くにさくロゴ
1970/04/17 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 公害対策特別委員会 第5号
姉妹サイト
 
1970/04/17 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 公害対策特別委員会 第5号

#1
第063回国会 公害対策特別委員会 第5号
昭和四十五年四月十七日(金曜日)
   午後一時二十分開議
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     大谷 贇雄君     山本敬三郎君
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     須藤 五郎君     渡辺  武君
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     渡辺  武君     河田 賢治君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松井  誠君
    理 事
               久次米健太郎君
                中津井 真君
                小野  明君
                内田 善利君
    委 員
                鬼丸 勝之君
                川上 為治君
                木島 義夫君
                山本敬三郎君
                加藤シヅエ君
                田中寿美子君
                小平 芳平君
                片山 武夫君
   衆議院議員
       産業公害対策特
       別委員長     加藤 清二君
       発  議  者  角屋堅次郎君
   国務大臣
       国 務 大 臣  佐藤 一郎君
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長兼内閣総
       理大臣官房審議
       室長       青鹿 明司君
       経済企画政務次
       官        山口シヅエ君
       経済企画庁国民
       生活局長     矢野 智雄君
       経済企画庁国民
       生活局参事官   西川  喬君
       厚生省環境衛生
       局公害部長    城戸 謙次君
       通商産業省企業
       局立地公害部長  柴崎 芳三君
       通商産業省鉱山
       保安局長     橋本 徳男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       経済企画庁国民
       生活局水質保全
       課長       白井 和徳君
       厚生省環境衛生
       局公害部公害課
       長        橋本 道夫君
       農林省農政局参
       事官       遠藤 寛二君
       農林省農地局計
       画部資源課長   佐々木 実君
       通商産業省企業
       局立地公害部公
       害第一課長    児玉 清隆君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害対策樹立に関する調査
 (大気汚染及び水質保全対策に関する件)
○公害紛争処理法案(内閣提出、衆議院送付)
○公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○公害紛争処理法案(衆議院送付、予備審査)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松井誠君) ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。去る三月二十六日大谷贇雄君が委員を辞任され、その補欠として山本敬三郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(松井誠君) 公害対策樹立に関する調査を議題とし、大気汚染及び水質保全に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○小平芳平君 私は、きょうこの水質の問題をずっと質問する予定なのですが、ちょっと衆議院との関係でまだ政府の方がそろっていらっしゃらないようですので、先に農林省にお尋ねをいたします。
 農林省にお尋ねしたい点は、港には危険物が非常に多いと、化学産業が発達して劇薬物や爆発物の取り扱いは増加するばかり、非常に危険物ラッシュの状態にある。それで、いまここで私が農林省にお尋ねする点は、輸入穀物等を検疫のために薫蒸をする。このときに、現在はメチルブロマイドというのを使っている。そのために、検疫ですからいろいろな虫、要するにばい菌、そういうものを完全に殺すということがまあ前提条件のようですが、そのために、危険な毒ガスのために人命事故も起きている。中には作業のときに死んで、なくなったために国を相手取って裁判も起こされているというふうな実情も聞いております。それで、農林省として、もう一つ、ホストキシンという薬を使えば危険がそれほど伴わないで効果もあがるということで、そういう意見が出ているのですが、農林省は依然としてメチブロを許可しているだけでホストキシンのほうを許可しておらない。そこで、この国会でも再三こういうことが質問されまして、それで農林省としては、まあホストキシンの安全度あるいはその効果、そういうことを検討するということが再三答弁されておりますが、その点について私がいまお尋ねする点は、ホストキシンがより安全であるということと、しかも場合によっては十分に効果もあげ得るということ、そういう点が言えるかどうか、そういうことが可能ならばいつ許可されるかという点について御意見を伺いたい。
#5
○説明員(遠藤寛二君) お答え申し上げます。御指摘のございましたように、現在輸入植物の消毒にあたりましては、穀物の場合、メチルブロマイドを指定してやっておるわけでございまして、先生もいまお話しいただきましたように、輸入の場合は、国内検疫の場合と違いまして、新しい虫が――虫なり菌なりが入ってまいりますと、国内の抵抗性のある植物というものがない場合には非常に拡大する。たとえばアメリカシロヒトリのようなことになりかねないという点がございますので、輸入検疫につきましては、水ぎわで全部の菌ないし虫を殺してしまうということをたてまえとしてやらざるを得ないわけでございます。そこでまあ御指摘のありましたとおり、メチルブロマイドにつきましては、ときどき人命事故というものを起こす経過をいままで経てきております。私どもといたしましても、かねがね何度もお約束申し上げておりますように、新しいそれにかわるべき農薬の開発にもつとめておりますし、いろいろ検討を重ねております。先生がいま例におあげになりましたホストキシンにつきましては、これは燐化アルミニウムでございますが、これはメチルブロマイドと違いまして、これは錠剤でございますので、まくときには非常に安全度が高いわけでございます。しかし、出てくるガスの有毒性というものになりますと、そのこと自体はメチルブロマイドよりもかなり強い、急性毒性でございます。まくときには非常に安全である。密閉をしておいて処理するということでございますと非常に人命に対しては安全でございます。それでまあ問題になりますのは効果でございますが、先ほど申し上げましたように、全滅をさせるという話になってまいりますと、たとえばグラナリヤコクゾームシでございますとかそういった場合、サナギの場合に一〇〇%死に切らないというデータがしばしば試験データとして出てくるわけでございます。かねてからも、もう数年にわたりまして検討を重ねてまいりました私どもとしましては、いろいろな調査結果も大体まとまってまいりましたので、今年におきましてはその使用の可能な範囲内においてそれを採用しようという方向でいま結論をまとめつつあるところでございます。それで予算措置といたしましても、この薬を使います場合には、先ほど申しましたように、猛毒のガスが出ますので、倉庫をあけて中に入るというような場合の検知の方法等が必要でございます。そういったものをいたします検知の機械、それからそのときにつけます防毒面につけます吸収管、そういったものの予算措置を、四十五年で今度の予算が成立いたしますれば講ずることができることになります。それを植物防疫所の本所、支所、出張所、全部に装備をいたしまして、これの採用に踏み切ろうとしておるところでございます。そうしてこれは植物防疫法の規定に基づきまして各関係者及び権威の方々によります公聴会を開いてきめることになります。公聴会の席においてそれがよろしいということになれば採用するという運びでございます。なるべく早くそれを行なうというつもりで各方面と連絡をしておる最中でございます。
#6
○小平芳平君 大体それでわかりましたが、私が申し上げるまでもなく、一つには効果をあげることと、一つにはやはり人命尊重、要するに産業災害の起きないことを大前提として、その上で進めていただきたいと、こう思うわけであります。
 で、四十五年度予算にもそういう措置がついていらっしゃるというわけですが、たとえばいまあげられました公聴会はいつごろ予定されておりますか。
#7
○説明員(遠藤寛二君) まだ日取りは確定いたしておりませんが、当初の予定では今月中に開きたいと思っておりましたが、多少おくれるのではないか、その辺の見当でございますが、まだ確実にはきまっておりません。
#8
○小平芳平君 それでは農林省はけっこうです。
 それでは水質の問題についてお尋ねをいたします。企画庁にお尋ねいたしますが、水質の環境基準はいつ決定になりますか。見通しはいかがでしょう。
#9
○政府委員(山口シヅエ君) 昨日中央公害対策審議会に報告し、近く閣議決定をする予定でございます。二十一日が閣議決定の予定でおります。
#10
○小平芳平君 そこで、この環境基準が四月二十一日に決定になった場合、それ以後の問題について私がいまから質問いたします。要するに、環境基準が決定になった場合、環境基準を達成するためのいろいろな施策が必要になってくるわけでありますが、これに全部出ておりますが、答申に出ておりますが、その中で私が特にきょうお尋ねする点は、(1)の「排出規制の強化」それから(5)の「監視、測定等の体制の整備」こういう点についてお尋ねをします。
 まず基準がきめられた場合に、それが守られるかどうかということが一番住民にとっては問題になるわけです。せっかく基準は出ても、守られなければ何にもならないし、かといって、また、こういうふうに基準がきまっているのに、実際はそれ以上の汚染がどんどん排出されている。それを気がつかないでいて、第二、第三の水俣病や、イタイイタイ病が発生してしまったというようなことになることを、住民は非常におそれるわけです。そういう点について、監視体制あるいは測定体制というものが、どういうような計画で進められていくか。また、そういう点についてだいじょうぶ、要するに、環境基準がきまった場合に、それ以後においてどの程度の監視体制、測定体制というものが全国に張りめぐらされていくか。そういう点について政府委員からでもけっこうですから、お願いいたします。
#11
○説明員(白井和徳君) ただいま先生御指摘の環境基準につきましては、これは政府のあらゆる施策の行政目標値として決定されるものでございます。したがいまして、この目標値達成のためには、先生御存じのように、排出規制の強化とかあるいは立地規制とか、あるいはここに出ております下水道の整備とか、こういうような施策を通じましてできるだけ早く環境基準を達成していく。これが政府の行政目標として達成されるものでございますから、そういうような形で努力していきたいと思います。特に国民の健康にかかる項目につきましては、これが閣議決定の暁には、これは全国あらゆる公共用水域につきまして維持、達成されなければならない、こういうことでございますので、そういうような達成のために努力していくということでございます。
 問題は監視、測定体制の問題でございますが、これにつきましては、現在水質保全法に基づきましては、それぞれの排水口の規制につきましては、都道府県知事にその権限が委任されでそれでやっているのもありますし、あるいは上水道につきましては上水道の関係者が絶えず監視する、あるいは河川管理者が河川を監視している、いろいろな体制があるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、今後、関係省庁とこの監視体制をどう整備していくかという問題でございますが、できるだけ関係者が、それぞれの所管につきまして、十分この環境基準を維持できるようにつとめていく。なお、その監視体制全体のシステム化につきましては、今後関係省庁と十分検討して万全な措置を立てていく、かように考えております。
#12
○小平芳平君 抽象的にお答えになればそういうことになると思うのですが、大気汚染と水質汚濁について比較してみた場合、実際に水質をそういうように測定しておりますか。大気汚染はだいぶ測定しているわけですが、実際に水質検査というものが、全国のそれではどのくらいの河川で何個所くらい、一年にどのくらいそういう測定が行なわれておりますか。これをひとつ通産省、それから厚生省、経企庁、三省庁の方がおられますので、御答弁願いたい。
#13
○説明員(白井和徳君) 経済企画庁の関係につきましては、御承知のように、現在水質保全法に基づきまして、全国七十二水域につきまして水域を指定し、水質基準が設定されているわけでございます。これら水質基準が設定されている水域につきましては、経済企画庁が調査費をとりまして、アフターケアという形で絶えず流水については測定をしております。
#14
○説明員(橋本道夫君) 厚生省の問題としましては、水道の原水につきましての検査をするということがございますので、水道原水の調査につきまして、各水道事業者が自衛的な立場で検査をしているというのがございますが、何件という件数につきましては、私ただいま資料を手元に持っておりません。また一つは、県の衛生部の環境衛生担当の部局が、水道関係の監督の業務をいたしておりまして、地方の衛生研究所を通じまして、実質上調査をしているというものが相当数にのぼっております。そのほか公害行政系統におきましては、公害センターというのが最近十数カ所できておりまして、それらのセンターにおいて、特別の問題をしぼって調査しているというものがございます。水質保全法の調査水域につきましては、水道課におきまして、経企庁の行政にあわせまして、導水の水域につきましての調査をいたしております。そのほか水銀、カドミウムというふうな微量有害重金属につきましては、常時の測定は技術上無理でございますが、厚生省といたしましては、原子吸光分光分析器等を、その問題のある県に優先的に補助いたしまして、現在、約三年以上たっておりますが、大多数の府県にはその器械が入りまして、だいぶ自分で検討ができるという段階になりました。しかしながら、常時ではございません。
#15
○説明員(児玉清隆君) 私どもの通産省所管につきましては、現在三十八業種ございまして、そのうち通産局で所管しておりますのが七つございまして、あと三十一件は県のほうにおまかせしております。現在そういった区分で実施いたしておりまして、その基礎になります測定、調査等につきましても常時、通産局の担当官あるいは都道府県の担当官が随時これを行なっております。
#16
○政府委員(橋本徳男君) 鉱山関係からの水質の調査でございますが、これは全国で十カ所の鉱山保安監督局がございまして、そこで比較的問題の少ないところにつきましては年に一回、二回検査をしております。特にカドミウムのような鉱山は、全国で五十六ございますが、これに関連する河川等につきましては、特に問題のあるようなところは年に十回前後やっております。それから、これはもう施設改善が行なわれて問題が少なかろうというところで、追跡検査という形で少なくとも年に二、三回以上はやっているというような実態でございます。
#17
○小平芳平君 そこで、もう一つ前提としてお尋ねしておきますが、要するに水質に限ってお尋ねしますが、排出基準がありましても、それが個々の企業では排出基準に沿った、要するに排出基準以内でやっていても、それがいろいろな企業が、その企業によって、産業によって、それを監督する官庁がまたばらばらなんですね。たとえば製薬会社からの排水は厚生省が所管する、あるいは大部分の企業、会社は通産省が所管する、排出、排水の監督ですね。あるいは食品加工とか、そういうものは農林省あるいは大蔵省あるいは運輸省というふうに各省によって排出基準による監督をしているわけですが、それに違反した者があれば改善命令を出し、改善命令を聞かなければ、なお罰則適用というふうに説明されますけれども、ほんとうはこんな各省ばらばらに監督すること自体おかしいと思うのですけれども、まあ現状そうなっているからそれもやむを得ないとしても、それが集合した場合、今度は限度の汚染をこえちゃうじゃないか、そういう心配はどうですか。
#18
○説明員(白井和徳君) 現在水質保全法に基づきまして、先生御指摘のように、各工場、事業場の排水口の水質基準はきめておるわけですけれども、この排水口の水質基準をきめる場合にあたりましては、やはり流水における全体の被害防除という観点を最初に想定いたしまして、それでその汚濁負荷量をそれぞれの個々の工場ごとに汚濁負荷量に応じまして、それぞれ排水口の水質を改善するようにカットしているわけでございます。したがって、流水的な基準を考慮するところにおきまして、その公共用水域全体の被害の防除という点を十分考えてやっておるわけでございまして、したがって、被害と、それからここの排水口との間には計算の基礎としては十分統一がとれておるというふうにわれわれ考えております。
