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1970/02/27 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 災害対策特別委員会 第2号
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1970/02/27 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 災害対策特別委員会 第2号

#1
第063回国会 災害対策特別委員会 第2号
昭和四十五年二月二十七日(金曜日)
   午前十時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十三日
    辞任         補欠選任
     足鹿  覺君     中村 波男君
     前川  旦君     鈴木  力君
 二月十四日
    辞任         補欠選任
     多田 省吾君     上林繁次郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         西村 関一君
    理 事
                佐田 一郎君
                増田  盛君
                武内 五郎君
                塩出 啓典君
    委 員
                上田  稔君
                佐藤  隆君
                田口長治郎君
                鈴木  力君
                中村 波男君
                松本 英一君
                上林繁次郎君
                河田 賢治君
   政府委員
       総理府総務副長
       官        湊  徹郎君
       海上保安庁次長  林  陽一君
       気象庁次長    坂本 勁介君
       建設省河川局長  坂野 重信君
       消防庁次長    山本  弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
       常任委員会専門
       員        中島  博君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房参事官     川上 幸郎君
       文部省管理局教
       育施設部長    菅野  誠君
       農林省農林経済
       局金融課長    渡辺 文雄君
       水産庁漁政部長  平松甲子夫君
       運輸省船舶局首
       席船舶検査官   高田  健君
       運輸省船員局労
       政課長      石原  明君
       運輸省港湾局計
       画課長      大久保喜市君
       気象庁予報部主
       任予報官     大野 義輝君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○災害対策樹立に関する調査
 (自然災害の共済制度に関する件)
 (昭和四十五年一月低気圧による災害等に関す
 る件)
 (川崎市における製油工場の火災に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(西村関一君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 去る二月十三日足鹿覺君、前川旦君、また十四日には多田省吾君が委員を辞任され、その補欠として中村波男君、鈴木力君、上林繁次郎君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(西村関一君) 次に、理事の辞任についておはかりいたします。
 佐藤隆君から、都合により理事を辞任いたしたい旨の申し出がありました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(西村関一君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(西村関一君) 続いて、ただいまの辞任に伴い理事一名欠員となりましたので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 つきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(西村関一君) 御異議ないものと認め、理事に増田盛君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(西村関一君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。
 まず、自然災害の共済制度に関する件について調査を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#8
○佐藤隆君 ただいま議題となりました自然災害の共済制度につきましては、従来ともこの災害対策特別委員会で議論の出ておった点であります。幸い四十五年度において四百七十万の予算が調査費ということで閣議決定をされたということで聞いておるわけでありますが、自然災害の多い日本の国において、だれの責任にしていいかわからないような、そうした災害で受けた事故、人身事故あるいは財産の喪失、そうしたことについてだれが償うべきであるか。それは国民全体で共済すべきではないかという考え方、これは試案を出しておるわけでありますが、そのことについて、これから調査をされようというわけでありますが、これは予算が通らなければはっきりしたことは、まだ閣議決定になっただけのことでありましょうから、言えないだろうと思いまするけれども、しかし一応四十五年度のスケジュールとしては、すでに閣議決定を見ているわけでありますから、ひとつその考え方について、総理府あるいは中央防災会議におかれて、こんな考え方で調査をする予定なんだということを、できるだけ詳細にひとつこの席で承っておきたい、こう思うわけであります。
#9
○政府委員(湊徹郎君) ただいま佐藤委員のほうからお話がございましたように、個人災害の取り扱いについては、ずいぶん長い経過をもって、やはりそういうだれの責任に帰すべきかわからぬような事態については、考え得るような方法を何とか模索していきたいというふうな前提で、私どもとしましても、ただいまお話しのとおり災害共済というふうな考え方でいくのが一番妥当じゃなかろうかというふうな前提に立ちまして、今度の国会に約四百七十万円の調査費を計上してございます。これのこまかい内容等については、実はまだ細部きめてございませんけれども、大体考え方といたしましては、調査の対象としては一つは地方自治体の長、つまり全国の知事あるいは市町村長さん方、それからもう一つはやはり個人を対象として、これは当然サンプル調査になると思いますが、それもサンプル調査だけでいいのかあるいは特定の地域まとめて狭い区域で悉皆調査のようなかっこうでいく、そういう方法も併用する必要があるんじゃなかろうか、そこら辺はいま検討しておるところでございます。
 そういう形で調査をいたしますが、その調査の時期等についても、なるべく事が災害でございますから、一番災害が集中するような時期にやはり調査をしていくのがいいんじゃないだろうか、ざっとこんなふうな考え方でこまかい点をいまから検討さしておるところでございます。
#10
○佐藤隆君 もう少し詳しく話ができたらひとつ教えていただきたいと思うんです。と申しますのも、この委員会でも、しばしば私だけではなくして、他の党の委員からも話が出ておることでありますし、ひとつ政府で積極的に取り進めなければ、議員立法ででもやらなければ国民に対してわれわれとして申しわけないぞというようなことまでも従来申し上げてまいりましたいきさつからすれば、予算はきまらないものの、もう少したとえば災害の非常に多くやってきそうな時期というのは、例年の例からいって、たとえば六月の出水期あるいはあの梅雨季、それから七月八月とか、そういうことは常識的には言えるわけですけれども、その辺の時期を選ばれるのか、どういうことなのか。しかも、それをいまの悉皆調査あるいはサンプル調査ということの併用でいかれるのも、これも適当だと思いますが、その調査の集計の大体めどとしては、いつごろまでにはまとめたいとか、そういう一つのスケジュール、目安ですね、四十五年度の日程、そうしたものをそれに間に合わない場合ももちろんあり得るでありましょうよ、だけれども、それを私どもは攻め立ててどうのこうのじゃなくて、そうした時期というもの、およその時期というものをこんなふうにしたいということですね。と申しますのも、実はこの調査の結果いかんによるところが大きいことは事実です。しかし、私どもといたしましては、この調査の結果は結果として、さらに災害共済というものがどんな形が一番望ましいかということを、従来研究も続けてきたし、これからも研究を続けていくわけです。今度の政府の調査と並行してその研究を進めていくようなことになりますので、できれば早く立法化にひとつ踏み切りたいという心組みもあるわけでございますから、そうした意味で、まだ予算はきまらないけれども、詳しくひとつお聞きしておいて、そうして並行的にひとつ進めていきたい、こういうきわめて建設的、前向きな考え方でありますから、ひとつそういうことについて御協力をいただきたいというむしろお願いもいたしたいわけですから、そうした意味でもう少し詳しくお聞かせいただきたい。
#11
○政府委員(湊徹郎君) 先ほど申し上げましたようにこまかい点まで具体的にまだ詰めて検討はいたしておりませんが、大体災害の時期等と申しますと、先ほどお話しのように梅雨前線による集中豪雨等が来る時期、ないし台風シーズン、こういうことでございます。それでそこら辺の実際の災害の実態等があって、被害を受けられた方々がある程度実感を持って、なるほどそういう制度については、と言って乗りやすいような実は時期を選びたいという考えでございますので、さればといって災害の最中というわけにもまいりませんから、大体おおむね九月ごろに中心を置いてその調査のほうは実施するようになるんではなかろうか。これは半ば私見でございますが、そう考えております。
 それと並行して、なかなかもう初めから個人災害が一体どの程度加入がある、採算に乗るだろうか、どういうスタイルでいったらいいだろうか。いろいろ今日これは御研究をいただいているわけでございますが、そういうふうな検討もこれは調査と並行してやりながら、結果を待ってから腰を上げてやるというんじゃなくてやっていきたい、というふうに思っております。
#12
○佐藤隆君 この間読売新聞に「調査は全国から抽出した一万五千人と十町村を選んで全員六万人の調査を併用。」こういうようなことが出ているわけですが、これはどの程度根拠があるのか、私もよくわかりませんけれども、少なくともこうした考え方で調査を進めようとしておられることは事実なんですね。
#13
○政府委員(湊徹郎君) 実はこれは概算要求をするときに四百七十万二千円、これが要求予算額ですが、それをはじき出す計算の根拠ということで、かりにこういうふうにした場合はどうなるであろうという数字かと思います。新聞の記事については全然私ども承知しておりませんが、ただいまお話ございました数字は、いまのような概算要求算出の根拠ということで、かりにはじいたときの数字かと思っております。
#14
○佐藤隆君 それじゃ具体的にはまだまだ調査の、こういう調査をやるというところまでまだ準備をしておられないようでありますから、ひとつ早急に、これはもう予算が通過した時点においては直ちに調査の準備に取りかかる。もちろん各県あるいは市町村、そうした機関を通じて協力を求めなきゃならぬ調査だと思いますので、時期は災害が起こりやすい時期を選ばれるのも、それも一つの手だと思いますが、その準備はさっそく四月から、もう予算が通ったら、さっそく地方自治体にもこの趣旨の徹底ができるようにひとつ準備をぜひ早くしていただきたいと、こう思います。非常に期待をしているわけでありますから、そうしてそこでたとえば九月ごろ調査が完了したならば、十月か十一月にはひとつその取りまとめができる。その結果に基づいて何らかの共済制度の具体案が、こんなことはどうであろうぐらいなところまではひとつ打ち出せるように――と申しますのは、年内には何かかっこうをひとつつけていただきたいというお願いを、この際いたして私の質問を終わっておきます。
