くにさくロゴ
1970/04/16 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 建設委員会 第12号
姉妹サイト
 
1970/04/16 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 建設委員会 第12号

#1
第063回国会 建設委員会 第12号
昭和四十五年四月十六日(木曜日)
   午後零時二十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大和 与一君
    理 事
                上田  稔君
                大森 久司君
                奥村 悦造君
                松本 英一君
    委 員
                斎藤  昇君
                高橋文五郎君
                塚田十一郎君
                中津井 真君
                林田悠紀夫君
                柳田桃太郎君
                米田 正文君
                田中  一君
                二宮 文造君
                宮崎 正義君
                春日 正一君
   国務大臣
       建 設 大 臣  根本龍太郎君
   政府委員
       建設大臣官房長  志村 清一君
       建設省都市局長  竹内 藤男君
       建設省道路局長  蓑輪健二郎君
       建設省住宅局長  大津留 温君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島  博君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大和与一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 前回に引き続き、建築基準法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○田中一君 もうそろそろ総括的な、質問をしなければならないのですが、こまかい問題がいろいろ残っているのです。この法律の中にもいろいろ法律用語であろうけれども、今日の社会において不的確な用語がたくさんあるわけです。
 これはひとつ最初に伺っておきますが、待合という商売は現在ありますか。これは私は知らぬけれども、根本さん、あなたよく御存じでしょう。待合というものは何ですか。
#4
○国務大臣(根本龍太郎君) 正確なことは知りませんけれども、法律用語はどういうことか知らぬけれども、現実に通用して、待合ということばがまだ使われているところを見ると、やはり待合というものは存在をしておると見るのが至当じゃないですか。
#5
○田中一君 私は待合というものは、私たちは年とっているからわかるけれども、どんなものだか、あれだろうということで、いまの建築基準法によって活動したり何かしている若い人たちは、待合というものは社会に存在しないものだ。だからこれはわからぬと思います、存在しないのだから。そういうものはないのです。そういう用語を、こうしてわれわれの地域社会で一番利害に緊密な法律というものが、死文化して、死んでいるところの社会のある一つの断面を「待合」といものであらわしても、これはわからないでしょう。しいて言えばここにある「舞踏場」これはダンスホールでしょう。ダンスホール専用の施設、社会にはこれがないのです。
 それからそこに「観覧場」というのがある。観覧場というものも、観覧場という用語も、的確にこの施設だというものが私どもにはわからない。私がわからないくらいですから、いまの若い人たちはわからないのです。聞くところによると、この用語の問題については相当法制局あたりでも何とかしなければならぬという意見があったそうにあとで聞きましたけれども、こうした不的確な用語が続々出てくるようでは、これは困るのです。だれのために法律があるのか、法律のために法律があるのじゃございません。われわれの社会の中に、これは強要、強制される面がたくさんある。だからそういう不的確な、わからない、理解できないような用語を用いることはどうかと思うのですが、この点は、いまここに出ておって、一々こんなものを修正するとか何とか言っては時間を食うばかりですから、あなたとしては、政府として、この法律を提案した提案者としては、こういう問題をどう処置するか。これはまだ単にこれだけではございませんで、風俗営業とか何とかという法律には、こういうたくさん死文化、――全然死んでしまっている、存在しない対象というものを書き並べておるわけで、そういう点についての今後の問題は、国務大臣としてどうお考えですか。
#6
○国務大臣(根本龍太郎君) 御指摘のように、法律はなるべく一般の人々に理解しやすい表現をするということも必要であり、同時にまた正確であるということも必要だと思います。ただその際にあたって、あるいはいままでの立法例がそうしたことでずっときているものですから、それをそのまま継承したというだけでありまして、まあ一般、一億数千万いる国民の中では、全然現在使っていることばではわからないこともあるかもわからないし、現実にこれはなかなかむずかしいと思います。しかし、御趣旨のことは非常に重要な点でありまするので、今後、立法するにあたって、いかなる用語が正確かつ普遍性があるかということについては、十分配慮するようにつとめたいと思います。
#7