 なお、先生御指摘の工排法の所管大臣が各大臣にまたがっているというのは、これは事実でございますが、現在特定施設で約七十近い業種のうち、ほとんど大部分の業種につきましては、現在都道府県知事にその権限が機関委任されておりますので、したがって、十分統一的な観点から水質基準が維持され、しかもそれが維持されるように運用されておるというふうにわれわれ考えております。
#19
○小平芳平君 国はばらばらだけれども、都道府県知事のところで一本にしてもらっているから何とかなるというような感じですが、それで、次に、具体的に私がお尋ねしますのは、富山県の神通川という、これはイタイイタイ病で非常に住民が悲惨な思いをしている神通川ですが、ここにウグイという魚がいる。このウグイから多量の水銀が検出された。平均一・二二PPM、高いものは六・〇八PPMと、こういう水銀が検出された。この結果は阿賀野川以上の汚染がはなはだしい。阿賀野川の場合は平均〇・九六PPMだったが、しかも阿賀野川では御承知のように水俣病が発生している。したがって、この神通川の場合も、これは新聞に大きく報道されておりますから、御承知と思いますが、このことにつきまして御説明をお願いします。
#20
○説明員(橋本道夫君) いま御指摘のございました神通川の件でございますが、昭和四十二年厚生省は全国の水銀調査をいたしましたときに、神通川については影響を及ぼす水銀工場がないという、われわれの従来のデータではそうなっておりましたので、神通川をそちらの対象水域としてとったわけです。ところが、私どもが調査いたしますと、案外水銀が高いということが出てまいりましたことが一点、もう一つは、普通の水銀と違ってエチル水銀が出てくるということがあったわけでございます。四十三年にこの点につきましては詳細な発表をいたしました。大体平均が一・二二PPMくらいでございました。一番高いもので六PPM程度のものがございます。これはすべての魚が悪いわけではございません。御指摘のあったウグイがわりあい高いというものでございます。ほかのアユとか、マスとかサケというものは、これは全く問題はございません。これは魚の習性によりますが、そのような形でございましたので、不審を抱きましていろいろ調べましたが解明できませんでした。地質の問題があろうということを、地質の方からお話を受けまして、一応地質の問題として影響しておるのではないかということでございましたが、どうしてもエチルが出るというのはほかにないわけでございます。エチル水銀の分析を誤っておるのではないかということで、再三これをクロスチェックいたしましたが、やはりエチルが出るということになりまして、エチルがどっから来るかを一回徹底的に追及せよということになりまして、昭和四十四年の八月から、これはまた神通川のエチルの由来ということにつきまして、県と専門家と組みまして、徹底的な調査を始めておったわけであります。その調査によりまして、いま御指摘のあったような魚の汚染の状況につきましては、いままでと変わった所見があるわけではございません。従来と変わった所見が別にあるわけではございませんで、魚につきましては、従来と同じ考え方を持っておりますが、エチル水銀ということにつきまして、神通川と熊野川というのがございますけれども、その神通大橋でございますか、そのある一定の範囲内のところでかなり高いということが出てまいりまして、そこの中のエチル水銀というものが、一つの小さな製薬工場でございますが、その製薬工場の排水口直下のどろから出てまいったわけでございます。念のために申し上げますが、水から出てくるわけではございません。排水としては私ども証明しておりません。製薬工場直下でエチル水銀が証明されました。そういうことで、私どもは、現在の段階で厚生省がこれを知りましたのが四月四日でございます。四月四日に現地におきまして検討会のときに初めてこれを知りました。そうしてそのときに、すでにこの工場は四月一日に工場が自粛して操業を停止しておるということでありまして、現在詳細な調査をいたしております。
 そういうことでありまして、汚染の水銀におきましては変わりはございません。エチル水銀の発生源ではなかろうかと言われるような工場があらわれたわけであります。で、現在のところ、学者にいろいろ検討をお願いいたしておりますが、このものだけでエチル水銀の汚染の全部が説明できるかどうかということには、学者の間にもまだ議論があるところでございまして、大体来月末ころまでに全部の報告がまとまって出てまいりますので、それによって詳細なことを一般に発表したいというように考えております。
 本件につきましては、昨日でございますか、一昨日でございますか、この地元の富山県のほうで、一応地元のほうでも明らかにしておきたいということでございますので、私どももこの件につきましては、中央におきまして経企庁、通産省、当然のことながら厚生省の中で薬務局とわれわれ相談をいたしまして、現在対策をどう進めるかということを明らかにした上で現在の措置をとりつつある、そういう状態でございます。
#21
○小平芳平君 いまの御説明ですと、汚染は平均一・二二PPM、それからはなはだしいものは六PPMというふうなお答えでしたので、汚染については厚生省も実態をつかんでいらっしゃる。厚生省も調査したわけですね。ですから問題は原因がどこかということですね。製薬会社が排出したのではないかと、この新聞では、厚生省公害課の話として、水銀の流出源がなぞで追及した結果、製薬会社が有力な流出源だとわかったというふうに談話が載っておりますが、この報道自体も「製薬会社が排出か」となっておりますので、決してまだ断定的な報道がなされているわけじゃないのですが、しかし、相当因果関係が明らかになるのじゃないかという見通しがあるわけですね。ですから、そこで、次に一体、そういう製薬会社となれば、われわれしろうとにはどこにどんな製薬会社があるかわからない。どこの製薬会社でそういう水銀を流しているという可能性があるかということも大体住民はわからないわけです。しかし、この神通川のようにそういう汚染がはなはだしいのが、まあほとんど何年がかりでようやくわかったというようなことでは、先ほど監視体制、測定体制はどうかという点からしまして、非常に住民が不安になるわけです。国民としては不安に思うわけです。ですから、一つには製薬会社の排水というところに的をしぼっての監視体制ということについてお尋ねしたい点と、それからもう一つは、エチル水銀という御答弁でありますが、メチル水銀は非常に厳格な規制になっている、メチル水銀は二十八水域で測定して検出されてはならないという規制があるのに、エチル水銀はなぜ無規制なのか、そういう点についてお尋ねいたします。
#22
○説明員(橋本道夫君) いま御指摘のありました製薬会社の件でございますが、現在私どもが、水質保全法の指定水域の中で十二水域、四十八工場、製薬会社がございます。特定水域として指定されるものとしまして、この工場につきましては、工場排水規制法に定めるとおり排水検査をいたしておりまして、それに合わないものにつきまして四十三年一件改善命令を出しております。あるいは六工場の水質が悪いのではないかということで、さらに詳細な水質を再三報告をとって指導して直させたというような事例がございます。これは規定のとおり水質保全法の影響でございますが、これにつきましては、現在四十四年の四月以降、都道府県知事に権限が委任されておりますので、検査はすべて都道府県知事の手でやられることになっております。ただ御指摘の点は、おそらく環境水域の水質の問題というところにもどうなっておるかというところでございましょうが、この点は先ほどお答えいたしましたように、衛生行政の側におきましては、水道自体の自衛の調査、環境衛生自体の水道法としての責任の立場から調査をしておるということと、厚生省自身が水質保全法によってやっているもの、あるいは先ほど申し上げました厚生省が全国の水銀の百九工場で調べますと、そのうち製薬工場を種類を分けまして、四工場を調べております。その四工場というような典型的な製薬工場を調べておりまして、それによって見当をつけながら指導してきたわけでございます。ただ私どもこれでは決して十分であるとは思っておりません。この点につきましては、製薬工業会の中にも呼びかけまして、その中に周辺技術研究会というものができまして、製薬工場自体として私どものほうからできるだけ積極的に指導しまして、この県が指導する規制、指導する場合に対して最善の努力をいたしたいと思っております。現在はこのメチル水銀が水質保全法によって指定されておりまして、工場施設そのものは工排法の特定の施設になっておりまして、メチル水銀だけについて規制しております。そういう意味でエチル水銀がはずれておるということでございまして、エチル水銀も規制に入れるべきものだという考えは私ども持っておりますが、先ほどお答えしましたように、排水口直下のどろに出されておるだけで、実は排水そのものにわれわれが証明できていないという問題点はございますが、将来の問題を考えまして、この点は経企庁、通産省のほうとも連絡いたしておるところでございます。
#23
○小平芳平君 どうもちょっと私の質問にうまく答えてくださらないのですが、要するに、私がお尋ねしている点は、製薬会社の排水ですね、これは厚生省所管なんでしょう、要するに、製薬会社の排水です。要するに、排水が基準以内に保たれているということを監視し、または測定する、これが万全かどうかということをお尋ねしているわけです。ということは、いまそれは知事に委任されていると言われますが、かといっていまここに各知事を呼んでやるわけにいかないものですから、知事に委任されているとはいえ、やはり監視、測定が十分かどうかという責任は、その権限を持っている主務大臣の厚生省でやらなければならないわけでしょう、実際問題として。そういう点で今度のこういう神通川の問題がいまここ数日こう新聞に出ておりますが、全国にも同じようなケースがありはしないか、あってはたいへんだというためのどのような措置をおとりになる考えかということをお尋ねしているわけです。
#24
○説明員(橋本道夫君) いまの御指摘の点につきましては、まず第一点は、都道府県知事は機関委任事務になっておりますが、私どもは、通達でそれについてより一そう指導を強化し、また、その結果について私どもは、それらについて報告を求めて承知をしておるということをするのが私どもの仕事でございます。
 第二点の神通川の工場の件でございますが、この件につきましては、薬務局のほうと私どもと相談をいたしまして、たしか昨日出たはずでございますが、同様の水銀を扱う製薬工場を一斉にもう一度ちゃんと検査をして確かめようと、そうしてその実態を把握をして、もう一度汚染の危険は絶対にないようにしようということを薬務局のほうから通達を出しておるということでございます。
#25
○小平芳平君 薬務局の仕事だけれども、まあいいや、公害課長だから。それで全国そういう製薬会社をさらに点検するということを出したわけですね。でエチル水銀はメチル水銀よりも、これはどういうことで、エチル水銀は人体に対する影響はメチルと同じだというふうに、あるいはもっと毒性が強いともいうようなことも聞くのですが、これはいまおっしゃった御答弁では、要するに排水からは検出されていない、どろから検出されただけだから、エチル水銀を規制の対象に入れるわけにはいかないというようなお話ですか、いまのお話、そうじゃないですか。要するに、このメチル水銀もエチル水銀もどのような毒性があるか。それから当然これはとっくに規制の対象になっていなければならないじゃないかという意見もあるのです。これはいかがですか。
#26
○説明員(橋本道夫君) 御指摘のエチル水銀の毒性につきましては、いまちょっとLD50のこまかな数字を持ち合わせておりませんが、私どもで研究いたしております作用といたしましては、比較的分解しやすいということと、慢性毒性につきましてはメチル水銀の場合にやや弱いということが専門家の中では言われておるのでございます。ただ私どもは、そういうことの理由でエチル水銀をはずしておるのではございません。エチル水銀で水質汚濁の問題にぶつかるのは実はこれが初めてでございます。従来エチル水銀として問題が起こった例がございませんので、私どもエチル水銀として出るという例にはぶつかっておりませんでした。厚生省としては、従来トータル水銀としてこれを押えようということでございまして、トータル水銀で申しますと、エチル水銀、メチル水銀、フェニル水銀と全部入るというような観点からしまして、エチル水銀をまだ積極的にできないという意味ではございません。現実的に水の中ではまだ証明できていないということだけでございまして、必ずこれは規制に入れるべきだという考え方を持っているわけでございます。
#27
○小平芳平君 そこで通産省あるいは経企庁と御相談してということを先ほども厚生省が述べておられますが、経企庁としてまた通産省としても、いま厚生省が言われたようにエチルも規制に入れるべきだというお考えを持っていらっしゃるかどうか、いかがでしょうか。
#28
○政府委員(西川喬君) 環境基準を今回設定する運びになってまいったわけでございますが、現在の環境基準案といたしましては、人の健康にかかわる項目といたしましては、当面メチル水銀を取り上げてございます。しかし、この審査過程におきましてやはりトータル水銀の話が、エチル水銀ではございませんが、エチル水銀も含めましたトータル水銀の話が議題にのぼっております。これにつきましては、厚生省のほうの研究の結果、それらを受けまして、さらに通産省とも相談いたしまして、できるだけ早い機会に、トータル水銀という項目を環境基準の人の健康にかかわる項目の中に入れたい、できるだけ早急に入れたい、このような考え方で企画庁のほうは進んでおります。それが入ってまいりますと、やはり環境基準として流水の中の基準としてそういうものがきめられましたら、その流水中の基準を維持達成するためには、諸般の施策、その中に当然排出規制その他も考えなければならないわけでございます。そのような方向の施策をとりたい、とることになろうかと、このように考えております。
#29
○政府委員(柴崎芳三君) 疫学的な観点からも検討の結果、これが人体に有害であるという結論が出ますれば、通産省といたしましては、これを規制の対象として取り上げることには全面的に賛成でございます。
#30
○内田善利君 関連。いま水銀の話が出ておりますが、今日まで水俣病として、あるいは第二水俣病として水銀が大きくクローズアップして、大問題になったわけですけれども、その場合に、メチル水銀だけを考えられたのか。当然科学的な態度として同じくエチル水銀も考えるべきじゃなかったか、一応トータル水銀についてはどうこう、無機水銀についてはどうこう、有機水銀についてはどうこう、こういったことはもういままでこの水俣病についてるる話がされているわけです。その間にどうしてエチル水銀が今日まで考えられなかったのか。出てきて初めてこれが人体に害があるとするならば、規制しますと、こういう行政的な態度について、私はいま聞きながら不審に思ったんですけれども、この点どうなんでしょうか。
#31
○政府委員(城戸謙次君) おくれてまいりましたんでございますが、いまの水銀の問題、実は私ども水俣の、あるいは阿賀野川の例がございますので、非常に慎重に対策を立ててまいったわけでございますが、先ほど公害課長からもお答えしましたように、現在までこういうような例がなかったということが一つございますのと、それからやはりこれは何と言いましても、魚あるいは貝に蓄積しました上で人間が害を受ける、こういうことでございまして、魚だとか貝だとか、こういう面からの追跡からもトータル水銀のほかはメチル以外は検出されたことはなかったのでございまして、そういう点、もし例があれば必ずこれを規制対象にするという前提に立ちながらも、これまでは取り上げられなかった。しかし、最近になりまして、特に環境基準との関連におきまして、厚生省といたしましては、メチル以外はトータル水銀という立場で、必ず基準に入れ、排出規制の対象に入れるべきだと、こういう考え方でまいっておるわけでございます。
#32
○小平芳平君 それは通産省の部長さんがおっしゃるように、人体に悪影響があるとすれば、という実験結果が出れば規制しますとおっしゃる。それは当然ですよね。ですから、政務次官にお尋ねしますけれども、われわれしろうと考えですから、どうも国民の素朴な感情としまして、行政当局が人体に害があって、はっきり言えば病人が出て、動けなくなって死んでいったら、そういうような悲惨な状態が起きたら規制しますよというような言い方でなくて、もう少しやはり健康を守り、そしてまた人命を守っていくという、そういう観点からいまの水銀問題は解決するように、これは要するに各省にまたがっておりますが、水質問題はやはり企画庁が一番統一的に権限を持っていらっしゃるわけですので、ぜひ大臣とも御相談になって、水銀問題は悪影響があったらどうするという姿勢でなくて、もっと国民の健康を守るための行政なんだ、それで国民が安心して産業は発達する、産業の発達はけっこうなんですが、とともに、いつどこでそういう健康被害が起きるかわからないというようなことはない、そういう点は十分配慮して政治が行なわれているのだというふうにやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#33
○政府委員(山口シヅエ君) 先生の御意見のとおりだと私は存じておりますが、躍進的な経済の発展の中で多くの公害の出ております今日、特に政治の上でも、これらの問題を処理していくことが一つのポイントになっておりますが、結果が出てから処理するのでは仰せのとおりおそまきであると存じております。防ぐほうに施策が講じられるべきであろうと存じます。