#15
○委員長(西村関一君) 本件につきましては、本日はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#16
○委員長(西村関一君) 次に、昭和四十五年一月低気圧による災害等に関する件について調査を行ないます。
 まず政府から被害状況等について説明を聴取いたします。
#17
○政府委員(湊徹郎君) ごあいさつがおくれましたが、このたび総理府の総務副長官に就任いたしました湊徹郎でございます。何とぞ今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 ただいまお話がございました四十五年、ことしの一月低気圧による災害の状況について御説明申し上げたいと思います。
 いわゆる台湾坊主と通称言われておる災害でございます。
 で、一月の二十九日、ちょうど沖縄の西方でありますが、発生しました低気圧――発生当時一、〇一〇ミリバールございましたが、それが急速に発達しながら東北東に進んでまいりまして、三十日の夜半には九八六ミリバールになったわけであります。そして紀伊半島の西岸のほうに上陸をいたしたわけであります。この低気圧は、上陸したあともさらに発達をつづけながら東海地方から関東地方、さらに東北地方と、ちょうど本土を縦走いたしたわけでありますが、三十一日の午後に日本海沿岸沿いに北上してまいりましたもう一つの低気圧、これは新潟沖で九八〇ミリバールになって、その後さらに発達してまいりましたが、その二つの低気圧がからみ合いまして、三十一日夜になりますと、青森県の東海上のほうに抜けまして、さらに北海道の東海岸を北上して釧路市の沖で最も発達した状態になったわけであります、ちょうど九六〇ミリバール。
 で、これは例年の台風と同じような低気圧でございます。この発達してまいりました低気圧が日本を縦走する、こういうことは実は冬の災害としてはきわめてまれなコースをとったわけでございますし、それにさっき申しましたような二つの別系統の低気圧がたまたま一緒になったというふうな経過もございまして、非常に幅広い災害を受けたわけでありますが、あるいは強風、あるいは大雨、場所によっては大雪、こういうふうな現象を呈したわけであります。特に北海道の東方沖でこれが足踏み状態を続けましたために、北日本を中心にして相当長い時間強風が吹き荒れたわけであります。
 この低気圧によります被害の態様を申し上げますと、いま申しましたように非常に複雑な、またまれなコースをとったり、あるいは二つの低気圧が一緒になったりということで多種多様にわたっておりますが、その結果被害を受けた府県の範囲もきわめて広うございまして、二十余都道府県に分散をいたしております。そうしてその受けた被害の態様もまたその地域によってさまざまでございます。たとえて申しますというと、建物の全半壊、あるいは流失、これは福島県が一番被害が多うございますし、今度はノリ、ワカメその他の水産物、あるいは養殖施設、こういうことになりますと岩手県が多い、次いで宮城県。それから公共土木施設災害ということになりますと北海道が一番多い、それから新潟とか富山とかいうふうに非常に態様にも差がございます。
 で、その概要を総括して申しますと、お手元に差し上げました資料のとおりでございますが、一般被害が死者、行くえ不明者合わして二十六名、これには海難事故も含まれておりますが、それから負傷者が五十名、建物の全半壊、流失が二百二十棟、罹災者が延べ五千百五十八名等となっておるわけでございます。
 次に、施設関係等の被害といたしましては、これはまあいまの段階、各県からの報告を取りまとめた結果でございますが、公共土木施設が百五十一億円、農地等が約二億円、水産物等が七十一億円、養殖施設が二十六億円、漁船が二億円、総計二百七十六億円、大体こういう概数になってございます。
 政府といたしましては、特に被害の多かった道県に対して、建設省のほうから現地査定官を出す、水産庁のほうからも調査のために係官を出す、そしてとりあえずの応急復旧対策に全力を尽くさしてきたのでありますが、さらに各種の災害関係法令等による措置についても取り急ぎ検討中でございます。一刻も早く結論を急ぎたいと思っております。
 なお、この機会でありますので、去年発生いたしました災害、特にいわゆる局地災害に対する激甚法の適用の問題について、一応結果がまとまりましたので、御報告をさせていただきたいと思います。
 四十四年における特定地域にかかる激甚災害の指定、その災害指定に関連して適用すべき措置、これも政令で指定をすることになっておりますが、その政令の制定については関係各省庁において今日まで鋭意作業を進めてまいったのでありますが、ちょうどけさの閣議において決定をし、三月二日付で公布施行をいたす予定にいたしております。
 この政令のおもな内容は次のとおりでございます。激甚災害として指定いたしましたのは、九州地方を襲った六月二十日から七月十四日までの断続した豪雨による災害、これについては鹿児島県の吉田村、福山町、輝北町等三県四町四方村の区域にかかわるものがございます。その後、新潟、富山地方を襲いました七月二十七日から八月十二日までの豪雨、さらに台風第七号による災害でございまして、新潟県の六日町、上川村、それから富山県の上市町等六県一市三町九村の区域にかかわるものがございます。さらにその後、台風第九号による災害で、これは青森県の平内町、鹿児島県の大和村など三県五町二村の区域にかかわるもの等全部で十二災害、これについて一括指定をするわけであります。これらの激甚災害につきましては、御承知のように激甚法の第二章、公共土木施設災害の復旧事業等に関する特別の財政援助、それから第五条の農地等に関する災害復旧事業等にかかる補助の特別措置、それから第六条の農林水産業共同利用施設災害復旧事業費の補助の特例、それから第二十四条の公共土木施設や農地、農業用施設等の小災害にかかわる地方債の元利補給をする、そういうふうな措置が各災害の被害状況に応じてそれぞれ適用すべき措置として規定をいたしておるわけでございます。
 以上、御報告を申し上げます。
#18
○委員長(西村関一君) 次に、気象庁からお願いします。
#19
○政府委員(坂本勁介君) 私どものほうで、今般、昭和四十五年一月低気圧と命名いたしました低気圧につきましての概況とそれから特にきわ立った特徴と考えられる点につきまして御説明申し上げたいと思います。
 かなり詳しく総理府副長官のほうからもお触れになりましたので、ひょっとしてダブるところがあるかもしれませんが、あらかじめ御容赦いただきたいと思います。
 一月の二十八日に、シナの大陸に南北に延びる低気圧ができまして、気圧の谷ができまして、それが毎時四十キロの速さで東進していました。この影響で実は二十九日の午後から沖縄の西方百五十キロの海上に、先ほども副長官がおっしゃいましたように、一、〇一〇ミリバールの低気圧ができ上がりまして、これが急速に異常に発達しながら毎時六十キロのスピードで北東方面に進んでまいりました。三十日の午後三時には足摺岬の沖で一、〇一〇ミリバールをついに割りまして九九六ミリバールということになりました。そして、紀伊半島の西岸に上陸いたしまして、三十一日の三時には静岡のほうに達しまして九七六ミリバール、ぐっと下がりまして台風並みの大きさになったわけでございます。そのころの時点で申し上げますと、陸上で大体最大風速十五メーターから三十メーター、海上で二十メーターから三十メーターの風が吹き荒れまして、それが大雨、大雪を伴いまして、海上では特に中心から千五百キロメーターにも及ぶ広範な範囲が大しけになるという現象を呈しまして、低気圧はいま申しましたように静岡市付近から急に進路を北に変えまして、関東の北部を経まして東北地方の内陸部を、やはり先ほど申しました毎時六十キロのスピードで縦走しながら北上してまいりました。なおそのまま発達しながらついに二月一日の三時には北海道の釧路沖付近で最低気圧九六〇ミリバールという非常に猛烈な低気圧になったわけでございます。この辺が限度で、その後スピードも落し、だんだん衰弱しまして、二月の二日の九時には九七四ミリバール、少しずつ気圧も上がってまいりまして、ようやく峠を越したわけでございます。
 この一月の低気圧の特徴を申し上げますと、紀伊半島に上陸いたしまして以来、近畿、東海、関東、東北という各地方の、日本本土の内部を縦走しますという、冬場の低気圧としてはきわめてまれな経路をたどったことでございます。私どもの統計のほうからまいりますと、十年に一度あるかないかというきわめて珍しい経路をこの低気圧が通ったということが、第一の特徴でございます。
 第二に、先ほども申し上げましたように、非常に急速な発達を遂げまして、特に先ほど申しました、四国の足摺岬沖にありましたときから岩手県の沖に達しました二十四時間までの間に気圧が九九六ミリバールから九六四ミリバールというふうに約、一日に三二ミリバールも下がるという、非常に激しい現象を呈したことでございます。通常、冬季の気圧は、そういった下降現象はせいぜい一〇ミリバールが限度でございます。
 第三番目の特徴といたしましては、強風域が非常に広範な範囲にわたりまして、特に北海道の東方沖で若干この低気圧が停滞いたしましたために、日本全土にわたって長期間にわたり強風が吹きまして、東日本、北日本では激しい暴風雨雪が、また海上では大しけが続いたということが大きな特徴でございます。あまり自慢にはなりませんが、おかげで低気圧の通過しました東北地方、北海道地方では、最低気圧とか最大瞬間風速記録というものが相当の個所で更新されたような結果になっております。
 また、これに伴います雨の特徴といたしましては、御存じのとおり、それまで太平洋岸約五十日間というもの、からからの天気でございましたが、一転いたしまして、月平均の降雨量を上回る雨が一度に降ったということがこの低気圧に伴う降雨の特徴でございます。
 特に三重県あたりでは、あるところでは三時間に百十一ミリという夏並みの雨が降ったという著しい現象がありました。東京でも五十八ミリの雨が降っております。
 大体こういった特徴を伴います一月の低気圧の模様でございます。大体概況と主として特徴と考えられるものを御説明申し上げました。
#20
○委員長(西村関一君) 以上で説明を終わりました。
 これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#21
○鈴木力君 時間がないそうでありますから簡単に伺いますが、なお、私だけが出席要求しておった文部省と建設省関係には、先に簡単に伺わしていただきたいと思います。
 文部省からどなたかお見えになっておりますか。――学校災害については、今度も相当出たようでありますが、この校舎の今度の災害の特徴的なことはどういうことですか。
#22
○説明員(菅野誠君) 文部省の施設部長でございます。この今回の学校災害につきましては、先ほどの総理府からの統計表にもございますように、公立学校施設といたしまして六百七十三校、一億四千三百八十九方三千円というのが県からまいりました被害の報告になっております。そのほかに国立学校、社会教育施設、若干がございますが、いまお尋ねの主として公立学校関係の被害のことかと思いますので、公立学校の被害につきまして特に詳しく申し上げますと、この一月低気圧におきましては、公立学校関係は北海道、宮城、福島、岩手等、十六府県にわたりまして非常に大きな、学校数としては六百七十三校というような非常に大きな数になっております。その被害額が一億四千三百八十九万三千円でございますので、ただ被害の程度から申しますと、一部には非常にひどい部分もあったのでございますが、全体的に申しますと、建物の屋根、外壁の破損等の大破以下の被害がほとんどでございまして、建物の傾斜や半壊状態になったものは若干ございますが、校舎、それから教員住宅、倉庫など九むねばかり六百四十六平米ございますが、全体的に被害の額が上がり、また、校数が上がったということは大破、小破の被害が非常に大きかったという特徴があるように思います。
