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1970/04/11 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 予算委員会 第19号
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1970/04/11 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 予算委員会 第19号

#1
第063回国会 予算委員会 第19号
昭和四十五年四月十一日(土曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十一日
    辞任         補欠選任
     田村 賢作君     河口 陽一君
     春日 正一君     渡辺  武君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         堀本 宜実君
    理 事
                木村 睦男君
                柴田  栄君
                山本 利壽君
                吉武 恵市君
                鈴木  強君
                横川 正市君
                矢追 秀彦君
                向井 長年君
    委 員
                岩動 道行君
                梶原 茂嘉君
                川上 為治君
                小山邦太郎君
                郡  祐一君
                西郷吉之助君
                白井  勇者
                中村喜四郎君
                初村瀧一郎君
                平泉  渉君
                二木 謙吾君
                山本茂一郎君
                柳田桃太郎君
                足鹿  覺君
                小野  明君
                岡  三郎君
                加瀬  完君
                亀田 得治君
                木村禧八郎君
                鶴園 哲夫君
                戸田 菊雄君
                羽生 三七君
                塩出 啓典君
                鈴木 一弘君
                三木 忠雄君
                萩原幽香子君
                春日 正一君
                青島 幸男君
   国務大臣
       法 務 大 臣  小林 武治君
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
       文 部 大 臣  坂田 道太君
       厚 生 大 臣  内田 常雄君
       農 林 大 臣  倉石 忠雄君
       通商産業大臣   宮澤 喜一君
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
       郵 政 大 臣  井出一太郎君
       労 働 大 臣  野原 正勝君
       建 設 大 臣  根本龍太郎君
       自 治 大 臣  秋田 大助君
       国 務 大 臣  荒木萬壽夫君
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       内閣法制局第三
       部長       荒井  勇君
       内閣総理大臣官
       房陸上交通安全
       調査室長     平川 幸藏君
       法務省民事局長  新谷 正夫君
       大蔵省主計局長  鳩山威一郎君
       大蔵省主税局長  細見  卓君
       国税庁長官    吉國 二郎君
       文部省社会教育
       局長       福原 匡彦君
       文化庁次長    安達 健二君
       厚生省児童家庭
       局長       坂元貞一郎君
       農林大臣官房長  亀長 友義君
       農林大臣官房予
       算課長      大場 敏彦君
       農林省農林経済
       局長       小暮 光美君
       通商産業省企業
       局長       両角 良彦君
       運輸省自動車局
       長        黒住 忠行君
       郵政省電波監理
       局長       藤木  栄君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
       建設省都市局長  竹内 藤男君
       建設省道路局長  蓑輪健二郎君
       自治省税務局長  降矢 敬義君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   外山 四郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        首藤 俊彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十五年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(堀本宜実君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 昭和四十五年度一般会計予算、昭和四十五年度特別会計予算、昭和四十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 亀田得治君の質疑を行ないます。亀田君。
#3
○亀田得治君 商品取引所における委託者と取引員との間の紛議というものが大きな社会問題になっております。衆議院でもすでに数回審議されたようでありますが、きょうは私、自分の持ち時間をほとんど全部使ってこの問題だけについてひとつお尋ねをいたしたいと思います。質疑の中で若干こまかい問題にも触れることになろうと思いますが、その際は政府委員の方からかわって御答弁さしていただくというふうにしてもらってもけっこうだと思います。
 最初に、農林、通産両大臣に総括的立場から所見を伺うわけですが、最近のこの紛議並びにそれに対する社会的な批判というものをごらんになりまして、どのように大臣としてはお考えになっておるか、お伺いいたします。
#4
○国務大臣(倉石忠雄君) 商品取引所はそれぞれ社会的に経済的にその存在する理由がもちろんございますし、この取引所の使命を正確に全うすることのために、私どもはその監督官庁として対処いたしておるつもりでございますが、先般来一般に世間にもいろいろ大きく伝えられておりますような過当投機、それからオーバーな勧誘、それがもとになってのいろいろな社会悪、そういうものに対しましては、私どもといたましてもまことに遺憾千万であると存じておりますので、それぞれできるだけの監督はいたしておるわけでありますが、なお一そうその社会的使命をそこなわないように取引所のあるべき姿をひとつ指導してまいるようにいたしたいと、こう思っているわけであります。
#5
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま農林大臣のお答えと同じように私も考えておりまして、ことに一般大衆がこの取引に巻き込まれたということについて、いろいろ制度のあり方を検討してみなければならないと思っております。
#6
○亀田得治君 そこでまず最近の紛議の件数ですね、これをひとつお示し願いたいと思います。
#7
○国務大臣(倉石忠雄君) 政府委員からお答えいたさせます。
#8
○政府委員(両角良彦君) お答えいたします。仲買い人から申告のございました件数でございまするが、総件数一千四百六十件ということに相なっています。
#9
○亀田得治君 それはいつの時点ですか。
#10
○政府委員(両角良彦君) 昭和四十二年の四月から四十四年の十月までに起こりました紛議で、農林・通産両省共管の仲買い人の件数でございます。
#11
○亀田得治君 昭和三十八年以降くらいでいいと思いますが、その数字はわかりませんか。これは取引所に申し出のあったものだけしかわからないかと思いますが、その点どうでしょう。
#12
○政府委員(両角良彦君) 仲買い人段階から取引所に申し出のございました紛議の件数につきましては、昭和三十八年度以降四十四年度の上期に至りますまでの合計につきまして、二千六百九十六件ということに相なっています。
#13
○亀田得治君 先ほどの申告があった四十二年四月から四十四年十月まで、その時点に直してみるというと、どの程度の件数になりますか。
#14
○政府委員(両角良彦君) 約七百件程度でございます。
#15
○亀田得治君 ちょっとけたが一つ違ってやせん、最初の……。
#16
○政府委員(両角良彦君) 詳細に申し上げますと、四十二年度が三百二件、四十三年度が二百七十三件、四十四年度の上期が百二十三件でございますので、合わせますと六百九十八件ということに相なります。
#17
○亀田得治君 で、先ほど御答弁のあった四十二年四月から四十四年十月までの統計ですね、この真実性ということについて、どういうふうに皆さんのほうでは見ておりますか。
#18
○政府委員(両角良彦君) 仲買い人段階におきまする委託者の紛議の申し出につきましては、それぞれの仲買い人が真正なる申告をいたしたものと考えておりまするが、なお事故の内容並びに数の大きさにかんがみまして、農林・通産両省ともそれぞれ所管の仲買い人に対しまして現在検査を行なっておりまして、その数字の適確性について確認中でございます。また、取引所におきまする紛議につきましては正確な数字であるというふうに考えております。
#19
○亀田得治君 大手の取引の紛議件数が非常に多いようですね。その点、どういう状態になっておりますか。具体的に。
#20
○政府委員(小暮光美君) 先般、商工委員会に提出いたしました資料に即して申し上げますと、五百件以上という事故件数を届け出ておりますものが四社ございまして、三百件から五百件までというものが三社でございます。この七社で件数の大半を占めるというような形に相なっております。
#21
○亀田得治君 パーセンテージ、どのくらいになるのですか。
#22
○政府委員(小暮光美君) おおむね四割程度に相なります。
#23
○亀田得治君 この七社というのはどういう店ですか。
#24
○政府委員(小暮光美君) 農林・通産両省共管のものの中で、固有名詞ですか――日東商事、吉原商品、協栄物産、小林洋行、富士商品、豊商事、北辰商品でございます。
#25
○亀田得治君 さっき、当初、千四百六十件という数字を言われたのですが、これは何か間違っているのじゃないですか。いまの説明ですと、五百件以上が四社。四社だけでも二千になるわけですね。二千をこえるわけでしょう。
#26
○政府委員(小暮光美君) あるいは通産省のほうからもお答えがあるかとも思いますが、先ほど両角局長が述べました千四百六十件と申しますのは、両省共管五十五社につきましての事件の総件数でございます。
#27
○亀田得治君 だってわからぬじゃないの、それじゃ。事件の総件数を聞いているのですよ。いまの、五百件以上のやつが四社あるといったらおかしいじゃないの。
#28
○政府委員(小暮光美君) お手元に資料があると思いますが、総件数欄の合計が千四百六十と相なっております。ただ、先ほど申し上げました場合には、この資料の一番右にございます「値合金処理分」、この件数を含めての数字でございます。これは件数として六千二百四十六件というように相なっております。
#29
○亀田得治君 六千二百四十六、そうすると、六千二百四十六と千四百六十を合わせたものが総件数でしょう。こんな資料のことで、時間、ごたごたしたら困るよ。
#30
○政府委員(小暮光美君) この申告に基づく調べで、事故件数と値合い金処理というのをそれぞれ別にいたしてございますが、御承知のように、事故と申します場合の性格がやや異なるのでございますので、それぞれ別に整理いたしてあるわけでございます。
 もう一ぺんあらためて申し上げますと、共管五十五社につきまして、事故件数として整理いたしましたのが千四百六十件。それから値合い金処理の問題として整理しましたのが六千三百二十六件。
 なお、ついでに申し上げますが、これは共管でございまして、そのほかに農林省専管のものにかかわる事故件数が九百四件、通産省専管にかかわる事故件数八十七件。同じく、「値合金処理」の欄で、農林省専管のものにかかわるものが千五百十五件、通産省専管にかかわるものが八十五件ということになっております。
#31
○亀田得治君 いまおっしゃったのを全部合計すると何件になるの。
#32
○政府委員(小暮光美君) 事故件数二千四百五十一件、値合い金処理七千九百二十六件、合わせまして約一万でございます。
#33
○亀田得治君 ようやくはっきりしたわけですが、この四十二年四月から四十四年十月までの間に一万件をこえる事故があるわけです。これは両方合わせなければいかぬですよ、事故ですから。で、その中で正規に取引所に申告されておるのが、先ほどのお答えですと、わずかに七百件ですね。これは推定の数字でしょうが、非常な開きがあるわけです。正規に取引所の表へ出ているのはまあ九牛の一毛と、こう言っても差しつかえないくらいなんです。こういう現象をどういうふうに見ておられますか、これは大臣に。
#34
○政府委員(小暮光美君) 先ほど申し上げました値合い金処理につきましては、大部分が事実の話し合いをいたしまして、仲買い店舗と顧客の間で自主的に整理がつく場合が多いわけでございます。
 それから事故のほうは、両者の間で整理がつかなくて、取引所まで正式に持ち上げるという案件が比較的多いわけでございます。
#35
○亀田得治君 それでその関係はどうなる、差が非常に過ぎているわけでしょう。
#36
○政府委員(小暮光美君) 事故につきまして、できるだけ詳細に報告を求めました結果、先ほど来御検討いただいておるような数字になっておるわけでございますが、あの資料の中にもあらわれておりますように、顧客と仲買い店舗の間ですでに解決済みの件数がかなりございます。未解決のものの中の重要案件が取引所にあがってきておるというふうに理解いたしております。
#37
○亀田得治君 この値合い金処理というものを何か非常に軽く取り扱っておられるようですが、値合い金処理が一万件の中で非常な数を占めておるわけですね。間違って処理した、そういうことが一体そんなにたくさんあっていいものかどうかということですね。実際は紛争なんだけれども、許可制というものを前にして値合い金処理というかっこうで出されておるものが相当数あるのじゃないかと思う、どういうふうに見ておりますか。専門家がこの表にあるように、こんなにたくさん間違いがあるというのはそれはおかしいじゃないですか、どうですか。
#38
○政府委員(小暮光美君) 御指摘のように、値合い金処理という扱いをいたしておりますものの中にもたくさんの紛議的要素がございますことは御存じのとおりでございます。言い間違ったと、あるいは聞き間違ったというようなことで関係者の意思と帳簿上の数字が不突合であるというような案件が多いわけでございます。したがいまして、これを決して軽く見るというふうに私ども考えておりません。なお、値合い金分をわざわざ報告させましたのは、御指摘のように、この問題も軽視できないと思いましたので報告を求めた次第でございます。
 なお、これらの中に、実質的に紛議というふうに判定すべきものがございますかどうか、これらの点も含めまして先ほど申し上げましたように、ただいま農林・通産両省で協力してこの申告書をもとにして実態を精査中でございます。
#39
○亀田得治君 その調査はいつごろまでに完了させる予定ですか。
#40
○政府委員(小暮光美君) できるだけ急がせておりますが、対象が非常に多うございますので、おおむね五月一ぱいかかるというふうに見ております。
#41
○亀田得治君 そういたしますと、現在の時点では半分程度はすでに洗い直しておると思いますが、その結果はどうですか。
#42
○政府委員(小暮光美君) まだ詳細な報告に接しておりません。
#43
○亀田得治君 これは通産省なり農林省が洗い直しておるのと違うんですか、取引所にまかせてやらせているんですか。詳細の報告を受けておりませんとは何なんです。洗い直しに着手して五月一ぱいに終わるというんでしょう。当然現時点で相当のことがわかっているはずじゃないですか。
#44
○政府委員(小暮光美君) この調査は役所がやっております。ただ多数の職員をそれぞれチームを編成いたしましてそれぞれの分担を持たせまして、各地域に三月に入りましてから出張させておるということでございまして、それぞれの調査班の報告がまだまとまっておらないということでございます。
#45
○亀田得治君 それは中間的な状況もわからないんですか、そんなことはないでしょうが。
#46
○政府委員(小暮光美君) 紛議の点につきまして、特に外務員活動あるいは登録外外務員といった問題の把握に調査の重点を指向するように指示いたしております。これらの点につきましての一部中間的な情勢等は聞いておりますが、ただいまの値合い金処理の問題はきわめて専門的な計数整理の問題でございます。なお、詳細報告を聴取いたしたいと考えておりますが、まだそれをいたしておりません。
#47
○亀田得治君 それでは端的に聞くが、非常にたくさんの数が値合い金処理とされておりますが、この中に紛議と見るべきものが、いわゆる正規の紛議と見るべきものが相当あるということは言えますか。
#48
○政府委員(小暮光美君) 非常に多数あるというふうには見ておりませんが、若干の部分は紛議として整理すべき性格のものが入っておるようでございます。
#49
○亀田得治君 大臣にお聞きいたしますが、昭和四十二年に法改正をやったわけですね。そのときの一つの大きな理由は、委託者の保護ということが重大な柱であったわけです。しかし、法律はできましたけれども、相変わらず同じような状態が続いておるということがこの数字の上であらわれてきておると思うのですね。私はこういう点について、どう両大臣は考えておられるか。もう少し突っ込んで申し上げますと、一つの問題は仲買い人、まあ取引員ですね、それからもう一つは取引所、それからもう一つは農林・通産行政当局にも責任があると、こういうふうに思うわけですが、この辺をどう理解しておりますか。
#50
○国務大臣(倉石忠雄君) 私ども監督の立場におる者から考えまして、先ほどここでいろいろ質疑応答がございましたような事件があるということにつきましては、はなはだ遺憾千万です。そこでただいま御報告もいたしておりましたように、その関係について仲買い人、取引所、そういうことについても、また取引のやり方等についていろいろ検討いたしておるわけでありますが、そういうものをすっかり調査の上で取引所の使命を全うするためにどのように改革したらいいかということについて、両省協力して検討いたしたいと思っております。
#51
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま農林大臣の言われたとおりでありまして、一つの制度が本来の目的を離れて悪用され、大衆に迷惑をかけた一つの例であるというふうに考えておりまして、対策については農林大臣の言われましたとおり、両省協力して処置をしたいと考えております。
#52
○亀田得治君 この商品取引所法の百二十三条に基づく行政処分ですね、これはどの程度なされておるか、明らかにしてほしい。
#53
○政府委員(両角良彦君) 通産省関係で申し上げますと、四十二年度以降の処分は、登録の取り消しが一件、受託停止が九件、文書によりまする戒告が五十二件と、こういうことに相なっております。
#54
○政府委員(小暮光美君) 農林省関係の商品仲買い人に対する法第百二十三条による処分件数は、三十八年度以降総件数二十二件でございます。
#55
○亀田得治君 四十二年度以降はどうですか。
#56
○政府委員(小暮光美君) 四十二年一件、四十三年六件でございます。なお、申し落としましたが、戒告等の数字はいまの報告には入っておりません。
#57
○亀田得治君 じゃあ戒告はどれぐらいあるの。一々聞かないでも言うてくれよ。
#58
○政府委員(小暮光美君) 四十二年度の戒告が二十八件、四十三年度の戒告が十九件、四十四年が十二月までで九件ということになっております。
#59
○亀田得治君 この戒告というのは、百二十三条の行政処分に当たるんですか。当たらぬのですか。
#60
○政府委員(小暮光美君) 戒告は、法に基づく処分以前の問題というふうに理解をいたしております。
#61
○亀田得治君 それから、いま大臣お聞きになったと思うんですが、たとえば農林関係の場合は法に基づく行政処分というものが四十二年一、四十三年六、四十四年はおっしゃったかどうか、まあこの表ではゼロになっております。通産のほうも、いただいた資料によりますと、四十二年が六、四十三年が二、四十四年が三と、きわめてわずかなんですね。しかし、一方では紛争がたくさん起きておる。しかも、その中ではずいぶん委託者が悲惨な目にあっているのもたくさんある。それに対して、行政上とられておる処置というものがはなはだ手ぬるいと私は言わなければならぬと思うんです、この数字からいって。私はこういうところにも監督官庁としてもやはり姿勢がきちんとしておらぬのじゃないかということを感ずるわけなんですが、これはどういうふうにお感じになりますか。
#62
○国務大臣(倉石忠雄君) こういう商取引のことでございまするし、また先ほども申し上げましたように、元来こういう商品取引所のようなものはいろいろ事件がありますというと、社会的にもその反響が多いわけでありますから、なるべく社会的に混乱を生じないように、取引所当局あるいは仲買い人の組合等に向かって、平素かねがね注意をいたしまして、事件のないようにやってまいって、できるだけそういう処置で指導監督をいたしておるほうがいいんではないかと思うのでありますが、最近における状況を見ますというと、いろいろ伝えられております事件、いままあ調査いたしておるわけでありますから、その真相について私どもにはよくわかりませんけれども、なるべく波乱を生じないように指導してまいりたいというのは、これは当然なことだろうと思うのでありますが、調査の結果によりまして、私どもは両名相談をいたしまして、適宜な措置をとってまいりたい、このように思っております。
#63
○亀田得治君 まあこの行政指導ということは、どういう面においても大事なことですが、しかし、きちんと締めるところはやはり締めていかないと、いわゆる行政指導になれてしまうわけですね。四十二、四十三、四十四、農林関係をとってみると、きちんと法的な行政処分をしたのがわずか七件、でいわゆる戒告、行政指導ということになるのでしょうか、これが五十六件ですね。あまりにも多過ぎるじゃないですか、成規の処分をはずしておる件数が。そう思いませんか。
#64
○国務大臣(倉石忠雄君) 個々の事例につきましてどういう性質の案件であるかによってもいろいろ違うと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、なるべく、取引所の使命を阻害することのないように円満に遂行さしていくというのが私どもの立場でございましたので、そういう態度をとっておるようでありますが、最近の状況、実は私どものところへも日本中から投書、電話その他で真相を知らせてまいります。そういうことについてその事実をまだ明確にし切れないのでありますけれども、そういうようなたいへん大きな社会問題になってまいるわけでありますからして、十分にひとつ監督をしてまいりたいと思いますが、要は、いままでの考え方もやはりそうだと思いますけれども、もしこういうことが大きく出てまいりますというと、その反響はいろいろな面で悪影響を持ってまいるでありましょうからして、そこでなるべく行政指導によって間違いのないようにやってまいったのだと思いますが、そういうことについては、事件の性質等にかんがみまして、なおこれから十分に社会に悪影響を及ぼさないように努力をしてまいりたいと、こういう考えを固めておるわけであります。
#65
○亀田得治君 それはまあ戒告の中にも、戒告だけでいいというのも実際問題としてあろうと思います。それはそれでもいい。しかし、あまりにもこの成規の処分というものは少な過ぎるわけですね。通産関係においても同じことですね。四十二、四十三、四十四と三年をとってみますと、十一件ですね、成規の処分をしたのは。戒告が先ほどお話がありましたように五十二件ですか。その点では農林省よりも多少率がいいようですが、しかし、非常な開きがあることは農林省と一緒です。私はこれは洗い直したらこれはやはりきちっと成規の行政処分をすべきものであったというのが相当あるんじゃないかと思うのです。通産大臣どうですか。
#66
○国務大臣(宮澤喜一君) 行政が予測していないようなふうに制度が悪用されましたときに、行政のほうの対応のしかたが十分でなかったということがあるのではないかと思います。あるいは亀田委員の言われたようなことが実際にあったかもしれない。これは行政の対応のしかたが十分でなかったということを十分に反省しておるわけであります。
#67
○亀田得治君 事務当局にお伺いしますが、時間の関係もあるから四十二、四十三、四十四でいいですから、さっき成規の行政処分並びに戒告の数を言われましたが、その中で九十一条の二に未登録外務員の問題ですね。これに反していたというのは何件ぐらいになっているんですか。大部分がそれですか。
#68
○政府委員(小暮光美君) 九十一条の二に違反、該当しますものが四十二年度一件、四十三年度六件ですから、先ほど申しましたもののすべてがこれに該当いたしております。
#69
○亀田得治君 戒告の件はどうなんですか。戒告の五十六件の内訳はどうですか。
#70
○政府委員(小暮光美君) 戒告の内訳につきましては、後刻整理して御報告申し上げます。
#71
○亀田得治君 ちょっとその傾向わかりませんか。
#72
○政府委員(両角良彦君) 未登録外務員によりまして処分いたしましたものは、四十二年度三件、四十三年度二件、四十四年度三件、計八件でございます。なお、それ以外の文書戒告という処分は、主として担保の徴収が足りなかったというような件につきまして行なったものでございまして、未登録外務員の処分は入っておりません。
#73
○亀田得治君 通産省関係の四十二年度六件のうち三件が九十一条の二、残る三件はこれは何ですか。
#74
○政府委員(両角良彦君) お答えいたします。
 その他の違法処分でございまして、一任売買とか利益保証とかいうような件数でございます。
#75
○亀田得治君 三件ですからきちっとおっしゃってください。
#76
○政府委員(両角良彦君) それはいま調査いたしております。
#77
○亀田得治君 この九十一条の二、この違反については罰則がついておりますね。罰則をおっしゃってください。
#78
○政府委員(両角良彦君) お答えいたします。
 残り三件の処分につきましては、未登録受託場所における営業行為の違反ということで二件、のみ行為につきまして一件ということでございます。
#79
○政府委員(小暮光美君) 九十一条の二に関連いたします罰条は百六十一条の第一項にございまして、「次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。」という条文の一号のところに、「第九十一条の二第一項」というふうに書かれております。
#80
○亀田得治君 どういうことにでも、むやみに罰則を発動しろというふうなことは私考えておりませんが、しかし、社会的にいま問題になっておる事柄の中には、非常にこれは許せないというふうなものがたくさんあるわけなんです。したがって、私は、当局が真剣にそのことを考えておれば、行政処分だけじゃなしに、自分の取り扱う過程においてわかったならば、検察庁に告発するとか、当然そういう措置が若干はあってしかるべきだと思いますが、いままでそういう措置をとったことがありますか。
#81
○政府委員(小暮光美君) 農林省関係では、これまでのところ、役所から検査の結果に基づいて告発したという事例はございません。
#82
○政府委員(両角良彦君) 先ほど申し上げましたのみ行為によりまする違法事件につきましては告発をいたしております。一件でございます。
#83
○亀田得治君 告発が一件あった、のみ行為について。その刑事処分はどうなったのですか、最終的に。
#84
○政府委員(両角良彦君) お答えいたします。
 詐欺行為によりまする実刑処分を受けておるそうでございます。
#85
○亀田得治君 だからどういう実刑ですか。刑期並びに執行猶予になっているのかなっていないのか、一件しかないなら覚えていなければならない、自分が告発したのだから。大体それは姿勢がゆるんでおるというのはそういうところなんです。
#86
○政府委員(両角良彦君) はなはだ恐縮でございますが、手元に正確な資料を持っておりませんが、懲役刑を二年程度科せられた模様でございます。
#87
○亀田得治君 執行猶予はついているんですか、ついていないのですか。
#88
○政府委員(両角良彦君) その点はただいま明確でございませんが、後ほど正確に御答弁申し上げます。
#89
○亀田得治君 わずか一件しか告発しておらぬこと自身私は非常に不満なんですが、その一件のものについて、あの事件はどうなったと、告発した者がきちんとそれを知っておらぬということでは、こういうところに私は監督行政のゆるんでおる片りんがやはり出ておると端的に思うのです。大臣どうです、一件しかないものでしたらだれでも覚えていますよ、告発した者ならやつぱり自分が責任があるでしょう、あの一件はどうなるんだろうかと。
#90
○国務大臣(宮澤喜一君) 御質問の時間中に正確にどうなったかをお答え申し上げますけれども、結局一つの制度があって、それに従って行政をするというときに、一般に行政をする者の考えというものは、まずまず自分の考えた範囲で制度が運用されるであろうという想定を持っておるわけでありますが、違法になりますと、これは罰則によって処分をするわけですが、不正常というような場合に、はなはだ対応することが、行政というものが一般にへたでございます。この問題はそういう一つの例であると思って反省をしておるわけでございます。いまの点につきましては、間もなく正確に御報告できると思います。
#91
○亀田得治君 非常にこまかいことをお聞きするようですが、しかし、大まかな大局論ばかりやっておりましてもこれは精神論に終わってしまう。それで私はこまかい具体的なことを聞くのです。これは大臣に認識してもらいたいと思います。
 それからもう一つ聞きますがね。九十一条の二に違反したもの、これは一件も告発をしておらないということですが、一体、そういうことでいいのかどうか。いろいろな不当勧誘なり、委託者に対して非常な迷惑をかけ、いろいろしておる事件を見ると、九十一条の二違反から出発しておるものが非常に多いわけなんです。それを切り離して、これは単なる九十一条の二違反だと、罰金も三万円以下だというふうな軽い見方をすべきでは私はないと思うのです。だから、そういう点で一件もその告発に値しないというのはおかしいじゃないですか。私がこの点を質問するぞと言うまでは、こういう事柄についてそういう刑事罰までついているかどうか、その点もはっきり握っていたのですか、どうなんです、これは。率直に答えてください。忘れているのじゃないかな。
#92
○政府委員(小暮光美君) 九十一条の二に罰則がございますことは十分承知いたしております。なお、無登録外務員の問題は特に役所としても重視いたしておりまして、受託停止等の厳重な営業上の処分をいたした例が多いわけでございます。
#93
○亀田得治君 この九十一条の二違反なんというものは非常に構成要件としても明確なんですね。告発をして無罪になるということは絶対にありませんよ。しかし、刑は軽いけれども、実質的には、社会的に非常な問題を投げかけておるんです。これは私は実質の面から告発するかしないかもっと研究すべきだと思うのです。私は、一つも九十一条の二違反で告発されておらぬところを見ますると、そんな検討はしておらぬのじゃないかと思いますね、そこまで。どうなんです、検討をやったことありますか、真剣に。
#94
○政府委員(小暮光美君) 告発するかどうかにつきまして、具体的な事案について部内で検討した事例もございます。なお、具体的なことにあまり立ち入らないで申しておりましたが、これまで直接告発という行為はとっておりませんけれども、一営業所を全面的に廃止させるというきわめて厳重な、実質に実際上誘導したような事例もございます。
#95
○亀田得治君 告発を検討したことがあるというのですが、具体的にどの案件で検討したのですか、おっしゃってください。
#96
○政府委員(小暮光美君) マルモトという会社の徳島営業所の事案の際でございます。
#97
○亀田得治君 それは何年度になるの、この表からいくと。
#98
○政府委員(小暮光美君) 四十三年の三月に警察側の判断で起訴されて、現在公判続行中というように聞いております。
#99
○亀田得治君 結局監督官庁が告発をしない、警察のほうが今度は自発的にこれはほっておけぬというので起訴のほうへもっていったと、だから、それは逆じゃないですかね。どういう事案です、それは。おっしゃってください。
#100
○政府委員(小暮光美君) マルモトの徳島営業所は、農林省の検査の際に詐欺その他の各般の事例があることを確認いたしました。これにつきまして事実上警察に連絡いたしまして、警察が正式に捜査に入ったということでございます。
#101
○亀田得治君 ともかく委託者に対する迷惑という問題が非常な社会問題化しておりまして、院段階では、いわゆる取引員の姿勢ということでずいぶん論議がありました。で、私は、きょうは、このような事態になっておるのは、取引員と同時に監督官庁にもやはり責任があるんだと、こういう立場からお聞きしたわけでありまして、これは両大臣、十分ひとつ御認識をお願いしたいと思うのです。ただ責任を分散することによって取引員の何か肩の荷が軽くなると、そういう意味で申し上げておるわけじゃありません。これは両者がやはり法の精神にのっとった正しい方向をとっていこうと、その努力が絶えずなければうまくいきませんよ。だから、ぜひこれはこの際要望いたしておきます。
 次に、問題を変えますが、この商品取引所法の改正によりまして、来年からいわゆる許可制に移行するわけですが、その事務手続を当局としても進めておられると思いますが、その大体の段取りをこの際御説明を願いたいと思います。
#102
○政府委員(両角良彦君) 明年一月の許可制移行に対応いたしまして、現在事務的には各仲買い人からの許可申請を六月までに取引所に提出をさせるように指導をいたしております。取引所はこれを取りまとめまして、その意見を付しまして八月までに関係省に提出をいたすということに指示をいたしております。各省におきましては、その内容につきまして本年一ぱい審査を行ないまして、許可の有無を決定をいたすという予定でございます。
#103
○亀田得治君 これは役所に来るまでに取引所自体が中間の審査をして意見を付するんですか。
#104
○政府委員(両角良彦君) さようでございます。
#105
○亀田得治君 そこで、全部が出そろってから、九月ごろからこの審査に正式に入るんだと思いますが、どういう基準でこの許可をやっていくというふうにお考えになっておるか、明らかにしてほしい。
#106
○国務大臣(倉石忠雄君) 四十二年の商品取引所法改正に際しまして、現に商品仲買い人の登録を受けていた者は明年一月までに商品取引員の許可を受けなければならないと、こうなっておるわけでありますが、許可の審査にあたりましては、法律上の許可基準に従いまして、まず受託業務を健全に遂行するに足る財産的基礎、受託業務の収支見込み、それから受託業務を公正かつ適確に遂行することができる知識及び経験並びに社会的信用などについて審査を行なうことといたしております。それから、社会的信用等につきましては、経営体制、諸法令の順守状況、改善指導に対する措置状況など営業姿勢の全般にわたって厳格な審査を行なう方針でございます。
#107
○亀田得治君 現在調査中のこのいわゆる紛議に関する調査結果、これはどの程度許可決定にあたって参考にされるわけですか。これは根本問題だから、両大臣から……。
#108
○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど申し上げましたような方針でありますので、その経営姿勢等、そういうことを参考にいたしまして基準をきめたいと、こう思っております。
#109
○国務大臣(宮澤喜一君) 同様に考えておりまして、不祥事件を起こすようなおそれのある姿勢の者は排除したいという考えであります。
#110
○亀田得治君 いまのお答えからいたしますと、いわゆる現在調査しておるものが相当重要視されるというふうに受け取っていいと思いますが、たとえば、一社で紛議並びにいわゆる手違いというものを含めて五百件以上もあるというふうなのはどうもわれわれ解せないわけですが、こういうのはどういうふうにお考えになりますか、具体的に。これは一社一社検討されることになるんだろうと思いますが、大まかに言いまして、一年半ほどの間に五百件以上もそういう手違いなり紛議があるというようなことはどうも私は納得がいかない。そういうのはどういうふうに許可にあたって扱いますか。
#111
○国務大臣(倉石忠雄君) そういうようなことにつきましても、十分調査研究の上で対処いたしたいと思います。
#112
○亀田得治君 じゃあそれは原則として排除するというのか、どうなのか。その辺をお聞きしておるわけです。一件一件当たらないとわからぬと、そういうことをおっしゃるものですから、結局うやむやになってしまう。一つの社で五百件もそんなミスをしていたら、ほかの世界ではなかなか通用しないんじゃないですか、どうなんです。
#113
○国務大臣(倉石忠雄君) 私どもの立場としては、不当な者をかばう必要は毛頭ございません。そういうことを明らかにいたしまして、社会の平静なる取引が行なわれるようにいたすことがわれわれの任務であります。そこで、件数のことにつきまして私は一々まだ存じませんけれども、十分ただいま検査をいたしておるわけでありますから、その結果に基づきまして先ほど申し上げましたような基準に照らして処置をいたしたいと、こういうわけであります。
#114
○亀田得治君 通産大臣、どうですか。五百件以上というようなことは、ほかの社会で通用しますかね。
#115
○国務大臣(宮澤喜一君) それは紛議の内容によると思うのであります。つまりまあ一種の善意のミスによって起こったものでありましたら、これはまあそれとして恕せる点があると思いますが、悪意を持って最初からやったということになりますと、これはもう根本的な姿勢の問題になりますので、具体的な内容によりまして決すべきものと考えております。
#116
○亀田得治君 それからいわゆる営業姿勢ということに関連すると思いますが、たとえば登録外務員の給与制度ですね、固定給、歩合給ということが問題になっているわけですが、これはどのようにお考えになっておりますか。非常に歩合給の多いような店につきましては、許可をする場合に、やはり営業姿勢の中の一つの問題としてマイナス面というふうにお考えになるのかどうかね、具体的に聞きます。こういうところに大きな遠因があるわけなんです。これは両大臣。事務当局は大臣が腹をきめて、それからやったらいいんですよ。事務当局が先走るから改革ができない。両大臣から……。何もこまかい問題じゃない。
#117
○国務大臣(倉石忠雄君) 事務当局からお話を申し上げてからのほうがいいと思ったんですけれども、原則論としては、私は、ずいぶんこういうことが各社会で行なわれておると思います。たとえば自動車のタクシーもそういうようなものもありますし、ほかの、きのうも魚のことについていろいろ論議があり、魚なぞでも取り高によってまた景気的な、本俸にプラス幾ら……。いろいろあることで、一がいにこれは悪いとは言えない面もあるかと思いますけれども、それが非常に過度にやられるということになりますと、たいへん弊害をもたらしてまいりまして、聞くところによりますというと、一ぺん取引をした方、御婦人なぞにはおふろ屋までついてきてしつつこく勧誘をされると、幾多そういう弊害があるようであります。これはやはりそういう出来高払いと申しますか、そういうことの弊害だろうと思うのであります。私どもも先ほど外務員が多過ぎるとか、いろいろなこともいまいわれております。そういうこととあわせて、ただいまのようなことについても十分監督官庁として注意をいたしてまいりたいと、こう思っています。
#118
○亀田得治君 通産大臣、どういうお考えですか。
#119
○国務大臣(宮澤喜一君) やはり固定給の割合をふやすという方法で考えるべきだと思います。
#120
○亀田得治君 そうすると、端的に言って歩合給の非常に多い店、これはやはり許可するにあたっては、営業姿勢としてはやはりマイナスがつくと、こう理解していいですね。一つ一つの店を調べてというようなことでなしに、はっきりおっしゃってください。
#121
○国務大臣(宮澤喜一君) 少なくともそういうふうに改善をさせた上で検討することが必要だと思います。
#122
○亀田得治君 そうすると、現状、歩合給の多いところは許可までに行政指導をするというお考えですか。
#123
○国務大臣(宮澤喜一君) 私としてはそういうふうにいたしたいと思います。
#124
○亀田得治君 そこでまあ基準がはっきりしませんと、その指導のしかたもないわけですが、どの程度であれば、まあがまんができるというふうにお考えでしょう。これは事務当局にまかすと、もう現状に引きずられてだめなんです。どうです、これは常識的に……。
#125
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもがこういう考えを示しましたら、事務当局がしかるべき限界を考えると思いますので、必要があれば事務当局から申し上げます。
#126
○亀田得治君 いまの両大臣のお考えさえはっきりしておれば、事務当局はその線でこまかい作業をやってほしいと思います。いろいろありますが、時間の都合もありますから問題を変えます。
 それは二月十八日の解け合いですね。これは私は正規のルートによらざる一種の脱法的な解け合いだというふうに考えるのですが、これは農林大臣だけですね、穀取ですから、どういうふうにお考えですか。
#127
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまお話の解け合いにつきましては、いろいろ言われておるようでありますが、全体として見ますと、あの時点において関係者が話し合って最善の措置を考えて整理を進めたものであると思われております。当時の情勢から見まして、大局的に見ればやむを得ない措置ではなかっただろうか、こういうふうに見ております。なお整理の具体的な方法等については、今後のこともございますので、十分検討して正すべき点があれば正してまいりたいと思いますが、亀田さん御存じのように、従来、商品取引所だけではございませんで、他のところでも、ああいうような場合には、自主的に解け合いをいたしてまいった例もたくさんございますが、私どものほうでも、あの御指摘の日の二月の解け合いについては、事務当局も十分よく様子を見ておりましたのですが、ただいま申し上げましたようなお答えが一番妥当ではないかと、こういう判断をしておるわけであります。
#128
○亀田得治君 まあ解け合いをするにはちゃんと法規なりあるいは取引所の規定等があるわけですね。それで私はやるべきだと思うのです。ちゃんと法規なり制度があるのに、お互いに了解すればいいだろうというふうなやり方は、これは一体何のために一方に法規等が整備されているのか、こういうことに発展するわけです。ほんとうに必要であれば、取引所自体が規則に基づいてやったらいいでしょう。あるいは監督官庁が指導したらいいわけでしょう。かってにやるということは、これは私は前にそんなことがあったからというふうなことでは済まされぬ問題だろうと思います。私は脱法的だというのは、まあ任意に玉を整理したのだ、こう言いますけれども、相当やはり取引員がお客に対して押しつけておると思うのですよ。押しつけがあると思うのです。それに応じない人は残っておるのでしょうけれども。だからそういう押しつけがまかり通っていくということになれば、これは一種の強制なんですよ。強制であるならばこれはちゃんと正規のルートでやるべきだと私は思うのですよ。表向きだけはこれは任意でやったのですから御了承願います、こういう慣習をつくってはこれはきわめて監督行政の立場から見てもルーズになっていけないと思うのですよ。農林大臣、まあやむを得ぬだろうというふうにいまおっしゃいますけれども、これは私は影響するところがなかなか大きいと思います。どういうふうにお考えになっていますか。そういう、客に対する説得というけれども、事実上は押しつけている、そういうことがなかったとこれは絶対に断言できますか。
#129
○国務大臣(倉石忠雄君) 御存じのように、商品取引所法、それから取引所の規定には強制解け合いの規定がございます。そういうふうなことでありましたならば、もう何人も法律に基づいてやることでありますから異議がないのでありますが、いま御指摘のありましたあの時点にはどういう態度でやったかということは、お客さんのほうも十分よく知っておられる時期でございましたので、私どもはその解け合いそれ自体は必ずしも不当だとは思いませんけれども、亀田さん御指摘のように、そのために損害をこうむる部分もかなりあるわけでございますから、こういうことは非常に注意してやらなければならぬことだと思います。どこの取引所でもそうだと思いますが。そのときの状況につきまして私つまびらかにいたしておりませんので、事務当局から御報告いたさせましょうか。
#130
○政府委員(小暮光美君) 二月十八日前後の市況等につきましては時間の関係で省略いたしますが、端境期に向かって小豆の需給が窮迫し、しかも、中共に対して相当の外貨の割り当てがございましたけれども、中共小豆の輸入の見通しが立たないといったようなかなり窮屈な需給状況のもとで、穀物取引所の小豆にかかわる取引が非常に取引量として過大になりつつある状況であったわけです。これらの事態につきましては、二月十八日になりますかなり前から、具体的には昨年の十一月ごろから、ことしの小豆の取引については取引所として十分慎重な配慮が必要であろうということは、機会あるごとに担当の者から取引所に話しておったというような環境がまずございます。具体的には、二月の十六日に東京穀物の場合には理事会が開かれまして、二月の当限の整理につきまして、入る時期でございますから、強力な市場の自粛措置が必要であろうということについての話し合いはあったわけです。具体的にどうするということはきめていなかったというふうに聞いております。明けて二月の十七日に仲買人協会の者が臨時の総会を開きました。御承知のように、当限のものが月半ばを過ぎますともうストップ高、ストップ安という制限もございません。また、当時取引所としては、自主的に保証金をさらに増加しようということを別途検討いたしております。それらの状況を十分勘案いたしまして、今後新規の売買は差し控えよう、また、残っておる建玉につきまして各仲買い人は客を説得してその整理を促進しようというようなことについての話し合いはございましたけれども、これまた具体的にどうしようということを正式にきめたということではないようでございます。しかし、こうした環境をもちまして十八日の取引の際にきわめて急激な形で解け合いが話し合われたということでございます。なお、これらの問題につきましては、その後理事会において、状況を検討し、理事会としてこれを自後において了承するという形で収束いたしておるというふうに報告を受けております。
#131
○亀田得治君 その委託者に対する強制ということは絶対なかったですか。そういうことは調べておりますか。
#132
○政府委員(小暮光美君) 強制があったというふうには考えておりません。
#133
○亀田得治君 考えていないじゃない、調べておるかというんです。
#134
○政府委員(小暮光美君) 当日の状況につきまして取引所から報告も取り寄せております。その後累次にわたって責任者を呼び出しまして状況を聴取いたしております。
#135
○亀田得治君 まあそういう程度のことで強制があったかないかということがわかるわけがありません、そんな間接的な報告などを聞いただけで。私は断じてこれはもう了承できない、こういうことは。現にこういうやり方に対して非常に不満を持って、いまだにそのままに玉を置いておる人もたくさんあるわけです。気の弱いちょっとよく事情のわからぬ人はごまかされて押しつけられておるというふうなことがたくさんあるんですよ。
 もうあと二分でありますからもう一つ聞きますが、取引所が日本に二十カ所もある。これは戦後のああいう法制のもとにできたわけですが、これは私は多過ぎると思うんですね。もっと整理すべきじゃないか。特に大阪とたとえば神戸、同じ経済圏のところに二つの穀物取引所があるんですね。意味がないと思うんです。設立の歴史などをよく言われるんですけれども、現時点においてはそんなことは矛盾ですよ。同じ場所で二つの値段ができるといったこと自体から見たっておかしいじゃないですか。こういうような点については、前の法改正のときでもずいぶん議論になりまして、菅野大臣も当時よく検討しなきゃいかぬというふうに言っていたんですが、少しもそういう点が検討された様子がありません。私はこの商品取引が正常な姿で進むためには、商品取引員または取引所、それと監督官庁、このおのおのが自分の責任というものを十分果たしていくというたてまえでなきゃいかぬと思うんです。取引員は何といってもお客のために全力を尽くすと、これが大事なんです。取引所はそういう取引員に引きずられるんじゃなしに、やはり全体を絶えずにらんで公正な立場で運用をしていく。取引所の数が多過ぎるんならこれをみずから整理していく。あまり経費もかからぬようにする。経費だってだいぶ違ってくる。取引所の財政的な基礎が仲買い人の出来高の多い人にたよっておると、こういう状態じゃ、どうしたって大手の仲買い人に引きずられるんですよ。そういうことも再検討の余地があるわけなんです。そういう点について――もう赤信号が出ましたから終わりますが、両大臣の最終的なお答えを願っておきます。
#136
○国務大臣(宮澤喜一君) 商品取引所は本来価格の安定と流通の円滑化という任務を持っておるわけでございます。それが悪用されたことはまことに遺憾なことでありますが、本来そういう任務があって、それが必要だということは、私はそういう事実そのものは変わらないと思います。しかしながら御指摘のように、これが非常に乱用あるいは悪用されておる現状にかんがみまして、ただいま言われましたようなことについては前向きに処置をしたいと、私としては考えております。
#137
○国務大臣(倉石忠雄君) 商品取引所の基盤を強化するとか、また適切妥当な取引所の運営がされるという観点から考えますと、ただいまのお話は、これはたいへん傾聴すべき御意見であると実は私どもも見ておるわけであります。しかし、先ほどあなたから先におっしゃられてしまいましたけれども、成り立ちの歴史、それから地方的の実情等を考えてみまして、いろいろ困難も伴うことだと思いますけれども、なお検討いたしたいと思います。
#138
○委員長(堀本宜実君) 以上で亀田君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#139
○委員長(堀本宜実君) 次に、萩原幽香子君の質疑を行ないます。萩原君。
#140
○萩原幽香子君 きのう東京大学の学内の機関である大学改革に関する専門委員会から「新しい総合大学を求めて」という最終報告書を発表されましたが、大臣はその内容を御検討になりましたでございましょうか。
#141
○国務大臣(坂田道太君) 東大の大学改革準備調査会は、昨年の十月第一次報告雷を発表いたしまして、最近に至りまして、さらに管理組織に関する報告書及び研究教育組織に関する報告書を発表いたしました。私まだつぶさにこれは検討はいたしておりませんけれども、しかしながら、東大が大学改革の問題に積極的に取り組んでおるということは高く評価しているというふうに考えております。内容的にも問題点の分析について同感するところがかなりあるわけでございます。たとえば管理組織につきまして、いままで何といいますか、大学それ自体の現状分析というようなものが実はつまびらかにされておらなかった。でございますけれども、このたびは東大はもちろんでございますけれども、国立大学全体についてもかなり分析をいたしておるわけでございます。その結果といたしまして、実現可能な問題につきまして、たとえば国立大学の組織及び国立学校特別会計に関する長期的、短期的な計画の策定とか、あるいは大学職員人事の円滑な交流であるとか、あるいは積算校費の合理化、あるいは特別会計制度協議会の活用、これは特別会計制度協議会と申しますのは、文部省と国立大学協会と協議会を設けておるわけでございますが、これを活用することによって、こういう文部省やあるいはまた大学当局と意見が大体一致するというような点については、それを取り上げて具体化していこうじゃないかというような話し合いを進めていこうという気持ちが出てきたことは、私は非常にいい傾向であるというふうに思っておりますし、たとえば大学予算の構成とか、あるいはその規模とかというようなことにつきましても述べられておるわけでございます。また本日の新聞に見られまするような研究教育組織の問題につきましても、これはわれわれの中教審で御検討願っておりまする試案で、大学はやはり種別化をすべきである、目的、性格をはっきりさせなければいけないのだということがうたわれまして、そうして一種から六種までの種別化ということを提案いたしておるわけでありますが、その第一種の一般の何と申しますか、総合的な大学教育を受ける制度として三年または四年制程度の大学ということを中教審試案では述べておりますが、それにほぼ類似するものとして総合大学というものを考えておりますし、またそれは総合課程という考え方で貫かれておりますが、もう一つは専修課程と、専門の高等教育研究という面につきまして、これは私たちの第二種で取り上げておりまする三年から五年程度のものということ、特にその中におきまして、医学教育等にも触れまして、付属病院のあり方等にも若干触れておりまして、むしろこれはその総合大学の中ではカレッジとして専門的に一種の独立した形においてやったほうがいいんじゃないかというようなことも述べられております。
 それからまた、たとえばわれわれが一年ばかり前に申しておりました一般教育二年、そうして専門教育二年というものを分離しておるのはどうだろうか、これをやはり四年間を通じて一般教育をやるというようなことは考えられないかというようなことを申しておったわけでございますが、それにつきましても、四年を一貫して一般教養をやるということが望ましいというような点もございます。
 それから前の第一次試案におきましては、再教育のために大学は門を開かなければならないということがうたわれておりましたが、これは多少何といいますか、引っ込んだように思うのでございまして、これはやはり最初の第一次試案のほうがいいのではないかというような気がいたします。しかし、これはまだ東大全体として今後まだ検討されるということになっておりますし、それから入学試験制度につきましても、高等学校の内申書を重視するというのが第一次試案にはうたわれておったわけでございますが、今度の場合には少しそれに対しては慎重さというものが出てきた。しかし、この問題もやはり両面ございまするので、今後具体的に積み重ねられるだろうと私たちは思うわけでございます。私たちが中教審の試案を発表し、そうして各界各層、もちろん大学、それから当局とディスカッションもいたしてきておりますが、次第にわれわれの考え方とそれから東京大学あたりの考え方とがオーバーラップするところが非常に出てきた、現実化してきたということは非常に私はいい傾向だというふうに評価をいたしておる次第でございます。
#142
○萩原幽香子君 いまの大臣の御答弁によりますと、大体は文部省の考え方、中教審の考え方と近いものが出ていると、こういうことでございますね。そこで、三月二十六日に発表された国立大学協会の「大学問題に関する中間報告」もございますし、また今後各大学からそうしたものが出されてくると思います。そうしてまた私立大学関係も自主的にそうしたものが出されてくるでございましょうし、また出されることは望ましいと、こう考えるわけでございます。ところが、問題は、各大学のいわゆる自主性と国の政策とがどのようにそれを両立させ、調整していくかということがあとの問題として残されるのではないか。先ほどの東大のように、大体大まかなところが、大事なところが重なってきたということなら、それはたいへんいい方向でございますけれども、そういう点について大臣、違った面が出てきたときにどう両立させ、どう調整させるか、その点についての御所見を承りたいと存じます。
#143
○国務大臣(坂田道太君) いまお答えを申し上げましたのは、主といたしましてオーバーラップしてきたというか、かなり一致しておる点を実は申し上げたわけでございまして、発想それ自体におきましてはかなりまだ隔たりがございます。そうしてまたいろいろな基本的な問題についても、まだまだ考え方が一致しない点がずいぶんございます。こういうわけでございまして、お互いがまだ試行錯誤の状況にある、各大学も試行錯誤の状況にあるということでございまして、これはやはりいままで文部省と各大学とが対立的な形において、私たちは大学を信頼しない、大学はまた文部省を信頼しない、こういう関係が残念ながら長い間続いてきたわけでございますが、こういう現実の大学紛争を通じましてお互いが反省をして、そうしてこの話し合いをすると、そうして主張すべきところは主張をし、取り入れるところは取り入れるという空気が、その芽が出てきたということが非常に大事なことだと考えておるわけでございます。私どもといたしましては、この五月に一応の大学の構想の試案が中間報告として文部大臣のもとに提出をされると思います。それがまた再び中教審におきまして長期教育計画、あるいは肉づけと申しますか、一体お金はどれぐらいかかるのだというようなことも検討していただきまして、来年の五月ごろには最終答申が得られると思います。その間におきましても、私は中教審がまた大学当局とお話し合いになる、あるいはまた各界各層とお話し合いになるという機会があろうかと思うのです。そういう形を続けながら、国民的コンセンサスを得つつ、また各大学と共通の基盤をお互いつくり出していくという形において大学改革を進めてまいりたいというふうに思うわけでございまして、非常に困難なことでございますけれども、今度の発表等考えますると、不可能なことではない、やり得ることであるというようなふうに私は判断をいたしておる次第でございます。
#144
○萩原幽香子君 中教審は本月中に学校教育全般についての基本的な改善策を答申されるというふうに聞いておりますけれども、まあ大学改革はこの学制全般の改善プランの一環としてあるべきもので、各大学のかってな独走をされては非常に困ると、こういうことがまあ私は考えられると思うのです。そこで、政府は来年の五月ごろということでございましたが、ただいまの大臣の御答弁をいただいて私も実は安心をいたしております。できます限り国民の期待に沿った形で大臣の御努力に御期待を申し上げて、この質問を終わらせていただきたいと存じます。
 時間が非常にございませんので、私はかけ足で質問させていただきますが、大臣方はどうぞひとつできるだけ丁寧に誠意をもって御答弁をちょうだいいたしたいと思います。
