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1970/03/24 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 社会労働委員会 第6号
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1970/03/24 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 社会労働委員会 第6号

#1
第063回国会 社会労働委員会 第6号
 昭和四十五年三月二十四日(火曜日)
   午後一時二十九分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
    委員長         佐野 芳雄君
    理 事
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                黒木 利克君
                高田 浩運君
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                占部 秀男君
                藤原 道子君
                柏原 ヤス君
                中沢伊登子君
   衆議院議員
       社会労働委員長
       代理理事     佐々木義武君
   政府委員
       厚生政務次官   橋本龍太郎君
       厚生省環境衛生
       局長       金光 克己君
       厚生省医務局長  松尾 正雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       厚生省社会局保
       護課長      宮嶋  剛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○柔道整復師法案(衆議院提出)
○建築物における衛生的環境の確保に関する法律
 案(衆議院提出)
○社会保障制度等に関する調査
 (生活保護に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐野芳雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 柔道整復師法案(衆第六号)を議題といたします。
 提出者衆議院社会労働委員長代理理事佐々木義武君から提案理由の説明を聴取いたします。佐々木君。
#3
○衆議院議員(佐々木義武君) ただいま議題となりました柔道整復師法案の提案の理由を御説明申し上げます。
 柔道整復技術は、日本において長い伝統のもとに発達してきた非観血的徒手整復療法として、医療の分野をにない、西洋医学の導入研究と相まち、現代においても必要欠くべからざる治療技術として国民大衆の支持を受けているのであります。特に、政府管掌健康保険等については、施行者団体と各種保険者との間に施術協定が締結され、社会保険の給付として広範に行なわれるようになってきているのであります。
 かように、柔道整復師の場合は、その沿革等において、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等とは異なる独自の存在を有しており、また、その施術の対象ももっぱら骨折、脱臼の非観血的徒手整復を含めた打撲、捻挫など新鮮なる負傷に限られているのであります。
 しかし、現状におきましては、柔道整復師も同じ医業類似行為の範疇にあるということで、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等に関する法律によって規制されているのであります。
 本案は、以上のような柔道整復術の実態にかんがみ、現行のあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等に関する法律から柔道整復師に関する規定をはずして、柔道整復師についての単独法を制定し、柔道整復業の発展をはかろうとするものであります。
 なお、この際、柔道整復の業務並びにあん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう等の業務が一そう適正に行なわれるようにするため、罰則の強化整備を行なうとともに、従来政令及び省令で定められておりました一部の規定を法律の規定といたす等所要の改正を行なおうとするものであります。
 以上が本法律案を提出いたしました理由及びその概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#4
○委員長(佐野芳雄君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(佐野芳雄君) 次に、建築物における衛生的環境の確保に関する法律案(衆第七号)を議題といたします。
 提出者衆議院社会労働委員長代理理事佐々木義武君から提案理由の説明を聴取いたします。佐々木君。
#6
○衆議院議員(佐々木義武君) ただいま議題となりました建築物における衛生的環境の確保に関する法律案につき、その提案理由並びに内容について御説明申し上げます。
 わが国は近年、人口及び産業の都市集中、高度の経済成長、建築技術の著しい進歩等によって、建築物の高層化、巨大化が促進されるとともに、その数はますます増加する傾向にあります。
 これらの多数の者が使用しまたは利用する建築物の衛生状態を見ますると、その環境衛生の維持向上について、必ずしも十分な配慮が払われているとはいえず、空気調整設備の管理の不適による生理的障害、伝染性疾患の発生、給水及び排水設備や汚物処理設備の不備によるネズミやこん虫の発生、その他悪臭や飲料水に起因する伝染病発生の要因ともなり、多くの再検討すべき問題をかかえているのであります。
 このほか、最近、大都市中心部に次々と建設されている地下商店街についても、公衆衛生上あるいは災害予防の観点から幾多の問題を生じているのであります。
 したがって、国民の健康を保持増進するため、建築物の環境衛生基準を設定し、当該建築物の管理者がその基準を順守し、環境衛生を維持向上させるための責務を負うべきものとすることは、急務であると考えられるので、本法案を提出した次第であります。
 次に、その概要について御説明申し上げます。
 第一に、この法律において「特定建築物」とは、興行場、百貨店、店舗、事務所、学校、共同住宅等の用に供される相当程度の規模を有する建築物で、多数の者が使用し、または利用し、かつ、その維持管理について環境衛生上特に配慮が必要なものとして政令で定めるものを言います。
 第二に、特定建築物の所有者等は、政令で定める建築物環境衛生管理基準に従って、その建物を維持管理しなければならないのであります。