 御承知のように、企画庁といたしましては、各省庁と調整の上、総合調整の上で基準をつくらせていただきまして、その基準にのっとりまして各省庁に協力をいただき、そうしてその基準どおりに実施されているかどうかを守らせますのも各省庁でございますので、私どもといたしましては、先生の御意見を役所といたしましても実行に移したいとは考えておりますが、ただいまは一応そのような形でさせていただいております。お答えになるかならないかわかりませんけれども、先生のお気持ちはよく私どもにはわかると存じますので、これからも誠意をもって努力させていただきたいとお答え申し上げておきます。ありがとうございました。
#34
○小平芳平君 私の申し上げたのは、取り組む姿勢を申し上げたわけですので、そのようにお願いしたいと思います。
 これは厚生省にもう一つお尋ねしますが、神通川ではイタイイタイ病、非常に悲惨な、住民にとっては非常に悲惨な思いをなさった、また、小矢部川というところでも水銀中毒事件が起きているというわけですね、小矢部川という、この同じ富山県でそういう問題が二、三年前に起きた。また、この神通川で新しい水銀の問題が起きているわけですが、どうも住民としては、県としても、厚生省としても、このぐらいイタイイタイ病あるいは小矢部川の問題、こういう問題があったのに、どうもいまの神通川の魚ですね、これがいまウグイの検査がいまごろになってようやく来月になったら結論が出るというようなことでは非常におそい、もう少し積極的な手は打てないものかどうかということ、それからもう一つは、測定体制はどうかということを先ほどから再三お尋ねしてきたのですが、問題の製薬会社では検査の上でわかったことは測定器が故障していたということも報道されております。ですから、非常にこういう点で、せっかく知事に委任してあるというのですが、知事に委任してあるからといっても測定器が故障していたのじゃしようがないですね。そういう地域住民としては、重ね重ねの水銀事件で不安の中にまた不安を一つ加えられているわけです。ですから、非常に厚生省として、積極的な施策が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
#35
○政府委員(城戸謙次君) いま先生おっしゃったと全く同じ理由で私どもは、神通川の魚類の調査を非常に真剣にやってまいったわけでございます。あるいは前に公害課長から申し上げたかもしれませんが、実はこれはいまお話のありました小矢部川との関連の対象水域として神通川の魚類調査を四十二年度に行ないまして、その結果、一PPMをこえるものが五〇%になっております。私どもの暫定対策要領では、一PPMをこえるものが二〇%というのを一応のめどにしておりますが、それが五〇%になった。さらに翌年の四十三年度の調査では、一PPMをこえるものが四八.七%になったということでございまして、たとえばウグイにしましても、四十三年度では最高六・一二PPMという数値が出ているわけでございます。したがいまして、四十三年度の調査の結果を発表しました時点で、ウグイ等、特に従来の経緯から見まして水銀が蓄積しやすい魚を多食しないようにという警告は、その時点でもその後もいろいろやってまいったわけでございまして、私どもといたしましても、また今後同じような水俣病の事件が起こるというようなことは考えておりません。幸いにいたしまして、ウグイ等はこの地方におきましてはほとんど食べている者が例がないようなことも聞いておりますので、警告をいたしておりますが、おそらくそういうことにはならないと確信いたしております。
 なお、製薬会社の汚水に対します管理の体制の問題につきましては、これは一般薬務行政の中で処理すべき事項でございますので関係の局に申し伝えたいと思いますが、今後厚生省全体として、薬務行政にしろ公害行政にしろ、こういうことが起こらないようにやってまいりたいと思います。ただ、故障であったかどうか、こういう点いま御指摘ございましたが、まだ地元でも十分調査いたしておりませんので、それをあわせまして十分実情を調査しまして対処したいと思います。とりあえずは、これが健康に被害が及ぶことはないだろうというような確信をいたしておる次第でございます。
#36
○小平芳平君 これは魚をたくさん食べるなということを指示してあるということですが、この魚は水銀が含まれているから、一匹や二匹はいいけれども、五匹、十匹食べたらあぶないぞという、そんな生活をしていること自体あまりうれしいことではないわけですね。ウグイはそこではあまり食べないらしいですが、近くにはまたサクラウグイという名物があって、そこは観光地でウグイやアユを名産にしているというお話もありますね。ですから、これはたくさん食べたらあぶないぞという時期はなるべく早くそれは過ぎてもらいたいですね。
 それから、故障があったということは御存じないですか、測定器が故障していて。新聞ではそういうことになっております。
 それから要するに、検査する場合も、立ち入り検査することができるというわけですが、全然無断で検査に行きますか、それともあらかじめ通知をしておいて検査に行くわけですか。それが通知しておいて検査に行っても、そのときにうまくやっていますね。操作してしまうらしいのです。ですから夜中に悪いのを流されてしまう。あるいはこれは大気汚染の場合もよくそういうことを言われるのですが、立ち入り検査に行っても、そのときにちゃんとうまくやっておるからそのような発見ができないんだ、そういう住民に不安の声がありますが、この点はいかがでしょう。
#37
○政府委員(城戸謙次君) これはただいまの、この指摘されています製薬施設の場合は、これは工排法によります規制がまだかかっていない、指定水域になっていない、こういうような形でございますから、したがって工排法によります立ち入り検査とか、そういう問題は起こらないと思います。やはりまた、これは県の条例によりまして届け出をするとか、条例の関係の規定は別にあると思いますが、いま一般論として考えます場合には、ただいまのような立ち入りの場合に相手にいわば防衛的な措置をとられて発見できないではないか、こういう御指摘でございますが、これは実際の監視の業務の運営の問題だと思いますので、その辺できるだけそういう点でありのままの姿がとらえられるような形で行なわれますようにやっていかなければならぬだろうと思っておるわけでございます。
#38
○小平芳平君 それではこれで、最後に通産省に一つお尋ねして終わりにしますが、公害防止の機器が不良なのが出ておるというのですね。要するに、ある企業では住民が公害についてうるさいから、これが公害防止施設の機器だといって何かつけてはおくけれども、それはまるっきり不良品で役はなさなかったというような話もあったわけですが、こういうのはちょっとひどいですね、やり方が。ですから、そこまで役所が言わなくても、これはもっと産業界なり業者なりが公害に対する責任観念というものを持ってくれなくちゃ困るわけですが、さしあたってそういう公害防止機器のそういう監督は通産省だそうですので、通産省はどのようにそれに対してお考えか、あるいは処置をとられていらっしゃるか、これを伺いたいと思います。
#39
○政府委員(柴崎芳三君) ただいま御指摘の点、われわれもいろいろ話を聞いております。この公害防止産業界というのは、結局、非常に新しい業界でございまして、かつまた中規模以下の企業が多い、それから非常に競争が激しくて新しい企業が続々この分野に参加しておるというような特殊な環境にございまして、いろいろ問題があるわけでございますが、この点、通産省としても前から業界の反省を促すべくいろいろ注意はしておるのでございますが、具体的な措置といたしましては、本年の四月一日付で機械工業の連合会の中に八十五社のグループをつくらせまして、現在までいろいろ実施されております基準に合致しないような劣悪な質の機械はつくりませんという具体的な申し合わせを行なわせまして、その申し合わせに参加した企業に対してのみ、たとえば公害機器のリース制度とか、あるいは各種の政府金融機関を通ずる融資とか、そういった特別の対策はそのグループの企業にのみ適用いたしますというような体制をつくりまして、具体的に機器の性質の向上につきまして現在、努力さしておる最中でございます。
 それからもう一つの具体的な対策といたしましては、特に中小企業が公害防止機器を備える場合に現実の公害の発生源と、それを防止する機器との関連がなかなかうまくマッチしない、したがって、事前に十分、どういう形で有害物質が排出され、どういう形でそれを処理しなければならないかという、事前サーベイとわれわれは言っておりますが、事前サーベイの制度を確立すべきであるということで、機械工業振興資金というのを機械工業振興会で持っております。その資金からそういった事前サーベイに対する無利子の融資制度というものを確立いたしまして、中小企業が公害防止機器を設置いたします場合に、できるだけ効率高く完全な姿において利用できるような体制を整えるようなことを、これをやはり四月一日から実施しておるわけでございます。
#40
○内田善利君 私はまず一番最初に、対馬の佐須川流域のカドミウム汚染について、その後懸案事項であった問題がどのようになっておるか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
 その第一の懸案事項としましては、佐須川流域は水田土壌の中のカドミウムの濃度が神通川流域のカドミウム濃度よりもその濃度が高いわけですが、ところが、米の中のカドミウム濃度は神通川流域よりも低かったと、このことについては研究課題として昨年のぼっておったわけですが、この問題はどのように判明しておりますか。
#41
○説明員(橋本道夫君) いま御摘摘のございました点につきまして、私ども現在やっておりますのは、どれだけのカドミウムを摂取しておるのかということで、ただいま家庭を幾つかとりまして、その家庭で食べておるすべての食品と飲みものを全部合わせまして、その中のカドミウムの摂取量を調べております。また、その原料となりました穀物を調べております。また、それを食べておる人の尿を全部一日じゅうとりまして、どれだけカドミウムを出しておるかということを各地域において現在調査をいたしております。これは全摂取、それから全排出、蓄積ということでの調査研究でございますので、その面からの調査をいたしておりますが、土壌から作物に移るものにつきましての調査はそれまでは及んでおりません。
#42
○内田善利君 農作物関係が佐須川流域は問題になるわけですけれども、米以外の穀類あるいは野菜類、そういった常食にしておる――特に対馬の佐須川流域の方々が、何といいますか、そこで最もとれてそして常食しておるもの、こういったものはどういうものがあるのか、また、それがカドミウムでどのように汚染されておるか、それを聞きたいと思います。
#43
○説明員(橋本道夫君) いまおっしゃいました常食にしておるものの内容につきまして、ちょっと失念いたしましたのでお答えしかねますが、その調査の中では、田畑のもの、それから食品として用意ざれたもの、飲み水、全部を分析いたしております。
#44
○内田善利君 昨年の報告以後、何回か健康調査をなさっておるわけですけれども、その健康調査の状況を順次ひとつ報告をいただきたいと思います。
#45
○政府委員(城戸謙次君) 対馬につきましては、四十三年、四十四年と健康調査をやってまいりまして、その中から五名の鑑別診断を要する者が出てまいりました。で、そのうち三名につきましては、去年の九月八日から二十一日まで、長崎大学の付属病院で精密なる検診を実施いたしました。またその際に、入院の同意を得られなかった他の二名につきましては、ことしの二月の十七日から十八日にかけまして、現地で精密検診を実施いたしまして、これらの所見に基づきまして、イタイイタイ病がカドミウムの慢性中毒に関します専門家の研究班を持っておりますので、そこで検討いたしましてもらいましたが、五名ともイタイイタイ病ではない。そのうちの四名はカドミウム中毒ということも否定されまして、一名だけが慢性カドミウム中毒の疑いを完全には除去できないということで、ほかの検査を引き続き現在行なっておる段階でございまして、間もなくその結果も判明しょうと思っております。
#46
○内田善利君 ちょっとよくわからなかったのですが、五名の鑑別患者がいて、そのうち一名はイタイイタイ病ではなかったと。そしてあとの四名はカドミウムの中毒患者と認められた。そのあと一名はどいうところからよくわからないのですが……。
#47
○政府委員(城戸謙次君) ちょっと申し上げ方が悪かったかもしれませんが、実はこれはイタイイタイ病であるかないかということも一つございます。同時に、イタイイタイ病というのは骨までおかされるという状況以前の段階で、慢性カドミウム中毒という症状で診断できないかということを一つのテーマとして研究をお願いしているわけであります。それでこれの検診の結果でございますけれども、五名ともイタイイタイ病ではないと、これははっきり断定的に診断されているわけでございます。それからそのうちの、五名のうち四名につきましては、イタイイタイ病でないと同時に、カドミウム慢性中毒であるということにつきましてもはっきり否定をされているわけでございます。あと残り一名はどうかということでございますが、この一名につきまして、慢性中毒であるかどうかということにつきましてはっきりその疑いがあるということを、要するにその疑いがあるかないかということを断定できないと、もう少し精密な検査をすべきであるということで、引き続き一名につきましては、慢性カドミウム中毒という診断ができるかどうかという点につきまして、現在他の検査をやっておると、その結果が間もなくわかるであろう、こういうことを申し上げたわけであります。
#48
○内田善利君 慢性カドミウム中毒でないという疑いが……。ちょっとその辺よくわからないのですが。
#49
○政府委員(城戸謙次君) 慢性カドミウムであるかないかということを最終的に決定していただこう、最終的に慢性カドミウムという診断ができるかどうかということについての、最終的な健康診断をお願いしており、現在まだ慢性カドミウム中毒であるということも言えませんし、完全に疑いがないということも言えない、それをどちらかに決定してもらいたいというための精密検診を、引き続いて実施していただこうということでございます。
#50
○内田善利君 そうすると、慢性カドミウム中毒の疑いもあるわけですね。
#51
○政府委員(城戸謙次君) 現在のところでは、完全に疑いは払拭できないというニュアンスになっております。
#52
○内田善利君 五名はイタイイタイ病でないということははっきりしているというわけですね。
#53
○政府委員(城戸謙次君) 五名とも、いずれにつきましても、イタイイタイ病であるかないかということにつきましては、イタイイタイ病でないとはっきり断定されているわけでございます。ところが、イタイイタイ病に至る以前の慢性中毒症状があるかどうかという点につきましては、五名のうち四名までは、はっきりないということで確定しているわけでございます。一名につきましては、まだそれがはっきり断定できないので、引き続き検査をした上で、最終的に診断を下すと、こういうような段階に来ていると、つまり一名だけが判定がペンディングだけれども、イタイイタイ病であるということにつきましては否定されている、こういうことでございます。
#54
○内田善利君 イタイイタイ病ははっきりないと、現在慢性カドミウム中毒患者がいるかどうかということでまだ検査中である、こういうわけだと思いますが、この鑑別診断についてですけれども、鑑別診断基準がまだはっきりしていなかったと思いますけれども、この鑑別診断基準ははっきりしたかどうかお聞きしておきたい。
#55
○政府委員(城戸謙次君) ただいま申し上げました鑑別診断は、診断をすること自体を目的といたしておりますし、同時に、そういうような鑑別診断の基準をきめるということも一つの目標にしているわけでございまして、その点、今後の研究課題でございます。鑑別診断の基準ができましたら、その後は非常に楽な鑑別診断をやっていけるということになろうかと思っております。
#56
○内田善利君 この鑑別診断基準を確立するということは、このカドミウム中毒対策として、汚染対策として非常に大事なことだと思いますし、さらに行政上の取り扱いも非常にやりやすくなると、このように思うわけですが、早く鑑別診断の基準を設定していただきたいと、このように思うわけですが、そのめどはどの辺に置いておられるかお聞きしたいと思います。
#57
○説明員(橋本道夫君) 現在の問題は、大体今年度末でどこまでいけるかということでございまして、私どもは、そう長くかかるものではないと思っております。しかし、大体のところ、おそらく二、三年間はじっと見ていないと、医学的にはなかなかむずかしい。ポイントがあるのではないかといったほうがだいじょうぶではないかと思っております。御承知のように、労働衛生のほうがまだ鑑別診断基準ができておりません。そういうことで、尿中のカドミウムの濃度、尿の中に出てきますたん白質のパターンを非常にこまかく分析するという形をとりまして、日本だけで通用しても、国際的に通用しなければだめだということで、スエーデンとサンプルを交換しながら共通にやっております。そういうことでここ一、二年のうちにははっきりすると思うのですが、われわれとしては極力急いでやりたい、しかしながら、一年だけのことで最終的なことはなかなか言えないのではないかということでございますので、鑑別診断研究を今後とも続けていくという考え方でございます。
#58
○内田善利君 対馬の佐須川流域の問題については、そういうことで努力願いたいと思いますが、一番最初にお尋ねしました問題ですけれども、佐須川流域は土地が非常に地質の問題でカドミウム汚染が非常にあるということですが、この佐須川流域についての農地対策ということについて、農林省では四十五年度にはどのような農地対策をとっておられるか、汚染に対する対策をとっておられるか、お聞きしたいと思います。
#59
○説明員(佐々木実君) 佐須川と椎根川流域におきまして約百町歩の水田が汚染を受けている。それから畑につきましては約二十ヘクタール、三十ヘクタールくらい汚染されている可能性があるという報告を受けております。
 そこで私どもとしましては、その報告をもとにいたしまして、汚染されている地域を農業用水の水質を分析いたしますことと、それから重金属類の土壌に対する蓄積量を調査いたします。それから、あわせて米に含まれるカドミウムの量につきまして分析等をいたしたいということでございます。
 それからその調査は大体一年で完了いたしますが、三年間の予定をもちましてカドミウムが米に吸収されることを抑制することの対策的な試験を三年間をもっていたしたいというふうなつもりで準備いたしております。
#60
○内田善利君 対馬の佐須川流域におきましては、現行調査におきましても最終的には六名の鑑別診断がなされて、最後の一人ははっきりしないわけですけれども、昨年の参考人がお見えになったときにも、なくなった方でありますが、三人あるいは四人のイタイイタイ病患者がおったというような参考人のお話もございましたし、なくなった方だからはっきりしないわけですけれども、そのように佐須川流域は非常にカドミウムに汚染されております。現行調査を続行すると同時に、農地対策といいますか、土壌に対する対策は緊急な問題ではないか、このように思うわけです。特に佐須川流域でとれたものを地域住民の方がこれを毎日常食として食べておるというようなことになれば、一刻もゆるがせにできない問題ではないか、このように思います。こういった点について、今後さらに対策を講じていただきたい、このように要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、大気汚染についてですけれども、特に亜硫酸ガス、一酸化炭素、これは規制がなされたわけですが、私は降下ばいじんの問題について少し質問をしたいと思います。
 先日、公害対策委員会で調査に参りましたときに聞きましたところでは、北九州では工業地域では降下ばいじんの月の降下量が大体、平均二十七トンから三十トンである。ひどいところになると、これは城山小学校の近くですが、月に六十トンから七十トンも降下しているという報告がありました。また大牟田市では、これも工業地域では月に三十二トンから三十七トンの降下ばいじんの量である。最高はこれまた五十トンないし六十トン、こういった状況で、年々この降下ばいじんの量は増加しております。ところが、この降下ばいじんについても規制がなされておらない。早急にこの降下ばいじんについては規制を行なうべきである、このように思うわけでありますが、この点についてお伺いしておきたいと思います。
#61
○政府委員(城戸謙次君) ただいまの粉じんの問題でございますが、この中にはいま御指摘になりました比較的粒子の大きい、沈降しやすい降下ばいじんと、それから非常に小さい粒形であります浮遊粉じんとございます。この降下ばいじんにつきましては、特に建造物をよごすとか、あるいは腐食の原因となるいわゆる生活妨害の問題が中心となっておりますが、浮遊粉じんのほうは健康上の問題ということで、いずれもそれぞれ被害は違いますが、非常に重要な問題だと私ども考えているわけでございます。御指摘のように、降下ばいじんにつきましては、一部の地域では、ことに工場周辺等では局地的に高いものを示している例もありますが、全体的にここ数年ずっと下降の傾向をたどってまいりましたのが、四十三年度あたりからまた上向きに転じておる、こういうような状況でございます。したがって、私どもとしましては、今後、排出の規制を強化しなければならぬということを考えておるわけでございます。
 いま排出の規制がないようにちょっと聞こえたのでございますが、排出規制につきましては、特に前の大気汚染防止法以前にありましたばい煙等の排出の規制法によりまして一番大きな対象としてきたわけでございます。その結果、非常にばい煙につきましての状況は改善されてきたわけでございます。ただ大気汚染防止法になりました以後におきまして、排出規制の強化をいたしておりませんので、この点につきましては、できるだけ早い機会に規制の強化をしようということで、通産省とも現在相談をいたしておる段階でございます。
#62
○内田善利君 このばいじんの中にいわゆる重金属が入っておる。特にバナジウムあるいはマンガン、クロームあるいは鉛、そういったものがこのばいじんの中に相当量含まれておるわけですが、特にバナジウムとかマンガンとかクローム等は亜硫酸ガスの発生を促進する作用も持っておる。あるいはこういつたばいじんが大気中にあるために、亜硫酸ガスがさらに無水硫酸となり、硫酸となって人体を非常に刺激する、このように聞いておりますが、この点はどうなんでしょうか。
#63
○説明員(橋本道夫君) いま御指摘のありました金属物質の点につきましては、私どもも昭和四十年以来それに着目いたしまして、全国の国設大気汚染測定網を大気汚染防止法に基づきまして、将来、必ず問題になるであろうと思われます金属物質、いまおあげになりましたほかにも幾つか調べております。全国的に調査を進めております。そのような国設測定網、開発地域の調査と両方でいたしておりまして、それと対比しながらその対策を考えておるわけでございます。御指摘のように、そのようなものを、たとえばバナジウムは酸化を促進してSO2をSO3にする割合が高いのではないかという意見がございますが、現在のところ私どもの持っておりますバナジウムのデータというものにつきましては、異常に高いというようなことは私どもは発見いたしておりません。少なくともあるということ、かなり地域的にくせがあるということはございます。そういうことで、これらにつきましては、やはり排出基準の強化というときに、できるだけきびしく押えるということをやりますと同時に、環境基準というところにおきまして、まず第一段階といたしまして、一立方メータ中何ミリグラムの全体における粉じんが入っておるかということを全体としてとらえて、これは大体今年の秋ごろまでに専門委員会からの報告がなされると思います。それに次いで今度は個々の問題になる物質につきましてどのような態度をとるかということをきめることになると思いますが、きまるまでには何もしないのかというようなことに対しまして私どもは、一応のところ、労働衛生基準の大体三十分の一から百分の一というところに、幅のあるものと比べながら、それよりもこえるような数字があらわれてきたら、これはよいか悪いかという判断をきめてやっていく。そういうような種類の工場に対しては、よりきびしい排出基準を引けるように考慮をする必要があろう。そのような観点から、いま公害部長の申しました大気汚染防止法に基づくばいじんの排出基準の強化をはかりたい、このように考えておるわけでございます。
#64
○委員長(松井誠君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#65
○委員長(松井誠君) 速記をつけて。
 質疑の途中ですが、これから公害紛争処理法案(閣法第一八号)、公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第二〇号)、公害紛争処理法案(衆第五号)、以上三案を一括して議題といたします。
 まず、政府案二案より順次提案理由の説明を聴取いたします。山中総理府総務長官。
#66
○国務大臣(山中貞則君) ただいま議題となりました公害紛争処理法案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 公害問題は、申すまでもなく、現在緊急な解決を必要とする国民的課題でありますので、政府といたしましては、従来から公害対策基本法の精神にのっとり各般の公害対策を講じているところであります。
 公害対策におきまして、何よりも公害の発生を未然に防止する措置を講ずることが肝要でありますが、同時に、公害が発生した場合に備えて、公害紛争処理制度を整備することが必要であります。
 公害による被害は、単に財産的なものにとどまらず、人の生命、健康に及び、しかも、当事者が多数にわたり、かつ、加害と被害との困果関係の究明も困難である等、公害特有の問題があり、これらが公害にかかる紛争の迅速、円滑な解決を困難ならしめているのが実情であります。
 公害にかかる紛争を処理する行政上の制度として、現在、水質の汚濁、大気の汚染等につきまして和解の仲介制度がありますが、調停、仲裁を行ない得ない等、不備な点が多く、また現行の司法制度をもってしては、必ずしも簡易迅速な解決をはかるのに十分でないうらみがあります。
 このような公害紛争処理制度の現状にかんがみ、また公害にかかる紛争について必要な措置を講ずべきことを定めた公害対策基本法の精神にのっとり、紛争の迅速かつ適正な解決をはかるため、公害紛争処理制度を整備すること等を目的として、ここに第六十一回国会の衆議院における修正を織り込んで、公害紛争処理法案をあらためて提案することといたした次第であります。
 次にこの法律案のおもな内容についてその概要を御説明申し上げます。
 第一に、公害にかかる紛争を処理するための専門的な機構を中央及び地方に置くこととしたことであります。中央に置かれる中央公害審査委員会においては、現に人の健康または生活環境に公害にかかる著しい被害が生じ、かつ、当該被害が相当多数の者に及び、または及ぶおそれのある紛争、広域的な見地から解決する必要がある公害にかかる紛争、被害地及び加害地が二以上の都道府県の区域にわたる公害にかかる紛争について調停及び仲裁を行なうこととしております。また、地方に置かれる都道府県公害審査会等においては、これらの紛争以外の紛争について和解の仲介、調停及び仲裁を行なうこととしておりますが、さらに被害地及び加害地が二以上の都道府県の区域にわたる公害にかかる紛争については、関係都道府県が事件ごとに共同して連合審査会を設け、これを処理することができることとしております。
 第二に、これらの機構においては、人格が高潔で識見の高い者のうちから、委員長、委員または審査委員候補者が任命または委嘱され、これらの者のうちから、事件ごとに指名された仲介委員、調停委員または仲裁委員が、それぞれ所定の手続に従い、和解の仲介、調停または仲裁に当たることとしております。なお、調停の場合には、当事者に対し出頭要求を、また一定の場合に文書、物件の提出要求ないし立ち入り検査を行ない得ることとしております。仲裁の場合にも、同様の権限を与えております。さらに、中央公害審査委員会には、特に、専門の事項を調査させるため、専門調査員を置くことができることとしております。
 第三に、これらの機構については、具体的な紛争の処理を通じて得られた公害防止の施策の改善についての意見を、中央においては内閣総理大臣等に対し、地方の公害審査会においては都道府県知事に対して申し述べることができることとしております。
 以上のほか、公害問題は、地域住民に密着した問題でありますので、地方公共団体は、公害に関する苦情について適切な処理につとめるものとし、公害に関する苦情について住民の相談に応ずる公害苦情相談員の制度を設けることとしております。
 なお、防衛施設にかかる障害に関する事項につきましては、その原因となる行為の特殊性及びすでに政府がこれに関し各種の措置を講じていること等にかんがみ、この法律案において別に法律で定めるところによることとした次第であります。
 以上が、この法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
#67
○委員長(松井誠君) 佐藤経済企画庁長官。
#68
○国務大臣(佐藤一郎君) 公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
 公共用水域の水質の保全に関する法律は、公共用水域の水質の保全をはかるため、指定水域の指定、水質基準の設定等に関する規定を設け、産業の相互協和と公衆衛生の向上に寄与することを目的として、昭和三十三年に制定されたものであります。経済企画庁といたしましては、制定以来今日に至るまでの間に、六十八水域について水質基準を設定し、公共用水域の水質の保全に万全を期するべく、鋭意努力を重ねてきたところであります。
 しかしながら、最近における国民経済の急速な成長に伴う産業活動の活発化、人口と産業の都市への著しい集中等により、公共用水域の水質の汚濁原因が多様化するとともに、水質汚濁の問題が全国的に発生する傾向が見られるようになってきております。
 このような事態に対処して、本法による規制対象の範囲を拡大するとともに、国と地方公共団体との協力関係を一そう密接にする等により、公共用水域の水質の保全のための施策をさらに強化する必要が生じてきたのであります。また、本法の目的等につきましても、さきに制定された公害対策基本法の趣旨に即しまして、所要の改正を行なうことが適当と考えられるに至ったのであります。
 以上が、この法律案の提案の理由であります。
 次に、この法律案の内容の概略を御説明申し上げます。
 第一点は、公害対策基本法の趣旨に即して、この法律の目的のうち「産業の相互協和と公衆衛生の向上に寄与すること」とあるのを「国民の健康の保護及び生活環境の保全と産業の相互協和に寄与すること」に改めるとともに、指定水域の指定要件についても、これに即して所要の改正を行なうことであります。
 第二点は、近年における水質の汚濁原因の多様化の傾向に対処して、この法律の規制対象として、従来からの工場、鉱山等に加え、へい獣処理場等、採石場、と畜場、廃油処理施設及び砂利採取場を追加するとともに、屎尿処理施設、養豚場等を政令で指定して追加する道を開くことであります。
 第三点は、水質汚濁問題については、全国的な立場から統一的な対策を実施するとともに、地域の特殊性を考慮して適切な措置をあわせて講ずることが必要であることにかんがみまして、公共用水域の水質の保全につき、関係地方公共団体の長は、経済企画庁長官に対し、必要な協力を求め、または意見を述べることができることとする等、国と地方公共団体との協力関係の緊密化に関して規定を整備することであります。
 第四点は、水質基準設定後における指定水域の水質の保全に万全を期すため、都道府県知事が指定水域の水質の汚濁の状況を把握するため必要な測定を行なうものとすることであります。
 なお、この公共用水域の水質の保全に関する法律の一都改正につきましては、さきに、第六十一回国会に提案いたしたのでありますが、衆議院におきまして同法の目的及び指定水域の指定要件の改正に関し修正されましたので、今回案は、第六十二回国会に提出した案と同様に、その趣旨にのっとりまして、当初案につき所要の修正を行なったほかは、当初案と同案といたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及び概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、御可決くださるようお願いいたします。
    ―――――――――――――
#69
○委員長(松井誠君) 次に、公害紛争処理法案(閣法第十八号)に対する衆議院における修正点について、衆議院産業公害対策特別委員長より説明を聴取いたします。加藤衆議院産業公害対策特別委員長。
#70
○衆議院議員(加藤清二君) 公害紛争処理法案に対する衆議院修正の趣旨について御説明申し上げます。
 まず第一点は、中央公害審査委員会に置く専門調査員の数は二十人以内を置くことができることとなっておりますが、その数を三十人以内を置くことといたしました。
 次に、中央公害審査委員会の庶務は、内閣総理大臣官房において処理することになっておりますが、これを改め、中央公害審査委員会に事務局を設け、事務局長その他の職員を置き、事務を掌理させることといたしました。
 以上でございます。
    ―――――――――――――
#71
○委員長(松井誠君) 次に、衆第五号法案について提案理由の説明を聴取いたします。発議者衆議院議員角屋堅次郎君。
#72
○衆議院議員(角屋堅次郎君) 私は、提案者を代表いたしまして、日本社会党提出の公害紛争処理法案につき、提案の理由とその内容の概要を御説明申し上げます。
 戦後わが国の経済は、敗戦の廃墟の中から再出発し、今日世界第三位の生産力を誇るまでに成長いたしましたが、庶民の生活実感からすれば、生活は決して楽になったとはいえず、むしろ物価の上昇、公害の激増、交通事故の多発等による生活と生命の脅威に絶えず不安を感じ、はなやかな見せかけの数字より、もっと中身のある経済成長を待ち望んでおります。特に公害の激増は、近年大きな社会問題であり、政府の相も変わらぬ企業擁護の姿勢に鋭い批判の眼が向けられ、また企業の社会的責任を無視した経営方針の転換を望む国民的世論も日増しに高まりつつあります。こうした国民的世論を背景に、三月九日から十二日までの四日間、東京において国際社会科学評議会主催の国際シンポジウムが開催され、公害問題の基本的考え方、当面の対策、それに挑戦する社会科学の役割りを強調した東京宣言が採択されました。この宣言は、公害追放のために適切な政治的、経済的、法的手段を追求することが緊急の課題であることを、日本の政府と産業界に対しても提唱したものであると考えるものであります。