 戦後、わが国の民主化の一環として婦人の解放が叫ばれ、形の上では男女平等が打ち出されましたが、はたして平等が保障されておりますでしょうか。私は二十数年の身の上相談を通して、男女の真の平等が確立されてこそ初めて両性の幸福が約束される、こういうふうに信じているものでございます。その観点に立って、本日は妻の座について若干の質問をいたします。まことに恐縮でございますが、大蔵大臣にお願いをいたします。
 昨年私は三月二十九日に本委員会で妻の生前贈与についてお尋ねをいたしました際に、大蔵大臣は、現在の生前贈与の扱いは薄いと、だからこれは前向きに検討するとお答えくださいました。覚えていてくださいますね。私はそのとき非常に感激をいたしましたし、新聞もだいぶ取り上げてくだすったんです。ところが、いまだにそれから一年たってもまあやられているように思えないのです。そこで、まあ大臣のその前向きの検討とはどういう内容のものでございましょうか。承りたいと存じます。
#145
○国務大臣(福田赳夫君) 確かに昨年萩原さんからさような御質問があって、前向きに検討するというお答えを申し上げたわけです。妻の座ということがまあよく言われるわけでございまして、この妻の座につきましては、私も生前贈与ばかりでなくて、いろいろの角度から配意をしたいと、こういう考えを持ち、総理大臣も非常に熱心でありまして、私に対してさような指示があるわけであります。ただ、今度は総選挙後の特別国会でありまして、まあ実際問題としてその結論を得るいとまがなかったということなんです。特にこの生前贈与に対する贈与税の問題、これが妻の座の一つの問題点になるわけでございますが、これは相続税と非常に関係があるのです。それからまたこの民法というか、身分法ですね、これと非常に大きなからまりを持ってきておる。そういうようなことでなかなかむずかしい問題がありまして、まだ結論を得るに至っておりません。おりませんが、検討はいたしております。何とか結論を早く得たいという考えでありますが、必要でありますれば、その検討の経過につきまして主税局長から申し上げさせていただいてもけっこうでございますが、いかがいたしましょうか。
#146
○萩原幽香子君 この問題については後ほどあらためてお伺いいたしますので、では本論に入ります。
 まず家庭局長さんにお伺いいたしますが、家裁に持ち込まれます家庭紛争の上から見て、妻の座というものの実態をお聞かせいただきたいと存じます。
#147
○最高裁判所長官代理者(外山四郎君) ただいま家庭裁判所の家事事件の状況のお尋ねがございましたので概略を申し上げます。
 家庭裁判所の家事事件は昭和四十四年に二十七万五千件ばかりの事件がございましたが、このうち審判事件はやや減少の傾向がございますが、調停事件は年々増加いたしまして、昨年は戦後最高の件数、六万二千件ばかりを示しております。
 ただいまお尋ねの件に関しましては、一番問題が端的にあらわれておりますのは、この調停事件の中での婚姻中の夫婦のトラブルに関係する事件でございますが、調停事件の中ではこの種の事件が最も多く、その約半数の三万一千件ばかりございます。これは昭和二十四年当時と比べますと約二・五倍の件数にのぼっております。このことは、昭和四十三年の統計で見ますと、離婚の総数が八万九千七百件ばかりございまして、これが戦後の最高を示しておりますのと軌を一にしておるのではないかと思われるわけでございます。この離婚率もこの数年来年々増加しておるようでございます。これらの離婚の中で最近の傾向を見ますと、家庭裁判所による調停によって離婚をする割合が年々高くなって約一割を占める。その逆に協議離婚が減っております。
 このような調停事件等にあらわれました夫婦間の事件につきまして内容を見ますと、妻から申し立てられる場合が夫の申し立ての約二・五倍の数に上がっております。いずれの側からの申し立て、夫からの申し立て、妻からの申し立ても、離婚の申し立てが一番多いわけでございますけれども、それを比較してみますと、離婚の申し立て原因と申しますか、動機というものが、夫と妻の間で相当の開きがございます。夫の場合ですと、性格が一致しないというようなことが非常に大きな部分を占めておりますけれども、妻の場合ですと、夫の異性関係というようなことが離婚の申し立ての動機や原因になっている場合が多くて、そのほかに夫が家庭を顧みないとか、あるいは生活費を支給しないというような原因が相当多くなっております。こういう点から見ますと、やはり家庭の中におきます妻の地位と申しますか、経済的な立場というものがほぼ察せられるわけでございます。また、当然かも存じませんけれども、事件の当事者の中では妻に収入のない場合がほとんど圧倒的多数でございますし、生活費の請求というような申し立てをいたしますのはほとんど妻からでございます。それから離婚後に慰謝料とか財産分与を求めます事件もその約九〇%は妻からでございます。このような事件の内容から見ますと、今日の婚姻関係の実情がほぼ察せられるかと思われるわけでございますが、現実には夫婦の間の経済的地位と申しますか、社会的地位と申しますか、それが相当開きがあるようなふうに見えるわけでございまして、事件の解決もいろいろ困難を伴ってまいります。たとえば、離婚の際に親権者や監護権者をきめるという場合に、これらの問題に関連して経済問題の調整をとるということになかなかむずかしい場合が実際にはございます。
 以上でございます。
#148
○萩原幽香子君 ありがとうございました。ただいまのお話で妻の座の弱さ、特に経済的自立のないことが立証されたわけでございますけれども、その立場に立って質問を展開いたしますが、その前に、家裁の仕組みと申しますか、仕事について二、三質問をさせていただきます。
 まず家裁に持ち込まれた問題の紛争の処理がどのようになされておりますか。それから家裁で不調に終わって地裁に持ち込まれた場合に、家裁と地裁とでは、その取り扱いがどのように違ってまいりますか御説明をいただきたいと存じます。
#149
○最高裁判所長官代理者(外山四郎君) ただいまのお尋ねは主として家裁における家事調停事件についての問題であろうと考えますが、家庭裁判所で家事調停が不調になりました場合、それらのうちで審判事件とされておりますのは審判の手続に移行いたしまして、最終的に審判がなされて問題が解決されるわけでございます。ところが離婚事件などの訴訟事件とされておりますものは、原則として家裁の手続は調停不調で終わってしまいまして、あとの終局的な解決は訴訟によってなされなければならないことになるわけでございます。これらの離婚訴訟等につきましては、調停が不調になった場合には、人事訴訟法によりますれば、それらの事件の管轄は地方裁判所ということになっておりますので、地方裁判所に訴えを提起して、判決で終局的な解決がはかられるということになっております。これらの地方裁判所の土地管轄は、言いかえればどこの地方裁判所に訴えを提起すべきであるかということにつきましては、現行法ではその夫婦が夫の氏を称しておる場合には、夫の住所地を管轄する地方裁判所に訴状を提出する、妻の氏を称する婚姻の場合には、妻の住所地を管轄する地方裁判所に訴えを提起する、こういう仕組みになっております。
#150
○萩原幽香子君 そういうことになりますと、大体夫が東京に住んで妻が九州の人だったと、こういう場合に地方裁判所にまいりますと、地方管轄ということになりますと、東京で裁判をしていただく、こういうことになるわけでございますね。そういたしますと、大体は夫の氏を名乗る人のほうが多いということを考えますと、これは妻にとってはたいへん不便な困難を伴うということにもなるわけでございます。そこで家裁はその性質上、先ほどの御説明にもございましたように、非常に具体的なきめこまかな調査をなさって、その上に立っての調停であり、審判だと考えるわけでございますが、そこで家裁で扱われる人事訴訟事件、こういったような訴訟を地裁から家裁に権限委譲をしていただくとたいへん私たちはありがたいと考えるわけでございますけれども、この点はいかがでございましょうか。
#151
○最高裁判所長官代理者(外山四郎君) ただいま私が申し上げました人事訴訟等の管轄の問題は、土地管轄の問題につきましては必ずしも理論的には不平等とまではいえないかと思います。婚姻の際にいかなる氏を称するかということは、当事者の自由意思で、協議できめられることになっておりますので、その結果に基づいてさっきのような管轄がきまるわけでございます。で、ただ実質的には、いま御指摘のように、実際は夫の氏を称する場合が多いわけでございますから、別居中の夫婦等につきましては、妻は夫の住所地におもむいて訴訟をしなければならないというような実際上の不利益をこうむるということになろうかと思います。で、そのように家事調停とそれから人事訴訟との管轄が違うということについては、御指摘のような問題があることは確かでございます。先ほどお話のございました家事審判ないしは家事調停と人事訴訟とが裁判所を異にするのは不便ではないかという問題は従来からいろいろ論ぜられておるところでございます。
 で、こういうような仕組みになりましたのは、家庭裁判所の前身でございます家事審判所がかっては地裁の支部でございましたものですから、そのころは家事調停も人事訴訟も同じ地方裁判所で扱われておりました。家事審判所が少年審判所と統合されて家庭裁判所になりましたものですから、人訴が地方裁判所のほうへ残る結果となったというわけでございます。また、家庭裁判所創立の当初は、家庭裁判所というものは原則として対審の手続によらない、非公開で、当事者の争訟という形をとらないで事件を解決するところだ、こういうような構想であったのも一つの原因かと思います。で、御指摘のように、家事調停と同一事案の離婚訴訟等が別の裁判所で取り扱われるということは、一般の国民の方々には不便であり、理解もしがたいところがあるかと思いますし、当事者の中には家庭裁判所で最後まで事件の解決がはかられるものと期待して、家庭裁判所に来る当事者の方々も少なくないことは事実でございます。
 そこで、いまお話のありました人事訴訟を家庭裁判所に移管すべきであるという意見は、かねてから実務家等の間にも出ておる問題でございますので、私どもとしては目下合同等の際に、この種の事件を扱っておられる実務家の裁判官の意見等を聞きまして、目下御指摘の問題を検討中でございます。で、さらに御指摘の土地管轄をいかにすべきかという問題につきましても、あわせて検討中でございます。
#152
○萩原幽香子君 ありがとうございました。
 いろいろ問題はあろうかと思いますけれども、妻であり、夫であったいわゆる身分関係に重点を置いて考えますならば、いわゆる家裁で扱っていただいてよい問題ではないかというふうに考えますので、先ほど検討中だということでございましたが、私たちの考えます方向への御検討をよろしくお願いをいたしたいと存じます。
 次いで、経済力と発言権はつきものと、こういうことになるわけでございますけれども、家事労働に従事する妻は無給、無定量の労働であり、その上家計それから育児という精神的な仕事も引き受けておりますけれども、生産的な仕事でないという、あるいはまた妻であるという名をもって経済的に評価をされておりません。しかし最近の児童相談所などへは妻が蒸発した夫あるいは妻を失った夫――まあ、ここにはそういう方はいらしゃらないと思いますけれども、子供を頼みにくるケースが非常に多くなっておるということでございます。こういう場合でございますと、妻の働きというものは夫の半分と考えてよろしいのではないかと考えるわけでございます。ここにも各大臣をはじめもう殿方ばかりでございますけれども、皆さんは奥さんの内助の功というものを一体どのように評価をなさっておりますでしょうか。まず、ひとつ大蔵大臣、この場の代表として、よろしくお願いをいたします。
#153
○国務大臣(福田赳夫君) 私は国柄かかあ天下でありまして、家庭にありましては家内の指揮によりまして行動する、こういう状態であります。妻の座は福田家においては非常に高く尊敬されていると。
#154
○萩原幽香子君 しかし経済的評価はなされておりませんでございましょう。家事労働であるということにおきまして、大蔵大臣は非常にかかあ天下とおっしゃるほどでございますから、だいじょうぶだと思いますけれども、ここにいらっしゃる殿方の大部分がそうだとは考えられないわけでございますね。だから、これはちょっと順を追ってまたお尋ねをしてまいります。大臣、ありがとうございます。
 そこで、この問題は、家事労働というものに対する経済的評価、こういうものについては十分な御検討がいただきたいわけでございます。ところで妻が農業経営者あるいは家庭営業の場合は、妻の協力は明らかに経済的評価ができるはずでございます。その評価はどのようになされておりますでしょうか。これは大蔵大臣、法務大臣、労働大臣のお三方から承りたいと存じます。
#155
○政府委員(細見卓君) まず財産関係のことについて申し上げますと、妻が農業をおやりになっておる、いわゆる三ちゃん農業といわれるような世帯におきましては、多くの場合、その奥さんが農業経営の主体になっておられまして、そういう意味で奥さんを経済力の主体とした課税関係が実際上行なわれております。
#156
○萩原幽香子君 次々どうぞひとつお願いいたします。――文部大臣ではございません。法務、大蔵、労働の各大臣にお願いをいたします。
#157
○国務大臣(小林武治君) 私も内助の功と申しまするか、そういうものは高く評価をしておるものでありますが、財産的に見て必ずしもこれが実現されておると思いません。ことに、まあ実は、いま財産の区分は、妻が婚姻前に持っておるものは妻の財産であり、夫も同様であるが、婚姻をしたあとの財産は、どうも多くは夫の名義で取得されておる、こういうことであるのでございまして、実際問題としては共同財産みたいな運用をして、婚姻中は、継続中は、おりまするが、さような意味において私は必ずしも正当に妻の内助の功が評価されておると思いません。
 私は、実は、こういうことを考えておるのでありますが、たとえば妻が婚姻中にある財産を取得したとする場合には、表面上妻は無収入であるから、これは夫の贈与であろうなどというて税務署が非常なせんさくをされて、いろいろなトラブルが起きておることは事実でありますが、私はこういうことについて内助の功というものをある程度認めるならば、無収入の妻がある財産を取得しても、贈与などということでもって考えないでいったらどうだと、これは大蔵大臣もいますから、私はそういうことを特に私は痛切に感じておるのでございまして、おっしゃるように、やっぱりある程度の婚姻中の財産取得等がもし妻があれば、贈与だなんということでなくてひとつ考慮される部分があってよいんじゃないかというふうに私も考えております。これらの問題は、婚姻中はあまり問題がありませんが、何かのときに必ず大きな問題になってくると、こういうことでありまして、ただいま、前からの萩原委員の御希望もあって、贈与について税金のかげんを相当いたすべきだと、こういう主張があるが、一面からいえば、やっぱりそはいうことをたくさん考えていただければ、いまの固有の財産の取得というようなことについてもある程度おっしゃるようなことになりはせぬかと思うのでありまして、いま申すように、とにかくこの際は妻に対する贈与というようなものを相当大幅に認めてもらうことが非常に適当であろうと私は考えております。
#158
○萩原幽香子君 ちょっと大蔵大臣の前に。たいへんありがたい大臣の御発言でございますが、ただいま、その中で、婚姻中は問題がないといったような、まあ仲よく暮らしているときは問題がないと、そういう御発言だったようでございますが、そのことにつきましては、後ほどちょっと私は違った意見を持っておりますのであらためて伺いたいと思います。じゃ、大蔵大臣どうぞ。
#159
○国務大臣(福田赳夫君) 従来、わが日本の社会風潮としまして、子供が年とった親を扶養するというような風潮でありましたが、その風潮がだんだんと変化してまいりまして、どうも年とった場合に子供から疎外されるというような風潮もまた出てきておると考えられるのであります。そういうようなことを考慮いたしまして、配偶者が亡くなったと、夫が亡くなったという際に、その妻の生活を保障するという考え方をとっていかなければならぬと、そういうようなことで、歳出上の面におきましても寡婦対策といういろんな施策があります。ありますが、税法上におきましてもさような配慮が要るのではないかというので、先ほどお尋ねがありましたが、生前贈与、そういうものについて特別の考え方をとっておるわけなんです。それが不十分だという萩原さんからの昨年の御意見でありました。これはごもっともな面もありますので、私どもとしてはその配慮をさらに何とかできないかということを考究しているわけでありますが、いま、民法、また相続税、そういうようなものとの関連でこれはかなり複雑な問題なんです。そういう点をよく解明した上結論を得たいと、さような考えでございます。
#160
○萩原幽香子君 私が女性であるためにでございましょうか、各大臣ともに何かあたたかい御答弁をいただき過ぎているようでございますけれども、しかし、その資産というものが夫名義であったときは法的にはその妻の権利というものはどのようにほんとうはなっておりますでしょうか、お伺いいたしたいと思います。これは当然妻の持ち分は認められるべきと思いますけれども、どういうふうになっておりますでしょうか、これは法務大臣のまず御見解を承りたいと存じます。
#161
○国務大臣(小林武治君) これは一応運用その他において共同的なものだと、こういうふうに考えておりますが、法律的にはそうなっておらないと。これはやっぱり税法上の関係もありまして、妻が無収入であれば、たとえ妻の財産としてあるいは特定をしても、いまの扱いではすぐ生前贈与と、こういうふうな問題が起きてくるんで、この点に私は非常な難点があろうと。すなわち、無収入の妻でも、内助の功というものをある程度評価すれば、財産をある程度持つということをすぐにこれが贈与だと、こういうふうなことを緩和してもらわなければやっぱりこれはできまいと。それからまた、あるいは共有財産にしたらよかろうと。これはまた非常なめんどうな問題で、たとえば死亡等の場合においても、すぐに共有財産の分割というような非常なめんどうな問題が生ずるのでありまして、私は必ずしも共有財産などということは得策であるまいと。したがって、妻が固有の財産が無収入でもある程度持てるようにと、こういうふうなことを――持てるようにということは、結局、これは税法上の主として問題になるのでありますが、そういう点においてひとつ考慮してもらいたいと私自身も思っております。
#162
○萩原幽香子君 私は、さきに内助の功というので無収入の場合はお話をいたしまして、いま私がお尋ねしておりますのは、妻が農業経営者あるいは家庭営業をやっていると、こういったような場合は、これは明らかに経済的な評価ができるはずなんです。ところが、そういう場合でも、やはり妻の名義にならないで、夫の名義になっていると、こういったようなものが多いのではないだろうか。そういうときに、私は、妻の持ち分というものをはっきり認めていただけるかどうかと、こういうことをただいまはお尋ねをしているわけでございます。ですから、妻の無収入ということではなくて、結局、一緒に仕事をしているというような場合、これは明らかに妻の収入、経済的評価はなされてしかるべきもの、そういうときのいわゆる妻の持ち分はどういうふうに認められているかと、これをただいまのところはお尋ねをしているわけでございますので、法務大臣、ひとつその点よろしくお願いします。
#163
○国務大臣(小林武治君) これは、実際上評価して認められておることが非常に少ないであろうと。ことに、これが動産とか金銭あるいはその他のこういう形にある場合には区別もできますが、いわゆる不動産等の場合においては、なかなかこれをその名義に認めるというようなことは行なわれておらないであろうと思います。こういうことも私はやっぱり税法上の問題として考えなければならぬことであろうと、かように考えます。
#164
○萩原幽香子君 それでは、大臣は、これは認めるべきだという御見解にお立ちいただいているわけでございますか。
#165
○国務大臣(小林武治君) できるだけ認めるようなことを考えることが適当であろうというふうに思います。
#166
○萩原幽香子君 できるだけ認めるということよりも、認めるような方向への改正と、こういうところへ御努力がいただけますでございましょうか。
#167
○国務大臣(小林武治君) これは、法律問題ということよりか、いまの問題は税法上の問題に主としてかかってくると、こういうことでありまして、たとえばこれを共有財産に認めるようなそういう法律改正と、こういうことになると、これはもう得失がありまして、非常なめんどうな問題がかえって起こると。すなわち、共有でなくて、特有財産とするようなことがもしやるとすればしかるべきであろうと思いますが、そういう方向に持っていったほうがいいと私は思っております。ただ、ただいま、そういうものをそれじゃ法律でどうするこうすると、こういう問題とは思いませんが、要するに、これは、民法、親族あるいは相続問題は、その社会の習慣とか意向等が大きく反映すべきものでありまして、私はいまのような方向に世論ができるだけ向いていくようにと、こういうふうに希望をいたしておるものであります。
#168
○萩原幽香子君 では、税法、税制ということでございますから、大蔵大臣にお伺いいたしますけれども、この場合に、その資産を夫婦共有で登記いたしますというと、贈与税の関係はどうなりますでございましょうか。
#169
○政府委員(細見卓君) いまお話を聞いておりますと、何もかも税が悪くなっているような話でございますが、法務大臣も、おそらく、法務大臣としてよりも、政治家としてのお話だと思うのですが、夫婦につきましては、御承知のように、その夫婦婚姻期間中にできました財産は、特有財産として別記すれば奥さんの名義になるわけであります。それが所得税を払って、残った財産で奥さんの財産ができれば、税法ではそれ以上のことは何もいたさないわけでございまして、そういう習慣がまだ日本になかなかなじまないというところにいろいろ問題があるわけでありまして、税法が問題であるという以前に、日本のそういう家族制度がまだ新しいものが十分に育っていかない過程でございます。いまの贈与の問題は、共有財産として掲記されましても、それが半分は奥さんの所得によってできておるものであれば、贈与税という問題は起こり得ないと思います。
#170
○萩原幽香子君 いま、重大な発言を私は聞いたと思うんですね。共有であったら、共有で登記をしました場合には、贈与税はかからないということでございますね。
#171
○政府委員(細見卓君) 前半に申し上げました、奥さんが自分の名義でかせがれた所得による部分を双方で出し合って共有となさった場合には起こらないわけでありまして、いまおっしゃっている意味が、もし、内助で働いておるから半分は女の所得あるいは奥さんの所得であるという意味での共有であれば、それは現在の所有権のたてまえからしてやはり贈与の問題が起ころうと思います。
#172
○萩原幽香子君 ただいま、「内助で」と、こうおつしゃいましたけれども、農業経営者とか、あるいは家内営業の場合は、それは内助と見るべきものなんでしょうか。そういうところをひとつはっきりしていただきたいんですよ。
#173
○政府委員(細見卓君) 先ほど来申し上げておりますように、現在の所有権は名義人に帰属するわけであります。したがいまして、事業の主宰者として奥さんが事業をなさって、その奥さんに所得が帰属いたしました場合は奥さんの所得であり、所得というのは何らかの形で財産に化体するわけでありますが、その財産を奥さんの名義で登記なされましても、その間には贈与という問題は起こらない、御本人の財産の保全であると、そういうわけであります。
#174
○萩原幽香子君 どうも私とあなたとの考え方がちょっとかみ合わないような気がするんですけれどもね。二人でもうけたものをどちらかの名義にしておきまして、そしてそれを今度はいよいよ夫婦で共有で登記をするという場合に、それは贈与税がかかるのか、かからないのかと、こういうことを私はお聞きしているんです。
#175
○政府委員(細見卓君) その最初の前提のところがどうも食い違っておることがわかったわけでありますが、いまの民法あるいは所有権、そういうものを前提にいたしまして何が所得であるかということを計算する場合には、二人でかせいだという形のものは出てこないわけでありまして、名義人に帰属するわけであります。その点が、おそらく、私と先生との御意見の食い違いの基本になっておろうかと思います。
#176
○萩原幽香子君 私は、そういうことでございますから、これを変えていただかなきゃならない問題がたくさん出てきていると思うんです。いわゆる形式と実質とが非常に食い違っているんじゃございませんか。だから、そういう問題の中から私は、この贈与税といったような問題が非常に問題をもたらしているんじゃないかと、そういうふうに考えるわけなんですね。
 それで、いかがでしょうか、時間の問題は。
#177
○委員長(堀本宜実君) いいところで切られますか。
#178
○萩原幽香子君 それじゃ贈与税だけ済ませていただきましょうか。
 それじゃ続けて贈与税の問題に移らせていただきますけれども、四十一年の改正で、相続税法二十一条の五で、夫婦間の贈与税の軽減措置というものが定められておりますけれども、この点についての御説明を三点からお願いします。まずその第一点は、その立法を必要とした理由、第二点は、その背景にある事実、第三点は、軽減措置の内容、以上三点についてお伺いをいたします。
#179
○政府委員(細見卓君) お答え申し上げます。
 配偶者控除の問題は、先ほども大臣からもお答え申し上げておりましたように、漸次、子供の親に対する扶養義務の観念が薄くなっていく傾向もございまして、いろいろな意味で、家庭上の問題も起こっておる。そこで、死後に残される配偶者の生活保障を生前に何らかの形で保障しておきたいというようなことから、配偶者の生活の問題として第一に起こってまいります問題は住居の問題であります。そういう意味で、生前に不動産が、家が取得できる程度の財産が譲られた場合には、それは非課税にしようということで、その控除を認めた。それが御承知のように、結婚生活、婚姻期間二十五年の場合百六十万円の控除がありまして、そのほかに御承知の普通の控除がございますから、合わせて二百万円の控除になっておるわけであります。この控除が十分でないという御議論は先般衆議院でもございまして、またこの点につきましては、先ほど来大臣からも、何らかの検討が要るのではないかということは申し上げておるとおりでございます。そこで、そういうものが出てまいりましてから、どれぐらいのことが――いわゆる限度を超過した場合についての課税が行なわれたかと申しますと、四十一年にこの制度が設けられたわけでありますが、その後、申告件数、つまり二百万をこえたから申告が要るという形になってまいりましたものが、四十一年に五百七十六件、四十二年に九百三十八件、四十三年が九百七十二件と、こういうようなことになっております。そういうのが現在のところの制度でございます。
#180
○萩原幽香子君 これはやっぱり大蔵大臣に去年約束していただいてやっていただけなかったと、こういうことでございまして、まあ大臣もそれはよう知っておるとおっしゃいますから深くは申しませんけれども、しかし婚姻期間の二十五年の妻、居住用として二百万、この贈与税を軽減するというのはまことにきびしい話でございますね。大臣、銀婚式を迎える妻のパーセンテージというものは一体どれぐらいでございましょうか。一年間にどれほど銀婚式を迎える夫婦というようなものがあるのでございましょうか、ちょっと概数でけっこうですからお尋ねいたします。
#181
○国務大臣(福田赳夫君) それは厚生省の……。
#182
○萩原幽香子君 どうも形式的なこと、法律は非常によく御存じだと思います。しかしながら、こういう一つのぽんと実際的なことを聞くとお答えが返ってこないということは、実際のことをほんとうは皆さん御存じないんじゃないでしょうか。そこに私の言いたいところがうんとあるわけなんでございますね。そこで、この二百万というのにいたしましても、いまの物価の値上がりから考えて、この二百万なんというようなのは、ほんとうは実際に合わないことだと私は思うわけなんですね。そこで、大臣に重ねてお願いをするわけですけれども、私は基本的には妻と夫の間の贈与税といったようなものは廃止をしていただきたいと、こう考えているんですけれども、いかがでございましょうか。
#183
○国務大臣(福田赳夫君) これは民法で相続制度をとっておる。その相続の割合が、民法においてきまっておるというような関係がありまして、妻以外の人の相続分ですね、その相続分を一体どういうふうな扱いにするかという問題と関連のある問題なんです。そこで、生前に夫の財産が妻に自由に移動をするというようなことになりますると、この民法の相続に対する考え方、これと相当大きな開きを生じてくるというむずかしい問題があるわけでありまして、さようなことを考えますと、これは完全に贈与税を自由にしちゃうということはむずかしいのじゃないかと。しかし、いろいろ検討すべき問題があるのです。それは私も承知しておるわけでありまして、それらを検討して、民法との間に調和のある、また同時に妻の座も尊重されるというふうにしていきたいと、そういうふうに考えます。
#184
○萩原幽香子君 ありがとうございます。まあ大臣はじめ皆さん各大臣方が、妻の内助の功も大いに認めると、あるいは一緒に働いたものも認めましょうと、こういう基本的な姿勢を出していただいたわけでございますので、贈与税の問題について私は基本的には、もういまも申しましたように、妻と夫という形において、贈与とそれについて税金をかけるといったようなことはだんだんやめていただく方向への御努力を期待しまして、私の午前中の質疑をこれで終わります。
#185
○向井長年君 ちょっと関連。先ほど萩原委員の質問中に、大蔵省の主税局長が、法務大臣の答弁ではなく一政治家としての答弁であるというような、こういうことを言われておりますが、これはまことにけしからぬことだと思います。質問の趣旨を十分聞かずして、それに対する答弁が若干あいまいであったことは事実であります。それに対して、政治家としての答弁であって法務大臣の答弁ではないというようなことを、主税局長がそういうことを言っている。これはどういうことなんですか。
#186
○政府委員(細見卓君) 私の答弁が間違っておったのでございまして、民法では特有財産の制度があるということを申し上げたかっただけでございます。
#187
○向井長年君 法務大臣の答弁に触れたでしょう、法務大臣の答弁はそれは法務大臣としての答弁ではなく政治家としての答弁だというようなことをあなたは言われた、これはどういう趣旨ですか、軽率もはなはだしい。だから、もしこれは言い過ぎであったと言って取り消すのならいいですけれども、そういうことはいやしくもやはり法務大臣としての答弁を要求し、法務大臣が答弁しているわけです。しかし内容は質問の趣旨をはき違えている、十分聞いてない、そういうことはあっても、一政治家としての、という言い方はこれはいけないのじゃないですか、どうですか。
#188
○政府委員(細見卓君) たいへん行き過ぎまして御迷惑をかけまして申しわけございません。(「取り消すのか取り消さないのか」と呼ぶ者あり)不当の部分は取り消したいと思います。
#189
○委員長(堀本宜実君) 萩原君の質疑の途中でありますが、午後一時十分再開することといたしまして、これにて休憩をいたします。
   午後、零時三十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十七分開会
#190
○委員長(堀本宜実君) ただいまより予算委員会を再開いたします。
 午前に引き続き萩原君の質疑を行ないます。萩原君。
#191
○萩原幽香子君 夫婦の財産という点から夫婦別産制についてお伺いをいたします。別産制についての説明をお願いいたします。
#192
○政府委員(新谷正夫君) 夫婦の財産関係につきまして、御承知のように、現在の民法で規定されておるのでございますけれども、夫婦の一方がその名において取得した財産につきましては、それぞれの取得者の特有財産とすると、こういうことになっております。もしその帰属が明白でなければ共有になると、こういうたてまえになっております。これは法定財産制でございます。契約によって、婚姻前にその契約の登記をしておきますれば、これは夫婦財産契約として別の扱いになりますけれども、それが実際にはわが国ではほとんど行なわれていないというのが実情でございますので、法定財産制としまして特有財産というものがそこに生まれてくる、これを別産制と、こういうふうになっております。
#193
○萩原幽香子君 それでは、共有財産も含めて別産制をお考えになっていらっしゃるわけでございますね。
#194
○政府委員(新谷正夫君) 共有の場合は、いま申し上げましたように、夫婦のいずれに帰属するかわからないという場合が共有でございます。これも推定でございますので、この場合は別産ではございません。別産と申しますのは、夫の財産であるとか妻の財産であるというふうに、明確にそれぞれの特有の財産とされておるもの、これをいうものでございます。
#195
○萩原幽香子君 現行の夫婦別産制のもとで、妻の内助は財産分与請求権と相続権とによって保護されるという最高裁の判決があったと聞いておりますが、その判例の内容を承りたいと存じます。
#196
○政府委員(新谷正夫君) ただいまの御指摘の判例でございますけれども、いま具体的に、私、その内容をこういう内容であると、その事案についての資料を持ち合わせませんので、申し上げることできません。ただ、しかし、相続なり財産分与の場合に妻の立場、先ほど来御指摘のございました内助の功とか、あるいは妻の将来の生活の保障、そういうことを考えまして、それぞれ妻に与えるべき相続分とかあるいは離婚しました場合の財産分与の請求権と、こういうものを認めております。そういうことを妻の立場を考えて制度上のものと定められておるわけでありまして、そういう趣旨のことをただいまの判決が言っておるのではないかと思います。
#197
○萩原幽香子君 この判例の内容について、私は御準備いただくようにお願いをしておったわけでございますけれども、まあ、判例なんていいますものは、ときにはケース・バイ・ケースでやられるということもございますので、この場合の判決はどういうものであったかということを実は私はお聞きしたかったと、こういうわけでございます。
 ところで、この財産分与権というものも相続権も、実は夫の死亡あるいは離婚という、妻にとっては最悪の場合のみ認められている権利、こういうことになるわけでございますね。これでは真の妻の権利とは言えないと思うのです。そこで、夫婦が円満な正常な共同生活を営んでいる中で、仲良くやっている中で妻の権利を認めるように、実は、これは戦後の民法改正のときにはそういった意見も出ておったようでございますけれども、現在のような法律になったわけですけれど、これはもう改正すべきではないかという感じがするわけでございますが、いかがでございましょうか。
#198
○政府委員(新谷正夫君) 戦後、親族、相続法が改正されましてすでに二十年以上経過いたしております。これは新憲法の趣旨を含みまして、この制度の改正が行なわれたわけでございまして、両性の本質的平等ということを念頭に置きながら現在の親族、相続法ができておるわけでございます。御指摘のように、はたして現在の親族法なり相続法が実情に合うものであるかどうかということにつきましては、あるいは御意見もあることと思います。しかし、何分にも二十年以上もうすでに国民生活の中に定着した制度でございます。これをいまにわかに変えるということは非常に大きな問題になるわけでございまして、私どもといたしましても、研究はいたしておりますけれども、いま具体的にこういう改正をしようというところまではまいっておりません。
#199
○萩原幽香子君 まあ、その中にはやっぱり仲良くやっているからいいじゃないかと、問題のあったときには何とかしてやるんだから、仲良くしているときはいいじゃないかと、そういうお考えがやはり私はそのもとになっているんじゃないかと、こう思うのですね。ところが、そういうことでございますと、この「註釈民法」という本の中で、「婚姻中における共有財産の存在が潜在化、観念化されうる場合は、夫婦の一方による自己名義の財産の不当処分を阻止する法的措置が講ぜられ解消時の所得の分割の際に他方配偶者に損害を与えないという保障が存する時にかぎられる。わが民法では、かかる措置は何ら存在しないだけでなく婚姻中の所得の分割、清算は、財産分与請求権の一部として、家裁の裁量事項の中に含ましめられており、しかも財産分与に関する現在までの実務上の解釈は所得の清算を厳格に行っていない。かかる事情の下では婚姻継続中の共有財産の対内的存在は認められるべきであり」云々と、こういうことになるわけでございますが、こういう意見についてはどのようにお考えでございましょうか。
#200
○政府委員(新谷正夫君) 婚姻継続中の夫婦の財産関係でございますが、これにつきましては、実は昭和四十三年に内閣総理大臣の官房におきまして世論調査をいたしたことがございます。その際に、先ほども出た問題でございますけれども、たとえば妻が全く無収入で、夫のみが職業を持っている、その夫がその収入によって買った財産、これは一体夫だけのものか、あるいは妻と共有のものかという質問を発したことがございます。それに対しまして、返ってきた答えのうちの七二%は、これは共有財産であると、こういう意識を持っております。したがいまして、大部分は、そういった法律問題とは別に、夫婦生活の間ではその財産は共有である、こういう意識であろうと思うのでございます。そういたしますと、法律制度としてはともかくといたしまして、そういう意識で一般の生活はなされておると、こう見てよろしかろうと思うのでございます。
 そこで、先ほどのお尋ねでございますけれども、この財産関係を明確にしておけば、妻の座もそれだけ確保されるではないかということであろうと思います。そこで、現在は法律制度ではありませんけれども、もっと明確に夫の持ち分、妻の持ち分、これを明確にしておく、言いかえれば、これを共有にしておくということが望ましいのではないかというふうにお考えじゃないかと思うのでございます。これも一つの御意見だとは思います。思いますけれども、共有関係という法律関係は、実は非常に複雑な問題をはらんでおります。たとえば夫がある財産を処分しようとしましても、それは自分の単独ではできません。共有者全員の合意に基づいてやらなければならない。それでは日常の家庭生活はたいへん不便なことになるわけであります。そうかといって、これを夫の管理に一任する、あるいは妻の管理に一任するということになりますと、今度はその権限を踰越してやったのではないかとか、いろいろなことが出てまいります。ことに妻の実質上の権利のある財産について夫が勝手に管理権に基づいて処分するということになりますと、これは戦前の民法に復するわけでございまして、むしろ妻を無能力者としておったかっての制度に逆戻りしていく危険性もはらんでおるわけでございます。そういう意味で、現在の民法は非常に私はよくできているのではないかと思うのでございまして、相続の場合におきましても、現在、直系卑属と妻が共同相続いたします場合には、持ち分が相続分の三分の一となっております。これは各国の例を調べてみましたけれども、非常にこう日本の場合は妻の立場を有利に考えた相続分になっておると思うのでございまして、欧米諸国の多くの国では、その場合四分の一の相続分しか与えてないのが多くの例でございます。また、相続財産の分割にいたしましても、これは妻の内助の功の程度とか、あるいはその職業関係その他いろいろの事情を考慮して具体的に妥当な解決をはかっていこうというところに現在の財産分与制度――これを家庭裁判所の事件として扱うことになっておりますのは、そういうところに実は妥当な解決を得ようということから現在のような制度になっておるのでございまして、ご意見も確かにわからないではございませんけれども、なお今後の検討課題ということにさしていただきたいと思います。
#201
○萩原幽香子君 まあ、あれでございますね、七〇何%かが共有であるという意識になったということは、戦後二十年これがずっとやられて、改正されて定着しているからという御意見ですけれども、しかし二十年を経過して、そしてしかもこれは共有だという考えがほうはいとして上がっているのだから、ここらでひとつ改正してもよろしいではないかという逆の意見も私は成り立つのではないかと、そういうふうに考えます。その点ひとつぜひ御検討をいただきとうございます。
 次いで、先日、私のところにこういう問題を持ち込んでまいりました。結婚したときは全くの無一物であった二人が借金をして小さな商いを始め、いまでは家もつくり、土地も買いました。が、みんなそれは主人の名儀です。ところが、この三月にその主人がぽっくりとなくなりました。子供三人ですが、その三人が主人名義の財産をめぐって争っております。こういう状態ですから、私の場合持ち分というものはほんとうにどうなるんでしょうかという心配した質問が出されております。きょうはこういう問題を私にかわって、法的に、この人が納得いくように説明をしていただきたいと存じます。
#202
○政府委員(新谷正夫君) 遺産をめぐる紛争でございますが、妻の持ち分は、先ほども申し上げましたように、その場合は三分の一を相続分として得るわけでございまして、あとの三分の二を子供の三人が分け合う、こういう形になるわけであります。ただ具体的には、これはどういう財産をだれに帰属させるかということは、これは相続人相互間の協議できめるわけでございます。全財産の割合として、妻は三分の一、子供は三分の二ときめてございますけれども、具体的にどの財産をだれが取得するかということは、これはその後の相続人の協議によってきまるわけでございます。もし協議ができますれば、具体的に、ある不動産は甲が取得する、他の不動産は乙が取得する、不動産が得られない丙はそのかわりにその他の動産を取得する、こういうことも可能でございます。それはいろいろ形態はございましょうけれども、いずれにしましても相続人相互間の協議できまる、こういうたてまえになっております。
#203
○萩原幽香子君 話し合いがつけば問題ございませんね。ところが、話し合いがつかない場合がこの人の心配だと思うのです。法務大臣、いかがでございましょうか。
#204
○国務大臣(小林武治君) いろいろお気の毒な問題も出てくると思いますが、いまの法制のたてまえでは、相続法のたてまえではやむを得ない。やっぱり夫の特有財産であった。したがって、それの通常の場合における相続分、こういう問題になりまして、やはり妻としては、その財産取得について相当な協力があったにかかわらず、いまの法制ではやはりそれを普通の夫の財産として、三分の一しかない、こういうことにならざるを得ないと思います。
#205
○萩原幽香子君 これは非常に気の毒なと申しますか、実情にそぐわないやり方だというふうにお考えになりますでございましょうか。この場合いかがでございましょう。妻はやっぱり夫の名義であれば三分の一、もし遺言も何にもない場合には、争いがあれば妻は三分の一、あとの三分の二は子供が分けるということになるわけでございますね、法的にいえば。それでは少し実際にそぐわないということになりはしませんでしょうか。その点ちょっとお伺いしたいと思うのですが。
#206
○国務大臣(小林武治君) 現実の法制がそういうふうな気の毒なきめ方をしておる。したがって、夫の特有財産を定める際に、何らかそのことを考うべきであると思います。いまの法律は、そういう面からいえばお気の毒であり、冷酷な面がある、こう言わざるを得ないと思います。
#207
○萩原幽香子君 たいへんありがたい御発言でございます。法務大臣のいまの御発言、どうぞ皆さん銘記をしておいていただきたいと思うのです。
 そこで、一体相続というものはどういうものなんでございましょうか。相続というものについて、ひとつお伺いをいたしたいと存じます。
#208
○国務大臣(小林武治君) 相続は、要するに死後の財産の処分をきめておる、こういうことでございまして、その財産の成り立ちについての問題がありますが、分け方の問題ではない、こういうことに考えます。
#209
○萩原幽香子君 夫婦が持っている財産というものを考えてみますというと、名実ともに夫婦のどちらかの所有に属するもの、それから名実ともに夫婦の共有分、それから名義はどちらかになっているけれども、実質は夫婦共有のものと、こういう三種類があると思うのですけれども、民法の九百条は法定相続分についての規定ですが、この中で妻の法定相続分とは一体何に対しての割合なのか、ちょっとここへ図を持ってまいりましたので、この図によってひとつ明確に御説明をいただきたい、こう考えるわけでございます。ここへ持ってまいっておりますからどうぞひとつお願いをいたします。いま私が申し上げましたものでございますね。
#210
○政府委員(新谷正夫君) わかりました。
#211
○萩原幽香子君 おわかりでございましょうか。
#212
○政府委員(新谷正夫君) 相続分と申しますのは、その図で申し上げますと、夫の特有財産、これはその財産の全部が夫に帰属しておりますので、その財産全部について言えることでございます。また妻の特有財産は、夫が死亡した場合にはこれは関係ございません。名実ともに夫婦の共有財産の場合と、夫名義であるが実は夫婦の共有財産であると、こういう場合でございますが、これにつきましては夫の持ち分がございます。その持ち分が相続の対象になるわけであります。したがいまして、まとめて申しますと、夫の特有財産と夫婦の共有財産中の夫の持ち分、これが相続の対象になります。ただその場合に、妻の相続分が三分の一の場合を考えますと、それはそれぞれの財産について三分の一ずつというのではなくて、相続財産全部についての三分の一と、こういうことでございます。具体的にどの財産を承継するかということは、そのあとの、相続人の先ほど申し上げました協議によってきまるのが原則でございます。
#213
○萩原幽香子君 ただいまの御説明でございますと、自分のものを自分が相続するという矛盾が出てまいりませんか。
#214
○政府委員(新谷正夫君) それは共有財産についてそういう御疑問をお持ちであろうと思うのでございますが、共有財産は確かに自分のものでございます。自分のものでございますが、その財産権の割合を共有者相互間できめておるわけでございます。それが持ち分といわれるわけでございます。ですから、たとえば百万円の不動産がある場合に、夫婦が共有しておるという場合には、いずれもそれについて所有権を持っております。持っておりますけれども、その割合は二分の一ずつ、あるいは協議によりまして夫が三分の二、妻が三分の一ということも持ち分はきめられるわけでございます。その具体的にきまっておる持ち分を相続する、こういうことになるわけでございます。
#215
○萩原幽香子君 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、この相続権というものは、妻の持ち分というものを除いた夫の分に対して相続税はかけるべきと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#216
○国務大臣(福田赳夫君) 当然そういうふうになるわけです。
#217
○萩原幽香子君 これはひとつ実例をお示しいただきたいのです。
#218
○政府委員(細見卓君) 実例と申されますのは、たとえばとういうようなことを――一千万円財産がかりにあったといたしまして、そのうちいまのお話でございました妻の特有財産は除かれるわけでありますし、夫との間の共有財産につきましては、その共有財産の妻の部分が除かれたその残りが相続財産になる、そういうわけでございます。
#219
○萩原幽香子君 どうもはっきりしないのですけれどもね。夫名義の夫婦の共有財産、こういうものですね。これはどういうように相続されるのでしょうか。この例でひとつ具体的におっしゃってください。これでひとつ何千万というその額をここに当てはめて、そうしてはっきりと御説明ください。私非常に頭悪うございますので、わかりかねますからどうぞひとつ。
#220
○政府委員(細見卓君) わかりました。たとえばいまの共有財産の関係について申し上げます。名実ともに夫婦の共有財産になっておるものがかりに一千万円だといたします。そういたしますと、夫も妻もその一千万円の財産についての所有権を持っております。持っておりますが、二人がそれを持っておりますので、その財産に対する権利の割合が持ち分ということでございます、権利の割合を。ですから、もしもこれが平等の持ち分でございますれば、二分の一ずつになりますので、一千万円のものでありますれば、五百万円ずつの割合になるわけでございます。
 それから、夫名義の夫婦共有財産の場合には、名義は夫でございますけれども、実質は夫婦の共有の場合でございます。これは名実ともに夫婦の共有財産の場合と実質は同じでございます。したがいまして、ただその名義にかかわらず、実質はどうかという場合を考えますと、実質が夫婦の共有財産でありますれば、最初の名実ともに夫婦の共有財産という場合と同様に扱われる筋合いのものでございます。ただ実際は、夫名義になっておりますれば、これを外部から共有財産だという推定はできません。したがいまして、一応はそれは夫のものであるというふうに推定するのがこれが常識であろうと思います。実際の取り扱いもそのようになっておるだろうと思います。もしそれが夫の特有財産でないというのであれば、ないということを主張する者がこれは証明しなければなりません。したがいまして、いまお尋ねの場合には、夫名義にはなっているけれども、実はこれは夫婦の共有財産であると、そういう前提に立ちますならば、いま申し上げるように、これも名実ともに夫婦の共有財産の場合と何ら変わりはないと、こういうことになるわけでございます。これは法律論としてそういうふうになるということでございます。
#221
○萩原幽香子君 どうも実際問題になりますと、こう話がぼやけてまいりますようでございますから、まあこの点につきましても、時間がございませんので、もう少しこうはっきりとよくわかるようにひとつ答えていただきたいと思うのです。きょうはどうも、法律の問題になりますとまことに明確にお答えいただくんですけれども、実際問題になるとぼやけてくると、こういうところに私はどうも難点があると思いますが、まあきょうはそれでおきます。
 そこで、もう一つ相続税についてお伺いをいたしますけれども、離婚の場合に分与された財産については、課税上どういう取り扱いがなされておりますか。これをひとつ大蔵大臣にお答えをいただきたいと存じます。
#222
○政府委員(細見卓君) 法律の解釈の問題でございますから申し上げますと、離婚の場合に分与されました財産は、通常の分与財産でありますと非課税でございます。ただそれが不当に大きい。いわば一種の贈与であると考えられるような場合には、例外的なこともできるというたてまえはとっておりますが、現実には、分与財産はほとんど非課税でございます。
#223
○萩原幽香子君 いわゆる分与については贈与税をかけないというのがたてまえでございますね。それではその理由を承りたいと存じます。
#224
○政府委員(細見卓君) 贈与でなくて、夫婦二人で形成した財産を分け合うという意味で分与である。その分与財産については贈与という概念が入ってこないと、こういうわけでございます。
#225
○萩原幽香子君 何か午前中の話とちょっと話がおかしいみたいですけれども、とにもかくにも共同生活の清算ということに重点が置かれるから課税はしないと、こういうことでございますね。そういたしますと、次に、財産分与は離婚に対してでございますが、相続は夫の死亡の際に行なうもので、いずれも夫婦の共同生活中の財産を清算するという点では全く同じと、こういうことを考えるわけでございます。そうしますと、分与と相続は同じ基準で清算されるものだと思うわけでございますが、その取り扱いが違うというのは一体どういう根拠でございましょうか、承りたいと存じます。
#226
○政府委員(新谷正夫君) 相続は、申し上げるまでもなく被相続人の死亡という事実によって当然発生するわけでございます。その場合に、なぜ相続というものが行なわれるのかという理由は、あとに残された遺族の生活保障、あるいは夫婦共同生活で築いてきた財産に対する、これは学説で申しますれば潜在的持ち分というようなことを言う人もございますが、夫婦が築き上げてきたその財産について相続人にそれなりの分け前を与えようということ、さらにはまたこれは消極的財産についてもその処理が必要になりますので、第三者の関係を考えて、その相続関係を明確にきめておく必要がある。そこで相続分というものがありまして、直系卑属あるいは直系尊属、兄弟姉妹と、共同でやる場合にどうなるかということがきめてあるわけでございます。ところが離婚の場合におきましては、これは事情がだいぶ違ってまいります。離婚の場合の財産分与の請求権を認めた根拠はどこにあるかといいますと、やはり妻と共同生活をやり、妻に内助の功があった場合、あるいはまたその共同生活中に築いてきた財産の清算、そういうふうな意味も含まれて、財産分与請求権というものが認められたのでございますけれども、これを一律にしない理由は、やはり離婚のいろいろの原因、態様がございます。これを一律にきめてしまうということはかえって実質的に妥当でない、不公平な結果にもなるわけでございます。そこで具体的な案件ごとに、いろいろの事情を勘案いたしまして、これを裁判所で妥当な解決方法を見出してもらう、これが財産分与の制度でございます。
#227
○萩原幽香子君 私が申し上げておりますのは、大体夫を失ったという妻の立場、そういうものは同じだと思うんですね、離婚でも、それから失われても。ところがそれに対して税金のかけ方が、一方は非課税で一方は軽減といったような、法理が一貫していないように思うんです。私はそれをお尋ねしているんですね、その点どうぞひとつ。
#228
○政府委員(細見卓君) 基本的には同じ立場にあるわけでありますが、御承知のように、一方相続税がそもそもなぜ課されるかということでございますが、これはあまり巨大な財産が特定の人に集中して継承されていくというのは、やはり社会生活全体のささえの上に財産が形成されたということを考えて、生活に必要な財産はできるだけみんな豊かに持つように、均等に持つようにすべきではありますが、あまりに大きな財産が特定の人に継承されていくというのは、社会の全体の利益を考えれば、やはり相続税として、そこはより均等な財産関係が世の中に実現していくのが望ましいというような立場で相続税が課されているわけでありまして、現行の相続税の課税の水準とかあるいは免税点とかいったようなものが適当であるかどうかということにつきましては、御批判もあろうと思いますし、それらのものは世の中の財産形成の実情に応じて適宜見直していくべきものであろうとは思いますが、相続税には、そういういま申し上げましたように、一定以上の大きな財産が特定の人のみに継承されるというのは、世の中の富の配分という点から考えるべき点があるということで相続税が設けられておる、その法理から出てくる問題でございます。
#229
○萩原幽香子君 相続税ということについては、いろいろまあ控除してもらえるような面があって、大体はまあ相続税のようなものはかからぬ人が多いんじゃないかというようなこともお考えの中にあろうかと思います。しかし私が申し上げたいのは、同じ法律の中で同じ性質の事柄について、一方は非課税、一方は軽減という、その法理の一貫性のないというところがつきたいわけでございまして、それは財産分与にしても贈与にしても同じようなことが言えるんじゃないかと思うんですけれども、そういう点、非常にこれ重要な問題でございますので、いわゆる法とあるいは実際とと、こういう問題につきまして、私は現行法には納得いたしかねるものがございますから、こういう問題についてはひとつ税制調査会でも御検討いただくようなふうにお願いを申し上げたいと存じます。
 次に、時間がございませんから所得税のほうについてお尋ねするわけでございます。所得税につきましては、妻の座の確立のために西ドイツはじめ先進国でとられておりますような合算均分課税方式、こういうものを採用すべきではないかと考えるわけでございます。実はこれに対しまして、まあ夫が四万三千円、妻が三万六千円、こういったような状態の夫婦で子供がない場合に、大体いまの現行法でございますとどれほど税金をかけておりますでしょうか、お伺いいたしたいと存じます。
#230
○政府委員(細見卓君) いまの場合でございますと、その方々はそれぞれ夫婦共かせぎで別々に課税になっておりますので、二人の税金を両方で払っていただく。つまり、四万三千円につきましては扶養家族がないわけでありますから、おっしゃってるのも月額だと思いますので、月額で千三百八十円、それから奥さんのほうが三万七千円でございますと九百円と、こういうことになるわけです。
#231
○萩原幽香子君 そうしますと、それを合算均分課税方式でやりますとどういうことになりますでしょうか。
#232
○政府委員(細見卓君) 月額に合算は実はできないわけで、年額にいたさなければならないと思いますが、いま申し上げたような方々は、大体税率一〇ないし一二、三のところでの税率適用の方だと思いますので、合算いたしましても税額はほとんど変わりございません。
#233
○萩原幽香子君 違うわけなんでございますね。ちょっとよく計算をしてみてください。
 それでいま、サラリーマン減税なんていうことが非常にやかましくいわれておりますから、ここにいらっしゃいますそのサラリーマンの諸君は、こういうことになったらだいぶ税金が安くなると私は思うのでございますよ。これを力を入れておっしゃったらどうかと思うのですけれども、まあ、これはひとつ、こういう方式を採用なさるかどうか。とにもかくにも働く婦人も多くなり、そして夫婦共かせぎというものも多くなった状態の中でサラリーマンの税金をほんとうに考えてやろうということでございますなら、こういうことについて十分御検討をお願いしたいと思います。大蔵大臣いかがでございましょうか。
#234
○国務大臣(福田赳夫君) これはヨーロッパの一部の国でそういう制度をとっておりますが、夫婦の所得を合算する、これは、夫婦が相寄って一つの社会単位をなしておるというところから見ると、一つの自然な行き方じゃないかという考え方もできるのです。ところが、これを合算をして二分をするという方式にいたしますと、共かせぎをしておる人、これはそういう家庭はわりあいに損になって、しかも共かせぎのかせぎの高の高額な場合ですね、その場合に累進税率がかかりまするから、これがまた非常に逆に、――逆にというか、その場合には、高い累進税率のかかるのを合算して低い率をかけますものですから、逆に得になると、こういうような非常にむずかしいデリケートな問題があるのです。しかし、その社会の現象面をとらえてみますると、これは一つの考え方でございますので、さあ、西欧の一部の国でやってるような方式がいいかどうかということは、税制調査会でもいろいろ議論されておるところなんですが、均衡のとれたものにしなければなりませんから、慎重に検討してみたい、こういうふうに考えております。
#235
○萩原幽香子君 平均的サラリーマンは大体得になると私は考えております。まあ、ひとつ御検討いただきたいと存じます。
 で、住民税の問題でちょっとお伺いをいたしたいと思います。
 私の友人で一昨年二人の子供を残されて主人をなくした。ところが、昨年になって、なくなった夫の住民税がかかってきて驚いた。その友人は徴税の方法を知らなかったということにもなるのでしょうけれども、税金が源泉で毎月取られていると思っているのに、あとから、主人がなくなってから税金が来たということで、収入がなくなってからの税金ということでつらい思いをしている。こういう例はずいぶんあるのではないかと思います。そこで、こういう苦しさをなくすために、現年課税方式というような方向への改正の必要はないか、この問題についてお伺いをしたいと存じます。
#236
○国務大臣(秋田大助君) 住民税を全体的に現年課税をいたしますと、ただいま市町村でやっております課税計算事務等源泉の納税義務者がやらなければならない。そこで、地方団体の住民税関係、もし御希望がありますれば、詳しく事務当局から御説明申し上げさせますが、いろいろ税率等多少違います。いろいろ負担を源泉納税義務者にかけることになりまして、そういう点から、いま直ちにどうも現年課税制度をとることができないわけでございますが、いまお示しの、御主人がなくなられて、前年度はある程度の収入があった、ことしは収入が激減している、あるいはない。皆無であって、生活上非常に困難を来たしている。そういう方々にはこれ減免の規定がございまして、前年課税ではございますけれども、それによらないで減免することができる。その詳細につきましては事務当局から御説明申し上げます。
#237
○政府委員(降矢敬義君) ただいまの御質問ではございますが、現年課税の問題につきましては、大臣お答えいたしたとおりでございまして、ただいま御指摘のような問題につきましては、あるいは今年に所得がない、あるいは非常に激減したという場合におきましては、市町村の条例におきまして減免規定を設けまして、これによって減免をするというふうに指導しておるところでございます。
#238
○萩原幽香子君 この考え方について大蔵大臣の御意見を承りたいのです。
#239
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、住民税のほうは一年おくれますものですから、そのおくれるということによるメリットもあるが、また、おくれて思いがけないというようないま御指摘のような問題もあると思いますが、それと関連いたしまして私が常々考えておりますのは、国の所得税と地方の所得税――住民税ですね、この課税方式をなるべく統一したらどうかと、こういうふうに思うのです。そうすると、中央でも地方でも税制の簡素化ということが非常に大きく進むわけです。納めるほうはまあ一人の人、その人が国税のほうは国税の調査があってきまる、また別に、地方税のほうはその同じ人が別の調査できまる。しかも、その内容が大体ねらうところは同じなんですが、形は、御指摘のように、違ってくる。そういうことで、税制として非常にこれは考えなければならぬ点があると思うのです。しかし、これは地方自治、これは自治は尊重しなければならぬ。そういうようなことで、なるべく国の税制とまた別の税体系というものを考えなければならぬというような法理論を展開する人もありまして、なかなかそういうふうになりませんが、私は、なるべく統一をいたしまして、国と地方の税制を統一いたしまして、そうして納税者に便利のいくようにという方向に進むべきものであると、こういうふうに考え、これからそういう方向でいろいろ自治大臣とも相談してみたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
#240
○萩原幽香子君 コンピューター時代でもございますから、できるだけ簡便にやっていただいて、不合理の残りませんように、しかもまた、そういうような問題についてあとあとに悲しみを残しませんように、そのあたりにひとつ大臣のいわゆる税の三原則にのっとってよろしく御検討いただきたいというふうに考えるわけでございます。
 せっかく労働大臣、厚生大臣、文部大臣にいらしていただきまして、私もぜひこの妻の社会労働についての問題でお尋ねをしたいと考えておったわけでございますけれども、時間が来てしまいましたので、最後に文部大臣に一つお伺いをいたしたいと存じます。
 私たち女性というものを考えてみましたときに、祖母の時代、母の時代といったのは、子供を生んで育てることにもう終始した。ところが現在では、子供を育て上げてなお四十歳前後と、そういうことで、命は七十四歳、こういうことになりますと、その育児期間を終えてなお三十年から三十四、五年という時間が残されるわけでございますね。で、好むと好まざるとにかかわらず、何かの形で社会に貢献するという姿が出てきたと思うんです。そういう観点から、どうぞひとつ社会に貢献させるために、適所適材と、こういったような形で、妻に対してどういう教育の場を与えようとお考えになっておりますか、承りたいと存じます。
#241
○国務大臣(坂田道太君) 先生御指摘のとおりに、出生数の減少あるいは生活様式の構造的な変化、したがいまして、婦人の余暇が増大してくる、あるいは産業界は高度の経済的成長のもとで慢性的労働力の不足状況に置かれておりますし、婦人の就業機会は拡大されつつある。そういうわけでございますが、いま御指摘のように、大体婦人の平均寿命というものが非常に延びまして七十四歳ということになりますと、新婚期あるいは養育期、学校教育前期というような状況ではなかなか子供をほったらかして就業するということもできない、あるいは、教育を受けるという機会もなかなか与えにくかったわけでございますけれども、一方、この出生児数が二・二八というような状況でございますと、大体学校教育後期、長子が高校を卒業し、末子が中学卒業というような時期になりますと、あと三十年間はわりあいに余暇が出てくる。そういうようなことから考えまして、私たちは婦人の生活の実態に即しました再教育訓練の場を提供する措置として、あるいはオリエンテーションというような意味合いにおきまして、婦人学級あるいは大学開放講座あるいは成人学校等の開設を奨励をいたしますとともに、この社会通信教育の普及につとめて、婦人の職業上の資質の向上をはかってまいっておるわけでございますが、ちょっと調べてみますると、大体五十七万一千五百人ぐらいが社会通信教育に受講をしておるという状況でございます。これは私、ますますふえてまいると思うわけでございまして、そういうような面につきまして今後努力をしていく、そして職業上の知識、技術を身につけて、そしてやはり男子とあまり格差のない賃金がもらえるようにしていかなきゃならないんじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。その他、地域婦人教育研究集会とか、全国婦人団体研究集会等を通じまして、そういうような教育や、あるいはまた再教育のための準備と申しますか、オリエンテーションというものを十分に果たしていきつつあるわけでございますが、ただいま私たちが考えております放送大学、これはやはりこういった婦人の再教育機関として、家庭に日曜以外六日、テレビ、ラジオ合わせまして二時間、そしてこれを四年間続けていただく。もちろん、一年間に九日か、あるいは理科系統でございましたならば十九日というものをスクーリングすることによって、四年制大学を卒業する資格を持たせるというような考え方でいま着着と準備を進めておるわけでございますが、この面につきましては、婦人の技術を身につけたり、教養を身につけたり、あるいは再就職の機会を与えることには貢献できょうというふうに考えておる次第でございます。
#242
○萩原幽香子君 社労関係は分科会で質問をさせていただくことにいたします。
 以上、各方面から質問をさせていただいたわけでございますけれども、真の男女の平等とはまだまだほど遠いものがあるのではないか。戦後強くなったものは女とくつ下だなんてやゆ的なことをおっしゃらないで、ほんとうに真の平等をかちえて両性のしあわせが得られるという私の信念、こういうものをお考えいただきまして、真の平等のために各大臣の今後の本腰を入れての御努力をひたすら期待をいたしまして質問を終わります。
#243
○委員長(堀本宜実君) 以上で萩原君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#244
○委員長(堀本宜実君) 次に、春日正一君の質疑を行ないます。春日君。
#245
○春日正一君 私は日本共産党を代表して、主として、交通安全対策を中心にして政府の施策を関係大臣にお伺いしたいと思います。
 それで、最初に、最近交通事故が毎年記録を破ってふえているわけですけれども、最近の交通事故の実情とその特徴的な傾向を御説明願いたいと思います。
#246
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。昭和四十四年中の交通事故による死傷者は九十八万人をこえ、これを前年に比べると約一七%の増加であります。このうち歩行者の死者は全体の約三六%であります。これを年齢別に見ますと、六十歳以上の老人層に人口当たりの死亡率が高く、また中学生以下の子供では、未就学児の死亡率が高うございます。一方、地域的には大都市における死者数の増加が目立っております。なお、所得層別の事故は、統計上は把握しておりません。
#247
○春日正一君 いまの、所得層別の事故ですね、被害者、加害者加えての。これはぜひやはり調査をする、統計をとるというようにしていただきたいと思うのですけれども、どうですか。これをやらないと救済対策というものもほんとうに身の入ったものにならないのじゃないか、そう思いますけれども、その点どうですか、政府の考えは。
#248
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 交通事故は所得階層別によって影響があろうとは一応思いません。それで、従来そういう角度からの検討はしておりませんが、なお検討してみます。
#249
○春日正一君 私の言っているのは、所得階層で直接事故に関係があるかということではなくて、救済対策の場合、たとえば加害者にしても賠償金の払えないような人が八割もあると言われておる。そういうような点を十分調べなければ救済対策というようなものもほんとうに親切なものにならないのじゃないか、そういう意味で言っているのですから。
 そこで、いま言われたような事故の状態、傾向について、政府をしてどのような対策をしておいでになるか。これは建設省、国家公安委員会、あるいは総理府のほうとして、それぞれ関係したところをお答え願いたいと思います。
#250
○国務大臣(根本龍太郎君) 御指摘のように、最近の交通戦争の死傷が非常にふえておる。これには車と道路と人との三つの関係が錯綜しておりまするので、われわれのほうといたしましては、道路そのものをでき得るだけ交通障害のないようにし、かつ安全対策を立てるということになるのでございます。御承知のように、昭和四十一年度を初年度とする特定交通安全施設等の三カ年計画が行なわれまして、現在これに要する費用は総額七百九十六億でございまして、うち道路管理者負担分が大体七百五十億円でございます。国家公安委関係は四十六億になっておるのでございます。なお、昭和四十五年度において、この新しい三カ年計画の二年目といたしまして、引き続いて歩行者の保護を重点として歩道と立体横断施設、それから中央分離帯の整備、ガードレール、こういうものに重点を入れて積極的に実施しておるのでございます。本年度として大体二百五十億円を計上いたしております。なお、この特定三カ年計画を実施した後においては、これはなかなかわかりませんけれども、大体マクロ的に試算して見ると約十九万人の死傷者が減になると、こういうふうに推定されておる次第でございます。
 なお、このほかに地方単独の事業といたしまして、六百二十三億円をこの交通安全施設のために道路関係で使用すると、こういう方策をとりまして、極力交通の安全を期しておる次第でございます。
#251
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたます。
 最近における交通情勢に対処するために、警察としては交通指導取り締まりの強化、交通安全教育の推進、その他所要の施策を推進しているところであります。とりわけ交通安全施設の整備については、交通事故防止上の効果が目に見えて高いものがあるところがら、昭和四十一年度から始まった交通安全施設等整備事業第一次三カ年計画に引き続き、昭和四十四年度から第二次三カ年計画を実施中であります。しかしながら、交通事故が依然として増加の傾向にあることにかんがみ、この際長期的な展望に立って道路整備の進捗、車両交通の増加等に応じた事故防止対策について検討する必要があると考えておりまして、とりあえず、昭和五十年度を目標年度とする長期計画を策定し、この計画に基づいて交通安全施設及び交通管制組織の拡充、交通の指導取り締まり体制の充実、運転者の教育管理施設の整備等、交通警察管理体制について抜本的に整備し、交通問題の解決に全力を傾注したいと考えております。
#252
○国務大臣(山中貞則君) ただいま建設大臣並びに国家公安委員長よりそれぞれ御説明がありましたが、お聞きになっていても感ぜられますとおり、相互の連関性というものに交通行政が薄いきらいが少しあります。と申しますのは、既往の道路五カ年計画の策定におきましても、純粋の安全施設というものについての裏づけの同じような五カ年計画というものが実は策定されないで、安全施設整備に関するほうは前期三年、後期三年の緊急整備という形のもので予算がつくられております。やはりこれらは、両大臣がお答えになりましたとおり、私どものほうがお世話申し上げまして、国の姿勢といたしまして――この交通事故の激増ということのいろいろの理由はありますが、車の増加である。しかし、その車の通行する道路の改良舗装が進めば、それだけ快適なスピードで飛ばせる反面、それに対する安全設備等が整いませんと、死傷者、交通事故等の激増に直結することは明瞭でありますから、そこで閣議等の公安委員長の発言等を受けまして、目下私の手元で受け取りまして、道路五カ年計画の新しい御審議を願っておりまする予算の十兆三千五百億に対応するものといたしまして、事業費だけでも三千五百億、人件費等最低のもの等を加えますと約四千億あまりのものになろうと思いますが、そういうものを、実施時期が一年ずれますけれども、公安委員長の御答弁になりましたように、四十五年度が終点でございますから、四十六年度を初年度とする安全整備に関する五カ年計画を立てて――まあ道路が一年先行いたすことはかえってそのほうがよろしいかと思います。ということは、一年で道路が全部きれいに完成するわけではありませんから、それを追っかけて、道路の進行に伴って増大するであろう危険に対処する安全施設が年次計画をもって整備されるということが、望ましいと考えますが、道路財源につきましても、来年はたいへん財源的に苦しい予想がございまするし、ましてや、一方において新しい安全施設の五カ年計画を発足させるといたしますと、初年度予算の財源確保にたいへん苦労いたしますので、これらの点は今後大蔵省も交えまして、政府全体の姿勢として財源その他十分検討しながら、やらなければならないことに対処する努力を続けまして、来年度予算の編成にはぜひ間に合わせたいものという願望を持っている次第でございます。
#253
○春日正一君 ただいま建設大臣のほうから交通安全三カ年計画の実施状況とその効果について、前期の三カ年で九万人、それから現行の三カ年で十九万人が、これだけの施設で未然に防止されるというふうに言われました。私どもも当然そういう施設をすれば減少するはずだと思っておりますけれども、それにもかかわらず年々事故がふえていく、そうしてことしはもうすでに四千人の死者の線を去年より六日早くこしたというようなことになっていますね。そうすると、これはどういうことなんだろうか。その辺ひとつ御説明を願いたいのですが。
#254
○国務大臣(根本龍太郎君) これは私から御答弁申し上げることが適当かどうかわかりませんが、先ほども申し上げましたように、交通事故は道路関係と車を運転する人と車そのものとの三つの関係でありまするので、先ほど総務長官が申されたように、道路をよくしたために、本来減るべきものがかえってドライバー・マナーの悪い人が暴走しますというと、これはたいへんな事故になる。あるいは車そのものに欠陥がありますると、これまた出てくるということで、その意味におきましてやはりドライバーの訓練ということと、それから安全施設というものと、それから車そのものの安全性と、三つこれは相関連していかなければ、せっかく道路のために投資をしても、それが安全を確保する結果にならないというところで、その点を総合的に勘案しまして、減らすために総務長官でいろいろ総合的な施策をやっておる、すでに大阪市においては、施設は全然変わっておりませんけれども、一方交通を相当勇敢に実施することによって、非常に短期間のうちに半分に事故が減ったというような点から見ましても、総合的な対策の必要性を痛感しておる次第でございます。
#255
○春日正一君 いまの御説明もありますけれども、施設をやって、その部分では当然それだけの予防ができたとしても、やはりドライバーのマナーとかなんとかが急にだんだん悪くなっていくということではなくて、車の数も絶対数がふえれば走行キロもふえる、だから、いままで予防の指定道路とされておった部分がはみ出して、さらに新しく指定してやらなきゃならぬようなところがどんどん広がっていくから、それでふえてくるんじゃないだろうか。つまり、いまの予防対策のテンポが車の増加、事故の増加に追つかない、そこに問題があるんじゃないかと思うのですけど、どうですか。
#256
○国務大臣(山中貞則君) 原因はいろいろありますが、それは非常に大きな原因の部門の真実であろうと思います。そのほかにもいろんなことを総合的にやっていかなきゃなりませんが、ドライバーの側からの面からとして今後検討しなきゃならぬ問題は、現在の自動車保険が車の保険でありますから、陸運事務所のチェックによる強制加入になるわけですね。ところが、運転する人によっては何回も事故を起こしておるし、事故を起こさない人は何年も事故を起こさない人がいるわです。そういうものは保険の面には何にもあらわれていない。そうすると、一億総前科者にしちゃならないという制度で、反則金制度というものをお互い出発さしたわけでありますが、そのようなことから考えますと、いまの保険の対象が車を対象にしていいものであろうか、対人保険ということは考えられないか。そうすると、まあ当然、免許証を持っているだけの人たちは不満も出るでしょう、おれは車をもっていないんだと言うでしょうけれども、免許証を何のために取ったかという原因は、明らかに運転してやろうという目的がなければ取っていないはずですから、いつその人が運転者になるか、あるいはレンタカーを借りたり、友だちの車に乗り込んだり、要するに自動車の運転車にいつかなってやろうとか、運転してやろうという気があるから取っているんだと思うんです。そこで、やはりそういうこと、前提にして、論議はありましょうけれども、対人保険に踏み切って、メリット、デメリット制というものを採用することに将来いくべきじゃなかろうか。そうすると、事故を何回も起こす人は保険料がその、たびに高いものになる、起こさない人は毎年毎年保険料が逓減されていくというようなこと等も、心理的なものとして非常に必要ではなかろうかと思います。ただこれは、事故の問題は警察庁の所管として件数が上がってまいりますから、これを保険の機関にどのように横の有効なる連絡が迅速かつ確正に行なわれるかという問題も非常にありますが、心理面からの問題もたいへんやはり重視すべき問題だということを考えますと、これは検討に値する課題であると考えます。交通事故は、いつ自分が加害者になるという意識を持っているものでもありませんし、みんなが自分だけは安全だと思って運転し、歩いておる者が、突如としてある時点において、ある場所で加害者になり、被害者になるというものでありますから、例はおかしいんですが、私の乏しい聞きかじりの範囲では、バキュームカーが衝突してあたり一面にまき散らされたという話を聞かないところを見ると、あの車だけはみんな敬遠して運転しているんじゃなかろうかという気もするわけですね。そうすると、やはり運転者の心理のどこかには、バキュームカーとはおれは衝突しないぞという気持ちがあるだろうし、したがって、バキュームカーの運転ははなはだ乱暴な、当てるなら当ててみろいという運転をしてるようにも、ひが目でしょうが見かけます。ここらにやはり微妙な心理面というものが、無視できない交通対策の一環になると思いますので、自動車保険の対人保険というようなことも検討の対象にしていくことが必要であろうと考えます。
#257
○春日正一君 建設大臣、さっき私の言った、つまり車がふえ、危険個所がふえていくのに、安全対策の施設が追っつかないんじゃないかというその点ですね。
#258
○国務大臣(根本龍太郎君) その面も大いに影響していると思います。これは安全施設のみならず、車の増加に比しまして道路投資がまだそれに十分にいっていないということです。そういう意味でわれわれのほうとしては、国家予算のうちで非常に大きなウエートを道路政策にいただいておりまするけれども、いまわれわれの計画を順調にやりましても、やはり昭和六十年ごろまでいかなければ、道路が車の伸びに対応することが非常に困難だというふうに想像している次第でございます。
#259
○春日正一君 まあその大臣の御答弁を前提にしましても、六十年まで事故がどんどんふえるのはがまんしてくれというわけにもいかぬでしょう。そうしますと、この道路整備五カ年計画が更新されて、新五カ年計画ということで六兆六千億から十兆三千五百億ですか、これに広げられますね、道路のほうはそうなる。ところが、交通安全の三カ年計画のほうは古いままですね。しかも予算を見ますと、昭和四十四年が二百五十七億、四十五年度二百五十億、四十六年度二百四十三億というように、事故が毎年ふえていくのに安全対策の予算はしりつぼみになっている、これではいまのような状況に応じないんじゃないか、特にこれがそのままで道路のほうだけふやされたということは、やはり政府が安全対策ということに関心が薄かったんじゃないかとも思いたくなるような現象だと思います。これは確かに総ワクの予算があって、初年度にたくさん使ったから、二年度、三年度と少なくなるのだという説明ですけれども、現実に事故はどんどんふえているんですから、そうだとしたら縮めるんではなくして、やはり事故のふえるのに対応して広げていくというのが国の政治じゃないだろうか。そういう意味で交通安全三カ年計画というものをなぜ古いままにしておくのか、この点ひとつお聞きしたいと思います。
#260
○国務大臣(根本龍太郎君) 後ほど総務長官から総括的な御発言があると思いまするが、実はそういう意味におきまして、先般、新道路五カ年計画を閣議決定するときにあたりまして、荒木公安委員長から発言がありまして、この道路計画はこれでよろしいけれども、しかし安全施設、これに対してはどうも道路五カ年計画に算定されてないように思われる、そうすれば、これは非常に重大な問題が起こるから、道路五カ年計画のほかに安全施設、あるいはこれに伴う安全対策の人件費等も含めてこれは検討すべきであると、こういう発言があったのであります。これを閣議でも了とされて、その総括的な対策を総務長官の手においてまとめるということになっておりまするので、いずれそうしたことが安全施設の問題、それから先ほど問題になりましたドライバーの訓練の問題、あるいは保険制度の問題、それから交通規制の方法等、諸般の問題が総合されてまいりますれば、その結果としていまの安全施設に対する経費の出し方も、予算のあり方も四十六年度からは十分に検討されて措置できるものと考えておる次第でございます。
#261
○春日正一君 この問題、またあとに触れますけれども、人と車の事故ですね、これが日本ではとりわけ多いといわれております。そこで、これをなくすためには、やはり人の通る道と車の通る道を分離するということがまあ一番基本的な対策だと思いますけれども、横断歩道橋とか、ガードレール、あるいは照明、そういう必要な処置をとると同時に、この裏通りの歩道の整備、これを緊急にやることが必要ではないかというふうに考えます。
 そこで、お聞きしますけれども、歩道を設置したときの効果というものをどういうふうに見ておいでになるか、これは総理府のほうで何か委託調査をされたそうですから、お聞かせ願いたいと思います。
#262
○国務大臣(山中貞則君) 歩道をつくりますと、歩道の中を歩く人の事故はゼロになります。横断歩道をつくっただけで、なかった時代の死傷者数が七二%減少しておるという実績が出ております。
#263
○春日正一君 まあそれほど効果があるものですけれども、現在歩道の設置状況はどうなっておりますか、建設省のほうにお願いします。
#264
○政府委員(蓑輪健二郎君) 現在の国道、県道、市町村道、これに設置されてる歩道の延長は、延べ延長で約一万一千キロになっております。
#265
○春日正一君 交通安全指定道路における歩道の設置状況、それから将来の見通しですね、お聞かせ願いたいと思います。
#266
○政府委員(蓑輪健二郎君) 交通安全の指定道路の中で、いわゆる市街地の延長――指定道路は大体市街地の延長全部入っておりますので、市街地の延長について言いますと、一例をあげますと、一般国道につきましては、市街地延長が五千二百六十キロ、これに対しまして、四十三年度末の歩道の設置率が四八%、いまの計画でいきますと、新しい三カ年計画の終わります四十六年度末で七六%、これが第六次の五カ年計画の終わります四十九年度末で一〇〇%にしたいというふうに考えております。そのほかの、主要地方道、一般地方道、市町村道、全部入れますと、四十三年度末で、市街地延長に対して二九%の設置率でございます。これは、五メーター五十以上ございまして、歩道設置が可能だというものについての設置率でございます。
#267
○春日正一君 つまり、全部の、いまのもので言いますと、市街地の延長二万五千三百三十八キロに対して、四十四年三月現在二九%、現行三カ年計画終了時五五%ということですね。これは建設省からもらった資料ですがね。そうしますと、四十一年度に緊急ということでこれは発足したんですね。そうして旧三カ年、これから現行三カ年、そのあと三カ年と、九年間かかるという緊急があるだろうか、これでは少しおそ過ぎるんじゃないですか、その点どう考えてますか。
#268
○政府委員(蓑輪健二郎君) 交通安全は、先ほど大臣からもお話がございましたように、やはり道路環境の整備ということになろうかと思います。いまの先生の御質問の、非常に歩道の設置が時間がかかっておるということでございます。実は歩道の設置につきまして、最初の三カ年ではまず簡単にできるところを早くやるということと、通園、通学路、こういうことに力を入れたわけでございまして、逐次その後歩道の設置延長をふやしますには、やはりある程度の路肩の整備、そういう費用のかかるような問題、またこれからの問題といたしましては、やはり一方交通をするとか交通規制をしていかないと、なかなか五メーター五十以上ありましても簡単に歩道ができないというような場所もございます。また駐車の問題もございまして、その辺はやはり地元の了解を得て、実施しないとできませんので、そういうこともございまして、多少おくれてまいったわけでございますが、歩道の設置を最重点として今後交通安全施設の整備を促進してまいりたいというように考えております。
#269
○春日正一君 これ建設大臣にお伺いしたいんですけれどもね、いま申しましたように、あんまり緊急が長過ぎるじゃないかと、しかもその間に指定道路も年々拡大して指定していかなければ実情に追いつかなくなってくるということを考えますと、この新道路五カ年計画をつくるという機会に、この中に歩道の設置の問題も組み入れて、少なくともいまの三カ年計画分ぐらいは本年度中にやってしまうと、そうしてその後は道路計画に合わせてやはりつくっていくというような措置がとれないものかどうか、この点をお伺いしたいんですが。
#270
○国務大臣(根本龍太郎君) そういう意欲はございますけれども、御承知のように、本年度予算ははっきりときまっておりまするので、それをさらに急に安全施設だけをふやすということは、実質上困難だと思います。そこで、御指摘になりましたように、新道路五カ年計画を来年から実施する場合に、先ほど申し上げましたように、関係各省のいろいろの施策を総務長官のところでまとめてますから、それと連携をとりまして、いま御指摘のような安全施設に重点的に配慮をしたいと思う次第でございます。
#271
○春日正一君 新聞では、総理も、安全設備が少ないということで、新道路計画にあわせてうんとふやせということを言っているんですけれども、何か大蔵省が難色を示しているというような新聞報道があるんですげど、これ大蔵大臣どうですか。
#272
○国務大臣(福田赳夫君) さようなことはありません。新五カ年計画につきましては、まだ内容が具体的にきまっておりませんけれども、歩道のことも含めましてこれは進めなければならぬと、さように考えております。
#273
○春日正一君 そうすると、必要な安全対策の予算その他はやはり十分考えていただけるということですね。まあ建設大臣もひとつがんばってほしいと思いますよ。
 それから、事故の特徴を見てまいりますと、先ほどもありましたけれども、道路種別の事故発生率、これは国道で三五・七%、主要地方道一五・九%、それから一般都道府県道一五・五%、市町村道三一・八%というように、特徴的な傾向の一つとして、裏通りあるいはいなかの細い道というようなところで事故がだんだんふえていっているという傾向があります。だから、そういう立場から見れば、やはりこの新しい道路五カ年計画というものは、こういう国民の生活に近い生活道路を重点に整備すべきじゃないか。そのためには、市町村道への国庫補助金を大幅にふやして、その面の事業を促進する必要があるんじゃないかというように思いますけれども、その点建設大臣どうお考えですか。
#274
○国務大臣(根本龍太郎君) 御指摘のように、従前は国道、それから地方主要道路に重点を入れましてやってきたことは事実でございます。しかし、現在の社会情勢、それから交通関係の実態から見まして、漸次春日さん御指摘のように考えてまいっているのでございます。たとえば、今度地域開発との関係におきまして、生活圏構想というものも考えております。これは地方の都市と、それから農村、山村、漁村とをネットワークで、道路で結んで、そうして一つの生活圏をバランスのとれたものにする。したがって、国道、地方道と町村道を一つのネットワークにしてやるのだ、こういう構想も入れております。
 それからもう一つは、総合農政のたてまえから新しく集団農地ができる、あるいはまた地方に産業が展開してまいった場合には、たとえそれが町村道でありましょうとも、これについては国が相当思い切った助成をしていく、あるいはまた町村道の充実を重点的にそうした社会並びに産業の情勢に対応して予算配分をするという方針をとってまいるつもりでございます。
#275
○春日正一君 自治省の資料で調べてみますと、こういうふうに言っています。舗装率を一%上げるのには約六百億かかる――道路が非常に長いですから、改良率を一%上げるには約七百億必要だ、それぞれ五〇%にするとすれば五兆二千億円が必要だというふうに言っております。それほど金がかかる。だから、四十二年度の投資額でこれを割ってみますと、五〇%にするのに七十年から八十年かかるという計算になるわけですね。非常に時間がかかる。おそい。おそらくこの範囲だろうと私は思うのですけれども、今度の新道路五カ年計画の配分ですね、あれの数字を見てみますと、一般道路が五兆五百億、これは四二%増、有料道路が二兆五千億で三九%増。ところが地方単独の事業が二兆五千五百億で一三二%増。非常にこれは地方単独事業というのはうんとふえているのです。つまりそれだけ地方の道路というものは無理してでもふやさにゃならぬような実情にあるんじゃないか、私どもそういうふうにこの数字から考えるわけですけれども、だからなおさらのこと、地方単独でもそれで幾らかよくなったから単独でやりなさいということではなくて、もっと補助をつけて、地方道をこの際もっと早い時期に改良すべきじゃないかというように思うのですけれども、その点もう一度大臣考えを聞かしていただけませんか。
#276
○国務大臣(根本龍太郎君) 市町村道が非常に延長が長いことは、御承知のとおりでございます。ところが、これを全部、いま御指摘のような全舗装するというと、非常な金がかかるのです。事実上これが財政負担から見ても困難であるために起こっておる現象が、いまの過密過疎の現象でございます。もう過疎化してしまったところに、これに舗装しても、これはたいした意味がない。そこで、先ほど申し上げましたように、生活圏構想をつくりまして、一つの拠点を中心としてネットワークをつくって、そうしてもう過疎になって、これに投資するにはメリットがないというところは、部落の移転、そうして核部落をつくって、その線までは道路を整備してしまう。こういうふうな総合的な、立体的な政策をやりませんと、観念的にはどんどん地方道をやれといっても、やはり限られた財力からすればそうした方法を考えなければならない。それと同時に、やはりおのずから社会経済の変化に伴う緩急の問題があると思います。全部が全部一挙にやるわけにいかないから、そこで政府といたしましては、新しい社会経済情勢に対応しまして弾力的に、地方道を国がめんどう見て、重点をつけていく、こういうふうにいたしたいと思います。
 従来、ややもすれば、国道の何号線は何カ年計画でどういうふうに整備する、地方道はどうするということで、一路線ずつに全部張りつけてしまっておったのですね。だからして、どうしても固定的になる。そうではなくて、今度、予算配分を弾力的につけて、情勢に応じて総合的なやり方をしようということで、保留分を年度末に、年度初めに全部分けてしまわずに、相当部分を建設省で保留しておって、そうして弾力的な措置を講ずるということまで考えるべきだと思っておる次第でございます。
#277
○春日正一君 交通事故の一つの特徴的な傾向として、裏通りで事故が非常に多いということがいわれているのですけれども、裏通り。商店街の交通規制の問題ですね。
 そこで、新聞でもいわれておりますけれども、東名道ができる、あるいは中央道が開通するというようなことで、世田谷区では、玉川通りとか世田谷通りに車が殺到してきて、そこが渋滞するものですから、裏通りに入って、裏通りが非常な危険な状態になっている。新聞社でいろいろ取材したあれを見ますと、代沢一丁目の例として、そこに車が入ってくる中で五台に四台は通り抜けの車だ。住民のアンケートを取ってみると、百四軒のうち九十九軒までは、何か事故がありはせぬかと絶えず不安に思っているというようなことを訴えております。こういうものに対して、政府としてどういうふうな対策をとろうとしておいでになるか。
#278
○国務大臣(山中貞則君) 現状でも、裏通り細街路、商店街等、あるいは通学路等も入るかと思いますが、非常に心配される状態にありますが、その上に、全体の死傷者数を減らすために、陸上交通対策本部で先般打ち出しました、人口百万以上の都市における主要道路の一方通行、人口八十万以上の都市における主要道路の右折禁止というような手段をとりますと、一そう裏通りのほうに入っていく車がふえると想像しなければなりません。そのような想定をいたしますと、どうしてもこの際、裏通りの交通事故対策というものを同次元に置いて対策を講じておきませんと、いよいよ裏通りの悲劇がふえることになる。ことに御指摘のような通過車両が大部分であるというような現実は、はっきりこれは掌握できるわけでありますから、そこで、先般の交対本部できめました三本柱の一つに、人口二十万以上の都市並びに通過車両の多いと思われる県庁所在地以上の市街地におきましては、裏通り細街路、商店街、通学路等の交通取り締まりに徹底的な重点施策を行なう。それいろいろ方法はありますが、通過車両のうち最も危険な大型貨物その他の車両については通行禁止の道路を設ける。通学路等につきましては通学時間帯に応じた通過禁止、通行禁止というものも考え、もしくは商店街、通学路等におきまして入ってくる自動車につきましては、飛び出しについて気づいたら直ちにブレーキを踏んで間に合うという常識上のスピードといたしまして、ほぼ時速十キロ以内のスピードでもって走るというようなことを考えます。時速十キロというのは自動車にすれば人間のごそごそはうぐらいのスピードであるという反論もありましたけれども、そういうスピードでいやなら自分は入らなければいいんです。ですから、自動車は本来この裏通り細街路からは危険なる凶器として排除さるべきものである。どうしても通りたければ、生命に危険を与えないスピードを守りなさい、時間を守りなさい、これ以上の大型車は幅員の関係から通しませんというようなこと等を交対本部の決定として打ち出しました。それが現在、警視庁、警察庁を通じまして、全国該当市において、府県並びに市において、その実施細目について具体的な進捗が見られております。これも、何もなさないということよりも、やはり交通事故対策は一刻も何かをし続けなければならないわけでありますから、その意味で好結果の生まれることを期待しておる次第でございます。
#279
○春日正一君 そこで、やはりこの裏通りには車は入れなけりゃ一番安全だと、私そう思います。
 そこで、ここに新聞にも出ておりますけれども、去年の夏休みに、東京都内で二百二カ所で道路の通行禁止をやって、そこをまあ広場にして子供が夏休みじゅう遊んだ。そして夏休みが終わったあとも三十五カ所ではまあ父兄も賛成して土曜・日曜日は続けておるというようなことがいわれております。そして、この新聞の報道なんかで見ると、そういう母親たちの中で、ことしの夏ほど子供たちが伸び伸び外で遊んだことはないと非常に喜んでおります。そしてまた、それが非常によかったということで、町内会のあき地を借りて子供の遊び場をつくったというような例も出ておりますけれども、こういう問題について政府としてどういうふうに評価しておいでになるか、これ聞かしていただきたいと思います。
#280
○国務大臣(山中貞則君) 非常に高く評価いたしておりますし、これがはたして政府の交通安全に対する姿勢として確定しておるかどうかについて疑問がありました。そこで、私のほうで本日、すでに終了いたしましたが、交通対策本部の各省連絡官、担当官会議を開きまして、新聞にも一部は出ておったのでありますが、小学校区もしくは中学校区ごとに、一以上の道路を日曜・祭日には指定をいたしました。しかも相当長距離にわたる――長距離と申しますか、まあ常識上の相当広いスペースが得られるような、学校の生徒数に応じた考慮が必要でありましょうが、そういう道路について、さしあたり予算等も、将来は標識等つけていかなければなりませんが、さしあたりできることは、荒なわを張ってダンボール箱に通行禁止何何警察署長なり署と書いただけで、その荒なわを突き破って入ってくる自動車はないと常識上思います。そこで、子供たちに、本来公共事業等で遊び場をつくるとしたら膨大な金額の要るものを、現在できておりまするそのような指定の受けられる住宅街等についての道路に、日曜・祭日におかあさまたちが、きょうは日曜だから、休みだから外に行ってあの道路で遊んでいらっしゃい、学校では今度の日曜日にはあの道路で伸び伸びと遊んでいいんですよというようなことが行なわれれば、本来の成長していく人間の、子供たちの過程において自動車のおそろしさというものから日曜・祭日が解放される、せめてこれだけでもいいことじゃなかろうかと思います。ただしこれには、やはり一つの道路だけを年じゅうきめておきますと、周辺の住宅街の人々のことですから、住民の人たちでうるさくて休めないという苦情が必ず出ると思いますので、これは親の気持ちからがまんしてもらうにも限度がありましょうから、絶えず所轄の警察署や学校等連絡をとりながら、その道路を絶えず移動させていく、指定する個所を変えていくという配慮等で解決できるのではないかと思います。これも当面の対象は、人口二十万以上の都市の小学校単位もしくは中学校単位、あるいは県庁所在地の都市ということで、来週あたりに、さらに実施に関する各実施官庁の具体的な意見を反映いたしまして、交対本部の本部長指示もしくは決定等の手段をもって、この実施をさっそくいたしたいと考えている次第でございます。
#281
○春日正一君 それで、この規制の問題ですけれどもね、いま長官の説明の中にもありましたように、うちの前で子供が遊んでうるさいとか、商店なんかが支障を来たすとか、いろいろありますけれども、京都の六つの場所でですね、現在一定時間をきめて、朝の登校の時間と午後一時から五時ごろまでというふうな時間をきめて交通規制をやっているところがありますけれども、そこでの実施状況に対する住民の意向のあれを聞きますと、こういう規制が必要だというのが、自動車を持っている人の六二%、持っていない人の六七・九%、これは必要ない、やめてくれという人は、持っている人が一一%、持っていない人は七・一%、持っている人でもやはり、子供の安全、環境を静かにするという意味ではこれは続けてほしいというのが圧倒的に多い。これは全体の傾向じゃないかと思います。そこで、政府として、こういう道路の一本の規制、これからさらに一定の地域ですね、百メートルにしようとかなんとかいう一つの街区ですね、その街区内を自動車が入ってこないようなものにして、この規制区域を線から面に広げて、恒常的なものにしていくというようなことは考えられないものかどうか。
#282
○国務大臣(山中貞則君) 線から面への展開は当然考えなければなりませんが、恒常的となりますと、これはやはり地域住民なり今日の国民生活の中におけるモータリゼーションの普及度並びにその生活との緊密性等から考えて、そのことはやはりもう少し実情を見てからと思いますが、それにかわるものとして、本日も検討いたしましたのですけれども、これは文部省の御協力を得なければなりませんが、校庭はいま原則として日曜・祭日には、一般の不特定多数の子供たち、幼稚園の園児とかよちよち歩きの子供たちが入ることのできない、もったいないあき地に実際はなっているわけです。そこで、協力が得られまするならばということを前提にきょう打ち出したのですけれども、校庭を日曜・祭日には開放する。もちろん教室に立ち入って子供がいたずらしない手段等いろいろありましょうけれども、いずれにしても運動場のスペースというのはもったいない面積でありますし、ことに場所によりましては、市街地の形態によっては学校はどうしてもなければならないが、いま私がさきの答弁で申しましたような住宅街で通りを一日遮断しても苦情が出ないような道路が一本もないというようなところもきっとあるに違いないと思うのです。そういうところは、ぜひ校庭の開放ということでそれにかえていただきたいということも検討しておりますので、線より面への展開の検討もいたしますが、入ってこない地域を定めろということは、もう少し研究さしていただきたいと思います。
#283
○春日正一君 これはかなり実際やるとなればむずかしい問題で、十分住民と相談もし、住民が自発的にそれをやろうという気にならなければできない問題だと思いますけれども、さっきの調査の結果を見ましても、やはり条件のあるところ、たとえば車がそこを通らなくてもよそへ行けるというような区画でしたらやはりそういうことは可能じゃないか、そういう意味で、やはり安全街区というような一つの街区をつくっていく。これは、私どもに言わせれば、東京なら東京の町を根本的に大きな計画を立てて、端からきちんと直していけと言いたいのですけれども、
  〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕
そこまではいまここで言っても話にならぬ問題ですけれども、すぐ手のつく問題としては、条件のあるところからそういう安全街区というものをつくっていくと。そこには車が入ってこないというようにして、そうしてそういう中でやはり幹線歩道を設けて、学校へ行くなり広場へ行くなり買いものに行くなりというところは、歩行者が安心して通れるというようなものを、小区画からつくっていく。こういうものが幾つもできてくれば、それらを総合して、都市計画全体としてどういう交通政策をとっていくかという問題も基礎ができてくるわけですから、そういうふうな試みですね、いま線から面に広げることが必要だと言われた。その広げるものを、安全街区というような形のものに考えて、そういうものをつくっていくということを目標としてやっていくというようなことは考えられないだろうか。そうして、そういう中に子供の遊び場とかそういうようなものも設置していくと、こういう点はどうでしょうか。
#284
○国務大臣(山中貞則君) 先ほども申しましたように、傾聴に値し、かつ検討に値する御意見であるということは認めました。ただ、いまの自動車と住民との密接な関係から考えて、すぐそれを私がここで、そういうことをやりましょうと言えない問題がありますから、十分の検討をいたしますと申し上げたわけですけれども、その他にも、遊び場道路はできましても、今度は、子供たちはやはり自転車に乗りたがる傾向がたいへん強うございます。乗るなと言っても他人の子供の車を借りて乗ったりということもありますから、神宮外苑をいま自転車で自由に走っていい専用地域みたいにしておりますけれども、ああいうこと等も、やはり子供たちとても楽しそうなんですね。やはり今度は、遊び場道路というものをつくると、そこを自転車で通っても、やっぱりひっくり返ったら、突き当たったほうの子供はまあ自転車で、たいしたことはなかったけれども、乗っていた子供がけがをするという交通事故もあり得ることですから、そういう場合には、やはり今度は、自転車で遊べる広場はどういうところがあるかというようなことなどは、公園計画その他といろいろと総合的な検討をしていきながら、要するに走る凶器である自動車に最も弱い子供たちに伸び伸びと育っていける環境を与えることは、これはもう思想、政党を越えた、今日の工業国家へ急速に変貌する日本の過程において、政治家全部の義務である、こういうことから取り組んでいくべきことだと私は考えておるわけでありまして、ただいま申し上げたとおり、今後の検討にまかしていただきたいと思います。
#285
○春日正一君 そこで最後に、この締めくくりの問題ですけれども、先ほど言われた住民の協力、これをどう組織していくかという問題ですね。いままで見ていますと、どうも政府がおつくりになる審議会とか何とか委員会というのは、わりあいえらい人でつくって、実際そこに住んでおる人とか車のハンドルを握っている人とかというような者がわりあい参加していないというようなことがあるのですね。だから、いま言ったように、地域でもってこの町内の安全をどうするかというような問題になれば、そこの町内の人たち、あるいはそこに出入りする関係のある商売の人たちとかというような、地域のそういう直接関係のある住民ですね、あるいはまあ学校の先生とかPTAとか、専門家も必要でしょう、いろいろ意見を出す上では。そういうような人を集めて、そういう地域での交通の問題、安全の問題というようなものを解決するための一つの委員会あるいは協議会みたいなものを組織して、そういう意見をくみ上げて具体的にそういう計画を進めていくということが必要ではないだろうか。私、この前、おととしですか、道交法のときにも出したのですけれども、大阪で、自動車交通労働組合――タクシーの組合、あれが、街区の交通安全について、ここが必要だというようなことを、自分たちが実際運転している経験から、五十数カ所について意見を出した。それを聞いてみましたら、大阪府警では、これは非常に役に立ったというふうに言っております。つまり、ハンドル握っている人、子供が被害を受けやしないかといって心配している親たち、それを直接やはり参加さしたそういう機関をつくってこの問題を進めていったらどうだろうか。それならば具体化するだろうと思うのですけれども、その点どうですか。
#286
○国務大臣(山中貞則君) それも貴重な御提言でありますし、会議という形なり、審議会とか委員会とかよくつくりたがるのですけれども、やはり民意を一番反映させるということがなくしては協力はないわけです。いまの、実際にハンドルを握って職業としておる人たちの意見がたいへん参考になったということは、私も当然そうだろうと思いますから、そういうことも含めまして、ことにこの交通事故に対する一番関心の強いのは、おやじも強いのですけれども、仕事にかまける点もありまして、一日じゅううちの門を出入りする子供たちのことを心配している母親の力というものは非常に強いと思うのです。そこで、やはり交通事故を守る母親の会とかいろいろなものもありまして、これらの人々の御意見はしょっちゅう聞いておりますけれども、母親の立場というものは、自分のおなかをいためて育てる子供たちがおとなになる前に生命を奪われることについては、もう強い悲憤と申しますか、このままではわれわれの全母親は一体子供を生むだけでどうなるのだという、ほんとうに原始的な疑問まで提供されるぐらい強い願望を持っておられます。それらの願望を推進力の背景として、具体的にどこをどうするという場合には、商店街や商売に関係ある人々やあるいは住宅街や、いま言ったハンドルを握る人々や、そういう人々の意見を十分聞かなければならぬと思います。
 きのうも衆議院の道路交通対策特別委員会におきまして、これはハンドルを握る人の立場から、私の言っていることが、みんな、歩いている人なり自転車に乗っている人の立場からのみ保護を強調しているではないかと。ところがハンドルを握っている側から言えば、これは過保護に過ぎるという意見があるぞと。歩行者にも相当ななまいきなと申しますか、交通事故の誘因者たるべき行動をする者が相当おる。だからやはり歩行者をあまり過保護におちいらしてはいかぬのではないかという、これまた一面耳を傾けておかないといけないと思われる議論がございました。まあしかし、今日の交通事故の中でやはり四%余りというものが、明らかに、事件の処理されました結果、歩行者自体に責任があるということが出ておりまするし、ことに子供や老人がたいへん、この安全週間に入りましても三分の一の全事故件数のウエートを占めております。たいへん痛ましいことでございますから、この弱い者をまず守る。そのためには、歩行者のほうも運転者の立場になることもなければいけないし、運転する人は絶えず歩行者の身になっても運転しなければならない、こういうことだろうと思います。
 ある人は、私に、自動車と人間との間に対話がないということを言われました。おもしろい表現だとも思うのですけれども、いま自分はブレーキを踏んでこの交差点でとまろうとしているのであるかどうかということが歩いている人に映っていないわけですね。見えていない。だから、歩いている人からいうと、横断しようと足を踏み出しているとき、向こうから自動車が来る。あの自動車はとまるためにブレーキを踏んでいるのであるかそうでないのかということがわからないというわけなんです。ブレーキを踏んだらテールランプにしるしがつくだけなんですね。だから、追突防止でしょう。これはたいへんおもしろい議論だと思いまして、技術的にこれはメーカーのほうの意見も聞かなければなりませんが、ブレーキを踏んでおるということが歩行者からも確認できると、ああブレーキ踏んでいるから、じゃ自分は横断の第一歩を第二歩として踏み出していってもいいのだという判断をする。これが対話という表現になるのでありましょうけれども、こういうもろもろの問題を検討いたしまして、歩行者も、あるいは自分が加害者になる気持ちが毛頭なくて、運転していながら突然加害者になる立場の性質の犯罪でもございますから、十分に性善説に立ちまして、ひき逃げした者も、こわくて逃げたのであって、ひき殺してやろうと思ってひいて逃げたんではないだろうというような気持ちに立って、やはり交通事故は車から人間を守るのだということを大原則にして進んでみたいと考えます。
#287
○春日正一君 では問題を変えまして、交通渋滞による排気ガス公害の実態とそれについての対策、これ運輸大臣お聞かせ願いたいと思います。
  〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕
#288
○国務大臣(橋本登美三郎君) お答え申し上げます。
 大気汚染による公害としては、硫黄酸化物、一酸化炭素による人体等の受ける被害が最も大きな問題であります。さらに最近は、窒素酸化物、炭化水素の有害性も問題となってまいっております。厚生省の試算によりますれば、昭和四十二年度の東京都においては、硫黄酸化物はその九〇%以上が工場、発電所などによるものでありますが、一酸化炭素、炭化水素については、そのほとんどが自動車排出ガスによるものであります。窒素酸化物については、自動車排出ガスによるものが三〇%とされております。これらの有害ガスに対して、現在政府としては、ガソリン自動車の新車について、一酸化炭素の濃度を二・五%以下とするように規制しておりますが、先般、昭和四十五年二月の二日、閣議決定で、一酸化炭素の環境基準の決定に伴いまして明年一月より、軽自動車及びLPG車を規制対象に加えることとともに、使用過程の自動車についても、本年八月よりアイドル時の一酸化炭素濃度の検査を実施することになっております。また、炭化水素については、今年九月からブローバイガス還元装置の取りつけ規制を加えますとともに、窒素酸化物の対策につきましても検討を進めることになっております。なお、これらの問題を含めて、全般的な排出ガス防止対策については、長期計画を確立すべく近く発足を予定されております運輸技術審議会の審議を求める方針であります。
#289
○春日正一君 いま言われたような対策の結果、効果というものはどういうふうに考えられるんですか、その対策の効果ですね。
#290
○国務大臣(橋本登美三郎君) 効果につきましては、もちろんこれはそれだけの規制をいたしますというと、相当の効果をあげております。ただ、先ほど来からお話がありましたように、自動車の数というものが激増してまいっております。したがって、規制いたしましても、それがたくさん集まれば、たとえば、一が十は十でありますが、百集まれば百でありますからして、やはり相当の、いわゆる公害は絶滅し得ることはなかなか困難である。そういう意味において、御承知のように、昭和六十年というような将来を考えますというと、おそらく日本における自動車保有数量というものは大体二千五百万台、そうしてドライバーは四千万人に近いと。四千万人といいますというと、ほとんど子供あるいは女の一部を除いて、われわれ一人一人がドライバー的な資格を持つようになると、かような状態でありますからして、自動車を押えることができなければ、それに対応する対策、排気ガスにいたしましても、交通事故にいたしましても、それらを別の面からどうして押えていくかということは、思い切った態度でやらないというとなかなかこの問題の解決はしにくいと、かように考えております。
#291
○春日正一君 お説のように、一台当たりの排気ガスの基準をおきめになっても、車の数がどんどんふえていくわけですから、この数字見ても、都庁前で、四十二年で三四・七%、四十三年四二・六%、四十四年五三・五%と、年々ふえておるわけですね。だから、結局、そうしますと、この自動車の排気ガスということを考えますと、やはり発生源である自動車に除去装置をつけて発生源で押えるということが一番道理に合った方法だし徹底した方法じゃないかと思うのですけれども、どうですか。
#292
○国務大臣(橋本登美三郎君) おっしゃいますように、その発生源を押える、ただ問題はゼロにし得るかどうかという問題ですね。いまの科学技術の力からもってすれば、先ほど申しましたように、二・五%というところが現在の技術的な水準であるということからして、新車は本年九月から、古いものも来年の一月からこれを実施しょう、こういうことでありますからして、発生源が自動車それ自身にあるということ、われわれもその点を考えて、そこで自動車の発生源を押えよう、こういうところに努力いたしておるのでありまするが、ただこれをほんとうに根絶できるかということになれば、現在のガソリン自動車を電気自動車にかえるとか、さようなことをしない限りにおいては、いわゆる発生源を完全に押えるということは不可能に近い、かように申し上げてよろしいと思います。
#293
○春日正一君 政府は官庁用の車にアフターバーナーを取りつけておるというふうに聞いているのですけれども、その効果はどうですか。
#294
○国務大臣(橋本登美三郎君) これは、ただいまおっしゃるように、新車は九月、古いものは来年一月までにと、こういう一つの期間を置いたわけですね、数が多いんですから。しかし、政府の現在使用しておるものは、その余裕期間を待たずに、あしたからでもひとつやろうということで、閣議でもって申し合わせができまして、そこでこれが規制を順次行ないますが、これもやっぱり全部改造するためにはまあ一カ月ないし一カ月半かかります。ただ、それが大気汚染にどれくらいの影響あったというと、数が少ないのでありますからして、どの程度のいわゆる効果を大気汚染に対して及ぼしておるかどうかは別でありまするが、車それ自体の規制はそれによって効果をあげておる、こう申し上げてよろしいと思います。
#295
○春日正一君 一万五千円くらいのものをつけてアフターバーナー式の効果は使用前と比べてCOが約九〇%減っておる、ただし、半年ないし一年半すると四〇%くらいに効率が落ちるというふうに、これはおたくのほうから聞いたのですけれども、というふうにいわれております。そうすると、この程度のものにしろ相当の効果があるわけですね。こういうものをやはりそもそも自動車つくるときから全部に取りつけさせるというようにすべきだと思うのですけれども、その点どうですか。
#296
○国務大臣(橋本登美三郎君) おっしゃるとおり、その方針で、新車は九月から売り出すものはそれでなければならない。というのは、途中――できてしまったものがありますからね、だから、それにしても、でき上がったものも、まあメーカーには、行政指導によっていわゆる多少改造を、多少といいますか、改造を行なわしめておりますけれども、新車は今度は完全なるいわゆる合格を出すためには、政府がきめたその規制によってでなければ、今度は売れないということになる。古い自動車もこれも非常に多いんですから、現在もちろん民間でもそれぞれにやっておるとは思いますけれども、一月までにはどの車でもそれがなければ今度は車検が通らぬと、合格しない、こういうことでおっしゃるとおりにやっておるわけであります。
#297
○春日正一君 そこで、今後の交通安全対策、交通政策の問題ですけれども、警察庁は今後の交通事故の見通しですね、これをどのように見ておいでになりますか。
#298
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。
 交通事故による死者数は、これまでどおりの増加率で進むとしますと、五年後には一年間の死傷者数はおよそ二百五十万人に達することになりますが、交通安全投資をさらに拡大し、所要の施策を強化していけば、これをかなり低い数に押えることは可能であると考えます。
#299
○春日正一君 ここにある警察庁の交通局四十四年十二月の数字によりますと、昭和五十年には自動車の保有台数が三千四百十七万、それから死者が二万五百、負傷者が二百四十七万七千というふうになっております。これで累計して何年に幾らというのを計算してみますと、向こう六年間、いまから昭和五十年までの間に一千七十八万人が交通事故にあって死ぬか、けがをするかするという数字になるわけです。国民十人に一人はそれに当たらなければならぬということになります。こういうことをこのままにしておいていいのか、成り行きはそうだと、これはしかたがないものなのかどうなのか、そこですね。数字は出てきているんだけれども、その数字でいいのか。
#300
○国務大臣(山中貞則君) 私は交通事故の死傷者数のとらえ方を、第二次大戦を除いて、日本が体験した戦争のいずれにも匹敵し上回るおそるべき内戦の結果と申しますか、自動車戦争といわれている結果の悲劇であるというふうに受けとめております。したがって、このような情勢で推移することは何としても政治の責任において全力をあげて食いとめなければなりませんから、警察庁あたりの取り締まり当局では、ちょっとその目標は掲げられることはけっこうだけれども、むずかしいんではないかという批判もあるのでありますが、いろんな施策を積極的に努力、展開することによって、少なくとも政治の名において、昭和五十年に歩行者、一番弱いものの死傷者数を半減させたいということをあらゆる施策の大前提において私としては臨んでおるわけでございます。この願望をぜひ達成しなければならぬものだと決心しておるわけです。
#301
○春日正一君 建設省としては、将来自動車の停滞の緩和、これについてはどういう見通しを持っておいでですか。
#302
