くにさくロゴ
1970/04/01 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 予算委員会 第12号
姉妹サイト
 
1970/04/01 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 予算委員会 第12号

#1
第063回国会 予算委員会 第12号
昭和四十五年四月一日(水曜日)
   午前十時十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月一日
    辞任         補欠選任
     長屋  茂君     鹿島 俊雄君
     沢田  実君     鈴木 一弘君
     岩間 正男君     渡辺  武君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         堀本 宜実君
    理 事
                木村 睦男君
                柴田  栄君
                任田 新治君
                山本 利壽君
                吉武 恵市君
                鈴木  強君
                横川 正市君
                矢追 秀彦君
                向井 長年君
    委 員
                岩動 道行君
                大森 久司君
                梶原 茂嘉君
                川上 為治君
                小山邦太郎君
                郡  祐一君
                西郷吉之助君
                白井  勇君
                杉原 荒太君
                田村 賢作君
                高橋文五郎君
                中村喜四郎君
                平泉  渉君
                二木 謙吾君
                増原 恵吉君
                柳田桃太郎君
                足鹿  覺君
                小野  明君
                岡  三郎君
                加瀬  完君
                亀田 得治君
                木村禧八郎君
                鶴園 哲夫君
                戸田 菊雄君
                羽生 三七君
                山崎  昇君
                塩出 啓典君
                鈴木 一弘君
                三木 忠雄君
                田渕 哲也君
                渡辺  武君
                山高しげり君
   国務大臣
       内閣総理大臣   佐藤 榮作君
       法 務 大 臣  小林 武治君
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
       文 部 大 臣  坂田 道太君
       厚 生 大 臣  内田 常雄君
       農 林 大 臣  倉石 忠雄君
       通商産業大臣   宮澤 喜一君
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
       郵政大臣運輸大
       臣臨時代理    井出一太郎君
       労 働 大 臣  野原 正勝君
       建 設 大 臣  根本龍太郎君
       自 治 大 臣  秋田 大助君
       国 務 大 臣  荒木萬壽夫君
       国 務 大 臣  佐藤 一郎君
       国 務 大 臣  中曽根康弘君
       国 務 大 臣  西田 信一君
       国 務 大 臣  保利  茂君
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       内閣法制局長官  高辻 正巳君
       内閣法制局第一
       部長       真田 秀夫君
       内閣総理大臣官
       房陸上交通安全
       調査室長     平川 幸藏君
       総理府特別地域
       連絡局参事官   加藤 泰守君
       警察庁警備局長  川島 広守君
       行政管理庁行政
       管理局長     河合 三良君
       防衛庁長官官房
       長        島田  豊君
       防衛庁防衛局長  宍戸 基男君
       経済企画庁調整
       局長       新田 庚一君
       法務省刑事局長  辻 辰三郎君
       外務省アジア局
       長        須之部量三君
       外務省アメリカ
       局長       東郷 文彦君
       外務省経済局長  鶴見 清彦君
       外務省条約局長  井川 克一君
       外務省国際連合
       局長       西堀 正弘君
       大蔵大臣官房日
       本専売公社監理
       官        熊田淳一郎君
       大蔵大臣官房審
       議官       高木 文雄君
       大蔵省関税局長  上林 英男君
       大蔵省理財局次
       長        本間 英郎君
       大蔵省国際金融
       局長       奥村 輝之君
       文部省体育局長  木田  宏君
       文部省管理局長  岩間英太郎君
       厚生省公衆衛生
       局長       村中 俊明君
       厚生省環境衛生
       局長       金光 克己君
       厚生省医務局長  松尾 正雄君
       厚生省薬務局長  加藤 威二君
       厚生省社会局長  伊部 英男君
       厚生省児童家庭
       局長       坂元貞一郎君
       農林大臣官房長  亀長 友義君
       農林省農林経済
       局長       小暮 光美君
       農林省蚕糸園芸
       局長       荒勝  巌君
       食糧庁長官    森本  修君
       通商産業大臣官
       房長       高橋 淑郎君
       通商産業省通商
       局長       原田  明君
       通商産業省貿易
       振興局長     後藤 正記君
       通商産業省企業
       局長       両角 良彦君
       通商産業省繊維
       雑貨局長     三宅 幸夫君
       運輸省鉄道監督
       局長       町田  直君
       運輸省自動車局
       長        黒住 忠行君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
       労働省職業安定
       局長       住  榮作君
       労働省職業安定
       局失業対策部長  遠藤 政夫君
       建設省計画局長  川島  博君
       自治省行政局長  宮澤  弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        首藤 俊彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十五年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(堀本宜実君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 昭和四十五年度一般会計予算、昭和四十五年度特別会計予算、昭和四十五年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、日航機の乗っ取り事件のその後の経過について外務大臣から報告を求めます。愛知外務大臣。
#3
○国務大臣(愛知揆一君) 御報告申し上げます。
 日航機の金浦空港到着後、外務省といたしましては、韓国政府に対しまして時を移さず人命尊重の見地から万全の措置をとってもらうよう要請いたしましたことは、昨三十一日御説明、御報告申し上げたとおりでございます。
 韓国政府は、着陸地がソウルであること、それから人質をおろせば希望どおり北に向け離陸させること、人質をおろさなければいつまでも離陸させないこと、この考え方を基本にいたしまして機内の乗り取り学生たちに伝えたのに対しまして、学生たちは、乗客はおろさないとの強硬態度をくずさず、危害を加えれば自爆すると答えておる次第でございます。
 この間に、政府といたしましては、韓国政府に対するわがほうの誠意の表明と、現地においての事態把握のため関係官を韓国に派遣することといたしました。山村運輸政務次官、外務省のアジア局の参事官、運輸省、警察庁等の各省庁の関係者、合計八名でございます。一行は、本日午前四時ごろソウルに到着いたしました。
 一方、ソウルにおきまして、駐韓大使の金山大使は、昨夜来、直接赤軍派学生たちに話し合いを呼びかけておりますが、依然として彼らは話し合に応じません。その間、金山大使は、機長あるいは乗客を代表するかっこうになっている松元という人との話はでき、接触はできたわけでございますけれども、これらの人たちの気持ちは、学生たちの言うとおりにせざればやむを得ないかという気持ちがだいぶ強くなっているように見受けられるようでございました。金山大使といたしましては、韓国政府があらゆる誠意を尽くし努力を傾けて、先ほど申しました三つの原則を韓国政府としても鋭意説得することにつとめておられる関係もございまするし、金山大使といたしましても、この韓国政府の説得に応ずるようにという態度で終始いたしております。今朝八時半にもその説得を続けたようでございます。私といたしましては、もっぱら乗員及び乗り組み員の生命尊重ということを念頭に置きまして処理すべきことを随時金山大使を通じ、また韓国政府にも直接いろいろの手段によりまして当方の気持ちを十分に伝えることに、昨夜じゅう継続してただいままで努力を継続いたしておるわけでございます。
 なお、韓国政府が乗客の健康のため、食糧、飲料水の補給、また当方から派遣いたしました特別機の乗り入れ等につきまして非常な配慮をしてくれております等、本件に関連いたしましてこれまで示された格別の協力に対し、この機会に深甚な謝意を表したいと思います。同時に、今後一そうの協力を願いつつある次第でございます。
 以上御報告申し上げます。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(堀本宜実君) それでは、鈴木一弘君の質疑を行ないます。鈴木君。
#5
○鈴木一弘君 いまの外務大臣からの報告を承っておりまして、一、二点伺いたいと思いますが、一つは、現在の状態で、場合によれば北朝鮮へ向かって乗客及び乗員の生命の安全を確保するために離陸することもあり得るというようなことも伝えられておりますけれども、この場合、北朝鮮の領域に入れば、現在の国際条約やそういう協定などの上から領空侵犯事件として撃墜されるというか、そういうようなおそれはないのかどうかということを一つ伺いたいことと、それから運輸大臣のほうに伺っておきたいのは、現在のこの飛行機のままでは、何か機体の整備をしなければ、とうていこれから先飛ぶのに危険であるという声も聞いておりますが、その点と、それから、こういうような事件が二度と起きないような国際的な協定なり、そういうようなものを締結することの努力、こういうのはどうなっているか、この三つを伺っておきたいと思います。
#6
○国務大臣(愛知揆一君) まず、第一点でございますが、これはもちろん未確認と申しますか、確認されない情報でございますけれども、昨日の経緯の途中の経過などを見ますると、北鮮側としてはどうもこの飛行機の乗り入れについてはあまり好ましからざる問題としておるのではないかというような形勢も見受けられますので、私といたしましてもその点を非常に懸念しておるわけでございます。同時に、ただいま報告いたしましたように、韓国政府としても、また先ほど申し上げましたような態度でほんとうに真剣な努力を続けておられまして、昨日夜中じゅうも金浦飛行場に国防長官はじめ高官が詰め切りで心配してくれているような状況でございまして、現在何とかひとつ、せめて乗客だけは金浦でおろすようにということで説得を続けておるわけであります。また、政府といたしましても、出先大使その他を通じて全力をあげて説得につとめておりますので、そのあとにどうなるか、そのことが万々一ならなかった場合にどうなるかというところは、現在のところ、率直に申しまして、考えたくないところでございます。また、なかなか微妙なところでもございますので、政府といたしましては万全の考え得ることについて十分の配慮をいたしておりますけれども、それらの詳細につきましては、いまちょっと事情を御了察いただきまして、これ以上詳しく、どういうふうにするつもりであるかということについては、まだそのつもりもできておりませんわけでございますから、御答弁申し上げることを差し控えたいと存じます。
 それから国際的な今後の措置でございますが、御案内のように、たまたま東京で会議があったようなことから東京コンベンションと通称されておりまする、いわゆるスカイジャッキング、今度のような乗っ取り事件等に対する協定の話し合いというものも国際間にできておりますけれども、しかし、いまの協定というものは、むしろ、犯罪的なものの処理あるいは民事的な問題の処理というようなことが重点であって、こうした場合の具体的な適時適切な措置等については実は触れられておらないわけでございますので、今回の事件に当てはまるような国際的な取りきめは、まだ国際的にもできておりませんわけで、したがいまして、今回のこの事件にかんがみまして、政府といたしましても積極的に、また自主的な対案を考え、そうして国際的にしかるべきものができれば、そういう方向に持っていって各国間の協力を求めるようにいたしたい、こう考えておりますが、これも、率直に申しまして、全く予想もしなかったようなことがここに起こったわけでございまして、どういうことをどういうふうに規定すればいいかというようなことについて、いまここでお答えをするだけの用意がございません。その点もあわせて御了承いただきたいと思います。
 なお、運輸大臣からの答弁は、いまさっそく運輸大臣から答弁するように手配をいたしておりますから、しばらくお待ちをいただきたいと思います。
#7
○国務大臣(保利茂君) 日航機の遭難といいますか、事件につきましては、皆さまとともに政府もたいへん心配をいたしまして最善を尽くしておる次第でございますが、昨日来の経過にかんがみまして、事態は必ずしも明るくないというような中にあって、関係国の非常な御協力もいただいておる次第でございます。総理大臣も非常に事態を憂慮いたしまして、橋本運輸大臣を急速京城に派遣するという措置を、御了承をいただいて、いたしたいということで準備を取り進めておりますが、なお、橋本運輸大臣の――各党の御了承をいただいて、その不在中は郵政大臣が運輸大臣の代理をいたすように総理大臣から指名がされました。御了承をいただきたいと思います。
#8
○鈴木強君 関連。
 いま外務大臣からの御報告を承りましたが、鈴木委員の御質問と私も同じようなことを言いたかったんですけれども、いまの御答弁ですと、ちょっと明確な点がありませんから、この点一つだけ聞きたいのです。
 というのは、この報道によりますと、機長とそれから乗客代表の松元という方は、やはりその犯人の言われているような、北鮮へ行ったほうがよろしいという判断をとっているようですね。そこで、金山大使は機内といろいろ連絡をとっていただいているようですけれども、問題はそこにあると思うのですね。人命の安全を確保するという、そういう立場に立って、実際に拳銃を突きつけられている機内の人たちから見れば、何としても犯人の言う意向に沿ってやってもらいたいという気持ちを持っていると思いますね。ただ、それができるかできないかだと思うのですよ。したがって、まあその飛行機の故障の状態だとか、あるいはその北鮮に入る手続上の問題だとかあると思います。で、きのう外務大臣が記者会見しておるところを見ますと、どうもこの北朝鮮入りすることは、赤軍派の学生を含めて全員の生命が危険にさらされるので慎重に扱うべきだという判断をあなたはしているわけですね。したがって、そうなると、まず第一番に北朝鮮への受け入れがしてもらえるかどうかという外交上の問題が残っていると思うのです。しかし、これは確認できない。したがって、昨日も言われているように、これは日赤を通ずるとか、あるいはソ連を通じて北朝鮮との間でやってもらうとか、そういうことが残っていると思うのですね。もう一つ、いま日航の松尾社長が、モスクワですか、に行っておられるようですね。そうして、向こうの民間航空相との話し合いで、北朝鮮のほうにもそういうことをソ連から話をしていただいておる。これはまあ民間ベースでやっているのだと思いますけれども、そういう動きがあるわけです。ですから、そこのところを解決しておかないと、最悪の場合どうなるかということをわれわれは心配を持つわけですよ。だから、そこのところをひとつ、ぜひ聞かしてほしいのです。外交上のことで差しさわりがあるかどうかわかりませんけれどもね。国民はそこのところを心配していると思うんです。
 それから、北朝鮮に入ることについて、昨日三十八度線を越したところでミグ戦闘機が八機ばかり来たとか、あるいは地上からの対空砲火があったとかいうことも新聞には報道されているのですけれども、この辺の実情が、もしわかっておったら、ひとつ知らせてほしいと思います。
#9
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほどもお答えいたしましたように、あらゆる場合を考えまして万全の措置をとっておるつもりでございますけれども、それはもう、帰着するところは、生命の安全、これを確保するという観点に立ちまして、いかなる場合におきましても絶対安全を期したいということで、ただいまもお述べになりましたように、各国あるいは機関、そういう方面等への配意というようなことにつきましても、それを含めまして、われわれとしてなし得る限り、考えられる限りの措置、対策は講じておるつもりでございます。ただ、でき得れば、何としても乗員を金浦でおろしたい、この一点にいまのところ努力を集中して、しかし、もしそれがならざる場合においては、いろいろの場合を想定いたしまして、配慮、対策を講じておるわけでございますが、昨日、最初に申し上げましたように、この飛行機がもし直接に北鮮に羽田から行ったかと思われた場合もございましたし、また、板付を飛びましてから、これはもう北鮮のどこかの空港に着陸することになるのであろうと想定いたしてみました場合に用意いたしました措置などもございますので、そういうような同じような考え方に立って、それらの点についても抜かりのない対策を万全にとっておこうと、こういうかまえはいたしておるわけでございますが、具体的に、どこどこにどういう措置と、それから、どういうところまでできているかというところは、いましばらくちょっとお待ちをいただきたいと思う次第でございます。
#10
○矢追秀彦君 関連。
 一点だけお伺いしたいのですが、過去にもこういう事件が幾つかありました。特に、たしか韓国から北鮮へ行ったという例が一つございましたけれども、これは新聞の報道ですが、そういう場合に、どういう処理がとられたのか、したがって、今回、いま言われたように、北鮮へもし行くようなことになった場合、外交上はどういう手段で処理されるのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
#11
○国務大臣(愛知揆一君) 韓国で経験いたしました事件につきましては、韓国政府からも、十分その当時の状況は聞き、また、これにならうべきことがあれば、それにならう用意もいたしておるわけでございます。
 それから、いかなる外交上の措置をとりつつあるのかということは、先ほど来申し上げておりますように、いまとにかく金浦でできるだけの決着をつけたいということで、韓国においても非常な努力を払われておる、こういう関係も御了察いただきまして、ちょっとこの際、ここで申し上げることをはばからせていただきたいと思います。
#12
○向井長年君 関連。
 最善の努力をされていることはよくわかりますが、乗客の中にも、もう精神的にも、何とか早くおりたい、こういうことから、北鮮、目的地に行くような要請があるようでございますが、特に人命の安全という立場から考えまして、昨日、板付から金浦飛行場へ参りましたけれども、これはすべて石田機長の判断のもとにやられたということを報告されております。そうしますと、最終的に、場合によれば、北朝鮮に石田機長も人命尊重の立場から行かなければならぬという事態も起き得ると思います。そうしたときに、昨日の飛行に対して、いま鈴木君からも話がありましたが、三十八度線のあたりで対空発砲があった、あるいはアメリカあるいは韓国の飛行機が金浦飛行場に誘導した、こういうようなことを若干ニュースで聞きましたけれども、安全を考えますならば、その発砲があったということが事実であるのか、あるいはまた誘導してこちらにつけたということも、これはまた事実であるのか、この点、わかっておれば、御答弁を願いたいと思います。
 なお、もう一点は、石田機長はじめ操縦士等の精神的肉体的の疲労、こういう中から、日航機のほうでは搭乗員を交代させようという準備を進めておるようでございますけれども、特に、この精神的あるいは肉体的の疲労で、もし操縦にあやまちがあってはいけないので、こういう点についてどの程度のものであるか、お聞きをいたしたいと思います。
 なおまた、石田機長が、身の安全から考えて、乗組員の安全から考えて、単独で行かなければならぬという事態も起きるのではないか、こういう憂慮もするわけでございますが、その点は十分連係がとれておるのかどうか、この点もあわせてお聞きいたしたいと思います。
#13
○国務大臣(愛知揆一君) この日航機の昨日の飛行に対して発砲が行なわれたか、誘導が行なわれたかという御質疑でございますが、これはどうも、政府としては確認しておるわけではございませんので、情報でございますから、確認したこととして申し上げるわけではございませんけれども、報道されておりますように、発砲があったことはどうも事実であるようでございます。しかし、幸いにして、その射程の、何といいますか、限度というのが大体三千メートルぐらいであったと伝えられておりますが、この飛行機はそれよりかなり上空を飛んでおった、こういう状況のようであったようでございます。そうして、どういうわけでその発砲が行なわれたのか、この飛行機を目ざすものであったか、あるいは警戒のものであったか、そういう点につきましてはいろいろの説がございまして、いずれが確実であるか、さだかでございません。
 それから、誘導の問題は、これまたいろいろに伝えられておりますけれども、金浦の空港からの連絡では、普通の着陸であった、誘導されて着陸してきた模様ではなかった、ということを一応正規のルートで連絡を受けております。
 それから、第二の問題は、機長の健康状態その他でございますが、これは、かなり疲労しておる、心身ともに疲労しておるというように見受けられるようでございます。そして、これは私から御答弁するのもいかがかと思いますが、日航としては、かわり得る乗員を用意して、そうしてこれはすでに現地に着いておるのではなかろうかと私想像いたしております。そういう点につきましても、考え得る措置は十分いたしておるはずでございます。
#14
○鈴木一弘君 ただいまの乗っ取り事件が一刻も早く無事に解決することを心から願っている次第でありますが、外務大臣は午前中だけというような話でもありますので、国連問題から若干質問をしていきたいと思います。
 最初に、国連憲章改正の問題でありますけれども、政府がこれまでわが国の外交の重要な一つの柱として、国連中心外交ということを言ってきた。佐藤総理も、日米共同声明で、今後わが国はアジアの緊張緩和のため指導的役割りを果たす決意を表明している。こういうように七〇年代のアジア外交に取り組む決意というものがあるわけでありますが、先ほどの国連中心ということとあわせて、基本的に、国連外交に臨む態度、これからまず伺いたいと思います。
#15
○国務大臣(愛知揆一君) 国連につきましては、これは一般的に申しましても、よく話題になりますように、ことしは二十五周年でございますから、一般的にも、各国の間に相当前向きに、たとえば、平和機能の拡充強化というような点を中心とした意見が出ております。あるいは、経済社会理事会の機能の活発化ということも問題になっております。それから日本といたしましては、憲章も、この際、そういう意味も含めまして改正を考えるべき時期ではないか。で、そういう場合においてはどういう点を具体的に提案しようかということについて、いまいろいろと学界その他の方々の積極的な御協力も得て草案を準備し、かたがた、国連代表部におきましても、各国の動向などを見きわめながら、たとえて申しますならば、同調するような国々のムードづくりということも必要であろうかと考えて、いろいろそういう辺でも回根しその他をやっておりますが、幸いにして、と申しますか、昨年の総会で、日本側から抽象的ではありますが問題を投げかけたことの反響もどの程度あったかは別として、コロンビア提案――特別委員会をつくって憲章問題をやろうではないかというような提案が、かなりの反対や棄権はございましたものの、可決されているというような実情でもございますから、これからそういうムードの上に立って日本としてしかるべき具体的な提案に入っていくように、さらに一そうの努力をいたしたいと思っております。
#16
○鈴木一弘君 外務大臣が昨年の五月の国連の二十四回総会の中で一般演説を行なって、ことしの秋の第二十五回総会では、憲章の改正を考慮しつつ国連のあり方を再検討するよい機会なので、憲章改正案を討議する機能を再強化するよう希望すると、このように言われているわけでありますが、いまのお話から、具体的措置というのは、国連の平和維持機能の強化と、こういうように理解してよろしゅうございますか。
#17
○国務大臣(愛知揆一君) これを幾つかの原則として、三つなり五つなりの柱を立てて申し上げるだけの研究結果をここにまだ御披露するまでに至っておりませんけれども、やはり、一言にして言えば、平和維持機能の拡充強化ということではないかと思います。国連としては、サイプラス問題その他についても、平和維持について相当の活躍をした評価はできるものの、しかし、世界的な、人類全般が期待しているような活動から言えばほど遠いのではないかと思われますので、そういう反省の上に立って、どういうふうな機能の活発化ができるかということを考えるべきではないか。
 それから、これに関連して当然起こってまいりますのは、国連の運営のやり方だと思います。その中心は、やはり安保理事国の構成の問題ではないだろうかと考えるわけでございます。詳しく申し上げると、きりはございませんが、現在の五大国に限定され、かつ、拒否権を持っているという制度でいいのであろうかと。たとえば、昨日申し上げましたように、日本のような、いわばユニークな平和憲法を持っている、こういう国がやはりこの安保理事国の中に入るというようなことも、大いに意味があるのではなかろうかと思います。
 それからまた、この安保理事国の構成は、地域的な考慮というものは払われているわけではございません。これは、国連ができたときの経過からいって、それはやむを得ないことでございますけれども、たとえば、アジアを代表するとか、アフリカを代表するとかいうような意味における地域的な観念というものはここに反映されておりませんから、そういう考慮も入れて、たとえばこれを拡大するとか、あるいはまた、実際的なアプローチのしかたとして、たとえば拒否権問題と関連して、これを避けて通るということが必要ならば、常任理事国に準ずるような扱の理事国がふえてもいいんじゃないかという考え方も成り立つのではなかろうかと、まあこういうところが一つの中心課題ではないかと思います。
 それから、昨日も申し上げましたが、経済社会理事国の活動範囲の拡充ということも取り上げられてしかるべきであろうと思います。あるいは、総会の運営、表決のしかたというようなことにも問題がないわけではないのではないだろうか。
 そして、もう一つの角度から見ました場合に、たとえば旧敵国条項でありますとか、信託統治のきめ方でありますとか、これはいずれも、日本から見れば、率直に言って、いやな、もう過去の経過の残骸である規定か、あるいはすでに任務が終了した規定ですから、この際そういうものを削除して、いわばすがすがしい気持ちの憲章にしたほうがいいんじゃないかと、こういう種類の問題も含まれると思いますが、大体そういったようなことを柱にいたしまして案を考えている次第でございます。
#18
○鈴木一弘君 まあ、旧敵国条項、こういうようなものは、具体的に実際やっていけば、もうないと同じような現在の形態でありますから、やはり一番大事なのは、平和維持機能の拡充強化という問題だと思います。ことしの秋の総会に改正試案を提示するように努力するということを前回の総会で言われておりますけれども、そのためには、現在の憲章の第百八条なり、百九条の第二項なり、こういうのを見ますというと、五大国にいわゆる拒否権がそのまま憲章改正についても残っている、したがって、五大国の拒否権があるということになれば、この五大国に対する働きかけは当然始められていなければならない、このように思うし、また、その準備もなければ、とうてい提案まで至らないということになると思いますが、その点はなされているのかどうか。また、なされていられないとすれば、まだまだ非常に準備が不足であると、こういう状態なのか、この辺を伺いたいと思います。
#19
○国務大臣(愛知揆一君) これは、まあ手続の問題からいたしましても、非常にむずかしい問題であるということは前提として考えなければならないところでございます。同時にまた、息の長い問題であって、かりに二十五回総会におきまして憲章改正特別委員会というものが首尾よく結成されたといたしまして、そこで各国がいろいろの提案をし、また専門的、あるいは政治的にいろいろの角度からの論議が積み重ねられていく間に、だんだんと案になってくるというのが、やはり全世界をほとんど包含しておる国連のやり方でなければならないと思います。で、先ほど申しましたように、現在のところは、常任代表がニューヨークに日本としても駐在いたしておりますから、その国連の中においてそういうふうな根回しをやる、これは始めていると申しても言い過ぎではないと思います。あるいはまた、こういうことになりますと、事務局の態度なり考え方というものがかなり有力な要素になるわけですが、幸いにウ・タント事務総長が近く来日をする、こういう機会に事務総長のいろいろの意見を聞き、あるいは意見を交換するというようなことも根回しの一つにはなるのではないかと思います。ただ、冒頭に申しましたように、提案した、それですぐ可決か否決かというように簡単にいくものではないということだけは、御承知のとおりのような状況でございますから、相当長い目で忍耐強い努力の期間というものが必要であるということはどうしても否定できない、事柄の性質上、そういうものであるということは御了承願いたいと思います。
#20