 元来、公害対策の万全を期するためには、公害の予防、公害の排除、公害にかかる被害の救済について思い切った法制的、財政的措置を必要といたしますが、かかる観点からわが国の公害対策の現状を見るとき、両者ともにきわめて不十分であり、特に法制的には、現行の公害対策基本法をはじめ、大気汚染防止法、騒音規制法、水質二法等の抜本改正が必要であり、ただいま提案されました政府の公害紛争処理法案も、原案のままではとうてい、公害に呻吟ずる患者はもとより、公害追放を望む国民の期待にも沿い得ないと存ずるのであります。政府の紛争処理法案は、国に置かれる中央公害審査委員会が独立の行政委員会ではなく、総理府の附属機関とされていて、弱体であることは否定できず、その上、仲裁制度も、当事者双方の合意による申し立てが仲裁開始の条件であり、したがって、これを利用するかいなかは事実上加害者の選択にまかせられており、今日企業者の倫理意識と責任感では、ほとんどこの制度は画餅に帰すると申せましょう。さらに重大なことは、騒音、振動などの基地公害が現に多発しており、今後もその増加が十分予測されるのに、これを適用除外としていることは、国民の健康、生命よりも軍事を優先するという政府・自民党の姿勢を端的にあらわしたものであり、断じて許せないところであります。
 今日の都市及び工業地帯における公害紛争を見て、企業の強引さに憤激を覚え、正しい紛争解決の道筋を示すことの必要性を痛感しております。わが党が公害紛争処理法案を提案したのも、昨年来の公害総点検、公害絶滅の運動の実績に立ち、政府と企業の姿勢に警鐘を鳴らし、国民の生命と健康を守る立場から当面の重大な政治的課題に真剣にこたえんがためであります。
 以下、公害紛争処理法案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、公害の紛争については、和解の仲介及び調停の制度並びに裁定制度を設けて解決をはかることといたしておりますが、政府案の仲裁制度に対し、裁定制度を設けたことがわが党案の大きな特徴であります。これは、加害者に有利となるような妥協を排し、加害者の責任を徹底的に究明するために当事者の一方のみの申し立てでも開始される準司法的な裁定制度を設けたのであります。
 第二に、組織としては、中央に国家行政組織法による三条機関たる公害審査委員会を、都道府県に公害紛争調停仲介委員会を設けることといたしております。中央は裁定を、地方は和解の仲介及び調停を行なうのであります。
 第三は、中央の公害審査委員会に公害専門調査会を設けたことであります。公害紛争の焦点は、因果関係の究明が困難な点にあるのでありますが、これを究明させるため権威のある科学者を専門調査会に動員いたしまして、これに科学的な判断を行なわせ、法律的判断たる裁定はその意見に基づいて裁定委員会が行なうこととし、専門調査会の委員及び臨時委員は、審理、証拠調べに立ち会い、独自でも事実調査をすることを認め、これによって裁判救済の困難な事案を救済するレールを敷いたわけであります。
 第四は、裁定と訴訟との関係について、特に大気の汚染または水質の汚濁によって生じた人の生命又は身体にかかる被害についての損害賠償に関する紛争その他の民事上の紛争については、裁定を経た後でなければ訴訟を提起することができないこととし、裁定の権威を高めるための機構、運営に万全を期することといたしております。裁定委員会の証拠調べ及び証拠保全、職権探知、立ち入り検査等も、公害専門調査会の活動と相まち、裁定の科学性、合理性、客観性を立証するための必要な措置と申すべきであります。
 第五に、裁定の効力は、裁定について、裁定書の正本の送達を受けた日から三カ月以内に訴えの提起がなかったとき、裁定の内容について当事者間に合意が成立したものとみなすことといたしております。
 以上、公害紛争処理法案の提案の理由とその概要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げまして、提案の趣旨説明を終わる次第であります。
#73
○委員長(松井誠君) 以上三案に対する質疑は、次回以降に行なうことにいたします。
    ―――――――――――――
#74
○委員長(松井誠君) 質疑を続けます。
#75
○内田善利君 粉じんの中の重金属バナジウムの問題ですが、アメリカではこれの基準を設けられて、一立方メートル当たり〇・五ミリグラム、このようにいわれておりますが、厚生省でも先ほど橋本公害課長からお話がありましたように、昭和四十三年末に、全国で九カ所の工業地帯で大気汚染の調査の結果から、大気中にもバナジウムがあるということで警告されたわけです。その後、対策はどうされているか。九州でも大分の津久見市の小野田セメント工場の重油専焼ボイラーのスケールの除去作業中、中毒症状を従業員が起こしておりますが、あるいは福岡の苅田火力発電所でも同様な中毒症状を起こしておるわけでありますが、これは直接わかった場合の症状で、労働災害ということになるかと思いますけれども、こうした直接的にも被害を起こすバナジウムが大気の中にある。しかもこれが先ほども亜硫酸ガスの活性を促進している向きもあると、こういう状況でありますけれども、これをどのように対策を講じていかれる予定か。北九州あるいは大牟田におきましても、先般調査のときに、八時間平均で北九州市では〇・〇七二マイクログラム・パー平方メートルというのですから、PPMにひとしいと思うのですけれども、〇・〇七二。それから大牟田は〇・〇七、こういうことですが、ソ連ではすでに基準を設けている、その基準よりは大きくないと思いますけれども、そのようにアメリカあるいはソ連でも規制を設けておりますが、これに対してわが国でも基準を設ける用意があるかどうか。まあ規制を設ける必要があるとこのように思います。亜硫酸ガスあるいは一酸化炭素等々と同様にこういったものも規制をする必要があると、このように思うわけですが、見解をお聞きしたいと思います。
#76
○説明員(橋本道夫君) いま内田先生のおっしゃいました一立方メートルでコンマ五ミリグラムといいますのは、実は一般の大気汚染の基準ではございませんで、労働衛生のほうの基準ではないかというように思います。そういう意味で、マイクログラムで申しますと、一立方メートルで五百マイクログラムという形になりますが、これを百分の一にしますと五マイクログラム、あるいは三十分の一にいたしましてももう少し高くなるということでございます。そういうことで、私どもためらいますのは、百分の一あるいは三十分の一といいますのは、従来、常識的にやっておりまして、これに対して反対するものは何もございませんが、通常あぶないかどうかということは判断しますけれども、いいか悪いか、そこまできめますると、そこまでよごしてもいいと思われても困るということになるわけでございます。先ほどおっしゃった大牟田の〇・〇七は、ソ連の数字を見てもそのさらに百分の一ぐらいの低い数字ということでございまして、現在大気中にあるバナジウムそのものとして非常に心配をするということは、私どもそこまでのことは考えておりませんが、将来、非常にふえたりなんかするということにつきましては注意しなければならない、そういうぐあいに思っております。そういうことで、大型火力等が立地いたしますときに集じんの効率をできるだけあげてもらうという形に新しい火力ではなってきております。そこへもってきてバナジウムを回収いたします。バナジウムとしても経済価値があるものでございますから、公害対策と一石二鳥のやり方をしてもらうような指導を私どもの立場からいたしたいと思っております。
 それから仰せのあった中毒症状があったといいますのは、これはボイラーのスケーリングをする人の中にある職業病でございます。これは大気汚染のほうとすぐさま一緒に論ずるわけにはいきませんので、職業病のほうで扱う形になると私は思いますが、そのことが大気汚染のほうですぐさま起こるということではございません。
#77
○内田善利君 職業病のことについて言及されましたが、そういうことはわかった上で質問しているわけですけれども、職業病としてそのように被害を直接こうむるようなバナジウムが大気中にあるということは危険ではないか、そういう意味で、同様にマンガンの粉じんも相当大気中にあって被害を受けておるように思います。徳島大学の衛生学教室の鈴木教授の発表によると、これは徳島の産業医学会での新しい公害病としての発表のようですが、これによりましても、工場の周辺の、マンガン鉄を製造しておる工場ですが、周辺に肺炎が多発している。従業員も一般工場に比べて大体二倍ぐらい、小学校の児童も非常に多いと、それから植物の中のマンガンの含有量も多いと、こういう状況で、長い間摂取すると神経麻痺を起こすというようなマンガン粉末、酸化マンガンの状態であろうかと思いますが、そういったマンガンの粉粒が、北九州にいたしましても大牟田にしましても大気の中に相当量あるわけですが、特にこういったマンガン鉄を製造するような工場にはこういった問題があろうかと思うのですが、これに対する対策はどのように考えておりますか。
#78
○説明員(橋本道夫君) いまの御指摘にありましたマンガンの点につきましては、これは以前通産省と厚生省と一緒になりまして排煙脱硫施設で、マンガンを非常に多量に使う施設ができて安全問題が出てきましたときに、合同で二年にわたってチェックをしたというケースがございます。そのときにはソ連のマンガンの基準を、工業技術院がソ連の基準を使おうということになりまして、それに合わせてやっておったのでございますが、その数字に比べれば、現在私どもの経験しておりますのは大体十分の一前後ということでございます。そういうことで、そのマンガンにつきまして、御指摘のありました徳島大学の鈴木教授の研究発表でございますが、鈴木教授の研究発表は、汚染をしておるところと汚染をしていないところと比べて有意の差があるかどうかの点の発表でございましたが、有意の差があるかどうかという点につきましては、学会のときにはかなり論議があったように承っております。ただ、私の申しておりますのは、この結論が誤っておるということを申しておるのではございませんで、そういうことがあるかもしれないということに対する警告に対しましては、そのような事例が外国では二例ほどございますし、日本でも水のほうの関係で一例ほどございますが、厳重に警戒しなければならないということでございますが、合金鉄の工場等についての排出基準というときには回りの環境ということも十分に念頭に置きながら排出基準をきめていかなければならない、そのように考えておるわけでございます。
#79
○内田善利君 通産省のほうに質問いたしたいと思います。おられますか。――このマンガン鉄を製造している工場はどれくらいあるか。そのマンガン鉄は日に何トン空気中に出ているか、おわかりですか。
#80
○政府委員(柴崎芳三君) ただいま資料を用意しておりませんので、正確な数字はすぐに調べましてお答えいたしたいと思いますが、このマンガン鉄の需要は最近急激に伸びております。これに対する出産も相当増加しております。したがいまして、通産省といたしましては、粉じん中にそういったマンガンを放出することを防ぐために、現在、コットレル――電気集じん機を完全な形で装備させるべく指導をしておるところでございます。
 数字につきましては、ただいま調査をいたしましてお答えいたしたいと思います。
#81
○内田善利君 大気の中には亜硫酸ガスあるいは一酸化炭素その他いろいろわれわれの健康を害するおそれのある重金属等が相当含まれているように思うわけですが、この徳島大学の教授の発表が事実とすれば、マンガン鉄の製造も進んでおる、増加しておるというようなことで全国各工場においてそのような被害が見られるおそれがある。肺炎患者も従業員の中には二倍も他の一般工場よりも多いと、先ほど申し上げましたように、児童にも多い。また植物の中にも相当入っておると、データーはありますけれども、そういう状況でありますから、この点についても十分事前対策を講じていただきたい、そのように思うわけです。
 それからおもに同じ金属ですけれども、タングステンあるいはモリブデンだということですが、これは終戦当時ソ連に抑留されておるときに、モリブデン鉱山あるいはタングステン鉱山で坑内作業に従事しておった方々が復員してきて十年後、あるいは二十年後けい肺病が発生しておる、けい肺病にほとんど一〇〇%なっておるということが新聞にも報ぜられておりますが、まあシベリアけい肺病というような名前で出ておりますけれども、このシベリアけい肺病については、厚生省ではどのように対策を講じておられるのかお聞きしたいと思います。
#82
○説明員(橋本道夫君) 非常に申しわけございませんが、そのシベリアけい肺病という形のものを私は存じておりません。労働衛生としてはあるということはある程度聞いておりますが、そのようなケースにつきましては、ちょっと存じませんので、また教えていただいて検討したいと思います。
#83
○内田善利君 これは新聞に報道されておりましたが、相当確実にシベリアで働いた、特にタングステン鉱山で、坑内作業に従事しておった方々がけい肺病になって、しかもそのけい肺病になった患者の方々は、そのために国家補償として傷病恩給も出ておると、このように発表されておりますが、この点については、厚生省は全然タッチされてないわけですね。
#84
○説明員(橋本道夫君) 厚生省はタッチをいたしておりません。
#85
○内田善利君 その次に、同じく大気汚染ですけれども、一酸化炭素、それから炭水化物について車が吐き出す第三の公害として二酸化窒素が問題になっておりますが、この二酸化窒素の発生の機構についてお聞きいたします。
#86
○政府委員(城戸謙次君) 窒素酸化物の公害でございますが、この中で特にNO2が一番問題であるといわれていることは御指摘のとおりでございます。これは燃焼によりまして非常に高温のために空気中の窒素と酸素が結合して、一酸化窒素を生じ、それがさらに外で二酸化窒素になるということで、大気中ではNO2と双方が共存しているというのが現実の姿でございます。これに関します労働衛生上の許容限度につきましては、一応各国ともきめられておりますが、低濃度におきまして非常に長時間暴露した場合の影響につきましては、現在までのところ、動物実験によるデータが若干あります以外は非常にデータが少ないわけでございます。私どもとしましても、数年前からこのNOXにつきましての自動測定記録計を開発いたしますとともに、これを国設大気汚染の測定網と国立衛生試験所の測定所に配置をいたしまして測定をやってまいっておるわけでございますが、特に人間に関します、その以前に動物実験としましては、二年前から大阪府に委託しまして、動物実験をいたしております。人体に対します関連におきまする疫学調査は、実は四十五年度から五カ年計画でばい煙影響調査の一環としてやってまいりたいと考えておるわけでございます。どこの国でも非常にデータは少ないわけでございますから、WHO中心にデータの交換等を行なうということで今後対策を進めていく段階にあるわけでございます。なお、日本のNO2の汚染の水準でございますが、これは大体アメリカの一九六五年ごろの主要都市の水準に日本の主要都市が近づいておるということがいえるかと思うわけでございます。いまお話しございましたように、自動車から出てくるもののほかに、大体半分以上がまた工場からも出るわけでございますから、双方含めました対策を進めていかなくちゃならぬと思っておるわけでございます。
#87
○内田善利君 この自動車からNO2が排出することを防止する方法は、そういう技術はあるわけですか。
#88
○説明員(橋本道夫君) まだその技術につきましては、アメリカにおきましても開発の途上でありまして、ある程度までのところは、少し燃焼条件を変えることで押えられる見込みがついておるということでございますが、あまり大きなコントロールができる数字ではございません。各国も今後の課題として取り組んでいるところでございます。
#89
○内田善利君 国立の公衆産院の調査では、NO2を大量に吸うと肺をおかすと、このように証明されているわけですけれども、この点についてはどう考えておられるのか。それからこのNO2の状況は夏を中心として起きていると。ロスアンゼルス型のスモッグがNO2の原因だと、このようにいわれておりますが、これについてはどうお考えになっておられますか。
#90
○説明員(橋本道夫君) 公衆衛生院の実験は、相当の高濃度であったように覚えております。大阪市の実験のほうがむしろ低い濃度で実験をいたしております。動物実験としては、この肺の中のうっ血であるとか、あるいは感染にかかりやすいというような状態、あるいは肺の中の組織の中の酵素の作用が変わってしまうということは次第に明らかになっております。ただこれが人体としてどういう問題になるかという点につきましては、先ほど部長も申しておりますように、現在全世界にも疫学的なデータがないといって過言ではないという状態でございますので、世界的に協力をしながら対処しようとしているところでございます。夏の問題でございますが、御指摘の問題は、NO2は昼間大体上がってまいりまして、NOがNO2という形になってまいります。また夜になると下がってくると。そういう形をとります。日が非常に強くて、その中でいろいろな問題があるのではないかということでございます。むしろスモッグの問題は炭化水素の幾つかのグループとNO2が反応して、そして高化学的なスモッグを起こすということがございますので、NO2だけの問題ではなしに、ほかの汚染物質と関連をいたしまして、別のものをつくり出すと。その現象が日本での測定データから見ましても、春過ぎから秋までの間にかなりひんぱんに見られるような様子がある、こういう点でございます。これにつきましては将来対処すべきでございますが、炭化水素の濃度は日本の場合には、アメリカの場合よりもかなり低いということになっておりまして、むしろ今後のNO2の動向ということが非常に問題になってくると思います。炭化水素としましての日本の燃料組成というのが非常に特質がございますので、排出規制ということが一つでございますが、将来燃料の質ということで対応できるというふうな面もあるのではないかというように考えます。
#91
○内田善利君 東京都の公害研究所が測定したところでは、最近一年間の平均濃度が〇・〇五九PPMから〇・〇四七PPMと、そういっているわけですが、アメリカでは危険ラインが〇・〇五PPMと、こう聞いておりますけれども、日本でも早急にこういった対策を講ずる必要があるのではないかと思いますが……。
