめにくい問題でありますので、きめられない問題と言ったほうが正しいかもしれませんが、やはり現在施政権があることだけは事実でありますので、そこらのところをお互いに理解し合いながら一刻も早く解決をしたい。私はそのために、万博の開会式に閣僚がみんな参りますのに私だけ取りやめまして、現地に飛んで最後の詰めをランパート高等弁務官といたす日程を組んだわけであります。ところが、ランパート高等弁務官の日程がすでに先島――本島よりか別の離島でごさいますが――の視察を組んでありまして、それが急に変えられないということと、それから、私も手落ちだったんですが、屋良主席が万博に実は上京してこられるということをあとで知りまして、これでは主席もおられない、弁務官も私とこの問題はじっくり話し合わなければいけませんから、ただ会って表敬というようなことの時間しかないようなことでは、これはかえって、行くことそのことが意味をなさないと考えましたので、日程を取りやめました。しかし、取りやめたということは、十五日前後に何らかの形をつけたいと思っていた願いを、それを放棄したことではありませんので、したがって、弁務官と直接向こうで会う形のかわりに、こちらのマイヤー大使その他正常な別なルートによって接触をはかりつつすみやかに解決をもたらして、このような御指摘のような民族の悲劇に、少なくともこの全軍労問題に限って、終止符を打つようにしなければならぬという決意においては、私も同感でございます。
#18
○川村清一君 私の申し上げておるストライキ回避というそういう面においてとらえるのではなくして、要するに、こういう事態がなぜ起きたかという原則的な面からとらえてこういうことを考えておるんだという御答弁でございます。それはもちろんそうなんです。その原則的な問題が解決しておれば、これは最初からこういう問題は起きておらない。現在は間接雇用でなくして直接雇用であるがために、要すれば、この布令一一六号によって本土の労働者のような労働基本権というものが何も与えられておらない、団体交渉権も何もない、ストライキをやるというとたちまちそれは処分されてしまう。こういったようなことが基因していることはもちろんでありますが、しかしながら、冒頭私が申し上げましたように、当面する緊急の問題として私は指摘をしたい。したがって、緊急の問題としてこれをとらえた場合において、やはり第一波、第二波のストライキを行ないまして、もう長官御存じだと思いますが、第二波のストライキに対する処分はまだ発表されておりませんが、第一波におきましては八千八百名の者が処分されているわけであります。その中には十一名の解雇者があるわけであります。そうして残りは全部停職であります。最高二十日間の停職であります。この間、ストライキをぶっている間の賃金をもらえないのは、これはストライキですからそれは労働者も覚悟してやっていることでしょう。しかしながら、停職処分を受けてこの間二十日間も全然賃金をもらえない、こういう状態である。しかも、この第三波をやるというようなことになったら一体どうなるのか。この点を私は非常に心配いたしまして、やはりこの緊急の問題を解決するためにも、長官のおっしゃっておる基本原則を解決しなければ解決できないわけであります。そこで日本政府もこれをとらえられてアメリカに対していろいろ交渉されておる、努力されておるということは、これは認めます。認めますが、さっぱり返事が返ってきておらない。この長官の所信表明の中にも、「アメリカに申し入れた次第であります」と、こういうふうに書かれておるんであります。そうして、これはたしか一月初めの閣議で決定されてアメリカ政府に対して申し入れをしたということも新聞報道で存じておる次第でございますが、その後一体、正式にアメリカ政府のほうから日本政府のほうに何らか具体的な回答があったのかどうか。その後新聞報道等を読みますと、これは二月六日の新聞に出ておったわけでありますが、ランバート高等弁務官がアメリカから帰ってまいりまして記者会見をし発表したこの記事を読みますと、ちっとも、現在の全軍労の方々が要求しておること、何とかストを避けたいという、そういう気持ちで最小限の要求をされておることに対して、誠意ある回答が示されておらない、こういうふうに私は受け取っておるわけであります。そこで、長官の言われておったそういう考え方に立って日本政府が正式に要請したそのことに対して、もっと前進した誠意ある回答がアメリカから日本政府に対してなされておるのかどうか、それをお尋ねしたい。
#19
