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1970/05/07 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 社会労働委員会 第18号
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1970/05/07 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 社会労働委員会 第18号

#1
第063回国会 社会労働委員会 第18号
昭和四十五年五月七日(木曜日)
   午前十時四十七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐野 芳雄君
    理 事
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                吉田忠三郎君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                黒木 利克君
                高田 浩運君
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                横山 フク君
                占部 秀男君
                大橋 和孝君
                中村 英男君
                藤原 道子君
                柏原 ヤス君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  野原 正勝君
   政府委員
       労働大臣官房長  岡部 實夫君
       労働省労働基準
       局長       和田 勝美君
       労働省労働基準
       局賃金部長    藤繩 正勝君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       厚生省社会局生
       活課長      岡田 達雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○家内労働法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐野芳雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 家内労働法案を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○渋谷邦彦君 前日の質問を整理いたしまして、若干それに加えてお尋ねをしたいと思います。
 まず、初めに法律案を拝見いたしますと、工賃の支払い期間を一カ月というふうに一応規定されております。御承知のとおり、家内労働者は一刻も早く対償を受け取りたい、いわゆる対価を受け取りたいという気持ちは非常に強いものがございます。したがって、この辺の技術的な操作として、一週間以内にというようなことができなかったのかどうか、その点いかがですか。
#4
○政府委員(藤繩正勝君) お説のように、家内労働者は工賃によりまして生活をし、あるいはそれによって生計を補助するために労働をしておるものでございますから、できるだけ短かい期間内に支払いをするということが好ましいことは当然でございます。しかしながら、この法律の条文は、当然のことながら、委託者に対して、一定期間内に支払うということを罰則つきで強制するということでございますので、委託者としても、支払うことが可能であり、かつ、社会通念上妥当とされる期間を設けるということはやむを得ないことではなかろうかと思うわけでございます。そういう意味で、答申の御趣旨を尊重いたしまして、本法案では、労働基準法でも、御承知のように、賃金を毎月一回以上払えとなっておりますのと同様に、一カ月以内払い、これはあくまでも最低基準としてでありまして、できるだけ早く支払うようにしなければならないということは当然でございます。そういった趣旨は十分指導をしてまいりたいと思います。
#5
○渋谷邦彦君 当局が考えていることがそのまま委託者等にも理解されてまいりますれば、起こるであろう障害というものは当然解消されて、何ら問題は起きないと思うのですけれども、えてしてやはり工賃を早くもらいたい、そういう急ぐ場合であっても、法律上はこうなっているじゃないかというようなことになりかねない。そういうところでトラブルが起きることは好ましくないという観点に立って申し上げたわけでありますが、やはり当局としては、その面の行政指導というものもお考えになっていらっしゃるのだと思いますけれども、具体的にはどんな考え方でおやりになるのですか。
#6
○政府委員(和田勝美君) 法律の趣旨につきましては賃金部長から申し上げたとおりでございます。それぞれの実は慣習がございまして、決して一カ月でなくて十日払いとか、一週間払いあるいは十五日払いというようなところもあるわけでございます。そういうような慣習は、法律が一カ月以内と規定したからといって、決して変えることのないように、委託者にはそういう行政指導をやっていきたい。一条にもそういうことが書いてございますので、そういうことは行政指導をしてできるだけ早い機会に、しかも、その慣習が尊重されて行なわれるようなことに行政指導をしたい、かように考えております。
#7
○渋谷邦彦君 次に手帳のことでありますけれども、委託者と委託を受けて仕事をする人がかわった場合、それはそのつど手帳を発行することになりましょうか。
#8
○政府委員(藤繩正勝君) この法案の第三条には、委託者が委託をするにあたって家内労働者に家内労働手帳を交付しなければならないとございます。したがいまして、そういった場合には、あらためて委託者がその家内労働者に家内労働手帳を交付するということになります。
#9
○渋谷邦彦君 そうしますと、そのつど発行する、これがたてまえでございますね。了解いたしました。
 次に申し上げたいことは、この婦人少年局でまとめられた、おたくから出されたパンフレットでございますが、この中をずっと数字を通して拝見してまいりますと、やはりいろいろな心配になるような状態が判断されるわけであります。たとえて申し上げますと、この事業所において、百人以上の規模を持っているところにおいては、昨日も問題になりました仲介人が入った委託契約というようなものが非常に高率のパーセンテージを示しているわけであります。むしろ小規模、五人から十人前後と、むしろ仲介人にたよりたいというような立場に置かれる人が非常にうまくできておるような数字になっているわけです。仲介人のその仲介を経ずして、直接交渉でもってその仕事を取っている。そうしますと、規模が大きくなればなるほどさらにやはり一まつの不安をぬぐいされないということは、規模が大きくなれば、なるほど搾取されていく工賃というものもふえていきわしまいか。そういうところを当局としてこれからも十分配慮はしていかれるだろうと思うのですけれども、この事業所の規模が大きいところに仲介人が多いというのは非常に矛盾しているじゃないか。職業安定所というものはそのためにあるわけでありますから、その辺の関係はどうなっておりましょうか。
#10
○政府委員(和田勝美君) 仲介人につきましては、昨日もお答え申し上げましたが、一般的に非常に家内労働者が散在をしておりまして、事業所がみずから各家内労働者のところに出向くということがなかなか困難な事情もございますので、とかく仲介人というかっこうで扱われる場合が多うございます。大規模の場合におきましては、その仲介人は大体グループのリーダーのような方で、代理人的な仲介人の方が多いのではないか、かように推量しております。この方たちは仲介人であるとともに自分も家内労働者、一緒に仲間でおやりになっているというような点があろうと思います。そういう場合にはあまりピンはねというようなこともなかろうかと存じますが、規模が大きくなるに従いまして仲介人が多いといいますのは、規模が大きければ大きいほど発注量が多くなり、家内労働者の数もふえますので、ある程度やむを得ない事情において仲介人の方が多いのじゃないか、こういうように考えるのでございます。しかし、当然これはできるだけ直接やってもらいましたほうが、重層的なものがあったりあるいは仲介的な人がないほうが弊害が少のうございますので、いま申しましたような事情のあることを私どもは了解いたしますとともに、しかし、できるだけ少なくしていくことにこしたことはないという考えでございますので、今後、法律制定後におきましては、そういうようにできるだけ仲介をやらないような事情をつくりあげるような行政指導をやってまいりたい、かように考えております。
#11
○渋谷邦彦君 百人以上の規模の事業所につきましては、どの程度当局として実態を掌握されていらっしゃるのですか。そしてまたこの仲介人がコミッションを取っている有無については。
#12
○政府委員(高橋展子君) 私どものほうで行ないました調査でございますので、私からただいまお尋ねの点についてお答え申し上げます。
 この調査は、全国の約二千事業所について行なったものでございまして、これらの事業所は衣服、繊維製品、身の回り製品、そのようなものの内職を発注しております事業所でございます。この調査の対象でございますところの事業所につきましては、仰せのように、規模の大きな事業所のほうに仲介人があるという割合が高いのでございます。規模の大きいところに仲介人が多いという理由は、ただいま基準局長から申し上げたところであると思います。仲介人にいわゆる仲介の手数料というものを払っている場合、その払い方がどのような形かという点でございますが、内職工賃と別に仲介手数料として支払うという、いわゆる外口銭の形をとっているものと内職工賃に含めて支払うという内口銭の形態をとるものとございますが、割合からいいますと後者、すなわち内口銭の形をとるもののほうが六四%でございまして、そのほうが多くなっているわけでございます。この内口銭、外口銭の支払いの形態を事業所規模別で見ますと、やや、企業規模の大きいほうに外口銭の割合が大きく、企業規模の小さいほうは内口銭の形をとるものが多いようにうかがわれるのでございます。
#13
○渋谷邦彦君 これも一種の流通機構みたいなものだろうと思うのですけれども、こうした全く影響がないと、先ほど来からおっしゃっておりましたように、弊害がないならば、ある程度は是認するということも人情として認めることができると思うのですけれども、あながち、われわれが聞いております限りでは、そうではない。やはり何とか自分たちが仕事をしてきたその報酬というものは全額もらいたい、これは当然だろうと思います。そうした一つの機構というものは改められないものなのかどうか。これはどうしてもある程度は黙認しなければならないものなのか、黙認するとするならば、今後の指導につきましてはどのようなことを心得てこの問題の解消につとめていかなければならないのか、その辺の考え方ですね。
#14
○政府委員(和田勝美君) 仲介人が介在する率が高ければ、そこに弊害が出るという先生の御指摘は、私どももそのように考えております。したがいまして、いろいろ従来やりました調査あるいは家内労働審議会の審議等におきましても、仲介手数料を規制をしろ、あるいは仲介人を廃止をしろという相当強い意見がございました。しかし、家内労働の実態におきまして、家内労働の相当部分がやはり仲介者によって成り立っておるという現実も必ずしも否定できないし、仲介者がおるほうが便利だということを言われる向きもあるのが現状のようでございます。したがいまして、これを直ちに廃止をするということは、現実問題としてなかなか困難であろうと、かように考えておるわけでございますが、この法律ができ上がりました暁におきましては、その手数料の適正化、合理性というようなものにつきまして、私どもとしては、ぜひ指導してまいりたいと思いますし、そういう問題につきましても家内労働手帳で明確になるような方式も考えていきたい。また、最低工賃制度を適切に運用することによりまして、漸次悪質な仲介人の介在を排除するというようなことで対策を進めてまいりたいと思いますが、これらの状況が進展をいたしますにつれて、法的の問題につきましても現実との妥協をどこまで進めていくか、あるいは現実をどれだけ前進させるかということで、行政の姿勢が進んでいくにつれまして、法的な問題についても将来検討してまいりたいと、かように考えております。
#15
○渋谷邦彦君 一挙にこの問題の善処ということはなかなかたいへんだろうとは思います。しかし、家内労働手帳にたとえ明確に工賃の内容が明記されたといたしましても、コミッションというものはその手帳の中にあらわれてまいりませんから、やはり抜け道というものは必ずできてくる。その点は、今後やはり行政指導に待つ以外には方法はないんだろうと、こう思いますので、ひとつ厳重にやっていただきたい、こう思います。
 それから次にお尋ねしたいことは、せっかく仕事にありついて、時には、なれない仕事を一生懸命やる場合があるかもしれない。ところが、やはり同じように、この出していただいた資料をもとにして感じられることは、規模の大きい事業所に限って、委託を受けたほうの仕事の状況が悪い場合、早く言えば、製品のできが悪い場合ですね。これを個々に買い取らせるという行き方があるようですね、これもデータの上ではっきり数字が出されておるようであります。工賃が安い、しかも、その上にできが悪かったために買い取らされるということになりますと、やはり家内労働者は踏んだりけったりじゃないかという印象を強く受けるわけであります。こういった面のやはり指導というものも、これから非常に大きなポイントとして望まれることではないか。もちろん委託者と委託を受けるほうの関係によって、契約によって仕事をするわけでありますから、文句は言えないといえばそれまでかもしれませんけれども、その辺、労働省としては、こういう問題についての対応策をどう考えていかれるのか。やはりこれは委託者と委託を受けるほうの間において取りきめるべき問題であって、われわれとしてはいたずらに介入すべき問題ではないと、このように判断されるのか。それとも、もっとやはり善処すべき余地を残しておくのか。この点はどうでしょう。
#16
○政府委員(和田勝美君) 確かに先生御指摘のように、婦人少年局でやりました調査結果によりましても、百人以上で三・四%が不良品が出た場合には買い取らせる、こういう調査が出ております。これにつきましては、買い取らせることもやむを得ない状況があるかとは存じますが、しかし、そういう状態が出ないことが何よりも望ましいことと考えます。その点は、婦人少年局でやっていらっしゃいます内職公共職業補導所あたりで技術指導をやっていただく、そういうようなことによりまして、できるだけ不良品ができないような状態をまずつくらせていく、こういうのが私どもとしてやるべき第一段。それからこの買い取らせるという事情の詳細の問題は、私もちょっとこの調査からはっきりいたしませんので、もし必要があれば婦人少年局長のほうからお答えを申し上げることにいたしますが、買い取らせるということは、確かに一般的に言いまして家内労働者には酷である、こういうように思います。そういう点からいたしまして、技術指導をいたしますとともに、買い取らせる事情はどういう事情で行なわれたかというようなことを調査いたしまして、その合理的な意味合いのあるものについてはやむを得ないと思いますが、買い取らせることよりほかの方法でやるべきことのほうが当を得ているというような判断に立ちます場合には、ぜひ委託者のほうに対して行政指導をして改善をさしたい、かように考えております。
#17
○渋谷邦彦君 せっかく婦人少年局でお出しになった資料でございますので、この実情はどうなっているか、お聞かせいただけませんか。
#18
○政府委員(高橋展子君) ただいまの点につきましては、私どもも、この調査が事業所のほうから聞き取ったものでございまして、この調査報告にあらわれております以上の実情につきましてはつまびらかにいたさないのでございますが、従来からのいろいろな研究で推測されますことは、買い取らせるというのは非常に特殊な例でございまして、主として高級品などの内職で、その契約が請負的なもので、慣習としてそのような約束で行なわせてきているというような特殊な例ではないかというように考えておりますが、これはあくまでも推測でございます。
#19
○渋谷邦彦君 いまお聞きになっているとおりでありましてね、高級品ということになれば一これはあるいは推測の域を出ないかもしれません、いまの御説明のように。しかし、もしこれが事実だとするならば、おそらく、これさえやれば相当高い工賃が支払ってもらえる、そういうことが予測されるので背に腹はかえられない。まあ、やるからにはそういう事故のないようにやるんでしょうけれども、しかし、結果としてそういう不良品が出た場合には、なけなしの金をはたいて買い取らなければならない。ということになると、損害があるいは倍になるかもしれない、三倍になるかもしれない。この場合の救済の方法はどう考えるかということもやはり問題点の一つではないかと思うんですね。確かに法律そのものの制定にあたっては、家内労働が複雑多様、これからもますます多様化を加えていく、冒頭からそういうことを申されておりますけれども、しかし、こうした現実問題があるわけですね。こうした現実問題をこれからどう処理するのかということについて、単なるこれは行政指導だけではなかなか要を得ない場合があるのではなかろうか。具体的にこうしたような事実関係が起こった場合、一体どう処理されていくのか、この辺いかがですか。
#20
○政府委員(和田勝美君) これから法律施行にあたりましては、先生がいま御指摘のように、高級品を買い取らせるということでは、これはもう買い取らされた方はたいへんな状態になると思います。そういうような問題がございますので、実は家内労働手帳には家内労働審議会からの意見もございまして、ぜひ不良品の扱いには家内労働手帳で明確にしておくというような御指示もございますので、ぜひそういうことについてまずトラブルが無用に起きないような措置を講じますとともに、先ほどもお答えを申し上げましたように、これはいかにも買いとらせることに合理的な理由がないんだ、また、非常にそれが高いものにつくというようなものにつきましては、私どもとしては、ぜひ委託者側に対しましてその理由をよく説明をし、あるいは事情を聞いた上でそういう現象の出ないように行政指導を今後やっていきたい、かように考えております。
#21
○渋谷邦彦君 大臣、そこで、昨日からいろいろと家内労働それ自体についての内容を中心として御質疑を申し上げております。確かに一口に言えない複雑性を持つものであることは、われわれとしても十分了解しているつもりでございますけれども、それだけに段階的に解決をはかっていかねばならない問題、それから当面直ちに解決を迫られる問題と、大まかに分けてもその二つになるんではなかろうか。したがいまして、これからの年次計画を立てるにあたって、相当この問題については、もう昨日も私申し上げましたように、昭和三十四年以来、調査会に諮問をなさって鋭意この法律の制定を検討されてこられた経緯があるわけであります。したがって、何をいまなさねばならないかということについては、当局としても、重々にわきまえていらっしゃるはずではなかろうか。こういう観点から、今後、昭和四十六年度の年次計画を計画するにあたって、五年間あるいは十年間という一つの長期構想に基づいた家内労働というもののどうあるべきかというビジョンをお持ちではないかと思いますので、その点の大臣の所信をお尋ねしておきたいと思うわけであります。
#22
○国務大臣(野原正勝君) 家内労働法案は、家内労働審議会の答申の考え方に基づいて、当面、まず最も基本的、かつ、緊急に必要な事項について法制的措置を講じようとしたものであります。家内労働対策は、最低工賃の推進、就業時間の適正化、安全衛生の確保等の労働対策を進めていくことはもとより、一方において社会保障制度及び税制の検討、中小零細企業対策の推進等、関連する諸施策の総合的実施に待たなければならない面が少なくないのでありまして、私としましては、関係各省あげてこれが対策に取り組む姿勢をつくってまいりたいと存じます。
 なお、本法律の運用方針につきましては、今後とも中央家内労働審議会の御意見を伺って決定していくつもりでありますが、関係各省の連絡を密にするためにも、審議会に関係行政機関の職員に何らかの形で御参加を願い、家内労働行政の一体化に資したいと考えております。
 また、今後労働力不足の激化等に伴いまして、雇用労働の肩がわりを家内労働に求める傾向が強くなるものと予想されますが、政府としましては、今後のわが国家内労働の実態及び推移に十分の注意を払うとともに、積極的に労働力政策の展開によりまして、よりよい雇用機会の確保と労働条件の改善につとめる一方、これに見合って家内労働についても、この法律の施行を通じてより明るい内容を持つものに漸次近づけてまいりたいと考えておるわけでございます。
#23
○渋谷邦彦君 いま大臣のおっしゃられたことは、今後に臨む基本的な姿勢ということでございました。さらに、私は先ほど申し上げましたように、当面すぐやらねばならない問題、これはこの法律が制定されて、これから一年、二年実際に運用されたその結果を待たねばならないとおっしゃるかもしれないけれども、昨日来いろいろ申し上げてございますように、あまりにも問題点が多過ぎる。せめてその一つでも、二つでも当然考えて解決に全力を尽くさねばならない。そのためには予算的措置をどうするとか、あるいは段階的にこの問題については解消していかなければならない、それについてはこう考える、このように具体的にお話をいただいたほうが国民には納得がいくのではなかろうか、こう思いますので、さらにその辺の明確な具体的な今後の政策策定についてお聞かせいただければありがたいと思います。
#24
○国務大臣(野原正勝君) この法案が成立いたしますれば、これを契機に、従来の予算ワクにこだわらずに、必要な事項の実現のために積極的な要求をいたしたいと考えております。特に次の五つの事項については最も優先的に考えてまいりたいと考えております。
 まず一つは、最低工賃の決定でありますが、家内労働者の労働条件の向上にとって最も基本的な事項であるので、家内労働審議会におはかりして、年次的計画を樹立するなど、積極的に推進してまいりたいと思います。
 二つは、安全衛生対策が家内労働者の生命と健康を守るという見地から緊急、かつ、基本的な事項である。このためには、まず家内労働者、委託者双方に対する安全衛生教育の必要性が高いので、安全衛生上、問題のある産地を中心に必要な安全衛生措置についての集団指導を実施するとともに、災害防止措置を講ずるのに要する費用につきましても、委託者等の負担を軽減するための安全衛生施設融資制度のごときものを考慮してまいりたいと思っております。
 なお、疾病の発生するおそれのある業種においては、家内労働者の健康診断をできるだけ委託者の負担において実施するように指導いたしたいと思います。なお、国も特殊健康診断の実施について必要な援助を行なうことなどの体制を充実してまいりたいと考えております。
 次は、家内労働法施行体制の充実について、主として本法の施行事務に当たる都道府県労働基準局及び労働基準監督署の人員の確保について最大限の努力をしてまいりたい。特に労働基準監督官については、労働災害防止の見地からの強い要請もありまして、極力その増員につとめる考えでございます。また、家内労働者の多数存在する地域の労働基準局には、地方家内労働審議会を早急に設置するよう今後とも努力してまいりたいと思います。
