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1947/11/20 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 文化委員会 第8号
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1947/11/20 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 文化委員会 第8号

#1
第001回国会 文化委員会 第8号
  付託事件
○ローマ字つづりに關する陳情(第五
 十七號)
○群馬縣勢多郡敷島村の古跡發掘促進
 に關する陳情(第五十八號)
○物資愛護思想普及運動に關する陳情
 (第百一號)
○ローマ字つづりに關する請願(第百
 八十七號)
○天草島各種觀光施設促進に關する請
 願(第二百二十八號)
○觀光審議會設置に關する請願(第二
 百六十六號)
○神奈川縣下の觀光施設整備に關する
 陳情(第三百七十二號)
○觀光國策の樹立に關する請願(第三
 百十四號)
○映寫技術者免許制度改革に關する請
 願(第三百二十一號)
○放送事業に關する請願(第三百三十
 一號)
○映寫技術者免許制度改革に關する請
 願(第三百四十九號)
○著作權法の改正に關する陳情(第四
 百七十九號)
○映寫技術者免許制度改革に關する請
 願(第三百九十四號)
○映寫技術者免許制度改革に關する請
 願(第四百十二號)
○新聞用紙の現行割當基準改正に關す
 る請願(第四百二十六號)
○皇居の名稱改正に關する請願(第四
 百三十一號)
○演能會觀覽税免除に關する請願(第
 四百三十七號)
○觀光事業上ホテル事業法の判定等に
 關する陳情(第五百四十號)
○映畫入場税輕減に關する請願(第四
 百五十六號)
○フイルム物品税撤廢に關する請願
 (第四百五十七號)
○映畫産業の取扱い業種順位引上げに
 關する請願(第四百五十八號)
○官設展覽會に書を加うることに關す
 る請願(第四百六十二號)
○映畫産業の取扱い業種順位引上げに
 關する請願(第四百七十五號)
○フイルム物品税の撤廢に關する請願
 (第四百七十七號)
○平和記念祭日を設定することに關す
 る陳情(第五百六十二號)
○大學新聞用紙割當に關する請願(第
 五百十號)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十一月二十日(木曜日)
   午前十時三十一分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○觀光國策の樹立に關する請願(第三
 百十四號)
○觀光審議會設置に關する請願(第二
 百六十六號)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(山本勇造君) これから委員會を開きます。今日は觀光國策の樹立に關する請願が府別市長の脇鐵一氏から出ております。尚觀光審議會設置に關する請願というのが松平恒雄氏から出ております。兩方類似の問題でございますから、二つを一緒にいたしまして、議題にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(山本勇造君) それでは最初に觀光國策の樹立に關する請願の紹介議員である安部君から御説明を願います。
#4
○委員外議員(安部定君) 紹介者の安部でございます。觀光國策の樹立についてという請願を出しておりますので御説明申上げます。
 終戰後疲弊せる我が國が平和國家の建設を推進し、壓縮せられた土地面積で八千萬の國民を養うには、内に國内産業の勃興と、外に國際貿易の昂揚を期せなければならんこと勿論でありますが、更に我が國固有の氣候風土を資源とする國際觀光事業の開拓振興を圖らなければならんと考えます。否むしろ國際觀光の事業こそは、我が國將來の繁榮と國際親善を齎すものと斷言して憚らないと思うのであります。然るに我が國現下の實情を考えて見ますと、産業經濟政策やその他の國土計畫には萬全の努平を傾けておるように思われますけれども、いわゆる局處對應療法の域を出ないものであつて、拔本塞源的な政策である觀光施策の樹立を見ていないのは、頗る遺憾とするところであります。
 惟うに我が國の將來は對外貿易の再開によつて世界各國との間に盛に物の交流が行なわれると共に、在日聯合軍の本國への歸還は、それらの宣傳と相俟つて、一層人の往來に拍車を加え、逐日増加の一途を辿ることは必然であると思われます。我が國は今こそ遠大な觀光政策を立て、或いは國際觀光港の設置を、或いは観光道路の改良、整備を、將又外客接遇施設の充實を具體的、旦著々と實行すべきであり、觀光事業こそ戰爭の災禍に打挫かれ、生産設備を失つた我が國唯一の活路であり、吾人の求める平和、博愛、文化の象徴であるということを銘記すべきであると考えるのであります。仍つて政府は速やかに觀光事業に關する基本方針を樹立せられ、我が國の有する天然的氣候、風土、地形、資源を高度に活用し、以て外貨獲得を期せられるように切望する次第であります。これが別府市長の請願の要旨であります。以上簡單でありますが宜しくお願いいたします。
#5
○委員長(山本勇造君) 次に觀光審議會設置に關する請願を紹介議員である小野哲君から御説明を願います。
#6
○委員外議員(小野哲君) 紹介議員といたしましてお許しを得まして私から請願の趣旨を申上げたいと存じます。觀光事業の重要であることは、今更事新らしく論ずるまでもなく、次の考えておりまするところの國際收支の改善、國際親善の増進、國際文化交流の促進、貿易竝びに産業の振興、國民體位竝びに文化の向上等は、戰後我が國再建上缺くべからざる重要な問題と存じます。戰爭が濟みまして日本再建の重要な施策として、觀光事業の振興が取上げられなければならないということは、今や國民の輿論であり、關係各方面においては、その具體的振興方策について、準備研究が著々進められつつありますことは、誠に欣快に存ずるところでございます。關係各省におきましても、それぞれ所管行政部門の擴充、或いは關係豫算の増額、必要施策の研究に手を染めんといたしつつあるのでございまするが、何と申しましても、この觀光事業の持つ國家的重要性に鑑みまして、その綜合的な解決をいたしますことが、焦眉の急務である、かように存ずるのでございます。現在のような各省に分散して行政が行われておるというふうなことでは、到底所期の効果は期待し得ないと存じますので、國家として何らか強力なる機關を設置いたしまして、國民全體の協力によつて觀光事業の振興に關する基本方策を立てまして、これを實施したしますにつきましては、關係各省竝びに團體に對して適切な指示をもなし得る、こういうふうな方法を取ることが、觀光行政の綜合的運營の實を擧げるために必要な根本的な要件であろうと存ずるのでございます。このために私は行政機構を新たに整備するということも勿論考えられますけれども、豫算その他の措置におきましても、比較的簡單に取り運ばれ得る觀光審議會のような綜合的中央機關を設置いたしまして、これに對しましては強い指示權を與える、こういうふうなことは極めて望ましいことと考えておる次第でございます。本請願はよろしく御審議の上御採擇を願いまして、觀光事業の急速な振興のために格別な御協力を賜りますように、切にお願い申上げる次第でございます。