○国務大臣(山中貞則君) 回答というのは、文書による回答、口頭による回答、いろいろありましょう。しかしながら、こちらも申し入れをいたしたわけでありますが、その最初の一月の初めのころ――私の就任以前でありますけれども、その時点ぐらいまでの米側の基本的な態度は、日本政府とアメリカ政府との間の問題ではないという態度であった。それが、たとえば日米協議委員会の席で――外に発表はいたしておりませんが、いままでの態度から、アメリカ政府と日本政府との間で今後相談すべきことであって、しかも、これをお互いが前進するため努力しようということに歩み寄ってきた。これは私は大きな変化だし、ある意味における回答であると思います。それにつきましては、新聞報道のみによれば、ランパート高等弁務官あるいはマイヤー大使の現地の沖縄における記者会見等における感触も、当初の感触とはずいぶん違っているわけでありまして、私は外交辞令やあるいはマナーも知らない者でありますけれども、しかし、私の信じて進めていることはやらなければならないことであり、アメリカ側にぜひとも耳を傾けてもらわなければならないことであると信じて推し進めていくことでありますから、ときにぎくしゃくしたり、あるいは外交的に見れば猪突猛進であったり、こっけいであったりするかもしれません。しかし、私としてもそのようなことをやらなければならないこと、価値のあることであると考えて進めておりますので、それに対して何月何日にどのような表現でもって回答したかということをおっしゃると、そういう回答というものはございません。しかし、やはり接触を保っておりますうちにずいぶん歩み寄ってまいりまして、私としてはその解決の日はほぼ近いと考えております。しかしそれを、いま布令第一一六号を廃止せよとか、あるいは場合によっては、裁判管轄権の問題というようなことまで含めて解決しなければならぬということになりますと、これは容易ならざる障害となってそれが立ちふさがるであろうと思います。私は、そういうものがいまあることは一応認めてでも、まず直接雇用形態というものを間接雇用に準ずる形態に持ちこむこと、このことがまず第一義的な仕事じゃなかろうか。そして、持ち込んで、その障害となるべき布令一一六号の中の個条は何と何であるか、あるいはその後、金を支払ったり、あるいは雇用に関するトラブルを処理したり、裁判に持ち込んだりするときの施政権下の障害というものは何であるか。こういう問題を次々に片づけていけばいいのであって、これを、完ぺきなものから出発しなければだめだというと、米側はあと二年たったら本土の法令どおりになるんだからということを承知していても、現実にはなかなか前進しないという結果に私は終わるのではないかと率直に考えているわけであります。
#20
○川村清一君 私も、先ほどから何回も申し上げておりますように、そういう問題をすべて解決せよということを申し上げておるのではないことは御承知だと思うわけであります。この際、布令第一一六号を廃止せよとか、あるいは裁判管轄権の問題をどうせよといったような問題は、これは重大であります。重大でありますけれども、いまそれを申し上げておるのではなくて、とにもかくにも第三波ストライキの回避、何とか回避してくれるように努力してくれ、そのためには最小限の要求はこれじゃないかと。そしていわゆる退職金の上積みにしても、雇用形態が変わったらということが日本政府の考え方ですから、雇用形態を一本にしぼってひとつ努力してくれということを私は申し上げておるわけであります。それで、いま施政権の問題に触れて恐縮でございますけれども、どうも衆議院予算委員会等における佐藤総理大臣なんかの御答弁を読んでみますというと、施政権が一番先に出てきますから。しかし、施政権というものが返ってくれば問題はない。施政権がまだ向こうにあるわけですから。施政権が向こうにあれば絶対できないのか、絶対不可能かというと、私はそうも思わないのであります。たとえば本土の軍雇用者の雇用形態におきましても、昭和二十六年、いわゆる占領下においてこれが直接雇用から間接雇用に移行されておる。それから沖縄における最大の問題であるところのいわゆる国政参加の問題にしても、施政権は向こうにある。日本の憲法は適用されておらない。日本の憲法が適用されないでおっても、いまや国政参加が別な形において実現されようとしておる。いま各党がいろいろ協議して大体意見が一致して、そうしてこの国会において国政参加が実現しようとしておる。こういうことを考えてみれば、日米両国政府の誠意によってこれを解決できるんだ、いまのこの沖縄の軍雇用者の実態を考えてみるときにこれは何とかしなければならないというように、両国政府の誠意が解決のかぎである。どうも私は、この誠意が山中長官は非常におありだというふうに答えておりますが、しかし、政府として考えてみたときに、どうもそこまで行っていないのじゃないか。