 次は、本法の円滑な施行のためには、法の内容を家内労働者及び委託者に広く周知徹底させることが特に必要であると考えますので、各産地ごとの説明会、指導会の開催、パンフレット、リーフレットの配布、ポスターの掲示等によって法の内容の周知をはかるほか、各種広報機関、関係公共機関など、あらゆる手段を通じて本法の普及啓蒙をはかってまいる考えであります。
 次に、当面多数存在する内職者に対して、適切な就業機会のあっせん、技術指導、相談などを行なっている内職補導事業については、地方公共団体の御協力を得まして、補導所の増設、内職相談員の増員、技術指導の強化につとめてまいる考えでございます。
#25
○渋谷邦彦君 そのあげられた項目については、もう一々もっともだと思うのです。これはもうぜひとも強力にこの法の施行とともに、それが具体化されるように御要望を申し上げておきたいと思いますが、その予算の取り方について、労働省は一番少な過ぎる。予算の規模からいいましても、熱意がないわけじゃないでしょうけれども、各省と比較しても、仕事があまりにも集約されているせいか非常に少ない。特に家内労働対策費、その項目はちょっと私聞き違えておるかもしれませんけれども、昨日の説明では一億四千万、これではとてもじゃないけれどもできません、きのう内訳を聞きました、一つ一つ。そこで、いま申された項目が実際に効果ある結果となり、効果ある姿となるかどうかには、やはりこの予算措置という具体的なことが必要になってきはしまいか。もうそろそろ次年度予算編成期にさしかかったわけです。そこで、ただばく然と最大限の努力をされるといいましても、どこまでが最大限かちょっと見当がつかない。やはりむしろ数字でこの程度はという意のあるところを大臣からお伺いをしておきたいものだと、こう思いますけれども、とりあえず、昭和四十六年度の予算編成にあたりまして、特にこの問題に限ってどのような予算措置をお考えになっていらっしゃるか、その点を明らかにしておいていただきたいと思います。
#26
○国務大臣(野原正勝君) 先ほども、従来の予算等にこだわらず必要な事項の実現につとめたいと申し上げましたが、実は家内労働法成立の機会に、関係機関等の御意見を十分にひとつ伺いまして、積極的な予算を要求したいと考えておりまして、まだ数字の面ははっきり聞いておりませんし、いかなる規模でいくかということも必ずしも明言できませんけれども、とにかく飛躍的な予算として、従来の予算に一切こだわらずに新しい息込みでひとつこの問題は対処いたしたいと考えております。したがって、いずれそのうちに予算の構想がまとまりましたら皆さま方の御協力も得たいと考えておるわけでございます。
#27
○渋谷邦彦君 じゃ最後に、いずれにしてもせっかく苦労してできる法律でありますから、その実効を期するためにはもちろん最大の努力を払っていただきたいことは言うまでもございませんけれども、いま非常に残念に思いましたことは、もう次年度のこともすでにお考えの中にあるのじゃないかということを想定をしてお尋ねしたわけです。それだけ前向きに取り組まれておる労働省とするならばこれは当然のことではないかと思うのでありますが、ともあれ、いま大臣が所信を表明され、予算の上でも最大限の配慮をしていくということに期待をして、それが今後一体どうあらわれるかはまた次の機会の委員会等において十分検討さしていただきたい、こう思っておりますので、所期の目的が十分達成されますように御要望申し上げまして私の質問を終わらせていただきたい、こう思います。
#28
○中沢伊登子君 昨日からこの法律案に対して、ほんとうに微に入り細をうがったいろいろの質問が繰り返されたわけでして、いまさら私がもう御質問を申し上げる余地がなくなったという感じがいたします。しかも、いまの大臣の所信表明を伺っておりまして、ほんとうにこの法律案が生きて働くことを私どももこいねがうわけでございますが、特に家内労働者というのは婦人が大半を占めておりますので、その立場から私は二、三御質問を申し上げたいと思います。特に、国会が終盤になってまいりまして、昨日、この委員会と物価の委員会とかけ持ちでございまして、あっちに行ったりこっちに行ったりしておりましたから、あるいはひょっとして重複をすることがあるかもしれませんが、それはお許しをいただいて、総括的に質問を申し上げてみたいと、このように考えるわけでございます。
 家内労働の問題が社会問題になってきて今日まで十年、この間に労働省はどのような対策をいままで講じてきたか、その点をお伺いしたいと思います。特にこの法律案が長い時間をかけて、今日ようやくこうして審議をされております過程の中で、家内労働者の保護のための規定が十分盛り込まれていないような感じがいたしますけれども、この法律案は家内労働者に何を保護しようとするものであるか、また、主婦の内職者をどのように保護しようとするものであるか、まずその点について質問を申し上げます。
#29
○政府委員(和田勝美君) 家内労働の問題につきましては、その発端が昭和三十四年にありましたヘップサンダルのベンゼンのり中毒の問題、これがこの家内労働を取り上げることになりました動機でございます。そういうような非常に不幸な発足を見まして、三十四年以来、臨時家内労働調査会を労働省としては設けまして、四十一年の十二月、わが国の家内労働の現状という報告をいただくまで、この臨時家内労働調査会でいろいろと実態の把握を中心として方策をお進めいただきまして、それに従いまして標準工賃あるいは最低工賃の設定、あるいは家内労働手帳の普及に対する努力、あるいは安全衛生措置につきましては、三十四年当時問題になりましたベンゼン含有のゴムのりの製造販売の禁止、あるいは一部の業種に対する特殊健康診断の実施、あるいは作業環境の測定及びこれに基づきます改善指導の実施、あるいは安全作業方法を家内労働者のほうにお知らせをするような、そういう行政指導を従来続けてまいりますとともに、この臨時家内労働調査会の報告書を基礎的なデーターといたしまして、四十一年から家内労働審議会が正式にできました。その審議会におきましていろいろと御討議をいただきました結果、四十三年の十二月になりまして、家内労働審議会から、今回提案をいたしました法律案の基礎になる答申をいただきました。これは前通常国会にも提案申し上げ、今回同じ内容のものを提案をして御審議をいただいている、こういうような状況でございます。
 この法案で企図しておりますものは、実は、家内労働審議会からの答申でも最も基本的で、かつ、緊急を要するものについて法制的措置を講ずるように、そうして、その法律のもとに行政措置が順次浸透していくにつれてさらに法制的な整備を段階的にはかっていくように、こういう御趣旨の答申でございますので、そういう趣旨を盛り込んだのがこの法律案の根底でございます。中身につきましては、家内労働手帳によりまして委託条件を明確にするということ、あるいは就業時間につきましては、周辺地域の状態を考え合わせながらしかるべき措置を講ずるということ、あるいは就業時間を長くしないような委託をしあるいは委託を受けるように委託者及び家内労働者が努力すること、あるいは委託の打ち切りに対する予告を規定する。それから工賃につきましては、特別の場合を除きまして直接通貨で払う、しかもそれは一カ月以内に払うことを原則とするというようなこと、また、最低工賃につきましては、低廉な工賃の存在ということを許さないという姿勢から、最低工賃の設定を労働大臣または都道府県基準局長が家内労働審議会の議を経てできるようにいたしております。それから安全及び衛生に関しますことにつきましては、委託者または家内労働者が危害を予防するためにあるいは疾病の発生を予防するための努力をすること、そういう義務とともに、特定の場合においては都道府県基準局長または労働基準監督署長が委託者またば家内労働者に対して一定の行政措置を講ずることのできるような権限を持たせる。それから家内労働はきわめて複雑多岐でございます。しかも利害関係人の方が非常に多いというようなこともございまして、この家内労働法が現実の上に立ちながら一歩ずつ前進をしていくための機関として、家内労働審議会を中央及び地方の必要な都道府県基準局に置くというようなことにいたしまして、家内労働法が現実からあまり飛び出ない、しかし、さらに着実に進んでいくような審議機関を設ける。その他監督官に対する権限規定あるいは経過措置、こういうようなものをこの法案の中身といたしております。
#30
○中沢伊登子君 これまでの主婦の内職者の悩みは、先ほどからも御質問のありましたように、工賃の不払いの問題、一カ月以内にこれは払うようにということがこの法律にも書いてあるわけですけれども、個人個人ではなかなか取引がむずかしい。こういう中で、この法律案ではなぜ家内労働者の労働組合に関する規定を設けなかったのか、その点をひとつお伺いいたします。
#31
○政府委員(和田勝美君) 家内労働者の方々の団結の問題につきましては、実態調査の結果によりますと、実は四つないし五つの家内労働者の方が労働組合ということで中労委の認定を受けられております。いままでの例でございますと、労働組合というものの性格を否定された例はないわけでございますが、そういう意味合いで、労働組合法による労働組合の団結が一方にございます。また一方におきましては、いわゆる中小企業の協同組合の認定を受けておられる組合がある。これば主としてはもちろん専業的な内職者の方に多いわけでございますが、そういう方もいらっしゃる。それとまた一方におきましては、これはもうできるだけ自分が内職をすることを隠しておきたいといわれる方もおられます。そういうようにいたしまして、家内労働者の方々の中にはいろいろの形態がある、こういうことが実態調査の結果判明いたしまして、そういうことを基礎にして家内労働審議会でいろいろ御議論になりました結果、団結問題については、この際は特に触れないほうがいいだろう、その問題についてはそれぞれのいまのような労働組合あるいは協同組合というようなところにさしあたりはまかせておいて、この法律が施行されて家内労働の実態が漸次変化をしていく中で、その実態の上に立って新しい団結の問題あるいは団体交渉の問題というものが出たときにその方向に従って法制的整備をはかったらどうか、こういうような御意向が家内労働審議会にございまして、将来の問題として検討をするようにということでございますので、今回の法律案の中にはそういうものが入れてないわけでございます。
#32
○中沢伊登子君 わかりました。今後の問題として、まだその他に何か問題、残っておりますか。
#33
○政府委員(和田勝美君) 今後の問題として残っておりますのは、税制の問題が一つ、社会保障に関する問題が一つ、それから零細中小企業対策というようなものに対する考え方が一つ、それから委託者の問題、それからまた労災保険は一応特別加入制度ということで、今回家内労働審議会は割り切られましたが、雇用労働者的なにおいの人が非常に多い、それを将来の問題としてどう扱うか、これは社会保険と同じ問題でございますが、そういうようなものが今後検討をするようにと、こういうような御趣旨でございます。
#34
○中沢伊登子君 いま将来の問題としていろいろな保険の問題が出てきたと思いますが、私が申し上げることは、もちろん労働省だけの問題ではございませんけれども、将来の問題として、やっぱり失業保険の適用の問題あるいは被用者保険の適用ですね、あるいは厚生年金の適用の問題、こういうような問題は労働省だけで考えられるべき問題ではなくて、もちろん厚生省や、大蔵省とも相談がなければならない問題ですけれども、これも前向きに考えていっていただきたいと思いますが、労働大臣、そのような御決意おありになりますか。
#35
○国務大臣(野原正勝君) 御指摘のとおり、いろんな問題がこれから考えられると思いますが、家内労働審議会の審議の中にも、そうした問題がだいぶ論議されたと伺っております。いままでは雇用労働者に対するいろんな政策としてこれらの問題が設けられたんでありますが、しかし、家内労働者に対しても、将来こういったことは当然問題となってまいるというふうに考えております。そこでこの実態が明らかになりまして、家内労働というものをいかなる形で進めていくのが最も正しいかというような問題が出てまいると思うのでありますが、それに関連いたしましてひとつ関係各方面の御理解を得まして、今後は失業保険の問題もございましょうし、厚生年金や健康保険の問題等、十分に検討さしていただきまして、家内労働者に対する社会保険制度が必要であるという段階になりますれば、これをできるだけ取り上げていくということで、今後関係方面と密接な連携をはかってまいりたいと考えております。
#36
○中沢伊登子君 これまでの主婦の内職者の希望は工賃の高い仕事がとぎれなくある、こういうことが一番願わしいわけですけれども、私のおります兵庫県の例をとって恐縮でございますけれども、相当山のほう、そういうところでは、農閑期にできるならばその農家の奥さん方がとぎれなく内職をしたい、こういう希望があるわけですね。ところが交通の便も悪いし、そういう奥までいろんな内職の物を持っていくというと交通費もかかるし、こういうことで一度や二度は持ってきてくれるが、手があいてしまって、そのあと何べん連絡をしてもなかなか内職を持ってきてくれない、こういうようなことを私聞いたことがございます。そこら辺で主婦の内職者の希望を満たすために、政府はどのような対策を講じていかれるか、その点をひとつお伺いをしたいと思います。
#37
○政府委員(高橋展子君) 家庭にある主婦などが家庭の中で内職に従事して収入を得たい、この希望を持つものが非常に多いわけでございます。このような方々の希望に沿い、そしてなお条件のよい内職をあっせんさせることをねらいといたしまして、かねてから内職公共職業補導所を府県に設置していただきまして、これを通じまして内職の相談あっせん、内職の技術の指導あるいは苦情処理等を行なってまいっているところでございます。しかし、御指摘のように、内職の求人求職というものは、地域的にもかなり不均衡がございますので、この内職補導所のサービス面におきましても、必ずしも常によい内職が主婦の方にあっせんし得るということが確保はしにくい状態にありますことは事実でございます。そのために、やはり工賃の面におきましても、地域的な格差がございます。それから仕事の繁閑ということも出てまいるわけでございます。このような事態を私どもも非常に遺憾に思っていたところでございます。これに対しまして万全を期すというような対策はなかなかとりにくい。これは経済の需給関係ということが根底にございますので、むずかしいわけでございますが、特に本年度からは新しい施策といたしまして、この内職の需給の調整を行なっていきたい。そのために内職需給会議といったようなものを開催いたしまして、地域間のアンバランスを改善してまいりたい。それによって主婦の方たちの就業の安定ということを、少なくとも内職公共職業補導所のサービスという面におきましてはかってまいりたい、このように考えておるのでございます。
#38
○中沢伊登子君 いまの御答弁のように十分にこれから実力を発揮していただきたいと思います。というのは、この間、私はちょうど宿舎で見ておりましたら、ある朝、新聞の間に広告が入っておりました。その広告を見ますと、都会ではパートタイマーを要求する率が非常に多いわけですね。それで、そのパートタイマーの賃金がたまたま出ておりました。それを見ますと、朝の九時からお昼の十二時まで手伝ってくださる方には時間給百三十円、それから朝から夕方四時半ないし五時までの人には百五十円、それから午後の一時から夕方五時までの方には百四十円、こういうことでパートタイマーの募集の相当分厚い広告が入っておったことがございます。都会では、そういうようなパートタイマーを要求するところが非常に多いと思います。また、特に主婦も、まあ喜び勇んでというわけでもなかろうかと思いますけれども、主婦のそういうパートタイマーに出ていかれる率が相当多いわけですね。ところが農村へき地、そういうようなところではパートタイマーの希望も、要求もないでしょうし、自分たちから進んでいくというのもまたこれなかなかたいへんな問題があろう。そういう点で、できるならばこの主婦の内職の問題というのは、いまのような需給調整をして、そして非常に要望のあるところにそういう内職を回していただくように機能的に動かしてほしい、こういうふうに思うわけですね。それで内職の公共職業補導所みたいなものも大幅にふやして、先ほど渋谷委員からも御質問がありましたように、ペケものを自分で買わなくちゃいけない、こういうようなことでも困りますし、その辺を十分私は考慮していただきたい、このように思うわけです。特にいま奥さん方が一生懸命で働きにいかれますと、当然そこで起こってくる要求というのは、いや託児所がほしいの、いや乳児院がほしいの、こういうふうになってまいります。ところが、その託児所あるいは乳児院、保育所、そういうものもなかなかほんとうはこれはできてこないわけですね、数が非常に少ない。そういう中で、奥さん方がかなうことならば家庭で内職をなさる、これも一つの行き方ではなかろうかと、このように考えます。日本のいま労働力が非常に足りない中で、家庭の主婦がいろいろな労働につかされる、あるいはついていく、あるいは自分の生活を豊かにするためにも進んでついていく、ここにいろいろな問題があると思うのですけれども、この家内労働、内職と申しますか、これは私は相当いいウェートをこれから占めていくのではなかろうか。そういう中で、一時間働いてみて六十円の、七十五円の、こういうことではなかなか引き合わなくなってくる。むしろ私など考えますのに、少し古い考え方かもしれませんけれども、ほんとうはこの家内労働にも百三十円とか、百四十円くらいの実入りのあるような内職にしてもらって、子供をかぎっ子にしないためにも家内労働、内職はこういうふうにほんとうはしてもらったほうがあるいはいいのじゃなかろうかというような考え方を私自身持っているわけです。どうか需給をちゃんとうまく配分ができるように、こういう点でひとつ力を尽くしていただきたい。このように私特に要望をしておるわけです。
 それにしましても、この家内労働の問題がヘップサンダルの問題から社会にクローズアップされてきた、こういうような先ほど御答弁がありましたけれども、特に主婦たちがこの家内労働をやる場合に、先ほどの安全衛生あるいは危害の防止、これに十分力を尽くしていただかなければならないと思います。たとえばヘップサンダルの問題が出てまいっておりますが、昨日いただきました資料の中をこう見ておりますと、やはり花火の製造とか、加工とか、こういうものも含まれているわけですね。ときたまこの花火の爆発などあって危険があるわけであります。このようなことを家庭の中でやっておりますと、子供が飛んで来ないとも限らない。あるいはそういうふうな教育が十分にされていないために、うっかりして事故を起こす。こういうようなことがあってはたいへんでございまするから、その辺の対策をどのように講ずかる。そのお考えをひとつ伺いたいのと、もしも万一そういうようなことで被害を受けた場合にはどのような補償が受けられるのか。労災保険を家内労働者にも適用すべきである、このように考えますが、その辺のお答えをいただきたいと思います。
#39
○政府委員(和田勝美君) 家内労働に伴います安全及び衛生問題は、先生御指摘のように、確かに相当な問題でございます。まず第一に有機溶剤を使う、これは家庭でございますので、確かに子供さんあたりがいたずらをするというような問題もございます。委託者の方の話を聞きましても、できるだけ家庭には有機溶剤は持ち込まないようにするのが、いろいろな補償問題等がからんで、かえって得策だというようなことを言っておられる委託者がおりますが、それは有機溶剤によるそういう病気とかあるいはけががあるということを反面物語っておるものであります。そういう点につきましては、ぜひ有機溶剤の特性を家内労働者の方によく知っていただく。非常にこういうのが悪いのだということを知っていただく。これを吸い込んではいけないとか、そういうことに対する理解を家内労働者の方に持っていただくためには、委託者がそういう原材料を交付いたしますときにぜひそういう意味の衛生教育をやっていく。これは私どもはぜひ必要だと思っております。そういうようなことも、今度の法案では十七条以下に規定してございまして、しかも、それのやり方につきましては、いわゆる工場労働と違って家内労働という場面ではどう扱われるかということにつきましては、家内労働審議会の御意見を承ることにしております。家内労働審議会は、これは委託者と家内労働者とのそれぞれの代表者及び学識経験者、その中にはぜひ安全や衛生の専門家の方にお入りいただきたいと思っておりますが、そういう方々のところで、こういう問題はどうすれば実態に即して家内労働者のそういう中毒の予防になるかというような現実判断をしていただいた上で労働省令で規制をしていく、こういうことでございます。また、金属玩具のプレスの事故なども相当ございます。あるいはなまりを使う、いわゆる陶器における顔料なんかにおけるなまりの問題等もございます。これは主として専業的な家内労働者に多うございますが、そうばかりでもございません。私どもとしても、非常に危険であり、あるいは衛生的に気をつけなければならないという業種を幾つか承知をいたしておりますので、この法律ができ上がりました上におきまして、家内労働審議会の御意見を伺った上で現実的な対応策を講じていく。無理なことを言いましても一気にできないものがずいぶんございますので、現実的な対応策を講じさせていただきたい、かように考えております。
 なお、そういうお仕事をなさっておって病気になったりあるいはけがをされたという場合には、労災保険に特別加入制度というものがございます。この制度の運用自体は、一般の労災保険と、療養その他についてはほとんど変わりございませんが、今回、労災保険審議会のほうでも、家内労働法案が成立した暁にはぜひ家内労働者の特別加入を考えなきゃいかぬだろうと、それは危険のある、衛生上有害な業種についてはそういうものを認めよう、こういうことになっております。
 なお、先ばしるかもしれませんが、その保険料につきましては、形としては家内労働者が納めることになります。制度の性格上やむを得ないと思いますが、これにつきましては、委託者が実質的には一括して払うような行政指導をするようにというのが家内労働審議会からの御意見でございますので、私どもとしては、そういう方法で委託者の行政指導をしてまいりたい、かように考えております。
#40
○中沢伊登子君 最後に、ILOの二六号条約とこの法律案との関係をひとつ承りたいと思います。
#41
○政府委員(和田勝美君) ILOの二六号条約は最低賃金に関する条約でございますが、この中に最低工賃が含まれております。この法案が成立をいたしますと、この最低工賃のきめ方につきましては、ILOの二六号条約と条件が合致いたしますので、批准できる態勢になる、こういうことでございます。
#42
○中沢伊登子君 いろいろお伺いをしてみましたけれども、この家内労働というのは、先ほど申し上げましたように、大半が主婦の労働者が多いと思います。その点で、どうか本腰を入れて、この法律案が死文化しないように、先ほど労働大臣が渋谷委員にお答えになられましたように、前向きの姿勢で、どうか一生懸命でこの法律案を生きて働かせるように努力をしていただきたい。このことを要望いたしまして、質問を終わらしていただきます。
#43
○委員長(佐野芳雄君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#44
