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1970/05/13 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第3号
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1970/05/13 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第3号

#1
第063回国会 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第3号
昭和四十五年五月十三日(水曜日)
   午後一時十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月九日
    辞任         補欠選任
     須藤 五郎君     渡辺  武君
 四月十一日
    辞任         補欠選任
     渡辺  武君     須藤 五郎君
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     剱木 亨弘君     土屋 義彦君
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     土屋 義彦君     剱木 亨弘君
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     須藤 五郎君     小笠原貞子君
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     田渕 哲也君     向井 長年君
 四月二十八日
    辞任         補欠選任
     剱木 亨弘君     土屋 義彦君
 四月三十日
    辞任         補欠選任
     土屋 義彦君     剱木 亨弘君
 五月四日
    辞任         補欠選任
     阿具根 登君     鈴木  強君
     小笠原貞子君     須藤 五郎君
 五月六日
    辞任         補欠選任
     井川 伊平君     長田 裕二君
     鈴木  強君     阿具根 登君
     向井 長年君     田渕 哲也君
 五月七日
    辞任         補欠選任
    長田 裕二君      井川 伊平君
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     井川 伊平君     木村 睦男君
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     木村 睦男君     井川 伊平君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         川上 為治君
    委 員
                剱木 亨弘君
                山本敬三郎君
                阿具根 登君
                大矢  正君
                竹田 現照君
                矢追 秀彦君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   宮澤 喜一君
   政府委員
       通商産業大臣官
       房長       高橋 淑郎君
       通商産業省鉱山
       石炭局長     本田 早苗君
       通商産業省鉱山
       保安局長     橋本 徳男君
       労働省職業安定
       局失業対策部長  遠藤 政夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (当面の石炭対策樹立に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(川上為治君) ただいまから石炭対策に関する小委員会を開会いたします。
 この際、産業貿易及び経済計画等に関する調査中、当面の石炭対策に関する件を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言をお願いします。
#3
○竹田現照君 二、三お伺いをいたしますけれども、産炭地域において炭鉱が閉山をすることによってたいへん深刻な影響を受けておりますが、とりわけ私の選挙区の北海道等は寒冷地で、なお一そうその受ける影響というものは深刻でありますが、こういう情勢に対して政府は十分この特殊な状態というものを考えられて産炭地域振興対策に特別の配慮があってしかるべきだと思いますが、いかがなものでしょうか。
#4
○国務大臣(宮澤喜一君) 第四次の対策におきましては、どうしても閉山をしなければならないという情勢に立ち至りましたときには、いろいろな点で私どもとしてはまあできるだけのことを手厚く考えておるつもりでございます。で、経営者あるいは信用秩序の面、また労務者の退職あるいはその後の再就職というようなことにつきましては、かつてほど心配した状態ではございませんけれども、何ぶんにも山を中心に地域がつくられておりますために、地域の閉山後のあり方というものについては、私ども非常に実は心配をし、またお気の毒に思っておるわけでございます。
 それにつきまして、御承知のように事業団において工業用地の造成といったようなこと、ことに北海道にその場合が多いわけでございますけれども、そういうこともできるだけいたして、そしてその融資比率も引き上げたり土地譲渡価格を引き下げたりいたしておりますし、なおその地方に対しましては一種の交付金のようなものも差し上げて、不十分ではありますけれども、地方団体の財政需要を助けようと、こういったような施策をいたしております。いたしておりますが、何と申しましても工場用地をつくりましても、地域によりましてはかなり辺ぴなところでございますので、十分にこれで従来の炭鉱にかわり得る仕事がすぐに生まれるというわけには現実にまいりません。ですから、私どもまあできるだけそういう施策を推し進めていく。実際、閉山がございますと、私どもが一番心を痛めるのはその点でございまして、今後とも決して常に十分とはまいりませんかと思いますが、できるだけのことはしてまいらなければならないと思っております。
#5
○竹田現照君 原料炭を確保するという意味で新鉱開発等がいろいろといわれておりますけれども、この新鉱開発に対する考え方についてひとつお伺いしたいと思います。
#6
○国務大臣(宮澤喜一君) ことに最近は原料炭の需給状況が、ある意味では逼迫をいたしておりますので、十分に需要家の需要に合うというような原料炭でございましたら、私ども新鉱開発は積極的に進めてまいりたいと考えております。また、そのための助成措置もございますし、現に大夕張等においては多少の新鉱開発が行なわれつつございます。私ども基本的な方針として、需要家の協力が得られるであろう原料炭については、新鉱開発は積極的に考えていきたいという政策でございます。
#7
○竹田現照君 体制委員会が発足したようでありますが、それはいまどういうことになっておりますか、体制委員会の審議の現状ですが。
#8
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府委員から御説明さしていただきます。
#9
○政府委員(本田早苗君) 体制委員会につきましては、現在まで二回開きまして石炭鉱業に関する各般の問題を広く検討して、その中から結論を逐次出していこうと、こういうことに相なっておるわけでございますが、われわれのほうといたしましては石炭鉱業がきわめてきびしい現実に直面しておるということにかんがみまして、審議会の審議はできるだけ促進してまいるよう、資料等の提出はできるだけ短期間に提出して結論を急ぐようにいたしたいというふうに考えておる次第でございますが、審議の状況は、現在まだ始まったばかりで、問題点の整理が行なわれつつあるという段階でございます。
#10
○竹田現照君 体制委員会の答申はいつごろ出る見込みなんですか。それと石炭の状態からいって、なるべく早く答申を得られるよう政府側も促進をされる必要があると思いますけれども、その点はいかがですか。
#11
○政府委員(本田早苗君) さきに本年の八月に答申を得るということで体制委員会を設置するということを従来からの方針といたしておりましたが、最近の問題点の提起の状況からまいりますと、必ずしも八月を待たずに結論を出さねばならないものも出てこようかと思いますので、それらの問題についてはできるだけ審議を急いで結論を願えるようにいたしたいというふうに考えております。
#12
○竹田現照君 大臣、衆議院の石炭対策の委員会で第四次石炭政策の何か手直しをなさるような意味の御発言があったように、この間ちょっと私テレビで見ておりましたら、土曜日でしたか、ありましたけれども、それはどういうことですか。
#13
○国務大臣(宮澤喜一君) 衆議院の石炭特別委員会における御質問は、石炭鉱業の将来の問題についていろいろ御指摘がありまして、そこで、体制委員会を開いておるであろう、もし体制委員会において将来の見取り図について、いままで考えておったのとはかなりまた問題は深刻で、違うというような結論が出た場合に、政府はどうするのか。第四次対策というものはもう一歩も動かさずにこのままの体制で立ち向かうつもりかという、そういう御趣旨の御質問でございましたので、私は、体制委員会を設けていろいろ御意見を伺っております以上は、私どももいままでの施策を一歩も動かす必要がありませんと、そういう弾力性を欠いた態度では、何のために諮問をして御意見を伺うのかわからないと思いますので、したがって、基本的にはやはり弾力的に、御答申がありましたら、それを考えなければならないと思いますと、こういう趣旨のお答えを申し上げたのでございます。
#14
○竹田現照君 次に保安の問題について一つお伺いしますが、炭鉱の災害が、特に北海道で継続して発生しておりますけれども、それだけに、いまの石炭の山の事情から、働いている労働者の皆さんは炭鉱保安についてかなり不安な気持ちを持っておられると思いますが、そういう意味で、炭鉱の保安について、働いている労働者の意見というもの、あるいは意向というものを十分に取り入れることが炭鉱の保安を確保するという意味からも非常に大事なことだと思いますが、いま炭鉱で、労使双方で保安委員会というようなものを設けて、その保安確保のためにいろいろ当たることになっているようでありますが、必ずしもこの保安委員会の機能というものが十分に動いておらないというようにも聞いておりますが、これに対する何らかの改善の措置というものを行なう必要があるんじゃないか。さらにこの労働者側の意見というものも十分に取り入れて、炭鉱の保安確保の万全を期する必要があると、そう思いますが、その点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるかお尋ねをしたいと思います。
#15
○国務大臣(宮澤喜一君) 炭鉱におきまして何よりも大切なことは人命を尊重すること、そうして労働条件を幾らかでも改善するということでございます。したがって、現在の鉱山保安法でも労使双方からの保安委員会というものを設置いたしまして、協議をし、また労働側で不安全要因を見出しましたときには監督官庁に申告するという、これは法律によってそういうことが、定められております。しかし実際問題において、ときとして保安委員会が必ずしも十分に保安確保のために機能しているとは言いがたい場合があるように承知しております。したがって、今後保安委員会をどのように構成し運営すれば保安に万全を期し得るかということについて、新しく中央鉱山保安協議会に諮問をいたしまして、すみやかに結論を出してもらって、それを実施に移したいというふうに考えております。
#16
○大矢正君 根本的な問題について二、三お尋ねをいたしたいと思いまするし、また提案を申し上げて御検討を願いたいと思います。
 それは、私なりの判断をいたしておりますが、石炭というものに対する考え方というものは、大きく転換しなきゃならぬ時期にいまきているのではないかという感じがいたします。それは御存じのとおり今日まで非常に多くの炭鉱が閉山をいたしましたが、その大部分は電力需要を中心とする一般炭が占めておると思います。そこで鉄鋼業の飛躍的な発展に伴い、その原料としての石炭の需要というものはますます増大をしておりますし、それからまた国際環境も著しく変化をいたしまして、原料用炭の量的な確保と、それからまた価額の安定という面においては不安定な要素がたいへん今日多いわけであります。そこで、私はいままで通産省が考えられておりました石炭対策というものは、原料炭とか一般炭とかいうものの区別なしに、また石炭というものをエネルギー源としてとらえての考え方があったのではないか。むしろ今日の段階にまいりますれば、私はやはりエネルギーとしての石炭ではなく、鉄鋼用原料としての石炭というものの判断の立場に立つのが新しい石炭の生きる道ではなかろうかと、基本的に実はそう考えておるわけであります。だからといって、それでは一般炭がゼロになってもいいと、あるいは一般炭の山はつぶれてもいいということを申し上げておるわけではないのでありまして、おそらくこのまま推移をいたしますれば、一般炭の山で本年中にもかなりの閉山が見込まれますといたしますると、電力需要を中心としたこの需要で、十分この一般炭というものはやっていける余地が需要面ではあると思いますから、基本的には、原料としての原料炭をいかにして確保するかということに、石炭政策の基本はあらためてこの際打ち立ててはどうかという感じがいたします。それがまた国の政策にも沿う道ではなかろうか、このようにも考えるわけでありますが、私が申し上げるような考え方がいま審議会で行なわれております体制問題にからんで議論をされておられるのかどうか。局長でけっこうでございまするからお答えを願いたいと思いまするし、考え方の基本の転換と申しましょうか、これはひとつ大臣からお答えをいただきたいと、こう思います。
#17
○政府委員(本田早苗君) 体制委員会の審議の状況は、先ほど申し上げましたように、まだ始めたばかりで、問題点について意見が出されたという段階でございますが、原料炭について重点を置いて考えるべきではないかという意見は出ております。したがいまして、それらについては、もう御意見の開陳は、いろいろ各委員の御意見も出てまいって、意見の整理が行なわれるであろうというふうに考えております。
#18
○国務大臣(宮澤喜一君) 石炭鉱業の現状及び一般炭のこれからの先行きというものを考えますと、なかなかいろいろむずかしい要素が、これはもう私が申さずとも大矢委員のほうがはるかに御存じでございますが、いろいろな要素がございまして、なかなか私どもが経済法則というものをいつの将来にかもう少し取り入れたいと思いましても、そう事が簡単にまいらないという要素がございます。しかし私どもとしては、決してあす、あさってということではございませんけれども、社会的摩擦を回避しながら、それのメリットによって石炭というものが生産され、また需要供給が確立されるということのほうへ、少しずつでも近寄りたい。もちろんその需要供給ということも、資源でございますから、商品を売ったり買ったりするのとは違いますし、また政府としても需要を無理のない限りつくり出すということも、これも必要なことだと考えております。しかし基本的には、なるべくメリットで石炭鉱業というもの、あるいは需給関係がつくられることが望ましいというふうに考えておりますので、それからまいりますと、やはり原料炭というものが現在の国際状況から考えまして、できるだけわが国において確保することが必要でございます。と同時に、原料炭を確保しようといたしますと、ある程度の一般炭はどうしても出てまいります。それについての需要の確保、それからできることであれば、一般炭を原料炭にどのような技術を用いれば転換できるかという研究も必要かと思っております。いずれにいたしましても、ただいま大矢委員の言われましたような方向で、ものごとを常に一歩でもそのほうに近寄って考えたいと思ってはおりますものの、何ぶんにも昔からの沿革もあり、たくさんの炭鉱労務者も――まだ六万台の人がおられることであり、地域の社会もそれで形成されているというようなことから、一本道を歩いていくというわけにはまいらず、試行錯誤を繰り返しながら進んでおるというのがただいままでの現状でありまして、体制委員会においてただいまのようなことは当然いま御議論になりつつございますし、できるならば何かもう少し明確な結論を出していただきたいと考えておるのでございます。
#19
○大矢正君 局長にお尋ねをいたしますが、いま非常に大事なことは、石炭産業における労働力確保というものが重要視されなければならぬ段階にあるわけですね。そこでこの問の委員会でも申し上げたように、山がつぶれて他の炭鉱に移っていくというのは最近ではもう一割台程度であります。他はもうほとんど工業地帯のほうに行ってしまうということで、これがいろんな、結果としては保安面において、あるいは生産面において支障を来たしているわけですね。これだけで問題は済めばいいんでありますが、別段閉山がなくとも、一つの山で年間に五百人から、多いところでは六百人ぐらいの人間がやめていくという状態が遺憾ながら今日の実態であります。これはもちろん私企業としての経営者の責任でありますから、別に政府に責任があると私は申し上げるつもりはございませんが、しかし政府としては労働力を確保する、すなわち労働者が安心をしてその山で働けるという気持ちを抱かせるための方策について、私は何らかの対処策を必要とするのではないかと思うわけですね。そこで、いまおそらく日本国中の山で、自分の山は絶対だいじょうぶだと労働者自身が確信を持っている山というのは二、三しかないと私は存じます。その他の山は、自分の山は一年持つのか、二年持つのか、三年持つのかという程度の認識しか持っておりません、残念ながら。こういう状態では、これはもう政府が四千二百億円つぎ込んでみたところで、結果としてはあとに何も残らぬということになってしまいまするし、しかも一般炭は別といたしまして、わが国の経済発展にとって最も必要な鉄鋼用原料としての原料炭確保の使命も果たせないことになるわけです。ですからどういう形がよいかということはお互いに知恵を出さなければならぬところではありますが、ともあれ、ある程度の安定感、安心感というものを労働者に与えない限り流失は避けることはできない、閉山した山から他の山に移動させることはもちろんできないし、そればかりではなく、現に稼働中の山からの流失も防止することができないということに私はなると思うのであります。それをやるためには一体どういう方策があるかといえば、一つや二つではなくて、非常に多くの方策が私はあろうと思いますが、やはりこの際どうでしょうか、その及ぼす結果、効果というものがどういうことになるかという多少の心配なり不安というものはありますが、いまわが国のこの石炭の企業別、山別の実態をひとつ通産省として正確に把握をし、それはもちろん経理状態、資金の状況、自然条件、労働力確保の見通し、そういうものを企業別、そして山別にきちっと通産省がまずつかむこと、そこから出発をしないと将来悔いを残すことになりはしないかという私は不安を持っておるわけであります。
 それからいま一つの問題は、先ほど竹田委員からも話がありましたが、保安問題は石炭産業が今後とも継続していく上において非常に重要なものでありますが、なぜ一体保安確保ができないのかということになりますと、これはまあ要因はいろいろあると思います。あると思いますが、せんじ詰めていきますと、予定された出炭というものを出さなければ、その山なり企業なりというものがつぶれるという前提に立ってすべてをやるものでありますから、どうしてもこれは保安がおくれるということは、もうまぎれもない事実なのであります。たとえば一つの例を申し上げますれば、いまの前進式採炭法よりも後退式の採炭法をとることがより保安確保とそれから安定出炭、この意味ではいいことだとわかっておっても、それをする人員と、それから経済的な余力がない、ここが私問題だと思うのであります。ですから極端な表現をさしていただきますれば、Aという山の生産を三カ月なら三カ月間とめても、後退式採炭ができるような、あるいはまた完全に準備が整い、ガス抜きその他とらなければならぬ措置を十分講じられるような、そういう一つのものを設定をしてやれば、一つには保安面が守られるし、一つの面では安定出炭をすることができると、私はそう思うわけであります。だがしかし、それに関連して起こってくるのは結局金の問題と、こういうことになるわけであります。これがまあ一番大事なことであるが、今日なおなされておらないことなんであります。そこで私は、石炭局と保安局双方にお願いをしてみたいと思うのでありますが、全部の山にそれをやらせようといっても、少しくらいの金でとても解決できる問題ではありませんから、モデルケースとして、たとえば原料炭山の特定の山を指定して、その山に対し向こう二カ月なら二カ月間、石炭が出なくてもやれるような状態で政府が助成してやって、一回準備、ガス抜き、後退式採炭というような、いわば体制整備をやった結果、その山がどういう後において影響があらわれたかという、こういうやり方もやはりこの際やってみるというような意欲があってしかるべきではないかと私は思うのであります。原料としての石炭がもう必要である、最近ではその質の高い原料炭にはわざわざ一般炭を何割かまぜてまでも鉄鋼会社は引き取るような状態にまでなっているわけですから、昔はそんなことはなかったんですが、最近はいかに原料炭が不足をしておるかということは、そのことによってもわかると思うのであります。一般炭は一割、二割あるいは三割、高いところはそのくらいまぜてもけっこうでございますといって、今日鉄鋼業界が買っておるというのが実態でありますから、これからのわが国の原料炭確保ということは、国の経済発展の上から見てまことに必要なことでありまするし、そうだといたしますれば、いま直ちに全体を着手することはできないとしても、いま私が申し上げたように、モデル炭鉱を設定して、そこで一回やってみるというような態度が私はあってしかるべきではないかなという感じがいたします。そうすることによって、また労働者も安心をし、そしてまた政府がそういうことに力を入れるならば、おそらく山はつぶれないだろうという安心感もあり、流動性がなくなる、こういうことになる道でもありますので、そういう方策が考えられないかどうか。まあ現に予算がきまってしまった今日でありますから、あらためてそういう試みをするということはむずかしい面もありましょうけれども、予算の中から特定の金を捻出して、はたしてできるかどうかという疑問点はありますが、合理化事業団の融資等をかりに有効に使うとすれば、そういうモデルとしての炭鉱づくりができないことは私はないんじゃないかと思いますが、ぜひそういうことをひとつ御検討を願いたいと、こう思うんでありますが、いかがでしょう。
#20
○政府委員(本田早苗君) 御指摘のように、現在の石炭鉱業におきまして、労働力の確保というものが最も重要な問題になっております。この労働力確保のためには、御指摘のように企業体質の強化、それから労働環境の整備、それから労働者がその山で働くことについての心理的な安心感を与えられるような諸制度の整備というようなものが必要であろうと思います。特に企業体質の強化と労働環境の整備というものにつきましては、特に効果があるという点は御指摘のとおりだと思います。そういう意味で、後退式採炭法をとることによって保安効果をあげ、採炭が安定化するということもいろいろ伺っておる次第でございますが、この点につきましては、御指摘のように資金の問題が大きな問題と、これに要するやはり人員の問題も伴う問題であると存じますが、これらの問題につきましては非常に貴重な御意見の御指摘を受けたわけでございますから、検討させていただきたいと存じます。
#21
○政府委員(橋本徳男君) いま先生から保安といいますか、安全操業、安定出炭といったような基本的な問題についていろいろ御指摘ございました。御承知のように昨年再建整備法によりまして、いわゆる保安の長期形態と、それから生産の長期の状態、この二つにつきまして法律上の義務としていろいろ検討し、長期の見通しを立てて、それに対して指導をやっておる。で、その実績、四十四年度の実績を実はわれわれとしても把握したいというようなことで、先般来各般の調査を保安協議会を中心にいたしましてやっておりまして、最近おおよそのデータが実はまとまってまいりました。おっしゃいましたような点は、非常にもっともなところが出ております。しかしそのデータ等から見ますれば、必ずしも全山がすべておくれておるというのではなく、非常に片寄った形の山に、しかも非常に原料炭のウエートの高いといった山において非常に今後力を入れなければならないといったような実は状態が出ておるわけでございます。したがいまして、われわれとしましては、今後この保安協議会を中心にいたしまして、根本的な問題の解決というふうなことになりますれば、相当なやはり協議会自体においての審議も経なければなりませんし、また、予算その他の問題もございますので、今後のそういった基本的対策としましては、しばらく時間をおかしいただきたいと、こう思っておりますが、さしあたって、やはりこの段階においてどうしても手をつけておかなければならないといったようなところもあるやに見受けられますので、そういった企業がはたしてモデルケースという名前に添うか添わぬかわかりませんけれども、早々の間に何らかこういった状態を若干でも打破しながら進められるといったような方策を早急に立てたいというふうなことで、石炭局ともいろいろ今後相談をいたしまして、できるだけ安定並びに安全出炭への方向を見出していきたいというふうに考えております。
#22
○大矢正君 最後に炭価問題についてお尋ねをいたしますが、いま申し上げましたとおり、原料炭はもう完全に売り手市場になっておりますから、取り立てて売ることに対しての経営者の立場における苦労というのはないわけです。しかもまた、外炭が最近二度にわたって値上げされるというふうな情勢もありますから、過日鉄鋼その他原料炭需要者側と石炭事業者との間で原料炭アップの話し合いがついて、現在アップされた形でおりますが、おそらくこれもさらにアップできるような情勢に国際環境がなってくると思います。その面においてはさほど私はまあ心配はないのでありますが、ここで心配になりますることは一般炭山で、原料炭山はいま申し上げましたように現に値上げをしておりますし、これからもなお値上げができ得る余地が残されておりますが、一般炭山は遺憾ながら自主能力でもってこの値上げをかちとるというようなことはなかなかできがたい情勢にあります。電力の壁も相当厚いようであります。この際、なるほどエネルギー原料というものの相違はありましょうけれども、やはり通産省としてある程度の値上げに最善の努力を私はすべきではないかと、こう思うのでありますが、大臣に、今後一般炭の値上げについて努力をしていただけるかどうか、さらに一そうの努力をしていただけるかどうか、お尋ねをして私の質問を終わりたいと思います。
#23
○国務大臣(宮澤喜一君) 冒頭に御指摘になりました原料として、エネルギーとしてよりはむしろ原料としての今後の石炭政策ということは、最も基本的な問題についての一つの御示唆であったと思っておるわけでございます。体制委員会においても、基本的にはやはりそういう問題も議論していただきたいと思っておるわけでございますけれども、同時に体制委員会はただいま石炭鉱業の経理の内容等についても、個々にではございませんけれども、十二社でございますか、総括して内容を検討しておられます。そういたしますと、先々の問題はひとつそれとしまして、当面石炭鉱業が非常に苦しい経理をやっておるということは、おそらく体制委員会でもやがてそういう結論に到達されるのではないかと思います。そういたしますと、先々の基本問題はともかくとして、いま大矢委員の御指摘になったような問題が出てこざるを得ないのではないだろうか。そこでその場合に、これはユーザーのほうの立場、ことに御承知のように三池等の一般炭につきましては硫黄分の問題等もございます。それが一つ問題をむずかしくいたしてはおりますけれども、体制委員会においてやはり一般炭の炭価について当面何かしなければならぬのではないかという多数意見というものが出てまいりましたら、かりにそういうことでございましたら、私どもとしましてもユーザーにも事情を御説明し、また説得もいたしまして協力を願わなければならない、そういう事態がまいりましたならば、私どももそういうふうに動くのにやぶさかではないというふうに実は考えておるわけでございます。
#24
○須藤五郎君 去年第四次石炭対策が論議されましたときに、政府の考えておる閉山交付金はむしろ閉山を早めるものであって、やむを得ず閉山をするのに出す金でなく、閉山を促進する金になるのじゃないかということを私たち案じましてそういう意見を述べたのですが、その後の経過を見ていると、どうもそういうふうな状態が生まれてきておるように思って、私、はなはだ遺憾に思っておるのですが、おそらく政府はそういう意味であの閉山交付金をつけたものじゃないと思っておるのですが、どうなんでしょう。
#25
○国務大臣(宮澤喜一君) 第四次の対策がかなり思い切ったものでございましたから、従来先行きにかなりの不安を実は感じておった炭鉱の中で、この機会に国の保護を受けながら閉山をしようと、いままで模様をながめておった山の中に、かなりそういうものが今回閉山となってあらわれてきたということは事実であろうと思います。ことにこの措置は期限づきでございますために、須藤委員の言われましたような効果を事実問題として生じたということはあるいはあろうかと思います。私どもは炭鉱労務者のやはり保安、労働環境ということを大切に考えますので、スクラップ・アンド・ビルドを考えますときに、今後とも生き残る見込みのある炭鉱はひとつ力強く生き残ってもらいたい。それによって炭鉱労務者の保安にも勤労条件にもひとつ十分なことをしてもらいたい、そういう自信のないものについてはこの際やむを得ないことであるが国も期限を限って特別の保護をいたします、こういう政策をやっておるつもりでございます。したがって私どもとしては閉山を促すというような態度をとっておるわけではございません。ただ、同時に将来保安なり勤労条件なりについて十分なことのできないものは、これは残しておくことは人命にかかわることでもあり労働条件にもかかわることでありますから、そういうものが不安定な形で残ることはかえって好ましくないのではないか、そう考えておりますこともこれも事実でございます。
#26
○須藤五郎君 今日のこの石炭山に起こっておる状態は、政府の意図するところとも違った面が出てきているということは、いまおっしゃったとおり、私たちもそれがはなはだ遺憾だと思っておるのですが、それを正しい方向に乗せていくために何かとる手段があるのかどうかという点を簡単に聞きたいと思うのです。手段はないのか、これはそのままいくよりしようがないのかということです。
#27
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもはいまの施策が私どもの思わなかった誤った方向を馴致しておるというふうには考えておらないわけでございます。先ほど大矢委員からも御指摘がございましたが、私ども少しでも経済法則のほうへ問題を近寄せていきたいというふうに考えておりますから、そういう方向を考えた上で十分な労働条件、保安のとれるものは残ってもらいたいというのがいまの政策でありまして、その結果、私どもが考えておりますよりはよけいの閉山があったということであれば、これもまたやむを得ないのではないだろうかというふうに思っております。
#28
○須藤五郎君 常に通産大臣が口になさる経済法則の問題ですが、これは時間がそうありませんから論議は私はおいておきますが、そういうことを通産大臣が常に口にしておりますというと、やはり好ましくない閉山ということが促進されていく、そういう結果が私は今後も加速度的に起こってくるのじゃないか、そういう懸念が私はあるわけです。その点、私は意見としていま申し上げておきましょう。
 それから先ほど大矢さんがいまの一般炭を原料炭に切りかえるようにしていけという御意見、これも私けっこうなことだと思うのですがね。しかし一般炭を一般炭として使っていく方法がないのかどうかということですね。私はやはりこれを積極的に政府が金を出し、何かそういう特別な開発をやっていくということも私は必要じゃないかと思うのですよ。それをやっていらっしゃるのか、一般炭としての使い道を今後積極的に考えていくという姿勢になっておるのか、その点ちょっと伺っておきたい。
#29
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、一般炭の原料炭化、あるいはコークス化というようなことは、できることならば非常に望ましいことだと思っております。政府は安定補給金は出しておるわけでございますから、そういう意味ではそういう研究を間接的に助けておるということにはなると思いますけれども、政府自身がそういう研究をいたしておることはございません。
#30
○須藤五郎君 一般炭でも何でしょう、硫黄分を取る装置さえうまく安くいく方法で開発をしていけば、私は一般炭を一般炭として電力会社が使うという道も開けてくるのではないかと思うのですよ。だからあまり早くあきらめるのではなしに、一般炭として、コークスにするとかそういうことでなしに、電力会社が一般炭をたいて電力を起こすという方向に何か特別な研究をしていらっしゃることが私は必要ではないかと、こういうふうに思うのですよ。そういう研究をやっていらっしゃるかどうかということが一つ。
 それからもう一つついでに質問しておきましょう。この前も質問したと思うのですが、三池炭が一般炭で電力会社からシャットアウト受けて非常に困っておるということを私は耳にしたわけなんですが、そのときに通産省として各電力会社特に関西電力に対して、三池の炭をこれこれ使ってもらいたいということをあっせんをしていらっしゃるということを私は耳にしたわけなんですが、四十五年度電力会社が一般炭を使う量がどれぐらいになったのか、特に関西電力で昨年どおり一般炭を使うという話がまとまったのかどうかという点ですね、その点をちょっと伺います。
#31
○政府委員(本田早苗君) 脱硫等の有効な一般炭の使用のための方法という点について研究しておるかという点になりますと、脱硫するためには洗炭によりまして硫化鉱質のものを除くという方法と、それからあとは石炭の中に硫黄を含んでおって、これはなかなか簡単に抜けないものでございますが、燃した場合に排煙で出るわけですから排煙で脱硫するという方法があるわけです。洗炭につきましてはいろいろやっておるわけであります。あと排煙脱硫につきましてはもう重油について現在研究中でございまして、活性炭法、マンガン法等研究いたしております。この方式が確立すれば、これは石炭にも使えぬこともないはずでございまして、現在それのスケールアップを検討しているわけでございます。
 それから電力用炭の問題は、本年度は一応電力業界として九電力のほうは千四百五十万トンを引き取るという総ワクの問題について一応考え方がきまりましたが、各社別の引き取り数量については、なお各社間でいろいろ相談をしておる段階で、まだきまっておりません。
#32
○剱木亨弘君 ちょっと一つだけ。
 実は閉山が非常に多くなってまいりまして、それで炭鉱に働いておられる方が職場転換をしなければならぬという状態に迫られておるわけですが、いままでずっとまいりまして職場転換された方で、数は少ないのですけれども、一番悩みは子供の学校の問題です。それは小中学校、いわゆる義務教育は問題ございませんが、高等学校に通っておる者が新しい地域にまいりまして、新しい高等学校に転校できるかどうかということが非常に悩みのようでございまして、具体的にわかりますれば私どもできるだけ世話してまいります。しかし、大体の場合が、鉱山の所在地から都会地に移る場合が多いんでございまして、都会地の相当の高等学校に転校するということは非常に困難です。で、これはもちろん特殊事情で、私どもは文部省にも話をして協力を頼んでおりますけれども、今後この閉山が多くなりますと、相当そういう例が多くなってくると思います。私、具体的な例があればいつでも世話するとは申しておりますけれども、やはり産炭地のそういう特殊事情に基づきまして転校を迫られた場合においては、文部省のほうでも特に考えていただくように、ひとつ機会がありましたら通産大臣のほうから文部省のほうに、そういう特別の考慮をするようにという申し入れをぜひしておいていただきたいと思います。これだけひとつ……。
#33
○国務大臣(宮澤喜一君) よくわかりました。具体的には、各省で連絡会議などを持っておりまして、そこには文部省も参加をしてもらっておりますので、そういう場所を通じまして、特にただいま御指摘の点を文部省にも配慮してもらうように、私どもからもお伝えいたします。
#34
○委員長(川上為治君) 他に御発言もなければ、本日の質疑はこの程度にとどめたいと思います。
 速記をやめて。
  〔速記中止〕
#35
○委員長(川上為治君) 速記を起こして。
 おはかりいたします。この際、お手元に配付いたしました案文のとおりの決議を行なうよう、商工委員会に提案することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○委員長(川上為治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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