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1970/05/08 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 物価等対策特別委員会 第10号
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1970/05/08 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 物価等対策特別委員会 第10号

#1
第063回国会 物価等対策特別委員会 第10号
昭和四十五年五月八日(金曜日)
   午後一時四十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         横山 フク君
    理 事
                小枝 一雄君
                林田悠紀夫君
                竹田 四郎君
                阿部 憲一君
                中沢伊登子君
    委 員
                赤間 文三君
                上原 正吉君
                大森 久司君
                櫻井 志郎君
                鈴木 省吾君
                高田 浩運君
                吉江 勝保君
                鈴木  強君
                竹田 現照君
                藤原 道子君
                山本伊三郎君
                渡辺  武君
   国務大臣
       国 務 大 臣  佐藤 一郎君
   政府委員
       経済企画庁国民
       生活局長     矢野 智雄君
       厚生省環境衛生
       局長       金光 克己君
       農林省畜産局長  太田 康二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       農林省農政局植
       物防疫課長    福田 秀夫君
       国立衛生試験所
       副所長      川城  巖君
   参考人
       国民生活研究所
       所長       浅野 義光君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民生活センター法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○当面の物価等対策樹立に関する調査
 (物価の安定に関する決議の件)
 (消費者行政に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(横山フク君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
 国民生活センター法案を議題といたします。
 本案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
 阿部君。
#3
○阿部憲一君 先月の二十七日でございましたか、主婦の代表が総理に面会しまして要望書を手渡しておりますが、その際、総理は、今度こそは物価と本気で取り組むといった発表をされたと、こういうふうに報道されておりますけれども、この、今度こそはというのは、いままでは、そのことばだけ承りますと、真剣ではなかったというようなふうにとられますけれども、この点を長官はどのようにお受け取りになりましたか。
#4
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、いろいろな提言等がございましたが、これについて、従来政府としても、私は、でき得るものから逐次やってまいっておる、こういうふうに実は考えております。ただ、率直に申し上げまして、やっぱり物価問題の認識がだんだんと深まってきておる。特に本年あたりは、いわゆる生鮮食料品高ということで、主婦の皆さまの関心も特別に強くなったということもございます。また、卸売り物価が上がってまいったというようなことで、物価問題全体についての関心も深まってきた。まあ、そういう意味において、一般的な認識が深まると同時に、要望も熾烈になってまいっております。そして、それを受けるところの政府の考え方というものも、おのずから、従来以上にこれを本格的に取り組まなければならないという気持ちが、やはりこれは当然のことでありますけれども、強くなってきておる。こういうような気持ちを、総理が、まあ別に飾られないで、無意識にお出しになったんだろうと私は思うのですが、今日までいろいろと各種の提言について政府が実行したものを過去の記録で調べてみましても、相当努力のあとは見えます。特に、昭和三十年代の後半においてずっと六%台だったものが、四十年度の後半に五%前後に一応落ち着いて最近まで来ておりますし、公共料金あるいは米価等に対する態度等を見ましても、私は、政府としても十分物価に対する心がまえもできておったと思うのですけれども、事態はさらに深刻になってきておると思います。そういう意味で、われわれもそうこの際腰を入れて、この物価問題に取り組まなければならない、こういうふうに感じております。
#5
○阿部憲一君 まあ、佐藤総理も、真剣に取り組もうということから、こういうふうな御発言があったと解釈いたしますが、そのような総理のおことばや、それからいま長官からの、いままで一生懸命物価に取り組んでこられたということはよくわかりますけれども、しかし、残念ながら、一時四十年代の初めにおいて安定しかかった物価も、ごく最近におきましては、安定どころか、むしろ逆に、物価騰貴というか、インフレがかった情勢になったということを非常に残念に思っております。今度御計画になった新経済社会発展計画、これは、最も重点課題である物価に関して、経済成長率を一〇・六%とすることによって、消費者物価を年平均四・四%ですか、五十年度には三・八%とする、こういうことが目標であると承っておりますけれども、これについて、この前の経済社会発展計画自体も修正して今度新しくなったというように、この計画自体も、このとおりいくことにつきまして一般からは不安がられている状況でございますけれども、長官のこれについての自信とか、お見通しについて伺いたいと思います。
#6
○国務大臣(佐藤一郎君) 前回の計画を、当初手直しするつもりで出発しまして、新しい計画になりましたが、前回の成長率というものに対して今回の計画の成長率は一〇%をこえるというものを打ち出した意味におきまして、やはり相当基本的に差がございます。それで、比較的に高い成長率の中にあって、この成長と物価の問題をどうやって両立させるかということで、確かに、なかなかむずかしい問題を従来以上にかかえておるという感じが私はするのであります。それだけに、私たちも、最終年度は三%台ということで、表現を文章的にはしておるのでありますが、まあ同時に、物価がいろいろと上がる要素というものが強まりつつありますけれども、同時にまた、それに立ち向かうところの対策というものについても、政府がこれから本腰を入れてまいる。ところが、今日、いわゆるインフレマインドと称せられるものが、びまんしかかろうとしておりますが、そうした基本的な点について、また政府自身が確信を持って物価政策を遂行していく。物価というものは、相当心理的な面を持っておるのでありますが、そういう意味で、私は非常に重要であろうと思います。そうして、最近のこの三、四年間の高い一三%台の成長率というものを、一〇%そこそこの成長率にスローダウンする、まず基本がそこにあると思います。そうしたことをやはり実現すべく、目下金融引き締めその他の総需要対策を行なっておりますが、そうした対策を徹底させることによって、徐々に成長そのものをスローダウンしていく、そういう基本に立ち、そうして総需要の抑制対策というものをさらにしっかりとしたワクにしまして、その中で効果的な個別対策を打ち出していく。まあ、そしてある時期が来ますれば、私は、そうした政府の対策というものに対する信頼というものをつなぐことができ、そして、それはやはり心理的にも大きな影響を持つと思うのであります。まあ全体を通じまして、この六カ年間というものは、まだ経済についていろいろと起伏があろうと思いますが、われわれは四十五年から始めまして、ひとつできるだけの努力をして、四・四%と逐次スローダウンするように持ってまいりたい、こういう考えであります。さしあたって、四・八%を何とか実現したい、こういう気持ちでございます。
#7
○阿部憲一君 今度の経済社会発展計画そのものが、実は、つくるときの時点といいましょうか、その時点では、経済の成長率というもの自体を、ある程度低く押えているわけですけれども、肝心の物価については、政府のお見通しの五%とか、あるいはその後に修正された五・七%ですか、そのような段階でおつくりになったと思います。それが現実には、それを少し上回った六・四%というのが、すでに昭和四十四年度における消費者物価の結果になっております。そうしますと、この計画自体が、スタートのときにおいて非常に無理があるという感じを私は持っておるわけですけれども、この点と、それから経済成長率を、現実の一二、一三というのを一〇・六%に押えたというようなことについて、目標である三・八%、この前もたしか、最終目標三・八%でなかったかと思いますが、そんなようなことでありますが、そうすると、非常に無理を初めから承知でこの計画を立てて、答えだけは何とか目標に合わしているというような感じが非常にするのですが、この点のお感じはいかがですか。
#8
○国務大臣(佐藤一郎君) これは、立て方にもよるのですけれども、上昇率というものを、年度間の上昇率というものを中心にして議論をしておる関係もありまして、いろいろと問題があることは事実でございます。しかし、四十五年度から始まりますこの新しい計画において、この出発点、その前の年の四十四年度の実績というものが、しばしば議論がございますように、生鮮食料品の値上がりとか、海外の物価高とか、いろいろな要因も加わりまして、予想外に高まったことは私残念に思っておりますけれども、四十五年から始まるということで、そうした要因というものは継続的な要因ばかりではないということも十分考えられるわけであります。そうしてまた、一方、四十五年以後の上昇率というものを問題にしているこの計画という立場からいたしますならば、出発点が予想外に上がったことはわれわれも残念でございますけれども、その計画の数値というものを、これからの努力によって十分に実現できる、決してこれを、全然できないような目標であるというようには全然私たちは考えていない、これをどうしても実現しなければならない、こういうふうに確信をしておるわけでございます。
#9
○阿部憲一君 なお、四月二十八日ですか、お訪ねして翌日ですけれども、閣議でもって、そのとき佐藤総理が発言されて、生協を育成したらどうかというようなことを言われたそうですけれども、それは事実でしょうか。それと、また、そのようなことについてどういうふうにお考えか、お伺いしたいと思います。
#10