○委員長(佐野芳雄君) 速記を起こして。
#45
○占部秀男君 いま各委員から御質問がありましたので、私は重複しない点だけお聞きしたいと思います。
 まず第一番に、家内労働法が、大臣の説明にもありましたように、三十四年の最低賃金法の制定以来十何年かかっておるのです。こう長くかかったのにはそれだけの理由があると思うんですけれども、おもな原因はどういうところにあるか。どなたでもけっこうです。
#46
○政府委員(和田勝美君) 本法案を提出するまでには、先生御指摘のように、三十四年以来、臨時家内労働調査会あるいは家内労働審議会をわずらわしまして十年余にわたりましての御検討をいただいた。これのかかりました一番大きな原因は、やはり家内労働がきわめて複雑多岐であるということと、経済の動きに対して相当敏感に反応する、常に流動的である。それと、最近におきましては経済成長との関連もあり、国際関係もありまして、外国、いわゆる開発途上国における家内労働問題とか、中小企業問題と非常に敏感に影響をするというようなことがございます。家内労働者の方々の様子も非常にいろいろの種類に分けられる。家内労働審議会におきましては三種類に分けていらっしゃいますが、そういうような状態を考えますと、実態を把握するということが非常に重要だけれども、実態調査をすればするほど非常にむずかしいというようなことで、非常にたんねんな実態調査をなさいました。その間におきまして、行政指導という状態でどの程度効果があがるものか、この行政指導をやるようにという御指示がありまして、私ども、根拠がなくて行政指導をやっておるその効果の測定は、調査会あるいは審議会においてもなさっておったわけであります。そういうような行政の効果、それから実態の複雑化というようなものを見ながら御審議をわずらわした結果、そのために相当の時間がかかったということがまず第一だろう、それらの効果を見定められた上で、法制的な措置を講じなければいけないと、しかも、その法制的措置は初めから理想案を出すことは無理だ、最も基本的で、かつ、緊急なものからやって、漸次行政の措置が進むに従って、漸進的に法制の整備をはかっていくと、こういうようなことで、非常に長い期間かかったのは主としてそんなような事情があると、私ども考えております。
#47
○占部秀男君 非常に慎重にこれを扱ったということですが、それにしちゃだいぶ抜けておるところがあるのじゃないかと思う。いま、中沢委員から組合関係の問題が出ましたけれども、もちろん重複したことは質問はいたしません。あなたの答弁では、今後、家内労働者の組合関係については、具体的にいろいろの問題点が起こった場合に、それを参考として法の改正というか、規定をしていきたい、こういうふうに言われておるんですが、私は、それでは非常に足りないんじゃないかと思うんです。というのは、この家内労働者の労働関係については、少なくとも一般の労働組合法上の問題あるいは労働基準法上の問題以外に、特殊な問題があるわけです。家内労働法をつくる以上は、そういう特殊な問題について保護をするという規定がなければ、いわゆる労働者としての家内労働者に対する扱いは、非常に不十分ではないかと思うんです。そのことば、ここには抜けておるわけです。たとえばこの団体交渉の結果、工賃なら工賃というものを両方できめる、労働組合があるわけですから。さらにまた、あなたのほうの資料では、家内労働者は百四十三万もあるということですね。業種別にこれを見ても、たとえば繊維の場合は三十七万、衣服その他の場合は三十六万というぐあいに、十万以上の家内労働者があるという業種は七つ、八つあるわけですね。これは明らかに労働組合を結成される素地があると見なくちゃならない。現実に協同組合もあるけれども、労働組合もあるというあなたのお話ですわな。そういう中で、団体交渉の結果、工賃なら工賃がきまった場合に、これを保護する規定は、確かに労働基準法にありますし、それから団交の結果の賃金その他の扱いの場合にも、百二十条には違反した場合に五千円以下の罰金とか何とかいう罰則規定もあります。ありますけれども、業者には三千円や五千円の罰金なんかたいしたことはないんです。実例としてもいまあるわけです。そんなものたいしたことはないから、交渉してお互いにきめたものでも、それを無視してしまう。その結果、家内労働者が非常に泣いておる、これは現実にあるわけですね。現実にある問題は、少なくとも労働関係として今回規定しておくべきではなかったかと思うわけです。たとえば、そういうようなお互いに団交した結果について、それに違反したような場合には、業者が一番痛いのは委託業務をさせないということなんだから、少なくともそのくらいのことは考えて家内労働者の保護をすべきじゃなかったか。また、不当労働行為の場合もそうなんですが、よく大阪あたり、あるいは東京の一部でもあるのですけれども、かりに家内労働者が組合をつくろうという場合に、そういうようなことに動く人については委託はしないのだ、いままで委託したやつを委託はしないのだというふうにしておる。これは明らかに不当労働行為だ。これは、一般的に言えば、労働組合法上、御存じのように、不当労働行為が行なわれて、それに対する労働委員会の決定があって命令された、その命令に従わないものについては、一年以下の禁錮ですか、十万円以下の罰金、こういう罰則がある。ところが、そんな簡単なことじゃ無視してしまいますよ、業者は。率直に言って、これは一般的な雇用関係における賃金労働者の場合でも、もうそういう場合がいくらでも中小企業にはある。いわんや、家内労働者に対してそんなことはてんで問題にはせぬですよ、業者は。やはり組合をつくるならつくろうというような家内労働者に対して不当労働行為があった場合には、それに家内労働者らしい保護規定をつくっておかなければ、今度家内労働法をつくったとしたって、いまの労働関係に適応しないのじゃないですか。私は、そういう点は非常に慎重にやってきたといっても、これはどうも大きく抜けているのじゃないかと思うので、そういう点は、なぜこれをしなかったのか。現実になければいいのですよ。なければ、あなたの言われるように、将来の事例を見て団交の問題、不当労働行為の問題、いろいろな問題を規定してもらってもいいんだけれども、現実には、家内労働の中で日常茶飯事行なわれておる。それを労働省が知らないわけはないんで、それを規定をしておかなかったのはどういうわけか、それをお尋ねしたい。
#48
○政府委員(和田勝美君) 先生の御指摘のように、家内労働者に一つの団結権を認める法制を講ずべきだ、こういうような御議論は、家内労働審議会におきましてもしばしば有力に委員の皆さんから述べられた向きもあります。また、一方におきましては、家内労働者の方々はああいうように家庭の中でお仕事をなさっているというようなことで、工場で働く雇用労働者と違いまして、むしろ他人に介入をしてもらいたくない、こういう御意見も一方に相当有力にある。私ども、実態調査をいたしまして苦労しますのは、うちは内職をやっているのだということをなかなか明らかにしていただけない。なすっているはずだと言いましても、なかなかおっしゃってくださらない。要するに、家庭の中に他人が入ってくることに対して非常に重大な懸念を持っていらっしゃる。そういう方もいらっしゃる。それから、また一方におきまして、専業的内職者の方は、労働者意識よりも企業者意識を持っている方がいらっしゃる。そういう方々は、おれたちは企業者であって労働者ではないのだ、そのためにわれわれは協同組合を結成してやっているのだ、こういう御議論をなさる向きがあって、それを労働組合的に扱うのは困るという御意見も出ておるわけであります。全体として見てみまして、先ほど中沢先生にお答えしましたように、労働組合として認められておるものは、たしか全国で五つあると思います。組合運営をされておられる方は、東京に花火組合がございますが、労働組合を結成されることによってそれなりの力を持っている。それも事実でありますが、しかし、全国的に見ますとわずか五つしかないというようなことで、家内労働者の方々の大勢、全体として一つのまとまった団結問題ということを法制的にいまの段階で規制するのは問題があろうというのが家内労働審議会での御結論になっている。しかし、将来、目ざすところは、家内労働者のうち、この法律で規定しようと思いますのは、主として労働の対価としていろいろのものを受け取られる方ということで、漸次雇用労働者的な方向に進んでいくであろうし、そういう段階に応じて、実態に無理をさせないような法律規制をしていったらどうかという御意見が家内労働審議会で全体の意見としてまとまりましたものですから、今回はそういう内容を盛っておりませんが、先生の御指摘にありますような問題は確かにあろうと思いますし、今後そういう方向に向かってむしろ発展をしていくのじゃないか、そういう時点でつかまえてみたい、かように考えております。
#49
○占部秀男君 これ以上、この問題は水かけ論になるから打ち切りますけれども、いまの世の中の動きは、あなたがいま言われたように、必ずこれは労働組合的な動きになっていくことは必至なんです。ひとつ労働者が先をかって、そういう点はひとついまのうちから勉強しておいてもらいたいと思う。
 それからもう一つ、労災の補償の関係は、この家内労働者に対してはどういうふうになっておりますか。
#50
○政府委員(和田勝美君) 家内労働審議会からの御答申にありますように、労災保険については、現在労災保険法の中で特別加入制度というのがございます。これは、主としては一人親方の方を想定してつくったものでありますが、その規定をこの家内労働者については運用するようにしたらどうかということになりまして、家内労働審議会の会長から労災保険審議会の会長にあてまして、法律が成立した暁においてはぜひその特別加入制度に、家内労働者のうちで安全及び衛生で問題のある業種については加入を認めてくれるようにという申し出がございまして、労災保険審議会におきましても御討議があった結果、法律が成立したあとにおいて、そういう問題については業種を指定して特別加入を認めることにしよう、こういう結論になりました。この法案が成立しました暁におきましては、私ども、事務的にいま申しましたような問題の整理をして、労災保険審議会にもはかりました上で特別加入制度の活用をはかっていきたい、かように考えております。
#51
○占部秀男君 それからこの法律の一つのみそというか、大きな問題点は、家内労働手帳の問題だろうと思うのですがね。これは非常に私どもはいいことであると思うのですが、ただ、この「家内労働手帳を交付しなければならない。」ということになっておるのですが、なかなかいまの委託者といいますか、業者のあれでは、この問題はなおざりにされる場合が相当出てくると思うのですよ。そこで、この法案では、罰則で五千円の罰金ですか、ということになっていますわな、最後の罰則で。これだけでは、私は、家内労働手帳というせっかくの労働省の考えもなかなかこれは実現できないのじゃないかと思うのですね。これは罰則を強化するかあるいはその他の方法で強化するか別ですけれども、ともかく労働手帳の交付の点を無視するようなものには、もっと罰則なら罰則の強いものを加えて、こういうことのないようにしていかなければならぬのじゃないか。というのは、現在の家内労働の関係から見て、相当この委託者というのは、家内労働者に無理をするというか、何というか、いわゆるブローカー式にやるのが多いのですよね。ブローカーというのは悪いことばで言う意味じゃありませんよ。だからそういう点についてはどうお考えになっておりますか。
#52
○政府委員(和田勝美君) 家内労働手帳は、今度の法律案の中ではきわめて重要な部分を占めておる、かように考えております。しかし、実態につきましては、実は三十六年以降、家内労働手帳の普及ということで行政措置を進めてまいりましたところが、現在では五万人を少しこえる程度にしか交付がされていない。この実態は、先生がいま御指摘のように、施策の上にいろいろ問題のあることを雄弁に物語っておるものだと思います。そういうことからいたしまして、どうしても法的な裏付けがなければ伸びないということがはっきりいたしましたので、今回法律上の義務として委託者にかけるということ、法律ができたから直ちにそれがさつといくとは、私ども実は考えておりません。非常に問題がある、特に委託者側の方は、家内労働審議会においても、家内労働手帳があまり繁雑になると、とても私どもの事務能力ではやっていけないというような御意見の開陳もあったというようなことも考えますと、なかなか家内労働手帳を全部の方に普及させるにはよほどの行政努力が必要である、かように私ども考えております。しかし、それにもかかわらず、とにかく委託条件のあやふやなことから出てきます紛争というのは相当なものであります。また、家内労働者がごまかされるのもそこにあるわけであります。そういうことはまず基本としてあってはならない、こういうのが家内労働手帳の趣旨でございます。ちょうど雇用労働者には就業規則がありまして、自分たちの働く状況が明らかになる。それと同じものをこの家内労働手帳に期待をいたしております。なかなか普及については実際問題としての困難はありますが、これは基礎問題としてぜひ徹底をさせる、こういう行政努力を続けてまいりたいと、かように考えております。
#53
○占部秀男君 次に最低工賃の問題ですが、たしか最賃法ですか、あれには最賃審議会の調査審議を求め、その意見を尊重してきめることになっていますが、今度の法律ではそれが一切なくなって、そして家内労働審議会で同じような、何というんですか、調査審議を求め、その意見を尊重すると、こういうことになっているんじゃないかと思うんですが、もしそういうふうになっているとしたならば、わざわざ最低賃金審議会のほうを削ってこういうことになったのは何か理由があるんですか、その点をひとつ。
#54
○政府委員(和田勝美君) 最低賃金法では、最低賃金審議会で最低賃金をやるということになっておりまして、その最低賃金をきめたものが家内労働の工賃の低廉のためにぐらぐらする、守られない状態がつくられてはいけないという意味で、最低賃金を守るために最低工賃をきめる。こういうことで、最低工賃がどこまでもささえということでございます。しかし、それは常に最低賃金が前提にあるということが問題でございます。今度の家内労働では、それでは最低工賃自体の独立性というものが問題になるということで向こうからはずしまして、今度独自の最低工賃をきめる。ただ、そのときには法文の規定にもございますように、その地域あるいは類似の労働者の最低賃金との均衡を考慮しながらきめるという意味での相関的な関係はつけておりますが、独立独歩で最低工賃がきめられるということにしましたので、向こうからはずして、この法律で規定した、こういうことでございます。
#55
○占部秀男君 それから一三条の「最低工賃額等」の項の問題なんですが、ここには同一または類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金との均衡を考慮しなきゃならぬと、こういうことになっているわけです。私は、その「均衡」という意味を、これはよほどしっかり政令あるいはまた行政指導の中でやってもらわぬと、これは非常にあとで大きな問題が起こるんじゃないかというふうに考える。なぜかというと、同じ項目の2に最低工賃額は、これは「物品の一定の単位によって定めるものとする。」となっている。これは、率直に言えば出来高払いという形になりますわな。すると、内職のような場合には、至急を要して特殊なものであるというようなもの、特に早くやってもらう、あるいはよくやってもらう、こういうところでは工賃を割り増しをするような場合があるんです、御存じのようにね。ところが、その前のほうで「同一又は類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金との均衡」ということで、案外これを押えられるようなことになると、これはもう家内労働者としては泣いても泣き切れないということになるので、この「均衡」、これについてはよほど慎重に扱ってもらわなくちゃ逆効果になると、こういうふうに考えるんですが、その点はいかがですか。
#56
○政府委員(藤繩正勝君) この点は、昨日も御質問がありまして、たいへん重要な点であろうと私どもも考えております。御指摘のように、工賃は、一般に物品の単位当たりの額できまっておりますが、賃金は、むしろ一般には時間とか日、月等によって定まっておる。それを直ちに比較することはできないわけでございまして、そこで、比較のためには家内労働の物品の単位当たりに要する標準的な時間をきめて、それによって換算をしなきゃならぬということがまずございます。それともう一つは、昨日もお答え申し上げましたように、家内労働の場合には、雇用労働にない減価償却費でございますとか、副材料費でございますとか、光熱費でございますとか、そういう必要経費が工賃の中に含まれておりますから、それを除いて比較をする必要がございます。それから家内労働は、通常は自宅で行なわれておりますから、通勤に要する時間、経費というようなものもないというような事情がございまして、比較はなかなかむずかしい問題でございます。それからまた賃金あるいは工賃は労働力の需給関係によって影響を受けますけれども、家内労働と雇用労働の労働市場も必ずしも同一でないという場合もございまして、まことにどうも御指摘のとおり、私ども、たいへんむずかしい問題だというふうに思っているわけでございます。そこで、具体的には、やはり関係家内労働者、関係委託者も参加いたしております家内労働審議会あるいは専門部会というようなところで、御指摘のような実情を十分考慮いたしまして、そして実効性のある最低工賃をきめる、こういうふうにいたしましたのも、そういうところで実情に即して御審議をいただかないと十分な賃金が保てない、こういうことでございますので、できるだけ各方面の意見を聞きながらきめていくという態度をいたしてまいりたいと思います。
#57
○占部秀男君 次に安全及び衛生の問題なんですけれども、きのうの同僚の大橋委員の質問に対して、御答弁では四つ、五つ、業種がありましたね。特にいろんな人体に及ぼす影響であるとか、その他四は、五つがあげられておりましたが、この法によると、十七条で「必要な措置を講じなければならない。」となっておる。「委託に係る業務に関し、機械、器具その他の設備又は原材料その他の物品を家内労働者に譲渡し、貸与し、又は提供するときは、これらによる危害を防止するため、労働省令で定めるところにより、必要な措置を講じなければならない。」、これについては大橋委員からもお話があったわけですけれども、必要な措置を講ずる必要があるかどうかということは、どんな形できめるのか、これに私は問題があると思う。それをどんな形できめるのかということについての一定の基準がないと、これは単なる訓示規定に過ぎなくなってくると思うのですが、その点はいかがですか。
#58
○政府委員(藤繩正勝君) まさに御指摘のとおり、この法文のままでございますと、具体的に何もございませんから、効力を発しないということが心配されるわけでございますが、十七条にございますように、「労働省令で定めるところにより、」とございまして、この法律が成立をいたしました後におきまして、家内労働審議会の御意見を伺いながら、ちょうど労働基準法に即しまして労働安全衛生規則その他の規則が詳細にございますように、そういった安全衛生措置につきまして省令できめてまいりたいと思っておるわけでございます。考えられる措置といたしましては、たとえば委託者がプレスなどを家内労働者に譲渡または貸与する場合に、安全装置を取りつけさせる。あるいは家内労働者ばその安全装置を取りはずしてはならないというようなことでございますとか、あるいは委託者が危険有害な業務を委託するにあたっては、家内労働者に対してその適切な作業方法等を指示するなどの安全衛生教育の実施を義務づけるというようなこととか、あるいは有害な原材料などによる危害を防止するためのその貯蔵方法や、内容物の表示など、具体的な措置を規定することなどがございます。このほかに、家内労働者及び補助者の順守すべき事項及び女子、年少者の保護のために必要な措置というような点につきましても、御意見を伺ってやってまいりたいと思っております。そういう具体的な省令がありまして、それに求められておる措置を怠った場合に、第十七条違反ということで処理をしてまいる、こういうようになっております。
#59
○占部秀男君 最後に一つだけお伺いしたいのは、この二十一条なんですが、中央家内労働審議会も、地方家内労働審議会も、いわゆる三者構成になっておるわけです。そこで、家内労働者の代表はどういう形で一体選定するのか、それからまた委託者の代表もどういう形で選定をするのか、これをお聞きしたいのです。
#60
○政府委員(藤繩正勝君) 政令で具体的にきめてまいるわけでございますが、従来のこういった三者構成の審議会と同じようなことで、関係団体の推薦を求めまして、それによってお願いをしていく、こういう方式をとりたいと考えております。
#61
○占部秀男君 最後にお願いがあるのですが、いまの点、まだ非常に不十分だけれども、とにかく家内労働法ができたということは、私は、一歩前進だと思うのだけれども、いま三人の委員の方々の質問の中でも、私の質問の中でもくみ取られることは、家内労働に従事しておられる方々の階層の水準から見て、たとえば労働手帳一つとりましても、こういうものができたということを普及徹底させることが一番当面大事だとあなたもおっしゃったけれども、そのとおりだと思うのです。そこで、きのうも大橋委員からその点について具体的にどういうふうにやるのかという点が出ましたが、いろいろ方法はあると思うのですが、やはり単なるお役所式の公示だけでは足りないと思う。たとえば最低工賃の決定にしても、産地ごとに行なわれるというお話ですが、単に役所で、どことどこのどういうものはこれだけの工賃だということでは、これは家内労働では描かれたもちのようなものであって、やはりこういうものを周知徹底させるためには、たとえば市役所でこのごろは便利手帳であるとかあるいは何とか時事便りであるとか、こまかいあれをやっていますね。ああいうものを何とか自治省関係と相談して、家庭の中に一つ一つ労働省の、あるいはまたこの法律の保護すべき内容が普及できるように私は取り計らってもらいたいと思うのです。相当あるいは金がかかるかもしれないけれども、やりようによってはそんなに金がかからないと思うので、その点だけお願いをして私の質問を終わりたいと思います。
#62
○政府委員(和田勝美君) ただいま先生の御指摘のように、私どもが労働関係の機関を使いますことはもちろんでございますが、昨日もお答えを申し上げましたように、直接住民と接触しておられる市町村には、いま先生の御指摘のように、いろいろなものがございますので、ぜひそういうものとタイアップをして、協力態勢を進めながら徹底をはかる、こういうような方式をとらしていただきたいと、かように考えております。
#63
○委員長(佐野芳雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十九分開会
#64
○委員長(佐野芳雄君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続きまして、家内労働法案を議題とし質疑を行ないます。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#65
○藤原道子君 私は、しばらく休んでおりましたために、昨日の審議も伺っておりません。したがって、重複するかもわかりませんけれども、その点は御了承願いまして、重複してもさらに御親切な御答弁をいただきたいと思います。