だから、沖縄住民は率直にいまどう感じておるか、日米共同声明後アメリカのほうは、もう七二年になれば返ってしまうのだからもうその責任はないというような立場、また、日本政府は施政権が返ってくるまではどうにもならないと言ってみたり、あるいは、ほんとうに言ったのかどうか私わからぬが、沖縄県民を甘やかしてはいけないといったようなことを言ったというようなことも新聞に出ておる。こういうような感覚でこの問題は私は解決しないと思うのです。ですから、ぜひこの問題を早急に解決して、第三波のストライキだけはぜひ回避してもらいたい。努力しておるけれども実が結ばないうちに第三波ストライキに突入して、そうして第二波以上の悲劇が繰り返されたとすれば、私どもは同じ民族としてほんとうにやりきれない。七二年沖縄返還に伴う悲劇として、これは何としても納得できないわけであります。この点をあなたは主管大臣としてもがんばっていただきたいわけであります。
 そこで、山中長官と非常に親交の厚い中曽根防衛庁長官が――これも新聞によって承知したわけでありますが――上原全軍労委員長に対しまして、山中総務長官を助けて間接雇用が実現するよう全力を傾ける、こういうことを言っておる。具体的には、防衛施設庁においては、本土の全駐労が占領中に間接雇用に移行した前例があるので、労働三法の線に沿ってアメリカ高等弁務官布令を改廃するなど、本土と一体化する、制度的改正をする。第二番目として、間接雇用事務を担当する係官を特設する用意があると、こういったような非常に具体的なことも言われておるわけであります。こういう点でがんばって、ぜひこれを実現していただきたいというのが私のたっての念願であります。こういう立場で質問しておるわけです。そうして第三波ストライキだけはどんなことがあっても回避していただきたいということ、これは最後の私の質問でありますが、長官のほんとうに誠意ある御答弁をお聞きしたいわけであります。
#21
○国務大臣(山中貞則君) 誤解のないように申し上げておきますが、総理が、施政権があるうちはどうにもならないと言ったことはありませんで、総理は、施政権がいまは向こうにあることも念頭に置いてと申し上げたのでありまして、この問題に関しては総理に対しても絶えず連絡、報告、相談をいたしておりまして、意見が一致しております。
 中曽根君の先ほどの上原全軍労委員長と会ったときの新聞記事でありますが、第一点はそのような形態が望ましいわけでありますけれども、私が先ほど申し上げましたように、直ちに布令第一一六号を撤廃する、労働三権を確保するという理想に、そっちのほうに努力を傾注しますと、いまおっしゃっておる差し迫った問題に対して本土政府が手を打つのはちょっと距離が遠くなります。そこのところを、中曽根君は所管でありませんので、自分の一番の気持ちを全軍労委員長に返事して慰めた、激励したというふうに受け取ってもらいたいと思います。また、中曽根君と連絡もしておりますが、私が逆に中曽根君に頼んでおりますのは、現地がどのような形に最終的に落ち着くかしれませんが、一時の雇用者としての立場をとる間接雇用形態が実現をした場合において、事務に手なれております防衛施設庁の職員のどうしても協力が必要でありますから、沖縄・北方対策庁の職員は事務のほうは琉球政府の職員と一緒にやりますけれども、施設庁のことに関しましてはどうしても加勢を求めなければなりません。これらの点は、中曽根長官が返答しておりますとおり、あうんの呼吸がぴったり合っておりまして、それはいつでも協力する用意があるということを申しておることがその点にあらわれておるのだと思います。私どもは沖縄を甘やかすなんという考えは持っておりませんし、そのような記事が出ましたので、私はだれが言ったのだと言って、閣僚を一人一人つかまえて聞いてみたのですが、はっきり自分が言ったという閣僚はおりませんでした。私たちは沖縄にそんなことを言えた義理ではないと思うのです。私どもの今日の祖国の繁栄の陰に忍従と屈辱の二十数年を過ごしてきたわれわれの同胞沖縄県民そのものをわれわれが甘やかすななどという気持ちの片りんだにも持ってはならない。幾ら償っても、また心から幾ら償いを感じても償い切れるものではなし、どのような努力をしても失なわれた二十五年が戻ってくるものではありません。私どもは祖国全体、政府全体として真心の限りを尽くして、政府に対する不信があるならばそれを除いていただく努力をし、政府の努力に対して足らない点の御叱正があるならば甘んじてそれを受けて、結論になりますが、あなたがおっしゃった雇用形態の改善、これをすみやかに実現させ、同時にこれと裏表の関係として、本土政府の身銭を切ってでも沖縄全軍労の退職金の不足分については措置をしていきたい、こういうことをもって最後のお答えとしたいと思います。