#7
○委員長(山本勇造君) 今日は請願でありまして、請願に總理大臣並びに安本長官の御出席を求めましたことは、ちよつと大袈婆な感じにも見えるのでありますけれども、併しこの問題は非常に大きな問題と我々は考えておりまして、この委員會におきましては、この委員會が始まると間もなく、観光小委員會を作りまして、この問題については司なり討議を重ねて來ておる次第でございます。それに又今日は總理大臣がお見えになるというので、昨日は又特別に我々は打合會まで開いて非常な準備をいたしておるわけでありますが、餘り我々の方で喋りますと、大臣の時間の方に食い込んで來ることになりますから、できるだけ我々の方といたしては、短かい時間で濟ませまして、要點は無論總理大臣において御承知のことと思いますから、私の方といた方がいいと思いますので、取敢ず觀光小委員長であられる高田君から一つこの問題についてお話を願つて置いた方がいいと思います。
#8
○高田寛君 今日提出されました請願の審議に入ります前に、總理に一つ御質問申上げたいと思います。我が國が今日敗戰後、建直すためにあらゆる産業の再建を圖り、又輸出貿易の振興を叫んでおるわけでありますが、今日我々が如何に産業の振興を圖りましても、我々の食糧或いは又衣料、原料というものはどうしても今後當分の間は外國から輸入に俟たなければならないものと考えております。一方これに對應するために貿易の振興、殊に輸出貿易の振興を政府當局におかれても非常に力を入れておられるのでありますが、私どもの見透しといたしましては、今後如何に輸出振興を圖りましても、我々の生活必需物資を輸入するだけの資金を得るということは、非常にむつかしいと考えておるのであります、戰爭によりまして多くの資源を失い、又生産施設を失つた我が國といたしましては、どうしても、この輸出貿易以外に何等かの方法で外貨を獲得いたしまして、我々が生きるため資料というものを外國から供給を仰がなければならないと思つておるのであります。この貿易以外の外貨獲得方法と申しますれば、戰前におきましては、海運収入もおりましたし、又外國にあります我が國の移民の送金というようなものは大きな額に上つておりましたことは承知しておるのでありますが、今後の我が國といたしましては、こういうような點には餘り期待が持てないのであります。ここにおきましてどうしても、資材を多く要せずして外貨を獲得する方法、見えざる輸出というような言葉をも使われておりますが、この國民のサーヴイスによつて外貨を獲得する観光事業という方面に、是非とも力を入れて進まなければならないと私どもは考えておるのであります。この前の欧洲大戰後におきましても經濟復興のためにドイツやイタリー、フランスあたりは、この観光事業に非常に力を入れたのでありますが、今次の大戰の後におきまして、すでにイギリスを初め或いは欧洲の各國がこの観光事業に著々と乗り出していることをすでに聞いておるのであります我が國といたしましても、今日の状態においてこの観光事業というようなことはまだ早いというような考え方も一方にあるかも知れないとは思うのでありますが、この観光事業というものは決して先の問題ではない、今日すでに差迫つて強力な手を打たなければなりない問題であると考えるのであります。二年、三年後に外國の観光客が入つて來るといたしましても、これに對する準備、詰り一般日本國民の文化水準を昂めまして、外國の観光客を扱うような訓練を國民にしなければならんということが一つであります。又各名所、古蹟の保存に完璧を期し、天然の風景を損しないように保存するということに手を打たなければならないことがその次であります。又外國の観光客を受け入れるにつきましても、交通機關初の宿泊施設その他の施設を十分に整えなければならない。これのためには今から早く準備をしてかからなければ、折角外國から観光客が參りましても、これを失望させて今後の我が國の観光事業に非常に惡影響を及ぼすようなことがあつてはならんということを切に心配しておる次第でございます。もうすでにアメリカにおきましても、今年の三月からヨーロツパ向けの観光客に對してパス・ポートを出しておるような情報も得ておるのであります。講和會議でも済みましたならば、我が國に向つて旅行好きのアメリカ人を初めとして、多くの観光客が殺到して來るということは、十分に豫見できるのでありますが、この受け入れ體制を早く整えなければならないと思つて、私性もとしては非常に焦つておるのであります。併し観光事業と申しましても、決してこれは單に經濟問題だけの問題でなく、日本の文化水準を高める。又國際親善を來すというような大きな效果もあり、又観光事業を通じまして一般の勤勞者に對して十分の慰安を與えるというようなことも考えなければならないと思うのであります。このようにいたしまして、民間におきましても、観光事業を促進すべしという聲は、各方面に相當昂まつてきておると思うのでありますが、今日までは観光事業を所管いたす官廳といたしましても、從來から運輸省がこの方面に大きな努力を拂つており、又國立公園におきまして、厚生省が力を盡しており、又道路の方面においては内務省が力を盡しておるという次第でありますが、この點についてまだはつきりとした観光事業によつて、日本の國が立つて行くという重要國策の一つとして、これを取上げるという點まで進んでおりませんために、この観光事業の向うべき道もはつきり示されていない。皆銘々思い思いの仕事を各方面でやつていて、これに統一性もない現状なのであります。
 ここにおきまして速やかに観光事業をはつきりと、重要國策の一つとして取上げ、この向うべき道をはつきりと決めるということが早急にいたさなければならない重要な點であると考えておるのであります。それにつきまして總理におかれては、この観光事業というものを、重要國策の一つとしてここに取上げる御意思があるかどうかということを、最初に御質問いたしたいのであります。
 又次に只今請願の出ましたようなこの観光事業につきましても、各省におきましてもこれを中心になつて推進する點がはつきりしておりませんために、この本事業の進行も本格的に軌道に乗つてこない憾みが多分にありますので、只今請願にありましたような何等が、この中央の推進機關として、又根本國策を決めてこれを支持するような機關として、審議會とか委員會とかいうものを強力なものを内閣にお作りになるようなお考えがありますか、どうですか。この點につきましても總理にお尋ねいたしたいと思います。
#9
○國務大臣(片山哲君) 戰後における國家を文化的に再建して、國内政治は勿論のこと、國民生活の文化水準を向上し、且又國際信用を一日も早く囘復して行かなければならないこと、こういう點においては、政府といたしましても極力その促進を考えておるのであります。そこで只今高田君からお示しのように観光事業を重要國策とし取上げて、その具體的な問題を、一々明らかにいたすという點でありまするが、この段々國際的な交渉も多くなりまするし、且又講和條約が締結されて後における状態を考えて見ますると、こういう問題を一日も早く具體化しなければならないと思いまするが、政府といたしましてはやはり高田君の仰せられました設備とか、經濟的な問題を十分見透しをつけまして、考えて行かないことには、重要國策の十分なり用意が整わないと考えておるのであります。政治的な心持においては全く同感であります。
 扨、それを具體的にどういう方面にこれを表して行くか、どういう具體策を以て進んで行くかということになつて參りますると、一に經濟的な方面で充貿を圖つて行かなければならない。設備をどうするとか交通をどうするとか、そういうふうな經濟的な用意が最も具體化しなければならないと思うのであります。その點になりますると御承知のようにこの經濟状態では、殊に又産業上のおきましても國民全力を擧げてその再建に邁進をしなければならないというときでもあるし、且又インフレ克服のために國民は非常な努力を拂つて乏しいのを分け合つて行かなければならない、こういうふうに非常に差迫つた生活問題に追われておるときでありまして、財政面におても非常な窮屈を感じておるときであります。こういう謂わば危機状態の迫つておりまするときにおきましては、先ずそれを整理して行くということが焦眉の急になつております。この内閣といたしましても、このインフレ克服と、焦眉の急でありまする危機突破に全力を傾倒いたしまして國民に耐乏を求め、國民の協力によつてこれを乗り切つて行かなければならない、こういう問題に集中いたして、あらゆる國策をそこへ纒めて今日まで進んで來たのであります。大體その整理、或いは見當がつきました後においては、それぞれ積極的に進んで行きたいと考えておるのでありまして、文化的な各方面の事業も具體的に表わして行く場合は、經濟的に大體調整されたる上に立つて、その基盤に立つて行かないことには、どうも具體的に數字を以てこれを表わすということが非常に困難を覺えるのであります。但し私の考えといたしましては、生活問題、或いは經濟問題だけを中心として今日行くのではなくして、乏しいけれども文化的な方面には十分力を入れて行かなければならないのだ、經濟問題を伴わなくとも、精神方面において十分そういう方面に國民の關心を集め、又政府もその方面に努力しておるということをかねて主張いたしておるのでありまして、この面においては相竝べて行きたい。詰り經濟運動と精神運動とを竝べて行きたい。從つて文化運動をも經濟運動と竝べて促進を圖りたいという意味におきまして、精神的方面に努力をいたしておるのであります。この精神的方面に、文化的方面に努力いたしておりますることは、甚だ總括的であり、總論的であることは止むを得ないのでありまして、大體の方向と、大體の行く途をこれによつて示しておるのでありまするが、偖て具體的な問題になつて參りますると、一應經濟危機突破對策というようなものが緒について大體の地均し工作ができましたる上において改めて具體案を勘考いたしまして、諸君にお諮りをするというような段取りにならざるを得ないと思います。從つて今仰せになりましたような重要國策としてこれを取上げる問題、又これに對する委員會等を設置いたしまして、その實現を促進するという問題等につきましては、その具體的、經濟的方面の裏附を十分に見透しました後において對策を立てるようにいたしたいと、かように政府としては考えておるような次第であります。萬止むを得ざる我が國の經濟状態であるということを是非とも御了承願いたいと思います。
#10
○高田寛君 今一つ、只今私のお話いたしました中に少し足りなかつた點もあると思いますので、ちよつと補足さして頂きたいと思いますが、今日非常に資金も足りない、資材も足りない時機であります。いろいろな施設が、觀光方面の施設を直ちに充實するということは非常にむつかしいことはよく分つております。但しこの観光事業につきましても今日の状態を見ますと折角我が國が風光明美な土地であつて、國立公園などもいろいろできておるに拘わらず、大事な風景の場所の樹木なども一方どんどんと伐り出されて、如何にも惜しい。これが一度放置されたならば今後取返しがつかなくなる點も多々あるのであります。
 又國民の一般の文化の教養を高めるというような點、諸外國の觀光客に對してもこれを深切に扱う、愉快に旅行させるという日本の國民の訓練、こういうような點につきましても左程の金も要らずにやろうとはつきりと旗を掲げて行けばできる問題と思つております。又施設につきましても勿論十分な施設が早急にできないことはよく分つておるのでありますが、二年三年後に外國から相當の觀光客も來る場合に必要なる最小限度の施設だけは、今から計畫を進めて置かなければならないということを特に考えるのであります。それでこの工事のような面につきましては、段々と時機もあると思いますが、その觀光事業によつて國を建直して行くという根本の方針を早く確立して頂いて、この行くべき途をはつきりと審議し、又これを示す、こういうことが必要じやないかということを特に考えておるのであります。こういう意味でさつき請願にもありましたようなこの審議會とか或いは委員會とかいうようなものも作つて、各省の間にあります觀光事業關係の仕事を調整統一を圖ると共に、その根本方策を早く樹立して頂く。そうして資金とか資材とか、こういうものとも睨み合わして速やかにこれを實行に移して行くと、こういうことに私は考えておるのでありますが、先程御説明も足りなかつたと思いますので、ちよつと補足して申上げて置きます。
#11
○委員長(山本勇造君) 今高田君から御説明がありました、それに附加えて我々この委員會で出ております話といたしまして、例えば鐵道の沿線に非常に穢い廣告が澤山出ている。ああいうふうなのは外國にはない、或いは少ない。これ等は日本でも少くする。萬一そういうものを許可する場合には非常なる重税を課して、思い切つた税をとつてしたらいいじやないか、というような、而もその廣告は美觀を損わないような廣告であつて、そういうものを出す場合には重税を課したらいいじやないかというような案も出ておりまして、只今に國家の經濟状態がどうであるかということは、これはもう委員諸君がすべて知つておることでありまして、それは承知の上でありまするけれども、只今のような委員會でも設けて、今から準備をして置かなかつたならば、資材ができた時とか、或いは講和條約ができた時に始つたのでは遅い。それよりも前にこういうものができて、相當の準備をして置かなかつたならば遅いのじやないか、これが委員の皆さまのお考えであつたと思います。その點を一つ……。
#12
○國務大臣(片山哲君) 御趣旨は誠に御尤もで賛成であります。天然の風光を保存したり、我が國の文化を尊重したり、特に穢いような、みつともないようなことをしないようにするということは、是非ともやらなくちやならんことであります。大體において餘り金の掛らない、いま今日できますることは是非ともやりたいと思つております。これについては一つ皆さまのお智慧も拝借いたしまして、十分御趣旨に副うようにいたしたいと思います。厚生省が大體今のところ主となつてこういう問題を取扱つておるのでありまするが、その設備を充實いたしましたり整備することについては、十分御趣旨を尊重して實現をはかりたいと存じております。
#13
○來馬琢道君 只今高田君の言われました通りのことで我々異議ないのでありますが、片山總理大臣から費用の問題についてお話がありましたが、從來の國立公園というような整備につきましては、大變金をかけて一ケ所に相當の資金を集中しなければ觀光施設ができないように考えておりましたが、今窮乏なる國におきましては觀光地というようなところを連絡する道路を作つて貰うことに主力を盡して貰うことが一番よいのではないかと思います。その道路が若しでき上りますれば、これは又産業道路にもなることでもあります。自動車がその間を連絡するように良い道ができておりますれば、一つの觀光地から次の觀光地へ行きますのに、大變簡單にできます。ホテルも必ずしも至るところに設けなくても、どこえか一ケ所置きまして、一日の中に、いわゆる日歸り旅行のできるようなことにいたしまして、そういう設備を持ちますれば相當できようと思います。又日本には神社及び寺院竝びに教會等にして、相當舊蹟というようなものもあり、又私設博物館というてもよいような美術品も諸方に保存されておりますから、そういうところをここに假にこういう國立公園に候補地なりを作つて、甲から乙へ、乙から丙へと、短かい時間で往復することができるようにして、その間における骨董品、いわゆる美術品又は佛像又は歴史的な舊蹟等も見ることができるように設備をして置くだけでも、非常に觀光客にとりましては便利と思います。この點につきまして從來のすべての名蹟を國立公園にすることは後廻しにいたしまして、觀光道路或いは國立公園の準備として道路を完成するというようなことを研究されることが、最も勞少くして效を收めやすいことかと思います。こういう意味から考えまして、少くとも觀光審議會というようなものを早速設けられて、最も經濟的なる觀光施設をするということについて御審議相成り、又希望者がありますれば、民間の者にもそれを許し、或いはみずから進んで自己の負擔においてしてもよいというような者がありましたら、これも政府が書面一本で奬勵するような方法もできないとも限りません。いずれにいたしましても、觀光審議會を速やかに設けられることは、先達つてからの委員會において熱望するところであります。この點も總理大臣の十分なる御檢討を願いたい。且急速なる實施を希望することであります。この點附加えて申上げまして、尚當局の御意見をお伺いいたします。
#14
○國務大臣(片山哲君) 道路をつけて連絡をよくし、その便を圖りたいという御意見でありまするが、この道路がなかなか問題になるのではないかと思うのであります。殊にセメント、その他の資材、勞力等の問題については、和田長官から後からお答えして貰いまするが、そういう設備が、いろいろの點において今直ちにこれを實現するということはなかなか困難じやないかと思うのですが、できるだけ金のかからない方法で觀光事業も用意をすることについては贊成でありますから、今のような準備を進めて行かなければならんというような御意見については十分檢討して見ようと思つております。
#15
○松野喜内君 丁度今總理にお尋ねのことで、序でにお願いやら御意見を伺いたいと思いますのは、ここにこうした審議會なり委員會を設けて慾しいという意見がでましたが、と同時に我々文化委員會におきましても、從來各委員からお話がありまして、これを末端の實情から見ましても、例えば東京都下を見ましても、私も公園緑地に關係しておる者でありますが、食糧問題や生活問題の急なるために、その方に熱心なる餘り、公園緑地の本來の使命を失うような状態すら出て來ておる。都下の緑地の實情を見てもそうであります。そうしますと、結局こういうふうに分れておりまするこの部局でありますが、横の連絡をよく取らねばならんと、こう考える。分けても總理におかれましては、大いに各省の方に關係を持つことで、横の連絡を取分け一つ御注意を願いたいと切望して止みません。實際そういう關係を具體化するにおいて、餘り金を使わなくても、そういつた横の連絡のつくものを設けることが必要だと私も考えておる。それで末端の方の實情から見てもその必要があると考えておる。總理の言われる財政問題、經濟問題、これらの見透しを持つて後にこういう觀光事業と仰しやるけれども、我々は長い先のことを考えますので、今からその準備においても、横の連絡について何がしかの機關なり構想を練らなければならんということを或々一同は強く考えておることを申上げたいと思います。
#16
○委員長(山本勇造君) 運輸大臣が時間がないのだそうでございまして、ちよつと發言したいということでありますから……。
#17
○國務大臣(苫米地義三君) 只今觀光審議會設置に關する請願その他一項目ございますようでありますが、それに關連いたしまして運輸省の從來取つておりました關係から、一應これに關連いたしまして申上げたいと思います。運輸省は戰前におきましては、觀光事業に對して非常に大きな役割を果しておりまして、省内に國際觀光局というものを設けまして、主として交通或いは外客の誘致、或いはガイドのようなことにつきまして相當仕事をいたしておつたわけでありますが、戰爭中にこれを廢止いたしまして、そのまま中絶いたしておつたのであります。終戰後になりまして、更に將來日本の觀光事業というものは相當の前途を持つものだという觀點からいたしまして、業務局の中に觀光課というものを設けまして、現在諸般の準備、調査等をいたしておる次第であります。併しこの程度のことでは日本の將來の觀光事業に對しては、運輸省といたしましても甚だ規模が小さいと、こう考えまして、省内に觀光部或いは觀光局というものを設置いたしまして、この事業に對する計畫、準備等を進めることにいたしておるわけでございます。ところが觀光の仕事は、單り運輸省だけでなく、或いは厚生省、或いは内務省、或いは文部省等がいろいろの部面で以て關連いたしておるのでありまして、やはりすべての綜合計畫は單獨ではできないのであります。それでありますから、一方そういう構想の下に準備はいたしておりまするが、あれは内閣において綜合的な企畫機構を持つということが必要であろうと思いまして、觀光委員會というような構想の下に、これを内閣に置いて貰つて、そうして綜合計畫及びこれに對するいろいろな指導等の仕事をその委員會に附属した事務局でやらせたらどうかというような一つの腹案を以ちまして今立案しておるわけでありますが、まだ實はこれを内閣の閣議に諮る程度までなつておりません、おりませんが、廣汎な複雑なる關係を各省に持つ建前からそういうふうに考えておるような次第であります。尚運輸省の立場に對してのいろいろな點がございますから簡單にその點申上げたのでありますが、先ず交通の點でございまして、觀光客に對しましては快的な旅行を提供するということが眼目でございます。それに對しまして戰爭中に優等列車が非常に減つて參りまして、戰前の約一割ぐらいしか一、二等車がなくなつておるのであります。それでありますからこの優等列車の再建ということを圖らなければならん。今これをせめて戰前の七割ぐらいになるように五ケ年計畫でこれを考慮いたしておるような次第であります。それからその次には鐵道の石炭列車は非常に工合が惡いのでありますが、これは成るべく電化をして行きたいというようなことで、電化に對する研究もいたしております。それから自動車も非常に少なくなりまして、これ亦乘用車或いは觀光バスというような種類のものについての研究もいたしております。それから索道によるこの觀光施設がございましたが、これもなくなつたような状態でありますから、この復興についても考えておるような次第であります。それから海上觀光につきましては、觀光船或いは觀光港というような種類についてこれ亦研究を進めておる次第でありまして、いろいろ觀光事業に對する關係は無論金が掛かりますから、只今も總理大臣から仰せられましたように、成るべく金の掛からないようにということもこれは當然であります。併しながら觀光による國家の收支の上に及ぼす貢獻を考えますれば、やはり一種の企業投資というふうにも考えられるので、必ずしも普通の經費で金がないから困るということばかりでなくて、もつて積極的に投資をするというふうに考えられると思うのでありまして、さような意味を以ちまして運輸省といたしましては研究もし、これから各省との間に連絡を取り、進めて行きたい、こう思つております、一應運輸省の立場を御説明申上げました。
#18
○藤森眞治君 この觀光問題につきまして片山首相から現在の經濟状態その他のお話がございまして、御尤も至極でございますが、我々の觀光委員として申しておりまするのは、今直ぐに大きな經濟を以てやろうというわけじやありませんので、この經濟状態の惡いことは皆よく承知しておりますから、ここに何とか審議機關を作つてそうして今後の觀光問題に對する對策を作らなければならん、こういう所に主眼を持つております。幸い運輸大臣から運輸省の方において内閣直属のこういう機關を作ろうというお話がありました。非常に結構なことで、我々の考えておりまする目的と合致するところでありまして、どうぞよろしく政府の方において十分御勘考をお願いいたします。
#19
○岩本月洲君 只今いろいろのお話がありましたように、觀光事業に對しましては、請願に出ました別府市にごとく、全國に亙つて民間に非常な熱意が今盛んでありますから、この熱意に應えて頂くためにも何かこれを取纒めて、觀光事業をやがて國策にして大いにやるという意思表示を政府がして頂けば大變に結構だと思うのであります。運輸大臣が仰しやつたように、できるだけの投資をやる積りで觀光事業に力を入れたい。私は局部的なお話でありますけれども、例えば瀬戸内海におきます觀光事業の一端として地元の人が考えておりますことは、單なる觀光とか申しますというと、金ばかりを注ぎ込むことのように考えますけれども、瀬戸内海の豐田郡の一部では、瀬戸内海の美化は「たい」を以て美化する、いわゆる「たい」の電氣孵化所を拵えて、そうしてその電氣孵化による「たい」の生産を盛んにして瀬戸内海を「たい」で以て美化して行く、いわゆる生きたもので瀬戸内海を美化するということ、そういうことによつて觀光誘致の策を講ずる、同時にそれが食糧問題にも幾らかの助けになる、そういう大變時代向きな合理的なことを地元で考えまして、現に豐田郡の東の村の一端で、その「たい」の電氣孵化の施設を復興しようとしております。これは戰前盛んであつたのでありますが、戰時中止まつておつたのを今度復活してやらう、こういうふうな計畫もあるようでございますから、觀光誘致の仕事としましては、そういうふうに産業を引つかけて考えられる方法もあるわけでございますから、その點も大いに地方の人達の觀光事業に對するそういう非常な熱意、工面などが非常にこの頃盛んであることを十分お考え頂きまして、政府の方で一つ審議會なり委員會なりというものを拵えられて、そういうものを綜合研究して頂いて、方策を立てて頂くように一つ促進をして頂きたいと思うのであります。
#20
○國務大臣(片山哲君) 諸君よりいろいろ御熱心なる御意見も拜聽いたしましたし、只今委員長から觀光事業關係各省分掌の状態を書面で書いたものを見せて頂きまして、各省に非常に跨つてそれぞれ分掌しておる仕事がまちまちになつておるという状態を見まして、これでは成るほど統一を缺いておる憾みもあつたと思います。只今岩本君からお話の御意見も御尤もと存じます。將來の重要なる問題として政府も十分に努力いたしまして、観光事業の審議會、或いは委員會等を設置することには十分熱意を持つておりますので、できるだけ速やかなる方法によりまして、諸君の御趣旨に副い、これを實現するために委員會、或いは審議會等の設置に著手することにいたしたいと考えております。
#21
○梅津錦一君 只今の總理大臣のお話で大體政府の意圖するところ、考えておるところのポイントが分つて來たように思います。殊に政府においても將來の觀光事業に對して即點をもう少し大きくして貰いたいということを希望意見として申したいのです。昨日でしたか本日でしたか、とにかく新聞にも外國の方が秋の日本の天然色、それを撮ろうとするような新聞記事が出ておりますが、そういうふうに日本の風景が世界的な位地にある。少くもスイスと竝び稱される日本の風景ということをはつきり日本人自體がこれを痛感して、そうして日本の風景に對してやはり日本人がその風景を信頼する。ただ中にばかりおつて小さな殼の中に閉じ込められた日本でなくて、世界に飛躍する風光明媚な土地であり、特に觀光地としても勝れておるということを國民も政府も齊しく認識して貰いたいということを申上げたいと思います。で政府が觀光問題に對して施策を立てる上に豫算の問題はありますが、この豫算豫算ということで絶えず豫算にばかり囚われておつて、豫算のところで何時でも打切られてしまうというようなことであると、結局は滑り出しができない。こういうようなことで豫算のことが若し駄目ならば豫算が取れないならば少くも頭腦的な投資、政府職員の頭腦的投資によつて何らかここに施策を立てて行く、設計をして行く、いわゆる頭腦的投資が欲しい。このことが結局觀光施設に對する最初の仕事であつて、手を拱かずに特にこの頭腦的投資を將來永續的に續けて行く、このことによつて將來日本の觀光地としての途が開かれるということになるのじやないか。特に私は只今の首相の御意見ではつきりしましたが、觀光に對するそういつた施策を立てたならば、それに對する頭腦的投資を速刻開いて頂きたい、こういう希望意見を申上げて置きます。
#22
○國務大臣(和田博雄君) 觀光事業の點につきましては今までいろいろ貴重な御意見がありましたのでありますが、結局その點は觀光事業によりまして、一つは外貨を獲得するという點にあろうと思います。もう一つは日本の歴史なり文化なりをやはり廣く世界に知つて貰つて、我々はやはり一つの世界人としてのはつきりした立場をこれによつて高めて行くということにあるだろうと思います。私は外國を廻つて參りましたが、やはり外國人がヨーロッパに行くのはただ單に風光が佳いとか、設備が良いからということでなくして、やはりヨーロッパ、西洋文明の持つておるあの歴史的というか、傳統というか、精神というか、そこに一つのやはり大きな憧れがあるのであつて、ただそういう設備なり、或いは風景だけで行くのじや私はないと思います。これは今後といえどもやはり世界の文化の立場から見ればそういうものは残つて行くのじやないかという氣がするのでありまして、只今の日本の經濟の點からいえば、實は觀光事業のために道路を直したり、それから、ホテルを建てたりする餘地は本當はございません。電氣がなくて困つておる、石炭さえ實は少くて困つておる、或いは鋼材にしても、セメントにしてもそうであつて、資材を澤山ここにかけて直直著手するということはとてもできないことは皆さん御承知の通りであります。準備をするということにつきましては私は非常に賛成であります。綜合的ないろいろなことに關係を持つておりますことについては、やはり今から準備をしておく頭腦的投資といいますか、準備をしておくということは必要でありまして、その點については總理のお答えで十分盡きておると思うのであります。そういう見地から一つこれを綜合的に進めて行く、かように考えるのでありまして、ただ單にこれによつて役人を殖やすとか或いは何とかというようなことでは到底問題は一歩も前進するものではないのでありまして、今からその準備をする、又一面からいうとやはり日本の國民自體の文化意識の向上なり、社會的道徳心の向上なりということが延いては觀光事業に大きな利益を與えることになるのであつて、これはお客さんでありますから、こちらでどう思つても向うが丸で來ないとも限らない。そこのところはやはり問題が非常に複雑でありますので、準備をするというこの委員會の御提案に對して私は全面的に賛成であります。
#23
○委員長(山本勇造君) 何か他に御發言ございませんか……。それでは總理も大分お忙がしいようですから、今日はこの問題についてはこれで一つ打切にいたすことにいたします。
 請願の問題にも拘わらず、片山總理大臣、和田國務大臣、苫米地運輸大臣揃つて御出席願い、そうして觀光の審議會乃至委員會のようなものを作るということについての可なり明らかなお話がありました。無論この委員會としては委員會を作るだけが問題になるのでなしに、もつと以上のことを考えておるわけでありますけれども、現在の事情として取敢ずそこから出發して行つて委員會ができたら、やがてこういう統一的なものがありますと本當に大きなものに行く一つの面になるだろうと思います。今日は今のような答辯を頂いたことで、この觀光問題を一應打切ることにいたします。ちよつと速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#24
○委員長(山本勇造君) 速記を始めて下さい。それでは先程觀光問題について一應閉じることを申しましたけれども、只今厚生大臣がお見えになりましたから、厚生大臣から先程の問題について御發言があるそうでございますから、お伺いすることにいたします。
#25
○國務大臣(一松定吉君) 觀光國策の樹立に關する請願、竝びに觀光審議會設置に關する請願を審議するに際しまして、これらの政府の所見という點につきましては、只今まだ閣議を經ておりませんから、これは我が政府の所見であるということを、私が直ちに申上げることはこれは差控えた方がよろしいと思うのであります。いずれこの點に對しましては、各省に関係がありまするから、閣議にかけまして、政府の方針を取決めました上で、適當な時期において、政府の方針はかくの通であるということを申上げることの方が、適當であろうと思いますから、今日私が申上げまするのは、厚生大臣という立場から、私の今考えておるそのことを一つ皆さまに申上げまして、そうして御批判を請いたい、こういうような趣旨にお汲み取りを願いたいのであります。このことに關しましては、實は私が觀光事業に關する關心を深めるに至りました動機から申上げて、皆樣の御理解を得たいのでありますが、實は昭和十二年の萬國會議がフランスのパリに開催せられましたときに、私が衆議院の議員團長として議員諸君と共に、昭和十二年九月初めにフランスのパリに參りまして、それから歐洲を一巡いたしまするときに、御承知のスイスに參りました。スイスを一週間ばかり廻りましたときに、皆さま御承知の通りに、最も風光明媚なスイスに、世界の觀光旅客がここに殺到いたしまして、その天然の風光を觀賞して、思うままにこれらの環境に浸つて、そうしてそれぞれ國に歸るというような話を聞き、又私自身もそういうふうな境遇に浸つたのであります。そのときに私の考えたことは、成る程スイスの風光は非常に立派であるけれども、これは我が日本の國に比較すれば、むしろ日本の方が風光がスイスに優つておると自分は見る、ただスイスは湖と山とによつて、それに人工を加えて非常に清潔にし、ホテルが立派であり、サーヴイスが行届いており、土産物等も十分に備わつておる、これがために世界の旅客がここに來て、思う存分に滯在をして、金を落して歸つて行く。併しながら日本の風光は、山あり海あり川あり湖あり、その景色は各地々々によつてそれぞれ持前が違つておる。そういうような風光をスイス以上にこれを啓發して世界に紹介するならば、スイス以上の觀光地になるだろう。こういうことを實は私は深く印象づけられたのであります。而も御承知の通りに、スイス一國の財政は、外國の人々が落す外貨の獲得によつて、その一國の財政を賄なつておるというような實情にあるということを承りまして、日本へ歸つてこういう事業を大いに促進して、國家のために寄與しなければならんと、こういうことを考えたのが昭和十二年の世界一周のときでありました。爾來こちらに歸りまして、そういう機會を狙つておりましたが、御承知の戰爭のために、そういうような事業も餘り遲々として進まなかつたときに、ちようど今囘私が厚生大臣になりまして、敗戰の結果我が國が國際親善という方面からも非常に必要であるし、外客を日本に誘致して國際親善に寄與せしめ、一面において外貨の獲得をやつて、日本の財政の窮乏に力を添えるのみならず、今道徳の頽廢しておる人々、竝びに勤勞階級の人々、せせこましくこの世の中に暮しておるような人々に、裕りのある生活を與えるという意味において、これらの人々をも一ケ月に少くとも一二囘は、こういう觀光の天然の風景に浸らしめ、若しくは温泉に行つてその精神を涵養せしめるというようなことが非常によいことではなかろうかと、かように私は考えまして、實はこのことを陛下に申上げたのであります。陛下は非常にお喜び給わりまして、それはいいことであるから、一つ力を盡してやつたらどうかというようなお話があり、而もそのときに陛下は、觀光について最も必要なことはサーヴイスでありホテルでもあるが、大廈高樓のホテルを造つて誘致するということよりも、規模は小であつても、居心地のよい、外人がこれならばというようなホテルを造るというようなことにして、交通網を便にしてということならば、お前の言う通り、日本は有望であろうというようなお話も實は承つたのであります。私非常に力を得まして、それから國立公園というものの擴大強化ということを事務當局にも命じまして、これらのことを調査研究さしているのであります。到るところ私の未到の土地であつた、こういう場所にも段々歩を進めまして、これらを今研究調査をしておりますが、これは本當の私の考えた以上にスイス以上の風光明媚な土地であり、外客を誘致するのに最も適當な土地が數多くあることを認めたのでありますが、ただ現在の状況では、交通の方面とか、或いはホテル、サーヴイスということが十分でないと思いますから、こういう點は運輸省におきまして觀光という方面の局を設けて一時仕事をやつておつた立場もありまするし、旅客を運ぶには汽車、電車、自動車というようなものを運輸省の力を借りなければなりませんし、又文部省のいろいろな文教の面に關しまする史蹟というようなものと連繋をしなければなりませんので、これは單り厚生省が國立公園を建設して擴大強化して云云ということと同時に運輸省と文部省と三省が一緒になつてこれらのことを擴大強化して、この目的を達成するということが最も相應わしいことである、かように私は考えておりまして、そういう方面に向つて力を盡くしたいと思うのでありますが、まだ厚生省においてそういう調査はいたしておるというだけでありますから、三省の協議が纏つたという以上には進んでおりません。こういうようなことでございますが、これはどうしてもこの觀光國策の樹立ということに對しましては、厚生大臣の一人の構想というわけには行きませんので、いわゆる政府の意見として閣議に諮つて一つ國策の樹立をしなければならん、かように私は考えておりまして、勿論最近にそういうような構想を練り、これらのものを公然と閣議にかけて見たいと考えているのであります。本年の追加豫算にもその意味におきまして、五百五十萬圓という僅かな金ではありますが、計上を願つております。これが皆さまの御協贊によつて通過いたしますればこれを基礎にして調査、それと機構というような方面に手をつけて見たい、こういう實は考えを持つているのであります。かような構想を持つておりますから、その第二問であります。審議會の設置ということは勿論必要でありまして、その審議會を設置いたしまして、先ず國立公園の擴大強化ということについて意見を聽くばかりでありません。それらの施設、運營、文化、教育という方面にも權威ある人々のお集りを願つて御意見を承つて、そうしてこれが國策となれば國策の推進に向つて萬遺漏なきを期さなければならん、かような考えを今持つているのであります。それが愈愈閣議にかかり、皆さまの御協贊を得るということも餘り遠くないと思いますが、そういう點には十分一つ御協力を賜わりまして、この目的を達成して、我が國文化のために國際親善のために、外貨獲得のために、我が國民をして健康にして文化的なる國民たらしめるというような目的を達成するために、一層の御努力をお願いいたしたい、かように考えているのでございます。
#26
○岩本月洲君 只今厚生大臣の觀光の仕事に對する非常な深い理解のある御意見と御用意をなさつている面についてのお話を伺つて大變心強く感ずるわけなのであります。就きましては厚生省の方で非常に力瘤を入れております國立公園、これについて一言お伺いを申上げたいのでありますが、只今御計畫なさつている國立公園、それから請願乃至陳情されて參ります國立公園、これは希望でございますが、そういうのを採り入れますと、殆んど日本國中が國立公園になつてしまう感があるわけなのであります。それでも結構なのでありますが、併しただ私共の案じますことは、國立公園が擴大され強化されて行くということですが、ただ指定される數が殖えましても、内容の充實ができませんと大變だと思うのでありますが、その點を非常に私は杞憂いたしますので、同時に國立公園が指定されて参りますと、取締だけが嚴になつて、而も手入れが緩になるというようなことであつては大變だと思うのでありますが、そういう點について大臣の御意見を一つ承りたいと思うのであります。
#27
○國務大臣(一松定吉君) 國立公園の擴大強化ということに關して、只今岩本委員のお話のように、これらの指定は我が日本にとりましては岩本委員の仰せられる通り到るところ風光明媚、私に言わしめれば日本全國、國立公園と言つていい。日本が如何に景勝に富んでいるかということは、我々日本國民として喜ばしいことでありますが、そうかといつて全國到るところ國立公園というわけに行きませんので、これはやはり重點的に一番優秀な場所を指定して、それに續くような場所は準指定とか若しくは準國立公園的に取扱う。或いはその地方の縣の國立公園というようなことにでもして、そうしてこれを重點的に採り上げて、日本で今御承知の通りに十三指定しておりますが、もう後七つだけ追加し、二十にしよう、そうしてそれに附属する近傍の場所で、風光明媚な、國立公園の施設を備えているけれども、どうも規模が小さいというところは大きいところに寄せて、そうしてその延長とか若しくはそれに準ずるとかいうような制度を採つたらどうかと思うのであります。併しこれらのことは御承知の國立公園法によりまして、中央國立公園の委員會、地方國立公園の委員會、これを活用いたしまして、そうしてそれらの地方では地方の國立公園委員會の具申を以て中央で審議する。その答申を待つて厚生大臣がそれを指定する、こういうような方法によつて萬遺漏なきを期したい、かように考えております。景勝の土地は小さい土地でも、これは入れないわけに行きませんが、それらの土地は重點的に採り上げられたところに附属したら宜いのじやないか、かように考えているのであります。それから設備の點でありますが、これは國立公園を眞に擴大強化するということになりますれば、これは何千億という金がかかりますが、我が國現時の財政状態からはそれはできんと考えております。これは行く行くは少くとも全國に國立公園地區を八つくらいに分けまして、そうしてその各一區毎に一つの信用のある、基礎の強固な會社でも拵えて、それらの會社にそれらのすべての經營を任して、政府はこれを指導誘掖し、場合によつては補助をするというようなことは、いわゆる協議會というようなものを設けまして、民主的にこれを話をして、そうしてそれらの運營を萬遺漏なきを期するようにしたら宜いだろうと、かように考えております。こういうことになりますと、或いは資材の面におきまして、一層皆さんの御協力を仰がなければなりません。場合によりますと外資の輸入というようなことも必要じやないかと思つておりますが、併しそれは今ただ私の理想として考えているだけでありまして、行く行くそこまで發展するということならば實に喜ばしいことでありますが、それは私の考えていることだけを申上げまして、答辯に代えさせて頂きます。
#28
○徳川頼貞君 今厚生大臣から國立公園のことに關して伺いまして、私も重ねてお伺いいたしたいと思うのであります。今十三の國立公園があるが、それを七つ殖やすというお話でありますが、それに對してどのくらいの豫算を取つておられるか、伺いたいと思います。これが第一點であります。
 第二點は、今重點的に國立公園を考えておるというお話に對しましては、私も至極同感なのでありますが、今各縣各縣で小さなことを計畫を立てるというようなこともお考えのようでありますが、私の承知しておる範圍内におきましても、當然今まですでに國立公そに特定されておるところに隣接接觸しておるところであつて、當然それに含まれるべき性質のものが、或る事情のために、なつていないというようなところも多いと思います。手近な例を取りますると、例えば和歌浦、加太、友島というような、いわゆる元の要塞地帶であつたところが、今度それを文化地帶として、そうしてそれを例えば瀬戸内海の公園の一部に編入させるというようなことが考えられると思うのであります。そのようにして瀬戸内海の公園の特色を一層發揮させるとか、又高野山のような場合におきましては、高野山の地帶を熊野、吉野の國立公園の地帶と合併することによりまして、熊野、吉野の自然的景観に加うるに、宗教を中心としたところの人的景観を加えることによつて、その特色と魅力を餘計増す、こういうようなことになると思うのでありますが、これは一二の例でありますが、こういうようなことが全國を通じて非常に多いと思うのでありますが、そういうような場合に、そういうようなふうに御計畫になるのでございましようか。この點を一つ伺いたいと思います。
