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1970/04/03 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号
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1970/04/03 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号

#1
第063回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号
昭和四十五年四月三日(金曜日)
   午後一時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十日
    辞任         補欠選任
     萩原幽香子君     松下 正寿君
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     松下 正寿君     萩原幽香子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         塚田十一郎君
    理 事
                源田  実君
                山本茂一郎君
                川村 清一君
                渋谷 邦彦君
                萩原幽香子君
    委 員
                伊藤 五郎君
                河口 陽一君
                中村喜四郎君
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
                小林  武君
                矢山 有作君
                春日 正一君
   国務大臣
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       総理府特別地域
       連絡局参事官   加藤 泰守君
       外務省アメリカ
       局長       東郷 文彦君
       厚生省医務局長  松尾 正雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する
 調査
 (当面の沖繩問題等に関する件)
○沖繩派遣議員団報告
    ―――――――――――――
#2
○委員長(塚田十一郎君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る三月二十日、萩原幽香子君が委員を辞任され、その補欠として松下正寿君が選任され、また、三月二十四日、松下正寿君が委員を辞任され、その補欠として萩原幽香子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(塚田十一郎君) ただいま報告いたしました委員異動に伴い、理事が一名欠員となっております。これより理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例によりまして委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(塚田十一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に萩原幽香子君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(塚田十一郎君) 次に、沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。
 この際、山中総務長官から発言を求められておりますのでこれを許します。
 山中総務長官。
#6
○国務大臣(山中貞則君) まず初めに、先日、当委員会の皆さまが沖繩に御足労をいただきまして、高等弁務官はじめ責任者の各位、並びに、地域の実態についてたいへん詳細かつ懇切なる御調査をいただき、御助言等をいただきましたことを心から感謝いたします。その結果、たいへん、その後に衆議院の沖特の方も参られましたことも手伝いまして、私どもの努力いたしておりまする諸種の事柄について非常に理解が深まってきたように思いまして、心から感謝申し上げます。今後とも、現地視察の御理解の上に立って一そうの御激励を賜わりますようお願いをいたします。
 なお、三月三十一日に、閣議におきまして「沖繩復帰対策の基本方針」というものを定めました。これにつきまして、すでに報道されておりまするのでたいへんおくれて申しわけなかったのでありますけれども、私のほうからあらためて本委員会においてその概要について若干御説明をさしていただきたいと思います。
 この「沖繩復帰対策の基本方針」は、あくまでも、これから沖繩復帰の一九七二年が確定いたしましたことを前提といたしまして、残りの期間にどのようなことを行なうべきかの基本について定めたものでございまして、文字どおり基本方針であり、大綱にすぎませんが、しかしながら、そこに本土政府の考え方というものを相当明らかにいたしておりますので、必要な個所だけ簡単に御説明を申し上げます。
 まず、この基本方針の策定の一番前提は、各種の施策の推進に際して、「琉球政府をはじめとする沖繩県民の民意を充分に尊重する」ということを大前提にいたしております。
 準備体制につきましては、ともすれば、外交と内政のほうの総理府との関係が混淆をいたしがちになるおそれもあると考えまして、基本方針で、総理府と外務省との分轄機構、機能の分轄を明示いたしました。その概略は、「復帰準備施策の策定、これに関する関係省庁の意見の総括及び調整並びに施策の推進及びその実施に関する関係省庁の事務の総合調整を主管する。」――これは総理府でございます。「総理府におかれている沖繩復帰対策各省庁担当官会議に当面、行政、財政、産業経済、教育文化、社会労働、司法法務及び地位協定関係の七部会をおき、各部会に必要に応じて分科会を設ける。沖繩事務所は、復帰準備に関し、琉球政府との連絡調整、沖繩現地における関係資料の収集分析及び調査の実施その他具体的な施策の実施に関する事務を行なう。」と、はっきり書きました。明定をいたしました。
 外務省のほうは、「施政権返還前に沖繩において実施する復帰準備施策のうち、その実施につき施政権者たる米国政府との協議調整を行なう必要があるものについて、当該協議調整に関する事務を主管する。」、これもはっきり明定をいたしまして、「復帰準備に関する日米両国政府の基本的施策の調整並びに復帰準備のための原則及び指針の決定は日米協議委員会で行なわれ、この原則及び指針に従い、沖繩現地でとられるべき復帰準備措置及びその実施についての計画に関する対米協議は準備委員会で行なわれる。」というふうに、明らかに両者の立場をいたしたものでございます。
 復帰対策の中身の概要といたしましては、「沖繩県及び沖縄におかれることとなる地方支分部局等の設置並びに琉球政府等の職員の身分の引継ぎ準備」、「本土法令の適用準備」、「公社、公庫その他公的団体の取扱い」、「公有財産及び米国資産の引継ぎ準備」、「通貨の切替準備」、「地位協定の適用準備」等がそのおもなるものであります。
 このような復帰対策の項目を進めるにあたりまして、特に、「本土法令の適用に際し、沖繩の経済、社会の実態の特殊性を考慮して必要に応じ暫定特例措置を講ずること。」ということをまずはっきりいたさせました。
 さらに、「施政権返還前の沖繩において措置しておくべき施策」というものにつきましては、大体、方針といたしまして、「沖繩県の設置に備えて、本土制度に準じて整備しておく必要がある行財政等の諸制度については、復帰前に必要な準備措置を講じておくこと。」、「教育、社会保障のように、本土制度との同一性を確保する要請が特に高いものについては、復帰前に所要の措置を講じておくこと。」等五項目の列挙をいたしております。
 「沖繩の経済、社会の開発、発展を図るための施策」といたしまして、「沖繩の経済、社会の実態の特殊性を充分に考慮し、かつ、長期的な見通しに立って、沖繩の経済、社会の開発、発展を図るための基本的な施策を策定するものとする。」という考え方をはっきりさせました。
 さらに、計画的、かつ効率的に施策の推進を行なうために必要な立法上、財政上の措置は、さらに、これも特別な措置を考えていくんだということも明らかにしております。
 「復帰準備の目標」といたしましては、「政府は、一九七二年中のできるだけ早い時期に沖繩の復帰を実現するため、諸般の準備措置を早急に講ずるとともに、国会の議決を必要とする(イ)施政権返還協定(ロ)本土法令の適用に伴う暫定特別措置に関する立法及び(ハ)沖繩の経済、社会の開発、発展を図るための施策の推進に関する立法措置を一括して国会に提出することを目途としてその準備をすすめる」、こういうような基本方針を定めて、閣議決定をいたしました。
 委員会開催の時期等もございまして、報告がたいへんおくれましたことをおわびいたします。
 以上、前置きをさしていただきます。
#7
○委員長(塚田十一郎君) 以上で山中総務長官の説明は終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#8
○矢山有作君 きょう私は沖繩軍労働者の解雇問題だけにしぼりまして、二、三お伺いしておきたいと思います。
 まず最初に、現在の状況を知りたいと思いますので、昨年の十二月四日の第一次解雇以来、軍労働者の解雇の実態というものを御説明いただきたいと思います。
#9
○国務大臣(山中貞則君) 先般、年度末の予備費の執行状況を見まして、政府の決断をもちまして一九七〇現地会計年度中、本土の昭和四十四年度予算に関しまする施策といたしまして、千二百三十七名分の解雇者について措置をとりました。これは現地の解雇者の方々に対しまして、本土の全駐労解雇者の計算基準をそのまま適用して計算をいたしましたものでございまして、一億九千六百万円、一人平均十五万円余りでございますが、このような措置をとりました前提は、ただいま申し上げました本土政府の会計年度内の解雇者千二百三十七名というのに対して行なったわけであります。
 なお、そのときにも今後の見通しとして述べましたものに、現地側の現会計年度、こちら側として昭和四十五年度予算の中に入るであろうと思われますものにつきまして――数字がちょっとありませんが、二百十三名が一応予告を受けておりまして、これはこちら側として四十五年度予算の中に入りますが、現地の現会計年度内において解雇がおそらくなされるであろうと思われる人数でございます。それに対しましても、四十五年度予算においてしかるべく、ただいまとりましたような措置を準用するということでございます。
 なお、これから先は御質問があるのかもしれませんが、しからばこれからあとはどうするんだということでありますけれども、このような事実を踏まえまして、米側もたいへん歩み寄りもあり、好感も持つようになりまして、ただいま予定されておりまする一説に第三波ストと言い、あるいは春闘と一緒にと言っておりますが、いずれにいたしましても、そのような一九七一会計年度において、労使の間において財源等も含めた論争等の中で、交渉等の中で、おそらく非常に好ましい結果が得られるのではなかろうかというふうに考えますが、完全にこれが本土並みの、ただいまの退職金に関しましては本土並みにいくのか、あるいは解雇予告期間も完全に本土並みなのか、これとてもやはり予算の問題に関連がありまするし、後ほど御質問が出るでありましょう雇用形態等についても、米軍側からの感触が出るものなのか、ここらのところはわかりませんが、復帰は二年後でありますし、復帰したら直ちに本土並みの体制の中に諸制度――退職金制度その他も入るわけでありますから、それまでの間、米側にも絶えず接触を繰り返しながら、この全軍労というこれは一雇用関係の労働組合ではありましても、九十八万の沖繩県民に占める雇用の実態は別といたしまして、五万五千人のウエートというようなことに思いをいたしますと、これはやはり社会問題でございますから、どうしてもこの問題については全力をあげて解決しなければならぬと思っておりますので、目下のところは、おそらく米側との感触から見て、たいへんいい結果が予見できるのではなかろうかという気持ちになっておるところでございます。
 よけいなことまで言ったのかもしれませんが、以上、見通しまで御説明いたしました。
#10
○矢山有作君 今度の大量解雇が行なわれた背景といいますか、原因といいますか、それはどういうふうにお考えになっておりますか。
#11
○国務大臣(山中貞則君) これは、沖繩の全面積に占める軍事基地のウエート約一三%、あるいは本島だけならば四分の一も占める軍事基地の比重というようなものの現地の人々の感じから見れば、当然、基地の縮小というものに伴う解雇というものは、喜ばないにしても、覚悟はしなければならないことであると思うのでありますけれども、しかし、これが普天間の基地を除きましては閉鎖もしくは縮小等々というものと直接につながらないで、もっぱらアメリカの主として軍事予算あるいは全体的にはインフレに対する政府の予算の削減というもの等から出発したものでございまして、ですから、御承知のように、アポロ従業員等の大量解雇とかいうようなことも伴っておりますし、海外基地における定員の削減等は、これはもう沖縄のみならず、本土の全駐労も含めまして諸外国において見られる現象でございます。ここらのところが、一面においてはやむを得ない、現在は施政権者であるアメリカの予算の執行方針として認めざるを得ない現実である。ところが、現地側の感情としては、それならば基地というものを次々と、どこの基地を閉鎖した、どこの基地を旧所有者に返したというようなことから起る解雇問題であったならば、このようにぎすぎすしなかったのではないかと私も思います。しかし、このアメリカの方針を日本政府が、ことに財政上の方針でありますから、これを増税でやったらいいじゃないかというようなことを言えるわけはありませんし、ここらのところに私は沖繩の全軍労の非常な苦悩というものを感じ取っております。その苦悩を私は一労働組合の苦しみとして受け取らないで、沖繩の持つ苦悩として受け取って、あながち政府の中で私の意見に全部の閣僚が賛成しているとも言えないことも多いわけですけれども、私はやはりそのような受けとめ方で全身全霊を投げ打ってこの問題に取り組んでおるつもりでありますが、遺憾ながら、ただいまの御質問のような現実の基地整理と人員整理というやむを得ない措置とはかけ離れた財政上の措置のみで、理由のみで解雇が進捗しつつあるということに割り切れない思いがあるであろうということを、私はそれらの人々の立場に立ってよく理解できるものであります。
#12
○矢山有作君 いまのお話を聞いておりまして、私は総務長官は事態の認識がまず的確になされておるように思います。ところが、先ほどのおことばにもありましたが、この問題に対処するしかたについて、どうも政府部内で意見が一致しないような面があるというふうに感ぜられるのは、やはり軍労働者の解雇というものが即軍事基地の縮小につながるのだ、こういう解釈をしている向きがかなりあるのではないか。特に現在内閣の首班である佐藤さん自体が、基地の整理、縮小につながるのだからこれはけっこうなことだという発言をされたことが報道されておりますが、そういうようなところから私はどうもこの問題に対する取り組みに対しての積極性が出てこないのではないか、こういうふうに思っているわけです。したがいまして、私は今日、さらに今後において沖繩の軍事基地というものがどうなっていくのかということをやはり的確に認識しておく必要がある、こういうふうに感じますので、そういう点で、防衛庁なりあるいは総務長官のほうで、最近の軍事基地の動きと言いますか、そういったものを把握しておられるなら、この際御説明いただきたい。
#13
○国務大臣(山中貞則君) まず最初の御意見でありますが、なるほど新聞紙上等では山中長官の構想に各省反発とか批判とか、あるいは袋だたきの山中長官とか、いろいろ言う表現もありますが、しかし、たとえば全軍労の退職金の、はっきり言って、本土との差額分ですね。これを支出することについて、これはやはり財政当局を中心に、本来日本政府が支払うべき性質の金ではない、これは私は正しいと思います。そのような主張が最後まであったことは、私はやはり国民の税金を預っている大蔵省として正しい見解であると思いまするし、特に本土において支払っている給与はそのまま米軍が支払っておって、しかも、復帰が予定されている沖繩の現地については財政上の理由で本土並みの支払いができないということを言っているわけでありますから、それらの大蔵省を中心とする意見というものは、私は異った異見ではなくて、いわゆる意思の意の意見として私も尊重いたしました。しかし、裏話をじゃひとつ申し上げますが、佐藤総理が冷淡なのではないか、あるいは基地の縮小で人員整理がされるのだから喜ばしいことではないかというようなふうに、何かどこかで見られたのかもしれませんが、発言があったやにただいま言われましたけれども、実はそうでありませんで、第一に、歴代の日本の過去の総理大臣が、占領されている沖繩という、日本の潜在主権のある領土、しかも百万近い人々の苦しんでおるところに全然訪れなかったということで、就任直後に義務としてまず沖繩に足をおろした。そして自分が努力します、復帰しますということを誓ったということは、私は形だけの問題では決してなかったと思いまするし、またもう一つの問題について申し上げますと、この全軍労の退職金支払いにつきましては、年度末ぎりぎり三十日の午前中の参議院の予算委員会の席上の持ち回り閣議できまったわけでありますが、その最後の決断を下したのは総理でありまして、総理が、山中君の主張を理論上は別としてこの際取り入れてやれということを大蔵大臣に指示されまして、その結果、大蔵省も財政法上あるいは給与支給のたてまえからいって疑問があるけれどもということで、大蔵大臣はしぶしぶ署名すると言いましたけれども、そういう裏話がございました。決してそのようなことはございません。
 それから、軍事基地につきましては、琉球政府自体も実は正確な把握をいたしていない現状でございます。そこで、まず基地をこれからどうするかの問題につきまして、直接には米軍資産の買い取りその他の問題も対象になって調査しなければならないわけですけれども、まず、いまの軍事基地はどのような面積、どのような地区、その地区における態様、そのようなものをよく調べ、そして一体買い取ってあるものか賃借してあるものか、あるいはもともとの日本の軍用地であったものか、国有地か県有地か、それらの問題も琉球政府も的確に把握いたしておりませんで、わずかに昭和十七年ごろのそういう書類によって推測しておるにすぎません。そのようなことがありますので、ただいま防衛庁の施設庁の専門家の諸君に現地に行ってもらいまして、必要なところは立ち入り等も、米軍も認めましたので、まず沖繩における米軍の軍事基地の実態把握ということに着手をいたしておるところでございまして、これから全力をあげて琉球政府と一緒になって――もちろん私のほうもでありますが――その軍事基地の実態はどうなっているのかという問題の確認をいたしたいと努力しておる最中でございます。