○政府委員(矢野智雄君) いま御指摘の、総理に対します要望事項、直接私伺っておりませんので、新聞報道等を通じて聞いておる程度でございますが、その日に、朝から、生協あるいは主婦連、そのほか消費者団体の会合がございまして、政府の行政介入につきましての物価安定政策会議の提言に関して、関係各省の人を呼んで、そこでいろいろ質疑がありまして、私もそこへ出席いたしました。そのときに、そういう要望をあとで総理に届けるということを聞いておりますので、おそらくそれは事実であると思います。
 生協の活用の点につきましては、先般、四月二十二日の物価対策閣僚協議会で物価問題について閣僚レベルにおける討議をいたしました際にも、一つは、生鮮食料品等につきまして、なるべく流通機構を簡素化する、その一つの手段として、産地と消費地との直結方法を考えたらどうかということ、それから、いまの御質問の点に関連いたしまして、もう一つ、大型小売り店等の育成をはかってはどうか、こうしたことにつきまして討議が行なわれ、そういう問題について事務レベルで具体策を早急につくれ、こういうことになっております。その具体策を現在関係各省と協議しておりまして、五月の末あたりを目途としてその具体策をつくり、閣僚協議会を再び開いて御討議いただき、なるべく御決定をいただくという手はずにいたしております。その一環といたしまして、産地との直結とか、あるいは大型小売り店――大型小売り店には、スーパーとかあるいは生協というものもその中に想定されているわけでありますが、そうしたものがもつと活動し得るように、政府がどういうバックアップをしたらいいか、あるいは現在そうしたものが活動する上に障害になっている面があれば、それを除去していくとか、こういう角度でいま具体策を関係各省と協議している最中でございます。
#11
○阿部憲一君 その際に、生協から何か要望書が出ていると思いますけれども、それについて御検討なさいましたか。
#12
○政府委員(矢野智雄君) 現在、生協と厚生省の社会局との間で打ち合わせをしておるようでございますが、私どものほうには、生協からは直接まだ伺っておりませんが、必要に応じてまた意向も伺ってみたい、かように思っております。
#13
○阿部憲一君 生協からもいろいろ要望書が出ているように私伺っておりますが、これについてはいろいろお伺いしたいこともありますが、まだ直接経企庁のほうで御存じがなければ、後日にいたしますが、ただ私、これにつきまして、生協を育成する、あるいは生協の要望をいれることに関しまして、一番問題は、小売り業者との関係じゃないかと思いますし、また、もう一つ、同時に、同じことは、スーパーマーケットを開発することによって、やはり同じように小売り業者との利害というものが、相当摩擦が起きるわけですけれども、その辺についての調整などは、いままでもお考えになっていらっしゃいましたか。
#14
○政府委員(矢野智雄君) おそらく、生協の活動をさらに活発にしていきます場合に、よく課題になりますのは、員外利用についての制限をどうするかとか、あるいは地域的な制限をどうするかとか、こういうこともその一つの課題になるかと思います。一方では、いま御指摘のように、小売り業との関係も出てまいります。
 そこで、私どもは、今後物価対策の見地から関係各省と協議いたします場合にも、やはり流通の合理化という観点から大型小売り店の育成が必要であると思いますが、一方では、小売り業、既存の小売り業もなるべくそれが健全に発展していくことも同時に考えなければならない。その点で、今般物価対策閣僚協議会での検討事項の中にも、一方では、たとえばボランタリーチェーンのようなもの、あるいは公設小売り市場とか、こうした面からも、小売り業の近代化の方向を考えていってはどうか。つまり、大型小売り店の育成と同時に、既存の小売り店の合理化、近代化、そちらもあわせて検討していこう、こういう角度でいま具体策を検討中でございます。
#15
○阿部憲一君 最後に、国民生活センターについて一、二お伺いしたいのですが、この国民生活センターの目的というのは、結局、一番大きな課題は情報の提供だろうと思います。これは、もちろん調査した結果を情報として流すわけですけれどもこれについて、予算とか、それからこれに伴ういろいろな活動方針というものについてお伺いしたいと思います。
#16
○政府委員(矢野智雄君) 予算の点につきましては、まず、四十五年度は、この法案が通過いたしましたらば、さっそく設立の準備にかからしていただきたいと思っておりますが、予算的には、十月一日、つまり下半期と申しますか、につきまして予算の中に織り込んでおります。その金額は、出資金と、あと運営のための交付金というのがありますが、出資金は、土地は現物出資でございます。それから建物につきましては、建物も全額政府の出資でございますが、本年度につきましては、その一部として二億円を予定しております。それから交付金といたしましては、八千万円下半期で予算に織り込んでございます。もちろん、これは半年度分でありますことと、それから設立当初でありますので、まだ金額は少ないのでありますが、今後の予定といたしましては、四十六年度、四十七年度で拡充してまいりまして、一応四十七年度に平年ベースと申しますか、に達する予定でございますが、そのときにおきましては、出資金として建物全体で七億程度になるかと思っております。そのうち、今年度分が二億円でありますが、それから運営のための交付金といたしましては七、八億程度になるのではなかろうかと予想しております。それが一応の平年度ベースのものと考えております。
 それから、業務の内容につきましては、先生御指摘のように、情報の交流が主体になり、それと調査、研究をあわせてやっていくわけでありますが、情報の交流につきましては、この法案の十八条に、主として一号、二号、三号でございますが、ここに掲げてございます。簡単に要点を申し上げますと、百万は、「国民生活の改善に関する情報を提供すること。」、これは主として不特定多数の国民消費者に対して情報を提供する、その手段としましては、テレビであるとか、ラジオであるとか、あるいはパンフレットであるとか、あるいは展示会、講習会、そういうことを通じまして一般的に情報を提供したい、かように考えております。
 二号のほうは、国民生活センターの窓口に直接来られる方々、そこでその方々の問い合わせ、苦情に対して個々に情報を提供していくということであります。
 それから三号につきましては、生活センターと類似の業務を行なう行政庁、これは主として地方の生活センターでありまして、もうすでに二十の県にできております。四十六年度でほぼ全部出そろう予定でありますが、そうした消費生活センター、あるいは消費者団体、こうしたところが苦情処理その他のいろいろ活動をしていくのに必要ないろいろ情報を私どものほうから、――というのは、国民生活センターのほうから提供していく、こうしたことを考えております。
#17
○阿部憲一君 この間私ちょっと伺いましたけれども、商品テストのほうの仕事ですね。これは一応計画に載っておりませんが、おやりになるおつもりがありますか。それはいつごろおやりになるか、その辺のところ、まだお見通しありませんか。
#18
○政府委員(矢野智雄君) ただいま申し上げました情報の提供をいたしますにあたりましては、いろいろ資料を収集しなければならないわけでありまして、この法案でも、たとえば十八条の五号でも、「国民生活に関する情報を収集すること。」という、こうしたことでいろいろ情報収集をいたしますが、その一環として、商品についてのテストも必要になると思います。むしろ、重要な要素になると思います。その点につきましては、この委員会でもたびたびお答えしておりますが、まず、私どもといたしましては、既存のテスト機関、国立衛生試験所であるとか、公共の検査所であるとか、いろいろございますので、そのテスト機関をなるべく活用していきたいと思っております。新しくここでまたテスト機関をつくりますより、既存のを活用し、必要ならばそれを拡充していくように私どもからもいろいろバックアップしていく、そのほうがむしろ効率がいいというように考えております。しかし、あくまでもこれは、情報を提供するに必要な手段でありますので、テストそのものが決して目的じゃございません。また、生活センターはテスト機関になるつもりじゃございませんが、しかし、この目的を達するために必要な手段である限りは、いま申しました既存テスト機関の活用だけに決して限る必要はないと思います。もしその目的を達するために不十分であれば、直接この生活センターがテスト機関を、テスト施設を持つという必要もあるいは起こるかと思います。そのときには、そうした業務も必要になると思います。あるいはまた、ごく簡単なものは、一々委託して専門の機関でやっていただくのも繁雑だというようなことであれば、簡単なものは比較的早い機会に生活センター独自で持っていくということも、あるいは考えていく必要があるかと思います。いずれにいたしましても、法律の案の中では、十八条の六号の「前各号に掲げる業務に附帯する業務」ということでできます。あるいはまた、委託につきましては十九条に明記しているところでございますが、それらを活用して、ともかくこの目的を達するために必要な有効な処理をしてまいりたい、あるいは運営をしてまいりたい、かように思っております。
#19
○委員長(横山フク君) 竹田君。
#20
○竹田四郎君 時間がありませんから、続いてやりたいと思いますが、一つお聞きしておきたいことは、このセンターがいろいろな情報を提供するわけですが、その情報提供の手段としては、テレビ、ラジオあるいは新聞、こういうものをおそらくお使いになるだろう。物価の問題で、マスコミに対する批判というようなのはわりあい少ないわけであります。特に新聞料金の値上げとか、あるいはテレビ、ラジオ料金の値上げとか、こういうものがよくあるわけでありますが、これは、そういうセンターの情報を伝達するものがそういうマスコミ機関だということになりますと、たとえば、新聞料金がどうも不当に高過ぎるという場合も私は場合によっては出てくると思うのです。現在だっても、ある新聞は、おれのところは上げなくてもできるのだということを、今度はうたい文句にして販売合戦に出ているような事例もあることです。そういう際に、そういう関係者のものをマスコミというルートを通じてやるということになりますと、若干間違えられてくる可能性があるのじゃないかと思うのです。そういう際には他の手段を使うべきじゃないかと思うのですが、そういう際はどういうふうにお考えになっておりますか。
#21
○政府委員(矢野智雄君) ただいま御指摘のような場合には、情報提供の手段といたしまして、マスコミだけではなくして、パンフレットをつくるとか、あるいは講習会のようなものをやりますが、たとえばそこで、実情を、マスコミにはなかなか乗りにくいようなものは、なるべくたくさんの人にお集まりいただいてお話しするということもあるかと思います。しかし、まあごく一般的な方法としましては、パンフレットによるかと思います。そのパンフレットも、なかなか活字は、当時の情勢ですと、読まれない場合が多いのですが、しかし、たとえばアメリカの例でも、コンシューマーズ・ユニオンでやっておりますコンシューマズ・リポートは、もう二百万部出ているという例もございますので、この生活センターが一般に非常に信頼される、あるいはまた、情報の提供のためのそういうパンフレットが非常に一般になじむようになれば、有力な、また一つの直接的な情報提供の手段となりますので、なるべくそうしたものを育成してまいりたいというように思います。若干時間はかかると思いますが、なるべくそうしたことも有力な情報伝達の手段であろうと思います。
#22
