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1970/04/04 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 予算委員会 第15号
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1970/04/04 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 予算委員会 第15号

#1
第063回国会 予算委員会 第15号
昭和四十五年四月四日(土曜日)
   午前十時二十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月四日
    辞任         補欠選任
     八田 一郎君     近藤英一郎君
     川上 為治君     鬼丸 勝之君
     原田  立君     三木 忠雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         堀本 宜実君
    理 事
                柴田  栄君
                任田 新治君
                山本 利壽君
                吉武 恵市君
                鈴木  強君
                横川 正市君
                矢追 秀彦君
    委 員
                大森 久司君
                鬼丸 勝之君
                梶原 茂嘉君
                小山邦太郎君
                西郷吉之助君
                白井  勇君
                初村瀧一郎君
                平泉  渉君
                二木 謙吾君
                増原 恵吉君
                山本茂一郎君
                足鹿  覺君
                岡  三郎君
                加瀬  完君
                木村禧八郎君
                鶴園 哲夫君
                戸田 菊雄君
                山崎  昇君
                塩出 啓典君
                鈴木 一弘君
                三木 忠雄君
                片山 武夫君
                中沢伊登子君
                青島 幸男君
   国務大臣
       法 務 大 臣  小林 武治君
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
       文 部 大 臣  坂田 道太君
       厚 生 大 臣  内田 常雄君
       農 林 大 臣  倉石 忠雄君
       通商産業大臣   宮澤 喜一君
       郵 政 大 臣
       運輸大臣臨時代
       理        井出一太郎君
       労 働 大 臣  野原 正勝君
       建 設 大 臣  根本龍太郎君
       国 務 大 臣  荒木萬壽夫君
       国 務 大 臣  佐藤 一郎君
   政府委員
       総理府総務副長
       官        湊  徹郎君
       内閣総理大臣官
       房陸上交通安全
       調査室長     平川 幸藏君
       警察庁交通局長  久保 卓也君
       警察庁警備局長  川島 広守君
       防衛施設庁長官  山上 信重君
       防衛施設庁施設
       部長       鶴崎  敏君
       経済企画庁長官
       官房長      相澤 英之君
       経済企画庁国民
       生活局長     矢野 智雄君
       経済企画庁総合
       計画局長     八塚 陽介君
       法務省刑事局長  辻 辰三郎君
       外務省アジア局
       長        須之部量三君
       外務省条約局長  井川 克一君
       大蔵大臣官房日
       本専売公社監理
       官        熊田淳一郎君
       大蔵大臣官房審
       議官       高木 文雄君
       大蔵省主計局長  鳩山威一郎君
       文部大臣官房会
       計課長      安養寺重夫君
       文部省初等中等
       教育局長     宮地  茂君
       文部省大学学術
       局長       村山 松雄君
       文部省体育局長  木田  宏君
       厚生大臣官房会
       計課長      横田 陽吉君
       厚生省公衆衛生
       局長       村中 俊明君
       厚生省環境衛生
       局長       金光 克己君
       厚生省医務局長  松尾 正雄君
       厚生省薬務局長  加藤 威二君
       厚生省児童家庭
       局長       坂元貞一郎君
       厚生省年金局長  廣瀬 治郎君
       農林大臣官房長  亀長 友義君
       農林省農林経済
       局長       小暮 光美君
       農林省農地局長  中野 和仁君
       農林省畜産局長  太田 康二君
       農林省蚕糸園芸
       局長       荒勝  巖君
       林野庁長官    松本 守雄君
       水産庁長官    大和田啓気君
       工業技術院長   朝永 良夫君
       運輸大臣官房審
       議官       内村 信行君
       運輸省自動車局
       長        黒住 忠行君
       郵政大臣官房長  野田誠二郎君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   牧野 康夫君
       郵政省郵務局長  竹下 一記君
       郵政省経理局長  溝呂木 繁君
       労働省労政局長  松永 正男君
       労働省労働基準
       局長       和田 勝美君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
       労働省職業安定
       局長       住  榮作君
       労働省職業訓練
       局長       石黒 拓爾君
       建設大臣官房長  志村 清一君
       建設省道路局長  蓑輪健二郎君
       建設省住宅局長  大津留 温君
       消防庁長官    松島 五郎君
    ―――――――――――――
       会計検査院長   山崎  高君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        首藤 俊彦君
   説明員
       建設省建築研究
       所長       川越 邦雄君
       日本専売公社総
       裁        北島 武雄君
       日本電信電話公
       社総裁      米沢  滋君
       会計検査院第二
       局長       鎌田 英夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十五年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(堀本宜実君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 昭和四十五年度一般会計予算、昭和四十五年度特別会計予算、昭和四十五年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についておはかりをいたします。
 三案審査のため、六日午後、税制調査会会長代理福良俊之君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(堀本宜実君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(堀本宜実君) それでは戸田菊雄君の質疑を行ないます。戸田君。
#5
○戸田菊雄君 四点ほどについて、これから質問してまいりたいと思うのであります。
 第一番目に、経済企画庁長官に質問いたしたいと思うのでありますが、それは、きのうの朝日新聞によりますと、新経済社会発展計画というものが発表になりました。この内容を見ますると、重点は、生活部面の関係を重点にする、こういうことになっておりまして、なおかつ、公共投資額の五十五兆円に対するそれぞれ細目が掲載をされておるわけでありますが、この辺について、今後のこの発展計画の閣議決定の運びというものは、一体めどをどの辺に置いておるのか、それが第一点であります。
 もう一つは、この内容の基本的な方向というものはどういうものか、この辺について御説明をいただきたいと思う。
#6
○国務大臣(佐藤一郎君) 新しい経済社会発展計画は、この九日ごろにたぶん答申が出ると思います。それを受けまして、中旬から下旬のころに閣議決定をいたしたいと、こういうふうに考えております。
 それから、この社会発展計画の課題でございますけれども、御存じのように、七〇年代を迎えまして、いろいろと日本の経済条件が従来と変わってきております。一つは、何と申しましても国際収支に非常なゆとりが出てきそうでございます。そして外貨の積み増しも少しずつふえてまいる。この点は、三十年代に国際収支の逆転赤字に常に悩まされてきた日本経済とだいぶ条件が違ってまいります。そういう意味におきまして、海外経済協力を行なわなければならない、あるいは自由化を迫られる、こういうようないろんな諸条件が出てきてまいっております。それからまた、国内的には、労働力の需給というものが、これはもう従来から相当逼迫してきておりましたが、これが引き続き逼迫の度を加えてくるんではなかろうかということで、この労働力のいわゆる流動化の問題でございますとか、各種の問題を迫られておるわけでございます。
 そういうことで、私たちといたしましては、一方において経済の成長というものは、これは実現いたさなければなりませんけれども、しかし、あまり高い成長路線というものをそのまま踏襲するということは不適当であるということで、成長の路線そのものを少しスローダウンさせなければならない。それによりまして成長に伴うひずみというものの発生をできるだけ防いでいく必要があるわけでございます。そうして、その上に立ちまして、なお国際的なむずかしいきびしい環境を考えてまいる、さらにわが日本は経済的にも産業の効率、経済の効率ということを十分に考えていく、そういう意味において、産業の革新あるいは合理化という路線というものが一面貫かれてまいらなければならない。その間に、この成長路線をたどっていく際に、御存じのように、今日物価問題が非常に大きな問題になっております。この物価問題の本質的な一つの理由というものは、御存じのように、国内の産業部門間の生産性の格差、こういうところにございます。そういう意味におきまして、低生産性部門の格差というものをできるだけ縮小していかなければならない。つまり、低生産性部門を合理化し近代化していかなければならない。こういう問題がまた出てくるわけでございます。
 そうした各種な条件の変化に対応したところの日本の経済を、それに即応したように持っていく必要があるだろう。こういうことで、社会開発の促進でありますとか、物価の安定でありますとか、あるいは産業の革新の問題でございますとか、あるいはいわゆる安定した成長路線をたどっていくために必要な基盤の培養でありますとか、そういったことを課題として掲げまして、それに対応したところのマクロによるところのフレームワークというものを出しておるわけでございます。
#7
○戸田菊雄君 長官の説明があったのでありますが、新聞で見る限りでは、投資総額が五十五兆円でありますね。それで、期間は六年間ということになるわけでありますが、ことにその中でも道路十一兆七千億という膨大な予算大要が組まれておるわけでありますね。そういうことになってまいりますと、投資の重点というものをどの辺に求めているか、その辺が第一であります。
 それからもう一つは、現在の政府の経済成長等を見ますると、今後も、高成長、これを継続維持発展をさせる、こういう立場に立っているようでありますけれども、この高成長維持の中心産業というものをどの辺に置いているのか、今後六年間の見通しでありますが、その辺の見解について伺ってまいりたいと思います。
#8
○国務大臣(佐藤一郎君) 五十五兆円という累積投資額、これは、この四十五年から五十年、すなわち六年間にわたるところの行政投資を四十四年度の価格のままでもって累積いたして計算いたしたものが五十五兆円でございます。そうしてそれを各方面に行政投資として配分する。それは、先ほど申し上げましたような課題にこたえるべくなされなければならない。
 そういうことで、まず第一に、社会開発の部面というものを非常に重視する。したがいまして、また生活環境ということが非常に出てくるわけであります。そこで、住宅の問題でございますとか、環境衛生の問題でございますとか、その方面の投資には特に重点を置かれておる。それからまた、御存じのように、新しい計画は、今後の日本のいわゆる国土再編成とも関係する問題でございます。そういう意味におきまして、いわゆる交通、通信、こういうもののネットワークを拡大していかなければなりませんが、そういう意味で、交通、通信という面についても重点を置いております。それからもう一つは、低生産性部門ということでございまして、農業でありますとか、そうした問題を取り上げております。
 それからもう一つは、国土保全、これは、御存じのように、災害の防止であるとか、そうしたことがやはり非常な問題になっております。これは新全国総合開発計画でも非常に重視しておるのでありますが、新しい災害の防止、それからまた水資源の問題、こういうようなことで国土保全関係の問題を取り上げております。
 こういうような四つくらいのおもな重点事項を置きまして、そうして今後の発展の路線というものを想定しながら大体のワクをつくってまいった、こういうわけであります。
#9
○戸田菊雄君 そこで、建設大臣にお伺いをしたいのでありますが、第六次道路整備五ヵ年計画というものがございますが、この総額は幾らになっておりますか。それから計画の内容の重点は何でございますか。さらに、この財源捻出方法ですが、その捻出法は一体どういうことになっておりますか。三点についてお伺いしたいと思います。
#10
○国務大臣(根本龍太郎君) お答えいたします。
 新道路五ヵ年計画の重点は、大体十項目を指定しております。
 第一は、高速自動車国道につきましては五道全線です。それからその他緊急を要する区間の着工をはかりまして、計画期間内に約一千九百キロの供用をはかりたい、これが第一でございます。
 第二は、一般国道の一次改築につきましては一部区間を除きまして昭和五十年ごろ完成を目途に事業の推進をはかりまして、また、交通上隘路となっておる区間おおむね三千キロの再改築を行なう、これが第二点でございます。
 第三点は、主要地方道の改良舗装及び都道府県道の舗装を昭和五十五年度までに完成することを目途にいたして整備をはかるということでございます。また、これに関連しまして、市町村道路につきましては重要路線を選定して整備を促進する。なお、地方道の整備にあたりましては、過疎対策の主軸として、奥地開発、山村振興等を含めまして、地方生活圏構想に基づく道路の整備をはかる。これが第三点でございます。
 第四点は、都市高速道路につきましては、首都高速道路は百五十キロ、阪神高速道路は百三十キロの供用をはかるほかに、新たに名古屋高速道路等の建設に着手しまして約二十キロの供用をはかることにいたしております。
 五番目でございまするが、都市交通の円滑をはかるために、都市計画街路の整備、主要交差点の改良及び鉄道の高架化を促進する。また、市街化区域のうち開発を推進すべき区域の都市計画街路につきましては、昭和五十五年度におおむね達成することを目途として整備することにいたしております。
 第六番目は、本州−四国の連絡橋、東京湾岸道路等の事業を推進します。これは完成はできません。
 第七は、交通事故の増大の趨勢にかんがみまして、歩道の設置を重点として交通安全施設の整備を強力に推進することでございます。
 第八は、道路を有効な状況に維持し、特に積雪寒冷地域におきましては冬季の交通の確保をはかるということでございます。
 九番目は、以上の道路整備を促進するにあたりましては、道路網の再編成を行なうとともに、社会経済の発展に伴う流通業務の施設、港湾、空港、鉄道ターミナルとの連係を特に重点的に考慮するということでございます。
 十、新たに地方道路公社等を設けまして有料自動車事業の主体に加えることをいたしておるということでございます。
 次に、この全体の計画には、先ほど御指摘になりましたように、十兆三千五百億という膨大な財源を必要とするのでございます。現在、道路整備緊急措置法に基づく特定財源では、現在の伸び率からすればかなりの不足が見込まれるのでございます。そこで、その財源の補てんのために新たなる特定財源を昭和四十六年度予算編成までに、これは大蔵省関係当局と協議の上確定することにいたしております。
 なおまた、そのほかに、先ほども申し上げましたように、今国会で御審議を願っておる地方道路公社法を成立願うことによりまして、地方自治体が主体となりまして民間資金を相当活用する道を開くことによりましてその財源の補てんに当たりたい、かように考えております。
 以上、総括いたしましてお答え申し上げます。
#11
○戸田菊雄君 ただいま、財源の捻出については、後段で、建設大臣の意見ですと、何か公債発行で財源の捻出をやっていきたいかのような回答だったと思うのでありますが、そういう理解でいいのでありますか。
#12
○国務大臣(根本龍太郎君) ただいまも申し上げましたように、これは建設省だけできめられる問題ではございません。従来、建設事務当局で考案したものには、自動車債券とか、あるいは利用債とか、あるいはまた、御承知のように、自動車新税、あるいは揮発油税に対する増徴、あるいはトラック税等の構想はございます。しかし、これはまだ省内においても確定したことでもなく、先ほど申し上げましたように、四十六年度予算編成までに内閣全体としてこの財源の確保について明定することで閣議了解を得ておりまするので、それに従ってこの処置をはかりたいと思っておる次第でございます。
#13
○戸田菊雄君 その辺がはっきりしないのでありますけれども、閣議決定の了承事項というのは一体どういうのか、この辺がはっきりしないのですよ。一説によりますると、いま建設大臣が指摘をされましたように、トラック税の新設ないし揮発油税ですね、あるいは引き取り税、そういったものを土台にして、いわば燃料課税の増徴によって一つは財源を確保していこうと、こういう案が一つあるように聞いているのでありますね。もう一つは、道路公債というものを発行しまして――まあその引き受け個所はいろいろあるでしょう、地元金融機関であるとか、地方公共団体であるとか、あるいは自動車のメーカーとか、いろいろあるでありましょうが、一つは、そういう道路公債を発行して財源というものを捻出していこうじゃないか、こういう二論があるように聞いているのでありますけれども、いま建設大臣の考えられておる構想というものは、この財源捻出についてどういう方向で一体行きたいのか、燃料課税の増徴態勢で行くのか、公債発行で行くのか、あるいは込みの態勢で行くのか、この辺の見解を、構想があればお聞かせを願いたい。
#14
○国務大臣(根本龍太郎君) ただいま申し上げましたように、これは建設省だけできめられることでございませんので、いろいろの対案を持っております。これに基づきまして、大蔵当局、あるいはこれは自治省と関係もございますし、なおまた経済企画庁と相当の密接な関係がございまするので、四十六年度予算編成までに意見の統一を見て確定をいたしてもらいたいと、こう思っておる次第でございます。
#15
○戸田菊雄君 幸い、大蔵大臣、企画庁長官おられるわけでありますが、ただいまの見解について、それぞれお答えを願いたいと思います。
#16
○国務大臣(福田赳夫君) 今度の昭和五十年までの六ヵ年にわたる新経済社会発展計画、これは、経済の伸び率からいきますと一四・七なんです。いま企画庁長官が御説明申し上げたように、財政はどうあるべきか、またその重点をどこに置くべきか、また民間企業のあり方はどうか、国民消費の動向をどうすべきかと、こういうようなマクロ的な経済指針というようなものを示す資料であります。そこで、企画庁長官の説明のように、政府としては、まず公共投資、これにかなり重点を置くわけです。それからきのうも話に出ましたが、社会保障、これはかなり伸ばしていかなければならぬ。そうすると、財政規模はふくらむのですりその財政規模がおそらく一五・七、成長率より一ポイントは高い水準に置かなければならぬというようなことになると思います。その中にいまお話しの道路計画の問題なんかが包摂される、こういうかっこうのものでございまして、道路計画だけで事を論ずるわけにはいかないのです。国の財源全体としてどうするか、こういうことかと思います。そこで、しかし道路計画というものがスタートする。この財源をどうするかということも、その全体の中では考えなければならないわけですが、いま建設大臣が話したように、かなりの財源不足が、いまのままでいきますと見られますので、これを何とか調達する方法を考えなければならない。四十六年度予算までにひとつ結着をつけよう、こういうように考えております。
#17
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、新計画、いろいろな行政投資の計画を持つことになりますが、それらは、従来の実績から申しましても、大体成長に応じた新規財源というものは生じてくるわけであります。そういうものを基礎にいたしまして、一般会計でありますれば税収入を中心にいたしまして、また各種の財政投融資でありますれば、これは税収並びにその他の財政資金というものを大体めどにしてやるわけでありますが、その具体的な詰めは、もちろんこれからの問題でございまして、われわれといたしましては、マクロ的に総体として一〇・六%の成長を前提として、この行政投資の、先ほどの数字等も無理なく当てはまってまいる、こういう考え方によって、ああいう計画を出しておるわけでございます。
#18
○戸田菊雄君 道路整備五ヵ年計画は五ヵ年でありますから、まさしく。経済社会発展計画は六ヵ年ですね。財源調達の上でも、先ほど企画庁長官が説明されておったように、道路整備五ヵ年計画の場合には経済社会発展計画よりかは六分の五縮小されるというかっこうになると思うのでありますが、その辺のかね合いと、それからもう一つは、本来、そういう膨大な重要な計画案でありますから、それで、四十五年からもうすでに出発させようというのでありますから、当然、財源の裏づけがないままこういう膨大な計画を出すということは、予算の上において一これは法律上はそう問題はないかもしれませんけれども、好ましいことではないのじゃないかと思うのですけれども、その辺の見解はどうですか。
#19
○国務大臣(根本龍太郎君) 御指摘のとおり、ちょっとこれは異例の措置でございました。従来でございますれば、それぞれ五ヵ年計画のときには、やはりその裏づけとなる財源の概定をいたしておったのでありますが、これは若干言いわけになるかもしれませんが、御承知のように、新経済社会発展計画の過程において、大体事務的にはこう進んでおりますけれども、総合的なほうが少しおくれてしまったわけでございます。ところが、道路関係のほうは、すでに昨年中に道路の昇格、国道昇格もきまっていましたし、五道もやろうということも出てき、諸般の情勢からいたしまして道路の新五ヵ年計画を策定しなければならない状況になりましたので、そこで道路の新五ヵ年計画はすみやかに閣議決定をしなければならなくなる。ところが、全体の財源ということになりますと、先ほど大蔵大臣からのお話にありましたごとくに、道路だけをそこできめるというわけにはなかなかできなくなってきた。運輸大臣から提案されておる道路交通全体に、これは道路だけではなく、鉄道も空のほうも海のほうも、合わせた総合的な輸送対策、これを考えなければならない。そういう観点から見るとき、やはり新経済社会発展計画の一環としてこれは見るけれども、そのための財源については新経済社会発展計画が出たときに、これを踏まえて四十六年度に明定しよう、こういうふうにいきさつがなったように私は理解しておるのでございます。そういう意味におきまして、戸田さんが御指摘になりましたように、ちょっと異例のことではないかと言われれば、そのとおりと申し上げるほかはございません。
#20
○戸田菊雄君 企画庁長官、けっこうです。
 次に、運輸大臣が不在でありますから、郵政大臣が目下臨時代行ということでありますから、運輸行政関係について若干質問してまいりたいと思うのでありますが、その第一点は、過日、四十五年の一月九日でありますけれども、東京、大阪のタクシー料金値上げを実行いたしました。このタクシー料金値上げの目的は一体どういうところにあったのか、御説明願いたいと思う。
#21
○国務大臣(井出一太郎君) お答えいたします。
 タクシー運賃は、一般に、前回の改定以来五年前後を経過しておるのでありまして、この間の人件費をはじめとする諸物価の年々の上昇によりまして、タクシー事業の経営はだいぶ悪化をしてまいっております。したがって、各地区の収支状況を慎重に検討いたしまして、緊急性のあるものから逐次改定を行なっておりますが、この運賃改定によりまして事業経営の改善と輸送サービスの向上をはかろう、これがねらいでございます。
#22
○戸田菊雄君 事務当局からでけっこうでありまが、東京の料金値上げの平均実車キロは一体どのくらいいっているのか、もう一つは、基本料金がどれだけ上がったのか、それから追加料金としてどういう距離体制をとったのか、この辺の内容について御説明願いたいと思う。
#23
○政府委員(黒住忠行君) お答え申し上げます。
 東京におきますところの運賃改定は二二・五%でございまして、そのうち、基本料金の面が一三・八六%でございます。
#24
○戸田菊雄君 いくらですか。
#25
○政府委員(黒住忠行君) 一三・八六%でございまして、基本料金につきましては、中型車二キロ百円でありましたものを百三十円に改定した次第でございます。
#26
○戸田菊雄君 追加料金は。キロごとの追加料金は。
#27
○政府委員(黒住忠行君) 次に「爾後」でございますが、爾後は、四百五十メートルで二十円でありましたものを、五メートル短縮いたしまして、四百四十五メートルでございます。これによりますところの増収率は〇・六〇%でございます。
#28
○戸田菊雄君 もう二点ほど教えていただきたいのですが、それは、値上げ分で年間の収益はどれくらいありますか。
#29
○政府委員(黒住忠行君) 質問の内容につきまして、ちょっと理解できませんで失礼申し上げました。
 この全体の構成におき、ましても、基本料金が一三・八六%、全体といたしまして二二・五%の増収が必要でございます。したがいまして、それを、増収の内訳即全体といたしましても、そういう構成のもとにやるわけでございます。従来は基本と爾後だけでございまして、深夜・早朝、時間、距離併用等を実施いたしておりませんでございましたが、今回のこれによりまして、内容的には、いま申し上げましたような、基本が一三・八六%という全体の構成になるわけでございます。
#30
○戸田菊雄君 収益の額――前に質問したやつが、ちょっと返答が違う。パーセンテージじゃなくて……。
#31
○政府委員(黒住忠行君) 従来の収益は、おおむね九七%の収支率でございます。九七%と申し上げますのは、支出が一〇〇%に対しまして収入が約九七%でございます。これを改善いたしまして、必要利潤等を加えまして、おおむね一〇五%ということを目標にやっております。
#32
○戸田菊雄君 結局、二二・五%の総体アップで、なおかつ基本料金で一三・八六%、こういうことになるわけですね。なぜそういうことを聞くかというと、運輸省の指示に基づいて、今回の基本料金の引き上げ分について、その五〇%は労働条件の改善措置に使え、こういう指示を流しているわけですね。ですから、収益額の総額が一体どのくらいあるのかということを教えてもらわないと、どのくらい一体これからそういう労働条件の改善に回される分があるのかということがわかってこないのですよ。その辺の見解をひとつお伺いしたい。
#33
○政府委員(黒住忠行君) この運賃改定の場合におきまして、労使の関係で確認書が交換されました。これによりますというと、今回の増収の少なくとも五〇%以上は賃金の改定に充てるということでございます。したがいまして、二二・五%でごさいますから――現在の東京におきますタクシーの収入は大体年間一千百億前後でございます。それに対します二二・五%でございますから、それの五〇%以上は賃金の改定に充てる、こういう確認書が交換されております。したがいまして、具体的な数字とやり方につきましては、今後労使の関係の話し合いで決定するものとなります。
#34
○戸田菊雄君 先ほど郵政大臣のほうからも回答があったように、今回の料金値上げというものは、あくまでも体質改善に向けるのだ、それは、一つは、タクシー近代化センター、そういうものをつくって乗客あるいは福祉施設、運転者の待遇改善、こういうものに使用する、もう一つは、業界の改善をするために、タクシー問題懇談会、こういうものを設置をして、その両面から体質改善をはかっていこう、こういうことでありますけれども、こういう目的が、いまあらわれつつありましょうか。もうすでに実行して三ヵ月以上経過しているわけですね。その辺の見解はどうでしょうか。
#35
○政府委員(黒住忠行君) 体質改善につきましては、業界が自主的に行なっておりますのと、また、われわれといたしましても、労働省と十分連絡を密にいたしまして監督をいたしております。もう一つ、国会に御提案申し上げました近代化センターの設立というふうなものを行なっております。
 で、給与の点等につきましては三月の一日から実施いたしておりますが、改正によります締め切りの分は大体三月の二十日、したがいまして二月の二十日ごろから三月二十日というのが締め切りでございますので、まだ給与改善の実質的な内容を明確に統計上把握するまでに至っておりません。でございますけれども、あとの労働条件その他の改善につきましては、今回の認可の前に就業規則とか賃金規定の提出をさせまして全部確認いたしております。それからさらに実施期日を指定いたします場合におきまして、それの内容が十分守られておるかどうかということを労働省で監督をしていただきましたので、労働時間の点であるとか累進歩合の点であるとか、そういう点につきましては現在においては改善をされておると思っております。それから給与の具体的内容につきましては、先ほど申し上げましたように、五〇%以上を運転手の給与改善に充てるということで、今後労使の話し合いでもって決定されるものと思っております。
#36
○戸田菊雄君 労使協議の内容というのは、簡単に言いますと、値上げ収益の五〇%を運転者の待遇改善に回す、その内容といたしまして、給与体系、こういうものについては、固定給与、これは七割、歩合給は三割と、こういうことになっているんでありますが、この実行経緯はどうなっておりましょうか。
 それからもう一つは、確かに、今料金値上げについて、乗車拒否というものはあくまでも回避をしていく、こういう業者間の申し合わせその他があったように聞いているんでありまするけれども、その辺の対策はどうなっておりますか。
#37
○政府委員(黒住忠行君) 固定給と歩合給の比率につきましては、従来おおむね六対四でございました。今回、これを七対三の率に改善をするという目標が閣僚協の決定においても示されておりますので、労働省と運輸省はその方向に向かって指導をいたしております。具体的な内容は、先ほど申し上げましたように、各会社ごとに労働組合との話し合いでもって決定をするということになっております。
 それから乗車拒否の点につきましては、まあ実施いたしまして一ヵ月少しでございますけれども、警察からの通報、あるいは一般からの陸運局、陸運事務所への通報は、従来よりも半減をいたしております。しかしながら、まだこれが絶滅に至っておりませんので、われわれといたしましては総合的施策をやりたい、その一環といたしまして近代化センターというものを東京、大阪に設けまして、これの活動を待とうということで、国会に法案を御提出申し上げた次第でございます。
