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1970/05/06 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 物価等対策特別委員会 第9号
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1970/05/06 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 物価等対策特別委員会 第9号

#1
第063回国会 物価等対策特別委員会 第9号
昭和四十五年五月六日(水曜日)
   午前十時十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         横山 フク君
    理 事
                小枝 一雄君
                林田悠紀夫君
                竹田 四郎君
                阿部 憲一君
                中沢伊登子君
    委 員
                赤間 文三君
                上原 正吉君
                大森 久司君
                櫻井 志郎君
                鈴木 省吾君
                高田 浩運君
                山本  杉君
                鈴木  強君
                山本伊三郎君
                渡辺  武君
   国務大臣
       国 務 大 臣  佐藤 一郎君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      谷村  裕君
       経済企画庁国民
       生活局長     矢野 智雄君
       経済企画庁総合
       計画局長     八塚 陽介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   参考人
       国民生活研究所
       所長       浅野 義光君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民生活センター法案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(横山フク君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
 国民生活センター法案を議題といたします。
 本案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
 鈴木君。
#3
○鈴木強君 経済企画庁長官に……。今度、物価対策閣僚協議会はいつ開かれますか。
#4
○国務大臣(佐藤一郎君) まだ日にちをきめておりませんが、今月の末ごろにできたらと、こう思っております。
#5
○鈴木強君 最近、野菜の値段を見ますと、確かに大根とかキャベツとか、そういうものは下がってきたようですね。ただ、きのう、おととい、私、八百屋をちょっとのぞいてみたのですけれども、タマネギですね、それからジャガイモ、こういったものが、卸値段は下がっているというのですけれども、依然として小売りのほうが安くなっていない。まあ一般的に見て、そういう傾向がありますね。卸値は下がっているが小売り値が下がらない、こういう現象を何とか早く是正しなきゃならぬと思うのですが、たまたまタマネギが五十五円くらいですね。これは生産者値段ですか。ところが、小売りへいきますと百二十円しましたね、一キロで。NHKの調査では何か百十円と言っていました。これは台湾産の輸入だと言っていました。ですから、輸入の場合でも関税との関係でもう少し何か調整ができないのかというような気がするのですが、これは本来農林省の所管であろうと思いますけれども、卸値とそれから小売りとの関係は、もう少し閣僚協議会等でも突っ込んだ検討をしてもらえませんでしょうかね。
#6
○国務大臣(佐藤一郎君) 実は、先般の閣僚協議会でもこの問題が出ましたのです。小売りのマージンが一般に生鮮食料品について非常に高過ぎる、こういうことで、結局、いま御指摘のように、流通機構の問題であるとか、そういうことで私たちもこれを農林省にも指摘をし、農林省も、これについてはできるだけ検討を約してはおるのですけれども、一面、従来のいわゆる小売り段階のマージン、その他流通機構におけるマージンの高さというものについて、やはり現在の機構その他というものを前提にして多少肯定的な気分もまだ残っているようで、そういうことでは非常に困るというので強く要求をしております。
 私のほうでは、前にも申し上げたと思うのですが、物価安定政策会議の第一部会で、いま生鮮食料品の、いま御指摘のような問題を特に検討しております。これは、一つの品物が生産者から最終の消費者に渡るまでの過程を追っかけていくというのは、なかなかたいへんな作業のようなんでありますが、いずれにしましてもそれをやりまして、そしてその提言が六月中に出る、できたら私はもっと早くしてもらいたいという要求をしておるのでありますが、そうしたことも十分に見てやらなければ、これはなかなか、御存じのように、長い歴史を持ったものでございますから、ただ思いつきで軽々にやるよりは、そういうしっかりした基礎的な判断が要るのだろうと私は思っております。そういう意味で、そうした検討も十分まって対策を考えていかなければならぬと思いますが、しかし、いつまでも待っておるわけにもいきませんから、どういうふうにしてやるか、農林省自身に対してその検討を要求しているわけです。卸売市場法の改正その他、農林省としてもぽつぽつ流通機構の問題をやっているのですけれども、何か、率直に言いまして、われわれとしてもまだるっこい感じがいたします。次の対策閣僚協議会には何らかの意味でそういうことについてのある程度の提案がなされるということを私は期待しています。これ、この間要求しておきましたから、なおそれができるだけしっかりしたものになるように、重ねて強く要求をしておかなければいかぬと、こういうふうに思っております。いずれにしても、私たちも、この中間マージンが少し多過ぎる、こういうふうに感じております。
#7
○鈴木強君 この前私も長官に申し上げたように、生産地から消費地に直結するという、そういう構想を出されておるわけですから、これを何とかできるものからやってみたらどうか、こう思うのですね。たとえば、建設省のほうも、公団住宅ですね、そこいらに特設なマーケットをつくって、そこへ直接に産地からのものを持ってきてこれを売ろうということに対する敷地の提供とか、そういうことも、何か、乗り気になっているかどうかわかりませんけれども、考えているようですね。それからスーパーに直接持ってくる方法とか、要するに、中間マージンが非常に高いですね。卸売り、消費のあれを見ましても。ですから、その辺のくふうをぜひしてもらいたいと思います。重ねて、これはくどいようですが、たいへん迷惑しているのは消費者ですから、せっかくのいい施策が出てくるとすれば、早くこれを伸ばしていただきたいと思うのですね。
 そのほか、きょうあたりの新聞、いままでの新聞を見ましても、魚とかあるいはお肉の場合でも、かなり値上がりが激しいですね。魚の場合は、一年前と比べて毎月二〇%以上大幅に上昇をしている。三月が、これが二五・三%と上がった、こうなっているわけです。これは確かに需要もふえているかもしらぬけれども、また一面、漁獲の面でいろいろ海域制限があったりして、問題があるようですけれども、何かこれは輸入をしてもいいようなものが、まだ輸入されておらなかったりするわけです。ですから、この輸入政策というものに対しては、これはやっぱり農林省は農林省として、国内産業の保護という立場もあるでしょうから、そう簡単にいかないということはわかるんですけれども、とにかく、輸入するものが直接に物価の値段をコントロールできるような形にしなければ何にもならないですね。関税を高くして、全然物価に響かないような形で幾らタマネギを輸入してみたってだめですから、そういう点をぜひ積極的に検討してほしい。これはぜひひとつ要望しておきます。
 それからもう一つ、最近の経済の動きを見まして心配するのは、アメリカのほうもかなり景気が現実にきびしくなってくるように感じております。株なんかもだいぶ下がってきております。そういう影響で、日本も株価が二、三日前かなり暴落した。多少持ち直しておるようですけれども、これは行き先かなり心配があるように思うのですけれども、まあ経済企画庁の月例報告も近く出ると思うのですけれども、いまの株価の暴落ですね。こういうものと経済との関係というのはそう心配しなくてもいいというふうにお考えになっているかどうか。この点だけ伺っておきたいと思うのです。
#8
○国務大臣(佐藤一郎君) 株価につきましては、いわゆるアメリカを中心とする、そしてそれによって引き起こされた連鎖反応としての欧米各国の株式の暴落と日本の暴落、ちょうど時期を同じゅうしておりますけれども、どうも一般的に見て必ずしも本質的には違うんじゃないか、こういうふうな見解になっております。まあ、アメリカの株価の暴落につきましては、やはり生産性の上昇というものがはかばかしくない、それに対して賃金はどんどん上がっていく、そこでアメリカの企業の先行きというものについての非観論というものが相当あるようであります。その証拠には、どんどん海外に直接投資をする。自分の国の工場はどんどん閉ざしたり、レイ・オフをして、そして海外に投資をしておるというアメリカの企業の今日の態度にもそこがあらわれておるのでありますが、そうしたような面、あるいはいま相当インフレが進んでまいっております。そしてこれがなかなか実際問題として、言われるような、はかばかしい効果をおさめておりません。で、もしもインフレの収拾というものがうまくいかないというようなことになりますと、先行き反動が来るわけでありますから、これはやはり相当警戒をしなきゃならぬ、こういうやはり底流が一部にあると思います。そこへ、いろいろと金融の引き締めが相当行なわれておった。一時ちょっとゆるんだというふうに期待されておったのが、意外にゆるまないというようなことも手伝って、特にそうした雰囲気にあったところへ、いわゆるカンボジアの出兵というようなことになりまして、そしてやはり、いま申し上げたような事態というものはなかなか改善されないんじゃないかというような心理を刺激して暴落した、こういうふうに一般に考えられております。
 日本の場合には、まあ一部の外人が、御存じのように、相当買い進んでいましたのが、いま売りに回った。外人客というのは実にそういう意味では利食いがうまいというか、たよりのない客でございますから、さっと利食いをしてしまう。こういうようなこともあり、しかし、日本の場合には、まあ基本的には今日の企業の収益状況その他は決して悪くはございません。ですから、基本的な意味の悲観論というのじゃなくて、そうした一部の外人の売り、あるいはまた市場内の特別の要因――御存じの、株式市場には、ある時期に信用が膨張すると、それを整理する時期が来るとか、いわゆる時期的な上がり下がりがございますが、そうしたものがからんで、まあ暴落をした、暴落とまで私は言えないと思います。むしろ、今日まで上がり過ぎの反動という、ある意味の一つの調整ではないだろうかというふうに考えられております。そういう意味では、アメリカの株式の事情とはだいぶ基本的な事情に違いがある、こういうふうに一般に考えられておるわけであります。
#9
○鈴木強君 まあ、これは四十五年度、本年度の経済見通しの際にも論議されたんですけれども、要するに、昨年九月からの金融引き締めというものが、具体的な効果があらわれているのかどうなのか、そういうものの影響が今度の株価――ぼくは暴落と言うんですけれども、に因果関係があるんじゃないかと思うんですが、その辺の判断はどうか。
 それからもう一つ、当面、四十五年度の予算執行に際して、景気過熱、それを調整するいろいろな手は打っておるんですけれども、しかし、こういったような状況になりましたときに、予算執行上、第一・四半期において既定予算を多少繰り延べて、景気調整の役をその面において果たしていくというような考え方は、いまのところ持っておられませんか。
#10
○国務大臣(佐藤一郎君) 第一の金融引き締めの点は、まあ徐々に浸透しておると思います。そういう意味で、今度の株の暴落に全然無関係であるというわけにはいかないと思います。ただ、今度の株の暴落の直接原因というところまでいっているというふうには私は考えられないと思うんですが、もちろん、総体として資金的な余裕がなくなってくる。今日の株式市場においては、いわゆる中小企業その他が遊資を相当株に投資をしている現象が見られるわけでありますから、手元流動性が多少苦しくなってくるということになりますと、やはり買いよりも売りが出てくるという場合も十分考えられるわけであります。そういうことで、ある程度の関連は持っておる。しかし、そう直接の原因ではないという程度には目下考えています。
 それからもう一つの、国家予算のほうは、これは大蔵大臣も御説明を申し上げておりましたが、御存じのように、今度は暫定予算ということで多少時間をかせいだわけであります。そうしてその上に、いわゆる第一・四半期の支払い計画の配分にあたりましては、できるだけ去年並み、特別の経費以外は一ということにしておるわけであります。これは、実際問題として非常に刺激的でない配分ということになるわけでございます。まあ大蔵省としては機動的にやるということを当面言っておりますが、まだ今回の配分がどういう意味に当たるかどうかということは言明をしてはおりませんけれども、実際的な効果といたしまして、そういう効果を持っておるというふうに言えると思います。
#11
○鈴木強君 金融引き締めの影響が大企業に顕著にあらわれているのか、あるいは中小企業にあらわれているのか、二つ見方があるようですけれども、それはいずれにしても長官の意見を承りたいんですが、私どもが心配するのは、中小企業の面が非常に金融上逼迫して、御承知のように、倒産が相次いでおるわけです。だからして、そういう面から言えば、中小企業に金融引き締めの影響がかなり出ているんじゃないかという見方があるんですけれども、また別の見方もあると思います。中小企業倒産の理由はですね。そこで、いずれにしても、中小企業に対して何らかの積極的な資金面の優遇措置とか、何か考える必要があるんじゃないかと思うんですけれども、現状、長官として、中小企業対策というものはどうお考えですか。特に倒産の問題に対して。
#12
○国務大臣(佐藤一郎君) 率直に言いまして、今度の金融引き締めにおいては、まず大企業に相当強く当たっておるということは言えると思います。何ぶんにも、大企業の依存しておる都市銀行の資金源というものが一番直接的な影響を受けた、そして、いわゆる中小企業の資金を供給しておるような中小金融機関がわりあいに豊富な資金を持っておるということが一つ言えると思います。それからまた、一ころと違いまして、御承知のように、今日だいぶいろいろな合理化も進んできておるわけです。そこで、大企業も、下請等の中小企業に対しては昔のような態度では臨めない、合理化して、いわばセレクトしてきたところの大事な下請中小企業でありますから、そうしたものを資金的にいじめるということは自分の身をいじめるにひとしいと、こういうふうなこともあって、かつてのような事態ではだいぶなくなってきておるという面もあろうと思います。ただし、一面、まことにこれは残念なんですが、物価上昇その他、非常にインフレ的な気がまえというものが一部にある。そういうことで、泡沫経営といいますかね、そういう形の中小企業もずいぶん実際問題として存在しておる。もう簡単に会社がつくれるのでありますから、ちょっとした金をもとにして、思いつきの企業をつくる、そしてまたあわのごとくに消え去っていくという企業の数がずいぶんにのぼっておる。これも事実であろうと思います。そういう意味で、私は、今回の引き締めが中小企業の倒産件数という形では多少あらわれておりますけれど、まだそういう意味でもって非常に中小企業だけにあらわれてるというふうには見ておりません。ただ、われわれも御指摘の点は十分に関心を深く持っておりますから、そうした情勢というものを注意深く見守っていかなきゃならぬと思っております。そうして、それらの事態に対処しますために、中小企業金融公庫をはじめとするところの中小金融機関が情勢に応じてその資金を繰り上げてどんどん使ってもかまわないと、こういうような態勢で、必要に応じて急場をしのぐことのできるような態勢、そうして結局あとでもってそれらの金融機関に資金の追加補給をすれば足りるわけでありますが、そういうようなことのできる態勢をいつでもとるように、こういう気がまえで、いま政府としてはやっておるつもりであります。
#13
○鈴木強君 中小企業の場合には、これはほんとにたいへんな状態ですよ。私も山梨ですけどね。そういうような傾向がかなり顕著に出ておりまして、何とかひとつ政府のあたたかい援助の手を差し伸べてほしいという経営者の一致した意見があるわけですから、中小企業庁とも十分連絡をおとりくださって、実情をまず調査していただいてると思いますから、それに対して適切な手を打っていただくように心からお願いしたいと思います。
 それでは、時間が非常に制約されておりますから、センター法案について質疑をいたしますが、まあ重点的にお聞きをしたいと思います。
 前回、竹田委員からも、なぜ国民生活研究所から国民生活センターに変えるのか、その基本の点についての御質疑があったわけですけれど、私は、こういう点をもう一回、重複するようですけど、伺いたいんです。それは、この法案に書いてありますように、従来の「基礎的な研究」ということが一つ法文上から消えたわけですね、この条文の中から。それからもう一つ、基礎的な研究ということをもしやらぬとするならば、一体消費者に対して、国民に対して、国民生活を守るという上において何をするのか。それには、一つの情報を提供する、これも大きな問題でございましょう。と同時に、当初、三十四年に国民生活研究協会というものが発足をし、三十六年九月に社団法人の国民生活研究所に移行をし、三十七年に法律に基づく特殊法人になって今日に至ってるわけですけれど、そもそものこの国民生活研究協会が発足する当時ですね。まあ日本の経済もかなり高度に発展をしていく情勢の中で、いろんな商品が出てくる、しかし、その商品に対して、消費者の立場に立つと、はたしてそれが消費者のためになるものであるかどうかという、その商品の効果というものについてなかなか適切に判断する機会がない、したがって、個人でできないものですから、何かそういう組織が必要だという気持ちもあったんでございましょうね、政府のほうでも。まあそういう気持ちもあって、そこで、たまたま三十四年に国民生活研究協会というのが発足したわけで、政府としてはこれをうまいぐあいに利用する、と言うと語弊がありますけど、いろいろ力をかりたりしながらやってきたんでしょうと思いますがね。その中で、商品のテストということですね。こういうことはかなり大きなウエートになっておると思うのです。私は当時の議事録を一通り拝見してみたんです。そうすると、その当時、委員会のほうに参考人として出席をされているいろいろな方がございますけれども、その参考人の方々の意見を聞きましても、その点は強く指摘をされているわけですね。今度の国民生活センターに移行する場合に、一体、基礎的な研究が消えて、そしてその商品テストというものが一体どうなるか、ここらに非常に問題があると思うのですよ。私たちも、消費者を守るという立場に立っての法案ですから、基本的には賛成でございます。賛成でございますが、一番消費者が期待をしているそれらの問題が、今後センターの中で十分にやっていただけるのかどうかという心配があるわけですから、この点はぜひはっきりしていただきたいし、また、それはやってもらいたいと思うのですがね。
#14
○国務大臣(佐藤一郎君) 御指摘の点は、研究から基礎的というのを抜いたというのは、基礎的な研究に限らないという意味で抜いたわけでありますから、広く実際的な研究も入ってくる、こういうふうに御理解願っていいと思うのであります。研究というものをおおよそ制約をする、こういう気持ちは少しもございません。で、いわゆるこの新しい組織というものが商品テストをやるべきでないか、こういう声を本委員会においてもだいぶ私伺いました。これは私も非常に参考にもなり、意を強くしたんでございますが、この出発にあたりましては、たびたび申し上げましたように、簡単なものではありますが、地方の消費生活センターには商品テストをやれるものがある。それから中央では、通産省、厚生省等にその方面の設備がある。こうしたものを活用してまいりたい。まあ出発でありますから。そうして、その運営の状況に応じまして必要があれば商品テストの問題を十分に取り上げなければならないと、私はこういう感じを持っております。さしあたっては既存の機関を利用してやってまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#15
○鈴木強君 なぜかと言いますと、消費者を守る法律はたくさんございますね。消費者保護基本法もできましたし、いろいろとありますけれども、それがどうも効果をあまり発揮しておらないじゃないか。むしろ、メーカーなり生産者側の立場に立ってのような保護政策であって、消費者を向いての保護政策が欠けているということが、ずっとこの法案審議の中に一貫して流れておるわけです。そこで、研究所をつくるときでもそういう意見が強く出されてきたわけですけれども、いまの消費者保護法というものを何か一本にまとめて、一元的な指導監督の中でやるようにしたらいいのじゃないかと思うのですけれども、私は、それが経済企画庁の、言うならば立場の意味があると思うのです。リーダーシップをなかなか強力に発揮できない、各官庁のなわ張りがありましてね。長官がいろいろやろうと思いましても、介入問題にしても、輸入問題にしても、第一線の現地は当該官庁はいさぎよく協力してくれない、こういう問題があると思うのです。ですから、なおさらそういうことが叫ばれるわけです。私は三十八年に西ドイツを見学したことがあります、国会から。そのときに、向こうの国立の研究所がありまして、女の所長さんでしたよ。それは非常に勉強されまして、国もかなり金を投入しておるのです。やっているのは、むしろ商品テストにかなりウエートを置いている。そして、メーカーからできた新しい製品を、機械の場合でも、電気製品の場合でもそうですけれども、すぐテストをして、この製品はこういうところが優秀であるとか、こういうところが欠けているとか、そういうことを国民に間髪を入れず、ラジオなり、テレビなり、新聞に報道するわけです。ですから、買うほうも非常に安心して買える。長い目で見ますと、メーカーも、やはり国民に重宝がられ、便利がられ、欠陥のないりっぱなものを出してやるということが目的ですね。日本のように、法律自体がいろいろな盲点があるものですから、見つかるまではごまかしてやろうという、悪い商売根性というのが確かにあると思うんです。だから、チクロの問題を見ましても、いろんな最近の動きを見ましても、見つかるまでは、適当にやって、見つかったら直せばいいという、そういう横着な考え方があると思うんです。ところが、西ドイツに行ってみまして、その点が非常に国の政策として一貫してやられている。国民も協力して、メーカーも協力して、やられているわけです。そういう、長い目で見るとやはり国民全体がよくなっていくという、そういう姿があることを見まして、日本も、国立とは言わぬまでも、法律に基づく特殊法人があるわけです。ですから、もっとこういうものに金を出し、陣容を強化し、そうして国民の消費者生活を守るという立場に姿勢を変えていけば、私は税金が苦しくても、その税金をふんだんに使っていただいてもいいと思うんです。いまのように、いろんなごまかし食品が出て、国民の健康にまで影響するような重大事態になっているときですから、なおさら私はそういうことを痛感するわけです。したがって、諸外国の例等も勉強されていると思いますから、ぜひその辺もひとつお考えいただいて、何とか、せっかく国民生活センターというのをつくるわけですから、国民がなるほどよかったというものにしてほしいと、こういうことが私の願いであり、国民の願いだと思うんです。ですから、商品テストについてはやらぬわけじゃない、消費者保護基本法によって例のセンターが各地方にできた。これもしかし、二十七カ所ですか、二十都道府県、一体なぜ全部の都道府県にできないのか。そういうことも一つの問題として残るわけです。ですから、せっかく法律をつくりましても、それがしり切れトンボになってしまったり、途中でふん詰まりになったり、そういう問題があると思うのです。そこでもう一つ、たいへんです、経済企画庁もたいへんですけれども、何とか調整の役を、もっとリーダーシップを強く出してやってほしいと思うんです。そういう意味で私は言っているわけですから、もっと積極的に取り上げてもらいたいわけです。
#16
○国務大臣(佐藤一郎君) 私も全く同感であります。その商品テストにつきましても、よく言われているように、重複行政であるとかなんとかよく言われておりますが、私はそうは感じていません。生産者の立場からする商品テストもあるでしょう。しかし、消費者からする商品テストもあっていいわけですから、そういう意味で、そこいらのところは十分詰めて、そして関係方面も説得し、そして、御指摘のように、消費者の立場からするところの商品テストというようなものも今後十分に検討に値する課題としてわれわれも取り上げてまいらなければならない、こういうふうに感じております。そういう意味では、私は鈴木さんの御意見には全く賛成でありまして、出発点はこれでもって出発いたしますけれども、十分御指摘のような点を検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。
#17
○鈴木強君 出発のときと長官おっしゃるんですけれども、この第一条に掲げられている目的ですね。これを見ると、「国民生活センターは、国民生活の安定及び向上に寄与するため、総合的見地から、国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行なう」というわけですから、ですから、あえて基礎的な研究もこれは放棄じゃないということですから、その点はわかりました。しかし、この中にそういう精神が入っておらないんですか。私は入っておると思うんです。そうしないと、国民生活は安定しないと思うんです。たとえば、ああいったBHCが多量に牛乳の中に入っている、WHOの基準から見ても怪しいものがある、そういうものに対して、もっと突っ込んで――農林省と厚生省の見解が違うんですね、ニュアンスにおいても。一方ではだいじょうぶだということを言っていると思えば、一方ではこれはちょっとあぶないというような。だから、国民は一体牛乳を安心して飲めるか飲めないか、こういうこともあるわけですから、そういう意味での商品テストですから、牛乳についても積極的に懸案を解決していけば、牛乳の農薬までいくわけです。そういうことも私はこの中に入っていると思うんです。だからして、予算も一応通っておるという中ですから、四十五年度の十月以降これが発足されるようですけれども、来年三月までの分については、それは予算的にも人員的にも多少困難があるかもしれぬけれども、しかし、そういう問題は、年度が変わったときにでも、少なくとも予算的措置もしていくとか、陣容なども整備していく、こういう程度の長官の所信というものは出していただかないと、この中にやっておるというわけじゃないでしょう、商品テストについては。これもやっぱり、たとえば、私が持っていって、やってほしいと言えば、拒否するわけにもいかぬでしょう。そういうものでなければ、センターをつくる意味がない。そういう趣旨のものが入ってない。だからしてこの点を明確にしておいてほしいということを、くどいようですけれども言っておるわけです。
#18
○国務大臣(佐藤一郎君) この趣旨の中に入ってないとは申しません。ですから、申し上げているように、検査の機関に委託をして最初はやってまいりたい。率直に申しまして、私も、今度新しくできるものでありますから、これがうまく運転されていくように希望しておるわけです。窓口の処理の問題、それから消費者全般に対する情報の提供、そうして、しかも従来の研究という問題も持っておるということで、なかなか多方面にわたる組織でありますから、でき上がった際には、まず出発の際には、そうした数々の職能というものができるだけ十分に発揮できるようにということで出発いたします。そうして、テストにつきましては既存のテストに委託をしてやってまいる。テスト自身を別に否定しているわけじゃありませんけれども、そういう形でもってまず出発しよう、そうして、しかる後に――予算その他の問題もこれはございます。でありますから、いわゆる委託でもって不十分であるということになりますれば、またそれに応じて、われわれとして直接の商品テストということも考えなければならないということになると思うのであります。そこらは、まずこれは出発してみまして、委託テストが不十分であるかどうか、そこらも見て考えてみたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
#19
○鈴木強君 その点は、ちょっとまだ、私から言わせたら、なまぬるいと思うわけです。ですからして、いまの消費者保護基本法に基づく政府の助成による消費者センターですね。これが二十都道府県、二十七カ所につくられておるわけです、生活センターというものが。ただし、われわれがこの消費者生活センターに、たとえば商品テストをお願いしましても、実は人が非常に少ないわけですよ。私も、この前も、チクロの入った、二月以降発売禁止されておるものについて、あるところにお願いしてもどうにもならぬのです。人もないし設備もないし、しかしそんなことじゃ、名だけの商品テストをして、どの程度の国が助成をしているかわかりませんが、これでは不十分なんです。今度センターができるわけですから、この生活センターと、いまあるこれとの関連というものが当然出てくるわけです。そうすると、一方は地方自治体の一つの部の中に入っておる。それが国の助成でやっておるというかっこうですから、今度センターができるとすれば、これとストレートに組織的にも直結したらいいと思うのです。他人さまに頼まなければならないということになりますと、なかなか思うように指揮命令系統がいかぬわけです。そうかといって、地方自治体では、政府の手でどんどんふやされてはかなわぬと言っているのです。だから私は、こういう機会に、ほんとうに消費者を守るという立場であれば、直結してほしかったわけです。どういうかっこうか知りませんが。そういう点はどういうふうになっているかお尋ねもしたいのですけれども、これもどうも、そういうように考えておるものの、名だけのものに終わってしまう危険性がある。この際は、中央のセンターの中に商品テストという部局を設けて、それが全国的に、管理機構は違いましても、地方のセンターのコントロールを、コンタクトを十分にやって成果をあげるような方法をやってもらいたいし、長官の言われる点を一応是認するとしても、今度できるセンターの中に、商品テストのためのある部局というものができるのですか。それが地方とどういう連係を持たせていかれるのか、その点がもしはっきりしておれば、ある程度の前進になると私は思うのです。
#20
