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1970/04/27 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 運輸委員会 第13号
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1970/04/27 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 運輸委員会 第13号

#1
第063回国会 運輸委員会 第13号
昭和四十五年四月二十七日(月曜日)
   午前十時三十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     渡辺一太郎君     玉置 猛夫君
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     鈴木  強君     瀬谷 英行君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         温水 三郎君
    理 事
                岡本  悟君
                金丸 冨夫君
                谷口 慶吉君
                藤田  進君
    委 員
                木村 睦男君
                河野 謙三君
                佐田 一郎君
                重政 庸徳君
                玉置 猛夫君
                平島 敏夫君
                前田佳都男君
                岡  三郎君
                加瀬  完君
                鈴木  強君
                瀬谷 英行君
                森中 守義君
                田代富士男君
                三木 忠雄君
                山田  勇君
   国務大臣
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
   政府委員
       内閣法制局第四
       部長       角田礼次郎君
       運輸政務次官   山村新治郎君
       運輸省鉄道監督
       局長       町田  直君
       運輸省自動車局
       業務部長     見坊 力男君
       運輸省航空局長  手塚 良成君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田善次郎君
   説明員
       大蔵省理財局鑑
       定参事官     三島 和夫君
       運輸省鉄道監督
       局民営鉄道部長  佐原  亨君
       建設省計画局総
       務課長      河野 正三君
       日本国有鉄道副
       総裁       山田 明吉君
       日本国有鉄道理
       事        長浜 正雄君
   参考人
       日本鉄道建設公
       団理事      杉  知也君
       新東京国際空港
       公団総裁     今井 栄文君
       新東京国際空港
       公団理事     石原 耕作君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○運輸事情等に関する調査
 (日本国有鉄道の運営に関する件)
○参考人の出席要求に関する件
○新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○タクシー業務適正化臨時措置法案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(温水三郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。去る二十五日、渡辺一太郎君が委員を辞任せられ、その補欠として玉置猛夫君が委員に選任せられました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(温水三郎君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 日本国有鉄道の運営に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○岡三郎君 私はきょう過密地域の輸送力の増強問題、特に出身県が神奈川県ですから、神奈川に重点を置いて質疑をしたいと思いますが、一番最初に、鉄監局長に聞きたいのですが、現在の国鉄の財政状況ですね、特に運賃引き上げ後予定されている工事の進捗状況と見合って一体国鉄の財政自体がどうなっておるのか、これは監督をする運輸省の立場として一応説明を願いたいと思います。
#5
○政府委員(町田直君) 現在の財政状況でございますが、昨年運賃値上げをいたしまして、その後運賃と申しますか、収入を予定いたしましたけれども、現在の状態では、大体四十四年度の収入は予定予算よりも四百億くらい減収になっているのではないかというふうに考えられます。まだ最終的な四十四年度の全体が出ておりませんので、正確には申し上げられませんけれども、大体四百億前後というふうに考えられます。それから支出のほうは、昨年のベースアップ等がございまして、これによります増がございます。したがいまして、合計いたしまして、四十四年度の収支の状況は予算よりもかなりと申しますか、若干悪くなっているというのが実情でございます。
#6
○岡三郎君 結局、その穴埋めというか、工事費に対する支出その他、計画を遂行するために四百億も、そのほか支出増ということによって――その点をもう少し正確に、大体どのくらい四十四年度において不足が生じているのか。で、その不足はそのままにしておいて工事を遂行しろと言ってもなかなか計画どおりいかないと思うが、それを四十五年度どういうように穴埋めをしようとしているのか、その点をちょっと。
#7
○政府委員(町田直君) 工事の実施につきましては、ただいま申し上げましたような収支の状況でございまして、結局、ベースアップその他のために四十四年度の工事費のうちから約二百億に相当する分は収支の収入のほうから減らすということでございますので、それが、工事費のほうに回っておりましたものが減ってくるという結果になりまして、四十五年度の工事が二百億ぐらい減になっている、こういうのが実情でございます。それにつきましては、具体的にどこどこというわけではございませんけれども、それにつきましては四十五年度の予算で実施をいたすというふうに考えておる次第でございます。
#8
○岡三郎君 そうするというと、工事の量並びにその進捗状況を照らし合わせて順々に先送りしていって、先々においてこれを合わせる、こういうことに考えておりますか。
#9
○政府委員(町田直君) 正確にぴたりそういうふうになるかどうかわかりませんけれども、大体そういうふうにいたすよりしかたがないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#10
○岡三郎君 しかたがないといえばしかたがないのかわからぬが、前の長期計画でやって途中で手直しをした、それでまたその長期計画の終わらぬうちに手直しをしたというようなことで、国鉄に対するしわ寄せといいますか、そういうものが思わざる収入減になってきている。これに対して、やはり基本的にその工事の必要性を認めた場合においては、これを遂行するために何とか補っていくという考え方が当然出てこなきゃならぬ。しかし、さしあたって運賃の値上げを再び行なうというわけにはまいらぬ。そういう点について順次先送りしていって、明年ないし明後年の段階ぐらいにおいてこれに対する更正を行なう、こういうことなんですか。これはもうちょっとはっきりしておいてもらわないといかぬと思うのです。
#11
○政府委員(町田直君) 補正を行なうとか補正予算を組むとかそういうことではございませんで、おっしゃるように、どうしても四十四年度中に、そういう意味で資金的に足りなかった分については四十五年度で行なうということにならざるを得ないと思います。そこで、だんだん、何と申しますか、先送りになるじゃないか、こういうことでございますけれども、まあ具体的にこまかい計画等につきましては、国鉄のほうからお答え願ったほうが正確であると思いますけれども、いずれにいたしましても、昨年の分で二百億ぐらい、何というか、計画がおくれた分については四十五年度で行なう。したがって、四十五年度の分というのは、その分だけよけいにしなければならぬ、こういう形になると思います。しかし、それがうんとたまりまして、たとえば、十年間の三兆七千億というような計画を、いま御承知のように、持っておりますけれども、それが大幅に先にずっとおくれてしまうという、こういうような事態にはならないように、当然のことでございますけれども、努力をしたいというふうに考えておる次第でございます。
#12
○岡三郎君 収入が予定に達しないというだけじゃなくて、工事費の見積もり等がやはり漸次ふえてくるのではないか。要するに、いまの物価高の中でどの程度見ておられるのかわからぬが、結局、その国鉄の財政の窮迫状況の影響が、いろいろと合理化とかなんとかいろんな面にも出てくるし、まあ国鉄自体がいろいろやっておっても、運輸省が実質的にこの国鉄財政の裏づけという面について具体的に大体どうなっているのか、四十五年度を見通して運賃収入特に貨物、旅客合わせて大体想定どおりにいけると、こういうふうに――それじゃこれは国鉄の副総裁のほうから聞きましょう、どういうふうに見通していらっしゃるか。
#13
○説明員(山田明吉君) 四十五年度もうすでに入ったわけでございますが、過般成立いたしました予算では、旅客、貨物の収入合わせまして約一兆一千億でございます。四十四年度は、いま鉄監局長が申されましたように、実行の目標を四百億程度どうも割る、まだ決算の正確な数字は出ておりませんが、そういう状況でございましたが、四十五年度に入りまして、旅客については大体、万博の景気と申しますか比較的順調に進んでおります。それから貨物につきましては、実は四十四年度貨物収入の減収がわれわれの予想以上でございましたが、これはいろいろな原因によるものでございますが、四十五年度に入りましてまだ一月にはなりませんが、貨物収入も大体順調に伸びておりますので、この調子でまいりますとまあ予算の目標を何とかこなせるのではないか、そのように収入の面では考えております。
#14
○岡三郎君 まあその点がちょっとくずれてくると、縁故債措置とかなんとか、そういういろいろな形で国鉄が無理をしていかなければならないし、これに伴って借金がふえていくのではないかという問題がここにあるから、一応念のために国鉄の財政の健全化という意味でお聞きしたわけですが、端的に言って、そういうふうな収入減とかいろいろのものが予期せざる原因で出てくるということが想定されるわけですが、いまの報告で、万博を中心とした運賃の収入増というふうなことである程度明るい見通しができるということですから、そうするというと、私の言わんとすることは、いわゆる緊急対策としての過密地域における輸送力の増強、こういうふうな点については予定の計画どおりに進捗できるというふうに、これは財政的に見て考えられておられると思うのですが、その点はどうですか。
#15
○説明員(山田明吉君) 御指摘の点まことに私どもも非常に関心を持って日ごろ研究いたしておるのでございますが、通勤輸送に限らず輸送力増強あるいは安全対策、過去ずっと第一次計画、第二次計画、第三次計画と立ててやってまいりました。それで、いままでの進みぐあいは、結論的に申しますと、比較的順調に何とかやってまいったと言えるかと思います。若干、数字で恐縮でございますが、申し上げますと、第三次計画というのが現在取りかかっております再建計画の前の計画でございまして、四十年度から四十六年度までの七年間にやろうという計画でございます。その中は、申し上げるまでもなく輸送力の増強とか、あるいは合理化、近代化対策、あるいは動力の近代化対策、あるいは安全対策というような重要な施策を全部網羅いたしておりまして、この工事費総額が二兆九千七百億という計画で四十年度から発足したわけでございます。それで、いま御指摘の大都市中心の通勤輸送につきましては、その二兆九千七百億の中で通勤対策といたしまして五千百九十億円の工事を計画しておったのでございます。それで、四十四年度のまだ決算実績が出ておりませんので、四十年度から四十三年度までの四年間の数字を決算額で拾ってみますと、通勤対策といたしまして二千二百五十三億円を投じております。五千百九十億円に対しましては約四四%でございまして、全体の計画の二兆九千七百億円に対するやはり四十年度から四十三年度までの決算額が約一兆一千百億円でございまして、これは大体四七%に当たっております。したがって、通勤輸送が特におくれたということはこの数字の上ではないわけでございまして、大体順調にまいったと考えております。
 それで、との第三次計画は、昨年成立させていただきました国鉄の再建計画に基づく再建十カ年計画に発展的解消をいたして現在進んでおりますので、したがって、四十四年度から五十三年度までの十カ年には、すでに御承知のように、大体三兆七千億の全体の工事費で輸送力、通勤対策やいろいろな施策をやることになっております。その三兆七千億の中で通勤対策として約五千五百億円を予定いたしております。それに基づきまして、毎年度予算の実施をはかっておるわけでございまして、私どもとして、いま先生のおっしゃいましたように、収入の見込み、あるいは借り入れ金の実現の難易等、いろいろな資金を確保する上に問題はございますが、何とかこの五千五百億円の計画は完全に実施してまいりたいと、いまそのように考えておる次第でございます。
#16
○岡三郎君 まあ大体五千五百億円を確保するために努力をしておられるということがわかったわけですが、これは運輸大臣おられぬけれども、第三次計画から再建計画にまあ発展解消している。しかし、第一次、第二次、第三次、こう見ていって、かなり国鉄自体としてもたいへんな借金財政、赤字財政で苦しんでこられた。そういう面について逐次改善の方策がとられてきていることは認めるわけですが、しかし抜本的において、国として国鉄に対する出資、こういうものが非常にわれわれは要望してきておったけれども、非常に立ちおくれてきている。こういう面で四十三年、四十四年を通して政府出資というものをもうちょっと大幅にやるべきではないかということが言われてきたわけですが、これがまあなかなか思うようにいかなかったというふうなことで、まあかなり再建計画十カ年間というのが無理な内容を持ってきているのではないか。そういうところに、国鉄内部におけるいろいろな合理化とかそういうものがかなり強く打ち出されてきているという現象ですね。こういうものについて、まあここで触れていくというと時間がありませんので、端的に政務次官にお伺いしますが、この再建計画そのものが軌道に乗るということと同時に、やはり運輸省として、国鉄に対して財政問題についてどうしなければならぬかということについては、十分内容的におわかりのことと思うのです。そういう面について、いままあ進行中であるからしばらくこの情勢、様子を見ていかなければならぬと思っているわけですが、財政再建についていろいろといま固まってきて、いま進行中の中において、国鉄出資という問題については政務次官どう考えますか。
#17
○政府委員(山村新治郎君) ただいま先生おっしゃいましたように、政府の出資というものがそれほど多くないじゃないかということでございますが、政府といたしましては、いわゆる今度の四十四年から五十三年のこの十カ年の再建計画、これをいたします場合に、どうしてもこれはただ国鉄の再建というだけではございませんで、やはり国鉄というものが国民経済また国民生活におけるそれ自体に大きなまあ影響を及ぼすものであるということでございますので、現在のこの計画を確実に実行できるように、今後もいわゆる政府出資そのほかできるだけ多くするようにしていきたいと思います。国鉄側に対しましても、そのようなぐあいに指導していくというぐあいにしております。
#18
○岡三郎君 いま端的に申し上げてみれば、物価の騰貴とかね合わせて公共料金の問題がかなりやかましくいわれているわけです。しかし、ここ十年の発展経済の中で、この物価の指数を取り上げてみても、公共料金を持つ業務ですね、仕事、こういうものが軒並みに財政窮迫を告げている、まあ非常に苦しい。逆に言うと、公共性というものの名によって非常にその物価との関連で一方的に押えられてきている。私は公共料金というものを上げてはならぬということは当然だと思うのです。物価体系全体から見て、こういうふうな跛行状態の経済の中において、やはり国がある程度そういう公共料金を押えるということを原則とするならば、これをめんどうを見ていかなければならぬということは私が言うまでもないと思うのです。そういう面で、非常に国鉄の近代化というものが強く要請されてきておる現在において、政府自体が、一方において国鉄が利益を追求し、一方において公共福祉という名前によって財政が非常に困窮を加えてきた、こういうふうな問題がいろいろの工事をやる場合においてもかなりむずかしい問題を生じてきているのではないかというふうにも考えられるわけです。
 そこで、具体に伺いますが、東海道湘南新線の問題ですが、この問題については当初計画から見ていろいろの問題で工事が少しずつおくれてきているようですが、現在の見通しについてはどういうふうにお考えですか。
#19
○説明員(長浜正雄君) 東海道複々線の線増の件でございますが、いまのあれは昭和四十一年に運輸大臣に認可申請をいたしまして、認可をいただきまして、四十七年度完成という目標でやっております。御承知のように、横須賀線あるいは湘南線の乗車効率が二五〇%以上になっております。将来ほかの輸送機関が考えられませんので、ますます住宅開発その他でふえそうでございますので、その暁は三〇〇%ぐらいにまでふえるのではないかということで、非常に心配しておるわけでございますbこの東海道の線増ということで、約千五百億ぐらいの金を予定いたしまして、鋭意工事を進めております。特に東京から品川のシールド工事、あるいは戸塚から大船に至ります工事、相当進んでおるわけでございますが、一番いま問題になっておりますのは、戸塚の少し北寄りの付近から鶴見に至りますいわゆる別線部分のところがいま難航いたしております。一部地元の方のまだ反対がございまして、非常に工程的にむずかしい状態に立ち至りつつあるということで、いま私たちとしては全力をあげてこの区域の方々と接触をいたして用地買収を進めていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#20
○岡三郎君 そうすると、現在の見通しにおいては、大体四十七年度までで一応予定に沿ってできるという見通しですか。
#21
○説明員(長浜正雄君) ただいま申し上げました一番問題になりますのが、やはり別線部分に工程が左右されるのじゃないかというふうに考えております。いま鋭意私たち地元と折衝しており、また県あるいは市にいろいろあっせんしていただきまして、先生御承知のように、いろいろわれわれも努力しておるのでございますが、何ぶんにも反対同盟が結成されまして、一部の方々がそれでもってなかなか納得していただけません。一昨年来、市長を中心にしての協議会、あるいはわれわれと地元との協議を続けてまいっておりますが、いまだまだ解決をみていない区間がございまして、これがこのままの状態で続きますと、工程的には非常にむずかしい状態になる、こういうふうに考えております。
#22
○岡三郎君 この問題について、私は線増計画をやる場合においても、比較的に、客車線をやる場合においては地元の協力が得られる。ところが、貨物だというと、地域住民にとっては、総体的な一つの関係でやられるとしても、貨物だけでは非常に地元についてうまくないというふうな考え方が底流に強くあるわけですが、現在の人口増というものを見た場合に、これは埼玉、千葉も同じですが、特に神奈川の場合においては、年々二十万をこえる人口の増加、これは端的に言えば、世界一かもわからぬ、日本一です。そういうふうな東京を中心とした周辺地域の過密の状態というものは、これは極端にいま来ているんじゃないか。そういう点で、われわれ自体が考えていった場合に、この住宅の進出――公団団地をはじめとする各種民間の宅地造成等に伴う住宅の増加、こういうものによってどんどんと乗客がふえてくる。こういうふうな面で、このまま放置すれば、指数三〇〇をこえていくような状態になるんじゃないか。現在二百八、九十になっておると思うのですが、殺人的な状況がある。一方において、別線として貨物線を敷いて、いまの貨物線を客車線にするということについて、これは県全体ということではなくして、東京周辺の過密地域における輸送力増強という面から見れば、通勤・通学対策からいえば、一刻も早く何とかこれをやってくれ――しかし、別線計画の、貨物の線が敷かれる地域住民は、なかなか納得できない。そういう面で、私はこれは国として、これは山村さんもよく聞いておいていただきたい、鉄監局長、こういうふうに貨物線をお客を通す線に直して、新しく別線として貨物線を敷くということになっていく場合に、地域住民にとって非常に早くやってくれという面と、貨物線だけ走らされてがたがたされたんじゃ、とてもじゃないが、公害その他でかなわぬ。こういったときに、私は成田空港の場合においてもそうだと思うのですが、これは地域の住民に納得させるということは一体何だということになれば、二つあると思うのですよ。一つは、自分たちが好まないものがきた場合において、それを何とか自分たちの意向もその中に入れてもらえるような考え方をひとつとってもらえないか。つまり、貨物線だけではなくて、客線も並行してこれを何とか利用させるようにというふうな考え方。それからもう一つは、そういうふうな線を敷く場合において、ほとんどこれは地下を通るわけですけれども、国と県と市が、結局地域住民――これはもう神奈川県だけではなくて、過密地域全体の輸送力をどううまくさばくかという問題の中で考えていった場合に、戸塚から鶴見間における別線計画をつくるといったときに、その地域住民の人に、公害問題のみならずその他の問題について、国鉄は国鉄としての一定の費用というものが予算的に拘束されているということになれば、たとえば、公害問題その他を何とかこれを緩和して、いいものにしていきたいということになれば、やはり運輸省自体も、国鉄を督励するだけではなくて、県、市に対しても、これは国と力を合わせてやっていくというふうな形の中で、地域の人々に、十分は納得してもらえないかもわからぬけれども、ある程度、そういう問題について積極的に納得を得るようになされなければ、なかなかこの所定の目的が達せられないのじゃないか。いまのところは国鉄が非常に苦しんでいる。横浜も苦しんでいるが、全体的にいうと、こういう問題は、苦しむ人には苦しみっぱなしにまかしておけというのでもないでしょうけれども、当事者は非常に苦しんでいる。しかし、全体的にいって、こういう国家的な目的に沿うような事業をやる場合においては、これをどういうふうにやっていくのか、こういうことを考えてみたときに、第一の問題と、これは私は武蔵野南線の場合ともかかわり合いがあると思う。つまり、ずっと千葉のほうから埼玉のほうへやってきたのが、いま武蔵野南線が所定の工事がほとんどむずかしくなってきている。これも貨物線オンリーということですね。一体、おれのところだけ貨物だけ通して、ほかのところをお客を通して、おれのところどうしてくれるのだという、何というか、気持ちがあるわけです。しかし、大局的から見て、輸送力全体を増大させるということについては、地域全体がその恩恵を受けるということになるわけですね。それから、地域全体の恩恵と局部的な被害というか、そういうものの全体の調和というものをどうしていくか、ということについての一つの方式というものが十分考えられていかなければならぬと思うのです。いまの情勢でいうと、お客を運ぶほうについては鋭意やっているが、まあその地域地域の貨物線が通る住民は反発する。ですから、この調和をどう考えていくかということが、これが政治の問題なんですがね。
 端的に言って、貨物線が通る場合において、これは人口が増大していくということと、貨物の近代的輸送の発展という問題とのかかわり合いになるわけですけれども、お客を通すというようなことを考えてみたと思うのですが、その点はどうなんですかね。
#23
○説明員(長浜正雄君) 初めにこの計画をいたしますときには、先生の言われましたように、確かに貨物だけでは地元の人たちが非常に反対されるであろうということも承知しております。これを貨物にしないで、旅客にして、在来の線をそのまま貨物にというようなことも考えてみたのでございますが、実は御承知のように、このバイパスは、横浜駅をバイパスいたしますので、横浜駅の乗降客が四〇%前後といったようなことを考えますと、やはり在来の貨物線を旅客に転用いたしまして、新しく貨物線をつくらなければならぬというようなことでございました。
 ただいま先生御指摘のように、確かに貨物だけということになりますと、その地域の人たちに直接利益をもたらさないで、騒音とか振動というようなことで被害が出るというようなことを私たちも承知いたしておりますので、何とかと思ったのでございますが、そういう基本的な問題がございます。ただ、神奈川県地方は非常に人口の増加の激しいところでございまして、何とか一刻も早く完成させたいと思っているのでございますが、実は中央線とか東北線はもう完成いたしました。常磐線も近く完成を見る予定であります。総武線の複々線ももう解決のめどがついたわけでございます。一刻も早くやりたいと思っているわけでございますが、いま先生申されましたような、騒音とか振動というような点がございます。それで、われわれとしては、地元の方々にも、なるべくそういう被害を少なくするくふうをいろいろいま考えておるわけでございまして、それらにつきまして、実はまた市長のあっせんもございまして――市長が独自で大学その他に御依頼になりまして、そういう問題がどういう状況になるであろうかというような検討もなさいまして、それをもとにいたしまして、そういう騒音、振動等に対する対策の協議会を持とうというような市長のごあっせんもいただきまして、あす第一回の会議が開催されることになっております。あるいはまた、横浜市の鉄道のいろんな輸送の問題が山積しておりますので、なるべく、事が起こってからでなく事前によく連絡を持とうということで、連絡協議会も近く持たれることになっております。そういたしまして、国鉄単独ではそういう騒音、振動に対しましてできるだけのことをいたしますけれども、やはりそこに、その地域の再開発といいますか環境整備といいますか、そういう地方公共団体にお世話にならなければならない問題、あるいは国にお世話にならなければならない問題等がございますので、国鉄では鉄道だけしかできませんので、そういうことに関して、県、市あるいは国に対していろいろ御協力をお願いしたい。これは、単にこの貨物別線の問題だけでなく全国的にあるわけでございますが、そういう予算支出といいますか、そういう面での道路とかあるいは上下水道等で地域の環境整備をやっていただく。そういうことで、その地域だけが被害をこうむる、ただし大きな広い地域の利益になる、いわゆる公共事業的性格のものに対しては、そういう措置をやっていただきたいということで各地区ごとにお願いをしているわけでございまして、当地区につきましても、そういうことで、横浜市あるいは県にいろいろお願いをしておるわけでございます。今後ともなお一そう皆さんのお力でそういうことができますことをお願いしたいと思って、いろいろ努力をしておる状況でございます。
#24
○岡三郎君 この問題については、われわれ自体も、全県下の輸送力増強、これは限度に来つつあるということで、何とか、湘南新線というものは、われわれ自体も過去から現在までこいねがってきておった。しかし、貨物線との関係で、地域住民の意思を無視するわけにはいかぬ。それに対する対応策として、国全体が、公共事業と私有財産ですか、こういう問題のかかわり合いというものを十分しんしゃくして、そうして、全体の利益になるけれどもそのしわがある部分に寄ってしまうという形にならぬように、これは私もずいぶん、市長にも、それから県会の諸君にも言ってきたわけです。やはり全体的に、そういうふうな線を通す場合におけるいろいろな道路計画とか、いろいろな問題にかかわり合ってきますから、これは単に国鉄だけではなくて、運輸省の指導、あるいは運輸省と建設省の関係とか、さまざまな問題がここに出てくるわけでございますが、そういう点について具体的な話し合いが進捗するということで、あす第一回の公害問題を中心にするそういう話し合いがなされるということを見て、この問題については、ひとつ十分そういう点を配慮して工事の進捗をわれわれは願っておるということを言っておきます。
 山村さん、しわ寄せという問題があるわけですよ、世の中に。公共事業そのものが、いまの経済の繁栄の中でしわ寄せ食っていると思うのです、そのものが。しかも、その公共事業の中で、国民の一部分にまたしわがいっちゃっている。このしわを伸ばしてやるのにはどうするのかというのが政治じゃないかと思うのですが、そういう点で、国自体がこういう面について一体どうするのかということについては、私は、これは自治体とか国鉄だけではなくて、国全体としてこういう問題をどう処理するかということを考えなければいかぬというぐあいに考えるわけです。そうしないというと、国鉄と地域住民がけんかをしていく、争うということだけで、もうあとは力関係でやるのだということでは、納得しないままに押えつけるという形になってしまうのじゃないか。この責任は国鉄に私はあるとは思わない。国鉄に対しては、国民の利益というか、そういうものを中心にして、国鉄に、何とか一つ輸送力、通勤・通学対策をやれということを、政治全体が、これはある意味の至上命令として出しているわけですね。ところが、事実は、当事者同士が争わなければならぬというところに追い込んでいるわけです。こういう点、成田空港の場合とよく似ているのですがね。こういう点については、総体的にこういうものを納得させるような方法というか、空港の場合とは、ちょっと条件が小さいわけですけれども、この点どういうふうにお考えですか。
#25
○政府委員(山村新治郎君) ただいま先生お取り上げになっておりますのは湘南の新貨物線の問題でございますが、これにつきまして、一応この貨物線これ自体、これを完成させるということが、東海道線の通勤輸送力増強のためにもういわゆる焦眉の急を要するほんとうに緊急の問題であると、これは運輸省として考えております。そこで、地元の県、市並びにこの地区の中の市民の方方の一そうの御協力をお願いすると同時に、国鉄に対しては、地元の方々と誠意を持って折衝するよう指導していきたいと、こういうぐあいに運輸省としては考えております。
 しかし、いま先生おっしゃいました地元の意見をいれる、たとえば、客車を走らせることが可能じゃないか。もちろんそういうような場合には、これはもうできるだけ国鉄に、そういうことができればそのようなぐあいにするように、また先生がおっしゃいました県、市、これに、国鉄だけではなくて、国自体がそこにやっぱり関係していかなければいけないのじゃないか、こういうことでございます。それで、一応この路線の計画、建設、これにつきましては、運輸省といたしましては、国鉄また鉄建公団等にこれ命じてやらせておりまして、国鉄が一応県や市に、また地元の住民の皆さんと交渉はいたしておりますが、しかしまた運輸省のほうといたしましては、この地域の住民の皆さんにかかわるいわゆる騒音公害、またそのほか道路、下水道等いわゆるこれらの予算獲得という面に、これは運輸省のほうでは全力をあげてこれを応援していく、そのようなぐあいに今後やっていきたいと考えております。
    ―――――――――――――
#26
○委員長(温水三郎君) この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 本日、日本国有鉄道の運営に関する件の調査のため、日本鉄道建設公団の役職員に参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○委員長(温水三郎君) 御異議ないと認めます。
 なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○委員長(温水三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#29
○岡三郎君 鉄道建設公団のほうに伺いますが、武蔵野南線の竣工予定計画と、現在どうなっているのか、見通しについてちょっと……。
#30
○参考人(杉知也君) お答え申し上げます。
 武蔵野南線は、いま、延長が二十三キロございまして、北端の稲城町地区はほとんど用地買収が完了しております。それから南端のほうが、新鶴見の操車場への取りつけ部分が非常にたいへんなんでございますが、これも四キロメートルばかり現在施工中でございます。
  〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕
それから、あと残り十五キロメートルぐらいがあるのでございますが、そのうちの約二・七キロぐらいはただいま着工中でございまして、その他は、現在地元の方々と協議したり、あるいは測量、用地買収等を進めているというようなことでございまして、昭和四十五年度中には主体となるトンネル工事をすべて着工する予定でございまして、四十七年度一ぱいにはこれを完成いたしたいと、このように考えております。
#31
○岡三郎君 それ、できますか。私は鉄監局長に聞きたいんですが、武蔵野南線の当初計画は、これは客貨車両用ということに最初はなっておったんじゃないですかね。これはどうなんです、当初計画。
#32
○政府委員(町田直君) 建設計画、基本計画を出しました際に、正式に具体的にこれは両用であるとか、これは貨物専用であるというような基本計画のつくり方をいたしておりませんので、正式にどうであったかということは基本計画の面でははっきりいたしておりません。ただ大体――大体と申しますと非常に不正確でございますけれども、ただいまの貨物輸送に現在の山手線等の分を回すということで、貨物線を中心に建設していくという計画であったと承知しております。
  〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕
#33
○岡三郎君 私も運輸委員を長くやっているから、これは私の感じとして、これは客貨車が両用、併用していくという考え方が当初あった。これは地元のほうからいえばそうありたいというふうに考えるわけですが、しかし、南武線との関連で、これはもう南武線を客車専用にしてこっちを貨物専用にするという、これは輸送関係を専門にやっている方々からいえばそうだけれども、しかし、いまのような都市の過密状況の中で仕事を早目に進めるということになれば、地元住民の意向というものも断る程度聞いていくという姿勢がない限りなかなか本質的な協力を得られないんじゃないか。われわれ自体も南武線の近代化という問題で非常に悩んでいるわけです。特に南武線自体が非常に近代化がおくれて、しかもお客は難渋している。あの鉄道自体というものは非常に都市における鉄道ということになってくるというと、時代おくれもいいところへいってるんではないか。しかし、総合的に輸送計画を立てるということで、この面の近代化がおくれているということは、やっぱり、武蔵野南線とのかかわり合いが私はあるのじゃないか。こういうことでいま鉄建公団のほうに聞きましたが、四十七年度を目ざしてできますか、私はできないと思っているんですよ。こういう状況は、あんたのほうがおくれるというと、南武線の近代化はますますおくれてしまうというので、これはやはり同じ地域住民の中における利害相反するという面で非常に困るわけなんですね。あんたのほうは、とにかく貨物線を敷きなさいと命令を出した。まあやっているが、なかなかたいへんなことである。これは地元の住民もたいへんだし、あんたのほうもたいへんだ。つまり、仕事を端的にやっている窓口がたいへんに苦労している。命令をしたほうがわりあいに高見の見物的な形になっているんじゃないか。鉄建のほうの苦労というものもまた地元の苦労とかかわり合って、町田さんのほうでも監督として、これはあなたできると思いますか。
#34
○政府委員(町田直君) できるかどうかということは事実問題でございますので、確実にできますということを申し上げるのは非常にむずかしいのでございますけれども、報告を受けた限りでは、地元の方々の御納得をいただき、場合によっては、これは先生御承知かと思いますけれども、本来トンネルにしては非常に都合が悪いというようなところでも、場合によるとトンネルにするとかなんとかそういうようなことでできるだけ地元の方々の御意向を伺い、公害を排除する、こういう方向でやりたいということで鋭意折衝しているところでございます。できるということを目標にして行なっているというふうに考えております。
 それから、ただいまも御指摘がございましたように、苦労しているのは建設する鉄建公団であって、それを命令した運輸省は涼しい顔をしているとおっしゃいましたが、直接に私が地元に出かけていって折衝するということは実はいたしておりませんけれども、しかし、報告を伺いまして、それに従って、たとえば、先ほど政務次官からお話もございましたように、予算措置等も十分努力する。それから、たとえば、いま申しましたような設計の変更というようなことも、実は何と申しますか、技術的に必要でない場合でも、地元との折衝の場合には必要であろうという判断のもとに、そういうことを行なうということも絶えず上司と相談して努力するつもりでありますので、今後ともできるだけ早くこの建設ができますように努力いたしたいと思っております。
#35
○岡三郎君 私が端的に言うのは、やはり地元の協力を得なければなかなかそういうわけにはいかぬのじゃないかと思うわけです。しかし、それに伴って予算の支出増とかいろいろな問題が関連してくるし、将来やはり貨物線だけでなくて客線をそこに一本入れろというふうな強い気持ちのあることもわれわれ十分承知しているわけであります。そういう問題についても、今後の一つの課題として配慮していただかなければならぬのじゃないか。これは横浜の貨物線の場合においてもそういう気持ちが地元にありますが、いまの交通輸送全体を見ていく場合に、もっともっとお客を乗せる線をふやしてもらいたいというふうな気持ちが強いわけですが、その点については時間がありませんので、状況を見て次にお伺いするということにして、われわれのほうからいうと、武蔵野南線の場合等においても、もっともっと地元と話し合いを進めて、そうして理解を得るようにしなければならぬのじゃないか。まあそういう点についての今後の遂行について、運輸省としても私は積極的にひとつ関心を持ってやってもらいたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、同じく近代化が非常におくれている横浜線の問題でありますが、これはもうようやく小机まで複線化してきたけれども、これは東神奈川から八王子まで横浜線の近代化、複線化というものについては非常に急がれているわけでありますが、最近横浜市長、町田市長を通じて、まず小机から原町田の複線計画を至急にやってほしい、しかも、そこまで行ったら、そこでとどまるのじゃなくて、相模原の急膨張等から考えて橋本なら橋本までを第二段としてやってもらいたい、急速にひとつ八王子までの意向があるのですが、この点、副総裁のほうから聞きたい。
#36
○説明員(山田明吉君) 御指摘のように、横浜線はいま小机駅まで行っておりまして、私どもといたしましても、この沿線が最近非常に込んでまいっておりますことは承知いたしております。それで、なるべく早急に複線化をしたいと考えておりますが、先ほどお金の問題を申し上げましたので、金で申しますと、小机から八王子まで延ばしますと、大体あと八十五億から百億近くかかる見込みでございます。いま先生が第一段と申されました原町田まで三十五億程度で一応完成ができるかと思っておりまして、十カ年計画の五千五百億の中には入っておるわけでございますが、そういう見通しで極力予算化し、それを資金化いたしまして早急に実現いたしたい。それでこれについては特に利用債でやったらどうかというような地元の意向もあるように聞いておりますので、できたら全額利用債でやらしていただけば資金の手当てが非常に早急にまいります。もっとも先ほど来話が出ておりましたように、資金手当てができましても、都市計画の関係、設計協議の関係あるいはまた用地買収の関係、いろいろむずかしい問題がございますが、国鉄といたしましても、この東京付近の通勤増強の最も重要な線区の一つとして考えておる次第でございます。
#37
○岡三郎君 一つの計画の中に入っていて財政上なかなか資金手当てが困難である、そこで、いま言われたように、利用債で何とか手当てをしていきたい、そうすれば着工が早まるというふうなお話ですが、全額持てというのは、これはどういうことなのかね。そうすると、いわゆる再建計画の中に載っている一つの計画路線としてある程度資金手当てが非常に難渋していることはわかるにしても、全額ということになると、一体これは抵抗が出てくるんじゃないか。これはどうなんだ、話し合いの中は。
#38
○説明員(長浜正雄君) 横浜線の問題については私やはり担当しておりますので、私からお答え申し上げますが、さいぜん私申し上げました横浜市との国鉄連絡協議会というところでこの問題も取り上げるつもりでございます。横浜市長もそういうところでお話ししようと、こういうことになっておりまして、いま全額にするか、どれくらいにするかというお話ございましたけれども、いままでのいきさつでは、小机までも実は全額をいただいております。実はほかに火の粉を払わなきゃならぬところが非常にたくさんございまして、ここも必ずしも火の粉がかからないわけじゃございませんけれども、実は第二段階的な――いま二二〇%ぐらいというような混雑率の数字でございますので、若干そういう点を考慮いたし、あるいはまた地域開発というような点も考慮いたしまして、そういう利用債という話をお互いに持ち出して早くやろうと、こういうふうなことでございまして、できるだけ早くやるためにそういうような話になっておるわけでございます。この点につきましては、さいぜん申しましたような国鉄連絡協議会でどの程度にするかということを最終的にきめたい。一応いままでが全額でやっていただいておりますので、そのままスライドアップした、こういうことでございます。
#39
○岡三郎君 話の内容としてはよくわかります。二二〇くらいですから、もう二八〇、二九〇、三〇〇を将来こえるのではないかというふうなところ、いろいろと線の状況があると思います。しかし、飛躍的に膨張していくのではないか、この線が。そういうことで内容的に見て、先般町田市長の大下さんとも話したのですが、いまの小田急と、それから横浜線の立体交差というふうな問題については非常に関心を持っているわけです。いまのところは小田急線と横浜線の駅がばらばらになっている。そういうことで地元の商店の意向は意向としても、交通機関としては別々の駅を持っているということになれば、これはずいぶん不経済でもあるし、交通上からいって非常に円滑を欠く、そういう意味において立体交差するというか、そこへ一つに集めるということについては、最近市長のほうとしてもぜひそういうふうにしていきたいというふうな考え方が強いわけです。これには、伺ったところ、いま言ったように都市計画というものが先行して、一体どういうふうにあそこを都市計画するのかということが言われなければならぬというふうに考えますが、そういう面についてはわれわれ自体も推進をして、ひとつそういうことによって国鉄、私鉄だけではなくして国全体が、建設省としてもこの建設計画といいますか、都市計画を推進するということによってみんなが協力してひとつ便利になるようにする、こういうことでやっていかれて、私たちも賛成です。いま言われたとおり、利用債の問題については、国鉄が借金がふえるだけですからね。だから、当座やり繰りが非常に苦しいということで、地元のほうとしては早くやってくれという声との調整点を利用債ということで切り抜けたいという気持ちはよくわかる。われわれ自体も積極的にこういう点については関心を持って、横浜市長並びに町田市長との話し合いの中で、そういう方向がまとまれば早急に着工できるわけですね。これ内容的に利用債をどうするかについては、当局と国鉄の話し合いをするということは当然だと思うのです。それがうまくいずれにもせよまとまればある程度すみやかに着工ができる、こういうふうにとっていいですか。大体どれくらいになりますか、まとまったということを前提にすれば。
#40
○説明員(長浜正雄君) いま利用債で話がまとまりますならば、ある程度の調査の計画も進んでおりますので、わりあい早くできると思いますけれども、わりあい早くといっても、それじゃ一カ月、二カ月というわけにはなかなかまいりませんけれども、できるだけ早く、年度内に着工できるようにしたいと、こう思います。
#41
○岡三郎君 その点は年度内に着工してくれなければ、利用債みんな持てと言ったって無理な話です。やがてここのところは二二〇から二五〇、二七〇になることはわかっているわけですから、それを早めていってもらいたいということは、やはり特に近代化がおくれてあそこの何というか、車両は非常にお粗末ですからね、そういう点で、われわれ自体もこの改善方というものは緊急を要するというふうに見ているわけですから、これがある程度複線化してくれば、小田急と横浜関係、東海道関係との連絡がかなりよくなるのじゃないか、これは非常に助かると思うのです。これは部分的ではなくて、総体的に小田急線を使っている、東海道を使っている者からいえばかなり有効になるし、増発もかなりきくようになるのじゃないか。この点についてわかりました。年度内着工を目ざしてひとつ計画を進めてもらいたいというふうに考えます。
 ここで、線路との関係ですがね、先ほどの湘南新線とのかかり合いと、それから横浜線の中における大団地の造成というような問題から出てきて、どうしても戸塚の駅と保土ケ谷の駅の間に東戸塚駅をつくってもらいたい。これはもう緊急な地帯全体の要望であるし、それから十日市場団地を控えて、人口急膨張しているところで、どうしてもやってほしい、そういうふうなことが背景にあって、市自体もかなり国鉄当局に協力しておるのだと思う。この点はどうですか。
#42
○説明員(長浜正雄君) 新戸塚のお話は、先生御指摘のように、市長からも再三にわたってお話を承っております。地元の非常に強い要望も承知し、また付近が相当団地化しつつあるということも私たちよく承知しております。できるだけこれが実現できるような方向で私たちいま検討しておるわけでございますが、何ぶんにもこの場所が、ちょうどさいぜん先生御指摘ございました貨物別線の部分に当たるわけでございまして、これが在来線のほうに、この新駅をつくるとすればできることになります。そうなりますと、現時点では、やはり湘南電車と横須賀線が同時にここを走っておりますので、線路容量の問題等がございます。できるだけ早い機会にこの貨物別線の見通しをつけまして、そうしてこの新駅をつくることをきめる方向できめたい、こういうふうに考えておる次第でございます。それから総合的に検討さしていただきたい、できるだけ先生御指摘のような方向で話をきめるようにしたい、こういうふうに考えております。
#43
○岡三郎君 十日市場というのはどうですか。
#44
○説明員(長浜正雄君) 十日市場の件は、これは横浜線の沿線の新駅でございまして、これにつきましては、やはり市長さんからのお話を承っておりまして、これも実は単線の場合にはどうしても線路容量、そこで押えることになりますので、これが複線を機会にこれを考えていきたい。この間四キロ余りございますのと、やはり地域が相当開発されておるということもわれわれ承知しておるわけであります。ただ、どうもいつも話がみみっちい話になって恐縮でございますが、駅ができますと要員関係の問題がございます。しかしまあ要員の関係もありますけれども、客の利便、利用者になるべく多く利用していただくというような面から、この駅につきましても前向きにそういうものと総合しながら検討して、御指示のような方向できめていきたい、こういうふうに考えております。
#45
○岡三郎君 時間がありませんので、一番おくれている橋本から茅ケ崎にくる、単線ですか、相模線が一番おくれておるわけですが、いま計画でいくとあれは除外されておるわけですか、それはどうなんです。
#46
○説明員(長浜正雄君) 相模線につきましては、おっしゃるとおり確かに単線でございまして、まだ列車回数も非常に少なく、十五分に一本か二十分に一本程度でございます。ただ、現在の時点では乗車効率が非常に低く、そう高くございませんので、これにつきましては、いま具体的にこれを複線化するといったような計画はまだつくっておりません。しかし、さいぜんからお話出ますように、この湘南地帯の住宅が非常に開発されつつありますので、それらをにらみ合いながら県と国鉄、あるいは市と国鉄、このいろいろな協議会の場でも、いろいろこういう輸送力増強を検討していきたい。現時点は計画はつくっておりませんけれども、今後そういうことも必要になってくるのではないかということを考えております。
#47
○岡三郎君 この点については、やはり非常に人口が多くなる傾向が非常に強いということで、この問題については地元の市並びに県と十分連絡を進めてもらって、これは計画の中に入れてもらうようにしてほしいというふうに考えます。これも非常におくれ過ぎていて、いまのところは、そういうふうにほかの線と比べては焦眉の急とは言えないかもしれないけれども、将来そういう条件になるということはわかり切っているわけでございます。そういう点をお願いしておきたいと思います。
 そこで、民鉄部長が来ておりますのでちょっと聞きますが、相鉄線が二俣川から平塚まで一応工事を起こしたということになっておりますが、この完成見通しはどうなっておりますか。
#48
○説明員(佐原亨君) ちょっと手元に資料持ち合わせておりませんので、後ほど御報告さしていただきたいと思います。
#49
○岡三郎君 これは着工したばかりですから、これからの問題として御検討願いたいと思うのですが、神奈川県全域について、特に私鉄関係が計画路線として、まあ田園都市線とかあるいは京王帝都とか、こういうものが津久井に至るいわゆる県央ですか、県を海岸線に並行して通すという計画ができていたことはわれわれ承知しておるわけですが、これは単なる新聞情報かどうか別にして、私鉄関係においてそういう問題がどういうふうな現状になっておるか、これを開きたくてお願いしたのですがね、これわかりませんか。
#50
○説明員(佐原亨君) 神奈川県下の、特に通勤対策でございますけれども、都市交通路線といたしましては一応われわれのほうで、都市交通審議会でいろいろ検討が行なわれ、一応現時点における計画があるわけでございますが、六十年目標のために近々東京部会が開かれまして、東京と周辺三県を含めた大都市交通網を検討する段階になっております。したがいまして、そういった路線の計画性はこれからの問題でございます。現時点におきましては、先生おっしゃった程度の計画しかございません。
#51
○岡三郎君 そうするというと、東京を中心とした三県が全輸送網ですか、そういうものをこれからひとつ企画して実行に移していく、こういうことですか。いつから始めるのですか。
#52
○説明員(佐原亨君) いつからというまだ具体的な日時の取りきめまではございませんけれども、前回の都市交通審議会総会で東京部会の継続審議、と申しますのは、一、二年前に答申されましたのは中間答申でございます。六十年目標の全体的な路線網は六十年を目標としてこれからつくる、こういうことになっておりますので、これは一例でございますけれども、たとえば、地下鉄の七号線を神奈川県央に延ばしていく、あるいは六号線をどうするか、こういった問題をこれから審議する取り運びになっておるわけでございます。
#53
○岡三郎君 私はここで、運輸大臣が来ないので、地下鉄関係も含めて、現在の東京を中心とする近県の輸送力の増強全体を考えて、国鉄はかなり努力している、私鉄も在来線というものについてはかなり増強をはかっているということはわかります。今後の発展計画というものから考えてみて、県央をどうするかという点について、それは通勤新幹線というふうな構想が部分的に雑誌その他をにぎわしてきておる。これは東京のどこへ持っくるかわからぬにしても、小田原なら小田原に対する――しかしいずれにしても経済的に見て効率のいいところだけしか考えていないような気がするのですがね。しかし、将来の発展計画全体から見て、県央つまり相模原を中心にした、いわゆる東京、川崎から相模原からずっと県の中央部を横断する、こういうふうな線についてはかなり計画がおくれているのではないかというふうに考えておるわけです。しかし、国鉄自体も資金源がそうあるわけではなし、そうするというと民間にこれはある程度頼むという以外にはないのじゃないかという気がするわけですが、地下鉄にしても、東西線とかいろいろな線が順次開発されてきておるけれども、非常に東京を中心にした南方向ですね、地下鉄の計画というものはおくれているのじゃないかと私は思うのです。たとえば、いまのところはまあ東西線その他の開発によって船橋とかあっちのほうはかなりぼつぼつ進捗状況も著しいものがある。ところが、東海道沿線のほうへくるというと、もう地下鉄というものはほとんど川崎、横浜あるいはその他の地域に延びていないわけですが、こういう面とあわせて地下鉄というものを、先般、橋本運輸大臣が、これは自治体がやるべきものではないのだというふうなことで、将来これを一つのものに統一するというふうな形の発言があったやに聞いておるわけなんです。この点について、地下鉄の今後の――地下鉄、私鉄を含めた対策ですね、これを鉄監局長、民鉄部長を含めてどう考えておられるのか。地下鉄関係についてはまだこれから川崎なんかも計画していかなければならぬ、あるいは横浜がいまようやく着工してある程度進捗はしております。こういうものをやっていった場合において、自治体経営とかあるいは営団経営とかいろいろな問題があるわけですが、この点についての真意はどうなんですかね、これは。
#54
○政府委員(山村新治郎君) ただいま先生おっしゃいました地下鉄につきまして、大臣がこの前、やはりいわゆる公益的に考えなければならない、そこで、市のみの地下鉄などというのは今後許可しないというような方針でいきたいけれども、しかし、これは各方面の御意見を十分伺った上でそのようなぐあいにしていきたい、もちろん、この考えが間違っていればこれは訂正いたします、というふうなところで申しましたが、これはいわゆる公益行政というところがら、いわゆる鉄道自体にしましても、やはり公益的なものを考えていかなければならないのではないか。そこで、もしできれば、県だけではなく、やはり県、そして市、これが一体となった長期展望に立ったやっぱり路線というものを決定していくべきではないか、そういう意味での大臣の発言でございました。
#55
○岡三郎君 時間がありません。最後に鉄建公団のほうに聞きたいんですが、いわゆる根岸線の延長がようやく洋光台まできた。大船に至る日時の問題ですが、大船に至る用地の買収について進渉状況はどうなっておりますか。
#56
○参考人(杉知也君) ただいま、あと洋光台から大船まで約八キロでございます。それで、いま用地の買収しておりますのは、大船から新大船のほうに向かってやっております。まだ全部終わっておりませんが、新大船までの大船−新大船間を、国鉄の大船の改良計画がございますので、それに合わせるためにいま急いでおりますので、一生懸命やっております。なお、洋光台と新大船の間は、これから用地買収とともにかかるというような状況でございます。それで、全体の全通の目標といたしましては、四十七年度ということに考えております。
 以上でございます。
#57
○岡三郎君 四十七年度……。
#58
○参考人(杉知也君) なるたけ早くやりたいと思いますが、一応四十七年というふうに考えております。
#59
○岡三郎君 私が聞いているのは、大船寄りのところが用地買収がある程度苦しくなるんじゃないかというお話がある、そういう心配はございませんか。
#60
○参考人(杉知也君) いま大船の駅の付近です。その辺が少し困難をいたしております。これはそれでもこれから一生懸命に努力してまいって用地を買収する目算でございます。
#61
○岡三郎君 この点は客線ですから、私はそれほど心配はしておらないんですけれども、予定の方向で地元にも協力してもらわにゃいかぬし、そういう点についてわれわれが聞いていることの心配がなければ、予定の方向で完成するんではないか。これ完成しないというと中途はんぱですから、せっかく桜木町からつくって洋光台まで行ったけれども、今度は時間がかかって大船に到達するということになれば、湘南地帯からずうっと横浜に入ってくる乗客自体というものは依然としていまの在来線を利用しなければならぬ。そういうことで非常におくれることを実は心配しているわけだ。いまのところは洋光台、港南台の全体をながめてみても、予定の方向でいけばあそこに大団地が二つ建設されるわけだ。そうするというと、この人口のはけをここがかなりコントロールできるんじゃないかというような気がするんだけれども、ただそれが少し時間的におくれるというと、小部分的に混乱が起こるんじゃないか、こういうことを心配しておるわけです。いまの報告聞くというと、部分的に困難があるけれども、大体の方向として四十七年度までにいけるんじゃないか、こういうことで、きょうはひとつ全体、総括的に一応話を聞いたわけですから、これはわれわれ自体のほうとしても、全体的なこの解決を見るためには、お互いがここでただおくれておるだけ指摘しても意味がないわけで、ひとつ地元の協力を得るように全体としてやっていかなければならぬと思うのです。これはまあ全国至るところ過密地域においてこういう問題が発生しているわけですが、そういう点でひとつ、国鉄当局自体として貨物だけ走らせるということはもう国鉄もかなわぬというふうな気がしているのじゃないかと私は思うのです。そういう点で、まあ山村政務次官ひとつ橋本さんとよく話し合いをして、貨物線というだけじゃこれは今後はもう無理だ、だから、そういう点については国鉄自体もかなり輸送力全体の計画の中で苦労しているわけです。ですから、まあこれを計画変更するとなれば予算上、資金上非常にたいへんだし、いろいろと今後いまの状態が、予算委員会で指摘されたように、あと十年近く人口の移動というものが全日本的に行なわれていくのじゃないか。これは統計的に見て過疎過密の問題ということになってきて、結局その増加のスピードがどの程度緩和されていくかということはここ一、二年見ているというと、ある程度わかってくるのではないかという気がするわけですけれども、しかし、全体的に見て、いまの人口移動というものが大体十年間今後見通されるということが一応いわれてきているわけです。そういうことを考えた場合に、これからさらに新しい線をつくるという場合等についても、ひとつ運輸当局として財政上、資金上の問題と合わしてそういう計画をする場合において、国鉄なり、あるいは私鉄関係全体の意見を聞いて、そういうものが実際的に効率のあがった建設ができるように、しかも、地域住民の協力を得るような方式というものを積極的に考えてもらいたい。ただ鉄道審議会とかいろいろなところできめて、いろいろな都市計画審議会等できめてやれといっても、いまの状態というものはそう簡単なことではないわけですね。そういうふうな点を十分考えてもらって、きょう私は総括的に、先ほど言ったようにお尋ねしたわけですが、また次の機会を得てこういう問題についてもう一ぺんひとつ質疑をしたいと思っておるわけです。きょうは時間がありませんから、以上で終わります。
#62
○委員長(温水三郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#63
○委員長(温水三郎君) 次に、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#64
○加瀬完君 先日、法制局の第四部長に、まとめてもう一度この間の御見解を御発表いただきたいとお願いをいたしておきましたので、その点御発表願いましょう。
#65
○政府委員(角田礼次郎君) 先日質問の第一は、航空法第三十九条第一項第五号に規定されております「所有権その他の使用の権原」を確実に取得することができると認められるという要件を考える場合に、土地収用法によって所有権を取得することができると認められる場合を含んで考えるのはおかしいのであって、契約によって確実に取得することができると認められる場合のみをさすものと解釈すべきではないか、こういう御質問であったと思います。これについてお答えいたします。
 確実に取得することができるかどうかということを考える場合には、取得のための法的手段の有無、さらに法的手段による目的達成の能否が問題になると考えられます。まず、公的な手段としてどういう手段があるかといえば、普通の場合には、御指摘のように契約というものがあり、特別の場合には土地収用法の規定による収用ということがあり得るわけであります。契約の場合には、契約の相手方が契約を締結しなければ話になりませんから、多数の人が契約の締結に応じそうもないという場合には確実に取得することができる見込みが乏しいということが言えるだろうと思います。しかしながら、わが国法のもとにおいては、財産権を公正な保障のもとに公のために用いる道として土地収用法というものが制定されているのでありますから、自由な意思による契約の締結に応じない者がいるからといって、直ちに確実に取得することができる法的手段がないとは言えないわけであります。もっとも、一般的な問題としては、実際上土地収用法を適用できそうもないと認められる場合もありましょうし、土地収用法を適用しさえすれば、常に確実に取得できる見込みがあるかといえば、同法にはいろいろな要件、手続が定められており、たとえば、その土地が公共の利益となる事業の用に供するため使用されており、飛行場の設置がその事業より公共性が強いと認められない場合であるとか、そのようなことはなくとも、その土地を飛行場の用に供することが土地の利用上、適正かつ合理的でないと認められる場合には、個別的なケースとしては土地を取得できない場合もあり得るのでありまして、その限りにおいて、土地収用法による場合でも、最初に申し上げた法的手段による目的達成の手段の能否が十分問題になる可能性があるわけであります。したがいまして、航空法第三十九条第一項第五号の解釈として、初めから土地収用法による収用の場合は、その取得の見込みを判断する要素として考えるべきでないとは言い切れないと考えられるのであります。
 御質問の第二は、運輸大臣は、新東京国際空港公団の作成した同空港の工事の実施計画を、飛行場の敷地について所有権を確実に取得することができると認めて認可したが、これは航空法第五十五条の三第一項及び第二項、同法第三十九条第一項第五号によって認可したわけでございます。認可したわけでございますが、認可を受けてから三年も経過しているのに、なお敷地の全部を取得することができていない、このような状態から言うと、運輸大臣の認可は航空法違反の認可であったと言うべきではないかという御趣旨であったと思います。これについてお答えいたします。
 航空法第三十九条第一項第五号の規定の解釈については、さきに申し上げたとおりでありますが、同号の規定を具体的事件に適用するにあたっては、もちろん取得に要する期間の長短の見込みも一つの判断の要素にはなり得ると思いますが、それも工事の計画等とにらみ合わせて勘案すべきものと考えられるのであります。要するに、認可権者である運輸大臣が公団の申請を審査し、いろいろの判断要素を基にして確実に取得することができる見込みがあるかどうかを総合的に認定し、認可なり不認可なりの処分をするわけでありますから、具体的事実の適用関係を承知していない法制局の政府委員としては、先ほど申し上げました一般的解釈以上の答弁は差し控えさしていただきたいと思います。
#66
○加瀬完君 この三十九条一項の五号のみでなく三十九条全体を見ますと、住民の利益というものをそこねてはならないという保護の考え方というのが非常に基底にございますね、たとえば住民の利益を著しく害してはならないというような内容もあるわけでございますから。それからこの前も申し上げましたが、この公団法が制定される前の航空法は、その敷地としての位置をきめる場合、住民の意思というものを十二分に聞かなければならないような規定というものがあったわけです。したがいまして、公共的な必要があるからといって、あなたの御説明のように収用法を含めて確実に取得できるならば認可をしていいという読み取り方は、前後の関係からは私はできにくいと思うのです。なぜならば、住民の利益を著しく害するようなところに空港はつくってはならないという基本原則が一つあるわけです。しかも、その住民の意思というものを十分に尊重して、前の法律には、住民の意思を聞いて住民の賛成が多数というような場合にのみ位置の決定というものに持っていくという方法が講じられておりましたし、これはここの法律の改正になりましたが、行政的措置としては同様の方法をとっていくということをたびたび運輸省は言明をされているわけですから、そうすると、確実に取得できるかどうかという状態は、契約において確実に取得できるかどうかという状態としてこれは判断をしなければならないというように解釈をしなければおかしいと思うのです。あなたのほうで、もう数年前のことになりますが、たとえば、都市計画法でありますとか、土地改良法でありますとか、こういうのに三分の一の反対があれば改良法なり計画法なりというものを適用できないという問題がありますが、この三分の一という数字と確実に取得という確実ということはどういう強弱関係があるのだと、こういう質問に対して、確実に取得というのは一〇〇%の期待権がある、こういう説明もあるわけです。前の委員会でも指摘をしましたが、しかも、確実に取得ということばが法律上使われているのは、会社更生法とかその他二、三のところしかない。それはいずれも一〇〇%という期待権も蔵しているわけですね。しかも、その確実なということばは、ほかの場合は、――会社更生法やなんかの場合は土地収用法の関係はありませんけれども、大体確実という用語がそういうふうに一〇〇%の期待権というもので裏づけされておるとするなら、くどいようですけれども、さらに土地改良法や都市計画法などの三分の一よりも強いものだとするならば、収用法というものをかけた場合にどうこうするという考え方はおかしいじゃないか。なぜならば、都市計画法なり土地改良法なりも収用法をかけられるものもあるわけでしょう。しかし、それは三分の一の反対があれば土地収用法をかける対象にはならないわけですね。空港敷地の場合は、三分の一よりもはるかに強い確実な取得という内容であるというのに、その場合は収用法をかけてよろしいということになると、確実に取得というその確実の概念というのは、ほかの法律の場合とこの場合と概念も内容も違ってくるのじゃないか、そういう解釈はおかしいじゃないかというように私は考えまして、前回から御質問をしておるわけでありますが、そのいままでの法制局の解釈というものは、あなたがおっしゃるようではなかった。ここで急に、そういうように――法的手段としては契約と収用法による収用とある。したがいまして、収用法による収用によって確実な取得というものが実現をするならそれでもよろしい。しかも、確実な取得というのは、どこで一体判定をするのかと言ったら、認可の時点だ。認可をして三年も四年もたって確実な取得の内容がまだ実現されておらないのに、それでも確実な収得というような見方をするのはおかしいじゃないかと言ったら、いまあなたは、それをも計画とにらみ合わせて考える。これは法律解釈にはならないでしょう。解釈する時点が認可をするかどうかという時点であるというときを押えて、そのとき、見通として、これは確実に取得ができるとして認可をするというたてまえをとるわけですね。しかも、三年も四年もたっても認可ができないということではおかしいじゃないかと聞けば、前回の計画とにらみ合わせて考えるということになりますれば、法律解釈よりも、いつも行政的な解釈が優先をするということになりまして、解釈としてはおかしいということになりませんか。そういう点を御検討して、もう一度御回答いただきたいと思います。これはおそれ入りますが午後にまたお願いをいたします。
 大臣が非常にお急ぎのようでございますから、それは一応お願いをして次に進みます。なぜこういうことを私どもくどくどと聞くかと申しますと、地元の反対の人たちは、政府や公団は法や行政慣例を無視して強引に空港の土地取得や建設工事を進めているという、そういう不信感が非常に強いのであります。あなた方のほうの解釈からいえばそうでないとおっしゃるでしょうけれども、受け取り方としては、現地の反対派といわれる人たちは、いままでにそういう法の解釈がないじゃないか、行政慣例がないじゃないか、それを強引にやるというのは何事だという不信感がある。しかし、反対の人たちは、自分たちの力で、いわゆる非合法でもあえて強行して反対を貫こう、こういう考えを持ってはおりません。合法的な異議の申し立てをしているのに、政府側が法や慣例を無視して権力的に圧迫をしてくる、このやり方が非常に不満だと、こういう見方をしておるわけであります。
 そこで、もう少し具体的な問題で伺ってまいりますが、一期、二期に分けて収用法を扱いを変えたわけですね。立ち入り調査その他は一期分にとどめて、二期分のほうはあと回しにしてあるわけですね。これは法律的にはどういうことになりますか。全体に一応収用法を適用した。ところが、収用法の具体的な手続は部分的にして、他の大部分というものはたな上げしておる、こういう扱い方はどういうことになりますか。
#67
○政府委員(角田礼次郎君) 御指摘の問題は、土地収用法第三十九条第一項に基づく都道府県の収用委員会に対する収用の裁決の申請について、全体を一括して申請しないで部分的に申請をした、その点だろうと存じます。裁決申請の根拠規定は、ただいま申し上げました土地収用法第三十九条第一項であります。ところで、同項の規定の文言自体としては、申請を一括してしなければならないとも、あるいは分割してすることができるとも書いていないことは、ただいま読み上げたとおりでございます。そこで、同項の規定をどのように解するかという問題は、この規定の趣旨、あるいは収用法全体の仕組み、この規定と他の関係規定の関係等から判断していくほかはないと考えられます。そこで一般的に、常識的に申し上げますと、まず考えられることは、かりに一括であろうが、分割であろうが裁決申請をするにあたって、当該事案の経過、用地買収の複雑の度合い、そのほかいろいろな事情を勘案しながら、ここできめられている一年以内の期間という法定の期間内に、起業者としては、必要な手続を進めるということはごく通常の姿であろうと思います。そういう考え方自体が収用法の基本的などこかの条文にまっこうから違反をしている、収用法がそのような通常の姿を否定しているとはとうてい考えられないのであります。むしろ、収用法の考え方からいえば、事業認定を受けた起業者と、多数の土地を収用されるほうの人々の間の個別の関係について、公正な第三者である土地収用委員会の判断を求めるという考え方をとっているわけでありますから、そこには初めから個別的な事件の処理という考え方がむしろ含まれているということが言えるだろうと思います。ただ、そのような考え方が何らか別の理由によって、たとえば、そのこと自体が、収用される側の者の利益の保護というような観点から、特別に否定されるというような場合があれば、いまのような一般的議論は成り立たないわけであります。ところが、収用法は、そういうことについて明文の規定をもって特例を設けていないのであります。起業者と被収用者との間の権利調整について、土地収用法は非常に細心の注意を払って、詳細な規定を設けているわけでございますから、もしそのような特例を法律上設けようということであれば、収用法全体の仕組みとしては、当然そのようなことについて明文の規定を設けるであろうというのが想定されるわけであります。しかるに、先ほど申し上げましたように、三十九条一項は、その点について何ら言及しておりません。ここでは法定の期間内に限り収用委員会の裁決を申請することができるということしか述べていないわけであります。さらにまた、三十九条の第二項におきましては、土地所有者の側から裁決申請の請求権を行使するということができるわけであります。この場合には、起業者のほうには裁決申請の義務をむしろ負わさせる、つまり選択の自由はないわけであります。この点は被収用者の利益のために、まさに起業者の裁決申請権の行使に、ある意味では制約を与えたものだということが言えると思います。
#68
○加瀬完君 もういいです。それらの点もあとで触れますけれどもね。明文がなければ慣例に従うのが常識でしょう。行政慣例が収用法についてもいろいろあるわけです。明文がなければその運用は、これは慣例に従ってやるのが当然でしょう。この間も建設省から答えがありましたように、慣例としては、三分の一以上の反対があるようなところに収用法をかけるという慣例はいままでなかった。今度はそれをやるわけだ。しかし、そのやかましいほうはあと回しにして、わりあいに収用しやすい第一期分をまずやって、それから第二期分という形をとったわけです。慣例のないようなやり方をすれば、被収用者は、これは政府が、政府の都合で強権を発動したと、こういう解釈をするのは当然でしょう。そこで、航空局長に伺いますが、この第二期工事分には、確実に取得かいなかは実質的反対の質だと言うならば、この地域には実質的反対の質は存在しないとごらんになりますか。これは公団の総裁でもけっこうです。――もう一度申し上げますと、二期工事分には、あなた方のほうでは、確実に取得かいなかは実質的反対の質の問題だとおっしゃるならば、この地域には実質的反対の質は存在しないか。
#69
○参考人(今井栄文君) 第二期の工事区域に、未買収の方が人員にいたしまして百六十九名、面積にいたしまして八十八ヘクタールということは、先般の当委員会において御答弁申し上げたとおりでございますが、この百六十九名の方々が全部反対同盟に所属いたしておるわけではございません。反対同盟の所属は、私どもの推計によりますと、約五十名というふうに見ております。したがいまして、全体で二期の地主の方々が五百名、それに買収のすでに済んだ者が三百三十一名……。
#70
○加瀬完君 そういうことを聞いていない。聞いたことだけに答えてください。質があるかどうか……。
#71
○参考人(今井栄文君) 百六十九名の中に約五十名の反対同盟に所属の方がおられます。
#72
○加瀬完君 反対同盟が何名かということを聞いておるわけではございません。あなた方は、確実に取得かいなかは実質的反対の質だと言う。それならば、五百人中百六十九名の反対があるということは、質の存在があるということではないかと、そういうことを伺っておる。この質が、あなたの言うように、反対同盟が幾らという御説明でございますが、反対同盟が何名であろうが、反対同盟でない者が何名であろうが、現状百六十九名のとにかく確実な取得についてはイエスと言わない人たちが存在しているということは、それはそのとおりでしょう。御報告なさったんだから、これは間違いない。いかがですか。
#73
○参考人(今井栄文君) 私は反対しておる方が百六十九名おるというふうな答弁を申し上げたのではなくして、未買収の方が百六十九名おるということでございます。で、その百六十九名全部が買収に反対いたしておるかというと、実態はそうではございません。先生御承知のように、この未買収の方々の中で、すでに買収契約を交渉しておられる方々もおるわけでございます。それからまた、売りたいのだがまだ売らない、というのは相続その他の、手続の関係でおくれておる者もあるわけでございまして、したがって、先生のおっしゃるように、百六十九名全部が反対同盟に所属するといなとにかかわらず、買収反対だというふうな見方は私どもはいたしておりません。
#74
○加瀬完君 確実に取得されない状態の者が百六十九名いることはこれはいなめませんね。しかも、あなたは一坪参加者は入れておりませんけれども、これが千二名いることもこの間御説明のとおりですから、全体を大ざっぱに見れば、未買収であろうが契約金の問題で話し合いがつかなかろうが、現状において確実に取得できない状態の者が、面積については八十何町歩、人数においては千二名を除いても百六十九名おるということは、これはいなめないでしょう。これからどうなるということを言っているのではない。現状において売り渡しを拒んでいる者が、あるいは売り渡しの契約が成立しない者がこれだけおる。これはそのとおりでしょう。こういう事実関係というものを希望的観測や個々の解釈をつけて話し合っては、いつまでたってもほんとうの事実関係というものは確認できませんよ。私は反対の立場とか賛成の立場ということを言っているわけではない。純法律的に考えて、確実に取得の条件が満たされておらない者が百六十九名、その他千二名、こういうことは現状においては認めざるを得ないであろう、こう申し上げておる。
#75
○参考人(今井栄文君) 現状において未買収の方方が二期に百六十九名いるということは間違いございません。ただ、確実に取得できるかできないかという問題につながってまいりますと、私は必ずしも先生のようた考え方は持っておりません。
#76
○加瀬完君 私は、それは確実に取得できないものか、できるものかということを言っているんじゃない、現状においては、確実に取得はされておらない事実関係を言っている。あなたそうおっしゃるなら、確実に取得できないというのは、実質的反対の質というものは、具体的にどういうことをさすのですか。いまそういうごたごたごたごたしているけれども、いつか売るだろうとか、話し合いがつくだろうとおっしゃるならば、それでは確実に取得できない質といいますか、内容というものはどういうものを公団としては考えていらっしゃいますか。
#77
○参考人(今井栄文君) 私どもは、確実に取得できないものの質がどういうものであるかというふうな点について、一つの理由というふうなことに集約できないのではないか。これは先生もご承知のように、先祖伝来の土地、あるいは長年苦労して開拓した土地を離れたくないという純粋の土地に対する愛情からの反対もあるでしょう。これは必ずしも反対同盟に所属する、しないにかかわりないと思います。それからまた、行きがかり上どうしても自分としては売れないのだというふうな方もおられるでしょう。いろいろあると思いますが、私どもは、この確実に取得できるかできないかという点については、第二期工事は御承知のように、昭和四十八年三月までに工事を完成せよというふうに政府から指示を受けておるわけでございます。したがって、まだ相当期間私どもとしては説得をする余地もあるし、それから、かねがね先生おっしゃっておられるように、反対派の方々に対するりっぱな農地を代替地として提供するということもまたこれ一つの説得の大きなバックになっていただけるのではないか、こういうふうに考えておりますので、この百六十九名の現在未買収というものが、工事完成をしなければならない四十七年度末までにどういうふうに動くかということについては、私どもは今後全力あげて説得をし、また、それに対する対策も立てる、こういうことで、私どもとしては第二期工事についても確実に取得できるのではないかというふうな気持ちを持っております。
#78
○加瀬完君 法制局にまた伺いますが、そういうあいまいなことで認可がされていいというこれは法律ですか。確実に取得というなら、取得についての確実性というものはどっかできちんときめなければならない問題でしょう。この成田においては取得確認が行なわれておらないでしょう。確実に空港敷地を取得できるかどうかというものを、前の航空法では確認をする手続がきめられておった、それが行政的にも省かれている。今度はそこでそういうものを一切御破算にして、空があいているからと、あそこに位置をきめて、位置をきめたにしても、行政的には確かにここに空港ができますよと、滑走路はつくりますよと、取得の確認がどこかで行なわれなければ認可はできないはずだ、それはそうでしょう。どこかの時点で、認可する時点で、所有権なり、あるいは土地の使用権なりの確認というものは、見通しも含めてどっかで行なわなければならないということは法律上当然でしょう、この点はどうですか。
#79
○政府委員(角田礼次郎君) 「確実に取得することができると認められること。」と条文に書いてありますから、「認められる」というのは、ある程度認定といいますか、見込みというものは許されるわけでございます。その前に「確実に」ということばがついておるわけですから、その見込みなり認定というのは相当高い程度であるということも、これは先生の御指摘のとおりだと思います。
 そこで、先ほど申し上げましたように、どのくらい期間がかかるかというようなことも一つの認定の要素だろうと申し上げましたし、同時に、そのほかいろいろの事情も勘案して公団の申請を運輸大臣が十分審査をしまして、そしておそらく――おそらくといいますか、事実としては認可をしたのだろうと思います。いまのような、先生が直接御指摘になりましたような判断といいますか、認定といいますか、それは当時の公団の申請に対して運輸大臣のところで行なわれた、こういうことだろう、具体的に事情を私どもは知りませんし、専門家でもございませんから、これ以上はお答えいたしかねると申し上げておきます。
#80
○加瀬完君 ですから、取得確認がどこかで行なわれなければならないのは、これは当然でしょうね。取得確認が行なわれておらなかったとしたら、それで認可がされたとしたら、これは法律的におかしくありませんか。違法ではありませんか。
 ちょっとそこで事実関係、聞きます。認可の時点において取得確認を公団はしておりますか。この間の御説明ですと、知事なり市長なりを呼んで、おまえのほうに位置をきめるからだいじょうぶか、承知いたしました、それだけでしょう。行政的措置として前の法律を守るとお約束しているのだから、市町村に通知をして、公示をして、住民の意見を聞いて、それで大多数賛成だからだいじょうぶだと、こういう手続は踏んでおりませんね。いかがですか。これは事実関係ですから、そういういま言った点を先に踏んでいるかいないか。
#81
○政府委員(手塚良成君) この場所に位置をと、いまの先生の御質問で、一月十日に公聴会をこれは地元で開いておりまして、公聴会では必ずしも全員賛成ということではもちろんございませんでしたが、この公聴会によって、大半は賛成という御意見あるいは条件つき賛成というような御意見があったということ、並びに地元の知事あるいは公共団体の長というものの協力は、この位置決定前後を通じまして終始変わらない強い御意見として承っており、これらは地元の意向を一応代表しておるものということで、総合的に確認の方法というのはとったわけでございます。一人一人からどうかというようなところまで立ち入った確認の方法はしておりません。
#82
○政府委員(角田礼次郎君) 御趣旨は全く同じだろうと思うのですが、取得の確認と私は申し上げたわけじゃなくして、取得の見込みの確認ですから、将来の見通しでございますから、その点は、御趣旨はそういう御趣旨だったと思います。
#83
○加瀬完君 位置決定の前後にいろいろ市町村長その他公聴会などを行なったと言いますが、大半が賛成だと言いますが、反対派は参加しておらないでしょう。しかも、柴山町議会は反対決議をしましたね、十八対三ぐらいで。それが数日にして、今度はいろいろ政治的工作があって、十七対二か何かで今度は賛成にひっくり返っているわけですね。それで騒然たるリコールが起こったりなどして、結局町長選挙をやり直すという結果になった。そういう過程を見れば、個々の地権者について確実な取得の見込みをも含めて検討がされておるという状態ではなかったわけです。
 そこで法制局に伺いますが、確実に取得の見込みが立たないという場合は、認可をすべきではないと考えてよろしゅうございますね。
#84
○政府委員(角田礼次郎君) 当然、そうでございます。
#85
○加瀬完君 そうすると、確実に取得できないところに収用法を発動するということは、あり得ませんね。
#86
○政府委員(角田礼次郎君) ちょっと御質問の趣旨がよくわかりませんが、確実に取得することができるという取得の法的手段としては、何度も申し上げておりますように、私どもは、契約による方法と土地収用法による方法と二つ含めて考えておりますから……。
#87
○加瀬完君 それはわかります。しかし、客観的に見て、収用法をかりにかけたとしても、確実に取得の見込みというのは時間的に、無制限な期間というものをさしておるのじゃないということは御説明があったわけでございますから、そうすると、だれが考えても、常識的に、工事に間に合うというような期間の中において、かりに収用法をかけたところで取得ができないというような状態であるならば、そういうところに収用法をかけるということ自体が問題にならないかということが一つ。
 それから、収用法は慣例として、三分の一以上の反対があるようなところに収用法をかけたためしはいままでないのだから、反対派ごく少数というような場合に収用法をかけているけれども、収用法によって条件を満たすという収用法そのものが基本的に働かなければ、土地の取得ができないという、そういう条件で収用法をかけるということに慣例上、疑義を私は感じますが、問題がないか。
#88
○政府委員(角田礼次郎君) 収用法をかけても、確実に取得する見込みが立たないという判断がなされる可能性があるかもしれません。あるということは先ほど申し上げたとおりであります。この点は先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ、そういう場合に、それでは収用法を実際にかけてみたら取れるかしれないし、取れないかもしれないという見込みの問題でございますが、だからといって、現実に事業認定をその後受けて、そして裁決申請をして取れるかもしれませんから、起業者として土地収用法の事業認定の申請をし、さらに裁決の申請をするというのが法律的に違法であるとか、あるいは著しく不当であるということまではちょっと言い切れないような気がいたします。
 それから、第二の御質問にございました、非常に反対者が多いような場合に、いままでの土地収用法上の慣習として、そういうところに土地収用法をかけたような例はないじゃないかというようなお話でございますが、これはこの前、建設省の説明員からも、実際にはなかなかそういう収用法をけかたような例がないようなお話があったようでございます。私もそういう事実については同じように聞いておりますが、ただ私どもとしては、法律的に反対があるからこそ、収用法をかけるという法的手段が与えられているのだということを申し上げているわけで、行政上の慣習については、実際にはなかなか収用法をかけていないという事実自体については、私どもそういうふうに聞いておることはそのとおりでございます。
#89
○加瀬完君 収用法は、いまあなたのおっしゃったような意味もありますけれども、より効果的に事業を進める、結局、事業を早く進めるために収用法をかけるという方法もあるわけですね。ところが、この場合は、収用法をかけることによってむしろ事業が遅延をするという結果にもなるわけですね。そこで、かけられる場合が多いけれども、なるべく話し合いによって収用法をかけて、むしろ事業の進行がおくれてはならないという配慮が、行政的慣例として、建設省等ではあまり収用法をかけるという――積極的に収用法をかけて事を解決するという方法をとっておらなかった。それを今度やったわけです。それで早く進むかおくれるかは、これからの事実関係が示すでしょうけれども、いままで慣例として多くの反対があるとろでは収用をかけないというやり方が行なわれておったのに、こういう方法をとったわけです。
 そこで、この前のあなたの御答弁の中で、何か収用委員会が収用申請に対して、収用法を進めるべきか、あるいは認可そのものを違法とすべきか、あるいは工事そのものを違法とすべきか、こういう審査をおのずからするであろうというような御趣旨の御説明がありましたが、そう受け取ってよろしゅうございますか。
#90
○政府委員(角田礼次郎君) 直接にどういうお答えをしたか、ちょっといま記憶しておりませんが、収用法にはいろいろな手続が定められておるわけでございます。そして、ただいまの収用の裁決の申請がありました場合には、四十七条なりあるいは四十八条なりの関係規定によってあるいは却下の裁決をし、あるいは権利取得の裁決をするということでございます。四十七条には、それぞれ要件がございまして、この要件に合致しなければ申請は当然却下されると思いますし、それからそういう要件を満たして、まあ要件を満たしておるといいますか、却下要件に該当しなくて、かつその他の手続等についても収用法の要件を満たしておれば四十八条だと思いますが、四十八条の一項に要件が書いてございますが、これこれの事項について裁決をしなければならないということが書いてございますが、それに従って裁決をするという仕組みになると思います。
#91
○加瀬完君 具体的な問題をもう少し聞きますがね、土地に立ち入ろうとする者は――収用による立ち入り調査の場合ですね、土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証票を携帯しなければならず、土地所有者その他利害関係人の請求があったときはこれを示さなければならないとされておりますね。したがって、立ち入り測量に際し、証票を携帯しないで、あるいは請求があったのにもかかわらず証票を呈示しなかったとすれば、法の要求する義務を履行しなかったということになりますね。
#92
○政府委員(角田礼次郎君) ただいまの御指摘は、土地収用法の第十五条の規定だろうと思いますが、請求があったときはこれを示さなければならないということが書いてございますから、この規定どおりに請求があった場合に示さなかった場合は、当然それは違法の立ち入りということになると思います。
#93
○加瀬完君 念を押しますが、この義務を履行しない場合、違法と認めてよろしゅうございますね。
#94
○政府委員(角田礼次郎君) この義務を履行しない限り十五条の三項違反になる、そういう意味だと思いますが、そのとおりでございます。
#95
○加瀬完君 公団に伺いますが、この間の立ち入り調査の場合に、確実にこの証票を呈示いたしましたか。私どもは見ておりません。
#96
○参考人(今井栄文君) この日、立ち入り調査を行なった日、先生も現地におられたので事情はよく御存じだと思いますが、非常な反対同盟の方々の、公団の調査を拒絶するというふうなたてまえから、まあ喧騒をきわめておったわけでございますが、私どもとしてもでき得る限り呈示を求められた場合には証票を呈示するということで、調査班全員が出発前に班長によってそれぞれ全部その身分を示す証票を一応改められております。全部持って現地に入っております。
 それで、いままで私どもが現地から受けた報告によりますと、呈示を求められた個所並びに呈示を求めた方々、それからまた呈示をした私どものほうの職員というものについての調査が報告されておるわけでございます。たとえば、社会党の一坪運動共有地、これでは、呈示を求めた方は小川国彦さん、これは千葉県の県会議員でございますが、小川国彦さんから呈示を求められております。呈示を求められた場所は、対象の土地からかなりの距離のある場所で求められた。こういうところで呈示を求め、呈示をしなければならないということが必ずしも適法かどうかという問題は別といたしまして、私どものほうでは責任者を含めて三名が身分を示す証票を呈示いたしております。
 それから駒井野団結小屋でございますが、ここでは喧騒のためにどうしても声が聞き取れないというふうなことで呈示はいたしておりませんが、呈示を求めた方が、新聞等によりますと、小長井さんという弁護士の方であったというふうに新聞は報道いたしております。しかし、これは調査についてはほとんどああいう騒ぎの中で声が聞き取れない状況であった。それからまた、いわゆる平和の塔でございますが、ここでは対象土地から、私どもの調査する土地からかなり距離のある場所で、やはり一人の方から呈示を求められております。これにつきましては、私どものほうの責任者一名が身分の証票を呈示いたしております。それから、その他の場所におきましても、学生風の方から呈示を求められた場合に、私どものほうから、やはり責任者一名が呈示をいたしております。
 前に申し上げました平和の塔では、われわれの調査では自由法曹団の方らしいというふうにいっております。したがいまして、私どもは、当日の調査につきましては可能な限り合法的に適法に呈示を求められたら必ず証票を呈示する、こういうふうに指示をいたしておったわけで、現地の調査班もその指示に従ってあらゆるできるだけの努力をいたしたと、かように考えております。
#97
○加瀬完君 呈示したかしないかは別にして、そのあなたのほうで呈示をされたという証票はどういう内容のものですか。
#98
○参考人(今井栄文君) 公団の職員である、それからまた、調査員であるということを示す身分証明書でございます。
#99
○加瀬完君 そういう身分証明書を小川国彦君の場合も呈示しておりませんね。あなたのほうで委託をしたその会社の身分証明書は呈示をしておりますが、公団総裁なりあるいはそれにかわるものが立ち入り調査について委嘱をしたという身分を証明するようなものは何にも呈示をされておりませんね。それを皆さんに持たしてありますか。公団職員は持っているでしょうけれども、公団職員は立ち入り調査をしておりませんよ。公団職員に委嘱をされた者が立ち入り調査にみんな来ておりますね。この者たちは、公団から委嘱されたという者は何にも持っておらない。持たせましたか、その人たちに。
#100
○参考人(今井栄文君) 私が報告を受けた限りにおきましては、委嘱を受けた者が主体になって調査を行なったのではございません。公団の職員が現に百二十名、当調査班にそれぞれ配置をいたされておるわけでございます。したがって、調査は公団の責任において行なったものでございます。
 それからなおその際に、補助者として、調査の専門業者というものの職員も当然参加いたしておるわけでございますが、これらについても、その公団から仕事をまかされたという意味の証票は持っておったというふうに私は聞いております。
#101
○加瀬完君 測量をする意思が全然なかったわけですよ。これはちょっと議論がはずれますけれども、ね。測量をするというようなかっこうだけつけた。結局抵抗が大きいから、この測量はできないから三十七条に移すという、その便宜のために測量の形を整えた。したがいまして、来た者は測量をしようという意思がないんですから、証票は示しませんよ。こっちから無理に言えば、私は何何組だと、何々会社だという説明しかできなかったわけですよ。この事実関係は私のほうでもいろいろ材料がありますから、十二分にあとでお調べをいただきます。
 それから、測量対象の土地は非常になわ延びが多く、これは公知の事実でございますね。したがいまして、慣例としては隣地の立ち会いがなければ登記関係の担当者も調査が十分に果たされているという見解はとらない。いつでも隣地の立ち会い証人というものによって、その土地の広さ、狭さというものが確認をされておるわけです。ところが、この場合の立ち入り調査は、隣地の立ち会い人というものは全然つけておりませんね。
#102
○参考人(今井栄文君) 立ち入り調査をする前には土地収用法に基づく手続によりまして、事前に各地主さん方には全部立ち会いの協力を要請いたしておったわけでございますが、一人もお見えにならないということでございまして、私どもとしては、それによってわれわれの手で調査をいたした。ただ、調査をいたしたものについては、署名捺印についてはやはり法律できめられた関係市町村の吏員なりあるいはまた県の職員というものが立ち会いの署名をいたしてくだすっておるわけでございます。
#103
○加瀬完君 それはおかしいじゃないですか。この辺の土地境界線というものは非常になわ延びがありますから、帳簿上百アールといっても事実は、多いところは倍もなわ延びのあるところもある。まあ三割くらいのなわ延びというのは通例ですね。したがいまして、土地の売買、あるいは貸借関係の行なわれるときには、隣地の者と立ち会いの上で境界線というものを確定しなければ境界が出てこない。境界が出てこないところに測量はできない。測量をしてしまってから隣地に確認をさせるといったって確認のしようがないですよ、どこが境界だか確認してないんですから。しかも、その被買収地域は一筆ごとの調査をしたわけではなくて、航空写真によって一応測量にかえた。こういう方法をとっているんですよ。これを測量と認められますか。正しい測量が行なわれたと認められますか。ひとつこれは法制局に伺います。
#104
○参考人(今井栄文君) ちょっと私からお答え申し上げます。
 その反対同盟の一坪運動の面積の確認というふうな点につきましては、先生も御承知のように、一坪運動の地域の周辺は全部公団の所有地でございます。したがいまして、公団の所有地をはかることによって、当然にその中の面積は出てくるわけでございます。したがいまして、なわ延びその他い問題についても、その周辺の公団の土地を明確に調査いたしますれば、おのずからその中の一坪運動の面積は出てくるわけでございまして、私どもは、いま先生のおっしゃるようななわ延びその他が公団として確認できないではないかという点については若干見解を異にいたしております。
#105
○加瀬完君 それじゃ具体的なことを申しますよ。私どもが立ち会っておりましたところに公団に委嘱された方が来まして、おまえのほうの土地と隣地の境界はここだといってなわを張りました。それは反対者の持っている土地から二十メートルくらい、面積にして少なくとも百二十平方メートルではきかないくらい外側に線を引いて測量をしたということになっておりますよ。確実に測量してないんですよ。それはしかしなわを引いて測量をしようと試みた。あとは全然測量してないですよ。測量のかっこうをつけて、騒いだからやめたというかっこうで、航空写真にたよるという形をしたわけですね。
 そこで、これは法制局に伺いますがね、いま言ったような関係の慣習を破って境界を定めたわけでありますが、これを調書の記載としたわけでありますが、こういう起業者の調書の作成というものを法的に正しいものと認められますか。不正確な調書をとって収用委員会に持ち込むということになるわけですから、そうすると、異議の申し立てがありましたときには、いたずらに権利関係を不明確かつ複雑にして収用委員会の信認手続に悪影響を及ぼすということになるでしょう。そういうことを防ぐように三十七条の一項は指示をしているわけじゃないのですか。
 もう一度申しますと、不正確な調査だけで調書をつくって収用委員会に提出されれば、当然異議の申し立てが出るでしょう。そうすると、そこで混乱が起こるでしょう。こういうような調書というものを作成してよろしいというように収用委員会の提出調書の手続はなっていますか。より正確を期するということになっているんでしょう。正確を期する上の慣習すらも守らないということでは、その調書はどうも不正確きわまりないものということになるのじゃないですか。当然異議の申し立てということが出てくると混乱を生ずることになりはいたしませんか。
#106
○政府委員(角田礼次郎君) 基本的に土地収用法というものは、要するに自由な意思の合致によって土地の権利の移転ができない場合に、それは土地収用法の手続によってやるというわけ。ただ、土地収用法は非常に平穏無事、と申しますと言い過ぎでございますけれども、両当事者の間で、先生が御指摘になったようないろいろなトラブルなくして手続が進められる場合から、それからいまのような非常なトラブルが伴っている場合と、そういうことをあまり区別なく規定がされていると思います。ただ。何といっても利害は相反するわけでございますから、いろいろその手続を進める上において相手方の協力をまず第一次的には求める。しかし、相手方のほうは、これは利害が相反しておりますから、その協力は求められないということを予想して、そしてその場合にはそれにかわる手続を認めていくというような、大体そういった仕組みだろうと思います。
 そこで先ほど御指摘になりましたように、まず三十六条で、土地調書の作成については、起業者はその土地所有者なり関係人の立ち合いを求めた上で土地調書なり物件調書に署名押印してもらう、これが一番平穏無事なことである。ところが、相手方がそれに協力しない、協力というのはちょっと行き過ぎかもしれませんが、とにかく応じないという場合には、市町村吏員の立ち会いを求めてやるわけです。しかも、異議申し立てと言われましたけれども、異議申し立てば三十六条の三項で、その手続に乗っかった人は三十八条によって異議申し立てができるわけでありまして、この手続に乗っからなかった、初めから反対だからおれは立ち会わない、署名押印しないという人は三十八条の異議申し立てばできないわけであります。しかし、それではまた、何といいますか、権利の調整が不十分だというので、三十八条のただし書きでは、調書の記載事項が真実に反していることを立証することができるわけであります。その機会は、土地収用委員会の裁決の申請をした上での審査の段階でいろいろ意見を出す。また、あるいは土地収用委員会に職権による現地調査を要求するというような形で、そこで真実でないということを主張し立証する、こういうことになろうと思います。具体的事件については、先ほど来申し上げておりますように、私、お答えしかねますけれども、そういうふうに、両者の利害関係をそれぞれ一定のルールに乗って手続が進められる場合、あるいは相手方が一定のルールに乗らない場合と、いろいろなことを考えた上で収用法は手続が書かれております。
#107
○加瀬完君 ですから、あとのほうで御説明になったように、この調書は正確なものではない、大いに異論がある、こういうように権利者が考えた場合は収用委員会にその意思が持ち込まれて、収用委員会の再調査なり、あるいは所定の手続による反対者の意見の開陳なんというものが行なわれることになるでしょう。そうなりますと、収用委員会そのものの審理というものがなかなかスムーズには進まないおそれがありますので、少なくも公団等の立ち入り調査あるいは土地調書の作成というものには念には念を入れるべきじゃないか。それで、隣地の立ち会いがなくても、まわりは公団の土地だから反対派の土地は確認できると言うけれども、じゃ、公団の土地だという確認の場合、反対派である隣地が立ち会ったか。立ち会っていないでしょう。公団の土地だというそのものも十二分な確認が行なわれないまま登記が完了している。その登記の土地をもとにして、今度は反対派のほうを隣地はわれわれだから確認する必要もないということになれば、そこでまた異議が出るということにもなりかねない。
 もう一度伺いますが、前段に私が説明したような場合ならば、収用委員会に出て十二分に地権者の権利を擁護できる機会もあれば、あるいはその手続も行なわれるわけですね。
#108
○政府委員(角田礼次郎君) 先ほども申し上げましたように、三十八条本文による異議申し立て権はむしろ放棄しているわけでございますけれども、実際に裁決の申請が出て、収用委員会の審理の段階において、たとえば六十三条の三項でございますか、そういうことの規定をもとにして、意見書あるいは――ちょっとくしゃくしゃしておりますが、要するに六十三条の三項についていろいろな手続をとることができるわけであります。それからまた、六十五条には職権で収用委員会が現地について土地を調査するというようなこともありますから、そういう機会は−機会と申しますか、手続は十分収用委員会の審査の段階ではあり得ると思います。
#109
○加瀬完君 もう一つ法律的なこと伺いますがね。第三十六条第二項は、「起業者は、土地所有者及び関係人を立ち会わせた上、土地調書及び物件調書に署名押印させなければならない。」とし、同条第四項は、「第二項の場合において、土地所有者及び関係人のうちに同項の規定による署名押印を拒んだ者又は署名押印することができない者があるときは、」市町村長または吏員の立ち会いで署名押印でよいと、こういうようになっておりますね。この内容ですがね。第四項は――第五項も同様でありますが、土地所有者及び関係人のうち「署名押印を拒んだ者又は署名押印することができない者があるとき」の規定でありますね。立ち会いを拒んだ者または立ち合いをすることができない者があるときの規定とは言えないと思いますが、どうですか。
#110
○政府委員(角田礼次郎君) 三十六条の四項は、「第二項の場合において、」ということが上にひっかかっておりますが、第二項では、「立ち会わせた上、」「署名押印させなければならない。」ということが書いてありますから、結局これを二つ続けて読みますと、「立ち会わせた上、土地調書及び物件調書に署名押印させなければならない。」場合において、土地所有者及び関係人のうち署名押印を拒んだ者があるときは云々と、そういうふうに読むべきだと思います。
#111
○加瀬完君 したがいまして、立ち会いを拒んだ者または立ち会いをすることができない者があれば市町村長その他がこれにかわっていいという規定ではないということでしょう。
#112
○政府委員(角田礼次郎君) そうではございませんで、結局立ち会わせるということと署名押印ということと、三十六条の二項に書いてございますが、四項では、そういう手続を踏まないと、結局初めから立ち会わなければ署名押印はしないはずでありますから、そういう意味においては署名押印ができない場合というのは、この場合には、署名押印ができなければ市町村吏員にかわって立ち会わせて署名押印する、それだけであります。その立ち会いの前段階で拒んだ者について四項の規定が働かないということになりますと、これは法律の構造としては全くそういう場合の規定を欠いておるというふうなことになってかえっておかしいのじゃないか。私は先ほど来、両当事者がそれぞれ反対の立場を持っておるから、それぞれ通常の手続で力を合わせる場合もあるでしょうし、それに反対する場合もあると、しかし、それで手続がストップするということは、土地収用法の構造として考えるのはおかしいと……。
#113
○加瀬完君 土地所有者及び関係人のうち、署名押印を拒んだ者または署名押印することができない者があるときの規定でしょう、これは。したがいまして、立ち会いを拒んだ者または立ち会いをすることができない者があるときの規定とは言えないというように読めるのじゃないですか。
#114
○政府委員(角田礼次郎君) 二項は、署名押印させる場合の要件として立ち会いなんです。ですから、署名押印ができなければ四項が動くわけですから、その場合には、その前提である立ち会いなどは初めから問題にならないのだ、要するにできないということだと……。
#115
○加瀬完君 事実関係を言いますと、立ち会いを拒みまたは立ち会いをしなかったということを理由で署名押印を拒んだときあるいは署名押印することができないと解釈して何らの通知も何もしないで市町村長にかわらせてよろしいかと、こういうことなんです。
#116
○政府委員(角田礼次郎君) この規定は、立ち会わせた上署名押印させる義務があるというわけでございますから、両方の要件を満たさなければ、結局四項で最終的には署名押印できないということになるわけですね。いま、その立ち会いを拒まれたらどうなるかという御質問だと思いますが、立ち会いを拒んだならば、それは立ち会われた上で署名押印することを拒んだことに結局はなる、こういうことでございます。
#117
○加瀬完君 立ち会いを拒むとか、あるいは立ち会いをすることができないというような意思表示を別にしているわけではない。しかし、反対をしているから、おそらくそうであろうということで、これらの手続を適用するということは問題がないかということを聞いているわけです。
#118
○政府委員(角田礼次郎君) 私も少し勘違いしていたようですが、全然初めから立ち会いを抜きにして、そして署名押印をさせる、こういうような規定にはなっていない。これは御指摘のとおりであります。
#119
○加瀬完君 もう一つだけ。
 土地調書は土地所有者ごとに作成するように三十七条の四項あるいは施行規則の二十四条でなっていますね。だから、共有者の場合でも、その数に応じて土地調書はつくるということになりますね。
#120
○政府委員(角田礼次郎君) ちょっと私、建設省令をいまここで持っておりませんし、あとで……。
#121
○委員長(温水三郎君) 暫時休憩いたします。
 午後一時五十分より再開いたします。
   午後一時十分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時三十分開会
#122
○委員長(温水三郎君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑ある方は順次御発言願います。
#123
○加瀬完君 午前中、収用法の問題で法制局に伺いましたが、同じ内容に若干わたりますが、建設省に伺います。
 この測量対象の土地は非常になわ延びが多く、これが公知の事実であるにもかかわらず、これを無視して測量をされたわけでございますが、そうなりますと、境界を定めるにあたって隣地の土地所有者の立ち会いを求めて行なうという慣習が全然無視されるということになるわけでございますが、そういう測量を土地収用の場合の適正な調査とみなされますか。
#124
○説明員(河野正三君) 土地収用法では御承知のように、事業認定を受けますと、立ち入り調査権が発生いたします。これに基づいて土地物件の調査をいたしますけれども、その調査の際には、土地の占有者に通知をすることを義務づけております。立ち会いは義務づけていないのでございます。三十六条という条文がございまして、土地調書及び物件調書というところで、測量の、その他の調査の結果に基づきまして、土地調書、物件調書を一応作成いたします。その作成にあたりましては、先生おっしゃいますように、土地所有者、関係人にその作成について立ち会わせまして、署名押印をさせることになっております。
#125
○加瀬完君 でありますから、土地の売買あるいは賃貸借のような場合、土地を測量するときになわ延び等が非常にある土地でございますと、たとえば、現在問題になっております成田空港の周辺は、開墾地あるいは国有地の払い下げ等の場所が多くて、なわ延び等が相当あるわけでございます。ですから、通例、測量をするときには、隣地の所有権者の立ち会いというものをやらないと、登記手続でもこれを認めないという慣習があるわけであります。こういう地域に隣地の立ち会いもなく測量をいたしましても、これは収用手続上必要とする正確な調書が作成されたというようには受け取れないじゃないかという問題でいま伺ったわけでございます。それで、結局そういう調書であっては、収用員会委にかけられた場合もいろいろ問題を生ずるのではないか。こういう点について収用委員会、特に提出する調書については相当の正確さというものを必要とするわけでありますから、その正確な条件というものを欠くことになるんじゃないか。こういう点が懸念がされますので、もう一度その点をお答えをいただきたいと思います。
#126
○説明員(河野正三君) 多少説明省略いたしまして、たいへん恐縮いたしました。通常の売買の際に隣地地主に立ち会い、あるいは確認を求めるというのが慣例になっていますことは、おっしゃるとおりでございます。収用の場合には、この立ち入り測量だけで十分な手続が終了したとは考えておりませんので、立ち入り測量の結果に基づきまして土地調書を作成いたします段階での、その通常の民間の場合に行なっております事柄をさせるという形で土地調書、物件調書の作成、立ち会い、署名押印という手続をとっております。しかも、この立ち合い、署名押印に際しまして、どうも記載事項に真実でない部分があるということでございますと、土地所有者、関係人はその調書にその異議の内容を付しまして署名押印をすることになっております。
 それで、なお、本件の場合に、聞きますところによりますと、これは構図に基づきまして土地の立ち入り測量をやった。それで、その結果に基づいて、それが十分にできたかできないかいろいろ判断があろうかと思います。その結果に基づきまして、土地調書、物件調書を作成した。土地調書を作成した、その際に、二月二十八日に、この立ち会いを求める通知を所有者、関係人の方々に一応出すという手続は踏んでいるようでございます。ところが、立ち会いがございませんでしたので、市町村の吏員が立ち会い、署名押印をした。そこで、この土地調書に基づきまして収用裁決の申請が収用委員会に対して行なわれたのでございます。
 収用委員会は、そういったまあ合法的ではございますけれども、おっしゃるような隣地所有者の、現実には確認、立ち会いというのがないという形で作成されました土地調書に基づいて審理手続を進め裁決に至るのであるかどうか、あるいはそれが可能かどうかという点でございます。法律的には合法的な形で出ておりますし、さらに午前中、内閣法制局のほうからも御答弁があったかと思いますが、一応土地所有者、関係人から異議の附記もない。その場合には、三十八条で一応異議は土地所有者、関係人が述べられない関係になっておりますが、しかし、三十八条のただし書きで、真実に反していることを立証されるならば、土地所有者、関係人がそれは述べることができることになっております。
 また、収用委員会の審理にあたりましては、収用委員会自体の判断に基づきまして職権調査もすることができます。また、土地所有者、関係人の方々からの申し出がされて、さらにその申し出に基づいて職権調査をすることができるのでございます。
 それで、収用委員会といたしまして、それだけの手続を尽くしまして、まあ土地の面積なりその他の要件というものが確定できますと裁決ということになります。しかし、混乱をいたしまして、これは間々ある例でございますが、隣地所有者の立ち会いを求めまして、当該土地が係争中で、なかなか真実の所有権者のわからない部分が、収用しようとする土地の一部に残るという場合が一般の収用裁決に際してはある場合がございます。そのときには、収用しようとする土地ははっきりいたしておりますが、その土地が甲という地主に属するのか、隣地の乙という地主に属するのかわからない部分という部分を特定いたしまして、裁決は甲または乙という裁決をする場合がございます。非常にまれな場合でございます。しかし、この場合も、いままでの判決その他では、合法的な裁決であるというふうにされております。
 それで、そのときの補償金は供託をいたしまして、甲乙両地主が民事裁判におきまして争いまして、確定したところで供託金を取り戻すという形になるわけでございます。
#127
○加瀬完君 事実関係を申し上げます。測量は一切いたしてありません。そこで、三十七条の二によって航空写真をもってこれにかえるという方法がとられました。そうすると、前に述べましたように、慣習として行なわれております隣地の立ち会いもありませんければ、航空写真だけでは境界線もはなはだ不明確でありますし、したがって、帳簿面積と実面積の違いというものもここでは明確にはされません。そういうものが土地調書として収用委員会に提出をされた。第二段階としましては、したがいまして、全然測量もされておらないものに対して署名押印をする必要はないというので、署名押印をこの地権者は全部拒んだ。したがいまして、法の示すように、代理人をもって署名押印したという形がとられたわけでございますが、こういう状況を受けて立った収用委員会が、土地調書は完全であるという認定のもとに、これは仮定の問題でありますが、審理手続を進めるとすれば、そういう進め方を好ましいものと建設省としてはお認めになりますか。
#128
○説明員(河野正三君) お尋ねが好ましいものであると考えるかということでございます。私ども私権と公権の接点である収用手続を円滑かつ確実に施行する任にある者にとりましては、まあ好ましいかと聞かれれば好ましいとはお答えしにくいのでございます。しかしながら、御承知のように、すでにございました事件でございますと、九州の下筌、松原の問題でございます。あの際にも立ち入り測量がなかなか地元の関係権利者の方々の反対でしにくいという場合がございました。あのときは飛行機は飛ばしませんでしたようでございますが、望遠鏡による遠地からの測量というようなことで土地調書を作成いたしました。そして収用裁決の申請に及んだ例がございます。先ほど来申し上げましたように、土地調書、物件調書の作成にあたって、立ち会って異議を述べることもできるし、あるいは立ち会って異議を申し述べなくても真実に反するという立証をして異議を述べることはできる。また、収用委員会の審理の席上におきまして職権の調査を申し立てることも地権者の方々には道が開かれているのでございます。そこで、いま申し上げましたような諸手続をかりに土地所有者、関係人の方々がとらないで事柄が進行いたしますというと、一応法律的には土地調書は真実に適合しているという推定を受けることになろうかと思うのでございます。下筌、松原のときもそうでございましたが、そういうふうにいたしませんというと、なかなか公共事業というものが進捗しにくいという、道路、ダムその他国民生活に非常に関係が深い公共事業はたくさんございますので、こういう手続を法律的には許容しているのでございます。
#129
○加瀬完君 そうすると、三十八条の別の規定で、真実に反する立証をして収用委員会に申し出れば収用委員会は再調査といいますかをしなければならないということになりますね。
#130
○説明員(河野正三君) 真実に反していることが立証されて異議が出されました場合、これは職権調査をいたしまして真実はどっちであるかということをきわめる立場に収用委員会は立つものと思います。
#131
○加瀬完君 それは、真実に反する立証をして申し出た場合には、いまおっしゃったような再調査をする義務が収用委員会にはあるわけですね。
#132
○説明員(河野正三君) 立証された形で異議が申し述べられております場合には、おっしゃるとおりだと思います。
#133
○加瀬完君 その立証が不十分だとかあるいは立証の価値なしというようなことで、一方的に棄却をする、調査をしないという態度は、収用委員会としてはとれますか。
#134
○説明員(河野正三君) この三十八条ただし書きによります異議の申し立て、これは将来の問題でございますが、申し立ての内容がこのただし書きに該当するということが明らかである場合には、収用委員会は義務づけられているものと考えます。
#135
○加瀬完君 だが、明らかか明らかでないかの判定を収用委員会の独自の権限にまかせられているとすると、一方的に収用委員会は明らかでないという判断を下して再調査はしないという態度にも出られるおそれがありますね。それではただし書きのほんとうの意味が生きないということになる心配がありますので、その真実に反する立証というものを、それ自体も収用委員会で判断をするということになると、非常に一方的な扱いを受けるということになりかねませんが、その点はいかがになるのですか。
#136
○説明員(河野正三君) 御承知のように、土地収用委員会というのは一応土地収用法上は独立した合議制の行政機関でございます。で、収用裁決がございましてからあとの手続は収用委員会が独立いたしまして、独立というのは何者にもわずらわされないで判断をいたすわけでございます。しかしながら、その限りでは先生御心配――まあそんなことはないと思いますが、純理論的には、それは収用委員会の独自の判断で行なわれるのでございます。しかし、真実に反しているということを立証したにかかわらず収用委員会が取り上げないという立場に立たれた土地所有者、関係人の方々は、裁判でこれを争うということになろうかと思います。また、審理不尽その他に基づく収用裁決の無効取り消しという形で不服審査請求を建設大臣に出す、そういう一般の行政上の救済手続なりあるいは司法制度の救済手続なり以外にはこれはないことになろうかと思います。
#137
○加瀬完君 よくわかりました。
 次の問題をもう一点伺います。
 土地調書は土地所有者ごとに作成することに三十七条の四項、あるいは施行規則の二十四条ではなっておりますね。
#138
○説明員(河野正三君) この三十七条の第一項見てまいりますと、「収用し、又は使用しようとする土地について、」と、まあ土地について土地調書を作成しなきゃならぬという規定になっております。したがいまして、収用法の期待しております土地調書作成の単位は土地ごとであるというふうに私どもは理解いたしております。で、土地というのは、原則はまあ一筆の土地でございます。しかしながら、この施行規則のほうへまいりまして、土地収用法施行規則の「別記」「様式第八」というところに土地調書の様式を規定いたしておりますが、その「備考」に、「土地調書は、土地所有者ごとに作成すること。」という備考がございます。先生おっしゃいますのはこの点であろうかと思います。そこで、土地収用法は土地ごとという考え方でございますが、収用法の委任を受けました施行規則では、土地所有者ごとにつくれと、こう書いてある。この点は、一応土地所有者が同一人であって、三筆以上の土地が収用しようとする土地に含まれている場合には、本来は土地ごとなんだけれども、便宜上、所有者一人について二筆以上の土地がある場合には、一括して土地調書を作成していいんだという趣旨であろうというふうに私どもはずっと指導をいたしております。
#139
○加瀬完君 いまのような解釈は三十七条の四項、それから施行規則の二十四条、あるいはいま御説明いただきました「様式第八」「備考一」、これによって二通りに――二通りと申しましょうか、原則としては土地ごとだと、それで二筆以上持っている者については土地所有者にその二筆以上を含めるんだと、こういうようにこれは読み取れるんですか。
#140
○説明員(河野正三君) まさにおっしゃるとおり、便宜上、土地所有者が同一である場合には、二筆以上のものを一括して作成していいという趣旨に理解いたしております。
#141
○加瀬完君 「様式第八」「備考一」で、「土地所有者ごと」ということになりますと、たとえば、一定面積に何人もが共有のような形で入った場合は、それは代表というような形でだれ外何名という土地ごとの調書でもいいということになるのですか。
#142
○説明員(河野正三君) 先生お尋ねの、一筆の土地に二人以上の共有者がある場合、これは、共有者は土地所有者ではございますけれども、その中のお一人では完全な土地所有者ではない。つまり、ある特定の持ち分に限定された土地所有者であるというふうに考えております。収用法のこの手続関係におきましては、これは完全なる土地所有者ごとにという意味でございまして、したがって仰せのごとき場合には、一筆の土地に数人の所有者がございますので、その「様式第八」のところに「権利者の氏名」という欄がごさいますけれども、所有権者個々であるか、ともかく所有者というところはだれ外何名、それからこの土地調書には、それぞれの共有者の名前を書くということで、一括して、一筆の土地でございますから一つつくるということになろうかと思います。
#143
○加瀬完君 そうすると、この「様式第八」「備考一」は、この場合は優先されないということになりますね。
#144
○説明員(河野正三君) そうではございませんで、「土地所有者ごとに」と書いてございますけれども、その共有者の一人一人は単独、独立してはここでいう土地所有者ではないということで、この「備考」と何ら抵触はしないと思います。
#145
○加瀬完君 では、次に伺いますが、この成田空港の敷地の土地の買収価格の問題でございますが、公団の買収価格については政府も了解していると見てよろしゅうございますね。
#146
○政府委員(山村新治郎君) これは先生よく御存じのように、最初の買収価格を出しましたのは昭和四十一年の九月、臨時新東京国際空港閣僚協議会、これで畑反当たり百十万円までというようなものでございました。しかし、その後の時日の経過、また、農地価格の上昇、また、周辺地域の土地取引の実例等を参考といたしまして、畑反当たり百四十万円とする、これを昭和四十三年四月、先ほどの閣僚協議会において了承されたものでございます。
#147
○加瀬完君 重ねて建設省に伺いますが、政府における公共用地取得の基準は、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というものが適用されておると考えてよろしゅうございますね。
#148
○説明員(河野正三君) 昭和三十七年に閣議決定されました公共用地の取得の補償基準は、一応公共事業、つまり収用法対象事業につきましては適用があるというふうに考えております。
#149
○加瀬完君 それでは、その基準で農地の評価はどう規定されておりますか。公共用地として農地を取得する場合の評価の基準はどういうように定められておりますか。
#150
○説明員(河野正三君) 公共用地補償基準におきましては、農地、宅地、山林を問わず「取得する土地に対しては、正常な取引価格をもって補償するものとする。」というふうになっております。また、その正常な取引価格は、「近傍類地の取引価格を基準とし、これらの土地及び取得する土地の位置、形状、環境、収益性その他一般の取引における価格形成上の諸要素を総合的に比較考量して算定するものとする。」ときめられております。お尋ねの農地に関しまして、特段に他の山林、宅地等と違った原則は規定いたしておりません。
#151
○加瀬完君 「V×A分のB」という方式がとられておるんじゃありませんか。もう少し御説明申し上げます。「近傍類地の取引の事例があるときは、取得する農地の正常な取引価格は、次式により得た額を標準とする。」、という規定がございまして、「この場合において、A及びBの評点の算定にあたっては固定資産評価基準等の例による。」ということで、「V×A分のB」、Vは「近傍類地の取引価格を取引が行なわれた事情、時期等に応じて補正して得た価格」、Aは「近傍類地の評点」、Bは「取得する農地の評点」、そういうことでVにA分のBを掛けて得た答えを評価とするというのが使われておるんじゃありませんか。これは公団でもけっこうです。
#152
○説明員(河野正三君) いまのV掛ける云々は、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱、つまり閣議決定されたものの中には規定いたしております。この閣議決定されたものに基づきまして、各起業者の方々が、大体損失補償要綱に沿いながらさらにこまかく運用細則的なものをおきめになって、それぞれの起業体の中で施行しておられるということは承知いたしております。その一つとしてではないかと思いますが、一応私は公団のほうの方から説明を聞いておりませんので存じておりません。
#153
○参考人(今井栄文君) 敷地の評価につきましては、当時空港公団としては、準宅地というふうなことで値段を出しております。
#154
○加瀬完君 そういうことを伺っているんじゃない 公共用地取得の基準は、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱という閣議決定事項に従って行なうという。そうすると、いま建設省の御説明のように、それに伴って農地の場合は「V×A分のB」という方式が通例行なわれてきたわけであるけれども、そうではありませんかということを伺っているわけです。公団がどういう形で買ったかということじゃない。公共用地の取得というなら、その基準はこういうものを使っているんじゃないかということを伺っているわけです。
#155
○参考人(石原耕作君) ただいまの先生のおっしゃった数式でございますけれども、われわれ空港公団が用地の価格をきめます場合には、いまおっしゃったような数式と申しますよりも、われわれは近傍類地の価格を一応基準にいたしまして、そしてさらに一年間の、四十二年から四十三年に上昇をいたしました上昇率、それからさらに買い占めとか、あるいはさらに生活再建というふうな要素を考えまして、そして一応百四十万という計算をいたしたということでございます。
#156
○加瀬完君 それはお答えですが、そういうことを伺っているわけじゃない。いいですか。こう伺いましょうか。これは運輸省に伺ってもいい。新東京国際空港の用地は、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というものの適用外として扱ったのか、それとも、これも政府における公共用地の取得でありますから、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というものにのっとって行なったのか、どちらですか。
#157
○政府委員(手塚良成君) ただいまのお話でございますが、この要綱は、要するに政府関係機関が土地を買収しますときの一般の基準でございますので、この基準に従って買収したものと考にております。
#158
○加瀬完君 その基準に従って買収したとすれば、もう少し前提要件も伺いますが、空港予定地の民有地の地目別では次のとおりですか。田百九ヘクタール、畑四百七十二ヘクタール、山林百七十四ヘクタール、計七百五十五ヘクタールの九八%というものが農地だと、こう見てよろしゅうございますか。
#159
○参考人(今井栄文君) いまおっしゃったとおでよろしいと思いますが、宅地が三十ヘクタール、田が四十七ヘクタールそれから畑が四百二ヘクタール、それに山林約百十一ヘクタール、原野三十二ヘクタール、その他四十八――この四十八がその他ということになるんじゃないかと思います。
#160
○加瀬完君 もう一度言ってもらえませんか。
#161
○参考人(今井栄文君) 田が約四十七ヘクタール、畑が四百二ヘクタール、宅地が三十ヘクタール、山林が百十一ヘクタール、そのほかに、先ほど申し上げましたように原野が三十二ヘクタール、その他という項目が四十八ヘクタール、全体で六百七十ヘクタールです。
#162
○加瀬完君 それは民有地だけですか。
#163
○参考人(今井栄文君) そのとおりでございます。
#164
○加瀬完君 この前、公団に出してもらった資料によると、いまおっしゃっておるのとは少し違うわけでございますが、いずれにしても農地並びにそれに準ずるものが大部分だということは認めてよろしゅうございますね。
#165
○参考人(今井栄文君) そのとおりでございます。
#166
○加瀬完君 そうすると、大部分が農地であるならば、農地を取得する場合には、いままでの基準に従えば、農地の評価は、さきに申しましたとおり、「V×A分のB」という方式でやらなければならないときまっておるのに、この方式を使わない。この方式すらも御存じない。そうすると、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というものは、成田空港の場合は適用されておらないのですよ。しかし、これは航空局長がおっしゃったように、たとえそれが公団の空港敷地であろうとも、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というものは厳格に守ってもらうことになっておりますと、前に計画局課長がお答えになった、したがって、この要綱をはずれるような価格というものは決定できませんとお答えになった。その基準によれば、「V×A分のB」というのでやらなければならない。そうすると、宅地並みに扱うと、百四十万なんという価格は出てこないのです。基準要綱が「V×A分のB」ということなら、それを宅地並みに扱う、宅地にしても百四十万になるかどうか、あとの問題になります。どうして「V×A分のB」という政府各機関が農地を取得する場合に基準としてとっておったこの準則をはずしておるのか。この閣議決定はおかしい。閣議決定で、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱で農地の場合は「V×A分のB」でやるということをきめておいて、ここばかり百四十万だの宅地並みという扱いをするのはおかしい。閣議が自分たちできめたことを自分たちでかってに破っておる、空港公団に限って。ほかのほうは、農地の場合はいまのような方式で建設省おやりになっておるのでしょう。これは提示価格ですな。
#167
○参考人(今井栄文君) 先生のおっしゃった点、たとえば、建設省関係で農地を買収して道路をつくる、あるいはまた、農地を買収して住宅をつくるという場合に、どういうふうなその地目についての算定をされるか、それは私はつまびらかにいたしませんけれども、空港公団が敷地内の畑地を買う場合に、われわれは農地として買っておるわけではございません。空港の敷地にするために買っておるわけでございまして、したがって、空港の敷地になるという、いわゆる準宅地ということで買っておるわけでございます。
 それから、公共用地の取得に対する閣議決定については十分存じ上げておりますし、それから、それに基づいて大体私どもとしては公団自体が補償基準要綱というものをつくりまして、この敷地内の買収にいたしましても、またはその他のアプローチ・エリアの買収にしても、われわれの持っておる補償基準要綱というものによってそれぞれの項目について詳しい積算をしておるわけでございます。
#168
○加瀬完君 それはおかしい。民間会社なら自由でしょう。あなた方は政府機関ですからね。政府機関なら、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というもので公共用地は取得すべきだということがきめられておるのですよ。その公共用地を取得する場合、その対象が農地である場合は、「V×A分のB」という方式をとれということがきめられておるのですよ。それを空港公団で適当な図式をつくって、それを適用してよろしいということになれば、この閣議決定の公共用地の取得基準というものは公団には全然適用されないということになるんです。そんなばかなことが許されるかということが一点。
 で、農地として買ったんじゃない、空港敷地として買ったんだ。そうじゃないんですよ。農地を公共用地として取得する場合は、「V×A分のB」という図式によって計算をしろということになっている。それが百四十万になるか、二百万になるかわかりませんよ。わかりませんが、その方式を使ったのか、使わないのか。使うべきだということがきめられているのに、使ったのか、使わないのかということを、いま伺っているわけです。公共用地の取得の対象が農地である場合は「V×A分のB」でなければならないときまっているんですよ。それを一つも考慮しないで価格をきめられるという考え方で価格をきめることに私は問題があると言うのです。これは会計検査院呼んで、決算委員会等で正しいか正しくないかというのをただすべき問題かもしれませんけれども、いまここでそういうやぼなことは言ってない。公共用地の取得というのは、成田空港だけが、敷地が買収されれば済む問題じゃない。道路にしたって、ダムにしたって、たくさん公共用地の必要性というのが出てくる。しかし、成田ではこういうふうにやったんではないかということになれば、一番低い計算のしかたが成田ということになっちゃう。そういうことがあっては困るから、公共用地の取得の基準というものを閣議決定できめたわけです。それに従うということ、運輸省も言っている。従っていないじゃないですか。どうしたんです、これ。あなた方は「V×A分のB」という基準のあることすらもつまびらかにしておらない。
#169
○説明員(河野正三君) 具体的な問題はわかりませんが、公共用地補償基準要綱という閣議決定の事務当局をいたしております建設省といたしましては、一般論で、ちょっと先ほど私の説明が不十分であった点があろうかと思いますので、もう一度御説明をさしていただきたいと思います。
 公共用地取得に伴う補償基準要綱は、先生御質問のような、農地の場合の「V×A分のB」というような数式は一切きめておりません。ただ、先ほども申し上げましたように、その施行運用方針的なものを関係各省かあるいは各起業者がおきめになることになっておりますが、運輸省ないしは空港公団のほうでどんな運用方針をとっておられるかは、私承知していないのでございます。たまたま建設省が、自分の直轄の事業、つまり一級国道等――まあ国道あるいは一級河川等の直轄事業をやります際に使っております、内部だけできめております運用方針がございます。その中には「V×A分のB」という方式を農地についてはとるように、建設省内部、建設省だけの話でございますが、起業者としての建設省だけの話、収用法あるいは公共用地取得補償基準要綱の主管省という立場ではございません。起業者という立場の建設省がきめております。しかし、その「V×A分のB」といいますものは、一言でいえば、近傍類地の取引価格をVといたしますと、その取引価格を見ました当該地点と、いま買おうとしている地点との事情、価格形成要件の相違等を評点化いたしまして、点数にあらわしまして、その差額を類地の取引価格に掛けるんだというだけの話でございます。これは公共用地取得補償基準要綱にマッチした運用方針であろうと私は思います。さらにその運用方針の中を見てまいりますというと、宅地化が予想される農地につきましては、別項目を立てております。必ずしもいまの方式をそのままとれとは書いてないのでございます。
#170
○加瀬完君 私もそれはよくわかっております。もとは、いわゆる公共用地の取得の補償基準要綱に従って、建設省の場合は、その公共用地の取得の対象が農地であれば「V×A分のB」というものを使う。したがって、現状が農地であれば、公団でありとも、一応閣議の申し合わせ事項に従って、建設省で使っているその「V×A分のB」というものを基礎に計算をした場合は、個々の価格は幾らになるかという試算ぐらいはしなければならないはずですよ、農地なんですからね。取得するところの大部分は農地なんですから、都合で宅地並みに買ったというふうにして宅地になるというところじゃないですからね。値段の関係では、宅地並みに買うことのいいか悪いかという問題もある。したがって、農地の場合は、建設省並みの基準方式に従ってやると幾らになるという一つの試算というものがあって――たくさん金を出して公共用地の取得をするということは国費のむだですからね。これは安く買えれば公共用地の取得は一番いいんですから、そのための図式ですから、それが一つも考慮されておらないということが問題ではないかということを言っておる。このとおりにやれということを言っているのじゃない。こういう図式がある、この図式の試算すらも行なわれてないというのは、当を得た方法とは言われないのじゃないかということを言っているわけで、こういうことを建設省が行なっておるわけですから。
 そこで、その次にもう一つは、いままでは電発方式というものが補償基準として使われておりましたね。その政府の公共事業の損失補償基準要綱と、この電発方式というものにはそれぞれどういう特色があると御認定ですか。
#171
○参考人(石原耕作君) 電発方式の場合には資本還元をいたしまして、そして評価をするわけでございますけれども、この建設省の補償基準要綱というのは、たとえば、近傍類地の価格であるとかいろいろな実例を基準にして、現在の価格を算定したという点に違いがあるんだと思います。
#172
○加瀬完君 電電公社などの補償基準には、不当に高く買ってもいけない、また不当に低く買ってもいけない、こうきめられておりますね。これは正しい方法とはお思いになりませんか。不当に高く買ってもいけない、低く買ってもいけない、いわゆる適正価格というきめ方をしておるわけですけれども、これは正しいと思いませんか。
#173
○参考人(石原耕作君) ただいま先生のおっしゃったように、適正であるということは土地の価格の評価の場合に必要だと思います。
#174
○加瀬完君 だから、不当に高く買ってもいけないということは認めますね。不当に低く買ってもいけないということはお認めになりますね。公団総裁答えてください。
#175
○参考人(今井栄文君) おっしゃるとおりでございます。私どもとしては、そういう心がまえで、用地買収交渉をやったわけでございますが、先生も御存じのように、用地買収そのものは、単に政府が一方的にきめた値段でもって買収ができるというふうなものではなく、これはやはり相当しんぼう強い地主さんたちとの交渉の結果、やはり値段がきまってくる面もあるということも付言させていただきます。
#176
○加瀬完君 そういうことをおっしゃっておるからあなたは全然認識がないと言うんです。相対で買う問題じゃないんですよ。何回も言いますけれども、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というのがあるんです。それで買わなければいけないということになっているんですよ。こちらが百万円で買いたい、相対は二百万円、間をとって百四十万、こういうことで公共用地の取得価格というものはきめてはいけないということになっておる。それをそういうふうにおやりにならなかった、ならないわけですよ、そういう考え方がないのですから。基準要綱を認めながら、基準要綱の基準というものが一つも頭に入っていないですから。
 そこでさらに聞きますが、公共事業のための用地取得には通常、不動産鑑定士の鑑定評価がなさるべきものだと考えてよろしゅうございますね。建設省。
#177
○説明員(河野正三君) 義務づけてはおりませんけれども、建設省関係の事業におきましては不動産鑑定士の鑑定評価を求めるケースが通常でございます。
#178
○加瀬完君 不動産鑑定士の鑑定評価についていろいろの法律がきめられましたね。不動産の適正価格の形成を目的にしている、この法律はそういう目的できめられておるんじゃないですか。
#179
○説明員(河野正三君) そのとおりでございます。
#180
○加瀬完君 土地収用法で、六十五条に、鑑定士を不動産鑑定について加えなければならないと義務づけてある意味は何ですか。
#181
○説明員(河野正三君) 土地収用法の補償の基準は、御承知のように、第七十一条にございますように、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業認定時の相当な価格に物価変動を考えるということで、基礎は近傍類地の取引価格等を考慮して算定した額でございます。そこで、これを収用委員会が裁決で出すわけでございますけれども、その客観的な評価を特段に必要とするような場合には、なるべく専門家である不動産鑑定士の評価を求めることが必要であるという考え方から、収用委員会はそういう形をとっているわけでございます。
#182
○加瀬完君 大蔵省に伺いますが、国有財産の払い下げの場合に、買い手の個別的事情が多分に払い下げの内容として考慮されるということがございますか。もう一回申し上げますと、一般の国有財産を払い下げる場合、払い下げ者の個別的事情が多分に考慮されて値段が安くなったり高くなったりするということがありますか。国有財産払い下げの場合。
#183
○説明員(三島和夫君) お答えいたします。
 大蔵省が国有財産を払い下げいたします場合には、まず、財政法の規定がございまして、適正な対価を必要といたしております。したがって、適正な対価によって評価するわけでございますけれども、その場合に、払い下げ者の相手によって価格を変えるということは通常はございません。ただし、法律上いろいろ規定がございまして、その場合だけは減額いたすことになっております。
#184
○加瀬完君 じゃ法律に規定されない場合、いま私が指摘しましたように、買い手の個人的事情によって価格が上がったり下がったりということはありませんね。適正な価格で払い下げが行なわれる、こう了解してよろしゅうございますね。
#185
○説明員(三島和夫君) ただいま適正な価格で上下はございませんと申し上げましたけれども、例外として、予決令に、国が著しく有利な価格で払い下げる場合は随意契約ができるという規定がございますので、この規定を適用した場合は一般よりも高く払い下げることになっております。そのほかはございません。
#186
○加瀬完君 建設省に伺いますが、不動産の鑑定評価に関する法律の提案趣旨の中に、「合理的な地価の形成をはかるための制度が欠除しているため、」こういうことがございますが、これはどういうことを一応想定したんですか。もう一度申し上げますと、提案趣旨の説明の中に、「合理的な地価の形成をはかるための制度が欠除しているため、」そういうことが理由でこの法律を提案するということがございましたが、これはどういうことを大体内容としておったんですか、あるいは想定しておったんですか。
#187
○説明員(河野正三君) 昭和三十九年、不動産の鑑定評価に関する法律ができましたが、その従前におきましては、一般の宅地建物取引業者の方々が、いわゆる呼び値的なものをもってこれが土地の正常な価値をあらわしている価格であるというふうに言っておりましたり、また、銀行筋が担保物件の評価にあたりまして、非常に内輪に見積もった鑑定というか評価を行ないまして、それが土地の正常な価格であるというようなことを申していたのでございます。御承知のように、明治以来わが国におきましては土地収用法がございまして、やはり憲法に適合した相当な価格でもって土地は補償しなければならないという原則を立てておりました。収用委員会、当時、昭和二十五年以前は収用審査会と申しましたが、審査会はもちろん正当な補償を裁決いたしていたのでございます。しかしながら、その際にもあるいは起業者の方々が公共用地を取得なさる場合にも、どのくらいの価格が相当の価格であるか、あるいは適正価格であるかに関しまして鑑定を頼んだ方々が、いま申しましたように、一般の土地、物件の売買を仲介していることを兼務している鑑定人あるいは銀行筋の鑑定人等で非常な幅が出ておりました。その間それの最終決定は、もちろん収用委員会が苦心いたした作業の末、正しいものを明治以来やっていたと思いますが、非常にむずかしい問題があったのでございます。なおかつ加えまして、最近地価が昭和三十年以来非常に上がっている。しかも、人口、産業の都市集中というような問題から地域的に土地の状況の変貌が激しい。そういたしますと、民間の鑑定評価を業としていた方々でもなかなか鑑定しにくいというようなケースも出てまいりまして、この関係について何かもう少し正常な価格というものを把握する基準はないものであろうかというようなことから、当時の宅地制度審議会において、アメリカの制度その他を調べまして勉強をいたしておったのでございます。そういたしますというと、どうもやはり相当むずかしい技術を要する領域でもありますので、諸外国では、もう少しこの関係領域につきましては資格ある者の養成に相当慎重な配慮と育成方式を講じているということがわかってまいりました。わが国においても、いろいろと土地問題特に地価問題がうるさくなってまいりましたので、正常な価格というものを見出し得る技術を備えた者を国家試験をもって養成することがしかるべしというふうに考えましたので、この法律をつくられたものと思うのでございます。これによりまして、不動産鑑定士の方々の鑑定評価を大方の方が求められるようになる、あるいは公共用地の取得にあたっても非常にこの制度を活用していくという形になってまいりますと、いわゆる呼び値等に左右される判断というものがなくなってまいりまして、ある程度正常な、非常に許容範囲以内に狭まった適正な範囲内において公共用地の取得も、また収用委員会の判断も、なおかつ一般の大きな不動産の取引にあたりましても、そういう状態が実現していくものだというふうに考えて、地価形成の合理化に資するものであるという形で提案をいたしたかと思うのでございます。
#188
○加瀬完君 よくわかりました。
 次の二つの大きな目的というものが含まれていたと解釈してよろしゅうございますか。一つは、いま御説明のような、地価が呼び値等によって安易に、しかも不合理にきめられることを防止することを一つの目的とした。もう一つは、政府が公共用地等を取得する場合、この制度を使って適正な価格の割り出しをするという考え方があったのではないかと思いますが、そういう考え方はございませんでしたか。
#189
○説明員(河野正三君) 実はその第二のほうの意図が政府に明確にあったかといいますと、私、当時からずっと計画局におりましたから承知いたしておりますが、なかなか断言しにくいのでございます。なぜかと申しますと、従前、民間の達識な鑑定人が不動産の鑑定評価に関する法律が施行されるまでの間はこういう状態だったということを先ほど申し上げましたけれども、それ以外にも、政府部内におきましても、税制上の評価であるとか、あるいは公共用地の用地買収に当たっている人たちにも、民間に負けない一つの鑑定評価をやっているんだという自負と理論とがそれぞれの村々にございまして、これを一挙に新発足いたします鑑定士制度で全部統一していくんだというような自信は、実は当時としてはなかったのでございます。しかし、希望的には、しかるべき段階に不動産鑑定士の方々も養成されて、その数も全国津々浦々に適当な数が確保されるに至るならば、しかありたいということは、心の中では思っていたのでございます。
#190
○加瀬完君 土地収用法の規定の中にも、いま御説明のおことばをおかりすれば、正常価格を判断できる資格ある者によって適正地価の割り出しを、あるいは物件の適正価格の割り出しをしてもらうということで、不動産鑑定士を入れるという規定もあるわけですから、現状においては少なくもこういうことは言えるんじゃないでしょうか。正常価格を判断できる資格ある者としては、不動産鑑定士というものが最適任者と認めていいじゃないか。そうすると、その不動産鑑定士の鑑定というものをやはり有力な一つの内容として、公共用地の取得価格というようなものは割り出しをすることが適当ではないかというように考えてはいけないのか、考えてよろしいのではないか、こう思いますが、この点どうでしょう。
#191
○説明員(河野正三君) 先生がお引きになっておられます土地収用法六十五条の第二項において、先ほど私が申し上げましたような、希望としてはある水準を目ざしているけれども、現状においてはというちょっとしたためらいが出ております条文がございます。これは収用委員会が鑑定人に土地に関する権利の価格を、土地の価格を鑑定させるときは、当該鑑定人のうち少なくとも一人は不動産鑑定士でなければいけないという非常に遠慮がちな規定を置いているような次第でございます。しかしながら、漸次、鑑定制度も整備されてきておりますので、できる限り、公共用地の取得にあたって不動産鑑定士を鑑定人としまして鑑定評価した実例をとらえて現実の用地買収に当たるというような事態もだんだんと浸透しつつあるものというふうに、喜ばしい方向であるというふうに私どもは考えております。
#192
○加瀬完君 そこで不動産鑑定士も、その鑑定の基準に、公共用地の取得に伴う閣議の申し合わせ要綱というものを多く使っているようであります。その要綱の第五条に個別払いの原則というのがありますが、これはどういう趣旨ですか。
#193
○説明員(河野正三君) これは土地のほうには所有者のみならず、借地権者その他関係権利者が重層的に所在する場合が多いんでございます。その際に関係権利者に対しましては、個別的に支払いをすべきである、それが原則であるということをきめたものだと思います。
#194
○加瀬完君 第七条の正常な取引価格というのは、思惑買いによる買収価格は正常価格とは認めない、高値のものを押えて正常価稲とは認めないと解釈してよろしゅうございますか。
#195
○説明員(河野正三君) 仰せのとおりだと思います。
#196
○加瀬完君 それは呼び値に合わせることは正常価格と認めますか。
#197
○説明員(河野正三君) もう少しことばを費やして御説明させていただきますと、正常価格というのは、正常な取引市場において成立すると認められる価格ということでございます。ところが、一般には買い手、売り手双方に事情がございまして、たとえば、買い手がどうしてもこのかど地がほしいというふうに思いますと、非常に買い進み価格になるのでございます。また、売り手がどうしても財産処分をこの際しなければ家庭の事情等もあってまずいという場合には売り急ぎ価格になります。また銀行、デパート等が裏に増設をしたい、くっつけるという場合には、これは異常な買い進みというか特殊な事情がございます。公共用地の補償にあたりましては、そういった特段の事情というものを捨象いたしまして、通常、正常な取引市場で成立すると認められる無色の価格がいいという考えでまいっているのであります。言い値、呼び値と申しますのは――言い値というのは地主がこれでなければ処分しないという付け値なのでございます。呼び値と申しますのは、先ほど申しましたような買い進み等の取引事例の中の一番の高値あたりに定まるというのが実情でございます。
#198
○加瀬完君 そこで、不動産鑑定士にかかわる法律の中でも一番警戒したのは、この呼び値できめることを防ぐということがあると考えてよろしいですね。運輸大臣がおりませんので、これは公団に聞いてもちょっとおかしいのでありますが、成田空港の敷地の場合には、呼び値をもとにしてきめてはいませんか。
#199
○参考人(今井栄文君) 空港の用地買収につきまして、根本的には、先生がおっしゃるような一つの売り手市場と申しますか、空港公団ができましたときには、すでに空港の位置が決定するということでございまして、正確に図面の上に写されたこの地域を買うということが公団に課せられた使命でございます。したがいまして、空港公団としては何としてもこの土地をお買いしなければならないという事情があったことは間違いないわけでございます。しかし私どもとしては、先ほど来先生がいろいろお述べになっておられますように、政府の公共用地の取得についての閣議の決定もございますし、また公団自体が政府機関である関係上、そうむやみに金を出すわけにはまいらぬわけでありますので、当時の、これは昭和四十一年から二年、あるいはまた三年にかけてでございますけれども、建設省あるいは千葉県で行ないましたあの近傍の買収地目あるいはまた、その取得単価というふうなものも十分調査をいたしましたし、それからまた、昭和四十一年の九月並びに昭和四十二年の十月、二回に分けまして、日本不動産研究所あるいはまた中央不動産鑑定所、日本不動産銀行、こういうふうなところに鑑定を依頼いたしまして、できるだけ私どもとしては適正な値段で交渉を妥結したいという努力を試みたわけでございます。
#200
○加瀬完君 問題は、成田空港の買収価格は不動産鑑定士の評価額をはるかにこえて買い値がさめられているわけですね。いま御指摘の、四十一年九月の日本不動産研究所の評価額は畑十アール当たり六十五万から百十万、中央不動産鑑定所は八十万から百万、四十二年十月、日本不動産銀行は百二万から百二十五万、日本不動産研究所は百万から百三十万、それを畑百四十万ときめておるわけですね。この評価主体である日本不動産研究所なり、中央不動産鑑定所なり、日本不動産銀行なりの評価のしかたも私はあとで問題にいたします。しかし、評価のしかたがどうであろうとも、その最高価格は百二十五万ないし百三十万、低いほうは百二万並びに百万、百四十万という価格は出ておらないわけですよ。不動産鑑定士の評価額というものを重要な参考にしてきめるというなら、不動産鑑定士の最高価格をこえた価格評価というものはどうして出るのか。その算出の根拠を出してもらいたい。
#201
○参考人(石原耕作君) ただいま加瀬先生おっしゃいました最高値の百三十万よりも百四十万は高いじゃないかというお話でございますが、先ほど河野課長の御説明がございましたように、われわれといたしましては、一応公共事業でございますから、こういう不動産鑑定をいたしたわけですが、この最終的な価格をきめますにあたりましては、買い進みであるとか、あるいは生活再建であるというふうな、不動産鑑定よりは別途の問題も一応交渉過程で考えまして、そして最終的には百四十万というふうな価格を決定したわけでございます。
#202
○加瀬完君 適正価格というのは、さっき建設省の御説明でも、正常な取引市場において通用する価格でしょう。いま石原理事の御説明のようなものであれば、それは生活保障金とか、あるいは離作料とか、あるいは協力費とか、名前は別であろうとも土地の評価額の内容にはならないものですよね、土地の評価額は。そのために不動産鑑定士を入れて鑑定さしたんだから、その鑑定の基準によって最高百三十万ですか、それより低いところで適正価格というものはきめられなきゃおかしいでしょう。あなたの御説明のようなやり方で公共用地の取得をしていいということは、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱には含まれてはおらないでしょう。そうではないのですか。もっと伺いますなら、昭和四十一年以前の――四十一年に空港きまったわけですから、四十一年以前の政府の行政財産台帳の価格はどうなっていましたか。あそこには国有財産たくさんあるわけですから、その国有財産の行政財産台帳の畑十アールの価格は幾らになっていますか。
#203
○参考人(石原耕作君) ちょっと待ってください。国有財産でございますね。
#204
○加瀬完君 あわせて固定資産税の評価額も出してください、近傍の。――先へ進みますよ。
#205
○参考人(石原耕作君) あとで御返事申し上げます。
#206
○加瀬完君 私のほうから申し上げてもいいですよ。七万幾らじゃないですか。固定資産税は大体反一万五千円前後ですね。公共用地を取得するときはその国有財産台帳の価格なり、固定資産税の評価額なりというものが一つの要素になりますけれども、そういうものは全然取り上げられておりませんね。しかも、宅地並みとあなたのほうでおっしゃいますけれども、宅地並みなら路線価方式なり、これに準じて道路のそばは高いとか、あるいは宅地に不適なところは宅地価格としても安いとか、こういう個別調査によって価格がきめられなければおかしいでしょう。うちが建とうが建つまいが、道路から何キロ離れておろうが、一律に百四十万と宅地並みということで評価をする、この一律評価といいますか、一括評価というものは、こういう方法がいままでとられておりましたか、建設省。
 もう一回申しますよ。宅地並みに扱ったと、それで百四十万になったと言いますけれども、宅地並みに扱っての最高の評価は百三十万。それを百四十万に扱ったわけですね。この問題はおきましょう。宅地並みというなら、路線価方式なり、それに準じて道路に近いところは高いとか、道路から一キロも二キロも離れておって道路すらもないというところは低いという評価をしなければならないのが常識だと思いますけれども、空港敷地というところを一括して、畑を宅地並みとして百四十万と評価をしたわけです。公共用地の取得の場合、いままでそういう例がございますか。宅地並みに扱うということで、個別には評価をしない、一括評価、こういう方法をいままでとったことがございますか。
#207
○説明員(河野正三君) 建設省の直轄のダム事業あるいは道路事業等の場合には、そういう例はないであろうと考えます。
#208
○加瀬完君 公団だけこういう方法をとったのはどういうわけですか。それが公共用地の取得に伴う損失補償基準に合っているということをもあわせて説明してください、
#209
○参考人(石原耕作君) ただいまの御質問にお答えする前に、申しわけございませんでしたが、一応新空港の周辺におきまする土地の固定資産税の評価について御説明申し上げますと、十余三の場合は宅地で八万三千百円、同じ場所で畑は一万九百二十円、山林九千百二十三円と原野二千三百三十二円、こういうふうなことになっておりますが、ただいま御質問のございました、たとえば、木の根付近でございますと、宅地が七万六千八百円、それから畑が一万九百二十円、それから山林が七千九百八十二円と原野が同じ価格というふうなことに相なっております。
 それからただいま御質問のございました、補償基準要綱にもとるではないかという評価の問題でございますけれども、当初不動産鑑定をした結果によりまして、われわれいかに評価をすべきかという点で検討いたしました。当時の状況といたしましては、中へ入りましてしさいに評価をするというふうなことも不可能でございましたし、かたがた、先ほどちょっとお答え申し上げましたけれども、農地を農地あるいは山林を山林という評価のしかたをしなかったものですから、宅地は宅地、水田はまた水田、それから畑は畑、山林は山林というふうなことでそれぞれ各地日ごとに一律の評価をいたしたわけでございますが、当時とすればやむを得なかったというふうに理解をしているわけでございます。
#210
○加瀬完君 そういう不確実な調査で公共用地が取得された例がいままでございますか、建設省に伺います。
#211
○説明員(河野正三君) 空港の場合の用地買収価格の決定をどういうふうにやってきたか、十分私承知いたしておりません。これは過去の公共事業の施行にあたってそういうことがあったかというお尋ねでございますが、過去の公共事業全般につきまして、用地取得がどういうようなことをやってきたかということも全部については知悉いたしておりません。したがいまして、ちょっとお答えを申し上げることができないのでございます。
#212
○加瀬完君 もう一度伺いますけれども、概括評価といいますか、一律評価ということは公共用地の取得の場合行なった例はございませんね。広い場合を一筆あるいは単元をきめて調査をして評価額をきめるということでなくて、半径何キロといったようなところを一括して一律に価格をきめたというような取得の方法はとられておりませんね。
#213
○説明員(河野正三君) 直轄のダム事業あるいは河川事業あるいは道路事業等においては、先ほどお答えいたしましたように、一括したそういった評価をやったという例は聞いておりません。先般も、ある委員会で建設省といたしましてやはりおしかりを受けたことがございますが、たとえば、多摩丘陵のニュータウン、あるいは研究学園都市等、まとまった土地で、地域内にあります道路が細い道路であって、それほど地域内の地区ごとに価格差を生むような要素がないというふうに認められます場合には、ほぼ一定の単価が正常な価格であるというふうに考えまして用地買収を進めている例が、建設省の所管の事業の中にも、住宅団地事業等におきましてはないわけではないというふうに聞いております。
#214
○加瀬完君 それは評価も何もしないで一律に幾ら幾らと、いわば政治的価格みたいな形できめたということですか。
#215
○説明員(河野正三君) そうではございませんで、やはり何百万坪という土地でございますから、その中の数カ所を標準地として選びまして、不動産鑑定士の鑑定評価等も求めまして、その結果に基づきまして評価したものでございます。
#216
○加瀬完君 これはあとで御説明申し上げますがね、あるいは内容を報告いたしますが、いま石原理事のおっしゃったように、しさいに評価することが不可能であったということですが、不動産鑑定士が正常な鑑定手続というものを行なっておらないのですよ。そうして一括幾ら幾らときめている。こういう例は私はないと思うのでございます。
 そこで、公団にさらに伺いますが、臨時新東京国際空港閣僚協議会では、畑、反百十万、山村次官の御説明のように了承された。これは日本不動産研究所の高値分が百十万でありますから、その高値分に見合っているとも言えるわけであります。それが百四十万に上がったわけであります。値上げの理由は、不動産鑑定というよりは他の理由だという御説明があったのでありますが、総裁そうですか。
#217
○参考人(今井栄文君) 先ほど御説明申し上げておりますように、空港公団はすでに決定した一千ヘクタールの用地を買えという政府の御指示でございまして、私ども公団発足以来地元の地主の方々と折衝をいたしてまいったわけでございます。したがいまして、一般の道路等には若干自分の所有地を出せばそれで済むというふうな買収が比較的多いわけでございますけれども、空港につきましては、先生も御承知のように、三百数十戸の方々は全部自分の住居から自分の持っておる耕地から全部手放して外へ出ていかなければならないという当時事情にあったわけでございます。そういう環境の中で、これらの人たちが今後どういうふうに生活を設計していくか、従来の敷地内の生活より以上の生活を築くためにはどうしたらいいかというふうな問題についても、われわれは真剣にその話し相手になってまいったわけでございます。で、そういうふうな関係であの用地を取得するにつきましては、御承知のように、部落対策協議会あるいはまた空港地権者会という大きな条件派の団体がございまして、そういうところと団体交渉の結果、ああいうふうな値段でようやく落ちついていただいたわけでございまして、それがしかも、全然無定見にそういう値段を出したわけではございませんので、先ほどから申し上げておりますように、一応の近傍類地についての建設省あるいは県のあの付近でお買いになった実例であるとか、あるいはまた、不動産鑑定等についても十分参考にして最終的には折衝できめたと、こういうことでございます。
#218
○加瀬完君 公団のほうの御説明はあとでまた私はふに落ちませんから伺いますが、公共用地の取得を団体交渉できめるなんて、こんなばかげたことがどこにきめられておりますか。それからもう一つ、生活が困るからとか、空港に協力してくれるからとか、指定された区域を急いで買わなければならないからという条件が地価の値上げの内容になりますか。これ大蔵省に伺いたい。個人的事情というものを地価に含めてよろしいのかどうか。百万なら売らないが百四十万なら売りそうだから団体交渉で百四十万にきめた。地価はそんなに高くないんだけれども、畑を失っては困るだろうという、そういう救済費というか生活保障の意味も含めて百四十万にきめた。そういう地価のきめ方というのは許されますか、建設省と両方に伺います。
#219
○説明員(河野正三君) おっしゃるような条件、これで土地の正常価格という判断を多少なりともふくらみを持たせるといいますか、というような形はいけないことだと私は考えます。ただ、この場合に、一つ私の頭で理解いたしておりました、いままでの事情を申し上げますと、不動産研究所その他の方々に一応鑑定評価を求めたといたしましても、昭和四十一年でございましたか、御承知のように、国会で土地収用法の大改正が行なわれましたのは四十二年、施行になりましたのは四十三年の一月一日でございます。現在の土地収用法では事業認定時で価格を固定いたしまして、あとの事業利益の反射的な開発利益というものはなるたけ排除しようという形をとっておりますことは、御承知のとおりでございます。しかしながら、昭和四十一年当時は、四十一年及び四十二年のころは、公共用地の取得は契約時の価格によることを原則といたしております。そこで、鑑定をしていただいたのが某月某日だといたしますと、それから任意交渉をずうっとやりまして、向こう何年かかりますか、当時どう御判断になりましたかわかりませんが、その間にやはり事業施行による開発利益というものが地価に含まれて漸次地価が上がっていくという予想も起業者としては当然しなければならなかったかと思うのでございます。そこで、某月某日の不動産鑑定士の鑑定評価の結果、その数字をそのままとるわけにはまいらない。補償額は契約時価格でございますから、契約に到達するであろうと思われる自己の持っております事業予定を参酌いたしまして、その額がどのくらいになるかを起業者としては予測されまして、それを一応地権者の方々の集まりに基準価格として御発表になったものではなかろうか。そうであれば、一応当時としては行政的には妥当であったという解釈もできることになるんだというふうに私は考えております。
#220
○説明員(三島和夫君) お答えいたします。
 国有財産の売り払い評価につきましては、売り払い評価基準というのがございまして、それに準拠してやっておるわけでございますが、一般に政府等が民有地を取得する場合には、やはり公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に基づくか、あるいは民間精通者の鑑定評価額をとりまして、その価格によるいわゆる任意売買の方法によるか、いずれかの方法が適当だと、かように考えております。
#221
○加瀬完君 某月某日鑑定士が鑑定したものよりも契約のときには若干時日がずれるから、その値上がり率を考えるということは若干公団の説明にもあるわけです。大体、財団法人日本不動産研究所調査の千葉県の畑価の上昇率は年一二・八%、こういうふうに出しております。ところがこれ、一年で三六%上がっているわけです。値上がり率としてもおかしい。そういうことではなくて、結局さっきの御説明のように、百万か、百五十万か、二百万か、二百五十万かとせっていって、百四十万で話がついたということが、これは公共用地の取得基準要綱ではないではないか。単なる民間の取引価格ということになるのじゃないか。それで一応近傍類地の価格というものも参照されたということでありますが、あとでこれは申し上げますが、同時点で千葉県では十万のプレミアムをつけて七十万ないし八十万でその周辺が売買されているわけです。それをここだけで百四十万という評価はどう考えたっておかしいと言わざるを得ない、建設省さんの御説明のようですと。そうすると、百四十万というのは一年先を見越したのか二年先を見越したのか、どこの時点の評価が百四十万かということになる。しかし、公共用地の取得のときに、先行きの見越し価格というものを入れて評価をするということがあり得るか、こういう問題が、一、二年先を見越して価格を決定するということがあり得るか、そうなってくると、その当時の地価というものはもっと安いということになる。もっと建設省のように、地価は幾ら幾ら、それで補償料はこれは幾ら、あるいはまた離作料は幾ら、この畑つぶれて別の畑へいくときに、現状の畑の収穫状態に復活するには何年かかる、それまでの補助金なり補償料なりが幾らというふうに計算するというなら私はうなずくと言うのです。何もかもひっくるめて百四十万という価格を出すということでは、これはまことにどうも公共用地の取得の基準という面から見れば新しい方式ですよ、新しい方式です。それじゃ今度はニュータウンを国が計画する、あるいは学園都市をいまやっておりますけれども、同じような条件で片方は安くて片方は高い、こちらが成田と立地条件が違わないのに価格が三分の一というのは何事だ、一体この追加要求というものを出してきたらどういうことになるか、そういう問題も出てくるわけです。いずれにしても、はなはだ基準の不明確なもので価格が決定されるということは、私はどう考えても合点がいかない。
 そこで、問題は近傍類地ということになると、土地に関する売買実例というものを幾つかあげました公団に伺いますが、成田市久米野の土地価格は、民間においては昭和四十二年の四月において四百五十万円反当畑と発表している。ところが同一地域は報償金を入れて県は八十万で買っている。八十万で買っている現実があるのに、事実があるのに、ことさらに四百五十万という高値だけを近傍類地の価格として出したというのは、これはどういうわけですか。そのほか三里塚周辺でも同じ、結局百四十万という値段を出すために一番商い呼び値だけを集めて、近傍類地の価格はこうだ、百四十万を合理的にするために都合のいい数字だけを集めてきたということになりませんか。
#222
○参考人(今井栄文君) おっしゃるように県が敷地の中の方々のために代替地としてあの周辺で買いましたのは、先生御指摘のとおり六十万、七十万、それに十万円のプレミアムをつけたというふうな値段で買いましたが、これは公団の価格決定以後におきまして県が独自の交渉を行なって買ったものでございます。先ほどから申し上げておりますように、私どもとして別に特に高いのだけを拾っておるわけではございませんで、当時の地主さん方はそういう高い例を持ってまいりまして、反当たり畑地二百万あるいは二百二十万円というふうなことで、どうしても私どもにはそれでなければ応じられないというような態度を実は示しておったのでございます。現にそういう高い価格もあの付近で当時出ておったわけでございます。必ずしも私ども高いのだけを出しているわけではございませんので、十余三あたりでも百五十万、百六十万程度で売られておる例もあるわけでございます。そういうのを私どもは拾って掲げておるわけでございますが、要するに、私どもといたしましては、そういうふうなあらゆる角度から検討し折衝を重ね、しかも、最終的にきまった値段につきまして、きまったと申しますか、どうしてもこれでなければ円満に妥結しないという面については、当時の所管の大臣の御意向もお伺いいたし、大臣から、十分御検討の上よろしいというお指図を受けて私どもは価格の決定をしたのでございまして、空港公団だけで独自にそういうふうなものでかってに売買をやったというわけのものでは全然ないのでございます。
#223
○加瀬完君 あなたのほうでお出しになった土地に関する売買実例というのを見ると、十余三で百二十万というのが一つありますよ。あとは四百五十万、二百七十万、三百万、二百十万、二百七万というように全部百四十万から上のものだけを出している。
 具体的に伺いますが、七重十倉は三百万、二百五十万というものをあげておりますが、同じ時期に県は七十万で買っているじゃありませんか。売買実例というのは高いものばかりが売買実例というのはおかしいでしょう。高値も出せば低値も出す、それで一体適正価格というものは幾らというのを検討してきめるべきでしょう。七十万で買った所は出さないで、同じ所を二百五十万で売買がされる、あるいは三百万で売買がされる――あとで言いますが、では、三百万で買ったのは、どういう買い手のほうの実情によって買ったかというような調査をすれば、これは適正価格としてのぼせられない個別事情によってはねのけなければならないような問題もたくさんある。大蔵省の鑑定官にいらしたら聞きますが、同一地域で同一時点で七十万、八十万で一方では買収できたものを、公団だけが百四十万と決定することはおかしいじゃないですか。同じ地域で六十万、七十万、それに十万円ずつ報償金を入れて結果は七十万、八十万で千葉県は売買しているわけです。それを公団だけが百四十万という価格をつけなければならないのはどういう理由ですか。
#224
○説明員(三島和夫君) 評価にあたりまして採用する売買実例は、その評価する人の主観によっていろいろ変わると思いますので、私はいま公団がおとりになったのが、あるいは百四十万とおとりになったのか、あるいは八十万とおとりになったのか詳細は承知しておりませんけれども、やはりその評価する人の主観によってまたある程度価格が変わってまいりますから、私としてはそれについていい悪いという批判は差し控えたいと思います。
#225
○加瀬完君 適正な価格で公共用地は取得をしなければならないというので不動産鑑定士の制度というものを活用することが望ましいということになったのでしょう。買い手の事情によって、売り手の事情によってそれできまる価格が適正価格ということにはならない。特に公共用地の場合は、そういうことでは国の損失も大きいということで適正価格の割り出し方というものを、いろいろ基準をきめてあるわけです、建設省等で。あなたのおっしゃるように主観できめるという、そんなばかなことないでしょう。じゃ買い手の事情というものできめられていいですか。そういうことできめてはいけないと不動産鑑定士の関係法の中には書いてあるでしょう。呼び値みたいなものできめてはいかぬということが、特に一つの目的にせよということが書いてある。二百万円で売りたい、二百万という値が出たからそれに近づけなければだめだろう、じゃ百五十万にきめましょうというきめ方は、公共用地の取得の場合には許されないということですよ。
 もう一つ聞きますよ。じゃ、あなたのほうでは同一地域の評価額を百十二万としていますが、この百十二万も、これは大蔵省の鑑定官の主観ですか。
#226
○説明員(三島和夫君) 私、先ほど申し上げました売買実例の採用のしかたについては、その評価をする人が現地を見まして、これが適当であるかどうかといった場合に、その方の主観によって適当であるとして採用した場合にはそれが適正なものであると、こういうように考えるわけでございます。
 それで、後段の質問でございますが、大蔵省で三里塚牧場の評価をいたしました場合に、畑といたしましては反当百二十万という評価をいたしております。これは近隣における売買実例を参考といたしまして、それに民間精通者の意見価格を入れて評価したものでございまして、もちろん売買実例の中には、先ほど先生から御指摘ございましたように、反当二百三十万とか二百十万といったような高いのもございますし、それからまた、中には反当七十万、七十六万といったようないろいろな売買実例がございます。しかし、その中でいわゆる適正と思われるものを現地で見まして、そして財務局の評価担当者がそのうちの適正なものの幾つかを売買実例として採用して国の評価額を出したものでございます。
#227
○加瀬完君 いや、私は百十二万、これでも高いと思うけれども、一応百四十万という値段が出ちゃっているのだから、一方的に押すわけにはいかないから少し上げて百十二万、これより上はつけられない価格だとこれは了解している。これはこれでいい。大蔵省の鑑定官が百十二万と同一地域を評価しておる、ところが百四十万で売買をされているといろことになるわけです。それが一体、適正かという問題をいま議論をしているわけです。公団の出しましたものは、これは売買実例というものは高値と低値と両方を出してくれなければ、適正価格を割り出す資料としてははなはだ根拠が薄いと思うのですよ。大体、高値はたくさん出す。
 そこで、公団に聞きますが、低値の調査はどうしているか、同一地域で。高値四百五十万というものはわかった、じゃ一番低値は幾らであったか、こういう資料はお出しをいただいておりません。ひとつお話しいただけませんか。
#228
○参考人(石原耕作君) ただいま先生の御質問の、低値はどうであったかということを意識して調査をしたわけではございませんけれども、建設省であるとか、あるいは千葉県で道路の用地買収について買収をきれた実例というのはあるわけでございますが、たとえば、建設省について申し上げますと、寺台等で、これは特別の場所だと聞いておりますけれども、宅地について四百五十万というのがございます。それから同じ宅地でも、たとえば、東金山というふうなところでは百六十五万というふうな実例もございますし、十余三では百二十万というふうな実例もございます。それから一番安いところでは、これは十余三ですけれども、六十万というふうな例もございます。われわれとしましては、意識いたしまして特別に高いところを調査したというわけではございませんので、一応公共事業としての用地買収につきましては実例をそれぞれの地目について調べたわけでございます。
#229
○加瀬完君 建設省、大蔵省に伺いますが、成田空港の用地価格が将来公共用地の取得基準とみなされてよろしゅうございますか。成田方式でこれから公共用地は売り買いができるのだ、こういうことになってもよろしゅうございますか。また、それをお認めになりますか。もっと極端に言うならば、売り手の要求に従って公共用地の価格の決定をした。数字を申し上げるならば、大蔵省の鑑定官は百十二万と評価をしているところを百四十万という価格によって買収をした、こういうやり方をこれから公共用地の取得の場合、成田方式ということでとっていくというお考えか、大蔵省、建設省両省に伺います。
#230
○説明員(三島和夫君) 公共用地の取得につきましては、直接私どもの所管ではございませんので、これは建設省からお答え願うのが適当かと思いますが、ただ、たまたま先生がおっしゃいました大蔵省が百十二万と評価して、公団が百四十万と評価しているのはおかしいではないかというお話がございました。しかし、これは評価する場合には、やはり集めます資料が非常に高いものだけしか集まらなかった場合、それからその売買実例からその評価時を基準といたします場合に、人の主観によって多少点数のつけ方も違ってくるかと思います。大蔵省でいままで民間鑑定者に評価を依頼した場合においても、やはり二割、あるいは三割という開差は出ているわけでございます。したがって、今日のように、土地の利用目的の転換が行なわれる計画がございました場合には、土地の価格については相当の変動がございますので、したがって多少の相違はやむを得ない、かように考えております。
#231
○説明員(河野正三君) 成田方式なるものの特色が何であり、それをわれわれとしてどういうふうに考えたらいいのかということがまだ十分に私自身わかっておりませんので、これが公共用地の今後の取得にあたってのいい前例になるのか、悪い前例になるのかという点につきましては、ちょっと判断しかねるのでございます。ただ、先ほどおっしゃいましたような、まあ起業者の方の買い進みというような気持ちがまざるとか、一種の世の中でいう買い進み価格的な立場をとるのもやむを得ない。起業者という点に関しましては、起業者の方の非常な苦しみもわかりますけれども、いけないことだと私は考えております。
#232
○加瀬完君 主観によって点数が若干違うということはあり得ますけれども、百四十万と百十二万という開きは、相当大きなものですね。あなたのほうの国有地の評価も、民間不動産鑑定士は百十四万と評価しているわけでありますね。百十四万と百十二万の差なら、これは僅少の差と認められますけれども、百四十万という評価は、これは開きが大きいじゃないかということが一つです。不動産鑑定士は百十万と評価している、最高価格を。それを百四十万と決定するのはいいかどうか。先ほどそういう問題に触れたわけです。ですから、あなた方がいろいろ同じ政府機関だというので話を合わせようと思っても合いませんよ、この話は初めから公団のやり方は間違っているのですから。基準に即していないのですから。これは建設省の課長さんもおっしゃるように、買い進み価格でしょう、どう考えたって。買い進み価格。実に私はずさんだと思うんですよ。どうも議論になって悪いけれども、全然公団は土地を買ういろいろの方式というものの研究が不十分だ。
 で、あらためて伺いますが、東電の線下補償方式というのがありますね。たいへん失礼ですが、これをどうお考えになりますか。
#233
○参考人(石原耕作君) 線下補償につきましては、これは期間の問題もあると思うのです。たとえば、二十年で見るか、五十年で見るかという問題もございますし、ざらに線下になるために、たとえば、建築制限を受けるという問題もございますので、こういう何と申しますか、土地の利用度の減少というふうなものもございまして、それによりまして線下補償という計算をすると思います。
#234
○加瀬完君 そういうことじゃない、線下補償方式で適正価格というものを押えている。その適正価格は仲値で押えている。契約上の基準価格は、売買価格をきめてそれを基準にするわけだけれども、その売買価格とは、近傍類地の売買実例価格を見て上中下のうち仲値を基準とするときめているわけです。あなたのほうの基準価格は仲値ではない、おそらく。だから東電補償方式はどうですかと聞いたわけです。仲値を押えております。これ百四十万が仲値ですか。あなたのほうの鑑定士に依頼した鑑定評価でも百十万としか出ていない。それを百四十万ときめているのですから、仲値じゃないでしょう。適正価格というのは仲値を押えるというのがこれは常識ですよ。その最高価格より高く買ったのだから、これは買い進み価格と言わざるを得ないでしょう。買い進み価格は建設省のおっしゃるように、これはどう考えたって正当な価格とはみなされないという批判が出てくると思うのです。というのは、低値価格の調査というものが非常に不十分なんです。鑑定評価から百四十万を出しているわけじゃない。百四十万に合わせて評価額を出している。さっきVと言ったけれども、低値価格の調査をしなければVは出てこない、呼び値なんですね。呼び値で価格を決定する、こういうことは最も公共用地の取得に禁じられていることです。
 具体的に申しましょうか。近傍類地の取引価格は六十万から七十万、報償金を除くと。県が買収したものが、それで事情補正をしなければなりませんから。飛行場のために高く買収するということが、一つの事情補正になりますか。買い急ぎをする、あるいは買い進み価格というものは事情補正の中には入らない。公共用地取得の場合、時期は大体同じです。Vはイコール六十万から七十万、それに事情補正を若干引いた六十万、七十万より低いものにVが出てきます。したがって、百四十万になるはずない。どう考えたってそういう基準がとられなければおかしいのを、全然こういう一つの算式があるのにそれを考えなかったということに私は問題があると思う。これが非常に地元の不信感をあおっております、そうでしょう。同じ農地であっても、空港の敷地の内と外で農地価格が違う、片っ方は六十万、片っ方は百四十万、道一つおいてこっちは六十万、中側では百四十万、こういうことでははなはだおかしいと思う、こういう感情を持たざるを得ないでしょう。大体、県知事あたりが多額の百万なんという値段を先に出すから、それが一番底値になってだんだんだんだん上がってしまったということじゃないか。それを公団は押えるのじゃなくて、急いで土地を取得したいために二百万なんということを、何とか押えて百四十万に押えたのだから大成功だと思っているかもしれませんけれども、公共用地の取得というものは、そういうような相対の関係できめるべきものじゃないと思うわけです。空港敷地であっても、公共用地であるゆえに不当な売買には応じられないという強い態度があれば、こんなべらぼうな値段なんか出ることがない。しかも、農地の代償を農地でやるということでなくて、農地でなくて宅地として扱っている、しかも、農地の代償を求めている者には何も手が打たれていない。これが一つのつり上げ現象になっているのじゃないですか。どうでしょうね。だいぶ議論にわたりましたが、これはブローカーの買いあさりと全く同じです。政府機関としての態度というものはみじんも見取ることができませんよ。皆さん存じ上げておってかってなこと言ってたいへん悪いけれども、正直に言って、こんな値段でこれを建設省がこれから許すといったら公共用地なんか取得できませんよ。日本じゅうでも一番安いような成田が百四十万で一番高い。あなたがさっき言ったでしょう。畑で一万九百二十円、反ですよ。山で九千二百二十三円、原野で二千三百三十二円。それがおしなべて大体百四十万、それに近いものになったわけですから、あと高いところはもっと高く買わなければ絶対売らないということになったら、公共事業は進みませんよ。その悪例を成田の買収で公団はやったわけです。それでできればいいけれども、まだできていない。どう説明したって、公共用地の取得基準というものは守られていませんよ。守っていたというなら、先ほどから言っているように、V×A分のBのそれぞれの内容をお示しくださいよ。
#235
○参考人(今井栄文君) 先ほどからもるるお答え申し上げておりますとおり、空港の敷地につきましては、すでに確定した用地を空港公団はぜひとも買収して国際空港をつくらなければならぬという使命を政府から与えられておりまして、先ほど先生からもお話がございました、富里または成田の代替地として提供された方々の用地を、県としては七十万ないし八十万、協力金も入れて、そういう値段で買っておる。そういう安いのがあるではないかというお話でございましたけれども、これは任意買収でございまして、提供される方々から県が買うというたてまえをとり、富里等につきましては、特に富里空港当時からの協力会の方々もおられまして、率先して県に代替地として農地を提供された。これは全くのお申し出によって県が買われたものでございます。これは私どもが例にあげるまでもなく、当時から十分公表もされておりましたし、先生も御存じだということであげなかっただけでございまして、県が安い値段で買っておるものを特に表からはずしたということでは全然ございません。
 それからなお、百四十万の値段を出したのがけしからぬというお話でございますが、先ほど先生の御指摘にもございましたように、不動産研究所で昭和四十二年の十月に最高百三十万というふうな値段も一応評価としては出ておったわけでございますが、私どもが交渉妥結いたしました時期は、四十三年の四月に妥結をいたしたのでございます。したがいまして、若干の時点修正というふうなことで値段も補正されてしかるべきものではないかと思います。
 それから、先生が先ほど言及しておられました離作料というふうなものあるいはまた報償金というふうなものは、実は私どもとしては公団の補償規程のたてまえからどうしても出せないという事情もあったわけでございます。離作料等については、空港問題が発生した当時、運輸省において地主の方々にお約束をいたしておった面もございました。したがいまして、そういうふうな含みであるとか、あるいは、先ほど買い進みという点を痛烈に御批判いただいたわけでございますけれども、私どもとしては、何としてもやはりあの中に住む三百数十戸の農家の方々が、外に出て安心して生活ができるようにということが、われわれとしても偽らない気持ちでございました。そういうことで不動産鑑定の結果に比べまして若干高い値段が出たようでございます。
 で、私どもとしては、現在になりますと、富里付近におきましても、すでにもうとても百四十万、百五十万で反当たりの土地が買えないことは先生御承知でございます。しかも、これはダムや高速道路と違いまして、空港の建設につれての関連事業というものについての計画が、政府の各部門からそれぞれ当時発表をされておったわけであります。たとえば、ニュータウンの問題であるとか、あるいはまた道路計画であるとか、あるいはまた河川改修だとか、あるいはまた上下水道であるとか、あるいは高速鉄道であるとか、こういうふうな空港設置に関連しての、要するにその土地の地価をどちらかといえば上げるようなふうないろいろの施策というものが、当時政府として地元にお約束しておったわけであります。そういう面から申しましても、地元の地主さん方にすれば、やはりある程度言い値で買っていただかなければ、将来損をするという気持ちがあったのではないか、こういう点も推測されるわけでございまして、私としてもできるだけ、政府の金でございますから、安く買いたいという気持ちで、全く二年半努力をいたしたのでございますが、ようやくあの線で妥結をいたしました。現在でも、もうすでに私どもが決定して以来、約二年近くになっているのでございますけれども、あの値段でアプローチラウンズ、あるいは臨時の貯水池にいたしましても、すべてあの値段で買わしていただいておるということでございます。
#236
○加瀬完君 話が逆になりますがね、百四十万――今日の時点においても百四十万で畑が反当たり売買されておるのを適正価格とするならば、二年前は一体それは適正価格でないということですよ。あなた方のほうで地価は一二・八%ずつ上がっているという認定をしているのですからね。だから、二年先を見越しての価格決定という、そんな価格の決定のしかたがあるかということは先ほど申したとおり。それから、四十二年の不動産研究所の鑑定が出ているけれども、四十三年に決定したというけれども、四十一年にこの話は始まっているんだ。あなた方の手ぎわがよくて、四十一年に買収が進んでいれば、何も百三十万という価格でなく、最高百十万、政府の閣議の申し合わせも最高百十万と決定したんだから、幾ら高くたってそれで押えられたはずだ。押えられなかったのは、空港に反対が多くて、そうして、その中の欲の深い者だけを値段でつり上げて賛成派にしようというような、そういうやり方が繰り返されておったので、価格のつり上げということが行なわれた。したがって、これから道路をやるでしょう。道路の買収価格というものはうんと高くなりますよ。あるいは、油を送る送油管というのか、油送管というのか、それを布設するでしょう、それは都市化された区域を通っていきますよ。膨大な費用というものがかかる。したがって、空港関連の公共施設の基準になる敷地の決定価格というものは、慎重の上にも慎重に、押えに押えなければならないということになるはずでありますが、そういう配慮というものはさっぱり考えられないということは、私は指摘ができると思う。
 そこで、これは建設省にも伺いたいのでありますが、不動産の鑑定評価に関する法律の中の第三十七条でありますが、「不動産鑑定士」は「良心に従い、誠実に不動産の鑑定評価を」云々というのがあるが、今度は依頼者の要望に合わせて評価額をきめているわけですよ。百四十万という価格が出てきた。それに合わせて――合わせたか合わせてないかということはあとで説明しますが、非価額をきめているわけです。これを「良心に伴い、誠実」な鑑定評価をしたと言えますか。「(不動産鑑定士等の責務)」として「良心に従い、誠実に」鑑定を行ならということが要件となっておるでしょう。それを注文主の予想する価格に合わせて評価を出したということになったら、これは「良心に従い、誠実に」ということになりますか、これ。建設省、いかがですか。
#237
○説明員(河野正三君) 他の場合等におきましても、起業者の言い値で鑑定評価を行なうというようなことは、これは、おっしゃるように、誠実に業務を遂行したということにはならないように考えております。
#238
○加瀬完君 現地を見ないですよ、この不動産鑑定士は。一筆調査もしないですよ。見ないというのが誤りなら、飛行機の上から見ました。それから、大きな道だけを自動車で走らせて、車中で見ました。飛行機の上から見たり、自動車の車中でべっ見するものを「良心に従い、誠実」な鑑定を行なったというようには見られないと思いますが、これは大蔵省、どうですか。
#239
○説明員(三島和夫君) 大蔵省が採用いたしました民間精通者は、現地は見ております。
#240
○加瀬完君 いやそうではなくて、日本不動産研究所ですか、その他の報告を聞きますと、現地はあぶないということなので、細部にわたって一筆調査みたいなことはできませんでしたので、自動車に乗ってべっ見をいたしました。自動車で見られないところは飛行機の上から見ましたという報告があるわけだ。これを「良心に従い、誠実」な鑑定をしたと判断できますかということですよ。あなたのほうの鑑定士が見たか見ないかということを言っているのじゃない。そういう鑑定のしかたをこの不動産の鑑定評価に関する法律の中にある「良心に従い、誠実」な鑑定をしたと認められるか、事実関係を聞いている。どうですか。
#241
○説明員(三島和夫君) この不動産の鑑定評価に関する法律につきましては、その内容につきましては建設省がきちんとされておりますので、そういった場合にいいかどうかの判定は私のほうではいたしかねます。
#242
○加瀬完君 ああそうですか。
 では、建設省、お願いします。
#243
○説明員(河野正三君) この件に関します不動産鑑定士の鑑定のしかたがどういうふうな状況であったかというようなことは聞いておりませんので、直ちにこの三十七条違反になっているかどうか、即断しかねるのでございます。
 ただ、私は、この不動産鑑定士の方々は、まありっぱな機関鑑定家の方々でもございますし、不動産鑑定評価基準に従いまして鑑定評価をやったものだと思います。不動産鑑定評価基準に従った不動産鑑定評価にあたりましては、場合によっては一筆ごとの調査もしないでも、取引事例比較法、あるいは収益還元法、あるいは複成式原価法等の三方式を駆使して評価し得る場合もあろうかと思いますので、先生御説明のような場合、それがかりに事実だといたしましても、それで直ちに三十七条のこの信義則の違反になるかどうかということは直ちには即答しかねることを御了承願いたいと思います。
#244
○加瀬完君 いや、この鑑定士が事実どうしたかというのは、私の一方的な見解だけでは認定できないでしょう。参考人として呼んで、事実調査をしない限りはわからないでしょうけれども、報告文書の上で判断をいたしますと、一筆調査はいたしておりません。どういうように調査をしたかというと、道路を自動車で走ったということが一つ。ただ周囲をべっ見した。ほかは、飛行機で上から見た。ただし、基準値は幾つか設けています。しかし基準値は、その中で基準値はとっていません。外側でとっている。そろいうことでは、もし私が言うような内容であるとすれば、「良心に従い、誠実」な鑑定をしたとは言えないのじゃないかということを申し上げているのです。
#245
○説明員(河野正三君) だんだんわかってまいりましたけれども、不動産鑑定の依頼にあたりましては、具体的などの土地をどういう価格で鑑定評価してもらいたいという依頼がなされなければならないと思います。どの土地をということに関しましては、通常起業者は、起業地内あるいは起業地外の類似の土地を選びまして、適当な代表的な土地を選びまして、この土地を鑑定評価してくださいという依頼をいたします。それから求むべき価格に関しましては正常価格を求めてもらいたいというのが起業者の公共用地の取得にあたってのなすべきことでございます。これをいろいろな特殊価格――特殊価格がいろいろございますが、特殊価格でこう出せという依頼は、公用地の取得にあたってはないと思います。そこでこの場合には、おそらくは起業者の方の判断で、起業地内はなかなか立ち入って調査をすることがむずかしいから、だから起業者の方としては起業地の外にあるこれこれこれこれの土地を鑑定評価してもらいたいという依頼をなさったのではなかろうかと私は思うのでございます。それらの起業地外の土地を鑑定評価いたしまして、その正常価格は幾らであるというのを鑑定評価書という形で依頼主である起業者に出した場合に、その幾つかの土地の鑑定評価そのものは、これは信頼すべきものであろうと私は信じております。それをもととして起業地内の土地の価格を出す作業は、これは起業者の作業でございます。
#246
○参考人(石原耕作君) ただいまお話のございました不動産鑑定の問題でございますが、ちょっと少し違っているようでございますので補正をさしていただきたいと思いますが、当時は、四十一年にいたしましても四十二年にいたしましても、われわれ自由に中へ立ち入る状況でございませんでしたので、私のほうといたしましては、あらゆる方法で、たしか三十数件だと思いますけれども、区域内に、各地域にわたりまして一応の標準的な土地を選びまして、そうして事前に公団の職員が中へ入りまして、こういうところということの一応の確認をいたしまして、それから私のほうは準宅地ということで評価をしてほしいというふうなことで、このあらかじめ予定した地点につきまして評価をしてもらったわけでございますが、その際、ただいまお話のございましたように、おりましてしさいに調査するということが不可能でございましたから、自動車で見たということも事実でございますし、場所によりましては、あまり危険のないようなところではおりて見たように私は聞いております。なお、その鑑定の最後のほうにおきまして、どうも十分な評価ができなかったということは一応断わってございますし、そういう意味でのこれは鑑定の価格であるという報告は私のほうで受けた実例がございます。
#247
○加瀬完君 建設省にお尋ねしますが、各ブロック別調査をして、各ブロックの最高価格地を標準地として抽出をして各価格を算出したと公団は説明している。ところが、各ブロックの標準地はいずれも宅地条件として最高地を進んでいるわけです。この標準地価格から各地域の価格をどういう比率で出したかというと、比率はないわけです。先ほど来ちょっと申し述べましたが、道路沿いの一番いい宅地になり得る条件のいい畑を標準として価格を出している。あとはみんな右へならえ、イコールという形をとった。こういう一括評価というのは正しくないということはさっき御説明があった。しかも、日本不動産研究所が昭和四十一年九月十六日、鑑定部長の報告書として、鑑定はできないので見積もり価格として提出するという内容で出しておる。で、中央不動産鑑定所は価格意見書というもので出していますけれども、内容は、これは見積もり価格と表現をした日本不動産研究所と同じような方法しかとっていない。道路もない、山林原野としてだけの利用価値のところも、空港敷地ということで、道路沿いと同様に評価をしているわけですね。こういう評価というものは、誠実な評価と言えますか。
#248
○説明員(河野正三君) 日本不動産研究所なり中央不動産鑑定所なりが正常価格として幾らと評価するということを言わないで、わざわざ条件といたしまして、見積もり価格しか出せない、見積承り価格として一応御報告いたします、というようなただし書きをつけているとすれば、それは鑑定士としては非常に良心的な態度であったのではないかというふうに考えます。
#249
○加瀬完君 ですから、それは正しい鑑定とは認定できないでしょう。見積もり価格程度しか出せないということでしょう。
#250
○説明員(河野正三君) それぞれの鑑定機関が言っておりますとおり、見積もり価格としての意味を持つものと思います。それ以上のものは持っていないと思います。
#251
○委員長(温水三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#252
○委員長(温水三郎君) 速記を起こして。
 それでは、十分間休憩いたします。
  午後四時五十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後五時二十一分開会
#253
○委員長(温水三郎君) 運輸委員会を再開いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 ただいま鈴木強君が委員を辞任せられ、その補欠として瀬谷英行君が委員に選任せられました。
    ―――――――――――――
#254
○委員長(温水三郎君) 休憩前に引き続き、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言願います。
#255
○加瀬完君 大臣に伺いますが、地元の反対のいろいろの理由の中に政府に対する不信感というのが非常に強い。その一つは、空港敷地の買収価格というもののきめ方について、法律を無視しておるのじゃないか、あるいはいままでの行政慣例というものを全然考慮しておらないのじゃないか、こういう反感が非常に強いということをいままで具体的に伺ってきたのです。そこで、公共用地取得の基準には、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というもので政府はいままで公共用地の取得をしてきたわけでございますが、この成田空港の敷地の獲得についてはこの基準要綱というものが全然守られておらない。たとえば、その内容としては、価格の決定については、正常な取引市場において通用するところの価格を適正価格として価格の割り出しをしなければならないということでありますけれども、公団総裁の御説明によりましても、不動産関係のそういう基準というもののみではなくて、もっと他の理由を百四十万という畑の価格の中にも加えた、それは団体交渉等によって相手方の要求というものも必要度によって取り上げたし、それから土地価格そのものではなくて、生活保障のような内容も入れた、しかもそのきめた時点においての価格ではなくて、将来二、三年にわたっての見込み価格というものも考慮した、こういうような説明があったわけでございます。そうすると、一番その禁じられておる買い進み価格ではないか、適正価格ではなくて買い進み価格ではないか、こういう買い進み価格で公共用地の取得というものを進めるならば、今後公共用地の取得は成田方式というような形で、政府に対し、あるいは政府機関に対して売り主のほうが要求額をだんだんに上げていく、そうなってくれば、ますます高い価格で公共用地を取得しなければならないということになって、政府みずからがきめた公共用地の取得基準というものが守られていかないのじゃないか、こういう問題をいままで議論をしたわけでございます。大臣、この点についてどうお考えになりますか。
#256
○国務大臣(橋本登美三郎君) それは総裁が答弁になったように、種々な事情がこの飛行場の場合はあります。いま加瀬さんのおっしゃったようないろいろな事情があるわけです。必ずしもこの公共用地取得条件だけでは済まない。特に著しいのは、ほとんど自分の生活のもとになるところの耕地を失うという場合もある。それからまた一つには、その人たちがそうなりますればだいぶふなれなところに参りますからして、したがって、生活再建に対しても、長期の、ある程度の期間を要する。これが道路、橋梁等であれば――道路の場合はかえって自分のところが買われた場合に、その道路沿いの値段が上がるという場合もありますけれども、飛行場の場合には、先ほど申しましたように、ほとんど大部分が自分の生活の根拠を失う。こういう条件がありますからして、ある一定期間の生活保障も考えるべきである。同時にまた、御承知のように、その付近に対しましても何らかの保障といいますか等も考えるというぐあいに特殊な事情があります。したがって、道路、橋梁等をつくるような意味での公共用地を取得するという条件だけでは片づかない。さような意味で、政府におきましても、関係者の十分なる意見をいれて、そして畑地でもって百四十万円ですかな、そういうような、見ようによっては高いかもしれないが、また見ようによっては必ずしも高くはない、かようなところに落ちついたわけであって、その点は事情が少し他の公共用地の取得の場合とは全く条件が違うと言ってもよろしいと、こういう点に根拠を置いてこのような価格を決定したわけであります。
#257
○加瀬完君 そうすると、公共用地の取得に関する閣議の申し合わせ事項というものは、成田の場合は適用されない、ほごになる、こう解釈していいですか。
#258
○国務大臣(橋本登美三郎君) それも考慮に入れまするが、原則として必ずしもそれにとらわれないと。一応考えの中に、基礎の中には一つ入っておりますよ、計算の中に。それ以外に、先ほど申したような生活のある程度の期間の保障とか、あるいはなれないところに行った場合、いわゆる一人前になるまでのことも考えての広範な保障が含まれておる、こう理解しております。
#259
○加瀬完君 この問題は、前々から問題になりまして、そのたびごと政府としては、公共用地の取得に関する閣議申し合わせ事項というものは、あくまでもそのワクで行なっていくんだ、その基準をはみ出すものではないんだという答弁が何回かあった。ところが、いまの御説明ですと、その申し合わせ事項というものを、政府みずからが破棄するようなお立場をおとりになるというように伺えるわけです。そうなってまいりますと、成田の問題はそれできまるかもしれませんけれども、公共用地の取得条件というものは、出たとこ勝負ということになって、公共事業というものは、売り主あるいは権利者の要求に応じて買い値をつけない限りは解決ができないということになりかねないわけです。そういう影響がありますから、公共用地の取得に関する閣議申し合わせ事項というものが、三十九年以来厳守されてきたのです。それが今回に限っては破棄されたといいますか、適用のワクを越えていろいろの問題が考慮されて取り入れられてきた、こういうことになるわけでございますが、それは少しおかしいじゃありませんか。
#260
○国務大臣(橋本登美三郎君) おかしいとは思いませんがね。要するに、こういうことですよ。公共用地取得の条件というものは、成田空港においてこれならこれがあるのですね。これはもちろん核になるものはある。だが、その他の条件があるわけですね。たとえば、高速道路の場合とか市街地の場合とか、そういう場合にも公共用地取得の条件だけではなく、あるいはそれ以外の要素が幾らかでも加わる場合もあります。成田飛行場の場合はより以上の条件が現実の問題としてある。そこでもって働いておった人が全く別のところに行かなければならぬ。同時にまた、それは生活上全く環境が変わってくる。こういう場合についての――したがって、基本的なものは、それにいろいろなものを足していくから百四十万になったのであって、これが全然なくなってしまったわけじゃないのです。まあ、基礎条件はある。ただ、それ以外の条件が成田空港の場合は非常に多い。かつまた考えなければならぬ点が多い。こういう意味において必ずしも基礎条件なるものを、取得条件なるものを全然無視したのじゃなくて、それだけでは解決がつかない。解決というよりも、その人たちのいわゆる生活の保障といいますか、めんどうを見るという面に対しては、いわゆるそれだけでは間に合わない。それはあるんですよ、核は。それ以外にプラスアルファというものは、いろいろ生活の保障だとか、あるいはいま言ったような環境の変化とか、そういうものを考えていきますというと、百四十万円ぐらいは妥当であろう、こういうことになったわけであります。
#261
○加瀬完君 それは大臣、常識論でお考えのようですがね。土地の取得にかかる補償はどうきめられるのかということについて、三十七年の六月に、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というものを閣議できめた、それでこまかくその内容というのが規定されておる。したがって、空港であるとも公共用地である限りはこの閣議申し合わせ事項のこまかい内容に従って取得の手続が踏まれなければならない。ところが、その手続を越して、いま大臣のおっしゃるように、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱には準じないで価格がきめられておる、これはおかしいじゃないか。そうでなければ、閣議申し合わせ事項というものはどこかで変わってしまって、変えられて、それで成田の場合あるいはこれ以後の公共用地取得について新しい方式でやるということにならなければ、運輸省の管轄だけ変えられて、ほかのほうは全部この基準要綱でやるということになれば、これは政府機関が運輸省は運輸省、建設省は建設省ということでばらばらになるおそれがある。そうなると、運輸省で買うのは高いけれども、建設省で買うのは安いということになっては、これは基準要綱は守られないし、国が支出をして公共用地を取得するということについてもおかしくなってしまう。これは大臣のお答えはちょっとどうもそのままには受け取れないのですよ。
#262
○国務大臣(橋本登美三郎君) 加瀬さんのおっしゃる閣議決定というやつは、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱ということですね。その要綱によれば、取得する土地に対しては、正常な取引価格をもって補償するものとしており、この正常な取引価格は、近傍類地の取引価格を基準とし、これらの土地及び取得する土地について、その位置、形状、環境、収益性その他一般の取引における土地価格形成上の要素を総合的に比較考量して算定するものとする。これから逸脱しているのじゃないかといもお話なんですが、この場合私が申し上げましたのは、もちろん、だからこの近傍類地の取引価格というものは、一応この要素の中にあるわけですね、金額百四十万円ときめたうちで。それ以外に今度は、この成田空港の飛行場のような大規模に取得する場合は全くその状況が変わってくる。すなわち、環境、収益性というもの、こういうように特殊な条件が変わってくるわけです。ことに、最近における土地価格の問題もありますけれども、それは別にいたしましても、環境が全く変わるということ。道路に取られた場合とか、あるいはそこに橋ができるとかということは必ずしも全部環境が変わったと言えない場合があります。この飛行場の場合になりますというと、その人がその付近の飛行場のそばに片づくというわけにはいかない。あるいは十キロも二十キロも、人によってはもっと遠くに行かなければならないというような特殊な事情が含まれているので、その環境、収益性というものを広く考えれば、やはり飛行場の場合と道路買収の場合とはその性格がおのおの、いま申したような環境、収益性といいますか、そういう点でやはり総合的に考えざるを得ない。したがって、必ずしもこの閣議決定の方針を頭から無視したのじゃなく、プラスアルファが加えられた、また考えざるを得ない、こういう理解をいたしておるわけであります。
#263
○加瀬完君 その若干のプラスアルファというものは、これは考慮の余地がありますよね。しかし、一番警戒しておりますのは、公共用地の取得について呼び値をもとにしてきめてはならないということなんですね。これは建設省も御承認なさった。そのために不動産鑑定に関する法律でもできて、呼び値というものを押えよう、幾ら幾らと言うとそれに合わせて買い値をつけるという呼び値を押えよう。ところが、先ほどまでいろいろ公団の総裁からのお話を承っておりましても、近傍類地の価格として出したものは、みんな呼び値みたいな高い値段なんです。適正価格というのは少なくも上中下で見たその中だ、こういうものだ。中を一応基準に押えて適正価格とやるべきなのを、公団の適正価格の出し方というのは、上の最高価格みたいなものばかりをとってきているのではないか。そうすると、それは呼び値だ、そういう地価の決定というのは少なくも公共用地の取得には反する、こういう問題の議論をしたわけです。
 具体的に伺いますが、これは大臣がお知りにならなくても、事情を確認して御判断だけいただきたい。住宅公団の首都圏宅地開発の買い上げ価格を先例価格と見たのですね。それから近傍のわりあいに高値のところだけを何カ所か集めて、それを一つの基準価格と見たわけでありますが、近傍類地の取引事例価格を事情補正をして時点修正した価格は、宅地に八十万から百三十八万、畑は六十万から百七十八万、この価格が農地価格と言えるかどうかは別として、そういう数字が出ませんか。
#264
○参考人(今井栄文君) 先生がおっしゃいますように、純然たる近傍類地価格というふうな点で、不動産鑑定によって時点修正をするというふうなことになりますれば、まさにおっしゃるように百三十八万あるいは百七十八万、こういうふうなものが最高として出てまいるわけでございます。
#265
○加瀬完君 これは公団のほうで調べたものから計算をして、近傍類地の先例標準価格を時点修正をすると、宅地は六十四万から百二十七万、畑は七十九万から百十四万ということになりますね。この時点修正というのは、一番高いところと一番低いところを削って残ったもので平均値を出すと、こういう値段になりませんか。
#266
○参考人(石原耕作君) おそれ入りますが、もう一ぺん、いまの六十四万から百二十七万、七十九万から百十四万というのはちょっともう一ぺんお教えいただきたい。
#267
○加瀬完君 それではもう一ぺん申し上げますと、純農地と見た場合、畑が反当たり九万九千円−十九万九千円ですね、売買実例では。そうすると、特別な値段は一応排除いたしますと、最高のいままで御説明があった四百八十万と最低の九万八千円をはずしますと、最高は畑で百七十八万、最低は十五万ということになるわけです。だから、一応特殊な高値と特殊な低値というものを切ると、そういうことになります。そうすると、修正価格は、その最高と最低で押えても六十万−百七十八万、七十九万−百十四万、七十四万−百六十四万、九万九千円−十九万八千円、と幾つかの数字が並びますので、それを時点修正をすると、さっき言ったような数字ということにこれは落ちつくことになります。
 もう一度申しますと、宅地は六十四万から百二十七万、畑は七十九万から百十四万、近傍類地の先例標準価格の時点修正した価格はこういうことに落ちつくはずでございます。それを畑百四十万という押え方は地価としてはどうしてもふに落ちない。いままでの公共用地の取得からいえばふに落ちない。結局これは地価プラスアルファ、こういうことになるのではないか。橋本大臣もおっしゃるようにアルファを加えた。アルファは地価に含まるべきものではなくて、地価は地価、特殊事情があるのだから、この際これは生活保障なりあるいはその他アルファの項目を見つけて地価にアルファを乗せるというならば、これはほかの地価の取得の場合には問題はない。それをくるめて百四十万といたしますと、地価が百四十万という評価になる。そういう方法は少なくとも基準要綱に準じた方法ではない。橋本さんのおっしゃるような内容が必要だとするならば、それは地価とは別にこれは補償要綱をつくって支給すべきであって、その生活費をまかなうような面までも地価の中に組み入れるということはおかしい。なぜならば建設省では補償料なり離作料なり、あるいは商店の場合ならば休業手当なり、そういう補償のしかたがあるわけですから、ここもそういうような方法をとるべきで、とにかく二百万、三百万という呼び値がある、それに合わせて百四十万でがまんしろい、こういう形でその百四十万の計算の内容というのは何にも確たる根拠がない。こういうやり方は、私は基準にはずれる、こういう点を申し上げているわけです。
#268
○国務大臣(橋本登美三郎君) まあ公共用地を買収する場合、いろいろなことがありますけれども、ただ、こういうことが言えませんか。私のところでもそういう例があるんですがね、鹿島港開発について。いま、鹿島港からずっと離れたたんぼが一反歩三百万円以下では買えません。農地としては三十万ぐらいでしょうけれどもね、環境、収益とかいうようないろいろなことが……。したがって、そのときの地価の相場は、空港ができるんだと、国際空港ができるんだという瞬間からやっぱり地価は上がっていったろうと思うんですね。それをいわゆる普通の、そろいうことのない当時のものの価格だけを標準にはできないということですね。ですから、やはりこの空港ができれば当然、空港以外の周辺の土地でもある程度の価格は出てくる。おそらくいま、私よく知りませんけれども、空港の近辺の土地はやっぱり二百万円−百五十万円以上だろうと思うんです。何も買い進みとか、そういう将来を考えることはないが、とにかく買う時点においてすでにある程度、やっぱり過去のいわゆる田畑の素材とは全く違ったものの価値の形成をしておる、価値の変化をしておる。こういう意味においてやはり算定の内容、しかたを――しかたよりか土地の内容が変わってきている。こういう意味において私は単純に、いわゆるこれは農地である、これは山であるからといって、むごい値段で買うということは政治じゃないんじゃないかと。やっぱりそれが、そこにできなくて隣にできた場合でも同じですよ。それがいまのところでなく隣にできた場合、そこがやっぱりそういう相当の価格が出てくるんだろうと思うんですね。ですから、まあ行政でも同様ですが、政治の場合においてはやはりそういう点が考えられる。道路とか鉄道の場合は、これは駅付近などは特別の価格があります。それから駅から離れたところなどは、やっぱり農地に幾らか仕事のじゃまになったという程度の補償が入るようですけれども、そういうものも含めて価格にするようですが、やっぱりそういう事情は当然考えなくちゃいかぬと思いまするからして、したがって、環境、収益性も土地の買収価格の中に含めた場合には重要な要素になる、こう考えていいのじゃないかと思うのですがね。
#269
○加瀬完君 先ほど指摘したように、それは政治価格ということではないか、政治価格というのは禁じられている。たとえば、こういう公共用地を取得する場合に、一応不動産鑑定士の鑑定書というものを基準にするということになっておる。ところが、不動産鑑定士は、最高は百三十万という評価をしているわけです。しかし、空港ができるというとどうしても値段がつり上がるという御説明ですけれども、同じ時点で、千葉県はその周囲を七十万ないし八十万で買っている。正確に言うならば、地価は六十万、七十万、それに十万ずつの報償金というものを加えて、合計しても七十万、八十万で買っている、同じ地域で。同じ農地で七十万、八十万で買えるものを、空港の敷地だからという理由で一体百四十万で買うというのはこれはおかしいじゃないか。もしも空港の敷地というだけで、道一本隔てて向こう側とこちら側で七十万と百四十万という差をつけるなら、等価交換で空港の中のものと外のものと取りかえたほうがはるかに安くつくということにもなるのじゃないか。それを政治価格で百四十万と中は買う、外は七十万か八十万。ですから、土地を売る者は、外側が、すぐ道を隔てた隣が七十万であるものが百四十万で売れるわけですから、喜んで売るでしょう。ところが、そこで農業経営をしたいという、農地を保全したいという者については何も対策がない。そうすると、それは政治でありますから、ある程度政治価格も必要でしょうけれども、政治も一つの均衡を失しては問題でありますから、一方には、賛成ということだけで、七十万の土地を、かりに県の価格を押えても七十万で御の字で売ったものを百四十万で買ってやる。片一方は、ここを離れては農業経営ができないんだという者があっても、その者に対しては具体的な対策は何にもないということになれば、これは賛成派だけにプレミアムがついて、反対派には、生活の権利もあるはずであるのに、何にも政府は対策を与えてくれないじゃないか。しかも、その百四十万という買い方は、いままでの公共用地の取得の方法とは違って便宜な政治価格を出している、けしからぬ、こういう不信感というのが出てきたって、これはあながち無理ではないということになろうと思うわけです。空港敷地だけ百四十万に決定するという根拠は何だと、先ほどから申し上げておるのです。外は七十万、八十万で買えるものを、一体百四十万という評価は何だ。不動産鑑定士を入れて鑑定しなけりゃならないのであるのに、鑑定は幾らだといったら、鑑定は最高百三十万、どう考えたってこれは公共用地取得の基準に合わせて作業が進められているということにならないじゃないか。こういう問題を繰り返したわけですが、それは、いまもう大臣にはお答えいただかなくてもいい。ただ一つ、政治価格で、七十万で買えるものを百四十万で買っちゃった。しかし、おまえのほうは土地を失って農業経営もできなくなるんだから、それは知りませんよということで、これで政治のバランスがとれるか、この点をひとつお答えをいただきたい。
#270
○政府委員(山村新治郎君) 加瀬先生には、七十万と八十万と、この線だけ答弁さしていただきます。
 実は、七十万、八十万という問題は、これは過去、昭和三十九年ごろからにさかのぼりまして、富里、八街地区が候補地であったころの賛成派のメンバーでございまして、そしてこの場合に代替地として県が買ったわけでございますが、その場合に、反対派の中に、要らないと、もう幾らでもいいから買ってくれれば出ちゃいたいというようなのがここの中で数多くございました。同時にまた、賛成して空港誘致をやっていたのだが、とうとうわきへ行かれちゃったというところで、それならばしようがないから移って他へ行きたいというようなのが数多くございまして、七十万、八十万、これはいわゆる一般の売買と違いまして、感情問題、またそのほかの問題がからまっていて、七十万、八十万ということでございまして、中には実は七十万、八十万では売りたくないという人間も数多くあったわけですけれども、空港建設協力会というのをつくりまして、ひとつ空港をつくるためだというようなぐあいに説得いたしまして、まあ、七十万、八十万というのが出たわけでございますので、これがその周辺の一般の売買の値段とはちょっと違うものがあるのじゃないか、私はそこはそのように考えております。これは代替地の七十万、八十万の問題についてだけであります。
#271
○加瀬完君 大臣に聞いているんですよ。
#272
○参考人(今井栄文君) 反対派の方々に対する問題については、大臣からお答えをいただくことにいたしまして、いま、先生の御質問の七十万、八十万、山村政務次官から、いろいろ現地の事情詳しいので、いろいろお話があったのですが、これは一般の売買の関係からいたしますと、先ほど申し上げましたように、空港敷地の中の方々は全部外へ出ていってしまう。しかも、空港公団は、それは何としても譲っていただかなければならぬ立場にあったわけでございまして、いま代替地で県が七十万、八十万で買われたというのは、むしろ売り手のほうが県の要望に対して売りたいということで、その値段で落ちついたわけでございます。だから、先生も御承知のように、現在富里、八街等で、その七十万、八十万で県の買収要望に応じなかった方々の土地は、一体どうなっておるかということになると、これはとても百四十万や百千十万では手に入らない。先ほど申し上げたとおりであります。
#273
○加瀬完君 大臣が答える前に、はぐらかされちゃ困るよ。七十万、八十万で県が買った時点は、富里から三里塚へ空港が移った時点ですよね。だから、やりようによっては七十万円、八十万円で買えないとも限らない。しかも、山村政務次官がおっしゃるように、富里の賛成派だけが七十万円で売ったわけじゃない。富里には関係がない。成田地区に入るところも、やはり八十万で売っているわけです。だから、何も七十万円、八十万円で買わなくてどうこうじゃない。同じ時点で県が七十万円、八十万円で買ったものを、どうして道一本隔てて空港の敷地に該当するからといって、そこだけ百四十万という評価が出るか、それを問題にしているわけです。それから、百四十万といろ評価をするからには、不動産鑑定士の適正な鑑定があるだろう。若干先ほどの繰り返しになりますが、その不動産鑑定士を頼んだ、適正な鑑定は出せなくて、見積もり価格。一筆調査をしなくて、公団のほうから注意があってあぶないと申しますから、自動車で大きな道だけを通りました、それでも目の届かないところは飛行機で見ました、それで鑑定しましたという鑑定価格が、はたして「良心に従い、誠実」な鑑定をしたという、不動産の鑑定の評価に関する法律できめられたような鑑定になるのか。そういうことで百四十万がきまったとすれば、この百四十万は、公共用地の取得の基準に即した適正な価格といわれないんじゃないか。しかし、空港をつくるためには、アルファを加えなければならないというなら、アルファを加えることは認めましょう。それならば、地価とアルファというのは、なぜ区分けをしなかったか。建設省なんか、ちゃんと区分けしているじゃないか。地価は地価、アルファはアルファということならばわかるけれども、その区分けをしなかったというのが一点。
 それからもら一つ、七十万円か八十万円で同時点で売買されているところを、空港であるということで、百四十万で買ってやる。しかし、同じ空港の中で、これは土地を手放してしまっては、農業経営、生活ができないという者に対しては、何も具体的な手当てをしておらないということでは、バランスがとれないではないか。特にあとのほうを、これは大臣にお答えいただきたい、こういう質問なんです。
#274
○国務大臣(橋本登美三郎君) どうも加瀬さんのお話は、非常に明快だし、頭がいいので話はわかりいいのですけれども、ただ、聞いていますというと、まあ失礼な言い分かもしらんが、水でいえばH2Oという水で、味がないという感じがするのです。そういうところ、加瀬さんは容赦なくやるものだから……。
 まあしかし、いろいろの議論はありましても、政治なり行政の上では、まあまあある程度基準を原則として、いろいろの措置が講ぜられる。これはわれわれが日常生活でもそうであります。そういう意味で、私は公団が買いました金額等については、無理はない、妥当なものだと思っております。
 そこで、私に対する質問ですが、質問はちょっとよく意味がわかりませんけれども、いまなお反対で残っておる人に対しては、賛成して外へ出た者と同じような待遇をするのかしないのかという御意味なのか、それとも、そのままそこにおって何とかしてやれないのか、こういう意味なのか、ちょっと意味がよくわかりません。もし、そこに残っておったままで何とかできないのかというなれば、これは不可能であります、飛行場をつくろうというのでありますから。そうじゃなくて、これからでもまあ外に出たい、そこで、それに対しては賛成派に与えたような、金額は別にいたしましても、あるいは便宜的な条件を考えてやるつもりがあるのかどうかということであるならば、当然、それは反対であろうと賛成であろうと、その農民の生活をできるだけ守ってやるといろのが考え方の根本でありますから、最善の措置は講じたい、かように申し上げておきます。
#275
○加瀬完君 ちょっと質問をもう一回繰り返して恐縮ですが、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱には、その八条に「通常の利用方法に従って利用し得るものとして評価するもの」とする、とあるわけです。もう一度申しますと、「通常の利用方法に従って利用し得るものとして評価するもの」とする、ということであれば、空港だから高く買うという評価はできないわけだ、これは。山林なら山林、原野なら原野を通常の利用方法に従って利用する場合、この原野が幾ら、山林が幾らかという評価をしなければならないわけですから、道路から道も何もないところ、二キロも三キロも離れていますけれども、空港だから一番道路寄りの百四十万と同じように百四十万だという評価は第八条によればできないということになる。だから、なぜ地価は地価として評価をして、そしてそこで農業経営ができなくなる、生活が保てなくなるというならば、その国策によって犠牲をこうむるということで生活保障という方法をとらなかったのか。どう考えたって、公団たりとも公共用地の取得に関する基準は守らなければならないのだから、そうすれば、その第八条にある「通常の利用方法に従って利用し得るものとして評価する」という、これをのがれることはできない。しかし、そういう方法はとっておらないじゃないか、こういうことが一点。
 それから、これから飛行場をつくるとかつくらないとかということは、それぞれの立場で賛成反対もあるし、つくらせたいという者もあるし、つくらせたくないという立場の者もあるでしょう。それはこの際は触れないで、賛成な者は安いところを百四十万で買ってやる、反対をしている限りは、おまえらがどんなに農業をやりたいと言ったって、具体的には何らの対策も考えない、こういうやり方がいままで行なわれておるけれども、これをこのままアンバランスを見のがすことができるか。そうすると、公団はかえ地がありますとかなんとか言うでしょうけれども、大臣にここで少しお考えいただきたいと思いますが、いま空港敷地の中で農業経営をしている一部分は、これは全く外側とあまり畑条件が、地質条件が変わらない開墾地帯、しかし、大部分は非常に長い間の丹精で、少なくも埼玉県から移住してきた、どこから移住してきたというものの少なくとも五十年ぐらいかけた良田ですよ。この間も私は申し上げたんですけれども、この百姓たちは、おれたちの畑には草の種はないのだということを自慢しているわけです。その草の種のないような畑と、これから十年もたたなければ一人前の畑にならないようなところを、かえ地でございますから交換しろと言ったって、感情として、百姓が悪い土地へ移っていきましょうということにならないわけですよ。ですから、いまの耕作条件あるいはいい立地条件のところをつくって、どうだというならまだ話はわかりますけれども、そういう対策は具体的には何にも進められておらない。
 もう一つ。農家というものは、大臣御存じのように、一つの集落が生活形態になっているわけです。公団の住民のように、こっちの二DKよりこっちの三DKのほうがいいから移れと言ったら喜んで移りますけれども、農家というものはそういうわけにいかない。神社があって、お寺があって、何年か先祖代々一つの集落で暮らしているわけですから、その集落ごとの移転というものも考えないと、感情としてはおらは賛成だけれども隣と別れて行くのがいやだから、こういう気持ちにもなり得るわけです。そういう農民心理に対する配慮というようなものは、具体的には何にもない、こういう点が――そして、聞くところによれば、確実に取得のできないときには、これは空港というのは認可されないというのだから、空港はできないだろう。それならば頼んで一坪地主でも何でも一千人でもぶっ込むかと思ったら、そんなものは何のことはない。確実に取得ができようができまいが、認可はされる。そんならば、土地価格は、いままで公共用地の取得基準というのがあって高くは買えないそうだから、高く買わなければ反対がたくさん残るだろうからと思っていたら、それはもら問題なく呼び値にすべて価格を上げて、金につられた賛成者というものをふやしていく。こういうことになると、おれたちは一体何にもかまってくれないのか、おれたちは、反対している限りは、食っても食えなくてもかってにしろということか、ここで野たれ死にをしろということか、そんなら、どうせそういうことでやられるなら、とことんまで、うちがこわされ、われわれ引きずり出されるまで反対しようというような気持ちにさせられているわけなんですよ。まあ大臣のほうから見れば、公団から見れば、社会党があと押ししているから、共産党がいるから、全学連がいるからというけれども、そういうことではない。そんなことに関係なく、やはり賛成者だけうまくやって、反対者をひどい目にあわせているんじゃないかという不信感が非常に強い。こういう点に対して、何にも具体的対策がないということでは、問題の解決にはならない。これについてお答えをいただきたい。先ほど、こういう内容で申し上げたのです。
#276
○国務大臣(橋本登美三郎君) 反対派といえどもこれは日本国民の一人ですから、決してさようなむごい、冷たい考えは持っておりません。話は違うかもしれませんが、政府は、赤軍派の学生たちを、北朝鮮に行きたいと言うので終局的には北朝鮮に送り込んだのですから、したがって、ましてや善良なる農民諸君が自分の土地の問題について愛着を持っておることもよくわかります。何十年という血と汗とあぶらをつぎ込んだ土地であるから、離れがたいこともよくわかる。しかし、ある一定地域はどうしてもこれは飛行場として要るわけなんですね。その中で農場を経営するわけにもいかない。ですからして、適当なところに、農民各位が完全満足とはいかぬにしても、ある程度満足し得るようなそういうようないわゆる移転を計画し、またそのためには国も県も全力を尽くしてやろう。こういう善意だけは、これは理解してもらわなくちゃ困るのです。同じ土地をつくれといっても、これは神さまだってできないのですから、これは無理でしょうけれども、しかしながら、農業を営む上においては、部落生活をする上においては、何とか前と同じような状態になるようなところを考えていきたいということでありますからして、決して何もかまわないということではないのでありまして、その点は十分に農民の立場も理解し、かつまた、よく理解するようにまた説得もし、そうしてまた、ひとつぜひこの際は、最小限度これだけのものが要るのであるからして、これだけは理解してほしい。そのかわり、反対しておられた人たちに対しても十分なる措置を考えていくと、移転の場合においても。かように考えておるのでありますから、政府がむごい態度をとっておると考えることは、これは少し曲解であろうと思います。その点、加瀬さん等は反対者にも十分に、関係といいましょうか、お知り合いがあるのでありましょうから、政府は決してうそをつきませんと、まじめにその間の将来のことも考えておるのだということをひとつ御協力願ったら、たいへんうまくいくのじゃないかと思います。
#277
○加瀬完君 この周辺整備事業で、関連事業として畑地かんがいとかいろいろなことをやるように計画されておりますがね、それならば、大臣のおっしゃるように、空港の中で政府としては移転を求めたい農民に対して、完全な農地なり住宅なり、そういうものを具体的に与えるという方策がいままでありましたか。
#278
○参考人(今井栄文君) これはさかのぼって恐縮でございますけれども、私どもが五百町歩代替地を国有地、公有地並びに民有地というふうなことで千葉県知事の協力を得て用意いたしましたのも、実は敷地の中の反対派の方々も十分御希望によって代替地の選択ができるという線で努力をいたしたわけでございますが、不幸にして現在のところではまだ御納得にならない方々があって、しかもそれは、大部分のところはそれぞれ条件派の方々が大部分を得たと、したがって、現在百町歩前後残っておりますけれども、先ほど加瀬先生のおっしゃるように、反対派の篤農の方々で特に古くからあの地に居住しておられる方々が、そういうふうなところへいくわけにはまいらぬというふうなこともございまして、この点では加瀬先生のところへ私もたびたびおじゃまをいたしまして、何とか御満足のいくような代替地はないであろうか――先生よく山武郡山武町というところの畑ならりっぱなものではないかというようなお話もございましたし、私どもとしては先般も知事と御相談いたしまして、加瀬先生のおっしゃるような反対派に対する代替地の取得、造成という点についてぜひ実現していきたい。その点についてはひとつ加瀬先生も何とか御協力をお願いしたい、こういうふうに実は考えておるわけでございまして、政府の意を受けてわれわれとしては決して反対派に対する対策というものを無為無策に過ごしておるわけでないことを加瀬先生もぜひ御了解願いたいと思います。
#279
○加瀬完君 そうおっしゃっても、具体的にはここでございますよというのはないでしょう。まあ、いまになれば死児のよわいを数えるようですがね、切り売りをするときはほしいけれども、畑としてはそんなに必要でない、こういう条件賛成派の者も多かったわけでございますから、まずそういうものは金でも解決できるわけだし、地味の肥えているやせているというのはそれほど問題にしないという人たちもいたわけですから、地味の一番肥えておって、いまの営農条件もいいというところを先に確保して、いまあなた方反対しておりますけれども、とにかくあなた方のためにここだけは確保してますよと、いつでもいらっしゃいと、畑地かんがいもできておりますよと、住宅もできてますよと、こういう対策というものがあってもこういう反対になったかどうかというと、私はかりに社会党がそんなに扇動したって、いい土地があればそれは移っていきますよ。つくります、やります、さがしますといったってね、さがしもしていなければつくってもいない。それで収用法だけぶっかけて、これでは私たちのために考えているという感触は浮かびませんね。
 時間もだいぶたっておるようでございますから、それからもう一つ。これは政府が簡単な方法でそういう問題はないということをはっきりさせていただける問題が一つある。岡委員が指摘いたしましたように、私はそうは思いませんが、軍事空港として利用されるということに対する不安感が非常に多い。しかし、現在の国際情勢や安保条約の内容では否定はできないのですよ、これは。軍事空港に利用されるということは絶対にないという法的な否定はどこでもできない。そこで、まあ私にまかせてくださいと、大臣はそうおっしゃいましたがね。そうではなくて、おまかせしますから、ここではっきりと、かりに成田空港が出現をいたしても、ここは軍事利用は一切させませんという協定をアメリカに対して取りつけて、どうだとお示しになれば空気もまた若干変わってくると思うのです。そうでなくて私にまかせてくださいと言ったって、永久に運輸大臣を橋本先生がおやりになっているわけではないし、あるいは外務大臣、引き続いて外務大臣になられて、これは外務大臣の本番で解決しますということになるかならないかは将来のことでわからない。そこで、現在の閣僚としてその取りきめをきちんとしておいてくれるなら、その点ではまたそういう攻撃だけはする余地がなくなってくるわけですけれども、この点どうでしょう。口約束だけではどうもね。
#280
○国務大臣(橋本登美三郎君) まあわれわれ責任ある立場ですから、総理大臣もかく言い、外務大臣もそう言い、その他運輸大臣、私運輸大臣だけじゃなく、こういう公式の席上で明確に答えておるのですから、一片の協定よりもそのほうがより私は強いと、かように考えております。
#281
○加瀬完君 前々大臣の中曽根さんがそういうお話をなさった。そこで原田さんのときに、そう言ったって行政協定というもののある限りそういうわけにいかぬのじゃないか、あなたが幾らがんばったってどうにもならない場合もあるんじゃないかと言ったら、それはそのとおりだ、中曽根君はああいうことを言ったけれども、それは現に行政協定がある限り、私一人がんばってもどうにもなるものではない、こういう意味のことをお答えになっておる。ですから、大臣個々によっていろいろ御見解が違うということのないように、もしもそういう総理大臣を含めてのお立場をおとりになるならば、ここではっきりさせていただきたいと思いますが、大臣いかがでしょう。
#282
○国務大臣(橋本登美三郎君) これはもう前の委員会でも強く申し上げましたが、安保条約でも何でも、条約というものは、お互いの国民が信頼し合うという意味においてのみ力があるんです。だから、口の悪い外交官は、単なるペーパーにすぎないなんということを言ったかつての外交官がありますが、あるいは日本とソ連との間の中立条約不可侵条約、これも一ぺんに吹っ飛んでしまった。問題はそういうことじゃない。政治家として国民に責任を負うか負わぬかということが最大の要件でありますから、これは政府――総理大臣以下われわれがかく申し上げることが一番信頼するに足ると、かように考えております。
#283
○加瀬完君 私は橋本さんを信頼しないわけじゃありませんが、将来にわたって保証されているという条件はとれていないと思うわけでございます。御趣旨はわかりますが、私どもの要望ももし御採用いただけるならば、そういう線で御努力いただきたいと思う。
 それからもう一つ、この騒音対策というものは全然と言っていいくらい講じられておらない。一定の音の高さの範囲というのは公共施設等は保障をされますけれども、一般住宅なり一般民家なり全然それは保障の対策はされておりませんし、それから大型機になりましたときにどういうような騒音被害が出るかということも飛んできてみなければわからない。そこで、ここに空港を開設するという形になって、非常に住民が生活をしていく上に被害が大きい、しかも対策の立てようがないというときにはどういう措置をおとりなさるんでしょうか。それでもおまえのほうできちゃったんだから、しかたがないんだからがまんしろと、こういうことになるんでしょうか。それともまず対策を考えるが対策が立たないというときには、その空港そのものについて再検討するということになりますでしょうか。
#284
○国務大臣(橋本登美三郎君) 御承知のように、公害問題はこれから政治において最大の課題であります。その公害のうちの一つは騒音対策だと思います。したがって、これは先進国でもそうでありますが、そうした騒音等について制限を加えるいろいろ方法をとっているわけであります。したがって、われわれはこの騒音対策、もちろんこれから十分な施設を行なわなくちゃなりませんし、また時代とともに思い切った騒音対策を必要とするでありましょうが、いわゆる民家の人々が住むにたえないような状況をつくることは絶対にない、こういう確信を持って騒音対策をやってまいりたい、かように考えております。
#285
○加瀬完君 あったらどうするか。現実にそういうことがあった場合には検討していただけると解釈していいですね。それは一応対策を立てていただきますが、対策がなかなか立ちかねるというのがいまの現状、今日から類推される状態ですね。だれが考えてもあそこに飛行場を置くことは、あの規模で、あの拡大した形で騒音区域が広がる、騒音被害が広がるというような状態になったときに、おまえらはしかたがないよ、できちゃったのだから、百四十万で買ってやったのだからということにはならないだろう、こういうことなんです。
#286
○国務大臣(橋本登美三郎君) さような心配のないように騒音対策は万全を期します。そんなことを言ったら飛行場はどこにもできない、羽田も同様です。大阪の伊丹も同様です。それは人知のあらん限りを尽くして環境をよくすることが政治の目標です。また、日本の万博の標語じゃありませんけれども、いわゆる進歩と調和がそこにあるのですから、全力を尽くしてやりますから、そのような御心配はあたらないという確信を持っております。
#287
○委員長(温水三郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#288
○委員長(温水三郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#289
○加瀬完君 私は、日本社会党を代表いたしまして、本法案に反対をいたします。
 以下、反対の理由を申し述べます。
 第一点は、成田空港は国際空港としては不完全であるという点であります。先般も質問で指摘を申し上げましたとおり、何回か計画変更をされて成田空港というものはでき上がったわけでございます。少なくも、国際空港としての質が相当変わっております。最初は国内、国際兼用でありましたものが、国際線専用になったわけでありますので、当然当初計画は変更されたことになります。使用目的が変更になったわけですから、当然計画も変更されなければそこに矛盾が未解決のまま残るわけであります。しかも、将来にわたる国際空港としての施設としては、はなはだしく不完全でございます。と申しますのは、公団法の長期にわたって使用に耐えるものとはなっておらないということにもなりますので、公団法にはずれる空港ということにもなるわけでございます。これが反対の第一の理由であります。
 第二の理由は、成田空港の建設は法律違反であるという点であります。航空法三十九条によれば、空港認可の条件として、敷地の確実な取得、住民の利益を著しく害してはならないことが規定されております。ところが、敷地は確実に取得できない状態にあります。住民の利益に対しましては具体的な保護の対策はございません。明らかに法律違反のまま工事が進められていることになるわけでございまして、政府が違法行為にほおかぶりをしておるということをわれわれは許すわけにはまいりません。最小条件の上から見ても、住民にはかってきめるというたてまえを完全に放てきしていることが問題であります。
 第三の反対の理由は、成田空港では生活権が無視されておるということであります。農業経営権あるいは安穏な生活状態の維持について、何ら具体的な対策はございません。たとえば、農業経営状態の調査、同一経営条件の維持の具体策は全然なく、かつ、空港公害の最たる問題でございます騒音については、騒音に関する調査も不十分であるし、もちろん対策も十分ではありません。
 第四の反対の理由は、成田空港は米軍利用を排除する法的あるいは行政的措置が全然とられていないという点であります。軍事利用に伴う危険性の排除がない限り、住民の不安はぬぐうべくもありません。
 反対の第五は、土地価格への不信であります。賛成者にはプレミア、反対者には迫害と、こういうことが地元ではいわれておりますけれども、少なくも土地価格は、政府のそれぞれの閣議決定事項なり、行政慣例なりというものを無視してきめられております。それに反しまして、先ほども申し上げましたが、ここで生活のかてを得ておるあるいは先祖伝来農業のみで生活を立てている、こういう生活権の保護というものには、何ら具体策がございません。これでは、賛成者だけに利益が与えられて、反対者には何らの救済が与えられないという行政のアンバランスでは、政府に対する住民の信頼というものをかちらるわけにはいかないと思うのでございます。
 以上の五点をあげまして、私は本法案に反対をいたします。
#290
○委員長(温水三郎君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#291
○委員長(温水三郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#292
○委員長(温水三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定しました。
 なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じすすが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#293
○委員長(温水三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしましす。
 橋本運輸大臣。
#294
○国務大臣(橋本登美三郎君) 皆さんの慎重審議の結果、採決をいただきまして、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。
#295
○委員長(温水三郎君) 次に、タクシー業務適正化臨時措置法案を議題といたします。
 政府から提案理由の説明を聴取いたします。橋本運輸大臣。
#296
○国務大臣(橋本登美三郎君) ただいま議題となりましたタクシー業務適正化臨時措置法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 わが国の経済成長に伴う産業構造の高度化は、企業の管理中枢機構、情報部門等の都市集中をもたらし、都市人口の増加を招いております。
 このような都市人口の増加は、企業活動の活発化と相まって都市交通需要の急激な増加となってあらわれ、御承知のように都市交通に関して種々の問題を惹起いたしております。
 中でもタクシーはその機動性、迅速性、随時性等が近代的経済活動の要求に合致しており、さらに所得水準の向上に伴いタクシー利用者層が拡大し、その利用回数も急激に増加しており、今日では大衆交通機関として国民の日常生活に密着したものとなっておりますが、ここ数年来東京等の大都市におけるタクシー輸送につきましては、乗車拒否をはじめとする違法行為が頻発し、そのサービスの低下が社会的問題となっております。
 このような事態は、本来タクシー事業者の責任とタクシー輸送に従事する運転者の自覚によって是正されるべきであると考えますが、タクシー輸送の都市における国民生活に占める役割りの重要性にかんがみ、政府といたしましても早急に改善のための措置をとるべきであると判断いたした次第でございます。
 このため、昨年、タクシー輸送サービスの改善に関する総合的対策を樹立し、これに従って諸種の施策を実施に移しているところでありますが、さらにタクシーの運転者の確保が困難であるためタクシーの輸送力が需要量に対し著しく不足しており、かつ、乗車拒否等の違反行為がひんぱんに行なわれる等タクシー事業の業務が適正に行なわれていないと認められる地域においてタクシー業務の適正化をはかるためには、当分の間、法律上の措置により悪質運転者を排除する等の必要があると判断し、ここに本法案を提出することといたした次第であります。
 この法律案のおもな内容は次のとおりであります。
 第一に、前述しましたようなタクシー業務が適正に行なわれていない地域を指定地域として政令で指定いたしまして、その地域内のタクシー運転者の登録を行ない、登録にあたっては道路運送法に定める要件を備えていない場合等にはこれを拒否することとし、運輸大臣は、乗車拒否等違反行為をした運転者の登録を取り消し、二年以内の登録禁止期間を設ける等の措置をとることができることといたしております。
 この場合において指定地域内のタクシー事業者は、タクシーに登録運転者以外の者を乗務させてはならないこととするとともに、登録運転者を乗務させる場合には登録タクシー運転者証を表示しておかなければならないことといたしております。
 なお、登録等の事務は、登録の取り消し等にかかわる処分を除き、一定の基準に適合する財団法人を指定して、これに行なわせることができることといたしております。
 第二に、指定地域においては、運輸大臣は、街頭指導、研修、苦情処理、タクシー乗り場及びタクシー運転者の共同休憩施設の設置運営等第一定の業務を行なう財団法人を指定して、これらの業務の遂行に必要な経費を当該地域内のタクシー事業者から負担金として徴収させることができることといたしております。
 その他、指定地域にあっては駅前、繁華街等において時間を限ってタクシー乗り場以外でのタクシーへの乗車を禁止する制度、研修命令制度等を設けることといたしております。
 以上がこの法律案を提案する理由であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
#297
○委員長(温水三郎君) 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二十九分散会
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ソース: 国立国会図書館
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