#38
○戸田菊雄君 労働大臣にお伺いしたいんですが、いま、タクシー、ハイヤーの労働者の給与体系というものは、行政指導としては、何対幾らの割合で行政指導をやっていますか。その辺の見解を伺います。
#39
○国務大臣(野原正勝君) 労働給与の問題につきましては、保証給与が六割と伺っております。あとは歩合を使っておる。しかし、これはだんだん歩合制を少なくしようということで、最近におきましては、歩合は三割以内にしてもらいたいと、でき得れば固定給で十分労働者の給与が完全に実施されることが好ましいわけでありますが、そういう方向で指導しております。
#40
○戸田菊雄君 運輸大臣がおりませんから、政策面はできるだけ省いてまいりたいと思うんでありますが、この料金値上げで体質改善即乗車拒否解消、こういう考え方でありまするけれども、いまだに乗車拒否というやつは厳然として残っているわけですね。だから、これだけで乗車拒否を解消していくことはできないんではないだろうか、こういうふうに私は考えるのであります。その辺の見解でありますが、ことに、いまの業界ですね、先ほど説明願ったように、体質改善というねらいは、やっぱり、いまの利潤追求ですね、こういうものを一体どう排除していくか、こういう点にあるかと思うのであります。それからもう一つは、やはり希望することでありますが、都市交通の麻痺状況、こういう渋滞状況というものをどう解決をするか。これはしかし高度な都市政策の政策決定の範囲に入りますから、運輸大臣がおりませんからこの点は省きまするけれども、そういう面に対する見解は一体どういう見解を持っておられるか、この辺をひとつ事務当局の回答を願いたい。
#41
○政府委員(黒住忠行君) 御指摘の問題は二つあると思います。一つは、都市交通におきます全体の輸送体系のもとにおきまして、タクシーをどのように位置づけるかという問題でございまして、それには交通行政の総合的施策が必要だと思っております。しかし、タクシーというものはいま一日に二百万人以上の乗客を運んでおるわけでございまして、大衆の足になっておるわけでございます。したがいまして、タクシー自体に対する政策というものも、全体の一環として、そしてまた、そのような大衆の足としてのことを考えなければならないというふうに思うわけでございます。タクシー行政、乗車拒否等に対するものといたしましても、これは場所と時におきますところの需給のアンバランスである。その場合におきまして、運転手不足というものは最近顕著でございます。良質の運転手を確保いたしますためには、給与の改善をし、良質な職場を提供するという政策が必要であると思う次第でございまして、運賃の改定につきましてもその一環でございますし、今回御提案申し上げておりますところの近代化センターに関する法案も、良質の運転手を確保するための登録制度、それから研修の制度、それから福利厚生施設の提供というふうなことで良質の職場を提供しようとするものでございまして、それらの施策の推進をはかりたい。それから今回運賃改定におきまして、時間併用メーターであるとかいうふうな制度面から改善いたしましたのも、近距離、混雑のときにおきますところの乗車拒否対策に資したいという考え方でございます。われわれといたしましては、量的質的に輸送力を増加いたしまして、この供給にこたえていくという総合的政策をこれから進めたい。そしてまた、事業者のほうの姿勢というものも必ずしも十分ではない。こういう重要な仕事でございますから、その任務に目ざめた事業者の姿勢が必要であると思うわけでございます。
 いまの施策と同時に、乗車拒否がある以上は、行政的な取り締まりという問題、これも厳重にやっていかねばならないと思っている次第でございまして、それには警察関係の御協力を得まして取り締まりを並行して実施をしていきたいと、かように考えております。
#42
○戸田菊雄君 交通安全対策等について若干質問してまいりたいと思うのでありますが、きょう総務長官が都合でちょっと出られないということでありますので、副長官ですね。第一点は、最近における交通事故がますます激増いたしております。ことに、国民生活に与える影響というものは深刻なものがあるわけですね。こういった国民の最大の課題の交通事故防止という角度で、国ないし地方公共団体といたしましては、一体どういう基本政策で今後の事故防止に当たっていくのか、その辺の所信をひとつお伺いをしたい。
#43
○政府委員(湊徹郎君) ただいま交通安全対策の基本方針についてお話がございましたが、ただいまおっしゃるとおりに、交通事故は非常に激増いたしてまいっております。自動車の伸びに比べますと、相対的に交通事故による死者ないし負傷者の数は減っておるわけでございますが、その中身を分析してみますと、いろいろ自動車の種類により、車種により、さらには道路状況との相関関係等によって、さまざまなようでございます。で、私どもとしては、要は、実効のあがる対策を考えなきゃいかぬ、こういう立場で、過般、昨年来、たとえば大阪の御堂筋あるいは堺筋等、四つの幹線道路を中心にして一方通行の規制をやった、ただそのことだけで、昨年の一月十一日から三月十日までの事故件数と同期間のことしのやつを比べますと、昨年は大体二百八十一件あった事故が百四十一件に減っておる、こういうことでございますので、一方通行の規制あるいは右折禁止の徹底、さらに路地裏等――裏のほうに回りますために、そこで生ずる事故の防止、この三つの点を過般きめて、七大都市を中心に、おもな都市においてはその規制の強化をやっていこうというふうに考えておるわけでございますし、さらに、いろいろ日本の事故の場合、アメリカなどと比べますときわ立った特徴が見られるわけでございます。御承知のように、アメリカの場合は、まあ走る棺おけと言われておりますように、自動車相互の事故あるいは街路から自動車が飛び出す、こういうふうな事故が五七%ぐらいになっておりますが、日本の場合は、反面、歩行者――これは自転車に乗っておる人も含めまして、歩行者に対する事故だけで約五割に近い四八%をこえる比率になっておるし、また、例の原つき自転車、これが、アメリカなんか数%しかございませんが、日本の場合は二八%にもなっておる、こういう状況から、先ほど建設大臣も言われましたが、歩道の整備、これを中心に交通安全施設の整備等もやっておるわけでございます。二年ほど前に私のほうで委託調査をやって歩道の効果を調べてみますと、歩道ができますと通行中の事故はもう皆無になる。それから横断中のやつも約七割程度減る、こういう結果が判然としておりますので、歩道の整備を中心に、それらの道路交通環境の整備、これを中心に考えていきたいと思っております。
 総体的に申しますと、四つの柱を設けまして、一つは、ただいま申しましたような交通安全施設、これを中心に、御承知の緊急措置法による整備をやっておるわけでございますし、もう一つは、先ほどこれも例にとりましたが、交通規制の強化、こういうことを中心にして交通環境の整備をはかる、これが第一の柱でございます。二番目には、間もなく、交通安全運動、これは春秋全国的に展開しておりますが、それから学校における安全教育、運転者に対する同様安全教育等を含めて交通安全運動、これを展開する。三番目には、交通秩序の確立。このためには、今度の国会に、道交法の改正、特に飲酒運転等の規制を中心に出してあるわけでございますが、そういう交通秩序の確立。四番目には、被害者の救済対策、こういうふうな基本線のもとに各省庁のやっております施策を総合的に調整しながら実効のあがる方法をとってまいりたいというのが私どもの考えでございます。
#44
○戸田菊雄君 問題が前後いたしますが、外務大臣が御出席になられましたので、外務大臣に若干質問してまいりたいと思うのであります。
 その第一は、今回の日航機の乗っ取り事件等を通じまして、いろいろ苦労なされたと思いますけれども、これが、朝鮮民主主義人民共和国、これに行く場合、けさの七時のニュースでありますると、日本のほうから事前通告がなかった、こういうNHKの放送が、けさ七時の放送で行なわれた。これは一体どういう事情になっておったのか、その辺の事情、経過をひとつ御説明願いたいというふうに考える。きのうわが党の鈴木議員からも本問題についていろいろと質問がなされまして、外務大臣のほうからお答えがあったのでありますけれども、いわゆる北朝鮮のほうからは拒否をされる、こういう事態が現に発しておるわけです。こういう問題について、一点は、お伺いをしたいと思うのであります。
 それから第二点の問題は、なぜ一体、この朝鮮民主主義人民共和国のほうに当初から航路を選定をしなかったのか。それを金浦飛行場のほうに一たん戻しましたね。この辺がやはり紛争の原因になっているのではないだろうか、こういうふうに推測をするわけでありまするけれども、この辺の見解について外務大臣の所見を伺いたいと考えます。
#45
○国務大臣(愛知揆一君) 御質問にお答えしながら、その後の状況の御報告を申し上げたいと思います。
 昨日は「よど号」の一般多数の乗客が、ともかく無事に解放されて帰国せられましたことにつきまして、たいへん御同慶の至りと思っておりますが、一方、ただいま残された大きな問題が、平壌に飛んだ山村次官及び乗組員のすみやかな帰国を実現することにあることは申すまでもないところでございます。本件につきましては、政府といたしましても全力をあげてこの目的実現をはかっておりますが、また、一般乗客の解放について国会を通じあるいは国民全般の非常な御支持をいただいたと御同様に、本件につきましてもいろいろと御支援御鞭撻を賜わりたいと存じます。
 政府といたしましては、「よど号」が、一般の多くの乗客の身がわりとして山村政務次官が搭乗いたしまして、平壌に向けて出発することが確実になりました時点におきまして、これまで御報告申し上げておりますような、その事前の措置にさらに加えまして、「よど号」が平壌に到着したならば、山村政務次官及び乗組員を乗せて同地から直ちに日本に向け出発できるように、軍事休戦委員会を通じ、北朝鮮側に申し入れますよう米国に依頼をいたしました。これに対しまして、ちょうど「よど号」が平壌に到着したころの時刻に、北朝鮮側より軍事休戦委員会及び米国を通じ、事態が変化したので、わがほう側の要請の内容は保証されることができない旨の通告に接した次第でございます。また、平壌放送は、四月三日付の日本赤十字社の電報に対する回答として、北朝鮮側の当該機関はこれ以上関与することを望まないと言って北鮮赤十字社に何らの回答も与えていませんとの趣旨を、北鮮赤十字社から日本赤十字社に電報した旨放送しておるとのことでございます。日本政府といたしましては、事態が本質的に変化したとは考えておりません。また、この時点の要請は、到着後すみやかな帰還に関する要請であったのでございます。政府といたしましては、北朝鮮側が人道的見地からわが国の要請に応じて「よど」号を、山村政務次官及び乗り組み員とともに、すみやかに平壌を出発せしめてくれますよう、心から熱望するものでございます。そして、このために、できる限りの措置を講じつつある次第でございます。
 私は昨夜、羽田に参りまして、御苦労願いました阿部代議士及び乗客の方々のお元気な姿に接しましたが、この喜びが、赤軍派と称する犯人たちの犠牲となった山村政務次官、乗り組み員及びその御家族の方々にすみやかに与えられない何らの理由はないと思うのでありまして、ここに、再び北朝鮮の人道的考慮に訴えるとともに、政府としてできる限りの努力をいたしますことをお誓いする次第でございます。
#46
○鈴木強君 ちょっと……。
 この乗客が全員帰ってこられたことについては、私も非常に喜んでいるわけですが、いまお話しのように、一面、山村政務次官さらに乗員の方々の安否を非常に気づかうわけですが、いま大臣のお話しの中で、私は一つ問題になるのは、きのうも私申し上げたんですが、三十八度線を越えて北に飛ぶ場合の保証については、事情の変化がある。要するに、乗客をおろして、山村さんとそれから犯人と乗員が行くということになっておるわけですから、明らかに事情の変化があったわけです。だからして、そのことを事前に北側に話をして安全の保証を取りつける必要があるのではないかと私は聞いたんです。ところが、あなたのほうでは、前に回答をいただいておる人道的な立場に立っての考え方が貫かれておるので、その点は変化はないと、こう言われましたね。いまもそのことを言っておるわけです。しかし、私は、これは明らかに事情の変化だと思います。ですからして、その点を、大きな食い違いがあるわけですから、これはあとまでも問題を残すのではないかと私は思います。ですから、要するに、乗客をおろしたあと犯人と身代わりだけが北に入るというわけですから、朝鮮民主主義人民共和国としては、何かその犯人をおもに迎えられるのだという考え方になります。だからして、当初の人道的な立場に立って、何にも責任のないお客さん、乗客、この人道的な立場に立っての生命を保証するということであったのではないかと思うのですね。ですから、その辺の私は食い違いがはっきり出ていると思います。ですから、これは今後も大きな問題になると思いますが、それが一つですね。明らかに、私は、本質的に変化がないという考え方で今後も交渉するということは、私はちょっとどうかと思います。
 それから外交ルートの点ですが、モスコーの中川大使からソ連側に要請いたしましたが、ソ連側は、これは朝鮮民主主義人民共和国は独立をした国であるからソ連のほうでどうこうということは言えない、要するに、北朝鮮側の決定するところであるということで、あまり取り合ってくれないような態度をとっておられるのではないでしょうか。それから、もう一つは日赤ですが、その赤十字のルートについても、北の赤十字社からは、けさも新聞で拝見しましたが、かなり強い抗議を含めたような形の返事が来ております。こうなると、これから一体犯人の引き渡しの問題もありますが、山村さんと乗員を、どういう外交ルートを通してやろうとするのか、打つ手がないような気がするのでございます。この点は一体どういうふうにするのか、そのことをはっきりしてもらいたいのです。それから、犯人の引き渡しですけれども、これはもう北朝鮮の憲法を見ますと、亡命は認めております。したがって、これが政治犯であるのか、あるいは一般刑法上の犯罪としての扱いになるのか、これは向こうの北朝鮮側のいろいろ見解もあるでしょうけれども、日本としては刑法上の立場に立っての事件である、したがって、犯人はすみやかに日本に戻してもらいたい、引き渡していただきたい、こういう態度で今後もいくのでございましょうか。私は、社会党の阿部代議士が現地に参りましてから帰ってきて様子を聞きました。聞きますと、少なくとも阿部代議士が向こうに行くまでは、その近くには、飛行機の近くにはだれも寄せつけなかった、初めて阿部さんがタラップを登って、そうして飛行機の機長さんのところの窓から向こうの犯人と話ができたのだ、こういうことで、まあ確かに阿部さんの行かれたことについて外務大臣も感謝の意を表しておるようですけれども、そういうきっかけをつくったことになったことは非常によかったと思います。しかし、非常にこれは事がめんどうですから、今後いろんな意味において御苦労をいただくわけですけれども、根本的に朝鮮民主主義人民共和国のほうが持っております日本に対する不信感といいますか、そういうものをどうしてぬぐっていくのか、いま戸田委員からもお話しのように、どうして板付から金浦に着陸しなければならなかったのかというようなことについても問題があるようです。韓国のほうのけさの反響は、むしろ日本に協力してやったのだけれども、逆に韓国の態度に対していろいろと批判があるようだというので、韓国は韓国としてまた何かいろんな日本に対する批判も出ているようじゃないでしょうか。飛行場にあった国旗を取り下げて、そしてまさに平壌と思わせるような形で着陸したというようなことに対しても、これはやっぱり政治的に相当問題があると私は思います。ですから、この背景というのは非常に複雑であり、大きな問題があるように思いますけれども、私は、これはあらためてまた他の機会に譲ることにいたしますが、いま申し上げました三点については、ひとつこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
#47
○国務大臣(愛知揆一君) 当委員会におきまして、昨日までに御説明を申し上げましたとおり、本件についてはまことに複雑な動きがございましただけに、あらゆる場合を想定して、人命を何とかしてすみやかに尊重をし、安全を確保したいということに政府としては徹してまいったつもりでございます。そこで、「よど」号が北鮮領域に入り平城に向かう場合があり得るという想定のもとに、昨日まで申し上げましたように、いろいろのルートを通して北鮮側の保証を求めたわけでございますが、最初の政府としての措置といたしましては、こうしたような条件下にある「よど」号というものが無事に北鮮に飛んだ場合に、着陸させてもらえるであろうかという質問的なところを聞いたわけでございます。それに対しまして、ただいま申しました、軍事休戦委員会等を通じまして、間接でございますけれども、この質問といいますか、打診に対しまして、先方は保証してくれたわけでございまするし、またさらに、それにつけ加えて人道的な待遇というものも保証してくれたわけでございます。
 そこで、先ほども申しましたように、あくまでこれは人道的な問題でございますし、それから山村氏が犠牲的な精神に出た行動というものは、身がわりでございまして、百人の人命にかわって一人が身を挺してこの危急を救おうというこの英雄的な行動というもの、これは全く他意のない、百名の方々をできるだけすみやかに安全にしていきたいという崇高な人道的な精神から出た行為であることは、これはもう内外ひとしく認めていただける、称賛すべき行動であると思うわけでございます。したがいまして、こういう点から冷静に考えてもらえれば、本質的に百人の方々が降りて、身がわりに一人が乗ったということは、やはり最初からの態度について私は信頼を寄せたわけでございますし、それから、この飛行機が安全に着陸をしたということも、いろいろの情報から見て確認できると思います。こういうわけでございますから、そういう点について先ほど申しましたように、今回の軍事委員会を通じての先方の回答あるいは赤十字を通しての回答と申しますか、態度等から見ますると、いよいよ離陸をするときになって、わがほうといたしました場合には、いま申しましたような経過の上に踏まえて、着いたらばすみやかに日本向けに、乗り組員はもちろんでございますが、山村氏を乗せて即座に日本向けに飛行させてくれと、こういう要請がこちらの最後の要請でありますが、それに対して時間的に申しますと、ちょうど先ほど申しましたように、先方に着陸したころ合いに、いま申しましたような間接の回答あるいは平壌放送というようなものが傍受され出したわけでございます。
 こういうふうな観点から、日本政府といたしましては、あくまで人道的な立場に立ってひとつ、百人を助けるということにこれは直接結びついている問題でございますから、この点をひとつよく理解してもらって、すみやかな返還ということにぜひこの上とも協力を求めたい。で、その方法につきましては、いまいろいろとまたやっているわけでございます。
 それからもう一つ、先ほど戸田委員の御質問に私答弁漏れがございまして恐縮でございますから、あわせてお答えいたしておきたいと思いますのは、金浦飛行場における「よど」号の着陸の問題、これは率直に申し上げますけれども、そして、先般当委員会でもそれに触れて申し上げたつもりでございますが、板付空航を飛び立ってこの飛行機が朝鮮半島の東海岸を北上して進路をとったということを聞きまして、実は私どもはどこへ着陸するのかということは全然わからなかった。むしろこれは北鮮の方向に行ったものと思い、その当時それなりに、先般の委員会でも申し上げたと思いますが、あらゆる想定のもとに、関係の筋に協力を求めたという経緯もございます。そのくらいでございますから、金浦飛行場にこの飛行機が着陸したということについては、われわれは率直に申しまして、着くまで何ら関与もしておりませんし、また、着いたときには、むしろああそうかということを思ったぐらいでございます。この金浦に着いたこと、この点につきましては、いかなる経緯でどうなったのかということについては、これは詳細に調べてみませんと、実は政府といたしましては、まことにどうも恐縮な話でございますけれども、真相は捕捉することができないのでございます。私どもとしては、その事実のもとにおいて、与えられた条件のもとにおいて、何とかして早く救出をしたいということに努力を傾倒してまいった、こういう関係でございます。
 もう一つのお尋ねもございましたけれども、何ぶんにもただいまの政府としての関心事は、山村君と乗り組み員の即時帰国ということにもう焦点をしぼって、どうしてもこれを早急に解決したいということに終始いたしておりますのが今日のただいまの状況でございます。
#48
○横川正市君 関連。事件が四日にわたって展開をされ、それに解決をするために非常に努力をされた点、それから乗員の皆さんには非常に苦慮をかけておりますし、山村政務次官のいわば勇断にも私どもは敬意をいたしております。ただこういうような問題が起こったことでの解決の道筋で非常にふに落ちかねる点が二、三あるわけです。
 それは、東京から福岡までの間においては、燃料の不足で福岡に着陸をし、そこでは説得が中心になって行なわれた、しかも、長時間行なわれた。しかし、その間での判断は、一つは犯人の希望に向かって立たせるか、それともあくまでも福岡で問題を解決するか、この立場に立たされておったと思うのであります。そのときに機長が単独で飛び立ったという点から、いささか私ども判断に非常に迷いを持つのでありますが、たとえば自衛隊のF86が滑走路に二機横たわっておったものが取り除かれて、自動車だけが発煙筒をたいてじゃまをしたというニュースがありましたが、おそらく自衛隊機がおれば、これは発進することはできなかったと思うのです。そういたしますと、石田機長の単独の判断で発進をしたのか、それとも何らかの指示があったのか、この点では外務省当局の判断あるいは日航当局の判断、あるいはすでに自衛隊と連絡をとっておりますから、自衛隊機が常にこれとまつわっているという問題、この三つの関連がほとんど明快に答弁をされておらない点があるわけです。ですから、外務省当局の判断としては、私は、これは人命救助いちずに行なわれたという点を、いまの外務大臣の答弁でこれは知ることができますけれども、しかし、一体この日航とか自衛隊とかあるいは米軍、韓国の空軍、金浦までのコースというものについてはいささかどうもふに落ちかねる問題がたくさんあるわけです。これは一貫して人命救助を第一義として行なわれたのか、そうではなしに他の要素というものがあって、たとえば石田機長の単独で発進した、これは石田機長としては北へ行きたい、それが途中でねじ曲げられて金浦に着陸したのではないのか、そのねじ曲げたのは実は外務省なのか日航なのか、あるいはその他の機関なのか、この点がはっきりいたさない。これが実は山村政務次官をしていま非常に苦境に立たされている問題が起こり、さらには外務当局が苦慮をする問題に私はぶつかっていると思うのであります。全体として一様に最善を期して人命救助に向かったと思われない節がきわめて多いというところに、いまここに乗員の、全員の無事を祈り、しかもこれに全部で感謝をすることにふっ切れない問題を残し、しかも今日以後に大きな困難な事態を置いている。こういうふうに私どもは見るわけなんでありますけれども、これはまあ外務大臣から、そのときの事情その他をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#49
○国務大臣(愛知揆一君) 外務省といたしましては、先ほど申しましたように、これが日本の領海外に飛び立って、そうして着陸したその時点から、外務省のこれは本来の大いに責任を持って働かなければならないところでございまして、先ほど申しましたように、そういう与えられた条件のもとにおいて最善を私は尽くしたつもりでございます。というのは、金浦飛行場へ着いたというこの事実から発足いたしまして、それ以上遠くへ行かないでせめて板付で解放できなかったことを――そこよりももっと遠いところへ行かないでしかも時間的にも多少赤軍派と称する者との話し合いが時間がかかっても、そこで解放されることが御本人たちにも喜んでいただけるだろうし、御家族の方も比較的の時間の問題からいいましても、いろいろの便宜からいいましても、私どもとしてはそれが最善であると考えまして、金浦飛行場における多くの方々の解放ということについて私どもとしても及ばずながら御協力をいたし、また万全の努力をいたしたつもりでございます。この飛行機が板付を発進いたしましてからどこへ行くのかというようなことについて、私どもとしてそれに積極的な関与あるいは干渉というようなことは絶対にいたしておりません。このことはもう明白に申し上げておきます。
#50
○横川正市君 もう一つ、ちょっと。
 これはきょうのいろいろなニュースその他でも伝えられておるわけでありますけれども、たとえば板門店の軍事委員会を通じて行なわれるということはこれは妥当を欠くのではないかという第三者の意見というのは非常に強く出ておるようであります。明らかに人道上、人命上の問題として問題が提起をされて、そうして北鮮側にそのことの理解を求めるとすればどういうルートを通って行なわれようとされるか、その点をひとつ、関連ですからこれで終わりますけれども、お伺いいたしたい。
#51
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまも私の率直な気持ちを申し上げたわけでございますけれども、少なくとも現在までのところは、人命救助、少しでも時間が早く金浦において解放されるということをもう唯一最大の目的にいたしましたから、政治的な、あるいはその他の考慮なくして、もうそれはいまもお話しのように、あるいは休戦軍事委員会を通ずるルートがいいとか悪いとか、どこを通ずるがいいか悪いかとかいうことをこえまして、あらゆるルートから呼びかけをいたしました。たとえばソ連政府にも要請を頼みました。軍事委員会にも頼みました。赤十字はもちろんでございます。あるいは国際電電、あるいはNHKの海外放送、利用し得るあらゆるルートを活用いたしましたが、そこでやはり赤十字あるいは軍事委員会というのはやっぱり現場にいろいろの通信施設その他を持っている関係でもございましょうが、こういうところからの回答や連絡が早かった、あるいは具体的であったというその事実関係を私申し上げておるわけでございまして、政治的考慮というものを多少でもそこに加味して、どこの機関を通ずるがいいかというようなことは、これは実は外務省としてはこれをこえた人道的問題、ただこの一つの目的に向かってなし得るあらゆることをしたということにおいて、先ほど申しましたような経過をたどったわけでございます。
#52
○戸田菊雄君 ただいまいろいろと疑問点が出されたとおりだと思うのでありますが、たいへん困難な事態解決になると思うのでありますが、ぜひひとつ御努力を願って、乗客が全員帰られて非常に全体が感謝をしているわけでありまするけれども、続いてこの乗員、石田機長外山村政務次官、こういった方々が早期に返還できるように最大の努力をお願いを申し上げたいと思うのであります。
 要望いたしまして、次の問題に移りたいと思うのでありますが、外務大臣にもう一点だけお伺いをしておくのでありますが、これはインドシナ半島全域に最近戦火が非常に拡大をする、こういう情勢になっているように判断をするわけでありますが、なかんずくこのカンボジアの問題について、日本の場合は賠償行為の一端といたしましてカンボジアに対して畜産センター、あるいは農事センター、あるいは医療センター、こういった援助体制というものをとっていると思うのでありますが、そういう部面の今後の継続に関しては一体どういう考えを持っておられるのか、あるいはその当該国には大使が行っているわけでまりあすが、そういう面での危険性といいますか、そういう問題についてはどう判断をされておるのか、その辺の問題についてお伺いをしておきたいと思う。
#53
○国務大臣(愛知揆一君) カンボジアのこの政情につきましては、今回の政情の展開とでも申しましょうか、ロン・ノル政権が現在新しい政府として努力しているわけでございますが、この新政権あるいは新元首、新仮元首の誕生については、カンボジアとしては、現在の憲法のもとにおいて適法な手続によって成立したものである。そうして成立した現政府は、前政府以来の平和中立というような路線で各国と友好関係を継続していくのである、こういう態度でその当時、日本に対しましても、国交関係のある他の諸国と同様の通報をしてまいったわけでございますので、政府としては、他国と同様に、大体の大多数の国がそういう態度をとっておるようでございますが、これはまあいわば革命による政権の交代とか憲法を否定したとかいうような新しい全然性質の違った国になったわけではなさそうだということで、あらためて承認とか不承認とかいう措置をとることなくして、その申し入れをそのまま承っておるわけでございます。これは何といいますか、法律的な関係を申し上げたわけであります。
 今度は実体的の現状につきましては、私は、まだ流動的な状況であって、いずれにしても、ベトナムの戦争がさらにこの問題においてエスカレートしないように、関係国が協力して努力を傾倒すべき時期であると考えておるわけでございます。日本としても、そういう面において、協力できることにはやぶさかでないという態度で情勢を静観しておるわけでございます。
 そこで、その次の問題は、従来いろいろの関係で日本が経済協力その他をいたしておりますが、そういうふうな流動的な状況でございますが、一番気にかかりますのは、邦人が活動しておりますが、これが安全に仕事ができるかどうかということでございますが、それらにつきましては、いまお話もございました畜産センターにおける邦人あるいはその家族の若干というような方々が、一昨日、プノンペンに避難をしたとか、あるいは地方在留の邦人について不安のないような措置については十分の手配をいたしておるつもりでございます。
 で、将来私どもとしては、インドシナ半島全体が平和になって、そしてその地方、国々の民生が安定することを終局的な目標にいたしておりますから、その面からいろいろの経済協力の案を進めてまいらなければならないと思いますけれども、まず政情が安定し治安が安定するということを前提として、情勢を十分掌握しながら、そういった計画が進むように進めてまいりたい。まあはなはだ大ざっぱでございますが、大体の考え方はそういう考え方でございます。
#54
○戸田菊雄君 関連でもう一点お伺いをしておきますが、いわゆるシアヌーク元首ですね、これがソビエトに行き中国に行って、現在ハノイにおる。なおかつこのシアヌーク元首の私設顧問ペン・ヌートという、前の内閣総理大臣やった方でありまするけれども、そのペン・ヌートのいわゆる声明を見ますると、今後解放戦線を形成をして奪権に臨むというようなことを言っておるわけですね。そういうことになるとすれば、あのカンボジアの大平原地帯でありまするから、内乱抗争等については適切な土地になっているのじゃないか、立地条件としては、そういうふうに推測できるのでありまするけれども、そういうことになりますると、いまわが国から行っている畜産センターや農事センターというものは、バッタンバン省で、プノンペンから約三百キロから離れている場所でありますね。非常に遠隔の地にあるわけでありますから、そういう危機的要素が深まったということであれば、当然事前に十分情勢察知の上に立って救済措置もしくは帰国等々の措置を打っておかなければ、これもなかなかたいへんではないだろうか、こういうふうに考えまするけれども、それは、いま外務大臣もおっしゃられましたように、常時現地大使等と通報し合いながら情勢をつまびらかに検討はされておるだろうと思いますが、その辺の今後の情勢変化に伴う対処策というものまで検討されておるのかどうか、このような点をお伺いしたい。
#55
○国務大臣(愛知揆一君) カンボジアのことしの二月一日現在の状況で、在留邦人が二百二十九人で、そのうち百五十九人がプノンペンでございます。それから、その他がバッタンバン州、コンポンチャム州、コンポンスプー州というようなところに在住するコロンボプラン専門家とその家族があります。これが大体の状況でございますが、先ほど申しましたように、畜産センターの方々などで遠隔のところにおられる方には、プノンペン市に避難をしていただいておるわけでございます。
 で、こういった状況下におきまして、まあ特にこれは先ほども申し上げましたように、流動的な情勢下にある地域でございますから、緊急事態に備えて、ただいまも本年二月一日現在と申し上げましたが、まあ短期の旅行者その他はともかくといたしまして、十分この邦人の実態を在外公館で把握して、相互の連絡網を整備する。それから、飲料、燃料、食糧はもちろんでございますが、緊急物資の集積、それからさらに非常の場合の避難、集結の方法というようなことにつきましては、人数としてはさして多くございませんので、私といたしましても非常に心配はいたしておりますが、十分現地公館を中心にいたしまして態勢は整えられておると。しかも、流動的ではありますけれども、現在のところさしてこれが何と申しますか、治安的に騒乱がエスカレートするというような状態でもなさそうに見ておりますが、しかし、安心しないで緊急状態に即応できるような態勢をくずさないでおると、こういうふうな状況にあるわけでございます。