 この建築物環境衛生管理基準は、空気環境の調整、給水及び排水の管理、清掃、ネズミ、こん虫等の防除その他環境衛生上必要な措置について定めるのであります。
 第三に、特定建築物の所有者は、その建物の維持管理を監督させるため、建築物環境衛生管理技術者免状を有する者のうちから建築物環境衛生管理技術者を選任しなければならないこととなっております。
 この建築物環境衛生管理技術者免状は、厚生大臣が指定した講習会の課程を終了した者または厚生大臣が行なう試験に合格した者に与えられるものであります。
 第四に、特定建築物の所有者は、その建物が使用されるに至ったときは、一カ月以内にその旨を都道府県知事に届け出るものとし、この届出を受けた都道府県知事は、政令で定める建築物については、その旨を都道府県労働基準局長に通知することとなっております。
 第五に、都道府県知事は、特定建築物の維持管理が衛生管理基準に従って行なわれておらず、人の健康をそこない、またはそこなうおそれがあると認めるときは、その所有者等に対し、維持管理方法の改善を命じ、または当該建築物の使用または設備の使用を停止し、もしくは制限することができることとするものであります。
 なお、先ほど申しました建築物環境衛生管理技術者は、この法律の施行の日から二年間は置かないことができることとなっております。
 以上が本法律案の提案理由とそのおもな内容であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 なお、先ほど委員長の御許可を得ましたので、一言付言いたしたいと思います。
 この両法律案は、衆議院におきましては、自由民主党、社会党、公明党、民社党及び日本共産党の各党合意の上、社会労働委員長が提出したものであります。したがいまして、満場一致で可決したものでございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
#7
○委員長(佐野芳雄君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(佐野芳雄君) 社会保障制度等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#9
○渋谷邦彦君 最近、社会問題の一つとして表面化しつつあります生活保護のあり方について、当局の姿勢、また見解等をお伺いしたいと思うのであります。
 昭和四十五年度の予算規模を見ましても、厚生省所管においては一兆一千三十五億という膨大なものであり、また、その中に占める生活保護費というものは二千億をこえるという状況でございます。したがいまして、当然国民の税金として扱われる場合には、これが適正に行なわれているかどうか、これが最大の焦点ではなかろうかと思うのでございます。
 そこで、第一にお尋ねしたいことは、厚生白書等によってもある程度は心得ているつもりでございますけれども、現状における生活保護のいわゆる世帯、あるいは人員の推移についてはどうなっているのか、まずそこからお尋ねをしたいと思います。
#10
○政府委員(橋本龍太郎君) 御承知のとおり、非常に経済の伸展が著しい状況でありまして、また、わが国の人口動態も変化しつつあります。それだけにわが国の一時期を考えますと、飛躍的に働き得る能力を持つ方、また働きたいという意欲を持つ方々の職場が広げられておりますし、またそれだけの賃金ベースも確保されるようになりましたために、最近の傾向といたしましては、生活保護世帯または対象人員ともに次第に漸減の傾向を示しつつあります。こまかい数字等、もし御必要ありましたら事務当局からこまかく申し上げさせますが、現在生活保護を受けております人員は、昭和四十四年十月現在で百三十九万五千名、また世帯数は同じ四十四年の十月の時期で約六十六万世帯でありまして、最大のピークでありました昭和三十八年ぐらいと比べてみますと、大体六万人ぐらいずつ漸減してきている傾向でございます。その漸減してきております原因は、最初に申し上げましたとおり、わが国の経済の成長に伴いまして稼働する意思を持つ、また稼働する能力を持つ方々が生活保護の境遇を脱して、みずからの力によってみずからの生活をささえていかれる方向に向かいつつある、そういう状況であります。
#11
○渋谷邦彦君 ただいまおっしゃいました数字、私ちょっと聞き違えたのではないかと思うのでありますが、保護課長いかがでございますか。間違いありませんか。
#12
○説明員(宮嶋剛君) 間違いございません。
#13
○渋谷邦彦君 漸減されている――非常にいい傾向だと思うわけでありますけれども、今日の日本の社会環境のもろもろの要素というものを考えてみたときに、急激に減少するとは思われませんし、また、この法律によって保護を受けている人たちがいま一刻も早く社会に復帰されたいと望むのは当然でございますし、それについても、はたして現状においてそれだけの能力を回復できるような環境に置かれているだろうかどうかということも、われわれとしては、非常に心配をするところであります。
 そこで、第二点として伺いたいことは、現在の生活の保護基準というものが、ただいま申し上げましたように、物価の上昇と相まちまして、はたして生活し得る、いわゆる最低限度の生活を保障し得る状況に置かれているのかどうか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
#14
○政府委員(橋本龍太郎君) 一応わが国の憲法に定められておる最低生活は十分に保障いたしておるという考えであります。
#15
○渋谷邦彦君 現在の標準家庭を例にとってみた場合、いろいろケースによって違うだろうと思いますけれども、たしか三万四千何がしという金額が基準になっているはずだと思います。はたして、今日の物価の上昇と相まちまして、これだけの金額で最低生活ができるものかどうかという疑問が出てくるわけでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
#16
○政府委員(橋本龍太郎君) ただいま渋谷委員から御指摘がありましたものは、いわゆる標準四人世帯一級地の場合であると思います。確かに生活扶助三万四千百三十七円という数字はそのとおりであります。しかし、その場合、いわゆる勤労控除その他、そしてこれは級地別でありますし、子供の教育費のあるなし、いろいろな点で変化がございますけれども、こういうものを見てまいりますと、大体おおむねこれは四万円見当に当たります。そしてまた、住宅をお持ちでない方は、これになお家賃が合算されますので、約四万三千円程度となる。この数字は、きょう申し上げたのでは必ずしも御理解いただけないかもしれませんので、一つの例を申し上げたいと思います。大体本省の若い係長、これが大体月額手取りにいたしまして四万五、六千円見当でございます。これから比較いたしました場合、東京都の一級地の四人世帯おおむね四万円、家賃の必要な方の場合に四万三千円見当という金額が不当のものであるとは私は考えておりません。