 なお、これらの被害の措置につきましては、直ちに応急復旧するとともに、復旧計画を立てるように二月十日に全国の都道府県教育委員会の施設主管課長のたまたま会議を開く予定にしており、実際に開いたのでございますが、この際にも指示いたしまして、国庫負担法の適用を受ける被害につきましては、直ちに各県の国庫負担事業計画書が提出され次第、現地調査を行なう予定にいたしております。なお、特に激しかったと申しましょうか、部分的に半壊以上の被害を受けました部分で、半壊の建物に児童生徒を入れておくわけにはまいりませんので、直ちに危険がある部分につきましては、大蔵省の財務部に被害の確認を依頼しまして、その部分の取りこわしを指示したりいたしております。これにつきましては、岩手の山田町の織笠小学校の教員住宅、岩手県立宮古高等学校、これは倉庫でございましたが、この部分については、すでに確認をした上で取りこわすように指示いたしております。なお、青森県の西津軽郡の林小学校につきましては、これは屋内運動場でございますが、大破と報告されておりますが、傾斜しておるという事情もありますので、これは北海道にただいま日高へ調査班が行っておる帰りに立会というまでにはまいりませんが、実情調査をいたしまして、適当な措置を講ずる。かような措置をとっておるのでございます。以上でございます。
#23
○鈴木力君 大体状況はわかったのですが、私が伺いたいのは、私は今度見まして、数字上から見ますと、民家のわりに、小破であろうとも学校の校舎の被害が大きいということなんですよ。これは一体どういうことなのかということなんです。
 文部省としては、たとえば屋根の小破にいたしましても、そういうものの建築についての、災害ということを想定するか、あるいはまあ堅牢な建築ということから、この面の指導がちょっと足りないのじゃないか。これは確たることを言うわけじゃないけれども、最近の文部省の補助が、単価が低いというのが、もっぱら地方自治団体からの苦情のあるところだと思うのです。そうすると、単価が低いということから始まって、どうしても安上がりの校舎ができておる。そうすると、民家と比べて校舎のほうが、小破であろうとも被害の個所が大きくなっていくという傾向があるのではないか。私は、きょう、その辺について文部省がどのように検討をしておるのか、あるいはその辺に問題があるのかないのか、今後の問題等について、それが聞きたかったわけなんです。
#24
○説明員(菅野誠君) 御指摘の点でございますが、まず堅牢、技術の指導の点が第一点になろうかと思います。技術指導の点につきましては、従来ともでもございますが、やはり生徒の生命身体を維持する大事な建物でございますので、これは施設部内に建築指導課もございまして、都道府県の教育委員会の技師あるいは県知事側の技師等の指導をいたしまして、できる限りこの技術の引き上げに、技術指導に努力してまいっておるつもりでもございますが、なおこのような災害のときに、御指摘のように災害が大きくならないような指導を、できるだけまた続けてまいりたいと思っております。
 それから、第二点の補助単価の低いことについての御指摘でございますが、これにつきましては、超過負担等の問題もあり、文部省といたしましては、できるだけこの引き上げにつきましても、大蔵省のほうと協議いたしまして、引き上げに努力してまいっております。今年度の実施単価におきましても、大体一〇%の引き上げを行なっておりますが、まあ実質的な、その物価スライドによる増のほかに、超過負担分も若干加えて見てもらっておりまして、できるだけ、実態に即する単価を行ないまして、堅牢な建物をつくるようにいたしておるわけでございます。
 なお、これと関連するわけでありますが、木造のこの被害を受けるというのは、どうしてもやはり非常に古い木造の建物が多いわけでありますが、このことにつきましても、危険建物の改築をできるだけ指導していくこと、それから、構造といたしまして、やはり災害時などにおきましては、まあこのほかにも台風、地震など非常時におきましては、一般の人々の、何と言いましょうか、避難とか救護の中心になるという施設でもございますので、鉄筋コンクリート造の奨励をいたしまして、ことしの実施におきましても、新規に新しく建てる補助事業等におきましては、九〇%以上鉄筋、鉄骨にするというような指導も行なっておるわけであります。
 御趣旨につきまして、さらに努力いたしたいと考えております。
#25
○鈴木力君 もう一つだけ。これは文部省には、もう要望にとどめますけれども、この災害の面から見ますと、いまのコンクリート校舎に変えていく。そういうこと必要だと思うのですが、もう一つの問題として、老朽校舎の査定がどうも文部省多少機械的に過ぎるのではないかと思われる点があるわけです。市町村あたりでも校舎建築をしたい、永久建築にしたいという希望があっても、現在ある木造の校舎が、しろうとが見れば危険きわまりない校舎であっても、年数とかその他の条件で老朽校舎の指定を受けられないというようなものがあるように聞いておるのです。こういう点についても早急に検討をされまして、できるだけやはり危険度のあると思うものは、安全な永久校舎に建築をさせるような相当強力な御指導をお願いしたいと思う。今度の場合は幸いにして災害が軽微であったけれども、もしももっと大きな台風とかそういう災害があった場合では、相当危険な状況があるように思われますので、これはもう点検をお願い申し上げたい。御要望だけ申し上げて、文部省関係終わらしてもらいます。
 その次に建設省にお伺いしますが、今度の災害で、これは岩手県に起こったことなんでありますが、北上川とそれから千厩川という川があるのですが、あそこの合流点のところの水門が破損いたしまして、いわばワイヤーが切れたというふうに聞いているのですが、このために千厩川のほうが北上川より水かさがおよそ三メートルも高くなった、そしてその流域が浸水を受けて被害を受けた、こういうことがあったということを聞いているのですが、事実であればその中身について御説明いただきたいとこう思います。
#26
○政府委員(坂野重信君) 御指摘のとおりでございまして、北上川に千厩川というのが合流しておりまして、その地点に水門ができております。これは北上川のバックウォーターを防止するためにできた水門でございますが、四十四年の十一月に完成しております。その後本年の一月の二十六日の午後二時ごろでございますが、出水期に備えて水門の門扉の試運転をやっておりましたが、その運転中に急降下装置というのがございまして、それが急に破損いたしまして、その破片が飛散して、操作中の建設省の職員でございますが、一名殉職する事故が起きていることはまことに遺憾でございますが、その門扉が閉鎖したまま下に落ちて運転が不能ということになったわけでございます。その後東北地建の中に事故調査委員会というものを設けまして、事故の究明を急いでやっているところでございます。まあ、こういう事故が起きたのはまことに遺憾でございますので、別途に河川局長通達を都道府県の知事あるいは全国の地方建設局長あてにも直ちに通達を出して、こういった水門の巻き上げ機械の整備点検という問題と運転の操作に万全を期するように通達を出したところでございますが、たまたまその数日後に一月三十日の低気圧による降雨があったわけでございます。事故が発生いたしましたので、事故の原因究明のためにできるだけ門扉等は動かさないで現状のままにしておこうという方針をとったわけでございます。そのためにその門扉に穴をあけまして、不時の出水に備えておったわけでございますが、御承知のとおり、今回の低気圧による降雨というものは東北のこの地方としては最近にない、まあ非常に特異な異常現象といいますか、関係者の予測し得ない出水が起きたために、閉鎖された門扉によりまして河川から流れた水がせき上げられましたので、急拠そこで門扉の穴を増加するというようなことをやったわけでございますけれども、不幸にして二十三時間ばかりにわたって付近一帯が浸水の被害を受けたわけでございます。
 そこで、現地としてはこの出水の予報を地元民に急拠通報いたしまして被害の軽減あるいは水防等につとめたわけでございますが、先ほど申し上げましたように人家に床上浸水三戸、床下浸水九戸というような被害が出たわけでございます。この点まことに残念でございますが、その後水門扉を約二メートル持ち上げてこの災害を防止する措置を講ずるとともに、先ほど申し上げましたように事故の原因を早く究明いたしまして、究明いたした上で、ひとつこの水門の復旧に早く取りかかりたいというようなことで、目下努力しておる段階でございます。
#27
○鈴木力君 時間がないので簡単に伺いますけれども、この殉職された職員の方にはまことにお気の毒なんですし、それから決して建設省の怠慢であったとか、手を抜いたとかという角度で見るべきでないと、私はそう思いますけれども、いまの試運転中の事故なんですが、同じ設計の水門というのは、全国にどれだけいま建設省ではやろうとしておるのですか。
#28
○政府委員(坂野重信君) 既設のものが、大体同程度のものが現在二十カ所ございます。その他にダム等にもまた別途ございますけれども、水門だけについてのこういった装置につきましては同様の種類のものが二十カ所ございまして、新しく計画しておる段階のものは現在のところございません。
#29
○鈴木力君 これはいま原因を探究されているという途中でもありますし、早急にこれらの原因をきわめていただいて、この種の不安を早急に除いてもらいたいと、こう思うのです。
 もう一つの問題として、やっぱりこれは住民感情なんでありますけれども、どうしてもやっぱり床上浸水あるいは床下浸水を受けたのは十一口か十二戸あるはずでございますが、さらに道路決壊も十八カ所ぐらいあるでしょう。そして農地の浸水期間というものも相当長期間続いている。住民感情としては、やはり何となしに人災という感じを持っていると思うのですね。そういう感じを持たせておくということは、どうしても好ましいことじゃないわけなんです。したがって被災者といいますか、災害地に対する手当ては一体こういう場合にはどういう手当てをされておるのか伺いたいと、こう思うのです。
#30
○政府委員(坂野重信君) 私どものこの水害のほうの問題につきましては、先ほど申し上げたように、これは予測し得ざる出水でございましたので、そういった被災個所については、通例の災害復旧等の処置をとることといたしております。その範囲内でできるだけ地元の方々に対して、建設省に対する非難等が起きないように誠意を持って十分尽くしておるつもりでございますが、なおできるだけ私どもの事務的な許す範囲内で、今後努力してまいりたい、このように考えております。
#31
○鈴木力君 これは総理府の副長官に伺ったほうがいいかもしれませんけれども、「予測し得ざる災害でありまして」という御答弁でありますけれども、私も災害対策委員は今度初めてじゃないわけなんですが、大体予測した災害というのはあまりないわけです。予測しない災害があるので、いまみんな頭を痛めておるわけでありますから、ただし出てしまったあとにいろいろ知恵がわくものでありまして、だからそこに知恵が回らなかったからけしからぬというような言い方は、私はするつもりはありません。そして一生懸命やられているからよろしいけれども、この結果に対しては、やはりこの場合には該当者が少ないのでありますけれども、質的に見ると、いろいろな問題を含んでおると思う。だから、これは建設省とかあるいは何省とかいう直接のそういうことというよりも、全体の国の災害の被災者に対する姿勢として何かを出してやるべきだ、こう思うのです。これはまだ具体的にどうということを伺っても無理だと思いますけれども、災害対策本部の副長官の御見解を伺いたいと思うのです。
#32
○政府委員(湊徹郎君) ただいまお話がございましたとおり、予測し得ないというのがむしろ通例かもしれませんが、場合によりますと台風その他台湾坊主等もおおむね例年こういうふうなコースをたどっている、という過去の実績等はございますわけでありますから、ずいぶん荒っぽい形ではありますけれど、ある程度の準備、心がまえ等が立つような種類の災害もございます。それからいまお話がございましたようにきわめて特異な事例に属するような災害というのは、これは実はかねがねいろいろ問題になっておりまして、たとえばひょうが降ったとかあるいは突風が起きたとか、たつまきが起きたとかあるいは高潮がやってきた、こういうふうなものに対しては、何とか通常の適用基準以外に特例を設けようじゃないかというふうなことで、三年くらい前かと記憶いたしますが、そういう特殊災害に対する適用基準を、一般の場合と区別して緩和するような措置をとりましたし、その後また御承知の、局部的に深傷を負ったというものに対して、一定規模以上の国民経済に影響のある大きなものを従来激甚災害という扱いをしておったやつを市町村単位にある程度下ろして、傷の深い場合には局地激甚で拾うというふうなことで、別な適用基準を事実上設けたということで、一歩一歩今日までも前進してまいっておりますし、先ほど話がございました個人災害に対する共済という考え方に立つ新しい制度の検討をしよう、こういうことも御同様でございますし、ただいまの御質問の趣旨を体して、私どももできるだけ被災された方々の立場に立ってひとつ考えていきたいというふうに思っております。