#22
○渋谷邦彦君 先ほどの長官の所信表明につきましては次回にまた克明にお尋ねをしたい、こういうふうに思います。
 時間の点もありますので、二、三の点についてお尋ねをいたしたいと思います。
 一昨日だったと思いますが、沖縄復帰準備委員会が発足をいたしまして、いよいよ具体的な諸般の取りきめ、また具体的な施策等がこれから進められていくであろうと、こう思いますし、また、それが実りある結果をもたらしていただきたいと、このようにも考えております。ただ、この委員会の設立に際しまして、もうすでにございます日米琉合同委員会、こういった委員会が幾つかあるわけです。あるいは日米協議委員会とか、それぞれの性格、それぞれの役割りが違うだろうと私は思います。むしろこれは外務大臣にお尋ねすべき問題かとは私思いますけれども、当然長官としても関連のある内容でございますので、この辺はこれからどういうふうに運営されていくのか。それでまたその各機関はどのような調整をとりつついくのか。まず最初にそれをお尋ねしたいと思います。
#23
○国務大臣(山中貞則君) お尋ねの点は、私も、総務長官に就任いたしまして沖縄担当大臣としての決意を新たにしたわけでありますが、私にとって一番つらいことは、外交権が与えられていないという、隔靴掻痒の感をどうしても抱かざるを得なかった。ただ、その私にただ一回きり――一回きりと申しますと何ですか――一つだけチャンスが与えられるのが日米協議委員会でありまして、これは私と外務大臣とアメリカの駐日大使、三者構成でありますから、私としてはこれを私自身の行動の直接できる外交の唯一のルートと心得て、先般の日米協議委員会でも、今日までは、予算の問題のみについて、事前に打ち合わされた文書あるいは内容について形式上の会合をするのみにとどまっておりましたものを、中身のあるものに持っていったわけであります。そこで、今回準備委員会が発足をいたしましたが、これが現地に設けられました沖縄・北方対策庁の出先の事務局というものとどのような形になるかということに尽きるのであろうと思いますが、これはもうはっきりと分けまして、外交ルートで解決をし、すなわちアメリカ側と相談をしつつ進めていかなければならない問題は、主として外務省ルートの現地における準備委員会のほうが当たります。すなわち、先ほど申し上げましたように、裁判管轄権なり、あるいは布令の問題なり、そういう基本的な施政権に伴なう諸制度の復帰準備に関するものはそちらのほうで扱ってもらいまして、私どものおもな仕事は、御説明を申し上げました援助予算を中心といたしまして、行政、財政、経済、そのような分野にわたって予算措置をし、行政指導をし、援助をし、そしてなるべく早い機会の青写真作成のためのあらゆる努力をする。そして現地の方々の復帰不安というものをすみやかに除去するという仕事が私どものほうの出先の事務局でございます。ただしかし、これが両方完全に分かれて連携なしでやりますと、ただでさえ外務省という役所は扱いにくい。私は率直に申し上げますが、扱いにくうございますところでございますので、現地の出先の両者の間でも意見のそごを来たすようなことがあってはいけませんので、そこで、現地の準備委員会の出先といたしましても、この復帰準備の主として内政面に関する問題の大綱についても相談をすることにいたしておりますが、反面、こちらのほうの行財政の体制を整えるにあたって、どうしてもやはり外交ルートでそのつど感触なり接触なりをしてもらいたいと思うものは、外務省の出先のほうも積極的に協力していってもらえる体制を法文の中にも盛り込んでいるわけでございまして、ただいまのところ、形の上ではうまくいきそうでございますが、今後これがうまくいくように私どもも努力をしたいと思いますけれども、大別いたしますとそのような形にわかれようかと思っております。
#24
○渋谷邦彦君 次にお尋ねいたしたいのは、先ほど所信表明の中に財政援助の項目が詳細にわたって述べられておりますが、何といっても一番いま問題になりますのは、復帰後における沖縄県の経済振興をどうするか。さしあたっては、先ほど同僚議員の言われた軍関係の雇用問題をこれからどう解決するか。この二点に尽きるのではないかとさえ思われるわけでありますが、ところで、総額にいたしまして三百五十億をこえた。前回に比して五四%増。しかしその反面、伝えられるところによりますと、米側としては新しい年度から沖縄に対する援助費を三分の一に減らす、こういうことが表明されておりますけれども、そうなりますと、五四%増、これは確かに急激なふえ方だと思いますけれども、はたしてそれで沖縄県の財政なり経済振興の上で、長官が決意されているような方向に実を結んでいけるものかどうか、ちょっと不安をぬぐい切れないものがあるものでございますので、大ワクでけっこうでございますから、その辺の事情をお話しいただきたいと、こう思います。