○国務大臣(根本龍太郎君) これはたいへんむずかしい問題でございまするが、建設省だけでこの車の渋滞を押えるということはなかなかむずかしゅうございます。そこで先ほど来お尋ねにありましたように、これは交通規制の面においては、総合的には総務長官のほうで構想を練り、実施面においてはこれは警察のほうでやっていただく。それから、やはり人間の訓練でございますね、これがまた非常に日本がおくれているような気がするのでございます。その三つを合わせその上に初めて私はできると思います。ただできるだけわれわれといたしましては、先ほど来いろいろ御質問がありましたが、高速道路とそれから接続する道路のあそこのインターチェンジ、これに問題があります。それから東京では環状線と放射線のあの接続地帯、これが一番問題でございます。ところが、これに対しては、われわれが相当思い切って投資をしようとすると、今度は地域住民が生活を脅かされる、あるいは移転がいやだということでなかなかこれができない。その意味において、これは都市再開発と道路政策とあわせて考える。これには地域住民の協力を得なければできませんで、これからはそういう点に十分配慮して進めてまいりたいと思っております。
#303
○春日正一君 ちょっと私の聞き方が悪かったと思うんですけれども、つまり建設省の仕事である道路づくりと自動車のふえてくるものとの関係で、つまり渋滞が緩和されていくという見通しをどういうふうに持っておいでになるのか、これは局長でもいいですから。
#304
○政府委員(蓑輪健二郎君) 道路整備につきましては、私たち長期計画を持っておりまして、昭和六十年までの一つの長期計画の考え方の中には、全国的なマクロの計算といたしまして、その時点までに約六十兆の投資をすれば、マクロ的には道路の交通容量と混雑が解消できるという数字を出しております。この数字は現在の道路をもとにいたしまして、どのくらい交通の需要と道路の容量とが不足しておるか、こういうものを出しまして、それによって将来の、昭和六十年度の交通需要、こういうものと道路の容量という関係で出したわけでございます。これは全国的なマクロでございまして、ただそれを実施いたしますのには、やはり地域的なものを今後相当検討していかなければならないのではないかというふうに考えております。
#305
○春日正一君 これはそういうふうに出ていますけれども、この自動車のふえる台数の見込みは、警察庁では五十年で三千四百万と言っている。建設省のほうは六十年で三千五百万と言っておりまして、十年ズレがあるのですね、この見込みにも。これはそういう性質のものですからあれだと思うのですけれども、しかも六十兆といいますと、今度の五カ年計画で十兆三千億、あとの十年間に五十兆、これは大蔵大臣、出せるかなという問題があると思うのですけれども、それが保証されて、ようやくあれでしょう、この見込みでいうと四十三年の混雑度が〇・六〇と、それが〇・五三になるという程度ですね。ほんのわずか混雑度が緩和されるということになるわけです。
 そこで、そういうふうに言われますけれども、自動車の走行キロの合計が三十七年で、軽自動車を除いて四百二十九億六千四百万キロ、これを一〇〇にして四十三年度で千六百三十四億二千百万キロ、三八一と三・八倍にふえているのですね。ところが道路の許容量のほうは三十七年で〇・二六です。四十三年で〇・六〇、さっき言ったように。だから、混雑度は緩和されていかないということになっておるわけですわ。だから、ここが大問題じゃないか。今後の交通政策の根本問題として、このまんま自動車をどんどんふやしていくと、自動車がふえるから道路をつくるわということだけで将来日本の交通政策というものは一体どうなるか、その点を運輸大臣からひとつ聞かしていただきたいんですが。
#306
○国務大臣(橋本登美三郎君) いま自動車保有台数の話が出ましたから、保有台数を一応運輸省で想定したものを申し上げます。
 わが国の自動車保有台数は、本年二月末で千六百四十六万台となっております。その中には、約百万台の二輪車と特殊自動車が含まれております。最近数年間の年間伸び率は二〇%程度でありますが、今後は若干の鈍化傾向を示す増加を続け、昭和五十年ごろから横ばい状態に近づくものと言われております。昭和五十年の自動車数の推定といたしましては、運輸省自動車局では、昨年行なった試算で約三千四百万台、うち百万台は二輪車と特殊自動車となっております。また、最近の推定として、先日経済審議会から答申されました新経済社会発展計画の参考資料では、二輪車と特殊自動車を除いて二千九百万台と推定されております。
 以上、資料的な話を申し上げましたが、そこで私は、いまおっしゃるように、自動車はこの推定に基づいて、大体こういう調子でふえていくと思います。しからば、その自動車を動かすところの道路あるいはその他の使用されるべき道路等がそれに追いつくかどうかという問題、また、自動車は今後ともに激増していくかというお話でありますが、私は、大体自動車はこのとおり、いわゆる予想どおりに大体ふえていくと思います。ただ、問題は自動車の使用方法が変わってくる。これはまあ、春日さんもお考えであると思いますが、たとえば、東京とか大阪とかという、これは性格が最近変わりつつあります。われわれは、工場を地方に分散すれば、そこで人口は減ることができるだろうと、こういう考え方で、実は十数年前から工場の地方移転ということを考えたが、ところが、実は、最近における科学技術の発達、モータリゼーション、こういうもので、自動車工場のいわゆる人間を必要とする、労働力というものは非常に減ってきております。たとえば、四日市の石油コンビナートに使われる工場労働者の数と、今度できます、鹿島港にできました石油コンビナートの数では、人間は三分の一にすぎません。すなわち、あとの二人は分機械化されてきておる。モータリゼーションされてきておる。あるいは水島、最近できあがりましたが、その水島のいわゆる石油コンビナートの使いまする人間と、鹿島港、二、三カ月前から工場が操業されましたが、それとの間には、水島に対して二分の一であります。水島が二人使うのに対して一人であります。でありますからして、いわゆる工場を外部に出せば大都会の人間は減るんじゃなかろうかと、こういう考え方でやってまいりましたが、社会、産業の変革等によりまして違ってきた。ということは、御承知のように、最近のいわゆる流通的な傾向といいますか、流通センター的なもののあり方、及び産業におきましても、管理センター、情報に基づいてコンピューターによってこれを片づけていく、こういうために、工場というものは地方にあって人間は少なくなりましたが、それらを総合していくためには、管理センターで人間を多く必要としてきておる、これが一つであります。
 もう一つは、教育が普及されるにつれて、そこで教育人口が非常に都会に集中してきた、あるいは役所の事務が非常に増加してきたために、役所の人間というものはなかなか減ることができない。こういう社会構造の変化に伴って、いわゆる大都市の人口というものは、わずか十年間に、東京においては約四百万の人口の増加を来たしておる。大阪においては約二百万人の人口の増加を来たしておる。一つの県がふえちゃうんですね。あるいは大きな県が二つ。こういうことは、社会、産業及び政治構造の変化に基づいてきておる。したがって、自動車がどんどんふえてまいりましたが、これはなかなか、いま春日さんがおっしゃるように、道路を広げていくということが追いつかないことはそのとおりです。したがって、自動車それ自体の使用方法が変わってくる。自動車を買う率は多くなってくる。大体予想どおりふえてきますけれども現在使っておりますように、オーナードライバー、通勤者がそれを通勤用に使うということがだんだん困難になってきます。そこで、大都市交通圏というものが、地下鉄なりあるいは近郊鉄道のいわゆる通勤傾向に使う、こういう代替をしなければならぬ。しかし、自動車は――たとえば、将来おそらく一週間の五日制はもう間もないでしょう。そうなりますというと、レジャーというものにやっぱり使われる、こういうように、一部においては自動車自身の使用目的が変わってきますからして、したがって、自動車の激増につれて道路をそれだけ拡大しなければならぬか――原則はそのとおりでありますが、ある程度比例しますけれども、必ずしもいわゆる一〇の自動車がふえた、道路を一〇ふやさなければならぬ、こういう情勢では、いまの社会構造ではない、かように考えていまするが、しかし、先ほど申しましたような、大都市におけるところの人口増加の発生源というものが変わってきた。これに対して、政治なり行政はどうすべきかという根本問題が当然考えられなければならぬ問題であります。したがって、交通問題というものは、単なる自動車の問題、道路の問題ということだけから対策を講ずるだけでは、これは解決がつかない問題であって、総合的ないわゆる国土総合開発あるいは拠点都市、こういうものの総合開発から、ものを考えてまいりませんというと、根本的な対策はできない、これは私の私見でありまするが、さように考えておるものであります。
#307
○春日正一君 私、結論的な意見を述べて、大臣のお考えもお聞きしたいと思うのですけれども、運輸省の経済懇談会ですか、ここの資料、運輸省の見通された、これに書いてあるような数字で自動車がふえていくということになりますと、現在、東京の区部で六千八百四十ヘクタール、区部面積の一二%を道路あるいは駐車場にとられておるわけでありますけれども、それが六十年には二万五千四百八十ヘクタール、つまり区部面積の四三%が道路ないし駐車場にとられなければならぬということを言っております。これは大臣の諮問機関ですから、御存じだと思うのですけれども、そういう状態ですね。だから、このままふやしていくということでは、交通安全の問題も解決つかないだろうというふうに思います。そうして、車と人という関係からいっても、人の訓練ということは、先ほど建設大臣も強調されましたし、交通道徳を普及し守らせるということは大事ですけれども、しかし、こういうふうに三千何百万台ということになり、ドライバー免状を持ったものが四千万人ということになれば、必ずしも適格者あるいは十分訓練を受けた人が運転するということにはならぬわけですわ。そうしてまた、自動車というのは、御承知のように、軌道のないところへどこへでも突っぱしれる性質のところを走るものですね。しかも、運転するのは、自動車と言っておりますけれども、人間の手と足と神経でもって運転するという点では、人間のそのときの体の状態なり、そういうものに非常に大きく依存するという性格を持ったものです。これが東京に、いま言ったような勢いでどっとふえてくれば、これは事故というものは防ぎ得ないということになるし、同時に、もう一つの数字をあげますと、こういうふうにも言われております。
#308
○委員長(堀本宜実君) 春日君……。
#309
○春日正一君 じゃ、簡単に結論を言いますわ。非常に不経済なんですね。電車で物を運ぶのと自動車で運ぶのでは、何十倍も電車のほうが能率がいいというふうに言われております。そういう経済的な効果、交通の安全あるいは都市の全体の調和ということを考えてみても、将来日本の都市の交通ということを考える場合には、やはり安全で便利で経済的で、だれでもいつでも乗れるような地下鉄であるとか、電車であるとか、バス、あるいは同じ自動車でもタクシーというような公共的な交通体系というものを十分整備して、その網の目をこまかくしていく。そういうことによって国民全体が十分に交通を利用できるような、そういう体制をつくっていくという方向に向かっていくことが必要だろうし、それをやるとすれば、いまの状態をこのまま進めておったら、アメリカのように、もう引っ返しがっかぬところへいってしまうだろう。これをやるなら、一日も早くやらなきゃならぬ、私どもそう思います。その点は、政府としても、日本の将来、国民に残す問題ですから、真剣に検討していただきたい。その点で大臣の所感を一言お聞きしまして、この質問を終わらしていただきます。
#310
○国務大臣(橋本登美三郎君) 原則として、春日さんの御意見のとおりであります。ただ、交通事故が東京とか大阪に多いというのじゃありませんよ。これは、記録でもってお調べになればわかりますが、大東京の人口のいわゆる割合と地方の県の割合を比べますれば、人口割合の交通事故というものは東京のほうが少ないんです。これは間違ってもらっては困るのです。ですからして、死者の数で計算しますというと、大体東京と地方の県では二分の一以下です。ものによっては、ある県に対しては四分の一以下。であるから、東京が人口が多いから、自動車が多いから、交通事故は多いんだということの間違いは御訂正を願いたい。
 しかし、それはどういうことかといえば、これはほかに理由があります。これは、交通事故を起こすような早いスピードが出ないということなんですね。そこで、現在、御承知のように、高速道路を利用する以外は、普通の自動車で参りますというと、かえって電車よりもおそい。でありますから、運輸省がとっておりまするいわゆる大都市圏の交通政策は、本年度の予算でも、春日さんも御承知のとおりに、何といってもこれは地下鉄がそれにかわらなければいかぬ、こういうことで、本年度大蔵大臣に強く要請をいたしまして、地下鉄のいわゆる建設費の必要部分の二分の一は国がこれを助成する、補助金を出す、こういう制度によって一応確立をした。あるいはまた、新幹線問題にいたしましても、この新幹線も将来は全国開発のために考えるのでありまするが、同時に、この新幹線の一部を、中距離のいわゆる交通圏に通勤用に使わざるを得ない、また使うべきである、かように新幹線の問題も考えております。あるいは、大手等の私鉄、これに対しましても、これは運輸省からして強く要請いたしまして、そこで五カ年計画でもって、都内の乗り入れ、あるいは増強等を行なっております。同時にまた、御承知のように、国鉄常磐線の複々線、これもいわゆる大東京に通勤のための複々線であります。あるいはこちらの総武線といいますか、千葉方面の複々線工事も進みつつあります。したがって、政府としては、いま春日さんがおっしゃるような方向といいますか、それにわれわれは輪をかけてやっているつもりであります。積極的に東京の交通緩和のために努力をしておるということを御理解願いたいと思います。
#311
○委員長(堀本宜実君) 以上で春日君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#312
○委員長(堀本宜実君) 次に、青島幸男君の質疑を行ないます。青島君。
#313
○青島幸男君 私は、郵政省につきましては電波行政に関して、通産、文部両省につきましては映画に関して、それから法制局につきましては、これらの問題にからめまして、法的な立場からの御意見を、それぞれお伺いしたいと思うのであります。
 まず最初に、CATV、有線放送に関する行政指導の問題について、郵政大臣に少しお伺いいたします。
 まず、有線放送につきましては、一地区一公益法人が望ましいと、そういう考え方で「東京ケーブルビジョン」が発足いたしました。ところが、ごく最近、山梨地区で「日本ネットワーク・サービス」というのが誕生したそうでございます。これは、先ほど申しました政府の趣旨とは、はなはだ違うように私は思っております。これは営利を目的とする株式会社でありまして、難視聴を救済するのが目的ではなくて、他地域のテレビ番組を聴取するため、つまり区域外通信のためのCATVである。といいますと、先ほど来の一地区一公益法人が望ましいという行政指導の方針とは、はなはだしく反するのではないかという気がいたしますので、この点をまず大臣からお伺いいたします。
#314
○国務大臣(井出一太郎君) 東京その他の大都市におきましては、公益法人をつくりまして、一元的にこれを取り扱わせるということは、青島さん御承知のとおりであります。これがたてまえというか、原則というか、省の方針でございまするが、山梨県でいま御指摘のような施設ができましたことも事実であります。で、いまの電波法の関係から申しますと、これを拒否するわけにはいきません。そこで、放送秩序その他の関係からCATVに関する法案も用意をいたしまして、そうして体系的な秩序立てをいたそうと思っておるわけでございますが、これが今国会についに間に合わなくて、いずれ、さらに十分な準備、手だてを講じまして、次の国会にはこの成立をはかる。これが成立いたしました際には、その法体系のもとに一つの秩序が生まれると、このように御了解をいただきたいのであります。
#315
○青島幸男君 法律ができましてから、それに従って行政をされるということはけっこうなんですけれども、それにしてはちょっとおかしいことがございまして長野県の細野地区での「細野有線テレビ」というのが――先日来私委員会でも問題にいたしましたが、ここが、従来届け出制で、いま大臣がおっしゃられましたけれども、届け出制であるので、届け出をして放送を始めようと思った。ところが、間もなく規制する法案ができるであろうから、これを受理することはできないということを言われ、なおかつ長期にわたって折衝をしまして、その末、いつ廃業すべきかという時期まで指定された念書をとられたということでございます。そうしますと、小さなCATV局は、このような不当な、というか、「日本ネットワーク・サービス」のような大資本があって、大きな政治的な力を持ったところはいいけれども、小さい局はこのような、それと差別された扱いを受けるというようなことが、もしあると、行政指導の立場からもたいへん間違いなんじゃないかと思うので、この点について、山梨の「日本ネットワーク・サービス」からも同様に念書をおとりになったかどうかというようなことについてお尋ねしたい。
#316
○国務大臣(井出一太郎君) ただいまお触れになった長野県の例は、たしかスキー場でございましょうか、ごく三、四十軒くらいを対象にいたします自主的なもののように聞いております。いま御指摘のように、法律ができるであろうという前段階として行政指導でこれを扱ったはずでございますが。これは季節的なものでもあったようでありますし、ただいま事実行なわれておりますかどうか、その辺、私さだかに承知をしておらぬのでありますが、しかしまあ放送秩序というふうなことから申しますれば、いずれこれらもそういった実例があるんでありますから、大きいから取り上げる、小さいからネグレクトするということなしに、これはやっぱり頭の中に入れて新しい法律の実現を期したいと、こう考えております。
#317
○青島幸男君 これは前郵政大臣からの引き継ぎみたいなことになるわけですけれども、最初前河本郵政大臣は大都市のCATVは公益法人でやる。地方都市でもきちんとしたところでは株式会社でやってもかまわないという御意見が初め出まして、三月二十五日の逓信委員会では――六九年ですけれども、営利を目的としないものならいいんじゃないかという話に変わりまして、それからさしあたり大都市、将来は県庁所在地まで広げていきたい。一地区一公益法人でやるというたてまえがだんだんと変わってまいりました。ついには日本ネットワークサービスの誕生をみるに至ったわけですけれども、そのときそのときでこういうふうに意見が首尾一貫しないということは、一つの例ではないかと思いますけれども、前大臣からの引き継ぎの上におきましても、こういう事態についてはどういうふうにお考えになりていらっしゃいますか。
#318
○国務大臣(井出一太郎君) なかなか郵政の仕事は広範にわたるものですから、ただいまのような点まで実はまあ私明確には引き継いでおらぬのでありますが、しかしまあそういう方向で前大臣がおやりになっておるとすれば、そこが朝令暮改になったのじゃこれはいけませんから、いずれにもせよ、まだほんの芽が出たという状態でありますから、先ほど申しましたようなきちんとした法体系ができまする暁においては、そういうものをも考慮に入れながら、決してそれをないがしろにせずに、全体的な秩序づけをいたしたいと、かように思います。
#319
○青島幸男君 東京地方におきましては、東京ケーブルビジョンができました。これは公益法人でありまして、当初郵政省でいっていたのと全く合っておるわけですけれども、これは難視聴を解消するためという一つの目的と、それから自主放送を行なうというもう一つの目的、この二つの目的が設立目的の中にうたわれているわけですけれども、難視聴解消はもともと放送法のたてまえからこれはNHKが担当すべきものであって、自主放送が主たる目的となるのは、どうしても営利事業になるおそれが十分にあるという気がするのです。これは十二チャンネルの例を見ても明らかですけれども、いまや十二チャンネルは営利企業と全く同じやり方をしておりますし、ああいう事態にならざるを得ない。そうして見てまいりますと、CATVの持つ利益を将来この東京ケーブルビジョンがひとりで独占していくであろう。またこれが営利企業としたかっこうをとらないという保障は何もないと思うんですけれども、この辺についての見解を承りたい。
#320
○国務大臣(井出一太郎君) 東京ケーブルビジョンは、御案内のように高層建築等による人為的原因に基づく受信障害と、こういうことをまあ救済するために再送信業務を行なうことを当面の目標として発足をいたしております。さらにまあ、これからの社会的発展に応じては自主放送を行なうとか、いろんな利用についての問題が生じてくるだろうと思うんでございます。ただいま、こういった障害に対しましてはNHKが当然やるべきだという御指摘でありますが、これはまあその高層建築物という人為的な障害によってでございまして、出間僻地の難視聴地域の解消とはまあ少し性質が異なるのではないか、かように思うのでありまして、NHKにそれをすべて義務づけるということは、少し酷ではないかという感じがいたします。そこでこの東京ケーブルビジョンは、NHKをはじめといたしまして、民放の関係でございますとか、新聞協会、銀行協会、電力会社といったようなもろもろのメンバーを構成員とする財団法人をつくりまして、これに当たっておるということでございますから、当面はこういう形が一番妥当ではないかと、こうわれわれは心得ておるのであります。それで営利事業としてこれをやるということが、まああるいは将来いろいろな問題でまた私は出てくると思います、非常にこれは流動的でありますから。このCATVの法案を再吟味しようという考え方に立ちましたゆえんのものも、やはりもう少し諸条件が出そろうのを待つという自重論みたいな立場もあるわけでありますから、少しそれには、かすに時日をもってしていただきたい。かようなつもりでおりまして、当面はNHKだけの責任というわけに私はいくまいかということで、かような措置をとっておるような次第であります。
#321
○青島幸男君 当面、難視聴地域の解消というのはよくわかるのです。しかし、一本のケーブルが難視聴地域を解消するということと、新たな情報機関として大きな可能性を同時に持つということが問題です。ですからこれを一緒くたにして、一つの東京ケーブルビジョンなるものの中に含めて取り扱わせるのは危険だということを私は申し上げておるわけでございます。ですから、この一本のケーブルから生ずるあらゆる権利を見越しているからこそ、新聞協会だの銀行協会だのが参与していると思う。ですから自主放送というような問題が将来起こってきたときには、当初難視聴地域解消の目的で引かれたケーブルであっても、それはファクシミルであるとか、あるいはあらゆるデータ通信の道具として使えるわけですから、その辺の権利を一括してこの東京ケーブルビジョンが持つ。しかもこの東京ケーブルビジョンは三人しかいない常任理事の中に郵政省の方――参事官が入っているわけですね。ということは、私としてはどうしても、これは郵政省の出先機関というようなかっこうとしか理解できないのです。そうなりますと、強大な権力を持つ監督官庁である郵政省が参加して、これに参与するということは、すなわち情報の一元化とか、あるいは言論、情報の統制化というようなものにつながってこやしないかという懸念を非常に持つわけでございます。ですから、あの日本ネットワークサービスが初めの郵政省の立場と違ってできたのを私は怒っているわけじゃないのです。こういうかっこうの私的な企業が多くできてくることのほうを私はむしろ望ましいと思っているのです。情報が一元化してしまうということのほうが、むしろたいへん民主主義にももとる重大な問題で、たとえばこの間の、日航機の乗っ取り事件がございましたけれども、その際に対空砲火があったとかなかったとか、対空砲火があった、あるいは追撃されたというような情報しかありません。これは即、戦争にまでつながるような世論を巻き起こす可能性もあるわけです。多くの情報を同様に亨受するという自由があればこそ、民主主義は発展を遂げるのだと私は思いますので、そういう意味合いもかねまして、この放送法というものをとらえていただきたいという要望を私は持っておるのですけれども、その辺について一言だけお返事をいただきたいと思います。
#322
○国務大臣(井出一太郎君) ただいま東京ケーブルビョンはまさにスタートせんとしておるのですが、やはりこれは再送信に当面限定をしてやっていくということであり、これがことの性質上、どうしても地域独占のような形にこれがなるのはやむを得ない点、青島さんもおわかりのことと思うのでございます。まあ自主放送という場合にはケーブルを別に引いてということにもなるのでありましょうし、あるいはこれは同軸ケーブルでありますから、それを活用するという道もあろうかと思うのであります。したがいまして、いまこの法案を練り直しておる段階の一つの大きなテーマとして、御指摘のような問題が浮び上がっておると、こういうことを私は申し上げるわけであります。それから郵政省出身の者が役員として入っておるという御指摘、これは何も決して天降りというようなものではなく、ごくこういった新しい分野の仕事でございますから、まあどちらかといえば、そういう意味における学識経験者が一枚くらい加わるというような気持ちであるという点を、御了解をちょうだいしたいと存じます。
#323
○青島幸男君 私も時間がございませんし、大臣もお忙しいでしょうから、あと一つだけお尋ねしますけれども、甲府につくられました日本ネットワークサービスのようなものは、例外的なもので、ほかの地域には認められないという御方針が、あるいはほかの場所でもちゃんとしたものであれば、営利企業であっても認めていこうというお考えがあるか、その点だけをお伺いいたします。
#324
○国務大臣(井出一太郎君) 現行法制のもとにおいては、たてまえ論としてこれを拒否するわけにはいかないようであります。ただキー局の同意を得なければいけないというようなこともあるようでありまして、そういう条件が完備すれば、これは免許をするというのが、ただいまの甲府の例に徴しても言えるであろうと、こう思います。
#325
○青島幸男君 ただいままでで郵政省に対する質問は終わります。
 続きまして、通産省にお伺いしたいのですけれども、この席でもたいへん問題になっております映画の問題ですけれども、この十年間で映画館の現に言われておりますが、映画産業はほんとうに斜陽の道をたどっておるとお考えになりますかどうですか、その点を初めにお伺いいたします。
#326
○国務大臣(宮澤喜一君) 映画館のまず数でございますけれども、一九五八年――昭和三十三年でございますが七千六十七館、一九六九年には三千六百二館。入場人員、昭和三十三年の十一億二千七百四十五万人、一九六九年の二億八千七百万人だそうでございます。まあやっぱりこれで衰退をたどっているかどうかということは、よく私もわかりませんが、まあ隆々としているという感じではございませんですね、どうも。
#327
○青島幸男君 いまいろいろ数字をおあげになりましたけれども、確かに斜陽なのは日本の映画五社の観客動員数が減ったというだけでございまして、動員数は確かに十年間で約三分の一になりましたが、しかし洋画の上映館はふえておりますし、その他、文化映画、記録映画、それからテレビ映画を別にしましても、映画産業自体は、私はむしろ隆盛をたどっているのではないかという感じさえしております。もし斜陽であるとすれば、それは日本の映画五社の成績がよくないというだけだと思うのですけれども、日本の映画五社の業績が上がらないという原因がどの辺にあると、お考えになっていらっしゃいますか。
#328
○国務大臣(宮澤喜一君) どうもあまり存じませんので、御教示願いたいと存じます。
#329
○青島幸男君 それが実はたいへん困った問題でございまして、テレビその他のレジャー産業がたいへんに発達してきたからだめなんだとか、そういう説もたくさんございますけれども、アメリカ映画などはすでに蘇生をしたということさえ言われておりまして、日本映画の五社の営業成績がふるわないのは、実は、ブロック・ブッキングと申しますか、いままで映画産業がたいへん有利であった時代に、配給の系統化と独占化をはかったということが実はガンになっておると私は考えます。ですから、よきにつけあしきにつけ、とにかく配給網に乗せるだけの数の映画をそろえなければならない。ですからどうしてもそこに質的な低下を見るというのも当然だというような気がするのです。で、輸出映画振興協会というのをつくって、日本映画を助成する、あるいはもう一度隆盛に持ち直させてやろうじゃないかと、てこ入れをするために融資のほうで都合つけているということですけれども、何で日本映画の五社の業績がふるわないかということを考えなくては手だてがつかないと思うのです。病気の原因がわからないのに、やたらにいろいろ当たらない手だてをするということは、むしろ病状を悪化させることでしかないと思うのです。胃が悪くてしょうがないのに水虫の薬を飲んだって別にこれどうなるものでもないですから。そういうことから日本映画産業を振興させるためにそういうものができたということは、たいへん実は疑問に思っておるわけです、私は。最近の日本映画が芸術性よりもむしろ興業成績を目的として、いたずらに低劣なものに流れがちであるというのがたいへん批判の的になっておりますけれども、そういう根本問題に触れないで、金の面だけで援助をすれば、それが日本映画の振興に役立つというふうに考えて金の面だけ援助するということこそ、実は日本映画産業を一番だめにしているのではないかという気がするのですけれども、その点はどういうふうにお考えになりますか。
#330
○国務大臣(宮澤喜一君) まあおそらくそういう映画産業を振興させようという目的で始められた制度であろうと思いますけれども、結果として、はたしてどうであったのか。実ははなはだ恐縮なことでございますけれども、一部に報道されるまでこの制度のこと私詳しく存じませんでしたので、どうでございますか、まあ輸出ということにどの程度役立っておりましたのか、ちょっと私もよく研究してみたいと思っております。
#331
○青島幸男君 実はこの映画輸出振興協会ができましてから、実績はあがっておらないのです。映画の輸出の実績をあげて海外に日本の文化の事情を知らしむる、あるいは国際親善に役立てるという、りっぱなたてまえはあるのです。しかし内容は実に伴っておらない。大臣のそういうお考えでは、少なくとも国民の血税を担保として映画会社に金融のめんどうを見てやるということは、国民ひとしくこれは納得いかない問題だと思います。それもまあいいですし、ほかの委員会におきましても、先日の三木委員からの質問にもこまかい数字をあげていろいろ質問ございましたけれども、同協会に対して融資申請に盛り込まれました金額は――映画をつくる場合には直接費と間接費と両方あると思うのですけれども――直接費だけを内容としておるのか、間接費をも含めてその対象にしておるのか、その辺をまずお伺いしたい。
#332
○国務大臣(宮澤喜一君) 両方含んでおるそうでございます。
#333
○青島幸男君 両方となりますと、またこれはたいへんにずさんな話だと私は思うのです。それはそうでしょう。一億六千万円なんという気の遠くなるような映画の予算というのは、私は聞いたこともございませんし、直接費と申しますのは、フィルム代であるとか俳優費であるとか、その映画をつくるためにだけ使用された機材の償却料とかその他でございますけれども、間接費というのは、大は社員の給与からあるいは地代家賃、小は撮映所の守衛さんのお茶代まで含まれておるわけでございまして、これを、もし一緒くたに融資申請の内容として計算なさっておられますと、これは振興協会の方針とは全く関係ない、振興協会の方針にのっとった映画をつくってもつくらなくても、その種の金はかかるわけですから、年間五十二本映画をつくりますと、そういう費用は五十二で割りまして一本、ずつの映画の間接費として計算されてくるわけでして、ですから振興協会がタッチしない、全く関与しない部分の金までも振興協会が援助しておるということになりますと、どうしても映画五社の赤字補てんのために運用しているんだとしか言いようがないんですけれども、これは政府委員の方からでもけっこうでございますけれども、この点について、はっきりしたお答えをいただきたいと思います。
#334
○国務大臣(宮澤喜一君) 言いわけを申すつもりではございませんけれども、血税と言われましたので……。これはまあ実際問題としては興業銀行、長期信用銀行から御承知のように融資をしておるわけで、それが回転をしておるわけでございますので、その点はお含みをいただきたいと思います。それで、融資対象作品はよいスタッフを使い、手を抜かないで製作するので、どうしても製作費が高くなるというふうに書いてございますのですが、その前に、結果としては怪獣もの、アクションものになるとも書いてございますから、そういうものを非常に手を抜かないでつくると金がかかるということかと思いますが、私も実は恐縮ですが、この制度のことをしっかり存じませんでしたので、来年度の予算編成の際には再検討をさしていただきたいと実は考えております。
#335
○青島幸男君 そうすると、大臣この辺のことをよく御存じないということなんで、目が通らなかったと思うんですけれども、こういうずさんなことでは、少なくとも国会という権威ある場所の予算という意味から考えますと、私もまだ議員になって一年ですけれども、とても国民の一人として信頼できないという憤りを禁じ得ないです、これは。ほんとうに日本の映画産業を育成し、先進諸外国の水準を凌駕するような作品をつくるような映画業界にしたいというふうに思うんでしたら、その辺のところをよく御配慮をいただきまして、ただ自転車操業をしているところへ非生産的なお金を都合している、めんどうを見ているというようなことでは、むしろ日本映画を毒するものでしかなくて、ときには断食療法も必要だと思うんです。ですから映画五社が一回解体しても、私は日本映画を愛する立場からすると、一向にかまわないという気がするんです。いまATG、アート・シアター・ギルドというのがございますけれども、ここでは、営利目的の会社ではございますけれども、一応あんまり観客も動員しないし利益もそれほど見込めないという写真でも、外国のいい写真をたくさん入れたり、あるいは日本からもいい写真と思われるものを外国へ輸出したりということにたいへん心がけておるところでございますが、これが民間の企業がやっていることで、一方ではくだらない映画ばかりつくっている会社の赤字補てんのために間接費までめんどうを見ているということは、とても納得できないということなんで、その辺をお含みおきの上、今後の予算編成の際には、大臣もそうおっしゃられましたから、再検討をひとつお願いしたいと思います。通産大臣への質問はこれで終わります。
 さて、映画の話が続きましたので、著作権法に触れるんですけれども、この著作権法につきましても同様の、何と申しますか、企業保護的なニュアンスを感ずるわけでございまして、この第二十九条というのにうたってある内容は、映画の著作権のすべてが製作者、つまり企業に帰属するというかっこうになっているわけで、いままで関係各委員会でもさまざまなことが論じられてまいりまして、私も拝見しましたけれども、要するに、映像をつくる段階においては大ぜいの人間がいろいろ参与するから、これの権利がだれにあるかさだかでないということは、利用する側には非常にめんどうだから、だからこれは企業側、製作者側に著作権があるようにしようじゃないかというように受けとめたのですけれども、それでよろしゅうございますか。
#336
○国務大臣(坂田道太君) 現行法には映画の製作者や著作権の帰属につきまして明確な規定がございませんが、今回提出をしておりまする著作権法案におきましては、映画の著作権はプロデューサー、監督、カメラマン、技術監督等であると定めるとともに、これらの著作者に無断で映画の題名や内容を変更することなどを禁ずるために、映画の製作者に著作者人格権を保証をいたしますとともに、他方、今度は映画の配給、上映、放送などの権利は、映画製作者、すなわち映画会社やプロダクションに帰属をさせる措置をとっておるわけであります。映画製作者に帰属します著作権というのは、この放送権のような経済的利用権をいうのでございまして、無断カット等を禁止して創作者としての立場を守る著作者人格権は明確に監督等に認められておることに御留意を願いたいと思うのでございます。
 また法案にありますように、映画の著作権を映画の製作について発意と責任を有する映画製作者に集中させるということは、ベルヌ条約やあるいは各国の立法例におきましても広く見られる原則でございます。アメリカ、イギリス、イタリア、オーストリアなどにおきましては、映画製作者を著作権者であると法律上定めてあります。またフランス、西ドイツなどでは、著作権は著作者から映画製作者に譲渡されたものと推定する規定を設けておるわけでございます。こういうわけでございまして、映画という著作物の性質や映画製作者の寄与の大きいこと、あるいは映画の利用の容易化などを考えますときには妥当の措置であると考えたわけでございます。
 なお、法案の規定は、映画の利用につきまして映画の著作者と映画製作者とが契約することを妨げるものでないことはもとよりでございます。たとえば映画監督が映画の海外配給あるいはテレビ放映等につきまして条件をつけるということも、契約によって可能なことにいたしておる次第でございます。
#337
○青島幸男君 条文を見ましても著作物とか、著作者とか、映画製作者というものは明確に規定してあるんですけれども、監督という面の規定がないんですよね。ということは、映画をつくるのは監督で、監督の力が最も大きいというふうに私は感じているわけなんですけれども、それは私自身がまず申し上げますと、監督協会に所属しておるというたてまえから我田引水になるというふうに感じられては、たいへん迷惑なんですけれども、確かにそういう立場におりますものですから、事情にはわりあい通じておると思います。ですから、いままで委員会とか参考人などの御意見ではポジティブな面ばかりが論じられておりましたけれども、あえて私はネガティブな面にも言及したいんですけれども、確かに非常に創作意欲があって、その人の個性、ユニークな個性と思想が明らかにその映画の価値の上で支配的なものであるということもございます。それは参考人等が皆さんよくおっしゃいましたけれども、ところがそうでない監督もいるんですね、事実。この監督には著作権がやれないよと。たとえば初めっからやる気がなくて会社から命令されたものをそのまま絵にしている、本に書いてあるものをそのまま絵にしていて、しかもカメラマンからの指示を仰いで、とり方をきめているような人もいます。そういう人に著作権を与えてくれとは言いたくないです、私も。しかし映画をつくるという上に大きな思想上の表現の内容を持っている人、たとえば――そういうなまはんかな人が多いから、だからまぎらわしいからというので――黒沢明からも著作権を剥奪するということがあったら、これはたいへんな間違いになると思うんです。ですから、監督にも悪い部分もあるけれども、その部分を大きく解釈して、偉大なる芸術家から著作権を奪ってしまうというのは、今後輩出するであろうと思われる意欲と才能に恵まれた若手の監督さんたちなんかにたいへん悪い刺激を与えることになって、映画監督なんていうのはばかばかしくてできないというかっこうになりますと、先ほど来通産相にも申し上げておりますけれども、ほんとうに日本映画を振興したり、あるいはそういう意欲と才能を持った人を保護するというたてまえの著作権法が、ともすれば企業側の利益だけを守るようなかっこうになってしまう。そうすると、企業を守っていけばいいんだという考え方が、実は企業自体を一番だめにしてしまうというふうに結びつくことになる。あるいはそういう個々の契約の上にしか監督の権利が認められてないというようなことになりますと、創作の自由というものも剥奪することになる。憲法上の問題にも触れるんじゃないかという気さえするんです。
 もう一つ話を変えてお伺いすれば、監督には著作権は認められていないようですけれども、監督が撮影用のコンテを印刷して出版した場合は、この著作権はだれにあるとお考えですか。
#338
○国務大臣(坂田道太君) 後段の問題につきましては、文化庁の次長から御説明を申し上げたいと思いますが、映画の制作といいますか場合におきまして、これはなかなかむずかしいと思うんでございます。確かにその映画監督が支配的な創作の力というものが及んでおるということは、いろいろ認められると思います。しかし、一つの映画をつくる場合には、まずやはり制作者というものもございましょうし、その意図というものもございましょう。それからまた、原作者というものもございましょう。それからシナリオといいますか脚本といいますか、そういうものの創作というものもございましょう。それからまた、監督がいろいろ監督の一つの創作活動あるいは芸術的な意図というものもございましょう。いざこれを制作する段階になりますと、今度はカメラマンというものも、これだって自分のやはり創作というものに対する何といいますか非常な主張、また主張がなければできないものではなかろうかと思いますし、あるいは美術、構成というような問題、あるいは音楽というような問題、そういうあらゆる創作主体があって、それがうまく結合して一つのりっぱな映画というものができるという場合に、ただ監督さんだけにその権利が及ぶというふうに考えられなくなってきたんじゃなかろうか、というふうに私どもは思うわけでございまして、先ほど先生が御指摘になりましたように、いかにも何か制作者それ自体に著作権を与えましたことが、企業利益だけを考えているということではないんであって、いまの映画制作というものの実態を踏まえた場合においては、やはりそのいろいろの方々のその創作あるいは芸術的意図というものの集合したものということで制作が行なわれ、芸術作品ができるということを考えた場合、その中の一つだけにウエートを置くというわけにはいかぬのじゃないかということ、したがって、この場合においては制作者ということでございますが、しかしながらまた同時に、その人々のその創作という点に留意するならば、その人格権というものは当然認めなければならない。あるいはまた、契約によってはそれが監督に帰属するというような契約によって、その創作というものの支配関係というものも規定できるということになっておると思うのでございます。
#339
○政府委員(安達健二君) 先ほど映画のコンテを別に印刷して出した場合において、その著作権はどうだと、こういうお尋ねがございました。これにつきましては、映画のシナリオと同じようなことだと思いますけれども、映画は御承知のように、映像と音の連続でございまして、それとコンテとは全く別なものでございます。したがいまして、そのコンテの著作権と申しますか、それは一応原則として監督が持つと思うのでございますけれども、ただ当該映画に利用するという関係においては、その著作権、その監督が作ったコンテを使って映画をつくる、その限りにおいては映画の監督がその映画の制作に参加することを約束した場合におきましては、そういうものも一応映画に利用する限りにおいては主張できないのじゃないか。ただしそれを印刷して発行するということになれば、それは一応この映画監督のものだ、こういうことになろうかと思います。
#340
○青島幸男君 コンテというのは実は目的ではございませんで、その内容を映像化するための手だてがコンテでございます。その内容を映像化するためのコンテを、とにかく字にしたら著作権があって、その作業が実は映画をつくる監督の能力なんですけれども、このコンテを実際に映像にまとめていくという技術は認められないで、字にしたコンテだけは著作権が認められるというふうに解釈すると、とてもおかしいと思うのですけれども、それはどうですか。
#341
○政府委員(安達健二君) 映画そのものの著作者がだれであるかということにつきましては、法案では第十六条におきまして映画の著作物の著作者は原作者を除きまして、小説とか音楽とかそういうものの原作を除きまして、制作、プロジュサーあるいは監督それから演出、それから撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とするということで、監督ではなくてそういう監督を含めましたこのプロジューサー、それから撮影、カメラマン、美術監督等含めましたそういうものが共同して著作者になる、こういうことでございまして、そうしてその著作者は先ほど大臣からお話ございましたように、人格権というものはこれらの著作者が持つ、経済的利用権としての著作権は映画会社に帰属する、こういうようにしておるわけでございます。
#342
○青島幸男君 実は経済的利用権が一番重要な部分になるわけでございますけれども、それが監督にないということは、つまり字にして印刷したものは著作権は認められるけれども、それを絵にしていく過程の能力というものは認めないというような感じがするのですけれども、これはどうも日本は古来よりアイデアに対する支払いというか価値というものの見方が非常に低いように思うのです。字にして書いてあると、これは何だか価値があるように思うのですけれども、それを映像化していくというような、実はそのほうがむずかしいケースだって多いのですけれども、そっちのほうに権利を認めないというのが、そういう映像文化と活字文化との断絶みたいなものから、そういう相互の理解し得ない何かが存在するのじゃないかという気がするのですがね。実際コンテは、それはただ手だてでしかなくて一つ一つの絵にして積み重ねていくというのが、実は監督の最も重要な作業の一つなんですけれども、そういう考え方は矛盾していると思いませんか。
#343
○政府委員(安達健二君) まず一般的に著作権法では、いわゆのアイデアを保護するという立場ではございませんので、著作物を無断で複製する、そういうことを禁ずるというのが主体でございまして、たとえば薬のつくり方を書いた本を出すと、その本を複製するのは著作権侵害であるけれども、その書いた本によって薬を他の人がつくることまで禁ずる権利ではない。それはまた工業所有権その他によってカバーされる権利である。したがってアイデアに対する直接の保護というものではない、ということを御了承を願いたいと思うわけでございます。
 それからコンテと映画の関係でございますが、もちろんこのコンテというものが映画の製作に必要なことはよくわかるわけでございますが、コンテだけでは、これはまた映画にならないわけでございまして、それにカメラマンあり、美術監督あり、プロデューサーありいたしまして、そして俳優等が出演することによってそこに初めて映像というもので別個な新しい著作物が創造されると思うのでございまして、したがいまして、コンテの著作権があるから当然映画の著作権もまたそれにイコールでなければならないということにはならないのではないだろうか。映画の著作物自体のものは、これはやはりその映画を直接にリアライゼーションした、創造した人たちの共同の著作物であると、かように観念すべきものと考える次第でございます。
#344
○青島幸男君 それは監督にとっては映画を製作して発表するということは、作家が本を出版するということと全く同じことなんですけれどもね。それはいいとしまして、先ほど大臣は、映画を製作するには多くの人間が関与しなければならない、その関与のしかたが、だれが一番その映画の製作に寄与したかという寄与の度合いをはかることはたいへんむずかしいし、だから監督、照明、撮影という人々の寄与の程度がはかれないからたいへん繁雑な作業になるであろうし、これはとうていはかれるべきものではないから、だれか一人に権利を認めるということはできにくいんだというお話をなさいましたけれども、そうなると、製作者と監督と原作者というものがいたとしますと、そのだれが一番その映画の中で寄与しているかという度合いもはかるのはむずかしいと思うのです。だから、監督のみを優先して権利を認めることはできないんだったら、何で製作者も同じように、これはだれがどの程度寄与しているか、その場合はわからないから認めることはできないというたてまえでこの法についてお考えになれないのかという、私に言わせると、だれが一番寄与したかわからないんだったならば、そこはばく然としておいてもいいんじゃないか、とにかくそこは話し合いとかあるいは個々のケースで契約してやれるように、そういう余地を法律の上で残しておいたほうがいいんじゃないかという気がしますけれども、その点はいかがでしょうか。
#345
○国務大臣(坂田道太君) 御指摘がございました、たとえば文学作品というようなものと、これと同じだというふうなお考えは、どうもそうではないんじゃないかというふうに思うのでございます。それは文学作品の場合は、その人みずからがその文学作品を書くことによってその著作物というものができるわけでございますけれども、しかし映画の場合は、やはり先ほど申しましたようないろいろの方々の創作ということが集まって一つの作品というものができ上がる、こう見なければならないと思うのです。
 それから、いま御指摘の点については、そういう考え方も私はないわけではないと思います。しかしながら、いろいろこれは考えました末、また利害関係者の方々ともお話し合いをしました結果、結局落ちつくところがこういう形に落ちついたということでございますし、それから先ほど御説明申し上げましたように、単に日本だけの映画製作の土壌においてそのようなかってなことがきめられたということではなくて、その他の国々においても集中的に製作者に帰属させるということもあるわけでございますから、そういうことでひとつ御了承をいただきたい、かように思う次第でございます。
#346
○青島幸男君 では、そういうだれに権利があるかということをもう少し法律的に詰めたいと思うのですけれども、この法案の中では、少なくとも監督が権利を確立してそれが保護されるという意味合いのことは見当たらないのですけれども、少なくとも義務だけはたいへん明らかになっておるというのが実情だと思うのです。と申しますのは、監督の芸術的な発露がたまたま時代の倫理観と相反してこれがわいせつ物であるというような疑いを受けまして刑法上の罪を負わされる、あるいは疑いを持たれて起訴されるというようなことがあるとすれば、それはもっぱら監督なんですね。ですから、この法案で示されておるところの著作権の所有者であるところの映画会社の代表者が起訴されるというケースは私、見たことないのです。そうなりますと、監督というのは義務と責任だけはあるけれども、権利からは等閑に付されておる、一方映画会社のほうは経済的な利益だけを、権利だけを有していて、それで、その義務と責任は負わなくてよいというようなことになりますと、これは憲法十四条、法の前には何人も平等であるというようなたてまえからたいへんに問題を残すことになりはしないかと思うのですけれども、この辺については法制局はどのようにお考えになりますか。
#347
○政府委員(荒井勇君) ただいま映画の製作物についてわいせつ罪であるというようなことに該当する場合に監督だけが責任を追及されるのじゃないかというお尋ねがございましたけれども、それは映画の製作についてその創意と責任を有するということがこの著作権法上の映画製作者でございまして、これは現実にも、刑法犯であるといって責任を追及される場合に、映画の製作会社というものもその責任者でございますけれども、これも同様にあるわけでございまして、監督だけが責任を追及されるということではないというふうに考えられます。
#348
○青島幸男君 私、そういう例を知らないのですけれどもね。たとえば、具体的な例をあげるならば、武智鉄二という監督がいますけれども、その人の場合なども、刑事上の罪で追及されたのは武智さんとそれからその配給した会社の配給部長であるというふうに伺っておりますが。
#349
○政府委員(荒井勇君) 武智監督の場合の例をあげられましたけれども、あの場合には、武智プロダクションといいますか、というものが製作者であり、ですから、その意味で武智さんは監督であると同時に製作者であるという、たまたまそれが一致したということであると思います。
#350
○青島幸男君 これはもともと、出版の問題にしてもそうですけれども、出版社の場合は、これもたしかサドの作品か何かだったと思うのですけれども、それの訳をした人がやっぱりそういう刑事上の疑いをもたれまして、追及された際には、その訳者とそれからそれを出版した出版社の責任者も同時に追及されております。でも映画の場合は、これの配給者というのが実は最大の権利の所有者ということになりますわね、この著作権法でも。最大の利益を享受する人間が何の責任もなくて、実際につくって、しかも利益を享受するたてまえにはなっていない監督が責任を追及されるというのはどうしても納得いかないという気がするのですが、その辺どうお考えになっておりますか。
#351
○政府委員(安達健二君) 映画の監督等の著作者は、先ほども申し上げましたように新法案におきましては著作者人格権を持つということで、その人格権の中で一番大事な権利が同一性保持権、その著作物の同一性を保持する、したがって、その監督等の意に反して変更、切除、その他の改変を受けないという権利を認めておるわけでございまして、したがいまして、そういうものをカットするとかいうようなことについては必ずその監督の許諾を得なければならないと、こういうようにもなっておるわけでございます。あるいは劇場用映画として作製したものをテレビで放映いたします場合には二時間半のものを一時間二十分というように縮めなければならない、再編集をしなければならないわけで、そういう場合には必ず監督の許諾のもとにそういうことが行なわれなければならないというようなことにいたしておるわけでございまして、監督はその著作物、映画の内容について責任を負う、権利を有すると同時に責任を負うと、こういう関係になっておるわけでございます。
 それから映画の著作権の関係におきましては、経済的利用権としての著作権を映画製作者に帰属するというたてまえをとっておるわけでございますが、これは映画の製作、創作にはいろんな人が関与しておる、どの人にその権利を所属させるかということにつきまして、映画製作者というのは映画をつくることについて発意と責任を有するわけでございまして、したがいまして、いろんな参加者が、監督にしろ、カメラマンにしろ、あるいはその他の俳優等にしろ、映画製作者との間に契約を結んで経済的利益を確保することができるわけでございまして、そういう人に権利を集中させておいて、契約上においてそういう映画監督、その他の映画の参加者の利益を確保するという面からは、やはり映画製作者に著作権を帰属させておくことは最も映画の参加者の利益を守るゆえんであるだろう、それからまた映画を利用する場合におきまして、海外等でこれを要求した場合に、映画製作者との話がつけばこれが使えるというようにすることが同時に映画の利用をも促進するという面からいたしまして、映画製作者に経済的利用権としての著作権を与える、こういうのが最も適切であろう、こういうことでございます。
#352
○青島幸男君 個々の契約で経済的に保証するんだから、いわば、その映画をつくるたびに監督は雇われるのだし、そのために金をもらうのだからそれでいいじゃないかというようなことになりますと、あとあと残っていく作品について非常に監督の芸術家としての意欲をそぐのではないかという気がします。たとえば、雑誌に作家が小説を書く場合に、この小説は原稿料をこの雑誌に限って払うのだから、あとこれをまとめて出版するときにはもういいことにしょうよというのと同じような考え方をもって見なきゃならないと思うのです。これからますますビデオカセットなどというような部門においてその映画の製作に寄与した人たちの意欲というものが保護されていってしかるべきである。そういう方向をとらないと、これからいろいろ出てくる新しい分野における、そういう映像文化の中における製作者たちの権利の保護というものをもっと広範囲に末長い目で考えていかないと誤ることが多いのじゃないか、あるいは新しい意欲をそぐのではないか。だからこそ、だれに帰属するかわからない、だれが一番寄与度が高いからというのが判然としないから監督にはやらないのだ、そういう意味合いだったら、発意と責任を持つ製作者にも同様に考えてしかるべきで、そこは空白に残しておくのがいいというのは私の考え方なんですけれども、そういうふうなかっこうの法文というものは従来ない、あるいは適当でないとお考えになりますか。
#353
○政府委員(安達健二君) 現行法におきましては、映画を製作したる者は著作者とみなすというようなことで、だれが映画の著作者であるか、著作権者であるかがあいまいになっておるわけでございまして、そういうようなことでなしに、映画の著作者はだれであるか、著作権はだれに帰属するかというようなことを明確にして、その明確になった法体系のもとにおいて、契約等によって、それぞれの人の権利なり経済的利益が確保されるようにすることが好ましい、こういう考え方に立っておるわけでございます。諸外国におきましても、戦後できました各国の立法例を見ましても、あるいはベルヌ条約等におきましても、映画の規定におきまして、映画製作者に言及していない規定はないわけでございまして、先ほど大臣からお話がございましたように、アメリカ、イギリスなどは、映画の著作権は映画製作者であるとしておるわけでございます。あるいはイタリアとかオーストリア等は映画の著作者は監督等であるけれども、著作権は映画製作者に帰属すると書いておるわけでございます。あるいは西ドイツとかフランスなどでは、映画の著作者は監督等であるけれども、著作権は映画製作者に帰属したものと推定する、こういうようにいずれも映画の利用権については、映画の経済的利用権である著作権については映画製作者に帰属させるか、集中させる方法をとっておるわけでございまして、わが国において新しく著作権法をつくるならば、映画に関する各国の立法例等から見まして、当然映画の著作者はだれであるか、著作権はだれに帰属するかということを明確にするほうが、今後の進展する社会に対応できるものと考える次第でございます。
#354
○青島幸男君 もう時間がございませんし、この問題はここで論議してもしかたがありません。すでに衆議院は通過したそうですから、まあこのあと、またまた文教委員会等におきまして、より詳細に検討されることになると思うのですけれども、私の本日質問いたしました趣旨なども十分おくみ取りいただきまして、慎重に御配慮いただきたいということをお願いいたします。
 それから先ほどの日本映画輸出振興会のあり方にいたしましても、今回の著作権法のあり方にいたしましても、どうも権利を持っている者、市民という弱い立場の側を保護するというたてまえに欠けているように感じてしょうがないし、一般にもそういわれております。ですから、個人の権利というものが認められてこそ初めて民主主義というものは確立するわけでございますから、その辺のところも十分御配慮いただきまして、思いやりのある法案を作成してくださいますように心からお願いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
#355
○委員長(堀本宜実君) 青島君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして一般質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。一般質疑は終了したものと認めます。
    ―――――――――――――
#356
○委員長(堀本宜実君) 次に、昨日、委員長に御一任を願いました分科担当委員の選任は、お手元に配付をいたしました刷りもののとおり決定いたしましたので、御了承を願いたいと存じます。
 明後日、十三日から三日間は各分科会で御審議を願うことといたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後四時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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