#33
○鈴木力君 この点についてはこれで終わりますが、やはりこの件を見ますと、いま建設省の方がおっしゃったように同じようなものが二十もあって、今日まで何にも事故がなくて運転しておるわけですから、それがたまたま事故が起こったということなんで、これはもうほんとうに予測し得ざる事故だと思うのですけれども、ただその原因は追及してもらわなければいけませんけれども。ただし、被害を受けた住民の方から言いますと、あくまでもこれは人災だという感情があるということなんです。だからいま激甚災の指定をどうこう、そういう基準でこの事件を見たら、これは捨てられるにきまっている。対象にならないわけなんです。それから日本の経済を左右するような被害でないと言われることもあたりまえ、しかし被害を受けたほうでは、あの水門さえ事故がなければ、という感情はあるわけです。そういうことに対する配慮が私は国の政治としては常になされなければいけないと思う。そういう意味では、私はいまの副長官の御答弁ではほんとうは満足しましたとは申し上げかねるのであります。先ほどの個人災害の共済制度の検討等もあわせまして、この種の問題については真剣に取り組んでいただきたい、こうお願い申し上げたいと思います。
 建設省の方にはこれで終わります。
 それからその次は、これも産業関係でありますが、簡単に伺いますけれども、水産庁関係ですか、水産物関係でちょっとお伺いいたしたいのですけれども、今度の水害で、資料にもありますけれども、海岸の養殖関係ですね。これがだいぶん被害が多い。そこでいろいろの手当てがあるわけなんですが、時間がありませんから、私は二つの点についてお伺いをいたしたい。
 それはたとえば岩手県もそうなんでありますけれども、養殖ワカメをやっておる。養殖ワカメにつきましては漁業共済が適用になっていないというふうに聞いておる。同じワカメについて、天然ワカメのほうは適用になっておるけれども、養殖のほうは適用になっていない。そこで今回のような災害を受けた場合に、この養殖漁業者の人たちの生活問題にまできておるわけだし、それからさらに再起のための施設関係をどうするかという問題も、目前の問題できておるわけなんですが、これのなぜその適用をできないようになっておるのか、適用するためにはどういう処置が必要なのか、そういう点についてのお答えをひとついただきたい。
 それからついででありますからノリについてひとつ伺いたい。
 今度のノリもだいぶん被害が大きかったのでありますけれども、漁民の問題といたしますと、ノリの何といいますか、いかだといいますか、そだといいますか、あれが海岸へ押し寄せられてしまって、ほとんどもう使いものにならない。したがって、竹材でありますとか、そういう資材を何らかの方法で早急に確保しないと再起がむずかしいという問題が起こっておるのですが、これはもう関係者は御存じのとおり。これらに対する対策をどうやっていらっしゃるのかを、お伺いいたしたいと思います。
#34
○説明員(平松甲子夫君) お答えいたします。
 養殖ワカメについて漁業共済の対象になっていない理由及び適用するとするならば、どういうふうな手続が必要かという御質問が第一の御質問だったと思いますが、御承知かと思いますが、ワカメの養殖につきましては、非常に産業としても新しいと申しますか、ワカメを養殖するというのは、ごく最近に行なわれるようになった産業でありまして、従来は天然に成育するワカメを採取するということで、ワカメは流通に乗せられておったわけでございますが、その意味からは天然ワカメにつきましては漁獲共済の対象にしておるわけでございます。ところが養殖ワカメにつきましては、漁業災害補償制度をつくります際の対象として取り上げろというお話があったわけでございますけれども、共済制度につきましては、大体やはり被害データがかなり積み重ねられて手元にあるということが一つと、それから損害分担がかなり広範囲にわたって行なわれるということも共済制度が存在し得る、共済制度を適用する基盤になるわけでございますが、いま申し上げましたように、養殖ワカメの産業としての若さという点から、そういう点についてのデータがないということで、制度の発足当時には適用しなかったということでございます。ただ、だんだんワカメの養殖業が盛んになってまいりますにつれて、養殖ワカメを共済制度の対象に取り上げろという要望が強くなってまいりましたので、四十三年、四十四年と養殖ワカメの産業としての実態というもの、あるいはこれに養殖共済制度を適用するという場合にどういう方式でやったらいいかということを調査いたしておるわけでございますが、そういう調査の結果を待ちまして共済設定をするということができますならば、その段階において共済の対象として取り扱っていくということになろうかと思います。
 それからノリのシビについて、資材の確保という第二の御質問でございますが、この点につきましては、私どものほうで目下被害状況について調査中でございまして、もしその点について道府県なり市町村なりからの強い要望がございますならば、それについて適当な対策を立ててまいりたいというふうに考えております。
#35
○鈴木力君 あとのほうから伺いますが、ノリの調査のまとまるのはいつごろですか。
#36
○説明員(平松甲子夫君) 都道府県のほうでも目下精査中でございますし、私どものほうも調査団を出して調査いたしましたので、大体来月の上旬中ぐらいにはまとめ得るのではないかと思っております。
#37
○鈴木力君 この資料によりましても、県からの報告だけはあると思いますが、来月の上旬でありますと、来月の上旬に県からの要請があればそれに対して対策を講ずる、こういうことに伺ってよろしゅうございますね。それはそれであとの養殖ワカメなんですけれども、そういうふうにおっしゃらざるを得ない気持ちはよくわかるのです。そういう仕組みになっておることはわかるのです。しかしわれわれがやっぱり対策を講ずる場合には、仕組みを変えていくということを考えないと、いまの仕組みのままではこうですということを言っておれば、いつまでも同じことを繰り返すわけなんですから、どこに仕組みのまずさがあったのか、現状を打開していくためにどの点の仕組みを変えていかなければいけないのか、それらの点についての御意見といいますか、検討されておったことがあったら伺いたい。
#38
○説明員(平松甲子夫君) いま少し具体的に申しますならば、養殖ワカメにつきましては、最初に申し上げましたように産業として若いということから、養殖方式についてまだはっきり方式として定着をしたものがない、そういう状況でございますから、養殖方式が変わるにつれまして被害の態様が変わってまいるというもので、被害のデータがなかなかつかまらない。それから天然ワカメと養殖ワカメとで――まあ養殖ワカメでございますので、いまの共済制度の中で適用するということになりますと、まあ養殖共済ということになるだろうと思いますけれども、養殖ワカメと天然ワカメとはものによって全然区別がつかないということでございますので、それをどういうふうな形で区別をしていくか、どういう流通形態を持っておるか、どういう状況で収獲高がどういうふうになるかというようなのは把握ができがたいというようなことでございますので、もし適用するといたしましたならば、天然ワカメについて適用いたしております漁獲共済との調整をどうするかというような問題もございまして、そういう点についての研究を四十三年、四十四年と続けてやったということでございます。
#39
○鈴木力君 それで伺いたいのは四十三年、四十四年度の研究をやったと、そのあとの研究をした成果を伺いたいわけです。
#40
○説明員(平松甲子夫君) 四十三年には、ワカメの養殖は一体どういうふうな形のものであるかということを、学者の方に調査をお願いしたわけでございますが、四十四年にはどういう方式を適用することが一番いいであろうかということを研究をお願いしておるわけでございまして、これはまだまとまっておりませんので、その結果をいただきまして、そのあとで、四十五年には引き続きまして、その方式の中でどういう方式をとった場合にどういう被害率が発生するだろうか、そういう被害率について研究をしたいというふうに考えておるわけでございます。
#41
○鈴木力君 恐縮なんですけれども、そうすると、いまの養殖ワカメをやっておる漁民というのは全国でどれくらいあるんですか。それから養殖ワカメの産額は年間全国でどれくらいになっておりますか。
#42
○説明員(平松甲子夫君) 養殖ワカメの戸数についてはちょっとデータを持ち合わせておりませんけれども、養殖ワカメの生産量について申し上げますと七万六千トンばかりございますし、金額にいたしまして、四十三年の数字でございますが、三十二億ばかりになっております。
#43
○鈴木力君 時間がないそうですから。いま養殖ワカメというのは一つの日本の重要産業として私どもは見るべきときにきておると思うんですね。それが新しい産業、若い産業ということで、いまの共済制度がいつまでも確立をしない。そうすると災害は毎年くる。先ほどの副長官のお話にもありましたけれども、台風であるとか、低気圧でありますとか、およそ予測できる被害も相当あるわけです。そのたびに、何年も何年も研究されておるということについて、どうも私はほんとうは納得できないんです。被害のどれだけのデータができるかというんで、もう少し被害が出るのを待っていますというふうに聞こえると、これはまたぐあいの悪い話なんでして、やっぱりこういう新しい一つの仕組みといいますか、産業を興すという場合に、もうそういう危険のあるものについてはその時点で災害に対してどうかという指導がほんとうは加えらるべきではないかと、こういうふうに思うんでして、そういう点についてはやっぱり私はもっと真剣に取り組んでいただきたい。そうすると、いまのような現状で共済にはまだ入っていないわけです。しかし、私どもはやっぱりこういう被害があったという事実に対しては、何らかの形で救済ということが必要だと思う。いまは漁業共済にも入っていない、この養殖ワカメの被害に対して、どういう救済の措置を講じようとなさっていらっしゃるのか伺いたいと思う。
#44
○説明員(平松甲子夫君) 共済制度の適用につきましては、私どもといたしましては、共済の仕組みといたしまして事柄自身が共同救済といいますか、自分たちの共同組織によって救済していくというたてまえでございまして、この共済制度を実施することによってほかの養殖共済をやっておる者に不測の損害を与えるということでは――ほかの共済の対象になっておる方に迷惑がかかるというふうな制度の仕組みを考えることはなかなかむずかしいという観点から、いままで調査をいたしておったわけでございますが、今回こういう被害が出てまいったわけでございますので、私どもといたしましては、できるだけ前向きの姿勢で検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから今回の養殖ワカメの養殖業者についてどういう対策を考えておるかという御質問でございますが、この点につきましては目下被害の調査中でございまして、その被害の調査結果を待って決定することになりましょうが、激甚災害の適用があるということになりますと、養殖ワカメの養殖施設につきましては補助の対象として取り上げるということになっておりますので、その調査結果によってそういうふうな措置がとられるようになるんじゃないかというふうに考えております。それから融資のほうでも天災融資法の発動があるということになれば、所要資金について融資が受けられるというふうなことになろうかと思います。
#45
○鈴木力君 あと災害対策本部の副長官に伺います。
 今度の全体の問題につきまして、いま各省から伺いましても、およそ調査中ということになっておる。調査中というけれども、府県からの出てきておる数字はいまもらった資料ではっきりしているわけでありますから、この資料によって、もしこの資料とおりであれば――これは私どもは詳しいことはわからないけれども、どうも激甚災の適用が可能な数字になっておるように思うけれども、それはいま可能かどうかということは伺いませんが、全体の査定はいつごろまでで完了し、判断はいつごろ下すような手配になっておるのか伺いたいと思います。