#56
○戸田菊雄君 外務大臣けっこうです、ありがとうございました。
 次に、本題に戻りまして、交通災害問題について質問してまいりたいと思うのでありますが、先ほど副長官から説明がありまして、それぞれ当面この交通安全措置として四項目設定の上に具体的措置をしておると、こういうお話でありましたけれども、私はこのいまの交通災害の発生要因というものは、一つは何といっても、この交通政策の貧困にあるんではないだろうか、もっとやはり陸海空含めた交通の一元化対策と申しますか、そういう角度から抜本的に安全施策というものを練られていかなければいけないのではないだろうか、あるいはいまの利潤追求第一主義ですね、こういう業界の姿というものをもう少しやはり改善を加えていく、あるいはこの安全設備においては全く不備状態でありますから、こういう問題について、もっともっと力を入れてやっていく。さらにこの人権無視の、極悪な労働条件、運転手その他に対して何らその改善措置が加えられておらない。こういうところに私は総じて事故というものが激発、激増をしている、こういう情勢ではないかと思うのでありますが、そういうことからわが党が年来主張してまいりましたように、交通安全基本法というものをやはり抜本的につくっていく必要があるのではないか。もう警察庁から資料をいただきましたけれども、年々増加の一途をたどっているんですね。件数において、死者数において、負傷者数においてふえておる。で、こういう情勢からいってみると、やはりこの辺で政府といたしましては、抜本的な改善策をとっていく必要があるんじゃないか、こういうふうに考えるんですが、その辺の見解はどうですか。
#57
○政府委員(湊徹郎君) 先ほどもお答え申し上げましたが、四つの基本線を具体的に実施に移すということでやっておるわけでございますが、ただいまお話がありましたように、自動車の増加のテンポは非常に速うございますし、十年前に比べると約六倍になっておる。で、それにおおむね比例して事故も多発の傾向にあるし、非常にそれが多種類、多様な形になっておりますので、各省庁の施策を総合的にやってまいりますために、国あるいは地方公共団体、さらには使用者、運転者、歩行者までも含めた全体としての責務を明らかにすると同時に、ただいまおっしゃるような総合的なさらに長期的な施策をまとめて展開するような形を、態勢をはっきりすることが必要であると思っております。そういう観点から、今度の国会にも交通安全対策の基本法を提案をして、目下衆議院で御論議をいただいておりますが、一日も早くその基本法を成立さして、それをもとに強力な施策の展開が可能になるようにしてまいりたいというふうに考えております。
#58
○戸田菊雄君 そこで建設大臣にお伺いをしたいんでありますが、今年度の建設省の提案によりまして、この交通安全対策の施設関係の充実態勢について御提案がなされておるわけでありますが、私たちは、国のこの交通安全対策の負担割合というものを現行五〇%からさらに引き上げてはどうかと、こういう考えを持っておるわけであります。でき得れば七〇%程度に引き上げて、完全にこの充実態勢をとっていく。この計画をいろいろと検討いたしますると、すでに三ヵ年計画が終わって、四十四年度から再度三ヵ年計画にいま入って、四十六年度までいくわけであります。この前段の三ヵ年計画では、わずか総額六百三億ですね。今年度の場合は、この計画書に基づきますると七百九十六億円、これではやはり総体の総予算からいっても、あるいは財政投融資その他の総額からいっても、私は非常に少ないのじゃないかというふうに考えるのですね。ですから、これを、もう少しこの裏づけを増大をして、もう少し急ピッチに速度を速めて、早期に解決するような方策は考えておらないかどうか、その辺の問題についてお伺いいたしたい。
#59
○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。御指摘のように、道路交通安全施設等の整備計画におきましては、従来の三ヵ年計画による道路管理者負担分は七百五十億でございます。道路法及び道路安全施設等整備事業による緊急措置法に基づく国の負担は、あるいはこれに補助制度もございますので、これを合わせますと、国費が四百三十六億七千万円でございまして、したがいまして、事業費に占める国費の割合は約五八%になるようになっておるのでございます。しかし、御指摘のとおり、もう少し国がめんどうを見たらいいだろうということでございまして、これは先ほども申し上げました四十六年度までの特定財源等の状況も考えまして、さらに検討を進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
#60
○戸田菊雄君 国家公安委員長にお伺いをするのでありますが、最近の総理府発行の官報その他を見ましても、いまの建設大臣のお答えがありましたけれども、すべては取り締まり強化によって、ただそれ一筋で事故防止を考えていこうという、こういう考えがあるようですね。もちろん建設省資料の対策の中には、十分国家公安委員会あるいは建設省、関係各省と相談をしてということでありまするけれども、どうも私たちとしては、そういう印象を受けるのでありますが、その辺の見解についてひとつお伺いをしたい。
 もう一つは、資料をいただいたのでありますが、これは四十四年度の資料ですね。四十五年のこの見通しは一体、やはり激増の傾向にいっているのじゃないかというふうに考えるのでありますが、いまの施設状況からいけばですよ。この辺の見解はどうでしょう。
 二点についてお伺いをしたい。
#61
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。事故防止の件でございますが、最近における交通情勢は年々悪化の傾向をたどっておりまして、これに伴って交通事故も増加しつつあります。このような情勢に対処するために、警察としましては、歩行者、自転車、運転者の死亡事故を大幅に減少すること、車対車、車単独の事故の現在の増勢を抑制することを目標に、本国会において御審議をお願いしておりますとおり、道路交通法の一部を改正して、交通巡視員の新設等、所要の規定を整備することとし、当面できる限り多くの警察官を動員して、街頭における交通監視体制を強化し、交通安全施設等整備事業の第二次三ヵ年計画を実施して、補助事業四十六億円、府県単独事業二百三十一億円、合計二百七十七億円をもって、信号機、道路標識、道路標示の整備をはかり、住宅地域など、いわゆる裏通りにおける一時停止、一方通行などの交通規制を拡大して、歩行者等の安全をはかるとともに、地方公共団体を中心として地域安全活動や、事業所団体等職域における交通安全教育が積極的に行なわれるよう助言、協力するなどして、交通安全に関する国民運動の展開をはかり、また、免許更新時講習等の充実につとめて、運転者対策を推進しているところであります。一方、現時点における各般の交通情勢を基盤として、長期的な展望に立った事故防止対策についても検討を進めているところであります。すなわち昭和五十年度を目標年度とする長期計画を策定し、この計画に基づいて交通管制組織等の警察の交通管制体制を抜本的に整備し、交通問題の解決に全力をあげたいと考えております。
 なお、昭和四十五年度の事故数につきましては、政府委員からお答え申し上げます。
#62
○政府委員(久保卓也君) ただいま大臣が答弁されましたように、私どもとしては、取り締まりというのは交通安全対策のあくまでも一環でありまして、警察といえどもそれが大部分であるという考え方は全然とっておりません。それは以前はあるいは警察は取り締まりということが主であったかもしれませんけれども、警察の中でも交通部門というものはきわめて近代的なものであり、また、事故の原因というものは多岐にわたるものでありますから、あくまでも取り締まりというのは一分野であるというふうにお考えいただきたい。その内容はただいま大臣が御説明されましたとおりであります。
 なお、今後の見通しの問題でありますが、実は長期的な見通しにつきましては、私ども内部で作業いたしておりまするけれども、おおよその見当は、昭和五十年ごろにいまの死者の伸び率を五%ぐらいに押えてまいりたいというふうな考え方を持っております。その理由もいろいろございますけれども、昨年は死者の伸び率が一四・六%でありました、一昨年に比べまして。そこで、ことしの見通しという御質問でありましたが、現在三月末までの数字は、昨日申し上げましたように、件数で〇・三%の対前年比伸び、負傷者の数で対前年比〇・七%の伸び、これは昨年が件数も負傷者数も一五、六%の伸びでありましたから、いまのところ、わりとよろしい成績だろうと思うのですが、死者が七・一%の伸びとなっております。この点はいま申し上げましたように、昨年が一昨年に比べまして一四・六%でありましたから、これも半分ぐらいでありますので、よろしい成績ではありますが、いまのところこういうことでありますけれども、やはりこの点も一〇%近くいくのではなかろうか。しかし、私どもの努力としては、今年でもなおかつやはり五%以内に押える努力をしてまいりたい、かように考えております。
#63
○戸田菊雄君 もう一点、取り締まりの内容についてお伺いをしておくのでありますが、東京の都心部あたりはじゅずつなぎに車がつながっているのですね。スピード違反その他がありますと、白バイの警察官がすぐそれを前に行ってとめるわけですね。急停車するわけですから、非常に警察官も危険だろうと思いますし、とめられたほうの車も非常に危険だと思うのですね。ですから、ああいうものは何か機械的に、いまは近代化の世の中でありますから、そういうもので当該車に表示をして安全態勢でとめていく。でないと、この間、そこの国会の衆議院の角でもって実はあったのです、三重衝突、そういうことでね。だから、こういうことになると、非常に両者に危険を与えるということになると思うのですね。だから、その辺の違反摘発等の場合に何かもう少し検討を加えられた取り締まり措置はないのかどうか。その辺はどうでしょう。
#64
○政府委員(久保卓也君) おっしゃるような問題がございます。そこで、いまの問題につきましては、現状でも技術をもう少し高めることによって事故を防ぐことは可能であると思いますけれども、いま私どもが全般的におくれておりますのは交通警察の科学化ということであります。幸い、予算的にも逐次認められつつあるところでありまするけれども、器材そのものがまだ十分に開発されておりません。そこで、スピードの違反を取り締まる場合の器材につきましては、現状のものよりももう少し程度のいいもの、よりやりやすいもの、しかもまた交通渋滞なり事故につながってこないようなもの、それを開発を頼んでおりますので、いずれ相当整備されるようになろうと考えております。
#65
○戸田菊雄君 労働大臣にお伺いしますけれども、運転者の過労によって交通事故が非常に起こってくる。ことにダンプの運転手なんかそうですね。そういうことがありますから、できれば早期に労働基準法を改正をしていただいて、そして特例法をひとつ設けてもらってはどうかと考えているわけなんです。労働時間をもう少し短縮するとか、あるいは時間外労働を制限していくとか、あるいは必要な休憩とか、勤務の制限、あるいは給与体系の累進的歩合給というものをもう少し制限をしていく、こういうようなものをひとつ検討されてはどうかと思うんでありますが、その辺の見解はどうですか。
#66
○国務大臣(野原正勝君) 労働条件を改善していくことは当然必要だと思います。できるだけ固定給にしていく。そして歩合制、特に累進の方法等はできるだけやめていただくということでいきたいと考えておりますが、そうした労働条件がきわめて重大な影響があるという点には今日非常に関心を持っておりまして、交通問題については研究機関を設けまして、それらの問題を含めてただいま検討をしておるわけでございます。できるだけ待遇の問題――無理のない交通運転をやってもらうということについては非常に労働条件の適正化というか、適正な労働条件を与えるということが必要であろうと思います。ただいま労働基準法の改善という問題がございましたが、この問題につきましても研究中でございまして、まだ明確にここで申し上げる段階ではございませんけれども、いずれにしましても交通安全という問題は、運転手の人たちの待遇の改善という問題が非常な関連を持っておると考えておりますので、今後検討を進めてまいりたいと思っております。
#67
○戸田菊雄君 総務副長官にお伺いしますが、この交通事故の原因究明ですね。これはもっぱらいま警察関係が主でいろいろやられておるわけですが、これを総合的な対策本部の場に持ってきたらどうかという考えを持つんですが、そういう一つの調査機関あるいは交通事故心理法、こういう法制定のもとに一応厳格に、科学的に、総合的に検討していってはどうかという考えなんですが、いかがでしょう。
#68
○政府委員(湊徹郎君) 先ほども申し上げましたけれど、いま国会で御審議を願っております交通安全対策の基本法、これの主たるねらいは、組織的に体制としてがっちりひとつ総合的な取り組み方をしてみたいと、こういう趣旨から出ておるわけでございまして、ただいまお話がございましたように、非常に事故の原因等、多種多様でございますから、当然事務局的な調査機能も拡充をし、それから私どもの案では、専門委員等もその事務機構の中に持って、それで強化を画期的にひとつ前進さしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#69
○戸田菊雄君 もう一点は救済問題でありますけれども、これはILOの一九六八年の資料によりますると、フィンランドが一億八千万円ですね、スウェーデンが七千万円、フランスが三千六百万円、イギリスが一千五百十二万円、アメリカが一千八十万円等々、諸外国においては自賠責の補償額というものは非常に高いんです。ようやくわが国においては昨年五百万円に引き上げて、五百万円になったんでありまするけれども、現在の経済成長からいって、あるいは経済情勢からいって、もっとやはり高額に自賠責の補償額というものを上げていってはどうかと思うんでありますが、これ、検討する余地ありますか。どうですか。
#70
○政府委員(久保卓也君) 先般、昨年の十一月でございますが、保険金額を、死亡の場合におきまして三百万円から五百万円にしたわけでございます。三百万円の当時におきましては、六十数%のいわゆるカバレージでございましたが、五百万円ということに相なりますというと八〇%強のカバレージになるわけでございまして、示談その他の傾向から見てそのようにしたわけでございます。で、この金額を五百万円に、さらに後遺症の場合におきましてもさようにいたしたわけでございまして、総合的な補償制度等と勘案して将来検討するものでございますけれども、一応、五百万円に引き上げましたので、まあ被害者救済にはこと欠かない。それ自体としてはこと欠かないんじゃないかと、かように考えます。
#71
○戸田菊雄君 国家公安委員長、けっこうでございます。
 保育問題について若干質問してまいりたいと思うんでありますが、労働大臣にまずお伺いをいたしますが、婦人労働力対策についてですね、どういうお考えを持っているのか、その基本的な態度についてお伺いをしたい。
 それからもう一つは、最近の全国婦人労働者の数はどのくらいであるのか。これは既婚者、有配偶者、平均年齢、平均勤続年数等々でひとつお願いをしたいと思うんです。
 もう一つは、四十五年以降、賃金上昇はどのくらいになっていく見通しなのか、あるいは労働力の増加傾向、こういうものはどういうふうになっているのか、その辺の見解について承りたいと思います。
#72
○国務大臣(野原正勝君) 労働力不足の状態の中で、婦人労働の必要性がますます高まっておりまして、婦人の労働に期待する向きが年々ふえております。で、最近における婦人労働は、パートタイマーであるとか、あるいは家内労働といったような問題にもだんだんと求められておりまして、現在ではパートタイマーは約六十四万人おるわけでございますが、年々増加の傾向にあります。また内職を求めておるというものは非常に多くて、現在三百二十五万人と予想されておりますが、そういったものもまただんだんふえる傾向にあるというふうなことで、婦人労働が非常に各方面に労働力を求められておるということでございます。
 労働条件等は実はまだ非常に低いわけでございまして、パートタイマー等におきましては、一時間当たりの労働が大体百二十四円ということになっております。まあいろいろな条件がございまして、一日に二時間ぐらいのものから、多いものはフルタイマーであるものもある、しかし六時間ないし七時間程度のものが非常に多いようでございます。こういった雇用契約等につきましても、どうも内容が不明確でありまして、臨時であるとか、日雇い的な取り扱いを受けておるというふうなものも多いという点で、これらも家内労働法の制定等によりまして、できるだけ待遇の改善をはかってまいりたいというふうに考えておりますが、概して言うならば、家内労働では全体の約八〇%程度は月収が一万円以下だという劣悪な条件でございますが、これらの問題は漸次改善をして、もっと家庭婦人等が労働戦線に加わっていただくということにいたしたいと考えておるわけでございます。
#73
○戸田菊雄君 ちょっと大臣、私の質問している内容と違った角度で回答されているのです。私は、一つは、今後の労働力対策について基本的な態度は何か。もう一つは、最近の全国婦人労働者の数はどのくらいあるのか、それは既婚者、有配偶者、あるいは平均年齢、平均勤続年数、この四項目でお示しを願いたいと言っているのです。いまの説明では全然説明されていない。それからもう一つは、四十五年度以降の賃金上昇は一体どういう見通しを持っているか、何%くらい一体上がる見通しなのか。もう一つは、婦人労働力の増加傾向はどう見ているのか、年率どのくらい一体ふえていくのか、これを聞いているのです。あえて言えば、私は調査として、昭和四十二年度の統計で婦人労働者の実情調査というのがあるのです、労働省でやっているやつが。それは毎年発行されているわけですから、それに載っている資料を私は持っているのですけれども、その内容を教えていただきたい。
#74
○政府委員(高橋展子君) お答えいたします。
 婦人労働者は現在一千万をこえております。そのうちの配偶関係別の分布で申しますと、特に近年の顕著な傾向といたしまして、有配偶者が増加する傾向がございます。最近では約四割が有配偶者でございます。また、年齢階層別に見ますと、これも中高年の者がふえる傾向にございまして、最近では三十歳未満の者が約五五%、三十歳以上の者がその残余でございますので四五%、このような数字になっているのでございます。また、給与につきましては、平均月間給与額といたしまして、四十三年は三万一千五百五十三円ということになっております。対前年度増加率といたしまして一四・八%の増加率でございます。それから、勤続年数についてのお尋ねがあったかと思いますが、これは四・三年というのが最近の数字でございまして、これも逐次長くなる傾向がございます。なお、平均年齢は二十九歳、このようなことでございます。
 以上が実態でございますが、見通し等につきましては、ただいま手元に資料がございませんので……。
#75
○戸田菊雄君 いま説明になったように、有配偶者というものは非常に多くなってきておる。こういう方はすべてパートタイマーでもってきわめて劣悪な低賃金のそういう部分に全部つぎ込まれていっているのです。それからいまの婦人労働力というものは、少なくとも一回結婚されて、そして再就職、だから年齢層から見れば、三十歳を過ぎたもの、こういうものが非常に多くなっている。そういうところから今後保育所という問題が非常に必要になってきているわけだと思う。その婦人労働力がそういうところになぜ一体働きにいかなければならないか、こういう原因は一体どこにあると思いますか、厚生大臣。
#76
○国務大臣(内田常雄君) これはむしろ労働大臣のほうからお答えすべき範囲と思いますが、私は、やはり労働需給が緊迫をいたしてまいりまして、男性だけの労働力では足りないという面もありましょうし、また婦人の社会的進出ということも世の風潮になっているということもございましょうし、あるいはまた夫婦共かせぎでなければ十分な生活水準を高められないというような、そういうふうな賃金の面もあろうかと思います。ただ、私のほうがそれに関連して一言申し上げますことは、でありますから、そういう場合には、父母が家庭にいなくて保育に欠けるような児童が毎年多くなってきておる、したがって、保育所の重要性はますます高まってきておるという認識を私は持つものでございます。
#77
○戸田菊雄君 時間がありませんからはしょっていきますが、私は決していま大臣が言われたようなことじゃないと思う。やはり一つは、いまの経済情勢の高物価、重税、そういう生活苦から女子労働者が多く働かなければいけない。もう一つは、やはり女子の権利自覚ですね、そういう立場だと思うのです。こういう両面から最近非常に婦人労働力というものが多くなってきておる。これをうまくいまの政府は利用して――正式職員という形で就職させる、雇用さしていくのではなくて、すべてパートタイマーでもっていつでも首を切れる。こういうことでやっているのではないかと思うのですが、その辺はどうですか、労働大臣。
#78
○国務大臣(内田常雄君) これもどうも私よりは労働省の範囲ですが……。
#79
○戸田菊雄君 ぼくは労働大臣。
#80
○国務大臣(野原正勝君) 婦人の労働力の現状は、まさしく。パートタイマーであるとか、あるいは家内労働であるとかいうふうなことが多いわけでございますが、しかし、これはやはり一般の労働者、勤労者と同じように、だんだんと安定した職業について俸給をもらうということが好ましいわけでありますが、婦人というものは、ある程度やはり家庭生活というものといかに両立させるかという問題もあるわけでございまして、子供をかかえておるという問題もありましょうし、そういった点で、だんだんふえていくとは思うのでありますが、家庭生活と両立という問題、そこにやはりやむを得ざる事情のもとに、働きたいと思ってもなかなか定期的に一般の勤労者と同じような条件にはならないという点で、やはり託児所の施設であるとか、いろんな事情を通じて子供を預けておいて、その間は大いに働くということがますますふえるであろう。しかし、いずれにしましても、家庭婦人の人たちができるだけ多く労働力の不足の問題に積極的に寄与していただく、そしてそのことが生活の安定となり、やがてはまた国家社会の発展にも寄与し、同時に豊かな生活のために財産がつくられていくということになりますれば好ましいわけでありますが、婦人なるがゆえにあくまでも低い待遇でいいとか、あるいはそれが非常な劣悪な条件でもって働かなければならぬということが許されるわけではございませんので、これはやはり婦人という立場から考えてみまして、できるだけ待遇がよく、安心して働いていただくというためには、やはりそうした環境の整備とか、いろんな家庭婦人が、婦人労働が十分に可能なような、あらゆる施策を総合的に考えていく必要があろう、そういう面で特段の配慮を加えていく必要があろうと考えておるわけでございます。
#81
○戸田菊雄君 現在の母親の気持ちとしましては、庭のあるところで保育――保育所ですね、保育所で幼児育成をしたい。あるいは多くの子供たちと集団的にやっていきたい。あるいは教育者である専門屋の保母さんに頼んでいこうじゃないか、こういういろいろな希望があると思うのです。そういうところで、この保育所が非常にいま問題になっているわけですけれども、そういった学齢前の幼児の数は一体どのくらいおるのか、その説明。それから前述の学齢以前の母親の家事以外の就職割合はどういうふうになっているのか。それから保育園、幼稚園を必要としている数は全体でどのくらい必要なのか、この内容について、厚生大臣。
#82
○国務大臣(内田常雄君) 厚生省のほうで最近の出生の実数を見ますと、年間大体百八十数万人、百八十六万人あるいは百九十万人ぐらいの出生がございます。でありますから、学齢児以前ということになりますと、それに五倍ないし六倍を掛ける数字になると思いますので、結局一千万人ぐらいの学齢未満の乳幼児がおることに相なります。それに対しまして、私どものほうが近年年次を異にいたしまして保育所等に入れる必要があるという数字を調査いたしましたところによりますと、大体その一四、五%ぐらいが保育に欠ける乳幼児というような数字があらわれております。すなわち大体百四、五十万人ぐらいが保育に欠けておる。つまり母親の労働、疾病等々の事由によりまして、保育所に入れて、そうして心身健全なる保育をしていく必要があると、こう見ております。これは数年前の調べでは、きょう現在におきましてもせいぜい百二十万人ぐらいというような数字が出ておりましたが、先ほど来、戸田さんがだんだんおっしゃるような事情のもとに、要保育児童というものの数が社会情勢とともにふえてきておる、こう見ておるものでございます。
#83
○戸田菊雄君 ただいまの大臣がおっしゃられたような内容であると思うんですね。総体で一千万人くらい、やはりおられる。それでいまの母親の年齢ですけれども、これは二十五歳から二十九歳までが三五・八%、非常に若返っておる。こういう内容を見てまいりますと、さらにそれらの母親一人での収入というものは非常に少ないのですね。二十四万から二十八万まで、あるいは四十八万から七十二万円、こういうもう百万円以下の者が総体の八〇%を占めている。そういうことになりますと、いまの保育料からいけば、非常に働いたものはすべてそっちへ入ってしまうという状況ですね。だからこういう面についてもう少し――一面ではいまの低賃金政策というものをもっと底上げをしていく。それから保育料関係について国がやっぱりめんどうを見てやるという、こういう両面策からいかないと、私は容易に保育所に預けるといってもたいへんじゃないか、こういうように考えるのですが、この辺の見解については労働大臣、厚生大臣にお伺いをしたい。
#84
○国務大臣(内田常雄君) 元来、保育所というものは、その家庭の収入が足りないからというような意味で、救貧対策的なものから出発しているものではないと私は思うものでございます。ではありますが、しかし今日、社会保障というような意味からも、この保育所政策というものは十分考えていかなければならないと思いまするので、そこで、御承知のように、保育所の運営費と申しますか、あるいは児童の措置費につきましては、原則としてこれは国で十分の八、それからまた地方公共団体で残りの十分の二を見てまいるというようなことをいたしておりますが、その基礎となるいろいろな諸経費につきましても、できるだけこれは多くを見ていこうということで、毎年、たとえば保母さん方の処遇費をはじめ、児童たちの教材費とか、食費とか、あるいは衛生費とかというようなものも国が見ることになる対象の金額をふやしておるところでございます。四十五年度におきましても、それをかなりの幅でふやします。と同時に、低所得者の方々でお子さんを二人以上保育所に預けられるというような場合にも、従来は二人から同じ保育料をいただいておったのを、昭和四十五年度からは低所得の方々、ある階層の、これはC1のクラス以下の方々につきましては、二人目以下からは半分にするというような政策もとりまして、戸田さんがおっしゃるような意味に厚生省としてはできるだけ近づけたいとしてつとめております。
 賃金を上げるほうの側につきましては、これは労働大臣のほうから。
#85
○国務大臣(野原正勝君) 戸田さんの御質問でございますが、私ども全く同感でございまして、やはりこれには婦人労働というものの待遇の改善というか、もっといい条件で働いてもらう、やはり所得もだんだん高めていかなければならぬと思うわけでございますが、同時にまた託児所の施設等が十分に満足するような状態になりますれば安心してそこにお願いできる、またその費用負担もできるだけ軽減していくということが必要だと思います。そういったことで、実は労働省としましても働く婦人の家の問題であるとか、あるいは託児所の施設につきましては、融資の拡充という問題1すでにもうやっておるわけでございますが、そういった面でも特段の配慮をいたしたいと考えております。いずれにしましても、これから働く婦人がますますふえると思いまするし、安心して家庭婦人が託児所に子供を預けながら自分が大いに働く、そのためにはやはり待遇もよくしなければならぬ、同時にまたそれが大いに生産の上にも反映できるということで、漸次婦人の地位が高まってまいると思うのでありますが、まず労働省としましては、待遇の適正化、できるだけひとつ安心して働いてもらうような政策を進めてまいりたいと考えております。
#86
○戸田菊雄君 一分しかありませんから、最後に三点お伺いをして終わりたいと思うのであります。
 その第一点は、やはり私は保育所の今後の幼児教育その他は、何といっても児童福祉法第二条、この精神に基づいて拡大をしていかなければいけないと思うのでありますが、その児童福祉法制定以来、逆にいまの政府の態度というものは狭めてきている、こういう印象を受けるのです。この辺の見解が一つであります。
 それからもう一つは、これはこの前の質問で漏れましたものですから、労働大臣に伺っておきたいのですが、米の生産対策、調整対策の問題で、今後この離職者に対して労働省が具体的にその職業訓練等行なっていく。はたしてどこでやるのか、国が責任を持つのか、地方公共団体でやるのかあるいは職業安定所等でやるのか、こういう見解についてひとつ伺っておきたいと思うのであります。
 もう一つ大蔵大臣に、企業内保育所の国の予算援助等の問題についてどういうお考えを持っておるか。きわめてはしょって具体的にお伺いをしておきたいと思います。
#87
○国務大臣(内田常雄君) 保育所に対する私どもの考え方、指導原理というものは、決して先ほども申しましたとおり救貧、防貧対策の面から考えておりません。これはあくまでも天下の乳児、児童は国民が、また国が、市町村等がこの保育を見て、心身ともに健全なる発展をはかるべきだという広い意味の社会保障政策から論じておりますので、私どもは決して保育所政策というものを施策の面でも予算の面でも退歩させる考えはございません。
#88
○国務大臣(野原正勝君) 離農者がだんだんふえるという問題、これは総合農政の一環としての労働面からする対策が必要でありますが、これには実はまずもっていろいろな問題があるわけでございます。職業訓練という問題もあります。まあ手当を与えながら職業の訓練をしていこうということを考えておりまして、また離農者のための相談員制度というもの、これは五百二十名ほどつくることになっておりますが、いろいろ親切に相談してあげる。また同時に移動相談所も設けよう、そういった地帯には一々出向いていって皆さん方の相談に乗るということ、あるいは職業訓練につきましては、正式の訓練工の場合もありましょうけれども、短期訓練、できるだけ短い期間にその経験をいかにして生かしていくかというふうなことで、短期の訓練もできるだけ行ないたいというようなこと、それからまた、就職のあっせんについては、先ほど申しましたようないろいろな相談員の制度等、いろいろなことでやるわけでありますが、そういったことでいろいろな移動式な訓練もやりたいと考えております。
 こういったことで実は対策を講じておるわけでございますが、いずれにしましても、各地にいろいろな離農者のための機関として協議会を設けるとか、いろいろなことをいたしまして、今後の対策に遺憾なきを期したい。あくまでも離農対策につきましてはこれからの問題でございますが、とりあえず、ことしは全体で約四億一千万ほどの予算を計上しておりましてやってみようと、これは非常にたくさんの農業から離れる人が出てくる場合を考えますると、当然これでは少ないという、おそらくもっともっと訓練の仕事もたくさんやらなければならぬし、あるいは職業相談の仕事ももっとふやしてやるという必要があろうかと思いますが、とりあえず、ことしのところはこの予算でやってみようと、足りなければ、また予備費からでも流用していただいてやっていこうというわけでございます。離農、農業を離れるような人たちに対する万全の対策を講じてまいりたいと考えております。
#89
○国務大臣(福田赳夫君) 企業内における保育所につきましては、これは企業の責任においてやっていただく、こういう基本的な考え方をいたしておるわけです。ただ保育所を設置するということ、これはいま非常に大事な問題になってきておりますので、これは奨励する必要がある。そういうような見地から雇用促進事業団でありますとか、あるいは福祉年金融資、こういう形において融資を使っていきたい、こういうふうに考えておるわけです。これからの日本経済の大きな問題は、やはり労働力をどういうふうに発掘するか、そういうことだと思いますが、その中において婦人労働力をどういうふうに活用するかという問題も一つの大きな問題になってくると思う。そういう際に保育所、これは非常に大きな役割りを演ずるものである、そういう認識で、予算の方面でも積極的な配意をいたしておる、こういう状態でございます。
#90
○委員長(堀本宜実君) 以上で戸田君の質疑は終了いたしました。
 午後一時二十分再開することといたしまして、これにて休憩をいたします。
   午後零時四十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十八分開会
#91
○委員長(堀本宜実君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 鈴木強君の質疑を行ないます。鈴木強君。
#92
○鈴木強君 最初に法務大臣にお尋ねをいたしますが、今度の日航機の乗っ取り事件を契機にしまして、こんな悪らつな犯罪の続発を防ぐ方策として、航空機乗っ取りをきびしく罰するための刑法の一部改正をこの国会でやろうとする御方針のように伺っておりますが、この際、法相からその考え方を明らかにしていただきたいと思います。
#93
○国務大臣(小林武治君) 今回のような凶悪な事件が発生したことは、まことに遺憾でございますが、お話しのように、今日までのところ、これに該当する刑事罰がありません。これらについては、つとにある程度考究を要した問題でありまして、刑法特別部会等においても一応の検討は済ましております。しかし、私は、今回の事件に対する世論あるいは国会方面のいろいろのお考えと、こういうものも勘案いたしまして、政府部内のまとめた意見としてではありませんが、法務大臣としましては、やはりこの際、早急に適当な立法措置を講じて、これらの事件の再発を防ぐ、こういうふうな気持ちを持っております。したがって、刑法の改正案というような草案はございますが、これとは別途に、ひとつできたらこの際、単独立法としてこれに適切なる立法をいたしたい、かように考えまして、法務省事務当局におきましては、その成案の準備をいたしております。いずれまた、政府部内としても相談をいたしたいと思いますが、法務大臣としては、さようなつもりで用意をいたしておる、こういうことをお答え申し上げておきます。
#94
○鈴木強君 これは非常に大事なことだと思います。そこで、いま法務大臣のお考えだそうですが、現行航空法の百三十九条、あるいは百四十条との関連もありまして、ここでは、飛行中の航空機を墜落させたり、破壊したり、あるいは人を死亡させた場合には死刑という規定もございます。したがって、こういうものとの関連で、その内容等について、いま大臣がお考えになっている点がありましたらお聞きしたいと思います。
#95
○国務大臣(小林武治君) 現在航空法に規定がありまするが、これは墜落させると、こういうふうなことについての問題でありまして、おおよそ、実は刑法以外に死刑の刑を定めたのはこの航空法以外にはありません。今度の航空機の乗っ取り、こういう問題につきましては、従前の草案では無期あるいは五年以上の有期、こういうことになっておりますが、その刑罰の程度がこの程度でいいのかどうか、航空法のことも参考にして考えなきゃならぬ、こういう問題がございますが、いずれにいたしましても、各方面とできるだけ早く打ち合わせて結論を得たいと、結局の問題としまして、いまの無期でいいか、あるいは爆発物等を所持している場合は死刑、こういうふうな問題も考えられるんじゃないかというふうな議論がございますが、いずれにいたしましても、案としての結論を近く得なきゃならぬ、かように考えております。
#96
○鈴木強君 その点わかりましたが、この国会に提案するという御方針ですか。
#97
○国務大臣(小林武治君) これは国会の期日も差し迫っておることでありまして、国会側の御意向が非常な重要な要素になる、こういうことで、その向きにも私から御相談も申し上げている、その御了解があって、見通しがつけば、何とかこの国会において提出させたいということが、法務当局の現在の考え方でございます。
#98
○鈴木強君 それでは次に、国民の税金でまかなっておる国の予算、この予算のむだ使いと、それから公務員の不正によって横領されておりますその金額について、その回収状況をお尋ねします。会計検査院長から、昭和二十一年度から四十三年度までの二十三年間に会計検査院が指摘したむだ使いの件数と金額は幾らか、まずこれをお聞きします。
#99
○会計検査院長(山崎高君) 二十一年度以降、四十三年度までの批難事項の推移を申し上げます。二十一年度が五百八億円でございます。それから二十二年度が……。
#100
○鈴木強君 合計でいいです、二十三年間の。
#101
○会計検査院長(山崎高君) 二十一年度から四十三年度までの合計は一万八千九百九十五件、四千七百四十三億円でございます。
#102
○鈴木強君 それから公務員が不正に横領をして国に迷惑をかけている金額と件数、それから回収をされておらない金額、これをひとつ教えてもらいたいです。
#103
○会計検査院長(山崎高君) ただいまのも、やはり各年度別の合計を持っておりますが、合計でございますか――私のほうでは、不当の金額を批難するばかりではありませんで、その後の是正状況をトレースするということも注意しておるのでございますが、それは三十一年度以降これを組織的に行なう体制を整備いたしたのでございます。三十一年度以降の検査報告に掲記しました不正行為の件数及び金額並びに四十四年九月末日現在における是正未済の金額というのは、各年度ごとに持っておりますが、後ほど資料を差し上げてもよろしゅうございますが、その合計はちょっとお待ち願いますならば、集計して申し上げます。――申し上げます。合計が百六十四件、五億五千三百五十万六千円、そのうち是正済みが一億七千八百五十一万円、それから是正未済が三億七千四百九十九万六千円でございます。
#104
○鈴木強君 大蔵省で全部わかっているかどうかわかりませんが、各省別の未回収額、大きいところから、それでは大臣から伺いますが、郵政省は何件の不正事件があって、その額は何ぼで、未回収になっているのは幾らになっているのか、その未回収になっているものはどうして取り立てないのか、これをひとつ聞きたい。
#105
○国務大臣(井出一太郎君) お答えいたします。
 件数にいたしまして二百七十事項、その金額は五億一千四百三十四万円でございます。これに対しまする回収額は二億一千百三十四万円、未回収の分が三億三百万円。こういう数字でございます。
#106
○鈴木強君 どうして回収できないか、理由を聞いているんです。
#107
○国務大臣(井出一太郎君) 御質問は、どうして回収できないかですか――この被害金の回収につきましては、省としては極力努力をしてまいったわけでありますが、この不正行為者は、この行為によって部内から排除をされたり、あるいは現在服役中というふうな者もございまするし、無収入、無資力という状態であるわけであって、なかなか短期間には回収が困難のようであります。しかし、債権はできるだけ時効を中断するというふうなことによって、その確保はいたしておるわけであります。
#108
○鈴木強君 全く回収の見通しがないというもので、国損として時効がきて、中断しないで国損になったものはありますか。
#109
○国務大臣(井出一太郎君) おそらく、内容をよく洗いますとそういうものもあろうかと思いますが、現在のところはまだそういう処置はいたしてございません。
#110
○鈴木強君 それでは、建設省はどうなっていますか、これを伺いたいです。
#111
○国務大臣(根本龍太郎君) 昭和二十一年から四十三年度までの間における損失を与えた不正事件は七件でございます。国の損害は一千七万三千円でございます。このうち回収済みは七百四万九千円でございます。なお、未回収分につきましては、分割納入の措置を講じ、あるいは法務省へ強制履行の請求を依頼する等によって回収につとめておる次第でございます。
#112
○鈴木強君 文部省はどうでしょう。(「文部大臣ちょっと席をはずしたよ、いますぐ来る」と呼ぶ者あり)あ、そう。それじゃ農林省はどう。
#113
○国務大臣(倉石忠雄君) 申し上げます。
 職員の不正によりまして国に損害を与えた件数は二十四件で、金額は一億六百二十二万円余であります。このうち、昭和四十四年九月末までに弁償された金額は五千百九十六万円余で、残高五千四百二十六万円余となっております。
#114
○鈴木強君 これは、なお通産省、厚生省、いろいろあるのですけれども、時間がありませんから、私はここでお願いをしておきたいのですが、少なくもこれらは全く職員の不正によって行なわれた行為でありまして、損害を与えたものでありますから、その回収については、どうかすると手が回らないというようなことで後手後手になるという可能性があると思うのですね。それは私はいけないと思うのです。だから、あえて私はこの際この問題を取り上げたわけですが、ぜひひとつ、関係の各省におきましては、いろいろなあれがあるでしょうけれども、積極的に回収のために努力していただくと。どうしても回収不能だということになるなら、これは私は処理してもらいたいですよ、国損なら国損として。そうでないと、いつまでたってもこれは解決できない。そこまで、国損とするかしないかまで追跡をし、そのいろいろ努力をされた上でそうしてもらいたいということですから、その努力をぜひやってほしいということをお願いしておきたいと思います。
 それから次に、会計検査院が、これは文書で注意をされておると思いますけれども、東大病院の新病棟が完成してもう二年たっておるわけですが、いまだにこれが使われてない、こういう指摘をされております。一体これはどこに問題があって十一階建て六億も金をかけてつくった病室が使われないでおるのか、その理由を明らかにしてもらいたいのです。会計検査院からちょっと経過を…。
#115
○会計検査院長(山崎高君) ただいまの東大の病院のことにつきましては、われわれもよく調査しておるわけでございますが、これを議会に御報告するかどうかということも考えたわけでございますが、国有財産の管理責任者だけの責任でもないという点もございまして、政府が文部省に対しまして十分に早く措置をとるようにと、文部省のほうも急いでやると、こういうことでございますので、われわれは事態を注視しておるという状態でございますが、なお詳しいことにつきましては担当の局長のほうから御答弁をさすことにいたします。
#116
○説明員(鎌田英夫君) 東京大学附属病院の北病棟の件でございますが、これは四十一年度から着工いたしまして、四十二年度の末に竣工いたしたものであります。この建物の新営のほかに、物品、つまり食器洗浄機等物品が四十二、四十三年度分といたしまして三千六百二十九万円ばかりもうすでに購入されておるわけでございます。しかしながら、これが完成後いかに利用されておるかということにつきましては、本院は当然注視しておるわけでございますけれども、御承知のとおりの東大の医学部問題に端を発します学内紛争、そういったものがありまして、またこの学内紛争との関連におきまして移転につきましていろいろ問題点があると、まあそういう事情を私どもも考慮いたしまして、なお文部当局及び大学当局の移転についての努力をお願いすると同時に、またその状況を注視していると、こういう状況でございます。
#117
○鈴木強君 なぜ報告しない、国会へなぜ報告しない。
#118
○説明員(鎌田英夫君) 国会に報告しないという点でございますけれども、これは、先ほど院長が御説明申し上げましたとおり、また私が先ほど申し上げましたとおり、学内紛争、それに続きまして移転前に移転につきましていろいろ問題が起こっているわけでございます。たとえば無料医局員の解消の問題、あるいは看護婦の増員問題、あるいは医局の解体と、こういうような問題が起こっているように聞いております。まあそういったものにつきまして、文部当局といたしましても、また大学当局といたしましても、その解決に相当努力をされておられる。おられるけれども、なかなかこの解決が進まない。私どもといたしましては、そういう文部当局、大学当局の努力をされておられる、また非常にむずかしい問題であるという点を了解いたしまして――了解と申しますか、そういう点を考慮いたしまして、不当とはなかなか言えないのではないかというわけで、検査報告に掲記しなかったわけでございます。
#119
○国務大臣(坂田道太君) 東大病院の北病棟は、四十二年の二月に建築に着工いたしまして、四十三年の三月に完成をいたしましたが、一部の手直しや乾燥等の関係で、移転可能な状況になりましたのは四十三年の九月のことでございました。ちょうどそのころ東大の紛争が激化をいたしまして、病院内部の抗争も激しくなりますし、病院全体がその対策に大わらわになっておったわけでございます。他方、職員団体等からは、職員用のエレベーターがないというようなことにつきまして要望されておりましたので、追加工事を行ないまして四十四年三月に職員用エレベーター二基を完成をいたしたわけであります。したがいまして、まあそのころから当然これは使用されなければならなかったわけでございますが、御承知のように、昨年一月から一年かかりましてようやく大学の紛争も収拾過程に入ったわけでございます。ところが、その後、職員団体等はさらに施設設備の改善あるいは看護婦の増員等を条件に移転の反対運動を行ない、また青医連等は医療体制の解体とかあるいは医療の合理化反対等を理由に移転実力阻止を唱えてまいりました。大学病院当局といたしましては、直ちに実現できる改善は実施するとともに、看護婦の増員等についても今後とも努力するから、とにかく北病棟への移転をすみやかに実現するよう説得につとめておるわけでございます。しかしながら、まだ移転が完了しないということでございます。しかしながら、本年度は昨年のように東大の入学試験を中止するということもなく試験も行ないましたし、この新学期からは新しい管理体制のもとに出発できるという状況になりつつあるわけでございまして、今後大学側とともに最善の努力をいたしましてこの移転を完了いたしたいと、かように考えておる次第でございます。
#120
○鈴木強君 文部大臣、そうすると、いまの一番の争点というのは、看護婦さんの定員の問題でもめているということですか、定員の問題にあるというふうに理解していいですか。
#121
○国務大臣(坂田道太君) 先ほども申し上げましたように、定員の問題もさることながら、いろいろな問題を要求をいたしておるということでございまして、それだけではございません。それから看護婦の問題につきましても、かなり東大病院につきましては、普通の大学よりも、これは相対的な問題ではございますけれども、比較的にはいいわけでございます。ただ、同じ病院内におきまして各科によってでこぼこがございます。したがいまして、総数におきましてもし合理的にこれが配分ができれば、かなりこれは普通の大学の病院なりその他の病院に比較いたしますといいんじゃないかというふうに思うわけでございますけれども、なかなか各科が確保いたしておりまする看護婦さんというものを離さない。それで、その異動というものはなかなかむずかしいという実情にあるわけでございます。しかし、そのようなことはやはり私は問題であるというふうに思っておるわけでございまして、そういうようなことに対して、やはり大学当局並びに病院の管理運営等について、あるいは看護婦さんの配置等について、一段のひとつ努力と協力を期待をいたしておる次第でございます。
#122
○鈴木強君 厚生大臣、看護婦の深夜勤務の配置基準というのはどういうふうになっていますか。
#123
○国務大臣(内田常雄君) これは、先年人事院のほうから、看護婦の職場の勤労条件を改善すべきである、いわゆる二・八闘争といいますか、二・八についての判定がございましたので、私どものほうは、直接経営をいたしまする国立病院、国立療養所等につきましては、これは二つの見地から二・八判定に近づける努力をいたしております。一つは、国立病院等における一般看護婦の基準が現在のままでは足りませんので、昭和四十五年から三ヵ年計画を立てまして看護婦の増員をいたし、夜間勤務をでき得る限り八日に近づける――でき得る限りといいますか、究極的には八日に近づける方向で、かつまた二人の夜勤勤務体制というものの単位もできるだけ早くそういうことができるような努力をいたしまして、四十五年度におきましては、一般病院において四百八十四人の看護婦の増員を今度の予算でいたします。もう一つの要素は、最近、特殊な病気といたしまして、重症心身障害児の収容とか、あるいはまた進行性の筋ジストロフィー児の収容というようなことを国立療養所でいたすことにいたしまして、これらのベッドをふやしておりますけれども、やはり医療従事者、ことに看護婦の定員数をいたさなければ、いまの文部省の話とは趣は違いますけれども、施設が遊ぶことにもなりますので、このほうの面におきましても、昭和四十五年度におきましては五百四十七人の看護婦の増員を計上いたしております。合わせて四十五年度で一千三十一人の看護婦の増員をいたしまして、これは逐次ここ二、三年の間に二・八体制というものがとれることにいたす方向に向かっております。
#124
○鈴木強君 厚生省のほうでは、問題になっております深夜勤務ですね、配置基準についていろいろ御苦労いただいて、これはまあけっこうだと思いますが、これは文部大臣、人事院から勧告のあった二人以上勤務で月八回という深夜勤務の勧告がありますね、この勧告を実際に実施すると、現在東大病院の場合には何人の人が不足するかということは計算してありますか。
#125
○国務大臣(坂田道太君) 大学局長から答弁いたさせます。
#126
○政府委員(村山松雄君) お答え申し上げます。
 大学病院二十四大学ございまして、これ全体を通じますと、看護婦の定数は、医療法の基準は満たしておりますが、二・八勧告を実施するためにはあと千五百人ほど増員を必要とするものと考えております。なおまた、東大病院につきましては、先ほど大臣から御説明のありましたように、各科の看護婦の配分などをくふうすることによって、ほぼ現状でも二・八体制をとることは可能ではなかろうかと考えております。
#127
○鈴木強君 この点は、私の調査と食い違いがございます。したがって、もしこの二・八体制というのができるならば、それをおやりになるようにしたらいかがですか。私は、絶対数が二百六十七人ほど足りないと、こう見ているわけです。この辺の考え方の相違というのは、まあここで明らかにするというわけにいかないと思いますけれども、だから必ずしも現状で二・八体制がとれるというふうに私は思わないのですけれどもね、どうですか。
#128
○政府委員(村山松雄君) 東京大学の病院における看護婦の勤務体制につきましては、具体的には、病院当局と看護婦の側におきましていろいろ話し合いをやっております。まあその間におきましていろいろな算定のやり方がございまして、職員団体のほうでは二百六十人要るというようなことを言っておるようでありますが、大学当局といたしましても、その点につきましては、増員の必要は認めておりますけれども、数につきましては、必ずしも二百六十人が必要であるかどうか、まだ検討が必要だと考えておりますし、文部省といたしましては、国立大学全体を通じまして、医療法の基準に上乗せしまして、大学病院の実態を考慮いたした上で、二・八勤務体制をしくためには、全体であと千五百人、東京大学については、ほぼ現在約五百名の看護婦がおりますが、これによって、勤務態様あるいは配置をくふうすることによって、二・八体制を組むことは不可能ではないと考えておりますし、その点で大学病院にも助言をいたしております。
#129
○鈴木強君 まあそれは、当事者のあなたがそうおっしゃるのですから……。ただし、必ずしも増員を必要としないということではないわけですからね。もう少し話を煮詰めてやってほしいと思う。それで、絶対数千五百人足りない国立大学病院の場合ですね、附属病院の場合、そのほか民間の病院とか、診療所とか、総体的に見て看護婦が非常に足りないわけですね。厚生大臣、これ一体看護婦の養成について、何かいまの修業年限を短縮して急造的に准看護婦等を養成するようなお話も聞いているのですけれども、そういうことはちょっと、医学の問題ですからね、あまり粗雑な者でもこれは困るわけでして、慎重を期さなければならぬと思うのですが、看護婦の絶対数が足りないことに対する対策というものは厚生省はどういうふうにやっておりますか。
#130
○国務大臣(内田常雄君) これはもう衆議院でも参議院でも、各方面の委員会からお尋ねを受けまして、私もそらで覚えるようになってしまいましたが、現在看護婦の総数が二十六、七万でございますが、どうしてもこれは昭和五十年ごろには四十八万から五十万くらい、まあ二十万ないし二十五万人くらいふやす必要がございます。そこで一方においては、やはり養成施設を増設するために国が整備費の助成をいたすことと、それから文部省などにおいて今度採用されますような私立学校の運営費助成と同じような考え方で、私設の看護婦の養成所の運営費を国が助成をするということを四十五年度からいたします。それから、いまお尋ねのございましたように、何といってもこれは看護婦の養成の方法にも問題がございますので一もちろん、御承知のように、看護婦さんには准看と正看とありますが、准看のほうは、いままでは中学校から行くという道が主でございましたが、これはもう中学校から高等学校へ行く生徒のほうが八〇%くらいになってしまいましたので、そのほうの施設になかなか大ぜい入ってくださらない。それで、そのほうはそのまま当分おいておきますが、高等学校から准看に行くという制度を今度四十五年度から開くことにいたしております。そのほか看護婦さんの資金貸与制度を拡張いたしますとか、ことに、また、一ぺん看護婦さんの資格を持ちながら結婚されたために職場を引いてしまったというような、いわゆる潜在看護婦さんをもう一ぺん職場に戻ってもらうためにいろいろな対策を講じる等、諸般のことをやりまして、年次計画をもって、単に国立ばかりでなしに、民間施設の看護婦さん、准看護婦さんの充足をどうしてもこれはやりたいということで、四十五年度にもこれは相当大幅に経費を計上してございます。
#131
○鈴木強君 それでは文部大臣にお尋ねしますが、全国の国立大学で民間会社から研究を受託しているようでありますが、これの年間の件数、金額はどのくらいになっておりますか。内容的に見ると、教官が直接受託しているもの、それから、教官が財団法人を経由して受託しているもの、二色になると思いますが、それをひとつお知らせいただきたいと思います。
#132
○国務大臣(坂田道太君) 受託研究の件数でございますか。
#133
○鈴木強君 件数と金額です。
#134
○国務大臣(坂田道太君) 受託研究につきましては、大学の教育研究は非常に意義がございまして、その本来の教育研究に支障がない場合におきまして公務として行なうものでございますから、その費用につきましては、やはりこれを私的に受け入れるのでなくて、会計法令に基づいて歳入歳出予算を通して使用されなきゃならないというふうに思っております。ところが、昨年度までかなりルーズな点が会計検査院におきまして指摘をされました。私どもといたしましても、そのことは従来からも指導してまいったわけでございますが、そういうような状況でございました。そこで、ことしから改善措置といたしまして、四十五年度以降は受託研究にかかわる歳出予算を繰り越し明許費とするということができるように御審議願っておるわけでございます。四十四年度で金額にいたしまして予算が大体四億九千九百四十万円、決算の見込みが四億九千五百二十一万円ということでございます。
#135
○鈴木強君 この経理のしかたが私はちょっとおかしいと思うのです。研究なさることはいいと思いますけれどもね。何か腰だめみたいに、教官がその金を受け入れでそれを教官が出しているという、そういう会計のあり方はおかしいと思うのですよ。ですから、一回国費に入れてそれから支出するということでなければおかしいので、そういう制度をやはり確立しなければいけない。
 もう一つは、米軍あたりから研究を委託されているということはありませんね。いまはもう。
#136
○国務大臣(坂田道太君) 今日ではもう米軍からのはございません。
 それから、いま御指摘のありましたように、もう歳入に入れてそしてきちんとして、それから歳出に計上してやるというふうに改まっておるわけでございます。ただ、実際これをやります側に立ちますと、なかなかむずかしかった。年度末にそれを使わなければならぬというようないろいろの事情がございましたので、先ほど申しましたように、繰り越しの制度というものをお願いをするということにいたしておるわけでございます。ただ、受託研究にしましても、やはり大学とそれから各企業との間にガラス張りのはっきりしたルールを確立する必要があるというふうに私は思うのでございまして、ある特定の会社の、あるいは特定の人の利益に奉仕するような形において大学の教育研究というものが阻害をされるということは避けなければならない。しかしながら、一般の企業のいろいろな面においてその研究の成果が還元されていくということは、私は一面において望ましいことである、かように考えるわけでございますが、そこでやはり各大学と各企業との間におけるところのガラス張りのルールというものを確立したいというふうに私は思っております。これはもうぜひそういうふうにしなければならない。その場合に、文部省がそのあっせんと申しますか、そのルールの確立のために大学当局がはっきりするということ、一般の企業のほうは大学の学問の自由、大学の自治を侵さないということを配慮する。同時に今度は、大学のほうはやはりその経理を明らかにし、そうして一部の人の研究だけに奉仕するとか、あるいは一部の企業に奉仕をするとかいうようなことでないような配慮をやるべきじゃないか。そして、やはり研究の成果というものは一般社会に還元して社会の発展のために寄与する、こうなくちゃならないというふうに私は考えております。
#137
○鈴木強君 それから、大学紛争で一部の暴力学生が国有財産や物品をぶちこわして国に損害を与えているのは非常に残念であります。その件数や金額がわかっておりましたらひとつ教えてもらいたい。
#138
○国務大臣(坂田道太君) 一昨年来の学園紛争によりまして、国立大学の建物等の被害は、本年三月末現在で、東京大学をはじめとしまして五十八大学に及んでおります。これらの大学の見積もりによる損害額の集計によりますと、約十三億円に達するものと見込まれております。なお、この復旧につきましては、これまで、授業の再開、入試の実施、建物の維持等に必要なものについて措置してまいりましたが、昭和四十五年度以降の復旧につきましては、教育研究上支障のないよう予算の範囲内において各大学と協議して行なう考えでございます。
#139
○鈴木強君 これは一体だれが賠償の責任を負うんですか。
#140
○国務大臣(坂田道太君) 実際問題といたしまして、これを損害を与えた者を特定するということがはなはだ実は困難でございます。しかしながら、その財産的損害を与えました学生等に対しましてその刑事責任を追及するための告訴を、現在まで東京大学など二十三大学が行なっておるわけでございますが、また今度は、不法行為による損害賠償責任を追及するために民事訴訟を提起するよう各大学に指示はしておるのです。でございますけれども、ただいま申しますように、なかなか特定がむずかしゅうございまして、現在のところ各大学では行なっておらない。しかしながら、私どもとしては、何とかひとつこの点につきましても特定できるものについてはその賠償責任を明らかにしなければならないというふうに考えておるわけでございます。
 なお、東京大学におきましては、ことに被害の額が多うございまして、ああいうような一番激しい紛争をやったわけでございますから、そのことにつきまして教職員全体が自分たちの月給の中から、わずかなお金ではございますけれども、拠出をいたしまして、ただいま二千万円ぐらいこれを拠出をしてこの費用の一部に充てたいという気持ちを示しておるわけです。この三月末でもう少し二千万円という額は上がるかと思いますけれども、こういうような気持ちというものは各大学にやはりあってしかるべきだというふうに私は考えておる次第でございます。
#141
○鈴木強君 これは会計検査員としてはあれですか、これはどういうふうに追及していけばいいと思っているんですか。この損害に対して賠償の責任というやつは。
#142
○会計検査院長(山崎高君) 国有財産を不法に棄損した場合でございますから、これはもう当然民事訴訟をしていいものと思うんでございますが、ただ私しどものほうとしてもその場合に、去年やはり意見を文部省あてに出しておきまして、可能な限り求償措置をとれと。可能な限りでございますから、ケース・バイ・ケースによってそれは可能な範囲ということになりますけれども、理屈からいいますればやはりこわしたものでありますから、当然それは弁償してもらわないかぬということになると思うんでございます。
#143
○鈴木強君 いろいろまだ国費のむだづかいや不正行為についてはたくさんありますけれども、時間がありませんから、この程度にいたしますが、最後に検査院長に私は伺いたいんですけれども、少なくともこの二十数年間に四千七百四十三億円もにのぼる国費のむだづかいがございます。会計検査院は独自の立場に立って予算の執行について検査をしていただいているわけですけれども、依然として毎年毎年数億の国費のむだづかいがあるわけですね。これはもう私も非常に何回かこの問題を取り上げておりますけれども、院長として実際に検査をなされた立場から、こういう点はこうしたらいいというような具体的な改善意見みたいなものはお持ちにならないのでございましょうか、自分で検査をしてみて。そういう点がありましたらひとつお伺いしたい。
#144
○会計検査院長(山崎高君) 御指摘の点ごもっともでございまして、私たちも努力しているところでございます。先ほど批難金額の各年度別の推移というものは年度別に申し上げませんでしたけれども、私も最近それを分析などいたしまして、大体どうしてこの年はこういうふうに多いんだろうと、あるいはどうしてこういうことになっているんだろうというようなことも、なかなかこれは傾向的に、一般的な感じとしてしか申し上げられないのでありますが、そういうように一応分析いたしてみたんでありますが、やはりこれは戦後十年間ばかりというものは非常に混乱期でありましたので、経理が乱れておりましたけれども、現在は年を追ってよくなりつつあるというふうな心証を得ております。しかしそれとても、これが必ずしもことしがいいから来年はもっとよくなると、毎年毎年よくなるということも断言できるというものではございません。ときにはやはり多くなるときもあるかもしれませんけれども、傾向的にはよくなりつつあると思うんであります。なおそのほかに、私どもといたしましても、実際に決算を締め切りまして、悪いものをただ批難するというのみでなくて、どんどん年度の途中においても検査いたしまして、それで以前に終わった、まだ損害、国損も救済し得る場合には、国損の早期防止という見地から、やはり検査院法の三十四条による意見をどんどん出すというようなこともひとつやったらどうかといって、目下その方向でことしあたりからひとつ動いて、できるだけ損害、国損をなくするようにということにつきましては努力したいと思っております。
#145
○鈴木強君 それからもう一つは、この検査院の検査体制についてですか、実際に毎年実地検査をされるのは数%と聞いております。したがって、これは氷山の一角で、これを書面検査でなくて、実際に検査をしてみたら私はもっともっとむだづかいの額は多くなっていると思うんですね。問題は、検査院のほうの陣容の面におきましても、あるいは組織機構の面におきましても不十分な点があるんではないかと私は思うんですけれども、そういう面をもっと拡充をしていくという必要性はないものでございますか。
#146
○会計検査院長(山崎高君) ただいま御指摘がありましたように、全部の検査を要する個所について統計をとりますれば数%ということになるんでございますが、そのどうしても大事なところといいますか、標準をきめまして、AとBときめまして、A、B含めた数を合わせると非常な数になるわけでございます、検査を要する国損、公金を扱うところは。それの検査の浸透率は実際は八・
〇%ということになっております。しかし、Aといいますか、Aの個所、どうしてもこれはなるべくやったほうがいいと、できるだけ行ったほうがいいと、たとえば本省などは毎年行っているというようなところを見ますと、それが実際は三四・一%ということになっております。大事なところは三年に一ぺんは見ているということになるんでございますが、しかし、おっしゃるように年々予算はふえておりますので、それに比べて検査陣容というものは、やはりその人員の数やいろいろの点で、そういうふうな調子にふえてまいりませんので、できるだけ人員の増加をはかるとともに、部内職員の研修と検査能力の向上ということにつとめてまいりまして、できるだけひとつ御期待に沿いたいと、かように考えております。
#147
○鈴木強君 それでは、次に郵政大臣にお尋ねしますが、私もきのう横川委員から公社化の問題についていろいろ意見や大臣の考え方を聞きまして、たいへん関心を持っておったのでありますが、しかしそれはわかりましたから、きょうはそれは省略しますけれども、ここで一つだけお伺いしておきたいのは、四十五年度の郵政事業特別会計を見ますと、百三十二億八千四百万円の歳出超過、いわゆる赤字予算になっておるわけであります。前回郵便料金を上げまして、その後依然としてこの郵便事業におきましてはこのような逼迫した情勢に経営があると思います。そこで、四十五年度は持ち越し現金というものが認められておりますから、それから充当をして帳じりを合わしておりますけれども、はたして四十六年以降はどうなるかわれわれは非常に心配をするわけであります。この辺は一体郵政大臣としてどういうふうに経営を立て直しをしようとするのか、ひとつ聞かしてもらいたい。
#148
○国務大臣(井出一太郎君) 御指摘のように、四十五年度は百三十三億円の赤字予算で組んで出したわけでございます。幸いにして持ち越しの歳計現金がございましたから処理をすることができたわけでありますが、四十六年度というものを見通してみまするとなかなか容易ならない状況にございます。極力経営面における努力をいたしてみまして、その上で明年度の方針をどういうふうに立てるかと、この点もう少し時間をかけて見通しを立てたいと思っておるわけでございますが、これには、いまおっしゃるような料金の問題もありましょうし、あるいは借り入れ金にたよるというふうなことも場合によればやむを得ぬかと、いろんなひとつ総合的なあんばいをした上で処理をいたしたいと考えております。
#149
○鈴木強君 これは独立採算である以上は収支バランスをとらなきゃならぬわけでして、しかし非常に公共性の強い仕事ですから、郵便料金の値上げということは、これは避けてほしい、そういう上に立って四十六年度の予算の編成はできますか。ここで確約してくれますか。郵便料金を上げないという上に立ってやれるかどうか。
#150
○国務大臣(井出一太郎君) 極力それに手を触れずにという方向のもとに努力をするつもりでございますが、もう少しそれには時間の余裕をいただきたいと、こう考えております。
#151
○鈴木強君 では電電公社の総裁にお尋ねいたしますが、電電公社は長期計画をお立てになって、今日までだいぶ電話サービスの改善に努力をされておりますが、にもかかわらず、現在申し込んでつかない電話が二百七十万個くらいあるというふうに伺っております。一体どうしてこんなに申し込んでも電話がつかないものでしょうか。
#152
○説明員(米沢滋君) お答えいたします。
 昭和三十四年に第二次五ヵ年計画を改定いたしましたときに、四十七年度末には申し込んだらすぐつけるということを目標にしておりました。しかし、その後の経済の成長あるいは国民生活の向上、あるいは核家族化の進展等によりまして、電話の申し込みが非常にふえてまいりました。最初考えましたときは、四十七年度末に千七十万あればいいというふうに考えておったのでありますが、すでにもう現在電話の数が千三百万になりまして、このままの、いま第四次五ヵ年計画を進めておりますが、その数字でいきますと、おそらく二千万を突破する、そういうふうにいま非常に数字の違いが出てまいりました。今後私たちは四十六年度からの七ヵ年計画をつくりまして、七ヵ年計画の末である五十二年度末には、全国的な規模において積滞を一掃したいというふうに考えております。
#153
○鈴木強君 それから、現在公社がサービスをしておりますデータ通信というものはどういうものがありますか。それからまた今後情報化社会に向かっていく態勢の中で、電電公社はどういうサービスを今後考えておられるか、これをひとつお知らせいただきたいと思います。
#154
○説明員(米沢滋君) お答えいたします。
 コンピューターと電気通信回線をつなぎますデータ通信につきましては、一番最初に昭和四十三年度に地方銀行協会の為替交換業務を全国の四千ヵ所でオンラインでつなぐサービスを始めました。その後、ただいま進めておりますのは自動車の検査登録、これは非常に大きなシステムになりますが、それを業務開始いたしました。それから万博の運営に対しまして、管理運営事務に対しますデータ通信、これをいたしました。で、現在進めておりますのは、そういった専用データ通信のほかに、いわゆる一般の加入電話から電話計算をやるとか、あるいはそれにキーボード・プリンターをつなぎました、印刷機をつなぎました科学技術計算、あるいはまた販売在庫管理をやると、こういうものを計画いたしまして、四十三年度予算で百億円、それから四十四年度予算で二百億円、本年度いま御審議願っております中で三百八十億円の投資をするということで進めております。で、第四次五ヵ年計画の中で全体約二千億の投資をしようというふうに考えております。
 これからやりますサービスにつきましては、まず加入データ通信につきましては、現在東京、名古屋、大阪を考えておりますけれども、それをさらに広げて、おもな地域にだんだん広げていくということであります。それから専用データにつきましては、いま申し込みがいろいろありますが、たとえば銀行のバンキング・システム、あるいは農協等におきましていろいろ出ております。それから、また将来の問題といたしましては、レトリーバルといいますか、いわゆる情報検索等について、あるいはコンピューターをつながない医療の心電図を電送するとか、そういう問題につきましてもいろいろ検討を進めております。
#155
○鈴木強君 テレビ電話は、もうあれですか、実用化の段階にはいれるようになっておるのですか、技術的には。
#156
○説明員(米沢滋君) テレビ電話につきましては、現在公社の中で使っておりまして、まだ外務にはつないでおりません。大体あと三年ぐらいたちましたならば商用に供したいと思っておりますが、その場合に、ただ顔を写すというのじゃなくて、端末でデータも同時に送れると、あるいは図面を送るということも同時にねらっていきたいというふうに思っております。
#157
○鈴木強君 いつごろ実用化になりますか。
#158
○説明員(米沢滋君) 大体三年先と申し上げたのでありますが、昭和四十八年ごろを一応めどにしたいと思っております。
#159
○鈴木強君 まあ電電公社のこの通信回線というのは全国津々浦々まで延びておるわけですけれども、現在千三百万の加入電話を持っておるわけですね。そうすると、総延長はどのくらいになるものでございますか。
 それから、もしわかりましたら、この専用線として新聞社だとかあるいは放送局ですね、テレビ関係、こういうところに貸してある回線というのはどのくらいになっておりますか。
#160
○説明員(米沢滋君) お答えいたします。
 市内の専用線は、加入回線が約千三百万に対しまして一・二、三%程度だと思っております。それから市外は、大体四十万回線ありますが、これはまあいろいろ規格が違っておりますが、回線数でいいまして約四%程度だと思っております。
#161
○鈴木強君 まあこれから新しいデータ・サービスというものも、データ通信というものもいろいろと数もふえてまいるでしょう。それから、まあ二百七十万近い申し込んでつかない電話、これも架設をしなければならぬと思います。私はひとつここで総裁の気持ちを聞いておきたいのは、問題は、この建設資金の調達ということが今後問題になると思いますが、今度の新しい経済社会発展計画でも、五兆三千億でしたか、そういう規模の公共投資を考えられているようです。そこで、この現在電話を引く場合に、加入者債券最高十五万円ですね、これを負担していただいておりますが、この法律は臨時立法ですから、四十八年三月三十一日で切れるわけですね。いま伺いますと、第四次の七ヵ年計画というのは五十二年までいくわけですから、四十八年以降ですね、法律が自動的に消滅していくわけですから、資金調達に非常にこれは困るわけですね。そういう点は公社としてどういうふうにお考えですか。
#162
○説明員(米沢滋君) お答えいたします。
 先ほど七ヵ年計画のことを申し上げましたが、まあ七ヵ年計画は四十六年から五十二年ということになります。そうしますと、現在、ただいまお話出ました加入者が負担しております拡充法の期限が四十七年度末に参りますので、公社といたしましては、この延長問題について七ヵ年計画の中できめて政府にお願いするということにしたいと思っております。
#163
○鈴木強君 まあいずれにしても、この回線増設ですね、これがもう相当に金がかかると思うのですけれども、政府のほうでも新経済社会発展計画をまあおつくりになるようですから、この点は大蔵大臣にひとつ念のために伺っておきたいのですけれども、この資金調達の面ではいま総裁の言われたような実情にあります。どうしても電話をつけてもらいたいという強い願いもあるわけですから、これについてはひとつ大臣としても積極的にその体制をつくっていただくようにと願うのですけれども、いかがですか。
#164
○国務大臣(福田赳夫君) 加入者債券の制度は、常識的に見ましてですね、これは四十七年度末の時点でこれおしまいだと、こういうわけにはいかぬと思います。これは当然延ばさなきゃならぬと、こういうふうに考えますが、ひとつよろしく御協力のほどを願います。
#165
○鈴木強君 それから厚生大臣に伺いますが、たばこは寿命を縮めるかどうかというこの健康追跡調査というのが先般行なわれまして、この中間報告が出ております。これについて、こういうところまで有害性がはっきりしたのだから何とか専売公社とも相談をして、アメリカでやっておるように、たばこには害がありますよ、それを承知でお吸いくださいというような箱の外に表示をするようなことを考えたらどうかと思うのですが、いかがですか。
#166
○国務大臣(内田常雄君) ガンの研究は厚生省も非常にやっております。ことに四十一年からやっておりまして、その結果につきまして、たばこの問題もございますので、専売公社のほうに御連絡を申し上げているのですが、専売公社自身も御自身で研究所を持って、アメリカにもまたそのために駐在員を置かれておりまして、アメリカの事例等参照をしながら研究をされたり、また数千万円金を出して専売公社みずから学者にも研究を委嘱しておるようでございます。
 そこで、アメリカのように、その容器に健康上注意を要するとか警戒を要すかというレッテルを張らせるかどうかという問題になるわけでございますが、これは専売公社というものが、大蔵省の一部局でありましたものを公社にして、みずからそういう研究をやりながらやっておられることでございますので、厚生省の顔色をも見ながら大蔵大臣の御判断でぜひひとつ善処していただきたいと、こういうことでございます。
#167
○鈴木強君 大蔵大臣はどうですか。これは悪いというのだが、一生懸命吸っているけれども。
#168
○国務大臣(福田赳夫君) これはアメリカでは非常にうるさい問題になっておるわけです。わが国の専売公社の調査でありますると、どうもアメリカほど神経質になる必要はないんじゃないかと、こういうような判断をいたしておるわけです。つまり肺ガンが非常にアメリカでは多いわけですが、わが国におきましてはそういう状態でない。しかし、たばこが何がしかの健康上の影響があるという見方が多いわけでありまするから、これを積極的に宣伝をするとか、そういうことは差し控えたほうがいいと思いまするし、またニコチンの含有量の表示、それぐらいのことはこれは明らかにしておいたほうがいいんじゃないか、まあその程度で今日は経過するというところかと思いますが、なお今後の検討問題にいたしたいと存じます。
#169
○鈴木強君 専売公社の総裁はこの点についてどうお考えになりますか、最初に伺いたい。
#170
○説明員(北島武雄君) お答え申し上げます。
 現在世界じゅうでシガレットの包装にああいった警告文をつけさせておりますのはアメリカだけでございます。実はどうしてアメリカでこういうことになるかということは、私どもも非常に重大な関心を持ちまして、いろいろ検討いたしておりまするが、ただいま大蔵大臣がお話しになりましたように、アメリカではガンと言えばまず肺ガンということになっております。日本ではガンと言えば胃ガンと、日本のガンの全体の中で胃ガンが約五割弱だそうであります。これに対して肺ガンは七、八%。これに反しアメリカのほうは胃ガンは約七、八%で肺ガンのほうは三〇%に近いということで、肺ガンに対する恐怖が非常に強いということがまず第一に私はあろうかと思います。それから第二は、アメリカで未成年者の喫煙が非常に多いということ、これをも戒める意味がたいへんあると思いますが、もう一つは、やっぱりアメリカの独特の社会心理というものがございましょうか。かつて禁酒法を断行したようなお国柄でございます。そういったやっぱり社会心理というのがございまして、ああいう神経質なことになっているのだと思います。もちろん専売公社におきましても、喫煙と健康の問題については、重大問題でございますので、決して等閑に付しているわけではございません。私自身もできるだけスモーカーに安心して吸ってもらえるようにたばこをつくるべきだと、こういう考えを持っておりまして、すでに私が来る前からも、一昨年はルナ、昨年はセブンスター、ことしに入りましてから、つい最近チェリーと蘭というニコチン、タールの少ないたばこを発売しておりますが、さらにことしの秋ごろには一そうニコチン、タールの少ないたばこを発売いたしまして、少しでもスモーカーに安心して吸ってもらうようにというふうに考えております。それからさらに現在人工たばこというような問題につきましても、中央研究所で検討いたしておる次第でございますが、なお消費者に対しましては昨年の十一月現在のシガレットの銘柄の中の煙の中に含まれておるニコチン、タールの量を公表いたしまして、この結果非常に需要の変動があったわけでございますが、ことしの一月からは小売りの店頭でもそのカードを置いておきまして、消費者に十分認識いただくようにしておりますし、それからPRの点につきましても売らんかなというようなやり方はできるだけやめまして、これからラジオ、テレビにつきましても、できるだけ未成年者の喫煙の防止とか、あるいは防火宣伝に協力するたてまえとか、あるいは吸い方のマナーとか、こういった方面についてのPR、それから、もちろん新製品の発売につきましては、これは消費者にお知らせしなければなりませんが、そういうことはいたしますが、積極的に大いに売らんかなという態度はできるだけ捨てていきたいというふうに考えておるわけでありまして、なお肺ガンと喫煙の関係につきましても、ただいま大蔵大臣が申されたのでありますが、現在本年度の予算では三千万円の委託研究をいたしております。できるだけ早くこういった方面が究明されて、そして私どもの進むべき道が明らかに示されてほがらかになればいいものと考えております。
#171
○鈴木強君 たばこは国の財政、財源に非常に寄与しておるわけですから御苦労いただいておると思いますけれども、そこで外国への輸出というのはどういうふうにやられておるのでございましょうか。現在どのくらい外国へ出ておるものか。それからもっと積極的に、われわれが外国へ、私は吸いませんけれど、ピースなど持っていきますと非常に喜ぶわけですね。ですから外国へもう少し輸出するような方法を考えられたらどうかと思うんですが、その点はどうなんですか。
#172
○説明員(北島武雄君) ただいままでのところ率直に申しまして、たばこの輸出はたいした金額でございません。年々もちろん若干ずつふえておりまして、この四十四年度、昨年度では約十億円、それから本年度も大体その程度見込んでおります。国もだいぶあちこちになっておるわけですが、何ぶんにも日本の製品がいままでなじみが薄いということから、なかなか市場開拓が困難でございますが、今後はできるだけ輸出の方面についても力を注ぎたい、こう考えております。
#173
○鈴木強君 それからもう一つ、塩の専売制についてですが、きのう荒木行管長官が、衆議院の内閣委員会で、塩の専売制は必要性が薄くなったから廃止する考え方を固めておるという、そういう発言をされておりますね。私は、いま塩業審議会で根本的に塩の専売制の可否については検討中でありますから、少しこの発言は勇み足のような気もするんですけれども、実際に責任を持ってやっておられるのは北島総裁なんですが、あなたはこれを一体どう考えておりますか。
#174
○説明員(北島武雄君) 専売というのは国の専売事業でございまして、これを専売公社がおあずかりしておるわけでございますから、この国の専売事業をどうするかということは、私は結局国でおきめいただくよりしかたがないと思うのでございますけれども、従来の歴代の大蔵大臣なり、各種の調査会などの御報告なり御意見なりによれば、専売制度は次第にやめていくべきだ、こういうことになっております。
 目下塩業審議会におきまして諮問中でございますが、当面いたしておりますところの塩業の近代化の問題につきまして諮問いたしておりますが、昨年の八月の末に出ました小委員会の中間報告では、現在の塩田製塩から大規模なイオン交換膜へ転換する。そうしてそれによって生ずるところの無用な社会的混乱を避けるために財政的支出をもってしても、塩業から離れていく方には助成する。それから第三点として、将来はやはり専売制度をこれは三年ないし五年といっておりますが、三年ないし五年の準備期間をおいて専売制度は廃止することを目標に生産並びに流通の体制の整備を行うべきだ、こういっております。まだ塩業審議会の本格的な御答申はございません。御答申がございましたならば、大蔵省とも御相談いたしまして、専売公社もまた意見をきめたい、こう思っております。
#175
○鈴木強君 この点は大蔵大臣からも一言。
#176
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま総裁から申し上げましたとおり、塩業の合理化、近代化を進めておるわけです。それでイオン交換膜製造方式ですね、これを採用しますとコストが半分近くで済む、これになりますると、外国の塩とも対抗し得るというような状態になる。大体イオン交換膜製造方式を中軸として、今後塩をやりたいという気持ちを持っておるのです。そういうことから、在来の塩業につきましては整理合理化するというので、それを誘導する整理合理化が促進されるようにという政策をとっておるわけで、この進行状態を見て、この塩の専売の存廃問題をきめなきゃならぬ、こういうふうに思います。塩業審議会のほうでも、そういう客観的情勢の動きをいま見守っておる、こういう段階でありますので、そういう推移ともにらみ合わせまして、結論を得たいというのが今日の段階でございます。
#177
○鈴木強君 次に、防衛施設庁にお尋ねしますが、北富士演習場は長いこと地元が返還をしてほしいという要求をしていると思います。現在この交渉はどういう経過になっておりますか。
#178
○政府委員(山上信重君) 北富士演習場の返還問題につきましては、御承知のとおり、従来から国は北富士演習場を返還させて、これを自衛隊の演習場にするとともに、米軍に対しましては地位協定の二条四項(b)によりまして、共同使用を認めるといったいわゆる使用転換という方式による返還方式を考えて折衝しておるのでございまするが、この返還の前提となりまするところの地元の問題の処理につきまして、今日まで解決を見ておりませんために、この返還の問題が解決をいたさないのでございます。従来から政府といたしましては、できるだけすみやかにこれを返還させて、使用転換したいという方針で考えておるのでございまして、ただいま山梨県の地元に演習場対策協議会という、全般の問題を扱う機関が議会あるいは市町村、地元の組合関係者等を総合しましてできておりますので、この演対協といろいろ相談をいたしまして、できるだけすみやかに処理ができるように、われわれとして努力をいたしておる次第でございます。
#179
○鈴木強君 この演習場は、米軍の基地になっていることは明らかであります。ただし実際には自衛隊が演習をしているのであって、アメリカ軍はあまり演習をしていないように聞くわけですけれども、現在米軍がこの北富士演習場で年間どのくらい演習されていますか。
#180
○政府委員(山上信重君) 米軍は、北富士演習場につきましては、この一月以来は演習をいたしておりません。自衛隊はこの八月まで引き続き演習をいたしておりましたが、九月以降いわゆるすわり込みの問題等がございまして、現在のところ演習を中止いたしております。したがって、昨年の一月以降今日までの演習使用回数は、自衛隊が百五十六回ということになって、月平均十一・一日と、こういうことになっております。
#181
○鈴木強君 アメリカは一回もやってないんですか。一月以降というのはわからない、ことしの一月だか去年の一月だか。
#182
○政府委員(山上信重君) 昨年の一月という意味でございます。
#183
○鈴木強君 そうすると実際にはもう米軍は演習をしていないわけですね。したがって、これを返してもらいたいということもよくわかるのです。基本的な考え方を一つ伺いたいのですけれども、地元では、農民にこれは昔解放した土地ですからね、返してくれと、こういう要求を出しておるわけですね。その考え方は、施設庁としては一たん米軍基地から自衛隊の基地に切りかえるという方針でいっているのですか。それじゃ地元の要求とは違うんですがね、この辺はどうですか。
#184
○政府委員(山上信重君) 先ほどもお答え申し上げましたように、演習場を一たん日本に返還させて、そしてそれを自衛隊の演習場にし、そして米軍には二条四項(b)によるところの共同使用にすると、こういういわゆる使用転換と私ども通称申しておりますが、そういう方式によって返還をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#185
○鈴木強君 そうするとそれは非常に地元の要求とはほど遠いんですね。それはそれとして、それではこの使用転換ができる見込みはどうですか。
#186
○政府委員(山上信重君) 現在返還しますと、これを使用転換するときには地元の同意も必要でございまするので、地元といろいろ話をいたしておりまするが、現在のところ先ほど申し上げたように、地元が使用転換に同意するというところまで全面的にきておりませんので、これが実現いたさないような実情でございます。われわれといたしましては、なるべくすみやかにこれが解決できるように、最大の努力を払っておるという現状でございます。
#187
○鈴木強君 時間がありませんから、ひとつストレートで地元に返していただきたいというのが、地元の県一丸になっての要求ですから、そういう方向でさらに努力をしていただきたいということをお願いしておきます。
 それからもう一つ、そういう過程の中で、林野雑産物補償の問題が出ておりますが、いまこの補償金額をめぐって紛争があります。現在補償金を拒否しているわけですけれどもね。拒否しているのはいつといつで、どのくらいの額になっておりますか。
#188
○政府委員(山上信重君) 補償金の支払いを私のほうで拒否しておるということではございませんので、補償の問題につきましては、御承知のように忍草入会組合につきましては訴訟が昭和三十五年度分について行なわれております。それから昭和四十二年度以降の補償につきましては、補償金額の算定等についてただいまいろいろ折衝中でございます。
#189
○鈴木強君 幾らなんですか。地元で受け取っていない金ですよ、補償金は。
#190
○政府委員(山上信重君) 四十二年度分以降の補償額は、地元がまだ受け取っておりません。この額はまだ決定いたしておりませんので、幾らと申し上げるわけにはいかないのではないかと思っております。
#191
○鈴木強君 そうすると四十二年以降ですか、四十二年度の予算に防衛庁はその補償の額をたしか計上しておった。その額は幾らですか、四十二年、四十三年、四十四年、この額でいいですよ。
#192
○政府委員(山上信重君) 予算計上額といたしましては、四十二年度分として二千三百八十六万七千円、四十三年度分として二千八百九十二万五千円、四十四年度分として二千八百二十六万五千円、これは予算でございます。
#193
○鈴木強君 この予算は、国会の議決を経た予算である。これは結局使用できなかったからもとに戻っていると思うんですが、一番問題になっているのは、金額だと思うんですけれども、この金額についてたしか見解は相当離れているものですね。これを歩み寄らせるという方法は努力されていると思うのですが、その辺はどうなんですか。
#194
○政府委員(山上信重君) ただいま四十二年度分以降の補償額につきましては、先ほども申し上げたように、地元と直接と申すよりも、演習場対策協議会が中に入りまして、いろいろ演習場の全般の問題、補償問題だけではございませんが、取りまとめていただいておるわけですが、その線を通じていろいろ折衝をいたしておる次第でございまして、従来組合といたしましては、少なくとも四十一年度までの平均支払い額を下回らないようにという要望がございます。われわれといたしましては、この点について十分に考慮してまいりたいというのが現状でございます。
#195
○鈴木強君 これはいずれにしても解決をしなきゃならない問題だと思います。ですから積極的に今後やっていただくわけですが、ところで妥協が成立するという場合に、四十五年度予算では間に合いませんね。その場合の予算の支出については、どうするお考えですか。もし、たとえばことしの八月なら八月に、あるいは六月なら六月に交渉が決着したという場合に。
#196
○政府委員(山上信重君) お答え申し上げます。予算につきましては、繰り越しの手続を考慮いたしておりまして、四十五年度予算とあわせて配慮できるつもりでおります。
#197
○鈴木強君 次に、建設大臣にお尋ねしますが、まず第一番に、中央高速自動車道の一宮線のうち、勝沼と韮崎間、要するに甲府の国鉄の駅を中心にして南回りか北回りか、これは長いこと問題になっておりましたが、先般、県の議会のほうでも南回りということに請願が満場一致で採択されております。建設省としては南を回るような路線に御決定いただくようなお手配がしていただけますかどうか。
#198
○国務大臣(根本龍太郎君) お答えいたします。結論といたしまして、地元が一致してそれを要望し、かつ土地の先行取得等が円満にできるという見通しがありますれば、変更してもいいと私は考えております。その意思をもってひとつ現場の検討を命じておる次第でございます。
#199
○鈴木強君 その次に伺いたいのは、先般、消防審議会が東京地方における大震火災対策に関する答申というものを出しまして、その際、河角東大名誉教授が六十九年地震周期説というものを大胆に取り上げられました。今後この周期が十年の間に出てくるという、こういう予想をしているわけです。私は非常に心配するのは、いま霞が関ビルだとか、あるいは貿易会館ビルとか、相当高層ビルがどんどん建っておりますが、はたしてこういう大震災の場合に、これらのビルは、たとえば防火対策の面でだいじょうぶなのかどうなのか、あるいは耐震の面でどうなのかという心配があるわけですね。そのほか地下ターミナルなんというものも、地下道にどんどん地下街ができておりまして、こういうところの消防力というものも一体どうなのか、非常に私心配するわけですけれども、そこらについて、具体的に、これは悪い例で恐縮ですけれども、霞が関ビルの二十何階に火災が発生したというようなことを想定した場合に、待避あるいは防火の体制というものは磐石でしょうか、これは消防庁からも伺いたいし、建設大臣には地震に対してだいじょうぶかどうか、それからまた、消防法に基づいて、当然建築基準法上の措置がとられていると思いますけれども、そういう点はどうか、これを伺いたい。
#200
○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、最近、都市の構造改善の結果、非常に高層のものが多くなると同時に、一方においては地下街も非常に大規模になりました。これに対して、御指摘のとおり、震災あるいは火災に関するところの安全を期することは非常に重大な問題でありまするので、建設省におきましても十分その点を配慮して、これを指導強化しております。その結果、現在のところ霞が関ビルその他高層建築として許したものについては、現在のところでは、大体関東大震災の約三倍程度の強度の地震が参りましても、建物それ自身が倒壊するとか、あるいは非常に重大の損傷は来ないという設計にいたさせておるつもりでございます。
 それから耐火関係につきましても、十分にこれは配慮しておりまするが、一つ非常に心配なのは、待避の訓練そのものが十分にできておりませんと、その施設が十分に利用されるかどうかというところが一点でございます。
 それからもう一つは、排煙でございます。火そのものよりも煙に基づくところの人命の損傷並びに混乱が非常に多いのでございまして、この点はよく消防庁と連絡の上、現在で不十分なところはどんどん改造命令を出さなければならないと思いまして、これは事務当局同士検討いたさせておる次第でございます。
 なお、地下街についても同様でございまして、これも避難の訓練と排煙の設備、これに問題があると考えておりまするが、これは十分に検討して、改善させたいと考えておる次第であります。
 なお、建築基準法を今回改正することにいたしておりまするが、その点を十分に考慮に入れて改正案を出しておる次第でございます。
#201
○政府委員(松島五郎君) お答えいたします。
 霞が関ビルあるいは貿易センタービルなどの超高層ビルにつきましては、ただいま建設大臣からお話がございましたように、耐震性においては関東地震級の地震には十分に耐えるものとして設計をされ、建設をされております。また、このビルの内部にはできるだけ可燃物を少なくするような配慮をいたしておりまして、家具調度類等の不燃化もはかっております。また火災の覚知設備、消火栓、スプリンクラーなどの消防用設備、さらに避難のための通報、避難設備なども消防法令に定めております以上のものをこれらのビルにおいては整備をしております。また、これらの設備を総合管理をいたしますために防災センターを設けまして、ここで集中的な統制のある運用ができるというような配慮をいたしております。また、あのビルでは巡回員が常に巡回を行ないまして、無線を携帯しておりまして、事故があれば直ちに防災センターに連絡をとり、防災センターから必要な指令、対策を講ずるという仕組みになっております。
 このように、ああいう高層ビルにつきましては、消防法規上もあるいは建築法規上も、火災、地震に対して相当強い配慮を払っておりますが、先ほど建設大臣からお話もございましたように、問題は、そういういざという非常事態のときに、中に混乱が起きないようにするということが最も大切なことでございます。で、あの超高層ビルの中には、したがいまして火災等が起きました場合に、先ほど御質問にございましたように、どっかの階に火災が起こったという場合に、火災の連絡のための放送設備というようなものを全階に働かせますと、不必要な混乱を起こすというようなことも考えられますので、これは防災センターの中の標示板には火災個所が明示され、そしてそれに応じてその階並びにその上階に連絡をするというような仕組みになっておりまして、さらに必要に応じて情勢を見ながら逐次連絡をとって避難、誘導していくというような体制をとっております。したがいまして、混乱が起きなければ、すなわち日常の訓練等が行き届いておりますならば、こういう建物において大きな被害が出るということはまずないものというふうに考えております。
 地下街等につきましても、まずここでは避難ということを第一に考えて、通常の建物等に要求されます以上の消防用の設備等も用意するようにさせております。また、八重洲口の地下街等におきましては防災センターを設けさして、そこで集中統括できるような仕組みになっておりますが、やはりここでも一番問題になりますのは先ほどお話のございました煙の問題でございます。煙につきましては排煙設備等も逐次強化をしてまいっておりますが、また、消防施設といたしましても消防機関が排煙車というようなものを整備するようにいたしておりますけれども、排煙車は現在の能力ではある限られた小さな部屋にこもった煙をはき出すことは可能ではございますけれども、非常に広いスペースに立てこもる煙を排煙車ではき出すということはいまの排煙車の能力では非常に困難でございます。そういった点から発泡、あわでもって押し出すというような方法も開発して、そういう器材も整備をいたしてきておりますが、排煙車等の問題につきましては今後さらに技術的な開発を進めていきたいと、かように考えておる次第でございます。
#202
○岡三郎君 関連。関連ですから簡単にいたしますが、昨年私建設委員会の委員長をしておりましたが、そのときに都市再開発法の法案を審議したときに、東京都の建築局長に東京における大震災の場合の防災計画というものは一体どうなんだということを聞いたときに、これはほとんど手がつかなくなるんではないか、規模にもよるけれども。とにかくその一番の問題点は避難場所がほとんどない、あってもこれは問題にならぬのではないか。いまの都会の、いわゆる大東京の人口の密集ぶり、この京浜地帯の人口の状況、道路の状況から見て、まず自動車だけをとってみても、もう道路は通行困難になってしまうだろう。そうして自動車全部が油をためておりますから、自動車が全部火がつくような形に火災が起こってきた場合に、これを防ぎようがないだろう。だから自動車で走っている人は全部車をとめて道路を走らなければいかぬ、その場合適切な避難場所というものがどこにも計画されておらないんじゃないか。それから東京周辺なり、あるいは東京湾周辺を見ても、全部沿岸地帯はほとんど石油精製所、石油の貯蔵所になっている。こういうところに一たん火がついたら、東京湾沿岸全体は火災に対する防衛策というものは全然これは成り立っていない。それから高潮の場合においても、江東地区でいま東京都がやっておりまするけれども、こういうことについては何年計画でどういうふうにやるかについても目途が立っていない。しかもその上に町の至る辻辻に全部ガソリンの給油スタンドがある。これがどの程度貯油をしているかわからないけれども、その数は関東大震災などに比べたら、これはもう想像以上のものである。そういうふうに石油、重油、そういう油で取り囲まれている大都市の中において自動車が走る道も窮屈なほどの中において――一体防衛ということで仮想敵をつくって防衛をしておるが、震災という一つのそういう天災に対して全然いま防衛策がないんではないか。私はある時点で安田海上火災の社長に聞いてみた。火災保険会社としてこれはどう考えているのかと言ったら、そのときには全財産を投げ打って逃げる以外には手がないんですよ、ということは、これは火災保険の責任者のことばであって、東京都に、大都会自体が現在の過密化の中において人災に対するところの手当というものがほとんど無視されている。そういうふうな点について、私は一昨日も基地の問題に触れて、大都会の中における都市の近郊の基地とか、こういうものについても、自衛とか、いろいろなことを言っているけれども、根本的なものが欠けているんではないか、経済の高度成長ということばかり言って、この経済の成長の陰に人命というものが根本的に無視されているんではないかということを私はどうしてもぬぐえないのです。したがって、こういう面について、いま鈴木さんが言われているように、大震災の場合に、震度について高層ビルは三倍の強度があるにしても、大都会の地震に伴う火災に対するこういう防衛計画というものは、いまの消防庁の話でも全然これは問題にならぬ。そういうふうな面について、まず端的に人命を保護するならば、大都会に大きな公園なり、とにかく人がゆっくりと避難できるようなものを根本的に計画しなければいかぬ。それを道路をつくるとか、それは大切ですがね、とにかくそういう面についでは土地の効率的利用だけ考えて、その根本的に都市の安全という面についての配慮というものが建設関係においても、大蔵省関係においても全然見ておらない。国有地といえば公務員の宿舎に全部充ててしまう、それはいいんですけれども、根本的においてやはり調和されたところの対策というものを考えてもらわにゃいかぬと思うのです。いま言われたように、十年後に、十年間なおふえ続けるとするならば、その抜本的対策というものをどうするか、これについては十分やはりやってもらいたいということで、ただ口の先だけではなくして、総合的にやはりこれは対処してもらわにゃならぬと思う。これは大蔵大臣に私は聞きたいと思う。
#203
○国務大臣(根本龍太郎君) いま御指摘のありましたことは、たいへんこれはわれわれも心配しておるところでございます。これはたいへんなことであるから、攻撃することは簡単であるけれども、現実にしからばこれをどう処置するかということになると、なおこれはむずかしい、現実に。したがいまして、これは国会でございますから、御指摘になることはけっこうでありますけれども、これは非常に長年かかってやってもできないことであるから、さらに今後慎重に考えなければならぬと思っております。
 まず防潮の点から申し上げます。これは外郭防潮堤は大体できております。ただ内防についてはまだ十分でございませんで、これはなぜかならば地盤沈下が出ておりまするので、これの補強に相当の時間がかかると思います。
 それから都市再開発のための法律をつくっておりまするけれども、何しろこのとおり人口の集中が非常に激しいのでございます。それで東京都だけで都市改造をやって大震災が来ても十分なことということは、言うべくして現在はなかなか困難でございます。そこでこれは新全国総合開発計画にも示しておるように、できるだけ都市から周辺地区に、都市機能を持たしたところに移転させる誘導政策がこれはやはりどうしても必要なんでございます。それから都市再開発にあたりまして、実は密集地帯における公園、これをつくりたいと思っていますけれども、これは非常に膨大な金がかかるのでございます。そこで、できるだけ工場を周辺都市に疎開させまして、そこに実は公園、あるいは住宅をつくるということをいま進めておる次第でございます。なお、日本の現在の東京の状況からするならば、いま岡さん御指摘のとおり、まず自動車が一番これが問題でございます。これはどんなに道路を整備しても、このような状況であるならば、もし昼にこういう震災が来たならば全く混乱状況になってしまうんじゃないか。そこでこれはたしか政府に防災対策協議会があるはずでございますが、そこでよほどこれは勇敢に訓練を――いまやっておる訓練はデパートとかあるいは高層建物についてはやる、あるいは学校等でごく簡単なことをやりますけれども、一応全東京都を想定して、そうした場合にどうするかという、これは訓練計画も持っていません。これはぜひやらなければならぬじゃないかと思って、 これは関係方面とも御相談の上、これはたいへんな実は事業でございます。この訓練やるということは、ある意味においては都市機能を相当程度これは拘束してやらなければならぬということで、はたしてできるかどうかということも問題でございまするが、しかし、これはその試みをしなければならぬ段階ではなかろうかと考えておる次第でございます。いま御指摘されたことはまことに重大な問題でございまするので、私は建設大臣としての立場以上に国務大臣といたしましても、十分にこれは政府全体として考えなければならぬと思っている次第でございます。
#204
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま建設大臣から申し上げたとおり、非常に重大な問題でありますので、慎重にしかも努力を傾倒してこの問題と取り組んでまいります。
#205
○鈴木強君 これは防災会議の議長は総理ですね、また担当は総理府総務長官がやっておられるようですから、これは私は最後の締めくくりの際に総理からもいずれ伺いたいと思いますから、きょうはそれはちょっとおきまして、さっき震度の点について、消防庁長官は、関東大震災程度の震度とこうおっしゃっている、建設大臣は三倍の震度までだいじょうぶだと、この辺のちょっと食い違いがありますから、これを一つ。
 それからもう一つは、乱気流が高層建物が建ちましたために出ておりますね。これは一つの公害だと思いますが、これはどこが責任を持ってこれをやるのでしょうかね。
#206
○国務大臣(根本龍太郎君) 私がお答え申し上げましたことは、東京大震災の約三倍程度の震度になりましても、高層建築の震災による倒壊はないようにこれは設計しているということでございます。ただそれによって火災がだいじょうぶだということは、これは私のほうでは検討はいたしておらないのでございます。
 それからもう一つの点は、乱気流の問題は、これは実は実際上われわれのほうで検討はほんとうにいたしてないんじゃないかと思います。私、技術屋じゃないのでわかりませんが、従来の建築基準法においていろいろ問題になりましたのは、いまの建築が安全であるかいなかということ、それから日照権というような問題は出ておりましたけれども、乱気流の問題については、私自身技術屋じゃないからわかりませんので、政府委員からこれについては答弁いたさせます。
#207
○政府委員(大津留温君) 従来とも建築物に対する風圧につきましてはいろいろ研究がされておりますけれども、建築物が特に高層化された場合に、気流に変化を起こして、その周囲にどういう影響を与えるかということは、実は従来ほとんど研究が不十分でございました。そこで最近のいろいろな事象にかんがみまして、科学技術庁あるいは気象庁等と連絡をいたしまして、建設省では建築研究所が中心になりまして、この新しいそういう事象に対しましていろいろな方面から研究をいま進めておるような段階でございます。
#208
○国務大臣(根本龍太郎君) 私、もう一つ。いま事務当局から申し上げるとおりわからないのでございますが、そこで、これは都市計画におきましては、大体高層建物を許すところの、商業と申しますか、ビジネスセンターのような地域を限って高層建築を許すことにしておりますので、これがだんだん推進してまいりますれば、高層建築のものの一つのブロックがずっと出てきますから、現在のように一つぽつんと高いものが出たために起こる乱気流の弊害はなくなるだろうと思います。そういうような方法以外に、海外におきましてもこの乱気流の問題はあると思いまするけれども、たいてい高層建築物というものはビジネスセンターに集中しておるためにお互いが一つのブロックになっておるから、それほど他のほうでは、アメリカでは、あまり聞かないのでございます。日本のように、ああいうふうに貿易センターが、従来の二階三層というところに急に何十階というものが出たためにああいうことが起こっておるではないかとも思われますので、これは十分に検討してみたいと思います。
#209
○鈴木強君 私のは、あの近所の方々がたとえば乱気流のためにトタン屋根を飛ばされちゃったとかドアをこわされたとか、そういう直接被害が出てくるわけですね。その被害は一つの公害だと思うのです。これはだれが一体責めを負うのですか。そういうこともあわせて考えてほしいのです。いまそれがないでしょう、どこにあるか。
#210
○国務大臣(根本龍太郎君) いまのところ、加害者がはたして建物なりや風なりやという議論はあるでしょうし、いろいろございますので、これは新しい問題なので十分検討して、政府全体で、これは建設省で検討すべきかあるいはどういたしますか、これは十分検討したいと思います。
#211
○鈴木強君 それから消防庁、ちょっと大震災の規模のやつを補足してください。
#212
○政府委員(松島五郎君) 先ほど霞が関ビル等の超高層ビルが関東大地震級の地震にも耐えられるというふうに申し上げましたが、私の説明のしかたが不十分でございまして、建設大臣がお話しになりましたように、三倍以上の震度にも耐えられる、したがって、関東地震級の震度なら耐えられると、こういう意味で申し上げたつもりでございます。
#213
○鈴木強君 それからもう一つ、建設大臣、これは文部大臣も関係あるかもしれませんけれども、千葉県の浦安小学校の校舎は鉄筋コンクリートづくりの校舎なんですが、これが三年目で使いものにならなくなったというのですが、これは一体どういうわけなんですか、どこの建設会社がやったのか、この竣工検査はだれがやったのか、明らかにしていただきたいと思います。
#214
○国務大臣(根本龍太郎君) 政府委員から説明いたさせます。
#215
○国務大臣(坂田道太君) 浦安町立の南小学校の校舎は、昭和四十年度国庫補助事業によりまして完成しました鉄筋コンクリートづくりの三階建て三千七百七十平方メートルの建物でございます。ところが、四十二年十月ごろから壁体に亀裂を生じまして、その後地盤の不同沈下によりまして校舎の各部に被害を生じ、現在最大十八センチメートルの不同沈下を生じております。ところが、この地域は軟弱地盤でありまして、四十五メーター程度のくい打ちを行なって工事を実施したのでございます。昭和四十四年十二月、浦安町より千葉県土木部へ不同沈下についての調査依頼がございまして、十二月の二十五日、千葉県土木部長から、設計については支障があるとは思われないが、地区全体としての地盤沈下の問題として、深部における支持層について専門機関の検討が必要であるという回答がございました。したがいまして、文部省といたしましては、建設省の建築研究所に原因調査と今後の対策について調査をあっせんし、四月の三日に建築研究所、施工、基礎両研究室長の現地調査を行なったわけでございます。で、われわれといたしましては、やはり児童生徒の安全性というものを確保するために、近く二十八教室をプレハブで建築をする予定と聞いておるわけでございますが、文部省といたしましては、この研究所の調査結果を待ちましてその措置を検討いたしたいと考えております。
#216
○鈴木強君 建設会社はどこですかと聞いている。
#217
○説明員(川越邦雄君) 清水建設と聞いております。――文部省の管理局長のほうから、公文で、三月三十日に調査及び復旧の対策を考えてくれという文書をもらいまして、さっそく、昨日、うちの研究員を下見に出したわけでございます。原因は、千葉県のほうでもお調べになりましたけれども、かなり複雑な問題を含んでおりまして、けさ報告を受けたばかりでございまして、これから現地において何がしかの実験を行ないましてこの原因究明に当たっていきたいと考えております。
#218
○鈴木強君 そうすると、設計上のミスではなくて、あるいは建設上のミスであるのかどうなのかですね。非常に地盤がゆるいところで、そういうためなのか、この辺はどうですか。
#219
○説明員(川越邦雄君) 現地においてしっかりした調査をやらないとわかりませんですけれども、私どもが見た範囲では、設計は普通にやってある、施工も大体普通にやってありそうだというふうに見られております。
#220
○鈴木強君 いま考えられる原因は何ですか。
#221
○説明員(川越邦雄君) 原因がすぐわかりますれば問題は起きなかったわけでございますけれども……。まあわれわれ多少はいろいろな要素が考えられますけれども、この場でこれだということは、きのう下見でながめたばかりでございますので、ちょっと言いにくいところでございます。
#222
○鈴木強君 施工に問題がないと言うけれども、設計もそうですが。
#223
○説明員(川越邦雄君) いや、それはわかりません。
#224
○鈴木強君 実際、そういう軟土の土地であれば、それに即応する設計をし、施工をしなければならぬ。だから、間違いがないかというのは、そういうところまでわしは聞いているんですよ。そんなことは専門家だからわからないはずがない。
#225
○説明員(川越邦雄君) 何か原因があるに違いございませんけれども、地盤沈下をいたします原因がこれだというきめ手がつかないわけです。調べますればわかりますけれども、あの浦安の地区はこれから調査をいたす、きのう行きましたのはほんの下見でございまして……。
#226
○鈴木強君 ながめに行ったわけか。
#227
○説明員(川越邦雄君) はあ。
#228
○鈴木強君 建設大臣、はっきりしなければだめだ。
#229
○国務大臣(根本龍太郎君) 純粋の技術者でございますから、答弁があるいは徹底しないかと思いますが、このようでございます。これは非常に複雑な原因が重なっておるのではないのだろうか。いわゆる地盤の状況、それから建築の設計がはたして妥当であるかどうか、設計は妥当であるけれども工事そのものが完全にやられておるかどうか、いろいろの問題があるそうでございます。そういう問題をこれから現地について調査しなければ技術的な結論を出し得ないと、こういう意味のことを言っているのでございまして、どうぞそのように御了承を……。
#230
○鈴木強君 大臣が通訳しなければわからんということじゃ困る。これはほんとうに国民の貴重な血の出るような税金でやるわけですから、かりそめにも設計施工上のミスだということになると、許せないと思う。だから、私は、特に取り上げたわけです。
 それで、あと最後に残されたのは物価問題ですけれども、これは最初に経済企画庁長官に伺います。
 本年二月の全国消費者物価指数を見ますと、前年同月に比べて驚くなかれ実に八・五%も上昇しております。これは四十四年度の政府が考えました消費者物価改訂五・七%の見込みを大幅に上回っておりますね。一説によると、もうすでに六・四%に達しているというのだが、これは認めますか。
   〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕
#231
○国務大臣(佐藤一郎君) 全国的な数字はまだ出てまいりませんが、しかし、御指摘のように、最近の傾向から見まして、六・三ないし六・四ぐらいになるんじゃないかと、こういうふうに思っております。
#232
○鈴木強君 特に野菜等生鮮食料品の値上がりというのは全くこれはひどいものでございますね。前回私は実物をもって皆さんにもお見せしましたが、あれ以降依然として下がっておりません。ゆうべも私はネギを見てきましたけど、今度は逆に三本で百円になっている。べらぼうな値段でございます。そこで、政府としても、一日に緊急物価対策閣僚協議会を開いて協議をされたようですけれども、その具体的な積極的な物価安定策というものは樹立されたのでございましょうか。
#233
○国務大臣(佐藤一郎君) 鈴木さんのあるいは御指摘になったような例もあるようですが、大体四月に入りましてだいぶ野菜は下がってきているという数字もございます。ものにもよるかもしれません。特にキャベツ等は三割ぐらい下がっておるのもございますし、いろいろ数字が出ておりますが、もうそろそろ下がってもらわないと困るわけであります。
 そこで、この一日の閣僚協議会でございますが、実は、私ども、目下のいま御指摘になったような物価の情勢というものを頭に置きまして、いわゆる季節商品である野菜等を除きましても、ほかのものについても強含みであるということでございますから、これはよほどしっかりした対策を立てなければならない。そこで、この間は、手始めといいますか、閣僚協議会を開催いたしまして、一つは金融引き締めの問題についてそれを堅持することを確認したわけでございます。御存じのように、政府が九月以来の金融引き締めをとっておるのでありますけれども、最近におきましては、金融引き締め緩和の意見というか感じが非常に浸透しておりまして、そういうことも多少影響しているかもしれませんが、調べてみますと、設備投資にしましても、それから生産、あるいは消費にいたしましても、依然として強さが衰えておりません。したがって、また、物価の情勢にも相当強い勢いが感じられると、こういう情勢でございます。そこで、政府といたしましては、総需要の抑制、これなくしてはやはり物価対策というものを推進していけないと、こういう前提で、この際あらためて現在の総需要抑制の方針というものを確認をしたと、こういうことが一点でございます。
 それから物価と賃金につきまして、とかく安易な引き上げというような傾向も出てきております。御存じのように、私たちも、七〇年代を迎えて、いままでのいわゆるただ成長だけを徹底的に追求するという方針をこの際改めると、そうして成長だけを追うという態度からむしろ成長の実質的な成果をもっと享受すると、こういう方向に改めなければならないと、こういうことでございますから、今後、物価にしても、賃金にしても、従来のいわゆる固定化したあるいは惰性化したものの考え方で処理していくわけにはまいらない。この際いわゆる成長、あるいは物価、生産性、賃金、こういうものを整合的に考えていかなければ、なかなかこのむずかしい段階を乗り切っていけないであろう。こういう気がするのであります。そういう意味におきましてこの経済界、労働界、各界を通じて、この際、あらためて協力をお願いしたい。こういう気持を第二点においてあらわしたわけであります。
 それから第三点は、それにつけましても、何よりもやはり政府自身が物価政策についてきびしい考え方を持たなければならない。そういうことで、公共料金の抑制、あるいは輸入の抑制、その他の問題についてさらに具体的な施策を重ねて、そして物価政策の万全を期さなければならない。ただ従来のように作文に終始してはいけないという配慮もありまして、できるだけ閣僚レベルにおいて、閣僚が陣頭指揮に立ってそうしてやっていただきたい。そして、その閣僚陣頭指揮のもとに各省の具体的な物価政策を推進していく。それには多少の時間の余裕を求めまして、そして、さらに政策を具体化する、こういうことを考えたい。こういうようなことをやはりこの際、皆さんとおはかりをしたようなわけであります。
 大体以上が、先日の一日に開かれました閣僚協議会の議論の要点であります。
#234
○鈴木強君 当日中山さんは、現在の金融引き締めは物価抑制効果を十分発揮していない。こういう見地に立って、臨時的な措置として何らか資金統制的な措置を考えてもいいのではないかというような発言をされたそうだが、これに対して長官はどう思うか。
 それからもう一つは、第二の問題は、賃金との関係ですけれども、まさか所得政策というものを取り入れるとも思いませんが、その点ははっきりしておいてもらいたい。
 いまあなたは、輸入と公共料金の抑制と言ったですけれども、これは、むしろ輸入は弾力的に運用すべきだということで、それは間違いじゃなかったですか。
#235
○国務大臣(佐藤一郎君) 輸入と公共料金を一緒くたに申し上げて申しわけありませんでした。もちろん輸入の自由化というか、できるだけ弾力的に輸入を行なっていく、こういうことでございます。それで、その席において中山会長からもいま御指摘のような点がございました。
  〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕
これは過去において、私たちも一度経験したことのあることでございます。資金審議会等を設けまして行なったこともあるんでございますが、これにつきましては、一応そういう御意見があったということにとどめまして、これはよく今後検討をしなきゃならぬと、こういうことだろうと思います。
 それから、賃金の問題でございますけれども、もちろん所得政策、いわゆる世間で言われておるところのものをいますぐ私たちがどうしようと、こういう立場に立ってはおりません。これは、賃金だけでなく、利潤の問題もございますし、価格の問題もございますし、これらは今後広く整合して考慮さるべき問題であります。でありますから、いわゆる所得政策をいますぐどうということではありませんけれども、しかし、御存じのように、また同時に、この二、三年の非常に高い経済成長というものをバックにしてではございますけれども、賃金の上昇も相当加速化してきていることも事実でございます。四十一年ごろは二%ちょっとでしたが、昨年は一七%の上昇率、こういうことでございます。生産性の上昇というものにも限度があることを考えますと、これがまた無制限に上昇するというようなことになっては、これはお互いにうまくいかなくなることは、労使双方みんなわかっているわけでありますから、そういう意味においてこの際、経済全体の成り行きというものをよく見詰めながら経済界においても、労働界においてもそういう点を頭に置いて、今後の行動をしてもらうことを私たちは期待をしております。そうして所得政策というものの採用には、よほどこれは慎重でありませんと、まあ過去の経験もわれわれ知っております。そういう気持ちでおります。――あと何かありましたか。
#236
○鈴木強君 大蔵大臣に中山提案をどうお考えですか、ちょっとお答え願います。
#237
○国務大臣(福田赳夫君) 私もはっきり聞き取れませんでしたのですが、大体資金統制をすべきじゃないかというようなことかと思います。それでありますると、これはなかなかむずかしい問題です。しかし、統制ではございませんけれども、企画庁なりあるいは通産省なりが、重要な電力だとかあるいは鉄でありますとか、あるいは石油でありますとか、そういうものは、それぞれの業法に基づきまして、そういう需給調節の配意はしておるのです。まあ中山さんは、それをさらに強化しましてやっていったらどうだろうと、こういう御意見ですが、そこまでいかんでも、まあやっていけるんじゃないか。かように考えております。
#238
○鈴木強君 この閣僚協議会できめた三つの方針に基づいて各閣僚とも積極的に物価対策の総点検運動に取り組んでいくということでありますが、この際農林大臣と通産大臣、ひとつ具体的に所信を明らかにしていただきたい。
#239
○国務大臣(倉石忠雄君) 私どもの所管いたしております物資が、すぐに表面に物価の話になると出てまいる、また、そういう一番日常生活に関係のあるものでありますが、われわれの取り扱っておる物資にはいろいろな種類がございますが、先ほどちょっとお話のありました野菜など、まあ今年ちょっと高いのは、御存じのように、五回も寒波が押し寄せてきたとか、あるいは五十日余りも干ばつであったというような特殊な影響もあったんでございますけれども、そのほかに私どもといたしましては、やはり流通機構についてもう少し掘り下げて検討しなければなるまい。それで、生産性を上げさせるためのいろいろな施策は従来ともやってまいりましたが、これからもなおやるつもりでありますけれども、消費者と合意の得られるような価格で生産ができることを考えますと、やっぱり流通機構の改善にはさらに特段の配慮をする必要があるんではないかと、このように受け止めておるわけであります。
#240
○国務大臣(宮澤喜一君) 生産性向上とか、構造改善とかいうことを申し上げますと、たいへん長くなりますし、それはおわかりでございますから、当面の問題として日常生活に関係の非常に多いものにつきまして価格構成がどういうふうになされているかということを実は調べております。その中から物価が適正に形成されておるのかあるいはそうでないのかということを調べて、そうして、私のほうから進んで行政指導できるものがあれば、そういうことでしたいと、いまいわば洗い直しをしているわけでございます。
#241
○鈴木強君 どうも抽象論にやっぱり終わってしまいまして、具体的に一体野菜がいま高いのをどうしたら下がるか、それから通産省も、日常生活に直結する品物についてはどうしたらいくという、そういうことをやはり具体的に国民の前に示すべきですよ。それはどうですかね。そうしないと意義ないんじゃないですか、これ。
#242
○国務大臣(倉石忠雄君) 野菜の中でもいろいろございますけれども、キャベツみたいなものは長期保管はなかなかむずかしいですけれども、そのほかのものにつきましては、私どもとしては、外国の例などを考えてみましても、まだくふうのしかたがあるんではないかということを考えておる、と同時に、また適切な調整方法としては輸入が考えられます。それで、この間もお話しになりましたように、タマネギなどにつきましては、台湾からの輸入ワクを広げておりますし、第一船はすでにこちらに到着いたしておるようなことで、そういうような品物によってそれぞれ手段を講じまして、輸入制度なぞも調整手段として弾力的に活用してまいりたいと、こう思っております。
#243
○国務大臣(宮澤喜一君) それは具体的に申し上げますとたくさんあるわけでございますが、たとえば小棒――鉄の丸棒でございます――について申しますと、需給計画を見まして、そうしてメーカーに高炉メーカーからビレットをよけいに出させるとか、あるいは高炉メーカーも一部、もうやむを得ませんから、丸棒の生産をしてもらうとか、そういうことで供給をふやす、具体的にはたとえばそういうこともすでに指示をいたしたわけでございますけれども、私自身がこの問題については、自分も非常に悩んだ経験がございますから、何省何省ということでなくって、自分のほうからひとつ問題を持ち出していくぐらいなつもりでやりつつございます。
#244
○鈴木強君 具体的に、これは農林大臣、あなたが直接わからなかったら関係の方でもいいですけれども、いま非常にネギが高いのですけれども、一体ネギは生産者から産地の仲買いに幾らで渡って、仲買い人から東京の市場に幾らで来て、東京の市場からマージンを幾ら取って仲買い人に行って、仲買い人から今度また小売りに行くか、それを調べてありますか。教えてください。
#245
○政府委員(荒勝巖君) ネギはちょうどことしの、毎年でありますが、いま端境期になりまして、この四月から五月にかけましてネギ坊主が出てまいりまして、元来ネギというものは、いわゆるシーズンの終わりに近づきまして、毎年ネギはいま時分になりますと値上がりいたしまして、そのかわり六月以降の新しいネギを待つというかっこうでございます。で、ことしただいまネギの値段につきましては、ただいま御指摘がありましたように、いわゆる神田の卸売り市場でキログラム当たり約九十円ぐらいいたしておりますが、大体最近の相場で三月から四月にかけまして、おおむね横ばいというかっこうで、むしろわれわれといたしましては、端境期で、あまり長く置いておいてもしかたがないという農家側の考え方もありまして、ここで最後のネギ坊主の出る前に大体出回ってしまうんではなかろうかと。で、ネギは御存じのようにそう長距離から輸送できませんので、東京のネギを例にとりますと、大体関八州、特にいわゆる群馬地方から多い目に出荷されておるようでございます。ネギにつきましては大体そう長距離でございませんので、農家サイトで大体キロ四十円ぐらいの出荷で、三十円ぐらいの運賃かけまして、東京で九十円から百円ぐらいになっているんではなかろうかと、こう思います。
#246
○鈴木強君 いつのことですか。いつの調査ですか。
#247
○政府委員(荒勝巖君) このネギの相場につきましては、ただいま申し上げましたのは四月三日の神田の卸売り市場のネギを例にとりまして、一日の日がキロ百二十円いたしておりましたのが、二日、三日と八十円、九十円というふうに多少値下がりしている次第でございます。
#248
○鈴木強君 ぼくの言っている、質問に答えてくださらない。産地の生産者から出荷業者へ幾らで渡って、それから東京の荷受け人へ幾らで渡って、せりにかけられて仲買い人から八百屋へ幾らで卸しているか。それで八百屋では消費者に幾らで売っているかというのを教えてくださいというのを一つも答えていない。たとえば埼玉県の深谷がネギの産地ですから、深谷のネギがどうなっていますか。
#249
○政府委員(荒勝巖君) 具体的な三月三日、四日前後のいわゆる産地の深谷のネギの相場は調べておりませんが、ただいま申し上げましたように、約四割が農家の手取りと、こういうふうに御理解願いたいと思います。それで約三割前後がいわゆる中間の運賃、それから包装並びに神田の市場の手数料が入りまして、小売り価格で約三割ぐらい小売りの手数料になると、こういうふうに理解しておる次第でございます。
#250
○鈴木強君 皆さんにもう少し真剣にこういうものを追跡してもらいたいんだ。天候が悪かったとか寒波が襲来したとか、そんなことは理屈にならない。いまはもうビニールハウスの経営もできますし、それからかんがいをしておけば、幾らからからになってもできるんですよ。だから、もっと積極的に物価を下げる対策について、これは流通機構を含めてやってもらわなくちゃ困るんですよ。大体、深谷へ行ってネギを買えば三十二キロで千円で買える。そうすると一キロ三十一円、これが東京の小売り値では一キロが百五十円になっている。五分の一でもって買えてるんだ。これだけの損をしているわけだ、流通市場において。このくらいのことは少し勉強しておいてもらいたいですね。どうですか。
#251
○国務大臣(倉石忠雄君) お話のような点について実は私自身がいろいろ痛感しているところでございます。物価の問題を含めて、したがって国会が終了いたしましたならば、私が陣頭に立って、そういう中間の関係がどういうふうになっているか、これは野菜だけでございませんで、農林物資にはかなり私どものいろいろふしぎに感ずるところもありますので、さらに事務当局を督励して、私が陣頭に立って勉強してみたいと思っております。
#252
○鈴木強君 大臣の何といいますか、非常に熱心な発言を聞きましたから、まあこれで一応おきますけれども、問題が非常にあるんです。
 いろいろありますけれども、最後に厚生大臣、チクロですがね、もう二月一ぱいで全部店頭から消えているものが最近どんどんと出ているんだけれど、これはひとつ取り締まりがどうなっているか、ちょっと教えてもらいたいんです。
#253
○国務大臣(内田常雄君) チクロを入れたかん詰め等は御承知のとおり延ばしてありますが、それではなしに、単体たるチクロでございますが。チクロそのものも、チクロの添加を禁止してしまいましたので……。
#254
○鈴木強君 これを見なさいよ。たくさん入っています。これだけあるんです。これみんなチクロが入っている。検査したんです。
#255
○国務大臣(内田常雄君) これはチクロを添加した食品の詰め類じゃありませんから、延ばしてあるはずはないものでございます、かん詰め、びん詰めじゃありませんから。したがって、こういうものを売っていることは、これは食品衛生法違反でありますから、これは行政処分も、あるいは場合によっては起訴や告発等をすべきものだと私は考えるものであります。こういうものの取り締まりにつきましては、三月十六日でございましたか、全国の都道府県の関係課長会議をいたしまして、趣旨の徹底をはかっておるわけでございますし、また、全国五千人余りの食品衛生監視員というもので取り締まりをさせておるたてまえではございますけれども、先般も申し述べましたように、なかなか業者数が多くて徹底できない点は、まことに私どもも申しわけなく存じておるところでございますが、さらに今後徹底をはかってまいりたいと思います。
#256
○鈴木強君 これはこの食品監視の検査員が少ないんじゃないでしょうか。これ具体的に食品監視のための要員の増員についてはどういうようにやっていますか。
#257
○国務大臣(内田常雄君) 私どもは数字で承知いたしておりますところによりますと、全国五千四百人ということになっているんですが、しかし、それは兼任者をも含めての話でございまして、専任者は千人足らずということであります。でありますから、まあそんな少ない専任、兼任で全国の二百七十七万件の対象業者、しかも、それは政令によりまして一年に何回監視すべしというそれぞれの区分けをした規定がございますので、その規定のとおりにやりますと、検査回数というものは一千八百万件になるわけであります。それを専任者千人足らず、兼任者を含めて五千四百人でやるということは、どだい無理でありますので、したがって、数字によりますと、その千七百万件の要検査件数の六分の一ぐらいしか一年に検査をしておらない、一六%あまりぐらいしか検査をしていないというような状況でありますので、これは、かりに食品衛生検査所というような、まあ、いわば税務署みたいなものをつくることができれば、これは検査の徹底ができるわけでありますが、そういうこともにわかにできませんので、できる限り検査方法の合理化なり、また法令、省令等によりましても合理的な監督方法を規定をいたしますとか、あるいは若干ずつでも地方の職員のほか国の職員につきましてもふやすというような方法を講じまして、趣旨の徹底をはかってまいる以外に当面はないと思います。さらに厚生省そのものの姿勢も大切でございますので、できる限りの監督指導の体制を強化してまいりたいと思います。
#258
○山崎昇君 関連して。厚生大臣にお聞きしますが、いまの食品監視にしろその他にしろ、これはやっぱり保健所が担当しているのですね。ところが、いまの保健所は、私の記憶に間違いなければ、昭和二十六年に保健所法ができてから定員、機構その他は一切そのままになっているのですよ。だから、私は、この間内部機構の問題についてもやりましたけれども、何といっても行政がおくれておる。世の中の進展に行政が伴ってないのですね。そこに私はやっぱり最大の問題点があると思う。だから関連して保健所というものをどういうふうにあなた方強化するか、拡充するのか、あわせてお聞きをしておきたい。
#259
○政府委員(村中俊明君) 保健所問題の今後のあり方についてのお尋ねでございますが、ただいま御指摘がございましたように、国の補助対象職員というのは、およそ二万名ちょっとでございまして、現在八百三十の保健所がございまして、そこに配置されておる。そのほかに、これも御承知のとおり、地方交付税対象の職員がおりまして、これが先ほど来お話のございます薬事監視員あるいは食品衛生監視員というふうな職種に分かれている。私どもといたしましては、今後とも新しい疾病対策あるいは予防に見合うような、そういう方向への体質改善ということで、新年度の予算の中に約二百万あまりの検討費を計上いたしておりまして、国みずからが昭和四十五年度で保健所の新しい体制に見合う、そういう内部検討をいたしたい、こう考えております。
#260
○鈴木強君 まあ、消費者の側から見ると、物価はどんどん上がるし、おまけにいんちきなものが出回って、これはたいへんな目にあっているわけです。それでやっぱりこれは法律によって取り締まるよりほかないわけですから、たとえば食品衛生法とかあるいは薬事法――まあ薬のことも聞きたかったのですけれども、そういった法律に基づいてそれぞれ官庁が認可をし、許可をしたものがそのとおりやられてない、そういったものをやはり監視をすること、検査をすることによって発見をし行政措置をするしかないのですね。ですから、一体いまの法律に基づいて、規定に基づいて検査をやれば何人の監視員が要るか、こういうことは計算してありますでしょうか。
#261
○政府委員(金光克己君) 食品衛生監視員の監視につきましては、ただいま大臣から御説明がありましたように、業種によりまして年間の監視回数をきめております。それに対しまして約一六%の現在実施率でございます。したがいまして、それから逆算いたしますと約六分の一しかやってない、かようなことでございます。これは……。
#262
○鈴木強君 具体的に何人。
#263
○政府委員(金光克己君) したがいまして、現在専任が四十三年度末で九百十二名でございますので、約その六倍ぐらい要る、かようなことになるわけであります。計算上はさようなことでございますけれども、この監視回数につきましては、戦後につくられたものでございまして、この点につきましては必ずしも六倍必要ということではないわけでございます。やはり業界自体の実質的な活動も非常に盛んになっておりますし、また、食品衛生管理者等も各業種に置かせるようにいたしておりますので、約二倍くらいは必要ではないか、かように考えておるわけであります。
#264
○鈴木強君 時間がありませんので、あとは分科会で。
#265
○委員長(堀本宜実君) 以上で鈴木君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#266
○委員長(堀本宜実君) 次に鶴園哲夫君の質疑を行ないます。鶴園君。
#267
○鶴園哲夫君 農林大臣に生産調整の問題で若干伺いたいのですが、いま四月になったわけですけれども、この百万トン分の生産調整については、どういうふうにいま把握しておられるか。休耕はどういうことになっているのか、あるいは転作はどういうふうになっているのか、現状をひとつ御説明いただきたいと思います。
#268
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま進行中でありまして、それぞれの地方でいま一生懸命でやっててくれているところなものですから、まだ集計はしておりませんが、大体順調に運んでいるようであります。それから転作、休耕も同時に調査いたしている最中であります。
#269
○鶴園哲夫君 休耕がどのくらいになっているのか、七割以上休耕になっているのじゃないかというふうに言われているのですけれども、休耕のほうがはるかに多いという状況ですか。
#270
○国務大臣(倉石忠雄君) はるかに多いかどうか、いま調べておる最中でありますが、やはり地方の状況を見ておりますと、かなりの割合で休耕が多いのではなかろうかと見ておるわけです。
#271
○鶴園哲夫君 この休耕の場合は、来年からまた植えるということになるわけですね。そうしますと、来年も、これは休耕については奨励金を出していくということになりますか。ほうっておきますと、これはまた来年植えますよね。
#272
○国務大臣(倉石忠雄君) 大体計画が終了いたしました段階で考えていかなければならないのじゃないかと、こう見ておりますが。
#273
○鶴園哲夫君 これは農民は来年のことを考え、二年後のことを考えてやっているわけなんですから、大臣が本年度限りのことを言って、これはあとまた来年のことは来年だというのじゃ非常に不安じゃないかと思うのですけれどもね。ですから来年はどうなさるのか。これははっきりしてもらわないと、農民は心配でたまらぬと思うのですよ。
#274
○国務大臣(倉石忠雄君) 予算的取り扱いはなるほど御承知のとおりであります。しかし、農業というものは、もう申すまでもなく、息の長いもので、また息の長い計画を立っていかなければなりませんが、ただいま地方の農村の状態が、かなり各地から情報が着々集まりつつありますけれども、お説のように、私どもは、初めはもちろん理想的には全部が転換されることが望ましい。しかし、あれだけの量でありますから、そのようにはいきません。たぶんいかないと思う。しかし、いま私どもが一生懸命でやっておりますのは、大体その地方における適作について農業者のお考えも聞き、それから農業団体、市町村長等の意見も聞きながら、一般論としては、私ども農政局が、これから転換先作物としてどういうものが国全体としてはどの程度有望である、そこで、その地方における適作としてはこういうものではなかろうかというふうなことをいま盛んにやっておる最中でありますから、それに応じてこれから農村の人々も考えてくれるであろうと思います。そういうことで適地適作について指導をいたしておるわけでありますから、本年、生産調整の結果を見まして、どのようにこれから生産者と御相談をすべきであるか、それぞれ各地の事情が違うと思いますので、そういうことについて対応してまいるわけであります。
#275
○鶴園哲夫君 予算が単年度であることはよくわかるのですが、しかし、先ほど大臣もおっしゃったように、これは農家として見ますと、本年だけのことを考えているのじゃないわけです。来年のことも再来年のことも考えて転作の問題なり、休耕の問題やっていると思うのです。私ども見ますと、大体七割以上というのは休耕になっているのじゃないかというような感じを持っているわけなんですよ。そうしますと、この問題は、これはやっぱり来年も考えていかなければならぬのじゃないか。来年はどうなさるのだ、どうしてくれるのだ、こういうことだと思うのです。ですから、農林大臣としての考え方でも明らかにしておいてもらわないと、農民は心配でならないと思うのですがね。
#276
○国務大臣(倉石忠雄君) 各地の情報が、さっき申しましたように、いろいろ集まってきておりますが、ただいま農林省が、いま申し上げましたような方針で各地に適した転換先作物について地方と協力して方針を示しておりますので、これから先おやりになることについては、御不安のお持ちの方もあるかもしれませんけれども、大部分は農協等を通じてそれぞれいろいろなことを考えていらっしゃるようであります。したがって、私どもは、この生産調整の結果が来年にならなければわからないものではないのでありますから、来年のためには、なるべく早く方針をきめて指導してまいりたい、御不安のないようにいたしたい、このようにしたいと思っております。
#277
○鶴園哲夫君 転作の問題について、いま農林大臣から御説明がありましたですが、私も見せてもらったんですけれども、これはどうも作文のような気がする。これはもっと積極的に転作の問題についての考え方をお出しになるお気持ちはないのかどうか。これは非常に重要な問題だと思いますね、この転作は。そうしますと、価格の問題についても、奨励の問題についても、これは積極的にやらなければならぬのじゃないかと思うのですけれども、そういう姿勢がいまのところ全然見えていませんですね。
#278
○国務大臣(倉石忠雄君) 鶴園さんは大部分のことを御存じのお方でございますが、農林省は、転作につきまして、たとえば地域によりましては、あなたの方面は畜産がよかろうじゃないか、草地造成等は近くでこういう計画で行なわれておるようでありますから、そういうことを取り入れられてこの地域は畜産はどうですかと、それから長野県のようなところでは、農協が桑畑をやりたいが、生糸の将来についてはどういうものであろうというふうなことを蚕糸局にも聞いてまいりますし、それぞれの関係業界においても話をいたしております。果樹、野菜、それぞれその地域地域で将来の計画を持っておるのでありますから、ただ一般的に、たとえば野菜でも、これが間違って五万ヘクタールとか、そういう大きなものがもし出てきたとすれば、これは私は結局においてたいへんなことになるだろうと思う。したがって、そういうことについては、いまのいわゆる選択的拡大の方向にマッチするような計画を持って、それを地域に当てはめてひとつ御相談をしておるわけでありますから、これはかなり地方の方々に浸透しておるはずであります。さらに、お話もございましたので、もう一ぺん私は地方農政局を督励して調査をしてみまして、そういう御不安のないようになお努力をさせたいと思います。
#279
○鶴園哲夫君 この地方は酪農がよかろうあるいはこの地方は果樹がよかろう、あるいはこの地方はお茶がよかろうというお話、それは文書に書いてありますけれども、実際にいままでの有利な米から移り変わるわけですから、これは単にこれがよかろう、これがよかろうというだけでは、なかなか容易な問題じゃないと私は思うのです。ですから、いま当面の問題としては間に合わないかもしれませんですけれども、これから転作について積極的にやはり施策をはかる必要があると思う。
 これがいい、これがいいというだけじゃなくて、農政としては、価格の支持もある程度考えましょう、あるいは転作についてのいろいろな融資なりそういうものもやりましょうという積極的な転作の施策を展開する必要があるのじゃないかと、そういうように考えておるわけです。
#280
○国務大臣(倉石忠雄君) たいへん大事な問題を御指摘になりました。そのとおりだと思います。私どもは、いまお答えいたしましたような方針を指示し、地方の農協等と協力をいたしていろいろやっておるわけでありますが、そういうことの全国的な計画を持ちましたときにはもちろん、四十五年度予算でもかなり土地改良、圃場整備等、資金を出しておりますが、そういう転作後の営農のためにはそれぞれの予算的措置も金融的措置も考慮してまいらなければならないことは、鶴園さんの御指摘のとおりだと思います。
#281
○鶴園哲夫君 五十万トン分の十一万八千町歩、これについて四十四年度の補正予算で一億円の緊急調査費が出ておるわけですが、見通しはどういうふうになっておりますか。
#282
○国務大臣(倉石忠雄君) 御存じのように、これは関係の各省に予算を配分いたしまして、みんな各省とも協力していただいて、いまそれぞれ手配をいたしておるわけであります。そこで、これを集計するためにいまお願いをいたしておるわけでありますが、めどをつけなければいけませんので、四月の末ごろまでには全体のめどをつけたいと、こういうふうにお願いをしておるところであります。
#283
○鶴園哲夫君 この農地の転用基準の緩和を二年とされましたのは、十一万八千町歩というものが本年で片づかない場合に、来年においても措置しようというお考えですか。十一万八千町歩というのは今年で終わりですか。
#284
○国務大臣(倉石忠雄君) 御存じのように、この新都市計画法の中に含まれております水田だけでも十八万ヘクタールあるわけでありまして、それでいま建設省の所管で、各地方でその線引きが行なわれておる最中だと思いますけれども、しばしば私どものところへ全国から陳情が参りますのは、この市街化区域をもっと広げてくれという御要望ばかりでありまして、これを狭めてくれという陳情にはいまだかつて一ぺんもお目にかかったことがないんでございます。そういうようなことを考えてみましても、それからまた工場立地調査法によりますと、工場適地として指摘されておる土地の中に、三万ヘクタールも水田が入っておるわけでありまして、いままで私、農林省におりまして、これも全国からいろいろ苦情がまいりましたのは、高度成長に伴って産業を地方に分散したいんだが――こういうところに工場立地を求めようとしたいんだけれども、農地転用がきびしくて困難しているが、何とか緩和してもらえないかというふうな陳情が非常に多うございました。先ほど鈴木さんが、ここでおっしゃいましたような、何年か後に、間違って関東大震災のようなものがあったときには、一体どうなるだろうというようなことを考えてみますと、いろいろな意味においても私は、産業が全地方に分散されていくことはいいことではないだろうかと思っておるわけであります、それやこれやを考慮いたしますと。それから先月の十七日でありますが、経団連その他の経済界の人々と私どもと会同いたしまして、いままで詰まっておりました地方分散が、農転のきびしさのために行なわれなかったという苦情もかなりございました。かたがたいろいろなことを考えてみまして、私どもはできるだけしんぼういたしまして、農地転用の緩和措置をいたしたことは御存じのとおりでありますが、さりとて私どもの立場といたしましては、大事なこの一級の農地をいたずらに壊廃させられて、そして農業を維持していくことが困難になるようなことではたいへんなことでありますので、まずもって暫定的に二年間緩和するということで、その後の経過を見ようということで、これは暫定的に私がいたしましたのは、やはり農林省という立場に立って、大切な農地は保護しなければならぬというたてまえから、ああいう措置を講じたわけであります。
#285
○鶴園哲夫君 私のお伺いしておるのは、十一万八千町歩というのは本年で解決する見通しがはっきりある、来年までかからないだろうというお見通しなんですか。来年度にかかった場合には、やっぱり来年も買うというお考えなんですか。
#286
○国務大臣(倉石忠雄君) 私は、いまの調子でまいりますと優に計画まで到達するものではないかと、このように思っておるわけであります。した・がって、その面においては来年のことはまだ何も考えておりません。
#287
○鶴園哲夫君 林業の問題につきまして二、三点お伺いをいたしたいのでありますが、今度の林業白書を見てみまして、国有林野事業特別会計、これがどうも赤字になりそうな形勢になってまいっておるようです。三十八年、三十九年、四十年ごろに類似したような形になってくるような傾向にあるわけですが、木材価格の問題もございますし、それから国有林の伐採量の増加がなかなか見込めないということもありますし、治山やその他のいろいろな経費も要る。さらに今度の白書では国有林の国民の休養施設としての効用を盛んに述べ立てておるわけです。そういう点についての投資も要るだろうということから見ますと、国有林の特別会計というものは、どうも赤字になってくる心配はないかということを懸念しているんですけれども、大臣はどういうふうに見ておられますか。
#288
○国務大臣(倉石忠雄君) 御指摘のように、国有林の財務状況というものはあまりよくありません。で、昭和四十一年度以降、木材価格が高騰のまま推移いたしましたことと、事業の合理化などの企業努力の成果が見られたことなどによりまして、四十三年度におきましては収支で約二百十四億円、損益計算上で約百九十七億円の黒字を計上いたしたのでありますが、四十四年度の決算見込みでは、在荷の伸び悩み等もありまして、黒字が御指摘のように激減いたしました。収支で約十二億円、それから損益計算上では約二十三億円の黒字が見込まれておる程度でございます。
#289
○鶴園哲夫君 まあ急激に黒字が減少してまいっておるわけですが、先ほど私が申し上げたように、ちょうど三十八年から四十年にかけての状況と非常に類似してきておる。これからの見通しとしまして、これはどうも非常に危険な、赤字に転落するんじゃないかというような気がしてしかたがないんですが、この点についてはいろいろ配慮があろうと思うんですけれども、ぜひひとつ、そういうことにならないように御努力を要望いたしておきたいと思います。
 もう一つは、後ほどお伺いをいたしたいと思いますが、外材の輸入が非常に多くなりまして、国内の自給率というものが五〇%ぐらいになってきておる。さらにこれが自給率がどんどん下がるという状況なんです。そうなりますと、日本の木材需要に対する国有林の地位というものが非常に大きな変化を受けてくるんじゃないか。このままでいきますと、国有林の地位というものは非常に低いものになってしまうんじゃないかという懸念があるわけですが、そういう点で国有林のこれから先の役割りについて、どういうふうに見ておられるのか、林業基本法で国有林の役割りは明示してありますけれども、それが非常に大きな影響を受けているんじゃないかと思いますので、大臣の考え方を伺っておきたいと思います。
#290
○国務大臣(倉石忠雄君) 御指摘ございましたように、最近の建築ブーム等によりまして、それからまた国内産材が減少いたしました傾向もありますので、内外材約半々というようなことであります。これにつきましては、木材需要の均衡をはかるための供給の増加につきましては、もちろん国内生産の強化を第一義とすることはもちろんでございますが、当分の間は国内生産の飛躍的増大が期待できないと思いますので、その間は適正な外材輸入をやらなければならないと思うわけであります。しかし将来は、いまのお話のような結果になりませんために、植林それから造林、その他林道の開発等いたしまして、ぜひわが国の森林資材を十分にまかなえるように努力をしてまいりたい。生産性を上げること、それから不足いたしております労働力の補給をどのようにするか、なかなか問題は多いのでありますが、目標は、いま申し上げましたように、だんだん自給度を高めていくようにいたしたい、このためにいろいろな施策を努力しなければならないと、こう思っています。
#291
○鶴園哲夫君 国有林で、この四十五年度から五ヵ年計画になりますが、ヘリコプターを使いまして除草剤を大々的に散布するという計画があるようですけれども、本年度は十万ヘクタール――枯殺剤ですね、ベトナムに使っている、というようなものになるのでしょうかね。枯殺剤、これをヘリコプターから散布するというのですが、これは人畜についても問題はありますし、それから枯れてしまうわけですね。そうしますと、水害の問題もありますし、あるいは山災の問題もありますね。これは慎重な検討の上そういうような計画を進められておるのか。アメリカでもこういうのが進められておったのですけれども、最近になりまして、やめようというところまで来ているというように聞いているのですけれども、大臣としてこれはどういうふうに……。非常に慎重に検討の上進められておるわけですか。
#292
○国務大臣(倉石忠雄君) お示しのように、わが国でも、除草剤のために塩素酸系の薬品をヘリコプターから散布しておるのは事実でありますが、いままで私ども報告を受けました範囲におきましては、これは有害なことはないと、こういうことで使用をいたしておるわけでありますが、ただいまいろいろ、こういう問題につきましては同様に問題がございますので、それぞれ事務当局にさらに検討を命じまして、そういうことについて万全の処置を講じてまいるようにいたしたいと思います。
#293
○鶴園哲夫君 これは、去年林業白書が出ましたときに、私本会議で伺ったのですが、林業基本法の十条で、四十一年の四月に木材の長期の需要と生産の見通し、発表になってるわけですね。公表になってるわけですね。これがあまりにも食い違ってきているから改定されたらどうかというお伺いをしたことがあるのです。これは改定されたわけですか。そのままになっておりますか。
#294
○国務大臣(倉石忠雄君) ちょっと記憶がありませんので、事務当局からお答えいたさせます。
#295
○政府委員(松本守雄君) お答えいたします。
 改定はいたしておりませんが、昨年の九月の末に林政審議会の建議を得ました。その建議では、昭和五十年を目標にいたしまして日本の需給関係がどうなるかという中期見通しの改定はいたしました。
#296
○鶴園哲夫君 三十五年から四十三年まで国内の木材生産というのはほとんど停滞していますね、この十年の間。むしろ、最近は国内の木材生産というのは減少ぎみになってきた。減少しつつある。需要は年々非常にふえているというところから、もっぱら外材にたよらざるを得ない。林業が危機だと盛んに言われました三十五、六年ごろというのは、国内自給率というのが九〇%ぐらいだったのですね。それが今日五〇%に落ちてしまっている。事態は六十年が最悪の事態だというふうにも言われるのですけれども、このころになりますと、二〇%から三〇%の自給率になるのではないかというふうに一般に言われているのですね。これは容易ならないことじゃないか。一体、林業政策というのは何をおやりになっているのだという気がするわけですね。私は昨年の本会議で林業白書が出たときに伺ったのですが、日本の資本主義の中では林業というのはもう当てはまらなくなったのか、資本主義の中に組み入れることができなくなっているのではないか、という疑問すら抱くほど非常な自給率の低下ですね。もし自給率がそういう五〇%割っちまうと。さらにこれが三〇%にも二〇%にも、すぐ近い将来になるのだということになったら、これはたいへんなことだろうと思うのですけれども、林業については大臣はどういうふうに考えておられるか、お尋ねをいたします。
#297
○国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、わが国の林業につきましては、戦時中に非常に大きな乱伐がありまして、それについて補完的な植林がそれほど促進されておりませんでしたことなども大きな一つの原因でありましょうが、もう一つは、経済成長に伴って木材需要が急激にふえてまいりました。しかも、輸入材の価格と比べてみますと、やはり輸入材を使っても一向差しつかえないような状態になってきておりましたので、いろいろな条件が重なって今日のようになっているのでありますが、ただいま林野庁におきましては、そういうことのために、林道の開発をし、同時に植林について非常な努力をいたしておることは御存じのとおりであります。来年度予算をごらんいただきましても、そのほうの予算は格段に努力をいたしている。そういうことで、われわれが長期の計画を立てまして、わが国の林業というものについてさらにいまの退勢を挽回していかなければならぬということで最善の努力をいたしたい、こういう方向でやっておるわけであります。
#298
○鶴園哲夫君 この林業の問題につきましては、いま大臣の御説明のようなことを毎年伺っておるわけなんです。そして、この十年の間に自給率九〇%が五〇%に落ちてしまった。たいへんな落ち方。これからさらに二〇%、三〇%という自給率に落ちるのではないかというような心配が行なわれておる。その場合に、一体林業政策どうなさるのだというのが私の伺いたいところなんです。
 そこで、一番問題は、労働力の非常な不足という問題がありますし、もう一つは、非常に大きな面を占めている民有林の造林がどんどん減ってきている。将来の林業としましては、どうしても造林というものをふやしていかなければならない。特に民有林の場合において造林が減っていくという事態、あるいは現在の林業問題を解決していく林道がどうも思わしく伸びていかないというような問題があって、じり貧になってきているのではないかという私は心配をしているわけなんです。そこで、まず過疎地帯、まあ過疎問題から出てきている労働力も、実は非常に過重な労働力ですし、労働条件が悪いという状況の中で、労働対策といたしまして、労働基準法の適用を林業の労働者にもやるとか、あるいは社会保障関係を林業労働者にも適用していく、適用しているものについてはさらに積極的に拡大していくという対策が必要じゃないか、こういうように思っているんですけれども、林業労働者の雇用の安定と労働条件の改善をどうしてもここでやる必要があるというふうに一つ思います。
 それからもう一つは、非常に膨大な面積を占めている民有林の造林がどんどん減っていくということは非常に重要でありますから、かつて国が資本を投じて民有地に造林をいたしまして、ああいうような国が資本を投じて民有林に造林をしていくという、そういう積極的な姿勢が必要じゃないか、これは過疎対策といたしましても重要な面があるというふうに思います。ですから社会資本を充実するという意味からいっても、荒廃しつつある造林が進んでいかなきゃいけない、減少しつつあるということを解決していく必要があるんじゃないかというふうに思いますし、林道も計画どおりなかなかいかない、そういう意味で抜本的に考える必要があるんじゃないかと私は痛切に感じているんですけれども、大臣の考え方をひとつ伺いたいと思います。
#299
○国務大臣(倉石忠雄君) たいへん大事なことを御指摘になりまして、私どももそういう点についてはたいへんに同感を禁じ得ないのでございます。林道、造林につきましては、先ほどもちょっと申しましたように、私は四十五年度予算決定にあたりまして、最終段階において予算決定のときに全力をあげて造林と林道の予算獲得に努力をいたしまして、昨年に比べましてはかなりの増強を見ることができました。全く御指摘のように、私どもといたしましては、いまお話のございました過疎地帯のことを考えてみましても、それからまた国家全体のことを考えてみまして、林業というものは特別な地位を占めておる大切なものでございます。しかも民有林がこのごろはだんだんと、何と申しますか、手を入れる努力が減ってきておることも事実であります。そこで、そういうことに関しましては、あらゆる角度からいまお話のようなことについて努力を農林省は継続してやってまいるつもりでありますが、その中の一つに労働力の問題が御指摘のとおりあります。林野庁におきましても、この林業労働者の労働力確保のためにはいろいろな苦心をいたしましていろいろな案を考えておるわけでございます。そこで、基準法それから社会保障の関係のお話がありましたが、どこに働いておるものでも、そういう一般的な職場の人にはそういう法律の恩典に浴することになっておるのでありますけれども、これはそういう一般論よりも、私は特段の、ああいう僻陬の地に働いておられる林業労働者にはできるだけのことをして、この労働力を確保するようにしなければならないということはもう全くお示しのとおり同感でございます。そういうようなことについてさらに検討をして労働力確保にひとつ努力をしていくつもりでございます。
#300
○鶴園哲夫君 造林が、特に非常に膨大な面積を占めておる民有林の造林が減少していくということですね。ですからこれはやはりかつて官行造林といいまして、国が民有地を借りまして――借りてといいますか、国の金で植えて、そうして民間と国と、できた木材をひとつ分収するというような政策をずっととってきたわけですね。これがもう廃止されましてから長くなるわけなのですが、今日のように林業の問題が非常な段階に来ている、そういう中で造林面積が減っていく、ふえていかないという状況なんでありますから、そこで私が申し上げたように、国の金を投じて民有林に造林をしていくということをここで再び考える必要があるのではないかということを申し上げているわけですが、そのことが過疎対策としても非常に重要だし、それから国土保全の面からいいましても非常に重要な意味があるのではないか、こういうことをまあお尋ねをいたしておるわけですが、その点について大臣はどういうふうにお考えになりますか。
#301
○国務大臣(倉石忠雄君) いまそれらのことについて農林省でもいろいろ相談いたしておるわけでありますが、経過の御説明を林野庁長官から申し上げましょう。
#302
○政府委員(松本守雄君) 官行造林のお話が出ましたが、官行造林は大正九年に制定をされました、市町村の公有地に対して国が造林をするという制度でございます。したがって、一般私有林に対しては適用がない制度でございまして、戦後それが若干変わりまして、水源林については私有地でも取り上げるということが一時期ございました。その後、森林開発公団による水源林造林に、そういった戦後の官行造林でやっておりましたことがおおむね吸収をされて現在大体順調に進捗をされております。したがいまして、そのほか民有地に対しましても各県で林業公社ないしは造林公社という法人組織をつくりまして、財投資金からも造林資金を借りて造林をしておる公社造林というものも逐次その成績があがってきております。したがいまして、現時点ではすぐさま官行造林を復活するという考えは持っておりませんが、なお将来過疎地帯の造林を進めるのに現行の制度だけでいいのかどうかということについては、情勢の推移を見ながら検討を加えなければならないというものも出てくるかと存じます。
#303
○鶴園哲夫君 私はこれは林業を外部から見ている者なんですけれども、非常な衰退の一途をたどっておると思うのですね。衰退の一途というよりも衰退の一途をかけ足でおりているという感じですよ。ですから、現在のやり方でいいというような考え方では、私はこれを盛り返していくことはできないというふうに思いますですね。ですから、この問題については、これは抜本的にお考えいただかないというと、これはかけ足でおりています。衰退の一途をたどっているのではなくて、これはかけ足ですよ。ですから、重ねて大臣にいまの制度でいいのだということではなくて、もっと抜本的に考えられる面があったら考えるのだと、やっていくのだという検討をひとつ要望いたしておきたいと思います。
 次に、漁業の問題について一、二点お伺いしたいのですが、日ソ漁業につきまして、カニの交渉ですね。四月の八日を前にいたしているわけですが、きのうはどうもまとまらなかったようですね。どういう見通しを持っていらっしゃいますか。
#304
○国務大臣(倉石忠雄君) カニにつきましては、二月の九日からこちらから委員を派遣いたしまして折衝いたしておるわけでありますが、なかなか技術的な相談もむずかしゅうございまして、私どものほうでは、カニは公海の生物であるという技術的な主張を毎回いたしておる。これは国際的にも大体そういう常識でありますが、ところが、先方は西カムチャッカの大陸だなに生息しておるものであるから、これはソビエトの所有しておるもの、権利に属するものだと、こういうたてまえが非常に違っております。私どものほうでは、いろいろ三十隻あまりの試験船等を派遣いたしまして、あらゆる角度から技術的な研究をして、まじめに技術的な主張を繰り返しておるわけでありますが、本年は非常にきびしゅうございました。ところが、いまお話しのように大体四月八日ないし十日には、もう出ていかなければならないのでございますが、先般、川島自民党副総裁それから赤城顧問らが先方に参る都合がありましたので、いろいろお話をも依頼いたしたわけでありますが、その前に、こちらから行っております武田代表から、きわめて最近の情報を送ってまいりましたところによりますというと、依然としてなかなか主張は相互譲っておりませんけれども、やはり何とか妥結すべきであるという、何と申しますか、柔軟な態度に、きわめて最近出てまいっておりますので、これにつきましては、私どものほうの主張を、まあできるだけ通すようにいたしながら最善の努力を最後までしてくれるように督励をいたしておるというのが、今日の段階でございます。
 それからサケ・マスにつきましては、いろいろ新聞情報みたいなものも流れておるようでありますが、公式の報告はまだまいっておりません。これはこれからでございます。
#305
