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1970/05/11 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 社会労働委員会 第19号
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1970/05/11 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 社会労働委員会 第19号

#1
第063回国会 社会労働委員会 第19号
昭和四十五年五月十一日(月曜日)
   午後二時三十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐野 芳雄君
    理 事
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                吉田忠三郎君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                黒木 利克君
                高田 浩運君
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                横山 フク君
                占部 秀男君
                大橋 和孝君
                中村 英男君
                藤原 道子君
                中沢伊登子君
    発  議  者     藤原 道子君
    発  議  者     占部 秀男君
    発  議  者     渋谷 邦彦君
   衆議院議員
       社会労働委員長
       代理理事     粟山 ひで君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  内田 常雄君
   政府委員
       厚生大臣官房長  戸澤 政方君
       厚生省環境衛生
       局長       金光 克己君
       厚生省医務局長  松尾 正雄君
       厚生省社会局長  伊部 英男君
       厚生省児童家庭
       局長       坂元貞一郎君
       厚生省保険局長  梅本 純正君
       厚生省年金局長  廣瀬 治郎君
       社会保険庁年金
       保険部長     穴山 徳夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○衛生検査技師法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案
 (藤原道子君外一名発議)
○食品衛生法等の一部を改正する法律案(渋谷邦
 彦君外一名発議)
○児童手当法案(渋谷邦彦君外一名発議)
○心身障害者対策基本法案(衆議院提出)
○社会保障制度等に関する調査
 (優生保護法の一部改正に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐野芳雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 船員保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。内田厚生大臣。
#3
○国務大臣(内田常雄君) ただいま議題となりました船員保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 今回の改正は、業務災害による障害者等の福祉の向上をはかるため職務上の事由による年金の額を引き上げるとともに、業務災害防止の推進と災害補償に相当する給付にかかる保険料の負担の公平をはかるため、災害発生率に応じて個々の船舶所有者の災害保険料率を変更できることとすることをその趣旨とするものでありまして、その内容は次のとおりでございます。
 改正の第一は、年金部門における職務上の事由による年金の給付水準の改善でございます。
 これは、今回の労働者災害補償保険の障害補償年金及び遺族補償年金の給付水準の引き上げに見合って、船員保険におきましても職務上の事由による障害年金及び遺族年金の給付水準の引き上げを行なおうとするものでありまして、その内容は、障害年金につきましては、廃疾の程度が一級から四級までの年金について、その年金額の算式中の最終標準報酬月額に乗ずる月数が現行八・〇月から六・〇月まででありますのを九・三月から六・四月までに改め、遺族年金につきましては、その年金額を算出する算式中最終標準報酬月額に乗ずる月数現行五月を五・五月に改めることとしたことであります。
 改正の第二は、百人以上の被保険者を使用する船舶所有者については、災害補償に相当する給付にかかる保険料について、いわゆる個別メリット保険料率を適用できることとすることでございます。
 労働者災害補償保険におきましては、すでに保険料のメリット制が実施されておりますが、船員保険におきましても船舶所有者ごとの災害発生率を保険料率に反映させることにより、船舶所有者の災害防止努力を経済的な側面からさらに推進するとともに保険料負担の公平をはかるため、政令で定めるところにより、同様の制度を実施しようとするものであります。
 改正の第三は、既裁定の職務上の事由による年金の年金額を改定する措置についてであります。
 船員保険の職務上の事由による年金は、廃疾または死亡の原因となった疾病または負傷の生じた時点の標準報酬月額を基礎として年金額を計算することとなっており、受給権を取得してから相当期間経過している年金の額と、新たに受給権を取得する年金の額とを比べますと、賃金の上昇等の影響もあり、相当の格差が生じてまいりましたので、さしあたり、この格差を政令の定めるところにより是正できるように措置しようとするものであります。
 改正の第四は保険料率の改定についてであります。
 現在年金部門の災害補償に相当する給付にかかる保険料率は千分の十四となっておりますが、財政再計算の結果及び今回の職務上の事由による年金の給付改善に伴う所要料率を考慮して、昭和四十五年十一月一日から同年十二月三十一日までは、これを千分の二十に、また、昭和四十六年一月一日からはさらに既裁定の職務上の事由による年金の給付改善分に要する料率を加えて千分の二十一にそれぞれ改定を行なうことといたしております。
 最後に、実施の時期につきましては、職務上の事由による年金の給付水準の改善に関する事項は昭和四十五年十一月一日から、個別メリット保険料率の適用に関する事項及び既裁定の職務上の事由による年金の年金額の改定に関する事項は昭和四十六年一月一日からといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#4
○委員長(佐野芳雄君) 本日は、本案に対する趣旨説明の聴取のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(佐野芳雄君) 衛生検査技師法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。内田厚生大臣。
#6
○国務大臣(内田常雄君) ただいま議題となりました衛生検査技師法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 最近における医学の進歩に伴い、疾病の診断または治療のための検査、なかんずく、脳波検査、心電図検査等の生理学的検査が医療上占める役割りは、ますます重要性を増しつつあります。
 しかしながら、現在の衛生検査技師は、これらの生理学的検査を行なうことができず、また、従来からその業務範囲とされている検査についても、逐次新しい技術が開発され、このように高度化する検査技術を修得するには、現行の高校卒業後二年の修業年限では不十分であり、このため修業年限を延長し、その業務範囲を拡大すべきことが強く要請されております。
 さらに、これらの検査が重視されてきたことに伴い、診療所等から委託を受けて検査を行なう施設が増加しているのでありますが、これらの施設に対しては、現行法上何ら規制が行なわれておりません。
 このような実情にかんがみまして、衛生検査技術者制度を改善し、その資質の向上をはかるとともに検査施設に対する行政措置を強化するため、この法律案を提出した次第であります。
 次に改正案の内容についてその概略を御説明申し上げます。
 改正の第一点は、検査業務の適正な運用を確保するため、新たに臨床検査技師の制度を設け、生理学的検査をも担当し得るようにいたしたことであります。
 この法律案では、臨床検査技師は、厚生大臣の免許を受け、臨床検査技師の名称を用いて、医師の指導監督のもとに、これらの業務を行なう者を言うこととし、高校卒業後三年以上必要な知識及び技能を修得し、臨床検査技師国家試験に合格した者にその免許を与えることとしております。
 また、これに関連して、従来の衛生検査技師につきましても、その免許を厚生大臣の免許に改め、医学、歯学、獣医学、薬学等の課程を修めた大学卒業者等にのみ、これを与えることとする改正等を行なうこととしております。
 なお、経過的な特例として、この法律の施行の際現に衛生検査技師である者等が、厚生大臣の指定した講習会の課程を修了したときは、臨床検査技師国家試験の受験資格を認める等所要の経過措置を講ずることといたしております。