#25
○国務大臣(山中貞則君) 冒頭にも申し述べましたように、アメリカの一九七〇会計年度の実行予算においても、二百万ドルを結果として削減をいたしました。ことしの具体的な内容はまだ明らかにされておりませんが、アメリカ側の琉球援助予算というものが大幅に減少いたしました。ただ、名前が違うので弁務官資金というのがありまして、なかなかアメリカもちゃっかりしておりまして、――ちょっと弊害のある表現でありますが――そのような琉球政府にそのまま援助する資金のほうは大幅に減らした反面、四十一号道路といわれるような、こちらから言うとバイパスですが、アメリカさんは軍用にも使うつもりでしょうが、そういうような建設資金は大幅にふやして、それを弁務官資金の中に入れているわけですね。そうして沖縄政府の援助資金はこれはゼロにしているわけです。しかし、それも結局はやはり琉球政府のほうに財源として回すことになったようでありますから、そこらのところを全部計算しますと、大体減ったのが五百万ドルぐらいという感じのようでございます。そこで、今回の、パーセントにして五四%増の琉球政府に対する援助予算でございますが、この中に県政援助費二十億というものがございます。御承知のとおりでございますが、これは大蔵省としては財政法のたてまえで異論のあるところでありまして、国税を納めていない地域に対して交付税的なものを支出することについては、なるほど私も財政法上問題があると考えますが、そこらの中間の議論の過程は省略をいたしますが、結果は、月をつぶって二十億初めて頭を出しました。これが将来は沖縄に対する類似県並みの交付税ということになろうかと思います。なお、調整費の十億というものをとっておりますが、これはいま御指摘のアメリカのどうやら一九七一予算年度の予算教書というものは、相当な援助予算、軍事予算について削減が行なわれるらしいということで、現在アメリカが沖縄に対して援助をしておるものを洗ってみたわけです。そうしますと、たとえば教職員の人件費に六百万ドル、アメリカ側のほうが持ってるわけですね。これは、ところが、援助費といっても、人件費の義務経費でありますから、こういうものを削られては、これはとても琉球政府はまともに人を減らすわけにはいかぬわけですから、たいへんな衝撃を受けるだろう。だから、こういうものをまっ先に切ってくるおそれがあるという判断をいたしまして、予算編成の妥結までには向こうの年頭予算教書というものは間に合わなかったのでありますけれども、おおよその感触を反映いたしまして――私はこういう性格でありますから、役人がつかみ金をばらまくような意味に受け取られる調整費の項目設定に強い猜疑の念を持ったのでありますけれでも、しかし、やはり予測せざる事態に対応する必要がある、こう考えまして調整費の十億を組んだわけであります。これはしかし、どうにでも動かせる十億ではありませんで、ただいま申し上げましたような琉球政府の絶対に必要なものについて削減をしてきたもの――義務教育の経費あるいは高等学校の経費等が中にありますが、そういうもの等が琉球政府のまるまる負担になって、せっかく本土政府の援助額が飛躍的にふえたのに、台所が火の車であることに変わりはないということではたいへんだと思いまして、調整費の十億を組んでおります。これはそのほかにも、全軍労の離職者対策として一般援助予算の項目に組んでおりまする対象人員よりもさらにふえた場合にも対処できるようにしておかないと、首切りもよけい進行するのではないかという心配をいたしまして、この調整費の中には、全軍労の解雇者がさらにふえた場合にも――まあはっきり何名とは考えておりませんが――千名ぐらいまでは増加してもこれに対処できるような給付金並びに再就職手当と、こういうようなものを組み込んでおるわけでございます。その限りにおいては、琉球政府のほうも、援助予算の削減に伴う米政府の姿勢については批判をいたしておりますが、そのためにことしの予算はどうにもならぬのだと、五四%なんていうものは焼け石に水であるという表現はしておられません。その意味では、計算すればわかることでありますから、これが削減をされないままで五四%ふえたらなおよかったと思うんですけれども、相殺される点があったにしても、なおかつその事態に対処して――念頭に置いて組んだ予算であったために、どうやら予算上の危機ということは琉球政府側も主張しておられないということは御了解を賜わりたいと思います。
