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1970/03/05 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 農林水産委員会 第3号
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1970/03/05 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 農林水産委員会 第3号

#1
第063回国会 農林水産委員会 第3号
昭和四十五年三月五日(木曜日)
   午前十時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十四日
    辞任         補欠選任
     小林 国司君     若林 正武君
 三月二日
    辞任         補欠選任
     若林 正武君     小林 国司君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         園田 清充君
    理 事
                亀井 善彰君
                高橋雄之助君
                北村  暢君
                藤原 房雄君
    委 員
                青田源太郎君
                河口 陽一君
               久次米健太郎君
                小枝 一雄君
                櫻井 志郎君
                鈴木 省吾君
                田口長治郎君
                任田 新治君
                森 八三一君
                和田 鶴一君
                川村 清一君
                武内 五郎君
                中村 波男君
                前川  旦君
                村田 秀三君
                向井 長年君
                河田 賢治君
   国務大臣
       農 林 大 臣  倉石 忠雄君
   政府委員
       農林政務次官   宮崎 正雄君
       農林大臣官房長  亀長 友義君
       農林大臣官房予
       算課長      大場 敏彦君
       農林省農林経済
       局長       小暮 光美君
       農林省農政局長  池田 俊也君
       農林省農地局長  中野 和仁君
       農林省畜産局長  太田 康二君
       農林省蚕糸園芸
       局長       荒勝  巖君
       農林水産技術会
       議事務局長    横尾 正之君
       林野庁長官    松本 守雄君
       水産庁長官    大和田啓気君
       水産庁次長    藤村 弘毅君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
    ―――――――――――――
○農林水産政策に関する調査
 (昭和四十五年度農林省関係の施策及び予算に
 関する件)
○派遣委員の報告
    ―――――――――――――
#2
○委員長(園田清充君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農林水産政策に関する調査を議題とし、昭和四十五年度農林省関係の施策及び予算に関する件について調査を行ないます。
 まず、農林大臣の所信を聴取いたします。倉石農林大臣。
#3
○国務大臣(倉石忠雄君) 農林大臣に就任いたしましてから約一カ月半を経過いたしましたが、農林水産業及びこれをめぐる内外の諸情勢がまことに容易でない時期でもあり、その職責のきわめて重大であることを痛感いたしておる次第でございます。全力をあげてこの重責を果たしてまいる所存でございますので、委員各位の御理解ある御協力をお願い申し上げます。
 最近の農業をめぐる諸情勢の変化は著しく、米の過剰をはじめ種々困難な問題に直面しております。このような情勢に対処して、政府としては総合農政の展開をはかることとし、その具体化につきまして昨年九月の農政審議会の答申の線に沿い鋭意検討を続けてきております。
 本日はこの機会をかりまして、農林水産業に対する施策についての私の所信を申し述べ、今国会に提出いたします農林省関係の予算案及び法律案につき、委員各位の御審議の御参考に供したいと存じます。
 第一に、今後の総合農政の推進にあたって最も重要なことは、規模が大きく高能率の近代的農業を育成していくことであると考えております。自立経営農家の育成により、その生産が、農業生産のかなりの部分を占めるように努力するとともに、あわせて今後とも兼業農家がなお相当の割合を占めるものと考えられますので、兼業農家をも含めた各種の集団的生産組織を育成助長することにも努力していきたいと考えております。さらに、基幹施設を有機的に結合して生産から加工、流通まで一貫して組織化される広域営農集団の形成を進めてまいりたいと考えております。
 このような近代的農業を育成するためには、何よりも構造政策の一層の推進をはかっていかなければならないと思います。このため、本特別国会においては、農地法の改正法案等の構造政策関連法案の提出を予定しておりますので、よろしく御審議賜わりますようお願いいたします。
 また、中高年齢層を多数かかえた就業構造の改善をはかることが重要であることは言うまでもありません。そこで農業者が希望に応じて他産業へ円滑に転職できるよう離農の援助促進のための施策を進めていく考えであります。特に農地の利用との調整をはかりながら農村地域の工場誘致を積極的に進めることとし、関係各省と協力して所要の措置を講じていくこととしてまいる考えであります。
 また、来年度から農業者年金制度を創設し、農業者が農業から引退しても老後の不安が残らないようにするとともに、これが経営規模の拡大に資するようにしてまいりたいと考え、これがため、本国会におきまして所要の法案を提案する所存であります。
 このように、農業構造の改善を進めるにあたっての大きな前提となるのは、土地基盤の整備であります。このため、大規模農道等農道網の整備、圃場条件の整備、草地の造成改良など農業生産基盤の整備開発などに力を入れていきたいと考えております。
 第二は、近年、食料の自給率が低下する傾向にありますが、私は、人口が一億をこえるわが国において国民が必要とする食料を大幅に海外に依存するのは適当でないと考えており、今後の農業生産は従前にも増して需要の動向に即して進めることが特に必要であると考えます。
 最近の米の需給の動向を見ますと、国民の食生活の変化により消費は減退しているのに対し、生産は増加しているため、相当な供給過剰の状態になっており、今後ともこの基調に変化はないものと思われます。
 このような米の需給事情にかんがみ、政府の米管理の面におきましても、生産者米価及び消費者米価の水準を据え置く方針をとることとするとともに、米の需要の増進に努力いたす考えであります。
 さらに、新規開田、干拓は極力抑制するとともに、米の生産調整を緊急の課題として実施することといたしました。すなわち、政府としては、米生産調整目標数量を百万トン以上とし、これに見合う水田の作付転換等を奨励するとともに、五十万トンに見合う水田の他用途への転用を見込むことにより米の減産を期することにしております。農地の転用については、私は、農業生産の基礎である農地について、その無秩序な壊廃の防止に十分留意しながらその転用の許可基準の緩和を早急にはかるようにいたしたいと考えております。
 畜産物、園芸作物などについては、需要の伸びが見込まれますので、生産性の向上を基本として生産の振興につとめる考えであります。畜産物については、飼料基盤の整備を中心に対策を進め、また養蚕、野菜、果実などの園芸作物については、主産地を中心に安定した供給を確保するよう対策を講じてまいる所存であります。
 また、地域の特性を生かして、米ばかりでなく畜産物、野菜、果実などを農業者が安心して生産できるように将来の望ましい農業生産の姿を明らかにしたいと考えております。
 第三に、農産物価格政策については、価格変動の著しい生鮮食料品のうち、新たに肉用牛、野菜などについて価格の安定のための対策に意を用いるつもりであります。さらに、農産物の流通、加工の問題も重要でありますので、その近代化を促進してまいりたいと考えております。
 第四に、都市に比べて立ちおくれている農村生活環境の整備と農村の整備、開発を推進することが重要であると考えております。
 このため、農村における道路、通信網、医療施設などの整備を進めることが是非とも必要であると考えております。
 次に林業についてであります。近年、木材需要は引き続き増大傾向にありますが、国産材供給が十分これに対応できないため、外材輸入の著しい増大を招いております。このような情勢に対処するため生産性の向上を基本として林業総生産の増大をはかることが必要であります。このため、林道網の整備など林業生産基盤の整備拡充をはかるとともに、里山の再開発により森林資源の有効利用につとめるほか、資本装備の高度化、森林施業の計画化、林業従事者の就労の安定等をはかることにより林業経営の近代化を促進してまいりたいと考えております。
 また、近年国土保全等森林の持つ公益的機能の発揮に対する要請が強まってきておりますので、これに応じ治山事業等の拡充をはかってまいる考えであります。
 水産業につきましては、近年、漁業労働力の逼迫、公害の増大、国際的規制の強化等に見られるように漁業をめぐる環境はきびしくなっております。このため、漁業生産は、中高級魚介類を中心に堅調に増加している需要に十分こたえることができず、水産物価格の上昇を見ております。
 このような情勢に対処するため、生産流通の拠点となる漁港につきまして第四次漁港整備計画に基づいて重点的整備につとめるとともに、海洋開発の立場から新漁場の開発、試験研究の推進、新技術の企業化の促進につとめる所存であります。
 また、沿岸漁業の振興をはかるため、沿岸漁業構造改善事業の推進の強化をはかるとともに、資本装備の高度化等による経営の近代化を進め、あわせて水産物の流通改善を促進する諸施策を推進してまいる所存であります。
 以上申し述べました農林水産業に対する施策の推進をはかるため、昭和四十五年度予算の編成にあたりましては、所要の財源の確保につとめ、主要な施策を推進するために必要な経費につきましては、重点的にこれを計上いたしたつもりであります。
 また、これらの施策の実施に必要な法制の整備につきましても、鋭意法案の作成を取り進めているところであります。
 以上、所信の一端を申し述べましたが、農林水産行政推進のために今後とも、本委員会及び委員各位の御支援、御協力を切にお願い申しあげる次第であります。何とぞよろしくお願いいたします。
#4
○委員長(園田清充君) 次に、昭和四十五年度農林省関係予算について説明を聴取いたします。宮崎農林政務次官。
#5
○政府委員(宮崎正雄君) 昭和四十五年度農林関係予算について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、昭和四十五年度の一般会計における農林関係予算の総体につきましては、農林省所管合計は八千五百三十億円で、これに総理府、厚生省及び建設省の他省所管の農林関係予算を加えた農林関係予算の総額は九千百七十七億円となり、これを昭和四十四年度の当初予算と比較しますと千五百十二億円の増加となります。
 以下、この農林関係予算の重点事項について御説明します。
 第一に、農業生産基盤の整備について申し上げます。
 農業の生産性の向上、農業構造の改善等農業の近代化をはかるためには、農業生産の基盤となる土地及び水の条件の整備開発が基本となるものであります。この観点から総合農政の方向に即して圃場条件の整備、基幹かんがい排水施設の体系的整備、農用地の開発等各般の事業を計画的に推進することとしておりますが、特に通年施行を含む圃場整備事業の強力な推進、広域営農団地農道の新規整備等農道整備事業の大幅な拡充、畑作及び畜産の振興に必要な事業の伸長を重点としております。
 なお、米需給の最近の動向及び今後の見通しにかんがみ新規開田については厳にこれを抑制する方針をとることといたしております。
 以上に要する経費として、一千八百九十億二千五百万円を計上しております。
 第二に、米対策に関する予算について申し上げます。
 米は、消費が減退する一方生産が増大しているため、恒常的な過剰状態にあります。このような事態に対処して緊急に米の需給の均衡をはかりますことは、当面する農政の緊急かつ重大な課題でありますので、農業者及び関係団体等の協力を得て、米の生産調整を本格的に実施することとしております。すなわち、百五十万トン以上を減産することを目途として、このうち百万トン以上について稲から他作物への転作等を通して生産の調整をはかることとし、そのため米生産調整奨励補助金を交付することとし、総額八百十四億七百万円を計上いたしております。
 なお、米の生産改善対策につきましては、米の主産地域を中心として生産性の高い稲作経営の確立を期するとともに米の品質改善に重点を置いて所要の施策を推進することとしております。
 第三に、農業生産の選択的拡大に関する予算について申し上げます。一まず、畜産の振興対策であります。その生産対策としましては、飼料自給度の向上をはかるため草地開発事業等を推進する一方、既耕地における飼料作物の積極的導入のための飼料作物増産対策を引き続き推進することとしております。
 次に、酪農経営の安定と肉牛資源の維持増大をはかるため、新たに市乳地域への乳用牛の輸送事業、流通粗飼料生産実験事業、肉用牛種畜生産基地育成事業等につき助成するほか、引き続き家畜導入事業、大規模牧場創設事業等を実施することとしております。
 また、中小家畜につきましても、優良純粋種豚の確保対策、国産種鶏増殖センターの設置助成等の新規事業を行なうほか、さらに、畜産全体について、家畜改良増殖対策、家畜衛生対策等の諸施策を推進することとし、畜産生産対策として合わせて一百四十一億六千三百万円を計上しております。
 また、畜産物の価格安定及び流通改善対策としましては、引き続き加工原料乳に対する不足払い制度の円滑な実施をはかるとともに学校給食用牛乳供給事業につき画期的な内容の充実をはかることとし、前年に対し六十万石増の二百七十万石の供給を確保するとともに、一人当たり供給単位、補助単価の改善を行なうこととしております。
 さらに、新たに肉用牛について、肉用子牛及び乳用雄肥育牛の価格の異常な下落の場合に生産者に対し、生産者補給金を交付する事業を行なうとともに、牛肉の流通機構の合理化をはかるため、肉用牛の主産地において牛肉の処理加工施設の設置につき助成することとしております。
 以上のほか、生乳流通改善施設、食肉センターの設置等を推進することとし、畜産物の価格安定及び流通改善対策として合わせて二百六十二億八千万円を計上しております。
 次に、蚕糸園芸振興対策であります。
 まず、養蚕生産対策としましては、繭生産改善推進施設設置事業を引き続き実施するほか、新たに養蚕の経営規模の拡大に対応して多回育養蚕技術指導パイロット事業を実施することとしております。
 野菜生産対策としましては、指定野菜の拡大、指定産地の増加等野菜指定産地の計画的育成をはかることとし、果実生産対策としましては、近代的な生産出荷の基盤となる濃密生産団地の形成を進めるため、果樹広域主産地形成事業、果樹栽培省力化促進事業を拡充実施するほか、新たに最近の果実の生産、消費の動向にかんがみ、産地の体質改善と果実の品質向上をはかるため、優良品種への更新、夏カン園等の再開発を内容とする果実品質改善緊急対策事業を実施することとしております。
 特産農産物及び甘味資源作物の生産対策としましても、それぞれ引き続き地域特産農業推進対策及び甘味資源生産合理化推進地区の設置等の事業を推進することとし、蚕糸園芸生産対策として以上合わせて四十三億九千六百万円を計上しております。
 また、野菜の価格安定及び青果物の流通改善対策としましては、野菜生産出荷安定資金協会の行なう野菜の価格補てん事業について、その対象品目の拡大、交付予約数量の追加を行なうほか、野菜価格の異常低落時の補てん事業を実験的に実施する等本制度の拡充をはかるとともに、温州ミカンの越年出荷を調整する産地貯蔵施設、優良品種のリンゴの品質保持と出荷調整をはかるための産地冷蔵施設、果実の加工需要の拡大に資するための近代的な果汁工場の設置に対する新規助成等を行なうこととし、合わせて十三億九千七百万円を計上しております。
 次に、麦の生産改善対策でありますが、機械化の推進と品質の改善により生産性を向上しつつ主産地の育成を推進することとし、麦作団地育成対策事業等を引き続き拡充実施することとし、六億五千四百万円を計上しております。
 第四に、農業の構造改善の推進に関する予算について申し上げます。
 まず、農地保有合理化法人による農地移動の方向づけ等農地制度を改善して農地の流動化を促進するため所要の措置をとることとし、二億三千七百万円を計上しております。
 次に、昭和四十四年度から発足した第二次農業構造改善事業については、四十五年度からその事業実施に着手するとともに、従前の農業構造改善事業についてその計画的達成を目途とし、合わせて二百二十二億二千三百万円を計上しております。
 また、農業振興地域の整備に関する法律に基づき、土地の農業上の有効利用、農地保有の合理化、農業経営の近代化及び生産基盤の整備に関する措置を総合的計画的に推進するため、引き続き農業振興地域の指定及び農業振興地域整備計画の樹立を進めることとし、二億八千四百万円を計上しております。
 また、農業者の老後の生活の安定をはかるとともに、農業経営の移譲の促進等を通じて農業構造の改善に資するため、農業者年金の給付、離農給付金の支給、農地等の買い入れ等を行なう農業者年金制度の創設をはかることとし、三十六億五千七百万円を計上しております。
 以上のほか、広域の農業地域において生産から出荷販売にいたる一貫した体制の組織化をはかるため広域営農団地育成対策を新たに実施するとともに、農業者の転職対策を含め、農業就業構造改善対策の充実等をはかることとしております。
 第五に生鮮食料品等の流通機構の整備、消費者保護対策、農林関連企業対策に関する予算について申し上げます。
 さきに御説明しました畜産物、青果物の流通の合理化対策等のほか、生鮮食料品等の流通機構の整備をはかることとし、中央卸売市場及び地方卸売市場の施設整備の充実をはかるとともに、小売り業対策等の強化をはかることとし、合わせて三十四億八千八百万円を計上しております。
 また、農林物資の規格及び表示に関する制度に抜本的改善を加えること等消費者保護対策の強化に一億四千百万円、中小企業の近代化促進、食品関係企業対策の強化等農林関連企業対策に一億二千九百万円を計上いたしております。
 なお、以上の措置に加えて、農林漁業金融公庫に設けられた卸売市場近代化資金及び国民金融公庫に設けられた生鮮食料品等小売業近代化貸付制度の拡充をはかることとしております。
 第六に、林業の振興に関する予算について申し上げます。
 林業生産基盤の整備につきましては、林道事業、造林事業を計画的に推進することとし、合わせて二百三十二億五千七百万円を計上いたしております。
 林業生産対策につきましては、森林計画制度、森林病害虫等防除事業等を継続実施するほか、優良種苗確保事業を充実し、また、里山地帯を中心とする低位利用の広葉樹林の合理的利用の促進等による資源の高度利用をはかるため、里山再開発事業について、昭和四十四年度のパイロット事業に引き続き事業の本格的実施に入ることとしております。また、林業構造改善対策につきましては、引き続き林業構造改善事業につき、五十二億三千万円を計上し、計画的にこれを推進するほか、入り会い林野の整備を促進するとともに、新たに通年就労促進対策を実施する等、林業労働力対策の拡充強化等をはかることとしております。
 さらに、国土の保全等をはかるため、治山事業につき三百三億四千万円を計上してその計画的推進をはかるとともに、保安林整備管理事業を強化することとしております。
 第七に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。
 漁業生産基盤の整備につきましては、漁港整備事業、大型魚礁設置事業、浅海漁場開発事業等の拡充実施をはかることとし、合わせて二百三十六億五千九百万円を計上いたしております。
 漁業資源の維持増大につきましては、遠洋の未開発漁場について大規模な開発調査を拡充実施するとともに、引き続き沿岸漁場等における水産資源の保護培養対策の強化、内水面における地域振興対策の拡充等のほか、新たに資源事情、国際規制等により生産の増加が期待できないサケ、マグロ類、カニ類を大規模にふ化養殖する技術を開発するための実験事業を実施することとし、これらに要する経費二十八億一千六百万円を計上いたしております。
 また、沿岸漁業構造改善事業を引き続き計画的に推進する等沿岸漁業の経営の近代化等に七十三億一千百万円、水産物の流通加工の改善対策として三億八千三百万円を計上いたしております。
 なお、第二次沿岸漁業構造改善対策事業につきましては、全国対象地域百八地域、総事業費はおおむね補助事業八百五十四億円、融資事業五百六十億円で四十五年度以降九年間に計画を樹立して実施することとし、四十五年度においては二十四地域につき計画調査を行なうこととしております。
 また、漁船損害補償制度の実施費として十五億八千七百万円、漁業災害補償制度の実施費として二十三億八百万円を計上いたしております。
 第八に農林漁業の近代化の推進に必要な農林漁業金融の拡充について申し上げます。
 まず、農林漁業金融公庫資金につきましては、新規貸し付け計画額を二千三百億円に拡大し、農林漁業経営構造改善、基盤整備及び卸売市場近代化等に必要な資金の拡充をはかるとともに、新たに畜産公害に対処するための貸し付け対象事業の拡大等融資内容の整備をはかることとしております。
 この原資として財政投融資千五百十九億円を予定するとともに、一般会計から同公庫に対し補給金百三十四億一千二百万円を交付することといたしております。
 次に、農業近代化資金融通制度につきましては、貸し付け資金ワクを三千億円とすることとし、所要の利子補給補助等を行なうとともに、同資金にかかる債務保証制度を充実強化するため、農業信用基金協会に対する都道府県の出資について引き続き助成する等の経費八十億七千八百万円を計上いたしております。
 また、農業改良資金制度につきましては、農業後継者育成資金について貸し付けワクの大幅な拡大と、一人当たりの貸し付け限度額の引き上げをはかる等により貸し付けワクを百四十億円に拡大して、これに要する経費四十三億二千百万円を計上いたしております。
 さらに、漁業近代化資金融通制度につきましては、貸し付け資金ワクを二百五十億円に拡大することとし、これに要する経費一億九千九百万円を計上いたしております。
 以上のほか、農林漁業施策の推進のために重要な予算について申し上げます。
 まず、農山漁村の環境整備につきましては、農林漁業用道路の整備拡充、生活改善特別事業、僻地農山漁村電気導入事業、振興山村農林漁業特別開発事業等の継続実施のほか、新たに農村食生活改善推進事業、山村開発センターの設置助成、農村住宅団地建設計画の推進等を実施することとし、これらに要する経費二百十億七千九百万円を計上いたしております。
 次に、農林水産業の試験研究につきましては、試験研究費の増額、試験研究体制の整備、都道府県に対する助成の充実等により試験研究の拡充強化をはかるとともに、新たに浅海域における増養殖漁場の開発及び施設農業における光質利用の技術化に関する総合研究等を行なうことといたしております。
 また、畜産振興の基礎をなす技術開発、特に草地を中心とする試験研究の飛躍的向上をはかるため、その効率的な推進体制を整備するものとし、新たに農林省の付属機関として草地試験場を設置するとともに、熱帯特に、東南アジア地域の農業協力とわが国の農業研究の発展に資するため、農林省の付属機関として熱帯農業研究センターを設置することといたしております。これらに要する経費として百六十三億八千三百万円を計上いたしております。
 次に、農林水産業の改良普及事業につきましては、農業改良普及事業に八十六億六百万円、生活改善普及事業に十七億五千七百万円、畜産経営技術指導事業に四億三千万円、蚕業技術の普及指導に十二億二千二百万円、林業普及指導事業に十五億五千万円、水産業改良指導事業に二億七千七百万円を計上いたしております。
 以上のほか、農業災害補償制度の実施につきましては、所要の掛け金国庫負担のほか、事業運営基盤の強化をはかるため共済団体の広域合併の推進等を行なうこととし、これらの経費として四百十億二千万円を計上するとともに、農林統計調査の充実整備に四十三億七千五百万円、農業団体の整備強化に四十三億一千九百万円、農業資材の価格流通対策として二十五億三千四百万円、農産物の輸出振興対策として十四億二百万円、農林漁業関係災害対策公共事業として二百五十四億九千八百万円を計上いたしております。
 次に、昭和四十五年度の農林関係特別会計予算について御説明いたします。
 第一に、食糧管理特別会計につきましては、国内米、国内麦及び輸入食糧の管理について、前年度に発足しました自主流通米制度及びさきに御説明しました米の生産調整対策を勘案しつつ、食糧管理制度の適切な運営をはかることとしております。このため所要の予算を計上するとともに、一般会計から調整勘定へ三千十六億円を繰り入れることとしております。
 また、国内産イモでん粉及び輸入飼料の買い入れ等の実施のため所要の予算を計上し、一般会計から農産物等安定勘定に八億円、輸入飼料勘定に二十億円をそれぞれ繰り入れることとしております。
 第二に、農業共済再保険特別会計につきましては、農業災害補償制度の運営のため、必要な予算を計上しており、一般会計から総額二百七十五億六千百万円を繰り入れることとしております。
 第三に、国有林野事業特別会計につきましては、国有林野事業勘定において、国有林野事業の一そう合理的な実施運営をはかるとともに、治山勘定において民有林治山事業及び国有林野内臨時治山事業を実施することとし、必要な予算を計上しております。
 第四に、漁船再保険及び漁業共済保険特別会計につきましては、漁船再保険事業及び漁業共済保険事業の実施のため必要な予算を計上しており、一般会計から三十三億五千百万円を繰り入れることとしております。
 以上のほか、自作農創設特別措置、開拓者資金融通、特定土地改良工事、森林保険及び中小漁業融資保証保険の各特別会計につきましても、それぞれ所要の予算を計上しております。
 最後に、昭和四十五年度の農林関係財政投融資計画について御説明いたします。
 財政投融資の計画額としましては、農林漁業金融公庫ほか三機関及び一特別会計を合わせて総額一千七百十四億円の資金運用部資金等の借り入れを予定しております。
 これをもちまして、昭和四十五年度農林関係予算及び財政投融資計画の概要の御説明を終わります。
#6
○委員長(園田清充君) 本件についての質疑は後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(園田清充君) 次に、派遣委員の報告に関する件を議題とし、先般当委員会が行ないました委員派遣について、その調査報告をそれぞれ派遣委員から承ることといたします。
 まず、福岡、佐賀両県の御報告を願います。任田君。
#8
○任田新治君 福岡及び佐賀両県の調査結果について御報告いたします。
 去る二月八日から十一日までの四日間の日程で、達田理事、杉原、沢田両委員と私の四名が、福岡県及び佐賀県の農林水産業、特に農業構造改善事業を中心に、土地基盤整備、カントリー・エレベーター、農業試験場、漁港整備、ノリ漁業等の実情を調査してまいりました。
 まず、福岡県でありますが、九州農政局から九州の農業情勢について、次いで、県当局から福岡県の農業の現状及び計画の概要、林業、水産業の概況等について、それぞれ説明を聞いた後、三潴町のタマネギ冷蔵施設を視察いたしました。
 三潴町農業協同組合のタマネギ冷蔵施設は、工事費約七千三百万円、うち、農業近代化資金が四千百五十万円で、昭和四十四年に竣工、構造規模は、建物、鉄筋コンクリート約四百坪に、冷凍施設一式であり、四十二年度に建設されたタマネギ集荷場に付帯して冷蔵倉庫を増設したものであります。
 三潴町は、四十一年八月、タマネギ指定産地として指定され、団地造成を行なう等積極的な生産体制をとって、四十四年度実績は、作付け面積百五ヘクタール、生産数量五千トンで県内生産の七分の一を占め、生産計画の四十七年度の見通しは一万五千トンということであります。
 最近、全国のタマネギ生産意欲は目ざましく、特に北海道、兵庫県淡路の出荷、それに輸入品の出回りなどで、消費地の冷蔵倉庫の需要が多く、従来の委託冷蔵による出荷調整も思うにまかせない情勢ともなってきていますので、消費地冷蔵に比べ、作業労働力、容器代の節約と出荷調整可能の産地冷蔵施設を持ち、販売価格の安定による所得向上をはかるということから、この施設が設けられたものであります。
 なお、タマネギ冷蔵に先立ち、この農協が四十三年一月に操業開始をした鶏卵集荷場を視察してまいりましたが、ここでは、機械能力毎時一万六千個という洗卵、検卵、選別までの一貫作業による省力化の近代設備が導入されていました。
 次に、大川市農業協同組合のカントリー・エレベーターを視察いたしました。
 このカントリー・エレベーターは、米麦生産流通合理化モデルプラント設置事業で設置され、四十三年一月に竣工したもので、この一基の設置費は約一億六千万円で、国庫補助が約三千三百万円であります。
 施設の内容は、建物が鉄骨構造スレート張り二百六十六平米、サイロは、本サイロが二重構造鋼板製集合サイロ形で、容量三百トン四本と、二百トン四本の計二千トン、間隙サイロが鋼板製で、容量百トン三本の三百トンであります。
 他に九州には、稼動しているものが熊本県不知火干拓農協に一つあります。
 大川市は、福岡県の西南部の筑後川下流域、クリークに代表される平たん農業地帯で、単位面積当たり収量の高さは全国有数で、有名な筑後の穀倉地帯の中に位置し、昔より農作業の電化機械化が普及しているところであります。
 また、当地は、全国的に有名な木工生産地でもあり、農家の兼業化と労働力の不足を深刻なものとしておりますが、これに加えて、特産のイグサの作業が十一月から十二月及び六月、七月に労働のピークがあり、米麦の生産作業と競合し、過重な時間と労力を要求されている実情であります。
 これらの改善策として、米麦の生産から流通までの作業体系を改善確立し、農作業の近代化を進め、総合的な農業所得の増大をはかるため、カントリー・エレベーターの設置ともなったもので、この施設により、脱穀から乾燥、貯蔵、調整、包装、出荷等の諸作業の一貫化と省力化による余剰労力を他作物または農家の安定兼業に振り向けることができる効果を期待しているのであります。
 ただ、当地は、クリーク密度の高い地域であるため、生産基盤の整備がおくれ、脱穀前の農作業面の合理化が阻害されて、大型農業機械化体系にならないことと、平たん地であるため、水稲品種が中生種一本に限定されていることから、短期間に原料もみの搬入が集中するということで、出荷制限を必要とすること、もみ出荷より代金支払まで若干の日時を要し、農家の本施設利用の障害ともなっているという問題点が見受けられるのであります。
 次に、柳川市沖端漁港を視察いたしました。
 この漁港は、第四次漁港整備計画によって、第二種漁港に指定され、二億六千万円の事業費をもって修築事業を実施中であります。
 有明海は、浅海養殖業であるノリ養殖を主体とする海域であり、漁船漁業としてわずかに釣、はえなわ漁業、まち網漁業その他の雑漁業及び貝類の採取があるのみであります。
 当漁港は、沖端川の河口を利用した年間水揚げ約十億円という港であります。
 次に、佐賀県について御報告いたします。
 まず、川副町にあります佐賀県農業試験場及び農業研修学園を視察いたしました。
 この農業試験場は、古い沿革を持つものでありますが、農業の近代化に即応した試験研究機関として四十年から移転新築を行ない、総事業費九億一千万円で四十四年四月に落成をみました。敷地総面積は、農業試験場と研修学園とで二千五百十七アールとなっていて、建物敷地が六百十五アール、水田千二百三十二アール、畑二百三十五アールその他であります。試験事業費は、約三千二百万円で、この中には七百万円の国の補助金が含まれております。このほかに、人件費約一億円がありますが、そのうち国からの補助金は二百六十万円であります。当農業試験場では、米麦に関する品種、病害、栽培技術、土地基盤整備等諸対策の調査、試験研究と、茶樹、蔬菜等に関する各種試験を行なっております。
 農業研修学園は、四十四年から後継者対策予算三百三十万円を含め、総額二千三百二万円をもって積極的に研修活動をすることとし、旧講習所、指導所等を改組合併して新しく設けられたもので、研修計画は、一般農民及び農業技術指導者を対象として、必要に応じて短期の研修を年間随時行なう短期研修と、高校卒業者を入学資格とし二カ年制により中核農業指導者の教育を行う指導者養成及び高校卒業者を入学資格とし一カ年制により各専門毎に実地を主体とした自営者の教育と、中学卒業者を入学資格とし二カ年制により自営者の教育を行なう自営者養成とを目的とし、全寮制の生活を通して、自治的共同生活を行ない、民主的、協調的な人間形成に努めるよう教育されております。現在の生徒数は、発足当初の旧講習所等からの移行人員のみのため、定員四百名に対し、女子九名を含め二百四十九名となっていますが、四十五年度には定員まで充足する予定になっております。
 次に、佐賀県庁におきまして、県当局から佐賀県農業の動向、水産業の概要等について、また、九州農政局から筑後川水系農業開発計画の概要について説明を聞き、次に白石平野の地盤沈下状況を視察いたしました。
 白石平野は、有明海に面する約一万ヘクタール、その三分の二は干拓によって造成された水田地帯であります。この平野は、全国でも優秀な米作地帯として名を高めているところでありますが、農業用水は、クリーク、ため池、地下水に依存しているところで、地表水源は限界まで開発されているところへ、近年、土地基盤整備、干拓地造成等による農業用水の需要増加により用水不足に拍車をかけているのが実情であります。昭和初期ごろから導入された深井戸開発は年々平野内に広がり、二十九年ごろから地下水低下、湧水の枯渇等の地下水障害が発生するに至ったのでありますが、その後の再三の干ばつに見舞われる等で、深井戸の乱掘が激しさを増し、現在二百十三本を数えるに至っているのであります。したがって、この結果は井戸の抜き上がり現象としてあらわれ、特に三十五年ごろから地盤沈下の速さが増していることを知ったのであります。深井戸抜き上がり状況からみて、年間五センチから十センチ程度の沈下と調査結果が出されていますが、福富町役場を視察したところでは、正面玄関手すり沈下が八十五センチとなっていましたし、白石町の圃場地下揚水ポンプ、中学校校舎、北明浄水場においても五十センチ前後の沈下状況となっていました。このような地盤沈下現象は、白石平野の有明粘土層ほとんど全域にわたっているのが特徴的で、被害状況は広範にわたっております。
 次に、東与賀町の県営東与賀地区圃場整備事業を視察いたしました。
 東与賀町は、総面積千四百七十七ヘクタールで、うち水田は千百六十ヘクタールであり、総世帯数千三百十五戸に対し、農家戸数は九百十九戸という佐賀県の代表的平坦農業地帯であります。本地区一帯は、藩政時代末期ごろから昭和初期にかけて逐次漸進的に干拓されてきたところで、このために、圃場区画の狭小不整形、道路幅員の狭小という事態を招き、また、用排水路の不分離とクリーク利用のかんがいのため、水位は高く保持され、地下水の上昇をきたしていることと、それに近年の農業人口の減少ということで、このままでは、農業生産性の向上並びに農業近代化に甚大なる影響を与えるものと憂慮されておりました。それで、今後の新しい農業経営、農業技術に即応して、大型機械化営農作業を目途とした総合的な用排水施設及び大圃場区画の整備、農地の集団化等により、営農労力を省力化し、米麦作の安定的多収化をはかって、農業従事者の所得の増大をはかることとし、昭和四十年度から県営圃場整備事業を行なっているのであります。現在実施中の圃場整備は、本町南部水田五百八十八ヘクタールで、総事業費八億一千九百二十四万六千円、反当事業費約十四万円の規模であります。
 なお、圃場整備事業に関連する事業として、現在、国、県営による用水改良、県営排水改良事業及び建設省の海岸堤塘施設の改良補強工事が実施されておりますが、これらの事業は密接な関係事業でありますので同時完成が期待されています。
 次に、南川副漁業協同組合において、有明海のノリ養殖についての陳情を受けるとともに加工施設を視察いたしました。
 有明海は、発達した干がたを持ち、ノリ、貝類漁業の全国有数の産地であることは、先ほども御報告申し上げましたが、特にノリ漁業については、県内に天然採苗場はなく、他県から種苗を購入し、むしろ副業的な養殖を行なってまいりましたが、人工的な種苗生産が試験的に成功して、昭和三十年度に県営人工採苗場を太良町に設け事業化に踏みきり、初めて県内生産の種苗が供給されることになり、供給体制の確立がはかられてきました。しかし、養殖技術も年々改良され、新技術も導入されたにもかかわらず、三十九年度以降は、さく当たりの収量は下降の傾向を示し、四十二年には白腐れが発生してその被害金額六十億円にも達しました。この被害の原因は、干ばつなどの異常気象によるものと断定されてはいますが、被害を拡大、助長した要因として漁場管理の不適と密殖が指摘されているのであります。
 したがって、この対策として漁場の管理の方法、養殖技術における人為的要因の排除と、漁民による監視体制をとる集団管理方式を採用して安定化をはかるとともに、恒久的方策として、適正規模の養殖による密殖防止と、冷凍網の導入をはかることがあげられているのであります。地元有明海漁協連田中善内会長から、ノリ養殖の安定をはかるためには、冷凍網の導入及び原藻の保蔵が重要な要素となってきているので、これの生産に必要な冷凍保蔵庫の設置についてノリ養殖安定化促進対策事業を創設し助成されたい。また、地域の実態に即した病害対策、種苗の改良等基礎的研究体制を確立し、ノリ養殖業の恒久的安定化をはかるための国立ノリ研究所を有明海地区に設置されたいとの陳情を承ったのであります。
 最後に、今回の視察を行ないました筑後、佐賀平野平坦地の典型的な稲作地帯での水田農業は、逆潮を利用した淡水取水と、これを一時貯留するクリークからのポンプ揚水によるところが多く、クリークに依存する水利慣行と圃場の未整理とが当地方の規模拡大の制約等ともなっていて、大型機械化、省力化への大きな阻害要因であると見てまいりました。したがって、積極的な対策として、筑後川下流域一帯のこの不規則、無統制に分散するクリークを整理統合し、不安定な淡水取水を廃止し、あわせて地盤沈下対策をも含めた大規模な用排水系統の再編成をすることが、ぜひとも必要であると痛感した次第であります。
 このたびの調査にあにり、関係各位にいろいろの御高配を賜わりましたことを深謝し、報告を終わります。
#9
○委員長(園田清充君) 第二班、香川及び愛媛両県の御報告を願います。武内君。
#10
○武内五郎君 亀井、前川、河田及び私の四名は、農林水産政策の樹立に関する調査のため、二月八日から同月十一日までの四日間、香川、愛媛の両県における農林水産業の実情を視察しましたので、その概要を御報告いたします。
 香川、愛媛両県はともに地域経済開発による条件変化に応じた農業の振興施策を総合的、計画的に行なうこととしております。すなわち、瀬戸内海に沿う大工業地帯の建設、四国縦貫道の建設の促進、吉野川総合開発事業の推進、さらに瀬戸内架橋の具体化への動きが活発になっております。したがって、農業を取り巻く諸条件に一大変革がもたらされようとしております。
 今回は、香川県においては、用水事情並びに栽培漁業の実態、愛媛県については、かんきつ農業等に関するものを重点に視察いたしました。
 まず、香川県であります。
 本県は、慢性的な水不足に悩んでおり、一万八千余のため池の水に依存しなければならない、きわめて制約された農業経営が行なわれております。しかも、これらのため池の大部分は老朽化し、その維持経営も困難となり、農業をはじめ、各種の産業を進めるための障害となっておりました。この困難と障害を克服するために計画されたのが、香川用水事業であります。
 香川用水事業は、豊富な未開発の水資源を持つ吉野川総合開発の一環として実施されておるものであります。その総事業費は二百六十七億円で、その内訳は、水資源公団営百五億円、国営七十五億円、県営四十六億円、団体営四十一億円で、昭和四十三年より四十九年に至る七カ年で完成しようとするものであります。すなわち、徳島県の池田ダム左岸から取水した水は、阿讃山脈を貫く八キロメートルの幹線トンネル導水置により、香川県財田村の東西分水点に導入するもので、現在すでに財田村で約四百メートルのトンネルが掘さくされております。トンネルの掘さくには、国鉄が青函トンネル等で使用しておりますロック・トンネリング・マシンが活動し、一日に十メートルから十八メートル掘進しており、私どもも掘さく現場を見てその威力に驚嘆いたしました。導入水量は、農業用水年間一億五百万トン、工業用水七千九百万トン、上水道用水六千三百万トン、合計二億四千七百万トンを計画し、幹線水路共同区間三十九キロメートル(施行主体、水資源開発公団)、農業専用区間六十三キロメートル(国)、農業専用支線水路六十キロメートル(県)であり、農業用水受益地は、水田二万五千百ヘクタール、畑地五千六百ヘクタールで、香川県の耕地面積の五七%強を潤すことになります。
 また、私どもはため池についても視察いたしました。
 高松市街地を眼下に見おろす同市仏生山町の平池は、実に七百九十年前、治承二年に築造されたものであります。この池は老朽度が激しいため四十二年度から漏水防止等の工事が行なわれ、すでに、四十四年までに総事業費一億円余、うち国庫負担六千三百四十六万円を要しております。
 なお、県下の老朽ため池として整備を要するものは、実に一千五百七十個所もあり、その事業費は総額五十五億円余が見込まれ、本県農業総生産額の約一〇%の巨費をつぎ込まねばならないので、香川用水事業に対する期待はきわめて大きいものがありました。したがって、香川用水事業完成の暁は、本県の用水不足を抜本的に解消し、ため池の水に依存する農業を一変し、豊富な水による栽培作目の自由な選択により、生産の増進、安定に寄与することができると考えられております。よって、機能を失なった多くのため池は、防災や、レクリェーション施設等への転用を計画的に検討する必要があると考えられます。
 次に、坂出市の香川県坂出食肉コンビナートは、坂出市営屠畜場と香川県経済農業協同組合連合会坂出食肉センターと協同食品株式会社坂出工場とが合体されたものでありますが、ここを視察いたしました。ここでは、牛、豚、鶏の屠殺から枝肉、ブロイラー、ハム、ベーコン、ソーセージの製造出荷が行なわれ、その施設は最も近代的であることを誇っており、特に、汚水処理については、かなり配慮されているものがあります。
 また、私どもは本県の養殖漁業を視察いたしました。
 本県には、ハマチ養殖発祥の地である安戸池があり、多くの漁家は、ノリ、ハマチ、クルマエビ等の養殖漁業に従事し、その伸長の大きいものがあります。
 瀬戸内海栽培漁業センター屋島事業所は、国が沿岸漁業のモデル水域として瀬戸内海の地を定め、昭和三十八年春、愛媛県の伯方島事業場とともに、内海有要水族の種苗生産と漁民研修の場として発足したものであります。その運営は、国が施設した事業場を、内海関係の各府県及び漁業協同組合連合会(漁連)の設立による社団法人瀬戸内海栽培漁業協会が国の委託事業費の交付金と、会員たる府県と漁連との会費によって運営されております。
 香川県の栽培漁業事業は、四十三年度において、クルマエビ三百二十八万尾、アイナメ三万尾、カサゴ六万尾、ハマチ八千尾、ニジマス一千尾、ガザミ四十五万尾を放流し、新しい漁場づくりに努力しております。
 なお、瀬戸内海栽培漁業センターは、前記二事業場のほか、大分県の上浦、岡山県の玉野、鹿児島県の志布志に事業場を、また、関係府県には、稚魚中間育成場を、それぞれ二ないし四カ所、合計三十八カ所設置され、年間稚魚五千万尾余、保護魚卵一千二百万粒余を生産しており、その事業効果の認むべきものがありました。
 また、次の二点に関して要望がありました。
 一つは、塩業の合理化推進に関するものであります。それは従来の塩田製塩方式からイオン交換樹脂膜法への転換が進められております。その助成に関する要請でありました。
 二は、小豆島の山林火災に関するものであります。去る一月十二日、小豆島の山林に火災が発生し、被害が総計一億二千万円余にのぼり、これが復旧のための援助に関する要請であります。
 次に愛媛県であります。
 本県の農業生産の推移を生産額の作目比率で見ますと、米麦のウエートが逐年低下し、これにかわって果樹、畜産が急速に拡大しております。特に米は昭和四十一年に二七・二%となって、果樹の三一・一%に首位を譲って第二位となり、畜産が第三位で一九・八%となっております。
 農業生産を主導しているミカン、夏カンは、全国の一五・一%、二十七万五千トンの生産をあげて、静岡県の一八・八%に次いで第二位の生産県となり、ことに夏カンは、七万八千トンと、全国第一位を占めておるのであります。その十アール当たりミカン、夏カンの生産額は、それぞれ十九万二千円、十六万一千円と他作物の比ではなく、その収益率もミカン三九・一%、夏カン三九・四%を示して、米の三四・五%を優に乗り越えております。まさにかんきつ王国として大きな発展の姿が見られるのであります。
 本県では、久松知事が南米その他諸外国から持ち帰った種子や苗によって、県果樹試験場で育成研究が進められ、この中から果汁の多い新品種が生まれておりました。この県試験場では、ミカンの農業構造改善事業推進のために必要な、大規模経営の技術体系を確立するための研究を進められておりまして、ミカンの総合実験農場として、菊間町にその成果の実態を見ることができました。
 その概要は、大規模なかん水施設、防除施設及び作業用機械を導入し、協業の組織によるミカンの集団生産体制と、その効率的な栽培の管理及び技術体系の確立をはかって輸入かんきつ類に対抗できるようにするものであります。
 一例をあげますと、作業道は等高線に沿って、平たんに二メートル幅をとり、木は斜面に植えつけ、当初は十アール当たり百六十五本を植え、生長するに従って計画的に間引きし、成木は、樹高約三メートル、枝の伸び幅を二ないし二・五メートルとすれば、傾斜面に横に帯状の垣根の階段型がつくられることになります。作業道は、この階段状の樹間につくられて、トラクターの運転が自由にできるのであります。追い込み剪定は、カッティング・マシンを使用するもので、従来の円形型の育成を直方型仕立てに変えて、太陽光線を根や幹まで通し、単位面積当たりの着葉数を多くして、生産を高めようとするものであります。試験場の実験から経営改善後の試算を見ますと、成木園十アール当たりの労働人員は、二四・五人で、一般かんきつ園の約二分の一となり、収益も三千七百五十キロにのぼり、一般の二千七百十五キロより千キロ以上の増収をあげておるのであります。
 なお、果実の糖分は土中の水分に左右されることが多く、水分を十四度に保持することを考究し、黒色ポリエチレンを敷くことにより乾燥を防止するとともに、雑草の発生もあわせ防ぐ効果をあげ得られることが明らかになりました。また、過度のかん水は、かえって好結果が得られず、むしろ七、八月の夏季には、七日間隔で三十ミリのかん水にとどめ、冬季の一月下旬、二月上旬の渇水期にこそ十分なるかん水をすることとしておりました。
 また、ポン純なまオレンジ・ジュースで知られる県青果農業協同組合連合会のジュース工場は、特異な存在として広く知られておりますが、県内外のかんきつ類増産見通しから見て、本工場の二万トンの処理能力も限界に達しており、かんきつ類の加工処理のため施設の拡大増設が強く望まれておりました。
 また、松山市農協低温倉庫は、昨年十一月十一日に落成したもので、全国で最も新しい設備を持つ、近代化されたものであります。すなわち、H型鋼キール構造で、壁、屋根には、防熱、防湿のために比重〇・六の普通コンクリートの四分の一の軽量気泡コンクリート板を、床には断熱材スタイロ・フォームを使用しております。壁、屋根の硬質ポリウレタン・フォームは、現場でスプレー発泡処理を行なったものであります。低温設備には、加湿器を組み込んだパッケージ型水冷式低温倉庫用クーラーを一室当たり二台設置し、送風ダクトにて冷気分散吹き出し冷却方式を採用しております。機械操作室は庫外にあり、電子回路を組み込んだ完全自動制御方式を採用し、一度機械に記憶させてスイッチを入れますと、機械の運転状態、米の貯蔵状態など自動的に記録され、もし、倉庫内で異常事態が起こるときは警報するようになっております。倉庫は、一室床面積五百二十七平方メートルのものが二室あり、一室二万五千俵、計五万俵の貯蔵能力を持ち、組合員の生産した米の円滑な買い入れ、集荷を進め、消費の動向に合わせて低温貯蔵による味のよい米の供給を可能にしようとするものでありました。米の貯蔵が重要な問題となっている今日、貴重な検討資料を提供するものと言わねばなりません。
 また、井関農機研究所松山工場を視察いたしました。当工場は、全計画の約二分の一が建設途上にあり、手押しの二条刈りコンバインの部品鋳型工場と組み立て工場が完成し、手押しコンバインの組み立てと始動試験が流れ作業で進められておりました。農業の機械化が今日重要な課題であるとき、私どもは、農業用機械の製造工程の一部でも視察できましたことはとうとい資料を得たものと考えております。
 以上視察しましたことについて、その概要を報告いたしました。他に多くの重要なこともあると存じますが、割愛させていただきます。
 最後に、私どもの視察にあたって、香川、愛媛両県の関係各方面からの好意ある御便宜をいただいたことを感謝申し上げて、報告を終わります。
#11
○委員長(園田清充君) ただいまの御報告に対し御質疑はございませんか。
#12
○北村暢君 御報告がありました中で、私ちょっと一つだけ尋ねておきたいと思いますが、有明干拓の地盤沈下の問題で、報告と同時に用排水の整備の問題について視察団の意見が述べられておりますが、この有明干拓の現状と、さらに長崎干拓、大規模な干拓が行なわれていると思いますが、長崎干拓の用水というのは一体どういうような設計になっているのか、有明干拓と同様に、ため池その他で地下水にたよるというようなことになっているのかどうなのか、この点御承知だったらひとつ承っておきたいと思うわけでございます。
#13
○田口長治郎君 長崎干拓は諫早で大きな災害を起こしました本明川という中河川程度のものがありまして、これが相当水量があるわけですけれども、いま海に流れっぱなしという状態なんです。その水を干拓地の周囲に二千五百町歩ぐらいの湛水池といたしまして、その湛水池から圃場に水を引く、こういう構造になっております。あの地方も四百年以前からずっと干拓をやってまいりまして、水がなくて地下水を現在の開拓では使っておるのですが、どうも部落の飲料水までくみ上げたために渇水してしまう、こういう事情でございますから、その本明川から、長崎干拓の二千五百町歩の池ができますれば既設の農地も非常に水で助かる、こういうようなことで、佐賀県とは全然関係なしに、諫早の本明川の水を使っていく、こういう計画になっております。
#14
○北村暢君 非常にけっこうだと思うんです。自民党さんの議員のほうから答弁があったようです。こういうことは珍しいことだろうと思うのですけれども、まことにけっこうです。それでいいんだろうと思うんですが、長崎干拓の用水計画がそういうふうになっている。何川からか引くということになっているということですが、有明干拓の用排水計画について、今後地盤沈下対策として一体どのように政府としては、視察団の意見もございますが、対処せられるのか。地盤沈下の問題は各地で問題になっているわけでありますから、しかも有明干拓は非常に大きな規模の干拓でもございますし、この点の対策はどうされようとされるのか、意見が出ておりますから、聞いておいていただきたい。
 それからもう一つ、これは委員長に要望しておきたいのだが、議院の委員会から派遣する視察というものに対して、形式的に速記録にとどめればそれで終わりということは、まことにこれは遺憾と思うのですよ。政務次官、代表されてあそこにすわっておられるわけですから、全部聞かれたと思うのですが、すやすやとされておったような状況もあるようだが、どうも形式的に、いかんと思う、こういうのは。報告するときにはやはり質問があるわけですから、担当の大臣の説明が終わったら全部いなくなってしまうのじゃなくて、これやはり権威づける意味においても、何のために視察に行くかわからないのです、これじゃ。(「同感」と呼ぶ者あり)こういうことじゃだめですよ。ですから私は、意地悪言うようだけれども、政務次官に質問するのはその意味なんだ。国会軽視もはなはだしい、農林省は。こんなことで、あなた法案だけ通せばいいというものじゃないのだ、これは。だから私は、この際、こういう状況というものはまことに遺憾だから、意地悪言うようだけれども質問するのです。政務次官ひとつ答弁してください。
#15
○政府委員(宮崎正雄君) 従来、私の記憶しておるところによりますというと、報告があって、それに対していろいろと問題点が出てくる。したがってその問題点についての質問は、次にそれぞれの関係担当官を呼んで、そうして質問されるというようなふうな状況であったように私記憶しておりますので、今回もそのとおりだろうと思いまして、まあ衆議院の予算委員会等もございまして、みんな係官はそちらの方へ移動したという、こういう事情でございますので、決して国会軽視ということじゃございませんから、どうかその点をひとつ御了解いただきたいと思います。
#16
○北村暢君 国会軽視じゃないったって、この状態は……。それじゃ報告するとき政府の都合が悪ければこれ延ばすより方法ないじゃないですか。報告したら質問必ず出ますよ。ほかの委員会だってそうやっていますよ。報告したら、あなたわからぬところ聞くのはあたりまえだ。
#17
○政府委員(宮崎正雄君) あらかじめちょっと呼んでいただきませんと、それぞれ衆議院とこっちとは一緒に同時にあるわけですから、こういう問題についてひとつ質問するからということで、事前に御連絡いただくと非常にわれわれとしましては好都合だと思います。
#18
○北村暢君 横着だよ、政務次官は。質問通告しなければ来ないんじゃなくて、視察の報告するということは議題に載っているじゃないですか。きょうの理事会でちゃんと報告することわかっているじゃないですか。これは突然報告したんじゃないですよ。きのうの理事会の打ち合わせから、ちゃんと報告すると公報にも載っておるし、きのうからわかっているじゃないですか。報告するときにはだれもいなくていいということはないでしょう。全責任をもって、政務次官そこにすわっておられたのでしょう、政務次官、何でおるのですか。
#19
○政府委員(宮崎正雄君) 私は先ほど言いましたように、従来の慣例に従って報告があって御質問があれば、あらかじめ御指名があってそれに対してこちらも資料を整えて御答弁する、こういうことになるだろうということで、まあ初めてだったものですからそういうことになったわけですから、決して軽視というのではございませんので、あしからず御了承いただきたいと思います。
#20
○北村暢君 これははっきりしておかなければならない。報告はだれも聞いていない。ここでいま初めて聞くのだから、あらかじめ質問しろといっても報告を聞かないうちに質問できないでしょう。視察に行った人だけわかっている。それも報告する人だけが前の日に見るでしょう、前の日か何か知らないけれども。見てあとの議員はわからないですよ。質問しようにも通告できないですよ。いま報告を聞いたから、それに対して疑問があるから質問するというのは、これはあたりまえの話じゃないですか。それは答弁できないから後ほどやると言うなら後ほどやるのでもいいのですよ。しかし報告するときに政務次官、全責任をもって報告を受けたんでしょう。そうでないのですか。
#21
○政府委員(宮崎正雄君) 私は……。
#22
○委員長(園田清充君) ちょっと待ってください。
 ただいまの北村委員の御要望につきましては、委員長からきびしく政府側にひとつ申し入れをいたすことにいたしまして、質問の内容については政府当局から後刻資料を提出するということでひとつ御了承を願いたいと思いますが……。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#23
○北村暢君 いかぬよ、それは。
#24
○委員長(園田清充君) こういうことで……。
#25
○北村暢君 議員の視察というものはあまり形式的に取り扱わないように。視察で質問しなくてもいい問題もありますよ。しかし、せっかく視察に行ったのですから、視察に行った問題点については、やはり形式的に議事録に載せればいいという問題でなくて、やはり視察というものを権威づける意味においても、そのあと始末というものはちゃんとやっぱりやるべきですよ。私はそういう意味で視察団の意見等あったものについては政府からやはり見解を求めるということは当然あってしかるべきだと思うからこう質問しておるわけです。そうやっていただきたいと思います。
#26
○委員長(園田清充君) ほかに御発言もなければ、派遣委員の報告はこれをもって終了いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午前十一時三十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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