○鶴園哲夫君 私はこういう感じがしておるわけですが、日本の水産に対する考え方というのが、ソビエトと比べると、ソビエトのほうが水産について非常に熱意があるんではないか。非常に熱意があるのじゃないかという私は気がしておるわけなんですね。たとえば畜産と水産を比較した場合に、畜産もまあたん白質資源だと、水産物もたん白資源だと、資本効率からいうと水産のほうがはるかにいいという考え方をソビエトは強硬に持っておるように思うのですね、非常に強く持っておる。日本の場合におきましては、どうもやはり水産物は魚だという考え方がありまして、食糧の中における水産、たん白質という考え方ですね。あるいは同じたん白質の中で、畜産とそれから魚、水産という点についての考え方というのが非常に薄いのじゃないか。食糧としての魚という考え方が非常に薄いように思うんですね。たとえて言いますと、農業は農業だと、水産は水産だと、農業白書が出て水産白書が出る。食糧としてそれじゃ水産を考えておるかというと、どうもそういう点が薄いですね。私は食糧の自給というのが出ますけれども、あの中には魚も入れてたん白質資源としまして、いま御承知のとおり動物たん白としては水産のほうが大きいのですから畜産品よりも。ですから魚も入れて食糧の自給率を考えるというような姿勢ぐらいまでなっていかないと……。水産に対する考え方というのは、どうもソビエトよりもうんと軽いのじゃないかというような気がしてしようがないんですけれども、そういう点について大臣はどう考えておられますか。
#306
○国務大臣(倉石忠雄君) いわゆる魚でございますが、これは御存じのように日本人が摂取いたしておりますカロリーの分析表を農林省で出しておりますけれども、あれを見ますと、一人当たりの消費量の中で、でん粉性たん白はだんだん摂取量が少なくなってきておるのは、動物性たん白が逆にふえてきておる。その動物性たん白の中の五割が漁業、魚でありますから、お説のとおりわが国の食生活から考えても、たいへん大事なものでございます。私ばかりでありませんで、農林省あげて、日本の水産業については、そういう意味でも一生懸命になっておるわけでありますが、そのほかには、やはり全世界でいまペルーが大衆魚で漁獲は一位のようでありますが、日本は世界有数な水産国であります。これは世界各国に雄飛しております日本の漁業でございますので、これを斜陽の仕事であるというふうな考えを持つことは、誤りだと思うのです。いろいろな意味において誤りではないかと思うのです。しかし、この間どなたかから、ここでハム、ソーセージの値上げの話がございましたけれども、あの値上げをした商店の人が農林省の記者クラブに参りまして発表したそうでありますが、その原因の一つに、非常にソビエトがニュージランドあたりから大量のマトンを買い込んだので値上がりをした、それが理由であるというふうな説明をしておったそうでありますけれども、事実、かなりの量を買ったようであります。そういうことを考えてみますというと、やはり外国でも、なかなか畜産がうまくいかない場合もあったりすることもあるのでしょう。しかし、自分の国で食べるだけでなくて、やはり輸出産業としてかなり考えておるのではないかと思われる節もあります。わが国は、やはりどこまでも水産業というものについては、林業と同じように、さらに力を入れなければならぬ。そういうたてまえにおいては、従来とちっとも変わっておりません。
#307
○鶴園哲夫君 建設大臣に、住宅政策だけについてお尋ねをいたしたいと思います。
 四十一年に始まりました第一次住宅五ヵ年計画が本年で終わるわけでありますが、一世帯一住宅という看板にいたしまして五年、いま終わろうとしているわけですけれども、建設大臣のこれに対する所見をまずお尋ねをいたします。
#308
○国務大臣(根本龍太郎君) 御指摘のとおり本年をもちまして住宅五ヵ年計画が終わることになるのでありまするが、この計画は、御承知のように公的資金による住宅はおおむね二百七十万戸、それから民間資金によるのが四百万戸、合わせて六百七十万戸でございます。ところが、今日までの情勢から見ますれば、どうも公的資金によるものは大体九六%程度、民間資金のほうは大体一〇三%まではいきそうでございます。その結果、全体としてはおおむね計画を達成することになりまするけれども、公的資金のほうが数%のこれがダウンをしているのでございます。これはまことに遺憾でございます。その原因にはいろいろあるようでございまするが、御承知のように公的資金で実施する住宅は、公団住宅と公営住宅が主点でございます。ところが、このうち公団住宅等におきましては、せっかく用地を取得いたしましても、公団が住宅を建てるというところになりますというと、最近では公団住宅が相当大きな団地をつくっておりまするので、その地方自治体で学校とかあるいは下水道、上水道、保育所等のいわば公的な施設、これのために相当の財源を必要とする。しかるにその財源がない。したがって、ぜひともそういう点は、公団でこれは負担してくれという要求が出てまいります。ところがその要請に応じまするというと、必然的に家賃を高くしなければならない、分譲住宅を高くしなければならない。そこにトラブルがございまして、それならばごめんこうむるということで、特に東京都内における、あるいはまた首都圏内におけるそういう問題が出てきているのでございます。そういう等のことも原因いたしまして、せっかく予算措置をしても現実には建たない、こういうことになっておりまして、まことに残念だと思います。
 それから、後ほど御指摘になるとは思いまするが、当初予想した以上に、実は大都市における人口集中が多いということと、それにいわゆる核家族化したために、予想以上の住宅需要がふえたという点、それからまた御承知のように土地それ自身が、宅地自身が非常に高値になってきたというような等の原因が相重なりまして、どうもこの計画でやってみましたが、非常に規模の小さい、また質の悪いものをも含めますれば一住宅一戸みな一世帯に及んでいるようでありまするけれども、質的には非常におくれている。そのために住宅に対する調査をしてみますというと、大体三百五十万程度の世帯が非常に住宅に対する需要が高くなってきている。こういうような現状でございまするので、四十六年度を起点とする新たなる住宅政策を立てまして、この困難な情勢に対応してまいりたいと思う次第でございます。
#309
○鶴園哲夫君 いま大臣のお話しのように、第一次計画がこの四十五年度に終わりまして、四十六年から第二次の住宅計画にお入りになる。この第二次住宅計画を審議会に諮問をしておられるという段階のようでありますが、大臣のこの第一次五ヵ年計画が終わって、これから第二次五ヵ年計画に入るという場合の大臣の考え方を、お伺いをいたしたいわけです。
#310
○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。
 住宅政策のいま一番の隘路になっているものは何と申しましても宅地が非常に高いということ、したがいまして、でき得るだけ適正な値段で大量の住宅地をこれは開発しなければならないと存じています。そういう目的を達成するためには、いろいろの施策をいま考えております。いわゆる新都市計画法あるいは都市再開発法等、これに基づいて現在線引きをやっていまするが、それも一つの大きな土台になるわけでございます。
 その次には特に首都圏、それから近畿圏、中部圏が一番住宅の困難なところでございまするので、これらの地区について、現在まで手をつけていないところで、しかも相当大量の宅地化し得べきところのものを、それぞれの整備委員会の事務局をしていま調べさしております。大体そういうところは、交通の問題で、道路あるいは通勤軌道がない、あるいはまた水の処理ができていない。そういうために、地方自治体も、あるいはまた政府でも、さらには民間デベロッパーも手をつけていないというところのものがあるはずでございます。こういうものをよく調査した上、これに対しては、総合的に、建設省では道路、運輸省ではこれに対する軌道を設置するというような措置を講じますれば、相当多量の土地が開発できる。それを、公共事業体あるいは民間のデベロッパー、あるいはさらには民間の個人の、あるいはまた企業体、それぞれで行なうところの住宅政策に供用する、こういうような構想を進めるということが第二点でございます。
 第三点は、でき得るだけこの持ち家を民間資金によって与えたいということでございます。現在、日本の高度成長に幸いされて、かなりの企業体は、毎年のように相当の大幅な賃上げをやっております。増収増益が多いのでございまするので、そうした企業体においては、企業体自身の発意に基づいて、その従業員に持ち家を持つような施策をしていただくと、これに対しましては、税制上、あるいは必要とあれば財政資金を講じまして、そうした人々の住宅を充足してやる。それからもう一つは住宅ローン、あるいは住宅ローンに関連する住宅保険制度を整備いたしまして、これによって、かなり収入の上がった人たちが、住宅を自分で持てるという一つの金融的な裏づけもしてやるということです。そういうような施策をしてもどうしても充足できないいわゆる低所得者、勤労者の方々の人々につきましては、どうしてもこれは公的資金によってこれは補っていかなければなりませんから、そこに重点を入れていきたい。そうでありませんというと、みんなが住宅を欲していながら、なかなか手に入らないものだから、みんなが公的資金に基づくところの住宅に殺到して、とうてい問題が解決しないという現状でございますからであります。
 さらに、民間資金によるところのものにしても、公的住宅につきましても、できるだけ住宅のコストダウンをしなければならないと思います。それと関連して、最近における建築労務者が非常に少なくなっております。板金工、大工、左官、この人手が絶対的に少なくなっておるのみならず、非常に賃金が高くなっておりまするので、たとえ資金を充足さしてやっても、技術的に労働力でこれはできなくなってくる、こういう現状にかんがみまして、住宅の工業生産化をいま進めておる次第でございます。公団や公庫の、あるいはまた公営住宅も、現在は五階程度まではプレハブでできそうでありますが、でき得ればこれが五階から十階程度までプレハブ的にこれができるようにする、あるいは民間の住宅につきましては、工業生産化されたものが自分の持っている資金に応じて、たとえば台所あるいは居間、さらには今度は書斎、寝室等、資金力に応じて継ぎ足しができるようなやり方をしていきますればかなりのコストダウンができる、こういうふうな総合的な施策をもちまして、この困難な住宅宅地問題を解決してまいりたいと考えている次第でございます。
#311
○鶴園哲夫君 新経済発展計画によりますと、四十五年から五十年に千二百万戸と、三兆九千億円という計画が出ておるわけですが、建設大臣は、これから第二次、四十六年から五年間で始まるわけですが、どの程度のコストを考えていらっしゃるのかですね。それから第一次の計画は、どうしても質的に下がったという私どもとしては考え方を持っているわけですが、その質の問題についてはどういうふうに考えておられるのか。それからいま公的住宅については勤労者の住宅に重点を置きたいというお話でしたですが、これどの程度の割合に考えていらっしゃるのか。それからもう一つは、どういう手段で進められようとしているのか。建設大臣が民間の資金を活用するということを盛んにおっしゃっておられるんですが、その点についても私は問題があるように感じますので、御説明をいただきたいと思います。
#312
○国務大臣(根本龍太郎君) 大綱については私から申し上げまして、数字あるいはかなり技術的な問題もありまするので、それは政府委員に譲らさしてもらいます。
 まず第一に、全体の新社会経済発展計画に基づくところのワクについては、端的に申しますれば、私のほうとしては必ずしもこれで満足ではございません。満足ではございませんけれども、全体の日本の経済発展に対する財政、それからまた御承知のようにいま皆さんから盛んに指摘されておる物価との関係で、総需要というものとの関係から見て、これはこの程度でがまんしなきゃならぬだろうという程度の数字が、いま御指摘になった数字でございます。
 その次に質的な問題でございまするが、これは生活程度が高くなるに従いまして漸次住宅の需要も、それだけ質的向上になるのは当然でございまして、これは、ただしかしながら一面におきましては、その地域における生活環境あるいはまた地価、そういうものとの関連がありまするので、必ずしも画一的に申し上げることは困難だと思います。東京都のような非常に地価の高いところと、あるいはまた郊外に寄った場合における若干のこれは差が出てくると思います。これらの点については、事務当局から何らかの一応の案があるようでございますから、それは御説明いたさせます。
 その次に、私が住宅政策にあたって民間資金の活用を言っておるが、これについてはいかなる構想を持っているかということでございます。これは先ほど申し上げましたように、一つは相当の増収増益を続けておる企業自体が、持ち家政策をやってほしいということでございます。すなわち、その企業が企業自体において従業員に対して住宅を持たせるために、会社自身におけるローンをやってもらうか、あるいはまた、その宅地みずからを住宅をつくって、そうしてそれを結局分譲になりまするが、長期年賦でこれを持たせるという政策をとらせる、これはかなりの程度これができ得るはずでございます。そうした場合においては、これを税制上の優遇措置を講ずる、また場合によっては、財投をそれにつけてもいいではないか、これが相当民間資金を活用する一つのゆえんであります。それからもう一つは、現在住宅をつくりましても、一番問題は足でございます。足がないところに公営あるいは公団住宅をつくりましても、入居者が非常に不便を感じ、結局高いものにつく。ところで現在この大都市周辺には、たいていのところに私鉄がございます。私鉄は関連事業としてかなりの不動産を持っておるのでございまするから、この私鉄が自分の持っておる所有地に住宅、これは貸し家あるいは分譲住宅をつくるときには、政府がこれに対して、必要とあれば財投を融通してやるということになりますれば、それがいままで私鉄が、土地の値上がりで、土地を分譲するだけにいっておったのが、これでかなりの住宅が供給される余地が出てくるではないかということでございます。その次は御承知のように農住でございます。農民の方々がかなりこの近郊に農地を持っておる。これが現在農地転用との関係でいろいろ問題がありまするが、一面においては、この機会にむしろ農業団体、特に農協が農民と相はかりまして、これを土地を売るということでなくして、自分がそのまま所有して宅地に転換して、そこにいまの農業資金を活用したり、あるいは政府資金を利用してこれに分譲もしくは貸し家住宅をつくるという動きが出てきております。これも一つの大きなささえになるではなかろうかと思います。それからもう一つは、民間デベロッパーが相当の土地を持っております。これに対しまして、必要なる道路あるいはその他公共施設等について、地方自治体との関連において政府も助成することによって、かなりの大規模の宅地開発ができる。そうすれば、供給がそれだけふえる。そうしますれば、それだけ家賃なり分譲の家そのものの値段が安くなる、こういうような措置をもちまして、民間資金を活用してまいりたいと考えておる次第でございます。
#313
○政府委員(大津留温君) 住宅の最低基準でございますが、二人ないし三人の小世帯におきましては九畳以上、四人以上の世帯におきましては最低十二畳以上というのを基準に考えております。それで現在の一人当たりの平均でございますが、五・五六畳になっております。これを次の五ヵ年計画におきましては、一人平均六・五畳程度に引き上げたい、こういう目標でございます。
#314
○鶴園哲夫君 先ほど建設大臣が民間の資金を住宅政策の中に活用していきたい、ということについての詳細な御説明をいただいたわけなんですが、こういう考え方からいきますと、国の直接の住宅政策といいますか、公的住宅建設政策といいますか、そういうものの影が薄くなるような感じがしますですね。言うなら、国の直接の住宅政策というものは、公的住宅政策というか、公的住宅といいますか、それが民間の住宅に肩がわりされるんじゃないかという感じを非常に強く受けるんですけれども、私は、従来から日本の住宅政策というのは、国の管理するあるいは公的住宅というのが非常に少ないと。世界の資本主義の諸国を見ましても、日本ほど少ないところはないというふうに思っているんですけれども、非常に少ないと。さらに、いまおっしゃるような、こういう民間の資金を活用なさっていくという政策がとられますと、これは国並びに地方自治体の公的住宅というのは小さくなっていくんじゃないかと、肩がわりされていくんじゃないかという懸念をするんですけれども、そういう点についてはどういうふうに考えていらっしゃるか。
#315
○国務大臣(根本龍太郎君) 先ほど申し上げましたように、住宅需要が非常に大きいのです。そのときにあたりまして、公的資金でやるということは、究極において、これは税金でまかなうということでございます。ところが、一方におきまして、現在においてすら所得税減税を大幅に、特にサラリーマンにやらなきゃならないというときにあたって、減税はし、かつ、しかも住宅を急速にやらなきゃならぬという場合には、これは非常な困難に逢着するわけでございます。そこで、その公的住宅に依存しなければならない人を重点的にめんどう見るためには、一面においては民間資金でやり得るところはできるだけそういうふうにしてめんどう見てもらわなければ、ちょっといい場所にあるところの公的住宅には何千倍という入居者の申し込みがあるわけでございます。三十回申し込んでも、まるでこれは宝くじみたいに当たらないということになる。そうして、要望するほうはなかなか当たらない。当たったほうは、まるで特別の恩恵を受けたというようなことになるというところに、非常な不満があるのでございます。そこで、やはりでき得るだけ公的資金によってできたところに入らなければならないという人の数を、民間でやることによって、吸収でき得るならばその道を開いてやらなければ、両方の面に不親切であるという意味でございまして、決して民間住宅によって公的資金によるところの住宅供給を肩がわりして逃げるということではございませんで、現実に即したところの施策としてそれをやるべきであると、かように考えている次第でございます。
#316
○鶴園哲夫君 住宅に対する需要は非常に大きなものがある。そのために民間の資本というものを活用して、どんどん活用していかなければいけないということになりますと、これは住宅の需要に占める公的住宅というものの比率は下がっていくと、私は、もっと積極的に公的住宅というものを進めていくべきだという考え方を持っているのですけれども、これでいきますと、これは後退をせざるを得ない。全体としての率は下がっていくということになるのじゃないかと。さらにもう一つ、問題は、安い住宅ということ、この点についても相当後退をしていくのじゃないかという心配をするのですけれども、大臣はどういうふうに考えていらっしゃるか。
#317
○国務大臣(根本龍太郎君) お答えいたます。考え方はいろいろあると思いますが、比率が問題じゃなくて、現実に国民が要求する住宅が充足されることが問題だと思うのでございます。その意味で、公的資金のことは政府が一生懸命にやると同時に、民間でくふうすれば、持ち家がなし得るということならばその道を開いてやるということも、これもまた住宅政策だと思うのでございます。こういう意味におきまして、私は、民間資金を活用するということが、従来ややもすれば怠られておったというか、あまり関心を持たなかったという点で、私がこれを指摘したために、かえってそのほうが強く響いて、いまあなたが言われたような印象を受けるかもしれませんが、本旨はそこにあるのでございまして、これは私は端的に申しますれば、だれしも自分のうちを持ちたいというのが一般のすなおな考えでございますから、それに対応する施策を講ずる。けれども、自分で持ち家を持ちたいといっても、すぐに持てない人のためには、いまあなたが言われるように、これは政府が精力的にそれらの人々のために公的資金でやる、これが実際的であろうと考える次第でございます。
#318
○鶴園哲夫君 建設大臣が民間の資金を積極的に住宅政策の中に活用されるとおっしゃいますけれども、私は、これはどうも政府の住宅政策というのが、どうしても後退するという気が非常にいたますし、また安い住宅という点からも離れていくという気がしてしようがないわけなんですけれども、その点についてはひとつそういうことにならないように要望を申し上げまして、終わりたいと思います。
#319
○岡三郎君 関連。
 建設大臣に伺います。住宅公団の用地の取得が非常に困難になっているということを聞いているわけです。それで今後は大規模な住宅公団の建設は非常にむずかしくなるということで、小規模の市街地における公団の建設というふうな形で、一時団地サイズというふうな形で、団地サイズの解消ということで、一生懸命やられてきておったようですが、そういうふうな小規模に移る場合に、またもとに逆行するのではないかというふうな話を心配する人があるわけなんですが、この点について住宅公団のそういう建設についてちょっと伺いたいと思うんです。
#320
○国務大臣(根本龍太郎君) 詳細については事務当局から御説明いたさせますが、いま岡先生御指摘のような向きもございます。そこでわれわれとしては、先ほど鶴園先生にお答えしたように、民間やそれから地方自治体と競合してしまっておって、お互いにつり上げることはこれは愚かなことじゃないか。そこで住宅公団が今後大いにやるべきことは、先ほど申したように、道路とかあるいは鉄道とか、あるいは水が足らないために相当残っているところがあるはずだ、そういうところを思い切って開発するということで、これは住宅公団だけ単独でやるからそういうことになるのじゃないか。そこで先ほどの、午前中の御質問にも答えたのでありまするが、運輸省と提携して相当大規模のものを首都圏なり近畿圏に考えなきゃならない、そういうような手法をやっていくことがまず第一だ。それからいわゆるサイズの小さいものは、でき得ればこれは公団よりも、いま各都道府県に住宅供給公社がございますから、そこでやったほうがむしろやりやすいじゃないか。ただ、そのときに、地方自治体に資金が足りませんのですから、そこでその財源としていま自治省とも相提携して考えておるのは、都市計画税とそれから固定資産税の弾力的ないわゆる運用によってその資金も与えていく、こういうふうなことを考えなきゃならぬじゃないかという考えを持っておる次第でございます。
#321
○政府委員(大津留温君) 職住近接ということから申しましても、できるだけ既成市街地内に団地の立地をはかろうということで進めております。そうなりますと、工場あと地等を利用いたしますので、団地そのものの規模は比較的小さくなりますけれども、先生御指摘のように、そこに建つ住宅の一戸一戸の広さは、これは規格どおり十分なものをとりたいと、こういう考えでおります。いわゆる団地サイズと言われましたものは、たとえば六畳といいましても、畳が寸足らずでございまして、実際は五畳ぐらいの広さしかないというようなことでございましたが、これは逐次解消いたしまして、本年度の予算におきましても面積を若干広げまして、大体その団地サイズというのは解消いたしたようなわけでございます。
 なお、住宅公団におきましても宅地の取得に非常に努力をいたしまして、幸い農地転換基準も変わりましたことでございますので、本年度の用地の取得はほぼ見通しをつけております。
#322
○鶴園哲夫君 国民年金等につきまして、厚生大臣にお尋ねをいたしたいわけですが、厚生年金あるいは共済年金、それから船員保険、国民年金、それぞれ非常に格差がありますですが、給付額についても、あるいは受給の開始の年齢にいたしましても、国庫負担につきましても、非常にまあ格差があるわけですが、基本的に言ってこういう格差を均衡をとっていくというのが原則でありますけれども、特に私、この際、国民年金の受給開始年齢を引き下げるというお考えはないかどうかということをお尋ねをいたしたいわけなんです。
#323
○国務大臣(内田常雄君) 拠出制の国民年金の老齢者年金の年齢は六十五才からということでございまして、これに対しまして、厚生年金の老齢年金の受給資格が六十才、こういうことでありますので、この間に不均衡があるようにも一応見えるわけでありますが、実際は、厚生年金のほうも、私どもが大数的に見ますと、これは六十才ではなしに、六十才以上であって、かつ、その会社を退職したと、こういうような要件もあるものでありますから、実は六十三才ぐらいになっているようでございます。そういうことを考えてみまするときに、この両者の間に必ずしも不均衡はない。ことにこの老齢年金というものの支給は、結局まあお互いに年をとって働く能力――稼動能力というものがなくなったり、あるいはそれが摩滅したときに支給をされると、こういう仕組みから考えますと、いまの六十五才の国民年金なりあるいはまた形式上六十才、実質上六十才以上になっておる厚生年金の年齢を引き下げるというような実態には私はなっていないと思います。
 なお、これは国際的に見ましても、ちょうど私はここに資料がございますが、大体欧州などでも、ノルウェーが七十才、スウェーデンが六十七才、西ドイツ六十五才、アメリカが六十五才、イギリスも六十五才、フィンランド六十五才、こういような例になっているようでございますので、必ずしも日本の六十五才というのが高過ぎるということでもないようでございます。また、国民年金審議会とか、社会保障制度審議会などの御意見も、いまの程度がよろしいのであって、これを引き下げる必要はないと、こういう御意見を公式に出されておるようでございますので、この程度がよかろうと考えます。別に福祉年金につきましては七十歳というのもございますが、これは拠出制でないために、財政上その他の都合もありまして、そういうことになっておりますが、これが一律七十歳ということについては、今後対象者の状況によってこれは私などは考えていかなければならない分野もあるのではないかとは思うものでございます。
#324
○鶴園哲夫君 いま外国のお話がございましたですけれども、私が問題にいたしておりますのは、厚生年金、共済年金、船員保険、あるいは国民年金と、それぞれ年齢の間に非常に差があると、この格差を問題にしなければならないのじゃないかという観点から申し上げたわけですが、もう一つ、この国民年金というのは、年金とおっしゃるのですが、これは一体どういう性格のものかという疑問を常々持っているのですけれども、この際ひとつ厚生大臣の見解を伺っておきたいと思うのです。
 それは老齢年金にいたしますと、これは二千円になるわけですね、月に。それから拠出年金にいたしますと、これから二十年、二十五年後に夫婦二人で二万円程度と、そういうふうになるわけですね。その他、いま国民年金に入れておりますものを見ますと、とても、年金というと一体何だという、老後の所得を保障するというものに該当しないじゃないかという、問題にならないじゃないかという感じがするものですから、厚生大臣の考えを承っておきたいと思います。
#325
○国務大臣(内田常雄君) 先ほども申し述べましたように、いま、年をとりますと稼働能力がなくなる、あるいは減殺する、それの補てんでございますので、まあそれに合ったような制度ということで、私どもも考えるのが正しいと思います。昨年あたりまでの厚生年金の年金額にいたしましても、また国民年金の年金額にいたしましても、それは諸外国などの金額に比べまして低過ぎたと考えますが、御承知のように、昨年の臨時国会で両方の年金の額や仕組みも若干変更いたしまして、厚生年金につきましては、これまあ平均いたしますと大体二十四年ぐらいつとめて二万円程度になります。そういう改正をいたしましたし、国民年金におきましても、これは一人が八千円ということでありますが、これは夫婦でお入りになるということでありますので、二人足すと、二、八、一万六千円。それにそれでは少ないからということで所得比例というような形の分野もつけまして、夫婦で二十五年かけて二万五百円と、こういうことに改正をいたしましたので、改正後の段階におきましてはその金額は必ずしも低くない。また諸外国の例と比べましても劣ってはいないようでございます。ただ国民年金につきましては、明年になって初めて開始後十年でありまして、経過的な十年年金、一人で五千円、夫婦で一万円というものが初めて出されるという状況で、二万円年金というものはまだもらっている人はないわけであります。でありますから一応低いように見えますが、これが成熟する場合におきましては、制度としては必ずしも低くないと、こういう計算になっております。
 さらに余言でございますが、十年先、十五年先に年金が成熟するころの二万円ということとなりますと、物価や生活水準が変わってまいりましょうから、それはそれに応じた私は調整は当然行なわれていいものと考えます。
#326
○鶴園哲夫君 恩給にスライド制度的なものが入ってきたわけですが、国民年金とか厚生年金とか船員保険といったような社会保障本来の制度の中にこういうスライド制的なものを考える必要があるのじゃないか。いままでのように五年ごとの再計算時期に改定をするというようなことではなくて、スライド制的なものをすみやかに検討する必要があるのではなかろうかと、こういうふうに私は感ずるわけですけれども、大臣のひとつ考えを承りたいと思います。
#327
○国務大臣(内田常雄君) 鶴岡さんのその御意見は各方面にあるところでございまして、原則的に私も同じ意見を持つものでございます。最近恩給法におきましても、恩給法二条ノ二というような条項を入れまして、いわゆるスライド制の条項が備わったわけでありますが、しかし沿革的に申しますと、私どものほうがやっておりまする国民年金、厚生年金のほうが恩給法のその改正よりも先に制度としては入れております。というのは、そういう本格的な年金で最後に起こされたのが国民年金法でございまして、これは昭和三十四、五年の法律でございますので、そのときに国民年金法の中にはスライド制と考えてよろしいような規定が入っておるわけであります。すなわち、生活水準等に著しい変動があった場合には、その変動後の状況を勘案して給付金額を訂正すべきであると、こういう規定があり、また、それに対応して保険料につきましても再計算をすべしと、こういう規定が設けられております。厚生年金は戦争前の法律でございますので、もちろんそういう規定はございませんでしたので、それより少しおくれまして同じような規定を入れました。それが例となりまして、恩給法の改正が少しおくれて行なわれた、スライド制というものが行なわれた、そのような条文が入ったと、こういうわけでございます。
 従来、私どもが厚生年金や国民年金におきましてすでに改定を二、三回いたしておりますが、それはいまもお話がございました財政再検討期、これはまあ少なくとも五年ごとにと、こう書いてありますが、五年ということにとらわれないで、いまの生活水準の向上等の規定をあわせ考えまして、実は五年よりも短く、正味四年でございましたが、四年ぐらいでやっておるわけであります。これは必ずしも四年にとらわれる必要はありません。今後状況の著しい変動がありました際には、そのつどこの条文の意味を生かしまして年金額について検討をしてまいると、こういうふうに考えておるものでございます。
#328
○鶴園哲夫君 厚生大臣のお話ですと、恩給よりも先にスライド制的な条文が入っておるんだ、こういうお話なんです。ですが、いまお話しのように四年に一回の改定である、もっとその四年に一回というものを条件の変化によっては縮めてもいいんだというお話があったわけですが、経済成長の見通しからいいましても、これからも相当高い、たいへん高い成長をするということになっておるわけなんですが、これは四年に一回とかいうものではどうにもならぬだろうと、もう少し一年ごとぐらいに改定するぐらいの考え方があってしかるべきじゃないかと私は思うんです。そういう点についてどういうふうに見ておられるのか。なお、これは大蔵大臣もどういう考え方を持っておられるのか、この恩給のスライド制の入ってきたということと関連して、大蔵大臣の考えも承っておきたいと思います。
#329
○国務大臣(福田赳夫君) 恩給につきましてスライド制の精神を取り入れろという議論になってきておりますが、私は完全なスライド制というのにはあまり賛同しないんです。しかし、年金全部実質的な価値、これは確保しなけりゃならぬ。ですから、厚生大臣の言うように、状況を見てそのつどそのつどやっていくと、こういうことが最善であると、こういう所見であります。
#330
○国務大臣(内田常雄君) 国民年金法の条文あるいは厚生年金法の条文を検討いたしますと、いま申しますように生活水準等の変動に応じての年金額の再検討というものと、それからこれは年金でございますのでいろいろの要素もございます。利回りの変更、その他、そういうものをも加えました財政上の再検討というものと別の規定になっておりまして、財政上の再検討は少なくとも五年に一回やれと、こういうことでございます。ところが、いまの生活水準の変動等はそれと直接の関係がございませんので、先ほども申し述べましたように、すでに五年でなしに四年でやってまいる。状況にはなはだしく変動がある場合にはそれよりも詰めてやる。毎年やるということはいかがかと思いますが、詰めてやるというようなことも法律上可能でございますので、状況の変動に即してやってまいったらよかろうかと考えております。
#331
○委員長(堀本宜実君) 以上で鶴園君の質疑は終了いたしました。
 次回は明後六日午前十時開会することといたしまして、本日はこれをもって散会いたします。
  午後五時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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