 改正の第二点は、診療所等から委託を受けて検査を行なう施設について、構造設備、管理組織等が一定の基準に適合したものに限り、都道府県知事の登録を受けることができることとし、登録を受けた検査施設でなければ、登録衛生検査所またはこれにまぎらわしい名称を用いることができないこととしたことであります。
 以上がこの法律案を提案する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上・すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#7
○委員長(佐野芳雄君) 本日は、本案に対する趣旨説明の聴取のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(佐野芳雄君) 保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案(参第一七号)を議題といたします。
 発議者から趣旨説明を聴取いたします。藤原道子君。
#9
○藤原道子君 ただいま議題となりました保健婦助産婦看護婦法の一部改正案について、提案理由とその内容の概要を御説明申し上げます。
 一昨年春ごろから全国各地の病院で、看護婦増員のための夜勤制限闘争が相次いで起こりました。夜勤回数が多いため過労で倒れたり、やめていく看護婦がふえたため、看護婦が「夜勤を月八日以内に減らし、夜勤人員を二人以上に」というスローガンを掲げて、みずからの生活と権利を守るため、さらに国民の医療を守るために立ち上がったのであります。
 看護婦の労働がいかに過酷なものであるかは、平均月十回、個々には二十回にも及ぶという夜勤は、労働医学調査によって、婦人労働の限界を越えていることが明らかにされました。また労働省調査によると九〇%に及ぶ労働法違反率があり、そのうち労働時間の違反は五五%をこえており、労基法に定められた婦人労基者に対する諸権利を踏みにじられているのであります。
 一方患者四人に看護婦一人の基準は二十年も前に定められたもので、二十年の間には国民の受療機会は増大し、医療機関、ベット数も増加しており、医学の進歩により医療内容が複雑になり高度化し人手をより多く必要とするようになっておりますのに、二十年前の基準ではとても対応し切れるものではありません。すべて看護婦の労働強化となっているのであります。
 このような過重労働と月の半分は夜勤という変則的な生活は健康をむしばみ、看護婦のうち約半数で異常産と、一般勤労婦人の二倍もあるということは母体の破壊がひどいことを示すものであります。
 看護業務の不明確さは診療の補助と称して診療の代行をしいられ、その一方では人手不足のため雑役まで負わされ、看護婦本来の仕事は三分の一しか行なわれていないのが実情であります。
 人の健康と命を守る病院において、看護婦は限界を越える労働をしいられており、こうした看護労働により日本の医療はささえられているといっても決して過言ではありません。
 他産業では例を見ない過重労働を強要されながら、その賃金はきわめて低いものとなっています。たとえば学校の教員、他の医療職の栄養士、薬剤士より低いのであります。
 看護婦はこれまで独身で寄宿舎生活が中心でありましたが、最近では結婚する看護婦がふえ、五〇%近くが既婚者であります。しかし相変わらず独身者中心の勤務体制であり、経験を経た長年勤務の看護婦は高くつくので敬遠され、保育所要求の声があっても認められず、全国七千病院のうち保育施設を持つ病院はわずか一%でしかありません。
 これではからだが続くはずはなく、家庭と両立させることは困難であります。そのため年間養成人員の半分に匹敵する看護婦が毎年退職しており、その結果看護婦有資格者の半数も働いていないという事態を招いているのであります。
 看護婦養成について国は無計画であり、それぞれの医療機関や医師会などにまかせて全く無責任であります。こうした企業に従属した診療費による私的性格を持つ現在の養成制度も看護婦不足をもたらした一因であります。
 看護婦不足はここ十年来叫ばれており、私たちはこれまでに国会で何度も看護婦問題を取り上げ、その原因について明らかにし、解決を要求してまいりました。これに対し政府は何をしてきたでしょうか。わたくしたちの意見には耳をかさず、また三十六年春の「病院経営管理改善懇談会」の「看護管理について近代化を進め、待遇改善や、看護要員確保のための需給計画を立てるべきである」との報告、また三十九年には「看護制度に関して有識者の意見を聞く会」が「看護婦の給与、勤務条件を改善し、養成は学校教育法の学校でやり、公的養成施設の財政援助をふやせ」との中間報告など、他にも多くの政府機関が看護婦問題についての答申、報告を行なっており、昨年六月には参院社労委員会で「看護職員の不足に関する決議」が採択されているのでありますが、これら意見もまた無視されており、答申、報告に基づき実現したのは、奨学資金制度、潜在看護婦の再教育講習、夜勤手当の支給、進学コースの設置等こまかいことばかりであり、また今回も不足が社会問題化するや、大量に養成する必要があるので、そのため養成制度を改正するというように、養成制度に問題のポイントをすりかえてしまっているのであります。