○田中一君 もう一つの問題は、せんだっても大臣に質問しておいたのですが、基準法、これによるところの条例、この条例における地方差というものは一応認めるという前提に立って、あまりにも条例にも盛り込めないところの内規が多いのです。これは行政指導によって、それぞれこの運用についてはこうだああだということは、おそらく本省、建設省から出ているでしょうけれども、それをなおかつ――条例できめるならまだはっきりします、そうでない、内規として、これを持って、申請に行くと、いやこれはこうだ、これはこうなっています、本法はこうなっている、いや本法はそうなっても、自分のほうはこうなんだ、こういうような内規がしばしば全国的にあるわけです。したがって、この内規というものを廃止する。もしもこれを用いるならば、条例なら条例に盛り込む。そうして、どうしても内規というものが必要ならば、これは公表するという措置を強硬にとっていただきたい。これはそういう公開するかどうかの問題について伺いたい。それを行政指導としてどこまでそれをするかという点について伺います。
#8
○国務大臣(根本龍太郎君) これは御承知のように、内規というものは行政運営上の一つの訓示規定というか、あるいは指導規定のようなものでございますから、御指摘のようにそれの受けとめ方が、一般のその法律の適用を受ける人とそれからこれを運用する人の間に対立的な関係があることは、これはあるべきではないと思います。したがって、公開する必要あるものはどんどん公開いたしまして、こういうような法の運営のやり方をいたしますということを、出先において徹底するようにつとめるべきであると思います。
#9
○田中一君 公開することができないという問題はございますか。私はそういうものはないと思うのです。
#10
○国務大臣(根本龍太郎君) 事務当局から御答弁させます。
#11
○政府委員(大津留温君) おっしゃるように、法律の解釈の基準としてそれぞれ内規を持っておるわけでございますが、これはできるだけ一般の方に周知をはかりまして、確認の申請をしたときに初めて違っていたというようなことのないようにいたしたいと思います。むしろ私のほうからも、建築士会等を通じまして、そういう特定行政庁の扱いが区々になっているようなことがあるかないか、積極的に意見をちょうだいいたしまして、もしそういう点があれば統一するように指導いたします。
#12
○田中一君 それから改造工事の、建築物の改造の場合には、これはむろん確認申請をするでしょう、増築その他については。しかし最近の例として、新しい有害な材料等を用いる場合には、おおむね中の模様がえ、いわゆる改装をするわけです。今度の法律によって有害な材料については用途の指定をしております。制限をしております。これは非常に前進であっていいと思うけれども、たとえば食堂の模様がえをするとかあるいは舞台装置を変えるとかという場合に、禁止をされているような材料を使わないとも限らないわけです。むろん火災等の防止のために消防庁がそれらの建物なり施設の中に立ち入って検査をする、周期的に検査をしておりますが、建築上の立場からこれを見るわけじゃないんです。そうすると、そうしたものの中に立ち入るという権限がどういう条文であるかということが一つと、それからそうした材料を一週間に一ぺんなりあるいは月に一ぺんなり、改装する場合に有害な材料等の間違って使用している個所を発見するようなことができるかどうか。こういう点についていままでの旅館、ホテル等の大きな災害から見て、その点をひとつ的確に答弁していただきたいと思います。
#13
○政府委員(大津留温君) 現行法十二条の四項によって立ち入り検査ができます。また三項によりまして定期検査をして、その結果を報告を求めるということもできます。で、特に御指摘のように旅館とかホテルのような一般の公衆に危害の及ぶおそれのある建築物につきましては、消防当局と協力いたしまして、特定行政庁から合同で査察をするということを毎年やらしております。
#14
○田中一君 特定行政庁にそこまでの人間が配置される、これは建築監視員じゃないわけですし、もっと高度の技術を持った者が行かなければ、経験がある者が行かなければなかなか発見できないわけなんです。そういう人間も必ず配置させるということですか、そういうような指導をするということですか。
#15
○政府委員(大津留温君) 全国的に建築監視員を中心に千五百名程度の人員の増強を計画しておりますので、そういう熟練した者を中心として現場査察を励行させたい、こういう考えでございます。
#16
○田中一君 地区指定が、地区別が八つにふえた。そうすると、この八つの地域における――ことに住居地域が主でありますけれども、日照の時間というものは、東京ならば容積、地方なら何時間か日照をまあまあ受けるということに基準を置いておるのか、それ聞いておきます。それはおのおの地区によって違うと思いますから、それを明らかにしてお答えいただきたい。
#17
○政府委員(大津留温君) 住宅地におきましては原則として冬至のときにおいて日照四時間を確保するというのを最低に考えております。しかし、この既成市街地の内部に建ちます場合におきましては、それほど日照が確保できないという場合もございますので、最低は一時間これを確保したい。冬至に四時間日照が確保されますと、春分、秋分のときにおきましてはこれが八時間になりますし、また夏至のときにおきましてはこれが十時間になります。それからいまの最低一時間の場合は、春分、秋分のときにおいて約七時間、夏至のときに九時間になります。
#18
○田中一君 今度制定される各用途地区、専用地区等の中に建造物を制限されるもの、許されるものというのが明らかになっておりますが、たとえば、第二種住居専用地域内においては水泳場をつくってはいけないとなっております。もう一つ、これらの指定地区に対する施設、都市公園等が強制される形で織り込むことが都市公園法の精神からは正しいと思うのですけれども、これは都市局長と双方から答弁していただきたいと思います。相当の規模のところに公園もないというような地域が相当あると思うのです。その場合には公園等を、都市公園法でははっきりと何キロ内にどのくらいのものをということの基準を示しておりますけれども、この点は逆にかりに民営でも何でも水泳場のようなものは置かなければならぬのじゃないか、置くべきではないかというようにも考えられるのですが、その点についての答弁をひとつお願いします。
