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1970/04/28 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 農林水産委員会 第14号
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1970/04/28 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 農林水産委員会 第14号

#1
第063回国会 農林水産委員会 第14号
昭和四十五年四月二十八日(火曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     向井 長年君     田渕 哲也君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         園田 清充君
    理 事
                亀井 善彰君
                高橋雄之助君
                北村  暢君
                達田 龍彦君
                藤原 房雄君
    委 員
                青田源太郎君
                河口 陽一君
               久次米健太郎君
                小林 国司君
                櫻井 志郎君
                鈴木 省吾君
                田口長治郎君
                任田 新治君
                森 八三一君
                和田 鶴一君
                川村 清一君
                武内 五郎君
                中村 波男君
                前川  旦君
                村田 秀三君
                沢田  実君
                河田 賢治君
   国務大臣
       農 林 大 臣  倉石 忠雄君
   政府委員
       農林政務次官   宮崎 正雄君
       農林大臣官房長  亀長 友義君
       農林省農地局長  中野 和仁君
       林野庁長官    松本 守雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       農林省農政局参
       事官       岡安  誠君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農地法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○農業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(園田清充君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 昨二十七日、向井長年君が委員を辞任され、その補欠として田渕哲也君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(園田清充君) 農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○前川旦君 農協法の一部を改正する法律案につきまして、私は最後に質問さしていただきたいのですが、すでに皆さんから問題点をほとんど網羅されたと思いますので、できるだけ重複を避けて、若干こまかいことを伺っていきたいというふうに思います。
 その前に、倉石農林大臣にお伺いいたしますが、この法案が最初出てまいりましたのは四十三年の三月二十一日です。倉石農林大臣が前の農林大臣の時代です。それから、その前に実は農地管理事業団法の提案が昭和四十年に行なわれております。したがいまして、この法案が農林省で練られたのはおそらく昭和四十二年であろうと思います。農地管理事業団法の提案された四十年、それから四十二年、そのころの農業と今日の農業では全く情勢が違います。当時は、たとえば米が不足、生産拡大、米づくり運動が非常に行なわれておりました。いまはその逆であります。また当時の農政の基本は、自立農家を育成するということが中心であって、ほかのことはあまり触れておられませんでした。しかしいまは、今度はむしろ離農の促進、あるいは兼業も肯定している、あるいは借地の流動化に注目する四十年、四十二年のころとはおそらく百八十度違う条件にあろうと思います。農業を取りまく条件が百八十度違う。そして出された法案はほとんど変わっておりませんが、そういった百八十度違う条件の変化というものが今度出された法案、前に出されておりました法案、どういうふうに反映をされておるものでしょう、その点について概括的にまず大臣にお伺いいたします。
#5
○国務大臣(倉石忠雄君) お話のように、このごろ経済の高度成長を背景にいたしまして、農産物の需給事情の変化、それから機械化の進展等が見られまして、一方におきましては農家の兼業化、それから労働力の減少、農村の都市化の進展など、農業及び農協を取りまく諸般の情勢にいろいろ変化は著しいものがございますことは御指摘のとおりであります。で、こういうことに対応いたしますために農協といたしましても農協の大型化、事業内容の多様化等、その農協の体制の整備につとめておるわけでありますが、農協がその役割りをよりよく果たしてもらうためには、その自主的な努力のほかに、制度面においても改善を必要とする点もあると存じます。そこでこのたび四十三年に提案いたしました当初の改正点に加えまして、農協が農地及び転用相当農地等の取得、売り渡し等の事業を行ない得ることといたします農協法の改正案を提案いたした次第でございます。
#6
○前川旦君 そうしますと、新しい農業経営に対応して、この農協法のこの眼目は、転用相当農地の取り扱いをできるようになったと、こういうことであろうと思います。この問題についてはずいぶんお触れになりましたから、これ一応省略をして、次に農業経営を農協に委託することができる、この問題について若干お伺いいたしますが、まず組合員から委託を受けて行なう農業経営は稲作中心と考えてよろしいのですか、それとも米以外のものを考えていらっしゃるのか。これは政府委員の方でけっこうですが、お願いいたします。
#7
○説明員(岡安誠君) 現在のいろいろ機械の導入状況がそういう高度化、近代化の進展度合いというものを考えますと、稲作について農協が経営受託をするというのが一般的ではなかろうかというふうに実は考えるのでございます。先般もお答えしたかと思いますが、農協が経営受託をするというからには、やはり大型の機械を導入いたしまして、高能率の農業経営を行なうということでなければ、その意義は半減をするわけでございますので、稲作につきましては最近の田植え機械その他の開発が進みまして、機械化の一貫体系というものも相当進展をいたしております。そういう意味合いからも、稲作についての経営受託というのが中心になろうかと思いますが、それ以外におきましても、地方の実情によりましては、畑作等につきまして経営受託が行なわれるということも考えられないわけではない、かように思います。
#8
○前川旦君 考えられないことはないというお考えですが、米の減反、減産政策が一方で行なわれていることと、その委託経営は米が中心になるということと若干矛盾するように思いますが、その辺はどうお考えになるか。
#9
○説明員(岡安誠君) 米の生産調整は、これはいろいろ御議論があったところでございますが、最近の米の需給状況ということからとられておりますいわば臨時的な特異の措置というふうに考えられるわけでございまして、稲作そのものにつきましての高度化、省力化等はさらにわれわれといたしましても努力をしなければならないと思っておりますし、また稲作地帯におきます労働事情の変化等を考えますれば、やはり稲作の経営委託というものが今後とも相当行なわれるというふうに私どもは考えておるわけであります。
#10
○前川旦君 そういたしますと、私はまあ香川ですから、西日本型の農業です。農協に経営を委託する農家は、ほとんどこれは兼業農家であろうと思いますが、兼業農家は米づくりを中心にしてやれと、専業農家は米以外の園芸とか果樹とか畜産とか、そういうものに専念しろと、そういうようなパターンになっていくんでしょうか、どういうふうにお考えですか。
#11
○説明員(岡安誠君) いま農協の経営の受託というものが相当稲作において大幅に行なわれるであろうという見通しを申し上げたわけでございまして、兼業農家経営のパターンがどうであるとか、専業農家がどうというようなことでは必ずしもないというふうに私どもは考えているわけでございます。たとえばこういう例は頭の中で考えられるわけでございますが、果樹をの経営を相当広げるという場合に、労働力の関係から、従来の稲作につきましては、農協にこれを委託いたしまして果樹のほうに専念をするというような農家も、これは十分考えられるわけでございまして、それぞれの地方の実情によりまして、農協の経営する事業の内容も変化がある、かように考えておるわけでございます。
#12
○前川旦君 経営委託については、この稲作以外のものもあり得ると言われますが、それはたとえばどういう場合が考えられるのでしょうか。たばこのようなものであれば、これはあるいはやれるかもしれませんが、その他のもので実際にこの経営委託をしてやれるのは非常にむずかしいのじゃないかと思いますが、そういうものも含めてというのは、これはどういう条件のもとにそれはやれるというふうなお考えですか。
#13
○説明員(岡安誠君) 現在におきましての農協で作業の委託を受けている例でございますけれども、稲作以外でもいろいろ委託を受けているわけでございます。経営の委託に対する要望と申しますのは、一部の作業の委託から、これを相当各種の作業、さらには経営全般というような委託者の要望が強くなりまして、農協にそういう権能を与えようというのでございますので、現在行なわれております稲作以外の作業の一部委託というものにつきまして、やはり委託者がこれを全面的に農協に委託をするという場合も十分考えられるというふうに私どもは考えておる次第であります。ただ私の申し上げましたのは、先ほど申し上げましたとおり、稲作以外におきましては、機械の一貫体系作業というものにつきまして、多少まだ問題がある点もあるわけでございます。農協が受託をする場合におきまして、多少人力で補わざるを得ないという問題もあるので、その普及といいますか、広がりの状況は稲作に比べれば若干少なくなるのではあるまいかというようなことを申し上げたわけであります。
#14
○前川旦君 委託経営ということになりますと、各委員からすでに質問として出されておりますことは、零細な土地所有を現状のままに凍結をする、固定するということになるのじゃないか、それに対する対応策はどうかという質問がいろいろございましたが、実は納得できる答弁はありません。ですから、私はこれ一つだけ重複させていただきたいと思うのですけれども、従来政府のとっておりました政策は、これは現状固定してしまうということと、どう考えても矛盾すると考えますけれども、その辺を的確にもっとお考えをはっきりと明らかにしていただきたい、こういうように思います。
#15
○説明員(岡安誠君) 農協に経営を委託する方々は、やはり兼業農家等が主であろうというふうに当初は考えるのでありまして、兼業農家等がわりあい経営面積が狭い実情等を考えますれば、おっしゃるとおりそういうような規模の小さな農家の経営を農協への委託という形で温存といいますか、維持をするわけでありますので、形式的にはおっしゃるとおり零細経営の温存というかっこうになろうかと思いますが、ただ私どもが考えておりますのは、兼業農家等が労働力等が減ります場合に、その生産性といいますか、それが非常に落ちる、その場合に農協がこれを受託いたしまして、農協はできるならば、ほかの受託農地と合わせまして集団的に相当広範囲に経営を行なうということによりまして、兼業農家が所有しておりました零細規模の農地を高能率の近代的な経営がなし得るということで、いわば農地等につきましては効率的な運用ができるということでございます。所有形態等につきましては、おっしゃるとおりこの段階におきましては、やはりまだ零細な所有といいますか、それは残るわけでございますが、将来これが大規模的な、または集団的な生産組織へ衣がえする一つの過程といたしまして、農協が受託をするということが非常に意味があるというふうに私どもは考えておるのであります。
#16
○前川旦君 どうもはっきりしませんが、そうしますと農林省の考え方は、たとえば五十アール以下のような小規模な土地所有、これをこの土地を所有者から手離させる、離農させるということは一応おあきらめになったんでしょうか。たとえば農地の流動化といいますが、その流動化する層を五十アール以上のところに置いて、五十アール以下のところはこれはもうおそらく手離すまいということで、そこのところは現状を肯定してしまおうというふうにお考えになっているような節がうかがわれるんですね。たとえば今度農業者年金の中に離農一時金の問題があります。五十アール以下は十五万円、五十アール以上は三十五万円、五十アールでぴしゃっと区切っておられます。そして、本来から言えば五十アール以下の土地の所有者の離農をはかって、五十アール以下の土地を流動化させるというのがいままでのこの行き方であったように思いますけれども、それであれば、逆に今度、離農一時金を五十アール以下を手厚くするのがほんとうであろうと思いますが、逆になっているというのは、五十アール以下の農地の保有というのはこれは家庭菜園的に認めていこう、こういうふうに考え方を変えられたのではないかと思いますが、その点いかがですか。
#17
○説明員(岡安誠君) 農協の経営の受託につきましては、五十アール以下の農家に限ってどうのというふうに考えておるわけではありませんで、それぞれ農家の実情に応じまして経営を委託する必要がある農家につきまして受託をするわけでありますので、私どもといたしまして、五十アール以下の農家を重点的に受託するというような方針ではございません。ただ、おっしゃるとおり兼業農家の実態等を考えますれば、やはり五十アール以下の農家の農地を委託する場合が多くなるのではあるまいかということは考えております。ただ農林省といたしまして、やはり離農したい農家――希望によるわけでございますが、離農したいという農家につきましてはできるだけ離農しやすくするというような措置を、これは農業者年金を初めとしまして、いろいろ職業訓練とか転職のあっせんとか、それぞれ対策を考えているわけでございまして、私どもといたしまして、なかなか所有する農地を手離して離農をするということにつきましては相当決意が必要でございますので、そう容易であろうとは考えておりませんが、そういう希望される農家につきましての対策というものを今後とも十分考えていこうというふうに考えております。
#18
○前川旦君 私がお聞きいたしましたのは、最近のこのいろんな政策を見ておりますと、小規模な農地の保有については、もうこれは手放すことはないだろう。これはもう現状のままでいこうと、家庭菜園化するとかいう、そういうふうな色彩が非常に強く出ていると思いますので、その辺の関係を実はお伺いしたいわけですが、その点いかがですか。
#19
○説明員(岡安誠君) 必ずしもそういうような考えを持っているわけではございません。
#20
○前川旦君 それでは、この農業経営を農協が受託をするケース、これは将来の見通しとしてどういうふうに踏んでおられますか。その増加の傾向等について御説明いただきたいと思います。
#21
○説明員(岡安誠君) 現在、先ほど申し上げましたとおり農協は経営受託ができませんものですから、農作業の一部につきまして、作業の受託をいたしておるわけでございます。その件数も必ずしも現状におきましては多いわけではございません。したがって、ここに農協にこの能力が与えられたということによりまして急激にふえるというようなことは考えられないのでございますが、しかしその問題として考えられますのは、やはり最近におきます機械化の進展等を考えれば、従来一貫した経営の受託をはばんでいたネックが相当程度将来解消されるという見通しもございます。それから、やはり兼業農家等につきましての転職と言いますか、他事業への就職の機会も、工場の地方分散ということ等によりまして、相当ふえるということも考えられますので、従来より以上にやはり農協に経営を委託をいたしまして、みずからは農業以外の職業につくというケースが相当ふえてくるというふうに考えております。ただ現在どのくらいかというような数字的はちょっと把握をいたしておらないところでございます。
#22
○前川旦君 ケースはふえるであろうということでございますが、それでは地域的に見ると、どういうふうなふえ方をするとお考えですか。たとえば私は、都市近郊、山村と両方に希望がふえると思いますが、その点のお考えどうですか。
#23
○説明員(岡安誠君) お話のとおり他産業へ就職の機会の多いのはやはり都市近郊でございますし、また離村というケースのようなのもおっしゃるとおりに山村地帯であろうと思いますので、農協へ経営を委託するというケースも都市近郊とか山村地帯に多くなろうということは考えられるところでございます。
#24
○前川旦君 現実に農協に経営を委託する場合を考えてみますと、おそらくこちらで三十アール、こちらで二十アール、非常にスプロール状に経営の委託が行なわれるのではないだろうか。スプロール状に経営委託が行なわれるとしたら、大型機械を導入するとおっしゃいますけれども、使いようがありませんね。その辺はどう矛盾を解決されますか。実際にはそういうかっこうで経営委託が希望されると思いますが……。
#25
○説明員(岡安誠君) 私ども先ほど申し上げましたとおり、農協が経営を受託する以上は、やはり高能率な経営ということでなければ委託者の要請にもこたえられないわけでございますので、やはり転々と小規模の農地につきましての委託の申し出がありましても、なかなか農協としてはそれは受けられないのではないかというふうに考えられます。ただ農協といたしましては、そういう要望にできるだけこたえるために、その近在農家の方々にはかりまして、相当集団をして農協に委託をしてもらうようにというような話し合い等は十分可能であろうというふうに思います。ただ例外的に、農協が点在する農地につきまして経営を受託した場合でございますが、もしその近辺に高能率の自立経営農家があったり、また集団的な生産組織でもって活発に働いているというような組織がある場合には、そういう組織に農協が作業の委託をいたしまして、その作業の面におきましてはほかと一体となって行なうということで、能率的な経営につながる場合も考えられると思いますが、一般的にはばらばらの農地を農協が受けるということはなかなか困難であろうというふうに思っております。
#26
