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1970/05/06 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 文教委員会 第14号
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1970/05/06 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 文教委員会 第14号

#1
第063回国会 文教委員会 第14号
昭和四十五年五月六日(水曜日)
   午前十時四十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月三十日
    辞任         補欠選任
     植木 光教君     大谷 贇雄君
     剱木 亨弘君     土屋 義彦君
 五月四日
    辞任         補欠選任
     須藤 五郎君     小笠原貞子君
 五月六日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     渡辺  武君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         楠  正俊君
    理 事
                田村 賢作君
                永野 鎮雄君
                秋山 長造君
                杉原 一雄君
    委 員
                大松 博文君
                土屋 義彦君
                内藤誉三郎君
                二木 謙吾君
                宮崎 正雄君
                吉江 勝保君
                鈴木  力君
                内田 善利君
                多田 省吾君
                萩原幽香子君
   国務大臣
       文 部 大 臣  坂田 道太君
   政府委員
       文部省管理局長  岩間英太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡辺  猛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○日本私学振興財団法案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(楠正俊君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 四月三十日、植木光教君及び剣木亨弘君が委員を辞任され、その補欠として大谷贇雄君及び土屋義彦君が、五月四日、須藤五郎君が委員を辞任され、その補欠として小笠原貞子君がそれぞれ委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(楠正俊君) おはかりいたします。
 安永英雄君から文書をもって都合により理事を辞任いたしたい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(楠正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 つきましては、直ちにその補欠を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(楠正俊君) 御異議ないと認めます。
 それでは理事に秋山長造君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(楠正俊君) 日本私学振興財団法案を議題といたします。
 本法案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 政府側から坂田文部大臣及び岩間管理局長が出席しております。
 質疑の申し出がございますので、これを許します。杉原君。
#7
○杉原一雄君 第一点として、私立学校に対する位置づけ、その任務、役割り等についてお伺いしたいと思うのであります。
 先般の大臣の提案理由の中で「私立学校は、従来それぞれ特色のある教育を行なって、わが国学校教育の普及と発展に重要な役割りを果たしてきましたが、」云々と、こういう提案があったわけです。で、歴史的に見て私立学校の果たしてきた役割り、同時にまた、現在から将来に向けての私立学校の位置づけなり任務についてお伺いしたいわけですが、ただ私はこういう角度から見た場合に、やや不思議に思われることがあるわけです。それは解明していただければいいのですが、先般明らかにされた新全国総合開発計画というものが実はあるわけですが、この中では、あるいは情報化社会の到来云々というような問題をとらえておりますから、教育なり文化にわたる面もあるようにもうかがわれますけれども、ほとんど教育のビジョン等については触れられていない。とりわけ、私立学校等についてはもちろん触れられてないようにもうかがいますが、その辺の事情。
 その次に、四月末に新経済社会発展計画、こういうものが閣議決定をしたやに伺っております。この中ではわずかに五章の6で教育と人間「人的能力の開発・向上」ということで若干のページをさいております。もちろん基本的問題をとらえてのことでございますから、いま私が期待するような私立学校の今後の日本の教育、なかんずく学校教育における位置づけ等について触れられていないのだろうと思いますが、その辺の事情を伺うと同時に、基本的には私立学校が今後の教育計画、長期ビジョンの中で、どんな位置づけを期待しているのか。いま申し上げた一、二の関連を明らかにしながらお答えをいただきたいと思います。
#8
○国務大臣(坂田道太君) 私立学校の役割りと申しますか、あるいは位置づけ等についてのお尋ねだと思いますが、まず現状を申し上げますと、現在大学生の七四%、短期大学生の九〇%、高等学校生徒の三〇%、幼稚園児の七六%が私立学校におきまして教育を受けております。
 このように私立学校は、わが国学校教育の普及と発展に重要な役割りを果たしておりますが、今後のわが国の社会、文化、経済の進展のためには私立学校教育の一そうの充実と向上が要請されるものと考えております。
 このような見地から、文部省としましても、私立学校に対する助成措置を一そう拡充する必要があると考えまして、昭和四十五年度からは新たに私立学校等の専任教員の給与費を含む経常費に対する補助を行なうことにいたしております。
 また地方交付税におきまして、都道府県へ起債分の基準財成需要額の中に私学助成費の増額をはかり、私立高等学校以下の学校を設置する学校法人に対しましても、所轄庁である都道府県が、国の大学等に対する経常費補助に準じた助成を行ない得る措置をすることといたしておるわけであります。
 また、ただいま御指摘になりました新経済社会発展計画というものが閣議決定になったわけでございますが、こにに対しまして高等教育機関につきましては、昭和五十年度二五%を一応の目標とするというようなことも掲げておりますし、また同時に人的能力の開発というようなこともうたわれておりますけれども、しかし一体日本の教育全体をどういうふうに考えていくのか、その長期的教育計画、あるいはそれに対する財政の裏づけがどの程度必要か、そしてそれはまた総生産に対しまして何%程度でなければならないのかというような事柄につきましては、このたび発表されました新経済社会発展計画の中にまだ盛り込まれておらないわけでございますけれども、しかしながらやはりそういうようなものを含めないと新経済社会発展計画そのものが具体化される形において出てこないというふうにも思いますし、その点は非常に大事な点だと私は考えまして、われわれのほうではちょうどいま中央教育審議会におきまして大学の問題あるいは大学を含めた幼稚園から大学までの学校教育制度全般についての検討をお願いをしておる。で、その試案が発表され、この五月の末には中間答申が行なわれるだろうというふうに私は期待をしておりますが、その答申を待ちまして、さらに中教審に対しまして、来年一ぱいかけまして、来年の五月ごろまでには長期の教育計画、あるいはそれに対する計量的な計画等も試算をして出したいというふうに思っておるわけでございまして、そういうようなわれわれのほうの長期教育計画のおおよその見当がつきましたら、ぜひともそれを盛り込んだ新経済社会発展計画というものを補正していただきたいということを先般の閣議でも特に申し添えまして、それを承認をしたということでございます。したがいましてあの中にはまだ具体的には盛り込まれておりません。しかし盛り込まれておりませんのは、私どものほうの用意ができておらないということでございます。それはどうしても入れなければならない課題であるというふうに考えておる次第でございます。
 まあその中でちょっと私が気づきましたことは、施設、設備等の物につきましても国・公・私立を合わせた一つの計画、それから単に物だけじゃなくって、教育の場合には人、人的開発、能力の開発というものが意味を持つし、また同時に相当お金を投資しなければいけないのだということも特に強調をしておいたわけでございます。
#9
○杉原一雄君 いまの大臣の答弁の中で、私大の生徒の数、つまり国・公立に対するパーセント、ないし短大、高等学校あるいは幼稚園という数字をおあげになって、私立学校の果たしている役割りということを一応裏づけられたかとも思いますが、私は逆に、なぜ私立の大学、短大、高校、幼稚園等がそれほど国立、公立に対比してパーセントを占めるようになったのか、その根本的な洞察といいますか、そういうものを一応はっきりお伺いしておきたいと思います。
#10
○国務大臣(坂田道太君) 特に高等教育機関につきまして申し上げますると、戦後非常に教育を受けたいという学生が多くなってきた。多くなってきました大きな原因は、やはり六・三・三・四制度というものをわれわれが採用したということであろうかと思います。それで広く教育を受けたい、またその教育の機会均等を与えたいということからそういう形になって、それで小・中の義務教育の年限延長がございましたけれども、それが九九%をこえる、そうして今度は大量に高等学校に入学をする、もう八〇%をこえるというようなことになり、さらにそれが大学に押し寄せてそうして結局今日では当該年齢の二〇%ということになっかと思いますが、その間国立に関しましては、終戦直後幾つかの新制大学というものができました。各県一校という形でずっとできたわけでございますが、それだけではまかない切れなかったわけでございますが、進学の希望と同時に私立学校においては既存の大学が拡充をしたり、新たなる大学が大学設置基準に基づきまして設立をされてきたということでございます。しかしながら、こういう高等教育機関がこれくらいたくさんできて、そうして三分の二が国立でなく、あるいは公立でなくて私立に集中をしたということについては、一面においては私学の人たちの旺盛な意欲というものも認めるわけでございますけれども、同時に私どもといたしましては、やはり長期的な教育計画というものがもう少し考えられなければならなかったということは、反省をいたしておるわけでございます。そのために結局多くの私立大学というものが都市に集中をしたということでございまして、このことがまあいろいろの問題を私は惹起するということになったかと思うわけでございます。
#11
○杉原一雄君 まあ大臣の御答弁の中で、特に私立学校がなぜこのようにふえたか、しかもその結果どういうことがかもし出されたかということなど、簡単に御答弁をいただいたわけですが、中教審が第二十六特別委員会一月十二日に報告した「高等教育の改革に関する基本構想試案」その中でいま大臣がおっしゃったことなどが大体報告されていると思いますが、特にこの中で、いま最後の段階で「多数の私立学校が大都市に集中したり、文科系の収容力が不均衡に増大したり、また財政的な基盤が弱いため、学生数を過大にして教育条件がいちじるしく低下したものも生じている。本来、高等教育機関が合理的かつ効率的に整備充実されるためには、」−このあとが私は大事だと思うのですが、「国・公・私立の学校全体を通ずる望ましい全体計画が構想され、それにもとづいて国民全体の立場から緊要とされるものが優先的に整備されるよう、計画的に誘導し調整する公的な機能が必要とされる。」というような、抽象的ではございますが、こうした指摘も大臣としては了解しておいでになるわけでしょうね。いかがですか。
#12
○国務大臣(坂田道太君) 全くそのとおりでございまして、その線に沿いましてこれから長期教育計画をつくり、またその財政的な計量計算もいたしまして、財政当局に要望をし、そして大学改革も進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。また、新経済社会発展計画の改定時期にはぜひともそれを織り込みたいというふうに考えておる次第でございます。
#13
○杉原一雄君 その次に、特に私立大学のことでございますが、私立大学が設置された当時のいわゆる建学の精神と申しますか、早稲田なり慶応等に見られるように非常に色彩のあざやかな精神が確立されて出発したわけでございますが、その後、歴史的な経過を経て大きな変遷をしてきていると思います。とりわけ第一次大戦、第二次大戦等を経過する中で、進学の精神がそのまま貫かれているとは思われないと思われますが、そういう歴史的な点検を、大ざっぱでよろしいですが、していただければ幸いだと思います。と申し上げるのも、これから私立大学を大臣が期待するように育成強化していくという立場から、財政的に相当の金額を投入されるという今次の法案の進め方から申しましても、そうした歴史的な反省がきわめて必要であると思いますが、その点について若干の御見解をお伺いしたいと思います。
#14
○国務大臣(坂田道太君) 先ほどもお答えを申し上げましたように、戦前と戦後では量的にも質的にも大学が変貌してまいったわけでございまして、そのことは私立大学にも及んでおるわけで、私立大学におきましては、衆議院の文教委員会で早稲田大学の時子山さんが見えておりますが、その委員会におきましても、当時の昭和九年−十一年の平均が大体百二十円の授業料であったと、ところが、今日では、この授業料が八万四千円程度取らなきゃならないし、入学金は五万円、その他施設費等を入れると、かなりの納付金を余儀なくされている。おそらくその当時といたしましては、百二十円の授業料で、いろいろな基金あるいは寄付金その他によりまして、早稲田大学の建学の精神に基づいた個性ある教育というものが十分に果たされたと思うのでございます。しかし、その当時は何ぶんにも入ってまいりまする学生の数というものが非常に少なかったわけでございますし、また、それを教える先生もしたがって少なくて済んだわけでございます。また同時に、奉職しておられる先生方の給料というものもその基金や寄付金や、百二十円程度の入学金でまかなわれたという事情があったと思いますが、今日の段階におきまして、まさに授業料につきましては約七百倍という状況、もちろん国立のほうは一万二千円でございますから約百倍でございますけれども、私立大学においては、平均いたしまして約七百倍というようなことになってきております。ということは、結局一学生の経費が非常にかかるようになってきたということ、そして、その学生数というものが非常に多くなってきた。全体的に申し上げますならば、昔は八万か九万というような大学生の数が今日は百六十万にもなったというようなことでございまして、今日では授業収入あるいは納付金、あるいは寄付金、基金というような、あるいは若干の国からのお金ということだけでは、とうてい充実した教育研究がなされないという段階にきている、こういうことだと思うのでございます。このことは、国立の学生にかかる費用はやはり私立の学生にもかかるわけなんでございまして、戦前でございますと、もう一切国からめんどうを見てもらわぬでも自力でやれる、私立大学をやっていける。そうして個性ある大学をつくることができる。まあノーコントロールという形でできたわけでございまして、今日ではもはやいま申し上げますような量的な拡大と質的変化ということから考えまして、やっていけないというぎりぎりの段階に来た。授業料も上げられない、納付金も上げられない。そうすると、一体私立大学の経営はどうなるか。もちろん国立、公立の先生方の給与は毎年上がっていく。当然私立大学の先生方の給与も上げなければならない。上げる財源もない。国からの何らの援助がないとするならば当然授業料か納付金を上げざるを得ない。しかしその授業料、納付金を上げるということはまた学生たちの負担、父兄の負担というものを高めるわけでございまして、これはもう社会問題あるいは学生運動の一つの原因にもなるということでございます。しかし、外国の例を考えれば、フランスやドイツは国立大学でございますから、まあ問題はないといたしまして、私立大学の国でございますイギリスにおいても八〇数%が国からの援助によってまかなわれておる。アメリカみたいなお金持ちの国で相当に私立大学が多くて、そしていままではカーネギー財団であるとか、フォード財団であるとか、あるいはロックフェラー財団であるとかいうような財閥から相当のお金を、寄付金をもらって、あるいは同窓会の寄付金等を集めて、そうして大体授業料が三分の一、基金が三分の一、そうして寄付金等が三分の一ということでやっていけたアメリカも、戦後になりますと、ただいま申しまする学生数が非常に多くなったということ、同時に一人当たりの学生経費というものが非常に高くつくようになったということからいたしまして、もはやその財閥の寄付金ぐらいではまかない切れなくなってきたということで、結局、連邦政府からもう三〇%以上のお金を注ぎ込まなければやっていけない、教育研究を充実することができない、あるいは州のお金を注ぎ込まなければならない、こういうような形になってきておるわけでございまして、ひとり日本のみが全然国のお金はやらないでも、建学の精神に基づいたりっぱな教育がやれるというような時代は過ぎ去ったと考えなければならないと思うのでございます。いつも私が申し上げますが、百六十万のうちの三十数万の国立の学生一人当たり八十万円の金を出す、そうして百万の私立大学の学生一人当たりには一万円以下、これではとうてい百万の教育研究の充実ということはあり得ないんだと、そうして授業料も納付金というものもこれ以上上げられないとするならば、国が経常費助成に踏み切る以外に道はないというのが今回の予算編成において私が決心をし、また実現をいたしたわけでございます。そうやって、ことしは百三十二億何がしのお金でございますけれども、初めて私学に対して経常費助成というものができました。このお金の配分ということについては十分ひとつ適正にほんとうに教育研究の向上のために使ってもらわなければなりません。血税でございますから、国民の納税者に対しましてもその責任を果たさなければならない。そのために実はただいま御提案申し上げております日本私学振興財団法というものを御提出申し上げまして、これによって私学振興のために、あるいは配分あるいはお金の貸し付けあるいは寄付金の受け入れ等々についていろいろ条項を設けまして、そうして有効適切なお金の配分ができるように、また私学振興に資するために、そしてまた納税者である国民に対して責任を果たせるような体制をつくりたいということで御審議をわずらわしたい、こういうことだと思います。
#15
○杉原一雄君 私立大学の歴史的な経過なり教訓を何か大臣のほうで把握しておいでになることを聞き出そうとしたのですが、問題が何かお金の問題に終始したようでありますが、それはまたあとに回します。質問を次の問題に展開をいたしますが、私学を助成するというこまごまとした理由は実はわかりましたが、これを国民の立場に立って私学をなぜ助成するのか、しかもその助成するにあたってやはり原理原則があってしかるべきでないか、その点について私はこう思うのでありますが、私学の皆さん、学校の学長なり総長の皆さんが寄り集まっての会合の席上でも、その点についてずいぶん議論をなすっておるようでありますが、端的に言って国が助成をするということは、われわれはそれを要求するのは権利なんだという表現を私学新報等にも出されているようであります。それを立場を変えて、われわれの立場からいえば、国民の教育を受ける権利、憲法二十六条を出すまでもなく、その教育を受ける権利、その当然の帰結として国家がそのような配慮をするというとらえ方ですね。そうなれば結果的にはこういうことが予想されるわけですね。教育の統制だ、あるいはこれは恩恵的なものだという印象を前面に出されることは好ましいことではないだろう、はからずも先ほど大臣がおっしゃったように、サポートするけれどもコントロールしないのだというヨーロッパ諸国の助成での原理原則めいたものを確認してよいのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
#16