 まず、きょうは厚生省に来ていただいておりますが、かけ持ちだそうでございますので、最初に厚生省のほうへお伺いしたいと思います。
 私がまずお伺いしたいのは、家内労働法の中に授産所の問題も入るのですか。それをちょっとお伺いしたいと思います。
#66
○説明員(岡田達雄君) 家内労働法の中で、この授産所のほうも適用を受けるというふうに私ども考えております。
#67
○藤原道子君 そうすると、授産所の工賃の問題でございますけれども、主として授産所関係の工賃は安いですよね。これはどういうふうに扱うのですか。
#68
○説明員(岡田達雄君) 授産所の取り扱っておりますいろいろな業種と申しますか、種目によりまして工賃がそれぞれ異なっております。御指摘のとおり、低廉のところもございますが、その点につきましては、最低工賃を定める場合に、十分労働省のほうと連携をとり合いまして、今後運営に支障のないようにつとめてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#69
○藤原道子君 この点をもう少し具体的に伺いたいと思いますが、最近の授産所の工賃の動向はどのようになっておりますか。
#70
○説明員(岡田達雄君) 先ほど申し上げましたように、取り扱っております業種によりましてさまざまでございますけれども、大体一万八千円から二万円――月額でございますけれども、そのような状況でございます。
#71
○藤原道子君 一万八千円から二万円、これは授産所へ来て働いている人ですか。家庭持ち込みもあるように聞いておりますが。
#72
○説明員(岡田達雄君) たいへん失礼いたしました。ただいまのは場内授産の場合の工賃でございます。先生御指摘の家庭授産のほうでございますが、これは至って安うございまして、大体六千円から八千円といったような範囲でございます。
#73
○藤原道子君 それで、いま授産所として主として扱っておられる種類はどういうものをやっておられるのですか。
#74
○説明員(岡田達雄君) 大体ミシン等を使います縫製でございますとか、それから手工芸的なものでございます。手工芸――手でもっていろいろな品物をつくります。そういった非常に軽易なものでございます。
#75
○藤原道子君 それから、授産所のマージンというのはどの程度になっているのですか。
#76
○説明員(岡田達雄君) マージンにつきましては、私ども、まだ詳細調査いたしておりません。
#77
○藤原道子君 マージンの問題が調査されていないというのはおかしいですね。私が、聞いたところではあるようですが、調査しているのですか、指導しているのですか。
#78
○説明員(岡田達雄君) たてまえから申し上げますと、授産所の経営と申しますか、管理と申しますか、その事務費でございますが、これにつきましては、利用人員に応じまして、その実額の十分の八というものを補助するというたてまえになっておるわけでございます。十分の二につきましては、これはその授産所でまかなわなければならないというたてまえになっておりますけれども、その点につきましては、私ども、適正に行なわれておるというふうに考えておるわけでございまして、先生御指摘の点につきましては、まだ確実な調査を行なっておりません。このような状態でございます。
#79
○藤原道子君 厚生省でおやりになる授産所に対しても十分な調査、指導がなされていないように思うのですが、同じように、内職、特に家内労働の中でも内職に対しては、これは厚生省といわず、労働省といわず、いままであまりに冷淡であったと思う。これは授産所につきましても、今度はもっとしっかりして、授産所へ行かなければならない人、あるいはうちへ持って帰って内職しなければならない人が少しでも有利に行なわれまするように、私は特段とお願いしたいと思う。ことに厚生省は、国民の生命を守るところでございますから、特に今後十分な愛情を持ったあれをしていただきたいと思います。私も、ここに厚生省の授産所の資料を持っておりますけれども、読めば読むほど、足りない点があると思う。いずれまた厚生関係の日に質疑いたしますが、この法律ができて、これの対象に授産所がなるということになれば、今後の運営等においても、さらに交互に連絡して、この法案の趣旨が生かされるように御配慮を願いたい、こう思います。
 続けてもう少し伺っておきますが、いま授産所はどのくらいありますか。
#80
○説明員(岡田達雄君) 生活保護法に基づきますいわゆる保護授産と申しております授産所が、四十三年度でございますけれども、百四十五ヵ所でございます。それから社会福祉事業法に基づきます、いわゆる社会事業授産と申しておりますが、こうした授産所が百六十五カ所でございます。合計いたしまして三百十カ所でございます。
#81
○藤原道子君 それから、授産所に所属しておる職員の問題ですね、これはどういうふうになっておりますか。人事とか、給与の面はどういうふうになっておりますか。
#82
○説明員(岡田達雄君) その点につきましては、先生先ほど御指摘のとおりでございまして、私ども、指導がまことに不十分でございまして、まだ的確なものを把握してはおらぬ状況でございます。
#83
○藤原道子君 そんなばかなことはないと思うな。私、おとなしく聞いているのだけれども、人事も給与もわかっていないといえば、何がわかっておるんですか。それでは質問したってしょうがないじゃないか。
 それから、この授産所の中の簡易課というのは何ですか。ミシン課、手工芸課、簡易課――簡易課というのはどういう仕事ですか。
#84
○説明員(岡田達雄君) 簡易課と申しますのは、非常に軽易なものでございまして、たとえば昔の袋張り、袋を張るあの作業でございますが、そういったものでございます。
#85
○藤原道子君 十分調査がよく行き届いてないので、職員の人事だの、給与の問題もお伺いできませんから、いずれあらためて伺いますけれども、苦汗職業といいましょうか、苦しい汗の職業と言うのですってね、これ。イギリスあたりでは、やはり、これはもうすでに一八八〇年ごろから調査の対象になっている。それで、一九〇八年ですかに最低賃金法ができて、苦汗業種に対する保護の手が伸ばされている、こういうふうに伺っているわけです。ところが、日本では一九七〇年ですよね。このときになってやっと家内労働法案というものがあらわれてきた。非常におくれているのです。それだけに、苦しい労働で生計を立てるという人たちがいかにみじめかということがおわかり願えると思う。したがって、愛情をもって今後の運営をしていただきたいということを厚生省に特に要望いたしまして、あなたに対する質問は終わります。
 それから労働省にお伺いしたいのですが、内職斡旋所の問題でございますが、これはいま何カ所くらいあるのですか。
#86
○政府委員(高橋展子君) 内職公共職業補導所のことと存じますが、これは現在、全国で四十七カ所ございます。これは三十八都道府県にわたって設置されております。さらに四十五年度じゅうに二カ所増設される予定でございます。
#87
○藤原道子君 そうすると、ここの運営費は、貸付規程では五年間年賦で返すことになっているように聞いておりますが、そうですが。ところが、内職補導所の所長さんからの説明によりますと、全額を年度末に返済して年度初めに再び借用することになっているというのですが、これはどっちがほんとうですか。
#88
○政府委員(高橋展子君) いまお尋ねの事案につきましては、補導所の中ではそのような事務と申しますか、取り扱いはいたしておらないのでございますが。
#89
○藤原道子君 確かにやっていないんですか。――それでは私、また調査してお伺いしますが、こういうふうなことをやはり聞いているのでございます。
 それで補助金や貸し付け金という制度はあるのですか。
#90
○政府委員(高橋展子君) 内職公共職業補導所の運営につきましては、国の補助で運営費を例年計上いたしております。
 で、いまお尋ねの貸し付けというのは、国の制度としてはもちろんございませんし、府県としてもそのようなことを制度的に行なっているとは私ども伺っておらないのでございますが、あるいは府県のレベルで補導所と別に内職斡旋協会のようなものをおつくりの場合がございまして、補導所と関連して仕事をやっておられるわけでございますが、あくまで別の機関としておつくりになっていらっしゃる場合がございます。そういうわけで、あるいはそういうところで制度として行なっておられるのかと存じますが、寡聞にして情報を得ておりませんので調べさせていただきます。
#91
○藤原道子君 それでは、貸し付けの制度はない、国としてはやっていない、補助金は出している。そうすると、補助金は幾らになっておりますか、ことし。
#92
○政府委員(高橋展子君) 補助金に一カ所当たり本年度約二百万でございます。補助額といたしまして一億五百万程度でございます。
#93
○藤原道子君 一億五百三十万円ですね。――はい、わかりました。
 そこでお伺いいたしたいと思いますが、家内労働法の定義の中では「同居の親族以外の者を使用しないことを常態とするもの」というふうになっていますね。ところが最低賃金法では、家内労働者は「その業務について同居の親族以外の者を常時使用していないもの」となっているわけなんですね。ところが、その家内労働者の定義がこのように二通りあるということは、今後、家内労働行政を推進していく上にあたりまして、他人を雇用する家内労働者も家内労働者として保護の対象となるのかどうか、その基準を明確にしていただきたい。
#94
○政府委員(藤繩正勝君) お尋ねの家内労働者の定義のところでございますが、「使用しないことを常態とする」ということは、通常、単独または同居の親族のみを使用していることでございまして、臨時的に同居の親族以外の者を使用しても、それは家内労働者ということには変わりがなくて、結局、同居の親族以外の者を常時使用しないものということになるわけでございます。したがいまして、現行の最低賃金法の規定と意味は同じでございますが、なぜ、それじゃ違うことばを使ったかというお尋ねだと思うのでございますけれども、家内労働審議会の答申でこういう「常態」という表現をなさいましたので、それをお借りして使ったというだけでございまして、意味は同じでございます。
 それから、臨時のものはそれでいいけれども、常時一人や二人使っておっても家内労働者の中に入れるべきではないかというお尋ねもおありかと思いますけれども、これにつきましても、家内労働審議会の審議の過程でたいへん議論がございまして、外国の立法例等も参考にいたしましてたいへん議論がございましたが、結局、結論的には答申にございますように、労働基準法との関係等もございまして、一応常時同居の親族以外の者を使用しないことを常態とすることに限る、かようにしておりますが、なお、実態に即して将来その辺のところは検討をさせていただきたいというふうに考えております。
#95
○藤原道子君 ちょっとあいまいなんですよね。そうすると、常時というんだから臨時には二人や三人使ってもいいということですか。
#96
○政府委員(藤繩正勝君) 先生のお尋ねのとおりでございます。
#97
○藤原道子君 それでくずれていく心配はないのですか。
#98
○政府委員(藤繩正勝君) 定義としてはあいまいではないかというおことばだと思いますけれども、再々議論がございましたように、家内労働の実態そのものが非常に複雑でございまして、むしろ多少使っておっても家内労働として把握しておったほうがいいじゃないかという御議論もあったわけであります。そうして、なるたけ実態に即してということになりますと、「使用しないことを常態とする」という表現になりまして、その点文理的にあいまいではないかというお考えもあろうかと思いますが、法の運用をできるだけ実態に即して行なうという意味におきまして、かような定義で運用させていただきたいというふうに思うわけであります。
#99
○藤原道子君 それならば、明確に家内労働法の定義と、それから最低賃金法の定義と同じようにする意思はないのですか。同じものと解するというのなら、それでよろしいでしょう。
#100
○政府委員(藤繩正勝君) 結論といたしましては、先生のおっしゃるとおりでございますが、こうなりましたのは、先ほど申し上げましたように、最低賃金法がすでにございまして、その後、この点につきまして家内労働審議会でいろいろ御議論がございまして、その結論としての答申の中にこういう表現がございましたので、それを援用させていただいた、かようなことでございます。
#101
○藤原道子君 それは答申の中にあったとしても、同じ労働行政の中で二様のことばを使わなくとも、同じものならば同一の表現を使ったほうがいいと思いますが、どうですか。審議会はそうであっても、審議会の文字一字一句も違えないように表現しなきゃならぬということはないと思う。だから、これはやはり同一の表現を使うほうが妥当だと考えますが、いかがですか。
#102
○政府委員(和田勝美君) 藤原先生の御指摘のように、同じものを法律で規定する以上同じことばを用いたほうがいいじゃないかという点については、原則的にはお説のとおりだと思います。ただ、最低賃金法ができました三十四年ごろから臨時家内労働調査会あるいは家内労働審議会等で議論されましたときに、ここの定義がだいぶ御議論になりまして、「常時使用」というのは少し窮屈過ぎやしないかという意味合いもおありになって「常態」という状態――この状態は常でないほうの状態ですが、その状態というほうがより家内労働者の実態に合うんではないか、こういうような御議論になりまして、法律文言をそれほど厳格に家内労働審議会が私どもにきちっとされたわけじゃございませんが、議論の過程を拝察をしておりますと、「常時使用する」よりは一歩前進をしておることばであろうと判断をしまして「常態」ということばを使わせていただいた、法律的な解釈としてはほとんど同意語だと、こういうようなことで御了解をいただきたいと思います。
#103
○政府委員(藤繩正勝君) ちょっと補足させていただきます。
 ちょっとことばが足りませんでしたが、この法律の付則の第四条で最低賃金法の一部を改正をいたしておりまして、その中で、いま先生御指摘になりました定義のございます第二条の第4項は削られることになっておるわけでございまして、したがいまして、成立いたしますと、家内労働者の定義としてはあっちこっち違ったものがあるということではなくて、答申の線に沿った表現に統一されるということでございます。
#104
○藤原道子君 わかりました。
 そこで、次に家内労働手帳でございますが、この問題は、われわれも家内労働手帳は出すべきだという主張を持って社会党提案にもあったわけでございます。これは撤回したわけですけれども、これは、お互いの仕事の委託料とか、工賃、単価、仕事の納期など、家内労働者の権利保護に役立てようとしておつくりになるものであると思います。ところが、内職的家内労働者ですね。特に家庭の主婦が多いわけですね、家内労働の八〇%くらいは内職じゃないですか。それで労働手帳に正直に記載すれば、一定の収入以上のものに対しては課税されるのですね。さらに、これによって世帯主の扶養控除や扶養手当がなくなるということになると、これはどうでしょうね、実効をあげるでしょうか。二十二万何千円まではいいんですよね、年収。ところが、あなたのほうの資料を見ると、相当高いのもあるわけですね。
#105
○政府委員(藤繩正勝君) 御指摘の家内労働者に対する税金との関係につきまして、事実を先に御説明さしていただきますと、家内労働者の所得に対する所得税法の適用につきましては、その実態に応じまして、通常、事業所得、または雑所得として課税されることになるわけでございますが、その場合に、現行の所得税法では、課税最低限は年間所得金額で独身者の場合に十八万四千円、それから夫婦の場合は三十六万九千円等々で、そういう課税最低限がまずございます。それから、いま御指摘の妻が内職に従事している場合に収入があるわけでございますが、夫の所得について配偶者控除を受けるには、妻に他の所得がなければ、また内職による所得金額が年間十万円以下であれば配偶者控除を受けられる、こういうことになります。そうすると、かりに必要経費を三割くらい見込みますと、年間十四万三千円以下であれば課税されないというのが四十五年度の税法上の扱いでございます。家内労働の内職者の大部分は大体月収が一万一千七百円程度というふうに私ども見ておりますので、そうなりますと、大部分はこれらの所得税の課税の対象にならない、配偶者控除も受けられるというのが実態でございます。
#106
○藤原道子君 いや、それから地方税はもっと低いと思うんだけれども。
#107
○政府委員(藤繩正勝君) 地方税につきまして申し上げますと、住民税のほかに、所得税で事業所得として取り扱われているものにつきましては事業税が課されます。その場合に、住民税の四十五年度分の課税最低限は、年間所得が独身者で十三万三千円、夫婦二人で約二十四万六千円等でございます。また、事業税につきましては、事業主控除として所得金額から三十二万円が控除される、かようになっております。
#108
○藤原道子君 内職する者にとってこれが一番痛いのですよね。この点についてはもうしかたないんですか。
#109
○政府委員(和田勝美君) 家内労働審議会がこの法案の基礎になりました答申をなさいましたときに、あわせて内閣総理大臣と大蔵大臣、労働大臣に対しまして、家内労働者の税制上における特段の配慮をするように、こういう建議が出てまいりました。それは、先生がいま御心配になっておることと同じ意味合いでございます。せっかく家計補助あるいは子供の教育費の援助というようなために働いたものを税金で取り上げるというようなことについては、現状を十分ひとつ認識して考慮したらどうかというような御説であったと思います。この点につきましては、それぞれ内閣にも、それから大蔵省のほうにも、会長のほうから、なぜこういう建議をしたかという御説明がございまして、私どものほうからも事務的にはそれぞれ説明をしておきました。いずれにしましても、この法律が制定をされまして家内労働手帳が出てまいりますと、所得が明らかになるということは、法律のたてまえとして出てまいります。そうなりますと、いまのような御心配な点があります。この点は、課税最低限の引き上げの問題とかあるいは分離課税の問題だとか、勤労控除の問題だとか、いろいろな制度がいまあるわけでございますが、そういうものにつきまして、税担当の官庁にまかせるということだけでは、少し労働省としては消極的に過ぎるのではないかという考えをただいま持っておりまして、これが成立しました暁には、私どもは私どもなりに事務的に勉強をしまして、家内労働審議会、そこらあたりの御意見も伺って積極的に、税を持っておられる大蔵省とか、自治省とか、そういうところに事務的にでも御連絡をして、先生御心配になっておるような、せっかく働いて家計補助その他に使われるものについて努力をしていきたい。ただ、もちろんこれは税の負担の公平という問題がございますので、一がいに家内労働者だからどうこうということも言えない問題もあるだろうと思いますが、そういうような諸般のものの考え方をあわせながら、せっかく家内労働でかせがれたものを、しかもそれが大した金額でない1相当の額になればこれは問題でございますが、大した額でないときには、ぜひ減税あるいは免税の措置を講ぜられるような努力を労働省としてもしたい、かように考えております。
#110
○藤原道子君 それは、佐藤総理や大蔵大臣も、そのことは特段の配慮をするというようなことは言っていらっしゃるのですか。
#111
○政府委員(和田勝美君) 家内労働審議会のほうから建議をされまして、まあ総理と大蔵大臣のほうで特段の考慮をするということでなくて、建議の趣旨はわかりましたということだったと思いますが、積極的にどうこうという御意見の発表はまだないと思います。
#112
○藤原道子君 まあ、そこまできているならば、あとは労働省の腕次第ということですね。せっかく家内労働をする人たちを守ろう、委託者のインチキ性をなくしていこうという考えで出された制度が、かえって苦しめる結果になるというようなことのございませんように、ひとつこの点は十分配慮していただきたいと考えます。
 次に、「家内労働者が業務に従事する場所の周辺地域」とは、具体的にはどの程度の範囲をさしておられるのでしょうか。
#113
○政府委員(藤繩正勝君) 条文で申しますと、第四条にその表現が出てまいるわけでございます。これは労働時間の規制の関係でございます。労働時間につきましては、第四条にございますように、家内労働者が業務に従事する場所の周辺地域において、同一または類似の業務に従事する労働者の通常の労働時間をこえて業務に従事することがないように、そういう委託をしないようにつとめなければならないという努力規定でございます。そこで、いまのお尋ねの周辺地域とはということでございますが、家内労働は、先生御承知のように、多くの場合に一つの産地を形成するというようなことが多うございます。たとえば行田地区の「たび」でございますとか、縫製でございますとか、あるいは山梨の郡内地区の機業でございますとか、産地を形成する場合がございます。そこでは、家内労働者のみならず、零細な事業主も、また、何人かの雇用労働者を使って機織りをしておる。それが混在して一つの産地的なものになっておるというのが多うございます。そういう場合に、雇用労働者を使っている零細企業者に対しては、労働基準法でこれでいけ、家内労働者はこうだということでなしに、産地の一つのものとしてとらえまして、労働基準局のほうでしかるべき勧告もするというのがこの条文の趣旨でございますから、そういう意味で産地的なものというふうに御理解いただければ幸いです。
#114
○藤原道子君 就業時間の場合に、ここに「周辺地域」とある。それから最低賃金額の決定にあたっては「一定の地域」となっているんですが、この場合の地域の限定の相違は何を根拠にしておやりになるんですか。
#115
○政府委員(藤繩正勝君) 最低賃金のほうは、先生御承知のとおり、現行最低賃金法では、地域別、業種別に決定するという方式を採っておりまして、実際問題として最低賃金は、通常都道府県労働基準局の管轄区域であります都道府県の地域ごとにきめられるのがほとんどでございまして、例外もございます。いずれにいたしましても、そういった行政区画を一つの地域として把握いたしまして、それでやっていくわけでございます。ただいまの周辺地域は、先ほど御説明いたしましたように、産地的なものということで用語を使い分けておる次第でございます。
#116
○藤原道子君 ちょっと私まだわからないんですが、周辺地域というと、小さな地域のことになるんですか。
#117
○政府委員(藤繩正勝君) 一定の地域と周辺地域と、どちらが広いか、狭いかという問題がございますが、先生いまおあげになりました最低賃金の関係で申しますと、実情としては、最低賃金の一定の地域のほうが広い例が多いということになろうかと思います。
#118
○藤原道子君 それから家内労働に対する委託者からの打ち切りの予告ですね。これについて、委託の一方的な打ち切りは、家内労働者にとっては、雇用労働者の一方的な解雇と同じことになるわけです。その委託の打ち切り予告を委託者に対して遅滞なくせよという努力規定に終わっておりますが、これは家内労働者にとって、委託の継続とか、打ち切りはそのまま生活に響く問題ですから、明確に予告期間を規定する必要がありはしないかと考えますが、どうでしょうか。
#119