#19
○政府委員(大津留温君) 第一種、第二種住居地域におきましては水泳場は禁止されることになっておりますが、たとえば学校の施設のプールあるいは共同住宅の施設のプール、こういうふうにある施設に付属する水泳場は、これは禁止の対象になりません。またおっしゃるように、公園等を設けてそこにプールを設置するというような場合には、法律に例外規定がございますので、建築審査会の同意を得て特別にそれを許可するということによって設置することができます。
#20
○田中一君 それから工場専用地域それから準工業地域等に病院などは当然あっていいと思うのです。なぜ病院を建ててはいけないというのか、むろん大きな工場等があるところはこれはそれぞれ中に診療所なり病院を持っている工場が多いと思うのですが、そうでない工場もあるわけです。それらのものだって必ずそういうところには一カ所あたり診療所はむろんのこと、病院等があっていいのではないかと思うのですが、これを削除した、制限した理由をちょっと伺いたいと思います。
#21
○政府委員(大津留温君) 建築基準法上の病院といいますのは、医療法に基づきまして、ベッド数が二十以上を持った病院をさしております。したがいまして、そういう入院患者を大ぜいかかえた病院というのは工場、工業専用地域には不適当であろう。で、そういうベッドを持たない診療に当たる診療所は、そういうところでも設けることができます。
#22
○田中一君 いまは、いまの病院の完全な施設というものは、太陽光線も要らなければ換気も要らない、自分で調弁できるというようなものが開発されております。したがってそういうものがあって悪いという理由にならぬと思うのですが、その点どうです。
#23
○政府委員(大津留温君) 工場に付設された診療所はもちろんでございますし、法律上診療所も設置が認められます。ただ二十ベッド以上の入院患者を収容する病院、これはやはり病人の看護上、環境として適当でないというので認めていないと、こういうわけでございます。
#24
○田中一君 さっき竹内都市局長、住居地域内に、都市公園の関係なんです。これは必ず一ヵ所ぐらいの公園はつくるというようなことが、その地域における制限、許されるもの許されないものというものはありますから、むろん各市なり県なりがその意欲を持てばできるわけなんですけれども、もう住居地域なんぞには建築物における駐車場と同じように、必ずしなきゃならないというようにできないもんですか。
#25
○政府委員(竹内藤男君) 先生おっしゃるように、一つの近隣住区と申しますか、人口一万人の地区の中には公園がなきゃならないということは、先生おっしゃるとおりでございます。都市計画法におきましても、市街化区域を設定したところでは、必ず都市公園の計画決定をしろということを言っております。さらに都市公園をどういうふうに配置するかということにつきましては、大体私どもの考えでは一万人の近隣住区に児童公園四カ所、それから近隣公園、これは大体運動公園になる場合が多いと思いますが、そういうものを一カ所必ず設けるように計画決定をするように指導いたしております。残念ながら事業費のほうが伴わないので、実際問題としては一部しかできておりませんけれども、私どもとしましてはそういう目標を立て、そして実施でそれを実現していくことに努力してまいりたいと思います。
#26
○田中一君 いまの点について建設大臣、事業費が伴わぬから、なかなかそう思ってもできないんだと、しかしそれじゃ困るのでね。ひとつ建設大臣、今後の方針として、事業費たくさん出してもらうということが地域住民の願望なわけですから、その点答弁しておいてください。
#27
○国務大臣(根本龍太郎君) 御趣旨に沿って努力いたしたいと思います。
#28
○田中一君 住居地域における駐車場の問題なんですがね。駐車場はいけない、こうなっている。しかしいま住居地域ではそれぞれ車を持っている人が多いわけです。ところが、自分のうちに車庫をつくろうと思っても、なかなかつくるようなうちがないという場合には、やはりその住居地域に駐車場持っちゃならないという規定がございますが、かえってつくったほうがいいんだというような考え方も出るわけなんです。路上駐車するとかいうことによって受ける被害のほうが多いわけです。それならばそういう施設を必ずつくってもよろしいということぐらいは、指導しなきゃならぬと思う。ただ、地域の指定という都市計画法の指定でありますから、建築基準法とは直接何にも関係がありません。ありませんが、その地域において路上駐車が三十台も四十台もあるというのは、各公団等にも見られるとおりであります。それならば積極的にそういうものがあってもいいということになろうかと思うんですが、その点は住宅局長に聞いてもしようがないから、建設大臣に答弁していただきたいと思うんです。
#29
○政府委員(大津留温君) 今日のモータリゼーションの時代でございますから、住居地域におきましても車庫が必要だ、ごもっともでございます。そこで、住宅に付属した車庫、これは現在でも御承知のように、三百平方メートルまでは認めております。したがって、三百平方メートルというと大体二十台の収容能力がございますので、普通のアパートでも大体足りるかと思いますけれども、だんだんマンションが大型化するという傾向も見られますので、政令で定めております三百平米というのは、これは十分検討して広げたいと思っております。また独立した車庫は、五十平米までは認められますので、これが約三台の収容能力になります。これらのことで、大体住居地域の車庫としては一応足りるんじゃなかろうか。なおそれに加えまして、公共の駐車場は都市計画としてきめられれば、住居地域といえども設置することが可能でございますから、たとえば公園の地区等を利用して、そういった公共の駐車場を設けるということが適当かと思います。
#30
○田中一君 駐車場の問題は、たとえば戸山が原を見ても、あそこには駐車場はつくらない、都が建設して、駐車場的経営をしようとする車庫ができております。したがって団地の計画の中においても、駐車場は考慮されておらないのです。だから路上駐車が相当ある。そのためにいわゆる交通事故が相当多いわけですね。逆につくったっていいでしょう。ことに第一種住宅地区、住居地区など、積極的にそういうものが施設としてあったほうがいいのじゃないか、それが公共の施設としてなかなかできないならば、民間のそういう施設として営業したって一向差しつかえないと思う。そういう点はどうです。これは都市局のほうがそういうことを担当していると思うので、逆に大きな団地等には車庫を必ずつくってやる、これは決してぜいたくなものじゃないのです。勤労者がいま自動車を使うのが多いのです。
#31
○政府委員(大津留温君) 団地を建設する場合には、住宅公団等におきましても、その居住者のための車庫、駐車場、これを大体計画いたしまして設置するようにしております。
 それから、おっしゃるように、住居地域で、そういった五十平米をこえて、営業車庫として設ける必要がある、周囲の事情等からそれが許されるというような場合は、例外許可の規定によりまして、建築審査会の審査を経て認めるということもできますので、その運用で実態に合ったような運用をしたいと考えております。
#32
○田中一君 次に、建設大臣の所管の中に、屋外広告物の法律があるのですが、この第一種、第二種の住居地域に対する屋外広告物などの制限というものを考えたらどうか。これも建築基準法上の問題じゃなくて、都市計画上の問題でありますが、たとえばもう非常に色彩のあざやかなネオン等、夜間、夜通しやられるような場合が往々あります。ところが最近の住宅はかってのように雨戸を締めない、ガラスにカーテンという住居が多くなっています。この光でたまらないのです、眠れない場合もある。したがってそういう地区の都市美という観点から、ある一定の制限というものを持たれたらどうか。これは各都市が条例でつくることも可能でありますし、全体の静ひつな住居地域というものを形成されるには、そこまでの配慮がなくちゃならぬのじゃないか。その点についてこれは都市局の所管だったかな……。
#33
○政府委員(竹内藤男君) 先生御承知のように屋外広告物法では、規制は条例にまかしております。ただ指導といたしまして、モデル条例というのをつくりまして、そうして指導いたしておるわけでございます。そのモデル条例におきましては、住居専用地区においては屋外広告物の禁止をするようにというような指導をいたしております。極力この線でやっておりますけれども、一部の府県におきましてまだそこまで、禁止ということを条例に書いてないという状況がございますので、これにつきましては、さらに指導してまいりたいと思います。
 それから住居地域の中で特にネオンの規制につきましては、先生おっしゃるとおりでございます。東京あたりではこれは一切認めておりませんけれども、他の県におきまして、先ほどのことと関連いたしましてまだ認めておるところもございまするので、これはおっしゃるとおりのことだと思いますので、極力指導してまいりたいと思っております。
#34
○田中一君 全面的な容積地区に指定をしたらどうですか。そこでこれから大型建築物をつくろうという場合に、これはたくさん出るから、めんどうだから、一ぺん一網かけておけばいいだろうという考え方に立っているのです。そうした特別な建造物をつくるということは、特定街区の申請で可能なわけなんです。したがって今後大阪あるいは名古屋等大都市にも容積地区の指定ということを行なおうとするのかどうか。もし指定するならいつごろからそういうふうなことができるかということを伺っておきたいと思います。
#35
○政府委員(大津留温君) 田中先生御承知のように、容積制を原則にしたということは、この都市計画のいろいろな街路その他の都市施設と、建築物並びにそれを利用する人とのバランスをより一そうはかるというために、容積制というものを全面的にこれを採用したわけでございます。しかしながらなおこの特定街区の制度も、これもなかなか現実に即した、より一そうこまかな計画を規定するものでございますから、いろいろ大規模な建築物というようなものを計画する場合には、今後とも特定街区の制度を十分活用してまいりたいと思います。それからこの容積制を全面的に採用することになりますけれども、この法律が施行になりましてから三年以内に都市計画でそれぞれ指定する、こういうことにしておりますので、もうすでに各都市とも準備も始めておるところもございますから、その間に大体指定が終わるというふうに考えております。
#36
○田中一君 最後に、この市街化の都市計画法の線引きの問題です。作業はどのくらい進んで、非常にこまかい問題もあろうと思うけれども、いつごろまでにどうわれわれの目の前に示されるか、その見通しを大体聞いておきたいと思います。説明してください。
#37
○政府委員(竹内藤男君) いまのところ八百八市町村を線引きするわけでございます。県で申し上げますと二十府県が公聴会を終わっております、案を示して。そのうち二県はすでに認可をいたしまして、四月から効力が発する。福井都市圏と山形都市圏でございます。それから残っております府県につきましても、現在作業をいたしておりまして、大部分のものは四月くらいに公聴会手続に入ると思います。若干おくれている県もございますが、私どもといたしましては、都市計画を施行いたしましたのが去年の六月でございますので、六月くらいまでに決定に持ち込みたいということで府県を督励いたしておりますけれども、若干それよりおくれる県が出てくるかもしれないというので、その点の促進に力を入れておる状況でございます。
#38
○宮崎正義君 私は前回質問いたしましたことについてだめ押しのような形で、時間がございませんから、申し上げたいと思います。特に私の質問の半ばに大臣が欠席をなさいましたので、その間の中に大臣に聞いていていただけなかった、その点につきまして伺っておきたいと思います。
 今回の改正で、第一種第二種の住居専用地域について新たに北側斜線の制限を設けましたけれども、これで日照権の確保ができるかどうかという、こういう点でございますが、この程度のことでは私は日照権の問題は解決できない、ここにも相当問題点が残っていくのじゃないか。そして第一種住居専用地域については五メートル、または第二種住居専用地域では十メートルの控除高を設けている。これは五メートルまたは十メートルと限定をしていくということにも、ここに問題点が私はあろうと思うのです。したがいましてそれらについての理由と、そしてまた勾配を一・二五対一にしたという、こんな勾配ではやはり十分な日照を確保するということもむずかしいのじゃないか。また住居地域についても当然北側斜線制限を課していかなければならない、この課さなかった理由ということも、私ははっきりしていただきたい。まずこのことについて局長のほうから、また大臣のほうから御答弁を願いたいと思います。
#39
○国務大臣(根本龍太郎君) 後ほど具体的なことについては局長から答弁いたさせまするが、御承知のようにこの日照権というものが問題になったのは、過密化で非常に密集地帯でしかもどんどんビルが建ってきたというようなことが大きな原因だと思いますが、かつてはわれわれの子供のころは日照権なんかだれも問題にしなかった。それだけやはり土地の高度利用ということと、人間生活のために必要な太陽、このバランスの問題のためにここにやはり何かの妥協点を見出さなければならないというところに、この立法のむずかしさがあると思います。そこでまあ一応の北側斜線という手法を一つとったということと、それからもう一つは、これに対する保護のために立法でこれをやることが非常にむずかしいために、これ裁判の判例を積み重ねてやる以外にないというようなことで、御指摘のように日照権そのものからすれば非常に不満足な形になっておるわけでございます。漸次これは今後の法律運営それから事例の積み重ねの結果、だんだん修正あるいは改善しなければならぬと思います。
#40
○政府委員(大津留温君) 第一種住居専用地域として、この低層の住宅地域を良好な環境で守る、こういう趣旨でございますので、まあ二階を建てるときは大体その北側の境界線から一メートルこれは離していただく、これが三階建てになりますと四メートルばかり離していただくということによりまして、北側の隣地に建築される方の日照がある程度確保されるという、ただいま大臣が申しました趣旨をできるだけ生かすということでそういう基準を求めたものでございます。またこの一分の一・二五という角度も、そういうことであまりこれが値が低くなりますと、南側に建築する人が非常にきつい制限を受けることになります。これまたこれが角度があまり高くなりますと、北側の保護に欠けるというので、その中庸をとったという考えでございます。第二種住居専用地域の十メートルにつきましても、大体中高層地区でございますから、四階建てくらいのものは境界線から一メートルかそこら離していただく、それ以上のものになりますとだんだん北側に距離をあけてもらうという考えで設けたものでございます。なおこれは全国的に一応その最低の基準として設けたのでございまして、やはり地区地区によってはそれらの基準規制では足りない、もっと規制を強める必要があるのじゃないかという場所も出てこようかと思います。したがって現行制度の高度地区の制度を活用することによりまして、高さの十メートルをさらに低く押えるとか、いまの北側斜線の距離をさらに押えるということもできます。またさらに居住者の方々がみんな申し合わせて、その一帯をもっといい環境にしようじゃないかということで、建築協定という制度もございますから、そこでお互いに北側の境界線からはどのくらい離そう、あるいは高さはどの程度にしようということを皆さんが合意されまして、これを特定行政庁に届け出て、その承認を得られますならば、これはたとえ権利者が変わっても制限を受ける。こういうことで日照の問題は処理したいと考えます。
#41
○宮崎正義君 心配されることは先日の図示説明もありましたんですが、隣地にぴったりくっつけられていいということになるわけです。先日の説明も非常に不十分な点がありましたし、線の引き方もちょっと足りない点もあったししますので、私はいま再確認の意味で言っているわけです。いまその申し合わせ、建築協定というような建て主の人たちがやるということは、これは事実上ほんとうに私は困難じゃないかとも思うんです。したがいまして、特定行政庁の指導監督というほうも、この法の解釈の運営というものをいま局長が言われたような、法の運営ということを十分に監督指導しなきゃいかぬ、こう思うわけであります。したがいまして、先ほど大臣の御答弁もありましたように、判例で積み重ねていくという、日照権の問題を判例で積み重ねていきながら解決かしていきたいというような御答弁のように伺ったわけですが、御存じのように、超高層ビルという時代に入っておりまして、その足元には一階か二、階建ての低層住宅の棟があるわけです。今日の時点において、そういうふうに低層住宅がある中に中高層ビルが建っていくということになりますと、当然これは日当たりが悪くなって、からだが弱くなって病気になっていく、そういう国民大衆が非常に多くなってきている。もうこの前の私の質問でも、この訴訟問題は大正十五年来からこの問題が起きているという。これに対する賠償は何かというと、ほとんど金銭である。私は金銭だけでかえられない問題が多くあるということを申し上げておきたいんです。ということは病気は解決されないんだということ。それとまた、建物は撤去されないんだということ。ですから、だれかがまたそこに買って移っていこうとしても、この問題が裁判によって賠償、金銭によって解決できるものでないものが永久に残っていくんだという、この点は私はじっと見つめていかなきゃならないと思うんです。こういう社会現象の生活の中をしっかり直視しながら、申し上げたいことは、新都市計画と建築基準法とは大臣もおっしゃったように両輪であるのだ。そういう点から七〇年を迎えて社会情勢も建築様式も非常に流動し、また新しい新工法も施工されてくることになる。たとえてみれば、無窓建築というものも随所にできてきている。特定の建築物だけであるかといえばそうじゃない。普通の事務系統で使われるビルの中でも無窓建築というものができてきているという。そういう新しい工法によっていく時代の行き方、この時代を踏んまえての将来のこういう日照権の問題、あるいは通風権の問題も大きく今度は取り上げてくる時代が、当然いま現実に起きているわけです。そういう将来を考え合わしてみて、通風権の問題、日照権の問題、これらは積み重ねた事例によってじゃなくて、当然その前にお互いがどういうふうにしていくかということを話し合う。それをやはり行政の面からもはっきりしていくべきじゃないか、こういうふうに考えるわけです。この点について御答弁を願いたいと思います。