#46
○政府委員(湊徹郎君) ただいまお話がございました激甚ないし天災融資発動の問題でございますが、これについては、御承知のように同じ激甚適用の場合でもそれぞれ各条項に応じて、公共土木施設あるいは農地の場合、農業用施設の場合あるいはただいま話がございましたノリその他の養殖施設の場合、それぞれ適用の条項が違いますし、被害の実態も違うものですから、いままでの前例からいたしますと、おおむね一カ月ないし一カ月半くらい事実問題として適用に必要な数字を固めますには時間がかかっておるようなことでございますが、私のほうとしても、できれば一刻も早くというので、おおむね三月上旬には判定を下し得るような形に持っていきたいというので、いまも全力をあげておるところでございます。
#47
○鈴木力君 最後に一言だけ。これはもうお願い申し上げておきますけれども、先ほどの副長官の状況報告にもありましたように、相当やっぱり被害は広範囲にわたっており、多岐である。したがって、この被害者からいいましても、まあ生活問題が相当かかっておる。そういう状況でありますから、いまの計画で、できるだけやっぱりこれを早めていただいて判定をしてもらいたいということが一つです。と同時に、前にも前例があったことなんでありますが、その気で取り組んでいただきますと、準ずる措置ということで事実上は適用したというふうに持っていった例もあるわけです。そういう形で、どこまでも被災者を救うという立場で努力をしてもらいたいということです。これは御要望申し上げます。これで終わります。
#48
○増田盛君 前の鈴木委員の御質問もありましたので、私は要点だけ簡単に、しかも御質問申し上げる事項は、総理府、水産庁の二つにできるだけ限りまして申し上げたいと思います。
 一番の焦点は、既存の災害に対するいろいろな復旧その他の措置があります中で、やはり激甚災の法律がどのような形でいつ発動されるのかという点でありますが、これは副長官の御説明の中で大体推定できるのでございますが、その際にぜひとも御考慮いただきたいのは沿岸漁民の立場でございます。つまり、沿岸漁民の中でも、今回の被害は養殖施設、養殖物が対象でございます。すぐに農業に比肩できるものでございまして、いわば作物的なものでございます。農業の場合には、御存じのとおり、たいへん各般の措置、しかも手厚い措置が講ぜられておるのでございますが、すぐ隣の水産関係の場合には、これが手薄なように考えられますし、しかも中には全然欠如しておる、こういうものもあるわけです。単に漁民が困るというだけじゃなしに、政策的な段階でちぐはぐがあるのじゃないか、かように考えられるわけであります。たとえば養殖の中でも、ただいまの質疑応答の中にありますように、ノリとかカキの場合にはある程度共済というものがありまして、これの対象に当たる施設に関しても、それぞれ既存の法律によりまして救済手段がとられるわけでございますが、ワカメの場合には、施設に関しましては同様の措置がありましても、水産物に関しましては、何らの措置がとられておらない。今回の災害の特徴の一つは、施設の被害が金額的に見ますときわめてウエートが軽くて、生産物、水産物の被害が圧倒的に多いということでございます。圧倒的に多い被害の中でも、しかもワカメのようなきわめて微細なものでありましても、ただいまの被害金額はやはり数十億円にのぼるという形でございます。これが全部水産者のところの負担にしわ寄せ、犠牲のしわ寄せになるということでございます。災害対策は万全だと政府のほうで機会あるごとに話しておりますけれども、私は、政策といたしましてきわめてちぐはぐであり、しかも沿岸漁民のきわめて大事な作物、しかも非常に特定の地域に集中している、逆に言いますとその地域の沿岸漁民というものは、それが主力の産業であります。そういうワカメ漁業の水産物に関しましては何らの措置がとられておらない。明らかに不均衡であります。そういう点で水産庁のほうに現在おやりになっております養殖ワカメの救済措置に対して、まあ非常にむずかしいことがあるでしょう、あるでしょうが、全般の政策の穴を埋めるという形から早急に結論を出してほしい。
 天然ワカメ、養殖ワカメの問題に関連いたしまして、共済の技術上むずかしい点は私もかねがね承っておりますが、この際非常に貴重な経験でございますから、ぜひとも早急にこれを実行してほしい。やはりこういう機会にむずかしいやつを押し通すと、それだけの努力をすることがしかるべきであると、かように思うわけであります。御存じのとおり、ワカメの全国の生産量の中で岩手県と宮城県で生産額の九割、養殖ワカメの九割を占めているわけでございます。私は先般この海岸をつぶさに歩いたわけでございますが、文字どおり路頭に迷うだろうということが予想されるわけであります。したがって、ワカメ共済の早急なる実行というものは今後の検討の課題でございますけれども、この間の災害にはそのままでは役に立たぬわけであります。したがってこれをどうされるか、前の質問にもございましたけれども、もう少し幅広く考えていただきたい。
 そこで、ひとつそのお答えに関連しまして、いままでこういう沿岸漁民の災害に対して救農土木的な――海の漁師がおかへあがるわけでありますから、うまくいくかどうか問題がございますけれども、御存じのとおり、あの付近は三陸沿岸を中心にしまして、国道その他の土木工事が急速に行なわれております。こういう土木工事に対してしばらく労賃かせぎということで救農、救農ではございませんな、これは救漁土木でございますか、そういうことが一体考えられるかどうか。これは地元の県知事がきわめて深い関係にあるわけでありますが、しかし、たとえば国道ということになりますと、国のほうであっせんをしなければいけないと思います。そういう点もひとつお考えかどうか、こういう点をひとつ。
 それから、それに関連しまして、先ほど、これはワカメでございませんけれども、ノリのほうの竹資材でございますが、これも非常に急ぐわけでございます。ワカメはこれから収穫期というところをやられたのでありますが、ノリはある程度収穫いたしましたけれども、あの程度のものでは再生産に役に立たない。竹資材に関しましては、たとえば岩手、宮城の被害漁民からいいますと、国有林の竹をもらいたい、しかも価格を少し何とか安く願えんか、こういう要望があったのでありますが、いままでそういう例があったのかどうか。国有林といいましても、民有林にもあるのだろうと思うのですが、竹を安く払い下げるという方法があるのかどうか、きわめてこまかい問題でございますけれども、復旧措置という場合におきましては、どうしてもこういう復旧の資材の問題が先になるわけであります。こういう点に関しましてもお答え願いたいと思います。
#49
○説明員(平松甲子夫君) お答えいたします。御質問三点あったと思いますが、順を追ってお答えいたしますが、ワカメの養殖共済につきましては、先ほど鈴木先生から御質問がございましたときお答え申し上げたようなことでございますが、私どもといたしましては、共済の仕組みということから、慎重に対処してまいったわけでございますけれども、今回の災害を機といたしまして、今回の災害にはいずれにいたしましても法律の規則もございませんし、予算上の措置もございませんので適用ができないわけでございますが、今後の問題としては、できるだけ早急に結論を得るように努力をいたしたいというふうに考えております。
 それから次に休漁土木でございますが、この点につきましては、私どもいま被害の調査を鋭意取りまとめ中でございまして、その調査というのは、ただ単に金額ということじゃなしに、そういう点について市町村なり県なりがどういうようなお気持ちをお持ちであるか、どのような対策をお持ちであるかということも含めて考えておるわけでございまして、その地元の要望等を勘案いたしまして可能な限りにおいての方法は講ずる必要があろう、かように考えておりますけれども、何ぶん目下調査中でございますので調査の結果を待って対応するようにいたしたいと思っております。
 それから竹資材の件でございますけれども、この件につきましては、やはり現地、地先のほうにそういう要望があるかどうかということで、要望がございますならば、私どもといたしましては、国有林につきましては同じ農林省の中でございますから、入手についてできるだけの方法を講じてまいりたい。安く払い下げる方法があるかどうかということでございますけれども、その点について私どもまだ特別に安くという形のことが可能であるかどうかということについて研究不十分でございますので、その点についてはいずれ機会を見て御答弁いたすことにいたしたいと思っております。
#50
○増田盛君 それではもう一つ、ただいまの問題に関連するわけでありますが、たとえば沿岸漁民が、特にワカメを主体にしてつくっておるところは、おそらく次年度の生産時期までたいへん生活が困窮するだろうと思います。ところが、災害復旧という場合には、大体施設を中心にして見て、被災者の生活まで太い線でがちっと受けとめるという、そういう行政というものが数少なかっただろうと思うのでありますが、それに関連して、たとえば三陸の場合におきましては類似の災害を受けた、御存じのとおり、四十三年は十勝沖地震の災害であります。これで金を借りております。それからこれは岩手県の沿岸に見られるわけでありますが、昨年集中豪雨の被害を受けまして、それで借金をしておる、これからまた施設の復旧に借金をするということでありますが、必要なら旧債の後払い、モラトリアムとは申し上げませんけれども、古い借金のほうはちょっと待ってもらう、どっちを待ってもらったほうがいいのか知りませんが、古いほうをちょっと待ってもらって新しいほうの借金をやる、こういう仕組みもできるだろうと思うのでありますが、そういうことを最近おやりになった例がありますかどうか、同一漁村で毎年災害を受けて、施設復旧するとまたやられるという形で毎年払う支払いというものがダブってくる、これは払えないわけでありますから、どうしても前のほうを少し待ってもらう、たな上げしてもらう、何かそういう措置をおとりになった例があるのかどうか、御存じの方、水産庁だけでも……。総理府、どこかそういう例をおとりになりました例がありましたならお答え願います。
#51
○説明員(渡辺文雄君) お答えいたします。一般的に生産者の被災の中に三つぐらいあろうかと思いますが、ただいま先生御指摘のように、過去において災害を受けまして天災資金を借りておるという場合におきまして、重複してまた災害を受けたというような場合には、過年度の天災資金の当該年度の返済分に見合うものをさらに貸し増しをするという形、実質的にはそれだけ延期になるということだろうと思います。そういうことを考慮いたしまして、重複の災害を受けた場合には、一般的のワクのほかに五万円の貸し増しをするというような措置が、天災法の場合にはございます。それからもう一つの態様としまして、公庫資金を借りておるというような場合におきましては、公庫独自の判断で、その過去の資金の返済が今回の災害で非常に困難であるという場合には、適宜条件を緩和して、償還期限の延長ということの措置を講じております。それ以外に、漁協あるいは農協等の金を借りておる場合におきましては、それぞれの漁協なり農協の判断で、そういう組合員の実態に応じましての措置がそれぞれ適切に行なわれておるのではないかという、これは推定でございますが、大体そのような形になっておると思います。
#52
○増田盛君 それじゃ湊副長官にお聞きいたしたいと思います。御決意といいますか、先ほどから激甚災の適用、おそらくこれは被害の度合いにも応じまして、ある程度、県が選択されるものではないかとも思いますけれども、一応各府県の報告によりますと、この条件がほぼ出そろっておるのじゃないか、まあ大体該当するのじゃないかというふうにも考えられるわけでありますが、先ほどの御質問なりお答えの中にも、たとえばそれに準ずる措置をとられるなどの前例も過去にはあったわけであります。この問題に関しまして調査が完了しますまではたいへん時間がかかるのでありますが、これはひとつ、ただ客観的な調査ということももちろん重要でございます。しかし、こういう災害の全体を統裁される総理府のお立場、しかも湊副長官は東北地方におきます零細漁民の実態というものをよく御存じのはずであります。これだけの周囲の状況の中で、これだけの集中的な災害があったわけでありまして、私はおそらく善意に御解釈されまして施策を進めていただけるものと思うわけでありますが、ただ一つにしぼりまして激甚災の適用、ぜひ激甚災の適用が実現されますように努力してもらいたい。結果を待ちますというだけでは、私ども満足できないわけでありまして、ひとつ、決意といってもなんでございますが、あなたの率直な御解釈であります。そうしてまた、この現在の事に臨む心持ち、そういうものを決意といたしまして私がお伺いするわけでございます。三月までは待ちます。待てと言われれば待たざるを得ないだろうと思いますが、ただいまの御心境をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#53