○政府委員(和田勝美君) この五条の規定ができますには、実は家内労働審議会でいろいろな御議論がございました。先生いまお述べになりましたように、委託の打ち切りは生活の根底をゆるがすということで、当然、基準法にありますような一定の期間を置いての予告をすべきである、こういう御議論も一方にございました。また、一方におきましては、実は委託をされる方が、大会社とかなんとかいうのと違いまして、非常に小さな委託者がいらっしゃる。その委託者自身が自分で全く予測できないような事態で、家内労働者に対する委託を打ち切らざるを得ないという事情も、実は実態調査ではずいぶん出てきたわけです。自分のうちの請負の人たちの状況、それから非常に変動しやすい事情が中小企業にもございますが、この委託者は大体中小企業の方が多い。そういうようなことを考えると、にわかに委託をすべての場合に予告するのはむずかしいだろうという議論になりまして、それで第五条にありますように、六カ月をこえてというような、一応安定的にやっておったものに対しては遅滞なく予告するようにしたらどうか、これも、こういう努力規定でなくって、義務規定にすべきではないか、こういう御議論が第二段の問題として出てまいりました。このときに、実は家内労働審議会で実態調査の結果に基づいて議論をされまして、一定の期日を置いてきちっと予告をせいと言われると、かえってざる法になる可能性が非常に強いというような御指摘もございました。そういうような御指摘あるいは御主張、あるいは実態調査から出てきたいろいろの複雑な事情、こういうものを考えると、当面はやはり努力規定にとどめる程度でやむを得ないのじゃないか。これは法律的にもしきちっと書きますと、罰則とかなんかの問題が自然に出てまいりますので、そういうのを法律的に強制することは、まだ少し早過ぎる、したがって、一応努力規定にしておいて、行政が浸透した上で法制的な問題を考えたほうが実際的であろうという御考慮がありまして、それで第五条はこういう努力規定になって、しかも、六カ月をこえる委託期間を置くということで、先生の目からごらんになりますと、なまぬるいというお考えをお持ちになりますことば、私どもも率直に申し上げてよくわかるわけでありますが、ここが今度のこの法律の中の一つのものの考え方のところでございますので、今後は、私どもとしては、こういうものを運営をしていく中で漸次固めていきたい。そういう考え方でございますので、そういうことで御了解をいただきたいと思います。
#120
○藤原道子君 そういう考え方もあるでしょうけれども、六カ月以上継続してやっているということは、それはもうその仕事に打ち込んでいることであり、委託者としても安心して出していたと思う。それを突然切られればこれは困るので、あくまでも労働基準法の二十条ですか、予告期間を置き、それが急の場合には予告手当を出すというようなことは、やはりせっかくこの法律をつくっていただく――長い間の懸案ですよ、これは。これができるにあたりましては、そこまで踏み切ったほうがいい。だから、家内労働者を守るのだか、委託者を守るのかわからない、いまのところ。
#121
○政府委員(和田勝美君) 家内労働者を守ろうという意思は当然前提にあるわけでございます。ただ、その守る守りの度合いのしかたの中では、やはり家内労働の実態ということも、この法律案では十分考慮すべきだ、こういう御議論がございましたので、私どもとしては、この五条の基礎は、家内労働者を守りたい、しかし、守る守り方についての法的な規制としては、現段階ではこの程度で一応やっておきまして、行政の浸透と、家内労働というものが非常に流動的なものですから、その流動的なものとのかね合いを高めていって、ほんとうに基準法的なものにまでもっていけるような状態が漸次つくれるようなことにした上で法律的には措置をするというほうが実際的であろう、また、そういう御指摘が家内労働審議会のほうでもございました。こういうことでありまして、決して委託者を守ろうというのがこの基礎でございませんで、家内労働者を何とか守りたいけれども、現状における一種の妥協的なものだという意味で御理解をいただきたいと思います。
#122
○藤原道子君 そういう意見もあったでしょうけれども、私のような意見はありませんでしたか。
#123
○政府委員(和田勝美君) それは、先ほど御紹介申し上げましたように、先生のような御意見も十分にございました。そういう御意見がまず出まして、こういうものにだんだんとこなれてきたということでございます。
#124
○藤原道子君 私はこの点非常に不満でございます。やはり働くものの立場からすれば、突然切られてごらんなさい。内職でほんとうに生計の大半をになっている家庭もあるのですよ。そういう点は、行政指導の成果を見て踏み切ると言うけれども、踏み切られるように一日も早く措置されることを私は強く要求しておきます。どうも、いつの場合も、労働者よりも企業家のほうを守るように理解されてしょうがないのですよ、私たちは。強く要望しておきます。
 それから次に、工賃を全額通貨で払うことを原則としてということですが、工賃を全額通貨で家内労働者に支払うことを原則としつつも全額通貨以外の例外措置を労働省令で認めていく、この理由はどういうことですか。
#125
○政府委員(和田勝美君) 第六条1項は、お読みをいただいておりますように、「労働省令で定める場合を除き、家内労働者に、通貨でその全額を支払わなければならない。」、こう言っております。労働省令では、しからばどういう場合に例外を設けるのかと申しますと、私どもは、現金と全く同じようなもので支払われる場合に限って認める。例を申し上げますと、口座振替制とか、郵便為替とかあるいは郵便振替、銀行支払い保証つき小切手というような、現金と全く同じものとして扱い得るもののような場合、実はそういう例もございますので、そういうのをきわめて限定をして、この「労働省令で定める場合を除き」というようにしておりまして、決してそれ以外の一般的な小切手が落ちるかどうかわからないというようなもので支払うことは、この条文では認めておりません。ただ、手形払いの問題は、附則のほうで経過措置として認めております。これは実は専業的家内労働者の方につきましては、現在家内労働者の方が、御本人が企業者意識が非常に強い方がいらっしゃいます。現金の支払いというよりも小切手のやりとりをする、それが自分のほうにも好都合だ、ほかの銀行との関係、自分の銀行関係の取引とか、そういうような商慣習がすでに確定をした地方が、たとえば石川県の山中の漆器なんかの場合に専業的な家内労働者がいらっしゃいますが、そういったところは、手形払いというのはもう商慣習として確定しておるというようなことを言われます。そういうような場合には、経過的に、しばらく時期を置いて現金で払わせますようにしますが、経過的には実情やむを得ないということで附則のほうに書いてございます。しかし、六条の本則のほうでは、これはもう通貨と同じ性格のものしか認めない、こういう考えでございます。
#126
○藤原道子君 いや、それがね、そうなっていない。六条の1項では「工賃は、労働省令で定める場合を除き、家内労働者に、通貨でその全額を支払わなければならない。」となっていますわね。それから2項の場合は「一月以内に支払わなければならない。ただし、」ということで、当該工賃をその日から一月以内に支払わなければならないとありますけれども、その附則ですか、附則でそういうふうなことを入れれば、それがまた優先してしまうような形になるのですよ、社会というものは。私は、家内労働者ですか、下請業者を見ておりますけれども、手形なるものが三月とか、半年というようなのが多いのですよ。それで、こちらは金が足りませんから割り引いてもらわなければならない。そこで非常に割り引き手数料というのを取られるのです。そうすると、非常に安い工賃で働かされることになる。それで泣いている人がずいぶんあるのです。これは親請が下請に、そういうふうな方法が常識になっている。これは家内労働者にとってはずいぶん痛い制度だと思います。それが常態になっている。石川県の漆器業者のほうは、これはどうだか知りませんが、一般的には、ぜひ現金がほしいという人のほうが圧倒的だと思うのです。例外的な地域の習慣を土台にしてこういう逃げ道をつくらせるということはおかしいと思うのです。この点については、あくまでも現金で払うのがほんとうだと思う。家内労働者は零細以下ですから、この点の配慮が足りないように思うが、いかがでしょうか。
#127
○政府委員(和田勝美君) 先生が御指摘のように、現在は、一般的に手形で払われて、それが非常に期限が長い、そのために非常に家内労働者が苦労をされる、そういう実態がございますので、それをやめさせるために六条を設けたわけです。必ず通貨で、しかも一カ月以内に払えというようなことでやったわけでございまして、手形払いを認めるという思想は、この六条には全くないのでございます。それから六条の1項に「労働省令で定める場合を除き、」と言いましたのは、これは家内労働審議会ではっきりしておりまして、実はこの省令は家内労働審議会の議を経て必ず定めることにしておりますが、その家内労働審議会のほうでは、先ほど申しましたように、郵便振替とか、郵便為替とか、現金と全く同じ保証がされているものしか認めない。隔地払いの関係があるものですから、そういうのを認めるわけですが、そういうこと以外には手形の支払いは認めない。こういうことで、先生御心配になっているような、いわゆる内職的家内労働者には手形払いということは今後はあり得ないと御理解いただいてけっこうだと思います。附則のほうの二条に書いておりますのは、これは先ほど申しましたような商慣習がすでに確立をしており、その商慣習を一気にひっくり返されてはかなわないのでしばらく経過的に見てくれという声が非常に強うございまして、これは先ほど申しましたような専業的家内労働者の場合でございます。それで、私どもとしましては、ぜひその経過期間を一年とか、二年とかいうふうに期間を切ってその商慣習を変える風習をつくって、その一年とか、二年とかの期間になりましたらもう一切認めない、こういうような規定にしたい。これはまた家内労働審議会でもそういう御意見でございますので、そういう趣旨で附則の第二条のほうは、商慣習を変えさせるという一定の期間、猶予期間だけ置いてやめる。したがいまして、これは法律が施行されましてからそう遠い期間附則の二条が働くわけではございませんので、一定の期間には全部やめになりまして、六条の本則に全部返る。しかし、その場合でも専業的な家内労働者以外には決して経過期間を認めるつもりはございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
#128
○藤原道子君 そのままに私受け取っていいですね。まただまさないでください。いま、全国的に見ると、専業的家内労働者十二万人ぐらいですか、あるとして、その一割は手形ですよ。これをあなたのように簡単には切りかえられないだろうと思うのですが、行政措置によってそういうふうにもつていくというはっきりした御答弁で、だまさないということならば、これはこの程度にしておきますが、ほんとうに泣いているのですから、この点は十分お考えになっていただきたいと思います。
 それから委託者は、家内労働者に最低工賃額以上の工賃を支払わなければならないとなっていますね。その確認ないし調査は労働基準監督官がおもにやることになるのだろうと思いますが、無数の家内労働者がいる中で、現在のような人員不足の監督行政において、どれだけこの規定の効果があがるのでしょうか。監督官は相当大幅にふやす計画でもあるのですか。いまでさえ十分効果があがらない状態にあるので心配でございます。
#129
○政府委員(和田勝美君) 先生御指摘のように、この最低工賃につきましても、違反問題については、これは当事者双方だけでできない場合が家内労働者の場合に確かにございます。そういうときには監督官のほうの法律違反の是正ということ以外にやれないような場合もずいぶんあろうと存じます。そのためには、御指摘のように、その権限を行使する監督官が少ないのではないか、基準法の施行だけでも弱っているのに、さらに家内労働法の施行ではたいへんじゃないかという御指摘は、実は私どもそのとおりだと思います。それで、四十四年度、四十五年度とある程度の人員――四十四年度は、この家内労働関係のものとして都道府県基準局に監督官として二十五人。四十五年度は、家内労働のこともあわせ考えまして、監督官七十五人の増員ということでございますが、御指摘のように、まだまだ足りない。しかし、いろいろのほかの事情もありますし、公務員全体の定員の抑制というような場合もございまして、まあ、労働省としては、涙をのんで合意したわけでございますが、この法律ができていよいよ動くということになりますと、ただいま御指摘のように、最低工賃のところを確保するというような趣旨からいいましても、人員増加というものをぜひ私どもとしては強力にやってまいらなきゃならないと、かように考えております。その点につきましては、渋谷先生からもずいぶん強い御指摘がございましたが、そういう趣旨に沿いまして、ぜひ人員の増ということには努力をさしていただきたいと、かように考えております。
#130
○藤原道子君 大臣に伺いますが、問題は、公務員の定員法とかなんとかいうことで非常に縛られるらしいんですけれども、必要なところには必要な人員が要るんですよ。こういう法律をつくりながら、これでは全国の家内労働者はたいへんですよ。画期的な法律と言ってもいいんです、ほんとうは。そういうときに、監督官がふえて七十五人、これでほかのこともやらなきゃならない、やれるとお考えでしょうか。さらに、いま局長が言われたように、さらに大幅にふやす自信がおありになるかどうか、大臣としての責任ある御答弁をお願いしたい。
#131
○国務大臣(野原正勝君) 労働基準監督官の数、現在非常に少ないと思います。したがって、家内労働法の制定後になりますと、画期的な増員が要求されてくる段階であると思います。私は、そういう点を考えまして、これからの労働行政において遺憾のない対策を講ずるために、相当大幅の定員増を要求したい。その体制をただいま検討しておるわけでございます。できるだけすみやかに、明年度の予算に要求を提出するということでございます。
#132
○藤原道子君 この点については、前々から監督官が足りないことは当委員会でも指摘してきているんですよ。そこへもってきて、こういう法律ができるんです。これが七十や七十五人で監督指導ができるとは思えない。これは大臣がよほどの政治力を発揮していただいて、可及的すみやかにこの法案の趣旨が生かされるようにひとつ御努力を願いたいと考えます。
 で、最低工賃は同一の地域内において同一又は類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金との均衡を考慮して決定しなければならないとしてあるんですね。ところが、現実には、工場労働者と家内労働者が同一の仕事をしていても、家内労働者の工賃は非常に安く不利になっているんです。ここにいう「均衡」とは完全な均衡なのか、工場労働者の最低賃金と一定の格差を前提にした均衡なのか、この均衡の中身をちょっとお知らせ願いたい。
#133
○政府委員(藤繩正勝君) 最低工賃の額のきめ方につきましては、いま御指摘になりました十三条でございますが、その2項に、工賃は「物品の一定の単位によって定める」とございます。これは一般に、家内労働が物品の単位当たりの額できまっておりますためにかような規定になっておりますが、片方、雇用労働の賃金は、言うまでもなく、一般には時間、日、月等によってきまっておりまして、それを比較することはむずかしいわけでございますが、まず第一には、比較のために、家内労働の物品の単位当たりに要する標準的な時間、能率といいますか、そういうものをきめまして、それで換算しなければならないという作業が一つございます。それからもう一つは、家内労働の場合は、雇用労働にない減価償却でございますとかあるいは副材料費でございますとか、光熱費でございますとか、そういう必要経費がございます。それも差し引いた後のものについて比較する必要がございます。そういうぐあいに、いろいろ条件が違いますために、比較がたいへんむずかしいわけでございますが、そのために、この法案でも、具体的には関係家内労働者、委託者も参加する家内労働審議会、あるいはそういった最低賃金審議会の部会等で十分検討願いまして、その答申に基づいて決定をする、こういう方式をとっているわけでございます。先生いま御指摘の均衡の点につきましては、文字どおり、当該地域の最低賃金との「均衡を考慮して」とございますから、そのような最低賃金とのかね合いにおいてきまるということでございます。
#134
○藤原道子君 私がこの点を特に取り上げましたのは、このごろ企業家の間で――労働者が足りないでしょう。雇用労働者が不足するので、しかも雇用労働者にはいろいろな社会保険その他の、あるいは首切りなんかのときの手当が要りますね。だから、それよりも委託加工のほうが得策だ、工賃は安いし首切りすることも問題はないし、というようなことで、だんだん委託加工がふえてきている。相当これは危険だなと思うようなものまで委託加工に出しております。そうすると、家内労働者が安い工賃で働いているということは、労働者の賃金を低賃金にする、要するに足を引っぱることにもなる。企業者が考えればそのほうが得策だし、そうしていろいろな設備だってふやさなくても済む。そういう点がからんできますので、私は、この賃金とか何かの問題はよほど考えていかなければならないと思うのですが、いかがでしょうか。企業家がはっきり言うのですよ、私なんかに。
#135
○政府委員(和田勝美君) 先生がいま御指摘になりましたようなことは、実は相当程度御指摘のとおりじゃないかと思います。そういうようなこともございますので、最低工賃の設定制度を今度新しい法律でつくろうといいますのも、そういうことを十分考慮したい、下ざさえをしっかりしたい、こういうことでこの制度を取り上げておる、こういうことでございます。
#136
○藤原道子君 この制度を取り上げたとおっしゃっても、よほどこの運営には力を入れていただかなければ、これは空文になっちゃいますよ。それは、私のおつき合いしている中に企業家がありますけれども、はっきり言っているのです。私、これは先生を社会党員として言うのじゃありませんけれども、こう労働力が足りなくなれば、これはむしろ委託に出したほうが得ですよ、こう言っているのですから、それと、これを委託に出すことによって、低工賃であがれば二重の利点ですよね。こういうけしからぬ業者のいることもお考えに置いて、せっかくつくった家内労働法が名前倒れにならないようにいたしていただきたいと考える。
 それから、安全衛生のことを先ほど中沢先生からもお話しがあったわけでございますが、防止施設だって、危険防止とか、衛生管理とかいうようなものはなかなかむずかしゅうございます。これはずっと視察してみても、家内労働とかあるいは内職者はほんとうに環境の悪いところに多いのです。そこへ、先ほどお話しがあったように、花火なんかだって爆発するし、それからこの前のベンゾールですか、あの事件だって視察に行ってびっくりしたわけです。そういう危険なものは、家内労働として出すこと自体が間違いじゃないでしょうか。危険な薬品とか、危険な物資とか、そういうものを民家の密集したところへ持ち込むということが危険の起こる大きな原因なんでございます。この点は、何かお考えはないかどうか。
 それからもう一つは、衛生的な問題ですけれども、健康管理ですね、家内労働というのは時間をほんとうに長くやりますし、空気の悪いところでやっているのですよ。だから、この人たちの健康管理というようなことで、年に一回ないし二回は健康管理をやるようなことを義務づけるようなお考えはございませんか。
#137
○政府委員(和田勝美君) この十七条の1項は、委託者に対するいろいろの安全衛生に関する責任規定でございますが、これにつきましては、具体的なのは労働省令で書くということになっております。その書かれたことに従って委託者が必要な措置を講じなければならない、こういうことでございますが、その書きますものは、たとえばプレス加工の場合における安全装置の問題だとか、あるいは有機溶剤の使用の場合における問題だとか、まあいろいろのことを書こうと考えております。ただ、作業場が家内労働者自身の自宅である場合が非常に多うございますので、そういう場合には2項のほうの規定で、家内労働者に一定の義務を課せざるを得ない、こういうように考えます。
 なお、危険物を扱わせることはどうかという御質問でございますが、たとえばヘップサンダルの場合におけるベンゾール性ののりにつきましては、その販売、製造を禁止をいたしまして、これは一切使ってはならぬ、つくってはならぬ。こういう規制を講じていきたい。
 それから火薬類になりますと、これは火薬に対する取り締まりは通産省でおやりになっておりますが、一定量以上のものについては一定の規制がございますから、そちらの規制でやっていかなければならぬと思います。それと、最近、私どもも家内労働のほうを見学さしていただいたことがありますが、委託者のほうもこのごろは危険物を家内労働者の家庭内に持ち込むことについては相当自粛の気持ちも強い向きもあるわけであります。それは補償の問題がなかなかたいへんだというようなこともございまして、そういうような自粛の気配もございますので、そういうようなものについては、家内労働審議会に委託者の代表も、家内労働者の代表もいらっしゃるわけですから、十分御意見を聞きながら家内労働者の実態に即した禁止規定、規制規定をここでつくっていきたいと、かように考えております。
#138
○藤原道子君 この点はよほど考えてやっていただきたい。そういうことのあれがありながらも、いまでも危険がずいぶんあるんですからね。この点は、労働省で特に配慮していただきたい。健康診断のことはどうでしょうか。
#139
○政府委員(和田勝美君) 健康診断につきましても、委託者に対しては特別な業務に従事する、要するに有機溶剤とかあるいは鉛中毒の出そうな陶器の顔料の問題であるとか、それからけい肺が出るような、たとえば食器の研摩というような場合には、私どもは特殊な健康診断が必要であろうと思います。それをどういう姿勢で委託者にやらせるかということも、この十七条で規制し得ると考えておりますので、そこらにつきましては十分ひとつ、先ほど申しましたように、家内労働審議会、いろいろの経験者の集まりであります審議会を活用をいたしまして健康診断をやりたい。それから、また国といたしましても、これは委託者にばかりやりますのも問題がありますが、中小企業については、特殊健康診断を労災の保険制度でやっておる向きがありますが、そういうようなものを参考にしながら、私どもとしては、国が労災協会あたりに委託をしての健康診断の拡充というようなことも十分考えさしていただきたい、かように考えております。
#140
○藤原道子君 健康管理については特に御配慮が願わしい。結局、政府管掌の健康保険が赤字というのも、大企業では絶えず健康管理をしている。就職のときも健康でなければ採らない。中小企業にいくのはさらにそこで落ちこぼれた者が行くわけです。そこでは健康管理があまりやかましくない。ところが、零細企業となるとさらにその下なんですよ。からだを酷使する面では一番酷使しておる。それで環境衛生も非常に悪いところでやっておりますので、健康管理は十分ひとつお考えになっていただきたいと考えます。
 まあだいぶ長くなりましたし、他に御質問の方もあろうかと思いますので、急いで結論に入りたいと思います。