#42
○国務大臣(根本龍太郎君) 一つの概念規定としては私もそう思いますが、しかし現実にはそれを一々法律で規制するには非常に大きな矛盾にぶつかってくるわけです。一方においては都市化が急激に進んでいる、土地が高い、それをいかに高度利用するかということでございます。そのために都市計画法では専用地区を分けましてやはりビジネスセンターのようなところには原則として住居は置かないという計画的な流動化が必要だと思います。そうした人たちには、いましかしながら金がないし移られないのだというところにも問題が出てくるから、そういうところはやはり都市計画において再開発のときは公共的な援助を与えて、その人たちが適当なる住宅専用区なりに移れるような措置、これは金融上の問題もありましょう、いろいろあると思いますが、そうした配慮をして解決いたしませんと、片方のほうで都市機能をちゃんと持ったところのビジネスセンターをつくれという、片方はたまたまそこに住宅地があったということで、そこに非常に矛盾が起きまするので、やはりこれは都市開発とその住居者との利害の調整が必要になってくると思います。ただこれを法律で指定して、こういう建物をつくるときには隣りの日照権をかくかくの条件で保障すべしということは、必ずしも私はできません。それは現在立法がむずかしいので、結果は裁判に基づく一つの事例がこれを示しておりますから、そうした積み重ねと両々相まってやらなければいかぬじゃないというふうに考えておる次第でございます。
#43
○宮崎正義君 時間がありませんので、この問題はもっとずっと煮詰めていきたいと思っておりますが、次の問題に入っていきたいと思います。建築基準法の第六条のその中にこれは「建築物の建築等に関する申請及び確認」ということなんですが、項目に入る前に「防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内のものについては、この限りでない。」前回も私はこのことを申し上げておきましたのですが、この法律の精神というものは、このくらいはせめてやらしてあげたいというふうな考え方から出ているのじゃないかと思いますが、これがまた大きな解釈の誤まりをして建蔽率の違反建築物が随所にでき上がってきている。また準防火地域においても、こういうふうな状態がずいぶん積み重ねられてきているというところから考えまして、私はこの申請確認というものはすべてに行なわしてやるべきじゃないか。そうすれば大工さんの建築やっている、木をきざんでいる音、それらを規制、ああこの家はいまあれをやっているのだなあということが監視員のほうの側でもわかるし、近隣のほうでもそういうことがわかると思うのです。それからまたさらには建築物に確認書の掲示をやります。あの掲示板につきましても、現在の様式だけでは私は不備だと思うのです。あれをもう少し構造内容等も記入すべきじゃないか、そうして明らかに工事に従事する者の範囲等も明確にしておけば問題点はなくなってくると思いますし、特に外壁だとか、この建物は何階にするのだということが加えられて明示されていけば、先ほど言いましたように近所の人もああ何が建建っんだな、こういうふうなことになるんだなということがわかりますし、また監視員制度がせっかくできましても、監視員の人もそれらを明示しておけば、それ以外のことが起こっておるとすれば、近隣の人もこれは違うじゃないか、違反建築じゃないかということも見きわめができるんじゃないか、そういう観点の上からも私は必要だと思います。よく現場のへいのあたりに、きれいな絵が、立体図の図面ができて、こういう建物ができますとへいに書いてある、ああいうところまでいく必要はないと思いますけれども、ある程度の構造内容というものを明確にして、確認申請書の掲示板に私は書くべきだと、こう思うわけですが、この点についてどうお考えになっているか。
#44
○政府委員(大津留温君) 確認を受けた場合には、その確認を受けた内容を表示することになっておりますが、その表示すべき事項の項目につきましては、まあ法律並びに省令で様式をきめております。したがって現在はいまおっしゃったように何階建てだとか、広さがどうだということは表示の内容になっておりません。しかしただいま御指摘のように、そういう建築物の概要を示すことが適当かと思いますので、省令をそういう方向に改正すべく至急検討してみたいと思います。
 なお十平方メートルの増築の問題につきましても、確かにおっしゃるような点もございますので、今後十分研究いたしまして次のしかるべき機会にはその結論に従って取り扱いたい、こういうふうに考えます。
#45