○国務大臣(佐藤一郎君) 商品テストだけの直接の部というのはありませんけれども、相談部でもって同時に相談を受けまして、そうしたら商品テストを行なうように委託をするわけであります。地方の消費センターに限らず、中央にもそういうものはあるわけでありますから、そうしたものに委託をして、まず商品テストを行なう、こういう考えであります。なお、地方のものにつきましても、消費センターについては各県の知事も非常に目下力を入れている際であります。徐々にではありますけれども、予算もふえ、機構もふえ、これの拡充について非常にわれわれも関心を持っておるのでありますが、今日は地方の自治体自身がやはり大きな関心を持っております。これのほうの助長促進ということも大いにわれわれもあわせて考えていきたいと思っておる際でございます。
 それから、地方とわれわれとの関係の一体化でありますが、これは、運営委員会等に地方の代表にも参加してもらい、まあ地方自治体と国との関係でありますから、直接的にといいましてもある程度の限界がございますけれども、その運営におきまして、ネットワークというような感じで地方と中央とが結びついてまいる、こういうふうに考えて運営をしてまいるつもりでおります。
#21
○鈴木強君 どうも第一条の目的のところが消極的なんですね。ですから、私はもっと積極的に、たとえば商品テストの問題をいま特に出しているのですけれども、第一条の「情報の提供」その他も当然のことですけれども、もう少し、相談部を設けて相談にいったらそれに応じてやろうという姿勢じゃなくして、一歩積極性を打ち出していって――まあ一挙に、日本の全製品の何から何までテストするなんということはできませんが、しかし、ある程度チェックをしていくという、そういう体制をつくること自体が、これはやはりメーカーに対する一つの牽制策になるし、消費者から見て、これはいいことをしてくれた、そういうきっかけになると思うのです。積極的にそういうことをセンターがやってくれるということになると、国民も期待を持つと思う。それが、今日消費者が求めているものの一つだと思うんですよ。だからして、そういうものをやってもらえるというなら、私は一つの前進であるし、いいことと思うのですが、そうじゃない、聞いてみると。どうも消極的で、たとえば情報の提供とか、調査研究も、一体これは公開する原則に立ってやるのか、どうなのか。都合の悪いものはそっとしておくとか、言われたら出してくるとか、そういうことじゃなくて、もっと、情報でも何でも、積極的に出していくということがいいと思う。商品テストなんか、そういう意味において、やはり一歩進んだものにしてもらわなければ意味がないように思うのですけれども、どうでしょう。
#22
○国務大臣(佐藤一郎君) 情報等につきましては、もちろん、申し上げていますように、公開の原則でやっていかなきゃいかぬと思っています。商品テストにつきましても、相談がなければやらないということではございません。こちらとしても、もちろん必要に応じて商品テストを委託して、その結果を見る、これはやはり大事なことでありますから、そうしたことももちろん少しも差しつかえないことでありますし、今後運営においても、これは大いにわれわれとしても促進していっていい面であろう、こういうふうに考えております。
#23
○鈴木強君 テストの、いま長官が委託と言われましたが、そうすると、それはどこに委託をするのですか。
#24
○国務大臣(佐藤一郎君) たとえば、通産省の検査所がございます。それからあるいは厚生省にも国立の衛生試験所等がございます。それからまた、地方の消費センターでも、必要なものがあればそれにも委託いたします。まあ、現在ありますところの機構というものがむしろフルに活用されてないうらみもあると思うのです。われわれがこの窓口になり、そうしていろんな情報をとりながらそういうものを積極的に活用していく、こういうかまえでいきたい、こう思っています。
#25
○鈴木強君 それで、きょうは研究所のほうからもいらしていただいているのですけれども、少し私の時間が少のうございまして、質問が十分にできないのですけれども、この国民生活研究所というものが設置されているのですけれども、現行法第四条によって、この国民生活研究所に少なくとも一億円の国の出資があるわけですから、政府機関ではないけれども、準政府機関であるという立場に置かれていると思うのです。それで、いままで実際、この研究所がつくられて、国民生活向上のため、あるいは消費者保護という立場に立った場合に、どういう点に成果があったのか、国民は残念ながらそれを知る機会がない。いろいろな書物も出しておられるのですけれども、これは部数も少ないし、一般の国民が、研究所はなるほど国の金を使って何年の間やっていてどういう成果があったということを分析するのには、あまりにも資料が少なかったと思うのです。そこで、政府が一億円の出資をしていると思うのですけれども、政府以外のもので出資した額というのは、どのくらいありますでしょうか。
 それから、今度国民生活センターに移行する場合に、財産は、もし出ているとすれば、その出資されている財産というものは、これはどういうふうになるのですか。出資者に戻してやるのか、寄付ということでもらうことになるのか、その点はどうなんでございますか。
#26
○政府委員(矢野智雄君) 現在の国民生活研究所に政府から出資されております二億円、これはそのままセンターのほうに移されることになります。それから民間から百四十万円の出資がございますが、これは今度センターができるに際しまして、返還する予定になっております。
#27
○鈴木強君 設立の当初は一億出して、あとは経済企画庁長官の認可を受けて、この資本金をふやしたというのが一億あるのですか。それで二億というのですか。
#28
○政府委員(矢野智雄君) そのとおりであります。
#29
○鈴木強君 それから、資本金は二億円になっている、それと百四十万民間からの資本出資があったわけですね。そのほか、政府として研究所に助成した金というのは幾らになりますか。これはできれば、国民生活研究協会の終盤ごろ、多少の委託費を出していると思うのです。それから三十六、三十七年以降今日まで国が出したものは一体どのくらいになりますか。
#30
○政府委員(矢野智雄君) 国民生活研究所は収支差の補助になっておりますので、その補助金、たとえば四十四年度につきましては六千七百万ほど政府から補助をしております。当初以来の総額が、ちょっといま手元に出ておりませんが、いまさっそく計算いたします。
#31
○鈴木強君 それで、いままで研究所がやってこられた仕事の内容等について少し伺いたいのですけれども、民間から百四十万円、額は少ないのですけれども、一応資本出資をしていただいている。したがって、研究所がいままでやってこられた仕事というのは、積極的に一つの目標に対して研究を進めるということもあったと思いますけれども、そのほか、業界とか各方面から依頼を受けて、委託をされて調査をされたようなことはありますか、どうでしょうか。だから、いままで一体どこに一番目標を置いて研究をしてこられたかという――時間がありませんから、どことどことどこ、民間のほうからはどういう調査を依頼されたか、それをひとつ教えていただきたい。
#32
○政府委員(矢野智雄君) 生活研究所では、自主研究と委託研究と二つございまして、自主研究は、主として政府の補助金によりまして毎年研究プランをつくり、自主的に研究しているものであります。それから委託を受けて研究しているものでございますが、従来の例では、たとえば全国旅行動態調査集計、これは総理府から委託を受けております。また、旅行の動態に関する資料作成、日本交通公社。あるいは家庭用燃料調査、これは石油連盟から委託を受け、そのほか幾つかの例がございますが、大体従来、ここに手元にありますのでは、三十七年から四十一年度までで、総額二千四百万円ほどになっております。委託を受けた機関は十数カ所になっております。
#33
○鈴木強君 国民生活研究所法案が提案されたとき、昭和三十七年三月の第四十回国会のときの立法の趣旨を見ますと、研究所というのは、国民生活の実情と動向とを正確に把握するため、所得格差の問題とか、消費者物価の問題とか、生活環境の問題について総合的に調査研究等を行なうものとする、こうなっておりますね。したがって、その趣旨、目的に沿って今日まで研究所が動いておると思うのですけれども、たとえば生活環境施設は一体どうなっているとか、公共の施設はどうなっておって、これが国民生活にどういう影響があるのか、たとえば最近の公害問題にしてもそうです。し尿処理の問題にしてもそうです。依然として汲み取りでやっておる。水洗便所というのは非常に少ない。住宅問題一つとりましても、四畳半に三人も四人も住んでいる。住宅難というのは依然として解消していない。にもかかわらず、その中にカラーテレビが持ち込まれている。生活環境そのものにあいそをつかしちゃって、やむを得ず、四畳半で家族三人、四人がカラーテレビを見て楽しんでおるという、こういう実態が今日繁栄の中にあると思うのです。そこいらの国民生活環境に対する調査研究というのは一体どういうふうにやられて、その成果は一体どういうふうになっておるのか、伺いたいのです。
#34
○政府委員(矢野智雄君) 国民生活研究所では各種の調査をいたしておりますが、ただいま御質問のありました生活環境につきましては、たとえば四十三年度で、「都市再開発と標準生活環境基準」というテーマで、主としてこれは「高層住宅の動向と周辺への影響」という調査をいたしております。あるいは、これに関連いたしますが、「地域住民の生活問題に関する研究」、こうしたこともいたしております。また、四十四年度におきましては、「生活環境基準に関する研究」、あるいは「水質環境基準に関する研究」、その他のことをやっておりますが、こうした研究の成果は、そのつどもちろん私どものほうにも報告を受けておりますし、また、一般にも公表いたしておりまして、逐次それぞれの関係行政機関においてこの研究成果を参考にしております。
#35
○鈴木強君 文章を読み上げて、これもやりました、あれもやりましたということになるのだが、一体それでは、やられた成果というのは行政面にどういうふうに反映したかということですね。これはどうですか。国民に報告できる成果がありますか。この研究がこうなりましたという。
#36
○政府委員(矢野智雄君) 生活研究所で研究いたしましたそのことがすぐ具体的な施策に直結しておるかどうか、いまつまびらかにいたしませんが、いずれにしましても、この生活研究所で、生活の向上あるいは生活環境をよくするという、こうしたことについての基本的なものの考え方、あるいはその考え方を達成するための方途ということは、それぞれ、企画庁でもそうでありますが、あるいは直接そうした問題を担当しております関係行政機関が施策をする上の基本的なものの考え方の上に十分反映しているものだというふうに考えております。また、そうした反映をするように企画庁でもいろいろな機会に努力いたしております。
#37
○鈴木強君 それはあなたがそこで言うだけの話であって、われわれはそうは思っておらない。まあ三十七年の法律審議の際に、当時の政務次官の菅政府委員がこう言っている。「研究所で研究がまとまりました成果は、直接政府もいただきまするし、また関係各省、関係の官民それぞれの機関にも御配付を願いますと思うのでありますが、多くの場合は、その成果に基づきまして、国民生活向上対策審議会の議にのぼせることが多いと思うのでございます。審議会の方で、本研究所の成果に基づきまして、政府にいろいろ意見具申をしていただきましたり、あるいはまた政府側から出しました諮問に答えていただきましたり、多くの場合その手続を経ました上で、企画庁といたしましては、国民生活の向上に関するそれぞれの各省の所管の権限がございますから、それぞれの方に連絡をいたしまして、それぞれ具体案を作っていただくように推進調整役をいたすつもりでございます。」、こういうふうに言っている。だが、一体、国民生活向上対策審議会というのは、その後名前がどうなったかわかりませんけれども、たとえば今度の消費者保護会議とか、物価安全政策会議とか、あるいは国民生活審議会とか、いろいろありますね。そういうものに一体幾つをその成果としてはかりましたか。これに審議会にはかるとある。やったことを幾つはかりましたか、その成果の中から。そういうふうに具体的に答えてもらわぬとだめなんです。
#38
○政府委員(矢野智雄君) いろいろ研究が行なわれておりますが、若干具体的な例を申しますと、たとえば、四十四年度におきましては、先ほども例示いたしましたように、水質環境基準に関する研究をいたしておりますが、経済企画庁では、この研究の成果も織り込みまして、水質に関する環境基準を、水質審議会の議を経て答申をいただきまして、先般すでに閣議決定もいたしたわけであります。あるいはまた、「生活経営学の体系化に関する研究」というものを四十三年度に生活研究所でやっておりますが、これは、消費者教育を学校教育の中にも取り入れていくという考え方を背景にして研究しておるわけでありますが、この点の一つの成果といたしましては、文部省で学習指導要領を改正する、その場合の参考になっております。で、すでに昨年、中等教育におきましてはその学習指導要領を改正し、消費者教育を取り入れるようになっております。なお、引き続き高等学校についても同様の処置をするように、現在文部省で研究中であります。
 また、生活環境に関連いたしましては、生活連関表あるいは福祉水準の作成、こうしたことも生活研究所で継続して研究しておりますが、これは、国民生活審議会における二十年後のビジョンの答申、そうしたこととの連係でやっております。なお、この点はさらに引き続き、もっと本格的な研究に移っていきたいと、かように考えております。
#39
○鈴木強君 私の質問は、あと二時間くらいありますが、山本委員が何か十一時からやる予定になっておるそうですから、一応私はここで質問をやめて、山本委員にバトンをタッチして、午後にまたやらせていただきますので、一応ここでやめておきます。
#40
○委員長(横山フク君) 山本君。
#41
○山本伊三郎君 それじゃ、公取委員長が何か衆議院の大蔵委員会に出られるということですから、質問の順序を変更いたしまして、公取委員長に関係のある問題をまずお尋ねいたしまして、それからこの国民生活センター問題、また物価問題等に入りたいと思います。
 そこで、実は私の質問の資料として、新経済社会発展計画、これに基づいて質問したい。
 まず冒頭に、経済企画庁長官に聞きますが、これはすでに閣議でも決定されて、政府の昭和五十年までの一つの経済指針として、政策目標として決定されたと思うんですが、そのとおりですか。
#42
○国務大臣(佐藤一郎君) この新経済社会発展計画、これはすでに答申を得まして、昭和五十年度までの期間における経済運営の指針とすることを決定するという閣議決定になっております。
#43
○山本伊三郎君 それを前提として具体的にお聞きしたいと思うんです。
 この二二ページです。――二一ページから聞きたいんですが、公取の関係がありますので。二二ページの中に、こううたっておるんです。――その前に、いま長官がお答えになったように、この新経済社会発展計画は、第二部「課題達成のための政策」であるという前提で書かれておる。そして「物価の安定」という第一の項の二二ページでありますけれども、半ば以下のところ、「第二」ですね。公取の関係、独占禁止法の問題がうたわれておるんですが、時間がないから、もうずばり具体的に聞きますけれども、三行目からこういうことばがありますね。「まず独占禁止法の運用を強化し、各種の同法適用除外カルテルや再販売価格維持契約の再検討、撤廃に積極的に取り組むとともに、各種許認可制度や行政指導がその本来の趣旨からはなれて競争制限的に働らくことのないよう、そのあり方を再検討し競争基盤の強化に努める。」、これはまあ私はもっともなことと思うんですね。物価安定のための一つの柱としていいんですが、そこで、まず公取委員長に聞きますけれども、実際に、この文章を作文じゃなしに――いまの公取委員会の活動の実績から見ると、私は逆行しているように思うんですが、公取委員長として、この政府閣議決定を――公取委員会はいわゆる政府との対抗機関でありますから、これに拘束される必要は私はないと思うんですよ、この制度の上から見ても。そういう閣議決定のこの条文――条文と申しますか、文章からして、運用を強化してやっていく方針はどういうものであるか。まだこれはきまってから間がないから、これから公取は検討すると言われるのか。すでに閣議決定して、こういうことをやるんだと言っておられますが、はたして公取委員会としてはどういう見解でおられるか、まず聞いておきたい。
#44
○政府委員(谷村裕君) 政府で、いま経済企画庁長官が言われましたように、新経済社会発展計画を一つの指針としてきめられております。で、私どもは、独立してその職権を行なうという立場ではございますけれども、やはり政府の行政機関であることは同様でございます。私は、この方針をもちろん尊重し、また、ここに書いてあるようなことでやっていくべきものだと、基本的にそう考えております。さらに具体的な内容につきましては、また御質問がありましたら御説明申し上げます。
#45
○山本伊三郎君 そこで、しからば、そういう公取委員長のお考え方――私は、政府のいままでのやり方、これに反したやつをあらためて反省して、こういう方向を出されたということには敬意を表します。そこで、公取委員長に関連して聞きますけれども、もう時間がないから一、二だけ聞きますが、「運用を強化」――しからば、いままで運用は足らなかったのかどうか。法律改正とは言っておらない。運用を強化するというが、しからば、いままで運用が、ずさんとは言わぬけれども、法に違ったような形の運用をしておったのか、そうでなければ「強化」とは言えないですね。「強化」とは、一体どういう点を強化するのか、二、三の例をあげて言ってもらいたい。
#46
○政府委員(谷村裕君) まあ、いま山本委員は作文ではなくて実施をとおっしゃったわけですが、作文というものには、とかくそういう点で、いろいろの文章が、どう読むのかということがございますが、この「強化」ということば、「運用を強化し」ということばがあるために、従来は独禁政策あるいは独禁法の運用がずさんであったのではないか、それをこの際ネジを巻き直して強化するのだというふうにこれをお受け取りになられると、はなはだ私どもは残念であります。さような意味で書いてあるのではなくて、まあここで書いてある意味を私が理解すれば、独占禁止政策というものを、もっと、ほんとうに、いままで各種のいろいろな他の経済政策との調整というふうな問題もありましたけれども、やはり、独占禁止政策の立場をよりはっきりと認識し、また、そういう基盤の上に立っていく、そういう趣旨に私はこれを理解いたします。そういう意味で、たとえば各種の適用除外カルテルの問題も、そういう立場からもう一ぺんよく見直そうと、こういう考え方であって、除外カルテルの問題をどう考えるかというのは、独禁法の運用を強化する話ではなくて、独禁政策的立場を、あるいは競争維持政策的立場を、よりはっきりと再認識し、考えていくんだと、こういう読み方をするべきであろうというふうに思います。しかし、たとえば、再販売価格維持契約の再検討というふうな問題になってまいりますと、これは、いままで独占禁止政策、独占禁止法の運用の問題として、たとえば、自由な競争が行なわれている商品についてなら認めるとかいう、自由な競争とはどういう状態をいうのであるかとか、あるいはまた、消費者の利益を害するようなものはこの限りではないというふうになっている、消費者の利益を害するような実態とは何であるかと、そういう面につきましては、従来とも検討していたところでございますが、この際、私もひとつ身を入れて――身を入れてと言うとおかしゅうございますが、しっかりとその点をいろいろ勉強してみたい、そういうつもりがございます。これは、まさに、ある意味でいえば独禁法の運用の問題であろうかと思います。そういうふうに、その「独占禁止法の運用を強化し、」ということばもいろいろな意味があろうかと、そういうふうに思います。
#47
○山本伊三郎君 従来から、たとえば再販売価格維持契約の問題、私自身も取り上げてまいりました。しかし、そういう、また検討するんだと、文章でいわれておりますけれども、検討はいままでもされておったと思う。しかし、現実にはどうもならぬ。一番大衆生活に必要な、たとえば化粧品にいたしましても、その他のいわゆる独占的な企業がやっておるものについては、再販売価格維持契約というものを除外しては商売が成り立たないという実情が、小売商店なんかは、もうそれを身にしみて感じておる。私は、それがここで特に取り上げられた場合に、新しく公取委員長として、非常に気概がある人だとは思っておりますが、それは検討して勉強したいという、いまの話ですが、もう勉強の段階は過ぎておる。どうしてこれを実施するかという、勇気の問題ですよ。できないんですよ、なかなか、いまのこの寡占といいますか、独占企業の実態から見て、やれないのです。電機製品もそうですよ。電機製品でも、ある系統によってちゃんとやらなければ商売が成り立たないというのが、いまの日本の経済の実態でありますね。それをあえてここで言われた以上、私は、きょうここで結論をどうこうというわけじゃないのですが、もうすでにこの実施時期の四十五年に入っておるのですから、公取委員会がどういうぐあいにこれを実施してきたかということは、一年間でわかってくると思うのですが、その業績を委員長として必ず見せますということの公約ができるか。これだけを聞いておきたい。何ぼ議論しても同じことですから。
#48
○政府委員(谷村裕君) 私ども仕事をいたします際には、ある意味では、山本委員のおっしゃるように、一つの果断な決心なら決心ということが必要であると思います。同時に、仕事をやはり的確にやってまいりますためには、いろいろの問題点、それは政策的にも、また法律的にもございますが、そういうところに一つの論理と申しますか、筋道と申しますか、そういうものもきちんと説明できるようにしなければならないという意味での慎重な配慮と申しますか、そういうことも必要であると思います。で、私はいまここで、私どもはどういうふうにこの問題を検討し――おっしゃるとおり、すでにもう検討し終わり、また現に検討しておるところもございますが、どういうふうに検討していくか、また、それからどういうことを結論として持ち出すかということを、いま私がここで申し上げることは、ちょっとまだ私自身むずかしいと思いますが、少なくともこの問題について、いいかげんに、ただずるずるとしておるということではなしに、どういうふうにこれを処理していくかということについての一つの考え方をいままとめつつあるというふうに申し上げたいと思います。ここで公約しろと、何か業績を出すように公約しろというふうにおっしゃられて、はいそうでございます。そういうふうにいたします、というのはいかにも能のない話でございまして、むしろ私は、実体的に十分研究をし、そして断――断と言うと非常にりっぱそうですけれども、決断すべきときにはちゃんと決断するようにしてやる、そういうふうに考えたいと思っております。
#49
○山本伊三郎君 これ以上責めるのも無理だと思うのですが、独禁法が制定された後、だんだんと、この独禁法の精神といいますか、これが曲げられてきて運用されてきたことは事実です。それで、この際に、特に新しく新経済社会発展計画にこの一項目が入れられたということについて私は敬意を表するのですよ。ここまで政府は決意したのかと思って、この点については敬意を表しておるのだが、単に物価を安定させるというだけの国民に宣伝するだけの文章であっては困る。この趣旨で私は質問しておるのです。したがって、いま言われるように、ここで何々するということを具体的に示すということは無理だが、何かこの物価政策に進んでおる政府のものが四十五年中にあらわれてこなければいかぬ。私は逆行するのじゃないかということを心配するのです、この実態は。したがって、この点につきましては、公取委員会は政府の機関であるということを先ほど言われた。それはそのとおりです。しかし、政府の機関でも、単に国家行政組織法の第八条じゃなしに、私は第三条の機関だと思うのです。人事院と同じような形で、政府に対して対抗機関とは言わないまでも、政府のこの物価政策、経済政策に対して独禁法という法律のたてまえを守っていこう、こういう使命を持った機関でありますから、単に政府の言うことに追随するということでなくてもいいんですよ。経済企画庁の、何というか、一つの局であるというか、そうじゃないのです。あの国家行政組織法の条文から見ても、人事院と同じような形で、一応政府の施策に対して対立的な一つの機関としてできておるのですから、政府が言ったからそれに追随するということじゃ困るのです。その点はそういう御認識があると思いますから、まあその点だけ聞いておきます。
#50
○政府委員(谷村裕君) 山本委員のおっしゃいますように、第三条の機関でございます。内容は違いますが、そういう意味では独立した行政機関であるというふうに私どもも考えております。そして、ただいまのおことばで、政府に対抗してというおことばがございましたけれども、政府が――まあ私ども含めて政府側でございますけれども、各省各庁が何か独禁法と対抗して別の意識で動いているのに対抗して私どもが牽制するのだということも、それはございましょうけれども、私いまの気持ちでは、むしろ経済企画庁を中心としまして、各省各庁も同じ私どものような立場に立ってやはりこれは競争条件を整備しなければならぬ、それがすべてではないけれども、物価政策の一つのポイントであるという認識はお持ちいただいており、かつ、そういう方向でいこうというふうに、また各省各庁お考えになっていらっしゃるというふうに私も思っております。したがいまして、まあ対抗すると言うと、いかにもほかのほうが悪いようでございますけれども、私はこういう立場に政府全体がいま立つようになってきておると、さように思っております。
#51
○山本伊三郎君 それはあなたの考え違いだと思うのですよ。まあ対抗ということばは別として、独禁法制定の経過から、また、あの条文を見られるとわかると思うのですよ。まあ対抗ということばは悪いけれども、やはりあの独禁法を忠実に守っていくというために公取委員会はできたのですよ。したがって、政府のものに同調していく考え方は私は納得できない。これは、第三条の機関はほとんどそういう趣旨で私はできておると思う。しかし、協力していくということは別ですよ。協力することは当然ですよ。これは国民も協力しなければいかぬ、いわば政治に対して選挙ということで協力している。しかし、あなたの言うように、政府の言いなりとは言わないけれども、独禁法を厳格に守るためには、それに反する場合には、各省といえども、総理大臣といえども、堂々と公取委員会はそれに対して独禁法を守る立場から対抗する、この精神でできているのですよ、独禁法は。そうではないですか。
#52
○政府委員(谷村裕君) 私はそういう趣旨で申しておりますので、山本委員とは一つも変わりません。まさにそういうことで、ただ、よその各省各庁も、こういう考え方、むしろ公取的な考え方になってきておるのだ、なっておるのだということを申したつもりで、政府側に同調するとかどうとかというのではない。むしろ、一般の各省各庁に、あらためて、と言うと、ことばが悪いのですが、独禁政策の重要性を再認識していただいておる、そういう状況ではないかと、こう申し上げたわけであります。
#53
○山本伊三郎君 それじゃ、次に、経済企画庁長官にお聞きしたいのですが、前に戻ります。
 二一ページの「物価の安定」、これは、いわゆるいまの佐藤内閣の物価問題に対する基本的な態度だと、先ほどの長官の答弁で私はそういうことに受け取りました。
 そこで、私は、この前の経済社会発展計画の場合も、その当時の経済企画庁長官が宮澤喜一さんだと思いましたが、ちょうどケネディ・ラウンドの問題で国際会議でスイスに行っておられたのですが、かわりとして水田大蔵大臣が私に対してだいぶ答弁されたわけですが、そのときから見ると、これは文章だけとは言いませんが、相当積極性のある作文になっておるのですね。それは認めます。そこで具体的に聞きます。ずっと一番下のセンテンス、二十一ページの第一。さっきは第二から入りましたけれども、あれは公取委員長に聞きましたので。ちょっと文章を読んでみますが、「従来から実施されてきた構造政策をよりいっそう強力に推進し、労働力不足下にふさわしい国民経済の効率化をはかる」、これはまあいいです。「とくに、農業、中小企業、流通部門など生産性上昇率が低く各種の保護措置もあって非能率な状態が残されている分野を中心として、産業の近代化、合理化を強力に進め、」――これは一つの文章でいいのですが、その次なんですね、問題は。「農産物や大衆的工業製品などの廉価にして豊富な供給体制をつくらなければならない。」ここに私は相当意味があると思う。従来から、これはもう本会議でも、総理なりあるいは長官あたりが説明される場合には、いわゆる物価の上がる一つの原因として低生産性の農業とかあるいは中小企業があるので価格が上がっている、こういう説明。これは一般的にそう言われておりますが、ここで表現されておるとおりだと思いますが、今度は特に農産物――農業はあとで申しますが、「大衆的工業製品などの廉価にして」、これは私初めての考え方を出されたと思うのですね。いままでは中小企業という表現でありました。上にありますけれども、この場合、中小企業でも決して低生産性ではない。中小企業の中にも、適正規模で、しかも特に大産業の、大企業の下請工場あたりは近代化されておることは御存じのとおり。特にここで大衆的工業製品などにして低生産性のものがあることは事実です。この場合、特にどういうものをここに指摘されたのか。特に物価のプッシュに対して影響のある大衆的工業製品とはどういうものを規定されておるのですか。例をあげてひとつ説明をしてもらいたい。
#54
○国務大臣(佐藤一郎君) これは、これらを議論する過程におきまして、大衆的工業製品というときには、もちろん衣料も入りますし、それから食料品工業、こういうようなものも入ろうと思いますし、あるいはまた耐久消費財、これはもちろんこの中に入るわけであります。いわゆる特別なぜいたくでないスタンダードなものであれば耐久消費財もこの中に入る、こういうようなことになっております。
#55
○山本伊三郎君 まあ衣料といっても、衣料でも相当大きい、レーヨン会社とかたくさんあるのですが、特に衣料関係では、雑貨、タオル、そういうものがあると思うのですねこれを中小企業、いわゆる低生産性の大衆的工業製品と言うておるのですから、大企業の場合にはほとんどこれは生産性も向上しておるのですね。食料品の場合は、パンとか、あるいはまた菓子ですか、それからガム、こういうものが相当低生産性で価格のプッシュに大きい波及をしておるということになるのですね。そういうものについて規定されておるのでしょう。
#56
○国務大臣(佐藤一郎君) そうです。おっしゃるとおりです。
#57
○山本伊三郎君 そうすると、そういうものに対する産業の近代化、合理化を強力に進めるというのですね。この文章から言うと。ところが、経済企画庁長官、ぼくは質問して追及するだけでは物価安定はいかないと言っているのですよ。こういうものを近代化といっても簡単にはできない。これを大資本に移行するということもちょっとむずかしい。近代化、合理化を進めていま生産性を上げておるのは、いわゆるオートメ、近代化、こういうのは機械化されておる。そういうものは大資本がなければやれないんですね。ところが、こういう、いま申しました、あなたが承認された、そういうような種類の大衆的工業製品は、そういう近代化するだけの大資本というものを投下し得る産業ではない。できない。したがって、そういうものをどうしてやられるかということについての具体性が私は聞きたいと思うのですね。中小企業に対して融資をするとか、そういうものはもうすでに繰り返されておる。融資の限界も実はあるわけなんです。それをどういうぐあいにやられるかという……。一番物価に問題のあるのは、食品工業だと思うのですね。それらはどういうぐあいにやっていかれるのか。ただ文章だけでいかないので、どう政府は考えておられるのか、ちょっとそれを聞いておきたい。
#58
