くにさくロゴ
1970/04/10 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号
姉妹サイト
 
1970/04/10 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号

#1
第063回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号
昭和四十五年四月十日(金曜日)
   午後一時二十七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         塚田十一郎君
    理 事
                源田  実君
                山本茂一郎君
                川村 清一君
                渋谷 邦彦君
                萩原幽香子君
    委 員
                伊藤 五郎君
                河口 陽一君
                大松 博文君
                中村喜四郎君
                長谷川 仁君
                小林  武君
                達田 龍彦君
                春日 正一君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       総理府特別地域
       連絡局長     山野 幸吉君
       総理府特別地域
       連絡局参事官   加藤 泰守君
       外務大臣官房長  佐藤 正二君
       外務省アメリカ
       局長       東郷 文彦君
       外務省条約局長  井川 克一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○沖繩復帰のための準備委員会への日本国政府代
 表に関する臨時措置法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○沖繩・北方対策庁設置法案(内閣提出、衆議院
 送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(塚田十一郎君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#3
○委員長(塚田十一郎君) 速記をつけて。
 沖繩復帰のための準備委員会への日本国政府代表に関する臨時措置法案を議題といたします。
 本法案につきましては、政府側の説明はすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○川村清一君 新聞報道等によりますれば、沖繩復帰準備委員会というものはすでに発足して作業に入っておるというような印象を受けておるわけでございますが、もう復帰準備委員会というものは、正式にすでに構成されまして機能しておるのかどうか、これをまず最初にお尋ねいたします。
#5
○国務大臣(愛知揆一君) 復帰準備委員会につきましては、実質上に準備の段階に入ったわけでございます。で、いま御審議をお願いいたしておりまする法律案との関係は、この法律案は、御案内のように、日本側のステータスについて法律事項としてきっちりしておきたいということでございまして、日米間の準備的な話し合いは、すでに復帰をできるだけ早期に実現したいという配慮もございましたし、米側もそういう日本側の考え方に同調してくれましたので、日米間の書簡の交換をもとにいたしまして、諸般の準備作業に実質的に入っているというのが今日の実情でございます。
#6
○川村清一君 この準備委員会は交換公文によって発足したものと思いますし、正式にもう機能しておると、こういうようなお話でございますが、そこでこの準備委員会に現在すでに日本国政府代表として高瀬大使が出席しておる模様でございますが、この準備委員会に日本政府代表として出席することに関しての法案を現在審議中でございまして、この法律が成立しないうちに高瀬大使がすでに出席しておるということは、その高瀬大使の法的地位は一体どういうことになっているのでございますか。
#7
○国務大臣(愛知揆一君) 現在の高瀬大使の身分上のステータスは、外務公務員法の第二条第一項第四号「政府代表」ということが高瀬大使の現在の身分関係でございます。
#8
○委員長(塚田十一郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#9
○委員長(塚田十一郎君) 速記をつけて。
#10
○川村清一君 沖繩復帰のための準備委員会への日本国政府代表に関する臨時措置法が提案されまして、実質的には本日初めて審議に入るわけであります。この法律の趣旨は、要するに、この準備委員会に対する日本政府の代表を出す、こういうこと、いわゆる日本政府代表の権限、権能、こういったようなことを規定しておる法律でございますが、これがまだ法律を制定しないうちにすでにそういう機関が設立され、そして正式代表として出ている。法律的な身分につきましてはただいま御説明がございましたけれども、私どもこの法律の審議に当たっておるものとしては若干納得がいかないわけであります。日本国内におけるいろんな政府機関の設置につきましても、法律を要する事項につきましては、御案内のように、設置法というものが提案されまして、これを可決して初めてそういう機関が設置されるものと、かように私どもは承知しているわけでございますが、この法律が成立しないうちに、すでにそれが発足しそして正式代表が出ておるということは、いささか国会を軽視しているのではないか、われわれの審議権を無視しているのではないか。もしかりにこの法律案が国会において否決された場合においては一体どういうことになりますか。また、すでに発足し、これはもちろん日米共同声明、それを受けての交換公文、これに基づいてやらなければならないことは重々承知しております。また必要性も重々承知しておりますけれども、もうそういうものをつくってしまって、既成事実をつくってしまって、だから早くこの法律を上げろ、こういうもしも政府の意向であるならば、行政府のいわゆる立法府に対する干渉にはならぬか、こういうふうに私自身は考えるわけでございますが、これらの点につきまして外務大臣としてはどういうような御見解をお持ちですか。
#11
○国務大臣(愛知揆一君) これはまことにごもっともな御意見であると思います。そして、それらの点につきまして、少なくとも事前によく御了解をいただくような措置に至らざる点がございましたことは、まことに遺憾に存じております。決して国会の軽視とか、無視とかいう気持ちでいたしたわけではございません。まあ、これから申し上げますことは言いわけのようになりますかもしれませんが、「政府代表」の資格において諮問委員会――高等弁務官に対する諮問委員会の日本側の委員として、「政府代表」の身分を持って沖繩問題を担当いたしておったわけでございますから、実際の問題としては人もかわりませんし、また、米側も早く準備委員会を始めようというような意向もございましたのでありますので、先ほど申し上げましたように、仕事は実際上始めたわけでございます。
 そこで、もしこの法律が成立しなかった場合はどうなるかということでございますが、これは先ほど申し上げましたように、日本側としてのこの高瀬大使の職分を明定し、かつ、事務所を設置して、その事務所の長としての職分を与えるというようなことを明確にすることによって今後の仕事を円滑にさせることができると、こういうふうな考え方で法律案の作成並びに御審議をお願いしておるわけでございますから、万一この法律ができなかった場合には、政府代表としてのやはり資格におきまして、政府の命令として職責を担当させることは、対米関係においては支障がなくいくものと考えております。
 これは申すまでもないことでありますが、日米の合意によってこういう法律をつくるとか、あるいは、法律をつくれという要請があったからやるわけではございませんで、日本側の本人に与えるところの使命、性格、あるいはまた、事務所の設置等について十分国会の御審議を願って、その上でこれをきっちりしたものにしたい、こういう意図でこういうふうにお願いをいたしておることもつけ加えて申し上げておきたいと思います。
#12
○川村清一君 その点は、これ以上申し上げないことにします。
 そこで、この日米共同声明の第十項を見ますというと、現在すでに存在しております日米協議委員会と日米準備委員会との関係等がここに書かれており、ある程度理解されるわけでございますが、もっと具体的にといいますか、もっと明確に日米協議委員会というものとこの準備委員会というものとの関係をひとつ御説明願いたい。
#13
○国務大臣(愛知揆一君) まず準備委員会の任務でございますけれども、これは復帰準備のために現地でとられるべき措置、それから実施計画を確定することでございます。それから第二に、そのために必要な調査研究であります。それから第三は、復帰準備に関する日米両国政府に対する勧告と報告の作成と提出でございます。
 そのらち、今度、実体的に申しまして最も重要な任務は、復帰準備のために現地でとらるべき措置、そして、その実施計画を確定することでございますが、その取り扱われる事項というのは、沖繩の復帰準備をやります場合に沖繩の現地で日米両国政府が実施しなければならない措置の全部を含むわけでございます。したがって、沖繩県設置準備のために現地でとられる琉球政府行財政全般にわたっての国と県の事務の分離等の措置、それから、地位協定の適用準備のために現地で行なわれる基地の境界線の確定等の措置、それから法律制度の本土との斉一化、格差是正等の措置が含まれる、こういうことに考えております。
 それから日米協議委員会との関係でございますが、日米協議委員会のほうは、ただいま申しましたような仕事の原則と、それから日米両国の基本的な指針を策定して、準備委員会に対する指示等を行なうという関係に相なるわけでございます。
#14
○川村清一君 共同声明の第十項には、「東京にある日米協議委員会がこの準備作業に対する全般的責任を負うべきことに合意した。総理大臣と大統領は、琉球政府に対する必要な助力を含む施政権の移転の準備に関する諸措置についての現地における協議及び調整のため、現存の琉球列島高等弁務官に対する諮問委員会に代えて、沖繩に準備委員会を設置することとした。」、こうなっております。この文章を読みますと、協議委員会と準備委員会との関係でございますが、準備委員会のやるべき仕事につきましてはただいま大臣から相当詳しく御説明がございましたが、この両者の関係というものは、要するに、日米協議委員会の下部機関として準備委員会が存在すると、こういうふうに理解するのでございますが、そういうふうに理解して間違いございませんですか。
#15
○国務大臣(愛知揆一君) 大体そういうふうに御理解いただいてよろしいと思います。常識的と申しましょうか、申しますと、協議委員会が上部機関でございまして、大綱をきめる。そして準備委員会がいわば下部機構として現地での一切の仕事をやると、こういうふうな関係に相なるわけでございます。
#16
○川村清一君 そうしますと、もう少し突っ込んでお尋ねしたいと思うのでありますが、協議委員会はいわゆる大綱をきめる。そうしますと、大綱というものをもっと具体的に御説明願えませんか。準備委員会の基本につきましては、先ほど詳細に御説明がございましたのですが、協議委員会がきめる大綱というのは、具体的に言えばどういうようなことでございますか。
#17
○国務大臣(愛知揆一君) 協議委員会のほうは原則をきめるわけでございますから、かなりゆるやかなワクを想定いたしておりますが、そうして準備委員会のほらは、これは両国政府が設立するということになっております関係で、琉球の主席が顧問という立場には法律上なっておりますけれども、これは実際上沖繩県民の意向を代表して、実際の運営としては、先般もそういう趣旨で声明を出しておりますけれども、日米両方から出しました両委員と実質的には同じような資格を持って運営するように考えておりますから、そこに相当の重点を置いております。つまり、中央と申しますか、協議委員会で大綱、大幅をきめました場合、その具体的な現地での施行について沖繩県民の意向を十分に反映して、その意向を体してこれが行なわれるようにするということに重点を置いておりますので、自然、協議委員会のほうは、先ほど申し上げましたように、準備委員会が所掌いたしまする諸般の事項についての大綱ということで、特にこれ以外のことについて協議委員会が話し合ったりきめたりすることはございませんで、準備委員会の担当する仕事の中の基本的な原則とかあるいは方針とかというものをきめるようにしたいと、こういうふうな運営でやりたいと考えておるわけでございます。
#18
○川村清一君 その御説明だけではちょっと納得できないんですが、私は、協議委員会はいわゆる原則的な事項、大綱をきめるということでございますので、いわゆる施政権の返還協定といいますか、沖繩県の返還協定といいますか、そういう協定を両国政府が取り結ぶ、要すれば、大綱的なことをいろいろ協議する機関ではないかと、こう思っているわけでございますが、しかし、先般来、外務大臣やあるいは総務長官にお尋ねをしている間に、たとえば、軍雇用の問題、この現在の直接雇用の態様を、何とか、現在の法令あるいは行政というものに抵触しない限りの中において、何らかの形で間接雇用的なものに移行したいというようなことをいろいろ日米両国政府が御苦労されておる。しかも、それらの問題は、協議委員会の正式議題になっていろいろ検討を進めておるというふうにもお聞きしておるわけでございますが、こういうような問題になりますというと、具体的な問題、いわゆる大綱、これも大綱といえば大綱でありましょうけれども、この種の問題まで取り上げるとすれば、相当具体的な問題も、まだまだ沖繩にはたくさん大事な問題があるわけでございますが、それらの問題もやはりこの協議委員会の議題になるものでありましょうか。したがって、その大綱というものは、まあこれはいわゆる大綱なんですが、大綱といってもどこまでが一体大綱なのか、ここら辺がちょっと納得いかないわけです。そこで、準備委員会の仕事というものをいろいろ検討するにつきましては、その上部機関である協議委員会というものほどの程度の仕事をするものかということを私どもはつかみたいわけであります。この点をもっと明らかにしていただきたいと思います。
#19
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一に、いま返還協定というお話がございましたが、協定の草案づくり、そのネゴシエーションと申しますか、これは純粋の外交交渉でございまして、アメリカでいえば国務省、日本でいえば外務省がこれを専管するわけでございます。で、もちろん内容の問題等につきましては協議委員会との関係が非常に密接でなければなりませんけれども、協定の案文づくりあるいはその調印ということは純粋の外交ルートでやるということに合意ができているわけでございますが、しかし、実質的な問題が非常に複雑でむずかしい問題でございますから、その協議は日米の協議委員会で行なう。それから、返還は明後年中ということにきまっておるわけでございますから、そこに普通の国内だけの官庁機構の上下関係というだけでは必ずしもお話しのように割り切れないところがございます。現に間接雇用の問題などは沖繩の県民の人たちの切なる要望でもございますが、これは現地では解決できませんので、そこで、協議委員会の場も実際上利用させてもらって、そこで議題にも供し、そして日米双方の研究の分担もやるということにいたしましたわけでございますから、これは、正確に言うと、はたして協議委員会の議題として適格のある問題であるかどうかということもまた論ずれば切りがないことかとも思いますけれども、再来年に返還をされるのだし、そうなれば間接雇用になるのは当然なんだから、そこでひとつ便宜協議委員会を活用していこうではないかということで、実はこの協議委員会でも取り上げたわけでございます。そしてもう一つ、これは国内的に申しますと、率直に申しまして、外務省だけでももちろん引き受けることはできますけれども、なかなかたいへんで、幸いに協議委員会は正式メンバーに総務長官が入っておるものですから、この両方が相協力してアメリカ側の大使と高等弁務官とを折衝の相手にする絶好の場所でもございましたので、この協議委員会を活用させていただいているというのが現状でございます。