○前川旦君 できるだけ集団的に経営の委託をはかるといっても、それは現実にそうはならぬでしょう、それは。実際にはこれはもうスプロール状にくるにきまっているんですね。ですからそれを一体どうするんだろうか、たいへんこれは困難であろうと思いますよ。なかなか集団的にというのは非常にむずかしいと思います。それはそれとして、いろんなケースが考えられますから、それはそれとしていいんですが、いまあなたのおっしゃったことを伺うと、初めから再委託、これはあなたは経営の再委託ということばを使われなくて、作業の再委託ということばを使われましたけれども、初めから再委託というようなことを考えていらっしゃるように聞きとれました。この点はどうなんですか。初めからそういった再委託ということと、経営を委託するというこの法律の趣旨とずいぶん違うように思いますけれども、その辺はどうお考えですか。
#27
○説明員(岡安誠君) いま私が申し上げましたのは、たとえば小規模の農地、点在しておるところの農地の委託を受けました場合に、作業の再委託をしたほうが能率的であろうと考える場合には、そういうことも考えられるということを申し上げたわけでございまして、やはり農協が経営の委託を受けました場合には、みずからその経営をするということが主になろうかと思います。ただ、いろいろ経営計算をいたしまして、地区内に相当高能率経営がある、その経営が労働力等において余裕があるというような場合にはそういうような方法に、作業の一部ではございますが、再委託したほうがより効率的な経営ができるという場合もあろうと思います。そういう場合には再委託をすることができるということで、そういうことも認めていきたいというふうに考えるわけでございまして、初めから再委託というようなことを考えて、農協が経営の受託をするということはないというふうに考えます。
#28
○前川旦君 そうすると、くどいようですが、農協の受託は一応農協が主体的にやるんだ、つまり農協に経営部門を新設するということになるでしょうけれども、そういう角度で主体的に受け取めてやるというのが原則であるということで、いまの再委託をするというケースは例外的だというふうに考え方としては見てよろしゅうございますか。
#29
○説明員(岡安誠君) そのように指導いたしたいと考えております。
#30
○前川旦君 農協が主体になって経営部門を新設して経営をやる、大型機械を導入する、そういう基本方針からいくと、一つはオペレーターの問題があります。これはすでに質問がありましたので省きます。
 もう一つは、大型機械を農協は買うわけですね。これはただでさえいまの農協の経営基盤というのはすばらしくいいとは言えませんね。これはかなり、賃金水準を見てもわかるとおり、よくないところが多いと思いますが、その上赤字を累積する、あるいはますます経営基盤が弱化するという心配があるんではないかと、こう思います。大型機械導入についてどういう助成措置をお考えなのか。大型機械導入について私どもがずっと以前から主張してまいりましたのは、国が機械化センターをつくって大型機械を備えて安く貸し出しをせよということをしきりにわれわれ主張してまいりましたが、そういうことをお考えになる気持ちがあるのかどうか、あるいは具体的にどういう助成をなさるお考えなのか、その点についてお伺いいたします。
#31
○説明員(岡安誠君) 農協が経営を受託するために特別の助成ということは現在考えておらないのでございますけれども、現在でも大型、中型等の機械につきましては農林省といたしましては、相当助成措置を講じております。たとえば農協の経営受託の主体となろうと思われます稲作等につきましては、現在米生産の総合パイロット事業というような事業をやりまして、カントリーエレベーターを新設し、トラクター等につきましてもセットでこれは助成を続けております。また裏作である麦作につきましても、主産地の育成対策のパイロット事業を通じて機械の導入につきまして補助をいたしておりますし、それ以外におきましても、農林省といたしましては大型、中型等の機械の導入につきましては、毎年相当多額の補助金を出しております。それ以外の融資につきましては、たとえば改良資金それから近代化資金というようなものについて、実績上も相当の金が融資されております。今後もこの融資の拡大につきましては努力をいたしたい、かように考えております。
#32
○前川旦君 大型機械を国が保有して機械化センターから低廉な費用で貸し出しをせよ、こういうわれわれの主張は、たとえ野党の主張であってもやはり検討していただきたいと思います。
 それでは、この経営の受託資格を出資農協に限っておるように見えますが、法案ではそうなっておると思いますが、出資農協に限っておる理由は何ですか。
#33
○説明員(岡安誠君) やはり作業の受託ではございませんで、経営の受託ということになりますし、また私どもはこの経営の受託につきましては、少なくとも五年以上の期間につきまして経営を受託してもらうというような指導をいたしたいと思っております。そうなりますと、やはり相当、責任といいますか、信用のあるものにこれを受託してもらうということが必要であろうということから、出資農協に限るということにいたしたわけでございます。
#34
○前川旦君 その信用の内容は何ですか、経営基盤の問題でしょうか、主として。
#35
○説明員(岡安誠君) 農業の経営を長期間にゆだねるということにつきましては、もちろん人的な信用もございますが、農協としての経営基盤がしっかりしているということでなければ困るわけでございまして、こういうものはやはり出資をしておる農協であろうというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#36
○前川旦君 経営基盤のしっかりしておる農協が資格があるのだ、好ましいのだということでございましたが、先ほどの御答弁にもありましたように、農協の組合員ですね、組合員の側からする委託の希望はおそらく地域的には山村と都市近郊に片寄るであろう。山村の農協は必ずしも経営基盤が固いとは言えません。都市近郊は、これは経営基盤は信用事業をうんとやっておりますから固いかもしれませんが、逆にサービス部門を切り捨てようという方向にいっております。一番委託したい人の多いところが今度受託できないという矛盾があるのではないでしょうか。それをどう解決され、どう指導されますか。
#37
○説明員(岡安誠君) お話のようなケースが相当あろうかというふうに私ども考えておるのでございます。たとえば都市農協等におきまして現在、信用事業が大部分でございますけれども、もしこの農協法の規定が新しくできまして、組合員の相当多数から経営委託の希望があるという場合は、能力は十分あるわけでございますので、そういう都市の農協におきましても、新しく経営等の部門を起こして組合員の要望にこたえられるような事業内容を整備するということを私どもは期待するわけでございますし、山村等の農協におきましてもおっしゃるとおり、なかなか一挙には基盤の整備ということも因難かと思いますけれども、徐々に実力をつけまして組合員の要望にこたえるようにしていただく。たとえば合併その他の措置等も考えられるわけでございますが、そういうことを通じまして、まず経営の基盤を確立するということが先決であるというふうに考えております。
#38
○前川旦君 山村等につきましては経営の基盤を確立するということが必要である、これはわかりきったことなんです。それは具体的にどうしなさるのかということと、それから都市近郊農協でのサービス部門を切り捨てていっておる傾向につきまして、どうチェックして、具体的にどうなさるのか。ことばとしてはいいのですが、実はその具体策をお聞きしておるわけです。
#39
○説明員(岡安誠君) 農協の実情を私ども聞くのでございますので、一がいにこういうふうにするというふうに、経済団体でございますので、私ここでお答えするわけにはまいらないのでございますけれども、農協といたしましても、やはり従来の経営のあり方というものにつきましては、多少刷新をいたしたいということで、自主的な合併の促進その他の運動をいたしておるわけでございます。農協のそういう自主的な動きを私どもも見きわめまして、それぞれの実態に応じた指導、御援助をするということ以外にはやはり基本的な点からの農協の強化というものは困難であろうというふうに思っております。そこで、私どもといたしましては、法律の改正後におきますそれぞれの組合員の要望等を聞きまして、私どもはその要望にこたえられるような指導を具体的にいたしていくというようなことを現在まで考えております。
#40
○前川旦君 どうも納得できるようなお答えじゃないように思います。非常にことばとしてはりっぱなんですけれども、具体的な対応策がはたしてあるのか、非常に疑問に思います。しかしこれはなかなか出てきにくい問題ではなかろうかと思いますが、それじゃこまかく農家が経営を農協に委託した場合、固定資産税はだれが払うことになりますか。
#41
○説明員(岡安誠君) やはりそれは委託者である農家が払うことになろうかというように考えます。
#42
○前川旦君 それでは水利費はだれが払うことになりますか。
#43
○説明員(岡安誠君) これはやはり土地改良法の関係でございますが、経営者である農協が払うということになろうと思います。
#44
○前川旦君 土地改良のいろいろな費用につきましてはだれが負担をするということになりますか。
#45
○説明員(岡安誠君) これも同じく経営者である農協であろうというふうに考えます。
#46
○前川旦君 たとえば私の県では、いま国営の香川用水工事が行なわれておりますが、そういうような幹線水路に対する負担金は、これは面積別にきまっておりますけれども、そういうようなものの負担はどうなりましょうか。だれが支払うことになりましょうか。
  〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕
#47
○政府委員(中野和仁君) 土地改良法、いまちょっと農政局のほうからお話がありましたが、土地改良法の四十二条によりますと、土地改良区の組合員が資格を喪失する場合がございます。それは耕作をやめる場合、それは全部について、あるいは一部についてやめる場合がございますけれども、その場合には資格者の承継ということがございます。いまの委託の場合には耕作者が農協になるわけでございますので、農協が承継をする、そして農協が支払うということになります。ただし土地改良法の原則は、第三条によりまして、耕作者が土地改良事業の資格者になりますけれども、農業委員会の承認を受けました場合には、土地所有者が資格者になれるという規定がございますので、その辺は地域の実情に即してどちらかになるというふうに考えております。
#48
○前川旦君 経営の委託料でありますが、この委託料の算定につきましては、農林省としてはモデルをつくって指導なさる方針でしょうか。
#49
○説明員(岡安誠君) この受託料につきましては、私ども基本的な考え方といたしまして、大体経営に要しました実費の相当額というようなものを農協が受け取るようにというような指導をいたしたいと思っております。
 そこで、この受託料の算定の方法等につきましても、ある程度考え方、やり方等につきましては指針といいますか、そういうものはお示しをしたらというふうに考えているのでございます。実はこの農協の経営の受託料につきましては、私どもといたしまして農協にこの経営受託事業の規程のようなものをつくらせる指導をいたしたいと思っておりますので、その規程の中でこの受託料に関します事項を必ず盛り込ませるということになろうかと思いますので、その内容といたしまして、先ほど申し上げましたような事柄をお示しをいたしまして、一つのモデルにしていただきたいというように考えているのでございます。
#50
○前川旦君 委託料の、これはモデルといいますか、この算定方法は一体どういうふうになさるおつもりですか。たとえば人件費とかあるいは投入した資本、物件費あるいは先ほど水利費――水代、あるいは土地改良の負担金などは経営を受託した農協が支払うというお話でしたけれども、これはいまの委託料の中に全部算入されてくるものでございましょうか。
#51
○説明員(岡安誠君) 受託料の内容といたしまして、いまのお話の水利費それから土地改良の負担金等を当然含ませるかどうかということは、それぞれ実情によりまして、委託料のほかに、さらに委託者からそれを受け取るという場合もあろうかと思いますが、実際上やはり農協が一応それを負担いたしまして、それを委託者からさらに徴収をするということになろうかと思います。
 それから受託料の算定につきましては、いまお話のとおり、当然その中には農業経営のために本来的に必要である飼料費、肥料代、農薬代等のほかに機械の償却費、燃料費、運転費等が入るわけでございまして、それ以外におきましても事務費等が入ることになります。私どもは先ほど申し上げましたように、実費相当額というふうに考えておりますが、五年以上の長期にわたります委託料をあらかじめきめるということもございますので、一定の基準によりまして算定をし、初めは定額の委託料ということになろうかと思いますが、後ほどそれはいろいろ精算をいたしまして、結果的には実費相当分を農協が払うということになろうかと考えております。
#52
○前川旦君 先ほど土地改良の負担金とか水利費とかいうものは農協が支払うということでありましたけれども、結局それは委託手数料というかっこうで、結局はまた戻ってきて、委託した組合員が負担するということになるわけですか。ただ単に形式的にそれは払う義務があるのは、これは経営委託を受けた農協であっても、実際にはやはり委託した個人が負担しなきゃいかぬと、こういうことになりますか。
#53
○説明員(岡安誠君) 農協は、経営に要します費用につきまして委託者からその支払いを受けまして、残りは全部委託者に返すというたてまえでございます。したがいまして、やはり水利費とか、土地改良負担金等につきましては終局的にはやはり委託者が負担をするのが筋でございますので、やはり受託料の中に入るか、または別途徴収するかはいろいろあろうと思いますけれども、究極的には委託者である農家がこれを負担するということになろうと思います。
#54
○前川旦君 収穫物の所有権、処分権はだれに帰属することになりますか。
#55
○説明員(岡安誠君) 収穫物の処分権につきましては、やはりこれは受託者である農協が処分権を持つというふうに考えるのでございまして、処分した結果を精算いたしまして、損益等は委託者のほうに帰属をするということになろうかと思います。
#56
○前川旦君 そうしますと、経営の委託を受けた農協のほうでは、必要経費、それに要した費用ですね、これは手数料ということになるのでしょうが、必要経費を徴収する、その経営からあがった収益は委託した組合員に還元をする、これは物じゃなくて、いま処分権があると言いましたが、金でしょうけれども、精算した金ということでしょうね、収益は。そうすると土地の所有者に、つまり委託者の側に還元される、持ってくると、こういうわけですね。
#57
○説明員(岡安誠君) 還元ということばが適当であるかどうかあれでございますが、委託契約の内容からいきまして、これは当然その損益は委託者に帰属をするということのほうが適当ではなかろうかというふうに考えております。
#58
○前川旦君 米作以外の委託経営もあるというお話でした。そうすると、この場合の危険負担はいまのとうらはらになりますが、危険負担はどういうふうになりましょう。
#59
○説明員(岡安誠君) 危険負担は委託者が負うということになろうかと思います。
#60
○前川旦君 そういたしますと、危険負担は委託者が負う、あるいは収益はやはり委託者に帰属する、そうなりますと、次に疑問が起こってまいりますのは、作物あるいは品種、農業作業の実施の時期あるいは方法、そういったような決定権はどこにあることになりますか。
#61
○説明員(岡安誠君) これは委託契約の内容によるんだと思います。まあ経営の委託でございますし、相当長期の期間委託をすることもございますので、ある程度農協にこれをまかせるというようなことが通例であろうというふうに思います。ただ委託者がもう農協にまかしたから何もおれは知らないんだというようなかっこうも適当であろうかどうかということも疑問がございますので、やはりその委託者の意思がある程度反映するというような機構といいますか、そういうようなことも考えたらどうかと思っておりますし、その限りにおきましては、やはり委託者の希望によりまして、いままで水稲をつくっていたけれども、今度は裏作にこういうものを導入してもらいたいとか、あるいは転作をしてこういうことをやってもらいたい、こういうような委託者の希望というものが反映をすることもあり得るのではなかろうか、これはまあ作業の委託ではございませんので、相当程度農協の自主的な判断、そういう判断のもとにおいて経営をゆだねるということが通例であるという考えを持っております。
#62
○前川旦君 先ほどのお話のとおり、いまのような作物、品種、農業作業の実施の時期あるいは方法、これは農業経営の基本にかかわる問題です。これに意思を反映させる。なるほどそれはそうなりますけれども、最終的な決定権は一体どこにあるのかということがありますね。と申しますのは、経営の委託ということと、それから作業の委託ということと、どこでけじめがつくのですか。わざわざ経営の委託というのを新しく出されるからには、従来行なわれております作業の委託とは根本的にどこか違うところが、質的な相違があってしかるべきなんですね。ところがいままでのお話を伺っておりますと、実質的には結局作業委託とは変わらぬじゃないかというふうに思いますが、どこにその質的な差を考えていらっしゃいますか。
#63
○説明員(岡安誠君) おっしゃるとおり、作業の委託と申しますのは、具体的なこういう作業をしてもらいたいというようなことで、委託者の意思が全面的に委託の内容に反映するというのが作業委託というふうに考えています。経営の委託になりますと、その農地を最大の能率をあげるように経営をしてもらいたいというようなことが委託の趣旨になろうかと思いますので、相当程度農協にまかせるということ、いわゆる形式的には農協がそれぞれ経営の決定権を持つということになろうかと思います。しかし委託契約の内容によりましては、ある程度委託者が注文をつけるということもあろうかと思います。ただ私どもは、あまり区々の委託者がこまかい注文をいたしますと、先ほど申し上げましたとおり、委託された農地につきまして集団的な経営を行なわせるというのがこの農協の経営委託の本旨でもございますので、できるならば農協が集まりました農地全般につきまして最高の能率をあげるようにプランを立てまして、経営をするような方向に持っていけたらというふうに考えております。
#64
○前川旦君 最終的な経営の決定権は農協にある。そのことと危険負担が委託者にあるという御答弁がありましたが、たいへんこれは矛盾しませんか。いかがですか。
#65
○説明員(岡安誠君) やはり経営の委託というのは、農協の経営に対します能力といいますか、機械装備、人的な能力その他を考えまして農協におまかせをするということでございますので、農協といたしましては、まかされた以上、責任を持って最高の能率をあげるようにこれを経営するというような関係が成立するわけでございます。しかしこれは賃貸借等とは違いまして、やはり危険負担は委託者が負うというような関係でおまかせをするということでございますので、その辺はそういうような条件における権利関係が成立するといいますか、そういうふうに御理解をいただきたいというふうに思います。