○国務大臣(佐藤一郎君) これは、まさしく御指摘のように、一面において相当時間のかかる問題である。できないことはないと思います。ただ、すぐ、あす、あさってというわけにはまいらない。時間がもちろんかかるということであります。それからまた、産業の性質によっては、御指摘のように、大企業化することの困難なものもある、こういうものもあります。そういうものについては、山本さんも御存じのように、中小企業政策というものを別に考えなければならないわけであります。そこで、本案におきましても別のところでもって中小企業政策について論じております各種の中小企業対策というものをとりまして、御指摘のように、大資本が入らない場合でも、たとえばいわゆる協業化、共同化を進めてまいるとか、いろいろとこの中でも書いてございますが、やはりそうした、別に中小企業対策というものをあわせて進めてまいる、こういう方向が私は大事であろう、こう思っております。
#59
○山本伊三郎君 私の質問する前に答弁をされたのですがね。中小企業対策はありますがね。もうずっと、中小企業対策は十年も前から言われておったことです。なかなか一朝一夕でできない。いま佐藤さんは、あした、あさってというわけにいかないと言われたが、そんなことを期待しているのではないのですよ。それはあなた表現だから。私は、この六年間にできれば、いまの内閣の大きな功績だと思っているのですよ。できない。できないのは、そういう構造的な宿命があるのですね。日本の産業には、これは二重構造と言われておりますけれども、しかし、そうかといってあきらめるわけにはいかない。はしなくも、共同と言い、協業、共同と言われましたが、これをどう具体化するかという問題を、私は追及しているのです。ところが、なかなか政府はそこまで手を入れない。ただ年末金融程度でお茶を濁しているが、共同的な素地をつくるための施策というものないですよ。いままで、また業者もそれに乗ろうとしないこともあります。しかし、物価安定の立場から言っても、これをやらなければできませんよ。あの限られた資本で、近代化しようといっても無理です。私は、パン工場あたり、これは大衆的工業品として非常に問題のある点ですが、これだけでもまず気をつけてやったらどうかと思うのです。販売機構にいたしましても、生産機構にいたしましても、やれるのですね。ところが、そのやれる素地を政府はつくらないのですよ。佐藤さんが経済企画庁長官を何年やられるか知りませんがね。そんな多く並べる必要はない。一番重要な点のものだけ、一ぺんモデル的に、見本的にやってみなさい。そうして成果がどれだけ出てくるか。国民生活センターをつくられて研究されるのはけっこうですがな、私はそういうものをひとつ――多くものを並べる必要はない。まず、一つのもの、場合だけやってみれば、それが一つの見本となって、モデルとなって、それがまた、ほかの大衆的工業製品などもそれにならってくると私は思うのです。そういう決意があるかどうか、ちょっと聞いておきたい。
#60
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、従来からよく、低生産性部門の近代化ということが、とかく作文だと言われておりますが、これは、一つは、御指摘になった効果に長い年月が要る。なかなか、はかばかしく、すぐ目に見えてくるようなことがない。これが一つの原因だろうと思うのですが、また、振り返って見ますと、決して実績をあげてないわけではない。相当効果もあがっている。むしろ、中小企業というものが、近ごろよく中堅企業とかなんとか呼ばれておりますが、中堅企業となり、中には大企業にのし上がったものもあります。数えてみると、いろいろあるんでありますが、いま御指摘の協業化の問題も、これは山本さんが一番御存じのような、いわゆる中小企業対策のいわゆる融資その他について、たとえば協業化を条件にして融資をするというようなことを行なっております。そういうようなことで、さらに政府の指導の不十分なところを積極化しなければならないと私も考えますが、御存じのように、なかなかみんな一本立ちを欲するのが本来のならいでございますから、協業化は、それ自体、ある意味ではむずかしい方向ではありますけれども、それでも、各種の施策によりまして、この約数カ年の間に、協業組合の数も、あるいは工場団地の数も、ずいぶんふえてまいっておることも事実でございます。でありますから、私は決してこれは悲観しないで、いま御指摘になったような点、私も賛成でありますが、大いにこの方向を進めてまいるように、さらにさらに積極的な努力をする、これ以外にはないんじゃないかと、こう考えております。
#61
○山本伊三郎君 ひとつ佐藤新長官に私は期待しております。そういうことで従来やられておるといいますが、それは、政府のてこ入れよりも、むしろ、自分の企業がどうして競争の中から生きようとするかの努力が大きく働いておると思うんですよ。無理しておりますよ。だから、協業といっても、共同までいくのはなかなかむずかしいのですが、たとえば、販売に対する協業といいますか、配達なんかを速急に私はやるべきじゃないか。ところが、各メーカー、中小的なメーカーでそれをきらうんですね。「木村」というラベルを張っておくとよく売れるから、販売する自動車にも自分の製品の名前を書いて配達しなければいけないという考え方があるんですね。したがって、私は配達だけでも協業的にやればコストが相当減る。牛乳でも私はそう言っておるんですよ。明治とか森永とか、おのおののメーカーが大きく宣伝しますが、これだけでも協業化すれば、消費者の側から見れば、物価安定に私は相当役立つと思うんですよ。それができないんですね、いまの実情では。そこに問題があると思いますが、これはひとつ考えてください。サゼスチョン、提案だけしておきます。
 もう一つある。それを言いますと、実は、今度タクシー料金が上がりましたね。これも実は中小タクシーが非常に困っておるんですね。大タクシーというものは自動車の数からいうと一人でよけい持っているけれども、中小業者のほうが台数からいったら全国で多いですね。ところが、協業しようということでやっても、一方で労働省と運輸省でいがみ合いをしておるんですね。労働省は、運転者をやるのはいいけれども、中小のものについては若干問題があるということで、否定的なんです。労働省は、いいんじゃないかと、こういうことなんですね。その点は、経済企画庁も十分積極的に中へ入ってもらいたい。私は交通問題はいま扱いません。物価の値上げの問題から言いますけれども、運転者、労働力が非常に逼迫しておる。したがって、悪質運転手がとにかく転々として小業者を回っては先借りをしてやっておる。そこから交通問題が起きるんですが、そういうものを中小のタクシー業者が協業的にやって、そこでそういう運転手の予備的な、スペア的な運転手を一括して雇って、そして協業会社に配分するというほうがいいんじゃないかと私は考案したのです。労働省はそれはいいと認めておる。運輸省は、それに対して、何とか運輸規則の五条ですか、何とかで、いかないと言うんですね。こういう点は知っておられますか、経済企画庁、そういう問題のあるということ。これも物価の大きな問題です。大業者のほうは料金を上げなくてもいけるような経営状態です。私は経営状態を全部調べましたから。中小企業はそういうことではいかない。それが、いま言っている物価のプッシュの一つの要因になっていますね。そういうことについて経済企画庁にそんな相談がありましたか、運輸省のほうで、物価の問題として。
#62
○国務大臣(佐藤一郎君) 実は、私もタクシー業については、かねがねもっと人口をふやすべきじゃないかということで、機会あるごとに運輸大臣にも要請しておるのですが、いまお話にもありましたけれども、もう運転手の人数そのものが限られておるので、なかなかふやすことができないというようなことを言っております。が、しかし、それには訓練の機関を設けるなりしてこれを積極的に進める方法があるじゃないか、こういうことで、その方向はできるだけ進めようと、こういうことはいま話をしているんでありますが、ただ、いま御指摘になったような具体的な話は、ちょっとまだ私も耳にしておりません。
#63
○山本伊三郎君 この物価の問題は、ぼくは、単に言うだけじゃなしに、そういう具体的な問題を一つ一つ解決することによって物価が安定してくると見ているんです。大きく網を張ったって、なかなか、かかるものじゃない。上がるのを防ぐことはできません。いま言ったのは、運転手はいないといっても、いるんですよ。いるんだが、いまのような状態ですから、定着をした運転者はおらない。そうして、そういう定着をさすためには、いま申しました協業で、東京なら東京で、中小企業は一つの協業組合ですか、つくって、そこで運転者を一応契約をする。そうして、運転者は一台で大体二人半要るらしいですね。車一台で二人半要るんだ。いまそういうものをよけいに持っておることができない。そういうものを一つのプールということでやるということを、タクシー料金に相当大きく影響があるので、私はそういうことを提言しておるんだが、なかなか労働組合のほうも問題があると聞いておりますが、この点の具体的な検討を、経済企画庁が中心になって、運輸省、労働省の中でひとつ話を進めてもらいたい。これは私、タクシー料金の問題に関係した大きい影響があると思いますので、その点は提言をしておきます。
 時間を食いますから、そこでもう一つ問題があるのですが、重要な問題がここに掲げてあるのですね、農業について。「農業についてはこれまで所得補償にかたよりがちであった価格政策の運用を改め、構造対策のより積極的な推進によってその近代化をはかる。」――この意味もわかるのだがね。おそらく構造対策というのは総合農政を言っている。それはそれとして、しからば、いままでのような食管制度という所得補償制度を、これを変えていくということを政府の意思としてここに表現されておるわけですか。これはいかがですか。
#64
○国務大臣(佐藤一郎君) 食管制度が、即、所得補償制度であるというふうに私は解していないのです。食管制度は、実は別な、御存じのような成り立ちからできています。でありますから、特に食管制度だけの関連でここで議論するのは私は適当でないと思いますが、しかし、現実の問題として所得補償制度というものがあるんでございます。農業の現状から見まして所得補償制度をとらざるを得ないものもあるんでありまして、問題は、それが固定化してしまう、そうして、いわゆる非能率のまま温存され続けていくことの是非に私はあろうと思います。これが徐々に生産性を高めるというふうに作用してもらわないと困る。そうして、ある時期に、そうした所得補償制度を行なわなくても済むような状態に生産性の向上をはかっていく、いわば、今日の農業政策の目標、理想というものは、そういうところにあるんじゃないか。現実の問題として所得補償を行なわなければならないものがあることは事実でございます。それを直視した上で、徐々にそういう生産性を高めてまいる、こういう意味で私は理解しております。一方において、生産性の向上ということが、なかなか言うはやすいのでありますが、いろいろの条件が必要でございます。そういうこともございますから、これらも私は時間をかけてやってまいらなければならない、そういう感じを持っております。
#65
○山本伊三郎君 長官、言っておきますが、時間をかけてと逃げているようですが、時間のかかることはいいのですよ。しかし、百年もかかったら問題にならぬが、これは六年間でやるという案ですから、私は何も時間の制限を言っていない。あした、あさって、あるいは一年……。六年間でやりましょうというこの計画でしょう。ですから、時間をかけてということはこれから言わないようにしてください。六年間の間にできればいいのですから。それができなければ、政府の責任を追及しますから。そういうことです。
 そこで、私は直ちに食管ということで飛躍をいたしましたが、所得補償というものがいまの食管を維持するという、一般農民の考え方がそこにあるから私は言ったのですね。所得補償がくずれてしまって食管というものがどうなるかということについては、これは農民の立場からいうと、そう考えておらないから私は言ったのです。しからば、所得補償による価格政策の運用、いわゆる価格だけで農業物を――これは農民対策、農家対策でで来たものでありますから、その価格政策の運用を改めるということがここに書かれておるのですが、私はその意味もわからないことはない。
 そこで、私は前後を誤ってもらってはいかぬと思うのは、構造対策というものが進んでいって初めて、政府が言わなくても、所得補償なりその他の方法による価格政策というものは自然に改まっていくことになる。これは経済の原則ですよ。なぜ所得補償の農産物の価格政策をやられたかと申しますと、いまの日本の農業の実態から、やらざるを得ないから、農民の保護政策というよりも、産業政策として農業政策でとられた。これは何も農民の保護政策じゃないですよ。大きく見ると、純粋な経済学から見るとそう見えるけれども、日本の政治経済から見ると、そうではなかったわけですね、戦前、戦中、戦後を通じて考えた場合。したがって、その所得補償の価格政策の運用を改めて構造対策によるということは――この構造対策はまだ政府ははっきり出していないのですね。ぺ−パープランとして出ておるかもしらぬけれども、実際は、米の減反、減産ということで出しておりますけれども、この農業の構造対策についてどういうものが出て、それが自然に価格政策に影響するということが私はたてまえだと思うのだが、この順序から見ると、私はどうも同列に、しかも先に所得補償制度を変えてしまうというような考え方があるから、この点だけ明らかにしてもらいたい、こういうことです。
#66
○国務大臣(佐藤一郎君) 構造政策が農業にあるかどうかということは重要でありますが、もちろん、政府は構造政策というものを今日まで進めてまいってきております。ただ、それがあるいは総合農政という名前で言われたり、あるいは構造改善というようなあいまいなことばで言われたり、いろんな形でもって言われております。したがって、御指摘のように、どうもはっきりとした一本太い構造対策というものが欠けているのじゃないかという御質問にもなろうかと思うのでありますけれども、御存じのように、政府は今回の国会にも農地法の改正を出しておりますし、それからいわゆる生産力の増高のためには、御存じのように、各種の農業投資を推進する態勢を示してございます。そうして、また、その間にあって、総合農政ということで、各種の融資その他を通じて、いわゆる業種の転換等もはかってまいる。まあ余剰米の処理ということは、いわば窮余の一策的な点もないではありませんけれども、しかし、これもいやおうなしの、そういう意味での生産構造の改革ということを迫られているわけでございます。そういう意味において、いろいろの角度からまあこの構造対策を進めてまいる。あるいはまた、農業人口というものも本計画においては逐次減少してまいります。でありますから、いわゆる単なる労働生産性というか、一人頭の生産性というものの向上においても、おのずから一定の高い目標を持っておるわけであります。そういうようなことで、一人頭の労働生産性の向上をいかにしてはかるか、こういうことについては各種の対策を講じていかなければなりませんし、まあ及ばずながらそういう方向でいまやっていると思うのであります。また、所得につきましても、御存じのように、いま一番重要な兼業農家の問題がございます。残念ながら、わが国においては兼業農家の比率が非常に高い。そこで、いわゆる農外所得をいかにして確保するか、こういうような問題も、これは所得対策として展開をしようとしておるわけでございます。なかなかこの効果が目に見えてないうらみがあるのでありますが、しかし、これを三年、四年の時限でとらえてみますと、やはり相当進んでいる点もある。こういうふうに私は考えておりますが、しかし、今後は、いままでのようなテンポでなく、さらにこれを積極的にやってまいらなければならない、こういうことが、この気持ちに出ておると思っております。
#67
○山本伊三郎君 ちょっと飛ばしますけれども、私がここでいま言ったのは、価格政策を進める前に、いまの経済の実態、原則からいうと、構造対策というものが進められていくことによっておのずから価格対策というものが必要なくなる、そうすべきであって、所得補償を変えてしまうということは、これはもう私は、うたわんでも、あとの、後段の問題が積極的に出されたならば、自然にこれはなくなるものである、こういう認識におるんです。それを私はぜひ考えてもらわぬといかぬ。だから、所得補償制度、価格政策、これを変えるのだというようなことを言われている、私はそうとるのです。後段のほうがまず大事であって、上のほうが、後段のものを完全にやっていくことによって、なくなっていく、こういう考え方でやってもらいたい。その点はどうかということで、あとのことは言わぬでよろしい。
#68
○国務大臣(佐藤一郎君) これは「物価の安定」という課題のところで取り上げているものですから、こういう表現になっております。あとのほうで、御存じのような「高生産性農業の実現」というところでは、御指摘のような角度を中心にして議論をしているわけであります。
#69
○山本伊三郎君 そこで、それに関連して、ちょっとあとに飛びまして、少し気にかかることは、二三ページですね。二二ページの一番下の第三、輸入政策、この問題についての考え方と一緒に考えてもらいたい。
 いまの農業の問題、農業は低生産性ですから物価の引き上げの一つの大きな要因である、こう言われておるのですが、これと同時に、残存輸入制限、いわゆる制限品目が農産物に多いのですね。比軽的多いのです。それを、価格安定のために、大いに残存輸入制限を撤廃とは言わないけれども、できるだけなくしていこうという趣旨だと思う。これも大きな政策の転換である。そういうことが具体的にどういう方法でやれるのか。直ちにこれをやれば、いまの現状では、日本の農業は諸外国と対抗できませんから、一ぺんに押し流されてしまう。したがって、物価の安定という立場から、どういう方法で、輸入制限品目をどう処理していくのか、この点を関連してひとつ聞いておきたい。
#70
○国務大臣(佐藤一郎君) これは、後段にも書いてございますけれども、「輸入制限品目の自由化の促進」、これは、御存じのように、現にやっているわけであります。それから「輸入割当の枠の拡大」、これも、先般の閣僚協議会において、まず一律二%のワクを設けるというような点から積極化そうとしているわけであります。それから「関税の引下げ」、これも、御存じのように、ケネディラウンドの繰り上げというようなことでやってまいろう、こういうことでございます。そうして、輸入段階での競争条件を整備するということであります。もちろん、これらを取り上げるにつきましては、そこにも書いてございますが、「国内産業への影響を考慮して必要な措置を講じつつも」と、ものによっては、こうした調整措置を講ずる必要のあるものも当然ながら出てまいるわけでございます。そうしたこと、あるいはまた、従来どおりに緊急輸入というような対策も、これは当然とってまいらなければならない。こういうふうに考えています。
#71
○山本伊三郎君 そういうことは聞いておらぬ。これは文章に書いてあることですからね。読めばわかる。現在、残存輸入制限で、まだ自由化されていないやつがありますね、重要な農産物で。そういうものを、どういうものをどうするかという、いま物価が一番問題になっておる、その場合に、どういうものを輸入制限をはずしたらいいんだかということをどう考えておるかということです、具体的に。
#72
○国務大臣(佐藤一郎君) 御存じのように、現在、百二十品目のうち六十品目を四十六年の末までに自由化すると、こういうことになっております。その六十品目のうちで大体全体の三分の二というものを四十五年の末、つまり本年の末までに三分の二の自由化を行なおうということでございます。でありますから、六十品目のうちの三分の二の四十品目は本年の暮れまでにやる。そのうちで、二十二品目でしたか、すでに自由化の決定しておるものがございますから、あと十八品目についてこれの決定を行なわなければならない、こういうようなことになっております。これはもちろん農産物以外も入っておりますけれども、この大部分が農産物でございます。
#73
○山本伊三郎君 品目を私はもらっておらないのですがね。二十品目、そのうちに――私はきょうの資料を探してもないんですがね。十三品目くらいは非常に日本の農業に大きい打撃を与えておるということですがね。経済企画庁としては最後まで輸入制限をはずせないという品目はどういうものであると一応認識をされておりますか。
#74
○国務大臣(佐藤一郎君) いまちょっとここに品目の表を持っていないのですが、六十品目まだ残っています。四十六年末になりましても六十品目残っています。この六十品目についても、なおできるだけすみやかにこれを繰り上げて自由化すべきであると、こういう議論が強く、そうしてやはり政府もできるだけその方向に持っていくつもりでおりますが、やはり当然のことでありますけれども、その残りの六十品目のほうに、日本の農業において相当影響のあるものが入っておることは事実でございます。これは残りの六十品目を繰り上げて行なうかどうか、どの品目を取り上げるかということは、今後の検討に待つことになっております。その検討の際に私たちとして十分に考慮しなければならない問題であります。また、日本の農業に影響を与えると申しましても、それについての調整措置をもちろん講じるということを考えておるわけであります。
#75
○委員長(横山フク君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#76
○委員長(横山フク君) 速記を起こして。
#77
○山本伊三郎君 それでは、それはあとにしまして、それから二四ページ、最後にまた重要な問題が書かれておりますね。これはまあ物価安定の総括として、最後のくくりに書いてあるのですが、中ほどに、「経済全体としての生産性、賃金・利潤など諸所得の上昇が均衡のとれた形で行なわれる必要がある。しかし、今後、賃金その他の諸所得の上昇が加速化し、それが物価上昇に影響する程度が強まることも懸念されている。もし、生産性上昇のいちじるしい分野で、これを価格に反映させることなく高賃金、高利潤を実現するとすれば、それが全般としての賃金、物価の上昇に波及するおそれもあろう。したがって、企業レベルでの価格、賃金の決定に際しても、国民経済的配慮が加えられ、価格引下げなどを通じて生産性向上の成果が国民経済全般に配分されることが重要であり」、こういうことを書いてあるのですがね。この文をこのまま見るとそう疑問はないのですが、いろいろ検討してみると、やはり所得政策ということも一つの問題であるということをここに表現されておるのではないですか。
#78
○国務大臣(佐藤一郎君) 御存じのように、この経済審議会の中に熊谷委員会というものができまして、そうしてまた、さらにその中に馬場委員会というものができまして、そうしてこれらの問題についていろいろと検討したわけであります。その結果といたしまして、今日におきましてはまだいわゆる国民的なコンセンサスを得るのには時期尚早である、あるいはいわゆる所得政策の基本となるところの基本的な意味での平均生産性の数値を求めるのについてなお技術的に検討を要するものがあると、こういうようなことで、いわゆる所得政策に踏み切るということについては、まだそこまでいくのは早いと、こういうような感じの結論を出しておるわけであります。で、その結論を出しつつも、一方において、そうした委員会において検討されましたところの問題点をここに出しまして、そうして、しかし非常に重要である、所得、賃金、利潤、価格、生産性、これらの相互関連において今後の経済発展というものを考えていかなければならないという問題をここに指摘しておるという形になっております。
#79
○山本伊三郎君 まあこの文章は、なかなかぼくは、この点はあいまいにしておると思うのですね。一番最後にこう書いておりますね。一番下から四行目です。「こうした観点から国民経済における物価、賃金・所得、生産性の関連については、労働組合や経営者なども含めた国民各層の合理的な議論を通じて、本問題に関する一般の理解を深め、広範な世論を背景に物価安定に努めることが必要である。」――これはまあ、いま長官が言われたようなことを結論の結びにしておるわけでありますけれども、ここで政府はいわゆる所得政策の考え方をほのめかしておると私見ておるのです。否定はしておらない。この文章は否定はしておりません。ただ、その所得政策というものについては、いま熊谷報告の話もありましたがね。これはまあいろいろ論議があるところでございますわね、御存じのとおり。しかし、これは諸外国と同じように考えてはいかぬ。日本は日本の賃金制度がありますわね。賃金水準があるのですから――私いよいよ結論に入りますがね。こういう所得政策を入れるという考え方をとってくるところに、私はわからない、どういう考え方なのかね。で、日本の賃金は低いということは、これはまあ数字でわかる。わかるけれども、一方、諸外国、特にアメリカあたりから比較すると、アメリカは、物価は、上がる速度は別といたしまして、もともと物価は高いという説が言われていますね。家賃でも、比較すると。したがって、政府は、賃金を押えたら物価は押えられるという観念でおられるかどうか。循環性ありますよ。経済論からいえば循環性はありますよ。賃金はコストに入っているのですから。しかし、いまの日本の現状から、賃金を押えたら物価も上がらないのだという結論に考えられるかどうかということですね。これ、長官に一ぺん聞いておきたいと思います。
#80
○国務大臣(佐藤一郎君) もちろん、政府がとっておりますところのいわゆる成長政策というものは、国民の所得の上昇ということを最大の眼目にしておるわけであります。したがって、賃金の上昇ということも、これまた重要な目標でございます。問題は、ここに指摘してありますように、他のいろいろな関連する部門とバランスのとれた上昇が望ましい、こういうことを指摘しておりまして、賃金がある段階におきまして唐突に非常に高い上昇率でもってどんどん上昇が進んでいくということになると、ここに書いておりますように、それが逆に価格にはね返ってまいる。企業としては、生産性の急激な上昇によって吸収するということが必ずしも可能でなくなりますから、そうすれば結局物価にそれを転嫁をする、こういうようなことをして、そうしてつじつまを合わせる、こうせざるを得ないようなところに追い込まれる、そうした意味での段階、こういうものについてはやはり警戒しなければならない、こういうことをこれは指摘しておるのであります。でありますから、何も賃金の上昇を抑制するとか、そういうことではもちろんございません。ここに書いてありますように、ここにあげております諸項目というものはやはりバランスをとって発展をしていくことを望んでおる、こういう意味であります。
#81
○山本伊三郎君 長官、あなたはたまたま重要な発言をされるのですがね。異常な賃金の上昇ということばを使われましたね。異常な賃金の上昇ということは、一体それはどういうものをさして言われるか。私は、異常な賃金の上昇ということは、いまの状態では、あり得ないと思う。それは、今度の春闘を通じてのいわゆる経営者の間の相場も出ておりますがね。克明にあの内容を審査すれば、異常な賃金の上昇ということは言えない。過去十年さかのぼっても、ないですよ。いまの一般労働者の賃金の状態から見て、異常な上昇ということはあり得ない。異常な上昇というのは一体どこをさして言われるのか。物価に反映し、非常に物価の安定に問題になり、所得政策を考えなくちゃいかぬというような異常な賃金の上昇というのは、どういうものをさして言われるか。
#82
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、いま申し上げましたように、相当部分の企業が、結局、生産性の上昇でもって吸収できない、価格に転嫁する以外には方法がない、こういうようなことになると、やはり問題になってまいると思います。
#83
○山本伊三郎君 そういう抽象的な答えですが、それはあまり追及しません。私は、言っておきますが、異常な賃金の上昇というのが、過去、戦後ですが、あったことはないと認めますね。もしそういうものがあったとすれば、その企業は全くつぶれてしまいます。したがって、私は、いまの、何といいますか、大きいメーカー、産業を見て、そういうものはあり得ない、まだむしろ賃金のほうがおくれているという考え方をとっております。これは見解の相違か知りませんが、もし皆さんがそう言われるならば、具体的に、たとえば鉄鋼の賃金はこれだけ上がっているが、これは異常なものであるというデータを出してください、その上で論議しましょう。抽象では論議がやれません。もし物価に関連するそういうものがあれば指摘していただきたい。きょうはそれだけ言っておきます。
 そこで、私は物価の上がる原因を前から見ているのですが、これはあなたのほうでつくってもらった消費者物価上昇の推移です。三十五年からとっております。四十三年、四十四年、これ、もらったのですがね。これを見ましても、一番物価をプッシュしている要因というのは生鮮食料品ですね。これがずっと、平均五%、六%といっても、たとえば四十二年を見ましてもね、生鮮魚介は一四・一%上がっておる。平均は四・二%と言っておるけれども、そういうことで、実は大衆消費品目と申しますか、そういうものが大きく上がってくるのが、この物価をつくり上げておる要因ですね。野菜類もそうですね。こういうものは、政府はどう考えているか知りませんが、いままでいろいろ手を打っておられますけれども、天候に支配されておる、それから日本の沿岸漁業が非常に衰退をしておるので、生鮮魚介類が非常に値上がりする……。私は、この個々の対策というものをなおざりにされておるんじゃないかと思うんですね。いま、米ができ過ぎるから減反せよと言っておられるが、減反するならば、これを生産地指定かなにかによって、うまくコンスタントに野菜の提供ができるような施策というものがないのかどうかと思う。少しでき過ぎると、キャベツでも、市場に出すと値が下がるからといって、みなつぶしてしまう、捨ててしまう、というような現象がありますね。ああいうものはなかなか冷蔵庫なんかで長期保管はできないし、したがって、ぼくは、そういう場合にはどうしても生産地指定をして、ある程度コンスタントに提供できるような施策というものが必要だと思う。これは単に経済企画庁だけでいきませんが、経済企画庁に物価安定という立場から私は質問しておるんですが、各省、特に農林省あたりと協力して、そういうものを総合した施策がとれぬものかどうか、そういう道はないかどうか、この点、ひとつ聞いておきたいと思うんですね。
#84
○国務大臣(佐藤一郎君) 全く私も同感でありまして、そこいらの点が、やはり今日において一番基本である。天候が直接の原因なんですが、結局、そうした天候に支配されるような態勢が今日まで続いているところにやはり問題があるわけであります。最小限野菜のような場合にはやむを得ない点もあるのでありますが、いま御指摘になったような点、やはり従来もこれはある程度やってまいったと言っておりますけれども、まだまだ不十分である。もっと全般的に、そうした意味での主産地の形成であるとか、それから今日はいわゆる作付統制を行なうことはできませんけれども、情報時代でありますから、作付についての全般的なレビューというようなことは十分に可能なはずであります。しかし、その点については今日十分行なわれていないうらみが非常に多いというのは、私はまことに残念に思っております。こういう点をやはりこれからの一つの――物価対策というのはただこれだけではありませんけれども、重要な課題としてわれわれが扱わなければならない、こういうふうに考えています。
#85