#14
○矢山有作君 私は、総務長官が非常に強調されました軍事基地の縮小と軍労働者の大量解雇は無関係である、アメリカのただ一方的な都合による国防予算の削減から起こった問題だ、このことはやはり徹底して明確にしていただきたいと思うのです。そのことが全軍労問題なりあるいは復帰を控えての沖繩のいろんな深刻な関係についての国民的な認識を深める第一歩だと思いますので、その点は、いまの熱心な総務長官の態度を持ち続けて、さらに徹底を期していただきたいと思います。
 ところが、軍事基地の最近の実態なんですが、私も現地に行ったわけではありませんから、つぶさに目で見て知っているわけではありません。しかしながら、ことしの二月に原水禁の沖繩県協議会がかなり詳細な最近の軍事基地の状況というものを調査したものを発表しております。それで見ると、基地の拡張強化というのが非常に強力に進められておるという実態が報告に出ておるわけです。一々内容をこまかく申し上げればいいんですが、時間を食いますからそれは申し上げません。しかしながら、黙認耕作権を取り上げるとか、あるいはいろいろな施設を増強するとかいう形で、相当基地の拡充強化がなされておるということだけは明確に調査をして発表しております。でありますから、国防予算を削減をした一方では、そういうふうに軍事基地の機能は強化拡充を続けておる。そして、そういう中で軍労働者の大量解雇が行なわれてきておる。このつながりを一体どう理解したらいいかというふうに、この理解のしかたが今後の問題に対処する姿勢についても私は関連をしてくる問題だと思う。したがって、それらの関連の中で一体どう理解するのかということをお話しを願いたい。
#15
○国務大臣(山中貞則君) 防衛問題になりますと、私のほうはちょっとそこまで触れかねますが、そのような見方をする方々もありましょうし、また、どなたが調査しても真実は一つのはずですが、なかなかそうでないことも世の中にはありますので、やはり政府が責任を持って調査しなければいかん。ことに琉球政府自体がはっきりと掌握をしていないという事実がありまするし、たとえば、宮古に戦争の最中に旧軍が三つの飛行場をつくった。その一つは大部分――一部は耕作地に貸しておるようでありますが――大部分は現在の宮古飛行場になっておりますが、残りの二つは民間が耕作しておることを認めておるというような実態とか、あるいは慶良間諸島におけるメースBは撤去したものの、そのあとは、まだ返すともあるいはまた利用するとも言ってないとか、いろいろな状況が、過渡期でありますから、あります。まず何よりもそのような実態をすみやかに把握する、しかも、その権利義務関係等も明確にしておいて、日本政府がそれに対して琉球政府と一緒になって努力するということが先決であると思います。したがって、アメリカがどんどん基地拡張して設備を増強しておることが事実なのかどうか。そこら等については私自身はちょっとわかりかねる次第であります。
#16
○矢山有作君 その点は政府の当局者としてはそういう御答弁になると思うのです。ところが、いま言いました沖繩原水禁の実態調査をもし正しいものと仮定をして、軍事基地の機能の拡充強化をはかられておるそういう中で、一方大量解雇が出てきておる。これの関連をどう理解しておられるか、これはまあ仮定の問題としてお答えを願いたい。一方には軍事基地の拡張強化がある。一方には大量解雇がある。この関連をどう理解するか。
#17
○国務大臣(山中貞則君) まあ、仮定のことに答えろということでありますから、吉田さんの名言を借りるつもりはありませんが、しかし、軍事基地をかりに拡張いたしますと、基地要員というものがどうしても要るわけですね。だから、全軍労の闘争だって、基地能力の麻痺というようなことを実際上示してやろうというようなことが一つの具体的なきめ手――なかなかきめ手がない闘争でありますから、その中で一つの具体的なきめ手としては、自分たちが一斉にやめたら基地の能力は麻痺して使用できなくなるじゃないかということを示そうではないかというようなこともあったように聞いておりますけれども、そのようなことがどんどん行なわれているその半面には解雇がどんどん進んでいるということをそのまま私に認めて、それをどう思うかとおっしゃっても、ちょっと答えかねるのですが、そういう事実があるかどうかについて私としては承知いたしておりません。
#18
○矢山有作君 きわめて慎重な御答弁ですが、まあ、なにでしょう。政府としては確認をした上でないとものが言えないということですから、それはそれとして議論をしても水かけ論になります。しかし、私は軍事基地の機能を拡充強化するということが必ずしも軍労働者の増加にはつながらぬということは、最近のいろいろな合理化の問題を見てもはっきり出てくることだろうと思うのです。だから、今度の場合の大量解雇というのは、明らかに、一つはやはり軍事基地の機能というものは拡充強化するが、そういう中でいわゆる国防予算の削減という大きな命題がありますから、それに従って徹底的な合理化をはかっていこうということが一つあると思うのですね。それからもう一つは、これはきわめて私は政治的なものだと思うのですけれども、今度の解雇の実態、中身を調べてみるというと、その中からうかがえることは、いままで沖繩基地というのはたくさんの軍労働者を持っておったわけですね。あそこに駐留している米軍がたしか六万人足らず、ところが、それに対して、先ほども言われましたように、軍関係の労働者というのは五万五千人。非常に沖繩住民に軍事基地の運営という問題で依存しておる面は強かったわけですね。ところが、今度の大量解雇というのは、そういう沖繩住民に軍事基地の運営を大幅に依存しておったのではぐあいの悪い問題ができてきたんだろうと思うのです。それは、ここ一、二年、いわゆる全軍労の力というのが非常に強くなった。私は沖繩返還を七二年という形で実現をしたその背後には、軍事基地の維持という問題と、この全軍労の非常に強い力、特に最近は基地反対闘争になっておりますが、その強い力というものが一つの大きな背景になって私は沖繩の返還が実現をしたというふうに考えて必ずしも過言ではないと思っておるんです。そういう状態ですから、それをそのままにしておいたんではやがて基地機能の麻痺という状態が起こらないという保証はないわけです。そこで私は、今度の大量解雇というのは、施政権返還はもう目前だと、とにかくできるだけ早く沖繩住民に基地運営を依存しない形をつくり上げる、そういう一つの大きな政治的なねらいというものがあるんではないかと、私はそういうふうに思っておるんですが、これはうがち過ぎた見方でしょうかどうでしょうか、長官の御意見を聞かしていただきたい。
#19
○国務大臣(山中貞則君) 私の答弁を巧妙だと言われますが、矢山さんの質問も相当巧妙な誘導質問で、それはそういうふうにごらんをいただいても、それは人の意見をおれは反対だと言うわけにいきませんので、やむを得ないことだと思いますが、まあしかし、復帰運動も主体は、一貫して、屋良主席実現の底流は、やはり沖繩教職員組合の人々が日の丸を掲げ、日本人教育をするというような強い姿勢を終始一貫続けてこられたことが――だれが功労者かというと、全沖繩県民が努力したわけですけれども、そういう運動の主体性は、具体的な行動としては持っておられたように思いまするし、そのときには、これは言い過ぎかもしれませんが、全軍労の人々は、相当前の時点でありますけれども、なかなか足並みが教職員組合並みには――復帰協の主体のようにはいかなかったという点等もあったやに聞いておりますから、まあ、全軍労の戦いあって日本の祖国復帰は七二年きまったんで、佐藤榮作ごときが行ってきめたものではないぞとおっしゃりたいお気持ちは、そのまま矢山さんのお気持ちとして私も聞きますが、まあお互い、巧妙な質問、答弁よりも、具体的に何らかを生もうという、その対話をひとつやりたいと思うんですが、そのつもりでひとつお願いします。
#20
○矢山有作君 私は、その対話をやる前提として、やっぱり大量解雇の意図するものを的確につかんでおらぬと、これからの対話がスムーズにいかぬと思うんですよ。ただ、私がなぜこういうことをあえて言うかというと、やっぱり、あなたは十分御理解になってるんですが、大体全般的には、軍事基地が縮小されるんだから大量解雇もやむを得ないという、そういう気持ちがあるんですよね。それはやっぱり違う、そうではないんだ、ということをはっきりさせる必要があると思うんです。私は、何といったって、今度の大量解雇の様子を見ますとね、御存じのように沖繩の場合、解雇をする場合は、雇用期間の短い者から順次解雇するという、先任権制というのですかね、そういうことばで呼んどるようですが、そういうことが従来ずっと行なわれてきております。ところが、今度の解雇を見ると、そういうものは全く無視されておるんですね。そういう点が一つ。それから、今度の解雇の中に相当たくさんな全軍労の活動家が含まれておるという面があるわけです。そういう点から考えて、やっぱり私は、基地機能を維持していくという点から、基地機能の維持に大きな障害になる力をたくわえてきた全軍労というものの組織破壊、そうして従順な労働者によって基地運営をやっていこうと、こういうような私は背景があったというふうに考えておるわけです。したがって、そういう点は、これは総務長官も私の考え方に、そうだそうだ、そのとおりだと言うわけにはここではいかぬと思いますが、やっぱりよく考えてみるとね、このことは私はやはり抜きにできる問題ではないと思う。だから、私の言ったことがあるいはそうかもしれぬというぐらいな考え方は持って私は今後の問題に対処していただきたい、こう思うんです。
 それから次は、まあ、これまでも相当な大量解雇をやっておるんですが、私どもがいろいろ伝えられる報道なりあるいは文書を読んでみますと、この七一会計年度でやはり軍労働者、特に一種、二種の軍労働者を中心に一万人ぐらいな大量解雇をやるということが伝えられておるんです。これは沖繩にとっては、いまでさえたいへんなんでね。一年間に一万人の大量解雇をやるということになると、本土の人口におしなべれば百万人です。そんなことをやられたら大問題になると思うのです。そういうことが伝えられているということに対して、あなたのほうでは、はたしてどんな計画でそれをやろうとするのか、また、その前に、そういう計画自体があるのかどうか、これをやはり的確につかんでおられぬというと、これから対策というものは早急に立つものではありませんから、たいへんだと思うのです。そういう点は情報というものを的確につかんでおられますかどうですか。
#21
○国務大臣(山中貞則君) まず、沖繩の基地の軍労働者の解雇が、勤続年数の浅い者から行なわれているのがけしからぬというお話ですが、これはアメリカの……
#22
○矢山有作君 浅い者からやるというのが従来の例だった、勤続年数の浅い者から解雇する。今度はその原則を破って、勤続年数の長い者であろうが全部やっている。その中に組合役員がたくさん含まれている。
#23
○国務大臣(山中貞則君) わかりました。その指名解雇者の問題だと思うのですが、これは実は私ども、ことに私は担当大臣として、沖繩側の立場に立ってものを考えるつもりで終始おりますけれども、この問題までいきますと、これはやはり雇用者と雇用される者、する者とされる者との間の、労使関係の入り組んだ問題として発生した問題でありまして、だから、全軍労のストをやめさせるのか、そうするとどういう手段がとれるのか、ということをよく言われるのですけれども、かりに本土並みの退職金、あるいは予告期間、間接雇用形態をかりに出現させたとしても、組織のメンツの問題としては絶対に指名解雇を撤回しなければストはやめられないのだということも、あるいは内在する事情があるかもしれませんし、そこらの問題のところまでは私たち、不親切じゃなくて、立ち入るのにどうもそこまでは入れないのじゃないかという気持ちでおることが一つ。それから、一万人ほどの解雇が予見されていると言われるのですが、私どものほうでは公式にも非公式にもそういう情報には接しておりません。なお、来年度の予算におきましては、大体予想される二千名ぐらいの方々に対する本土並みの一時金、もしくは再就職手当ですね、そういうようなもの等は組んでおりますが、もし予測外のスピードで、あるいは規模で進展したときに対応するために、調整費十億というものももちまして、不測の事態が起こっても少なくとも――好ましきことではないけれども、そのような本土政府のなすべき予算措置で戸惑うようなことがあってはならないと考えまして、本年度予算から調整費十億を新たに設けました。しかし、何千人が予定されていながら、一方は予算の項目で二千人、残りは調整費で幾らというように組んだわけじゃないのでありまして、したがって、いまのところ一九七一会計年度のアメリカ側の姿勢というものは、依然としてやはり軍事予算に対してはきびしいものがあるようでございますから、予測を許さないし、楽観を許さないとは思っておりますが、いまのような一万人という大量解雇の空気すら私どもとしてはいまのところ感じておりません。
#24
○矢山有作君 これはもう質問が次に移っておるわけですからいいのですが、触れられましたから、重ねて申し上げるのですが、労使関係に立ち入る立ち入らぬの問題でなしに、私はアメリカが大量解雇というものをやっておるそのほんとうの腹の中というものを言ってみたわけです。私は、ほんとうの腹の中は、高度の政治的な配慮、基地機能の維持という政治的な配慮にあるだろう、こういうふうに認識しているわけですから、その点は御了解いただきたいと思うのです。そのことをやっぱり考えながら、あのこうかつな功利主義者であるアメリカのやり口に対応していかんと、正直者がばかを見るということで、とんでもない目にあうのじゃないかと思うので、そのことを言ったんです。それから、一万人の大量解雇については情報がないということでありますが、これは私はいろいろな新聞の報道にもいわれておることであるし、それからその他いろいろな文書でそのことが大っぴらに論ぜられておるようでありますし、沖繩自体でもそういうことがいわれておるわけですから、全く根も葉もないことと言って片づけるわけにはいかぬと思う。したがって、それだけの大量解雇があったときに、これはあわててみてもしようがないわけです。現実に、今度の大量解雇の問題にしたところで、まさか、共同声明をやって帰ってきて間髪を入れずあれだけの大量解雇をやってくるということは、私は、日本政府もあるいは考えていなかったのじゃないかと思うのですが、もしそれを考えておられたとすれば、全くこれは先見の明のあるところなんで、私は、おそらく考えておいでにならぬ意外な大量解雇だったろうと思う。米軍というのは、いままでのやり口を見まして、こちらの意向をそんたくしたり、こちらに相談したりしてやるということは、わりあい、こういう問題ではないものですからね。こういう問題に限らず、いろいろな問題で。したがって、そういう情報が乱れ飛んでおるときには、やはりその点について米軍側に折衝して、しっかりとした解雇計画というものを示させる、そういうことでないと、私は急には対策は立たぬのじゃないかと思う。今度の大量解雇にしたところで、基本的な対策は立たぬわけでしょう。退職金の増額をやるというけれども、では、退職金の増額をやったからこの大量解雇の問題が、解雇された者の立場に立って考えた場合に、解決できたかといえば、解決できない。こんなものはわずか十五万や二十万上積みされたところで、これで実際、再雇用の問題等をからみ合わして考えてみた場合に、一体どうして生活できるのかという問題があるわけです。私、たいへんなことだと思うのです。ましてや、一万人というものあるいは八千人というような大量解雇が起きてきた場合には、どうにもこうにも手の打ちようがないという事態におちいるだろうと思う。しかも、そういう事態が出てきたときに、アメリカ政府に強力に交渉して、何といったって、君たち施政権を握っておるじゃないか、施政権を握っておる者が、いままで二十五年間沖繩労働者を好きほうだい、かってほうだいに使ってきて、この段階で、用事がなくなった、予算が減ったからもう要らないとほっぽり出す。そういうようなことは許されないと思う。そういう点から、強力な、政府としてそれに対する対策をアメリカ自体に出されるような交渉をやるというような姿勢があるならまだいい。どうも、そのような腰の強い交渉もできそうもないということになると、これはますます問題だと思いますので、やはり私は、七一会計年度における米軍側の計画というものについては早急にこれを知ることにつとめていただきたい。そして、その対策を立てることに急いでいただきたい。このことは、私は、いままでの経験の中から特にお願いをしておきたいと思います。
 それから、あなたの所信表明の中で言われておることなんですが、この今回の大量解雇について、「当面の措置として琉球政府が行なう軍関係離職者対策に積極的に協力することをきめ、財政的、技術的援助を行なう」と、こう言っておいでになりますが、この具体的な内容、具体的な計画というのはどういうものなのか。これは事務当局でけっこうですから、お示しをいただきたいと思います。
#25
○国務大臣(山中貞則君) まず、その一万人の解雇云々の情報が乱れ飛んでおるのになぜ知らないかとおっしゃるのですが、私のほうは、実は乱れ飛んでおるということも聞いておりませんで、米側としても、春闘その他の労使の場において、予算措置その他を説明しながら話し合いに入っていくようでありまして、いまのところ、予定されている人数が幾らということは、大体アメリカ側もまだ、予定その他について確たる、たとえば解雇手当の本土並みをやろうとする場合においても、人数とも関係をしてくるでありましょうし、予算の流用その他の弾力性が七一会計年度はどのようにあるのだというようなこと等についても、いまのところはまだやっておりません。ことに、アメリカの予算審議は、一九七〇会計年度につきましても、二百万ドルの削減を結果的にいたしましたですね。ところが、議会の論議は、年を越して一月ごろにどうやら結論が出るというのがアメリカの議会の実態でもありますし、なかなか、そこらのところは見通しはたいへんむずかしいのです。
 それで、わずか退職金の差額くらいを見たところで何になるのだとおっしゃるけれども、しかし、やはりこれは、もう解雇されてしまった人々を何とかしたいと、しかも、本土政府が払う金でないけれども、少なくともこれらの人にそうしてあげたいという努力に対して、それも評価してもらえないというのでは、私はほめてくれとは言いませんが、上原全軍労委員長からも屋良主席からも長文の感謝電報もいただきましたし、やはりいいことはいいことだと私は思うのです。本土政府にやる義務があるのを怠っていて、そしていまごろになって少しやって何だという性格のものとは少しジャンルを異にするのじゃないかと思います。