 医学の進歩に見合った高度な看護が要求されているときに、これに逆行して短期養成の准看が大量に養成され、看護業務の主体となることは、総体的看護の質の低下を招くことになり、制度の改悪にほかなりません。
 この高卒一年養成のねらいが不足を理由に安上がり准看の養成を定着させようとすることにあり、ここに政府の低医療費政策を着々と進める姿が端的に見られるのであります。
 また、現在の診療報酬では看護を手厚くするより、医者は収入になる投薬、検査に力を入れることになるのでありますが、看護は命を守るためにどうしても必要なサービスであります。この看護問題が根本的に解決されるかどうかは、日本の医療が今後どういう方向に進むのか、すなわちますます営利化するか、あるいは国民のための真の医療保障となるのか、医療制度のあり方に深くかかわる問題であります。したがいましていまこそ根本にメスを入れないとますます解決をむずかしくするばかりであります。
 医療に携わる女子労働者の生活と権利を守り、国民が安心して医療サービスが受けられる環境条件を整え、国民のための看護体制を確立するには、まず人事院判定を全病院で漏れなく実施し、大幅に労働条件を改善し、専門職にふさわしい賃金を保障することであります。そして既婚看護婦が家庭と両立できる諸条件の改善、とりわけ保育所の完備は急がれなければなりません。これら改善により定着率を高め、潜在看護労働力の職場復賃を促進させることが可能となります。こうした帰金、労働条件の改善こそ看護婦不足解消の基本であります。そして養成は企業の従属物から切り離し、学校教育法に基づき、公費で計画的な養成を行ない、需給のアンバランスを解消すること、准看制度をなくし、准看の看護婦資格の受験機会を多くし、看護婦資格を一本化する。以上が早急に同時に行なわれる必要があります。
 将来は予防、治療、後保護にわたる総合的な医療に対応するため、保健婦、助産婦、看護婦の資格を含む総合看護婦資格制度が必要であると考えますが、当面する配電として、看護婦の身分を確立し、地位を向上させるため看護制度を一本化するとともに、わが国の看護水準を総体的に向上させつつ、看護婦の充足をはかっていくことが、いまや緊急の課題であります。
 以上がこの法律案を提案いたします理由であります。
 次にこの法律案の内容を簡単に御説明申しあげます。
 第一に医療技術の高度化に伴い、看護婦の質を高め、社会的地位を向上させるため、経過期間をおいて准看は廃止して看護婦資格を一本化する。経過期間は四年間とし、昭和四十九年四月からは新規の准看養成を行なわないこととする。現に准看である者が進学コースに進んだ場合を除いて、准看護婦として引き続き業務ができることといたしました。
 第二には養成課程の一本化であります。
 医学の進歩に対応するため養成は短大を含め、高卒後三年以上の大学課程のみとすることにいたしました。
 第三は養成施設に対する国庫補助であります。
 養成は国の責任で計画的に行なうものとし、大学課程としての養成施設には、施設費、運営費の二分の一を国庫補助することを義務づけ、経過的に存続を認められる大学以外の養成施設にも二分の一以内の国庫補助ができることにいたしました。
 さらに看護学生に対し修学資金貸与すること、准看護婦が実務六年の経験を経て厚生大臣の定める養成課程を受けた者は国家試験を受けることができることといたしました。
 以上この法案の提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されるようお願いする次第であります。
#10
○委員長(佐野芳雄君) 本日は、本案に対する趣旨説明の聴取のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#11
○委員長(佐野芳雄君) 食品衛生法等の一部を改正する法律案(参第一九号)を議題といたします。
 発議者から趣旨説明を聴取いたします。渋谷邦彦君。
#12
○渋谷邦彦君 ただいま議題となりました食品衛生法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
 従来の食品衛生行政の重大な欠陥は、一口でこれを言うならば、国民の生命と健康の尊重という最も大事なことが行政の目的として認識されていなかったということであります。このため、食品衛生行政はその本来の目的から逸脱して、ややもすると食品メーカーにとって都合のよい運用を行なう結果になっています。
 このようになった最大の原因は、現行食品衛生法の不備によるものであると思います。すなわち現行食品衛生法は飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止することを目的としているにすぎないのでありまして、有毒、有害な食品の販売の禁止、食中毒の発生の防止が施策の中心でありました。このため、長年月にわたる飲食によって起こる健康障害、ガン、循環器障害等に対しては全く無策であるばかりでなく、より栄養に富み、より一般の嗜好に合った食品を、国民に提供するという点については、全く何らの配慮もなされておりません。
 さらに、いわゆるうそつき食品、偽和食品のはんらんに対しても有効な措置をとることができない現状であります。
 公明党は、国民の健康の保持、増進の見地から食品等を規制し、もって栄養に富みかつ国民の嗜好に適した食品を確保し、よって快適な食生活をいつでも、だれでもが享受できることを望むものですが、当面食品等に関し人の健康の保持をはかるために必要な規制を行なうことにより有害食品、不良食品、不当表示食品等によってこうむる肉体的、経済的損失から国民を守るという立場から、食品衛生法を食品法に改正し、国民の健康で文化的な生活を保障しようとするものであります。
 次にこの法律案のおもな内容についてその概要を御説明申し上げます。
 第一に、現行法においては食品、添加物、器具または容器包装の製造の基準、成分の規格標示の基準等は公衆衛生の見地から行なうことになっておりますが、人の健康の保持をはかるための見地からの規制に改めまして、個々人の健康が確保され、食品等に伴う健康破壊の絶無を期すことを目的とするとともに、新たに一般消費者が食品や添加物の購入に際して、容易に食品等の適切な選択ができるように表示が適正に行なわれるようにすることを目的に加えております。
 第二に、第一の目的で述べておりますように、食品等の製造等の基準やその成分の規格等は、人の健康の保持をはかるため行なえるようにし、さらにはいままでややもすると行なわれることが少なかった名称制限、たとえば一定の成分規格に達していない食品については、一般に通用する名称の使用を禁止することを明らかにし、また添加物だけでなく食品として用いることを目的とする化学的合成品や放射線を照射した食品等はこれを一般的に禁止し、疑わしきは使用せずの原則の適用でありますところの、人の健康の保持に支障を及ぼすおそれがないかどうかの厳重な安全性を確かめる試験検査をパスしたものだけを売ってもよいと認めることにしております。
 第三に表示についてでございますが、現行法では公衆衛生の見地から厚生大臣がきめることになっておりましたが、第一でも述べたことですがこれを人の健康の保持をはかるために改め、新たに厚生大臣は、一般消費者が食品等の選択を適切にできるように表示の基準を設けることができるようにし、その基準に違反する営業者を公表できるようにし、さらに従来あげ底や単に表面だけをよくみせかけたいわゆる偽和食品についても販売等の禁止ができるようにいたしました。そして現行栄養改善法第十二条に規定してあります乳児用幼児用、妊産婦用、病者用等の特別の用途に適する旨の表示につきましては、食品法にとり込み、特別の用途は、乳児用、幼児用、妊産婦、病者用といったほんとうに人の健康の保持をはかるため必要なものだけに限定し、その表示をしようとする者はすべて厚生大臣の登録を受けるべきものといたしました。なお、栄養改善法に残しました栄養成分の補給ができる旨の表示は、従来ビタミンCをようかんに添加した等という乱用が目立ちますので、国民保健上重要な食品に、重要で必要な栄養成分を加える場合にのみ栄養成分が補給ができる旨の表示ができることにいたしました。
 第四に、表示の規制を大幅にふやしました関係上、この表示の状況を監督、検査させるため、衛生面を担当する食品衛生監視員のほか、新たに食品表示監視員を設けました。さらに厚生大臣または都道府県知事は、営業の取り消し等の処分をいたしましたら、その旨を公表できることとし、許可営業の従事者には年二回以上の健康診断受診義務を法定する等、営業面におきましても監督権限の強化、衛生上の措置の強化をはかっております。
 第五には、現在くだものや牛乳において農薬の残留が非常に問題となっておりますが、これは農薬が残留しております食品や添加物を規制するだけでは不十分と考えまして、農林大臣は食品法に規定しております農薬の残存許容量をこえないように、農薬の使用基準を設けることとし、見本検査の際この使用基準に合っていない農薬の品質の改善等の指示ができるようにいたしました。