○鈴木一弘君 先ほどの外相の答弁から、平和維持機能の強化ということは、もうはっきりとわかってきたんですし、それに対して、その任務が安保理事会にゆだねられている、これが拒否権をもっておるということで、実効が実際問題として伴わないというのが現状までです。二いろ外務大臣は言われたわけでありますが、この安保理事会の権限、機構に触れないで改正問題を考えるというのが先ほどの準常任理事国だろうと思います。その準常任理事国というのは、常任理事国になるための布石として考えたものなのかどうか、それとも、やはりどこまでも現在の安保理事会の権限、機構というものを変更するというほうにウエートを入れていくのか、ちょうど目的は同じであっても道が全然違うようにも受け取れますので、その点、伺っておきたいと思います。
#21
○国務大臣(愛知揆一君) これはこれからの各国の動向等ともにらみ合わせて進行すべき問題であると思いますから、準常任理事国の考え方は終局的に安保常任理事国たるステップであるか、あるいはそれで一つの改正案として成り立つものであるか。これは私は、基本的には、やはり先ほども申し上げましたような考え方から、日本のような国は常任理事国になり、あるいはいまの五カ国というものの数がふえても、いろいろの要素をかみ合わせて結成することが私は望ましい姿ではないかと思います。そういう意味から言えば、かりに準常任理事国というような案がものになるとすれば、それは一つのその道へのステップであると考えてもよろしいと思います。あるいはまた、当面のところは準常任理事国となることができても、それだけでも日本としての役割りというものは非常に大きく展開できるのではないかと考えております。
#22
○委員長(堀本宜実君) 運輸大臣。
#23
○国務大臣(橋本登美三郎君) たいへん皆さんに御心配をかけて申しわけないことと存じております。
 先ほど来皆さんのほうに御了解をお願い申しましたように、私がソウルの飛行場に参りまして、できるだけの措置を講じたい。何といいましても、百十五名の人命に関する問題でありますので、最善の努力を尽くして円満な解決をいたしたいと、かように考えて、参るつもりであります。どうぞ皆さんの御支援、御協力を心からお願い申し上げます。
#24
○鈴木一弘君 国連憲章の改正の方向として、これは現実にわが国が平和国家であるということはあります。そこで、平和国家として協力できるようなものでなければならないということは当然だと思いますが、そこで、ここは特に外務大臣の考え方を聞いておきたいんですが、憲章改正を待たないでも実現できると――先ほどは憲章改正はなかなか長い期間を要するであろうということが言われました。したがって、憲章改正を待たないでも実現できるというようなものについて具体的な方法をとる必要があるんではないか。国連憲章の第三十四条では、安保理事会に対して、紛争あるいは紛争発生のおそれのある事態について、その紛争が「国際の平和及び安全の維持を危くする虞があるかどうかを決定するために調査する」権限を与えております。この調査の権限というのが、総会にも、平和のための結集決議というようなことで権能を与える慣行ができておるわけであります。そういうことから見ても、国際紛争に対する調査の権限、これが紛争拡大を防止するためには非常に大きな力があるし、必要なことだと思うんです。そこで、安保理事会の決定を待たないでも、あらかじめ紛争を調査するところの機関を設ける、常設する、事務総長の権限でそういう紛争主体に対して敏速に調査活動を行なう、というようなことをやることはいいんではないか。そういうふうになると、紛争の当事国も、第三者である国連機関の実情調査ということが公開されれば、これは国際世論もわき立ちますし、それによって正当な評価がされる、行動は自制せざるを得なくなる、ということが言えるわけでありますが、そういう紛争の調査とか停戦監視など、こういうことは、いままでも平和監察委員会、まあ朝鮮戦争の場合のようなものに設けられたこともあります。
 そこで、国連の中にそのような平和監察機関というようなものを設ける必要がある、――特に私どもでは、公明党では、国連のアジア本部をつくれと、また、そのもとに紛争平和監察機関を設けるということをいままでもうたっておりますけれども、そういうような国連の平和維持機能強化ということから、そういう現実的な提案というか、考え方、こういうものを持ったほうがよろしいんではないかというように思うわけでありますが、その点の考え方を伺っておきたいと思います。
#25
○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたします。
 ごもっともな御意見で、それも確かに一つの方法でございます。ただ、念のためでございますけれども、やっぱり、そこでそういう機関がつくられるということの場合には、手続として総会の議決が必要であるというようなプロセスを経なければならない、こういうことがありますことだけは事実でございます。
#26
○鈴木一弘君 いままでの質疑から、国連の平和維持機能を重視するということについての政府の姿勢というのは、はっきりわかってきました。で、ことしの一月十七日に、外務省が「国連による平和の維持について」という文書を発表していると新聞に伝えられているわけですが、その中に、国連軍を中心とする国連の平和維持機能についてこれまでのわが国の立場が消極的であったのは遺憾である、こういうふうに述べておりますが、外務大臣も同じ考え方でございますか。
#27
○国務大臣(愛知揆一君) 実は、ただいま御指摘のその新聞の報道でございますが、率直に申しまして、これは、そういう考え方が外務省の案として伝えられておりますけれども、私が自分で目を通し、また決裁をしたものではございませんし、また、私の主宰する会議でそれがたたき台として出たこともない、そういう性格のものでございますから、その報道につきましては私は自分としては関知しないところであると、こう申し上げざるを得ないわけでございます。
 そこで、国連に対してもっと積極的に、たとえば常任理事会とか準常任理事会とかいうことを考える一方で、何かこちらがしなければならぬのではないだろうかということを考えるのは、これは当然であると思いますし、考えなければならないと思います。しかし、私は、軍事的な力といいますか、組織と申しますか、そういうことにおいて協力をするということは私はあくまで避けるべきではないか――これは私の考え方で、まだ政府全体あるいは外務省としても、いま申しましたように、固めた考え方ではございませんが、私はそういうふうに考えております。
 しからばどういう貢献の方法があるか。たとえば、具体的にずばりと申し上げますと、財政上の問題などがあろうかと思います。これは、よく国連に対する分担金のことが話題になりますが、現在はまだGNPが世界の二位、三位と言われるような状態になりましたけれども、国連の分担金は、このきめ方や、あるいはそのきめ方の基準が相当過去のものをとったりする関係もございまして、まだ現在六位か七位ではないかと思います。しかし、この国連分担金の問題はいままでのきめ方で、いずれここ数年のうちには日本の分担金はかなりふえることになると思いますし、これには当然協力すべきであります。しかし、それ以外に、国連機構の中でいろいろの平和的な、経済協力であるとか、あるいは基金であるとか、あるいは調査機関であるとか、そういうところへの日本の寄与の状態を見てみますると、決して大きな国づらをするだけの寄与はしておりません。これは御必要でございましたら資料等についても御検討いただきたいと思いますが、決して国連に対する寄与というものは分担金だけで象徴されるものではございませんで、私は、もっと広い範囲で、この財政的な寄与というだけをとらえてみても、日本がここまで実力を備えてきた国としては、貢献すべき、またしなければならないと考えるべき性質のものが相当あるように考えるわけでございますので、そういう意味の平和的な貢献の面が私は相当にある、こういうことをまず充実していくことが国連への積極的協力の面であり、また平和国家日本らしい寄与の方法ではないか、こういうふうに考えますので、国連に対する寄与の程度を多くする、責任をもっとわきまえるというのが、この監視団とかあるいはともすると軍事的協力と間違われそうな問題よりもほかの部面に私は相当あるとかように考え、かつその考え方でいきたいものだと思っております。
#28
○鈴木一弘君 いまの外務大臣の考え方でいっていただきたいと思いますが、一九六二年のときに松平国連代表がコンゴ派兵のとき、いわゆる日本も国連に派兵すべきであるという発言があって、非常に国会論議があった。先ほどの外務大臣は関与しないと言われた、いわゆる報道された文書についても同じような考え方が私は底流にあるように思いますが、外務大臣の考えのままでいっていただければ、私は問題はないのですが、そういう思想というものが底流にあるのじゃないかと思わざるを得ない場合もあるわけです。そういう疑いを除くためにも国連軍に対しての考え方をもう少しはっきりと言っていただきたいと思います。
#29
○国務大臣(愛知揆一君) これは国際情勢の緊張がずっと緩和され、やわらいでいき、そして国連警察軍というようなものが、ほんとうの平和維持目的というものが世界的に認められ、かつその効果も大いに期待されるというような状況になりましたら、将来の研究課題としては私はあり得ると思いますけれども、現在の段階では、これは私の私見になりますけれども、国連警察軍というようなものに対する積極的な日本の役割りというようなとらえ方をすることはうまくないのではないだろうか。しばらくこれは将来の問題として研究課題にすべきことではないだろうか、かように考えるわけでございます。
 それからもう一つは、紛争が起こった場合に、いろいろな過去の歴史、最近の歴史を見てもありますように、国際監視団というようなもの、この国際監視団の組織の中に日本の参加を求められるような場合に、これもまたお金の面であるとか技術機械の面であるとか、そういう面で、かつその国際監視団の目的、性格というものが日本的に納得できるものならば、そういう面で協力すべきである。あるいはまた、技術的な面において技術者として協力をするということならば、私は抵抗なく考えられるのではないかと思いますけれども、それ以上の点になりますと、これはいろいろ日本の現行の法令との関係もございます。そこまでに及んで拡充をする積極的な姿勢をとるということは、いま私としては考えておりません。
#30
○鈴木一弘君 そこでちょっとこれは海外派兵にからんでくることなんでありますけれども、政府は、国連軍参加ということはいまも外務大臣言われたように、いろいろ国内法の関係そのほかから不可能であるということを言われたわけですが、一方で派遣ということは憲法で認められるということは言われる。先ほど紛争の調査というようないわゆる平和監察機構というようなものができたときに、国連協力を基本としているのでありますから、そういう場合は、一体これは参加することが可能なのか可能でないかという、その辺について、これはまず法律的な見解を伺っておきたいと思います。
#31
○政府委員(高辻正巳君) 大体ただいま外務大臣が言われました中身でおわかりではないかと思うのでありますが、いずれにしましても武力の行使を伴う、まあ憲法九条の焦点に合わしてものを申し上げるといたしますれば、武力の行使を伴う場合と伴わない場合――伴う場合では憲法九条がございますので、これはいずれにしても問題にならぬと思います。しかしそうでない、いろいろな事態があるかもしれませんが、先ほどは国連監視団のお話が出ましたが、そういう武力の行使と無縁の場面で働くものにつきましては、当然のこととして憲法九条が支配する場面ではございませんから、その関係の問題はないということが言えそうであります。ただし、先ほども、国の法令は憲法だけではございませんので、自衛隊法上それができるかできないかとかいうようないろいろな問題がございますが、きわめて一般的な憲法の制度からいえば、いま申し上げたとおりであろうと思います。
#32
○鈴木一弘君 自衛隊法等の制約があるとすると、じゃそうならば、身分を自衛官でなく外務公務員ということに任命して発令した場合だったらどうなりますか。
#33
○政府委員(高辻正巳君) かつて一九五八年だったかと思いますが、レバノンの監視団に派遣を要請をしてきたというような話がございまして、われわれも実は検討したことがございます。そのときに、いまお尋ねになりましたような、自衛隊としては、隊務に従事する自衛官の職掌としては、それは行くことはむずかしいだろう、いまの現在の規定では。しかし、国連協力は外務省の仕事であるから、そちらのほうに身分を移してといいますか、その関係でなら行けないことはあるまいというのが、確かに理屈の上の解決方策ではございました。ただし、実際問題としてそうするのがいいのか悪いのか、これはまたそれなりに考えてみなければならぬ問題だと思います。
#34
○鈴木一弘君 この問題は、三月三日の日に亀田委員から自衛隊の海外派遣についていろいろ質問があったわけでありますが、そこで海外の邦人保護、こういう目的のために自衛官を派遣する、その場合に、たとえてみれば、印パ紛争の際には、パキスタンに日航の特別機を送って邦人の一斉引き揚げを行なった、こういうようなケースに協力するために自衛官が海外に行くということは、これは法律上問題があるかないか。もし行った場合ですね。
#35
○政府委員(高辻正巳君) ただいま御指摘のように、亀田委員との間に質疑応答がございまして、それでおわかりになるのではないかと思いますが、人命・財産の保護など平和的事態の維持確保の目的がある場合に――それにいたしましても他国に参る場合のお話のようでございますから、他国の意思に反して出かけるわけにはむろんまいりませんが、お尋ねの趣旨は、むろん他国のそういう要請といいますか、許容といいますか、そういうもののあった場合の話であろうと思いますけれども、そういう場合であれば、これがただいま申した平和的事態の維持確保の目的を武力の行使によって達成すというのではなくて、およそそういうものと無縁な手段によって達成するというのであれば、これもまた理屈の上からは、憲法上の問題としてはできないことではないと思います。ただし、その場合にも、憲法以外の国内法の問題がさらにあることは申し添えておかなければならぬと思います。
#36
○鈴木一弘君 これは例で申しわけないのですが、そういう場合に民間航空機が急用のためにどうしても間に合わない、そういうときに自衛隊の航空機を飛ばすということが行なわれることができるかどうかという点、すでにサイゴン、ベトナムの共産軍の攻撃があったとき、サイゴン在住の日本人に対して引き揚げ命令が出たことがありますが、空港が閉鎖されている、こういうような状態が出たときには、これは自衛隊の輸送機みたいなものは、こういうものは使用できるかというようなことが残ってくるわけであります。その点いかがでしょう、考え方としては。
#37
○政府委員(高辻正巳君) むろんその場合にも、その他国の許容があった場合ということでございましょうが、一般に自衛隊法あたりをごらんになりましても、いわゆる防衛出動と災害出動とある。これが非常に性格が違うものでございますが、災害出動というのは、人命・財産の保護でございますが、いわば警察活動の目的から出るものでございますが、そういうたぐいのものであれば、先ほどのお話から申し上げても、憲法九条との関係はないという範疇に入ることは明らかだと思います。たとえば設例が物騒な設例でありますために私の答えもまたそちらのほうに引きずられていくと困るのでありますけれども、純粋に理屈の問題としておとりを願いたいのでありますが、どこかで何かがあって在留邦人が海を渡って帰るに帰れないという場合に、かりにもし国内法といいますか、憲法外の、たとえば自衛隊法がそれを許すのであれば、自衛艦を持っていって運んでくる。これは要するに、船舶による輸送でありますが、そういうことができないという、憲法が禁止しているといういわれはさらさらないのであろうと思います。しかし、それまた自衛隊法上の問題がどうなるだろうというような問題がございますが、憲法の尺度からいけば、そういうことまでも許しておらないというほど窮屈なものとは考えておりません。
#38
○鈴木一弘君 これは二つの場合があると思うのです。いわゆる向こう側の政府の要請があればやるということにはなると思いますけれども、邦人引き揚げを。その場合、武力紛争等によって緊急事態になってという場合もあると思います。もう一つは、災害出動のような風水害であるとか、あるいはそういうような純粋な平和目的の場合ということが、二つに分けられるような感じがしますが、その場合もこれは違法になっていかないか、まあ違憲というか、違憲にならないかどうか、その点の考え方はいかがですか。二つの場合に分けて答えていただきたい。
#39
○政府委員(高辻正巳君) ただいま御指摘の問題は、いままで出た問題とどう違うのかよくわかりませんが、よく私ども軍事目的と平和目的ときわめて簡単に大きな分類をして申し上げておりますけれども、先ほど申し上げたような武力の行使とおよそ無縁なものの、しかも無縁でただ無目的で行くことはありませんから、およそそういう場合には人命・財産の保護とか、要するに、平和的事態の維持確保とかあるいは紛争処理の結果の監視であるとか、まあそういう場合でございましょうが、そういう場合をおしなべて平和的な処理の場合というのであれば、そういう場合には、いままで申し上げました理屈からもおわかりでございましょうが、別段問題はないのではないかというふうに思います。ただし、ただいまの御質疑を取り違えているといけませんので、もし間違っておりましたら御指摘を願います。
#40
○鈴木一弘君 これはちょっと防衛庁長官に伺いたいのですけれども、まあ以上のは、当該国政府の要請ということの想定に基づいて私は質問してきたわけですが、韓国には現在国連軍がおります。その国連軍司令官である在韓駐留のアメリカ軍司令官から、先ほどのような平和目的に限定した自衛官派遣の要請があった場合に、国連協力の立場をとるわが国としてどういう態度をとるのか、その際のまた憲法との関係はどうなっているかという点を伺いたいのです。
#41
○国務大臣(中曽根康弘君) 自衛隊法にそういう場合に相応する規定がございませんので、自衛隊法を整備しなければ現状ではできないと私は思います。
#42
○鈴木一弘君 自衛隊法のいま整備をしなければというお話ですが、またその整備をするような考え等はあるのかどうか、これを伺っておきたいと思います。
#43
○国務大臣(中曽根康弘君) 目下のところございません。きのう私御答弁でことばが足りなかったために少し誤解を招いた点がございますのであらためて正確にこまかく申し上げたいと思いますが、私は外務省の国連協力の大きな方針に協調して防衛庁としては政策を措置していきたいと思っておるのであります。しかし、私個人といたしましては、国連の平和監視行為という問題については検討しております。私個人は鈴木さんと同じように、元来、民族非武装人類武装というような考え方を持っておる人間でございまして、各国家がやはり武装をなくして、そして国連というような世界的集団が世界全体の平和維持に当たるということが結局は人間の理想ではないかと思っておるのです。しかし、現実の国際情勢ははなはだきびしくって、そういうところへ持っていくのにまだまだ時間がかかる形勢でもあって、一挙にそういうところには飛べない。したがって、自衛権を行使して自衛力を整備せざるを得ないという現段階にあるように思います。しかし、日本もこれだけの経済的大国にもなりまして国連協力ということを言っている場合に、将来いつまでもそういう国際的な平和監視行為というような各国が協力し合うという場合に、日本だけが無関心でいていいかどうか。私は政治家の一人として、国際的に通用しないのではないかと、実は内心おそれているのであります。したがいまして、将来そういうことが適当になるというときがくれば、私個人は自衛隊法を改正してそのような協力をやるほうに持っていく。ただし、それは武力行使のための部隊派遣という意味ではなくして、平和維持のための国際監視行為に参加する、それに限って参加する。ちょうど自衛隊法の雑則を改正いたしまして、オリンピック協力とか、あるいは南極に対する「ふじ」の派遣とか、あるいは教育に対する受託行為であるとか、あるいは災害に対する土木工事の引き受けであるとか、そういうことをやっております。それと同じような意味において、雑則を改正して将来自衛隊法の改正をある程度行なって、もしそういう適当なときがくればやる必要があるんではないかと、私自体は検討しております。しかし、それは現実の問題ではございませんし、まだ内閣がそういうふうにきめたという問題でもございません。内閣はまだそこまではいっておらないのであります。私はしかし政治家としてそういう見通しを持って検討しているということを申し上げたのでございまして、その点若干誤解がありましたようでございますから、この際明確に申し上げておきたいと思います。
#44
○鈴木一弘君 外務大臣は午前中だそうでございますから、私も取り急いで質問いたしますが、一つはここでインドシナ情勢について若干伺っておきたいのですが、御承知の新聞報道で私ども見ておりますが、毎日のようにいま大きな変化をしておる。しかも沖繩基地から発進するB52の戦略爆撃機がベトナム国境のカンボジア領の近くにまで、カンボジアにも爆撃を加えているというようなことも言われております。そういうことで、このインドシナ情勢について、まあカンボジアの政変等についてはわれわれ関心を特たざるを得ない。そこでその影響と今回の政変それから最新の情報を交えた見解というものをこの委員会で明らかにしていただきたいと思います。
#45
○国務大臣(愛知揆一君) まず、このベトナム問題全体と言いますか、ベトナムに限定してと申しますか、ベトナム問題について申しますと、パリ会談は御承知のように、現在も継続されているわけですが、依然とし目新しい進展は見受けられません。しかし同時に、現地の状況を見ますと、戦闘行動は小康状態を続けておるようであります。そして南越のいわゆる非米化政策に応じて米軍の漸次撤兵も現在のところ順調に進められているように見受けております。
 それからその次はラオスでございますが、一応簡単に申し上げたいと思いますが、ことしの二月からジャール平原周辺地域での戦闘が活発化してまいりました。これもここ数日のところは小休止状態の様相を呈しております。そしてプーマ首相の関係国協議の要請、それからパテト・ラオ側からの伝書使の派遣がございましたが、こういったような当事者間の話し合いの糸口が生ずる動きも出始めているように見受けられますので、注目いたしておるわけでございます。
 それからカンボジアはなかなか流動的でございます。御案内のように、上下両院合同会議がシアヌーク殿下の元首の職務を剥奪することを決定いたしまして、チェン・ヘンが新しい元首に就任するという事態が起こりまして、そうしてロン・ノル政権が誕生したわけでありますけれども、そのロン・ノル政権の基礎固めの努力を続けておりますけれども、シアヌーク支持のデモ、それからベトコンの動きもありまして、きわめて流動的な状況に相なっております。この間に処しましてわが国としてどうしていくかと、一言にして申しますれば、いわゆるベトナム戦争というものがこうしたインドシナ半島全体に波及してエスカレートするということは何としてもこれは防いでいかなければならないということを基本的な考え方にいたしておるわけでございます。したがって、たとえばラオスについて申し上げますならば、ラオスの政権は、一九六二年ジュネーブ協定以来共産側も支持したいわゆる中立政権でございますし、そうしてプーマ首相自身が関係国、すなわち英ソ両議長国をはじめ方々に対して平和的な状態に回復されることを望む活発な要請をいたしておるわけであります。政府といたしましても、ラオス問題については、多くを申しませんけれども、かねがね努力を続けておりまして、たとえばソ連に対しまする話し合い、あるいはこの平和解決の支援要請ということもしております。プーマ首相に対する総理の親書の回答も出しております。また一番最近では、三月の九日付だったかと思いますけれども、日本政府といたしましても、ラオスの平静化について両議長国はじめ監視団三カ国全部に対しまして文書をもってそれぞれの外交機関を通じまして政府の態度を明らかにし、そうして大体プーマ首相の要請しているような線で早く話し合いの座に着くことを期待し、かつそれに対する協力を政府としても求めておるわけでございます。
 カンボジアにつきましては、先般も御報告いたしたかと思いますけれども、ロン・ノル政権はカンボジア国の憲法によって正当に成立し、そうして上下両院合同会議でたしか全会一致で決議をしたのであって、従来どおり友好国との間には親交関係を続けていきたい、それから自主、平和、中立でございましたか、この国是を守っていくのであるということを、従来国交のある関係国それぞれに態度を表明し、文書をもって通告をいたしてまいりました。これは日本政府としても他の大体の国々と同じようにこれを承りおいたわけでございます。ということは、これは革命による新政権の誕生というものとはちょっと性質が違うのではないだろうかというような考え方をもちまして、大体関係国の多数がそういう態度をとっておるようでございますが、わが国といたしましても、この態度を承って、そして国交関係を継続いたしておるわけでございますが、なおこの流動的な先ほど申し上げましたような情勢の中におきまして、カンボジア内に、よく居すわりということばが報道関係などで使われておりますが、北越軍隊あるいはNLFの軍隊等が、これまたできればロン・ノル政権が言うておりますように、何らか平和的の話し合いで解決ができるようにしつつある努力を静観し、かつその成果のあがることを望んでおるわけであります。
 これを要するに、いまるる申し上げましたが、政府といたしましては、冒頭申し上げましたように、いわゆるベトナム戦争がこうしたインドシナ半島の状況にからんでエスカレートしないように、デスカレートをするように、そうして米軍の撤退計画が今後も計画どおり進んでいくということを期待してまいりたい、かように現在考えておる次第でございます。
#46
○鈴木一弘君 また時間が早くなったようですから、私ちょっとだけ聞いて外務大臣の質問を終わりたいと思いますが、それはラオスのプーマ首相も国際監視委員会、ICCの強化を望んでいる。またロン・ノル首相もICCの復活を望んでいるというようなことがあります。この強化についてわが国はどういうような協力の態勢をとるという気があるかどうか。またどんなかまえがあるかどうか。
 いま一つは、今回の予算書の中に、南ベトナムのチュライの病院に対しての援助費が七億円出ておりますけれども、北ベトナムにやらないというのも不公平であろうという感じがいたします。スエーデン等はすでに北ベトナムヘの援助をやっておりますが、そういう資金に対して援助をしていくというような考え方はないかどうか、考えられないかどうか、この二つを伺っておきたいと思います。
#47
○国務大臣(愛知揆一君) プーマ首相はICCの活動の再開を関係国に現在のところ要請するところにまだ至っていないようでございます。当面は、先ほど申しました一九六二年のジュネーブ協定当事国による協議を実現するように共同議長国に要請すると同時に、パテト・ラオ側との協議、話し合いをはかることによってラオス情勢の改善に努力していく、これが現在のラオス政府のとっている態度でございますので、わが国といたしましても、この努力に対して側面的に協力をするために、ソ連をはじめ、イギリスその他の国々に対しまして、先ほど三月九日と記憶すると申しましたが、まさに三月九日でございました。この種の協議が早期に実現するように、格段の努力を関係国に要請いたしたわけでございまして、この努力をさらに続けてまいりたいと思います。
 それからベトナムに対する援助の問題でございます。確かに、現在四十五年度の予算につきまして、御審議を願っておりまする協力の内容といたしましては、南ベトナムの病院の建設のために七億円の援助をするということをはじめといたしまして、わが国としては、南ベトナムについての援助ということだけが出ております。で、将来の考え方として、あるいはほかの機会にも表明いたしておりますけれども、インドシナ全体の福利向上、民生の安定ということには、政府として大きな関心を持っておるわけでございますから、いろいろの意味で政治情勢その他が平穏化すると同時に、そういう点についても、私は手を伸ばしていかなければならない、こういう考え方で考えていくべきものであると、かように存じております。なおまた、法律的というと、また語弊があるかもしれませんけれども、これはベトナム政府と国交回復したときのあの経緯も御承知のとおりでございますが、あの国交回復の――回復ではございません、設定の場合の考え方は、南ベトナム政府をベトナム全土の代表の政府として、日本としては外交関係を設定した、こういうことも考慮の中に入れて考えてまいらなければならない、まあ、こういうふうに思っておりますが、いま申しましたように、将来の問題として、あるいはインドシナ全体の安定ということを考えますと、国際緊張緩和の面からいたしましても、北ベトナムを考慮の対象に入れなければならない、こういう考え方を持って今後進みたいと、かように考えている次第でございます。
    ―――――――――――――
#48
○委員長(堀本宜実君) 次に、田渕哲也君の質疑を行ないます。田渕君。
#49
○田渕哲也君 外務大臣の時間の都合がございますので、質問の順序を変更いたしまして、外務大臣に対する質問から行ないたいと思います。資本の自由化並びに繊維の規制等の、この日米の経済問題についてお伺いしたいと思いますが、たとえば、この自動車の資本の自由化をとってみましても、四十三年の八月の時点の日米自動車交渉では既存のメーカーとの提携を認めないという方針が出されております。さらに四十四年の三月の財界の合意としまして、自動車の資本の自由化は、四十七年三月以降できるだけ早くその時期を決定するという合意がなされております。続きまして四十四年の七月の日米貿易経済合同委員会におきましては、当時の大平通産大臣は、四十七年三月の時点においてネガチブリストには載せない。さらに三カ月たった四十四年の十月には、閣議決定としまして自由化の時期は四十六年十月、まあこのように非常に短時日の間に、自動車の資本の自由化の一つの例をとってみましても、わが国の方針というものがどんどん変化してきております。このように短期間にこれだけ変化するというのは、非常に大きな問題ではないかというふうに考えますが、また、今回の日米間で問題になっております繊維の問題をとりましても、昨年初めは自主規制には応じられないというかたい態度をとっておりました。ことしの三月には被害があれば選択ベースで暫定的な自主規制には応じてもいい、こういう覚え書きを出しております。ところが、現在ではさらに譲歩しまして、暫定的なら包括規制もやむを得ないのではないか、こういうケンドール案に従って業界説得がされておる。このように初めは筋を通すとかなんとか言っておられましたけれども、短時日の間に政府の方針がくるくる変わってきておる。この原因は一体どこにあるのかお伺いしたいと思います。
#50
○国務大臣(愛知揆一君) まことにごもっともなお尋ねと存じますが、まあ率直に申し上げますと、やはり日本の経済力というものが、急速に予想をこえて伸長したということに、私は大きなこの沿革があると、こう申し上げることが、非常に率直でございますけれども、そういう点に大きな理由があるのではないかと思います。要するに、日米関係ももちろんでございますけれども、日本をめぐる国際経済の中のパターンが非常に急激に変わってきた。そして、かりにこれを貿易という面だけを取り上げてみましても、日米の貿易関係におきまして、非常な輸出超過が、かつ急速に伸びたというようなことが、やはりこの種の政策の展開に大きな影響を及ぼしてきたということが言えると思います。で、具体的に自動車の自由化あるいは繊維の問題等については、私からだけでは御答弁が足りないと思いますけれども、たとえば、しかし、明らかにしておきたいと思いますのは、これは国益の線に沿うてあるいは対米的に筋を通した交渉でなければ、これは無原則の妥協はすべきでない。それから日本は、なるほど日米の経済関係は非常に大きな比重ではございますけれども、同時に多数のアジア、あるいはヨーロッパ、あるいは大洋州、中南米あるいは共産圏、ほとんど世界各国に対する非常に大きな関連を持っておりますものですから、そういう点も多数国間の中における日米経済の問題として取り上げていくと、これも筋目を立てる一つの大きな条件であると思いますけれども、これらを総合してを守り筋目を立てていくと、こういうことでなければならないと考えております。
