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1970/05/06 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 農林水産委員会 第15号
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1970/05/06 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 農林水産委員会 第15号

#1
第063回国会 農林水産委員会 第15号
昭和四十五年五月六日(水曜日)
   午前十時二十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         園田 清充君
    理 事
                亀井 善彰君
                高橋雄之助君
                北村  暢君
                達田 龍彦君
                藤原 房雄君
    委 員
                河口 陽一君
               久次米健太郎君
                小枝 一雄君
                小林 国司君
                櫻井 志郎君
                鈴木 省吾君
                田口長治郎君
                任田 新治君
                森 八三一君
                和田 鶴一君
                川村 清一君
                中村 波男君
                前川  旦君
                村田 秀三君
                沢田  実君
                河田 賢治君
   国務大臣
       農 林 大 臣  倉石 忠雄君
   政府委員
       農林政務次官   宮崎 正雄君
       農林大臣官房長  亀長 友義君
       農林省農地局長  中野 和仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       農林省農政局参
       事官       岡安  誠君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農地法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○農業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(園田清充君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○達田龍彦君 私は主として農地法の改正について若干質問をいたしたいのでありますけれども、その前に、まず今回の農地法、農協法の改正案が提案をされておるわけでありますけれども、この法案が提案をされました背景、つまり日本農業の現状と農政のあり方について基本的な問題を若干私はこの際お尋ねをしておきたいと思うのであります。基本的な問題ということになりますと、何といっても今日の農業を進めてまいっております基本法農政というものを私は問題にしなければならぬと思うのであります。そこで、この農業基本法に基づいて今日まで行なわれてまいりました農政というものについて、私は基本的な問題に限りましてまず御質問を行ないたいのであります。今日の日本農業を取り巻く環境あるいは問題点というのはたくさんございますけれども、まず三十六年に制定をされました基本法農政というものが、一体その基本法農政の方向に今日の日本農業というものがいっているのかどうかということについて、私はいろいろの問題点をとらえることができると思います。
 そこで、まずお尋ねをしたいのは、いま基本法農政下の日本の農業の問題点は一体何なのか、それから基本法農政が志向する方向に今日日本の農業というのはいっておるのかどうか、こういう点についてどういう認識と考え方をお持ちになっておるのか、まずお尋ねをしておきたいと思うのであります。
#4
○国務大臣(倉石忠雄君) 三十六年に農業基本法が制定をいたされましてから、わが国農業は、国民経済の高度成長の過程でいろいろの困難な問題に直面いたしておったわけでありますが、それにもかかわらず、生産性を高めながら発展いたしてまいりました。食料の供給、それから他産業への労働力と土地の供給等が行なわれました。それからまた国内市場の拡大などにも寄与してまいったと思うのでありますが、国民経済の発展と国民生活の向上に重要な役割りを果たしてまいったと私どもは考えておるわけでありますが、御存じのように、基本法の制定されまして以来、わが国の経済がいわゆる高度の発展を見るようになってまいりました。そのために、その間若干のいわゆるひずみと申しますか、そういうものも比較的生産性の低い部門には出てきておると思うのであります。そういう状態に対処いたしまして、わが国の農業をこの経済全体の成長にできるだけ劣らないような一つの産業として育成してまいるというわれわれは至上命令に直面いたしておるわけであります。したがって私はいわゆる基本法農政というものは今日まで、先ほど申し上げましたような過程をたどりつつ、生産者の経済発展、それからまた国民に対する安定的な食料の供給、そういう面においては相当な役割りを果たしてまいったものではないかと、このように考えておるわけであります。
#5
○達田龍彦君 いま大臣の御説明によりますと、農基法農政がかなりの役割りを果たして進んでおるという御説明でありますけれども、私は、政府が昨年から総合農政を唱えておるのでありますけれども、この総合農政というものは、昨年も私は議論をいたしたのでありますけれども、基本法農政の失敗の結果、総合農政というものを打ち出さざるを得なかった、こういうふうに私は認識をいたしておるのであります。いま日本農業は農基法農政の精神に従って進められておるかというと、現実にはその精神に従って進み得ない状態がつくり出されておると私は見ておる。それはたとえば米の生産過剰もその一つであると私は思います。それから農業と他産業との格差の是正、これも一体、農基法の大きなねらいであったにもかかわらず、その格差は依然として今日埋まっていないという状況にあるのであります。私は、規模拡大の問題にしても、あるいはそういう点を考えてまいりますと、必ずしも農基法農政というものに従って現実の農業は動いていないと私は考えておるのであります。こういう点から、一体この農基法農政の精神に従って農業が進め得なかった最大の理由は何か、こういう点について大臣の考え方をただしておきたいと思うのであります。
#6
○国務大臣(倉石忠雄君) 基本的な大事な問題にお触れになっておるわけでありますが、私ども三十六年に基本法が制定されまして、その基本法の精神に沿うて農政をやってまいったその過程において、先ほど私が申し上げましたように、かなりの農業に対する貢献は認められるのでありますが、もう御存じのように、その過程において、一方において非常に著しい勢いで経済の高度成長をみるようになったと思いますが、このわが国の高度成長は、農業の発展に対しまして、一面においては明るい面を出しておるのでありますが、他面にまた、若干暗い面も宿しておると思います。御存じのように、農業従事者が若年層を中心に激しく流動いたしましたために、農業従事者の多くの部分が中高年齢層となりました。それからまた地域によりましては、農地の潰廃が一方において見られるようになりました。もう一つは、わが国の特異の状況であります地価の高騰なども著しくわが国の農業の発展に支障を生じておることもいなめない事実であろうと思います。
 そこで私どもはやはり農政の基本といたしましては、農基法農政のたてまえを貫きつつ、やはりこの変化に対応して対処していかなければならないという厳粛な立場に立たされてまいったわけであります。したがって、いまお話のございましたような、いわゆる総合農政という考え方を私どもが打ち出してまいりましたのも、そういう変化に対応して、しかも農業を一つのりっぱな産業として成り立ち得るようにするためにはどうすべきであるか、ということで考慮いたしました結果であります。したがって、どこまでも私どもといたしましては、農業というものをりっぱな産業として成り立ち得るように一方においてつとめながら、いまの情勢の変化に対処してやってまいらなければならない、このように考えておるわけであります。
#7
○達田龍彦君 じゃ具体的にお尋ねいたしますが、いまの日本の農業というものが農基法の精神に従って進められておるという農林大臣の判断の立場に対して、たとえば米の生産過剰という状態が一つ出てくる。それから自立農家の育成という方向よりも、兼業農家の増大という方向が大きく出てまいっております。さらに農業と他産業との格差の是正の問題が農基法の一つの大きなねらいでありますけれども、これも依然として格差の改善ははかられていない、こういう状況にあるのであります。さらに、基盤の整備を行なって、農業の生産性の増大をはかっていくというねらいについても、農業の生産性が必ずしも十分に上がる状態にない。こういう点が出てまいっておりますけれども、私は、こういう点は明らかに農業基本法が精神として持った方向とは違った方向に、今日の農業が現実に出てきていると見ている。でありますから、精神が一体生かされているのかというと、政府のほうでは、頭の中でそういうことを志向しながら、進めながら、現実にはそれと大きく違った方向が出てまいっている。私はそういう意味で、一体精神が生かされているのかどうかということについて大きな疑問を持ち、また、そのために今日の日本農業というものが大きな混乱を受けていると私は思う。その点について一体どうお考えになるのか、御説明を賜わりたいと思うのであります。
#8
○国務大臣(倉石忠雄君) 御指摘のございましたように、また、私が先ほど申し上げましたように、三十六年に農基法制定以来、先ほど申し上げましたように、非常に客観的情勢に変化を生じておることは、もういなめない事実であります。おそらくわれわれが八年前に農基法を制定いたしました当時、今日のような地価の高騰をおそらくどなたも予測していなかったのではないか。地価の一つをとって見ましても、著しい変化が生じておることは御存じのとおりであります。それからまた、先ほど申し上げましたように労働力の不足、こういうことからして、地方における若年労働力が他の産業に吸収されてまいっておる。いろいろな支障が生じておることは全くそのとおりでございます。
 そこで私どもは、こういう変化の情勢に対処いたしましても、やはり農基法が想定いたしておりますような方向でわが国の農業を推進してまいり、しかもその間に社会情勢、経済情勢の変化に対応して、やはり若干の変化に対処する施策を講じていかなければならん。私どもといたしましては、自立経営農家を育成をしていくというたてまえは変えないわけでありますけれども、現実の問題として、現在でもすでにたくさんの兼業農家が存在いたしておるわけであります。この兼業農家というものも、一面においてはやはり自分の郷里である農村に住居をかまえておりたいという希望があるのに、一面においては、だんだん出てまいります他の産業に半分従事いたして農家の所得をふやしていくという、そういう傾向、こういう現実の変化に対処しては、私ども、農業に対する基本的なたてまえは農基法の精神に立脚してやるにいたしましても、やはりこの変化に対応して対処していかなければならないのではないか。このように思いますので、そういう変化に対応してやってまいるために、総合農政の考え方を出しておるわけでありますが、やはり基本的には、私どもといたしましてはできるだけ自立経営の農家を育成してまいりたい。同時にまた、農業それ自体が他産業との格差を縮めてまいるように最大の努力をいたさなければならない。したがって、たてまえにおいては私ども基本法の考えております考え方をどこまでも持ちながら、その変化に対応して対処していかなければならないのではないか、このように考えておるわけであります。
#9
○達田龍彦君 そのたてまえ論はよくわかるのでありますけれども、現実に日本農業が農基法の精神どおり進んでいない。そこに私は一番問題があると思うんですね、でありますから
  〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕
いま大臣のお話の中には昨年、一昨年から総合農政というものが出てまいりましたけれども、現実に基本法農政が現実の問題としてそのとおりいかなかったところに私は総合農政というものが出てきたと判断いたしております。でありますから、いま政府が総合農政を推進しようとするならば、農基法農政が現実の問題としてそのとおり進まなかったという反省の上に立って総合農政というものが考えられ、今後の農政が進められない限り、私は今日の農業の混乱と農業の発展はあり得ないと私は判断をするものであります。でありますからその現実の農政というものが農基法農政どおりいっているのかいかないのかという点について、私は現実にはその方向どおりいっていないという判断をいたしておりますけれども、農林省は一体どうお考えになっておるのか、それを十分承りたいのであります。
#10
○国務大臣(倉石忠雄君) 達田さん御存じのように、わが国の有力な農政の学者の中にもわが国の経済の著しい成長等を見、同時にまたわが国の特異な状況であります地価の高騰などによっていまお話のように非常にこの農基法の精神、また農基法を想定いたしました当時からは全く想像もつかない結果になったということを力説しておられる学者もあります。私どもも御指摘のように、非常に思わざる激しい変化の結果、必ずしもわれわれが想定いたしましたように動いておるとは判断いたしておりません。したがって、それに対処して農業をどのように守り、先ほどお話のように他産業と格差を縮めていくかということがわれわれに課せられた大きな問題であろうと思うのでありますが、申すまでもなく、わが国の農政の基本目標でございます国民に対する食料の安定的供給と、それから生産者の所得の増大を通ずる農業従事者とそれから他産業従事者の生活水準の均衡をはかるというこういうたてまえは変えておらないのでありまして、そういう意味においてたいへん私どもといたしましては、今日の変化が予測せざる大きな著しい変化に直面しておる。この現実のきびしい状況に対処して、どのように所期の目的を達成してまいるかというところに農政の大きな課題があるのではないか。こう思っておるわけでありますが、私は農基法が制定されまして、七年間、この間における著しい変化があり、そのために所期の計画に大きな問題を投げかけておる点においては、達田さん御指摘のとおり全く御同感であります。したがってそういうことに対処してわれわれが取り組むべき姿勢はどうあるべきであるか、これがまあ現在の「総合農政の推進について」で私どもの考え方を公表いたしておる、こういうことであります。
#11
○達田龍彦君 農基法農政が現実の農政の中で私は必ずしもその精神が生かされない状態にある、しかも農政というものは大きな混乱と不安を今日抱えながら進められておる、私はこう見ておるのでありますが、いま大臣の御説明の中にも、農基法農政の方針に従って、たてまえとしては進めておるけれども、現実には必ずしもそういってないという面があることを若干お認めになったようでありますけれども、現実の農政が農基法農政の方向にいってない最大の理由ですね、そういうものをどう認識をされ、考えておられるか、御説明いただきたいと思います。
#12
○国務大臣(倉石忠雄君) この問題につきましてはいろいろなことをわれわれは気がつくわけであります。
  〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
まずもって冒頭申し上げましたように、三十六年時代には想定いたさなかったような著しいテンポでわが国の経済成長を見るようになりました。それからまた地価の高騰というようなことも、規模を拡大してまいるということを念頭として活動しておられる地方の自立経営の農家の人たちの経験に徴しても、非常にやりにくくなっておることも事実であります。私どもひとり農政だけの問題ではございませんけれども、そういう基本的な問題があります。もう一つは、国民の経済水準がだんだん上がるにつれて、食生活に対するこれも大きな変化をもたらしてきております。そういうようないろいろな問題が重なり合いまして、なかなか所期の計画どおりに進まない面もあることは否定できないのでありますが、しかし基本的に私どもは先ほど申しましたように、国民食料の安定的供給と、その従事者の生活水準の向上というこの大きな眼目は断じて動かすことはできない、したがってそういう方向に従って農政を進めてまいらなければならぬと思っておるのであります。経済成長率の激しい、また経済社会の著しい変転によって、われわれの計画にあるものは短くなりあるものは長くなりしてまいっておるというのが現状である、このように認識しておるわけであります。
#13
○達田龍彦君 どうもまあ私が聞きたいことが大臣の回答では必ずしも噛み合ってないのでありますが、総合農政を提唱されたときにいろいろな論議がございました。私は農基法農政をとらえてまいる場合に、今日の農業というのは農基法農政から見ると失敗であったと私は考えておるのです。総合農政というものを政府が打ち出されたときに、まず第一に大きく取り上げられたのは米価が片寄った農政であったために、総合農政の中で特に志向しておりましたところの農業構造の改善の問題あるいは生協、農産物への選択的拡大の問題、こういう問題が農基法農政で志向しながらその機能が完全に果たし得なかったということが一ついわれたと思います。それからもう一つは、自立農家の育成あるいは協業の促進という形で基本法農政では農業生産性の向上を進めようという構想であったのでありますけれども、その自立農家の育成あるいは協業の促進ということについても、必ずしも十分な生産性をあげ得るような状態になかった、こういうことが私はいわれたと思うのであります。
 そういう点から考えてまいりますと、私は今日の農基法農政下の日本の農業というものは、そういう点を十分どう生かし得るかということを具体的に考えていかないと、総合農政をいってみても、その結果としては、米のいわゆる過剰生産というものに対してこれをやめさせあるいは生産価格を押える、こういう作用のみに終わって、真の意味の総合農政の推進、真の意味の農基法下の農政というものを進めることにならないのではないかと私は思うのであります。でありますから、そういう点を一体今日政府はどういうふうにお考えになっておるのか、その点を政府の考え方として十分御説明をいただいておきたいと私は思っておるのであります。先ほど来の御説明では、所信表明演説に出ておる程度の内容が羅列されている程度で、私の聞きたいことを必ずしも答えていないわけでありますが、そういう点をもう少し大臣のほうからお話も承りたいと思うのであります。
#14
○国務大臣(倉石忠雄君) 私どもがこういう変転してまいる経済社会に処しまして総合農政を進めてまいりますには、第一に、先ほどお話のように、他産業との格差をなくするようにいたしたい。そのためには、いわゆる農業の近代化を実現いたしますための必要欠くべからざる条件として、規模が大きく、生産性の高い近代的農業の育成をはかってまいりたい、これが基本的な考え方でございます。そこで、いま米のお話がございましたが、過去の歴史を見まして、やはり私ども農林省といたしましては、まず生産を増強させることに全力をあげてやってまいりました。そういうことの過程において、先ほど来ここでお話し合いがございましたような著しい経済成長率、それのそういう変化に対処いたしまして、また生産をどんどん助長してまいりました農政の中の一番基本の作目であります米が、一人当たりの消費量が減ってまいったということも加わりまして、生産調整をせざるを得ない今日の状態になっておるわけでありますので、
  〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕
当面私どもは米の生産調整をまずやらなければならない。同時に、他の作物につきましては、これは先ほどもちょっとお話がありましたいわゆる選択的拡大でさらに需要の伸びる傾向にあります他作物につきまして、さらに生産を増強してまいりたい。これにはわが国が先天的に弱点を持っております濃厚飼料の現状等についてはなかなか困難な面もございますけれども、やはりできるだけ主要作物とその他の需要の多い傾向にあります農作物に転換してまいりたい。そのためのできるだけの助成をいたしてまいりたい。
 それからいま御存じのように、われわれにおおいかぶさってきておる一つの大きな問題は、国際経済の中に立って、自由貿易い、わゆる自由化の問題でございます。ただいま万博等で、外国の閣僚その点責任者の多くが来訪されます。彼らが私どもと話し合いの中で出てくることは、やはりそういう農作物を含めた自由化等の問題であります。そういうことに対処いたしまして、いわゆる選択的拡大で増産をはかろうといたしております品物等についても競合するものがございますので、そういうものにつきましては、やっぱり生産者の経営の体質を改善、強化してそうして競争力に立ち向かえるような経営をつくり出したいというのとたいへん競合する問題が多いわけであります。しかし、そういうことにつきまして私どもは必要に応じて価格政策をとってまいりたい。そのためには、これは私ども農林省だけの考え方に立つばかりではありません。政府全体としてあるときには課徴金制度というようなものを考慮しなければならない重要な価格政策の問題がございます。いずれにいたしましても、そういういろいろのことを考えますのは、やはり米の生産調整はいたしますけれども、他の農業につきましては、これはできるだけ土地改良、圃場整備、構造改善事業等を推進することによって、生産性の高い農業を育成してまいりたい、このように考えておるわけであります。
#15
○達田龍彦君 私は今日の日本農業の環境あるいは状態というのは、政府が三十六年に農基法を提出された当時よりも、いわば環境や日本農業の持つ主体的問題点が悪くなっているように考えているのです。それは先ほど来私が指摘しておりますように、自由化のテンポもその一つでございます。あるいは兼業の増大、あるいは労働力の老齢化、こういうことを考えてまいりますと、今日の日本農業というのは、基本法を提出された当時よりも、たいへん農業の環境と、農業と農家の実情というのは私は悪くなっていると考えておる、この点農林省はどういうふうに認識されておりますか、お答えをいただきたい。
#16
○政府委員(中野和仁君) 農地局長からの答弁ではあるいは全部足りないかもわかりませんけれども、先ほど来大臣との質疑の中でも、そういう問題がいろいろ出てきたわけでございますが、先ほど大臣からもお答えがございましたように、非常に環境の悪い面もございますけれども、この中にありまして、やはり基本法農政が始まってから今日まで、労働生産性あるいは土地生産性等もかなり上がってきております。自立農家のことにつきましてもたとえば昭和三十五年にはわれわれは八・六%ぐらい持っておりましたのが、昭和四十三年には一〇%になっているというようなことになっておりまして、基本的に日本の農業が後退をしているというふうに考えていないわけでございますけれども、反面、先ほど大臣のお話がありましたような事態がいろいろ出てきております。そういう面につきましては、われわれは率直に検討を加えまして、先ほど御答弁がありましたように、総合農政の推進ということで、困難な農業のいろいろな事態を打開していきたい、こういうふうに考えているわけであります。
#17
○達田龍彦君 ではお尋ねをいたしますが、農業基本法の一つの大きなねらいは、何と言っても農業と他の産業の格差の是正にあったことはそのとおりでありますが、今日の米価問題を見てまいりましても、米の作付転換、米価の据え置き、こういう形がとられておりますし、将来の方向としては米価の所得補償方式というものがだんだんくずれ去っていくだろうということもわれわれは非常に懸念をしているのであります。そういう点から考えますと、総合農政というものを打ち出されておりますけれども、今日の農家所得をささえておったのは、私は米価だと思うのです。それをいま申し上げたように、今後は押え、さらには米価を上げることを今後しないばかりでなく、今後は需給の動向によって農政を進めるという考え方に立ちますと、私は米価はさらに引き下げられていくという懸念も持つのであります。そういう段階になったときに、一体総合農政の中で農基法の大きなねらいであるところの農工間の格差というものがどういう形ではかられようとするのか、その点お伺いいたしたいと思います。