#92
○政府委員(城戸謙次君) さような点がございますので、私どものほうとしましては、いま取り上げられました窒素酸化物、それから炭化水素、それから生じますオキシタン、こういうものを含めまして人の健康の見地から、どのような基準値をとるべきかという点に関しましては、できるだけ早い機会に専門委員会を設けまして生活環境審議会で検討してまいりたい。また、先ほど申し上げましたような窒素酸化物等の疫学的な調査も並行して進めていく、こういうことにしたいと思っております。
#93
○説明員(橋本道夫君) ちょっと一点補足いたします。
 先生、御指摘のようなアメリカの危険ラインというものは、そういうものはありません。これはソ連の大気汚染の場合の濃度を東京都に引いて申しておるのであろうと思います。長時間平均値〇・四二というのを切り上げをしまして〇・〇五と申しておるのではないかと思います。アメリカでは、現在カリフォルニアで一時間値〇・二五PPMと一九六九年九月に制定したものがある、これだけでございます。
#94
○内田善利君 亜硫酸ガスについても、また一酸化炭素についても、環境基準をきめたわけですがNO2あるいは先ほどから申しております粉じん等についても大気汚染すべて国民の健康を害しておるものについては、すべてをひっくるめて規制すべきじゃないか、そのように思うわけですが、特に自動車の場合には一酸化炭素です。減らそうとすれば技術的にNO2はふえてくるというようなことも聞いておりますが、総合規制をすべきであると、このように思うわけですけれども、この点どうでしょうか。
#95
○説明員(橋本道夫君) 全体の作用としましては、複合して悪い作用を起こすだろうということは、私どもそのことを考えて対処しなければならないと思っております。ただ複合的な汚染指標をつくれというような声もございますが、なかなかこれはむずかしゅうございまして、学問的な興味としてはおもしろいかもしれませんけれども、行政上はなかなかむずかしいものだというように思っております。ただ対策をきめます場合には、一つ一つの汚染物質の濃度を基本にして排出規制をやろうということでございますので、そのようなことで対処していきたい、こういうぐあいに考えております。
#96
○内田善利君 私は、大気中のいろいろな粉じんその他NO2の酸化窒素等に至るまで、いま考えられる大気汚染についていろいろお聞きしたわけですけれども、われわれはその大気の空気を吸って生きておるわけですから、大気の汚染については事前にひとつ、いろいろなアメリカの例、あるいはソ連の例等あるわけですから、まだ含有量が、濃度が少ないというようなことでなしに、いろいろな被害を、直接的にはパラジウム等あるいはマンガン等を受けておるわけですから。またソ連に抑留されておってモリブデン鉱山で働いた人たちもそのような被害を受けておるというような状況でありますので、ひとつこの大気汚染については前向きの姿勢で対策を講じていっていただきたいと、このように要望いたしまして、私の質問を終わります。
#97
○田中寿美子君 私は、きょうは主として経済企画庁の方々に対して水の問題をお尋ねいたしたいと思います。
 前回、通産大臣に御質問申し上げましたおりに、多少経済企画庁のほうへも触れたわけですけれども、ただいま大気汚染のことが非常に強調された。確かに今日の世界的な三大公害の一つ、大気汚染、水質の汚濁、その水の問題は非常にやはり対策が立ちおくれているし、またむずかしい問題でもあるわけですね、対策を講ずるのは。今度前国会で流れました公共用水域の水質の保全に関する法律の一部改正、これがまた提案されておるわけなんですけれども、この法律そのものがもう少々時代おくれになっていやしないか。いまのように公害がものすごいスピードで進んでいく際に、これはもっと進めなければならないのではないかというふうに私はまず法律そのものを考えております。
 特に第一条に産業間の協和ということばがありますけれども、いままで水の汚濁に関しては、水をよごす根源になったものでたとえば上流の工場であった。そうしますと、その工場からよごされた結果、川の魚が食べられなくなった、死んだとかいうときに、漁民とそれから工場との間で、つまりその所管の通産省と農林省の間で、あるいは産業と産業の間の話し合いで問題を扱ってきたというような態度だったと思うのですが、もういまでは水の問題はそんなことではとても解決できなくなってしまって、非常に重大な大きな範囲に、人間生活の全般にわたって環境を汚染していくという重大な問題になっておりますが、この水の対策に関して、私は大臣がいらっしゃいましたら、大臣の決意を伺いたいと思っておりますけれども、この水質保全法そのものが例の江戸川の本州製紙による水産物被害、あれから始まって、ようやく一九五七年に法律ができたのにすぎない。そしてたとえば隅田川なんか一九六四年にこの水質保全法にのっとって水質の基準がきめられた、こういうふうにたいへんそっちもまたおくれているわけです。ところが、今日水をよごします原因はもう非常にたくさんになっておりますので、早急な対策が必要であろうと思っているのです。
 そこで、私いつも問題に考えますのは、経済企画庁というものは水に関しては一応総元締めということになっているのですけれども、その権限は非常に薄弱だというふうに思います。どういうふうにしたらほんとうに水を人間が飲んだり、それからからだを洗ったり、その他いろいろな用途に使いますのに適した水にするかという観点から、行政が強力に行なわれるような方法を考えなければならないと思います。これは水だけでなくて、公害が全体そうだと思いますけれども、特に水につきましては、もうあまり各省関係が多くて利害が錯綜している。最終責任者がまるでないような感じがいたします。ほんとうに住民の生活環境を中心に、強力な対策が講じられるようにという立場から今後ぜひ考えていかなければならないんじゃないかと思います。たとえば名古屋の上水道水源の木曾川ですけれども、これはパルプ工場がありますね、春日井ですか。それから紡績工場もたくさんある。その他の工場排水でもってよごれていたので、一九六三年に水質基準を設定して、たいへん改善できた例としてあげられておりますね。ところが、木曾川のアユが去年大量に死んだという事例がやっぱりあるんですね。決して改善どころではなくして、反対に非常に悪くなっているんじゃないかと思います。私名古屋に参りましたときに、あすこの名古屋の市内を流れております堀川、これはまるでどぶ川のようですね。川上から流れてくるまず第一に家畜のし尿が考えられます。これは農林省の管轄であろうと思います。それからそのために魚やノリが汚染されてよくできない、あるいはとれない。これも漁民に影響することなんですね。ですから、農林省の管轄ではないか。また、瀬戸の陶器の白い水がたくさん流れ込むわけなんですね。これはやっぱり通産省に監督の責任がある。それから春日井のところにパルプ工場がありますが、あすこは私は見ましたけれども、処理はたいへんよくやっていると思います。活性汚泥法を使って相当りっぱにやっておられるけれども、それでも水がきれいだとは思いませんし、あの周辺の民家の屋根が腐食しておりますね。屋根とか鉄、鉱物類のものがみんな腐食しているという問題があります。だから、これはやっぱり通産省の関係だろうと思う。それからメッキ工場とか何かでシアンやクロームを使う中小工場が上流にある、あるいは河岸にある、こういうのも通産省の管轄だろうと思います。そしてそれらが水の中に流れてくる。つまり排水口のところまでは通産省が所管をしていく、そうして流れ込んできたら経済企画庁が監督をする。それからさらに市内に入ってきて下水道、上水道にこれは関係あるわけですね。下水道の水も入ってくる。下水道の水がきたなければ上水道にも私は影響すると思います。それから家庭のごみを投げ捨てることもある。そうすると、これは自治省も関係するでしょうけれども、衛生面からいったら厚生省が監督しなければならないことがあると思う。それから産業廃棄物が水の中に流れ込むことがたくさんあると思います。そしてカドミウムの場合も、たとえば安中のカドミウムなんかは、あすこの川に流れ込んでおりましたし、それからイタイイタイ病の神通川だってあれは流れ込んでいた。そのほか、このごろイギリスでもアメリカでも非常に問題にしております洗剤ですね、洗剤が川に流れ込むということがある。先日もあるところのドライブインにパートタイムで働いている奥さんが非常に大量のお皿を洗うんです。その洗剤は明らかにハード洗剤、安上がりのハード洗剤を使っている。だからそこから流す水が入ってくる付近のうちのコイなんかみんな死んでしまうという状況なわけです。こういうものは一体、厚生省があるいは地方自治体かどこが監督すべきものか。こういうことを考えますし、そうしてこれが海に流れてまいりますと、海岸に入ってくれば海上保安庁が所管している。こういうような状況で、一体どうしたら水がきれいになり得るのか。まず経済企画庁の調整機能ということがたいへん弱い感じがするんですけれども、一体どうしたらいいとお思いになりますか。これは私は大臣に伺いたいことなんですけれども、水に関しては全く困ったものだというふうに思います。いかがでしょうか。
#98
○政府委員(矢野智雄君) ただいま先生が言われましたように、水につきましては非常に関係するところが多岐にわたっております。現在、排出水につきまして、水質保全法に基づき経済企画庁がその主務官庁、責任官庁としてその汚濁の防止につとめているわけであります。権限がどうかというお尋ねが最初にございましたが、水質保全法では汚濁しておる、あるいは汚濁の危険のあるものにつきまして、まず指定水域の設定をいたします、と同時に水質基準を定めます。この水質基準は排水の基準であります。もちろんこの水質基準を定めるにあたりましては、その当該河川の流水基準がどうでなければならないか、どういうことが望ましいかということをまず目標として掲げます。その点につきましては、公害対策基本法に環境基準の設定の規定がございます。この点は昨年来この設定に努力しておりましたが、先月の三十一日に水質審議会の答申もいただき、来週環境基準の基本方針について閣議決定する予定であります。もっとも従来から事実上はそれぞれの水域ごとに流水基準、いわば環境基準を想定しておりましたが、今度環境基準ができますと、より明確に、またより全国的な基準ができるわけであります。いずれにしても、こうした環境基準、流水基準の目標に基づきまして、その目標を達成するための手段はいろいろございますが、何といっても中心は排出水、それぞれの工場ごと、またその他の排出水の基準をまず設定する必要がございます。で、現在すでに指定水域、先ほど提案理由の大臣からの御説明で六十八水域あると申し上げましたが、その後も逐次追加されております。こうして排出水の水質基準がきまりますと、それに基づきまして実体規制法として幾つかのものがこの実施を受け継ぎます。一番中心になりますのは工場からの排水につきまして工排法、工場の排水を規制する法律、通産省その他業種によって関係省が所管しております。また鉱山につきましては鉱山保安法、そのほか幾つかの実体規制法がございます。今度の御提案申し上げております水質保全法の一部改正法案によりますと、さらに規制対象業種が拡大されますので、それも含めますと十種類あまりの実体規制法がこの系列の中に関連してくるわけであります。そのそれぞれの実体規制法で実際にそれぞれの工場ごとの排出の監督がここで行なわれることになります。先ほど先生は、排水口のところまではそれぞれが所管し、それから、出てからあとが企画庁だというお話でありましたが、むしろ逆にお考えいただいたほうがいいのかと思います。経済企画庁で水質保全法に基づきまして排水される水の基準をきめます。その基準を守るための実体的な規制を関係各省がするということになります。ですから、この点は完全に一体化されております。それで、そうした排出水の基準を守るために必要なそれぞれの施設を工場はしなければならない。で、施設をしてないとかあるいは施設が不十分であれば、それぞれの実体規制法に基づいてその関係大臣が改善命令を出すことができます。もしそれに従わなければ罰則の規定がございます。大体こうした仕組みによる排出水の基準、それを守らせるための所要法令、これが中心になります。しかし、それだけで必ずしも水はきれいになりません。と申しますのは、現在水質が汚濁いたします原因はかなり多岐にわたっておりますが、特に大都市におきましては、家庭の汚水が相当大きな原因になっております。先ほど御指摘がございました隅田川のような場合にも半分以上が家庭の汚水による汚濁であります。この家庭の汚水につきましてはなかなか規制が困難な面がございます。ただいま御提案申し上げました水質保全法の改正案によりますと、こうしたし尿につきましても規制する道をつくることになりましたが、しかし、それにしましても個々の家庭からのし尿を直接そこで取り締まるということは実際問題として非常に困難が多いと思います。その点につきましては、もちろん清掃法や、あるいは建築基準法等でも規制が行なわれておりますが、十分にはまいりません。結局この点の改善、解決をしますためにはどうしても下水道の整備ということが非常に重要な課題になっております。したがいまして、ここで下水道整備という、これは主として建設省が所管されておるわけでありますが、この点につきましてもこの水質の汚濁を防止するために経済企画庁としても十分建設省と協議し、またお願いしてやっていかなければならないわけであります。またそのほか、たとえ下水ができる、あるいはそのほかのいろいろ規制をいたしましても、あまり住宅あるいは工場が集中してしまいますとなかなかこれも十分目的を達成しにくい面もございますので、場合によりましたら、そこで工場あるいは住宅団地等の立地の規制というととも考えていかなければならない。こうして、いろいろな関連するところが多いわけであります、しかし、経済企画庁としましては、水質保全法に基づきましてこの水質の汚濁を防止するためのそれらの諸施策、御指摘のように関係省にかなりまたがりますので、経済企画庁としては、との水質保全法には勧告する権限もここに規定されております。さらに、今度の改正案では、関係各省だけでなくて、地方公共団体にも勧告することができるという規定もこの中に入っておるわけでありますが、そうしたものを活用し、また、その勧告権というしゃちこ張ったことはともかくとしましても、今後こうして関連するいろいろな省との連携をもっと有効にとっていくようなそうした連絡体制と申しますか、これは強化してまいりたい、かように考えております。
#99
○田中寿美子君 いまおっしゃったようなことで、水が、それはすぐにというわけにはなかなかいきません、それは簡単でないことはわかるのですけれども、そういうふうに規制できるかどうかということなんですけれども、たとえば流れている川のどういう個所でその環境基準をつくられるかということ、たとえばたくさんの工場が幾つか上にあって、そうして流れてきたところで、どのくらいでなければならないか、つまり水質についての基準をどういうところに置かれるのですかということなんです。
 それから隅田川の場合、あれは一体水は現在どのくらいの汚濁をしているのか、そうしてどのくらいにしなければならないと思っていられるのかということ
 それからこれは安中で、例のカドミウムが、あすこの製錬所ですね、そこから流されております、これに対しては通産省の鉱山保安局が責任を持っていたわけですね。私何回かこのことは問題にしているのですけれども、経企庁は全然関係していなかったのですね。つまりあれに関しては通産省のなわ張りだというようなことすらいわれているのですけれども、そういうことはどうなのか。
#100
○政府委員(矢野智雄君) まず第一の点でありますが、環境基準をどこの地点で守るかということにつきましては、それぞれの水域ごとにその利水目的によりまして利水の地点できめてまいります。もちろん人の健康にかかわりますものは、これは利水も何も絶対的な要請になるわけでありますが、いろいろ関連する産業、たとえば水産業に対する被害あるいは上水を取り入れているところ、それぞれ利水の目的がございますので、その利水の目的を達成できるようにそれぞれ場所をきめることになります。その場所において望ましい環境基準を設定することになります。
 それから隅田川でございますが、これは現在BODで一五から二〇PPM程度になっております。先ほど申し上げましたこの環境基準――来週閣議決定する予定になっているわけでありますが、ここでは幾つかの水域群別に目標を定めるわけでございますが、そのうち、おそらく隅田川は非常に御指摘のようによごれているわけでございますが、こうしたところにおきましても、ともかく最低限と申しますか、どんなによごれても少なくともBODで一〇PPMにはしていかなければならない。一〇PPMと申しますのは、一〇PPMをこえますといわゆる水がくさくなるという。現在隅田川は一時よりよくなりましたが、それでもやはりくさいという状況が残っております。一〇PPM以下になりませんとどうしてもそういう状況が防げません。したがいまして、隅田川のようなところ、これもまだ隅田川をこの環境基準をどこに当てはめるかは今後に残された課題で、まあ今月中、少なくとも来月の初めくらいまでにはそうした当てはめをやっていく手はずにしておりますが、まあいずれにしてもどんなきたないところでも一〇PPMを最高限にする。問題はこれがいつ達成できるかということになるわけでございますが、現在は一〇ないし一五、ところが、これを達成するにつきまして、今度の環境基準では、通常は即時にやるわけでありますが、現在相当汚濁が進行しているところは、すぐ翌日からというわけにはまいりませんで、まあ若干の達成期間を設けます。原則としては五年以内に達成する。ただ万やむを得ない、どうしても五年では無理だと思うものにつきましてはあるいは六年、七年という場合もございます。その場合には途中の経過年を設けまして二段ステップなりでいくわけでありまして、まあせめて六、七年ぐらい、十年も先だとちょっと間が抜けてしまうということで、なるべくは六、七年、あるいは例外的に八年ぐらいになるのもあるかもしれません。しかし、これはなぜそういう期間がかかるかと申しますと、これは先ほどもちょっと申し上げましたように、隅田川の場合は、家庭の汚水が汚水源の過半を占めておりまして、これには下水道の整備がどうしても必要でありまして、その下水道を整備するのに通常はああいう大きいところになりますと、六、七年はどうしてもかかってしまう。ただそれもなるべく重点的に下水道計画を実施するように、これは建設省とも十分協議してまいりたいと思いますが、そうした下水道の整備をなるべく促進して、そしてなるべく早くその目標を達成する手はずを進めていきたいというふうに思っております。
 それから安中でありますが、カドミウムの問題は、本年度の予算においてもカドミウムについて問題になりそうな地域につきまして調査をする準備を現在しております。必要があればその調査結果に基づき水質基準の設定をやっていきたい。かように考えております。
#101
○田中寿美子君 それでたくさん伺いたいことがあるのですけれども、いま隅田川を例にとっているわけですが、延長約二十キロあるわけですね。その間全流域にわたってBODで一〇PPM以下にしたい――五PPMにならないと魚が住めないわけですね。一〇PPMでもいいですけれども、そうできるなら。それでそうするのに、いま一つは下水道の整備ということをおっしゃいました。そのほかにこの延長二十キロにわたって水をそれだけきれいにするのには、一体どういう方法を使わなければいけないのか。そしてどういうふうに行政官庁はそれぞれ関係しているのか。その辺を聞かせていただきたいと思います。
#102
○政府委員(西川喬君) 環境基準達成のための総合的な対策といたしましては、まず企画庁のほうで所管しております排水の規制、これがございます。まあ具体例として先生いま隅田川をおっしゃっておられますので、隅田川のケースで申し上げますと、隅田川につきましては、現在水質基準は指定水域になってかかっております。これは都市河川方式と申しまして、これ以上規制できない一番きついものがかかっております。その点から申しまして、現在排水の規制をこれ以上強化するという方向になかなか進みがたいだろう、こういうふうに考えております。
 それからその次の第二点といたしましては、下水道等の施設整備の促進がございます。隅田川の場合には、現在残っております汚濁源としては、ほとんど一般家庭下水ということになりますので、隅田川に入ってきます流域全部につきまして下水道の整備を促進していかなければならない。ほかのところにいきますと、この対象となりますもので現在未処理のままというようなものがございますと、たとえば屎尿処理施設、屎尿処理場、この屎尿処理場は今回の法改正で新たにつけ加えることになっております。それからあるいは屠殺場、斃獣処理場、このようなもの。それからこれは川のよごれ、いわゆるBODのよごれとは違いますが、にごり、これのほうに影響しますのは、採石場、砂利採取場、このようなものがあるわけであります。そのようなものにつきましての規制の強化ということがあるわけでありますが、この規制強化と、それから屎尿処理場、屎尿処理施設なんかの施設整備ということがございます。隅田川につきましては、下水道の整備を促進していただく以外にないということになっているわけでございます。現在下流のほうは、東京都のほうにおきましても一生懸命になって整備を進めてきておりますが、隅田川に入ってまいります新河岸川あるいは石神井川、このような川の上流地区は現在下水道がほとんど普及しておりません。なまの家庭排水がそのまま入ってくるというような状況になっておりまして、そういう中上流のほうにもつともっと施策を進めなければならないというようなことがございます。
 その次に第三点としては、土地利用の規制、それから施設の設置の規制というのがございます。これはやはり公害対策基本法にも載っておりますが、都市計画のほうにゾーニング、新しい都市計画におきまして市街化区域あるいは調整区域を線引きすることになっております。このようなときに、河川の汚濁排水をどこに持っていくかというようなことも十分考えあるいは下水道の整備状況等も十分考えてやっていただかなければいけないのじゃないかというような問題がございます。隅田川につきましては、この点に関しましても、下流の市街地が完全に東京の特別区内でありますところは新たにこういう土地利用計画を策定するというような問題ではございません。やはり石神井川、新河岸川等の上流部につきましては、まだ何らかの方策が残されておるかと思いますが、そのようなあれがないわけであります。
 さらに河川流量の改善という問題がございます。これにつきましては、すでに御承知のように、隅田川につきましては、現在利根川の余剰水を導入する工事を実施いたしまして、武蔵水路、朝霞水路を通じまして新河岸川に利根川の水が豊水期で余っていますときにこの水を取り入れまして、隅田川の浄化を行なっております。これによりましてある程度の効果は発揮しているわけでございますが、環境基準達成のためとしてはそのような方策を行ないたいということでございます。
 それ以外といたしましては、今後の監視・測定体制の整備あるいは処理技術の開発、――これは政府の施策でございますから、国、地方公共団体が一体となって行ないまして、一応地方公共団体等に対する助成、指導、これらのものを総合的にやってまいりたいというふうに考えております。
 具体的に隅田川につきましては、どうも現在の段階としては下水道整備以外にほとんど打つ手はないのではないだろうか、下水道が全般的に整備されることを待つ以外にない。さらにこれは完全に全流域が市街地化いたしました場合には、現在の下水道の処理技術によりますと。高級処理をいたたしまして排水が二〇PPMでございます。そういしますと、やはり河川の自然水が少なくて二〇PPM、非常になま下水であれば二〇〇ないし三〇〇PPMの水を二〇PPMまで下げているのでございますけれども、やはりそればかりであれば二〇PPM以上にはよくならないわけでございますから、その流域の状況によりましては、将来はさらに高級処理のもう一段上の三次処理と申しますか、そのような方策も下水道としても考えなければいけないような段階がいつか来るのではないだろうかというようなことが考えられるわけであります。
#103
○田中寿美子君 もう一点。そのどれだけの官庁が関係してどういう協力をしているかという問題……。
#104
○政府委員(西川喬君) 失礼いたしました。排水水質の規制につきましては、水質保全法を所管しております経済企画庁が基準をきめまして、それに伴います実際に実体規制法を所管しております官庁は工排法におきまして通産、厚生、農林、運輸、大蔵、このようにいたしております。工排法以外の実体規制法といたしましては、鉱山保安法、これは通産省、それから下水道法、これは建設省、それから水洗炭業法、これは通産省でございます。これが現在の現行法におきます規制対象でございますが、法律改正によりまして新たに加わってまいります規制対象といたしましては、斃獣処理場、それから屠畜場、これは厚生省の所管でございます。それから採石法は通産省、それから砂利採取法は通産省と建設省の両方の所管でございます。それから廃油処理施設、これは運輸省の所管です。それから清掃法、これは厚生省の所管。それから建築基準法これは建設省、そのように非常に多岐にわたっております。しかし、それぞれの所管省にそれぞれの法律におきましていろいろな非常に重要な意味を持っておりまして、そのうちいわゆる水質基準を、排水基準を守るためだけのものを一元化するよりも、やはりそれぞれの所管が総力をあげまして保全行政を進めてまいる、その中心といたしまして、大もとといたしまして保全法によりまして経済企画庁が責任を持ってやる。各省の実体規制法というものによって政府の総力をあげてこの公害、水質保全問題に対処したいというのが現在の体制におきます考え方でございます。
#105
○田中寿美子君 それぞれ総力をあげていただけば私げっこうだと思うのですけれどもね。まあこれはイギリスの例ですけれども、イギリスは河川局と、それから例のミニストリー・オブ・ハウジング・ローカル・ガバメントがございますね、住宅自治省というのですか、あれが大気汚染でもやっぱり総元締めみたいになっていて地方自治体と一緒になってやっているわけですね。つまり住民が暮らしをするその生活環境という立場から統一していく、こういう立場に立った一番強力な政策を実施する場所というものが必要だと思うのです。いままで私、経済企画庁は、これは海にいけば例の海上保安庁がありますけれども、ほとんど全部の官庁がそれぞれ所管をしているために、権限というようなものは、あまり命令権というものもなかったように思います。で、もしいまおっしゃったように、それぞれの所管が総力をあげるということが一番いいというならば、そういう体制をつくっていくということが必要だと思いますが、そういうことのためにはこれらの関係している省の連絡、あるいは統一する機関、そういうものはどういうものがありますか、そういうものを持っていらっしゃるのですか。
#106
○政府委員(矢野智雄君) ただいま申しましたように、非常に関係するところは多いわけでありますが、あくまでこの水質保全法に基づきましてこの目的を達成しますためには、いまお話しのように、各省間の連絡体制を非常に強力にやっていく必要があることはもう御指摘のとおりであります。で、この点につきまして、もうすでにいままでもいろんな連絡機関は持っております。たとえば水質審議会におきましては個々の関係行政機関も加わっておりますし、また、それの幹事会もございます。常時関係省が集まって緊密な連絡をとっております。しかし、水の汚濁を防止するためには、中心は排出基準、これはこの経済企画庁がきめていき、それを関係の省が順守してこの規制をやっていくわけでありますが、そのほか下水道とかいろんなことが関連してまいりますので、なお一そうこの連絡体制を緊密にして、この運用上万全を期するような方策をもう少し考えたいと思っております。この点現在私どものほうで検討中でございます。
#107
○田中寿美子君 それはたいへん緊急を要すると思うのです。それでいま下水道の整備が何より大事だといま隅田川の場合をおっしゃったのですけれども、大体見込みはいつごろまでに下水道の整備をしてしまうことができるのか。これは隅田川だけではない、日本全体の河川やら海湾の海水のよごれに対しては下水道の整備というものは非常に大きな要素だと思います。いまどのくらい下水道の整備ができていて、何年間ぐらいでこれは何%ぐらいの見込みを持っているのかというようなことをお聞かせいただきたい。それから家庭汚水ですね、家庭廃棄物、その中に洗剤も考えていらっしゃるのですか。これは厚生省の方いらっしゃったら、洗剤について指導していらっしゃるのかどうかということも同時にあわせて伺いたいのです。
#108
○政府委員(矢野智雄君) 隅田川につきましてはいつまでかということは、まだこれからその目標をきめたいと思っております。これからと申しますのは、先ほども申しましたように、環境基準の基本方針を来週閣議で決定する予定でありますが、それにすぐ引き続きまして個々の河川ごと、たとえば隅田川についてはこの環境基準の――幾つかの水域群別になっておりますが、どこに当てはめるかということを追っかけ、すぐこれも閣議できめたいと思っております。おそらくまあ五月、なるべく早い機会にやりたいと思っております。で、それをきめますときには、先ほどもちょっと申しましたが、達成の期間もここできめることになります。その達成の期間をきめるにあたりましては、先ほどから申しておりますように、まあ排出基準の強化ということもありますが、何といいましても隅田川には、下水道の整備計画が密接にこれに関連してまいりますので、そうした計画とにらみ合わせて達成期間をきめたいと思っております。しかし、一般的には先ほど申しましたように、原則は五年以内ですが、おそらく隅田川の場合には五年はあるいは下水道整備との関連で若干むずかしいかと思います。それにしましても九年、十年はちょっと長過ぎるんで、なるべくこれは六年か七年か、八年か、この辺もうちょっと下水道計画との関連を詰めてみなきゃなりませんが、なるべく下水道のほうも促進するようにお願いして、なるべく早い達成期間をつくる、また、その場合でも中間期間も設けていくということでやっていきたいと思っております。
 それから下水道の全般的な整備状況でありますが、これは建設省が所管でありますが、大体現在五カ年計画、四十六年度で終わる下水道整備の五カ年計画、これが実行中でございますが、本年度――四十五年度では進捗率が六八%になっております。それからさらに、今般経済審議会から答申があり、近く閣議決定する予定であります経済社会発展計画、これは五十年度を目標にしました六カ年計画でありますが、これはもちろん下水道計画だけじゃありませんで、全般的な経済計画でございますが、その中でも公共投資、特にこの下水の整備につきましてはかなり優先的に扱っております。全体の伸びとしましては年に二四、五%ぐらいを予定しております。公共投資全体はちょっとここに手元に詳しい数字を持ってまいりませんでしたが、おそらく全般の伸びは年に一三、四%だと思いました。ですから下水道の分は二四、五%、全体は五十五兆になりますが、そのうち二兆三千億がこの下水道に使うという一応計画になっております。その結果、下水道の普及率、これは市街地面積の中に占める排水面積の比率でありますが、これが現在、昭和四十四年で二一%だと思いました。四十五年で二十三%程度と記憶しておりますが、それを昭和五十年度では三八%にまで持っていける――先ほどの計画がそのまま実施されますと、三八%程度に普及する、こうした計画を立て、それを実現していきたい、かように考えております。
#109
○政府委員(柴崎芳三君) 家庭用洗剤ということでございますが、家庭用洗剤の主成分は、先生御存じのように、ABSという物質でございますが、これがいわゆるハードとソフトと二つに分かれまして、ハードは非常に処理しにくい形の構成になっております。従来問題になりましたのは、このハードタイプのABSが流れ込みまして、通常の処理方法をもっては処理できないという点に、非常に大きな問題があったわけでございますが、アメリカあるいは西ドイツにおきましても、あるいはイギリスにおきましても、当然この問題が以前から取り上げられておりまして、これらの先進諸国ではすでにハードタイプからソフトタイプにほとんど切りかえておる実情でございます。わが国におきましてもこの点を重点的に取り上げまして、現在の家庭洗剤のほとんど八〇%がソフトのタイプに切りかわっております。そうしてソフトに切りかえますと、水道用水として使う場合でも、いわゆる活性炭で吸着させるというような処理方法で大部分が処理できるというような状況になっておりますので、さらにソフトタイプの比率を上げるというような形で、通産省としてはメーカーサイドを強力に指導しておるところでございます。
#110
○田中寿美子君 いま、比率どのくらいとおっしゃいました。
#111
○政府委員(柴崎芳三君) 八〇%くらい。
#112
○田中寿美子君 それぞれの機関の単なる連絡機関ではやっぱりだめなんで、あるいは審議会があるだけではだめなんで、それできめたことを権限を持って実施することができるように、この方法検討中だとおっしゃいましたが、それはぜひ急速にやらなければいけないと思います。たとえば、通産省関係だと思いますが、産業廃棄物の中にポリエチレンだとかそれからビニールだとか、ああいったものも水の中にも入ってくるわけですね、投げ込んだりするものもあるわけですね。ああいうものの始末なんていうものは、これは家庭から出すものである場合と、工場その他から出す場合があると思うのです。こういうのはどういうふうにするのかということですね。これは水の観点からでいいですけれども。
#113
○政府委員(柴崎芳三君) 産業廃棄物に関しましては、二つ問題点がございまして、一つは、これをどういう技術をもって処理するかという問題と、それからもう一つは、処理する機構としてどういう機構を考えるかという二つの問題点があるわけでございますが、第一の問題点につきましては非常にむずかしい内容のようでございますが、工業技術院でただいま盛んに研究しております。その研究のテーマといたしましては、まず第一に、これを非常に微細に破壊いたしまして、その破砕したその残滓を埋め立てとかなんとかというような形で使えばあまり害がないのではないかというような方法の検討であります。第二の検討方法といたしましては、これを焼く場合に非常に高熱を発しますので、炉体の構造その他従来の燃焼装置とは比較にならない丈夫なやつをつくらなければいけないようでございます。燃焼の場合の炉体の構造並びに燃焼の結果出てくるガスがどういう成分であるか、どういう有害物質を含むか、その成分の分析、これらのデータを押えまして、将来焼くという形をとった場合にはどういう方法が一番いいかということを研究しております。第三点といたしましては、何とか高分子合成物を分解いたしまして、その中から有効成分を取り出す方法はないかということで、これができれば実は資源活用という意味からも一番有効な方法でございます。この辺の検討を進めておりますが、いずれも非常にむずかしい問題を含んでおりまして、現在まず結論が出ていない、しかし、できるだけ早く結論を得たいというぐあいに考えております。
 それから処理体制のほうの問題でございますが、これは家庭から出る場合と、工場から出る場合といろいろございますのですが、たとえば工場から大量に出るような場合には、当然その工場がみずからの責任をもって費用を負担するということは考えなければならない大原則であります。かりにある公共団体で、その燃焼するという形での処理施設をつくった場合に、それを引き取ってもらうときに燃焼のための料金を払うというような形も一つの案として考えられるわけでございますが、いずれにしましても、どういう形でこれを処理するのが一番有効であるかという前段階の問題についてまだ確たる方向が定まっておりませんので、第二の処理機関の問題は、その問題の解決とあわせまして至急具体化したいというぐあいに考えております。
#114
○田中寿美子君 私がやはり、たとえば愛知県の春日井市の王子製紙に見にいったときに、あそこは非常に排水の処理はよくしていたんですけれども、そのために出てくるスラッジといいますか、工業用のスラッジですね、そういうようなものが捨ててあるわけですね。ああいうものの処理はどこでだれが所管するのかというようなことを聞いてみたけれども、わからないということでございましたけれども、いまおっしゃったように、その企業自体が出したものですから、生産の過程で出したものですから、企業自体が処理するのが当然だと思いますが、いまおっしゃったように、処理方法がまだはっきり研究されていないということなので、これは早急に、あらゆる産業に起こってきますのでやらなければならないことだろうと思っております。
 さっきちょっと、斃獣の処理とか屠畜場の屎尿なんかの処理は厚生省の関係ですね。川上で処理をしたものを流す。動物、家畜の屎尿というのは、非常に最近、何か人間のものの十倍以上だと聞いておりますが、こういうものへの指導はどういうふうにしていらっしゃるのですかね。
#115
○政府委員(西川喬君) 先ほどあれしました屎尿処理、斃獣処理、屠畜場、これは厚生省の所管になっておりますが、生きたあれを養っております養豚、養鶏場、これは実は農林省のほうの所管になっております。現在養豚、養鶏場から出る汚水というものが非常に問題になってきております。ただし、もともとが、企業が零細であること、それから非常に大量に、人間の十倍、いま先生がおっしゃるように十倍でございます。これの処理技術というものが現在まだ的確なものが開発されておりません。で、今回保全法の改正におきましても、養豚、養鶏場を規制対象に入れ得る、あれは法律の中に、条項に入ったわけでございますので、これは政令で定めることにいたしております。養豚、養鶏場につきましては農林省のほうとも打ち合わせいたしておりますが、農林省のほうはもうすでに四十四年度からテストプラントをつくったりして研究いたしております。そのテストプラントによりまして研究をいたしまして、処理の方法なり技術を研究いたしまして、少なくともここ両三年じゅうに見通しをつけたいと、こう申しておりますが、その見込みがつきましたら、この養豚、養鶏場の実体規制法を制定いたしたい。その制定をいたしました暁には水質保全法の政令を改正いたしまして、この保全法の対象業種とするということで、生きた豚、鶏を養っておりますところの養豚、養鶏につきましては、まだ現在これを的確に規制する方法は確立されておりませんので、早急にいま申し上げたようなスケジュールでこれを解決したいと、このように考えております。
#116
○田中寿美子君 だからまだまだ水の中にはとても処理できないものが一ぱい入ってくるわけですね。いまの、その死んでからのほうは厚生省だそうですが、厚生省はその処理はどんなふうにしていらっしゃいますか。
#117
○政府委員(城戸謙次君) 先ほどから出ております産業廃棄物の問題から先にお話しします。産業廃棄物がどのくらいあるかということにつきましては、十分的確な調査がございません。日本都市センターで調査いたしましたものを若干補正して、大体百十二万トン程度であろう、家庭のごみの大体二十倍程度であろうという予測が立てられております。それで、これは年々当然GNPと同じ率、あるいはそれ以上でふえておるわけでございまして、この調査四十二年でございますから、現在ではもうすでにふえております。たとえば、いまお話しございました汚泥は、この調査ですと五十一万トンということになっておりまして、六十年には百八十五万トンくらいになるだろうという推定をされております。私どもとしましては、産業廃棄物のほかに、いわゆる焼却残滓とか、粗大ごみとか下水道、屎尿処理設施等の汚泥、あるいは活性質の汚泥とかいろんな都市設施関係の廃棄物がございますし、あと、先ほど通産省のほうからお話がありましたこういう産業からの廃棄物、その中の固型のものというものは一応清掃法の対象になっておりますので、これをとりあえず抜本策は別としまして、清掃法の対象の中でできるだけ処理できるような方策を考えていくと同時に、基本的な問題につきましては、生活環境審議会の中に産業廃棄物の分科会を設けまして、現在検討いたしているようなかっこうでございます。今年度からとりあえず大阪でやりますものにつきまして、財政投融資の八億のワクでスタートするということで、産業廃棄物処理の設施はできることになっております。これは一つのモデルでございまして、今後いろいろくふうしまして、どこがやるか、どういう形でやるか、あるいはまた、その前提としての前処理とかあるいは選別とかいろいろ問題がございますので、総合的に協力し合いながらそれぞれの分野に応じてやっていくということでなければいかぬだろうと思うわけでございます。それから私どもの関係の施設で、水の問題に関連いたしますけれども、従来からの施設としましては製薬がございます。そのほかに新しく今度の法律では、いまお話がございましたような斃獣処理場、屠畜場、屎尿処理施設あるいは屎尿浄化槽、特に百人以上の大きな浄化槽でございますが、こういうものが入ってくるわけでございます。私どもとしましては、それぞれ構造設備の基準のほうを改正するなりあるいは維持管理の排水の基準を変えるなりしまして、この新しい改正にマッチした排水規制が行なえますような方途を考えてまいりたいと思っております。
#118
○田中寿美子君 私、屎尿のことでもう少し厚生省のほうにお伺いしたいのですが、その前に経企庁ですね、今度の予算の中で、未規制汚濁源関係水質調査というものを新規に要求しております。四十水域ですね。これの指定は一応四十五年度で打ち切りというふうになっておりますね。なぜその四十五年度で打ち切ってしまうのか。調査委託費三百九十二万九千円、これの委託先はどういうところですか。これで全部カバーしてしまうことができるのかですね。
#119
○政府委員(西川喬君) 四十五年度限りで打ち切りと申しますのは、現在までに指定されておりますものは水質基準がきまっているわけでございますが、法律改正によりまして新しい対象業種が入ってくるわけでございます。現在までに指定されておりました水域につきまして新たに対象業種に入ってきたものを、全部調査いたしまして、それでこれについて水質基準を設定しなければいけない。それで今後の分につきましては、当然基準設定しなければ、調査をやりますときに法律の対象となっておりますあれは全部やるわけでございますが、現在まで指定になっておるものについて早急にやらなければいかぬ、そのために四十五年度限りになっているわけでございます。現在まで指定した水域には、こういうことでございます。それから委託先は、都道府県でございます。
#120
○田中寿美子君 実はこれ通産大臣の所信表明の中に瀬戸内海全域の水質汚濁のための予備調査ということが出ておりまして、この間多少御質問申し上げたわけなんですが、なぜ私、経済企画庁長官のほうにはないのか非常にふしぎに思うわけです。経済企画庁長官の所信表明の中にもないし、それから計画の中にもちょっとこれ見ただけでは見えないわけですがね。瀬戸内海の水のよごれ、たいへんな問題だろうと思うのです。それでこれは私厚生省の所管になってくると思うのですが、清掃法の問題に関連してくるだろうと思う。清掃法十一条ですか、これで見ると、汚物の投棄が海岸から二百メートル以内には捨てちゃいけない。二百メートル以上になったら捨ててもいいということになります。あの狭い瀬戸内海で岡山県の側から二百メートル行って、尿屎捨てたとする、あるいはごみを捨てる、反対の今度は香川県のほうから二百メーターいったところへ捨てる。両方の海の底でどろどろになるということがある。だから広島湾のカキの中毒事件なんてあったのじゃないかと思いますが、こういうようなことは、非常にこれは、日本は人間の尿屎がたいへん大切な肥料であったという観念がありまして、早急に改めなければならないことでもあるし考え方でもあるわけですね。これ通産省のほうでは調査を、経企庁は一体これをどういうふうに考えていらっしゃるか。それから厚生省はこれをどういうふうにしようと思っているか。
#121
○政府委員(城戸謙次君) ただいまの点でございますが、屎尿につきましては十一条の三号に「政令で定める海域にふん尿を捨てる」こういうことになっておりまして、それぞれ政令で投棄禁止の地域が定めてございます。その中でこの瀬戸内海関係が一番数が多いわけでございますが、現在瀬戸内海関係で屎尿が投棄されていますのは、日量にしまして三千五十四キロリットルでございまして、全国でああいう投棄をされております日量が一万四千七十キロリットルでございますから、その中の約三分の一を占めている。こういうような状況になっているわけでございます。私どもとしましては、こういうような状況になっていますのは、やはり屎尿処理の五カ年計画との関係もございますが、基本におきまして下水道の整備がおくれているということが一番基礎にあるわけであります。とりあえず、私ども五カ年計画でやっておりますところをできるだけ促進していくと同時に、またいまのような投棄の区域につきましても、必要がございますれば禁止区域を追加する、あるいは投棄の場合も、処理の基準の順守をはかり、総合的に対策を立ててまいりたい。当初の五カ年計画でございますと、少なくとも四十六年度の末には着工ベースですべての屎尿が衛生処理ができる、つまり下水道で処理するかあるいはくみ取った屎尿を衛生処理できる、こういう計画になっておったわけでございますが、その後若干排水量の増加とか都市への人口の集中だとかあるいは下水道計画のおくれなどいろいろなことがございますので、今後できるだけあらゆる面で努力して、そういうような結果になりませんようにやってまいりたいと思っております。
#122
○田中寿美子君 いまのに関連してですが、清掃法の改正は必要ないとお思いになりますか。二百メーター先なら捨ててもいいんですか、ちょっとひど過ぎる。
#123
○政府委員(城戸謙次君) これは汚物の投棄区域というのは清掃法ではこういうようなことでございますが、清掃法の体系は特別清掃地域あるいは季節的清掃地域というのを中心に立てられておりますけれども、ここでは汚物全体についての基準としましては、その特別清掃地域、季節的清掃地域の関係では地先海面二百メートル以内ということになっているわけでございます。そのあと二号、三号がございまして、二号では、公共の水域にごみを捨てることの禁止、あるいは「政令で定める海域にふん尿を捨てること」の禁止が三号にございます。そういうことを総合してやっているわけでございますが、そのほかに、各項目に法の目的に従いまして種々の禁止の規定がございます。
#124
○政府委員(柴崎芳三君) ただいま先生の御指摘になりました瀬戸内海の調査でございますが、これは若干特殊な意味を持っておりますので、御説明させていただきたいと思いますが、通産省で従来昭和四十年以来やっております一つの仕事といたしまして、産業公害総合事前調査という制度がございまして、これは水に関しまして五年先あるいは十年先の工業活動というものを予測いたしまして、会社の計画そのままにまかせておったならば非常に重大な結果におちいるのではないか。それが、会社の計画が具体化する場合にその予測結果に基づいて改善しようと、そういうことによって公害の発生を未然に防止しようというねらいを持った制度なんでございますが、水に関しては東京湾とか伊勢湾とか三河湾とか将来の埋め立て計画あるいは工場の立地計画を見込みまして、その結果汚染されるであろうという予測を推計いたしまして、その推計値に基づいて、これはこういうぐあいに改善いたしなさいというふうに企業側を指導して、工場立地を具体的にきめてきているわけであります。こういった手法を瀬戸内海におきましても、従来たとえば大分湾とか、あるいは姫路の近辺とか、そういった部分的なところでやってきたのですが、瀬戸内海の問題を総合的に考えた場合には、こういった都分の問題ではなかなか効果があがらない。したがって、全域としてこれを取り上げて、いま言った手法を適用すべきであるということでありまして、したがって、現実の汚染をどういう形でこれを規制していくかという問題点ではなくて、将来の規制を、いかにして未然に防止するかということをねらった対策になっておりますので、通産省からこの要求を出しまして、大蔵省も、それならば通産省でやるという意味がわかるという形で、具体的な予算要求ということで定着してまいったと存じます。
#125
○政府委員(西川喬君) 経済企画庁におきましては、この公共用水域水質保全法の目的によりまして、公共用水域の水質の改善をはかるということで一般的な責任を持っているのでありますが、との水質保全法の具体的な運用といたしまして適用されているのは、この指定地域の水質基準の設定であります。水質基準はこれはあくまでも排出水の基準であります。これは陸上にあります工場、事業場等からコンスタントに常時排出する水質の規制になっております。そういう観点から見ますと、瀬戸内海全体につきまして、瀬戸内海の中心までを含めての規制ということになりますと、これは船のほうに持っていきますと投棄のほうに属するのでありますが、それは汚濁防止法あるいは清掃法あるいは港則法、そちらにゆだねられているのであります。それで現在そのために企画庁といたしましては、瀬戸内海全域の問題を直接的に規制として取り上げることはできないわけであります。そのために陸上から出ます排水につきましては、現在までも相当調査をやっております。すでに指定水域に指定いたしましたのは大竹、岩国の地先、それから流入河川が問題になるわけでございますが、流入河川といたしましては、たとえば加古川あるいは高松市内河川あるいは財田川、このような川を指定水域にいたしております。さらに地先海域といたしましては、相当調査をいたしておりますが、四十五年度におきましては播磨地先、高梁川地先、広湾、呉湾、三田尻湾、徳山湾、宇部、小野田地先、こういう海域につきまして、陸上から出しております排水につきまして水質基準を設定いたしたいと思っております。これらの問題は全般的に水質基準をきめるときにも、全体の海のことでありますから、潮流の影響その他いろいろの問題がございまして、それらの問題につきましては、通産省のほうで大規模にやりますような実験の結果、こういうような有効なデータを出していただいたら、それを参考にして、現在企画庁の権限に属しております水質基準の設定にあたり、そのほうに有効に活用したいというふうに思っているわけでございます。ただ海の汚濁を防止するために、単に陸上からの排水の規制だけではなくて、先ほど申し上げました、いわゆる投棄に類するような規制があるわけでありますが、そのため今回定められます環境基準、こういうものが定められますと、この環境基準に基づきましてそれぞれの政府の施策があるわけでありますし、瀬戸内海につきましても環境基準をどのようにするか、どのような範囲に指定するか、今後各省と当てはめの問題で協議してまいりたいと思いますが、それがきまりましたならば施策の中に排出等の規制の強化というのがございます。これは排出等といっておりますが、等はこれは法規その他を意味しているものでございます。単に保全法による陸上施設からの排水の規制だけではございませんで、法規そのものも入るわけでございますが、環境基準の当てはめがありましたなら、それに基づいて政府は総力をあげて環境基準を維持するために努力する、こういうことになろうかと存じます。
#126
○田中寿美子君 もう私終わります。いま説明がありましたのでわかりますように、瀬戸内海全体をほんとうの意味で監督する権限があるところがないようないま状況だと思いますね。通産省のほうは予備調査、予防するために全域の調査をするとおっしゃったけれども、もうすでに瀬戸内海の水というのは二〇〇から三〇〇PPMじゃないでしょうかね。そういう条件になってしまってから、ことに海岸に近いところではそういう状況ですし、いまおっしゃったように、水質基準をきめて排水のところでの規制の権限、それから海洋での水の規制ということになると、たいへん困難が生じてきて、一体どこが責任を持つのかという問題が起こってくると思いますので、これ、何かの形で単なる連絡調整ということではなしに、強力に進めていきませんと、今後もう飲み水、上水だって、決して日本は外国に比べて水がきれいだなんていわれていたけれども、影響を受けると思うのですね。それで一体どのくらいの水が一番好ましいのかというのは、それぞれ利用の用途によって違うと思いますが、そういうことについての影響ですね、飲み水、人間の口に直接入ってくる水はできるだけきれいなものにするし、それから洗たく用の水はもうちょっと良質でなくてもいいんじゃないかということがありますし、トイレなんかの水はもっと、多少汚濁があってもいいというようなこともありますので、全体としてやはり水をどうしたらわれわれ人間の側から考えて好ましい状況に置くかということについて、もう一つ何か押しがない感じがします。このことをまた私は、あらためて大臣のいられるところで御決意も伺いたいと思っておりますので、きょうはこれで終わります。
#127
○委員長(松井誠君) 本日はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時三十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト