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1970/05/12 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 商工委員会 第21号
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1970/05/12 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 商工委員会 第21号

#1
第063回国会 商工委員会 第21号
昭和四十五年五月十二日(火曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     木村 睦男君     井川 伊平君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    理 事
                大谷藤之助君
                川上 為治君
                近藤英一郎君
                竹田 現照君
    委 員
                赤間 文三君
                井川 伊平君
                植木 光教君
                剱木 亨弘君
                平泉  渉君
                八木 一郎君
                山本敬三郎君
                大矢  正君
                小柳  勇君
                林  虎雄君
                浅井  亨君
                矢追 秀彦君
                田渕 哲也君
                須藤 五郎君
   衆議院議員
       修正案提出者   武藤 嘉文君
   国務大臣
       通商産業大臣   宮澤 喜一君
   政府委員
       人事院事務総局
       給与局長     尾崎 朝夷君
       通商産業政務次
       官        内田 芳郎君
       通商産業大臣官
       房長       高橋 淑郎君
       通商産業省重工
       業局長      赤沢 璋一君
       特許庁長官    荒玉 義人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       行政管理庁行政
       管理局審議官   石原 寿夫君
       工業技術院総務
       部総務課長    塚本 保雄君
       特許庁審査第一
       部長       大久保一郎君
       特許庁審査第五
       部長(心得)   松家 健一君
       特許庁審判部長  高木 正行君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○情報処理振興事業協会等に関する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
  〔理事大谷藤之助君委員長席に着く〕
#2
○理事(大谷藤之助君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 本日、木村睦男君が委員を辞任され、その補欠として井川伊平君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○理事(大谷藤之助君) 特許法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続いて質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○矢追秀彦君 昨日に引き続きまして、昨日の再質問を含めまして若干の質問をしたいと思います。
 まず、きのう申し上げた未処理件数あるいは処理件数のこの表でありますけれども、改正効果試算ですね、これはきのう申し上げたように、要するにこれでは新旧の分の区別がはっきりしないのでよくわからない。私したがってその点の表をつくり直してもらいたいと申し上げましたけれども、それは可能かどうかお伺いしたいと思います。
#5
○政府委員(荒玉義人君) 矢追先生の御要望、厳密にいいますと、ちょっと数字に乗ってこない。といいますのは、全体を見まして、全体の未処理案件を終わってから全部やるということになれば、これは一応数字は入ると思います。しかし昨日も申し上げましたように、それぞれ出願と審査能力は各部門別に必ずしも均一でございません。そういった意味では、いまの一律に平均的な立場で数字を入れますことは、従来の数字と違ってまいりますので、せっかくの御要望でございますが、非常に作為的な数字になりまして、実際上の正確さを持った数字というものは残念ながら出てまいりません。悪しからず御了承を願いたいと思います。
#6
○矢追秀彦君 そういう非常にこまかいことになれば無理かと思いますけれども、少なくも未処理件数の四十五年度カッコの中が七十七万五千件、これがどう実際減っていくかということですね。やはりこれは、これぐらいもできないかどうかということでございますがね、要するに四十九年の五十八万というのは、あくまで現在たまっている分の五十八万ですね、その中には新規のやつも含まれているのか、その辺なんです。その辺のパーセンテージだけは出せるんじゃないか。出せなければ結局どれだけ処理ができてきたかということになってこないと思うんですけれども、四年でゼロになると、そうしなければ改正の意味がなくなると思う、そちらでおっしゃっている……。
#7
○政府委員(荒玉義人君) しいて全体的な見地から申し上げますと、四十八年度におきましてこの未処理案件の六十一万八千、この中には旧法分が六万二千六百三十九ございます。そして四十九年度になりますと六万二千六百三十九件は四十九年度の処理の二十四万七千二百九十一、この中では処理ができるわけでございます。したがいまして四十九年度の五十八万一千六百八十三件、この中にはもはや古いものはない、新願のみという計算になるかと思います。
#8
○矢追秀彦君 大臣がお見えになりまして、大臣が何かお忙しいようですから、先に御質問いたしますけれども、大臣は、きのうも少し出ましたけれども、工業所有権というものをどういうふうに把握されておるか。というのは、先国会でも著作権と工業所有権の問題等も議論になりまして、この工業所有権というものは、その権利というものはどのように守られていなくちゃならないのか、要するに早期公開によってこの権利が守られなくなる、そういう議論が非常に多いわけです。そういった点の上から考えまして、工業所有権というものを、著作権との関連を含めてどうお考えになっておるか、その点をお伺いいたします。
#9
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる工業所有権につきましては、これを考案あるいは発明した人の権利並びにその財産権を守るということと、これを公開して広く一般の用に供するという二つの、一見相反したような命題があるわけでございますけれども、それを特許法等の法律によって利害調整をはかっておるわけでございます。このことは私は基本的に正しい、それでよろしいというふうに考えております。それでその場合、今回の早期公開でございますが、これにつきましては、昨日もいろいろ法制局を含めまして質疑応答のございましたように、いわゆる公共の福祉というものと補償金請求権を認めるということで、まずまず調和がとれている、憲法違反のおそれはないものというふうに私どもは判断いたしておるわけでございます。早期公開のメリットは御承知のように、これによって多くの人々が早期に知識を得ることができるということ、並びにおそらくは出願をしておる人の中でかなりの人が自分の特許が認められ、公に利用されて財産権としてこれが利益をもたらすということを期待しておるのでございましょうから、そのためには現在のように七十万件余りのものがお蔵に寝ておるという状態は、出願した人々にとっても実は本来本意の状態ではない、願わしい状態ではないと思われますので、早期公開制度によって、出願者に対しましてもそのような反射的な利益を与えることができる、処理が促進をされるわけでございますので、さように考えております。
#10
○矢追秀彦君 まあその権利のほうと公開によるメリットとの調和ができている、憲法問題はないと、これはきのうから議論になっておるところでありますけれども、私は一番ここで問題になるのは、その早期公開であって、その人が実際権利を――特許権なり実用新案の権利を持つまでの間に、そのメソッドなり何なりが大量生産されてしまった、それはあとからそれに対する補償を要求する制度ができて、それでいいではないか、権利は保護されておると、こうとられますけれども、やはりそこに大企業にしてもそれを利用する側が、やはり発明者の権利といいますか、それに対するやはり他の法律の上ではなくて、モラルの上からもきちっとした認識がなければ、これは要するに幾らでも悪用ができるといいますか、要するに早期公開になった、それを全部チェックして、そしていいものは全部すぐつくってしまう、ばく大なもうけをした、それに対して不服を言ってさましたら、金額というのははなはだ少ない、そういう点で、いままでよりも要するに権利の保護の面においては力が弱まってきている。要するに権利に対する考え方が下がったと、こういう議論がずっとされてきているわけですけれども、その場合、やはり大企業の考え方というものが、かなり発明者に対して敬意を表するといいますか、その権利を守っていくという立場がとられなければならないと思います。ところが現状においては、現在の日本の大企業のあり方を見ておりますと、はたしてそういう態度に出るかどうか、これは私は非常に疑問ではないかと、公害問題一つ取り上げても、なかなか大企業というのは、そういう公害に対する問題も裁判に持ち込み、時間をかせいでなかなか実際被害を受けた人に対して償いをすることは非常にないわけです。そういうふうな姿勢がいままであるわけです。ここへ持ってきて、やはり商業主義という、コマーシャリズムというものが非常に強いわけですから、そうなると、ますますその発明者の権利を尊重するという考え方というのは、なかなか出てこないのじゃないか。そういう点について、やはり相当大企業に対しては考え方を変えさせなければいけない。ただ請求権があるからいいんだ、権利は守られるんだ、そういうことだけではなくて、そういうやはり行政指導といいますか、私はやっていかなきゃならぬと思うのですけれども、その点は大臣どうお考えになっておりますか。
#11
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国ではとかく無体の財産権に対して、先進国ほどこれを尊重しないという、何となく一般にそういう風潮がございまして、黙って人の知恵をちょっと借りるというようなことをよくいたします。そういうことは一つのモラルの問題でございますから、そういうモラルを確立しなければならないということについては、矢追委員の言われますこととまことに同感でございます。ところでこの早期公開制度というのは、確かに従来の考え方からいえば大きな転換でございますが、私どもがこれを出願者の利益につながるものと考えるに至りましたのは、ただいまのように百万件に近いものを、しかも五年もかかって審査をしておるのでは、せっかく出願した人が自分の非常に貴重と考えられるアイデアを財産として利用することができないわけでございます、その期間。これは発明者にとっては何よりもこれは不利益につながるであろうと、こういうふうに思われます。したがって、早期公開制度によって処理期間を短縮すれば、そういう発明者――大、中、町の発明者たるとを問わず、その人々に早く自分のアイデアを財産化させることができる、こう考えたわけでございます。他方で早期公開ということには、矢追委員も言われますような、何かのリスクを伴うわけでございますから、それに対しては補償金請求権というようなものを認める、しかしこの補償金請求権がすぐに現実に行使できる状態ではございませんから、なるべくそれが早く現実に行使できるように、優先審査の制度を置いたわけでございます。これについては先ほども特許庁長官が申し上げましたように、原則として旧法で出願されたものを先に処理をする、先願を先に処理をするのでありますが、第三者によって出願に盛られた発明がかりに実施されたというような際に、ただいまのような問題がございますから、この場合だけは例外的に優先審査を行なおう、これによって出願者の利益がそこなわれるのを防ごう、こういうふうに考えたわけでございまして、全体として私は特許法第一条に定める二つの問題のバランスはまずまずよくとれているかと思っておりますが、それにいたしましても、他人のアイデアに対してこれを盗用するといったようなことについてのモラル、これは特に本改正に際して強調されなければならないところである、これは矢追委員の言われるとおりであると思います。
#12
○矢追秀彦君 もう一つの問題は、そうやって特に大企業がどんどん少し変えて模倣してやっていく、そうなれば、実際大企業でいろいろ研究開発をしている人ならばよろしいのですけれども、そうでないいわゆる個人でやっておられる方とか、中小企業、零細企業等でいろいろ発明をやっていらっしゃる方の意欲というものが、この早期公開によって減ることはないかどうか、その点についてどうお考えになっているか。ついでにその発明権というものですね、これはまたどうお考えになっておられるか、その点を聞かしていただきたい。
#13
○国務大臣(宮澤喜一君) こういうふうに考えているのでございますが、つまり早期公開ということがこれは何年か先に軌道に乗りますと、出願して五年も待たなければならないということはない、二年何カ月でいけそうだということになれば、これは発明をする人の意欲が私はその面では高まると思うのであります。そこで、早期公開をされてしまうと、これはうっかりすると取られるかもしれないというおそれ、これは確かに私は含まれるだろう、ただその場合に、それが相当な発明でございますと、優先審査をして、そうして特許権が確立いたしますと、それからあとはもう全くこれは発明者の財産になりますから、一年とかなんとかかりに盗用されておっても、それから先もその商品をつくらなければならない者の立場といたせば、一年間模倣したとしても、それで済むというわけではないので、そこで本格的にその商品が売れそうであればあるほど、発明者のロイアルティーに対する立場は強くなるはずでございますから、まあ半年つくって売って、もう手じまいしてしまうというような商品でございましたらそうもまいりませんが、恒久性のあるものでございますとそうなりますから、私は早期公開で財産化する時期が早ければ早いほど発明者のインセンティブは強くなるという面もある、矢追委員の言われましたことが全面的に私はそうではないとは申し上げられない、多少のそういうことはございます。ございますが、総合いたしますと、価値のある発明であれば、早期公開制度でしかも優先審査をしていけば、発明者の立場は強くなるのではないかと、こう考えるわけでございます。
#14
○矢追秀彦君 もう大臣のお話を聞いているとそれでいいようにも思いますけれども、実際問題、たくさん物が売れた、じゃそのことによって発明者が、もちろんある程度利益を受けるかもわかりませんけれども、人間というものはおかしなもので、うんともうかればもうかるだけ、それだけよこせとか、やはりそこでどんな金銭的な問題といいますか、これはトラブルが起こらないかどうか、これはもしそういう問題が起こった場合、紛争処理機関をつくるということでありますけれども、どういうふうにそれを処理されていくか、その点を重ねてお尋ねいたします。
#15
○政府委員(荒玉義人君) まあわれわれが考えていますことは、すでに発足しておりますが、発明協会の中でいわゆる紛争を調停する機関ということによりましてそういった金銭的な面の解決をはかってまいりたいと思います。といいますのは、結局こういう問題の解決は訴訟で争うことは私は最善の方法ではないと思います。むしろ当該業界におきまして最大の権威者が一定の権威をもって考えを出す、それでまあ業界が従っていくという風潮をつくるということがむしろいろいろな面において好ましいことだということで、もうすでに四月一日からそういった機関を発足さしているわけでございます。もちろんこの場合には、単に新しい制度の、公開から出願公告というまででなくて、もっと一般的な問題を解決しようということで考えております。したがって、そういった実際早く解決するということにより、モラルも高めるし、あるいはまた権利者並びに第三者がともに利益を受けとるということを強力に進めていくことが最大の道かと、かように考えております。
#16
○矢追秀彦君 それからきのうも申し上げましたけれども、日本で大事なことは、何といっても自主技術の開発にあると思うわけです。やはり現在の日本の企業はどうしても外国に基本的な技術とうものについてほとんど依存をしているわけでしょう。それに対して今度の改正によって、はたしてそれが日本の自主技術の開発にプラスになるのか、また逆に外国に依存した状態のままか、さらに強化をされるのか。私は公開ということによってかえってそういう技術は外国にたよることに拍車をかけないか、そういう点を心配するわけです。その点はどうですか。
#17
○政府委員(荒玉義人君) 第一に、いま矢追先生おっしゃったように、確かに基本的なものは現在といえども外国がすぐれております。したがって、やはりそういった基本的なものをわれわれは早く知りたい、知ることによってそういった基本的なものに比べて負けないものをみずからクリエートしていく、創造していく。したがって、そういう意味では早い時期に外国のすぐれたものが見得るということは、何といってもわれわれ最大のメリットでございます。おそらく先生は、むしろ早期公開しますと、発明意欲がわかないのじゃないか、私そういうことは全然ないと思います。なぜなら、先ほど大臣からいろいろ公開中の問題の話がございましたので省略いたしますが、何といっても特許権ほど強力な独占権はございません。これだけの産業界における有力な武器でございます。したがって、今度の改正で発明意欲がそこなわれる、そういう意見も私知っていますが、全体としてはそういうことは考えられない。むしろ先ほど言いましたような、積極的に早い時期に外国の技術をまず知り、それに匹敵するものをつくっていくという基盤ができるだけ私はプラスだろう、かように考えております。
#18
○矢追秀彦君 大臣はあと十分くらいなので、基本的な問題だけをお伺いしたいと思いますが、衆議院の商工委員会における決議、これはきのうもいろいろ出ておりましたが、この最初の、審査官等職員の増員の問題ですが、これはきのうも計画が出されましたけれども、それがこの決議にあるようにきちっとしかるべき増員が行なわれるのかどうか。特に待遇改善について具体的にお答えを願いたい。それから職場環境の問題で、これはいろいろこまかいこと、また大きいこと含めまして、相当問題があると思います。たとえば現在審査官が審査に没頭できるかというと、そうではなくて、ほかの事務処理のこととか文献の整理とか、そういうこともやっているわけですから、そういうことは別に切り離すことはできないのかどうか。それから御承知のように、外国では普通のことでございますけれども、審査官が一人で一部屋を持っている。日本の場合、非常にああいう狭いところに並んでおられて、うしろ通るのも非常に通りにくいので、そこをもう少しあけてもらいたい、こういうささやかな要求をしておるということも聞きました。そういう環境の整備、庁舎は二つになっておりますが、これは新しい庁舎でどういうふうになっていくのか。そういう特に待遇改善の問題に重点を置いてまずお答え願いたい。
#19
○国務大臣(宮澤喜一君) 何といっても、審査官を志すというような人たちは、他の産業の分野においても非常に希望をされる人でありますので、技術系の上級職を確保するということは、年とともにむずかしくなってまいります。したがって私ども、工業所有権研修所の機能を充実させて優秀な審査官の養成に内部でつとめるということも必要でございますし、また先ほどからお話の、予算との関係での定員、これにつきましても従来国の行政合理化の方針とは大きな例外として、特許庁の定員だけは毎年百人前後増員されてきたわけでございますが、この試算にございますような程度の審査官の数の増員につきましては、今後とも毎年努力をしていかなければならないと考えております。また待遇につきましても、他の職とはおのずから異なる職種でございますから、それなりの方途も考えなければなりませんし、職場の環境につきましても、今度新しい庁舎に半分は入ったわけでございますが、まだ十分ではございません。できるだけいい職場の環境、機械化等々のことについても、技術的に可能なものから進めていきたいと考えております。
#20
○矢追秀彦君 それから審査官の研修といいますか、研究といいますか、それが実際はあまり効果のあがるようなやり方でないと聞いておりますが、それをどのようにされるのか。
 それからついでですから次の問題もお伺いしておきますが、この決議の四番目の「工業所有権制度に係わる内外の関係者の意見を十分尊重し、特許行政の円滑な運営を図るよう措置すること。」、こうありますが、この工業所有権審議会のメンバーのことですが、これは前国会でもわが党の塩出委員よりいろいろ質問しておりましたが、この構成、現在いろいろなメンバーが入っておりますけれども、やはり発明者とか研究者、そういう関係の人が全然入ってないわけです。そういうものを含めて現在の審議会のメンバーのあり方を再検討をされるおつもりはあるかどうか、それが一つ。
 それからちょっと話が戻って恐縮でありますけれども、早期公開、これに踏み切られる。この法案が通れば踏み切られてしまうわけでありますけれども、外国でもやっておるではないか、こう言われますが、たとえばドイツの場合を例にとっても、特許裁判所の機構は非常に充実をしておるし、また新規性調査機関の設置がある。さらに補償金請求権の発効が即刻である。さらに完全な一発明多項クレーム制がとられておる。それから補正の無制限。それからそういう発明者といいますか工業所有権を持っておる人の権利というものが強く守られた上での早期公開になっておる。わが国の場合では、そういったものが、私たちの意見というものがいれられないまま早期公開に踏み切られてしまい、したがって決議でいろいろこういうことがいわれておりますが、そういう問題をちゃんとしなければ、かえってマイナスになってしまう。このことをずっとおそらく野党の方々は全部そういう議論を進めてこられたと思うのでありますが、その点についてどうされるか、その点をお伺いして、大臣への質問はお時間だそうでありますから、一応終わりたいと思います。
#21
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに早期公開制度という新しいものに踏み切りますと、これが円滑に動いていきますためには、いま矢追委員の言われましたようないろいろな点でのことに合わせて、今後行なうべき施策が必要になってまいるかと思います。新規性調査機関にいたしましてもそうであろうと思います。それらは今後時を追って充実整備をしてまいりたいというふうに考えております。
#22
○矢追秀彦君 それから審議会、多項クレーム制。
#23
○国務大臣(宮澤喜一君) 審議会の構成につきましては、今回の改正案が成立をいたしますと、いろいろ新しい問題も出てまいりますし、今年秋には審議会も改選になりますので、その際に新しい問題もございますので、ただいま御指摘のような点を含めて新しく人選を考えてまいりたいと思っております。
#24
○矢追秀彦君 長官にお伺いしますが、先ほど申し上げた審査官の待遇改善の問題で大臣大ざっぱに言われましたが、できましたらもう少しこまかい点、それからいまの研修、研究の問題、これをお答え願いたい。
#25
○政府委員(荒玉義人君) 待遇改善につきましては、現在は審査官補四%、審査官八%いわば調整額をつけております。これは三十五年度から始めておりまして、現行法の三十四年における国会における御意思に沿ってそういった制度を創設したわけでございます。で、われわれといたしましては、その額をふやしたいというのが第一、それともう一つは、これは人事院からいろいろ御好意は得ておりますが、いわば現在の定数は御承知のようにいわゆるピラミッド型の定数でございます。したがって、わりに下が多い場合には定数上有利でございますから、特許庁のような場合に、むしろ一人で、独立で仕事をするという場合に、なかなか現在の給与表でございますと、定数改定ごとに人事院の好意にすがるという状況でございます。そういった意味の不安定でございますので、やはり審査官なり審判官に別途格別の給与表をつくるという二つの道のいずれかを選んでいくということでわれわれは考えておるわけです。――考えておるんじゃなくて、毎年人事院と折衝しているわけでございます。先ほどの調整額の増加と特別給与表が、いずれがベターか、これはいろいろ議論がございますが、何とかして、要は審査官の待遇を現在以上にするという目的に沿って、両者を比較検討しながら強力に人事院と折衝を進めておる状態でございます。ぜひ早く実現したいと思っております。
 それから第二に、審査官の研修でございますが、確かに、私、現在やっておることが十分だとは思いませんが、一年一年向上しておることは事実でございます。問題は、やはり審査官といいますのは、御承知のように技術の専門家でございます。従来、法律的ないろいろな研修というものは案外やっておったわけですが、問題はやはり実際の技術をどこまで研修するかというのが私は一番最大な問題と思いますが、その点、逐次予算の拡充はしておりますが、いまなお十分だとは思っておりません。したがって、少し長期的にやはり現場にいて技術の研修ができるような体制を現在以上に大幅にしなければならない、かように考えております。
#26
○矢追秀彦君 いまいろいろ待遇改善の問題言われましたけれども、結局、これもきのうも申し上げたわけですけれども、特許庁のあり方、審査官のあり方、これをどうするかということを私はもっと本格的に考えないといけないんじゃないかと。きのうも言いましたように、工業所有権というのは非常に大事な問題だと、これからの日本の生きていくためにはどうしても頭脳というものを輸出するなり、結局技術開発をしてやらなければ、結局もうこのままいけばアメリカに左右されてしまったり、あるいは他の外国によって左右されてしまって、日本の自主性というものもなくなってしまう。また資源が乏しいがゆえに何らかの、戦争というような事態になればたちまちもう困ってしまう。したがって、特許行政といいますか特許庁のあり方、特にだから審査官とかそういうものは、特許庁で働く人たちというものを、いまよりもっと別の階層の役職にしてしまうとか、そういうふうなことができないのかどうか。私は特許庁――特許というものに対するサーチライトがいままであまり当たってこなかった、そこに非常に問題があると思うのです。こういう大事な仕事をしておられる、しかもああいう朝から晩まで非常に――これは研究よりまだつらい仕事じゃないかと思うのですよ。私だいぶ大学の研究室に何年かおりましたけれども、研究ならまだクリエーションというものがありますので、まだ楽しみと言ったらおかしいけれども、あるわけです。審査というのは非常に、何といいますか、ナイーブな仕事ですから非常にたいへんだと思いますが、そういう点に対する一般の国民の認識も足りないと思うのです。そういう点で、やはり特許庁のあり方というもの、特にそこにおられる審査官のただ単に待遇改善――人をふやすとか環境をよくするだけじゃなくて、その権威を高めるといいますか、そういう方向へ持っていかなければならないのじゃないか、そこら辺にも滞貨が出てきた一つの原因もあるのじゃないか、このように思うのですけれども、その点はいかがですか。
#27
○政府委員(荒玉義人君) 審査官が自分の専門の技術分野については世の中で最高の評価を受けるということが、おそらく私は一番最大な点だと思います。もちろん審査官は自分で新しい技術を開発するわけではございませんですが、少なくとも仕事の性質から申しまして、世界じゅうのこの分野の技術については最も習熟した位置にあり得るし、またそうしなければ審査の仕事が円滑にできないわけでございます。その意味で、社会的にも絶えず当該審査官のそういった意見なりが社会的に重きをなすということが私は一番望ましいかと思います。まあ聞くところによると、ドイツあたりの審査官というのは、そういった社会的評価を受けておるというふうに私は聞いておりますが、まあそういった意味で、矢追先生のおっしゃったとおり、私全くそのとおりだと思います。ただ問題は、そういうふうな形で従来われわれが養成しておったかという点につきましては、私も不十分だと思います。問題は、先ほど言いましたような実際のドイツの場合ですと、御承知のように民間で実際の研究開発なり、そういった仕事をやった経歴を持った人から審査官を採用する、こういう制度になっておりますから、われわれとは必ずしも同じではございませんが、先ほど言いました実際の技術研修をさらに進めることによって、あるいは学界その他と絶えず接触を保つようなことによりまして、先ほど申し上げました目標に対して、もちろん審査官個人が努力すると同時に、特許庁全体がそういった方向で進まなければならないと考えておりまして、その点、先生の御意見と全く同じに考えております。
#28
○矢追秀彦君 次に、これは工業所有権審議会、昭和四十三年十一月四日の最終回の発言の要旨として委員の方がまとめたものがあるわけですが、その二番目に、「発明者、出願人は「無審査による強制公開」によって極めて大きい犠牲を強いられる。小委員会の審議過程で久保敬三郎委員(元特許庁長官)は、「この強制公開は、出願人が特許庁の窓口で追い剥ぎに会い、その追い剥ぎは出願人の明細書を市中でばら撒いてしまうようなものだ」との意見を述べられたが、まことにもっともである。」、こういうことが書かれておるのですが、この点についてはどういうふうに認識をされておるのか。この発言は事実なのか。元の特許庁の長官だけに非常に問題だと思うのですが、この点はどうですか。
#29
○政府委員(荒玉義人君) 私、実は四十二年の八月一日長官になったのでございまして、その前のおそらく審議会での発言だろうと思います。私、本人の久保氏にその事実を確認いたしました結果、久保さんがおっしゃいますのは、最初の議論の際には早期公開ということでどういう保護をやっていくかという議論がまず未確定の時期でございました。したがってその際そういう発言をしたことは事実だ、ただし、いろいろな議論の過程での発言であって、その後の議論から見て、その後においては私はそういう発言は久保さんから聞いておりません。これは私の間接的な――その場にいないので本人から直接に聞いた話でございますので、途中の議論に、もちろんそういうことがあったことは事実でございます。必ずしも現在そうかということは無関係な御意見ではないかと思っております。
#30
○矢追秀彦君 結局、元特許庁長官という立場の人ですら、やはり早期公開制度というものに対しては相当、いまそれは賛成であるかどうかわからないとしても、非常に大きな、日本としてこういうふうに切りかえることには問題を感じておられることは事実だと思いますし、強く反対をされておったと私は理解したわけでありますけれども、そこで結局、さっき大臣に質問したように、日本における早期公開というのは、諸外国における早期公開とは全然質が異なってしまう。結局かえって模倣を奨励し重複研究を避けるためだと言いながらも、結局は大企業が得をして、そうしてまた模倣が流行して、さっき言ったように、外国の技術というものの導入になってしまって、日本の自主技術の開発が結局はそこなわれてしまう。それはさっき質問でやったような、そういうようなことがきちっとされていないからだと私は思うのです。四年あるからその間にやればいいと言われるかもしれませんけれども、私は四年間で特許庁がやるのは結局滞貨の処理で、それにほんろうされてしまって、それで終わりじゃないか、それ以上にできる能力はないんじゃないか。現実にいまたまってしまって、もうどうしようもなくなってパンク寸前にあるわけです。だから、この四年間に、なくなってしまうまでには、相当お考えになってもいいような準備が十分できると、こう言われるかと思いますけれども、その点はっきりしていただかないと……。私は絶対できないと思うのです。だから結局こういう早期公開に踏み切るのは、現在の時点では非常にまずい。もっともっとそれをやるためにはやらなければならないことが一ぱいある。滞貨処理についてはきのうから議論しましたように、やる方法がある、こう考えるのですが、長官はいかがですか。
#31
○政府委員(荒玉義人君) 基本的な問題でございますので、申し上げたかと思いますが、一つだけの手法でいまの特許庁の問題を解決する万能薬はございません。やはり何といいましても、日々の努力、これが一番大きなことは申すまでもございません。したがって運用面なりあるいは人員の拡充なり、やはりいまの問題というのは、そういったわれわれの努力、当然やらなければいけないことはもちろんでございますが、またそれ以上に一つの急激な技術革新という客観情勢の変化があるわけでございます。それに対処するには、やはり新しい衣も用意しなければいかぬということも事実でございます。したがいまして、制度改正をやれば問題が解決すると、ほかのことは何もしない、これは本末転倒でございまして、われわれ毫もそういった考え方はございません。やはりそれぞれの手法を同時に駆使して問題を解決するという基本的な立場に立っておるわけでございます。
#32
○矢追秀彦君 そうすると、それじゃ滞貨処理はこうする、待遇改善はこうする、それから早期公開によって起こるいろいろな問題点についてはこのようにやっていく、たとえば模倣対策――模倣に対する対策はどういうようにやるかとか、あるいは重複研究、あるいは重複投資が防止されると言われておりますが、その寄与率は明らかにされていないし、そういう問題がまだまだあると思う。したがってここで、はっきり五カ年計画なら五カ年計画というものをきちっと立てて、全部がそれが納得がいくようなこれからの方向というものが出されて、審議会でも審議してもらうとか、あるいは庁内の方とも話し合いをしてもらう、そういうようなことで総合的な対策というものをはっきり講じていかなければいけないと思いますね。そういうプログラムをはっきり出されるおつもりがあるのかどうか、出されるとしたらどういう機関でどういうふうに決定してどういう形で出されるのか、その点お伺いしたいと思います。
#33
○政府委員(荒玉義人君) 今度の問題は、昨日、処理計画の修正を提出していますが、それがまず一番大きな問題かと思います。もちろん審議会でもそういった考え方で御了承を得て答申になっておるわけでございます。もちろんその要件は、あるいは出願の伸びをどうするか、あるいは審査官をどの程度充実するか、これはそのときの情勢で変わると思いますが、基本的には一つのそういう処理計画を中心に考えておるわけでございます。もちろんそれを担保するいろいろな手段、一番大事なのは体制のみならず人員の問題でございますが、そういった点は、もちろん政府全体として五年間の増員計画を認知するという段階ではございませんが、われわれといたしましては一応の目標のもとにそういった処理計画を進めていきたいという意味でございます。もちろんそのほかのいろんな問題がございますが、大体一番大事な点は、審査促進に関する点は先ほど申し上げました処理計画の点でございます。
#34
○矢追秀彦君 いま聞いていると、結局審査促進のことだけ言われて、肝心なもっと基本的なことに対してはあまりないじゃないかと、こう思うわけです。たとえば、これは話が全然違って例にならないかと思いますけれども、たとえば国鉄が非常に赤字で問題になってきた。十カ年の再建計画を一応立ててある。それは料金にはね返っていろんな問題もありますけれども、一応いろんな人の意見を聞いてああいう計画を立てて、そして世に問うてああいう国会で議論をされておる。そういうふうにそういうものを私は出されてはどうか、こう思うわけです。そしてまた国会で議論するなり世間でひとつ議論してもらう、この点はいかがですか。
#35
○政府委員(荒玉義人君) 私先ほど法案中心で申し上げたわけですが、いまおっしゃいますように、そのことだけで特許庁の問題が片づくわけではございません。したがって軍用面の改善はこうしていく等々、いろいろな問題はもちろん多々ございます。それらにつきましてわれわれは改正の施行と関連して、そういった問題につきまして今後のはっきりした見解なりあるいは計画なりを世に問うてまいりたいと思っております。
#36
○矢追秀彦君 今回の改正案については非常に反対が多いわけです。そこへもってきて衆議院の修正が出てもう一ついろいろ問題になってきたわけでありますけれども、これは長官にお伺いするのですが、日本特許協会、これがこの法律改正特別委員会、これで衆議院の修正について長官から賛成を求められ、その審議を行なったところが、この修正した改正案は賛成の限界を逸脱しておるので反対である、そういう結論が出た、こういうふうに聞いておるわけですが、その点の事実はどうなのか、長官はこれをどのように認識をされておるのか、その点をお伺いいたしたい。
#37
○政府委員(荒玉義人君) 全く事実無根だと私は聞いております。
 実は私、その点は衆議院の修正について責任者に確かめまして、全く事実無根だと聞いております。ただし、おそらくこういう意見はあったのではないか。つまり、もとの原案と修正案がどちらがベターかという議論なら、むしろ原案だという話は聞いております。ただし修正につきましても前進でございます。したがって、そういう前進していくことでございますから、基本的には反対だという意見はないはずでございます。
#38
○矢追秀彦君 要するに、いま言われたのであれば修正に反対で、改正案は賛成と答えているのか、もう少し詳しく経過といいますか、何か特許庁の花村総務部長及び阿部第二部長に、そういう反対が委員長から伝えられたということなんですが、その点の経過等について詳しい事実、できたら報告願います。
#39
○政府委員(荒玉義人君) これは実は私が現在の理事長に確かめたのは、先ほど申し上げたとおりでございます。したがって、もちろん先ほど言いましたように、元の案よりはメリットが減ったことは否定できないし、修正を行なっても現状より大幅な改善にはなる、そうして新法分については全く新しい効果が出てまいるわけでございますから、したがってそれが反対だという態度をとるとは考えられない。これは私直接理事長から聞いた話でございます。
 それから先ほどちょっと話が出ましたが、私どもの総務部長に話があったというように聞いておりますが、私が申し上げたことと同じでございます。違った話は私聞いておりません。
#40
○矢追秀彦君 いずれにせよ、今回のこの改正案非常に問題も多いし、さらに修正によってよけい問題がまた大きくなったと私は考えおるわけです。にもかかわらず、非常に政府としてはこの改正案をどうしても通そうということで、いま審議をしているわけですけれども、どうしてそこまでやらなくちゃならないか、きのうからも出ておりましたけれども、PCTとの問題ももう差し迫っておるわけですから、そこまで待ってもいいじゃないか。きのうの答弁では九十六万の滞貨と五十八万の滞貨とどちらがましかと、二者択一なんだと、こういう御答弁もありましたが、まだそういうことじゃなくて、私が言いたいのは、体制の整備をやって、そうしてPCTのときに改正をすべきであると、それまではまだまだやることはあるんじゃないかと、土台ががたがたしておるのに、上だけ変えるというのは私は問題があると思う。特許庁はちゃんとしっかりしなくちゃいけないし、いろんな問題があると、このように思うわけですけれども、にもかかわらず、非常に法案を強硬に通そうとされておるわけでありますけれども、この点はもうこの時点で考え直す余地はないと思いますけれども、とにかくこの修正案を含めて、特に修正案は特許庁としてはあまりよくないと、好ましいものではないということは、きのうの竹田委員からの質問においても私は明らかになったと思うんですけれども、あくまでも滞貨処理に力を入れて……。私はもっと基本的なものが何かここで隠されてしまって、結局早期公開になって、損をするのは発明家であり、権利を持っている人たちだと、このように思うわけです。
 最後に一つだけお聞きをしたいのは、発明権――発明権にもいろいろありますけれども、秘密権というものが発明権にあるのかどうか、その点はどう考えておられますか。
#41
○政府委員(荒玉義人君) 発明権という中身は、非常にことばは簡単でございますが、むずかしい問題かと思います。で、私発明権というものは、いわゆる天賦人権の権利ではないと思います。やはり一つの財産権だと思います。財産権といいますのは、やはり出願をして、どういう効果があるかということは、あくまで法律で定められるという意味の発明権というのは、財産権の一種でありまして、どこまで秘密にするかどうかということは、当該国の特許庁が定めるものでございます。本来何でもかんでも秘密にできるという権利を持ったのが発明権だとは考えておりません。
#42
○矢追秀彦君 今後この発明というものを、特にいまの発明権というものをもとにして、発明関係の方から発明に関する法律といいますか、基本法的なものをつくってはどうかなんていう意見もあるわけですが、それについてはどうされますか。
#43
○政府委員(荒玉義人君) 実は私、その話を聞いておりますが、発明の基本法というのは私はないと思います。むしろ科学技術全般の振興それの基本法というのが、おっしゃるところの発明の基本法でございまして、科学技術振興という基本法があれば、発明の基本法というものはむしろその中へ吸収される性質ではないかと、かように考えております。
#44
○矢追秀彦君 大体予定時間がきましたので、最後に料金の問題ですが、これが改正になっても、この料金については新旧両方といいますか、そういう点が配慮されておるのかどうか、その点はいかがですか。
#45
○政府委員(荒玉義人君) 御質問の趣旨がわかりかねますが、むろん料金は一般的には五割増しにしておりまして、請求料は新しく新設いたしまして、特許では一発明について八千円、実用新案で四千五百円という審査請求料を加算しております。もちろん請求料それ自身は、新しいものだけが適用されるというふうに制度はなっておるわけです。ちょっと御質問の趣旨にはずれたかも……
#46
○矢追秀彦君 特許と実用新案の出願も意匠商標の出願と同一の五割増にきめるべきじゃないかと、こういう意見があるわけですが、そういう点、私のことばで足りなかったのですが……。
#47
○政府委員(荒玉義人君) 出願料につきましては、特許、実用新案と同じように、意匠、商標につきましても、現行据え置きでございます。おそらく御質問は、特許、実用新案の場合には新しい請求料を加算したわけだから、かりにいいかどうかは別として、バランスはとれておるけれども、ほかの手数料が値上げになって、意匠、商標の出願料は据え置きというのはどういうことか、こういう御質問かと思います。
 大体今度の場合、一応出願料は据え置きだと考えると同時に、意匠、商標の場合ですと、最終的なきめ手にはなりかねるとも思いますが、一応現在の費用を計算してみますと、大体商標は現在二千円でございます。意匠は千二百円でございますが、おおむねそれでやっていけるのではないかと一応考えまして、出願料は合わせて据え置きいたしましたわけでございます。
#48
○川上為治君 私の考え方から言いましても、衆議院の修正は必ずしもよくなったとは言えないのでありますが、七十何万件にも及びます現在の滞貨を処理する考え方から言いますると、一歩前進したものと言わなければならないのであります。これは矢追委員とか、あるいはその他の委員からも何べんも聞いたのでありますが、念のため、特許庁長官はこれをいかに考えますか。
#49
○政府委員(荒玉義人君) 結局衆議院のお考えは公開制度を中心といたしまして、過去に出願した人はやはり新しい制度を認識して出願しておるわけではない、したがって、あるいは明細書の書き方、その他も旧法でそのままやっていただけるということで、その点を重視されまして修正されたものと考えております。したがいまして、それなりの一つの考え方だと考えております。
#50
○川上為治君 この点につきましてはこれ以上追及することをやめまして、この法律と並行しまして人員の増加とかあるいは待遇改善をはかる必要があると思いますが、今度の四十五年度の予算におきましては、人員は幾ら認められたんですか。たしか二百十三名の要求に対して七十五名しか認められなかったという話でありますが、この詳細についてお伺いします。
#51
○政府委員(荒玉義人君) 要求は先生おっしゃいました二百十三名、審査官・審判官百名、それから事務系百十三名でございますが、それにつきまして最終的な査定は事務系のみ七十五名でございます。これは昨年度の国会におきまして、四十四年七月一日現在で審査・審判官の欠員が百三十九名ございます。これは欠員といいましても、実際埋められなかった、埋めなかったわけでございませんで、実際は事務に使っておりまして、そのあたりがいろいろ問題になりまして、したがって、審査官・審判官は、現在の欠員の中でとればいいじゃないかということでゼロでございます。事務系だけ七十五名、もちろんこれは現在定員を事務系で借りておりますが、それの埋め合わせというのを含めまして、そういった査定になっておりまして、以上が査定の結果でございます。
#52
○川上為治君 行政管理庁はどういうふうにこれを受けとめておりますか。
#53
○説明員(石原寿夫君) 四十五年度の増員要求につきましては、いま長官から御答弁がございましたように、審査官・審判官、事務系を含めまして合計二百十三名でございまして、私どものほうが査定、定員増を認めましたのが、七十五名でございます。これは全部一般の事務職の方を認めたわけでございます。その意味では、審査官系統はゼロという査定になっておるわけでございます。これは、かねがね審査官の増員ということを特許庁の異常な業務状況から考えまして、行政管理庁としましては審査官ということをどちらかといいますと重点的に考えまして査定を行なってきたわけでございますが、いろいろお話を伺ってみますと、一般の事務職員のほうもたいへんであるということでございますので、なおかつ審査官系統に若干の欠員もあるという状況を見合わせまして、今年度は事務職系のみ七十五名の増員を認めた、こういう次第でございます。
#54
○川上為治君 特許庁長官にお伺いしますが、職員は、あるいは審判官とか、そういう職の人は非常な技術を必要とします。技術がなければとうていその職員にはなれないのであります。でありますから、この審判官あるいは審査官の養成機関をつくる考えはないですか。また、それに対する予算はどうなっておりますか。
#55
○政府委員(荒玉義人君) 川上先生のおっしゃいましたのは、採用する前で、適格者を養成したらどうかという点が第一の御質問でございますが、結局われ一われのところは、大ざっぱに言いますと、あらゆる技術部門が必要だ。こういうことでございます。と言いますのは、もちろん出願自身は、あらゆる分野、そうしますと、結局技術の総合教育機関という形になりまして、結局文部省の教育機関と全く同じ性格ということになるのではないか。ですから、たとえばある技術だけということでございますと、一つのたとえば原子力ならば原子力あるいは特殊な技術分野でございますと、一つの養成機関をつくってという考えが出ますが、結局一般的な教育機関ということにならざるを得ない。そうしますと、先ほど申し上げましたような全く文部省の教育機関と完全に一致するというきらいがございますので、事前にそういう機関というものはいろいろ考えてはおるわけですが、現在のところ実現がなかなかむずかしいのじゃないかというふうに考えております。問題は、やはりあとでどの程度素養を高めていくかということが問題になるわけでございますが、現在研修所でそういったことを実施しておりまして、四十五年度のそういった予算関係が約千二百万でございますので、もちろんこれはわずかでございますが、前年度対比五〇%増しで、先ほど申し上げましたような、入ってからあとにおきまして、実際の技術を教えていくということで、現在とどまっておる次第でございます。
#56
○川上為治君 それならば人員のその飛躍的な増加も認められない。それからその養成機関も建てないということになれば、これはどうしても法律を改正して、早期公開制度とか、そういうものも絶対にやられなきゃいかぬということになりますか。
#57
○政府委員(荒玉義人君) 先ほど申し上げましたように、もちろん人員の拡充のみで問題は解決するほどなまやさしい問題ではございません。したがって、もちろん人員は拡充すると同時に、それだけでは問題の解決になりませんので、やはり改正も含めてやりたいという考え方でございます。
#58
○川上為治君 行政管理庁にお伺いしますが、特許の事務は非常に複雑でかつまた技術を要する。そうして、滞貨は七十万件も積もっている。これをどうしても早く処理しなきゃならぬということになれば、やっぱり人員の増加を並行してやらなきゃならぬと思うんですが、それに対してはどう思いますか。
#59
○説明員(石原寿夫君) 先生御案内のとおり、特許庁の異常な業務状況と申しますか、そういうものが問題になりましたのは、臨時行政調査会が意見を出しましてクローズアップをされてきたわけでございますが、三十九年以来行政管理庁といたしましては大体百名内外の定員増を認めてきたわけでございます。もちろん滞貨が先生御指摘のように七十万にもなり、処理期間も非常に長期を要しておる、あるいはまた特に特許庁の職員各位の負担が、米国、西ドイツ等の先進諸国のおそらく三倍ぐらいになるのではないかと思いますが、非常な苦労をなさっておる、そういう状況を短時日の間に解消するのに十分な人員であったとは思っておりません。しかしながら、今回の特許庁でお考えになりました制度改正を契機としまして、また新しい業務の計画もお考えになることと存じますので、私どもとしましては、御案内の総定員法施行下における非常にきびしい定員の規制の状況下ではございますが、いろいろ御指摘を受けておる特許庁の業務の状況というものを十分な配慮をいたしまして、特許庁の業務計画というものができ得る限りすみやかに遂行されるように、できる限りの協力をしてまいりたい、かように存じております。
#60
○川上為治君 そうすると、特許庁の職員が一般行政官庁の職員とは別なものだと、そういうふうにお考えですね。
#61
○説明員(石原寿夫君) 従来も特許庁につきましては他庁に見ない配慮をしてまいっておるわけでありますが、その考え方は将来も変わることはないと思います。
#62
○川上為治君 他庁と違うんだということですね。だから、その考えをずっと貫いてもらいたいですね。総理も何かの場合に、特許庁の人員については増加しなければならぬということをおっしゃってますからね。どうかそのつもりでやってもらいたいですね。
#63
○説明員(石原寿夫君) 御指摘の線に沿いまして十分の努力をいたしたいと思います。
#64
○川上為治君 それから、この法律と並行しまして、やっぱりその待遇の改善をしなきゃならぬ。だから、待遇の改善についてどういう措置をとったですか、今度の四十五年度の予算において。
#65
○政府委員(荒玉義人君) 今度の四十五年度では調整号俸の増額をいろいろ折衝いたしましたが、それは残念ながら現行と同じでございます。
#66
○川上為治君 なぜそういうことになったんですか。
#67
○政府委員(荒玉義人君) 現在の調整額というのは、御承知のように三十五年に新設されたわけでございますが、結局現在われわれの事務折衝段階では、すでにある程度のフェーバーを与えておる、で、いろいろこれが現在でもフェーバーである、横並びに見ていろいろ影響があるというふうな折衝でございますので、少なくともわれわれといたしましては、現在すでにあることですし、これを拡充することはいまの問題解決の一つの有力な手段であるということで、事務折衝を続けておるわけでありますが、結局、実現を見るに至っておりません。
#68
○川上為治君 これは大蔵省に聞かなければならぬかもしれぬですけれども、人事院が来ておりますから、どういうわけで人事院はそういう査定をしたんですか。
#69
○政府委員(尾崎朝夷君) 御承知のとおり給与につきましては各省庁から各職務につきましてたいへんな要求がございます。当面の特許庁関係につきましては、審査官におきましては、その仕事の特殊性におきまして俸給の調整額が八%つけられておるわけでございますが、これはその仕事が非常に独立的に行なわれることと、技術官であるという二つの理由からつけられている性質のものでございまして、ほぼ同じようなパターンで仕事をしておりますたとえば人事院の公平審査官あるいは海難審判庁の審判官、社会保険審査官、そういったような職員につきましては現在要求がございますけれども、何ら措置がなされておらないのでございます。やはり公務員の中における均衡ということを私どもとしては十分考えていかなければならないという点から考えますと、審査官につきましては、ややほかよりは若干いいという感じでつけられておるという感じで私どもとしては見ておるわけでございます。
#70
○川上為治君 やや優遇されておるという話ですが、これは絶対にやらなければならぬことであるし、いま七十何万件もたまっておるのですよ。だからどうしても待遇をよくしないといけないと思うのですが、これに対してどう思いますか。
#71
○政府委員(尾崎朝夷君) 仕事の滞留関係につきましては、いろいろ特許庁から伺っているわけでございますけれども、この関係は私は給与の関係だけではないというふうに考えております。やはり給与関係としては、それ自体としまして公務員内部においていろいろ要求がたくさんございまして、その関係の中におけるバランスということもまた十分配慮していかなければならない性質のものでございます。そういう意味で、特許庁につきましては、そういう現在における優遇措置というものも他面では考えながら、他面では昇格状況につきまして毎年配慮をしておるという状況でございます。
#72
○川上為治君 この点はよっぽど優先的に考えなくちゃいかぬと思うんですよ。それで、これからも優先的に考えてもらうような措置をとってもらいたいですね。
#73
○政府委員(尾崎朝夷君) 御指摘のお話につきましては、私どもとしましても趣旨をよくかみしめまして、特許庁の御要求もいろいろございますので、今後対処してまいりたいというふうに考えます。
#74
○赤間文三君 関連して。
 いまの特許関係の職員の優遇は、これは非常に大事なことだから、特許の問題が起こるたびごとに特許の職員を優遇してもらいたいということを、各委員、前からお願いをしているが、一向優遇をしていただいたようなことはない。私は川上君の御意見と同じように、思い切ってひとつ優遇をしてもらいたい。いつもあなたのほうの答弁は、いつでもバランスだ、バランス、バランスがあるからそう特許だけを優遇するということはなかなか骨が折れるが、できるだけのことをやるというのが、昔からの御答弁、私は考えを異にして、特許のようなものは重要な仕事で、しかもじみな問題、しかもたいへんな件数が滞貨しておるときに、優遇だけがそれを解決する方法じゃないと思うけれども、あらゆる面から解決策を講じなければいかぬ、あるいは機械化するとかあるいはいろいろなありとあらゆる方面から、人間もふやさなければならない、いろいろな方策を講じなければ、やっぱりそこの人が真剣に勉強をするというためには、相当思い切った優遇策を講じないとぐあいが悪いのじゃないか。それで他のバランスというものは、普通のところはバランスでけっこうですけれども、特許のようなものは、やはりバランスを幾ぶん破ってでも優遇されることが、特許事務の円滑を期し、ひいては滞貨処理の大きなものになる。その辺少しもっと頭を切りかえてもらって、バランスなんということばかり言わぬで、思い切った方法を講じてもらいたいということ。その点についてのお考えを願いたい。ここ四、五年の間にどういうふうな優遇を講じられたのか、あくまでも他の役目と同じように、バランスだけでこられたのか、幾ぶんこういう重要な問題についてはバランスを破って、こういうふうにやったんだということがあるなら承りたいと思います。いつも言うけれど、一向私の承知するところでは、あかの抜けたような優遇策は講じてないのじゃないか、そういう私は考えを持っている。あなたにちょっと、四、五年前からどういうふうに優遇策を講じられたか、具体的にそれを承りたい。
#75
○政府委員(尾崎朝夷君) 申すまでもございませんけれども、給与問題というのは、やはり基本はバランスでございます。ただいまのお話につきましては、特に特許の関係を優遇せよというお話でございますけれども、ただいま申しましたように、他に同様な職をやっているところもございまして、たとえば審査官、人事院の公平審査官、その他審判官、海難審判官等もございまして、それらの職員には何ら特別な優遇はしておらないのでございますけれども、特許庁の審査官につきましては、八%のいわば俸給表を異にするような調整をいたしておりまして、そういう意味で、私はやはり優遇であろうというふうに考えておるわけでございます。で、なお特許庁の職員につきましては、審査官、同じ審査官と申しましても二等級の審査官あり、三等級の審査官あり、四等級の審査官あり、五等級の審査官がございまして、そういう職員の昇格につきまして、毎年、たとえば本年の場合にも三等級につきまして、一割程度の増加を認めているということで、例年どおり定数の昇格につきまして、定数の関係で配慮をしていっておるという状況でございます。
#76
○川上為治君 特許の早期に滞貨をなくするために、オランダでやっておるような、あるいはIIBといいますか、あれのごとき予備機関をつくる必要はないのですか。予備で審査してそれからふるい落として、それから本番に返ってあれするという、そういう機関をつくる必要はないのですか。
#77
○政府委員(荒玉義人君) 先生のおっしゃいますのは、いわゆる新規性調査機関という意味ではないかと思いますが、これは私たちのほうではそれにかわるのを、特許情報センターを考えております。普通新規性調査機関といいますと、特許出願したあと、特許性があるかどうかという判断でございますが、むしろわれわれそうじゃなくて、むしろわれわれ研究開発をする当初から、こういうものが世にあるかどうかということに対する調査が、ひいては特許出願後にも使われるわけでございます。そういう世の中の熾烈な要求に対しまして、特許情報センターを設立いたしたい、いま準備中でございます。四十五年度には二千二百万円予算を計上いたしまして、主としてどういうシステムでこれをやっていくかということを目下試験中でございます。したがって試験といいますのは、人間を使っていわば調べるということ、これではとても需要に応じられませんから、何といたしましても電子計算機を使ってやって、そのためには非常に精密なやつというのはなかなか現在できておりません。そう精密でなくとも迅速にその調査に応ぜられるようなためには、どういうシステム、やり方があるかということが先決問題でございます。したがいまして、それがはっきりし次第、その結果が業界が満足すべきだという事実がはっきりし次第、設立いたしたいと思っております。そういう意味では四十五年度は施策中でございますが、できるだけ早い機会に発足したいと思っております。
#78
○川上為治君 さっきおっしゃいましたようなセンターとか、そういう種類のものが非常に飛躍的に特許の促進をするようになれば、非常にけっこうなことですから、その予算については特別に取りはからってもらうように大蔵省と交渉してもらいたいのです。
#79
○政府委員(荒玉義人君) 先生のおっしゃるとおりに努力してまいりたいと思います。
#80
○理事(大谷藤之助君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#81
○理事(大谷藤之助君) それでは速記を起こして。
#82
○須藤五郎君 通産大臣、ぼくはここできのうからずっと皆さん方の意見を聞いておると、この法案を無理をなすって通す必要がないという感じがするわけなんですが、大臣はこの法案の修正につきまして、よい修正だとお考えになりますか、悪い修正だというふうにお考えになりますか。
#83
○国務大臣(宮澤喜一君) その点につきましては、政府が当初提案をいたしましたときにメリットと考えておりましたことと衆議院がお考えになりましたこととのいわばディメンションといいますか、ディメンションの考え方に違いがございますので、何ともいい悪いということが申し上げられないというのが率直な感想でございます。つまり私どもは、昨日から申し上げておりますように、早期公開制度にいたしましても、今回のような措置をとっておけばよもや違憲のおそれはあるまいと考え、現実的なそれからくるところのメリット、すなわち処理の促進でございますとか一般利用者に対して出願の内容を早く知らせるとかいうメリットを実は考えたわけでございますが、衆議院におかれましては、万一違憲だという訴訟などが起こった場合には、少なくとも法の安定性を欠く、そういう御見地からそのような疑いのある部分は改めたほうがよかろう、こういう方針であったわけでございます。で、これは違憲だと衆議院が考えられたのではなくて、昨日も御説明のありましたように、そのような訴訟が起こった場合には、結着のいかんにかかわらず法の安定性を欠く、こういう御見解でありました。私はそれは一つの御見解であろうと思うのであります。そこで、そのような御修正があった後でも、なおこの法律案が修正後の形で成立することが望ましいか望ましくないかということになりますと、私ども少なくとも修正後をかりに新法と申し上げさしていただきますが、新しい法のもとで出されます出願については、このような早期公開の制度等が適用されますから、将来に向かって出願の処理の迅速化をはかることができる。そのメリットがあらわれますのはしばらく後でありますが、いまこういう法改正をいたしておきませんと、いつまでたってもそういうメリットがあらわれず、記録の累積の山にさらに同じ種類の累積が加わっていく。そのため審査期間はさらにさらに長くなるということでございますので、それらのことを総合して判断いたしますと、今回の衆議院修正というものは、なお修正を含みましたままでこの法案が成立することのほうが、現行法でいきますよりは私は行政としては効果が大きい、このような判断に立つわけでございます。
#84
○須藤五郎君 大臣の説明を聞いていると、何だか政府当局と、それから党との間に見解の相違がある。その見解の相違をすっきりしないままで、この法案が提出されておるような感じを受けるのですがね。そういう政府と与党の自民党の見解の相違をそのままにして、それをすっきりとさせないままで、この法案を提出して、そうして政府は、それで事足れりとお考えになっているのですか、どうですか。
  〔理事大谷藤之助君退席、理事川上為治君着席〕
#85
○国務大臣(宮澤喜一君) 修正の提案者の方々と私どもとは、確かに同じ党に属しておるわけでございますけれども、同じ党内におきましても、立法府においてものを考える立場と、行政府においてものを考える立場は、これは違い得る。また私は違うことがむしろ当然ではないかというふうに思っておりますので、確かにこの問題につきましての立法府における私どもの党の人たちと、行政府における私どもとでは、ただいま申し上げましたような意見の衝突というよりは、どのディメンションを重く考えるか、すなわち行政府においてはおのずから行政の能率化、効率化ということに重きを置いて考えますが、立法府においては、将来この立法が万一法の不安定性を招いてはいけないというところに重点を置いて考えられる、これは私はむしろ当然のことではないかとも思うのでございます。
#86
○須藤五郎君 その点、またあとで議論するといたしますが、荒玉長官としましては、今度修正を受けたわけなんですが、その修正は快く受けることのできる修正なんですかどうですか。
#87
○政府委員(荒玉義人君) 衆議院の意思のあるところを体してその範囲内で能率をあげるということが私の責任だと考えます。
#88
○須藤五郎君 しかしこの修正を受けて、それを行政官として実行していく上においては、この修正された法案に対する確信と自信、積極的な態度がなくちゃ、ぼくは行政官として常に胸の中に何かつかえたものがあって、おれはこう考えていた、これはこうなったんだから無理な点が出てきたんだと、おれの考えどおりいっておったらもっとうまくいくのに、というような、そういう胸につかえたようなものがあって、はたしてあなたは行政官としてりっぱに責任を果たしていくことができるかどうかということです。
#89
○政府委員(荒玉義人君) 衆議院の修正、これはいろんな見地から考えられると思います。われわれといたしましては、やはり与えられた一つの目標でございます。もちろんその範囲内で、自分の全力投球をするのが、これは私の責任だと思います。
#90
○須藤五郎君 荒玉長官の話を聞いていると、どうしてもあんたの胸の中にはわだかまりがあるとしか聞き取ることができないんですよ。おれの考えと違った修正案をされたと、こういうことで私は受け取っていいんですか、どうなんですか。
#91
○政府委員(荒玉義人君) 繰り返すようで恐縮でございますが、これは私も行政官でございます。したがいまして、それはいろんな意見は私は持っておりますが、一つの国会の最高の決定でございますから、その範囲内で万全な努力をするということは私に与えられた責務と考えております。
#92
○須藤五郎君 今度の修正案がよい修正案だとあんたが考えるならば、私は一つあんたに意見があるんです。この前の国会で幸福にもこの法案が葬られた。その結果、こういう修正案を出すチャンスというものが出てきたわけなんですよ。だからあんたは、あのときに強引にこの法案を、原案を押し通そうとして非常な努力をされたわけです。もしもそれがあの先国会で押し通っておったら、こういう修正はなしで押し通っておったと、こういうことになるんですよ。だから今度の修正がよかったと考えるならば、あのとき押し通そうとしたあんたは責任をとらなきゃならない。もしも今度の修正案が悪かったというならば、何で悪いのを受け取るんだ、こういうことなんですよ。一体あなたの態度がすっきりしないのです。そこらが、あんた悪い修正だとお考えになっているんでしょう。どうですか。よい修正だと考えるんですか。
#93
○政府委員(荒玉義人君) これは私自身は、これはもちろん責任者といたしまして、もとの提案が私は最良だと、これはだから出したわけでございます。ただその後いろいろ各界意見ありまして、そういった修正が最高権威の中でなされるということにつきましては、これは私としてはその範囲内で行政努力をするという以外に、これはわれわれの行政努力というものはその範囲内にとどまるというふうに思っております。
#94
○須藤五郎君 そうすると、もう一ぺん言いますがね、前の法案がわれわれ行政官としてはよい法案だという確信を持っていると、今日もなお。国会で、最高立法府で修正されたからやむを得ないんだと、だからわれわれはその修正案に従って努力していく以外に行政官としていく道はないんだと、こういうことなんですね。
#95
○政府委員(荒玉義人君) ですから、提案した以上は、私といたしましては最高だと思うから提案したわけでございます。ただ、いろいろな議論の結果、そういう考え方も一つの考え方であるということになれば、これは私としてはその範囲内でやるというのが私の責務でございます。
#96
○須藤五郎君 もちろん行政官は立法府の法律に従って行政をしていくのが筋ですよ。その行政に当たってあなたの気持ちがすっきりしなければ、行政官としてりっぱなことをやっていけない、あなたの胸にこだわっているわけです。前のほうがおれはよかったのだ、こういう気持ちがなお捨て切れないのです。それでこの法案が成立したら、あなたは常に胸にこだわったものを持ちながらやっていかなければならない。はたしてあなたはりっぱな成績をあげることができるかどうか、これはわれわれ立法府の懸念するところなんです。
#97
○政府委員(荒玉義人君) 私、行政責任者といたしましては、それは一つの仮定の議論でございまして、通過した以上は、これはさらりと新しい観点で新しい目標のもとで行政努力をするということでございまして、極端に言いますと、私自身の当初思ったことと私は全く関係のないことかと思っております。
#98
○須藤五郎君 ぼくがあなたのような席にある行政官なら責任をとりますよ、はっきりと。ぼくはこう思っていたと、それがこういうふうにされた、なお自分の胸の中には前のほうがいいと思う意見があると、それなら私は行政官として当然責任をとるのが私は筋道だと、こういうふうに考えますよ。あなたどういうふうにお考えになっていますか。
#99
○政府委員(荒玉義人君) その点につきましては、現在とにかく早く制度化するということが私に与えられた最大の道かと思います。その後においてさしあたりどうしたらいいかというようなことは、私今後自分なりに考えてまいることではないかと思うわけでございます。現在のところは一日も早くこれが制度化するという以外に私は考え方はございません。
#100
○須藤五郎君 これ以上行政官を責めてもお気の毒ですから、私はこの点はここでとどめておきましょう。私がこういうことを言いたくないのですが言ったのは、あなたのこの前のこの法案審議に対しての態度が、私は問題があったと思うのです。あなたはよほどの確信を持って、そしてこの法案通過のために非常な積極性をもってわれわれの答弁に対しました、当たってこられた。非常なエキサイトをしてときにはやられた。それほどのあなたが、このような大修正を、骨抜きとも言うべき大修正を受けて、なお行政官としてのんべんだらりとその席にあるということが、はたして適当なことなのか、そういうことを私は懸念をしますから言うんです。
 そこで、もう一つあなたに続けて質問したいのですが、この前の国会の七月十七日の商工委員会におきまして、この法案の審議に際しまして、ここに持っております「明日を開く特許」という本の中にある、この二百七十七ページにある工業技術院勤務発明規程、このことについて私は質問をしました。そうするとあなたはこの法律を出しまして、この法案は、この条項はもうすでになくなっておりますと、こう言った。それじゃなくなったものをなぜこの「明日を開く特許」という本に出しておるのかと言ったら、別のものがありますが間に合わなかったために古いものが出ましたと、こういうふうにあなたはお答えになった。それじゃ古いものがあるならば、その古いものと新しいものをここへ出してくれと要求しました。そしたら、いま手元にありませんからと言って、後日に御説明いたしたいと思いますと、こういうふうに明らかにお答えになっておるのです。ところがそのような新しいものが、聞くところによるとできていないようなんですね。できておるのですか。できていないのですか。
#101
○政府委員(荒玉義人君) その点につきまして私の前回の発言を訂正させていただきます。といいますのは、その直後訂正の機会を考えておりましたのでございますが、委員会ございませんので、まことに相済まなく存じます。先般衆議院ではそのことを御訂正いたしましたが、あらためて当委員会で訂正をいたします。正確なところはことしの五月一日から新しい規程が施行になりまして、それが一番正確な事実でございます。さように訂正お願いしたいと思います。
#102
○須藤五郎君 それでは行政庁の長官ともあろうものが、昨年の七月十七日に私にうそを言ったことになるじゃないですか。そんな無責任な答弁をしておって済むと思いますか。あなた普通の行政官じゃないのですよ。一つの庁をあずかる長官じゃないですか。その長官が国会議員の私に対して、改正をされております、しかし、印刷が間に合わないためにこれには前のものが載っております、それで後日御説明いたしますと七月十七日に答えているじゃないですか。それをいままで私に黙っておった。全くうその回答をしているのじゃないですか。そういううその答弁をするような人の答弁聞たくないです。そんな無責任なことでいいんですか。あなたの職責が果たせるのですか。だから、私は先ほど言いづらいことまであんたに言ったのですよ。何で私に、その後商工委員会もあれば、いろいろな委員会が開かれておるじゃないですか。何でこういうふうに改正しました、先日申しましたことはあれはうそでしたと、何で私の部屋にまであんた言ってこないのですか、私は今日までちゃんともう改正されておったのだというふうに理解をしておったのですよ。私はあんたに一ぱいペテンに食わされたことになる。それでは国会議員としての職責が果たされますか。どうしてくれるのですか。
#103
○政府委員(荒玉義人君) 私が先生に御説明しなかったのは全く私の手落ちでございます。相済まないのでございます。ただし、担当者が先生にその旨を申し上げたかと思いますが、私自身としては事実の釈明に参上いたさなかったことはまことに相済まなく思います。
#104
○須藤五郎君 担当者も来ていませんよ。私のところに文書も何にも来ていませんよ。
#105
○政府委員(荒玉義人君) 私、実は担当者といいますか、この白書をつくった人から聞きまして、すぐ先生に訂正するように私申して、本人から先生に一言申し上げたというふうに聞いております。ただ、私自身がお伺いしなかったことは、これ私自身の間違いでございます。あしからずお許し願いたいと思います。
#106
○須藤五郎君 それではことしの五月一日でちゃんと改正された内容を私にいただきたいと思います。
#107
○政府委員(荒玉義人君) 手元にございますので……。
#108
○須藤五郎君 これは委員長、いま私がこれをいただいてこの内容を検討してすぐ質問するという時間的な余裕がないのですよ。ですからこの点については、私はあらためてこの内容については質問をしなければならぬが、前の規程と今日の規程との間にはどれだけの違いがあるのか。それからこの規程はやはり工業技術院長の名によって出された規程だとなっております。その点変わりはありませんね。
#109
○政府委員(荒玉義人君) 実質的には差はございません。ただ表現が三十五年法――つまり新しい法律の用語を使っておる差と聞いております。
#110
○須藤五郎君 そうすると、ことしの五月一日まではこの前の規程によってものが処理されてきたと、こういうふうに理解していいのですか。
#111
○政府委員(荒玉義人君) 新法の三十五条にいわゆる職務発明という範囲がございます。で、旧法はその表現が異なった表現で書いておりますが、実質的には差はございません。したがいまして、そういう意味では表現の差だと私は解釈いたしております。
#112
○須藤五郎君 工業技術院長は訓令を出す権限があるのですかないのですか。
#113
○政府委員(荒玉義人君) 御承知のように、工業技術院は付属機関でございます。しかし大臣の事務委任を受けておりますので、したがって正当な権限あるものと考えております。
#114
○須藤五郎君 その権限のあるという法的な根拠は法のどの条項にあるのですか。
#115
○政府委員(荒玉義人君) 根拠は国家行政組織法第十四条第二項の規定と考えております。
#116
○須藤五郎君 法令を私持っていないので、ちょっと読んでみてください。
#117
○政府委員(荒玉義人君) 行政組織法第十四条第二項に、「各大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達するため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる。」、この規定に基づきまして工業技術院は訓令を発することができると考えております。
#118
○須藤五郎君 この法令の解釈が少し拡大解釈じゃないですか。「各大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達するため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる。」ということになっていますが、いまの国家行政組織法の第十四条第二項を読みますと、訓令を発する権限は各大臣、各機関及び各庁の長官だけでありまして、工業技術院長、いわゆる国家行政組織法第八条に規定されている附属機関の長には訓令を発する権限はないのじゃないですか、この場合。
#119
○政府委員(荒玉義人君) その点につきまして法制局ともいろいろ相談いたしましたのでございますが、この中で大臣の委任を受ければ二項が適用になるというふうな法制局の解釈に基づきまして、われわれはこの規定に基づきまして工業技術院が訓令を発することができるというふうに考えております。
#120
○須藤五郎君 委任云々というものはこの法律のどこにも書いてないですよ。だから私はこの法律の拡大解釈と違いますかと、こう言ったんです。委任条項というのはどこにありますか。どこの法律に出ているのですか。委任を受ければやってもいいというのはどこの法律にも出てないじゃないですか。
#121
○政府委員(荒玉義人君) これはわれわれ法制局で確かめた限りには、各大臣といっている場合に、当然内部的に委任が含まれておるというふうな解釈で先ほど申しましたような結論に達しているわけでございます。
#122
○須藤五郎君 そんな法律を自分たちかってに解釈するということ、これはわれわれ立法府としてそう簡単には受け取っていくわけにはいかないのです。それはどこの法律にもどこの条項にも大臣が委任状を出せばかまわぬという、そういう条項どこにありますか、あったら見してくださいよ。
#123
○政府委員(荒玉義人君) あくまで解釈でございます。
#124
○須藤五郎君 そんなかってな解釈をして、そしてこんな人の財産権まで奪い取るような訓令を出すなんて、そんなばかなことありますか。大臣どう思いますか、そういうかってな解釈でこういう働く人たちの財産権まで奪い取るというような訓令出していいんですか。
#125
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般に、大臣に与えられました内部のそういう職務等に関する規定は、これは委任できるというのが私はもとの原則だと思います。その責任はむろん委任者に帰属することは申すまでもございません。
#126
○須藤五郎君 委任状があるならひとつ見してください。大臣の出した委任状があるなら私に見せてください。
#127
○政府委員(荒玉義人君) ちょっと内部のあれは、工業技術院なり官房にちょっと私確かめたいと思いますので、この点についてちょっと十分ぐらい時間を与えていただければ幸いに思います。
#128
○須藤五郎君 私はこの解釈が、憲法第二十九条の「財産権は、これを侵してはならない。」という条項が、憲法ではっきりと規定されておる。この憲法第二十九条の精神を無視したやり方だ、否認していると思う。だから私はこれをやかましく言っているのです。それが大臣の委任状でかってに働いている人たち、発明した人たちの財産権を取っていける、没収していくようなそういう規定が出せる道理がないですよ。かりに出せたとしても、私はこれは憲法二十九条の違反だという点を強く訴えたいのです。
#129
○政府委員(荒玉義人君) おそらく問題は二つございます。先ほど須藤先生おっしゃったのは、第一には工業技術院は訓令を出せるかどうか、これは先ほど申し上げたことであろうと思います。
 第二は訓令でいけるかどうかという問題、これは別でございますが、これは三十五条の職務発明の規程から私は訓令でいけると考えています。といいますのは、この職務発明といいますのはこれは各国それぞれみな取り扱いが違っておりまして、いわば一種の広い意味の法人発明といわれる部類でございます。といいますのは、職員があって、そして職員は職務を通じて発明が出てきたといった場合に、これは別なことばでいえば、これは考え方でございますが、初めから法人のものだという規制も可能でございます。ただし、まあ日本の特許法の場合ですと、一応その発明の帰属はもとの自然人、つまり従業員のものでございます。ただし法人があらかじめ契約をもって法人のものにするということが許されているというのが職務発明でございます。これは、ですから全く個人のものでもなければ全く会社のものでもない。ちょうどいわば中間的なものかと思います。それで特許法は先ほど申しましたように、やはり自然人である従業員に本来帰属するのだ、ただし、法人はあらかじめ契約をもって予約継承ができるというふうに規定しているわけでございます。そういう意味では、実質的にはそういう意味のいわば広い意味の法人発明でございますので、両者の相対等する契約にすべてよらなければならないという性質のものではございません。むしろ発明の特性から見て、使用者側の定めること、もちろん契約でございます。そういうことできめても差しつかえないというのが私三十五条の職務発明の性質から出てくるのではなかろうか、かように考えております。
#130
○須藤五郎君 先ほど要求しました資料が出るまで私ここにおりますがね、質問をちょっと待っていただきます。肝心のものが明らかにならぬ前に質問を続けていくということは無意味だと思うのです。
#131
○理事(川上為治君) ちょっと速記とめてください。
  〔速記中止〕
#132
○理事(川上為治君) 速記を起こして。
 暫時休憩いたします。
   午後零時二十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時二分開会
  〔理事大谷藤之助君委員長席に着く〕
#133
○理事(大谷藤之助君) これより商工委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、特許法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#134
○須藤五郎君 休憩前に私が出した問題に対します政府の回答を求めたいと思います。
#135
○政府委員(高橋淑郎君) 長い間時間をかけて申しわけございませんでした。さっそく調べましたけれども、先ほど御質問のありましたような委任状というものはございません。
#136
○須藤五郎君 またうそを言ったことになりますよ。大臣の委任によってこれをいたしましたと言う。それならば、大臣の委任状を出しなさいと言ったら、そうしたらさがしますと。もともとないということは私はよく知っているんですよ。ないものをあるがごとく言って、そうして委任状によってやったと、こう言うでしょう。ないなら委任されたかされないか何にもわからないじゃないですか。そんなわからない雲をつかむような話で一方的に法の解釈をして、そうして働く人たちの権利を奪っていくということ、これがぼくはいかぬと言っているんじゃないですか。どうなんですか。はっきりしなさいよ。
#137
○政府委員(高橋淑郎君) 一般的に申し上げまして、行政機関はその指揮監督下にあります行政組織職員に対して訓令が出せるというのが行政法上の一般的な解釈、通念でございます。先ほどお話の出ました国家行政組織法第十四条第二項は、その訓令が出せるということを明示的にあるいは例示的に規定したものと解しております。
#138
○須藤五郎君 その法律の中に工業技術院長がそういう訓令を出すことができるという条項がありますか。事実は、工業技術院長にはそういう訓令を出す権限がないんじゃないですか。その権限があるということをどこで明示していますか。法律の中でないですよ。
#139
○政府委員(高橋淑郎君) 明示はされておらなくても、先ほど申し上げましたように、法令の規定によりまして行政機関に対する指揮権を認められております。行政機関はその指揮権に基づいて訓令を発することができるというのが先ほど申し上げました行政法上の解釈、通念でございます。したがいまして、工業技術院が訓令を出すということはできるわけでございます。
#140
○須藤五郎君 あのね、訓令を出すことのできる人は、国家行政組織法第十四条第二項、これによると訓令を発する権限は各大臣、各委員会及び各庁の長官だけでありますよ。工業技術院長、これは国家行政組織法第八条に規定される機関の長なんですから、これには訓令を発する権限がないということになります。そういう権限のない者に訓令を出す権限があるという解釈自体、私はおかしいと思うんです。それでは工業技術院長にそういう訓令を出す権限があるという規定はどこから出てくるのか、それを私は聞きたいんです。ないんです。そういうふうに責めたら、大臣の委任によっていたしますと、こう答えた。それなら大臣の委任状があるなら出しなさいと、そうしたら大臣の委任状はありませんと、おかしいじゃないですか。それでは大臣の権限もあるなら大臣の委任状がなくたってできるはずじゃないですか。大臣の委任状があって初めて工業技術院長は訓令を出すことができるんです。その委任状なしでやっておるんじゃないですか、どうしてそれが正当だと言えるんです。そんなばかな答弁やめなさいよ。
#141
○政府委員(高橋淑郎君) 先ほど一般的に申し上げましたが、工業技術院長あるいは工業技術院が訓令を出します場合には、先ほどお話の出ました大臣の特別の委任による場合と、それから工業技術院設置法というのがございますが、その設置法による場合と二つあるということでございます。
#142
○須藤五郎君 大臣、あんな解釈でこういう重大な問題がやられていってそれでいいんですか。あの解釈は私は法的に何ら拘束力はないと思う。法的に何ら力がない。あんな解釈は無効ですよ、法のたてまえからいったら。そういう無法を工業技術院長がやっていってそれで一体差しつかえないものですか。大臣ここは重大な点ですから、私は責めておきたいんですよ。
#143
○国務大臣(宮澤喜一君) 私の考えておりますところでは、各行政庁の長というものは、その自分の庁に属する職員等に対して、事務執行上必要な通達をし、訓令ができるということは、これは行政組織の本来の趣旨からいって私は当然のことだというふうに考えます。したがってそういう立場から申しますと、第十四条の二項というのは、「その機関の所掌事務について、」ということに意義があるか、あるいは、これはおそらく、もう少し広く解せば、一種の例示規定であるか、そのいずれかであるというふうに私は考えます。そうでありませんと、一定の数の職員を、自分の所管のもとに、監督のもとに仕事をさせるということについて、訓令なり示達ができなければ、これは自分の思っているように仕事ができないはずでありますから、これは、私は、行政組織、どこに書いてありませんでも、法以前の当然の問題だというふうに考えるわけでございます。そこで、おそらく須藤委員が御指摘になっておられるところの問題は、そういう原則論ではなくて、いかなることについて訓令をなし得るかということなのではないだろうか。私はそういうふうに考えます。問題になっておる工業技術院の勤務発明規程なるものが、職員の勤務に関しての訓令であるのか、あるいはそれより広い範囲に出るものであるのかということが、おそらく問題なのではないだろうか。私はそういうふうに考えます。
#144
○須藤五郎君 そのとおりなんで、この訓令が、憲法第二十九条によって保障されて明確になっておる個人の財産権にまで、そういう訓令一本で問題が解決されていくのかどうかという点なんです。そこに私は大きな問題があると思うのです。そういう憲法で保障された財産権まで――憲法の原則でしょう、これ。そこまで一行政官の訓令で解決されていっていいんですか。どうなんです。
#145
○国務大臣(宮澤喜一君) ということに問題の範囲がきまってまいりましたから、そういたしますと、それは、私は、特許法第三十五条、一項から四項までございますけれども、これをこの訓令によって具体化したものだと。問題があるとすれば、この第三十五条にあるかどうかということであって、この訓令そのものには、私は問題がないというふうに考えます。
#146
○須藤五郎君 訓令そのものに問題がないのじゃないのですよ。訓令によって、いわゆる憲法二十九条の財産権というものが侵されておるのですよ、この訓令によって。だから、私は、この訓令自体が憲法違反の訓令だと思うのですよ。まして、技術院長には、訓令を出す権限すらも法的には認められていないのですよ。あなたのおっしゃるのはそれは拡大解釈にすぎないので、法的に認められていない権限を拡大解釈することによって、こういう重大な、憲法二十九条のこの重要な財産権まで侵していくということは、これは許されないではないかと、こういうことを言っているのですが、そういう拡大解釈、一行政官の拡大解釈によって、こういう憲法で保障された財産権が無視されていって、それで差しつかえないのですか。どうなんですか。
#147
○国務大臣(宮澤喜一君) 法律には私ふえてでございますけれども、私の読む限り、特許法第三十五条においては、国が、職務発明については通常実施権を有するということが書いてあるわけでございます。その第二項には、職務発明である場合を除いてはかくかくの「条項は、無効とする。」と書いてございます。そこで、職務発明である場合に、どういう対価あるいはどのような利益の分配ということが将来あるべきかということが書いてあるのでありますから、これは、三十五条のこの規定に基づいて、工業技術院の発明規程が、それを具体化したものである。したがって、もし憲法違反等々の問題があるとすれば、これは特許法第三十五条にあるのであって、この訓令そのものには私はないというふうに考えるのであります。
#148
○須藤五郎君 特許法三十五条がもしもそういう規定をしているならば、ぼくは特許法三十五条にも、当然憲法違反の疑いがあると言えると思うのですが、しかし、そういうことを除外して、この中に、こういう訓令を出すことによって、具体的に現在やられておるということですね。そういうことがおかしい。もしもそうでなければ、それが、三十五条が当然のものなら、こういうものをつくらなくてもいいのですよ。三十五条でやっていったらいいことじゃないですか。そうすれば三十五条が問題になってくるわけですが、わざわざこういうものをつくって、そうしてこれをたてにとってやっておるから、この「工業技術院勤務発明規程」というのですか、こういう規程が問題になってくると、こういうように私は思いますよ。どうなんですか。これは要らないじゃないですか。
#149
○国務大臣(宮澤喜一君) そうは私は考えておりませんので、三十五条一項におきまして、国における職務発明の場合の特許権についての実施権は国が持つということがきめられてあるわけであります。そうして、その三項において、その場合において「相当の対価の支払を」発明者は「受ける権利を有する。」と書いてございますから、その対価をどうすべきかということが、この工業技術院の規程にまず書いてございます。それから発明の実施によって使用者が受けるべき利益等々についてどのような分配をするか。これは「使用者等が貢献した程度を考慮して定めなければならない。」と三十五条の四項に書いてございますから、この発明規程には、どこかに、どういうふうに分配するかということが書いてあるわけでございます。したがって、工業技術院の規程は、全部三十五条に定めるところを具体的にこの規程によって定めた、こういうふうに解釈しております。したがって、このような規程を欠く場合には、発明者、従業者は何らの対価を受けることもできないし、また利益の配分にもあずかることができないはずでありますから、むしろ、この規程を置くことによって、三十五条の三項、四項に定めるところを従業員のために充足したと、こういうふうに考えております。
#150
○須藤五郎君 限られた時間で私は質問をしておりますので、あまりここばっかりにこだわっていることはできないのですけれども、それならば、先ほど、大臣の委任によっていたしましたと、大臣の委任によったらできるのだと、こういう発言が先ほど長官からなされましたが、それは、大臣の委任がないということ、委任をされていなかったということも明らかになったし、委任状もないということがこの際明らかになっていると思うのですが、その点、はっきり答えてください。
#151
○政府委員(荒玉義人君) 具体的な委任ということはございません。まあそういう意味で、私先ほど、委任と、具体的な委任というふうな表現になったのは、これは事実でございませんので、さよう御承知願いたいと思います。
#152
○須藤五郎君 荒玉さんには非常に気の毒だけれどもね、あなた、またうそを言った。口から出まかせというのですか、大臣の委任があってやりましたと、こうはっきり言った。それじゃ委任状を持っていらっしゃいと言ったら、委任状はない。それで、いま、委任によりましてやりましたということは、あなたはっきり取り消しましたね。間違いでありましたね、あなたの言ったことは。――またぼくにうそをあなたついたということになるのですよ。いいですね。――いいと言うから、そうしておきましょう。
 そこで大臣、こういう条項によって、こういうふうに、ただ一項の条項によって、従業員の発明権から出たところの財産権を没収していくということが、これ私、どうも著作権法と比較しましてね、はなはだ不可解にとれるのですが、特許法に一体人格権、財産権というものがあるのですか。どうなんですか。
#153
○政府委員(荒玉義人君) 発明権の中に人格権があるかというお尋ねでございますが、著作権の場合には私は人格権的な要素が多分にあるというふうに聞いておりますが、発明権の場合には例の発明者を表示する権利というのがございますが、それを人格権と言えば人格権だと思いますが、そのほかに人格権的要素は私はないのではないかと思います。
#154
○須藤五郎君 そうすると、特許権には人格権はないんだと、こういうことになりますと、そうすると発明者の人格というのはどういう形で守られていくのか。発明者の財産権というものはどういう形で守られていくんですか。守られないんですか、どうなんですか、そこは。
#155
○政府委員(荒玉義人君) 先ほど申しましたように、人格権的なものは自分が発明者である、たとえば権利を他人に譲渡いたしましても、発明者として自分は表示される。こういう権利はございます。したがって、それは一種の人格権的要素かと思います。あとは発明権、いわゆる財産権でございます。財産権で、それは出願をすれば国に対して一つの審査を請求する権利になる。あるいは特許権となればそういった財産権になるという一つの可能性を持った、いわば財産権的要素がこれは発明権だと考えております。
#156
○須藤五郎君 そうすると、特許庁なら特許庁につとめている人が一つの発明をする、そうすると、特許権を取った瞬間に国に権利が帰属していくんですか。それとも発明者が国にその権利を譲渡しますというちゃんと一札を出して、発明者のいわゆる権利が明らかにそこで守られた後、譲渡されて、国にその特許権が帰属していくんですか。そこはどういうことになるんですか。
#157
○政府委員(荒玉義人君) 三十五条に職務発明という範囲がございます。その中で、おそらく特許庁の場合ですと、この三十五条の第一項で、いろいろございますが、簡単に、国の場合、国は国家公務員がその性質上当該使用者等の業務範囲に属しない場合、その特許権について通常実施権を有しない。したがって、試験所の場合には、研究をいたしまして、そしてそれの発明成果が出るというのは業務範囲でございますが、特許庁というのはそういう業務を持っておりません。したがいまして、特許庁の職員が発明いたしました場合には、これは全く個人の発明そのままでございます。われわれは工業技術院と違いまして、規程ももちろんございませんし、本来全く個人の発明そのままでございますから、おそらく適用される余地はございません。一般の原則で全く個人の発明として取り扱います。
#158
○理事(大谷藤之助君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#159
○理事(大谷藤之助君) 速記を起こして。
#160
○須藤五郎君 これは私は固めてまいりたいが、特許庁の職員がやった発明に対してはそれは国に帰属しないと。
#161
○政府委員(荒玉義人君) 国に帰属する必要もございませんし、そういう規程もございませんですから、全く、個人の権利でございます。
#162
○須藤五郎君 工業技術院の職員の場合は、それは譲渡的な手続がとられなくても国に帰属する、こういうことですか。
#163
○政府委員(荒玉義人君) それは全く異なりまして、工業技術院の場合は、あらかじめ定めた条項、いま訓令でございますか、訓令で職務発明の場合には、最初は個人の権利ではあるけれども国に譲り渡すというのを訓令で定めているわけでございます。したがいまして、その訓令なかりせば、それは個人の権利でございます。
#164
○須藤五郎君 その場合にはやはり譲渡手続というものがちゃんととられるのですか。
#165
○政府委員(荒玉義人君) まあちょっと趣旨から申し上げたほうがいいかと思いますが、要するに、この場合の職務発明というのは全く普通の個人の発明なのかあるいは本来ならば法人といいますか、この場合国でございます、国のものなのかというところからの問題を申し上げないとおそらくわからないかと思いますが、これは場合によれば、本来もう国のものだということを定めても決しておかしくない発明の範囲でございます。といいますのは、国が研究目的のために施設を出し、職員を雇い、研究をさすわけですから、その結果発明ができた場合ですから、全く通常の個人の発明とは違う、本来国のものにするということを考えてもちっとも差しつかえない。したがって、新しい著作権法では御承知のようにこれは本来法人に帰属するのだという構成をとっていることも決しておかしくないわけでございます。ところが特許法の場合には、そういうことをやると、単なる金だけでは発明できない、施設だけでは発明できないという面を考えまして、一応最初は個人のものでございますが、しかし、その範囲のものは、先ほど言いましたように国の貢献度というものが相当のウエートを占めておるから、あらかじめ定めて国のものにするということが許されているというのが三十五条の第一項の趣旨でございます。したがいまして、工業技術院の場合ですと、訓令の定めがございますから、一々譲渡手続ということでなくして、その訓令を根拠にして個人から国に権利が移る、こういうことになっておるわけでございます。
#166
○須藤五郎君 そうすると、その特許権が国に帰属するという最大の条件は、国が金を出して便宜をはかってやらしているそういう成果だ、だから国に帰属するのは当然だ、こういう解釈なんですか。
#167
○政府委員(荒玉義人君) ちょっと誤解のないように申し上げておきたいと思うのですが、特許法はあくまでそういう場合でも個人の権利だと、最初は個人の権利だというふうに考えております。ただし、実質的に見れば、先ほど言いましたように、新しい著作権に非常に考え方が似ておりまして、本来個人に属するか、あるいは法人、この場合国でございますが、国に属するか、そのボーダーラインのケースでございます。そういう意味では全く普通のいわば自由発明とは異なるわけでございます。したがって、特許法はあくまでも個人に原始的には所属しております。ただし、その発明については普通の発明と違うのだから、あらかじめ定めた事項によりまして国の所有になるのですよということが許されておる。その発明だと、こういうことを申し上げておるわけでございます。
#168
○須藤五郎君 特許権はあくまで個人に所属するものだと、ここで人格権はちゃんと保障されている。そうでしょう。それから財産権もとにかく保障されておるわけですね。それが、国が便宜を与え、国が金を出したものだという理由で譲渡的な発明者――国が発明するということはないですよね、そんな形のわからぬものが発明するということは。やはり発明というのは個人ですよね。その中に働く、機構の中で働く個人がやるのでしょう。だから、その個人が国に帰属を認めますというような、譲渡的なそういう文書の取りかわしがなされて初めて国に帰属するのか、それでなしに、もう無条件で、金を出したということで帰属してしまうのかどうかということです。
#169
○政府委員(荒玉義人君) 個々の具体的な契約によるか、あるいは一方的にきまることが許されるか、こういう御質問かと思いますが、後者が許されるのがこの職務発明だと、こう考えておるわけでございます。普通の発明の場合は全く個人の権利そのものでございます。この職務発明の場合は、ただ金を出すのじゃなくて、本来その職員を雇うのは、研究をする目的で雇うのです。したがって、一定の研究をさせ、一定の施設を与える、もちろん研究費を与えるということでは、国というか、法人の貢献度というものが相当のウエートを持っているわけでございます。したがいまして、これは制度的に見ますと、本来法人のものと特許法は規定してもおかしくない。なぜかといいますと、法人というのは御承知のように事実行為もできるわけです。個人がやったものは即法人の行為にもなり得るわけでございます。したがいまして、制度的には本来、法人に帰属できるのだと規定してもいいのですが、特許法は先ほど言いましたように、やはり個人的な一つの努力を相当重く見ておるのが現行法でございますので、したがって最初は個人だと。しかし、普通のあれと違って、あらかじめ一方的、といっては語弊がありますが、一方的の定めによってその権利を譲り受けても、この発明については別だ、できるのだというのが先ほどから繰り返しますように三十五条の私は趣旨ではないかと考えております。
#170
○須藤五郎君 先日公害問題で、外国の専門家がたくさん日本に来られて、国際シンポジウムをやられましたね。その「国際シンポジウムを終えて」という発表の中で、大阪市大助教授の経済学の宮木憲一さんという人が新聞にいろいろな意見を発表していらっしゃるわけですが、その中にこういう点が指摘されているのですよ。「西独のある研究者がもっとも不思議に思ったことは、中電で実験中の排煙脱硫の装置が、すべて国費によってまかなわれて、企業の負担にならず、その上、この税金で開発された装置のパテントは三菱重工にあるということだ」という、こういう意見を発表していらっしゃいますが、そのとおりですか、どうですか。
#171
○政府委員(荒玉義人君) 工業技術院から答弁するようでございます。
#172
○説明員(塚本保雄君) 排煙脱硫につきましては、国が大型プロジェクトとして三菱重工及び中部電力、そういうところに委託をいたしまして研究をする。したがって本来は、国がみずから公害の技術開発をすべきものでございますが、一応、そういう法人に研究委託をしております。したがって、中部電力の研究を国がまかなっているのではなく、国の研究を中部電力がかわってやっておるということでございます。それから、それから生じますパテント、これは中部電力には属しません。これは全部国に属します。
#173
○須藤五郎君 そうすると、中部電力には属していない、しかし、ここでは三菱重工に属しておるということが書かれておるのですがね。
#174
○説明員(塚本保雄君) 三菱重工にも属しておりません。大型プロジェクトから発しますパテントはすべて国に属します。
#175
○須藤五郎君 それでは、この官本助教授の書いたものは間違いだということがはっきり言えますね。
#176
○説明員(塚本保雄君) はい。
#177
○須藤五郎君 わかりました。では、この問題はこれで終わっておきましょう。
 その次に、大臣が見える前に、私は具体的な審査問題について質問をいたしたいと思うのですが、一番最初申し上げましたように、この特許法は実際骨抜きになっている。最初、特許庁長官が考えていた最も重大な点が、これが抜けてしまっておるのですが、それで、はたしてPCTはもう何年たってこれが条約になるかといえば、四年の後ですよね、四年の後にPCT条約というものが迫ってきておるのだが、このPCT条約とこういう法律との間に何の抵触もないのですか、矛盾もないのですか、どうですか。
#178
○政府委員(荒玉義人君) 矛盾はございません。といいますのは、PCTというのはあくまで審査をできるだけ協力して負担を軽減しようというのが趣旨でございまして、それぞれの国の法律というものは、これは各国の自由にできるわけでございます。したがいまして、PCT加盟国がすべてが同じ特許法というわけではございませんので、PCTに加入するということと、現在の改正それ自身は、全く矛盾のない事柄でございます。
#179
○須藤五郎君 そうすると、今日七十五万件残っているのが、これが先議されていくわけですね。それで今度新法が、成立するかどうかわかりませんが、新法ができたあと出願されたものは、旧法によって出願されたものが済まなければ審査にかからない、こういうことなんですか、どうなんですか。
#180
○政府委員(荒玉義人君) 古いものを片づけてから新しく請求された出願を審査するのがたてまえでございます。
#181
○須藤五郎君 そうすると、古い旧法によって、いわゆる現行法ですが、現行法によって出願された七十五万件というものが片づくのは一体何年先になるのですか。
#182
○政府委員(荒玉義人君) 総体的に言いますと、四十九年には全部新しいものになる。これはあくまでも平均でございまして、といいますのは、個々部門的に必ずしも同じではございませんですが、そういうものを抜きにいたしまして、総体的に申し上げれば先ほど申し上げたとおりでございます。
#183
○須藤五郎君 四十九年までにそれを片づけるためには、いろいろな手段をとらないとなかなかそう簡単に片づかないだろうと思うのですが、この間からの質問によりますと、審査官を増員すると。そして審査官をこうこう増員しますというのが、ずっと表も出ました。しかし、あれは審査官が一人もやめていかないという前提に立っての表だと思うんですがね。審査官は絶対やめていきませんか。どうなんですか。
#184
○政府委員(荒玉義人君) 試算の中で申し上げました数字は純増ベースでございますから、やめていくのも当然計算に入れて、実質的にこれだけの増員をわれわれは目標でやっておると、こういう数字でございます。
#185
○須藤五郎君 そうじゃないですよ。この間の表だと、去年これだけであったと、それでことし七十名入りましたと、だから去年の数に七十名加えたのがことしの数ですと、こういう算定ですよ、それ見ますと。七十人ずつふえているんですよ。やめていく人は一人もその中に計算に入ってないんですよ。それで私はちょっと疑問を持ったんですよ。
#186
○政府委員(荒玉義人君) その点は昨年と基本的には同じでございまして、実質での増員ベースでございます。したがって、もし、かりに四十五年度、ここでは一応プラス七十を見ておりますから、したがって、四十五年度中に二十名、ほぼ例年のペーで大体二十名。そうすると、採用では九十名の採用ということになりまして、あくまで実質にこれだけふえるという数字でございます。昨年度と、ほぼ、その点は変わらないわけでございます。
#187
○須藤五郎君 優先審査というのがありますね。発明の模倣、盗用が起こってくる。この模倣、盗用の立証責任は、模倣された人が実際に立証しなきゃならないんでしょう。だれが立証するんですか。
#188
○政府委員(荒玉義人君) 出願人が立証するのが普通だろうと思います。といいますのは、出願人が、たとえば自分の発明に抵触するような商品が市場に出回っているということから一つの手がかりを得るわけでございます。そうすると、そういう商品がはたして自分の権利に抵触するかどうかということを自分で考えていく。そうすると、だれだれがこんなものをつくっておるということは、普通の場合ですと、出願人が立証する責任があるというふうに考えております。
#189
○須藤五郎君 その資力によって、出願人の力によって、その立証がはなはだ困難になる場合も私は起こってくると思うんですね。そして、その立証がやられたとしますか、そうすると裁判になるわけでしょう。そうですね。それが裁判で争われるということになるんだろうと思うんですが、その裁判がかりに長引くとするならば、その裁判に訴えた、いわゆる盗用されたという申し出をした人たちの負担というものは、私は相当大きなものになると思うんですが、これが、うんと金を持った大企業などはともかく、盗用された人が弱い場合、盗用したほうが大きな場合に、そこにいろいろな矛盾やいろいろな問題が起こってくると思うんですが、それはどういうふうな形で解決していくんですか。
#190
○政府委員(荒玉義人君) これほ一般的でございますが、これは何も特許法に限らず、権利を主張する側が立証して、そうしてその結果、あるいは訴訟なり、あるいは相手方を説得して問題を解決すると、こういうのが普通でございます。ただ、いまおっしゃいましたようなのは、新しい法律のみならず、一般的にそういう問題が考えられるわけでございます。といいますのは、訴訟をいたしましても、実際強い者が勝つのじゃないかという御懸念、これはまあ一般的には私はあるかと思います。できるだけ私たちは二つの面からそういった面を改善していきたい。
 一つは、ちょっと先ほども申しましたが、公開から出願公告までにいろいろの争いになりましても、実際、補償金請求権は、出願公告から初めて行使できるわけでございます。そういった意味では、その権利が特許になるかならないかということを、早く決着をつけたい。これがいわば優先審査でございます。それが第一。
 それから第二は、まあ訴訟までいかなくて、やはり事実上の解決の方法がないか。それで、具体的には、もうすでに発足しておりますが、発明協会の中で、いわばそういった争いがあった場合に、当事者の合意でもって問題を解決しようということならば、最も日本で権威のある人を常時登録しておりまして、必要に応じて、そういった方々が一つの調停案といいますか、あっせん案を出してくる。それによって問題を解決するということによりまして、現在でもそういったことがあるわけでございますが、さらに一そうそういう事実的な簡易な紛争解決の道を講じてまいっておるわけでございます。
#191
○須藤五郎君 そういう争いが起こった場合には、その争いを処理するために優先審査というものがあると、こういうお答えですね。その優先審査をするかしないがという、この作業は一本どなたがなさるんでしょうか。
#192
○政府委員(荒玉義人君) 法律面では特許庁長官でございますが、実際上は、まあいまわれわれ考えておりますのは、大体、出願人からの事情聴取だけでございます。出願人は、こういった品物が、だれがつくっておるということを、われわれのほうに出してまいります。そしてわれわれのほうでいま一応考えていますのは、審査部長、審査長、場合によれば、必要な、学識経験者としての担当審査官の意見を聞きまして、そうしてやはりそういう事実がある、それで、それを早く解決する必要があるというふうに判断すれば、優先審査をやっていくというふうに考えています。
#193
○須藤五郎君 この特許庁長官の優先審査の決定に対しまして、不服を申し述べることはできるんですかどうですか。
#194
○政府委員(荒玉義人君) そういった不服申し立て権を認める制度にすることも、いろいろ比較検討してみたわけですが、いまの考え方は、特許庁の裁量行為で、特許庁どまりというふうに考えております。といいますのは、やはり優先審査するかとうかというものは、あくまで緊急を要するわけでございますので、それからまた不服といいますと、実際は優先審査の制度的な要求に合うかどうかということが疑問でございますので、いまの制度としては、そういう不服の道は開いてない制度にしております。
#195
○須藤五郎君 そうすると、もうこれは一方的に特許庁長官が裁定すれば、いやおうなしにその裁定に服従しなきゃならぬ、結果的にはそうなると思うんですがね、どうなんですか。
#196
○政府委員(荒玉義人君) さようでございます。
#197
○須藤五郎君 そうなりますと、こうなりますね、優先審査をするかしないかを特許庁長官が解釈するということになりますと、審査不作為が行政不服審査法の対象にならない、こういうふうになるわけですが、そうなりますと、優先審査を却下された者が事実上不利益を受けるから、私はそこにはそういうことが起こり得るから、そこに私は問題が起こってくると思うんですが、この法文を設けた理由といたしまして、特許庁は、早期公開によって紛争が生じること、審査期間が長引けば長引くほど出願人の受ける不利益は増大すること、したがって紛争の生じたものについて優先審査をすると、こういうふうに言っていらっしゃるんですが、これを見ますと、確かに紛争の生じた事件については、請求があれば却下することなく、すべて優先審査をするように、こういうふうに見えます、おっしゃるようにね。ところが、早期公開に基づく模倣盗用は合法、模倣盗用の立証責任は模倣盗用された側にある。力の弱い出願人、たとえば個人発明家とか中小企業は、調査能力があまりないことは、これはもう私は明らかなことだと思うんですが、かりに大企業が模倣盗用しても、力の弱いものはその立証もできず、できないどころか、その調査もできないので、いわゆる優先審査の条件となる証拠も大企業に比べると不十分だ、こうなってしまいますね。つまり、優先審査を受ける資格はあっても、調査能力がないので、優先審査の対象からはずれることが出てくると、こういうことになる場合があると思うんですが、補償金請求という権利に対しまして、模倣盗用されることが義務としてあるならば、優先審査を受けることも一つの私は権利だと思うんですね。事実上不利益を受けるのに、不服の申し立てを許さないことは、私は非常に疑問になってくると思うんですが、こういう弱い人たちね、いろんな事情で優先審査を受けることができないそういう人たちの権利というものは、一体どういうふうに守っていかれるお考えでございますか。
#198
○政府委員(荒玉義人君) 要するに、この場合は従来にない品物をつくっておる人たちばかしでございます。したがって、大体販路といいましてもそう見ず知らずのものにやるということはよほど少ない。やはり同業者が知らないでやる場合、あるいは知ってやる場合があるかと思いますが、やはり同業者が実施する場合がきわめて多い。そうなると、中小企業といえどもお互いの同業者がどうしておるかということは常時関心事でございます。したがって、まあもちろん大小の差は私はないとは言いませんが、中小企業者の方々でも、自分の権利を守るということならば相当調査もでき、また現に商売して、だれの商品がどんなものかということを絶えず張っておるわけでありますから、いまおっしゃったように、小さいものは全部そういう道を閉ざされるというふうには私は考えてはおりません。
#199
○須藤五郎君 長官はそういう矛盾はないと、小さいものがいろいろな損をするような事態はないと、こうおっしゃいますけれどもね、私は実際の面において、この法の運用の上においてそういう矛盾が起こってきて、そして力の弱い中小関係の発明家は、早期公開並びにこういう紛争において大きな被害を受ける立場に立つと、こういうふうに思うんですね。
 それじゃもう一つことばをかえて言いますならば、まあまともにいったら大企業の発明も優先審査をしてもらえないということがありますね、まともにいったら。長年かかっちゃいますよね。いま現在あるやつは四年もかかるというんでしょう。そこで、故意に小企業の人と話し合いをして、そうして大企業の発明に対して力の弱い人に模倣させるわけですよ。これは逆の場合もあっていいわけですよ、模倣させる。そうしてこの優先審査の口実をつくる。そうすれば優先審査をしなければならぬということになりますわね。そうして大企業の発明したものがほかの人よりも早く特許権がつくられるということが起こるわけですね。私はこれは非常におかしいことだと思うんですが、優先審査の逆用ですよね、これは。逆用といいますか悪用といいますか、しかしこういうことは必ず起こってくると思うんです。それは資力のある人間だったらやりますよ。それはどうするんですか。
#200
○政府委員(荒玉義人君) なれ合いをどうして防止するかというような御疑問だと思います。まあわれわれもちろん普通の人間がやることでございますから、そういったなれ合いが絶対ないとは考えておりません。ただ、いま考えておりますのは、いま先生のおっしゃったのは、いわゆる代理といいますか身がわりを使った場合だと思いますが、そういう事実が後日判明した場合には、その人の将来の主張につきましては、まあ何らかの形で不利益を受けるようなことが考えられるかどうかということによりまして、将来そういうなれ合いを防止していきたいというふうなただいまのわれわれの考え方でございます。
#201
○須藤五郎君 整うそういうなれ合い審査といいますか、そういうものを前提にしてやっぱり考えていらっしゃるようですがね。やっぱりそういう点から言いましたならば、優先審査という問題を、一つその点から見ましても、私は優先審査というようなものを設けたこと自体にも大きな問題があるように思うんですよ。こういうことは、やはりどの面から見ましても何じゃないですか、やはり力の強いものを守る一つの手段であって、力の弱い人はこれによって守られるという立場にないということが大体私は言えるように思うんですが、なお実際の審査官の立場に立って申しますならば、出願順に審査をする、それから請求順に審査をする。もう一つは今度は優先順に審査をする、こういうふうに審査を使い分けなければならぬ、こういう事態が起こってくると思うんですが、出願当時の技術レベルの把握に、そうなると私は混乱をもたらすことになると、したがって審査不可能というような状態も起こってくるように私は案ぜられるわけなんですが、その点、長官どういうふうにお考えになりますか。
#202
○政府委員(荒玉義人君) まあ審査のやり方の場合に、先願順序でやる場合と、あるいは請求順序でやる場合と、この二つあると思います。そしていずれがやりやすいかといえば、これは当然先願順でやることがやりやすいわけでございます。で、請求順序でやる場合には、必ずしも先願の順序で請求するとは限りません。したがって一般論からいえば、先ほど言いましたように、先願順でやることがベターでございます。ただ請求制度というのは別の意味からとったわけでございまして、優先審査というのはむしろ請求制度のうちでございます。三つあるんじゃございませんで二つです。それは請求制度そのものの一つの単なる実施例、応用だけでございますから、優先審査が入ったから別なものができるというふうにわれわれは考えておりません。
#203
○理事(大谷藤之助君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#204
○理事(大谷藤之助君) 速記を起こして。
#205
○須藤五郎君 きょう手元に、ことしの五月一日に発表された「工業技術院勤務発明規程の一部を改正する規程を、次のように制定する。」という文書を先ほど私はもらいました。先ほどの休憩時間に私ずっと一読いたしました。これ、ずっと質問すると相当時間がかかるんだが、委員長、時間を認めてくれますか。
#206
○理事(大谷藤之助君) もう時間は、委員長、はからい過ぎるほど要求以上時間を与えておりますから、その辺はひとつ……。
#207
○須藤五郎君 それじゃ、数点にしましょう、数点に。
#208
○理事(大谷藤之助君) 詰めていただいて。あと時間は十分しかございませんから。
#209
○須藤五郎君 ここにもらったのに、「工業技術院勤務発明規程(昭和二十七年一月二十九日付工業技術庁訓令第一三四号)の一部を次のように改正する。」と、こうなっているんですが、これまでの文書を見ると、工業技術庁というものは出てないんですね。工業技術院訓令第一三四号となっているんですが。
#210
○説明員(塚本保雄君) 勤務発明規程ができました当座は工業技術庁でありましたので、こういう書き方になっているわけであります。
#211
○須藤五郎君 おかしいな。おかしいですよ、これ。工業技術院ですよこれは。これが発表されたとき、すでに。
#212
○説明員(塚本保雄君) その後、この勤務発明規程ができました以後、組織の改正がありまして工業技術院になりましたので、現在の文書にはみな工業技術院としております。
#213
○須藤五郎君 それじゃ、なんですね、昨年四十三年に印刷されたこの本も、工業技術院となっておるのは間違いだということですね。
#214
○説明員(塚本保雄君) その本については、私のほうで発行した本でございませんので、存じません。
#215
○政府委員(荒玉義人君) 私たち発行した本でございますので……。
 ですが、先ほど言いましたように、訓令の一三四号といいますのは、工業技術庁訓令でございまして、院訓令というものは間違いでございます。
#216
○理事(大谷藤之助君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#217
○理事(大谷藤之助君) 速記を起こして。
#218
○須藤五郎君 大臣、この特許権に財産権があるか人格権があるかということで、ひとつ大臣と少し話をいたしたいと思います。
 財産権と人格権と両方とも特許法にはあるのですか。
#219
○国務大臣(宮澤喜一君) 御質問の意味が不敏にして十分わかりませんが、おおよそ財産権という場合には、だれかに帰属する権利であるはずでありますから、財産権を考えるときには、当然それは帰属する人格がなければならないであろうと考えます。
#220
○須藤五郎君 いまの大臣のお答えではどうもはっきりしませんね。財産権があるのか、人格権があるのか、あるならある、ないならないとお答え願えればまた次に質問ができるわけです。
#221
○国務大臣(宮澤喜一君) 特許法によって財産権というものは認められておると、むしろ特許の保護を受けて財産権が発生すると考えますので、したがって、その財産権というものは、だれかに帰属しなければ権利でないはずでありますから、その帰属する主体である人格というものを考えずに財産権を考えることは、おそらくできないのではないか、こう思うわけでございます。
#222
○須藤五郎君 宮澤さん、あまりはっきり御理解になっていないように思っておるのですがね。財産権があるとするならば、憲法二十九条に保障されている財産権などですが、ところが、それが工業技術院で、院の発明などは国にそれが所属してしまうと、こういうことになっているわけですね。そうするならば、それに対して、いわゆる財産権の帰属をきめるような文書の取りかわしとか、譲渡的なものが、そういうものがないと国が発明したわけじゃなし、やはり国の機関で働く個人が発明したものですから、やっぱり憲法二十九条の財産権というものは私はやはりその個人にあると思うのですよ。だからその場合、国に帰属するならば国に帰属するという、譲渡した、そういう証拠がなければ私はぐあいが悪いのじゃないかと思うのですが、いまのところ何にも譲渡条件も何もなしに、国が全部ふんだくってしまうということになっているから、私はおかしいと思うのですよ。
#223
○国務大臣(宮澤喜一君) この特許法第三十五条によりますと、特許権と実施権とが書き分けてあるわけでございますが、そうして、実施権は御承知のように人格を持つ国が有する。その特許権については、これは文理解釈していきますと、発明をした者に属するという三十五条の解釈は、どうもそのように思われますが、これはちょっとお待ちください。特許庁長官が専門でございますから、譲ります、この説明は。
#224
○政府委員(荒玉義人君) 問題は、先ほどから申しますように、要するにもとの権利は、職務発明でも個人である公務員であることは、これは前提でございます。問題は、それが職務発明の場合には、あらかじめきめて、国のものでございますよと言うことができますよというのが三十五条一項でございます。問題は、そのとき一方的にきめた規定でできるかどうか。むしろ対等の契約できめないといかぬじゃないか。おそらく争点はそこだと思います。工業技術院の訓令は、あくまでこれは一方的といえば一方的でございます。したがって、そういう一方的の定めで職務発明の権利を個々の公務員から奪うということは一体けしからぬじゃないか。それに対して私が申し上げましたのは、これは全く職務発明の場合というのは、普通の個人の発明と全く性質を異にしています。最後の自然人としての貢献度はもちろんございます。したがって、それは原始的には個人でございますが、要するに研究所は研究のために人を雇い、研究させる施設を与え、資金を与える等々、いわば国といいますか、法人の貢献度が多大な発明でございます。したがって、その場合には契約以外の定めでもってあらかじめ国が承継するということを定めましても、三十五条の趣旨から見て、決してそれが違法だというふうには考えられません。こう先ほどから申し上げておるわけでございます。
#225
○須藤五郎君 三十五条が私はそもそもやはり違法だと、こう思うのですよ。三十五条自体が憲法二十九条できめられた人の財産権、それから人格権、財産権も人格権も踏みにじっているのがその三十五条です。その違法の三十五条をあなたたちはたてにとって、ここにこうあるから間違いないのだと。三十五条がいまここで審議されていないために、私は三十五条をやっつけることはできないのだけれども、もしも私のおるときに三十五条がここへ提案されたら、ぼくは三十五条のために戦いますよ。そういう性質のものなんです。だからせっかく憲法二十九条で財産権は個人に所属するというふうにはっきりした規定があるのに、あなたたちはその憲法の精神に違反した三十五条をたてにとり、またとんでもない工業技術院院長訓令というものを引っぱり出して、そして働く人たちの権利を、財産権も人格権も収奪して踏みにじってしまう、こういうことは私は違法である、けしからぬことだということを私は今日まで――朝から一時間半にわたって論議をしてきたのです。
 そこで大臣、もう一つ私はあなたに質問しますが、この間いわゆる情報の法案のときに、私は、あのプログラム等に特許権があるのか、著作権があるのかという質問をいたしましたが、あの結論はまだ出てきていないのですよ。どうなんですか。
#226
○国務大臣(宮澤喜一君) その節、御質問がございましてお答え申し上げましたように、プログラムというのは、確かに無体財産であって、しかも相当の、ものによっては財産価値を有するものと思われますが、専門家の話すところによりますと、これは特許権というものにもなじまず、また従来の著作権法で考える著作権というものにもそのまま当てはまらない。しかし、何かのこれは無体財産権であることに間違いない。したがって、法の保護を要するというところまでほぼ専門家の意見が一致しております。しかし、その法の保護はいずれの法律からもそのままぴったり当たらない、いわば新しい財産権でございますので、私ども先般御審議願いました情報処理の法律の関係で今後プログラムの売買について協会が仲介をするということにもなりますと、いよいよプログラムにいわば市場価格がついてくる可能性がございます。その場合に、これをどうして保護するかということについて、いわば新しい法的な裏づけをしなければならない、こういうふうに考えまして、ただいま私どもの役所で検討を始めたところでございます。
#227
○理事(大谷藤之助君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#228
○理事(大谷藤之助君) 速記を起こして。
#229
○須藤五郎君 そうすると、この問題については今後研究をして、新しい立法をする方向で検討をなさる、こういうことですね。
#230
○国務大臣(宮澤喜一君) 現行の法律に当てはまらないということでございますと、新たな立法を要すると思います。
#231
○理事(大谷藤之助君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#232
○理事(大谷藤之助君) 速記を起こして。
 暫時休憩いたします。
   午後三時十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後五時二十八分開会
  〔理事大谷藤之助君委員長席に着く〕
#233
○理事(大谷藤之助君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、特許法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#234
○小柳勇君 きのうに引き続きまして特許法改正につきまして質問いたします。きょうは少しこまかい問題を初めに質問いたしまして、あと時間を見ながら今後の方向なり、通産省の考えなり、特許庁長官の考えなりをただしていきたいと思います。
 まず第一は、本年の七月十日に特許庁から出されました制度の基本問題に関する審議会の審議経過、こういうものが出ておりますが、この審議経過に従って今回の国会に改正案が出されたものと思いますが、その審議経過の内容をよく読ましていただきましたが、法改正の部分でこれと著しく違うもの、そういうものがありますかどうか。今度の法改正の提案理由などを読んでみますと、ほとんど審議経過によっていると思いますが、著しく違う、あるいは全然逆なものがありましたら長官から説明を願います。
#235
○政府委員(荒玉義人君) 小柳先生おっしゃいます制度の基本問題に関する審議会の審議経過、これは中身は答申と全く同じでございます。で、答申としからば今度の法案とはどこが違うかという問題でございます。
 第一点は、優先審査一の導入でございます。審議会におきましては、優先審査の議論がございましたのですが、結局運用でやるべきで、法律制度としては考えないという点は、まず今回の場合は、御承知のように法律に規定しておりますから、私は実質的には差はないと思いますが、そういった形式面の差がございます。それが第一。
 それから第二は、これも前回の法案と今回の法案の修正部分でございますが、補正の制限につきまして内容的な制限がございます。今回はもちろん時期的な制限は残しておりますが、内容的な制限はないことにいたしましたので、その点がまず異なるかと思います。したがいまして、前回の法案と今回の修正点がこの答申と異なると御理解願いたいと思います。
#236
○小柳勇君 優先審査の問題及び補正制限の問題は、この七月の特許庁から出ておりますものによりますと、今度の法改正の方向に意見がまとまっておりますが、これお読みになりましたか。
#237
○政府委員(荒玉義人君) 先ほど申し上げましたように、答申の趣旨が骨子でございます。
#238
○小柳勇君 突然ですから、質問通告をしていませんから、長官も読んでおられぬ面があるかとも思いますが、かまいません、大綱をちっと質問していきますから。これの内容につきましては、法案の中に盛られておりますから、大体これで長官の腹もできておると思いながら質問していきます。
 そこで、読んでまいりますと、この一番最後にそのときの資料として提出されました資料がございます。この資料を、参考までに私はきのうもらった試算表と比べてみた。ところが各年度別に比べてみまして、出願件数の推定から、処理能力から、それから滞貨の件数が数字的にあまりにも違うものだから、重要な審議会の審議の資料として出された特許庁のこの資料なるものと、衆議院の皆さんが苦労しながらこの修正案を考えられたときの推定の試算表と、出願件数から、処理能力から、極端にいいますと定員まで違うのですよ。こういうもので、こっちが出されたのが七月十日ですから、まだ一年たたないうちにこれだけの違いが出ておって、われわれが滞貨処分、滞貨を減少するという大きな目標を掲げて論議をしていることが、ぼくは非常に無意味な、むだなように考えるわけです。だから武藤委員から御答弁願いますが、特許庁としては、どうしてそんな違う資料を出して検討をしなければならなかったか、まずその点から、もし長官がこれで比べてないなら関係者からひとつ、これはいわば事務的な問題ですから、御説明願いたいと思います。
#239
○政府委員(荒玉義人君) まず事実関係でございますが、審議会のとき一番大きく食い違っておりますのは人員の考え方でございます。これは定員ベースでやっております。したがいまして、これは年度と月によりますが、大体百三、四十名の誤差がございます。したがいまして一番大きな差といいますのは定員で、七月の十日付の資料につきましては、これは定員ベースでやっております。これは先般衆議院なり参議院でも問題になりましたので、結局実務ベースに返してまいりました。その関係はもちろん、そのほかに、出願の見方等あるいは処理の件数、それは最近新しいものに直したという点がございますが、一番大きい点は人員の点でございます。
#240
○衆議院議員(武藤嘉文君) お答えいたします。
 いまの、昨年の七月十日と今年の出されたのとは非常に違うのじゃないかという、こういうお話でございます。私たいへん不勉強でございまして申しわけございませんけれども、私どもといたしましては、今度の問題を取り上げましたときに特許庁に承りましたときには、きのうお話し申し上げましたとおり、特許庁の実務あるいはその行政の内容までは正直知らないものでございますから、向こうから出しておられる数字というものは私は正しいものである、こういう判断に立ってやってまいりましたものですから、その数字がほんとうに先生御指摘のとおりたいへん間違っておるのだと、こういう点については、私ども全くそういう想定が――いま初めお聞きするので、私としてはこれが正しいものといま現在も思っておるわけでございます。そういうことで、私どもはこの数字に基づいてやった場合には、きのうお話し申し上げましたとおり二年二カ月と二年四カ月の違いであるということならばたいした違いがないという判断、それといま一つは、これはこういう滞貨処理という問題だけでなくして、これもきのう申し上げたかと思いますけれども、過去の分はともかくとして、今後の分については早期公開をしてあげることが技術をより多くの国民に知らせるという目的に合う。それから過去の分については、やはりいろいろそういう秘密保持ということを考えてしておる、その出願をされた方の権利はできるだけ守っていきたい、こういうことを考えてやったわけでございます。
#241
○小柳勇君 わかりました。
 法改正の一番のねらいが滞貨の処理で、昨年の法案の審議以来われわれも苦悩してきておるわけです。どうしたらこの滞貨処理ができるか、日本の工業の発展に貢献できるかということを苦慮してきておるものですから、たくさん資料見てみました。特許庁の出しました資料ですね。出願の推定数なり処理能力なり滞貨なり、これはもうたくさん比べてみまして、同じのがない、みな違うわけだ。極端に言いますと、処理能力のある定員ぐらいはみな同じかと思いますと、その定員まで違うものですから、審議会に対して資料を出なさければならぬ、だから事務当局を責めるのではございませんよ、委員としてはこれが最高のものとしてこれを信じ、検討しますから、だから事務を責めるわけにまいらぬが、もし意図的にこういうものがつくられておるとすれば許せぬですね。われわれは貴重な時間をかけて審議するのですから、意図的にそういう間違った資料が出されるとするなら、これは許せませんね。きょうのところはそう私もこれが意図があるという確証ありませんから、そう言いません。ただ、あまりにも出願件数の見込みなども違いますし、処理能力も違いますから、そういう違ったもので審議会の結論をさらに衆議院で修正してまいっておるものですから問題にしているわけです。
 そこで次の問題は、衆議院の修正は、旧法による出願はもう手をつけないで新法による出願からやっていきましょうということです。ところが一年半で公開いたしますから、旧法による滞貨の中に類似のものがある。ないとは言い切れない。あると思う。その場合に優先審査するかしないかという問題が起こってまいります。この旧法の、完全にこれは独立したものでございます、新法とは切り離しておりますと、初めそういうつもりでわれわれはかかってきたわけです。ところが新法ができまして来年一月一日からこれが生きてまいりますと、いや、これは独立でございますと言い切れないんです、出願を出す人は同じですからね。そういうものについては衆議院ではどういうふうな御論議がありましたか。
#242
○衆議院議員(武藤嘉文君) お答えさしていただきます。
 ただいまの点は、いわゆる現在の出願の分を旧法を適用した場合に未処理案件としてまだ相当先まで残るんではないか、来年の一月以降出てきた出願の中でも。そうすると、最初の分でまいりますと四十七年の一月以降に早期公開されると、その中から優先審査を言ってきた場合にどうするかという、優先審査というか、紛争が起きて特許庁として優先審査をしなければならない、こういう場合にどうするかというお話だと思います。私どもそのことも心配いたしまして、実は実務的な問題でもございますので、特許庁はそういう場合どうするのかという、こういう特許庁の考え方を承りました。そういたしましたら、優先審査をこれはやらなければいけないと判断をした場合に、その案件について、やはり一応その旧法の、現在未処理案件になっている分、それを今度新法に移行する上においては、当然そういう未処理案件のものを、結局いま何といいますか、私も専門的にわかりませんが、これは農業関係のものであるとか、工業関係のものであるとか、そういうふうに審査官のところへいくはずでございますけれども、そういう場合に、その審査官の立場において、こういう優先審査をしなければならない件数があるけれども、これはその中に入っているかどうか、こういうことは一応チェックするんだ、こういうお話でございましたので、それならばそこに先願というものの権利というものは確保できるのではないか、こういうふうに私どもは判断したわけでございます。
#243
○小柳勇君 長官、ただいまの問題、一応のチェックはできましょうか。
#244
○政府委員(荒玉義人君) 問題は二つ。理論的に可能かという場合と、実際的にどの程度可能かという二つあると思います。
 まず理論的な問題でございますが、旧法の出願と新法の出願と価値は同じでございます。つまり新法で審査請求をしたものは旧法の出願と同じ効力でございます。したがいまして、その意味では原則は古いものを片づけて新しい請求のあったものに着手する、これが原則でございます。ただし優先審査という問題は、新しく公開制度を導入した結果あらわれた問題でございます。したがって、その際やはり審査をしていく場合に、前の古いものと新しい請求とを全部引っくるめて審査をして、はじめて新しい特許性があるかどうかが判断できるわけでございます。それは理論的には私はできると言っているわけでございます。
 それから実際上少しロードがかかるんじゃないかという問題でございますが、まあ普通全く先願順序でやる場合よりはこれはいささかロードはかかる。ただしできないことはないという問題だろと思います。したがって理論的にも可能だし、実際上は通常の場合よりはいささかロードがかかっても、できない問題ではないというふうに考えております。
#245
○小柳勇君 優先審査をする場合は、前に出ていまして、それがあと出まして公開したやつが実施されて、長官がこれを判断して優先審査をやるかやらないかをきめるようになっていますね。その基準など、審査官が今後仕事をする上の運用の基準などというものは、もうきめておられるのですか。
#246
○政府委員(荒玉義人君) どういう場合に優先審査をやるかという基準でございますが、もちろんこれは一応抵触する疑いのある商品をつくっておるということと、それから必要かどうかということでございますが、そういう必要の場合は、たとえば警告を受けて自分はその発明には特許性がないと思うとがんばっておる場合は当然必要でございます。ただし、まあ一般的には必要でございますが、むしろ必要でない場合のほうのものの考え方をきめておいたほうが実際的だろうと思います。たとえば話し合いがついているという場合には、これは何もあえて優先審査をする必要はない。それからたとえばこれは非常に問題になったわけですが、非常に大きなクレーム――請求範囲でやっている、実際はそんな発明をしていないというような場合には、これはもちろん形式的に請求範囲から見れば必要なわけでございますが、実質的に全体を判断すれば、そういうクレームというものは無意味のクレームだという場合には、明らかに抵触するという問題は起こらぬわけです。ですから、むしろ必要でないという場合は先ほど申し上げたぐらいが代表的な場合だと思います。もちろんそのほかにいろんなケースが予想されますがこれは逐次はっきりケース・バイ・ケースできめていけばいいんじゃないかと考えております。
#247
○小柳勇君 現在のところではその優先審査の運用などについてのまだ固まった基準などというものについては案はない、こう理解してよろしいですか。
#248
○政府委員(荒玉義人君) ですから、どういう場合にやるかという基準は、一応先ほど申し上げたくらい、そのほかに実はたくさんあると思いますが、一番大事な例はそのあたりくらいでございます。もちろんそのほかに、こういう場合にやるべきであるかどうかというようなものは多々あると思いますけれど、それは逐次補充していく、一応原則的な考え方は先ほど申し上げたとおりでございます。
#249
○小柳勇君 その優先審査を申し出て、それをやる、やらないということに対する争いはどこで裁いてまいりますか。
#250
○政府委員(荒玉義人君) これは実は制度を立てる場合に二つのやり方があると思います。一つは、出願人からのいわゆる申し立て権的なことにいたしまして、もちろん有料な手続にいたしまして、あとで特許庁がやらないといった場合には不服を申し立てる道を開くという行き方もございます。もう一つは、あくまでもこれは権利を侵害するわけではなくて、他に優先して出願人に一つの利益を与えるわけでございますので、むしろ行政庁内部の裁量権の対象を考える、内部のいわば仕事の手順だけだ、したがって、それはあくまで行政庁の中の裁量の行為だという二つの打ち立て方があると思います。いろいろ考えましたのですが、結局優先審査というのは、早く優先審査をするかどうかきめ、早く着手するということが制度の趣旨と考えまして、前者の申し立て権という制度ではなくして、後者の行政庁の中の仕事の手順をきめる裁量行為だというふうに制度を立てておるわけでございます。したがいましてそれに対して不服があるからとしての訴願等の道は考えておりません。
#251
○小柳勇君 いまの最後の一言が聞き取れなかったのですが、訴願などは考えていないということですか。
#252
○政府委員(荒玉義人君) 不服申し立ての道は設けておりません。
#253
○小柳勇君 実際現場で扱うわけですね。問題を長官のところに一々伺いにくるわけではなくして、現場で扱うのですけれども、そのあと優先審査を申し出てくる。それは実施していかなければならぬ、ほかに実施したものがあるということを。それを長官が見て、これはなるほど優先をしなければならぬと判断するわけです。これは判断してすぐ優先審査すれば不服申し立てはないのです。優先審査する必要はないと判断すれば、申し立てた人は不服を言ってきますね、何回も言ってくるでしょうね。その場合にどこでその訴えを納得させていくんですか。
#254
○政府委員(荒玉義人君) 実際、まず入り口はどういうことと関連あるかといいますと、もちろん私自身全部やるわけではございませんし、大体各部の審査部長、あるいは審査長、あるいは場合によれば、必要な場合には学織経験者としての担当審査官の大体三者ぐらいの合議でこなしていきたいと思います。したがいまして、おそらく出願人の中では、断わられたのはどういう理由かと言ってくる人もあると思いますが、大体三者のうちだれかが代表してその趣旨を出願人に納得していただくということにいたしたいと思います。
#255
○竹田現照君 優先審査は長官の判断に圧倒的にまかされることになっておりますけれども、先ほどの質問、それから午前中の須藤委員等の質問もありましたけれども、私はやっぱりいろいろと疑念があるから、この点について政省令、あるいは少なくとも大臣告示等で、ものの考え方というものを明確にしておく必要が、私は、将来に誤解を招かないためにも必要であると、そういうふうに思いますが、その点はどうですか。
#256
○政府委員(荒玉義人君) 竹田先生のおっしゃるとおりでございまして、もちろん省令内容はこれは当然でございますが、その他どういうふうな場合にやるんだという点は、少し実際的ないろいろケースに当てはめてできるだけ詳細な告示の形で運用してまいりたいと思います。もちろん、こういう場合には特許庁だけでございませんので、実はこの制度自身をつくった場合にも外部の人と協力してものを進めてまいっておりますが、そういう方々ともよく相談いたしまして、もちろん内部の事務の状態も勘案いたしまして、できるだけ詳細な事項につきまして、ただ公に、その条件に該当すればだれでもこれるというふうな、利用する場合の判断基準をできるだけ詳細に公表いたしてまいりたいと考えております。
#257
○竹田現照君 念を押しますけれども、それは大臣告示とするんですか、あるいは政省令としてきめるんですか。
#258
○政府委員(荒玉義人君) 省令事項はこれはもちろんございますけれども、この優先審査の申し出をする場合にはどういうことをしなければならないか、これは別途でございますが、いまの判断基準は大臣の告示というわけにはおそらくいかぬ。長官の告示か、あるいはその他似たような形で、とにかく国民全体が知り得る、そういう形式でやっていきたいと考えております。
#259
○竹田現照君 ちょっとはっきり約束してくださいね。
#260
○政府委員(荒玉義人君) はい。
#261
○理事(大谷藤之助君) ただいまの竹田委員の発言に関連して長官の御答弁がございましたが、その点、遺漏のないようにひとつお願いしておきます。
#262
○小柳勇君 いままでの質問を聞いてなかったものですから、ダブって質問しているようですが、ダブった点がありましたら他の同僚議員からお教え願いたいと思いますが、次は早期公開の問題で私の疑問点をただしていきたいと思いますが、公開いたしましたあと、出願公告までの間、補償請求権は成立するのかしないのか。
#263
○政府委員(荒玉義人君) 補償金請求権は成立しております。ただし出願公告にならないと、その行使ができないということになっております。
#264
○小柳勇君 じゃ公開から出願公告までの間で盗用された場合は、補償金請求権はあるけれども、それを訴訟する場合は出願公告のあとでやると、こういうことでございますか。
#265
○政府委員(荒玉義人君) さようでございます。
#266
○小柳勇君 この新法ができましたあと、公開から出願公告までの時間ですね、時間的なもの、どのくらいかかりましょうか。
#267
○政府委員(荒玉義人君) その審査のおおむねの目標は、昨日御説明いたしました試算によりますと、四十九年度で二年四カ月という目標で考えております。これはあくまで平均値でそう考えております。
#268
○小柳勇君 その間に発明盗用がありまして、たとえばそれが実施された場合、もう一年も二年も、極端に言いますと二年四カ月の間盗用されておるのですが、その補償金を請求いたしましても、もうそのときは相当具体的にズレがきておりまして、実際の補償にならぬのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#269
○政府委員(荒玉義人君) そういうおそれがあると思いまして、優先審査という制度をはっきり法律に表明したわけでございます。
#270
○小柳勇君 補償請求権は賠償ではないと、ここに書いてありますね。審議経過にも書いてありますが、この補償の金額などの決定は、具体的にはどういうものが基準になってきまってまいりますか。
#271
○政府委員(荒玉義人君) これは御承知のようにその額それ自身はいろいろなきめ方があり得ると思います。で、普通実施料計算といいますのは、御承知のように売り上げの何%、あるいは利益の何%、あるいは一個当たり何%、まあそれぞれ現在当事者の契約内容は多々だろうと思います。これは当事者の得失と、あるいはものによりまして、たとえば医薬の場合と機械の場合は違うわけでございますけれども、そういったようなので千差万別だと思いますが、したがいまして、われわれといたしましてもこれは審議会でもお約束しているわけでございますが、この実施料の算定基準といいますか、これをやはり公にしていきたいと思います。で、もちろん当事者が合意すればそれが額になるわけですが、いま小柳先生の御疑問もおそらく千差万別をどうするかということでございますが、われわれできるだけそういった、その場合どういうのが普通か、あるいは機械の場合でこういう場合にはどうかというサンプルをやはり世の中に公にして、当事者がその争いを解決する場合の基準を示しておきたいと、それに基づきまして逐次円滑に決定ができるようにいたしたいと考えておるわけであります。
#272
○小柳勇君 新法が成立して早期公開される時期までに、そういうものが詳細に世間一般にわかるような手配をされると理解してよろしゅうございますか。
#273
○政府委員(荒玉義人君) さよう御理解願いたいと思います。
#274
○小柳勇君 早期公開によりまして、模倣が現状よりなお盛んになりまして、かえってこの出願件数をふやして、滞貨処理の促進にはならぬのではないかという意見もありますが、これは審議会でも論議されておるようでありますが、長官の見解、いかがですか。
#275
○政府委員(荒玉義人君) その点につきましては、実は両論あると思います。現在でございましても、出願公告までは何らの保護はないわけであります。で、早い寿命の商品につきましては、特許庁の出願公告を待っておられないという場合がございまして、売り出しております。現在では何の保護もないわけです。まあ少なくとも今後は、公開後であれば補償金という制度がございます。したがいまして、その点は一方的にどちらがという私は問題ではなくて、それぞれやはり両者、現行法あるいは今後、それぞれ私は特色があるのではないか、したがって早期公開すれば一方的に模倣がふえて困るということは考えられないというふうに思っております。
#276
○小柳勇君 法案の中でまだ若干問題がありますけれども、時間の割り当ても少ないので、根本的な問題、根本的といいますか、大局的な問題を質問していかなければなりません。
 もう一つは、ちょっとこれだけは質問しておかなければなりませんが、具体的な問題ですけれども、審査請求料ですね、これはたくさん御質問があったと思いますが、個人の場合の審査請求料について、所得などによって減額なりあるいは減免なりを考えてあるかどうか。
#277
○政府委員(荒玉義人君) 考えてございます。
#278
○小柳勇君 この法案につきましては私どもいろいろ問題を持っています。それは第一の問題は、いまこの特許法の改正をして七十五万件の滞貨というものが、特許庁なりあるいは武藤議員から説明がありましたように、数年の間で消化できるかどうかということについても非常な問題があります。それはこの試算表のように出願件数も処理件数も進捗していけば、あるいは推移していけば、そうなるものと思います。ところがこれは、第一は人がやることである。出願も人がやることでありますし処理も人がやることであります。しかもいまの目まぐるしい技術革新であります。日進月歩で発明特許がなされている。けさのテレビなどを見ますというと、徹夜をして出願受付をしておられる。普通の役所では朝九時から五時までであるにかかわりませず、昼夜分かたず受付をしなければならないような出願件数の伸びである。したがってその出願する人の考えをどういうふうに変えるかということ、それから処理をする人たちの能力をどうふやすかということ、そのことを考えておかなければ、機械を幾ら設置いたしましても庁舎を整備いたしましても、滞貨処理はできぬであろう。そこでいろいろ問題を、私の考えをまとめるために、あるいは私の疑問をただすという前に、他の人の問題点をいろいろ探ってみました。一番発明特許に関係のある弁理士会あるいは実際仕事をやっている特許庁の職員の皆さんの意見、そういうものをいろいろ探ってみまして、これも一昨年来のことでございましたけれども、約二カ年ばかりにわたりまして意見をずっとこう集めてまいった。ここに本年の四月二十三日に出されました弁護士会の要望書なるものがございます。私がずっと問題点としてまとめましたものの大部分をここに弁理士会の意見としてまとめてあります。だから私個人の意見としてでなく、また私個人が問題にしているというより以上に、関係する弁理士の皆さんのこの問題点を解明することがまずひとつ滞貨処理の一歩ではないかと考えますものですから、関係者の皆さんに質問いたします。まあ大臣と武藤議員と長官でありますが。
 まず第一の問題は、滞貨を減少しなければならぬという大きな課題を解くために工業所有権制度の運用改善の具体的方策を確立するために運用審議会というようなものをすみやかに設置しないかと。現在工業所有権審議会がございますが、これは法改正の大綱をここで答申をいたしておりますが、それとは別に具体的なこれからの作業、さっき長官が言われましたような優先審査制度の運用の基準もございましょう。作業をする場合の運用の基準を定める運用審議会的なものを設置しないかと、そして次のような問題をこの審議会で審議してもらいたいと書いてございます。これが今日までたびたび論議された具体的な問題を列記してありますから、念のために、参考のために読み上げますと、「事務の機械化を特許庁業務の抜本的改善策。」、それから次は「各国の工業所有権制度の運用について調査研究し、我国の運用改善策の確立。」、次は「技術資料を正確に分類整理し審査に役立たしめるための機械検索の実行方策。」、「国際分類の利用と採用に関する具体的方策。」、それからさっき問題にいたしました「「優先審査」制度の運用に関する具体的方策。」、最後は「将来の特許庁の組織、設備に関する立案。」、こういう問題も二年ばかり問題にしてまいりましたが、私どもが再三再四口にいたしましたことがここに具体的に列記してございますが、実際はこういうことがやはりこれからの特許制度の前進のために根本的な方策ではなかろうかと思います。したがってこの問題に対する通産大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。
#279
○国務大臣(宮澤喜一君) 弁理士会からの要望書でございますけれども、新規性調査機関につきましては、前々から非常に御議論があり、私どももこういう種類のものが必要だということをお答え申し上げているわけでございまして、何かこういうことを、たとえばセンターのようなものでありますか、やはりできるだけ早い機会につくる必要があるということは考えておるわけでございます。
 それから工業所有権制度の運用改善の具体的ないろいろな方策について、これは運用審議会(仮称)と言っておられますが、これは現在の審議会でございましてもこういうことを――いずれにしてもこの秋にはまた改選もございますし、現在の審議会において、こういうことを考えてもらう、新たな審議会を別段に設ける必要はない、かと思っていますが、こういう内容そのものは検討をしなければならない事項であると思っております。
#280
○政府委員(荒玉義人君) 運用問題といいますのは、私は制度改正と並んで必要な事項であるということはたびたび申し上げた点でございます。と同時に、特許庁だけが幾らやりましても外部との密接なる協力作業でございます。そういった意味でかねがねわれわれも運用問題をやらなければいかぬと考えております。したがいまして、さっき大臣のおっしゃいましたような工業所有権審議会、これは工業所有権制度の重要事項を審議する機関でございます。単なる改正だけではございませんので、そういった面を新しい委員も補充いたしまして、もっとここに書いてある事項以外の面を含めやっていきたいと考えています。
#281
○小柳勇君 次の問題は、昨日も私質問し、また意見を申し上げましたけれども、この出願件数の中で大会社、大企業の出願が約七割から八割、そしてその中で公告されるもの五〇%、実施されるものはその中の約三六%である。このために千八百人の人たちを擁して特許制度を審査してまいらなければならぬのであるが、しかも今後ますます早期公開制度をとりますというと、防衛出願がふえてまいるであろう、あるいは模倣もふえるであろうと思いますが、これも再三主張しておりますが、新規性調査機関を設置をして、この全般的な出願の中でわずかに一八%ぐらいしか実際実施されない、有効ということばが適切であるかどうかわかりませんけれども、七十五万件の中で処理いたしましても、この一八%か二〇%しか実際は金にならないというようなものを、あらかじめふるいにかけて、もっとこの千八百人の人あるいは将来二千人になるか、二千五百人になるかわかりませんが、そういう人が勉強して早く審査をして、あるいは審判をし三日本の工業技術が前進するように、また国際的な特許制度の中に入って堂々と仕事ができるような仕組みにしなければならぬと思うが、新規性調査機関につきましては審議会でも論議されたものと思いますけれども、この設置に関する長官の見解を聞いておきたいと思います。
#282
○政府委員(荒玉義人君) できるだけ早い機会につくりたいと思っております。現在は四十五年度二千二百万円のシステム開発費が計上されております。これはやはりつくる以上は民間の需要に合ったものでなければいかぬということで、テストしておりますが、そういうテストの結果民間の役に立つということが判明次第、早急につくっていきたいと考えております。
#283
○小柳勇君 今回の法改正の中で一番大きな改正は、早期公開制度の採用であろうと思います。早期公開制度をとりまして、公開するための旧法よりも新法によるところの費用の増加については、年間どのくらいを見込んでおられますか。
#284
○政府委員(荒玉義人君) 大体年度ベースで言いますと、十億少々とお考えいただけばいいかと思います。
#285
○小柳勇君 職員団体の代表のこの正式な私どもに対する陳情書の中にも、年間十億円近い金を早期公開に使うならば、この費用をもって審査制度の拡充なり審査員の増員なり庁舎の整備に金をかけたら、法改正をしないでも、いまの滞貨処理ができるのではないかという意見がございました。この問題に対する長官の答弁を願います。
#286
○政府委員(荒玉義人君) いま最も基本的な問題でございますが、いま金がないから人をふやせないということではございません。人員と言いますのは、金のあるなしにかかわらず、政府全体の方針と同時に、いわゆるわれわれはだれでもいいというわけではございません。必要な人をとらなければならないということで、ある程度の限界はあると申し上げておるわけでございまして、この十億を回して云々というのは、私は筋違いだろうと思います。もちろんそれ以上必要なら十億という支出以外にさらに国としては金を出していただきたいというのが私の考え方でございます。
#287
○小柳勇君 大臣にお尋ねいたしますけれども、いま長官が言われたように、早期公開制度というものは、一つのもう制度そのものの変革ですね。したがって、金が十億かかりましても十二億かかりましょうとも、その金で定員をふやして滞貨を処理するという考えとは並行的なものである。それに振りかえるというような考えではないのだとしますならば、日本の審査員なり審判官が取り扱っている仕事は、アメリカやドイツ、フランスなどに比べて二倍ないし三倍の仕事をしておるわけでありまするならば、それに見合うだけの定員をふやし、組織を整備しませんと、向こうと対等の知識と言いましょうか、勉強する時間がございませんし、国際的な特許制度の条約の中に入りました場合に見劣りがするのではないでしょうか。したがって、基本的にたとえばほかの省との定員の関係もございましょう。しかし、いまのような目まぐるしい技術革新のときに、特に工業技術の前進を特許制度などによって守っていかなければならないときに、金を惜しむべきではないのではないか。いま長官もそう言われました。こちらの金を振り向けるよりももっと根本的に考えるということでありますが、通産大臣の見解をお聞きいたします。
#288
○国務大臣(宮澤喜一君) 金を惜しむべきではないと思います。
#289
○小柳勇君 それではこの法改正、あとでこれは通るか通らぬかわかりませんが、この機会に通産大臣は閣議なりあるいは政府に強く働きかけて、この特許制度の拡充のために格段の努力をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
#290
○国務大臣(宮澤喜一君) 広い意味での生産性上昇のためには格段の努力をいたしたいと思っております。
#291
○小柳勇君 それから次は、その審査をする人、審判をする人は、人でありますから、その人たちから私も一昨年からもう再三再四その陳情を受けてまいった。長官がほんとうに身命を賭して法律改正のために、この特許法改正のために献身しておられる、努力しておられる。その説明を聞きますと、そのあとで職員代表の皆さんは、ちゃんとその理論的なものを書類を持ってきて、この法案についてはこういう欠陥があると持って来られる。われわれは具体的な事実についてはしろうとでありますから、長官の話を聞きますとなるほどそうかと思います。この法律改正をしますと、もうあしたでも滞貨はどんどん減っていくように考える。だからこの法律をぜひ通さなければならぬ。去年も考えた。それからまた一年、いろいろわれわれも研究してきた。ところが、長官の話を聞いておりますと、この法律を改正すれば数年にして滞貨が減少して、また新しいシステムでPCTに加入いたしましても、ちっとも矛盾なくこれが移行できるという話を聞いている。ところが、職員団体の代表の書類をいろいろ読んでみますと、やはり矛盾がたくさん、しかも理論的に具体的に書いてあるのですね。だから私は長官にも再々言いました。私どもにいろいろ納得させる、私どもと論争すると同時に、職員の諸君も呼んで、おれはこう考えておる、諸君はこういうふうに考えておるが、一体どうしたらいいか、この点はどう直すべきかという論争をなぜしませんかと、長官にも何回も言った。それでその結果があるいはこの改正になって出たのかもわかりません。補正の制限の撤廃など、あるいは優先審査の問題など、具体的にやっている人の意見が相当入っているものもございます。あるいは弁理士会などの長い経験による意見も入っていると考えるが、私どもにいろいろ説明される、私どもに納得させるという努力と同時に、千八百人の部下職員がまず納得をして、法改正したら滞貨はどんどん長官が言うとおり減っていきますという実績を示してもらわなければ困るわけですよ。でないと無意味です。二年間もかかってこの法改正すること自体が無意味じゃないかと思います。なお、今回の改正につきましてもいろいろの意見を聞いてみると衆議院の修正があったので、なおこの所期の目的を削減されておるから、もうしばらく待って、根本的に検討して、そうしていろいろPCTの改正と同時にしたらどうかという意見があるわけですね。でないというと、旧法と新法と、またそのときのPCTの改正と、その谷間は一体だれが埋めるかという意見があるわけですよ。こういうものについて、私どもに対するこの論争によって説得すると同時に、部下職員を説得して、そうして法改正したら翌日からでも、いま言われたような運用基準を示して、さあやろうという態勢ができませんと、法改正する意味がないのではないかと思うわけです。まず長官から今日までの職員とのいろいろの話し合いの姿を御説明いただきまして、これはしかし長官だけの責任ではないと思います。やはり通産大臣の責任であろうと思いますから、大臣からもこの問題に対する見解を聞いておきたいと思うのです。
#292
○政府委員(荒玉義人君) 内部の組合諸君との問題でございますが、これは全く私の責任でございます。もちろん私自身が代表諸君と会うと同時に、末端でそれぞれの仕事の性質に応じまして、部課長にいろいろやらしておったのでございますが、最終的に目的を達しなかったことは、明らかに私の責任でございます。私自身、別にいまの制度よりさらによき制度があるならば、いささかも採用するにやぶさかでございません。残念ながらそういう具体的、建設的意見のすり合わせがなかったことは、私自身、私の不徳も原因するかと思いますが、私自身といたしましては、そういう具体的、建設的な意見というものはぜひ聞くべきであり、また、私自身従来聞いてまいったつもりでございます。残念ながらそういった意味の全智を集め得なかったことは、まさしく私の責任でございます。私自身としては、先ほど申し上げた方針をさらに具体的にやっていきたい、努力したい、かように考えております。
#293
○国務大臣(宮澤喜一君) こういう改正につきましては、各方面におのおのいろいろな意見が当然あることだと思います。したがって、権威のある審議会の意見も聞き、また最高の責任者の特許庁長官としては、各方面の意見を聞きながら、自分の責任において御提案を、通産大臣の責任のもとにいたしているわけでございます。直接国会に対して責任を負っておりますのは、私並びに特許庁長官でございます。私どもは各方面の意見を総合いたしまして、最善と考えるものを御提案しておるわけでございます。
#294
○小柳勇君 長官に対しては非常に失礼かと思いましたけれども、私はうちの理事にお願いいたしまして、一部長、五部長、審判部長の出席を求めました。幸いお忙しいのにきょう出席しておられるようでありますから、意見を参考に聞かしていただきたいと思うのであります。
 まず第一部長からお話を聞きたいと思います。
#295
○国務大臣(宮澤喜一君) お話し中でございますが、ちょっと速記をおとめいただきたい。
#296
○理事(大谷藤之助君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#297
○理事(大谷藤之助君) 速記を起こして。
#298
○小柳勇君 むずかしいことではございません。いままで長官が非常に苦労して、この法改正のために努力してこられた。われわれとしては現在の滞貨の処理、それから国際的な特許制度の協約に入っていく場合の移行の問題など、いろいろありますけれども、一番大事なものは人の問題であろう、部内体制だ。長官もそう一生長官としておられるわけじゃないでしょうから、あと部長なり課長なりあるいは係長なり、それぞれのポストの責任者の皆さんが、職員と一緒に本気にやる気になりませんと、滞貨は処理できないと思うのです。今日まで長官が努力されて、さっき申し上げたとおりです。長官から話を聞きました。それと、それから職員代表から話を聞きましたものは、相当の開きがある面があるし、理論的に対立しておるものがある。そういうときに、私は長官に申し上げたが、ほかの各省では、大臣が再々見えないで、局長が見え、あるいは課長が見え、あるいは課長補佐が見えて、法案の説明をしょっちゅうやっておられるが、長官は忙しいのに、長官みずから来られにことに敬意を表するけれども、部長さんや課長さんは一体どうしているのかと言ったこともございます。特に職員の諸君と話す場合も、長官が言っておられるからわれわれこうしたいと思うがと言ったら、実際長官の方針はこうありますけれども、それではかえって混乱いたしますよと言う。われわれは一体だれに聞いたらいいのか。仕事をしていくのは皆さんですから、長官は方針をきめて部長さんに指図するわけです。部長さんは課長さんに指図しながら仕事をしていくわけでしょう。したがって、その一番中心になる。かなめ的な部長さん課長さんは、一体どういうお考えだろうかということを聞きたかったわけです。調査員からも聞いておいてくれと言っておった事実もございます。その意見はまだまとめておりません。かえって長官の方針を誤らしてはいかぬと思いまして聞いておりませんが、もうきょうあした国会閉会でございますから、この法律、処理しなければなりませんから、最後の段階でありますから、私の決意をするためにそれはお願いしたわけです。
 長官に対してもあるいは大臣に対しても、あるいは申しわけないかもわかりませんが、私は議員として判断しなければなりませんから、お聞かせ願いたいのでありますが、この法律をいま衆議院の修正のようにして通過させた場合に、ここに推算の表がございますが、そういう方向に滞貨処理ができるでございましょうか。部長さんの見解を聞いておきたいと思います。
#299
○説明員(大久保一郎君) 一部長といたしましては、現在提案されております法律案が通りますれば、必ずこの成果はあがるものと信じております。
#300
○小柳勇君 次は第五部長さんに、これはやはり職員と管理者との融和なり平素の話し合い、対話というものが、今後の特許制度前進のための基礎になるのじゃないかと思いますけれども、職員の代表の諸君との対話など、部長さんや課長さんは一体どういうふうにいままで対話してこられたのか、お聞きしておきたいと思います。
#301
○説明員(松家健一君) 今回の制度が施行されましたら、その制度改正の趣旨に従ってすみやかに、また確実に実効があがるように、できるだけ努力いたしていきたいと思います。それに、部内の職員ともそういった実際の効果をあげるための話し合いをいたしまして、建設的な意見を取り入れて、よりよくくふうしていきたいと思います。
#302
○小柳勇君 審判部長さんもお見えでありますから、最後の質問でありますが、今回のこの早期公開制度でこれを改正いたしまして、まだ旧法が生きていますけれども、審判事件につきましては、どうでしょうか、現在よりも、滞貨減少の問題なり、やり方なり、かえって複雑になるという意見もございますけれども、審判部長としてはどういう御見解でございますか。
#303
○説明員(高木正行君) 今回の修正によりまして、いわゆる審査前置制度を改正前の出願にも適用することはなくなりましたけれども、前置制度の前段でありました調査依頼の制度を活用することによって、全くおんなじの効果を発揮できると信じております。
#304
○小柳勇君 それから最後の問題は、実用新案の制度の扱いですけれども、この審議会の答申の中にもいろいろ意見がございまして、まとまっておらぬようでございますが、実用新案が相当滞貨の原因にもなっておるのではないかと思います。実用新案制度の問題については、一体今後どうするのか、この問題について長官からお答え願います。
#305
○政府委員(荒玉義人君) 実用新案問題ほか化学物質、医薬の特許等の問題がありますが、特許の問題のうちでも一番実質的な意味を持っておりますのは実用新案でございますので、引き続いて審議会に議論をしていただきまして、早い時期に答申をいただく方針でやっていきたいと思います。
#306
○小柳勇君 次に多項性物質特許などの問題についての検討はほとんどなされておりませんけれども、これは一体今後どうなるのか。やるのかやらないのか、いかがでございますか。
#307
○政府委員(荒玉義人君) 事務段階ではやっております。ただし、審議会にはまだ諮問しておりません。いまそれぞれの問題点を特許庁だけでなくして、各界の専門家を集めて問題を詳細に把握している段階でございます。したがいまして、おそらく具体的には実用新案と同じく新しい人選を終えた審議会にはぜひ議論をしていただくように目下準備を進めております。
#308
○小柳勇君 それから長官に対する最後の質問でありますが、PCTの準備体制については本格的に取り組んでおられるのかどうか。
#309
○政府委員(荒玉義人君) いまの場合は来たるべき五月−六月にかけましてワシントンで外交官会議がございますので、それと並行して準備を進めておるわけでございます。
#310
○理事(大谷藤之助君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#311
○理事(大谷藤之助君) 速記を起こして。
 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#312
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#313
○竹田現照君 私は、日本社会党を代表して、特許法等の一部を改正する法律案に対し、反対の意見を表明するものであります。
 今日の特許庁における八十万件に及ぶ出願未処理案件の山積は、出願の激増、出願内容の複雑化等に原因あるとはいうものの、これまでに抜本的な対策をとらなかった政府にすべての責任があります。政府はこの責任をみずから回避するのみか、今回出願未処理案件を解消すると称して、出願から一年六カ月を経過した場合、その内容を公開する早期公開制度と、一定期間内に審査請求のあった出願のみを審査する審査請求制度を新しく導入しようとしていますが、これとても未処理案件の審査促進に役立つかどうか疑問であります。すなわち、現在の八十万件にのぼる未処理案件については、早期公開制度も審査請求制度も適用されず、全く現行法どおりでありますから、もちろん未処理案件の審査促進にならず、新法による出願の審査も、従来と異なった審査請求順の審査、あるいは優先審査を行なうため審査官は先・後願を見るのに非常にわずらわしい作業をしいられるのみならず、これが審査能率のダウンをもたらし、特許庁が期待している法改正によるメリットをも相殺するものと考えられます。
 また、本法案の早期公開制度は、出願人の権利を不当に侵害するものであります。法案には、出願公開に伴う出願人の権利を保護するということで、一応補償金請求権を認めていますが、この補償金請求権とて、実際の金額となりますと実施料相当額であり、またその行使も、裏づけが明確であるということではありません。これでは、第三者に模倣を奨励するようなものであり、現に紛争が生じて、特許庁長官に優先審査を請求しても、これを認めてくれるかどうかは別であります。これでは、出願者、すなわち発明の保護になるかどうか疑問であり、特許法第一条の目的に反すると思われます。
 さらに、早期公開制度によって大量の特許情報が未整理のまま公開された場合、これによって利益を受けるのは、一部の大企業であり、特許関係に専属の職員を持たない中小企業や個人発明家は、情報のはんらんに日夜悩まされるだけであります。
 しかも、審査請求にあたって一件につき八千円もの手数料を納付しなければなりませんが、新規性調査機関が完備していないわが国においては、この審査請求料は全く不合理なものであり、特に中小企業者や個人発明家にとって経済的に非常に大きな負担となり、これらの人たちの発明意欲を阻害するものであります。この点におきましても、また発明奨励という法の目的に全く逆行するものであります。
 以上の問題点のほか、委員会審議を通じまして、数々の問題を指摘してきましたが、いずれも政府答弁によって解明されるに至っておらず、このままかかる本改正案を実施した場合、八十余年に及ぶ特許制度の歴史を汚すものであると考え、本改正案に反対することを表明して討論を終わります。
#314
○矢追秀彦君 私は、公明党を代表して、特許法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行なうものであります。
 まず第一に、特許法の本改正案並びに修正案は、その提案の最大の理由である未処理案件の処理促進には全くならず、単に新法施行後の出願を模倣のために公開するのみであるからであります。
 未処理案件の処理を完了するには四年を要し、したがって新法実施後の出願は、公開後約二年六カ月間は、審査に着手されずに放置されることになり、模倣による紛争がますます多くなり、出願人の利益侵害は大であります。
 また、公開後二年六カ月間の長期にわたり放置されることは、出願人にとってきわめて不利益であり、優先審査の乱用が多くなることは必定であります。すなわち、模倣が多くなるに伴い優先審査請求が多くなり、その条件の審査は、形式的とならざるを得ないのであります。したがって、なれ合い紛争のチェックは実質的に不可能であり、これがため、一そうの優先審査請求の増加を促すことになるのであります。
 第二は、特許法の改正は無意味であり、PCTの加入により改正が再び行なわれることに対する配慮が全くないということであります。
 四、五年後にはPCTに加入することは必定であり、このために多項制の導入、実用新案制度の改革等の改正が必要であります。一方、未処理案件の処理に四年は要することからしても、改正案が実際に運用される期間はほとんどなく、全く無意味な改正となるからであります。
 第三は、公開に伴う問題が何ら解決していないということであります。
 早期公開が重複研究、重複投資の防止に役立つ旨が述べられておりますが、これらに対する寄与率等は、全く明らかにされていないのであります。また、公開に伴う模倣に対する対策は何ら講じられておらず、修正によっても問題は全く解決されていないのであります。一方、公開によって提供する技術情報、権利情報の価値は、各技術分野においても相違しているのであります。また、公開の時期によっても情報価値は変わり、最も効果的な公開の時期も技術分野によって相違するものであります。不十分な分類で単に一律に公開するということは、最も策がないことであります。各技術分野における技術開発の現状を調査し、それに応じた公開制度を考えるべきことを主張するものであります。
 以上をもって反対の討論を終わります。
#315
○須藤五郎君 簡単に、共産党を代表して反対の意見を述べますが、昨年この法案が提案されたときにも、私たちは早期公開制という問題が発明者の権利、財産権、特に財産権を守らないといった点で、私たちは反対をしてまいりました。特許法というものは、そもそも発明者の権利を守るべき法律だと思うのです。財産権なり人格権なりを守るというその立場に立つのが特許法の果たすべき役割りだと思うのでありますが、今度の改正案を見ましても、その点何ら考慮されてない。衆議院で修正を受けた点、一面ありますが、それは単に従来の旧法における出願者の権利はそのままにしていくというだけでありまして、これから出願する人の権利においては何ら守られているわけではありません。だから、私たちは、憲法二十九条においてちゃんと約束されておるところの個人の財産権というものが、この法案によっておびただしく踏みにじられていくという点で、まずこの点において私は強い反対意見を述べなければならぬ。私は、むしろこの法案は、憲法違反の法案と言っても差しつかえないほどの悪法だと思うのです。そうして、この法案でいろいろなことをやろうということを言っていらっしゃるようでありますが、それに対する具体的な対策、処置も何らされていないままでこの法案が押し通っていくというならば、従来の法案と比較しまして、非常に悪い法案になったということがはっきり私は言えると思うのです。
 そういう点に立ちまして、私は簡単に申しましたが、最も重要な点を一言言いまして、私は、この法案に反対をいたします。
#316
○理事(大谷藤之助君) 他に御意見もないようでございますから、討論は尽きたものと認めて御異議はございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#317
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 特許法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#318
○理事(大谷藤之助君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#319
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 近藤君から発言を求められておりますので、これを許します。
#320
○近藤英一郎君 ただいま可決されました特許法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党共同提案による附帯決議案を提出したいと存じますので、御賛同を願います。案文を朗読いたします。
    特許法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は本法施行にあたり次の諸点につき万全を期すべきである。
 一、審査官、審判官等の大幅増員を行なうとともに審査官も審判官の待遇を速やかに改善し、有能なる人材の確保に遺憾なきを期すこと。
 一、審査官、審判官の研修を強化し、その資質の向上に努めること。
 一、庁舎、設備、資料等を整備するとともに執務環境の改善および執務能率の向上を図ること。
 一、優先審査の実施に当つては、旧法出願との関係を十分配慮し、みだりに旧法出願人の立場を害わないようにすること。
 一、審査請求料については、これを納付することが困難なため審査請求ができない事態を招かないように軽減または免除について配慮すること。
 一、新規性調査機関を速やかに設立してその実用化を図ること。
 一、工業所有権審議会等において工業所有権制度の運用改善の具体的方策を審議し、その実施を期すること。
 一、実用新案制度に関する基本的事項、化学物質および医薬の特許、多項制等、今回の法改正で見送られた事項について速やかに成案を得るよう努めること。
 一、弁理士法の抜本的改正法案を速やかに検討すること。
  右決議する。
#321
○理事(大谷藤之助君) ただいまの近藤君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#322
○理事(大谷藤之助君) 全会一致と認めます。よって近藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。
#323
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御決定になりました御決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、今後行政を進めてまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#324
○理事(大谷藤之助君) 次に、情報処理振興事業協会等に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#325
○理事(大谷藤之助君) 速記を起こして。
#326
○竹田現照君 この法律の問題に関連して二、三だけお尋ねしておきますからまとめて答えていただきたい。
 情報処理に関する政策が各省庁に分散をしておりまして、その責任の所在がどうも不明確であります。将来の情報問題等を考えた場合に、これを強力に推進するために、政府の体制改善強化ということが私はどうしても必要ではないかと、そう考えますので、これらの問題に関する行政の一元化、これをどう持っていかれようとするのか、この点について大臣からひとつお答えをいただきたいと思います。
 それから質疑の過程にもありましたけれども、現在の各省庁でそれぞれコンピューターが利用されておりますけれども、これの利用を高めるために、導入をする際にきちんとした基準を設けて、各省ばらばらに入れるのではなくて、たとえば官庁コンピューター・センター等を設けて、そこで一括処理をするというようなことも私は考える必要があるのではないかと、そういう点も考えますが、その行政の一元化の問題について、その他いろいろと質問もありますけれども、この問題にしぼって一つだけ御質問してこの質疑を終わりたいと思いますから一括お願いいたします。
#327
○国務大臣(宮澤喜一君) 従来から行政管理庁が行政機関における情報化の促進を行なうために各省庁の調整をいたしておりますが、また、その行政管理庁に情報処理関係七省庁の連絡会議を設けております。しかしながら竹田委員の言われますように、ただいまいわゆる各省間の情報化という問題は、まだきわめて初期の段階にございまして、先般からしばしば御質疑のございますように、いわゆる情報処理についての基本法というものがやがてどうしても考えられなければならないと私ども思っておりますが、この基本法をいずれかの将来に政府各省間でまとめまして、国会に当然これは御提案をいたすことになると存じますが、そういうまとめる際において、各省はおのずから共同作業をせざるを得ないだろうと私ども考えております。そうしておそらくはその際に、総理大臣を長とするところの情報関係の閣僚協議会のようなものでもつくりまして、そうして基本法を練り、これを御提案申し上げる、また、その将来の運営についてもやはりそのような機関が必要なのではないかというふうに考えております。したがって、私どもは政府におけるこの体制の改善強化については、竹田委員の御指摘のように、いまその必要を感じておりますし、将来ますますそうであろうと思いますけれども、それが一元化という形をとることが効率的であるのか、あるいはむしろ連絡調整を密にすることが効率的であるのかということについては、なお将来にわたってしばらく研究をすべきことだというふうに思っております。
 第二点は、各省庁が利用しておる電子計算機がばらばらではないかという点でございますが、これは御承知のように当初外国産の電子計算機が入りましたこと等があり、御承知のように電子計算機はゼネレーションがだんだん新しくなってまいりますが、どうしても前の代のものをそのまま続いて使うほうが便利な傾向がございます。その後、わが国の六つのメーカーのものが各省庁で使用されるようになった、これもどう申しますか、そのうちのどれかを一つ使わせるというようなこともまた必ずしも適当でないと思われるところもございます。四十三年八月に閣議決定がございまして、政府における電子計算機利用の今後の方策についてということで、今後政府部内における電子計算機の利用の効率代につとめるということになっておりますと同時に、ソフトウエアの面におきましても、いろいろの規格の標準化でありますとか、各省庁の共同利用といったようなことも推進するということで今日までつとめておりますが、機種を一つないしきわめて少数にしぼるということにつきましては、いろいろな事由から必ずしも現在それが必要な時期ではない。ただ各省が効率的に持っておる電算機を使うということは、これは納税者に対しての義務と思いますから、そういうふうには閣議決定に従ってつとめております。
#328
○理事(大谷藤之助君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#329
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#330
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 情報処理振興事業協会等に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#331
○理事(大谷藤之助君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#332
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 竹田君から発言を求められておりますので、これを許します。
#333
○竹田現照君 ただいま可決されました情報処理振興事業協会等に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党共同提案による附帯決議案を提出したいと存じますので、御賛同を願います。
    情報処理振興事業協会等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行にあたり、次の諸点に留意すべきである。
 一、情報化の進展は、政治・経済の全般に亘り、広範多岐な影響を及ぼすものであるから、すみやかに情報化に関する基本法を提案するよう努めること。
 一、情報化に関する基本的政策の立案に際しては、平和と民主主義および国民生活の健全な発展に寄与し、基本的人権の保護、プライバシーの完全な保障等について留意するとともに、国民各層の高見を十分聴取し、国民の合意と納得を得るものとすること。
 一、情報処理技術の国際的ギヤップをうめるためには、官民一体となつた強力な体制が必要であり、就中政府は一体的推進体制の整備に努めること。
 一、政府および政府関係機関における電子計算機の計画的導入、利用の総合化に努め、また、その情報はできる限り国民に公開すること。
 一、日本電信電話公社の通信回線の開放については、電信電話の通信需要の充足等を十分考慮して今後慎重に検討すること。
  右決議する。
 案文を朗読いたします。
#334
○理事(大谷藤之助君) ただいまの竹田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#335
○理事(大谷藤之助君) 全会一致と認めます。よって竹田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。
#336
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、今後とも行政を進めてまいる所存でございます。
#337
○理事(大谷藤之助君) 本日の審査はこの程度にとどめます。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#338
○理事(大谷藤之助君) 速記を起こして。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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