○国務大臣(坂田道太君) 私学の一番大事な点は建学の精神を貫く、そして個性ある大学をつくっていただく、個性ある大学における学生に対する教育あるいは研究ということが学生自身に対しても非常な意味を持ちますし、同時にその学生たちが卒業することによって社会に貢献する、あるいはまたその大学が積み上げました研究の成果というものが社会に還元をされるという形において、私は私立というものの大学の存在意義というものがあろうかと思うのでございます。したがいまして、私立大学の自主性あるいはその個性というものをどこまでもはぐくみ育てるという形において国は存在するという意味におきまして、私はやはりお金の面においてサポートするけれども、しかしながら教育の内容とかあるいは人事のこまかい事柄について一々くちばしを入れるというような意味合いの干渉ということは考えるべきではないというふうに私は思うのでございます。
#17
○杉原一雄君 大臣は非常に大事なことを言明されたわけで、そのまま了としたいと思うのですが、先般の提案の理由の場合でも私立学校の特色ということを非常に強調されたわけです。いままた建学の精神を大事にする、こうおっしゃったわけですが、ただ私は過去において非常に残念に思うことは、せっかく私立学校が理想に燃えて創立されたその理想がやがて戦争という異常な状態の中で建学の精神が極度にゆがめられていった事実等が歴然として存在しておるわけでありますから、そうしたことについてもこれから私立大学のあり方にやはり若干の危惧を感ずる。なかんづく政府がお金を出す、そういうことの関係において、いま、支持はするけれどもコントロールはしないとおっしゃったことは非常に重要でございますが、かりに過去の歴史等を見ましても、あるいはここに同志社大学の若干の資料が出ておるわけでありますけれども、これによりますと、一八八八年同志社通則第一章「綱領」の中で、何をうたわれておるかと申しますと、第一条では「智徳併行ノ主義ニ基キ教育ノ業ヲ挙クルヲ以テ本社ノ目的トス」第三条において「本社ハ基督教ヲ以テ徳育ノ基本トス」これが同志社の建学の精神の重要部門だと思います。次に途中を抜きまして、昭和十二年には、シナ事変の始まった年ですが、同志社教育綱領の中で、第一点に出てまいってきておるのは、「同志社ハ敬神尊皇愛国愛人ヲ基調トシテ之ヲ貫クニ純一至誠ヲ以テスル新島精神ヲ指導原理トス。」こう出てきておるわけであります。でありますから、一八八八年の綱領と一九三七年のこの綱領とを比較検討した場合、非常に異質なものを実は感じておるわけであります。とりわけ
 一九三七年の中でも、こういうこともあるわけでありますね。「同志社ハ教育ニ関スル勅語並詔書ヲ奉戴シ基督ニヨル信念ノカヲ以テ聖者ノ実践躬行ヲ期ス。」こう出てまいっておるわけであります。以下昭和十六年、戦争の嵐が激しくなれば激しくなるに従って、順次建学の精神が、私の目から見たら非常にゆがめられつつある事実を指摘せざるを得ないわけであります。つまり私立大学のこうした歴史的な経過の中に私たちは私立大学に何を期待するか、そのようなものが確立されなければならない。助成するにあたりましても、いま大臣が言明された線で進められることが好ましいのでありますけれども、やはり私立大学の連合会あたりの総会では非常に警戒的であり、私学新報におきましても、これは四月五日号でありますが、社説の中で「監督強化に警戒を」という大見出しで、じゅんじゅんとして説かれておる面がございます。私もすなおにこれを見ておりまして、なるほどそうかなと、非常に危惧の念を実は持っておるわけでありますが、ここで重ねて大臣の答弁を求める必要はないと思いますから、先ほどの言明を了として、次の問題に進んでいきます。
 その次は、教育研究条件のことですが、一昨年以来、大学紛争が非常に激しく、国立大学における教育研究条件も不十分であることを国民の前に明らかにしたと私は思います。とりわけ私立大学は国立大学よりもなお教育研究条件が劣悪だといわれているが、その点ここにいただいておる表の中で読み取れることができるかもしれませんが、一応、局長のほうからでもいいから以下六点にわたっての数字を対比あるいはそれに対する考察を含めて答弁をいただきたいと思います。第一点は、本務教員一人当たりの学生の数。第二点は、本務教員一人当たりの、これは出し方としては妥当かどうかしりませんが、校舎面積、私立と国立大学を対比して。それから第三点としては、図書の蔵書の数。それから第四点は、学校経費、これはばく然としておりますけれども、一人当たり幾らほどになるのか。第五点は、教員一人当たり平均一週間の担当時間数。できれば研究室の条件など、もし答えることができたらお答えください。第六点としては、教員の待遇の問題です。非常にばく然としたお尋ねをして申しわけありませんが、こうした数からあげていただければ、私立と国立との関係が、とりわけ教育研究条件のことが明確になってくる。そこに助成の方向といいますか、方向づけが出てくると思いますので、お答えをいただきたいと思います。
#18
○政府委員(岩間英太郎君) 教育研究条件につきましては、お手元に資料も差しあげてございますけれども、たとえば大学につきましては本務教員一人当たりの学生数が、私学の場合は三〇・三人、国立の場合は八・三人、公立の場合は九・五人というふうな数字になっております。また学生一人当たりの校舎面積につきましては、私立大学の場合が一人当たり七・一平方メートルに対しまして、国立のほうは二〇・九平方メートル、公立の場合は一七・七平方メートル。それから一人当たりの経費でございますが、これは四十二年の調査でございますけれども、大学の場合に、私立大学の場合は、一人当たり二十四万四千円、これに対しまして国立の場合が四十九万四千円、それから公立の場合が三十七万七千円というふうな数字になっております。それと、これはちょっと古い資料で恐縮でございますが、私どものほうで、「わが国の私立学校」というまあいわば教育白書を出しましたときに、四十年度の数を調べたんでございますが、私立大学の学生一人当たりの図書の数が二十六・七冊に対しまして、国立学校の大学の場合には百・四冊、公立大学の場合には七十二・四冊というふうに、大体経費の場合には二分の一、それから校舎の面積が大体三分の一、それから学生生徒数は四分の一、それから図書の数も大体四分の一というふうに、かなり格差があるということが数字に出ております。
#19
○杉原一雄君 それに対する考察といいますか、判断ですね。文部当局ではどう考えられるかということを、なかなか言いにくいことだと思いますが、簡単に。
#20
○国務大臣(坂田道太君) やはり不十分であると思います。この点の質的向上といいますか、教育条件の整備なくしては、私は私立大学の教育研究の成果をあげるということはできないというふうに思います。
#21
○杉原一雄君 そうしますとね、私学の存在意義を、いろいろ回りくどくお尋ねしたわけですが、いま御説明の教育研究条件は非常に悪い、だから向上させる必要がある。そこで、国の助成拡大によってこれをやりたいと、こういうことなんでしょうけれども、これについて、ことしはことし、来年は来年ではないだろうと思いますが、少なくとも、将来何年か計画で、目標は当面国立大学並みまでということになるかと思いますけれども、そうした点について、何か内輪で年次計画的なものがあればお尋ねしたいと思います。
#22
○政府委員(岩間英太郎君) このたびの人件費を含む経常費の補助を創設いたします場合に、私どもが一応考えましたことは、私立大学の役割りと申しますか、先生も先ほど御指摘になりましたような、私立大学の役割りというものをどう考えるべきかということが、やはり基本になると思うわけであります。この点につきましては、ただいま基本的な考え方を中教審においてまとめつつございますが、私どもが、一応この際、要求しました考え方と申しますのは、大学の教育につきましては、まあこれは半分は本人のためかもしれませんが、先ほど大臣から申し上げましたように、これは半分は社会に還元されるものではないかというふうな考え方をしたわけでございます。なお、研究につきましては、これはその大部分が社会に還元されるものではないかという考え方から、少なくとも三分の二まではこれは社会に還元されると考えてよろしいんではないか。このような考え方につきましては、いろいろ御批判があると思いますし、今後中教審において十分検討されると思いますが、一応、予算を要求いたします場合に、教育費につきましては、したがって二分の一まで、研究費につきましては三分の二まではこれは社会に還元されるものとして、国民の税金から私学に援助をしてもさしつかえないのではないかと、一応考えたわけでございます。そういたしまして、とりあえず、来年度におきましては、人件費につきまして、平均いたしますと一三%、それから研究費、教育費につきましても、それぞれ国立学校の経費を基礎にいたしましてそれに計算をいたすような次第でございます。一応の考え方をそういうふうにとったわけでございまして、近々そういう問題につきましては、基本的な方針が出るということを前提にいたしまして、予算を要求したような次第であります。
#23
○杉原一雄君 まあ私立大学が非常に経営がむずかしい、財政的に苦しいと、こういうふうに総合していままでの答弁の中で答えが出るようですが、しかし、その中における、特に財政上の問題点というのはどこにあるのか、とりわけ、紛争等の経過を経た中で、いろいろ皆さんのほうでも検討なさっておると思いますから、私立大学の今日の経営を困難ならしめておるものはお金と、財政だと、こういうふうにも言えるのではないかと思いますが、その財政の問題点というのは、どこにあるのか、その点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  〔委員長退席、理事田村賢作君着席〕
#24
○政府委員(岩間英太郎君) 数字的に概略を申し上げますと、昭和四十二会計年度におきまして、私立大学のこれは昼間部でございますが、その総収入が二千三百七億でございます。その収入のうちのおもなるものが、授業料等の学生納付金でございまして九百七十七億、これは約全体の収入の半分近くでございます。それから寄付金が百六十四億、それから事業収入これは病院なんかの収入でございますが、これが二百六十九億、それから借り入れ金が五百六十三億、借り入れ金が約四分の一を占めるわけでございます。こういうふうな内容になっております。
 それから支出のうちのおもなものは、人件費が五百五十六億、これが全体の約四分の一でございます。それからその他の消費的な支出が三百六十二億、この二つを合わせますと、まあ半分近くなるわけでございますけれども、そのほかに施設費等の資本的支出が七百十一億。それから借り入れ金の返済が三百九億でございまして、この資本的な支出と借り入れ金が半分以上を占めておるというふうな形になっております。私学の経営を見ておりますと、本来、授業料収入でもって大体人件費をまかなう、それから授業料収入とほかの納付金を合わせました全体の学生納付金でもって経常的な支出をまかなうというのが大体原則でございまして、それをこえますと、私学としては赤信号がついたというふうなかっこうになると思います。ところが四十二会計年度を見ましても、すでにそういうふうな傾向があらわれています。その
 一番大きな原因は、これは言うまでもなく人件費の毎年のベースアップでございます。人件費のベースアップ等、それからまあいわゆる物価の上昇と申しますか、そういうものが私学にとって非常に大きな重荷になっておるという傾向が毎年顕著に増加しつつあるわけでございます。これをまかなうためには、現在寄付金の占める割合というものが非常に減っておりますし、それから、いわゆる基金からの借り入れ金というふうなものは問題にございません。そういう意味から申しますと、結局は学生の納付金でもって私学というものは経営していかなければならない。ところが人件費とかそれから物件費の値上がりというものがかなり大きい。ところで授業料収入がまあ主体になっております学生納付金と申しますのは、これはそう上げるわけにはまいらない。現在で約戦前の七百倍というふうな授業料の高になっております。それから私立大学に学ぶ学生の父兄の収入の状態等を見ましても、百万円から百五十万円というところが非常に多くなっておるという点から申しまして、学生からこれ以上納付金をとるということはもう困難になってきているのじゃないかということでございまして、私立大学につきましていわゆる受益者負担というものをどの程度考えたらいいかということは、これは問題でございますけれども、しかし現在の状況を見ますと、もうこれ以上学生納付金に期待するということは非常に困難であるし、それを行ないます場合には、私学の教育の質的な低下というものと引きかえに、結局人件費とか、それから物件費の値上がりというものを吸収する、そうせざるを得ないというふうな状態ではないかと思います。そこで私学の教育研究の質的な水準を維持し、向上させるためには、先ほど来大臣が申し上げておりますように、どうしても人件費を含む経常費の助成というものをしていかなければならないのじゃないか。そう考えたのが私どもの今回の補助金の要求でございますし、またただいま御提出いたしております法案の趣旨でございます。
#25
○杉原一雄君 それでは次に、私立大学なり私学の運営上はいろいろ財政的に問題点があることがほぼ明らかにされたと思います。しかしそれを根本的に解決するためには、とりあえず今度の財団法あるいは補助金こういうことになるでありましょうけれども、しかしこれも極端な言い方をすれば、雀の涙ほどでしかないのじゃないか。でありますから、今後あるいは多額の借り入れ金の償還の問題とか、あるいは先ほど示されたような教育研究条件が非常に悪い、それを向上させるあるいは科学技術がこれからどんどん発達する、大臣が常に言われる情報化社会が出現する。そのために対応する実験、実習等の教育研究費の増加、これは当然学校教育の本来的な任務からいっても予想されるわけですから、そうならばますます国などの助成を増大しない限り、当面している財政的危機また今後の国民の期待にこたえることができないのではないだろうかと思われるわけです。でありますから、ことしはとりあえず百三十何億円かのお金を計上されたわけですが、さて来年はどうなるのだ、その次は、こういったようなことについての年次的な若干の展望があればお聞きしたいのでありますが、いかがでしょうか。
#26
○国務大臣(坂田道太君) 先ほど管理局長から申し上げましたように、まず第一段階といたしましては、本務教員の給与の半額というところを指し寄りの目標というふうに考えておるわけでございます。
 それから先ほども申し上げますように、もう少し私たちのほうにおきましても、噂に私立大学のみならず、国・公・私立あわせました高等教育機関にどれくらいまず人数が必要なんだ、学生をこの五年間に必要なんだ、あるいは十年間に必要なんだ、それに対して大学は幾つくらいあればいいんだ、国・公・私立の関係はどうなんだというようなことを大まかにひとつ計画を立て、そうだとするならば、新らしい国立を幾つつくる、あるいは私立大学がどれくらい拡充されるというようなことも計算をいたしまして、そうしてひとつ、来年の五月ごろまでには中教審においてもそのような長期教育計画と、それからそれを裏付ける財政計画というものを出していただく、それを見まして、また私どもといたしましても検討いたしたい。またその中において私学は、私立の大学はどういうような手順と順序によって拡充整備していくかというようなこともひとつ考えてまいりたいというように思っております。ただいままではまだ持っておりません、率直に申し上げまして。
#27
○杉原一雄君 どう考えてもたいへんむずかしい問題のように思われます。学生の納付金なり授業料なり、それほどどんどん上げていくわけにもいかないだろうし、そうすればまた一面借り入れ金が増額したり、あるいはまた今日までの借金をなさなければならぬといったような、私立大学の経営がかなり困難な状況にあると思われますが、私学の現状、会計処理の現状と申しますか、そうしたものをいろいろな角度で文部省が掌握されて、その結果として今後どう改善したらよいか、改善の方法等について、何か方策があるならお伺いしたいと思います。まさか百三十億で事を済ませるものでもないだろうし、そうした点での指導行政上の処置、考え方等があったら聞かせていただきたいと思います。
#28
○政府委員(岩間英太郎君) ただいまのお尋ねは、会計のやり方についてではないと思いますけれども、一応今後の私学の経営のしかたについて、どういうふうな指導をするかというふうに受け取りまして、ひとつ御答弁申し上げたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、私学の経営につきましては非常な困難な事態にあるわけでございますので、私どもはまず自分の学校の経営の実態というものがどうなっておるかということを的確に把握させる方法を考えなければいけないのじゃないかということで、これは四十二年に答申のございました臨時私学振興方策調査会におきましても、そういう御答申があったわけでございますが、まず会計経理のやり方につきまして統一的な基準をつくりまして、それによって外部もその学校が一体どういうふうな経営の状態になっておるかということがわかるようにいたしますと同時に、経営者自体も、自分の学校は一体どういうふうな経営の状態にあるだろうかということを、十分把握する必要があるというふうに考えたわけでございます。具体的な例を申し上げますと、最近、私学の経営が悪化しているようなところがございますが、そういうところは、一つは学生が集まらないというような状況もございます。これは学校を設置いたします場合に文部省のほうで、そういう点について非常に危険な状態にあるから、学校の新設というものは十分再検討したほうがよろしいんじゃないかというふうなことをそれぞれ助言したにもかかわらず、学校を建てまして実際に学生が集まらないというふうなところが非常に多いわけでございますが、まずそういう点がございます。
 それからもう一つは、非常に教育には熱心なんでございますけれども、教育に熱心のあまり、設備投資みたいなものが少し先走り過ぎまして、そのために借り入れ金が多くなる。それから借金に苦しむというふうな場合がございます。分けて考えますと、現在私学の経営の中で、特にあぶないと思われますのは、学生が定員を満たないというようなことと、それから設備投資が過剰であるというようなことと、それが大部分であると思います。先ほど来申し上げておりますように、私学の経営と申しますのは非常にいま微妙なところにまいっておりまして、そういう点から考えますと、経営につきましては慎重の上にも慎重を期するということが必要ではないかと思います。そういうことで、一方は先ほど来大臣が申し上げましたように、国からの助成というものを強くしていくということが、これは当然必要なわけでございますが、他方私学におきましても自分の経営の実態というものを十分把握いたしまして、困難な事態に直面しないように私どもも指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  〔理事田村賢作君退席、委員長着席〕
#29
○杉原一雄君 それでは少し問題を掘り下げていきますが、学生の納付金の実態でございますね。その実態について最近四、五年間の推移、それから国なり公立との比較、そうしたものが表のどこかにあると思いますが、説明を加えていただきたいと思うんです。
#30
○政府委員(岩間英太郎君) 概略につきましては、資料として御提出をいたしておりますけれども、ここ約十年間ばかりの推移を見ますと、たとえば文科系の授業料をとってみますと、昭和三十六年に三万一千二百三十四円というのが三十八年には四万一千二百四十七円、三十九年には四万五千六百三十円、四十年には五万五千二百二十七円、それから四十一年には六万一千二百九十一円、四十二年には六万四千二百三十六円、四十三年には六万八千五百五十二円、四十四年には七万三百四十九円というふうな推移になっています。学生納付金の全体はただいまと同じような傾向で、昭和三十六年に六万二千六百二十二円でございましたものが、昭和四十四年には十七万七千三百八十三円というふうになっておるわけでございます。このような状態は、これは理科系、医科歯科系も大体同じような傾向でございますけれども、この中身をごらんいただきますとおわかりになりますように、大学急増の始まりました昭和三十八年、昭和三十九年、昭和四十年、昭和四十一年と、この辺をごらんいただきますとかなりの伸びを示しております。授業料はこの際最高二割ぐらい上げた年がございます。ところが最近になりましてからは、ごらんのように若干頭打ちになったわけでございますけれども、これはいろんな事情がございますが、先ほど大臣が申し上げましたように、大学の紛争というようなものがあったからかもしれません。まあ悪口を申すようで恐縮ですが、どうも大学急増のときには志願者が非常に多くて、この際大幅な値上げをして、多少授業料を巻き上げたと申しますか、そういうふうな傾向があるわけでございますけれども、最近はそれがまあできなくなったという状況でございます。この大学生の急増の際の授業料値上げというものが、これが正しいものであったとは決して私どものほうでは考えないわけでございます。高等学校の場合も同様でございますけれども、非常に志願者がふえる際には授業料をどかんと上げる、それから志願者が減ってくるとそれを下げるというふうなこと自体に多少問題があるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。推移につきましては大体以上でございますが、その間の消費者物価指数とそれから国民一人当たりの名目所得をそれと比べますと、どちらかと申しますと国民所得なんかと並行して授業料というものが上がって