#17
○渋谷邦彦君 そうしますと、十分ではないけれども、いまおあげになりました例からかんがみても、東京を中心としたその他の地域においても、まあまあ生活に支障を来たすようなおそれはない、このように理解してよろしゅうございますか。
#18
○政府委員(橋本龍太郎君) まさにそのとおりであります。
#19
○渋谷邦彦君 この生活保護の問題につきましては、非常に多岐にわたりますし、また具体的に数字をあげていただきたいということになりますると、幾ら時間があっても足りない。いずれそのときに応じてお聞きをしたいと思いますので、きょうは、その生活保護のいわゆる本来のあり方というものを軸にいたしましてお尋ねをしようと思うのでございます。
 次に、生活保護関係についての運用でございますけれども、これが法律に定められたとおりに適正になされているかどうか、非常に抽象的な言い方かもしれませんけれども、できましたならば、今日までのあるいは最近の事例から具体的数字等をあげていただきまして御説明をいただければよろしいかと思います。
#20
○政府委員(橋本龍太郎君) 生活保護法が、いわゆる憲法に基づく国民の最低生活を保障する、そういう重大な使命を帯びておりますだけに、私どもとしては、鋭意、適正な運用を今日まではかってまいったつもりであります。それが完全に適正に運用をされているかとお尋ねを受けましたならば、遺憾ながら、これは必ずしも万全であるということを申し上げ切れないのが遺憾でありますが、ただ、私どもとしては、いわゆる生活保護の指導監査の対象を本省としても、また地方自治体としても整備を願い、できる限りの運用の適正をはかっておるつもりであります。むしろ数字をと言われますと、必ずしもこまかい具体的な数字がここであげられるだけの準備をいたしておりませんが、私どもは、おおむね適正な運用がなされておるという自信はございますけれども、なお一部に必ずしも適正に行なわれているとは申し上げられない点があることも承知をいたしております。そうした点につきましては、今後なお運用の適正をはかっていきたいと考えております。
#21
○渋谷邦彦君 いまのお答えでございますと、まあ、現状としては適正に行なわれているほうがきわめて多い、むしろ問題にすべき内容というものはきわめて限られているというふうな印象を受けたわけでございますけれども、こまかい数字はともかくといたしまして、たとえば四十四年度、あるいはさかのぼって四十三年度ぐらいでもけっこうだと思いますけれども、概略でよろしゅうございますが、現在申請を受け付けたものがどのくらいありまして、そうして残念ながら適正を欠くと判定されたものがどのくらいあるのか。これはむしろ保護課長にお尋ねしたほうがよろしいのかと思います。
#22
○説明員(宮嶋剛君) ただいま先生のおっしゃいました、いま、どのくらい申請を受け付けておって、それをどのくらい断わったか、その数字は、実はいま手元に持ってきておりませんが、先生のお聞きになりたい点をそんたくいたしまして、別な数字でございますが、申し上げますと、先ほど来、政務次官が申されますように、一生懸命にやっておりますけれども、残念ながらときどき不正な問題が起こってまいります。不正受給の件数を申し上げようかと思いますが、四十年度不正受給として発見いたしましたのが六百三十八件、四十一年度が二百九十件、四十二年度が五百七件でございます。なお、四十二年度の五百七件の関係します金額が四千五百五十万円でございまして、このうち返還を命じましたものが一千四百五十万円でございます。ストレートの答えではございませんけれども、参考までに申し上げます。
#23
○渋谷邦彦君 この数字は、おそらくは当局といたしましても相当正確を期されて、人権問題等もからみますので、それは非常に慎重を期された結果の集計であろうかと、このように思うわけでございますけれども、こうした問題が極端に――極端と申し上げることはどうかと思いますけれども、一件でもないことが望ましい。これは当然でございましょう。そうした面から考えた場合に、現在のケースワーカー等、実際にこうした問題の調査に当たる作業員の実態、数というものがはたして理想的な数であるかどうか、足りないのか。足りなければ、一体どういう考え方を持っていらっしゃるのか、この点あえてひとつお願いをしたいと思います。
#24
○説明員(宮嶋剛君) 今日、生活保護の仕事に携わっております福祉事務所の関係職員の数、ケースワーカー等の数は九千人でございます。実は、私ども、一般的に普通の県の場合には大体六十五世帯に一人のケースワーカーを置くように指導しておりますけれども、残念ながら、現在の充足率は七五%弱でありまして、二五%足りません。足りませんけれども、みんなそれで一生懸念やっているわけでございます。私ども、各県に対しまして、それぞれこの所要の人員の充足をするように言っておりますけれども、ぽつぽつよくはなっておりますが、現状はまだそういうことでございます。
#25
○渋谷邦彦君 ただいまのお話のように、七五%と申しますと、まだまだ将来に問題を残しそうな気配があるように思われます。そこでいまの御説明を通しまして、おそらく、必ずしも十分ではないというお答えが返ってくるだろうと思いますけれども、現状の人員で十分な管理、また調査というものが行ない得る状況に置かれておりましょうか。
#26
○説明員(宮嶋剛君) そこら辺になりますと、具体的になかなかお答えしにくいわけでございますけれども、一般的に申しますと、こまかい市とか、県が所管いたします郡部の福祉事務所につきましては、一般的に申しまして、おおむね職員の充足状況も一〇〇%いきませんけれども、おおむね適正な管理ができると思っております。ただ、残念なことに、大都市を持っております指定都市でございますとか、あるいはそれを含んでおります、いわゆる都市を持っておる府県の場合でございますけれども、その職員の充足も十分でございませんので、そのために、具体的にはいろいろな問題を出すということもあるようでございます。そういう状況もございますので、私ども、最近は特に大都市ないしはそれを包んでおります大府県でございますが、その事務所の職員の充足につきましては、可及的すみやかに整えるように盛んに指導いたしております。
#27
○渋谷邦彦君 生活保護の本来の精神は、私から別にあらたまって申し上げる必要もないわけでありますが、あくまでもあたたかい手を困窮者の方に差し伸べてあげるというところにあるわけでございまして、それを悪用するというようなことになりますと、これはたいへんな社会問題に発展する危険性はございましょう。残念ながら最近の幾つかの事例を見ますと、今後こうした状態をこのまま放置していいのかどうかという心配が出てまいるわけであります。
 ちょっと話が飛躍的になるかもしれませんけれども、そこで、もうすでに当局としても十分の調査をなさっていると思いますけれども、生活保護の問題に関して刑事事件が起こっておりますことが伝えられております。足立区でございましたけれども、こうした問題につきましては、当局として、どのように実態を掌握なさっていらっしゃるでしょうか。