○政府委員(湊徹郎君) 先ほども鈴木委員の御質問に申し上げましたように、できるだけ前進守備をしいて被害者の立場に立って、拾えるものは極力拾うように努力したいという気持ちに変わりはございません。ただ一つ問題は、水産業の、特にノリ、ワカメ等の養殖施設に対していわゆる激甚法が適用されたという前例は、前にもあとにも十勝地震のときただ一つだけなんでございます。それだけに前例によらずにというのでありますが、前の場合は地震でございますし、今度のは低気圧による強風ないし大雨被害、態様も違っておりますけれども、ただいま話がございましたような点、いわばいまのような災害による被害の適用の前例というものは実はないわけでございますから、できるだけひとつ前向きで適用できるように努力していきたいというふうに考えております。
#54
○増田盛君 ワカメの問題に関しましては、いずれまたあらためまして質問いたしたい。特におそらく当院におきます農林水産委員会の災害補償制度全般とも関連があるだろうと思いますので、その機会に譲りたいと思います。それじゃ、私はこれで終わります。
#55
○塩出啓典君 それでは、十二時が近くなりましたので、できるだけ早くやりたいと思います。
 まず、気象庁にお聞きしたいと思うんですが、今回の台湾坊主におきまして、小名浜港ですね、あそこで空光丸が、船長が陸に上がっている留守に、強風のためにいかりが切れて、そして岸壁にぶつかった、そういう点を考えて、非常に気象の予報というのが当たらなかったのじゃないか。ちゃんとそういう風が前もって来るということがわかっていれば、船長が陸に上がることもないと思うんですけれどもね。そういう点で、前後の気象予報が正確ではなかったんじゃないか、そのように考えておるわけなんです。その点はどうなんですか。
#56
○政府委員(坂本勁介君) 天気予報が当たったか当たらないか、これは非常にいろんな見方がありまして、まことに微妙なものなのでございますが、私どもで考えております限り、今般小名浜付近の天気に関します三十日及び三十一日の福島地方気象台並びに小名浜測候所で出しました予警報につきましては、大体正鵠を得ておる。言いかえますならば、当たっておると考えておりますが、なお詳しくは私専門家ではございませんので、ここに大野主任予報官を連れてまいっておりますので、もう少し詳しくその間の事情を御説明申し上げたいと思います。
#57
○説明員(大野義輝君) 少しこまかく申し上げます。今回の四十五年一月低気圧に対しましては、気象庁本庁でございますが、一月三十日の午後二時五十分でございますか、情報の一号を発表いたしまして、次いで二号をその晩の二十二時ちょうどに発表いたしました。その後本州を北上中の低気圧に対しまして、三十一日に、朝五時十分でございますが、第三号の情報を発表いたしました。次いで四号を午前八時三十分、五号を、北海道付近にまいりましたころでございますが、午後三時二十分に情報を発表いたしました。そして一般の警戒を促したわけでございます。
 それから次に、福島県のとった処置でございますが、これは……
#58
○塩出啓典君 簡単にでいいですよ。
#59
○説明員(大野義輝君) はい。福島県のとった処置でございますが、大雨強風波浪注意報というものを三十日の十六時五十分、午後四時五十分に発表いたしました。それから三十一日、一番荒れてるときでございますが、午前五時四十分に暴風雨波浪警報を発表いたしました。次いで三十一日の午後四時二十五分に警報を注意報に切りかえておりまして、大体最盛期のところで暴風雨波浪警報というものを出しておりますが、空光丸が沈没した時点では大雨強風波浪注意報を出している段階でございます。
 それから、小名浜のほうでございますが、こちらは、まず予報でございますが、三十日、前日の十八時の発表を調べて見ますと、あすは北東の風がやや強く、初め曇りで、雨が残るが、後晴れるというふうな予報でございまして、実際の天気を見ておりますと、三十日から雨が続きまして、雨のやんだのが午前八時でございます。そして風が、結果でございますが、最も強いというのが午前二時の観測でございまして一五・七メートル、それからその後十三メートル、十二メートルあるいは十四メートルというような風が続きまして、その日の十時過ぎから風がだんだんやんでまいりまして十メートル以下に落ちた、こういうことでございます。それから気圧を見ますと、気圧は午前十一時の観測によりますと一番気圧が下がっておりまして、これは低気圧がすでに北上しておりますけれどもさらに発達しておりますので、おそらく時間がずれて十一時ごろになってしまったんだろう、こういうふうに考えております。
 以上が本庁、福島地方気象台の発表した経過でございます。
#60
○塩出啓典君 いまの気象庁のお話で、大体予報が正確であった。そういうことになりますと、これは船の処置のとり方がよくなかったとか、そういうことになるわけでございますが、それはそれでいいと思います。それに関連いたしまして気象庁にお聞きしておきたいことは、昨年大阪をいわゆる毎時観測を三時間おきの観測にした。今度は東京近辺をそういうふうに持っていく。で、いまさっきの次長のお話によりますと、非常に最近は台風にしても低気圧にしても、あまり十年に一度しか通らないような所に来てみたり、非常に狂った台風が多い、そういうことを強調されるように思うわけですけれども、そういうように、いままでのわれわれの予測のつかないような事態があればあるほど、なおさら気象業務というものをもっともっと充実させていかなければならない、それが時代の流れだと思うんですね。ところがだんだん、定員に縛られるからといって毎時観測も三時間おきにする、しかも気象庁の予算も毎年はなはだ伸びが少ない。もう一割にも――大体普通の予算の伸びの半分しか伸びてないようなそういうような状態で、これは非常に日本の将来を考えてよくないのではないかと思うんですがね。そういう点で、ひとつ気象庁としてはだいじょうぶなのかどうか。もう少し気象庁は政府側でなくて、やっぱり大衆の味方になってもっと予算をふやす、何か政府の代弁者みたいになるのでなくて、もっと強力に押したらいいのではないかとぼくは思うんですがね、その点どうですか。
#61
○政府委員(坂本勁介君) 非常にごもっともな御意見でございまして、私ども災対で衆議院のほうの決議の関係もございますし、その線にのっとりまして、予算の獲得あるいは定員確保等毎年々々十全の努力を尽くしている所存でございます。ただ、いま申されました毎時観測のことでございますけれども、これは正確に申し上げますと毎時通報観測と申し上げたほうが御理解いただけるかと思いますが、毎時観測して、その観測の結果を一時間おきに、要するに一日二十四回本庁なら本庁に通知してもらう。本庁がそれを天気図に記入したり、あるいはそれを傾向値として把握して、全体の天気を見ていく上での参考にするということでございます。大体官署によりまして二十四回観測あるいは十二回観測あるいは八回観測というようにいろいろ気象官署がございますが、それはすべて通報回数を語っているものだと御了解いただきたいと思います。観測それ自体としましては、気象庁といたしましてはそこに観測員が常時配備されております限り、常時監視体制におりますことは申し上げるまでもないことでございまして、たとえば大阪の場合に二十四回観測を八回に減らしましたというのは、字面の上からは何か業務を三分の一まで切り下げて、ちょん切ったような感じを与えて、非常に私どもとしてはまずい言い方になるわけなのでございますが、実は、通報回数を三分の一に減らしたということだけでございまして、だけというのも実はたいへんなことかもしれませんが、だけでございまして、常にそのお天気を観測し続けるということの体制には変わりがないわけでございます。この観測回数を二十四回観測でやっておりますのは、全国で二十数カ所でございますけれども、だんだん電子計算機等による数値予報の技術も発達してまいりましたし、気象衛星からのいろいろなデータの入手も可能になってまいりましたし、というようなことで、全般的に見直しました場合に、ある程度三十四回観測地点というものを整理して十二回ないし八回というように観測回数はその程度減らしても、全般的に申し上げて精度は何ら下がらないというふうな自信のある個所だけを実は選んで、定員削減と関係ないとは申し上げませんけれども、そういう観点で国民へのサービスあるいは現地へのサービスの低下を来たさない範囲内での実施に踏み切ったわけでございます。
#62
○塩出啓典君 この問題はあまり時間がございませんのでこれぐらいにします。
 それで中央防災会議の主管庁である総理府ももう少し気象庁の予算の獲得においては、もっと真剣になってもらいたいと思うのです。やはり人員削減も、これはまあ一つの時代の流れであるならば、これはしかたがないとしても、やはりそれをどんどん自動化していく、機械化していかなければならない。今回も気象庁からいろいろ予算を出しているのをばさっと削られて、かなり三カ年計画――三年でやろうと思ったのがだいぶ延ばされているわけです。気象庁はそういう点で非常に圧力が弱いのではないかと思うのです。そういうのを総理府あたりがもっともっとやはりカバーしていくのが当然のつとめではないかと思うのです。いままでの総理府の中央防災会議としても、あまりそういう予算獲得の場合でも、国自体を災害から守るという点において、大衆の立場に立って、もっと今後とも力を入れていただきたい。そのことをお願いしておきます。これは答弁は要りません。
 それから次に、この運輸省の船舶局のほうにお聞きしたいと思うのでございますが、いまさっき小名浜港の空光丸の沈没の件に関しまして、気象の予報はちゃんとしておった、そういういま気象庁のお話でございます。ところが、台風が来たとき船長が陸に上がっていなかった。しかも、まあ風も二十四メートルぐらいの大した風ではないと思うわけですが、非常に船が流されていかりが切れて、そうして防波堤にぶつかって沈没をした、そういうようなことを聞きまして、非常に船のとった処置がよくなかったのではないか。それともう一つは、いかりが新聞には切れたと書いてありますが、二十五メートルぐらいの風でやはりいかりが切れるのか。切れるとすれば、そういう船の構造の上に欠陥があったのではないか、そのようにわれわれしろうとは考えるわけですが、まあその船の処置の問題ですね。それから船の鎖というか、構造の問題、それについて御説明願いたいと思います。
#63
○説明員(高田健君) 船舶局として申し上げますが、船の措置につきましては、船舶局のほうからお答え願うようにお願いしたいと思うのです。いかりのほうのことについて申し上げますが、現在船のいかりは――大体いかり及びその鎖は風速三十メートルぐらいまでは耐えられるという計算で、それに対して四倍ほどの安全率をとったものがいま船には用いられております。実は、空光丸のいかりが切れたかどうかということにつきましては、調査をしてもらいましたけれども、気がついたときには、すでに船が移動しておって防波堤に接触をしておるということで、その後の船の状態から見ますと、切れたのかあるいはいかりが走った――走錨と申しますけれども、引きずってしまったのか、その辺がはっきりわかっておりません。普通鋼船でございますと、ただ、いかりをほうり込んで放置しておるということでは、完全にその船をその場に係留しておくことはむずかしゅうございます。先ほどお話のございました風速二十五メートルぐらいで切れたのだとすれば問題でございますが、その辺がいまのところはどうもはっきりいたしておりません。
#64
○塩出啓典君 調査中ですね。
#65
○説明員(高田健君) はい。ただ、船がばらばらになっておりまして、調べましても実際そのときに切れたのか、あとで切れたのか、そこらのところは、どうも決定いたしかねるのではないかと思っております。
#66
○塩出啓典君 わかりました。船員局のほう……。
#67
○説明員(石原明君) 当時船長がとりました措置につきましては、海上保安庁で主として調べておられまして、私どもといたしましても現在まだ調査中でございますが、いままでわかりました範囲で、概略御説明申し上げます。
 船長は、こういうような気象の状況についてどの程度知っておったかという点でございますけれども、大体天候が悪くなりつつあるということはおおむね知っておったようでございますけれども、こういう急速な気象の変化が起きるということについては必ずしも予見しておらないようでございまして、船長は代理店とバースとか荷役の関係につきまして、打ち合わせをするために午後の七時半ごろに上陸いたしておりますが、そのときには、そういったような判断のようでございまして、したがいまして、上陸時には一般的に大きな波が来たりするようなことも予想されましたので、いかりをそれまで四節といいますけれども、一節二十五メートルですが、百メートルぐらいの長さにしておりましたが、それを七節程度に延ばすというようなことを命じまして、大体もしそういうような荒天があれば、ある程度のそういったことは対処できるようにというような判断をいたしまして、そういうような考えから、いかりを延ばすことを命じまして、あとは一等航海士に頼んで、それで上陸したというふうに聞いております。それ以上のことにつきましては目下調査中で、詳しいことについては、さらに海上保安庁のほうで御承知のことかと思いますけれども、私どもその程度しか承知いたしておりません。
#68
○塩出啓典君 わかりました。まだよくわからないようでございますので、あと早急にひとつそういう点を検討していただきたいと思います。
 それで、船がそういう台風あるいはまたそういう速い風にあうことはよくあると思うのですけれども、そういうときにはやはり船としてどういうように対処すべきか。これはやはり当然船としてもそういう基準ができていると思うのですね。災害対策基本法には、防災業務計画、そういうものをちゃんと各省庁もつくって、それを徹底しなければならない、そういうことがちゃんと書かれているわけでございますが、ところが、運輸省は災害業務計画がまだ出ていないわけですね。これはもう数年前に行政管理庁からも勧告を受けたわけでありますが、それでもまだ出ていない。聞いてみますと、できているけれども、まだ公表していないらしいのでありますけれども、やはり調べてみますと、これは運輸省だけでなくて、ほかにも基本法で定められている業務計画を出していないところがあるわけですけれども、これは中央防災会議の管轄である総理府としてはこれは非常に怠慢だと思うのですね。一体こういう問題はちゃんと出すべきものは出して、法律で定められたことをちゃんとやっていかなければならないと思いますけれども、上がそういうことだからやはり下のほうの人は、船自体においても台風のときにどういう手順をとるか、そういうふうなこともなかなか徹底しない、そういうことになるのじゃないかと思いますけれども、そういう点は総理府は、一体どう考えておりますか。
#69
○説明員(川上幸郎君) お答えいたします。
 先生から御指摘いただきました防災業務計画でございますが、おっしゃいますとおり、運輸省においては現在のところできておりません。なお、これにつきましては、運輸省におきましては、ここにちょっと、業務計画の骨子がございますが、準備はいたしておりまして、ここ数日お話ししてございますが、可及的すみやかに作成いたしたいと、このように申しております。なお、先生御指摘ございました他官庁につきましても、鋭意話し合いを進めておりまして、直ちに作成をはかっていきたいと、このように考えております。
#70
○塩出啓典君 まあ、その点ひとつ、すみやかに各省庁に指示をしてお願いしたいと思います。で、この船員局においても、船が、風が吹いてきた場合には、船のエンジンを動かして、それで、風上のほうに向けて船を動かす、そういうのが一つの、風が強風に向かったときの船の当然の処置だと、そのように聞いておるわけでありますが、そういう処置がとられてなかったわけですね。当時同じ港におったソ連の船は、いかりが切れたか、走錨したか知りませんけれども、そのときにすぐエンジンを動かして無事退避できたわけですね。そういう点で、空光丸は船長がいなくても、一等航海士のもとに当然の処置をとるべきじゃなかったか、それがとれなかったというのは、どっか船員の人たちに対する訓練といいますかね、そういう点に非常に落ち度があったんじゃないか、そういう点を思うわけなんですがね。そういう点はどうなんですか。
#71
○説明員(石原明君) ただいま御指摘のございましたそういう処置につきましては、これは操船上の最も大事なことでございまして、御承知のように私どもは、そういう船舶の運航に関係する者につきましては、国家試験をやっておるわけでございます。その試験を行なうにいたしましても、そういう荒天の準備とか、あるいは荒天の場合のそういう対処のしかたというものにつきましては、最も重点を置きまして試験をやっておるところでございます。したがいまして、一等航海士というのは、相当資格の高い人であります。そういった人が船長のかわりにつとめております以上、そういったことについての技術的な判断、そういった心がまえ、そういったものは十分であったろうと思いますけれども、まだ、調査中で詳しいことはわかりませんけれども、ただ、気象につきまして十分な把握がされておったかどうか、そういった点の把握の甘さが、そういう対処のしかたに対するおくれをとったというようなことじゃなかろうかということを推察しておるわけでございますが、この点につきましては、今後もいろいろ調査をしたいと思います。
#72
○塩出啓典君 ひとつ、調査中ではお話にならないので、早く調査してくださいよ。日にちもだいぶたってるわけですからね。そういう一つの事柄に対して、そこでいろいろ問題点があれば、それをやはりほかのところにも注意していかなきゃならないし、そういう点で、一つの事柄であっても、原因の究明というのは大事だと思うのですよ。そういう点で、ひとつすみやかにやっていただきたい、こうお願いします。
 それから、次に、今回のこの船の沈没に関しまして、日本海員組合が、これは港湾局にお聞きしたいんでありますが、港の、非常に安全性が無視されて、これは小名浜港以外にも、そういう安全性の無視された港が非常に多い、そういうことを言ってきておるわけでありますが、最近こういう海難事故の多い点から考えて、現状はどうなのか、海員組合の連中の言ってるように、安全性がほんとに無視されておるとするならば、これは、やはり問題だと思うのでありますが、その点港湾局にお聞きしたいと思います。
#73
○説明員(大久保喜市君) お答え申し上げます。
 港湾の整備につきましては、港湾の施設そのものが、非常に長期に施設が残るものでございますので、その整備の計画は長期的な見通しに立って計画を立てなければならないわけでございます。そういうことからいうと、港湾法の定めるところによりまして、港湾の計画そのものは、港湾管理者がまず立てるということになっておりますが、重要港湾以上につきましては、港湾管理者の計画を港湾審議会、運輸大臣の諮問機関でございますが、港湾審議会にはかりまして、港湾管理者の立てました計画をチェックするようにしております。それでこの小名浜港はいま申しました重要港湾の一つでございます。そういうようなことから、当然、この審議会の港湾計画のチェックを受けておるわけでございますが、港湾管理者といたしましても、この港の計画を立てる上におきまして、当然港の安全な利用がはかられるように計画されるべきものであり、またそうやっておるはずでございます。それで港湾審議会におきまして、この計画を審議するにあたりましても、港湾の建設技術だけではなくて、港湾の利用上、海難防止の見地からの学識経験者あるいは日本船長協会とか、そういういろいろな各方面の学識経験者の委員の方も交えまして、慎重に港湾の計画を検討しておるわけでございます。それで、たまたま小名浜港のことにつきまして、先般の事故に関連いたしまして、港湾に不備な点があるのではないか、安全性も無視されておるのではないかという御指摘をいただいたわけでございますが、小名浜港は、昭和二十九年ころまでは、大型船のバースが、岸壁が二バースくらいしかございませんでしたが、それ以降小名浜周辺の地域が非常に工業開発が進んでまいりまして、その見通しのもとに、岸壁をふやさなければならないということになりまして、国の直轄工事においては、西防波堤の延長を計画いたし、それを鋭意進めてまいったわけでございます。それで、この過程におきまして、たまたま常磐郡山地区という新産業都市の指定も受けまして、そういった事態に対応した、それにふさわしい港湾計画を立てるということで、港湾管理者が立てた計画を、昭和三十八年度に港湾審議会にかけまして、その計画の線に沿って整備が進められております。それで小名浜港は、あそこの地理的条件――地形的な条件からいいますというと、東南東からの波及び南々東からの波に対して、非常に弱点を持っておるわけでございます。それで岸壁の整備のためには、いま申しました方向からの波を十分防げるように、防波堤を先行して伸ばしていく。その被覆された中において、岸壁を整備し、それを使えるようにするというような方法で、整備を進めつつございます。それで現在まで西防波堤につきましては、相当に延長が伸びてきておりまして、現在岸壁のうち、供用を開始されておるものは、第三埠頭まででございますが、第四埠頭を目下工事中でございますが、現在の西防波堤の先端の位置から見まして、この第三埠頭までは東南東及び南々東からの波に対しまして、十分その遮蔽のうちに入っているということが申せる状況でございます。もちろん第四埠頭、いま工事中の第四埠頭までも、その遮蔽の中に入っております。まあ防波堤の遮蔽の中に入っておりましても、若干の波の回り込みがございますが、現状におきましては、第三埠頭までは十分安全に利用ができる状態になっております。それでたまたまなお小名浜港は将来の計画、将来の拡張に備えまして、防波堤はさらに延長する計画になっておりまして、現在港湾整備五カ年計画、これは四十三年度から四十七年度までの計画でございますが、これにおきましても、防波堤の延長をさらに続けることにしております。それから岸壁は、その防波堤に被覆された部分において整備するという計画になっておりまして進めておるわけでございます。西防波堤だけでは足りませんで、第二西防波堤というものもすでに着工しておる状況でございます。一応そういうことでございまして、ただ不幸にして、港の利用の度合いが非常に進んできておりまして、ちょうど三十日の船のついているぐあいもほとんどフルバースでございまして、そのバースにつけ得なかった船があったということが、ひとつ問題ではなかったかという、非常に残念な感じを持っております。
 以上でございます。
#74
○塩出啓典君 ひとつその点安全をよく考えてやっていただきたいと思います。
 それから海上保安庁にちょっとお聞きしたいのでございますが、このときも、目の見えるところに船が沈んでおりながら、木材が海の上に浮いておったためになかなか救助ができなくて、何人かの尊い人命を失ったわけでございます。この間のかりふおるにあ丸の沈没のときには、海上保安庁の海難救助体制が非常に貧弱である。そのことが非常に問題になったわけでございますが、ほんとうに今回の場合、目の見えるところに沈んでいるのに、それでしかも救えない、こういうことでは私はよくないと思うのです。そういう問題について、海上保安庁は一体どういう考えでおられるか、それを御説明願いたいと思います。
#75
○政府委員(林陽一君) ただいま先生から御指摘がありました点、われわれも非常に深く反省して検討いたしておるわけでございます。小名浜の海上保安部には巡視船が二隻、巡視艇が一隻配属してございます。当日は巡視船艇二隻出動いたしまして、一隻は入渠中でございましたので、救助につとめましたのですが、何ぶん波浪、うねりが高くて巡視艇は現場に近づくことができませんで、二度ばかり試みましたけれども、不可能で帰っております。巡視船が防波堤の内側から防波堤越しに、しかも先生が御指摘になりましたような木材の流れております海面を越しまして救助しようとつとめましたわけでございますが、まずもやい銃を撃ちまして、それから特殊の救難のやり方で、もやい銃伝いに人命を救助しようとしたわけでございますが、結果においては成功いたしませんでした。さらにこういうこの種の海難にはヘリコプターが非常に有効なわけでございますが、海上保安庁のヘリコプターが十機ございますが、大型のヘリコプターは一機もございません。この場合には羽田の基地――第三管区の羽田の基地にございますが、中型のシコルスキー型のヘリコプターを出動せしめて救助に当たらしております。ただいま先生の御指摘ございましたように、海上保安庁の救難の関係施設は必ずしも整備されているというふうには申せませんので、今後とも、その点につきまして、われわれ努力さしていただきたいと思います。
#76
○塩出啓典君 もう一つ、こういう気象情報が港の中におる船には伝達がいったけれども、空光丸みたいに港の外におる船には伝達がいかなかった、そういうことが言われているらしいのでございますが、これはどうなったのでしょうか。
#77
○政府委員(林陽一君) 気象業務法十五条によりまして、船舶向けの警報、または一般向けの警報でも海上に関係のございますものが気象庁から通知されてまいりました場合には、海上保安官署では、これを航行中、入港中の船舶に周知させるようにつとめなければならないということになっております。さらに、注意報につきましても、これが準用されたような形で実行されているわけでございます。
 海上保安庁では、現在海上保安庁の通信所から和英両文をもちまして、在港中の船舶に対して閃光式あるいは電灯の標示、あるいは吹き流しなどによる気象標識で通知をいたしておりますとともに、拡声機を使って通報いたしております。それから、漁業協同組合や海運会社の代理店などにも電話連絡をいたしております。
 今回も、一月の三十日の午後五時に、福島地方気象台から大雨強風波浪注意報が発令されまして、五時五分に小名浜海上保安部に伝達されております。海上保安部では大型拡声機でこれを伝達いたしますとともに、電話で空光丸の代理店の小名浜海陸運送という会社に伝達いたしております。空光丸はたまたま防波堤外におりましたので、保安部の拡声機の到達距離外におりましたので、拡声機のほうは聞いておらなかったようでございます。さらに、代理店からも連絡を直接は受けていなかったやに聞いております。
#78
○塩出啓典君 そういう点非常に港外の伝達機能がよくなかったわけでありますが、そういう点、ほかの港にもこういうことを一つの例として、海上保安庁からも周知徹底をしていただきたい、そのように思います。
 それから総理府に対しましても、気象庁と同じように海上保安庁も非常に予算が少ないわけですね。この間のかりふおるにあ丸の場合も、海上保安庁の飛行機さっぱり間に合わなくて、結局米軍の飛行機がすぐ飛んでいったために、すぐ見つけて、外国船を誘導して、四名を除いて救助することができたわけであります。そういう点で、大型ヘリコプター、あるいはまた海難救助のために夜一間しかも計器の備えたそういう飛行機も当然必要だと思うのです。自衛隊のほうは、だいぶ今度飛行機もふえるわけですから、首相専用機までふえるわけですから、それに比べれば今度は海上保安庁のヘリコプターは一機しかふえなかったというのは、あまりにも人間性無視の政治だと思うのです。そういう点は、やはり総理府あたりがもっと側面からどんどん応援して、もちろん気象庁あるいは海上保安庁も真剣にやらなければなりませんけれども、やはりバックアップする者があれば、力を発揮するのじゃないかと思います。そういう点、そういう問題に対しても総理府としては、真剣に、また中央防災会議としても真剣にやっていただきたい。そのことをお願いします。
 最後に、時間がありませんので一つだけ、これは建設省にお聞きしたいのでございますが、建設省の海岸課長さんがお見えになっているそうでございますが、ことに富山の海岸侵食が非常に激しい。そういうわけでわれわれ調べた資料によりますと、明治初年から昭和三十二年ごろまでに百三十メートルも海岸線が後退している。そういうような、これは今回の災害にも関係があったように聞いているわけでございますが、こういう海岸侵食の原因がどこにあるのか、またそういうものの対策として、建設省としては、どういう調査なり対策を立てているのか、また現地の希望といたしましては、特定海岸の指定にしていただきたい、そういうような要望が強く出ているようでございますが、そういう問題について、建設省としてのいまの現状、それを報告していただきたいと思います。
#79
○政府委員(坂野重信君) 御指摘の富山の海岸でございますが、先生御承知と思いますが、非常に富山の周辺の特徴がございまして、冬季に北海道付近に低気圧が停滞いたしますというと、日本海の北部で発生した波が大きなうねりとなって富山湾に来襲するという、そういう傾向があるわけでございます。そのために富山の付近でも、たいした風がなくても外海から富山県に、寄り回り波といわれているようでございますが、そういう現象が起きているという、そういうために比較的波高が高くて、しかも周期が長いという物理的な現象のために非常に侵食性が強くなっておるわけでございます。従来の対策としては、そういうような物理的な現象に対応するような施設が行なわれておったわけでございますが、今回の災害は、先ほど気象庁等からお話がございましたように、非常に台風並みの低気圧が長期間にわたって北海道に停滞した。そのために非常に波高が高くて、しかも時間が長時間にわたって大規模なそういった物理的な強い現象が起きた。そのためにかなりの、御承知のような大災害を直轄海岸、あるいは補助海岸について被害を受けたわけでございますので、今後の対策といたしましては、従来の対策でいいかどうかというようなものをもう一ぺん検討いたしまして、ご承知のように海岸は建設省だけでございませんので、建設省、運輸省、農林省、三省にわたっておりますので、そういった問題につきましても、ひとつ今後、このたびの経験を生かして、新しい構造、あるいは新しい工法というものについての相談を十分いたしまして、ちょうど海岸の新五カ年計画が今年度から三省の調整がつきまして発足いたすことになりますので、そういった面におきましても、ひとつ今後の対策を遺憾のないようにやっていきたいというぐあいに考えております。
 特定海岸の問題については、いろいろ条件等がございますので、三省とも十分相談をいたしまして検討いたしたいと思っております。
    ―――――――――――――
#80
○委員長(西村関一君) 次に、川崎市における製油工場の火災に関する件につきまして、政府から説明を求めます。山本消防庁次長。
#81
○政府委員(山本弘君) 昨日発災をいたしました昭和石油の川崎製油所の火災の概要について御説明申し上げます。簡単な書類をつくっておりますので、これについて申し上げます。
 発生日時でございますが、昨日の十時三分といわれております。これは正確に申し上げますならば、実は昨日川崎消防局の臨港の署員が、ちょうど池上運河を隔てた対山序の出光興産の油槽所を立ち入り検査中でございまして、それが昭和石油の火災を発見いたしまして、出光興産内にありました電話で、二九番で消防局に知らしたものでございます。その直後、直ちに昭和石油からも一一九番でもって火災発生が知らされております。したがいまして、昨日の十時三分、これは覚知時刻でございます。発生日時と書いてございますが、発生はこれより若干前、十時ごろと推定されます。場所は、すでに御承知のように、川崎の京浜運河に面しました臨港工業地帯の中の一つでありますところの、扇島地区の中の昭和石油の川崎製油所の中でございまして、その中にいろいろな装置、施設があるのでございますが、第四蒸留塔付近から出火したというふうになっております。鎮火時刻は、当日の十三時五十分、したがって、約四時間かかっております。しかしながら、これは鎮火がいわゆる十三時五十分でございまして、火勢が衰えまして、ほぼ制圧状態になりましたのは、十二時五分ごろでございます。死傷者はございません。ただ消防職員の中で四名の者が一週間程度の軽傷を消火活動中に負っております。被害は第四蒸留装置ヤード内の諸装置、すなわち蒸留塔が二基、熱交換機が二十二基、ポンプ二十三基等、大体その他の施設とあわせまして、現在損害の額につきまして、綿密に調査中でございますので、現在のところ被害額については確定はいたしておりません。焼失面積は、この第四蒸留装置ヤード面積四千平米のうち、九百五十平米でございます。したがいまして、この資料にちょっと誤りがございまして、ヤード面積四千平米と書いてございますが、このうち九百五十平米が焼失というふうになっております。
 原因につきましては、これも現在調査中でございますけれども、一応推定されますのは、このヤード内の第二蒸留塔の下の部分にあるポンプの整備を実施するために、ポンプに接続している配管を取りはずしておったわけでございます。ところが、いわゆる元のバルブを締めるのが不完全であった。したがって、蒸留塔内にありました原油の遮断が不十分であった。そういうことで、それが流れてまいりまして、そして、何かの調子で発火したというふうに推定されるわけでございます。もしそういう原因であるとするならば、きわめて何と申しますか、単純な操作ミスということに相なるわけでございますが、なお詳細は調査中でございます。
 事故の概要につきましては、ただいま申し上げたことに関連いたしますが、消防隊の活躍によりまして、十二時十五分ごろには、ほぼ延焼類焼のおそれがなくなりまして、そして十三時五十分に鎮火したわけでございまして、この間の消防隊の活動につきましては、到着いたしました消防隊は、延焼いたしておりますところの装置に対する消火薬剤による消火作業や、それからその周辺に多くのタンクがございます。そういったものが、熱を受けまして、圧力がかかる、内圧がかかって爆発するというようなことのないように、冷却注水をするというふうなことで、非常に各種装置が混在している中で、困難な火災防禦活動を行なったわけでございますが、結果的に言いますならば、この種の火災といたしましては、比較的短時間、四時間でございますので、その間、これは短時間というのは非常におかしな表現かもしれませんが、この種、油火災といたしましては、比較的短時間に制圧し得たというふうにわれわれは考えているのでございます。
 次に、消防隊の出動状況でございますが、川崎消防局におきましては、化学消防車等消防車二十一台と書いてございますが、二十二台の誤りでございます。これは特殊化学装甲車一台を含む。消防艇は二隻。泡放射砲五門(特殊化学装甲車装備の一門を含む。)でございます。この泡放射砲と申しますと、普通の消防自動車では放水の距離と申しますか、放水距離が二十ないし三十メートルくらいしかございません。したがいまして、放射砲にポンプ自動車から水を導き入れまして、それで消火剤をまぜまして、そしてこの泡消火法によって放射したのでございます。したがって、放射砲とポンプ自動車と泡消火薬剤がワンセットとなっているわけでございます。泡消火法によりますと、六十メートルくらいまで放射することができます。したがって、こういった油火災等、非常な高い温度の火災が起こった場合におきましては、比較的遠くから有効な射程距離をもって火災を制圧できるという能力を持っておるものでございます。そして、海上保安庁からは消防艇二隻が火災制圧のために参っております。
 なお、この工場には自衛消防隊がございまして、自衛消防隊が三台の化学消防自動車を持っておりますが、そのほか、この扇町地区には日本鋼管あるいは昭和電工、三菱石油等で化学車を持っておりますので、それが応援に参っております。したがって、川崎市の消防局以外に、民間の自衛消防組織の化学消防自動車六台が、この消火に参加をいたしておる次第でございます。
 なお、参考のために昭和石油の製油能力その他をあげておりますが、実はこの昭和石油は、新潟製油所におきまして、昭和三十九年六月十六日に、新潟地震によりましてタンクが燃えております。こういった経験を持っておるわけでございまして、川崎製油所におきましても、消火設備その他防災設備のことについては相当力を入れておったというような状況でございますが、先ほど申しましたような意味で、かりに原因が先ほど申しましたような原因であるとするならば、きわめて単純なる操作ミスによる事故ということになるわけでございまして、こういったコンビナート地帯におきましては、何と申しますか、非常に大きなところの配慮が必要でございますが、こまかい一人一人の防災に関する配慮というものが、非常に必要であるということを痛感をさせられた次第でございます。
 一応、簡単でございますが、昨日の昭和石油川崎製油所の火災事故につきまして御報告を申し上げた次第でございます。
#82
○委員長(西村関一君) 本件については本日はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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