○竹田四郎君 私どもも、いまの御答弁、新聞とかラジオ、テレビの受信料の値上げなんか、パンフレットぐらいでやっていたのでは、これは実は問題にならないと思うのですが、やはり国民の中で若干不満があるのは、ほかではいろいろその不満が言えますけれども、マスコミの値上げという、新聞代の値上げなんかの場合は、二、三週前に予告がされて、ばんと値上げさせられてしまう。こういうのが多いわけですね。そういう意味では、いまのような形では、これは事実はほとんど伝わらないし、そういう方面については放置されてしまう、こういうことになってしまう。これは、パンフレットとか将来のコンシュームの組織ができてからということであってはならぬと思う。そういうルートをお使いになるならば、やはり何らかそういうものは別にひとつ考えていただかなければ私はいけないのじゃないか、こういうふうに思うのです。
 大臣がお見えになるまでに、もう少しお聞きしておきたいと思いますが、この国民生活センターにいたしましても、地方の消費センターにいたしましても、消費者運動というものとある程度かみ合っていかないと、それはあまりうまくいかないだろう。そういう意味では、消費者運動と、この国民生活センター、あるいは地方の消費生活センター、これとの連携というものをもっとやっていかなくちゃならぬし、それにはやはり、消費者運動に対する政府の援助、これが必要だろうと思う。ただ、消費者運動に対する政府の援助ということになりますと、まあいままで、とかく金も出し口も出す、こういうことが多いわけですが、そういう点で、諸外国の場合には、私の知っている範囲では、金は出しても口は出さない。そういう形で消費者運動というものを発展させる。また、消費者運動を発展させなければ、ほんとうの意味での物価の安定ということも、チェックも、ならないと思うのです。そういう意味で、消費者運動の育成強化という方針がおありなのか、あるとすれば、それはどういうふうな形で育成していくのか、その辺についてお答えいただきたい。
#23
○政府委員(矢野智雄君) 消費者組織の育成につきましては、当委員会の消費者保護基本法の附帯決議にもあることでございますので、私どもも、なるべくそういう趣旨に沿ってやってまいりたいと思います。しかし、ともかく消費者運動は、何といいましても、まあ消費者の自覚と、自発的な活動、あるいは自主的な活動が主体になると思われますので、役所で形をつくって網をかぶせてしまう、一応かっこうだけ、できればということでは、かえって健全な発展が阻害されると思いますので、あくまでも自主的な活動が主体になると思います。しかし、それに対しまして、やはり政府といたしましても、ただ、自発的、自主的な活動ができるまでには時間がかかると思いますので、それに待つというだけでもまいらないかと思いますので、それをなるべく側面的に援助していきたいと思います。その手段としましては、たとえば、今度国民生活センターができますれば、そこでいろいろ場所を提供して差し上げる、つまり、消費者団体であるなら、活動される場合に、場所に非常に困っておられる例が多いのでございますので、その場所をなるべく提供して差し上げるとか、あるいは、消費者教育を消費者団体がしていくにあたりまして、必要な資料、そのもとになるものをなるべく御利用いただけるような、そうした資料を豊富に提供してあげるとか、こうしたこと、さらに、地方の消費生活センターとも、同様なことで、タイアップして、そうした育成に側面的に協力してまいりたいと、かように考えております。
#24
○竹田四郎君 それだけでは私は不十分だと思うのですが、時間がございませんから、これ以上その点は論議をすることはやめたいと思いますが、大臣にお伺いしたいと思うのですが、せっかくこういう国民生活センターというのをおつくりになっても、それが国民に信頼されるということが私は一番必要なことだろうと思う。国民から信頼なくして、幾らたくさんの情報を流しても、それは結局何にもならないということになると思うのですが、そこで、この間も議論されたのですが、いまの物価対策全体から見まして、一つは、政府の各省のほんとうの協力というものがない限りは――まあ情報の半分くらいは、そういう関係各省からの情報というものがあるだろう。ところが、実際上は、いままで各省から出る情報というのは、半分ぐらいは国民の疑惑のものがあるわけです。たとえば、この間も議論されましたBHC牛乳あたりにいたしましても、一体安全なのか安全でないのか、こういう点については、いまだもってその疑問が解消されてない。新聞報道によりますれば、かなりそういう資料というものも、さきにわかっていたのに発表がなかった。こういうこともありますし、チクロの問題にいたしましても、一たんはチクロを使ったものは追放すると言いながら、ある一定期間認める、そういう情報もいろいろ変わっていく、こういう形で政府から出されてくる。いままでマスコミを通じて出されてきた情報というのが、必ずしもまともに信頼することができる情報なのかどうか、こういう点で非常な疑義があるわけでありますが、そういう点では、政府から出る情報が真に公正なものであるのか、どうなのか、こういうことが確かめられていかないと、ただ政府が、一つの省庁が発表したものをそのまま伝えるということだけであっては、どうも、何のためにある国民生活センターなのだか、トンネルが一つふえたにすぎない、まあこういうことになってしまうわけでありますが、そういう情報の公正さといいますか、確かさといいますか、そういうものを、何らかの形で、この国民生活生活センターで、そういうものを通して国民に提供するということでないと、あまり意味がないだろう。そういう意味で、各省庁から出てくるすべての情報を、公正な情報として流せる保障の手段ですね。こういうのをひとつ確立をしておいてもらわないと、せっかくつくったはいいが、そこからの情報は何ら信用ができない、こういうことになる面があると思うのです。この点は、そう簡単にできるものではないと私は思うのですが、その辺を特に保障する機構といいますか、手段といいますか、そういうものはひとつ確立してもらわなければいけないだろう、こういうふうに私は思うのですが、それに対して一体どういうふうな保障があるのか、どういうふうにそれを保障していくのか、その辺についてのお考え方をひとつお聞きしたいと思います。
 ついででありますから、もう一問御質問いたしたいと思いますが、物価安定の全体の対策というのは、こういうセンターの情報を正しく提供するという運動と、もう一つは、先ほども申しました消費者運動というものが相提携をしていくところに、初めて一つのチェックする役割りというものが、おそらく出てくるであろうと思いますけれども、そこで、政府のほうも、各県に消費生活センターというものを、補助金を出しておつくりになっているわけですが、しかし、各県のそうしたセンターを見ましても、商品テストなんかも、若干やっておりますけれども、しかし、徹底的にできるような施設というものはあまりないだろうと思うのです。私の知っている限りでも、ほんとうの手軽なテスト程度はできますけれども、それ以上のテストということになりますと、そのセンターではできない。どこどこを通じてやる、こういうようなことになるわけですが、しかし、何といっても、私は消費者あるいは主婦などが多かろうと思いますが、そういう人々が一番行きやすいというところは、やはり地方の団体のそういうセンターが一番行きやすい。なるべく多くの人がそこに足を運んでいただいてテストをやる、あるいはいろいろな資料について学習もしてもらうし、あるいはそこに不平、不満も述べてもらう、こういうような点では、各県の消費生活センターというものが実際上の国民生活センターのほんとの足になっていく、このことが必要であろうと思う。そういう意味では、国民生活センターと、こうした地方のセンターとの情報交換というようなものが、おそらく国民生活センターの中で一番重要な仕事になっていく可能性が私は多いだろうと思うのです。そういう意味においては、もう少し地方のセンターの施設というものを整備をして、地域住民の要求にかなり応ぜられる、こういう体制をとるには、もう少し設備の拡充と充実を私はやる必要があると思うのです。こういう点では、まだかなりのそういう設備資金というようなものも各センターは必要とするだろうと思うのです。そういうものに対して、政府として助成をもっと進めていくべきではなかろうか、こういうふうに思うわけでありますが、その点についてひとつお伺いをしたい。
 それから最後に、これはお願いでございますけれども、先ほどから述べておりますように、どうも他の省というのは比較的生産者保護に片寄り過ぎてきた。しかも、各省が、セクトというか、割拠主義というか、そういう意味で、自分のなわ張りだけに固執して、消費者的な立場というものがなかなかとれなかったというのが、いままでの現状ではなかろうかと思うのです。そういう意味では、私も前々から消費者行政の一元化ということを強く要求してきているわけでありますけれども、この点はひとつ、この国民生活センターができるのを一つの契機にいたしまして、経企庁が中心となって割拠主義を改めていただいて、政府全体としての統一的な消費者行政というものを進めてもらわなければならないと思います。これはたいへんむずかしい仕事であろうと思いますけれども、この点については特に経企庁長官の一そうの奮起をこの際要望しておきたいと思います。
 ひとつ二点について御答弁をいただきたいと思います。
#25
○国務大臣(佐藤一郎君) 最初に、各省の情報の公正ということでございますけれども、先ほど半分というお話がありましたけれども、私は、各省もまじめにやっていると思います、原則として。別に故意に歪曲した情報を流すとか、そういうことは一切しないと思っております。ただ、率直に申しまして、消費者行政というのは、ある意味では新しい行政である。最近、食品衛生をはじめ、いろいろな問題が矢つぎばやに起こってきております。そういう意味で、この情報の取り扱い方になれてなかった点もあるんじゃないか。あるいはまた、役所というのは、御存じのように、非常に慎重を期するところでありまして、少しくらいのデータでは、なかなか、新聞の種にはなっても、もっとそれを検討して、しっかりしたものにしなければならぬというような気持ちの濃い傾向のあるところであります。そういうようなことで、情報の流れ方が機を逸する、タイミング等を得ないというようなことも、私は大いにあったと思います。しかし、ことさらに公正妥当を欠くところの情報を流すということについては、これは現在の政府機関に対する信頼の問題でありますが、私は御心配願わなくていいと思うのです。ただ、やはり、何といいましても、基本的に各省の立場というものがございます。生産者中心のものの考え方で情報を選択をするというようなことになりますと、いま御指摘になりましたように、消費者の立場から見ると見当違いの情報であったり、あるいは非常に隔靴掻痒といいますか、歯がゆい思いをするような情報であったり、そういうものが出てこないということは私は言えないと思います。それで、今日、消費者行政というものがとかく不在であると言われがちであるところの点を少しでも補おうというので、こうやって国民生活センターができたのでありますから、各省の立場とは違った、消費者の立場からできるだけ正確な情報を流す、そして、各省の情報等を基礎にいたしましても、やはりその扱い方、あるいは選択のしかた、整理のしかた、流し方、当然違わなければいけないと思います。そういう意味では、まさしく御指摘のように、できるだけ公正妥当な情報を流すように、これは、何といいましても、このセンターの使命の中心であろうと思います。そういう意味において、そういう基本方針を、出発にあたって、われわれは確立をしなければならぬ、そして、この運営にあたりまして、その原則に従ってすべて行なってまいる、各省との関係において困難なことがありましたら、経済企画庁が進んでそうしたことについて役割りを果たすことも必要な場合が起こってくるかもしれません。できるだけの援助をして、そして、いまの御趣旨に沿うような情報の収集、作成というようなことに寄与するように、われわれもできるだけ力を尽くしたい、こういうふうに考えております。