 以上が、この法律案の提案理由及びその概要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、御賛同くださいますようにお願い申し上げます。
#13
○委員長(佐野芳雄君) 本日は、本案に対する趣旨説明の聴取のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#14
○委員長(佐野芳雄君) 児童手当法案(参第二〇号)を議題といたします。
 発議者から趣旨説明を聴取いたします。渋谷君。
#15
○渋谷邦彦君 ただいま議題となりました児童手当法案につき提案者を代表いたしまして、提案理由並びに内容の概要を御説明申し上げます。
 この児童手当法案は、国が児童について児童手当を支給することにより、児童の福祉を増進することを目的としております。児童の福祉を増進して、次代の社会をになう児童の心身ともに健全な成長を期することは両親の責任であるとともに、また社会の重大な責任であります。
 すなわち、児童の扶養義務は、まずその両親にあることは永久に変わりませんが、ますます複雑化する現代社会においては、ただ両親にまかせておいただけでは、児童福祉を完全に守っていくことは困難であります。
 ゆえに一九五九年の国連総会における児童権利宣言には、次のようにうたっています。
 すなわち、その第二条に「児童は、特別の保護を受け、また、健全、かつ、正常な方法および自由と尊厳の状態の下で身体的、知能的、遺徳的、精神的および社会的に成長することができるための機会及び便益を法律その他の手段によって与えられなければならない。この目的のために法律を制定するに当っては、児童の最善の利益について、最高の考慮が払われなければならない」とあります。
 わが国においても一九五一年に児童憲章が制定され、その第一に「すべての児童は心身ともに健やかに生まれ、育てられ、その生活を保障される」と定められているのであります。
 このような児童福祉の精神から、すでに児童に対して虐待の禁止、一定年齢以下の児童の就業禁止、義務教育の無償実施など多くの施策が講ぜられておりますが、さらに一歩前進して児童手当制度の実現こそわが国において緊急に要求される最も重要な政策であります。
 一九四七年敗戦後の間もない時代に、すでに児童手当制度の創設が要望されていたにもかかわらず二十余年を経過した今日において、いまなお政府はいたずらに調査や検討に時を費やすのみで、具体的な成果をみておりません。しかも政府が閣議決定した昭和三十五年の国民所得倍増計画にも、昭和四十年の中期経済計画にも、昭和四十三年の経済社会発展計画にも、みな児童手当制度の早期実現を明らかにしておきながら、今日に至るまで政府みずからこれを守ろうとしていないのであります。衆参両院の社会労働委員会においても、しばしば早期実現を与野党一致して決議しており、他方百二十三の地方公共団体が現在すでに児童手当を条例により実施しております。国会に対する請願、陳情等による国民の創設を要望する声に至っては、枚挙にいとまがないのであります。さらに社会保障関係の各種審議会等においても、幾度かその実現を政府に対して要望してまいりました。
 公明党においては、第五十八及び第六十一両国会に児童手当法案を提出して、その早期成立を強く要請してきました。しかるに政府は、その後も児童手当懇談会の結論を待つといっているのみで具体案の発表もなく、昨年末には懇談会の結論が出たにもかかわらず、ついに本制度の実現に踏み切らず、昭和四十四年度予算案には、わずかに厚生省設置法の一部改正によって臨時の児童手当審議会を二カ年間設置するにとどまったことは、児童手当の創設を引き延ばす以外の何ものでもありません。
 そもそも、児童手当制度の基本理念としては、いろいろの考え方がありますが、今日のわが国の現状において、この制度の実現が社会保障制度の充実に大きく貢献することを見のがすわけにはいきません。ILO第一〇二号条約は社会保障の対象として疾病、出産、失業、老齢、業務傷害、多子、廃疾遺族をあげておりますが、多子を除くすべての項目は厚い薄いの相違はあるにしても一応わが国においてその制度が確立しております。しかして、多子家庭の貧困化を防ぐことのみがわが国ではいまだに実現しておりません。
 わが国の社会保障が救貧から一歩を進めて防貧政策を立てるべきときであると、われわれは考えるのであります。児童手当は、児童の福祉の増進という広い目的のために支給されるのでありますが、結果としては、その他の効果とともに多子貧困の問題について、防貧をもたらすものであることは、あらためて言うをまたないところであります。
 わが公明党においては、党結成以来社会保障政策に最も力を入れてまいりましたが、以上の理由から昭和四十五年度には必ずこの制度が実現すべきであると考えて、ここに児童手当法案を再提出する次第であります。
 以下その内容の概要を御説明いたします。
 第一に国が児童手当を支給することにより児童の福祉の増進をはかることを目的とすることといたしました。
 第二に、この法律において「児童」とは義務教育終了前の者をいうことといたしました。
 第三に、手当は児童一人につき月三千円を、その児童を監護養育している者に支給することにいたしました。したがって、第一子以降の児童に支給することとなります。
 第四に、財源はすべて国の一般財源から支出することといたしました。
 第五に、附則において、将来は経済成長と生活水準の向上に伴い三千円を引き上げて児童福祉の充実を期することを規定いたしました。
 法案の内容の概要は以上でありますが、次にこの児童手当の実施にあたり、すみやかに改めるべき関連のある諸制度について申し上げます。児童福祉法では健全育成対策を推進し、また保育に欠ける乳幼児に対しては無料で保育所に入所せしめることとし、保育施設の拡充をはかる必要があります。また、生活保護費、母子福祉年金、児童扶養手当は、それぞれの目的をもって実施されている制度ゆえ併給することといたしました。また、特別児童扶養手当は介護手当の性格に改め、金額を引き上げ所得制限を撤廃して併給するようにいたしたいと考えます。また、母子保健法の栄養の摂取に閲する援助の規定を強化するとともに、新たに出産給付金を創設することにしました。また、各種公的年金の扶養加算や所得税の扶養控除は大幅に減免し、現行の税制を根本的に検討する必要があると考えます。また優生保護法の経済的理由による人工妊娠中絶は将来削除することが望ましいのであります。さらに、児童手当制度とともに、完全雇用と公正な最低賃金制度を確立し、いやしくも児童手当の創設が実質賃金の切り下げや労働強化の口実とされないよう政府は責任をもって福祉国家の実現に努力すべきであると考えます。また、義務教育の無償すら完全に実現していない現状にかんがみ、父兄負担の教育費を軽減するために文教政策を全たからしめるようにつとめるべきものと考えております。
 最後に、この法案の実施に伴い国家財政の大きな負担になる点について申し上げます。
 わが国の社会保障関係の予算額は、欧米先進国に比してきわめて低額であることから考えますれば、社会保障関係の予算額が増加することは、いわば当然のことであります。
 一方、公明党は別途社会保障基本法案を提出しており、その成立を期することになっておりますが、この基本法の成立によって、国は所要の財源を十分に確保できることといたしております。
 何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#16
○委員長(佐野芳雄君) 本日は、本案に対する趣旨説明の聴取のみにとどめておきます
    ―――――――――――――
#17
○委員長(佐野芳雄君) 本日は、本案に対する趣旨説明の聴取のみにとどめておきます
#18
○委員長(佐野芳雄君) 心身障害者対策基本法案(衆第三七号)を議題といたします。
 提出者衆議院社会労働委員長代理理事粟山ひで君から趣旨説明を聴取いたします。粟山君。
#19
○衆議院議員(粟山ひで君) ただいま議題となりました心身障害者対策基本法案につき、その提案理由並びに内容について御説明申し上げます。
 心身障害者の福祉については、ますますその重要性を加え、社会的関心の高まりをみておりますが、心身障害者に対して社会連帯、人間尊重の理念から、そのハンディキャップをできるだけ軽減し、個人の尊厳にふさわしい生活を保障していくことは、高度の福祉社会の建設を進めているわが国にとって当然の責務と考えられるのであります。
 申すまでもなく、心身障害者に対する福祉施策は、医療、訓練、教育、雇用の促進、年金の支給等きわめて広範多岐にわたり、しかもこれらの施策は有機的連携のもとに、総合的に推進されなければなりません。
 近年、これらの個々の施策については、徐々に改善充実がはかられてまいりましたが、これらの施策は、関係各省または省内各部局に所管が分かれて実施され、各施策閥の連携調整が不十分のため心身障害者対策の推進に障害となっているのが実情であります。したがって、現在、心身障害者福祉対策としては一貫した体系、有機的連携のもとに、障害の種別程度等に応じたきめこまかい施策を強力に推進していくことが最も強く要請されているところであります。
 このような観点から、昭和四十二年度以来、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党においては、それぞれ心身障害者福祉対策の推進をはかるべく、心身障害者対策基本法の制定について検討をすすめ、さらに、昭和四十三年十二月からは衆議院社会労働委員会に障害者対策小委員会を設置して審議を重ね、今般ようやくその提案の運びとなった次第であります。
 次に、その主な内容について申し上げます。
 第一に、この法律は、心身障害者対策に関する国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、心身障害の発生予防に関する施策及び医療、保護、教育、雇用の促進、年金の支給等の心身障害者の福祉に関する基本的事項を定め、心身障害者対策の総合的推進をはかることを目的とするものであります。
 第二に、この法律において心身障害者とは、身体障害または精神薄弱等の精神的欠陥があるため、長期にわたり日常生活または社会生活に相当な制限を受ける者をいうものとしてあります。
 なお、これら心身障害者の福祉に関する施策は、心身障害者の年齢及び心身障害の種別や程度に応じて、かつ、有機的連携のもとに総合的に策定され、実施されなければならないものとしてあります。
 第三に、心身障害者に対する基本的施策として国及び地方公共団体は次のような施策を講じなければならないものとしてあります。
 すなわち、心身障害の発生予防対策としては、必要な調査研究、母子保健対策、原因傷病の早期発見及び早期治療等の推進を、心身障害者福祉対策としては、更生医療及び補装具の給付並びに適切な保護、医療、訓練及び授産等の実施、心身障害者の教育の改善充実、心身障害者に適した職業訓練及び雇用の促進、その他年金の支給、資金の貸し付け、住宅の確保等の必要な施策を講じなければならないものとしてあります。
 第四に、総理府に中央心身障害者対策協議会を設置することとしております。同協議会は心身障害者に対する基本的総合的施策の樹立について必要な事項の調査審議を行なうとともに、心身障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要するものに関する基本的事項の調査審議を行ない、あわせて内閣総理大臣または関係各大臣に対して意見を述べることができるものとしております。
 なお、都道府県及び指定都市に心身障害者対策を推進するために必要な関係行政機関相互の連絡調整を行なう地方心身障害者対策協議会を設置するものといたしてあります。
 以上が本法律案の提案理由とその内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#20
○委員長(佐野芳雄君) 本日は、本案に対する趣旨説明の聴取のみにとどめておきます。
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#21
○委員長(佐野芳雄君) 社会保障制度等に関する調査中、優生保護法の改正に関する件を議題といたします。
 本件につきましては、横山フク君から委員長の手元に優生保護法の一部を改正する法律案の草案が提出されておりますので、この際、まず、提案者から草案の趣旨について説明を聴取いたします。横山君。
#22
○横山フク君 ただいま議題となりました優生保護法の一部を改正する法律案の草案について、御説明申しあげます。
 優生保護法により人工妊娠中絶をできるだけ少なくしていく方策として、昭和二十七年に合理的な家族計画運動を推進することが定められました。その方針を受けて、優生保護法の中に受胎調節指導員の制度が設けられたのであります。その後昭和三十年には、その運動を一そう効果的ならしめるために、指導員が指導にあたっては、受胎調節に必要な薬品を配布できる旨を第三十九条に定めたのであります。
 しかるところ、この措置は、薬事法に定める医薬品販売の原則、すなわち医薬品の販売は、薬事に関し一定の資格を有する者が、一定の店舗において販売するという原則に抵触いたしますので、この例外措置を存続させるべきかどうかについて五年ごとに、検討を加えることとされたのであります。そして、五年間の期限は、三回更新されてまいったのでありますが、本年の七月三十一日をもって現行法の期限が切れることになります。しかし、今日においてもこの特例を続けていく必要は、依然として存続しているものと考えられますので、さらに五年間の延長をはかろうとするものであります。
 何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申しあげます。
#23
○委員長(佐野芳雄君) 本日は、草案に対する趣旨説明の聴取のみにとどめておきます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十七分散会
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ソース: 国立国会図書館
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