#18
○政府委員(中野和仁君) 御指摘のように、確かに米の問題が出てまいりまして、生産調整をやるかたわら、米価の引き上げによって所得をまかなっていくということはなかなかむずかしいかと思います。そこで現在までは確かに農産物の価格の引き上げ、それによる所得補償ということでまいりましたけれども、今後は少なくともそういうことがなかなかむずかしいということになりますと、やはり経営規模の大きい生産性の高い農業をつくっていって、そうして所得を確保していくという方向を強く打ち出していく必要があろうかというふうにわれわれ考えておるわけでございます。
#19
○達田龍彦君 どうも回答が私が尋ねようとしておることに必ずしも合った回答でないのでありますけれども、言われることはよくわかるのでありますけれども、現実にはそう日本の農業が行ってないところに私は問題があると思うのであります。よく最近政府は総合農政、総合農政と言われるけれども、いろいろ私も検討してみましたけれども、総合農政の政府のねらいというのは一体何かということを端的に考えてまいりますと、何といってもまず米の生産を押え、そうして経営規模拡大のための離農政策の強力な推進にあると私は見ておるのでありますけれども、この点どうお考えになっておられますか。
#20
○政府委員(中野和仁君) 先ほど大臣が御答弁になりましたように、総合農政の基本的な目標は、国民に対する食料の安定的な供給ということと、農業従事者と産業従事者の所得の、生活水準の均衡をはかるということだと思います。その間にありまして、ただいま直接緊急に当面しておりますのは米の生産調整の問題でございます。これはぜひ実現をしなければ、たびたび国会でも問題になりました食管制度の問題等いろいろ波及をしてまいりますので、その点は緊急にやはり調整を何とかうまくやっていきたいということになってこようかと思います。が、あわせまして、いま離農を促進するのではないかというお話がございました。確かに最近では年々八万戸から九万戸の離農がございます。しかしこの総合農政の推進にもありますように、無理に押し出すということはなかなか困難かと思います。まして、経済の高度成長の中にありまして必ずしもまだ外部の雇用条件、それからその他の事情等も完ぺきではないという中にありまして、完全な離農を全部促進するということはなかなかむずかしいかと思います。したがいまして、先ほども御指摘のありました兼業農家もかなり残ってこようかと思います。そこで離農をする農家についてはしやすいように、農地法の改正あるいは農協法の改正、また農業者年金制度の改正という方向でそういうしやすいように援助をするということが一つ。それから農村に残りました兼業農家につきましては、一方では集団的な生産組織の中に組み込んでいって、そういう兼業農家もかなり日本の農業生産の中でウエートを持っております、その面も進めていく必要があろうというふうに考えておるわけでございまして、何が何でも離農を促進するんだということだけをねらって進めておるわけではないというふうに考えております。
#21
○達田龍彦君 さらにお尋ねをしておきたいことは、この今回の農地法の改正によってねらっておられるのは、農地の流動化であるということが言われておるのであります。そこで、農地の流動化ということから農地法の改正が出てまいておりますけれども、そのことは同時に農業の規模拡大をはかっていくということであります。同時にまたこの農基法の精神に基づいて兼業農家の協業の問題あるいは共同化の問題がこれまた育成をしなければならぬということを言われておる。農地の流動化をはかりながら農業の規模拡大をはかるということになると、兼業農家、零細農家が今回の農地法の改正によって権利の移動あるいは借地の移動、こういうことが行なわれてまいる、私はそういう意味では兼業農家も協業化あるいは共同化と農地移動によるところの農業の規模拡大、自立経営農家の育成ということは矛盾するものではないかという判断をするのでありますが、どうお考えになりますか。
#22
○政府委員(中野和仁君) 経営規模拡大をいたしますためには、零細な現在の経営を固定をするということではそれが実現ができませんので、やはり構造政策の基礎といたしまして、農地の流動化をはかるということで農地法の改正をお願いいたしておるわけでございますが、その場合にいま御指摘の兼業農家の協業化と言いましょうか、そういうものと矛盾をするのではないかということでございますが、その兼業農家を協業化いたしますと、そこでは生産規模の拡大につながるわけでございます。小さな農家のままばらばらありますものを、十軒の農家をまとめてそうして一つの生産単位をつくりますればそこで規模の拡大ができる。必ずしもその場合に所有権が、まあたとえば農業生産法人をつくりますれば、そこに移る場合、出資をして移る場合あるいは生産法人に貸す場合とありますので、所有権の面から見ますと必ずしもそうでない場合もあり得るかと思いますけれども、やはり自立経営農家個人の農家の規模拡大とあわせまして、そういう兼業的な農家の土地が中核的な農家が中心に集まりまして一つの生産単位の拡大ということがはかられるわけでございますので、私たちはその両者が矛盾しているというふうには考えないわけでございます。
#23
○達田龍彦君 まあ農地局長は矛盾をしないと言うけれども、現実にはこれは矛盾をするのであります。
 それではさらにお尋ねをいたしておきますけれども、将来の方向として、これは農基法でも総合農政でも自立経営農家の育成ということが大きな柱になっておる。そうすると、将来兼業農家というものは農林省の方針としてはその個別経営の農家として育てていくか、それとも協業、共同化によって生産の増大をはかるための方向で育てていくのか、あるいは今日、中核的農家とか自立農家と言われているような比較的生産性の高い、規模の大きい農家に吸収していくという形へこれを持っていくのか、その点はどういうお考えになっておるのですか。
#24
○政府委員(中野和仁君) 御指摘のように、基本法農政以来、自立経営農家の育成を中心に日本の農業を進めていこうというふうに考えておるわけでございますが、たびたびこの委員会でも議論がありますように、膨大な兼業農家が現におるわけでございます。したがいまして、これをそれだけ全部まとめて一つの大きな、私が先ほど申し上げました生産単位に一挙にできるかというとなかなかそうはまいりません。しかし、いろいろな統計資料等を見ましても、兼業農家の生産性は、専業的な農家の生産性よりかなり低いわけでございます。そこで、農業を産業として成り立たせるためにも、やはり自立経営的な農家を育成すると同時に、そういう兼業的な農家の土地、それから労力等を集めまして一つの生産単位につくっていく。それにもいろいろな段階があろうと思います。現に水稲を中心に各地にあります集団的な生産組織も一つの行き方でございます。それをそれじゃ全部もっと完全な協業化に持っていけるかというと、必ずしもそういう事態でもないと思います。現に五百五十万戸の農家があるわけでございますので、どれか一つにまとめてしまうというところにはなかなか持っていきがたいわけでございますけれども、最初に御答弁申し上げましたように、自立経営農家を中心にしながら、また、地域によりましては、その農家を中心にして兼業農家をその周辺に集めてそこでの集団的な生産組織もつくっていこう。こういうところを当面進めていく必要があろうというふうに考えております。
#25
○達田龍彦君 どうもよくわからぬですがね、今後の規模拡大をどうしてはかるかというのが一つの方針がなければならぬ。その場合に、現在の自立経営農家を中心にして規模拡大をはかるというのも一つの方法であります。それから協業化、共同化というものを地域や環境によって、これを規模拡大の中に位置づけていくというのも一つの方法であります。それから兼業農家をさらに個別農家としてこれを経営規模の拡大の方向に結びつけていくという方法も私はあると思います。その中心は一体どこに置いておるのか。いままでの農基法農政では共同化、協業化と自立経営農家というものを二つの柱にして経営規模の拡大をはかる、生産性の向上をはかるといってやってきた結果、兼業農家がたくさん出て、自立経営農家というものがほとんど育たないという状況になってまいりました。さらに、将来農業の今日の状況を見てまいりますと、日本の経済成長の中で、将来の自立経営農家というのは、私はさらに経営規模を拡大をしなければ、自立経営農家としては成り立たない現状になってくると思う。そういう将来のことも考えると、一体どこに重点を置いて経営規模の強化をはかり、自立経営農家というものを育てていくのか。その方針がいま言うように、何もかにもだというような状態では、すでにもう農基法農政でやってきて失敗しているじゃありませんか。そういう点で私は非常に説明はされておりますけれども、現実にそういかないところに問題があるわけでありますから、そういう点をもう少しきちんと整理をして考え方を説明いただきたいのであります。
#26
○北村暢君 いま達田委員から繰り返し質問しているのでありますが、どうも政府の考え方がはっきりしないというので、質問も繰り返されているわけですが、一体政府は自立経営農家を育成していく、これは農業の中核的な役割りを果たすんだ、こう言っているんだが、達田君が指摘しているように、基本法農政下ではその育成をはかったけれども、少しも伸びておらぬ。逆に四十四年度では、生産者米価の据え置きというような点から、自立経営農家は逆に減ってきている。こういう現実が出てきた。
  〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
 しかも反面、兼業農家はふえている。それはいままで、日本の農業の大部分を占めておった平均的な耕作反別からいえば、一ヘクタール程度のものが減って、そうして兼業農家に軽落していっている。こういうのが実情なわけです。それで、今後その自立経営農家を育成していくが、一体どの程度の自立経営農家を育成していって、どのくらいの数のものを考えておるのか。しかも経営規模は、総合農政では四ないし五ヘクタールというのでありますから、従来の所得倍増計画でいったときの二・五ヘクタールの自立経営農家とは、規模において約倍のものになる。当時は、この自立経営農家百万戸を養成するという計画であったけれども、それは全然そのような期待にはならんかった。
 それで、そういうことですから、これからの自立経営農家も、従来の観念と変わったものの経営規模になるわけです。そうすると、当然これは経営規模を拡大すれば、どこかが減らなければならない問題が出てくるわけですから、したがって従来のように、この一ヘクタール程度の中堅的な農家が分解をしていくのか、兼業農家というものを大幅に切り捨てる形において自立経営農家を養成していくのか、いまの総合農政の中では、自立経営農家を養成していく。しかし、それに達しないものも残るから集団化をしていくんだ。こういう生産体をつくっていくのだ。こういうことを言っておりますけれども、兼業農家というのは、今後も大幅に減る見通しというものを持っているのかどうなのか。これをあなた方は、こう政策的にはっきりさせなければつじつまが合わない段階にきているのじゃないかというふうに思うのです。したがって、これらの農地流動化に伴う農家戸数の、この経営規模のと別な農家戸数の今後の変化というのはどのように考えているのか、これをひとつ明らかにしてもらいたい。そうすれば、ある程度はっきりするのではないかと思うのですが、どうもその辺のところがいままでの答弁で明確じゃない、このように思いますので、補足して説明を願いたい。
#27
○政府委員(中野和仁君) 達田先生お話しの中で、自立経営農家の育成、それから兼業農家も含めました協業化、そのほかに兼業農家の規模拡大ということもあるのではないかというお話しでございますが、個々の農家については、兼業の部門をやめまして専業的にいこうという農家もあろうかと思います。ただ一般論といたしましては、やはり兼業農家の実態は、順次農業から足を洗っていく方向に向いているというふうに思います。個人の農業の進め方をもちろんわれわれ否定するわけではございませんが、一般的にはそういうふうになっておると思われます。兼業農家の規模の拡大を個別にいろいろと考えるということは、なかなか私はむずかしいのじゃないかというふうに思います。
 そこで、いまの北村先生のお話でございますが、先般たしか沢田先生からも将来自立経営農家をどれくらいのウエートで、どういう割合で考えておるかというような質問を中心にいろいろございました。その際たしか私お答え申し上げたわけでございますが、なかなかいまこの段階で、それじゃ将来、日本の農業の中で自立経営農家が半分であるとか、あるいは六割占める必要があるとかいうことはまだ出しがたい段階でございます。ただ申し上げられることは、先ほども北村先生御指摘のように、現在の自立経営農家、水田で申し上げますとあるいは二町五反、あるいは三町近い農家かと思いますが、今後の経済の伸展ということを考えますと、総合農政の推進でも申し上げましたように、内地の水田では四、五ヘクタール要るんではないかということになりますと、面積が倍近く要るかと思います。現に自立経営的な農家をわれわれ一割ぐらい考えておりますが、戸数にいたしますと五十万戸前後になる、その農家が倍になるというようなことを考えますと、相当部分が専業農家で占められなければならないという計算になるわけでございます。なかなかここ五年あるいは十年ではそうはいくまいというふうにも思えるわけでございます。で、そういうふうに考えておりますと同時に、それでは兼業農家のほうはどうなるかという問題でございますが、現に最近の傾向を見ましても、離農する農家の八割、もう九割近くは五反未満の農家でございますし、それから一ヘクタールまで含めますと、大部分が一ヘクタール以下の農家でございます。したがいまして、今後も一ヘクタール以下の農家が順次農業から離脱するというふうに考えるわけでございますが、一昨年われわれが出しました農産物の長期需給見通しでございますが、それによりますと、昭和五十二年には農家戸数は四百五十万戸というふうに見ております。現在は約五百三十万戸でございます。年率にしまして一・八%程度減少していくということになるわけでございます。したがいまして、絶対数の戸数がかなり減ってまいりますが、その中でのそれじゃ専業自立経営農家あるいは兼業のウエートはどうかということになりますと、若干専業的な農家がふえるというふうには考えられますけれども、兼業農家が昭和五十二年の段階で大幅に減っていくというふうにもなかなか見られないのではないかというふうにわれわれ考えておるわけでございます。
#28
○達田龍彦君 どうも説明でなお私は納得いかない面があるわけでありますが、将来、この農地法を改正しようとされておるのでありますけれども、それは規模拡大を流動化によってはかろうという考え方ですね。その場合の中心的な経営規模の農家というものは、一体自立経営農家はどのくらいで、それから協業、協同化によって規模拡大をはかって農業経営、生産性をあげようというのはどのくらいで、それから先ほど将来の方向としては兼業農家を個別経営農家として育てることは非常に困難だというお話でございますけれども、そういう兼業農家は個別経営農家にしたいという農家も私はあると思うんでありますけれども、そういうものがどの程度になるのかですね、具体的に御説明をいただきたいと思います。
#29
○政府委員(中野和仁君) 北村先生の先ほどの御質問もそれに関連しておったわけでございます。われわれのほうでは、いま達田先生からもお話のように、それじゃ昭和五十二年に自立経営農家が何戸になって、そして兼業的な農家がどれくらいあって、それから協業経営を幾らを想定するかというところまで具体的に想定をいたしておりません。したがいまして、はなはだ恐縮でございますけれども、将来それじゃ自立経営農家が五十万戸で、それからその他は幾らということはなかなか申し上げにくいまだ段階でございます。
#30
○達田龍彦君 私はそれが非常に重要だと思うんです。今回の農地法の改正のねらいが土地の流動化にあるということなんですね。総合農政、農基法農政というものを進めておいて最大の問題点は農地が流動しなかったために自立経営農家が育たなくなって規模拡大ができなかったと、こういうことを口を開けば農林省の皆さんおっしゃられるわけです。そうしますと、もしそれが最大の原因だとするならば、私どもは肯定いたしませんけれども、農地法が最大のガンであったと、こういうことが農林省の言うとおりであったとするならば、私は、将来の農地法改正後の日本の農業の中における中核的な農業あるいは日本の農業をささえていく農家というものは一体何を中心において農業を進めていくかということを当然基本として考えておかなければならぬ。それがこういうふうになるから、日本の農業はこういうように生産が拡大され、所得水準が上がってくる、需給動向にも対処できるような農業となるのだということにならなければならぬ。そういう意味では私は、かりにこの農地法改正後における自立経営農家というものは、自主経営農家の育成を中心に考えていかれるのか、共同化を考えていかれるのか、あるいは兼業農家の個別経営の方式でいかれるのか、原則的なものをまず持たなければならぬと思いますけれども、その原則的な考え方をどうとられているのか、御説明いただきたい。
#31
○政府委員(中野和仁君) どちらに重点を置くかという御質問になるとなかなかお答えしにくいわけでございますが、農業基本法制定以来、やはり家族経営を中心にしました自立経営農家を育成したいというのをわれわれ中心に考えておるわけでございます。たびたび申し上げますように、それのみではなかなか経営規模の拡大はできません。御指摘のように、兼業農家等非常に多いわけでございます。また、そういう兼業農家もかなりの生産のウエートを占めております。したがいまして、一時にそれを切り捨てるとか、そういうことはできないと思います。そこで、地域によりまして、また作目によりましては、専業農家を中心にしまして兼業農家も含めました集団的な生産組織もあわせてこれは伸ばしていかなければならないと考えております。どちらか一つをとれということは、なかなか私たち現実の問題としてむずかしいと思いますので、いわば当面は両方を推進していく必要があろうというふうに考えておるわけでございます。
#32
○達田龍彦君 それが私は問題だと思う。いままで農基法下の農政でもそういう形で協業化、共同化を言いながら、現実にはそういう方向が非常に進んでない。あるいは自立経営農家を育成するんだという方針をとりながら、自立経営農家の育成も進まない、規模拡大がどうしても困難である、むしろ逆に、農基法農政で指向しなかった兼業農家というものが存在している、これは私は逆の現象だと思う。農基法農政の大きなねらいは、何としても規模拡大をはかる、生産性の向上をはかる、そして所得の格差をなくするという一つの方針であったと思う。今回の米の問題を見てみましても、とにかく農基法農政の発想というのは生産、いわゆる生産政策あるいは構造政策を通じて農業のコストを下げてそうして価格をできれば上げないで、米価等の価格を上げないで、コストを下げることによって農業所得がふえるというところに私は農業基本法の大きなねらい、発想があったと思う。それが思うようにいかなかった結果、何といっても今日までささえてきたのは米価値上げによって農業所得をささえてきた、農家経営をささえてきた。ところが、二年前から米価を押えるという結果、農業は大きな転換期に差しかかり、農家経営が成り立たないという状態が出てしまった。そこに農基法農政の大きな失敗があると私は見ている。コストを下げることによって農家経営が成り立つような農業を発想としては指向したと思うんです。それがいかなかったところに今日農家の最大の問題点が私はあると思う。これはどうですか、どうお考えになりますか。
#33
○政府委員(中野和仁君) 御指摘のように確かに昭和三十八年ごろから四十三年までですが、米価が年々かなりの物価以上に値上げをしてまいったわけでございますが、ただその間にありましても、農林省の農業生産調査を見ましても反当投下労働時間というのはかなり減ってきております。その間コストダウンの政策は何らやられなかったというふうにわれわれ考えていないわけでございまして、基盤整備なりその他の政策もあわせてやってまいりました結果、反当の労働時間も非常に減ってきておるというふうに考えておりますが、現実面といたしましては最近まで農業所得を確保されるための米価水準の引き上げということがあったということは否定できないと思います。
#34
○達田龍彦君 私はそういう考え方から今日の農業を進めていく場合には、どうしても生産性の膨張政策を通じて農業のコストを低くしていく。そうして農家経営はそれでも立つと、こういう農業を指向するとするならば、一体そのために今日のこの兼業農家というものをどういうふうに位置づけをしていくのかということは、農林省自体としても考え方をひとつまとめておかなければならない重要な問題であると思うんです。その中で先ほどから私は一体、将来の自立経営農家というものをどういうふうに育て、農業の中でどう位置づけるかについて具体的にお尋ねをしておりますけれども、どの程度のものが将来、自立経営農家として育成され、協業、共同化によってどの程度のものが残り、兼業農家がどういう姿になるかということも見通しを持たないということでありますけれども、これは私は将来の農業の発展の中でも、あるいはあるべき姿の中でも一番重要な問題だと思うんです。それを持たずして農地法改正を提案されるその考え方も私はどうしても理解ができない、どうですかその点は。
#35
○政府委員(中野和仁君) 全然目標を持たないということを申し上げているわけではありませんで、具体的に自立経営農家が何パーセント、兼業何パーセントというところまでなかなか出しがたいということを申し上げたわけでございますが、ねらいといたしましてはたびたび繰り返しておりますように、自立経営農家が日本の農業での生産で相当なウエートを占める必要があろうということで政策を進めていく必要があろうというふうに思います。それから兼業農家につきましては当面やはり二つあるものと思っております。これも先ほど申し上げましたが、一方がもはや農業に本気でかかる気がないということから離農の円滑化をはかる必要があるわけでございます。同時に全部離農をさせるというような、日本の農業ないし農業外の環境ではございませんので、しかも現在ではたしか兼業農家の生産に占めるウエートは五〇%程度を占めております。これを無視するわけにはまいりません。そこでたびたび繰り返して申し上げて恐縮ですが、やはり兼業農家を含めた協業あるいは集団的な生産組織の助長ということもあわせて必要だということをたびたび申し上げているわけでございます。
#36
○達田龍彦君 それをはっきり言えないのにはいろいろの事情があると思うんですね。私はいま農地局長、将来自立経営農家というものの育成をどうしていくかということについて農林省の方針を明確に私は聞きたいんでありますけれども、これは将来必ず自立経営農家の生産規模、所得の問題等を考えてまいりますと、日本の経済が成長する限り自立経営農家の規模拡大ということはさらにさらに増大していかなければならぬと思うんです。現に自立経営農家を育成することよりも、地域によっては地域営農集団の育成という方向に進んでいる分野があるのですね。これは広域農業の育成という形でかなり考えられているようであります。たとえば米の場合を考えてまいりますと、現にカントリーエレベーター等の場合には私は広域農業のあらわれだと思う。さらにまたライスセンターやミカンの場合には道路や選果場の問題は単なる自立経営農家の育成ということよりも、自立経営農家がさらに広域的な、地域的な農業に発展していく可能性を持っている。そういう方向に持っていかないと、農業のコストを上げないで農業を発展させる、あるいは農業の経営を安定させることは、特にいま日本の農業の中で、国際農産物との関係がございますから、どうしても農業というのはそういう方向に行かざるを得ないという必然を持ってくると思います。そうなってまいりますと、いま農林省が志向しておりますところの自立経営農家というのは一体それでいいのかどうか。そういう形の規模拡大で一体農業の将来の見通しというものはどういう形で立てていけばいいのか、こういう点にさらに私は問題が出てくると思います。こういう点について今日の自立経営農家と将来のいわゆる広域農業の育成、あるいは地域の営農集団の育成との関係においてどう位置づけていくのか、お考えがあれば承っておきたいと思います。
#37
○政府委員(中野和仁君) その点につきましては総合農政の推進についても申し上げておりますように、またいまの御指摘のように孤立無縁の自立経営農家を育成していくというふうに農林省としては考えているわけじゃございません。まあ名前はいろいろつけられるかと思いますが、広域営農集団というものを考えた場合に、その中にありまして自立経営農家、集団的生産組織がその広域営農集団の中で育てるということに普通の場合なってくるわけであります。たとえば米の問題についても、あるいは畜産の問題についても相当広範囲での主産地形成ということを考えた上で、その場合にそれをになっていくのはだれかといった場合に、先ほどから御議論のあります自立経営農家あるいは協業化ということが入ってくるわけでありまして、孤立無縁の自立経営農家の育成ということだけをわれわれ考えているわけじゃないというふうにお考え願います。
#38
○北村暢君 いまの遠田さんの質問の中で自立経営農家というものは孤立的に考えるのじゃないのだと言うのだが、自立経営農家というのは都市勤労世帯との所得の均衡をとれる農家を自立経営農家ということになっております。したがって所得が問題なわけですね。ところが、先ほど来言われているように生産者米価の引き上げが農業所得に非常に大きな影響があって、そのために自立経営農家の所得格差というものが、自立経営農家ばかりでなく、農業所得と他産業との格差がそう開かないで実はぎたわけです。ところが、価格政策にささえられてそういうことできたのだが、今後四十五年度も米価据え置きの方針であり、したがって四十四年度の米価を据え置いたことによって自立経営農家が大幅に減ってしまった、もうこれは事実なんですね。四十五年度も据え置かれる。他産業はいまは賃上げで相当これは所得が上がっておるわけだが、そういうことで農家所得は上がらないわけですね。しかも今後、農産物の国際価格との関係で輸入の自由化ということが言われておるわけです。どんどん進んでいくでしょう。そうすれば、国際価格との関係からいっても、国内の農産物価格の値上がりをするということは非常にむずかしい、大きく農産物価格の値上がりをするということの期待はできない状況にあるわけですね。
 そういう点から考えると、現在の経営規模ではとても自立経営農家できないですから、今度の総合農政でも五十二年を目標に四ヘクタールから五ヘクタールというのが水田単作地帯の経営規模で、それでなおかつ、自立経営農家として都市勤労者との所得の均衡がとれるかどうかということについてはまだ問題があるわけです。しかも先ほど農地局長が言われておるように、率直でいいと思うんだが、四ないし五ヘクタールの経営規模に持っていくためには、きわめて、これは従来の経験からしても、農地法を改正して農地の流動化をやっても、なおかつ、現実的には経営規模が拡大していくということは非常に困難だ。ですから、いま政府が総合農政の中で考えておる自立経営農家を中核としての農業というものを今後考えていくというんだが、一体、自立経営農家というものが政府のいうように育っていくのかどうなのかということ、これが問題である。
 いま達田君の質問しておるのは、その自立経営農家というものではとても政府のいま考えておるようなものでも成り立たないのではないかということを聞いておると思うんですよ。ですから、今後の自立経営農家というもののあり方というものは、その年々において所得なり経営規模なりというものをどういうふうに持っていくのか。育成するというが、どういう計画を持ってやっていくかという点について、政府はいま経営の類型というものをつくるということを言っております。したがって、これからの五十二年を目標とした総合農政の中における自立経営農家の将来というものが、これが水田単作だけでなしに、酪農を含めてこれは兼業農家の集団の形、いろいろな類型というものが考えられると思うのですが、そういうものについて具体的にやはり検討をされておるのかどうなのか。自立経営農家の簡単に育成というけれども、それでもなおかつ、私は、自立経営農家を中核としてやっていくということ、そのことがほんとうにできるのかできないのか。また、自立経営農家というものがそういう所得の均衡をとっていく見通しというものが、これからの農産物の価格の問題、経営規模の問題を考えた場合に非常に困難じゃないかと思うのですね。
 ですから、これは政策問題を考える人の中で、もう自立経営農家なんといったってとてもだめなんだという考え方も一部にはある。したがって、これをいまの形でありながら何とかして所得を上げていくという方法を考えなければいけないという考え方も出ておるわけでしょう。一つには、政府の考えておる自立経営農家を中核とする農業のあり方の問題と、もうそういうものではいけないのだという考え方で、企画庁で出している装置化それからシステム化という構想が出てきている。あれは、もう自立経営農家だなんというものを飛び越えた政策論議なんです。そういうことすらすでに今日出てきているのですから、そういうことを踏まえて達田君の質問はなされていると思うのです。ですからそういう点をもう少しはっきりした答弁をしていただきたい。
 これはもう大きな政策論議なんですから、政府部内において農林省の考え方と企画庁の考え方とでもうそういうふうに違ってきているのですから、一体あなたがたは今後の日本の農業のこのきびしい情勢をどうやって切り抜けようとするのか。これは政務次官か大臣に答弁してもらわなければならぬ問題なんですが、ひとつどういう方向に持っていこうとするのか、これをお伺いしておきたい。
#39
○政府委員(中野和仁君) 価格のみに依存をして所得を上げていくことが困難である、今後困難になるということは御指摘のとおりだと思います。そこでやはり基本的には、生産規模あるいは経営の規模を大きくしなければなかなか他産業に太刀打ちできないということになってくるわけでございますが、その場合にそれを具体的にどうするかというお尋ねでございますが、すでに農林省といたしましても、この委員会でたしか大臣からもお答えがあったと思いますが、本年度から地域分担営農類型の具体的な検討に入るということになっております。それを順次進めまして、もっと明確にしなければわれわれもいけないというふうに感じております。
 それから、いまお話ありました企画庁のシステム化、装置化の問題と自立経営農家との関連でございますが、先ほども遠田先生の御質問にお答えしましたように、そういういわば広範囲な広域営農集団をつくります場合に、それじゃその集団をになっていくのはだれかということで、私、それを自立経営農家なり集団的生産組織がその中心になっていくのだということを申し上げたわけでございまして、経済企画庁の言っておられることと私が先ほどから申し上げておることがそう矛盾をしておるというふうには思っていないわけでございますが、ただ今後の問題として、農林省としてもこれから考えていかなければなりませんのは、やはりそういう一つのまとまった地域を生産から流通まで含めましてどう持っていくかということを頭に入れた上での、その中での個別の農業ということを考えなければならないということは、企画庁その他の方々の言われるとおりだというふうに思います。まあ農地局長としての答弁でなかなか全部意を尽くせないわけでございますが、農地局といたしましても、そういう観点からすでにことしの予算におきましても、農村整備をいたしますためのパイロット調査を全国十地域でやるということもやっておりますし、また広域営農集団をつくります場合の基幹をなします大規模な農道整備ということもすでに事業化をしておるようなこともございますので、そういう広範囲な地域における生産から集束化、流通の段階まで含めましてのシステム化ということもこれから検討し、かつそれを具体的に事業化をしていかなければならないことだというふうにわれわれ考えておるわけでございます。
#40
○達田龍彦君 いま北村先生からも御指摘があったように、これは私は将来の農業のあり方との中では重要なポイントだと思うのですよ。まあ大臣がおいでいただければ、さらにこの問題については基本的な問題として論議を深め、農林省の考え方をただしたいのでありますけれども、いまいらっしゃいませんので質問をどうしようかと実は迷っておるのでありますけれども、さらに質問を続けてみたいと思います。
 そこで、先ほど北村先生から御質問があったように、私は将来の日本経済の発展あるいは農産物の国際価格、自由化の問題等から考えたときに、さらにさらに自立経営農家の規模と所得の拡大をはからなければならないことは必然であると思いますね。そうなってまいりますと、いまの自立経営農家は二、三年先ないしは三、四年先には所得の問題から考えても経営規模の問題から考えても、現在の兼業農家と同じような姿に私はなるのではないかと思うのです。自立経営農家を育ててみたけれども、経済のテンポあるいは国際競争力との関係から、自立経営農家として生き続けることができないような姿が出てくるのではないか。特に農基法農政を十年、今日まで続けてまいって、頭の中ではそういう方針をとりながら、現実の農業の実態というものは非常におくれた状態になっておる。その結果さまざまの農業の矛盾が出てきておる。農業の混乱がその中から私はあると思います。その端的なものが今回の米の生産過剰であり、その結果農家経営が大きな危機と不安の中に追い込まれておる。これがかりに農基法農政の志向する方向で農政が現実に行なわれておるとするならば、こういう混乱と不安が私はなかったのではないかと実は思うのであります。しかし、そうでないところに今日のこういう問題があるように、この自立経営農家は必ず私は第二の兼業農家に転落することが見えておると思うのです。でありますから、一体この地域の営農集団ですね、組織、これと今日の自立経営農家というものは、私はある意味では矛盾をはらんでおると思うのです。その点どうお考えになっておりますか。
#41
○政府委員(中野和仁君) 先ほど申し上げましたように、この地域の営農集団と申し上げますのは、やはり「総合農政の推進について」ということの中でも申し上げておりますように、広域な主産地において自立経営や集団的な生産組織、その他すべての農家を含めて、生産から加工、流通の段階まで機能的に統合していこうということでございます。で、大きな地域をまとめて、どういうふうにして全体のそこの農業をもっていくかという問題と、そういう中でその農業をもっていくにない手がだれかという関係にあるというふうにわれわれ考えておるわけでございまして、広域営農集団の中はすべて小さな農家のまま、そのままおってよろしいということでは決してないというふうにわれわれ考えております。
#42
○達田龍彦君 これはことばの私はすりかえだと思うのですよ。生産から消費までということからそういうことを考えておると、こうおっしゃるけれども、現実の農業の姿を見てごらんなさい。たとえば米の場合、先ほど私が指摘したようにカントリーエレベーターの問題だって、もうすでに広域的な地域的な営農集団にしていかなければならないような要素をつくっているじゃありませんか。ライスセンターも同じです。あるいはミカンの選果場の問題だって、ミカンのための道路だってそうじゃありませんか。将来の農業機械だって、一ヘクタールや二ヘクタールでもって農業機械を使うような、これこそ私は過剰投資ですよ。三十も四十ものヘクタールの農地をやるような機械になっているじゃありませんか。そうなってまいりますと、自立経営農家では生産コストを下げることはできないでしょう、これは。そういう方向に位置づけていかないと、あなたたちが初めから志向しておるところの農基法農政によるところの農業の産業化というものはできないじゃありませんか。いわゆる商工業でいうならば、中小企業より小さな零細な商店を幾らつくってみても、産業化ということができるのかどうかということになると、これは私はできないと思うのです。国際競争力に勝つんだということでは自立経営農家をそのにない手にしようとしてもできない。そうじゃありませんか。目に見えております。
 そういう意味で私は、自立経営農家じゃなくて、そういういわゆる広域的な集団的な生産コストを含めながら、農業の生産を上げていくというものに発展せざるを得ない要素を持っておるということを、ここで否定することはできないじゃないですか。そのことを明確に出さなければ、いまの自立経営農家の育成というものは、二、三年後には第二の兼業農家になることは、必然性を持っている。どうですか、その点。
#43
○政府委員(中野和仁君) 先ほども申し上げましたように、自立経営農家そのものが孤立面ではないということを申したわけでございます。たとえばいま例を引かれましたカントリーエレベーターにつきましても、これは一つの地域あるいは五百ヘクタールとか一千ヘクタール、もっと大きなものをつくりますれば、もっと大きな範囲を対象にしなければなりません。ところが、それじゃそれをそこに運び込むものをだれがつくるかということになりますと、やはり個別農家あるいは集団的な生産組織あるいは協業化されたものということになろうかと思います。その場合に、それでは大型のトラクターが入り、あるいはコンバインが入ってまいりますと、自立経営農家といいましても、その機械を、個別にそんな大きな機械を持つわけにはまいりません。たとえば八郎潟もすでにやっておりますように、自立経営をやっていく農家が六戸集まりまして、一つのコンバインを入れる、トラクターを入れることになるわけで、機械の協業化をやるということが必要になってこようかと思います。そういう意味では非常に広い意味での協業化ということは当然進めなければならないわけでございますけれども、この広域営農集団そのものを一つの経営単位として考えていくというところまではなかなかすぐにはいかないのではないかというふうに考えるわけでございます。と申しますのは、この営農集団――まだ具体化をしておりませんので、いろいろなイメージが描けるわけでございますけれども、やはり、少なくとも三千ヘクタールあるいは五千ヘクタールという地域を対象にしまして、その地域全体としての主産地形成をやっていこうという問題でございますので、そういうものの考え方の中でそれをになっていくものとしてやはり個別経営なり協業化ということをあわせ考えていく必要があろうということを申し上げておるわけでございます。
#44
○達田龍彦君 私はここは非常に大きなポイントだと思うのですよ。将来の農業のにない手が自立経営農家だということですね。この自立経営農家ということは、私どもが農地法の改正で一つの懸念を持つのは、そういう大きな農家を育てていく、地主を育てていくということに通ずるような一つの危険性があるのです。私は農業協同組合を育てていくという理念に、ときに農業協同組合が将来の農業のにない手であるという観点で今日農業を進めていくならば、私は地域的な集団的な共同化、協業化ということを進めていくことが、将来の農業の発展のためにより貢献していくと考えている。ところが、いまの農地局長の説明によると、自立経営農家を将来の農業のにない手として位置づけ、そして、それに周囲の兼業農家やいろいろなものをくっつけていく、その中心になるのが自立経営農家であるという考え方は、地主制度の復活にある意味では通ずるような考え方になる。それでは私は、どうしても日本の農業というものは逆戻りだと思うのです。むしろ、今日、協同組合というものを育てていくという観点で協同組合に農業の発展を大きく機能として持たせるという考え方に立つ限り、将来の農業というのは集団的、地域的な共同化や協業化というものを農業協同組合の共同化を通じてものを進めていくという視点に立たなければいけないのじゃないか、そうしていかなければ、農業基本法が志向しているところの産業としての農業というものは成り立たないのではないか、こういう観点で私は考えている。だから今回の農地法の改正についてもそういう問題について非常な懸念を私は持つのです。私は将来の農業の生産の拡大、規模拡大というものは協業化、共同化をやらなければならない必然性を内外ともに持っておると思いますが、その点どうお考えになりますか。
#45
○政府委員(中野和仁君) 先ほどから申し上げておりますように、私たちは協業化ということを否定をしているわけじゃございませんし、自立経営農家の育成とあわせてそれは進めなければならないということを申し上げているわけでございますが、いまちょっとあるいは私の聞き違いかもわかりませんが、農協が共同化の中心になっていくといった場合に、農協そのものが農業生産をやるということになりますと、逆にそこへ土地を貸したりあるいは預けたりするのは全部これ地主になるわけでございます。やはり農協の役割りといいますのは、そういう個別経営あるいは個別経営のほかいわゆる零細な農家まで集まりましたそういう生産単位というものを、どういうふうに地域全体として指導をしていくか、それからそれの生産物を有利に販売してやるかというところに中心があるんではないかというふうに考えるわけでございまして、いま御指摘のような共同化、協業化は、場所によりましては、農事組合法人――農協法によります農事組合法人でやっていく、あるいは有限会社をつくりましてやっていく、そういう意味での生産規模の拡大ということは当然必要だというふうに思うわけでございます。
#46
○達田龍彦君 委員長にちょっとお願いがあります。それはいま論議をされた内容については、できれば大臣の――いま農地局長の答弁がありましたけれども、いままでの論議の内容を農地局長のほうから御説明いただいて、今度出席されたときに、大臣からまとめて農林省の考え方として御説明、御案内を出していただきたいと、こう要望をいたしておきます。
 どうしましょう。一応農地法の改正の問題については、いまから入るわけでありますが、時間が一時間ほどしかございませんから、午前中はこれで終わっていただいて、午後に回してもらってよろしゅうございますか。
#47
○委員長(園田清充君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十一分開会
#48
○委員長(園田清充君) ただいまから農林水産委員会を再会いたします。
 休憩前に引き続き、農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
 遠田君の質問に対して、倉石農林大臣よりひとつ御答弁を願いたいと思います。
#49
○国務大臣(倉石忠雄君) 私が他の委員会に出ております間に、私がお答えすべき御質疑があった模様でございまして、今後の農業経営の方針として、自立経営農家の育成と集団的生産組織の助長、いずれに重点を置くかというお尋ねが一つございました。しばしばこの御議論がいままでも出ておりましたが、わが国農業の中核的にない手として、私どもは自立経営農家を着実に育成してまいるということが総合農政におきましても一つの目標であると申し上げておるわけであります。また、広範に存在いたします兼業農家の実在いたしますこともいなむことのできない現実の事実でございます。これらの兼業農家を含めまして、自立経営農家を中核といたしまして各種の集団的生産組織を育成いたしてまいると、こういうこともやはり農業、農村を考えてみましたときに必要なことだと私どもは考えておるわけであります。将来の展望といたしましては、作物に応じて相当広範な地域において、いわゆる広域営農集団を形成してまいりたいと、このように申しておるわけでございますが、いずれにいたしましても、自立経営農家が中核となって近代的農業の育成に必要な施策を強力に進めてまいりたいと、こういうふうに思っておりますので、どちらに重点を置くということでもありませんで、いまの変化してまいります情勢に対処して、このような態度で臨んでいくのがいいんではないか、このように考えておる次第でございます。
 それからもう一つ、自立経営農家、集団的協業組織の育成の具体的な計画を示せというお話がございましたようでございますが、自立経営農家の育成につきましては、ただいまも申し上げますように、私どもは諸般の法的措置等を講じまして規模拡大をしてまいりたいと、そういう立場から自立経営農家の育成にとりましては、その経営指針を与える必要がございますので、総合農政の推進におきましても申しておりますように、自立経営農家の経営類型の策定、農業生産の地域分担などを今年度明らかにするように努力をいたしておる最中でございます。将来自立経営なり集団的協業組織をどの程度育成するかにつきましては、それらによります農業生産のシェアがかなりの部分を占めるように進めてまいりたいと、こう思っております。したがって、現段階におきましては、どのようにする計画であるかという、計数的にこれを明示することは現段階では困難である、このように考えております。
 それからもう一つのお尋ねで、広域営農集団の育成以外に農業の産業的確立はないと思うが、自立経営の育成方針はこれと矛盾するのではないかという意味のお尋ねがございましたそうでありますが、農業が産業としての確立をはかりますためには、ただいまも申し上げましたように、規模が大きく生産性の高い農業経営ないしは農作業単位をできるだけ広範に育成することが基本的に重要であるというのが私どもの見ておるところでございます。このために自立経営農家を農業の中核的にない手として着実に発展させまして、これが農業生産のかなりの部分を占めるようにいたしたい、その育成をはかってまいることが重要である、こう申しておるわけであります。また一方におきまして、したがって農業機械化、それから施設の大型化、高度化と農産物流通の大量規格化等に伴いまして、かなり広域の主産地におきまして、自立経営農家や集団的生産組織その他地域のすべての農業者を含めて生産段階から加工、販売段階まで機能的に総合化した組織が必要となることが考えられます。このような広域営農集団は技術の進歩、農産物の大量取引の傾向から必然的な方向とも考えられますけれども、自立経営農家この広域営農集団のおもな構成分子となるものでありまして、自立経営農家を育成してまいること、それ自体が必ずしも広域営農集団を否定いたしたり、阻害するものではないと、このように私どもは考えております。
 それから自立経営農家の育成は現在の兼業農家の存在とどのように関連するのかというお尋ねもございましたようでありますが、現在ございます五百三十万余の農家をすべて自立経営農家にいたしますことは困難であることは申すまでもございません。先ほど私が申し上げましたような事柄で、なかなかこれはむずかしいことはよく認識しておりますが、農業の置かれております条件からいたしまして、今後とも兼業農家がかなり広範に存在すること、これもやはり私どもは予測いたしておかなければならないことでございます。このような兼業農家につきましては、その生産性を高めてまいりますために、自立経営農家を中核といたしました各種の集団的生産組織に包摂してまいることが必要ではないか、このように理解いたしております。で、これと同時に、兼業所得も安定いたしますように、それからまた諸般の状況を勘案されまして離農されたいと希望されるような方には、離農条件の整備等に伴いまして、兼業農家が保有する農地が漸次農業で自立しようとする農家へ集約されるものと私どもは考えておるわけであります。このような観点から、今回農地法の改正法案におきましても必要な措置を講じてまいりたい、こういう考えで、こう大体一貫してると思うのでありますが、以上お答えいたします。
#50
○達田龍彦君 いま大臣のほうからきわめて詳細に午前中私が議論をしてまいりましたことに対して要約してお話がございました。基本的な考え方において私の考え方といま大臣がお述べになった考え方とは大きな違いがございます。さらに私は、いまお述べになった内容の中にも幾つかの問題点を指摘することができますけれども、ここで問題点を指摘してみても意見の一致を見るような問題でもないように判断をいたします。ただ、いまの基本的な大臣の考え方が、いま提案をされておりますところの農地法の改正の問題に重要に響影をいたすのであります。したがって私は、農地法の改正のその背景になってるものについて、午前中いろいろな形で御論議をいただいたわけでありますけれども、まあその問題はいま申し上げたように大臣の考え方が明確になりましたので、その考え方を前提にしながら、以下、今回の法改正の問題について若干質問を続けたいと思うのであります。
 そこで、農地法の改正について今回提案をされておりますけれども、提案されたいろいろ理由はございますけれども、この際あらためてお伺いをいたしておきたいことは、この法改正が提案をされておる背景は一体何かということが一つ、それから改正のポイントは一体どこにあるのか、これをまず農地局長から御説明をいただきたいのであります。
#51
○政府委員(中野和仁君) 午前中からもいろいろ話がございましたように、今回農地法改正をいたしました背景といたしましては、今後の農業生産を進めていく上におきまして経営規模の拡大が必要であるということでございます。その場合にはやはりその前提といいましょうか、条件整備といいましょうか、農地の流動化が必要であるということでございます。そういうことを背景にいたしておるわけでございますが、したがいまして、ねらいといたしましてはいまも申し上げましたように、零細な経営のまま固定化することではなくて、農業をやりたい農家は伸ばしていくという考え方、それから、と同時に、兼業にウエートを置いていく農家については、農地をそういう自立経営的な農家の方向に流動しやすいようにしていこうということで、土地を効率的に使う方法というものを今回の法改正の重要な柱として入れてきたわけでございます。
#52
○達田龍彦君 いまの説明に出ておりますように、農地法の改正はまあ規模拡大や農地の流動化、さらにそれによるところの土地の効率的な利用、こういうことをねらいとして提案をされておる、こういう御説明でございます。
 そこで私がお尋ねをしておきたいのは、この農林省の提案でもはっきりしておりますように、とらえ方は、いま農基法農政を進めて規模拡大がなかなかできない、その最大の原因は、いわゆる農地法があるために農地の流動化ができない、さらにはそのためにいま申し上げたような規模拡大ができない、こういう考え方に立っておりますけれども、農地法の改正をすれば規模の拡大が可能になり、流動化が可能になるという、私は単純な考え方で問題が処理できるものだとは考えておりません。むしろ私は、今日の農地の流動ができない要因やあるいは規模拡大を阻害する要因というものは、農地法以外の要因にその大きな原因があると実は考えております。現に今日の状況を見てまいりますと、流動化の傾向というものが非常に硬直的である部面と、それからそうではない部面が地域によっては出てまいっておる。そういう状況から判断してまいりますと、農地法があるために流動化ができなくて、規模拡大ができないという考え方は必ずしも当たらないのではないかというふうに私は考えます。そういう意味で、農地法の改正即規模拡大、流動化というものにつながるとするならば、私はその考え方と具体的な内容をまず御説明いただきたいと思うのです。
#53
○政府委員(中野和仁君) 先ほどお尋ねになりましたように、現行の農地法だけが経営規模の拡大を阻害しているということは私どもも考えておりません。午前中も大臣からお話がございました、たとえば地価の問題を取り上げましても、あるいは労働力の流出の問題、兼業化の進展ということを考えましても、農地法だけではないと私たちも考えております。ただ、現行法自体にもやはり硬直的な面がございまして、特に賃貸借の面におきますと、非常に厳重な賃貸借の規制をやっております関係でやみ小作等が出てきたということもございますので、農地法の面からそういう点を直したいということを考えておるわけでございます。必ずしも農地法だけが改正になれば急速に流動化が進むというほど簡単な問題ではないということは十分認識をいたしております。
 そこで、農地法の中でいま私が申し上げました現行制度がいろいろ規模拡大を阻害している面がございますが、それを順次申し上げますと、一つには、御承知のように現在の農地は、移動につきましては権利移動の制限をしておりまして、知事あるいは農業委員会の許可制になっておるわけでございますが、この中をごらんいただきましても、やはり上限面積の問題あるいは下限面積の問題ということが非常に窮屈にできておるような問題があります。
 それから、かつて農地改革によりまして創設をいたしましたいわゆる創設農地、これは売りましても、許可を受ければ売ることはできるわけでございますが、永久に貸せないということになりますと、やはり二百万ヘクタールぐらい創設農地がございますので、かなり流動化を阻害している面がある。
 それから一方、最近の都市化の進展あるいは地価問題等も関連いたしまして、都市周辺の農家が遠くのほうの農地を買って荒らしづくりをしておくとか、あるいは請け負い耕作をしているというような状況も出ております。それを何とかしなければならないだろうということが考えられるわけであります。
 それからまた農業生産法人の問題につきましても、現行の農業生産法人は昭和三十七年の改正によりまして初めて法人に用地の取得を認めたわけでありますけれども、これ等を考えてみましても、その後の技術の進歩等から見まして、いわば全員が農作業に従事するということがなかなかむずかしくなってきたという点から生産法人の要件を改正する必要があろうというふうに思われるわけでございます。
 それからまたがって農地管理事業団法案を御審議願って、残念ながら二度廃案になったわけでございますが、やはり個人の相対売買あるいは相対の貸借だけではなかなか思う方向に農地が動かないという問題がございますので、そういう面での一つの考え方ということから、今回農地合理化促進事業というものも設ける必要があるのではないかということも考えたわけでございます。
 それからもう一つの問題は、小作地の所有制限の問題で、御承知のように現在では不在地主は一切認めないということになっておりますが、かつては自作農として農業生産に精進したわけでございますが、時勢の変化から兼業のほうにウエートを置いている農家が非常に多くなった。しかしなかなか土地は放したがらないということの事態が起きてまいりましたので、そういう離農者の離農を円滑に促進するための所有制限の緩和もこの段階では必要ではないかというふうに考えられるわけでございます。
 それからもう一つの大きな問題は、農地法の賃貸借関係の問題でございます。一つは、現在の賃貸借によりますと、一度地主が小作人に貸しますと、よほどのことがないと返してもらえないというほど賃貸借の規制が強いわけでございます。その強かった理由は、農地改革のときに残りました残存小作地の保護のために強かったわけでございますけれども、新しく賃貸借の面から流動化を進める場合には、あまりにも耕作権が強過ぎますと、かえってやみ小作等に流れまして正規の賃貸借にならないということになりますと、逆に借りたほうの耕作権は何ら保障されないというような事態になっておりますので、その緩和の必要があろうということでございます。
 そういう観点からもう一つの問題は、現在小作料を統制しておりますけれども、守られておりますのは残存小作地中心だけでございまして、新規の賃貸借についてはほとんど全くと言っていいほど守られていないという事態になっておりますので、これをもう少し秩序ある小作料の水準というものをつくっていく必要があろうというふうに考えておるわけでございます。
 その他いろいろと改正をしておりますけれども、われわれ考えておりますのは規模拡大あるいは農地の流動化のために以上のようなことをやる必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#54
○達田龍彦君 いま局長の御説明を私伺っておりまして、そのような程度では農地の流動化、規模拡大ができるとは実はあまり考えないのです。私は先ほどちょっと指摘をいたしましたように、今日の規模拡大をはかるためには農地法を改正することよりも、むしろ他の要因、たとえば総合的な地価対策の問題あるいは農外の雇用条件の改善の問題あるいは社会保障制度の拡充等そういう問題を完全に解決をして、そうして農業の近代化対策というものを総合的に打ち出していく、そういう形がとられて私は初めて流動化と規模拡大ができるのではないかと、こういう考え方に立っておるのであります。ところが、いま農地局長の御説明では、何としても農地法を変えることによって、いろいろの権利の緩和をはかることによって移動をはかり、土地の効率的な利用をはかると、こうおっしゃられておるのでありますけれども、では一体今回の農地法の改正によって土地の流動化あるいは土地の効率的な利用ということが具体的にどの程度の期待が持てるのか、その見通しをまずお聞かせをいただきたいのであります。
#55
○政府委員(中野和仁君) 農地法の改正だけではなかなか流動化が進みにくいという御指摘でございますし、私も先ほどの御答弁でそういうふうに申し上げたわけでございます。やはり御指摘のように、雇用条件の改善あるいは社会保障制度の充実等、その他農業政策といたしましても、農地法の改正以外にいろいろな手を打たなければならないというふうに考えるわけでございます。
 そこで、そういうもろもろの政策が進められる中で農地法を改正いたしますのは、やはり先ほども申し上げましたように、制度自体に流動化を阻害している面があるから、その辺を緩和をするなり、改善をするなりするほうがいいではないかというふうに考えて御提案申し上げているわけでございまして、したがいまして農地法の改正によって、それじゃすぐに売買で何%ぐらいふえて、貸借でどのくらいふえるかという具体的な数字はなかなかこれはつかみにくいというふうに思っておりますが、最近の傾向を見ましても、これはわれわれのほうの業務統計、それから統計調査部の農業調査といろいろあわせて考えてみますと、最近の傾向を見ましても、流動化の実態は他府県と北海道と若干様相は違いますが、両方合わせますと約十一万ヘクタールくらい毎年農地が動いております。その中で、大体内地の場合は七万五千ヘクタールでございますが、内地の場合は大体その半分が売買、そうして四分の一が賃貸借、この賃貸借のほうの大部分がやみでの賃貸借というかっこうになっております。今後ともおそらく売買による流動化というのが主流になるだろうと思います。しかしこれだけに固執をしましてもなかな流動化は進まない。現にやみ小作等を含めまして四分の一、全体の流動化しておる中の四分の一は賃貸借でございます。これが農地法の改正によりましてかなりふえてくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#56
○達田龍彦君 この農地法の改正によっていままでの実績は御説明のとおりですが、どれほど流動化が期待できるのか、具体的な見通しをお持ちだと思うのですが、いまの御説明は過去の実績の御説明でございます。したがって権利、所有権の移転という形でそれが流動化するのか、あるいは小作権の設定という形で流動化するのか、いろいろな形があると思うのですね。しかしそういうものを含めて、一体今回の農地法の改正によって具体的にどの程度流動化が促進できるのか。できれば数字をあげて御説明をいただきたい。とりわけその流動化の中から自立経営農家というものがどういうふうに形づくられていくのか、そういうものが想定されているとすれば、そういう点も具体的に御説明をいただきたいと思うわけでございます。
#57
○政府委員(中野和仁君) いまも申し上げましたように、将来の流動化の実態を計数的にお示しすることはなかなか困難だと思っております。ただ改正をいたしますれば、貸し付け額がふえるのではないか。したがいまして売ろうと思っておったのが一部貸し付けに回る場合もございましょうし、それから改正案にもございますように、兼業農家の土地取得が若干制限をされるという面がございます。それからまた農業生産法人の組織が実態に合うように組織されやすくなるというような問題がございます。したがいまして、今後はまた農家戸数の減少、それから就業人口の他産業への流動化というものも兼ねまして、かなり現在よりも流動化が進むというふうにわれわれ判断をいたしておりますけれども、いまここで売買がどれくらいふえる、あるいは貸借がどれくらいふえるという計数を申し上げることはなかなか困難だというふうに思っております。
 それから第二番目の御質問の自立経営農家の方向はどう動いているかというお尋ねでございますが、それを率直に示します現在までの傾向はございませんけれども、われわれのほうの業務統計によりますと、現在昭和四十三年におきましても大体七十アールを境にしまして、やはり若干七十アール以上の農家は売るよりも買うほうが多いという実態になっております。特に下五ヘクタール以上の農家はそういう状況が顕著でございますので、今後はこういう傾向が徐々に顕著に出てくるのではないかというふうに考えておりますけれども、自立経営農家そのものがどういうふうになっているかということは、農地の売買あるいは貸借を通じての動きでございますのでなかなか把握しにくいというふうに思っております。
#58
○達田龍彦君 そういう一つの将来に対する見通し、判断というものがあいまいなままに観念的に農地法を改正しさえすれば流動化が進む、そういう非常に危険な不安な農地政策というものは今回とるべきではないのではないかという気が私いたします。農林省は、農地法を改正するならば、こういうふうに土地が移動します、それは自立経営農家にはどういう形でその制度が確立をされます、という確固とした見通しを持っていなければならぬ。ところがそういう見通しをほとんど持ち得ないままに農地法の改正を提案をされる。そのことからも私は農地法の改正即期待するような流動化と、それから土地の効率的な利用ということがはかり得ないのではないかという気持ちを抱くのであります。
 そこで、先ほどのこの御説明の中で、私の聞き違いであったかどうかわかりませんが、今回の農地法の改正によって土地の売買が主流になるのではないかという説明があったように思いますけれども、所有権の移転という形だろうと思うのですけれども、私は所有権の移転よりもむしろ今回の農地法の改正によって小作権の設定という形で流動化が進められるのではないかという判断をしたわけでありますが、その点どういうふうにお考えになっておるか、お伺いをいたしておきたいと思います。
#59
○政府委員(中野和仁君) 先ほど御説明いたしましたのは、今後の売買が中心になるということを申し上げたのではないのでございまして、現在でも農地の流動化の中身を分析してみますと、内地におきましては売買が半分くらいを占めており、あと残りの半分のうちのまた半分が賃貸借であるということを申し上げたわけでございます。その状況はおそらくあまり変わらないのではないかというふうに思いますが、どちらかといいますと、いま御指摘のように、なかなか地価問題等もありまして、農業サイドから見れば必ずしも好ましい状況ではございませんけれども、農家が売りたがらない、しかし貸すなら貸してもいいということが出てまいりますので、どちらかといいますと、先ほども申し上げましたように、売買よりも貸し借りでの流動化がふえてくるのではないかというふうにわれわれは判断しておるわけでございます。
#60
○達田龍彦君 それからこの兼業農家が非常に多い。それで農基法農政を進めてまいった結果自立経営農家よりも兼業化という方向が進められてまいった。この兼業化ということの大きな原因は、土地を財産と見る、農地を財産と見るという傾向がその根底にあると私は見ておるのです。そこで兼業農家の増大、土地の流動化ということができないというようになっておると思う。
 そういうことを考えてまいりますと、改正後の土地の流動化というものが兼業農家に期待することは、私はそう大きく期待できないのではないか。現状の農業の労働力の老齢化の状況を見てまいりましても、ほとんど中高年齢層以上、むしろ老齢化した労働力でもって農業をかろうじて維持しておるという状態であります。これが新しく後継者が農業を次ぐと言う段階になってまいりますと、また新しい農業の考え方に立ちまして農業発展の方向でこれを結びつけていくのか、手放してあるいは他の産業の労働者として変わっていくのかという転機が私はあると思うのでありますけれども、現状では十年間そういう方向を通りながら依然として兼業が存在をするという、しかもそれが中心になっておる状態というのは、農地法を改正しても直ちにその状態というものは改善をされないと、私はこう思うのでありますが、農林省ではそれをどういうふうに判断をされておるのか説明をいただきたいと思います。
#61
○政府委員(中野和仁君) 御指摘のような事態だろうと私も基本的には思います。これは午前中にも申し上げましたけれども、農家が離農をいたしまして全く農業から離れてしまうという農家は年に七、八五尺それの農地面積は約二万五千ヘクタールぐらいあるわけですけれども、その相当部分はこれは転用で使われておりまして、農地としての移動は、最近では離農農家が手放す農地は一万六千ヘクタール程度でございます。したがいまして、それの残りは兼業農家としてはなかなか一度には土地は手放さない。徐々に経営は縮少をしていきましょう。なかなか手放さない。と同時に、やはり飯米がほしいというような面から農業は片手間ではやっておきたいという農家もかなり多いと思います。そういう事態はここ数年ではなかなか解消されないと思います。やはり昭和五十年もかなり進みまして零細な農家の後継者がもはや農業をやる気は全然ないという事態までまいりますとかなり流動化が進むということも一応推算はできるわけでございます。
 かつて農政審議会の内部検討資料としてもそういう計算をされたこともありました。その場合にはたしか農家戸数がいまとは全く――これは推算でございますので、正式にこうなるということではございませんけれども、現在四十五歳未満の経営主の農家、それから四十五歳以上であってもあと継ぎが農業をやっていない農家というようなものが、全部これは農業をやめたというような想定をいたしますと相当な土地の放出量になるわけでございまして、これは一つの推算でございますけれども、現在の五百数十万戸の農家が二百七十七万戸くらいしか残らず放出される土地の面積は二百万ヘクタールに達するという推算もできるわけでございます。やはり農地法を改正いたしましても、先ほどからも御指摘のありますような農業内外の事情というものが相当変わってまいりませんと、いま私が申し上げたような数字にはなかなかならない。それはすぐの問題ではない。やはり徐々にそういう方向に行くだろうというふうに考えられます。
#62
○達田龍彦君 そういうことだろうと私も思います。その意味では、午前中にも私は指摘をいたしておるのでありますけれども、農地法改正、改正といって、これさえ通せばというような位置づけで総合農政を位置づけられたり、あるいは基本法農政というものの中における農地法の阻害要因を評価するということは、私はいろいろの意味で問題があると思っておるのであります。
 そこで先ほどから私は、農地法を改正して流動化をはかったり、土地の効率化をはかるということよりも、むしろ必然的な方向としては、午前中にも私の指摘をいたしました農業の効率化を、あるいは近代化をはかるためには機械ということが必然性を帯びてくるわけですね。また、土地の財産的価値というものは、これは土地制度を根本的に改めない限り、財産的価値というものは今後なくならないと思うのです。なおかつさらに私は、財産的な価値という考え方を持っていくのではないかと思うのであります。また、いま農地法を改正しまして、そして自立経営農家をつくっていくということは、結果として兼業農家やあるいは自立経営でいけないような農家を農業から締め出すという結果になるのじゃないか。そういうことになりますと、私は今日の農村対策としても、農業の分野だけじゃなくて、行政、政治の分野からも農村対策の問題として考えなければならぬと思うのです。そうなってまいりますと、やはり今後の農業の発展の方向というものは、中核的自立経営農家をつくることによってそのための農地法の改正をはかることよりも、先ほど言った機械化の問題あるいは農地の財産保有の価値判断の問題あるいは農村としての行政機能の問題等から考えたときに、むしろ後継者の問題も含めて、農村に後継者を魅力ある農業として位置づけていくために、後継者をそこに定着させる方法としても、また、近代化の必然性としても、むしろ私は共同経営化の方向が望ましいのではないか、そういう方向をとっていくことこそ、先ほど大臣が御説明があった将来の広域農業集団的経営というものにもすべて順当に進めていけるのではないか、こう思うのです。
 そこで、ここが論点の分かれるところだと思うのですが、いま政府が提案しているところの自立経営農家を育成していくという姿は、私どもがしばしば指摘するように、一部の、戦前とは違った戦後の変わった地主制度を復活させる結果になるのではないかというようなおそれが非常に強いのです。私はそういう意味でむしろ共同化ということを進めるべきではないか、農地法の改正にあまり期待することはないのじゃないか、こう思うのでありますけれども、その点に対してお考えを伺っておきたいと思うのであります。
#63
○政府委員(中野和仁君) 共同化の方向でございますが、これをわれわれ否定をしておりません。ただ問題は、たとえば五十アールぐらい持っている農家が十軒集まりまして五ヘクタールの経営をやるといった場合に、十軒とも全部そこで働くということはもはや必要なくなってくる。また、機械化が進んでまいりますので、そんな必要はないわけでございます。おそらく二、三人おればそれぐらいのことはできる、そうなります。そういたしますと、あとの残った農家は兼業に従事をするか、あるいは他の農業部門で経営をやるというかっこうになってくると思います。そうしますと、その協業化といいましても、そうした場合にそこに集められる土地はやはり貸借になるかあるいは出資の形になりますか、いろいろ形が出てくるかと思いますが、もし貸借になれば、あるいは貸して、そしてもう協業としての経営の中では働かないという農家が出てまいりますれば、あるいはそれは地主になるかもわかりませんが、その点はそういうものをもってあるいは地主制度といえば地主なのかもしれません。それからまた個別農家でも兼業農家がもはや農業から足を洗いまして、農業として食っていこうとする農家に土地を貸した場合、それはまさは地主になるかと思います。で、あるいは先生も御指摘のように、これをもって戦前と同じような地主制度ではないというふうに先生もおっしゃったと思いますが、われわれもその点はそうだと思います。
 本来ならば、あるいは農業をやる農家に全部売って、全くの自作農にすればよろしいかと思うのでありますが、先ほども御指摘がありましたように、現段階では農家は農地を生産手段であると同時に、これは財産と観念しておりますので、なかなか売らないという問題があるわけでございます。したがって、当面はやはり売買と同時に貸借でという流動化も必要ではないかと思います。そうしますると、貸したほうは、繰り返すようですけれども、これは地主になるということは否定できないと思います。
#64
○達田龍彦君 これは幾ら論議をしてみても平行線でございますが、私は農地法の改正を、将来の日本農業のあり方の問題から考えたときに、これが大きなポイントだと思うのです。そういう意味でこの問題は十分ただしておくべきだと考えておりますが、時間も非常に過ぎてまいりましたので、あと二、三点基本的な問題をお尋ねをして、たくさんこまかな問題がございますけれども、相当な時間をかけなければ論議することができませんので、時間の問題もあるので、要約して二、三点伺いたいと思います。
 そこで、もう一つ私が今回の農地法の改正で心配をいたしますのは、農地の効率的な利用、こういうことが言われております。この農地の効率的な利用ということは、小作統制の緩和をはじめいろいろ自作農主義というものをくずす、あるいは弱めていくという要素を持っております。農林省の説明でも、自作農主義は基本として踏まえていくという説明をしながら、小作の統制をはじめ自作農主義を弱めていく対策を今回提案をされている。これは私は理論的には非常に非論理的な論理であろうと実は思うのです。そういう意味で自作農主義という一貫して守ってきたこの大原則をくずしてまで、弱めてまで農地法を改正し、そして農地の流動化をしなければならないほどいまの説明でも、多くの流動化と効率的な運用があまり期待できないような結果に私はなると思います。そういう意味で、大きな自作農主義という大原則を犠牲にして、その犠牲の上に出てくる成果は非常に少ない、私はこう判断します。そういう立場から、こういう点に対して私ども非常に警戒を持っているのでありますけれども、農林省としてそういう点にどういう考え方をお持ちであるのか、お尋ねしておきたいと思います。
#65
○政府委員(中野和仁君) われわれといたしましても、今回の農地法の改正によりまして、自作農主義を全く否定するという考えは毛頭持っておりません。しかしながら、現在までの現行農地法の運用をごらんいただきましても、すでにかなり広範にヤミ小作等が発生してきておるという事態、あるいは農協による事実上の請負耕作と申しますか、そういう面も順次農業の進歩の一つの方向としてそういうことが出てきております。これらはいずれもやはり、規模の拡大といいましょうか、そういう面をねらっての動きであろうかと思います。したがいまして、現在の自作農主義の上に加えましてやはり土地を効率的に使う方向で農地につきましての権利関係の調整をする必要があるんではないかと、従来のままでありますと、零細な経営のままそのまま維持しよう、これでは、午前中からも御議論がありましたように、なかなか価格問題からは所得の補償はできないという問題一つとらまえてみましても、なかなか今後そういう経営を維持していくことは困難である、やはり規模の拡大が必要ではないかというふうに思われますので、自作農主義の上に加えまして、今回こういう土地を効率的に利用させる方向でいろいろの権利関係を調整するということを新しく加えたわけです。
#66
○達田龍彦君 そういう説明は何回もお聞きをいたしておりますけれども、私はこの考え方は食管制度の問題とある意味では共通していると思うのです。食管制度というものの根幹を守る、こういう形から過剰米の処理のしかたとして自主流通米という方法をとられた。おそらく私はいま農林省やあるいは財界の方々が頭の中に描いておることは、食管制度をなしくずし的になくしていく構想であろうと私は実は見ておるのであります。それと全く本質を同じにするような農地法の改正というものも、土地の効率的な利用という形で自作農主義というものが緩和され、徐々に崩壊していく方向というものが描かれておるのではないか、こういう気がして実はならないのであります。でありますから、いま説明がされるような、全く自作農主義を堅持しながら自作農主義を緩和し崩壊するようなことを内容的には提案しなきゃならぬという結果になっておると思うのであります。そういう意味で私はいまの説明では納得いきかねるのでありますけれども、いずれにしてもそういう基本的な問題がございますから、これらの問題については私どもとしてはさらに問題のあり方を解明しなければならぬと、こう思っておるのであります。
 それからこの農地法の改正でもう一つ私どもがかねてから主張していることは、自立経営農家の育成を考えておると、そのことは結果として、これは農基法農政の出発点からそうでありますけれども、農家の戸数や農業人口をどんどん減少させていくという結果になるわけです。で、先ほどの説明と私が指摘しておりますように、農地法の改正が農業の近代化や規模拡大ということにあまり結びつかないで、零細農、貧農の農業からの締め出しに大きく作用してくるのではないか、農林省の期待しているのはそういうものを強く期待しているのではないかという気がしてなりません。私は自立経営農家を育てていくということは、農業者を農業から締め出して省力化し、機械化することによって省力化し、そして生産を上げ所得を上げるという道だと思うのであります。でありますから、その意味においては農業からの締め出しになることは当然だと思います。それを農地法によってさらに拍車をかけていく、こういうことが真のねらいではないか。農民の諸君もそのことをたいへん心配しておるのであります。その点どうお考えになっておりますか。
#67
○政府委員(中野和仁君) 今回の総合農政の推進におきましても、経営規模の拡大など、農業構造の改善に資する方向で農業従事者が実質的な隠退あるいは転職をはかってそして離農していくというのを援助促進をするということで農業者年金法案も御審議を願っておるわけでございますけれども、やはりわれわれといたしましては締め出すというようなものの考え方はできないと思います。いかなる小さい農家といえどもその農業をやり、かつ兼業の面でも収入を得ておるわけでございますから、これを締め出すことはすべきではないというふうに考えております。
 ただ、農業を片手間にするということになってまいりますと、やはり三ちゃん農業といわれますように、最初はおやじが工場に行き、次にはおふくろが片手間にやるけれどもそれももういやになってくるというようなことになりまして、兼業が安定してまいりますと順次やはり農業から隠退をしていくということになっていくわけであります。それを円滑にやることが必要であろうということで、現在いろいろな施策を進めて、労働省ともいろいろお話を進めておるわけでございますけれども、締め出すという考え方は持っておりません。したがいまして農地法におきましてもいま言われました貧農あるいは零細農を締め出すという観点から農地法を改正するという面はないというふうに思っております。
 ただ、あるいは御指摘になると思いますのは、下限面積の引き上げをやっておりますので、あるいはその点もよく御指摘になるわけでございますが、この点におきましても現在農業をやっている農家を、下限面積を三反歩から五反歩に引き上げたことによって追い出すというようなことまでをねらっての考え方ではございませんで、これは今後とも農業をやっていただくためには少なくとも五反歩程度は持ってやっていただくという考えから出ておるわけでございまして、繰り返すようでございますが、農地法の改正案におきまして零細な農家を締め出そう、積極的に締め出そうというようなことまでねらった改正ではないと考えております。
#68
○達田龍彦君 時間が相当経過いたしましたからたくさんございますけれども、あと一間で質問を終わりたいと思います。
 それは、先ほどの説明でも私は非常に不満でございますけれども、特に今後の日本の農業政策の中の一つの大きなポイントが今回の農地法の改正について、改正後における将来の日本農業のあるべき姿というものを私はひとつビジョンとしても持たなければならぬと思うのです。そういうものをどう農林省は描いておられるのか、それから、そのあるべき姿というものをお考えであるとするならば、これに到達するまでの方法あるいはそのテンポですね、そういうものをどういうふうに想定されておるのか、これは非常に重要だと思うのです。法律はつくるわ、計画は立てるわ、論文はいろいろ書くわといってみたって、そのとおり農業が現実に動かない、これはもうすでに農基法農政で経験済みである、こういう理念で日本農業をつくっていきますということを農基法の理念として持ちながら、現実には日本の農業というものがそれと大きくかけ離れた、むしろ逆行するような方向が出ているという不満もあるのであります。これが私は一番問題だと思います。
 そういう意味では今回総合農政が叫ばれ、農業の転換期ということがよく言われ、その中でとりわけ農地法の改正については今日の国会の中でも最大の重要法案として政府も取り扱っておるという今日の状況の中で、農地法は改正したけれども将来の農業のあるべき姿ははっきりしない、あるいは具体的にどう農業を変えていくか、どう農業を発展をさせていくかという具体性のある計画もないでは私は問題がたくさん残ってまいると思うのであります。そういう意味でぜひこの問題については明確な具体性のある考え方を聞かしてほしいと思います。
#69
○政府委員(中野和仁君) はなはだ農地局長だけでは御答弁しにくい問題でございますが、いまの点につきましては達田先生からもいろいろお話がありまして、大臣、午後お見えになりましてお答えにもなりましたわけでございますが、われわれといたしましても、いま御指摘のように、あるべき姿をできるだけ明確にすべきだという考えはそのとおりだと思います。そのために従来は大まかな計画を立ててそのままということになっておったことが多いわけでございますが、大臣からも御答弁がありましたように、自立経営農家の経営類型なり、あるいは農業生産の地域分担なりを具体的に今年度中に明らかにするという努力もいたしたいということを申し上げられたわけでございまして、われわれとしましても単に農地法の改正だけで経営規模の拡大ができるというふうには思ってないということは先ほども申し上げたとおりでございますが、農地法の改正は、いわばそういうことを進めていく上での基礎的な条件整備だというふうに考えておりますので、この改正と同時に、総合農政の推進にもありますような方向を全面的に推し進める必要があるというふうに考えております。
#70
○達田龍彦君 まだ質問を続ければ時間が三時間か四時間かかるわけでありますが、時間が超過をいたしますからそれらの問題は他の同僚委員の質問の中で、できれば重点的に関連で質問させていただくことにして、本日の質問はこれで終わりたいと思います。
#71
○亀井善彰君 私はいままで数日間引き続いて他の委員の各位から御質問がありました問題とは違った角度で農協法改正についての問題について、ごく短かい時間ひとつお伺いをいたしたいと存じます。ちょうど大臣お留守でございますから、政務次官、参事官おいででございますので、それぞれお答えをいただきたいと存じます。
 と申しますのは、最近農協の事業分野が拡大をされまして、これはまた一面大きく日本農政の上に寄与されておる点も高く評価をしなければなりませんけれども、その高く評価をする反面、あまりに事業分野の進出が著しく、全国的に中小企業と農協との摩擦が非常に大きく起きておる地方があるのであります。具体的にその例は省略をいたします。手元にはそれぞれ、あるいは商工会連合会あるいは中小企業団体中央会、そういう方面からの調査をした資料がたくさんございますけれども、そういう点は私は省略をいたします。ただ、結論をひとつ申しまして、お答えをいただきたいのは、そういうような問題について農林省当局が農協の、いわゆる員外利用の限度、こういう問題について調査をされた機会があるかどうか、そしてまたそれに対して戒告、警告を与えられたことがあるかどうか、まずこの一点をひとつ承りたいと思います。
#72
○説明員(岡安誠君) 中小企業と農協、特に農協の員外利用の問題でございますが、その問題につきまして、かつていろいろ問題があったのは事実でございます。特に非常にやかましかったのは、四十一年の終わりごろからいろいろ指摘をされまして、その問題につきましては農林省、通産省の間でいろいろ相談をすると同時に、それぞれの団体からの御要望もありまして、私どもも実は調査をいたしたのでございますが、いまお話のように、員外利用の限度を越えているかどうかというような趣旨の調査ではなかったのでございまして、中小企業との間にいろいろ紛争が起こっているような事例があるかないか。あった場合にはどのような措置をしているのかというような調査をかつてしたことはございます。
#73
○亀井善彰君 どうも正確な調査はなされておらないようでありますけれども、一、二具体的に申しますというと、一つは米の集荷の問題であります。
  〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕
米の集荷は御承知のとおり、農協がその大部分を担当しており、一部中小企業業者が担当をいたしております。で、それらについて昨年の同委員会におきましても私は意見を開陳いたしたことがございますけれども、いわゆる集荷をするについての農家に対する条件、この条件に相当のアンバランスがある。たとえば農協の組合員であっても集荷の登録は農協以外にもこれは当然でき得るわけなんでありますが、それをほかの業者にすることによって相当の圧力が加えられた。幸いにしてことしは登録の年でございませんから、そういう事例はございませんけれども、極端な事例がかつて相当に数多く行なわれ、ある地方によっては登録をしないものには農協の組合員の権利を喪失される、除名をするというような行き過ぎた事例があったことはお聞き及びのとおりだと思いますが、同時にそれと同じように、先ほど達田委員からも意見を述べられました自主流通米の集荷等につきましても、これに対して金融の裏づけというものが業者のほうには何らついておらない。昨年、長谷川農林大臣は同様につけると、こうまで言われましたけれども、その後それについては何ら手がついておらない。私は調査というものは、やはり両者同じような条件を付与して、そうしてスタートさせるということが農民のためである。米をつくる農家のためには、そこに競争があって初めて農家に潤いがある。ところがアンバランスの条件、スタートから相当なアンバランスの条件を付与して、そうして競争させるということは問題にならない。そういう意味合いにおいて、これはいまの問題ではございませんけれども、これからの問題に対しましても平等の条件を付与するという方向でこれが施策を講ぜられる考えがあるかどうか、これはでき得れば政務次官からひとつお答えをいただきたいと思います。
#74
○政府委員(宮崎正雄君) ただいまの御質問の点でございますが、これは非常に重要なことでございまして、あくまで競争は公正に行なわれなければならぬということは申すまでもないと思います。そのためには条件をできるだけ同一にしなければいけない、これももう理論としては正しいと思います。そこで、そういうような公正な競争ができるように、そのためにできるだけ条件を不公平にならないようにと、これにつきましては農林省としても今後十分に配慮していかなければならぬと、こういうふうに考えております。
#75
○亀井善彰君 重ねて伺いますが、自主流通米の資金の問題でありますけれども、農協のほうには御承知のとおり、政府の裏づけがあり、農林中金があって潤沢な資金があるわけでありますけれども、それこそ業者のほう、集荷業者のほうには同じ仕事をしながらその資金の裏づけがない。これが自主流通米の結果から見て相当に成績があがらなかった、こういう要因をなしておるように私は承知をいたしておるわけであります。本年度の問題は大体終わりましたけれども、また四十六米穀年度におきましては、いまの政府の計画では百万トンの集荷をする。そういう点ではこれを成功させよう、こういう趣旨のもとで現在、全販あるいは全集連、そうして全糧連、こういう関係団体が協議をして四十六米穀年度は百万トンの計画を完全に遂行しよう、こういう気持ちでいま計画を準備いたしておる際、その業者のほうにも自主流通米を集荷するための資金、こういう資金を農協と同じように与えられることが計画されるかどうか、おやりになるかどうか、この点、いまここではっきりはできないかもしれませんけれども、検討する形でもけっこうでありますから、ひとつこの際お答えを願いたいと思います。
#76
○政府委員(宮崎正雄君) これは今後の問題でございますので、その御趣旨を事務当局によく伝えまして、十分に検討して御趣旨に沿うように努力さしたいと思います。
#77
○亀井善彰君 趣旨を入れて検討するだけではちょっと――この問題は、もう二年越しあるいは三年越しになる問題でありますから、ひとつ実現をする方向で努力をしていただきたいことを希望しておきます。
 それから、さらにいま一つ、これもその扱い上の問題でありますけれども、かりに農家が農機具を買う、農協の組合員が農機具を買うというような場合に、農業近代化資金を――農協系統組織を通じて買う農機具については、近代化資金の融資をするけれども、系統組織を通じないものに対してはその融資をしないと、こういうような実は通牒まで出ておる事例があるわけです。これは系統組織の機関を通じて農機具を買うにいたしましても、他のメーカーから農機具を買うにいたしましても、私は同様に扱うべきであろうと、こう考えますけれどもその点いかがでしょうか。
#78
○説明員(岡安誠君) 近代化資金の融通につきまして、特に農機具の購入について取り扱いが区々にわたっているような御意見がほかにもあったわけでありまして、私どもといたしましては、四十年以来、しばしば近代化資金の融通にあたりましては、その資金を使いましての物資の購入先といいますか、によりまして区別をしてはならないということを通牒をいたしまして、その趣旨の徹底を期しているのでございます。お説のとおり、近代化資金、本来はやはり組合員の利便のためでなければならないし、組合員が選択するような物資の購入にあたりましては、それを制約することは適当ではない、こういうふうに考えておりますから、まずそのような趣旨の徹底につきましては、さらに今後とも努力してまいりたい、かように考えております。
#79
○亀井善彰君 いままでの事例としてはそういう事例がたくさんありますので、その点十分御注意を願いたいと思います。
 それからいま一つ、それに関連をする問題でありますけれども、農地の取得資金の問題であります。これは御承知のとおり、農林漁業金融公庫が貸し出しをいたしておりますけれども、これは農家が農地を取得するときに借り入れられる性格のものでありますけれども、これが農協に登録をしておらない農家にはその貸し出しが非常に困難だ。地方銀行がそれの代理貸しをするという道もありますけれども、それは何か農林漁業金融公庫と役所のほうと話し合いがあってあるいは農協もそれに関係しておられるわけでありましょうけれども、系統組織を通さなければその融資はしないと、こういうような何か話があるようであります。これは農林漁業金融公庫に私行って聞いたわけでありますから、これは事実であります。そういう関係で、農地の取得をしたい農家があっても、その農地等の取得資金を借り入れることができない。組合員でありますから、農協を通して借りれば借りられるんでありますけれども、その農協に登録しておらないという関係からして、借りることができない。ですから、直貸し、農林漁業金融公庫の直貸しあるいは地方銀行その他の代理貸し、こういう道もあるにもかかわらず、なかなかそれが行なわれない、こういう点については農林省として、今後指導をそういう点において、米をつくる農家であれば、農地を取得したいという農家の希望に対しましては、そういう単協を通してでなくても、融資の道が開けるような方向を考えられる気持ちがあるかどうか、またそういう御指導をされるお気持ちがあるかどうか、この点伺いたいと存じます。
#80
○政府委員(中野和仁君) 農地の取得資金につきましては、制度といたしましては、公庫の直貸しになっておりますけれども、実際の取り扱いは農協に委託――委託といいましょうか、末端の窓口に頼んでいる場合が多いわけです。そうして農業委員会の意見書をつけて知事にあげまして、そこで認定されるといいますか、それがよくできておればオーケーと、こういうことになるわけであります。いまの御指摘のように、農協を通じない場合にどうするかという問題、いま農地局ですぐに把握をしておりませんので、さっそく調べまして、その上で、必要であれば善処いたしたいと思います。
#81
○亀井善彰君 たいへん短い時間で恐縮です。他の委員の先生に御迷惑をかけますから私はやめますが、最後に一点、こういう問題を政務次官に承りたいと思います。同時に、これはひとつ大臣おられれば、大臣に所信を承りたいのでありますけれども、将来、いま申した、冒頭から申しましたように、農協の事業分野が拡大されて、そうして相当広く進出をされる、これは農協にすれば当然だと思います。当然だと思いますけれども、一面また、中小企業の存在というものも、これは決してゆるがせにできない問題でありまして、そういう関係からして、西欧のある国の例を言いますというと、農協と中小企業との事業分野がはっきり分れておる事実を聞いておる。そういうふうな観点からいたしまして、将来この摩擦がどこまでも続くということでは、波瀾を平地に起こすというきらいなしとしないのでありまして、政府の方針として、農協と中小企業との事業分野を確立するというような方向でお考えをいただけるかどうか、この点ひとつ、できればはっきりとお答えをいただきたいと思います。
#82
○政府委員(宮崎正雄君) その問題につきましては、私は前に商工委員をやっておるときに実際に経験した問題でございますが、結局、やっぱり同じ地域社会で、両者がおのおのの立場を尊重して、共存共栄の立場で譲るべきは譲るし、自粛すべきは自粛する、こういう一つの姿勢でもって解決しないというといけないのじゃないだろうか。したがって、それはただ、明確に制度の上においてはっきりと割り切ることが、はたしてそれはいいのかどうか、ちょっと困難な問題がありますので、そうした点、制度の問題につきましては、今後とも検討はいたしますけれども、いまここですぐ、じゃ、制度的にそういうことをいたしますというお答えは、ちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
#83
○亀井善彰君 実は先ほどからくどく申すようですけれども、員外利用の問題で、最近こういう事例があるのです。組合員以外の人の来店を歓迎いたしますと、こういう大きなポスターを各所に張って、そうして拡大をされる。これは私、自分が農協の経験もございますから、農協自身とすればやむを得ない、よく私もわかりますけれども、一方には、中小企業が相当大きなウエートをなしておるいまの日本の国の姿から考えますと、員外利用という制度が限度があるとするならば、その員外利用の限度というものは、政府の監督指導によって、あるいは地方庁か知りませんけれども、そういう点については何でも無制限でなくして、ある程度の制約というものは私はつけらるべきではなかろうか、これが無制限にそういう形になってまいりますというと、平地に波瀾を起こす、こういうきらいなしとしないのであります。この点は、さきに政務次官から考えるというお答えと同様に、今後ひとつ、今後の問題として善処されますことを希望いたしまして、短い時間ではありますけれども、私の質問を終わります。
#84
○藤原房雄君 私は本会議で、この農地法、農協法について質問しております。また先般は同僚議員からもいろいろな面について質疑がございました。総括的なことについては今日までもただされてまいりましたので、この農地、農協法につきまして二、三の点にしぼってお伺いしたいと思うのであります。
 まず、午前中もいろいろ議論がございましたが、農業の生産性を高める、そして農業従事者が他産業に伍していく、この所得を得る、規模拡大、また農地の集団化と導入機械化と、こういうことを進めて他産業との均衡ある所得を確保する、こういうことでわが国の農業が体質改善しなければならないということは言を待たないと思うのであります。そこでこの農業基本法におきましては、農業構造改善のために国がいろいろな施策をすることになっております。こういうことがいろいろ義務づけられておるのでありますけれども、農地につきましても、権利の移動とか権利の移動の円滑化の措置についても政府は十分にその義務を果たすべきである、このように考えているのではないかと思うのでありますが、こういうことからこの農地法の改正案で営利を目的としない行為、農業経営の規模の拡大、農地の集団化その他農地保有の合理化を促進するための事業を行なうことができると、このたびの法改正であるわけでありますが、こういうことは少しおそきに失するとこのような感を持つのであります。こういうことからいたしまして、農地保有合理化促進事業というこの問題について、何点かについてお聞きしたいと思うのであります。今日までもこの問題につきましては、いろいろな政府答弁もございました。私といたしましても、この何点かの問題からこの農地保有合理化促進事業という本来の趣旨に沿って適正かつ効果的に行なわれるためにはどういう点が問題になるか、この際何点かについて政府の見解をただしておきたい、このように思うわけであります。
 まず最初に政府は、かつて農地管理事業団法案を二回にわたって提案いたしました。結局それは成立を見なかったのでありますが、今回の農地法改正案における農地保有合理化法人の構想と前回二回流れておりますところのこの事業団法案とどのような違いがあるかというこの点をまずお聞きしたいと思います。
#85
○政府委員(中野和仁君) かつて御提案申し上げました農地管理事業団法案のねらいといたしますところは、農業経営規模の拡大あるいは農地の集団化を通じまして農地保有の合理化をはかろう、そのために特殊法人をつくりまして、それが農地の売買あるいは貸し借りをやって、そして融資までするというところまで考えたわけでございますが、残念ながらそれが通りませんでした。その間農業事情が進展をしてまいりますので、われわれといたしましても農地制度について構造政策としてどうあるべきかということを議論をしたわけでございますが、その間にありまして、地方公共団体の中ではその地域によって農業の事情が違いますけれども、経営規模の拡大のために農地の取得をして、あるいはそれと未墾地と合わせまして造成をして売り渡したい、そういうことをやりたいと希望している県がかなり出てまいりました。現在では農地法の関係でできませんので、未墾地を取得して、農地にしてこれを売り渡すという事業を県の農業開発公社というものをつくってやっております。こういうものが出てまいりました。それからまた、すでに四十四年度から発足いたしました第二次構造改善事業におきましても、市町村が農業経営整備事業をやって、やはり農地保有合理化促進事業をやるということになりまして、いろいろ助成が考えられているわけでございます。
 こういうようなわけでありますので、農地管理事業団も、今回の農地法改正によります農地保有合理化法人制度も、目的としては同じでございます。しかしその違いはということになりますと、かつては全国一つの特殊法人でそういうことをやろうと考えたわけでございますが、今回の農地法での考え方は、地域の実情に即しまして、地域ごとにそういうことを進めていこうという点に違いがあるわけです。それからなお、そういうことでございますので、保有合理化法人そのものが長期低利の融資をするということなのではありませんで、その分は農林漁業金融公庫の長期融資に期待すると、こういう点が違うわけでございます。
#86
○藤原房雄君 次にお聞きしたいことは、農地保有合理化促進事業を行なう法人として、政府は民法の規定により設立された公益法人、市町村及び農協を予定している、このように今日まで説明しておりますが、この事業の性格などを考えると、それぞれの主体が競合して事業を実施するという、こういうことになると弊害が出てくるんではないか、このように考えるわけでありますが、この点についての政府の見解と、この事業の実施に当たってどのように調整しようとしているのか、調整についての基本的な考え方、この点について政府の考え方をお聞きしたいと思います。
#87
○政府委員(中野和仁君) 御指摘のように、今回の保有合理化促進事業をやります事業主体が競合いたしますと確かに弊害が起きると思います。そこでわれわれの考え方といたしましては、ただいま御指摘のように市町村、農協、それから県の農業開発公社を考えておりますが、県一円の事業として大規模にやります場合は、これは県の農業開発公社のほうがよろしいと思っております。ただ先ほどもちょっと触れましたように、第二次構造改善事業を進めていくということになりますと、限られた地域の限られた数集落を対象にやるというようなことになってまいりますと、これは市町村なり農協がやるほうがよりいいんじゃないかというように思います。
 そこで、その場合、市町村と農協とどちらにやらせるかという問題になってくるわけですが、その場合は前国会で成立いたしました農業振興地域整備法によりまして、農業振興地域というものを指定をいたします。指定をいたしましたところでは、町村が中心になりまして農業振興整備計画をつくります。その整備計画の中で、農地関係の権利移動の円滑化をはかって経営規模の拡大に資する事業をだれがやるかということを、その計画の中で市町村にするか農協にするか、それをきめてもらいたいというように考えております。ただ、この農業振興地域の指定は今後五年くらいかかって行なわれるものですから、その間は知事が市町村でやらせるか農協でやらせるか、その村ごとに相談いたしました結果、なかなかもめた場合には知事が間に入って調整する、そういうことで、御指摘のように競合して行なわれるということはないようにいたしたいと考えております。
#88
○藤原房雄君 次は関連することでありますが、都道府県の、民法の規定によって設立された農協あるいは農地保有合理化法人、いわゆる都道府県の農業開発公社についてでありますが、これは同一の都道府県に幾つもできるということは、そこに当然管理上の経費もかかりますし、事業の実施上の基準も異なってくるということからいろいろ問題が起きるのじゃないかと思うのですが、そこで、これを同一の都道府県内に複数の公社の設立を認めるのかどうか、その点についてお伺いをいたします。
#89
○政府委員(中野和仁君) われわれといたしましては、複数は認めない方針でやりたいと考えております。
#90
○藤原房雄君 私は、農地保有合理化事業が農業経営の規模の拡大などに果たすべき役割りなどに対しては大きな期待を持つのでございますが、この事業が期待にこたえる効果を発揮するためにはいろいろなことがあると思うのでありますが、農地を処分する農家や農地を取得しようとする農家の信頼を十分に得られるのでなければならない、このように思うわけでございます。そういうことからいたしまして、公社または市町村、農協がその地位を利用して、いまいろいろ問題になっておりますところの工場、住宅等の用地を先行取得するようなことがあってはならないと思うわけでございます。こういうことがあると、せっかくの施策も全く効果がないということだけではなくして、逆の結果を招くようなことになってしまうのじゃないか、このようなことも考えるわけでありますが、こういう問題につきまして、どのような措置を講ずるようにお考えであるか、この点についてお伺いしたいと思うのであります。
#91
○政府委員(中野和仁君) 農地保有合理化法人が本来の目的を達成するためには、やはり法律上は農地法との関連では、こういう法人には農地の取得を許可をするということにしかなっておりません。したがいまして政令でどういうふうな規定をするかということがわれわれも大事だと考えておりますが、われわれといたしましては、先ほどお話のありました工場用地等に先行取得するというような方向にそれが向かないように、今度の合理化法人の実施地域は原則といたしまして農業振興地域に限るという基本的な考え方を持っております。しかもその中での農用地区分がやられますと、主として農用地区域でそういう事業が行なわれる方向で指導をいたしたいと考えております。それからなおそういうことで、市町村あるいは農協、県公社とも条例なり、定款なりをつくるわけでございます。その定款の中味につきましても詳細な指導をいたしたいというふうに考えております。
 なお念のために申し上げますと、これは農地の取得につきましては一件ごとに都道府県知事の許可になっておりますので、あるいは町村なり、農協なりが公用地の先行取得ということでその合理化事業を使えないようにできるだけ指導をしたいというふうに考えております。
#92
○藤原房雄君 次に、この事業が進むにあたりまして、当然国とか地方公共団体がよほど指導するとかまたは援助するとか、こういうことがなければうまく進まないと思うのであります。そういうことからいたしまして、昨年でありますか、衆議院の農林水産委員会で農地保有合理化法人に対しての財政上それから税制上の援助措置を講ずるという附帯決議がつけられてございますが、こういうことがありましたので、その後政府としては農地法改正案を再提出するにあたりまして、この点どのように検討したか、その措置についてどのように講じようとしているのか、この点について明らかにしていただきたいと思います。
#93
○政府委員(中野和仁君) 昨年の段階で衆議院の御審議をいただきました際には、そういう援助の方向は今後の政策課題であるということで申し上げてきたわけでございますが、それから一年間われわれ検討いたしました。
 そこでまず財政上の措置でございますが、これはすでに四十五年度成立いたしました予算にもありましたように、県の公社に対しまして、一応われわれ四十五年度は三十法人を用意しておりまして、来年の一月から事業を開始するというつもりで、その事務費等約三千百万円を計上しております。これも三分の二の補助をいたしたいと考えております。
 それからまた、第二次構造改善事業におきましては、市町村なり農協なりがこの事業をやります場合には、農地の売買に要する経費、あるいは買って持っておる管理費、それから金利負担等につきましてやはり三分の二の補助をするというふうにいたしておるわけでございます。
 それから次に、税制上の問題としましては、この合理化法人に農地を譲渡する場合の譲渡取得税につきまして、現在では百万円の基礎控除があるわけでございますが、これを百五十万円にする方向で大蔵省と折衝したい。また大体そういうふうになろうかというふうに考えております。
 それから土地を売りました場合の公社と合理化法人の登録免許税につきましても、一般は千分の五十でございますが、これを千分の六に軽減をするということで話を現在進めておるわけでございます。
 それからまた、これはまだ今度の予算には盛っておりませんけれども、われわれいま考えておりますのは、公社に農地を売るのでなくて貸す場合がございます。貸す場合に、小作料をたとえば十年の前払いをいたします場合に、これに税金がかかるということになりますとなかなかそういうことも進みませんので、やはりこれは臨時所得扱いにしてならしてはどうかということにいたしております。
 それからなお、地方税といたしましては、公社の取得いたします不動産取得税につきまして自治省と折衝しておりますが、免税についてそういう趣旨は了承を得ておりますので、そういう方向で具体化を進めたいと考えております。
 以上でございます。
#94
○藤原房雄君 次にお伺いしたいことは、農地等の取得資金制度との関係についてでありますが、農業経営の規模拡大をはかる場合に、借地によるより自作地によることが望ましいということはこれは言をまたないと思うのであります。具体的に積極的にこれが政策に反映させるためには、どうしても低利長期の融資ということがなければならないと思うのであります。事実農家におきましても、現行の農地等取得資金に対する公庫融資の拡充を強く望んでおる現状であります。これらに対する政府の方針というものをまず明らかにしていただきたいとこう思うのであります。またその場合に、特に農地保有合理化法人から農地を取得する者に対しては、その取得が着実に好ましい方向に沿って行なわれるということから見て、農地管理事業団構想の場合と同じように、三分、三十年という融資条件で、貸し付け制度額を設けないという、このぐらいの対策を講じてはどうかと、このように思うのでありますが、これらの点について政府の考え方をお聞きしたいと思うのであります。
#95
○政府委員(中野和仁君) 今後の農地の流動化をはかります場合に、やはり自作地としての流動化が望ましいことは私たちもそう思っておりますので、今度の四十五年度の予算におきましても、農林漁業金融公庫から貸し出します土地取得資金につきまして、昨年は二百九十億円のワクを今年は三百五十九億円と大幅に拡大をしたわけでございますし、すでに四十三年度は貸し付け限度を百万円から二百万円の倍額に引き上げ、また四十四年度には未墾地につきましても同様の措置をとったわけでございますが、農地保有合理化促進事業が具体化をしてまいりますと、合理化法人を通じて土地を買う場合の貸し付け条件につきまして、今後とも拡充の必要があろうとわれわれは考えておるわけでございますが、現在の三分五厘、二十五年というのが農林漁業金融公庫資金の中では最も低利長期のものになっておりますので、なかなかそれをさらに引き下げるということは非常にむずかしいわけでございますけれども、今度の農地保有合理化事業を促進するためには一応重要なことであろうと思うのでありますので、貸付しけ限度の引き上げその他十分に努力をいたしたいと考えております。
#96
○藤原房雄君 ではこの問題については以上にしまして、次に、私も本会議のときにちょっと触れたのでありますが、現在の農地法はざる法にひとしい、こういうことでやみ小作が行なわれておる、この問題についてはどうするのかという、こういう問題についても大綱的なことではありますが、お聞きしたわけでありますが、委員会を通じて二、三の点についてこの場合についてもお聞きをしたいと思います。まあやみ小作、現実こういうことがあるわけでありますが、これに対して十分な指導をするという政府の答弁もあったわけでありますが、この問題について具体的にどのように進めておるか、また進めようとしていらっしゃるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
#97
○政府委員(中野和仁君) 現行法のままやみ小作を指導といいましょうか、対策といいましょうか、これはなかなかわれわれはむずかしいと思っておりますが、今回の改正案が成立いたしますれば、かなり貸し手にいたしましても、一ぺん貸しましたら二度と返してもらえなくなるというような事態もかなり緩和をしておりますので、一応そういう改正を前提といたしました上では、制度の面でもかなり問題が解消するというほかに、趣旨の普及それから農業委員会に対する指導を徹底いたしまして、できるだけやみ小作を正規の賃貸借の上にのせていきたいというふうに考えております。
#98
○藤原房雄君 前回の委員会でも局長から、やみ小作の水準はいろいろあるが平均大体二俵程度だ、こういう答弁もあったわけでありますが、現実はもっと三俵、四俵というこういうことも言われておるわけでありますが、こういう面についてはこういう状態もあると、このようにお認めでしょうか。
#99
○政府委員(中野和仁君) 前回、私申し上げましたのは平均的に申し上げたわけであります。なかなかやみ小作なものですから実態を把握しにくいわけでございますけれども、
  〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
われわれのほうの農地局で若干抜き取りといいましょうか、そういう調査を最近でもいたしてみたわけであります。それによりますと、たとえば五、六俵程度の収穫のところでは大体一・四俵、それから収穫が七、八俵になると一・八俵、十一俵ぐらいになりますと二・七俵あるいは三俵ということになっておりまして、やはり大体やみ小作料の水準というものはその反収に比例をしているように考えられます。
#100
○藤原房雄君 このやみ小作がいろいろな条件のもとに、環境のもとにこういうことが出てきたと思うのでありますが、今日まで農業委員会などにおいては、知事の許可を得なければ農地法の保護がないぞ、こういうことでやみ小作を是正する、指導するといいますか、こういうことが言われてきたと、こう聞いておるのですが、それだけでは法の精神にもとるのではないか、こう思うのであります。先ほども、この指導には当たっておりますというお話でありましたけれども、現在行なわれております指導方針といいますか、どういう段取りのもとにこういう面について指導をしていらっしゃるか、こういう点についてお伺いしたいと思います。
#101
○政府委員(中野和仁君) 御承知のような、現在の賃貸借という許可を受けましたものは年におそらく一割――全体の賃貸借の流動化の中で一割あるいはちょっとというようなことになっております。そこでわれわれといたしましても、全国一律の統制小作料のもとで、しかも貸し手の側も昔のような地主ではございませんで零細な農家が多いということでございますので、これを一律に順守しろ、場合によってはこれは告発するぞということはできないわけでございます。したがいましてそういう法的な、強行的な手段ということは現在は避けておるわけでございます。
#102
○藤原房雄君 私も、本会議において質問いたしましたときには、それに対する政府の答弁といたしましても、まあいろいろ何点かについてお答えがあったようでありますが、今日の農地法は現在あるやみ小作、それを新たに規制するといいますか、あとからそれを追っかけていくというような形になった姿がここに感じられるわけでありますが、そしてまたここで考えなければならないことは、現在大きな問題がない、戦前と今日では経済状態や社会状態が非常に異なるので大きな弊害はないというような説明もあったように記憶しているわけでありますが、しかしこれからどのように世の中が移り変わるかわからないのでありますし、数はやはり少ないにはいたしましてもいろいろ弊害というものが考えられるわけでありますので、この問題についてはさらにもっと真剣な政府の考えがなければならないのではないか、このように思いますが、政府の御所信をお伺いしたいと思います。
#103
○政府委員(中野和仁君) やみ小作のまま放置しておきますとこれは借りているほうはいつでも土地がまた引き揚げられるという事態でございますので、やはりわれわれの基本的な考え方は貸すほうも安心して貸せるし、借りるほうも耕作権も安定するという考え方が基本に置きまして、農地法の秩序の上に立った賃貸借を進めるということでなければ実際問題といたしまして農業経営の安定ということは期し得ないということでございます。いま申し上げました方向で今後も進めていきたいと考えております。
#104
○藤原房雄君 農協法についてお伺いしたいのでありますが、今日も何点かについてお話がありましたので、私は一点にしぼってお伺いしたいと思います。
 過日も同僚議員の方から開拓農協のことについてお話がございました。組織のことについてるる御質問があったわけでございますが、いま農協の合併ということから一般農協と開拓農協、この間の格差といいますか、いろいろな問題がここに考えられるわけであります。開拓農協といいましても最近は非常に好条件のところもあるようでありますが、非常に零細なところがございます。こういう数的なことについてはいろいろ資料をお伺いしておるのでありますが、この恵まれないといいますか、合併が進まない、進むことのできないような開拓農協には、その大きな理由といたしましてはやはり大きな赤字をかかえている、こういうことが大きな問題だと思うのであります。個人にとりましてもまた農協自体も、開拓農協自体についても赤字の解消というこれが何といいましても合併を進めていく大きなポイントになる、このように思うのでありますが、この赤字解消の対策、これについては昨年も法案が通りましていろいろ対策が講じられているようでありますが、平均的な状況を見ますといろいろ対策が講じられているようでありますが、個々の問題につきましては非常にまだ問題があるようであります。どうしても固定化負債の多いところ、こういうところには貸し付け限度額を引き上げてもらいたいという強い要望がございますし、また保証や担保についても非常にきついといいますか、能力のない人たちを保護する方法はないのかという、そういう据え置き期間が短い、こういうことも農家の方々の大きな要望なのでありますが、こういう問題について、特にこの開拓農協の弱小といいますか、現在赤字をかかえておるところに対しまして、今日まで行なってきた施策、これからどのようにこれらの大きな負債を解消しようとするのか、これらの点についてお伺いいたします。
#105
○政府委員(中野和仁君) 開拓農家及び開拓農協の負債の問題につきましては、ただいま御指摘がありましたように、この前の臨時国会で開拓者資金融通特別措置法を御成立願いましたので、われわれそれに基づいて現在取り進めております。それで個人の問題と農協の問題と二つあるわけでございますが、ただいまお話ありましたまず個人の問題につきましては、現在各個人の内容の調査をいたしまして、早い県では大体七月にその整理が終わりまして公庫に引き継ぐ県も出てまいるわけでございます。政府資金につきましてはそういうことで取り進めておりますし、その中でも特に経営が不安定な農家につきましては償還期限を二十五年まで延長するという措置をとっておりますので、これからずっと詰めてまいりますけれども、おおむねそれでいけるのではないかというふうに考えております。それからなお、個人が政府資金以外の資金をかなり借りておりますが、これは自作農維持資金への借りかえをやることにいたして、そして貸し付け限度はかなり引き上げをいたしまして、内地では七十万、北海道では百十万ということを原則といたしまして、なおそれでも困る農家につきましては個別的に審査をした上でどうするかをきめたいというふうに考えております。個々の農家のそういう整理をやりますと、開拓農協の大部分は転貸資金が多いわけでございますので、それでかなりの整理がつくというふうに考えておりますけれども、開拓農協自体の負債問題といたしましても、残務整理を現在相当な予算をつぎ込みましてやっております。これによって債権債務を明確にいたしました上でいろいろな措置を講ずる必要があるというふうに思っておりますが、その一つは、いま申し上げました転貸資金の場合はこれを個々の農家にまず債務を分けるわけでございます。分けた上でその個々の分けた債務の個人の農家が返せるかどうかという点で、そこでまた判断をいたしまして、返せないものは徴収停止をかけるということをいたします。それから事業休止をして眠っておるような組合の貸し付け金についてはなかなか取れないものもございますので、これは組合自体に徴収停止の措置をかけたいと考えております。それからなお、いま申し上げましたのは政府資金のことでございますが、政府資金以外の金融機関から借りております負債につきましても、各金融機関の協力を得まして、いま申し上げました方法に準じまして処置をするように、いま農林省のほうで各金融機関と話し合いを進めておる段階でございます。
#106
○藤原房雄君 先ほどちょっとお話したのですけれども、保証とかそれから担保の問題、それから据え置き期間、まあ農家にいきますと、畜舎や何か建ててもまだ十分にれんが、コンクリートがかわかないうちにもう保証期間がきてしまって離農を考えなければならない、こんなようなことをよく聞くわけです。手続上のいろんな問題があるわけでございますが、先ほど一括してお伺いしたわけでありますが、この点についてもお答え願いたいと思います。
#107
○政府委員(中野和仁君) 開拓農家はまず金を持たないで入植しておりますので、それに対しまする借り入れ金は大体相保証になっております。したがってなかなか実際問題としてはその保証が役に立たないという場合が多いわけです。そこで今回の負債整理の場合には、もう返せそうもない開拓農家を保証している農家がありましてもその保証人を追及しない。追及しないで徴収停止をかける場合があり得るということに、そういう措置をとることにいたしております。したがいまして、それほど今後は問題がないのではないかと思いますけれども、やはり各地の実情等違いますので、そういう問題が具体的に起こってまいりました場合にはなお十分措置を考えていきたいと考えております。
#108
○河田賢治君 農地法、農協法の改正案については、各同僚委員からも質疑がなされ、また私自身も六十一国会で一応質問書を出しまして、これに対する政府側の答弁も得ております。ですから時間の関係上、これらの問題の中から若干の問題を拾って少し質問したいと思うのです。
 まず最初に今度新しくできます農地取得の合理化法人についてですが、これは現在各府県でも、おそらく若干農林省の指導によるものだと思うのですが、調査室からいただいたあれによりますと、約八件が現在の農林省の規定に大体合っている、そしてあと十一件あるいは十七件がそれぞれ創立の準備中であり、また方針をきめておると、しかしこれは組織がえをしなければならぬと言っておる。御承知のように、各府県には先ほども藤原委員からも話がありましたが、開発公社というのがたくさんあるわけですね。観光地をつくったり、あるいは住宅、あるいはそのほかのいろんな開発をやっているところがありますが、今度の法案によりますと、大体農地を中心にして開発をする、あるいは売買をやるとか造成をするというふうになっておりますが、これはこういうふうに目的をはっきりと農業用として開発公社の促進の事業を限定するということになっておるのですか。
#109
○政府委員(中野和仁君) われわれの考えといたしましては、いま御指摘のような観光事業等兼業をするということは考えておりません。この農地の経営規模の拡大のための事業を専業でやらせたいというふうに考えております。
#110
○河田賢治君 そうすると、いまいただいておるこれは調査室からもらった資料なんですが、社団あるいは財団法人で寄付、財産、出資金こういうものでかなり金額が出ております。神奈川なんかになりますと一億二千十万円これは社団法人になっております。しかし鳥取県ですと百万円、それからまた広島県ですとわずか七十五万円、こういうのをいただいております。御承知のように、これはこれらの事業をやるには相当の資金も要りましょうし、また運営についても若干のこれはそれらの必要な資金が要ると思うのですが、こういうふうにかなり県によりまして、もちろん神奈川県あたりですといろいろ事業が広くなると思うのですが、こういうふうに非常に異なっているわけです。こういうようなものについて政府のほうでは出資金や寄付金等々についての一応の基準というようなものをつくっておられるのですか、それを伺いたいと思うのです。
#111
○政府委員(中野和仁君) ただいまお述べになりました資料はわれわれのほうでも調べておるわけでございますが、現在ありますものにつきましては、これは農林省がつくれと言ってつくらせたものではございません。その前からあったものもあり、農地法が改正になりそうだというのでつくったものもありますけれども、いまは全く県の任意ということになっております。それでいまお話のように、資本金といいましょうかその出資金がまちまちになっているわけです。ただ今回この事業を進めていきます上におきましては、御指摘のように若干の出資金で経営の基礎を固めておく必要があろうかと思いますので、標準を出し得るかどうかということになりますと、県によってやる事業の内容が非常に違いますので、これは一律に、たとえば一千万以上ということはいかないと思いますけれども、県によります事業の内容によりましては、それでは少ないというような指導等をいたしまして、できるだけ健全なものができるようにいたしたいと思います。
#112
○河田賢治君 県段階では農協の県連なんかも同様な――今度は農協も入るわけですね、一応事業がやれるわけですね。そうすると、県段階の連合会ですか、農協のこういうものはどうなります。
#113
○政府委員(中野和仁君) 県にわれわれは一つの合理化法人がよろしかろうというふうに考えております。その場合に、中心は県が出資をすることになるかと思いますが、市町村の出資、それから農協系統といいますと県連の場合、単協の場合があります。そういうものの出資は求めていいんではないか。もちろん県だけでもかまいませんけれども、そういうものを求めてもいいんではないかというふうに考えておりますが、原則的には県、市町村系統の出資が三分の二ぐらいには達するように指導はしたいと考えております。
#114
○河田賢治君 次は、市町村段階の公社です。それからまたこれにも農協が入るわけですが、先ほど市町村段階では、その自治体あるいはまた農協、これらを知事が承認するということになっておりますが、農協はもちろん一つの市町村に二つあるところもあれば三つあるところもまたありますし、こういう場合に、農協自身は法律上一応そういう資格を持つわけですが、そうしますと、一体この事業を行なうものとしてこれは指定をだれがやるんですか。
#115
○政府委員(中野和仁君) 市町村段階の場合には、先ほど藤原先生の御質問に御答弁申し上げましたように、市町村と農協を考えておるわけでございます。ただこの事業の性格からいいまして、市町村もやり、農協もやりというのでは、おのおのてんでんばらばら土地を買っても経営規模拡大につながりませんので、先ほど申し上げましたように、知事が市町村にするか農協にするか、それを最終的には調整をしたほうがよかろうというふうに考えておるわけでございます。
#116
○河田賢治君 この法律が施行されまして、さっき農振地域ではだいぶ具体的になっておりますが、これはやはり何ですか、法律が施行されれば大体全国的にすぐ実施され、同時に知事は市町村自治体にやらすとかあるいは農協にやらすとか、こういうことはもう直ちにきまるわけなんですか。
#117
○政府委員(中野和仁君) 県段階の公社につきましては、先ほど予算的な措置といたしましては三十ぐらいを予定しまして、来年の一月から発足させたいと考えております。現にわれわれの現在の状況把握におきましても、設立準備中のものが十一県、それからすでにできておりますのが八県、それから設立する方針の県が十七県、合計三十六ございますので、大部分の県はことしから来年にかけてつくると、一斉にこれを強制的に一月一日からスタートさせるというところまで考えておりません。やはりその辺は県の自主性にまかしたいと思います。
 それから市町村段階の場合には、やはりわれわれ中心に考えておりますのは第二次構造改善事業の促進ということでございます。あるいはそれ以外に、過疎地帯におきまして離農していく農家から土地を買う場合もありましょうから一がいには申せませんけれども、全国一斉に市町村あるいは農協に全部どこもこれを強制的にといいましょうか、来年の一月一日なら一月一日から全県に全部やらせる、全市町村にやらせるというところまでは考えておりませんで、やはり市町村におきます自主性を尊重しながら徐々に進めていったほうがいいのではないかというふうに考えております。
#118
○河田賢治君 公社が土地を入手したりする場合に、最近のこの衆議院の議事録を見ましても、農地局長、これはもう認められておりますが、土地の取得の場合、非常に不動産業者、ブローカーなんかに委託して、そういう仲介を通じてやるということがいわれておる。この新しい公社はそういうことではなくて、直接土地の所有者から買うとかいうようなそういう形態をとるわけですか、内容として。そういうやり方をやるわけですか。その点をはっきりしてください。
#119
○政府委員(中野和仁君) 転用しますような農地につきましては、ブローカーが介在するということはあると思いますけれども、その農地を買い入れまして規模拡大農家に売るというような事業はなかなかこれは民間が手数料取ってやりにくい事業だと思います。そこでわれわれの指導方針といたしましては、末端に農業委員会もあることでございますので、農業委員会のあっせんというものを間に入れまして、そういう公的な機関でこういう事業をやらせるということを考えておりまして、ブローカーの介在等は認めないつもりでおります。
#120
○河田賢治君 御承知のように、農振地域というのは非常にまだ限られております。さらにまたあと四、五年もかかるであろうという状態ですが、この市町村段階にいきますと、やはり何とか早く未墾地ならば開拓したい、それで農地を拡張したいとか、そういう意欲が市町村なりあるいは農協なんかにも出てくるわけですが、府県段階でも来年までに三十府県だと、そうすると市町村段階はそれからさらにおくれるわけですね。こういうふうにして、これがせっかくできましても、公社があるいは農協が土地の取得、開発、こういうことをやるのにもうその間に土地ブローカーやなんかが入ってそうして先取りをしてしまうというような結果が生まれるのじゃないかと思うわけですけれども、こういう点に対してどういうふうに処置されますか。
#121
○政府委員(中野和仁君) 御指摘のように、農業振興地域が全部、全国をおおいますのは五年先になるかと思います。ただいまスタートしたばかりでございます。そこでわれわれの過渡的な段階といたしましては、県のほうで整理の基本方針を立てておりまして、振興地域の予定地域というのをつくっております。したがいましてその予定地域を主として対象にしましてこの事業を進めるということで過渡的な段階では対処いたしたいと考えております。
#122
○河田賢治君 次はこの農協の経営の問題について伺いたいのですが、今度農協が農業経営をやれると、こうなるわけですが、これは全面耕作ということになるのですが、これは現在、そういう若干のところでは御承知のとおり、農協直接あるいは農協が指導のもとに生産法人やいろいろなものをつくってやってはおりますけれども、これはまだ全国的には非常に少ない、こういう場合に、このような農業経営を、機械も入れなければならぬ、あるいはオペレーターもつくらなければならぬ、ないしはいろいろな労力についても予定しなくちゃならぬ、そういう場合に、この農業経営について全面受託耕作というようなものが、今日農協にそういう能力が相当あるんですか。その問題をちょっとお聞きしておきます。
#123
○説明員(岡安誠君) お話しのとおり、現在農協は作業の一部の受託はいたしておりますけれども、全面受託という例は非常にまれでございます。したがいまして、この法律改正によりまして能力が与えられたのですぐ全国的に相当大規模に経営の受託が行なわれるかという御質問でございますが、私ども考えておりますのは、現在でも大規模大型の機械ですか、大型の機械の所有状況を見ますと、個人所有を除きまして団体所有の中では農協が非常にたくさんの機械を所有をいたしておる現状でございまして、現在はこの機械を使いまして作業の受託をいたしておるわけでございますけれども、さらにその作業の受託が経営の受託ということになれば、機械の稼動につきましてもより能率的になるということもございますし、また従来の作業の受託を通じまして、農協のほうにもそれ相応の能力といいますか、経験を経てきておりますので、一挙に多数の受託の例というのが起きるとは考えられませんけれども、やはり米等を中心にいたします地域におきましては相当数の経営の受託という例が起きてくるんではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
#124
○河田賢治君 今度の法案によりますと、個人はそのような全面耕作、請負耕作というものはしてはならぬということになっているわけですね。しかし現実には相当あるわけですね。三十五年の統計を見ましても相当の戸数並びに面積を持っておりますが、そうすると、自立経営農家というものをいま政府のほうでは現在二・五ヘクタール、これを将来は四、五ヘクタールまで高めたい、この自立経営農家を目ざす人は一体全面耕作を受け入れてはならぬということになるわけですか。
#125
○政府委員(中野和仁君) 個人の請負耕作を認めるということは、これは請け負わしたほうはなるほどこの間からの御議論にもありましたように、かなり有利過ぎます。反面、請け負ったほうの耕作というのは全然安定しません。そこで、個人の請負耕作は認めない、正規の賃貸借に入れていくんだということにしたわけでございます。自立経営という面から考えますと、人に全部預けてしまえば、もはやこれは地主でございますので、これは何と言いましょうか、人に預けてしまった場合にはもはや農家ではない。その土地を借りてやるということ、これは自立経営農家としましては、必ずしも全部自作地にする必要はありません。なかなか土地を全部手放して売ってくれるというわけでもございませんので、やはり自分の持っております自作地を中心にこういう従来であれば請け負いに出した農家から正規のできるだけ賃貸借ということに導きまして、その両方を合わせまして、経営規模の拡大をはかっていく、こういう方向がよろしいんではないかというふうに考えております。
#126
○河田賢治君 私が昨年この委員会から愛知県へ行った場合に、こういういわゆるやみ小作をやっておられる方がおったわけですが、この人などに聞きますと、農協なんかには、大垣の農協に行きましたけれども、一緒に。農協なんというのはこのごろは売ることばかり考えて、ちっとも農業なんかをまじめに考えてないんだと若い人が言っていました。一体どのような小作料をもらっているのかと聞いたら、中には全然もらわずに、ただでやはりとにかくつくってもらいたいと言って土地を提供している。中には一俵ぐらいでいいとか、二俵くらいでいいとか、こういう人が約三ヘクタールくらい預っているわけですけれども、そういういろんなあれがあるわけですね、内容が。こういう場合に賃貸借をきちんと結ばなければならぬと思いますけれども、これらに対して法律ができた場合にこれらの個人の請負耕作を認めないということになれば、やはり相当の契約やなんかで若干手間どるような問題もあるでしょうし、そういう場合の移行措置というのはどういうふうになっていますか。
#127
○政府委員(中野和仁君) 現在かなりの量のやみ小作がございますので、あるいは御指摘の請負耕作等になっております。そこで、法律が改正になりまして、施行いたしますのは大体十月ごろを予定しております。それまでの間に政省令等の準備をいたしますと同時に、それに基づきます指導方針を明確にいたしまして、まず県、それから農業委員会を通じての講習会、それからできるだけ部数をたくさんつくりましての、パンフレット等をつくりまして、少なくとも一部落には一枚は回るようにやって具体的な改正の内容を明確にしたい。それからその上でいま御指摘のように、できるだけやみ小作は正規の賃貸借に誘導するということに重点を置いてわれわれ努力しなければならないと考えております。
#128
○河田賢治君 そうしますと、相当自立経営を目ざすいわば篤農家です、そういうものと、それから一方では農協がこういう農業経営を受託する、こういう場合に相当な競合するような場合があるのじゃないかと思うのですね。この場合にはどういうふうにするのですか。できるだけ自立経営農家を育てていくように農協は少しは遠慮しろというようなことになるのですか。それとも農協がやはり全面耕作なんかをもっともっと広げてできる限りそのほうに一応耕作しない人々にものを貸し付けていくという方向に行かれるのですか、どちらといって割り切れぬでしょうけれども、どちらに重点を置くかということを聞いておきたい。
#129
○政府委員(中野和仁君) 御指摘のようになかなかどちらか一方というので割り切れないと思います一現に若干農協の作業委託、これも全面的になってきている場所もございますけれども、やはりそれは主として都市周辺が多いようでございます。ところが、やみ小作的なものになりますと、これは農業地帯にもかなり発生してきておりますので、農業中核地帯的なところではおそらく個人の貸賃借というほうが多いのではないかと思います。ただ農業中核地帯におきましても、たしか青森にあったかと思いますが、新しく開墾したようなところをまとめていまでも農協がやっておりますが、農協が実際に指導しまして生産組合的なものをつくってやっております。そういうところもございます。一がいにはどちらがいいかということは申せませんけれども、農協がやる以上は大型機械を備えまして集団的にやるという必要がございますので、そういう意欲のある農協ではその場になりまして農協がやる場合にはやはり個人との競合というものは全然起こらないということは考えられないと思いますけれども、その辺は適宜に現地の状況に応じて指導しなければならぬのではないかと思います。
#130
○河田賢治君 いま大型機械の問題が出ましたが、もちろん土地の圃場の整備なんかをやらなければ大型機械も入りませんし、また農道も必要なんですが、比較的何と申しますか、平地のないところがずいぶんまだ日本にはあるわけですね。私、京都ですけれども、京都でも山の中というのは大体小さな、一筆のほんのわずかな一反あるいは一反以下のものがたくさんある。とても大型機械なんか入る余地がないわけですが、いま政府のほうではできるだけ大型機械を入れて、そうして効率的な生産をやらそうという方向なんですが、この前私も議論したわけですけれども、こういうふうな大型機械というようなもので、できるだけ農業経営も農協にやらしていく、ところがそういうものの入らぬ場合、中型あるいは小型なんかも併用しなくちゃならぬ、それでもやれるというようなときには、これはどういう指導するのですか。
#131
○説明員(岡安誠君) おっしゃるとおり機械が大型化しますればやはり稼動の関係からいきまして圃場の整備が先行しなければなかなか入らないわけでございますが、たとえば大型機械の一貫体系のようなことも理論的には三十ヘクタールぐらいの集団土地改良ができた集団農地というものが必要でございますが、なかなかそういうところは得られないということでございまして、私どもはやはりそういう地域によりまして中型と小型の組み合わせとか中型と大型の組み合わせ、そういう機械の組み合わせによりまして圃場の条件に応じました機械の体系というものを推進いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、農協が経営を受託する以上は高能率な経営というものでなければならないわけでございますし、その農協が受託した経営というものはその地域のモデルといいますか、そういう展示的効果もなければならないということになるわけでございますので、まずやはり基盤の整備が先行いたしまして、それに機械が導入され、そのもとにおいて理想的な経営が行なわれるというようなところにこの農協の経営受託というものがあるというふうに考えておるわけでございます。
#132
○河田賢治君 次には、最近の都市農協における特に農住都市構想というものが二、三日前の新聞でしたか、農協でも大体五十万戸ぐらいの住宅をたてる、しかも一戸が四万円から五万円近い一カ月の家賃の高層住宅を建てたいというようなことが出ておりました。その資金からいろいろな補助金や税制の面でもひとつやってもらわなければならぬということ、これはまあこの委員会ではなくて建設省関係になると思いますけれども、そういうふうに農協も非常にいま仕事が変わってきたわけですね。御承知のように都市農協というものがだんだんといま変貌を遂げまして、たとえば私ごく最近町田の農協に行きました。ここも市街化区域のどんどん――主として山林、丘陵地ですか、これをずっと開発して、そして住宅に建てていく。それから若干の農地もそれで使えると、こういうようにして農協が、都市農協ではだんだん農業と農民というものの、農協の本来の基礎をずっと失いつつあるわけですね。たとえば南農協あたり行きますと、最近の仕事からいいましても、いろいろな金融関係やあるいはまた不動産関係、こういうものに相当な力を注いでいる。たとえば業務内容、これは農協の中でも農住都市の農協として先駆的なものとして評価されているわけですけれども、たとえばここでは財産管理指導部門を新設する。そして組合員に貸家業務のあっせん、それから貸家家賃の集金の代行、それからまた貸家経営指導、それから買いかえ資産の取得管理、こういうふうにずっと不動産業を中心に、かなり比重が移っている。したがってここの常務でしたか、役員の方は、営農、集荷、販売等々の業務それが農協の本来の任務であるけれども、採算のあがらない分野になってきておる。いわばじゃまもの、やっかいもののような状態になってきておるというようなことを言っておられました。それだけまた不動産業やあるいは家賃等々を預金にすることが農協にとっては一つの大きな魅力にもなってきているのですが、こういうふうに都市農協がだんだん変質をしてきている。そして、都市農協の本来の基礎がだんだんなくなってきている。こういう状態にあるわけです。こういう問題に対して、現在農林省は大体どういう構想を持っておられるのですか、指導の問題として。
#133
○説明員(岡安誠君) 都市農協問題につきましては、この委員会でもいろいろ御議論があったわけでございますが、おっしゃるとおり、いわゆる都市農協におきましての事業の内容は、生産面よりも信用事業面にウエートが非常にかかるというのが実態でございまして、いまお話のございましたような町田南でございますか、そういうところにおきましても、生産面以外の事業を主としてやっているというのが実態であろうかというふうに考えております。
 問題は、そういうようなところの農協を今後とも農協としてかかえ込んでいったほうがいいのか、それとも別の組織にこれを発展さしたほうがいいのかというような議論があろうかと思いますが、私ども考えますのは、町田南の農協においてもそうでございますけれども、なお相当数の農民をかかえておりますので、そういうような農民の今後のよりどころとしての農協の存在というものはまだ無視できる段階ではないというふうに考えるわけでございまして、そういう都市農協につきましては、正組合員である農民の要望というものを今後ともやはり十分聞きながら、事業の運営に当たらなければならないというように私どもは考えております。ただこういうような都市農協というものが将来、相当なシェアといいますか、地位を占めてくるような場合におきましては、私ども当然やはり、現在の農協法そのものにつきましても検討を加えなければならない、かように考えておる次第でございます。
#134
○河田賢治君 この町田あたり、あるいは多摩ニュータウンあたりでは主として未墾地などの開発が中心になって、これに若干農用地が含まれておりますけれども、しかし、大体そういうものがなくなれば、今度一方においては市街化区域の問題として現在ある農地をつぶしていくという方向が出てくると思うわけですね。そうしますと、ここ何年か後にはだんだんそういう市街化区域内の農地というものがだんだん壊滅していく。したがって、それに伴って農民でもなくなる、こういうことが一応見通せるわけですね。新全総計画とかあるいは社会発展計画とか、すべて昭和五十年とか五十二年ですか、あるいは六十年を見通して今日仕事をなさっておるわけですが、こういう問題も当然これらの中に含まれて、農協のあり方というものを考えなければならぬ、一応そういう時期にきておるのじゃないかと私は思うわけですが、こういう問題に対してどうですか。
#135
○説明員(岡安誠君) 地域によりましては、農協の組合員のほとんど大部分が農民でなくなるというような事態も将来起きることも考えられますが、しかし、なお組合員の中で二、三〇%くらいの農民が残ってそれの地域に即応しましての営農を続けていくというようなケースがいわゆる都市農協としても大部分ではなかろうかというふうに実は考えているわけでございます。現在農協等が発表しております農住都市構想というものも、やはり農家が一方においては農業を経営していきながら、都市化というか、市街化に対応する手段といたしまして農協が主となりまして、農民が農地と申しますか、土地を手放すことなく、宅地化等に即応する体制をいかにして備えたらいいだろうかというようなことを農住都市構想ということでもって研究いたしておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしまして先ほど申し上げましたとおり、組合員のほとんど大部分が農民でなくなるというような農協が多くなれば、それはそれなりに検討しなければならないと思っておりますが、二、三〇%の農民が残っているような農協につきましては、それなりの行き方といいますか、あり方を私どもも指導してまいるというふうに考えておるわけでございます。
#136
○河田賢治君 確かに農住都市構想では若干の農地を残して、それからまた住宅地をつくる。しかし、現在されているのは、大体農地をきちんと残して、そうして他に宅地開発をするというようなのは少ないですね。まだまだ農地をいかに保存するかというような発想で、実際にまたそういう計画で行なわれているところが少ないわけです。そうなるとすれば、無計画にいま行なわれていることがだんだんと農地をさらに整理するということは、あとになればなるほど困難になってくるのじゃないかというふうに思うのです。こういう点からも都市農協の問題というのは非常に私たちも注目して、これらの問題に対して対処しなければならぬと思いますが、御承知のように若干の農民がおりましても、たとえば農協というのは御承知のように、準国家公務員並みに恩給もつきます、いろんな共済金なんかの制度もあります。しかし、小さな不動産業者や、それからまたいろいろな連中はそんなものはないわけですね。それは農林省予算でかかえているわけです。本来の農業、農民の問題としての仕事をやらぬところをかなりかかえていかなければならぬ、こういう問題も私はあると思うのです。やはり農林省としても、金を効率的に使わなきゃならない。だから不動産あるいは信用、こういうものに大体寄ってくれば、これらは何とかして分離して、必要ならば厚生省なりそのほうへ回すようなあるいは仕事をやらなきゃならんと思うわけですね。そういう見通しを持って、農協の中の財政等もやはりきちんとしておきませんと、なかなか一応金ができますと、その金にものを言わせて、次から次へいろんな事業をやるでしょうし、資本の力というものはあくなくどんどんと進行します。こういう点で、やはり農協が早急にこういう都市農協の問題について真剣な私は検討を加えるべきじゃないか、こういうふうに思うわけです。一応それについて御答弁願っておきたいと思うのです。
#137
○説明員(岡安誠君) お話のように、従来、現在まで農協がいろいろ市街化区域の中におきまして、宅地の開発等にタッチしていました例が相当あるわけでございますが、それらの例につきましては非常にうまくいっている例もございますけれども、中には非常に問題になっているケースも少なくないというふうに考えているのでございます。したがって農住都市構想というものは、そういうような過去の事例といいますか、それらにかんがみまして、やはり農協としてどういうような形でもってそういう事態に対処したらよろしいかということで生まれてきた構想だというふうに考えているわけでございまして、この構想が現在農協といいますか、農協の側におきましてなお検討中といいますか、具体化につきましての細部の詰めを行なっている段階でございますけれども、これが具体的に発足いたしますれば、従来よりもより計画的な対応といいますか、それが可能になるのではなかろうかというふうに考えているのでございます。そうしますと、先ほど申しましたとおり、農住都市構想の中におきましては、農地とそれから宅地と調和ある配置を考えるというような構想でございますので、従来の無計画な宅地化というものとは違った行き方が生まれてくるのではなかろうかというふうに考えております。したがって、農林省におきましても、しばらくこういう構想を見守りまして、その行く末といいますか、行き方いかんによりまして、農林省の指導その他の措置を考えていきたいと、かように実は考えております。
#138
○河田賢治君 都市問題はそれくらいにしまして、次に農業生産法人の要件緩和に関連しまして少し伺いたいと思うのです。私のほうで出しました質問については回答を得ておりますけれども、今日やはり生産法人を悪用する擬装法人というものがだいぶあちらこちらで出て、週刊誌あるいはその他をにぎわしております。これらの問題について、答弁書のほうでは、今回の改正案でも資本のみの提供者が農業生産法人の構成員となることはできないとしているので、農業外の資本が資本出資形態によって農業生産法人になることはできないと答えておられるわけですけれども、しかし確かに資本を持ったからといって生産法人には入らぬけれども、しかし民間資本というものが生産法人を事実上支配する擬装的な農業生産法人をつくって、そして資本家的な大規模な農業経営――たとえば畜産、養鶏等々に乗り出した事実があるわけですね。北海道あたりでは御承知のように、これはちょっと古いのですけれども、昭和四十三年ですかごろには、日本農業新聞に出ておりましたけれども、四十三年の二月です。そしてまたわが党が党組織で調べましたところによれば、道南地帯――ここでは株式会社や一般商社が土地の値上がりを見込んで投資する、肉用牛の大規模な生産という目的で、開拓地や離農あと地をねらってその農家を含めて、農事組合法人や有限会社などの擬装農業生産法人を設立して、投機的にこれらを利用しておるという実態が紹介されているわけです。最近でも松下あるいは大日本印刷の社長とか日魯の社長とか、これらが北海道あたりにだいぶ土地を持ったというようなことがよく出ております。もちろんこれはあるいは未墾地であり、林地であるかもしれません。しかしこういう形でかなり北海道あたりでは擬装的な生産法人をつくって、そして事業をやっておるということはあるわけなんですが、こういうのを一体農林省あたりでもおつかみになっているのですか。
#139
○政府委員(中野和仁君) ただいま御指摘の北海道等の例は、北海道庁からも報告を受けております。ただ全部擬装法人と、こういうお話でございますが、われわれの報告を受けたところによりますと、もちろんそういういま御指摘の方々が出資をしあるいは土地の提供をし、それからその農作業に従事をするという形をとっておりまして、大部分は農業生産法人として有限会社をつくっておるようです。そしていままだ畜産なりその他の事業をこれからやろうとしておるところでございますので、直ちにそれを観光目的に保有をしておるとかいうような判断まではまだできない段階でございます。ただわれわれもそういうことで将来その土地を他の目的に転用するということは、もちろん望ましくないわけでございます。現にこれは内地の府県でございますけれども、そういうことが事前にわかりました場合には、県庁を通じまして厳重に指導いたしまして、開拓農家等の農地がみだりにそういうところに取られないようにということでの指導は続けておるわけでございます。
#140
○河田賢治君 こういうふうにして今度の改正案で要件を緩和するということになって、いろいろ先を見越して大資本は農業生産法人を、いろいろと農民自身をうまく使って、そして背後にあってそういう仕事をやっていると、結局いま政府が考えております農協であるとかあるいは若干の先進的な自立経営農家をつくるといいましても、こういう大資本が大規模にじゃんじゃん畜産やその他の面においてもやるようになれば、これは道はふさがれるわけですね。だからこういうものに対して擬装法人なんかあればなおさらのこと厳罰に処さなければなりませんし、またそういうものを未然に防ぐようなやはり方向なり指導を出して、そして未墾地なんかを早目に開発するとかあるいは開発の予定地にするとかして、これらの侵入を防ぐような方法を私は出す必要があるんじゃないか、こういうふうに考えるわけです。ですから今度のこういう北海道その他九州あたりで、特に畜産なんかが将来において大きな畜産地の供給地になるというところでは、なおさらこういう大資本がいろいろな形で進入してくると思うのです。こういう点では、やはり農林省は相当この問題についても農民の利益を守る立場から防衛的な仕事をやる必要があると、私たちは思うわけですが、こういう擬装法人なんかについては、十分これらを監督しあるいは調査した上で、これを解散を命ずるとかいうような処置をやはりとる必要があるんじゃないかと思いますが、これはいかがですか。
#141
○政府委員(中野和仁君) 農業生産法人をつくります場合には、有限会社をつくるかあるいは農事組合法人をつくるのが大部分でございまして、その場合にわれわれといたしましては、そういう法人が農地を取得に来る場合は、これは一件ずつ全部知事の許可ということにいたしております。そこでその法人の、どういう農業経営をやるか、どういうふうな資本構成になっているか、その他は許可に際しましては十分調べてやるということに現在しておりますが、ますます今後はそういうことをやっていかなければならないというふうに思っております。それからなお農業生産法人が現行法におきましても、改正法におきましても生産法人としての要件を欠きました場合には、最終的には農地法の十五条の二によりまして、そういう農地は国が買収をするということになっておりますので、これからも農業生産法人のあり方については、農業目的で生産法人が発展をしていくように絶えず指導はしたいと考えております。
#142
○河田賢治君 こういう問題は相当断固たる態度を持ちませんと、うまく防げないと思うんです。いま知事の許可で法人が許されておるということですが、その知事がまたどんなことをしておるのかということを次の問題で私は出したいと思います。これは今度私のほうで出しました例の質問書に対する答弁書で御承知のとおり、いわゆる荒づくり、あるいは裏作放棄、営農停滞農地など、資産的土地保有を助長している傾向を防止することについては、今回の改正案、つまり農基法本来の性格から見て、農業外の要因を除去しようとするものでないとして、農地法の任務外だということを答弁されておるわけですが、しかし農地の転用許可基準というものがほんとうに守られておるならば、決して今日までいろんな農地がスプロール化したり、あるいはまた便乗、つまり土地の価格が増大するということもある程度防げたと思うんです。
 これは、昨年の農業地域振興指定の法案のときにも私は発言したわけですが、こういう農地転用をほんとうに二ヘクタール以上、農林大臣が許可権を持つものを許可しなければスプロール化も非常に防げているし、またできる限り、工場その他がうまくどこにでもここにでも出てくるんじゃなくて、ある一定の方向にこれは農地の転用許可基準に基ついてやるならば、指導はできたと思うわけです。したがいまして、御承知のとおり、今日ではこういうことがやられなくてようやく農業地域の振興のときに初めてこれが大きくこれを維持していく方向には出たわけですけれども、しかし、それ以外のところはまだ農業の振興地以外、これはかなり今日まで十分やられてない。また、最近の減反問題に関係して、農地の転用基準というものが緩和されてますますこの間ずっとこれらが増大していく。したがって、土地価格というものがますますこれまた上がっていくという状態を呈しておるわけです。
 ところがこの一つの例としましては、農地の転用について最近私のところに神奈川県大磯町の農民の五、六人の方々が来られて、ここでの農地が非常に優秀な土地だと彼らは言っているわけですね。これは古くはありますけれども、大正時代ごろにもずっと農地のかんがい排水が完全にでき上がって、いつでも田から畑に、あるいは畑から田に転換できるようなちゃんと排水設備や、あるいは導水設備もできておる、こういうこと。それから、収量にいたしましても、ずっとその辺の付近の農地から比べれば、米にしても相当の収穫がある。また、野菜なんかでも都市近郊ですから、大磯ですから、したがってビニールでつくってもっといわゆる促成栽培をやって、非常に農業生産としては上げておる、こういう土地だ。もちろんこれは大きな土地ではありませんけれども、区域の中にある、これは十三ヘクタール。しかし、そのときにもかつて町の農業委員会あるいは町自身が、もうここは農地として残すということは言われていたわけですね。まだ、この市街化のあれが出る前ですけれども、そういう決議がされておる。
 そこへもってきまして、最近、昨年ですか、御承知のとおりジョンソン株式会社と言って、これはアメリカの資本が七〇%入っているそうですが、大阪にあるこの化学工場がここに来るというので、あの土地を不動産会社がずっと買い占めた。そうしてたんぼのまん中に、その工場を買収するという事件があって、しかし、ここは非常に優良な農地であるけれども、神奈川県のほうでは、知事が大臣に申告しておるものを見ますと、これは第二種農地だと言っているのです。第二種農地。だから、第一種農地と認めていない。規模が小さくても、そういう田から畑へいつでも転換できる、幾らでも水が利用できるというような土地においても、これが第二種農地だ。こう報告書の中に書かれておる。これは決してその農民自身の意見も反映されていない、また、それに反対する人もあるにもかかわらず非常にそこではいろんな、町長以下、これは農業委員の、委員会の会長ですから、こういうことでいろいろごまかして、農地の転用許可に判を押したという事件があって、来ておりました。
 この問題をどうこうというわけじゃないのですけれども、この問題についてはもちろんこれから農地局あるいは、これは大臣許可ですから、関東の農政局が大体許可の方針を与えたと言っておりますから、その責任はそちらへとってもらうとして、そういうふうにした、第一種農地と見られるものが第二種農地で知事が認めておる。こういう事件になっておる。だから、知事が、これは認可するとかしないとか言ったって、そういうものは大して当てにならぬわけです。それが、まず農業委員自身が町長で、会長だ。そうして、その農業委員というものが一生懸命になって早く土地を売りたい。そういう考えを持っているところなんですから、確かに売れば金になりますけれども、まだ農業をやっていきたいという人もそこににはあるわけですね。その場合に、それらの農民の人々のやはり意見を入れて、農地として残していくような、そういう指導もすべきじゃないか。特にそういう優良な農地なんですから、現に市街化区域内でも農地は二十ヘクタール、しかし、非常な集約的なものはそれ以下でもいいということが言われていたわけですね。そういう方向でいくならば無理にそこを転用する必要はないわけなんです。しかも、来る所には住宅がある。そこでは化学工場ですから、いろんな臭気を発散する、あるいは井戸の水はどんどんくみ揚げる、一日に千四百トンですか、くみ揚げるというような工場が住宅に来るわけです。あの辺でも、まだほかの川ぺりに行けばたくさんそういう工場用地に適したところはある。しかし、神奈川になければ、静岡には、そういう富士山のふもとへ行けば、製紙工場ですっかりよごれたところがあるわけですから、そういうところは工場になるわけですから、こういう意味で、農民の意思に反し、また、実際農業の優良地を第二種農地だと言って、県が許可している。そうして、農林大臣に出しておるというような事実があるわけなんです。
 だから、たとえこういうことによって、結局またその辺の地価が上がればだんだんとこれはいくわけなんです。だから、農地の問題についても決してこの資産的な保有傾向を助長するというものは、やはり農業政策自身の中に私たちはあると思うのです。決してこれは市街化区域になったりすることばかりでなくて、やはり農林大臣以下農業関係のほうでチェックしてきちんとやるならば、この資産的な保有化傾向というものが、それだけまた私たちは避けられるというふうに考えるわけです。
 こういうふうにして、きょう大磯の問題をとりましても、こういう知事としては、これを適当として大臣に申請をしておるという事実があるわけです。したがいまして、こういうやり方が、結局今日農地の転用問題におきましても、いろいろと農業委員会がまた十分農業委員会としての職責を尽くしていないという今日、事態がどこの町へ行きましてもかなりあります。全部とは申しませんけれども。したがいまして、こういう点から、これから調整区域の中の開発事業とか、いろんな問題がこれから起こるわけですけれども、政府はわれわれに答弁しました、この農地法本来の性格から見て、農業外要因だというものではないと言って逃げてしまっているのですね。私はこういう点でひとつ農地局のほうから意見を伺っておきたいと思うのです。
#143
○政府委員(中野和仁君) 主として都市周辺におきます農地をめぐります問題につきまして具体的な例をおあげになりましての御質問ですが、この前の河田先生の質問主意書に対しまして私たちがお答え申し上げましたのは、農業外の要因として、先生の御指摘では、農地価格の高騰に伴う農地の資産的保有の強まり、あるいは公害の問題それから都市化に伴う農地の農業非適地化、それから農業労働力の老齢化と兼業増大ということを農業外要因というふうにされておりました。それに対しまして私たちがお答え申し上げましたのは、農地法の効率的な利用をはかる上においてのいろいろな改正をやっておりますけれども、いま私が申し上げました、これを直接除去するという意味では農地法による阻害要因の除去ではないということを申し上げたわけでございまして、いま御指摘の農地転用問題は、当然これは農地法と他産業との調整の問題でございますので、これをわざとこの答弁書で無視したということではございません。われわれとしましても、ただいま御指摘のように、都市周辺につきましてはいろいろな問題で悩んでおるわけでございますが、特に最近都市計画法が施行になりましての線引きの問題では、たまにと言いましょうか、いま申されました例もございますけれども、都市周辺の農家の大部分は、公聴会を開きましても市街化区域の中に入れろということで市街化区域が拡大をされる傾向にあるわけでございます。その内容自体が、十年後の都市化を考えまして妥当な場合は農林省としてもやむを得ないというふうに考えておりますけれども、基本的なものの考え方としましては、集団的な優良農地は確保したいということで取り進めてきておるわけでございます。今回水田につきまして転用基準を緩和いたしましてもその精神は貫いておるわけでございます。
 ただ、繰り返すようでございますけれども、都市周辺の農家は農業者でありますと同時に主要な土地の所有者でございまして、その面からの判断も強く作用している。単に農業だけをやりたいということでがんばってる農家も少数はございますけれども、大部分はそうでなくなってきているという、農業のほうからいえばはなはだ残念な状況が実態であるというふうに考えております。その中にありましてもやはり基本的に大事なところは守っていきたいということは今後とも農林省として続けていくべきことと考えております。
 ただ、いま御指摘の具体的な例によりますと、われわれも報告をとっておりますけれども、ここの大磯の土地は、現地の判断ではやはり市街地の近海において孤立しておる小団地の農地――われわれ集団的な農地といいますと二十ヘクタールを考えております。そこで第二種農地と判断したようであります。なお、ここはいろいろ当初農業地帯として残すという議論もあったようでございますが、最近の線引きにおきましては市街化区域の予定地に入れるというふうに地元で判断しているようでございますので、先般、関東農政局におきまして公害防止に対する対策が十分であるということを確かめた上で許可をしたというのが実態でございます。
#144
○河田賢治君 その報告にしましても、そこの農民が反対しているというような問題は何一つこの申請書の中に書いてないのですよ、反対運動が起こってるとか反対する農民もいるというようなことは。だから知事にしましてもあるいは知事のもとでそういう事務をやってる方にしましても、ほんとうに農民の側にも立ち、またいろんなことを考えて、公平な報告書を農林省に送っていない場合があるのですよ。現にもうそこの何といいますか、今日農業委員自身がずいぶんと先に立って土地を売れ売れやっているのですから、相手のことをよく聞いてどうするかこうするかといって判断するのではなく、むしろ先頭に立ってやっている。町の線引きにしましても、そういう問題と事実を一緒にして町の都市計画というものが変更される。相当やはり大きな資本を持った者が政治自体を動かしているのですから、それに対しきちっとやはり抵抗し、実際の農民の利益を守る。もちろん農民の中にはだんだん土地を売っていきたいという人もおるでしょうけれども、しかしある程度年のいった人は、少なくとも自分が生きている間だけでもこの土地で農業をやってどうやら生計をやっていきたいという人もあるわけです。そういうときには農民に二十ヘクタールなくても――御承知のとおりあのときには二十ヘクタールというのは水田を考えているわけですから、もっと小規模でもやっていけるということは委員会でも決議の中にも入れ、またそういう方向で質問討議もやったはずなんです。ですけれど、いずれ私たちはこういうふうにして、いま知事の認可であるとか、あるいは農業委員会等々がそれを決定したからといって、必ず妥当な問題として取り上げていない場合もあるということを農林省は深くやはり考えなければならぬじゃないかということを申し上げておきたい。
 第一、今日たとえば四十三年の違反転用というものと許可件数――農林省自身の資料ですからこれそれ以外にもいろいろのものがあるかもしれませんが、はっきりあらわれただけでも四十七万八千件ですか、そして七千八百九十四件というものが違反転用であるというふうに出ているわけですね。ですから各地においてやはりそういう違反転用というものがかなり私は広範囲にあると見て差しつかえないと思う。だからこういうものをやはり農林省としては、あがっただけでもこれだけなんですから、あがらずに泣き寝入りしているところもあるかもしれません。ですからやはり農業委員会やらその他の政府が指導する責任があるのですから、こういう問題についても十分これらに対する告発、勧告、あるいはいろんなこれらに対する警告等々は私は強めていくべきだと、こう考えるわけです。で、この問題はこれで時間がきましたから終わります。
 最後に、従来の小作料、残存小作地における小作料の最高額と最低標準というようなものがありますけれども、主として標準的なところでけっこうだと思うのですが、それの算定方式。それから今度農林省が考えておられます、これは地域、地域によっては違うとおっしゃいますけれども、これに対する算定方式ですね。その小作料の違いというもの、あるいは同じであるか、この点をちょっと御説明願いたいと思うのです。
#145
○政府委員(中野和仁君) ただいまの小作料の算定方式についてお答えいたします前に、ちょっと農地の違反転用の問題について、あるいは私のほうが差し上げました資料だと思いますけれども、われわれのほうで把握しております転用統制違反は昭和四十三年七千八百九十四件で、いま先生おっしゃいました四十七万件というのはこれは許可件数、その中での七千八百九十四ということです。
 それから小作料の算定方式でございますが、現在の統制小作料の算定方式は昭和四十二年に小作料の統制額を改定いたしたわけです。その場合の米につきましての収量は三百八十八キロというのを置きまして、それから四十二年の生産者米価これによって販売額を出しまして、そして収入を出して、それから経費のほうは四十一年生産費調査を物価修正をいたしまして四十二年に戻しまして、物財・量雇用労働費、それから直接の家族労働費、この場合は米価と同じように製造業五人以上の賃金で米価をはじく、そういうことをいたしまして、それから資本利子、租税公課を見まして、それで合計の生産費が出ます。これによりますと収入が五万千四百二十一円で生産費用が四万四千九百九十一円ということになるわけでございます。純収益が六千四百三十円ということになります。そこで、われわれといたしましては、小作農経営安定のためという観点から、生産費用全体の四%を利潤というふうに見まして、それが千八百円になります。そこで、六千四百三十円から千八百円を引きました四千六百三十円というのが平均だということにしておるわけであります。これを中心にいたしまして、御承知のように現在は農地等級が一等級から十五等級まで分けてございます。これを上下に開いておるわけでございます。そこで一等級の一番生産力の高いところで五千六百八十六円、低いところは二千三百円であります。そういうような状況でございますので、実際問題といたしまして三百八十八キロということになりますと、これは日本のいまの平均の収量から見るとかなり低いところでとっております。それをもとにしておりますので全体の生産も低くなるし、それからまた労賃を全部米価方式でやっております。そういうことで非常に残りました土地に帰属すべき部分というのが少ないということになっております。
 ところが今回の考え方は、こういう一律的な計算をいたしませんで、ものの考え方はたびたびこの委員会でも私お答え申しておりますように、やはり土地を借りました農家の経営安定という観点からいたしますと、粗収益から生産費用を引いた残り、若干の利潤を見た残りが土地収益に帰属すべきものだという考え方は何ら変える必要はないんではないかというふうに御答弁申し上げたはずでございますが、そういう方針で指導をいたしております。
 ただそういたしますと、問題になってまいりますのは、反収をどう見るか、これはその村々の上中下田に即応した反収をとるべきではないかというふうに考えます。それから労賃につきましては、これは米の場合にはかなりその周辺の都市近郊労賃というものをとり得ますけれども、畑等を考えてみますと、全部都市近郊労賃で算定をするということはなかなかむずかしいと思います。そこでわれわれの今度の考え方としましては、地域によりあるいは作目によりましていろいろな差異が出てまいりますけれども、できるだけはこの周辺の他産業の労賃に見合うような家族労賃の評価をするほうが望ましいのではないか、こういう考え方で指導をいたしたいと考えております。
 したがいまして、若干詳しく申し上げましたけれども、小作料のものの考え方は、現行統制額におきましても今度の標準小作料におきましても同じでございますけれども、そこにはめます数値は地方地方のものをとっていくということになってこようかと思います。
#146
○河田賢治君 そうすると粗収益から生産費を引いて若干の利潤ということになるのですか。この若干の利潤というのはどういうものです。
#147
○政府委員(中野和仁君) 現在の先ほど申し上げましたように統制額におきます利潤といたしましては、生産費用全体の四%を見ております。ただ、したがいまして今後もそういう観点をとればよろしいかと思うのですけれども、実際問題としましては、農業中核地帯の米価がまあいまの米価を前提にいたしましてもかなり利潤部分が多いのです。たとえば十俵取れますようなところでは経費は近郊労賃で評価をいたしましてもおそらく五俵半くらい、四俵半は利潤になります。それを全部地代に払うとなれば四俵半地主に払うということになるわけですけれども、その四俵半を全部地主に与えるのであればなかなか借り手も本気でやる気がなくなるということもございます。そこで、そういうものはどういうふうにして分けたらいいかということもものの考え方としては入れてこなければならないということで、やはり地域地域の反収、それから生産費のかかり方その他によってきめこまかい指導が必要ではないかと思っております。
#148
○委員長(園田清充君) 両案についての質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時三十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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