 それから、地方団体の施設整備、これは私もまことに同感でございます。できるだけひとつ、今後、予算その他の面におきましても努力をいたしてみたいというふうに考えております。
 それから、割拠主義の点につきましては、私もやはりそうしたことを感ずる点がございます。これをいかにして直すか、なかなか長い間の習慣もあろうと思いますが、しかし、物価問題の今日における非常な重要性ということにかんがみ、そしてまた、最近においては、各省においてもその認識は一ころよりはずいぶん深くなってきていると私は信じておりますが、さらに一そう、この割拠主義の弊を打開するような方式をますます考え、そしてそれを推進していかなければならぬ。閣僚協議会の運営の構想というのも、私はそういうような気持ちでもって、ああいう新しい運営をしようと思っておるわけであります。まさしく、御趣旨のような点について、われわれもこれを実現することがやはり物価対策上重要であると考えておる次第であります。
#26
○委員長(横山フク君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○委員長(横山フク君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○委員長(横山フク君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 国民生活センター法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#29
○委員長(横山フク君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
 林田君。
#30
○林田悠紀夫君 私は、自民、社会、公明、民社の共同提案として、ただいま可決されました国民生活センター法案に対し、次の附帯決議案を提出いたします。
  政府は、国民生活センターの運営にあたり、
 次の諸点に留意し、消費者保護に万全を期すべ
 きである。
 一、消費生活に関する情報の提供等の業務につ
  いては、消費者保護基本法及び本委員会の決
  議等の趣旨を十分尊重するとともに、日常生
  活に密着している問題を具体的に取り上げ、
  その周知徹底を図ること。
 二、地方消費生活センター及び関係各省庁との
  協力体制を強化し、地方消費生活センターの
  業務の向上に資するための指導及び援助を行
  なうこと。
 三、運営協議会の委員に消費者代表を参加させ
  る等消費者の意見の反映に努めること。
 四、国民生活センターに自主独立の商品テスト
  機関を設置するよう努力すること。
  右決議する。
 何とぞ御賛成くださいますようお願いいたします。
#31
○委員長(横山フク君) ただいまの林田君提出の附帯決議案を議題といたします。
 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 林田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#32
○委員長(横山フク君) 全会一致と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、佐藤経済企画庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤経済企画庁長官。
#33
○国務大臣(佐藤一郎君) ただいま本案につきまして議決されました附帯決議につきましては、政府といたしまして、十分にこれを尊重し、御趣旨に沿いまして国民生活センターの運営並びに国民生活行政を推進してまいる覚悟でございます。(拍手)
#34
○委員長(横山フク君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○委員長(横山フク君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#36
○委員長(横山フク君) 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。
 竹田君。
#37
○竹田四郎君 私は、自民、社会、公明、民社の四党共同提案として、物価安定に関する決議案を提出いたします。
    物価の安定に関する決議(案)
  最近の消費者物価ならびに卸売物価の大巾上
 昇は、政府発表の物価指数に示されている以上
 に大きい重圧感を国民に与えており、国民の間
 にインフレマインドが醸成されつつある状況で
 あり、このまゝ推移すれば、経済成長の基盤を
 もゆるがすおそれさえ生じると思われる。
  この際、政府は国民生活安定の最大の焦点が
 物価の安定にあることを再確認し、次の諸点に
 ついて積極的に取り組むことを要望する。
 一、政府の消費者行政は、各省庁の割拠主義に
  よって運営されるきらいがあるので、この際
  その一元化に努力を払うべきである。
 二、消費者に対する商品情報の提供に当たって
  は、生産者保護に偏することなく、迅速的確
  に公開して、消費者の啓蒙に資するよう努め
  ること。
 三、行政介入により価格の硬直化をもたらして
  いる面がみられるので、過剰な行政介入を廃
  止し、価格決定に競争原理が作用するよう努
  めること。
 四、生産性向上による利益を消費者に還元する
  ため、競争条件を整備し、価格競争を通じて
  生産性向上の成果が価格引下げに反映される
  ような経済環境を造ること。
 五、公共料金値上げについては、その与える影
  響の甚大なことにかんがみ極力これを抑制す
  ること。
 六、生鮮食料品については、輸入の自由化等を
  促進するとともに、さらに生産の近代化と流
  通機構の整備を図ること。
 右決議する。
 何とぞ御賛成くださいますようお願いいたします。
#38
○委員長(横山フク君) ただいまの竹田君提出の決議案の採決を行ないます。
 本決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#39
○委員長(横山フク君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、佐藤経済企画庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤経済企画庁長官。
#40
○国務大臣(佐藤一郎君) ただいま物価安定に関する決議の趣旨を拝聴いたしました。政府としても物価政策の重大性を十分認識しておるつもりでございますが、なお足らざるところも多いと思います。そういう観点から、いろいろの御指摘を受けております。また、われわれがこれから一生懸命やろうと思う点につきまして、さらに一そう勇気づけていただいた点もございます。そういう意味において、この本日の決議というものは、われわれにとっても非常に重要なものでございます。ぜひひとつ、この内容を尊重して今後物価対策に精進してまいりたい、こういうふうに存じております。
#41
○委員長(横山フク君) 速記をやめて。
  〔速記中止〕
#42
○委員長(横山フク君) 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
#43
○委員長(横山フク君) 次に、消費者行政に関する件を議題といたします。
 本件に関し質疑のある方は順次御発言を願います。
 鈴木君。
#44
○鈴木強君 きょうは、お忙しいところを国立衛生試験所の副所長さんにおいでいただきまして、恐縮に存じます。
 実は、いま問題になっております、牛乳の中に農薬が残留をしている、そうしてそのことが国民の側から見ると非常に心配になるわけですね。要するに、農薬による牛乳汚染の問題これについて委員会でいろいろ当局の御意見を承っておるのですけれども、事柄が非常に専門的なことでありますし、直接試験所のほうから来ていただいてお伺いをしたほうがよかろうということで、おいでいただいたわけでございます。もう、専門の方ですから、私がいろいろ申し上げることはないと思いますが、私がこの問題をとらえましたのは、まだ日本には残留農薬の基準というものがないわけですね。したがって、先般来、特にBHCの牛乳汚染の問題については、見方によると、非常に健康に害があるがごとくにもとれるし、また、そうでないようにもとれますし、この点、多少農林省、厚生省の考え方がその中でも違っておるわけです。ですから、せっかく牛乳を飲もうといたしておりましても、ちゅうちょするという国民が出てきていると思いますから、きょうはひとつ、いい機会ですので、ぜひその安全性について、はっきりしたところをお聞かせいただいて、もし不安があるならば、それを除去するために一体どういう措置をとったらいいのか、この程度ならばだいじょうぶとか、そういった一つの方途をここに見出したいと思うのであります。
 そこで、最初に、恐縮ですが、現在まで牛乳の中に含まれているBHC残留許容基準ですね。こういうものが残念ながらつくられておらない。それがなぜつくられなかったのか。そういう必要がなくてつくらなかったのか。私どもは、日本はBHCについては世界で一番たくさん使われている国だというふうに聞いているわけですね。したがって、そういう農薬が、特に稲の発育、二化メイ虫だとか害虫防除のために使われてきている、そうして稲わらを牛が食べる、飼料になってくる、こういうことはいま始まったことではないわけですから、もっと早目に私はその安全性については、ちゃんとした基準をつくっておくべきではなかったかと思うのですね。そういう意味から考えると、多少、厚生省何をしておったんだという、われわれは気がするわけです。ですから、今度の牛乳汚染、言ってみれば、BHCの人体に及ぼす影響、こういうものに対してはどのような研究をされていたのか、これを承りたいのでr。
#45
○説明員(川城巖君) 私、国立衛生試験所副所長の川城でございます。
 ただいまの御質問につきまして、農薬にもいろいろ種類がございますけれども、本日の御質問の中心と考えますのはBHCということと存じますので、その点に焦点を合わせましてお答え申し上げます。
 BHCにつきましては、諸外国でも農薬として使っております。しかし、わが国においてももちろん使っておりますけれども、外国と日本とは、やはり風土の相違がございまして、その使い方あるいは使用量等について、だいぶ異なっております。ということは、わが国に発生する病害虫あるいは植物の病気等が、それらが、即、外国におけるものと同じであるということではございませんので、そういう点から、おのずから、使い方、使う量も違ってまいるということでございます。
 もう少しBHCそのものについて、こまかく御説明申し上げますと、外国で使っておりますBHCというものは、ガンマBHCというのを使っております。ところが、これは非常に化学的なことで、たいへん恐縮でございますけれども、BHCは、異性体というのがございまして、この異性体というのはどういうものであるかと申しますと、化学的に申しますと、組成としては、元素として、炭素、水素、塩素というようなもので成り立っておりますけれども、組成は同じでも、その配列のしかたによりまして、でき上がった化合物、同じBHCと名づけておりましても、性質が違ってまいります。それを異性体と申しておりますけれども、もう少し世俗的なたとえで申しますと、一つの同じ腹からの兄弟あるいは姉妹と言ってよろしかろうと思います。血は同じでありましても、顔、形が違っております。あるいは性格が違ったりというようなことが、われわれはこの社会に経験するところでございますけれども、それと同じような感じであると申し上げてよろしかろうと思います。
 そこで、異性体に、現在、五つあるいは六つぐらいBHCについて知られておりますけれども、外国では、その中のガンマというのだけ使っておりまして、日本では、そのほかに、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、その他一、二ございますけれども、そういうもののミクスチュア、混合物を使っていたわけでございます。そこで、FAO、WHOの残留農薬の専門委員会というのがございます。これは、インターナショナル、国際的なものでございまして、残留農薬についての毒性の問題等を勉強する国際的な機関でございますけれども、そこで取り上げておりますのはガンマBHCだけでございます。デルタについては全然取り扱っておりません。ということは、日本だけ、ガンマ、ベータを使った、異性体を含んだものを使っております。外国では、純粋のガンマだけのBHCを使っておるというような状態でございますので、そのような結果になっていたわけでございます。したがって、現在までのところ、ベータBHCについての詳細な安全性あるいは毒性についての試験というのは、報告がほとんどないと言ってよろしいと思います。
 そこで、昨年ごろから、牛乳中のBHOの問題がいろいろと学会でも問題になってまいりました。その分析のデータを見ますと、アルファも検出されておりますほかに、ベータ、ガンマ、デルタ、そのようなBHCが検出されてまいっております。そのうちで一番検出率の高いもの、つまりたくさん検出されておりますのがベータでございます。しかも、毒性の点からいくと、ベータが一番毒性が強いという観点から、私どもは、牛乳のBHCによる汚染の追跡をベータBHCに目標を置きまして試験を行なっていこうというふうに考えたわけでございます。
 そこで、ただいま申し上げましたように、べータBHCの毒性試験についてはほとんど報告がございませんので、国立衛生試験所におきましては、サルを使って――サルは一番人間に近い実験動物であると、これは学界でひとしく認められておるところでございますが、このサルを使いまして実験を行なってまいりました。で、その結果得られました一これは現在約四カ月になんなんとしている飼育実験でございますけれども、その現在までの結果によりますと、最大無作用濃度、つまり、何らサルの臓器その他に影響を及ぼさない範囲においての最大の量は幾らであるか、ベータBHCの量は幾らであるかということを調べましたところが、二・五ミリグラム、サルの体重一キログラム当たり二・五ミリグラムという数字が出たわけでございます。
 そこで、今回、いままでに私どもは日本を八つのブロックに分けまして、それぞれの地方の衛生研究所を中心にいたしまして、その地区の牛乳の分析をいたしたわけでございますけれども、その結果、一番高い値――これは平均値でございます。得られましたのが、長崎の生乳でございます。その生乳から一・二八八PPMというベータBHOの量が検出されております。これは、いままでに私どもが全国的にネットワークを張りまして生乳サンプリングし、それをテストした結果の最高平均値でございます。一・二八八PPMでございます。PPMと申しますのは、百万分の一単位でございます。一キロ中に一ミリグラムありますと、これが一PPMということになるわけでございます。そういう平均値の最大のものである一・二八八PPMにつきまして、そのベータBHCの摂取量をかりに計算をいたしますと、以下申し上げるようなことになります。
 まず、乳児でございますけれども、これはいわゆるお乳を飲んでいる状態における赤子でございますが、体重七キロの乳児を例にとりますと、これは一日一リットルの牛乳を飲用するとされております。これは東大の小児科から得たデータを基礎にいたしておりますけれども、体重七キロの乳児では、一日一リットルの牛乳を飲むと言われております。そこで、一日のベータBHCの摂取量はどうなるかと申しますと、一・二八八ミリグラムとなります。一リットル飲むわけでございますから。――先ほどの最大平均値一・二八八PPM、この最大値をとって、いまお話を申し上げておるわけでございまして、したがって、一・二八八ミリグラム摂取することになるのでございます。したがって、その赤ちゃんの体重キログラム当たりに換算をいたしますと、〇・一八四ミリグラムということになります。乳児の体重一キログラム当たりに摂取量が〇・一八四ミリグラムになるということでございます。
 なお、乳児についてはそのような状態でございますけれども、それがおとなの場合になりますと、牛乳も飲んでおりますし、そのほかの植物性の食品あるいは肉類等も摂取をいたしますので、こういうものについてはどうかということも一応試算をいたしました。おとなは、体重五十キロの方を標準にいたしまして、国民栄養調査に基づきます一日の摂取の食品を全部拾い上げまして、しかも、そのそれぞれの食品の量を拾い出しまして計算をいたしました。こまかい計算の過程は省略いたしますが、そういたしますと、体重五十キロのおとなの場合につきましては、ベータBHCは体重キログラム当たりについて〇・〇〇二六四ミリグラムということになります。
 また、今度は、乳児とおとなの中間はどうかということも考えてみました。これは学童を例にとりました。これは一応体重四十五キロといたしまして、おとなと同様の食事をとる、そのほかに、学童の場合に学校給食でもってさらに牛乳を大体二百グラムぐらいとるという計算をいたしまして、そういうことをファクターといたしまして試算をいたしますと、学童の場合には、体重一キログラム当たりにつきまして、ベータBHCは〇・〇〇八六六ミリグラムということに相なります。
 また、神戸大学の喜田村教授の説によりますと、――この喜田村教授は、従来から塩素系の、あるいはBHC等、類似の農薬のみならず、その他のいろいろな農薬についての毒性あるいは中毒その他についての研究の深い教授でございますが、この喜田村教授の意見によりますと、農薬によって中毒をした人は別といたしまして、そのほかの病気でもってなくなられた方の脂肪――体脂肪でございますけれども、体脂肪の中に含まれるベータBHCは、いままでのところ、十五例について見たところ、平均一二PPMであるということを発表されております。平均でございます。で、なおそれにつきまして、喜田村教授は、脂肪中のベータBHCの残留は平均一二PPMございますけれども、この程度は必ずしも人体の機能の障害を意味するものではないと言っておられます。また、喜田村教授はシロネズミを使ってこのベータBHCの毒性の実験をされておられまして、連続投与いたしますと約三十日間でもって蓄積の限界に達するということを言っております。ある程度、からだの中にたまってまいります。けれども、特に脂肪層に沈着をするわけでございますけれども、ある量に達しますと、今度、それ以上続いてベータBHCを投与してまいりましても蓄積量はふえていかないということでございます。で、なお、脂肪の中の半減期、と私ども言っておりますけれども、やはり、蓄積はいたしましても、徐々に排せつはされてまいります。徐々ではございますけれども、排せつされているわけでございます。で、その蓄積された量の半分になる期間は大体二十日であるというふうなことも申しております。しかし、これはかなり学問的にこまかいデータの基礎的なものがないと、ちょっとおわかりにくい点がございますかもしれませんけれども、いわゆる生物学的半減期と私ども申しておりますこれは二十日であるというふうに報告されております。
 また、岡山大学の平木教授、これは内科を担当されておる教授でございますけれども、臨床のほうでございますけれども、この平木教授は、有機燐製剤、これは農薬でございますが、これらにつきまして非常に造詣の深い教授でございます。この方の発表によりますと、特に肝臓障害ということを、まず目標にいたしまして、そうしてベータBHOの慢性毒性を検索しているけれども、まだその例がない――いわゆる肝臓に障害が起こっているかどうかということを、まず目標にいたしまして、ベータBHCによる慢性毒性中毒を検索をしておりますけれども、まだ、確かにこれはベータBHOによるものであるという例にぶつかっていないということを言われております。まあそのような、いわゆる残留農薬の安全性あるいは毒性についての専門家の御意見もございます。
 このようにして、喜田村教授、あるいは平木教授、及び私ども国立衛生試験所におきまするサルの実験の結果から考えてみますと、これから先、厳重な対策を立てまして、牛乳中に残留しておりますベータBHCを少なくする方法を強力に推し進めれば、現在の程度のBHC汚染による牛乳については衛生上の危険はないと判断されます。
  〔委員長退席、理事林田悠紀夫君着席〕
 しかし、この状態が長期間にわたるということは、決してこれは食品衛生上好ましいことではございませんので、したがって、何をおいても早急にベータBHCを減少させるような方策を強力に精力的に推進させることが望ましいと思っております。
 なお、新聞等でもって、ベータBHCの含量が許容量の三十何倍もあるというような報道がされたことがございます。ところで、ここで言う許容量と申しますのは、これは一九五〇年、だいぶ前でございますけれども、フィッツーというアメリカの病理学者でございますけれども、これがシロネズミを使って実験をいたしましたベータBHCの報告がございます。これは外国でやられた唯一のものではないかと私思っておりますけれども、たまたま一つございました。これの結果を見ますと、フィッツーの報告では、ベータBHCの最大無作用濃度、つまり、まあぎりぎりのところ、これまではだいじょうぶだ、これまで与えても、そのシロネズミについて何ら障害は起こらないというその量は、シロネズミの体重キログラム当たりにいたしまして〇・五ミリグラムという報告がございます。〇・五ミリグラム、これはシロネズミの体重一キログラム当たりについての数字でございます。こういう発表がございました。
 で、発表はここまでなんでございますけれども、この〇・五ミリグラム・パー・キログラム、つまり一キログラム当たり〇・五ミリグラムというのを、これを厳密に、きわめて厳密に安全率というものを考えまして、そうしてその百分の一の〇・〇〇五ミリグラムという数字を一応ここの一日許容摂取量と仮定をいたしたわけでございます。一日摂取許容量と申しますのは、これは生物が――これは主として人間を対象にするわけでありますけれども、一生涯を通じて毎日摂取しても全然健康に障害を起こさないと考えられる数字という意味でございますけれども、一日許容摂取量は、このフィッツーの実験成績からまいりますと、〇・〇〇五ミリグラム・パー・キログラムというふうに仮定されるわけでございます。
 そこで、先ほど申しましたように、体重七キロで一日牛乳一リットル飲む乳児のベータBHCの摂取量は〇・一八四ミリグラム・パー・キログラムである。これは先ほど申し上げた数字でございますけれども、これと、〇・〇〇五ミリグラム・パー・キログラムという、かりに仮定をした一日許容摂取量と比較をすると、なるほど確かに約三十五倍になるという意味でございます。ところが、シロネズミというのは、−実験動物によっていろいろ性質が異なっておりまして、特にシロネズミの場合は、有機塩素剤に対して非常に鋭敏である、感受性が非常に高いということでございます。ほかの動物に対するよりも、非常に少量でも反応をするという特性を持っておりまして、そういうことを考え合わせるということが一つ。それからもう一つは、一日摂取許容量と申しますが、いま申し上げましたように、生涯毎日連続して摂取した場合の数字である。その二つのファクターを考え合わせますと、すでにわが国における牛乳の中のベータBHCはだんだん減少の傾向を示しております。これは、あとで具体的に減少の傾向の数字も申し上げたいと思いますけれども、数地区で実験を行なっておりまして、すでに減少の傾向が起こっておりますので、この傾向を考え合わせますと、この三十何倍あるという数字を、いますぐにここでもって議論の対象にすることはできないと考えております。
 なお、今回の私どもの調査によると、これは厚生省並びに農林省でも調査されたのでありますけれども、
  〔理事林田悠紀夫君退席、委員長着席〕
なぜ牛乳の中にそのようにベータBHCが混入してくるようになったかという、汚染のおもな原因は、結局、BHCで汚染をした稲わらを飼料に使っていたためであるということが判明いたしまして、それに対して、BHCで汚染されてない稲わらを使うように、もし稲わらを使うならば絶対BHCを使ってない稲わらを使うようにというような強力な措置を、農林省のほうでは現にとられております。
 そこで、先ほど、だんだんに減少の傾向にあるということをちょっと触れましたのでございますけれども、もう少し詳しく申し上げますと、実は、長崎県、福岡県、岡山県、大阪府、この三県一府におきましての実験を総括して申しますと、稲わらを全然食べさせないで牛を飼いまして、その乳を取りまして、中のベータBHCの残留量を逐次測定をしてまいりましたところが、つかみで申しますと、大体半月でもって五〇%の減少をするということがわかったわけでございます。したがって、今後そのような措置、それに匹敵するような措置をとってまいりますれば、相当のスピードでもって牛乳中のベータBHCの量は減少するということがはっきりと申し上げられると思います。
 ただいまの御質問につきまして、大体この程度ではないかと思います。
#46
○鈴木強君 学者先生だから、一ぺんにものをしゃべっていただいたと思うのですが、私は最初に、なぜこういうBHCの安全基準というものについて早くきめられませんでしょうかという、そこを伺って、それから一つ一つ項目別に聞いていかないと、われわれしろうとはわからないのです、わあっと言われましても。そういうつもりだったのですけれども、いろいろお話を承りました。
 そこで、結論的には、いま安全性については問題はない、ただし、この状態が長く続いてまいりますと、好ましい状態ではない。健康にも害が出てくるだろう、したがって、早くBHCを、簡単に言えば、使わないようにしてほしいということと思いますけれども、いただいた資料をちょっと拝見したのですけれども、BHCの中に、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタの四つの要素があるわけですね。ここにいただいた資料は、それぞれ〇・〇〇九とか、こういうものはPPMで換算しておるわけですか。この資料ですね。グラムじゃないでしょう。
#47
○説明員(川城巖君) これはPPMでございます。
#48
○鈴木強君 PPMですね。それで、たとえばベータBHCの場合、サルの実験で二・五ミリグラム。パー・キログラムと、ここに来るとグラムでいっておるわけですよ。だから、われわれには、ここをグラムならグラムにしてもらえば、PPMならPPMにすれば、よくわかるのです。グラムというのを今度PPMに換算するのは非常にむずかしいのです。たとえば、FAO、WHOのBHCの基準について合同食品規格委員会で、牛乳について〇・〇〇八PPMという数字が提案されたといいますね。あなたのおっしゃった〇・〇〇五との関係がどういうのかわかりませんが、いずれにしても、〇・〇〇八PPMというものを一つの基準として考えた場合、たとえば、いただいた資料をずっと調べてみたのですけれども、アルファ、ベータ、ガンマ、デルターいまのガンマの場合をとってみましても、アルファ、ガンマ、ベータをとってみましても、これはものすごく高いですね、平均してみましてね。これは、最初のやつはミニマムで、中のやつはマキシマムですか、そういうわけですか。そうして平均値と、こうなっておるのですが、これなんか見ても、〇・一二三とか、あるいは大阪のマキシマムの場合なんか二・六八とか、高知県の場合には〇・四三五ですね。それからずっと三月のほうを見ましても、一月、二月と、こう見ても、かなりこの数字から見ると大きいですね。だからして、ちょっとこんなに数字が違ってもだいじょうぶなのかなという気がするのですね。
 それと、たまたま、きのう夕刊を見ましたら、高知の衛生研究所でやはり前から研究されておるのですね、ここは。ところが、これを見ると、BHC、DDTなど有機塩素系農薬が人体の脂肪に蓄積する状況を調べた結果、このほど成人七十四人からとったデータは、オールBHCの蓄積平均値は一二・一七PPMもあり、米国とか英国とかニュージーランドの諸外国の調査に比べて約二十一五倍から四十倍にのぼっておることがわかった、中でも、いま問題になっておる慢性毒性が強いベータBHCはオールBHCの九七%に当たる一一・八六PPMにのぼる高い濃度で蓄積されておる、――こういうデータが出たわけですけれども、それに対して、おたくの国立衛生研究所では、「BHCによる環境汚染は予想以上に進んでおり、牛乳の飼料の規制だけでなく、全面的にBHCの使用を禁止する重要な手がかりになる。さらに、体内に蓄積されたベータBHCによる病理学的な研究をいそぐ必要がある」と、こういうふうに、これはどなたが言ったかわかりませんけれども、述べているわけですね。
 そうしますと、あなたが何か、最近はえらい半分に減ってしまって安心だというようなことをおっしゃるんだけれども、その逆の姿が出ているように思うんですよ。これはまあ地域によっていろいろ違いがあると思います。いまでも、東と西が違いますからね。ですから、そういうようにいろいろと情報が入ってまいりまして、そのつど、だいじょうぶかな、だいじょうぶかなと思っているところへもってきて、また二十倍だ四十倍だというのが出ますと、また、ぞっとするわけですね。ですから、まあ飲まないでおこうということになりまして、せっかく一生懸命酪農をやっても、その牛乳が飲まれないでしまうというようなことになる。そのほか、たとえばチーズだとかバターだとか、そういうものも体どうなんだろうかというような、そういう非常に不安を持つわけですよ。ですから、いま私が聞いたのと、きのうの夕刊に出ている、こういう記事を見ると、また違うわけですね、実際には。その辺の問題が、やっぱりどうしても残ってくると思うんです。
 ですから、四つの要素に分けておるんだけれども、アルファとか、ベータとか、ガンマとか、そういう、三つなら三つ、四つなら四つの要素があっても、そのうち、アルファとかベータ、あるいはガンマというものだけが健康に悪くて、からだに悪くて、あとは何でもないわけじゃないんですから、この全部の数値を寄せると相当なものになるわけですね。だから、ベータだベータだと言われましても、いま言ったミリグラム、二・何ぼミリグラムというようなことを言われても、PPMで一方は出てきていますからね。わからぬですよ、わしらには。換算し直さなきゃならぬ。こういう点、もう少し何か、一方にそろえたらどうでしょうかね。
 まあ、質問がちょっと飛び飛びみたいになっちゃって、のみ込めなくなったかもしれませんけれどもね。要するに、私の言っているのは、あなたが言うように楽観されたものじゃないだろうと言うんです。いま高知のこれが事実とすれば、しかも、おたくのほうで言っている見解を見ても、そう楽観すべきような状態じゃないのじゃないか、こう思うんですがね。それからいまの単位をどっちかにそろえてもらわないと、わしら、よくわからぬです。
#49
○説明員(川城巖君) お答え申し上げます。
 まず、PPMとミリグラム・パー・キログラムでございますけれども、PPMのほうは分析から得られた数値でございまして、片方のミリグラム・パー・キログラムというのは、これは安全性を見る場合の単位、こういうふうにお考えいただきたいと思うのでございますけれども、PPMを、すぐどういうふうな式を用いればミリグラム・パー・キログラムに換算できるかというと、ちょっとこれはむずかしい問題なんでございます。まあ、病理毒性の専門家では、ごく概算的な考え方といたしましては、PPMの二十分の一が大体ミリグラム・パー・キログラムに当たるという考え方で、ざっとこう、ごく荒っぽい比較をしようとするときには、そんなような数字を使うことがございますけれども、これは必ずしも正確な数字をあらわしたわけじゃございませんので、すぐ、PPMをミリグラム・パー・キログラムにしたら、ぴしゃり幾らになるかというのは、ちょっとこれは換算がむずかしいことなんでございます。
#50
○鈴木強君 じゃね、ちょっと聞いていきますよ、私が、一つずつね。
#51
○説明員(川城巖君) はい。
#52
○鈴木強君 まず、いただいた残留量の基準について、合同食品規格委員会では、牛乳について〇・〇〇八PPMという数字が提案されているが、これは実際上の残存限度であって、許容量ではなく、環境衛生の尺度として用いる数と考えられている――そうすると、残存限度というものと許容量ですね。それから、この〇・〇〇八PPMというものは環境汚染の尺度だというんですね。尺度ということばは、われわれからいうと、何かの限度か、あるいは基準だろうと思うんですね。文章上よくわからないです。この書いてあるのは、これはどういう意味ですか。もう一回わかるように説明してもらいたい。
#53
○説明員(川城巖君) FAO、WHOの合同食品規格委員会で出されました〇・〇〇八PPMということでございますけれども、これはガンマBHCについて申したことでございまして、なお、この意味は、環境が非常に各種の農薬によって汚染されている結果、牛乳の中にも必然的に入ってくる、やむを得ざる結果として入ってくる、大体その牛乳の中に入ってくるガンマBHCの量は、まず〇・〇〇八PPM程度であるという意味でございます。これは、これまでが安全であるとか、これ以上こせば危険であるとかいうことを意味する数字ではございません。
#54
○鈴木強君 環境汚染の尺度とするということになると、基準でないというのだから、尺度とはどういうことですか、尺度という意味は。
#55
○説明員(川城巖君) これは、一応現在の一般の牛乳はそのくらいはもうやむを得ない数字である、これ以上こすと環境汚染がかなり激しくなっているものと考えるべきであるというような解釈でございます。
#56
○鈴木強君 じゃ、一つの基準じゃないですか。
#57
○説明員(川城巖君) はい。さようでございます。環境汚染を示す基準ではございますけれども、それが、ただ人体に対する安全性を意味しての基準ではございません。
#58
○鈴木強君 環境汚染の尺度であって、人体に影響を及ぼすその安全基準ではないと言うのだけれども、この環境汚染の尺度というのは一体何のBHCなのか。それから牛乳だって、一体牛乳何リットルなのか。何本なのか。ただ牛乳と言ったってわからぬのですよ。われわれ牛乳についてと言ったって、一リットルなのか、二〇〇ccなのか。その中に、これが一つの限度だというのかですね。そこのところがよくわからないのです。どういうのですかね。
#59
○説明員(川城巖君) この〇・〇〇八PPMを出しましたのは、これはヨーロッパにございますWHO、FAOの食品規格委員会でつくりましたもので、その大体基本になるデータは、ヨーロッパ諸国のデータを基本にいたしております。先ほど冒頭に私申し上げましたように、使われます農薬の種類あるいは量はその国によってだいぶ違います。そういう意味におきまして、この〇・〇〇八PPMというのが、即、日本に適用できるかというと、必ずしもこれは適当だとは申しかねると私は思っております。
#60
○鈴木強君 だからね。私が聞いているのは、その牛乳何リットルか何百ccか知らぬが、その中に〇・〇〇八PPMというものが残留量として残っておった場合に、これは人体に対して、安全性に対しては何か問題があるのじゃないだろうか、そうでなかったら、こういうことをきめるはずはないでしょう。だからして、日本人であろうと外人であろうと、多少のその差はあるとしても、要するに、人間に残留農薬というものがどういう影響を与えるかですね。そういう意味において、このFAOとWHOが共同で研究した結果、牛乳の中には絶対〇・〇〇八PPMくらいの残留BHCが残るだろう、農薬が残るだろうと。調べてみると。しかし、その残ったものは人間のからだに対して影響はないのかあるのか。これを見ると、実際上の残留限度であって許容量ではない、しかも、環境衛生の尺度として用いる数字だと。そうすると、その健康上の問題ではなくして、環境衛生とはどういうことですか、環境汚染。環境汚染の尺度として用いる数字だと、そこのところがよくわからないのです。
#61
○説明員(川城巖君) 安全性を示す〇・〇〇八PPM――PPMというのは、先ほど申し上げましたように、一リットル中に何ミリグラムという数字でございます。これは、安全性を示す〇・〇〇八PPM以上あれば、これは危険であるという意味ではございませんで、それ以上のBHCが検出された場合には、そのサンプルを得られた場所はかなりにBHCによって汚染されているところと考えるべきであるという意味のものでございます。
#62
○鈴木強君 そうすると、汚染されているが、この程度の汚染ではだいじょうぶだと、こういう意味なんですか。
#63
○説明員(川城巖君) はい。
#64
○鈴木強君 そうすると、残留量の基準というものはないわけですね、人体に対する安全基準というのは国際的にもないわけですか。まだつくられていないのですか。
#65
○説明員(川城巖君) それはまた別にございます。その数字はたいへんこまかいのでございますけれども、ガンマBHCにつきまして一日許容摂取量というものがWHOから出されております。その数字は、〇・〇〇一五ミリグラム・パー・キログラム。これはまた単位がややこしくなるのでございますけれども、体重一キログラム当たりについて〇・〇一二五ミリグラム、これが一日許容摂取量であって、しかも、これはガンマBHCの場合でございます。この一日許容摂取量と申しますのは、先ほど申しましたように、毎日、その人一生涯を通じて食べ続けても被害を生ずるおそれがないと判断される数字という意味でございます。
#66
○鈴木強君 それじゃ、恐縮ですが、この〇・〇一二五ミリグラム・パー・キログラムというのは、何PPMに当たりますか。
#67
○説明員(川城巖君) それは、PPMに換算することは困難でございまして……。
#68
○鈴木強君 ガンマBHCのほうは、いただいた資料ではPPMになっているんですよ、みんな。
#69
○説明員(川城巖君) それは測定値でございます。
#70
○鈴木強君 あなたのほうでここへ出してきたのはミリグラムなんです。だから、こういう資料の出し方がおかしいんだ。これをちょっと見てください、そうすればすぐわかるんですよ。
#71
○委員長(横山フク君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#72
○委員長(横山フク君) 速記を起こして。
#73
○鈴木強君 私がいただいた資料でも、ベータBHCの毒性について、ここへくると〇・〇一二五ミリグラム・パー・キログラムという資料が出てきているわけですよ。おたくのほうで、一月、二月、三月に調べたときのデータの検出結果というのを見ますと、PPMで単位をとってあるわけですよ。だから、どうしてこういうふうに、一方ではミリグラムを使い、一方ではPPMを使うかということがわからない。だから、資料を一定してもらえば、われわれのほうでも、この資料と、こっちを比べてみると、ベータBHCの毒性についてはこれだけ多かったからという比較がすぐできるでしょう。ミリグラムとPPMでは単位が違う。だから、ぴんと来ないですよ。その換算をし直してくれませんか、資料を。それからまた質問をしますよ。きょうはほかの局長も見えているから。
#74
○説明員(川城巖君) 重ねて申し上げますけれども、PPMと申しますのは、これは含量でございます。いわばパーセントでございます。パーセントというのは百分中の幾らというのがパーセントでございますけれども、これは百万分中に幾ら入っているのだという含量単位でございます。それから、ミリグラム・パー・キログラムというのは、摂取量でございます。人間の食べる量でございます。ミリグラムのほうは。
#75
○委員長(横山フク君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#76
○委員長(横山フク君) 速記をつけて。
#77
○鈴木強君 そうすると、何かキツネにつままれたような気が、ぼくはするんですね、いまの話を聞いていると。だから、安全性については問題がないという結論に近い。そういうように一応理解します。しょうがないです。
 それで、しかし長い間この状態が続けばとおっしゃいましたね。長い間というのは、何月なんです、何年ですか。
#78
○説明員(川城巖君) これは、一がいに何月あるいは何年という数字をもって申し上げるのは、たいへん困難なことではございます。と申しますのは、それぞれ、やはり人間でも個体差がございまして、言うならば、BHCに対する耐性の強い方もございますし、弱い方もございますし、また、何かの疾患を持っておられる方もございますし、ですから、一がいには申し上げられませんけれども、まあしかし、しいて数字的なものを取り上げるとしますれば、半年や一年ぐらいをこの状態で続けていても害はないと考えております。
#79
○鈴木強君 そうすると、きのうの新聞の中に出ている高知県のベータBHC、外国に比べて二十五倍ないし四十倍のベータBHCが蓄積されているという、この記事については、問題がないということですね。
#80
○説明員(川城巖君) 高知の衛研の発表の数字が一二・一七というようなお話でございます。これは、先ほど冒頭に私御説明申し上げました神戸大学の喜田村教授の、平均一二PPMであるということを申し上げましたけれども、それの数字にたいへん似ている数字でございまして、まあその線は正しいものではないかと思っております。ただし、これは外国の例でございますけれども、アメリカの場合はBHCを使用する機会も少なく、したがって、使用量も非常に少ないのでございます。そのかわり、DDTを非常にたくさん使っておりまして、アメリカ人の体脂肪中には一四あるいは一五も入っているというような報告もございまして、日本の場合はBHCが多いというのは、やっぱりそこにあらわれておるのかと存じます。
#81
○鈴木強君 それでは畜産局長さんに伺いたいんですけれども、日本でBHCというものを、単位面積の中でどの程度お使いになっているという資料がありますでしょうか。
#82
○説明員(福田秀夫君) 単位面積にどのくらい使っているのかというのは、一様に使っておりませんし、使う場所と使わない場所とございまして、それから年に二回使うところ、使わないところ、いろいろございますので……。
#83
○鈴木強君 一番多いところ。
#84
○説明員(福田秀夫君) ちょっと手元に資料を持っておりませんので、後ほど全国的なものを、全部平均してよろしゅうございますれば、計算して差し上げたいと思いますが。
#85
○鈴木強君 よろしいですよ。いまなかったら、あとで調べてください。
 それで、日本でいま乳牛は何ぼいますかね。
#86
○政府委員(太田康二君) 昨年の二月一日現在の数字で、たしか百六十六万六千と思っております。
#87
○鈴木強君 百六十六万頭の中で、年間、特に冬季間ですね、十一、十二、一、二、三月ぐらいの間、稲わらを飼料にしておる率というのは、一日の飼料のうち一頭当たりどの程度になっておりますでしょうか。
#88
○政府委員(太田康二君) 大体稲わらは、主として東海、近畿、中国、四国、九州等におきましては、特にいま先生御指摘の冬季間にかなり多く使われております。これは、私どものこういう調査の結果で、稲わらをどのくらい使ったかということを、各地区別にわかっておりまして、見てまいりますと、たとえば、九州では、十一月が百二十三キログラム、十二月が百五十五キログラム、一月が百六十六キログラム、二月が百六十二キログラム、三月が百四十八キログラム、自後ずっと減少しまして、八十一、六十五、七十二、六十五、五十二、五十七キログラムというふうに、これは前々から私どもが申し上げておりますように、四月以降になりますれば、牧草、飼料作物、青草等の利用が可能になりますので減じてくるわけでございまして、一日当たりの給与といたしましては、大体TDN換算で〇・八キログラムであろうと考えております。
#89
○鈴木強君 わかりやすく、一頭一日当たりのかいばですね。飼料は幾らで、そのうち稲わらの場合は幾らかという、そういうのはないんですか。
#90
○政府委員(太田康二君) 大体年間の給与が三千キログラムくらいでございまして、したがって、一日当たり八キログラムと見まして、大体稲わらはTDNに換算すると〇・八キログラムくらいであると……。
#91
○鈴木強君 それは平均の場合でしょう。
#92
○政府委員(太田康二君) もちろん平均の場合でございます。
#93
○鈴木強君 いや、私の聞きたいのは、北海道から九州までで百六十何万頭だと、特に九州とか、一番多い地域ですね。今度の検出の場合、BHCが非常に多い地域のをほしいのです。さっきあなたの言った、十一月が百二十三キログラムで、十二月が百五十五キログラムで、あと一、二、三、四月まで言ってくれたんですか。
#94
○政府委員(太田康二君) 全部月別。ちょっと全国平均で申し上げますと、全国で一日平均が三キログラムになります。これに対しまして、九州では三・四キログラム、それから四国が三・七キログラム、中国が三・八キログラム、近畿が三・五キログラム、東海が三・二キログラム、こういう状況に相なっております。
#95
○鈴木強君 稲わらはどうなんですか。
#96
○政府委員(太田康二君) いや、いまのは稲わらでございます。
#97
○鈴木強君 パーセンテージにしたらどうなるのですか。一〇〇%のうち稲わらはどのくらいになるか、そのほうがわかりいいですな。ちょっとキログラムではわからない。
#98
○政府委員(太田康二君) 先ほど申し上げましたように、大体一日当たりのTDN換算で、八キログラムの給与として、〇・八キログラムくらいが稲わらで供給されておる。
#99
○鈴木強君 そうすると、一割ですね。
#100
○政府委員(太田康二君) 先ほども申し上げましたように、大体一割ということでございます。
#101
○鈴木強君 これはひとつ、時間があれですから、資料で出していただくようにお願いしまして、さっき言ったように、全体の頭数ですね、それから各地域別の――まあ九州とか四国とか、あるいは中国とか、そういう地域別でもけっこうですがね。そういうふうに分けていただいて、一年間でなくて、一日の飼料のうち、その地域別に幾ら食べて、それからそのうち稲わらは幾ら使っているかという、そういう資料を後ほど出していただきたいと思います。ちょっとここでは、ちゃっちゃっと言われましても、よくわからないし、また、調べていただくのもたいへんでしょうから。そういう全国的な地域別の資料を出していただく用意はできますか。それで拝見しましょう。
#102
○政府委員(太田康二君) 家畜の地域別の頭数、県別頭数、これは全部出せますし、それから稲わら給与を搾乳牛一頭当たりどれくらい給与いたしておりますかといって私が先ほど申し上げました数字は、これは実は統計調査部の畜産物生産費調査の三十九年度の数字でございまして、これをもとにしてお出しいたすようにいたします。
#103
○鈴木強君 しかし、三十九年度じゃ、これはあまりにもかけ離れているわけです。いまわれわれは、一月、二月、三月のことしの時点で問題を論じているわけだから、これは何とか最近の、もう少し新しいものできませんかね。
#104
○政府委員(太田康二君) いま私どもの係の者に聞いたんでございますが、三十九年は月別地域別にわかるわけでございますが、最近のやつは、年間一本通して稲わら給与が幾らということがわかるわけでございまして、月別にはちょっとわかりかねるようであります。
#105
○鈴木強君 地域別には。
#106
○政府委員(太田康二君) 地域別にはわかります。
#107
○鈴木強君 わかりますか、それでもいいです。
 それで、こういうふうに問題が出てまいりましてから、農林省のほうでもいろいろ御配慮をいただいて、ことしの一月二十八日に指示を出されておりますね。で、いま現在、BHCは製造は中止されているわけですかそれから使用も中止されているわけですね。その点、ひとつ、はっきりしてもらいたいのですがね。
#108
○政府委員(太田康二君) 私のほうが一月二十八日に通達をいたしました趣旨を申し上げますと、これは、畜産局とそれから農政局と、両方から局長通達をお出しいたしたわけでございますが、私のほうの畜産局関係では、「飼料作物に対してまたは畜舎内においてはBHCおよびDDTはほとんど使用されていないが今後とも一切使用しない」、それから「放牧地等のダニ駆除のための農薬は低毒性有機燐剤等に切りかえる」、それから「四十四年産の稲作で栽培の後期にウンカ等の防除のためBHC・DDTを散布した稲わらを乳牛に給与しない」という通達をいたしたわけでございます。
 それから農政局のほうで措置いたしましたことは、ただいま先生から御指摘のございましたように、十二月十日に――昨年の十二月十日でございますが、BHC、DDTの製造業者が、BHC、DDTの国内向け原体の製造中止ということをみずから業界自体で決定をいたしたのでございます。もちろん、これは農林省の指導のあったわけでございますが、原体の製造中止をいたしております。
 それから有機塩素系の殺虫剤の使用に関する通達といたしましては、「牧草、青刈りだいず、青刈りいね、稲わらを飼料とする場合のいねなど乳牛の飼料とする作物にはBHC等は使用しない」ということ。それから「いねについては穂ばらみ期以後は使用しない」、これは特に酪農に関係のないような地帯にできます稲でございますが、使わない。それから「野菜、果樹については農薬残留に関する安全使用基準にしたがい、またはこれに準じて使用する」。こういった通達を出したわけでございまして、稲につきましては、御承知のとおり、六月二十日以降に大体BHCが使用されるわけでごさいますが、いま言ったようなことで、現在製造は中止をされておりますし、実際は、まだ現段階におきましては使用いたしていない、こういうことでございます。
#109
○鈴木強君 日本の場合には、ウンカとか二化メイ虫とか、害虫が多い国ですから、どうしても稲には必要でしょうね。それで、穂ばらみ期以降は使わせないわけですか。以前は使ってもいいわけですか。そうすると、稲わらは、穂ばらみ期以前に使ったものであれば、稲わらの中にはBHCは残存しない、そういう試験は済んでいるわけですか。
#110
○政府委員(太田康二君) 実は、昨年の十二月に、厚生省から、BHCが牛乳中に残留するということで農林省に措置の要望がございました。そこで、農林省も、農林省独自の機関で、家畜の飼料に供されている稲わら、乾草、サイレージ、配合飼料等につきましてBHCがどれだけ残留しているか、それから、これらのものを与えた乳牛の牛乳を取りまして、そのBHCの残留度を調べたわけでございますが、その結果得られました所見によりますと、明らかに後期までにBHCを使った稲わら、これに非常にBHCの残留が多い、しかも、そういう稲わらを給与した乳牛の牛乳がきわめてBHCの残留が高いということが実はわかったわけでございます。で、穂ばらみ期以前、穂ばらみ期までに使ったようなものはBHCの残留はほとんど少ないというようなことがわかりましたので、一応、今後の指導といたしましては、そういったことで対処していけるのではないか。BHCももう製造が中止されておりますから、ことし穂ばらみ期まで使いますれば、もう今後、われわれの期待といたしましては、一切もうなくなるということになるわけでございますので、それを期待をいたしておるものでございます。
#111
○鈴木強君 そうしますと、去年はそういう配慮がなかったわけですから、いまおっしゃるように一ことしの稲刈りが済むころまでは去年のやつを使うので、どうしてもBHCが入ってくるわけですね。しかし、幸いにして青草の時期になりましたから、そういうものを飼料にどんどんやれば、残留の農薬もずっとなくなってくるというので、従来より以上に安心は常識的に考えてもあると思うのですが、将来は、来年以降、そういうふうに穂ばらみ期以降は使わないということにして、稲わらをどんどん食べさしても、いま心配しているような状態から見ると、かなりそういう心配はなくなっていくということから、結果的に見ると、この問題については一つの山を越した。いま厚生省のほうでも、研究所のほうで、半年か一年くらいの間であればだいじょうぶだと、こうおっしゃるわけですね。われわれは、学者、専門家の皆さんのことを信頼しなければならないと思うわけですが、大体意見がわかりました。
 ただ、環境衛生局長はほかのほうにいらっしゃるようですから、両局長ともおられるところでお伺いしたいのですけれども、どうも農林省と厚生省の間に、いろいろこう、文章を見ましても、ニュアンスの点で確かに違いますよ。これは無理もないと思うのです。農林省は農林省として、酪農農家や、あるいは稲作農家のことも考えなければならぬ。しかし、私は、それはそれとして当然やらなければならぬことであるけれども、事が人命に関することでございますから、これはやはり、国立衛生試験所は厚生省にありますし、それから農林省のほうでも試験所を持っておりますね。いま農薬なんかの研究をされておりますね。ですから、そういうところでお互いに十分に連絡をとりながら――しかも私は、厚生省の場合でも、最初ちょっと不満を言いたかったのは、取り組み方が非常におそいんですね。ですから、もう少し、こういうものが一体人体に与える影響がどうなのか、国際的な基準を聞いても、どうも日本のものではなくて、ヨーロッパ式のものでやっておられる。ですからして、日本は日本の独自の立場で、農薬に対する、人体に与える影響はどうかということをやはり御研究いただきたいと思うんですよ。そうでないと、せっかく畜産を奨励し、牛乳が出回ってくる、ところが、どうもあぶないぞという警鐘が出てくる、これはやはり、人のからだを守る立場にあるんですからして、農林省といえども、厚生省といえども、これは一番人命尊重の立場にあるんだから、それを当然やってもらわなければならぬと思うのです。ですからして、農林省のほうも、いろいろ見方によっては、なまぬるい、もっと早くなぜ製造中止だとか、あるいは使用禁止をしなかったんだろうという不満もありますよ。ですから、的確にそれが国民に入っていけばいいんですけれども、いろいろ聞き方によってもニュアンスの相違があるものですから、非常に心配はあるんです。今後、こういうような問題については、ひとつ、国民が惑わないような、そういうような行政の指導をぜひやってほしいと私は思うんです。そういうことをひとつ両局長から伺って、あと、ちょっと副所長さんに少しまた聞きたいことがあるものですから……。
#112
○政府委員(金光克己君) ただいま御指摘がありました点につきましては、十分今後注意いたしまして、農林省とも十分密接な連携をとりながら、国民の健康を守る立場に立って積極的な努力をしてまいりたい、かように考えております。
#113
○政府委員(太田康二君) 事、人の健康に関する問題でございますので、健康上はたして有害であるかどうかというようなことにつきましては、私は全く厚生省の意見に従うという態度をとっておるものでございまして、私のほうは、今回、厚生省の食品衛生調査会によりまして、先ほど来副所長も申されましたように、「今直ちに危険であるとは考えがたいが、このままの状態が長期間続く場合は保健上支障を来たすおそれがある」、さらに今後とも早急に牛乳中のBHC汚染を減ずることが強く要望されておるわけでございますから、この線に沿いまして厚生省とも十分連絡をとりつつ、これが喫緊の要務でございますので、この点の趣旨の徹底をはかりまして、時期的にも、先生先ほど御指摘のように、牧草、飼料作物、野草等が使用できるわけでございますから、極力避けるべく努力をいたしたいと、かように考えております。
#114
○鈴木強君 副所長さん、バターとチーズですね。こういうものに対して、BHCの有害ですが、そういうことに対する心配があるのですね。ちょっとあるのです。その辺の研究はなさっておりますか。
#115
○説明員(川城巖君) ただいま先生のお話のように、特にバターは、これは牛乳の脂肪を抽出したものでございますので、このBHC汚染、牛乳の汚染に関連いたしまして、当然その御心配が起こっております。私も全く同感でございます。それにつきましては、研究班を、これは厚生科学研究班という名称でございますけれども、組織いたしまして、調査に着手いたしております。まだしかし、ちょうどこの牛乳の問題が大きくクローズアップいたしましたものですから、十分には手が伸びておりませんけれども、次の問題としてはこれを究明しなければならない問題だと思っております。ただ、一言申し添えますけれども、いまの日本人の食生活の面から申しますというと、牛乳の摂取量に対しまして、バターあるいはチーズの摂取量は、まだ比較的少量ではないかとは思っておりますが、そのようなことで、今後乳製品について試験を行なってまいりたいと思っております。
#116
○鈴木強君 ぜひひとつ、早急にやってください。
 それではもうこれで……。
#117
○委員長(横山フク君) 本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめたいと思います。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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