○山本伊三郎君 これは物価対策というより、国民生活としての基本、根幹ですから、特に具体的にやらなくちゃいかぬ。政治はそうだと思う。抽象的なものは学者にまかしておけばいい。学者はうまいこと書きますから。具体的にこれをどう消化して政策にあらわすかというのが政治の問題ですから、したがって、都会を中心に、いま減反をしておるのですから、そういうものを無駄にせずに、生産地指定をやって、そこには国の補助金も要るかもしれませんけれども、東京周辺はこの地域については野菜の供給はこういうことでやるのだということは、統制経済でなくても、私は、そういうものは、われわれの立場は別にいたしましても、できると思う。そういうものを無駄にやっておる。お百姓は自分の生計を考えるから、もうけるためにやっぱりやります。そういう無計画な形が今日の物価を上げておる原因である。なぜできぬか。一部やっておる。名古屋地方では生産地指定をやっておる。それがあいまいです。もう少し、統制と言わなくても、計画経済と言わなくても、やり得る道は私はあると見ている。府県ではやっておるところもあるようでありますが、そういうものをやれば、ある程度コンスタントに野菜なんかの配給と申しますか、できると私は自信を持っておるのですが、そういうものは政府はやれないものか。
#86
○国務大臣(佐藤一郎君) もちろん、やれないことはないと思います。今日はいわゆる誘導政策ということで、いま御指摘のような野菜の主産地の形成というようなことを今日もやってきております。ただ、まあ不十分な点があると思います。ですから、もっと積極的にそうした点を進めてまいる。もう昭和三十年代に、御存じの出荷安定法ができて以来、ずいぶんこれも進めておるのでありますけれども、まあ従来、野菜価格が非常に不安定である、豊作の後には必ず暴落がある、高値のあとには暴落がある、こういうようなことで、どうもそうした点からも促進を妨げる要素もあったと思うのでありますけれども、今日は、米もこういうふうに過剰であります。そして、いわゆる米だけを重視する、こういう農業政策というものがいま修正されつつあるところでありますから、そういう意味においても、ちょうどいい時期でございます。この野菜のいわゆる指定産地、これは今日五百以上あるようでありますが、そして全体の出荷の六割ぐらいがなっておるようでありますが、これをさらに追加をいたしまして、そしていまお話のあったような方向に持っていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
 それからなお、先ほど御指摘のあった点、ちょっと政府委員に……。
#87
○政府委員(八塚陽介君) 残存制限品目のうちで、自由化がなおかつ未決定でありますいわゆる六十品目の中の主要な農産物について例示的に申し上げますと、生きている牛あるいは豚、あるいは牛肉、豚肉等の畜産物、それからブリとかニシンとかイワシとかいう魚類、あるいは魚類の卵でありますタラの卵、ニシンの卵というようなもの。それからまた、チーズにいたしますと、ナチュラルチーズは御承知のように自由化されておりますが、プロセスチーズは自由化されていない。自由化の予定にまだ決定いたしていない。そのほか、たとえば関税の分類では一緒になっておりますが、部分的に自由化いたしたものとしてはグレープフルーツがございますが、残りのオレンジについては、なお残り六十品目のほうに入っております。なお、米あるいは麦、小麦というようなものも、残りの六十品目の中に入っておるというような状況でございます。
#88
○山本伊三郎君 これは次にまた論議をすると思いますが、私は、国際経済の関係から、残存輸入制限品目の撤廃という問題は、経済の理論からはそうあるべきだと思うのですが、しかし、日本のいまの実態、農漁村の実態からの政治問題としての問題は別にして、経済問題としては、生産費理論から言えば、生産のよくできる安いところのものを全世界の国民が消化したらいいんですからね。しかし、いまの状態はそうはいかないのです。アメリカ自体も、どうもおかしいのです。貿易の自由化と言いながら、繊維については貿易を制限しろということで、どうも政府もがんばっておるようですけれども、これは経済の理論の問題じゃない。アメリカの政治の問題がそうなってくるので、――まあこれはいずれ機会がありましたら、また論議をしますが、そういう点は、もう少し政府はきちっとした政策を出さないと、農民も非常に不安を持っておりますから、そういう点はひとつ、今後六十品目についてのこの計画からいくと、単純に輸入制限を撤廃するとは言っておらないけれども、そういう方向に向いていくということを表明されておりますね。これは私は、佐藤さんが閣議で発言されて、今後五十年まで六年間にどういう方法で、どういうものから撤廃する、というスケジュールというものを出してもらいたい。それの約束はできますか。
#89
○国務大臣(佐藤一郎君) いま申し上げましたのは、先ほど申し上げました百二十品目のうちの六十品目の残りでございます。これは、これから政府部内で検討いたしまして、そうして自由化をするかどうかを今後の課題としているものであります。でありますから、すぐ早急に、どれを自由化するとかしないとかということにはなかなかまいりません。今年中にこれをまだ――すでに決定しておるものもいま実行中の段階であります。今後これを検討してまいる、そうして必要に応じて自由化をしていけるものはしていかなければならぬ、こういう態勢であります。
#90
○山本伊三郎君 これはそういう意味の文章ですか。これは重要に見ておったのですが。これによると、残存輸入制限をとにかく貿易の自由化ということで、できればそれも撤廃をするという方向に向いていくものだ、こういう趣旨で、ただいまそういう方針であるけれども、その品目については今後検討していこう、最終段階ではすべて貿易の自由化という理想に向かっていこう、こういう表現であるということでとっていいですか。
#91
○国務大臣(佐藤一郎君) おっしゃるとおりであります。
#92
○山本伊三郎君 それでは、あとの検討される六十何品目について――これは重要な、われわれも関心があります。国民全体関心がありますから、この六年間に今後六十品目をどういうぐあいに全部、早いやつ、おくれるやつなんかを考えてやるかという、そういうものを、できれば検討して早く出してほしい。
#93
○国務大臣(佐藤一郎君) ちょっと誤解があるいはあったかと思うのでありますが、もちろん、この六年間自由化しないという意味ではございません。現在の六十品目は四十六年の末までに行ないます。それで、四十六年の末までに行なうものは一応きまっておりますけれども、残りの六十品目のものを繰り上げて、やはり四十六年の前にやれるものもあるかもしれないし、それから、そうはいかない、やはり四十六年以後になるものもございます。そうしたものを政府部内で早急に検討しなければいかぬ、こういう段階でございますから、もちろん、逐次これが検討いたしましてその結果が出る場合もありますし、まだ検討がしばらく続くものも出てくると思います。これは、まあことし、本年中はこの検討は続けられると思うのであります。
#94
○山本伊三郎君 最後に。たくさんあるけれども、時間が来ましたから最後に。
 金融問題で、金融機関の体制の問題もいろいろ論議されておりますが、それはまた時間がかかりますから。−経済成長、いわゆる国民総生産と通貨との関係ですね。まあ、あなた大蔵省におられて、ベテランですから聞いておきますが、三十五年度の国民総生産が十六兆二千七十億、これに対して総通貨が四兆一千八億、その内訳は、現金通貨が九千三百十九億、預金通貨が三兆一千六百八十九億、その国民総生産と総通貨との割合が二五・三%。中途の年度を省きます。四十三年度の国民総生産が五十二兆七千八百三億、総通貨量が十四兆八千百七十億、現金通貨が、そのうち三兆一千九百八億、預金通貨が十一兆六千二百六十二億、その比率が二八・一%というデータが出ておりますね。経済成長のテンポに合わせて通貨の量のふえるということは私は理解ができるわけなんですが、国民総生産、いわゆる物と通貨との割合が変わりつつあるという現象は、三十五年には二五・三%、いわゆる二割五分、国民総生産の四分の一くらいが通貨として、現金、預金も合わせてあるが、四十三年には、これは二八・一%、これはまあ三分の一には達しませんが、割合がふえてきておる。言いかえれば、物のあり高よりも――国民総生産だから、物だけではありません、サービスもありますけれども、その通貨割合がふえていくということは――私は貨幣数量説を支持するものじゃないですよ。だけを支持するものじゃないのですが、これは、国民総生産が上がれば上がるほど無制限に伸びていいものだとは思いませんから、どういうところにその限界があるのですか。これは日本銀行の発券高にも関係がありますが、これはどういうことになってるかということの説明だけ聞いておきたいと思います。
#95
○国務大臣(佐藤一郎君) この点は、通貨と物価との関係というのは、学者の間でも、御存じのように、学説が正反対のものに分かれているというような現状でございます。通貨はむしろ財貨の取引上の結果である、あるいは、いや通貨量がやはり物価を規定するんだ、いろいろ議論がございますが、しかし、いずれにいたしましても、この通貨の発行量というものが物価とたいへん深い関係がある。そういう意味において、私たちはこの指標というものをゆるがせにしないで扱わなきゃならぬ。これだけははっきりしております。そういう意味で、通貨の発行量というものを常々見なければならないんでありますが、その際に、やはり当然のことでございますけれども、取引量、この取引量の増大というのは経済の成長に即してふえてまいるわけであります。それで、この経済の成長に即して必要な通貨というものを供給する、こういうような範囲で通貨がふえてまいる、これは当然でもありますし、好ましいことであると、こう言えると思うのでありますが、問題は、この間に価格の上昇というものが非常な影響をいたしまして、そうして一定の限度以上――この一定限度というのは、われわれとしてはいわゆる過去の経験則による以外ないのでありますが、大体過去の数値というものを見まして、そうして異常な増加率を示すというようなときには、これはわれわれは非常に警戒をしなければならない。こういうふうになるわけであります。
 で、御存じのように、昭和三十六年ころになりまして、いわゆる年の増加率が非常に高くなってきております。ただいまも通貨の増発率は相当高くなっていると見られます。これはまあ昨年から急に増発率が高くなってきております。われわれもこれを注目しておるんでありますが、まあ、そういう意味において、これが卸売り物価その他いろいろと影響を与えていると言うと言い過ぎでありますが、関連を持っておるであろうということで、たとえば今日金融引き締めに踏み切っておるような状況でございます。ただ、今日のところ、毎月のいわゆる増加率が大体二割前後、最近二割のちょっと内輪ぐらいのところに来ております。まあ三十六年あたりは二割五分くらいの増加率を示したときもございます。ああしたことにならないように、われわれとしては、この通貨をいきなり押えたからどうということにはなりませんので、混乱するだけでありますが、こういう事態の起こらないように諸対策を総合的に進めてまいる、これが非常に必要でありまして、まあ財政金融政策によって、そうした事態の起こらないようにやってまいることが肝要であると思うのであります。目下の金融引き締め等も、そうしたことも頭に入れてこれを実行しておるわけであります。
#96
○山本伊三郎君 ぼくの質問してるのはね。物の取引が盛んになり、いわゆる国民総生産がふえるというテンポに応じて上がることは、これは、おっしゃるように、やむを得ないと認めざるを得ないのですが、私の言ってるのは、国民総生産と通貨量、そのときの通貨が市場に出回っている、その通貨割合が非常に多くなりつつある。これは、私は、一つの大きい、インフレとは言わないがね、そういう傾向が出てくる一つのことになる、基礎になると思うんですね。経験から出されることはわかりますが、やはり一応そういうものを踏まえておかんと、私は非常にインフレへの傾向が出てくると思うのですね。どこまで検討されたかしりませんが、どこまでが認められる量であるか。勘というものはあやまちを犯しますから。いま自由主義経済ですから、各銀行が日本銀行に対していろいろ、何といいますか、担保その他を入れて金を借りてくる。日本銀行は政策委員会等々で考えて紙幣を増発される、こういうことであるが、数字から見ると、これは二八・一%、三分の一には達しませんが、ここまでが許せるのか、それとも、それ以上通貨が出るとインフレへの傾向があるのか。その限界がどこにあるのか。これも、経済成長が上がれば上がるほど、通貨量がふえるのはいいんですよ。国民総生産に比較して割合までも上がっていくということは、どこまでそれを許していいのかということを尋ねたわけです。上がることがいいとか悪いとか言ってないんですよ。どの点までを認められるのか。私は、どうも二五%、四分の一まで来ると問題があると見ているんですが、まだまだふえる傾向に――まあ金融引き締めでやっておられますけれどもね。これから見ると、年々の金融引き締めがあらわれておるのは、昭和三十六年に非常に押えられた、伸び率が一〇・三%しか伸びておらない通貨総量が、その翌年、三十七年に一ぺんに三四・九%というものをふやしておるんですね。ふえてきた。こういうことで、押えておるが、その反発がばっと出て、翌年はうんとまた出てくる。こういうものでいくと、総体から見ると結局ふえてきているんですね。割合ですよ。国民総生産に応じて、物のあり高に応じて、どの程度の通貨が適量であるか。
#97
○国務大臣(佐藤一郎君) これは、絶対的に何%でなければならないという数字はないのであります。でありますから、先ほど申し上げましたように、過去の経験値というものを見なければならない。特にこのうちの現金通貨部分については、過去の経験値というものが重要でございます。もちろん、現金通貨の需要というものは、消費者物価が上がったりする段階において比較的にふえるのでありますが、これは従来は比較的安定をしておりました。結局、これが動く場合というのは、預金通貨の場合でございます。この預金通貨の場合というのは、結局、これは貸し出しがどれだけふえるか、こういうことでございます。まあ、貸し出しのふえ方というものは、実質的な経済の成長の伸びに即応しておるかどうかということが一つの判断でございます。
 で、ここにございますのは、国民総生産、これは名目で出ておるのであります。でありますから、これからいきなりすぐ、どうということは言えないのでありますけれども、昭和三十七年の二八・二%というものから、大体そこらの前後、不況のときは三〇に達しましたけれども、なってきております。でありますから、これはちょっと古いんで四十三年、四十三年ですが、まあ大体こんなところまで、まあまあというところだと言ってもいいと思います。この以後、四十四年の数字がまだ出ておらないようであります、いま聞きましたら。これよりちょっと上がるだろうと私は思っております、最近の情勢から見まして。ですから、こういう点は、これをすぐ押えるということじゃなくて、これを見て政策というものをもう少し引き締めていかなければならぬ、こういう一つの指標にしなければならない。こういうふうに考えています。
#98
○山本伊三郎君 ぼくはね。長官の言われることを十分知って言っているんですが、ぼくはどうも、政府は、政府だけでなしに金融界も、てまえみそでやっておると見ているんですね。四十四年はふえますよ。かなりふえますよ。土地の取引が非常にひんぱんになっている。土地は物をつくらない。取引の中で金がふえていく。四十二年や四十三年よりもずっとふえていく。経済の実態はそうなんですよ。
 物の生産ではなくて、取引の上だけで大きな金が動くんですよ、土地の場合は。したがって、今度の高額所得者はみな土地の売買でなった人が多くなっていますね。佐藤さんも専門家ですから私はここで言いませんが、四十五年はずっとふえていきますよ。それをどう吸収していくかということ、この政策については私は言いませんから、考えておいてください。
 きょうはだいぶ長引いて御迷惑をかけているんですが、最後に、センターですが、これはひとつ触れておかないと質問者の役に立たないんですが、鈴木さんからいろいろお話がありまして、やられたようですが、この提案説明を読んで趣旨もわかりましたが、これをやるまでに、ただ一つ、どうも非民主的と思うんだが、いままでの国民生活研究所ですか、前のところですね、そこの職員とか、そういう方々に相談をせぬと、突然こういう法律案を政府はやったということを聞いておるんですが、そういうことはあるかないか、身分はどういうぐあいに変わっていくか、この点、ひとつ聞いておきたい。
#99
○国務大臣(佐藤一郎君) 決して唐突にこの法律案を出したというわけではございません。その経過については、ここに研究所長もおりますから、ひとつ研究所長から……。
#100
○参考人(浅野義光君) 国民生活センターの話が出ましたのは、たしか昨年の夏ごろだったと思いますが、私どもはセンターについての問題を若干聞いておりまして、その内容も若干知っておったわけで、原則としては賛成であるというふうに考えておったわけです。八月末ごろになりますと、センターの設立についてというような発表文も出てまいりまして、私どもとしましては、職員一同を集めまして説明を加え、研究もずっと続いていくというようなことで協力するようにという話をいたしました。十月ぐらいになってまいりますと、内容もある程度はっきりしてくるという段階で、この場合でも全員を集めて説明する。さらに部下を通じて、担当理事あたりからも説明をされるというようなことでございます。いろんな意見も職員あたりから出ておりましたので、そういう点につきましては企画庁にもお伝えしておるというようなことでございまして、法案ができました際は法案も配付するというようなことにしております。それからさらに、研究所内の総務課を中心といたしまして、センター移行に対してのいろんな問題点等検討させる機関もつくって、勉強を目下させておる次第であります。
#101
○山本伊三郎君 そうすれば、そういう研究をしておる職員といいますか、そういう人にもいろいろと相談をして、それが賛成したかどうかは一応別として、こういうセンター、研究所というのは、職員というものが中心でしょう。そういう人の意思というものを重要視せぬといかないと思うんです。それはもう、いまの答弁で十分やってきたということに受け取っていいんですか。
#102
○参考人(浅野義光君) そのとおりであります。
#103
○委員長(横山フク君) 渡辺君。
#104
○渡辺武君 私は、この国民生活センター法案について幾つかの点を質問したいと思います。
 まず一番最初に、この法案の目的についてでありますが、もうこれはほかの委員からも御質問があったことではありますけれども、大事な問題でありますので、重ねて伺いたいと思っておりますが、今度の法案で、国民生活研究所が国民生活センターに変わり、予算もふえるし、機構も、以前に比べれば、かなり大きくなっていくということになっているわけです。提案理由の説明などにも、その目的などが書かれておりますけれども、このような研究所をセンターにして、大規模なものにするという理由はどこにあるのか。この辺をまず最初に伺いたいと思います。
#105
○国務大臣(佐藤一郎君) 前内閣のときから、かねがね、今回設立いたしましたような目的、つまり、国民の消費行政の充実ということが考えられておりました。そして、それには、まず、そのために必要な、もっと幅の広い情報の提供ということが必要である、あるいはまた、苦情、問い合わせ等についていろいろの機構があるけれども、どうも球を投げ合うようなことで責任の回避の行なわれがちな運用が見られがちである、そうしたようないろいろな点もあり、この際とにかく国民との対話、消費者との対話ということをもっと実現し得るような機構が必要ではないか、たまたま国民生活研究所というものがございましたので、これを拡充いたしまして、一面において従来の研究というものを継続しながら、他面においてそうした消費行政の推進に投立つ新しい機構にしたい、これには、一つは、政府の関係機関の設立ということが今日なかなか困難であります。そういうようなことで、既存の機関というものを拡充いたしまして、そうして、まあこれを実現してまいる以外にはなかろう、こういうことになったようなわけでございます。
#106
○渡辺武君 御趣旨はよくわかりましたけれども、いま国民の生活上に起こっているいろいろな困難、たとえば先ほど論議がありましたが、物価値上がりの問題や、あるいは公害や交通事故や住宅難とか、あるいは社会保障制度の立ちおくれというものを見てみますと、どの問題をとりましても、政府や大企業におもな責任があるというのがほとんどだと思うのです。ですから、いま長官が言われましたように、国民の消費生活の拡充と改善というようなところに目的を置いて、もし今後の業務をやられるとするならば、どうしても、業務の内容が、いわば政府の政策の被害者、あるいは横暴な大企業の被害者である国民の意見、これをよく反映したものであることが必要じゃないか、あるいは国民の生活実態に即したような業務の内容であることが必要じゃないか、こういうふうに考えます。
 そこで、この十八条を見てみますと、一番最初に、十八条の一に「国民生活の改善に関する情報を提供すること。」というようになっておりますが、この国民生活の改善なるものの理想像ですね、これは一体どういうふうに考えておられるのか、その辺をまず伺いたいと思います。
#107
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、今日の国民生活というものが、御承知のように、経済成長下にありまして比較的所得が向上しつつありますけれども、同時に、その反対の現象、公害でありますとか住宅難でありますとか、あるいはまた交通問題でありますとか、各種の問題が起こっている。それからまた、何といいましても、御存じの物価高の問題が起こっている。こういうような非常に広範にわたる各種の問題がございます。そこでまた、政府の政策は、最終的には、国民生活の改善、その中身は所得の上昇を中心とするのでありますけれども、しかし、実質的な所得の上昇ということでありますから、あくまでも国民生活の改善ということが当然政策の中心でなければなりません。
 そこで、いま指摘したような諸問題について、これはそれぞれの所轄において政策の遂行をやってまいる、そうして経済企画庁等において、いわばこれの目標的な指標というものを常々用意するようになっておるのは御存じのとおりであります。そうした指標を踏まえて政策の目標を立てた上でもって、各種の立法が行なわれてまいる、行政の運用が行なわれてまいる、そういうことで、国民生活の改善ということを中心にして今日の政策というものはなければならない。これが、当然のことでありますけれども、今日のわれわれの置かれている立場であります。それには、ただ、政府が立法し行政するというのでありますけれども、同時に、国民の皆さんの意見というものを十分に伺わなければならない、反映しなければならないことも確かであります。また、そうした行政政策を実行する際において、情報というものは非常に重要な役割りを果たすのでありまして、国民の皆さまが消費者として行動される際の情報というものを提供し、そうして国民の皆さまの御意見を伺う、こういうような広い意味での、いわば国民の皆さまとお話をしながら政治をやっていかなければならぬという、そういう意味の国民生活の改善の方向でなければならない。そういう趣旨から、やはりこうしたものの設立の動機が出てきたと、こういうふうに考えられます。
#108
○渡辺武君 いまの御答弁を伺っておりますと、政府のさまざまな施策ですね、その方向に沿って国民との対話ということを考えていらっしゃるような感じが非常に強いわけですけれども、しかし、具体的な問題で伺ってみますと、衆議院の物価特別委員会で山口政務次官の御答弁によりますと、センターの業務のおもな内容は、物価、それから交通事故、危険食品、教育、社会保障などに関する情報を広く国民に提供することだというような趣旨のことを御答弁されているわけですね。ところが、この物価の値上がりの原因はどこにあるのか、あるいはこれをどうしたら解決できるのかというようなことについての国民からの問い合わせがあった場合、いま政府が盛んに物価の問題で強調しておられますのは、物価値上がりの原因としては農業や中小企業の生産性のおくれだ、あるいは流通近代化のおくれなのだ、そうしてまた、賃金が生産性以上に高まっていく場合に物価が上がるというようなことを盛んに言っておられる。そうしてまた、その原因論から、物価対策なるものも、農業の近代化、中小企業の近代化、いわゆる流通の近代化というようなこと、あるいは先ほども論議もありましたけれども、賃金について適切な政策というようなことを盛んに言っておられるわけですね。ところが、政府のこうした物価政策が実は的はずれなものであって、したがって、また正しい解決策ではなかったということは、もうすでに物価そのものが相ついで値上がりを重ねているということに、はっきりあらわれていると思うのですね。国民は、やはりいまの政府の言っていることとはまた別な見地から物価の原因なり解決策を考えていると思うのです。もちろん、私ども共産党も、政府のいまの物価値上がりの原因なり対策なりについては、もう根本を、一番大事なところを、落っことしたものだというふうに考えているわけですけれども、そういう場合に、一体、このセンターの提供する情報というのは、政府のいまとっている見解に基づいての情報になるのか、それとも、また独自にセンターとして、物価値上がりの原因はどこにあるのか、解決はどうしたらいいのかというようなことを検討して、そういう情報を提供されるのか、あるいは、政府の見解以外にあるさまざまの見解ですね、これを情報として提供するものなのか、その辺を伺いたいと思います。
#109
○国務大臣(佐藤一郎君) もちろん、国民センターにおいては啓発ということも一つの大きな仕事であります。それについていろいろと見解の分かれるところがあるかもしれません。しかし、これは一応独立の組織として運用するのでありますから、その会長なり、あるいは理事長なり、そうした首脳部の考え方によってこれが当然運営されていくべきものと考えます。政府のやっていることがすべて間違っているのだという、こういう前提では、私どもはまた何をか言わんやということになるのでありますけれども、個々の具体的な問題について見解の相違がある、そういう際に一方的な見解を押しつける、そういうようなことを別にこちらとして当面考えていることではないのであります。できるだけひとつ、そうした点については客観的であるようにつとめるのが、やはり本筋であろうとわれわれも考えておるわけであります。
#110
○渡辺武君 佐藤首相が二月の二日の日に首相官邸で行なった記者会見によりますと、国民生活センターを設けたことについて述べられてあとで、この面で物価を指導していくのが大切だというようなことを言っておられるのですね。ですから、この辺から考えてみますと、今度のこのセンターをつくった大きな目的の一つですね、これは、確かに国民との対話を通じて政府の物価政策その他等々の政策を情報として提供するというところに大きなねらいがあるのじゃないかという感じがしますけれども、一体、政府の見解と反したような見解、あるいはまた政府の見解に批判的なような見解、これをセンターが情報として提供することができるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
#111
○国務大臣(佐藤一郎君) これは具体的な問題にならないと議論にならぬのでありますけれども、もちろん、このセンターとして十分に検討をした上で一定の結論が出ましたという場合においては、当然、センターが独自の判断でもって結論を出すべきものであります。
#112
○渡辺武君 そうしますと、なお具体的にこの物価の問題について伺いますけれども、現在の物価値上がりの一つの、全部とは言いませんけれども、一つの大きな理由として、原因として、大企業の製品が不当にコスト以上につり上げられているという点が非常に大きな比重を占めていると思うのです。で、最近、こういう面についても国民の調査がかなり進んでおりまして、私ここに一冊本を持ってまいりました。最近出た本で、新聞などに盛んに書き立てられている本です。「原価の秘密」という本ですね。この本などを見てみますと、とにかく、カラーテレビの例を申しますと、原価四万円のカラーテレビが十八万円で売られているとか、あるいは電球などにつきましても、百ワットの電球が、コストは十円だけれども、それが売り値は八十円から百円しているとか、その他、自動車等々の売り値と原価との対比がずっと出ているわけですね。どうもこういう、大企業が責任を負わなければならぬような物価値上がりの問題については、政府の発言はまことに、これはもう、いままで弱かったのじゃないかと思うのです。佐藤首相の今国会での施政方針演説の中にも、大企業に、生産性が向上したときには、その一部分を物価のほうに回すことを期待するというようなことが述べられている。私、いつかこの委員会で長官にも御質問しましたけれども、長官のこの委員会での所信表明演説の中では、大企業のこの問題については一言もお触れになっておらなかったというような次第ですね。ですから、私どもは、今後センターが活動していくにあたって、この物価値上がりの大きな原因について、はたして正しい情報を国民に提供することができるのかどうなのか、その点非常に疑問に思うわけです。で、大臣、その点について、国民から、これこれの商品について、売り値はこのくらいだが、原価はどのくらいになっているだろうかというような質問があったときに、センターはそれについて情報を提供することができるのかどうか、やはりその点をまず伺いたいと思います。
#113
○国務大臣(佐藤一郎君) そうですね。あまり色めがねで見てもいかぬと思うのです。これは最初から、大企業のやることは間違っているんだというわけにはまいらないと思います。やはり企業の存立というものが経営の前提になっておるわけでありますから、いろいろと発行されているものもあり、私も一々見てはおりませんけれども、非常に部分的な言説もあろうと思います。そういう意味において、今日においては、御存じのように、原価を積み上げて価格を形成するという経済体制ではありません。価格の形成というものは別に行なわれているわけであります。でありますから、そうした価格を前提にしていろいろな生活がまた行なわれておる。しかし、その中にあって非常に不当な事態があるというようなことがないようにするのは、これはやはり政府としても考えなければならない。そういう意味で、総理大臣の演説の中にもああいう指摘があった。これは私は別に否定はしておりません。問題は、窓口でもってそういう御質問を受けたときにどうするかという問題は、これは場合によろうと思いますね。そういうことを一々調査するというわけには、もちろんまいらないのでありますから、そういう意味の常識的な返答をする以外には、そうしたものについては答えることはできない。しかし、現在持っている資料によってある程度のことを答えられるものもずいぶんあろうかと思います。あなたのおっしゃるように、全部突き詰めて調査しておくということを前提にするならば、これは別問題です。これは今日このセンターが予定をしておる事柄ではありません。
#114
○渡辺武君 そうしますと、このセンターが提供する情報ですね。一体、情報源はどこから取ってくることになるのですか。たとえば、国民から、ある商品についての原価について問い合せがあった、これは立場は、いま長官のおっしゃるように、企業の経営その他のことも考えなければならないという立場を優先して考えるのか、あるいはまた、物価の解決ということを優先して考えて、そうして売り値よりもコストが異常に低い場合、それに近くもっと値段を引き下げろという立場もあるかもしれません。しかし、立場はとにかくとして、客観的な資料として、センターに、これこれの商品は売り値はこのくらいだが、コストは幾らくらいだという問い合せがあったときに、センターとしてはそれに提供する情報をどこから入手するのか。この辺を伺いたいと思います。
#115
○国務大臣(佐藤一郎君) 渡辺さんがよく御存じのように、企業に対してそういう検査権を持っているのは公取しかないのですから、このセンターにそこまでの責任を持てとおっしゃられても、それは無理だと私は思います。いわゆる情報の入る範囲内においてやる。これは、政府の各機関の既存の調査もありましょう。あるいはまた、地方団体からのものもあります。それからまた、窓口を通じて消費者から逆にそうした情報を得ることもできますし、いろいろな道を通じてそうした情報をキャッチをする、こういうことになるであろうと思うのであります。
#116
○渡辺武君 そうしますと、センターの提供する情報というのは、かなりこれは信憑性に乏しいようなものになるおそれがあるし、国民との対話あるいはまた国民の生活の向上、安定というようなことについて十分に役立つかどうかという点についても、かなり疑問符を打たなければならないという感じが強いわけですね。これは長官とは見解が違い、それが最大の案件かどうかということについては見解が多少分かれるとしても、しかし、大企業の製品の価格がコストよりかなり高いということについて、そうしてまた、これが現在の物価値上がりの一つの大きな原因になっているということについても、おそらく政府としてもこれは否定はできないと思うのですね。だから、そういう重要な問題について国民から情報の提供を依頼された、それについて十分な情報の提供をする権限もなければ機能もないというようなことでは、センターの役割りというものは十分果たせないのではないだろうか、こう思いますが、その点どうでしょうか。
#117
○国務大臣(佐藤一郎君) 渡辺さん、原価のことばかりおっしゃっておるけれども、原価だけが消費者の情報じゃないのじゃないですか。いろいろあるわけでしょう、御相談を受ける問題は。そして、その原価の問題等について調査権限もない。これはやむを得ないことであります。この法律は、そういうことを別に調査をするということまでも所期しているのではないのですから。それはそれでいけないという話であれば、これは別であります。それからまた、政府その他関係機関の情報というものは間違っているのだ、こういう前提では、これは私は困ると思うのですね。これはやはり、それぞれの専門機関というものがあるわけでありますから、ですから、そうした正規の機関の情報というものもまぜまして、しかし、それに限らず、広く情報というものを取り、またそれを提供する、こう申し上げておるのでございまして、およそできるだけ生活に関係のある問題を、広く、苦情処理等がありました場合に、御相談に応ずる、あるいはまた、一般的な情報というものをセンター自身のほうからも広く発表をする、今日でも、別にそういう調査に一切基づかなくても、そうした情報というものを流しておる事実も幾らもあるのでありますから、何も問題はそれだけに限る必要はない。私はこう考えております。
#118
○渡辺武君 少し、長官、神経質になり過ぎて、御答弁が、だいぶ私の質問したことからはずれておられるようですな。私は何も、この物価の問題について、大企業の製品の原価だけを、これを調べなければならぬというようなことを言っているわけじゃないのです。一番肝心な点の一つなんだから、その点について確かめてみたいと思って質問しているわけなんですよ。また、政府関係機関の発表する材料が全部間違っているのだというようなことを私一言も言っちゃいない。間違っていることもあるし、また部分的には非常に正しいものもありますよ。だから、私の質問からはずれて、そういうふうに曲解されても困ります。とにかく大事な問題でして、大企業の製品の値上がりというのは。やはりこの辺については、センターが独自な調査機能を発揮して、必要な場合には各企業にそれについての資料の提出を求める、そうしてまた、企業のほうでもそれについて資料を提出するというような制度を、このセンターの中でやるべきだと思う。そうして初めて国民の期待にこたえるようなセンターになるのじゃないだろうかというふうに思います。
 次に、公害の問題について伺いますけれども、たとえば、公害の原因や、それからまた発生源はどこだというような問題について、あるいはまた、健康や生命を守る上で一体環境基準はどれくらいであってほしいのかとか、必要なのかとか、あるいはまた、許容量がどれくらいであることが必要なのかというようなことについて問い合わせがあったとき、センターは一体どういう回答をされるのか。たとえば、一酸化炭素について、あるいは亜硫酸ガスについて政府の環境基準というものが一応発表されておるわけですけれども、その範囲内にとどまるものなのかどうなのか。この点も伺いたいと思います。
#119
○国務大臣(佐藤一郎君) 渡辺さんのいまの最後の、調査をするという話、これは私も賛成です。これは、手に入る資料というものは取って、そしてこれを研究する、これも必要に応じてなさねばならぬことだと思います。
 いまの公害等の問題につきましては、水で言えば、企画庁も所管庁としてある程度の情報を持っております。厚生省にもあります。そのほか、それに関係する各機関、衛生試験所にしましても、その他それぞれ持っておるわけでありますから、そうした情報というものを集めて回答をするということになろうと思います。
#120
○渡辺武君 たとえば、熊本県の例の水俣病の場合など、この場合には、長官すでに御承知のように、現地のお医者さん、あるいはまた熊本医大の医学部、こういうようなところの調査の結果と、そしてまた企業の言い分、あるいはまた政府側の調査の結果、これがだいぶ最初食い違っておったわけですね。こういうような場合、センターとしては一体どういう情報を提供されるのか。長官は、政府の資料、あるいはまた関係機関の資料など、これをかなり重要視しておられるようですけれども、そういうことになりますと、現地で、これはもう、あそこのチッソ水俣工場が発生源であるということは、調査をして、客観的にもその後正しかったということが証明されているわけですからね。一体センターは、そのまだ証明されない時点で、そういう政府側の資料と、そしてまた民間側の資料と、明確に食い違うというような場合に、どういう情報を提供されるのか。
#121
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ非常に、特にむずかしい、もめているような問題を一々例に出されるので、一体センターの発足当時のスタッフとか、その他のことも考えていただかなければならぬと私は思うのでありますが、もちろん、いまのような問題は、ああいうふうな、政治的にも大きな問題に発展をしたわけでありまして、そこまでいく過程には多くの方々が関係をしておるわけであります。単なる窓口の職員だけでもって処理し得べき問題だとも思っておりません。もちろん、ものによっては、そうした大きな問題については相当時間もかかるでしょう。そうして、関係各方面に照会をするというような必要のあるものも起きると思うのであります。ただ、いろいろな意見がありました場合に、それをこれ一つであるというふうにきめつけるかどうかという、そういう点については、別にそういうことを意図はしていないのでありますから、あるいはかえって依頼者のほうに、情報が幾つもできて、たよりないという感を与えることもあるかもしれません。そこらは、今後このセンターにおいてどういうふうに運営していくか、これもいわゆる首脳部の考え方というものをもちろん尊重しなければいけませんし、それから運営の際の方針というものも私はきめなければいかぬと思います。あまり、ただ雑になる、混乱するばかりであってもいかぬのかもしれません。そこらのところが、実際の運営上の観点というものを頭に置きながら、どうやってまいりますか、これは、そういう具体的な話になりますと、これからそういう方針を立てて、そして考えていくべきものであろうと思います。ただ、政府としては、特定の片寄った結論だけを皆さんに流すという意図でないという点だけははっきりしておる、こういうことであろうと思います。
#122
○渡辺武君 時間が来たようなので、最後に一問だけして終わりたいと思います。
 私が特に問題の多そうなところを取り上げて質問しておりますので、意地の悪い質問をする男だと思われるかもしれませんが、私の本旨は、政府がお金を出して機構を拡充して、そして国民生活センターというものをつくる、一体これがほんとうに国民の生活の安定や向上に役に立つものになるのかどうか、私はなってほしいと思うのです。しかし、もしかりに、これが政府の政策をただ宣伝する機関にすぎない、これも苦情を受けたり、あるいはまた調査の依頼を受けたり等々、やり方はいろいろ具体的にほかの場合と違うでしょうけれども、結局のところ、そういうことになるということであっては、これは、先ほども申しましたように、いまの国民生活がいろいろな困難にぶつかっている大きな責任は、やはり何といっても政治責任は政府がとらなければならぬし、具体的な経営その他の責任については、これは大企業が負うべきものだと思う。だから、その加害者の立場からの情報なり資料なりに基づいての宣伝をするだけであったならば、これは国民の生活の安定や向上には十分には役に立たぬだろうというふうに私は思うのです。したがって、どうしてもその点が明確になるような問題を取り上げて御質問したわけです。長官は、先ほど、いろいろセンターとして自主的に研究もして、自主的に見解を出すことができるのだというような趣旨のことをおっしゃったわけですけれども、その点は、業務の内容の面からいっても問題ですけれども、人事の面についても、それからまた、今後の研究所の研究体制などについても、そう考えていいのかどうか、その点を伺って、終わっておきます。
#123
○国務大臣(佐藤一郎君) 人事の点は、もちろん、新しい首脳部の判断というものが一番中心になるわけでありますから、その首脳部がどういうことになりますか、それによってであります。ただ、後心配いただかなくてもいいと思うのでありますが、われわれは、国民生活センターをつくります際、特定の意図を持ってつくったのじゃありません。これは、経緯をお話し申し上げたときにもおわかりだと思いますけれども、全くこれは、前の企画庁長官の、対話の場がほしい、こういうところから出発しているのでありまして、しかも、ただいまは政府の機関というものをふやせないということでありますので、最も関係が深いこの研究所を改組して、そして従来の研究と同時に、さらにそこにこうした機能をつけ加えたい、こういうことであります。ですから、われわれとしては少しも特定の意図を持って出発しておらない。運用におきましても、消費者行政をさらに促進させるためには、政府にこういうような機関があっていいじゃないか、こういう立場で出発をしておるのでありますから、特定の、政府の目的的なものを特に宣伝するとか、そうした立場は一切とっておりません。今日、どうも消費者行政というものはとかく不十分である、まあ本来国民消費省をつくるべきである、こういう声さえあるときであります。そういうときに、貧弱ではありますけれども、多少ともそうした声にこたえるような機構というものをわれわれは持つべきである、そういうことでとにかく始めてみよう、そうして、これの運用の経験を通じて、よりよきものに仕上げていこう、こういう気持ちで一ぱいであります。そういう意味から言いましても、いま御心配の点につきましては、われわれとしては、そうした特別の意図を持っているわけではないことをおわかり願える、こう思う次第であります。
#124
○委員長(横山フク君) 午後二時再開することといたしまして、休憩いたします。
   午後一時十八分休憩
    ―――――――――――――
   午後二時七分開会
#125
○委員長(横山フク君) ただいまから物価等対策特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
 鈴木君。
#126
○鈴木強君 若干、こまかい質問で恐縮ですけれども、条文を追ってちょっとお尋ねしておきたいと思います。
 今後、このセンターは情報化社会の方向にやはり即応する活動をしていただくと思いますが、聞くところによりますと、四十七年度にはコンピューターを導入して、その後本格的に動き出す予定だと、こういうふうに言われておるわけですが、四十五年の十月に発足をされる予定でございますね、このセンターは。四十五年、本年の十月ですね。そうしますと、四十五年度は中途はんぱになる。四十六年度は一年間本格的な予算を組んでいただけると思うのですが、あえてここにコンピューターを導入するということ、コンピューターというものを国民生活センターでお使いになるということですから、これは私も、そういうものがなければ近代的な情報を提供するということにはならないと思いますから、賛成なんですけれども、四十五年度の場合には予算も非常に少のうございますし、ですから、四十六年度は本格的になっていくと思うのですが、予算の面で、四十六年度は――いまから言うのはちょっとどうかと思うのですが、四十七年度のコンピューターとの関係もございますから、具体的に、四十五年度、四十六年度、四十七年度と、このセンターの仕事はどういうふうに発展していくのか、およその計画を持っておられると思いますから、それをひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。
#127
○政府委員(矢野智雄君) 四十五年度におきましては、いま先生が言われましたように、年度の途中から発足いたしますので、予算もまだそう大きなものではございません。まず、土地は現物出資でありますが、建物につきましては、とりあえずその一部分、二億円の出資を政府から出すわけであります。あと、運営費といたしましては、現在予算で予定しておりますのは、下半期分約八千万円であります。
 そのあとでありますが、これも先生いま御指摘のように、大体昭和四十七年度までに、ほぼ一応、現在描いております最終と申しますか、最終の形に持っていくわけでありますが、その場合には、建物につきましてなお出資が行なわれる予定であります。この点は今後の計画になるわけでありますが、おそらく、建物についての全体の費用は七億前後になるのではないかと、一応いま予定しております。なお、これはまだ今後具体的につくるわけでありますが、そのうち二億円本年度に出される。あとは四十七年度までですが、おそらく、いまの予定では、四十六年度にほぼ建物につきましては具体的な建設になるべく持っていきたいというように思っております。
 それからあと、人員と運営でありますが、四十五年度におきましては二十名ほど新規に増員する。つまり、現在国民生活研究所から受け継がれます人員約三十六名でありますが、そのほかに二十名程度を今年度の予算で考えております。それから四十七年度までに、全体の人員約百六十名程度を一応予定しております。それを四十六年度、四十七年度で増員をしてまいりますが、まだ具体的に何人ずっということは考えておりませんが、センターの活動状況及びその人を、なるべくいい人を得なきゃなりませんので、得られるそうした状況を考えながらやってまいりますが、なるべく早目に人員の拡充もしていきたいということを考えております。
 なお、そのほかの仕事も漸次拡充される。あるいは、御指摘のように、四十七年度には電子計算機も入れたいと、こう考えておりまして、四十七年度には一応平年度化を考えておりますが、運営費としましては、おそらく年間七、八億円、つまり、交付金として出されますのはその程度の規模になるのではなかろうか。それを、四十六、四十七と、漸次増加いたしまして、四十七年にはその程度のものを一応現在の段階で考えておりますが、この点は、まだ具体的に詰めたわけでもございませんし、さらに四十六、四十七年と、それぞれ予算当局との折衝等も必要であることはもう御承知のとおりでありますが、現在では大体そういうような構想を考えております。
#128
○鈴木強君 建物の建設計画とか、あるいはおよその予算の面における規模はわかったんですけれど、具体的にこの法律に基づいておやりになる業務ですね。そういうものは、ここに抽象的に書いてあるんですけれども、もっと具体的には、四十六年度はどういうものをどういうふうな形でやるという、そういう一つの御計画を持っておらないのでございますか。
#129
○政府委員(矢野智雄君) 業務内容につきましては、この法案の十八条にいろいろ規定してございますが、この業務達成のために、具体的に仕事を始めていくわけであります。四十六年度におきます計画は、このセンター法が通過いたしましてから設立委員等も任命され、具体的にここでつくっていく予定でありますが、現在考えておりますのは、たとえば、この法案の十八条の一号に関連いたしまして、国民生活の改善に関する情報の提供、この手段といたしまして、たとえばテレビを通じて情報を提供する、そのための番組提供の企画あるいはその実施をはかっていくとか、あるいはスライドを作成するとか、あるいは映画を作成するとか、こうしたことも四十六年度でやっていきたいと思っております。なお、そのほか、生活ハンドブックを刊行するとか、こうしたことも四十六年度から始めたいというように思っております。これが主として十八条一号の関係でありますが、あるいは二号につきましては、苦情、問い合せ等に対する情報の提供でございますが、この点につきましては、四十六年度には、相談日をきめて特別相談を実施するとか、あるいは、これは三号のほうにも関連いたしますが、生活相談の手引きを作成する。これは、各地方センター等にこれを配付して、その地方センターの仕事の助けにもしていく。そのほか、国民生活情報総覧の作成、配付をするとか、こうしたことなどを現在一応考えております。具体的には、この法案が通りますれば、あと準備にかかるという予定でおります。
#130
○鈴木強君 これは民法上の法人でもないわけですね。この法律に基づいてつくるセンターでしょう。ですから、定款とかなんとか、そういうものはないと思うんですけれども、業務の計画というのは、そうすると、これから設立準備をやって、そうして役員がきまって、いよいよ仕事にかかる、それから抽象的に書いてある十八条の業務についてはきめていくんだ、こういうふうなことですが、私はそういうことを言っておるのじゃないんです。そういうことではなくて、せっかく研究所からセンターにするわけですし、それから十八条を見ましても、一号、二号、三号というのは、従来のやつを、あっちこっち二つに分けたというようなものですけれども、たとえば、四号で見ると、同じ文句が書いてある。「国民生活の実情及び動向に関する総合的な調査研究を行なうこと。」、これは、「基礎的かつ」ということが抜けている。それから五号などでは、「国民生活に関する情報及び資料」というのが研究所のほうにはあるが、これは「資料」が抜けている。それから六号の「前各号に掲げる業務に附帯する業務」というところが、「に係る成果を普及すること。」というように、多少業務の修正はありますけれども、従来とあまり変わったようなことがないものですから、それではあまり妙味がないので、何回も同じことを言って恐縮ですけれど、センターになった場合には具体的にはこういうような特色をもって国民にこたえていくんだ、そういうものがあれば、四十五年、四十六年、四十七年の、こういう中に、どうはまっていくのかということを伺いたかったんです。しかし、それを今度きまる役員がきめていくんだということになれば、これはいまここで聞いてもしょうがないんですけれども、しかし、少なくとも、この法律の性格にかんがみまして、そのぐらいの配慮はして、国会に出しておく必要があるんじゃないか。大体七億というめどがついているわけですから、この七億の中で一体何を重点的にやるかということはさまっているんじゃないですか。そういうことを私は聞きたかったんです。
#131
○政府委員(矢野智雄君) この法案の十八条の各号に関しますこと、ごく簡単に概略御説明申しますと、第一号は、いわば不特定多数の国民に対して情報を提供する、その手段といたしましては、たとえばテレビ、ラジオ、あるいはパンフレット、あるいは展示会を開く、講習会を開く、こうしたことを考えております。
 二号は、この窓口に直接特定の個人が苦情、問い合わせに来られました場合に、その機会を通じて情報を提供する、それによって、来られた人の不満を解消するとか、あるいはそれを通じて、必要な知識、情報を提供するということを考えております。
 それから第三号は、類似の業務を行なう行政庁、団体等、と申しますのは、主として行政庁のほうは地方の生活センターを考えております。団体等は、消費者団体などでありますが、その依頼に応じて国民生活に関する情報を提供する。つまり、先ほどもちょっと申しましたが、苦情処理集であるとか、あるいはこういうパンフレットを提供をするというようなことがこの中心になりますが、そうした抽象的なことはともかくといたしまして、このセンターの運営、どの項目もいずれも重要であり、それぞれやっていかなければなりませんが、おそらく、現実の問題といたしましては、この一、二、三号を通じて一番中心になりますのは、やはり地方の生活センター、国民の生活に最も端的に結びついているところでありますが、そこの生活センターの事実上いわば中核体という役割りを果たす、そこへ来る苦情、問い合わせ等を常時はね返してもらいまして、それをそうしたネットワークのもとで総合的に処理していく、こうした仕事をつくり上げていく、これはかなり中心的な役割りを果たすのではないかというように考えております。
 四号は、もちろんこうした仕事をするためにも必要でありますし、また、さらに目的に照らしましても、国民生活に関します実情及び動向について総合的な調査研究、これは、先ほど長官もお答えいたしましたように、基礎的なもの、実用的なものも含めて調査研究していくということであります。
 五号は、ただいま御指摘の、資料が入っておらないじゃないかということでありますが、これは情報の中で読んでおります。前各号のこうした仕事をする上に必要な資料、情報、そうしたものを収集していく、それを国民に提供する、あるいはそれを加工する、あるいはさらに、それをもっと突っ込んで調査研究してそれを提供する、こういうことになるかと思います。
 それから六号につきましては、附帯する業務、これは、今後このセンターの活動に応じていろいろ出てくるかと思いますが、たとえば、現在考えられますことは、出版業務をやっていくとか、あるいは先ほどから御質問に出ておりましたが、必要な場合には商品テストをやっていくとか、こうしたこともこの中に入ってまいります。
 一応そうした構想を考えておりますが、それをさらに細目にわたって、どういう形でやっていくかということは、四十六年度、四十七年度どうやっていくかということは、大体の構想は持っておりますが、細目は、できましてから詰めるということになっております。
#132
○鈴木強君 そういう遠い将来までも話をしても、これはなかなかむずかしいでしょうけれども、少なくとも四十六、七年ぐらいまでには、予算的にも人員的にも明らかになっておりますから、それに合わした活動というものがどうなるかということは、ぜひほしいわけです。この場所では時間の関係もありますので、後ほど資料として、年度の計画の大要がわかりましたら、ひとつ教えてもらいたいと思います。
 長官がほかの委員会に御出席のようですから、ちょっと順序を変更しまして、簡単に二、三伺っておきますが、今度センターになります現在の国民生活研究所ですね。これは、歴史的には昭和三十四年からでございますから、十一年前に国民生活研究協会というものが発足をしてから、ちょうど十一年たつわけですけれども、その間、私も議事録とかいろいろなことを調べてみたのです。歴史的の経過について調べてみたのですが、おおよそわかりました。わかりましたが、この国民生活研究協会というものが社団法人になり、社団法人から特殊法人に変わったという、そういう中で、問題が解決されない点が一つあるんですね。それは、全体的なやる仕事の問題もそうですけれども、車の両輪のごとくそこで働いていただく、そこの職員の方々の待遇とか労働条件の問題があるのです。これは、普通、事業団だとか特殊法人ができる場合、そこに行っていただく方というのは、新しく採用する方もあるでしょうし、それから各省から派遣される方もあるわけですね。そういう場合には、私どもは、少なくとも二号なり三号なりは基本ベースを上げてやっていただくか、将来の退職手当とか年金との見合いも考えて、そういうことをやっていただくとか、あるいは、ときには、必要ある場合には、もとの古巣に帰ってくるとか、そういう一つの安全ベルトみたいなものをつけていただいて出向するような形をとっておったのです。ところが、この場合はそうじゃないんですね。国民生活協会というものから発足してきたものですから、その間で、多少公務員の方が行った方があるかもしれませんけれども、そういう点で、待遇が、他の事業団だとか、こういう類似の事業に比べて、悪いように思うのです。一番早い例が、アジア研究所というのがある。アジ研というのがある。ここらあたりと比べてごらんになりましたか。ずっと違いますよ、待遇が。私は、これを、このセンターに移行するに際して、ひとつぜひ是正してもらいたいと思うのです。これは具体的に長官にお願いしておきたいのは、おそらく、どこの場合もそうですけれども、特殊法人の場合には、予算をそれぞれの監督官庁が持っておりますから、団体交渉をしても、なかなかその場において自主的回答というものが示されないと思うのですよ、ある程度予算の制約がありますので。ですから、交渉の当事者も、なかなかずばりと言えない。ある程度、このセンターであれば、経済企画庁長官の内示というか、内諾を得なければ回答ができない、こういう仕組みになっておると思うのです。いまの現行法上はそういうふうになっているわけです。私たちは、それを破って、自主的に労使間で待遇問題については決着できるようにしてほしいと思うのです。公労協の場合にもそうですが、これがはばまれている。しかし、だんだんと今年あたりは理解をし合って、有額回答というのがああいうふうに出て、一つの進歩があるわけです。だから、その点を長官として……あとからまた、私、具体的に伺いますけれども、悪いことは間違いないのです、アジ研と比べて。ですからして、少なくともその程度までは給与をベースアップしてやる、そういう精神でひとつやってもらいたいと思うのです。そうしないと、幾らりっぱなものができましても、そこに働く人たちが本気になってやらないとだめなんですから、私は、ぜひそういう点、長官に政治的な御配慮をいただいて、このスタートをさしてもらいたいと思いますが……。
#133
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、似たような団体の間の待遇の問題は、これは機械的な数字ではなかなか比較しにくいと思いますし、年齢構成であるとか、学歴構成であるとか、いろいろあると思いますし、そういうようなこともよく見まして、お説のようにその点がここだけ悪いというようなことになれば、これは問題だと思います。いずれにしましても、実情を調べまして、そうして十分に検討をするようにしたいと、こう思っています。
#134
○鈴木強君 これは、ほんとうは、詰めた話をした上で長官にお尋ねしなければ失礼な話ですね。具体的な確認もないわけですから。しかし、私は一つの資料を持っているわけです。たとえば、アジ研の場合、大学を卒業されて初任給三万六千円、これは同じなんですね。国民生活研究所の場合も。ところが、同じ勤続年数で、三年たった人の給料を見ますと、アジ研のほうは四万七千五百円になっておりますが、国民生活研究所のほうは四万二千九百円。これが二十年たった人の例をとりますと一これは昇進するとかしないとかありますね、いろいろ。そういう点もあると思いますが、たとえば二十年たった場合に、アジ研のほうは十万九百円になっている。ところが、国民生活研究所のほうは八万六千円という、これは間違いない数字があるわけです。ですから、こういう差のあることはやはり勤労意欲全体をそぐことになるし、また、やっぱり全体のバランスから見ても、少なくとも国家公務員のベースよりも多少いいところでないとこれはいけないと思いますから、そういう点、ひとつ、ぜひ関係の皆さんとも御相談いただいて、大臣の御善処をお願いしたい。
#135
○国務大臣(佐藤一郎君) よく事情を検討させていただきましょう。
#136
○鈴木強君 それでは、局長、いま私が申し上げた、本俸のみ、とった場合、大学卒業生については間違いないでしょう、いま私が言ったことは。これはアジ研のほうの方からでもいいですよ。
#137
○政府委員(矢野智雄君) いま、給与表の話かと思いますが、ちょっと手元に具体的な資料を持っておりませんが、おそらく間違いないだろうと思います。
#138
○鈴木強君 いや、この前私は資料の要求をしておったわけです。それで、現在の基本給、基準内賃金はどうなっておるか、それから、たとえば年金は事業年金というものを持っておるのかどうなのか、あるいは厚生年金かどうか、退職手当というのは特別な事業所としての手当制度があるのか、あるいは国家公務員暫定措置法の退職手当が準用されているのか、それから、職員は数は少ないけれども、宿舎についても何か特別の御配慮をいただいているのかどうなのか、希望者が何名あって、全然期待にこたえられていないのか、あるいはおるのか、そういうふうな点の資料を私はお願いしたんですけれども、それはもらいましたかな、私は記憶がないんですけれども。――ここにありますね。これはちょっと経済企画庁は不親切ですよね。こういうのを、ほんとうは、ちょっと説明ぐらいしてくれてもいいんだけれども、電話したけれども、私はいなかったかね。
#139
○委員長(横山フク君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#140
○委員長(横山フク君) 速記を起こして。
#141
○鈴木強君 この資料、一応私の要求したものに沿ってはおるけれども、もう少し中身について説明をしてほしかったですね。しかし、いいです、時間がありませんから。これから私が質問することに答えてもらえばいいです。
 まず、一応私はアジア研究所というものを一つの比較にいたしまして、それで、国民生活研究所の役員の給料とか手当とか、そういうものはあとから聞きますけれども、職員の場合には、給料は何によってきめられておりますか。
#142
○政府委員(矢野智雄君) 詳細の点は、生活研究所長がここへ見えておられますから、答えていただきますが、一つは、私ども毎年予算を編成します場合に、予算単価をつくっております。それと、もう一つは、給与表でありますが、これは従来から受け継いできたものであろうというように思います。その点の具体的な説明は、研究所長からしていただきます。
#143
○参考人(浅野義光君) 給与につきましては、私のほうに給与規程というのがありまして、それに基づいて、毎年ベースアップとか、いろいろなものがあります際、それを改定しましてつくっております。
#144
○鈴木強君 給与規程というのはあるでしょうね。それはわかりましたけれども、しかし、賃金というのは、労働組合法によって団体交渉できまるわけでしょう。団体交渉で、給与をどうするかとか、基本ベースを幾らにするかとか、具体的に給与表をどうするかということは、全部団交できまるわけでしょう。そうしてそれがきまれば、給与規程事項に移し変えていく、こういうものでしょうね。
#145
○参考人(浅野義光君) さようでございます。
#146
○鈴木強君 そうなると、給与規程というものはあるんですけれども、それは団体交渉権というものが優先するわけでしょう。だから、団体交渉によってきめるということですね、給料は。そこで、団体交渉で所長さんがきめる給与の基準というのは、一体何を基準にしているんですか。あなたはどういう態度で交渉に臨むんですか。
#147
○参考人(浅野義光君) 給与につきましては、わがほうの国民生活研究所というのは、補助金等をもらって運営している機関でございますので、全体のいわゆる公務員給与だとか、そういうものをやはり基準にして、ものを考えるということでございます。予算の措置とか、それから、ただいま申し上げましたような公務員の給与とか、そういうものを考え、それから労働組合の諸君の意見も聞いて、それをきめていく、こういうことになるわけです。
#148
○鈴木強君 ですから、予算は国会でしばられるわけですね。それはわかりますけれども、要するに、きまる前段において労使間の団体交渉が行なわれるわけですね。団体交渉できまったものに基づいて予算を組んでもらうという、そういうものじゃないんですか。
#149
○参考人(浅野義光君) 団体交渉で本年度の給与はこれだけというふうにはっきりきめて、それを予算要求するというようなことにはなっておりません。
#150
○鈴木強君 なっておらぬのは間違いでしょう。それは、本来、労使間できめたものが、即、予算化されていくということで、そういうことにならなければうそじゃないですか。たとえば、NHKの場合には、団体交渉できまります。そうすると、そのきまったものによって国会に予算を出してくる。ですから、純然たる国家機関として研究所というものを見ていないわけです、私は。だからして、あなたは絶えず矛盾を感じませんか、そういうことで。少なくとも、ストライキ権というものを持つところの労働組合というものが相手方ですから、労使対等で話を進めていく。だから、本来的な立場からいえば、労使間で決着した団交の結果に基づいて予算を組む。国家公務員のように人事院勧告というものはないんです。国家公務員の場合には、何ぼかしらぬが、五百億なら五百億の予備費かなんか組んでおいて、ことしは五月から実施すると、で、足りない分はちゃんと予算措置しますということを大蔵大臣が予算委員会で確言していますから、これはもう、やっぱり戦後二十数年間たって一度も守らなかった人事院勧告が完全実施される段階に来たわけです。だからして、人事院という保護的な機関がないかわりに、ストライキ権というものを与えられておるわけでしょう。だから、ストライキ権を持つ労働組合と、あなたが交渉なさる場合ですね。何かもう、自分の自主性というものがないわけですね。要するに、何かきめる場合でも、経済企画庁へ行って相談しなきゃきまらぬというような、そういうことなんでしょうね。そうであれば、その矛盾というものは、当然所長さんとして、いつも頭の中にあり、悩んでいることじゃないですか。これは、政府としても、昭和三十何年でしたか、太田・池田会談というので、三公社五現業の労使の関係で、おかしいと、矛盾があるというので、公務員制度審議会をつくって、その問題についてもせっかくやっているところでしょう。しかし、それがなかなか、らちがあかないけれども、ことしは少なくとも四千三百八十八円という、たとえば電電公社でいうならば、これだけの有額回答というものが団体交渉の席上出てきたわけですね。これは予算とも何も関係ないでしょう。そういう段階に来ているわけですから、一そうのこと、所長さんとしてはお悩みになっておると思っているんですがね。そういう矛盾を感じておりませんですか。
#151
○参考人(浅野義光君) 最初も申し上げましたように、国民生活研究所は法律によってできておる機関でありますし、補助金も収支差補助金としていただいている機関であるということで、むろん、その自主性で自分で月給をこういうふうにきめちゃうというふうなことも考えないでもないんですが、幾ら考えましても、それはやっぱり予算でちゃんと一応の大ワクがきまっておるわけで、そのワクの範囲内で、むろんベースアップ等については予備費等もついておりますので、それらをながめ、給与表の内容等につきましても組合とも相談してきめていくというようなことに相なっております。
#152
○鈴木強君 まあ、あなたが所長として、現行の法律の中でいろんながんじがらめになって、禁治産者かな、準禁治産者か知らぬが、とにかく、そういうふうな立場にあるのだと思うんですね。だけれども、その禁治産者というのは、自分が悪いことをして禁治産者になったら、これは禁治産者になると思うんだけれども、そうでない、かってに禁治産者にさせられてしまっているんだが、そういう矛盾があるから、そういう禁治産者というレッテルを取っ払うために一歩踏み出さなければうそですよ。そうして、ぼくらは局長に言いたいのは、そんな研究所をつくっておきながら、基本的な労働組合の団体交渉によって賃金が決定できないような、こんなかっこうに追い込んでいることは間違いですよ、これは。いままでのことを言ってもしようがないですから、私は、この際、さっき言ったような長い歴史と経過の中でやってきている。しかもアジ研より悪いです、待遇は。すぐ直すようにしなさい。そうして、ここにひとつ名実ともに国民生活センターが国民の期待に沿ってスタートするというのであれば、これは設立の意義があるわけですよ。一面、そういう一番大事な、何ぼ皆さんがりっぱなお考えを並べても、りっぱな計画を立ててみても、そこに働いている職員が一丸になって、ともどもやろうという気にならなければ、これはだめですよ。仕事というのはそういうものですよ。私は、いつも言うんですけれども、労働者というのは、おやじがほんとうにあたたかく手を差し伸べてくれて、頼むぞということば一つだけでもかけてくれればいいんですよ。まして、待遇の悪いことを承知でやっているんだから、この際ひとつ、うちのおやじも動き出したぞ、政府もこれにこたえてくれるという、そういう動きがあれば、これはぴんと響いてくるんですよ、従業員には。それが経営のコツですよ。すべて、そういう意味において、この際ひとつ、ぜひ、少なくともこの身近なアジ研と比べて悪いところくらいは何とか持ち上げてほしい、こう思うのですね。まあ所長さん、一歩出ませんか、禁治産者のレッテルを取るために。あなたはもう政府から負わされちゃたんだから、そのレッテルを取っ払いなさいよ。そうしなければ、従業員も、あなたも一生懸命やっておっても、なかなか言うこと聞きませんよ。これはどうですか。局長はぼくの言うことをわかっていると思うので、ぜひ、ひとつやってくださいよ。
#153
○政府委員(矢野智雄君) 何といいましても、今度センターが発足いたします場合に、中心は人でありまして、特にその特別の技術とか、あるいは特別の施設ということ若干ありますけれども、やはり中心はいい人間を得るということでありますので、なるべく同種のほかの機関、もちろん、これはいろいろ業務の内容等も違いますので、機械的には比較できませんが、実質的に同種の機関より劣るということは、どうも芳しくないわけでありまして、今後センターが活発に活動していく、その中核になるのは、何といっても人でありますので、その点は十分、今後予算の編成その他の過程を通じまして、なるべく御希望に沿うように努力していきたいと、かように考えます。
#154
○鈴木強君 所長さんどうですか。
#155
○参考人(浅野義光君) 今後できます国民生活センターにおきましては、まあできる限りいろいろな事情をお考えおき願いまして、よくなるようにというふうに期待しておる次第でございます。
#156
○鈴木強君 なかなかむずかしいでしょうけれども、勇気をもってやってくださいよ。お願いしますね。
 それから少し事実関係で確認をしておきたいのですけれども、いただいたこの資料のCの初任給については、アジア研究所も三万六千円、それから国民生活研究所も三万六千円、これは大学卒業生の場合ですね。これはわかりました。ただし、三年たって、アジ研が四万七千五百円になります。ところが、国生研のほうは四万二千九百円、それから十年たった同期の人を見ますと、アジ研が七万一千四百円でありますのに対して、国生研のほうは五万九千九百円、それから、さっき申したように、二十年では、アジ研が十万九百円、それから国生研が八万六千円、だんだんと差が開いていくわけですね。この事実は認めますか。
#157
○政府委員(矢野智雄君) 手元に国民生活研究所の給与表は持っておりますが、アジア研究所のほうのがございませんので、ちょっと正確なことは申し上げられませんが、おそらく先生持っておられるので間違いなかろうというように思います。
#158
○鈴木強君 それからですね。高校卒でも、本俸二万六千円、それから短大卒で二万九千三百円ですか、国民生活研究所の場合ですね。これも、国家公務員よりか、高校卒の本俸は安くないですか。
#159
○政府委員(矢野智雄君) 国家公務員の場合には、高卒で初級職試験に合格した人の初任給が二万四千三百八十四円、短大卒で中級職試験に合格した人の初任給が二万七千八百十四円、生活研究所のこの初任給と比べまして、それぞれ若干低いようになっております。
#160
○鈴木強君 その高校卒二万四千円というのは、これはいつのですかね、これ。
#161
○政府委員(矢野智雄君) 現行の給与であります。
#162
○鈴木強君 まあ、もっとも、これから人事院勧告もあるんだと思うけれども、二万四千円というのは、これはあれですか、各官庁とも全部同じ、初任給については……。二万四千円というのは、特殊な職種とかなんとかによっては違いはないのですか。
#163
○政府委員(矢野智雄君) ただいま申し上げましたのは行政職についてで、これは全部一律のはずであります。特別のいろいろな職は、また別になります。
#164
○鈴木強君 それをちょっと言ってください。
#165
○政府委員(矢野智雄君) たとえば、先ほど申し上げました一例の高卒で申しますと、行政職の場合のは先ほど申し上げましたが、先ほど申し上げましたのは行政職(一)という俸給表でありますが、行政職(二)の場合には、いろいろ職によって違ってまいりますが、運転手等、この場合には二万三千六百四十二円から二万六千九百六十六円、守衛等の場合には二万三千六百四十二円から四万一千二百五十五円。いろいろこれは違いがございます。それから教育職、これも(一)、(二)、(三)とありますが、教育職(一)、これは大学卒で大学助手の場合でありますが、三万六千百九十八円ないし三万七千六百九十八円。先ほど申し上げましたように、大学卒の一般の行政職の場合には、上級試験甲で三万四千百八十四円から三万五千八百六十四円。いろいろと職によって違いがあるようであります。
#166
○鈴木強君 行(二)の場合に、二万三千六百四十二円ぐらいから四万二千円までの幅があるでしょう。それから行(二)の運転手さんの場合ですか、二万三千六百円というのは。
#167
○政府委員(矢野智雄君) はい。
#168
○鈴木強君 それは幅がないのですか。
#169
○政府委員(矢野智雄君) 二万三千六百四十二円から二万六千九百六十六円となっております。
#170
○鈴木強君 まあ、基本給の場合は行(一)と行(二)ありますし、それからいろいろその職に当てはまる人たちの初任給ですから、それぞれまちまちになってくるのはあたりまえの話ですね。それで、私は、さっき長官も言っておったように、国民生活センターというものは、特にいまの国民生活研究所の場合も、やはり特殊な技能的なものを持っておりますから、そういう意味においては相当に初任給というものは出さなければ人が集まりませんよ。ですから、二万四千円の金だからいい人が集まらない、公務員は。もう二万四千円なんという、中小企業、零細企業でも、そんな安い初任給では雇っておりませんよ。こういう例外的なものを基準にされたのではこれは困るのだけれども、一応あなたのほうでは国家公務員というものを基準にされるかもしれません。しかし、アジア研究所というものを一つ比べていけば、初任給が大学卒の場合には同じですね。中、高卒と短大卒の場合も、どういうふうになっているかわかりますか。アジア研究所のほうはまだわかっておりませんか。
#171
○政府委員(矢野智雄君) ちょっと手元に資料を持ち合わせておりません。
#172
○鈴木強君 それでは、あとでひとつ調べてください。
 それから厚生施設の前に、食事手当とか、あるいは住宅手当、といっても、これは住宅手当ではないと思うのですが、実際には。諸手当みたいなものがほかにあるようですが、これも格差がありますよね、アジ研とは。それから特別手当、要するに、ボーナスの場合でも、年間を通じて、アジ研の場合は五・〇二カ月プラス五万四千円、そのほかにプラスアルファがついている。ところが、国生研の場合には五・一五五カ月分で、なるほど月数からいえば多いように見えるが、アジ研は一律五万四千円出している。それを国民生活研究所のほうは二万五千五百円、これは四十四年度の実績ですけれども、しか出していない。それに若干のプラスアルファということになっているわけですね。ですから、全体の額としては、特別手当の場合にも、アジ研の場合から見て低いと見ていいわけですね。これは所長さん、どうですか。間違いないでしょう。
#173
○参考人(浅野義光君) はっきりしたことはわかりませんが、アジ研、それから国民生活研究所の特別手当は、これは予算に従って大体同じになっておりますし、ただいま先生がおっしゃったような問題につきましても、そう甲乙はないと思っております。
#174
○鈴木強君 国生研とアジ研と比べてみてですよ。アジア研究所のほうがいいじゃないですか。
#175
○参考人(浅野義光君) いや、ほとんど甲乙はないと思います。
#176
○鈴木強君 甲乙がある、ないと言っても、私のほうは資料を持って、あると言っている。あなたのほうはないと言っている。これは水かけ論になってしまうのだけれども、資料がないとだめですよ。
 それでは、あなたに聞きますけれども、夏期手当は幾ら出しましたか。年末手当は幾ら出しましたか。それから年度末手当は幾ら出しましたか。
#177
○参考人(浅野義光君) 大体六月の分につきましては一・四カ月、それから十二月の分につきましては二・六カ月、それから三月が〇・五カ月というような感じで、全体としまして四・五カ月出しているわけでございます。それに若干のプラスアルファというようなものが出ているわけであります。
#178
○鈴木強君 これはちょっと食い違いがあります。ただ、いろいろとあるでしょうから、私はあなたの言うのと、あえてここでそろえようということはやめます。ただし、後刻ぜひ伺いたいのです。私の資料もありますからね。それと多少食い違いがありますから。――多少というより、かなり食い違いがありますから、その点は後ほど所長さんと会って聞かせてもらいたいと思います。私のところに説明に来てください。
 それから宿舎ですけれども、厚生施設ですが、「予算の積算基礎には明示していないが予算運用により夏季の海の家及び近くの食堂との契約により便宜をはかっている。」と、こうあります。宿舎が厚生施設になるかどうかは、これは別ですけれども、職員に対する宿舎というものは全然ないわけですか。
#179
○参考人(浅野義光君) ありません。
#180
○鈴木強君 これは希望者がなくて要求しないのですか。希望はあるけれども、宿舎は認めてくれないという、どっちなんですか。
#181
○参考人(浅野義光君) 最近調べたことはありませんのですが、二、三年前、希望者を募ったこともあるのですが、あんまりそうなかったような記憶がしております。
#182
○鈴木強君 労働組合があるわけでしょう。組合のほうからもそういう要求は出てこないのですか。宿舎を与えてもらいたいという、そういう声はないのですか。
#183
○参考人(浅野義光君) 住宅手当というようなものについての要求はかなりあったのですが、宿舎そのものを与えてくれという感じのもの、ちょっとあったような感じがしましたが、その際調べたときに、そう具体的にたくさんなかったというふうにちょっと覚えております。
#184
○鈴木強君 具体的にたくさんなかったと言うのだけれども、一件でもあったかないか、そこが問題なんですよ。一件でもあったけれども、要求したけれども、政府は認めてくれないというのか、そこのところはどうなんですか。
#185
○参考人(浅野義光君) やはり住宅手当式の、賃貸料、ある程度安くしてくれとか、そういうような形のものはたしかあったと思いますが、まるまる住居を提供してくれというようなのはないような感じがいたします。
#186
○鈴木強君 その点はわかりました。
 それから退職手当制度は、やっぱり団体交渉によってきめられておるのですか。どういうものがいまございますか。
#187
○参考人(浅野義光君) 私のほうでは、給与規程で退職手当の問題は出ておりまして、やはり、それをつくるときには組合とも相談してつくったと思います。
#188
○鈴木強君 大学を卒業して二十年勤めた人は、退職手当は幾らもらえるのですか。
#189
○参考人(浅野義光君) ちょっといまここに資料を持っておりませんので、後ほどお答えいたします。
#190
○鈴木強君 国家公務員の退職手当暫定措置法と比べてみたら、大まかにいって大体とんとんであるのか、あるいはおたくのほうが悪いのか、その辺はおわかりですか。
#191
○参考人(浅野義光君) 大体見合うと思いますが、詳しいことはちょっと計算をしてみないとわかりません。
#192
○鈴木強君 国民生活研究所役員退職手当支給規程、国民生活研究所職員退職手当支給規程、こういうものがあるわけですが、そうですか。大体国家公務員と見合っておるというふうにお考えですね。
 それから年金ですけれども、これは厚生年金が適用になっているわけですか。
#193
○参考人(浅野義光君) さようです。
#194
○鈴木強君 これは、国家公務員と比べたらどうですか。
#195
○参考人(浅野義光君) 厚生年金につきましては、規程によってずっとやっておりますので、おそらく国家公務員と同じだろうと思います。ただ、国家公務員のほうは共済組合の関係になっております。ちょっとその点は違うと思います。国家公務員のほうとは、ちょっと、退職年金、共済組合の年金のあれですから、違います。
#196
○鈴木強君 違いますということは、悪いということですよね。これはたいへんな差があるのですよ。厚生年金と国の年金との間には、そうした大きなハンディがあると思うんですね。本来、こういう国民生活を守るという行政は、政府の大きな行政の一つなんですよね。だから、本来、皆さんは国家公務員の立場で仕事をされるのが筋合いなんです。それを、いろいろの理屈をつけて、そういう特殊法人とか事業団というようなものをつくっておられるわけです。ですからして、少なくとも、そういう精神からいえば、能率をあげ、生産をあげていく、国家公務員というふうなワクにはまらないで、もう少し自由な企業形態の中でやったほうがいいだろうという、そういうことで事業団をつくり、特殊法人をつくってきているわけなんです、法律的には。ところが、実際には、待遇の面を見ても全くその精神に反したものがあるわけですよ。だから、したがって、国家公務員と同じようなかっこうのもの――事業団をつくってみても、実際の経営の中では、しか出てこないという結果になるわけです。だから、もう少し、法律によってつくるこういう特殊なセンターにしても、あるいは民法上の公益法人、あるいは特殊法人にいたしましても、それなりの理屈をつけて発足するわけですから、それならば、やはりそれだけの待遇をしてやるというのが筋じゃないですか。むしろ、国民生活局長、あなた方は、ぼくに言わせると、そういう点、怠慢ですよ。国会で指摘をされて、ああそうかと思うのじゃなくて、むしろ率先して、そういうアジ研と比べてみて、悪い点があるなら直してやるとか、あるいは国家公務員でやらなければならぬ仕事をあえて企業性を発揮してやってもらうということで、こういうセンターにやってもらうわけだから、そうなれば、むしろ、国家公務員よりも二号なり三号なりというものは、もっと待遇をよくして差し上げるとか、そういう配慮がなければ、実際の企業能力というものはあがってこないですよ。そういう点で、もう少し前向きで積極的にやってほしいですね。そうしないと、せっかくここで研究所からセンターに切りかえてみましても、ただ名前を変えたということ、役員を少しふやしたということに終わってしまうのじゃないですか。私はそれを心配するのです。どうですか、過去のあやまちを悔いて改めていくという、ひとつ考え方でやっていただけますか。まあ、長官もよく具体的にお調べになって善処してくれるということですから。そうでないと、ほんとうに所長さん以下――私は所長とここで幾らやってみたって、政府という大きな波がかかってくるわけだから、たいへん気の毒にも思うのですよ。だからといって、やはり責任ある立場ですから、さっき言ったような、一歩前進するかまえを所長さんに持ってもらって――従業員とともに、その預かった仕事を国民の期待に沿ってやるということであれば、当然ですよ。所長さんは、多少上から批判を受けても、やはり部下はかわいいし、設立目的を達成するためには、こうしてほしいという意見があったら堂々と述べるべきだし、また、それを所長さんが言ったからといって、あの所長はおかしいからといってチェックするような経済企画庁じゃだめだ。もっと大きな観点に立って、悪いところは直してやるという、そういう、やはり、かまえでやってもらわなければ、何のためにセンターにするのか。ただ文字を、先からいっていたやつを、うしろからさかさに読むような、そんなことをしても一つもよくなりませんよ。もっとひとつ、しっかりやってもらいたい。
#197
○政府委員(矢野智雄君) 先ほども申し上げましたが、国民生活センター、この法律の目的あるいは業務内容は御説明いたしましたとおりで、私どもこれに非常に大きな期待をかけております。そのためにはいろいろ努力しなければならないことが多いわけでありますが、先ほで申しましたように、何といっても人が中心になります。したがいまして、この業務が活発に行なわれていき、この法律案の目的を達成できるようにいろいろやっていきたいと思います。また、そうして待遇が改善されれば、業務も活発になるでしょうし、また、業務が活発になれば待遇改善に努力しやすくもなるわけで、これはなるべく、そうしたいい循環をするようになるべく持っていきたいと、かように考えます。
#198
○鈴木強君 長官にかわった局長の御答弁として私は受けとめて善処を心からお願いしておきます。
 それから、いまあれですか、現行法では、会長さん一人、所長さん一人、理事二名以内、監事二名以内ですね、役員は。こういう人には失礼にならないような待遇はしているんですか。
#199
○政府委員(矢野智雄君) さように考えております。
#200
○鈴木強君 今度国民生活センターになった場合には、いま私は職員の皆さんの待遇改善を要求しましたね。お願いしました。また、そういう立場に立っていくと、役員になる方も、やはりもう一度決意を新たにしてやってもらうわけだから、多少待遇改善ということは考えておられるんですか。
#201
○政府委員(矢野智雄君) まだ具体的な数字等は持ち合わせておりませんが、なるべくこのセンターにいい人を得られるように、職員同様に役員についても考えてまいりたいというふうに思います。
#202
○鈴木強君 役員はよくなったけれども職員はよくならないということのないようにしてくださいよ、これは。
 それから、ここで幾らもらっているかということを聞きたいと思ったけれども、またあとで資料で出してください。いまの会長、所長、理事、監事の月額、何ぼいただいているかということ。退職手当については、ここに規程を私参考に持っておりますから、これで調べればわかりますから、いいです。
 それから、いま局長は考えているということだが、会長とか理事長とか理事とか、監事の給料、手当というのは、一体だれがどこできめるわけですか。何を基準にしてきめるわけですか。
#203
○政府委員(矢野智雄君) これは、特殊法人の規模、あるいは業務の内容、そうしたものを勘案いたしまして、経済企画庁と予算当局、大蔵省と協議してきめていくということになるわけであります。
#204
○鈴木強君 年金制度の場合とか、あるいは給与の支給基準ですね。こういったものはやはり長官の承認を受けなければならないということになっているでしょう、この法律では。そこのところをはずすわけにはいかぬのですか。そうすると、普通の法人ですと、定款というのがありますよ。定款に基づいて委員が選出されますね。その委員が役員を選び給与の額をきめていく、こういうふうになるわけです。ところが、それがないわけです、センターの場合には。だからして、政府の当てがいぶちになるわけでしょう、言うならば。これは、役員の給料も職員の給料も同じものなんです、これはせんじ詰めていけば。団体交渉という形式だけは、さっき言っているように踏みますけれども、実際は、あなたのほうのお墨つきがなければ交渉にならないわけです。回答する場合には、いかがですか、長官、このぐらいならどうです、こう言って聞かなければ、所長は出せないような仕組みになっていますね。だから、そういうコントロール権というのは政府が握っているわけですよ。だからして、そのきめ方というのは、少し何か方法を考えられないものですか。地方公務員の場合でも、いま国家公務員に準じてやってもらっているんですけれども、たとえば、地方議会の場合でも、何というか、歳費の審議会みたいなのをつくりまして、それでそこでやっていますね。何かそういうふうなものをつくって、この事業団はこういうふうな性格で設置されて、規模はどの程度であって、したがってその待遇はどうだとかいうふうな形のものが出てきてしかるべきじゃないですか。いま見ると、何か、大体三十万とか四十五万とか、七十万とか、そういうようなのがぱっぱっとあるんだけれども、何を根拠で一体きめているのか、よくわからないわけですよ。だから、もう少し大まかな、経済企画庁でおきめになる場合にも、基準というものがなければならぬと思うのですよ。ただそこへ集まった人たちが、センターは幾らだとか、アジ研は幾らだとか、きめるわけないでしょう、どうです。
#205
○政府委員(矢野智雄君) この特殊法人、具体的にはこの国民生活センターは全額国庫で負担いたすことになっております。差額を全部交付金で出すことになっておりまするので、国家予算と非常に緊密な関係がありますので企画庁長官の認可を要する、これは同種の機関の例文でもあるわけであります。しかし、その運用の行き方につきましては、私どもよくつまびらかにいたしませんが、もちろん現在の行き方が最善なものであるかどうか、私どもよく検討してみなければなりませんが、いずれにしましても、先ほどから申しておりますように、何といいましても人が中心になって運営するものでありますから、十分善処してまいりたいと、かように考えます。
#206
○鈴木強君 承認を受けるということになると、だれかがつくるわけだね。だれがつくって、長官の承認を得るのか。
#207
○政府委員(矢野智雄君) それは、この特殊法人の責任者であります、具体的には会長になるわけであります。
#208
○鈴木強君 いまあれですか、所長さんね。現行法上、会長、所長、理事、監事等が、おられますけれども、そういう方々が、一般のあれで言うならば、理事会といいますか、役員会といいますか、そういうものを持たれておると思うんですね。そこで、事業計画だとか、収支もくろみ、そういうものだとか、あるいは職員の問題、あるいは会長以下役員の待遇をどうしようかというようなことは御相談なさり、そうしてこれを長官のところへ持っていく、そういうことをやっておるわけですか。これは運営上のことですけれども。
#209
○参考人(浅野義光君) 大体そういうことをやっております。
#210
○鈴木強君 そうなると、あなた自分のことを自分でやるわけだから、まことにやりにくいでしょうね。そういう矛盾はないわけですか。
#211
○参考人(浅野義光君) 会長とか役員の分につきましては、十分監督官庁と相談してやるというようなたてまえになっております。最終的には、その監督官庁のほうの認可を得るということになっておると思います。
#212
○鈴木強君 それはそうでしょう、承認を得るのだから。承認を得るのに、承認を得ない前から、きめるときにごきげんを伺ってきて、おれはこう思うけれども上のほうではそう思っていないということで、きめるわけでしょう。そうすると、自主性が何もないじゃないか。だから、第三者的立場に立った人がやるような、審議会のようなものをつくってやったほうがいいんじゃないですか。
#213
○参考人(浅野義光君) 要するに、予算をいただきましてやっておる特殊法人でございますので、仕事の内容その他によって、やはり役員等の給与もおのずときまってくるというふうに理解しておるわけです。
#214
○鈴木強君 まあ、何といいますかね、いま私は伺っておりましてね。給与の問題におきましてもしかり、あるいはすべての問題について、きわめて消極的であります。だからして、いろいろこれまで苦労されてやってきておるとは思いますけれども、大きな網をかぶせられて、せっかく研究しても、その研究というものが、なかなか日の目を見ないようなこともあるかもしれない。それが行政の上にばっと生かされないことがあるかもしれない。そういうことでは意味がない。もっと自主性を与えて、センターがやりたいことについてはやはり政府は思う存分やらしてやる、もちろん、それはやろうとする計画なり目的なりを十分検討しなければなりませんけれども、私たちは、そのセンターに大きな期待を持っているわけです。たとえば、十八条の一から六までの業務にしても、先ほどちょっと伺いましたけれども、もっともっとやってもらいたいことがたくさんあるわけです。そういう点が、結局は経済企画庁なり政府の考えている範囲内でしかやれないことになるわけじゃないですか。少しも積極性というものが生かされない。あなたそうでしょう、網をかぶされて、全部国から金を出してもらっているのでございますから、政府の御意見を伺うのは当然のことでございます――ことばの言い方は悪いけれども、そういうことを所長自体が認めている。それじゃ、労使問題にしてみたって、業務そのものについて見たって、私は進歩がないように思うし、せっかくセンターというものを出してみたけれども、そんな自主性のないものじゃ、どうも考えざるを得ないですね。
#215
○政府委員(矢野智雄君) この国民生活センターの運営は、この法律の目的その他の条項をもとにいたしまして、国民生活センターが自主的に運営していくことが望ましいのであります。この一つ一つのこまかい業務は、生活センターの責任者が中心になって自発的に活発に運営していくことを私たちは望んでおります。経済企画庁あるいは総理大臣、これは総括的な監督はいたしますが、個々の業務、これは、この目的を達成するためにどうやっていったら最も有効であるか、これがセンターの独自の活動の中核であり、私どももそうした活動を期待しておるのであります。
#216
○鈴木強君 こう言えばそう答えられるのだけれども、実際に十数年間の歴史があるわけですからね。いま聞いても、全く消極的であるわけでしょう。だから、こういうことは、あなたは長官でないから、多少政治的にわたるので答えなくてもいいですよ。原則として、役員がその年度の事業計画をお立てになる、収支はこういうふうになります、従業員の待遇についてはこうなります、そういうものをおきめになって経済企画庁に持ってきたとき、それはもちろん監督の立場にあり、責任をもってやる立場にあるわけですから、指導する立場にあるわけだから、目を通すことはいいでしょう。しかし、原則としては、理事者がやろうとするその思想というものは生かしてもらえますか。一々くつわをはめませんか。
#217
○政府委員(矢野智雄君) もちろん、政府が、あるいは経済企画庁が具体的にこれを運営するわけではありませんので、あくまでもセンターが自発的に活動していく、それを尊重していきたいと思います。また、そうでなければ、センターの活発な活動は困難であるかと思います。もちろん、役所といたしましては総括的な監督はいたし、また、事業計画、そうしたものも、そういう観点から、私どももそれを見て、なるべくそれを改善していく。われわれもまた、気のついたところは改善していただくということももちろん必要でありますが、何といいましても、基本はセンターそのものがこの目的を達成するために自発的にいい計画を立てる、それがあくまでももとになります。
#218
○鈴木強君 抽象論としては私の考え方を認めたと思うのですが、ただ私も、われわれ国民の期待に沿えるような研究をされ、情報を集められ、消費者の味方になるという、そういうものでないとこれは困るわけで、従来のように企業サイドのほうばかり向いたようなことでは、これは話にならぬわけですから、そういう意味で、私は、ほんとうに、あんなやつ少しくどいと言われるくらい言っているわけですよ。従来の消費者保護ということが実際宙に浮いてしまって、――ここにも私資料を持ってきておりますけれども、ずいぶんたいへんですよ。これ、読みましたよ。この法案の審議の過程を全部調べてみましたよ。しかし、みんなが十年前から言っておるのですよ。消費者保護基本法ができてみたって、一体、最近のように、私はくどいけれども、チクロの問題でもBHCの問題でも出しますけれども、そういうふうな、どっちを向いてやっておるのかわからぬようなことが公然とやられてきたものですから、研究所をつくって消費者を守ると言って、何をやっておるのだと、こういう国民の不満がうんとあるわけですよ。また言うけれども、ほんとうにこれだけ物価が上がって、野党が、もう少しわれわれがしっかりすれば、何回も退陣しなければならぬような、そんな重大な物価値上げをやっておる。だから、そういうものが積もり積もってここまで来ておるのですから、ほんとうに国民のためになる計画をやってもらわなければならぬ。そうして、そのためには金に糸目をつけないで、ものをやってもらいたい。それでなければ、センターをつくっても、われわれの税金もむだになりますよ。私はそう思いますね。だからして、私は繰り返し繰り返しあなたに言っておるわけです。どうかそういう趣旨を理解していただいて、二度も三度も私繰り返した点がありまして恐縮ですけれども、ぜひ国民の意のあるところを体して、意に沿って、ひとつこのセンターというものが動いてほしい、こう思うのですよ。そのためには、さっき言ったような職員の全体の意識の高揚のことも考えていただいて、ぜひお願いしたいと思います。少しくどくなりましたから、これはこれで終わります。
 それから、二十五条の余裕金の運用の点ですが、一つには、「国債、地方債その他経済企画庁長官の指定する有価証券の取得」というのですが、「国債、地方債」はわかりましたけれども、その他の「長官の指定する有価証券」というのは一体どういうものをいま考えておいでなんですか。余裕金があるかどうかわからぬがね。
#219
○政府委員(矢野智雄君) 余裕金は、原則としては、御承知のように営利団体ではありませんので、本来は利益があがるということはないわけでありますが、ただ、年度当初に立てました資金計画、それが、場合によると、そのとおりいかない場合が起こってくるかと思います。たとえば、出版事業もこのセンターの業務の一つになりますが、予想外に出版したものが売れたとか、あるいは逆に売れなかったとかというような場合に差が出てくるかと思います。そうしたものにつきまして、――この点は二十三条のほうに規定がございますが、余裕金が起こりました場合こま積立金として処理し、あるいは損失が起きた場合には繰越欠損として計上していく、こういう形になるわけでありますが、その余裕金が出ました場合の運用の基準を二十五条に示しておるわけであります。この場合の考え方は、この余裕金が何か損失を招くような運用をするといけないのでありまして、確実に運用される、そういう趣旨からこの規定ができておるわけであります。
 なお、現在、国民生活研究所につきましては、特別の法律によって設立された法人の発行する債券、電話債及び特別の法律により設立された法人以外の金融機関、この発行する債券が企画庁長官により指定されております。
 いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、これが確実に運用されるという観点で今後も指定が行なわれることになるはずであります。
#220
○鈴木強君 結論的に言うと、現在長官が指定をしておる研究所の場合の余裕金運用の有価証券だと、こう理解していいわけだね。
#221
○政府委員(矢野智雄君) そのとおりでございます。
#222
○鈴木強君 それからその次に、「銀行への預金又は郵便貯金」とあるのだが、この「銀行への預金」というのは、いかなる銀行でもいいわけですね。
#223
○政府委員(矢野智雄君) そのとおりでございます。
#224
○鈴木強君 まあ、あんまり余裕金もないと思うのですけれども、しかし、銀行への預託の場合、いかなる銀行でもということは、第一項の、国債、地方債その他有価証券について特別に長官が指定をした、ということは、これはそれなりの理由があるのです。だからして、二の場合でも、私は、無条件の銀行への預託ということは、ちょっとおかしいと思うのですがね。これは、あんまり預金していないから問題も起きなかったと思うんですが、どうですかね、これは。
#225
○政府委員(矢野智雄君) どこの銀行でもと申しましても、銀行法に基づく銀行でありますが、経済企画庁のほうからは、どこの銀行と指定はいたしません。しかし、確実に運用されるというのは、当然、現在の国民生活研究所でも、あるいは今後発足を予定いたしております国民生活センターにしても、同様でありますので、この点は、センターの責任者の自主的な判断に基づいて、十分安全な、と申しますか、確実に運用される銀行へ預金するということに当然なろうと思います。
#226
○鈴木強君 まあ、取りつけなんということは、よほどでないとないと思います。しかし、これは大事な国民の余裕金ですから、したがって、有利、安全、確実な預貯金をしておくということは当然です。したがって、そういうものもある程度私は基準をつくっておいたほうがいいと思います。基準がなければ、いま言ったように、役員の皆さんも御協議の上で一番いいところをきめておやりになると思いますけれども、その辺の配慮がちょっと欠けているように思ったから聞いたのです。
 三番目の「信託会社又は信託業務を行なう銀行への金銭信託」というやつ、これは、いままで研究所の場合、ありましたかね、こういうことは。
#227
○政府委員(矢野智雄君) 現在、国民生活研究所が金銭信託しております信託銀行は七行あります。申し上げましょうか。
#228
○鈴木強君 額はどのくらいですか。
#229
○政府委員(矢野智雄君) 信託、合計一億八千五百万円ほどであります。
#230
○鈴木強君 委員長の御注意もありますから、時間がないようですから、最初の、銀行への預託、この銀行名と預金額、郵便貯金があったら郵便貯金の預金額、これをひとつあとで資料で出してください。いまの七行についても、ひとつ銀行名と銀行別の信託額、これを出してもらいたいと思います。
 それから、幾つもありましたけれども、もう時間だそうですから、私もこの辺にしておきますが、ついでに、利益金と損失の処理ですけれども、何か、二十三条を読んでみますと、赤字が出た場合には、これを繰越欠損金として整理すればいいということになっております。これがもし赤字決算になった場合、繰越欠損金が多くなった、そういう場合の処理はどうなんですか。次年度において国が繰越欠損金を補てんをしていくということになるのですか。その辺が法律上は明文化されていない。だから、何かこう、安易三に考えれば、なに、赤字を出してもいいのだ、そういうふうにもとれるわけです。独立採算制をしいているわけでもない。その辺、ちょっと会計上問題があるように思うのですがね。
#231
○政府委員(矢野智雄君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、本来、年度の当初におきまして資金計画を立てる、予算をつくります。そこで、収支の差額分は全額国庫で交付金として出しますので、本来は赤字だ黒字だというのは出ないはずのものでありますが、しかし、先ほどもちょっと一例として申しましたように、出版物が、これはなかなか売れ行きというのは画一にあらかじめきめるわけにもまいりませんので、そう多目に見たり少な目に見たりなるべくしないといたしましても、きちっと合いませんので、そうしたものが若干出てくるという程度以外に、ちょっと私ども、赤だ黒だというのはそう出ない性質のものだと思っております。そうしたものが出ました際に繰り越していく。あるいは、余裕金が出た場合には積立金をしておく。その次に損失が出た場合には、その積立金を取りくずしていく。そういう形で、実際はそう大きな金額ではない、わずかな額だと思いますが、この規定では、そうした処理をしていくということになると思います。
#232
○鈴木強君 これは額の多寡ではないのです。一つの原則ですから、会計上の。だからして、あなたの言うような、そんなささいなことだけでは済まないのです。たとえば、本を発行した。それが予想外に売れなかった。そのために赤字が出た、あるいは出版費が値上がりして。その場合には、余っている本を来年度売って収入が入ってくればいい。それを充てられますね。そういうのはある程度心配はない。そうではなくて、実際に事業を実施する上において赤字が出てきたという場合のことを考えておかなければならぬのです。その場合に、法律のたてまえから言うと、そういう場合には繰越欠損でいいのですよ。その繰越欠損というのは積立金によってまかなえる間はいいが、積立金がどのくらいふえていくか私は知りませんけれども、なかった場合には、結局国がこれを補てんしなければならないわけでしょう。そういう法律のたてまえでしょう。だから、その辺がもう少し何か、ブレーキをかけると言うとおかしいけれども、予算決算上のたてまえからいえば、ちょっと何か安易なような気がするものですから、その辺をちょっと指摘したわけです。
#233
○政府委員(矢野智雄君) このセンターの事業、あるいはそれに基づきますいろいろの決算につきましては、その年度の終了後三カ月以内に企画庁長官に提出して、承認を受けなければならない。これは二十二条の規定でありますが、もちろん、その際に、最初予定したもの、つまり予算のときとだいぶ違ってしまった、そのときに、やはりその内容に応じまして、それは事業の内容を検討しました場合に、もともとの計画のほうが非常に何か無理があった、センターとしては十分慎重に、また十分最初の目的どおりにやった、つまり手落ちなくやったのに、何かそこに赤字が出たというようなことでありますれば、おそらく、これは翌年度の予算をつくるときにまた検討し、その点をもう少し詰めてみる。それでもし赤が出るようでしたら、交付金で処理するというようなことも考えられるかと思います。しかし、そういうものでなくて、先ほどからたびたび例を出しておりますが、出版のようなもので赤字が出た、しかし、翌年度またそれが売れて埋められるかもしれないといったような場合には、繰り越しで処理していく。これは、ケースケースによりましてその内容を十分チェックした上で、いずれかの処理をとっていくことになる。かように考えられます。
#234
○鈴木強君 それでは最後に、第四条の、「別表に掲げる土地及びその定着物の価格の合計額に相当する金額」が資本金として二億にプラスされることになるわけですね。この土地は、この別表によると、港区芝高輪三丁目十三番地千四百三十四平方メートルという宅地は国有財産だと思いますけれども、一体これは台帳では幾らになっておりますか、価格が。それから現在の時価に評価したらどれくらいになりますか。それで、「相当する額」というのは、二の「別表に掲げる土地及び定着物の価格の合計額」の額は幾らになるわけですか。
#235
○政府委員(矢野智雄君) この高輪の国有財産千四百三十四平方メートルでありますが、現在、国有財産台帳の上での価格は九千七百九十万円ほどであります。一平方メートル当たり約六万八千円であります。これが台帳の価格でありますが、時価はいまどのくらいかは、つまびらかにいたしません。いずれにいたしましても、この点は、この法案の条項にありますとおり、評価委員がこれを評価するわけであります。そのときに、おそらくその近傍類地の売買実例等を参考にして評価して、その評価に基づきましてこの出資金の金額をきめるわけであります。
#236
○鈴木強君 四月から土地に対しては評価価格というのをつくったですね、政府が。高輪というのは一体、政府が評価する価格からいったら幾らになる。これから評価委員をつくって何とかかんとか言っているけれども、大体政府がきめた土地価格が公示されているんですからね。
#237
○政府委員(矢野智雄君) この評価額は、国民生活センター法案の四条の六項にありますように、「出資の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価格」ということになっておりますので、この評価委員が、先ほど申しましたように、近傍類地の売買実例等を参考に時価によって評価することになる、こういうことであります。
#238
○鈴木強君 いま現在の時価は幾らですか。土地公示価格による価格は。それを聞いているのです。
#239
○政府委員(矢野智雄君) 時価ははっきりいたしません。
#240
○鈴木強君 公示価格があるでしょう。高輪は公示価格でいったら幾らですか。
#241
○政府委員(矢野智雄君) ちょっといまつまびらかにいたしませんので、後ほど御連絡いたします。
#242
○鈴木強君 それで、ここへ建物を建てるのでしょう。その建設計画ですね。坪数とか、どういう建物だとかいう、そういう設計図というのはできておるのですか。いつでき上がるのですか、それは。
#243
○政府委員(矢野智雄君) さしあたりは、本年度の予算で二億円を織り込んでおりますが、これは当座予定しております約千二百坪につきましての一部の費用であります。で、あと、これを完成していきますのに、先ほどちょっと申しましたが、おそらく総額七億くらいになるかと思いますが、建物全体ができ上がりますのは、私ども、まだはっきり申し上げられるほど詰めておりませんが、できれば四十七年度も、なるべく早い機会にでき上がるということを望んでおります。そうしたことで進めてまいりたいというように思っております。
#244
○鈴木強君 では、資料だけ出してもらって、いいです、もう終わります。
#245
○委員長(横山フク君) 渡辺君。
#246
○渡辺武君 午前中に引き続いて、国民生活センターの業務内容について、なお質問をしたいと思います。
 午前中、長官にいろいろ伺ってみたわけですけれども、私が質問する趣旨は、せっかく、こういう機構も大きくし、予算もふやして、そうして新しいセンターにしていくということでありますので、この法の第一条にもうたわれております、また提案理由の説明の中にもはっきりとうたわれております。国民の生活の安定向上にほんとうに役に立つものになってほしいという趣旨から質問しているわけです。ところが、長官の午前中の答弁によりますと、センターはできるだけ自主的にいろいろ情報の提供をやっていいのだ、場合によっては政府の政策について批判的もしくは反対の情報も流してもいいのだというような趣旨のことを一方では言われているわけですが、同時に、他方では、物価の問題にしましても公害の問題にしましても、結局のところ、情報源その他についてやはり政府資料などが中心になってくるということで、どうも、全体としての感じですと、政府の政策のPR機関ですね、こういうものになりそうな感じが非常に強いと思うのです。私は、これは、一番最初申しましたように、いまの国民生活上にいろいろな困難の起こる一つの大きな根源ですね、これはやはり政府の政策にあるというふうに思います。ですから、強いことばではありますけれども、国民の生活を困難にさせている犯人の立場からいろいろ情報を流すというようなことでは、ほんとうに国民の生活の安定向上に役に立たない、むしろ、事態の本質をおおい隠すような役割りを演ずるのじゃないかという懸念が非常に強いわけですね。ですから、そういう点から、少しくどいようですけれども、もう一つだけ、具体的なケースについて伺ってみたいと思うのです。
 先ほどもお話がちょっと出ましたけれども、チクロの問題だとか、BHC牛乳の問題だとか、いわゆる有害食品あるいはうそつき食品ですね。あるいは自動車の欠陥車に典型的にあらわれましたけれども、いろいろな欠陥商品などが、ちまたにはんらんしていると言っても言い過ぎでないほどだと思うのですね。消費者にしてみれば、一体市販されている石油ストーブなり、あるいはまたヘアスプレーなりが、ほんとうに安全なものなのかどうなのか、カタログどおりに信用して買っていいものなのかどうなのか、こういうようなことについて非常な疑問を持っているのですね。こういうものについての問い合わせがセンターにあった場合に、センターはどういう情報源に基づいて答えを出すのか、その辺を伺いたいと思うのです。
#247
○政府委員(矢野智雄君) いま御指摘のようないろいろ問題が出てくるかと思います。その場合には、センターといたしましては、もちろん、センターにそれぞれの部門についての専門的な知識あるいは技術というものはすべて備わるわけにもまいりませんので、それぞれの問題につきまして権威のあるテスト機関あるいは調査機関、そういうところに調査を依頼いたしまして、その結果に基づき、国民がその選択に惑わないように、その情報を一般的に、あるいはその窓口に来た人に提供してまいる考え方であります。
#248
○渡辺武君 そうしますと、たとえば、BHC牛乳なりチクロの入った食品なりについて、いまおっしゃったように専門的な知識や技術を持っている研究機関といいますと、さしあたって、どういうものがありますか。
#249
○政府委員(矢野智雄君) 問題によってそれぞれ違うかと思いますが、たとえば、御指摘のような場合には、国立衛生試験所のようなところになると思います。
#250
○渡辺武君 この国立衛生試験所が、予算も足りなければ人員も足りない、そうして、いまの消費者の要望に十分こたえるだけの回答を出すだけの機構上の条件も十分備わっていないということをよく言われているわけですね。特にBHC牛乳なりチクロの問題については、いままでの政府の立場について消費者が非常に大きな疑問を持っておるわけですね。その同じところへまたこの調査を委託して、そしてその回答によって情報を提供するということになってくれば、私先ほど申し上げましたように、結局のところ、不十分な、あるいはまた、先ほどちらっとそういうことばが出ましたが、企業サイド、そういう立場に立った情報しかセンターは流すことができなくなるのじゃないかと思います。やはり、センターがそういうものについての試験なり調査なりを独自にできるような、そういうものになっていくことが必要じゃなかろうかというふうに思うのですけれども、これは、どうですか。
#251
○政府委員(矢野智雄君) 生活センターがその目的を達しますためには、そうしたいろいろな問題につきまして、客観的な、あるいは専門的な、あるいは中立的なと申しますか、そうした権威のある機関の検査、テストをもとにして、それを一般に提供していくということがこの考え方の中心であります。その場合に、たとえば既存のテスト機関が不十分である、いま御指摘の、人員も少ないとかいうことがありますれば、まず私どもとしては、こうした機関の拡充を考えていきたいと思います。もちろん、それで不十分であれば、生活センターそのものがこういうテスト施設を持つこともあるいはこの目的を達成するために必要なことが起こってくるかと思います。しかし、ともかく現在の段階では、いろいろあちこちにつくりますよりは、なるべく既存のものを活用し、また拡充していく、そのほうが全体として見て一番効率的であろうと、かように考えますので、なるべく専門の機関の拡充のほうに、私どももそちらに協力し促進してまいりたいと思います。しかし、たびたび申しますように、もしそれではどうしてもうまくいかないということであれば、独自に持つことも将来考えなければならないことになるかと思います。
#252
○渡辺武君 BHC牛乳とかチクロの問題などについては、私は、センターとして、それはまあ確かに、既存のいろいろな研究機関あるいはまた検査機関、これに委託して調査するということも、これまた必要なことだと思うのです。全然それを無視するという意味じゃないですけれども、しかし、可能な範囲については、やはりやってみる。たとえば、自動車の欠陥がどこにあるかというような問題については、これはかなりの設備費用などが必要だと思うのですけれども、しかし、たとえば石油ストーブ、あるいはまたヘアスプレーなど、ああいうようなものについての安全性などについて、これは民間の消費者団体でもやっていることなんですね。ですから、そういうようなものについてやはり積極的に取り組むという姿勢があるかどうか、独自にですよ。その点はどうですか。
#253
○政府委員(矢野智雄君) 先ほど申し上げましたのは、原則的に、なるべく既存の機関を利用し、活用し、あるいは拡充するというほうが効率的であろうと思いますが、しかし、非常に簡単なものを一々あちこちへ頼んでも、かえって複雑な場合もありますので、十分実情に照らしまして、そういう程度のものはとりあえずセンターでやっていただくということも考えられるかと思います。なおまた、地方にも、もうすでに二十の府県に消費生活センターができており、そこにもいろいろテストの施設がございます。簡単なものでありますが、それを活用するということもなるべく考えていきたいと思います。現在各地にそういう消費生活センターがありますが、民間で、前みたいにばらばらにやっておりますと、どこも同じような程度のことしかやっていない。ですから、これをなるべく総合的に運営していけば、そのむだもはぶける、はぶければ、同じ費用を使っても、もう一歩出るということも可能でありますので、そうしたことも含めまして、あくまでテストということは目的ではなくて手段でありますので、この生活センターの目的を達成するための必要な、あるいは有効な手段は、絶えず求めていく必要があると、かように考えます。
#254
○渡辺武君 いま局長は、この仕事を具体的に進める上での便宜、不便宜というような点からお答えになったかと思うのですけれども、しかし、やっぱりこういうセンターなどのようなものは、先ほども申しましたし、私繰り返し繰り返し申しますけれども、できるだけやっぱり政府の制約から離れて、自主的に、民主的にやっていくということが、これが国民の生活の安定や向上にほんとうに貢献していく道になっていくかと思うのですね。そういう見地から私申し上げているわけです。ですから、もしかりに研究などを委託する場合でも、そこで明らかになった調査結果などの中から真実に近いようなものを自主的に判断して、はたして率直に国民に情報として提供できるのか。それからまた、厚生省なり、あるいはまた経済企画庁なり、それについての一定の見解が当然出るわけですね。これはいままでだって出たわけです。BHC牛乳にしても、いまの程度ならだいじょうぶでございます、あるいはチクロについても、これはアメリカで問題になる前は、国民から質問があっても、いやこんなことはだいじょうぶでございますというような答弁が政府側からなされておったというような事実もあるわけですから、そういう政治的な判断によって左右されないかどうか。私は、そういうことがあってはならないのじゃないかと思うのですけれども、その点はどうですか。
#255
○政府委員(矢野智雄君) いま言われましたように、そうした問題は政治的なことで左右されてはならないというふうに思います。あくまでも、問題は、その判断が客観的であり、あるいは十分技術的にも権威があるかどうか、これが一番のポイントだと思います。もしそうした権威のある判断がもとにありましたら、もちろん、これを政治的にどうこうすべきものではないと思います。しかし、反面においては、あまり権威がない、あるいは不十分な材料に基づいてそれを一般に出しまして、かえってこれが国民の判断を惑わすようなことになってはいけませんので、そうしたところは十分慎重に扱っていかなければなりませんが、それはあくまでその判断が客観的なものであるかどうか、それにかかっていることでありまして、決して政治的な観点でどうこうすべきものではないと、かように考えます。
#256
○渡辺武君 ふたをあけてみないとわからぬことでしょう。いまここでいろいろ抽象論議をしても始まらぬことですけれども、くれぐれも申し上げておきますけれども、水俣病にしましても、それからまた神通川の例のイタイイタイ病の問題にしましても、結局のところ、民間の団体、民間のお医者さんが自主的に調査して、そうして原因はここにあるのじゃないかということを言ってきた、そのことが正しかったということが確証されてきたわけですね。長い時間はかかりましたけれども。そうして、政府側の発表はこれは不十分であったということが確証されてきているわけで、事やはり国民生活に関係して、そうして、国民にとって重大な利害関係を持っていると同時に、その加害者である大企業にとってもかなりの利害関係を持っているというような問題については、やはりこの点くどく私は言わざるを得ないのですね。
 そこで、なお重ねて伺いますけれども、先ほどの御答弁の中にも、基礎研究はセンターとしてなお続けるのだという趣旨のことを長官答えておられますけれども、いままで国民生活研究所は基礎研究を主体としてやってこられたと思うのですね。ところが、今度の場合には、法の条文にも基礎研究ということがうたわれていない。総合調査ということの中に含まれているのだという御答弁だったわけですけれども、しかし、いろいろ御答弁などから考え合わせてみますと、どうも基礎研究というのがおろそかにされるのじゃなかろうかという心配が非常にあるわけですね、たとえば、先ほど公害の場合で、各企業について公害の発生源その他で立ち入り検査などをやることができるかどうかという点について、私長官に――これは公害の問題じゃありませんでした、原価の問題ですがね。いや、そういうことはできないんだというようなことをおっしゃっておられる。そうしますと、やはり自主的な基礎研究というのがなかなかこれはむずかしいということになろうかと思いますね。ですから、各企業や、官庁や、それから先ほど話のあった地方の国民生活センターですね。ここから的確に欲するだけの資料などが必ず来るような仕組みになっておるのかどうか。そうして、それに基づいてセンターが独自な基礎研究をやることができるようになっているのかどうか。この法案を見ると、そういう点を義務づけるような条項が一つも書いてないわけですね。各地方の国民生活センターの実情など私詳しくは知りませんけれども、聞いてみますと、それぞれ、いろいろ苦情を持ち込まれたり、相談を持ち込まれたりして、それでもう大わらわになっているということであって、資料を特殊法人であるセンターに出すだけの時間的及びその他の余裕があるかどうかというような点も非常に疑わしいわけですね。そういう点、保証されるのかどうか。それからまた、必要に応じては、各企業などに原価やあるいはまた公害発生の原因を追及するために必要な調査権を発動できるというような体制があるのかどうか、こういうふうな点についてお答えいただきたいと思います。
#257
○政府委員(矢野智雄君) センターが活動するのに必要な情報、資料は、もちろん、このセンターが活発に収集していかなければならないと思いますし、その点につきましては、経済企画庁あるいは関係各省の協力も非常に必要であります。そのために、たとえば、この法案の条項にもありますように、運営協議会を開き、ここには関係各省、あるいは地方公共団体、あるいはそのほかのいろいろ学識経験者も広範にここに参加していただき、さらに運営上では、その下部機構をつくりまして、なるべくこの情報の交流のネットワークをつくっていきたいというように考えております。
 第二の点でありますが、この立ち入り調査といいますのは、もちろん、この生活センターにないというだけではありませんで、現在役所にも、それぞれ法律で規定されたもの以外には、そうした権能はないわけであります。たとえば、先ほど長官も申しましたが、独禁法に基づいて公正取引委員会がその条項に照らし必要な立ち入り調査権を持つとか、あるいは公害に関連いたしましても、たとえば水質に関しては、水質保全法及びそれの規制を実態的に規制していきます工場排水法その他の法律、それぞれの法律では、その規制の目的を達成するために必要な立ち入り調査権も持っております。したがいまして、それはそれぞれの機関で立ち入り調査し、また、そうした結果の資料は必要な範囲で、また交流していくということになろうかと思います。
#258
○渡辺武君 そうしますと、やはり、自主性といっても、非常に制約された自主性ということになるおそれが非常に強いですね。まあその点は、立ち入り調査権を持つということでないにしましても、企業に要望した場合に、企業がこのセンターの要望にこたえて必要な資料などを提供できるような、そういう仕組みですね、これを何とかやっぱりつくる必要があるのじゃないか。先ほど長官も、その点は賛成でございますと言っておられたけれどもね。どういうふうな保証をするのか、その点、どうでしょうか。
#259
○政府委員(矢野智雄君) 企業からの情報も、先生先ほど立ち入り調査権と言われましたので、そういう権能は生活センターに与えることは困難であろうと思います。生活センターだけでなくて、経済企画庁にしても、一々そういう権能を持つことはできないわけでございます。しかし、なるべくこの情報の交流ははかっていきたい。むしろ、私どもは、運営として望ましいことは、たとえば、まあ消費物資を生産したりする企業も、このセンターにむしろ積極的に情報を提供していくことを望んでおりますし、また、そうせざるを得ないような、実際にそういう仕組みができることが非常に望ましいと思います。センターにいろいろ相談しないと、どうもあとまずいとか、センターがだんだん国民の信頼を得ていくようになり、あるいは消費者がこのセンターの情報を非常に信頼していくということになりますと、企業のほうもこれを無視できなくなると思います。センターに、むしろ積極的にそれに協力していこう、ある何かの商品を出しましても、あとで消費者に非常に反感を買うようなものになると、そうした企業の製品もなかなか売れなくなってしまう、だんだんそういう情勢が強くなってきていると思いますが、そうした場合に、センターに自発的にあらかじめいろいろ相談していく、そういうことが、まあ何と言いますか、必要になってくる、こういう情勢をつくり上げていくということは、これは運営の問題でありますが、なるべくそうした方向に持っていく、そうなっていくことが好ましいというように思います。
#260
○渡辺武君 それでは、質問を次に移しまして、十八条の第三号ですね。これを見てみますと、「前二号に掲げる業務に類する業務を行なう行政庁、団体等の依頼に応じて国民生活に関する情報を提供する」ということが書かれておりますし、また、十九条には、「経済企画庁長官の認可を受けて、前条第四号に掲げる業務の委託を受け、又は同号から同条第六号までに掲げる業務の一部を委託することができる。」ということになっておりまして、外部から依頼を受けたり、あるいはまた、委託をして仕事をするということがきまっておるわけですけれども、この十八条の三号の「行政庁、団体等」と、「行政庁」はわかりますけれども、「団体等」となっておりますけれども、団体の中には営利企業も含まれるのかどうかですね。それから十九条の、経済企画庁の認可を受けて業務の委託を受けるという場合に、民間の営利企業ですね、この委託も、認可があれば受けるのか、その点、伺いたいと思います。
#261
○政府委員(矢野智雄君) まず、十八条三号にある「団体等」というところでありますが、これは、その前に書いてありますように、このセンターの「業務に類する業務を行なう」という行政庁なり団体でありまして、まあ、念頭に置いておりますのは、主として消費者団体であります。しかし、もちろん、消費者団体と申しましても非常にばく然とした概念でありまして、いずれにしましても、この国民生活の改善に関する情報を提供していく、こういう業務を行なう団体に対して情報を提供していくということであります。たとえば、苦情、問い合わせ等を受け付け、それの処理をしているような団体、こうしたところも、その独自の活動だけでは十分でない場合があると思いますから、これは国民生活センターと、ある意味では、まあ一体になってと申しますか、そういう形で活動していく、そのために必要ないろいろな情報を提供するということを主として考えております。
 それから十九条のほうは、業務の委託を受け、あるいは業務の一部を委託するということでありますが、この業務の委託と申しますのは、主としてここで考えられますのは、このセンターの業務の中で従来の国民生活研究所から引き継ぎます調査研究の分野が多いかと思います。そうしたところでは、現在もやっておりますように、役所とかあるいは地方公共団体あたりからも委託を受けることがあるかと思います。まあ営利団体からというのはちょっとあまり例に考えにくいと思います。ただ、営利団体ではなくて、いろいろな団体から委託を受けるようなことが、この調査研究についてはあるかと思いますが、しかし、やはり中心は、役所、地方庁、あるいはこうした類似の活動をやっているところからの、主として調査研究についての委託になると、かように考えます。
#262
○渡辺武君 この国民生活研究所の資料ですね。これによりますと、「委託調査実績一覧」というのがございまして、昭和三十七年度から四十四年度までのがあります。その中で、たとえば、昭和四十年度の委託調査実績一覧というものを見てみますと、日本酒造組合中央会、それから日本中央競馬会、それから西武百貨店、それからグルタミン酸ソーダ工業協会、いす父自動車株式会社というようなところから委託調査を受けているわけですね。そして、経済企画庁からの委託調査が二件あるわけで、あとは、こういう、いわば民間の営利企業もしくは営利企業団体ですね。それの委託調査ということになっておるわけですけれども、いまの御答弁からいうと、この十九条の委託ですね。これは、こういう営利企業もしくは営利企業団体は含まれないということになりますか。
#263
○政府委員(矢野智雄君) この法文で具体的にそうは書いておりませんが、やはり、この生活センターができる趣旨、目的に照らしますと、少なくとも調査研究以外のところで、そうしたどこかの委託ということはちょっと考えられないと思います。また、調査研究の場合でも、原則的には避けるべきであろうと思います。これは、センターのイメージに照らして、そうしたほうが望ましいというように思います。
#264
○渡辺武君 そうしますと、国民生活研究所の場合はこういう営利企業からも調査の委託を受けておったが、このセンターの場合は原則的にそれはやらないというふうに理解してよろしゅうございますね。
#265
○政府委員(矢野智雄君) 調査研究の場合でも、営利企業から委託を受けることは必ずしも望ましいとも言えないかと思いますが、しかし、まあ調査研究は客観的なものでありますから、そこから委託を受けたから、すぐどうということはないはずであります。そうした意味もありまして、国民生活研究所の場合にはこうした委託も受けていたわけでありますが、しかし、生活センターになりますと、調査研究だけでありませんで、国民生活の改善に関する情報を提供するとか、こういったイメージがなお強くなりますので、一方で、かりに調査研究の部門でありましても、どこか営利会社なりから委託を受けていたとしますと、どうも全体のイメージに合わなくなる可能性が出てまいると思います。したがいまして、なるべくそうしたことは避けるべきだと思います。そのためにも、今度の生活センターは、この必要な経費は全額交付金でまかなっていくということにしました趣旨も、そうしたことにあります。従来の生活研究所におきましても、消費者保護としてこれは補助金で出しておりましたが、今度交付金ということで明記しましたのも、そうした配慮があってのことであります。
#266
○渡辺武君 それは、私、非常にけっこうな答弁だと思うのです。やっぱり非常に心配というか、気がかりであったのは、せっかくセンターに機構も拡充強化したというのに、個別の営利企業から委託調査を受けて、そしてマーケットリサーチのごときものをやるということでは、これはもう全く話にならぬというふうに思ったわけです。実際、たとえば、いす父、自動車株式会社が研究所に委託した調査の題名を見てみますと、「経済構造および消費構造の変化に伴う輸送手段の変化に関する研究」というようなことでして、これはもう、読んですぐわかるように、自分のところでやるべきマーケットリサーチを、これを研究所に委託してやってもらった、なるほど委託調査費は幾らか出しておりますけれども、しかし、こういうことはやっぱり機構としてやるべきじゃないというふうに思います。その点はひとつ間違いないようにお願いしたいと思います。
 ところで、十九条の、「経済企画庁長官の認可を受けて」ということになっておりますけれども、この場合の認可の基準はどういうものですか。
#267
○政府委員(矢野智雄君) 具体的な基準というのをいまきめてあるわけじゃありませんが、趣旨は先ほどから申しておりますようなことであります。つまり、この生活センターの趣旨あるいは業務の内容に照らして、そこからあまり離れないようにと申しますか、そういう観点を考慮して、この「認可を受けて」という条項が入れてあるわけであります。
#268
○渡辺武君 それから第十九条の一番最後のところが、「業務の一部を委託することができる。」というふうになっておりますのですね。外部に業務の一部を委託するということですけれども、調査研究について、先ほどのお話もありましたけれども、それは信用ある機関、専門の機関を活用するということは必要なことですけれども、しかし、同時に、そのことにあまりたよりますと、そうすると、センターそのものがやるべき独自な調査研究、つまり、調査研究の独自性というものがそこなわれてくるおそれもなきにしもあらずだと思うのですね。先ほど基礎研究の問題についても申しましたけれども、こういう機関が、これがあまり政治的に左右されずに、ほんとうに国民生活のためになるセンターとして役立つためには、やっぱり、自主性、独自性ですね、これと同時に、それぞれの機関が基礎的な調査、独自な調査、こういうものをやることが必要だと思うのですけれども、その点、そういうおそれがないかどうか、伺いたいと思います。
#269
○政府委員(矢野智雄君) 国民生活センターも独自にいろいろ調査研究をし、あるいは、先ほど申しましたように、必要に応じては若干のテストのようなことも、あるいは将来考えていく必要があると思いますが、しかし、いずれにしましても、あらゆる分野につきまして、すべてここのスタッフなりあるいは施設がそれに応ぜられるとは限りませんので、よりこの目的を有効に達しますためには、問題によりましては、もっと専門の機関に委託して、そこで調査研究をしてもらうとか、あるいはテストをしてもらうとか、こうした必要が起こるかと思います。そのほうが、むしろこの目的に照らして有効な運営ができると、かように考えます。
#270
○渡辺武君 先ほど欠陥車の話をちょっと出しましたけれども、たとえば、日本自動車工業会がいま欠陥車の調査をやっているのだと、また、自動車の一酸化炭素の防止策についていろいろ調査をしているのだというようなことを言っておられるわけですけれども、こういう民間営利企業が持っている調査機関ですね。これらに委託するという場合がかなりあることを予想できますか。
#271
○政府委員(矢野智雄君) 具体的に、どういうところに委託するかということを考えておりませんが、いずれにしましても、この委託する目的は、国民に情報を提供する、その材料を得るということで、その材料はあくまでも権威のあるもの、また客観的なものでなきゃなりませんので、そうしたものに適応できるものであるかどうかが、あくまでも判断の基準になります。そういう点に疑義があるところには委託するわけにはまいらないと思います。それは、ケースケースによって検討しなければならないというふうに思います。
#272
○渡辺武君 私は、やはり、少なくともその問題について利害関係がある、たとえば自動車工業会の場合で言えば、これは一酸化炭素の排出の問題について、いまの自動車にどういう欠陥があるかというようなことについては、重大な利害関係を持っているわけですね。あるいはまた、運転系統その他について欠陥があるというような問題について、それが明らかにされるということについては非常に大きな利害関係を持っていると思うのです。したがって、そういう利害関係のある民間営利企業、もしくはそれが出資している研究所というようなところには、やっぱりセンターが委託調査などをやるべきではない。その点は十分に考えながらやっていく必要があるのじゃないかと思うのです。その点、どうでしょう。
#273
○政府委員(矢野智雄君) いま先生が言われますような疑義のある場所には委託すべきものではないと思います。ただ、どこの機関がどうであるかというのは、ケースケースによって検討しなければならないわけでありますが、あくまでも、客観的なデータが得られる、また権威のあるデータが得られる、そういうところを使っていくことが必要であるというふうに思います。
#274
○渡辺武君 それから、調査研究の成果の発表ですね。あるいはまた、情報の提供、先ほど、ほかの委員に対する御答弁の中で、テレビなどでPRするというような趣旨のことを御答弁になっておられますし、あるいは定期的な雑誌のごときもの、あるいはまたジャーナルのようなもの、こういうふうなものも出されるかと思います。その発表の場合、経済企画庁がこれに対し内容上一定の制約を加えるというようなことが予想されるわけですね。そういう点はやるべきでない、少なくとも、研究所の自主性、これを尊重する限りは、やるべきでないというふうに思うのですけれども、従来の国民生活研究所がたとえば新聞記者会見などをやって研究の成果などを発表する場合に、発表する広い場所がないという点もあって、経済企画庁の役所の一部分でやる。その場合に、企画庁の課長会議などで十分その内容を点検した上でオーケーが出ないというと発表できない、また、発表の場には課長さんがちゃんと一緒に参加しているというような事態があったというようなことも聞いているわけですけれども、やはりそういうようなことで相当強く内容上の統制をやられるのかどうか、その点、どうですか。
#275
○政府委員(矢野智雄君) このセンターが、調査研究する、あるいはそのほかの情報を集め、それを一般に提供していくにあたりましては、あくまでもこのセンターの自主的な判断が中心になります。経済企画庁は総括的な監督をする立場にありまして、個々についてこまかく一々指示したりするわけではありません。あくまでも自主的な活動を尊重してまいりたいというように思います。経済企画庁としましては、そうした自主的な活動、また、その内容なり成果がこの目的に照らして十分有効であるように、むしろ協力をしていきたいというように考えます。いずれにしても、重要なことは、そうした情報が正確であり、あるいは客観的である、権威がある、これが一番重要なことでありまして、そうした点から、あるいは必要ならばこちらから助言をしていくということは、あるいは起こる場合もあるかと思いますが、いずれにしても、その判断は、役所に都合がいいの、悪いのということから考えるべきではなくて、あくまでもこの目的に照らして十分活発な活動ができることが一番重要なことであるというように考えます。
#276
○渡辺武君 次に、センターの機構について少し伺いたいと思うのです。
 先ほど申しましたとおり、せっかくこういうセンターをつくって、国民生活の安定向上に役立てるということでありますので、業務の内容ももとよりのことでありますが、特にセンターの機構ですね。これがやはり民主的なものであることが私は相当必要だと思うのですね。そういう点から御質問するわけですけれども、第九条で、会長、理事長及び監事は、内閣総理大臣が任命することになっております。特に十一条を見ますと、政府または地方公共団体の職員は常勤の役員になることができないという趣旨のことがうたわれているわけです。そこで、どうも心配になるのは、現職の政府・地方公共団体の職員は、これは常勤の役員になることができないというふうにはっきりうたわれているわけですけれども、天下って、いまの役職をやめて、そうしてここの会長になったり、あるいはまた理事長になったり、あるいはまた監事になったり、というようなことも十分可能性として考えられるわけでありますね。従来、こういう外局ができるというと、大体お役人の天下りの機関というのが普通のことだったと思うのですけれども、少なくとも、やはり国民生活をこれほどの状態にした――私、きびしいことばで言いますけれども、やはり加害者ですね。加害者の一人である政府などから天下るということはやるべきじゃない。ですから、役人の前歴のある人、これはこの役員に任命することは避けるべきじゃなかろうかというふうに思うのです。
 それから、さらに考えてみますると、こういうセンターができて、先ほどちょっとおことばもありましたけれども、消費物資をつくる大企業が積極的にこのセンターにいろいろな情報を提供する、これは、いい面も確かにあると思うのですよ。実情を調査するという点で、いろいろ便利になるという面もありますが、同時に、センターが大企業のつくった消費物資の、いわば宣伝機関として役立てられるという可能性もあるわけですよね。ですから、そういう意味で、そうしてまた、先ほど官庁の場合で言ったと同じように、公害、交通事故その他のいわば加害者の立場にある財界、営利企業、もしくは財界の団体、これと関係を持っておる人、もしくはかつて持った人、そういう人はこういう役員にすることを避けるべきじゃないか。あるいは学校の教授なども、たとえば政府の諮問機関などでかなり活躍されて、いわば政府と一体となってやってこられたというような方もおられるわけですね。そういう人たちなども、やはり遠慮してもらうべきだというふうに思うのです。そうして、ほんとうに消費者国民の生活実態をよく見ることのできる、そうしてまた、国民の意見もよく代表できるような民間人ですね、こういう人たちを役員に据えるべきだというふうに思いますけれども、その点、どうでしょうか。また、いま大体役員として目標を考えて、人選なども進めようとしておられると思うのですけれども、その中に、いま私が申したような点で該当する方がおられるかどうか、その点、伺いたいと思います。
#277
○政府委員(矢野智雄君) 現在、まだ法律審議中でありますので、もちろん、だれを会長にするとかどうとかいうことは検討しておりません。法案が通り、法律が成立いたしましたら、さっそく、会長、理事長、監事は設立委員として任命しなければなりませんので、その段階で考えていくことになります。いずれにしましても、この会長につきましてはこのセンターの看板でありますので、このセンターのイメージを高め、十分信頼していただけるような、そうした、いわば人物と申しますか、そうした方になっていただくことが望ましいと思います。また、理事長につきましては、このセンターの仕事を切り回していく練達の士である必要があると思います。また、理事、監事、それぞれ、いずれにしましても、このセンターの業務、これを活発に遂行し、また国民からも信頼されるようになっていく、そうしたことに十分の役割りを果たせる人を得る必要があると思います。先ほど職員の点につきましても御質問にお答えいたしましたが、何といいましても、センターが活発に活動してまいりますためには、人がどうしても中心になりますので、この点は広くそうした人材をここに集め、お願いしていく、これが最も私どもの考えの中心であります。
 先ほど先生が、役人なりあるいは役所に少しでも関連した学者は全部加害者だと。これは、いろいろ見解の相違もあるかと思いますから、何とも申し上げられませんが、いずれにしても、このセンターが十分活動できる、そうした人材を広く求めていくという考え方であります。
#278
○渡辺武君 少なくとも、お役人の天下り、これは絶対避けてもらいたいと思うのですよ。それからもう一つは、やはり財界の代表者だとか、財界出身者、こういう人たちは、これは避けてもらいたい。なぜかといいますと、事国民の生活に関係する問題なんですよ。また、加害者、被害者ということを私例として申し上げましたけれども、しかし、国民の感情からすれば、これは無視できない問題だと思うのです。これはただ単なる見解の違いじゃなくて、いままでの実績そのものが物語っている問題だと思うのです。特に、このセンターが政府の政策のPR機関として使われることを防ぐために、そうしてまた、大企業のつくる消費物資のPR機関となることを防ぐためにも、その点はやはり特別に注意してやっていく必要があることじゃないかというふうに思うのです。このセンターを代表する人たちですから、その点はひとつ強く要望して、次に移ります。
 ここに理事がありますが、理事というのは大体何名くらいなものか。それからまた、少なくとも理事の過半数、これは国民のなまの声を反映することのできるような消費者の代表、消費者団体の代表、あるいはいろいろな民主団体の代表、こういう人たちを積極的に含めて、このセンターがほんとうに国民の生活に役に立つものにしていく必要があると思います。機構的な保証になるというふうに思うのですが、その点、どうでしょう。
#279
○政府委員(矢野智雄君) 理事の数は、この法案の第七条に書いてございますように、五人以内ということになっております。どういう人を理事にお願いするかは、もうすでに先ほど申しましたように、この生活センターの目的を達成し、業務を遂行していくのにふさわしい人を、なるべく各方面から選考してお願いするということになるかと思いますが、もちろん、具体的な人選は、この法律が通過し、さらにこの責任者がきまりましてから、この責任者が選んでいく、もちろん役所と相談して選んでいくことになるということであります。
#280
○渡辺武君 もう大体の方針ぐらいはできているのじゃないですか。役員や理事の構成メンバーですね。抽象的に、信頼のおける人物とかなんとか言われましたが、問題は、そういうことじゃなくして、この機構がほんとうに国民生活のために役に立つ民主的なものだということが必要なんで、やはり人選についても、それぞれ原則的な点はもうすでに確立しているような感じなんですけれども、その点、どうですか。
#281
○政府委員(矢野智雄君) 役員にどういう方をお願いするか、その基本的な考え方は、もうすでにお答えいたしましたが、それ以上具体的にどういうような人かということは、ことに理事につきましては会長が任命することになりますので、いま、もちろん私どもがこういう人がいいだろうということをきめられる性質のものではございません。あくまでも、センターができ、その責任者がきまりましてから、その責任者の考え方に基づき具体的な人選に移っていくことになるわけであります。
#282
○渡辺武君 この役員の任命ですね。これは総理大臣が任命することになっているわけですけれども、国会の承認を受けることが必要じゃないか。そのことのほうが、より民主的に人事などを決定することができるのじゃないかというふうに思うのです。その条項がこの法案の中にないし、また、センターの毎年度の業務ですね。これも国会に報告して承認を受けるということにしたほうが、まさに国民の生活安定向上に役に立つという機関としてはふさわしいものになるのじゃないかと思いますけれども、その点、どうですか。
#283
○政府委員(矢野智雄君) この法律につきましては、十分国会の御審議を経てつくらしていただくわけでありますが、あとの運営につきましては、やはり行政ベースの問題で十分この法律の趣旨を体して運営してまいりたいと、かように考えます。
#284
○渡辺武君 これは要望事項になりますけれども、この機関の民主性ですね。これを十分に確保するために、理事の過半数、これは、消費者団体、あるいはまた民主団体の代表を入れるということを十分に考慮して進めるというふうにしていただきたいと思うのです。
 それから運営協議会というのがございますね。この運営協議会の持っている権限ですね。これは一体どういうところにあるのか。会長は運営協議会の意見を聞かなければならないというふうに規定されておりますけれども、しかし、その意見をどの程度まで聞くのか。ただ単にそれを尊重するという程度のことなのか、それとも、運営協議会できまったことに基づいて運営するということなのか、その点がどうもはっきりしないわけです。したがって、運営協議会できまったことがどの程度実行されるのか、その権限について伺いたいと思う。同時にまた、運営協議会の構成メンバーについても、先ほども申し上げましたが、少なくとも過半数は、消費者団体なりあるいはまた民主団体なりの代表者を充当するというふうな仕組みをとることが必要だと思いますが、その点、どうですか。
#285
○政府委員(矢野智雄君) 運営協議会の権限に関しましては、法案の第十五条に明記してございますように、「会長は、センターの業務の運営の基本方針及び毎事業年度の事業計画について、あらかじめ、運営協議会の意見をきかなければならない。」、また、そのほか、運営協議会は「センターの業務の運営に関する重要事項について、会長の諮問に応じて審議し、又は会長に意見を述べることができる。」、こういうことになっております。これをどういうふうに運営していくか、これはもちろん、生活センターの会長が自主的にこれを活用していくことになるわけであります。しかし、いずれにしましても、考え方といたしましては、先ほどもちょっと触れましたが、生活センターの業務範囲は非常に広くなります。各方面との関連が深いものでありますので、こうした運営協議会の活動をセンターの仕事の中に十分活用していく必要があると思います。また、運営協議会だけでなくて、これはまあセンターができましてからあとの問題になりますが、またこれの下部機構なにかもつくりまして、なるべく広範なネットワークをつくる、そうした連係が十分とれるような運営が必要だと思います。
 なお、運営協議会にどういう人を委員にお願いするかということでありますが、この法案では三十名以内でありまして、学識経験を有する者並びに関係行政機関の職員及び地方公共団体の長のうちから、内閣総理大臣の認可を受けて、会長が任命されることになります。この点も、会長になるべき人がきまりましてから実際の選考に移ることになると思いますので、いま私からどういう人をどのくらいということはちょっと申し上げかねるわけであります。しかし、考え方といたしましては、まあ一つは、関係行政機関、これも非常に広範にわたりますので、こういう人たち、それから地方公共団体との関係も、先ほどからたびたび申しておりますように、地方の消費生活センターの事実上これが中核体として動いていく必要があるかと思いますので、そういう団体の長の人にもお願いする必要が起こると思います。もっとも、四十六都道府県全部というわけにはもちろんいきませんので、おそらく、その中から一、二名になりますか、二、三名になりますか、そうした人にお願いすることになるのではなかろうかと思います。それから学識経験者、この方々もなるべく各方面から参加していただきたいと考えておりますが、しかし、この仕事の性格から申しますと、やはり消費者団体と申しますか、あるいは主婦と申しますか、こういう方々との関連が非常に深く、またそういう人たちも非常に関心を持っておられると思いますので、なるべく数多くそういう方々もこの運営委員に入っていただくのが望ましいというふうに思います。
#286
○渡辺武君 私は、この運営協議会ですね、悪くすると、政府や地方公共団体の長のうちから、おそらくまあ代理人が出てくるだろうと思うのですけれども、しかし、こういう人たちが圧倒的多数を占めて、事実上実権を握ってやっていくという形になって、ますますセンターが、これはもう政府のPR機関になっていくための布石になるのじゃなかろうか、一方で言えば。他方で言えば、多少の消費者団体の代表あるいは主婦の代表などを入れても、これは一種のカムフラージュみたいなものであって、多少の意見は出さして言わせるけれども、しかし、なかなかこれが業務の中に取り入れられないというようなことになって、いわば添えもの的に、民主的な装いをつくるために、そういう人たちも多少入れるということになるおそれがあるのじゃないかと思うんですね。ですから、役員についてはもとよりのことでありますけれども、この運営協議会についても――これはなんでしょう、首相の承認を得て会長が任命することになっていますね、たしか。ですから、やはり政府として方針を持たなければいかぬと思うのですよ。会長がきまってからどうするかということじゃなくて、その点について、先ほど申しましたように、少なくともその過半数は、ここに「学識経験を有する者」となっておりますからね。まさに、民主団体あるいは消費者団体、あるいは主婦、こういう人たちこそは、これはもう、そういう点、自分の生活の問題ですからね、これは十分の知識を持っておるというふうに見て差しつかえないと思うのですね。だから、少なくとも半分以上はこういう人たちによって占めるようにして、そうして十分に民間の声がこういうセンターに反映できるようにしてほしいと思うのです。
 それから、時間もありませんので、あとはかためて伺いますけれども、第十一条ですね。第十一条を裏から読みますと、政府または地方公共団体の現職の職員でも、非常勤の場合には役員になることができるということになっていると思うのです。それから十三条のただし書きで判断しますと、営利を目的とする団体の役員でも、経済企画庁長官の承認を受けた場合には、センターの役員になれるというふうに読めますけれども、実際そうなのかどうか。また、こういう現職のお役人さん、また現職の営利団体の役員というようなものがセンターの役員になるというのは、どういう場合なのか、その点を伺いたいと思います。
#287
○政府委員(矢野智雄君) 第十一条の場合に、この法律案の条項から申しますと、非常勤であればなれると、裏から見れば、そういう規定であります。実際問題といたしましては、理事の場合に非常勤ではちょっと仕事ができないと思いますので、こういうことは実際にはないというように考えます。問題は監事の場合でありますが、これも、法律の規定からはできないわけではありませんが、実際には、そうしたことはおそらくこれはごく例外的に、あるいは一時的にそういう場合が起こることもあり得るということで、こうした規定になっておるかと思いますが、実際にはほとんどそういうことは考えられないと思います。
 なお、十三条のほうでありますが、「営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。」、これはもう当然のことであります。ただし書きの問題でありますが、これも、経済企画庁長官の承認を受けたときは例外になる規定でありますが、実際の例として考えられますことは、これもたとえば、会長は、先ほども申しましたように、センターのイメージを高め、センターの信頼を得るいわゆる人物と申しますか、そういう方にお願いすることになるかと思いますが、その場合に、なおさら、営利に関連しているような、そういう団体の役員だったりしますと、もともと、先ほど申しましたセンターのイメージというところから相反しますので、こういう場合にはもちろん考えられませんけれども、ただ、営利団体と申しましても、かなり広くなります。また、その役員といいましても、そこのほんとうの責任者ということでなくて、たまたまちょっと相談役とか参与とかいう名前を連ねておる場合も、あるいは考えられるかと思います。いずれにしましても、この会長は非常勤で考えております。常勤の、いま申しましたような人を得るということは、事実問題としてなかなか困難でありますので、非常勤でお願いすることになろうかと思いますが、その場合に、センターのこのイメージをこわすようなものであっては、これはもともと問題になりませんが、ただ、ちょっとした、形式上何か厳密に解釈するとひっかかるのじゃないかというようなときに、せっかくいい人が得られ、センターのイメージの上にも別にこわれるものでない、そういう場合に、あまりしゃくし定木に考えて、ひっかかってはいけないと思いますので、そういう場合のことを考慮して、こういうただし書きがついているのであります。
#288
○渡辺武君 原則的にはあり得ないことだと言われたので、それで信頼するとしますが、やはりこういう点はまずいと思うのですよ、現職のお役人が役員になれることは。もちろん非常勤ですけれども。それからまた、営利会社の社長さんなり、あるいはまた役員なりが役員になれるということは、これは絶対に避けるべきだと思うのですね。それは、運営技術上いろんな点もあると思うのですけれども、少なくとも、そういうことは、これはもうセンターの性格からして絶対に避けていくべきだというふうに思います。
 それから最後に、二つだけまとめて伺います、時間がないので。
 第十二条の二項の二項の二になりますか、職務上の義務違反があるときは解任しなきゃならないということになっておりますね。そこで一つ伺いたいのは、会長及びその他の役員が、第三十四条の五号に規定してあるように、経済企画庁長官の命令に違反して三万円以下の過料に処せられるというような場合が起こったとき、これは職務上の義務違反として解任の要件になるのじゃないかと思われますが、そうかどうか。その場合に、経済企画庁の長官の命令というのはどういう内容のものなのか、その点を伺いたいと思います。これは、研究所の自主性という点からしまして、企画庁長官が過度の権限をこの上に発揮するということでは、これは自主性をそこなう道になっていくと思いますので、その点をひとつ伺いたいと思います。
 それからもう一つは、いま伺ってみますと、人事の点につきましても、まあ御答弁では、センターの業務内容などに即したものに人事も考えていかれるというようなことでありますけれども、先ほども指摘しましたように、例外規定のようなものがあって、どうも政府の政策のPR機関や大企業の商品のPR機関になるおそれが十分にあるんじゃないか、なお残されていると思うのです。そこで、センターの、何といいますか、実際研究その他に携わっている職員の人たちですね。この人たちが自主的に業務ができるように、もちろん、大きな監督は会長のもとでやられるわけでしょうけれども、一般研究のテーマ、それから、だれがこの研究を担当するかというような担当者の決定、こういうようなものについては、職員が自主的につくった部会のごときもので十分討議して、職員の納得と了解のもとにきめていくということが必要じゃないだろうか。特に委託調査、研究などの問題については、その内容をよく職員に納得できるように、部会を公開して、そうして契約者あるいは研究の担当者などについても、部会で一応職員の同意を得るというようなシステムが必要じゃないかというふうに思うのです。まだ、ほかにもいろいろありますけれども、時間がないから、はしょりますけれども、いずれにしても、調査研究の進め方については、やはりそれを担当する人の自主性を十分に尊重して、その意見を十分に聞いて、尊重しながらきめていくというふうにしてほしいと思うのですが、その点どうですか。
 その二点について伺います。
#289
○政府委員(矢野智雄君) まず第一点でありますが、この法案にも書いてございますように、経済企画庁長官は総括的な監督の権限を持っております。ともかく、政府で全額出資なり、あるいは交付金を出してつくる機関でありますので、当然の規定であります。もちろん、そうした監督上必要な命令に違反した場合には職務上の義務違反になると考えます。しかし、この点は、何といいましても、この法律の目的に沿ってセンターが十分活動していくことが中心でありますから、先ほどもたびたび申しておりますように、自主的な活動が何といっても中核になります。役所からこまかい点について、ああだこうだと言っておったのでは、ほんとうに活動が活発には運営できないと思いますから、あくまでも自主的な活動が主体になることは、先ほどからたびたび申していることであります。しかし、何をやってもいいということではありませんので、これは、こうした特殊法人のどれにもある、いわば例文でありますが、包括的な監督権限、そうしたことなどに基づいて、こういう解任するということも当然に起こることであろうと思います。しかし、あくまでも自主的な活動が中心であるということは、たびたび申しているとおりであります。
 それから、センターのたとえば調査研究、あるいは委託を受けたり、あるいはしたりする場合のことでありますが、これはまた、センターの責任者が、この目的を遂行するのに最も有効な運営をとっていくものと思いますし、そう期待いたします。しかし、その場合には、当然、たびたび申しておりますように、人が中心でありますので、その間の意思の疎通をはかり、チームワークがとれていくということが、また基本になりますので、当然、センターの責任者になられる人は、そういうことを十分尊重していくものと考えます。
#290
○委員長(横山フク君) 本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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