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1970/05/11 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 商工委員会 第20号
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1970/05/11 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 商工委員会 第20号

#1
第063回国会 商工委員会 第20号
昭和四十五年五月十一日(月曜日)
   午前十一時十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     井川 伊平君     木村 睦男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    理 事
                大谷藤之助君
                川上 為治君
                近藤英一郎君
                竹田 現照君
    委 員
                植木 光教君
                木村 睦男君
                剱木 亨弘君
                八木 一郎君
                山本敬三郎君
                阿具根 登君
                大矢  正君
                小柳  勇君
                林  虎雄君
                矢追 秀彦君
                須藤 五郎君
   衆議院議員
       修正案提出者   武藤 嘉文君
       修正案提出者   浦野 幸男君
   国務大臣
       通商産業大臣   宮澤 喜一君
   政府委員
       内閣法制局第四
       部長       角田礼次郎君
       通商産業政務次
       官        内田 芳郎君
       通商産業大臣官
       房長       高橋 淑郎君
       特許庁長官    荒玉 義人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
  〔理事大谷藤之助君委員長席に着く〕
#2
○理事(大谷藤之助君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 特許法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○竹田現照君 まず大臣に一言だけお尋ねしておきますけれども、修正前の特許法等の改正の提案の骨格というか、趣旨というのは、いま約八十万件になんなんとする滞貨の処理、これを何とかしなければどうにもならない、その上に立って改正案というものが提案をされた、簡単に言えばそういうふうに理解をしておりますけれども、これに間違いありませんか。
#4
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府が提案申し上げました原案の目的とするところは、一方においてただいま御指摘のように滞貨の処理を促進することでございますが、他方におきまして、将来そのような滞貨が新たに発生することをできるだけ最小限度にとどめたい、こういう二つのねらいを持ったものでございました。
#5
○竹田現照君 その二つのねらいですけれども、私が質問をしたところに九分九厘力点がかかっていたように理解をいたしておりますが、そういうことでいいのかどうか。
#6
○国務大臣(宮澤喜一君) 非常に滞貨が大きくなりまして、平均審査期間が五年というようなことになりまして、国民に迷惑をかけておる、この点をできるだけ早く処理をしたいということが一つの大きなねらいでございますが、将来同じようなことが起こらないためにどのようにしたらいいかということもまた同様にこれからの問題としては大きな問題でございまして、両方の問題を御提案いたしましたような形で処理をいたしたいと考えたわけでございます。
#7
○竹田現照君 そこで、衆議院が大幅に修正をしてまいりましたので、この修正点についてお尋ねをしていきたいと思います。
 六十一国会でもいろいろと私どもは質問を展開をしてまいりましたけれども、いま私が質問をいたしました力点を置いている問題というものがどうなるかということが、特許法改正に伴ってたいへん関心を持たれていたことですけれども、その中の公開制度について、現行法分をたな上げする修正を衆議院は行なったわけですけれども、衆議院の会議録ができておりませんので、残念ながら質疑の内容について、私ども詳細を知ることができないことは非常に残念なんですけれども、仄聞するところによりますと、わが党の中谷委員等の質問の波及するところが、昨年の十二月十五日の西ドイツの特許裁判所が、旧法による出願の公開は違憲の疑いがある、こういうことを連邦裁判所に申し立てを行なったことにその最大の理由があるようにいわれておりますけれども、そのとおりでよろしいですか、修正のおもなる理由は。
#8
○衆議院議員(武藤嘉文君) お答えいたします。
 確かに、そういう西ドイツの違憲問題というものが一つの契機となりましてこの修正の問題が大きく浮かび上がったことは事実でございます。しかしながら、私どもいろいろと従来から質疑を承りながら考えましたことは、ドイツでそういう問題が出たからどうということではなくして、やはり従来の未処理案件が非常に多いということは、これは一つには多少政府側にも問題があったのではなかろうか。だからそういうものをこの際早期公開制度を採用することにしてやるということは、これも一つの方法ではございますけれども、私どもとしては、その辺が、すべてこの滞貨というのは一つの自然現象的なことであって全く人為的なものでないとは言い切れないのではなかろうか。そういう点と、確かに、いまお話ございましたように、西ドイツの問題から、私どもといたしましても万が一日本においても訴訟が起きた場合、これに対してはっきりした見解でもって勝つという確信が持てるかどうか、こういうことをいろいろ私ども協議をいたしまして、党におきましても政審その他の会合でもってこういう問題が出た。これに対してどう対処したらいいだろうか、そういうことをいろいろ協議をいたしましたところ、まあもちろんドイツの場合も違憲であるかどうかまだ数年先でしかわからないそうでございますが、とにかくそういうことがドイツでも起きておる。また大臣からも比較討論という問題もそのときに答弁があったわけでございますが、いろいろ比較をいたして考えますときに、まだ私どもこの翻訳も読ましていただいて多少考えていったほうがいいんじゃなかろうか。特に、現在出願をしておられる方、これはもう新法を全く考えないで出願しておられるわけでございますから、新法のそういう早期公開制度というものを考えないで出願しておられる方の意思を全く考えないで早期公開するということもいささかどうであろうか、こういうこともございましてあのような修正にいたしていただいたわけでございます。
#9
○竹田現照君 いまのお答えの、現行法に基づく出願者が、早期公開なんというのが行なわれるだろうということを想定をして出願をしておらないということは、何も今度の国会に再び特許法が提案をされたときにわかったことじゃないんですね。もう昨年すでにこのことがわかっておられたにもかかわらず、衆議院は政府原案というものを無修正で一ぺん通したんですね。通して一年もたたないうちに再び与党と民社党とで共同提案で修正をされるに至った最大の理由というのは、どうもこの西ドイツの特許裁判所の判定というのか、何というのか、それがおもなる理由である。ところが、私ども西ドイツの裁判所の判決文というのか何というのか、それ持っていませんので詳細がわかりません。しかし特許裁判所というのはあれですか、日本で言うところの特許庁の審判に相当するものだと思うんですけれども、それでいいですか。
#10
○政府委員(荒玉義人君) 客観的な事実でございますので私から御答弁さしていただきたいと思います。
 まあいわば特許庁の処分に対して不服ある場合には、日本では東京高等裁判所の専属管轄になっております。したがってドイツの特許裁判所は、いわば特許庁という行政庁の処分に対する不服を審理する場所でございますので、日本における高等裁判所とお考えになれば大体事実に近いかと思います。
#11
○竹田現照君 この西独の特許裁判所というのは、日本における高裁と見ていいんですね。
#12
○政府委員(荒玉義人君) 特許庁の処分に対する不服審理の専属管轄が東京高等裁判所でございますから、その意味の東京高等裁判所、こうお考えになっていただければ事実に近いと思います。
#13
○竹田現照君 いずれにしても西独で違憲だという判決が出たわけではないんですね。違憲の疑いがあるということで連邦裁判所に申し立てが行なわれた。こういうことが事実なんですね、それはいかがですか。
#14
○衆議院議員(武藤嘉文君) 私どもがこれは役所からいただいた書類でございますけれども、それを読ましていただきますと、違憲ではない、ただ違憲の疑いがあるということで、その連邦裁判所ですかへ特許裁判所のほうからいま出た、こういうことでございます。
#15
○竹田現照君 この違憲論争は六十一国会で衆議院でもやられましたし、それから参議院でも、私のほうからもかなり突っ込んで質疑が行なわれたわけですけれども、違憲ではないと、まあ後ほど触れますけれども、違憲ではないという政府の公式見解も文書をもって出されていたにもかかわらず、この西独が違憲判決も出ないにもかかわらず、これはそういうことが主なる理由で今回の修正を行なった、この衆議院の与党のものの考え方が私にはどうも理解できないんです。ですから、これは日本の国会ですからね、だから政府側が一貫して、私どもには、この早期公開制度というものは違憲じゃないかということについて、違憲でない、違憲でないということを言ってきたわけですから、それが外国の何かが違憲の疑いがあるなんということになれば、それがもとで法案が修正をされるだなんてことになってくると、日本の国会に提案をされる法律というものは、これは政府与党が提案をしてくる法律というのは、一体何を根拠に置いて審議をしているものか、ちょっと私は理解できない。もしかりにですよ、この連邦裁判所の去年の十二月十五日のものが、何か聞くところによると、ことしの三月の中ごろ以降に日本側が入手したそうですけれども、この国会で政府原案どおりまた再びあなたのほうから通ってきて参議院で可決成立をされたあとに、いまのような事態が起きてきたということになると、これは一体どういうことになるんですか、全くおかしなことになるんですね。本来与党が修正をしなければならぬような性格、まして違憲の疑いがあるというふうな性格を、政府側の一貫した、違憲でない、違憲でないという、いわれる公式的見解なるものでわれわれは押しまくられて、政府与党の多数でそのことが成立をしているんだということになりかねなかったんですね。私はそういうことでは、日本の国会における法案審議の権威というもの、特に前国会における衆議院で、わが党はこれは反対してきましたけれども、賛成をされて通した自民党の皆さんの法案に対する節操というものを疑わざるを得ないんですね。だからこれは前の国会の審議の経過もありますから、その点についてもう少し修正者側としてのはっきりした態度、後ほど政府側にも聞きますけれども、もう一ペん説明してください。
#16
○衆議院議員(武藤嘉文君) 確かに御指摘の点はよく私もわかるんでございますが、先ほど来お話出ておりますように、西ドイツ連邦特許裁判所の決定が十二月十五日であったということ、これが三月以降に、それじゃおまえのほうが通したあとに出たらどうか、これは仮定の問題でございますけれども、私どもとしては、やはり現在、非常に日本に特許が出ておるのが、特に日本人の特許だけではなくして、その出願の中には相当外国からの特許の出願が多いわけでございます。そういうことも私ども考えますと、これがやはり西ドイツのそういう一つの例が、外国人がたとえば訴訟を起こした場合には、当然一つの例として強くこれを押し出してくるんじゃなかろうか。もちろん日本の国内法で裁判がやられるわけでございますから、問題は、そんなことはないじゃないかということかもしれませんけれども、私どもはやはりその点も考慮に入れなければならないじゃないかということ。またいま一つは、正直、私ども確かに前の国会では政府案のとおりお願いをしたわけでございます。しかしその政府案にいたしましても、今度の出てまいりましたものは、前の国会と同じ内容ではございませんので、御承知いただいているとおり、たとえば優先審査制度とか、いろいろと前の案よりは出願者の権利保護、こういう形をとっておられるように、政府もある程度前の国会から今度の国会までの間には、私はそういう点をお考えになったんではなかろうか、こういうふうにも考えるわけでございます。それですから、どうもその辺が見識が一貫していないんじゃないか、こういう御批判は私どもはやはり時間的な経過、それから特に十二月十五日にこの決定がなされたということ、また、その時間的経過の中において、私ども衆議院は御承知のように選挙がございまして、現在の私どもの商工委員のメンバーにいたしましても、あるいは党のほうの商工部会のメンバーにいたしましても、新しいメンバーが相当入ってきております。そういう方々の意見もいろいろ交換をいたしましてこういう修正に踏み切ったわけでございます。
#17
○竹田現照君 これは政党内閣ですから、特許法の改正が再び出されたのは、政府与党と十分連絡の上で、一部、二点ほど修正がありましたけれども、骨格は変えないで今度の国会に出されたわけですね。そうすると、十二月十五日にドイツがやられた判決が出たとしても、これは特許法を国会に提案する段階では、在外公館等からも、このドイツなりオランダの問題が論議されてないなら別ですよ、そういうところのいままでにやられたことを十分参考にされた上で出された法律案なんですから、改正案なんですからね、そうすると、ドイツなりオランダなり、そういうところの動きというものは的確につかんだ上で、そして練り直すんなら練り直した上で国会に提出することが本筋ですね。ところが、三月になって法案が出されたあとになって、しかも四月の二十八日ぎりぎりになって修正をしなけりゃならぬというような状態に、追い込んだのか追い込まれたのかわかりませんけれども、そういうものなんですか、実際。都合のいいところはオランダだ、ドイツだ、いろんなことを言っているけれども、自分の都合の悪いようなところはほおかぶりして、そして法案の提案なり審議なり何なりというものをいま政府・与党というのは行なうのですか。もしドイツのこういうものがあるとすれば、今回のような修正が大幅な――ぼくから言えば根本的な修正のように思いますけれども――こういうようなものというのは、提案の段階で私はなされてしかるべきだと思う。ところがそれが行なわれていない。まるで天から降ってわいたように修正せざるを得ないところに追い込まれた理由というのが、私どもはどうしても理解できない。これは何も原案に戻すことが賛成だという意味で聞いているのじゃない。法律の扱い方に対するものの考え方について理解できないから聞いているのです。
#18
○大矢正君 関連。武藤さんのおっしゃることを聞いていると、話は長いんだけれども、中身がさっぱりない話で、もっと端的に言ってもらいたい。あなたは、ドイツにおいてそういう決定をしておる、わが国の特許申請をなされておる中においても、諸外国のものが非常に多いということは、私どももこれは二つの国会にわたって勉強しているから知っているわけです。しかしあなたが、西ドイツにおいてたまたまそういう憲法上の疑義が出たということを一つの理由としてなされるならば、これはたとえば、フランスの場合には、これまた日本やドイツと、かなり違いますね。世界各国みな違います、国内の特許法というものについては。ゆえに国際的に一つの法体系を整える話をしようではないかということになっているわけでしょう。あなたは、西ドイツがそういうふうに違憲の問題があるからそういうことも考慮してと言うならば、世界の国のことをみな考慮しなければならないことになるんで、あなたの言っている内容は私には何としても納得できない。いまの竹田君と同じ意思です。それから質問の内容も同じことです。端的に言ってもらいたい。あなた、西ドイツのことだけを取り上げて言うが、あなたが西ドイツのことのために言うなら、世界各国のことをみな調べ上げて、みなそれに合うように日本の法律を直さなければならぬのですが、それは一体どう思いますか。
#19
○衆議院議員(武藤嘉文君) 先ほど申し上げましたように、西ドイツのことだけを原因にしておるわけではございません。それともう一つ、それならば逆の立場から考えて、私どもこれを、旧法の適用を受ける現在出されておる出願について、あるいはまた今後施行前に出願される分について、旧法を適用することによってどういうマイナス点が起きるんだろうか、こういうことも逆に考えてみなければいけない。そのマイナス点が非常に大きいならば、もちろん私どもとして、何も西ドイツのことだけにこだわるわけではございませんので、もっと考えてみようということで、この点もやってみたわけでございます。そうしましたら、確かに新しい技術をどんどん早期公開によってみんなが知るということはできないけれども、しかし未処理案件を処理するという点については、私どもが聞いた範囲では、約四万件かそこらしか違わないんだと、四十九年において。大体二年そこそこの審査で終わりたいという一つの目標を特許庁は考えておるようでございますけれども、それも旧法の適用をしても、この場合には大体二カ月くらいしか違わないんだ、こういう計算が出たということを私承りましたので、そうならば、もちろん西ドイツのことをやったから、それはそのままストレートに受け入れるということじゃございませんけれども、少なくともそういう違憲問題が出ておるというようなことであるならば、わがほうとして、万が一にもそういう訴訟問題が出ないように、未然に防いでおくほうがデメリットが多くないならばいいのじゃなかろうか、こういうふうに考えたわけでございます。
#20
○竹田現照君 いまのお答えの未処理案件の処理の問題については後ほど触れます。これはちょっと政府側も、いまの答弁も、前の国会以来われわれに説明し、さらに今回提案されている提案趣旨の説明にそんなこと書いてないわけですからね。それは保留しますけれども、あれですか、先ほど私聞いたように、衆議院の会議録がありませんから、やりとりがわかりませんけれども、わが党の中谷委員がこのことについてかなり鋭く質疑が展開されて、そのことが違憲の問題を考慮せざるを得なかった最大の理由のようですから、これは彼は何を主張して、その部分についてどうして共鳴し、修正せざるを得なかったか、この点だけ答えていただきたい。
#21
○衆議院議員(武藤嘉文君) この点につきましては、私もその場でお聞きはいたしておりましたけれども、正直申し上げまして、全部が全部頭の中に入っておるわけではございませんが、私もあの会議録をほしいと思ったのでございますが、印刷が間に合わないということで私読んでおりませんので、その辺のやりとりということははっきりしないわけでございますけれども、ただ、私非常に印象に残りましたのは、先ほどもちょっと触れましたけれども、そういう問題についてどう考えるかという御質問に対して、大臣としても当然比較方法論として考えていかなければならないのではないか、だから至急に取り寄せて翻訳をさせますと、こういう答弁があったのでございます。その後、これは、あとは政府の問題でございますから、私どもがそこまでどうこう言うことではございませんが、私どもの立場でそれを聞いておりまして、これはやはりそういう疑いのあるものは、できるだけ私は未然に防いでいったほうがいいのではなかろうか、こういうふうに私どもも、先ほどと重複いたしますけれども、重ねて申し上げますが、デメリットが多いならば、私どもそう違憲ではないという話も聞いておりますし、それでがんばっていこうということでございますが、訴訟が起きたときに違憲でないという裁判になると私どもも思います。これは特許庁がそう言うのでございますから、思いますけれども、そういう訴訟が起きることを未然に防ぐことはもっといいのではないか、こういう考え方を私どもは持ったわけでございます。それでデメリットがないならばそのほうがいいのではないか、そういうことでやったのでございます。
#22
○竹田現照君 念を押してお尋ねしておきます。あとで政府側に聞きます。政府はいま違憲か違憲でないかということについては、後ほど聞きますけれども、おたくのほうは、やはり違憲訴訟というものが将来起きて、ごたごたが起こるだろうというようなことがやはり想定をされているわけです。そういうごたごたが起こることが予想されるようなものだったら、この辺で、ここでそのことは避けておくことが賢明であると、そういう判断の上に立たれた、立たれたということは、この西ドイツの違憲判決なるものが一〇〇%ウエートがかかっていることは事実です。そのことは間違いないですね。
#23
○衆議院議員(武藤嘉文君) 最後のちょっと……。
#24
○竹田現照君 西ドイツの、いまおたくが説明されたようなことで、将来ごたごたが起きるようなことは皆さん回避をしておくことが賢明であるというふうに判断をされたわけだ。それで修正に踏み切られたわけですから、そのことのもとになったのは、西ドイツの違憲の疑い、判決ですね。これは間違いないですか。
#25
○衆議院議員(武藤嘉文君) 先ほど申し上げたと思うのですが、これはあくまでも私ども参考には確かにいたしました。しかしながら、私ども独自の立場で考えた場合に、これはそうすれば、前の国会になぜそういうことを考えなかったか、こういう御指摘はあろうかと思いますが、私どもこういうものを参考にして考えた場合、私ども独自で、それでは日本の国内でいままで出しておられる人たちのことを考えた場合、その人たちが早期公開になりますと、もちろん補償金請求権があるとか、いろいろ従来の損害賠償についても、公告以降行使ができるということになっておるわけでございますけれども、しかしながら、早期公開をしてから、少なくとも公告までの間は、そういうものの権利が行使できない、そういうことを考えれば、少なくとも現在出願をしておられる人は、早期公開がなければずっと秘密の保持ができて、そしてそういういわゆる権利の侵害ということが行なわれない可能性は私は出てくると思います。そういうことを考え合わせたら、これはもうやはりこの際確かに前の国会でそれをやっておけばよかったじゃないかというおしかりをいただくかもしれませんけれども、私どもそういうことが気がついたときには、これはやはり修正をしたほうがいいんじゃないか、こういうことで踏み切ったわけでございます。
#26
○竹田現照君 この間、私が六十一国会でこの違憲問題を取り上げたときに、早期公開制度が憲法違反でない理由、というこの文書ですね。これと同じようなことは、これは衆議院にも出されたのですか、この同じ文書による見解というのは。
#27
○政府委員(荒玉義人君) 衆議院の審議では文書は提出しておりませんが、同趣旨のことはもちろん答弁いたしております。
#28
○竹田現照君 そこで、今回の衆議院の修正案の説明の中に、改正法施行前の出願に対し、いま御説明がありましたけれども、早期公開、審査請求、その他の改正法の規定を適用することは財産権の保護等の観点から必ずしも適当でないと考えますと、こうありますね。これは六十一国会の審議の際に、私がいわゆる政府原案では事実上発明者の保護にならないと。それで違憲の疑いがあるということについて主張したわけですね。それについて、文書による公式見解なるものが表明されたわけです。私は将来のこの論議に必要だから、これは長官に読んでもらいたいと、会議録にこれはとどめてあるわけです。七月十七日の会議録にこの公式見解というものがとどめてある。ところが、政府側から出された公式文書なるものの文面には、公開制度は公共の福祉に適合するから財産的利益に影響を与えてもやむを得ないというふうに書いてある。ですから、そうすると、いまあなたのほうから修正案が出された、財産権の保護という点から好ましくないというのと、それから私どもの主張と、前の国会におけるそれは合っているんですね。政府が公式に出された財産権の影響は、これはやむを得ないんだと、それは法としても違憲ではないのだという主張と、これは一年たったらこんなにひっくり返るほど、与党のものの考え方が変わる客観的な事実というものが何で引っぱり出されたのか、私はどうしても理解できないのですね、いろいろと先ほどから武藤さんも御説明されているけれども。
 そこで、通産大臣にお伺いしますが、与党の修正を政府側がのまれたわけですね。のんだのか、のまないのか、これはわからないけれども、一応のんだかっこうでしょう。それで、これが通れば政府は施行するわけだから、前の国会はこれは大臣が違っていたけれども、この違憲の問題に関する考え方というのはどうなんですか。前の私の質問に対する公式見解はいまだに変わっていませんか。
#29
○国務大臣(宮澤喜一君) それは率直に申し上げまして、政府としてはこれは違憲ではないと考えておりますし、衆議院におかれましてはその問題をとことんまで詰めた場合どうなるかは別として、いやしくも疑わしきは避けておくほうがいい、こういう御判断に立たれたものと、こう考えておるわけでございます。
#30
○竹田現照君 これは法制局も出ていますか。法制局も前回は同じ答弁を私にもされておったのですけれどもね。いま西ドイツの、論議の焦点になっておるこの特許裁判の判決ですか、これと前国会からの一連の論議を照らし合わせて、内閣法制局としてはどう考えていますか。
#31
○政府委員(角田礼次郎君) 前回、旧法出願者も含めまして早期公開制度を適用することは、わが国の特許法上違憲の問題は生じないということをお答えしたとおりでございます。
#32
○竹田現照君 そうすると、与党側は違憲の疑いが将来出てきておかしなことになるから財産権の保護上適当でないと、こう言っておるのですけれども、いま法制局も大臣のお答えも、一貫してこれは前からの主張というものは一つも変わってないのです。そうすると、国会と政府側――まあ法制局を含めての見解というものは、まるきり違うのですね。財産権の保護にはなってないという主張、これは与党も今回の修正ではからずもそういうことを言われているわけです。ところが見解が変わってないとすれば、これは財産権の保護は十分になされているというふうに政府側の考え方というものは一つも変わっていないと理解するわけです。そうすると、これは今度のこの特許法の改正案に対する、少なくとも与党が修正したこの修正案というものは、政府はあまり好ましくない修正だというふうに言わざるを得ないと思うのですが、それはどうですか。こんなことじゃ特許法を改正する趣旨はおれたちが考えた趣旨とはまるきり違うということに答えざるを得ないと思うのです、通産大臣としては。これはどうですか。
#33
○国務大臣(宮澤喜一君) 法律の解釈、ことに憲法との関係における法律の解釈は、行政府は行政府の解釈をいたしますし、また司法権は司法権の解釈をいたすわけでございます。それらは必ずしも最終的に一致しないということは竹田委員がよく御承知のとおりでございます。そこで立法府とされましては、これは私は行政府の立場からそんたくをして申し上げるわけでございますけれども、先ほど武藤委員の言われましたように、かりに違憲訴訟がわが国で起こったとする、ことにこれは外国人が起こし得る可能性が大きいわけでございますが、そうした場合に、まず違憲訴訟で事が長引くことが好ましいかどうかという御判断をおそらく立法府はなさるでありましょう。それから最終的にそれが最高裁において違憲だと判決されたときの混乱ということも立法府としてはお考えになるであろうと思うのであります。それらを総合御判断の上でこういうことの起こる可能性のある、その可能性の大小は別といたしまして、そういうものは避けておこうと、こういうふうに立法府の一院が御判断をなされた、私はこのことをそのように考えておるわけでございます。政府としてはそういうふうには考えておりません。政府はそういうふうな経緯をたどるという解釈ではございません。行政府はそうではございませんが、立法府の一院はおそらくそう考えたものであろうというふうに私はそんたくをしておるわけでございます。
#34
○大矢正君 武藤さん、しつこいようだけれども、繰り返しお尋ねをしますがね。去年の国会では、あなたもおそらく商工委員会におられたと思うし、力がおありになるので相当委員会の中でもたいへんな役割りを果たされたと思うのですがね。そのあなたが、これは違憲ではないと、この分は速記録も残っておるわけですから。われわれ社会党の言い分に対して、違憲ではない。それはあなたに聞いたわけじゃないが、内閣の法制局それから政府、双方に対して違憲ではないかという質問に対して違憲ではないという立場をあなたが堅持をされて、それで法律を通されたわけでしょう。そこで今度の国会も違憲ではないとあなたが考えたから、与党であるあなたの商工部会においてもほぼ昨年の原案どおり国会に法律が提出をされたわけでしょう。ところが突如として衆議院の審議の最終段階になって修正案ができ上がったというのは、一体どこに理由があるのか。もしそういうあなたのおっしゃられるような違憲の疑いがありとして、そういう議論があったとすれば、商工部会、あなたのほうの商工部会で必ず事前に法律の審査をするわけですから、そのときに修正をすべきものと、出るものと私は思うのです。ところが、それが出ないで、衆議院の審議の最終段階になって突如としてあなたのほうから違憲の疑いがあるのか何かわからぬが、修正案が出てきたという根拠は、一体何なのかということを明確にしてもらいたいというのがわれわれの趣旨なんです。内閣に、政府に聞いておるのじゃなくて、あなた方の趣旨を聞いているわけです。
#35
○衆議院議員(武藤嘉文君) お答えさしていただきますが、確かにそういうふうにおっしゃっていただくと、私どもは、少なくとも私個人は昨年の国会においてはまことに不明であったと、こう思います。皆さんのそういう御意見は、まあこれはしかし私どもが通さしていただいてから皆さん方に御審議いただいたわけでございますので、その段階では、もうわれわれ皆さんの御意見をそれでは法律の修正という問題でやろうということは、私ども衆議院の段階ではまたできなかったと思うのでございますが、それじゃ前にそういう意見があったから、おれたちもこういう意見を言ったから、それを参考にして今度の国会にもなぜそういう法案を出してこなかったのか、こういうふうにおっしゃっていただきますと、その点はまことに私は不明をおわびをしなければならないと思います。しかし、私はそう力はございませんけれども、先生のおっしゃるような力は決してございませんが、私として考えましたことは、少なくとも違憲ということを私は先ほどから申し上げておるわけではございませんし、先ほど大臣もおっしゃっていただきましたように、おそれがあるという大臣は表現をされましたが、私どもそういうおそれがあるならば、そういうものは避けて通ったほうがいいのじゃないか、これはやはり絶対に初めから人間というものはすべて正しいというものじゃ私はないと思います。やはり自分で少しこれはこういうふうにしておいたほうがベターであったと思ったときには、それはそのときに直してもいささかもそれは間違いでないのじゃないか。ただそれが西ドイツにそういう例があったから自動的にこちらがやったということになれば、これは私はいけないと思いますけれども、あくまで私、日本の国会という立場に立って、少なくとも衆議院の私個人として、そういう問題を参考にした場合に、これは日本においてもそういうおそれがないように事前にしておいたほうがいいのではないかと思って実は私は判断したわけでございます。そういうことをなぜそれじゃ初めやらなかったかという点においては、全く私の不明の至りでございますので、それはもうそういうことを御指摘いただけば、私はもう不明であったと申し上げるよりしかたがないのでございます。
#36
○竹田現照君 それはまあ終始一貫そういうお答えが続きますけれども、これは私が仄聞するにはは、四月二十六、七日と二日間の衆議院の審議の過程で、わが党からの主張で急転直下こういうふうに修正に皆さんのほうが踏み切られたわけです。ですからそれだけに、少なくとも一貫して政府与党が特許法改正をしなければならぬということを去年以来主張し、しかも私が冒頭に大臣にお尋ねしたように、もう去年は六十何万、いまや八十万件になんなんとする滞貨の処理、これを何とかしなければどうにもならぬ、そういう趣旨で改正案が出されたのが、事実上滞貨の処理が何もできないという、いままでと同じですから、当初主張されておったこととは全くうらはらのかっこうになるような修正に踏み切らざるを得なかった皆さんの事情の根底にあるものが外国の判決だと、こういうことになれば、先ほど大矢委員からも言ったように、ドイツもこうだ、オランダはどうだ、アメリカはどうだということになれば、世界中の判決を国会審議の最中にいろいろ集めて、まあこれは情報化時代だからぱっぱと来るかもしれませんけれども、そのつどこれは修正をしていかなければならぬのだということになれば、これは日本の国会なんというものは一体何だ、日本には日本の司法裁判所があるわけですからね。ですから、西ドイツが違憲でも日本では違憲でないかもしれない。その意味で、政府は一貫して同じことを言っているから、皆さんの節操について私どもとしてはどうしても納得いかない。
 そこで、これは午前の審議の約束の時間も来ておりますから、この八十万件の滞貨が今度の修正によって、当初言われていたようなことがまるきりできなくなったわけですから、早期公開制度あるいはそれに伴ういろいろな措置というものが全然できないということになれば、ここの提案の説明にも書いてありますように、これから約五年間かかるわけですね、この案件の処理に。そうすると改正、まあ修正に伴う新法ですね、これは新法ですが、これが再来年の七月になると公開が始まるわけですね。そうすると、これから五年間かかって――一年半になって公開になる、まあ優先審査制度その他というようなことがいろいろ書かれていますけれども、事実上新法、いま改正案を通しても私の理解する限り、さっぱり実効があがらないことになるじゃないかと思うのですが、先ほど武藤さんの説明によると、二年何カ月とかどうとかということを言っていますけれども、これは修正したことによって、いままで政府側がわれわれに答弁していた案件処理期間というものは、まじないのようにぐっと縮まることになるのですか。その点がぼくは理解できないし、修正をする側も、政府がそういうことを言っているからと、こういう御説明でしたけれども、その点のからみ合いはどうなんですか。
#37
○衆議院議員(武藤嘉文君) これは私どもメリット、デメリットは当然考えなければならぬことで、いろいろ政府に聞いたわけでございます。そのときに、結局私もこれは専門でございませんので、この点については私の足りないところはひとつ政府側から補っていただきたいと思いますが、私が聞いた範囲では、早期公開をした場合と早期公開しない場合と、その早期公開いたしますときにはいわゆる審査請求のときのお金でありますね、お金を、現在出願しておる分については取らない、こういうこともあって、相当高率の審査請求が出るのではなかろうか、こういう判断を役所がしておられて、それが何か八五%とか承っておりますが、八五%出てくるだろう。それに対してそのあと、そうなると一五%分だけ助かるだけであります。現在の未処理案件が一五%分だけ助かるのだ。ところがその一五%に対して早期公開をやりますと、たとえば分類をいろいろ何かやらなければいかぬそうでございますが、そういう問題だとか、あるいは今度は審査請求が出てきた分について、従来は御承知のとおり出てきた分出てきた分、順序立てて審査しておる。ところが今度それを審査請求が出てきた分を審査するということになるのですから、あっちこっちあるものを拾い上げてやらなければならぬ。ですから、そういう作業が相当あるために、これに取られる労力と申しますか、負担力と申しますか、そういうものが約一割あるのだ、だから一五%マイナス一〇%で実際は五%だけが早期公開した場合のメリットであるのだ、こういうふうに私は役所から承りましたものですから、その程度であるならば、多少問題があるものについて、特に現在出願しておる人たちの気持ちを考えた場合には、それはもう旧法の適用でやったほうがいいのではないか、こういうことにしたわけであります。
#38
○竹田現照君 そういう説明は、判断をする関係で資料として出していただきますがね。与党側が修正するに至った処理の具体策というものを、修正するからにはお持ちだったと思う。政府側はこういうことで処理をする、今度修正によってメリット、デメリットが出てきた、こうやればいまの滞貨の処理その他についてもうまくいくのだという具体策というものがあったから修正されたのだと思います。いま武藤さんの御説明によると、これは新法による出願は別ですけれども、いまたまっているやつ八十万件の問題についてだって、その滞貨処理云々ということの理屈をつけて特許法を改正しなければならぬという提案をする理由というのは、ぼくはなかったのだと思うのですよ。いまのような説明でうまくいくのだとすればですよ、あえて言えば修正に伴うへ理屈というようなかっこうで政府からそういう説明があったのかどうかわかりませんが、四万件とかなんとかということでまことにうまくいくのだったならば、意味がないじゃないですか。何のために特許法というものを提案をして、何回も、三回もひっくり返して廃案になって、また出さざるを得なくなったのか。こうまで政府側が執拗に提案しなければならぬのか、理由が私にはわからなくなっちゃうんですね。ちょうど約束の午前中の時間がきましたが、衆議院に出した制度改正効果試算というのは、修正前に出されたのでしょう。だから修正に伴って、いま与党側に修正案をつくる過程において政府側が説明をされた、そういう資料と、それから与党が修正をするにあたって、今後の処理をするにはこうなるだろうという、与党側の立場における処理案、処理の具体策というものがおありになったと思いますから、それは午後の審議に間に合うようにひとつ御説明ください。これは修正前に出されたものではちょっとわかりませんから、これとの関連もわかりやすいように説明をしてひとつ提出してください。その上に立ってまたいろいろ判断することにしたいと思います。
#39
○衆議院議員(武藤嘉文君) たいへん恐縮でございますが、私どもそういう説明を、これは資料で出ると思いますけれども、そういう資料をいただきましたので、これならばまあいいのじゃないか、こういうことを判断いたしましたので、私どもとしての具体策は実は持っていないわけであります。
#40
○竹田現照君 このほかに資料があるのですね、それでは。与党に出した。これは念のために聞きますが、衆議院に出した効果試算表、これ以外のもので与党に出したのはあるのですか。
#41
○政府委員(荒玉義人君) 直接に、現在未処理案件が旧法の場合どうかというのは、あくまでいま御提示の処理計画のベースでございまして、それを請求率と、それからいわゆる先ほど武藤先生のお話がございました処理がやはりダウンします。それを勘案をいたしまして、将来どの程度の処理勘定のデメリットが出るかをいまお話したわけであります。
#42
○理事(大谷藤之助君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#43
○理事(大谷藤之助君) 速記を起こして。
 暫時休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十六分開会
  〔理事大谷藤之助君委員長席に着く〕
#44
○理事(大谷藤之助君) これより商工委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、特許法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#45
○竹田現照君 午前中資料を要求しておきましたけれども、出されたこれは全部に出したのですか。この修正された部分というのは、これは与党がそっくりそのままお認めになったと、先ほどのちょっと雑談のときのお話ですけれども、ちょっと午前中も触れましたが、この修正案によっても滞貨八十万というのは四十七年になると二年四カ月で処理できるということになるのですね。これは修正のほうにお聞きしますが。
#46
○衆議院議員(武藤嘉文君) お答えさせていただきます。
 先ほど雑談でもちょっと申し上げましたが、私ども承りましたのは、この下にいろいろ何か書いてございますけれども、結局従来の政府原案でございますと、結局未処理案件の処理審査に入ると同時に、早期公開のために起こるいろいろの分類その他の作業によって相当ダウンするということがありまして、そのダウンの分が今度はなくなると、こういう形で最終的に二年二カ月の予定が二年四カ月の二カ月延びるだけである、こういうふうに私どもは実は聞きましたので、まあそういうことであるならば、二カ月だけの問題であるならば、ひとつこういうことでもそうデメリットは起きないのではなかろうか、こういうことを考えまして修正をしたわけでございます。
 なお、先ほど今後の対策はどうかと、こういう御質問もございましたが、私どもといたしましては、当然これで十分だとは思いませんので、今後ともできる限り、私どももちろん予算を審議する権利を持っておるわけでございますから、私ども今後の予算におきましてここに書いてございますプラス何人というような審査官の数以上に、もっとできるだけ増加するように、また、施設につきましてもできるだけ合理的な考え方をとり入れた施設の拡充、こういう面につきまして、私どもの議員の立場といたしましても一生懸命努力したいと思っておりますので、そういう面につきましてもぜひとも御協力をお願いを申し上げまして、資料の提出の説明にかえさせていただく次第でございます。
#47
○竹田現照君 ちょっと私は頭が悪いから理解できないのかもわかりませんけれども、提案の説明の中にも、未処理滞貨は平均約五年かかると書いてあるわけですね。それが今度の修正で約八十万件というものは全く法の改正のらち外におかれておるから、まあ現行どおりですね。それが修正になって二年四カ月で処理できるんだということは、どう考えても急に理解できないのですけれども、それだったら、午前中私がお話したように、何のためにこの未処理案件処理を最大の眼目として特許法の改正案を提案されたのかわかりませんし、うんと勘ぐれば、早期公開制度というものを導入するための口実として、去年六十何万件あったものを約四年幾ら、かれこれ五年かかるのだ、そんなにかかるのはとてもたいへんだからこういうことをやらざるを得ないのだという隠れみのに、目的は早期公開制度の導入であって、滞貨の未処理案件の処理というものは、ほんとうは違ったのだ、私はこういうことになると思うのですけれども、これはどうなんですか。これは特許庁の長官の説明じゃなくて、おたくは特許庁の言うことをそっくりそのまま認められたのだから、その点どうなんですか。
#48
○衆議院議員(武藤嘉文君) まあ提案理由の説明との関連は、またぜひ政府からお聞きいただきたいと思うのでございますが、私のほうへということでございますのでお答えをさしていただきます。
 私は、これを聞いておりまして思いましたことは、午前中の審議でも私お答えをさせていただきましたが、相当現在出ております滞貨と申しますか、未処理の案件について、現在は出てきた順序に審査が行なわれていくということになっておるわけでございますが、もし今度早期公開という制度を導入をいたしますと、結局審査請求をした者が審査される、こういうことになるために、いまの八十万件に近いものを、とにかくここできちんと分類をしなければいけない、こういうことだそうでございます。そういう分類をする仕事に相当手間がかかる。そしてそれに加えて、何といいますか、先願、後願のいろいろの問題があるようでございますけれども、結局そういうあと先のものを常にわかるようにしていかなければならないし、また実際それをピックアップするためにはそれだけの時間がかかるというようなことのために、早期公開したら八五%程度審査請求が出るだろう、一五%は出ないから、これだけメリットがあるのじゃないかという考え方でしたけれども、この一五%のうちには、約一〇%そういう問題のためにかかってしまう負担、労働力がある。それを差し引くと五%しかないのだ、こういうふうに私説明を聞きまして、いまきちんとした数字はここに書いてございますけれども、四十六年は早期公開制度を入れますと二百四十七件、四十五年以前は二百六十三件、処理できるものが二百四十七件になり、それから新法出願に着手をいたしますと二百二十三件しかできないということは、それだけ能率が落ちるのではなくして、いわゆる審査の能率が落ちるのではなくして、ほかのそういうことに力をそがれるからこういう形になるのだ、こういう説明を私は承りましたので、それならばこういうことももっともであろうというふうに私は考えたわけでございます。
#49
○竹田現照君 私が理解できるように筋道立てて聞きますけれども、いま約八十万件になっちゃったんですね。ですから去年の六十何万件から見ると、さらにたまったから、いまの法律のままでいけばさらによけいの審査処理期間というものがかかるというのは常識的にわかるわけですね。だから早期公開制度をやり、審査請求制度をとることによって、あまり審査を必要としないものは投げるだろうから、審査請求するものというのは八五%、それは期待可能性ですけれども、そういうものがやられることによって、当初に衆議院のほうに出されたように、四十三年が四年八カ月ですか、ずっといきまして四十九年の六月ごろなんですか、法律の改正をすることによって二年二カ月で処理できますと、こういう説明だったでしょう。ところが旧法分のいまの約八十万件というものは、早期公開もしなければ審査請求制度もないわけでしょう。ないということになると、いまと同じですから、法改正を前提としたところの制度改正効果試算に基づく、何年計画になるかよく知らぬけれども、これからだから五カ年計画になりますか、それでは二年くらいになるという理屈は成り立たないんじゃないですか。そうして修正されたから二カ月ふえて二年四カ月でいまの法案のままでも処理できるというのであれば、何のために特許法の改正をやったんですか。改正したってしなくたって二カ月の違いじゃないですか。二カ月のために六十一国会以来この問題について商工委員会最大の攻防戦みたいなことをやって、何だかんだ言って、あらゆるこれに関係する団体が賛否両論で血道を上げてやることはあまりなかったのではないかとぼくらは解釈するんですけれども、何か忍術にかかっているようで、ちょっとわからないな。どうですか。二カ月しか違わない……。
#50
○衆議院議員(武藤嘉文君) その辺の説明は、私よりも専門の特許庁のほうからよく御説明をいただいたほうが……
#51
○竹田現照君 いや、それはあなたのほうが特許庁の言うことを理解をしたのだから、だから修正することを理解したものの考え方を説明してください。
#52
○衆議院議員(武藤嘉文君) 私の理解度はもちろん不十分かもしれません。ただ、ここにも書いてございますように、万一改正をやらない場合、これは今後の、いわゆる来年の一月以降の分についても早期公開をしないと、結局今度改正をしないで現行法のままでいくといたしますと、この一番右に出ておりますような、四十九年においてはこれだけ審査官を増員をいたしましても三年八カ月かかる、こういうことでございます。しかしながら、過去の――過去といいますか、この十二月三十一日までの一応新法が施行される矛定以前の分について出願の出ました分については旧法を適用し、それ以降の分については新法を適用するという形でまいりますとこのような形になると。その理由というのは、たいへん私も説明がへたでございますので御理解がいただきにくいかと思うのでございますけれども、結局先ほど申し上げました八五%出てくる。一五%は出てこない。その一五%出てこないだけで、八五%を処理をしていく場合と違いまして、その一五%は審査をしなくてもいいけれども、その一五%審査をしなくてもいいその力の中で、約一〇%に相当する力というものが、結局現在出ておる出願件数の未処理の分を分類をするとか、そういうことに充てなければいけない、こういうことのようなんでございます。
#53
○竹田現照君 武藤さん、あなた、新法は来年の一月一日から施行ですけれども、それは公開制度を修正ではやるんですね。だからそれとこれとは、いままでの改正案と二段になる、こう言いますけれども、来年一月一日以降だから再来年の七月にならないと公開にならないわけですね。これはいまたまっている八十万件、さらにふえるでしょう。ことし一ぱいではこれらの審査が終らなくてもできるんだという前提に立っているんですか。新法分はそういうふうに解釈してよろしいんですか。
#54
○衆議院議員(武藤嘉文君) いや、新法分はもちろんすぐ早期公開をいたしまして、審査はもちろんそれからあとになるわけでございます。ですから旧法の審査は当然どんどん進めていきながら、そして早期公開をいたしますから、いまお話しのとおりに、再来年の七月以降に審査請求の出てきた分については、これは並行してやっていくんだというふうに私ども特許庁から聞いておるわけであります。
#55
○竹田現照君 その解釈が私はちょっと納得いかないんですよ。旧法、まあ現行法にあるやつは、これは先願主義ですからね、これをいままでのやつをたな上げする、これはこれ、新法は新法で、早期公開になった四十七年の七月以降のやつは、審査請求出てきたものを並行して審査をしていくということは、これはちょっとあれではないかな、いまの法律違反ではないかね、この現行の先願主義をとっている状況の中では。これは、並行して審査をするということは事実上不可能じゃないですか。やるべきでないじゃないですか。やっぱりいまたまっている八十万件というものを片づけてしまったあとでないとできないことになるんじゃないですか。それはあなたの理解が……。特許庁がそんなことを言っているとおかしい。
#56
○衆議院議員(武藤嘉文君) まあ結論的にはそういう形になる可能性は私はあるだろうと思います。ということは、新法になりましてから早期公開した分について、審査の要求が出てきて、なるべく早くということになっておりますけれども、すぐ直ちにそれに取りかかるかどうかという問題は、それはあろうかと思います。ただ、言うことは、いまのお話しのとおり先願の問題がございますから、従来の旧法時代といいますか、現在の現行法時代の分についてはどういうものがあるのか、これはわからないわけでございますから、そういうものを新法以後に万が一出てきた場合、片一方が早期公開をしたからそれは先に審査するということは、これはできないだろうと思います。ですから、結論的には四十九年ということになると思うんでございますけれども、しかし理屈として、理屈というか、正面的には……。実際の実務は、おっしゃるとおりに私はなるんじゃないかと想像いたしておりますけれども、法的にそういうことが、その辺問題は私はあろうかと思いますが、実際の……。
#57
○竹田現照君 それは武藤さん、あなたのお話どうもわからぬなあ。実際はそうなるけれども、法律的に問題があると言ったね。法律的に問題があるものを実務でやらせるというのは、これはおかしいんじゃないですか。実際には法律的にだめなものはだめなんだ。特許庁が、それは法律的に問題はあるけれども、新法に基づく早期公開制度をやる、高い審査請求料を取っているからやらざるを得ないんだと、旧法のほうの先願主義というのは事実上一応たな上げになるという、そういう解釈をとってやるということは、これはもう法律違反ですよ。それはあなた方修正の段階でその点認めたんですか。
#58
○衆議院議員(武藤嘉文君) 私の申し上げたことが、ちょっと私の申し上げ方がまずかったかもしれませんが、結局出願が出てきたものは早期公開をするけれども、そしてそれに対しての審査請求があれば審査はしなければならないということになっておりますけれども、その実際においては未処理案件のほうを当然先にやっていかなきゃなりませんから、そういう法律のたてまえはそうなっておっても、実際にそれを審査するということはできないだろうと、こういうふうに私は考えております。
#59
○竹田現照君 そうすると、せっかく皆さんが修正をしたこの法律というものは、いまの未処理案件が片づかない限り効果が発効しないわけだね、実際はね。新法の効力が発効しないわけですよ。だからそれはまあ一つおきますよ、おいて、いまの八十万件がたまる、約五年間かかるという説明を一貫してなされてきたのが、いただいた資料で二年四カ月でできるというような、法律を改正しないで現行の法律でいっても、いいですか、衆議院に出した、先ほどから言ったように、この効果試算なるものは、法律を改正をする前提の上に立って試算をして出されたものなんですよ。ところが、法律がこれは無修正なんだから、結局たな上げになっちゃったわけだから、そうすると、現行の法律そのままだということになると、これを試算した根拠がくずれているわけですよね。くずれているわけでしょう。ぼくがわかるように説明してくれればいいんだが。くずれているわけですよね。そうすると、最初は、法律が改正になった場合には四十九年、二年二カ月でできる。改正にならなきゃ二年四カ月でできる。たった二月しか差がないような滞貨処理のことは、何と説明されてもぼくはいま理解できないな。それだったら滞貨処理を前提とする法律改正を何のために出したのか、その説明はできないのか。だから、おたくのほうが、与党が、ちゃんと法案の審議をして、国会に提出をして修正をするときに、政府側も呼んでいろいろと聞かれて、なおかつ、そうか、それじゃ大体法律を改正する必要が、特許庁の長官いろいろ説明するけれども、ないじゃないか。たった二月しかないじゃないか、期間が。それならいっそのこと引っ込めたほうがいいんじゃないかと言ったほうが話の筋としてはあたりまえのような気がするけれども、それを一体、どうして修正をやって何かわけのわからない骨抜きのようにしてしまったのか。ぼくらが出したのを骨抜きにしたというのじゃないですよ。政府の出した法案を骨抜きにして通さなければならぬのかという理由がわからない。
#60
○衆議院議員(武藤嘉文君) その点については、私どもは結局今後の分について早期公開ということをすることによって、そういう技術の新しいものができるだけ多くの方々に知っていただける、こういう面においてメリットは非常にあるんじゃなかろうか。こういうことのほうを重点に考えまして、私どもは修正というものをそういう考え方に基づいてやったわけでございます。
#61
○竹田現照君 そのメリット、メリットとおっしゃるけれども、新法は、八十万、おそらくあと半年たてば十万ぐらいにふえるだろうから、九十万ぐらいになった段階で、それが片づかなければ修正案の効力が発効しないということが、先ほどのお答えではっきりしているわけですからね。そうすると、何もメリットないじゃないですか。五年先のことなんだから、五年先に出てくるメリットを、いま何もあせって改正をしなけりゃならぬということにはぼくはならないと思うんだな。
#62
○衆議院議員(武藤嘉文君) 私はそういうふうには実は考えてないんでございますけれども。結局、新しく一月一日以降に出てくる分については早期公開するんでございますから、その内容は、いわゆるそれが公告になるまでは特許権としては認められませんけれども、一応こういうものが出ておる、こういう技術革新についてのこういうテーマが、こういう内容のものであるということだけは早期公開されるものでございますから、少なくとも一般の国民と申しますか、そういう技術に関心を持っている者から見れば、そういうものが早くわかるという私はメリットがあるのじゃなかろうか、こういうことを考えたわけでございます。
#63
○竹田現照君 だからそういう武藤さんが御説明をすると、この特許法の改正のねらいというものは、早期公開制度を導入するということに最大の目的を置いて改正したということに私はなると思うんですよ。そうじゃないんだ。ぼくのほうは早期公開制度というものを導入するということは、何十万もたまって、年々歳々これがたまる一方だ。それじゃ、もう現行の特許法というものはあってなきがごときで、科学技術の進歩その他に即応することにならないから、万やむを得ず早期公開制度なんかを導入することによって、この窮状というか、こういうことを打開をするんだという目的で出されたと思うんです。これは全然違うんですよ。いまの武藤さんの説明でいくと、何か新法に基づいて早期公開、そういうことだけがあって、メリットが出てくる。じゃ、そもそも発想の出発点になったものとはだいぶ変わってくるんじゃないか、実際は。それじゃ八十万件の処理というものは、一体どういうふうに具体的に処理しようとするのか、修正者側としては。これはやっぱり、これでもうとにかく審査は促進されて、八十万の審査が促進されて、いま四年も五年もかかると言っていたものが二年でできるんだ、三年でできるからと言うんだけれども、ところが法律を一つも動かさないで三年になる、二年になるということは、ちょっとわからないけれども、何か手直しをするならば、ここに書いてある四年八カ月が三年になるとか二年になるという説明はわかるけれども、このたまっている分については何にも手を加えないで、これが二年二カ月だったり二年四カ月になるというのは、これはちょっとおとなの手品か何かわからぬけれども、わからないんだな。その点ちょっとわかるように説明してください。ぼくだけかな、これをわからないというのは。
#64
○衆議院議員(武藤嘉文君) その辺のこまかいところは、ほんとうに事務で実際におやりになっている方に具体的に――私は実際事務をやっているわけじゃございませんから――その点はぜひお聞きいただきたいと思うのですが、私は、たとえばこうやって審査官の数も当然ふえてまいりますし、もちろん事務的ないろいろのものも、合理的なものも導入されると思います。あるいは特許庁の役所も早晩これはつくられると思います。そういうことも考え合わせていけば、当然スピードアップが可能ではなかろうかと、こういうことを私どもは考えておりますこと。それから、いまお話にございましたが、私どもは確かにそいう早期公開という一つの柱というものは、今度の修正案の大きなものであろうと、一番中心であろうと考えてもいいくらいに私も思っております。いま御指摘いただきましたように、早期公開を導入しようというのが目的じゃないかと、こういうお話でございますが、私は早期公開というのは、これは導入すべきであるという考え方に実は立っております。ただ問題は、修正をいたしましたのは、早期公開をして、それによって未処理案件を処理すると同時に、できるだけ早くそういうものを大ぜいの方に見せるということもこれは非常に必要なことであるけれども、ただ問題は、これは午前中のまた論議に入りますけれども、従来出願をしておられた方は、そういうことを全然考えておられなかった方でございます。そういう方に、ここでこういうものを導入するから、おまえたちの出した出願もそうやって権利の発生する前に早期公開してしまうぞ、こういうことはいかがかと、こういうことで実は修正をしたということでございます。
#65
○竹田現照君 この効果試算による審査官の数が、四十五年プラス七十、四十六年から四十九年まで一年間八十五人ずつふえることになるわけですね。これは早期公開制度というものが導入された場合のことでしょう、この八十五年、修正前も修正も同じですからね。そうすると、旧法どおりということになると、私はこの審査官の数というものがプラス八十五だなんという数でなく、これが二百なり三百なりというようなかっこうでふえることによって処理案件の数というものはかなり大幅にできますから、そのことはできるけれども、この改正を前提として考えられたプラス八十五というものが、これが全然変更がないままで審査の処理期間が短縮されるという理屈にはならないと思うのです。旧法どおりであれば、審査官でもふやす以外には審査をこなす能力がないでしょう、出てこないんじゃないですか、実際は。それ以外の法律的手だてというのはないのですから。それは何も説明されてないんだ。八十五人ずつしかふえないことになっているのです。その関連はどうなんですか。
#66
○政府委員(荒玉義人君) 竹田先生の一番御疑問をごく簡単に申しますと、制度改正をするとしないとの差は、ここで表でごらんになりますような
 「要処理期間」一番右側にあるこの差でございます。つまり審査請求制度のメリット、大体一年半近くのメリットがあるわけでございます。修正されまして二カ月しかどうして違わぬか。端的に御説明いたしますと、古いものは請求料は取りません。むしろ請求しない方に現在の出願手数料二千円のうち千円をお返しする。こういう制度でございますので、新しいものよりは請求率が高い、具体的に申しますと八五%、逆に言いますと一五%は審査をしなくても済む、こうなるわけです。一方審査請求制度をしますと、滞貨は、いろいろ公開事務その他ございまして、こまかい数字は省略しますが、大ざっぱに言って一〇%現在より負担がかかります。これは審判の仕事をかわってやるというものを含めまして、新しい法律による負担増は約一〇%、つまり一五%のうちで一〇%はロードアップ、着し引き五%、ラウンドにいたしまして八十万件の五%約四万でございます。それを四十九年のところの数字を見ていただきますと、つまり五十八万一千に対して――前は約五十三万になっておりますが――約四万内外、そうしますと、そのときの処理は約二十四万件でございます。二十四万件の処理能力に対しまして四万は約二カ月に該当いたします。というのは、本来古いものは、もともとこれは新法と同じように請求料を取ることは問題がございますが、これは日本では憲法問題がございますので、そういった面でおりるものと、それから短期的なロードアップというものがございまして、その差は先ほど言いました五%というものが二カ月に該当するということでわれわれも考えております。
#67
○竹田現照君 いま長官の説明をされたその説明は、特許を取っておけばいいくらいむずかしいのだな。結局さっきからぼくが念を押しているように、八十万件という問題については、いまと何も法律的に扱いは変わらないわけでしょう、一つも。
#68
○政府委員(荒玉義人君) はい。
#69
○竹田現照君 そうすると、審査請求も何もないわけだから、審査請求制度、公開制度をやって、審査請求をやれば、おそらくそのうちの一五%は出ていって、こないだろう、審査請求は八五%くらいだろう、こういうことになっている、八十万件の一五%、十二万件、しかし十二万件も、今度は審査請求制度をやらないから、適用はないわけだから、その十二万件についても審査しなければならないわけでしょう、実際は。十二万件を審査するということになると、どれだけかかるのですか。
#70
○政府委員(荒玉義人君) 十二万件のうち約八万件分のロードがかかります。具体的に言いますと、たとえば八十万件を公開いたしますと、審査官は分類をつけなければならぬ。いままでですと審査が終わったときつければいい、今度は公開準備でつけるわけです。それから、あるいは従来は審判で全部やっておりました、そういったものを、今度はいわば審判の下請として審査官が審査をする。もちろんこれは特許庁全般としては審判が早くなる、審判官をふやさなくても早くなるというメリットはありますが、審査官プロパーで申しますと、やはりそういった現在と比較すれば負担がかかる、それが約一〇%でございます。そういう意味です。したがいまして、十二万件のうちそういった八万はほかの仕事にとられます。したがって、純粋な審査の段階のメリットは四万件でございます。こういう趣旨でわれわれは考えており、御説明したわけでございます。
#71
○竹田現照君 ちょっとわからんね、来年の一月一日以降は新法だから、それは別としても、まあ約八十万というものは全然法律的に何も手を打たないで、いまのままだ、こういうことになれば、処理をするのには人間をふやして、これをさっさと片づける方法をとる以外に方法がないんじゃないかと。これはあまりむずかしい論議じゃなくて、きわめて幼稚に、初歩的に、そうとしか考えられないのですけれどもね。それが当初言っているように、いまのままの法律でいけば、こんなにたまる、五年間もかかりますと、こう言っていたわけだから、これだけの法律的手だてをすれば二年幾らになると、こう言っているのに、その法律的手だてをやらないのにかかわらず二年四カ月で処理できるというのであれば、たった二カ月のために法律改正を提案をしなければならなかった理由というのは、二カ月ぐらいなら、ぼくは特許庁内部の、何というのですか、行政措置ででも簡単にできると思うんだな。いろいろなことを、いま審査から受付から何かまで回っていくのにかなりの日にちがかかるそうですから、事務から審査官の手元にいくまでに。そんなものは、一説によればアメリカ方式をやればいいとかなんとかという、これはしろうとですからわかりませんけれども、そういう庁内部の処理ででも二カ月ぐらいの短縮はぼくは可能なような気がするのです。しかし、それも確かに限度だと。それから人間をふやすのも限度だ。これは百人、二百人ふやすといっても、事実上理工系の学生がそんなに特許庁に集まるわけがないのだから、月給も安いし、先もあまり見込みがないということなら。そうするとおのずから限界があるから、どうしても法律改正という手段をとって公開制度をとる、あるいはそれに付随するいろいろなことをやらざるを得ないというのが一貫した説明だったのですから、それががらっと変って、修正案になってきたというのは、どうもいままでの説明を受けただけじゃ私は納得しないのです。それだったら、現行の法律どおりでやってみればいいのです。そうして二年四カ月で処理したほうが、あまり物議をかもさないで、四海波立たずで穏やかにいくのじゃないですか。
#72
○政府委員(荒玉義人君) 竹田先生の、基本的には処理期間でいきますと、四十九年度における二年四カ月に対して、改正をやらない場合には、全く同じ条件で三年八カ月、これが私は比較だろうと思います。で、旧願を新法の対象にしないというのは、先ほど申し上げましたように、二カ月でございますが、全体の効果は毎年毎年おおむね一年半は違いますというところの全体御判断ではないかと考えております。
#73
○竹田現照君 どうもわからぬな。
 これは武藤さんにもう一ぺんお尋ねしますけれども、私がわからないか、あなたがわかったのか、あるいは頭の相違かもしれませんけれどもね。あなたもいまのような説明で――私の言っていることはやっぱり間違っていますか。私の解釈、私の受け取り方というのはちょっと邪推過ぎますか。一貫した、法律改正案の提案以来、あなたも同じように聞くのですから、同じことを読んでいるわけですから・同じことを聞いて、自民党と社会党の違いだけでは、聞き方にあまり違いはないと思うのですが、ぼくの受け取り方がへそ曲かっていますか。
#74
○衆議院議員(武藤嘉文君) いや、先生のおっしゃることよく私もわかります。ただ、私先ほども申し上げましたように、これについては私は実務をおやりになる方がこういうことでできるのだと、大体最初予想しておったのは一五%だけが審査請求が出ないものと予想しておったと、そうしてそれに対して約一〇%というものは審査請求制度になった場合にはいろいろと現在の早期公開してしまって審査請求制度を入れるのだから、当然その早期公開の準備としていろいろ分類の仕事がたくさんございますと、こういうことでございました。私はその分類の仕事がどのくらい時間がかかるのか、どのくらい手間がかかるのか、そこまで私もよくお聞きもいたさなかったのですけれども、そこまで私もわからないものですし、それはもう当然そういうことだろうと、こちらも信用いたしまして、そういう仕事が相当かかると、それに約一〇%の力がさかれるのだと、こういう話でしたから差し引きそれじゃ五%だけのことですねと、こういうことでお話をし、そうでございますと、五%のことだけならばまあ旧法の人には――旧法というか、いま出願しておられる方は気の毒だから、それはいままでのものをしてあげたらどうかと、しかし早期公開することによって、技術革新の時代だし、みんながそれによっていろいろなものを知ることができるならば、今後出される人はそういうことを承知の上で出していただけばいいのだから、一月一日以降はそれでみんな新法の適用を受けることにしたらどうかと、こういうことにしたわけなんでございます。
#75
○竹田現照君 そうすると、この衆議院の修正によって特許法を改正するということを考えた趣旨というものはまるっきり変わったというふうに私理解していいですか。それじゃ早期公開制度というものを導入することによって云々というのは、いま武藤さんが後段お答えになった趣旨に、むしろ特許法改正の趣旨というものは変わってしまったと、そういうふうに理解することがすなおだと思うのですけれども、これはどうなんです。そうすると何十万件というものを、たまっていたものを処理をするというところに力点を置いた改正の趣旨というものはたな上げになったのだと……。
#76
○衆議院議員(武藤嘉文君) 私は先ほどもお答えしたと思いますが、従来の分と今後の分と実は二つに分けて考えておるわけでございます。今後の分について、私はその早期公開、審査請求その他の制度を導入することは、現在の技術革新の時代においては必ずメリットがある、こういうふうに私は信じておるわけでございます。それから過去の分の滞貨処理という問題、これは最初役所から言われたときに、それは確かにそういう案を出したのでございますから、そういうことかと思いましたけれども、これはまた前に戻りますけれども、西ドイツの憲法問題とかいろいろ出てきたと、そうすると日本でそういう問題が万一起こる可能性があると、そういうことは、お互いにいまからそういうつまらないことは避けていくべきじゃないかということで、過去の分については何とか新法の適用以外の方法はないのかと、こういうことで特許庁とも相談をいたしまして、特許庁で、それじゃそういう場合には一体滞貨処理はどうなるのか、こう聞いたところが先ほど来の説明なのでございます。私は、その説明は、それじゃいまのお話のとおり、一体それでこれだけ人数ふやしただけではたしてできるのかどうかということになりますと、先生と同じでございますけれども、私は特許庁がそうおっしゃるのですから、これは必ずおやりになるに違いない、こう考えて私はこういう形をとらしていただいたわけでございます。
#77
○竹田現照君 これは私は、このいまの――これも仄聞ですけれども、与党がこれの修正をおやりになるくらいなら、むしろ特許庁の長官はこの法案を廃案にしてもらったほうがいいというふうに考えられたという話だそうですから、うそかほんとうかしらぬけれども、皆さん方を一生懸命納得させて修正案にしたらしいのですけれども、それにつじつまを合わせるような説明になるからどうも合わないのだな、さっきからぼくの言っていることと皆さんの言っておるのが。だから大体これを修正して軌道に乗るのはいつになるのですか、端的に聞くと。この八十万件が処理されて、それであなた方が修正をしてきたこの法律というものがうまく軌道に乗るというのはやはり二年四カ月後なんですか。
#78
○政府委員(荒玉義人君) ちょっと御了承願いたいのですが、竹田先生のお話に私の見解がございましたが、それは全く私責任者として御訂正――できれば御訂正願いたい、かように思っております。
#79
○衆議院議員(武藤嘉文君) まあここに処理件数Aというのがございまして、そこにずっと書いてございますが、これはごらんいただきますと大体わかりますけれども、大体こういういまのものを処理するのは、私は四年近くかかるのじゃないか、四年はかかるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#80
○竹田現照君 先ほどの長官のは、これは仄聞ですから、そうでなければそうでなくてけっこうですけれどもね。ただ行政府としては、それは自分が出したけれども一〇〇%通らなければというわけにはいかないから、それは立法府が修正したからそれに従いませんというわけにもいきませんから、それは先ほどのように答弁をするのはあたりまえの話だと思うのですよ、それまでの経過がどうであろうとも。しかし私は、こうまで提案の趣旨そのものが、私から言わせれば、政府原案というものがまるきり変わったとすれば、その提案の責任者である特許庁の長官というものは、いまおっしゃったような心境であるとは、あまりすなおに受け取れないのです。これは違っておればそれはたいへんけっこうです。
 そうすると、なお私は政府側に聞きたい。ここまで修正されて、いま説明されておるような事態になるということがはっきりしているのだったら、何でいままでわれわれにこういう説明をしてきたかということを逆に開き直って聞きたいのですね。こうまで修正されても二カ月か三カ月くらいの違いしかないというのであれば、何で先国会以来われわれに五年も六年もかかるのだということをずっと一貫して説明をされておられたのか、私は全然わからないのですよ。逆に今度政府側に聞きたい。だから、そういう点から言ってもどうもおかしいし、結局そうするとあれですか、与党としては自分のほうではこう修正しようと思ったけれども、その修正の結果こうなるだろうということで、おまえのほうでちょっと試算してみろ、ちょっとそろばんはじいてみた結果、特許庁長官がこうこうでございますと言ったことをまるのみにして、悪く言えばうのみにして、それじゃよかろうというふうにしてこれを修正してしまった、そういうことですね。
#81
○衆議院議員(武藤嘉文君) まあ、うのみにしてとおっしゃっていただくとたいへんあれでございますが、私どもは先ほどから申し上げておりますように、結局一〇%の労力がかかるという仕事、これははたして一〇%に相当する分がかかるのかどうか、これは正直私わかりません。しかし一〇%の労力がそちらに費やされるのだ、こういうことであれば、やはり私どもとしてはそれを信用するよりない。それは五%だろう、七%だろうとか、あるいは逆にもっとかかるのかかからないのか、私ども実際実務をやっておりませんのでわかりませんものですから、一〇%かかるという説明は、当然そういうことであるならばかかるだろうというふうに判断したわけでございます。
#82
○竹田現照君 そこで大臣にお伺いしますけれども、前大臣大平さんは、提案のとき以来五年もかかる、こう言っていたのが、こうまで修正されて、なおかつ審査期間がいまの未処理案件について短縮されるのだという特許庁の説明は、私は理解できません。ですから大臣は、全然法律的に何も手心を加えないで、なおかつ八十万に及ぶ滞貨が当初説明をしていたより審査期間が短縮をされるのだということについて、ちょっとわかるように大臣のほうから、今度行政府の責任者のほうから説明してください。
#83
○国務大臣(宮澤喜一君) まずその部分からお答えをいたしますが、このように修正になりますと、現在あります滞貨の処理は従来と同じでございます。それ以上それが短くなると考える理由はない。増員の点などいろいろございますけれども、基本的にはその御理解は私は間違ってないと思います。そこで、政府原案と衆議院修正案とのメリット、デメリットを申し上げればいいと思います。私どもが原案で考えておりますメリットは、一つは滞貨の処理が早くなるということ、それから公開ということができるということであります。その滞貨の処理が早くなるということについて、この修正案との比較で言いますと、それは二カ月ぐらいではないかと言われることは、そのとおりでございます。しかしこの公開という原則が立ちますと、これは特許法一条に掲げておる二つの目的のうちの一つの大事な目的でございますから、私どもはその公開ということをメリットだと考えたわけでございます。それに対して衆議院は、そのメリットは認めるけれども、それは憲法との関係で、はたしていかがなものであろうかと、こういう観点に立たれたわけでございます。その観点は私どもも理解ができます。結局二つのことをバランスにかけられて、衆議院は公開というメリットはなくしても、疑わしいおそれのある部分は避けておくべきだ、こういう判断に立たれた、こういうことであります。そこでこういう修正案が出ました。この修正案でもなおこの法律が成立するのがいいかそれとも現行法がいいかということになりますと、それは右から三つ目の下から二年四カ月、昭和四十九年でございます。それから一番右の欄の三年八カ月、この違いが現行法に比べてこの修正のメリットになる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#84
○竹田現照君 そうするとあれですか、武藤さんにお聞きしますが、あなたのほうの修正に伴って政府原案の提案の最大の目的だった未処理案件の処理促進ということはくずれた、くずれてしまったのだというふうに私は理解しますが、その点よろしいですか。
#85
○衆議院議員(武藤嘉文君) 確かに最初の予定よりも、ということは、おくれるかおくれないか、その辺よりも、私はもっと大きな問題は、そういう新しい技術というものが一般の方にわからない、こういうデメリットは私はあるのではなかろうかと思います。しかしながら、未処理案件を今後処理していくという面においては、先ほど来、これは何べんも同じことを繰り返すようでありますが、五%の違いしかない、こういうふうに私は判断をいたしておるわけでございます。ですからそんなに違いはない、だから未処理案件のスピードというものはそんなに大きく違いはないのではないか、こういうふうに考えます。
#86
○竹田現照君 八十万件というものを、公開審査制度を導入し、審査請求制度を入れることによって四年なり五年というふうに想定されておったのが、かなり短縮をされるという説明の点は、これは旧法どおりだから一つも促進にならないわけでしょう。ならないから、結局最大の未処理案件の処理という改正目的というものはくずれてしまったじゃないかということが私の言うことです。全然変わらないじゃないか。どこが変わるのですか。法律を改正しないのだから、いままでと同じでしょう。法律を改正することによって未処理案件の処理促進をされる、だからかくかくの改正をする、こう言ったわけだが、ところがそれが全然だめになったのだから、未処理案件の処理というものはいままでと同じだから、何も残らなかった、こういうことになるじゃないですか。
#87
○衆議院議員(武藤嘉文君) そのとおりだと思います。そのとおりでございますが、ただ先ほど来申し上げておるように、結果論でございますけれども、早期公開をして、審査請求制度を導入しても、五%しか違わないのだということであれば、大差ないじゃないかというふうに判断しておるわけであります。
#88
○竹田現照君 これは審査請求制度とかなんとかという質疑はまたあとでやりますけれども、だけれども事実上その最大の柱が倒れてしまった。あなたの先ほどの御説明によっても、この法律をいまかりにこの国会で通したとしても、この効果があがるのは実際は四年先なわけですね。実際四年先でないと出てこないでしょう。それは四十七年の七月になったら公開をするから、その点について早期公開制度の持つ、何というか、性格というか、そのものはあるけれども、案件の処理からずっと一貫したものというので、そこにいくのは四年くらいの先の話でしょう。だからあまりこの法律をいま急に急いで通したって通さなくたってて――これは悪いけれどもね、四年も五年も先のメリットを考えてこの法律を急いで修正をして通さなければならないということは、私はちょっとわからないのですよ。それから先ほどの説明の中で、来年一月以降の新法について、一年半後公開がある、四十七年の七月以降の優先審査請求、これに基づくものは並行して審査をしていくのだというような説明をさっきされておったですけれども、そういうふうに理解をしておったのでしょう、特許庁の説明を。あなたは、法律的にどうもちょっと疑わしいと、こう言っていたけれども、特許庁はどうなんですか。それはやはり並行して審査していくんですか。
#89
○政府委員(荒玉義人君) 厳密に申しますと、審査請求といいますのは現行法の出願と同じ効果でございます。現行法は、出願をいたしますとすべてを審査する。したがって、その意味では古い出願と請求された新しい出願、これは同じ法律的な効果でございます。したがいまして、並行の意味でございますが、一応原則は古いものを片づけてからあとに取りかかるというのが私は原則だろうと思います。
#90
○竹田現照君 それじゃ、原則はそのことをやることが原則は原則だけれども、さにあらず、実際はやるのだ、こういうのと、いまの先願主義をとっている現行の法律に基づく滞貨の処理がなされないうちに手をつけるということは、これは法律違反なのかどうなのかということは、ちょっと違いますからね。法律違反だったら手をつけられないわけですからね、新法の。これはどうなんですか。私は、旧法をそのままにすることによって、先願主義に基づいていることからいえば、これを片づけないうちにあとからきたやつをやるということは、これは法律違反だ。したがって手をつけられない、そういう考え方を持っていますけれども、どうなんですか。
#91
○政府委員(荒玉義人君) 先ほども言いましたように、新しいものの審査請求というのも、現行の出願と全く同じでございます。そういう意味では、現行法のたてまえから見まして、先のものから着手していくという一つの原則から見て、全く同様に考えております。ただ問題は、優先審査の場合どうするかという問題でございます。といいますのは、優先審査に当たるというのは新法で新しく公開ということによって出てまいる事実でございますので、それは一つの例外措置として、そういう場合には新しい法律の、優先審査をするという制度の趣旨から考えまして、その場合には古いものと新しい請求されたものの上に私は優先して、優先審査を適用していくのが、いま原則と申しましたことの例外に当たるのではないかと思います。
#92
○竹田現照君 そうすると、並行審査をやるということですか。
#93
○政府委員(荒玉義人君) 並行審査という意味が、原則は古いものを片づけて次に新しく移ります。ただし、優先審査は私はこれは並行ではないと思いますが、例外として、そういう趣旨は、新しい法律の趣旨から見ても、過去のものをひっくるめて適用していっても私はそれが新法の趣旨に反すると、それが違法だとは考えません。
#94
○竹田現照君 これは急に変わってきたものだから、ちょっと、政府原案に基づいて質問の準備をしていたのが、がらり変わっちゃったわけだから、質問がちぐはぐになる場合もあると思いますが、それはお許しいただきたいと思うのですが、いまのお答えは、先ほど武藤さんが言った、法律違反の疑いがあるというのとどうもかみ合わないような気がするのですよ。それは、長官のいま言ったのは、新法によって来年一月一日以降の施行の分について四十七年の七月以降公開をされた中で、審査請求があったものをやるというのだから、原則として。そうでしょう。
#95
○政府委員(荒玉義人君) 例外として。
#96
○竹田現照君 その例外がたくさん次から次に出てきたらどうなんですか、古いやつの審査は。例外が次から次に出てくる可能性が全く例外中の例外だということをいまから言い切ることはちょっとむずかしいですよ。それじゃおれもおれもということで、次から次に出てきたときに、いままでたまっていたやつより順次先に送られていくことに、結果としてはなりませんか。そうすると、旧法の分については先願主義はくずれてしまはないか。
#97
○政府委員(荒玉義人君) 優先審査と申しますのは、御承知のように、公開されまして第三者が当該発明を実施いたした場合、その事実をわれわれが認めて、必要があると思います場合には、本来の順序にかかわらずその出願人の利益を守る意味で審査をやる。いわば、優先審査そのものが原則に対する例外でございます。したがってその場合には、旧法の出願がまだ処分が終わらない前におきましても、優先審査、通常の出願順序にかかわらずやり得る。優先審査の趣旨から見て適用できる、こういう考え方でございます。したがって、それは量的――もちろんこれはどのくらいあるか、これはいろいろ考え方がございます。が、そういう量的な問題では私はないと思います。
#98
○竹田現照君 それはそれじゃ、もう一ぺん研究してみましょう。
 それから今度、言うところの新法というか、修正案を新法、旧法に分けますと、旧法提案の早期公開制度は、滞貨を含めてですから、滞貨の八十万件を公開することによって、出願内容の秘密解除によって、防衛出願とか見込み出願か、こういう問題を何というかな、防止というのか、そういうようなことも一つの目的だったわけでしょう。ところがこの八十万件に限り公開されないわけですから、八十万件は何が出ているかわからぬわけでしょう。そうすると、そういう点で重複防止だとか、やれ何とかいうものは全然考えられなくなりましたね。そうすると、開発研究だとかあるいはいろいろのことを言われたそういう考えというか、発明人の苦労を緩和させるという、そういうメリットというものも、この八十万件に関する限り、全然だめになる。そういうふうに理解していいですね。
#99
○衆議院議員(武藤嘉文君) そのとおりでございます。
#100
○竹田現照君 そうすると、八十万件、何が出願されているかわからないということになれば、当初ねらったものが、いまお答えのとおり、全然そのとおりだと、こういうことになれば、これもまたしかしあれじゃないですか。修正に伴って、改正の趣旨というものがこれもなくなったということになれば、これまた、あまり改正を急がなければならない理由にも私はならないような気がするのですが……。そうすると、重複防止あるいはそういうものの開発研究だとか、そういうようなものの便に供するという目的というものはどういうふうにして緩和するのですか。
#101
○衆議院議員(武藤嘉文君) 私ども、そういう点で、少なくとも今後出てくる分については、これは先ほど申し上げたと思いますが、今後出てくる分については、そういうことが十分これは考えられるので、それだから、確かに現在出ている、あるいはことしじゅうに出ると予想される出願については、おっしゃるとおりでありますけれども、来年以降出る分については、ことしこれを法律改正をやることによってそういうメリットが出てくるのじゃないか。そうすれば、私どもこの修正をするにも問題――御指摘いただいたいろいろな政府が考えておったことと、それから出願者の権利の擁護と、これをどちらをどうとってやろうかというウエートを考えた場合に、まあ何も知らないで出している出願者の権利を擁護してやったほうがいいんじゃないかと、こういう立場に立ちましたものですから、過去の分についてはそういうことでございます。今後の分については、われわれは大いに政府の考えていることをひとつ適用していこうじゃないか、そういう意味でございますので、ぜひともひとつお願い申し上げたいのでございます。
#102
○竹田現照君 しかし、今後のやつも来年の一月から出てくるというなら別ですよ。ところが、だいぶ先の話ですよ、それが出てくるのは。そうでしょう、だいぶ先の話じゃないですか。少なくともこれから二年先です。
#103
○衆議院議員(武藤嘉文君) 一年六カ月。
#104
○竹田現照君 二年以上先の話ですよ。しかも、これに伴っていろいろと紛争も予想されるんですよ。もし旧法と新法との、これから先実際にその法律が生きていく過程の中で、いろいろな点はあとでやりますけれども、実際にいま武藤さんのおっしゃられたようなメリットというのは、かなり先だ、かなり先だとすれば、さしむき冒頭から言っておるように、特許法の改正についていろいろな理屈を並べておったことが、もう提案の趣旨というものはなくなった。なくなったといえば悪いけれども、もう直ちに法律を直して、危機に瀕しておる特許制度を、説明のとおり言えば、新聞に書いておるようなことどおり言えば、危機に瀕しておる特許制度を、ここで抜本的に何らかの手を打たなければならないという目的というのは、少なく見て二年、ぼくらのものの考え方から言えば四年ないし五年先でなければ出てこない。それなのに、なぜそういうことがある程度想定されて、なおかつ修正をされたのか、修正をして、どうしてもこの国会でお願いしたいというのは何にもない。身もふたもないということばがあるけれども、身もふたもみんな取ってしまって、中身は全くメンツ以外に何もないような気がいたしますけれども、それはどうなんですか。そうならそうだと答えてもらえばいいんです。
#105
○衆議院議員(武藤嘉文君) ぜひお願いしたいと思いますのは、その点は私が考えますのに、やはり来年一月から出願された分だけということになりますけれども、まあ原案のままで行った場合では、確かに現在未処理案件の分は別といたしまして、来年一月以降の分は、現在の原案でも同じこと、四十七年七月でございますか、四十七年の七月から早期公開するわけでございます。それからそういう点はこれは原案で考えておられたメリットは当然私どもも考えていきたい。それはよく出願者がそういうものを法律をわきまえて出してくだされば、今度は権利の侵害という問題もわれわれは考えない、考えないというとおかしいのでございますが、そういう心配は起きないではないでしょうか。こういうことと、それから先ほど私どもからではなく、特許庁から出していただきましたあの数字を見ましても、いまここで改正をやらないと、昭和四十九年に至って三年八カ月かかるのだ。しかしながら、修正をやってもこの法律を成立させれば二年四カ月で、少なくとも昭和四十九年度になれば処理できるのだということになり、私はぜひこれは通していただきたい、こう考えておるわけでございます。
#106
○竹田現照君 そこでまた話を戻しますけれども、先ほど言った八十万件の一五%ですか、十二万件ですね。これは審査をやるわけですからね。それはさっき長官、八万件か何か言っておりましたけれども、十二万件を審査しなくともいいという前提であったわけですね、審査請求がないから。ところが、それがだめになったので審査せざるを得ないわけですね。そのせざるを得ない十二万件というのはどのくらいかかるんですか、やるとすれば。
#107
○政府委員(荒玉義人君) 十二万件が何カ月かということになりますれば、これは御承知のようにこの計画は当該年度の処理能力をベースにしております。現在ですと、四十四年度十五万件でございますので、十五万件が一年でございますので、一年の十五分の十二だけかかるというわけでございますが、先ほど御説明いたしましたのは、もちろんそういった十二万件は審査しなくともよいということになるのはこれは当然でございます。ただ逆に、今度は新しい制度を旧願にも適用しますと、先ほどお話しのように公開準備に相当審査官等の手をわずらわすのであります。そうすると、本来やったであろうものが未処理のままで残る。本来なら審判でやってもらうのを審査官が手伝いをする。そうすると、いま言ったように十二万件の処理に取りかかれるものが取りかかれない、こういう意味でございます。したがってそういう意味でそのプラスアルファでやれる仕事がおおむね八万件に該当する改正の仕事があります。こういうわけでございます。したがって十二万件は落ちるけれども、実質落ちるのは四万件でございますす。それが五%と申しますのは、審査官一人当たりの処理の五%でございます。したがってそれが四十九年度、つまり二十四万件程度処理する時期になりますと約二カ月でございます。こういう意味でございます。だから十二万件それ自身はあくまで落ちることは事実です。総体的にメリットは四万件分です。こういう趣旨でございます。
#108
○竹田現照君 いずれにしても、こらは改正をやらなかったわけですから、やらなかったというか、やらないことになるわけですから、端的にお聞きしますと、三年八カ月はかかるわけですね、そのいまの八十万件たまっておるものの処理に。改正をやらない場合、三年八カ月と書いてある。
#109
○衆議院議員(武藤嘉文君) 一つの処理期間に三年八カ月……
#110
○竹田現照君 さっきからぼくが質問しておるように、やった場合とやらない場合とではたった二カ月しか違わないという問題にまた戻ってくるのですね、どうもその点は……。
#111
○衆議院議員(武藤嘉文君) 私もこの説明を特許庁からもらったわけですけれども、それは一つの出願件数について処理を要する期間ということでございまして、たとえば現在は四年何カ月かかっておるんだと、それが昭和四十九年になると二年四カ月で処理ができます、しかしながらこの改正をやらないでこのままでいく場合には、四十九年になっても三年八カ月かかるんでございますと、こういうことなんでございます。
#112
○竹田現照君 だからぼくは改正をやらないなら三年八カ月かかるんだろうと聞いておるんです。
#113
○衆議院議員(武藤嘉文君) この改正は全く今度修正案も何もやらないという、こういう場合でございますね。
#114
○竹田現照君 修正はその旧法分について――これはちょっと聞きますが、これというのはたまっておる分の効果試算ではないですか。
#115
○政府委員(荒玉義人君) もちろん全体の処理傾向でございますから、まず未処理案件と、当該年度にどれだけ出願があるであろう、年度末には幾ら残るであろう、これはそれぞれみな当該年度によって違います。したがって、いまの未処理案件自身が影響を持っておることは事実でございます。この改正をやらないというのは、要するに修正とか関係なく、現行法のままでやれば、それぞれの年度のところにこの程度の処理期間になるであろう、こういう意味でございます。したがって、未処理案件ももちろん大きく関係していますが、未処理案件のみではございません。
#116
○竹田現照君 それじゃ、この四十六年以降のは除いて、四十五年の七十八万七千件、これでは四年一カ月かかるわけですね。この横にもカッコでは四年、カッコでないところが四年二カ月、こうなっているでしょう。これは少なくとも法律を全然いじくらないときの段階で、おそらくいまの段階はこれだと見ていいわけでしょう。いまの段階は、この四十五年の欄ですよ。四十五年度末だから、その上でもいいわ。しかし、約八十万件たまっているというんだから、四十五年の七十八万云々と、この程度でいいでしょう。そうすると、これはどうなんですか、この四年一カ月と「要処理期間」の右のほうの三つの欄の場合は、これは先ほど私が聞いた四十九年九十六万五千件だから、これは新しい法律も結局含める数になりますから、それはわかりました。現実にいま凍結しようとするその八十万件の処理というのはどうなんですか、これの説明をちょっとしてください。
#117
○政府委員(荒玉義人君) いま八十万件と言いましたのは、四十五年のカッコの七十七万五千二百九十七件を略称した八十万件。といいますのは、もっと厳密に言いますと、この七十七万云々は、ことしの三月三十一日末の未処理案件。それから七十六万四千云々、その次の下にございます。それは来年の三月三十一日で未処理案件がこの程度になるだろう、こういう数字でございます。
#118
○竹田現照君 だから、それの処理にはこれから四年間かかると、こういうわけですね。
#119
○政府委員(荒玉義人君) さようでございます。
#120
○竹田現照君 三月三十一日現在でね。
 そうすると、くどいようで繰り返しのようですけれども、修正案による具体的な問題が出てくるのは、この少なくとも四十七年七月以降の公開のものは武藤さんがおっしゃるようなメリットがあるとしても、実際に手がつけられるものは四年先でなければ一つも手がつかないんだと、そういうことになるわけですか。そういうふうに理解していいんですね。これは特許庁も同じでしょう。
#121
○政府委員(荒玉義人君) いまおっしゃるとおりでございます。もちろん部門別にいろいろアンバランスがございますが、総体的にはそういうことでございます。
#122
○竹田現照君 そういう状態の中で、なおかつ修正をして、修正のメリットというのは何なんですか。言ってみれば、さっきの早期公開制度による四十七年七月以降に公開するから、さっき言った、いろいろな研究投資その他というものが防げると、そういうところにやらないよりやったほうのメリットというものが出てくるのだというのが修正側の考え方か。それでこれは政府側もそういう意味で修正をやらないよりはやってもらったほうがいいんだと、そういうふうに政府・与党の意思は統一されたのだと、そういうふうに理解していいんですか。
#123
○衆議院議員(武藤嘉文君) 先ほども申し上げましたように、そういうことを合わせて未処理の期間についても現在のままでいく場合には、三年八カ月かかるのが二年四カ月に少なくもこれは未処理案件を整理したあとの四十九年度中でございますけれども、四十九年度には二年四カ月になるのだ、こういうメリットもあるということでございます。
#124
○国務大臣(宮澤喜一君) それはもう一度この表に即して申し上げればおわかりいただけると思います。右の端から四番目、四十九年でございますね。これ年度末未処理件数五十八万一千件と書いてございます。この処理に要する期間が、武藤議員の言われたような期間でございます。改正をやらない場合は九十六万五千件の未処理があって、それに三年八カ月を要する、この二つの間のメリットでございます。これは処理案件のことだけをおっしゃっていらっしゃいますから、それについてだけ申し上げますが、こういうメリットになる。そこで、先ほどから言っておられますメリットの出るのはだいぶ先ではないかと言われますけれども、結局種をまいておきませんと花は咲かないということでございまして、この改正をやっておきませんと、この堆積はいつまでも新しい山が続いていくわけでございますから、新しい山を大きくしない方法は何かということで、それはいまやっておきませんと、いつまでたっても従来と同じ山が大きくなっていくということでございます。
    ―――――――――――――
#125
○理事(大谷藤之助君) この際、委員の異動について報告いたします。本日、井川伊平君が委員を辞任され、その補欠として木村睦男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#126
○理事(大谷藤之助君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#127
○理事(大谷藤之助君) 速記を起こして。
 それじゃ引き続き質疑を行ないます。
#128
○小柳勇君 午前中の質問を聞いておりませんので、ダブるかもわかりませんが、なるべくダブらないように勘を働かして質問しますが、まず第一点は、衆議院で修正されましてまいっておりますが、いまも竹田君の質問の中に、修正した後の滞貨処理の状況についての試算が出ておりましたが、私どもの考えでは、どうしても修正案でいっては、初めの原案に対しても相当問題がありますけれども、修正して出されたものでは、滞貨解消という大きな目的をほとんど達成することはできぬのではないか、これが第一の心配ですから、もう一回御説明願います。
#129
○衆議院議員(武藤嘉文君) 先ほどもお話を申し上げたんでございますけれども、正直申し上げまして、私ども滞貨といいますか、未処理案件をなるべく早く促進をして処理をしてもらわなければいけないと、こういう考え方はもう先生方と同一でございます。ただ、正直言って、これはいろいろと西ドイツの違憲問題が動機になったことは事実でございます、先ほど申し上げましたように。それにとらわれてどうということではございませんけれども、最近のように非常に外国人の特許出願が多いということを考えまして、いろいろそういう場合の違憲訴訟、そういうことを考えた場合に、できるだけそういうことを避けたほうがまあベターではなかろうか。しかし、こういう修正をいたしまして、従来の未処理案件がそれによって、早期公開制度をとったときと比べて、非常にマイナスになるのでは問題がある。こういうことで、実は特許庁にお伺いいたしましたら、まあお手元に届けてございますように、修正をした上においてやっても、最終的の四十九年度においては二年四カ月で大体処理できるというところへ落ちつくと、こういうことでございまして、政府原案でまいりましても四十九年度が二年二カ月の処理期間である。こういうことであれば、二カ月の違いであるならば、そういう多少とも問題が起きそうなことは、この際避けていってやったほうがこれはいいんじゃないか。こういうことでこのように修正をさしていただいたわけでございます。
#130
○小柳勇君 早期公開制度が憲法違反になるおそれがあるから、滞貨については早期公開を適用しないで、新法から早期公開を適用すると、こういうことが修正する場合の論点だったと思うんですが、どうですか。
#131
○衆議院議員(武藤嘉文君) まあ憲法違反というところまでは私ども強くは申し上げておりませんのでございますが、ドイツの例をとると、そういう違憲訴訟が起こされる可能性がある。ですから、もう違憲であるとかどうとかいう論議まではもちろんまだいっていないわけでございます。しかし、違憲訴訟というものが起こされる可能性はある。そういうところでごたごたをすることをなるべく避けていったほうがいいんじゃないか。そういうような問題の起きやすい法律というものは、われわれはつくるべきではないんではないか。こういう考え方であったわけでございます。
#132
○小柳勇君 現在の滞貨に対して早期公開を適用するのは違憲だけれども、今度は新法ができまして、早期公開をやることについては将来違憲訴訟は起こらないと、こういう御見解ですか。
#133
○衆議院議員(武藤嘉文君) ですから、まあ先生のおことばでございますが、私は違憲であると、こういう一つの前提に立っておるわけではございませんで、先ほど申し上げますように、そのような違憲訴訟というものが起きるおそれがあることはなるべく避けたい、こういうことでございます。ですから、じゃ今後の分についてはどうかと、こういう御指摘でございますけれども、私どもが考えましたのは、そういうことで多少憲法とももちろん抵触いたしますけれども、現在出願をしておられる人は、自分たちの権利が、当然現在の場合であると、登録するまでは秘密が保たれるわけであります。そのときに登録されないか、あるいは特許で認められるかどうか、これは別でございますけれども、少なくとも審査がなされて、それで最終的に登録がなされる。そこまでは、一応登録されるものについては秘密が保持される。しかしながら、今後のものは別といたしまして、従来出願された方は、そういうことを考えておられる。この早期公開をそう考えておられる方の出願に対しても適用した場合には、その人たちの分に対しては、少なくとも早期公開してから公告がきまるまでの間は補償請求権制度はございますけれども、実際にはその行使はできない。こういうことになっておりますために、そういう人たちは、そうすると、その間というものは、少なくともまあ結局いまの未処理案件が処理される間までの期間というものは、非常に問題があるんじゃないか。そういうことを考えた場合には、そういうことを考えておられない人に、私どもこういう制度を押しつけるということはどうであろうか、こういうことを考えたわけでございます。
#134
○小柳勇君 それならば、今度の国会で修正などするよりも、もう前の国会で問題にしなければならぬでしょう。前国会で出た原案は、補正の問題と優先審査の問題で変わって出てきましたね。その早期公開の問題については、前の国会と今度の原案はちっとも変わっていないでしょう。それが突然一夜にして修正がきまったものだから、ぼくらは納得ができないわけです、本心言って。一体その早期公開は、滞貨について早期公開をやると違憲の疑いがあるから、訴訟になる疑いがあるから修正したのか。あるいはもう今度の国会でどうしても法律を通さなければならぬから、そういうメリットはあるけれども、一歩後退して、この際目をつぶって修正して通そうと考えたのか、率直に聞きたいと思います。
#135
○衆議院議員(武藤嘉文君) この点は午前中竹田先生その他の先生にお答えしたとおりでございまして、また、いまもお話し申し上げたと思いますが、西ドイツのああいう違憲訴訟問題、こういうものが私どもやはり一つの動機となったことだけは確かだと思います。そうして、それに対しては、まあけさからも、外国にいろいろそういう例が出ている、それじゃおまえのほうは一々そういうものを調べなければいかぬじゃないか、こういうことでございまして、この点はまことに――私はけさも頭を下げたのでございますが、いまおっしゃるとおり、そういう問題は、昨年の十二月十五日にドイツの場合はそういう決定がなされておるわけでありますから、十二月十五日現在において私どもがそういうものを手に入れて、そうしてそういうものを参考にしながらやればもっと早かったと思います。そういう点では私どものまことに不明でございますけれども、まあ正直そういうことを知らなかったということは事実でございますし、それから、そうかといって、ドイツがそういうことだから、こうやったから私どもそれをそのままにうのみにということでは決してございませんので、私ども現在出願されておる人たちのことを考えますと、これは当然そういうことも考えていかなければならぬのじゃなかろうか。こういうことは私ども主体的に自主性をもって考えたつもりでございまして、それだけつけ加えさせていただきます。
#136
○小柳勇君 昨年の国会で改正が出されたときのそもそもの根拠になるのは工業所有権制度の改正に関する答申ですね。その答申が基礎になりまして、通産省並びに特許庁は改正案をつくった。ほとんどこの答申そのまま改正案として昨年出てきたわけです。一年間いろいろ論議した結果、その問題点がたくさん出た。そこでその問題点のおもなるものは、今度の国会の改正案には消されて、修正されて出てきていますね。そこまでは工業所有権制度の改正に関する答申からまああまり隔たっておらないと思う、若干問題点はありますけれどもね。ただ、今回のこの修正が出されますのは――この答申というものは早期公開制度というものを一番柱に置いていますね。その答申の柱というものが衆議院で一夜にして修正されたということになりませんか。
#137
○衆議院議員(武藤嘉文君) これも先ほどお答えしておりましたのでございますけれども、早期公開制度は、この案の一つの大きな柱である、これはもう私もそう思っております。そうしてそれは必要なことである。ただし、そういうことであるからこそ、なるべく早く早期公開制度を適用した改正案を成立さしていただきたいと思うのでございますが、そういうことと、やはりそういうことを十分御理解をいただいておる出願者ばかりではないだろう、いま出しておられる方々は。そういう方々のことを考えた場合は、やはりこの際一歩下がって考えてみたらどうだろうか、こういうことで考えてみまして、しかもその考えたことによって、大きなデメリットが出るならばこれはいけないけれども、先ほど申し上げましたように、その滞貨処理の期間は、まあ最終的には四十九年くらいに大体二年二カ月にしようという目標で特許庁がやっておられた、その二年二カ月の処理期間にしようとしておられた四十九年度においては二年四カ月でやれる、こういうことであれば、そう大きなデリメットはないのじゃないか、こういうことで踏み切ったわけでございます。
#138
○小柳勇君 いま質問した点は、おそらくわが党の議員全部が質問したと思いますから、これから少し部分的に入っていきますが、この制度改正効果試算表というのが出ておりますけれども、これもこの試算表というものは、修正のとき十分御検討になって修正されたのでございますか。
#139
○衆議院議員(武藤嘉文君) これの、いわゆるそのものを私は正直見せていただいたわけではございません。ただ、これの骨子となります説明は私ども承りました。その説明は、これも先ほど御説明をいたしましたけれども、先生まだおいでにならなかったのでもう一度繰り返えさしていただきますが、結局、未処理案件が現在ある、それを早期公開制度に踏み切った場合、それに伴う審査請求、これは八五%くらい審査請求が出されるだろう、こう特許庁は試算をされておったようでございます。一五%というものは防衛出願その他によって、あるいは必要なくなったということがあって一五%程度は審査請求をされないだろう、その一五%以外の八五%は審査請求がなされるであろう、そうすると、その一五%だけはそれだけ確かに労力が省かれるわけでございます。ところが、それに対してこういう早期公開に踏み切りますと、これからの分は、初めから、法律が改正になりましてからの分は、出てきたつど、その分類のところにほうり込めばいいんでしょうけれども、いままでの未処理案件は全部一括になっているようでございまして、こういうものを仕分けといいますか、いろいろ分類しなければならない、そういうような仕事などに、まあちょうど一五%のうち一〇%に相当する部分くらいはかかるんだ、こういう説明でございまして、差し引き五%分のメリットがあるだけならば、この際、いろいろ出願しておられる方のことも考えた場合に、ひとつしんぼうしよう、こういうことでございます。
#140
○小柳勇君 この処理するのは、審査官や審判官、いわゆる特許庁の職員諸君がやるわけです。皆さんが衆議院で修正された後、われわれもいろいろ検討いたしました。で、長官の意見も聞きましたし、それから実際特許審査をやる、審判をやる職員代表の意見も聞きました。職員代表の諸君が言うのは、この試算表など、専門屋から見ると、まことに取ってつけたようなもので正確ではない、もう一回正確に試算してもらいたいという意見が出ております。皆さん一つの参考としてやられたのでございましょうし、政治家ですから、あまり小さい点は――ひとつ判断しておられると思いますが、私どもが考えますのに、現在の滞貨処理の一つの作業がある。それから新法による出願受付なり早期公開の部分と国際協力すなわちPCTの問題がある、現行でやる一つですらなかなかたいへんである。今後またその新法とダブりまして、若干ラップしてまいりますね。この滞貨を片づけて新法の処理はやりますけれども、法的にはいろいろラップしている点もございます。ますます作業が複雑になり、試算表のようには滞貨処理ができない、こういう意見が出ておるのですが、修正された後、具体的に今後の、今回法律を改正した後の事務的なもの、運営処理的なもの、具体的に検討されたことございますか。
#141
○衆議院議員(武藤嘉文君) 今後の分につきまして、私ども具体的に検討したというところまでは正直いっておりません。ただ、この問題にからみまして、私どもも、過去においてそのような未処理案件が非常にふえたということ。これに対しても正直もっと反省しなければならないのじゃなかろうか、もっと職員の待遇もよくし、また喜んで働いていただけるような職場の零囲気もつくらなければならない、あるいはまた審査官もここに八十五名の増員予定になっておりますが、こういうものも、われわれの立場において、もっとふやすようにしなければいけないのじゃなかろうか、こういうことは、いろいろ検討はいたしたわけでございます。
#142
○小柳勇君 改正の問題につきましては、また具体的なものはあとで質問いたしますが、大臣にひとつ質問いたします。
 滞貨の大きな原因が、出願件数が非常にふえておる、技術革新に伴う出願件数が毎年急上昇しつつあるという点、したがって、滞貨を処理する方法と、それから出願件数を整理するという行政的な措置、こういうものもありませんと、滞貨の減少にはなかなかなりませんね。だから片一方で滞貨をどんどん処理する能力というものを、体制をどんどん拡充していく、片一方は出願する人たちの出願件数を整理して、たとえば予防的なもの、あるいは何といいますか、ただ簡単にとは言いませんけれども、出願する以上は真剣にみな出すでしょうけれども、現在の実績を見ますというと、拒絶されたものが約五割です。五割のものは、専門屋が見れば、初めから出願しないでも済むようなものもあるかもしれない。したがって、出願を整理するという行政的な措置を今日までお考えになったことがあるかどうか、大臣にお伺いいたします。
#143
○国務大臣(宮澤喜一君) 滞貨の処理と申し上げますよりは、むしろ案件処理の促進、あるいは処理期間の短縮というふうに申し上げたほうが誤解が少ないと思いますが、それをいたしますために、片一方においては、御承知のように定員の増を毎年、多いときは百人をこえております、少ないときは下がっておりますが、やってまいりました。これは、いまの政府の行政合理化の方針から申しますと非常な例外になっておりますが、それでも、そういうことをやってまいりましたし、それでもなお追っつかない。ことに出願の内容が複雑に高度化してまいりますので、よけい審査に時間がかかるわけでございます。そこで、おっしゃいますような、何とかして処理案件を合理化する方法はないか、それは機械化、電子計算機等、いろんなことは、これは当然だれもが考えることで、そういう努力はいたしますが、それでもなお防衛出願のような、いわゆる本来審査を目的としておるものでないと考えられるようなものが現実にあるわけでございます。しかし、他方、出願というのは国民の憲法上の基本的な権利でございますので、出願そのものを押えることはできないのでありますから、出願されたものの中から、これは出願しておけば、それによって一つの効果をもうすでにおさめているのだと考えられる部分、そうでなくして、実際審査を真実求めておるのだという部分を分けて処理する方法はないだろうか、そういうことになりまして、結局、審査制度という、今回御提案を申し上げておりますような結論になってきたわけでございます。
#144
○小柳勇君 長官に一言お尋ねしますが、大会社及び中小企業会社などの出願の比を、件数を見てみますと、大会社がほとんど多数を占めておる。その趨勢について、現状について長官から御説明を願います。
#145
○政府委員(荒玉義人君) ちょっといま大企業と中小企業の正確なその数字、調べておりますので、しばらく……
#146
○小柳勇君 それじゃ私のほうから説明しましょう。昭和三十八年のおたくの調査によりますと、特許で大企業が七八%、中小企業が一七%、その他五%、新案のほうで大企業が六八%、中小企業が二八%、その他四%というような趨勢です。特許にいたしましても、ほとんど八割が大企業、その中で上位三社をとってみますと、名前はわざと省略いたしますが、上位三社をとってみますと、出願件数が四十三年度で一二%です。全体の出願件数の中で上位三社で一二%、それから上位三社の出願件数に対する拒絶の比が三十九年度で五〇%。その五〇%の中で実際実施しているもの、新案を公に売ったりあるいは役立てたりしているものが三六%。したがって、出願件数の全体の中の一八%が世に出て役立っているわけです。いま滞貨七十五万件といいますと、それがその中で実際世に出て役に立つもの、新案、特許はその七十五万件の一八%ですね。そのために、去年から今日まで論議しましたような手数をかけておるわけです、千八百名の特許庁の職員とあれだけばく大な施設と。その他の中小企業の皆さんも、もちろん大切な発明ですがね、それにしましても拒絶率約五割ですね。個人に至りましてはわずか四%ないし五%です。したがって、私がいまこれから言わんとするのは、滞貨処理というものを考えますときに、もちろんその処理は特許庁の職員――審判員なり審査員なりを増員し、かつ機構を整備し、なお庁舎を一つにして機械化して、もっと事務的な能力の増大をはかることも必要ですけれども、この大会社の出願というものを行政的に指導し、整理する方法はなかろうかと、こういう人々は、わが社の利益のためには、出願する費用はわずかですから、専門屋を置きましてどんどん、どんどん出願してまいりましょう。そのために日本の特許制度というものが振り回されているのではないか。特に、上位十社ぐらいとってみますと、その人たちのために日本の特許制度そのものがあるのではないかというような気がする。そのことをほんとうに考えて、その出願をどう処理をするかということを考えていかなければ、毎年毎年同じ論議を繰り返していかなければならぬのではないか、そして日本の工業の進歩はないのじゃないかと、こう考えるわけです。具体的な数字を私出しましたが、長官も計算が十分でないと思いますから、まず私の言わんとすることに対する通産大臣のお考えをお聞きしたい。
#147
○政府委員(荒玉義人君) 恐縮ですが、まず私かわって小柳先生の御質問にお答えいたします。
 御趣旨は、まず改正というだけでなくって、実際に審査すべき件数が整理でき、それが国民経済全体の利益になる方途があるのではないか、おそらくなぜやらないんだという御開陳をいただいたと思いますが、大企業の中で上位三社、これは大体私もわかりますが、いわば件数が多いのは防衛出願が多いといわれております。一社が大体七、八千件ございますので、これは特許中心、新案を含めて七、八千件、おそらくアメリカあたりでは一番多いところでもけたが違うと思います。その一つの理由は、やはり何といいましても、特許というのは御承知のように紙一重な面がございます。まあ単位がきまっておりまして、これ以下は特許、これ以下が拒絶、あるいはこれとこれははっきり抵触すると、そういったいわば微妙な問題があるものですから、おそらく出願人といたしましても自分のものを守るためには、やはり周囲を固めておく、だから判断が非常に微妙な点でございますので、安心するために取っておくというのがございます。まあそれあたりは実は特許庁ももう少しやはりいろいろ外部の実態をもっと勉強いたしまして、たとえば審査基準というのが具体的に作業別でやっておりますが、あれあたりを徹底いたしまして、これは合格、これは不合格、このものはもうお互いに同じだというような点を具体的にやっぱり業界に示して、同時に業界といろいろとそういった面をさらに一そう密接な連絡をとって、やはり土俵をはっきりしていくことによって、あるいはこれはもう無用だ、これはどうしてもというあたりの振り分けを私はつける必要があると思います。もちろん現在でも一応の選別基準というものはございますが、なお一そうもう少し具体的にそこらあたりの出願人の出願を選択する場合の参考にしなければいかぬという面が確かに私あると思います。
 それから第二は、これはわれわれが今後考えにゃいかないと思っておりますのは、やはり相当外部とそういう形で協力していけるか。まあ極端にいえば今度修正になりますと特にそういう必要があると思いますが、ある程度のものは外部の協力を得て先願の地位を残すような方策のもとに、できるだけ協力していただける方法がないかどうか。したがって、先ほど言いましたように、具体的にはものの考え方をはっきりしていく、これはもう逆に民間からいいますと、特許庁の考え方があいまいだから出さざるを得ないということもあるわけでございますから、そういった面をできるだけ明らかにすることによって、一つの出願人の出願するかどうかの選択並びにそういった外部の方々との協力態勢、これはいろいろな面がございますが、そういうことを深めることによって、いま先生のおっしゃったようなことは当然私はやらなければいかぬと思います。
#148
○小柳勇君 通産大臣、私いま申し上げたことが一番大事な点じゃないかと思うのですが、昨年の改正案のときも相当論議したのです。ここに記録がたくさんありますがね。私も何時間か質問いたしました。で、そのときに論議しました中で、滞貨を減らす方法としては法改正が必要であると言った。ところが法は改正しませんでしょう。そのときに反対意見がどんどん出ていた、職員組合からね。で、反対意見はどんどん来ておりましたが、職員の方も言っていた。これは廃案になったら滞貨は減りますかと言ったら、それは定員がふえたら滞貨は減りますとおっしゃった。しかしその後の実績を見てみましても、滞貨は減っていないのですよ。定員は六十名ばかりの方が、事務と審査官とのあれが流用がありましたものですから、それが整備されたようでありますけれども、審査官や審判官の数が若干ふえましても滞貨は減らなかった。ますますふえておる、現に。じゃ職員の皆さん遊んでいるかというと、そうではないわけですよ。やっぱり毎日一生懸命やっておる。だから、基本的にこの工業審議会の答申も、滞貨を減らすということがやはり大きな眼目ですね。法律を出しているのも滞貨を減らすというのが大きな眼目ですな。にもかかわらず、法律は出したが、出したらすぐこれが滞貨を解消するかというと、通りましてもこの試算表にもあるように、なかなか滞貨は解消しない。じゃ職員組合が言われるように、これを廃案にしたら滞貨は解消するかというと、解消しない。ほかにまだ方法があるんじゃないかと、いろいろ私ども質問してきた。ないですね。たとえば庁舎がいま二つありますから、これももっと早く金をかけて一個の庁舎にしてもらって、もっと事務的に、あるいは職員が動けるようにしなければならない。これも昨年言いましたね。定員をふやすことも言いましたね。電子計算機の話も出ました。いろいろなものは去年出尽くしているわけですよ。それを一体この一年間の間にどれだけ実施しているであろうか。まずそこから聞きましょう。特許庁長官に一年間の間どれだけの手を打たれたのか。
#149
○政府委員(荒玉義人君) 運用面といたしましては、まず第一に人員の拡充でございます。われわれ七十五名の増員を見ております。それから第二に、予算上の問題といたしましては、先ほどの、できるだけ出願をセレクトするということに関係いたすかと思います。あるいは特許法の中における審査請求制度にも関連する問題で、例の特許情報センターの問題がございます。これは、ただ出願後というのじゃなくて、もう少し前の段階で、企業側が開発に着手する前に、早い情報を得たいという要望もございます。それがもちろん出願の抑制にも通ずるという意味で、いわば特許情報センター、これを二千二百万円のテスト費を獲得いたしました。大体審査にプロパーに影響いたしますのは運用面では二点。
 そのほか、改正法案につきましては、前回の議論のうち特に問題になりました公開時における出願人の保護の問題、その対案といたしましては優先審査制度というものを導入いたします例の補正制限等にいろいろ御批判がございました。それは各界と調整いたしまして、補正の内容の整備を今回は削除いたしました。したがって、運用面並びに法案の面につきまして以上のような努力を続けてまいったわけであります。
#150
○小柳勇君 法案の改正についてはこれはわかります。優先審査制度の新設と補正の制限ですね、制限を緩和されたことはわかりますが、いままでの一年間の実績を見ましても、滞貨の減少はございません。今度の改正案を昨年よりもさらに一歩前進だと思って原案をお出しになった。それを今度は衆議院で修正をした。で、法律的にはいろいろ問題がありますけれども、滞貨だけについて言いますならば、特許庁長官が最初にお出しになりました本国会の原案ですね、それを一〇〇とするならば、衆議院が修正いたしましたその修正案を通すならば、滞貨は今度は何%ぐらいになったか。その点どうお考えになりますか。
#151
○政府委員(荒玉義人君) むしろパーセンテージを申し上げますより、提出いたしました効果試算で申し上げたほうがいいかと思います。まあお尋ねのございませんまず一般論で申しますと、ここの修正の表によりますと、四十九年度で衆議院の修正を含めて効果を試算いたしますと、おおむね二年四カ月でございます。それから現行法のままで審査いたしますと三年八カ月、これが改正するかどうかの全体的な効果判断でございます。次に、修正部分のみについて申しますと、四十九年度で、衆議院で提案いたしまして、おおむね二年二カ月、これが二年四カ月、つまり二カ月審査期間が長くなると、こういうことでございます。で、まあちょっとどうかとお感じになるかと思いますが、きわめて簡単な、なぜその程度かということを申し上げますと、この表で見ていただきますと、まず四十五年度のところで七十七万、いわば八十万件とかりにラウンドいたしますと、それに対して請求率が八五%でございますので、八十万の一五%だけが、約十二万件、これが審査をしなくてもよいものに該当する、したがって、本来なら十二万の分でございますから、四十九年度でその当該年度には二十四万処理しておるわけですから、半年、つまり六カ月分と考えていいわけですが、一方、新しい制度に移行しましてもいろいろな審査官の処理の面から見て、ほかの仕事をやらざるを得ないという場合がございます。たとえば、おもなものは現在審査官の手元に八十万件があるわけです。そうしますと、あるいはそういういろいろ分類をつける等の準備作業がございます。それから審判で本来やるべき仕事が審査官がやるようになります。いわばそういいますと審判としては早くなるわけですが、審査としてはプラスアルファの仕事がかかります。それをおおむね一〇%弱、まあ一〇%といたしますと、八万件ぐらいに該当するプラスアルファの仕事が出ます。そうしますと、差し引きいたしますと四万件のメリット、四十九年度の処理が二十四万件でございますので、二十四万件の処理で四万件と言いますと、月に直せば二が月、それがこの処理上から見た差でございます。
#152
○小柳勇君 今日までのこの一年間の実績、あるいはその前の実績を私ずっと見ておりますので、まあ試算表でいまお話がありましたけれども、なかなか納得できないわけです。審査請求率も特許八〇%、実用新案七〇%と書いてありますが、この法改正前後に出願件数が急にふえるという現象も過去もありましたね。そうしますと審査請求率が八〇%といたしましても、あと二〇%出願件数がふえてしまったらやはり滞貨は同じになってきますね。だから、この試算表のとおりにはなかなかいかないのではないかと私考えて、専門屋の職員に聞いたら、やっぱりそうだと言っているわけですよ。だから試算表をもう一ぺん職員の意見も聞きながら検討してみなきゃならぬと思っておりますが、要するに、この審議会の答申に基づいて七十五万件の滞貨を処理する能力を高めて、日本の工業の発明の前進のために寄与しようとする特許法の改正というものが、かえって複雑さを増してきて、技術革新のテンポを押え、かつ滞貨を処理する能力を弱めるというような心配をするわけです。したがって細部の問題は後日に譲って、もう一回特許庁長官から答弁のありました点を大臣に質問いたしますが、省全体としてこれは考えてもらわなければならぬ問題だと思います。さっき申し上げましたように出願件数の中の七割近くは大企業のもの、しかも大企業といいましても十数社ですね。その人たちが自分の企業なり特許を守るために、前の特許を守るためにまた予防出願などして、いたずらに――いたずらにということばは取り消しますが、出願件数がふえる。それを行政的に通産省が全体あげて取り組んでいかなければ、特許庁だけにまかしておきましても滞貨の処理はできないのではないか。そして結局は国際的にも技術革新のテンポにおくれてしまうのではないかと思いますが、大手企業の特許出願あるいは新案の出願に対する整理について、特許庁長官からさっき意見を聞きましたが、大臣からもう一回見解を聞いておきたいと思います。
#153
○国務大臣(宮澤喜一君) 今回御提案申し上げておりますような審査請求制度というのは、ある意味で、いわゆる防衛出願といわれるものにうまく手をとられないで済む、それをねらっておるということは御承知のとおりでございます。このことは大企業たりと中小企業たりとを問わず同じ効果を持つことになると私は思っておりますが、それ以外に、先ほど長官から申し上げましたような業界に対するいろいろな、確かに特許庁だけでない、省をあげてのいろいろな意味での接触、つまらぬ――つまらぬと申しては語弊がありますが、何と申しますか、簡易化というようなことも考えていいことではないかと思います。
 それからもう一つ、これは私しろうと考えで思うことですが、いろいろ聞いてみますと、審査官というのは、実際毎日毎日出てくる案件について、大体一目見ますといわばものになりそうなものであるか、そうでないものか、どういう性格のものかは、実質上わかっておって、しかも過去どういうものが滞積しておるかという滞積の内容までおのおの自分の専門の分野では大体知っておるのだそうでございます。そういたしますと、特許というのは一種の司法制度に似ておりますから、決して手を抜いたりすることが許されるものではないと思いますけれども、同じ裁判制度でもいろいろの形の制度がございますわけで、簡易な方式もないわけではない。それに不服の場合には、さらに複雑な方式で上級に進んでいけるというようなやり方もあるわけでございますから、もしそうであるといたしますと、決して審査の手を抜くとかゆるめるとか、いいかげんにするとかという意味ではなくて、全部が非常に厳格な形での審査を経なければならないということを、もう少し何かやりようはないだろうか。これはもう私それ以上の知識がございませんので申し上げられませんけれども、何かそういうこともやはり考えてもらいたいものだというふうに実は思っておるわけでございます。
#154
○小柳勇君 時間がないようなので法律論争は後日に譲りまして、制度の問題を二、三聞いておきたいと思うのですが、特許庁の組織が通産省の所管でありますが、技術、事務系統が構造が三重構造になっておる。したがって、千八百人の中で九百名の技術の方がおられるが、事務系対技術のその調整の問題なりアンバランスの問題もございましょう。そのために処理能力が前進しない面があるのではないかという気もいたしますが、この特許庁の構造自体に対していろいろ問題を解明され、分析されたことはございませんか。これは長官に。
#155
○政府委員(荒玉義人君) もちろん、われわれの組織もだんだん大きくなってまいりまして、二千人近い組織になっておりますと、内部でいろんなことをやる場合、非常にむずかしくなってまいります。同時に、特許庁の特性といたしまして、それぞれの職員が、これは技術系と事務系を問わず、いわば一つの分担を持って流れ作業であると同時に、独立でやっております。そういうわけで、特許庁全体の総合的なものの考え方の面におきまして、私自身も必ずしも十分でないということでございます。何とかして全体が一つの方向で動けるような体制といいますか、運用面を考えていかなければならぬと思います。それで、審査の仕事もすぐ出願その他に影響してまいります。そういった面で、それぞれ平生自分が独自でやっておるきらいがございます。そういった面の総合戦力を発揮するということが一番大事でございます。機構としては、まず企画委員会がございまして、それぞれのテーマで論議しておりますが、もう少しやはり強力なそういった体制をつくらなければ今後やっていけないと私自身も考えております。そういった意味の特許庁の特性がありまして、そのためには、もう少しそういうスタッフを各方面から充実するなり、あるいは機構等も、これは政府全体がございますが、私といたしましても、できるだけそういった企画面は統合的にできるような機構面の拡充、そういう運用面と構造の面を含めまして、ぜひさらに改善をすべきであると考えております。
#156
○小柳勇君 非常に高度な仕事を、しかも単調な仕事を繰り返しておられる。大学出て行きましても十年ぐらいしないとほんとうに一人前の審査官になれないというような仕事でありまして、勉強もたいへんでございましょうし、やはりどこの仕事でもそうでありますけれども、昇進の道が開けておるとか、あるいは他省に転出するとか、何か気分転換なりがありますと、また仕事の能率にも影響してまいりましょうけれども、もう入りましてずっと同じ仕事を長い間やるということ自体にもたいへん問題があるかと存じます。いま聞いてみますというと、入りまして十年ぐらいしましてこれからというときに大きな会社から引き抜かれるとか、他の仕事に転職して、あと補充がきかないような情勢もあるように聞いている。だからその中の昇進の道を考えると同時に、各省に対する人事の交流なども考えてもらわなければならぬが、あるいは次長制度などということも必要ではないかと思うんです。全般的に、通産省内の人事の交流なりあるいは各省の人事の交流なり、毎日が活気のあるたとえば環境をつくるということも滞貨を減少させる一つの要素ではないかと思うんですが、長官から聞いておきます。
#157
○政府委員(荒玉義人君) 小柳先生おっしゃいましたように、高度の知識作業で、しかも環境その他が変わらない、これは確かに一番大きな問題だと思っています。そういった意味で、これはわれわれできるだけ海外のいろいろ事情を勉強さすとか、あるいは国内においても各省のいろんな行政を勉強するということが、単なる気分転換だけでなくして、いろんな能力の向上なりあるいは行政官としての知識が豊富になるという意味では私は望ましいことだと思います。ただ一番実際上問題がございますのは、審査官の資格が法定されておるわけでございます。だれでもが審査官になれない。したがいまして、これは私のほうが方々に出すことは、定員法がありますので、受け入れるほうも定員をとらなきゃいけませんが、それを抜けば優秀な諸君でございますので、むしろ希望してとってもらえると思います。ただ、そういうことをやると、だんだん各省との交流になりますが、向こうからくると資格にぶつかります。そういった意味で、一方交通でございますが、まあ一方交通というのは結局それだけ短期的には損失になるわけでございますから、できるだけ将来のことを思って私たちとしては出していきたい。ただ、先ほど言いますように、ほんとうは各省といろいろ交流してもらってまた出していく、こういう循環がありませんと、定員その他の関係で所期の効果を一〇〇%あげ得られませんから、そういった方向でわれわれも考えるべきだというふうに思っています。
#158
○小柳勇君 総括的な質問をいたしましたが、時間がありませんので、法律の内部の問題は後日に譲りまして、質問を終わります。
#159
○矢追秀彦君 きょうは大体大ざっぱに質問をいたしたい。あるいは前国会、あるいはきょう出たいろんな質疑と重複する点があるかと思いますけれども、その点はお許しをいただいて、先ほどから非常に問題になっております滞貨処理の問題についてまず最初にお伺いしたいんですが、アメリカでもかつて非常に滞貨が問題になって、それがしかしかなり行政管理で処理をされたと、このように伺っておりますが、特にアメリカで努力をされた点はどういう内容のものになったか、それが日本にはたして適用されるのかどうか、その点はどう特許庁としては分析されておるか、それをまずお伺いをしたいと思います。
#160
○政府委員(荒玉義人君) アメリカの審査状況をまず申し上げますと、いま矢追先生のおっしゃいましたのはおそらく一九六五年にやりました新しい審査方式のことだと思いますが、その前後の審査期間を御説明いたしますと、一九六二年、二年二カ月。六三年二年九カ月。六四年、二年十カ月。六五年、二年。六六年、二年三カ月。六七年、二年一カ月。六八年、一年十カ月。まあこの数字を大ざっぱに見ますと、大体現在二年とお考えになって、その前は一九六二年が二年二カ月でございますから、まあ大体平均しまして二年六カ月ぐらい。したがって新しい審査方式で六カ月ぐらいの短縮を行なったというのが事実でございます。どういうやり方をやったかといいますと、要するに、できるだけ集中審理をする、そうして出願人の応答期間を短縮するわけでございます。具体的に言いますと、審査官がこういうふうに直したらどうかという指令、リファインメントと言っておりますが、これを二回で打ち切っちゃう。二回目でもう最終的な処理をする。そうしますと、いろいろ往復の時間が短縮になる。それで拒絶理由に対しまして出願人とのいろいろ面接をやりまして、そこで即決をしていく、いわば集中審理とお考えいただければいいかと思います。
 で、アメリカの場合と日本の場合、いささか事情が異なる面がございますが、われわれといたしましては、趣旨は生かしておるつもりでございます。で、昭和四十二年の暮れから、われわれもこの趣旨をどこで生かしたかといいますと、出願人に対しまして、いわば拒絶理由通知を出す場合に、できるだけ詳細にいたしまして、出願人が受け答えが楽にしていくということによって集中審理までとはいきませんが、できるだけ早く出願人が応答ができ、的確な答えが出ていくということが、このアメリカの新しい方式をわが国で採用する唯一の道だと思って、実行しておるわけでございます。アメリカとどこが違うかといいますと、まず第一にアメリカの場合ですと、審査官の相手になるいわゆる日本で言う弁理士パテントアトーニー、これは強い権力を持っています。ただ、名目的のみならず実質的に、そういった出願人からの全権委任をもって審査官と応待する。したがってそこで即決できるという、これはアメリカで一番うらやましい点でございます。
 それから第二に、アメリカの請求範囲でございますが、これはいわば多項制で、特にアメリカの先発明主義をあらわしておりまして、きわめて具体的な請求範囲でございます。したがって、同時に請求範囲を直すということはきわめて厳格に制限されております。請求範囲は、詳細であると同時に補正その他の制限がきわめて厳格である、つまり、そのままで審査官が判断できるという請求範囲の書き方でございます。したがって、ある程度この方式が適用しやすい風土にございます。
 ひるがえって日本の場合ですと、なかなか弁理士さんで、全権委任して審査官といろいろ折衝するということには残念ながら一般的にはなっておりません。それともう一つ日本の場合は、いわゆる一発明一項主義でございますので、アメリカのようにすぐそこで勝負がきまるというものと違い、少し請求範囲が抽象的でございます。そういった面がございますが、もちろんわれわれといたしまして、アメリカのやり方も当然学ぶべき点はあるわけでございます。四十二年の暮れから先ほど申し上げました方式を採用しておるわけでございます。
#161
○矢追秀彦君 四十二年から採用されておった効果というのはどれくらい出ているんですか。
#162
○政府委員(荒玉義人君) これは実は短期で、だからわかりませんので、おおむね二年以上過ぎましたので、具体的に各出願人に何らかのアンケートを出してこの効果を測定すると同時に、あるいは直すべき点があれば直したいと思っておりまして、ちょうどこれからが一つの効果を測定する時期であると考えております。
#163
○矢追秀彦君 修正の問題についてまとめて伺っておきますが、先ほどから憲法問題が非常に論議されておりまして、違憲の問題が出てくるといけないから、だからこういうふうな修正をしたんだということですが、じゃ修正をされれば絶対に違憲問題というのは起こらないという確信がおありなのかどうか、その点はどうですか。
#164
○衆議院議員(武藤嘉文君) 私どもは絶対に起きないと、こういう確信と申しますか、そう信じていまおるわけでございます。
#165
○矢追秀彦君 私は、修正になっても違憲問題は出やしないかと、むしろ逆に、新法によって出てきた人と、それから旧法の、たまって残っておる、そこの間に、十四条の法のもとに平等という問題は、これは絶対出ないかどうか。その点はどうお考えですか。
#166
○衆議院議員(武藤嘉文君) 私どもの考え方といたしましては、現在現行法で行なわれておるものに対して出願をされておる人は、あくまでも秘密が保持されると思っておられる。それを、その秘密というものが財産権までいった場合に、これは憲法問題になると思うのでございますけれども、私どもは、先ほど申し上げましたように、そこまでいくかどうかは非常に疑問がある。しかしながら、万が一にもそういうことになる可能性も絶無だとは言えない。だけれども、絶無だとは言えないことはこの際避けておいたほうがいいのじゃないか、こういう考え方に立っておりますために、新法においては少なくともそういうものは一すでに新法で早期公開制度という一つの柱がある。そしてそれに対しては請求権の制度というものも、補償請求権というものも確立をされておる。また逆に新法の場合には、保護を、たとえば従来でございますと、登録をしてからしか請求権が発生しない、しかしながら今度の場合には、一応公告をされればそういうものの行使ができる、こういうこともいろいろございまして、私は、逆に新法の場合には十分出願者の権利というものを考えておる、こういう考え方におりまして、そういう観点からまいりまして、そういう私どもが心配しておることは、少なくとも新法施行後の出願に対しては起きない、こう考えておるわけでございます。
#167
○矢追秀彦君 その財産権の問題で、旧法で出されたときのその人は、結局すぐ新法が施行されたところからそっちへ移ってしまう。そこで問題がありますのは、現在たまっているものについては全部旧法で処理してしまう、こういうふうにきめられたわけでしょう。その点がおもな趣旨でしょう、そうじゃないのですか。
#168
○衆議院議員(武藤嘉文君) まあ財産権と断定は私どもいたしておりませんが、そういう問題が派生するおそれが非常に、まあ西ドイツの例から見ると可能性が出てくる、そういう可能性を考えた場合には、事前にそういうものを回避したい、こういうことでございます。
#169
○矢追秀彦君 私の言おうとしているのは、だからそれで今度は現在たまっている分については旧法でやってしまう、それでいままで持っていた権利を守ろうと、それはわからないことはないのですけれども、今度逆に、いま言ったように、要するに前の分が全部片づいてしまってから新法が適用をされていくんなら、それはまだいいと思うのですけれども、同じ時点で線を引いて、それでたまって旧法に残っている人、その人の持つ権利と、新法が適用されたその人の持つ権利というものが、はたして同じかどうかという問題。というのは、そうでなくても早期公開という問題で、いままでよりもずっと権利が下がってしまったんだと、いろんな保護の問題が出ているけれども、早期公開に反対なんだという説が非常に強いわけです。そういう方から見れば、よけい、同じ時点で片方においてはそういうふうな秘密を保護される、しかもかなり守られている、こっちは早期公開で保護されていると見られればそうですけれども、もしそれが守られていない、それ自体も相当減っているんだと、こう見た場合、同じ時点で同じ人間であって、片方は保護されている、片方はその権利の保護が下がっておる、価値がですね。特にこうなったら、十四条の法のもとにおいて政治的、経済的に平等でないという議論が出やせぬか、逆のほうの見方から。その点は、たとえ修正されても違憲の問題は残るのではないか、こういう議論なんですが、その点はいかがですか。
#170
○衆議院議員(武藤嘉文君) 私は思いますのに、それはいわゆる新法における早期公開という一つの柱、それに対する裏づけとして、いまの権利擁護の立場での、たとえば請求権の問題だとか、あるいは優先審査の問題だとか、こういうものがその権利を保護するのかどうかと、こういう私は見解によるのではないかと思うのでございます。私は、その見解においては少なくとも今度新法のそういうたてまえで出てこられる、出願をされる人も十分それを承知で出されるし、そして承知をして出される人の権利は、その優先審査なり請求権の制度でもってこれは十分担保できると、こういうふうに私は考えておるものでございますから、これは決してそういうものについては不平等ではない、こういうふうに思っておるのでございます。
#171
○矢追秀彦君 だから、そういう議論は私必ず出てくると思うわけです。したがって、先ほど違憲の問題が出ないために修正したんだというのは絶対に当たらないのではないか、こう思うわけです。
 具体的に特許庁のほうにお伺いしたいのですが、私もしろうとであまりよく詳しいことわからぬのですけれども、新法が一月一日から施行されて、そこから新しい特許出願した人に対して審査が行なわれますね、これは全然やらないわけではない一さっきのお話ですと、全然やらないわけですか。
#172
○政府委員(荒玉義人君) 先ほど申し上げましたのは、古い出願が片づいて、新しい請求があった出願を審査するのが原則であります。そういう意味で申し上げたのです。
#173
○矢追秀彦君 請求がきてもやらないわけですか、古いものが終わるまでは。
#174
○政府委員(荒玉義人君) やらないといっても、いかにもかってにやったようでございますが、そうではございませんで、要するに旧法の出願というのは、新法の出願プラス請求と同じ価値を持っておるのです。といいますのは、現行法では出願をすればすべて審査請求を含んでおる、こういうわけでございますので、したがって、一応前がつかえておるから、新しい請求があった場合でも、つかえたものを一掃してから取り上げるというのが原則です。それは現在の滞貨があれば五年、現在のと私同じ状況だと思います。現在未処理案件があるわけですが、それが済まなければ、きょう出願したものは手がつかないということについて、私は原則として同じだと考えております。
#175
○矢追秀彦君 原則としてということばにこだわるわけではありませんけれども、要するに古いもの全部片づけてから新しいものをやるというわけですね。そうなると、さっき出された試算の表ですけれども、ここの未処理件数には、この四十六年から出願される請求件数、いまさっきいろいろ説明ありました一五%ですか引かれて、その請求件数が出て、それがこっちへ加わっているわけでしょう。そういうことは、たとえば四十九年度の五十八万一千六百八十三というのは、その中には、これからずっと推移した数の中には、新しいものもある程度処理されるという件数は入っているのではないですか、入れてないですか。
#176
○政府委員(荒玉義人君) これはあくまでグロスで数字を出しておりますから、当然四十九年における五十八万の中には、極端にはまだ古い出願で、出願公告があって、異議があった場合には、まだ未処理としてこの中に入っているでしょうし、あるいは新願で請求したものもこの中には当然突っ込みで入っているはずでございます。
#177
○矢追秀彦君 そうすること、この(A)の処理件数の中には、全部旧法のだけなのか、それとも新法が入るのですか、この計算どうですか。
#178
○政府委員(荒玉義人君) ですから処理件数といいますと、実はわれわれのほうでは、あらゆるものが全部同じではございません。たとえば早いものは現在でも一年から一年半ぐらいで着手しておるのもございます。したがって、この中には、もちろん年度によるわけですが、少なくとも早くて四十六年度あたりの処理件数、つまり(A)の中には新しいものも入る部門もございます、ということだと思います。
#179
○矢追秀彦君 だから、できたらこの表をもう一つよくわかるように書き直していただきたいと思うのですけれどもね。これは後日でもけっこうですが……。
 だから、処理件数の中には、新法で出てきたものは、たとえば四十六年度ではどのくらい処理されるのか、それをやっていかないと――未処理件数というものの中には、要するに旧法による処理件数というのはどれだけだんだん残っていくのか。じゃ、どこでゼロになるのか。その辺をはっきりしないと、まあそれは特許庁のほうから出た修正じゃないので、そこまでされてないのかと思いますけれども、その点をはっきりしてもらわないと、実際、問題が出てくるのではないかと思うのですけれども、その点、武藤先生のほう、どうお考えになっておるか、両方からお返事してください。
#180
○衆議院議員(武藤嘉文君) 何かこれは逆でございまして、どうも私より特許庁長官が専門でございますので、私がとやかく言うのもどうかと思うのでございますが、私は四十六年度には入っていないんじゃなかろうかと。もっとあとの分には新法の中で、先ほど長官からもお話のございました優先審査の請求が出てきたものは、出てくる可能性は、たとえば四十八年度あたりは出てくるのじゃなかろうか。あるいは四十七年度にもそういうものは含まれておるだろうという感じがいたします。四十七年の七月以降にしか早期公開が出ないわけでございますから、少なくとも優先審査というものも、そういうことが起きない限りは、これは出てこないわけでございますので、私は少なくとも四十七年度後半にしかそういうものは出てこない。ですから、これは私も想像でございますけれども、私はこれをいただいたときには、四十六年のこの処理件数というものは、あくまでもいまの未処理案件の中から処理されていくものであると、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
#181
○政府委員(荒玉義人君) いま矢追先生のおっしゃったような数字は、将来、たとえば審査官といいましても、どの部門をどうするとかという具体的なものがはっきりいたしませんので、当該部門の処理はどうなるかというのはなかなか不確定要素が多いわけでございます。したがって、いつ入ってくるかどうかというのは、先ほど言いましたように、詰めてきますと、どの部門の人間を何年度に採用するとか、いろいろございますが、むしろ、平均的に見れば、ここにございますように、大体いまでございますと、四十四年度のところを見ていただきますと、七十三万八千の未処理に対して、十七万処理して四年三カ月という数字がございますが、もちろん処理件数が逐次上がっていますが、ほぼ平均すれば四年程度でないとトータルとしては新しいものにかかれないということです。たださっき言いましたように部門別に早いものはあるものはたまたま入るだろうということで申し上げておるわけであります。したがって詳細な部門別のあれというのは、ちょっとおそらく不確定要素が多過ぎまして、すぐには出にくいのではなかろうかと考えます。
#182
○矢追秀彦君 まあいま四十六年度から新たに入る部門もある、こういうふうに言われましたけれども、大体そのほとんどが、原則としてと言われていますから、要するに現在たまっておるのが全部終わらなければ新しいものには手をつけないと、そうした場合、四十七年の七月から公開になるわけですよね。で、四十六年一月一日から四十七年の七月までの約一年六カ月ぐらいの間の人というのは、ほとんどこれは審査されないわけでししょう。ということはもう全然手はつけられない。出てはいるけれども全然見てもらえない。そうですよね。もちろん七月からそれが一年たったそのあとずっとどんどん公開されていくと、こうずれていくわけですけれども、この間のものは、この人というのは実際出すのがばかみたいになりはせぬかと思いますけれどもね。要するに旧が全部片づかなければだめだ。大臣もさっき全部手をつけなければだめだと言われたのですが、この間の人はどうなるのですか。
#183
○政府委員(荒玉義人君) 出願人の利益は、やはり特許法というものは先願主義でございますから、もちろんいますぐ手をつけてもらうことのほうが出願人には利益になりますが、まだ出しておらなければ自分が先願者の地位は持たないということでございます。したがって出願人としては将来いずれにしても、とにかく特許権がほしいというものは、これは出すことは早く出すと予想されます。
#184
○矢追秀彦君 そうすると、実際にたまったものが終わらなければ手をつけないと言われておりますが、それは意匠法とかいろいろな面で先に終わったところはやられるのかもしれませんけれども、もしかりに新しいこの四十六年一月一日以降に出した人のが審査請求があって、先に出てきて、先にこの特許権がかりに与えられたと、その場合、それが現在たまっておる分の中にあるということは絶対あり得ないのか。その点はいかがですか。旧法滞貨の中には絶対あり得ないのか、それは全部調べた上でやられるのか。もし先にやられたのが出てきた場合は……。
#185
○政府委員(荒玉義人君) あくまで原則は旧法出願を済ましてから新法請求出願に取りかかるわけでございます。したがって、ちょっと先生のおっしゃったようなこと私御趣旨を理解してないのかもしれませんか……
#186
○矢追秀彦君 だから四十六年以降、要するに新しく出した人が、いままでのことはわからないわけですから、秘密ですからね、それは全然知らないで出すわけですから、それがこちらに同じものがかりにある場合、そういうことがいまのが全部片づかなければ絶対に先に審査しないという原則が貫かれればいいのですけれども、もしある部門が片づいてきて、出したと、もちろん製造法とかいろいろ違いはありますけれども、やはり何か類似のものとか、その辺で、特許のほうが数の問題でどうなるかわかりませんけれども、たとえば実用新案のほうで先に出てきたと、それが個々のメソッドが、特許が前になったのだといった場合に、旧のほうから文句をつけるわけでしょう。それがそうすると、せっかく新しいので取った権利というのが、その場合飛んでしまったら、これはどうなるかということなんですよね。そういうことはあり得るのか、あり得ないのか。
#187
○政府委員(荒玉義人君) 先願のほうと比べて見るわけですから、いずれの場合におきましても。したがって、おそらく間違いでなければそういうケースはございません。もし間違っておれば現行法も同じでございまして、あとで出願公告の際には異議を申し立てあるいは登録は特許無効ということでやるわけでございます。したがってあくまでその先願の中身というものは一応見て、当該出願を審査することは変わりございません。間違った場合以外にはそういうことはないのではないかと思います。
#188
○矢追秀彦君 私の言うのは、だからどの部門とかなんとかじゃなくて、滞貨も全部片づけてしまって、とにかく全部がからっぽになった上で新しいものをやられるならいいですが、いま言ったように、原則としてとか、片づいたところから新しいものをやるという場合に、そういうものが出てくるのじゃないかと、そうなった場合、新法でせっかく取った人も、それがだめになるとすれば、要するに滞貨処理が全部片づくまでの間、こちらでもらった権利というものは非常に不安定なものになってしまう、そういうおそれが出てきやしないか。したがって、滞貨処理を全部一切並行して、あらゆる部門をからっぽにしてからでなければ新しいものをやってはいけないということをはっきり言明していただかないと納得できないし、だから結局そういうことになるから、修正案には大きな問題がある、そういうふうに私は言いたいわけです。その点はどうですか。
#189
○政府委員(荒玉義人君) 大体いま先生の御疑問のようなことは、一人の審査官が持っておる範囲で起こるわけでございます。もちろんある程度隣の分野で起こらぬとは言えませんけれども、大部分の場合は、同一発明かどうかというような場合には、審査官を中心にそういう判断をされるわけでございますので、ですから一応その審査官が見れる範囲ということでございますので、その当該審査官の持っておるものが終わればということで、いまの御疑問のような点は私はないのじゃないかと思います。
#190
○矢追秀彦君 それで、いま審査官の範囲がかなり限定されるので、そんなことはめったに起こらないと言われますけれども、一人の審査官の部門がそれくらい幅が狭いものであるとすれば、私はこういう滞貨が起こってきた原因というのはよくわからないのですけれどもね、これは審査官がさぼっておったのか、あるいはその分類に問題があるのか、そういうようなことも考えられる。いろいろな原因が滞貨の原因になったと思うのですけれども、その点はいかがですか。
#191
○政府委員(荒玉義人君) 矢追先生の御疑問ですが、現行法でもおそらくそういうことが、部門によって審査が早いのとおそいのとあるというのは、おそらく同じ問題が起こってくるのではないかと思います。もちろんわれわれといたしましては、審査というものはできるだけ早いほうがいいと思います。なぜそういうことが起こるかと申しますと、要するに、どの技術の人でも何でも出願の処理ができるというものではございません。いろいろ専門分野がございまして、たとえば農芸化学を出た人が機械のいろいろな審査をやるということは能率も悪いし適切ではございません。一般的に言いますと、機械関係というものは出願が多うございます。逆に人間がとりにくい。そういう出願の技術分野と、それから採用できる専門分野との差が、いまのような各部門による審査機関のアンバランスをもたらした最大の理由だと思います。
#192
○矢追秀彦君 次に審査官の数の問題、これもいろいろ議論がされましたけれども、ちょっと数字がまちまちですので、きょういただいた「最近五年間増員状況」、この表でいきますとね、昭和四十四年が審査官・審判官の定員が千四十九、実員が九百十。事務は定員が七百五十一、実員が八百五十七、合計で定員が千八百、実員が千七百六十七。事務系の場合は実員のほうが百名オーバーしているわけですよね。審判官のほうが百三十九名足りない。全体では三十三名ですか、不足している。こういうように事務系が定員より実際はたくさんいるにもかかわらず、大事な審判官のほうは少ない。四十五年も同じ傾向にあるわけですね。審判官千三十四に対して千六、事務系は八百二十六に対して八百五十四、トータルは一緒。要するに審判官の数が事務系に流れているわけですね。これはどういう理由でこうなっているのか。そういうのはやはり滞貨をふやす一つの理由になっていやしないかと考えるのですけれども、この辺はいかがですか。
#193
○政府委員(荒玉義人君) 一般的に申しますと、いわば審査・審判官が、この中にはもちろん意匠、商標含まった数字でございますが、それの定員と実員の差の最大の理由は、これは十年このかたこういう傾向が続いておりますが、一般的な人員抑制という傾向のもとで、やはり審査官・審判官の増員のほうが事務系一般よりまだ容易であったということで、われわれから言いますと、もう少し比率をとって増員していただきたいのでございますが、むしろ審査官・審判官に重点的に増員がありまして、事務系は一般の影響を受けまして十分ではなかったというのが大きな原因でございます。で、御承知のように特許庁は出願がふえるから増員をいただきたいということでございます。もちろんその中には審査をするという仕事が大きなウエートを占めておりますが、それだけではございませんので、やはり受け付けて、これを審査官のところに持っていく、あるいは公報が発行されればという形で事務をやる、そういった一般の事務というものを同時にやはりふやしていただかなければ所期の目的は達せられない。その実態が必ずしも増員の面で十二分に反映されなくてアンバランスができた、これが最大の原因でございます。
#194
○矢追秀彦君 結局その滞貨処理をこれからやらなければならないし、何も滞貨処理ばかりに気をとられるのではなく、これからもどんどん出てきて審査やるわけですけれども、実際いまの体制ですね、私も土曜日ちょっとだけ見さしていただいたのですけれども、詳しいことは私もしろうとでよくわかりませんけれども、感じとして、非常にいまの形態が何か非合理的といいますか、旧時代的、そんな感じを、大ざっぱな感じで申しわけありませんけれども、受けたわけです。内部の機構改革といいますかね、これはどういうふうにお考えですか。今度PCT体制という問題も出てくるわけですから、その点について、はっきり現場のほうと相談されて、どういうふうな計画を持っているか、聞かしてください。
#195
○政府委員(荒玉義人君) 最大の問題は、特許庁の全力をあげて長期的な具体的な問題に取り組む体制というのが一番私は必要だと思っています。その理由は、先ほどちょっと申しましたように、特許庁というのはそれぞれ独立した仕事をほとんどやっておりまして、必ずしも長期的なあるいは横の連携をとったということは、必ずしも過去においては十分ではないと私は思っております。そういった長期的な、全庁あげての問題に取り組むというためには、実は具体的に言いますと、次長制度をぜひ私といたしましてはつくって、それを中心に一つの庁内の総合戦力を確保していきたい。そして新しい国際化の要請に適応するような体制をまずとるべきじゃないかというので、四十五年度の要求としてお話したわけでございますが、結局実にならなかったわけでございますが、ぜひとも、将来の展望を踏まえた、そういった強力な機構の樹立をまず最重点に私としては考えております。
#196
○矢追秀彦君 こういうことを聞いて恐縮ですけれども、長官ね、歴代長官は大体どれくらいの任期であったか。というのは、すぐかわってしまったのでは、せっかく長期計画を立ててもそれをある程度レールに乗せなければ、やはり長官がかわるとまずいと思うのですがね。そういう点が一つと、それからある程度長官は内部の人からなられるような方向がいいんじゃないか。これは大臣にお伺いしたいわけでありますが。というのは、行管なんかどう見ているのか知りませんけれども、特許庁というものに対するもっと認識を改めなくちゃいけない。非常に大事な私は部門だと思うのですね。これからますます大事になる。将来、日本が国際社会において非常に力を評価されるのは、これから結局頭脳しかないと思うのです、言うなれば。日本の国は資源が乏しいわけですから。そうなると、あくまでも頭脳をもっての技術の開発ということが、やはり一番大事じゃないか。そうしなければ日本というものがこれからますますおくれてしまう。そうでなければ、いわゆる発展途上国もだんだん力を入れてくるでしょうし、先進諸国もそれなりに――向こうは資源を持った国が多いですからね。結局、日本の特徴は頭脳の開発にある。そうなれば工業所有権の問題にやはり日本としては力を入れてやっていかなければならない。そうなった場合に、特許行政は非常に大事になってくる。その点から、特許庁長官の任期とか特許庁のあり方というのは、もっともっと国民からも納得され、また国民の世論といいますか、あまりに内容をよく知らないと思うのですね。私自身もよく知らなくて申しわけなかったと思うのですが、そういう点はどういうふうにお考えになっているか。場合によっては現在の特許庁を通産省から切り離して、ある程度独立のものにするとか、あるいは特許庁の審査官の待遇を上げるとか、いろいろ議論されておりますけれども、実際そういう点からもう一回考え直さなければ、ただ滞貨処理をどうすればいいとか、そういうようなことじゃなくて、もっとやるべき大事な問題があるんじゃないかと思うのですが、その点どうでしょうか。
#197
○政府委員(荒玉義人君) 実は私四十八代でございます。そのうち七人、事務次官が人事の異動のため短期間やっておりますので、実質は四十一代でございます。ことしが八十五周年でございますので、二年ちょっとというのが歴代長官の任期でございます。
#198
○国務大臣(宮澤喜一君) まあ特許庁というのは、先ほどもちょっと申し上げかけました司法的な機能を持っていると同時に、非常に技術革新の激しい時代でございますから、そういう意味での経済財産権といいますか、むしろ技術が財産権として保護されるとともに公開されるという、そういう経済面を相当強く持っておりますので、二つの実は違った要素を両方持っております。そこで、これがどういう姿であることが一番両方の意味合いを満足させるのにいいのかということは、いろいろ私は問題があるだろうと思います。先ほども申し上げたことでございますけれども、司法的な機能ではあるが、すべてのものをこれほどきびしく長年月をかけて審査しなければならないものなのか。もう少しそこに段階的にいろいろ振り分けるくふうというようなものはないのかというようなことは、これからも研究をしていく必要がある。今回の御提案もその一つではありますけれども、何かこう、はたから見ておりますと、いままでどおりのことと違ったやり方というものはないものだろうか。これはまあ司法的なわが国の裁判制度においてすらあるのでございますから、その程度のことは何か考えられないだろうかということをかねて考えているわけでございます。いずれにしても、特許庁の長官となりますと、これは非常に多くの人間、たくさんの数の人々を統轄する、行政としても相当むずかしい手腕を必要とするところでございますから、したがって、部内から登用されるとあるいは本省から行きますとを問わず、特許の仕事もよく理解をしておる、職員の仕事についての職場の感情なり要望なりをよく理解をしておるということは、いずれにしても非常に必要なことではないかと思っております。
#199
○矢追秀彦君 長官に具体的な問題でお伺いしたいのですけれども、一つは分類の問題ですけれども、これは現在のままでよいのかどうかですね。これを改正されるとすれば、どういう方向なのか。特にPTCとの関係でお伺いします。
#200
○政府委員(荒玉義人君) 分類につきましては、何か将来いろいろ考えなければいかぬというふうにわれわれは思っております。で、少なくとも国際分類につきましては、できるだけこれを採用をする必要があるかどうか、あるいは可能性があるかどうかという点については、現在検討を進めているわけでございます。日本分類につきましても、たとえば新しい分野につきましては、必ずしも十分ではございません。将来何らかの改正を行なわなければならないと思っておりますが、ただその際、国際分類で全面的にいくのか、あるいはそれでは日本的な特色との関係はどうなるのか。これは十分検討しなければいかぬと思いますが、少なくともやはり分類というのはお互いに統一したほうが、特許庁のみならず、外部も便利でございますので、できることならば国際分類を採用したいわけであります。ただ、先ほど言いましたように、国際分類をそのままにした場合に、日本の利害得失という問題がございますので、具体的に検討しておる段階でございます。
#201
○矢追秀彦君 公報で見ますと、非常にたくさん件数の出ているところと、非常に少ないところ、それでいて、分類が非常に少ないにもかかわらず、わりあいこまかい。ところが、そうではなくて、非常に件数がたくさんありながら分類が少ない。だから審査官のほうでは、わざわざ自分のところでまた別にその下に分類をつくって、またわざわざその自分のたなのところに分けて、そうして分類をつくってやっておられる、こういうようなのは早急に変えなければ、やはりそれだけの手間になると、こう思うのですけれども、いまいろいろの問題があるかと思いますけれども、いまの長官の答弁だと非常に先のようになってしまう。これはひとつ切実の問題ではないかと思うのです。それが結局、図書館、資料室等とも関連してくるのじゃないかと、このようにも思いますので、もうちょっと具体的に、特にその時期ですね、その点はどうお考えになっているか、お伺いしたい。
#202
○政府委員(荒玉義人君) これはわれわれの態度といたしましては、全部まとまってでなければ改正できないというふうには考えてございません。したがって、急ぐ分野は至急手がけていくということは従来やっております。ただ、今度やはり切実な問題といたしましては、そういうふうな急ぐところをやった場合に、将来とも国際分類の見地から見て、それがまたもう一ぺんやらなければならないかどうか、そこら辺の判断がもう一つ加わっておりますので、したがって、国際分類上も問題がない、しかも非常に困っておるというものはまっ先に片づけていくというふうな方針で現在作業を進めております。
#203
○矢追秀彦君 資料室の問題ですけれども、だいぶいろいろ整理もされて、また新しく拡張したりされておるようですけれども、あれは何とかならぬものか。特にコンピューターの導入ということもされているようですけれども、何か聞くところによりますと、一週間ワンサイクルだというんですね。コンピューターを入れるための準備といいますか、その検討を非常に怠たっておったのではないか、やはり電算機の導入は非常にむずかしい問題ですから、やはり検討して、その部面に合った導入をしなければ、私はかえってマイナスになる、人間がやったほうが早いという結果も出てくる。こういう点で資料室をこれからどうされようとしておるのか、非常に狭い場所でどうしていくか。それからその戸だなのあり方とかコンピューターの導入とか、そういうことをどう考えておるか、お伺いしたいと思います。
#204
○政府委員(荒玉義人君) 資料整備は、これから国際的にますます重要になってまいると思います。われわれとしては全力をあげて整備をしなければならないと思っております。スペースの点につきましては、いまどうも中途はんぱで、これはなかなかむずかしいのでございますので、やはり今後約三年後新しい庁舎の完成を機会にそういう関係整備を思い切ってやっていく、現在の庁舎ではなかなか思い切ったことはできないというので、集中した庁舎において合理的なやり方を計画しております。
 それから電算機の問題につきましては、現在の機械検索が必ずしも効力のあがらない理由は、これは電子計算機の問題ではございませんので、むしろそのシステムがどういうシステムで特許の文献をサーチするか、そちらのほうに問題があると思います。もちろん通産省全体といたしまして、新庁舎に移行次第大型電子計算機の導入を考えておりますので、計算機の能力面からの問題よりか、どういうシステムの電子計算機を使ったら最も早く特許文献のサーチができるか、むしろ問題は後者にあるかと思います。もちろんこれは御承知のように日本だけでやりますのは非常に能率が悪いのでございます。各国がそれぞれ異なった分野のシステムを開発いたしまして、そうしてテストし、そうして同じシステムで各国がそれぞれの国の文献をインプットするということにしたほうが全体的な能率がいいわけでございます。日本といたしましても、そういった国際協力を現在までやっておりますが、将来もさらに強力に推進してまいりたい。そうして国際的なシステムの確立次第、むしろ外国より早い時期に、いままでも入れておりますが、将来も入れて大いに機械検索を利用したい、かように考えております。
#205
○矢追秀彦君 いまのPCTの問題は詳しくまたお尋ねしようかと思いますが、これが先ほどからいろいろ問題になっておりますが、四年ないし五年で加入をして自由化される。先ほどから議論になっておるこの滞貨処理が大体終わるのが五年くらい、それから新法が適用される。そうすると、ほとんどこの改正が実際運用される期間、もしPCT加盟の場合に、また特許法を改正するとなれば新しい改正法で運用される期間というのはほとんどないじゃないか。そうすると、いま何も改正をしなくても、そのときを待ってもっといろいろ検討したり、行政面の運営等の円滑化をはかり、滞貨処理をそういう努力で補って、そしてそこで改めてきちっとした改正をしたほうが、いま反対も非常に各方面から強いようですから、いいんじゃないかと思うのですけれども、その点はいかがですか。
#206
○政府委員(荒玉義人君) この効果試算の修正分で見ますと、かりにPCT批准を四十九年度といたしますと、つまり五十八万件の未処理案件を持ってPCTに参加するか、九十六万――百万近い未処理案件を持ってPCTに入っていくか、どちらがベターかという選択だと思います。で、私はやはりPCTに移行するということは、これだけ百万近い未処理案件をかかえていくということよりは、むしろできるだけ未処理案件を半減した形でPCTに入っていったほうがこれはよりベターだという判断でございます。第二は、PCTの批准の際にはもちろん国内法の改正が必要でございます。いわば多項制の採用でございます。その他は私は改正する必要はございません。もし、PCTに加入の条件として現在の改正法と別な改正をやるのであれば、いま先生のおっしゃったようなとおりだろうと私は思います。むしろ新しい要素が一つふえてくるだけでございます。これは現在多項といいますのは、条文としてはせいぜい一、二条の問題でございます。しかし、及ぼす影響はきわめて広範な影響を与えます。あるいは現在の改正程度の影響では私は済まされないと思います。権利範囲の解釈からあるいは明細書の書き方から、すべて外部のそういった影響を受けて内部審査体制をどうするか、いろいろな問題がございます。したがって現在の新しい制度に習熟して次に多項へ移っていくというのがむしろ円滑な実施が可能ではないかと思います。そういう意味では、むしろ私はPCTの批准まで待つことがかえって得策ではないか、そういうふうに現在考えております。
#207
○矢追秀彦君 多項制の導入だけであとはあまりいじらなくてもいいと言われますけれども、その前に、九十六万になるか五十八万になるか、どっちをとるかという、そういう私は考え方もあるかと思いますけれども、ということは、いまの改正をしなければ絶対滞貨処理はできないという、そういう前提に立った議論じゃないかと思うのですけれども、その点はいかがですか。
#208
○政府委員(荒玉義人君) 先ほどから未処理の案件云々の問題がございますが、要するに今度の改正というのは、全体を現在より早くするという問題でございます。したがってそういう見地から考えますと、一応人員を同じような増員計画で考えますと、この要処理期間が、先ほどから繰り返して申し上げますように、おおむね一年半程度の差がございます。そして四十九年度には、先ほど言いました未処理案件が約九十六万に対して五十八万程度に少なくなります。そういう意味で今度の改正をお願いしておるわけでございます。
#209
○矢追秀彦君 だからね、私の言うのは、さっきからも議論が出た問題になりますけれども、ここの九十六万というこの数字ですよね、これは人間をふやしていってどうなるかという、こういういままでのことからの計算で出ているわけですよね。ここに行政努力というものが入れば、これはもっと減らすことは十分考えられる。五十八万ぐらい私はできるんじゃないか。現に、アメリカでもやって、それはもちろん多項制とか、違う点はあるでしょうけれども、いろいろな実際現場の審査官の要求なんかをいれて、またそのいろんなことをやれば、まだまだできると思う。現に、一時期非常に能率の上がった時代もあったと聞いておるわけですから、決して不可能ではない。だから、こういうデータを出してきて、五十八万と九十六万の二者択一、だから少ないときにPCTに入ったらいいんだと、だからいま改正したらいいんだと、そういう現状というものをそのまま容認した上での前提というものがまずいんじゃないか。むしろそういうままで入っては、新しく法改正が出た、そして修正が出た、それでほんとうにはたしてこの五十八万になるか、これも私は非常に問題だと思うんですね。五十八万に絶対になると、しかもこの中でほとんど現在の六十八万の滞貨というものはゼロになってきて、そしてあとは新しいものばかりになっていく、こういう点がほんとうに言えるのかどうか。もし言えなかったらだれが責任をとるか。四十九年には長官はかわっていないわけですよね。二年ごとできましたね。そういう点で、こういうことだけでそういうふうな議論が出てくるのは非常にこれはまずいんじゃないか。つまり、今回の改正というのは、前からも議論されているように、とにかくこのたまったのを減らすんだというのが大きな主眼になっているんですね。もちろん公開ということがあったかもしれませんけれども、前の国会でのいろいろな委員会の議論を読みますと、とにかく減らすことばかりが言われてきている。さっきからもそれは議論されてきた。その点いかがですか。
#210
○政府委員(荒玉義人君) これは五十八万件ですが、ほんとうは私としてはもっとこれは下げるほうが理想的だと思います。したがって、いま矢追先生のおっしゃったように、運用面でさらに改善すべきことがあれば当然改善をしなければいかぬと思います。といいますのは、この計画というのはあくまで不確定要素が多うございます。たとえばこの出願が年率構成五・五%でございますが、それあたりが一体どうなっていくか。あるいは審査官も実際に出願の出に応じた増員計画になるかどうか。したがって、むしろ私は運用面ではいま先生がおっしゃったような点と、先ほどから申し上げた点を考慮いたしまして、さらにさらに努力して、五十八万件のみならず、あるいは場合によれば四十万ぐらいでもやっていくということのほうが、むしろわれわれの目標とすべきであると思います。したがって、改正とそれから人員の拡充あるいは運用等によりまして、さらにさらにこれを下回ることをわれわれは当然目標としてやるべきだろうと思います。
#211
○矢追秀彦君 六十一国会で指摘された公知例調査機関の設置、あるいは紛争処理機関の設置、これはどうなっておりますか。
#212
○政府委員(荒玉義人君) まず新規性調査機関といたしましては、通常の新規性調査機関でございますと、出願がございましてそれに対して関係ある文献があるかどうかということを調べてもらうわけでございますが、われわれのねらいといたしましては、むしろ出願前、たとえば企業が開発する場合に、こういった開発に関係するのがあるかどうかという事前の調査を含めまして、そういうサービスに応ずるので特許情報センターというものを考えておりまして、四十五年度におきましては二千二百万円の予算を計上いたしております。これにつきましては、なぜすぐ発足しないかというわけでございますが、この問題は機構をつくるだけでございませんので、はたして役に立つかどうかということがはっきりしなければいけないかと思います。そうしますと、やはり人間でやるなら、いまのむしろ特許庁の審査というのが日本で最も効率のいいところでございますので、大量にさばくためにはどうしても電子計算機を使わざるも得ない。ただ電子計算機を使って機械検査をいたしましても、先ほど申しましたように、現在の機械検査というのは、非常に精緻ではありますけれども、なかなか一般の分野に適用するためには、むしろ十年間で約一割でございますから、さらにそれ以上かかるという状況でございます。したがって、何か中間の方法でやれないかというのが、いま現在その方法を、実際に文献を入れまして、そうしてどの程度役に立つかどうか、こういうのをテストいたしたいというのが四十五年度中でございます。ある程度そういったシステムが具体化されますと、民間のほうでこれなら使えるという段階を見て具体的に進めていきたいというのが、新規性調査機関に対する現在の状況でございます。次にあっせん機関でございますが、先国会後いろいろ内部で議論いたしまして、政府内部でも議論したわけですが公開から出願公告までというのが、この法律で新しく加わった点でございます。したがって、そうしますと、あっせんをするにいたしましても、はたしてその権利が特許になるかどうかということは、どうしても先決問題になってこざるを得ない。そうすると法律であっせん機関をつくってみましても、結局先に特許庁の審査をしなさいということにならざるを得ない。それならむしろ法律面は優先審査というものを法律に格上げいたしまして、そうしてそれでもって出願人の要求に合わせていくという制度にかえたわけでございます。ただ、具体的に当事者間の紛争があるわけですが、むしろそれは法律上の機構にせずに、これは公開後あるいは特許後、全部含めて、実際の権威者を網羅した機関で、具体的に言いますと発明協会の中に設置しておりますが、そういった場所で、そうして技術あるいは法律面、あるいは経理面等の専門家を常時登録しておりまして、そうして具体的な事件は、そのうちの何人かでやっていただくということにやったほうがむしろ実効があがるのじゃないか、国としては優先審査で早くイエスかノーか片づける、金その他の面はむしろ民間のそういった機関にゆだねるという二つの方法によりまして、先ほど申し上げました一つの御要望にこたえたいと考えております。
#213
○矢追秀彦君 優先審査のお話が出ましたが、もしこの優先審査の申し出件数が非常に多い場合、これはどうなるかという問題ですね。普通の審査より優先審査のほうが手間がかかるわけですから、へたをすると運用不能ということになりはしないか、その点どう考えておられるのかお伺いしたい。
#214
○政府委員(荒玉義人君) これは過去における実例がございませんので、どの程度かという点については、いろいろ意見があるかと思いますが、結局審査そのものは、いわばいつかはやらなければいかぬ審査でございます。だから先ほどから議論ございますが、現行法では出願順に審査する。今度新法ですと、請求制度を導入しますと、請求順で審査をする、これは原則になると思います。いつかは審査をするわけでございます。ただ、いわば火のついた状況だから急いでやるというだけでございます。したがって、全体の審査の負担という面からいえば、そうたいして変わりない。ただ、おそらくある部門に殺到してきた場合どうするかというのが一番気にはなると思いますが、その場合は、これは全体が行政庁の裁量行為と考えておりますので、もちろんわれわれがやり得る範囲内でやるということでございます。ただまあ先ほど言いましたように、ある部門に殺到してできぬじゃないかという御懸念は、私は、ある程度やりながら運用状況を見て、もちろんわれわれは全体の人間配置なり、そういうことをあわせて行政面で考慮すべきではないかと考えております。
#215
○矢追秀彦君 優先審査請求がなれ合い紛争による請求をチェックできるかどうかなんですが、その点はいかがですか。
#216
○政府委員(荒玉義人君) まあできるだけなれ合いは防止したいと思っています。ただ、まあわれわれ人間のやることでございますので、たとえば虚偽の証明書を持ってきたり、虚偽の事実を言ったりということは、全然予想されないわけはないと思いますが、それに対してどうやっていくか。そのために厳密な証拠調べをやるということは、これは優先審査の性格から見て適当ではない。そうしますと、まああと、かりにいつかなれ合いだということがわかった場合に、今度次に出てきたとき、あなたの場合は信用にならぬということで、何らかのペナルティと言っては少し大げさでございますが、われわれが採用するかしないかという場合の参考にしていけば、一度はあるかもしれませんが、今後防げるということも考えております。もちろん、なれ合いがわかった場合に、最終的にどうするかということは今後検討しますが、何らかの形で将来不利益を受けるということをあわせて考えていきたいと思います。
#217
○矢追秀彦君 結局、この優先審査請求というものは、いまやってみなきゃわからぬというようなことですけれども、結局処理を早くやれと、こういう要請が出たわけですから、その審査というものも簡略になってくる。そこに公開制度というものが入ってくる。で、結局無審査化ということになっていかないかどうか。その点、歯どめというのははっきりされておるのかどうか、その点はいかがでしょう。
#218
○政府委員(荒玉義人君) 優先審査は簡易審査を言っているわけではございません。要するに、早くまず審査官がそれにとりかかるわけであります。したがって、とりかかってから何日以内に審査しろということは考えてございません。早くとりかかってイエスかノーかの国の態度をできるだけ早い時期に明確化していきたい、こういうだけでございます。したがって、拒絶になり、拒絶理由を出していく、あるいは出願公告をしていくというその時間は、普通と全く同じでございます。ただ、普通でございますと、先客が前におりますからとりかかれないのを、ちょっと先客に失礼して前にとりかかるというだけでございまして、中身をかげんするという趣旨では全然ございません。
#219
○矢追秀彦君 だから、さっき言ったように少なければいいんですけれども、こういう制度ができると、おそらく一般の人は出願の優先審査をどんどん請求することは間違いない。そうすると、結局何のためにこれができたか意味がないじゃないか。しかも、いま言われたように、簡易審査とは違うのだ、ちゃんとやるのならば、優先審査のほうが審査時間はかかるわけですから、結局優先審査というものは意味がない、こんなものはつくる必要がなかったのじゃないか、こういう議論が出てくるのじゃないかと思うのです。そういう点はいかがでしょう。
#220
○政府委員(荒玉義人君) 先ほど言いましたように、審査は通常の審査と全く同じでございます。で、順番を変えるだけでございますので、これをやったからといって全体の審査がこわれるということは私はないと思います。全部が優先審査になったらどうか。これはおそらくなれ合いが全部あって、みんななれ合いでくるだろうという懸念でございますが、なれ合いは、先ほど言いましたような形で、なれ合いをするということは何らかの不利益を将来こうむるのだということで、できるだけチェックしていくということになれば全部これだというのは、ちょっと私考えられないわけでございます。
#221
○理事(大谷藤之助君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#222
○理事(大谷藤之助君) 速記をつけて。
 本法案についての質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#223
○理事(大谷藤之助君) 速記をつけて。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時七分散会
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ソース: 国立国会図書館
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