○二宮文造君 さきに当委員会でも私質問をしたわけですが、補足の意味で要望を兼ねて三点ほどお伺いしたいと思うわけでございます。と申しますのは、いわゆる質問権の問題でございますが、第十二条第四項の質問権で、この前にお伺いしたときには無用のトラブルは避けたいと、また違反建築を識別する、あるいはそういうための質問権をもっと明確に運用できるようにしたらどうかという意味の質問をいたしました。また衆議院で修正された部分が一部削除されている。したがって、そのために混乱が起きるのではないかという心配に立って質問をしたわけであります。御承知のように、この建築基準法の第二条の用語の定義のところでは第十八号でしたか、「工事施工者」という定義が設けられております。ところが、この十二条の四項には「工事の施工者」と、同じようなことであるのか、あるいは工事の施工者となりますと、前に設けられましたような定義における工事施工者の場合よりも、もう一つ範囲が広がるのか。要するに削除された部分の工事の従事人ということを除いて、この場合の「工事の施工者」をどう判断をすればいいのか。その範囲を明確にしていただきたいというのが第一点。それからさらにその法律の運用にあたりまして、出先あるいは関係方面にその範囲を明確に周知徹底をしていただきたいというのが第二点、これは要望になります。第三点は、さりとて現場には単純な作業のための労務者もいるわけであります。その方々に余分な迷惑をかけるということはまことに気の毒だといわなければなりませんし、そこで建築監視員などが質問権を行使する場合に、そういうことも考慮して、無用のトラブルが起こらないように的確に指導していただきたいこと。この二点、三点については大臣からお伺いしたい、第一点の範囲については住宅局長から答弁を求めたい、このように思います。
#46
○政府委員(大津留温君) 質問権の対象となる工事の施工者の範囲は、元請負人、下請負人及びこれらの者の権限または責任を分担している現場監督等を含むものでございます。
#47
○国務大臣(根本龍太郎君) いまお示しになりました点は、十分運用にあたって注意をするように指導いたしたいと思います。
#48
○委員長(大和与一君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#49
○委員長(大和与一君) 速記を始めて。
 他に御発言がなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○委員長(大和与一君) 御異議ないと認め、これにて質疑は終局いたしました。
 それではこれより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#51
○春日正一君 私は、日本共産党を代表して、建築基準法の一部を改正する法律案に反対の討論を行ないます。
 この法案は住居専用地域におけるボーリング場、トルコぶろの排除など用途地域の純化、建蔽率の若干の緩和、有毒ガス発生建材の規制、避難用昇降機の設置など、防災対策の強化など一定の積極的な側面を持っています。しかし同時に、都市の中高層化を促進しながら、それに伴って激しくなる関係住民の生活環境の破壊については、現行規定のまま放置するなど都市住民の生活を守る上で、どうしてもわが党の反対せざるを得ない内容を含んでおります。
 その第一は高さ制限の廃止、容積制度の全面的な適用など、都市の既成市街地内の中高層化を促進しながら、その周辺の低層住宅に住む関係住民の日照、通風の確保、風害対策など生活環境を維持するための必要な規定に欠けています。これは高層ビル、マンションなどの建築によって、一方的に住民へ被害を与えている現状を放置するにとどまらず、逆にこれを合理化し、一そう都市住民の生活環境の悪化を導くことにならざるを得ません。この点についてわが党は日照、通風の権利など都市住民の生活環境を維持するために守らなければならない権利を条文の中に明記すること。
 二、高層建築物に、この権利を守る上で必要な最低限度の規制を加えること。
 三、特定行政庁は高層建築物、大工場等の建築の確認にあたっては関係住民の発言権を認め、また、建築行為者に関係住民との協議を義務づけること。
 四、権利の侵害にあたっては補償の義務を明記すること、などを主張します。
 第二は、取り締まり問題についてであります。もともと違反建築は住宅難、地価の高騰に起因するものであり、佐藤内閣の高度成長政策によって一そうの人口の都市集中を進められながら、住宅は個人まかせとする住宅政策のもとでその原因が拡大再生産されつつあることは明白であります。こうした状況のもとにおける取り締まりには多くの矛盾と一定の限界があります。現在既成市街地内には現行の建築基準法が制定される以前にすでに建てられ、その適用を受けていない多数の住宅があります。これらの住宅の改築にあたっては法の適用を受けることになっており、これを厳格に適用すれば私道基準、建蔽率制限などによって従前の建築面積より著しく小さくなり、実際上改築が不可能となる場合も少なくありません。また、都市周辺部の新市街地においても、家族構成の変化に伴って増改築を必要とする住民もまた多数います。しかも、このような生活上やむを得ない理由によるものが違反建築の大きな部分を占めていることも周知のことでありまして、これを厳格に取り締まれば、一方で住宅難を一そう深刻化することは必至であります。にもかかわらず、本改正案は悪質な違反と同一な扱い、一律に取り締まりを強化することにしております。
 わが党は、こうした一律の取り締まりを改め、生活上やむを得ない必要に基づいて行なう増改築については、それが道路上に建築されるなど著しく近隣住民に迷惑を及ぼすものでない限り、取り締まりは緩和すべきであると考えます。また、改築にあたって移転を希望する者については、公営住宅への入居など代替措置をとることによって、ざる法といわれてきた建築基準法の執行を実効あるものにすることが必要であると考えます。こうした措置をとりながら、他方、自分の利益のために他に被害を与えて顧みない悪質な違反や取り締まりの緩和に便乗して近隣住民に著しく迷惑を与える違反建築に対しては、町づくりの上からも適正な取り締まりを強化することが必要であります。そのために被害を受ける近隣住民から工事の停止、是正を求める申し立てのできる制度を設けて住民の協力を得なければなりません。
 以上の理由で、わが党は建築基準法改正案に反対するものであります。
#52
○宮崎正義君 ただいま議題となっております建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、公明党を代表して賛成の討論を行なおうとするものであります。