 あとのこまかな問題については事務当局に説明させます。
#26
○政府委員(加藤泰守君) 昨年の十二月四日に大量解雇の発表がございまして、そのあとの本土政府としての措置は、本土政府といたしまして、十二月二十三日に「沖繩における軍関係離職者対策について」という閣議決定をいただきまして、本土政府の立場で琉球政府に従来援助費として五千万円の援助費がこの離職者対策として計上されておりましたが、それをもとにいたしまして、琉球政府において、本土政府がやっていると同じような離職者対策の措置をとるように指導しております。その結果といたしまして、琉球政府としては、特別給付金を含めまして、今回の離職者に対して給付金を支給し、あるいはその他の手当を支給するという措置をとっているわけでございます。その離職者に対する特別給付金以外には、現地におきまして職業訓練の推進をはかる、この関係で職業訓練施設の整備をし、また基地内の訓練の実施のための措置をとるように米側に求め、また総合職業訓練所の建設促進のための措置をとる。そういうような、現地における再就職のための訓練を実施するということにいたしますと同時に、本土におきましても、もし沖繩の離職者が本土に来られる場合には、本土においてとられていると同じような職業就職あっせんをするということをきめまして、その措置をとっております。それから、具体的に琉球政府が民間間の会社その他に就職のあっせんその他の要請をいたしておりますので、その関係で、現地におきましてできるだけ就職ができるような指導をやっております。特にその専門家といたしまして労働省から係官を現地に派遣して、その対策を十分とれるように指導しているわけでございます。
 以上でございます。
#27
○矢山有作君 まあ話があとへ戻ったり先へ行ったりするようなことになるのですが、退職金の増額されたことをね、私はつまらぬことだと言っているわけじゃない。大いに努力されたことは認めながら、しかし、それでは基本的な大量解雇の解決にならぬというような意味のことを言ったわけです。
 それから、情報が乱れ飛んでおるということは承知しないと言っておられますが、やはり八千人とか一万人とかいう大量解雇ということについては、沖繩現地の新聞やあるいは国内の大新聞等も一、二回取り上げている問題ですし、それから、その他、まあ週刊誌で言うならば「朝日ジャーナル」あるいは「エコノミスト」だとか、そういった面にもやはりはっきりそういった面が取り上げられておりますから、だから私は、アメリカはアメリカの都合があって、なかなか発表しないという面もあるんだろうと思いますが、そういう情報があるということは事実ですね。やはり対策の万全を期するという意味で、これはできることなら、やはりアメリカと折衝されて、しっかりした実情をつかまえる必要があるだろう、こういう意味で申し上げたわけです。
 それから、いまの参事官の方のお話ですが、まあ離職対策で五千万円計上しているということは、こういうようなことは私は予算上で承知しております。だから、私が聞きたいのは、琉球政府がやる離職者対策に対して積極的に協力するのに財政的なあるいは技術的な援助をやるというその具体的な中身、たとえば職業訓練をやるというなら、職業訓練をやるための訓練諸施設というものをどの程度つくるのか、あるいは、それで、そこに職業訓練の対象としてどの程度の人員を吸収することができるのか、そういったことが聞きたいわけなんです。大ざっぱな話はわれわれも承知しているわけですから。
#28
○政府委員(加藤泰守君) 職業訓練の施設といたしまして、本土政府は今回新たに設置を指導しておりますのは、左官科の新設をやり、また既設科目の整備拡充をいたしまして、この関係で……
#29
○矢山有作君 端的に言ってください。どの程度の人員が、たとえば職業訓練の対象として新しい援助で吸収できるのかということ。
#30
○政府委員(加藤泰守君) 職業訓練施設の整備によりまして、そこで収容される人員は、いま、ちょっと……。基地内の職業訓練の対象といたしましては約千名を予定しておりますが、職業訓練施設の整備による対象は、総合訓練所の建設をしまして、それの関係では百二十名の訓練を実施する予定になっております。
#31
○矢山有作君 増設が百二十名。
#32
○政府委員(加藤泰守君) これは総合訓練所の関係でございます。それから、コザと那覇の職業訓練施設の拡充につきましては、八十名の予定になっております。職業訓練関係はそういうことでございます。
#33
○矢山有作君 ほかに何かありますか。――まあ、時間を食いますから、そういう点については、ひとつあなたのほうで今度新しく解雇者に対する対策として予算計上したものの内容というのは、あとで資料にして提出してください。ただ、いま総合訓練所の問題やあるいは職業訓練所の問題を聞いておって、それだけで言うならば、感ぜられることは、相当な大量解雇に対する対策としてはきわめてさびしい限りだということを私は感じます。それではこれだけの大量解雇に対する対策として不十分だろうと思いますので、そういう点の充実強化というのは、やはり私は、政府としては真剣に考えなければならぬじゃないか。先ほども言いましたように、第一義的には、私は施政権者であるアメリカがやるべきだと思うのです。自分がいままで二十五年間使いたいほうだい使っておきながら、それを首を切るというならば、生活に困らぬだけの保障というのは、やはりその責任においてアメリカがやるのは当然である。また日本政府としても、それを強く要求していくのが当然の責任だろうと思う。しかしながら、どうしてもそれがやれぬというのであれば、私は、やはり日本国民でありますし、また近いうちに施政権は返ってくるのですから、やはり日本自身の手でも片づけるように、対策を立てるように、もっともっと積極的な取り組みが要るんではないか。そうせぬと、アメリカはもう施政権を近いうちに返すんだからということで援助費は減らすわ、遠慮なしに首を切るわ、日本政府のほうは、まだ施政権が返ってきておらぬのだからということで、へっぴり腰で対策が積極的に進まぬというのでは、これは困るのは沖繩の人だけなんですから、そんなことにならぬように、私は万全の対策をとっていただきたいと思うわけです。
 それから次は、米国に対して、離職者救済措置の円滑な処理及び労使間のトラブルの円満解決をはかるためにということで、三つほどの件を申し入れておられるということが総務長官の所信表明の中にありましたね。一つは、解雇予告期間を本土並みにするということ、それから退職手当の増額を本土並みにするということ、再就職について基地内における職業訓練を実施するということ、これをアメリカに要求をしておられるということでありますが、向こうの態度といいますか、そういったものは現在どうなっておりますか。最初のお話ですというと、非常に明るいような展望を持たれたような意味のお話がありましたけれども、単なる展望では――これは展望しか得られぬのかもしれませんが――これも困った話なんで、交渉の経過なりあるいはその中でもっと的確なものをつかんでおられるならば、それが言っていただければ、われわれもあなた方と同じように、少しでも事態が前進したということで安心ができるのじゃないかと思うのですが、その点いかがでしょう。
#34
○国務大臣(山中貞則君) まず初めに、事務当局の答弁がもたもたしておりますが、これは予算の積算の基礎にちゃんとあるわけでありまして、いまのような、何か自信のないような数字では断じてないわけです。ただ私は、そういう再就職のあっせんとか技術の訓練とか基地内の指導とかのみをもって足りるとしているわけではありませんが、はたしてそれを、技能を習得しても沖繩の復帰ショック、不安というものが、現地の雇用が、第一需要があるのかどうかという問題として非常に大きな背景があるものですから、私は就任してすぐに予算編成に取りかかっておるのですけれども、追加列車をずいぶん出しまして、その中に、大蔵省としては最後まで渋りました沖繩の主要五島嶼における循環道路、これを一斉に復帰までをめどとして、完全な改良、舗装を行なう、新設を含めて、というような予算等を無理に突っ込みましたのも、一つには、これは駐留軍労務者の方々のいままで働いておられた職場の関係、あるいは年齢等の関係で、それぞれの人が全部その作業に従事すると私も思いませんが、台湾に例をとるとおこられるかもしれませんが、どこかの国でということでもよろしいのですけれども、大量に職業軍人が年齢的に解雇されることになったときに、台湾の横断道路ですね、そういうものでもって普通の退職金なりあるいは恩給なりのほかの収入を相当期間得る努力をしたというようなこと等も、一つのまねじゃなくて、そういう例もありますので、私は五島循環道路の必要性を力説いたしまして、ことに西表島は人口二千名くらいしかいないのに相当巨額な投資をして一周道路をつくる必要がありやいなや、しかも、舗装道路の必要ありやいなやという疑問もありましたけれども、私は、やはり現在の建設業は御承知のように、昔のようにつるはし、もっこの土方という観念はだいぶ薄れまして、相当高度な機械を駆使する相当な――ホワイトカラーとは言いませんが、相当技術的な事業にもなっていると思いますから、それらの方の間接的な雇用需要の拡大をこれによってはかろうというようなことも非常に大きな柱として念頭に置いてやったわけです。今後は、これからも質問が出るでありましょうが、現地側におきましてなるべく直接雇用に貢献するもの、あるいは関連産業の雇用需要を喚起をし刺激を与えるもの等々の、場合によっては、外国資本も勇断をもって認めますし、本土資本の進出に対して積極的なあと押しをしながらそういう雇用の場の拡大ということに努力をすることが、多面的な努力を展開することが、沖繩の人々をして、家族を残して東京に行かなければならぬだろうかという心配におとしいれることを防ぐということにおいて絶対必要であるとまあ考えておるわけであります。そういうふうに考えておりますので、一つ一つ、具体的にはそれで幾らかと言われましても、なかなか感情的なものもありまして、こちらの大建設会社を向こうに、作業に持っていくことはちょっと遠慮したほうがいいと思いまして、建設省から指導にわざわざ派遣をしてもらいまして、現地の沖繩県における建設業の能力並びに離島までの消化能力がはたしてあるかどうか、資材、人員その他の面について綿密な調査をいたしまして、短期間でありますけれども、突貫作業の中になるべく数多くの人々が賃金が得られるようにしたいという念願をいたしておるところでございます。さらに政府のアメリカ側に対する申し入れでございますが、私の就任前の申し入れ項目でありますけれども、就任いたしましてしばらくは、米側の基本的な姿勢として、この問題はアメリカ政府と日本国政府との間において話し合われるべき性格のものでないという態度を持っておりました。私には実は外交権がありませんので、その点たいへん隔靴掻痒の感を抱いていたわけでありますけれども、たまたま日米協議会の席には私もその構成メンバー三者の一人でありまして、せっかく外交権、発言権を持つ場を与えられているわけであります。そこで、いままでは日米協議会は、当該年度の予算に関連をいたしましてただ予算の事前承認的な形式的な外交にすぎなかったようでありますが、今回から積極的に、復帰がきまったことであるし、これに伴う諸問題を提起し討議する場にしたいということで、米側もこれに対して承諾をいたしました。その結果、退職金の本土側の支払いも、筋はアメリカ側の払うべきものであるが――ということを前提としながらも、アメリカ側において雇用形態等について日米両国で検討することに合意したという文書をつけまして、このことによって支払いという立場を日本政府がとるのだということを明確にいたしましたとおり、日米両国の間で雇用形態の問題も含め、退職金の一九七一会計年度の問題、同じく予告期間の延長の本土並みの問題等々が、いまのところ順調に話し合いが進んでおるということがその事実でございます。
#35
○矢山有作君 明敏な方ですから、ポイントになるようなところをどんどん先にお答えになりました。まあ、再雇用の問題は私は解雇問題に関連しては非常に重要な問題だと思いますので、これはまたあとからお尋ねをしたいと思います。ただいまの解雇予告期間の延長問題であるとか、退職金の総額を本土並みにする問題、あるいは再就職のための職業訓練、これら、いまのお答えですと、相当明るい希望は持てるようですけれども、ぜひこれは施政権者であるアメリカの責任において実現させるように今後一そうの御努力を願いたいと思います。
 それから次は、先ほどもうすでにあなたの口から出ました間接雇用の問題についてお聞きをしたいのですが、これ、実は新聞で読んだことなんですから、そのことをまず前提にして聞いていただきたいのですが、三月二十七日の「沖繩タイムス」です、これは。それによると、衆議院の沖特の方たちが沖繩に行かれたときに、ランパート高等弁務官と会われていますが、そのときのランパートさんの話では、こういうことを言われているわけですね。「軍労働者の間接雇用制度について日本政府が提案してくるなら真剣に検討する用意がある」。これを裏返しにしてみると、私どもは、もうこれまでの報道で、あるいは政府の皆さんの答弁で、積極的に外交ルートにのせて折衝をしておいでになるものと思っておったのですが、このランパートさんの発言で見ると、これが実際にやられておらぬような印象を受ける、そういう発言なんですね。もしランパートさんがかけ引きで言ったとするならば、これはけしからぬ話です。それからまた、ランパートさんの発言どおりに、これがほんとうに外交ルートにのせて真剣に折衝されておらないとするならば、これまでの政府の表明等がこれはうそだったということになるわけで、これはちょっと見のがすことができませんので、一新聞の報道ではありますが、この点についてはやはり真相というものを明らかにしていただきたい。
#36
○国務大臣(山中貞則君) それは新聞の報道のみでなく、沖特の衆議院の方々からも直接御連絡をいただきました。そのことは半面真実であり、半面は実は違うのです。ということは、まあ外交の型というものは、私はどうも野人でややこしくてしょうがないのですが、十分に事前に根回しをして疑問点をことごとく詰め合って、そうして新聞会見のその日米両語に書いたものまで、用語がそれでよろしいかどうかまで確認をし合った後、会った、提案をした、承諾をしたと、こういう形にどうもなるようであります。その意味からすれば、ランパート高等弁務官の言われた、日本政府から正式な提案があれば検討するのにやぶさかでないと、これはいまだ提案がなされていないという具体的な行為は確かにあります。そのとおりだと思うのです。しからば、何もやっていないじゃないかということは、実は先ほど申しました、半面実は違うというのはそこであります。どのような形ならば日本側が提示をしアメリカ側がオーケーと即座に言えるものがあるかということについて、いまこれは私どもの政府内の関係各省も相談をし、これは法令上その他の問題もあります。現在の施政権下の中でどうするか、あるいは布令一一六号をそのままにしておいてやるのか、それと労働三権その他を解決しなければいやだというのかという、いろいろな問題もありますが、日本政府が直接やる、これもなかなか施政権を越えてはむずかしいでしょうし、琉球政府が直接やるというのも、琉球政府対アメリカ政府が法律上、国際法上対等の立場の国家でないということもありまして、それに準ずる形態というものはどうであろう、それならば、どのような、内容はこれは実際上間接雇用になるとしましても、形はどういうものが日米双方の合意が得られるだろう、これは施政権者の単なる意向だけじゃなくて、現在の法体系の中で生み得る形はどのようなものであるかということを、これは連日と言うと、やっていない日もありますから、相当精力的に両者の間で詰めておりますし、したがって、ランパートさんの言うことは、半面、いまだ提案がないということも事実ですし、しかし、提案をしたらその瞬間において解決をする、提案した、そしてオーケーをしたというための準備をいま精力的に続けておる。その見通しは明るうございますということを申し上げているわけでございます。
#37
○矢山有作君 わかりました。ところで、間接雇用制度に移行する場合について、政府の内部でも、いまおっしゃったように、いろいろな形が検討されているようです、それぞれ法制上の問題があるようですから。で、現在のところで大体どういう形が一番いいものとしておられるのか。その点はもう固まっておりますか。それとも、全然まだそういう点についても未確定の状態で、まあ私が承知しているところでは、間接雇用に準ずるという場合に三つくらいの形が考えられているようですが、その点についてはまだいずれとも全然結論が出ない状態ですか、どうでしょう。
#38
○国務大臣(山中貞則君) これは消去法で言いますと、先ほど言いましたような、日本政府が直接施政権を越えて雇用するということは、形式としては考えられますが、だめでしょうね。今度は琉球政府直接ということは、先ほど申しましたように、これも無理だろう、非常に困難だろうと思います。そうすると、これはあと事務の執行能力その他もありますし、また、それをやる場合において給与支払い事務そのものが、もしアメリカ側が直接でない支払い事務に移しますと、一人当たり四十六ドルぐらいかかるそうです、給与支払いの事務費が。そうすると、給与そのものはアメリカ側のほうで手間賃かからずに払ってもらって、そうして、雇用そのものの形態は、いま三つぐらい考えられるとおっしゃいましたそれ以外の形態で、実際上はこちらの施設庁その他が行って事務をとりませんと、能力ありませんから、そういうことになると思いますが、そういうところで雇用関係ははっきりと米軍対雇用者という形でなくして、第三の雇用、その雇用した者が雇用した立場においていろいろの問題をアメリカ側に向かって、施政権者に向かって交渉していくという形のほうにおそらく落ちつくだろうと考えておりますが、まだ最終的にどこまでかという問題については、先ほどの予算の問題等もありますし、あるいは、それならばそれは琉球政府の外局たる雇用施設なのか、雇用機関なのか、あるいはそうでない独立の日・米、琉三者が認め合った全くの中間の雇用形態のみに依存する機関を何かつくり得るのか、そこらの詰めをいまやっているわけであります。
#39
○矢山有作君 まあ、おっしゃるとおりに、はっきりしているのは、日本政府が直接雇用の相手にはなりませんよね。これは布令一一六号もあるわけなんです。それから、憲法上の問題もあるでしょう。それから、琉球政府が直接雇用の相手になるということは、これはおっしゃるように、民政府と琉球政府の関係からしてなかなかむずかしい。そうすると、純然たる第三者機関というふうに解釈すればいいんですか。そこのところは、そうした場合もやはりその法的な地位がどうなるかということは、おっしゃったように、まだ未確定なんだろうと思いますが、しかし、それにしても純然たる第三者機関、こういうふうに考えたらいいんでしょうか。