#28
○政府委員(橋本龍太郎君) この事件の細部等につきましては、もし足りませんでしたならば事務当局から補足をいたさせます。いま御指摘になりました足立区の事件と申しますものは、足立区の「生活と健康を守る会」というものの常任理事、あるいは同種の事件といたしまして、中野区のやはり「生活と健康を守る会」の事務局長、同じ関係の方々約六名、これが現実に収入はあったのでありますけれども、疾病を理由に収入なしという申告をされました。不正の手段で、たしか昭和四十一年ごろからだったと記憶いたしますが、たしか七百三十五万円余りの生活保護費を不正に受給しておった事件であったと記憶をいたします。これは福祉事務所自体がチェックをいたしまして、特にその中で最も悪質な行動をしておられた高木という方に対しましては、区長名で現在告発をし、係争中の事件であります。この事件これだけをとらえてということではありませんが、生活保護というものが、ただいま御指摘にもありましたように、国民の最低の生活を保障していくためのきわめて必要な手段であるのに、それが逆に悪用をされておったという事態は、私どもとしてはきわめて遺憾な次第であると思いますし、今後こうした事態がなお発見されました場合には、当然これに対しても処分は適正に行なっていくつもりでおります。
#29
○渋谷邦彦君 こうした問題がたまたま発見されて表ざたになった。非常にその本質的な生活保護それ自体の性格というものを考えてみた場合に、ここまで発見されるということは非常にむずかしいのではないかというようなことも考えられるわけでございますけれども、たまたま、いまも御説明にありましたように、「生活と健康を守る会」の会員であった、とかくこの種の団体が問題になっているようでございますが、この「生活と健康を守る会」というこの任意団体については、当局としては、どのような見解をお持ちですか。
#30
○政府委員(橋本龍太郎君) ただいまの最初の答弁を補足しながら、その点についてはお答えをいたしたいと思います。
 先ほど定員の充足につきまして御質問がありました際、保護課長から申し上げましたとおり、最近、特に大都市における福祉事務所の活動にさまざまな形で実は困難な特殊事態が発生をいたしております。これはいわゆる都市への人口集中、過度の人口集中というもののもたらしたやむを得ない状況もございますし、また、人為的な問題もございます。現在、東京都をはじめ大都市に対しましては、特に重点的に監査を繰り返しておるわけでございますが、今後もなおそうした方針を取り続けなければならぬであろうという判断を私どもはいたしておるわけであります。こういう事件が非常に発見がおくれました原因も、実はこうした大都市特有の非常に複雑な生活環境、市民生活の環境というものが一つの原因でありますと同時に、被保護世帯それ自体が、いわゆる「生活と健康を守る会」、こういう特定の団体活動を行なっておりまして、その団体活動の中で、実態調査に対して十分な御協力がいただけなかったというような事態、これも一つの大きな原因であります。特に実施機関の調査活動に対しましてはきわめて非協力でありました。収入申告等の届け出義務を履行しない、あるいは虚偽の申告をいたしておったようなケースもありまして、福祉事務所において十分な被保護者の生活力あるいは就労状況等の実態が把握できなかったということがこういう事態を招いた原因であります。私は、必ずしもこの「生活と健康を守る会」という、あるいはこの全国組織であります「全国生活と健康を守る会連合会」という特定の団体を云々いたしたいとは思いません。こうしたいわゆる生活保護獲得闘争とでもいいましょうか、こうした活動を展開をしておられる各種の特定な団体の運動につきまして、これによって生活保護の適正な実施が、また運用が妨げられないように厚生省当局としても特に留意はいたしてまいったつもりであります。各都道府県事務所とか、あるいは指定都市等を通じて福祉事務所に対してもそのような指導をしてまいりましたし、具体的には、ややもすると大挙して福祉事務所等に押しかけられて陳情と称する大衆行動をとられるようなケースがございます。こうした行動は適切な制度の運営、実施の上にきわめて障害を来たしますので、陳情ルールを確立してもらいたい。また、特に先ほどの御指摘の足立の事件あるいは中野の事件のように、「生活と健康を守る会」というその一つの団体の責任ある地位の方々がみずからの姿勢をくずされるような事態があっては、他の方々に対してもきわめて大きな迷惑を及ぼすわけであります。こうした団体のいわゆる責任者、当事者の方々も姿勢を厳正にしていただきたい。と同時に、被保護者に対する家庭状況その他の適切な把握のために福祉事務所等が活動いたします場合に十分な協力が得られるような団体としての配慮を願いたい。また、福祉事務所自体のこうした法の運営、実施のために必要な体制の整備充実等ということを中心にして指導を行なっておるわけであります。一時期きわめて激しかった、いわゆる陳情というものに名を借りた集団陳情といいますか、大衆行動というようなことも、最近ではようやくだいぶ減少してまいりました。一部の地域を除いては、こうした生活保護獲得闘争とでもいうような目標を掲げておられる団体の行動も適正なものに向かいつつあると現在では判断をいたしております。
#31
○渋谷邦彦君 そういたしますと、現状としては漸次その運営というものが適正化の方向に向かっているものであると、こう御判断のようでございます。いまもお話がございましたように、将来において絶対に――絶対とあえて申し上げたいわけでありますが、陳情ルールを確立してもらいたいというその問題であるとか、あるいは十分の協力を得られたいものであると、さらには、数でもって福祉事務所等に強迫的な言動をしない等々の、いままでとかく問題とされていたような事柄がはたして解消していくであろうかどうか、多大の疑念があるわけでございます。昭和二十九年発足以来、今日まですでに十数年を経過した「生健会」あるいは「全生連」、ちょっとその辺が私としては、いま御答弁があっただけでは心配でございますので、その辺の判断、それからさらに生活保護の行政上、こうした「生活と健康を守る会」について今後どのような姿勢をもって臨まれるおつもりなのか、論点を二つに分けてお答えいただきたい、こう思います。
#32
○政府委員(橋本龍太郎君) 生活保護の運用につきまして、その保護の対象となるべき方々あるいはその御家庭が「全生連」に参加をしておられ、あるいは「生活と健康を守る会」に参加をしておられるとおられないとにかかわらず、その保護の対象にすべき家庭であれば、私どもは、当然対象にしていくわけでありまして、この団体の存在ゆえに、この団体からの御要諸等があったからといって別に生活保護の必要もない方々にまで差し上げる意思は毛頭ないわけでございまして、この点は、まず最初に明確に申し上げさしていただきたいと思います。ただ、いま渋谷委員も多少お触れになりましたが、「全生連」あるいは「生活と健康を守る会」というものが、いわゆる規約において、統一行動を進めて統一戦線を発展させるために奮闘するというような規定を置かれ、日本共産党が主張されている民族民主統一戦線というものの一翼をになう組織としての御活動、綱領としても掲げておられるようでございます。この団体自体がどのような行動をおとりになるか、はたして福祉事務所の活動等に対しても十分の御協力を得られるものであるかどうか、私どもとして、これが確実であるかあるいはそうはいかないというようなお答えのいずれをもいたすだけの資料を持ちません。ただ、いままで昭和二十九年発足以来今日までの経緯から申しますと、一ころの大衆陳情、集団陳情という過激な行動が姿をひそめつつあることはたしかであります。また、いま論点をわざわざ分離をしてお尋ねをいただきましたわけでありますが、最初に申し上げましたとおり、この団体に加盟をしておられようとおられまいと、生活保護というものを必要とする御家庭に対してこれを支給することは国として当然の責務でございますから、私どもとしては、この団体の存在、不存在に対してとやかく言う意思は持ちません。ただ、こうした一つの特定の団体において、特に責任者の方々の中に不正受給等が往々にして見られる事態に対して、私どもとしては、はなはだ不本意であるということだけは申し上げます。
#33
○渋谷邦彦君 この二つに分けたほうの最後の二点のほうですが、いま非常に不本意であるという、まあ不正が行なわれておるということが不本意であるという、そういうことにからみまして、そういう事態が今後――まあ仮定の論争というものは、審議というものは、これは非常にまずいわけで差し控えなければならないかもしれませんが、十分可能性があるものと一応予想いたしまして、そうした場合に、厚生省当局としてはどのような姿勢でもって臨まれるのか。いずれにしてもその基本的な御方針というものがおありかと思いますので、それを重ねてお伺いしておきたいと思います。
#34
○政府委員(橋本龍太郎君) これは個人であれ、特定の団体であれ、その団体に所属をされる方であれ、不正な受給というものは、私どもとしては、見のがす意思は断じてございません。ただ、遺憾ながら必要人員の七五%を充足しているにすぎない現状でありますから、関係係官が最善の努力をいたしましてもなお見のがすケースというものはあり得ると思います。そうしたケースにつきましては、発見次第適正な手段はわれわれとしては取るつもりでございます。これは団体の所属員であろうと何ら特定の団体にかかわりがない個人であろうと、不正受給というものに対しては断じて見のがす意思はないということだけは明確に申し上げておきたいと思います。
#35
○渋谷邦彦君 そういう厳格な御方針で臨まれる、これは非常にけっこうだと思いますが、ここに一つの事例がございまして、これはちょっと古い資料でございますので、現段階として、はたしてどうかと思われる節もございますが、「生健会」の前身といわれます「生活互助会」、これは杉並の「生活互助会」で発行されたもので「生活ニュース」というチラシがございます。一九六三年八月一日発行となっております。この中に、「お知らせ」といたしまして、「杉並生活互助会にまだ加入していない人を十五名入会させた方には箱根温泉一泊旅行に招待します。(都生連)」と、こうあるわけです。こうしたことを御存じかどうか。あるいはまた、このようなことが具体的に実際に行なわれているとするなら、どのようになさるのか、そうしたような問題についてひとつ御見解を示していただきたい、こう思うわけです。
#36
○政府委員(橋本龍太郎君) いま御指摘のありましたそのチラシその他については、実は初めて拝聴いたしました。ただ、常識的に見て、そうした生活保護というものを問にはさんで、そうしたチラシ等がまかれること自体、私どもには常識的には納得のいかぬ点がございます。率直に申し上げまして、その関係者の方が十五名獲得されるかされないか、これは、私どもとしては、その団体がどうされるかということについては何も実は関係がないわけであります。むしろ関係者の方々から、いわゆる生活保護を受けたいと要望される方々から申請がなされ、これを調査した結果が生活保護を受けるにふさわしい状態、生活保護でお助けをしなければならぬ状態にありましたならば、そのチラシの有無にかかわらず、当然これは生活保護は行なわれなければならぬわけであります。いかにそのチラシで勧誘をされて多数の方々がお見えになりましょうとも、生活保護を受けるにふさわしくない状況であれば、これはどなたが何と言われましても生活保護を差し上げるわけにはまいりません。むしろそうしたチラシがまかれること、これは常識的には非常におかしなことだと思います。国の行なっておる制度の一環が特定の団体のそうしたチラシに使われること自体私は疑問を持ちますけれども、そのようなチラシがまかれ、その結果集められた方々がどうであれ、生活保護の実態にふさわしい方であれば、これは当然生活保護を行ないますし、いかなる方がどのようにお集めになりましても、生活保護をもってお助けするにふさわしくない方であればこれはお助けいたすわけにはまいらぬわけであります。そのチラシ自体についてどうこう厚生省として対抗手段を講ずる、あるいは云々といったような考えはございません。ただ、そのチラシのいかんを問わず、生活保護というものは公正に運用していくつもりであるという一点であります。
#37
○渋谷邦彦君 次に、多少論点を変えて申し上げたいわけでありますが、生活保護の適用を受けましてから一刻も早く、冒頭に申し上げましたように、社会復帰をされることが望ましいことでありまして、そうしたことも法律に明文化されております。それぞれの担当者の方々が絶えず生活指導と申しますか、それをおやりになっておられると思うのであります。またそれをしなければならない、保護法第二十七条に明記されているわけでありますが、これはスムーズに促進されているのでございましょうか、そしてまたその効果はこの法律の趣旨に従って相当に上がっているものなのかどうなのか、この点いかがでございましょう。
#38
○説明員(宮嶋剛君) おっしゃいますように、生活保護の目的といたしまして健康で文化的な最低限度の生活を保障いたしますと同時に、その自立助長をはかることが生活保護の目的でございます。生活保護を受けておられます世帯につきまして、自立助長の可能性を持っておられるならば自立助長できるように御援助をする、あるいは指導をするというたてまえでございますので、そういう面から従来われわれは県に対する指導面におきまして、たとえば、その例でございますが、特に稼働年齢層の方が世帯主である、あるいは世帯の中に稼働年齢層の方がいらっしゃる、非常に元気だ、こういう世帯を全県ピックアップいたしました。全保護世帯の約三・五%ないし四%程度でございますけれども、毎年その自立助長の促進をやる、指導をいたす、そのようなことをやっております。その結果、自立をいたしました方が四十三年度の実績でございますと約半分はあった。これは一つの指導面でございます。そういうことをいたしております。しかし、私どもが指導いたしましても言うことを聞いてもらえないというふうな場合も間々あるわけでございます。それにつきましては、まさに先生おっしゃいます生活保護法二十七条の規定によりまして就労の指導、指示をするというふうなこともやるわけでございます。ただ、私ども就労の指導、指示をいたしますけれども、やにわに就労の指導、指示をいたしますと、すぐに職場につかれない。だから、すぐこれを保護の停止をしたり、廃止をしたりというふうなかっこうにはまいりません。と申しますのは、私どもの仕事はありていに申しまして、そういう不幸にして貧困に落ち込んで、しかも苦しんでおられる、そういう人たち、しかもその生涯をいわば預かっている。こういういわば人の命を預かった仕事でございますから、慎重の上に慎重を期さなければいけませんし、また、就労指導につきましても、やはり本人の意思も聞きながら、ある時点まではねばり強く指導もするということも必要でございます。そういうこともございまして、根気を要しながら時間をかけてやるわけでございます。そういうかっこうで、それぞれ十分に能力が活用できる人であれば、能力を活用してもらうように指導しておるわけであります。ただ、一般的にそうやっておりますが、現実の問題といたしまして、具体的にはなかなか言うことを聞いてもらえない、そこに問題があるというふうな場合も間々あることもわれわれ承知しております。そういう状況であります。
#39
○渋谷邦彦君 いまのお話の中から、せっかく苦労なさって、またもろもろの要素を配慮されながら指導なさっても、なかなか言うことを聞かぬと、いろんなケースがあるんだろうと私は思うのです。どういう場合に言うことを聞かないのか、十分言うことを聞いてもらえるはずの話をしているつもりなんだけれども聞いてもらえないのか、いろいろなそういう状況によって違いがあるだろうと思いますけれども、その辺のいきさつはどうでございましょうか。
#40
○説明員(宮嶋剛君) まあ、私ども具体的な例でいろいろ聞きます中で典型的なものは、たとえば賃金の折り合いがなかなか具体的につかないから就労指導を受けてもらえない、あるいはまた、時間的に自分は実はたとえば党活動であるとかあるいは団体活動であるとか、そういうことをやっておってどうも時間の面でうまくいかないとか、あるいはまた、具体的に医師の証明はないけれども、現在、健康が悪いのだと、だからだめだと、いろいろな理由をあげられるわけでございます。私どもは、もちろん職業指導につきましても、本人の意思も尊重をしなければいけませんけれども、最後のところは、その地域におきます客観的な一般の方々の就労の状況、生活の状況というものを見まして、常識的にこれ以上聞かれないということは、言うならば就労の指示、指導に従わないことなんだというふん切りをつけまして、そこで場合によって保護の停止あるいは廃止という処分に出るわけでございます。
#41
○渋谷邦彦君 いま幾つかの具体例をもってお述べになったわけでありますが、ちょっとその中で私けげんに思うことがございますのは、せっかく就労への指導をされておるにもかかわらず、賃金の折り合いがつかないというような問題については、これはわかるような気がいたします。それはまた詳細に調べてみないとわからない点もあるかもしれませんけれども、ただ、次に申されました時間がない、あるいは党活動に専念しているということはちょっとこれはいかがなものかなと、これは当然国民自身が大いなる疑惑を持つ問題ではなかろうかと思うのでありますが、その点についてはいかがなものでしょう。
#42
○説明員(宮嶋剛君) まさに先生がおっしゃるような事例につきましては、理由にならない。さっそくにも保護の停廃止を場合によってしなくちゃいかぬという事例が多かろうと思います。
#43
○渋谷邦彦君 先ほど来からこの種の指導については非常に慎重に慎重を重ねる、ごもっともだと思います。へたをいたしますと、先ほども申し述べましたように、人権問題がからみますので、今後もその方向を変えないでおやりになっていただきたいと思いますけれども、ただ、せっかくそのように仕向けられながらも、個人的な、あるいはその理由をもとにして拒否をすると、これはやはり許しがたい問題ではなかろうか、そうした場合がこれからも十分考えられる。先ほども間々あるとおっしゃいました。こういうケースが間々あるということは、相当な数にのぼるんじゃないかということを心配するわけであります。そうした場合に、一体目標といたしまして、どのくらい時間をかければあるいはその適用を廃止するとか、あるいは引き続き継続的にこの方のめんどうを見ていくんだという、その判定の基準と申しますか、そういうものは実際にあるんでございましょうか。
#44
○説明員(宮嶋剛君) 実は、そこら辺につきまして具体的な基準があるわけではございません。先ほど来申しますように、片方では私どもは人の命を預かって、生活を預かって慎重にしなければならないという要素と、それからこういう制度のもとで給付を受けられることについて、そこに能力がありながらこれを受けるということがあってもいけません。そのかね合いでございます。そこはケースの状況によりまして、ケースバイケースで常識的に処理する。それだけの、常識を涵養するだけの訓練はしておるつもりでございますが、そういうことにつきまして具体的な基準があるわけではございません。
#45
○渋谷邦彦君 六十二条の第一項に、申すまでもなく、ただいま申し上げたように、「第二十七条の規定により、被保護者に対し、必要な指導又は指示をしたときは、これに従わなければならない。」と、たいへんきびしい一つの条文があるわけでございます。さらに、施行規則の第十八条には「第二十七条第一項の規定により保護の実施機関が書面によって行った指導又は指示に、被保護者が従わなかった場合でなければ行使してはならない。」と、これは廃止するかどうかの問題でございますが、こうした一つのきびしい条件があるわけでございますね。こうした適用というものは、どのように一体お考えになっていらっしゃるのか。そして、またこの運用については、今後こういう事例が起こった場合にどのようになさっていくのか。まあ、いままでの御説明で多少は理解したつもりではありますけれども、やはりこの法律がある以上は、やはりこの条文に照らして適正な運用をするという原則的なたてまえから当然過ぎるほど当然でございます。こうした場合には、一体どういう処置をとっていらっしゃるのか。厳密にいままで、どうしても言うことを聞かない場合に、適用を停止したような事例が相当数あったものかどうなのか、その辺はいかがなものでございましょうか。
#46
○説明員(宮嶋剛君) まことに申しわけないんですが、いま二十七条違反によりまして、結果的に六十二条の第三項によります停廃止の件数の数字を持ち合わせておりません。あと調べまして申し上げます。
 先ほどの話でございますが、私ども事由によりまして、その事由によっては長くかかるやつもあります。また、先ほど若干例も出ましたけれども、だれが見てもおかしいという事例があるわけでございます。そこら辺はもう時間もあまりかけないで、もちろんその場合でも具体的な口の指導から始まって、文書指示というところまでいくと思いますけれども、時間をとらないで処分をしたいと思っております。
#47
○渋谷邦彦君 たとえば常識的に考えて、どう見ても指導した結果、情状の余地はないという、何か明確な基準、明確とまではいかなくても、大体こういう場合には適用しているつもりでありますというようなその範疇はございませんでしょうか。
#48
○説明員(宮嶋剛君) 実は、私どもの扱っておりますケースというのはもう千差万別でございまして、もちろん生活保護というのは全国的にすべての県について、しかも一線の福祉事務所で仕事をやるわけでございますから、できるだけ公平な観点からいろんな基準をつくっておりますけれども、そこら付近の問題になってまいりますと、あとは私どもと、それから県あるいは福祉事務所の職員とか、いわゆる社会的な良識というものを常々勉強もし、またお互いにケースを持ち寄って勉強し、そこから一つの考え方をつくっていくというふうなことでやっていくわけでございます。具体的な基準――こういう場合は何日で、こういう場合には半年でという基準をきめることはむずかしいわけでございます。
#49
○渋谷邦彦君 たとえば、このような場合はどうなりましょうか。先ほど来、東京の例が不正事件としてあがったわけでございますけれども、いま九州方面でこの種の問題が若干出ているようであります。その一つ二つを申し上げてみますと、その一つは、北九州の八幡東というところに住んでおられます木村友喜さんという方がございます。この方は四十五歳、奥さんが四十歳、それから長男が十一歳、長女が四歳という四人家族の構成でございます。ところが、この家庭の状況を見ますとですね、主人がたいへん健康である。しかも、現在求職指導中であるけれども、日雇健保関係の事務に無報酬で携わっている、なかなか当局の指導に従わない、こういう事例があるわけです。また、もう一つの例は、福岡県の嘉穂というところに住んでおられる川角定近さんという方でありますが、この方は主人が四十二歳、奥さんが三十一歳、病弱。子供が三人、中一から小四、それから奥さんのおかあさん、六人家族。この方は元町会議員をやっておられまして、次の選挙のときに落選をしている。したがって、報酬は全然ない。そこで職安では求職指導を一生懸命おやりになっている。しかし御本人は賃金が五万円以上でなければ働けない、こういうふうに主張されましてですね、就労しない。しかも、現在は主人、妻ともに団体活動している模様である。こういう状態が調査の結果わかったわけでございます。こういう例が今後あちらにもこちらにも出るという――絶対でないという保証はないと思うんですね。そうした場合に、この種の問題について、これは明確に、一つの事例でございますからどのように御判断なさっているのか。それからまた、これからどのような対応策をおとりになるつもりなのか、その辺一つずつ明確にされてくれば、大体当局として今後こういう構想でもって臨まれるんだなと、私どもとしても理解が少しくできるんではなかろうか、こう思いますので、この点についての御答弁をお願いしたいと思うのであります。
#50
○政府委員(橋本龍太郎君) いま御指摘になりました二例、おそらく代表的な二例をあげられたんじゃないかと思いますけれども、いまお話を伺いました範囲内では、実は非常にばく然としておりまして、もう一つ実は明確でございません。いま何か一つの事例におきましては、奥さんは病弱であり、子供さんが三人と奥さんのおかあさんでありましたか、何か六人世帯、そして団体の何か活動に無報酬で従事しておる。また、先のケースでは御主人、奥さんともに健康であり、子供さんが二人ありましたですか、これも何か団体関係、日雇健保でありましたか、無報酬で働いておられる。いま何かちょっと奥歯にひっかかる点が確かに伺った範囲ではありますけれども、もう少し具体的にもし御承知であればお聞かせを願いたいと思います。と申しますのは、いまお話がありました範囲だけで判断をいたします場合には、そのほかの状況の組み合わせによっては、これはいろいろな答えが実は出てくるかと思います。たまたま就職あっせんをしましても、御本人の従来の職種から考えて、あまり不適なものがあっせん対象に多かったとか、いろいろなケースもありましょうし、特に奥さんの病弱である場合、また子供さんもわりあい幼いようでありますし、きわめて遠距離の通勤地に対する就職あっせんであれば、これはもう一つやはり就職あっせん自体の内容も考え直さなければならない点もあると思いますし、いまお話を伺った範囲内では、もう一つ確かに問題がありそうな感じがいたしますけれども、なおちょっと中身がばく然としております。せっかく御指摘をいただいたわけでありますが、もしその中身についてもう少しこまかく御承知の点があればお聞かせを願いたいと思います。その中身によりましてあらためて御答弁をいたしたいと考えます。
#51
○渋谷邦彦君 十分ではないとは思いますけれども、この方の保護が開始された年月日が昭和三十九年八月二十日……。
#52
○政府委員(橋本龍太郎君) どちらの方ですか、最初の例ですか。
#53
○渋谷邦彦君 木村さんのほうです、最初のほう。現在受けておりますのは三万四千三十円。あるいはこれはちょっと古い資料ですから変わっているかもしれません。そのほかの収入がゼロです。それから、現在は「生活と健康を守る会」の幹部をやっておられるそうであります。これが追加して申し上げるわかった範囲でございます。
 それから、第二番目の人が、保護開始が昭和四十二年五月一日、最低生活費、つまり受けておられる金額が四万一千百六十円、ほかの収入はゼロ。そのほか、これは主人か奥さんかわかりませんけれども、赤旗の配達員をやっているというような事情がわかっているようであります。むしろこの両者の事実関係につきましては、当局のほうが、私がいま申し上げた事例を通しまして、もっと正確に御調査を願えればよろしいのではないか。そしてまた同時に、調査をされた結果、いま私が申し上げたことに間違いがなければ、一体どのようなこれからの御方針で臨まれるのか、その二点あわせてお尋ねします。
#54
○政府委員(橋本龍太郎君) いま渋谷委員から御指摘がありました件を見ますと、確かにちょっと問題があるような感じがいたします。確認を一つさしていただきたいのでありますが、先ほど一つばく然と最初にお話になりましたときに事例を引かれまして、特定の団体活動云々というようなお話がちらっとあったように思いますが、「生健会」の幹部というお話もあとの御質問でありました。そうしますと、この「生健会」活動に従事をしておられて、それが忙しいために片方の方は就労ができないというようなこども言っておられるわけでありますが、私どもとしては、これはなお細部十分に調べた上でなければ正確なことは申し上げられませんが、いまお話のありました範囲では、これは非常に問題がある。先ほど仮定の質問として御質問があり、保護課長が御答弁を申し上げたのと非常に類似したケースであると考えます。いま御指摘になりましたように、これはさっそく調査をさせていただきたいと考えます。そしてその調査の結果によってどうするかというお話でありましたが、先ほど仮定の御質問としてありました際に、保護課長が答弁申し上げましたとおり、あくまでもその生活保護でばく然と最低生活を保障するだけではなくて、むろんそれ以上は職場についていただく、就労していただく、みずからの生活費はみずからの力によってかち得ていただくのが本旨であります。その就職指導等もむろん行なわなければなりません。ところが、いま御指摘のありましたようなケースでありますと、すでに就職指導等は相当十分にやっているようであります。そして、なおかつ特定団体の行動にみずからの意思で無報酬で従事しておられて、生活保護を受けておられるということであれば、むしろこれは、先ほど保護課長が御答弁申し上げたと同じように、その就職指導等に正当な理由がなくて従わぬというのでありますから、これは六十二条第三項の適用を、当然保護の停廃止になり得る件であると考えております。これは実際に調査をさせていただき、もしそのような実態でありましたならば、保護の停廃止その他の処分を当然しなければならない。いま伺いました範囲内で判断をいたしましてそういう感じがいたします。実際の結果そのようでありましたなら、保護の停廃止等の処分を行ないたいと存じます。
#55
○渋谷邦彦君 まあ、そのほかにも具体的な事例がございます。これは実際にその場所のケースワーカーでございますが、調査の結果をまとめて報告されたものがございます。この中には、あえていま名前を伏せておきたいと思うのでありますが、生活保護の適用を受けましてから相当熱心にケースワーカーが指導されておりまして、それが報告につづられております。ところが、この人は三十五年三月一日に生活保護の適用を受けて、昭和四十二年十二月まで保護歴があるわけでございますけれども、その間、本人の行動必ずしも良好と思われない。組合勢力拡張に活動を続け今日に至っているというような報告がケースワーカーの報告として出ているのです。こうした事例が今後ひんぱんとして起こるならば、先ほど来御答弁のございましたように、これはゆゆしい一つの問題ではなかろうか、こう思いますが、時間もだいぶ経過しておるようでございますから、きょうはこの辺で質問を打ち切りたいと思いますけれども、最後に、やはり当局として、現在とかく問題になりがちな生活保護の適正な運用、これはぜひとも今後厚生省として、先ほど来の方針にのっとった姿勢をくずさずにやっていただきたいということは当然でございますけれども、今後こうした問題が起こった場合でも、やはり厳正なあり方を示していただきたいということを申し上げまして、さらに総括的に当局としての今後に対する方針をお答えいただきたい。
#56
○政府委員(橋本龍太郎君) 渋谷委員も十分御承知であり、先ほどからそうした点を踏まえて御質問いただいてきたわけであります。生活保護そのものは、わが国の現行憲法のもとにおいて、最低の生活水準に達し得ない貧困の御家庭に対し、何らかの事情のある家庭に対して手を差し伸べて、国としてできる限りのお力添えをしていこうという考え方から出てきたのであります。これ自体は、私ども今後もなお伸ばしていかなければならないものであると基本的に考えております。しかし、いやしくも不正な手段で保護を受ける、言いかえれば、みずからそれだけの権利がないものが、その権利を詐取するというような行動に対しては、これは厳正に法を運用し、排除していくように全力を尽くしてまいるという点では、従来と、とってきた方針には変わりはございません。ただ、ただいま御指摘のありましたようなケースが、現行十分にチェックし得ないために出てまいりましたことはきわめて遺憾であります。今日までも、私は、関係係官はみずからの全力は尽くしてまいったと考えておりますし、今後ともにその全力は尽くしてくれるであろうと、そのようにも考えております。法の厳正な運用には今後も十分な努力をいたしてまいるつもりであります。そして、同時にいわゆる個別ケースの監査にできる限り十分な力を入れて、先刻申し上げましたように、特に福祉事務所の活動等に制限を受けやすい、困難の多い地域、いわゆる大都市を中心とした地域については、特に十分な監査を行なってまいりたいと考えております。また、その結果、具体的な不正受給の事実が発生いたしました場合、また不適格な事例が発生いたしました場合、それ相応の処置をとっていくことも、これは当然であります。
 ただ、最後に渋谷委員に一点、これはお願いをいたしたい点がございます。ただいま特定の福祉事務所、ケースワーカーのつくり上げた書類でありますと称するものを一部この委員会の席上に、その写真版を御呈示になりました。公労員にはいわゆる機密の漏洩に関する責任がございます。いやしくも個々の国民の御家庭の中にまで特に立ち入ってまいります福祉行政におきまして、その個々の御家庭の完全にプライバシーに属すべきことが必要以上に世間に明らかになることは、断じてこれは国としても妨がなければなりません。特にそうした点ではケースワーカー等、こうした仕事に従事される方々に対しては、そうした点で個人の家庭生活に対する機密の保持について十分の責任があるわけであります。これがいずれの場所からどのようにして渋谷委員の手元に届けられ、資料として提供せられたものであるか私は存じませんが、でき得ますならば、そうした関係の書類、特に特定の公務員に対し機密の漏洩の疑いさえ起こり得るような書類に対しましては、でき得る限り資料として御行使いただく範囲にとどめられ、むしろ機密漏洩その他の問題で、私どもが、真剣に努力を毎日繰り返しておりますケースワーカー等に対して処分を考えなければならぬような事態だけは起こさないように御協力を願いたいと思うわけであります。私どもとしては、個々のケースにつきましても、従来も能力のあとう限り全力は尽くしてまいったつもりであります。不幸にして、いま御指摘を受けるような幾つかの問題点が提起をせられました。具体的に氏名その他をあげられました二つのケースについては、さっそく厚生省としても責任をもって調査をいたし、その調査の結果によって不正受給の実態あるいは不適法な受給の実態が明らかになりました場合には、法の示すところによって厳正に処分をいたします。同時に、今後個々のケースにつきましての監査にもでき得る限り万全を期してまいるつもりでおります。
#57
○委員長(佐野芳雄君) 他に御発言もないようですから、本日の調査はこの程度にとどめておきます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時四十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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