#51
○田渕哲也君 外務大臣の御説明によりますと、この日米の経済力の変化ということもあげられておりますけれども、これも確かに大きな要素としてあると思います。しかし、私はもう一つの要素としまして、やはりアメリカからの圧力といえば語弊があるかもわかりませんけれども、要請が非常に強まるにつれて、わが国の政府の態度がずるずると変わってきておる、こういう気がするのであります。三月初めに出されました繊維に関する覚え書きにつきましては、私は筋を通すという面から考えるならば、わが国が譲歩し得る一つのぎりぎりの線ではなかったかと思うのでありますけれども、最近の状態を見ますと、さらにそれがもう一歩譲らざるを得ないような状態になってきておる。これはどうも理解ができないのでありますけれども、この三月の初めの覚え書きというのは、国際的な慣行とか、あるいは現状から見て、私は妥当なぎりぎりの線だと思いますけれども、この点に対する大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#52
○国務大臣(愛知揆一君) これもまことにごもっともな御意見であると思います。私はこの三月上旬に繊維問題について出しました対米覚え書きというものは、日本の考え方というものを少し冗長過ぎるぐらいに、しかし同時に、集大成したものであって、これはてまえみそのようで恐縮でございますが、非常に明らかに、かつ詳細に日本の態度というものを表明したものであると思います。したがいまして、この覚え書きを出しました以降において、日本側の提案というようなものは出さないで、そしてそのままの状態でまあいろいろ米側の繊維業界の状況とか、あるいは国会の状況とかいうようなものを、まあ情報を収集しながら、この考え方の線の中で話し合いを煮詰めるとすればどういう方法が、先ほど申しましたように、国益を守り筋目を通し得るゆえんであるかということをいま探求中であるわけでございます。決してこの覚え書きに掲げられました筋目を逸脱するということのないように、かりに話し合いを煮詰めるとしても、その態度は守ってまいりたいと思っております。
#53
○田渕哲也君 大胆の時間があまりありませんので急ぎたいと思いますが、あと関連の質問、通産大臣並びに大蔵大臣に対しましては後ほどやらしていただきたいと思います。
 まず外務大臣に対しまして、日米関係は、日本の経済の発展によりまして非常に変化してまいっておるということは事実だと思います。特に経済面においては非常に大きなお得意さまであり協力者である。お互いにそうであると同時に、反面では競争的な対立関係というものがますますクローズアップされてきておると思います。こういう段階において日米関係というものを今後友好的に持続するためには、この業界の利害がなまでぶつかり合ったり、あるいは業界が、自国政府に対する政治圧力が強くなってそれに政府が大きく左右されたり、こういうことが起こると、今後の日米関係の友好関係にマイナス面というものがかなり生じてくるような気がします。したがって、特に経済問題については場当たり的な解決ではとても解決は困難でありますし、また日米関係にマイナスになろうかと思いますので、政府間で原則的なルールというものをはっきり確立して、これを相互に尊重することが大切と思いますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
#54
○国務大臣(愛知揆一君) 日米関係は、先ほど申しましたように、ずいぶん背景あるいはパターンが急激に変わってまいっておりますから、御指摘のように、両者がともすると競合関係になってくる。同時にまた、貿易の例を申して恐縮ですが、両国、出入り合わせれば八十億ドルをはるかにこえようとしている。どうしてもこれはある程度の利害の衝突ということが出てくるのは、これは自然の勢いである。そこで、どういうふうに対処していくかということは、私は、たとえば端的に申しますれば、やはりガット精神というようなことではないかと思います。アメリカにも保護主義者がだいぶ出てきたようでございます。また日本でももっと自由化を促進すべきであると考えますけれども、なかなかこれも思うにまかせないというのが率直な状況でございますが、要するに、ガットの精神によって公正な競争関係を確立していくことが大切である。それから同時に、繊維の問題に限りませんが、ことに繊維のごときは、いま向こうが希望しておりますのは、方法論とすれば、要するに自主規制ということでございますが、これは業界の納得なくしてはできないことでございますが、そういうことも考えてみて、両方の経済人がもっともっと話し合いの場を持って、そしてお互いの理解を進める、そしてそこに相互の協調関係を設定していく、そしてその基礎になるものはガット精神である、こういうふうに持っていくことがこれから非常に望ましいことである。幸いに最近は日米間のそうした関係がますます幅も広く底も深くなってきつつあるようでございまして、たいへん喜ぶべきことと思いますが、こういう面は、経済人と申しますのはあえて企業家だけを言っているわけではございません。労働界その他におきましても双方の意思の疎通、理解し合える場が大きく広がっていくことがこういうものの基本的解決に対して非常に有効ではないだろうか、かように存じておる第次でございます。
#55
○田渕哲也君 外務大臣は時間の御都合がおありのようですから、これでけっこうでございます。あと引き続きまして通産大臣に質問をしたいと思いますが、自動車の資本の自由化の時期、昨年の十月の閣議決定では四十六年十月ということがきめられておりますが、その後、先ほどECATのケンドール会長の一行が来日しまして、クライスラーのタウンゼント会長に大臣もお会いになったようでございますけれども、その後話し会いのニュアンスとして新聞報道によれば、若干早めるというようなニュアンスの記事が出ておりましたけれども、今後の日米交渉の成り行きいかんでは、四十六年十月の時期を、さらに早める可能性があるのかどうか、これをお伺いしたいと思います。
#56
○国務大臣(宮澤喜一君) 毎々申し上げますが、私は自由化ということは、日本の経済のためになると考えておりますから、これは自主的に推し進めるものだと思っているわけであります。むろんアメリカがわが国の自由化に関心を持つことは当然でございますけれども、私は外圧の結果どうするという、そういうできごとではないというふうに基本的には思っています。繊維との関係についてお尋ねがございましたけれども、それがわれわれに圧力になるよりは、アメリカが自由経済に反するようなことをやってくれますと、かえってわが国の自由化の努力、私どもが国内を説得するのにむしろじゃまになるくらいのものだというふうに考えております。自動車のことについてお尋ねがございましたが、私は資本の自由化、物の自由化ともにきめられました期限というものは、おそくともというようなふうに自分の気持ちの中では考えております。ただいま来年の十月を変えるかと申せば、ただいまのところそういう具体的にどう変えるか、変えるべきかというようなことを考えておりませんが、それらはおそくともというふうに私としては読みたい、そういう努力を国内一緒にやっていきたいという気持ちを持っております。
#57
○田渕哲也君 重ねて通産大臣にお伺いしますが、先ほど外務大臣の質問の際に申し上げましたように、約二年前、一年半くらい前から自由化の目標が非常に急速に変わってきているわけですが、これは日米経済の状態の変化ということもありますけれども、それにしてもあまり目標が変わり過ぎるので、これは目標にはなり得ないのじゃないか、業界の体制整備をするにしても非常にこれは問題ではないかという気がしますが、この点をお伺いしたいと思います。
#58
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど外務大臣もお話しでございましたが、わが国の経済の進み方、発展が何びとの予測よりも確かにかなり早うございますし、またこれからも早いだろうと予測されます。したがって、従来掲げられていた目標というのは、これよりおそくはならないぞという目標だというふうに私は自分でかってに考えておりまして、したがって、急げるものはできるだけ急いでいくのがいい、こういう考えでございます。
#59
○田渕哲也君 あと関連しまして大蔵大臣にお尋ねしますが、自動車の資本の自由化も非常に必要でありますけれども、むしろ対米関係を考えた場合に、資本の自由化より前に貿易上の制限をもっと減らしていくということも必要ではないかと思います。また、現在乗用車の物品税が非常に高いということもアメリカ側から指摘されておりますけれども、これを下げるお考えはあるのか、また、関税がケネディラウンドに従いまして下がりましたけれども、まだ高いわけで、さらに引き下げの方向を考えておられるか、お伺いしたいと思います。
#60
○国務大臣(福田赳夫君) まず、関税につきましては、大型車を一七・五に引き下げまして、まあまあというふうに考えています。小型は二〇%に下げる考えです。これはまあ大体それで満足を得るという、こういうふうに考えております。物品税はいまいろんな新線の話とかそれから高速道路の話とかいろいろありますから、そういうものとの関連で物品税であるいはふやさなければならぬものがあるかというくらいに考えておりますので、いまこれを引き下げるといこうとは具体的に考えておりません。
#61
○田渕哲也君 重ねてお尋ねしますが、たとえば、特にアメリカの大型車に対して物品税は非常に高いわけです。これはこれからの日米間の交渉の中でやはり大きな問題になろうかと思いますが、いつまでもこのまま下げずにいくということがはたしてできるかどうかお伺いしたいと思います。
#62
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、いま一般的に申し上げたんですが、高級自動車になりますと四〇%という高率になっておるわけです。これがまあアメリカから入るものが多いということになろうかと思いますが、これの四〇%というのはどうも少し高いんじゃないかというような感じがします。しかし、物品税につきましては、先ほど申し上げましたように、道路計画もある、また新幹線計画も出てきそうであると、そういうような状況ともにらみ合わせました上で検討をいたしたいという考えであります。
#63
○委員長(堀本宜実君) 田渕君の質疑はこの程度にいたしまして、午後一時再開することといたし、これにて休憩をいたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十九分開会
#64
○委員長(堀本宜実君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 鈴木一弘君の残余の質疑を行ないます。鈴木君。
#65
○鈴木一弘君 総理に、最初外交問題でちょっと伺いたいのですけれども、その前に、この予算委員会の審議、あるいはすでに終わった衆議院の予算の審議を通じて、これは非常に重要な予算委員会であります。これは七〇年代の最初の年であるという点で、私どもも、これから十年の日本の政治を考える上には非常に大事なものだ、こういうふうに思っておったのでありますが、報道されるところでは、その批判は盛り上がりを欠いたとか、すれ違いの質疑とか、そういうような批評が出ております。新聞論調の中には、佐藤総理に元気がないためだと、こういうようなことを書いたのもあるし、ことしの秋の総裁四選を辞退する意向だと、こういうように伝えているものもある。こういう国会の低調さが、もしもそんなことで起きたとすれば非常に遺憾なことと言わざるを得ないのですが、私がこれから聞いていきますいろんな質問に対して、まず総理の心境といいますか、まあことしの秋の四選に出馬するかどうかというようなことは、これは党内問題でもございましょうから、われわれが関知してはいかぬことだろう、干渉はしないつもりでございますけれども、国民の立場から、総理は引き続き政権担当の決意がおありなのかどうか、そういう点をお尋ね申し上げておきます。
#66
○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、さきの総選挙でわが自由民主党は国民からの支持を得ました。当然その国民の支持のあるところに政権担当の責務がある、かように考えて、自由民主党はただいま鋭意政局と取り組んでおるのでございます。このことは自由民主党自身が国民に対して負う責任でありまして、一党首、一総裁、そういう責任でとやかくものを考えるべきではない、かように私は思いますので、その点は誤解のないように願っておきます。私自身が、さらに党内の事情等によりましていろいろの事柄がございましょうが、しかし、いずれにいたしましても、政党そのものは国民に対して責任を持つものである、このことをはっきり申し上げましてお答えといたします。
#67
○鈴木一弘君 若干、外交問題で伺っておきたいと思いますが、カンボジアの政府が、解放戦線、北ベトナムとの三者会談による解決と並行して、国連の安保理事会への提訴を考えているようでありますけれども、こういうような国連提訴についてはどう考えておるか、それの出方いかんではこれはまとまることもあり得ると思いますが、そういう国連による解決を支持するかどうするか、その点の御答弁を伺っておきたい。
#68
○国務大臣(佐藤榮作君) 事柄は国連の問題でもございますが、同時に、関係諸国がこういう問題について冷静であるべきだと、かように思っております。私ども、日本そのものは平和に徹する憲法のもとでただいま国づくりを一生懸命やっておる。しかしながら、極東、アジアの諸問題については最も関心を寄せておることはしばしば申したとおりでございます。したがいまして、ただいまのカンボジアの問題は直接米ソ両大国が多大の関心のあることだと思っております。そういう際に、実は川島副総裁がモスコーに出かけております。ただいまモスコーに参りまして、わが国の立場と米ソ両国の立場等について意見の一致を見出すことができればたいへんしあわせだと思っております。国連の場以前に、そういうところで話し合いができるならこれにこしたことはないと、かように思っております。私はそういう点をも含めて、川島副総裁がどういうような処置をするだろうか、ただいましばらく模様を見守っていただきたい、かように思っております。
#69
○鈴木一弘君 そういうことばでありますから、しばらく見たいと思います。
 その次には、わが国がアジアで果たしている役割り、これは紛争等についての調停や仲介の役割りも当然あるだろうと思う。これは、そのためにも現在政府は、いろいろ経済協力ということをやっているのだと思いますし、そこで、この前の、昨年のことで、ラオスのビエンチャンの空港整備の問題、私は飛行場建設援助ということで、軍事援助にならないかと心配して質問いたしました。そのときの答弁では、アメリカも平和目的のみに使うということであるからという話であったわけですが、現在これが東洋棉花の請負工事のもとでやっている。プロペラ機としてはラオス政府軍のT−28戦闘機などが発着しておりますが、工事が完成すれば、これは当然ジェット機の自由発進ができるようになります。そこで、ラオスの内乱について、アメリカが現在空から協力しているということは重々御承知と思いますが、ジェット旅客機もない国が、それほどの旅行客もないと思われるところに、ジェット機用滑走路をつくる理由がどうしてあるのだろうか、それが大きな疑問であったわけです。そうなりますと、米軍の爆撃機の発進の基地に転用されるというような心配がある、こういうことになりますと、当然のことであるけれども、そのことからパテト・ラオ等の勢力の反発を日本が買わなければならない場合も出てくる。一方だけの勢力に利するというようなことになる、そういう経済協力というのは、外交機能というものの弾力性を失なうのではないか、そういう心配で仲介、あるいは調停の労も一方でとりたいという考えもおありになると思いますが、一方で、そういう軍事援助みたいなふうに、こちらの意思でなくても肩がわりさせてしまうというおそれが出てくるのは、これは大きな矛盾だと思います。その点についての考え方を伺っておきます。
#70
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのもろ刃の剣というような表現をされましたけれども、私が実はラオスを訪問した際に、空港の整備が非常におくれている。もっとやはりラオス自身も空港を積極的に整備して、近代的な航空機が飛び立ち得るような、そういうことにしたいのだと、こういうようなプーマさんのお頼みがございました。私も積極的にやはりこれを国際航空基地に使い得るような、そういう飛行場をつくるべきだ、かように思いまして、積極的に実は支援をしよう、こういう約束をして参ったのでございます。当時は国内問題も比較的に落ちつきを見せていた、またパテトラオ等にいたしましても、連立政権後ジュネーブ協定が守られておる、こういうことで、やや落ちつきの状態でございました。私どもは、その方向で落ちつく、そのためにはやはり積極的にラオス国民の生活そのものを向上さすことだ、充実さすことだ、かように考えて、実はこのプロジェクトを取り上げたわけであります。しかしながら、ただいま言われるように、使い方によりましては、これは意外なものにもなりかねない、そのためにジュネーブ協定というものが守られなければならない、こういうことで、ただいまプーマ首相もそういう点に触れて発言をしておられるように思います。私は物事が進んでくること、このことには積極的に協力したいのですけれども、いまのように使い方によってそれが害悪を流すと、こういうことのないようにしたいものだと心から願っております。したがって、ラオス問題、これも同時にカンボジア問題、あるいはベトナム問題、これら三国関係が、やはり正常化する方向に何としてもなければならない。そのあと押しをしておりますものが、何といいましても米ソ二大強国であることは、これはいなめない事実であると思います。いままでも武器等の供与はお互いに避ける、中近東でも申し合わせをしておりますが、そういうようなものがもっと積極的に当地域においてもなされること、これが望ましいことではないかと思います。もうひとつ、このラオス、ベトナム、カンボジア、その背後には中国大陸のあることも、これも否定のできない問題でございます。しかし、やはり何といっても、米ソ両国がその共存の関係に立って、そうして関係する諸国がお互いにこれらをまるくおさめるというか、そういう話し合いを進めることが、何よりも必要ではないだろうかと思います。
 ただ、別な問題でございまして、これはお尋ねになるつもりはなかったかもわかりませんが、例の日航機――航空機乗っ取りの問題にいたしましても、私ども、やはり北鮮政府、これにも関心を持っていただきたいと思いますが、これもやはりソ連の積極的な協力もどうしても得なければならない、かようにも思っておりますので、なかなかこの表面に出てきたところだけではなくって、その背後関係を調整することが何よりも大事なことではないだろうかと、かように思っております。
 私は、率直な意見をただいま申し述べた次第であります。
#71
○鈴木一弘君 それで、ひとつここで具体的な問題として起きてくる可能性のある問題――これはラオスにナムグムダムをつくっておりますけれども、このダムの建設に従事している日本人技術者等もかなりいるわけであります。百四十人近くいる。それでパテト・ラオ軍の最近の攻勢が活発になってくる。まあさらにこれがいよいよ活発になれば、現場付近もそういう最前線になるという可能性も出てくるわけであります。そうすると、そういう邦人保護のためにも、これはそのときの救出とか何とかということではなくて、現在からわが国としても、今回の北朝鮮の、例の飛行機が北朝鮮に向かうというような事件が出ましたのと同じように、何かしらの外交ルートをパテト・ラオと接触してつくっておく必要があるのではないか。そういうような工事の平和的な目的について相互的な理解を求めて、向こうにおります工事関係者の安全を期していくと、こういうような了解を求めるということが必要ではないかと思いますが、その点のお考えはいかがでしょう。
#72
○国務大臣(佐藤榮作君) ナムグムダムの建設、これが内戦が影響するだろうということ、そういう危険は私どもも十分注意しなければならないと思います。したがいまして、工事現場における婦女子等はいち早くやはり退避することが望ましいと、かように考えております。そういう処置は適時とられていままでもきましたが、これからもとられるだろうと、かように思っております。
 また、このナムグムダム自身の建設は、これはパテト・ラオのほうにとりましても、これが有用であるということはよく理解されておりますので、積極的に工事を妨害すると、こういう処置はないものだと、かように考えております。ちょうどベトナムにおきましての日本工営等がいろいろ設計し、そうして日本の工事会社が進出して建設いたしました電力開発、そういう事態は、どうも破壊するというふうなことはしないようでありますし、やはり区別して、そこらではそういうものに対する対策はとらないように、特別な処置はとらないように、避けられておるようにいままでは見ております。
 そこで、ただいまの鈴木君のお話しのように、現在の状態でパテト・ラオを相手にしてひとつ話しをしたらどうか、こういうお話でございますが、これこそ私どもいろいろ誤解を受けやすいことでありますから、その点は慎むべきではないだろうかと、私どもどこまでも、いまありますラオス政権そのものにたよらなければならない、そうして内戦自身は、私どもそれに関与すべき筋のものでないことを、この際はっきりしておくこと、それが必要ではないだろうかと、かように思います。
#73
○鈴木一弘君 インドシナの問題で、最後にこれは経企庁長官に伺っておきたいのですが、経済協力基金に一千万ドルの対ベトナム向け資金が計上されていると一部の新聞に伝えられておりますけれども、これはほんとうかどうか、政府の借款供与というのは初めてのことになるのですが、そのための交渉等はどうなっているのか、これは経企庁の所管でございますので、御答弁をいただきたいと思います。
#74
○国務大臣(佐藤一郎君) 御存じのように、ベトナムの援助の問題は、まだ実際に始まっておりません。そういうことで、われわれといたしましては、特定なものを予定はいたしておらないわけであります。
#75
○鈴木一弘君 次に、これから財政のほうへ移っていきたいと思いますが、初めに大蔵大臣に、四十三年度予算編成のときには、財政硬直化ということが非常に大きな問題になりました。その財政硬直化は、その後、四十四年、四十五年と、どういうふうになってきましたですか。
#76
○国務大臣(福田赳夫君) 四十三年度予算の編成にあたりまして、財政が非常に硬直化していると、これを打開しなければならぬと、そこでその一つの方法として総合予算主義ということを始めたわけであります。つまり、その年度におきまして予見し得るすべての歳出、歳入、これを当初の予算に計上する、その前は、ややゆるやかな気持ちでありまして、どうせまあ年度末にいくと補正予算が出るのだというようなことで、当初の予算が低目に組まれておったという傾向を是正した、そういう措置をとったわけであります。ところが四十三年度の末になりますると、やはり補正を組まなきゃならぬような事情が出てきたわけであります。私は、その四十三年度の終末期に大蔵大臣に就任しましたが、就任した当時の私の国会における印象、これは総合予算主義というのが補正なしの予算を意味するのだ、こういうふうにいまなっておるということを看取しまして、これはたいへん容易ならざることだと、総合予算主義ではありまするけれども、その後に異常な事態、非常な事態があった場合に、総合予算主義のもとにおいても補正予算を排斥するものではない、そうでないとたいへん窮屈なことになってしまう。
 そこで熱心に、総合予算主義とはそういうことであるという理解を求めることにつとめたわけでありまするが、四十四年度になりますると、やはりそういう意味合いにおきまして総合予算主義をとり、なるべく補正は組まないでいきたいなというふうに考えておったわけであります。ところが、公務員の給与勧告、これが、私どもが当初見たよりははるかに高いことになった。それから米価対策問題が出てくると、こういうようなことがありまして、補正予算をまた御審議願わなきゃならぬような事態になったわけです。そこで四十五年度になるわけでありまするが、四十五年度におきましても総合予算主義をとっておるのです。つまり、いままでは給与費、これについては財源対策が乏しかったと思うのですが、今度は五月から五%の人件費を追加計上する、また予備費を九百億円でありましたものを、四十五年度は一千一百億円にする、こういうふうなことをする、その他義務費等につきましては、これは十分不足のないような額を計上するなどいたしまして、四十五年度、異常な事態、非常な事態がなければ補正は必要ないと、こういうふうに編成をいたしたわけでありまするが、しかし、財政全体をずっと流れを見ますると、当然増という経費は非常にふえてきておるのであります。四十五年度の予算編成にあたりましても、大よそ九千億円が当然増である。そうなると、新規政策費を組む幅というものが非常に少なくなってくる。当然増加が、予算の流動性、弾力性というものを非常に圧迫をするという事態になっておるのです。そこで、そういう観点からは、補助金なんかにつきまして、もう少し何とかならないかと、ずいぶんくふうをこらしてみました。しかし、大ものの補助金につきましては、ついにこれが実現に至らなかったわけでありますけれども、中もの、小もの、こういうものにつきましては、かなりの整理、節約をいたしたわけであります。また事務費、そういうようなこまかい経費につきましても、かなりの合理化をいたしまして、ただいま御審議を願っておる予算案と、さようなものになっておる、さようにひとつ御了承願います。
#77
○鈴木一弘君 いま大蔵大臣は、当然増の問題については、これは非常に大きくなってきていると、九千億にもなるということを言われたわけです。私は、そういう点から見た財政硬直の問題、これは大蔵省が予算委員会に出してくださった資料ですけれども、それを見ると、前年度予算の総額に対する増加率、当然増の増加率は、四十二年度で八・六%、それが四十三年度が一三・五%、四十四年度が一二%、四十五年度は一三・六%という急増ぶりを示しております。四十三年から財政硬直を直すと言っていながら、その実は、このパーセントで見る限りは一向に下がっていない。もちろん絶対額でも、四十二年には三千七百九億あったものが、四十三年、四十四年と、六千七、八百億、六千九百億、それで四十五年度は九千億と、それに対して政策費のほうは逆に、四十一年は一一・三%、四十二年は六・三というように、前年度予算総額に対する比率は少なくも五%ないし一〇%あったのですが、四十三年、四十四年となると、四%であるとか三・八%と下がってきております。そういう点から見ると、四十三年のときにあれほど騒がれていた、財政硬直化のキャンペーンもものすごく行なわれたというあの大騒ぎが、四十四年、四十五年とだんだん声が小さくなって、ささやかれる程度になってしまってきている。金額でいえば伸びている。パーセンテージでいっても当然増経費のこの異常なふくらみというものは非常なものだと私思うのですけれども、そういうことでは、一向に硬直化打開は進んでないんじゃないか。むしろ財政の弾力性が失われるというような、財政状況というのはだんだん悪化をしているのではないかというふうに思わざるを得ないのですけれども、その点はどう考えていますか。
#78
○国務大臣(福田赳夫君) 予算の中で非常に硬直性を持っておると、経費のよしあしを論じておるわけじゃございませんけれども、硬直性を持っておりますのは、社会保障費とか、あるいは教育費あるいは地方交付税交付金、こういうものだろうというふうに思うのです。つまり、これらはそれぞれその背後に法的基礎があるわけであります。その法律によってこの支出を義務づけられるというものが非常に多いわけであります。しかしながら、使命を達した補助金というようなものは、いかに法律的背景がありましょうとも、その法律を修正していただいて、硬直化の打開という努力をしなければならぬ、こういうふうに考えるわけでありまして、交付税の関係に関しては二、三の補助金の整理をいたしますとか、その他失業対策事業につきましてもメスを入れまするとか、いろいろの努力はいたしておるわけであります。硬直化打開、総合予算主義、これは非常にむずかしい問題でありまするが、決してその旗をおろしておるわけでもなく、また努力を続けないという、転換をいたしたわけでもない。まあ長い問題であるけれども、熱意を持って取り組んでいきたい、かように考えておるのであります。
#79
○鈴木一弘君 そうすると大蔵大臣は、財政の弾力性というものはだんだん失われつつあるというふうにはお思いにならないわけですね。
#80
○国務大臣(福田赳夫君) 何せ国会の論議でもそうです。この経費はカットしたらどうだという意見はそうたくさんは聞かないのです。それから院外に出ましても、国民の各界各層から、この予算はやめたらどうだろうという意見はそう聞きません。ところがこういう制度、ああいう支出、そういう要望は、もうほんとうに数え切れないほどあるわけであります。そういう事態ではありまするけれども、財政は生き生きとした内容にしなければならぬ。それには弾力性を持たせなければならぬ、そうは考えておりまして、努力をいたしておりますが、社会環境もずいぶん変化します。そういうふうな変化に応じて財政も弾力的な対応をしなければならぬ。そういうことを考えまするときに、私どもの努力もなかなか実を結ばないのでありますが、努力は今後といえども一そう傾けていきたい、かように考えております。
#81
○鈴木一弘君 どうして弾力性の回復はおくれているのか、できないのか、硬直化の打開が進まないのか。四十四年、四十五年とこういう予算を見て、大臣も、その根本的な原因等についてはいろいろお考えになっているのだろうと思いますけれども、どういうふうに考えていらっしゃいますか。ただ交付税がこう伸びている、そういうような国民の要求があるからというだけのものではないだろうと私は思います。その点はいかがですか。
#82
○国務大臣(福田赳夫君) 私もメスを入れなければならぬ問題が多々あるというふうに考えているのです。あるいは社会保障の中におきましても、医療保険につきまして乱診乱療というようなことがいわれる。これもひとつちゃんとしなければならぬ。それから先般、公明党から御指摘のありました生活保護というような問題、これにもあやまちないか、これも常に反省はいたしております。努力をいたしております。
 また、交付税交付の問題です。これにつきましても、中央、地方、そのときの経済情勢に応じて調整の道はないかというようなことは、常に検討はいたしておるのです。ですが、なかなかむずかしい問題でありまして、一朝一夕に片づかない。今後といえども格段の努力を傾けていきたい、かように考えておる段階でございます。
#83
○鈴木一弘君 私は硬直化打開が進まない原因の一つの大きなものは、予算編成のあり方そのものにないかということ。たとえば大蔵省の予算の査定のテクニックのために、硬直化打開というようなことを言っているのであって、財政運営の基本にそれを置かないでやっていたのじゃないか。ですから、当然、財政の硬直化を打開するには、現在行なわれている前年度予算プラスアルファという方式でいったんじゃだめじゃないか。いわゆる実績積み増しというか、そういう主義の予算編成のやり方をやりますと、結局、歳出予算の各費目とも歳出予算の総額がふえた程度は全部水増しされてくる、ふやされてくる、上積みされてくる、そうでなければおさまらない。これは予算要求している各省としても当然のことだと思うのですね。そういう点で、昨年度まで計上されていった予算の費目であっても、根っこのところがらもう一ぺん、その必要性とかその行政効果であるとか、こういうものを判定していくというような予算編成がなされなかったから硬直化を招いているんじゃないか、こういうように思うんです。その点で、洗い直しのやり方ですね、この点を本気にやらなければ財政硬直ということは是正されないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
#84
○国務大臣(福田赳夫君) 御意見は、まことにごもっともだと思います。やっぱり予算を編成するにあたりましては、従来の経費について根っこからの検討を必要とすると、そういうふうに考えます。ところが、最近変な風潮が出てまいりまして、経費につきましては伸び率がどうだといって、伸び率のみ問題にするという傾向であります。これは私は間違っていると思うんです。やっぱりそうではないです。中身を見まして経費の価値というものを論じなければならぬというふうに考えます。伸び率を論ずるという考え方は、既定のものは、いままでのものはいままでのとおりして、プラスアルファー幾らになったかと、こういう考えだろうと思いますが、それであっては相ならぬと思います。いままでのものにつきましては、十分その効果があがったかあがらないか、そういうことを検討して、これはもうあがらない、もう使命を終了したというようなものにつきましては、これはもう大胆にカットしなければならぬ。また、これはやってみたけれどもさしたる効果があがらない結果になったというようなものにつきましては、これもまたカットをしなければならぬ。たとえ伸び率は少なくとも、そういう努力をいたしまして、そうして真に働く金を使うんだというようなことになりますれば、予算はほんとうに生きてくるというふうに考えます。まあ決算委員会もあります。決算委員会の審査の結果、また私どももその予算の結果――決算委員会のみじゃございません、みずからの手によってもよく点検をいたしておりますが、なおさらにさらに実行の成果をあげ得たか得ないかという点につきまして精査いたしまして、その上に立って予算の編成に当たっていきたいと、お話のような考え方、私は大賛成であります。
#85
○鈴木一弘君 そこで、その効果の判定ということは、非常にこれは困難だろうということを思いますが、PPBSの導入も考えているというふうに私も政府の答弁を承ったのですが、そういう点から見ても、どうしても真剣にやらなければならぬ。やった場合に、効果の判定からすると、前年度実績に食い込むような査定ということも予算ではあり得る、こういうようなことが出てくる。それでなければ、いまのようないわゆる定型化されたといいますか、そういうような予算査定といいますか、そういう予算査定の定型化を破ることはできないのじゃないかということが考えられるのですが、そのように心得てよろしいですか。
#86
○国務大臣(福田赳夫君) PPBSにつきましては、これを予算編成に全面的に取り上げるということはなかなかむずかしいようです。特定の問題にこれを適用する、そういう際におきましては、ものによりましては非常に大きな資料になり得るというふうに考えておるのであります。そこで、政府におきましても、いまこれを日本に取り入れる、いかにするかというので、まあデータの整備と、それからこれを使いこなす人員の養成、これをいま手がけておる段階でございます。多少時間はかかりますが、ぜひそういう科学的、合理的な方法も予算査定の有力なる資料として取り入れていきたいと、かような考えを持っております。
#87
○鈴木一弘君 そういう厳重な査定というのがされれば、当然前年度実績に食い込むこともあり得るだろうというふうに思います。この問題は、非常に大蔵省だけが一生懸命がんばりましても、最後には各省の圧力でつぶされるという心配もございます。そこで、これは総理大臣に、いまの予算の査定の行き方、大蔵大臣も非常に賛成であるという、行き方はずいぶんはっきりと浮かび出てきたわけでありますけれども、強力なバックアップがなければ、これは各省の要求が大きいだけにうまくまとまらないということになりかねない、その点についてのお考えを伺っておきたいのですが。
#88
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま大蔵大臣がお答えしたように、もちろん内閣そのものが一致することが望ましいのでございますし、そういう場合に、やはり総理として、そういうものを適当にあんばいすることが、これが私の仕事でもありますが、いいことは少数意見でありましても閣内でそれを支持する、そういう態度でいままでもやっておりますが、今後もそういうことで十分協力をするにやぶさかでないことをはっきり申し上げておきます。
#89
○鈴木一弘君 それから次に、これはやはりもう一つは、財政硬直化の是正が進まない私は大きな原因は、行政機構それ自体にあるのではないか。現在のような変動している経済あるいは発展している社会というものに合わせていく、そういう姿勢が政府に欠けているのじゃないかということを、その点心配するわけです。前回もこの問題で、私はこの予算委員会で指摘をした覚えがあります。それで、国民のために行政があるというのがほんとうで、行政のために国民があるというようなそういう姿ではならないというのは当然だと思いますが、いままで見ていますと、総理は、公社、公団等のような公益法人そのほかについてもこれをかなり整理はしたということをこの間答弁がありましたけれども、私どもから見ていると、何となくつくるほうに熱心なような感じがいたします。そこで、経済、社会の情勢に合わせてそういうものをつくりかえていこう、その要請に合わせるようにしていこうという努力が欠けているのじゃないか。昭和四十五年度の予算を見ても、本土四国間の架橋公団、国民生活センター、情報処理振興事業協会、科学振興財団、新設とか改組とかというふうで、どんどんどんどん変わっていく。当然社会の発展に伴ってそういうことが行なわれるということもこれは必要だと思いますが、逆に今度は発展に伴って不要になったりあるいは整理をしたり縮小をするべきところもできてくると思う。そういうのでないと、社会あるいは経済情勢に適応する力というか、その適応性がなくなってしまうということですが、そういう点の努力が私はどうも欠けているような感じがいたすのですが、いかがでしょうか。
#90
○国務大臣(佐藤榮作君) いつも御鞭撻を受けて、たいへん恐縮に思います。
 申すまでもなく、ただいま鈴木君が御指摘になりましたように、行政は国民のためにやるのでありまして、行政のために国民があるというような本末転倒の仕事をしてはいけない、これはもう御指摘のとおりであります。私も、時代の要請に応じて新しいものもつくりますが、同時に、そのほうばかりに熱意を示すのではなくて、時代から取り残されたもの、おくれているもの、もう不要になったもの、そういうようなものの整理に積極的に取り組まなければならないと、かように考えております。ことに内政の年という指摘を申しております以上、これが立法、司法、行政、他の面には私ども三権分立のたてまえからとやかく申しませんが、行政そのものについては、ただいま御指摘になりましたように、積極的に国民のお役に立つ、そういう行政をしなければならない、そういう意味で行政機構がまず取り上げられることは、これは当然でございます。そうして、中身も中身、また機構、形も形、そういうことで、私ども真に国民のお役に立つような行政をしたいと、さような意味で、行政機構の整備に内政の年という限りにおいて積極的に前進する決意でございます。
#91
○鈴木一弘君 総理の決意を伺ったので、あとはこまかい問題に入りますが、行政監理委員会の報告書――白書ですか、その中に、行政監理委員会の勧告や意見が従来の繰り返しにとどまっているということが感じられるんですが、これはとりもなおさず、この一年間の間、行政改革があまり進んでいない、こういうような証拠だと思うんですが、行管長管、御意見はいかがでございましょうか。
#92
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。
 先般の行政監理委員会の意見書は、行政監理委員会委員が、民間有識者から選ばれた委員としての識見に基づいて、行政管理庁長官に対し行政改革に関する意見を述べたものでありまして、その趣旨については、今後における行政改革の推進に際して十分尊重してまいりたいと思います。意見書が整理再編成すべきものとして具体的に例示した事項については、すでに検討を進めている次第であります。
#93
○鈴木一弘君 いまのでわかりましたが、四十五年三月四日の「行政機構等の整理縮小に関する当面の措置について」ということで、食糧事務所をはじめ、廃止あるいは縮小整理ということがかなり言われている。これに基づいて推進をしていきたい、これを参考として推進をしていきたいということをいま言われたわけでありますが、担当大臣の所見はいかがでしょうか。食糧事務所、統計調査事務所と、これは農林省だと思いますが、生糸検査所。
#94
○国務大臣(倉石忠雄君) 農林省の行政組織につきましては、かねがね行政管理庁と十分お打ち合わせをいたしながら、しかも政府全体の行政機構の改革の趣旨に沿うて努力いたしてまいったのでありますが、いまお話のございました六人委員会の御意見も拝見いたしました。で、いまお話のありました統計調査事務所、食糧事務所等につきましては、政府がかねて計画を立てました行政改革三カ年計画の趣旨に沿うて善処いたしておることは、御存じのとおりであります。それから、そのほかに、生糸検査所、日本蚕糸事業団、糖価安定事業団、この三つにつきましては、それぞれ特殊な事情を持ち、その存在理由もそれぞれの方面において重視されておるものでありますので、いろいろ問題もございますけれども、政府全体の行政機構に対する考え方等と歩調をとりながら十分検討いたしてまいるつもりであります。
#95
○鈴木一弘君 通産大臣、アルコール事業部とか、あるいは電源開発について、六人委員会から出ておりますが、その点についてはいかがですか。
#96
○国務大臣(宮澤喜一君) 電源開発会社につきましては、地域間の基幹送電線でありますとか、あるいは少し大規模の揚水発電でありますとか、いままでの軽水炉でない新しいガス冷却炉を使いました原子力発電の開発でありますとか、そういうことをもう少しやってもらいたいと考えておりますので、意見書で申しますと、ただし書きに述べておられることに私は賛成で、そういうふうに努力をいたしたいと思っています。アルコール工場について言っておられることは、ごもっともな一つの考え方だと私思っておりますんですが、これは労使の間で非常にむずかしい問題を起こすことがもうはっきり予測されますので、それもいかがなものであろうかというふうに実は思っておるところでございます。
#97
○鈴木一弘君 大蔵大臣から、専売公社について、塩の専売の問題。
#98
○国務大臣(福田赳夫君) 専売公社の行なっております塩の売買、これにつきましては、いろいろ問題が出てきておるんです。つまり、塩の生産コストが非常に高い、この専売事業としてはたいへんな赤字になる、こういう問題がありましたが、最近イオン交換膜製法というのが出てまいりまして、この方式を採用いたしますと大体外国塩と競争し得るような状態になる。そういう方向へ製塩事業が動いてきておるわけでありまして、現にそういうことでありまするから、いわゆる塩業整理というのが始まっておるわけなんであります。今度の予算におきましても、その整理を奨励誘導する意味の支出を行ないたいと、こういうので御審議をお願いをいたしておるわけでありまするが、そういうイオン交換膜方式が普及いたすようになりますると、まあ安定した、しかも低廉な価格で塩の供給ができる、また万一足らぬ場合がありましても、外国から安定価格で輸入ができる、こういうことに相なりますので、だんだんと塩を専売にしておく理由が少なくなりつつある、こういうふうに見ておるのであります。そういう推移がどういうふうに進んでいきますか、まあそういう方向へ方向へといま動いておるようでありますが、その推移の段階を見まして、塩業審議会なるものの意見も聞きまして、塩の専売をはずすか、はずさないか、最終的な結論を得てみたい、かように考えております。
#99
○鈴木一弘君 外務大臣と運輸大臣がおりませんので、建設公団と移住事業団のことは伺わないでおきますけれども、いままで申し上げたような、これは六人委員会から指摘されたほんのわずかな面でありますが、こういう行政機構の改革ということに積極的に取り組まないと、これは財政硬直のための原因をつくっているようなものである。一方では行政機構の拡大をやらなければならない面もあります。一方で整理しなきゃならないのが置いてあれば、それだけ硬直化を促進するだけである。そこで、この四十六年の予算編成のときまでには、この問題について一応の結論というか、実効のある措置というものがとれるかどうかということ、これは一つの大きな問題だと思うんですが、行管長官と並びに総理から御答弁をいただきたいと思います。
#100
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 極力簡素合理化に努力いたすつもりでおります。
#101
○国務大臣(佐藤榮作君) 問題は、やはり改革をする限りにおいて、ある程度の摩擦のあることは承知せざるを得ないだろう、しかしながら、じょうずにやれば、摩擦を避けもするだろうし、また各方面の協力も得られるだろうと思います。いまあげられた、それぞれの大臣からお答えいたしましたものは、これもそれぞれ一応の理由はあるようにも考えますが、しかし積極的にこれらの問題がただいま整理の対象になっていること、これははっきり申し上げて差しつかえないと思います。私はまた、そういう意味で、この点をさらに掘り下げまして、そうしてその一部でもぜひ実現したいと、かように考えておりますが、何ぶんにも行政機構の問題でございますから、皆さん方のほうから整理に賛成の方もあるが、また整理について、それは行き過ぎだとか、ひどい摩擦を起こしたとか、こういうような問題が起こりやすいのであります。どうしても御協力を得なければ十分の成果はあがらないだろうと思います。鈴木君と私との間だけでなしに、お聞き取りの皆さん方もぜひとも御協力を願いまして、政府が積極的にこの問題と取り組むその姿勢をくずさないように御声援を賜わりますればたいへんしあわせだと、かように思います。
#102
○鈴木一弘君 先ほど大蔵大臣は、四十三年当時の財政硬直化打開のキャンペーンの中でうたったように、その打開の方策として補正なし総合予算ということを言われたわけでありますが、しかし、毎年度補正が出ていた。ことしは非常に予備費を多くしたからということも言われたのでございますけれども、どうして補正要因が解消できなかったかということ、これをちょっと伺っておきたい。
#103
○国務大臣(福田赳夫君) 一つは、あんなによけいに高率の人事院勧告があるだろうということを予想しなかったわけなんです。これが一つ。それからもう一つは米価対策の問題であります。米価は両米価ともこれを据え置くと、こういう方針をとったわけでありますが、この政府の考え方が農民の間に浸透しない、非常な不安を与えるというような事情がありまして、この米価に対して補足的な措置をとらざるを得なくなったという政治判断をするに至ったわけであります。まあ、その他、義務的な経費等において若干ありますが、これはまた当然自然増収があるから出てくる問題でありまするが、交付税というような問題がある。そういうようなことで、残念ながら補正なしでは済まされなかったと。しかし、この考え方は私は変えておりませんです。
#104
○鈴木一弘君 そこで問題は、歳出のバランスをとって費用を計上する、これは当然のことですけれども、補正は、先ほど大臣の答弁のあったように、例外とすべきものだと。そういうことであるならば、恒常的に考えられる、必ずあるだろうと予想される補正の項目というものは解消するようにつとめなければならないわけです。それができなければ、どうしても予算成立後に補正をしなければならぬということになってきます。ところが、食管にしても、公務員の給与の問題、これについても、やはり当初の予算の計上が不十分ということを承知の上で総合予算というふうにおっしゃったのじゃないか、補正部分というもの、補正含みが少なかったのではないか。ことしも公務員の給与は五%アップということでおさまるかどうか、五けたというような賃金がいわれているようなときにです。そうなると、どうしてもまた、残念ながらということで、急迫な事態に基づいて補正をしなければならないというふうに、こうなっていくのではないかと思うのですけれども、それでは、年度当初にそこまで見込んだ、バランスをとった予算を組んだと、こういうふうに言えないのではないか。だから、大蔵大臣がおっしゃっている総合予算主義と現実の予算書と少しそこにギャップがありはしないかというふうに思うわけですが、その点はいかがでしょう。
#105
○国務大臣(福田赳夫君) 四十五年度につきましては、やはりいろいろ配意をしておるのです。補正の毎年毎年一番大きな原因になりますのは給与費でありますが、これはもう五月から五%組んでおる。しかし、五%ではおさまるまいとまた考えております。それに対しましては二百億円予備費を増額をいたしておる。それから、毎年毎年また問題になりますのは、この食管会計への繰り入れでありまするが、自主流通米、これもぜひひとつ軌道に乗せたいと思っております。それからもう一つの問題は、百五十万トンの減反減産問題です。この減反減産につきましても、いま農林大臣がたいへんな努力をしておりますが、ぜひともこれをやっていきたい。そういうことになると、買い入れ予定六百五十万トンでありますが、六百五十万トンで済むということになり、食管補正は必要はないということになるのでありまするが、何とか全力を尽くして補正なしでやっていきたいものだなあと、かようにいま考えております。
#106
○鈴木一弘君 非常にリスクをおかしているような感じがちょっとあるわけです。実際問題、そのように六百五十万トンにおさまるかどうかはわかりませんし、自主流通米についても、いままでも軌道に乗らなかったという点がある。そういう点を見ると非常に私は心配でならないわけでありますが、その点についてはまたあらためて論議をいたしたいと思います。
 これで終わりたいと思います。
#107
○委員長(堀本宜実君) 以上で鈴木君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#108
○委員長(堀本宜実君) 次に、田渕哲也君の残余の質疑を行ないます。田渕君。
#109
○田渕哲也君 それでは、初めに総理大臣に全国新幹線鉄道整備法案についてお伺いをしたいと思います。
 今回の国会で自民党のほうから議員提出として出されるやに聞いておりますけれども、この新幹線法案と新全国総合開発計画との関連について御説明いただきたいと思います。
#110
○国務大臣(佐藤一郎君) 運輸大臣がちょうどおられませんので、私から御答弁いたしたいと思いますが、御存じのように、新全総計画の重要な中心的な計画の一つがこの新幹線網の建設でございます。この新幹線鉄道の建設につきましては、あの新全総計画の中身をごらん願うとおわかりのように、いわゆる福岡−仙台間、こういうものを予想しております。そのほか、それぞれの計画の構想の中にいろいろなものがございまして、そうしたものを取りまとめますと、やはり相当の数量になるわけであります。この間のこの議員提案の実は経過につきましては、私もまだこまかい点を知悉いたしておりませんけれども、しかし、いずれにしましても、日本の経済力の発展に即応したものになることは、これ、間違いのないところでございます。そういう意味におきまして、現在のところ、新全総計画というものを大体頭に置いてそうして実行されていくもの、こういうふうに考えております。
#111
○田渕哲也君 新全総に基づいた計画であり、しかも、この具体的な法案の要綱あるいは路線というものが運輸大臣の諮問機関である鉄道建設審議会で決定されたということを聞いておりますが、それなら、この法案は政府提案とするのがより妥当ではないかと思いますが、この点いかがですか。
#112
○国務大臣(井出一太郎君) お答えいたします。全国新幹線鉄道網の整備は、わが国の今後の発展の基礎となる国土全体にわたるところの大規模なプロジェクトでございます。そういう関係から、このような計画は、立法府である議会がみずから提案をし、できれば与野党一致の法案として提案されるのが望ましいのではないかと、かように考えておるようなわけであります。
#113
○田渕哲也君 この法案の内容あるいはこの路線について見てみますと、きわめて総花的な感じがします。各県庁所在地を全部網羅する、こういうような案は、すでに府県制というものが問題になっております、道州制の検討も始めなければならぬ、こういう時期に、各県庁の所在地を全部網羅するような新幹線網というのは、言うなれば、これは明治的発想ではないかという気がするわけであります。したがって、経済的な合理性を考えるよりも、むしろ政治性というものが非常に強い法案だという感じがいたします。国鉄自身が現在赤字線で非常に苦しんでおりまして、八十三線の廃止問題が検討されておる。しかも、その中で新たに赤字線の建設も進められております。非常に矛盾した国鉄の体質が現に残っておるわけでありますけれども、その上、十数兆もかけて全国を網羅する新幹線網をつくることがはたして費用と効果の面から考えて妥当なのか、きわめて疑問を持たざるを得ないのでありますけれども、この点についてのお考えを伺いたいと思います。
#114
○国務大臣(佐藤榮作君) いま、運輸大臣臨時代理も先ほど任命したばかりですから、私がむしろお答えしたほうがいいようですし、また、事柄の性質上、当然総理が答えるべきじゃないかと思っております。
 ところで、ただいま新全国総合開発計画というものを立てておりますけれども、これのやはり中心となりますのは、何といいましても交通網並びに通信網ではないかと思います。その中に鉄道、通路同時に通信網、そういうものを考えて、そうしてそれに肉づけをする、そこに総合開発のうまみがある、かように考えております。ところで、ただいまの新幹線、これは鉄道としては新時代に臨む態度だと思いまして、もうスピードののろい旧線ではいかない、新時代のものが各地で要望されておることはわからないではございません。しかし、いま言われますごとく、在来のただ県庁所在地をつなぐというだけでは、どうも新幹線の目的を達することにもなかなかなりにくいのではないだろうか、こういうふうな点も指摘されます。これがはたして時代の要望かどうか、それをつかむこともたいへんなことだと思います。かように申すことは、私はこの種の計画はもっと慎重であってしかるべきだ、こういうことを実は申し上げたいのであります。どうも、とかくいままでのところは、交通網にしても鉄道などの力の入れ方が、一部に、いわゆる東京以西に向かっての太平洋沿岸とか、そこには特別に力が入っておる。しかし、東北、北海道に向かってはどうも力が及ばない、あるいは日本海方面もこれまたおくれておる、こういうようなことで、かねてから国鉄の使命としてやっぱり全国的に新しい設備、施設、そういう恩沢にすべてが浴する、そういう方向であってほしい。したがいまして、最近ではずいぶんくふういしまして、急行をつくるにいたしましても、また車両の使用にいたしましても、寝台車等も、いままでは格段の相違がございましたが、全国的にそういうような差がないようにだんだんなってまいりますが、これは喜ぶべきことであり、また、そうなくちゃならないものだ、そういう意味から、新しい新幹線も、ただいまの東京−大阪、さらにそれが延長されて岡山、広島、福岡と、こういう方向だけが計画に乗るばかりではなくて、さらに東北方面にもそういうものをひとつ計画してほしい。あるいは日本海方面にもひとつ幹線があってしかるべきではないか。あるいはまた、成田空港ができるについても、そういうものが、東北の新幹線を考える場合にはちょっと迂回するようだが、成田空港を経て出かけることのほうがよいではないか等々の議論があり意見のあることは、これは私自身が認めます。しかしながら、全体をいま直ちにオール法案化、法律化するということ、これはまだもう少し検討を要する問題ではないか、かように思っております。いずれにいたしましても、新しい交通網、その恩沢には東西南北問わず、いずれの地域も国民はひとしくその恩恵に浴するように、そういうように施設をすること、これが私どもがくふうすべき要点だろうと、かように思います。そのことと、ただいま言われた法案を整備することと、これは必ずしも時期的に一致するものでないこと、この点を誤解のないようにお願いして、私はすべての国民がしあわせであるように計画は進めるべきだと、かように思っておりますけれども、それかと申しましても、財力がなかなかそれに続いてまいりませんから、そういう点も十分かみ分けて、そしてくふうすべきことと、かように思います。
#115
○田渕哲也君 総理のおことばですと、その法案の整備には少し消極的なニュアンスがくみ取れたのですが、そうすると、自民党から議員立法として提出されるということはまだ検討中ということでありますか。
#116
○国務大臣(佐藤榮作君) 私自身の耳にはまだ入っておりません。したがって、一部には研究はされておる、それがただいま早耳の田渕君の耳に入ったのかと、かように思いますけれども、私の耳はおくれております。
#117
○田渕哲也君 すでに衆議院段階で自民党側から各党に具体的に相談に来ております。この段階で自民党の総裁の総理が御存じないというのは、非常におかしいと思うのでありますけれども、この点いかがでしょうか。
#118
○国務大臣(福田赳夫君) これは非常に金のかかる問題で、当然私のところにも相談がなければならぬわけでありますが、まだ相談が一切ないような状況であります。
#119
○田渕哲也君 次に、これは運輸大臣にお伺いすべきことかと思いますが、おられませんので、代理の大臣あるいは政府委員の方でもけっこうでございますが、この法案、この構想が総合交通体系の上から考えてどうかということをお聞きしたいのであります。たとえば、鉄道以外に航空機あるいは自動車、船舶、こういう輸送機関があるわけですけれども、こういう他の交通機関との関連の上において、この法案、この構想というものがどうなのかということをお聞きしたいと思います。
#120
○国務大臣(井出一太郎君) お尋ねの件でありますが、新幹線鉄道網の整備は、高速道路網あるいは航空輸送網、これらの整備とともに、国土の有効利用、国民生活領域の拡大等の観点から、いまおっしゃるような総合交通体系上必要な高速交通手段であると、まあわれわれは考えておるのでございます。そこで、これらの交通手段の特性を見ますと、輸送距離の面では、高速道路は短中距離、航空はどちらかといえば長距離、こういう輸送機関であるのに対しまして、新幹線鉄道は中長距離の輸送機関であり、輸送効率の面では、高速道路、航空に比較いたしまして、新幹線鉄道のほうが大量輸送の点において特性を持っておるのでございます。したがいまして、均衡のある交通体系の形成をはかるにあたりましては、各交通手段が十分にその特性を発揮できるように、こういう配慮をすべきものかと考えるわけでございます。
#121
○田渕哲也君 運輸大臣が二月二十五日の閣議後の記者会見で、昭和六十五年を目標とする総合交通新体系を秋までにつくるということを発表されております。そうすると、この総合交通体系の新しい構想ができる前にこういう法案ができるというのは、私はむしろ順序が逆じゃないかと思うんですが、この点をお伺いしたいと思います。
#122
○国務大臣(井出一太郎君) 運輸大臣の記者会見の発言を私はよく承知はしておらぬのでありますが、しかし、全般的に言いまして、今後長期的に見た各種の交通手段の役割り、あるいは輸送需要、施設計画などを総合的に調査審議をいたしまして、さっきも申し上げましたように、均衡のある交通体系の形成をはかってまいろうかと、かように思っておるのでございますが、その会見の内容はしばらくおくとしまして、新幹線鉄道の具体的な建設計画の策定にあたりましては、このような趣旨に沿って配慮をいたしたい、こう考えております。
#123
○田渕哲也君 それから交通体系の面だけではなくて、将来のわが国の産業発展の地理的分布がどうなるか、あるいは経済圏のあり方、こういうものとの関連において路線というものは決定すべきだろうと思います。どうもこういうものとの関連が非常にあいまいである。
 それからもう一点は、技術革新の面で、はたして二十年後、三十年後を考えた場合に、鉄道に重点的にたよることがいいのか悪いのかという論議も出てまいろうかと思います。たとえば航空機とか、あるいはその他の交通機関の開発とかいうことも考えられるわけで、この二点から考えて、どうもあまり将来をよく考えた上での構想ではないというような気がしますが、この点いかがですか。
#124
○国務大臣(井出一太郎君) この法案の路線が今後の国土開発による新しい経済圏の発達を考慮したものかいなか、こういう点に御疑問があるようでございますが、この法案の路線は、国土の総合的かつ普遍的な開発によりまして、国民経済の発展とその生活領域の拡大に資するようにと、こういう考え方のもとに、全国土的に均衡のとれた路線網を想定しておるという次第でございます。したがいまして、将来の経済圏の変化というものにも十分対応できるようにという気持ちでおるのでございます。
 さらにまた、ほかの輸送機関との関係についての御質問でありますが、高速道路網の整備あるいは航空機の大型化、高速化、これらの変化も予想されるのでございまして、新幹線鉄道につきましても、新しい技術開発の導入をはかり、その高速化等も研究されておるのでございますから、安全かつ効率的な大量中長距離の輸送機関ということで、将来とも十分にその効果を発揮してまいりたいと考えるわけでございますが、お説によれば、あるいは長期展望と現実の問題をどうマッチさせるかというふうな点に御懸念があるようでございますが、これらをも十分に踏まえて考究をしてまいりたいと考えております。
#125
○田渕哲也君 では、次に大蔵大臣に、この構想の財源的な裏づけはあるのかどうか、こまかくはできていないと思いますが、大ざっぱでもけっこうですから、お答えいただきたいと思います。
#126
○国務大臣(福田赳夫君) 大ざっぱにせよ、まだ実態について全然相談も受けておらないわけでありまして、その財源をどうするかということにつきましては、実態の問題をどう処理するかという相談を受けたその後において検討するという考えでおります。
#127
○田渕哲也君 まあこういう非常に大きな構想ですから、当然かなり大きな財源が要ることになろうかと思います。それだけ大きな財源が要るならば、当然国民の負担ということも考えなければならないわけで、したがって、十分この財源の裏づけを検討された上で、この法案というものは成立させるべきだろうと思いますが、この点お願いをしたいと思います。
#128
○国務大臣(福田赳夫君) もちろんそういうことになるわけであります。私は、そういう計画について相談がありますれば、財源を大体見当つける、それがつかない限りこれに承諾を与えるわけにはいかない、そういう考えであります。
#129
○田渕哲也君 それでは、次に国民生活上の問題について二、三お尋ねをしたいと思います。
 現在国民が一番悩んでおるものは物価だというのが一番多い答えだと聞いております。また一番不足して、ほしいと思っておるのは住宅である、また一番不安に思っておるのは交通災害である。こういうことがよくいわれておりますけれども、特にこの物価と住宅、交通災害、この問題の解決は何よりも早急にしなければならない。そこで、総理にお願いしたいのでありますけれども、できるだけはっきりした見通しを国民の前に示してもらいたい。物価はこれから五%なら五%、四%なら四%絶対上げないのだ。あるいは住宅難はあと何年しんぼうすれば解決するのだ。さらに交通災害は、これはすでに五十年半減という方針が出されておるようでありますけれども、できるだけ具体的にかつ明瞭にこういう方針を国民の前に示していただきたい。そうしてそれに責任を持っていただきたい。もしこれが実行できなかった場合には、内閣は全部責任をとる。これぐらいの心がまえでやられないと、どうも国民の現在の生活の不安はなかなか解消しないと思いますし、また政治に対する信頼も回復できないのではないか。この点総理の心がまえをお聞きしたいと思います。
#130
○国務大臣(根本龍太郎君) お示しのとおり、現在物価の問題がたいへん国民の関心事であり、そのうち特に土地、住宅について非常な関心があるのでございます。そこで、まず土地につきましては、建設省として、御承知のように、地価公示の制度もとりましたし、それからさらには土地収用法も改正いたしまして、公共的な土地の収用に相当強い権力を与えていただきました。なおまた、都市再開発法を制定しまして、これから計画的に大量の住宅適地を供給する措置をとっておるのでございます。なお、これにつきましては、税制上非常に問題がありまするので、現在自治省、経済企画庁、大蔵省と密接な連絡をとりまして、土地を持っておることで何らの努力せずして金もうけができる、そのために土地の売り惜しみ、これのないようにいたしたいと考えております。
 住宅につきましては、本年度をもって終わる住宅政策では、公的資金による住宅は若干計画を下回っております。これについては、御承知のようにせっかく公団、公庫あるいはまた地方住宅公社が土地をつくるときにあたりまして問題になりまするのは、公共負担の問題でございます。水道とかあるいは下水道あるいは幼稚園、学校等の問題でございます。これらの問題についても今後十分関係省と連絡をとりまして、できるだけ地方財源をも与えまして、計画が十分できるようにいたしたいと思っています。なお、住宅については、先ほど申し上げましたように、一応戸数については計画を何とか実現できるようになりましたけれども、住宅に対する需要は非常に激しいものがあります。特に今後ベビーブーム時代に生まれた方々が適齢期に入ってくるということと、現在民間の貸し家住宅に入っている人が非常に狭隘を感じ、質的な要望がありまするので、これの解決をはかるために、昭和四十六年度を起点とする住宅の新たなる計画につきましては、これは十分そうした問題を考えて解決する方針で立案するつもりでございます。
 最後に、交通災害との関係における道路の問題でございまするが、これは道路構造令も改正し、さらには新しい道路五カ年計画の推進によって、構造上の問題あるいはまた先般きめられました道路の安全施設の三カ年計画ができておりまして、このために相当の予算措置をも講じて、特に歩道の完備あるいは立体交差、こういうものを整備するほか、通信、信号施設等、これらの整備をして、交通の災害をできるだけ減らすように努力している次第でございます。
#131
○田渕哲也君 私がしました質問の趣旨と少し違うのですが、といいますのは、住宅の問題につきましていいますと、四十三年の報告でも三百六十万の不足ということが言われております。この住宅難というものがいつになったらなくなるのか、そのめどを示していただきたい。それから物価の問題では、政府の見通しを上回っております、ことしすでに。この見通しを上回ってくるようなことがあるならば、国民も安心できないわけですね。はたして貯金していったらいいものかどうか、それもわからない。これは何%以内に必ず押えるのだということなら、安心して定期預金もしようかという気になるわけですが、その辺のめどをできるだけはっきり出していただきたいということをお願いしておきたい。
#132
○国務大臣(佐藤一郎君) 物価の問題につきましてはここでもいろいろと御議論があったわけでございますが、私たちは、本年度は見通しの中でもって消費者物価につきましては四・八%の上昇を見込んでおります。また間もなく答申を受けますところの新経済社会発展計画におきましては、昭和五十年まで大体平均で四・四%、最終年度におきましては三%台に持っていきたい、こういう計画目標というものを立てておるのは御存じと思います。一体それには裏づけがあるかと、こういうことでございます。従来も政府といたしましてもいろいろと物価対策を講じてきたところでございますけれども、またそれらの努力を打ち消すような新たな事態があとからあとから出てきたことも事実でございます。そういうようなことから、見通しというものと実績とがなかなか必ずしも一致しなかった。特に四十四年度は、当初の五%の見通しを途中で五・七に変えましたが、さらにそれがただいまのところ六%を上回ると、こういう見通しになってきております。御存じのように本年は、一般の商品につきましてもやや強くなってきております。そこへ御存じのように季節的な商品の異常な値上がりが加わりました。私たちもこの三年から四年間にわたるところのむしろたいへんな好景気の持続と、これがある意味におきまして非常な景気の過熱をもたらしてきておる。そうして、それが需要供給のバランスというものに非常な逼迫を与えておる、こういうようなこともございます。そういう基本をやはり何といっても直さなければならない。そういうことで、総需要の抑制をということを考えまして、そうしてただいま金融の引き締めも継続しておるようなわけであります。そして、さらにそれに対して具体的な個別対策、これもいろいろと提言もなされておりますが、さらに従来以上にひとつ総合的かつ整合的にこれを実施してまいりたい、今後も逐次それの具体化をはかってまいりたいと、こう思っております。できるだけの努力をして、そして政策の効果があがるように私たちもいろいろと考えておるのでありますが、また従来と変わった新しいひとつ考え方も取り入れてまいりたいと、こういうふうに考えております。そういうことで、この目標をできるだけ実現させるようにひとつやってまいらなければならないと、こういうふうに考えております。
#133
○国務大臣(根本龍太郎君) お示しの三百六十万程度の住宅が足らないといわれておりまするので、昭和四十六年度を初年度とする次の新住宅五カ年計画によりましてこの問題を解決したいと、こう考えておる次第でございます。
#134
○田渕哲也君 ただいまの建設大臣の御答弁は、昭和五十年になれば住宅難はなくなるということですね。
#135
○国務大臣(根本龍太郎君) 住宅に対する国民の要望がどんどん変わってきまするので、いつが完全に目的達成したかということについてはいろいろ議論が出てくると思います。しかし、少なくとも現在、御指摘になりましたように約三百六十万程度の住宅についての非常な不足感が訴えられておる。この問題は、当面責任を持って政府が解決しなきゃならない、こう思っております。その時点において、またさらに住宅事情と国民の欲求のズレがありますれば、その時点においてこれは解決していかなきゃならぬ問題と考えておる次第であります。
#136
○田渕哲也君 総理大臣にお願いがあるんですが、できるだけ大胆にこういうことを国民に公約していただきたいと思う。いままでともすれば、言ったことができなければ責任問題になるから、国会の答弁を見ても、議事録を見ましても、できなくても責任を取らなくてもいいようにちゃんと答えてあるわけですね。こういうことをやっておったら、いつまでたっても政治が国民には魅力がないものになるのじゃないか。だから、できるだけ大胆にこういうことを公約していただいて、できなければさっさと責任を取られたほうがいいのじゃないか、これが政治の刷新につながるのじゃないかと思います。それから大臣の任期もあまりにも短過ぎると思います。もっと長く専門の担当の方をきめられて、一つの公約が実現できるまでは留任さしていただくと、そういう点お願いしたいと思いますが、どうですか。(「賛成、賛成」と呼ぶ者あり)
#137
○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろ御意見が出ておりますが、それにはただいま賛成という不規則発言もございました。これはまあ不規則発言ですから、その点は預からしていただきます。ところで、ただいまお話になりました物価、住宅、交通災害、この三つはたいへんだだいまの、現代における悩みでございます。また、政治の総力をあげてこれらの問題と真剣に取り組まなければならない問題でございます。いずれもそれぞれが重要な課題でございます。ただいまコンピューターの時代で、物価の落ちつくかげんも、いわゆる想像だけではなくて、まあいろいろデータを集合して、そうしてコンピューターのもとで私どもが考え、これまた長期的な観点に立てば、およそ大体その目的を達することだと思います。しかしながら、この物価の問題も他の問題と同様に、そうそう長期的な観点で片づけるということでは、国民はなかなか納得しない。これはもう早急に取り組めという、非常な短期的な観点に立って物価の批判をされるのであります。ことにまあそういう場合に、物価のあり方を見ますると、物価については内外の総需要――国内の需要、同時に外国の需要、その総需要によって価格が決定されるものがずいぶんございます。最近の卸売り物価の高騰なぞは、国内的要因よりもむしろ国際的な外国からの要因が非常に強く働いておると思います。また、そういう卸売り物価そのものも一つの物価の動向を見る上から大事な要素ではございますが、いまいわれておる物価、それはもっと身近な消費者物価、それがただいま問題になっておると思います。ところが、この消費者物価は調査の方法も非常にとり方がむずかしいのでありますが、短期間で特別な調査をしている。それが正確な実態を把握できないようになっておると思います。したがいまして、せんだってもこの席で、大根一本持ってこられて、そしてこのものの値段が幾らかといって私どもに評価を要求されましたが、総理以下全部が落第した、こういうような状態でございまして、このいわゆる消費者物価のきめ方、しかもこれが天候に左右されがちのものでございます。そういうためにたいへんにいまきめることがむずかしい。そこでいま考えられますのは、やっぱり何といっても流通の面を改善しない限り安定的な供給はできない、物価の安定はできない、かように実は思っております。消費者物価そのものにいたしましても、高いなら高いなりに安定するならば、それに対する対策も立ちます。しかし、ある日は高く、ある日はたいへん安い。そういうために生産者自身もその相場に非常に困っておる状態だ。ここらに、流通機構そのものにメスを入れない限りどうもなかなか解決しないのではないか。早い話が、ことしなどは海のノリ、ノリは大豊作だと言われておる。しかしながら、消費者の口には従前同様に高いノリになる。これは明らかにその流通過程のどこかに欠陥があるのだ、かように思わざるを得ないのです。あるいはその卸制度に問題があるのだ、こういうように指摘する者もあります。したがって、そういう問題と取り組んで、ただいま幾らが――まあ四・八%、こういうような言い方をしておりますが、その数字、その前提になる一つの問題がある。その問題と取り組まない限り私はなかなか責任は負えないのじゃないかと思っております。私は責任を逃れる意味で申すわけじゃない。しかし、この流通機構、あるいは貯蔵制度等、あるいはまた輸入制度、これあたりも活用することがこの消費者物価には絶対必要だ、かように思いますので、この点にメスを入れない限り問題は解決はしない。これが消費者物価についての私が臨む態度であります。
 第二のいわゆる住宅問題、私は私のところで一度静かにものを考えながら、いままでに一体何回うちをかわっているだろうか。そうして自分たちはいつになったら自分のうちを持てるだろうか、そういうことを妻とともに相談したことがあります。ちょうどいま二十回目の住宅でございます。いま官邸に入っておりますが、これが二十回目になります。まあ私の生活自身が、いままで官吏でございましたから、そのために各地を転々としたということもありますが、とにかくお互いの生活が変わってくることに従って、やっぱり住宅はそれぞれの要望が変わってくるのであります。独身のとき、夫婦のとき、さらに子供が生じたとき、その子供が大きくなったときと、それぞれが住宅に対する要望は変わるのであります。たいへん長い説明をして恐縮ですが、たいへん長くなりましたが、先ほど建設大臣が、ただいまの状況における不足はこれは何とか解決ができます、五年後には。しかし、そのときの要望がまた変わるでしょうということを申しております。これは私自身の経験から申しても、二十回もうちを変わっている、また、おそらく田渕君御自身にしても、お考えになってずいぶん変わっておられるだろうと思います。そういうように住宅事情については住む人のほうの要望もそれぞれ変わってくるのであります。私は戦災直後、戦争で負けて焼野原になった、住みさえすれば、住むところさえあれば何とでもがまんしますと言ったものが、いまはもう2DKではだめだ、3DKでなければ子供は持てません、まだ3DKでもこれも無理ですというように要望が変わってきておりますから、住宅事情はよほど変わってくるんだ、そのことを前提にして初めて解決がするだろうと思います。そこで新五カ年計画を樹立して、そうしてこの要望と取り組むわけであります。ところが、住宅にも国営、公営、さらに民間それぞれの立場でうちをつくります。その負担がたいへん千差万別とでも申しますか、どうも民間の場合は一番高い、公営の場合は比較的安いが、どうもあの高いのではわれわれは住むわけにいかないとか、こういうような事情もございますから、土地造成その他について、また道路やさらにその住宅地内の通路だとか、あるいは保育園だとか、託児所だとか、そういうようなものにまでやはりどの程度住宅経営者の負担で適正に扱われるかというようなことを考えながら要望にこたえておるわけであります。しかし、とにかく国として比較的に計画を立てやすいのは、物価よりは住宅の問題だろうと私は思います。そういう意味でただいま建設大臣が取り組んでおる。
 もう一つの災害対策については、これは過日もお話をいたしましたように、ずいぶん乗りものも変わってきております。もう自動車の時代、その自動車がやはり生産制限をしなければいかぬのじゃないか、過日も説明になりましたが、私どもいま生産制限はする要はない。しかし、使用制限、あるいは駐車、あるいは車庫等の面でいろいろ制限を加えざるを得ないんだ、そういうことをすること自身がもう自動車時代にふさわしくない、これは百も承知でありますが、なかなか道路は自動車がふえるように簡単には整備ができませんから、そこに開きのあることはこれはやむを得ない、御了承を得たい、かように思っております。過日詳しくその点では説明をいたしましたから、きょうは省略さしていただきます。
 ただいま一番問題になり、特に力を入れて御説明したのが物価の問題だと、かように御了承をいただきまして、私はそういう意味でただいま物価と真剣に取り組んでおる、こういうことでございます。また、皆さま方からいろいろお尋ねがございました。総需要を押えろというそういう意味の話は、まずこれは大体において意見が一致したと思います。しかし、物価の問題について、生産者の利益と消費者の利益といずれに力をおいて擁護するかということにつきましては、私はそれぞれの立場においてややニュアンスの相違とでも申しますか、ある程度の相違があるように見受けます。すべての生産、それはやはり最終的な消費者、その利益が確保されることが望ましいんだ、かように私考えますので、生産者の利益もさることながら、消費者の利益と調整がはかられること、そこに力をおいてこの問題と取り組む用意でございます。
 たいへん長い説明になりまして恐縮であります。
#138
○田渕哲也君 では、総務長官にお尋ねします。
 交通災害を五十年に半減させるという方針を出されましたけれども、これは非常に大胆な方針で、こういう方針をはっきり示されたことは高く評価すべきだと、かように考えております。ただ具体的な政策の裏づけがなくては無意味だと思いますが、具体的な政策を示してもらいたいと思います。
#139
○国務大臣(山中貞則君) まず昭和五十年までに六年間で歩行者事故を半減したいという目的を打ち出したのは、ただいまおっしゃいましたように、何らかの目標を持たずして、ただ毎年意気込みだけで繰り返していてもだめだということのほかに、アメリカでは一九三五年から一九五五年までに、結果論でありますけれども、事故が半減をいたしました。そのためアメリカにおいては一九六九年からさらに十カ年間をもって、今度は政策的に半減させようとする意図を決定をしたようであります。そういうことを念頭に置きまして、アメリカにおいでは事故の実態が走る棺おけと言われまして、車同士もしくは車自体の事故が大半を占めておるのに反し、日本においては歩行者もしくは自転車に乗った、結局歩行者と同じでありますが、自動車と人間との衝突事故が非常に高く四八%にも達しているという現状に着目いたしまして、人間の生命を走る凶器とも言うべき自動車から守るという気持ちが日本の交通対策の出発点ではなかろうか、こういうふうに考えて交通対策本部の仕事を始めたわけでありますが、すでに新聞等で御承知でありましょうけれども、一つは人口百万以上の都市において、幹線においては一方交通を基本とする。人口八十万以上の都市においては右折を基本的には禁止する。幹線道路における右折でありますが、禁止する。それから人口二十方以上の都市並びに二十万以下であっても、通過車両の多いと見られる県庁所在地の町においては裏通り、細街路等における通学児童の道路等における時間帯による通行の禁止、全面的には大型車両等の主として通過すると思われるものの原則通行禁止、あるいは商店街その他学童の遊園地、そういうようなところの近所の道路においては飛び出しを確認して直ちにブレーキを踏んでとまれる、これはあなたのほうが専門かもしれませんが、と思われるスピード、すなわち時速十キロ以内くらいのスピードをもって走ることを制限速度とする等々の三本の柱をまず打ち出しまして、これを各都道府県に申達いたしまして、いま逐次その実施状況が進んでおるわけでありますが、さきに大阪府におきまして、大阪市長さんがとられました御堂筋を中心とする一方交通の結果をしさいに検討いたしておりますが、実施後二カ月間において渋滞率の貢献度が二〇%、交通事故の件数は五〇%を減じております。非常に効果があることは間違いありません。ここらの点を踏まえまして、まず政策上そのようなことを第一段としてこれを出発点にいたしたわけでありますが、さらに今日まで安全施設の緊急整備三カ年計画というものがいま第二次目の三カ年計画の二年目に入っておるわけでありますけれども、存在をしてはおりますけれども、国の政策全般から眺めまして、建設省の道路五カ年計画に対応する安全施設計画では必ずしもない。この危険な状態というものを何とかしなければならないから、緊急に三カ年計画をやった。まだ足らないからまた三カ年計画を引き続きやったという意味の前期後期にすぎないように私としては看取いたしました。そこで今年度の予算で十兆三千五百億にのぼる道路の新五カ年計画が設定されたことに伴い、閣議等においても国家公安委員長たる荒木大臣より問題点の提議等がございまして、私の陸上交通対策本部がこれをあずかりまして、ことしの予算は先ほど申しました後期三カ年計画の二年度の予算にすでに入っておりますので、来年度三カ年計画を終わった後に着手をするか、もしくは三カ年計画の三年目を、来年度を、四十六年度予算でありますが、第一次年度として一年ずれますけれども、道路五カ年計画に裏づける対応する安全施設予算として年次計画をもって、したがって四十六年から始まる五カ年でありますから、道路五カ年計画より一年おくれの計画になりますけれども、ちょうど安全施設では一年おくれぐらいがよかろうと私かえって思っておりますが、いま警察庁交通局あたりにおいて試算しておりまする道路五カ年計画の十兆三千五百億円に対応する必要と思われる安全施設予算は三千五百億円程度と見ておるようでありますが、これをそのまま受け取るかどうかは別にいたしまして、ここらを一つの足がかりとして、財源問題がたいへん来年は道路予算にいたしましても、さらにこのような裏表に安全施設予算を年次計画でさらに道路計画に合わしてやるとすれば、同時に財源問題ということにぶつかりますので、両方ともこれを――道路がりっぱになれば自動車がふえて交通事故がふえる可能性という、その傾向に対してブレーキをかけるという予算において、その財源等について、来年度の四十六年度予算編成までに十分交付本部におきまして具体的に関係各省と相談をいたしまして、相なるべくんば新道路五カ年計画に対応する安全施設五カ年計画を策定したいと考えております。このようなことを踏まえまして、昭和五十年に日本の現在の人身事故というもの、歩行者の事故というものを半減したいという願望に近いものでありますけれども、目標を設定した次第であります。
#140
○田渕哲也君 総務長官のお答えでは、まず第一には規制に重点を置く、第二には交通、安全施設の設置に重点を置くということでありますけれども、現在歩行者の事故の大きな原因はやっぱり歩道がないということにあろうかと思います。現在の歩道率は四十三年度末で、交通安全指定道路のうち、市街地だけとってみても二九%にすぎない、こういうデータが出ておりますが、今後、ことしどれくらいふえるのか、あるいは将来何年後にどうなるのか、建設大臣にお伺いしたいと思います。
#141
○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。
 四十三年度の末におきましては、歩道設置道路延長が一万八百キロでありまして、立体横断施設は四千六百七十カ所でございます。これを四十四年度を初年度とする、ただいま総務長官からお話ありました特定交通安全施設等整備事業三カ年計画におきましては、大体において五千キロの歩道と千二百カ所の立体横断施設をつくる方針でございます。なおそのほかに地方単独事業による交通安全事業におきましても、約二千六百キロの歩道と、それから約八百カ所の立体橋をつくる、こういう計画にいたしておる次第であります。
#142
○田渕哲也君 お尋ねした歩道率のアップ率はどれぐらいになりますか。
#143
○国務大臣(根本龍太郎君) 歩道率は、四十三年度末は四八%でございまするが、四十六年度には七六%になる予定であります。その他の道路、地方道も含めますと、二九%から五四%に上昇する予定でございます。
#144
○田渕哲也君 そうしますと、一般道を含めて歩道率は、年に直しますと、大体八%前後だろうと思います、歩道率のアップは。ところが、総理府の陸上交通安全調査室のレポートで、統計学による試算が出ているわけですが、これによりますと、歩道率を一〇%アップして進行中の歩行者の事故が一一%減る、それから横断中その他で七・八%減る、これは総計計算しますと、大体九%ぐらいになるわけですが、五十年半減といいますと、年率一〇%強の減少をしなければ五十年半減の目標は達せられないわけですが、ただいま建設大臣の御答弁のように年八%前後の歩道率のアップで、総務長官の言われた五十年半減が達成できるかとなれば、数字的にはちょっと少ないように思いますが、どうですか。
#145
○国務大臣(根本龍太郎君) これは総務長官のほうからあとでお話があると思いまするが、御承知のように交通事故の原因は人間と道路と車の三つの相関関係でございます。建設省が担当しておりまするのは、道路そのものの整備によって交通災害をなくすという前提のもとにこれはやっているのでございます。最近の状況は道路を整備することによって必ずしも減らないという状況すらございます。特に地方ではそのとおりでございます。これは道路に対する訓練、それに対するオーナードライバーの訓練のできていないこと、両方関係がありまするので、そういう意味でこれは警察あるいは自治体、そうした方面において、交通道徳の訓練等をあわせてこれは総務長官のほうで考えておるわけでございます。その意味において大阪における、一方交通を厳格にやることによって五〇%も一年間のうちに減ったということは、その一つの有力なる証拠であろうと存じておる次第でございます。
#146
○田渕哲也君 交通災害の点は以上にしまして、時間もありませんので、次に老人対策の面で厚生大臣にお伺いしたいと思います。
 老齢人口が急激にふえる傾向にありますが、その中で特に老人の医療問題が重要な問題になってきておりつつあります。特に老人の自殺数もふえておりますけれども、その原因の大部分、大きな部分は病苦というのが占めておるようであります。それから老人の有病率は、若い人の数%に比べて、五十五歳から六十四歳までが一五%、六十五歳から七十四歳までが一七・六%ふえておるわけですが、肝心のお医者さんにかかっておる率は若い人はほとんど一〇〇%でありますが、五十五歳以上六十四歳までが六〇%しかかかっていない、それから六十五歳から七十四歳までは五五%しかかかっていない、こういうデータが出ております。したがって、この老人のための医療制度の必要性というものを感ずるわけでありますが、これについての厚生大臣の具体的な方策をお伺いしたいと思います。
#147
○国務大臣(内田常雄君) わが国においては出生率が停滞しております一面、環境衛生の向上とかあるいはまた医学、薬学等の進歩もございまして、人間の寿命が非常に長くなっておりますので、私どものほうでも十年、十五年ののちにおきましては、わが国人口に占める老人の割合というものが急激に増加する。したがって老人対策というものは非常に大きな社会的課題になると、こういう見地から老人問題をいろいろ取り上げております。ことにお尋ねの医療対策につきましては、田渕さんも御承知と思いますけれども、医療保険の抜本的改正の一つの構想といたしましても、七十歳以上の老人の方々のみを対象とする老齢者保険制度というようなことも打ち出しておりまするし、またこれに対しましては、公費医療とかあるいはその中間的な制度についての意見もありますので、これらの経過を通じまして抜本的な老人医療の施策も打ち出すことになっております。ただ、老人の医療についていろいろ調べますと、これは非常に複合的な原因が非常に多いために、老人だけのための専門病院というようなものをつくる医学的見地からの余地というものが非常に少ないとも言われておりますので、その辺のことも考慮の対象にしてまいりたいと思います。
#148
○田渕哲也君 特にデータによりますと、五十五歳以上の受療率が極端に減っておるわけです。これは定年になって、いままで会社で受けておった健康保険が受けられなくなって、国民健康保険に切りかえても三割負担はしなければならない。その辺で経済力のない老人が気がねしてお医者さんにかからない、こういうケースが非常に多いと思いますが、この七十歳以上ということでなくて、会社の健康保険、普通の健康保険にかかれなくなったものをカバーする何らかの公費による医療制度を考えていただきたいと思いますが、いかがですか。
#149
○国務大臣(内田常雄君) 七十歳以上というのは一つの案でございまして、たとえばいままでのつとめ先をやめた場合に、ある一定の条件のもとに、いままで自分が受けておった医療保険の制度をそのまま延長して受けられる制度設置の可能性についても検討いたしております それから今日の老人福祉法の対象にいたしております老人、六十五歳以上の方々につきましては、一般的な健康診査、またその結果に基づく精密検査も、これは国費負担で毎年何万人かずつ取り上げましてやっておりますことも御承知のとおりでございます。
#150
○田渕哲也君 先ほど老人専門病院の設立はなかなか困難な問題があると言われましたけれども、寝たきり老人が六十五歳以上四十万人、七十歳以上二十万人というデータが出ております。最近は家族単位構成がだんだん核家族になって家族の単位が小さくなりつつある。それに住宅問題も関連して、寝たきり老人の問題は非常に大きな問題になろうかと思います。しかも老人の病気というのは特殊性がありまして、一ぺん入院したら退院しない場合があるわけで、それだけに専門病院の設置が必要じゃないかと思いますが、いかがですか。
#151
○国務大臣(内田常雄君) 専門病院といいますよりも、先ほど申し述べましたように老人の病気が複合性である場合が多いという結果も出ておりますし、ことに循環性疾患の後遺症というものも多い、いわゆる老人病も多いわけでございますので、いま御意見にございましたような寝たきり老人に対する収容施設、特別養護老人ホームというようなものは極端に少な過ぎると思いますので、そういうものの充実につとめます一方、それに付着して専門病院としてでなしに、一つのサービスの分野を連結して、そして寝たきり老人等に対する医療のある面の充足をも考えてまいりたいと思います。ただしそれが一ぺんにできませんので、これも御承知のとおり、在宅の老人につきましてはホームヘルパーというものを毎年できる限りふやしておりまして、四十五年度の予算におきましてもこれはある程度ふやすことになっております。
#152
○田渕哲也君 時間もありませんので、最後に総理大臣に一点お伺いしたいと思います。
 これは地方自治体の首長、特に知事の多選禁止の問題でありますけれども、現在京都府の知事選挙が行なわれておりまして、蜷川現知事が当選すれば六選目ということになります。京都に限らず、香川県、奈良県、愛知県においても現在五選目の知事がおりまして、近いうちに任期が満了して、さらに立候補されて当選すれば六選ということになりますが、地方の自治体の首長、特に知事が、一人が長期にこれに在任しておるということは地方行政上利点もありますけれども、弊害も多くなるんじゃないかと思います。かつて昭和四十二年に自民党の篠田代議士から知事の四選禁止法案が出されましたけれども、廃案になっております。現在これは再検討する必要があるのではないかと思いますが、総理大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#153
○国務大臣(佐藤榮作君) 地方自治体の長にかかわらず、長く同一の人がその衝にありますと、その人が考えなくても何かと弊害は生じやすいのでございます。あるいは一つの閥ができるとか、その結果思わない事柄が次々に起きるとか、いろいろございます。やはり時には適当な、目先が変わることが望ましいのではないだろうかと、そういうような意味から多選禁止というような問題が出てくるんだと思います。しかし、これはよく考えなければならないのは、いまは選挙制度でございますから、選挙民が適当だとして考える限りにおいて、これを法制的にとやかく言うことがよろしいのかどうか、なかなかいろいろ議論の存するところであります。篠田君がかつて提案をして、また今日でもやはり篠田君は主張を曲げておりません、続けておりますが、わが党内におきましても、選挙を経て、その結果が生ずるのだから、どうも選挙民の意向というものを尊重すべきじゃないか、かような議論がただいまのところ多数を占めている、かように考えております。いずれにいたしましても、これらの問題はいわゆる両院の国会議員の場合とは違って直接責任ある地位につくのでございますから、そういう意味で選挙民の意思、それは尊重しなければならないが、同時にかもし出される一つの、何というか家庭の事情等はよほど考えなければならぬのじゃないか、かようにも思います。したがって、これははっきりしたことを申しませんが、選挙を制限しようというその考え方にも理由のあることだということをあえて言いたいのでございます。私はいまどちらともきめておらない、しかし、その二つの意見が成り立つものだ、そういうことだけつけ加えて申し上げてお答えといたします。
#154
○田渕哲也君 終わります。
#155
○委員長(堀本宜実君) 以上で田渕君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#156
○委員長(堀本宜実君) 次に、渡辺武君の質疑を行ないます。渡辺君。
#157
○渡辺武君 私は、日本共産党を代表しまして、総理並びに関係閣僚に質問したいと思います。
 まず最初に、日航機乗っ取り事件についてでございますが、この事件について国民が最も心配しておりますのは、人質同然に拉致されました百数十名の乗客それから乗り組み員、これらの人たちの生命と安全でございます。この点についてはけさほど来政府のほうから最大限の努力をするという御答弁がございましたので、私は深くこの問題に入ることは避けますが、事態が刻々変化しているというような実情でありますので、現状はどうなっているのか、また、いまこの乗客や乗り組み員に迫っている危害を防ぐというだけじゃなくして、今後こういう事態が二度と再び起こらないような、そういう対策をとる必要があると思いますが、その点について総理の御見解をいただきたいというふうに思います。
#158
○国務大臣(佐藤榮作君) 渡辺君もこの詳細について、私もはっきりきまったことなら一日でも、一時間でも早く、また一分でも早く国民に知らしたいと、かように思いますが、いま運輸大臣が出かけてまだ着いておりません。着くのが五時前後になるだろうと思います。五時前後に運輸大臣が着いた後において問題が解決されるだろう、それはどういう方向になるかこれは別として、現地で一応の処理をつけるというその見通しを立てる。その場合に、いま話がありましたように、どこまでも関係のない方々、人質になっておる人たち並びに乗員等についてはぜひとも危害が加えられないように、その安全を確保するように最善の努力ははかる、かように考えて、ただいまこの問題の成り行き、あと二時間ばかりのことですから、いましばらくお待ち願いたいと、かように思っておるような次第でございます。もちろん事柄の性質上ある程度の妥協ができ上がらないと、いまのようなことはなかなか確保できないんだろうと、いままでの経過を見ましてさようにも思いますが、私それらのことをも含めて、いましばらくお待ちを願いたいと、かように考えます。
 また、こういう事件の今後の問題を一体どうするのか、これも運輸大臣帰ってきて、さらに荒木君とも、公安委員長とも十分相談をして取りきめる予定でございますが、昨日も申しましたように、いままでたいへん自由自在に乗りおりができたものが、今後はやや制限を受けるようにならざるを得ない。あまりプライバシーというか、私権にタッチするようなことはしたくはないことだけれども、全体の公安のためにもそれは必要ではないだろうか、まあしばらくがまんしていただきたいということを、この席を通じて皆さん方にもお願いをしたような次第でございますが、まだ具体的な案ができ上がっておりませんから、でき上がりました際に、できるだけ個人の権利が尊重され、しかも安全が確保されるようなそういう方法はないだろうか。どうも全然自由自在のその姿において安全確保ということは困難だろう、あるいは持ち物その他等についてときに申告なり、あるいは調べるとかいうような点がやむを得ず発生するのではないだろうか、まあそういうことが発生した場合に、やはり国民の皆さんからも理解ある御協力が願いたいものだと、かような発言を昨日もしたのでありますが、きょうも同じような発言をいたします。ただいま具体的な問題についていろいろ当局の間で相談をしつつある、そのことだけ申し上げておきます。
#159
○渡辺武君 善良な市民の生命と安全のために政府が最大限の努力を払うということを重ねて要望して、次の質問に移りたいと思います。
 ところで、この事件の首謀者、これは新聞報道などによりますと、トロツキスト、暴力学生集団の一翼をになう赤軍派だということになっております。当局もいろいろ捜査をしておられるだろうと思いますけれども、この首謀者の性質ですね、これがどういうものか、それを御答弁いただきたいと思います。
#160
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。
 本件を赤軍派と目される集団による犯行と思量した理由、一つには羽田出発後の機内や福岡空港で機長及び乗客に対し赤軍派を名のり、逮捕状が出ている、北鮮へ行けなどとの脅迫言動や、釈放された乗客の証言、あるいは乗客名簿からの割り出し等で赤軍派構成員が発見されていること、かねてから国外に国際根拠地を求める等の言動などから、赤軍派と目されている犯行と思量しております。
#161
○渡辺武君 今度の事件は、この赤軍派なる暴力学生集団が善良な国民の生命と安全を脅かしているという点では、右翼暴力団、ごろつきと全く変わらない集団だということをはっきり物語っていると思います。ところで、三月五日付の読売新聞によりますと、この赤軍派なる暴力学生集団は、ことし一月の政治集会で、サンフランシスコ、メキシコ、キューバ、北鮮などに武装蜂起の拠点をつくり、世界各地で一斉武装蜂起をするなどの方針をきめたという記事が載っております。さらに一これらの国への集団密航計画をすでに具体的に進めていると報じております。昨夜の朝日新聞の夕刊も同様の記事を載せておりますし、けさの朝日新聞は、日航機乗っ取りのうわさも捜査当局は事前にキャッチしておった、そうして警視庁公安一課を中心に赤軍派特捜班を編成してワン・ツー・ワン方式、つまり相手一人に対して係官一名という方式で警戒をしていたということが報じられております。ところが同じ昨晩の日本経済新聞の夕刊によりますと、最近赤軍派が比較的静かなところから、当局では一時のようなマン・ツー・マンによる警戒を行なってはいないという記事が載っているわけです。これは国民の間に非常に大きな疑惑を招いている、私どもはそう思います。そこで伺いたいことは、当局は当然この日航機の乗っ取りの問題こうした動きをキャッチしていたと思いますけれどもどうでしょうか。どんな捜査をいままでにやっておられたか、その点を伺いたいと思います。
#162
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府委員から詳しく御説明申し上げます。
#163
○政府委員(川島広守君) お答えいたします。
 ただいまお尋ねの赤軍派でございますが、この派閥は昨年の七月の六日に明治大学の和泉校舎でいわゆる共産主義者同盟との分派争いで重傷者などを出すなど、いろいろな不法事犯があったわけでございます。以来現在まで、十一月五日の大菩薩峠の事件でございますとか、あるいは本富士警察署の事件でありますとか、あるいは大阪における派出所、交番の火災びんの襲撃事件でございますとか、そういうような不法事犯が合計で四十四件発生いたしておりまして、特に、昨年の九月には大阪でいわゆる大阪戦争と彼らが称し、あるいは十月には東京でまた東京戦争と称しまして、きわめて過激な不法行為を実は敢行してまいったわけでございます。さようなきわめて過激な集団でございますので、警察といたしましては、昨年の七月以降現在まできわめて精力的に彼らの動向につきましては現実に情報も入手につとめ、さらにまた彼らの危険な分子につきましては徹底したマークをいたしまして、今日に至ったわけでございますが、ただいま読み上げられました新聞に出ております報道の内容とは違いまして、警察といたしましていささかも油断をいたしておりません。なかんずく本日の予定でございましたが、午後の五時から日比谷の公会堂で彼らが言っておりますところの日本革命戦線準備委員会の結成大会を公会堂で開くということでございましたので特に力をそそぎまして、三月の中旬以降特におも立った活動家数十名につきましていまお話しのございましたような方法によって徹底してマークしてまいったわけでございますが、残念ながら今回の、本件の乗っ取り事件につきましてはまだいずれも正確には赤軍派の幹部であるかどうかは断定する材料はございませんけれども、先ほど大臣がお答え申しましたように、乗客の方々の証言なり、あるいはまた受付の人たちの面割りによりましておおむね間違いなかろうというようなところまでいま判断が進んでおるわけでございまして、いずれにしましても本件の事件についての端緒を得られなかったことははなはだ残念に存じておる次第でございます。
#164
○渡辺武君 国外に脱出しようと、特に日航機乗っ取りをしようといううわさが流れていたという記事があるわけですが、この情報を事前にキャッチしておったかどうか。
#165
○政府委員(川島広守君) お答えいたします。
 一月の十六日に全電通の会館で集会がございまして、そこでさまざまなことが議論されたという情報を入手いたしております。その中では、彼らの言っていることの中に、いわゆる国際的な根拠地をつくる必要があると、そういうふうな意味合いで、たとえばということでキューバなんかがその候補にあがっておる、あるいはサンフランシスコというようなことがあがっておったということは知っております。しかしながら、いまお話しのように、飛行機を乗っ取って云々でございますとかそういうふうな情報は入手しておりません。
#166
○渡辺武君 今度彼らが行くと主張している朝鮮民主主義人民共和国の名前も一月の彼らの政治集会でははっきり出ている、ですから、少しいまの御答弁は、捜査当局がこれらの暴力学生集団に対してやっぱり捜査という点で若干甘かったのじゃないかというふうに考えざるを得ません、その点どうでしょう。
#167
○政府委員(川島広守君) 先ほどのお答えに若干つけ加えたいと思いますが、飛行機を乗っ取って云々という情報はもちろんなかったわけでございますけれども、幹部の数人、何人かをキューバなんかに送ってそこでいわば革命のための訓練をするないしは武器の調達をはかるというふうな種類の内容の情報は入手いたしておりました。したがって、先ほども触れましたけれども、特に本日の結成大会、これが彼らはことしの秋にいわゆる彼らのことばで言います武装蜂起をしようということはかねて一月の集会でも言っておるわけでございますから、そういうふうな彼らの言っておりますことに従って、わがほうとしては厳重な視察内偵を遂げてきたわけでございます。ただ、いまお話しのございましたように、警察のほうの取り締まりが不十分であったというお話でございますが、本件に限って申せば、結果的にあのような不幸な事件が起こったわけでございますから、その点ははなはだ残念に考える次第でございます。
#168
○渡辺武君 ところで、おととしだったと思いますが、おととしの八月六日に開かれた同じ暴力学生集団のアナーキスト団体ですが、背叛社という団体があります、この団体の爆発物取り締まり規則違反事件の東京地裁の公判に際して、警視庁公安一課の間々田警部補という人が情報を取るためと称して多額の金を背叛社の責任者とみなされる和田俊一なる男に渡して、さらに自民党本部を襲撃したらどうだというようなことまですすめていたことをこの和田本人が公判廷で述べております。そうしてこの事件が起こったその翌日に警視庁の山本鎮彦公安部長が、アナーキストに限らず暴力学生集団などに対しても活動家と接触しているということを記者会見で公言しているわけであります。こういう状態でありますから、警視庁あるいはその他の捜査当局が同じ暴力学生集団である赤軍派にも同様の接触があったんじゃないかというふうに考えますけれども、その点はどうでしょう。
#169
○政府委員(川島広守君) 先ほどお話し申し上げましたように、現在数多くございますこの過激な暴力集団のセクトの中でも、特に最も治安上配慮を必要とします――治安上最も問題でありますのがいま申しました赤軍派がその一つでございまするし、さらにまたお話がございました背叛社等の行動的なアナーキスト・グループ、これもその一つでございます。お尋ねに率直にお答え申しますならば、赤軍派の中にも現実に協力をしてもらっている者はたくさんございます。
#170
○渡辺武君 そういう接触をしている、情報を取ると称して金まで渡しているという接触があるということですと、これは今度の日航機乗っ取り事件を事前にキャッチしていたんじゃないかというふうに考えられますけれども、重ねて御答弁いただきたい。
#171
○政府委員(川島広守君) 先ほどもお答え申しましたように、昨年の秋以来本富士警察署をはじめといたしまして、大阪の幾つかの交番、派出所が襲撃を受けて、多くの警察官がけがをしておる事案につきましては先ほど申し上げましたとおりでありますが、もしもかりにこのようなことについての情報を得ました場合には、いずれも未然にさまざまな手を打ってやっておるわけでございます。現にたとえば大菩薩峠の場合でもそうでございますけれども、昨年の九月、十月の事案の中でいろいろ彼らが画策しましたものの中で、もしも決行されれば大事に至ったであろう事件は、数多く事前に検挙をして実は治安を守ってきたわけでございまして、今回は、先ほども触れましたように、本件につきましては残念ながらそのような情報の入手ができなかったわけでございます。
#172
○渡辺武君 先ほど総理の御答弁の中で、今後こういう事態が二度と起こらないようにするために具体的には今後いろいろ考えるとして、空港などでの規制措置も必要じゃないかというような点を言っておられました。こういう措置があるいは必要かというふうに私ども考えます。考えますけれども、一番大切なことは、国民の生命と生活を守るために、このような行動を公式の方針としている暴力学生集団にきびしい態度をとることじゃないかというふうに私どもは考えます。わが党はもう総理も御存じのとおり、政府や財界がこのような暴力学生集団に対して、反共主義の立場から従来泳がし政策をとっておったという点については、再々きびしい警告を出しております。今度のような事件が起きた、しかも国の金まで渡して情報をキャッチするという接触をやりながら、そうしてまた暴力学生集団が今度彼らが目ざしていると言っている朝鮮民主主義人民共和国への脱出ということまでもちゃんと公言している、そういう事態のもとで、事前に情報もキャッチできなかったというようなそういう状況、これはやはり泳がし政策をとっていた政府の責任だというふうに考えざるを得ないと思う。その点はいかがでしょうか。
#173
○国務大臣(佐藤榮作君) 端的に申しまして、政府は泳がし政策、こういうものはとっておりません。これはもうたびたび申したところでございます。私はこういう問題が起きたことはたいへん誤解を招きやすいし、またいろいろの批判を受けるだろうと、かように思って、その責任まことに重大だと、かように考えて、ただいままでのところ遺憾の意を表明しておるだけでございますけれども、私はいろんな批判があるだろうと思いますが、しかしいま渡辺君が言われるようないわゆる泳がし政策、さようなことは絶対にございませんから、その点だけは誤解がないようにお願いいたします。
#174
○渡辺武君 今度の事件はまことに奇怪な事件です。赤軍派をはじめとする暴力学生集団が朝鮮民主主義人民共和国などをスターリン主義の国だというふうに称して、従来はこれを打倒しなきゃならぬということを彼らの公式の方針にしていたことは、これはここにいらっしゃる皆さんも御存じのとおりだと思います。ところがその暴力学生集団、しかもその中でも最も過激派だと言われる赤軍派が、今度朝鮮民主主義人民共和国に行くということを公言しながら日航機を乗っ取った、まことに奇怪きわまりない。これは一方でいま世人から右翼暴力団同様の集団だというふうに見られて、だんだん世論から孤立化してきた赤軍派、こういう暴力学生集団が、革新勢力を装っていわゆる政治亡命劇を演出する、そうしてまた他方でこういう事件に朝鮮民主主義人民共和国を引き込んで、朝鮮民主主義人民共和国がこれら赤軍派のようなああいう暴力集団と同じような性格を持った国であるということを印象つけようとする、そしてまたそのことによって反共宣伝の材料をつくろうとする、そういうような政治的陰謀のにおいが非常に濃いわけであります。わが党は政府が反共主義の立場から、先ほど総理は否定ざれましたけれども、しかし財界の首脳部だとかあるいは政界の首脳部だとか、たびたびことばで漏らしているところからしても、これら暴力学生集団を泳がし政策をとっていたということは、これは私は否定すべくもない事実だと思いますけれども、こういう泳がせ政策をやめて、彼らに対してきびしい措置をとることを重ねて要望するわけです。これこそがこういう事態を二度と起こさないようにする最も大事な保証だと思います。その点を重ねて総理に伺いたいと思います。
#175
○国務大臣(佐藤榮作君) こういうものの取り締まりについて、基本的には暴力は絶対に容認してはならない、そういう意味で厳重にこれを取り締まれ、かように言われること、これはもうかねての政府の態度でもございます。私は右であろうが左であろうが、いやしくも暴力行為、そういうものは許さるべきでないということ、ここでは渡辺君と同じ主張でございますので、ただいま申すように、暴力排撃、暴力否定、これに徹するというか、取り締まりがまた厳重になりましても、そういう点ではどうか御理解を賜わりたいと思います。
 いまの共産党自身は私が申し上げるまでもなく合法政党ですから、よもや暴力行為などなさろうとは思わない。いままでもしばしば口にしておられるように、暴力否定、その政党だと、かように言っておられる、だから私もさように思いますので、どうかそこらは混同はしないつもりであります。いまの赤軍派、一部のこれはほんとうに何と言ったらいいか、私どもの想像もつかないような暴力団体だと、かように考えますし、多数の無実なまた無縁の方々を人質にする、かくのごときことが許されてはならないと、かように思っております。またこれを政治的な問題として特に北朝鮮に亡命するなど、これは平壌政府としてもずいぶん御迷惑なことだろうと私は思います。でございますので、昨日も説明をいたしましたように、これに関しては政府がどうこうしたという問題はないんだと、したがって政府は取り締まるその立場にあるんだと、まあ前もって計画をしたとか、どこそこの政府が誘致したとか、さようなことはないんだと、だからその辺の誤解はないようにということも重ねて申し上げたはずであります。ただいまこの赤軍派の一団に対する態度、これは言われるとおり、厳正に、き然たる態度でその暴力排撃、その本拠をさらに追究する必要があるだろう、かように私は思います。
#176
○渡辺武君 総理のその御答弁がまじめに実行されることを期待しまして、次の質問に移ります。
 次に、いま公明党のほうから、当委員会などでもたびたび取り上げられております失業対策事業に就労している地方議員に対する所得制限の問題及びいわゆる不正受給問題なるものについて御質問したいと思います。
 この問題は、すでに公明党議員によって本院でも三回にわたって取り上げられ、私自身も関係者の一人として名ざしで非難されました。中でも、福岡県山田市の西村市会議員に至っては、この不正受給なるものの典型的な例として三回も名ざしで詐欺行為、または詐欺類似行為を行なっているかのように非難をされております。本人は、これについて事実無根であり、名誉棄損であるとして名誉回復を強く求めています。また、この公明党のいわれのない中傷によって、日本共産党の名誉も傷つけられております。しかも、当委員会ではこのいわれのない中傷に対して手をかすかのような答弁が政府側からもなされているという状態であります。
 そこで私は、まず失業対策事業に就労している地方議員に対する所得制限の問題について労働大臣に伺いたいと思います。大臣は、三月二十五日の当委員会での二宮委員の質問に対して、一定の所得基準をこした所得がある。それは議員であるといなとを問わず、そういうものは失対事業には就労できないということになっておりますと、答弁しておられますけれども、このような失対事業就労者に対する所得制限は、法律の上ではいつから定められたものでしょうか、御答弁いただきたい。
#177
○国務大臣(野原正勝君) 失対事業は、失業者が就職できるまでの間の生活の安定をはかるために、一時的に就労の機会を与えることを目的として実施されておるものでありますから、一定基準以上の所得を有するものを失対事業に紹介し、就労させることは、緊急失業対策法の趣旨から見まして適当ではないと考えております。また、昭和三十八年の法改正によりまして、中高年齢失業者で特別の就職促進の措置を受けるためには、その所得が一定の基準をこえないことが必要とされており、この措置の期間が過ぎてもなお就職できないものを失業対策事業に紹介することとなっております。したがって、失対事業に紹介する者についても、その所得が就職促進の措置の要件となっている基準額をこえないことが当然の前堤となっているのであります。
#178
○渡辺武君 そうしますと、昭和三十八年の法改正によって初めて法の上で所得制限という問題が出てきたというふうに理解していいですね。
#179
○国務大臣(野原正勝君) そのとおりでございます。
#180
○渡辺武君 それでは三十八年の法改正以前の緊急失対法では所得制限はどうなっておったでしょうか。
#181
○政府委員(遠藤政夫君) お答えいたします。
 三十八年の法律改正以前の緊急失業対策法では所得制限の条項はございませんでした。
#182
○渡辺武君 そうしますと、三十八年の法改正以前から失対事業に就労していた者、これは法改正後引き続き失対事業に就労できたというふうに思いますけれども、その点どうでしょう。
#183
○政府委員(住榮作君) 昭和三十八年の法改正の際に、経過措置といたしまして、それまで失対事業への紹介対象者であった者につきましては、中高年齢者等に対する就職促進の措置が終わったものとみなして、資格があると、こういう経過措置でつないであるわけでございます。
#184
○渡辺武君 その経過措置をきめた緊急失対法附則第二条三項、これには所得制限の条項が明記されておりますか。
#185
○政府委員(住榮作君) 就職促進の措置が終わったものとみなしておるわけでございますから、その就職促進の措置についての本則の条項が当然の前提になっているものと考えておるわけでございます。
#186
○渡辺武君 私の質問から若干はずれた御答弁でありましたので、重ねて伺います。
 その経過措置をきめた附則第二条三項、これには所得制限について何か明記されているところがありますか。
#187
○政府委員(住榮作君) ただいまも御説明申し上げましたように、措置が終わったものとみなして、それまでの紹介対象者を引き続き新しい制度の紹介対象者といたしておるわけでございますから、その場合に、本則の就職促進の措置に関する規定が当然の前提になっておる。こういうように考えておるわけでございます。
#188
○渡辺武君 附則第二条三項には所得制限については書かれていないということですか。
#189
○政府委員(住榮作君) 直接には附則の規定には書いてございませんけれども、就職促進の措置が終わったものとみなしておるわけでございますから、先ほどのようにお答えいたしておるわけでございます。
#190
○渡辺武君 そうしますと、法の上では明記されていない。しかし、解釈の上ではそう解釈するという御答弁の内容だったと思います。ところで、現在問題にされている地方議員は、昭和三十八年以前から就労した者がほとんどです。中には当時すでに地方議員に選出されて、就職促進措置で定められた措置適格者の要件としての所得制限の額以上の所得のある者もいたはずであります。附則二条三項に所得制限が明記されていないということは、三十八年以前から失対事業に就労している者の所得は法改正後失対事業に就労するに際して法的には問題にならなかったことだというふうに考えますけれども、その辺はどうでしょうか。
#191
○政府委員(住榮作君) 当時の調査では、その所得基準に該当する者がなかったと、こういうように調査が行なわれておるわけでございます。
#192
○渡辺武君 事実なかったということと、法の上で明記されていないのでもしかりにあったとしてもそれは問題にならなかったということとは若干違うと思う。その後者のほうからしてどういうことになるのか、御答弁いただきたい。
#193
○政府委員(住榮作君) 私ども、先ほど申し上げました趣旨によりまして、当時の所得の点につきまして、いろいろ当時の紹介対象者についてどう措置するかと、こういうことについては考えたのでございますが、当時の議員については、所得基準以上である、こういうことはないという判断のもとにそれに触れなかったと、こういう経過になっております。
#194
○渡辺武君 所得制限に触れるものがなかったという判断でそれに触れなかったということですね。触れなかったのは私は当然だと思う。経過措置である附則第二条三項、これには所得制限についての明確な明示した規定がないわけですね。そうして、先ほど住さんのおっしゃった就職促進の措置、この点についてある所得制限というのは、就職促進の措置を受け得る人つまり適格者についての条件にすぎない。ところが、その措置を受け終わった者とみなして、そうして失対事業に引き続き就労できる人は、これは就職促進の措置の窓口で問題になる所得制限は当然問題にならないということは、これは言うまでもないことだと思う。その点、どうでしょうか。
#195
○政府委員(住榮作君) 就職促進の措置について所得の制限があることは御承知のとおりでございますが、たとえば就職促進の措置を受けている期間中におきましても、その要件を欠くに至った場合は、当然措置の取り消しが行なわれるわけでございます。
 それから受け終わってもなお民間の常用就職ができないと、こういう場合には、失対事業で一時働いていただくと、こういう制度に変わったわけでございますから、制度としての連続性があるわけでございます。したがいまして、現在の失対事業の紹介対象者につきましても、当然その所得要件が前提になっていると、こういうように考えて措置をいたしておるわけでございます。
#196
○渡辺武君 それはあなたの考えであって、法に明記されているかということを私は聞いているんですよ。法には明記されていないわけでしょう。
#197
○政府委員(住榮作君) 法律には、失対事業の紹介対象者は、安定所の紹介する失業者であること、就職促進の措置を受け終わった者であること、それと引き続き誠実かつ熱心に求職活動をする者と、こういうことが緊急失業対策法の十条に規定されておるわけでございますから、「就職促進の措置を受け終わった者」と、こういうところで私ども法律解釈をいたしておるわけでございます。
#198
○渡辺武君 ですから、解釈を伺っているんじゃなくして、法に明記されているかどうか。昭和三十八年以前に失対事業に就労して、経過措置で就職促進の措置を受け終わった者とみなすというふうになっている。そのみなされたときに、所得制限は問題でなかったと、こう言っている。つまり、自動的に就職促進の措置を受け終わった者とみなされているわけです。そういうことだと思う。
 そこで、時間もないので、端的に聞きますけれども、昭和三十八年以前から失対事業に就労していた者は、たとえ地方議員になって就職促進の措置の適格者条件である所得制限以上の所得を取っていたとしても、法的にはですよ、法的には不法だとは言えないのではないか。この点、どうでしょう。
#199
○政府委員(住榮作君) 私ども、法律から出てきます結論と申しますか、解釈といたしまして、そういう制約を受けると、こういうように考えておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、三十八年の法改正によりまして、それ以前の紹介対象者は就職促進の措置を受け終わった者とみなして、それ以降も紹介対象者とすると、こういうことになっておるわけでございますから、その点については、それ以前の紹介対象者であるか、それ以後の紹介対象者であるか、これは差別すべき理由はないと、こういうように考えておるわけでございます。
#200
○渡辺武君 その解釈は、非常に疑義があります。と申しますのは、先ほども御答弁がありましたように、経過措置によって、三十八年以前に就労していた人、これはその法改正の当時、「就職促進の措置を受け終わった者とみなす。」と。受け終わったものとみなす。ところが、所得制限というのは、これから就職促進の措置を受けようという人の適格者条件の一つにすぎないんです。これから受けようとする人の適格者条件、これが受け終わった者とみなされた人にどうして適用できるのか。しかも、法の上では、何の明示された規定もない。一体、それで不法と言えるのかどうか、法律違反と脅えるのかどうか。
#201
○政府委員(住榮作君) 先ほど来お答え申し上げておりますとおり、結局、みなして紹介対象者にしたわけでございますから、それ以降の紹介対象者であるとそれ以前の紹介対象者であるとを問わず、現行法の上での取り扱いは変わりがない、こういうように考えておるわけでございます。(「みなしたほうの責任だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者あり)
#202
○委員長(堀本宜実君) お静かに願います。
#203
○渡辺武君 その答弁は、三月四日の予算委員会における野原労働大臣の御答弁とは食い違っております。野原労働大臣は、この問題について、「一定基準以上の所得を有する者を失対事業に紹介し就労させることは、緊急失業対策法の趣旨にかんがみまして適当でないのであります。」と。不法だとは言っておられない。「適当でない」という表現をとっておられる。いまの御答弁は、これは法律違反であるというふうな御答弁と私は受け取ったんだけれども、その点、どうでしょう。
#204
○政府委員(住榮作君) 私の御答弁は、特に法律の規定と関連して申し上げておるわけでございまして、一つはそういう根拠、一つは現在の緊急失業対策法の趣旨から見ても適当でない、こういうように大臣の御答弁があったものと考えております。
#205
○渡辺武君 これは、趣旨に照らして適当でないということであって、不法ではないと言っておる。ところが、その前、あなたの解釈で不法かどうかということを言っておられる。解釈を聞いているのじゃないんです。法に明示されているかどうか。経過措置には明示されていないということは、先ほど確認されたとおりです。経過措置に明示されていない。しかもですよ、所得制限は、就職促進の措置を受けようとする人の適格者条件なんです。それが受け終わった者に適用できるという法の明文がありますか。
#206
○政府委員(住榮作君) 受け終わった者を失対事業に就労させるわけでございますから、その措置を受けない者については失対事業に紹介して就労させる制度にはなっていないわけでございますから、私ども、先ほど来申し上げておりますように、所得の制限は失対就労者につきましては当然の前提になっておる、法律の解釈からもそのことが出てくる、こういうように申し上げておるわけでございます。
#207
○渡辺武君 解釈を伺っているのではなくて、法にどこに書いてあるかということです。
#208
○政府委員(住榮作君) 法律には、先ほど申し上げましたように、緊急失業対策法の十条の規定によって、中高年齢者に対する就職促進の措置を受け終わった者であって、しかも誠実かつ熱心に求職活動をしている、この規定から出てくると、こういうことを申し上げておるわけでございます。
#209
○渡辺武君 時間がないので、その問題についての検討はいずれ他の委員会でやりたいと思いますけれども、しかし、いまのおことばがありました点は、一言だけ私申し上げておきたいと思う。それは、失対法十条の二項というのは、これは私もよく知っております。つまり、就職促進の措置、これを受ける人の適格者条件としての所得制限、これは就職促進の措置を受ける人には当然適用される。これは当然のことです。しかし、昭和三十八年以前にすでに就労していた人は、経過措置としてその就職促進の措置を受け終わった者とみなされて、所得制限も問題にならずに、自動的に失対事業に当時就労している。それはなぜかといえば、これは窓口で所得制限があっても、それとは無関係に、以前から就労していた人たち、これが経過措置によってもう受け終わった者とみなされている。その場合は、所得制限措置のないこと、これは当然のことです。法的にはどこにもその点できめてない。その点ははっきり申し上げて、次に移りたいと思います。
 次に、先ほど申し上げました西村市会議員の問題であります。黒柳委員は、三月初旬のこの委員会で、福岡県紹介票綴などの写しを取り出して、昭和四十二年から四十四年までの三年間、西村市会議員が市議会の用務で出張したりまた議会に出席したりしたその同じ時刻に失対事業に就労したとして、賃金を二重取りしているかのように発表しました。この件について、労働省は、その後調査されたかどうか、調査の内容を詳細に御報告いただきたいと思います。
#210
○国務大臣(野原正勝君) 山田市の西村議員のことでございますが、現地における調査の中間報告によりますと、西村議員が、議会に出席し、あるいは議会用務で出張し、または組合活動を行なった、ないしはその時間に失業対策事業に就労したものとしてその賃金の全額を受け取っている事実が判明いたしております。
 なお、ついでに申し上げますが、昭和四十五年三月七日に、西村議員から、飯塚失業対策事務所次長に対しまして、二月二十三日から二十八日までの議会用務による出張期間中の失業対策の賃金千四百三十五円を返還したいとの申し出を受けまして、同所長が同次長名で仮領収書を発行し、同失業対策事務所に保管しているという報告を受けております。
#211
○渡辺武君 まず、問題を整理したいと思う。大臣が一番最後に言われた点は、昭和四十五年三月七日の件だというふうに言われました。黒柳委員が問題にされたのは、昭和四十二年から四十四年までの三年間の問題であります。ですから、まず、この黒柳委員が取り上げました昭和四十二年から四十四年までの件について、一体、出張中に賃金を二重取りしたというような事件があるかのように言われましたけれども、それはどういう事件でしょうか。
#212
○政府委員(住榮作君) 西村議員の調査結果で私ども調べました概要について申し上げてみたいと思います。
 一つは、議会出席日に全額賃金が支給されておりました日数が、四十二年度が八日、四十三年度におきまして十六日、四十四年度――と申しましても二月末まででございますが、それが二日でございまして、四十二年度から本年度の二月までの合計二十六日、それから議会関係の用務出張日に賃金が支払われておったというのが、四十二年度、四十三年度ございませんで、四十四年度におきまして四日間、こういうことになっております。
#213
○渡辺武君 私どもの調査によりますと、議会出席の同時刻の問題は、これはあとから問題にしたいと思います。まず、出張時、この点を問題にしたいと思いますけれども、山田市議会の出張命令簿では、この四十二年から四十四年までの三年間、西村市会議員は十一回出張しているというふうになっております。しかし、西村議員が実際に出張したのは、昭和四十二年には一日間、それから昭和四十三年にはこれまた一日間、それから昭和四十四年は六月十八日から二十四日までの七日間に出張したにすぎません。いまの御答弁にあった四十四年の四日間というのは、これはいつのことなのか、それをお知らせいただきたい。
#214
○政府委員(住榮作君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、二月の二十四日から二十八日までの分でございます。
#215
○渡辺武君 四十四年の二月二十四日から二十八日まで、西村議員は出張しておりません。いま出張していたという事実、これはどういう資料で確認されたことでしょうか。
#216
○政府委員(住榮作君) 議会の事務局の資料によって調べたということでございます。
#217
○渡辺武君 昭和四十四年には、いまも申しましたように、本人が議会の事務局と確認したことでは、六月十八日から二十四日までの七日間しか出張しておりません。いま言われた二月二十四日から二十八日までの出張、これは、ほかの人は出ているけれども、西村議員はそのときには出張していなかったということになっております。
#218
○政府委員(住榮作君) ちょっと時日の違いがあるようでございますが、私が申し上げておりますのは四十四年度ということで、ちょっとことばが足りなかったかと思いますけれども、ことしの二月の二十四日から二十八日のことを申し上げておるわけでございます。
#219
○渡辺武君 とんでもない間違いをやっている。じゃ、先ほどから言われた四十二年度はなかった、四十三年度もなかったと。四十四年度というのは、つまり四十五年の二月二十四日から二十八日だということですね。じゃ、四十四年度中はどうだったのですか。
#220
○政府委員(住榮作君) 私どもの調査では、ございません。
#221
○渡辺武君 そうしますと、黒柳委員がこの前の委員会で、四十二年から四十四年までの間西村市会議員はこれは議会の用務で出張している、しかも賃金を取っているのだ、だから、これは詐欺行為、詐欺類似行為だということをはっきりとこの議場で言われた。そのことは事実無根のデマだったということがいま確証されたことになる。そうでしょう、どうですか。
#222
○政府委員(住榮作君) 私どもの調査の結果では、いま申し上げたのが判明しております事実でございます。
#223
○渡辺武君 それでは、先ほど問題にされた四十五年の二月の件ですね。これについて伺いたいと思いますが、この期間西村議員がその賃金を受け取っていたということを言われましたね、その点はどうですか。
#224
○政府委員(住榮作君) ことしの二月二十四日から二十八日までの状況は私ども調べましたところによりますと、大体失対就労者につきましては、朝、就労点検簿によりまして氏名の点呼をいたすわけでございますが、西村議員は山田高校の運動場の整地工事が現場でございます。そこ喪氏名点呼をいたしましたところ――二十四日目のことでございますが、最初返事がなかった、二回目に呼んだところが返事があった。それから二十五日に至りまして、やはり一回目点呼いたしましたところ、返事の確認がございましたけれども、その後しばらくたってから西村議員の不在を確認した。したがいまして、その不在期間中の賃金のカットを行なった。同様な事情が二十六日から二十八日まで続くわけでございまして、全額の支払いではなくて、カットされた賃金の支払い、こういう金額が先ほど大臣が申し上げました千四百三十五円、こういうことになるわけでございまして、それが議会用務のための出張中の期間であった、こういうことになるわけでございます。
#225
○渡辺武君 私どものほうからして、まことに疑問のわく御答弁ですけれども、まず一つ一つ事実を明らかにしたいと思うのです、これは重要な問題ですから。賃金を返したと言われましたけれども、本人が一たん受け取って返したものなのか、この点をまず伺いたいと思います。
#226
○政府委員(住榮作君) その点につきまして私どもの調べたことを申し上げますと、三月七日に全日自労の飯塚分会の山田支部の熊谷財政部長から、西村議員の二月二十四日から二十八日の東京出張中の賃金について返したい、こういう申し出があったそうでございます。そこで、現場の監督員は、自分としては受領できない、こういうことを答えまして、現場を管轄する事務所に連絡をした、こういうことになっております。そこで、三月七日の午前中に、飯塚の失対事務所の次長が他の用件もございまして、全日自労の事務所を訪問したのでございますが、その際、西村議員からの申し入れがあったようでございます。それは紹介対象者の手帳の提出とか賃金の受領は自分が依頼したものではない、また、組合の意思でしたことでもない、自分は賃金を受け取っていない、事務上の手違いであるから事実に基づいて解決してほしい。さらに、自分の全く知らないことであって、自分の名で賃金の返納はしない、こういうような申し入れがあったそうであります。
 さらに、七日の午後になりまして、西村議員が飯塚の失対事務所にたずねて来られまして、先刻、次長に話した内容についての考え方は変わらないけれども、自分名義での受領事実があるので、その間の現金は返納する、こういう申し出がございました。先ほど大臣からお答えしましたように、次長名の仮受領書で同事務所に保管してある。これが経過でございます。
#227
○渡辺武君 いまの御答弁の中にはっきり出ていたと思います。つまり本人は出張中であった。三月の二十四日から二十九日まで出張中、ただし、二十九日は、これは日曜だから当然賃金の問題は起こらぬ。出張中の人間がその留守中に現場に失対事務所のほうから支払われた賃金を受け取るはずはない。本人は受け取っていないのです。しかも、本人は、その後三月の四日までこれは休んでおります。これはちゃんともう現場でもって確認している。そうして五日の日に出勤している。同日の午後に自分あての賃金が現場に保管されているということを知ったので、そこで自分は、出張中の者に賃金を払われる理由はないわけでありますから、したがって、全日自労山田支部にこれを返還してくれということを要求した。言ってみれば返還ではない、これは本人が受け取りを拒否した。これが事の真相であります。先ほどの御答弁でも、それははっきりしている。本人は受け取っていない。受け取りを拒否したにすぎない。これが一体何で不正受給だと言うことができますか。私はできないと思う。しかも、ちゃんとここに福岡県飯塚失対事業部の次長の森茂夫という人が判こを押した証明書がちゃんとある。本人の無実を証明する証明書です。ですから、この問題を利用して、本人が一たん受け取ったものを、これを黒柳委員が国会で問題にしたから、そこであわてて返却したものであるかのごとくにこの国会の演壇を利用して宣伝をするというのは、これは不当きわまりない中傷と言わなければならない。
 そこで、私は西村労働大臣に伺いたいと思う。(笑声)いや失礼しました。西村、西村と言っておるもんですから、つい間違えまして。労働大臣に伺いたいのですけれども、この前、二宮委員がこういうことを聞かれておる。「この間黒柳委員が指摘しました西村市会議員の二重取りの不正事件につきましては、黒柳さんが指摘したとおりでありますけれども、調査された結果はどうでした。」と、こう質問された。ところがこの質問に対して大臣はこう答えておられる。西村議員の場合は、何か先般就労しなかったということの分を返してきた、戻したということの報告があります、というふうに答えられている。このやりとりを聞いていると、まるで黒柳委員が問題にした四十二年から四十四年までに西村議員が何か不正受給をしていた分を、これを黒柳委員が問題にしたから、本人はあわてて返したというような印象に受け取れております。これは、私は、公明党議員がこの国会の演壇を利用して、事実無根のことを公言して、そうして善良な国民の一人の名誉を著しく傷つけている。わが党にも非常に大きな被害を与えている。そういうやり方に対して、労働大臣自身が手を貸していることになるんじゃないか。その点、大臣、どうお考えになるのですか。
#228
○国務大臣(野原正勝君) 私は、失対事業の賃金を返納したと、それで次長が仮領収書を出して一応受け取ったという事実を当時知りましたので、そのまま言ったわけでありまして、別に手を貸したわけでも何でもございません。ただ、この機会に申し上げますが、失対事業というものは、これは国と地方との、まあ、いわば公共の資金を使って、税金を使ってやっておるわけでございまして、これに対しては厳正な態度で臨むべきものであろうと思います。ところが、相当の収入があり、所得があるにかかわらず失対事業に従事しておられるというような事実があるとすれば、これはやはり今後は厳正に失対事業には就労すべきではないというふうに考えまして、先日の国会での答弁もしたわけでありますが、どうも何か権利があるようなふうに考えられる、失対事業にはどこまでも出ていいんだと、所得の制限はないんだというふうな御意見というものは、どうも納得がいかぬ。これは、やはり一定の基準以上の所得があるものは御遠慮願うのが当然だろうと考えております。こういう面で、当然これは失対事業というものは、今後は厳正にこれを行なうということで、今後の問題については、一つの政策としまして、いままではともかく、これからは少なくも失対事業というものに対しては、あくまでも厳正に行なっていくということで方針を貫きたいと考えております。
#229
○渡辺武君 大臣は手を貸したんじゃないと言われましたけれども、しかし当時のやりとりを速記録で読み返してみても、何か口裏を合わしたかと思われるほどの印象を与えるほどうまく答弁しておられます。そうして、先ほども申し上げましたとおり、即座に西村議員は何か返したんだというようなことで、あたかも四十二年から四十四年の間、二重取りしていたものを、これはそのとき返したというような印象を与えるような答弁をしたことは、これは客観的に明らかだと思うのです。大臣、今後はそういう点慎んでいただきたい。
 さて、時間もないので、私は詳しくここで西村市会議員の無実を証明することはできませんけれども、一言だけ申し上げておきたいのは、市議会の本会議、それから委員会、これに出席している間にも就労したことにして賃金を受け取っているというようなことを先ほど報告の中で言われました。しかし、ここにたくさんの証明書を、私、あります。証明書がはっきりあります。ですから、これは読み上げる時間もないので、私ここではやりませんけれども、はっきり言明しておきますけれども、西村市会議員は本会議出席中及び委員会出席中のその同じ時刻に就労したということで、賃金を受け取った事実はただの一回もない、これは私ここで明言いたします。ただし、同じ日の中で、委員会は十時から始まるが失対事業は八時から始まる。したがって、朝の二時間就労してその分の賃金は受け取る、あるいは委員会が終わったあとでまた就労して受け取るというような事実はありました。しかし、その時刻にと黒柳委員が言いましたけれども、その時刻に就労したことにして賃金を受け取っている事実はただの一回もない。それからまた委員会に出席しているときに賃金を受け取ったという事実は、これは多少あります。しかし、それは全日自労の組合と、そうしてまた西村市会議員が、これが市当局と協定書を結んでおりまして、そうして厚生上の仕事その他で――ここにあります。そのときの協議事項としては、本会議中は費用の弁償があるが、委員会は無償であり、時間的にも終日ということはあり得ないので就労として認めるようにとの要望がありました――それで種々調査した結果、山田地区の全日自労の委員長でもあり、平常においても若干の厚生業務も認めていたので、特に支障がない限り就労として取り扱うことに回答いたしました、こういう場合が多少あります。しかし、これは本人が意識して不正を働こうと思ってやっていることじゃなくて、はっきり山田市役所建設課の土木係長田中四郎氏が、ここでもってちゃんと証言しておりますように、これは公式に認められたもので、しかも本人は委員会が終日になった、あるいは二日間にわたったというようなときには、これはみずから辞退してこれを受け取っていない、まことに清廉潔白な態度をとって、これは職場でもみんながはっきり認めているところだ。ですから、以上で明らかになりましたように、西村市会議員が不正受給を行なっておる、詐欺行為もしくは詐欺類似行為を行なっているという公明党議員の指摘は、何の根拠もない不当な中傷であるということが明らかだと思います。西村議員は、これは告訴したいと言っておるけれども、しかし、国会議員には免責条項があって、これは国会外で責任を問われないということになっておるが、それにしても道義上これはまことに好ましくない事態だと考えざるを得ないと思うんです。何で公明党がこういう事実無根のことまで国会の演壇を利用してやるのか。私、その点について思いあたることは、これは公明党が二月十六日の国会対策委員会で、出版妨害問題について限度を越えた侮辱については、そのつど反論するという同党の両院議員総会での方針を確認したという記事が出ていたことであります。この点からすると、どうも公明党議員さんのこういう質問は、これは出版妨害問題、これに反撃するため、反論するためのものだというふうに私ども考えざるを得ない。総理は、この前、国会で出版妨害問題などが取り上げられたこと、またその方法、これは正しかったことだという趣旨のことを述べられた。ただ、ものごとは行き過ぎると困るので、すりかえというようなことが起こるので困るというようなことを言っておられましたけれども、こういう公明党のやり方こそが問題のすりかえになるんではないか、この点について総理の御意見を伺いたい。
#230
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも、委員会ですから私がお答えするのは当然だろうと思う。まあ、先ほど来、渡辺君がいろいろ西村議員の行動についてお話しになった。ときには興奮もされましたが、私は話を聞いていて、しごくもっともな話であたりまえのことだ、二重取りしないのはこれは当然のことだと、二重取りをしないというのをああまで興奮して大きい声でしゃべらなければならないかなと、実は意外に思ったのでございます。で、私の答弁を求められますが、こういう事柄が、どうもだんだん政党間においても信頼をそこなうんじゃないだろうか、かように思いますので、私はあまり行き過ぎないように、お互いにやはり言動は慎むべきだと、かように思っております。ただいまの事態で明白になったように、また私どもが取り調べたものもございますから、それらの点で労働省からもお答えをいたしておりますので、そこらで明白になった。渡辺君としては、どうも説明が歯切れが悪いというので、声がだんだん大きくなったのかなと、かように思いますけれども、あまり大きい声をなさったり、あるいは労働大臣の名前を間違ったりしないように、これからよく気をつけていただきたいと思います。
#231
○委員長(堀本宜実君) 以上で渡辺君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#232
○委員長(堀本宜実君) 次に、山高しげり君の質疑を行ないます。山高君。
#233
○山高しげり君 私は、総理大臣にまずお伺いを申し上げたいと思います。
 総理は、去る二月十六日に衆議院の予算委員会におきまして、大原亨委員の質問に答えて、食品添加物の総点検のお約束をなさいました。これはたいへんにけっこうであると思います。三百五十六品目もございまして、その中でわれわれは一日に七十品目も口にするという、その食品添加物につきましていろいろ問題が起こっておりますが、それを一ぺん洗う、総点検をする。たいへんけっこうでございますし、その際なお、総理が着色食品についても言及されたようでございますが、
  〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕
とりあえず、そのお約束をなさいました総点検につきまして、その後どのような措置をおとりになりましたかを、まず伺いたいと思います。
#234
○国務大臣(内田常雄君) 所管でございますから、厚生大臣からまずお答えを申し上げます。
 食品添加物、そのうちでも化学合成品からできておりますものが三百数十品目まだ残されておるわけでございまして、昨年以来、たとえばこの着色剤のごときもの二十四品目のうち十品目は、点検の結果、削除いたしました。また、その他の品目につきましても削除いたしたものがございますが、まだ三百五十六残っておりますので、これらにつきましては総理大臣から私にお指図もございますので、これから四十五年度にかけまして、ことばのとおり総点検をいたしまして、有害な疑いがありますものはもちろんのこと、有害でなくても無意味なものは、私は削ってしまったほうがいいだろうという、こういう新しい厚生大臣としての意見も持っておりますので、そのようにやってまいらせていただきます。
#235
○山高しげり君 ただいまの所管大臣のおことばで、有害なものはもとより、無意味なものも除きたいという、たいへん積極的な御意見を承りまして、これまたけっこうに思っておりますが、どうぞいろいろお急ぎをいただきたいと思います。
 それで、このごろやかましいチクロ入りの食品の問題につきまして回収延期をなさいました。そのことにつきましてこれから少し伺ってみたいと思います。二月末の回収期限を九月までお延ばしになった。ただしその間に、その食品にシールを張るというような方法によって販売が許可される。――ちょっと見ていただきたいものがございます。肉眼で無理かと思って、めがねも持ってまいりました。厚生大臣に申し上げたいと思います。結局、その回収期限の延期につきまして、チクロ入りの食品に対して「サイクラミン酸塩添加」と、これがチクロの学名だそうでございますけれども、それを印刷したシールをそのかん詰め、たる詰め、びん詰め等に張りつけるということで、回収の延期を認められるわけでございますけれど、厚生省としては省令を改正をなさいまして、見やすい場所に明瞭にというような文章で省令を出しておられるのでございますが、ただいまお回しをいただいておりますかん詰めには、「チクロヘキシルスルファミン酸ソーダ添加」と、なるほど学名がそのとおりに印刷はしてございます。しかし、それが見やすいところに明瞭にということに当てはまりますかいなか、厚生大臣からお答えをいただきたいと思います。
#236
○国務大臣(内田常雄君) ただいまお話がございましたように、チクロ添加食品につきましては一応全部の網をかけまして、二月末日までに販売を制限をいたしましたけれども、その中で幼い者が多量に取るような危険のないもの等を選びまして、しかもまた標示の可能のものを選びまして、お話のようにかん詰め、びん詰め等につきましては「サイクラミン酸塩添加」と、こういう標示をさせることにいたしました。その際私は、あとから気がつきましたが、なぜチクロ入りという、わかりやすい文字にしないかと、こういうこともあとから述べたのでありますが、法令のたてまえが、ちょうど「味の素」のことをグルタミン酸ソーダといってその法令に載っておりますと同じように、学名といいますか厚生省令に載っておりますのがサイクラミン酸ソーダ、あるいはサイクラミン酸ナトリウムとかという名前でございますので、それを取り除いたと同時に、そういう名前のものを張ったものは九月まで販売を認めると、こういう法令上のつながりもございまして、わかりにくい名前にしたということだそうでございまして、チクロというのはいわば俗名といいますか、あだ名のようなものでございまして、
  〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕
チクロ入りと書いたのでは、チクロは入っていない、これに入っているのはサイクラミン酸ナトリウムであるとかということで、逃げられる心配もありますので、省令のとおりの名前をとったということでございまして、できたならばカッコして、いわゆるチクロとでも入れておかせたら、なおよかったかと、私は考えるのでございます。
#237
○山高しげり君 私がただいまお尋ねをいたしましたのは、そのシールを見やすいところに明瞭にということが行なわれているかどうかを伺いましたので、チクロの学名を使ってむずかしい、なぜチクロ入りというふうに表現させなかったという点をお尋ねしたのではございませんでしたけれど、そこで実例をお目にかけまして、はなはだ見にくい標示でございますので、それをお目にかけて、それで見やすいか明瞭かと、伺ったのでございます。
#238
○国務大臣(内田常雄君) このかん詰めは、拝見いたしますと、たいへん見にくうございます。私がここに持っておりますのは、こういう表示のレッテルでございまして、これを見やすいところに張らないものは、売らせないというたてまえになっております。約一億枚の小さいレッテルをそれぞれの販売の現場に届くように配られたそうでございますが、二月から三月の販売期間延伸のその時点までに、十分張ってないというようなことで御批判のあることも聞いておりますので、そのことにつきましては、三月に入りましてからも関係府県の関係課長を招集して、趣旨の徹底を実ははからしておるところでございます。
#239
○山高しげり君 たとえ、少しむずかしい名前でございましても、サイクラミン酸塩添加と、わかりやすく見やすい場所に張ったのがございます。ですから行政の指導が、まあ徹底の程度が問題でございますけれども、命これ従うという業者もあることは、私ども認めておりますけれど、三月の初旬におきまして、三十個のこういうかん詰めを主婦たちが試買をいたしました結果、たった一個だけに正規のシールが張ってあった。あと二十九個はシールはなかったということでございます。それから、きょうのある新聞の投書欄にも載っておりましたけれども、全糖入り、砂糖入りというような標示でそれを買いまして、ラベルをはがしてみたらば、食品添加物が入っているというシールが下から出てきた。ここにもそれがございます。それから、これは遠くからごらんになってもわかりますけれども、イカのかん詰めでございますが、赤い色でかんが色どってございますが、そこへ赤い紙のシールが張ってございます。決して見やすいとは言えないだろうと思います。というようなわけで、四個ここにございましても、みんなそれぞれ意味が違っておるんでございますが、結局、ただいま厚生大臣がおっしゃいましたとおり、一億枚のシールを、私どもの聞いておりますところでは、かん詰め協会が厚生省とお打ち合わせの上、業者団体がこれを貼付するという責任を持たれて実行をされたと、こう伺いますけれども、一億枚は確かに刷られたといたしましても、それが消費者が買いに参ります小売店の店先に並んでおるかん詰め一個一個に貼付をされるという、たいへん手間のとれる仕事ではございますけれども、それが実行されなければ消費者としては満足することができないわけでございます。で、三月になりましてから事の次第に対して、厚生省が課長会議をなさいましたとおっしゃいましたが、それは府県のどういう課長さん方でございましょうか。いつ、その会議は行なわれましたんでございましょうか。
#240
○国務大臣(内田常雄君) 三月の十六日に全国各都道府県の担当課長――県によりまして課長の呼び名は違うそうでございますが、会合を持ちまして、十分その趣旨の徹底をはからせるように実はいたしました。
 それから、ただいま山高さんのお話の中に、全糖入りというレッテルが張ってあるのをはがしてみたらば、前の人工甘味料というものが出てきたというお話がございましたが、それはチクロは入っていないが、すでにかんだけはできておって――中身のない製かん会社、そこでチクロが入っていないものについては、新しくつくったものにはこういう全糖入りというものを便宜――かんまでつくらせるのはということで、そのかんの上に張らせたものだそうでございまして、中身は間違いがないそうでございます。
#241
○山高しげり君 厚生大臣はたいへん了解していらっしゃるようでございますが、消費者はなかなかそれが理解できないわけでございまして、何かまたうそをつかれたというような印象がございます。それでもしも業者のほうから、できているかん詰めは捨てられないと、そこでこういうような手続でお許しを願ったということであれば、何か新聞広告をするとか、そのほかのしかるべき方法で、よくお役所がお使いになる周知徹底ということを消費者のためにおはかりくださいませんでは――お役所に了解をしてもらった業者は、お許しが出ているということだけでは、片手落ちでございますが、いかがでしょうか。
#242
○国務大臣(内田常雄君) 全く、かん詰めをお買いになる消費者の身になってみれば、私はそのとおりだと思います。役所のほうといたしましては、各都道府県を通じまして、こういう場合にはこういう便宜の措置を認めるので、その旨を周知徹底させるようにということは申しておるそうでございますけれども、そこが十分徹底をしなかった面も、お話によりますとあるわけでございますので、これは私ども消費者の身になって、今後さらにそういうことにつきましては、十分の配慮をいたすべきであると考えます。
#243
○山高しげり君 もう少し、ついででございますから、こまかに伺いたいと思いますけれども、業者にラベルを――シールを張らせる責任を役所のほうがお認めになった。業者にもいろいろな段階がございますので、一億枚のシールがどこか途中で滞っておるということも幾らもあるのじゃないでしょうか。で、小売り業者にまでそれが行き届くということの責任を業者団体がとるものか、厚生省の責任でいらっしゃるのか。末端の小売り業者の、それは責任でございましょうか、その責任の所在を伺いたいと思います。
#244
○国務大臣(内田常雄君) これは、厚生省は食品衛生の総元締めでございますので、食品衛生についての姿勢とか最終責任は、私にあるものと思いますが、実際のやり方といたしましては、食品衛生法の仕組みがすべて県を通してやるやり方になっております。なかんずく、食品衛生監視員等を通してやるやり方になっておりまするし、また九月までかん詰め類を延ばすことにつきまして、このラベルを張らせますことは、結局かん詰めが所在する卸しなり、問屋なり小売りなりに、どこでもいいから所在するところへ全部一億枚のラベルを適当に、最も有効に配りまして、そのものが所在する段階で張るようにという指導をいたしてきたはずでございますけれども、切りかえ時期等の関係もありまして、御指摘を受けるようなことがあったわけでございますが、これは最終の責任は私にありますが、今後十分私どもは徹底をさしてまいらなければならぬと思います。
#245
○山高しげり君 業者団体におまかせになりますと、たとえば、かん詰め業界ならかん詰協会に入っていない店も幾らもあるわけでございますが、そういうところはどうなりましょうか。たいへん話がこまかくなって失礼で、事務当局でもけっこうでございます。――質問、おわかりになりませんでしたでしょうか。業者団体にラベルを張る責任を御一任なさいますと、その業者団体に入っていない小売り店などの品物は、だれが張るのでございましょうか。ラベルはそこまで、どこから届くのでございましょうか。
#246
○政府委員(金光克己君) 業者団体に加入していないものは、やはり同じように業者団体で使っておりますラベルを張るようにさせるということで、各都道府県の衛生部のほうで指導しております。
#247
○山高しげり君 どうやら、府県の段階に降りていくようでございますが、それではこういう場合はいかがでございましょうか。かん詰め類のかんから食品をあけまして、その食品を出しまして、それは食堂等で料理などに使います。そのときには、もうあけてしまいますと、チクロが入っているか、いないか、わからないのでございますが、そういう使用は禁止をなさると聞いておりますけれども、われわれは食堂でそれはチクロ入りのものを使っているのかいないのか、一向わかりませんが、その場合はいかがでございますか。
#248
○政府委員(金光克己君) 開封して、あけて販売するものにつきましては、延期を認めていないわけでございます。
#249
○山高しげり君 そうですね。禁止をしていらっしゃる。延期をお認めにならない。けれども、その延期を認められない食品が、食堂等であけて使用をされるのをたれが監視をなさるのでございますか。禁止をしたというこれは理屈でございまして、ほんとうに法が行なわれているかいないか、そこまで突きとめるのは、どなたがお突きとめでございましょうか。
#250
○政府委員(金光克己君) これは各県、政令――市の食品衛生監視員が監督するということになります。
#251
○山高しげり君 その監視員の数がたいへんお少ないということも聞いておりますのですが、これ以上時間が惜しゅうございますから、はしょりますけれども、お役所は理屈は通っている、筋は通っているけれども、実際問題としては、消費者から見ればはなはだお役所の手は落ちている、もの足りないというのが、今日の国民の私は実感だと思います。そこで国民が申すのには、厚生省は官報に告示をすればそれで足るのだと、保健所は一片の通達を下へ流せばそれで足るのだと、こういうふうに国民なりの結論を出しておりますが、総理はそれでよろしいとおぼしめすでしょうか、いかがでしょうか。
#252
○国務大臣(佐藤榮作君) 一応かっこうは整っているようですが、こういうことではよろしくない、さらにもっとこまかな注意が必要だと、かように思います。ただいまの御意見もお尋ねも、またそういう意味のお尋ねだろうと思います。厚生大臣が身近に聞いておりますし、また担当の局長なども聞いておりますから、これからまたあらためて一そう深く細心に努力する決意でございます。
#253
○山高しげり君 まあひとつ食品添加物の総点検に加えまして、そういったような遺憾な問題、これは今回のこの問題だけではないと思います。あらゆる行政がおそらくはこれぐらいな目の荒さで国民のところへつながっているんじゃないかと思います。よろしくお願いをいたします。
 それではそのチクロの問題に続きまして、厚生大臣にもう一つだけ。消費者の団体というものもこのごろは非常に積極的でございまして、と申しますのが物価高やらいろいろなことで、どうしても台所の主婦たちもこまかくなります。そういう意味で消費者の団体も積極的に動いておりまして、チクロの問題につきましても全国組織を持った団体が幾つも寄りまして、大きな集会をこのごろ続いて持っておりますけれども、幸か不幸か厚生省御当局は御出席ができなかったという事実が続いておりますので、まあお手少なということを私などはよく存じておりますけれども、しかし消費者の気持ちに対して、そういうときに何とか厚生省というお顔の方がそこへおすわりになれないものでございましょうか、大臣に御相談をしたいと思います。無理を私が申しているかどうか。
#254