 それからもう一つは、私ども考える場合にも、やはり法律上、特に裁判管轄権等の問題でこれは問題が出てくるだろうと思う。その点の詰めはどうなんですか。
#40
○国務大臣(山中貞則君) 純然たる第三者機関という表現は少し合わないんです。ということは、主体は本土の国家公務員がその業務の主体にならないとなかなか無理だと思うのです。それの派遣の形態とか、身分とか、いろいろありましょう。それに琉球政府の中でいろいろと事務その他の手助けをする方もお願いをしなければなりませんでしょうし、要するに、やはり権威のあるものでないと――第三者と言うと、民間の人たちも頼ん――というふうに聞こえていけませんので、これも早手回しに言っておきますけれども、そういうことまでは考えておりません。やはり権威を持つ機関というものをどういう形で設置するかということを詰めているわけでありまして、もちろん、その場合に施政権あるいは裁判管轄権あるいは直接の布令一一六号等々の問題を、ある場合には目をつぶってでもやるか、あるいはどこかは改正しなければそれはできないのか、そこらの問題も含めて検討中というふうにおとり願いたいと思います。
#41
○矢山有作君 まあ、いまの御答弁を聞いておりましても、それから、私もきょうは詳しい話はしませんが、間接雇用がはたして実現できるだろうかできぬのだろうかと思って私なりにいろいろ現在の法制上の問題等でも調べてみたんですがね、実際問題としてはこれはなかなかむずかしいんですよね。私たいへんだと思うのですよ。そこで私は、はたして間接雇用制度というものが、いま非常にやかましく論議をされておるけれども、できるのかできぬのかということについては、きわめて疑問を持っておるのです。第一、政府の中でも漏れ聞くところによると、外務省のほうはとてもじゃないが見込みがなさそうだというので非常に消極的だと聞いておりますし、総務長官のほうは、何が何でもこのいまの状態を少しでも改善するのにはやるんだと、こう言っておられるようですが、しかし、何が何でもやると言いましても、法律制度上大きな矛盾のあるものをそのままやるということは、やっぱりあとに問題を残しますから、非常にむずかしいんじゃないかと思うのですよ。で私は、間接雇用制への移行もさることながら、これはいわゆる間接雇用制に準ずる制度に持っていくということもさることながら、それよりも、もっと困難かもしれませんけれども、私はむしろ一番のねらいは、労働者の基本権を剥奪してまことに非近代的な法制のもとに沖繩軍労働者を押し込めている布令一一六号というものの処理をやっぱりまず考えるべきじゃないか。アメリカとしても、あの民主主義だと言って、民主主義の模範のようなことを言って歩いておるアメリカが、こんな布令一一六号のような非民主的な法令を残しておるということは、アメリカ自体の私はつらよごしであると思うのです。日本政府もやはりその立場に立って基本的には布令第一一六号を廃止される。それがほんとうの民主的な労働行政じゃないかという立場を貫いたほうがいいんじゃないかという気もするのですよ。その点はどうでしょうね。
#42
○国務大臣(山中貞則君) おそらくできないんじゃないかというお話でありますが、外務大臣愛知さんと私との間には、今日まで終始意見の食い違いはございません。今日の沖繩の全軍労の混乱の一番大きな原因は、端的な表現でおかしいんですけれども、ベトナム帰りの米兵の銃口と沖繩県民の労務者とのどてっ腹とでこすり合いをするというような形にあるんだ、だから、これをやはり解決しなければいかぬのだという基本的な認識というものにおいて変わっておりませんし、あるいは、外務省といいましても、局長や役人諸君が一ぱいおるのですから、いろいろかってなことを言うかもしれませんが、しかし、責任ある両大臣の間に意見の食い違いがないということは、私としてははっきり申し上げておいたほうがよろしいと思います。
 なお、施政権があるうちはできないんじゃないかということですけれども、まあ、日本も占領下に間接雇用形態だけは事前に移行をすることができましたし、また、沖繩においても、十数年前に騒がれました土地の一括払いか分割払いかという問題、そのときにもやはりどうもめんどうくさくなったとみえて、それらの土地の買収なり支払いなり等については琉球政府にアメリカは委託しているわけですね。だから、私はアメリカに言うのですが、直接会ったときも、あと残りの二年間――ということは、二年たったらアメリカさんがどう言おうと本土並みになるのですから――の間を、日米の間にこの種の問題で解けないしこりを残す二年間にしたいのか、それとも、残りの二年間を復帰したあとの日米友好に貢献するような二年間にしたいのか。むしろアメリカ側から、たいへん御迷惑だろうが一時雇用者は日本政府のほうでひとつめんどう見てくれぬかとなぜ言えないのだと私は率直に言っております。まあ、そういうことは基本的には向こうもわかっているようです。そこで、おっしゃるような一一六号等の問題が登場するわけですが、ただ私は、沖繩の人々のために――これは全軍労のためだけじゃありません。全軍労が五日間のストをぶつ。そうすると、Aサイン業者を中心とする基地関連営業のみに従事している人々は五日間休業せよということを強制されたと同じことになりますから、あのようなことを二度と繰り返させてはならない。悲劇が起こるおそれがある。
  〔委員長退席、理事山本茂一郎君着席〕
このようなことですから、これは沖繩の全体の問題として考えていかなきゃならない問題なんです。とすると、私はやはり求めるものは何であるかということから出発をしなければならぬのであって、布令第一一六号がけしかる、けしからぬはよくわかります。しかし、そのことをまともに押していった場合に、雇用形態というものは私は吹っ飛んでしまって、そこに抜き差しならない施政権という厚い壁、しかも、これが直接には雇用形態では四軍がばらばらで直接雇用をやっておるという実態、ランパート高等弁務官自体もままならない、あるいはハワイにある太平洋艦隊司令部の意向を聞かなければならない、ワシントンに飛んで帰らなければならないという複雑な実情を直視するときに、布令第一一六号はただちに撤去せよということを重点に置いた場合に、沖繩の人々、なかんずく全軍労の人々は、そのことが解決への近道だと思われるだろうか。まさにそのことが問題であることは私も認めますが、そこらのところは、やはり一番何をしなければならないのかという問題で、壁があるならその壁にいどむ。もしその壁をソフトにさわって通れるものならば通るという弾力性を持ったほうがいいのではないかと私は思うのでありますが、これは意見がお互いに一致しなければだめだというわけじゃありませんので、矢山さんの御意見というものは確かにそのとおりだと、私も問題点としてそこがあるのだということは認めます。
#43
○矢山有作君 私が心配しますのは、布令第一一六号のような切り捨てごめんというような、極端に言うならば、ああいう法制を残しておいて、そしていわゆる第三者機関的なものを設けたといたしましても、ただそこに起こってくる問題は、米軍と米軍労働者との直接な対決がないということだけであって、中間に立った第三者機関というものがそれを全部かぶっていくわけですね。アメリカさんのほうは布令第一一六号でやりたいことをやりたいほうだいにやっておいて、責任は全部第三者機関にかぶせてしまって、自分はのんびりとして見ている、こういうような姿が私は出てくるだろうと思うのです。そうすると、私は、第三者機関を設けて、いわゆる間接雇用制に移行させるのもいいが、やはり基本は布令第一一六号というものを何とかせぬというと、これをそのままにしておいたのでは、設けられた第三者機関において仕事をする人間がたいへんだと思うのです、これは。いままでの米軍労働者との直接対決を緩和して、その緩衝地帯としての役割りしか果たさぬわけですね。しかも、その緩衝地帯の役割りを果たすものが十分な力を持つことができるならば、それは労働者のほうには多少のいいところも出てくるかもしれないが、第三者機関の力が財政的にも能力的にも不足しておったという場合は、全くこれは何のために設けたか意味がない。意味がわからない。そんなことになってしまうおそれがあるという気がするわけです。ですから、やはり基本線としては布令一一六号の処理を考えるということが先決じゃないかというのは、間接雇用制の移行にしたところで、これはいままでの話を聞いておりまして、容易なことではないだろうという気がするわけです。これはやっぱり同じむずかしいならもっと基本的な問題に一思いに取り組んでいくということのほうが私は本筋のような気がいたしますので、まあ申し上げたわけです。こういう点、なかなか意見の一致を見ることはできないかもしれませんけれども、一つ検討はしてみていただきたい、こう思うのです。
#44
○国務大臣(山中貞則君) 第三者機関ということは、実は考えてないんですが、私が、三つの形態が考えられると言って、一、日本政府直接、二、琉球政府自体、三がその他のこれに準ずる形態と言ったんでそういうふうに表現しておられるのだろうと思うのですけれども、そういう意味の三番目に考えられる形態ということであって、第三者機関という意味ではございません。これはあげ足とりでなくて、そういうことでございますから、そういうことばにしたいと思うんです。それから、そういうものがかりにできたと仮定しよう、しかし、そんなことをやったって、それはもうむしろ米軍がその上にあぐらをかいてかってなことをやって、責任はおまえたちがとれということで、どろをかぶるだけじゃないかというお話――端的に言うとですよ――そういうふうにもとれるけれども、私はそうじゃないと思う。なるほど、どろかぶりにはなるでしょう。しかし、どろをかぶる価値があります。どろをかぶる価値のある問題――そのどろをかぶって、自分たちが雇用者の責任において、これが雇用された全軍労という限られた軍労務者と雇用者との間の相談ごと、あるいはストその他の騒ぎという形でなくて、これが外交ルートという形で話し合われることになるということは、私は非常に大きな、軍にソフトにするというだけでなく、その雇用形態というものが、いま言ったような形のものでまとまるとすれば、これを受けて、そこで起こった解決すべき問題は、現地の雇用者である四軍のみならず、今度設けられました日米協議会の議題ともなって、そこで前進並びに相談が、解決への道がはかられるわけですから、これは私はやってみる価値のある問題だと思うのです。まあ、そんなことやったってだめだとおっしゃらずに、可能なことを一つ一つ目的に向かって前進していくということに、できれば御協力、御理解を願いたいものだと切に思うのです。
#45
○矢山有作君 理解はしているのです。第三者機関という表現をしましたのは、その性格なり法的な位置づけがはっきりしておりませんから私はそういうことばを使ったのですが、米軍と労働者とその一派の中での第三者機関、そういう意味で使っているのです。
#46
○国務大臣(山中貞則君) わかりました。
#47
○矢山有作君 おっしゃることは私も理解できぬじゃないのです。ところが、もっと私があからさまにものを言わしてもらうならば、あなたには気に入らぬかもしれませんけれども、間接雇用制度のやりとりを見ておって、なかなか法的な問題も多いし、アメリカのほうでも施政権の問題にこだわるようだし、非常にむずかしいという面が一つあることと、一つは、先ほど言いましたような布令一一六号がそのままになってこれが設けられても、これはなるほど、ないよりはましだという面があるかもしれません。しかしながら、これは私、問題の解決にはあまり大きな役割りは果たせぬのじゃないかという心配があるわけです。そういう点からもう一つ、もう端的に、あなたに気に入らぬことを覚悟であえて言うならば、この時点でそういうふうにきわめて困難な間接雇用制の問題、あるいは設けられても、はたしてどれだけの実効があがるのかわからぬという点についての大きな疑問も残されている状態の中で、なおかつ間接雇用制を大きく取り上げてきたというのは、私は根性がゆがんでいるからそう思うのかもしれませんが、いわゆる全軍労ストの反復されることに対する一つのまあ抑制剤というか、それに水をかけるというか、そういう形の作用のほうが出てくるのじゃないか、そういうことを私は心配をするわけなんです。まあ、ちょっとえぐり過ぎた解釈かもしれませんけれども、できるだけ間接雇用制に移行するのだ、移行するのだというPRをやりながら、全軍労の闘争というものをできるだけ弱めて基地機能を維持していく、そのことを何とかやっていかにゃならんじゃないかという面の配慮のほうが、これは比重が大きいような気がしてしようがないのです。これは私がそこまで言うのはけしからぬとおっしゃるなら、私はどんなに困難であろうと布令一一六号の撤廃ということでまっ正面から取り組みたい、それを取り組んでいただけるなら、私はそこまで意地の悪い言い方はしないつもりですけれども、私はちょっとそういう意地の悪い見方をしているのです。
#48
○国務大臣(山中貞則君) あなたの御期待どおり、率直に言って、気に食わぬですね。ということは、その全軍労の諸君も、一波、二波、それから三波、あるいは春闘、そういうもので施政権者に対しても雇用者の四軍に対しても、やはり本土並みの退職金、解雇予告期間、雇用形態の改善ということを柱として、あと組織自体の問題が別にあることは先ほど申しましたとおり、そういう問題を掲げておられますし、琉球立法院は現在革新主席での革新与党でありますけれども、そこでもやはり議会では保守が、野党が多数でありますが、そこでも一致してこの三点を米側にも本土政府にも努力してくれということを言っておられることを見ても、私はこの三点に努力をすべきである。ことに退職金の問題については努力をいたしまして、
  〔理事山本茂一郎君退席、委員長着席〕
少なくとも、間に合わんかった解雇された人々に対しては、すでに実施をし、今後もすると言っておるのでありますから、まずひとつ解決し、次に、予算の関係もありましょうが、予告期間を本土並みにぜひしてもらいたいということを実現をし、そして間接雇用形態というものが何らかの形で生まれていくということであれば、これは私はストをやめろともあるいはやれやれとも言っておりませんし、そういうことは、それは現在の全軍労の方々の置かれた環境、その組織の中の意見の一致した行動をとられるわけでして、そのことをやったからストをやめろとも私は言いません。やってけしからぬとも言うつまりはございません。しかし、祖国政府がこの現象に対してやらなければならないことは何だということになった場合に、私は義務としてでもこの三つは絶対やるべきだ。そして、やって、そのことが全然役に立たなかったというならば、そのときは私自身の不明をわびる以外はないという考えであります。
#49
○矢山有作君 私は、またこれは気に食わぬ話ですが、間接雇用制度への移行とそれから解雇予告期間の延長なり退職金の増額という問題は、直接的な関連はないと思うのです。でありますから、解雇予告期間を延長させるとか、退職金の増額をかちとるということは、当面の対策としては私は効果あると思いますから、これはやはり全力投球やっていただくことは私ども賛成です。それから、私は何も間接雇用制というものは否定をしてはおらぬのです。間接雇用制度をとっても、布令一一六号というものがそのままにされておっては、私は何といったって問題だ。そこで私は、間接雇用制をやるにしても布令一一六号の処理を考えなければならぬ。これを撤廃させることを考えなければならぬ。これは私は沖繩の全軍労の諸君と直接会って話しておるわけじゃありませんけれども、私が常識的に考えるところでは、いわゆる間接雇用制度移行の中には布令一一六号の撤廃ということは当然出てくる問題だと私なりに理解しておるのです。そういう点が抜けてしまってものを考えるということは、私は問題があるのではないかという感じがするのです。それで、あなたの善意は私はわかるのです。善意はわかりますけれども、米軍対軍労働者というものの対立ということがありますから、ああいうふうな対立が先鋭化して激しい闘争になっている。今度は第三者機関ができた。その前に十分な離職対策が確立されない以上は、これはやはり問題起こると思うのです。まして布令一一六号が残っておる中では問題が起こる。ところが、その問題が起こった場合には米軍は、おれには直接関係ないのだ、知らないという顔をしてしまうのです。それで、そのできたその機関のほうと労働者との対立になってしまうわけです。これは必然的にそうなりますね。そこらを考えると、私はやはり、意地の悪い見方をするわけじゃありませんけれども、これはやはり一つは米軍との対決を避けるということが――異民族同士の対決になりますから、それを避けるということが、少しでも対立を緩和して、いわゆる紛争を緩和して、そして基地機能の維持に障害がないというような点がもし腹の底にあるとしたら、これはけしからぬ話だ。だから私は、本筋の線はやはり押していただく。間接雇用はけっこうです。しかし、それには一一六号の布令廃止、この本質的なものをかまえて私はやっていただくというのが私の希望であるということを申し上げておるわけです。別に私は、ことさら意地の悪いことを申しておるつもりはないので、その点よくお考えいただいたならば、私の言っていることも御理解いただける部分は多少でもあると思うのです。御理解いただける部分が多少でもあるとするならば、そういう私の考え方も取り入れていただきたい、こういうふうに思うわけです。
 それから、時間の関係ありますので次に移りますが、私はさきに言いましたように、解雇予告期間の延長であるとか、あるいは退職金の増額であるとか、間接雇用制への移行であるとか、こういった問題は、それなりの当面の軍労問題についての効果は認めます。ですから、その効果は認めた上に立って、これができたからといって、根本的に私はこの軍労働者の解雇問題の解決にはならない。やはり、この問題を解決するのは、総務長官が早々と申されましたが、再雇用というものをどうするか、あらためて生活の場というものをどう与えていくかということが私はきわめて重要な問題だと思う。その問題につきましては、例を引いて具体的な考え方もおっしゃいました。しかしながら、私は、そういうことだけで再雇用の確保ということはなかなかむずかしいのじゃないか。再雇用の問題を考えた場合に、問題点が出てくるのは、一つは、これは御案内のように、沖繩における労働市場というものはきわめて狭いということですね。これはだれしも認めるところです。それから、では本土への再雇用の道をさがすといたしましても、本土自体ですら中高年齢者の就職というものはむずかしい。まして、今度の解雇者のように中高年齢者が相当たくさんおるという状態の中では、本土における再雇用というのは、私はこれは非常にむずかしいのじゃないかという気がするわけです。そうすると、どうしても再雇用の道を開くということになると、沖繩現地における再雇用の道を開くという以外にはないわけですね。そうすると、いまおっしゃった道路建設もありましょうし、産業開発もあるわけです。ところが、それをやる場合に一番障害になっておるのは何かという問題なんです。私は、先ほどもお触れになりましたが、沖繩本島だけで四分の一にも達するような膨大な軍事基地、しかも、その軍事基地の大半は沖繩本島内の非常に重要な位置を占めている、土地を占めている。私も四十年につぶさにそこに行って見ましたが、ほんとうに本島の中のいいところというのはみな軍事基地です。そういう状態の中でいかに産業開発を言ってみたところで、米軍基地をそのままにしておいたのでは、私は産業開発は進まぬじゃないかと思うのです。そこで、やはり米軍基地の処理をどう考えていくかということが、私は沖繩における再雇用の道を開くための産業振興という点から基本的な問題だという気がするわけです。この問題については、私は、なるほど共同声明のたてまえもあって政府としてはいろいろむずかしいのかもしれませんが、しかし、少なくとも沖繩の人々の生活を考えた場合に、米軍基地の整理縮小、さらに撤廃――私どもは撤廃を言っているわけですが――その点は真剣に考えられる必要があるのじゃないか、こう思うのですが、その米軍基地の取り扱い、将来の処理、こういった問題について何らかの考え方をお持ちであるか、そんなことはとてもやれる相談ではないということで現状維持の上に立ってものをお考えになるのか、その点をはっきりおっしゃっていただきたいと思います。
#50
○国務大臣(山中貞則君) 大体いまの点は同感ですね。ただ、撤廃ということは理想ですから、将来はそういうこともあり得るかもしれませんが、しかし、現在の基地というものが一体どこまで必要なものであって、あるいは遊休基地そのものはないのか、何カ所あるのか。アメリカの上院で議論された中でも、沖繩で四カ所のゴルフ場があるのは多過ぎるということはアメリカの上院議員も言っているくらいですから、そういうようなことを的確に把握をいたしまして、やはり返してもらうものは返してもらう、あるいは国有のものは国有並みの使い道を考える。もと民有地であったものはもとの民有債権者との話し合いがどういうふうになっておるのか、買い上げられたものとすれば、それは手放しで公有に使えるのかどうか、あるいはそれはまた戻せるのか、戻しても形態は不可能な状態になっているのかどうか。いろいろな問題を、実情を調べて、方向は長時間の議論の中で矢山議員と大体いまの点は一致したようで、大体、基地は不必要なものはどんどん縮小してもらって、日本全体が狭い山岳地帯の中で押し合いへし合いしている、そのさらに縮図が沖繩です。あの狭いところに軍事基地の占めるウエートは、島の人々にとって猫額大の土地といえどもやはり非常に貴重な面積であるということを私は十分念頭に置いておるのです。
#51
○矢山有作君 これで最後にします。
 これは私の特に要望として申し上げたいのですが、私の最後の意見の部分については御賛成いただいたわけですが、しかし、私が見ておりまして、政府部内で必ずしもあなたのような積極的な前向きの姿勢を、考え方を持っておられる人ばかりはいない。むしろ、共同声明の手前からして、非常に消極的な方々が多いのじゃないかというふうにお見受けするわけです。しかし私は、何といっても、沖繩の問題を解決する基本的なものはやはり米軍基地の処理という問題にありますから、これは私どもが理想としておる撤去という線にはなかなか与党の立場としては行かぬと思いますし、政府の立場としてはむずかしいと思いますが、軍事基地の縮小整理をやって、そして沖繩経済の自立をはかる、基地依存を脱却するということは、これはあなたの勇断をもってぜひ進めていただきたい。このことを最後に要望として申し上げまして私の質問を終わります。
#52
○川村清一君 私、間接雇用の問題について二点お伺いいたします。端的にお伺いいたします。
 第一点、これは衆議院の予算委員会の会議録をずっと読んだわけでございますが、その中で、退職金の上積みの問題でございますが、これに対しまして福田大蔵大臣は、間接雇用に移行するといいますか、何らかの形で間接雇用のような態様にならなければそれはできないということははっきり言っておるわけです。そこで、今回、間接雇用の態様に移行しておらないのに、いわゆる政府の英断といいますか、まあ、総務長官非常に御努力されたのでありましょう。そういうような形が実現したわけでありますが、そこで逆に考えると、これができない限りは退職金の上積みは絶対できないと言っておったのがやったということは、これは間接雇用というものについて政府は投げたのじゃないか、できなくても退職金のほうの上積みはできたわけですから。そうしますと、間接雇用移行ということに対する熱意を政府のほうで失ったのではないか、これも意地悪い考え方でありますが、こういう疑問が一つあらわれてきます。これにお答えいただきたい。
 それからもう一点は、先ほど矢山委員からも御指摘のありましたランパートの発言の問題でございます。実は、私どもも参りましてランパートさんにお会いをしたときに、この問題は非常に法制的にも、行政的にもめんどうな問題ではある、しかしながら、日米両国政府が外交ルートに正式にのせた場合においては十分検討するという意味の発言があって、私どももそういうふうな印象を受けて、それに基づきまして、先般この委員会で愛知外務大臣にお尋ねをいたしました。こういうような印象を受けたのであるが、この問題は日米両国政府の正式な外交折衝にのっておるのかどうか、日米協議委員会の議題になっておるのかどうかということをお尋ねいたしました節に、愛知外務大臣は、もちろん文書でそれを出したといったような御返答はございませんでしたけれども、はっきり正式議題になっておる、しかも、ランパート高等弁務官がその席に同席しておって、この問題は十分承知しておる、こういうお答えが実はあったわけであります。この点を先ほど矢山委員が御指摘になったわけでありますが、それに対する総務長官の御答弁はその辺にまで触れておらないわけであります。そして日米協議委員会のいわゆる構成委員の一人に総務長官がなられておるという御発言があったわけであります。そうしますと、総務長官は当然愛知外務大臣が私に御答弁された内容は知っていらっしゃるわけです。ランパートさんも同席してこの話を聞いて承知をしておる。そうなりますと、ランパート高等弁務官の、私ども並びに衆議院から派遣された沖特委員に対する御発言というものがいささかふに落ちない点があるわけでございまして、この点をひとつ明らかにしていただきたい。私が申し上げたことにつきましては、そのときの委員会には、きょうお見えになっておられます東郷アメリカ局長も外務大臣のお隣に同席されて私の質問を聞いておりますので、少しこの点についてはっきりひとつお答えをいただきたい。
#53
○国務大臣(山中貞則君) 第一点、大蔵大臣が、衆議院予算委員会において、雇用形態に変化があったならば考えるということを言ったのはそのとおりであります。でありますから、これを交付予算上措置いたしました際の日米両方同時に同文で発表いたしました中に、日米両国政府の間において検討するとの意見の合意を見たということがはっきりと文書になっております。そのことをもって雇用形態の改善の具体的な前進ということで、若干大蔵大臣としては、はっきり変わっていないじゃないかという趣旨の、先ほど申しました少し渋った点は最後までありましたけれども、しかし、事柄の重要性なり、沖繩におけるこちらで考える以上のむずかしい問題である、全駐労の解雇問題とは少し感触が違うという問題等でようやく具体的な前進が合意されて始まっておるということで、雇用形態の改善が見られるということで解釈をしてもらったということで、その間において政府の間に意思のそごはありません。日米協議委員会にランパート高等弁務官がオブザーバーとして出席されたことは事実であり、愛知外務大臣並びに私より、日米協議委員会の席上において、米側との間で、今後は間接雇用問題も検討していこうという作業を開始しようという合意に達したことも事実であります。ランパート高等弁務官もオブザーバーとして同席してそのことは耳にしている。発言はいたしておりません。その後の参議院沖特、衆議院沖特委員会の皆さまに、ランパート高等弁務官――これは軍人でありましてなかなか淡白な人ですね。考えたことはずばずば言う人であります。ですから、いわゆる外交上の手続という意味でまだその具体的な提案がなされていないということを言われたことは、先ほども御答弁したとおりでありまして、半面は事実であり、手続とは、このようなものであるならば可能であるという両者の合意に達した、日本政府が提案しアメリカがイエスと言う瞬間が提案であり妥結であるという形に持ち込むことになるわけでありますから、その意味においてランパート高等弁務官の話は間違いでもなければ、また、私が日米協議委員会に列席してそのときだけ居眠りしたわけでもないのでありまして、ちゃんと彼も承知しておることであります。ただ、軍人さんでありますから、表現は端的で明快であると、その点私はかえって日米両方のためにはいいことだと思うわけであります。
#54
○渋谷邦彦君 去る三月六日、当委員会におきまして、私の質問に対しまして長官は、復帰前後における構想というものをあらゆる角度からお述べいただきました。今回再び沖特の視察団の一員として現地へ参りました。復帰がきまる前ときまったあとでは相当にやはり実感的にも違いがあります。また、各方面から寄せられましたもろもろの要望事項が真に迫っておるという状況でございまして、何せ二十五年間のあらゆるひずみというものが一ぺんに浮き彫りにされてきたような感じがするわけであります。したがって、これからの復興援助計画というものは相当微細にあらゆる角度から手を打たなければならないのは言うまでもありませんし、この委員会におきましても、しばしば沖繩の今後の問題として、特に経済復興ということに重点を置いていかなければならないというやりとりが繰り返されてきたわけであります。きょうは、そうした問題をからめまして、時間の許す範囲で、特にいま差し迫った問題を中心にして政府のお考えを聞かしていただきたい。
 まず最初に、今国会において最大の問題点の一つとされました国政参加の件でございますが、しばらく前には、違憲等の問題もないだろうという見通しのもとに、その道が開かれようという動きが非常に活発でございました。ところが、衆議院の段階で膠着状態が続いております。伝えられるところによりますと、むしろ、政府というよりも与党側と申し上げたほうがよろしいと思います。やはり議決権の問題をめぐって、憲法に抵触するということで、また一つ暗雲が漂い始めたのではないかというたいへん心配な面で出てまいっております。残り少ない会期中にはたしてこの国政参加という年来の悲願であった問題が成立する見通しがあるのかないのか。まず、そこから政府の方向というか、考え方というものを明らかにしていただきたい、こう思います。
#55
○国務大臣(山中貞則君) 私から申し上げるまでもなく、これは国会でもって提案をしていただくものでございます。私たちとしては、国会ですみやかに立法をされ、これが可決され、沖繩においてその趣旨を受けた公職選挙法が制定をされ、そして選挙がすみやかに行なわれて、沖繩選出の衆参両院議員の諸君が復帰までの間祖国の国政に参与し、現地の声を十分反映せしめる努力をされることを期待をいたしております。そこで、これはあくまでも国会の立法権の問題でありますから、政府側としての立場からは早くお願いをいたしたいということを申し上げるにとどめる以外にはございませんが、ただ、私の党内の議論の問題がございます。この点は、私も政府側の担当大臣としてその責任の一半があるわけでございますから、いろいろ過程に曲折はございました。しかし、これはあくまでも衆議院段階であるとしても、各党の皆さんが、まあまあこれでよかろうという点で意見が一致したものに対して、そのあとクレームと申しますか、これは確かに憲法上、ただいま指摘されたもの以外に、沖繩の米施政権下における日本国憲法の保障する不逮捕特権、免責条項、これらのものがほんとうに侵されないのかどうかという大問題もありまするし、いろいろそれはあるでしょうけれども、しかし、これはやはり国会としてどうしても必要なことなのであるという認識の上に立って――これは政府も認識は同じでありますが、立法される過程において一応の疑問を解明することは私は必要だと思います。しかし、ここ、近日の間でありますが、衆参両院の法制局並びに政府の内閣法制局長官、これらの三者も完全にそれらの疑問点については明快に、これを実行した場合に直ちに違憲とはならないということをはっきり表示をいたしました。わが党の中におきましても、もうあとは政策審議会、総務会等のただの党内の手続を残すのみとなっておりまして、疑問点を提示し、疑問点を明らかにしたということで、少し各党の皆さま方に、議会の立法の過程がおくれたことは、これは私も自民党の一員として、担当大臣として、おわびをしなければならないと思いますが、しかし、国会に提案された後に、公聴会その他開く開かないは別にいたしまして、もし憲法学者等の間からこの法案はというようなことで、そのことによって、十分に詰めていなかったがために、違憲の立法は国会でもつくれないわけです、各党一致いたしましても。そうすると、そこらでもたもたするより、むしろ事前にわが党の中でそのような議論があって、しかも、それが違憲でないのだという解釈に統一されたということは、ある意味において今後衆参両院の審議を経まする際にはその促進効果になり得る点も私はあると思います。しかし、自民党の一員である、担当大臣の私としては、党内事情によって提出がおくれましたことについてはおわびをいたします。しかし、これは提案をして直ちに可決されたならば、今国会中にでも琉球の選出国会議員が間に合うかというと、これはもう現地の与野党皆さんが、とてもそれは手続その他の問題で間に合わないとおっしゃっておりますので、少くとも二月中にこれは通っていたならば、あるいは三月中に通っていたならば、いつごろが選挙であったろう、四月になってしまったからこの選挙は予定よりかは何カ月かずれてしまったということにはならないというふうに私は聞いておりますので、その点は結果論から申しますと、御迷惑はかけましたけれども、目的は大体達することができるのじゃないか、あとはすみやかなる国会の御審議をお待ちしたい、こう考えておる次第でございます。
#56
○渋谷邦彦君 ただいまのお話をそのまま受け取りますと、権威ある衆参両院の法制局また内閣法制局が違憲でないと、おそらくそれまでの過程におきましては、ただいまもございましたように、憲法学者等々の学識経験者の方々とも接触を保たれて十二分に足固めをされた上で違憲ではないという結論が出たであろうと、こう私は理解しているわけでございます。いま長官が、まあこれからの審議の状態によっては今国会において成立することも可能である、まあ手続上の問題は別といたしまして。そのように理解してよろしいかどうか、重ねてお伺いします。
#57
○国務大臣(山中貞則君) その点、あるいは触れ残したかと思いますが、今国会でもちろん成立可能な環境ができたということであり、私の先ほど申しましたのは、選挙が行なわれる時点は影響はなく、遅滞なく行なわれる。当初の予定よりかおくれたりなんかすることなく間に合う。したがって、前提は今国会で必ず成立するということになりましたということを申し上げておるわけです。
#58
○渋谷邦彦君 次に問題を変えまして申し上げたいことは、冒頭に申しましたように、この経済復興ということが最大の課題であることは、これはもう長官御自身が十二分に理解をされていることでございますのであえてくどくどしいことは申し上げませんが、いま差し迫った問題が幾つかある中で、まず第一にお尋ねしたい点は、二十五年間米国があらゆる施設を整備するという、まあいろいろな面があるだろうと思うのでありますけれども、お金が出ているわけであります。また現在においても、米国自身が管理している資産というものにつきまして、これは現地へ行って見ますと、やはり私のみならず、いらっしゃった方みな同様にお感じになっている問題でございますが、一体この財産問題どうなるのか、これは切実な問題なんですね。したがいまして、まずこの基本的な考え方、先ほどもこの質問に入る前に長官は、これからのいろいろな問題を処理するために暫定特例措置法というものを軸にしながら解決をはかっていきたいという意味のことをお話しくださった、まことにけっこうだと思います。いま現地でもって望んでいることは、むしろ具体的にどういうふうに日本政府として姿勢を示してくれるかと、もう非常に端的だと思うのです。そうした面についてやはり明確に、将来こういうふうな考え方でいくのだということをお示し願えれば、沖繩の県民にとっても望外な喜びじゃないか、こう思いますので、この点から、まず基本的なことからお尋ねをしてまいりたいと、こう思います。
#59
○国務大臣(山中貞則君) 具体的な問題を一つ一つ聞いてもらったほうがあるいはいいかと思うのですが、総体的には、沖繩が二十五年間の異民族統治ということは、あらゆる法律、行政、経済、財政、税制、全く違った形の中において行なわれておりますから、自動車の通行の右左反対に至るまで、そういうことも含めまして復帰ショックというものが復帰の時点でまともに行かないような措置を事前に講ずるとともに、事後においても特別な措置を相当長期にわたってとりたいと思っております。奄美大島が日本に昭和二十八年にクリスマスプレゼントというおかしな名称で返されたわけですが、これは小笠原と違って、あそこにもたくさんの県民がおりましたので、したがって、前期・後期十カ年を五年ずつの復興期、前期・後期、さらに五カ年ずつの振興計画、ただいまこの二年目に入っておりますが、最終で二十年間予算特別措置をとったわけです。沖繩の場合は、単に予算の特別措置だけではこれはだめなんで、そういうあらゆる法律上も特別措置をとるために何らか別個の形態のものを考えなければなるまいということが私の基本的な構想であります。私、就任いたしましてすぐ、記者会見で一分か二分の間に特別会計構想を考え出したわけではありませんので、私も長い間沖繩の人たちと接触をし、いろいろな問題を陰ながら――よく私は、沖繩で代議士ができるまではぼくをこき使っていいよということを知人には申して一生懸命やってきたのでありますから、私が、まさか自分が担当大臣になろうとはゆめにも思わなかったわけでありますが、私の頭に描いていたものがいよいよ七二年にセットされた現時点において、まず一言において言えば何だということを考えて、特別会計構想というものを言ったわけです。決して私が一分か二分の間に頭の中で考え出したものではありません。ですから、この構想を前提といたしまして、相当長期にわたって日本の制度の中に徐々に徐々に、水のしみ通るように一体化が行なわれることを私は念願していきたいと、基本的な考え方について申し述べさせていただきました。
#60
○渋谷邦彦君 具体的にということでございましたので、ちょっと私のことばが足りなかったかと思いますので、私の基本的な考え方をもとにいたしましてお尋ねをいたします。
 先ほども触れましたように、現在管理されておる米国の資産というものは、おそらく何らかの形で返還されるということも予想されると思います。そうした場合に、それは県の所有に帰するものなのか、あるいはそれはいわゆる国有財産という形になって返還されるものか、一体どのような措置がとられることが最も合理的な、また、沖繩県民の方々にとっても納得のいく措置になるのか。これはおそらくあとあとまで尾を引く一番大きな問題の一つではないか、こう思いますので、まずその問題からお伺いしてみたいと思います。
#61
○国務大臣(山中貞則君) これもまたいろいろありまして、旧国有地、旧県有地、旧公有地、こういうものの台帳も御承知のような戦争の惨禍のために全部焼失しておる。しかし、これはやはり地目別にわかるわけです。大体において米民政府がこれを一応管理いたしまして、実際はその管理を琉球政府にゆだねているようでありますが、国有地の九九%は山林です。その残りは大体飛行場とか琉球政府の使用するところだそうでありますが、旧県有地につきましても、これは山林が大体六〇数%のようでありますけれども、これもやはり一応は米民政府の管理するところとなって、同じように琉球政府が管理いたしております。このようなものをどういうふうにするのか。こういう問題はこれは比較的対処もしやすいと思いますが、その他の軍事基地を含む膨大な米軍資産、そのものについては、アメリカ側はアメリカの方針としてこれは財務省でやりたいと言っております。ですから、日本側のほうも大蔵大臣と私と相談をいたしまして、この米資産の、大蔵側から言えば、買い取りということになるでしょう、金を出すことについては真剣ですから。そういう確認ももちろん入ります。米資産関係の買い取り、ドルの円への切りかえ等々につきましては、大蔵に直接やってもらったほうがよろしい。ただ、それに対して政策的な配慮その他がなされるべき問題ということについては私が窓口の大臣ですから、私は遠慮なく意見を言うし、意見の調整をはかるための主導権もとってまいりたい、しかし、事務は大蔵省にゆだねたいと考えております。
#62
○渋谷邦彦君 さらにふえんして申し上げますと、いまの御答弁ですと、あるいはその沖繩県民の債務性というものが残るおそれがないかということが、これが一つ。それから、いまお話の中でもありましたように、特に基地として土地を取られたというような人に対する代替地というような考え方、そういうことも総括的にお考えいただくであろうと、こういうふうに私どもとしては判断するわけですけれども、その点についてはいかがでございましょうか。
#63
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩県民に債務が残るということはちょっと具体的なケースがあればお示し願いたいと思うのですが、そういうことはないと思うので、その債務はやはり日本政府というものが――奄美大島のときもそうでございましたけれども――日本政府が引き継ぐということになると思います。小笠原においてもそうでございました。ですから、これによって沖繩県民がアメリカの何か債務を肩がわりさせられるという心配は私の知る範囲内ではないと思います。
 それから、何でしたか。
#64
○渋谷邦彦君 代替地の問題です。
#65
○国務大臣(山中貞則君) その問題は千態万様の態様でございましてね。金を完全に払って買い取っておるもの――いわゆる買収しておるもの、あるいは借りたということで、賃借契約のもとに十年一括払いであとは年賦払い、あるいは五年一括払いであとは年賦、あるいはずっと年賦とか、いろいろな形態がたくさんございまして、これはアメリカはあくまで米軍資産ということを考えていないようでございます。たとえば、つい先般私のほうで確認してみたんですけれども、琉球銀行が、十年の一括払いの期限が切れて年賦払いになる人々、この地主の方々が、やっぱりぽつぽつもらうより一ぺんにくれという御希望がたいへん強かったそうであります。そこで、この地主側の希望をアメリカ側に伝えたが、復帰は近いし、どうも一ぺんに払えぬ、年賦払いだということがあって、そこで琉球政府が琉球銀行――沖繩の地方銀行の一番大きい銀行ですけれども――のほうに言ったら、銀行側がまた渋ったそうですけれども、要するに、一括払いにふさわしい程度の金額を融資する、そのかわり担保に、所有権者である人の土地、いまの軍用地、それを琉球銀行が担保するということで融資制度というものが開かれたそうです。これは琉球銀行も、飛行場の滑走路になったところは、担保価値の問題になると、とてもないでしょうけれども、政策上、所有権者にそういうような融資をする制度を開いたのですから、この一つの事例から考えましても、アメリカ側としては、賃借関係の地主の人々との約束をじゅうりんして取り上げてしまうとか、あるいはこれを日本政府のほうに――地主のほうに渡さないで権利関係を無視するということはないようでありまして、むしろ逆に、地主さんたちの権利を認めるからそれを担保にして民間融資等が行なわれる制度も開かれるということでございますので、そこらのところは各種各様の態様がありまして、だから、市街地の中に入りまじった軍用地であるし、そこらの問題はこれから実地調査をして実態の正確な把握というものをどうしても急ぎたいと思っております。
#66
○渋谷邦彦君 次に、やはり米国が管理しております資産の中で、水道と電気がございます。これはおそらく近い将来にやはり民営移管という形になるだろうことは言うまでもないだろうと思いますけれども、この移管措置というものについては、現在どのように考えられてこれから具体的にお進めになるおつもりか、これをお聞かせ願いたいと思います。
#67
○国務大臣(山中貞則君) いまアメリカが直接管理いたしております三公社につきましては、これはやはり米側と日本側の折衝ということになるわけでありましょうが、それぞれ性格によりまして、電力会社は一体どういうふうに――それをアメリカ側はもちろん手放すわけでしょう。手放すのですが、手放す場合に、それは九州電力がやるのか、あるいは琉球電力というものを新しく興こすのか、興こすとすればアメリカ側の出資分についてはそれらの現地の人々が出資して肩がわりをして自分たちのものにするのか、あるいは開発公庫というようなものはどうするのか、水道公社はどうするのか、いろいろな問題がありますが、これもやはり同じようにこれは国でやるという気持ちはもうもちろんありませんし、やるとしても県単位以下のところでやるべきだと、あるものは民営、あるものは公営ということになるであろうと思います。
#68
○渋谷邦彦君 次に、これからの経済復興について非常に重要なことは、やはり日本の企業誘致、これに尽きるのではないかと、こう思います。かてて加えて、当然、地場産業の保護あるいは体質改善というものも並行的に行なわれなければならないことも当然でございます。非常に現地の住民の方々もその点を待望しておられます。ただ、これは言うべくしてなかなか、やはりいろいろな立地条件その他の関係がございまして、現状としてはなかなか困難が伴っておるようでありまして、わずかに松下産業が近い将来において進出をするであろうと非常な喜びを持っておるようでございますが、しかし、単に一社のみにとどまったのでは、今後、先ほども質疑がございましたように、おそらくは軍雇用者の方々の将来の身の振り方というものを考えてみた場合につきましても、当然その方々を収容するいろいろな企業体というものが必然的に要求されてくるであろう、こう思われるわけであります。おそらく最も熱心に長官はその点をお考えになっていらっしゃると思うのでありますけれども、政策的に今後、そうした企業誘致という問題について、総理府としてもあるいは企業者に対して側面的に助言を与えたり、そういうような具体的な現在の措置というもの、また将来における展望というものをお聞かせいただきたいと、こう思います。
#69
○国務大臣(山中貞則君) 先般の沖繩に参りました日本の産業使節団、これは、みみっちい話ですが、旅費まで私のほうで全部持ってやったわけでありまして、現地の実態を目で見、耳で聞き、意見を交換し、非常に親善友好と、さらに企業の、本土政府の疑問点、あるいは向こうから言えば、逆に本土側の熱意のあるものというようなこと等が解きほぐされてきたような感じがいたします。松下産業は大体出ることを決意したと、あるいは四月中旬にアルミ関係者がまた別な調査団て参りますが、これは三カ月以内に、あとで御質問出るでしょうが、アルコアとの問題で三カ月以内に返事をいたしますというようなこと等もありますし、製鉄関係でも、なかなか場所によっては有望であるというようなことを言っておるようでありますから、お話しのありましたように、これらのものは当然現地の人たちの再雇用なり新規雇用なりという需要に貢献するばかりでなくして、沖繩の置かれた立地条件の上から、当然地図の上でながめた大きな地図、地球儀的な意味の沖繩の地図というものが正式な経済立地として浮かび上がるというようなことで、たいへん私はけっこうなことだと思います。その際に、原則として、これまで二十五年の間の占領形態の中で、独立国みたいな位置を与えられていたためにのみ存在していたと思われるような現地の産業、あるいはまた、その他本土から進出をしていった場合にはたいへん困る、これは金融機関とかその他も含めてでありますが、いろいろな装置産業とか、その他ありますが、これらのものは原則として当分の間は本土のほうからの進出ということを遠慮していただきたい、そうして現地のほうに、競争して、こちらから出て行って、影響を受けて倒れたり、あるいは吸収されたりするようなおそれのないもの、しかも、画期的な大規模なものが出て行くことを私としては期待いたしまして先ほどのような例をあげたのでありますが、これに対しましては、本土政府側でとらるべき税制・金融措置等についても十分の配慮をいたしますとともに、現地においても、まあ、地元町村は固定資産税その他のどから手の出るほどほしいでしょうけれども、しばらくの間は自分たちはがまんしてもいいという、いわゆる本土の低開発地域工業開発促進法みたいな気持ちでおられるようですし、琉球政府等も、復帰までの間は法人税を免除しようとか、いろいろなことを言っておられますから、こういうような、まあ企業はそろばんでありますから、人情では企業はめしが食えぬわけですけれども、しかし、その間に沖繩においては、そろばんプラス、少なくともその沖繩の犠牲の上に日本の産業の発展があったのだという認識を産業人が持ってもらいたい。むしろ、日琉経済会議が先般大阪で行なわれまして、日本の商工会議所と現地側の会頭とが来られまして、私どもが予想する以上に、産業界のほうは、沖繩に対して私たちは何かしなければなりませんという決意を述べておったのであります。私は、当然のことながら、非常に感激をし、感動をいたしました。そういう意味で、少々の、少なくとも赤字にならない程度のそろばんはなければならぬと思うのですが、現地の人々に喜ばれる、あるいは雇用に貢献する、あるいは関連産業を喚起するというものについて、積極的に出て行く会社に対しては、これは政府も勇断を持ってあらゆる援助をしなければならぬ、その政策の基本はそのようなところに置いてまいりたいと考えます。
#70
○渋谷邦彦君 まあ、産業界の方々がそうした会合等を持たれて積極的に沖繩に対する今後の経済協力というものを考えておられるようでありますが、やはり、他面主導的な役割りを果たさねばならない政府といたしましても、当然、それに見合えるだけのまた、助言をする場合であっても、協力を求める場合であっても、十分な資料というものの御用意がなければならないのは言うまでもありませんが、総理府が中心になられて、あるいは通産業務に入る面もございましょう、あるいは建設あるいは運輸関係に入る業務もあるんだろうと私は思うのでありますが、各省に呼びかけられて、もう具体的に産業誘致のための実地調査をされておるのかどうなのか。また、お済みになっておるのかどうなのか。あるいは済んでいないとするならば、将来どういうふうになさろうとしておられるのか、その点はどうなんでしょうか。
#71
○国務大臣(山中貞則君) これはもういままでもたびたび各省から担当官、たとえば経企庁あたりからも総合的な、本土のほうは新全総が議論されておりますから、それに対しては沖繩は、北方領土とともに、返ったときにはという程度で軽く触れておりますので、新全総から見ても沖繩というものはどういうふうに見られるのかということで西表島まで含めたあらゆる問題について検討させております。政府の行政分野においては、それぞれの担当者が、私のほうでやらしたときに、私文書と申しますか――まあ公文書でしょう――を出しまして、復帰が実現されるとともに、ずいぶんたくさんの者が伺って御迷惑をかけると思うけれども、よりよき理解がよりよき発展につながるということで、まげてひとついろいろと御便宜をはかっていただきたいということも、手紙を出しました。また、こちらから行く者については、行ったら必ず日本政府の出先に行って自分の仕事の内容を告げ、そして日程を示し、その仕事の内容の結果を報告して帰る、そうして、帰ったら必ず私の手元に――総理府に報告書が提出される。また、ささいなことですが、現地において供応等のあれを受けてはならぬと、もてなし等を受けることは禁止する、あるいは土曜・日曜に公用車等を乗り回すこともまかりならぬというようなこまかな心得を印刷をいたしまして、みんなに、渡航をする者に、私の渡航をしてよろしいという許可と同時に、その「心得」を渡しております。そのような配慮もいたしながらどんどんいま行っておりますので、この間目立ちましたのは、これは産業のトップクラスがたくさん行なったものですから目立ったのです。その間にもいろんな方に行っていただきまして、民間の人たちも含めまして調査は逐次進んでおります。また、現地側も快くこれに対して、新聞等ではどうも仕事にならぬとかいろいろ書いてありますが、責任者の方々はそれが必要なことなんだということで理解していただいて協力をいただいておりますので、なるべくすみやかに青写真を描きたい、こう思っております。
#72
○渋谷邦彦君 特にいま御答弁がございましたように、地元の産業の育成強化あるいは保護ということが適切ではないかもしれませんけれども、税制の面、金融の面の措置がとられていかなければならない。そこで、現地の非常に強い希望といたしまして、日本銀行の支店あるいは開発銀行の支店等をすみやかに、むしろ復帰前に、この設置をぜひとも促進していただけないかと、こういう御希望があるわけですよ。確かに金融問題についてはこれから非常に大きなウエートを占めるだけに、その辺の今後の考えいかがかということでございますが。
#73
○国務大臣(山中貞則君) 琉球においては為替管理が行なわれておりませんので、そのようなことも実質上必要だと思いますが、復帰前に日本銀行の支店の設置ということは困難であろうかと思います。もちろん、復帰したならばそうしなければなりません。また、開発銀行等につきましても、同じように復帰前にはむつかしいと思いますが、先ほど言われました現在のアメリカ軍の手にあります三公社の中の開発公庫、こういうものと、現在の琉球政府の特別会計的なものでありまする産業開発資金特別会計というようなもの等も、これ返ってきましたならば一つにして、やはり開銀の現地の出先にするか、もしくは奄美が返ってまいりましたときに奄美復興基金というものをつくりまして、こういう形で相当長い間現地において独特のファンドというものをつくって、これを国策的に低利・長期の金で運用していく。これはことしから始めました米の三万トンの現地積み立て分二十億、これを本土側が無利子三年据え置きの二十年という条件でありますけれども、現地ではやはり貸す手数料その他が要りますので、なるべく低利にしてほしいという指導をしておりますが、こういう金等も積まれていくわけでありますから、これをどうするか等も一緒に将来は検討いたしまして、当然そうしなきゃなりませんが、しかし、いますぐ日銀支店、開銀支店、出張所、支店というものをつくるわけには、ちょっと制度上も機構上もまたいまの施政権下においてはなかなか困難であろうと、こう思っております。
#74
○渋谷邦彦君 それでは話題をかえまして、経済の立ちおくれということは申しました。いろいろ言い尽くされておりますとおりでございますが、一方、社会福祉の面でもたいへんなおくれを示しております。これはもう取り上げれば切りがないほどでございまして、いま医療問題一つにしぼってお尋ねをしたいと、こう思います。那覇であるとかあるいはコザのような都会の場合はまあまあといたしましても、特に離島における医療対策というものがたいへん危機感を誘うようなそういう状況に置かれているということがたいへん心配でございます。そこでいままでにも日本政府から何人かの医師が派遣をされ、そのせめてもの解決の一端にされていたようでございますが、今後、復帰を目前にいたしましていろいろ問題があろうかとは思いますけれども、特に医務局長もきょう出席されておりますのでお伺いをしますが、一番、いまこれは本土内においても問題ではありますけれども、病院が整備されていないということ、それから医師がきわめて不足であるということ、また看護婦も絶対数が全然足りない、それから、ただいま申し上げました離島における病院の状況というものがきわめて不安定な状態に置かれている、こうしたことを総合的に、あるいは総務長官がお答えになる前に、厚生省側としてはおそらく将来ともに取り組まなければならない大きな問題でございますので、基本姿勢というものをお示しいただきたいと、こう思います。
#75
○国務大臣(山中貞則君) ちょっと私から――厚生省から基本姿勢をというようないま仕組みになっておりませんので、私どものほうから基本姿勢を申し上げます。
 いま言われましたとおりの実態でございます。そこで、ことしの予算で、国民健康保険というものを沖繩にも四十五年度からやっていただきたいということで予算措置はいたしましたものの、悩みの種はその点にまさにあるわけでして、医者のいない村の健康保険というものがどういうことになるかは、わが国の中においても、国民皆保険の中で実行できない村が二つあります。これは完全な離島でございまして、お医者さんがなかなか来てくれないために実行できない。国民皆保険といいますが、総町村数マイナス二ということにつながっておるわけです。実はマイナス三だったのです。これは八郎潟干拓村で、これはおそらく村のていさいができましたので実行していると思いますが、あと二つあったと思いますが、この状態が沖繩全土にあると考えなくてはなりませんが、そこで、国民皆保険をやりましても、おそらく単独で本土並みに市町村単位の行政区画の中で国民健康保険が実施できる市町村の数のほうを先に数えたほうが早いくらいだと思います。ですから、これはこれから厚生省等のいろいろの指導をしてもらわなければなりませんが、一部事務組合等をつくりまして、そうして何カ町村かが一緒になって――幸い琉球政府も町村合併促進法等を考えてやっているようでありますから、こういうこと等も、相提携しながら、なるべく早くすべての地区が国民皆保険の恩典に浴するようにしたい。ことにいまは、まず金を払って診療を受けて後、払い戻しを受けるという状態にありますので、金のない人はどんなに病気が悪くてもまずかかれない。どんなに金策をしてでも、金を払ってから医者にかからなければならないという本土のでき高払いの問題点、欠点とかいろいろと批判をされておりますが、しかし、それ以前の、かかろうにもかかれない、金がなければ医者に行けないという状態の沖繩の人々を、まずこの制度のもとで、医者にはかかれるのですと、それからそのあとでき高払いの制度が琉球でも将来問題になるかもしれませんけれども、それでも、金がなくても医者にはまずかかれますという制度のもとにしたいというのがことしのまず予算の考えであります。
 それから、離島の数があまりにも多いということからの絶対的な医師不足に加えて医師の偏在、さらに資格の問題で医介補並びに歯科医介補というような、本土ならば資格のない人たちが診療に従事しておる現実というもの等を考えますと、どうしてもこれを、離島という条件が医療の面において何とか解決とまでいかなくても、離島だからしかたがないという条件で一歩前進しなければならぬと考えまして、そこで沖繩本島に根拠を置く巡回診療、これはレントゲンとか軽易な心電図、手術器具等を積めるものであります。それにお医者さんが乗っていただいて、必要に応じて本島周辺を回っていただく。それから、八重山、宮古群島を一つの離島先島地区といたしまして、そこに一隻配置いたしまして、約一千二百万ほどでありますが、それでさしあたり二隻で出発してみよう。それからヘリコプター、これはなかなか議論のあることでありますけれども、要するに、緊急な患者発生の場合にはとても巡回診療等では間に合わぬわけですから、ことに、おっしゃった那覇、コザ等に集中した診療形態あるいは病院の偏在がありますから、そこにとにかく運ばなければいけないということで、ヘリコプターを二機取りました。これは船の二そうと違いまして、常時いつでも飛び立てる状態にするためには一機ではだめでありまして、二機あって初めて常時出動態勢という、予備機が要るわけでして、そこで二機取ったわけですけれども、これは本島に置くことになるでしょう。そして離島その他の急患あるいは海洋環境なり沖繩の沿岸漁業の実態は大半、三分の二くらいがくり舟、丸木舟の沿岸漁業ですから、絶えず危険にさらされております。そういう人々の海難救助等も含めた意味の、多目的なヘリコプターと申しますか、そういうものを二機、今回の予算で出しておりますので、これも御審議いただくことになると思いますが、こういうことなどを踏まえまして、本土の国費留学というもの等は、もう返ってくるんですから、国費で留学して、その間にはもうほんとうの本土になるんですからやめたらどうですかという意見も財政主管省にはいたしましたけれども、少なくとも復帰までにはどうしても国費留学生制度は置かなきゃいかぬということで、これも置きまして、残すことにいたしましたが、ただ残念なことに、現在までの実態から見ますと、せっかくの国費留学で本土に参りまして高度の医学を身につけましても、医者の資格を身につけると帰ってくれないんですね、郷里に。それでたいへん困っておりますので、やはりこれは現地にりっぱな病院をつくり、沖繩大学に医学部というのをつくると、毎年卒業生が出ますから、そうすると今度は逆にあふれちゃって、これは何か東南アジアの各地と沖繩と結んだ形で、沖繩の大学の医学部を設けるときには、卒業生は東南アジア全体の広い視野で出て行って、あるいは受け入れてという形のものになれば、将来の大きな日本の展望としてプラスになるんじゃないかと思っていまして、すぐに医学部とは考えませんが、附属病院をりっぱにしたり、保健学部をつくったりなどしながら、沖繩から本土に来た留学生たちも自分たちの郷里に帰って開業しなきゃいかんのだ、あるいは開業しようという気になるような環境をいまつくりたいということで、来年度予算で相当いろんな方面から展開しているわけです。そこで、いまおっしゃいました沖繩の医療問題の解決には、全面的な重点を置いた施策として、事人命の問題でございますから、手落ちのないようにしてまいりたいと考えております。
#76
○政府委員(松尾正雄君) いま長官から非常に具体的に、かつ詳細なお話がございましたので、特に私からそれ以上につけ加える問題も少ないかと存じますが、その第一の問題、やはり医者の不足でございまして、いま長官からお話ございましたように、こちらへ留学している人を何とか向こうへ帰したい、そのためには一つは十分勉強できるような病院がなければならないということであろうかと思います。医師法が改正になりまして、例の卒業後の臨床研修という問題が出てまいりましたときに、あそこへ中部病院――政府立のものがございます。これを医師法に基づきます臨床研修に当たらせる病院という認定を昨年いたしました。それ以後、そういうことによりまして、卒業した若いお医者さんが中部病院、たしか十二、三名いま行っていると思いますけれども、帰りまして、そこでほんとうの勉強をしておる、こういうことがやはり非常に定着をはかる上には大事じゃなかろうかと存じます。いま長官から、お話がございましたように、新那覇病院が保健学部の実習病院であるというような、教育病院的な性格の病院をいまつくっていただいているわけでございます。これもやはり医者を定着させる上において、そういう勉強をする機関として十分将来活用していきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
 離島関係につきましては、ただいま長官からお話しのとおりでございます。なお、しかし、私どもは復帰をいたしましても、当分の間はやはりこちらから相当応援をする態勢というものはやはり続けなければ、いまお話がございましたいろんな条件というものを整備するまでの間、相当こちらから援助を積極的にやはり続ける必要があろうというふうに私どもは考えております。
#77
○渋谷邦彦君 時間がありませんので、これで最後にしたいと思いますが、特に精神病あるいはハンセン氏病あるいはフィラリアのそういう風土病めいたような病気の対策といたしまして、今後専門医の派遣というものが十二分に考えられるかどうか、この点だけ伺って、まだ相当質問残しましたけれども、終わりにしたいと思います。
#78
○政府委員(松尾正雄君) 精神科関係につきましては、日本の精神科学会でも非常に熱意を持ちましてこれに協力をする態勢でございます。
 それでまた、らいにつきましても、国立のらい療養所をはじめ、相当の専門家が向こうへ参りまして、いわゆる集団検診的なものも計画的にずっと進めております。当然、私どもそういう特殊問題については専門家による援助というものを相当長期間続ける必要があろう、また、これは十分できると考えております。
#79
○国務大臣(山中貞則君) 御質問の中にはなかったのですが、本土では、もう結核というものはそうおそろしい病気でないということに、患者数、死亡数から、なっております。ハンセン氏病と同じく、沖繩ではまだ非常に多うございますので、いままでは本土に連れてまいりまする患者についてのみ予算措置をしておりましたが、これからは、四十五年度予算から在宅患者についても、結核については特に措置するようにいたしました。そういうこともつけ加えておきます。
#80
○萩原幽香子君 往復で、いただきました時間が二十一分ございます。何がお尋ねできるかと思って、先ほどから実は私は胸をわくわくさせております。教育問題に、もうそれこそ、それもまた二つ三つにしぼってお尋ねをいたしたいと存じます。
 まず戦後の沖繩教育は、その目標をいわゆる日本国憲法にのっとって日本人の育成ということに努力をされてきた。したがいまして、教科書におきましても本土のものを使用することを守り続けてこられた。この点につきましては私は非常にありがたいことだと考えておるわけでございます。復帰をいたしましても、教育界だけはいささかの混乱もなく、というお話をこの間承ってまいりました。これまたありがたいことだと思います。しかしながら、教育水準に至りましては、すべての点におきまして本土の六〇%、こういったような状態だといわれておりますが、この事実を長官はどのように具体的に把握しておられたのか承りたいと存じます。
#81
○国務大臣(山中貞則君) 私は、制度の面においては、教育は順調に日本祖国移管ができると申し上げたんで、実態につきましては、教育の施設、設備、一人当たりの坪数、その他の当然守られるべきもの、あるいはプール、屋体、そういうもの、あるいは教員室、校長室というような当然の必要なワク等も全く向こうでは守られておりません。というよりも、そういうところに手が回わりかねておる実情はよく知っております。ですから、復帰いたしますまでもそれらに重点を置いてまいりますが、復帰いたしましたならば、沖繩についてはこれらの教育施設を、教育こそ、いかなる地域、いかなる職業で生活しようとも、義務教育である限り、差別しない環境で勉強させなければなりません。このことは憲法の精神をそのまま教育にあらわすべきものと思いますので、まさにこのことについては全力をあげて、「沖繩に生まれたために」ということの絶対にないように、また、設施整備の環境についても急速に整備を進めてまいりたいと決心しております。
#82
○萩原幽香子君 まことにありがとうございます。
 沖繩教育を本土並みに引き上げるために、格上げするためにどのような方法で、どのような計画でお進めになるおつもりでございましょうか。この点につきまして、そしてまた、これから何年間ぐらいで本土並みに達成されると見積もっておられますのでございましょうか、この点、承りたいと存じます。
#83
○国務大臣(山中貞則君) まだ文部省と具体的に何カ年計画でいこうという相談は、私の特別会計構想の中の一環にも入りますので、詰めておりませんが、奄美大島が復帰いたしましたときに、奄美大島の復帰いたしました昭和二十八年では名瀬の――一番中心の町でございますけれども、沖繩の那覇と同じですが――その一番の中心の名瀬小学校がわらぶき屋根で、床は落ちて、そして児童はじかに土間で勉強しておりました。これをもう急速に、むしろ鹿児島県の中なんですが、鹿児島県――本土よりも早いスピードで学校の校舎その他はもちろん鉄筋に全部いたしました。そういうことも体験いたしておりますので、これは私がやりましたのでいい体験であったと思いますが、これを生かしまして、沖繩についても最短時間にフルスピードで、このようなものが基礎的な条件でございますので、整備されるように、十分の予算と年次計画を立てていきたいと考えておりますが、いまの時点でどういうことかとおっしゃっても、ちょっと、いまからいろんな構想の中にそれを一本の大きな柱にするということでお許し願いたいと思います。
#84
○萩原幽香子君 しかし、沖繩というところは全体が僻地県であるということはもう大臣はよく御存じのはずだと思います。私はこの間初めて行ってまいりまして、ほんとうに百聞は一見にしかずだということで、いろいろ、これは知るということこそ愛情につながる問題だということを私は考えてまいりました。そのため、沖繩というものについてはあらゆる角度からこれからほんとうに知るための努力を私はしなければならない、こういうふうに考えているわけでございますけれども、特に沖繩全体が僻地県であるということも、財政力が非常に乏しいということ、あるいは教員の需給計画などもまだまだなかなか十分ではなかったということ、あるいは人事の交流などもなかなか円滑に行なわれていなかったということ、こういったようなことを考えまして、教育関係の負担率あるいは補助率についてどのようにかさ上げをしてくださろうとお考えになっていらっしゃいますか。詳しいことにつきましてはお伺いできないといたしましても、大臣のいまのおなかの中にあることをひとつお聞かせをいただきたいと存じます。
#85
○国務大臣(山中貞則君) 現在、本土よりも補助率は離島振興法で離島が高くなっております。さらに、それよりも奄美大島の振興法の補助率が高くなっております。ですから、さらに奄美大島の振興法よりも沖繩のそういう義務教育施設等についてはより高い補助率――といいますと、ほとんど全額ということになると思うのでございますけれども、そういうことを念頭に置きながら最も優遇し、かつ、最もすみやかにやっていかなければならぬ。たとえば危険校舎の一つの基準を点数でとるにいたしましても、沖繩ではシロアリの被害、あるいは建てたのが新しくても、台風その他の常襲地帯ですから若朽――若くて朽ちる――という点数も危険度においては当然考えていかなければなりませんので、そのような危険校舎というものを、つくる場合、その場合においても、沖繩においては特別なものさしではかれるような配慮を文部省と相談したいと考えます。
#86
○萩原幽香子君 沖繩は、先ほど私は、非常に全体の僻地県だと、こう申したわけでありますけれども、沖繩は大体僻地指定を受けておりますのは全島のどれくらいでございますか。
#87
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩には本土のそういうのは及んでおりませんから、当然僻地の指定ということはなされていないわけですけれども、返ってまいりましたら、いまの離島でわかりますように、ほとんどが僻地の指定地域になることは間違いないだろうと思います。
#88
○萩原幽香子君 沖繩の僻地指定というのは、大体小中学校が三分の一指定を受けているというふうに私は聞いているわけでございますけれども、それは間違いでございましょうか。
#89
○国務大臣(山中貞則君) 琉球政府が独自に日本の僻地振興法等を参考にいたしました基準をつくりましてそいうう指定をいたしておるようでございますが、本土に返りますと、これは本土の基準どおりにいきますと、もう沖繩の位置そのものが僻地でございますから、およそのところがそういう対象になろうかと思いますが、また、僻地に指定された地区の教育施設を特別にめんどう見るとかなんとかいうことではなくて、全体的にめんどうを見ていかなければならない特別なワク、計画ということでいきたいと思っております。
#90
○萩原幽香子君 長官がそういうふうなお考えでございますならば、これはもう沖繩全体を僻地としてみなしていく、そういうことになるわけでございますね。
 では、沖繩が本土に復帰いたしましたときには、沖繩全地域を僻地とみなして、そうしてたとえば沖繩の問題、いろいろ校舎の補助率なんかを見ましても、沖繩が三四・八%小学校では不足しておるのに対して、全国平均では五・六%である、こういったような非常な格差が全体にあるということをお考えいただいて、沖繩全土をひとつ僻地並みに取り扱っていただく、こういうことは長官、これはお約束していただけることでございますね。
#91
○国務大臣(山中貞則君) 僻地並みと申しますのは、沖繩全体についての補助率その他について一番の手厚い待遇をしようというわけでありまして、その中を分けますと、たとえば那覇、コザ等中部地区においては、今度は逆に社会増みたいな、狭い敷地にたくさんの人家が急増しましたために、密集して詰め込まれて、非常な不自由な勉強をさせられておる子供たちも相当おりますから、これは社会増的見方で見なければなりませんし、全部僻地としてとらえるという行き方も一つの行き方ですが、沖繩すべてを特別な措置をとってめんどうを見ますということを申し上げておるというふうに御理解ください。
#92
○萩原幽香子君 わかりました。そういうふうにお取り扱いをいただきますと、私のほうも非常にありがたいと存じます。
 そこで次に退職手当の問題でございますけれども、先生が勇退をしたいという場合、本土のほうでございますと、六十歳を越しても、できればもっと長くつとめたいといったこともあるようでございますけれども、沖繩におきましては、勇退をしたくてもできない六十歳以上の先生方がかなりおるということでございます。たとえて申しますと、本土からの援助額が非常に少ないために、昨年の報告によりますと、百四十四人やめたいという先生があるのに対しまして、五十五人しか予算措置ができなかったということを聞いておりますけれども、それはいかがなものでございましょうか。
#93
○国務大臣(山中貞則君) 本土からの援助費が少ないからやめたくてもやめられないということは、ちょっと、陳情か何かであるいはお聞きになったのではないかと思うのですけれども、そういうことはないと思いますが、現在は二分の一の実人員に対する国庫補助に準じた沖繩援助費の予算を組んでおりますので、その予算の上から、本土政府がやらないからやめたくてもやめられないという環境にあるのではないと思うんでございますけれども……。
#94
○萩原幽香子君 それは私の聞き違いであるか、私の読みましたものの間違いであったかわかりませんけれども、しかし、そういったものがかりにあるといたしますならば、やはりそれはお考えをいただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。特に沖繩の小学校におきましては、女子教員が七〇号を占めている、こういう実態のようでございます。そこで、その女子教員につきまして、産前産後の休暇制度というものがありますけれども、これは本土に比べまして非常に日数が少ないということでございます。したがいまして、この二五%が異常分べんをしておるということを聞いておるわけでございますけれども、この点につきまして長官はどのようにお考えでございましょうか、承りたいと存じます。
#95
○国務大臣(山中貞則君) 確かに女子教員の占める比率は本土よりも――本土も最近高くなっておりますけれども――はるかに高い。また、出産その他についても、本土並みには遠いということもわかっておりますし、一般的に自宅で出産する比率がたいへん高うございます。これは本土においては自宅出産はごく少なくなっております、農山漁村まで含めまして。それらを解消するような母子健康センターその他の設置を十分に復帰前にもすみやかにそういう施設は配慮したいと思います。
 なお、先ほどの質問中にふっと思い当たったのですが、本土政府の義務負担は完全にいたしておりますが、琉球政府の財政難等がございまして、これはあまりかんばしいことではないと思いますが、高等弁務官資金でアメリカのほうから六百万ドルの教職員の人件費の援助を受けていたというようなこともございますけれども、あるいは琉球政府側のほうが資金繰りが苦しくて、二分の一の裏づけに苦しんでおってそういうことになっておるのじゃなかろうか。これはもう義務教育に従事する先生方の身分の保障でございますから、十分に私たちのほうでこれから配慮をしていかなきゃならぬことだと考えます。
#96
○萩原幽香子君 沖繩の教育振興のために、琉球大学の教育学部を充実して、りっぱな教員養成を実施するという計画はお持ちでございませんか。
#97
○国務大臣(山中貞則君) いまの教育学部でだめだからということてございましょうか。
#98
○萩原幽香子君 そうではございませんで、もう少し充実をしていただきたいということでございますが。
#99
○国務大臣(山中貞則君) 人員増その他はしておりませんが、勉強の環境と申しますか、既設学部の施設整備、備品費、そういうものについては充実するため、本土に近づけるための努力はことしの予算でもしております。
#100
○中村喜四郎君 いまの萩原さんの質問に関連して私のほうからお尋ねしたいんですが、沖繩の教育の現状を見ていると、終戦後、昭和三十一、二年まで教育者の養成機関というものは全然なかったわけです。本土においては師範教育なり、大学の教育学部があったけれども、沖繩にはそれ全然なかったわけです。したがって、民間におる方々を先生に採用した。したがって、教育者の再教育の機関と、それからもう一つ、先生がそういう意味で資格を持った人が少ないために、人員増をやって充実しなきゃならぬという課題をかかえておるわけであります。こういう問題は総理府のほうではよく理解されていますか。
#101
○国務大臣(山中貞則君) それは、先ほどは生徒一人当たりの坪数等の問題も申しましたけれども、今度は、小中学校それぞれの本土の一人当たりの原則担当する生徒数というようなものに近づける努力は当然していっておりますし、しなければなりません。これからもやっていくつもりでございます。
#102
○萩原幽香子君 長官、私は教員組織、そういうものを本土と比べて、沖繩の教員組織というものは一体どういうふうになっておりますのか、そういう点がちょっと承りたいと存じます。
#103
○国務大臣(山中貞則君) ちょっとよく意味がわかりませんが、教員組織というものは教職員組合的な意味のことでございますか。
#104
○萩原幽香子君 違います。これは、長官にお尋ねするほうがちょっと私は無理かと思いますので、これはまた文教のほうで質問することにいたします。ですけれども、教育振興ということにつきまして、一学級に、学校の中にどれだけの資格を持った先生がどれだけいるかというような問題もございますし、また、その先生が、中学なんかになりますと、たとえば英語を担当しなければならない先生、これは沖繩は十分でしょうけれども、しかし、そういう科を担当しなきゃならない先生がいないために、ほかのところから回されているといったような問題もあるのではないかと、こういうことはやっぱり学力低下ということにつながる問題でございます。教員組織と私が申しましたのは、そういったような意味でございますので、長官も、そういったような振興のためにはそういう教員組織というものが大事なんだということをどうぞひとつ御認識を賜わりたいと存ずるわけでございます。まことに失礼いたしました。
#105
○国務大臣(山中貞則君) それでございますならば、予算措置といたしましても、沖繩の先生方をこちらに留学――と申しますか、来ていただきまして、こちらのレベルで――と申しますか――勉強していただく。こちらからも沖繩に参りまして、一定期間教育の場に携わって、お互いが交流、啓蒙、発展、指導していく。こういうことは予算措置もいたしております。なおしかし、本土復帰が近づくにつれて、生徒たちが違った環境に置かれていた時代と同じような環境が一部といえども残されてはなりませんので、冒頭に申し上げましたように、いかなるところで生まれようと、どんなところに住もうと、子供は、義務教育の生徒である限り、平等の教育を受ける権利を持っておるわけでありますから、これは、国の義務として完全に遂行する努力をいたします。
#106
○萩原幽香子君 ありがとうございます。
 最後に、もう時間が参りましたが、沖繩というところの特殊な立地条件を考えまして、復帰いたしましたときにも、アジア開発のための人材の育成をはかるべきだと私は考えるわけでございますが、そういう点につきまして、こういう見地に立ちまして、沖繩の高等教育に対する長官の構想というものを伺いたいと存じます。
#107
○国務大臣(山中貞則君) 本土では高校に対しまして設置費補助なんていうものはいたしておりませんが、沖繩では、ことし商業高校等の設立に対しまして補助をいたしました。これなどもやはり沖繩における高校教育の必要性、さらにまたその人材が、ただいま言われましたように、あるいは先ほど私が申しましたように、琉球大学の医学部をもし開く場合には東南アジア的な大きい展望を持って人材を養成し、また養成した人材を散らす――というのは語弊がありますが、派遣して交流を深める拠点としたい。こういうことも考えておりますので、もちろん、教育の場においてもそういうようなことを考えて、相当な立地条件において、広い視野を持った人材養成機構というものをこれから検討してまいりたいと存じます。
#108
○萩原幽香子君 そういう構想をお持ちでございましたら、琉球大学の国立移管問題というものについてはどのようにお考えでございましょうか。
#109
○国務大臣(山中貞則君) 復帰したならば国立に移管いたします。
#110
○萩原幽香子君 ありがとうございました。時間が参りましたので、きょうは社会保障も聞きたいと思ったのですが、また次にさせていただきます。
 質問を終わります。
#111
○春日正一君 去年の十月に総理府のほうから「沖繩経済振興の基本構想(試案)」というのが発表されていますけれども、これはその後も変わりないわけですか。
#112
○国務大臣(山中貞則君) 私の就任以前のものでございますので、おおむねこういうことは、触れるところは触れてあると思いますが、私のような大胆不敵な構想ということで取り上げてはなくて、やや常識で書いておるように、私は読んで感じました。
  〔委員長退席、理事山本茂一郎君着席〕
 そこで、これは一応基本構想でありますから、試みの案ですから、あくまでも試みでして、私は、これからもっと具体的なものをこの上に展開さしていくつもりでございます。基本方向は、まあ大体そうそう間違ったことは書いてないと思うのです。
#113
○春日正一君 それで、これを見ると、大体第一に「畜産物、生鮮食料品の本土への供給基地として」というふうになっている。これは、この間長官もここで構想を発表されたし、これは一応わかるのですがね。第二に、「本土の中央ベルト地帯に立地できなくなった大規模工場の適地として」、こういうものがあるのですね。これは一体どういうものをさすのか。
#114
○国務大臣(山中貞則君) この表現は不穏当でございます。こういうことで、もうこちらでは要らない産業は向こうに行きなさいというような考えは全く持っておりませんので、この表現は、近く具体的な実施に移します場合に、私としては考え直していきたいと考えます。
#115
○春日正一君 私もその点で非常にひっかかったわけですが、公害産業を沖繩へ持っていけという印象を私は受けたものですから、そういうことになれば、二十五年苦しめておいて、返ってきたらまた苦しめる、こういうことになりゃせんかということで……。
#116
○国務大臣(山中貞則君) 私も反対です。
#117
○春日正一君 この点を確かめたいと思ったのですが、長官、すぐにその点に気づかれたようですが、そこで、その公害産業はともかくとして、先ほど来工業の問題、視察に行って、たとえばアルミ産業が向こうへ行こうというような話も出ている、松下が行こうというような話も出ておるというような、いろいろ話も出ているのですけれども、大体政府として、沖繩の産業の問題として、特に工業ですね、これはどういう形のものを考えておいでになるのか、その辺のお考えあったら。
#118
○国務大臣(山中貞則君) 表現のしかたはいろいろあろうと思いますが、現地の雇用需要にまず貢献する度合いの大きいもの、そして沖繩の地球儀的な視野から見た立地条件で一番――ということは、中近東から運ぶものとか、鉄鉱石を運ぶものとかいう意味でございますから――そういう意味で有利だと思われる条件の産業、
  〔理事山本茂一郎君退席、委員長着席〕
それから関連需要を刺激することについて非常に大きな効果を持つ産業、こういうようなものを大体中心に据えていきたいと思います。
#119
○春日正一君 その点、関連してきますけれども、この第二項目を見ますと、「日本と東南アジアを結ぶセンターとして期待される。」というようなふうに言っておりますことは、前の床次長官の発言なんか聞いておりますと、産業的に見ても沖繩はアジアのキー・ストーンだというような発言もしているんですね。いま長官も言われたように、地球儀的に見て、石油だとか鉄鉱石だとか、遠方から運んでくるものを本土まで運ばんで、あそこで加工して外へ出してやればいいじゃないかというような考えですね、そういう考えがおありなのかどうか。
#120
○国務大臣(山中貞則君) それもありますし、鉄鉱石みたいに一次製品は本土のほうへ運ぶ――東南アジアは別といたしまして――というものもありましょうし、あるいは電子機器等の製造業とかいうものは、これはたいへん人手を要しますから、そういうものは別段立地条件なんかと関係ないわけですから、そういうもの等をいろいろと考えていきたいと思いますが、御質問あるのかもしれませんが、いままでの議論で出ませんでしたので、私から一応申し上げておきますと、先行すべきものが水と電気なんですね。その意味において、一応ことしの御審議願う予算で、北部八河川についての水資源調査の予算を計上いたしました。また、現在塩屋湾の淡水化の計画に着手しておりますが、もう一つ屋我地湾という、塩屋湾の約五、六倍の大きさの、中部の半島のつけ根にある、そういうところを締め切って海水を淡水化して水力や水に使えるかどうかというようなこと等も――私もまだ行っておりませんので、これから足で確かめてきたいと思っておりますが、水と電力というものをやはり考えて、将来は立地条件に関係のない電力として、産業ベースに合いますかどうかそこらのところの検討が要りますが、原子力発電等も将来考えなければならぬこともあるのじゃないかということで、水と電気ということを相当重点に今後検討してまいりたいと考えます。
#121
○春日正一君 そうしますと、政府として大体沖繩県というものを、離島はともかくとして、本島だけとってみて、あれを工業県にするのか、農業県にするのか、その辺のあれはどうですか。
#122
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩の場合は、本島と離島と著しく差異があります。離島のほうはキビ、パイン、畜産ということになろうかと思います。これは一ぺん話しましたが、ただ向こうで生産するだけではだめなんでありまして、産地冷蔵庫からコールド・チェーンからいろいろな、大都市の消費人口に結びつける施策を前提にしませんと、やがては返って困るということもありますし、砂糖は糖価安定法そのものが今回は適用になってまいりまして、琉球産糖の買い入れというものは本土並みに保護されていくわけです。パインは自由化しなければならないが、今回の米の積み立て資金の融資等において合理化、近代化をやっていけばまあまあいける。漁業は先ほど申しましたようにたいへん零細沿岸漁業でありますから、これを大型化、近代化して、すぐ近くに相当な魚の宝庫があるわけですから、いま島内では高級生鮮魚介類には物品税が二〇%、普通の魚でも貝類でも一〇%というように、食べものにまで税金がかかっておるような状態はすみやかになくさなければいけませんし、そういうようなこと等を念頭に置いておりますし、同じ本島でも、北のほうはやはりこれはキビとパインと畜産ということを前提に置いて計画したほうがよろしい条件のように思いますが、問題は中部から南、ことに軍事基地の密集しております中部あるいは南部のほうは、わりに内陸部に工業立地条件の適当なところもあるようでございますから、これらは現地側の乏しい土地資産の提供ということもありまして、現地側の希望等も考えながら埋め立てその他を念頭に置きつつそういう立地で考えたいと思います。で、所得のウエートからいけば、やはり将来は工業県みたいな形の、工業のウエートの所得が高い、二次産業の収入が高い島にしてあげたい。二次産業と申しますか、そういう二次産業の収入、勤労所得というもので、雇用の場と賃金所得の高い島にしていきたいということは考えております。
#123
○春日正一君 そうすると、沖繩本島の南のほうですね、基地のあの辺、そういう計画したような地図を見ると、海岸の埋め立てだとか、何か何カ所か工業立地ができるようなところがある。そこへ石油を持ってくるというような話も新聞なんかで伝えられており、アルミ精製というような問題も伝えられておるし、鉄鋼というようなものも伝えられておるということになると、相当な重化学工業というようなものがつくられる、そうなるであろう、またそうしようというようなふうに政府としては考えておるわけですか。
#124
○国務大臣(山中貞則君) そういうふうにしようと考えているかどうか、これは企業の問題はあくまでもそろばんと二人連れで参りますので、どうも、そうしろと言ってもなかなかいきませんし、やはり私としては、沖繩県民の人たちの現在は奇形的な環境の中の所得の部分的な非常に高い環境があって、それを維持し、向上させていく努力をどうするかということでたいへん頭が痛いのですけれども、それらのものにつながるものについてはなるべく援助し、あるいは通産省が外資かけ込みやいろいろな問題で神経をとがらしておるようでありますが、それらも、県民感情等もございますし、総理府で中に入りまして、なるべく両者、一方は国内法、一方は県益ということを主張しておりますから、それらの問題にも十分に県益というものが認められるように私も仲裁役を買って出て、そういう配置をいたしたいと思いますが、いまのところは、企業の首になわをつけて引っぱっていくわけにもいきませんので、行きたいところにはどのような援助ができるか、あるいは水、電力はどのような状態がつくり得るかという基礎段階にあることを御理解願いたいと思いますね。
#125
○春日正一君 そういうものができますね。ところで、米軍の軍事基地との関係ですね。経済の問題を論じている話を読んでみると、米軍の基地というものは全然問題にせぬで、工業立地条件がここにあるとか、水がどう、適地だ、電気がどうというような話になっておるわけでありますけれども、アメリカ軍の基地というものが厳然としてある。しかも、特に工業立地条件のあるところというのは基地の周辺というか、近くですね。しかも、相当大きな基地があり、先ほど矢山委員も言われたけれども、私ども見ておるものでも、むしろ基地は現実には広げておる。土地取り上げはやっていないけれども、黙認耕作地の取り上げという形で広げておるというようなことが伝えられておる。これが、返ってきてから急速に小さくなるというふうには長官も考えておらないでしょう。そうすると、それとの関係でこの沖繩の工業というものはどうなるのか。米軍のそういう基地の機能を補強するような工業の育成というようなことを考えておられるかどうか。きょう時間ありませんからそこでやめますから、ひとつその辺はっきり聞かしていただきたいと思います。
#126
○国務大臣(山中貞則君) 春日先生にしてはえらいソフトな質問が続くなと思ったら、大体落ちはわかりました。私のほうでは、そんな基地機能強化のために貢献する産業などということを全く考えておりません。ことに一番の心臓部にわれわれがこれから点検を始めまして両者相談するわけですが、われわれから見たら、もうよろしいじゃないですかというようなところは、琉球県民の要望に沿って、私らは必要ない、あるいはこれはあっちに統合してもよろしいじゃないですかということは、勇敢な対米折衝をしながら、そこは不必要な基地がいつまでも軍事基地のままにタブー視されて、さわってはならないところであるというようなことは絶対に考えておりませんし、その方向で対米折衝してまいりたいと思います。
#127
○委員長(塚田十一郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#128
○委員長(塚田十一郎君) 次に、去る三月九日から十二日までの四日間にわたり、沖繩の現地事情視察のための議員派遣が行なわれました。その結果につきましては、昨二日、参議院沖繩派遣議員団報告書として議院運営委員会を通じて議長に提出いたしました。
 また、本日の理事会において協議の結果、報告書の写しを内閣総理大臣にも参考送付することといたしました。
 この際、本委員会においても報告を聴取いたします。
 中村君。
#129
○中村喜四郎君 沖繩派遣議員団は、本特別委員会の塚田委員長以下、川村理事、渋谷理事、萩原理事、増田委員、鶴園委員、それに私、中村の計七名で編成され、去る三月九日から十二日までの四日間、沖繩の現地事情視察のため、参議院から派遣されたのであります。
 昨年十一月の日米共同声明により一九七二年施政権返還が本ぎまりとなり、沖繩問題は新たな局面を迎えましたが、半面、戦後二十数年間にわたって外国の統治のもと、特異の政治的経済的環境にあった沖繩を、完全に本土と一体のものとして復帰実現し、県民の福祉と繁栄をはかっていくためには、多くの困難な問題を解決していかねばならないのであります。また、国政参加の実現や軍雇用員の大量解雇問題等、緊急な解決を迫られている課題も山積しております。
 議員団は現地において、これらの問題に関連して、琉球政府行政府をはじめ、立法院、産業経済界、教育界、労働組合等の各界の代表から幅広く意見を聴取したほか、ランパート高等弁務官並びに日米琉諮問委員会の高瀬日本政府代表等とも率直な意見の交換の機会を持ったのであります。さらに、米軍基地、教育施設、社会福祉施設、工業、農業、漁業等の各種の産業施設及び石垣島等を視察して、それぞれの関係者から説明を聴取し、沖繩関係諸事案の適正かつ公正な解決をはかるための、多くの貴重な資料と示唆を得たのであります。
 これらの意見聴取と視察の詳細につきましては、別途「参議院沖繩派遣議員団報告書」として取りまとめましたので、これを会議録に掲載されるよう委員長においてお取り計らい願い、それによってごらんいただきたいと存じます。
#130
○委員長(塚田十一郎君) それでは、ただいまの中村君の報告中にございました報告書の会議録掲載につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#131
○委員長(塚田十一郎君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。
 これをもちまして報告の聴取を終わります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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