 婦人労働者の活用という問題ですけれども、近年、労働力の不足に対処するために、家庭にいる婦人労働者がそれぞれ能力の再開発という名目で、政府も、企業も婦人労働者の活用に目をつけている。ところが、一方では職場の婦人労働者に対しては若年定年制度とか、結婚退職制というようなことで企業から締め出している。婦人労働者活用と言いながら、一方では若年定年あるいは結婚退職というようなことを制度化している企業がたくさんある。これは一度婦人労働者を解雇して、そうして再び安い賃金で雇用する一ではないけれども、内職あるいはパートタイマーというような方向でやっているということが、最近明確過ぎるほど明確になっている。婦人労働者を活用するということは、婦人の安い労働力を再開発したいと、こういうことなんです。そうするとパートタイマーとか、内職で安い賃金で働かせることは、それは企業にとっては大きな魅力ですから、そういう点があるんでありますが、労働省としては、若年定年制とか結婚退職制というようなものをどういうふうに考えているか。さらに、こういう方向で内職とか、パートタイマーに流れる人がやむなくふえておるということについては、この矛盾をどのように解釈しておいでになるか。その点ちょっと伺いたい。
#141
○政府委員(高橋展子君) 企業の中で女子労働者が一定の年齢に達した場合に、機械的に退職する、あるいは結婚した場合に退職する、そのような取りきめをしている場合が間々ございます。先生も御存じのように、しばしば社会的な問題となっているところでございますが、私どもの調べたところでは――これをただいま手元に資料がございませんので正確には申し上げられませんが、これを明らかに就業規則等に明定して契約としておりますものは比較的少ないようでございます。しかし、現実にこのようなことを慣行として内規的に設けて、女子が三十歳になったらやめていく、結婚したらやめていくというように習慣づけて、慣習づけている例が間々あるようでございます。このことにつきましては、私どもは女子の能力の活用という点からもまた男女の就労の機会の平等という点からも、まことに遺憾な慣行であると存じます。ただ、この若年定年制あるいは結婚退職制というもののあり方につきましては、直接これが法律上違反を構成するということがございませんので、これを取り締まるというふうなことは現状ではいたしかねるわけではございますが、しかし、たいへんに遺憾な慣行でございますので、これを是正するように行政指導を続けているところでございます。また、このような制度によって職場からはじき出された人たちが内職あるいはパートに行くというようなお話でございましたが、そのあたりは、私ども、必ずしもそのような因果関係があるかどうかは明らかにいたしませんが、現実の問題といたしまして内職を希望し、またパートタイムで就労する婦人が多々あるわけでございますので、そういう方たちに対しては、その就業の希望をかなえ、またその就業の条件が適正に維持されることが一般の婦人労働者の労働条件の向上、その下ささえとしても必要だと思いますので、これら内職従事者あるいはパートタイム雇用での就業者についての就労条件の向上、これに努力をすることによりまして、これらの就業形態の者の保護と、それから一般婦人労働者の保護をはかる、このような行政としては施策を進めるべきではないかと考えます。
#142
○藤原道子君 若年定年制とかあるいは結婚退職がふえるから内職がふえるとは考えられない、それは全部が全部首を切られた人が内職に回ると申し上げているわけではない。けれども、今日の物価高で主人の収入だけではやっていけないから内職に走るという人はかなりある。働きたくも首を切られる。高齢になっているというようなことで、泣きながらやめていく人が相当ある。これは労働省ではいかんともしがたいと言うけれども、いつか妊娠したからといって首を切られた人が裁判を起こして勝っていますね。それから結婚退職というようなことでも、これも裁判を起こして、これは労働者の主張が認められておる。だから、そういうことをやる好ましからざる業者に対しては、労働省として指導されるのがほんとうじゃないかと思うのですが、どうですか、大臣。
#143
○国務大臣(野原正勝君) お説のとおりでございまして、結婚によって退職を強要されるとか、あるいは若年でもってやめてもらうということ、以前にはかなりそういうことはあったと思う。最近は、どうもむしろもっとおってもらいたいけれども、もう結婚したからやめるというようなことを申す者があって困っておるというような話も聞きます。それも事実でしょう。しかし、とにかくいずれにしましても、労働力が非常に不足しておりますし、特に婦人の労働にたよるというか、日本の経済の発展は、こうしたあらゆる方面の労働力を十分に生かしていくということが必要なのであって、生かす場所がたまたま職場に通勤をしないで、家の中で、家内労働でやろうという方もあるわけでございまして、考え方によりますというと、企業者にとってもたいへんいいという、あるいはまた働く人たちにとっても、やはりかぎっ子をつくらずにかえっていいんだという方もありましょう。そういう面でやはり労働条件をよくして、そういう人たちも最低工賃というか、賃金の支払いの保証もあり、あるいは労働時間においてもそう無理をしなくてもいいということになると、そこに新しい家庭生活とも両立できるような健全な職場として考える余地もあろうと思います。そういった面で、この家内労働法が成立を見た機会に、あらためてひとつそういう問題を真剣に考えていくということであろうと思います。
 先刻来、さまざまな御高見があったわけでございますが、私は、この機会に、内職の職業補導所のようなもの、現在非常に少ないのでございますが、これは非常にふやさなきゃいかぬと思う。せめてこれは現在の二倍以上の数をふやしたいという気がしております。それからまた指導員というものがあるわけでございますが、相談員ですか、内職相談員、これなども実は百七十名ということでありまして、あまりに少ないと感じまして、やはり相当大幅にふやしていく必要がある。さしあたり三百名くらいはぜひふやしたいというふうに考えておったわけでございます。あらゆる面から、家内労働法がここに成立を見る段階が刻々迫っておるわけでございますが、この法律の中身は、まだいろいろ伺っておりますというと、なかなか問題が多い、確かにそう感じます。けれども、これさえもなかったのでありますから、ここに一歩前進であるというふうに考えまして、この法案が家内労働に働いておられる人たちのためにも十分に役立つようなものにしたい。国としても、大きなそこに施策の目標を掲げまして、今後しっかりこの問題をひとつ片づけていくことが労働省としての大きな使命であろうかと思います。そういう気持ちでひとつこれからこの問題と取り組んでいくことをお約束いたしたいと思います。
#144
○藤原道子君 そこで家内労働者の労働条件の問題でいろいろ問題ございますけれども、きょう午前中に家内労働者の労働組合ですか、というような話も出ていたようであります。私も、家内労働者みずからのグループ化といいますか、労働組合という前に、そういうものが必要ではないか、家内労働者みずからのグループですね。たとえば、京都の洛北内職友の会というのがあるんですよ。これは非常に効果をあげているんです。つまり売り値から逆算して工賃を計算しまして、そしてグループで賃上げを交渉する。全体的に見ると、非常に効果があがっておる。けれども、これはほんの一握りの例にすぎない。全国的に見ると、まだこれにまねしたようなところがございますけれども、ここまでしっかりしたグループは私は承知していないわけです。こういう点も考えて、そういうふうな指導をしていこうというようなお考えはございませんか。
#145
○政府委員(和田勝美君) 家内労働者の方にはそういうグループ的なものも実は相当多うございます。ただ、団結意識という点でグループをつくっていらっしゃるかどうかはとにかくといたしまして、たとえば、団地なんかでは自治会組織的な意味でのグループがあります。たとえば、いま先生のおあげになりました京都の場合もあり、それからさらに進んで労働組合を結成しておやりになっておるところもある。それは一種の団体交渉が法的な問題よりも自然の問題として行なわれておる。こういうことは、今後におきます家内労働者の方の労働条件といいますか、就業条件を向上させるために効果的でありますならば、私どもは、無理のない姿勢で育成するような方式をとるべきであろう。ただ、非常にきらいだということをおっしゃる向きもございますので、そういうことについてはむげにできませんが、グループ化ということによりまして、漸進的に条件が上がってくるということに効果がある場合には、内職補導所あたりが中心になられたり、あるいは監督署の者が相談相手になったりして、先生の御指摘のようなものに向かって努力をする、こういうことにさせていただきたいと思っております。
#146
○藤原道子君 どうも政策宣伝で、労働組合なんて悪いものだという宣伝があるものですから、家庭の奥さん方は、労働組合をつくるなんていえばしり込みしちゃう。だから、そこはわけのわからぬ宣伝でそうなっている。労働組合悪者なり――それは別としまして、グループは私は指導によってはできると思うんです。それが発展していけば労働組合的形態になる、こう思う。中には個々で賃上げを要求すると、もうおまえさんのところには頼まない、こういうことになる。だから、グループでやればそういうかってなことはできないと思いますので、そういうふうな方向へひとつ指導していただきたいと、私は強く要望いたします。
 それから最後に、仲介人のマージンでございます。内職の仲介人のマージンをどの程度とお考えになっておるのか。非常にまちまちなんですよ。五%から二五%くらいの幅があるんじゃないでしょうか。
#147
○政府委員(和田勝美君) 先生の御指摘のように、私どものほうで実態調査をいたしましたものでは、やはり五%から二五%くらい、非常に幅の広いものがございます。
#148
○藤原道子君 そこでマージン率の規制とか、あるいはまた幾重にも仲介人がその間に存在する、こういうことに対しての排除は家内労働者の保護につながる問題だと思いますが、こういう点をお考えになったことがございますか。私は、真剣にやるべきじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#149
○政府委員(和田勝美君) 仲介人のマージン、仲介手数料の問題は、御指摘のように、もうあるわけであります。これは仲介人がおることによりまして、かえって内職がスムーズにいくという機能を果たしていることも否定できないと思います。各家庭に散在をしておりますので、どうしても個々と会社がなかなか結びつきにくいという意味で、仲介手数料というものが合理的な性格のものである限りそれを排除できない、こういうように思います。しかし、それが合理的でなくて、いわゆる中間搾取的なものになりますものは、私どもは、ぜひ排除しなければならない、かように考えております。この法案をつくります基礎になりました家内労働審議会でも、その手数料規制の問題は非常に御議論がございました。しかし、もっと実態が整理されていくべきである。そのためには、法律上の規制ということよりも、家内労働法ができてから、行政指導しながら一つの秩序をつくった上で法的規制をしないと、いまのままではなかなか問題がある。当面は、家内労働手帳によりまして条件をはっきりする、あるいは最低工賃の制度の運用によって工賃の下ざさえをするということによって、自然の姿で手数料がいわゆる法外なものにならないような努力を重ねていった上で、ある段階になったならば手数料の規制等についても考えたらいいじゃないか、それが実際的じゃないか、こういうことになりましたので、今回の法案にはそういう点で規制がございませんが、方向としては、いま藤原先生の御指摘のような方向に努力をしていきたいと、かように考えております。
#150
○藤原道子君 まだ生協、内職の問題と、いろいろきょう御質問したいと思っておりましたが、私も少し疲れましたし、あまり長く時間とってもいかぬかと思いますが、ただ、最後に申し上げたいのは、外国へ参りまして、日本製のおもちゃとか、造花ですね。こういうものを見ると、日本の問屋渡しの二ドルくらいのものが向こうへ参りますと、それが十何ドルもしている。あまりにも開きがあり過ぎると思うんです。たたけるだけたたいて内職工賃を安くして、しかも上に仲介マージンがある。そうして、委託者のもうけといいますか、さらに問屋のもうけというふうにして積み重ねていく。内職する人こそいいつらの皮だと思うんです。非常に安い工賃で、それこそ夜の目も寝ずにやっております。私、いま目が悪くて、老人性白内障だとおどかされているのです。非常に遠視と乱視で苦労しておりますが、私もやはり若いとき内職やりました。明け方四時ごろまでにこのセーターを編み上げなければあすの米も買えない、こういう暮らしもしました。それで、裸電球のもとで内職に精出したために、これが乱視になった原因だと言われております。こういうことで、内職者の心理というもの、その労働というものは、あなた方が机の上で考えていらっしゃるような簡単なものじゃない。非常に苦しい内職です。その苦しい労働に対して二重、三重に搾取があるということは、これは耐えられないことだ。しかも、その内職に待たなければ日本の産業は成り立っていないんですよ、いろいろな面で。そういうこともございますので、幸い家内労働法案ができましたならば、この趣旨を十分に生かして、それこそ苦汗労働をしている人たちが守られますように強く要望いたしまして、いろいろ資料も勉強してきましたけれども、私のきょうの質問はこの程度にいたしたいと思います。
#151
○吉田忠三郎君 私は、この法律案を審議さしていただくものとして、非常に感慨無量なものがあるのです。そのことは、かって私は労働界に籍を置いて、総評の場でこの労働問題を研究したことがございます。そのときに、やはり一番先に直面をいたすのは家内労働の問題、それから最低賃金制の問題がやはり問題になっておるわけです。そういう点で、私は、十数年間、家内労働法の制定について関係各省等々に運動を展開をいたしてきたわけです。それがようやく今日政府の手でこの国会にこの法案が提出をされて、審議をいたすそのメンバーになっていることを思って、冒頭に感慨無量なものがあると、こう言ったのでありますけれども、きのう、きょうと二日間の審議の過程で、同僚の大橋委員はじめ、たくさんの方々のこれに対する質問が展開されました。そうしてまた関係者の説明を伺っていたのでありますが、どうも私は――これはあえて私と言いますが、まだまだそうした長い間運動してきた者として考えてみると、いまの労働省の力では死文化されるおそれがなしとしないと考えて、これから若干の質問をいたすつもりでおります。しかも、私はいま申し上げた立場ですから、満足ではないけれども、この法律には賛成をいたすことを前提として質問をいたすつもりでございます。
 そういう意味で、もう一回、労働省というものは一体何かということで関係の法律をひもといてみたわけです。御承知のように、労働省は、国家行政組織法を基にした労働省の設置法によって「労働省の任務」が第三条に明確に規定をされております。第四条には、これも釈迦に説法でありますけれども、「労働省の権限」が明記されている。先ほども言ったように、この法律に私は賛成する立場をとっておりますから、おそらくや、この国会では成立をするであろうと思います。さて成立をした場合に、いま申し上げたような労働省の任務、権限等々が明記されていますから、前に戻って、死文化されないためにはどうしなければならないかということは、おのずからその間私は答えが出てくると思うのです。
 そういう意味で伺いますけれども――どうも委員長のほうは、これはけさからすわりっぱなしで、顔を見ていますと、吉田が質問に立つといつも長いからいいかげんに、時間もきているから、こういうふうにまあちょっとうかがわれるのですけれども、委員長の委員会の運営に協力する立場も私はとらなければならぬ、そういうことを考えて質問をするのであります。
 したがって、この条文の各項について申し上げませんけれども、労働省の任務というのは、一つには「労働組合に関する事務、労働関係の調整及び労働に関する啓もう宣伝」、これが第一に掲げられております。それから第二には「労働条件の向上及び労働者の保護」、二の二には「労働者の安全及び衛生の確保」、それぞれの委員の方々がこの安全衛生等についてもかなり触れられております。
 それから、特に私は、この法律を審議するにあたって、政府のいままでの調査の結果の資料も見てまいりました。それから私ども社会党が独自で調査をいたしたものも見てまいりました。先ほど申し上げましたように、私は、総評の場でこの問題を取り扱ってきておりますから、自分の体験、経験したもの、ある程度知っております。家内労働者は、さいぜんからいろいろ各委員から意見なり、問題提起をしたように、婦人が多いんであります。したがって、任務として、三の「婦人の地位の向上その他婦人問題の調査及び連絡調整」等々、その他職業紹介であるとかあるいは失業者をどうするとか、あるいは労働の統計をどうする等々のことが記載されている。ですから、ここのところは、この法律が制定された場合に、労働省の任務というのはこれではっきり規制される。
 そこで、一体、この法律が制定をされて施行された段階で、第四条にありますこの権限、たいへんな数の権限が記載されておりますから、ちょっと見ただけでは、さてこの家内労働法が成立施行された段階では、この中のどの条項、どの項目を皆さんがたててとして監督指導、あるいはこの行政の樹立に当たるのか。この点を、まことに幼稚な質問でありますけれども、私には、冒頭申し上げたような事情がありますから、この際ひとつ聞いておきたいと思います。
#152
○政府委員(和田勝美君) 先生の御指摘は、法案の附則第六条に規定がございます。第六条は、法律番号が書いてございますが、それを省略いたしまして「労働省設置法の一部を次のように改正する。」ということにいたしました。設置法のほうをごらんいただきたいと思いますが、設置法の第四条の第三十二の四という号がございます。その中に「最低賃金法に基いて、最低工賃並びにその改正及び廃止の決定をすること。」という条文がございますが、これをその第六条の第一項でごらんいただきますように、「家内労働法(昭和四十五年法律第 号)に基いて、最低工賃並びにその改正及び廃止の決定をすること。」と、こういうように改めまして、労働省の権限に家内労働法を明らかに定めるということにいたしております。また、以下は各局の分配の問題になりますが、基準局の事務を書きました第八条の第一項の第十四号の中に、いろいろ法律が書いてございますが、その中に「最低賃金法」と書いてありますその下に「家内労働法」ということばを加えまして、その権限分配は、原則的には労働基準局がやるというようなことを書きます。それから十三条にまいりまして、これは「その他の附属機関」という条文でございますが、この中に「家内労働審議会」という項がございますが、それを「中央家内労働審議会」、こう改めまして、目的の中には、「労働大臣の諮問に応じ、家内労働に関する重要事項を調査審議すること。」というように改める、こういうことでございます。また、十五条にまいりますと、これは地方支分部局で、都道府県労働基準局の権限を書いておりますが、この中に第十五条第一項の「最低賃金法」と書いてあります下に「家内労働法(これに基づく命令を含む。)」ということになりまして、都道府県労働基準局でこの法律を所管することを明らかにいたしました。また、第十六条は、都道府県基準局の付属機関を規定しておりますが、その中に家内労働審議会のことを規定するような条文改正をする。第十六条の第一項の表の中に、「地方家内労働審議会」という条項を追加をする、こういう改正をいたしております。また、十七条の監督署の権限の中に同じく第一項の「最低賃金法」ということばがございまして、その下に「家内労働法(これに基づく命令を含む。)」ということを入れまして、監督署でこの権限を行なうことを明らかにする、こういうように設置法の改正を法案の附則でいたすことになっております。
#153
○吉田忠三郎君 いま出されている改正点というんじゃないんだ、それを聞いているんじゃない。つまり労働省設置法の第四条には、読み切れないほどの権限が書かれているでしょう。その中で、家内労働法というものが制定、施行される段階で、どれを、どの項をたてとして、いままで各先生方から質問されたいろいろな問題をどこで歯どめをするのかということなんですよ。その歯どめのことについては、そこで答える必要を認めません。いまあなたの出されている附則のところでどうこうするくらいのことは、私は承知しておりますから。しかし、そういっても、せっかく各条項を読み上げて答えられたのだから大体わかったが、私の理解として、第六条、第八条、つまり法制定のあとには、監督指導などなどの労働省としての権限を活用して、いままで各先生方から質問された心配事を克服していくんだ、こういう理解でいいんですか。
#154
○政府委員(和田勝美君) 先生御指摘のように、四条の中に労働省の権限が書いてございますが、その中に家内労働法、最低工賃云々、こういうようなことを入れますので、家内労働法に規定されたものが労働省の権限として施行されるということが明らかになっております。あとは、こまかく権限分配のことを申し上げたのでありますが、その条項を基礎といたしまして、昨日来、お答え申し上げておるような諸般の行政措置、行政指導、こういうことをやってまいりたい、かように考えております。
#155
○吉田忠三郎君 そこで、そのことが明確になりましたから伺いますが、臨時家内労働調査会ですか、この報告にも書かれていますが、非常にこのことについては時間がかかっております。現にこの報告の冒頭に書かれておりまするように、従前なかった記録的な長期間だということばが使われております。ですから、たいへんな時間がかかったと思うのでありますが、そのことを含めて、私の理解では、労働立法ないしは行政においても、今回の立法が、私をして言わしめれば、おそきに失したと思うのです。しかし、これからでもおそくはないということもあります。その前提に賛成の意を表して質問しているのですが、労働省とすれば、この設置法に基づいて労働省ができて、かなり歴史が浅いと言いながらも、年数が経過をしていますね。少なくとも、労働省は、もとより先ほどの権限ばかりでなくて、第三条に明記されていますような任務、その任務から、一般論として労働というものをいろいろ研究したり、検討されたときには、そんなに私と変わらぬと思いますが、非常に珍しい現象ではないのか。一般論的に、なぜ私がこういうことを申し上げますかといいますと、われわれがこの問題をいろいろ研究、検討して問題提起したのは十数年前です。多く申し上げませんが、そのときすでにわが国の産業経済のいわゆる二重構造の問唯を取り上げたり、それから労働問題といっても順序がありますから、そういう順序筋道を立てて見ると、やっぱり何といっても最底辺にある家内労働というものを最賃法との関係で、そこで真っ先に取り上げて、その一応の成果というものを見て、その次に今度は一般論でいわゆる専業労働者であるとか、あるいは工場労働者というものの最低の賃金をきめていくというのが少なくとも労働問題を手がけたものとすれば、そういう順序になるのではないか。現に共産国はもとよりでありますけれども、アメリカだってそうですよ。ヨーロッパだって、いま私が言ったような順序でこの法制定、制度あるいは施策の樹立、こういうことをやっているんですがね。そういうものから見ると、この問題はかなり早い時期に、しかも、労働界を中心として、国会内では社会党が真っ先に取り上げてきた問題なんですが、先ほど言うたように、これからでもおそくはないという立場に立って申し上げるんだけれども、ずいぶん珍現象が起きたものだなと私は思うのですがね。それはいろいろな多種多様なものがありますから問題もあるけれども、なぜ、こんなに時間がかかったのだろうかなと、こう思うのです。それにはそれなりの理由があると思うのだが、この辺をぜひひとつ中身に入っていく前に明らかにしてもらいたいと思う。
#156
○政府委員(和田勝美君) 労働法制定全般の問題につきましては、私どもも先生の御意見と大体同じでございます。わが国におきます戦後の労働法制を見ますと、労働組合法、労働関係調整法、労働基準法と来まして、三十年代になりまして最低賃金法、ちょうどその最低賃金法が制定されましたころにこの家内労働問題が提起をされまして、労働省としては、三十四年から臨時家内労働調査会、こういうことで真剣にこの家内労働問題に取り組んでまいったわけであります。これに対しまして、家内労働調査会が四十年の暮に報告書を労働大臣に提出をされましたが、その中にも書いておられますが、家内労働の実態がきわめて複雑多岐であるということと、実態調査をしてみればみるほどあまりにも家内労働に関する資料がなさ過ぎる。なさ過ぎた。この臨時家内労働調査会がやられた調査が初めて体系的な調査であった。そういうことから考えて、非常に困難な問題があったことを前書きで報告書の中で指摘をされております。この点は、先生がお読みいただいておるようでございますので御承知をいただいておると思いますが、そういうようにしまして、家内労働がきわめて複雑多岐であり、しかも、それをめぐるいろいろの調査その他が非常におくれておった。しかし、家内労働調査会のせっかくの御努力でそれがようやく集大成をされた。その実態調査を通じて見てみると、家内労働についてはこまかくいろいろの規定をするよりも、大筋に立ってものを判断することを主眼として対策を立てたらよかろう、報告書の全体の考え方としてはそういう趣旨であったと思います。それと先ほどお答えをちょっと申し上げましたが、そういうような実態が一つあるということと、それから家内労働調査会は、われわれ行政当局に対して、試験的に幾つかの行政措置をとってみたらどうかということで、標準工賃の設定とか、最低工賃、これは最低賃金法にもありますが、その設定であるとか、あるいは安全衛生に関する施策とか、そういうことを行政上の措置としてやらせてみて、その実験的な効果を測定しながら三十四年から四十年まで調査を続けられまして、四十年の暮に報告書をいただいたわけであります。そうしてさらに進んで法律的なものを措置するためには、正式の家内労働審議会を設けて労働省としては検討すべきである、こういう結論をいただきましたので、四十一年から正式に労働省の付属機関として家内労働審議会を設けまして、そこで法制的な措置についての御議論を三年間わずらわしたわけであります。三年たちまして四十三年の暮に答申をいただいた。そういうことで、先生が御指摘になりますように、あまりにもおそいではないかという点につきましては、私どもも、確かにテンポはおそかったと、しかし、いろいろ御討議をいただいた調査会や審議会の御苦心と、そして実態として、日本の家内労働が常に流動的であり、生々発展をしておるということから考えて、一面においてはやむを得ないものがあったのではなかろうか、かように考えております。しかし、おくれたということの御指摘については、いま申しましたようないろいろな事情がありましたにしましても、確かにややおそきに失したのではないかというのが偽らざる私どもの所感でございます。
#157
○吉田忠三郎君 いま局長からその経過をかなり説明されたのですが、私どもも、そういうことをやっておったのですからね、承知をしておる面もあります。しかし、何といっても当初われわれが総評で議論をして、それぞれ運動を展開したというところから見ますと、その当時は、いま基準局長の和田君が答えられたような姿勢が労働省になかった、残念なことには。ですから、先ほど来、私は感無量なものがあると言ったのはここなんです。われわれは、当初から、今日のわが国が資本主義をいわゆる基盤として、バックボーンとして産業経済の政策をとっていく限りにおいては必ずや労働問題でひずみが生ずる、あるいは産業経済につまり労働の問題が中核となって格差が生ずる、こういうことを指摘をして、家内労働法の制定ということを具体的にそれぞれの持てる力で調査もしたし、研究もしたし、あるいは成案をつくって運動をしておった。いま答えられた中にその一面が出ているのだけれども、残念なことには資料がなさ過ぎた。これは労働省がやる気がないからだ。それから臨時調査会あるいは審議会ができていますね。いますけれども、この人たち、メンバーに対してどうこういま言う気はないのでありますけれども、労働省の姿勢の問題ですよ、姿勢の問題。それは極端なことばで私は言いますけれども、こうした調査会とか、幾つか諮問機関がありますけれども――これは労働省だけじゃないですが、いずれも行政の隠れみのになっているのじゃないですか。りっぱに立法府たる国会があるので、法の制定ですから、いくらでも表に出して議論をして法制化を促進するという場がある。それがそういうものをつくってやっておったというのは、いま私が言ったように、まぎれもない行政が隠れみのにして当初からのそれぞれの政策を進めようとしていた。これは間違いない。この問題を扱う場合に、労働政策上一つは扱えるのです。一つは、先ほど同僚の藤原委員からも言われたように、低賃金政策上とらえられておったからこういういわゆる緩慢な、消極的な、しかも、それをのがれ去るための手段として調査会というものをつくられていたことは間違いない。それがようやく今日、われわれが指摘をしてきて、労働力に現実に不足が出てきて、産業経済に多大な影響を及ぼすようになってきて、それが高長政策の時代から――高長政策の是正は私は言いませんよ。言いませんが、そういう段階になってきて初めて、先ほど言ったように、おそきに失したけれども、これからでもおそくはないという立場を持っているから賛成しているのですけれども、そういう経過というものをきちっと踏まえなければ、この法律はせっかくここで成立しても、冒頭申し上げたように死文化になる、そのおそれが多分にあるのだ。大臣、どうですか、こういう私の考え方というのは。
#158
○国務大臣(野原正勝君) 先ほど来、御指摘の点でございますが、確かに家内労働法が非常な長い時間をかけてできたことは、まことに遺憾に存ずるわけでございますが、それにしても、ようやく今日日の目を見るに至ったということでございます。この家内労働法は、もとより労働省設置法の第三条にも示されているように、労働者のために役立つ法律としてこれから内容が整備されてまいるわけでございますが、家内労働法が生れるに至った今日の社会情勢等を見てみますと、この法律は、これからも非常に問題が多いと思う。おそらくなかなか単純なものではない。先ほど来、さまざまな皆さん方から御質問等があったのでありますが、これに対しましては、やはり働く人たちの立場というものを十分に考えたやはり最低基準工賃、賃金という問題、そのことが家内労働者の人たちの所得の問題のみにとどまらず、あるいはへたをすると、一般の労働者の人たちにもマイナスの作用をするということも心配があるという御指摘がございまして、まさにそのとおりだと思います。あるいはまた労働時間の問題、家内労働は非常に長時間働いているという問題、あるいは安全衛生の問題等も注意しなければならぬ問題だろうと思います。それから、何としてもやはりいままではせっかく働いてやってきたところが、これの支払いができないというようなことで、非常に困った問題がしばしばあったということ、そういう工賃があくまで保証されるような点で十分な配慮が必ずしも加えられていないという問題、あるいは家内労働が非常に大ぜいの人たちによって、これからもおそらくだんだんふえていくと思います。やはりそれに対する職業補導の問題、指導所の問題も必ずしも十分でない。むしろ非常に少ないという感じがいたします。指導員の数も非常に少数であって、大ぜいの人たちのために必ずしもこの程度では満足でないという問題もあります。あらゆる問題から家内労働法についての各位の御指摘を十分に伺いまして、今後の対策を積極的に進めていこうということでございます。非常に重大な問題がたくさん内包していると思いますが、この委員会における御審議の経過等を拝聴いたしまして、これはあらゆる面からひとつ本腰を入れて取り組んでいかなければならぬということを痛切に感じまして、この法案の成立を見た暁は、この問題について積極的に検討していきたいというふうに考えているわけでございます。
#159
○吉田忠三郎君 大臣ね、積極的に取り組みたい、さらには熱意をもって努力しなければならないという意味の決意のほどは私はわかります。ですが、どうも私が聞いたこととちょっと違ったように思いますので、大臣は十年も前から大臣をやっておったわけではないのですから、局長、そこのところを補足する意味でもう一ぺん説明してもらいたい。
#160
○政府委員(和田勝美君) 審議会あるいは調査会というものにつきましては、私ども決して隠れみのというような意味合いで調査会の設置をお願いしたわけではございませんで、いかにも、三十四年当時は、家内労働の姿というものがあまりにもつかまえられなさ過ぎておった。そういう実態の中で、行政対象になるべきものの姿を明確にする必要があるだろう。そのためには、この調査会にお入りいただいたメンバーには委託者、あるいは家内労働者の代表の方もおられますし、それからそういう方面に対する社会政策的な見地から御検討をわずらわしておった学者先生、あるいは法律の関係の方もおられます。そういう方々あるいは安全衛生の方もお入りいただいておりますので、そういう方々によりまして実態を明らかにした。しかし、その実態が先ほどもお答えを申し上げましたように、当時のわが国においてはあまりにも知らなさ過ぎておった。そのために、調査会が四十年で報告を出していただきましたときにも、前書きにはっきり書いておられますように、実態究明ということが初めてこの調査会で行なわれるような状態であったことについて調査会の御指摘があったわけであります。もちろん、その間の三十四年から四十年の間におきまして、もっと早くやれたではないかと、そういう御指摘は、私どもとしては、ある程度甘んじて受けざるを得ないものもあったと思いますが、いずれにいたしましても、調査会のたいへんな御努力と、実態調査とそれから行政上の措置と、そういうものとかみ合って、四十年度から今度は四十一年度正式の審議会に移行した。正式な審議会においても、小委員会を設けて数回も開き、たいへんな御努力をいただいて四十三年に1九年かかったわけでありますが、御答申をいただいた。その間におきまして、労働省の姿勢が甘かった、あるいは消極的であったという御非難はございましたが、それらにつきましては、私どもは努力はいたしましたが、今日から見て、消極的だったではないかという御指摘をいただいて、それが全くそうではございませんと、こういうことを申し上げるだけの勇気もないわけでございます。そういう御指摘のあった点も、そのような姿がときにあったことに対しては大臣から遺憾であったということを申し上げましたが、行政実務を担当しておりました私どもといたしましても申しわけがないことであったと思います。しかし、とにかくおかげさまで前回の通常国会に提案させていただき、今度また御審議をわずらわしておる。ぜひこの法律案が成立をいたしまして、家内労働者の方々の労働条件の向上と改善ということに少しでも役立ちますように、ぜひ力を尽くしていきたい、かように考えておる次第であります。
#161
○吉田忠三郎君 大体その前提が一致する。
 先のほうに私は進みますけれども、これは一口に家内労働といっても非常にこれはむずかしいわけですよね。しかし、先ほど来、各先生方からも質問されたように、これをある程度まとめてみると、三つ四つにまとまると思うのです、定義めいたものがですね。中身は、私は、かなり時間を経過しておりますから、家内労働の現状というもので労働協会から出たものに定義めいたものも書いておられますし、われわれも全くそのとおりだと思っておりますから言いません。また、その労働の分類もこの中に記されておりますからそれも言いませんけれども、とにかくそういうものはさておきながら、今日、政府はもとよりでありますけれども、一般的に日本の経済が非常に発展したといわれていますね、私もその点は否定しません。そうした発展過程の中に、一方においては、たいへんな各分野に矛盾といいますか、格差、ひずみが生じている。だからちょっとさきに申し上げましたように、家内労働関係についても、特にその労働の性格というものは、大げさに言えば、一変したといわれるくらいに変化をいましつつあるんじゃなかろうかと思うんですが、まずこのことが一つです。
 同時に、この特質を洗ってみると、やはりこれは政府の経済政策の失敗からくるそのひずみ、特に最近問題になっている物価問題等の面も影響している。だから、ほとんどの状態を見てまいりますれば、物価高に対する収入を確保するために家内労働に従事をしている人々とか、あるいは内職をやっておられる人々というのは、国家公務員であろうとあるいは公企体の人々であろうと、地方公務員の方々であろうと、大多数が、いわゆる妻たる主婦が家内労働に従事をするという傾向が非常に多くなっている。しかも、それが全国的に広まりつつあるということは皆さん知っていると思う。この法律では、大体大都市に中心を置いて書かれております。それを是正するために、衆議院段階では修正をしたものと私は考えておりますが、いずれにしても、そういう面で広まってきておるんですね。しかも、経営者のほうとしても、たとえば産業分類をしてみますと、あるいは労働省の報告にもありますが、電気機具であるとかあるいはプラスチック製品であるとか、メリヤス、紙器などの分野で非常に最近労働力が不足をしておる。ですから、それに対処するために、先ほど申し上げましたような家庭の主婦を比較的に安易に――それはいろいろな仲介人の話等もありましたが、そういうものは別として、比較的安易に家内労働の活用に求める傾向というのはたいへんな数になっている。非常にそういう傾向というのは増大しているわけでしょう。そのくらい変わっているんですよ、家内労働というものを見ると。しかも、数の問題できのうから各先生方の質問もあって答弁がなされるが、それが的確でないということは想像にかたくないわけでありますが、一応、労働省の調査をされたものでも百万をこえる。その中で、さいぜんも申し上げたように、婦人の占める数はどのくらいだということになると、九〇%以上だ、これは労働省の資料によるとですよ。これが女子なんですね。地域的には六大都市に集中している。これは、日本の産業経済の構造がそうなっておるから、必然的にそうなっている。しかも、その中で繊維工業あるいは雑貨工業が、その産業分類してみると、八〇%を占めていると、こう労働省の報告では書かれているのであります。私は、この問題を取り扱ってみる場合に、皆さんからも指摘されましたけれども、何といっても、やっぱり壁にぶち当たると言いますか、難問題に直面するのは、労賃の問題です。それが一つあると思う。それから、安全衛生上の問題がある。全国至るところでたくさんの問題が惹起をして、この問題だって見のがすわけにはまいらぬと思うんです。だからこそ、きのう、きょう各委員が異口同音にこういう問題を指摘をしていたんだと思うんだがね。大臣もちょっと聞いてもらいたい。私どもの調査でも、工賃については驚くほど安いんですよ。ですから、いわゆる一般労働の賃金の問題に対しても弊害のおそれなしとしないという、先ほど大臣も肯定されて答えられていた面が出てくるわけでありますが、大体、現在の時点で一時間当たり四十円程度だ。しかも、労働条件はきわめて劣悪だ、作業環境など。零細企業等々の面を見ると、全く不備だと申しても過言でない。労働条件、労働環境、ましてや衛生上の問題など問題にならない。このことば、明らかに今日の家内労働というものを真剣に労働省がこの法律制定と同時に――先ほど、これからでもおそくないと言った意味はそこにあるんですが、取り組まなければならない証拠となると思うんですがね。こういう点はどう考えておりますか。
#162
○政府委員(和田勝美君) 先生が御指摘のように、家内労働は常に流動的でございまして、特に国際貿易が自由化してまいりました今日におきましては、単に国内の問題だけでなく、国際的な問題にもなってきておる。また、国内的に見ましても内職をやられる方は、昔は低所得者層と俗に言われておりましたが、最近では、それが中所得者、また一部分には高所得者層にも広がってきている。これは、もちろん家計の合理化というようなことが余暇の増大を生んで出てくる、あるいは物価高の問題、あるいは子供さんの教育の問題、こういうこともからみ合う、あるいは耐久消費財を購入するためというようなこともありまして、非常に変化してやまないものであります。しかし、その中には、やはりいかにも低い工賃という問題が相変わらず今日も存在をしております。そのためには、やはり工賃に対しましても何らかの法的規制をする必要があるだろう。その必要は、単に今日だけでなく、今後とも続くだろうと思います。また、積極的な労働政策の面から言いましても、正常な雇用労働へ向かって労働力政策を進めていくといたしますれば、こういう家内労働に対する下ささえが有効になされることが積極的な労働力政策にも向かうことができる基礎である。そういう意味からいたしまして、最低工賃の必要性というのは、もう当分の間と申しますか、そういう長い期間にわたってそういう制度が必要である。それから、ただいま先生が申されました安全衛生問題につきましても、確かに家内労働にはそれほど安全衛生というものがなくて、非常に簡易な作業が多いわけではありますが、一方におきまして、有機溶剤を使ったような場合あるいは金属プレスや、食器類研磨にみられるような安全衛生の問題がある、これも事実でございます。そういうものに対しては、家内労働の実態に即した安全衛生管理体制をつくっていくという必要がある。これはどうしても必要になっていくと思います。そういうものもこの法案の中で規定をいたしたいと思っておりますが、先生御指摘のように、常に変化しやまない流動的な家内労働ではありますが、いま申しましたように、この法案に盛り込んでありますような事項は、今後ともぜひ公的な規制としてやっていかなきゃならん。さらに、この法律ができました以降におきましては、行政措置によっていろいろのことが進んでまいると思いますが、その成果を取り入れて、この法案は常に制度的整備をはかるようなものとして評価をすべきではないか。そういうように考えまして、先生御指摘のとおりに私どもも考えております。
#163
○吉田忠三郎君 それからもう一つ、この家内労働の増大の傾向、つまり現象とでも申しましょうか、学卒の労働力が非常に不足なものですから、それと一面、今度は賃金上昇という二つの面がからまり合って中小、特に零細企業が家内労働に依存する結果が非常にあらわれているのが特徴的な最近における現象じゃないだろうかと私は思うのですよ。そこで、そういう面をいま申し上げたようなとらえ方をすると、今度は先ほど冒頭に言ったように、労働問題一般論として取り扱った者ならば、すぐそこに懸念がされるわけですが、わが国のこの産業経済の質的な向上というものと一体どういうことになるのか、一つ直ちにそういうものが考えられますね。それから、二重構造をなくさなければならないというものがありますね。二重構造というものを解消してまいらなければならないという、そういう立場があると思うんですよ。そういう意味でみると、きわめてこの重要な問題、課題だと私は考えるのですがね。一体、その問題、課題というものを労働省がこれからどう解明していこうとしているのか。この点を明らかにしていただきたい。
 なぜ、こういうことを申し上げるかというと、現状の家内労働というものをこのままの状態で増大をすればするほどたいへんな問題が逆に出てくる。これは雇用労働者の、先ほどもちょっと大臣も答えられたように、労働条件の向上、そういうことからすると、ある意味においては疎外する要因になりかねないのですよ。この労働問題を研究していくとそうなるんです。日本のいまの二重構造を放置しておくということになりますとね。一面、産業経済の基盤強化と近代化、合理化を促進しながら二重構造を解消しなければ、わが国の産業経済の発展がないという、これは新経済計画の中にも明らかになってますからね。ですから、それを追求していくと、一面においては、いま申し上げたような非常に危険な状態が出てくるおそれなしとしない。こういうものが残るんですよ。だから、前に聞いたようなことを私は聞いているんですがね。これははっきりしていると思うんですね。だからこそわが社会党は今日までしばしばこの点をとらえて、いわゆるへたをすると低賃金政策の温床的な役割りを果たすことになりませんかと言っていたのもここらあたりに一つあるし、それからその役割りを現在は果たしていると私は思います。確信しています。だから、これを是正しなきゃならぬ。もう一つは、社会党がいままで主張しておったのは、家内労働者を、さいぜんから申し上げているように、非常に悪い条件で働かしておりますから、そうした苦汗的な労働条件から解放してあげるという願いを一面に持っているから、しばしばわが党はこれを指摘をし、具体的には今国会に家内労働法というものを提案をしたんだ。たまたま、政府はおそまきながら同じ名前の法律を提起して、ただいま審議しておりますが、このことは、衆議院段階で修正さるべきものは修正された。その結果、社会党は、この提案をしたものを取り下げましたけれども、そういう具体的な社会党としての措置というのは、いま申し上げた理由からなんです。そしてまた、もう一つの面がある。その一面というのは、とりもなおさず、こうした家内労働に依存せざるを得ない諸産業の近代化促進の一つにはかてにもなるであろうということを指摘をしてきたんです。だから、冒頭申し上げたように、われわれが十数年間運動を展開してきたそのことはですよ、当時からそうであるけれども、現在で見てみると、いまや抜本的な立法措置をするというのは国の急務だと思うのですよ。それを直接扱うのは労働省ですから、先ほど来、何のために労働省の任務を聞いたかというと、ここにあるんだが、一面労働省の任務でもあるんだと思うんですよ。大臣、これは大臣に答えてもらいたいと思いますがね。そういう諸般の動向といいますか、運動といいますか、社会党がしばしばこの問題をそれぞれの国会で指摘をしてきたわけですが、そういうことを今日踏まえられて政府が同名の法律を出したものと認識しているんです。この点は大臣に答えてもらいたいと思いますがね、どうですか。このことが私と一致すれば、まだこれは不十分であるけれども、冒頭申し上げたような、賛成だという私たちの立場は明らかにしていますから、それを補足をしていくという意味で質問を展開していくわけですが、そこのところで一致しない限りにおいては、私は、とてもじゃないけれども質問の具体的な中に入っていく気がしない。これを答えてもらいたい。
#164
○国務大臣(野原正勝君) 家内労働法の問題は、たまたま政府側も前々から準備しておった、検討しておった問題で、社会党におかれても長い間やはりこのことを真剣に考えられて、あたかも符節を合わせるごとく、かなり一致したような方向でこの問題が提案を見たという点で非常に意味があると思います。私どもは、実は当然これはもっと早く成案を得て提案を見るべきものであったと思うのでありますが、先ほど来、局長が答弁しましたごとく、きわめて複雑多岐であり、いろんな問題点が非常にございましたために、ついついおくれてしまったというふうな話でありましたが、やはりそれだけに、非常に現実にはたくさんの家内労働者というものが存在する、しかもこれは日本の経済の発展に伴ってますますふえる要素もある。また、日本の経済は、こうした家内労働を根底には持ちながら、漸次二重構造を解消しながら健全な形でいかにして伸びていこうかという深刻な悩みを持っていると思う。私は、この問題を先ほどから考えておったんでありますが、各家庭におきましても、だんだんと文化的な生活に変わってきておる。やはりいろんな電気器具やその他が入ってきて、まあ昔と違って今ではだんだんと余暇が生じておる。そういう面から、やはり家内労働というものがいかに文化的生活と調和できるかという問題、昔の家内労働というものは非常にミゼラブルなものがあったと思う。やはりこれからは新しい七〇年代における国民の豊かな生活をつくりあげるために家内労働が健全な姿で伸びてゆく必要があるんではないかというようなふうに考えまして、この問題に対しまして意欲的にひとつこの政策をこれから真剣に考えていくということを考えておるわけであります。社会党さんのこの問題にお寄せいただいた非常な御熱意に対してあらためて敬意を表しますし、また民社、公明各党の委員の皆さま方からもそれぞれ非常に貴重な御意見を承りまして、これは言うならば、各党がその立場を超越しても、やはり一歩前進の案としてこの家内労働法をりっぱに育てたいという願望がかくあらしめたと、先ほど来御意見を承って非常に感銘しておったんでありますが、この機会に、この法律につきましては、これを単に成立すればいいというだけでなしに、いかにして魂を入れ、ほんとうのこれからの七〇年代の豊かな国民生活、文化的生活の中にこの家内労働というものが健全な形で取り入れることができるかどうかという問題を真剣に考える、その気持ちでおるわけでございます。そのためには、いろんな今後の対策については積極的にひとつ取り組んでみたいと考えておりますので、よろしく御協力のほどをお願いいたします。
#165
○吉田忠三郎君 局長、どうですか。
#166
○政府委員(和田勝美君) 先生がお述べになりました経済成長のもとにおけるひずみの問題、あるいは就業構造の二重構造の解消の問題、それから家内労働がとかく低賃金をくぎづけにするおそれがある問題、こういうものをぜひ解消するためには、私は、家内労働が今回提案をいたしておりますような法律の裏づけをもちまして、ここにありますようなひずみの是正に対する努力、二重構造の解消に対する努力、低賃金にくぎづけすることを防止するための努力、こういう点がこの法案によってさらに進むと考えております。そういう点では、先生がお述べになりましたような社会党でお考えになったものと、目ざすところは同じ方向にある。それが産業の近代化全般にも通じていくものである、かように考えておるわけであります。
#167
○吉田忠三郎君 大臣並びに局長から、大体この前段でそうあまり私どもの考え方と変わらない答弁をなされましたから、私は、これから内容について、先ほど申し上げたように、一つには補強をする、二つ目には労働者を激励をすると、こういう意味で内容について、特に留意をし、配慮をしてもらわなければならぬという点をただしたいと思うんであります。本来の委員会であればこれは一問一答の形式をとりますけれども、これも先ほど言ったように、きょうの委員会、きのうからかなり長時間時間をかけて審議していますから、委員長の委員会運営について協力をする意味で項目だけ申し上げておきます。
 第一に、私は、留意をしなければならないのは、適用範囲の問題ですね。これはもう他の委員からほとんど言い尽くされていますから言いませんが、適用範囲の問題でとくと留意をしてもらわなければならぬ問題が一つある。
 それからもう一つは、家内労働の手帳の交付でありますけれども、これをもって委託者の不正というものをやっぱり規制をしてまいらなければならぬというものがこの中には存在をしておらなければならぬと思う。ですからこの点。
 それからもう一つは、家内労働者の最低工賃。これについては多くを申し上げませんが、一応衆議院で修正した段階でも議論をされていますから、あえてここで議論を再現させる気はありません。法律案は撤回をいたしましたけれども、社会党の案にはこのことは明記されています。十分この点は参考に値するものだと私は思うんでありますから、この点。
 それからもう一つは労働時間、さらには危険有害の業務、これについても各それぞれの先生方から指摘をされたところですから、こういうことについても十分あわせ労働条件の問題としてやはり留意をしなきゃならぬ問題が一つあると、こう思う。
 それから五つ目は、先ほど藤原先生からも申されたし、それから中沢先生からも申されましたが、問題は、団体と、それから労働協約の問題、この問題も非常に残る問題。先ほどちょっと一つ例にとりましたが、一時間当たり四十円などといういまごろ工賃などというのはありはしないのですが、実態はそうなっているのです。ですから、そうしたやっぱり賃金の問題として団体と協約の問題と、次にそれから残る問題は、そういう問題を合わせ含めて交渉の問題というのが残るはずですから、こういう問題についても、法の制定と施行にあたっては配慮あるいは留意をしなければならぬことじゃないか、こう考えるのですがね。この点はどうお考えなんでしょうか。
#168
○政府委員(和田勝美君) ただいま先生が御指摘になりました五つの問題点につきましては、昨日から本日にかけてそれぞれお答えを申し上げましたように、法の規制の足らざるところは行政運営におきまして、先生方の御指摘をいただいたものを十分私どもわきまえまして、行政姿勢としてもってまいりたい。そうして、いま御指摘のありました五つの問題点は、いずれも家内労働者の労働条件といいますか、就業条件をよりよくするためのいろいろの御指摘であろうと存じますので、われわれとしては、法律施行後におきます行政として、十分先生方の御意思のあるところを承りましたので、これを行政の上で生かしてまいりたい、かように考えております。
#169
○吉田忠三郎君 その次にもう一つ問題がある。これは労働大臣に特に私は申し上げておくのですがね。これは大蔵省の関係になると思いますけれども、つまり税制上の取り扱いについてやっぱり留意をしてまいらなければならぬ点が一点あると思います。御承知のように、現行の税法、税制では被扶養者は収入について年間二十万円までは非課税になっているのですね。しかし、現状の家内労働者ないしは内職をしている方々は、これを若干上回る収入の人々がかなり多いことは、私どもも、実態を調べてみて把握をしておるのであります。しかし、現行の税法がそういうことになっておりますから直ちに所定の税が課税される、こういうことになってくるのでありますけれども、家内労働ないしはこの内職をしてやっていかなければ、生活費がですよ、さなきだにこの物価の上昇、その中で追いつけないから家内労働をやったりあるいは内職をやるということになるわけでありますから、その人々のつまり生活の状態というものは言をまたない。それにちょっと二十万円からオーバーすると税の対象になる、こういう問題が起きてくるので、非常に私はここに留意をしていかなければならぬと思うのです。しかも、これを抜本的にしからば是正をするにはどうするかというと、その方法というのはなかなかむずかしいと思うのです。一番簡単なのは、現在のこの内職者に限って特別措置をとる、税制の特別措置をとるという一つの方法があろうと思いますけれどもね。それにしても、これはまた他の関係がありますから、なかなかそう簡単にはまいらない、慎重に配慮してまいらなければならぬと思うのですね。しかし、現状は、こういう方々から特別措置をとっていただきたいという運動が展開をされて、かなり具体的に表面に出てきている問題であるだけに私は言うのでありますが、これからわれわれのやるべきことというのは、いま言ったように、所得税の課税の最低限度額を引き上げていくという道は、方法はないけれども、しかし、前に申し上げたような実態を総合的に検討してみて、しからば現行でこの運用はどうかというと、多少弾力的に扱っていい面があるのではないかという私は考えを持っておる。ですから、私も社会党の案を作成する場合に、作成の一員であっただけに、多少私はその関係の向きにも打診をしてみました。現行法の運用範囲内で弾力的に扱っていくという面が多少残っているような気がするのです、私の感触では。ですから、ぜひこの問題については、労働省としても、法が制定され、施行の段階、運用の段階では――これは大臣は閣僚の一人でありますから、公にはなかなかむずかしいと思いますけれども、運用面でそこのところは法がみだりに乱用されるということのないような形の中で配慮してまいらなければならない問題ではなかろうかというふうに思うのでありまして、この点を特に留意をしてまいらなければならぬ。注意していただきたいと思うのですが、大臣はどうお考えになりますか。
 それから同時に、これは大臣といったって、そんなに何十年も大臣やっているわけではなかろうから、行政を扱う担当官としての局長も、この点どうお考えになるか。
#170
○国務大臣(野原正勝君) この家内労働法案の審議の過程で、私は、何とか家内労働手帳を交付して、内職あるいは家内労働に従事しておる方々がこの手帳に明記した収入等については何とか減税あるいは免税等の対策がとれないものだろうかと実は考えておったわけであります。家内労働者にもかなり高額な所得者もおるそうでありますが、おおむねの人たちは、やはり非常に低所得で、生活費となりあるいは子供たちの教育の費用にもなっておるというような現状から考えましても、どうも家内労働手帳を交付されてそれに全部収入が書かれてしまったのでは、かえって税金の対象になっては困る、気の毒だという話もしばしば御意見としてございました。何とかこれに対する対策を考えなければならぬということを考えまして、この問題は、ひとつ税制当局とも十分打ち合わせまして、何とか一つ対策を講じたい、前向きにひとつ検討さしていただきたいと考えております。
#171
○政府委員(和田勝美君) ただいま大臣から御答弁を申し上げましたように、労働省としましては、家内労働法の所管省ということになるわけであります。したがいまして、家内労働者の方の税制問題につきましては、ぜひ税務担当の各省にお願いをするというだけでなくて、私ども自身、事務的な案を検討いたしまして、積極的な姿勢で税務当局との折衝をしていきたい。そうして、きのう、きょう御審議の中に出ました税法問題につきましては、私どもとしては、大臣の御趣旨を体して努力してまいりたいと考えております。
#172
○吉田忠三郎君 それからもう一つは、審議会の問題ですがね。先ほど、従来隠れみのでなかったか、私はそういうふうな考え方で申し上げた。それに対して、隠れみのではないという意味のお答えがありましたね。そうあってほしいのです。ですから、これからの審議会というのは隠れみのでないようなものにしてまいらなければならぬ、こう思うのです。その意味で、この法律の中には中央家内労働審議会というものをつくっておりますね。この役割りというのは、いま申されたように隠れみのでない、正真正銘この問題を取り上げていって、しかも、この法が円滑に運営されて目的が達成されるために裏づけられるという審議会につくり上げるわけですから、その役割りというのはこれから重要だと思うのですね。だからこそ衆議院でこれは修正案が出てきておりますね。修正された点もそこにあるのだと、私はこの修正案を見ながら考えておったのでありますが、やはり年限をある程度切ってそれをめどといいますか、目標に、この六大都市のみならず、全国的にやはりこの審議会というものを置くようにしてみたらどうなのか。一ぺんにはできませんからね、計画的に。そこで目標、めどでありますから、何年なら何年というので、三年なら三年ということにもまいらないだろうと思うから、両三年くらいをめどにして、目標にして計画的に、弾力的に全国にいわゆる地方労働審議会というものを設置をするようにしたらどうだろうかと、こう考えるのですが、大臣でもけっこうだし、局長でもけっこうですが、労働省の見解をお伺いしたい。
#173
○政府委員(和田勝美君) ただいま先生の御指摘の家内労働審議会は中央、地方に置かれるわけでありますが、これは決して隠れみのに使う意思は全くございませんで、最低工賃問題は当然に審議会にかけて御意見を伺う。それからこの法案では、いろいろの事項について省令に委任をいたしておりますが、この省令は、私どもとしては、中央家内労働審議会に必ずかけまして関係者の方の意見を十分伺った上で案をつくり上げる、こういうようなことで家内労働審議会が現実にある家内労働の上に一歩でも前進する姿で審議にあたられることを特に期待をいたしておる次第でございます。そういう審議会でございますので、政府案に対しまして、先生御指摘のように、衆議院で修正がなされましたが、原則的には家内労働審議会を置くというのが修正の趣旨でございますが、私どものほうも実は家内労働者の数がだんだんふえてまいりますし、それが全国的な広がりを持ってまいります。そういうことでございますので、家内労働者の数の動き方と合わせながら計画的に家内労働審議会を増置をしていく、そういう方針をとっております。ただいまのところでは、ある一定の線で三カ所ということでございますが、これらは今後の動きを見まして、国会での修正の御意思を尊重して、家内労働者の数との見合いで、ふやしてまいりたい。ただ、それを何年計画ということを直ちにいまのところ申し上げるほどの状態になっておりませんが、ぜひ家内労働者数とのかね合いを十分考慮いたしまして、地方の家内労働審議会の増設をはかってまいりたい、かように考えております。
#174
○吉田忠三郎君 局長、あまり多く私は議論する気はありません。ありませんが、この法律はやはり六大都市を中核としてできていますよ。しかし、この家内労働の面は、各先生から指摘されたように、まだまだ完全に把握されていませんね。ですけれども、少なくとも二十万以上くらいの中都市にはすべて存在しておることは間違いないのです。疑う余地がないのです。ですから、あなたのせっかくの計画的に家内労働者の数に見合って増置をしていきたいということですから、それはあまり否定しませんけれども、私は、少なくとも労働基準局が所在をしているようなところは、これはもう両三年どころか、直ちにやったっていいものだと思っているんです。しかし、これは思っているだけの話ですから、私がそこで計画的、弾力的ということばを使ったのはそこにあるのですが、せめて私は、やはりこの両三年くらいをめどにして地方に家内労働審議会をつくるというのは、とりあえずは、基準局の所在地くらいにはつくってしかるべきじゃないか、こう思うのですがね。そのことも含めて、あなたは家内労働者の数との見合いの中でと、こう言っているのですか。
#175
○政府委員(和田勝美君) 家内労働審議会は非常に重要な職務を遂行していただくことになりますので、私どもとしては、できるだけ全県、全基準局につくりたいというのはもちろん念願でございます。ただ、現在、私どもの手元にあります資料から見ますると、非常に家内労働者の数の少ない県がございます。そういうところにつきましては、基準審議会の中に特別の家内労働部会も設けられますので、政府全体が、実は審議会に対しては整理をするという基本方針を持っていろいろの政策をいま講じている最中でございますので、そういう政府全体の政策とのかね合いを見ながら、家内労働者について私どもの持っておる資料も非常に不十分な点もございますので、この資料が正確になっていきますれば、当然家内労働者の数もふえてまいりますので、それとの見合いで、政府全体の審議会縮小案とのかね合いも十分考慮しながら、できるだけ早い機会に全都道府県に家内労働審議会ができますよう努力を続けてまいりたい、かように考えております。
#176
○吉田忠三郎君 どうもそこが局長歯切れが悪いのですがね。いま私が言ったように、基準局が存在している、これは中都市以上ですが、北海道と言ったって札幌にあるだけですね。札幌というのは人口百万ですよ。仙台にもありますね。仙台だって六、七十万あるでしょう。全部やはり家内労働者、あるいは内職している人々がおりますよ。先ほど来、いろいろ議論されておった問題は、そういうところでもひんぱんに発生しているんですよ。だから、私は前段に申し上げたように、この審議会というのは重要な役割りを果たすんだ、そういう前提に立っていま言っているんですが、そこらあたりはできるだけすみやかに――できるだけすみやかにというのはまことに抽象的なんで、具体的に、両三年くらいにその基準局所在地ぐらいにはやっていいじゃないか、こういつている。どうもそこの辺が歯切れが悪いし、何か特別にこの問題について障害でもあるなら聞かしてもらいたい。障害がなければ、そのつもりでやってみますと言ったらいいじゃないですか。
#177
○政府委員(和田勝美君) これは政府部内の内輪話のようになってたいへん恐縮ですが、私どもとしては、家内労働審議会は、私どもの労働省の事務としましては、ぜひ全都道府県に設けたいという気持ちでございます。しかし、政府全体としては、審議会の縮小ということがございましたので、その方針とのかね合いで、ある一定数以上の家内労働者のおるところに専任の家内労働審議会を置くということで法案を作成し、予算的にもそういう措置を講じたわけでございますが、しかし、たとえて言いますと、片一方で二十万以上の家内労働者がおられる府県があると思いますれば、片一方には千人台の家内労働者の数字しか出ない府県もあるわけでございます。そういうような意味で、先生のいま御指摘でございますが、実はこれは県ごとに一つしか置かないものでございますので、それらのことも勘案いたしまして、まあ効率的な運用というような意味も込めて、それから政府全体の方針とのかね合いということもありますし、これから私どもの統計がさらに把握度が高くなってまいりますれば、家内労働者の数も自然にふえてまいります。そういう傾向をよく政府部内で関係省庁と調整をいたしまして、できるだけ早い機会に家内労働審議会を全都道府県に置くことができますように努力を続けてまいりたい、こういうことでございます。
#178
○吉田忠三郎君 これ以上この問題をあなたと議論しても、それは政府部内のいろいろなものがあるわけでありますから、あなたもそれ以上答えられるはずもない。それ以上求めませんが、大臣、せっかくこの法律が成立施行されるという段階で、しかも先ほど冒頭言ったように、いろいろな問題があって、十何年間もかかってきて、しかもこの報告には、記録的な長期的なものになったという表現で書かれているわけですね。そういうことからするならば、これはおそきに失した、しかし、これからでもおそくはないと言った意味はおわかりだと思うのですがね。つまり無用なたくさんの審議会がありますけれども、そういう審議会とはおおよそ内容は違ったものになってくるのです。だから役割りが重大だということばを使っているのですがね。ですから、ぜひこれは閣議でもけっこうですし、閣僚の連絡会議でもけっこうですから、大臣、この問題だけは、少なくとも基準局が所在しているくらいのところには、それこそすみやかにこれはもうこの審議会というものを設置するように私は最善の努力をしてもらいたい。
 それから、これが最後で終わりますが、この法律が、いろいろなことをいわれてできたのですが、これの運用、いま申し上げますように、この審議会の面を一つ取り上げても直ちに壁にぶち当たるような状態ですね。だから冒頭に言ったように、せっかく法律をつくっても死文化するのじゃないか、そういうおそれがある、こう言ったのですがね。そういうことをなくするためにも、ひとつ審議会ができたならば、できるだけ関係の人々をその審議会に入れることを考えてもらいたい。主として労働者です。これは何々学者、何々大学の先生、何々会社の社長さんなどというものをずらりと並べた審議会が地方にあるが、決してその人々に対してどうこう言いませんが、現在労働者の代表が入っておりますけれども、あまりにも少な過ぎる。ですからこれを完全に実りあるものとするには、私はそういう人を一人でも多く参加をさせて、そういう人々の意見というものを反映させならがこの法の運用の完ぺきを期していくというようなことにしなければならないと思う。これが一つです。
 それからもう一つは、あなたの提案理由にも書かれておりますが、かねてからいろいろな指摘がある、これからも指摘がありますよ、この問題。そういうものについては、それを踏んまえるという意味の提案理由、最後にいって、あなたはこれからも関係者の十分な協力を求めている。したがって、私はこれからも――先ほどはあなたは各党の協力についても感謝する意味のことを申されました。私はやはり審議会を問わず、こうした場において、つまり野党各党といえども、外交問題とおおよそ違いますから、当然相談をされますれば、建設的な意見も持っている。建設的な具体的な政策を持っておりますから、十分今後とも、各党ともそういう問題はお互いに提起をして、検討をして、この法律がよりりっぱに運用されるように、私は大臣の努力を求めたいと思う。これは最後でありますが、この点、大臣の所見を聞いて私は質問を終わりたいと思います。
#179
○国務大臣(野原正勝君) ただいま貴重な御意見でございまして、家内労働法制定後におきましては、できるだけ早く審議会を設けたいと考えておりますが、とりあえずのところは、部会の程度で発足をする地域もございましょう。しかし、やがて家内労働の実態が明らかにされまして、これがますます重要であるということになりますれば、当然これは全国の府県に置くようなことにしたいと考えております。
 なお、この問題につきましては、今後とも引き続きまして検討を重ね、本法施行後の行政措置の結果と相まちまして、ひとつなお一そうりっぱな役立つような法案にして、家内労働者の問題をひとつ積極的に進めてまいりたいと、あらゆる対策を検討、推進する決心でございます。
#180
○委員長(佐野芳雄君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#181
○委員長(佐野芳雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#182
○委員長(佐野芳雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 家内労働法案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#183
○委員長(佐野芳雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#184
○大橋和孝君 私は、この際附帯決議案を提出いたしたいと思います。
 何とぞよろしくお願いいたします。
#185
○委員長(佐野芳雄君) ただいま提出されました大橋君提出の附帯決議案を議題といたします。
 大橋君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#186
○委員長(佐野芳雄君) 全会一致と認めます。よって、大橋和孝君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 この際、国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。野原労働大臣。
#187
○国務大臣(野原正勝君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、これが実現に今後ともなお一そうの努力をいたしたいと存じます。
#188
○委員長(佐野芳雄君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#189
○委員長(佐野芳雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  本日はこれにて散会いたします。
   午後五時六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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