○国務大臣(内田常雄君) これはまあ私が体が許しますならば、私自身がそういうところに参って、そうして私どもの姿勢や立場も説明したいくらいでございます。これまでの機会におきまして、そういう会合等の御通知を担当のほうにいただいておったこともあったようでございまして、全部に局長なり課長なりが行けない場合もございましたようでございますけれども、でき得る限りは行ってまいってきておるようでございます。しかし、このことは局長、課長まかせではなしに体や時間が許しますならば、今後私自身もできるだけ消費者の皆さんと接触して、そのお話を直接承るような姿勢をとってまいりたいと思います。
#255
○山高しげり君 それでは最後に、厚生大臣と総理大臣にお答えをいただきたいのですけれども、目下のところ食品衛生法と申しますのは厚生省であり、また農林物資規格法というものが農林関係のものにあり、それからまた不当景品類及び不当表示防止法というような、いわゆるごまかし表示につきましては公正取引委員会御所管の法律がある。いわゆる縦割り行政のばらばらという姿がそこにもございまして、これは何とか一本にしていただきたいということは、消費者の強い要望でございますけれども、昨年あたりだいぶ潮がさしてきたようでもございましたけれども、ついにそのことが成りませんでした。近き将来において総合的な食品法を制定したいという御意図が厚生大臣にあられるか。まあ農林、公取、みんなお聞きしなければならないかもしれませんので、ここのところはひとつ総理から結論的にお答えを願いたいと思います。
#256
○国務大臣(内田常雄君) これも答弁は、私の所管でございますので、総理より先に答えさせていただきますが、このことにつきましては、昨年来食品行政検討会というのを、厚生省ばかりでなしに、いまのお話の公正取委員会、農林省の担当の向きを含めまして、経済企画庁に音頭をとっていただきまして、その検討を実はいたしております。私の気持ちといたしましては、いまやっておりますことは厚生省は衛生上の危害防止というだけでございまして、直接この消費者の保護、指導というような面まで入っておりませんけれども、今度国民生活センターのようなものも経済企画庁がおつくりになるようでございまして、それらの企画をも通じまして、でき得る限りわかりやすい、また首尾一貫した行政の体制をとってまいるように私はつとめてまいりたいと思います。
#257
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの厚生大臣からのお答えで御理解いただけたかと思いますが、各縦割りの弊害、これを是正するのが内閣としての役目でございますし、ただいまの経済企画庁でそれぞれの関係官を集めて意見をまとめようといたしておりますが、これが十分効果をあげるかあげないか、一にこれはかかって私の責任だろうと、かように思います。また、こういう事柄については、こまかな御注意を機会あるごとにいただきたいと思いますから、遠慮なしにどうかぴしぴし政府を御鞭撻賜わりますようお願いしておきます。
#258
○山高しげり君 それでは次の問題に移らせていただきます、だいぶチクロで時間をとりましたので。
 外務大臣にちょっとお伺いをしたいと思います。
 実はタイ国で、アメリカの飛行機がこのごろバンコクへ行かれなくなりましたようで、それに対しまして、いままでその飛行機でベトナム帰休兵をバンコクへ送っておったということができなくなったために、その帰休兵は東京にも相当来ているんじゃないかという心配がございますので、そのことをちょっとお伺いをしたいと思います。
#259
○国務大臣(愛知揆一君) 私のほうで得ております情報といたしましては、タイはかねてアメリカとの間に航空協定の改定の交渉が懸案になっておりまして、そこで、その改定交渉がペンティングになっている間、二月十二日からパンアメリカン機によるベトナムからバンコクヘの帰休兵の輸送を停止する措置をとっておりますが、その措置は三月一日に撤回されまして、ベトナム帰休兵のバンコク立ち寄りは、従来どおり現在行なわれておるはずでございます。
#260
○山高しげり君 まあそれはたいへんけっこうでございましたけれども、アメリカの兵隊さんが風紀を乱すというような理由でマレーシアとかシンガポールとか、だいぶアジア各国におきましてこれを締め出す傾向が出てきているというようなことも伝え聞くわけでございますが、日本としては、その米兵が日本へ来て風紀を乱すということについて、今日どういうふうに対処していらっしゃるわけでございましょうか。
#261
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま申しましたのは、たまたまバンコクにおける問題は航空協定の改定に関連した問題であったわけでございますが、一般的に米軍のビヘービアといいますか、そういうことにつきましては、駐在しておる国々も関心を持っておるようでございます。わが国といたしましては、御承知のとおり安保条約によって、アメリカの軍人がアメリカの軍の命令でわが国に派遣され、あるいはわが国で休養するということは、従来からも行なわれておりますし、これは安保条約のもとの地位協定で御承知のように認められておるわけでございます。で、これらの軍人がわが国に滞在しておる場合に、わが国内においていわば公序良俗を害する行為のないようにという点については、在日米軍の幹部あるいは組織としても常に非常に意を用いておるところでございますけれども、政府といたしましても、これは地位協定で認められていることではありますけれども、御承知のように米軍との間には緊密な連絡もございますので、日本の政府から見て好ましくないような事態が起こったり、あるいは起こり得るような場合におきましては、十分留意しながら米側の注意を喚起いたし、また、そういうことのないようにこの上とも留意してまいりたいと思っております。
#262
○山高しげり君 たとえば座間とか、いろいろああいうところにあちらの兵隊さんが参りますときに、米軍としてはすぐにいろいろ、日本はこういう国で、こういう法律があるから気をつけるようにというような、たいへん入念なパンフレット等もお渡しになって、教育指導をしておられるようでございますけど、かつて私どもはそのパンフレットを見ましたときに、日本のいろいろな法律はもう実に驚くほどことこまかに載せてございますけれども、売春防止法というような法律が日本にあるということについては一行も半行も記載がございませんでしたけれど、これはいかがでございましょう。
#263
○国務大臣(愛知揆一君) いまもお話にありましたように、米軍当局としてもずいぶん周到な注意を払い、またパンフレットとか訓示の中にもずいぶん精細な規定がございますので、私いまちょっとうっかりいたしましたが、売春禁止法についても当然記載されてあるものと私は理解しておりましたが、そういう点にまだ落ち度があったといたしますれば、十分米側に対しても注意を喚起いたしたいと存じます。
#264
○山高しげり君 それでは総務次官にひとつお聞きをいたしたいと思います。
 先日、補正予算の委員会のときに、市川議員から沖繩の売春問題のことについて質問がございましたけれども、そのときに長官は、まあ非常に内地の売春防止法が制定された当時と似たような問題がたくさんあると、それでだんだんまあ準備をしておるというお答えがありまして、その中で、私聞いておりましたら、その準備はどうやら業者の転業というようなことが重点になっておるようにまあ聞き取れたのでございますが、私どもは、そのことを業としてこられた方の転業にお力をかされることは、一応当然と思いますけれども、それと同時に、その売春をやってきた女の人たち、その人たちが生業につくための問題のほうがあるいは重大であるかもしれないと、そんなふうに思っておりますので、その点をちょっと伺いたいと思います。
#265
○国務大臣(山中貞則君) 私はそのときの答弁にも、婦女子の基本的な人権を守るために、現在継続審議――立法を勧告されております立法院の現地の審議を促進しておるということを申しました。最後に、本土においてとられましたときには、売春防止法というものが成立いたしましたことに伴って、中小企業金融公庫、国民金融公庫等で若干のそういうめんどうも見たことがありますと申し上げたんで、私としてはいま御指摘のとおりの感触で、これはいまは施政権下でございませんので、返るまでに防止法を現地でつくってほしいと思っておりますから、そのようなときには、もちろん婦女子の基本的人権という立場からの立法であり、それに伴う諸種の更生相談、性病その他の処理について十分の手落ちのないような御相談を申し上げていきたいと思っております。
#266
○山高しげり君 それでは私がたいへん粗雑な承り方をして、失礼をしたかもわかりませんけれども、何と申しましても沖繩の売春は基地売春からいささか観光売春へ移行しつつあるというような実感を、私ども残念ながら持つものでございます。それらの点もよくお考えいただきまして、正しい道がつきますようにひとつお願いをいたしとうございます。ことに、軍関係の離職者等臨時措置法の適用外におります者が非常に多うございまして、その大部分が米軍の家庭で働いているメードさんだと、九千人もおるようでございます。この人たちが復帰とともに失業をするわけでございまして、この人たちはほとんどが中高年齢でございまして、特技を何も持っておりません。ほうっておけば一番イージーな売春婦に落ちていくという可能性が一番強い人たちでございますので、その辺もお考えをいただきまして、この間、長官は、御所管の売春対策審議会から調査団がもう出て行くとか、行こうとしているとか、行ったはずだとかおっしゃいましたが、もうお帰りでございましょうか。
#267
○国務大臣(山中貞則君) 予算につきましてはこまかくいつも目を通してものを言っているつもりの私でございましたが、総理府の中の予算なかなか――審議会が五十もございますけれども、それぞれ旅費などがないのが多うございまして、売春対策審議会には若干の旅費があったものでございますから、直ちに調査に行くようにということを市川先生の御質問が予定される前に指示しておったわけです。ところが他面、売春対策審議会では現在性病と麻薬のほうも勉強していただいておりまして、最近韓国からをルートとする麻薬が相当入ってくることが懸念されまするし、警察庁あたりの資料でも証拠もありますので、売春対策審議会のメンバーの方が韓国に実は行かれたわけであります。そのために、私が命じましたことが実質上予算がございませんで、年度末足りなくなりまして、この席を通じて市川委員には私の答弁を訂正させていただき、お詫びさせていただきますが、四十五年度実行予算が発足いたします四月の十九日には、直ちにそのような措置をとるようにいたします。十九日に予算措置をとれるわけでありますから、十九日に行くということでございませんが、直ちに行くようにいたしたいと存じます。
#268
○山高しげり君 それでは、間に合うようでございますから、私からお願いをいたしますけれど、売春対策審議会から調査にお出ましになるよりは、売春関係の各官庁からそれぞれの方々が調査団になってお出ましいただくほうが、よっぽど有効な調査がおできになるだろうと思いますので、もう一ぺんその点をお考え直し願いたいと思います。
#269
○国務大臣(山中貞則君) 事柄が事柄でありまするだけに、あまり大げさに大調査団ということにも――なかなか協力も得られかねる面もごさいますし、ことに、現在琉球立法院において継続審議中でありますし、問題は、その法律の成立を促進することと、それに伴って現地の特殊な態様をどのように処理していくかについての御指導、御援助を申し上げることがいまの段階では主であろうと思います。でありまするので、やはり売春対策審議会委員の中の、そのようなしかるべき資格のあると私が判断いたしまする方に向こうに行っていただきまして、いよいよ売春防止法が成立をいたしまして、諸種の行政上の御指導なり御援助、御相談を、祖国政府としていたさなければならないという段階においては、厚生省その他のベテラン、というのは、ちょっと性格が性格でありますからベテランとも言えませんが、そういう方面に経験その他のありまする指導の、行政の面でですよ。行政の面で経験等その他のありまする向きの方々を集めまして、そういう御意見のような調査団なり指導団なりを派遣することも、将来は考えたいと思います。
#270
○山高しげり君 まあ、それはそれで承りますけれど、私は、どうやら長官が売春対策審議会と三悪追放協会と混同をしていらっしゃるんじゃなかろうかという疑念を持ちましたけれど、あるいは最近の売春対策審議会が、売春に緊密な関係のあるその他の問題にも手をお出しかと思いますけれども、朝鮮においでになる、韓国においでになるおひまがあったらば、沖繩のほうへ先においでになるべきではないかしら、そんな意味で、その三悪追改協会のことも、ここでちょっと承りたいのですが、まあ、三悪追放協会は性病と麻薬と売春と、そういうものを相手にお仕事をしていらっしゃるようでございますが、私は、いまたまたま長官が、総理府所管だけでもずいぶんたくさん審議会があるようにおっしゃいましたが、私も過去において審議会の委員等も相つとめたこともございますけれど、審議会というものの効果はたしていかんと、自分がその中におりましても、常に考え続けておりましたので、ときどき、まあ行政機構を整理をするというような場合にも、審議会が俎上にのぼってくるようでございますけれど、三悪追放のごときも非常に緊急を要するお仕事でございますので、ああいった形で予算を組みお仕事をさせておいでになることにつきまして、厚生大臣と大蔵大臣に、これは伺いたいと思います。
#271
○国務大臣(内田常雄君) 売春と性病と麻薬といずれも社会悪で、それらの事項はお互いに関連があるということもございますし、また、これらの社会悪の追放のためには、私ども役所だけの手でよくするわけのものではないと思います。どうしても民間の共鳴を得たり、啓発宣伝の力をお借りしなければ目的が達せられないということで、三悪追放協会にも働きかけをいただいておるわけであります。ただ、あれもできましてまだ二年かそこらぐらいしかたっておりません。全国的にもブランチがまだ二、三十になるかならぬかのようなところでございまして、十分の活動をしているとは思いませんけれども、以上申し述べましたような趣旨で御協力をいただいておるわけでございます。
#272
○国務大臣(福田赳夫君) 三悪追放協会ですね、これにつきましては、私も厚生省から伺っております。多少、まあ反省を要しなきゃならぬところがあるというお話でございます。そこで、四十五年度の予算といたしましては、まあ、ほかのほうはだいぶ伸びて、一般会計総体としては一七・九%の伸びの予算になりましたが、この三悪追放の協会補助金ですね、これは大体昨年どおりの額をとにかく支出しましょうということになったわけです。まあ、必要性については、ただいま厚生大臣からお話があったように、どうも役所だけではPRが完全にいかないと、こういうことでございますので、なお一そう厚生省に有効にこのお金を使っていただきたいと、かように存じております。
#273
○山高しげり君 まだ問題が残りますけれども、もう一ぺん厚生大臣に……。それで、三悪追放の予算の中でも、ことしは麻薬の分がふえておるようでございますけれど、世の中には、この大麻のようなものも出てきておりますけれども、もっと簡単に三文判一つぐらいで買えるお薬の中で、青少年等が麻薬代用に使っております薬剤があるように思います。たとえばハイミナールとか、あるいはアトラキシンとか、だいぶ問題の薬のようでございますが、ああいうものが簡単に市販されると、若い人が判こ一つ持っていけば買えるというようなことについてはいかがお考えでしょうか。
#274
○国務大臣(内田常雄君) ハイミナールとかアトラキシンのような催眠的効果のあるものないしはトランキライザーにつきましては、私どももこれは十分警戒をしなければならないと考えておりまして、最近におきましては、大体、こういった種類の薬を習慣性がある薬として指定するのみならず、そのうち多くのものを要指示医薬品として指定をいたしております。つまりお医者さんの指示とか、あるいは指図がないと、それの販売も使用もできないというようなことにいたしておるのでありますが、現状から私どもが聞くところによりますと、必ずしも、私どもが期待しておりますような厳重な取り扱いもされていない面もあるようでございますので、これにつきましては、今後十分留意をいたして、取り扱いを厳密にしていただくように進んでまいらなければならないと思います。
#275
○山高しげり君 よろしくお願いいたします。
 それでは国家公安委員長、お願いをしたいと思います。次はいわゆるモーテルでございます。まあトルコぶろというような、たいへんめんどくさいものとわれわれもずいぶん取り組んでまいっておりますけど、またあら手のモーテルとやらいうものができまして、だいぶ関係方面もお骨を折っていらっしゃるようでございますが、警察庁、それから厚生省、文部省あたりで、何か連絡の協議会のようなものをお持ちと聞いておりますけれども、ちょっと承りたい。
#276
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。モーテル対策につきましては、急激に増加の傾向を示してきました昨年末、警察庁としては、防犯的行政指導を行なうとともに、犯罪の検挙についても積極的な取り締まりを行なってきたところであります。しかし、なお問題があるので、モーテルを所管する厚生省に働きかけて、昨年十二月、厚生、文部、警察の三者でモーテル等対策連絡協議会を持ち、営業の場所制限、構造設備の制限等、法令改正を含む基本的な対策を検討中であります。
#277
○山高しげり君 厚生大臣にそれでは一言、御所管の結局、旅館法にただいま入っておるやに聞いておりますけれど。
#278
○国務大臣(内田常雄君) お説のとおり、モーテルは旅館の一種として、旅館業法による規制対象になっております。もちろん許可制でございますが、厚生省といたしましても、最近のモーテルにつきましては、ことに、私は苦々しく思う点もございますけれども、厚生省が取り扱う範囲が設備、施設を主といたしておりますために、どうしても手の届かない面がございます。施設の面等につきまして、なお、さらに私は基準につきまして検討を進めてまいりたいと思いますが、その内部における行動等に関しましては、やはり警察なりあるいは文部大臣の御協力をも得てまいらなければならないということで、公安委員長が御説明がありましたような協議会で打ち合わせを進めておる次第でございます。
#279
○山高しげり君 文部大臣にお願いをしたいと思います。
#280
○国務大臣(坂田道太君) 青少年の健全な育成のためには、やはり教育環境というものが非常に大事であるということを考えまして、私たちといたしましては、国立青年の家であるとか、あるいはその他の青少年の教育環境の充実のために努力をしてまいっておるわけでございますが、最近いかがわしモーテルが問題になっておることも承知をいたしております。都道府県教育委員会の報告によりますと、昭和四十四年四月以降、学校周辺に建設をされました旅館が七百七十七軒、そのうちにいわゆるモーテルは三十三軒で、特に問題となりましたのは五軒と承知をいたしております。文部省としましては、清純な教育環境確保のために、旅館業法の規定により、それぞれの教育委員会が積極的に意見の申し出を行なうことによりまして、教育環境を阻害するようなモーテルなどに対して、設置の許可が行なわれないように措置すべきだと考えておる次第でございます。
#281
○山高しげり君 まあ文部省としては、教育環境ということで、お取り上げになるのは、妥当なのかもしれませんけど、もっと広い意味で、やはり青少年の問題としては、車も県の境を自由にこえてどこへでも参りますし、モーテル自身もあれは密室のようなものでございますから、中で何をやろうと自由といいますか、トルコぶろ以上に弊害があるようでございますので、どうぞ、所管が幾つにもまたがっておりますようで、いつもながら何となく私どもも心配でございますけれど、関係の皆さま方で一日も早く対策をお立てくださいまして、旅館業法のようなもので網をかぶせても、あまり網の穴が多過ぎまして、どう実態をとらえようもない。しかも私どもの耳に入っておりますのは、地元のおかあさんたちからの声でございまして、よそから来た人に地域の風紀を乱されて、自分たちが子供を育てるのにたいへん困るという訴えが非常に多いことを、どうぞ総理も耳におとどめくださいますようにお願いをいたします。
 それでは時間ももうございませんので、モーテルの問題はもう少しお聞きもしたいのでございますが、先を急ぎまして労働大臣にひとつお願いをいたします。問題は、パートタイムというものがたいへんふえてきておりまして、中高年の婦人が家庭を出て、子供のある人たちが働きにまいります。そのことにつきまして、企業内にだいぶ保育施設というものがふえてきておりますが、これは雇う側から言えば、子供さんを預かります、そういう設備があるからと、おとりと言っては少しひどいかもしれませんけれども、それにつられて働きにいく母親もずいぶん多いのでございますが、現状はピンからキリまであるように思いますが、いかがでございましょうか。
#282
○国務大臣(野原正勝君) 最近における労働力の不足の事情から見まして、婦人労働力をたくさんに期待しておるわけであります。したがいまして企業の中におきましても、婦人の働く条件として託児所などを設けるということが、だいぶ盛んになってまいりました。これに対しましては、福祉事業団からそういう施設に対する融資の道を開いております。融資を与えまして、施設をしておるのでございますが、企業によりましては、必ずしもりっぱな施設を設けていないというものもあるように見受けます。したがいまして、今後の婦人労働力を十分に活用するという条件としまして、できるだけよい条件のもとに託児所の施設も行なう、そのための融資条件等もできるだけ条件を満たしてやりたいというふうに考えておる次第でございます。
#283
○山高しげり君 このことはやはり厚生省の御所管、保育施設というものは厚生省の御所管でございますが、労働省と両方にまたがっておりますので、厚生省の御意見もちょっと伺っておきたいと思います。
#284
○国務大臣(内田常雄君) 厚生省のほうは、保育所のことは御承知のとおり非常に熱心にやっておりまして、いま一万三千ぐらいございますが、まだまだ足りません。しかし私は、いままで厚生省がやってきたような一般保育所、市町村等が経営して、そうして子供の保育というものを主とするだけでなしに、お話がございましたような企業内にある福利施設としての託児所につきましても、私どもは目を向けるべきではないか。そうして、ただ子供をお預かりすればよいということだけでなしに、やはり保育の面も入れて、お母さんがわりにりっぱな保育をするために何らか指導の基準をつくるとか、また労働大臣からもお話がございましたように、国のほうからかりに助成はできなくても、年金福祉事業団や雇用促進事業団の融資というものの道等もできる限りつけていくというような方面に目を向けるべきだと私は考えております。
#285
○山高しげり君 やはりそれには一つの内容に対する基準というものがございませんと、いまの保育園にはちゃんと基準があるわけでございますが、企業内のものにその基準がすぐに当てはめられるものかどうか。それからもう一つは、必ずしも企業内に施設ができることが最も望ましいかどうかという点にも、まだ検討の余地があるのじゃないかと思われます。むしろ、地域社会にそういうものがもっともっと行き渡れば、あえて企業の中につくってもらわなくても問題が解決するかもしれませんので、ひとつそういうふうに幅を広くお取り上げになって、なわ張り根性などというものは、おありになる方々とは思いませんけれども、やはり広くこの問題は検討していただきませんと、産業予備軍二百万などといわれている中高年齢婦人でございますので、たとえば労働省で家内労働法がいよいよ今度生まれるらしゅうございますが、まああれも十年かかったように思います。これから十年かからなければこの保育所の問題が片づかないのでは、後手に回ることになるかと思いますので、関係の大臣にその点よろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
 最後に、少し問題違うのでございますが、大蔵大臣をわずらわしたいことがございますのは、いまも中高年の婦人の話をだんだんしてまいりましたけれども、中高年婦人の中には、いわゆる寡婦というものがおります。まあ、戦後戦争未亡人を中心にしてずいぶん未亡人問題はやかましかったわけですが、この時点にまいりますと、それがいわゆる寡婦でございまして、子供は育て上げたけれどもと、あとにいろいろと問題を残している年齢層の婦人がふえてまいっておりますことは、まあ大臣もよく御承知で、四十五年度の予算の中には寡婦福祉貸し付け金の制度というような、おそらく日本で初めての寡婦対策が歩み出したかと思って、私も喜んでいる一人でございますが、いま私が大臣に伺いたいと思いますのは、寡婦でも働いて所得があれば所得税を納めております。その場合に寡婦控除という制度がございます。しかし、現実におきましてはあらゆる寡婦が控除をしていただいているわけでございませんで、一部分の寡婦でございます。すなわち扶養親族のある場合に限り――子供が小さいとか年寄りをかかえていると、そういう例外に対してのみ寡婦控除があるということにつきまして、寡婦自身からは、このただし書きを取ってもらって、扶養親族の有無にかかわらず、というようなお取り扱いができないものであろうかと、たいへんに痛切な要望を私どもは聞いておりますけれども、大蔵大臣としての御所見を伺いたいと思います。
#286
○国務大臣(福田赳夫君) 山高さんのせっかくの御提言でございますが、これはなかなかむずかしい問題のように考えられます。寡婦控除はそもそも、まあ主人がなくなられた、そこで子供もおります、また年寄りもおります、そういう係累をかかえた寡婦というのは、これはたいへんなことじゃないかというので特別に控除制度を、ということを始めたわけです。しかし係累はおりません。所得はあります、こういう方でありますと、いまの税体系の中じゃなかなかこれをお話のようにこなすことがむずかしいのじゃないかというふうな感じがします。寡婦というと感情的にはなにかというような感じになりますが、税以外の方法でなら考えれば考えるということじゃないか、こんな感じがいたします。
#287
○山高しげり君 福田大蔵大臣でもなかなか困難とおっしゃるのでございますけれども、寡婦はまたそうなまやさしく、はいはいそうでございますかと引き下がりそうもない勢いでございまして、私なども責められておりますけれども、学校を出たばかりの、大学を出たばかりの独身の方と、子供を育て上げた寡婦と同列に扱われるということに、寡婦自身の不満があるようでございます。もう少しこまかに申せば昔と違いまして、老いては子に従えと、きょうからおかあさんぼくがおかあさんのことはみな見るというふうに簡単にもいかない時代でございまして、扶養の義務は済んだけれども、まだ家族制度がなくなったとはいいながら、親戚のつき合いやらまあやはり家を守るというようなことの残りかすみたいなものが、その後家さんの肩に相当乗っておりまして、自由な若者の独身の人とは、係累がないとおっしゃいますけれども、必ずしも同列ではない。そんなこまかいことをいい出せば、現在の税体系で、とおっしゃるでしょうが、総理をはじめ皆さま、よくきめこまかい、きめこまかいとおっしゃいますけれども、私はその辺にきめこまかさというものが日本の政治でもそろそろ出てきても、この繁栄の時代でございますからね、と思いますけれども、すぐに結論をお出しになることは御無理ということはよくわかっておりますが、私が申しますことについての御感想でけっこうでございます。
#288
○国務大臣(福田赳夫君) まあ寡婦という問題自体ですね、またその問題を山高さんが取り上げられるということ、そういうことからまあ受けます印象とすると、何か問題があるなあというような感じもいたします。いたしますが、この場の私の考え方といたしますと、どうも収入、所得はあるが、さらにこれを特別に減税をすると、こういうことになると、これは他のいろいろな方々との権衡上問題があるなあという感じもいたすわけでありますが、よく御意見のほどは承りました。
#289
○山高しげり君 そちらさまにも問題がおありのようでございますし、こちらにもあるということもまあおわかりいただいたと思いますが、いい機会でございますから大臣に一言お願いをいたしたいのは、この問題を大蔵省へ未亡人さんたちが持ってまいりますと、あるたいへん高名な歌い手さんの名前なぞが必ず出てまいりまして、あらゆる寡婦に控除をするのではあの人たちにも寡婦控除をつけるなんということ、あるいはまたバーのホステスさんにもつけなきゃならぬねと、こういうことを大蔵省の方たちがお一人ならずお二人ならずおっしゃるということが、生活と取り組んでいる寡婦の感情をたいへんに害しているようでございますので、まあこんな話はここで申し上げるのはどうかと思いますけれども、お含みくださいまして、寡婦控除が、私がいま申し述べたような形で実現ができませんならば、何かまたほかの形で寡婦問題の解決を、というような含みのあるおことばのようにいま承りましたが、それは間違いございませんですね。何かお考えくださいますか。
#290
○国務大臣(福田赳夫君) これといって具体的な提案を持っておるわけでもございませんが、まあ寡婦という特別な皆さん方につきましては、厚生省が主になると思いますが、いろいろ福祉政策的な立場からお考えくださっておる、そのことを申し上げておるわけでございます。
#291
○山高しげり君 実は申しわけございませんが、文部大臣に伺うことが一つ落ちましたので、お許しをいただきとうございます。
 それはチクロの問題でございますが、学校給食でチクロ入りの食品をお使い願いたくないという要望がいろいろな団体から参っておるわけでございますが、どういうお取り扱いをしておっていただきますか。伺い漏らしましたのであしからず。
#292
○国務大臣(坂田道太君) 発育期の児童生徒に行ないます学校給食、その食事内容につきましては、栄養的にも、また衛生的にも十分これは留意をしていかなければならぬということは申すまでもないことでございまして、当然有害な食品は排除をしなければならぬと考えておるわけであります。文部省といたしましては、学校給食の食品衛生の徹底につきましては、毎年通達を出して指導を行ない、特に最近は不良有害な添加物を使用しておると思われる食品の排除等について注意を喚起をいたしておるわけでありますが、チクロの使用禁止問題につきましては、主管課長会議、給食事務担当者会議などでこれを取り上げますとともに、先般、これは二月の十七日でございますが、学校栄養士等を対象といたしまして食品の品質検査に関する講習会を実施して、チクロの検出方法について指導を行なった次第でございます。ただいま厚生大臣からもお話がございましたように、標示がありますけれども、いま見せていただきましたのもはなはだわかりにくいということでございまして、やはり大量にそういうものを使います場合においては、使う栄養士がやはり責任を持って検出方法等をわきまえておれば、これはいけないということが即座に出るというような形で、こういうようなことをやっておるわけでございまして、都道府県に対しましても十分その趣旨の徹底をはかっておりますし、チクロ入りの食品をしないように相つとめてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#293
○山高しげり君 どうもありがとうございました。
 最後にお願いを申し上げます。結局チクロの問題はこれからみたいでございますが、もう所管の大臣が多くいらっしゃいますから、お答えをいただく時間ございませんので、こんなにめんどうな、周知徹底もたいへん困難でいらっしゃるものならば、回収延期などなさらなければよかったと、これが消費者の声だということを申し上げて、これで私の質問は終わりたいと思います。
#294
○委員長(堀本宜実君) 以上で山高君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして総括質疑は全部終了いたしました。
 明日は午前十時から一般質疑を行なうことといたしまして、本日はこれをもって散会いたします。
   午後五時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト