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1970/03/05 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 逓信委員会 第4号
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1970/03/05 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 逓信委員会 第4号

#1
第063回国会 逓信委員会 第4号
昭和四十五年三月五日(木曜日)
   午後一時十九分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         近藤 信一君
    理 事
                長田 裕二君
                新谷寅三郎君
                松平 勇雄君
    委 員
                植竹 春彦君
                郡  祐一君
                白井  勇君
                菅野 儀作君
                寺尾  豊君
                久保  等君
                野上  元君
                森  勝治君
                塩出 啓典君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  井出一太郎君
   政府委員
       郵政大臣官房長  野田誠二郎君
       郵政省郵務局長  竹下 一記君
       郵政省貯金局長  山本  博君
       郵政省簡易保険
       局長       上原 一郎君
       郵政省電波監理
       局長       藤木  栄君
       郵政省人事局長  中田 正一君
       郵政省経理局長  溝呂木 繁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹森 秋夫君
   説明員
       郵政大臣官房首
       席監察官     中根 敬一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に
 関する調査
 (郵政事業の運営に関する件)
 (電波に関する件)
 (放送に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(近藤信一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 これより郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査を議題といたします。
 本件に関し質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○森勝治君 きょうは新大臣を迎えましての最初の逓信委員会でありますので、新大臣の抱負をぜひともお聞かせ願いたいのであります。実は、大臣就任早々の記者会見等を見ますと、さっそうたる発言などと、新しい郵政大臣として、期待される大臣としての談話、構想等がたくさん載っておりまして、私もそういう面では新大臣に期待するところ多いのでありますので、私も心を込めて、新しい大臣に乏しい私の質問をし、私ども同じくこの逓信の道にいそしむ者が国勢の進展に寄与することができるよう、そういう立場で、私は、以下大臣に御質問を申し上げてみたいと思うのであります。
 御承知のように、第二次産業革命といわれますように、世界的に技術革新の波が社会経済機構の構造変化に応じて、各産業間に大きな変革が求められておることは御承知のとおりであります。郵政事業にいたしましても、ごたぶんに漏れず、この大きな曲がりかどに逢着していることは皆さんが御承知のとおり、大臣もよく把握なさってるとおりでありますが、各国の郵便事業の情勢をわれわれが見ましてもわかりますように、各国それぞれの国情に応じて、この新事態に対処するために適切なる策を講じておることは、大臣も国会のベテランでありますから、十分御承知のとおりであります。私どもも、この郵政省の事業というものもその近代化を旨とし、また合理化、機械化等が徐々にはかられているわけでありますが、私のような無知もうまいの者が見ますと、何かこう、機械化だけが推し進められて、どうもそこにいわゆる人間関係とか、従来の国民に信頼を持たれたような郵政事業のあり方というものから、暫時遠のいていっているような気がしてしかたがないのであります。なかんずく、そこに働く労働者に対して機械化あるいはまた合理化という名のもとに、もろもろの施策が進められておりますから、いたずらに労働不安をかり立てていることばかりに役立っているような気がしてならぬのでありまして、これでは一体、郵政事業の近代化という本旨というものが、これが明確性を欠いてるところにもろもろな問題が派生をするわけであります。一端を述べますならば、労使の紛争もその一つのあらわれでありましょう。その中に、さらにまた郵便の遅配等も、そういう脱皮せんとする郵政事業の苦悩の一こまが、ああいう形を変えてあらわれてきておるような気がしてならぬわけであります。これは一体、郵政事業というものの将来というものはどうなっていくんだろうか、長期的展望に対応するためにはどういう施策をもって臨むんだろうか、すなわち、郵便事業はいかにあるべきか、どうあらねばならないかという命題に、明解なる答案を書いておらないような気がしてならないわけです。ことばをかえて申し上げますならば、場当たり式ということを申し上げますと、局長諸公――郵政の最高の頭脳を持ってみえておる局長諸公には御不満かもしれぬが、私どもはどうも私がいま若干ことあげしましたような事柄から、これはまあ皮相的な見方、一方的な見方かもしれませんけれども、そういうことで見ると、いま申し上げたように、郵政事業の方針というものがどうもさだかでなくて、場当たり式のような気がして、ここに行き詰まれるように、ややもすれば時代の進運に取り残されるような、さらにまた、ことばをかえて申し上げますならば、置いていかれるような郵政事業に堕してしまうのではないかという懸念を私は多分に持つわけであります。はからずも、こういうときに、この郵政事業の公社化とか近代化とか期待される逓信事業というものが、多く論議を国民の間から呼び起こそうというときに、新たに郵政大臣となられた井出さんにおきましては、ここにも記者会見のもろもろの事態があなたの談話として載っかっている資料を持ってきておりますが、こういうところから推しはかりましても、積極的に果敢に、勇敢に郵政事業の刷新をおやりになるだろうという熱意がこもっておられるような気がするわけであります。でありますから、幸いにして、私が、まことに失礼な表現でありますが、新大臣に対する期待感というものと、あなたからこれから御答弁いただく問題が間々一致すれば、私も、私の質問の意がやや満足ということになるでありましょうが、どうかひとつ、そういう面で期待をこめて、新大臣に抱負経綸の一端をお伺いするわけでありますから、そういう面のひとつお答えをいただいて、しかる後に、もろもろの各分野にわたっての質問をいたしたいと思うのであります。
 きょうは、午後から始まりましたものですから、実は電電公社、NHK等の問題も御質問申し上げたいのでありますが、それはできませんので、主として郵政問題について、これから質問をしたいと思いますので、私が就任早々の大臣にかような口をきくことは恐縮でありますが、まげてひとつ抱負をお聞かせいただきたいと思います。
#4
○国務大臣(井出一太郎君) ただいま森さんから非常に御熱意のこもった、ある意味において私を御激励くださるという御心情のもとに、序論のような意味で御質問があったわけでございます。私もこの御誠意にこたえなければならぬのでございますが、御承知のように、私、この郵政の仕事はまことにふなれでございまして、専門家のあなたのお立場からするならば、決して御満足がいけるようにはまいらないかもしれません。しかし、この職責に当たりました以上は、誠心誠意その任に当たりたいと、かような気持ちでおるわけでございます。
 そこで、いま御指摘になられました、現在の郵政の仕事がもろもろの困難といいますか、苦悶といいますか、こういうものに逢着しておりますることは、私もまだ就任日は浅いのでございますけれども、何かおぼろげながらおっしゃるような状況というものに逐次触れてまいっておるような気持ちであります。
 本来業務でございます郵便やあるいは貯金や保険といったような仕事は、合理化、機械化と申しましても、やはり一応の限界があるようでございます。そうして主たる部分は人の力によらなければならぬと、こういう本質的な問題があるわけでございますが、一方において、文明の利器を採用するということは、これはもとより当然そうしなければなりませんが、同時に、人的関係と申しますか、この面の配慮を欠いてはいけないわけでございまして、それには省として、もし職場環境等に不備があるとしますならば、こういうものの改善にはできるだけ力をいたさなければなりません。そうして何と申しましても、これは国民に対するサービスを旨としなければならない、こういうことでございますから、職場の規律も厳にしていかなければなりませんし、そういった一つの使命感を大いに鼓吹をするような施策も講じなければなるまいかと、このように考えておる次第でございまして、以下続いての御質問もおありでございましょうから、それにお答えしながら申し上げることにいたしたいと思います。
#5
○森勝治君 それでは、次の質問に移りたいと思うのでありますが、前大臣はあなたと特に実懇の仲だというふうにお伺いしているわけでありますが、前大臣が大臣在任中に発言された内容、約束された内容、そういう問題につきましては、後任である新大臣のあなたといたしましては、全然そういうのはおかまいなしに、これから逓信事業を見ていくのか、前大臣の発言、なかんずく親友の発言でありましょうから、この発言を十分尊重の上に、それらの発言を踏まえた上でこれから郵政事業、逓信事業というものを推進されていくのかどうか、この点ひとつ端的にお答えいただきたい。
#6
○国務大臣(井出一太郎君) 河本前大臣から事務の引き継ぎをいたしまして、従来どういう仕事を推進をされたか、こういう仕事はかようかくかくに相なっておるということはかなり詳しく承っております。したがいまして、私としましても、できるだけこれを踏襲いたす所存でございますが、同時に客観条件等がその間変わるというふうなこともあるいはあるかもしれませんし、また一応私の感触で確かめなければならぬという問題もあるかもしれません。しかし、大筋としては、河本前大臣の申し上げました線は、私もこれを尊重してまいりたい、かように考えております。
#7
○森勝治君 わかりました。では、そういう問題についても後ほどまた具体的に質問申し上げたいと思いますので、基本的な問題で一、二お伺いしてみたいと思うのでありますが、先般当委員会で郵政大臣が所管事項の説明をされたわけでありますが、何かその中で他の法案を若干、幾つか提案されるということが言及されておりますので、それならば、今国会に提案を予定しておられます法案の準備状況は一体どうなっておるのか。これは別に大臣からお伺いしなくても、所管のほうからお聞かせ願いたいと思います。
#8
○政府委員(野田誠二郎君) お答えを申し上げます。
 ただいまの御質問でございますが、今国会に提出を予定しております四法案のうちの郵便切手類売さはき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案、これと簡易郵便局法の一部を改正する法律案につきましては、三月三日に閣議決定を見ておりまして、近く国会に提出の運びとなっておる次第でございます。引き続きまして、公衆電気通信法の一部を改正する法律案及び有線放送業務の運用の規正に関する法律の一部を改正する法律案、この二法案につきましては、現在法律案を作成中でございまして、これにつきましては、早急に所要の手続をとりまして国会に提出をいたしたい、かような段取りになっております。
#9
○森勝治君 そうすると、電波法とか放送法というのは、一体今度は提案する意思はないのでしょうか。
#10
○国務大臣(井出一太郎君) ちょっと私から簡単に申し上げますが、もし御必要ならば電波局長もおりますから……。
 この御指摘の二つの法案は、これはいきさつもございまして、今までにも議論はしてまいっておるのでありますが、郵政省としては、これはかなり大法案のように私思うのでございます。したがって、今国会の会期等を展望いたしまするときには、少し無理なのではないか、もう少しこれは基本的な検討をさせていただきたい、こういう準備をしておるところでございます。
#11
○森勝治君 しかし、もうすでに数年前に、毎国会毎国会出す出すと言いながら、いままことに真剣に取り組もうとされている新大臣に対しましては、出ばなをそぐような発言で恐縮でございますが、とにかく声はすれども姿は見えずということで、ここ数年来、大臣御承知のとおりであります。ところが積極的に取り組むとおっしゃる大臣、あなたにしていまのようなお答えとは、私は率直に言って、どうも全力投球とはお見かけしがたい、失敬な発言でありますが。ですから一体それではどういう検討をされているのか、その点についてお伺いしたい。電波や放送法の改正というのは、御承知のように、もう郵政省の中で作業委員会をつくって改正に着手しておるという御答弁を昨年いただいたような気がしておるわけであります。もうすでに臨放調査会からの答申を得てから満六年、改正案を提出してからすでに四年が経過しているわけですね、この前は審議未了になりましたから。臨放調査会の答申は三十九年四月八日、それから五十一国会、四十一年三月十五日に提出して審議未了になっているわけですね。これは御承知のとおりです。ところが一方、行政のほうはどうなっているだろうか、そういうことになりますと、施策のほうは、法制のほうが、法案がそういうわけですから通りませんから、不備のままどんどんどんどん新規施策を進めているという片ちんばな現象というもので、これで満足しているとは言わぬでしょうけれども、私は拙速をとうとぶなんとは言いません。しかし、もう六年という歳月を無にした今日、なおかついまのような大臣の答弁であるとするならば、一体われわれに公的約策と申しましょうか、提案をし、発言をしたことが、その場限りで取りつくろってしまえば何でもないのだという考え方で、いわゆるおざなり的な、その場のがれ的な、そういう姿でこの法案等についても取り組んでおられるような気がしてならぬのであります。真剣に取り組んでおられる諸君については、なるほどむっとするかもしれぬが、われわれの立場からすればなんだばかばかしい、出す出すと言いながら、歌舞伎役者じゃあるまいしと、こういう変なへ理屈までこねたくなるわけであります。そうなれば、一体行政の一貫性と公平を期するということは不可能になってしまうわけですね。法律は通さないけれども、仕事はどんどんやってしまうということになっては話にならぬわけであります。ですから、一体そういう問題についてはどう考えておられるのか、その点をひとつ明快にお答えいただきたい。
#12
○国務大臣(井出一太郎君) これはまさに御指摘のとおりと思うのでございます。昭和四十一年のたしか五十一国会でございましたか、これに提出をいたしました改正案、これをまあ中心にずっと検討を続けておるのでございまして、これはまあ歴代の大臣もおそらく森委員がおっしゃるような気持ちで、これに当たっておっただろうと思うんでございます。まあ電波界のことは日進月歩といいますか、非常な変化もございますし、その間にさらに検討を要すべきことも付け加わっておるのでございますから、将来の郵政もこれに対する検討準備には精力的にやっておるのでございまして、まあこの国会を展望しますと、やはり時間的、物理的に少しく無理なのではないかという感じもいたします。それはそれとして、基本的にはこれを決してほっておくのではなくして、十分な準備をもって取り組もう、こういう姿勢であることをさらに申し上げまして御了承を得たいと思います。
#13
○森勝治君 どうも大臣が低姿勢で答弁されますと、私は気骨が弱くてたたみかけるわけにはまいらぬのです。たたみかけるといっても、ここはじゅうたんですからそれもせんないことですけれども、大臣あなたのそれは真摯なお答えだと思うのですが、いま、私が先ほどことあげしたように、大臣もお話しされたように、五十一国会で出されてちょうど満四年たっているわけですね、四十一年三月十五日提案でありますから。なるほど法案というものは慎重の上に慎重を重ね、国民の福祉増進に寄与するためにある法律ですから慎重なのもけっこうですけれども、一体どういうことなのか。最近は出す出すと言いながら出さないところは、まさにそれは完全実施といいながら実施をしていない人事院の勧告に対する政府の施策のようなものでしてね、なかなか姿が見えないのですよ。一ぺん形をあらわしたわけですから、丘に上がったのですから、どうぞ料理をしてくださいと言って出した。われわれが料理しようとしたら、それがまた湖の底に沈めてしまったわけです。現に形はあるわけですから、それに四年間たっていますから、時代がだいぶ進展しておりますから、新時代に対応する形をとって出せば何もそんなにむずかしいものではないと思うのです。ところが、いま言ったような、出す出すと言いながら出さないことになるならば、昔のことばで古証文の出し惜しみとか何とか言いますけれども、そんなやぼなことを申し上げるつもりは毛頭ございませんが、しかし、そうじゃないかと言って私どもは勘ぐったり毒づいてみたくもなるわけです。ですから一体、この問題について俗に言う、平べったいことばで言えば、本腰を入れて取り組んでいるのかどうかと、こう私はたたみかけて聞かざるを得ないのですね。一体これはいつ出されようとされるのか、これだけ郵政の中で優秀な諸君がきら星のごとく並んでおりながら、出す出すと言って出さなかった。時代が変わってしまうような気がするのです。時代が変われば、はいそれまでで逃げの手を打つかもしれませんけれども、それはいけないと思う、一たん約束したわけですから。出直しをすれば済むわけですから。もちろんこれにはいろいろ問題がからんでおりますから、そう簡単には出し切れないかもしれませんけれども、しかしこの辺、そろそろ新時代に対応する形を、少なくともとっていかなければならぬと思うのです。したがって、一体いつ出せるのか、このことが一点。しかし、出せないといいながら、法案はそのままにしておきながら事態は進展している。それならば、なるほど出すまでの過渡的措置として、過渡的段階でどのような対策を講ぜられるのか、この二点をひとつ簡明にお答えいただきたい。
#14
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 いつということでございますけれども、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、私ども事務当局といたしましても、極力早く出すように検討をいたしているわけでございます。特に放送関係だけではございませんで、一般無線の関係も相当進捗、開発が激しいわけでございまして、そういった点も含めまして、放送法。電波法の改正ということに取り組んでいるわけでございますので、相当作業としても大きなものでございます。しかし、私どもとしましては、できるだけ早い機会に出すということで努力をいたしております。
#15
○森勝治君 もう一つある。
#16
○政府委員(藤木栄君) 失礼申し上げました。
 それからいま申し上げましたように、電波界・放送界の状況が非常にどんどん変化してまいります。したがいまして、私どもとしましては、もちろんこの法案に基づいた行政ということをいたしたいわけでございますけれども、法案が作成されない現在におきましては、できるだけその法案の精神をもとにいたしまして、新しい情勢に対応できる行政をやっていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
#17
○森勝治君 その新しい情勢に対応したいと考えているといっても、新しい情勢はもうきてしまったのじゃないですか。きてしまったでしょう。だから法案が出るまで投げやりでほっておくというのか。過渡的措置としてどう応急策を講ずるのか、その点、もうちょっと具体的に聞かしてくれませんか。
#18
○政府委員(藤木栄君) 言い方がどうも不適当でございましたけれども、新しい情勢に対応いたしまして行政をやっております。もちろん何と申しますか、法案というものがないわけでございますから、その点、非常に困るわけでございますけれども、私どもとしましては、いろいろな角度から検討いたしまして、国民の皆さまに御迷惑をかけることがないような形でいたしておるつもりでございます。
#19
○森勝治君 国民に迷惑をかけることなく、またあげ足をとるようで恐縮でございますが、五十一国会に提案した、四年前に提案したわけですから、国民の福祉を増進する、国民のしあわせにつながるというので、四年前に出したわけでしょう。それを引っ込めたままでしょう。そうでしょう。それならばあなたのおっしゃった姿と、おっしゃったことばと現実の姿というものが違うのじゃないですか。一体いま検討中とおっしゃるが、それでは大かたの見通しというのは一体いつごろ出せるのか。毎年々々同じような質問、同じような答弁で、もうこれ以上繰り返すのはうんざりですから、そのものずばりで、もう四年間も考えている。もっともだるまさんは十年も石の上に腰かけておったそうですから、郵政の諸君はだるまさんよりも頭脳明晰でしょう。四年たっても方針がわからない、いつ提案するかわからない。これから着手する問題と違うでしょう。だからこの辺でもう少し具体的な御答弁をいただきたいのです。一体いつ出せるのですか、何月何日ということを言わぬでも、見通しぐらい言ってください。
#20
○政府委員(藤木栄君) 先ほども申し上げましたように、その作業として、法案の内容が相当膨大になるということで、できるだけ早い機会にということで努力はいたしておるわけでございますけれども、まあ今日現在、いつというはっきりした時点を申し上げる段階まで至ってないということでございますので、御了承をいただくようお願い申し上げます。
#21
○森勝治君 何年続いたでしょう、ことしは出すことしは出すとお答えいただいたのは。そうでしょう。今度も検討中だとおっしゃる。来年中には出せるのですか、見通しつかないのですか。もう少し前向きのお答えをいただきたい、たたみかけるようで恐縮ですが。
#22
○政府委員(藤木栄君) 私ども気持ちとしましては、来年中に出したいと思います。
#23
○森勝治君 気持ちはありがたくお受けしたいのです、気持ちは。しかし、気持ちだけでは相手の心を打つことはできないでしょう。来年中と、こう言うのですね。来年中、来年中、ここ数年来毎回そういうことをおっしゃっている、結局やらぬことになるのじゃないですか。(「鬼があくびしているよ」と呼ぶ者あり)鬼だって出て来ないですよ。私はそれをとことんまで追いつめるのが、私の質問の趣旨ではありませんから、その問題は、この程度にしますけれども、もう少し積極的におやりになってくれませんか、大臣ひとつ。ですから特にその点は、ひとつ私のほうから大臣に、そういう面で積極的に取り組んでくださることをお願いします。
#24
○久保等君 いま御答弁で、来年中という話が出たのですが、先般今国会に提出される法案について一応説明を伺ったのですが、その中に提出予定法案の中で、目下検討中という中に電波法と放送法が入っておった。したがって、今国会に出てくるかどうか、まあ不確定かもしれないけれども、事と次第によると今国会に出てくるのではないかということもわれわれとしては考えておるのです。いきなり話が飛躍して来年の話に移っているんだけれども、来年の話じゃなくて、ことしのこの通常国会に一体出される予定であるのかないのか、これはすでに政府の、特に郵政当局でも出そうか出すまいかというようなことで検討せられておる案件の中に入っておるわけですから、今国会において一体出すのか出さないのか、ここらをまずはっきりしてもらいたい。それからあまり来年の話まで飛躍されると困るので、いま森君から質問があったように、ここ数年来の非常に大きな問題、しかも、これは放送法・電波法が制定せられて以来、実は放送界というものは、これはたいへんな変動を見ているわけです。したがって、現行放送法なり電波法というものは、これは全く現在の情勢からいくと、政府の私は怠慢だと思う。この現状に対する立法、特にその電波・放送に関する憲法と言われるこの二法の問題については、じんぜん日を送っていいような性格のものでもないし、また従来の経過でも私はないと思う。したがって、いきなり来年の話になっているけれども、そんな話じゃなくて、この国会に出すのかどうか、本来ならば出さなければならぬ問題だけれども、その作業状態はどうかというのが当面の私は質問の要旨だと思う。私もそういう立場から、今国会の問題を伺いたい。
#25
○国務大臣(井出一太郎君) 先般、私ここで所管事項の御説明をいたしましたときに、確かに放送法・電波法に触れました。その際他の四つの法案でございます、先ほど官房長が申しました、これにはやや詳しい御説明ができたのでありますが、電波法・放送法については検討中とだけ申し上げまして、諸般の情勢をあれこれと勘案いたしますと、この国会には、どうも無理のように思われる。したがいまして、あとはこの二つの法案にやっぱり全力を集中して、大法案でございますから、できるだけの準備をいたそうと、そうして、まあ来年という話が出ましたけれども、これは来年度ということでしょうか、まあそこを目安に鋭意整備をいたしまして、私も、その準備の過程等をずっと気をつけて見てまいりまして、またいずれこの委員会にしかるべき中間報告を申し上げる、かように考えます。
#26
○久保等君 まあ大臣なり、電波監理局長も最近かわられて、個人としてはあまり従来の経緯なりあるいは法案の中身についても、私は率直に申し上げて十分によくおわかりにならぬのは、これは当然だと思うのです。しかしこの法案は、いま申し上げたように長い経過がありますから、電波監理局長がかわった、あるいは郵政大臣がかわったというようなことで、そのたびに白紙に話が戻ったのでは、これはもうまことに内閣としては私は重大な責任だと思うのですよ。しかも、日進月歩非常に変わっている放送界であればあるほど、放送法なり電波法の問題についてはやはり私は、長期的な法律ですから、なにも一大臣、一電波監理局長の個人的な考え方で法案が提出せられるものだとは思わないのです。したがって、長い間の経過があるならば、経過の上に立ってひとつ新大臣、新電波監理局長が勉強してもらって、その先一歩でも二歩でも前進するような形で作業を進めてもらわないと、それこそ百年河清を待つような結果に私はなると思うのです。したがって、いま今国会にお出しになるのは非常に困難じゃないかというお話ですから、それはそれとして私も事情ある程度わからないわけでもないのです。しかし、できれば今国会にでも出すのだという、そういう一つの非常な目標を掲げながら精力的に検討を加え、しかもまたがっての国会でも、出てきたときの国会の最終段階では、たしか与野党の話もまとまったのです。しかし、全く物理的な時間的な関係で審議未了になったという経過なんです。で、国会に出てきたけれども、全然手も触れずにほうっておいたままで国会が終わったという経過じゃないのです。法案についてもいろいろ話し合った結果、ほぼ結論というものに到達した状態で、遺憾ながらほとんど会期末だったものですから法案が流れたという経過があるのです。そういう情勢を十分に踏まえて、これは精力的にひとつ作業をしてもらいたいのです。大臣にその点はぜひひとつ、新大臣、新電波監理局長といえどもいままでの経過の上に立って作業を私は前に進めてもらいたいと思うのです。ただ、振り返って過去を復習するのじゃなくて、前に進めてもらいたいと思うのです。
#27
○国務大臣(井出一太郎君) ただいまの御発言の御趣旨を踏まえて前進する方向で処理いたしたいと思います。
#28
○野上元君 ちょっと関連質問をさしてもらいたいのですが、電波監理局長は、この放送法・電波法の改正について、新しい情勢に対処するために検討を加えておる、こういうわけですね。先ほど森委員のほうから指摘されたように、もう四年前に一応原案ができて国会で一時審議された、しかし、その法案はもう四年間経ていますから、いわゆる新しい情勢にはもう対応できないということも一応考えられますがね。あなたの言われておる新しい情勢とは何ですか。これを私は聞きたいのです。それがはっきりつかめないと、いつまでたっても、これは出てこないのじゃないかというような気がするのですが、たとえば、現状の電波状態を見て新しい情勢と見るのか、あるいはまた、将来を見越しての新しい情勢というものを見るのかということによって非常に検討のしかたが変わってくると思うのですね。昔のように一つ通信手段が新しいものが発見されたら、二十年も三十年もあるいは百年もそれが利用できた、有効であったというような時代はもう去ったわけです。したがって、きょうあなたが案をつくられても、あしたの情勢にはもうそれは対応できなくなるかもしれないですね。したがって、いまあなた方が検討を、かりに、出すために加えておっても、来年にはもうそれは全然新しい情勢に対応できなくなるというような非常に激しい進歩がいま特にこの電波界においては行なわれておるわけですね。そういうことを考えると、一体どこに焦点を合わして電波法・放送法を改正しようとするのか。とにもかくにも現状を瞬間的にとらえて、それを新しい情勢と見るのか、あるいは今後十年あるいは二十年先を見て新しい情勢として見るのかということによってあなた方の態度もきまるだろうし、出す方法もきまってくるというような気がするのですが、あなたのほうは一体どういうふうにこの問題を考えておられるのか、この点ひとつお聞かせ願いたいのですがね。
#29
○政府委員(藤木栄君) 新しい情勢ということでお話がございましたけれども、私どもはいま現在を新しい情勢とは考えておりません。これは当然、いまおっしゃったような、先生がおっしゃったような技術の開発ということはどんどんされているわけでございますので、いま現在だけを新しい情勢とは考えておらなくて、私どもは技術の開発の方向といったことを十分に考えましてやっていきたいと、そういうふうに考えておるわけです。ただ、技術開発の方向と申しましても、現在のスピードということを考えますと、なかなかむずかしいわけでございます。しかし、私どもとしましては、できる限り将来の方向を見越した上で、新しい情勢ということで検討しておるわけでございます。
#30
○野上元君 私が心配するのは、関連質問ですからこれでやめますが、そういう見方をしていくと、要するに新しい情勢の先取りをしていくと、いつまでたっても電波法・放送法は出せないのじゃないかという心配を私は持つんですが、その点はどうですか、自信ありますか。先は見通せますか、十年先。
#31
○政府委員(藤木栄君) 十年先と申しますとなかなかむずかしいと思いますけれども、少なくとも現在私どもが持っている技術的な知識あるいは将来の方向といったことをできるだけ見きわめたいと、そういうふうに考えております。もちろん、的確に十年先はこうだということを申し上げることはできないと思いますけれども、できるだけそういったことを見きわめてやっていきたいと、そういうふうに考えております。
#32
○森勝治君 それでは次の問題に移ります。
 郵政事業の公社化の問題について若干お伺いしてみたいのでありますが、昨年のたぶん十月十七日だと思いましたが、郵政の公社化に対する審議会の答申が出された際に、時の郵政大臣は来年の七月ごろを目途として郵政の公社化を考える、こういうことを言明されておるのでありますが、これを新大臣はどのように受けとめられておられるのか、この点からひとつお伺いしてみたいと思います。
#33
○国務大臣(井出一太郎君) ただいまおっしゃいましたように河本大臣が七月ごろをめどにという言明をされたことは伺っております。ただいまその意味において省の中に公社化対策委員会というものを設定をいたしまして、答申に示されました各事項、諸問題を具体的に検討しておるさなかであります。答申に示されました御精神というものは十分に尊重をしてまいる所存でございますが、ただいまそういう検討中という過程にあるものでございますから、この結論を取りまとめまするのには、どうも、もう若干時間がかかるのではないかという感じがただいまいたしておるのでございます。
#34
○森勝治君 取りまとめに若干の時間を要すること、これはわかります。しかし、前任の大臣が明年の七月、すなわち昭和四十五年の七月に実施するという言明をされておるわけですから、新大臣としてはどう対処されるかということを私は聞きたいわけです。私は、こういう問題を聞きたいという見地から、あなたの新大臣としての所感をお伺いしたときに、前大臣の発言、約束等について尊重される意思ありやなしやという意味の御質問を申し上げたこと、ほんの二十分ばかり前でございますから、大臣御記憶、先刻のことですからおわかりでしょう。この点はどうされますか。
#35
○国務大臣(井出一太郎君) 確かに今年七月という言明をされておるようでございますが、しかし、事はなかなか各般にわたっておりまして、そう簡単でない部面もあるようであります。したがいまして、私の感触ではまあもう少し慎重に検討すべき個所もあるやに考えられまするので、その時間はどうももう少し御猶予をいただかなければならぬのではないか、ただいまそんな見通しでおるわけであります。
#36
○森勝治君 どうも慎重な御答弁で困りますね。前大臣が発言されたわけですからこれを受けて立って、しかも個人的にも親友の意を体し、国政という見地から見たって、これは一日もすみやかにという前大臣の考え方をもってすれば一日も早く公社化をしたいと、こういうことですから、そうしたら尊重すると言いながら時期の見通しは暗いと、こうおっしゃられては困るわけであります。そこでいま大臣はいみじくも私の質問にお答えいただいて、公社化対策委員会を省内に設けて具体的に検討中だというお答えをいただきました。したがって、具体的に検討中だということは、実施の時期は先におきまして、たな上げしておいてもですが、どういう内容で検討されておるのか。具体的に、具体的にと言って答弁が雲をつかむような答弁ではこれは全く話にならぬわけです。したがって、具体的だとおっしゃるならば、どのように具体的な検討をされておるのか、それをちょっとお聞かせ願いたい。
#37
○政府委員(野田誠二郎君) 私からお答えを申し上げます。
 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、この答申を受けまして昨年の暮れに省内に郵政事業の公社化対策委員会を設けまして、六つの部会に分けまして一年有余にわたりました。郵政審議会の公社化特別委員会及び起草小委員会の中で論議せられました事項を、一応六つの部会と申し上げましたのは、総合部会、財務、それから人事、それに郵便、貯金、保険の三事業の部門でございますが、これをできるだけ早い時期に論議せられました事項を掘り下げまして、これらの事項をピックアップいたしまして、その中で現在の法律制度の中で答申に示されております国民に対するサービスの向上、並びに企業の合理的、効率的な運営ということが可能であるかどうか。なお、これが現在の法律制度の中で可能でないとするならば、なお法律の改正等によってこの答申の趣旨が生かせるかどうか。さらに事務的に、実務的には、いま申し上げました段階を早急に、できますならば来年の予算要求の時期というような時期もございますので、それまでの時期に事務的に、実務的に取りまとめたいと、かように考えておる次第であります。
#38
○森勝治君 そこで大臣に具体的に今度はお伺いします、お答えが抽象的でしたから。大臣が大臣に就任された直後に、記者会見の席上でこの問題に言及されておるわけです。この答申の内容につきまして言及されておるわけでありますが、大臣は、いまもこの大臣就任の当初に受けたこの審議会の答申に対する印象は現在の時点でも変わってないでしょうか、答申に対する考え方は。――じゃ、ちょっと具体的に言いましょうか。もうお忘れでしょうから、これを読み上げますと、こう言っておられるんです。前段後段は省きますが、郵政審議会の答申というものが何かほんとうに明確化、読みようによっては弾力性のある気もします、こう言っているわけです。読みようによっては弾力性、やってもよし、やらぬでもよし、こういう受け取り方をしたのではないだろうかと、げすのかんぐりでありますが。ですから、さて実務に携ってみると、当時の受けた印象と実務との開きがあるのかとおっしゃるのかどうか、この点をちょっとお伺いしたい。
#39
○国務大臣(井出一太郎君) この問題に対しまして、十分慎重に対処しなければならぬと、この気持ちは当時も今日も変わってはおらぬつもりでございます。ただ、当時はたいへんとっさの間に私の考え方を述べたということもございますから、ここ二月足らず省の実務を検討いたしますると、これは当時気のつかなかった問題も生じておる面もあるわけでございます。そして、何といっても、郵政の仕事というものは、長い歴史もあり伝統もございますから、そういう点も踏まえながら誤りなきを期さなければならぬと、こういう気持ちから、先ほど来申し上げておるような次第でございます。まあ、私が答申から受けた感じというのは、たとえば、これこれかような条件が満たされるならばというような表現があったように当時思ったものですから、いまのような談話を出したと思うのでございます。しかし、先ほど来御指摘がありましたように、答申をあくまでも尊重して、それに即応した公社化の対策委員会を省内に設けておるわけでございます。これを鋭意急ぎまして、そしてすみやかに結論を得たいと、これがただいまの状態でございます。
#40
○森勝治君 それでは一歩進めましょう。
 この答申案は、大臣も先般の委員会での提案理由の説明の中でも言及されておりますように、「郵政事業の経営形態を公社化することは、これを機として経営の合理化、国民に対するサービスの向上を推進するという真剣な決意をもって、あらゆる努力が傾注されるならば、その効果をあげるに役立つ方策として採用に価するものと認める」、こういうことを言っておるわけですね。これは大臣も答申案そのとおり、この提案理由の中に述べられているわけであります。これを裏返しをいたしますと、一体どういうことになるんでしょうか。私の考え方で申し上げますならば、これを機会にあらゆる努力を傾注して経営を合理化し、国民へのサービスがはかられるならば採用しなさい、公社化がカンフル剤にでもなるならばというくらいの、私は自主性のないような気がしてならぬわけであります。また、じゃ郵政省自体ではどういうことをこの中で言われたのかと言いますと、今日までの怠慢のそしりを受けるようなこと、あるいは経営能力の点について云々、よっていわゆるそのものずばりではないが、そういう問題について指摘されているようなものだろうと私は思うのです。いわゆるそういう面からいたしますならば、いま大臣は趣旨ごもっともだから、公社化案のために省内に公社化対策委員会を官房長のお話ですと、六つの部門を設けられて、ただいま検討中だと言われているわけです。私をもって言わしむれば、経営能力、いままでの事業に対して郵政当局は怠慢だと、こういうらく印もまた押されたような、これはことばを重ねますけれども、そういう気がしてならぬわけであります。この点を率直に認めておられるのか、いやおれたちは一生懸命やったんだから、あのことばの中に、私が読み上げましたこの答申案の中にはそんな熱意の問題とか怠慢だとか経営能力の問題なんというのは毛頭指摘されていないのだ、こうあるいはおっしゃるのか知れませんが、どういう受け取り方をされたのですか、その点ひとつお答えをいただきたい。
#41
○国務大臣(井出一太郎君) 私は、まだ二月足らずのことで的確に申し上げられるかどうか存じませんが、おそらく主観的には、これはもう一生懸命この仕事に従事してきたものでございましょう。しかし、まあこれを客観的にながめた場合にはたして十分であったかどうか、こういう、いうならば、頂門の一針と申しましょうか、こういう御批判はこれは謙虚に受け取めなければならぬだろう、かように思いますので、この答申の御趣旨を体しまして、さてみずから省みるところもなければならぬ、どこに欠陥があったのだというあたりを十分にただいま検討をいたしまして、そうして省としてのこれの対応のしかたを打ち出そう、こういう段階でございます。
#42
○森勝治君 答申案の内容というものが見方によっては非常に抽象的だという印象もぬぐい切れません。でありますから、審議会の審議の過程におきましても、一部の委員の中から公社化によるメリットが明らかでなく、いま直ちに公社化すべきだという結論を出すことは疑義があり、なお慎重に検討すべきだという付帯がつけられておりますね。付記されているわけです。そうなりますと、一体郵政省としてはこの公社化のメリット、公社化を急ぐ理由についてはどうお考えなのですか、まあ前の大臣は明年の七月と言明されたが、今度の大臣は非常に慎重なかまえですから、言明されませんから公社化は急いでいません。慎重に公社化対策委員会で検討中ですとお逃げになるのかもしらぬけれども、一体どういうふうな受けとめ方をしておられるのですか。
#43
○政府委員(野田誠二郎君) お答え申し上げます。
 審議会の答申は公社化することは経営の合理化、国民に対するサービスの向上に役立つ方策として採用に値するという答申が出ておりますけれども、同時に、公社化自体が直ちに問題のすべてを解決するものではないということを同時に指摘をいたしておりまして、われわれ関係者の真剣な決意あるいは努力が傾注せられるならばということが指摘をせられております。いま森先生の御指摘の一部の委員から公社化によるメリットが明らかでないので、直ちに公社化すべしとの結論を出すことには疑義があるということの付記につきまして御指摘があったのでございます。この付記の御意見も、私がただいま申し上げましたように、公社化すること自体が直ちにすべての問題を解決することではないということの趣旨をこの付記でより強調せられたものである、かように受け取っているのであります。したがいまして、今後におきまして、この点をさらに深く堀り下げまして具体的に検討を加えました上で、この郵政事業の近代化の諸施策につきましてこれを推進することを通じまして、この答申の付記に示された御意見にお答えをしていきたい、かように考えております。
#44
○森勝治君 伝え聞くところによりますと、この公社化案などというものが大蔵省や金融筋に伝わったときに相当強い反対、反撃があったというふうに私どもは承っているわけです。ところが、どうもこれも私は勘ぐってばかりいて恐縮でありますが、佐藤総理が、公社の首脳の皆さん方の頭の中で、これら金融界や大蔵省等のこういう方面とあまり摩擦、あつれきというものをすることなく、いわば風をよけて通って公社化をしよう、ことばをかえますならば、現状でただ看板だけ塗りかえよう、まことに失礼な表現でありますが、そういうふうな姿でやろうというふうに、私はそんなふうに受け取ったわけでありますが、もしそうだとするならば、すなわち、現状のままで即公社化ということであるならば何の意味があるのだろうか、その点についてひとつお伺いをしてみたい。
#45
○政府委員(野田誠二郎君) お答え申し上げます。
 ただいま森先生の御指摘の点でございますけれども、いまおっしゃいました大蔵省なり各方面からの反対の意見というお話でございましたけれども、われわれ公式には正式に大蔵省からの公式見解といたしましての反対があったということを聞いていないわけでございますので、この点、一言申し述べさせていただきたいと思います。
 御指摘ありました事項でありますけれども、今度の答申の中核といいますか、抜本的改善の方向は、申し上げるまでもなく、この答申に明記してございます経営の自主性の確立、高い能率の発揮、サービスの向上、需要の変動に対する即応、健全経営への努力、こういう点を指摘しておりますが、これらの基本的な命題と申しますか、われわれに要請されておりますこういう抜本的な改善の方向、これに沿いましてひとつ具体的な内容のあります改善策というものを打ち出していきたい、かように現在検討いたしておるところであります。
#46
○森勝治君 失礼だが、官房長は着任早々だからあまり私はあげ足取りなどのごとき言辞は弄しませんけれども、何か考え違いをしているんじゃないですか。大蔵とのあつれきや圧迫といっては恐縮でありますが、そういう制約等がなければ、もっともっと郵政は資金運用についても伸び伸びとできるんじゃないですか。私どもはしばしば郵政大臣に対して、郵政大臣は対大蔵省にはき然たる態度で臨めということを申し上げてきているんです。官房長はおわかりでないでしょうけれども、申し上げてきておる。郵政省が真に公社化によって事業経営の自主性の確保によって事業を近代化できるというもし確信があるとするならば――大蔵省に対しては煮え切らない態度じゃないですか。そんな煮え切らない態度ではなくて、もっとき然たる態度で大蔵省や行管とどんどんぶつかっていくのがほんとうでしょう。私がいまはしなくも指摘したように、名前だけ取りかえて公社化さえできればいいという安易な策を弄するならば、まず第一に従業員のほうから反撃を食うんじゃないですか、そうでしょう。ですから、そういう大蔵省くそくらえの官房長は発言をしておるが、予算の問題だって、いま言った運用の問題だって、しばしばこの委員会で指摘されているじゃないですか。ですからそういうことをあまり私は、失礼だけれどもあまりそらぞらしい広言などを言うとあとで困るから、そういうことはおやめになって、もっと、私どもにそういうことはありませんなどと言うようなその元気があったら、大蔵省へ行ってぶつかってきたらどうですか。そうでしょう。
#47
○政府委員(野田誠二郎君) お答え申し上げます。
 お答えといいますか、釈明させていただきたいのでありますが、ただいま申し上げましたのは、具体的なこの郵政審議会の公社化に関します答申につきまして、大蔵省からの正式な見解というものがなかったということを、ちょっと私ことばが足りませんで先生にたいへん御迷惑をおかけいたしましたことをおわびいたしますが、そういう意味で申し上げたわけであります。
#48
○森勝治君 ですからいま私が後段で申し上げた、行政管理庁や大蔵省に対してき然たる態度で臨めということを申し上げた、過去も申し上げたし、いまも申し上げておるのですから、あなたの弁明など聞かなくてもいいんですよ。新しい官房長ですから、き然たる態度で臨めるのかどうか。この辺ができないで、名ばかり公社になっても話にならぬのじゃないですか、どうですか。これは大臣からひとつお答えいただきたい。
#49
○国務大臣(井出一太郎君) 御承知のように、郵政関係におきましては、貯金でございますとかあるいは簡易保険でありますとか、資金運用部の原資というものを大量に供給をしておる源泉をこちらが持っておるわけであります。したがいまして、この点は私は郵政省の大きな強みでありますから、決していまの大蔵云々に遠慮をする必要は毛頭ない、かように心得ておるわけであります。そうして公社の問題は、そういうこととはまた離れたもっと本質的な問題も確かにあろうかと思うのでございます。ともかく百年の長い伝統をここで一挙にかなぐり捨てるというふうなことであるとするならば、これはそうなかなか強くあすにもというわけにいかないのが慎重に検討しておるゆえんである、かように申し上げる次第であります。
#50
○森勝治君 じゃ次に移ります。
 一体郵政事業にはビジョンというものがあるだろうか。私はこう一時考えてみましたが、どうもビジョンらしいビジョンがないような気がしてならぬのであります。ですから昔のように、従業員に事業愛を持って仕事をしなさいということを言っても、それはどうも意味がないような気がしてならぬのです。特に最近は、郵便局の特に配達のなり手がない。若者がそっぽを向いている。俗に言ういまの若者間のはやりことばの中で、郵便局の局員の姿、服装かっこがよくないと、こう言われている。かっこ――かっこがいいとか悪いとか言う、たとえば作業服の問題にいたしましても、配達のかばんにいたしましても、郵政が、郵便局がサービスを開始した昔ながらのかばんそのもので、さっぱり近代化されてない。だから、同じ職場で働くならば、もう少しかっこのよい職場に行きたい。もちろんそんな、なりや形ばかりで人の真価を問うことはいけませんけれども、まあ、世はおしなべて若い諸君はかっこがよくないからだめだ――だから若者がどんどん見放してしまう。しかしそれは、いま申し上げたように、労働条件というのが他の産業に比べて劣っているばかりではなく、私は、まことに幹部諸君には失礼な話だが、郵政の経営について、幹部諸君に旧態依然たるものがありやせぬか。無為無能などということばがありますが、私はそこまでは言いたくない。ただ過去の幻影にとらわれて一日を暮らしておるということ、それで課長とか局長とかという職制によって、過去の幻影に取りつかれておるわけですから、職制によってただあごで動かそうとする、座して部下を使おうとする、こういう傾向があるのではないか。したがって、私がビジョンがないと申し上げたのです。先ほどの公社の問題にいたしましても、電波法等の改正等にいたしましても、出す出すと言いながら出さない。何年たっても同じことを繰り返しておる。したがって方針がない、無方針。大臣は考えておる。考えてばかりいて、これを対外的に伝えようとしない。人の心と心をつなぐ信書を運ぶことを使命とする郵政省としては心がない、無方針だ。施策についてもまたそのとおりであります。計画もそうであります。私はそういうものが今日のような郵政事業の沈滞をもたらした。もちろん、それがすべてとは言いません。時代の進運という背景もあるでありましょうが、経営的な能力の問題や無方針や無計画というものが非常に影響しておるような気がしてならぬわけであります。御承知のように、最近は情報化時代といわれている。他産業では新時代に対応しようとして、次から次へとまさにネコの目の変わるごとくに目まぐるしく他の職場では変わるようであります。しかも、これはもちろん機械をもってもどうしようもない職場であります。これは人の心と心をつなぐのには、人間の手によって、これを用いなきゃなりません。したがって、ロボットを使うわけにはまいりません。それは事務的段階ではできましょうが、最後にはやはりとうとい労働者のその腕によって逓信事業の使命を果たさなければなりません。ですから他の産業のようにテンポの早いことを求めることは酷なのかもしらぬが、もう少し新時代に対応した施策というものを用いるべきじゃないか。それはまさに十年一日のごとき郵政事業であってはならぬと思うのであります。したがって、私は将来は郵政事業はいかにあるべきかというこの命題を的確に打ち立て、そのことによって国民からの期待が集められ、従業員が生産の第一線に立つ意欲を燃やしてくれるだろうと思うのであります。ですから、そういう問題についてひとつ明らかにすべきだろうと思うのでありますが、この点について大臣の所見を伺いたい。
#51
○国務大臣(井出一太郎君) 郵政事業の現状につきまして、私も森さんと同じように憂いをともにするという感じがあるのでございます。いまおっしゃるように、たとえばこまかいことですけれども、服装の問題であるとか、昔からのかばんをかついで歩くといったようなことが、いまの若い世代の人たちにどういうふうに映ずるであろうかというようなことを実は私考えてみておるわけであります。それでこれは使命感もとより持っていただかなければならぬのであるが、ただそれを強調するお説教だけで一体通ずるものであるかと、やはりヒューマンリレーションというものはもう少しきめのこまかい配慮をしなければならぬのではないか、あるいは職場の環境につきましても、若い地方から出てきておられる職員の諸君がそこに安んじて定着し得るためには何か条件に欠けたものはないのかといったような検討もしなければなるまいかと思うのでございます。そういう意味でいまおっしゃるビジョン、これを明確に確立をしなければいかぬという気持ちは私も全く御趣旨のとおり同感でございます。その他いま御指摘のありましたこまかな問題につきましては、それぞれ担当局長のほうから申し上げることにいたしたいと思います。
#52
○政府委員(野田誠二郎君) ただいまの郵政事業のビジョンの問題でございますけれども、われわれの事業といたしまして、基本的にはその公共性との関係というものを十分考慮しながら、社会経済の進展に即応するサービスの提供並びに企業内容の経済的、効率的な運営ということが至上の課題になっておるわけでございます。これらの要請を踏まえつつ、社会経済の発展に応じた事業の近代化、合理化をはかるということで、特にその重要施策としまして郵便、貯金、保険‐簡易保険の各事業の作業の機械化、それから郵便局舎、窓口施設の改善、これは作業環境等の改善に直接つながるのであります。そのほか業務的には郵便番号制度の推進、そのほか社会環境の推移に伴う需要の増大、変化に即応するサービスの改善並びに最近特に非常に問題になっております青少年職員に対しますいろんな諸施策というものを来年度におきます重要施策として一応――ビジョンと申し上げるといささか口幅ったい言い分になるのでありますが、そういう観点から事業の近代化、合理化というものをはかっていきたいと、かように計画をいたしておる次第でございます。
#53
○森勝治君 次は、郵便の遅配の問題についてお伺いしてみたいと思います。
 大臣は、これはまた大臣の、どうも大臣になった直後の喜びのあまりのときの、その直後の話ばかり持ち出して恐縮でありますが、私も新大臣に対する期待がありますからこういう質問が出るわけでありますが、就任の第一声として郵便の遅滞解消に特に意を用いるというのですか、心を用いるというのですか、郵便遅滞の解消に全力をあげる、こう決意をされておるわけでありますが、さて郵便遅滞の解消をするためにはどうするか。いま若干こういうことでということで事業の推進の話は官房長から出されましたが、また先ほどの私の質問に答えて、人間関係の問題についても言及されました。新大臣が、そういう気持ちで全職員に向かってくださるならば、いま外は淡雪がなごりをとどめておりますけれども、いわゆる労働組合と当局側との、ちょうど三月で雪解けに向かうだろうと私は思うのであります。ところが、この先般の、一昨日ですか、大臣のこの提案理由の説明の中には、郵便遅配の問題に言及をされて人間関係を説かれ、また就任早々には佐藤総理の人間尊重の問題も持ち出されて非常にやわらかさというものを持たれた大臣でありますが、その井出さんにして、この中では郵便遅配の理由の一つに、職員の責任だということをことあげされておる。とするならば、あなたが就任の第一声のことばと、いいですか、いまお答えなされたことばと、一昨日のこの提案理由の説明の中には、失礼ですが、人間として人間性を説かれたあなたにして、その二面性を兼ね備えておられるような気が私はしてならぬのであります。一方で愛をもって説き、片手でむちをもって加える、これが新大臣の真髄かなといささか私は心ぼそく質問しなければならなくなったのでありますが、この点をひとつ明快にお答えいただかないと、新郵政大臣のもとの郵政事業というものの将来にはかり知れない暗影が若干のぞいてきたような気がして、私はいささかぶ然たるを得ないのであります。ですから、郵便遅配に名をかりて職員を叱糟励することは、これはいいでありましょう。しかし、人間愛を説くあなたが片手で部下を誹謗する、これはいかぬのではないでしょうか。これは二面性を持っているような気がしていたしかたがない。幸い、これが担当部下の作文で、失礼だが多忙なためにさっさと目を通したからだと、何げないということならば、私もこの問題はさりげなく質問を閉じたいと思うのであります。この辺をひとつ、新大臣の人間性のしからしむるところの発露を端的に明快にお答えをいただきたい。
#54
○国務大臣(井出一太郎君) その問題は、両面から考える必要があろうと思うのでございまして、私が文書でこのことを、所管事項の説明を申し上げました面と、きょう御答弁申し上げておる面と、それぞれかみ合わせて御理解をいただけばけっこうと思うのでございます。この間申し上げたことは、これはやはり職場においては、一つの職場規律というものもなければならぬ。それが秩序が乱されておるというのはたいへん遺憾でございますから、それを指摘をしたつもりでありますし、さらにきょうは人間関係の問題を申し上げましたが、基本の心がまえにはやはりそういったものに立脚をして、お互いにこれを話し合えばわからないことではないのですから、そういう面を両両あわせて対処をしてまいると、こういう所存でございます。
#55
○森勝治君 私がお伺いしたかったのは、なるほど三十万も人間がおるわけですから、その中で一つ一つ考え方の違う方々がおるわけですから、上官と部下の間においての断絶もときにはあるでありましょう。一つの例としてあるでありましょう。しかし、そういうことがあってもですね、郵政事業の全般の姿から見れば、それはごく一部のまれに見る現象だと私は思うのであります。ですから人間愛を説かれるあなたであるならば、せめて就任第一声の提案理由の説明の中では、こういう自分のかわいい部下を非難するがごときこのことばだけはせめて除いてほしかった、私はそう思うのであります、この点だけはですね。おそらくこういうことばは、あなたが大臣に就任される以前の事柄が、この文章の中にあらわれてきたのだろうと思うのであります。その辺は、私はこういうことはぜひとも新大臣としては除いてほしかった。こういうことばを除いてくださるならば、あなたが人間愛を説かれるその気持ちが従業員に伝わり、これが来る春とともに雪解けとなって、労使が一体となって事業の伸展に参画できる糸口になるであろうと、私は考えておったのです。ですから私の質問はささやかな質問でありますけれども、新大臣の職員に対するこの動向というものが、将来の逓信事業を左右する重大な発言内容だろうと私は思うわけでありますから、その点について重ねてひとつ大臣の所感をいただきたい。
#56
○国務大臣(井出一太郎君) たいへんその点につきましておしかりをちょうだいしているわけでございますが、まあここに表現しておる文言は、職場秩序をよく守ってほしい。そうしてあくまでも国民、利用者の皆さまを本位として考えるならば、それに御迷惑をかけてはいかぬのである。これを強調したつもりでございまして、まあ私としましては、それほど矛盾したものではないのではないか、やはり時には愛情の発露、これがきついことばになってあらわれるということもございますから、そのように御了承いただきたいと思うのであります。
#57
○森勝治君 まあ悪意のかたまりではないという御発言でありますから、私も素朴に受け取りまして、次の問題に移ります。
 ところで遅配の問題、どうすれば遅配がなくなるかというき然たる方針というものは、いまお答えが願えないわけでありますが、御承知のように、最近の郵便物の内容が非常に変わってまいりましたですね。だから、たとえばダイレクト・メールが多く、団地や個々の住宅等に配達に行きますと、郵便受け箱の中にはダイレクト・メール広告や何かにまざって幾日も放置されている状況です。しかも受け取って、その配達している職員の目の前で、受け取ったものをぽいとくずかごにほうり込んでしまう姿がまま見受けられるそうであります。したがって、過去のように郵便配達をもって社会、公共に尽くそうという真摯な願いを職員が心に秘めておっても、目の前で、心を込めて持って行ったものが受け取る側で愛情の片りんすらないということ、すべてではありませんが、そういう姿を見ると、一体おれは何のためにここまで運んできたのか、郵便の使命に目ざめて、その職場に参画して、社会、公共、国民の福祉に寄与するために持ってきた、汗水たらして持ってきた、そうしたら、見もしないでくずかごに入れてしまう、それでその職員は非常にがっかりした。かてて加えて部数はどんどん無限大に広がる。宗員は少ない。いま言ったようにかっこのよくない職場だということで、若者は集まってくれない。しかも、賃金というものはなかなか上げてくれたい。かてて加えて郵便物が多くなるのでありますから、配達の郵便のかばんが重くなる。いわゆる重労働をしいられる。私が先ほど若干ことあげいたしました心と心をつなぐ事業とおよそかけ離れてきたような仕事の内容になってきた。したがって、その労苦に報われるものは何一つもない。いままでは各家庭の郵便受け箱の前には、郵便屋さん御苦労さんと、ポスターやたどたどしい字で子供さんらが書いてくれて、非常にこれで生きがいを感じたといわれたが、最近はそういう姿は見受けられなくなった。これでは一体、汗水たらして、いわゆる人間が骨身を削って、真心を込めて生活する事業であるかどうか、職場であろうかどうか、働く郵便の若者の中には、そういう現実と理想の中で自問自答を繰り広げているということを聞いているわけです。昔は、かつて赤い自転車という映画もありました。したがって、郵便局の代名詞は赤い自転車だということで、赤い自転車が山野をかけ走るとき、ちまたをよぎるときには、国民はこの赤い自転車に深い愛情と感謝のまなざしを送ったものであります。ところが、いま私が若干、一、二ことあげしたように、この郵便の中身が変わってきたから、いかに自分が事業愛に燃えてそこへ入っていこうとしても、ついそういうことになってしまって情熱が薄らいでいく。かっこが悪いというこの職場の服装等の問題もさることながら、こういう一つ、一つの問題をとらまえてみますと、この郵政事業は若い者が情熱をささげる職場とはやはりかけ離れてきているような気がしてならぬわけです。私は、そういうことを若い郵便配達の諸君から訴えを受けたときに、かつて私どもが郵便局におった時代から比べて、それはまさに隔世の感があります。他の産業は、次から次へとオートメーション化されてまいりましたが、郵便は最後は手でなければきめ手にならぬ。したがって、その中では、機械化というものは他の産業に比べて遅々として進んでないけれども、その反面、人間の、この従業員の心にしのび込んだ事業に対する熱意というものに、おそらく他の産業でははかり知れないような深刻な私は影響があるだろうと思うのであります。この深刻な影響を受けている従業員の気持ちというものをはたして上に立つ諸君が考えてくれているだろうかどうか、私は、そういう点に多くの疑問を持つわけであります。ある面では、最近の郵政事業の中では組合弾圧をするものが出世をする。うそだと思ったら大臣、全国の局長、課長の転勤先を見たまえ。組合と、いわゆるげすなことばでチャンバラやって、激しく戦った。それはよいとか悪いとか抜きにして、激しく戦った管理者から見れば組合を弾圧した、そういう諸君は事のよしあしにかかわらず、内容のいかんにかかわらず、おしなべて上局、あるいは上席へ栄転しているではないか。私はなぜ大臣が人間愛ということを出され、私がこれについて言及しておるか。いま郵政の職場の中で上官と部下の中にあるものは何か、それは断絶であります。この断絶はますます広がるものであります。ところが新大臣はその就任の抱負の中で、あなたは愛情を持って接するということばを言われたので、だから私が新しい郵政大臣が今度真剣に取り組んでくれるならば、この上官と部下のすき間というものがふさがるであろう。そして期待される郵政事業というものが、これからやっと再出発ができるだろうという私は願いを込めて、まことに失敬でありますが、あなたの心境まで私は探りを入れたわけであります。この点はひとつお許しをいただきたいと思うのでありますが、私があなたに質問した中身というものは、こういうところにあるのであります。ところが、最近はどうでありましょう。あなたはときにはむちをもってしなければならぬと大臣の立場でおっしゃられました。しかし、世間ではそう見るだろうか、世間では。たとえば、杉並郵便局の例を見ても、岩手県の大船渡郵便局の例を見ても、この忙しいさなかに一生懸命汗水たらして作業している裏で手帳と鉛筆を持って監視している。そのひまがあったら、一緒に郵便区分を手伝ってやれば、国家国民の期待にこたえることになるでしょう。監視労働ということばは使いたくないけれども、監視労働をさせているような気がして私はならぬ。だから私は、組合を弾圧し、職員をちまたに放り出すようなことばかりやっておるから郵政に期待する若い者が、せっかく入ってきても出ていってしまうと思うのです。これは、いかに郵政が権力で職員を押えつけようとしても、この手紙という国民の心と心をつなぐ最後のきめ手は、やはり労働者の手による以外はないでしょう。どんなに近代文明が発達しても、郵便局からロボットが持って行って、その家の窓口に持って行くわけにいかぬ、だから事業愛に燃える郵政の労働者に期待する以外にないでしょう。だからそういう面で、私は若干の問題について、少しことばが多過ぎたようなきらいがありますけれども、そういう面で郵便遅配というものを世間から非難されると、すぐ職員の責めに期すようなことばかり言っている、どこの県でもそういうことを言っている。なぜ自分たちの管理能力の問題を出さないか、なぜ事業に対してビジョンというものを掲げないのか、長い何十年という逓信の歴史の中で、今日のように国民の非難を受けていることはなかったでしょう。期待された逓信事業が、郵便がおそい、職員が休んでいるから、来ないのです、山ネコやっているからおくれているのです。年賀郵便のときでも、そういうことを言っている。なぜ私どもの指導が足りないからおくれたのだ、なぜそういうことばを各局の管理者は率直に言えないだろうか。そういうことを、管理者みずからが国民の期待にこたえるためには、みずからが反省をして、かりそめにも、職員にこの欠陥というものを押しつけることなく、責任者の上長がこれを負うようになってくれば、上官と部下に、事業という命題を通じて、相互の理解関係というものが深まってくる、そのとき初めて私は郵便の遅配が解消され、国民に期待される逓信事業として更生できるだろうと思うのであります。したがって、この郵便の遅配を解消するためには、いま私は時間がありませんからあまりことあげいたしませんが、たくさんの理由の中にも、私がことあげしたようなこともあるわけであります。したがって大臣は、一体この遅配を解消して、信を国民に貫くためには、どう可及的に処置されるか、具体的にこのことをお伺いしたい。部下がだめだと、部下ばかりこきおろしたって、いまの若い者は働くものじゃありません。もう少し私は管理者が心の入れかえを考えてもらわなければならぬと思うのであります。したがって、郵便遅配に対して、ひとつどう対処されるのか、その点お伺いしたい。
#58
○国務大臣(井出一太郎君) いまるるお述べになりました点は、私も就任早々第一声として郵便遅配に言及しましたのは、ほかのいろいろなことよりも一番私のイメージに最初に浮かんだからでございます。やっぱり国民が、かつては日本の郵政事業というものは非常に的確に迅速に郵便が届いた、われわれもそういう時代に育ってきたものでございますから、最近の新聞等で批判をされた現象というものは、これはまことに困ったものだ、こういう気持ちが実は私に強かったから、そのような発言に相なったわけでございます。これはなかなかよってきたるところは根が深いのではないか。それから原因も、これは決して一にしてとどまらない、一部分を改善しただけですぐに遅配が解消されるというものでもなかろうかと思うのでございます。よほどこれは広く深く、気を配って対策を練らなければならないと考えておるのでございますが、私は郵政当局者の側に、いま御指摘になるような何か部下だけ責めて、それで能事足れりとする人ばかりではなかろう。ちょうど私が郵政の仕事をするようになって最初に心から痛んだ問題は、郵便の遅配であったと同じように、その当事者の諸君はおそらく同じように胸の痛みを感じておるだろうと思うのでございます。そういうことが、対策の面に非常にきびしいものとなってあらわれるということもあるいはあったのではないかと、こう考えます。それで広くマクロ的にこれを見た場合に、それじゃ日本全国津々浦々いけない現象ばかり出ておるかというと、私はそうじゃない。やっぱりほんとうにまじめに実直にやっていてくださる者のほうがむしろ多い。まあ特殊なケースというものにはいま御指摘のような、何かお互いに不信感あるいは断絶、こういうものが局部的にはこれは決してないわけではない。そこで、これに対します基本姿勢としましては、これは当事者の側においても十分にみずからを戒めなければなりませんし、また同時に、その職場の働く人々の中に、これは決して、心得違いでございましょうか、やはり何かトラブルがないわけでもない。こういうところに十分に目を注ぎまして、そして一つ一つしんぼう強く改善をはかってまいらなければならぬと思うのでございます。基本的にはさっき申し上げるような人間関係を基礎にしまして、あるいは環境条件を改善しなければならぬといったようなことも多々あるだろうと思うんです。これは一般、郵便を受け取る側の方にしても、あるいはもっと住居を明示する仕組みをいまよりももっと的確にしていただくような方途も講じなければなりますまい。その他いろいろな問題をとらえまして、この遅配問題の解消、改善に意を用いる所存でございます。なお、またこまかいことは郵務局長のほうから申し上げます。
#59
○政府委員(竹下一記君) 郵便遅配がございまして、国民の皆さまに御迷惑をおかけしておりますこと、まことに申しわけなく存じております。大体のことはただいま大臣から申し上げたとおりでございますが、郵便遅配というものをながめてみますと、大体その原因は二通りあるように私どもは思うのでございまして、一つは先ほどもお話がございましたように、ものすごい郵便物の増加に対しまして、それに対応して郵便局舎でありますとか、要員あるいは作業器具、そういった手当がおくれるという場合に遅配現象が起きるわけでございます。また大都市におきましては、ものすごい人口の増加、それから人口の移動の激しさ、あるいは戸番制の複雑さ、あるいは交通難、こういったものが遅配の要因になっておるわけでございまして、これに対しましては、定員措置、局舎の改善等につきましては、懸命の努力を注いでおりまして、漸次改善を見ておりますが、若干間に合わないという面がございまして、それは私どもの努力の足りなさでございますけれども、そういうことから遅配が起きるということが一つございます。
 もう一つは、ここに書いてございますように、そういう原因でなくして、職場秩序の混乱というところから郵便の遅配が起きるわけでございまして、これは一般の方には御理解があるいはいただきかねるかと思うんですけれども、職場の職員の中に、これは自分の職員の中からそういうものがいるということを申し上げることは、たいへん実は気持ちのよろしくないことでございますけれども、正直に申しまして、局長であるとか課長の職制に対して従わない職員、これは全員ではございません。ごく一部の職員でございます。職制に反抗する分子といいますか、そういう分子、それからことさらに能率を落とす、普通の人でありますと一分間に五十通か六十通くらい郵便物を区分するというのが普通の能率ですけれども、二十通くらいしかやらない。これは幾ら注意してもやらないという、そういう職員がございまして、それがいわば核になったような形になりまして、職場の空気を乱す。いわゆる職場の規律が乱れる。そういうところには遅配現象がくっついて起きてくるわけでございます。
 もっとも遅配と申しましても、ただいまは平常事態でございまして、全国の郵便局ではほとんどいわゆる遅配というものはないわけです。ごく限られた一部の局におきまして、ただいま申し上げたような事情がございまして、郵便がおくれておりますけれども、これにつきましては、目下いろいろと解決方につきまして努力をいたしております。
#60
○森勝治君 局長、ごく一部の部分についてのみ現在遅配ですか。遅配というのは全国的じゃないですか。最近はそうじゃないですか。
#61
○政府委員(竹下一記君) 年末年始の業務が、ことしはまことに申しわけないことながらよくございませんで、その余じんというような形で一月ごろまで郵便遅配というものがございました。ただし二月に入りましてから今月までは、全国的に見ますると、いわゆる遅配というものはないように私どもは見ております。たまたま何かの都合で郵便物が東に行くものが間違って西に行った。そのために非常におくれたというような事例は絶無とは申しませんけれども、いわゆる一般的な遅配現象というものは今日は全体としてはございません。
#62
○森勝治君 その特異な場合は、それは標準になりませんよ。東が西へなんて、そんなことは標準になりませんが、私は郵便物のおくれているというのは、全般的な傾向だと思うのです。ですから一局の一分子が、かりにいま局長がことあげされたようなことがあったとしても、全般の郵便物の流れから見るならば、それはごく一部なんですよ。大多数のほとんどの職場では、職員が汗水たらしてやっているわけですから、努力してもなおかつ国民の期待にこたえるすべがないのですよ。郵便物の激増もさることながら、十年一日のごとき郵便局の運営によってきたかすというものが遅配という一つの残念な現象によって国民の目に郵政事業の信頼の度合いを落としておるわけですから、だれがどうというわけではない。たとえば、差し立ての場合におきまして、局間の交通のふくそう、こういうことも重大な原因の一つでありましょう。人間の配置が万全でないということも一つの理由でしょう。ですから特定な理由、そのことによって陳弁これつとめることはいけないと私は言っているんです。私は何十年か昔、郵便の区分をやったことがあります。ベテランでなければ、そうさっさといくもんじゃありません。これはたいへんな努力です。手の作業ですから、たいへんな作業です。そう皆さんが、郵便の区分もやったことがないような方々が言うような簡単なものではありません。一がいにそう言ってきめつけるものではありません。新米が一分間に二十通もできればりっぱなものです。なかなかあて先が大阪と書いてあっても、大阪へ手がいかないものです。京都はどこだ、大阪はどこだといって、一つ一つさがしてみなければ、一つのはがきの区分はできない。ベテランならいざ知らず、新米はそうなんです。それから次から次に郵便物が来るでしょう。そういう状態を見なければ、山ネコのサボタージュをやったから郵便が遅配したんだなどと言ってはいかぬじゃないですか。だから、そういうことから断絶が来るのです。機動力がないなら、機動力を発揮させたらいい。局から局の行のうの時間が何時間かかるとあなた方は思っているわけですか。小包だって、何時間かかると思うのです。浅草に持って行くのに、新橋に持って行くのに、何時間、市内がかかっていると思うか。小包も合理化でやってきたけれども、そう簡単にはいかないでしょう、この交通のふくそうの中で。だから、そういうことを言わないで、職員がどうだこうだ、そんな派生的なことを言わないで、もっともっと大乗的な見地に立ってくれないものだろうか。機動力がなければ機動力を充実しましょう。いいですか。機械化機械化と、そういうことを言うならば、そっちをやるのですよ。そこであなた方が経営能力を最大限に発揮して、しかる後に、従業員がこれにこたえなければ、従業員に対して叱正するのもいいでしょう。批判を加えるのもいいでしょう。やることをやらないで、やれやれと言ったって、時代が変わっているんです。断絶の時代です。世をあげて断絶の時代に、昔のように、おいこらと言ったって動くものじゃないですよ。お説教をしてきかないからといって、ぶんなぐってよろしいか。いまの世の中では、ぶんなぐってはだめでしょう。なぐることはいけないでしょう。まさに局長の話しは、――これは、あなたの責任ではない。いままで、歴代そうだったのだろうが、なぐってもきかないから監視をつけた、と言うのです。私はそういうふうにしか受け取れない。そういう自分の部内の職員の力の不足、そういうことは言わないで、欠陥ばかり言わないで、もっともっと大乗的見地に立って、一種・二種の区分のことよりも、何千通という郵便物が入っている行のうの移送のこと一つ考えても、どれだけ機動力を発揮できるかわからぬでしょう。どうか、ひとつ、これからはそういう従業員の批判ばかり――従業員を批判することは、上司の経営能力に欠けたということを告白するようなものですよ。いわば、天につばするたぐいでありますから、今後は、そういうことについて厳重に慎んでもらいたい、そういうことは。われわれは、そんなことはもう聞きあきてしようがない。
 そこで、次に移りますが、この郵便の遅配解消の一手段として、いわゆる団地ママさんの採用をいたしました。これはどういう意図に基づいたか知りませんが、二月二十日ですか、NHKの「スタジオ102」で、配達ママさんというので、団地の主婦の皆さんに請け負い配達させるという問題を取り上げたそうであります。この中で論議されたのは、このことについては、配達ママさんについては、賛・否両論こもごもだったそうでありますが、まあダイレクト・メールのようなものならいざ知らず、中には当然、これは心と心をつなぐ――これは何回くらいか、三回くらいこういうことばを用いますけれども――いわゆる信書ですね。すなわち、プライベートの内容のもの、あるいはまた、仕事上の重要な書類、あるいはまた、証拠書類等、いわゆる郵便法第九条「郵政省の取扱中に係る信書の秘密は、これを侵してはならない。」この問題と団地ママさんとの関連はどうなのか。私は、何も団地ママさんが信書の秘密、機密の漏えいをするということで言っているのじゃないですよ。郵政省が、郵政省の職員たるべき人を採用するときにはそれ相当の誓約書を取り、完全雇用をもって人を求めているでしょう。まあこのごろまたパートタイマーというのが盛んに、そういう制度を取り上げていますから、郵政省もそれをまねしたといわれるかもしらんけれども、もう少し私は策を弄してしかるべきだと思うのですね。特に私が心配するのは、団地の中の習慣における、郵便のやりとりによって近所の人がたに、たとえばはがき等の文面、たとえばいなかの人たちはよく信書の内容等についてもはがきで書くのです。そうするといつ幾日上京するよというものなら別ですけれども、その中に重要なはがきが入っている、そういうことが万が一、第三者に伝わったような場合にどうなるか、団地同士の断絶はさることながら、信頼される郵便事業の失墜を私はもたらすような気がしてならないわけであります。さりとて、じゃ信書配達は本番の人、広告物はママさんというわけにはまいらんでしょう。ですから、そういう点を私はもう少し真剣といっちゃ失礼でありますが、もっと角度を変えて取り上げてもらいたいのです。そういうことを公に、なぜ正規の職員をもってこれにあてないか、そうすると必ず採用難ですと、こう言う。私は、いま局長は、あなたの責任ばかりじゃありませんが、郵便の遅配と質問されると、部下が悪いのですという上司のもとにりっぱな部下は集まってきやしないじゃありませんか。部下が失敗をしでかしたら、部下をかばってやるような上司のもとに部下は蝟集してくるんではないですか。私は一般論で申し上げているのですよ。特異なケースのことを申し上げているのではない。全般論で申し上げているのです。したがって、それぞれ団地ママさんは何号はどこのママさんということは簡単かもしれませんけれども、われわれが社会生活を営む場合であっても、各家庭の個人個人の、いわゆる秘密といっては恐縮でありますが、他の第三者にうかがい知ることのできない城郭があるわけでしょう、城郭が。それを受けた人が、万が一信書が破れているといったような場合に、見られなくても見られたような気がした場合に、ぼくは団地の中のそうした相互関係がどうなるのか、社会秩序というものを、むしろ私はそっちをおそれるのですよ。それなら団地ママさんなら、団地ママさんも本採用にすればいい。パートなんかにしないで、れっきとした郵政省の職員にすればいいのですよ。ママさんたちを試験台に使わないで、そんな失礼なことをしないで、低賃金で雇わないで、正規な職員として採用すれば問題はないでしょう。どうもそういう点がやすきについて困るような気がするのですが、だからビジョンがないと私は指摘しているのですよ。なぜ全般的な計画を立てないかと、私はこうやって変なことばかり言って恐縮でありますが、とにかくもう少し何とかならんかと、こう私は申し上げているわけです。だからいま申し上げた、じゃ本採用すればいいじゃないか、本採用の職員をもってすればいいじゃないか、集まらないという、なぜ集まらないかという、これを皆さんもっとよく掘り下げてもらいたい。それは私が批判しても一がいにはけりがつかないでしょう。しかし、ついせんだってまで郵政事業には期待感が盛られていた、国民から、すべて。電話局にいます、郵便局にいます、ここで社会の人たちはまじめな方々といって町の方からも尊敬され期待されておった、これはわれわれ自他ともに逓信マンは任じてきたはずであります。ところが若者がどんどん行ってしまう、つまらない、それは魅力がない職場だから、なぜ魅力がない職場か、こういうことをじっくり私は考えてもらいたい。私は二、三点の問題点を出しましたから、その点についてお答えいただいて、そのあとをまた質問しましょう。
#63
○政府委員(竹下一記君) お答え申し上げます。
 この団地のママさん配達は、いまのところ東京都の近郊地十八カ所で実施しておりまして、いわゆるママさんは七十名ばかりおります。どうしてこういうことをやるかということですが、これは御指摘がございましたように、それを受持つ郵便局の外勤員の欠員が埋まらないということから、本来であれば本務者でもって、きちんとやるのが一番望ましいわけでございますけれども、どうしてもそれができないものですから、やむを得ざる措置としてママさんを活用したと、こういうことになっております。ですから、私どもは、これは、本来であればほんとうの姿ではないので、早く本務者が採用できるような条件をこさえまして、本務者でやるという本来の姿に立ち返るように努力したいと思っております。ただ、御懸念がございました通信の秘密の問題ですが、このことにつきましては、私どもも一番気をつけておりまして、そのためにもママさんたちはパートタイマー、いわゆる非常勤の公務員という身分を、しっかりした身分を与えまして仕事に当らせておりまして、通信の秘密の確保につきましては一番話を聞かせまして、注意をさしておるというわけでございます。幸いにいたしまして、今日まで通信文の秘密の問題につきましては、とかくの問題は起きていない実情でございます。
#64
○森勝治君 この際明快にお答えをしていただきたいことが一点あるわけであります。どうもこういうパートタイマー等の制度を用いるということが、私が若干先ほども質問の過程で一、二ことあげしたように、最近は職員の尻をたたくということが急なあまり、信書の秘密とか郵便法を守るというよりも、さらにまた、心と心をつなぐ使命を全うするためというよりも、何か一般の運送会社のように、物品を配送する――合理化という美名に隠れて、排送するということばに堕してきてはしないか、そこまで落ちてきているような気がしているのですね。これは、失礼ですが、幹部の皆さんの頭の中に、どうもただこちらからこちらへ置けばいいのだ、こういうふうに考えてきたところに、それを合理化という名前で名づけて、その中で自己撞着におちいって、これが新機軸だ、こういって、信書の秘密とかなんとかというものはなおざりにされている傾向が幹部の頭脳の中で、どっかでうごめいているのじゃないかと私は思うのです。幸い局長は、人手不足のやむなき処置のために、やむなくやった、こうおっしゃっておられて、今後ともこれをふやす意思はなさそうに私は見受けたわけであります。ですから、その辺を明快にひとつ、国民の信をつなぐ郵政省、信書の秘密を守る郵政省、この点を明快にひとつ答えていただきたい。
#65
○政府委員(竹下一記君) 先ほども申しましたように、いまママさん配達やっております団地は、すでに始めて三年経過したのもございます。その間、信書の秘密という大事な問題につきまして問題が起きたことはございません。これは、平素からよく言って聞かしてあるということが一つあると思います。
 それから仕事ぶりですけれども、これは私ども懸念しておりましたのに対しまして、この人たちが意外に気持ちよく、張り切って仕事をしてくれるという面がございますのか、たいへん好評を得ておると、団地の中で。これは事実としてございます。また、私どもは、先ほど御指摘がございましたように、日常顔を突き合わせておる人に郵便を配達をするということは、いかにもいろいろと気まずい面が出てきますので、ママさんが居住しておるところと配達する団地とは少し距離を置きまして、先ほど申しましたような、気まずさというものが出ないように、極力そういった面の注意もいたしております。しかしながら、いま要員事情が緩和されて、本務者が得られるということになれば、これは当然そのほうにいくべきでございまして、決してこれをやたらに広げようという気持ちはございません。今後の要員事情というものを十分見ながら、これは今後弾力的にママさん配達は扱っていきたい。目下のところそういう気持ちでございます。
#66
○森勝治君 要員の問題についても質問したいのですが、時間がないですから次の問題に移りますが、貯金の利息の問題でありますが、長期金利の改定の問題が御承知のようにだいぶ騒がれておるわけであります。銀行定期預金の利子、公社債等の利子が引き上げられる傾向にあることは先刻御承知のとおりであります。
 聞くところによりますと、郵政省の中でも一般の普通預金はさておいて、とりあえず定額、定期の利子の引き上げ、これを検討しているというふうに聞いております。そこでまたさっきの大蔵省や銀行筋の問題が出るのでありますが、こういう問題が伝わると、さっそく大蔵省や金融筋で、これは一般金融機関の預託率を低めることになるから、いわゆる金融機関の自主活動をそこねることになるから、郵便貯金の利子の値上げはまかりならぬ、困る、こういう反対の意見が出てくるわけでありますが、この問題についてどう対処されるのか、ひとつお伺いをしたいと思います。
#67
○国務大臣(井出一太郎君) 長期金利の引き上げ措置の一環といたしまして、銀行等の定期預金の利子を引き上げる、こういうことを検討されておるように仄聞しております。そこで当然、郵便貯金のほうは関連があるわけでございますし、ことに国民大衆の零細な貯金を預かっておる立場からいたしますならば、この貯金者の利益の保護ということに十分意を用いなければならぬのであります。したがいまして、銀行等の預金の利率が引き上げられる場合には、これとの均衡を失しないように、郵便貯金の利率の改定について万遺憾なき処置をいたす所存でございます。
#68
○森勝治君 その点は、この席上ではまだ明快に上げる、据え置くと言うことはできないということですか。はっきり意思をもう一ぺんお伺いいたします。
#69
○国務大臣(井出一太郎君) これは郵政だけでどうこうという問題ではなく、一般金利体系の問題でありますから、世間の水準がそこまでいく場合は、当然わが方もそれに準じて引き上げていく、かように御了解を願いとうございます。
#70
○森勝治君 それではこれは、この程度で次の問題に移ります。
 どうも大臣の、また就任の弁を借りて恐縮でありますが、お伺いしたいのですが、郵便料金の問題であります。何か記者団ですか、質問の中で若干私ども物騒な発言のように、どうも私は勘ぐって――げすの勘ぐりのようでございますが、どうもやってみて、できそうもなかったらばというような意味の「ば」というのですか、「ば」というのは何か怪しいものでして、やってできないと属僚が言うならば値上げするのだ、こういう意味に私は受け取ったのです。もしそうだったならば、物価安定に最も力を入れているという佐藤内閣の重要なメンバーのあなたが、郵便料金値上げの急先鋒に立つのか、こういうげすの勘ぐりをしたわけであります。したがって、時間がありませんから私はそのものずばりでお聞きしたわけですから、ひとつ明快にこの点をお答えいただきたい。
#71
○国務大臣(井出一太郎君) それは森さん、どの新聞でごらんになったのか存じませんが、私はそれについてあのときは触れておらないつもりでございます。しかし、まあよくそのことはその後にも質問等が出る問題ではありますが、そこで四十五年度は従来からの繰り越し現金がございましたから、そこで郵政の特別会計はどうやらつじつまを合わせることができたと、こういう状況でございまして、まあ四十六年度あたりはこの内容はどうもさらに事情が悪化するであろうという見通しはつきそうでございます。さてそういう場合、一体これをどうするか、一般会計からの補てんということあるいは借り入れ金という問題もありましょうし、万やむを得ない場合は料金に手をつけるということも、これは場合としては考えられる。けれども、何と申しましても、ただいまの状態からしますると、まだ年度が始まらないのですから、一体来年度の事業の推移というものがどうなっていくか、その他まあ給与改定の問題等を含んでおりまするし、ことにいま御指摘の政府の物価対策、こういうものがありますから、まだこの点は現在結論を得てはおりません。かようにお答えを申し上げます。
#72
○森勝治君 そこでもうちょっと掘り下げて質問したいのですが、こういう質問が出ているわけです。「予算案といえば郵便の業務収入の面から料金改定問題も出てくると思うが。」、そこであなたのお答えが出るわけです。「一口にいえば非常に慎重に対処しなくては。公共料金は物価の先頭を切るように思われる。物価問題は内閣の最重点にあげているので、どの程度ツジツマが合うか。私自身、簿記などもやり経済ではいくらか目が通る気がしているので、よく」――経済の専門家だということでしょう――「よく検討してみたい。どうしてもしようがないというのならばですが。」というのです。この最後の「どうしてもしようがないならば」というところが私ども気にかかってしようがないのですよ。まあいまのお話ですと、結論が出てないということですから、まだここで上げるとかなんとか、そういう問題とまだあまり正面きって取り組んでない。ですから、かりにそういう問題が起こったとしても、まだいわゆる当面の問題ではない、こういうお答えだと受け取っていいですか。
#73
○国務大臣(井出一太郎君) きょうここで申し上げた私の見解を御採用願いたいと思います。
#74
○森勝治君 それではこの来年度は、来年度四十五年度は赤字予算でしょう。持ち越し現金百三十三億円をはき出して何とか乗り切る、こういうお話でしたな、先般。何か、そうでしたね。経理局長いますね。その点ちょっと……。
#75
○政府委員(溝呂木繁君) お尋ねのとおり、四十五年度予算におきましては歳出が歳入を超過すること百三十三億円でございますが、その超過額は持ち越し現金をもって充てるということでございます。
#76
○森勝治君 ですから、百三十三億円をはき出して何とか乗り切るというのでありますが、三月になれば賃金の仲裁が出てくる予想がされますね。その賃金裁定が出てきても、資金というものはそこで確保されるのですか。その点は労働組合との折衝の段階では目鼻がつくわけですか、その辺をひとつお聞かせ願いたい。
#77
○政府委員(溝呂木繁君) 四十五年度においてもし仲裁裁定が出た場合にその財源をどうするかというお尋ねかと思いますが、四十四年度におきましても、御承知のように八%プラス千円の仲裁裁定が出ました。それをいま年度末処理と称しまして、いろいろ財源的に処置をしております。
 その方法は、一つは予備費がございます。予備費をもって充てる。それから増収が、一応予算で組みましたけれども年度中ずっと様子を見てまいりますと、実際の収入は予算に予定したよりも増収がございます。その増収をもって充てる。それからさらに、相当苦しいのではございますが、これだけ大きな会計でもございますので、いろいろくふうをいたしますと、あちらこちらに節約財源というものが出てまいります。この三つをもって、四十四年度でも八%プラス千円、その分全体として約三百億、そのうち郵便関係の事業として持ち分である百五十億、その他人事院勧告による期末奨励手当等の分も含めまして財源処置をいたしております。したがいまして、四十五年度においても同様な処置をとらざるを得ないものと考えております。
#78
○森勝治君 そうなると、その次年度四十六年度はどうされるのでしょうか。
#79
○政府委員(溝呂木繁君) ちょうど四十四年度において仲裁裁定が八%プラス千円出ました分を、四十五年度の予算に組んでおります。したがいまして、四十六年度においては、いま予定しております四十五年度分に対してさらに、何%の仲裁裁定が出るか知りませんが、もし一割出たとすれば、さらに約百数十億の財源的に苦しい部面が加わるということになろうかと思います。
#80
○森勝治君 次は、放送大学について若干質問をしたいと思うのでありますが、放送大学の準備状況はどういうことになっておりますか。
#81
○国務大臣(井出一太郎君) 放送大学につきましては、教育制度及び放送体制の両面において検討すべき問題が多かろうと思うのでございまして、この点、郵政、文部両省において協議検討をしてきたところでございます。また、広く学識経験者からも基本的事項について意見を聞く必要が認められましたので、昨年の秋、両大臣の諮問機関として放送大学問題懇談会を設置いたし、その意見を聞いた結果、放送大学の設立を積極的に推進すべきである、こういう点で意見の一致を見ておることは御承知のとおりであります。さらにまた放送大学の性格、受講対象者、設置主体等について建設的な、かつ有益な意見が出されておるのでございまして、これを受けとめまして、これから鋭意準備にかかりたいと思っておるのでございます。御承知のように、四十五年度の予算で三百万円あまり調査費が計上されることになっておりますので、これらをもととして、これは文部省という相手もあることでございますから、十分に協議を続けて実現の方向へ持ってまいりたい、かように考えておりますが、なおこまかい点は事務当局から申し上げます。
#82
○森勝治君 それでは昨年の九月に、前郵政大臣が四十六年の四月から放送大学を発足させると言明しておるのでありますが、この点についてあなたはどう思いますか。
#83
○国務大臣(井出一太郎君) その点は、河本前大臣から私も聞いておるところでございます。四十六年の四月から発足をさせたい、こういうことで当時郵政大臣と文部大臣の間で話し合いがなされた、こういうことでございますので、鋭意それに向かって努力をいたす所存でございます。ただ、私として、その後の検討した結果あるいはこの予算措置等を考えましたときに、あるいはまあ多少おくれるという懸念もありはしないかと思ってはおりますが、しかし、できるだけ早く発足をさせたい、この考えには変わりはないのでございます。
#84
○森勝治君 前大臣は、昨年の九月、すでに四十六年の四月発足させる、こう言っているわけですから、それからもう半歳を経過したわけですから、もっと具体的に明快にお答えができるはずだと思うのでありますが、それはできませんか。
#85
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 先ほど大臣がお答えになりましたように、前大臣は四十六年四月からというお話でございましたけれども、まあこれは当時におきまする努力目標ということでそういう御発言をされたんだろうと思います。私どもとしましては、いまも大臣のお話がありましたように、いろいろな角度で検討をいたしているわけでございますけれども、予算措置その他もございまして、四十六年四月ということは相当むずかしいのじゃないかとは思っておりますけれども、できるだけ早く発足できるように準備をいたしたいと考えております。
#86
○森勝治君 どうも監理局長から奇怪な御答弁をいただいたので私いま戸惑っておるわけです。河本前大臣はそういう努力目標などという片腹痛いことを言う人柄ではないと私はお見受けしておるのです。誠心誠意これつとめるという人柄だと私は思うのです。努力目標なんていうことはないと私は思う。何か担当課長及び局長は考え違いをされているのじゃないですか。私が大臣に聞いておるのは、前大臣ですらも明快な――前の問題もあったでしょう。前半であったでしょう。前大臣はこう言ったがあなたはどうだ。このことについても前大臣は明快にお答えになった。時点の違う、半年も前に、前の大臣は明快に、スタートさせる時期まで明快に示しておるのですよ。ですからそれから研究する時間があったのですから、検討する時間があったのですから、打ち合わせする時間もあったのですから、より具体的な施策がなされてこれが行政が前向きに動いたという姿になるのじゃないですか。前の大臣は具体的、現大臣は慎重もけっこうかもしれないけれども、いつだかわからぬ、早くやると言っておる。あげくの果てに監理局長はそれは大臣の努力目標だなんて。じゃあすべて河本前大臣が何月何日これやりますと言うのは、これはみんな前大臣のラッパと見るのですか。電波監理、これを掌握する監理局長がそんな不連続線を発散させるというようなことをされちゃ困りますよ。その点もっと明快にしてください。
#87
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 先ほど大臣からもお話がありましたように、現在の準備状況はいわゆる放送大学準備調査会というものが文部省の諮問機関として発足しておりまして、そこで具体的な放送体制であるとかあるいはまた教育制度上のいろんな問題であるとか、そういった問題につきまして現在調査をいたしておる状態でございます。したがいまして、私ども電波監理の立場から申し上げますと、そういったものがもう少しはっきりいたしませんと、免許の主体であるとかあるいは周波数割り当ての問題あるいは放送施設の建設、運用の問題いろいろございますけれども、もちろん並列に検討いたしておりますけれども、やはり相手があるわけでございまして、電波監理局あるいは郵政省だけでどんどん進めるという状態ではございません。したがいまして、私どもとしましては、文部省と密接に連絡をとりながら準備を進めているという状態でございます。そういった状態から申し上げますと、どうもいまの段階でわれわれが幾ら努力いたしましても、この四十六年四月というのは相当むずかしいのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#88
○森勝治君 あなたが後段で言われた四十六年の四月スタートというのはむずかしい、したがって、これは衆議院解散の直前だから大臣の放言だと、選挙向けの発言だと、こういうふうに受け取られがちでありますが、いいですか。いいですかと言ってもあなたじゃありませんが、大臣いいですか。
#89
○国務大臣(井出一太郎君) 河本前大臣はああいうお人柄ですから決してそのようなことはなかろうと拝察をするのでございます。非常にこの問題に御熱心であったから、私もさもありなんと思うのです。
 ただこれは専門家の森さんもたぶん御推察が願えると思うのですが、さていよいよこれを実施をするという段階になりまして諸般の問題を検討しますと、なかなか一山も二山もあるようでございまして、その辺を勘案いたしますと、私がどうも慎重だといってお叱りを先ほど来受けますけれども、これ、そう拙速主義でいっていいものかどうか。やはりこれは新機軸を出す新しい大学のスタイルでございますから、やはりそれには十分諸般の態勢を整えなければ教育という国家百年の大計を誤まってはいけませんので、そういう意味で慎重であるということを御了承いただきたいと思います。
#90
○森勝治君 慎重でもけっこうです。ですから、慎重なお答えでけっこうであります、これからお伺いする質問については。
 一体この主たる所管の庁というのは文部か郵政かいずれなのか、この程度のことはわかるでしょう。両省協議していると言いながら、どちらが主管になるかくらいのことはこれはわかるでしょう、どちらがなるのですか。
#91
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 いわゆるこの何と申し上げますか、放送大学という点から、その放送ということから申し上げますと、私どもが主管であると思います。ただし放送大学が行なう教育の内容そのものはこれはやはり文部省のほうだと思います。したがいまして、私現在そういったものがどういうかっこうになるか、まだはっきりいたしておらないわけでございますけれども、所管といたしましては、文部省と郵政省の両方の共管であろうと、そういうふうに考えております。
#92
○森勝治君 なるほどそれなら文部省にも恨まれないで済むでしょう。しかしどうも準備の過程から見ればこれはまことに失礼でありますが、文部省が一歩先んじている、こういう印象はぬぐいきれない、正直に私は私の感想をその点は述べる。
 そこで局長は、前大臣が言われた四十六年の四月は無理だと、こうおっしゃるわけです。なるほどことしのこの件についての予算は一千百万、大臣が言われたように郵政関係が三百九万ということであるならば、この予算的裏づけから見ると来年の四月は無理でしょう。これはこの予算的の措置だけでわかります。やろうと思えばできるが、来年の四月にスタートさせるという熱意が少なくとも電波の主管庁である郵政省にないから、もうすでにだめだと言っているんだから、さてそれならば前大臣が発言した四十六年四月スタートがだめだというならば、次なる時点はいつかということです。目標をひとつ、監理局長の言われる得意な努力目標では何年何月何日なのかひとつそれをお聞かせ願います。
#93
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 この努力目標といたしまして、やはり先ほど来申し上げておりますように、放送大学自体がいわゆる教育内容自体がこれ文部省でございますので、やはり文部省のほうがそういった点をはっきりさせていただきませんと、私ども郵政省としてもはっきりいつというところまでいま現在申し上げるわけにはいかないと思います。しかし、できる限り早い、先ほど、前大臣のお話もあるわけでございますので、できる限り早い機会に準備を完了したいというふうに考えておるわけでございます。
#94
○森勝治君 たたみかけて恐縮ですが、できるだけ、できるだけと言うんですね。可及的すみやかと、そういうことばかり言っている、それでは私たちも困るんですよ、目標を設定をされているわけですから。しかも前大臣が責任をもって他に発表しているわけです、第三者に。ところが大臣がかわったら今度は井出大臣はもうノーコメントだと、慎重居士だと。これでは佐藤内閣は電波行政について後退したというそしりを免れない、特に、そうでしょう。さっきの電波法の改正だって、放送法だってみなおしなべてそうだ、次から次へと。この問題もそうだ。大臣は大臣で、次から次へアドバルーンをあげているうちに一年が過ぎた。はい、さようなら。これじゃお話にならぬ、全く失礼ですがお話にならぬ。したがって、大臣が対外的に発表されるならば、努力目標だといって片づけないで、もっと責任の帰属を明らかにして発言を大臣はもっとすべきだ。そうでなければ軽卒大臣のそしりは免れない、失礼だけれども。これでは年じゅう、年じゅう一生懸命やります、やります、お話にならぬです。少なくとも前大臣が四十六年の四月という、監理局長の言う努力目標を掲げておるならば、事務当局はこの目標に向かってまっしぐらに突っ走るのがほんとうでしょう、そうでしょう。それでやってみてできなければ、諸般のいろいろ事情を勘案してできないということならば四十六年の四月スタート無理だと、それなら次なる時点はいつぞやという時限を求めるわけですね。それで次善の策を講じなければならないでしょう、そうでしょう。ただやります、やりますではどうにも困ります、その点はどうなんですか、もっと明快に答えてくれませんかね。知らぬ、存ぜぬ、慎重もけっこうですが、どうも何だか新しい郵政大臣になったら、何だか知らぬが、ことなかれ主義のような気がしてならぬ、私は。
#95
○国務大臣(井出一太郎君) 決してことなかれ主義というのではございません。これは一つの方向は、前大臣のときにすでに打ち出されたわけでございますけれども、この線に沿って努力をすることは当然であります。御案内の調査費もこれがいよいよ使えるのは四十五年度からございますから、そこで十分なる調査をすると、三百万円程度じゃどうにもならぬじゃないかと、こうおっしゃるかもしれませんが、こちらは基本的には年度がかわりますとともに、調査費を使ってすぐに準備段階に入る。そして鋭意努力を傾けまして、いまの四十六年四月というのをめどにして、そこへ向かって前進をすると、こういうことに御了承を願いたいと思います。
#96
○森勝治君 前進か前向きか知らぬけれども、失礼だけれども、さっぱり答弁が前進にも前向きにもなっていない。私どもは前進の期待感を込めて質問いたしましたが、これではあまりにも前向ではないです、正直に言って。いいですか。十分構想が固まらない段階ですらも、前大臣はできれば四十六年の四月にスタートさせたいと積極的な姿勢をもって言っておられるのですよ。すでに作業を展開されておる今日においてスタートする時期がわからないというのじゃどうにも私どもはあなた方の答弁を失礼だがまともに聞けない。聞けない聞けないと言っても押し問題になりますから次に移ります。
 この使用の電波は確保できるのですか、Uのほうはできたと聞きましたが、ラジオのほうには問題があるとかいうお話でありますが、その辺はどうでしょう。
#97
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 電波の問題につきましては、前大臣も言われていたわけでございますけれども、UHFテレビにつきましては全国的に一系統、それからラジオの関係につきましても、全国的に一系統確保したいということでございまして、私どももそのつもりで作業を進めている段階でございます。
#98
○森勝治君 いまの構想は、それは放送大学はいわゆる国立にするのですか。
#99
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 先ほども申し上げたわけでございますけれども、こういった放送大学自体のどういうかっこうでつくるかといったようなことにつきましては、現在文部省の諮問機関でありまする放送大学準備調査会というところで鋭意検討しているという状態でございますので、いまのところはっきり国立ということにはきまっていないと思います。
#100
○森勝治君 かりにこれをスタートさせるとするならば、NHKの考えております市民大学との関連性はどうなるのですか。NHK等ではたとえば大学法に基づいて一定の年限勉学をし百二十三課目を履修すれば学士の課程を終了するというふうなわけですね。そうすると、いまの放送大学も大体似たり寄ったりですね。人文科学等を中心にするというお話でありますが、とにかくそうなるとNHKの考えておる放送大学はどういうことになるのか、それを一緒にさせるのか、全然別個に考えているのか、この辺の関連性はどうなのです。文部省にまかせたと言わずに、やっぱり文部省にまかせるにしても、電波を掌握する所管の庁としては、当然その立場でどんどん文部省に意見を具申するのですから、そういう立場でものを第三者にゆだねたゆだねたと言わないで、もう少し責任のある積極的なお答えを私はいただきたいと思います。
#101
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 いまのところこのNHKのいわゆる市民大学との関係でございますけれども、現在、先ほど申し上げました文部省の諮問機関でありまする放送大学準備調査会におきましての委員の一人として、最近NHKの川上専務理事ですか、委員としてお入りになりまして、私どもが聞いているところでは、NHKの放送大学構想も話されたようでありまして、審議会としてはNHKの問題も含めていま検討しているという状態でございます。
#102
○委員長(近藤信一君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#103
○委員長(近藤信一君) 速記を始めて。
#104
○森勝治君 間もなく終わります。
 この放送大学の例はアメリカやイギリス等にあるわけでありますが、諸外国の例を簡単でいいですからひとつお聞かせ願いたい。
#105
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 いわゆる放送大学といわれておるものは、世界的に見てもそう数がたくさんあるわけではございません。よくいわれておりますのは、イギリスにおきますいわゆる公開大学、オープンユニバーシティーというものでございますが、これは御存じのように設立するための特許状というものが昭和四十四年六月にイギリスにおきまして下付されておりまして、実施は昭和四十六年一月から実施する予定で準備が進められている、そういうふうに聞いております。この市民公開大学というものは、教育の機会均等といったものを目標といたしまして、あわせて現在の社会における技術の進歩に対応できる人材を養成するというために、イギリスのいわゆるBBCと言われますイギリス放送協会の施設を使用して行なうテレビ、ラジオの放送と通信教育を組み合わせて、大学程度の高等教育を提供するということを目的にして設立されたものでございまして、入学資格といったものは一切問わず、所定の課程を終えたものは公開大学の学位が与えられるということになっているそうでございます。アメリカにおきましては、放送を大学教育に利用している例は少なくはないようでございますけれども、いわゆる大学の卒業資格といったものを与えているのは、シカゴにありますテレビカレッジというものだけであります。このカレッジは、カレッジでございますから年限がたしか二年ということでございまして、あまり長くないわけでございますけれども、カレッジの設立の主体はシカゴの教育委員会というところがやっておりまして、またその放送は、シカゴ教育テレビ協会の放送局を使って行なわれているわけでございます。これに属する学生というものは、テレビの視聴と、それからまた学校が行なう試験といったものにおいて、シカゴ市立大学、あるいはまたシカゴ教師大学のいわゆる日本の短期大学程度の資格――アソシエート・イン・アートということだそうでございますけれども、そういった資格が与えられるということになっているそうでございます。そのほかアメリカには、大学卒業資格といったものは与えないけれども、いわゆる大学の学科の一部の範囲を放送によって取得させる、そういった大学が相当程度あるようでございます。それからヨーロッパの西ドイツにおきましても、現在テレビ大学の設置についていろいろ準備が行なわれておりまして、いわゆる第二ドイツテレビ協会といったものが中心となって検討が進められており、将来はイギリスの公開大学といったものを目標としてそういうものをつくる計画を持っているというふうに聞いておりますが、まだ具体的にいつからという点はきまってないようでございます。
 以上簡単でございますが、諸外国におきまする事例を御説明申し上げました。
#106
○森勝治君 だいぶ時間も来ましたので、この一点だけで質問終わりますが、七二年にいよいよ沖繩が日本に帰ってまいりますが、この沖繩返還に備えて、郵政省としてどのような対策を講じておられるか。これは先般も当委員会でお伺いしたんでありますが、当時の状況から一段と進展をしている様相でありますから、郵政でも具体的な検討がなされておられるものと思って、この質問をしておるところでありますから、ひとつ明快にお答えをいただきたい。
#107
○政府委員(野田誠二郎君) お答えいたします。
 七二年の沖繩復帰に伴いまして、郵政省としましても郵政事業あるいは電気通信関係等の行政事務につきまして、本土と沖繩の円滑な一体化を実現する必要があるのでありますが、このために、すでに昨年十二月に本省に沖繩復帰対策室を設けまして、復帰にかかわる事務について組織の整備をはかったところでございます。今後、各省庁等とも十分な連絡をはかり、円滑かつ適切な対処方策を立てておるところでございます。各省庁との十分な連絡と申しますのは、現在総理府に沖繩復帰対策各省庁担当官会議というのがございまして、この中に行政、財政、産業経済、教育、社会労働、その他各部会がございます。郵政省としましても、これらの関連の部会に担当官を派遣をいたしまして、十分な連絡をとり、すでに現地の調査なども一つの部会で済ましておる、こういう状況でございます。
#108
○森勝治君 これで終わります。
 そこで、まあ最後の問題ですが、これは要望を一つつけ加えておきたいのでありますが、まあ準備万端これつとめておられることとは思うのでありますが、やがて郵便の部門の諸君、電話関係の部門の諸君も、これはいずれ郵政省、電電公社の職員として迎え入れることになるであろうと思いますから、いまのうちから沖繩担当のこちらの、まあ本土と申しましょうか、こちらとのこれら職場の交流をはかって、祖国復帰の暁には、直ちに従来よりもより一そう事業が円満に進むことができますように、もういまのお話ですと、準備万端とり行なっているやにお伺いしますが、重ねてそういう問題につきまして、ひとつ御配慮をしていただくよう私は要望いたしましてきょうの質問を終わります。
#109
○塩出啓典君 このたび逓信委員になりました塩出でございます。初めてでございますので多少幼稚な質問もあるかと思いますが、その点よろしくお願いいたします。
 先ほど森議員のほうから、全般的な点について種々質問がございましたので、私は、この郵政監察業務の問題、それと郵便遅配の問題、この二つの問題にしぼって二、三お聞きしたいと思います。非常に時間も、あとまだ青島議員の質問もございますので、質問も簡潔にいたしますから、どうか回答もひとつ簡潔にしていただきたい。
 それで、まず首席監察官にお聞きしたいのでございますが、ここ数年来のいわゆる内部犯罪の状況、また最近の犯罪の傾向、そういうものについて御説明願いたいと思います。
#110
○説明員(中根敬一君) お答え申し上げます。
 部内犯罪の状況につきましては、ここ数年来いわゆる部外犯罪のほうが増加しておりまして、部内者犯罪につきましては横ばいの状態であります。したがいまして、総体的には減っておると、こういうことが言えると思いますが、まあ絶対的には横ばいの状態でありますので、これが根絶につきまして一そう努力いたしておるところでございます。
#111
○塩出啓典君 最近はだんだん巧妙になってきていると、そのように聞いているのですが、その点はどうなんですか。犯罪の手口が巧妙で、知能犯的な犯罪が多いという点。
#112
○説明員(中根敬一君) おっしゃるとおり、だんだん犯罪の手口といたしましては巧妙かつ潜在化の傾向にあるわけでございます。なお、地域的には広域化の傾向にあるということが言えるかと存じます。
#113
○塩出啓典君 そういうやはり犯罪の内容もまあ時代とともに変わってきているわけですね。しかも、非常に定員の面においても限界があるために、まあ監察局としても、非常なやはり苦労があるのじゃないかと思うのでございますが、まあそういう新しい時代に備えて、監察局としては、どういう具体的な方針でやっておられるのか、その点御説明願いたいと思います。たとえば非常に科学的な武器を導入するとか、その点はどうなんですか。
#114
○説明員(中根敬一君) 犯罪の捜査方法にいたしましても、近代的な方法を用いまして、これに対処してまいりたいと存じておるわけでございます。たとえば、精神検流計、俗に言ううそ発見器でございますが、そういうものとか、無線による連絡の緊密化とか、機動車の活用とか、そういった点による捜査のスピード・アップとか、いろいろな方法を講じまして、近代的な犯罪捜査に対処していきたい、かように存じております。
#115
○塩出啓典君 まあやはり限られた人員の中で最大の効果を上げるわけですから、そういう点、大いにひとつ人員の不足を補う点において推進をしていただきたい、そう思います。
 それから、この監査の形でございますが、まあ大体私は思うのは、そういう事件が起きたときに、それを行って調べる、そういうようなやり方と、事件があってもなくてもやはり全国的に定期的に監査をしていく、そういう二つのやり方が大きく分けてあると思うのですが、そのとおりでいいかどうか。またそういう定期的な監査というのは、大体たとえば一つの郵便局に対して一年に何回、何人の人でやっておるかどうか、それではたして十分な監査ができておるかどうかですね、そういう点どうでしょうか。
#116
○説明員(中根敬一君) 監査という話でございますが、業務考査ということでわれわれやっておりますが、これの方法といたしまして総合考査と特別考査とございます。総合考査につきましては、お話のとおり定期的に実施いたしておるものでございまして、平均で申しますというと、大体二年に一回は全郵便局を考査するようになっております。これは局の規模、状況に応じまして所要人員、日数等を費やして考査しておるものでございまして、なお、十分というわけにいかない点もございますので、この点につきましては、一そう努力をいたしまして大きな効果をあげてまいりたいと思っておるのでございます。
 そのほかに特別考査というのがございまして、これは特定の項目につきまして、考査を実施するものでございます。たとえば防犯関係とか、あるいは業務の運行の状況とか、そういった特別の項目につきまして特別の趣旨、目的に沿った考査を実施するのが特別考査でございまして、この二つの方法でやっております。監査官の全機構をあげまして一生懸命考査をやっておるつもりでございますが、おっしゃるとおり限られた人員、限られた日数でやる考査でございますので、必ずしも満足した結果になっているとは思いませんですが、できるだけ万全な努力を尽くしまして、一そうの効果をあげてまいりたいと思っておるわけでございますが、そのような方法で考査を実施しております。
#117
○塩出啓典君 それで一つの事件が起きた場合、たとえば郵便局につとめている方がある事件を起こした。そういう事件でも仕事上のたとえば事故、それからまた個人が家に帰って酒に酔っぱらって物をこわしたと、そういうような事故もあると思うのですが、そういう事故は個人の事故であるから、これは監察官としては動かないと思うのですね。そういう点で一つの事件が発生した場合に、この事件は監察官で調べるべきだ、これはやはり一般の警察にすべきだ、そういうやはり判断の基準というものはあると思うのですけれども、それはどういうものなんでしょうかね。
#118
○説明員(中根敬一君) 郵政犯罪に対するいわゆる郵政犯罪と一般犯罪というふうに分けております。郵政犯罪とは郵政業務に対する犯罪というふうに解しておりますが、これにつきましては郵政監察の所掌である。一般犯罪につきましては、これは原則的に警察の所掌であるというふうに考えておるわけでありますし、また、警察当局のほうともさような協定を結んでしております。したがいまして、犯罪が起きた場合には、一般犯罪が発見された場合には警察のほうに引き渡すということになるわけでありますし、あるいはこの事業の性質上共同捜査ということになる場合もあるわけでございます。簡単に申し上げますと、一般犯罪と郵政犯罪という区分で分けておるような次第でございます。
#119
○塩出啓典君 具体的に基準はどうなんですか。どういう場合が郵政犯罪と判断されますか。
#120
○説明員(中根敬一君) 具体的に申し上げますと、郵政業務の正常な運行に対しての犯罪は郵政犯罪というふうに解釈されておるわけであります。たとえば、郵便を運送の途中で窃取するとか横領するとか、あるいは貯金通帳を偽造いたしまして横領するとか、あるいは保険の保険料の集金の途中横領するとか資金を横領するとか、そういった関係はすべて郵政犯罪になるわけでございますが、職員がけんかして傷害事件を起こすとか、あるいは何か犯罪を起こすとか、そういった関係はすべて一般犯罪というふうに分けておるわけでございます。
#121
○塩出啓典君 そこで先般来から問題になっております新宿局におけるいわゆる簡易保険の外務員が制服着て、それで相手を信用させて金貸しのようなことをやったと、そういうような不正事故が起きておると聞いておるわけでございますが、現在警察当局も捜査中の問題であるようでございますが、一つは事件のいわゆる概要ですね、大体いつごろからそういうことが行なわれておったのか。被害者あるいは金額はどの程度か、そういう点の御説明を願いたい。
 もう一つは、こういういわゆる犯罪ですね、これは直接抜き取りとか、そういう問題ではないわけですが、見方によれば個人のようでもありますし、また、ある面でいえば制服着てその信用を利用してやったともいえる。だからこの犯罪が、これは犯罪がまだ刑がきまっていないわけですから、犯罪ということばはまずいかもしれませんが、一応これがもし犯罪であると仮定した場合に、こういう種類の事件は一般犯罪か郵政犯罪になるか、その点、首席監察官の御見解をお聞きしたいと思います。
#122
○説明員(中根敬一君) 先ほどお話のようにただいま捜査中の事件でございますので、全貌がまだ明らかになっておりません。詳細申し上げかねますことをあらかじめ御了承いただきたいと存じますが、おっしゃいました事件は、元新宿郵便局保険課勤務の外務員数名による容疑のものでございまして、在職中に区内住民から高利による貸借等の名目で多額の金銭を詐取したという容疑で、目下警察のほうにおいて取り調べ中のものでございます。
 なお、元郵便局の職員でございますので、われわれといたしましては、この捜査に協力しておると、こういう形のものであるわけでございます。期間も詳細申し上げられないんですが、かなり長期にわたるものというふうに聞いておりますが、犯罪金額等まだ全部判明いたしておりませんので、その点はひとつ御了承をお願いしたいと思います。
 なお一般犯罪か郵政犯罪かという御質問に対しましては、一般犯罪であるというふうに申し上げるわけでございます。と申しますのは制服着てやった犯罪容疑のものではございますが、個人関係の貸借関係といったような形で行なわれている容疑のものでございます。領収書等につきましても個人名義で貸借しておりまして、相手方もそのような認識のもとにおいて取引を行なっておる、こういうような形のものであるように聞いておりますので、したがいまして、その限りにおきましては一般犯罪であるというふうに申し上げられると思うのでございます。
#123
○塩出啓典君 そうすると一般犯罪ということになれば、この問題については、監察官としてはそういう事態を調査して、その問題を解決をしていく責任はない、そのようにやっぱり考えておられる、そういうことになるんでしょうかね。
  〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕
#124
○説明員(中根敬一君) 責任問題というよりは一般犯罪でございますし、所掌を警察が主としてやっており、こちらのほうは先ほど申し上げましたように職員の犯罪でありますので、また郵便局内のことにつきましてはこちらで調べます点もございますので、そういう点におきまして捜査に協力しておる、こういう形でございますので、事件の解決につきましては一日も早く解決するように私どもの考えとしては努力しておるということでございます。
#125
○塩出啓典君 私は、実は郵便局のそういう職員の方が自宅に帰って、そうして普通の姿でいろいろ犯罪をした。これは一般犯罪としていいと思うのですよ。しかし今回のような事件は、いずれにしても制服を着ているときにやったことなんですから、そのために郵政省に対する不信感というものを、こういう事件が起きたならば、これはやはり国民の皆さんの信頼感を裏切って、これはやはり簡易保険の将来のあり方としても私はよろしくないんじゃないかと思うのですね。そういう点で、当然やはりこういう問題は、郵政犯罪の一つとして、今後もそういう問題が起こるかもしれない、そういうときにはやはりすみやかに監察局としても調査をし、しかも事故をできるだけ――起きたものはしかたないんですから、できるだけ早く手を打って、広がらないように、被害を最小限度に食いとめる、私はそのようにすべきだと思うのですけれどもね。そういう点で、いまの首席監察官の答弁は、ちょっと一般犯罪だと言い切ってしまうのは、ちょっと私は行き過ぎじゃないかと思うのですがね、その点どうですか。
#126
○説明員(中根敬一君) 一般犯罪か郵政犯罪かという区分につきましては、これは警察当局との協定あるいは仕事の都合によりまして協定がございますので、そういう考え方ははっきり出ておりますので、従来それにつきましての区分について、私お答え申し上げたような次第でございますが、おっしゃるとおり、犯罪を起こすのはごく一部の人間でございまして、その背景には数多くの非常にまじめな、熱心に仕事をしておる優良な従事員がたくさんおるわけでございます。そういうものから見まするというと、たいへん残念なことであると思いますし、また私どもから考えましても、たいへん遺憾なことに思うのでございますが、起きました犯罪につきましては、これはやむを得ないことでございますので、これはすみやかに処理していくと、そして自後の再犯防止に努力すると、こういう考え方でいきたいと思いますので、今後ともその点については、一そう配意してまいりたいと思っております。
#127
○塩出啓典君 ここで大臣にお聞きしたいわけでございますが、一般犯罪それから、郵政犯罪の区分はわかりました。それは区分の問題、どちらでもいいと思うのですがね、よしんば一般犯罪であっても、それがやはり当然郵政省に対する信用を失墜するようなそういう事件であったならば、当然監察局としてもこの問題の解決につとめるべきだ、今回のこの事件を見まして、私はちょっと処置のとり方が非常に緩慢であったと、これは私がいろいろ自分で知った範囲のことで申し上げておるわけですが、事実はそうじゃないかもしれませんが、もう三十八年から起きた事件だ、そうして去年ぐらいからもうすでに被害者からの申し出もどんどんあったけれども、それに対して何ら手が打たれてなかった。監察局のほうもそういう事態を去年まで知らなかった、そういうようなことを聞きまして、こういう質問をするわけでありますが、やはり一般犯罪であっても、当然そういう局の信用を失墜するような事件に対しては、積極的に動くべきである、私はそう思うのですけれどもね、
  〔理事松平勇雄君退席、委員長着席〕
大臣の考えはどうでしょうかね。
#128
○国務大臣(井出一太郎君) 一般犯罪か郵政犯罪かというけじめでございますが、私ども民間人としての感覚から言いますと、塩出さんと同じような、何か割り切れないものを覚えるのであります。まあ一つの法律論あるいは形式論としては、監察官がお答えしたようなことになるのかもしれませんけれども、世人一般は必ずしもそれでどうも了承しがたい点ではないか、こう思うのです。そこで私はあの新聞記事を見ました直後、実はたいへん憤りを感じたのです。で、さっそく中根監察官を呼びまして、ともかく監察という特別な機構を持っておって、こういうことをもっと早くにキャッチしなけりゃおかしいではないかというきつい小言も申したようなわけでございます。そうして、さっそく部内に対しましては綱紀の粛正について、こういう大臣の依命通達を出しまして、そして気持ちを引き締めなければいかぬ、こういう措置を直ちにいたしました。したがってたいへんこれは遺憾な事件でございまして、私どもも今後にあたりまして、こういうことのないように一そう厳重に対処をいたしたい、かように考える次第であります。
#129
○塩出啓典君 重ねて、そういう一般犯罪であってもやはり郵政省のメンツを落とすようなそういうようなことに対しては、もっとやはり敏感に手を打ってもらいたい、そういう点については大臣も同感してもらえますか。――それで今回の事件で、こういうような問題が起きているということをいわゆる新宿局が、局長が知ったのはいつごろか。これを管轄しているのは、これは私はよくわからないのですが、おそらく郵務局か簡易保険局ではないかと思うのでございますが、そちらのほうで、こういう事件があることを知ったのはいつか、それからまた監察局のほうに、そういう事件がわかったのはいつごろか、だれからそういう報告があってわかったのか、その点まとめて質問いたしたいと思いますが、お答えいただきたいと思います。
#130
○説明員(中根敬一君) 先ほどのお話のとおり前から起きた事件でございますが、実はこれは詳細申し上げられないのでちょっとその点申しわけないのですが、事件の形がちょっと外に出づらいような事情であったわけでございますし、それから別に行き詰まりがない間は特に相手のほうも支障がない、むしろそれを望んでおったような状況でございますので、それが表に出なかったということでありますから、現実にその行為が起きましたときからは、すぐに外に出るような状況ではなかったわけでございまして、それが外に出るような形になり得たというふうに推測されますのは比較的最近のことでございます。したがいまして、その間におきましては、その周囲の者、したがって、現地の管理者あるいは私どもも当然でございますが、これはどうもなかなかわかりづらかったという形にあったわけでございまして、この点は省みて検討いたしましても、みずからそういうふうに理解できるわけであります。ただおっしゃるとおり、現地の管理者に対しましては部外からの申告があったことがございます。
#131
○塩出啓典君 いつですか。
#132
○説明員(中根敬一君) それは昨年の七月ごろのように聞いております。それに対しまして現地の管理者といたしましては、さっそく調査をいたしまして、当人たちに対しましてもしかるべき調査と指導を行なったわけでございますが、のちに相手方のほうから、その件については了解ができたからけっこうですというふうな電話もあったようでありまして、したがってそのときには、そのままそのことについては済んだという状況のようでございます。それから昨年の終わりごろになりまして、申告がたくさん出て来たというふうな状況でございます。警察等に対する申告もあったようでございますが、私どものほうには昨年の暮れに申告がありまして……。
#133
○塩出啓典君 だれから――被害者の一人。
#134
○説明員(中根敬一君) いわゆるこの被害者と目される者からございまして、これは詳細不明なものですから、私どもといたしましては、直ちに東京監察局のほうに調査を命じまして、慎重かつ積極的に調査を行なったわけでございます。そういったことで捜査等においては、風評等についても調査するように指導しておるわけでございますが、本事案の性質上なかなかそれがわかりづらいという状況にありましたものですから、わかってからは積極的に行動をとってその措置をはかっている次第でございますが、ちょっと形といたしまして、なかなか特殊な形にあったという点は事実でございますので、その点は御了解願いたいと思います。
#135
○塩出啓典君 ちょっとどうですか、こういうような事件が、もし新宿局の局長としてわかったのは去年の七月だと、そのときほんとうに電話のあった人一人一人について調査しておけば、その時点でわかったと思うんですよ。そういう点がどうかということが一つ。それともう一つは当然やはりそういうことは私は本庁のほうにも報告すべきではないかと思う。また当然監察局のほうにも責任者の方から報告があって手を打つべきが当然ではないか、そういうふうに思うんですが、ところがまあ全然この問題をもちろん部外者に発表する必要ありませんけれども、やはりしかるべきところにはちゃんと報告しなければならない。それがなされていないということは局自体が損害を受けていない、監察してもわからない。一般の人に迷惑かけておりますから。だからできればそういう問題は表面に出さなくて葬ってしまおうという、そういう気持ちであったんじゃないかと推測するわけですけれども、そういう点で新宿局の局長のとった態度というものははなはだ遺憾である。こんなように私どもは考えるわけですけれども、そういう点はどうですかね。
#136
○説明員(中根敬一君) 先ほど七月ごろの申告と申し上げましたのは一件でございまして、それにつきましては、あとから電話で了解がついたというふうに連絡もあったというふうに聞いているわけでございますが、暮れになって、またたくさん出てきたわけでございますが、それに対しましては、一般職員、特に外野の職員に対しましては勤務管理、そういうその他についても十分配慮するようにという指導をしておるわけでございます。その点まあ必ずしも万全でなかった点はあるわけでございますので、それにつきまして、先ほど大臣のほうから、お話ございました大臣の綱紀粛正に関する通達が出されておりますし、その他経理局長のほうからも具体的な通達が出されておるというような次第でございます。
#137
○塩出啓典君 だから、やはり局長のとった態度はよくなかったと、そのように判断してよろしいわけですね。
#138
○説明員(中根敬一君) その後の事実を詳細に検討いたしますというと、当時においてもっととり得る態度があったのじゃなかろうかというふうに検討されるわけでございますが、当時の状況につきましては、先ほど申し上げましたようにしんしゃくできる事情は、これほどこういった不正事件ではないと思った、個人間の貸借関係はあると、しかも相当多額なものがある。これはすみやかに返済させ、解決させなければいかぬというふうに考えたことは事実でございますが、現在判明したような、こういった不正事件があるということは考えなかったようでございまして、まあ保険犯罪ではありませんけれども、関係者に迷惑をかけてはいかぬというような配慮で、局長その他の管理者が解決について種々苦慮したという点は判明いたしております。
#139
○塩出啓典君 いま言ったように、よかったのか、そういう形でいいのか、それとも反省すべき点があったのか、そこを聞いているわけですがね。
#140
○説明員(中根敬一君) 苦情の処理等、あるいは服務指導その他、苦情の処理の関係については、なお十分配意するように保険局長通達も最近出ておりまして、その点は十分反省すべき点はあろうかと思っております。
#141
○塩出啓典君 だから、やはり新宿局の局長はいま点検されておるわけですけれども、先般訓告ですか加えられたということは処置がやはりよくなかったから加えられたわけでしょう。それは出されたのが大臣から出たんですから、これは大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、やはり反省すべき点があったと、そう思うんですが、どうでしょうか。
#142
○政府委員(中田正一君) 新宿郵便局長に対する処分は、これは東京郵政局長の権限で行なっておるわけでございます。二月の初めの時点においてわかり得た状況の中で、郵便局長としてこういう事情をもう少し早く処理し得たらばこういうことにならなかったであろうというふうなことも含めまして、東京郵政局長において監督責任を追及しておるということでございます。
#143
○塩出啓典君 それに関連して、新しい局長になってからも被害者からそういうかなり苦情申し入れの電話があったと聞いておるわけですが、その電話があったのかどうか、もしあったとすれば、やはりその起こったものに対してはやむを得ないとしても、やはりそういう事件が起こった後の処置のとり方において、新しい局長も、何だ、前の局長の時代のことじゃないかというので、無責任であった、そういうような気がするわけですが、そういう点は人事局長としてはどのように考えますか。
#144
○政府委員(中田正一君) 現在の郵便局長が着任した際に、その事前のことについて引き継ぎとか、そういう事情について知らされていなかったというようなことであったようでありますし、またその後、いろいろ苦情があったように聞いておりますけれども、年末下において郵便局長までなかなか上がっていなかったというような形勢もありますので、そういった間の事情を現在いろいろ関係の向きにおいて、行政部内において調査を取り進めておる次第でございます。この結果によりまして、現在の局長についてもいろいろ考究するところあれば処置しなければならぬというふうに考えております。
#145
○塩出啓典君 私どもは責任を追及して、まあ処分をしても何にもならない。むしろ私が要望したいことは、そういう一つの事件が起きた場合に、外部的に発表する必要はないと思いますが、やはり上司にはどんどん報告して、そういう一つの事故が再び、二度と起こらないように、やはり幹部には徹底していかなければいけない。そういう点でどうしても自分のところで起きた事故というものはだれも報告はしたくはないと思いますが、やはりどんなことでも報告をして、そうして未然の次の手を打っていかなければいけない。私はそういう精神でいくべきだと思うんですけれども、そういう点、大臣、どうでしょうか。
#146
○国務大臣(井出一太郎君) 同感でございます。
#147
○塩出啓典君 それから、そういう被害を受けた方々の数もかなりの数、新聞等では金額も一億円に近いような金額であるというような、そういうようなこともありまして、これはいずれ明らかになると思うんでございますが、結局そういう人たちに対して制服を着て、そうしてその郵政局に対する信用、立場を利用して行なった犯罪である、犯罪であるとするならばそういうものである。当然私は国家賠償法第一条に「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意または過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」このように第一条の第一項にあるわけでございますが、今回のこの事件に関しては、私は国として賠償すべき責任の一端があるのではないか、そのように考えておるわけでございますが、その問題については、郵政大臣としてどのように検討しておられるか、御意見を承りたいと思います。
#148
○国務大臣(井出一太郎君) 国家賠償法に規定してありまするケースは公権力ですね――国家権力の行使によって相手に損害を与えた場合というふうに理解をいたすわけでございます。それである限りは使用者責任というものは出てこないと、こういうふうに私は報告を受けておるのでありますが、さらに詳しいことは関係局長から申し上げます。
#149
○説明員(中根敬一君) ただいま大臣から答弁されました点につきまして補足して申し上げますと、国家賠償法も、私ども有権的な解釈をする立場にございませんが、一条におきましては公権力の行使をする公務員がその執行につきというふうな形で、公権力の行使に基づいて第三者に損害を与えた場合の賠償を規定しておるというふうに理解するわけでございます。先ほどおっしゃいました簡易保険――制服を着てという簡易保険の執行というのは、公権力、いわゆる警察官の職務執行等の公権力の行使ではないというふうに考えておりますので、国が損害賠償の責任があるかどうかという点につきましては、民法の七百十五条の使用者責任に該当するかどうかという点にかかってくるんじゃないかと思っておりますが、七百十五条に関しましては、この職員は業務の執行につきという点につきましては、「事業ノ執行ニ付キ」ということについていろいろ解釈があるようでございますが、有権的な解釈というふうに私ども聞いておりますのは、事業の執行のためにと、事業執行の際にというちょうどそのまん中である、際には含まないということでございまして、なお外形上から見ましても、簡易保険事業として行なった契約ではございませんで、これは一定の目的を示して資金の提供を求めたという形でございますから、相手方もそれを十分納得しまして提供した、そういう形の詐欺容疑のものでありますので、先ほどもちょっと申し上げましたように受領証等もすべて個人名になっております。その受領証が個人名であるということを十分了承の上で相手方から受け取っておるわけでございます。それからまた元金の返済の直前になりますと貸借契約に切りかえておる、出資金の契約を貸借契約に切りかえておるという形もございます。個人の貸借契約に変えておる。それから万一払えない場合でも、私の個人の退職金をもって払うからというようなことを言って、それを十分了解しておるという点もございますので、それらの形から考えますと、明らかに個人間の貸借契約あるいは出資に関する契約であるというふうに考えざるを得ないわけでございまして、したがいまして、「事業ノ執行ニ付キ」という点には該当しないと解釈しております。もちろんまだ捜査が全部完了したわけではございませんで、全貌について明確なことを申し上げる段階にないわけでございますが、現在までに判明しているものにつきましては、さように解釈しておるわけであります。また七百十五条の解釈からいたしまして、外形上業務執行自体でなくて、外形上そういうふうに解釈される場合という点もあるようでございますが、外形上も先ほど申し上げましたように簡易保険の契約とは何ら関係ないという形で執行されておりますので、したがいまして、七百十五条に関する限り、いままで判明しているところについては該当しないというふうに解釈している次第でございます。
#150
○塩出啓典君 ということは今後の捜査の段階で、もし外務員がこれは郵便局でやっているんだ、そういうような形で相手をもし勧誘したとか、そういうような事実がある場合は、あるいは使用者として国が責任を負わなければならない場合もあり得る。いまのところはまだそういう結論は出ない、そう判断していいわけですね。全然だめだということはまだはっきりしていないわけですね。
#151
○説明員(中根敬一君) ただいままでのところでは該当した案件はないように考えられるわけでございまして、今後七百十五条該当のものが出てきますれば、当然賠償の対象になるわけでございますが、いままでのところからならば出てくるかどうかちょっとはっきりしないわけでございます。
#152
○塩出啓典君 それではこの問題、また次のもう少し事件がわかってから……。この問題についてそういう法律的責任はないにしても、私はやはり道義的な責任はある。もちろん賠償とか、そういう問題じゃなくて、やはり道義的な責任はあると思うのですけれども、その点は大臣はどうですか、この責任を感じておられるかどうか。
#153
○国務大臣(井出一太郎君) 被害者の諸君を考えますと、何ともこれ胸の痛い問題であると思います。
#154
○塩出啓典君 そういう点で被害者の方々に対して、やはり当局としても一人一人に当たって説明をするなり、向こうの勘違いもあるかもしれないし、そういう点で非常に向こうのおこっている気持ちに、やはりこちらから行っていろいろ説明すれば、またその気持ちもやわらげられるのではないかと思うけれども、そういうような点を、そういうような手を現在打っておるかどうか、そういう点はどうですか。またそういう必要はないかどうか、私はあると思うのですけれどもね。
#155
○説明員(中根敬一君) 多額の借財があると、発見されたときにおきましても原局の管理者は、その借財の整理を促進するように指導しております。そういった点につきましては、実際面の配意は行なわれておると思っております。まあ賠償の関係に関連してきます点は別にいたしまして、そういった扱いにつきましては事態に即応いたしまして対処してまいりたいと、まいってしかるべきだと考えております。
#156
○塩出啓典君 それでこの問題の今後の対策でございますが、これは時間がありませんので、新聞で大臣の記者会見の記事を見ました。それを見ますと、民間人の目で再点検をしていかなければならない、また郵便局長が率先して苦情を聞けと、そういうようなことを大臣は言われておる、私も非常に同感だと思うのですね。そういうのを今後具体的にどのような方針でやっていかれるのか、それをひとつお聞きしたい。
 それともう一つは、郵政相談所というのはすでにあるわけでございますが、やはり私は郵便局長も一週間のうち一日くらいはそういう自局において郵政相談所くらい開いて皆さんの声を聞く、そういうようなことがあれば、こういう問題も早く全貌がわかったのではないかと思うのですね。そういう点で、現在のそういう郵政相談所というのは、非常に数も少ないと聞いておるわけですが、そういう郵政相談所的なものをどんどん開いて郵便局長みずから具体的に皆さんの声を聞くように、そういう前向きの姿勢で私は指導していただきたい、このように思うわけですが、その点はどうでしょうか。
#157
○国務大臣(井出一太郎君) 郵便局長が率先窓口へ出て、そういう苦情にも接する。さらにまた郵政相談所の制度も一そう活用するように指導してまいりたいと思っております。
#158
○塩出啓典君 これは各局に増設するというようなことはどうですか、ふやすという考えは。
#159
○国務大臣(井出一太郎君) その辺は部内でもよく相談をいたしまして、そういうふやすべきことがあるならば前向きに考えたいと思います。
#160
○塩出啓典君 それと、監察局にお伺いしたいのですが、いまの監察の制度では、実際局内の問題しかわからないわけですね。そういう一般の加入者の方々との問題はわからない。そういう点で、あるいはモニター制度とか、通信によっていろいろ皆さんから意見を聞くとか、そういうやはり大衆の声というものを聞いていかなければならない。そういう点で私はモニター制度なり、あるいはまた郵便に関するいろいろ意見を聞くとか、そういうような問題も推進していくべきではないか、そのように思うのですけれども、その点どうですか、監察局として。
#161
○説明員(中根敬一君) 部内犯罪につきましては、探問制度その他を活用しております。不十分な点等につきましては一そう活用してまいりたいと思っているわけでございますが、一般犯罪につきましては、なかなかわかりにくい事情があると存じますけれども、なお、その点につきまして、いろいろ反省いたしまして万全を期してまいりたいと思っているわけでございます。
 くどいようですが、本件につきましては、なかなか出づらい状況にありましたものですから、そういった探問をやっても、最初の段階では出てこなかったんじゃないかと思うわけでございますが、なお部内の探問制度を活用いたしまして、おっしゃる御趣旨につきましては、十分検討したいと思っております。
#162
○塩出啓典君 それでは、郵便の滞貨の問題について二、三お聞きしたいと思いますが、これは大臣の所信表明にもありますように、かなり最近は順調な運行を見ておる、一部には混乱があると、そういうようなお話があるわけでございますが、実は私も逓信委員になってから、新聞記事を見ますと、郵便のいわゆるおくれ、あるいは現金書留がなかなかつかなかったとか、そういうようなことが非常に目につきまして、やはり逓信委員の一人として、そういう記事を見るたびに非常に残念に思うわけですが、それで、そのつど郵務局の業務課長さんのほうにいろいろ問い合わせをして、その原因は一体何なんですかと、そういうふうに聞いてみますと、これは、どちらも朝日新聞に掲載された投書でございますが、一つは「郵政省は怠慢」、一つは「郵便遅れで届かぬ学資」と、そういうのが載ったわけであります。これについて業務課長のほうから回答をいただいたわけでございますが、これによりますと、一つは、書留を送って、配達に行ったところが、受け取り人が不在だった。一月二十四日に不在だった。二十七日も、二十九日も、三十一日も不在だった。そうして二月の四日にようやくその現金書留が――学費を送ったんですね、いなかのおかあさんが。それが届いたと。これはまあいなかったけれども、来てもいなかったというようなことを当然ちゃんと書いておくべきだということで、そういう規則になっているけれども、その規則どおり行なわれてない、そういう件があったわけであります。それともう一つは、配達員の人が一月九日以後ずっとかぜを引いて休んでおったために非常に配達がおくれたと、そういうような回答をいただいているわけなんですけれども、この件はそのとおりなんでしょうね。
#163
○政府委員(竹下一記君) 私はその件につきましては詳細を聞いておりませんけれども、たぶんそのとおりだと思います。
#164
○塩出啓典君 ひとつそういう問題も、私は業務課長から正式に書類いただいたわけですけれどもね、やはり私はそういう起こったことを責めてもこれは済んだことですからね、だけれども、やっぱりそういう一つの事件があったならば、それはやはり課長もちゃんと局長に報告すべきだし、また、そういう問題については、書留できた場合に、いなかったならば、ちゃんとこれはもうメモを置いてきなさいと。これは名前を出す必要はない。どこそこのA局でこういう問題があったでもいいと思うんですね、そういう点でやはり徹底すべきじゃないかと思うんですね。そういう点で、まあぼくは当然局長さんもそれは知ってらっしゃると思ってお聞きしたわけですけれども、これはひとつ業務課長さんにもよく話をして、これは全体的にそういう起きた問題はもうどんどん報告をして、そうしてやはり手を打っていく、そのようにひとつ御要望したいと思います。その点、よろしいですね……。
 それから大臣の所信の中に、「一部の者の扇動による職場秩序の混乱等により、」非常に一部ではおくれておる、そういうようなことばがあるわけでございますが、これはどういうことなのか。私はまあ一部の扇動によるためだというような言い方はあんまり好ましくないんじゃないかと。やはりそういうような扇動されるような条件、細菌がわくにはやっぱりわくような条件があるからわくわけですから、やはりもっとそういう、扇動しても扇動されないような規律ある職場をつくっていこう、そのようにやっぱり私は大臣みずからがその気持ちになっていかなければいけない。もちろん、ほかにも原因を書いてありますけれども、ただ、そういうような郵便の遅配が一部の扇動によるのだと、やむを得ないのだと、そういう考えでは私はいけないんじゃないかと、そのように考えるわけでございますが、その点はどうでしょうか。
#165
○国務大臣(井出一太郎君) その点については先ほど森委員との問答である程度お聞きとりをいただいたかと思います。こういう表現をいたしましたのは、言うならば、職場秩序が乱れておるということを指摘したかったわけでございますが、おっしゃるように、これは管理者の側においても、やはりもっと行き届いた配慮をしなければならぬということは当然でございます。
#166
○塩出啓典君 非常に人手は、これは郵政、郵便の外務員だけではない、日本の国全体として非常に人手不足の状態であります。しかも、そういう中で、まあ電電公社のほうは時代の先端を行くわけですけれども、郵便の外務員というのはなかなか、明治時代以来同じ形でそれをやっていかなければならない。そういう点で非常にさまざまな困難があるとは思うんですけれどもね、しかし、そういう中でほんとうに意欲を燃やしてやっていきたい。これはわれわれもその一人としてそう思います。
 それで、これは昭和三十九年十一月の郵政審議会の答申でございますが、これも私今度委員になっていろいろ読ましていただいたのでございますが、これにはいろいろなことが書いてあります。われわれも読んでほんとうにそのとおりだと思うんですね。たとえば宿舎の問題、あるいは給料の問題、あるいは服装をスマートにする、あるいは休憩室をきれいにする、優秀な外務員にはしばしば表彰を行なう、あるいは海外旅行を含めて他国の見学の機会を多く与える、あるいは外務員の昇進の道ですね、非常にこれは試験制度の問題等、もっと広く昇進の道も開いていかなければならない。また女子労働者、局内作業はもちろん局外の作業においてもできるだけ活用することを考えるべきである。そういう点で先ほども団地ママさんの郵便配達の件が問題になって、これをすでに当局としては実施されているのじゃないかと思うのでございますが、きょうは時間がございませんので、こまかい点はお聞きできませんけれども、私はこの答申に書いてあることをほんとうに前向きの姿勢でどんどんやってもらいたい。また、団地ママさんの郵便の問題も、先ほど森委員の御質問がありましたように、通信の秘密というような、そういう問題はもちろんあると思うんですけれども、しかし、いまの人手不足の時代から考えたならば、私はこれはどんどん推進をしていく、前向きの姿勢で検討すべきだと思うんですよ。そういう通信の秘密の問題等については、先ほど局長から話がありましたように、自分と関係のない団地にやるとか、あるいは税務署からの督促状なんかの場合には、裏に税務署なんて書かずに、それを番号で、二百五十六番というのは税務署だというふうに暗号でもつけておけば、そうすれば、当然そういう秘密も守ることができるわけですから、この女子労働者のいわゆる局内、局外の作業への採用も含めて、いろいろな問題はあると思いますが、もっともっとこの問題は前向きに検討すべきである、そのように思いますが、その点について局長の御答弁をいただきたい。
 それともう一つは、やはり何といってもビジョンといいますかね、これはビジョンというのは非常にむずかしい問題で、じゃ私にもビジョンはどうするかということはわからないわけですけれども、やはり衆知を集めて、勤務している方々にも将来に希望の持てるような、そういう将来のビジョンというものを考えていかなきゃならないと思うんですけれどもね、そういう点で、まあ大臣にはまだ就任して日が浅いわけで、そのビジョンについての考えはまだまとまっておられないかもしれませんけれども、もし、将来のビジョンについてどういう考えを持っておられるのか。
 また、非常に定着率が低いそうでございますが、国鉄なんかだったら何年間勤めたら無料のパスとか、そういうのがあるわけですけれども、なかなか外務員の場合も、長年勤めたら郵便は全部死ぬまでただだとか、そういうような何か非常に希望の持てるような、これはまあ私の一つの思いつきの案でございますけれども、そういうような何らかのやはり希望の持てるようなものを考えていかなきゃならない。それからまた、一生懸命働いた人と、いいかげんにやった人がいつまでも同じではいけない。一生懸命やった人は当然給料を上げてあげなければならないし、昇進の道も開いていかなければならない。そういうような線で私は非常に、なかなか難関は多いと思うのですが、この新しい大臣を中心にやはり局長なり力を合わしてひとつやっていただきたい、そのように思うわけですけれども、その点について大臣とそれから郵政局長の答弁をいただきまして、終わりたいと思います。
#167
○国務大臣(井出一太郎君) 数々の御質問のあと、ビジョンという問題にお触れになりました。私もようやくおぼろげながら輪郭をつかめたという程度でございますが、最近前島密先生の伝記を読んでおります。いまから約百年前、日本の郵便制度が創設されました当時、いかに先人が苦心されたか、そうしてアジアの新興国として、当時の日本の指導者方がいかに高邁な精神を持って、高いビジョンを掲げながら進まれたかというあたりに実は胸を打たれるものがあるのであります。そういうことを踏まえまして、ちょうど来年が郵政始まって百年ということでございますから、少しこの辺できちんと締めてかからなければならぬ、かように考えておりますことを申し上げて、お答えといたします。
#168
○政府委員(中田正一君) 郵便外務員の雇用難対策について昭和三十九年に郵政審議会の答申が出ておるではないか、それについて、その後どういうふうに取り運んでおるかというようなことに関連していろいろお話しがあったわけでございますが、すべて完全に行なっているというわけではありませんが、大体この当時の答申に沿いまして、現在取り運びがなされてきておるわけでございます。一、二例を申し上げますと、給与――賃金の問題でございますが、郵便外務員につきましては、一般職員よりも特別の配慮をいたしております。内務の職員、局内で作業する職員に比べて外務の職員は俸給が相当高い仕組みになっております。大体数字にいたしまして千五、六百円高くなっておりますが、郵便の場合にはさらにその上に上積みをする。東京その他の大都市においては、そういった都市の特殊性を見てアクセントを一そうつけるというようなことで、たとえば初任給の例を申し上げますというと、東京などの場合には、内部のものに比べて五、六千円高いというような賃金体系にしておるわけでございます。こういうことで、給与などについても、郵便外務員に対してはいろいろ配慮をしておるということでございます。
 それから、お尋ねの中にありました宿舎の問題についてでありますけれども、郵便外務員については優先的に宿舎を提供するというようなことで、地方から上京して郵便局に職を得たいという者には必ず宿舎を提供するというような措置をとっております。国みずから、あるいは共済の資金で宿舎を建てる、あるいはそれでも足らない場合には、民間の宿舎を借り上げてでも提供するというような措置をとっております。また、ただ数だけの問題でなしに、質的にも居住性の恵まれたものにしなければならぬというようなことで、宿舎のスペースとか環境というようなものについて十分配意しておる、若い職員、独身者の寮には寮の管理人を、寮母というようなものも置いてあたたかみを添える、さらにはリクリエーション施設もそこに備えるというようなことで配意しておるわけでございます。
 次に、郵便外務員の昇進の道について考えようというお話でございますが、これも郵便外務員なるがゆえに昇進できないというような仕組みでは毛頭ございませんで、郵便外務のまま主任になり主事になると、あるいは課長になるというような仕組みになっております。あるいはさらに研修制度を通じまして郵便外務員が研修所へ入る、そういう研修所の門をくぐることによってまた新たな道へ進み得るというような仕組みにもなっておりますが、そういった面、さらにこれから整備しなければならぬということで現在一そう考究しておるところでございます。
 信賞必罰の面についても、一生懸命やった職員については、郵便外務員については、それだけの労に報いるというようなことで、たとえば先ほど引例されました外国旅行、外国出張などにつきましても、現在すでに取り運んでおります。
#169
○塩出啓典君 何人ですか。
#170
○政府委員(中田正一君) 年に数人でございます。
#171
○塩出啓典君 それもふやしてくださいよ。
#172
○政府委員(中田正一君) 取り運んでおります。まあいろいろそういうことで積極的に取り運んでおるところでございますが、現在の状況に照らし合わせまして、一そう努力、配意をいたさなければならぬというふうに思っております。
#173
○塩出啓典君 最後に一言。それで、私は大臣に御提案申し上げたいのですけれども、やはり第一線で働いている外務員の人とときおりは大臣は懇談くらいされて現場の声を聞くと、全体の数から見れば一部ですけれども、そういう姿勢がやはり人間関係の断絶をなくしていくために必要じゃないか、そういう点で、中曽根さんのまねをせいとは言いませんけれども、ひとつそれを実施してはどうか。
 それと、もう一つは、中共との郵便がやはり早く、どんどんできるように前向きの姿勢でやっていただきたい。
 この二点を御要望いたします。その点はどうですか。
#174
○国務大臣(井出一太郎君) 最初の御提案は、そのとおり心がけるつもりでございます。
 それから第二点の、中共との郵便の交流、まあ御承知のように、現在は香港を経由したりあるいはビルマ、ソ連、そういったルートを通していくような間接的な面もあるのでありまして、それをもっと前向きに進めよという仰せでございますが、実はきょう古井喜實代議士が中共に行かれました。このほど来古井さんとしばしば接触をいたしまして、ひとつそういう話も向こうとの交渉の間にお話しをいただくようにというふうな話はいたしてありますことを申し上げる次第でございます。
#175
○塩出啓典君 どうもありがとうございました。
#176
○青島幸男君 私は、新大臣に、最近テレビ放送の分野で大きな話題を呼んでおりますUHFへのテレビ電波の移行と、それからCATVとそれに関する法案などについて若干の質問をする次第でございます。
 本委員会の最初に森委員の質問にお答えになりまして、大臣は、前河本郵政大臣の御意思を踏襲なさるおつもりであるというふうに御発言なされましたが、このUHF移行の問題ですけれども、これは小林郵政大臣が閣議了承という形で発表なされました。向こう十年間の間に全面的にUにいくべきである、それから河本郵政大臣がこの意思を引き継がれまして、それから何やかやございますうちに、十年は長いのじゃないか、もう五年でいいのじゃないかというように、五年に短縮されたかとも伺っております。この点に関しまして、大臣、UHFへの移行を、小林郵政大臣、河本郵政大臣と引き継がれてまいりましたこの意向を、この意思を、そのまま踏襲なさるおつもりがあるかどうか、まずお尋ねしたいと思います。
#177
○国務大臣(井出一太郎君) VからUへ移行をするという問題は、いま御指摘のように、小林元郵政大臣のころから始まっている問題でございます。したがって、その大体の方向は、その敷設された路線の上に歩んでまいるつもりでございますが、その時間の問題等は、あるいはその後の事情の変化等もあるかもしれません。しかし、大局はいま申し上げたとおりでございますが、さらに詳しいことは電波監理局長から申し上げます。
#178
○政府委員(藤木栄君) いま大臣からも御答弁があったとおりでございまして、私どもといたしましては、そのためにいろいろ作業をいたしております。まあたとえば現在郵政省とNHK、民間放送と三者が集まりまして特別な専門委員会をつくりまして、そこでUへ移行する場合のいろいろの諸問題、たとえば置局の問題であるとかあるいはまた経費の問題であるとかあるいはいわゆるオールチャンネルの受像機が必要でございますから、そういったものの対策の問題であるとか、そういった問題につきまして現在討議をしているという状況でございます。
#179
○青島幸男君 いままでの経過から、とにかくUへの移行が行なわれているわけでございまして、ただいま生産されております新しい受像機なども、七割以上がオールチャンネルになりつつある。カラーは九〇%近くがもうオールチャンネルということで、Uの局も幾つか開局しておりますし、そういう意味ではもうUへの移行が大々的に行なわれているわけでございます。これが全面的に移行するのかどうか、あるいは全面的に移行するために、いままでの経過が適切であったかどうかという問題について二、三お尋ねしたいのです。
 これは、まずまず小林郵政大臣が閣議了承というようなかっこうで発表なさったそういうあり方が、国民の生活に非常に密着したテレビ、それから国民の方々のオールチャンネルテレビあるいはコンバーターへの出費というような犠牲の上に成り立っているということであるのに、閣議了承というような形でそういうことをしていいのかどうか、あるいはNHKにしましても、NHKは運営において当然予算、決算などで国会の承認を得なければならないことになっているわけですから、NHKの経理の面に大きな影響力を及ぼすようなこういう問題を、事後承諾みたいなかっこうで、こういうふうにしてきてしまったということが、はたして国会軽視ということにならないのかというようなことにたいへん私は疑問を持っているわけでございますけれども、この点に関しては、大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#180
○国務大臣(井出一太郎君) 先に局長から経過を申し上げまして、あと私から。
#181
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 いま先生からの御質問でございますけれども、いわゆる国会軽視というようなことは、実は私ども考えておらないわけでございまして、あるいはまた一般の視聴者に非常に迷惑をかけるということのないように考えているわけでございまして、と申し上げますのは、これが一年か二年あるいは三、四年で切りかえるということになりますと、これはもうたいへん皆さま、一般の国民に迷惑をかけるだけではなくて、放送業者といったところにもたいへん負担をかけると思います。しかし、私どもが考えておりますのは、相当長期間をかけて移行をやっていきたいというわけでございます。一方におきまして、このU移行のそもそものきざしと申しますか、一番の原因は、放送だけではございませんで、放送以外の一般無線、特に陸上移動と申しております、あるいは海上移動も含めまして、移動無線と申す分野が非常に需要が多い。しかもその需要というのは、移動無線自体は非常に重要な公共的なものでございます。たとえば警察の無線であるとか、あるいは航空機の無線であるとか、あるいはまた列車無線であるとか、その他もろもろの移動用として――これは移動には無線がどうしても必要でございまして、移動通信をやるためには電波が絶対必要である、あるいはまた将来考えられますような公衆電話の自動車無線と申しますか、そういったものであるとか、非常な需要があるわけでございまして、それにはこのVHF帯という電波が最も適しているというわけでございます。したがってこれは日本だけではなくて、アメリカあたりでも、日本よりももっと需要は逼迫しているわけでございまして、いろいろな専門委員会をつくって、この移動無線の周波数をどうするかということを真剣になって検討している状態でございまして、どうしてもVHF帯という電波が一番必要であるというふうに向こうでも言われているわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、そういった公共性の非常に高い移動無線というものの需要を考えながら、一方におきまして、このU移行によりまするテレビ放送業者あるいはまた一般聴視者の負担ということも考えまして、その間調和をとって、いわゆる一般の聴視者に迷惑のかからないような方途というものを講じておるつもりでございます。
#182
○国務大臣(井出一太郎君) 青島さんいまお聞き及びのとおり、私が登場してきたときには、矢はつるを離れておるわけであります。したがいまして、これをもとへもどすわけにはもちろんいきませんが、それが御指摘のような放送事業者にしましても、相当な新規投資がかかるわけでございます。したがって、時間的には償却が十分済むような時期を選ぶとか、あるいは一般視聴者の各位にもコンバーターをおつけになるというだけの出費がかかるのでございますから、そういう点御迷惑なことはわかるのでありますけれども、しかし、何としてもVの波というのはごく限定をされておりまするし、それをUに切りかえることによって、より一そうチャンネルもよけいになりますから、聴視者の皆さんが終局的にはいい番組を享受していただけるのだ、こういうふうに御了承を願いたいと思うのです。
#183
○青島幸男君 Vをあけなければならぬから、どうしてもUHFに移行しなければならないのだという理屈もよくわかるのですけれども、しかし、いままでの経過がこれが決して望ましいものではないような私は気がするのです。こういうお上から押しつけがましいというかっこうで、国民の犠牲の上に行なわれることを命令的に押しつけるというようなあり方がはたして適切であったかどうかということをお伺いしているわけでございます。
#184
○国務大臣(井出一太郎君) そういう御意見はほかからも私の耳に入ります。したがいまして、それはよく承るということにいたしたいと思います。
#185
○青島幸男君 それから、この移行の過程における技術的並びに経済的な見通しなんですけれども、私はいままで何回かお尋ねしたんですけれども、NHKに聞きましても、政府に聞きましても、いまあるNHKのカバレージを確保しながら、そのままUに移行するためには、幾つサテライトが要るか、東京地方だけでもいいから、その数字を示してくれと言ってもなかなかわからない。幾つサテライトがあればいいのか、どの程度の発信機があればこと足りるのか、あるいはそうした点で何年かかるのかという見通しが一向わからないのに、こういうことになっていくという、そういう一向にわからないまんま、採算が立たないままに事を起こす企業というものはあり得ないと思うんですが、そういう経過について、技術的もしくは経済的な見通しが正しかったかという点でお尋ねしたい。
#186
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 ただいまの点につきましては、ラフな見通しはもちろん立てたわけでございますけれども、さらに詳細な問題につきましては、先ほど申し上げました、郵政省とNHK、民放が一緒になりました専門委員会におきまして、これはなかなか非常に計算がたいへんでございますけれども、具体的にいま検討しているという段階でございまして、NHKと民放と多少意見が置局の問題につきまして食い違っておりまして、NHKあたりは具体的に何局という数字まであげておりますけれども、民放さんのほうは多少それと変わった数字もあげておられるということで、いま実はそういった問題につきまして検討しているという状態でございまして、いま現在、何局ということまではっきり申し上げられないのは残念でございますけれども、近く、そういった問題につきましては、結論を出したいと考えております。
#187
○青島幸男君 いつもそういうお答えでたいへんわかりにくいんですけれども、底なしの井戸へ砂をぶっ込んで埋めるようにお金がかかるというようなことをかまわず、それを無視してUに移行するというような、多少向こう見ず的なやり方ではなかったかと、私はいつも思っているんですけれども、そういうことからかんがみまして、今後ともどういうふうに電気関係の機械が発達するかわからないということから、電波行政の長期的な見通しがたいへん甘かったんではないか、そういう感じがするんですけれども、UHFの普及の度合いですけれども、これが完全にVに取ってかわるのはいつごろだとお考えになっているか、そのほうをお答え願いたいと思います。
#188
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 先ほど先生おっしゃいましたように、現在いわゆるテレビの受像機といったものは、メーカーの協力によりまして、非常に急速にオールチャンネルといったものにかわりつつございます。ごく最近の統計でございますと、昨年の十二月に生産されたテレビの受像機の例を申し上げますと、大体、白黒が六七%、カラーにつきましては九二%、白黒、カラー合わせまして八二・六%といったものがオールチャンネルにかわっております。したがいまして、この調子でいきますと、私どもが目途としました約十年といったことを考えますと、十分その間にオールチャンネルが普及する、そういうふうに考えております。
#189
○青島幸男君 それはいいんです。買うほうの側が受信機のオールチャンネルか、コンバーターをつけられるのはいいんですけれども、多くの人間がそれを持ったところで、局のほうがはたしてどの程度追いついていくか、NHKだけについてでもいいんですが、UHFに全面的に移行するのは、どの辺の線でできると、お考えですか。
#190
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 NHKにつきましては、現在NHKの予算の関係もございますけれども、東京と大阪にUの実験局を今年中に建設が完了することになっております。そこで、実験の電波が東京と大阪に出るわけでありまして、ということは、結局何と申し上げますか、このVからUに移行するという、その、先ほども申し上げました一番の根本の原因である一般無線局の需要といったものが、これはやはり何と申しましても、大都会、特に東京、大阪といったところで一番その需要度が高いわけでございまして、私どもといたしましては、そういったところからU化をしていく必要があるわけでございます。いなかの山の中まで、いますぐに、いますぐにと言いますか、どんどんU化を進めるという必要はございません。現在Vであるのを、すぐにUでやるという必要はございません。したがいまして、この東京、大阪といった大都会を中心として、そのU化をスタートしていきたい。そういうふうに考えておるわけでございまして、いまのところ先生御質問のNHKを何年ということは、ちょっといま現在では、はっきり申し上げる段階でございませんけれども、先ほどの専門委員会でそういったことも十分全国的な規模に立って検討はいたしておりますので、そう遠くない時点におきまして、そういった点もお答え申し上げることができるかと思っております。
#191
○青島幸男君 ところが、都市構造の変化などに伴いまして、UHFで幾らサテをつくってカバーしようと思っても、それよりも、むしろケーブルを引いたほうが早いのではないかという結果を招くことになろうと思う。そうなりますと、UHFの普及が行き届いた時点では、その以前に、すでにもうCATVのケーブルによるテレビのほうが普及度が高いというようなことになりますと、いままで国民に負担をかけて、オールチャンネルを買ってもらった、コンバーターを買ってもらった、あるいはNHKにばく大なお金をかけて、それだけの設備をさした。それは当然内容の充実とかあるいは聴視料の引き下げなどで国民に還元されるべき金がむだに使われた。それならば、初めからUHFにいかないで、CATVに、初めからケーブル化してしまったほうがいいのじゃないかという議論が成り立ったときに、国民の前に何と言って申し開きをするかということは、私はたいへんな問題だと思うのですが、その点について、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#192
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 いまの先生の御心配と申しますか、でございますけれども、いわゆるCATVといったものは、御存じのように都会におきまするビル陰の救済であるとか、あるいはまたいなかにおきまするテレビ電波がこないところに、そういった有線テレビを配置するといったものでございますけれども、私どもの予想といたしましては、これは幾ら都会で、まあ相当、現在、たとえば東京都におきましても、ビルがどんどん建っておりますけれども、東京都自体が全部有線化するということにはならないだろうと思います。と申しますのは、いわゆる電波によりまする放送といったものと、ケーブルによりまする放送と比較してみますと、その経費の点におきましては、有線のほうが格段に高いわけでございまして、おそらく比較にはならないと考えております。したがいまして、有線テレビといったものは、あくまでも電波によるテレビの補完的な役割りをなすだろうと、そういうふうに考えております。
#193
○青島幸男君 そういう予測でお話をなさいますと、Vの局も絶対になくならないのではなかろうかという予測も同時に成り立つのではないかと思うのです。と申しますのは、いままで民間放送などで、Vで電波を出しておりまして、ある程度のカバーエリアを持っておりました。それに新興のUHFなどが出てまいります。そうなりますと、いままで持っておりましたそのエリアの広さによりましてあがってくる収入というものと、それからUHFのカバーする小さなエリアからあがってくる収入というものの対比の上に、V局のほうがやや有利である。ところがこれが行政命令というようなことでUに移行しなければならないということになりますと、いままで持っておりましたエリアを失わなきゃならない。それで、金をかけた上に自分のサービスエリアが小さくなるということで、たいへん不満を持っている民間放送の局もございますし、そうなりますと、そうした局を不当に圧迫することになりゃしないか。営業権もしくは人権の侵害に通じるのじゃなかろうかということになりますと、そのV局がいいのだ。オールチャンネルはみんななくなってもいい、Vの電波で映る受信機が一台でもある限りはうちはVでしか出さないといういこじな態度で臨んでくる民放局が出てくるのじゃなかろうか。そうなると、当初お話の移動無線用としてVをあけるためにUに移行しなければならないという錦の御旗は何の意味もなさなくなってしまうのじゃないかというような懸念があるんですけれども、その点いかがでしょうか。
#194
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 そういった点も懸念されることは確かでございますけれども、私どもといたしましては、そういった業者に対しましては、極力説得をいたしまして円滑に移行をしていただくと、そういうふうに考えております。
 それからもう一つは、これはまあ行政権というと少し強いわけでございますけれども、御存じのように放送局といったものは、三年に一回再免許ということをやっております。これはまあ、そこで免許の更新ということになるわけでございまして、私どもとして、必要な場合はチャンネルの変更といったことも、その免許の更新の際にお願いするということもあるわけでございまして、これはラジオのような場合、中波のラジオのような場合はたびたびやっているわけでございますが、テレビのほうになりますと非常に経費もかかるということで、これはほとんどやっておりませんけれども、いま申し上げたような、この陸上移動無線といったようなものの公共性といったことを勘案いたしまして、これをやっているわけでございますから、そういった計画を出しているわけでございますから、そういったことを了解していただいて、ひとつ円滑にやっていきたいと考えております。
#195
○青島幸男君 アメリカ等の先進国といいますか、もうテレビについては日本のほうが先進国かもしれませんけれども、アメリカなどの都市構造などを見ても、CATVの普及度というものはたいへんなもので、これからは、都市はやっぱりすべてケーブルで行なわれるようになるんではなかろうかというふうに予測している人もおります。そういうことを勘案いたしまして、UHFの移行のあかつきには、すでにもうCATVの普及度の非常に高いところをとってきても、実は意味がないことになりがちだという予測も成り立つわけでございます。いままでそのUHFへの移行の過程あるいは経過が適切であったかどうかという三点について、いろいろ質疑してまいりましたわけですけれども、どうもいままでの閣議了承でそれでいいのか、あるいは技術的経済的見通しがあったのか、正しかったか、あるいは電波行政の長期的な見通しが正しかったかどうか、それらの点を考えてみますと、どうもここ二、三年来のUへの移行のやり方が適切でなかったように私は拝察するのですが、その点は大臣いかがお考えになっておられますか。
#196
○国務大臣(井出一太郎君) ここはひとつ価値判断の問題にもなると思うのでございますが、まあ私としましては、すでにスタートをしておる路線に即応いたしまして、その間の摩擦もできるだけ少なくしつつやってまいりたいと、かように考えておるわけであります。
#197
○青島幸男君 最後の切り札としては免許を取り上げるというような権限もあるわけですから、それは最終的にはどんなにいこじな民放がいても、それを押えつけてUに移行することはできるでありましょうが、いずれにしても、国民の多くの人人に負担をかけるというかっこうで行なわれる。こういうことで一方的に天下り式にやられるというような形は、私はたいへん不満を持っております。特にNHKの経営面におきましては国会の承認が要ることになっておる。NHKもその経理の中で膨大な予算上の比重を占めることが閣議了承でやるんだよと、あとでNHKの予算、決算でそれを見ればいいんじゃないかというようなことになると、やはりこれは事後承諾でありまして、ある意味で国会軽視のそしりを免れない面が出てくるということもつけ加えておきたいと思います。
 それから、これはこの問題はこのくらいにしておきまして、まだよろしいですか。
 次はCATVの問題ですけれども、先ほどの森委員からの質問の際に、有線放送業務の運用の規正に関する法律案の一部を改正する法律案、これが今国会で本委員会に提出されるやに伺いましたが、その辺はいかがでございますか。
#198
○国務大臣(井出一太郎君) 御案内のように、昨年の第六十一国会におきまして衆議院において修正の経緯等もございましたことは青島さん御承知のとおりでございます。そこでこれが取り扱いにつきましては、目下関係方面とも十分相談の上、慎重に検討をいたしておる最中であります。
 なおまた、このCATV法案改正の趣旨は、有線テレビジョンの業務の適正な運営を確保し、視聴者の利益を保護するという点にあるのでございまして、問題は、表現の自由、これを侵害するおそれがありはしないかという世論もあるわけでございまして、かような点にも十分に配慮をいたしながら、言論統制を行なうなんということは、これはもうわれわれの毛頭考えていないところでございまして、そういう配慮の上に法案の作成をいたしたいと、かように考えております。
#199
○青島幸男君 そういたしますと、昨年の六十一国会の衆議院で修正可決されましたあの法律案がそのまま提出されるというわけではないわけですか。
#200
○国務大臣(井出一太郎君) その辺、いま鋭意検討しておる最中でございまして、もう少し時間的な余裕をいただきたいと思います。
#201
○青島幸男君 提出される前に出鼻をくじくというか、あるいは機先を制するという形で何かそのことについてぐずぐす言うのは正当でないような気もするのですけれども、とにかく事が重大な問題でありますので、初めはむろん善意と申しますか、言論統制などというものに、もう結びつく懸念は全くない、初めからその意思はないのだということでいたしましても、これも一度法案になりますと、あとあとそういう結果を生まないとも限りません。もし生むような事態がありますと、これはたいへんな問題になりますので、慎重の上にも慎重に御審議をいただいた上で提出していただくようにという意味で、老婆心ながら私ここで意見を申し上げるわけですけれども、テレビと有線テレビの違いというものをまず根本的に考えてからかからなければいけないと思うのです。テレビと有線テレビというのは機能もかなり違うわけですけれども、その辺をまずどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。ちょっとお伺いしておきたいと思います。
#202
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 テレビの、いわゆる電波によるテレビのほうは、御案内のようなわけで、いまさら御説明申し上げることはないと思いますけれども、有線のテレビは、まあ最近と申しますか、わりあい最近でございますけれども、いわゆる同軸ケーブルというものの技術が発達いたしまして、そのテレビ、電波のテレビで言いますと、いわゆるチャンネルがたくさんとれるという特徴があるわけでございます。したがいまして、同軸ケーブルを置きますと、たとえばテレビのチャンネルにして二十チャンネルとか三十チャンネルとか、そういった大量のものがとれるというところが電波のテレビと有線テレビの一番大きな差であると思います。
#203
○青島幸男君 その辺が私と見解を異にするところでございまして、先の衆議院で問題になりましたときにも、有線テレビは無線によるテレビ放送に類似するものであるからして、無線による放送と同じような公共性を有するものと認められると、だから許可制にしなければいけないのじゃないかというのが論旨のようなんですけれども、同じように家庭にありますテレビのブラウン管に絵が写るものですから、これは電波によるテレビと有線によるテレビと同じようなものではなかろうか。ただケーブルでとったほうが鮮明で、しかも、たくさんチャンネルがとれる。そういうようなことのようにお考えになっているのは、私は全くの間違いじゃないかと考えます。と申しますのは、例を引けば簡単なんですけれども、電話とラジオ、これは両方とも公共的なものでございます。だれしも利用し得るものでございますけれども、その公共性の意味合いにおいては全く違うと思います。ラジオは一つの局から同時に一つの情報を流しますと、大勢の人間が同時に受けることができるわけです。ところが電話の場合は、一つの情報を相互にある程度きめられた特定の人間同士が授受するものですね。その複雑な機構を持ったものが有線テレビであると考えたほうがいい。雨の水と水道の水と違うくらい違うのだということを私は言いたいのでございまして、こういうふうに異なる二つの媒体というものを同一の法案で引っくくろうとするところに大きな間違いが生まれてくるような気がするので、この辺をどのようにお考えになっていらっしゃるか、もう少しはっきりしておきたいと思います。
#204
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 先ほど私が申し上げましたのは非常に物理的な面だけを申し上げただけでございまして、非常にことばが足りなくて失礼申し上げたわけでございますけれども、いわゆる家庭におきましてテレビを見るということから申しますと、先ほども話がありましたようにこれは有線であろうが、無線であろうが、この家庭のブラウン管に入ってくるというあり方につきましては全く同じでございまして、そういった意味におきまして、非常に公共性が高いということが言えるわけでございます。もちろん、いま先生がおっしゃいましたようなケーブルというものを引かなければなりませんので、無線におきます場合は、無線の電波を四方八方に出すように装置をつければというようなのがいまのテレビの状態でございますが、そういう状態であればもちろんだれでも見たいという人が見れるという状態でございまして、ケーブルを一々引っ張って、町の中を各家庭に引っ張り込むということは非常な工事の施設面、あるいは工費の問題もありましてやっかいなことであると思います。そういった点におきましては、いわゆる電波によるテレビと有線によるテレビというものとは相当違うと思っております。
 それからもう一つ、さらに有線のテレビが無線のテレビに比べまして非常に広帯域である、何と申しますか、さっき申しましたようなテレビが何十チャンネルも取れるというような点から申し上げますと、さらにそれをふえんして申し上げますと、これは何もテレビだけではなくて、ほかの通信もやれるというわけでございまして、先ほど来お話がありましたような、VHFとUHFということばが出てまいりましたけれども、この同軸ケーブルというものを一本引きますと、いわばUHFの電波を全部その中に閉じ込める、そういうふうに考えてよろしいわけでございます。そういった意味におきましては、この通信量といったものは相当なものがある、そういうふうに考えておるわけでございます。
#205
○青島幸男君 ファクシミリだとか、何だとか無限な可能性があると言われておりますことなんですけれども、それで再送信のみをする場合は、これはあくまでも難視聴地域対策みたいなもので、共同受信用のアンテナみたいなものですね、そういうふうなテレビの補助手段というように純粋に考えていいと思います。再送信のみをケーブルで送る場合は、電波によるテレビでよく見えないところをカバーする補助手段でしかない。それから一方、自主放送のみの場合を考えますと、それは活字とテレビの違うように全く新しい一つの伝達媒体であるというふうに考えなければいけないんじゃないかという気がしております。ですから先に衆議院でも問題になりましたのは自主放送をやることになると、どうしてもそれは地域独占になるというようなことになりますと、その地域独占というような考え方をふえんしてまいりますと、とにかくこの都市には二十万しかいないんだから、これは一つでいいんだということになると、ここは二十万都市だから新聞は一本、雑誌も一本、ほかに同人雑誌も許さないということになってまいりますと、種々ジャーナリズムで騒がれております言論とか報道とかの自由を侵害することになったりする、その点を十分に考慮して考えなければいけないというふうに私は考えるわけです。自主放送のみをするケーブルによるテレビ放送、全く新しい伝達媒体というふうな考えについてはどういうふうにお考えになりますか。
#206
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 自主放送のみということになりますと、確かにそれだけチャンネルがふえるというかっこうでございますから、いわゆる従来のテレビの電波に加えて、新しいチャンネルがふえる、そういうふうに考えております。したがいまして、全く新しいというふうには考えておりません。ただ、チャンネルがふえるということで自主放送をとらえております。
#207
○青島幸男君 その辺がどうしても意見の食い違うところでございまして、たとえば電波によるテレビの場合ですと、受信機のアンテナを上げさえすればどこでも映るわけです。ところが、ケーブルを引かなければ見えないのがCATVでございます。とにかく拒否することも、選択の自由もあり得るわけですね。そうなると、雑誌を購読したりするのと同じように、一つの新しい伝達媒体というふうに、まあ同じようにテレビの画面に映るわけですから、全く同一の考え方をもって臨むのが普通だと思うんですけれども、ところが、もたらされる経過の違いが非常に大きいということをお考えいただくと、新しい媒体として考えたほうがより適切ではないかという気がどうしても私はするんですけれども、その辺はどうでしょうか。
#208
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 いまの点につきましては、私もそういうふうに考えます。と申しますのは、いわゆるテレビだけにつきましては、チャンネルがふえるということではあまり変わらないと思いますけれども、先ほど申しましたような、ケーブル自体の持つ可能性と申しますか、これはもう非常に大きいわけでございまして、そういった意味からでは、そのテレビ以外のものをやるということになりますと、これはもう全く新しい媒体がそこにできたというふうに考えます。
#209
○青島幸男君 そうお考えいただけるとたいへんいいんですけれども、それで事実、最近のテレビとか、電波界の発展なんというのはたいへん目ざましいもので、一般の常識ではちょっと考えられないくらい飛躍的に発展しております。それで前郵政大臣も去年の国会でこの問題が出ましたおりに、自主放送のみを送信するようなそういう局がいま考えられないし、実際にはないし、そういうものができるとも考えられないというようなお話しをしてらしたわけですけれども、現にいま長野におきまして、四十ばかりの民宿なんですけれども、長野のスキー場の民宿の四十軒ばかりをケーブルで結びまして、全部このケーブルはその会社が負担をいたしまして、大体四時間ぐらい放送時間を持ちまして、朝一時間と夕方三時間、相互に、スキー場の雪質だとか、たとえば雪の降り方の状態であるとか、天気予報などを流したり、あるいはスキーの上のテクニックの映画を流したりというようなことをやって、なおかつ、これがおもしろいことに地域の業者によるスポンサー収入でこれをまかなっておるというようなのがもうすでにできておると。これをほっておきますと、どんどんできる。こういうことに関しては、これを法で規制するほうがいいのか、あるいは野放しにしておいたほうがいいのかということ。これが今後この法案の一番重要な問題になるわけですけれども、この問題についてはどういうふうにお考えになるんですか。
#210
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 いまの、先生のお話しになった長野の特別なケーブルテレビにつきましては、私も長野の電波監理局から報告を受けております。ただ、あれはこれから施設するというような計画があるということを聞いておりますが、実際施設されたかどうかわかりませんけれども、こういった問題も含めまして、この前のCATV法案につきましていま検討したいという状態であります。
#211
○青島幸男君 そうなんです。ですから、法案が出る前に、ここでそういう発言ができないのは当然だと思うんですけれども、少なくとも長野の件では、私の聞きましたところによりますと、関係官庁に届けたところが、まだ法律がさだかでないからそれをやめたほうがいいんじゃないかというふうに言われたと。それで、法律がきちんとできた場合には、一切その法律に準ずるようにという念書を取られて、一応仮許可みたいなかっこうでやってるんだということを言ったというふうに、私は伺っているんですけれども、そういうやり方は正しい行政指導のあり方だと私は思わないんですけれども、その辺はどういうふうにお考えになっておりますか。
#212
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 いまの点は、私まだ実はそういうふうに念書を取って仮の許可をしたのかどうかということは、実はよく存じ上げておりません。ただそういう話だけを存じ上げておりまして、しかし現段階におきましては、御存じのように、いまの有線放送業務の運用の規正に関する法律というものがございまして、そういった場合は届け出で済むというわけでございますので、その業者の方がどうしてもやりたいということであれば、こちらとしてそれを阻止するという権限はございません。そういうことでございます。
#213
○青島幸男君 ですから、もし念書を取って云々というようなことであれば、それは適切な手段ではなかったということになりますね。
#214
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 どうも実際どうなっているか、具体的な事例がわからないので、何とも申し上げられませんけれども、まあ念書を取ってというのは、おそらく行政当局におきまして、法律ができた場合は、当然その法律によって規制されるのだということを確認する意味で、そういったことをやったんではないかと思います。したがいまして、これは当然法律ができれば、法律に従わざるを得ないわけでございますけれども、現段階において出てないということのために、まあ念のためにということの念書、ほんとうのいわゆる念書でありまして、いわゆる行政指導の一環としてやったんだろうと思っております。
#215
○青島幸男君 その問題はそれでいいですが、とにかく法案がきちんとしたものがないですから、そういう意味合いで指導していくよりしようがないと思いますけれども、とにかく私も時間がないから最後に申し上げますけれども、ケーブルによるテレビはとにかくケーブルを引かなければ見られないのだ。ケーブルを引いて、しかも幾つか自主放送をする局ができた、そのできた局と契約をしなければ、しかもケーブルがつながっていなければ見られないという意味で、一般の電波によるテレビとの公共性の意味合いが違ってくるということをまず念頭に置きまして、有線テレビの可能性というものが非常に大きいのですし、単に難視聴対策だけでこれが行なわれるのであれば別に問題はないのですけれども、そういうわけではなくて、自主放送が行なわれるということになりますと、法律的に規制をしていくというよりも、むしろ自由な発展への努力を推し進めるかっこうのほうがよりいいのではないか、そしてある段階に来たときに、適当な行政指導を施すほうが言論問題や何かとかく問題を招く、あるいは間違いにおちいりやすいことを避けられるというふうに私は感じるということをこの際申し上げておきまして、私の質問を終わりたいと思います。
#216
○野上元君 ちょっと関連して藤木さんにお聞きしたいのですが、いまの青島さんの念書の話なんですが、念書というのは法律的な効果があるのかどうかですね、そういうことをやって何の意味があるのですかね。たとえばかりに、いま長野県でそのいう一つのものができた。しかし、いまの法律では規制する方法がないから、したがって認めざるを得ないと、しかし、将来規制する法律ができた場合には、あなたは法律に従ってもらいますよというような念書は何の意味があるのですか。それ、かりに念書がなくても別の法律ができれば、規制する法律ができれば、当然そうなるじゃないですか。新しい法律のもとに規制されることになるのでしょう。念書なんというのは一体何のために取るのですか。
#217
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 念書自体の法律的な効果というのは、これは全然ございません。これは、もう単なる文字どおりの念書でございまして、こういうものがありますよということを特にまあ行政指導という立場から強く業者に確認してもらうという意味で行政当局がやったと思います。
#218
○野上元君 私は、行政指導はいいと思いますよ。いまの動きはこれを規制するような動きがあると、そして郵政省も規制しなければならぬというふうに考えておると、やがて国会でこれが通過するだろうというような見通しは、あなたがたがなされることについては、別に私は反対はしません。しかし、このことが行政指導であって、これを念書を取って、判こを押して念書を取るというような行政指導はおかしいじゃないか、これは行き過ぎじゃないですか。もしも法律ができないような場合はどうなるのですか。
#219
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 実際に念書を取ったかどうか私はよくつまびらかにいたしておりませんけれども、もちろん法律ができれば、それに従わざるを得ないわけでございますから、おっしゃるとおりでございます。まあただあくまでも念書自体は法律的な効果がないわけでございまして、先ほどのお話のように、移動するというようなことがあるそうでございますので、一定のところに有線テレビを引いてそのままずっとおればそれほど問題にすることはないと思いますけれども、おそらく長野の電波監理局は、移動するというわけで、どこに行ったかわからなくなるのじゃないかというような懸念から、そういったことをやったのではないかと思います。
#220
○野上元君 よくわかりませんが、きょうは時間がないからこの程度にしますが、この次またゆっくりお聞きします。
#221
○委員長(近藤信一君) 青島君、いいですか。――他に御発言がなければ、本件に関する本日の質疑はこの程度にとどめます。長時間にわたりまして、たいへんありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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