 いる、そういうふうな傾向がございます。
#31
○杉原一雄君 ついででございますから、諸外国の場合ですね、学生納付金等のような制度がやはりあるかと思いますが、二、三の先進国と比較して、そうした問題は、学校経費なり運営に学生納付金がどうような役割りを果たしているのか、その点もし資料がございましたらお聞かせいただきたいと思います。
#32
○政府委員(岩間英太郎君) ちょっと年度が食い違っておりますので正確な比較ができないと思いますけれども、わが国の場合は一九六六年度には国立が一万六千円、これが授業料と入学金を合計したものでございます。それから公立が二万七千六百六十七円、これは授業料のほかに入学金、それから入学手数料を含んでいるわけであります。それから私立が十一万八千五百三十九円、これが授業料のほかに入学金、手数料、実験実習費、施設費等が入っているわけでございます。これに対しまして、アメリカの場合でございますが、これは年度は一九六三年度でございます。これは州立大学と私立大学ではかなり違っておりまして、州立大学のカリフォルニア大学におきましては、円に換算いたしますと二十七万八千二百八十円、そのうちのバークレー分校が六万二千二百八十円、それからミシガン大学が三十二万四千円、これはいずれも授業料だけでございます。それから私立の場合にはハーバード大学が五十四万七千円、コロンビア大学が六十一万五千円、それから最近ちょっと資料で見たのでございますけれども、女子の大学では年間二千ドルというふうなものがあると聞いておりますが、そうなりますと約七十二万円ということになると思います。かなり私立大学の場合には高い授業料をとっているということが言えると思います。それからイギリスの場合には、一九六六年度でオックスフォード大学が十八万一千四百四十円、それからロンドン大学が政経学部が七万五百六十七円、理工学部が八万五千六百八十円、これは授業料、登録料、試験料、自治会費等を含んでおります。それからマンチェスター大学が文学部が七万五百六七円、理学部が八万五千六百八十円、イギリスの場合にはわが国のちょうど私学の授業料だけの額と大体似ているわけでございます。それからフランスの場合はこれはだいぶ安うございまして、一九六五年度でパリ大学が一万四千十六円、ブザンソン大学一万一千六百八十円、ナンシー大学一万四千十六円、これは授業料のほかいろいろな諸経費を含んでおります。それから西ドイツの場合は、ボン大学が三万二千四百円、フランクフルト大学が四万三百二十円、これは登録料、授業料 厚生費等を含んでおります。フランスの場合はわが国の国立大学とほぼ匹敵しております。それから西ドイツの場合はちょうど私学と国立大学の中間と申しますか、その程度でございます。
#33
○杉原一雄君 いずれにしろ学生納付金が非常に重いということは、日本の場合特に指摘できるかと思います。ただそのことは結果的には、教育は機会均等でなければならないなどと憲法にも保障されているわけですけれども、事実はそうでないということになるわけですね。私も百姓の子として生まれて、とうてい大学など望みもしないし、入れなかったわけですが、そういう点でやはり学生のそうしたものを軽くしていく。そして大学に入りたい者、能力のある者、とりわけ才能が埋もれることなく社会国家のために貢献できるような教育的な条件を与えていくことが文教を進める側としてはきわめて大事だと思いますが、その点について受益者には負担の能力の限界がございますから、まず納付金を減らすということはもちろん大事ですし、またかりに現状の納付金を固定的に見ても、受益者の負担能力の面で別途の方向で、そうした才能なり、大学入学の希望者を救い上げていくというようないろいろな処置が今日までもとられてきておると思いますが、その概略と、今後それをより発展さしていくというような手だてを考えておいでになるかどうか、そういったことについてお伺いしたいと思います。
#34
○国務大臣(坂田道太君) 高等教育機関に学ぼうとする学生が非常に増加をしたということは、単に日本だけじゃなくて、諸外国同じなんです。したがいまして、戦前においては諸外国においてもそういうことはあまりなかったわけです。限られたエリートだけが大学にいけばよかったというような形でございます。ところが戦後におきましては、あらゆる人たちに高等教育を受けさせようという気持ちが社会全体としての、あるいは国全体としての考え方に変わってきたということ、これはやはりその時間的なあるいは歴史的な変化というものをやはり頭に置いて考えなければいけないので、日本は非常に悪かったのだというようなことでは私はないと思います。戦後におきましてわれわれは六・三・三・四をとり、そして私学の方々が一生懸命になって子弟の教育に当たられたということが相待ちまして、とにかく当該年齢人口の二〇%の人たちが高等教育を受けるということになったということは、これは私はすばらしいことだと思うのです。それは先進国といわれるイギリス、フランス、ドイツが、今日わずかにイギリスが一一%程度あるいはフランスが一二%程度、西ドイツがわずかに八、九%程度しか高等教育機関に学ぶことができない。しかもそれは経済的諸条件、あるいはまた場合によっては身分制度そのものがまだ温存されているがゆえにそれができないというような、そういうところに原因があるに引きかえまして、戦後の日本におきましては、あらゆる能力のある人たちに、経済関係あるいは身分関係というものを考えずして、とにかく教育を受けさせようという気持ちが非常に高まってきたし、またそういうような施策というものが十分ではございませんけれども、行なわれるようになってきたということはひとつ一応認めていただきたいというふうに思うわけでございます。その一つの事柄が今度の私学に対する助成でございまして、それを先生が御指摘のように、あまたの才能のある人たちにも高等教育機関がほとんど同一条件でもやれるような姿に持っていくことが望ましい国の姿ではなかろうか。この点については私も同感なんでありまして、そういうような方向へ進まなければならぬという意味合いにおいて、今度私学助成、人件費を含む経常費助成に踏み切ったということでございまして、この芽は小そうございますけれども、この芽を育て、花を咲かせ、実り多きものにしていくということが、いま先生の御指摘になりましたことを実現することにつながっていくというふうに私は思います。
 また、先ほど管理局長が申し上げましたように、今日百五十万以下の年収の家庭から私学にも五四・七%の人がいっておる。国立の場合はもっと多い六〇・数%の人たちが、あるいはもっと上になるかと思いますけれども、入っておるということがやはりそれを物語るわけでございますが、同時に、今度は百万の私立大学に学んでおる学生の家庭を考えた場合には、相当いいうちの子供たちも入っておると思いますが、そのいいうちの子供であってすらも、私立大学にもし二人の学生を出しておるとすると、それはたいへんな負担でございます。こういうようなことを考えると、私はやはり銀行貸し付け制度と申しますか、そういうようなものも一面において考えていく必要があるのではなかろうかということで、本年度の予算におきましても調査費を計上いたしまして、アメリカ等でやっておりますような制度も導入をしたい。できれば来年度からはこれを実施に移したいというような気持ちも持っておるわけでございます。あるいは今後は育英会の制度というものを十分活用するというようなこともあわせて考えていかなければ、先生の御指摘の理想というものを実現することはできないというふうに考えるわけです。そういうことを総合的にひとつ考え、策定し、そうしてそれに財政措置を合わせて考えてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
#35
○杉原一雄君 以下の質問は、私も当事者であった経験もございませんので、やぶへびになるかもしれませんけれども、私立大学の管理運営の問題についてであります。
 それは言うまでもなく、教学関係の管理と経営関係の管理との大体二本立てになっているかと思いますが、とかく大学紛争等で明らかになったとおり、両者が必ずしも完全一体になって大学が進められているとも思われないのでございます。とかく私立のほうでは、経営管理のほうが教学管理よりも優位にあるかのような印象をわれわれは受けるわけですが、そうしたことについては文部省はどういうふうにつかんでおいでになるか、お伺いしたいと思います。
#36
○政府委員(岩間英太郎君) 一応御指摘のようなことではないかと思います。私立大学の経営は、これは教学も含めまして理事会それから評議員会で基本的なことは決定する。それから教授会等の教学関係の組織につきましては、これは学校教育法で規定がございまして、重要な事項は教授会で審議をするというようなことでございます。私学経営全般につきましては、やはり理事会、評議員会というものが責任を持ってやっていくというふうなことになっております。
#37
○杉原一雄君 そうした答弁の中から出てくることは、あるいは教授会などの権限が非常に弱いとかいったような問題が幾つかあらわになってくると思います。思うに、それは教学権にしろ経営権にしろ、両者の関係は調和を保つことがきわめて望ましいことであると思いますけれども、なかんずく経営云々の問題は、いかに教育が学生に対して有効適切な措置がとられていくかにあるわけですから、いっそのこと、経営権は逆に教学権をバックアップする重要な任務という位置づけがされるかと思います。端的に言えば、本質的には教学権が優位にあるというのが望ましいのではないだろうかと、このように思いますが、その点、簡単に。
#38
○国務大臣(坂田道太君) これは教学権とかあるいは経営権とかいうようなことではなくて、やはり教学、経営一体となって教育研究を進めていくというのが、私学についても国立についても言えることじゃなかろうかと思うんです。たとえば、先ほど管理局長からお示しを申し上げましたように、はなはだしく国立とは教育条件が悪いにかかわらず、昨年の大学紛争を考えてみますると、たとえば、二百七十の大学のうちに一番ピーク時でも二十数校だったと記憶をいたしておるのでございます。ところが、教育条件がはるかによろしい国立大学においては、七十五のうちに半分までは紛争をしたというようなことから考えますと、やはり私立大学の先生方というのは、経営とそれから教育研究というものをあわせ考え、そして、やはり社会の中における大学としてどうなけりゃならぬかという社会的責任というものを、国立の先生よりより以上にお考えになっているんじゃなかろうか。その点が国立の人たちは、経営のほうはもう国のお金があるんだからという考え方だけで、結局、その辺をあまりにもお考えにならないところに、管理運営がうまくいかないし、したがって教育研究ができないというような、あるいは、そのために大学紛争が多いということにもなったかと思うのでございます。まあ、この辺のところは、そういうような現実があるということをまず申し上げておきたいと思いますけれども、やはりこれから先、経営とそれからまた教育研究というものとをどうバランスさせていくかということが、私立においては非常に大切じゃないかというふうに思います。
#39
○杉原一雄君 次に、機構の問題に入りますけれども、私立関係の、理事とか、あるいは総長とか学長とか、いろいろ名称がおのおのありますが、それらの選任について、従来、民主的なルールが確立していたかどうか。あるいはそうでもないと言われている節もあるかのように聞いておりますが、現状把握について、局長のほうからお伺いしたいと思います。
#40
○政府委員(岩間英太郎君) 在来の私学につきましては、これは創設者がございまして、そういう方が特定の信念に基づいて学校をつくられる。その際に、自分の建学の精神に合うような人々を集めてそこから発足するというふうなことでございますから、やはり、その創設時、あるいは従来の行き方から申しますと、学校をつくられた方がそういう趣旨に賛成される方をお集めになってそして学校の経営が行なわれたという形であったろうと思います。しかし最近のように大学が非常に大きくなりますと、やはり組織の力で動いていかなければ、一人の方のお力で学校が円滑に運営されるということが非常にむずかしくなってまいりました。そういう意味から申しまして、よき協力者、よきスタッフを集めるということから、評議員会というものを中心にしまして、そこから理事を選ぶというふうな、下からの積み上げと申しますか、そういうふうな方式が順次出てまいったことは事実でございます。そういう点を、先生の表現を借りて言えば、民主的と申しますか、広くいろいろの方から御意見を聞いて実際の経営に当たられる方が選ばれていくというふうな方向に向かいつつあるんじゃないかというふうな気がいたします。
#41
○杉原一雄君 でありますから、順次ですから、まだそうでないところがあるということですね。そうでない姿の中で、一番われわれとして困ったなと思われるものは、学校を私のものだと、私物化しているというような実態がいまもなお若干あるのではないだろうか。それは教育というものの任務から考えても許されがたい、けしからぬことだと思いますが、そうした点について、現状、あるのかどうか。あるとすれば、そうした方向に対していかなる改善の処置、指導の方向等も持ち合わせておったら聞かしていただきたいと思います。
#42
○政府委員(岩間英太郎君) 最近新聞紙上で報じられましたものとしましては、たとえば山梨学院大学というふうなものがあったと思いますけれども、やはり学校を創設された方は、それなりに信念を持ってやられるわけでございますから、どうしても人の意見が入りにくいというふうなこともあろうかと思います。そういうことで、声一人の意見に従って学校が運営されていく、これはもちろん悪い場合ばかりでなくて、いい場合がないとは申しきれません。強力な個性を持った方が実際に指導されるということでは、かなりいい例もないことはございませんですが、しかし、組織のように――その個人の弱点と申しますか、欠点と申しますか、そういうものを補うような手段がございません。そこで、ある一つの方向に片寄った経営が行なわれるということになりますと、どうしてもしばしば問題を起こすことがございます。いわゆるワンマン経営と申しまして、そういうふうな私学が往々にして問題を起こしているというふうな事実がございます。そこで、私どもは、やはりそういう方の力が十分発揮されながら、しかも、その欠点が補われていくというふうなこと、つまり、学校が一つの組織体として運営されるという方向に向かうということが望ましいということを考えているわけでございまして、そういう意味で、先ほど申し上げましたように、評議員会というふうなものが、発言権と申しますか、を持つ、あるいは理事会の中で、ほかの理事者の方々がそれぞれ協力してやっていくというふうな方向が望ましいわけでございまして、ワンマン経営と申しますのはいつかは破綻が生ずるということもあるわけでございますから、そういう点につきましては、できるだけそういうことのないように指導してまいりたいと考えております。
#43
○杉原一雄君 いま私学の管理運営の問題にも触れてきておるわけですが、本来、これは国が規制するというようなことなど好ましいことではない。あくまで大学当局の自主性にまかせる。私学みずからの手で大学に適した管理機構を創造すべきものと考えられるわけですが、その方策なり、推進の方策をお伺いしたいわけですけれども、文部省も御承知でしょうが、私の手元に入っております私学新報の四月五日に記載されている私大連盟の春の総会を経て、私大側の考え方というもの、特に経理関係の問題について、このようなことを言っているわけですね、一つは、「私立大学経営の公共性高揚の立場から、さきがけて学校法人会計に関する準則制定」をするということ、「経理の公開」をやるということ、「公認会計士の監査導入」をやるということ、「内部チェック・システムの確立および内部監査制度の確立を」云々といったようなことを、大学独自の立場で申し述べているわけですけれども、文部省としては、そうした面についての直接規制じゃなくて、自主的に、大学みずからの手でやるとすれば、どういうことを管理運営上期待しているのか、望ましいと考えているのか、そうした点を大ざっぱでいいですけれどもお示しいただきたいと思います。
#44
○政府委員(岩間英太郎君) 経理の面につきまして私立大学側が、ただいま先生がお示しになりましたようないろいろな方策をみずから講じまして経理を厳正にし、明らかにしていくということは、これは非常に望ましいのじゃないかということを考えておるわけでございます。その際に、文部省の役割りとしましてはどこまでかという限界でございますけれども、私どもとしましては個々の私学の経理経営に関係するということではなくて、全般的な経理のやり方につきまして一つのルールをつくっていくということが必要ではないか。そういう考え方から現在会計基準の策定ということを考えているわけでございまして、私どもが指導助言の内容として行ないます場合には、それがおそらく限界ではないかということでございます。もちろん御相談があれば、個々の内容につきましても御相談を受けるということは必要であろうかと思いますが、これはむしろ文部省がやるのではなくて、ただいま御審議をいただいておりますような私学振興財団、そういうふうな公正な第三者機関でもってそういうふうな相談に応じて具体的な指導を行なうということはやっていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
#45
○杉原一雄君 次に、国が助成するという問題ですけれども、いま提起されておることはよくわかっていますが、いままで私学に対して学校種別ごとに国がどのような形で助成をしてきたのか、概略でいいのでございますが、お示しいただければと思います。
#46
○政府委員(岩間英太郎君) ただいままでに文部省が私立学校に対しまして行なってまいりました助成は、まず大学、短大、高専等、文部大臣が所轄庁になっておりますものにつきましては、まず経常的な経費について、設備等の充実、教育研究のための設備の充実ということで研究設備について昭和四十四年度に約十億七、それから理科の設備につきまして約三十億の補助金を出しております。またこれは経常費を若干含むわけでございますが、教育研究のための設備費、図書あるいは光熱水料も含めましてこれが約三十三億でございまして、以上が大体大学、それから短大、高専等に対する補助でございまして、そのほかに建物関係等の臨時費につきましては、これは融資をするということを主眼にいたしまして、従来から私学振興会を機関といたしまして、昨年は三百四十億の融資を行なったというふうな状態でございます。なお、高等学校以下につきましては個々の場合には補助金を出すというふうなきわめて例外的なものもございますが、たとえば幼稚園関係の施設費に対する補助というふうなもの、あるいは特殊教育に対します補助というものがございますけれども、しかしこれは大部分は地方交付税によりまして財源措置をして、具体的に都道府県の知事が所轄庁になっておりますが、都道府県の補助あるいは融資というものを考えるということを中心にいたしております。なお、私学振興会の融資の中には高等学校、それから幼稚園等も含まれております。
 以上が大体いままでのやり方でございまして、大体臨時費は融資でやる。それから経常費につきましては、いままでは具体的な設備等につきまして補助を行なうというふうな方向でまいったところでございます。
#47
○杉原一雄君 ついでですから、先ほど示されたようなアメリカとかイギリスとかフランスとかという程度でいいのですが、そこらの国々は国家機関としてどの程度の助成をしておるのかということをお聞きしたいと思いますが、資料ございますか。
#48
○政府委員(岩間英太郎君) 先ほど大臣から申し上げましたように、ドイツとかあるいはフランス、ドイツは州立でございますし、それからフランスは国立でございますが、ドイツの場合には州立大学に対しまして連邦からも補助がいっておりますけれども、実際は国立と同じというふうに考えてよろしいのではないかということでございます。また、イギリスにおきましても、これは全部私学でございますから、逆の考え方をいたしますと、全部国立であるというふうに考えてもよろしいわけでございます。イギリスにおきましては、一九六六年に七三・八%の補助をいたしておるようでございます。さらにその後ふえておるのじゃないかというふうに考えられるわけでございます。それからアメリカにおきましては、これは日本と似たような私学に対する補助でございますけれども、一九六三年に連邦から私学に対しましては二七・二%、それから州から一・四%、先ほど大臣が申し上げましたように、約三〇%程度の補助がなされておりまして、これは年々増加の傾向にございます。いずれは人件費までいくのじゃないかというふうな予想もされておるわけでございます。
#49
○杉原一雄君 それでは今後助成の目標ですね。日本の場合、年次計画があるのかないのか。先ほどもまぎらわしい質問をしたわけでありますが、ただ私はここで質問の指標として、私立大学連盟の皆さんが三月三十一日の総会で要望書を出しておるわけでありますが、教職員費の二分の一をひとつめどにしてお願いしたいと言っておるわけでありますが、そのことと、そのことを実現する年次計画等についてできるだけ早い機会において実現してほしい、こういうふうに要望しておるようでありますが、これがすべてとは思いませんが、今後の助成の目標ないし年次計画等ですね。いま大学連盟の諸君が期待するような方向で検討がなされているとすれば、その内容等お伺いしたいというわけです。
#50
○政府委員(岩間英太郎君) 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、現在これは正式にきめたわけではございませんけれども、教育費につきましては、これはいわゆる半分までは国民の税金の中から援助してもよろしいのではないか。研究費につきましては三分の二までは援助してもよろしいのではないか。これにつきましては一応私どものまだ腰だめの考え方でございますので、先生方の御批判もいただきたいと思うのでございますけれども、そういうふうな考え方をもちまして今後助成の計画を進めたいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、先ほど先生が御指摘になりました教職員の給与費につきましても当然その中に、どちらかに含まれるわけでございます。特に教育費の中にそれが含まれるということで、二分の一というものは一応の目標であろうというふうに考えておるわけでございます。
 それからその補助金は、教育研究の内容を向上させるということに非常に大きな意味があるわけでございまして、今後とも人件費とかあるいは物件費の値上りが続くといたしますと、私どもの計画としましては、これは五年間くらいでそこまで達してやらなければ、教育研究の実というものはあがっていかないのじゃないかということを一応考えておるような次第でございますが、これはまだ計画というふうな公のものではございませんけれども、そういうふうなことを前提にいたしまして、今後これを進めていくというふうに考えております。
#51
○杉原一雄君 局長、五年間というようなことは、大学の当局の皆さんも大体了解しておるわけでありますが、その間にいまおっしゃった二分の一なり三分の二なりという目標に達成するというのは、五年間くらいでひとつやろうということは、文部省内の腰だめと申しますか、あたためている案でございますか。それをはっきりさせておきたい。
#52
○政府委員(岩間英太郎君) いま私どもが補助金を考えておりますいろいろな前提条件がございます。たとえば、人権費が毎月一割ぐらい上がっていくのではないか。あるいは物件費が五%ぐらい上がっていくのではないか。それから教育研究の実態がこうであるというふうないろいろな背景を考えまして、教育研究の質的な向上をはかるためには五年間ぐらいで二分の一まで持っていかなければ教育条件というものは改善されないのではないかということを一応考えたわけでございまして、これはまだ私学の人と話を詰めたというものではございません。
#53
○杉原一雄君 次は、非常におせっかいな話だけれども、百三十何億を一応お分けになるわけですね、財団法人を通して。その場合に経費の配分の基本的な方針みたいなものはすでにあると思いますがね。これはどういう分け方をするかということですが、こまかいことはけっこうですが、おおよその案があればお聞きしたいと思います。
#54
○政府委員(岩間英太郎君) 補助金の具体的な配分につきましては、これはやはりただいまお願いをいたしております私学振興財団のほうで扱ってもらいたいというふうに考えておるわけでございますけれども、その前提となります基準につきましては、これは予算をもらいますときの経過その他がございまして、やはり前提条件のもとに予算を配分してもらうということであろうと思います。ただいま予算の考え方といたしましては、このたびの人件費を含む経常費の使い方はこれはまあ大学の自主性にまかせる。どういうふうな使い方をしても差しつかえない、あるいは裏財源を出すということもこれは必要がないというふうな、非常に使いやすい補助金にしたわけでございます。そのかわりと申しますか、それがまあ有効に使われるということの担保をいたしますために、それではどういうふうなことが考えられるかと申しますと、最近の条件といたしましては、やはり経理の厳正公正の確保ということでございまして、これは法律上それを明らかにするというふうなことにいたしております。またその補助金の目的が私学の教育研究の条件を向上させるということでございますから、少なくともこれを低下させるようなことをしてもらっては困るということで、やはり法律をもちましてその確保をはかるというふうなことを考えたわけでございます。そのほかの条件といたしましては、ただいま専任教員一人当たりの積算をいたしておりまして、配分の際も専任教員を主体にいたしまして人件費、研究費、教育費というものを一応配りたいというふうに考えているわけでございます。また人件費につきましては、たとえば人文系の場合にはこれは人件費の一割ということでございますけれども、理工系とかあるいは医・歯系というものは非常に費用もかさみますし、したがって受益者負担も非常に大きくなっているわけでございますので、そういう意味から考えまして、さらにそれに上積みいたしまして、理工系の場合には二〇%、それから医・歯系の場合には三分の一というふうな高い割合をもって積算を行なうということにいたしたいと思っております。なお具体的な配分につきましては、先ほど申しましたように、本来ならばこれは綿密に調査をいたしまして、実際の補助の効果が非常に期待できるところにはできるだけたくさん、ほとんど期待できないところには少なく、あるいはそれに反するところにはこれはやらないというようなことが、皆さま方の御納得いただけるような方法でやれば一番よろしいのでございますけれども、それにはなお時間がかかると思いますので、これはさらに検討を加えまして、この補助金が実際に教育研究上の質的な向上という点に役立つように、国民の期待に反しないように、ひとつ配分方法も今後改善をしてまいりたいというふうに考えております。
#55
○杉原一雄君 まあいままで大学に重点を向けていたようですから、今度私立の高等学校以下の学校ですけれども、このような学校運営について、助成の問題ですが、国並びに地方公共団体等が今日まで何らかの助成措置をとってきたと思います。きわめて近い年度でいいと思いますが、高等学校以下のような私立の学校に対して国なりあるいは地方公共団体がいかなる助成措置をとってきたか、きょうの法案審議もそれにからんでいるわけですが、そういった点に重点を置いた今後の方針ということも明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#56
○政府委員(岩間英太郎君) 四十四年度の都道府県が私学に対しまして助成をしておりますその状況について申し上げますと、実績といたしましては、まず私立学校に対する補助が八十五億ございまして、それから私立団体等の補助が十七億ござ
 いまして、合計いたしますと、百二億の補助金が交付されております。それから貸し付け金等が約三十二億ございまして、合計百三十五億近くの助成がされているわけでございます。これに対します地方交付税上の財源措置は約四十億でございまして、都道府県のほうではその国の財政措置をこえましてかなりめんどうを見ているというふうな実態がございます。なお、人件費につきましてはどの程度補助しているかと申しますと、これは東京それから神奈川等十九県ございまして、今度新しく地方交付税におきまして国と同じような人件費を含む経常費の補助をいたしたわけでございますが、その金額は約八十億と見込まれております。自治省の御説明によりますと、高等学校では一人当たり四千円程度、それから幼稚園では千五百円程度というふうなお話がございましたが、まあその程度の財源措置をしたわけでございますけれども、ただいま御説明申し上げましたように、四十億の財源措置に対しましてすでに百三十五億近くの援助をいたしておりますので、財源措置を約倍にいたしましたために、かなり都道府県のほうでも力を入れて援助してくれるのじゃないかということを期待しておるわけでございます。
#57
○杉原一雄君 ついででございますので、私学に対しての減免措置ですが、税金の減免について今日まで配慮された政府の態度、並びに今後それをもっと広げていきながら私学の健全な運営に資したいといったような拡大の方針等があるならばお伺いしたいと思います。
#58
○政府委員(岩間英太郎君) いままでの減免税措置につきましては、先ほども、ちょっと数字を申し上げましたが、昭和四十二年度に私立大学に対する寄付金が百六十四億でございますかございまして、そのうちの個人寄付が七十三億でございますかあるわけでございますが、ただいまのところ個人の寄付につきましてはいわゆる足切り、それから頭打ちという制度がございまして、控除の対象限度は所得の一五%でございますが、三%までが足切りになっておりまして、一五%というのが一応頭打ちになっているというふうなことでございます。それから法人の寄付につきましては、これは一般的にはまあ損金算入の制度があるわけでございますけれども、特に私学振興会等を通じます指定寄付につきましては、これは全額損金算入されるわけでございますが、しかし、出資者十人以上とかあるいは一社で五〇%以上の寄付が入ってはならないとか、あるいは使う費目が設備、施設に限るとかいろんな条件がついているわけでございます。そこで、私どもは毎年個人の寄付につきましては、足切り、頭打ちをできるだけ下げたり上げたりするというふうなことをお願いしているわけでございますが、法人の寄付につきましても、そのような条件というものをできるだけ緩和するということをお願いしてきたわけでございます。まあ大蔵省のほうの考え方としましては、これは免税というのも一種の補助金と考えてもよろしいんじゃないかと、したがって、その補助金を与える場合にはかなり効果というものが期待できなければなりませんという点から申しまして、その厳正な審査と申しますものが行なわれるならばその条件を緩和するというふうなことは考えられるということを従来申してまいりました。たまたまこのたび御審議を願っておりますような私学振興財団というものができまして、そこを通じまして寄付金の使途が公正なものであることが期待されるということでありました場合には、できるだけその条件を緩和しようじゃないかということを申しておりまして、私どももその点につきましては非常に期待をしているわけでございます。たまたま先般新聞で拝見したんでございますが、私学の寄付金についてはできるだけ緩和すべきだというふうな総理の御発言もありますし、そういう点から申しますと、この財団ができましたときには補助金の制限がかなり緩和されるんじゃないかということを期待しているわけでございます。
#59
○杉原一雄君 それでは今度は日本私学振興財団というのに改組されるわけなんですが、従来の私立学校振興会というものがこういう形で改組されていくわけですけれども、そうしなければならなかった理由とか、それから違いは何かと国民尋ねられた場合に答えられるような明確な答えをいただきたいと思う。
#60
○政府委員(岩間英太郎君) 私学振興会が従来果たしてまいりましたのは、私学に対する融資ということが中心でございまして、これは戦後におきましては最も画期的なことでございましたけれども、このたび人件費を含む私学に対する経常費の助成というのも、これは明治以来の画期的なことでございまして、そういう補助金をできるだけ公正な第三者に扱わせるようにしたいという考えから私学振興財団というものを考えたわけでございますが、従来の私学振興会というものを改組してやるという方法も、これは考えられないわけではもちろんございません。しかし、こういうふうな新しい方策をもって私学に対して総合的かつ効率的な援助を行なうというのには、やはりそれを行なう機関のイメージを変えていく必要があるんじゃないかというふうなことを考えたわけでございまして、そのためにこの法律も私学振興会法の一部改正という形ではなくて、新しいものを、新らしい私学振興財団というものをつくるということを全面的に明らかにするというふうな形にしたわけでございます。これについてはいろいろ御批判、御意見等もあると思いますけれども、私どもとしましては、そういうふうな意気込みでもって私学の援助につきましては一つの新しい画期的なできごととしてこれを国民の皆さま方にお知らせしたいというふうな考え方から私学振興財団というものをつくったわけでございます。
#61
○杉原一雄君 いまのような御趣旨に従って財団をおつくりになるということなんだけれども、その場合いろいろ検討された検討材料の中に、イギリスにおけるところの補助金委員会制度のような、もっと強力な、しかも政府からはっきりと独立して自主性を持った機関ということを検討の中でなされたものかどうか。具体的にイギリスの補助金委員会制度をそのまま日本に持ち込むということはどの点で不適当なのか、その辺のところを振興財団とイギリスの補助金委員会制度と対比しながら、文部省がいま出されるような形で提案されたわけですから、その決断に落ちついた経過みたいなものをお聞かせいただければと思いますが、もしなければないでいいですがね。
#62
○国務大臣(坂田道太君) まず第一に私は、イギリスの補助金委員会というものが私立大学の助成に対しまして果たしておる役割りというものが非常に大きいし、またそれが国民の間におきましても信頼をかちえ、そうして定着をしておるということにかんがみまして、でき得べくんば今度私たちが御提案申し上げております日本私学振興財団法というものをやりますものもこのUGCと同じような権威あるものに定着をさしていきたい、そうすることによってこの国と私学との関係、あるいは文部省と私学との関係をうまくやっていくことにつながっていくというふうに思ったわけでございます。そのような意味合いから相当これ参酌をいたしまして考えたわけでございまして、たとえば今度の運営審議会というようなものも、かなり私は思い切って少数精鋭ということにして、かなり理事長がリーダーシップをとれるようにという考え方も出しております。それからもう一つは、コンサルタントということをまあ一応考えておるわけですが、これは結局沿革的に申しますと、UGCにおきまして、かつてお金をイギリス政府が私立大学に出すというときに、ウエールズ地方の三大学がこれに対して反対をしてまいりました。それはなぜ反対したかといったら、やはりイギリス国教の支配をウエールズが受けると、またウエールズの私立大学が受ける、つまりコントロールを受けるのじゃなかろうかということをおそれてそれを反対をしたといういきさつがあって、そこで何か宗教的行事の中のビジッティング、つまり貧しい人や病人をたずねていくという、そういう制度があったのだそうでございますが、そういうビジッティングというものの制度をそのままこれに応用をいたしまして、そうしてそのUGCとこの各個の私立大学との何といいますか、あっせんの取り持ち、調整をはかるという機能を果たしておるのだそうでございますが、それで非常にうまくいっているということをかねがね聞いておったわけでございまして、たとえば年間の予算の要求じゃなくて五年間の予算の要求を各大学はUGCにする。それは五年目の九カ月前でございますか、に各大学がUGCにその要求をする。それに対してビジッティングの人たちが行っていろいろ大学当局あるいは学生までとも話し合いをしながら、そうしてそれが適当であるかどうかというような判断の基礎にするということを言われておるわけでございます。そういうようなこともやはり一応われわれとしては参考として出発をしたということだけはひとつ申し上げておきたいと思います。あんまりそれがそのままあらわれておるとは申し上げられませんけれども、そういうものを参考にして、でき得べくんばあのUGCのような信頼あるものにこの振興財団をしたいという気持ちだけはあるということをひとつ御理解を賜わりたいと思います。
#63
○杉原一雄君 もうあと残り少ないですから、簡単に。実は今度の法案の「第二章役員等」こうあるわけですね、その中に役員というので第九条以下載っているわけです。この中でいままでの振興会の役員なり機構と対比してみた場合に、会長制というのはまずなくなっているということ、しかもそれが第十一条では、「理事長及び監事は、文部大臣が任命する。」とこうなっているわけですね。これだけのことを見ただけでもやはり先のことが危惧されます。それは政府への従属性が強化されることではないだろうか。だから先ほど何べんも例をあげますが、私大連盟六十六大学の責任者が集まっての総会では、これは官製人事におちいる危険があるというふうにかれらは訴えているわけですがね、その辺の心配にこたえられるような文部省の態度、考え方を明らかにしていただきたいと思います。
#64
○国務大臣(坂田道太君) こまかくは管理局長から御説明申し上げたいと思いますが、先ほど私、UGCのことについて申し上げたわけでございますけれども、従来は御案内のとおりに、UGCも大蔵省の所管になっておったわけでございますが、戦後非常に学生数がふえまして、そしてまた援助をいたしまするお金が多額になってきたというようなこともございまして、これを科学教育省、つまり日本で申しますと文部省の所管というふうに移しかえをしたいということが一つ。
 それからもう一つは、従来はこの会計検査院の制度はこれに導入していなかったわけでございますけれども、やはりお金が多額になった。そしてどういうふうに国民の税金が有効適切に使われておるかどうかということをやはり明らかにする必要があるということもあって、UGCに対しまして、そのような監査をするという道が開かれたということでございます。今度のたとえば理事長をきめます場合は、文部大臣がする、あるいはまた理事を任命しあるいはまた運営審議会の委員を任命する場合は私の承認を得る、文部大臣の承認を得るということになっているわけでございます。でございますが、私といたしましては、やはりこの財団がほんとうにうまく運営されるかされないかというものはその人によるわけでございまして、何も文部大臣が任命したからどうだこうだということじゃなくて、文部大臣が適切な人を任命さえするならば、先生の御懸念の点はなくなるであろうというふうに思うわけでございます。これはまさに信頼関係の問題でございまして、制度それ自体にそれほど危惧されるところの問題はないのではないだろうかというふうに思うわけでございまして、私といたしましては、全責任を持ちましてほんとうにこの日本私学振興財団の目的にかなうようなりっぱな公正な運営をやっていただくために、人を得たいというふうに考えておるわけでございます。
#65
○政府委員(岩間英太郎君) 私学振興財団は先生も御指摘になりましたように、私学振興会とかなり機構は違っております。御指摘のように、会長というものをやめまして、そのかわり理事長の下の常勤理事を増加いたしております。また評議員会をやめまして、運営審議会というものを新たにつくっております。文部省の外郭団体には会長とかあるいは評議員会とかいうものはございますけれども、ほかの特殊法人にはそういう例が非常にに少ないわけでございまして、これは文部省特有の制度でございますが、まあ決して実際におなりになっている方がいいとか悪いとかいう問題ではないのでございますけれども、全般的にそういう制度というのはどうも実践的と申しますか、実務的ではないような感じがするわけでございます。今度の場合には先ほど大臣も申し上げましたように、これは少数精鋭、しかも実務的に、効率的に仕事を運びたいということでございますが、御懸念のような人選等につきましては、これは大臣から申し上げておりますように、結局まあ実際の運営がうまくいくかどうかというのは、人の問題でございますので、そういう面につきまして、大臣も非常に御関心を持って理事者を選ぶようにしていきたい。また運営につきましても、できるだけ私学のためになるような運営をしていきたいというようなことでございますから、現在のような議院内閣制で、国民の監視のもとでやられている行政の中で、こういう方が選ばれるということでございますから、まあ戦前のような御心配というのはないのじゃないかというふうに考えております。
#66
○杉原一雄君 もう時間がまいりましたので、特に要望いたしたいと思いますが、とにかくこの問題をめぐって、一番素朴な印象として、フグは食いたし命は惜ししということがあるのですが、何かそういったような印象が非常に危惧されるわけです。だからそれをチェックするような組織、運営が望ましいわけでして、いま理事長の問題とか、そういう執行機関の問題、あわせて、運営審議会の問題も実はあったわけですが、時間がまいりましたから省略いたしますが、理事機関なり運営審議会の委員の選定等についても、われわれ国民が納得のいくような形で、公開、オープンで十分検討いただく、とりわけ、人選などについては経営者の代表だけでなしにあるいは協会関係、教員等の代表も加わっていくというような道もあけておいていただくことが望ましいのではないかということを述べまして、最終的にはこれはあくまで教育は機会均等だという大原則に基づい助成措置だということを踏まえながら執行に当たっていただきたい、こう思うのであります。
 私の質問をこれで打ち切ります。
#67
○委員長(楠正俊君) 午前の委員会はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時四十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十七分開会
#68
○委員長(楠正俊君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き質疑を行ないます。
 政府側から坂田文部大臣及び岩間管理局長が出席いたしております。
 質疑の申し出がございますので、これを許します。秋山君。
#69
○秋山長造君 午前中杉原君がいろいろ質問されましたんですが、私できるだけ繰り返しになるようなことは避けたいと思いますが、どうもこれは問題一つなんですから若干重複する点はお許し願いたい。
 まず第一は、目的ですが、目的を読んでみまして、字句の問題にもなりますけれども「日本私学振興財団は、私立学校の教育の充実及び向上に資し、あわせてその経営の安定に寄与するため」とこう書いてある。「ため」というんですから、そこまでが目的だろうと思って読んでみると、最後にまた別の目的が書いてあるんで、こういう書き方があるのかなと思って何回も読んでみるんですけれども、これはいかがでございますか。
#70
○政府委員(岩間英太郎君) これは一言で申しますと、私立学校の教育の振興をはかることが大きな目的でございますけれども、その中身と申しますか、私学振興財団の役割りをそこに書いてあるわけでございますけれども、したがいまして、日本私学振興財団は私学教育の振興をはかることが目的ではございますが、その私学振興財団に限りまして考えます場合には、私学教育の充実向上に資してその経営の安定に寄与する、そういうことが私学振興財団に課せられた大きな目的でございます。私学振興につきましてはこれは国、地方公共団体あるいは私学振興財団全体がその目的のために努力しなければならないわけですが、とりわけ私学振興財団は、この教育の充実向上、経営の安定というふうなところにおもな目的として書いているわけでございます。
#71
○秋山長造君 たとえば、いままでの私立学校振興会法の第一条の「目的」を読んでみますと、「私立学校振興会は、私立学校の経営に関し必要な資金の貸付、私立学校教育の助成その他私立学校教育に対する援助に必要な業務を行い、もって私立学校教育の振興を図ることを目的とする。」こういうように書いてある。まあそのとおりでなければいかぬという理屈も別にないわけですけれども、それとあと同じ考え方をするところの点が、初めの寄与するため、「まではなくてもいいのじゃないか、日本私学振興財団は私立学校に対する補助金の交付、資金の貸付けその他」云々とあって「目的とする。」こうやったほうがすっきりして簡単明瞭でいいのではないかと思うのですよ。どうしてこういうように前の目的とあとの目的と二つ書いたような形で、いまの局長のようなややこしい説明をする必要も何もないと思ったのですが、ただ私があえて想像しますと「あわせてその経営の安定に寄与するため、」「経営の安定」という要素が、私学財団ということになったので、非常にウエートが大きくなってきているから、こういう書き方になったのかという気もするのですけれども、いかがですか。
#72
○政府委員(岩間英太郎君) まさにそのとおりと申し上げていいと思いますけれども、ただ私どもも今回の人件費を含む経常費の補助金が、単に経営の安定だけではないのだ、究極の目的が「教育の充実及び向上」というところに大目的があるのだということで、先生の御指摘のとおりだと申し上げてよろしいのじゃないかと思います。
#73
○秋山長造君 その点は念に念を入れる意味で、そういうように詳しく書かれたのだというように善意に解釈してもよろしいのですが、どうもせっかく今度こういう、あなた方のことばで言えば画期的なものをつくるのだということならば、もっと目的などはすぱっとすっきりしたものを書かれたほうがいいのじゃないかという気がするのです。
 それから「業務」ですが業務の第二十条ですが、幾つかあげてありますね、その第一項の経常費に対する補助金ですがね、経常費に対する補助金というのは具体的な内容はどういうことかということと、それから大学から幼稚園、各種学校まであるわけですが、そのどれとどれとが補助金が出るのかということを、午前中質問があったような気もするのですけれども、もう一度説明してください。
#74
○政府委員(岩間英太郎君) 経常費に対する補助金と申しますのは、中身は人件費それから教育費及び研究費の三本を考えているわけでございます。たとえば国立大学におきます人件費、教官研究費、学生経費またはそういうものに相当するものをその中に含んで考えるつもりでございます。その場合に、経常費と申しますと、臨時費を除いた部分というふうなものを一応考えているわけでございまして、光熱、水道その他に使うということも具体的には許されるものであると考えております。それから経常費の補助金は、国の場合には大学、それから短期大学、それから高等専門学校、この三つを考えておりまして、その三つに対する所轄庁が文部大臣になっておりますので、国の場合にはその三つを考えたわけでございます。したがいまして、財団を経由いたしまして交付いたしますのは、その大学それから高等専門学校及び短期大学というものを考えているわけでございますが、都道府県知事から補助するという対象といたしましては、高等学校、小、中学校、幼稚園、ただしこれは学校法人立に限定をいたしておりますけれども、それに対する補助というものを一応考えているわけでございます。
#75
○秋山長造君 そうしますと、午前中にいろいろお話があったのですが、地方公共団体がいろいろ私立学校へ出しておりますね、これはもう今度のこの財団法とは全然関係ないですね。
#76
○政府委員(岩間英太郎君) この財団法の附則で私立学校法の一部改正を行なっておりますが、その際には、所轄庁と申しますのは高等学校以下の学校につきましては都道府県知事になるわけでございまして、その意味では若干の変更がある。この法律の附則でもって私立学校法を改正しておりますけれども、その私立学校の改正にかかわる部分は関係があるということでございます。
#77
○秋山長造君 そうしますと、附則で、五十九条でしたかね、改正をして監督権を強化しておりますね。あの面は地方公共団体が私立学校へ補助金を出した場合にも適用される、したがって文部省が大学や高専に対して行なうと同じことを府県知事がそれぞれの補助対象になっている学校に対して行なうと、これだけのことですね。それ以外には関係はない、そうですね。
#78
○政府委員(岩間英太郎君) そのとおりでございます。
  〔委員長退席、理事田村賢作君着席〕
#79
○秋山長造君 それから百三十二億、一項の補助金が出るということですが、その中で人件費がどれだけか、それからその他がどれだけかということ。それから同じに、けさほど杉原君の質問に対して、将来の目途として人件費は二分の一くらいまで、それから研究費は三分の二くらいまでというようなお話があった。それは一体将来の目途とはどのくらいな期間を考えておられるのか。それから、ことしは百三十二億ですが、何か年次計画でもってだんだんふやしていくというような計画がおありになるのかどうかということをもう一度お伺いしたい。
#80
○政府委員(岩間英太郎君) 百三十二億の内訳でございますけれども、人件費がその中で六十九億でございましてその他が六十三億でございますが、このうちの三十三億というのは本年度教育研究費として予算があった部分と考えますと、その他の部分が教育費ということになるわけでございますが、若干その数字につきましては教育研究費のほうが自然増分くらいがふえておるというふうな形でございます。
 年次計画でございますけれども、先ほど申し上げましたのは、ただいまの積算をいたします場合に前提条件としまして、まあ人件費が毎年一割ぐらいずつ上がっていくんじゃないだろうか、あるいは物件費が五%ぐらい上昇するではないかというふうなことをかりに前提に置きました場合には、五年間ぐらいの間に教育費あるいは研究費あるいは人件費の半分ぐらいまで持っていかなければ私立大学の教育研究の質的な向上をはかることがむずかしいのじゃないか、そういう前提でもって申し上げたわけでございまして、具体的な計画につきましては私立大学の全体的な地位と申しますか、そういうものがきまりましたあとで正確なものはつくりたいと考えておりまして、内部はいろいろ作業はやっておりますけれども、まだ公の計画というふうなところまではいっておらないということでございます。
#81
○秋山長造君 単なる腹づもりというような程度ではなしに、これはやはり早急に政府として大体の年次計画を立てて、そして強力にやはりその達成に向かって努力していただきたいと思うのです。そうしませんと、ただ、いままでの私学振興会を新しく振興財団に変えるんだということで、いわば鳴りもの入りでやっておられるわけで、政府としても文部大臣の所信表明の中にも書いてありましたように、私学の振興ということに画期的に力を入れるということを強調しておられる。総理大臣も同じことを言っておられる。その画期的な力を入れるという内容は何かと言ったら、まあいままでやってきたことよりちょっと今度新しく経常費、人件費等で、若干色をつけるという内容で、まあ金額にしたらそれほど大きな金額ではないわけです、率直に言って。それではどうも、いささか羊頭をかかげて狗肉を売るような感じがないとは言えぬ。だからやっぱりこの制度自体は私は絶対悪いというのじゃない。これはこの程度でもいままでに比べれば相当な新機軸を出されたのだということは認めます。それは十分認めますが、ただ、まあそれにしても私学の数が多いのですから、これだけ数の多い私立の大学、短大、高専のこの人件費というものが総額がどのくらいあるかしらぬけれども、おそらく一千億かそこいらじゃない、もっとあると思うのですけれども、それに対して経常費百三十二億、人件費がわずか六十九億といったら、これは一割にもいきませんね。一%はいくでしょうけれども、一割にはいかぬ。それから局長がけさほどおっしゃった人件費は二分の一、研究費は三分の二持ってくるといったら、これは五年間とおっしゃるけれども、よほど努力されませんと、これはなかなか五年間に局長のおっしゃるような目標を達成するということは、これは非常に至難なことじゃないかという気がするんです。だからそこらについて文部大臣どれだけの決意を持って臨んでおられるのか、あらためてお尋ねしておきたい。
#82
○国務大臣(坂田道太君) 秋山先生御指摘の点、私そのとおりだと思うんです。でございますから、もう少し長期の私学援助の計画というものを立てて、そうしてそれが世間一般にも、あるいは財政当局にも、しかもだれが見てもなるほどと言われるようなちゃんとした積算基礎を持ったものでなきやならぬと思っておるわけでございます。ちょうど中教審におきまして試案ができましたが、その中にも大学の目的、性格に応じた規模の大学に対してどういうような、どれくらいの標準教育費というものがかかるのだというものを合理的に算定をして、それに対してやはり国が援助をするということでなければならないというような意味のことを申しているわけでございますが、やはり標準教育費というものがある程度設定をされて、そうして規模がどれくらいだ、そうしてそういう大学が幾つぐらいあって、私学はそのうちにどれくらい占めているというようなことが出てきまして、全体として一体高等教育機関にどれくらいの投資を五年間にやるべきであるか、それはGNPのどのくらいなのかという、あまりきちんとしたものは出さないかもしれませんが、やはりある程度のことは出さなきゃいけない。その作業というものを、この五月から来年の五月までの間に、中教審でひとつ検討していただくというつもりでおります。でございますけれども、指し寄りの段階といたしましては、けさほど局長から申し上げましたように、本務教員の給与費の半分は、とにかくこの四、五年の間に出せるようなふうには努力をしなければいかんというふうにいま考えているわけでございます。しかしいずれ来年の中ごろまではおおよその教育計画、あるいはそれはお金がどれぐらい要るかというようなことも出てこようかと思っているわけでございます。ただいまではまだあまりはっきりしたものが出ておらないということを率直に申し上げざるを得ないわけでございます。
#83
○秋山長造君 まあただいまの文部大臣の御発言に対して期待をかけて、一そうの御努力をお願いしたいということだけ申し上げておきます。
 それから三号の助成金ですね、この助成金と一号の補助金というのはどう違うのですか。
#84
○政府委員(岩間英太郎君) 補助金と助成金とを使い分けておりますけれども、第一項の第三号の、助成金と申しますのは、これは私振興学会において利益が毎年、最近では十億ぐらい上がっておりますが、その利益金を配分いたします場合に、現在私学共済とそれから私学研修福祉会でございますか、これに対して助成をいたしておるわけでございます。その利益金の処分として行なわれます助成につきましては、これは助成金というふうに一応使いわけをしたわけでございます。
#85
○秋山長造君 それから次の四号の、寄付金を募集するということですが、これは振興財団として寄付金を募集をする、こういうことだろうと思うのですが、で、個々の学校法人が寄付金を募集したり受け入れたりというのはこれには入らぬわけですね。
#86
○政府委員(岩間英太郎君) そのとおりでございますけれども、まあ私どもできますだけこういうふうな公的な第三者機関に寄付をしていただいて、そうしてそこで使途についての、寄付される方の一応安心ができるというような体制の中で寄付金が各大学に配られていくということを期待しているわけでございます。御指摘のとおりではございますが、まあできるだけ寄付金というのは新しい財団を通じて各学校に配付されるようにしたらいかがか、こういう考えでございます。
#87
○秋山長造君 それは、財団だけの都合からいえばおっしゃるようになるのが一番いいだろうと思うんだけれども、ただ、けさほど来話がありましたように、学校によってはずいぶんやっぱり歴史と伝統を持ち、それぞれの学校のカラーを持っていますからね。また、学校の後援会なり何なりそれぞれ持っておるわけでしょう。だから、そういうところの寄付金は、これは自分の関係の深い大学だから寄付するんでね。私学振興財団というようなもの、ただばく然とした全部まとめたようなものに対して、政府のほうではこれはきわめて重要だと思っているけれども、一般の応援団のほうからいえばそれほど魅力はないわけですよね。だから、そこらに非常な食い違いがあるので、いま局長のおっしゃったようなことは、それは財団の立場としては好ましいけれども、実際にはなかなか無理なんじゃないか。かえって集まる金が集まらないんじゃないかというような気もするんです。
 そこで、私学財団として寄付金を募集する、あるいは受け入れるということも一つの方法ですが、それに一体どのくらいの寄付金が集まるものと見込んでおられるのですか。
#88
○政府委員(岩間英太郎君) 御指摘のように、実態としましては特定の大学に対する特定の施設を拡充するための寄付金というのは非常に集めやすいわけでございます。でございますから、財団を通じます場合にも、財団に対する寄付金――財団を経由する寄付金というのが、不特定多数の大学に対する寄付金ばかりではなくて特定の大学に対する寄付金というのも、かなりそういう場合が多いのじゃないかということも考えますけれども、ともかくまあ財団を通じてその使途等につきましてまあ安心が得られるというところに利点があるのじゃないかと思います。
 これは、現在ドイツで補助金委員会みたいなものがございまして、財界等から寄付を集めて、それを各大学に還元しておるというふうな場合がございます。理想的に申しますと、個々にまあ寄付金を、その使途についてひもがつかないような寄付金というものが望ましいわけでございますけれども、それは当面無理ではないかというような感じがいたしますが、しかし、人によっては教育のために寄付したい人がたくさんおるのだというようなことをおっしゃる方もございますし、これが実効があがればよろしいのじゃないかというような気持ちがあるわけでございます。ただいま私学振興会では毎年二億五千万程度の寄付金を予定して、まあそれ以上に集まることもございますし、それ以下の場合もあるわけでございますが、振興財団の初年度としましては、七億五千万くらいのものを一応予定しておりますけれども、これは実態を見まして、またその私学振興財団の努力等によりましてこれが拡充されるということを期待しているわけでございます。
#89
○秋山長造君 私学振興会で年間二億五千万円ぐらいいままで寄付金の受け入れがあったということですが、この個々の学校に対する寄付金というものは、総額はどれくらいあったのですか。
#90
○政府委員(岩間英太郎君) 昭和四十二年を例にとりますと、大学につきまして申し上げますと、先ほど申し上げましたように、百六十四億の寄付金がございました。その中で個人の寄付が七十三億でございますけれども、これは全部が特定の大学に対する特定の目的のための寄付金というふうに考えられるわけでございます。それに比べまして二億五千万というのはまあ非常に小さな額でございます。いまのところはそれが五億をこえたときもございますが、一億程度であったこともあるわけでございます。
#91
○秋山長造君 その二億五千万を今度の財団では七億五千万にさしあたってふやすという御計画のようですが、それはここに書いてあるとおり「寄付金を募集し」というその募集を積極的に呼びかけてやろうということで、それに応じていままでの三倍くらいなものは少なくとも初年度集まるだろう、こういう見当でおられるわけですか。
#92
○政府委員(岩間英太郎君) そのとおりでございます。
#93
○秋山長造君 それから、その次の五号の「私立学校の経営に関し、情報の収集、調査及び研究を行ない」云々とこうある。この「情報の収集」ということばがなかなか問題になるのですよ、いろいろな機会にね。この情報の収集とは何だ、こう聞かれると、われわれも自分で書いたもんじゃないからよくわからぬけれども、それはまあ読んで字のごとく情報を集めるのだろうと、こういうのですが、この情報の収集というと何か特高警察のような感じを非常に与えるので、(笑声)これどういうことを考えておられるのかということをひとつこの際はっきりしておいていただきたい。
#94
○政府委員(岩間英太郎君) これはまあ率直に申しまして、必要な資料を集めるということでございますけれども、単なる物的な資料を集めるということだけではなくて、電話で問い合わせていろいろ教えてもらったりするようなことも含めまして、「情報」ということばを使ったわけでございます。
 先生のおっしゃるような御心配もあろうかと思いますが、これは衆議院でも問題になったわけでございますけれども、若い先生方は別に苦にしておられないように受け取られるわけでございまして、(笑声)私どもも多少――年がわかるわけでございますが、これはまあすなおに解釈すればいろいろな有形無形の資料を集めるというふうに御理解をいただければ非常にありがたいと思います。
#95
○秋山長造君 いや、これね、笑い話で済ませば笑い話で済むんですけれども、あとのほうに立入検査とか何とかいうのがあるでしょう。そういうことと関連しまして、いま情報化社会、情報化社会という意味の情報というくらいに受け取れば別にそれほど変わったことでもないんです、が、どうも有形無形というのがね。まあかりそめにもいま私が申し上げるような意味のものでないということだけは明確にしておいていただかなきゃ困ると思う。妙な意味の情報収集ということじゃないんだろう、ないんだろうじゃなくて、そういうことは絶対ないということを明確にしておいてください。
#96
○政府委員(岩間英太郎君) 御指摘のとおりに私どもも考えております。これは有形無形の資料でございまして、先生の御懸念になりますようなものではないということをこの際明らかにしたいと思います。
  〔理事田村賢作君退席、委員長着席〕
#97
○秋山長造君 それから二項の「前項各号の業務のほか、第一条の目的を達成するため必要な業務を行なうことができる。」まあ、その他の業務ということでしょうが、これはどういうことなんですか。
#98
○政府委員(岩間英太郎君) いまのところ別に予定がないものでございますから法律の書き方もそういうふうにいたしておりますけれども、まあ、私どもとしましては今度の私学振興財団というのは、私立学校に対するよき世話役と申しますか、いろいろ世話をやく機関にしたいというふうなことを考えておるわけでございまして、それに伴いまして、たとえば私学の理事者あるいは職員その他に対する研修とか、あるいは福利厚生施設の設置、その他将来考えられることがあるかもしれません。そういうものの可能性をこの際考えまして、ここに規定を設けたわけでございます。
#99
○秋山長造君 九条の「(役員)」ですが、役員の資格要件といいますか、これは私立学校振興会法の十三条の「(役員任命、任期及び欠格事由)」と、こういう項目がありますが、それによると、「役員は、振興会の目的を達成するために必要な学識経験を有する者のうちから、文部大臣が任命する。」と、こう一応きわめて、抽象的ですけれども、役員の資格条件のようなものが書いてあるわけですが、今度の財団法にはあえてそういうものが抜いてあるわけですね。これはどういうわけでしょうか。やっぱりいままでの振興会と違って、今度の私学振興財団のほうは財政的な性格あるいは一条に書いておる「経営の安定」というようなことに非常にウエートがかかっておるために、あえて教育全般に対する学識経験というようなものは、特にそれほど必要でもないということで、資格要件というようなものが全然書いておられぬ、お触れになったおられぬのかどうか、聞きたいのですが……。
#100
○政府委員(岩間英太郎君) このたびの私学振興財団法案につきましては、これは新しい政府機関の例にならいまして、いろいろ規定を簡素化いたしております、その一つとして、ただいま先生から御指摘を受けたわけでございますけれども、その考え方は従来の私学振興会法に書いておりますようなことは、もちろん必要なことではございますけれども、それはむしろ大前提として当然のことではないかということで、このたびは規定をしなかったわけでございますが、従来書いてございますような、「必要な学識経験を有する者」というふうなことは、これはむしろそういうことを念頭に置いて、大臣が理事長を任命されたり、あるいは認可を与えられたりすれば足りることじゃないかということで省略したわけでございます。
#101
○秋山長造君 その点、次の十七条の「(運営審議会)」のほうは、あらためて「教育又はその振興方策に関し広い識見を有する者のうちから、」云々と、こういうように資格要件が私立学校振興会法の評議員の資格要件に書いてあるのと似たようなことが書いてあるんですね。だから、これだっていまの局長の論法で言えば、これはもうこういうものの運営審議会の資格要件というようなものは書かなくたってわかり切ったことじゃないかと、だから、簡素化する意味で書かぬでもいいじゃないかと言えるのですが、そっちのほうは詳しく資格要件が書いあって役員のほうは書いてないというようなところを見ると、この私学関係なんかで問題にされているように、理事長はもちろん、理事、監事というような役員は、これは学識経験者とかなんとかいうことよりも、文部省のほうから天下りにこう入っていく布石じゃないかというようなやはり心配を与えると思いのです。(「そのとおりだ」と呼ぶ者あり)そのとおりかもしれぬが、そこらはどうですか。やはりいろいろな監督権の強化とかなんとかいうことも、これは誤解を与える点でもあるが、しかし同時に、この役員にどういう人が一体予定されておるのか、どういう人が任命されるのか、考えられておるのかというようなことも、やはり非常にこう私学とこの財団との関係を左右することになるので、これはなかなか関心の深いところだと思うんですよ。そこら具体的にどういうことを考えておられるかということを明らかにしていただきたい。
#102
○国務大臣(坂田道太君) 確かにお気づきの点は、かなりわれわれ考えたところでございます。というのは、その振興会のほうでございますと、「評議員は、振興会の目的を達成するために必要な学識経験を有する者及び私立学校関係者のうちから、文部大臣が任命する。」、こういうことになっておるわけですが、こっちの法案の「(運営審議会)」この運営審議会につきましては、「教育又はその振興方策に関し広い識見を有する者のうちから、理事長が文部大臣の承認を受けて任命する。」、こうやはり多少違えておるわけなんです。これはむしろ運営審議会とか評議員会とかいうものについて、かなりこう基本的な事項について十分審議をしてもらいたいという気持ちがございますし、そうしてそれは理事長が任命することになっておるんだけれども、理事長の足りないところをむしろ、補う、あるいは理事長の思い及ばないところをむしろ補うような相当な人を選ぶという意味も実はこの文言の区別によってあらわしたつもりなんです。あらわれておるかどうかは、これはまあ皆さま方の御批判に仰ぎたいところでございますが、すなおに申しまして、私たちといたしましては、そういうようなことでこの運営審議会というものは基本的事項について、かなりの人を選びたいという気持ちを実はあらわしておるわけです。先ほど午前中のお話にもございましたように、私はやはりUGCのことを頭に置いて考えておりますから、この日本私学振興財団というものが、日本の私学振興に対しまして非常に信頼関係を持たれるような形にしたい。そうして国民一般も、なるほどこの私学振興財団ならば安心して相当の多額のお金をやってもよろしいというふうに、お互いの努力によって定着をさせたいという気持ちを、少なくとも持つたつもりでございます。
 それから、この具体的な人選につきましては、たとえば、この役員のほうの理事長あるいは常任の理事四名、監事二名、それから非常勤の理事四名ということにつきましては、十分学識経験もございますし、私学のことについてかなり深い理解と、あるいは私学人自身の方々でもけっこうだと思いますけれども、相当の方々をこれに充てたいというふうに思っておるわけでございます。また十名の審議委員にいたしましても、私学のことについてよく御理解の深い方々、そういう方々も考えておりますし、同時に、今度の補助金を配分をするわけでございますから、その経理等についても十分明るい方も必要かと思います。そういうようなことでございまして、多少御疑問がわくのは、むしろ私たちが意識的に、従来あるからそのままというような形でなくて、多少意識的に、そういうような気持ちを持ちましてそれをあらわしたつもりでございます。しかし、結局は、何と申しましても任命いたしました人が、もし誤りましたならば、こうやって私が御説明申し上げましても、それ見ろというようなことになるかと思いますので、その点はひとつ責任を持ちまして、なるほど、やはり文部大臣があそこで言うたのはそのとおりだったと言われるようなやり方をしたと、いまは考えておる次第でございます。
#103
○秋山長造君 大臣が、そういう点、はっきりこの席でお約束されるわけですから、その結果を信頼して見ておるよりしようがないですけれどもね。まあ大方の納得を得るだけの人事をやってください。そうしませんとね、おっしゃるとおり、これは制度も制度だけど、人によって制度そのものの性格も変わってきますからね。これは公正な、しかも客観的に見て納得のいく人事をやっていただきたい。先ほど、杉原君の御質問に対して、少数精鋭主義でやるんだとか、実務主義でやるんだとか、能率主義でやるんだとかいうことを、運営審議会の構成についておっしゃっておったですが、さらに、いま大臣のおことばによりますと、相当根本的な問題について、広い視野から意見を吐けるような人ということになるそうですけれども、いままで文部省なんかでいろんな審議会の委員なんかをお選びになる様子を見ておると、大体財界から何人というようなことが、もう判で押したように出てくるんですがね。この運営審議会もまたそういうようなやり方になるんでしょうか、どうでしょうか。これはまあまとめて、ちょっとお伺いしたいと思います。
#104
○国務大臣(坂田道太君) 運営審議会の中には、やはり寄付金等のこともございますから、経済界の方も若干、あるいは一人、そういう人を入れたほうがいいというふうに思っております。しかし、それがすべてだというふうにお考えいただくと、それは間違いでございまして、やはりそういうものを反映するということも必要だというふうに思っております。
#105
○秋山長造君 時間がありませんから、もうそこばっかり繰り返しませんが、ただ十人ですからね、十人以内。十人じゃない、十人以内ですからね。だから五人の場合だってある。その少数の中で、財界から若干人というと、若干いうたらまあ普通の常識では数人ということになるでしょう。少なくとも、四、五人くらいにはなるでしょう。そうしたらほとんど財界の代表というようなことになる場合だってあるんではないか。まあ、それは財界の代表だから、いいの悪いのじゃないですよ。悪いのじゃありませんけれども、えてして、あまりそういう財界の人ばかりが教育関係の審議会なんかへ出て来られると、どうしても教育そのものが、財界の都合のいいような方向へ持っていかれるということだってあり得るわけですね。産学協同なんという批判を受けているときですから、そこらは十分配慮してやられたほうがいいと私は思います。
#106
○国務大臣(坂田道太君) 私の申し上げたのは、一人と申し上げて、場合によってはゼロのこともあり得るのじゃないかということがあったんで、若干ということを言っちゃったんだけど、若干というと二、三名も四名も若干でございますから、そういう意味じゃなくて、ゼロじゃなくて、一人くらいは財界の関係、経済界の人も入れなければならないのじゃないかということをむしろ強調したつもりでございます。そういう意味にお聞き取りをいただきたいと思いますし、一名があるいは場合によっては二名になることもあり得ると思いますが、それから言論界、第三者機関の言論界とか、そういうようなあるいは私学関係の方々、あるいは経理関係のよくわかったような方々ということでございます。そういう意味で、私のほうは若干といって、経済界を四、五名くらいの予定をしておるということでございましたら、それは私の言い間違いでございますから、ひとつ御了承を願いたいと思います。むしろ先生の御心配の点を、私自身も心配をしておるというふうにお聞き取りを願いたい、御了承を賜わりたいというふうに思います。
#107
○秋山長造君 もう十分しかありませんからはしょりますが、私立学校法の改正の関係になりますけれども、これはやはり補助金の使い途等については、会計検査院の検査があるわけなんでしょうね。
#108
○政府委員(岩間英太郎君) これは会計検査院自体でおきめになることのようでございます。しかし、私どもが見ますところは、この補助金の扱いというのは、たいへんむずかしいんじゃないかと、つまり使途については、これは私学のほうで半分持つとかいうことはございませんし、それから経常費でございましたら、まあ使途が自由なわけでございますから、使途について検査をするということはなかなかむずかしかろう。言ってみますと、配分の際に本務教員を基準にして配分をするということになりました場合に、本務教員が百名なら百名、それが九十九名であるかあるいは九十八名であるか、あるいは週に一回しか来ないか、したがってそれらは本務教員であるかどうかというような点が問題になるかもしれませんが、なかなか検査がしにくい補助金であることは間違いないと思いますけれども、検査自体は、これは検査院のほうでおきめになるということのようでございます。
#109
○秋山長造君 それから衆議院で修正されましたね。「第五十九条第十項及び第十一項の規定は、政令で定める日までの間は、適用しない。」立入検査の点が問題になってそうなったのだろうと思います。これは政令の定める日というのはいつまでのことを考えておられるのでしょうか。
#110
○政府委員(岩間英太郎君) これはまあ書き方としては、当分の間というふうな書き方と同じように御理解をいただければよろしいんじゃないかと思いますけれども、内容の趣旨は、今後私学の助成に私どもつとめるつもりでございますが、この助成を充実し、あるいは私学がそれぞれ努力をいたしまして、全般的に教育とか研究の水準が向上しているにもかかわらずなおその教育とか研究条件の質的な低下をもたらす、そういう学校が実際に見られるというふうな場合には、この政令をきめざるを得ないのじゃないかというふうなことでございます。
#111
○秋山長造君 補助はするけれどもコントロールはしないということをよく言われるのですが、確かにやり方いかんによっては、これは懸念されるようなことがあり得ると思うのです。またその半面、一口に私学といってもピンからキリまであるわけなんで、だからいやしくも文部省あたりの容際は断じて受けつけない、また受けつける必要もないというような、非常にりっぱにやられているところもたぶんあると思うのですが、同時にまた、とんでもないルーズなことをやっているのも遺憾ながら絶無とは言えぬ、これはいうまでもないことですが、その点に関連したこととして終始問題になることですけれども、大学によると、あるいは大学の学部によっては、けさ杉原君からも話があったのですが、べらぼうな入学金や寄付金を取って問題になっているところがありますね。それからもう一つ、残念なことですけれども、入学定員を非常に水増しをしてとったりなんかするような、それで入学金なんかをかせぐというとことばが悪いが、通俗なことばで言うならばかせいでいる例も私は絶無ではないと思うのですが、そういうものは一体今度の制度の改正のような機会に、何らかの規制ができるのかどうか、またそういうことを考えておられるのかどうかということをお尋ねしておきたい。このいただいたこの計数表を見ましても、一番よく問題になる医学部だとか歯学部、医科大学とか歯科大学、そういうようなもの中にはこの計数表ではまともな数字しか出ていませんけれども、実際には高額な寄付金を取っているところがありますね。何百万円、あるいは何百万円でなしに、何千万円でもないでしょうけれども、少なくとも千万円以上というような金を出さなければなかなかはいれぬというようなことをよく聞くのですがね。入学定員にしても定員の倍も三倍もとって、実際には学校に出てこない、授業料だけ納めて学校に出てこない、四年間在籍すれば大体卒業証書をもらっていく、現在の学校でもどうせ初めから出てこぬことを予定して収容能力をはるかにオーバーするようなものを入れているというような例、これは一々差しさわりもあるでしょうから私は申し上げません。あなたのほうでもどの程度のことをつかんでおられるか、せっかくこういう画期的な制度が実際やられるときですから、今度これができたのでああいうひどいことはなくなったのだというようなことでもないと、やっぱりなかなか一般世間の人はわからない、制度がこれだけよくなったということは……。そこらの点をひとつ明確にしておいていただきたい。
#112
○政府委員(岩間英太郎君) 私学が経営を行ないます場合に、学生納付金をよけいに取るか、あるいは定員をよけいにとるかという二つの方法でなければその苦しい経営は避けることができないというふうな傾向がございます。したがいまして、現在経営的に比較的安定をしているというところでは学生からたくさんの納付金を取るか、あるいは御指摘のように定員をたくさんとっておるかということしかないわけでございます。この点はしたがって私学の経営が苦しいために起こった弊害というふうに考えることはできるわけでございます。そういうことは結局教育研究の質を低下させるわけでございますから、そういう意味から申しましてそういうふうな弊害はできるだけ避けていかなければならないというふうに考えているわけでございますが、まず定員につきましては、これは現在御指摘のように、かなりたくさんとっておるものもございます。これは国からの助成がふえてまいりますと同時に順次是正していかなければならないのじゃないかというふうに考えているものでございます。しかし一挙にこれを是正するということになりますと、現在社会的に大学に行きたいという需要がきわめて強いわけでございますから、そういう点も考えあわせながら教育研究の質的な低下というものを防ぐという意味で、定員の極端な水増しというものは、これは私どもの指導によりまして順次これを是正していくということを考えなければならないというふうに思っております。
 それから学生の納付金の問題でございますけれども、御指摘のございました医学部等につきましては、これは私どもの四十二年くらいの調査によりますと、一人当たり、やはり五百二十万くらいの経費がかかるわけでございます。それに対しまして学生納付金というのは大体百七十万くらいということで、かなり学校の経営とその学生納付金との間に差があるわけでございます。これは従来病院収入等によりましてかなりカバーをしてきたということでございますけれども、最近病院の経営というのは非常にむずかしくなってまいりました。そこから黒字を出して学生納付金をカバーをするということがむずかしくなってまいりましたので、したがって、五百二十万もかかるものを一体どこから調達するかということになりますと、結局は父兄にこれを負担してもらわなければやっていけないというふうなかっこうになるわけでございます。そこでこれを六年間に割って毎年多額の納付金を取るのか、あるいは入学時に一時的にそういうものを取るのかという問題がありますけれども、現在のところは入学時にかなりたくさんの寄付金を納めてもらうというふうな形が一般的でございます。そういうふうなことは結局相当の資力がなければ医学教育というものは受けられないということになりますと、これはある意味では成績の悪い者がいい者を排除するといういわゆる逆淘汰というふうな現象になるわけでございまして、それを防ぐために、このたびの補助金も医学系につきましては特に人件費の三分の一を補助するというふうなかっこうで傾斜をつけたわけでございます。そういうふうな点を通じまして今後できるだけそういうものを是正をしていきたい。しかし受益者負担とそれから私立学校とのあり方との関係というものはたいへんむずかしゅうございまして、まあアメリカ流の考え方で申しますとそういうものがあってもいいのじゃないかということが見受けられないことはないわけでございますが、この問題は今後の非常に大きな問題でございまして、基本的に考えていかなければならないのじゃないかというふうに考えております。
#113
○秋山長造君 いまおっしゃるように、これはそれだけたくさんな高額の入学金なり寄付金なりを取らざるを得ないから必要やむを得ず取っているのだと、善意に解釈すればそれはもうそのとおりだ、しかし、半面、医学部だとか歯学部だとかというような関係の大学はもうそういうものなんだと、とにかく入ろうと思えば何百万円か要るのだということが常識化してしまって、それで同時に大学のほうも一つのそれが慣習のようになってしまって、もう別にあらためてどれだけ必要だからどれだけ取るというようなこととは離れて、とにかく取ればいいのだ、出すのだ、入りたい者はみな出すのだ、取るのだというように安易になっている点も私は非常にあるのじゃないかと思う。そこらのかね合いが今後の運用上御苦労なさる点だと思いますが、そこらの点も十分配慮をされて公正に運営をしていただきたい。
 それから、先ほどの運営審議会なり役員なりの人選の問題等とも関連しますが、やはり今後数年間にとにかく、先ほどおっしゃったように、文科系で人件費が二分の一、研究費で三分の二というようなところまで持っていくために努力されていくということになりますと、数年後には相当国から金が出ることになる。私学は多い。しかもピンからキリまである。また中には非常にボス的な支配権を振り回しておるような経営者もおるわけですからね、大学によっては。またそういう者が陰に陽に政界、官界、財界なんかにずっと根を張っておるわけですから、そういうことで補助金の分配なんかについていやしくも顔をきかしてよけい取るとか何とかいうありがちのようなことに脱線しないように、これもいまからひとつこの運営については厳に注意をしていただきたいということを特に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
#114
○多田省吾君 私は最初に文部大臣に、戦前は七、八万であった高等教育を受ける学生が、現在は百七十万、二〇%ですか、同一年齢層においては二〇%という膨大な数になっておるこの原因ですね。どういうわけでそうなったか、それを社会あるいは学生、両面からお答え願いたいと思います。
#115
○国務大臣(坂田道太君) 先ほども申したと思いますけれども、第一には、やはり私どもが戦後六・三・三・四制度をとったということ。これはいやおうなしに小・中を終わった者は高等学校、高等学校を終わった者は大学と、こういう走り方をする傾向が一つあると思います。それからもう一つは、やはり日本人が非常に教育熱心であるということが一つあると思います。それからもう一つは、十年前くらいからかなり日本の経済成長が目ざましいわけでございまして、多少の苦労をするならば自分の子供を学校に出せる、また出したい、また出すことによって社会的地位あるいは所得を増すことにつながっていくという親の気持ちもあったかと思います。それからもう一つ、戦前でございますと、一世帯当たりの人的構成というものが子供三人から四人というのが普通だったと思うのでございますけれども、戦後は二人、二人であるならばとにかく学校へということを親が考えるのは無理からぬことでございますし、また同時に、ある程度出せるということ、そういうようなものが重なり合いまして、そして進学率が非常に高くなっているというふうに私は考えておるわけでございます。でございますけれども、やはりこれは単に日本だけの傾向ではなくて、全世界の傾向であるというふうにも言えるかと思います。
#116
○多田省吾君 いま大臣がおっしゃったように、社会も非常に高い知識を備えた人材を求めている。それからいま四つ、五つの理由をあげられましたけれども、そのとおりだとは思いますけれども、最近ヨーロッパ諸国では、午前中に大臣もおっしゃったように、イギリスが一一%、フランスは一二%、あるいは、西ドイツが八・数%というように、同じ年齢層でそれだけの割合で高等教育を受けている。ところが、それは大臣もおっしゃったように、ヨーロッパにおいてはちょっと社会構造が違うのだ、非常に職業の世襲制なんかが強いんだと、それから見れば日本は非常に自由であるから、高い進学率を示しているのだろうというような御答弁もあったわけですけれども、一面においては、アメリカあたりでは五〇%、ソ連あたりでは二八%、非常に日本よりも高い進学率を示している国があるわけであります。ですから、こういったことを考えますと、はたして今後五年、十年先、大体同一年齢層で何パーセントぐらいまで日本においては高等教育の進学率が高まるのだろうか、そういうお見通しはございますか、どうか。
#117
○国務大臣(坂田道太君) 先ほどの新経済社会発展計画の中においては二五%、昭和五十年度が目標というふうにしているようでございます。
#118
○多田省吾君 まあ新経済社会発展計画ですか、それはいろいろ問題でありますけれども、特にこういった高等教育の伸び率等に関しては、非常に甘い考えじゃないかと思うのですけれども、大臣ははたしてそう思われているのかどうか、そうしたらば、将来に対して大きな誤りをおかすことになるのではないかと、二五%どころか、三〇%にも四〇%にも、あるいは十年後アメリカ並みに五〇%近くにもなりかねないのじゃないかと思いますけれども、まあ政府が発表した新経済社会発展計画と違うからということであまりほんとうのことをおっしゃらないかもしれませんけれども、別に大臣の責任なんて申すつもりはありませんからお答え願います。
#119
○国務大臣(坂田道太君) ただいまも、午前中にも申し上げましたように、実を申しますと、私たちのほうではこの五月から来年の五月までに、中教審にお願いして、一応の試算をしていただくようになっております。一応われわれは文部省のほうでもやりたいと思っておりますが、結局そのころにならないと、かなり客観的に皆さん方に責任を持ってこうだということを実は申し上げられないわけでございまして、あるいは昭和五十年度を目標としました二五%というのは、少し足りないじゃないかという気はいたします、率直のところ。それからもう一つは、私たちが考えておりましたテレビを通じました放送大学というようなことも出てまいります。でございますから、かなりの人たちが今度は入れるんじゃないかということになります。あるいはまた勉強しようという人たちの意欲というものは、相当計画を上回るような圧力を持っているのではないかというふうに思っております。でございますから、新経済社会発展計画につきましても、三年のちには一応補正するということになっております。したがいまして、この前の五月一日の閣議におきまして、新経済社会発展計画につきまして、文部省といたしまして、そのようなことについてはこういう点について留意していただきたい、そうしてそれには相当のお金が要りますというようなこともあらかじめ申し上げているわけでございます。
#120
○多田省吾君 話が前後しますけれども、昭和四十四年三月の読売新聞に教育世論調査というものが出ております。父母に対して、大体子供さんをどの程度まで進学させたいかという質問に対して、男子においては大学院まで三・七%、大学まで五九・三%、短大まで〇・八%、高専まで二・二%、高校まで二六%、中学まで一・一%と、高等教育を受けさせたいという父母の希望は全部合わせて六六%に達しているわけです。また女性においても高等教育に対しては三二・四%と、そういう高率を世論調査では示しているようでございます。また昭和四十三年度において、文部省で調査なさった、あるいは高校卒業生十五万五千人を対象にして、国・公立大、あるいは私大、あるいは就職組と、これはどういう成績になっているか。こういう中にも私大においては高校の成績三以下の者の比率は二八・七%だ。ところが就職組の中には三・〇以上すなわち中以上の成績の者が三一・二%に達しているということは、いろいろ考えますと、私立大学は、国・公立大学は制限がありますし、私立大学はいま百二十万ほどおりますけれども、入学金や寄付金が非常に高いためにこういう有能な、成績のよい高校生が経済上の理由のために進学できないで就職せざるを得ないと、こういう層が非常に多いんじゃないかと思います。先ほど大臣はテレビ大学の構想等もおっしゃられて、これからはもう少し入学可能になるだろうというお話もございましたけれども、私はそういう観点から、昭和五十年度の二五%という状況はもっともっとオーバーするのではないか、こういうことも考えるわけです。そしていま学生の側から考えましても、働く期間が非常に長くなっておりますから、二十数歳まで大学にいても十分社会において活動できる、そういういまの社会情勢からいって自信を持っておりますし、もうだんだんそういう傾向になってきますと、アメリカ並みに進学率が高まるということは十分考えられる。それをもとにして、やはりこういう私学振興策あるいはその他の対策を立てなければ、また誤まった姿になってしまうんじゃないか、こういう考え方から私は申したのであります。
 次に、いま文科系がむしろ供給過剰な姿でありますけれども、理工系が非常にお金がかかるために学生が少ないと、こういう現状をアメリカ、ソ連等と比べても、あるいはヨーロッパ諸国と比べても、これは非常に極端なものがあります。それだけで大学の学生の中で理工科系、どうしても技術系をふやしていかなければ、学生あるいは社会の要望にこたえられないんじゃないかと、こう思いますけれども、その対策をどのようにお考えになりましょうか。
#121
○政府委員(岩間英太郎君) このたびの補助金におきまして理工系は特に重視をいたしておるつもりでございますし、また従来からも理工系につきましては設備費の補助等を行なっております。しかしながら、現在の私学につきまして理工系をふやすということは非常に経営面から考えますとむずかしいような感じがいたします。そこで以前にも理工系の学生をふやすということで、これは国立大学を主体に理工系の学部の増設を行なったわけでございますけれども、現在のわが国の状態を見ますと、従来は私学が国立大学の補完的な役割りをしてきたというふうな面があったかもしれませんけれども、むしろ今後は国立の大学が私学のそういうふうな傾向というものを国や社会の立場から考えて是正をしていくというふうな方向にならざるを得ないんじゃないかというふうな感じもいたすわけでございまして、たとえば、情報科学につきまして最近要求がございますので、新しい学部、学科の創設ということも国立大学を中心に進めておるような次第でございます。やはり金のかかる分野につきましては、国のほうである程度手当てをしなければいかぬというのがこれからの方向ではないかというふうな気がいたします。
#122
○多田省吾君 次に、先ほどから大臣がおっしゃったように、もう高等教育というものが非常に普遍化しておると、こういうことから、私立大学の授業料あるいは入学金は非常に高いわけです。戦前は百二十円、百三十円程度だったのが、いまは一年間八万四千円ですか、平均でもそのくらいになっておるということでございます。それで高等教育の進学率が高いということは、どうしても社会の必要性によるものだと、こういう考え方からすれば、むしろ教育事業というものは公共事業であり、公共投資によらなければならないという観点から、やはり国立公立並みに経営困難な私立大学に補助を相当国家としてしなければならぬということは、結局これは憲法のたてまえ上当然のことであって、それを恩恵的な姿でやっていくということは、むしろこれは誤った考え方だ、こう思うわけです。昭和三十九年の文部省から出た高等教育白書にも、補助金を人件費までやるとどうしても口に出したくなるからなかなか踏み切れないというような白書が出ておるわけでございますけれども、もう全世界の状況を考えましても、金は出すが口は出さない、あるいは援助はするが支配はしないんだ、そういう原則に立っているわけでございます。イギリスでも先ほどからお話がありましたように、私大の経費の八五%、あるいはアメリカでは連邦政府だけでも三三%の私大に対する補助を与えている。現在日本においてはわずか一・八%、こういうまことに情けない現状であります。ですから、大臣としては私学補助というものが決して恩恵的なものではなくてこれは当然のことなんだ、そうお考えかどうか。
#123
○国務大臣(坂田道太君) 今日の段階ではやはりそういうふうな考え方に変わっていかなければ処理できないんじゃないかというふうに思いますし、それが当然な道だというふうに思うわけでございます。そうして相当ばく大なお金を出しましても、それをやることが結局はまたいろいろの文化、経済、社会の発展に寄与することにつながっていくというふうに私は確信をいたしております。したがいまして、今日教育競争の時代ということが各国において言われておるというのは、まさにそれを象徴しておるのじゃなかろうかというふうに思います。
#124
○多田省吾君 ところでやはり日本の現状を考えますと、非常におさむい現状でございまして、国民所得に占める大学に対する、公的教育費の割合、こういうものを計算してみますと日本においては〇・七九%、イギリスにおいては日本がいま同一年齢層が二〇%いるのに対して一一%であります。ですから、学生数は平均日本の半分程度でありますけれども、国民所得に対する大学生、公的教育費の割合というものは〇・八五%と日本よりもむしろ多い、西ドイツでは一・〇四%、こういうことから考えますと、先ほどの特に私立大学に対する補助が非常に少ないということとにらみ合わせて、いまわが国が大学に対するいわゆる支出割合というものが非常に少ないんじゃないか、こう思いますけれども、大臣はそれをどう思われますか。
#125
○国務大臣(坂田道太君) あるいは事務当局のほうで詳しいデータを申し上げると思いますが、これはちょうど衆議院の文教委員会におきまして私が申し上げたデータでございます。これは単に高等教育機関だけじゃない公教育費の比率について昭和三十八年が四・一%、国民総生産に占める公教育費の比率ですが、三十九年が四・一%、四十年が四・二%、それが四十年を境としまして四十一年が四・一%、四十二年が四・〇%、四十三年、四十四年がおそらくこれは下がっているんじゃなかろうかと私は考えるわけでございます。したがいまして、昭和四十年までの十年間を考えるとかなり日本は高い水準にあった。しかしながら、イギリス、フランス、ドイツがそれまでは公教育費に対する比率は少かったんだけれども、これではいかぬということでがんばり始めたということが言えるんじゃなかろうか。試みにほかの国を考えてみますと、アメリカにおいては昭和三十八年が四・五%、三十九年が四・六%、四十年が四・九%というふうにどんどん上がってきておる。それから、イギリスが四・七%、これは昭和三十八年でございます。それが四十年五・〇%。フランスが昭和三十八年が三・二%であったけれども、四十一年が三・五%、西ドイツが昭和三十八年三二%、四十一年三・六%、こういうふうにイギリス、フランス、ドイツもこの十年間ずっと押し上げてきている。ことにフランスは最近においてかなり上がってきているんじゃないかというふうに思います。そういうわけでございまして、やはり今後の十年間を考えた場合は、かなり大学を含めまして、公教育費というものに対するGNPの比率というものをある程度とって、そしてやはり有効適切に使うということがなければ、日本のすべての教育、文化、社会、経済のあらゆる発展というものがそれによってだめになってしまうんじゃなかろうかという気がしてならないのでございます。それだけに早く長期教育計画といいますか、それを立てなきゃならぬし、場合によっては新経済社会発展計画の中に一体文科系統はどの程度のものが必要なのか、あるいは中堅技術者はどれくらい必要な人だ、あるいは高等技術者、科学者はどれくらい必要なんだ、そういうものを部門別にかなり精密にデータを集めまして一応の試算をしてみる必要があるんじゃなかろうかというのが私の実は考えておることでございますけれども、残念ながら政府といたしまして、まだそこまで立ち至っておらないことを率直に認めざるを得ないわけでございます。しかし、それなくしては今後の新経済社会発展計画というものが調和ある発展を遂げ得られないというふうに私は思っております。
#126
○多田省吾君 今度の科学助成は画期的なことでございます。ですから、私学関係者の方々の中には、戦後の文部大臣の中では最高の業績を残すんではないか、そういうふうに坂田文部大臣を称賛しているような方もだいぶいらっしゃるわけでございます。しかしながら、先ほどからお話しましたように、金も出すけれども口も出すというようなことしの大蔵省の初めのような考え方が、かりに少しでもあるとすれば、これはまた大きな問題だと思います。そういう観点から、一つはこの私学関係者から四百八十億あるいは五百億、そして少なくとも人件費の半額の負担をしてもらいたいという要望が出たわけですね。で、文部省ではまあ二割までということで要求したらしいんですが、人件費の一三%程度に切られたということでございますが、私大関係の方々が計算しているところのいわゆる人件費というものと、文部省が考えていらっしゃる人件費というものがちょっと食い違っておるように思われます。それはないならばけっこうなんですが、もしことし人件費五割補助ということができたとすれば、大体何百億ぐらいにあたるか。それからまた、五年後と言っても、毎年一〇%ぐらいずつ人件費も上昇するんでございましょうから、五年後と言っても、また計算しにくいと思いますけれども、五年後人件費五割まで補助したいというおよその計算を、大体どのくらい必要か、ことしとそれから数年後のものをあわせて教えていただきたい。
#127
○政府委員(岩間英太郎君) 私学のほうでやっております計算と私どもの計算とが食い違っております点は、私どものほうは本務教員だけに限って計算をいたしております。本務教員の給与が大体五百三十億四十四年度に推計されますので、それの半分といたしますと二百六十五億ということになるわけでございますけれども、私どもが二割ということで要求をいたしましたのは、人件費の伸び率が、ベースアップ分が大体一割、あとの一割が大体新しい教員の補充分と、それから、新設学校の教師増加分ということを考えまして、二割を要求したわけでございますけれども、私どもが人件費を要求しましたその理由と申しますのは、それは教育研究の質的な向上をはかるということでございまして、本来ならば教育費並びに研究費に対して補助をやればいいということになるわけでございますけれども、実際のところ人件費が毎年一割も上がっているし、それから、物件費が五%も上がっているということで、人件費のほうに教育研究費が食われてしまっておるような実情があるわけでございます。幾ら教育研究費に金をつぎ込みましても、人件費をほったらかしておったのでは、むしろ教育研究費が食われて、質的な向上というものがはかれない。そういう点にあるわけでございます。したがいまして、教育研究費を人件費に回されないでも済むようにしたいということが、私どもの一番大きなねらいでございます。ほんとうの目的はあくまでも教育研究の充実ということでございます。したがいまして人件費については、少なくともそのベースアップの分として私学が新しく負担しなければならないものを凍結する意味で、その分を要求する。それから、今後におきましてもやはり同じような考え方で増加する分を押える。そうしなければ、教育研究に幾ら補助金をつぎ込みましても質的な向上がはかれないということでございます。
 そういう観点から申しまして、私どもが二割というものを要求し、しかも、その算定の基礎はたいへんむずかしゅうございますので、本務教員に限ってただいまのところは要求をしておる。そういうのが実情でございます。
 なお、今後これがどれくらいふえていくかということの推測はなかなか困難でございますが、従来のベースアップの比率を見てまいりますと、毎年一〇%程度は伸びていくのじゃないかということでございます。したがいまして、五百三十億を基礎にいたしますと、これが毎年一〇%ずつ伸びていくということを一応計算しますと、大体の傾向がわかるのじゃないかと考えております。
#128
○多田省吾君 次に、この財団法におきまして役員と、それからその他のものについてちょっとお尋ねしたいのですが、前の振興会のときには、会長一人、理事長一人、理事は三人以上五人以内、監事は三人と、こういうわけだったのですが、今度は会長がなくなって、理事長一人、理事四人以内及び監事二人、さらに非常勤の理事四人以内を置くことができる。まあ三名ぐらい増員になっているわけでございます。会長がなくなったということと、また理事が増員になっているということ、それから、この役員というものが衆議院の委員会のほうで新井委員の質問に大臣が答えられて、いまの役員の方が大体横すべりするのだろうというようなこともおっしゃっておられるようでございます。また、理事長なんかについても非常に大きな権限を持っているわけでございますから、いろいろ人選もうわさされます。中には自民党と文部省と私大関係者三つどもえで争っているのじゃないか。こういうような報道も新聞等にずいぶんなされているわけですが、この役員は、その振興会の役員が横すべりするのか、また、新たに人選し直すのか。その考えとして、どうも文部省の役人の方が天下りが多いのじゃないだろうかとか、あるいは私大関係者の突き上げがあるのではないかと言われておりますけれども、やっぱり私たちとしては公平な第三者の方も入れてやりたいという希望は強いわけでございますが、それをどのように考えていらっしゃいますか。
#129
○国務大臣(坂田道太君) 振興会とそれから、新しい私学振興財団との関係、役員関係は、これはそのままいくわけではございません。新たに任命をいたすわけでございます。それから、事務職員はやはり原則的に受け継ぐ、それから新聞等にはいろいろ書いておると思いますけれども、まだこの私学振興財団法というものが通っておらないわけでございますし、私の頭の中は全く白紙でございます。それからまた文部省と私学とあるいは党と、何かこういろいろもめておるとかなんとかということ、これは全くの推測でございまして、全然そういうことはございませんから御安心のほどをお願い申し上げておきたいと思います。
 それから理事長以下理事あるいは監事、それから運営審議会のメンバーに対しましては、もしこの法案が通りましたならば、私りっぱな人選を行なっていきたいというふうに考えておるわけでございます。やはり運営審議会の中におきましても、かなり広い識見を持った方で、そして私学のことについてよくわかったような人、あるいは私学の経営をされた人なり、あるいは教授であったり、そういうような人も考えておりますし、また言論機関の、第三者機関の人も考えております。それからまあ先ほど申しましたように、経済界の人も考えております。あるいはまた会計経理というようなことについて非常なエキスパートであるというようなことも考えているわけでございます。この理事長及び理事四名、監事その他につきましても、十分先ほどお話を申し上げましたように私学について深い識見と理解のある方、あるいは学識経験者、あるいは経理等のわかった方を考えているというふうにお考えをいただきたいと思います。
#130
○多田省吾君 まあ大体わかりましたけれども、たとえば私学審議会の中にも優秀な人がいるというようなお話でございましたけれども、たとえば理事長等の任命等にあたっては、こういった私学審議会の意見を聞くということもなさるおつもりなのか、そんなことは考えていらっしゃらないのか。
#131
○国務大臣(坂田道太君) この点につきましては、最終的にはやはり私の判断によるものと思いますが、しかしながら、各界各層の意見をやはり聞くということは大事かというふうに、耳を傾けるということは大事かと思います。しかし、それによってとらわれるということではいけないのではないかというふうに考えますし、ここで皆さま方にお話を申し上げたような観点に立って人選を進めて判断をいたしたい、最終的にはそういうふうにいたしたいと考えております。
#132
○多田省吾君 それで経常費の配分の方針でございますけれども、配分の基準方針、基本方針につきましては文部省で定めるというようなことをおっしゃっているけれども、やはりこういった財団ができた以上は財団にやはり――イギリスUGCですか、そういった独立した機関がありますけれども、わが国においては政府機関でありますけれども、財団に相当な自主性を持たしたほうがいいのではないか、こういうことを考えますけれども、方針としてはどのようになさいますか。
#133
○政府委員(岩間英太郎君) 先ほども申し上げましたが、基本的な基準につきましては文部省のほうでこれを作成をいたしまして、財団にまあそれを基本にしまして具体的な配分をやっていただくということを考えておりますけれども、先生のおっしゃるような点は十分理解いたしまして、そういうふうにしたいと考えております。なお、UGCはいわば非常に具体的にやっているわけでございますが、イギリスの場合には先生も御指摘いただきましたように、学校の数も少ないということもございますけれども、わが国の場合は七百ぐらいの大学、短大、高専を相手にするわけでございまして、イギリスのように一々大学側の計画に基づいてこれを査定をするというようなことができるかどうか、非常にむずかしい問題ではございますけれども、まあ大学側からの申請主義と申しますか、応募主義と申しますか、そういうような意見も現在出ているように伺っております。まあどういうふうな方法で具体的にやるかということはこれからいろいろ検討しなければなりませんけれども、しかし、補助の目的が教育研究の質的な向上という点にあるわけでございますから、まあその国民の期待に沿うように、それが具体的に配分されるように、財団側としましてもいろいろ工夫をしてもらいたいというふうに私ども考えております。まあそういう意味で先生御指摘のように財団側にかなりの大きな責任を持って仕事をしてもらいたいということでございます。
#134
○多田省吾君 杉原委員の質問に答えられて大臣は、UGCの方針というものも一緒にあわせてお述べになったわけでありますが、最初はUGCは大蔵省の管轄下にあった。ですから、教育内容等においては全然口出しはしなかったと思います。最近は非常に膨大になったものですから教育科学省ですかの管轄になったと聞いておりますけれども、やはり相当の独立機関として自主性を持った機関である、このように私たちは思っております。それに対してやはりこの財団はどうしても政府、文部省の監督権が強いように思われるわけでございます。ですから、やはり金を出して口を出さず、私学の独立性、自主性ということを重んずることは、これは非常に重要なことでございますから、まあだれしもそのように考えているわけでございます。それに関連しまして先ほど秋山委員からも御意見がございましたけれども、まあ衆議院で修正されたところの附則第十四条に、「改正後の私立学校法第五十九条第十項及び第十一項の規定は、政令で定める日までの間は、適用しない。」、このようになったわけでございますが、先ほどの御説明では「政令で定める日まで」というのは当分の間ということなんだと、私学の中にいかがわしいような姿があった場合にはどうしてもこれは政令できめるのだというようなお話がございました。衆議院の附帯決議の中にも、政府は附則第十四条第四項に規定する政令を定めようとする場合には慎重にこれを行なうべきであるという附帯決議もあるわけでございます。これはやはりつくる項目は私学の自主性、独立性をほんとうにいままでどおり貫いていくか、それとも政府の介入によって私学の自主性がそこなわれるかという非常に大事な項目であると思います。ですから、ほんとうは私はこんな五十九条の十項、十一項なんという規定は私立学校のほうに入れないほうがよろしいのではないかと思いますが、これが入っているということ自体は非常に危険性が多いと、こう感じておりますけれども、どうでしょうか。これは国会の審議あるいは与野党の十分意見を聞いてこの「政令で定める日」というものを考えていかなければならない、これは慎重にしなければならないと、こう思いますけれども、ひとつこれについて政府の十分な御配慮をまじえた御答弁を願いたいと思います。
#135
○国務大臣(坂田道太君) この点につきましては、衆議院におきまして修正がございまして、その際にも私は申し上げたわけでございますが、十分にこの委員会等の御意見等も承りました上で慎重に処置しなければならない課題であるというふうに心得ておる次第でございます。でございますけれども、この私立大学の自主性ということはあくまでも尊重し、また貫かなければならないと思いますけれども、一面において今度は私学が社会的責任を十分果たし得ない、あるいはまた教育の質的向上ということを念願いたしてこの法律というものができているわけでございますし、またそれがゆえにこそ私学に対する助成というものがなされているわけでございますけれども、しかし、それが学校教育法であるとかあるいは大学設置基準であるとか、そういうようなものに著しくもとり、あるいは違反をし、そうしてだれが見てもこれはめちゃくちゃだ、しかしながら、何にもこれは監督庁である文部省としては措置することができないのだということは、また税金を出しておりまする国民に対する責任というものが果せないわけでございまして、その点についてやはり明らかにだれが見てもめちゃくちゃであると、ないことを望みますけれども、そういうようなことがあった場合においては何らかの措置がとれるということは、また国民に対する文部大臣としての責任を果たすということにつながるわけでございまして、その意味合いから、実はあの項というものが原案にあったわけでございますが、しかし、それでも実際の運用としては、よほどのことがない限りには発動すべからずという気持ちで、私は一貫して答弁をしてまいりました。しかし、衆議院の方々の御審議の結果、それでもなおかつまだ心配であるということで、一応これは政令で定める日まで、この項はお預かりという修正がなされたわけでございますから、その院議に対しまして、私どもは十分こたえることがなければならないわけです。その意味合いにおいて、この修正された意味合いなり、あるいはまた、この取り扱いにつきましては、十分院の御決定を尊重いたしまして対処をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#136
○多田省吾君 次に、先ほども御質問ありましたけれども、第十七条の運営審議会でございますが、いままでの評議員会を運営審議会に改組したのだと思いますけれども、いままでの十人ないし二十人という数から「十人以内の委員で組織する。」と非常に委員の数が減っているわけでございます。まあ、少数精鋭主義と口でおっしゃいますけれども、普通、委員が減った場合には、これはどうしても弱体化したんじゃないかと見るのが、これは当然の考え方でございます。じゃ振興会のときには精鋭じゃなかったのかということも考えられるわけです。ですから、こういう大事な財団の適正な運営をはかるためには、当然この運営審議会の権限を大きくする必要がありましたのに、どうして人員を減らして弱体化させるような姿にしたのか、この点の御答弁をお願いしたい。
#137
○国務大臣(坂田道太君) これには両論私はあると思います。あるいは二十人のほうがいいという議論もございますし、あるいは十人ということがいいという議論もあろうかと思いますけれども、私がなぜ十人にしたかといいますと、先ほど申しましたように、少数精鋭で、そしてリーダーシップをとり得るということと、同時に責任の所在というものをはっきりすべきじゃなかろうか。多いだけが能ではない。それから、いろんな方面からたくさんの人たちが入ってくるということは、いかにも民主的で何かいいようにも思いますけれども、実際上の運営に当たりますると、あるいは運用次第では責任のなすり合いみたいなことで、どこに責任の所在があるかわからない。また、あるいはなかなか統一的な決定というものがなしがたいというような欠点も一面においてはあるということもあるわけでございます。そういう意味合いから、私は後者の少数精鋭、これは責任の所在をはっきりさせるということで一ぺんやってみたいと、こういう考え方で後者を選んだというふうに御理解をいただきたい。
#138
○多田省吾君 次に、業務のところでございますが、第三号に、いままで振興会でやったところの「私立学校の職員の研修、福利厚生その他」の事業、こういう字句が削除されたような形になっておるわけですけれども、じゃ、この点は全然今後軽視していくんじゃないかと、軽く見ていくんじゃないかというおそれもありますが、削除した理由というものもお聞きしたいと思います。
#139
○政府委員(岩間英太郎君) 従来は、ある程度例示をいたしまして規定をいたしておりましたが、そうなりますと、そこだけやればいいというようなふうにもとれるわけでございまして、今度はそれをむしろ広く解釈できるように、従来の例示を省いたというのが実際でございます。この点につきましては、政府部内でも削除することに反対の意見がございましたけれども、むしろ私どものほうの意見が通ったということでございまして、決して従来のものをやめようとかあるいは範囲を縮めようとかいうことではなくて、むしろ逆に範囲を広げまして、将来助成の範囲が拡大される可能性をそこに持たしたというのが実情でございます。
#140
○多田省吾君 話がちょっとはずれますけれども、現在、特に私立大学の学生の方の中に中退者が多いようです。いろいろ経済的な事情もおありでしょう。ですが、こういった学生の方々に、私たちは前々から中退者学位認定制度を設けたらいいじゃないかということを主張してまいりましたけれども、そういったことに関して、大臣としてどう考えておられるか。
 また、もう一つは、先ほどおっしゃったテレビ放送大学の構想、これはどの程度進んでいらっしゃるのか、この二点をお伺いしたいと思います。
#141
○国務大臣(坂田道太君) 中退者の問題については、ただいまちょっと、私も考えを、こうだというふうなことを申し上げられないわけでございまして、これから検討いたしてみたいというふうに思います。
 それから放送大学のほうは、最近の報告を聞いておりませんけれども、すでに十五回以上の準備調査会議を重ねまして、鋭意検討を進めておるようなわけでございます。おそらく七月の末ごろまでには、一応の中間報告がなされるのではなかろうかというふうに期待をいたしております。これまで発表いたしましたところによりますと、大体一週に、日曜を除きまして毎日二時間、一時間テレビ、一時間ラジオということでやりまして、四年間で大学資格がとれる。もちろん一年のうちに大体文科系統で九日でございましたか、十日でございましたか、その程度のスクーリングをやる。あるいは理科系統で約二十日だったと思いますけれども、のスクーリングをやるということによって、大学の資格をとれるというようなところまでも検討しておるという段階でございます。ただ、どういう媒体を使うのかということは、まだこれからの問題でございます。しかし郵政当局におきましてはUHFの波と、それから、最初は中波の波でございましたけれども、最近ではFMの波を使うというようなこともきまっておるようでございます。どういう設置形態にするのかというようなこと等につきましては、今後の問題であるというふうに承知をいたしておる次第であります。
#142
○多田省吾君 それから、大臣は先ほど、銀行の貸し付け制度について考え方を進めるために経常費をとっておる。それからそのことに関して具体的な見通しですね、それをお聞きしたいわけです。それからやはり高校、大学と、特に私学の高校、大学等においては、入学金が非常に膨大である。その入学金の無償貸与制度というようなものを、たいへんでありましょうけれども、設ける方向に進んだらいいじゃないかということもいわれておりますけれども、この点に関してどう考えていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。
#143
○国務大臣(坂田道太君) この点につきましては、育英会それ自身におきましても、一年来検討は続けてきておるようでございます。しかしながら、まだ私どものほうで省議として具体的にきめておりません。むしろことしの予算におきまして、もう少し十分な調査をやってほしいと、特にアメリカではそれが成功しておるというようなことも聞いておるので、ひとつアメリカにも行ってもらいたいというような程度でございます。いずれまた、この問題についてかなり全貌が明らかになりましたならば、当委員会におきましてもお話を申し上げたい、発表いたしたいというように考えております。
 それからまた、入学者の何というか無償入学というようなことについては、それぞれの大学、学校におきましてかなりそういうようなことを認めておる学校も絶無ではないと思いますけれども、一般的にはまだまだそういうようなことには立ち至っていないというふうに思いますが、そういうふうな問題につきましても、今後相当経済的に恵まれない人たちが私立大学等にもまいるということを考え合わせますと、検討に値する課題ではなかろうかというふうに思う次第でございます。
#144
○多田省吾君 それから話は違いますけれども、いままでも国立大学に対して若干二部制を設けているし、高等教育の充実をはかっておるじゃないかという意見もあったわけでございますが、いま公立学校に二部制が設けられておるところはどの程度か、全然ないのか、あるいは今後どういう方針で臨まれるのか。
#145
○国務大臣(坂田道太君) これははなはだ申しわけないのですけれども、実はこれは管理局主管ではなくて大学局長の主管でございます。当然私がどことどこと知っておるべきでございますけれども、資料を持ってまいらないと答弁できませんので、若干あるようでございますので詳しいことはまた答弁さしていただきたいと思います。
#146
○多田省吾君 では、今後の方針だけでもいいです。
#147
○国務大臣(坂田道太君) 今後の方針といたしましては、でき得べくんば夜間の国立大学というものが地方においてできるところは始めたいというような気持ちでおります。
#148
○多田省吾君 高校に関して若干質問したいのですが、たとえば都立の高校においては高校進学者の四七・二%、四十一年度でございますが、これは都立高校である。私立高校の寄与率というものが非常に高いわけです。都立高校で授業料は一カ月八百円、ところが半数以上進学しているところの私立高校、これは五二・八%になりますが、それが一カ月三千八百円と約五倍の授業料になるわけです。それから入学時においても五万円、六万円の入学金を取られるという現状でございます。こういった点から見まして、やはり日本においては同一年齢人口に占める高校生の割合が七〇・七%ですが、イギリスや西ドイツの二倍ないし三倍になっておる。こういう実情でありますけれども、高校までの公的な教育費が国民所得に占める割合というものがやはり非常に少ないわけです。ですから、特に私立高校に対しては父兄負担の軽減のために相当な補助をしていく必要があるんじゃないか。国においても地方公共団体においてもこれは当然のことだと思います。こういった高校から幼稚園までの今後の私学補助に対しての方針というものを、簡単でけっこうですからおっしゃっていただきたい。
#149
○政府委員(岩間英太郎君) 高等学校以下の問題につきましては、私どものほうとしましては大学の問題を解決すればおのずから解決がつくのじゃないか、という方向で実は大学の補助に対しまして非常に力を入れてやったわけでございますけれども、大学が解決しますと、それに応じまして高等学校以下のほうも同じような財源措置がとられるということになったわけでございます。具体的に申し上げますと、高等学校以下につきましては従来地方交付税で約四十億の財源措置がなされていたわけでございますが、それが大学と同じような方式で人件費を含む経常費につきまして標準団体百七十万の人口のところで八千五百万円、全体で約八十億円の財源措置をしたわけでございます。そういうような方向で大学とそれから高等学校以下というのは、これは区別してやるべきではないというふうな考え方でございますけれども、その高等学校以下の所轄庁というのが現在都道府県の知事になっておりますから、国のほうで財源措置をして都道府県の知事のほうで具体的な措置をする、そういう形でもって今後とも充実をはかってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
 なお大学の場合は、先ほど来申し上げておりますように、まだ全体の同年齢の人口の二〇%しか大学に行っていない。しかということばを使いましたが、あとの八割が働いて税金を納めているというような実態がございますが、しかし高等学校以下につきましては、むしろ先生が先ほど御指摘になりましたような父兄負担の問題がそこで出てくるような気がいたします。そういう意味から申しまして、高等学校以下、特に高等学校、幼稚園等につきましては、これは父兄負担を軽減するという意味合いも含めまして今後考えていく必要があるのではないかということを考えているわけでございますけれども、とりあえず大学と同じように助成を続けまして大学と同じような方針で当面助成を続けてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#150
○多田省吾君 それから先ほどお話しのあった日本育英会の育英資金でございますけれども、先ほどから大臣が私学がいままで社会に果たしてきた役割りは国立、公立に匹敵する、またそれ以上の貢献というものを考えた場合、また私学の入学金あるいは授業料が高いことにかんがみまして、私はこの育英会の資金等も、どうもいままでは国・公立優先のようになっておりますけれども、その現状ですね、それからそれをやはり私学にも相当割合を多くしたほうがいいのではないか、こういうふうに思いますけれども、いかがお考えになりますか。
#151
○国務大臣(坂田道太君) こまかいデータにつきまして、手元に持っておりませんけれども、しかしながら、この育英会でお金を貸す方針あるいは基準というものは、国立と公立、私立を問わず一定の基準、たとえば経済状態それから成績ということでやっておるわけでございまして、ことさらに国立だけを多くするというような形ではやっておらない、結果としてはかなり国立のほうに片寄っておるということであろうかと思うわけであります。その他の、たとえば教員養成の大学に行かれる方々には特別のワクを考えておるとか、いろいろなくふうがあるわけでございますが、この点につきましては今後十分ひとつ検討をしていかなければならぬのじゃなかろうかというふうに思っております。やはり私としましては、先ほどお触れになりましたような銀行の貸し付け制度というものを定着させたならば相当にこの点は働いてくるのじゃなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
#152
○政府委員(岩間英太郎君) 先ほど御質問がございました夜間の学部でございますが、現在国立におきましては九大学十二学部の夜間の学部がございます。大学の名前を具体的に申しますと、室蘭工業大学、横浜国立大学、名古屋工業大学、大阪外語大学、大阪教育大学、神戸大学、岡山大学、広島大学、九州工業大学でございます。
 なお私どものほうとしましては、夜間の学部の要求がございました場合にはこれは全部受け入れてやっております。したがいまして私どものほうから特定の大学に夜間部をつくったらどうかということは非常に言いにくいことでございますが、そういうことを申した場合もございますけれども、大学のほうの事情によりましてなかなかはかどらないというふうな事情がございます。
 なお、このほかに短期大学が学科数にいたしまして五十九の学科がございます。国立の短期大学は原則としまして全部夜間になっております。
#153
○多田省吾君 まあ私立学校教育の振興のための寄付金募集という問題がございますが、時間もございませんので、先ほどの説明で大体わかりましたけれども、やはり姿勢としていまは政治献金に対する寄付の問題等にからんで、最も国民にとって大事な教育に対する寄付金が減免措置が非常によくないと、こういう世論が多いわけでございます。そういったことにかんがみ、法人寄付の損金算入の問題とか、あるいはこういった個人の寄付の減免措置等についてもっと強力に、これは大蔵省の管轄でございますけれども、文部省としても強力に要求していただきたいと、こういう私たちは気持ちでいるわけです。まあ説明はけっこうでございますが、今後その方向についてどういう要求をなさるお考えでいるのか、一応お答え願いたいと思います。
#154
○政府委員(岩間英太郎君) 寄付金につきましては、大蔵省で申しておりますように、寄付金の免税というのは一種の補助金であるというふうな意味合いも私どものほうで理解できないことはないと思いますし、またそれくらいまあ重要に扱って差しつかえないのじゃないかと思いますけれども、しかし、寄付金を私学の教育研究のために充てるということは、これはまあ国民の御納得をいただけることじゃないかというふうに考えておりますから、その緩和、減免税のことにつきましては、これからも特に力を入れてまいりたい。また、それに対しましては、総理、それから大蔵省におきましても、非常に理解を持っておると私ども理解をしておるわけでございます。具体的な内容につきましては、個人寄付の足切り、頭打ちの緩和、それから法人の指定寄付につきましては、免税の対象の拡大、それから免税の条件といたしまして、まあ十社とか十人以上とか、あるいは一社でもって半分以下とかというふうな制限がございますけれども、そういうよう条件につきましてもこれを緩和してほしいというのがただいま私どもの要求でございます。
#155
○多田省吾君 最後に、まあいまのお話しのように、私大に子供さんを通わせているところの方は、税金の二重負担だと、このように嘆いているのです。
 また、いまは父兄の方々ももうレジャーの余裕があるんだったら子供さんをどうしても大学まで出したいと、こういう気で生活費を切り詰めてまで相当の努力を払っていかなければならない、こういう現状でございます。しかも国立、公立に対して私立大学のいかにも虐待された姿、国立が七十六万円の補助があるのに私立は一万円しかないというような現状、こういったことからある経済学者なんかは、もうこのように大事な日本の教育、しかも高等教育、大学の公的教育費の支出の比率をたとえば一%ふやせば四千億円ふやせるのじゃないか。――これはまあちょっと極端でありますけれども、これは理想としては望ましいわけです。ですから四千億円のうち二千億は私学への公的補助として授業料を下げてしかも内容を充実していく。あとの二千億は地方の国立大学へ投資すればいいじゃないか。こういったことを理想的におっしゃる評論家もいるわけです。また今後も数年間で私大に対する人件補助費も大体五割まで持っていくという方針でおられるようでありますけれども、ひとつ、いまの物価高あるいは教育の重大性にかんがみまして、それをなるべく切り詰めて早急にそれを実現していただきたい。あるいは五割までと限定しないで、アメリカ、イギリス等に見られるようにやはりそれ以上のことも考えていただきたい。さらには一番現在論争の対象になっておりますところの文部省あるいは政府も、あるいはこの財団に対する、あるいは私学に対する自主性をそこなうようなそういう動きは絶対にやめていただきたいという問題です。この問題を最後に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#156
○委員長(楠正俊君) 本案についての質疑は、本日はこの程度とし、これについて散会いたします。
   午後三時五十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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