#26
○渋谷邦彦君 相手がアメリカでございますので、これからの基本的な対アジア政策、あるいはなかんずく沖縄を中心とする基本姿勢というものがどう変化していくか、これからの推移を待たなければならないと思いますけれども、まあ、いずれにしても、いま長官の御回答の中で、やはり心配な問題が急速に起きはしまいかという――いま伺っておりますと、米国の予算削減に伴いまして軍関係の労務者のみにとどまらず、あるいは教職員等を含む一般公務員、こういったところまで波及してまいりますと、これはもう社会不安が非常に急速に高まってきはしまいかと。で、結局そうした問題を事前に解決するためには、やはり日本政府として、先ほど来からいろいろお話もございましたし、相当な熱意でもってこの返還前後の問題に取り組まれる長官としての姿勢を伺ったわけでございますけれども、しかし、具体的にいろんな問題が出てまいりますと、はたしてそのときに応じた対処策というものが直ちにとれるのかどうかということが非常に心配なわけでございます。もちろん、これからの現在進行形の形で現在米側と折衝されているわけでございますので、明確な結論がまだ出ないという現状は承知しております。しかし、こうした財政援助にかかわる問題がさらにいろいろなところに波及することになりますと、今後沖縄に対して政府としては五四%の増加ではとても安心できないというふうにもなりますし、ただ、琉球政府では予算については別に問題にするような発言はされていないというお話でございますけれども、端的に感じますことは、いまのお話にもございますように、何かそういう不安がこれから広がっていくのではないか、この辺どのような見通し、御判断をされているか、お聞かせいただきたい、こう思います。
#27
○国務大臣(山中貞則君) 私は舌足らずではなくて舌余りのほうかもしれませんので、ついよけいなことまでしゃべって御心配かけたかとも思いますが、米側の一九七一会計年度に対する予算の、ことに対外援助等の削減の姿勢、考え方というきびしいところを判断するときに、そういうおそれがあるということを申し上げたんで、たとえば教職員の六百万ドルという高等弁務官の、米政府援助資金というものが削減をされる心配がある、その心配については、これは人件費でございますから、これを削減しようにもどうにもできないことだから、本土政府のほうで事前に対処して、そういうことの心配のないようにしたということを申し上げたのでありまして、これはもう雇用者はアメリカ側ではありませんから、実際は日本へ返ってきてからのことを考えれば、アメリカ側から教職員の、内地で言えば都道府県負担分を少しもらってたなんていうことはそもそもおかしいのでありまして、これはアメリカ側が切ってきたって、琉球政府がそれを裏づけしていかなければならない義務経費だ、ましてや教職員の削減どころか質の向上、本土への復帰のための体制整備ということがいま急務でありますから、そのことについて念頭に置いて予算を組んでいったということでありますから、一番理想的であったらということを申し上げましたのは、米国の援助資金の削減がなかったらなおよかったんだけれども、ということを申し上げたわけでありますので、決して現地に不安が起こらないように、誤解のないようにお願いしたいと思います。
#28
○渋谷邦彦君 先ほどの問題に少々関連して申し上げたいのですが、軍関係労務者の解雇問題はおそらく今回の措置で全部が終了するであろうという予測は立たないのだろうと思います。いろいろな財政的な措置、予算の削減等々から判断されますと、将来においても大幅な軍関係労務者の解雇というようなことが急速に表面化してくるのではないか、こう思われるのであります。その収拾策として、もうすでに予算委員会等においても政府の見解を伺っております。ただ、先ほどの所信表明の中にもありましたように、基地の中に職業訓練所のようなものを設けて、将来解雇された暁におきましても十分に社会人として対応できる、こういう措置を強力にとられるような趣のお話であったようでありますが、はたしてそれで十分見合うものであるかどうか、そしてまた大量の労務者の数でありますし、そうした人たちを当然本土にも吸収するというような措置はとられていくだろうと思います。ただ、沖縄本島を中心として考えてみた場合に、残念ながら生産県ではない。むしろ純然たる消費県と言ってもいいかもしれません。こうした問題がまだまだ将来に大きな課題として残されると思います。はたして今後農業県として沖縄を育てていかれるのか、あるいは水産県として育てていかれるのか、あるいは工業県としておやりになるのか、いろいろ御方針がおありになるだろうと思います。沖縄自体の立地条件が本土とは違いますので、あながち本土並みのそういった事柄がすべて適応するというふうには考えられないと思います。そうした労務者を吸収するというようないろいろな問題をからめまして、今後沖縄が経済県として発展するためには、すでに政府としても何らかの青写真めいたものもお持ちになっていらっしゃるのではないか。当然長官としてもこういった理想に基づいて、将来沖縄が復帰された暁には強力に育成していきたいものであるという御方針もお持ちであろうかと、この際重ねてその問題についてお伺いをいたしまして、きょうはこの程度に私の質問を打ち切らしていただきます。
#29
○国務大臣(山中貞則君) いま私たちの祖国における沖縄論議が、ともすれば、立地条件が軍事的な極東のかなめとしての議論が多過ぎるような気が、私はしてならない。そちらのほうは私の所管外でありますから、やはり地球儀をながめてみても、沖縄の置かれている地位というものは、経済的にも私はその立地条件を高く評価すべきものがあると思うのです。ことに、わが国の最南端の列島で、相当な人口が住んでおる島の群れでありますから、八重山群島になりますと、基隆よりは緯度は南になりますし、そうすると、大体本島を除く先島においては、キビ、それからパイン、畜産、そして水産、そういうもの等に重点を置いていきますと、大体現在でも糖価安定法に基づく沖縄産糖買い入れというような法律で沖縄の砂糖産業は保護してありますし、パイン産業も、一ぺんかって内閣で自由化を決定いたしましたけれども、沖縄の基幹産業であるということを反省いたしまして、前例のないことでありましたが、自由化を取り消したことがございますが、そのような保護措置並びにサトウキビと結びつけたバガスなりトップなりの畜産への飼料化というようなことを考えていきますと、立地条件は、私は、たいへん先島のほうは農林、畜産等についてはいい条件がある。さらに水産等についても、漁船の近代化、大型化等を心がけて指導していけば、先島については、私はあまり心配要らない。むしろ西表みたいな、アメリカが占領中にたった一ついいことをしてくれたと言っちゃ語弊がありますが、マラリア蚊を撲滅してくれましたので、あそこに二千名くらいの人が住むようになりました。戦前は立ち寄れなかった島でありますけれども、そのようなことの結果、私としては、西表島は非常な開発の未来を秘めておる島であると考えて、今度の五島の循環道路につきましても、大蔵省は二千名しか住んでいない島に循環道路通したって何に使うんですかと言って最後まで抵抗したんですけれども、未来を一番持っておる島という意味では踏み切れということで、五島全部に循環道路がついたいきさつもございます。こういうようなふうに展望いたしますと、問題は、特殊な産業形態にささえられた本島に問題がある。本島でも北部のほうはパインとキビが中心でありまして、パイン工場が非常に零細でありますから、これの企業合同、合併等を今後二十億の米の援助資金の二十年無利子、現地では少し利子が二分か幾らか実費がかかると思いますけれども、サイトの長い、金利の低いものでそういうことを進めていけば何とかなる。しかし、問題は、米軍基地の密集しております中南部、これらの地域をどうするかという問題にあると考えます。那覇市においての第三次産業の従事者が七三%、コザは戦前の一寒村でありましたが――寒村ということばに語弊があるなら――普通の村でありました。しかし、それが人口数万の大都市にふくれ上がって、サービス業を中心とする三次産業の占める比率が七九%、まことに本土のどこにも見られない異常な形態だと私思います。これらの形態の方々を、どのような形で本土復帰の際に、ショックを与えることなく所得を維持し、さらに未来に光明を与える方法があり得るやいなや、この問題、一番のポイントだと考えて、いま日夜考えておるところでありますが、一つの方法としては、就任の早々に――五分後に、私特別会計構想というものを発表いたしました。これは思いつきではありませんで、沖縄問題はずいぶん長い間、気持ちの上では、沖縄が国会議員を選出できないうちは、自分がかわって沖縄のために働きましょうということを口にも出したくらい一生懸命考えておる。陰に陽に御加勢を申し上げてまいったつもりでありますけれども、ずっと沖縄については私自身の構想を抱いておりましたので、就任直後にあのような思い切った構想を出したわけでありますけれども、奄美大島が返ってまいりましたときは、予算上の復興法に伴う措置をいたしただけでございまして、特別会計的なものはとっておりません。