#66
○前川旦君 経営委託するという本来の趣旨から言いますと、これは全面的にもう委託するんだ、常識的に経営に属すること、いわゆる経営権という権利は、これは法的にはないかもしれませんが、常識的に言われていることは、全部委託するんだということが本来の趣旨であろうと思います。ところがその辺が非常にあいまいというか、作業委託と距離が非常に近いように思いますね、いまの答弁から伺うと。それを現在行なわれている作業委託が、わざわざ経営の委託というのを打ち出された真意というか、どういうメリットがあるのだという、その辺のお考えはどうなんですか。
#67
○説明員(岡安誠君) やはり作業の委託と申しますと、区々の作業につきまして注文があり、それを受けるということでございまして、その次の作業につきまして、何ら約束その他がないというようなことになるわけでございます。そういたしますと農協が高能率の大型機械を導入するということにいたしましても、次の目安等もないわけでございまして、したがいまして作業の委託だけでは経営といいますか、農地の高能率な活用というものにつきまして、受託者としての農協の側におきます受け入れ体制が不安定になるということがまず考えられるのでございます。
 それからやはり先ほど申しましたように、兼業農家等の発生によれば、区々の作業のみでなくて一貫してすべてこれを農協にまかせたいというような要望も最近非常に強うございます。そういうことも考えまして、非常に安定した、かつ高能率の経営が農協で行ない得るような、そのためには作業の委託という範囲を越えまして、経営の委託というところまで行なったことのほうがより目的を達成するのに近いのではなかろうかというふうに考える次第でございます。
#68
○前川旦君 私はよくその点が納得できませんが、たとえば私の住んでいる香川県なんかの例を見ますと、実際に農協にしてほしいのは、やはり作業の委託だと思いますよ。たとえば自分のうちでは男手はあるけれども女手はない、女手はつとめに行っているから、田植えだけはひとつしてもらいたいとか、あるいは男手がいないから耕運機を使うのだけはやってもらいたいとか、実際に望んでいるのは、農協が作業委託をやってくれるということを望んでいるわけです。ですから全面的な経営委託がどれぐらいあるかわかりませんが、全面的な経営委託となるともちろんいまのような作業委託と違う新しい質的なものを持ってきている。それを望む人があればそれをやっていくということであろうと思っているのですが、そういうことではなくて、いまのお話を聞いてみると非常にその辺があいまいといったら、ちょっとことばが悪いかもしれませんけれども、どうしても私は経営委託だということばを使って打ち出したそのメリットというものを一体どう考えていらっしゃるのか、たぶんあるだろうというふうな御答弁のようでしたけれども、具体的にこれはこういうふうにプラスになるんですよ、こういう希望をかなえてあげることができるんですよ、そういった具体的なプラン、裏づけというものが一体あるのだろうかどうだろうか、その辺非常に疑問に思ったのでありますが、いかがです、その辺は。もう少し具体的にお答え願いたいのですが……。
#69
○説明員(岡安誠君) 現在農協に作業委託いたしております方々の中にも、具体的に経営の委託までしてほしいというふうな希望があることも事実でございますが、その際に私どもは作業の共同化といいますか、農業の経営の共同化というものは、やはり作業の共同化から始まる、これは御指摘のとおりでございまして、まず労働力の変化その他によりまして、作業につきまして共同化をはかる必要がある、ただそれが発展をいたしまして区々の作業から一貫した作業へ、それからそれは経営の共同化へというようなことになるのが通例であろうと、一足飛びには経営の共同化まではまいらないというのが通例でございます。
 そこで私どもは日本の相当零細規模の経営の寄り集まりであります現状から、これを自立経営農家を中心とした集団的生産組織のほうにつくり上げるという過程におきまして、農協が経営の委託を受けるということによりまして、現在の生産能率をあげるということのほかに、やはり大型機械等を導入して高能率の農業を展示して見せるといいますか、展示をするというような意義もあろうかと思います。いわば農協の経営の受託というものは日本農業の経営の近代化、高度化への一つの呼び水といいますか、モデルといいますか、展示的な効果もあるのではなかろうかというふうに考えておりますので、いわばちょっと歯切れの悪いような御答弁をしたかと思いますが、農協にもそういう役割りをこの際になってもらいたいというようなことで、この農地法を出したというわけでございます。
  〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
#70
○前川旦君 そういたしますと、現実にこれがすごく活用されるとか、急速にぐっとふえるとかということよりも、農協はこういうこともやれるんだという将来のための、将来どうなるかわからないけれども、こういうこともやることは可能なんですという一つの道を開くんだと、こういうふうに理解してよろしいのですか。
#71
○説明員(岡安誠君) さように限定的に理解することもなかろうかと思いますが、どれだけ経営の委託があらわれるかということにもよろうかと思います。私どもは、おっしゃるとおり、そう急速に大量の委託者があらわれると考えるのもちょっといささか現実に即さないと思いますが、こういう道を開くことによりまして従来よりもより多くの階層といいますか、農家から経営の委託の希望があらわれるものというふうに期待をいたしておるのでございます。
#72
○前川旦君 法律上の問題はずいぶん論議されましたからもう省略したいのですけれども、ちょっと簡単に触れると、この経営委託された土地というのは小作地になりますね。
#73
○政府委員(中野和仁君) 仰せのとおり、所有権以外のものに基づいての耕作をやるわけでございますから、農地法上小作地になります。
#74
○前川旦君 この委託手数料というのは地代とは考えられませんね。
#75
○政府委員(中野和仁君) 先ほどからも御議論のように、これはいわば実費相当額的なものを委託者が払うということでございますから、地代ではございません。
#76
○前川旦君 しかし、実際には現実の問題として法律上の問題ではありません。経営委託する、そうして手数料を払う、そうして生産を受け取ると、これはどうなんでしょうか。農協が支払う手数料はなるほど法的には地代じゃないが、実際に出てくる現象面で見ると地代と非常によく似ていると思いませんか。
#77
○政府委員(中野和仁君) まあたとえば水稲の場合に八俵取れるといたしまして、実費相当額が四俵だということになりますれば、残りの部分が地代相当額になるわけです。先ほどからの御議論のような、委託者に還元されました部分がいま先生おっしゃいましたように地代と見ていいかどうかという問題になってくると思いますけれども、地代の場合には、初めには小作料という形で借り賃幾らということにきめて、そうして借りましたほうの危険負担において農耕をやる、こういうことでございます。そのことはいま申し上げましたようにあるわけでございます。
#78
○前川旦君 その収穫物、まあ収益ですね、収益から手数料を引いたのが地代のようなかっこうになるのでしょうかね。そういうことになりますか、ちょっとよくわかりませんでしたけれども。
#79
○政府委員(中野和仁君) 私、先ほど申し上げましたのは、粗収入から経費を引いて、普通の場合は経営者報酬を見ました残りが地代というふうに地代というものは考えておるわけでございますが、この経営委託の場合には、逆に言えば実費を払いました残りの利潤と申しましょうか、そういうものは委託者のほうに帰属をしておるということに非常な差があるということを申し上げたのでございます。
#80
○前川旦君 そうしますと、経営委託に出す場合と――これは組合員の側から見てですね、農協に経営を委託する場合と、それから小作に出す場合と考えてみますと、農協に委託経営に出したほうが採算上はより有利だということにはなりませんか。
#81
○政府委員(中野和仁君) そのあたりは具体的な委託をいたします土地を使いまして農協がどういうふうな経営をするかということによっていろいろ違いが出てくるかと思いますが、全く同じものにつきましては同じような経費がかかるということになりますと委託をしたほうが得だという場合もあり得るかと思います。
#82
○前川旦君 今度は小作料にこれが反映してくるのじゃないだろうかということを考えたいと思うのですがね。結局ほかで小作してますわね、その小作料とそれから経営委託した場合のこの収益と、同じその小作地として、土地は両方とも小作地ですけれども、そうなりますと、小作料のつり上げの効果を、影響を及ぼすのじゃないだろうか、このことについてどうお考えでしょうか。
#83
○政府委員(中野和仁君) 確かにいま具体的に二つ比べてそうだということになりますれば、場合によっては委託者のほうの取り分は小作料が高いわけでございます。それが影響することもあるかという気がいたしますけれども、やはり先ほどからも御議論のように、これは一つの集団的な生産組織に向かって進めていこうということでございますので、これによりまして日本全国の賃貸借の関係が非常に左右をされまして、小作料がそれによって非常に値上がりをするということまでは波及しないのじゃないかというふうに考えております。
#84
○前川旦君 私は、今度小作料の制限が撤廃されるという法案が出ておりますわね。そういうこともあってこの経営委託というこのケースが小作料の値上げに波及するということを一つこわいと思います、これは。
 それからもう一つは、これは農地法ですか、十年たてば契約解除ということだったと思いますね。片一方が有利だということになれば、どんどんもう小作契約をやめてこちらにくらがえをすると、こういうような傾向もあるいは出てくる心配があるのじゃないか、その辺の手当てはどうお考えですか。
#85
○政府委員(中野和仁君) いま十年たてば契約を解除というお話でございましたが、これは初めから、貸す場合に、十年たてば返してもらいたいという約束をしての小作契約でございます。その問題といまの委託契約の問題とが直接関連をしてまいりまして、全部農協のほうへいってしまうというところまではなかなか現在の農協からいたしましてもそういうふうに日本国じゅう全部の土地を委託を受けてやるということにもまいりません。実際問題といたしましては、先ほどお話ありましたように、都市近郊あるいは山村その他の地域の実情によりまして、こういう委託をしたほうがいいというような地域によりましてこういうことがあるわけでございます。一般的にはやはり小作料というものはいまの統制小作料のものの考え方、これとまあやはり同じになるかと思いますけれども、収益から経費を引きます、そうして経営者の報酬というものを幾らか見た上で残りを地代として貸し主に払う、こういうふうになってくるというふうにわれわれは考えております。
#86
○前川旦君 その筋道はいいのですけれども、現実の問題として小作料がうんとつり上がるという波及効果があれば、これはいわばデメリットですから、その辺の手当てをやはりたんねんに考えておいてもらいたいというように思います。いかがですか。全然考えなくて、そういうことはあり得ないというばかりじゃないと思いますがね。
#87
○政府委員(中野和仁君) 先ほどから申し上げておりますように、賃貸借の場合と経営委託の場合とは構成が違いますから、違いますけれども、やはり農政局からもお話がありましたように、受託料については一定の算定方法等を示しながらやっていくし、またできるだけ集団的な生産組織のほうに持っていくためのいわば一つの手段でございます。そういう方向はそういう方向として進めながら、やはり一方賃貸借につきましては標準小作料の設定を中心に、できるだけ耕作者の地位を安定させるような方向での小作料の水準の何といいましょうか、設定というものを考えていかなければならないというふうに考えております。
#88
○前川旦君 それでは次にいぎますが、次は農地保有合理化法人の問題なんですが、これに農協が指定をされますと、農地の買い入れ、借り受け、処分、交換、こういった事業ができるわけですね。こういうことになりますね。こういったケースのこれから発生する見通しというものをどういうふうに立てていらっしゃいますか。この合理化法人ですね。これは数量をあげてというとちょっとあれでしょうが、むずかしいでしょうけれども、概括的なことでいいんですが、これが農協が扱うというケースの見通しはどうですか。
#89
○政府委員(中野和仁君) 農地保有合理化法人につきましては、耕作者が土地の何と言いましょうか、土地を買うなり、借りるなりできる、非耕作者、耕作者でないものはそういうものができないという農地法の原則の例外といたしまして、これは経営規模の拡大あるいは農家の集団化のために、こういう事業を今度起こそう、こういうことにしたわけでありますが、われわれ意図しておりますのは、その中のいろんなケースがございます。一つは県の農業公社というようなものをすでに県のほうでもかなり準備をしております。われわれ予算措置も講じておりますが、県全体としてそういう規模拡大のための農地の売買、貸し借りを一つの公的機関でやったほうがいいという問題が一つございます。
 と同時に、すでに御承知のように、去年から始まっております第二次構造改善事業等、部落段階の問題あるいは小さな村の段階でやっぱり経営規模の拡大のための農地の売買、それから貸し借りをやる場合に、第二次構造改善事業では、経営整備事業ということでかなりの助成をすることになっております。これがだれがやるかということになりますと、村によりまして町村がやったほうがいい場合、場合によっては農協がやったほうがいい場合があります。これをそれじゃどちらでもばらばらにやれるかということになりますと、この事業は最初に申し上げましたような趣旨でございますので、やはり統一的なやり方をする必要があるということになります。
 そこで具体的な運用といたしましては、農業地域振興法の問題で――問題でといいますか、農業振興地域の整備法で振興計画を立てます。その振興計画の中で、いま申し上げました農地の権利移動は一体どういうふうに進めるか、事業主体をだれにするかということをまずきめたいと考えております。しかし、この法律は、五年たちませんと全国全部指定ができません。その間は、農協がやったほうがいいか、市町村がやったほうがいいか、これは具体的に両方で相談をしてもらう。調整がなかなかつかぬ場合は、知事にその調整をさせるという考え方でやっていきたいと考えております。
#90
○前川旦君 それではまた申しわけないですけれども、詳しくお伺いさせていただきますが、農協が指定されて農地保有の合理化事業をやる場合に、まず買い入れからいきますか、農地の買い入れね。農地の買い入れ価格は、一体何を基準になさいますか。あるいは相対で自由契約に、そのときの経済関係による自由にされるのか、一定の基準を定められますか。
#91
○政府委員(中野和仁君) この事業を運営していく場合に、われわれは市町村の場合は、あるいは条例なり規則、それから農協の場合には定款なり規程等をつくりまして、その中で、いま言われました売買の価格のきめ方なりあるいは後ほど出るかと思いますが、貸借の場合の賃貸料その他の考え方、それはどういう人にそれを売り渡すかというようなことも、具体的にこの中できめていきたいと考えております。
 そこで、いまお尋ねの売買価格でございますが、やはりねらっておりますところが、農業経営規模の拡大に役立つようにということが目的でございますので、いわゆる農家間の取引価格、まあ時価と言えば時価でございます。それを非常に高い値段で買って、そうして高く売ったのでは経営が成り立たんということがございます。いわゆる農業採算価格というもので買い入れをし、そうしてそういう価格で売り渡すということを考えておるわけでございます。
#92
○前川旦君 いまちょっと、まず買い入れのところだけに限って伺っているわけですが、農協がそこの農地を買い入れするという場合ですね。いまの御答弁によると、経営上おのずから価格というものが常識的にきまるだろうということでしょうが、本質的にはやはりこれは自由契約、相対の自由契約できめるのだ、一定の地域による一定の基準をきめるとか、そういうような指導をするのじゃなくて、もう実勢にまかすのだ、こういうことなんでしょうか。
#93
○政府委員(中野和仁君) 農林省のほうでどの地域にどうだという地価公示法的なものの考え方を直ちに適用する準備はございません。いま仰せのように、その周辺の農業採算的な時価ということにわれわれ考えておるわけでございます。
#94
○中村波男君 関連。いま局長の御答弁の、経営上の採算価格ですね。もちろん農産物の価格変動がありますから、恒常的に幾らということは言えぬと思いますが、現在の状況の中で、幾らぐらいが経営上の採算価格だという一つの基準等地を出して試算をしてあれば、この機会に発表してもらいたいと思います。
#95
○政府委員(中野和仁君) 抽象的に申し上げますと、やはり農業として成り立つ価格というのは、地代を資本還元いたしました水準だろうと思います。それをやや具体的に申し上げますと、まあこれは統制下にありながらこういうことを申し上げるのはおかしいわけでございますが、たとえばその地域のやみ小作料というのは非常におかしいのですけれども、大体いま二万円だという相場がありとしますれば、それの五分なり六分なりで資本還元をいたしましたような水準ということになりますと、いまの二万円の場合になりますと、四十万円、こういうことになるかと思います。大体そういう水準、それは不動産研究所で発表しております大体三十万円というのが、全国平均の普通田価格になっております。全国農業会議所等の調査では、やや転用含み的な価格も入っているようでございます、やや高いようでございます。大体その辺がめどになるかと考えております。
#96
○前川旦君 買い入れは、これはスムーズにできるかもしれませんね。ほかの人に売るよりも農協に売ったほうがいいと、希望者が出るでしょうが、それじゃ売るときに、ほかの農家に農協が売るときに、このときの処分価格、これもやはりいま買い入れ価格と同じように考えてよろしいのでございますか。
#97
○政府委員(中野和仁君) 原則的にはそう考えていただいてよろしゅうございます。
#98
○前川旦君 たとえば買い入れ価格プラス手数料といったような基準で頭を打ってやるというのじゃなくて、そういう方法も考えられると思いますけれども、そういう方法は考えられませんか。
#99
○政府委員(中野和仁君) 買いましたものをすぐに売りません場合には、管理をしなければなりませんとか、あるいは登記その他の費用等のことがございます。したがいまして買ったものにそういうかかりました経費を加えて売るというのが原則になるわけでございますけれども、先ほど申し上げました県の農業開発公社の場合には、国のほうでも四十五年度約三千万円のそういう事務経費の補助を考えておりますし、それから先ほど申し上げました第二次構造改善事業におきましても、売買、それから管理あるいはその間の金利負担というものの三分の二補助を考えております。できるだけそういう面の援助をして、買った値段でできるだけ売れるというふうに指導と言いましょうか、助成としては持っていくというように考えております。
#100
○前川旦君 当然これは自由なまあ相対の契約だということになると、売却益、売却損、これはゼロだとはそんなうまいこといきませんよ。どうしてもやはり売却益が出る場合、売却損の出る場合があります。この益金はどうなるでしょうか。売却益が出た場合には、これは一体この売却益はどこへ持っていくのか。売却損が出た場合には、たとえば農協の経常経費の中から出すのですかね。その売却益、売却損の扱いについてお伺いをしたいわけです。これはこの合理化法人だけではなくて、ついでにお伺いしておきますが、この際、例の転用相当農地、その売買についてはもっとこれははっきり出るだろうと思うのです、売却益というのが。特に売却益――いまの状態で言うと、売却損だってないとはこれは限りません。そういう場合には、これの処理は一体どういうふうに指導されますか。
#101
○政府委員(中野和仁君) その処理のしかたは、県の公社あるいは市町村、それから農協によって若干違いがあるかと思いますが、私先ほど申し上げましたように、買った値段に必要最小限度の事務経費をつけまして売り渡すわけでございまして、原則的にはそういう売買差益、差損は出ないというふうに考えております。しかしいま御指摘のように、結果としまして買いました農地が農地として売れないで、やむを得ず道路になりますとか、あるいはその他の施設に使ったほうがいいというようなことになりまして転用した場合に、益が出る場合がございます。それを農協法上どう取り扱うか、あるいは農政局からあとで御答弁があるかと思いますが、考え方といたしましては、やはりそれを積み立てておきまして、先ほど御指摘のありますように、場合によっては高く売れなかった場合、差損を埋めるという方向に持っていきたいというふうに考えております。
#102
○説明員(岡安誠君) 農協といたしましては、農地保有合理化法人としての事業とそれから転用農地の取り扱いもそれぞれの特別会計として処理をいたしたいというふうに考えております。で、合理化法人としての扱いは、先ほど農地局長からのお答えのとおり、ほとんど売買損益というものがあらわれないと思いますが、万一あらわれた場合には当然これは積み立てをいたしまして、もし損を生じた場合にはそれに充当するということになると思いますが、転用相当農地の場合は、これは原則といたしまして委託によります取り扱いということをいたさせたい。で、買い取り、売り渡しというものはほとんど例外以外にはないものというふうに私どもは考えております。しかし、例外的にかりにこれも益等が出ました場合には特別の積み立て金といたしまして、これは配分することなく、事後の損のために保留をしておくというように指導をいたしたい、かように考えております。
#103
○前川旦君 特別会計として別にのけておくと、こういうことなのですね。そうすると、益が出た場合には積み立てておく、損が出た場合にはそれから取りくずす、それの特別会計はそれでは取りくずして一般会計の中に、経営費の中に入れたり持ち出したりすることは一切ないのだ、あくまでもそれはそれでやるのだというふうに割り切っていらっしゃるのでしょうか。
#104
○説明員(岡安誠君) そのような指導をいたしたいというように考えております。
#105
○前川旦君 いま転用相当農地の話までちょっと突っ込んで足が出ましたけれども、またもとに戻して、合理化法人の問題ですが、農地を買い入れてさらにこれを農業をしたいという人に転売をする。当然これは維持費、管理費がかなりかかります。ほうっておくわけにもいきませんから、抱いておいて草をはやしておくわけにはいきませんから、ずいぶん管理費が要ると思うのですが、それは一体どこにあらわれてきますか。それの補てんは、売却するときに上積みするということになりますか。
#106
○政府委員(中野和仁君) 買いましたものをすぐ売ります場合と、それから買って、ばらばらに買いましたものをまとめて集団化をいたしまして、あるいは場合によってはその農地の整備等をいたしまして売る場合とかいろいろあると思います。そういう管理をしている段階の費用は、先ほども申し上げましたように、やはりこれは経費として売る価格に加えるということになるかと思います。そこで、先ほども申し上げましたように、できるだけ構造改善事業等を通じましてそういう経費は補助をしていくというふうに考えているわけでございます。
#107
○前川旦君 補助をするとおっしゃいましたが、昭和四十五年度において補助をする農業施策の中に若干含まれているというけれども、予算を見ますと三千万円ちょっとこえるくらい――三千万円というのは全国でですね。そうしてこれは事務費の、補助率三分の二は事務費の補助だけだというふうに予算書になっております。事務費に補助するぐらいではとてもそれは実効のある手当てにはならぬと思いますが、将来の方向としてどうですか。事務費の補助だけではなくて、こういうように、先ほど申し上げましたようなかっこうで農協の経営が悪化するというような場合には、何かやはり手を打たれますか。
#108
○政府委員(中野和仁君) ただいま言われました三千万円というのは県の公社の場合の予算でございますが、それを若干申し上げますと、買い入れ、売り渡しなどについての費用のほかに、財産の管理費というものもわれわれ見ております。ただ、これは一月からの施行ということを考えておりますので、わずかに三千万円でございますが、年間に直しますと相当な額になるわけでございますし、初年度でございますので全国全部県の公社の設立準備ができていないような状況でございますので、約三十公社ぐらいはできるのではないかという想定のもとにこういう予算を組んでおります。四十六年度以降は、なお先ほどちょっと申し上げましたように、買う金の金利負担をどうするかという問題もあわせて検討していきたいと考えております。
#109
○前川旦君 それでは買い入れ、それから処分ではなくて、今度は借り受けするケースですね。土地は売りたくない、とにかく農協に貸しておくという場合のほうが、実はこれのほうが多いのじゃないかというふうに思いますが、農協がそういうかっこうで借り受けという事業をやる。その場合の地代はこれは当然払わなくちゃいけないというふうに思いますが、この地代はどこから支出することになりますか。どういうふうに御指導されますか。
#110
○政府委員(中野和仁君) 借り受けましたものは、農業をやっていく農家に貸すわけでございます。貸してそこから地代を取って、そうして公社等が借りました農家に地代を払う、こういうかっこうになるわけでございます。なお、われわれといたしましては、公社に――公社といいますか、合理化法人に貸す場合に、できれば十年分を前払いをしまして、そうしてそれを規模拡大をしようとする農家に年々貸していく。その間の利子負担等も予算的にこれを見ていきたいというところをいま検討しておるところでございます。
#111
○前川旦君 ちょっとわかりませんでしたが、農協に貸す、農協は借りますね。借り集めた日からすぐもう希望者があって、その農地の貸し付けができる、交換ができるということには現実の問題としてならぬと思いますよ。やはりいまあなたの言われたように、かなりまとまるということになると、二月や三月、あるいはもっと長いかもしれませんけれども、やはり抱いていなければならぬ時期がありますね、どうしても現実問題として。そうすると、地代を払わなければいかぬでしょう。ですから、その地代はどういうふうにするのかということを聞きたいわけですよ。現実の問題としてこれはあると思いますからね。
#112
○政府委員(中野和仁君) 全然貸す相手も見当もつかないのをどんどん借りてしまうということは実際問題としてはないと思います。原則的には大体まあ貸す相手も見当をつけて、そうして借り受けるということでやっていかなければ、いま仰せのように、その間の費用をどうするかという問題も出てまいりますので、いまも申し上げましたように、大体貸す相手の見当をつけた上で借りて、そうして貸したほうから地代をもらって、この合理化法人に預けた農家に地代を払う、こういうふうに原則的には指導していきたいと考えております。
#113
○前川旦君 そういたしますと、この借り受けという事業が交換ですか、つまり農協から土地を借りたいという方、そういう希望者がない限りは実際にはやれないということなんでしょうか。その希望者が出てくるまでは、たとえ農協に貸したいという希望があってもそれは待ってくれということで、いま希望者がいないから待ってくれということで、結局、希望者がいるかいないかによって左右されてくるということになりますか。そういう関係なしに、希望者があればできるだけ借り受けして、あるときには抱いておいてそいつを適当に交換をしていくということではなくて、希望者があって初めてそれじゃ農協に貸すといいますか、実際問題としてこうなるんですか、どうなんでしょうか。その辺はいま局長の御答弁であると、結局借り手がなければ農協も引き受けないということになりそうですけれどもね、これはどうなんでしょうか。
#114
○政府委員(中野和仁君) 現在すでに四十四年度の予算から農業委員会のあっせん事業というのを予算化をいたしましていまその準備をいたしておりますけれども、今回の農協なり市町村が村の末端でやりますそういう農地の売買あるいは貸し借りにつきましては、農業委員会のあっせん事業をそれにからめていきたいと考えております。そこで、具体的には借りるあるいは売る希望者、それから貸したいあるいは買いたいという希望者がその村ではやはり募るといいましょうか、そういう言い方おかしいかもわかりませんが、その辺を農業委員会といたしましても明確にいたしまして、それと農協の事業あるいは市町村事業とを結びつけて、できるだけそういう、借りてしまって全然貸す相手がないということがないようにして今後いきたいと思います。
#115
○前川旦君 そうしますと、実際は、結局農協が中へ入って借りたい人、貸したい人のあっせんをするにとどまると、こういうことになるんですね。わざわざ農地の法律を改正して、交換だとか借り受けだとか書いてありますけれども、実際には農地の権利移転というものは農協を通すのじゃなくて、それはもう農協があっせんをするんだと、現実問題としては。現実問題としてはそれにとどまるということでしょうか。
#116
○政府委員(中野和仁君) そういう場合もあるかと思いますが、必ずしもそういうふうにない場合があるわけでございます。と申しますのは、この合理化法人は農協にしろ、市町村にしろ、県の公社にしろ、しっかりした団体でございますので、そこで貸すほうも安心して地代がいただけるし、それからそこから借りる場合にはやはり耕作権が非常に安定するという効能がございますので、単にあっせんだけであれば先ほど申し上げました農業委員会のあっせんということもあり得るわけでございますけれども、これを間に入れましてできるだけ預けたりあるいは売ったりする農地を農業をやっていこうという農家の方向へ向けていきたいというところにねらいがあるわけでございます。われわれこれを非常に今後の構造政策の一つの重要な柱と考えておるわけでございます。
#117
○前川旦君 いまおっしゃったように単にあっせんをするだけじゃないということであれば、やはりさっきのに戻って、その間の地代だとか管理だとかという問題にまた戻ってくるわけですよね。たださえ経営基盤が危ういのに、それ一体どこで取り返すんだというそういうことをプラスしていくと、今度は借り手がなくなる、買い手がなくなるというような問題も出てくるでしょうし、その辺がほんとうはよくわかりませんが、それはともかくとして、それじゃ今度は農地の借り入れしたあるいは借りた農協がこれを処分する、つまり希望する農家に売り渡すあるいは交換する、こういう場合に希望者が複数になることが往々にしてありますね。これは複数になればどうなさいますか。たとえば相対の話し合いできめるという方針を貫かれるのか、競売に付するということになされるのか、その辺はいかがですか。具体的にどういうふうに指導されますか。
#118
○政府委員(中野和仁君) その点につきましては、いま仰せのように競売に付するということは考えておりません。やはり具体的に出てまいりました農地を一番効率的に使うにはどうしたらいいかということになりますと、一つには売りました農地の隣接している農家ということも考えられましょうし、それから二人おった中で一人は片手間に農業をやり、一人は本気で農業をやるといった場合は、そちらに優先的に渡すというようなことで、われわれといたしましては、現に先ほど申し上げました農業委員会のあっせんの場合でも一応基準を示しております。しかしそれは全国一律の基準ではまいりませんので、具体的にはそういう基準に基づきまして、村でそういう競合した場合にはどういうふうな方向に優先的に持っていくかということを具体的な基準としてあらかじめつくっておくほうがよかろうというふうに考えて指導をしてまいりたいというふうに考えております。
#119
○前川旦君 希望者が競合した場合にはどれか一つを選ばなければいけませんね。その場合には結局これを担当している、これはこの場合私の聞いているのは農協ですから、個々の農家に対して選別政策を農協みずからがとらざるを得なくなるのではなかろうか。結局競合しているんですからどちらかを選ぶということですね。その点についてどうですか、皆さん方が選別政策を考えていらっしゃるのは、これはまあ政策としてわかりますけれども、農協そのものが選別政策に反対というか賛成はしていないはずなんですね。農協みずからが選別政策をせざるを得ないというところに追い込まれるんじゃないか、その点についてはどうお考えですか。
#120
○説明員(岡安誠君) いまお話しのございましたとおり、農地の売り方によりましてだれかを選ぶという意味におきましてはおっしゃるとおり、選別ということになろうかと思いますが、やはり農地合理化事業として農協をやる以上は、これを分割して売るとかいうようなことは適当ではないし、その事業の目的にも反するわけでございまして、結果的には農協がだれかを選んでやるということになりまして、選別政策やりましても、やはりそれは農協の組合員の利益の向上にも結果的にはつながるわけでございまして、農協法の目的、農協の事業として必ずしもふさわしくないというふうには私どもは考えておらないわけでございます。
#121
○前川旦君 現実に農家の選別政策を共同組織である、共同体である農協が同じ組合員の中から選別政策をとらざるを得ない、これはたいへん大きな問題だと思うんですが、そのとおりでいいんでしょうか、いまの御答弁で。やっぱりそうせざるを得ないということになりますがね、相対できめるということになると。基本的にどうですか、いいんですか、お考えいまのままで。
#122
○説明員(岡安誠君) 先ほどお話しがあったかと思いますが、農協が農地保有合理化法人として事業をいたしますのは、農業振興地域におきましてその事業を行なうということになりますし、そうなりますと、その地域におきましては振興計画というものも立っているわけでございます。農協がこういう合理化法人として農地を売り渡す場合には、基準によって売り渡すという場合、その基準は当然振興計画に沿った方向で売り渡しということになるわけでございまして、その地域の農業の振興に最も役立つような売り方ということになるわけでございまして、これは農協の目的にも違反しないわけでございますし、必ずしもふさわしくないとは言えないのではなかろか、かように考えておるわけでございます。
#123
○前川旦君 どうもよくわかりませんがね。これは、農協みずからが選別政策をとらざるを得ないような立場に立つということはたいへんなことだろうというふうに思います。もう一つ。これは広い日本ですから、万が一こういうケースがあるかもしれませんけれども、複数の場合にだれを選ぶかというようなところに立たされる場合――これはめつたにないことですけれどもね、あるいは汚職の巣くつになる、あるいはその組合民主主義と逆行するボス支配の傾向が出てくる危険ゼロとは言いがたいと思いますね。その辺に対する指導、手当てはどういうふうになさいますか。
#124
○説明員(岡安誠君) まあお話しのようなことがあってはならないわけでございまして、私どもといたしましては、この事業を行なうに際しましての役職員の心がまえといいますか、そういうものは十分徹底をさせなければならないと思っておりますが、また一面考えますと、やはり農協というものはある程度ガラス張りの経営をいたしておるわけでございまして、農協がある人間を選んで売り渡すということはやはり組合員に納得のいくような売り渡しのしかたでなければならないというような制約も一面受けるわけでございます。その意味におきまして、もちろん万々一変なことのないようにはいたしたいとは思いますけれども、やはりおのずから農協の性格からするチェックといいますかが行なわれて、適当な売り渡しになるということを私どもは期待いたしておるわけでございます。
#125
○前川旦君 精神的な御答弁のようでどうも十分私納得できませんが、結局農協がそういう選別政策をとらざるを得ないということは、協同組合意識をこわすという危険もなきにしもあらずです。ですから、私はその辺をたんねんに、きめのこまかい配慮をしていただきたいというふうに思います。このことを要望しておきます。それから現実の問題として、農協に土地を貸したいという希望はやはり山村なんか非常に多いと思いますがね、そうすると、これは経営基盤の問題、先ほどの問題とまた関連が出てくるわけですが、結局先ほどのお話でもありましたように、現実の問題としては希望の多いところはなかなかかなえることができないというような矛盾にどうしてもなるわけですね。そうなると法の実効はあがらないということになります。この辺について先ほどいろいろお話ございましたけれども、私やはりもの足りないわけなんですよ。一番希望の多いところが一番希望に沿えないということになってしまいそうなんですね。ですからその辺の配慮は一体どうお考えになりますか。もう少し具体的に、希望の多いところは希望に沿えるようなやり方をもう少し考えていいんじゃないかというふうに思いますが、御検討なさいますか、いかがですか。
#126
○説明員(岡安誠君) これは農協一般のお話ということでございますならば、おっしゃるとおりやはり農協が事業を活発に行なうためには基盤がしっかりしてなきゃならぬということで私どもはやはり基本的な態度としまして基盤の整備ということを考えざるを得ないわけでございまして、それに妙手があるかというふうに言われますと、なかなかこれはむずかしい問題でございまして、私どもはやはりじみちな努力を重ねざるを得ないというふうに考えております。その手段といたしまして、先ほど申し上げましたとおり、合併等を通じまして農協の成り立ち得るような経済的基盤といいますか、それをまず確立するのが大切であろうというふうに考えるのであります。農地保有合理化事業だけに限って申し上げますならば、先ほど農地局長からお話ございましたとおり、これは末端で農協がやるか、市町村がやるか、これは話し合いによってきまるわけでありまして、農協がその実力が現在では十分でないという場合には、これは市町村が保有合理化法人として事業をやっていただくということにならざるを得ないかというふうに私どもは考えているわけでございます。
#127
○川村清一君 ただいまの前川委員との質疑をお聞きしておりまして、ちょっと私も不審に思いますので局長に重ねてお尋ねしたいと思うわけなんです。農林省の皆さん方は農協というものは農協法に基づいて設立されており、それから協同組合精神に基づいて農協というものがあるわけでございまして、したがってそういう協同組合精神であるとかあるいは農協法、こういう面から、農協というものはこのように存在しておるんだ、そういう立場で局長がいろいろお話される点はよく了解されるのですけれども、そこで実際の農協というものはあなた方が農林省の机の上で考えられているような農協であるか。実態はどうか。その実態をはっきり把握された上に立ってこういう案をつくられ、そうして前川委員に御答弁されているのかどうかということについて疑問を持たざるを得ないわけなんです。実際の農協が農業協同組合精神に基づいて設立された農協として存在し運営されているかどうか。農協法の精神に、趣旨に基づいて運営されておるかどうか。もしそうであるとするならば、全国の農協でですね、あなた方も御承知のような問題は起きないわけであります。新聞にたびたび報道されるような問題も起きないわけであります。そうして農村にも問題が起きない。そういう協同組合精神に基づいて、ほんとうに平和とみんなが相互扶助で助け合う農村というものがつくり上げられていくはずなんだ。ところが必ずしもそうなっておらないところにもろもろの問題が起きてくる。そうして農村の構造というものも非常に階層分化が行なわれておりまして、たくさんの面積を持って農業経営している農家もありますれば、あるいはほんとうに零細農家もある。経済力が非常に違う。そこにいろんな階層的な紛争といったようなものを生じていることは事実なんですね。この事実をわきまえないで、そうしてただ普遍的に一律に前川委員に御答弁されておりますようなことを聞いておりますというと、私自身はなかなかふに落ちないわけです。
 たとえば農協に対して土地を譲渡してくれという申し出の農家が数軒あったとする。どの農家にこれを売り渡しするかということを、これは農協が選別しなければならないという問題になってくる。その場合にたいした問題がないように御答弁しておりますけれども、私は非常に問題がある。かりに譲渡を受けるとするならばこれはお金を払わなければならない。そうすると、相当の土地を買い受けるとするならば相当の金が必要である。その金というものは農家はやっぱり借りなければならない。そうするとその金をやっぱり金融の道が通じなければ借りられないわけですね。そうするとその金融の道を通ずるのはこれはやっぱり農協の組織の中から、系統の中から私は出てくると思うんです。まず金融の面においてこれは選別されるわけでございますね。
 それから経営の見通しがどうか、経営計画がどうかといったようなことをいろいろ検討して、最も堅実な経営の見通しを持ち堅実な経営をやっている農家にこれをやる。まあ数字の上ではそれはできるかもしれませんけれども、なかなかそこに選別する場合の主観というものが勝つ。しからばその選別する機関は、農家の機関はどこにあるか、だれかということ、これは農協の総会でも開いていろいろ議論をやってそうしてだれがいいかということを全員の投票でもやればまことに民主的でございましょうけれども、そういうことはないと思うわけでございますね。そういうところにもろもろの問題が起き、そうして農協の精神というもの、ほんとうに平和な、みんなが相互扶助で助け合う、そういう農村をつくるべき目的のそういう趣旨に相反しまして、その平和な農村の中にきわめて反目があり、紛争が生ずるという心配がないかどうか。この点を前川委員は心配されて質問されておると私は聞いておるわけでありますけれども、局長はまことに、農林省の机の上で法律をやっただけで、農村というものはこういうものだ、農協はこういうものだというようなそういう考え方でもって御答弁になっておる、そこのところをどうするかと、たいへん心配な点があります。
 ですから、私はその合理化法人は、これは農協よりもむしろ市町村がやるべきである、市町村がやったほうがむしろいいんではないか。たとえばこの農業委員会などという、ほんとうに法律的にいえば、何といいますか、公平な機関であるこの農業委員会も、そのものの実態運営等を考えると、私どもの立場からも、こういうような選挙によって選出された委員によって構成された農業委員会であってさえ実態論としては問題を持っておりますから、こういう点を心配しておるのであります。そこで、もう一度こういう点はっきりと御答弁をしておいていただきたいと思います。
#128
○説明員(岡安誠君) お話のとおり、農業協同組合と申しますのはやはり農民の自主的組織でございますから、農業協同組合法という組織法がございましても、全国にございます農協はそれぞれ地域の実情によりまして各種の形態をとる、またそれぞれの事業を行なっておるわけでございまして、それはそれとしてよろしいと思っておりますけれども、御指摘のように、やはり管理運営の面におきまして不備である農協も少なからずあるというふうに私ども考えております。それらの点につきましての指導等は私どもさらに十分力をいたさなければならないというふうに考えております。
 この農地保有合理化事業でございますけれども、そういうような農協に対しまして、こういう能力を与えることがどうかというような問題もございましたけれども、農協のほうでもそういう事業をいたしたいという希望もございますし、また先ほど申し上げましたとおり、この農地保有合理化事業というものは、地域の農業振興に対しまして基本的な農地の流動化というような事業に携わるわけでございまして、農協としてふさわしい仕事であろうというふうに考えまして、今回この能力を与える規定を加えたのでございます。
 ただ、実施の方法といたしましては、先ほど選別、選別というお話でございましたけれども、これは結果として選別のようなことになるというふうに申し上げたわけでございまして、実際のやり方、たとえば農地を買い取る場合の方法なり対価、またそれを売り渡す場合の基準対価等につきましては、農地保有合理化事業一般といたしまして基準が設けられまして、そういうような基準を農協みずから設定をしなければその設定がなされないということでございます。言いかえますと、そういうような基準によって農協が行なう事業でございますので、もちろんその管理運営に携わる人間の資質というものも影響がないわけではございませんけれども、これはほかの事業よりもより公的な事業で、その面におきまして指導等の面も十分行き渡るものというふうに考えております。しかし、やはり農協の中にはそういうような事業をするのに必ずしもふさわしくない農協が絶無とは申しません。そういうような場合には、当然これは農協にかわりまして市町村等がこれを行なうべきである。そのようなことになろうというふうに私どもは考えておる次第であります。
#129
○中村波男君 改正案の十条五項について若干お尋ねをしてみたいと思うわけでありますが、この十条五項の転用相当農地というものの基準といいますか、転用相当農地というものはどの範囲を政府としては考えておるのか、これを明らかにしていただきませんと問題があると思うのですが、いかがですか。
#130
○説明員(岡安誠君) ことばの上では客観的に転用が相当であろう農地というふうに書いてあるわけでございますが、具体的にはやはり農地法によりまして転用を許されるような農地というようなことに理解していただけたらというふうに考えております。
#131
○中村波男君 そうすると、あらかじめ農協が手をつけます前に農業委員会のそれぞれの手続を了したものと、こういう取り扱いになりますか。
#132
○説明員(岡安誠君) 一つの場合には、組合員である農家が転用の許可を受けまして、その売り渡し、または区画形質の変更を農協に委託する場合がございます。それ以外に農協が、これを転用する区画形質の変更をしてもらいたいという委託を受けまして、農協が転用の申請その他をするというような場合もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、組合の段階が、または農協の段階におきまして転用の手続をするということになろうかと思います。
#133
○中村波男君 実際問題として、いま農協法の取り扱いを具体的に見ておりますと、四条、五条関係で申請をしたものが不許可になった例というものは少ないわけですね。したがって、委託をする、また後段における売り渡しがあれば、これは相当農地として農地法によって処理されるというような実態があると思うわけです。そうなりますと、実質的には民間の土地あっせん業と変わらないような農協たりとも取り扱いになるという危険が多分にあると思いますが、その点は一般のいわゆる業者と農協の違いといいますか、取り扱い上において何か規制をするという、いわゆる目的に合致するようなやり方というのができるのかどうかという点についてはいかがでしょうか。
#134
○説明員(岡安誠君) 農地法の関係は農地局長からお答えがあろうかと思いますけれども、私どもは農地法との関係につきましては、別に変わった点はなかろうと思いますけれども、農協が扱うという以上におきましては、いわゆる一般の土地売買業者と違いまして、地域の組合員の利便、利益といいますか、そういうものを十分勘案した上での転用相当農地の事業を行なうということになろうかと思います。したがいまして私どもといたしましては、農協がこのような事業を行なう場合には、地域にあります既存の各種の公的な計画といいますか、そういうものを全部勘案いたしまして、その計画に沿った方向で事業を行なうように、そういうことを当然指導もいたしますし、そういうようなことを具体的に規程その他に書いて、実行していただきたいというふうに実は考えているのでございます。
#135
○中村波男君 もう一つは、委託を受けてあっせんをする場合に、農協は事務的にも、労力的にも相当な負担がかかると思いますが、あっせん料に類するといいますか、匹敵するといいますか、そういうようなものを取ることができるのか、それは取らせない、無料でやらせるという意味なのか、その点どう取り扱わせようとしておりますか。
#136
○説明員(岡安誠君) これはやはりおっしゃるとおり、この取り扱いにつきましては、しかるべく事務がかかるわけでございますが、その事務に要します経費は当然これは徴収しなければならないというふうに考えております。ただこの事業を行なうに当たりましては、宅地建物取引業法というようなものがございまして、扱い手数料その他につきましては、建設大臣のほうの規制がございまして、その規制は当然受けるわけでございます。それ以上に農協としましては実費相当額にしぼりましてこれを徴収するということになるのではあるまいかというふうに考えております。
#137
○中村波男君 なるのではあるまいかということでは、それぞれの農協が、それぞれの立場でやるということになりますと、結局もうけ主義的な立場で、そういう面から積極的な事業というものが開かれていくということになりかねないと思うわけです。したがって、農林省としては何らかの基準なり、一つの規定というものを設けて、強力な指示をされる考えがあるのかどうか、その点はいかがですか。
#138
○説明員(岡安誠君) ちょっとお答えがあいまいで訂正さしていただきますが、かりに手数料を取るといたしますならば、実費相当額ということにするように私どもは指導いたしたいと思いますが、その方法といたしましては、この取り扱いにつきましても事業規定というようなものを設けてやらせるというように考えておりますので、その規定の中に手数料等の基準も書かせるというふうにいたしたいと思います。
#139
○川村清一君 それからもう一つお伺いいたしますが、後段の、農協が土地を買い入れまして、売るということも許されておりますね。そうしますと、これは損をすることもあるでありましょうが、相当利益を得ることもあると思うわけです。また利益を得るために投機的に農協が土地を買い入れておくというようなケースが出てくると思うんでありますが、この点はもうけたのは農協の利益になるんだと、するんだと、こういうやり方を許される考えでありますか。
#140
○説明員(岡安誠君) 私どもは農協がこの事業を行ないます場合には、原則として委託によることというような指導を現にいたしたいと思っております。ただ法律上買い取りもできるというふうに規定を置きましたのは、例外的にやはりぜひともこの際離農をいたしたいというような農家がありまして、委託ではなくて、買い取ってもらいたいという希望があった場合に、それをお断わりするということもなかろうというような意味合いから、例外的になし得るという意味で入れたのでございまして、私どもは原則は委託と。したがいまして委託によりましては、売買損益というものは原則としてはないというふうに考えております。ただ万一買い取りました農地につきまして損益が出ました場合、特に益の場合につきましては、これはやはり特別会計で処理をいたさせたいと思っておりますので、その会計の積み立て金としてこれを積み立てまして、これは損が出ました場合に充当する以外には原則として取りくずさないというような指導でまいりたいというふうに考えております。
 なお私が申し上げましたとおり、農協が農地を、転用相当農地等買うという場合はレアケースでございますけれども、そういう場合におきましても、これは農地法のたてまえもございましょうけれども、あらかじめ農地を買っておきまして有利にこれを売ると、そういう売るためにあらかじめ農地を買っておくというようなことは農地法上も許されないし、私どもはそういうようなことをこの事業でやらせるつもりはないわけでございます。
#141
○川村清一君 関連でありますから、もう一問だけお聞きしてやめたいと思いますが、この法文上からは、委託が原則で農協みずからが土地を買い入れることは例外の措置だというようなことはくみ取れませんし、行政指導はなさっても、事実問題としては農協みずからがやる気になれば、その道を開いたんでありますから、したがって新聞等が指摘しておりますように、農協による土地ブローカー的な事業を許すんだと、こういう危険につながっていると思いますが、いかがですか。
#142
○説明員(岡安誠君) おっしゃるとおり法文上からだけは委託の原則というようなことには必ずしも明確にはなっておらないのでありますが、私どもはそもそもこの条文に入れる上におきましてもそういうつもりでございまして、運用に当たりましても、そういうことになるように、この点につきましては先ほど申し上げましたとおり、この事業の取り扱いの規定というものを必ずつくらせまして、これは定款の付属書というような扱いにさせたいと思っておりますので、そういう規定の中で明らかに原則として委託以外やらないと、例外的にしか行なわないということをはっきりとさせたいというふうに思っているのでございます。
#143
○前川旦君 約束の時間がまいりましたので、最後に倉石農林大臣にお尋ねをいたしますが、農協の合併でどんどん大型化をいたしました。地域的にずいぶんな広がりを持っております。そういたしますと、農協を中心とする地域からは、たとえば営農指導をもっとしてもらいたいという要望が一番強いようであります。
 それから信用事業についても農業への投資というものを望んでおりますが、都市近郊になると逆になりますので、都市近郊になりますと農業以外への貸し出しをうんと望んでおるし、それから営農指導よりも、むしろ地域共同体的な方向へ志向する、あるいは生活協同組合を含む同じ一つの中で、非常に相反する要望を全部これを満たしていくということは非常に困難性があるのじゃないか、こういうように思います。中途半端になってしまいやすい、ですからその点を調和さすように指導なさいますか。あるいは非常に急いで合併ということをされましたけれども、もう一ぺん再編成というようなこともあるいは考えることができるのかどうか、その辺について大臣のお考えをお伺いしてまいりたいと思います。
#144
○国務大臣(倉石忠雄君) お話のように農協を取り巻く諸情勢の著しい変化に伴いまして、それに対応いたしますために農協が大型に合併が行なわれまして、またこれからもそういう傾向はあると思いますが、さらにまた、いまお話のように非常な変化を見ております。これこそたいへん性格において変化を生じておるように見受けられます。しかし私どもといたしましては、系統組織内部におけるそれらに対する考え方等も十分しんしゃくして対処いたしていかなければなりませんので、ここでにわかに制度化していくというようなことにつきましては軽率にやってはいけませんと思いますので、十分関係者等のほうをもしんしゃくいたしまして慎重に検討してまいりたい。しかし御指摘のような傾向が歴然と出てまいって、その仕事の内容等にも変化がございますことはいなめない事実でございますので、それに対応するためには十分検討していかなければならないと思っております。
#145
○前川旦君 終わります。
#146
○委員長(園田清充君) これにて午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十六分開会
#147
○委員長(園田清充君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は御発言を願います。
#148
○村田秀三君 大臣にお伺いいたしますが、今回は農地法の改正それから農協法の改正、加えて、重大な関係があろうかと考えられる農業者年金、この三本の法律案を出されたわけでありますが、その中で農地法あるいは農協法の改正案は、昨年六十一国会にも出されたのでありますけれども、その後それに追加して、主としてはやはり農協の農業受託経営、それから別立てで農業者年金法案、これが出てきたというところに、何かしら私、重大な意味を感じ取っているわけであります。
 そこで、お伺いするわけでありますが、少なくともこれだけの行政措置を法的に加えるわけでありますから、だとするならば、少なくとも日本農業の将来はどう展望できるのか、また、展望しておる、こういうものがある程度なければならないような感じを私しておるわけであります。したがいまして、その展望、まあ一口にビジョンとかなんとかいうことで、従来もしばしば論議されてきました。そのつど、抽象的な表現はされておりますけれども、具体的にいろいろ聞きますると、どうしてもやはり結論が出てこないという、そういう経験を私もしておるわけでありますから、しかし、これだけの強い措置を加えるわけでありますから、もう何かしらのものを持っておらなくてはならない、そう実は考えるのでありまして、それがあればひとつお聞かせを願いたいと、こう思います。
#149
○国務大臣(倉石忠雄君) このような法律を提案いたしておるのでありますから、ただいまのお話しはまことにごもっともなお話しだと思います。
 そこで、農業の近代化をはかりますためには、規模が大きくて生産性の高い農業経営を育成するというふうな、いわゆる農業構造の改善をはかることが基本的に重要であると私どもは考えております。このためには、農地が、より生産性の高い経営によって効率的に利用されるように、その流動化をうながしてまいる必要がございます。農業構造の改善をはかる上での条件整備をすることは、すなわち、いまのようなことを実行することが必要でございますので、このような観点から農地法の改正をいたしたいと考える次第であります。このように農地法の改正は、今後農政を展開いたしまするにあたりましてのその基礎として、まず経営規模の拡大、農地の流動化を通じまして土地利用の合理化等によって農業構造を改善いたしまして、農業生産のにない手を健全なものとすることをねらいといたしておりますが、さらに需要の動向に即応いたしました農業生産を進めてまいることも重要であると考えておる次第であります。
#150
○村田秀三君 抽象的に大臣にそこまでお答えをいただきまして、これから事務当局に少しく聞いてまいりたいと思うのですが、実はいま大臣がおっしゃられたことばの中にも後ほど関連して触れる問題が実はあるわけでありますけれども、私が申し上げるのは、一昨年の十一月に「農産物の需要と生産の長期見通し」これが出されておりますね。で、それを見ますると、この長期見通し作成のための考え方といいますか、それには一応やはり政策も織り込んである。つまり五十二年に必要とする農産物、米をはじめといたしまして畜産物に至るまでのずっと需要が、これだけ伸びてこれだけ必要である、そして国内でどの程度生産できる、こういう長期見通しを実は立てているわけでありますが、その長期需要見通しを立てるにあたりまして、その数字を策定いたしました根拠、これについては、私は実勢プラス政策意図、こういうことになっておろうかと実は考えるわけでありまして、かりに政策意図が明らかであるとするならば、実はこの農協法の改正あるいは農地法の改正等も当然それに加味されて考えられているであろう、もちろんこれは一昨年の十一月の話でありまして、農協の農業の受託経営というものはことしの話でありますから、それと関連しているかどうかは別にいたしましても、そう見受けられますので、まあ率直に言いましてその五十二年の長期見通されるところの数量を生産する体制、この体制の中に私はこの農協の農業経営なども含まれている、こう実は見るわけでありまして、つまり必要とする農産物のどの部分をどういう生産機構によって生産をするというような一定の予定された目標、計画とは言いがたければ、予定された一定の目標、こういうものがおありであるならばお出しをいただきたいと思います。私、考えてみますに、この数字を出すのには必ず何かあると実は思うのでありますが、それをひとつお示しをいただきたいと思います。
#151
○国務大臣(倉石忠雄君) お話のように、五十二年の長期見通しを発表いたしておりますが、この見通しはただいまお話のように主として過去の傾向を将来に投影するいわゆる見通しでございまして、計画というほどのものではないわけであります。そこでまあそのときにも、すでに米につきましては作付転換等他作物への作付誘導政策を前提といたしておるわけでありますが、そのときの主要農産物の生産の伸び率は、畜産は二・二倍、野菜は一・三倍、果実は一・七倍、こういうように大体見ておるわけであります。これはいま申しましたように、計画ではございませんが、大体の見通しをこう立てておる、その中間の年次における見通しについてははっきり計算はいたしておりませんけれども、そういう方向で、これからもなお米はいま申し上げましたように生産調整はいたしますが、その他の重要な農産物については地域における実情等を勘案いたしまして、生産者、それから自治体等とも相談をいたしてそれにマッチするような作物への転換をはかり、およそその見通しに合うようにひとつ計画を立ててまいりたい、こう思っておるわけであります。
#152
○村田秀三君 この「長期見通し」を読んでみますと、計画でないということはここにも実は書いてある。しかしながら「まず過去の資料を十分に吟味したうえ、そのなかから将来を見通すに足る要因を発見し、さらに現状で考えられる施策をも織りこんだうえ策定をした」と書いてあるのですね。まあ全部最後まで読んだわけではございません、一つの文字をとらえて私申し上げるということになるかもしれませんが、現状におけるところの考えられる施策を織り込んである、こういうことなんですね、だからこれはまあさまざまに理解はできますものの、この施策の中に今回の改正点も織り込まれているという前提に私は立つわけでありますが、そうでないのかどうかをお伺いしたい。
 それから実はこの見通しの中に当然やはり生産にも触れているわけです、これは需要と生産の見通しでありますから。本来ならば需要があって供給をしなければならないという問題が起きる。その供給とは、言ってみれば輸入に依存せざるを得ないという場合と国内で生産するという二つの道筋があろうと思うけれども、その場合、わが国の農政としては、いわゆる国内生産にどの程度の力点を置いて、しかもそれをどうやって生産をしていくのかという、そういう展望がなければならないと私は考えるわけであります。しかしその生産については比較的ゆるやかなものの見方をしているようでありますけれども、私はどうしてもこの点は少なくともこれは農地法の改正、農協法の改正は、単なる――私の見受けたところによるならば、農地法の精神に立脚しているかというと、必ずしもそうではなくて、まあ効率的利用であるとかということで、生産組織をつくろうとしておる、そうすると、それは生産機構なんですね。この生産機構によってどの程度需要のカバーをするのかということもある程度想定されてしかるべきだろうと私は思うわけであります。したがって、衆議院の、あれは農水ですか予算ですか、農林大臣がまあ自立経営農家、これを四割程度育成したい、これは私の勘違いといいますか、読み違いといいますか、自立農家の農産物需要量をカバーする比率をいったものかどうかということももちろんありますけれども、そういうような一定のやはり目標というものがなければならないと思っておるわけですよね。したがってその関係が実はきちんとしたものがあるのかないのか、これをひとつ。これは官房長でもけっこうでございますが、局長でもけっこうでございますが、ひとつ……。
#153
○国務大臣(倉石忠雄君) そういう見通し等について作成に関係いたしました事務当局はあとで答えてもらうことにいたしまして……。やはりお説のように、私どもはこの見通しはもちろん農業基本法に基づいて閣議で決定いたしておりますものでありますので、そういう方向に従って農政を進めてまいりたい。
 そこでさっき私は畜産その他のことを二、三例示いたしましたが、そういう緊要な農作物について、およそこういうような見当、米についてはこのような自給率というようなものをあそこでお示ししてあるわけでありますが、さらに自立経営農家が総農家に占めます戸数の割合は、御存じのように、三十五年には約八・六%でございましたが、近年は、四十三年度には若干の低下が見られたわけでありますが、一〇%の水準を維持しておるわけであります。そしてその粗生産額は全体の約三〇%に達しておる次第であります。今後におきましても、農業の近代化を進めるにつきましては、自立経営農家を農業生産の中核的なにない手といたしまして、着実に発展させなければならない。で、農業生産のかなりの部分をこれで占めることがぜひとも必要である、見通しの中にもこういうことを申しておるわけであります。このような意味から自立経営農家のわが国農業に占める率も着実に上昇するように努力をいたしますし、その生産物が市場においてかなりの分野を占める程度まで進めてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#154
○村田秀三君 まあ大臣の考え方、私わかるのです。だけれども、具体的な数字が出てまいりましたから、それで申し上げるわけでありますが、たとえば現在の自立農家の状態というのはこれは八・何%程度で、そうしてそれに生産されるところの農産物シェアは三〇%ということですね。それをかなりの部分まで伸ばしたいと、こうおっしゃる。そうすると、この「長期の見通し」の中では、米について言うならば千二百五十万トンか千二百七十万トンだったと思います。見れば数字はわかるわけでありますが、私のうろ覚えで申し上げますけれども、大体その程度であったと思います。だからかりに米についてのみ見た場合は、これはまあすぐに今日の自立経営農家でどの程度分担するかということは出てくるわけでありますし、またかなり育成をしたいという希望を持って、それを政策目標とし、しかも努力しようとするならば、五十二年度に千二百七十万トンなら千二百七十万トンの米を生産するについては、五十二年度では自立経営農家は、かりに二〇%に増加いたします、しかもそのシェアは五〇%にしたいと思います、こういうものがなければならないのじゃないかという気がするのですが、その点はどうですか。何かしら、これをこのまま受け入れてやってくれるならば自然そこにいきますという単なる誘導装置であって、ある程度の政策努力というものが何ら加味されないというものなのかどうか、そういう点について私はどうもなかなか理解がいかないのです。
 もっともこれは私が農林省に期待するものと、農林省自体が考えておる農政の基本姿勢といいますか、行政の基本理念、そういうものに、あるいは食い違いがあるのかもしれませんが、何となく、これはせんだっての野菜の論議でも私感じたのです。たとえば野菜の生産、需要と供給の見通しは、まあ五年先の話では困るから、これは二、三年、少なくとも二年先ぐらいの見通しを立てて、そうしてそれに、供給するいわゆる生産の体制というものを考えるべきじゃないかというような話をいたしましたところが、これはやはり一、二年では危険率があるから五年程度がよかろうということでやった。つまり何かしら、きちっとしたものがない。一応こういうワク組みだけを与えて、あとは皆さんでそれぞれ適当にやりなさい、個人個人でやりなさい、そうして弱いものは負けて強いものは残っていく、弱肉強食のそういう自由経済体制の中でありますから、一つのガイドラインは設けるけれども、その中で適宜、死ぬものは死ぬ、生きるものは生きよ、そういうようないわゆる農政の姿勢なのかどうかというふうに疑いを実は持たざるを得ないわけでありますが、極端な言い方かもしれませんが、農政の基本というものをどこに置いておるのだろうか、行政の姿勢というものはどこに視点を合わせてやっておるのだろうかということを考えざるを得ないわけです。私が考えておることが理解できないかどうか。理解できるとすれば、いわゆるどういう姿勢で臨んでおられるのか、これをはっきりとお示しいただかないと私のこれからの論議というものは発展しないわけです。たとえば、まあ十年間、一年きざみに、ことしも委託をさせる面積と、そこから生産されるものは幾らだろうというような、そういう目標があるのかないのか。全くないというのか。それじゃ五十二年度の必要数量というものをどうやって確保する責任を負うのかと、こういうところにどうも私の理解ではいってしまうんですね。何かしら計画ということばをあまり使いたがらない。私はもうある程度、それは豆腐を切ったようなわけにはいかぬかもしれませんけれども、やはり今日の状態では、統計もこれは相当に進んでおることでもありますし、ある程度の展望と対策というものは計画的に私はできると思うんですよ。そういう点についての姿勢をひとつお聞かせいただきたいと思うんです。
#155
○国務大臣(倉石忠雄君) よくわかります。あなたのお説よく私どもにもわかるんでございますが、この「見通し」にもございますように、米につきましては五十二年に生産は千二百四十四万トン、こういうふうな計画を出しております。その他の農作物につきましても一応およその見当はつけておるわけでありますけれども、いま野菜のお話もございました。すべての農作物にそうだと思いますが、私どもも需要家のほうの需要量というもの、これは大体の見当はつきますけれども、これもやはりそのときどきによってまた嗜好の変化もございましょう。したがって、非常に詳しく数字的に計画を立てるということは、私どもとしてては、まあ個人個人がいろいろな考え方で経営をやられておるわけでありますからそういうわけにもいきませんけれども、人口のおよその増加率、こういうことはもう見当がつくのでありますから、それと国民の食糧に対する嗜好の傾向、そういうものも過去の実績から見て将来の展望を大体持つことができるわけでありますから、そこで、五十二年度への長期の見通しの中にもそういうことを勘案いたしましておよその見当をつけたわけでありますが、農業全体としては、先ほども申し上げましたように、できるだけ経営規模を大きくし、自立経営農家を育成することにつとめますけれども、やはりほかの場所でも私どもも申し上げておりますように、かなり長い間わが国では兼業農家も存在いたすわけであります。そこで、こういう人たちの労働力等もどのように効率的に活用して農家の所得を増加させるかということも大きな問題になってまいっておりますので、私どものいわゆる総合農政の中では、自立経営農家を中核として育てることに努力をいたし、さらにそれを取り巻く農村における兼業農家等の方々にも参加していただいて、集約的な広域の農業経営を営むようにしてまいりたいと。すなわち農業面におきましてはここにも、いろいろな機会に政府の書いておるものにも申し上げておりますように、相当程度の自給度と相当程度の生産は維持していくように努力をしなければならないと、こういうたてまえでございますので、いま村田さんのお話にございましたような、すべて数字的に、計画的に私どもやるわけにはまいりませんけれども、大体そういう傾向を見ながら作目等についてはこちらもそういう傾向についてそれぞれの生産者に指導してまいってちぐはぐのないようにひとつやってまいりたい、こういう考えでやっております。
#156
○村田秀三君 それでは、まあその点は私もいままでもしばしばやってみているわけでありますが、なかなかむずかしいようであります。したがってその点はこの程度にいたしますが、具体的にそれではお伺いいたしますが、この農業従事者、農業者と一口に言いますけれども、さまざまな生産様式があるわけですね。私の言い方がしろうとの言い方になりましてぴたっと専門用語に当てはまるかどうかわかりませんが、少なくとも自立農家が一つある。この自立農家というのは、これは農地法で示されておるものないしは農業基本法でこれは示されておりますね、十五条でぴたっとこうきまっている。それからもう一つは、だんだんといろいろな条件、機構ができてきております、生産法人――生産法人の中には農事組合法人もあるといったようなわけでございまして、生産法人組織が農業生産を担当するということは従来、今度は農協が生産をになうわけであります、農協が。これは新しい問題。それからもう一つ。それをこまかく分類をするとあれでありますが、小作で農業をするもの、あるいはこれは農地法上は関係ありませんけれども、まあ違反ということになるのか、あるいはそうでないということになりますか、いままではあまり規制措置もとられておらなかったようであります請負耕作、さまざまな形態があるわけですね。そうすると、この中でそういう生産様式で、少なくともこれは農林省としてはいわゆる農地法あるいは農業基本法が中心でありましょうけれども、農業者のためというばかりではなくて、いわゆる国民の社会経済生活に影響を与える、よい結果をもたらす、そういう前提で農業者を保護し、農地を保護するという、そういう考え方だろうと思うのですが、だとすれば、これだけの生産様式を型にはめようとしている限りは、やはりこれにどの程度依存できるのかという見通しがなければならないし、またどのくらいできる可能性があるだろうか、今日の状態の中で。そういうことは考えられてもいいように思うわけですが、その点はどうですか。
#157
○政府委員(中野和仁君) ただいまのお話のように、現段階におきましては農業者の中での経営の中にはいろいろな形態がございます。その場合に、これからの農政を進めていく上におきまして、先ほど大臣が御答弁になりましたように、やはりわれわれといたしましては、自立経営農家を日本の農業生産の相当部分占めるようなウエートで考えていかなければならないと思っております。その場合に、先ほどちょっと小作請負等にお触れになりましたけれども、自立経営農家は大部分は現在御承知のように八割がもう自作農でありますし、日本の農地の九五%は自作でございますので、大部分はやはり自分の土地を持って自分で耕作するというのが中心になろうかと思いますが、今回の農地法の改正にもございますように、それのみではなかなか経営規模の拡大がはかりがたいということで、借地面での流動化も考えまして、いずれも個人としての農家の規模を大きくしたいということが中心でございます。しかしそれだけでは地域の実情によりましてはなかなかそうなりません。そこでこれも大臣がお話になりましたけれども、やはり零細な兼業農家等も含めまして農家らしい農家と申しましょうか、それが中心になりました生産法人の育成ということも必要かと思います。ただ現状では生産法人はまだ二千五百程度しかございません。したがってこれがすぐ大きなウエートを占めるとは思いませんし、先ほど申し上げました家族自立経営が中心だと思いますけれども、やはりこれも伸ばしていく必要があるかと思います。それから地域によりましてはそういう生産法人もできがたいというようなところでは、午前中からも御議論ありましたが、農協の経営移管ということも推進する必要があるだろということになります。そういたしまして先ほどお触れになりました請負耕作ということが出ましたけれども、やはり請負耕作ということになりますとそれはあまりにも地主側の力が強く、耕作者としてはほとんど無権限のような状態でございます。こういうことを解消いたしまして、できるだけ正規の賃貸借の上に乗せていきたい、こういうふうに大体考えておるわけであります。
#158
○村田秀三君 そうしますとあくまでも自作農、自作農の方は、言ってみればこれは農地の所有権は自分が持っておる、これが主として言われることだと思いますね。それは農地法でも明らかですね。そうしますと今度改正されますいろいろなものを見ましても、いま局長の答弁にもありましたように、所有権の移動というものは重きをおかないで、いわゆる耕作規模の拡大、あるいは生産法人であるとか、あるいは農協自作経営であるとがいうことが近代化と称するのであればそういうことも含めて、これはそういう方向に置きかえたのだ、つまり自作農というのはこれは土地は自分で持っておる、管理する、農業もそこで経営する、これが前提条件であります。だとすると、経営規模の拡大のために小作地の流動を、耕作権の流動を促進するということは、これはやはり自作農主義とちょっと違うような感じです。まあ自立経営ということになれば、またちょっと話も変わってくるのではないかと思いますが、だからこれは明らかに本来であれば経営規模を拡大するために所有権の移動を主として考えなければならないと私どもは思うわけでありますけれども、それはもうなかなかむずかしい。したがってそれは放棄してつまり小作権、耕作権を含めての自立経営農家を育成していくんだという方向なのか、そういう点についてひとつお伺いいたしたい。
#159
○政府委員(中野和仁君) 現在の農地の流動化の状態を申し上げますと、北海道と内地でかなり様相が違いますが、都府県のわれわれの業務統計あるいは統計調査の調査から見まして、七万五千ヘクタールくらいの年間の動きがございます。それの半分が大体売買でございます。それをいまお話し申し上げましたように、売買が半分でございますので、やはり土地の売り買いによる規模拡大というのは今後とも中心になろうかと思います。しかし現状におきましても残りの半分のうちのまた半分、約四分の一は、正規の賃貸借はあまりありませんが、最近のやみ小作等を含めまして、四分の一くらいはすでに貸借的なものでの流動化が起こっております。そういうような状態でございますので、今後ともわれわれとしまして急に政策を転換いたしまして、貸借を中心に考えるということでは決してございません、やはり先ほどからもお話がありますように、耕作者が土地を持つことが一番安心でございますので、その政策を放棄するのじゃなくて、それは進めたい。そのためには低利長期の融資も拡大をしなければならないと考えておりますが、それのみをもってしてはなかなか流動化が進まないのが現実でございます。それからまた地価等の問題もございまして、買うよりも借りてやったほうがいいというような地帯もございます。そういうようなことでありますので、自作地化するということのみだけではなかなか行きがたいということで、自作農中心の中に、いま申し上げましたようなことで、賃貸借を通じての流動化ということもあわせて加えていきたいというふうに考えております。
#160
○村田秀三君 この農協の受託経営ですね、これは午前中に前川さんもあるいはやられておるかもしれません。前回も私若干触れたわけですが、いろいろな見方がされると思いますけれども、たとえば前回のやりとりの中では、一定の区域、機械作業が可能な区域、これを受託する。スプロール的にあちらこちら虫食ったように三十アールとか五十アールやるというようなものについては断わる場合もある。もちろんそれは部分作業を委託するということも可能だそうでありますけれども、非常にこれは困難じゃないか、そう簡単には委託するものがいないのじゃないか。かりに希望があっても簡単には受諾ができないのじゃないか、こういうようないろいろな見方があるわけです。しかしながら、考えてみますと、小作に出すよりは、これからまた聞いてみなくてはならないとは思っておりましたけれども、この受託契約、契約の内容いかんにもよります。その契約の内容をいろいろと前回のお話を聞いてみますると、使用収益権の設定もあるという言い方でございますけれども、大体そういう方向をとるようである。つまり受諾料を定めて収益はこれは委託者に当然還元するということ、豊凶もあります。ことしは豊作である、ことしは凶作である、平年作ということもあります。あるいは受託者の経営の失敗というものもあります。まあ責任の帰属がどうなるのかという、その危険負担はどちらがするのかというのもこれは問題あります。それらの考え方もお伺いしたいところでありますけれども、しかし前回の論議の経過の中で私が印象的に受けたのは、これは請負耕作で半分もとっておるという話は別でありますけれども、少なくともこれから後ほど聞きます標準小作料の問題、これをどう指導するのかという関係もありますけれども、少なくとも農協に委託したほうが地主の側にとっては一番手数がかからないで、そして収益率も多いということで、条件が整備さればこれに委託するものは相当に多いのじゃないかという感じを私は持っているのですが、それらの見通しはどうですか。
#161
○政府委員(中野和仁君) いまの点につきましては午前中前川先生からもいろいろ御議論があったわけでございますが、われわれこの経営の委託というのは全国全部どの村でも起こってくるというふうにはなかなか考えにくいかと思いますが、やはり農家としては、まあ非常に平たい言い方で恐縮でございますけれども、土地は持っていたいけれども、経営はやる気がない。しかしその辺ばらばら荒らしづくりも困るということ、もう少し土地を使ったほうがよろしいということから、農協が大型機械を入れてくるというような場所は、やはり都市周辺とか、あるいは午前中にもありました過疎的な地帯、そういうようなことになってくると思うのですが、日本の農業の中核地帯で、農協が全部こういうふうになってくるというふうには考えにくいというふうにわれわれ考えております。
#162
○村田秀三君 そういう見通しを持っておられるということであります。まあそれはそれでお聞きをしておく以外にはないわけでありますが、私の考えるところは、これは相当に伸びるのじゃないかと、むしろ逆に、個人的な見解でありますけれども持っております。だからこれはまあ……。
 そこでお伺いするわけでありますが、小作料の問題に入りますけれども、今度の改正で標準小作料を策定したいということでありますが、これはその地域の農業委員会がおやりになるものと思われます。それについても農林省としてやはりこれを指導しなくてはならないのじゃないかと思うのですが、その点についての考え方を、ひとつ基本的なことをお伺いしたいと思います。
#163
○政府委員(中野和仁君) 今度の改正で各農業委員会に標準小作料をつくらせる。そのつくらせ方は基本的には二十四条の二の改正条文に出ておるわけでございますが、これによりますと、「通常の農業経営が行なわれたとした場合における生産量、生産物の価格、生産費等を参酌し、耕作者の経営の安定を図る」というふうに書いてございます。その意味するところは、やはり耕作者を中心にものを考えなければなりませんので、粗収益から生産費、これは物的な生産費その他労賃も含みますが、それと相当程度の経営者報酬というものを粗収益から引きましてその残りが地代に帰属する――土地に帰属するという考え方をとりたいと思っております。それを、非常に抽象論でございますけれども、具体的には各村の田畑に分けまして、田につきましても上中下、畑につきましては、いろいろ作物の種類によっていろいろ考えなければならない問題もありますけれども、大体そういうこまかく区分けをいたしまして、それぞれについてのいま申し上げました考え方での一応計算と申しましょうか、そういうことをやりまして、その村の標準小作料をきめたい、そういうきめ方等は通達をもちまして十分指導いたしたいと考えております。
#164
○村田秀三君 そうすると、このいまの経営者の標準報酬ですか、これを定めたいと、こういうことでありますが、具体的にどの程度という考え方の、何といいますか、理論的ということはなかなか困難でありましょうが、その報酬をどの程度に定めるかという何か根拠みたいなものですね、これがあればひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#165
○政府委員(中野和仁君) その辺が非常にむずかしいところでございまして、現在の統制小作料の計算では生産費総額の四%をかけてこれを利潤と見ておりますけれども、一律にそういうふうにきめますと非常に地代が高くなる場合が多いのです。と申しますと、例をあげて恐縮でございますが、現在の米価の水準でございますと大体八俵ぐらい取れるのが標準でございます。経費はその労賃を都市近郊労賃で比較するといなとで差がございますけれども、周辺の農業日雇い労賃で計算しますと経費は四俵半かそこらだと思うのです。そうしますと、三俵半というのが、いわば広い意味の利潤になってまいります。それを全部はじいたということになると、それは借りたほうの農家に何ら報酬が来ません。そこで最初の八俵の部分を金に換算しますと、四%かけましてもはなはだ少ないという場合があるわけです。その辺をどうするか、まあ非常にむずかしいところでありますが、たとえばそういうかなり生産力の高いところでは広い意味の利潤を半分半分に分けるというような考え方もあります。ただ、そういうようにできないような作物等もありますので、一がいにはきめがたいと思いますけれども、われわれとしては、できるだけ耕作者の手元に、そういう広い意味の利潤的なものが残るような指導をしたいと考えております。
#166
○村田秀三君 そうしますと、これは農協にもやはり適用されるわけでありますか。これは受託料と小作料というのは多少違うわけでありますが、当然やはり農協にもその考え方を採用するというか、あるいはこの前のお話では、受託料はいま実費主義でいくべきであろう。こういうような言い方も実は聞かされておるようです。記憶するわけでありますが、その関係はどうですか。
#167
○政府委員(中野和仁君) 小作料は借りましたほうが地主のほうに一定の地代を払いまして、自分の責任において経営するわけでありますから、それが耕作者でありますから、ただいま申し上げましたように、できるだけ利潤的なものは耕作者の手元に残したいというようなことを申し上げたわけです。農協の委託の問題になりますと、その受託料は、これも午前中いろいろ御議論がありましたけれども、農政局からのお答えもありましたように、通常は実費相当額になる。ただし農協の委託の場合には、通常大規模経営、大きな機械を使ってやりますので、機械の償却費がかなり経費としてはかかってまいります。したがいまして、個別の小作料と直ちに比較するということは、かなり無理ではないかと思います。
#168
○村田秀三君 それは実態が出ないとなかなか論議しにくいわけですが、そこで次の問題ですけれども、農業者年金法が制定されますと、この年金給付の条件としては、これは老齢年金給付、これは除外いたします。離農と経営上ですね、離農というのは、離農年金というのでなくして一時給付ですが、経営上の場合、経営上というのを――この農業者年金法を審議するような結果になってぐあいが悪いのですけれども、つまり関係がありますから申し上げますが、この年金設計、財政計画ですね、その中では詳細に掌握していると思うのですね。たとえば現在の経営者何歳は何名、ないしは被用者保険に加入しているものが幾らあって、該当者は――まあ一口に該当者は二百万、こういうことを言われているわけでありますから、そのうちで五十アール以上の該当者は百七十万とも実は聞いております。これはあくまでも農業者年金法の審議ではないけれども、参考としてその審議をさせていただいているわけですが、そうしますと、私の見た限りでは、その中で移譲年金を受けたいと全員が希望すると仮定いたしますと、そうしますと後継者のないものですね、これは小作に出すか、あるいは生産法人に参加をして、そうしてみなし組合員になるか、あるいは農協に委託をするか、全然売ってしまうか、この方法きりしかないわけですね。考えてみると後継者のない方というのは、今日の時点で、大体七十何歳でまだ経営者という例もありますけれども、六十才から六十五才までで、後継者のあるものが八四%、いないものが一六%、それから五十五歳から五十九歳これが七七%で、二三%が後継者がおらぬ。五十歳から五十四歳まで、七五%が後継者おりますが、二五%はおらない。この比率はどんどん低下をいたしまして、それ以降はアンケート調査回答は、子供が東京に行っている、あるいは勤務しておる、サラリーマンである。親として、今日の情勢の中で子供に農業を継げと言っていいかどうかは親は責任が持てない。あるいは子供の意思を聞いておらない、こういうことで無回答というのが相当あるわけです。同時に、最近のいわゆる中高卒の新規労働力を見ますと、これは農林省の資料にもありますが、わずかに四%。どんどん後継者がいなくなっていくは、後継者がいなければ後継者以外に移譲しなければならない。移譲する場合にはどこに移譲するかといえば、これはどうも私は請負耕作を立てては、これは成規の手続じゃありませんから、移譲年金なんかもらえないということになれば、これは農協になだれ込んでくるという感じをどうしても持たざるを得ないのですね、これは。土地を手放しなさいという何かがあれば別でありますが、しかし、これは結局在村であれば農協に委託をした場合、これは無制限に所有して、在村じゃなくても二代よりはこれは無制限に小作地を持っている、こういうような関係になってきますと、どの方面から考えてみても、どうもこれは実際に実行してみなければわかりませんけれども、農協にやはりなだれ込んでくる可能性というものがあると思うのです。そうすると、農協がその辺どうしてもひとつ五十アールやってくれというなら、それじゃやるかというような簡単なわけにはいかない。農林省が考えているように大がかりなものにしていかなければならない。しかも設備をする。そうすると、その農協によって日本の農業生産が相当部分担当させられるのではないかという私は考えをするわけなんですね。先ほどあまりそうは進まないのじゃないかというような言い方をしておりましたが、私はやはりこの農業者年金法と関連をさせながら、冒頭の農林省の行政姿勢をいろいろと申し上げましたけれども、積極的な姿勢があるとするならば――私は相当部分これに集中をしているという感じを持っておるわけでありますが、いかがですか。
#169
○政府委員(中野和仁君) 制度が改正になりまして、経営委託の有利な点から判断されますれば、いまのような御議論もあるかと思いますけれども、日本農業全体を考えてみますと、先ほどからも申し上げておりますように、やはり自分で土地を持つ、自分で農業をやっていくというものがあくまで中核だと思いますが、農協が――これは極端な話でございますけれども――全部扱ってしまえば日本には農民は要らないというようなかっこうになるわけでございます。そうして、そういうことは理屈上考えられましても、実際問題としてはあり得ないと思います。やはり兼業農家がたくさんおりまして、その土地を集めて、そこに大型機械を入れてやっていこうというところは日本国じゅうどこでも考えられる。しかし、そうかといいまして、私は経営委託を否定するものではございません。やはりそういうことをしてやってやるほうが、より周辺の農家の方たちにはいい。そしてまた、農協の経営をやっていきます場合に、オペレーター等も農家の出身でございます。そういう農家が中心になって農協経営をやり、それがまた場合によっては発展しまして、その農家を中心とした生産法人をつくるということも考えられる。そういうことでありますので、いま村田先生のお話のように、これを非常に高く買っていただくことはありがたいわけでございますけれども、私の考えでは全国全部そうなるとは思っておりません。
#170
○村田秀三君 それはそれなりに方法はあろうかと思うのですが、私は何もそこへ結集せよ、集中せよというようなことを申し上げているわけではないのであります。しかし、この制度をここに置きました場合に、流れていく方向はどうであろうかということを推測すると、どうもそういう傾向が強いのではないかということなんです。そうでなければしあわせですがね。
 そこで、あくまでもいわゆる農地は農家が持って、そしてそこで生産をしていく。つまり、農地法の中心であるところの精神による農家をつくっていきたいということでありますが、そうすると、この法改正案を通じて言えることは、農地保有合理化法人ですか、ある程度これが役目を果たすような感じもいたしますが、実際に積極的にそこまで持っていくための姿勢をひとつお示しをいただきたいと思います。この体系を見る限りは、やはり農地の資産的保有も認めざるを得ないのだという前提に立っていろいろ考えられていると見ざるを得ないし、そうすればこれは自立農家というものは、つくりたいつくりたいといっても、そう簡単にできない。これは今日までの経過が示すとおりです。こう考えてまいりますと、やはり農政の視点、方向がどうであろうかという、こういう疑問を持たざるを得ないものですから、私はいろいろと聞いておるわけでありますけれども、この点についてひとつお聞かせいただきたいと思います。
#171
○北村暢君 関連して。
 いま村田委員の質問で出ているのは、どうも聞いておると、農協の経営委託のほうが小作その他賃貸借よりも有利になるのではないか、したがって、今後の農業の行き方というのについて政府は、自立経営農家を中心として、中核として、自立経営農家を育成しながら今後の日本農業の近代化を進めていく、こういうように言われているのだが、どうも農業協同組合の経営委託のほうが有利になるので、そちらのほうに集中するのではないか、こういう予測がある、こう言っているわけですね。したがって、そういう面で比較検討の上においてどちらが有利なのかという点について村田委員は先ほどから繰り返し質問していると思うのです。したがって、そういう点のところをもう少し明快に、政府はどちらの方向に持っていこうとしているのか、そこら辺の有利性の比較の問題においてもう少し明快な答弁ができれば、村田委員は納得するのじゃないか、こう思うのです。
#172
○政府委員(中野和仁君) その点につきましては先ほども申し上げましたように、われわれといたしましては日本の農業をしょっていく中核になりますのは、自立経営的な個人の農家だと思っております。しかし先ほどからたびたび申し上げておりますように、地域の実情によりましてはなかなかそれのみではやりがたいといった場合には、農協の経営委託ということもあるわけでございます。いわば補完的にそういうことがあり得るというふうな位置づけをしております。そこでそれじゃ農協に預けたほうが有利ではないかというお話がたびたびございました。これにつきましても、先ほど御答弁したかと思いますが、農協が受ける場合、どこの村のどこの農協も全部それを受ける体制にあるかどうかということになりますと、必ずしもそうではございません。やはりねらっておりますのが大規模な機械を利用しまして、近代的な、あるいはいわば展示的と申しましょうか、そういう経営をやっていくということに主眼があるわけでございまして、最初に申し上げましたように、たまたまある一つの村の受託料のほうが安くて、そして農家の取り分が多いということだけですべてそちらのほうに流れていくというふうにはわれわれ考えていないわけでございます。
#173
○村田秀三君 じゃこの問題もう一つお伺いしますが、私が聞く限りでは、いま局長のほうの一つの展示的なというような表現をお使いになりましたね。この条件を整備してそして将来ともに農協がそれを経営するというのではなくて、生産法人化していく、それに移行する、それをばつくり上げる一つのモデル的な構想として、こういうような話も聞いておるわけでありますが、それはそういうことですか。
#174
○政府委員(中野和仁君) 先ほどもちょっと触れたかと思いますが、農協が経営を受託しましたあと、そのまま続ける場合もありましょうし、あるいはいま先生おっしゃいましたように、その村全体が委託を受けているわけじゃございません。やっぱり場所がきまっております。そういう場所につきまして生産法人をつくらせる場合もありましょう。あるいはもう少し小さな受託であれば、その農家がいろいろ話し合いの結果、その土地を買って自立経営として生きていくということもあるわけでございまして、どれでなければならぬというふうにはわれわれ考えておりません。いずれにしましても、そういう次の発展段階もあり得るというふうに御理解願いたいと思います。
#175
○村田秀三君 それでは次の問題に移ります。この小作料でありますが、小作料の実態といいますか、それを一つお知らせ願います。
#176
○政府委員(中野和仁君) 小作料の実態ということになりますと、非常に問題がありますのは、現在統制下にあるものですから、統制小作料でそのまま守られておるところと、それがほとんど守られていないところとございます。それからまたその契約の年次によりまして非常に守られている契約、それからそうでないものがあります。傾向的に申し上げますと、農地改革以前からありましたいわゆる残存小作地につきましては、小作料の額も大体統制小作料と近い額、全国農業会議所の調べによりましても、それに近い額になっております。高くても若干の程度でございます。ところが最近の新しい契約になりますと、これは統制小作料の倍以上するようなことになっております。しかしこれはいずれにしましても、賃貸借としては農地法上の許可を受けました正規の賃貸借、それ以外に、いわゆるやみ小作というのがございまして、これについての小作料水準というのはわれわれなかなか調査がしにくいわけでございますけれども、大体は、水田で申し上げまして、その土地の生産力によって非常に差があるわけでございますが、全国平均的に見ますと、俵数で言いますと、二俵程度がやみ小作料の水準ではなかろうかというふうに考えております。
#177
○村田秀三君 標準小作料を作定する、こういうことなんですが、私は非常に懸念をいたしますのは、実は私も地方を回りましていろいろ聞いておりますけれども、農地法の改正で小作料の決定がされるんだよというような法案が成立する前に、国会で政府が提案したとたんに、これは何といいますか、耕作権と、それから地権ですか、これの関係が非常に転倒するというような心理的影響というものを実は与えているわけですね。それが改正案が出る前からもやみ小作料の実態などというものはおそらく農林省としては正規にものを申すわけにはいかぬのかもしれませんけれども、いろいろ調査された資料を見てみます限りは、実は収穫の半分であるとか、あるいは金納にいたしましても、二万円をこすものがあるとか、金納でなければならないものが物納であるとか、さまざまな状態を聞いておるわけですね。それがほんとうかどうかということは別にいたしまして、少なくとも今日そういう状態になっておる際に、統制を解くということはやはりこの地権とそれから耕作権、これを今日までの認識を変える作用というものをどうしてもしてしまうんですね。そうすると、結果的には何ほど標準小作料をつくっていっても、これはそれが守られるなどということには私はならないと思います。今日統制をしておる。しかし統制があまり実態と合わないからと、こういうような言い方もあるいはあるかもしれませんけれども、少なくとももう認識が変っているわけですから、こういうことで考えてみると、私は標準小作料をかりに策定したとしても、守られないでずばり地権というものが非常に強大化されて、そうして耕作者というものは常に苦い目をみせられるというような状態になっていくであろう。小作のパーセンテージを見ますと五%何がしですから小部分かもしれませんけれども、これは重大な意味を持っており、なおかつ、先ほどから申し上げましたような所有権の移転というよりも、耕作権の主としては移転によって経営規模を拡大しようとする、そういう政策の方向ともむしろこれは逆行する措置じゃないかとさえ考えておるわけでありますが、それはどういう見通しを持っておられますか。
#178
○政府委員(中野和仁君) 現在の日本の経済あるいは社会情勢の中になりますと、先ほど先生も認識が変わってきているというおことばをお使いになりましたけれども、われわれも、現在の農地につきましての大別の事情を見ますと、戦前からありました残存小作地についての農家のものの考え方、最近あります典型的な――典型的というのはおかしいのですけれども、やみ小作的なものの考え方というものとは農家自身のものの考え方が違っているようです。そこでわれわれ今度の改正案におきましても、戦前から今日、小作地を中心とした現在の小作地につきましては、直ちに統制の撤廃はいたしません。十年間は統制を続けたい。その間経済の事情等も勘案いたしまして、農林大臣が必要と認めれば小作料の改正はいたしますけれども、これは統制は撤廃しない、十年間の余裕期間を設けまして、経済的な小作料水準にもっていきたいということを考えております。
 それからもう一つは、現在の小作契約につきましては、これは小作人が同意をしない限り地主が取りあげられないという原則は変えない改正案になっておりますので、その辺はあまりわれわれ心配はしておりませんが、と同時に御心配の向きも非常に多いわけでございますので、十分現在の小作人についてはこういうふうになっているのだということは指導をいたしたいと考えております。
 それからこういうふうにしていくこと自体が逆行するんではないかというお話でございますけれども、これにつきましてはたびたび申し上げておりますように、現在の新しい農地ということを考えますと、必ずしもいま現在やっております農家が農業をやめる、あるいは経営を縮小するといった場合に、土地の資産的傾向ということが、これは必ずしも否定できません。なお売りたくはない、しかしもう自分で経営するつもりはないから貸したいということになってきております。そういうことになってまいりますと、貸すほうもいわば農家ですし、借りるほうも農家だということになりますと、逆に非常に一定の全国画一的な統制小作料を引いて、これを守れということは無理ではないかというふうに思います。そこで、われわれ今度考えましたように、村ごとに妥当と思われる標準的な小作料をつくりまして、それを守るのもやはり村の中の秩序で守ったほうがいいんではないかというようなことから農業委員会の減額勧告制度なども設けて、それを指導していきたいというふうに考えております。
#179
○村田秀三君 これは非常に私は重大問題だと実は思っておるんです。いま局長が言われるように、その地域の一つの慣行というものが、いわゆる農林省の行政指導に基づいた慣行であれば、これは問題ないわけでありますが、しかしその地域によっては半分というのが、これはもう戦前からの習慣で、もういまは耕作者が弱くなって、地主が強くなったんだというような、そういうところから一足飛びにずっと古い感覚の中へ入っていって、その中から一つの慣行というものがつくられるというような傾向になったとすれば、これは非常に重大問題であるわけですね。だから、地域の特質云々と言いますが、これは言ってみれば、何か自治権を与えたような、そういう、いいではないかというような見方もされないわけではないかもしれません。しかしながら、これは要は運用でしてね、それを誤ると、これは統制をとっておったときよりも悪い結果を生ずるということが十分予想される。ましてや、裁判においてきめますなどと言ってみても、いまの農家の方々の中で、裁判というものがどういうものであるかというようなことは、政府が考えるようななまやさしいものではありませんよ、そう簡単には考えられないんだから。
 そういうことをいろいろ考えてみますと、どうしてもやはりこれは耕作者、小作人が非常に弱い立場に置かせられるということは歴然としておるわけです。そこで、これはまあ論議いたしましてもしかたありませんが、要望いたしたいことは、少なくとも標準小作料――まさか福島県は二万円で、九州の佐賀あたりは五万円でよろしいなどということにはならぬと思いますが、少なくとも農林省の行政指導の中において、まさに良心的に標準的なものがつくられるとするならば、それが守られるように、そして言ってみれば、まさに半分小作料に取られる、それがあたりまえであって、というようなことは、どう常識で考えてみたってこれは理解できないですよ。そういうものは規制していくというやはり強い姿勢を示していただかなきゃならぬと思うのです。
 それからもう一つ、どうも私はふに落ちないのですが、統制をしてもどうせ守られないから、これは統制をはずしたらよろしいんだというような、今度の改正について受け取れる節もあるわけですよ。そういうような倒錯したようなものの考え方というものはやめてもらいたいと思う。これはいまお答えどうですかと言えば、いやありませんと言うに違いありません。ただ私はそういう印象を強く持っておるということだけを申し上げて、この運用にはほんとうに厳重にひとつあやまちのないようにやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 草地の利用権設定についてひとつお伺いしたいと思うのですが、私もずいぶん地方を回りまして、薪炭林であったものが、もはや薪炭の御用はございませんので、そのままに放置をしておく状態というものが見えております。そして何とかならないかなと思ってみても、これはもう植林するのにも人手がないわ、資金がないわということで、そのまま放置されておるという傾向を見受けます。したがって国有林あるいは民有林を問わず、活用しようという姿勢には賛意を示すものでありますが、農林省としてこの日本の民有地、国有地含めて草地利用可能な条件、状態というのは、どの程度いま存在しておるのかというようなことについて、ひとつ御承知であればお伺いしたいと思います。
#180
○政府委員(中野和仁君) 現在の土地改良長期計画におきましては、たしか約四十万ヘクタールを昭和四十年から四十九年までにつくるという計画を立てたわけでございますが、先ほど冒頭に御議論ありました「農産物の需給見通し」によりますと、それを延長しまして、五十二年までにたしか六十万ヘクタール程度の造成をしたいということを考えておるわけでございます。その前提といたしましては、もっと将来の畜産の発展ということを考えますと、可能な面積はあるわけでございます。われわれのほうで、昭和六十年までを一応見通しまして、どれくらい可能性があるかということを、土地改良長期計画を立てます際に調査をしておるわけでございますが、それによりますと――ちょっと失礼しました。数字を探しまして、後ほど答えさしていただきます。かなりの可能性があるというふうに考えています。
#181
○村田秀三君 その方向としては、私も賛成です。ただ、しかしこれが六十一万ヘクタールですか、五十二年度想定して、草地はその辺までという予定のようですが、それと関連して、前段の論議じゃございませんが、年次別にどの程度草地を造成したいという計画があるのか。もちろんそれと関連をして利用権設定ということを法律事項としてやらねばならないのかどうかという問題なわけです。よく、ただ遊ばしておくというとちょっと語弊がありますけれども、雑木、これはもう何年おいてもいまどうしようもないですから、むしろ伐採の労働力がないし、その労働賃も生産された雑木よりも高い、こういうかっこうで放置するという状態のほうがむしろ私は多いんじゃないかと思うのですね。そういう場合に、かりにここはひとつ草地として置かしたいというようなことを、全く法律によらずして相談をかけていって理解されないものかどうかという問題がひとつあるわけです。同時に草地に適当であると、こう思ってみても、その一定の面積の中に植林地が存在をした、しかもそれは優良造林地であると、こういうことになっておった場合も、それは草地のほうを優先するとかいうようなことになるのかどうか、その辺のところをひとつお聞きしてみたいと思います。
#182
○政府委員(中野和仁君) 草地造成をいたします場合に、やはり土地の問題がいろいろ問題になってくるわけでございますが、その場合には、基本的にはただいまもお話がありましたように、やはり利用者とそれから土地所有者の話し合いによってそこを買うなり借りるなりすべきだと思います。そのために農林省といたしましても、未墾地取得資金等を用意はしておりますけれども、場所によりましてはなかなかそういう相対の話し合いだけではいかない場合があり得るかと思います。まして畜産局の今後の方向といたしましても、育成牧場と共同的な牧場をつくりたいという方向もあるわけでございます。そこで今回、草地利用権の設定の新しい規定を設けたわけでございますが、この規定の内容はまたあとでお話があるかと思いますが、こういう制度によりまして、先ほど申し上げました相当広い範囲を全部これをやるというふうにはわれわれ考えておりません。こういううしろだてもあるからこそ、いろいろ地主側と市町村なり農協なりが話し合いをして、できるだけそういう指導の面で片づけていったほうがいいのではないかというふうに考えられます。
#183
○村田秀三君 そこで、これは私もまだ明確にどちらがよいかという考え方を持っておるわけじゃありませんけれども、市町村、県、国、これが利用権設定をするという、そういう考え方であるならば、まあある程度理解できるわけです。ところが、これは農協が利用権を設定できるというふうにもなっているわけであります。農協がその事業経営に必要な施設をつくることができるということにもなっているようでありますが、これは倉庫をつくるとか、そういうこととは若干違うような感じがするわけですね。それで、農協が事業主体になって草地をつくる、あるいはつくったものをその付近の農家の方々が、農協の組合員が利用すると、こういうようなたてまえになるのか、あるいは農協自体が草地造成をしてそれを将来ともに経営していくのかと、こういう問題もさまざまありましょうが、その農協がするところの、それで私権を制限するような措置というものは少し行き過ぎじゃないかというような感じを実は持っておるわけでありますが、その点のお考えはいかがでしょうか。
#184
○政府委員(中野和仁君) 市町村の場合と農協の場合と、確かに団体としての性格が違います。片や、まさに公法人でございますし、片一方は私法人でございます。違いますけれども、この条文にもございますように、やはり組合員の共同利用に供するということで、組合の大多数の者の共同利用に供するという観点からしますれば、一定の慎重な手続を経てこういう制度を設けたわけでございますので、しかもこの中で、地主側に対しましては補償なりあるいは適正な賃貸料を払うということでもございますので、確かに私権の制限ではございますけれども、今後の自給飼料基盤の造成ということから考えますと行き過ぎであるというふうにまで、われわれは考えていないわけでございます。
 それから、なお、先ほどちょっと数字を申し上げるのをあとに回さしていただきましたけれども、われわれの去年調査いたしました草地造成可能面積は、六十年までに約九十万ヘクタールぐらいあるのではないかというふうに考えております。
#185
○村田秀三君 ひとつこれも慎重にやっていただきたいという要望を付しておきたいと思うのであります。
 それから次には、農業委員会の問題でありますが、今度は農業委員会の権限というのは強化されるわけですね。そこで考えてみまするに、従来も農業委員会の皆さん方、それは確かにその任務の重大さと目的をよく理解をして、ほんとうに有効に働いておられるその委員会というものを私も承知をいたしております。しかしながら、まま、今日までもどうもこの農業委員の方々が工場用地のあっせん業をやってみたり、あるいはいろいろな問題を引き起こして新聞報道されたということも記憶しているわけです。そこで、今度この権限が強化されて、そうして和解、仲介という、そういう作業というものがなされることになるわけでありますけれども、私はこういう委員会の作業といいますか、仕事は、より事務的に処理できるようにしておいたほうがよろしいのではないかと実は思っているわけです。というのは、おそらくこれは賃貸借、個人間の関係になるわけでありますから、そういうものも当然あるわけでありますから、三人委員会をかりにおつくりになったとしても、個人の判断というのが非常に重要になると思うんですね。ましてや、耕作権が大幅に後退させられたと見られる改正のさまざまでありますから、そうしますと、いわゆる判断の幅というものが非常に広がっておる。こう考えて見てまいりますると、どうしても、やはり農業委員会の判断、結論というのは、できるだけ狭義に、事務的に、私情を差しはさむことがないようにしておいたほうが、私は農業委員会の委員の方々もやりやすいし、言ってみれば、農業委員に選出されるときには非常に嘱望された方であったけれども、実際に農業委員になったところが、ボス化してしまったというようなそしりを受けるようなことになり、あるいは、まあ犯罪ということはどうでありますか、そこまでは考えられないにしても、非常に信望を失うというような、そういう状態というものが出てくるのじゃないかというような懸念を私はするわけです。その点に対してどうお考えになっておりますか。
#186
○国務大臣(倉石忠雄君) 今回の農地法の改正を機会に、農業委員会に対しまして、農家の関心と期待がたいそう高まっておると思います。農業委員会自身も、したがって、一そうその責任を自覚することによりまして、適正な運営が行なわれることを私どもは十分期待できると思っておるわけでありますが、村田さん、ただいまいろいろ心配されて御指摘になりましたような事柄を、私ども耳にいたしてはおります。農林省といたしましても、そこでさらに農業委員会の委員諸君に十分その任務の重要性を感じていただき、またわれわれといたしましても、研修、指導等を強化して、適正な運営ができるように努力してまいりたいと思っておるわけであります。
#187
○村田秀三君 その際に、具体的な問題が幾つかあるわけでありますが、ただ一つお伺いをして要望したいと思いますことは、今度は、耕作地の面積制限というのは、これはなくなるわけですね。ただ、しかし自家労働力あるいは雇用労働力も、これは無制限ということになるわけですか。あるいは通作できるところ云々、いろいろ制約はあるにせよ、その上限というのはまことにばくとしているわけですね。そうしますと、雇用労働力は幾らでもよろしいんだということになりますと、これは経営者であるその方は実際には管理面だけを担当する。そして、田畑には多くの人々を雇って働かしておく。朝行って作業指示をして、そして夜またふっと行ってというようなぐあいに考えられるわけですね。まさにこれは無制限になる。そういうようなことも実は考えられると思うんでありますが、間違っていれば御指摘をいただきたいと思いますが、それを判断するのは、これはやはり農業委員会ということになるわけでしょう。そうすると、その規模、しからばどの程度が適正かというようなことは農林省でお示しになろうとするならばお聞きしたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、結局その農業委員会の判断というのがきわめてこれは重大な影響を与えずにはおかない結果になる。こう実は考えられるわけでありますから、いま大臣のおことばにもありましたように、農地法の趣旨というものがまさに貫徹できるという、そういう動きをしてもらわないと困るわけですね。まあ改正部分がありましたから、改正部分も含めて、法の目的ということになるかわかりませんけれども、少なくとも農地法、これは農業基本法に基づきまして耕作する農民が土地を所有して、そうして経営規模を拡大して、しかも国民の経済生活に寄与するのだという、この目的があるわけですから、それを貫徹させることができるようなやはり判断、運営をしていただかねばならないと思うのですね。
 それで、いま、質問の部分もございますけれども、それをひとつ承りたいと思います。最後に大臣の決意を伺って私の質問を終わりたいと思います。
#188
○国務大臣(倉石忠雄君) 御指摘のように今回の農地法改正にあたりまして、農業委員会というものの任務は非常に必要度を増してくるわけでありますが、ただいまお話のございましたようなことにつきまして農林省といたしましては、大体の方向、基準をきめまして、それに基づいて農業委員会の運営に、指導をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
#189
○委員長(園田清充君) 両案についての質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時二十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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