#29
○國務大臣(一松定吉君) 先ず一番の國立公園擴大強化に伴う豫算をどのくらい計上するつもりかというお尋ねでありますが、これは先刻申しましたように、この追加豫算で五百五十萬圓というものを上程しておりますが、これが御審議を經まして御協賛を賜りました上で、これを基礎にしていろいろな調査をいたしますので、その調査をするときに、これはこのくらいの豫算、これはこのくらいの豫算というて、その都度都度御協賛を得たい、かように考えておりまするから、今幾らの豫算というようなことはちよつと考えておりませんが、併しこれは全部擴大強化して、私の理想通りできるということになりますれば、數千億圓の金が要るでありましようが、それは併しながら必ずしも國庫の金だけによらずして、先刻申しましたように、民間會社というようなことにしてでもして頂ければと考えております。要するに豫算の點は、それらのことを實地に活躍させまするときに御協賛を願う、こう考えております。
 それから今お話になりました國立公園として指定されなければならないものが、いろいろな事情のために指定に漏れておるものが澤山ございます。今お示し下すつた各地の漏れておることは勿論、もう少し顯著な例を言いますと、例えば天草のごとき、これは御承知の非常な風景に富んだところであります。これが漏れておる。これはいわゆる雲仙・天草、雲仙が今指定されておりますから、これにつけまして雲仙・天草ということにする。或いは同じ日光でありましても、今では日光の國立公園がありますが、御承知の鬼怒川竝びに鹽原、あの風景というものは、私實はこの間見まして驚いた。實は數年前に朝鮮の金剛山の紅葉を見て世界一だと考えた。日光を見て驚いた、雲仙どころではない。その紅葉の名勝である日光も、而も鬼怒川、鹽原というものが國立公園の指定に入つておいりません。なぜ入つていないかというと、日鹽道路という日光鹽原間の道路ができていなかつた。從つてこの方面の踏査が十分にできていなかつたために、入つていなかつたということを聞きました。それは以ての外だ、日光だけを採るよりもこれに鬼怒川、鹽原を加え、而もこれに例の那須の高原も採入れるということになると、いわゆる山あり、平野あり、谷あり、川ありということで、實に立派な公園になるじやないかということも考えたこともある。瀬戸内海は今あなたの仰せの通り、瀬戸内海の一部だけを採つて、全部の風光を採入れなかつたという點について、いろいろな事情もありましようが、やはりこれは手落である。それから今まで要塞地帶であつたがために、景勝の土地でありながらこれを指定することができなかつたという點につきましては、壱岐、對馬或いは隱岐というような所は、餘程景勝に富んでおる。それがそのまま放置されておるという點もございまするので、今あなたの仰せになりましたような事柄は、十分に調査して一つそれらの人々の御希望にも副い、國立公園の本當の眞價を發揮してみたい、かように考えております。
#30
○委員長(山本勇造君) 有難うございました。非常に観光問題について厚生大臣は積極的なお考えをもつておられて、観光小委員會の方々も非常に滿足されたことであろうと思います。尚一つ閣議において十分一つ御奮鬪あらんことをお願いたします。
#31
○國務大臣(一松定吉君) 有難うございました。
#32
○委員長(山本勇造君) それでは各大臣の意見も聽きましたししますから、この観光國策樹立に關する請願につきまして、各委員の御意見を承りまして、その討論の結果、採決するようにいたしたいと思います。
#33
○高田寛君 本請願の趣旨につきましては、今日この委員會といたしまして観光國策を速やかに樹立する必要があるということは、かねがね討議されておるところでありますので、又總理以下政府當局のお話を伺いましても、この點を採上げて相當眞劍に考えようということでもありますので、本請願は採擇されんことを希望いたします。
#34
○松野喜内君 只今高田委員の御意見の通り、本委員會はこれを採擇することに私も贊成いたします。
#35
○委員長(山本勇造君) 意見としては大體まあ前に出ておるわけでありますから、これを議題といたしまして、これを採擇することに御異議のない方は御起立を願います。
   〔總員起立〕
#36
○委員長(山本勇造君) 全部起立であります。次に観光審議會設置に關する請願の方でありますが、これについての御討論を願いたいと思います。
#37
○梅津錦一君 先程來總理大臣竝びに安本長官厚生大臣、皆齊しくこのことに對しては、請願を容認しておるので、この委員會においては、強力にこの問題を採上げて全員の御贊成を希望したいと思います。
#38
○委員長(山本勇造君) それでは今の観光審議會設置に關する請願について、採決をいたしたいと思います。これに御贊成の方は、御起立を願います。
   〔總員起立〕
#39
○委員長(山本勇造君) 全部起立であります。そうしますと、この二百六十六號竝びに三百十四號のこの二つの請願は、議院の本會議に付し、内閣に送付するを要するものと決定をいたしました。
 尚今囘の二つの件につきましては、意見書案を付することになつておりますが、それは委員長の下で作成することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○委員長(山本勇造君) 尚もう一つ、観光事業上ホテル事業法の制定等に關する陳情というのが高久甚之助氏から出ておるのでありますが、この陳情は、観光小委員會に付託することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○委員長(山本勇造君) それじやそういうことに決定をいたします。どうも有難うございました。それではこの委員會を閉ずることにいたします。
   午後零時三分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     山本 勇造君
   理事      金子 洋文君
   委員
           赤松 常子君
           梅津 錦一君
           三木 治朗君
           若木 勝藏君
           徳川 頼貞君
           松野 喜内君
           淺井 一郎君
           大隈 信幸君
           藤森 眞治君
           岩本 月洲君
           來馬 琢道君
           高田  寛君
           服部 教一君
           三好  始君
  委員外議員
           小野  哲君
           安部  定君
  國務大臣
   内閣總理大臣  片山  哲君
   運 輸 大 臣 苫米地義三君
   厚 生 大 臣 一松 定吉君
   國 務 大 臣 和田 博雄君
ソース: 国立国会図書館
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