#20
○川村清一君 そうしますと、協議委員会の構成メンバーは、日本側は外務大臣、総務長官、アメリカ側はアメリカ大使と、三者によって構成されておると私は理解しておるのですが、それで間違いはないかということと、それから協議委員会の実績でございますが、私は、日米協議委員会というものはだいぶ前に設置されておる機関でございますが、あまり開かれておるとも承知しておらないのですが、いままで一体実績として年に何回ぐらい開かれておったのか。それから、準備委員会ができて、準備委員会ともやはり関係がございますので、これは相当開かれなければならないと思うのですが、いまの予定としては一体これは定期的に開かれる機関になるのか、また、何か問題が起きてどちらかの政府がこれは問題を提起する場合に開かれるものなのか、それとも、協議委員会を主宰するものは一体だれなのか。アメリカ大使が主宰するのか、日本の外務大臣が主宰するのか、その辺のもう少し御説明を願いたいと思います。
#21
○国務大臣(愛知揆一君) 実はこの協議委員会のほうは、もともとは日米両国政府が沖繩に援助予算を毎年つくっておりますものですから、協議委員会はこの財政上の援助を議するためにつくられた協議会である。その関係で従来の実績を申しますと、正式なものは一年に一回か二回でございます。それで役は達し得ていたわけでございます。それから、正式の合意によるところのメンバーは、こちらが二人で向こうはアメリカ大使、しかし、そういうふうな仕事でございますから、高等弁務官も随時――正式に言えばオブザーバーということになるかもしれませんけれども――参加を求めていたというのが従来の実績でございます。そこで、これから先般の日米間の合意によって協議委員会の役割りを広げまして、沖繩復帰の準備の仕事を担当することになり、かつ、大綱をそこできめることになりましたから、今後はかなりの頻度で開かれなければ、任務が広がりましただけ、また、その目標がわずか一年あまりのところに最終の目標があるわけでございますから、これから運営の方法も十分考えなければなりませんが、いままでのような運営のやり方ではとても仕事ができないと、こういうふうに考えております。
#22
○川村清一君 だれが主宰するのかということですか。
#23
○国務大臣(愛知揆一君) これは従来から日本の外務大臣が主宰をいたしております。今後もそうやっていくつもりでございます。
#24
○川村清一君 そうしますと、この協議委員会の事務局は日本の外務省にあるわけでございますか。
#25
○国務大臣(愛知揆一君) その前に会議の開催でございますが、これはどちらからでも招集を要求することができることになっております。そして、現実の仕事の大部分は外務省のアメリカ局がその事務局になっておりますけれども、在日米大使館の担当官がこれを助けている。ですから、やはり事務局の規定はございませんけれども、実際は外務省と駐日大使館とが協力して事務局を構成していると申し上げればほんとうの姿である。しかし、同時に、これからは、いままででございましたらば内閣の連絡事務局ですが、これからは沖繩・北方対策庁の方々にやはり事務局的な仕事にはずいぶんこれは本格的に御協力いただかなければやっていけないと考えております。
#26
○川村清一君 協議委員会と準備委員会の関係についてもう少しお尋ねしたいのですが、大体いままでの御説明によって理解はできましたが、協議委員会が大綱的なものをきめてこれを準備委員会に示す。準備委員会はその大ワクの中において復帰に伴う具体的な準備の作業をする、こういうことになっておりますが、ところが、共同声明の中に、「日米協議委員会を通じて両国政府に対し報告及び勧告を行なうものとする。」という準備委員会の任務が示されておるわけでございますが、ここに書かれておる限りにおきましては、準備委員会は協議委員会の指示に従って作業を行なったその結果を報告するにとどまるだけではなくして、勧告を行なう、こういうことになっておりますが、そこで、この「勧告」というものはこの協議委員会においてはどの程度取り上げられるものか、尊重されるものかどうか。そういう点はいかがですか。
#27
○国務大臣(愛知揆一君) 一言で申し上げますれば、そのまま尊重ではなくて、取り上げて実施に移すという気持ちで運営したいと思っております。
#28
○川村清一君 そうしますと、準備委員会についてお尋ねしますが、この共同声明によりますれば、「準備委員会は、大使級の日本政府代表及び琉球列島高等弁務官から成り、」、そして加えて、「琉球政府行政主席が委員会の顧問となろう。」、こういうふうに言われているわけでございます。そうしますと、この三者の関係というものは、またこれは重大な問題になってくると思うわけでございます。「大使級の日本政府代表」というのは、この法律ができますと諮問委員会が廃止になって、諮問委員会の現在の高瀬さんがなるかどうかわかりませんが、諮問委員会が廃止になって、そして大使級の方が日本国政府としてその構成員になる、それからアメリカ側も高等弁務官がなると、まあ予定されておるわけでございます。この両者と本国政府との関係に若干私は疑義があるのでこれを明らかにしていただきたいのですが、日本政府のほうは、これは大使級の方でございますから、外務省に所属して外務大臣の指揮命令に従って行動することは言うまでもないわけでございます。それから琉球列島のほらの高等弁務官のこの権能でございますが、高等弁務官はアメリカの大統領の指揮命令に従うことは、もちろん最高機関でございますから、言うまでもないことでございますが、直属の指揮者というのは、これは国務省でなくてアメリカの軍だと思うわけでございますが、この軍の代表がこの中に入るということは、これは一体どういうことになりますか。そこに矛盾が生ずるおそれはないものでございますか。
#29
○国務大臣(愛知揆一君) 日本側はいまお話しのとおりでございまして、そういう点から申しましても、外務公務員としての資格で「大使級」ということで、外務大臣の指揮命令の中に属するわけでございます。それからアメリカのほうは、いままでもそうでございました、諮問委員会でも。今度の準備委員会につきましての米国の指揮命令の系統は、大統領にもとはあるわけですけれども、準備委員会米国代表委員としては、国務省、それから在日米国大使館、その指揮下に置くということに相なっております。そして高等弁務官としてのステータスは、大統領から国防省、陸軍省、この系統に指揮命令を受けることになっております。まあ、いわばこの両方の資格を持ってるわけでありまして、準備委員会に対する米国政府の代表としては、いま申しましたように、国務省、それから在日米大使、その指揮下に置かれるということになったわけでございます。
#30
○川村清一君 そういうことになるだろうということを大体考えて御質問申し上げたのですが、問題は、そういうような高等弁務官の行動というものを指揮命令する機関が二つある。二本のこのルートがあるわけですが、そこに将来矛盾が起きる心配がないかどうか。これは現実の問題としていままでずいぶんあったと思うのです。たとえば、われわれが沖繩に調査に参りましてランパート高等弁務官にお会いしました。具体的な問題として一つ取り上げれば、たとえば軍雇用の問題等を取り上げてみましても、ランパートは、「私にはそういう権限がない、これは両国政府が外交ルートによって話し合うならば私たちも慎重に検討いたしましょう」、こういうような答弁をしております。したがって、現在まではいわゆる国務省のほうの指揮命令系統というものは高等弁務官には及んでないのじゃないか。国防省、陸軍省という軍関係の指揮命令のこういう系統下にありますから、今度はまあそういう権限も与えるということでありますが、しかしながら、国防省と国務省の意見がなかなか一致しないというような事態もこれは出てくると思うわけでございます。いよいよ現在の基地をどうするかといった問題になりますれば、まあ時間がありませんので具体的には申し上げませんが、もうたくさんある。また、たくさん出てくると思うのです。こういう中で、いわゆる両方の命令を受ける立場にある高等弁務官というものが、われわれの望ましい形においてその仕事が機能されるのかどらかということに一つの不安を持つ、疑義を持っておるわけでありますが、この点はどうなんですか。まあ、外務大臣としてはどういうふうに御理解しているのか御説明願いたい。
#31
○国務大臣(愛知揆一君) これはごもっともな御心配でございますし、その間がよほどうまく機能しなければ困るのでありますけれども、向こうがいま持っている 持っているといいますか、施政権を持っているところをこちらが返還しようとしているわけでございますから、向こうの機構についていえば、現在の高等弁務官に対するアメリカ内部の指揮命令系統が返還準備については国務省の指揮監督下に入ったということが、私といたしましては、いままでより非常に改善される、こういうふうに考えています。
 それから、これは日本側でアメリカ側の機構をいじるわけにいまのところはまいりませんから、向こうの機構において最善の向こうの協力をしてくれることを期待しておるわけですけれども、そういうことでできるだけうまくやっていくよりほかにないと思っております。
#32
○川村清一君 まあ、たとえて申し上げますが、日米協議委員会は、アメリカ大使・日本の外務大臣・総務長官、三者構成でいわゆる最高の問題をいろいろとお話し合いをする。で、先般はランパート高等弁務官も、これはオブザーバーでしょうけれども、同席されたその席でもって軍雇用の問題もいろいろ話をされた。しかし、これはオブザーバーでございますから、ただ聞いておられたのか、何か発言されたのか、その辺はわかりませんけれども、しかし、この協議委員会で決定するについては高等弁務官は権限がないわけですね、その中に。きめることに参加する権限がないわけですね。そして、この方が今度は現地におきましては準備委員会のこれは構成員である。そこにやはりいろんな、これから変わるかわかりませんが、現在までは問題があるように思う。その大綱をきめる会議に出ていらっしゃっているから御承知だと思うのです。御承知だと思う方が、現地において私どもに対しましては、「この問題は正式に外交ルートにおいて話し合いされるならば、正式な議題となるならば、私もできるだけ努力しましょう、その検討の用意がある」と、こういうふうな御発言をなされておりますことはどうも納得がいかない。もっと積極的な発言があってもしかるべきではないか。積極的な発言ができないというのは一体どういうことかということを考えてみたりしますと、どうもこの辺が納得いかないわけでございますが、この点はよほどうまくやらなければ、この協議委員会と準備委員会との関係の中において、私どもが期待しているような両者の持つ機能というものをりっぱに発揮し、それを統一することが困難になるのではないか、非常な摩擦が起きてくるおそれもあるような気がするわけでございますが、この点もう一度御答弁願いたい。
#33
○国務大臣(愛知揆一君) これはやはり日本側においてもあり得ることでございまして、準備委員会あるいは協議委員会におきましても各省の意見が合わない。それを何とか取りまとめて、また、米側が日本の意見と合わないという場合に、これを折衝していくところがこの協議委員会のむずかしいところだと思います。それを、しかし、機構としてはこれ以上のくふうはできませんから、この機構のもとにおいて最善の努力をしていくほかには私はないと思うのです。機構上のくふうというものはこれ以上は考えられないと思うのですが、それから、現にまあランパート氏の国会の派遣議員団の方々に対する応対のその発言がしばしば各所で問題にされまして、私も御質疑を受けたのでありますけれども、私から申せば、協議委員会において、まあ正式に言えばオブザーバーということになりましょうけれども、実質的に協議に参加もしておられるし、活発な意見も述べておられる。しかし、これはやはり米国内部のいままでは国防省という系統でございましたから、外交関係の仕事にはこれは関与をしないという、こういうたてまえで、それを前提にしてお話しになったのだろうと私は想像いたしております。間接雇用の問題については山中君からもお聞き取りと思いますけれども、双方でやっておりまして、合意ができたときには、それが正式の議題としてしゃんしゃんといくときでございまして、両方がいまペーパーを出し合ってそしてごしごし折衝をやっているという形はとっておりませんので、やり方としては、なかなか御理解がむずかしいかと思いますけれども、特殊の状況下にあるこういう状況でございますから、その辺のところは、運用の妙を発揮して、もう外交交渉をやっているのかといえば、まだやっていないという見方もございましょうし、それも正しいと思いますけれども、事実上一体となってやっておりますから、両方で大体ここで共同研究の作業ができたということになれば、双方で一枚の紙になっておって、これで日米は合意した、さあ実施に移しましょう、こういうときが一日もすみやかに来るようにいまも努力しておるわけでございます。それから、たとえば、これもずいぶん日本の中でもこれは努力が必要だったわけでございますけれども、退職手当の増額の問題にしても、本来はこれは米側がいまの状態ならやるべかりしものでございましたけれども、これはひとつ日本のほうでここまで決心をしてやろうということについて、まず日本側の関係省の間といいますか、大臣間の政治的な話し合いをいたしまして、大体これで行けそうだというところで米側にも事実上内話をして、非常に喜んでくれて、それはひとつ日本側でそれじゃそういう措置を発表もし具体的に現地に移してもらいたいというようなことで、きわめていま特殊の関係にあるものでございますから、もう返ってくることは目の前にある、しかし、現在はアメリカとして責任を形式上は持っている、こういうあれでございますから、先ほども、非常にあるいは失礼にわたったかと思いますけれども、日本流の、あるいはもう日本の領土になっている沖繩県に対する行政機構のように、割り切れた、日本人流に、なるほどと一〇〇%はちょっと理解していただけにくいような状態があるきわめて特殊な微妙な段階でございますから、必ずしもクリアカットの御返事ができない点は私も遺憾に思っている点でございます。
#34
○川村清一君 先ほども申し上げましたが、この琉球政府の行政主席の委員会における地位でございますが、共同宣言によって「顧問」と、こういうふうに書かれております。そこで顧問というものは、これはいわゆる日本政府代表の大使と高等弁務官――これはまあ正式委員でございますが、この委員会というものは、大体普通の委員会は、まあ会合を開く場合に顧問がいなくても会議は成立するわけですね。まあ、常識的に言って委員、いわゆるきめられた数の委員がいなければ会議は開かれませんが、顧問はいなくても開かれるわけですね。大体常識的に言う委員会というのは、顧問制をとっておっても、顧問というのは、まあ人間のからだで言うとたとえば盲腸みたいなものであって、あってもなくてもいいような存在、これが普通の顧問でございますが、この準備委員会における顧問というものの性格は盲腸的な存在のものなんですか。おってもおらなくても、顧問はいなくても委員会は開ける、こういうものですか。この委員会というものは、これは正式に三者が寄らなければこの委員会は成立しない、こういうものでございますか。これは非常に基本的に大事なものでございますから、はっきりお答えを願いたい。
#35
○国務大臣(愛知揆一君) これは非常に私どもも苦心したところでございます。そうして、日米両政府間の合意であり、両方の代表者であるということのたてまえ――法理論あるいは条約論とでも申しましょうか、そういうことから来ますと、完全な自主的な主権国家の政府ではないわけでございますから、そこに日米両国政府の代表と全く法律的に同じ形で参加願うということは非常に無理だ。そこで、実質的に何とかして参加をしてもらうのにはどういう形がいいかということで、共同声明のようなかっこうになったわけでございます。そこでそれを、その考え方の経過をそのまま具現しようと思いまして、準備委員会の発足にあたりまして内外に対して準備委員会として出しました声明でもおわかりのように、この顧問というものは、そういう字は使ってございませんけれども、心持ちとしては委員と全く同格に扱うという趣旨がこの当時発表されました声明においても明らかでございますから、盲腸どころか心臓扱いでございます。心臓がなければ人体は動かない。気持ちとすればそういう気持ちでここへ実質的に参加してもらう。ですから、これはこういう議論もたとえばございます。そんなことをおまえ言うならば、発議権があるか。法律的、純粋に言えば、発議権というものはないかもしれませんが、これはしかし、準備委員会の議事規則運営でやっていこうではないか。ですから、自主的に発議することも私はできるように運営がこれからもされていくと思っております。顧問というものは、この場合に使われた「顧問」ということばは、盲腸的な顧問ではございませんし、これを除外をしては会議は持てない。実質上の運営はさようになっていくわけでございます。
#36
○川村清一君 外務大臣から顧問というものの性格についてはっきりとお答えをいただきまして、私も非常にうれしく思っておる次第ですが、私はこういうふうに理解しておりますので、まあ、そのとおりであればそのとおりだというふうにひとつ御返答いただきたいわけです。沖繩県民は、この平和条約第三条に基づきまして、自分の県民の意思というものは何ら聞かれることなく、全く県民の意思に相反しまして今日のような、今日までのような事態を迎えたわけでございまして、過去二十五年間にわたって異民族の支配を受け、本土国民とは全く違う差別待遇を受けて屈辱の歴史を経て今日に至っておるわけであります。いよいよ七二年返還ということにきまった。で、ただ返ってくるということでは決して意味がないわけでして、いわゆる返還後において沖繩がどうなるかということであります。そこで、今度こそは新しい沖繩県を建設するために、ぜひとも百万の沖繩県民の意思を聞き、県民の意思に基づいての沖繩の県づくりが私はなされなければならないと思うわけであります。したがって、この復帰に伴ういろいろな問題の協議にあたりましても、百万の県民の意思をここに反映するために、県民の意思を代表して行政主席が参加する。名目は顧問であるけれども、ただいまのお話のように、これはもうりっぱな実質的な構成員であり、機能的には盲腸どころか心臓である、この大臣のお答えは、お答えどおりぜひやっていただくために、この行政主席の法律的な権限は別といたしまして、実質的にはこれは県民の代表ということで、主席の発言というものは十分にひとつ尊重され、それが実現されるようにこの準備委員会というものが運営され、そうして準備委員会からの報告、勧告というものは、先ほどの大臣のお答えのように、ただ聞くだけではなくて、それがそのまま協議会の決定に結びつくというような御答弁でございましたので、ぜひ御答弁どおり実現されることを私は心から望んでいるわけでございます。この点、大臣にぜひひとつ決意をここで明らかにしていただきたいと思います。
#37
○国務大臣(愛知揆一君) 全くごもっともでございまして、私はいま申しましたような決意でやっていくつもりでございます。現に、先ほど申しましたように、準備委員会が事実上発足いたしました機会に、委員会として、声明と言うとあれかもしれませんが、要するに、公式の新聞発表もやっておりますが、その中にいまお述べになりました趣旨が出ております。それから私も、準備委員会の出発がどういうふうに、私の気持ちどおり、政府の気持ちどおり発足をするかどうかということについては非常な注意を持って見守っておりましたが、ごらんになったかと思いますが、第一回に集まりましたときも、三人全く同格のかっこうで会議を始め、そうして終わりましてから新聞にも声明を出しました。その中の、主席についてはこうこうこういう扱いで実質的な当分参加をしてもらうのだ、沖繩の県民の願望というものはこの人を通して十分に反映させ、また、あとの二人の委員も、その気持ちで運営していくのであるという趣旨が、その新聞発表にも非常に明らかになっておりましたし、それから、私もテレビで当日見ておりましたが、まことにその気持ちが形の上にもあらわれて発足したように、私は見ておりまして、非常に私もこれならばうまくいくであろうという期待を大きく持ったわけでございます。
#38
○川村清一君 総理府の加藤参事官にお聞きしますが、現在沖繩に日本政府沖繩事務所というのが存在しておりますが、これはどういうふうになりますか。
#39
○政府委員(加藤泰守君) 総理府の沖繩事務所は、今度の沖繩・北方対策庁の設置に伴いまして沖繩事務局にかえることになっております。
  〔委員長退席、理事山本茂一郎君着席〕
#40
○川村清一君 そうしますと、外務大臣にお尋ねしますが、この沖繩対策庁、これは法案で出てきまして、これが成立しますと沖繩対策庁というものができる。そうして沖繩対策庁の下部機関として沖繩事務局というものができるということになります。また、東京では、日本政府では総理府、外務省、こういう関係になりますが、この対策庁と準備委員会とはどういう関係になりますか。
#41
○国務大臣(愛知揆一君) 準備委員会のほうは、この御審議願っております法律案でも明らかでございますように、きわめて小ぢんまりした、非常にわずかな人員で、要するに、日本政府を代表している大使が委員として参加しているということが大事なのでありまして、これを補佐するきわめてわずかの人員しかここには配置しておりません。したがいまして、那覇におきましても沖繩・北方対策庁の職員の方々に非常な、これは一体としての御協力を願わなければならないわけでございます。したがって、いままだ発令のところまで行っておりませんけれども、場合によりますと、相互兼任、併任というものをいたしまして、そうしてこれが一体的に動き得るように考えていくことが能率をあげるゆえんじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
#42
○川村清一君 そうしますと、先ほどは協議委員会の事務局等の問題についてお尋ねしましたが、今度は準備委員会がいよいよきちっと発足して仕事を始めますというと、相当の人員が必要じゃないか。しかしながら、この法律案を読みますというと、ただいま大臣からもお話がございましたが、準備委員会というのはきわめて小じんまりとしたものであって、いろいろと相談する協議機関であるというふうにも理解されるわけです。実質的な仕事をやるだけの陣容がないということになりますれば、準備委員会の事務というものは、これは実際問題としましては、準備委員会にあるのではなくて、総理府の対策庁の沖繩事務局のほうにこの事務局の仕事が移るのではないかというような感じがするわけでございますが、この辺はどうでございますか。
#43
○国務大臣(愛知揆一君) これは今後運営していくにしたがいまして、多少いま考えておりますこととはまた別な改善をしなければならぬことがあろうかとも思いますけれども、やはり、これは高等弁務官、それから主席――顧問との間の話し合いを日米間でつけることでございますから、そのいわば準備委員会の事務局的な仕事というのは、そこへ持ち出してくる議案なり相談をするべき事項あるいは結果を協議会に報告をしたり、勧告をしたり、そういう点が多いと思いますから、これは代表部のほうでやるべき仕事であろうと考えております。しかし、実質的な面におきましては、沖繩・北方対策庁のほうの現地の――三十人余りの職員となることになっているのだろうと思いますが、その構成も、おそらく本土の政府のあれから言いますと、各省から相当のそれぞれの専門家を派遣して事務所を構成することになるのではなかろうか、またそれがいいと私は考えておりますが、そういう点から申しましても、その助力、協力を求めることは非常に多いであろう。特に準備委員会等の議題や協議に直接かつ多量に関連を持つようなところの方には、場合によっては併任ということも考えていただければ事務が円滑にいくのではないだろうか。総理府総務長官あるいはそのほかの面との、そういう併任関係が予想されなければならんということについては、原則的には話ができておるのであります。これから具体的な陣容の配置について、そういう点はしかるべく措置していきたいと思っております。
#44
○川村清一君 実際仕事を始めていくというといろいろな問題が起きてくるような私は気がするわけなんです。準備委員会というものは陣容も少ない。しかしながら、いろいろそこで協議し、決定する事項は多岐にわたっておる。具体的には先ほど外務大臣がいろいろ御説明されたとおり。そこで、準備委員会で協議する題目はきまっておりますが、そこで、問題を持ち込むといたしましても、これはその問題を構成するまでに、またそこでいろいろお話しするについても、それはもう思いつきでいくわけじゃないんですから、いろんなやっぱり調査が必要であり、また資料が必要であると、こういう具体的な作業の積み重ねの上から、どういう問題を提起するか、どうこれを処理するかということが出てきて、それは代表が行っていろいろ話し合いをすることでありますが、したがって、十人や十五人のスタッフではとうていできないことはこれは言うまでもないわけであります。そうしますと、当然それらの作業というものは対策庁においてやらなければならぬのではないか。あるいはまた、いま大臣が言われましたように、もう処理すべき事項は山ほどあるわけでございますから、具体的な問題をさがし出せば。そうしますと、これはどうするか。そうして先ほど外務大臣からいろいろする仕事の内容が述べられた。一方、山中総務長官からはさらに具体的ないろんな抱負が述べられておる。方策がこの委員会において説明されておる。そうすると、外務省の権限とそれから総理府の権限、外務大臣の権限と総務長官との権限がどっかでぶつかりはせぬか。先ほども、アメリカの国務省、国防省両方の指揮命令系統の中にある高等弁務官が、これはもうその両方からの命令でもってちょっと困ることも出てくるんではないかということを、これはまあ先ほど大臣も問題だということをおっしゃられましたが、どだい、役人のなわ張り争いといいますか、セクショナリズムといいますか、これは有名なものですから、そういうようなことでいろいろ摩擦等が生じてくれば、困るのは沖繩県民なんです。それに加えて今度は各省からいろんな問題が持ち込まれてきますが、これらの問題を統括するといいますか、統一するといいますか、していくのはやっぱり日本政府の中においてきちっとした機関をきめ、現在のところは総理府総務長官ということになっておりますが、今度は外務省というものが一本ばんと入ってくるわけですが、その辺はどうですか。外務省の役人と総理府の役人となわ張り争いでもってぐちゃぐちゃやる心配はございませんか。私は、たいへんあると思うんですが、この辺、いかがですか。また、いま外務大臣がおっしゃっているようなことは現在もう総理府長官はすでに御承知で、納得されておることなんでございますか。この辺をひとつお答えいただきたい。
#45
○国務大臣(愛知揆一君) これは率直に申しますと、私の考え方、見通しは、率直に申してこういうことなんであります。もう返還がきまったわけでございますから、沖繩県の方々に本土との斉一化ということの目的を達成いたしますためには、内政的な問題が非常に大きいと思うんです。それで、そういう面において本土政府としては十全の協力体制をつくらなければいけない。で、もう私はことばを慎まずに申し上げますが、外務省はよけいなことに口をいれてはならぬと、これはもうわが沖繩県にもなるんですから、再来年は。ですから、外務省はよけいなことに口をいれてはいかぬ、ただ、どうしても米側に言うことを聞かせて沖繩県民の方々が要望するようなアメリカ側との談判をしなければならないことについては、これはあらゆる努力を払わなければならない、外務省の仕事はその一点にあるのだ、こういう認識のもとに外務省の職責を果たしていきたいと思っております。したがって、外務省プロパーとしてはいろいろ考えましたけれども、大使のもとに配属する人間も極端に切り詰める、こういうところにも考え方があるわけでございます。要するに、返還に伴うどうしても大事な問題についてアメリカに対して日本側としても主張を貫徹しなければならぬことに集結していく、こういうことが私は任務であると思いますから、この気持ちを末端まで徹底せるように努力いたします。すでにしていると思いますけれども、外務省と本件の返還にまつわる問題については権限争いは私は起こり得ないと思います。ただ、もっと率直に言えば、外務省、もっとがんばれと、大いに、その方面からしりをたたかれることは大いにあり得ると思いますから、そのしりをたたかれがいのあるような仕事をやれるようにやってみたい、こういうふうに考えております。
#46
○川村清一君 最後に要望だけ申し上げて終わりますが、衆議院においてこの法案が審議されている中においてわが党の意見がはっきり出ておりますが、先ほど申し上げましたように、要すれば、沖繩の返還というものは、沖繩百万の県民の意思を聞き、県民の意思に基づいて県民のしあわせになれるように、こういう形の沖繩復帰をぜひ実現してもらいたい。したがって、ただいま外務大臣は、外務省はよけいなことを言うなと、アメリカとの関係において、ほかのものが言えないものを外務省はがんがんと言っていくのだ、こういうような姿勢の響きがございましたが、したがって、私がいま申し上げましたように、これはもう沖繩県民のために、県民のしあわせのために、県民の意思のもとに返ってきてそういう新しい沖繩をつくるのだ、こういう考えのもとに強力な外交折衝をしていただきたいということを強く申し上げて私の質問を終わります。
#47
○渋谷邦彦君 日米協議委員会の開催でございますが、いつごろおやりになる御予定でございますか。
#48
○国務大臣(愛知揆一君) 実はもうすでにやっているくらいの気持ちでおりますんですけれども、何ぶんにもこういう状況でございますから、意にまかせませんで、まあ、国会の合い間を見て、お許しをいただいて、なるべくすみやかにやりたいと思っております。
#49
○渋谷邦彦君 交換公文等を拝見いたしますと、先ほど来お話がございましたように、日米協議委員会においては大綱と指針を示している。これも相当すみやかにやりませんと今後のスケジュールも立たないでしょうし、復帰前後のことを考えますと、たいへんな混乱が起きやしまいかということを心配するわけでありますが、大綱、指針等について、さらに具体的に、今後のスケジュールはどうなっているのか、いつごろ確定するのか、そしてそれを準備委員会に示すことができるのか、この辺をお聞かせいただきたいと思います。
#50
○国務大臣(愛知揆一君) これはいずれも問題の性質が、大きい、むずかしい問題ですから、一ぺんに全部きめてしまうというわけにはいかないと思います。場合によりましては、たとえば通貨の問題というようなものも大きな問題ですけれど、これは大綱がきまれば、あとは実施部隊は硫球政府もちゃんと厳然としておられるし、金融機関も専門家が沖繩におられるわけですから、これは大綱がきまれば――むずかしい問題ですけれども、大綱のきまり方がむずかしいのであって、きまれば、私は事務的に処理ができると思います。それから、企業の整備その他につきましても――整備といいますか、育成というようなことについては、これは大綱がきまると同時に、やはり現地におきましていろいろの施策というものには性質上相当の時間もかかるし、幅の広い問題だと思います。こういうようなわけで、そのことそれぞれの仕事の性質に応じて、一がいにいつまでに大綱のスケジュールがきまるということは申し上げかねるわけですが、ただ、先般も沖繩問題閣僚協議会で取り上げるべき問題などはかなり詳細に拾い上げまして、そして本土政府といたしましても、各省庁それぞれの仕事があるわけですから、沖繩担当官を置いて、そして総理府を中心にして、それにみんなで協力をして、中にはそれぞれ時限をつけて、これまでにこういう考え方をまとめる、あるいはこういうものはいつまでにはできるとかというようなことももう始まっているはずでございますけれども、そういうほうの関係は、先ほど来申しておりますように、私は外務省というよりはむしろ総理府を中心にして、それをお助けする立場にあるわけでございます。
#51
○渋谷邦彦君 確かにおっしゃられますように、山積している諸問題を一挙にということはたいへん困難が伴うかと思います。しかし、いまお述べになりましたように、通貨の問題等をはじめ、当面解決を迫られる幾つかの問題等もございましょう。そうしたものをやはりある程度の見通しを立ててまいりませんと、実施部隊のほうがすみやかに行動が開始できない。こういうおそれがあるのでございますので、いま当面する問題、あるいは実際に返還が決定された後においても十分事務的な処理はできる、こういう内容のものもあろうかと思うのでありますが、その辺の区分け、そしてまた、現在どうした問題に重点を置かれてその処理をいま急がれているんでございましょうか。
#52
○国務大臣(愛知揆一君) この前の当委員会で申し上げましたように、最終の目標を一九七二年のなるべくすみやかな機会にすべて完了する。これは返還勘定ができて国会の御承認が得られれば、その時点でアメリカ側は国内的にどういう手続をするかわかりませんが、一番スムーズにいく場合は、行政府だけで返還協定の成立ができる場合も予想されますから、そうなりますと、こちらの国内手続が完了すれば、そして効力を発生すれば返還が発効するわけですから、それに間に合わないなんということにならないように、逆算いたしまして諸般の準備を進めているというのが今日の状況でございます。何については何日ということは、これはくどいようでございますけれども、外務省だけできめるわけにまいりません。私のほうは、日本政府と琉球政府との意見が合致し、そうしてスムーズにいくものはそれでどんどん進めていただきたいし、それから対米折衝を要するものは要するものとして、われわれのほうで国内の、同時に琉球政府側の意向を体して、それが十分貫徹できるように折衝を担当していく、こういうことになるわけでございまして、どちらかというと、主役は、沖繩県が目の前になっているわけですから、これは責任をどうこう言うわけではございませんが、むしろわれわれのほうは主役の座からちょっと退いたかっこうにならざるを得ないわけなんです。
#53
○渋谷邦彦君 そこで、これからいろいろな問題が具体化されていくわけでありますけれども、この準備委員会の構成については、先ほど来の質疑また御答弁等にも明らかにされてまいりました。調査する対象というものはやはり多岐にわたる、それだけに問題が多過ぎるということになるわけであります。この準備委員会が最高最大の機能を発揮するためには、現在お考えになっている部門と申しますか、どんなふうにお考えになっていらっしゃいましょうか。それぞれ調査をするというために必要と思われる部門をおつくりになる用意があるのか。それとも、準備委員会という形一本でおやりになっていかれるのか。仄聞するところによりますと、外務省は円滑な活動を期待するために三つの部分に分けて進めていきたい。一つは、総括的な問題を処理するための部門、第二点は、施政権の移転に関するいろいろな整備をはからなければならない、その問題を処理するための部門。第三点は、地位協定に関する諸問題を解決するための、処理するための部門と、こんなふうに聞いておりますけれども、やはりそういう方向でこれからも具体的に調査その他の問題を取り扱っていかれる御方針であるのか。
#54
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまのお尋ねに対しましては、すでによく御承知いただいておると思いますけれども、三十一日に――ちょうど十日ほど前でございますが、「沖繩復帰対策の基本方針」を閣議決定いたしました。そして、この閣議決定にまず基づいて各省庁が大いにスピーディに努力をすることが申し合わされたわけでございます。政府といたしましては、沖繩の祖国復帰を円滑に実現し、豊かな沖繩県の建設を期するために、次の基本方針によって沖繩の復帰対策を進める。その推進に際しては琉球政府をはじめとする沖繩県民の民意を十分に尊重する。こういうことで、一つは復帰準備体制と復帰対策の概要として次のようなことを掲げてあります。
 「復帰準備体制」については、「総理府は、復帰準備施策の策定、これに関する関係省庁の意見の総括及び調整並びに施策の推進及び実施に関する関係省庁の事務の総合調整を主管する」。これは当然のことでございますが、先ほど来申し上げておりますような気持ちで、行政、財政、産業経済、教育文化、社会労働、司法法務及び地位協定関係の七つを主題にいたしまして、それぞれについて部会あるいは分科会を必要に応じて設けて推進をしていこうということでございます。
 それから、先ほどもお尋ねがございましたが、沖繩事務所、これは沖繩・北方対策庁の事務所でございますが、「復帰準備に関し、琉球政府との連絡調整、沖繩現地における関係資料の収集分析、調査の実施その他具体的な施策の実施に関する事務を行なう」。これが大体この復帰体制についての基本的な仕事のやり方をきめたわけでございます。
 そしてその次に、外務省の役割りが閣議決定として示されておりますが、「施政権返還前に沖繩において実施する復帰準備施策のうち、その実施につき施政権者たる米国政府との協議調整を行なら必要があるものについて」この「事務を主管する」。外務省の任務は、先ほど来御説明いたしておりますように、この閣議決定ではっきり明定されておるわけでございます。
 それから、「復帰準備に関する日米両国政府の基本的施策の調整並びに復帰準備のための原則及び指針の決定は協議委員会で行なわれ、」、そして、それに従って「沖繩現地でとられるべき復帰準備措置及びその実施についての計画に関する対米協議は」必要に応じて準備委員会で行なう。現地におけるこれが復帰準備についての体制でございます。
 それから二番目は「復帰対策の概要」でございます。「復帰に備えて政府が行なうべき主要な準備措置」としてあげられるものは次のようなものである。
 一つは、「沖繩県及び沖繩に置かれることとなる地方支分部局等の設置並びに琉球政府等の職員の身分等の引き継ぎ準備」、それから一つは、「本土法令の適用準備」、一つは、「公社、公庫その他公的団体の取り扱い」、一つは、「公有財産及び米国資産の引き継ぎ準備」一つは、「通貨の切りかえ準備」、一つは、「地位協定の適用準備」。これが復帰に備えて政府が行なうべき主要な準備措置でございます。
 そして、これらの対策を進めるにあたって次のような点に十分な考慮を払わなければならぬということで、「本土法令の適用について心得べき事項、あるいは経済、社会の開発、発展をはかるための施策の推進について立法上、財政上の措置が必要であること、それから、施政権返還協定締結交渉の進展との調整をはかっていかなければならないということなどが配慮を要する事項として掲げられております。
 こういったようなわけでございまして、その他いろいろこの基本方針にはかなり詳しく書かれておりますけれども、必要によりましては、これは私が御説明するより山中長官から御説明するのが妥当でございますけれども、こういう閣議決定がございましたことを念のため申し上げる次第でございます。
 それから「復帰準備の目標」につきましても先ほど来お尋ねがございましたが、政府としては一九七二年中のできるだけ早い時期に沖繩の復帰を実現するため、諸般の準備を早急に講する」。それから、国会の議決を必要とするものについては、立法措置については一括して国会に提出することを目途として準備を促進するということも閣議で決定をいたしておりまして、したがいまして、先ほど申し上げましたように、政府といたしましては一九七二年中のなるべく早期に全部完全に実施ができるということを最終の目標にいたしまして、逆算いたしまして、立法を要すべきものについてはできれば一括して、ものによればあるいはできないものもあるかもしれませんけれども、私は筋道として、立法を要するものについては一括して御審議を願って、そして十分の御説明を国会でいたし得るように準備をいたしたいと思っております。
#55
○渋谷邦彦君 ただいまの御答弁の内容につきましてはもうすでに発表されたところでございまして、それを裏づけるように大臣は、特にこの準備委員会の性格として、「沖繩県の再建その他中央・地方行政の整備、基地問題、人権問題等の解決を可能にする地位協定の適用、法律、経済、財政その他あらゆる制度の本土との一体化など、万般にわたっての準備を含む」と、このように述べているところを見ても明らかでありますが、そうなりますと、準備委員会のほうに付託される指示事項というものは相当広範囲にわたる、こういうふうに思うわけでございます。しかしながら、この交換公文の持っておる意味から判断いたしますと、やはり、先ほどの御答弁にもありましたように、日米協議委員会の下部機構でありますから、当然、日米協議委員会がきめないものは取り上げないとか、あるいは、返還協定には触れないものしか実際には仕事としては推進できないとか、あるいは布令、布告に触れるような問題についてもこれは避けて通らなければならぬとか、要するに、準備委員会としてまことにささやかな範囲で、相当制約を加えられた仕事がなされていくんじゃあるまいかという、ちょっとそういう不安が残るような感じがするんですけれどもね、交換公文に述べられたいろんな趣旨というものをいまお述べになったことと関連をさせまして、ひとつ実際に具体的に、大きな問題としては米国の資産の返還問題だとか、あるいは基地の縮小というような問題が当然課題になりましょう。そうしてまた、これは年来の大きな解決を迫られる問題点の一つであったわけであります。こうしたことまで全部含めて、現地の出先機関については調査をさせる、実際の話し合い、また交渉、その具体化、そこまでおまかせになるのかどうなのか。この辺いかがでございましょうか。
#56
○国務大臣(愛知揆一君) いま現に琉球の政府もあるわけですし、この機構というものはやはり相当の力を持ち、また行政能力も私は持っていると思います。ですから、そういう、この主席によって準備委員会に出される意見等については、相当の私はスタッフがあると考え、また、その自主的な活動に期待することが多い、こういう考え方を持つのが自然ではないだろうかと私考えるわけでございます。それから、問題によりましては、いま読み上げました中のあるものにつきましては、東京における本土政府と、それから本土政府の考え方がまとまり米側がそれに原則において合意すれば、もう細部の施行ということについてはそう手のかからないものも私はあり得ると思います。そうやってこの三十一日に閣議決定をしまして、そして関係各省庁、これはほとんど本土政府の――やはり百万人の沖繩県でございますから、そこで、県民が関心を持ちまた生活に直接の関連を持つ事項は、すなわち各省庁の仕事と直接間接に密接な関係を持ちますから、ただいまのところは、各省庁がそれぞれ自分のほうの担当すべき事項についてこういうふうにやればいい、あるいはこれだけはどうしても譲れないとか、これは考え方を逆にしてもいいとかいうことがだんだん出てまいります。それによりまして、場合によれば、いま基地の問題もお取り上げになりましたけれども、これも先般申し上げましたように、防衛庁においてもまず実態の掌握が必要だという意味で、調査をその道の専門の人たちが、施政権返還の話がきまった前とは変わりまして、もう返還が前提になっておる段階でございますから、これは防衛庁が担当されてしかるべき調査の方法などについても具体的に進行中であると私は理解をいたしております。そういうことがどんどん各方面に進んでまいりまして、そしてそれを総理府中心に取りまとめながら、対米折衝を要するものは対米折衝でだんだんに解きほぐしてまいります。こうやって、何と申しましょうか、臨機に事の問題、性質に応じて進めてまいりまして、最終的にゴールに一緒に入れるような姿に早急にしたいと思っております。したがって、現在ただいまのこの時点で、私から取りまとめて、何の件についてはこういうような状態になった、この件についてはこうなったというところまでは、まだ遺憾ながら申し上げる段階にございませんし、また、いまの段階で各省がどういうふうな考え方をしているであろうかということをお調べになるのでございましたら、直接にその方面から具体的問題に応じての考え方をお聞き取りいただけばよろしいと思いますが、まだ総合されたところまでは行っておりませんことは、いま申し上げましたことで御理解いただきたいと思います。
#57
○渋谷邦彦君 この返還問題は歴史上にもほんとに新しい問題を提起したわけでございまして、それだけに、アメリカ側としても沖繩に対するいろいろな思惑――思惑というよりも、実際の利害関係というものを潜在的に持っているはずだと思うのです。基地の効用というものを考えましてもこれは否定できない事実だと思います。そうした場合に、これからいろいろな折衝が展開されるわけでありますけれども、一体そのイニシアチブをどちらがとるのかということもたいへんデリケートな問題で、即断することはできないと思うのですが、大臣の腹づもりとして、やはり日本としてはあくまでも、先ほど来からのお話のように、沖繩県民の民意というものを十二分にそんたくしながら、そうしてまた、十分な利益も考えながら、返還がスムーズに行なわれるように持っていきたい、そういう意味のことが述べられた。アメリカ側としても、やはりいま申し上げたような観点から日本側に相当強硬な主張というものを言ってこないか。この辺の調整をどうするのか。あえて調整機関なんというものを設ける必要があるかどうかわかりませんけれども、そのイニシアチブというものが将来の折衝の段階においてどのように見通しを立てられているか。この質問自体があるいはどうかと思いますけれども、この辺がやはり非常に重要な今後の折衝にあたっての要素を秘めているだけに、その辺の政府としての決意をお聞かせいただきたい、こう思うわけです。
#58
○国務大臣(愛知揆一君) それはしばしば申し上げますように、たとえば小笠原の返還ということは現に行なわれたわけですね。ですから、返還協定のつくり方というようなことについては、私はカテゴリーとしては比較的スムーズにいく問題じゃないかと思っております。ただ、小笠原には住民はほとんどおりません。また資産もありません、基地もありませんから、そういうふうな問題は、今度の沖繩の返還を実現をしていく場合のアメリカ側としてもいろいろな希望や期待があろうかと想像されますけれども、いまの段階では、イニシアチブというお話がございましたが、こちらとすれば、日本の、そうして沖繩県民の望むような姿で返ってくることが一番望ましいんだということを申し上げる以外にないのでありまして、向こうが、これはこうしてくれ、これはこうしてくれとか、まだ向こうは出しておりませんから、先回りをして向こうの思惑を考えて、手のうちをあまりさらけ出さないほうが、率直に言って、望ましいんじゃないかと思いますが、要するに、こちらの望むようにということは、なるべく負担も軽く、小笠原でも御承知のように何十万ドルかのやりとりはございましたわけですから、沖繩につきましてもすでにそういうものも多かろう、底も深かろうということは想像されますけれども、向こうの出すであろう希望条件というものをいまこの段階でそんたくして論ずるには少し時期が早いのではないか、こういうふうに考えております。
#59
○渋谷邦彦君 早いとおっしゃられればそうかもしれませんけれども、やはり、いままでの経過というものを考えてみると、沖繩県民としてはたいへん神経質になっている面も多々あるだろう、こういうふうに想像できるわけでありまして、もしかりに、これがアメリカ側として基地の機能をもっともっといまよりも強化する、またしなければならない、あるいはもっともっとと言わなくとも、現状維持よりはあるいは強化していく必要があるのではないか、最近の東南アジア情勢を見るにつけても、やはり依然として沖繩の重要性というものは、これはもう高く評価されてしかるべきであるというような判断に立った場合、米国側としては相当高姿勢な立場でこの返還交渉というものに出てくるのではあるまいか、こういうことを心配するがゆえに念のためにお尋ねをしたわけなんでございますけれども、この辺のニュアンスというものはどうでございましょうか。
#60
○国務大臣(愛知揆一君) 非常に抽象的なことに、お尋ねもそうなんですけれども、要するに、返還ということの基本のワクはもうはっきり設定されたわけです。七二年中の返還と核抜き・本土並み、これはもう絶対にきまったことなんですから、世界情勢がどうなろうともそれに影響されることはございません。これは政府の基本方針です。ですから、その上に立って沖繩県民の方々が本土のわれわれと同じような程度に所得の格差を埋めていって、そして平和で安定した生活の条件をつくり上げ、かつ、その成果を享受していただくようにするということが、私は今後の政府の最大の課題ではなかろうかと考えます。
#61
○渋谷邦彦君 確かにこの返還は決定した。それはもう事実動かすことのできない現象だと思います。ただ、いろんな協定を取り結ぶ、これは将来の問題ですから、あるいは確かにまだ論議の段階ではないかもしれませんけれども、いま申し上げたように、いままで相当基地問題をめぐった論議が繰り返されてきたことを振り返ってみましても、この問題についてはわれわれとしても相当やはりいろんな面から多角的に取り組まなくてはならないことは当然だと思います。したがって、もしその協定を締結する段階になった場合に、その内容がどらであるかということ、そこまでやはりこれからの復帰をめぐって当然考えていかなければならない問題ではなかろうか、おそらく外務省当局としても当然そうしたことも全部からめて今回の復帰準備をされているのだろうと、このように判断をいたしますけれども、ただ、政府部内においては、これも確実に私が聞いた話ではございませんのでどらかと思いますが、一方においては、この準備委員会の活動というものはもう決定したことだし、日本政府の出先機関がどんどん強力に推進すべきだとする意見と、それから、七二年の返還が実現されるまでは施政権は依然として米国側に残っているためにむしろ消極的に進めていくべきではないか、米国の立場というものを十分尊重しながら、こういうことを聞いているわけでございます。そうしたことを背景にいたしますと、一番肝心の問題が薄れていきはしないか。やはりいまの段階からいろんなことを煮詰めてまいりませんと、実際に復帰実現というその段階になったときに大混乱が起こるような、
  〔理事山本茂一郎君退席、委員長着席〕
あるいはまた、そうしたいろんな取りきめ方というものに対しての多大な抵抗というものが国民の世論として起き上がるということは決して好ましい状態ではないというようなふうに思いますので、その辺の把握、また、その辺の問題に対する大臣としての御見解を承っておきたいと、こう思うわけでございます。
#62
○国務大臣(愛知揆一君) どうも御質問の趣旨が私、理解しがたいのですけれども、私は率直に申しまして、返還の時期はまだ再来年だから、そのぎりぎりのところまでアメリカに遠慮して何にもしないでいるという説がある、あるいはそれくらいでいいんじゃないかという説があるというようなことは、私は全く思いも寄らない議論だと思います。私は、前にも申しましたように、今度の一九七二年返還ということは実際上は即時返還だとかねがね思っておったのです。私の観念する即時返還はこのくらいのタイミングの必要がある。だから、いまからねじりはち巻きでやって、そして所要の国内の立法手続を経て、十分な御支持を得ながら、返還の時期を一九七二年のなるべく早い時期と考えますと、もうほんとうにそうこうしてはいられないという気持ちで私は一ぱいでございますし、政府の各関係者もみんなそういう気持ちではないかと思いますから、まあ、とにかくどんどんどんどん進めていくことだと。そして、その進め方について異議がかりにあるとするような問題が起これば、これをわれわれとしては、ことに外交関係におきましては、沖繩県民の意向を十分体してその御期待に沿うようにしなければならない。しかし、同時に、一番望ましいことは、私は実体的に沖繩の県民の方がほんとうに本土のわれわれと同じような内容の充実した生活に早く格差を埋めていくということがもう何より必要なことではないか。これは必ずしも私は対米折衝の問題だけではないと思うのです。これも率直に申し上げます。ことに、返還話がきまった前の状態と返還話がきまった今日の状態とではおのずから沖繩の問題の取り上げ方について姿勢の大転換が必要ではないかと思います。私どもは大転換をしたつもりで、沖繩の問題は即われわれの問題なんであって、われわれ自身がほうとうに四つに取り組んでわが事としてこれをやっていかなければならない。沖繩の人が言うから、あるいはアメリカがこうだからというのじゃなくて、わが同胞のたまたま沖繩にいる方々というだけのことであって、わが事としてこれを御期待に沿うようにやっていくということに政府が一丸になっていかなければならない問題だと、かような考え方、姿勢でまいりたいと、こういうふうに思っておるわけでございます。
#63
○渋谷邦彦君 次に、返還の問題は相当速度的にこれからも進めていかなければならないと、いまおっしゃるとおりだと思います。そうした時点において、御承知のとおり、一昨日でございますか、米国の上院本会議において、共和党のサーモンド議員がこれに水をかけるような発言をなさっております。まあ、いろいろな政治的な含みがあってのことでございましょう。沖繩返還に対し九項目にわたってその反対の理由を述べておられると、こういうことが伝えられております。この九項目について、どんな理由のもとに反対を主張されたのか、相当長時間にわたる演説であったそうでございますけれども、外務省当局としてこれは掌握なさっていらっしゃるのでしょう。お聞かせいただきたい。
#64
○国務大臣(愛知揆一君) これはいまさら申し上げるまでもございません。私も、それはサーモンド議員の演説の要点ももちろん報告に接しております。しかし、これは行政府とは申すものの、大統領が最高の責任者として約束したことは既成の事実でございます。サーモンド議員の意見は意見として、ああいう意見は前からアメリカの相当の人たちの中にはあった、私はこういうふうに掌握いたしております。それを乗り越えて、いわゆる高度の政治判断で決定した問題でございますから、ほかに何を意図されておるか、あるいはアメリカの一上院議員としての御心配はごもっともでございましょう、アメリカ人としては。しかし、それを乗り越えたことでございますから、それによってアメリカ政府が左右されるとも思いませんし、また、こちら日本側としてこれに動揺などをすべき筋合いの問題ではない、私はかように考えております。
#65
○渋谷邦彦君 本件に関しては、小笠原、あるいは奄美群島の返還の際にも、米国議会の承認を経ないで返還決定をしたと、こういう事実がございます。外務省当局としても、沖繩についても同様の措置が講じられるだろうと、こういう御判断でおそらくもろもろの問題を進めておられると思う。ところが、いまのお話に関連するわけでありますけれども、さしたる心配はないと言われればそれまでですけれども、米国議会内部のそうした一つの急先鋒的な世論というものが醸成されながら、しかもラオス、カンボジアの内乱がございます。もしかりに昨年十月ごろにこの問題があったならば返還には応じなかっただろうなんという発言もあるようであります。したがいまして、そうした点を踏まえて、何とか議会の承認を取りつけなければ返還を認めないという方向に戦うのだ、こういうことをサーモンド議員は言っておりますね。この辺もさしたる心配はないと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#66
○国務大臣(愛知揆一君) これはアメリカの国内の動きでございますから、それに論評を正式に加えることは差し控えるべきだと思いますけれども、先ほどお答えしたような私どもは立場でございます。もうこれは最高首脳部同士で高度な政治判断によってきめられたことでございます。むしろ、そういうことを心配げに取り上げるべき問題としては適当ではないのじゃなかろうかと私はここではコメントいたしません。
#67
○渋谷邦彦君 この背景には、先般来予算委員会等におきましてもしばしば議論された内容ではありますが、繊維製品の規制をめぐって相当のからみがあると、日本として自主規制に踏み切ってさえくれるならばこうした問題は取り下げてもいいというふうみたいにも聞こえたのですけれども、そうしたことを考えますと、米国としてはやはり国内問題かもしれません。しかし、われわれから考えてみれば、そういうことと沖繩の返還問題をからましてこられるということになりますと、たいへんショックが大きいわけでございます。少し横道にそれるかもしれませんが、現状において繊維の自主規制という問題については、これまた心配ない、沖繩返還には全く影響はない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#68
○国務大臣(愛知揆一君) これはやはりアメリカが何かこういうことを言っているということが報道されたからといって、その一つ一つに日本政府としては私はコメントすべきではないと思うのでず。それを前提にしてお聞き取りいただきたいと思いますが、日本といたしましては、いろいろの繊維問題というのはたいへん幅の広い長い歴史を持ち、今回の問題が起こったのも、アメリカが持ち込んだのは昨年の五月で、まさに一カ年かかろうとしておりますが、その間に進展はございません。沖繩の問題はその間において決定をいたしました。共同声明にも何も触れられておりません。世の中には密約説というようなものもあるようですけれども、そういう事実はございません。それはそれ、これはこれだと思います。これは繊維の問題につきましても、筋目の立たない解決をするようなことは日本国としてはすべきではないと思うのです。ですから、日本政府としては、三月の六日でしたか九日に対米エドメモワールを出しましたが、それに明細、冗長なくらい日本の立場というものは詳細に説明しておるわけでございますから、あの考え方のワクの中で何か解決の名案というものがあるならば、それは日米間のやはり親善友好関係という立場から言ってけっこうなことではございましょうけれども、あの覚書というものは筋目の立った日本側の見解であると私どもは自信を持っておりますから、あのワクの中でなければ、無原則の妥協というようなことはすべきではない、こういうふうに私は考えております。
#69
○渋谷邦彦君 次に、先般当委員会におきまして、米国陸軍長官のリーザーの発言をつかまえてお尋ねをしたわけでありますが、それに先立って、二月の二十八日でございますか、ジョンソン米国務次官がオハイオ州クリーブランドで開かれた世界問題会議という趣旨の会合の中で、「一九七〇年代におけるアジア」、こういう表題で演説をしておりますが、まあ、それによりますと、北は日本、韓国、南はオーストラリア、ニュージーランド、西はビルマに及ぶ地域の諸国を含めた政治、経済、安全保障上の自由アジア諸国共同体の設立を呼びかけられた、こういうことがやはり伝えられております。その問題と関連しまして、こうしたリーザー長官の構想というものがたいへん密接な脈絡があるのではなかろうかと、こういうふうにもわれわれとしては判断できるわけです。しかも、両者とも米国のまあ指導階層の一人でありますし、その発言というものはきわめて有力ではないか、こういうふうに思えるわけであります。さらに、先ほどもちょっと触れましたけれども、依然として南インドシナ半島における内戦状態、紛争状態というものはあるいは激化するんではなかろうかという、そういう危険もはらんでおります関係もありまして、そうしたことを考えますと、やはり沖繩の持つ軍事基地の価値といいますか、やはり従来どおりの米国の姿勢というものはくずれはしないんじゃないか、そういうことをいろいろ考えさせられるわけであります。これもまあ念を押してお聞きするようなかっこうになるんでございますけれども、こうしたことが将来においてもしあり得るとすれば、まあ、いま申し上げたように、補給基地のようなまた機能を発揮できるような状態になっていくとすれば、先般も御否定なさったように、そういう申し入れがあっても日本政府としては受けつけないと、そういう態度を今後とも堅持されるおつもりなのかどうか。そらした最近の東南アジア情勢から、御見解をお聞かせいただきたいと、こう思うわけです。
#70
○国務大臣(愛知揆一君) これはもう仰せになるまでもなく、日本としては主体的な立場でもって日本の進路をきめるべきものであって、アメリカがどう申しましょうと、いわんやこれはこちらに何の連絡もないことでございますから、かりにありましても、日本の主体的な立場において、また、いままでの考え方の上に立って、これは処理すべきものであると思います。これは御同様に、たとえば昨日ですか、周恩来・金日成の共同声明というようなものも、まあずいぶんと、これは相当なものだと思いますけれども、しかし、これに対してわれわれとしてもコメントいたしておりません。これは、日本は日本の持するところがあり、そして日本は平和国家として、そしてしばしばお話を申し上げているように、あくまで武力というようなものを中心にした他国に対する敵視政策というようなものはとっていないんでありますから、日本のこの考え方というものを心をむなしゅうして各国が十分聞いてくれ理解をしてくれるものという確信の上に立って主体的な政策を展開していきたいというふうに、私はかように考えております。
 なお、いま具体的なアメリカの某氏の説を引かれましたけれども、まあ、これもなにでございましょう。コミュニティということばを使っている、フリーネーションズ。そういうことはいわゆる広義の安全保障同盟というようなことを私は意味しているものではないと、かように考えております。それから、御案内のように、ニクソンが外交教書その他でいつも明らかにしておりますが、日本に言及した場合にいつも忘れずに一項加わっておりますことは、日本の好まざるようなことをアメリカとして要請する気持ちは全くないんだということが特に明らかにされていることも御存じのとおりだと思いますが、当然のことでありますが、私はそういう点にも留意しておく必要があると思います。
#71
○渋谷邦彦君 いまの御発言の中から将来にわたる政府としての見解をお示しになったわけでありますが、先ほども申し上げましたように、東南アジア、主としてインドシナ半島の情勢の急変等々将来も考えられましょう。あるいは中国との関係、あるいはその他北朝鮮との関係はどういうふうにこれから推移していくかわかりませんけれども、かりにどのような情勢変化があろうとも、要するに、日本の要望しない点についてはアメリカとしてもおそらくは日本の言い分を必ず聞いてくれるであろう。まあ、それにはいろいろなことが考えられるわけでありますが、そうしますと、いまとりあえず、情勢の変化がこれからどうあるかわかりませんけれども、現在時点において、沖繩の基地といろ問題は縮小するべきである、あるいは政府・自民党の御主張でありますると、本土並みにすべきである等々のことがいままで繰り返し繰り返し述べられてきたわけであります。まあ、そういう点にまでからんで、現在の沖繩の基地というものがやはりこの返還前後――まあ、あとわずかな期間でありますげれども、そういう方向に進められていく、また、どういう方向に努力していくと、そのように判断してよろしいでしょうか。
#72
○国務大臣(愛知揆一君) これは決しておことばを返す意味で申すのではありませんげれども、先ほどサーモンド上院議員の話が出ましたけれども、あのことは、裏から言えば、沖繩の戦略価値を減殺するような米大統領の対日約束は自分たちは賛成できないという趣旨が入っておりますことは私は示唆のあることではないかと思います。そういうことを乗り越えて、米大統領といいますか米国政府が政治的な判断を、決断をしたんだということが、裏から逆に理解されるという点に示唆が私はあろうかとも思います。まあ、それはそれといたしまして、沖繩返還について従来申し上げておりますことは何も変わっておりません。その線に向かって、最後までその線の上に努力を続けていきたい。
 先ほどまあインドシナ半島の問題にも言及されました。これはまあ率直に言って、こちらが何らの意味でも、当事者ではございませんから、日本政府としてのやるべき限界もありますけれども、しかし、たとえばラオスにつきましては、もう前々から申し上げましたように、現在のプーマ政権というものが一九六二年に成立したときのいきさつから申しましても、ひとつソ連、イギリスというような共同議長国をはじめ、国際監視団に加わっているような諸国に対しても、何とかこれはひとつ戦争がエスカレートしないように話し合いで処理ができるように格別の尽力をしてもらいたいということを日本政府としても累次にわたって申し入れや努力をいたしております。
 それからカンボジアにおきましても、ロン・ノル政権というものの、あるいはシアヌーク派の出方というようなこと、これからいろいろ流動的でありますから、にわかに見通しを申し上げるところまで情報もまだ確実とは言えませんけれども、しかし、やはり前からのロン・ノル政権の中立で平和でという政権は維持して、そうして決して武力抗争とか、他国から武力を導入して武力によって解決するというかっこうはいまのところとっていないようでございますから、何とかしてこれが平和的に、拡大しないように、インドシナ全体に戦乱がエスカレートしないようにということを望み、かつ、なし得ることあれば、日本政府といたしましてもできるだけのことをしてこれを防止することにつとめたい、願わくば、関係ありあるいはあろうとするところの大きな国々あるいは勢力が日本の、われわれのこういう気持ちをよく理解してもらいたい、これが世界的な願望ではなかろうかと、こういうふうな見解に立っているわけでございます。
#73
○渋谷邦彦君 最後に、復帰が決定してから事務的な引き継ぎというものが行なわれる分野がたいへん多かろうと私思いますけれども、円滑に進めるために、また、支障を来たさないようにするためにも、もうすでに返還が決定しておりますので、施政権がたとえ現在米国にあっても、可能な限りいわゆる弾力的に話し合いでもって日本政府がこれを代行していく。たとえば。パスポートの件だとか、いろいろそういう問題があろうかと思います。これも最近非常に緩和されてほとんど問題がなくなったと言われておりますけれども、そうしたようなことが考えられませんでしょうか。
#74
○国務大臣(愛知揆一君) これは要するに、日米両国の良識による判断、もしアメリカとの話し合いが必要な問題であれば、これは再来年は日本に返ることは確定しているのですから、そういう状況下においてどうしたらいいかということについて、アメリカのほうは、私は率直に言って、施政権を持っていることは、法律上はそのとおりですけれども、なし得る限り流動的に前向きに説明がつく限りにおいての善処をこちらは期待したいと思います。それからこちらも、法律的その他の点において施政権が向こうにまだあるということはこれは事実なんでありますし、それを何でもかんでもくつがえして、もういま施設権がピンからキリまで返ったものというふうな考え方にあまり徹し過ぎるのもいかがかと思うわけでございまして、双方の良識によってこの返還が円滑にいくということのために共同研究、共同作業で円滑に事を処していくというふうにこの上ともアメリカ側にも善処してもらたいし、この上ともにこちらはビヘーヴすべきところはビヘーヴするのが私は日本国としての態度ではなかろうか。率直に申しまして、こういうふうに考えております。
#75
○渋谷邦彦君 そうしますと、復帰前においても、内容あるいはその問題によっては、良識ある話し合いによって引き継ぐ分野も出てくると、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
#76
○国務大臣(愛知揆一君) これはこまかく詰めていきますと、答弁申し上げることはぎくしゃくすると思いますが、やはりこれは施政権を前提にして合意がなければできませんですね。こちらだけ一方的にしゃにむにということは、私は限界があると思います。ここは、いま申しましたように、双方の良識で前向きにスムーズにいくということで処理をしていくべきものだと考えております。
#77
○渋谷邦彦君 まあ、その点は、これからも精力的に沖繩の県民の民意に反しないようにお進めをいただきたいと思うのでございますが、そこで、冒頭にも大臣がおっしゃられておりますように、十分に沖繩県民の民意というものを尊重して事の処理に当たっていきたいと、その民意の反映というものはいろいろな事柄が考えられるわけであります。確かに屋良さんが顧問として、まあ提案権がないにしても、いろいろな希望意見というものを述べるチャンスが出てまいります。まあ、そうしたものも十二分に加味されていくであろうと思うのであります。そのほかに、この民意を尊重するやり方といいますか、まあ調査を、具体的にはそれぞれの出先機関の方々が直接県民の方々に接触をしてその実態を聞くということもございましょうし、そういう点を十二分に尊重していくという立場から、政府としてほかにどういう具体的な方法をお考えになっていらっしゃるか。ただ屋良さんが代表として臨まれる、それをもってすべてこれは県民の民意であると、このように判断されるのか。あるいは、いま私が申し上げたように、それぞれの出先機関の担当官の方々がいろいろの人たちに接触をされてそれをお聞きになるのか。その中にはいろいろな、労働組合の方々も含まれるでありましょう。ほかにあるいは考えられる方法としてはございましょうか。
#78
○国務大臣(愛知揆一君) たとえば、これは準備委員会だけの私は問題じゃないと思うのです。大きな点から言えば、国政参加問題もおかげさまで国会の御審議もだいぶ進んでまいったように承っておりますが、これなどはもう準備委員会とか協議委員会の問題じゃございませんし、しかし、これがまとまれば、ずいぶん大きな前進ではないか、大きな意味で沖繩県民の方々の意図というものが正規の土俵の上にあらわれてくるわけですから。それから、事務的なことを申しますれば、実は占領される前の、戦争中から、沖繩における土地台帳というものがはっきりしてないわけです。これは、これからの所有権の問題の処理などについて非常に困る問題。で、こういう点については、現にいろいろのルートでと申しましょうか、こういうことについても調査をしなければならない。これもまだ具体的に現場で作業は進んでいないかもしれませんけれども、政府としてやらなければならない段取りの中に入っております。
 それから、基地や防衛問題については、これは大きなまた問題ですけれども、先ほど申しましたように、これは防衛庁におきましても担当の向きと相談をし、かつ、これが返還の話がきまる前とは違いまして、実地の調査というものもなければこれからの対策も立たぬわけでございましょうが、これは防衛庁長官からもお話があったと思いますけれども、すでに始まったと言ってもいいんじゃないかと私思いますが、正確な段取りは防衛庁長官よりお聞き取りいただきたいと思います。
 こういうようなわけで、いま一、二の例を申し上げただけですが、何も準備委員会だけが、しかも、準備委員会に出ている大使が沖繩の方と接触をしていろいろな意見を聞くといったって、これはやり得る限度というものは知れたものでございます。たとえば調査を大々的にするような場合、たとえば土地台帳あるいは基地の状況、それから所有権の調査というようなことも、これは返還が効力を発生したら直ちに日本の国内措置としても、地主さんとの間、あるいは税務署との間、あるいは登記所の間にもすぐ具体的な措置をしなければならない。その事前の調査というものはもうすでに始まらむとしておるわけでございますね。これは準備委員会の問題じゃないのです。そういうわけですから、場合によれば、本土政府から加勢に専門家が相当大量ある程度長期の出張で出かけるようにもなりましょうし、あるいは、もうほんとうに政府の立場においてはあらゆるその機能を動員して、そうして一九七二年の何月のときに少なくともなし得る限りのその本土との斉一化ということをやるべくもうあらゆる努力をしようといういま態勢になっております。これは御理解いただきたいと思います。
#79
○渋谷邦彦君 いずれにしても、いま一貫した政府の御見解を伺ったわけでございますけれども、どうか願わくば県民の利益に反するようなことのございませんように、また、摩擦が起きて不測の事態の起きないように、また、失望感を与えないように、十分な配慮をもって復帰のための準備を推進していただきたいということを要望いたしまして私の質問を終わります。
#80
○春日正一君 復帰準備委員会の性格、任務というようなことからお聞きしようと思ったんですけれども、いままでの質問をずっとお聞きしておって、大体こういうふうに理解していいですか。日米協議委員会があって、ここで基本的な点、原則的な問題をきめる。そうすると、それを準備委員会が受けて、そうしてそれに基づいた具体的な処置、そういうものを行なっていくような仕事をすると。だから、私いまお聞きしておって、準備委員会だけのことではないというふうに大臣言われましたけれども、防衛庁もあるし、いろいろ役所がそろって進めていって、だから、日米協議委員会で話が進められていくその進行に応じて、現地では具体的な手が打たれていって、いよいよ返還協定というものが固まりましたというときには、大体その協定の中身に該当するものはできてしまっている、こういうしかけになっているんじゃないかという印象を受けたんですけれども、その辺はどうですか。
#81
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほども三十一日の閣議決定のことを若干御説明いたしましたわけですけれども、要するに、担当の体制をまずつくる、それからこの仕事を担当する姿勢をはっきり思想的にしておこうということもこのねらいであったわけでございます。したがって、行財政とか、産業経済とか、教育文化とか、社会労働問題とかいうようなものは主として内政的なものでありまして、沖繩県になりかわるときの準備をずっと進めていこう、これは総理府中心でやっていきましょう、それから施政権返還前に施政権者の立場において米国と話し合いをしなければできないようなことは、これはその問題に限って外務省が主管をする、こういうふうにまずきめたわけでございます。
 それからその次に申し上げたいことは、したがって、内政的な問題でやらなければならぬようなことでもうこちらが相談せずにどんどんできることがございます。たとえば、いま例をあげましたが、現地の調査とかいうようなことはどんどんこちらでやれると思いますし、それから、復帰したときには現行の本土の各種の法制が全部そのまま適用されることになりますが、そうやった場合に、何らかいままでの慣行その他によってフリクションが起こってはいけませんからそういう準備を整えるというようなことは、これは日本側だけで私できることだと思いますので、そういうことの中で、あるいはそれ以外の問題で対米折衝を施政権者たる米国に対してしなければならない、合意を取りつけていかなければならないということは、私どもも一生懸命やりたいと思っております。そういう中には何々があるかということは、にわかにして具体的にきっちり申し上げられませんけれども、おおよそお互いに見当がつくのではないかと思いますが、そういう点については寄り寄り心がまえなり準備もいたしておりますが、そういうことでございます。したがって、いまも渋谷さんのお尋ねにお答えしたのですが、何もかにも協議委員会、あるいは準備委員会のラインでやるのではなくて、問題がむずかしい、あるいは複雑なものがそこにかかることは実際問題として自然の成り行きかと思いますけれども、何もかにもこまかしいことまでここへかかってくるとは必ずしも考えません。
#82
○春日正一君 いろいろありますけれども、一つ大事な問題としてお聞きしておきたいのは、去年の十一月二十九日に私の名前で提出した「日米共同声明と安保・沖繩問題に関する質問主意書」というものの中で私が、共同声明は沖繩の施政権返還に伴う財政及び経済上の問題に関連して、米国企業の利益についてのみ明記し、アメリカ当局に請求すべき沖繩県民が米軍から不当に受けた損害について一言も触れていないということを指摘して政府の見解をただしたのですけれども、それに対して政府の答弁書では、「沖繩県民がこれまで被った損害がどのようなものであったのか、これについてどの様な補償がなされているのかといった実態を調査した上で、検討していく」、こういう答弁になっております。ところが、先ほど大臣もちょっと言及されたこの「基本方針」ですね、これには「復帰対策の概要」として(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)と書いてあるのですけれども、ここには請求権の問題というものが一言も触れてないんですね。これは一体どういうわけなのかと私はちょっとそういう感じがするわけです。そこで、政府としてこの問題について調査をしておいでになるのかどうか。調査されたのなら、その結果、どのくらい請求すべき被害というものがあるかということをお聞かせ願いたいし、調査の結果がまだ出ておいでにならないなら、調査の進行状況なり今後の見通しなりお聞きしたいんですが。
#83
○国務大臣(愛知揆一君) これは、この閣議決定は、まず第一に、三月三十一日に決定いたしましたもので、これが完ぺきとは考えておりません。また、抜けておること、御指摘のようなこともあると思います。それが一点。
 それからもう一つは、いまの財産権の問題等は、やはりこれは両国の返還協定の上の問題でございまして、小笠原の場合は、先ほど申しましたように、実際上は対象となるものは非常に少なかったわけですけれども、やはり返還協定の問題として返還協定に取り上げましたので、返還協定自体のまだ基本方針というものはきめていないわけでございますから、それをつくるときそのほうに入れようかということと、そこの考え方がまだ整理つかなかったものですから、これはこれとして決定いたしました。問題のあることはよく承知いたします。それからその次に、こちら側――こちら側といいますか、沖繩県民から米国側に対して請求権を行使し得るものはどの程度でどういう種類のものかということは、これはまことに遺憾でございますけれども、まだ調査ができておりません。これはこれからの調査でございます。
#84
○春日正一君 そうすると、政府としては、それはこれから調査はする、そうして、調査をして当然請求すべきものは請求するというお考えですか。
#85
○国務大臣(愛知揆一君) その点は、これはまあ率直に申しまして、こちらが請求するもの、あるいは向こうが請求するであろうということも何がしかあるのではなかろうかということも想定できますですね。それらとの関係もございまして、まあ、いまのところは、先ほど渋谷委員にもお答えしましたように、まだ日本側としての態度として総合的にきめておりません。しかし、これはいま申しましたように、頭の中にはもちろん十分ございます。
#86
○春日正一君 それで、その問題とも関係しますけれども、外務大臣は衆議院の沖繩特別委員会で林百郎議員に対して、沖繩の施政権が返還されればサンフランシスコ平和条約の第三条は自然に効力を失うというように答弁されているようですけれども、そうすると、その三条を除いた条項ですね、それはどういうことになりますか。すべての条項が沖繩にも適用されるかどうかということですね。
#87
○国務大臣(愛知揆一君) サンフランシスコ条約との関係は、林さんとの応答はきわめて時間も少なかったものですからちょっと言い足りないところもあったと思いますが、私の言いたかったのは、サンフランシスコ条約における沖繩の帰属についての問題、例の信託統治云々とか、三権――立法、司法、行政三権とか、沖繩の地域及び附属島嶼について、今回返還がきまりますと、そのくだりはこれは効力がなくなって新たなる決定にかわされた、こういうふうに条約としては理解すべきものである、こういうふうに解しているわけでございます。
#88
○春日正一君 そうするとあれですか、たとえばサンフランシスコ条約の十九条ですか、この請求権の放棄ですね、講和以前の。そういうことが規定されているわけですけれども、これなんかはどうなりますか。沖繩に及びますか及びませんか。
#89
○国務大臣(愛知揆一君) いまおあげになりました十九条の(a)項は、講和発効前のものは消滅する、こう書いてありますから、講和発効前のものはすでに消滅したと、こう解すべきというより、そういうことでございます。
#90
○春日正一君 いや、だから、その条項が沖繩の場合にも当てはまってくるのかということですね。
#91
○国務大臣(愛知揆一君) 沖繩の場合にも当てはまります。
#92
○春日正一君 その点では、この問題は、請求権を規定している十九条(a)項が沖繩にも及ぶということになると、これは昭和三十一年七月十二日の衆議院の外務・内閣・法務の連合審査会で当時の下田条約局長は、請求権問題は返還時にあらためて考えるというようなふうな答弁をしております。もう少し詳しく読んでみますと、「請求権の原因発生者たる米軍はまだ向うにいる、それから請求権を有する沖繩住民は、現実に米軍の施政権下にあるという特殊の関係がまだ続いているわけでございます。従いましてよその地でその場限りで、ジープにひき殺されたとかなんとかいう請求権とはまるで違っているわけであります。特殊状態が現に続いている、そうして沖繩住民の福祉は責任を持つ米軍がそこにいるわけでありますから、まず第一次的には、もし住民が困るならば、当然米軍の責任において何らか考慮しなければならないという関係が、まだ現に続いているわけであります。そこで先例を見ますと、奄美大島が返りましたときは、平和条約第十九条で処理するとは書いてございません。これは別の規定を設けたのでありますが、将来沖繩が返りましたときは、やはり平和条約第十九条だけで機械的に処理するということには私はならないと思う。その際に、彼我の有する請求権全般の問題の一環といたしまして考慮すべき問題だろう、そういうように考えておるわけでございます。」と、まあその一節はこうなっておるわけですね。だから、沖繩の場合、とにかく講和条約が結ばれたときには向こうが占領しておって、そのままずっと居すわったという関係があるわけですから、いまこの当時の下田外務次官が言っているような判断も出てくるし、同時に、奄美の場合は小笠原のあれと違って、請求権の放棄ということは、あの協定の中で、特に講和前の問題まで入れて言っているわけですね。そうすると、沖繩の場合にも当然講和前のものまで含めての請求権があるというふうに解すべきであるし、また、そうでなかったらこれは非常に大きな問題を起こすんじゃないかと思うんですけれども、その点で、私この問題だけははっきりさしておきたいと思うんです。
#93
○国務大臣(愛知揆一君) 条約局長から。
#94
○政府委員(井川克一君) 私の存じております限り、いろいろ前から答弁があったようでございますけれども、この平和条約十九条(a)の「日本国領域」に沖繩・小笠原が含まれないというふうに解することができず、また、そこの住民が日本国民でないと解釈するわけにいかないというふうな答弁がずいぶん行なわれておりました。もともとそれが日本政府の解釈だと思っております。そして、確かに御指摘のとおり、奄美群島に関する協定におきましては、第四条におきまして、平和条約十九条的な規定を、ほとんど同文の規定を設けておるわけでございます。しかし、御存じのとおり、この奄美協定は講和発効後ほとんどすぐにできたような条約でございまして、そのころのそういうふうな条約の書き方に、あるいはきわめて正確であったかいなかについては確かに疑問があると思います。ただ、小笠原協定におきましては書き方を変えまして、すでに十九条関係、いわゆる講和発効前請求権については放棄されているという前提のもとに小笠原協定は書いているわけでございます。
#95
○春日正一君 おかしな説明ですよ、私どもしろうとが聞いてもね、いまの説明は。とにかく奄美の場合には、はっきりと、条文そのものを読んでみると……どうも持ってこなかったから私ここで読めないが、確かに奄美の場合には、講和前の分も含めてというような形でその点に言及してあって、小笠原問題とはっきりと違いますね。
#96
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、先ほど申し上げたとおりでございまして、この請求権の問題は返還協定できめるべき問題である。それから、たまたま下田君の説明を御引用になりましたが、その中で、彼我の請求権云々ということもございましたね。私先ほど申しましたのは、そういう観点に立っております。そして、第十九条(a)項は講和発効前の請求権は放棄した、かように政府としては考えております。そして、奄美のときは私はいま正確に覚えておりませんけれども、第十九条(a)項と同じ文言が書いてあります。したがって、奄美のときの政府のこの返還協定に臨みました考え方も平和条約と同じ考え方で、すなわち、講和発効前のものは放棄したということですから、いまの政府の解釈と私は相違はない、こういうふうに思っております。
#97
○春日正一君 そこのところ、大臣、協定でこの問題は最終的にはきめるんだと。私も小笠原協定のときにも請求権の放棄ということを私は問題にしたんですけれども、あの場合には、向こうに日本の国民ほとんど住んでいませんし、請求権というような問題も実際上大きなものもなかったというようなことで、あれはあれなりで済んだんですけれども、しかし、あのときから私は、沖繩の場合は違うぞと、こう思っておったんですわ。少なくとも百万の県民があすこにいて、しかも、戦争に負けたということで入って来たアメリカ軍が、基地にするために民有地でも何でもどんどん囲い込んで基地にしてしまった。そして、現在ではコンクリートで固められちゃって、それを返されてみたところで、それを復元するのにはそれこそえらい金がかかってどうにもならぬような状態になっている。しかも、これは民有地でしょう。そうすると、戦争の場合でもヘーグの陸戦条約ですか、ああいうふうなものによっても、そういう私有財産はかってに取っちゃいかぬということを約束しているわけでしょう。だから、そういうものをかってに囲い込んでかってに使ってしまった、戦勝国だから――というようなことは、これは認めさせるわけにはいかぬでしょう。そして、沖繩県民はそこのところで一番苦労してきたし、また、その解決を望んでいるところですから、それを私、先ほど、うしろにおる人の説明では、奄美の場合は講和のすぐあとだったからあれなんだけれどもというふうなことで、講和前のものはもうなくなるのがあたりまえだというふうに外務省の役人は解釈しておるかというような印象を受けたものですから、これは困ったことだと、少なくともやはり道理に基づいて、沖繩県民の、そういう、いままで二十五年苦しんできて、復帰するときにはぜひともこの問題解決してほしいと望んでおるものを日本政府として積極的に解決するような姿勢でいかなきゃならないだろうし、そらするためにはどうしてもこの請求権の問題というものをはっきり解決していかなきゃいけない。小笠原の場合には、さっき言ったような事情で、実際上たいした中身がないから問題にもならなかったと思いますけれども、今度は非常に大きな中身がある。だから、その点で大臣のお考え――講和前のは除くということになりますと、基地なんか若干ふえておるけれども、大体講和前に囲い込まれたのが非常に多いわけですね。
 ちょっと山野特連局長にその前にお伺いしておきますけれども、現在軍用地の面積、それから、そのうちの私有地、どのくらいになっておりますか。
#98
○政府委員(山野幸吉君) 軍用地の面積でございますが、一九六八年の六月現在におきまして、総面積が三億六百四十七万六千平方メートル、それから、そのうち私有地が二億飛んで八百七十五万五千平方メートルでございます。
#99
○春日正一君 そのくらいあるんですね。だから問題だと思うんですわ。
#100
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、答弁を繰り返すようになるので恐縮なんですけれども、本件は、私が先ほど申しましたように、返還協定ではっきり規定をすべき問題であると思うんです。これが一つ。
 それから、この点は春日さんと意見を異にするのを遺憾といたしますけれども、サンフランシスコ条約の第十九条(a)項は、講和条約発行前の請求権は放棄したということは政府の確定解釈でございます。したがいまして、その考え方に基づいて小笠原の返還協定もできておる。それから、書き方は違うけれども、奄美のときには平和条約と大体同じ文章を使っていると、こういうわけでございますので、事実関係だけをはっきり申し上げておきます。
#101
○春日正一君 その点はくれぐれも、沖繩県民のこれは一番大きな問題だろうし、大事なところだと思いますから、はっきりとして請求するものはするということにしていただきたいと思います。ついでのことですけれども、もし条約で放棄したということになれば、沖繩県民に対する今度はアメリカのやるべき補償を日本政府がやらなければならぬということになるわけでしょう。だから、そういう意味でも、はっきりとこの補償は取るということでやってほしいと思います。
 それから、もう一つお聞きしますけれども、まあ、こういう問題が準備委員会で協議された場合ですね、これは一つの例ですけれども、先ほど来話もありましたけれども、準備委員会後に発表された記者会見で、顧問としてこの委員会に参加する琉球政府代表は日米両国政府代表と全く同等に発言できるというように発表されておりますけれども、その発言がどれだけの力を持つものか。先ほど外務大臣は、沖繩の県民の意思を十分反映させるという意味で非常にそれを尊重するし、そういう立場を表明されましたけれども、制度上から言えば、たとえば沖繩の県民の意思を代表して主席が、請求権をあくまで放棄しないし請求するだということを主張しても、最後にまあ決定する、そうして日本政府の判断とアメリカの高等弁務官の判断とが一致すれば、それは、じゃ放棄するということにきまったとすれば、結局、この顧問の意思というものは無視されると、システム上は。そう、なっているんじゃないですか。
#102
○国務大臣(愛知揆一君) その点は先ほどるる御説明したつもりなんでございますけれども、共同声明作成のときに私どもとしても非常に苦心したところでございます、一方から言えば、日米両国の問題なんだから、対象は沖繩県民ですけれども、そこに参加しないでもいいのではないかという――これも当否は別として――そういう意見もあり得るわけですね、それから、こちらとしては、なるべく中に入って、そうして同等の地位、権限を持たせたいという気持ちもやまやまであったわけですね。それがこの共同声明ではこういう形になりましたので、必ずしも満足と思っておりません。したがって、これはその後の事実上の日米双方の合意によって実質的に委員と同格に扱おうということにだんだん話を持っていきまして、いま御引用になりましたこのプレス・リリースといいますか、それにも明らかにされておりますしいたしますから、十分われわれもバックアップしてまいりたいと思います。それから、何しろ委員が二人だけの委員会ですから、表決をするとかなんとかいうことも、観念上はございましても、やはり合意ということは必要でございますが、日本の代表としては、沖繩県民、ことに主席の持っておられる意見を十分体してこの委員会を運営していくということに、私どもとしては今後ますますこれを強力にバックアップしていきたいと思います。
#103
○春日正一君 では、琉球政府代表の同意なしに事を運ぶというようなことがないようによくよくやっていただきたい。ことことを希望して質問を終わります。
#104
○委員長(塚田十一郎君) 速記をやめて。
  〔速記中止〕
#105
○委員長(塚田十一郎君) 速記を始めて。
#106
○小林武君 実は前のほうをちょっと聞いてないものですから、あるいは同じようなことをお伺いするかもわかりませんから、そのときはひとつはしょって、あるいは断わっていただいてもけっこうです。この法律は臨時措置法でございますから、この法律の存続期間というのは限定されているわけでしょうけれども、大体先ほど来外務大臣もお話しになりましたし、衆議院の場合に東郷政府委員からもお答えがございましたが、七二年までに完了されなければならないということは、これは準備の段階としてはどこらがめどになるわけですか。これは、いわゆる協定が結ばれる前までに、ということですか。
#107
○国務大臣(愛知揆一君) いまお願いをいたしております法律案の期限は、返還協定が効力を発生しましたら直ちにやめるというふうに考えております。
#108
○小林武君 効力が発生したらということですね。そうすると、準備段階から効力の発生の間まではやられるわけですね。そこで、これはもちろん外交機関でございますから、やられることは、いろいろここに閣議の基本方針も出ておりますけれども、外交の問題がこの準備委員会の使命だと思うのですけれども、それでお尋ねいたしたいわけですけれども、結局、返還協定の作成といいますか、二国間の条約を結ぶ交渉というようなものは、この準備段階ではこれは別に外交ルートでやるということはないわけですか。共同声明が出たから、その点ではもうすでに確定してしまっていて、特にやらなくてもいいというものなんですか、どうですか。
#109
○国務大臣(愛知揆一君) 返還協定の交渉、それから作成につきましては、日米間の外交ルートでこれをつくり上げ、合意をしたいと思っております。そうして、その準備作業が進むのに並行して文章づくりをやってまいりたいと思っております。しかし、その協定自身のやはり内容に関連するところが多うございますから、結局、終期は、準備段階がまず終わったところでなければ協定案の草案というものが両方の合意の段階には至らないかと思っております。
#110
○小林武君 実はそういうことをいろいろこう考えてみまして、外交ルートで扱う返還協定の準備期間といいますか交渉期間にしたがって準備委員会というものが現地において措置すべき問題を処理するということになると、この日米協議委員会の復帰準備というものは返還準備の全般的責任、返還の原則自身の決定ということになりますと、これといわゆる外交ルートとの間の関係というのはどういうことになるわけですか。
#111
○国務大臣(愛知揆一君) これは協議委員会に総務長官と一緒に外務大臣が入っているわけでございますね。そこで、何といいましょうか、実質的な問題はそこでずっと話し合いが進んでまいります。それに応じて返還協定の作文ができてまいります。それで、その作文について合意ができましたらば、これを国会に御承認を求める手続きをとります。
 それから、もう一つつけ加えて申しますと、いままでも申し上げておったようで、これはあるいは事務当局の人にはしかられるかもしれませんけれども、返還協定というものは、いまもお話がありましたが、小笠原の返還協定というものもございますから、この問題の種類としては、返還協定に協定としてつくらなければならない問題の、何といいましょうか性格から言えば、そう違いはないのではないかというように私は考えております。ですから、むしろ中身のほうの合意が大事でございまして、中身の合意が進めば、返還協定の文章づくりのほうはそう苦労はないのじゃないか。これは達観的に申しますと、一つのフォーミュラがございますし、それから、実は日米共同声明――十一月につくりましたときのあの共同声明の文章も、返還協定については、これは表面にそういう感覚は出ておりませんが、協定の文章自体は小笠原の返還協定と同じようなことだなということが、何となしに双方とも考えておったところなんであります。ですから、やはり実質的にはこの協議委員会で締めくくる内容が大事なことである、協定の文案そのものはそうたいしたことではないのじゃなかろうかと、これは非常に率直な私の見通しです。
#112
○小林武君 そこで、先ほど来も問題になっておりましたが、請求権の問題として取り上げられておりましたけれども、奄美の返還のときとそれから小笠原のとき、そのときの情勢と、少なくともいまの沖繩を返還する時期、あるいはそれに対するアメリカと日本の間の関係、そういうものの変わり方ですね。そういうこの状況の中で、先ほど請求権の問題で、沖繩の住民の立場から言えば、あるときは辛くなるのか、あるときは非常に沖繩県民の意向というものがいれられるようになるのかということでは、われわれの考えから言えば、かなり大きな変化があるはずだと、こう考えるわけです。と申しますのは、沖繩返還について、これは専門の方々はどういうお考えかしれませんけれども、佐藤総理大臣とニクソン大統領との間の共同声明というものを見ますと、まあ、沖繩返還というようなものを共同声明の中の分量で言うのもおかしいですが、六項から十一項まで、まあその前の五項目というようなものはいわば沖繩の返還の背景とも言われますか、そういう姿になっておりますから、私はその意味ではちょっと、比重と言ってはどらかと思いますけれども、沖繩返還というものがやはり非常に違う性格を持っている、こう考えたものですからお尋ねをするわけですが、その点はどうですか。
#113
○国務大臣(愛知揆一君) この共同声明のこの組み立て方、配列のぐあいなどにつきましてはごもっともな御意見とも思います。しかし、おっしゃるように、沖繩返還については、ことに重要なのが第六項から第八項でありまして、これが中核でございますが、同時に、国際情勢の認識等の意見の交換はやっぱり両国の首脳会談でございますから、こういう点も大切でございますし、それから、経済問題あるいはその他の問題につきましてもあとにずっと並んでおりますが、これはやはり沖繩問題最重点ではありますけれども、ほかの一般問題もこの際という、まあ、これはいろいろの経緯がございまして、結果において、まあ別に重点を順位によってあらわしたものではないと理解をしてこういう並べ方に合意をいたしたと、そういう経緯でございます。
#114
○小林武君 まあ、私は見方としましては、総理大臣のナショナル・プレス・クラブにおける演説の中にも、沖繩の返還の背景ということをお述べになっておる。この点についてはかなり強調されているように思うのですけれども、それはまた後ほど一つお伺いすることにして、この十項の中に、沖繩返還について「復帰に伴う諸問題の複雑性を認め」と、この「複雑性」というのは結局どういうことでしょうか。私はまあ自分なりにひとつ考えまして、いわゆる沖繩返還というものの背景というようなものを考えた場合に、これは国の内外その他にさまざまな影響を与えるということの複雑性なのか、それとも、日米両国の間の国内的な一つの国益の立場で問題が複雑なのか、いろんなことを考えてみました。しかし、この場合のこの複雑性を結局最高の責任者がお互いに認め合って、そのためにこそ円滑に返還復帰が行なわれることを申し合わせたということですから、この点は具体的に外務大臣、どんな取り上げ方をされたものなのか。外務大臣のこの説明の文書にもそのことはあまり詳しく書かれてないはずですから、この点をお伺いしておきたい。
#115
○国務大臣(愛知揆一君) この「複雑性」ということは、こういうわけでございます。日本側として沖繩の返還を求めるにつきまして、四分の一世紀にもわたって長い間異民族の統治下にあるという不自然性に発生して、そして沖繩の状態というものが全く日本と異なった体制によって統治されている。そのことによって復帰を考える場合には、二十五カ年間にわたって異なった統治形態にあった、これをいよいよ返還ということになりますと、先ほど来申し上げておりますように、いろいろの問題をスムーズにやっていかなければならない問題が、まあ考えられるだけでもたくさんあると、こういう点に対して米側の認識もよく徹底してほしいと、そして返還を合意した以上は、その複雑性の問題を認識して円滑な処理について協力してもらいたいと、私どもとしては、そういうことがここにいわゆる「複雑性」と書きました背景であり、気持ちであるわけであります。
#116
○小林武君 そうするとこの「複雑性」というのは、日本側の立場を大統領が認めた。二十五年間の異民族の支配下にあった沖繩、あるいはその軍事基地の問題その他沖繩の住民に与えたさまざまな問題、返還するということで起こり得るだろうと思われるいろいろな問題、そういうふうにまあ解釈しているわけですか。
#117
○国務大臣(愛知揆一君) そこで、この第十項目については、「緊密な協議を行ない、協力すべきことに意見の一致をみた。」、何について「緊密な協議」かといえば、「移転されるようにするために必要な諸措置」について「協力すべきことに意見の一致をみた。」、こういうふうに結んであるのはそういう趣旨でございます。そしてすぐその次に、協議委員会あるいは準備委員会に触れておるわけでございますから、この第十項はもっぱらそういう意味であります。
#118
○小林武君 それじゃあ、いいです。この次にしましょう。
#119
○委員長(塚田十一郎君) それでは、外務大臣、これできょうは。予算委員会のほうの要求があるそうですから。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#120
○委員長(塚田十一郎君) 速記を始めて。
 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#121
○委員長(塚田十一郎君) 次に、沖繩・北方対策庁設置法案を議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。
 山中総務長官。
#122
○国務大臣(山中貞則君) ただいま議題となりました沖繩・北方対策庁設置法案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。
 この法律案による措置の第一点は、沖繩の復帰に関し、その準備のための施策を推進し、並びに沖繩の経済及び社会の開発及び発展をはかり、あわせて北方領土問題その他北方地域に関する諸問題の解決の促進をはかるために、沖繩及び北方地域にかかる国の行政事務を総合的に行なう必要がありますので、総理府の外局として、沖繩・北方対策庁を設置することであります。
 昨年十一月佐藤総理とニクソン米国大統領との間で、沖繩が、一九七二年中に、大多数の国民の意思に沿った形で返還されることが合意されましたことは、まことに慶賀にたえないところであります。これによって一億日本国民の宿願であった沖繩返還という重要な政治課題は基本的に達成されたと言えるのであります。
 しかしながら、沖繩返還を現実のものとするための沖繩復帰対策の樹立と推進という現実的課題はこれから始まるのであります。四半世紀の間、米国の施政権下に置かれ、特殊な社会経済の実体を形成してきた沖繩を、わが国の社会経済体制の中に組み入れる事業はきわめて複雑多岐にわたる難事業であり、これをりっぱになし遂げるためには、政府はその総力をあげてこれに取り組まなければならないことは言うまでもありません。すなわち、本土と沖繩との間には、各般にわたる制度上の相違があり、また、経済的社会的にも本土と比べ相当の差異が存するのでありまして、現に沖繩の人々の中には、祖国復帰を二年後に控え、このような相違、差異がどのように処理されるかをめぐって不安な気持を抱く向きのあることは周知のところであります。沖繩は、さきの大戦においては、本土防衛のとりでとなって全土を灰じんに帰し、幾多のとうとい犠牲者を出したばかりか、戦後引き続き米国の施政権下に置かれながら、百万沖繩県民は祖国復帰を叫び続けて今日に至ったのであります。沖繩の祖国復帰が現実のものとなったいま、われわれ一億国民はこの多年の沖繩県民の忍従と苦難そしてそれゆえに祖国に寄せる県民の大きな期待に償いの心をもってこたえねばなりません。
 私は、復帰準備に万全を期し、豊かな沖繩県づくりの方策を樹立してあたたかく沖繩を祖国に迎え入れることは、本土政府及び一億国民の責務であると信じるのであります。
 一方、北方領土問題その他北方地域に関する諸問題については、戦後処理として残された最後の懸案として領土の返還を実現するための不退転の決意を秘めて政府、国民が今後粘り強く解決をはかっていかなければなりませんが、これまでの間種々の問題が存することは御承知のとおりであります。
 ただいま述べましたような背景のもとに、今後沖繩と北方地域にかかる国の行政事務を遂行するにあたっては、これらの事務が広く各省各庁にまたがるのみならず、これら事務の複雑性、多岐性、困難性等を勘案するとき、これを総合的統一的に処理することが最も肝要であると考えるのでありまして、これがため、今回、総理府の外局として、沖繩・北方対策庁を設置することといたしたのであります。
 その第二点は、現在総理府の特別地域連絡局で処理いたしております沖繩及び北方地域に関する事務につきましても、従来どおり沖繩・北方対策庁において所掌することといたしていることであります。
 その第三点は、沖繩・北方対策庁の内部部局に関する規定であります。
 沖繩・北方対策庁には、内部部局として、総務部と調整部を置くことといたしております。
 まず、調整部の分掌する事務について申し上げますと、沖繩の復帰に関し、その準備のための施策を策定し、並びに沖繩の経済及び社会の開発及び発展をはかるための基本的な施策を策定すること、及びこれらの施策の実施に関し、関係行政機関の事務の総合調整を行なうことがその主要な事務であります。
 また総務部におきましては、これらの施策を推進するための財政上その他の措置を講ずるほか、庁務の総合調整、北方領土問題その他北方地域に関する諸問題の処理及び現在総理府特別地域連絡局において処理している通常の業務を行なうことといたしております。
 その第四点は、沖繩・北方対策庁の長は一般職の長官とすること、及び沖繩・北方対策庁長官が、その所掌事務を遂行するにあたって必要がある場合には、関係行政機関の長に対して協力を求め、または意見を述べることができるとの規定を設けたことであります。
 その第五点は、沖繩事務局の設置及びその所掌事務の範囲に関する規定であります。
 沖繩・北方対策庁及び沖繩事務局は、沖繩現地に置かれます返還準備委員会日本国政府代表事務所と緊密な協力関係を保ちつつ、復帰準備に関する施策を適時適切に実施に移し、かつ琉球政府と連絡調整を行なう必要があるわけであります。この意味におきまして、沖繩事務局は、現在の日本政府沖繩事務所の果たしている役割りより、より広範かつ重要な機能を果たしてまいらなければならないわけであります。
 なお、日本政府沖繩事務所は、沖繩におけるアメリカ合衆国の政府機関との関連、協議を行なう権能を与えられておりますが、これらの権能及び他の法律で同事務所の所掌に属せしめられている権限は、そのまま沖繩事務局の所掌事務及び権限に含められることといたしております。
 その第六点は、沖繩・北方対策庁設置法は公布の日から施行することとし、そのために必要な関係法律の整備に関する規定を附則に設けたことであります。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#123
○委員長(塚田十一郎君) 引き続いて補足説明を聴取いたします。
 山野特連局長。
#124
○政府委員(山野幸吉君) ただいま大臣から御説明申し上げました沖繩・北方対策庁設置法案につきまして補足説明をいたしたいと思います。
 この法案は十一条から成っておりまして、附則が十条ございます。
 まず第三条は、対策庁の任務に関する規定でございまして、対策庁は外務省の所掌する事務を除きまして、沖繩及び北方地域にかかる国の行政事務を総合的に行なうことを主たる任務といたしております。
 第四条は、対策庁の権限についての規定でございます。対策庁の所掌事務権限は、ただいま大臣の説明にございましたように、従来、特連局において処理してきたところでありますが、今回、それに加え、沖繩の復帰準備のための施策及び沖繩の経済、社会の開発及び発展をはかるための基本的な施策を策定し、これを強力に推進するとともに、北方領土問題その他北方地域に関する諸問題について国民世論の啓発等を行なうことといたしております。
 第五条から第七条までは、対策庁の内部部局として設けられる総務部及び調整部についての規定でございます。両部の関係は、調整部が沖繩の復帰準備のための施策及び沖繩の経済及び社会の開発及び発展をはかるための基本的な施策の策定を分掌いたしまして、これら施策の推進をはかるための措置及びその他の事務につきましては総務部が分掌することといたしております。なお、総務部には総務課、振興課及び北方課の三課を置き、調整部においては参事官制をとる予定にいたしております。
 第九条から第十一条までは、沖繩事務局についての規定でございます。沖繩事務局は、沖繩現地における復帰準備を推進していくため琉球政府に対し指導、助言等を行なうことといたしております。なお、沖繩事務局の内部組織としては、次長のもとに総務課、指導課、法務課、福祉課及び経済課の五課を置きまして、別に参事官三名、調査官四名を置く予定でございます。
 附則におきましては、この法律案の施行に伴う職員の引き継ぎ等の経過措置、その他関係法律の整備等の規定を設けております。
 なお、この法律案が施行された際の沖繩・北方対策庁の定員は、本庁において、長官のほか、総務部五十四名、調整部十七名、沖繩事務局において八十九名、合計百六十一名となり、これに要する昭和四十五年度予算は、三億三千三百十万六千円でございます。
 以上、簡単でございますが、本法案の補足説明を終わります。
#125
○委員長(塚田十一郎君) 以上で政府側の説明は終わりました。本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト