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1970/05/13 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 商工委員会 第22号
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1970/05/13 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 商工委員会 第22号

#1
第063回国会 商工委員会 第22号
昭和四十五年五月十三日(水曜日)
   午前十一時十七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    理 事
                大谷藤之助君
                川上 為治君
                近藤英一郎君
                竹田 現照君
    委 員
                赤間 文三君
                井川 伊平君
                植木 光教君
                剱木 亨弘君
                平泉  渉君
                八木 一郎君
                山本敬三郎君
                阿具根 登君
                大矢  正君
                小柳  勇君
                林  虎雄君
                浅井  亨君
                矢追 秀彦君
                田渕 哲也君
                須藤 五郎君
    衆議院議員
       発  議  者  海部 俊樹君
   国務大臣
       通商産業大臣   宮澤 喜一君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        内田 芳郎君
       通商産業大臣官
       房長       高橋 淑郎君
       通商産業省公益
       事業局長     馬場 一也君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○電気工事業の業務の適正化に関する法律案(衆
 議院提出)
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (当面の石炭対策樹立に関する件)
○中小企業等協同組合法の改正に関する請願(第
 一一三五号)
○霞ヶ浦総合開発に関する請願(第一七九一号)
○特許法等の一部改正案反対に関する請願(第四
 二四八号)(第四二四九号)(第四三六二号)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
  〔理事大谷藤之助君委員長席に着く〕
#2
○理事(大谷藤之助君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 電気工事業の業務の適正化に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。竹田君。
#3
○竹田現照君 最初に、この法律案の目的が、電気工作物の保安の確保ということになっておりますが、この保安の確保では、電気事業法あるいは電気工事士法あるいは電気用品取締法などがありまして、それぞれ規制をされておりますが、ことにこの電気工事士法で電気工事士の資格を持つ者でなければ電気工事はできないことになっている。保安の確保を目的とした業法というものをさらに新しくつくらなければならないという積極的な理由というものは必ずしもないように思いますけれども、この点について提案者とそれから通産省の考え方をまずお尋ねをしたいと思います。
#4
○衆議院議員(海部俊樹君) 御指摘のように、この法律の目的は電気工事によって一般用電気工作物の保安の確保に資するということが目的でございますが、工事士法のほうでは電気工事に携わるものの資格とその権限をきめた法律でありまして、業としていままで何ら規制の対象になっておりませんので、全然違う次元から電気保安の確保をはかるのに役立つものである、こう確信をして提案をした次第でございます。
#5
○政府委員(馬場一也君) ただいま提案者でございます海部先生のほうからのお答えのとおりでございまして、電気の保安に関しましては電気工事士法、電気事業法あるいは電気用品取締法、それぞれございますけれども、特に電気工事士法は電気工事の作業に従事する人間の資格をきめた法律でございますが、通常電気工事士はだれかに雇用されておるという実態でございますので、この法律は、その雇用するほうの電気工事業の営業について一定の決規制をしよう、こういうことでございます。従前の各種の法律とあわせまして電気保安の完ぺきを期するという意味でこの法律が必要である、かように考えております。
#6
○竹田現照君 この法律が成立しますと、電気工事を行なう業者は登録することになりますが、電気工事は建設工事に必ず付帯する業務でありますが、この建設業法が適用されることに、そういう場合はなっていますね。そうすると、いま建設委員会にかかっています建設業法の改正案ですか、これは工事別に登録するようになっているようですけれども、そうしますと、この法律と建設業法の改正案との、何というんですか、ダブる面、こういう問題が出てくるとすると、建設業法全体から見て、これはちょっとおかしくしてしまうようなかっこうになるんではないか、そういうふうに考えますけれども、その点はいかがですか。
#7
○衆議院議員(海部俊樹君) 建設業法との関係は、衆議院の審議の段階でも一番議論になったところでございますが、一つだけ申し上げますと、建設業法で規制を受けております電気工事業というものは五十万円以下の工事でございます。私どもが当初この法案を出します前に、建設省の方々ともいろいろお話をいたしまして、いまの一般の家庭の電気配線工事は大体一万円から二万円程度の配線工事が多いわけでありますので、しろうとである家庭の電気、それを安全に確保するためには建設業法の工事価格を一万円もしくは五千円ぐらいまで下げていただければ、建設業法において保安の確保がなし得るとあるいは言えるかもしれませんが、五十万円以上の工事のみを規制いたしておりますので、工事の中ではきわめて大規模なものであります。比較的大規模なものは建設業法のほうで規制を受けておりますけれども、五十万円以下の、ことばをかえて言うならば、一般家庭の電気工事というものは規制の対象になっておりませんので、ここが一つの盲点ではなかろうか、こういうことでお話を進めまして、建設業法との間に二重登録とか、必要以上の不利益がないようにこの法案の中でも話し合いをいたしまして、そのような条文を、建設業者に対する督励等もつくって、二重規制には絶対にならないような配慮をいたしております。
#8
○竹田現照君 いまお答えがありました建設業法では、五十万円以下の一般用電気工作物の工事の請負業者は建設業法の法律上の規制を受けない、それでこの法案では五十万円以下の電気工作物の工事を行なう事業者が規制――適用を受ける。そういう意味ではあれですか、五十万円以下の工事を扱う業者のよりどころには確かにこの法律ではなるかもしれませんが、五十万円以下の工事の保安確保にそのことがつながるのかどうか、五十万円以下の工事の保安責任の所在というものはどこで明らかになるのか、その点ちょっと私も疑問ですから、その点はどうですか。
#9
○衆議院議員(海部俊樹君) そのために、ただいままでですと電気工事士法だけでございましたので、店として確保したり、工事店として規制をしたことがありませんでしたし、これはことばをかえていうと、言い過ぎかもしれませんが、現在の日本の工事士法というものは諸外国の工事士法とか、あるいはほかの一連の何々士と言います、俗に士法と言われる資格立法の中で一番条件がゆるやかになっております。いままでですと一体どこのだれが責任を負うのかということが必ずしも明確でなかった面がございましたし、工事士の登録をいたしておりますが、免許の更新等もありませんでしたので、現在どこでだれがどういう業をしているかということが正確に、的確に把握されておりませんので、この法によって電気工事店というものが登録を受けて、その工事店には管理責任者がおるわけでありますから、その人がその責任者になるわけであります。ですからいろいろ工事の配線系統図をしまっておけとか、いろいろこの法案の中に義務規定がございますので、それに従ってこの店が責任を持つようになる、こういうふうに私は考えております。
#10
○竹田現照君 私はあまりこの電気の問題について詳しくありませんけれども、電気工作物に対する責任というものは、昔は電気事業者にあった、ところがいまはなくなったんですね。この保安の確保を目的とするというのであれば、この電気工作物に対する責任というものは、電気事業者なのか、電気工事業者なのか、その点はもう少し明確にすべきじゃないかと思うのです。その点はどうですか。
#11
○衆議院議員(海部俊樹君) 御指摘のように新電気事業法ができますまでは電力会社が保安の責任を持っておったわけでありますが、新電気事業法に伴いまして免責約款ができたと申しますか、一応の責任がなくなって、その後保安協会というものができまして、保安協会が電力を供給する段階の竣工検査と申しますか、それはいたしておりますけれども、しかしその保安協会というのは、大体二年に一ぺんぐらいだと聞いておりますが、検査をいたしますけれども、それは検査をするだけで、強制的に悪いところを改めたり、代執行する権限などはいわんやございません。そうして一般の家庭の占有者に責任が移ったわけでありますから、結局配線工事をした人が最終的には責任者になるのではないかと私はこう判断いたしますが、なおこまかい点は御不審でしたら局長のほうから聞いていただきたいと思います。
#12
○竹田現照君 その点が、何か保安協会が検査をするということになっていますが、私もあまり自分の家でも関心がなかったのですけれども、そういう保安協会の点検というものはどういうふうに行なわれて、確実に行なわれておるものかどうか。それから今度建物所有者に移ったわけですね、電気工作物に対する保安確保の責任というものは。そうすると、この電気事業者、あるいはこの法律、あるいは建設業法、こういうようなものは保安確保のためにはどんな責任をとることになるのか、この点もひとつあわせて、これは海部さんでもいいし通産省でもいいですが、お伺いしたい。
 それから先ほど最初お尋ねした保安協会とか、それから新築の場合というのは、ある程度配線その他というものはわかりますけれども、増改築その他なんという、普通私どもなら私どもの家の中の配線がどうなっておるなんというのは、実際問題として、よほど詳しいものは別ですけれども、わからぬです。大体家を建てるときはまかせるものですから。ところが建ってしまったあとは配線はどうなるこうなるといういろんな問題というのは、私なら私の家の所有者の責任になるということになると、これはかなり知識を持っていなければいけなくなるのではないかなあと、そういうような気がしますけれども、そういうのは現状どういうことになっていますか。増改築とか、そういう問題も含めまして……。
#13
○政府委員(馬場一也君) ただいま海部先生からお答えになりましたように、電気事業法が改正になりましてから現行の電気事業法におきましては、いわゆる家庭等にございます一般用の電気工作物でございますが、これの保安責任は原則としてその所有者、占有者、つまり一般家庭にあるようにきめられておるわけでございます。しかし一般家庭の人間はいま竹田先生お話しのように、電気の知識が十分でございませんので、それを保護する立場におきまして、電気事業法では電気事業者に調査義務というものを課しておりまして、新しく家庭に――これは新築の場合でもあるいは増改築の場合でも同じだと思いますが――新しく電気工作物が設置をされますときには、原則として電気事業者が自分で通電いたします前に、その電気工作物を調査をいたしまして、もし不十分であればその利用者の家庭に通知をいたしまして直してから通電をする、こういうことにきめられております。それからまた、それが据えつけられましてからあとは、隔年に一ぺん、これも電気事業者に調査義務、ふぐあいが生じていないかどうかということを見る義務があるわけでございますが、これは何ぶん膨大な数にのぼりますので、電気事業者がみずからやるか、あるいはみずからやらないでも電気事業者が委託いたしました機関に、あとの隔年ごとの調査は委託できる規定になっておりまして、これを、ただいまお話に出ておりました電気保安協会が各地にございまして、電気事業者からの委託に応じてやっておるわけでございます。それで、どのくらいの件数があるかということを御参考までに申し上げますと、新増設の場合の件数は、大体四十三年度におきまして、これは電気事業者が直接やるわけでございますが、全国で四百二十三万件くらいございます。それから定期調査つまり隔年ごとに一ぺんやります調査は、保安協会がやっております分が四十三年度におきましては八百八十二万件、それから電力会社がやっておりますものが七百十六万件、合計約千六百万件くらいの定期調査をやっておる、こういう状況でございます。それで電気事業者が最初に新増設の場合四百二十三万件の調査をやっておりますが、この調査をやりました結果、いわゆるふぐあいがどこかあるということで需要家に通知をいたしまして、直してもらってから通電をしたという、当初からつまり完ぺきでなかったという例が、その調査の結果約全体の五%、十九万七千件ばかりございます。それから定期調査、隔年ごとの調査におきまして保安協会が調査をいたしました八百十二万件のうちには、やはりどこかふぐあいがあったということを、需要家に通知をいたしました分が全体の約三%、二十五万六千件ございます。それから電力会社のやりました再調査の分におきましては、七百十六万件のうちこれまた約二%、十四万件ばかりあるわけでございます。このように各電気事業者もしくはその委託を受けました保安協会が、でき上がりますとき、あるいはでき上がりましてからあと、定期的に調査をいたしまして、ふぐあいがあればそれを需要家に通知をして直させることにして保安の確保をはかっておるという状況でございます。
#14
○竹田現照君 先ほど最初にお尋ねした保安確保の責任が建物の所有者にあるとすれば、電気事業者あるいはこの法律案あるいは建設業法というものは、保安確保のためにどのような責任をとるのか、この点はどうされるんですか、その点がちょっと不明確のような気がしましたので……。
#15
○政府委員(馬場一也君) ただいま申しましたように、新増設の場合でございますと、当初工作物ができ上がりまして電気事業者がそれを見ましたときに、先ほど申しましたように約五%程度の不良件数が発見されるわけでございます。それで、これは結局一般用電気工作物を設置をする電気工事をやりました場合に、そのまま通電をいたしますと、つまり約五%のふぐあい分があると、こういうことでございます。そこで当初に電気工事をやります電気工事業が、この法律にありますように、主任電気工事士を置き、いわゆる保安の体制に完ぺきを期しますれば、この不良率、最初に発見される五%というようなもの、あるいはその後に発見されるような、いわゆる定期検査の結果発見されますような、先ほど申しましたいわゆる不良率というものは、ゼロにならないといたしましても非常に減るであろう、こういうことが期待されるわけでございます。当初その不良率が五%より激減をいたしますならば、それだけ早く通電ができますし、需要家の非常な便宜になるわけでございます。電気工事がうまく行なわれるというメリットはそういうところにあるんじゃなかろうかと、かように考えております。
#16
○竹田現照君 この法律で言うところの電気工事者としての登録と、建設業法で言うところの電気配線工事としての登録というのはどういうふうに違うのですか。
#17
○政府委員(馬場一也君) 建設業法に基づく建設業、つまり建設業法の中の一つとしての電気配線業と申しますか、それの登録は建設業法の中にございます。それから電気工事業としての登録制はこの法律に規定されておるわけでございます。しかしながら、先ほどのお答えにもありましたように、建設業法のほうは五十万円以上の分しか登録にかかわらしめておりませんので、五十万円以下の電気配線業につきましては、それは建設業の一環として行なわれる場合でも、そちらの法律で登録を要しませんので、この法律で専管的に登録をする、こういうことになりますし、それから向こうの法律で五十万円以上のものは登録をいたしますので、その分につきましては、この法律で二重登録をしないで、届け出をいたしますればこの法律で登録があったものとして取り扱うことにいたしておるわけでございます。
#18
○竹田現照君 この法律ができることによって、一般の需要者というのはどういう利益を受けることになるのですか。あるいはまた電気工事者がこの法案によって登録をすることによってどういうメリットがあるのか、この点はどうですか。これは海部さんから伺います。
#19
○衆議院議員(海部俊樹君) 大ざっぱなことを提案者のほうからお答えしたいと思います。
 第一は、御承知のように議論に出ましたが、一般の国民というのはやはり電気工事に関しては知識がないものと判断しなければなりませんし、その人が、工事をするとき等において専門の知識を有する工事士を指揮監督して誤りなくやるということはなかなか期待することがむずかしいと、こう判断いたしましたので、電気工事店のほうにその責任を持っていろいろな規制をして義務を負わせる、そういうことによって一つの法ができると、こう考えました。
 それからもう一点は、これは衆議院の委員会段階で野党の皆さんの強い御要請をいただいてつけ加えた案文でありますが、消費者保護ということも大切でありますので、消費者保護基本法のたしか十五条だったと思いますが、苦情処理の規定等がございますけれども、そういったもの等もこの法案の中に織り込んだほうがいいということで、消費者苦情処理的なものもこの法案の中に織り込んでありますので、粗悪工事をやられっぱなしという消費者の不利益が救われることになります。
 そういったことを全部あわせて、火災になってはいけない、漏電事故を防ごうという、こういう状況の先取りみたいなことに役立つのではないかと、こういうふうに利益があると、こう判断しております。
#20
○竹田現照君 外国の場合、屋内配線等の一般用電気工作物の保安確保、それをはかるためにこのような立法措置というものは行なわれているのかどうか、おわかりでしたらひとつ……。
#21
○衆議院議員(海部俊樹君) 私の調査に誤りなければ、外国でもいろいろ行なわれておりました。特に国会図書館等へ行って私調査してまいりましたが、ピンからキリまでということばがありますが、極端な例をとりますと、たいへんシビアな例もございまして、アメリカのマサチューセッツ州の州法というのによりますと、電気工事士になろうとするための受験資格そのものが同一市町村にまず五年以上住んでおるということ、それから専門の電気工事の学校を卒業してから三年以上実務に携わってから初めて工事士の受験資格ができるということになっております。そうして工事士のライセンスをもらっただけでは営業できないわけでありまして、工事士のライセンスを持ってから今度営業のライセンスをとって、おのおのそれを一年ごとに更新しておるという、たいへんきびしい例もございます。あるいはまたドイツ等におきましては、工事士の試験というものは年齢制限をしておるとか、あるいはイギリスでは経験年数をある程度要求するとか、各国においてさまざま、まちまちでありますけれども、試験制度をもってやっておることは世界の諸外国に例がずいぶんございます。
#22
○竹田現照君 この法案によって登録を要する業者の数というものは全国でどれくらいになっておりますか。あるいはその業者の従業員数、あるいはまた資本金の規模別、こういうようなものはおわかりですか。