 最近の経済成長に伴う都市及びその周辺部への人口の著しい集中、建築投資の飛躍的増加、建築技術の急速な進歩等は、建築基準法の制定当初に比しその社会的、経済的背景を大きく変貌させ、法の施行にあたり社会の実情に適合しない面を生じ、建蔽率の違反等の違反建築物の激増、工場騒音、日照妨害等をめぐる紛争の増大、あるいは建築火災による多数の人命の喪失等、幾多の問題を発生させることとなり、その改正が強く各界から要請されておりましたが、執行体制の整備、建築物の防災基準の強化、都市における建築物の用途規制の強化等を大きな柱とする今回の改正は、不十分ながらこれらの時代の要請にこたえようとするもので、その方向については賛意を表するものであります。
 しかしながら、今回の改正案の具体的な個々の内容につきましては、違反建築の絶滅を期待し、日照権問題を解消し、住みよい町づくりを願う国民の要望とはほど遠いものであるといわざるを得ないのであります。
 たとえば違反取り締まりの面について見ましても、今回の改正のもとになっております四十二年の建築審議会の答申より大幅に後退しており、さらに建設省自身が四十二年九月に発表した建築基準法改正の基本方針の中に盛り込まれておりましたガス、水道、電気の供給義務の免除、封印の実施、敷地台帳制度の創設、執行罰の実施等の主要項目が立案の過程で削除され、事実上骨抜きに近い状態となっております。したがって、政府がこの法律の執行にあたり行政努力をし、これら不備な点をカバーしていくとの積極的な姿勢を示し、違反建築取り締まりの実効をあげていくことを強く要望いたします。
 最後に、四十二年に実施されました違反建築についての特命査察の報告書に述べられているごとく、違反建築は深く都市問題に関係しており、都市政策、住宅政策、土地政策の貧困が、今日の建築行政を混乱させている大きな原因となっていることに政府は深く反省し、新しい都市計画法、都市再開発法など、他の都市関係法律との総合的な運用につとめ、秩序ある市街地の形成、良好な住宅環境の維持に前進されんことを強く要望いたしまして、私の賛成討論といたします。
#53
○委員長(大和与一君) ほかに御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○委員長(大和与一君) 御異議ないと認め、討論は終局いたしました。
 それではこれより採決に入ります。
 建築基準法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#55
○委員長(大和与一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#56
○上田稔君 ただいま可決になりました建築基準法の一部を改正する法律案に対し、自民、社会、公明、民社の四党共同による附帯決議案を便宜私から提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
    建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
 都市化の急激な進展に伴い、過密地域における既成市街地の生活環境が著しく悪化しつつある現状にかんがみ、政府は都市施設の整備を積極的に行なうとともに、次の点について運用に遺憾なきを期すべきである。
 一、建築監視員等の質問権の対象となる「工事の施工者」の範囲については、施工の権限を代行する者を含むものであることを周知徹底せしめ、本制度の実効を期すること。
 二、違法建築物により被害を受けている者の通報及び違反の有無等について近隣者からの調査依頼に対して、特定行政庁が速やかに適切な措置を講ずるよう指導すること。
 三、特定行政庁の不作為又は特定行政庁等が課した不作為義務の不履行によつて被害を受ける者の行政法上の救済措置について、速やかに検討すること。
  右決議する。
 以上でございます。何とぞ御賛成くださいますようお願いいたします。
#57
○委員長(大和与一君) ただいま述べられました上田稔君提出の附帯決議案を議題といたします。
 別に御意見もないようでございますので、これより本附帯決議案の採決を行ないます。
 上田稔君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#58
○委員長(大和与一君) 多数と認めます。よって、上田稔君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、根本建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
#59
○国務大臣(根本龍太郎君) 一言ごあいさつ申し上げます。
 去る三月五日、建築基準法の一部を改正する法律案を本委員会に提案して御審議をお願い申し上げましたところ、連日にわたり慎重適切なる御審議をいただき、本日議決を賜わりましたことは、まことに感謝にたえません。ここに政府を代表いたしましてつつしんで御礼申し上げます。
 また、御審議の際にお寄せいただきました貴重な御意見、御要望、御叱正等、それに加えて本日議決いただきました附帯決議の御趣旨につきましては、十分尊重いたしまして、執行体制の整備、違反是正対策の強化等の推進に全力を尽くし、国民各位の御要望に沿うよう万全の対策を講ずる覚悟でございます。
 ここに、連日にわたる委員会各位の御審議及び委員長はじめ委員各位の寄せられました御高配に対し、深く感謝を申し上げ、私のごあいさつといたします。
#60
○委員長(大和与一君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#61
○委員長(大和与一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日は、散会します。
   午後一時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト