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1970/03/18 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号
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1970/03/18 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号

#1
第063回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号
昭和四十五年三月十八日(水曜日)
   午後一時八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         塚田十一郎君
    理 事
                源田  実君
                山本茂一郎君
                川村 清一君
                渋谷 邦彦君
                萩原幽香子君
    委 員
                河口 陽一君
                大松 博文君
                長谷川 仁君
                増田  盛君
                増原 恵吉君
                山本 利壽君
                小林  武君
                達田 龍彦君
                矢山 有作君
                春日 正一君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       総理府特別地域
       連絡局参事官   加藤 泰守君
       外務政務次官   竹内 黎一君
       外務省アメリカ
       局長       東郷 文彦君
       外務省欧亜局長  有田 圭輔君
       外務省条約局長  井川 克一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○沖縄復帰のための準備委員会への日本国政府代
 表に関する臨時措置法案(内閣送付、予備審査)
○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する
 調査
 (当面の沖繩問題及び北方海域における安全操
 業問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(塚田十一郎君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、理事の辞任及び補欠選任についておはかりいたします。
 中村君から辞任願いが提出されております。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(塚田十一郎君) 御異議ないと認めます。よって、辞任を許可することに決定いたしました。
 中村君の辞任に伴い理事が一名欠員となりましたので、これより補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例によりまして委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(塚田十一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に山本茂一郎君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(塚田十一郎君) この際、愛知外務大臣、竹内外務政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。
 愛知外務大臣。
#6
○国務大臣(愛知揆一君) たいへんごあいさつがおくれまして恐縮に存じますが、先般の第三次佐藤内閣の成立に際しまして、まことに不敏でございますが、引き続き外務大臣を仰せつかりましたので、当委員会の皆さまにおかれましても、倍旧の御支援と御協力をお願い申し上げる次第でございます。まことに簡単でございますが、一言あいさつ申し上げます。
#7
○委員長(塚田十一郎君) 竹内外務政務次官。
#8
○政府委員(竹内黎一君) このたび外務政務次官に就任いたしました竹内でございます。ごらんのとおりの若輩でございますが、お引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(塚田十一郎君) 次に、沖縄復帰のための準備委員会への日本国政府代表に関する臨時措置法案を議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。
 愛知外務大臣。
#10
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま議題となりました、沖縄復帰のための準備委員会への日本国政府代表に関する臨時措置法案の提案理由を御説明いたします。
 昨年十一月ワシントンで行なわれた佐藤総理とニクソン大統領との会談の結果、全国民の悲願である沖縄の返還が来たる昭和四十七年中に実現することとなりました。さらにこの会談におきまして、沖縄の復帰を円滑ならしめるため、日米両国は緊密に協議し協力することとなり、東京に現在置かれております日米協議委員会がその全般的責任を負うとともに、現地沖縄におきましても、新たに、大使級の日本国政府代表と琉球列島高等弁務官をもつて構成される準備委員会を設置することに意見が一致いたしました。さらに、この準備委員会の組織、任務等につきましては、このほどアメリカ側との間に具体的な合意が成立いたしました。
 したがいまして、政府は、この準備委員会において、わが国代表が十分な活動と円滑な職務執行ができるよう、沖縄復帰準備委員会日本国政府代表事務所を設置することとし、このため所要の事項を定めたこの法律案をここに提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の概要を申し述べます。
 この法律案におきましては、外務省の機関として沖縄復帰準備委員会日本国政府代表事務所を設置することとし、その任務は、準備委員会において日本国政府を代表し、準備委員会を通じて行なう沖縄の復帰準備に関し在沖縄アメリカ合衆国政府機関との協議に当たることと定めております。次に、この政府代表事務所には、準備委員会への委員となる政府代表であり、同時に事務所の長として事務を掌理する特別職の国家公務員を置くほか、同政府代表を補佐する職員を置くこととしております。政府代表及び職員には、いずれも外務公務員の身分を与えることとしております。また、給与につきましては、現在の日本政府沖縄事務所の職員に対すると同様、在勤手当の支給を定めております。
 なお、この法律の施行により、従来の沖縄島那覇に駐在する諮問委員会の委員となる日本国政府代表の設置に関する暫定措置法は廃止されることになっております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上御賛成あらんことをお願いいたします。
#11
○委員長(塚田十一郎君) 以上で政府の説明は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#12
○委員長(塚田十一郎君) 次に、沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#13
○川村清一君 ただいま趣旨説明されました法案に対する質疑につきましては、今後の審査の過程において詳細いたしますことにいたしまして、本日は時間がございませんので、ごく簡単でございますけれども、ぜひこの際外務大臣にお尋ねしたいと思っておりましたことについて、二、三御質問をいたします。
 まず第一にお伺いすることは、沖縄における米軍雇用者の問題についてであります。現在の直接雇用の態様を、本土の軍雇用者同様、間接雇用形態に移行してほしいという要求があることは大臣御承知のとおりでありまして、このことにつきましては、外務大臣は上原全軍労委員長からも親しく要請を受けられているはずだと承知しております。しかし、このことの実現は、現実の問題といたしましては種々困難な問題点があり、解決は非常にむずかしいということは私自身も承知しておりますが、しかし、日米両国政府の誠意ある話し合いによっては決してこの解決が不可能なものではないと、私はかように考えておるわけであります。そこで、この問題につきましては外務大臣は、すでに米国政府に申し入れ具体的に話し合いを進めておる、こういうような御答弁を衆議院の予算委員会でなされておると、こういうことも聞いておるわけでございますが、そこで、この問題は日米協議委員会の正式議題になっているのかどうか。
 それから、いまの趣旨説明されました法案が成立いたし、今後日米準備委員会というものが設置された場合において、その日米委員会でもって正式にこれらの問題が取り上げられることになるのかどうか。これらの点について外務大臣の率直な意見をお聞かせいただきたいわけであります。
#14
○国務大臣(愛知揆一君) 沖縄の間接雇用の問題につきましては、すでに沖縄の全軍労の方々をはじめ、直接私も意見交換をいたしておりますのをはじめといたしまして、アメリカ側に対しましても正式にもこれを取り上げて話し合いを始めております。たとえば正式の機関であります日米の協議委員会、これは先般解組することに合意をいたしましたわけでございますが、これに前後いたしまして、事実上もはや間接雇用の問題につきましても、先般沖縄に対する援助費の問題で協議委員会を開きましたときにも、山中総務長官ともども、米側としては、御案内のようにアメリカの駐日大使、それからランパート高等弁務官というような正式メンバー同席のところでも、当方から意見を述べ米側の協力を求めておるわけでありまして、現在の段階はどうなっておるかと申しますと、御承知のことと思いますけれども、これは日本側におきましても関係省庁が非常に多いわけでございます。労働法の関係とかあるいは裁判権の問題とか、いろいろ関連するところが多いので、総理府が中心になられまして、関係各省に日本側としての検討をお願いをし、それぞれ前向きに検討していただいております。それから、米側としては米側としての立場において、間接雇用に切りかえる場合にどういう点を配慮しなければならないか、あるいは法制的その他にどういうふうに問題があるか、克服しなければならない点を克服するように、これまた、私がマイヤー大使なりランパート高等弁務官から直接接触しておる印象から申しましても、真剣に検討を始め、かつ続けておるようでございます。まだ日本側としても十分な協議の上での案というものができておりませんし、アメリカ側におきましてもなかなかこれはむずかしい問題であるようでございまして、両方を突き合わせて日米の合意を取りつけるというのにはちょっとまだ時間がかかるように思われます。しかし、何もこれは協議委員会の議題として、そして正式にここで合意を求めなければ進まないという問題でも、一方においては、ないわけでありますから、それぞれの立場においてできるだけ進捗させるように努力を続けていきたいと、こういうふうに考えております。これはもう申すまでもないところでございますが、返還は再来年中に行なわれるわけでございます。そうして、合意は両政府同士であっても成立しているわけでございますから、施政権はアメリカにまだありますけれども、しかし近く返還がきまるということはもう目の前に迫っておるわけでありますから、そのことを双方とも十分頭に置いて、ことに日本側といたしましては、労務者の問題は、私としてはもうこれはほんとうにわれわれ直接の問題として真正面に取り組んで、全軍労労務者の立場がよくなるように、安心ができるようにということを、ほんとうにわがこととしてこれを処理するようにしたいという基本的な考え方でやってまいっておるつもりでございます。
#15
○川村清一君 この問題の解決は、これは日米両国政府の正式外交ルートにおいて話し合いがなされなければ解決されない問題だと、私はさように考えておるわけであります。この点については間違いないと思うのですが、いかがですか。
#16
○国務大臣(愛知揆一君) 現在の条件下においては、日米の合意がなければこれはできません。ことに現在は、申し上げるまでもございませんが、直接雇用のかっこうになっておりますから、その雇用者である立場ということを考えましただけでも、これは双方の合意がなければ結末はつかないことでございます。
#17
○川村清一君 さように私も考えておりますし、先日の委員会において山中総務長官も、ただいま外務大臣がおっしゃったように、日米の外交交渉によっていろいろ話し合いが煮詰まっておる、そして解決もできるだけ近いうちにしたいというような意味の御発言があったわけであります。ところが、先般われわれ沖縄のほうに派遣されまして調査に行ったわけでありますが、その前に自由民主党の副総裁の川島さんがおいでになって、そして向こうで記者会見をいたしまして、この問題の解決を日本政府がやるなんというのは筋違いである、これは琉球政府の屋良主席がやるべきである、こういうような意味の発言をなされまして、現地のほうでは相当紛糾しておるわけであります。そこで、私があえてお尋ねしましたのは、琉球政府の屋良主席には外交権がないわけであります。したがって、この問題の解決はどうしても日本政府にやってもらわなければならない、外務大臣にやってもらわなければならないということになるわけです。それなのに、自由民主党の副総裁ともあろう方がこういう重大な発言をなさるということは、まことに遺憾だと思うわけでありますが、一体屋良主席にこの問題を解決するそういう権能があるのかないのか、この点をもう一度ここではっきりお聞かせいただきたい。
#18
○国務大臣(愛知揆一君) 現在においては、もう私が申し上げるまでもなく、主席は雇用者でもございませんし、そういう点から申しましても、また日米間の合意を必要とする問題で、その何といいますか、外交権と申しますか、これを持っておられないということから申しましても、実質上はともかくといたしまして、少なくとも形式的には権限というものを現在持っておられない、こういうことは言えると思います。ただしかしながら、現地の主席として、この全軍労の問題に対してはかねがね非常な配慮と努力をしておられるわけでありますから、十分な援助協力を求める、そういう立場に実質的におられるということもまた申すまでもないところだと考えております。
#19
○川村清一君 そこで、私ども沖縄におきましてランパート高等弁務官に直接お会いをいたしまして、親しく種々お話をお聞きしたわけでございますが、その話し合いの中から、本問題につきましては、間接雇用に移行することは制度上からも行政的にも非常にむずかしいことである。こういうお話をされておりまして、これはそのとおりだと思うわけです。しかし、そのあとに、いろいろの話し合いの中からわれわれの強く受けた印象でございますが、日米両国政府で正式な外交交渉が行なわれますならば、十分検討すると、こういう意味の意思表示があったものと印象を受けたわけであります。したがって、外交権を持つ外務大臣の責任はきわめて重大であり、また期待されておりますことも非常に大なるものがあると考えておるわけであります。その意味におきまして大きな期待感を持ってこの問題の解決、しかも、早期に解決されるように強力な努力をしていただくことを要請して、これに対する外務大臣の決意をこの機会にはっきりお示しいただきたい。
#20
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど来申しておりますように、私としてもできるだけ強力な話し合いといいますか、早期に満足できるような結果を導くようにいたしたいと考えております。ただいま仰せになりましたが、ランパート氏も、先ほど申しましたように、東京における、協議委員会における駐日大使等も含めてのそのときの会談の雰囲気その他の背景もひとつ頭に入れて話されたことだと私は思いますので、両国の外交機関に対してランパート氏も大きな期待を持っておられる、私もその感じがよく受け取れるような気がいたします。
#21
○矢山有作君 ちょっと関連してお伺いしたいのですが、間接雇用という問題でいま論議をされておるわけですが、その場合の間接雇用というのは、日本の国内で現在行なわれておるような形態の間接雇用、そういう方式に切りかえるという意味で政府は努力しておられるのか、それとも、山中総務長官がかつて談話の中で構想を出されておりましたが、間接雇用に準ずるというような形で解決を進められておるのか、どちらかということをこの際はっきりしていただきたいと思います。
#22
○国務大臣(愛知揆一君) これは正確に申し上げますと、山中君が申しておりますように「準ずる」ということになると思います。と申しますのは、現在返還準備中でございますから、法制的に申しますと、施政権がまだアメリカにあるというとが前提にあるものでございますから、完全に日本国政府が雇用するということには法制上はむずかしいのではないかと、そういうような意味も含めて本土における間接雇用に準じてやろうという、ですから、正確に申しますと、「準ずる」ということが正確な表現であったかと思います。
#23
○川村清一君 時間がありませんのでこれ以上突っ込んでお尋ねしませんけれども、最後に、この問題について申し上げておきたいことは、ただいまも御答弁をお聞きしまして、日米の正式外交ルートにおいて話し合いをしておる。またその中にはランパート高等弁務官も入っており、すでに承知されておるといったような御答弁をなされておるわけです。しかし私どもランパート高等弁務官から受けた印象は、先ほども申し上げましたように、非常にむずかしい問題である、しかし、この問題が両国政府の正式外交ルートに取り上げられるならば十分検討をすると、こういうことで、そういう印象を受けたわけです。そこで、私どもは裏を返して野党の立場からいじわるに推測しますというと、この全軍労の雇用問題は、いま国会で答弁されておりまするように決して進んでいない、何だか日米政府の正式外交ルートに乗っていないような感じさえちょっとするのでありますが、こういう感じをぜひ払拭されるようにひとつがんばってもらいたい。これは早急にやってもらわなければたいへなことであります。その間接雇用の形態等につきましてもいろいろあるわけですが、私ももっと突っ込んでお尋ねしたいことがあるわけですが、まあ、政府のほうでそういうお考えですから、またこの次の機会にお尋ねします。そういうことで私は強く要望しておきますので、ぜひお願いをいたしたいと思います。
 続いて、この機会ですから、全く別な問題ですが、一言お尋ねいたします。それは北方問題についてであります。北方問題につきましても、領土の問題についてはこれはいずれまた十分時間を取って大臣のお考えを十分お聞きし、また私の意見も述べたいと思いますが、本日は領土問題と切り離しまして、安全操業の問題だけについて一点簡単にお尋ねしたいと思うわけであります。現在、安全操業の問題については日ソ交渉の中で具体的にどの程度進んでいるのか、この点をひとつ御説明願いたいと思います。
#24
○国務大臣(愛知揆一君) 前国会のときにもお話を申し上げましたが、どうも私としては思うように進んでおりませんことを非常に遺憾に思っております。率直に申しますと、ボールはいまソ連側にある。こちらはボールが返ってくるのを待っている。これはもう率直に常識的な表現で申しますと、そういうことになると思います。というのは、昨年九月に御承知のような提案をこちらがいたしたわけでございます。これは関係島嶼の沿岸三海里ないし十二海里のところに安全操業の水域を設定することを第一として、そしてそれを基本的に合意ができれば細目に入っての相談の用意がある。その細目について問題としては入漁料ということはこちらは考えておりませんけれども、たとえば安全操業が認められた以後において日本の漁船が入って操業しているときに、たとえば遭難をするとか、何か事故を起こしたというようなときには、先方にも――ソ連側にも世話になることがありましょうから、そういう意味において何がしかの経済協力ということが考えられ、また希望されるならば、そういうことについての話し合いに入る用意がある。入漁料という形は別――別というか――考えませんが、そういう点では考える余地がある。あるいはまた、乱獲ということをおそれるならば、ある程度の日本の出漁漁船等についての自主的な日本側としての規制ということも検討の余地はある。まあ、こういったような趣旨の申し入れをして、先方の政府は、これはたとえば私との外交上のチャンネルはグロムイコ外相ですけれども、自分のところだけで直ちに御回答することはできないが、関係各省等と相談をして、できるだけその話し合いに入るように考えてみましょうということが、その当時の態度であったわけですが、実はその後も外交ルートを通しまして督促をいたしております。
 それから、まあ前内閣当時のことになりますけれども、その先方の出ようによっては、つまり安全操業の水域を認めるという原則を向こうがとるということになってきて、細部の話し合いあるいは専門的な話し合いということであるならば、何どきでもこちらは、たとえば農林大臣を向こうが望むならば、農林大臣が出かけて、モスクワにおいてその話を煮詰める用意もあるというところまでいきましたのですが、その後また停滞をしております。その後も引き続き外交ルートを通しままして、早くこれに解決の道を求めるように努力を新たにしてほしいということを申し入れている。これが現状で、当初に申しましたように、こちらの期待するようなスピードで出てきてくれていない。これに対して私どもは非常に努力を傾けて、向こうさんが積極的に出てくるようになお努力を続けていると、これが現在の実情でございます。
#25
○川村清一君 最後に申し上げたいと思うのでありますが、私はこの問題につきましては、本委員会において歴代の外務大臣に数度にわたって質問しているのであります。歴代の外務大臣といいましても、私昭和四十年に出てきましたから、三木外務大臣、それから前内閣における愛知外務大臣、そして本内閣における愛知外務大臣ということになりますが、この質問のたびに大臣の御答弁は、非常に前向きの御答弁をいただいておるのです。しかし、結果としては一向に実現されておらないわけであります。ただいま大臣もそういうお話がありましたが、愛知外務大臣に対しましては、昨年の五月七日本委員会において私が質問しておるわけであります。その一部をちょっと会議録読んでみますと、こういうような御答弁をされておる、「ことしの一月に中川大使を一時帰国させましたが、そのときにも、とにかく安全操業の問題でソ連側と具体的な折衝にすみやかに入るような素地をつくれということを指示いたしたわけでございますが、要するにソ連側としては、この安全操業の問題について商議といいますか協議をする用意があるという態度を示してまいりました。そこで、できるだけすみやかな機会に、あらためて日本側の水産庁はじめ関係省庁の間で十分にソ連のほうの動向もうかがいながらがっちりとした案をつくりまして、そうして具体的な協議に入る用意をただいま進めているわけでございます。」、そこでずっと行って、「安全操業の実があがって、日本の国益、ことに関係の漁民の方々に安心をしてもらえるような最善の案でソ連側の同意を取りつけるようにということで近くその交渉に入れる見込みがついたということを申し上げる次第でございます。いままでおくれにおくれておりましたことは、私も非常に申しわけなく思っておりますけれども、とにかく具体的折衝に入り得る段階がようやくできてまいりました。そういうことになりましたので、ここでひとつ勇気を持ってそれに当たりたいと、交渉に入りたいと、かように存じておる段階でございます。」、そういう御答弁です。それに対しまして私が、「安全操業につきましては、非常に前進しておるような御答弁をいただいて、私も非常に期待しておるわけであります。またうれしく思っておるわけであります。ぜひひとつこれが実現されるように最善の努力を尽くしていただきたいということを御要望申し上げたいと思います。」、これが昭和四十四年の五月七日の本委員会における愛知外務大臣の御答弁であります。それから今日まで約一年近く経過しているのであります。一年たって同じ大臣がまたただいまのような御答弁では、まことに私といたしましてはそれは無責任ではないか、また北方地域に住んでいる住民の期待を裏切ったものと断定しても決して過言ではないと思うのでありますが、大臣のお考えはいかがですか。ひとつ率直な御意見を伺って、私の質問は時間の関係でこれで打ち切りたいと思います。
#26
○国務大臣(愛知揆一君) 率直に申しまして、先ほど申しましたようなことでございます。その五月御答弁申し上げましてから、水産庁はじめ皆さんと御相談をし、ソ連の動向もうかがいながら、なかなか進まなかったものですから、九月に出かけまして、そして主としてグロムイコ外相を相手に、先ほど申し上げましたような提案をいたしました。そして、ですから、そこのところまではお約束したような段取りを私としても誠意を尽くしてやってまいりました。そして私が参りまして話をして、とにかく向こうも相当前向きになったと見据えたので、しからばもう少し話を早く進めてくれ、こちらも何どきでも最高責任者を東京に迎えてもよければ、モスクワに出かけてもよい、そこで話をもう少し煮詰めよう、具体策を、細部の相談をしようということで、いまなおこれを督促しておるわけでございます。こちら側の態度に対して向こう側のスピードがたいへんおそいということは私も残念に思います。また、これはこちらの力の足りないところもあろうかと思いますけれども、しかし、とにかく日本側の提案を検討するテーブルにのせる、そうしてその後の細部の交渉にも入る用意があるというところまで参ったことだけは事実でございます。
#27
○渋谷邦彦君 最初に、去る三月五日リーザー米陸軍長官が沖縄のいわゆる太平洋全域の補給基地の構想を明らかにされました。これに対して外務大臣としてはどう受けとめられておるかということが第一点。ところが、昨日衆議院の予算委員会の第二分科会において東郷アメリカ局長は、このリーザー米陸軍長官の考え方というものについて、返還後の沖縄を太平洋全域にわたる補給基地とすることは安保条約の目的からいってできない、こういう御答弁をされておられるわけでありますが、この辺の経緯と日本政府の考え方についてお伺いをしたいと思います。
#28
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一に、最近、リーザー氏に限らず、いろいろアメリカのたとえばニクソン大統領の外交教書の中にも若干それに触れたところが出ております。アメリカ自身の軍事的な政策、特に対外的な政策に相当の変更が予想されるような意見が出ておりますことは、これは事実でございます。そこでいまのリーザー長官の証言や談話でございますが、これは御承知のようにかなり詳しいものでありますが、その中の削減するところの在外の基地あるいは兵員等について、アジア地域、ことに日本においてどうするかということにつきましては、現在のところ、あそこに出ておりますようなこと以外は日本政府に対して直接、公式非公式を問わず、まだ連絡情報を持ってきておりません。したがって、これは仮定の論議になりますけれども、もし伝えられるように太平洋全域における補給の役割りを沖縄でやってほしいというようなことをかりに日本側に連絡をしてきた、依頼があった場合にどうするかということを想定してみますと、太平洋全域というようなふうに伝えられておりますが、そうすると、安保条約から見て、安保条約の性格、使命目的からいって、はずれるところがあるのではないだろうか、私もさように考えるのですけれども、まだ具体的な相談もないし、おそらく、しかしこれは米政府として正式に検討し、かつ日本政府に対して話し合いになってくるという問題になれば、そんな全太平洋地域を目標にするところの補給の仕事というようなことを沖縄を含む日本本土、日本に対して私は申し入れてくることはあるまいと、かように考えておりますが、しかし、いずれにいたしましてもこれは仮定の問題でございますから、具体的な問題としてお答えするわけにまいりませんが、政府の基本姿勢はいま申しましたようなところでございます。
#29
○渋谷邦彦君 ただいまの御答弁を伺っておりますと、確かに仮定の議論になるかもしれません。ただし、いまお話しいただきましたように、いろいろなレベルの方々がいろいろな角度から、しかも、こうした一つの目標を持って沖縄の返還後の考え方というものについて話をされておる。もしそれが仮定であったとしても、おそらくはアメリカの一つの考え方として日本政府としては万が一を考慮しながら絶えずそのことを想定しなければならないということは当然ではなかろうか。いまもしそうしたことがあった場合には、日米安全保障条約のたてまえからいってこれはできない。これはアメリカ局長と全く同じ結論だと、私はこのように理解いたします。ただし、日米共同声明の第七項の点から考えますと、申すまでもなく、これはここで再確認をしたいと思うのでございますけれども、「総理大臣と大統領は、また、現在のような極東情勢のもとにおいて、沖縄にある米軍が重要な役割を果たしていることを認めた。」、あるいは「日本政府のかかる認識」――これは極東の安全は日本の安全につながるということでございますが――「に照らせば、前記のような態様による沖縄の施政権返還は、日本を含む極東の諸国の防衛のために米国が負っている国際義務の効果的遂行の妨げとなるようなものではない」という見解を表明することによりまして、沖縄の軍事あるいは戦略上の重要性を確認し、米軍の軍事的利用が沖縄において妨げられるものではないという特殊性を明確にしるされたものと判断をしたいわけであります。こうなりますと、ただいま申しましたような、あるいは私的にわたる表明かもしれませんけれども、リーザー米陸軍長官の考えている点については、これは別に不可能ではないんじゃないかというふうに考えられるのでございますが、いかがでございましょうか。
#30
○国務大臣(愛知揆一君) 第一に、その問題をこういうふうに考えたいと思いますが、沖縄が返還をされました場合には、安保条約関連取りきめが全部変更なしに沖縄に適用されて本土並みになるわけでございます。それから法律的に言えば、それまではアメリカが沖縄を米本土並みに使っておるわけでございますから、そういうステイタスが続くわけでございますから、時期を分けて考えなければならないと思いますが、沖縄が返還されて本土並みの状態になる、そして本土と同じような安保条約がかかるわけですから、かかった場合に、どうしたってそれは戦略的な価値というか、というものは私は減殺されると思います。なぜかなれば、たとえば事前協議の例を引くまでもございませんけれども、自由な使用ということにはならないわけでございます。そういう状態になっても、軍事的な価値というものが減殺されても、アメリカとしては日本の国民が要望するような条件で沖縄を返還するほうがアメリカのためでもあり日米のためでもありということがその返還交渉が成り立った背景でございますから、そういう点もおくみ取りの上御理解をいただきたいと思うのであります。さて、そこでこの安保条約の目的、性格は太平洋全域に及ぶものではございませんが、しかし、太平洋全域を目的とするような施設、区域というようなものは、安保条約が沖縄に本土並みに適用されるような状態を前にして、そういうことは考えられない、かように考えます。同時に、もう一つ大事なことは、現に沖縄の基地、現在の状況については、これは防衛庁から詳細お聞き取りをいただきたいところでございますけれども、まず現地の現状を調査をして、そしてその上に立って返還後の沖縄の状態はこうあるべきだといういわば青写真が、安全保障の問題からいっても、できるべきはずだと思います。それからまた、沖縄の県民の方々がほんとうの本土との一体化の実をあげるためには、まずいよいよ返還がきまったこの時点において、ほんとに詳細で建設的な調査の上に立った計画がなされなければならない、こういうふうな事態になっておるわけでございますから、こういうときに日本のこの主体的な立場というものは非常に大事だと思うのであります。ですから、アメリカの長官があるいは軍事的な立場で望ましい意見を発表していることも事実ございましょうけれども、日本としては、主体的に沖縄の返還後のあり方ということについて十分こちら側の自主的な青写真を持ってそしてこれを推進していくということを第一義に考えていくべきだと、かように私は考えておるわけでございます。
#31
○渋谷邦彦君 確かにおっしゃることはよく理解できます。そうなりますと、いま大臣おっしゃられましたように、すでに返還時、あるいは返還直後における沖縄の態様ということについての青写真はもうでき上がっているものと判断されると思います。その上に立って、その青写真を基本にしながら、アメリカ政府との何らかの形における接触というものはもうすでに始められたのでございましょうか。
#32
○国務大臣(愛知揆一君) ことばが足りなかったかもしれませんが、青写真をつくるにあたりましても、現状の詳細な掌握が必要でございます。すでに返還の合意がきまりました以上は、それがきまります以前に比較いたしますと、格段に情勢が変わってまいりましたから、まずできるだけ詳細な調査をするということが必要である。その上に立って青写真をつくるべきである。と同時に、返還の準備というものはすでにもう始まりつつあるわけです。その準備作業、あるいはものによってアメリカ側といろいろの折衝をしなければなりません。これ全部並行的にこれからやっていくわけでございます。現に青写真ができているということを申したのではございません。
#33
○渋谷邦彦君 ことばじりをつかまえてたいへん申しわけないと思うのでありますけれども、青写真をつくるための調査というものは、いつごろからどういうふうに具体的にこれからお始めになる御方針でございましょうか。
#34
○国務大臣(愛知揆一君) まず、くどいようでございますけれども、安全保障というような観点に立っての現在の沖縄の調査というものは、これは防衛庁が近く私は実施することになると思いますけれども、これは防衛庁のほうからお聞き取りいただきたいと思います。それと同時に、先ほど申しましたように、沖縄県の本土との一体化というような意味においても、そういう努力が必要ではないかと思います。最終的には、回りくどいことを申し上げて恐縮でありますが、一九七二年中ということが合意されているんですから、こちらの立場から言えば早いほどよろしいと思うんです。一九七二年のできるだけ早いときに返還が実現され、返還協定が効力を発生するようにしたいと思います。そういう終期がぎりぎりにきまっておりまして、これは再来年のことでございますから、それから逆算いたしまして、返還協定はもちろん国会の十分な御審議を経なければなりませんし、返還協定が国会の御審議を願えるときまでには、いろいろほかの政策も進んだり、あるいは青写真ということを先ほど申しましたけれども、そういうものも国会の御審議を願うにつきましてもこれは必要でございますから、この一九七二年のある時期を終点にして逆算してまいりますと、よっぽどスピードアップしてやっていかなければならない。まあよけいなことを言うようですけれども、これが私から言えば沖縄の即時返還だと思うんです。即時ということは、これくらいの短期間であらゆる準備を進めあるいは具体策を講じていくと、どうしてもこのくらいの時間はかかると思ってかねがねおったわけでございますけれども、いよいよこういうことになりますと、ほんとうに関係者一同がもうほんとうにねじりはち巻きで諸般の準備を進めなければならない。何はいつまでも何はいつまでという的確なまだタイム・スケジュールはできておりませんけれども、要するに、終期をそこに置いてもうあらゆる努力をしていかなければならない、こういうふうに考えております。
#35
○渋谷邦彦君 さらに具体的な問題に広げて申し上げるためには、たいへん局限された時間でありますので、この問題についてはもう一点だけ念のためにお尋ねをしておきたいと思います。
 リーザー米陸軍長官は日本で言う閣僚であります。その方の発言というものは非常に重要性があります。先ほど大臣は、あくまでも日本の主体性を重んじた考え方を基調とするという意味のことをおっしゃいました、それはけっこうだと思いますけれども、やはり外交折衝の過程におきましては、少なくともアメリカの立場というものを相当尊重しなければならないという問題が出てきはしまいかということを私どもも考えます。当然のことだと私は思うのであります。そうした場合に、一つの責任ある指導者階層の立場にある米陸軍長官がそのような発言をしたということは、あるいはニクソン大統領の胸の中にもそういう構想を一部描いているのではあるまいか。ならば、もしかりに――「かりに」という設定は許されないかもしれませんけれども――しかし、十分可能性のある問題として考えてみた場合に、日本政府がそうした方向というものをアメリカ政府から打ち出された場合、これを全面的に拒否なさるか、それとも十分意をくみ入れながら、アメリカの立場というものを尊重して、あるいは片寄った行き方にするのか、その辺をもう一度国民のためにお伺いしておきたいと思うのであります。
#36
○国務大臣(愛知揆一君) 一言にして申し上げますならば、日米安保条約というのは、要するに、極東の安全なくして日本の安全は期し得ない、まあ一言で言えば、そういう考え方から結ばれているものでございますから、そういう目的のための補給兵たんということに、日本が提供した地域と施設が使われるということでございますならば、これはけっこうなことであると思いますが、それ以外の範囲のことということになりますと、私は条約上からいって受け入れられることではないと思うのです。したがって、日米安保条約というものを誠実に履行するという立場をとっているアメリカ側として、範囲を広げたような大きな要請を、私はさっき申しましたように、してくるはずはない、こう思うのでございますし、万々一そういうふうな要請がありましたならば、これはやはり安保条約のわれわれの考え方から割り出して、断わるべきものは断わる、こういうふうにせざるを得ないと思います。
#37
○渋谷邦彦君 この問題につきましてはまた後日に譲るといたしまして、先ほど大臣から趣旨説明のありました準備委員会の発足につきまして、これまた具体的な点につきましては次の機会ということにいたしますが、一番心配いたしますことは、この準備委員会の発足にかんがみまして、おそらくは直ちに具体的な外交折衝というものが展開されるであろう、このように思われます。その際に、この外交折衝のルートの関係というものと、それからもう一つは現地において実質的に仕事の指揮をとられる総理府との関係は一体どういうふうになるのか、その辺の調整機関というものは別に設ける必要はないのか。あるいは閣議でもって一切スムーズにいくものなのかどうなのか。この辺はどのようにお考えでございましょうか。
#38
○国務大臣(愛知揆一君) まず機構的に申しますと、大きく分けると二つあると思います。一つは沖縄返還についての返還協定を作成するという問題、これは外交ルートを通しての日米間の折衝の問題でございまして、これは準備委員会あるいは協議委員会の系統には属さないわけです、この機構的、系統的に申しますと。しかし同時に、二十五年間にわたる異国の支配下にあったところであらゆる制度が違っております。それを日本に復帰させるためにはいろいろの事項が、考えられるだけでも、ちょっと申し上げるだけでも、たいへんなくらいないろいろの事項が考えられますが、その中にまた相当の部分がアメリカ側との合意、協力を求めなければならない事項がたくさんございます。それを所掌し、そしてアメリカ側と相談する機関の東京における責任機関が協議委員会でございます。これは先般、日米合意によりまして改組いたしました。これまでは日米両国が沖縄に対して補助金、予算を出しておりました。その予算を最終的に決定する機関でございましたが、今回これを改組いたしまして返還の準備の諸事項について日米間が協議する機関ということになりました。そこで、このほうの準備委員会の所掌する事務のいわば下部機構――と申すと語弊がありますが、一番大事なのが現地における準備委員会でございます。そこで、準備委員会の長を、同時に外務公務員であり大使の資格を持つ者を長とした日本側の事務所の長をこの準備委員会のヘッドにいたしまして高等弁務官と対等の立場で、いわば両国を代表して現地で東京の協議委員会と緊密な連絡をとりながら諸般の返還準備に当たらせるということに相なります。同時に、今回新たに設置をお願いしております沖縄・北方対策庁の現地機関でありますところの那覇における事務局とこの準備委員会との関係は、準備委員会に日本政府代表として出ますところの大使級の者が、必要に応じては両者を一体に併任関係を活用いたしまして、そうして、現地における日本側の機関相互間に摩擦を生じたり、連絡が不行き届きであるようなことのないように防ぎたいと、こういうふうに考えておるわけであります。那覇における準備委員会代表である日本政府代表の事務所というものをきわめてこじんまりとしました機構にいたしましたということもそういう配慮でございまして、一方の事務局のほうはたしか三十数名かのかなりの世帯でございますが、そこと便宜併任関係などを活用いたしまして一体的な運営をいたすように配慮したいと思っております。
#39
○渋谷邦彦君 最後に、先ほど川村議員からもお話がございましたように、先般ランパートに会いまして懇談した際、外交折衝の場にゆだねられている項目が非常に多い。いまも大臣が数々の御説明の中に、一九七二年の返還までは非常に多くの問題があると。その解決のためには、もう全力をあげてもなおかつ足りないかもしれなという印象を受けました。事実そのとおりでございましょう。ところが、外交折衝によって解決すべき問題というものがいま目の前にたくさんころがっている。こうしたことを考えますと、はたしていままで外務省がどこまで積極的にこの問題と取り組まれたかということは、たいへんまあ申しわけない言い方かもしれませんけれども、たとえばパスポートの問題にいたしましてもそうであります。あるいは軍用地の立ち入り検査の問題にしてもそうでございます。あるいは先ほどの問題になりました軍雇用関係の解雇問題についてもそうでございます。もっと外交ルートというものが積極的に行なわれているとするならば、事前に解決される問題が相当ありましょう。そしてまた、返還のときにはスムーズに機能というものがあらゆる面において発揮される、このように判断できるわけでございますけれども、いま目の前に起こっているいろいろな問題についての解決については、今後どういう一体外交折衝をおやりになるのか、その点のひとつ御方針だけを伺って私の質問を終わらしていただきたい、こう思います。
#40
○国務大臣(愛知揆一君) まことにごもっともな御質疑と思います。まあ、こういうことを申してはいかがかと思いますが、これまで外務省としても、現に大使を那覇に常駐させておりましたし、この人が引き続き実は政府代表として当たらせることにしたいと思っておるわけでございますが、まあ、多年の経験を生かし、そして目の前に山積しておるいろいろな案件について本省側と緊密な連絡をして、これまでも十分情勢はよく掌握しておるつもりでございますから、こういう人的なつながりをフルに生かしまして、たいへん困難で幅の広い仕事でございますが、全力をあげて努力をする、これ以外に方法はないと、かように考えておりますが、なお、現場に対する本省側の協力も必要に応じてできるだけの運営をしてまいりたいと思います。
#41
○春日正一君 大臣お急ぎのようですから、できるだけ簡単にしたいと思うのですけれども、例の渡航の問題ですね、自由の。あれ、まあいままでも私どもはしばしば質問もし、要望もしてきたことなんですけれども、いままでに、その後政府としてどういう努力をなさって、どういう進展があったのか、その点を第一点としてお聞かせ願いたいと思います。
#42
○国務大臣(愛知揆一君) 渡航の問題については、外務省としても関与しておりますが、これは政府部内の問題として総理府が主管いたしておりますので、総理府のほうから正確にお答えをさせることにいたしたいと思います。
#43
○政府委員(加藤泰守君) 渡航の問題につきましては、従来から渡航の手続の簡素化につきましては、種々努力してきておるわけでございまして、現にアメリカ側と日本側の間で定例的に会議を持ちまして問題を処理してきているわけでございます。ただ、七二年に返還がきまりました現在におきましては、さらにその渡航手続についての簡素化をはからなければならないという考え方から、その点につきまして特にアメリカ側の入域許可の手続の簡素化、あるいは迅速な発行につきましての措置を目下アメリカ側といろいろ話し合っているわけでございますが、国内的にも身分証明書の手続の簡素化とか、あるいは入管手続等につきましての簡素化、そういう問題につきまして各省との間で目下検討中でございます。
#44
○春日正一君 そういう面での努力ですね、手続を簡素にするということはずいぶんやられたように聞いてもおりますが、しかし、許可する基準といいますか、中身といいますか、そういうものについてはあまり改善されてないのじゃないか、たとえばここにこういうのがありますけれども、結婚式の出席も認めないということで、これはことしになってからですけれども、和歌山県におる人が、兄弟の結婚式があるというので帰りたいという申請を出した。そしたら、許可がおりなくて、だめになったということで、現地でも問題になって、これは琉球立法院の行政委員会で、これはひどいということで、全会一致で民政府に不許可取り消し処分の要請をしておるというようなことも報道されております。それからその間は、私ども民主的な団体が行くという場合には、依然として制限をされているという点では、いままでの政府の努力というものが――私はなぜ外務大臣にお聞きしたかというと、総理府の努力というのは、結局手続上の問題だ、簡素化だ。しかし、問題は、中身なんですよ。それを、手続はどんなに簡素にされたってだめなものはだめだということになるんだから、それでは困るということで外務大臣に特にお尋ねもし要望もしているわけです。そこで、そういう問題で、渡航全般の問題を――もうすぐ返ってくるという時期なんですから、だからもうみんなそういう希望する者は行けるようなふうに積極的に話をつけてほしいと思いますし、ついでに私、これ時間の関係で質問してしまいますけれども、今度は、まあいま国会で国政参加の問題が論議されて、おそらく早晩はこれは成立するであろうと私ども思っておりますけれども、その場合ですね、当然あすこで選挙が行なわれる。しかも、日本の国会議員としてここに参加する議員の選挙が行なわれるという場合、本土からの渡航がいままでの場合みたいに差別されるということがあってはならないことだし、外務大臣も去年の九月ですか、あの約束取りきめられたときには、選挙をやると言われたときには当然頭に、共産党であろうが、だれだろうが、全部渡航できるんだということはひらめいておったと思いますが、その点についてはどうですか。大臣のほうで、これは簡単でいいですけれども、沖縄で選挙やる場合には政党あるいはそういう関係者の渡航が差別なしに行なわれる、そう思うというふうに言っていただけますか。
#45
○国務大臣(愛知揆一君) それはそう思うと申し上げたいところでございますけれども、やはりこれが非常に微妙なところでございまして、やはり返還は明後年という差し迫ってはおりますけれども、やはり法律的、憲法的ないろいろな点から言えば、施政権があるということもまた現実の事態でございますから、一がいに日本の国内における交通を自由にするというふうにはいかぬと、これは国政参加の立法については国会にお願いをして国会でいろいろ御審議いただいているわけでございますけれども、そこのところにちょっとこう微妙なところがあるということだけはお含みおきをいただきたいと思います。
#46
○春日正一君 その点は、確かにアメリカが施政権を持っておるのですから、だから返すまではそれは持っているのだというたてまえはあると思いますけれども、しかし、向こうで選挙をさせてやる、本土の選挙法に準ずる選挙をさせて、そうしてこの国会に参加させる人を選ぶということをアメリカが了承したということは、やはりそういう施政権を持っておるという状況でも、この復帰という時期を前にしての国会に参加させる必要を向こうも認めている、そうしてその手続というものをやらせるということを同意したわけですから、だから、ただいままで私どもが沖縄の主席選挙に応援に行かせろ、その場合行かせなかったという問題とは、これはアメリカ側の立場も当然違っているはずだと思うのですよ。向こうで選挙をやらせて、しかも、選ばれた人は日本の本土の国会に参加するのだということになれば、屋良主席のときに自民党だけ行って共産党が行かなんだ、へんぱだということで済むかもしれないけれども、あなた方議員の皆さま方――大臣も国会議員もですけれども――やはり少くとも選挙が行なわれる場合、特定の党派だけは応援に行けて、特定の者が行けなんだという状態で選ばれてきた議員がわれわれの同僚として入ってきたということになれば、やはり議員の資格に傷もつくし、国会の構成そのものについても疑義を持たれるようなことになるのじゃないのか、そういうふうに思うからこそ、特に一般の渡航問題も私はお願いするのだけれども、同時に、少なくとも、選挙の場合には向こうに当然行かせるべきだし、そのことのために政府としてもああいう取りきめをされて立法を国会に回してこられたのだから、その立場としても、当然その程度の民主主義の最低限の保障くらいは取りつけていただくことが必要なんじゃないか。その点について、大臣いま非常にデリケートだと言われましたけれども、少なくとも、大臣の決意でもよろしい、お聞かせ願いたいと思います。
#47
○国務大臣(愛知揆一君) 御意見、私も御意見としてよく承わっておきます。
#48
○委員長(塚田十一郎君) 本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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