#23
○衆議院議員(海部俊樹君) これは私の資料がやや古いかもしれませんけれども、電気工事士という資格を持った人は、いまのところ二十万人以上あるわけであります。そうして電気工事業者が集まってつくっております全国組織である全日本電気工事組合連合会というのがありますが、業者の数は三万六千軒ということになっております。そうして五人規模以下の業者がそのうちで八一%、工事士五人規模以上の業者が一九%、大体こういう色分けになっております。
#24
○竹田現照君 この電気工事士の免状を持っていなければ電気工事の作業に従事できないと、こういうことになっておりますが、現在でも電気工事士の資格を持っているのが先ほどお答えになった二十万人と、そういうことですか。
#25
○衆議院議員(海部俊樹君) そういうことでございます。
#26
○竹田現照君 電気工事業者は、各営業所ごとに電気工事士の免状の交付を受けたあと、三年以上の実務経験を有する電気工事士を主任電気工事士として置かなければならないということが十九条に書いてありますね。そうすると、この規定と、消防設備士だとかあるいは危険物取扱主任というものは、資格を取ったらすぐ仕事ができるというのもありますね。そういうものと比較した場合に、ちょっときびし過ぎるんではないか。これは保安確保という面からそのくらいきびしくしなければならない、そういう意味でそういう強い規制をされたんだと思いますけれども、そういうふうに理解してよろしいですか。
#27
○衆議院議員(海部俊樹君) 御指摘のとおりでございまして、この十九条で置いております主任電気工事士というのは、あくまで保安確保のために必要だ、こういう観点で置いたのでありますし、あるいは営業所ごとに置かなければならないという一点につきましては、きびし過ぎるではないかという議論もありましたが、保安確保という面からいきますと、やはり営業所ごとにおってもらったほうがより国民のためになる、こういう判断で営業所ごとに置くことにいたしております。
#28
○竹田現照君 これはまた逆に解釈すると、既存業者の権益を守るために制限、規制というものをきびしくする意味でこういうふうに規定をしたんだと、そういう解釈ができないわけじゃないんですけれども、その点はどうですか。
#29
○衆議院議員(海部俊樹君) これは主観の相違でございますので、私どもはそういうふうな考え方できめたわけでは決してございませんが、そういう御批判があるいは起こるかもしれませんのでつけ加えて申し上げますと、既存の業者の権益保護ということよりも、やっぱり国民の保安確保のためにこの程度まではしなければならぬ、こういうことでありまして、当初は、やはり電気工事士は三人くらいおったほうがより保安確保になるのではなかろうか、あるいは七年以上の経験を持った人が絶対に必要であるとか、いろいろきびしい条件をつけておりましたが、それでは既存の業者保護的なにおいも強くなってきますし、ときによれば憲法違反の疑いすら出てくるという御指摘がございましたので、ここで妥協したというと言い方が悪いですが、三年、一人ということに修正してきたいきさつもございます。
#30
○竹田現照君 ここで言うところの実務経験というのは、同じ場所につとめていなければならぬのか、あるいはまた転々と歩き回ってもいわゆる三年というのがあればいいのか。その場合、同じところにいれば証明が簡単ですけれども、転々と渡り歩いて年数になったという場合の証明のしかたというのはどういうふうにされるんですか。
#31
○衆議院議員(海部俊樹君) 一カ所に三年間おってもらうのが望ましい、理想の姿であることは間違いございませんが、それにはいろいろ問題等もございますので、この解釈としてはどこへ転々とされても三年間に至るところの経験が積み重なればかまわないという判断であります。どこで証明するかということは、実はそこまで詰めて考えたことはぼく自身ございませんけれども、雇用者がいつからいつまでここにいたという証明を書くなり何なりの方法で三年間雇用関係にあったというようなことを立証するような方法をとったら解決できるんではないか、こう判断します。
#32
○竹田現照君 これは通産省、どうですか。この法律ができたら通産省が実際やらなければいかぬわけですけれども、私がいま言ったように転々と歩く場合の証明の方法というのは非常にむずかしいんじゃないかと思うんですけれども、すし屋の職人のように一カ所に半日いたということはないでしょうけれども、こういう場合、どういうふうに証明をされるのか。
#33
○政府委員(馬場一也君) これは竹田先生御指摘のとおり、三年間の実務経験と申しますのは、一カ所にいなくても、いわゆる転々といたしましても、電気工事士の仕事に通算して三年間以上の経験があればいいわけでございまして、その通算して実務経験があったかどうかということの認定は、住民登録でございますとか、いろいろなことによりまして都道府県知事に認定をいたしてもらう予定にいたしております。
#34
○竹田現照君 どうも住民登録でその実務に携わったかどうかということを判定するということは、これはなかなかちょっと私も理解できませんけれども、そうすると、これはあまりまだその点についてははっきりしていないというふうに私は理解しておきます。
 次に、二十四条で言うところの、「電気工事者は、その営業所ごとに、絶縁抵抗計その他の通商産業省令で定める器具を備えなければならない。」こういうふうに書いてありますけれども、通産省令で定める器具というのはどんなものなんですか。あるいはまた現在営業している電気工事業者というものは、二十四条で言うところの器具というものは当然備えつけているのじゃないかと思いますが、その点はどうなんですか。
#35
○政府委員(馬場一也君) この二十四条の省令できめます器具と申しますのは、大体絶縁抵抗計でございますとか、あるいは触地抵抗計とか、あるいは通電試験器等を省令できめる考えでございます。なお、現在ございます電気工事業者は、これらのものを備えつけておるはずでございます。
#36
○竹田現照君 これはかなり経費がかかるものなんですか、この考えられるものは。
#37
○政府委員(馬場一也君) 大体これらのものを全部合わせまして数万円程度の器具でございまして、これはいわゆる電気工事業を営みますものとしては当然営業上必要な器具でございますので、現在の電気工事業者はこれを当然持っておるわけでございます。
#38
○竹田現照君 この二十六条の「帳簿の備付け等」という、これは具体的には、あれですか、あまりめんどうなことでなくて、小さな業者でもあまり労力その他というものをかけなくてもできるというような、きわめて簡単と言ってはなんですが、あまりむずかしいものではない、そういうふうに考えていいのですか。
#39
○政府委員(馬場一也君) これも省令で具体的にきめるつもりでございますが、先生おっしゃいましたように、もちろんそう複雑なものを考えておるわけではございませんで、大体考えといたしましては、保存期間は五年程度、それから記載すべき事項といたしましては、その作業者それから主任電気工事士それからその工事業者として請け負いました工事の施工月日、施工経費、工事の内容、施工いたしました場所の配電図、それから検査の結果を記録してもらうという程度のことを考えておりまして、そう複雑なものを要求するつもりはございません。
#40
○竹田現照君 次に、二十七条の「危険等防止命令」ですけれども、電気工事業者が電気工事を粗雑にしたとか、あるいは危険や障害の発生するおそれが大きいとか、こういう判断を通産大臣あるいは都道府県知事がやることになっておりますけれども、その判断の方法ですが、これはどういうふうにしてやるのですか。
#41
○政府委員(馬場一也君) こういうものは通産大臣または都道府県知事が命ずるわけでございますが、命ずる場合の基準といたしましては、大体電気事業法に技術基準というものがきまっておりますので、この技術基準に照らしまして、こういう命令をする必要がある場合であるかどうかという判定をするわけでございます。
#42
○竹田現照君 大臣や都道府県知事がそういうことを命令をするというその判定ですね、それを具体的にどういうふうにしてやるのか、これは二つに分けてございますからね、大臣と都道府県知事と。この点をもう少し具体的に説明してもらえませんか。
#43
○政府委員(馬場一也君) この法律に、大臣もしくは知事のいわゆる立ち入り検査権限というのがあるわけでございますが、そういう立ち入り検査等によって電気工事業者の仕事をやっておりますところを検査をいたしました結果、ただいま申しましたように、電気事業法にきめますいわゆる技術基準に適合させますために、こういう危険防止のための命令をしなきゃいかぬという事態がございましたならば、それに基づいて命令をすると、こういうことでございます。
#44
○林虎雄君 関連をして御質問いたしたいと思います。
 まあ提案理由でもはっきりしておるわけでありますが、最近の一般家庭の配線等が非常に多くなってまいった関係で、危険防止、そのためには専門家によって電気工事を行なわせるという規定のようでありますが、最近、確かに家庭でクーラーとかあるいは電子レンジとか大型のカラーテレビとか、そういうものがかなり入ってまいりますだけに、配線工事というものは十分でなければならないと思いますが、この法律案を提案した理由として、おそらくそれの事故防止という点に重点を置いておると思いますが、最近のクーラーなりレンジなりテレビなり、その他最近の電気製品等の家庭内に入った後における事故というものは、一体、相当顕著になってきておるのか。そういう事故が多くなってきておるがゆえにこの法律案が提案されたと理解されるわけですが、その状況について承りたいと思います。
#45
○政府委員(馬場一也君) これは通産省でとっております電気事業者から報告のございました電気事故統計によりますと、感電事故でございますが、これは大体四十一年が七十六件、四十二年が八十二件、四十三年が六十件というように、まあ一進一退というような状況でございまして、そのうち、いわゆる電気工作物の不良ということに起因いたしますものは、四十一年が十件、それから四十二年が十九件、四十三年が二十六件というふうに、少しずつふえてきておるような状況でございます。それから一般の建築物におきます電気による火災の事故統計でございますが、これは消防庁の作成いたしました火災年報によって見ますと、年間四十一年では四千百四十六件、四十二年が四千三百四十一件、四十三年が四千二百五十二件というような件数になっておりますけれども、このうちで、まあ電灯電話等の配線、それから配線器具、それから漏電により発熱しやすい部分の事故等を大体加えて見てみますと、これらの三つの理由によりますものが四十一年におきましては大体七百五十件ぐらい、それから四十二年がこれまた大体七百六十件ぐらい、それから四十三年も大体七百六、七十件というような状況で、必ずしも激増しておるわけではございませんが、あまり減ってもおらない、かなり多数ある、こういう状況でございます。
#46
○林虎雄君 四十一年以降三カ年くらいの統計でありますが、一進一退で、特に事故が激増したというわけではないわけですね。まあこれの数字でありますけれども、最近の一般家庭で電気を多く使うようになったそれ以前の統計というものはありますか。つまり四十年以前ですね、そういうものがあったら、特に多くなったためにこの法律の必要が生じたということであろうと思いますが、それ以前の統計がありましたら聞かしていただきます。
#47
○政府委員(馬場一也君) 四十一年以前の感電事故なり電気火災事故の統計は、ちょっと手元にございませんので、後ほど御報告申し上げますけれども、いま言ったように感電事故なり、あるいは電気火災事故の、すでに起こりました数字につきましては、ただいま申し上げたとおりでございますが、こういうことが起こりますのは、結局、その分だけ何らかの意味で電気工作物あるいは電気工事に起因するわけでございますが、その端緒になりますもともとの電気工事それ自身のよしあしということにつきましては、先ほど竹田先生の御質問にお答えいたまししたように、電気工作物が設置をされますときに、電気事業者が通電前に調査をいたしまして、その結果全国的に申しますと、約年間二十万件くらいのものがそのまま通電できないで、もう一ぺん再調整をしてから通電しなければいけないと、こういうようなことになっているわけであります。これは当初の結局電気工事にふぐあいがあるわけでありますから、電気工事業者自身がよりよい工事をやることになれば、それだけのものが未然に防止をでき、早く通電もできますし、したがって後々の事故も少ない、こういうことになろうかと思います。
#48
○林虎雄君 最近特に激増したために、この法律案を提案したというのでなくて、すでにいまの数字からいけば、当然以前に十年でも二十年でも以前にこの法律があるべきだと、そういう解釈になると思いますが、そう考えてよろしゅうございますか。特にいまこの法律を出さなければいけないという理由はなくて、もっと以前にあるべきであったとこう解釈できると思うんですが。
#49
○衆議院議員(海部俊樹君) これは提案するときにずいぶん議論した問題でございますので、お答えさせていただきますが、実は建設業法ができますときに、先生おっしゃったのと同じ議論がございまして、当時商工省と言っておりましたが、そこに電気工事業を業として規制する法律がございませんでしたために、建設業法の中に電気配線工事も入れておくけれども、商工省のほうで、電気配線工事に関する規制の法体系は一日も早く整備して国民の保安確保に資すべきであると、そのために建設業法の中で預かっておくという覚え書きが当時の通産省と建設省でなされておったわけであります。ただし電力会社が最終的な保安責任を持っておりましたので、一応それで国民が直接被害を受けるということが少ないような関係からか、この問題がおざなりにされてまいりましたが、新電気事業法が通りまして、占有者に最終責任がまいりましたので、これはほうっておくこともできぬという考え方に立って、私どもが部会でこの法案をつくらなければならぬと、こう思ってまとめ始めたわけであります。先生の御指摘はそのとおりだと思います。
#50
○竹田現照君 先ほど海部さんがおっしゃった苦情処理云々というのは、三十三条に言っている苦情処理だと理解しますが、具体的にどのようになさるんですか、これは。
#51
○衆議院議員(海部俊樹君) これは苦情処理方法にもやはり建設業法にある苦情処理部分の方法と、消費者保護基本法にある方法と二つございまして、どちらをとるべきか、いろいろ議論したのでありますが、家庭の電気配線工事というのは、あまり大規模な大がかりな時間のかかるものでは意味ないわけでありますので、苦情が早く解決されるために、私どもの考え方では、県なり通産局なりの窓口に、その苦情受付の専門員を置いて、その係は苦情を聞いたならば、直ちに工事者を呼び出して、その場で早く裁判所でいうならば調停機能なるものを迅速に行なう、こういう考え方で条文を入れております。
#52
○竹田現照君 最後に、いま林先生のお尋ねの中にちょっとありましたけれども、電気の日進月歩というか、こういうもので、電気工事士の資格が一ぺんとられたら、死ぬまでそれがあるんだという状態の中では、こういう技術の進歩に伴って、必ずしも電気工事士の知識なり技術なりというものが一定でとどまっていることを許さないと思うのですね。そのような場合、そういうことに対処して再教育なりあるいは追加試験というわけにはいかぬでしょうけれども、そういうような問題というのは当然に配慮すべきだと思いますけれども、その点についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#53
○衆議院議員(海部俊樹君) これはむしろ電気工事士法の問題にからんでくるかと考えますけれども、ライセンスを一度取ったらそれが死ぬまで更新も書きかえも何もないというのはいささかなまぬるいのではなかろうかと、こう考えますので、あるいは運転免許証のように定期的に更新をするとか、あるいは講習会みたいなものをときどきやってみるとかいうことは絶体に必要だと私は判断しております。
#54
○竹田現照君 それは通産省のほうで再度お答えください。
#55
○政府委員(馬場一也君) いま先生お答えのとおりでございまして、この電気工事士法というのは三十五年にできた法律でございますが、その後十年近くたっておりまして、いろいろおっしゃいますとおり、その後の技術の進歩とかいろいろな変化がございますので、この法律の改正なり運用につきましては、いまいろいろ各方面の御意見を聞きまして、もう少し前向きに考えておるわけでございます。問題点といたしましては、電気工事士の免状を交付します交付年齢というのにいま制限がございませんが、こういう点をどう考えるかというような問題、あるいは工事士の免状は一ぺんもらいますといま仰せのように永久的でございますけれども、これについて免状書きかえと申しますか、有効期間というようなものを考えたほうがよくはないか、あるいは電気工事士の試験法そのものに改善すべき点がないかどうかというような問題、あるいは電気工事のいわゆるインターン制といいますか、そういう修習期間というようなものを考えるべきではないかというような数点の問題がございますので、現在いろいろ検討しておる最中でございます。
#56
○理事(大谷藤之助君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#57
○理事(大谷藤之助君) 速記を起こして。
 暫時休憩いたします。
   午後雰時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時四十二分開会
  〔理事大谷藤之助君委員長席に着く〕
#58
○理事(大谷藤之助君) これより商工委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、電気工事業の業務の適正化に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#59
○矢追秀彦君 この電気工事業の業務の適正化に関する法律案、これを議員立法として提出された理由はどういうところにあるのか。通産省と建設省の話し合いで出せなかったのか、そういう理由で議員立法になったのか。その点はいかがですか。
#60
○衆議院議員(海部俊樹君) 御指摘のように、この法案を最初国会へ出しました当時の内容と現在の内容は幾らか違ってきておりますので、当初出しました内容のころには、通産省と建設省の話し合いがつかなかったのであります。そこで私どもは、通産省と建設省の話し合いがつかないからといってほうっておくべき性質の問題ではないと、こう判断いたしましたので、議員立法に踏み切った次第であります。
#61
○矢追秀彦君 ということは、その行政府の二つの省の話し合いのつかないところを議員立法で埋めたと。そういうことは、結局、要するに行政府というものがそういう連絡がとりにくいと、そういう点は行政府自体が完ぺきでないと、特にこの問題に関して。そういうふうに断定をしてよろしいわけですか。
#62
○衆議院議員(海部俊樹君) 大筋においてはそれでいいんだろうと私は思うんですが、ただ一つ、正直に申し上げますと、通産省内部にも、当初、私どもの用意しました原案には直ちに賛成しかねるという空気もございましたし、内閣法制局と通産、建設等を中に入れて話し合いをしていただいたこともありますけれども、お互いにいろいろ意見の食い違い等があって、政府提案に踏み切ることができなかったというところが率直なところだろうと思います。
#63
○矢追秀彦君 それは、議員立法のあり方というものがどういうものであるかという、そういう別にきめた点はないと思うんですが、そういうようなことで政府が出せなかったから、こちらから出すというふうな法案というのは、やはり非常に問題がありはしないかと、そういうふうに思うんですけれども、通産省のほうはどうお考えですか、これについては。
#64
○政府委員(馬場一也君) 午前中の御質問に海部先生のほうからお答えいたしましたように、昭和三十二年以来、この電気工事業というものをいわゆる電気工事の保安の面から通産省のほうで法案をつくりたいという話はあったのでございますが、いまもお話のあったとおり、建設省との間にどうしても役所同士の調整がつきませんで今日に至っているわけでございます。そういう段階で、この電気工事の保安の問題は非常に重要でありますので、ただいま先生から御説明のように議員立法というかっこうで出すということで、通産省のほうも、あるいは建設省のほうもそれで話がまとまりまして提出に至ったと、こういういきさつでございまして、われわれとしてはそういういきさつでございますので、この電気工事業の適正化に関する法律が早く成立いたしますことを心から希望いたしている次第でございます。
#65
○矢追秀彦君 先ほども質問が少し出ておりましたけれども、もう一回確認のために伺うんですが、この法案の趣旨というものは、あくまでも消費者保護の立場なのか、あるいは工事業者の保護の点にあるのか、どちらを重点に考えてつくられたのか、その点はいかがですか。
#66
○衆議院議員(海部俊樹君) この法律の第一条に明らかに書いてございますように、一般用電気工作物の保安の確保を第一に考えておりまして、あくまでそれが重点でございます。
#67
○矢追秀彦君 これも議論になったことで、少し重複して恐縮でありますけれども、やはり小規模企業の工事業者、この点が非常に登録制になることによっていろいろ問題が出てこないか、この辺が非常に心配されるわけでありますけれども、こういった登録制という意見が業界の中においてはどの程度いままであったのか、それが今日までどのようになってきたのか、できましたらその経過を伺いたいと思います。と申しますのは、たしかだいぶ前にかなりこういう意見が出て、しかしそれからかなり消極的になってきた、そういうことを聞いているわけなんですけれども、その点の確かな事情がわかりましたら通産当局でもけっこうでありますから……。
#68
○政府委員(馬場一也君) 私も以前からの長い経緯というのは詳しく存じないのでございますけれども、この立法をされます前の、廃案になりました前の法案におきましては、いろいろこの電気工事士を置く数につきましても、二人以上置くというような案がございまして、そういう面の御意見もあったように伺っております。この法案におきましては、主任電気工事士として各営業所ごとに三年以上の経験者を一人置くという内容になっておりますし、かつまた、この法案が施行されましたときに、現に電気工事業を営んでおります者に対しましては、経過措置によりまして、そのまま電気工事業が続けられるように手当をいたしてございますし、かつ、いわゆる一人親方と申しますか、一人で電気工事業をやっておられる方につきましては、むろんその方が主任電気工事士の資格を持っておればいいという内容になっておりますので、いわゆる零細な電気工事業者の営業につきましても、それが無理なく営業ができるように措置は十分講じられておりますので、そういう点につきまして問題はないのではなかろうかと、かように存じております。
#69
○矢追秀彦君 いまそういう答弁がありますけれども、実際、小規模の事業をやっていらっしゃる方からの意見等は相当伺われたわけですか、この法案の作成にあたって。
#70
○衆議院議員(海部俊樹君) 小規模な業者の保護を十分にしなければならないと思いましたので、全日本の電気工事業者組合に加盟しておる各地区の代表の人々、これらから何回も意見は聴取いたしました。
 それから特に、これはよけいなことかもしれませんが、一時、ラジオ、テレビ業者の小売り商の方々との意見が食い違ったこともございましたが、そのときもそれらの方々の意見も十分聞きまして、既得権を侵害しないように法律作成の段階で配慮いたしております。
#71
○矢追秀彦君 この法案が施行された場合、保安の確保ということは目的にもはっきりうたってありますけれども、実際保安が強化されると考えてよいか、と聞いてもそうだと答えられると思いますけれども、どういうふうに強化されるということがはっきり具体的な形としてあらわれるかという、その点をお伺いしたい。
#72
○衆議院議員(海部俊樹君) この法律はあくまで火災が起こらないように予防をしよう、状況の先取をしようという考え方でできておりますので、これができたら、手のひらを返したようにどうなるかとおっしゃると、これはまことに答えにくい点でございまするが、しいて言えば、この法律全体の精神といいますか、工事をやるにあたっていろいろ使わなければならない器具であるとか、あるいは主任工事士がおらなければならぬとか、配線系統図を備えつけなければならぬとか、器具を持たなければならないとか、いろいろなことが規制されておりますので、この法律に言っております規制事項を全部忠実に守っていくということは予防につながるものであると、こう判断しておりますので、この法律のことを業界の皆さんがこのとおり守ってやっていただいたならば、少なくとも幾らかの事故が防止できることには確実になる、こういうふうに判断をいたしております。
#73
○矢追秀彦君 この保安の不始末からくる電気災害についての補償の問題でありますけれども、この電気業者と工事業者、その間に責任分野というのは明確になっておりますかどうか、通産省の方でけっこうですから。
#74
○政府委員(馬場一也君) この法律ができますと、先ほどもお答えしたのでございますが、電気工事業者は一定の帳簿を備えつけまして、いろいろ工事をやりますと、工事の施工の内容でありますとかあるいは日付でありますとか場所とか、そういうような帳簿をはっきりして、やった工事の内容が明らかになるという状態にしておくわけでございます。それで、そういうことにして電気工事が行なわれますので、もし将来一般用電気工作物について電気事故が起こりましたときには、現在よりは、少なくともこの事故が電気工事の不備に起因するものであるのか、あるいはそうでないのかということが、いままでよりはずっとはっきりするであろうということで、そういう点で電気事業者の責任、あるいはその工事をやりました電気工事業者の責任ということがはっきりいたすと思います。したがいまして、逆に言いますと、電気工事業者は誠実にその仕事をやることになろうかと思いますし、そういう点で非常に業者の関係は明瞭になるかと思っております。
#75
○矢追秀彦君 これは通産省にお伺いしますが、法案と直接関係ありませんけれども、最近都市の郊外における自動車事故による配電線での停電が非常に増加しておる。これはやっぱり用地の事情から、路辺に電柱を立てなければならない、こういう現状が出てきております。これに対しては、どういうふうに対策を講じられておるのか、これについてお伺いいたします。通産省の範囲でないかもしれませんが、停電という問題になってくるかと思いますから。
#76
○政府委員(馬場一也君) 都市が過密化してまいりまして、電柱がいわゆる道路に置かれておりまして、また交通が錯綜してまいりますと、ただいま先生のおっしゃいました自動車事故に起因する電気事故と申しますか、停電といいますか、こういうことの機会がおそらく相当ふえてくると思います。また電柱をそういう過密の都市の中で道にたくさん置くというと都市美観の問題もいろいろこれからだんだん問題になってくるかと思います。この電柱の地中化でありますとか、あるいは少なくとも美観を損しない程度に電柱を立てていくというような問題は、これから電気事業者としましても検討すべき大きな問題になってまいるかと思うのでございますけれども、何ぶんにも非常に一方ではそれ相当の経費を伴う問題でございますし、事故防止の見地あるいは都市美観の見地から、この問題につきましては、今後電気事業者としても十分検討してまいらなければいかぬ問題だというふうに、非常に抽象的でございますけれども、その程度のことを考えておるわけでございます。
#77
○矢追秀彦君 作業停電についても、事故停止とほぼ同数でありますが、停電時間では約三倍長くなっておるということを聞いております。作業停電を減少させるためには、架線工事の改良や技術者の養成、そういう対策が非常に強力に進められなければならないと思いますけれども、この問題についてどういうふうな対策が講じられておりますか。
#78
○政府委員(馬場一也君) 各電気事業者は、いろいろ電気事業法あるいはそれに基づく規程の立場から、毎年の作業停電なりあるいはいわゆる事故による停電等、電気の質に関係をいたしますので、これをある一定の目標をきめまして、それ以下にとどめるようにそれぞれ目標をきめて努力をいたしておるわけでございます。われわれといたしましても、できるだけそういう作業停電なりあるいは事故による停電の率が年々減ってまいるように推進してまいりたいと思います。ちょっといま手元にその具体的な資料を持っておりませんが、年々各社ごとに作業停電なり事故停電の比率というのは減ってきておるように私は聞いております。
#79
○矢追秀彦君 この登録制になったことによって、先ほどから小規模の方でも十分できるというようなお話がありましたので、どうなるか私も見当つきませんけれども、要するに工事の業者はこれからやはりだんだんこうやって電気のほうが発達してきていますから、当然ふえなくちゃならぬと思うわけです。登録制になることによってそれがふえるのか、妨げられないか。それによって一般家庭の人がサービスを受けるそのサービスに対して、サービスが悪くなるというようなことは絶対心配ないのかどうか、その点はいかがですか。
#80
○衆議院議員(海部俊樹君) 小規模と申しましても、これは一人でできることになっておりますので、一人親方でも営業ができるわけでありますし、登録制になりましたら、勢い今後電気工事士の資格をお取りになった方は三年たたないと店を開くことができませんので、そういう意味からいきますと、数がふえるのはある程度ブレーキがかかるかもしれませんが、それはそういう数の問題と質の問題とバランスにかけてみた場合に、やはり質の問題を重視すべきだという判断でこういう規制をいたしたんでありますから、ある程度は公共の福祉のためにやむを得ないことではなかろうか、こういう考え方を持っておりますが、それによって著しく家庭生活に対するサービスが低下するとは考えておりませんし、特にそのためにラジオ・テレビ屋さんの工事というものを除外しておること等は、そういった日常家庭生活のサービスが低下しないようにという配慮でございますので、そういう点はお認めをいただきたいと思います。
#81
○矢追秀彦君 この法案が施行された場合、現在の通産省のほうの体制ですね、これは何か整備をしなければならないのか、現状のままで十分円滑にこの法律が施行されるようになるのか、その点はいかがですか。
#82
○政府委員(馬場一也君) この法律で、いろいろ電気工事業者の登録なりあるいは監督の事務が生ずるわけでございますが、これは大体私どもといたしましては、この法律ができましたらば、いわゆる都道府県単位に、都道府県内に営業所を持たれる電気工事業者につきましての登録なり監督なりというものは、全部都道府県のほうに御委任するというか、都道府県知事にやっていただくというふうに考えておるわけでございまして、もし二つ以上の都道府県にまたがるような場合は所轄の通産局がやる。さらにもっと大規模でございまして、二つ以上の通産局にまたがって手広く営業をやっておられるというような大きな電気工事業者につきましては、これは本省で登録なり監督をやる、こういう区分でやってまいりたいと思っておりますが、おそらく数から申しまして、大多数の電気工事業者の登録なり監督なりという仕事は、そういうわけで都道府県知事にお願いをするという、こういうことになろうかと思うわけでございます。そこでこの法律が成立をいたしましたらば、さっそくこの法律の説明会その他を都道府県にやりますと同時に、各都道府県に対しまして、この法律に基づく仕事をしていただくための必要な準備体制をきめていただくように、都道府県に対しましていろいろ通牒等によりましてお願いをいたしたいと思いますし、また、ことしは何ぶんにももう年度が始まっておりますのでむずかしいかと思いますけれども、来年度以降はできるだけひとつ各都道府県ごとに標準的な法律施行の事務量というものも御相談をいたしまして、各都道府県のいわゆる事務の計算といいますか、交付税等の計算によりますいわゆる都道府県の標準的な事務というものをはじき出しまして、都道府県でやっていただく仕事が人的にも経費的にも確保されるように十分措置してまいりたい、かように考えておるわけです。
#83
○矢追秀彦君 で、都道府県に負担がかかってくるわけですが、いまそういう措置をするとおっしゃっておりますけれどもね、実際いま言われたように来年度にならないと人員等もふやせないし、実際どれくらいかかるかということもまだ計算されてないようでありますので、今年度あたりは特に一挙に登録が出ると思う。これ施行になれば、非常にその点で混乱が生じないか、特に実際事務をやられる方に負担がかかって、非常に登録がおくれて認可がおくれる、こういうようなことで、実際の工事業者にも影響が出ないかどうか、その点はいかがですか。
#84
○政府委員(馬場一也君) この法律の経過規定にございますように、この法律が施行されましたときに、すでに現在電気工事業を営んでおられる方は、一定の期間内に届け出をされますと、そのままこの法律による登録を受けたものとみなすということになっておりますので、この法律の当初におきましては、事務が実際問題としてたくさんあろうかと思いますけれども、これはいわゆる正規の登録手続というよりは、現にやっておられる方の経過規定でございますから、事務量としてはかなりたくさんになると思いますが、そうむずかしいことではなかろう。それから実際に新しくこの法律によって一定の資格を持つ電気工事士を置いて新たにつまり登録を受けられる方の件数は必ずしも当初の年であるから非常に一時的に殺到するという事情にはないんじゃなかろうかと思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、先ほど申しましたように初年度でございますし、この法律が年度半ばにできますので、ことしは確かに仕事をやっていただく都道府県にかなりいろいろお願いしなければいかぬ面があろうかと思いますけれども、逐次ひとつ都道府県と御相談いたしまして、できるだけ円滑に仕事を進めていっていただけるように御相談いたしたいというふうに思っておるわけでございます。
#85
○矢追秀彦君 それから法案の中身に入りますけれども、第三条の「電気工事業者の登録の有効期間は、五年とする。」となっておりますが、これを五年とされた理由について伺います。
#86
○政府委員(馬場一也君) この登録に有効期間を設けましたのは、登録をして一定の年数がたちますと、新電気工事業者のところに置かれております主任電気工事士等の異動等、いわゆる当初登録を受けました実態と乖離するような状態が起こり得ますので、五年ごとに一ぺんずつ見直しをいたしまして、引き続き登録を受けたときの当初の条件が維持されておるかどうかということを確認をする意味でございます。その期間を五年にいたしましたのは、この法律によっておるわけでございますが、登録にいろいろ有効期間をつけてやっております例といたしましては、たとえば建設業法による建設業者の登録の有効期間は二年あるいは計量法による製造業者の登録はたとえば十年に一ぺんずつ見直しをするという各種の立法例がございますが、この法律では一応五年というふうにきめてあるわけでございます。
#87
○須藤五郎君 まず最初に伺いたいのは、これは議員立法ですね。政府は何で政府の責任においてこの法案を提案しなかったのかという点が一点です。議員立法にはよい面と悪い面とあると思うんです。各党が相談しあって、これはよい、これは国民のためにプラスになる法案だという結論のもとに各党が議員立法で提案する法、これはぼくはよい例だと思うのですが、ある議員の所属する会派とかある議員の考えでそういう面の利益というものを表に出してきた議員立法は、私はこれは悪い議員立法だと思うのです。この法案を見てみますと、私は残念ながら悪い面に属する議員立法だという感じがするんですよ。そこでこういう質問をするわけですが、何で政府はこれを政府提案の法案としなかったのか、なぜ議員立法にまかしたのかと、こういう点説明してください。
#88
○政府委員(馬場一也君) 先ほど来お答え申し上げておりましたように、通産省におきましては、電気工事の保安を確保するという見地から、いろいろ電気用品取締法なり電気工事士法というような各種の法律がございますけれども、結局電気工事をする企業でありますところのこの電気工事業自身の規制をいたしませんと、保安の確保が十分でないという見地から、電気工事業の保安を目的とする立法というものをかねがねから考えておったいきさつがございます。しかしながら、一方電気工事業は工事業の一種でございますので、御承知のように建設業法という一般法の中に電気配線業としてその一環になっておりまして、通産省が電気工事業だけを抜き出していろいろ登録制なりその他保安規制の立法をいたしますときには、建設省とのいわゆる権限調整と申しますか、両省の話し合いがいずれにしても必要になるわけでございまして、それに過去非常に長い期間調整をはかってまいりましたけれども、残念なことに両省の間でその調整がどうしてもつきませんで、一方電気工事の保安の目的はゆるがせにすることができないというようないきさつから、議員立法ということでお取り上げをいただきまして、両省の間を調整していただいた、こういういきさつでございまして、通産省と建設省との間の調整がつかなかったことについては、私も非常に残念に存じますけれども、経緯はそういういきさつで議員立法になっておるわけでございます。
#89
○衆議院議員(海部俊樹君) 議員立法にいたしました理由は、いま大体申し上げたとおりであります。おそらく先生の御指摘は、自民党の議員ばかりで提案しているからよくない議員立法であると。われわれも当初は、委員長提案のような形になればと思って、衆議院のほうで各党の代表の皆さん方にいろいろ案を示して御相談いたしたことがございます。なお率直に申し上げますと、これは与野党の皆さん方の御意見を聞いて、七項目に及ぶ修正等を完全にいたした内容になっております。ですからわれわれは、わが党だけの提案になったことはたいへん残念でありますけれども、その出し方だけによって、これはいい議員立法悪い議員立法ときめつけられることはたいへん残念であります。内容は一党一派に片寄ったものでは絶対にございませんので、御理解をいただきたいと思います。
#90
○須藤五郎君 いま政府答弁を聞いていると、建設省との間の調和がとれなかったために議員立法にしてもらった、こういうことですが、そうすると、この法案の成立自体に、政府部内のなわ張り争いといいますか、官僚のなわ張り争いと言われてもしようのない、そういう変ないやな面が、ここに、もう提案する前からそういう状態の中で提案されているということがはっきり言えると思うのですよ。そうなりますとね、この法案がはたして成立した暁、建設省と通産省の間で円滑にこれが運営されていくかどうかということに対して、やはり懸念をしなくちゃならぬ。
 それから先ほどの提案者の意見ですがね、ほんとうにいい議員立法なら、野党の諸君も全部賛成すると思うんですよ。野党の議員が共同提案者にならぬというところに、私、この法案のやはり問題点がある、こういうふうに思いますよ。
#91
○衆議院議員(海部俊樹君) 前段で御指摘の通産省と建設省のことに関しましては、私ども法案を提出いたします以上、そのことによって両省の間にいろいろな問題が残ってはいけないと思いましたので、私どもの与党内部におきまして、商工部会と建設部会の正副部会長会議に通産省及び建設省両方来ていただいて、それぞれの意見を全部聞いて、そしてこの法案の最終的な詰めの場合に、両省の意見を全部取り入れまして、建設業法との、特に主として二重規制の問題が両省の間ではこれまでわだかまりになっていたようでありますが、それは二重規制の問題を完全に避けるという法律内容に修正するとともに、両省の覚え書きをきちっと交換してありますので、この法案を提出する前の段階において、わだかまりは完全に解消しておる、こういうふうに判断しております。
#92
○政府委員(馬場一也君) 補足して申し上げますが、いま先生のお話にありましたように、この法案が議員立法として提出されるということがきまりました昨年でございますが、通産省、建設省の間におきまして、この法案の成立運用につきましては両省協力をするという了解ができておりまして、先生御心配のようにこの法案ができましてから両省の間で運用にあたってわだかまりといいますか、ふぐあいが生ずるようになっておらないことを申し上げます。
#93
○須藤五郎君 そういう話し合いがちゃんとついてるなら、なぜ議員立法にするんです。それならもう通産省と建設省の間に話し合いがついているならば、政府提案の法案としてちゃんとできるじゃないですか。そこらがどうしても私には理解できません。話し合いがついてないからこういうことになっているんじゃないですか。ついたら一本にしたらいいじゃないですか。
#94
○衆議院議員(海部俊樹君) 私どもは本来議員立法は政府提案の法律より下につくものだというふうには考えたくございませんので……。
#95
○須藤五郎君 もちろんそうです。
#96
○衆議院議員(海部俊樹君) 話をつける努力は懸命にいたしますが、話がついたからといって、じゃ今度は政府提案に途中で切りかえようということは、いろいろ抵抗等もありまして、話はつけますが、議員立法でせっかく出してお願いして、この六年間、野党の御意見を聞いて三回も修正してきた内容でありますので、議員立法で今国会やらせていただいた、こういう経過になっております。
#97
○須藤五郎君 もう二点だけ質問しますが、電気工事士についての保安上の重大な問題があるとするならですよ、電気工事士の資格内容をきめておるところの電気工事士法、これを改正するなり、工事そのものを規制する各種の法律を改正することも私は必要ではないかと思うんです。とするならば、これは明らかに政府の責任で法律の改正なり提案をすべきではないか、こう私は考えておるんですが、どうですか。政府並びに提案者の意見を聞いておきましょう。
#98
○政府委員(馬場一也君) 電気工事士法という法律がございますけれども、電気工事士法はその目的にも書いてございますように、いわゆる電気工事の作業に従事する人の資格あるいは義務、一定以上の資格のある人でなければ電気工事にタッチしてはいかぬという、作業に従事する人の資格をきめた法律であるわけでございます。先ほど来お答えいたしましたように、そういう人の資格なり経験なりのきめ方、与え方につきましてもいろいろ現行の電気工事士法のたてまえでいいかどうかという点は、われわれ事態の推移に伴いまして絶えず検討はいたさなければいけませんが、いずれにいたしましても、電気工事士というのはそういう性格の方である。しかし、電気工事そのものは、われわれ一般家庭の人が電気工事を頼みますときには結局電気工事士に頼むといいますよりは、電気工事士を雇用してやっております電気工事業者に頼むわけでありますから、電気工事業者そのものの規制と保安の面からする規制というものがございませんと、どうも電気工事士の資格なり何なり、作業に従事する人の規制をやっただけでは十分でないと、こういう法の目的そのものが違うわけでございまして、この法律は、いわば電気工事士を雇用いたしまして電気工事を業としてやるわれわれの相手方になるものについて一定の主任電気工事士を置くなり、いろんなことをやってまいりたいということを要求する法律でございますので、法の領域が若干違うんじゃなかろうか、かように考えておるわけでございます。
#99
○衆議院議員(海部俊樹君) ただいまの御指摘の点は、この法案だけでは不十分であるので、工事士法とか電気用品取締法とか、そちらのほうの至らない点も改めるべきではないか、こういう御趣旨の御質問と私は受けとめておりましたが、御指摘のように、この法案だけができまして工事店というものを規制いたしましても、工事士法にも私はやや至らない点があろうかと思います。たとえば諸外国の立法例とか、あとのいろいろな何々士という、士法と比べましてどうも条件がゆるやか過ぎるような感じもいたしますし、あるいは電気用品取締法でも、この間電気蚊取り器の漏電事故で子供に一人犠牲者が出てから一部改正をいたしたような点もございまして、至らない点もたくさんあると思います。たとえば工事士の免許の更新制度なんかも取り入れなければならぬだろうし、新しい技術に対する訓練、教育等も受け入れていかなければならぬと思います。これらのことは、この法律と合わせて解決をしていかなければならない問題だと私は判断いたしております。
#100
○須藤五郎君 議員立法されたあなたの立場でぼくは議員立法が政府立法よりも下だとか、そんなことを考えているんじゃないんですよ。議員立法には、政府提案の立法よりもいい面もあるわけですね。いい面があると思うんですね。しかしまた悪い面もある。その悪い面がここに出ているということを私は言っているのであって、すべて政府提案でやれと言っているんじゃない。政府提案必ずしもよくない。政府提案はこれまでの私たちの観測するところによると非常に悪いやつがたくさんある、こういうことも言えるんですね。それからいま規則の改正強化というようなこともあなたおっしゃいましたけれどもそれも必ずしも規則を強化して規則でがんじがらめにしていけということを私は言っておるんではないんですよ。そういういろいろな矛盾を私は言っているんであって、規則さえ厳重に強固にしていったらすべての問題が解決するということを私は言っているんじゃないから、そういうふうな誤解はしていただきたくないんです。
 時間がありませんから、私、最後の質問に入りますが、この法案については、さきの五十八国会におきまして、他の党が全部賛成してわが党だけが反対をして成立しました理容師法及び美容師法の一部改正という法がありましたが、その法案と非常に私は酷似しておるように思えてならないわけです。御承知のようにあの法律は成立後全国的に理容師や美容師による猛烈な反対運動が行なわれてきております。そのことも皆さん方も御承知だと思うんです。この電気工事士法の場合におきましても、第一に工事業者の団体などによる権益の保護に連なるんではないかというそういう点が一つありますね。もう既成事業をやっている人たちの利益を守るためにこれから新しく事業を始めようという人を閉じる、排除していくというための面があるという点です。第二に、三年間の実務経験ということによりまして、従来ならすぐ自営も可能だ、自分で経営することも可能な人が、三年間は被雇用者として安い給料で働かされると、こういうことも起こってまいります。これが第二の問題だと思うんです。第三の問題は、こうした結果、国はみずから定めたところの電気工事士の資格、免許の権威を否定することになるんではないか、こういうふうに私は考えますが、それに対しまして、提案者及び政府の見解を聞かしていただきたいと思うんです。こういう点から、私は今度の議員立法がよくない法案だと、こういうことが言えると思うんです。
#101
○衆議院議員(海部俊樹君) 御指摘の理美容師法案との対比に関しましては、私も当該委員会の委員でございませんので内容を熟知いたしておりませんが、ただこちらは人の命に関する業でございますし、向こうは顔や頭を、ことばは悪いが、きれいにしようということでございまして、人命というものに関する角度が根本的に違うようにも思いますし、たまたまその経験年数が三年ということは、おっしゃるように完全に一致しておりますが、ねらっております角度が全く違うという点が一つあるのではなかろうかと判断いたします。
 それからなお私どものほうは、理・美容師会が全国でどういう反対をしたかわかりませんが、全国の電気工事業を現に営んでいらっしゃる方の中に、表立ってあからさまに反対していらっしゃる方はないのではなかろうか、こういうふうに判断をいたしております。
 それから三年間の経験の問題でありますが、これは理・美容師の例だけおっしゃいましたが、ほかにもいろいろと例はあるわけでございまして、たとえば運行管理者というようなものも、運送事業所等には必ず三年以上の経験者がおらなければならぬという規則がございますし、タクシー会社でも五台以上あるところは運転経験三年以上の者がおるわけですし、建設業のほうではすでに以前から三年以上の経験を持つ主任技術者がおらなければならぬとか、いろいろそういった経験を尊重する制度というものが日本や諸外国にもずいぶんあったわけでございます。それは個人が試験さえ受かったら憲法上認められた職業選択の自由があるじゃないか、それを不当に三年間制約するのじゃないかと、いろいろ議論もございまして、われわれも検討し判断もいたしたところでございますが、結局わが国の電気工事士法というのは、いま最も低い次元で言いますと、新制中学を卒業されて一年のボケーショナルトレーニングで十六歳で工事士になることができる。十六歳の人を疑ったり、いけないというのでは決してありませんが、わが国の法体系からいって、これを未成年者という扱いをして、権利義務の主体として認められておらぬ人がそういったことの技術者になってしまうこと自体、再検討しなければならぬ問題があるのではなかろうか、こういう角度等から判断しまして、いろいろな角度の関連から三年ぐらいの経験が管理技術者には適当であろう、こうした判断をいたしたわけでありまして、本来ならば経験は七年ぐらいあったほうがいいとか、工事士の数も理容師・美容師の方のように三人くらいはおったほうがいいとか、いろいろ議論したことはございましたが、それは零細業者の弾圧になるのでやめたほうがいいということで引っ込めた、こういう経緯等もございまして御指摘のような問題点が起こらないように十分配慮して修正もし、やってきたつもりでございます。御了解願います。
#102
○政府委員(馬場一也君) これは海部先生の答弁で尽きているかと思いますけれども、電気工事士というものは作業に従事する立場にある人でございます。主任電気工事士というのはいわゆるそういう作業をする人を管理すると申しますか、いわゆる管理技術者という面でございますので、結局電気工事士の資格を持つ人が一定の経験を経て初めて今度は電気工事等の電気工事士を管理する技術者になれるのではなかろうか、こういう点で両者の間におのずから資格の相違があろうかと思いますので、電気工事士法という一つの法律があれば、あるいはその内容を変えれば足りるのだという問題ではないような感じは私はいたしております。
#103
○須藤五郎君 政府が電気工事士という試験免許を与えているのでしょう。その与えている免許に、なお三年の年期といいますか、それを要するということは、このせっかく与えた電気工事士の免許の、私は権威を落とすものであるし、また、その試験を受けるために勉強して、やっとこれで一人前で自分がひとり立ちになって仕事ができる、こういうように思っている人を、なお三年間安い月給でほかの店で働かす、こういう結果がくるのですよ。それは働かせるほうはこれは得します。ちゃんと資格を持った人が三年間安い給料で働いてくれるのですから。そんなけっこうなことはない。だからそういう人を働かせる側の人たちはみなこの法案に賛成なんです。ところが働く者の側になればこの法案に反対なんです。私はそう言うが、あなた一人も反対意見がないなんて、冗談じゃないですよ。たくさんの人からこの法案にぜひ反対してくれと言って、たくさん請願がきていますよ。そういうふうに利益の対立するような、ある階級には利益になり、ある階級には不利益になるというような、こういう法案を議員立法でやることは、一方の利益になる側の利益を代表するいわゆる自民党さんの皆さんというとおこるかも知らぬけれども、やはりそういう形で自民党だけの議員立法ということになると問題がある。だからそういう点で私はこの議員立法は悪い面に属する議員立法だということを申し上げたのでございます。決してこれはみんなが喜んでいる立法ではないということは明らかに私は言うことができると思います。――けっこうです。
#104
○理事(大谷藤之助君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#105
○理事(大谷藤之助君) 速記を起こして。
 暫時休憩いたします。
   午後三時二十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時二十八分開会
  〔理事大谷藤之助君委員長席に着く〕
#106
○理事(大谷藤之助君) ただいまから商工委員会を再会いたします。
 電気工事業の業務の適正化に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。――別に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#107
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#108
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 電気工事業の業務の適正化に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#109
○理事(大谷藤之助君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#110
○理事(大谷藤之助君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。
 川上君から発言を求められておりますので、これを許します。
#111
○川上為治君 ただいま可決されました電気工事業の業務の適正化に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党共同提案により、附帯決議案を提出したいと存じますので、御賛同をお願いします。案文を朗読いたします。
  政府は本案の施行に当り次の諸事項の実現につき努力すべきである。
 一、電気保安協会による定期検査が的確に行なわれるよう十分に指導すること。
 一、電気工事士に対する研修、講習等を行なって資質の向上に努めるとともに、電気工事士法についても検討すること。
 一、本法の運用に当っては、中小電気工事店の経営に影響を与えないよう特に配慮するとともに、中小電気工事店の業務の近代化の指導にあたること。
  右決議する。
#112
○理事(大谷藤之助君) ただいまの川上君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#113
○理事(大谷藤之助君) 全会一致と認めます。よって川上君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。
#114
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御決定のございました決議につきましては、政府はその御趣旨を尊重いたしまして行政を進めてまいります。
    ―――――――――――――
#115
○理事(大谷藤之助君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査中、当面の石炭対策に関する件を議題といたします。
 本日、石炭対策に関する小委員会において、本委員会に対し、石炭政策に関する決議案が提案されました。本決議案につき、この際、川上小委員長により報告を聴取いたします。
#116
○川上為治君 本日の石炭対策に関する小委員会において、当委員会に対し、左のとおりの決議案を提案することとなりましたので、この際、これを御報告申し上げ、委員各位の御賛同をお願いします。案文を朗読いたします。
    石炭政策に関する決議案
  わが国の石炭鉱業は、第四次石炭政策の実施以来すでに一年を経過したが、その間、閉山規模は予想を上回り、このまま推移すればなだれ閉山≠ニなり、石炭産業はもとより地域経済に重大な混乱をまき起すおそれがあるなど、わが国石炭鉱業をめぐる情勢は一段ときびしいものがある。
  しかし、エネルギー源としての石炭の地位は低下したとはいえ、石炭の生きる途が閉ざされたわけではない。わが国鉄鋼業等の飛躍的な生産の拡大に伴い、原料としての石炭の地位は高まっており、原料炭を供給することこそ、今後の石炭鉱業の使命である。
  かかる事情にかんがみ、政府は一般炭を原料炭に転換する技術の開発と内外原料炭の確保とに今後の石炭政策の重点を置くとともに、当面つぎの諸対策の実施にとくに努力すべきである。
 一、石炭鉱業審議会体制委員会の答申をなるべくすみやかに得られるよう努力すること。
 二、ユーザ側の協力を得て一般炭の炭価引き上げを検討すること。
 三、一般炭コークス化の開発を促進するとともに、低硫黄一般炭の確保をはかること。
 四、労働力を安定的に確保するため、福利厚生、労働条件等の改善に努めること。
 五、炭鉱の自主的保安体制を確立するため、監督指導の強化および助成の拡充についてさらに体系的かつ具体的な対策を進めること。
 六、産炭地域振興対策および鉱害対策について、一層の拡充をはかること。
 右決議する。
#117
○理事(大谷藤之助君) ただいまの報告に関し、御意見、御質疑のある方は御発言を願います。――別に御発言もなければ、ただいま川上小委員長から報告のありましたとおりの決議を行なうことに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#118
○理事(大谷藤之助君) 全会一致と認めます。よって本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
#119
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御決定のございました石炭政策に関する御決議につきましては、政府は、今後行政を進めます上にその趣旨を十分尊重してまいる所存でございます。
    ―――――――――――――
#120
○理事(大谷藤之助君) 次に、請願第一一三五号外四件を議題といたします。
 本件につきましては、便宜理事会においてあらかじめ慎重に検討いたしました結果、請願第一一三五号、第一七九一号については、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付することを要するものとするよう協議いたしました。
 この際おはかりいたします。ただいまの請願第一一三五号、第一七九一号を採択することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#121
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#122
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#123
○理事(大谷藤之助君) この際、継続調査要求についておはかりいたします。
 産業貿易及び経済計画等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#124
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#125
○理事(大谷藤之助君) 次に、閉会中の委員派遣要求に関する件についておはかりいたします。
 産業貿易及び経済計画等に関する調査のため、閉会中に委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#126
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣に関する諸般の手続については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と味ぶ者あり〕
#127
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、本院規則第百八十条の二により議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#128
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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