奄美大島は、御承知のように、前期、後期、十年の復興計画を、前期、後期でいま最終の後期五年の二年目に差しかかっております振興計画によって、二十年の特別予算措置をいたしたのでありますが、沖縄の場合には、この予算措置だけではとても間に合わない。形がどうしても違った形になってしまっております。たとえば関税形態でいいますと、こちらのわれわれの本土のほうでは、時計、貴金属、スコッチ・ウイスキー、宝石そういうようなものは当然奢侈高級消費物資として高い関税、消費税がかかっておりますけれども、現地では観光政策上から関税を一律五%という最も低い率に押えて、内国税をかけておりませんから、内地から戦跡巡礼とかいろいろな観光団とか行かれますけれども、何といっても那覇市の国際通りの安いあの商店街に魅力のあることは人間として否定できない。そういう形態が私成り立っているのは、関税政策、内国税政策にそのような政策をとっているということであります。ですから、日本の現在とっておりまする本土の政策と全く違う形態が一つある。しかも、内国税の問題に目を向けますと、国内においては、本土側では考えられないような税というものがあります。私たちはいま日常生活必需品、ましてや食べものなんかに税をかけておりませんが、沖縄ではみそ、しょうゆにも税がかかり、あるいは魚にも、高級魚、中級魚、大衆魚に分けて、大衆魚まで全部物品税がかかっておりまして、これは現地産業の保護という立場もありますけれども、ビールが、一八〇%の税の格差の上に成り立ってビール産業があるというような特殊な形態がございますから、これはどうしても三次産業形態の特殊な重みとともに、これらのものを相当期間存置しながら特別会計構想の中でめんどうを見ていく。そして、急速なショックを与えて沖縄経済なり個々の生活が、本土に復帰したらはだしとイモの生活になるぞと言っておられるスローガンそのもののような感じがするような生活に断じてしてはならない。また、本土のほうに失業者その他が来ることもあるであろうとおっしゃいましたが、そのような現象面としては私も肯定しますが、私の考え方は、沖縄を過疎県にしないで、よく使っておるのですが、美しい空、きれいな水、そしてきれいな島の緑ですね、サンゴ礁の島として、自分の郷里に誇りを持って定着できるような島にしたい。こういうことを、私は念願に思っておるわけであります。ことし五島循環道路というものを着工いたしまして、復帰の年までに約七、八十億かけましてこれを一周道路に持っていきたいと考えておりますが、このようなことも、現地の建設業者が本島のほうはできても、一体離島のほうまでできるのかどうか、ここらの点も疑問があるところでありますが、建設省から人を派遣して、何とかしてこれを消化させよう、大蔵省のほうはそんなこと消化できませんよと言っておるわけでありますが、私のねらいは、そのようなものを消化することによって、台湾を例にあげると、思想に関係なしにあげますからすなおに聞いていただきたいと思うのですが、台湾でやはりある時期に大陸から渡ってきました軍の方々が大量に年齢的に失業する時期が来ました。そのときに退職金はもちろん見たでありましょうが、台湾の横断道路というものをやりまして、その人たちに日給月給というようなものをつないだということは、やはりいい例はいい例として見習っていいと思いまして、もちろんホワイトカラーの人々が、みんなそのような土木事業に従事するとは思えません。当然、そんなことは安易に考えておりませんが、その五島循環道路が、五島全部に一斉にそのような労務需要というものが起こるということは、少なくとも間接的に中高年齢層の方々にも好影響を与えるものであることは間違いない、こう思っております。まあ、それが直ちに離職者の全面吸収のための対策事業であるとは断じて私申しません。これはあくまで沖縄の体質を、各島それぞれ動脈を張りめぐらして完成させることによって、その地域の立地条件に応じた産業の発展ということを願うわけであります。このような構想のもとに、まだあと詰め残しておりますのが那覇市並びにコザ市に典型的に見られる、そのような関税なり、軍事基地依存の典型的な形態の職業の方々をどのようにして新しい、しかも所得があまり変化なく、将来に望みのあるような地域にして差し上げられるのかどうか。フリー・ゾーン等の構想等も念頭に置きながら詰めていってみたいと考えております。この作業を急いでやりたいと思っております。
#30
○委員長(塚田十一郎君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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