くにさくロゴ
1970/05/07 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 文教委員会 第15号
姉妹サイト
 
1970/05/07 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 文教委員会 第15号

#1
第063回国会 文教委員会 第15号
昭和四十五年五月七日(木曜日)
   午後一時四十九分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         楠  正俊君
    理 事
                田村 賢作君
                永野 鎮雄君
                秋山 長造君
                杉原 一雄君
    委 員
                土屋 義彦君
                内藤誉三郎君
                中村喜四郎君
                二木 謙吾君
                鈴木  力君
                内田 善利君
                多田 省吾君
                萩原幽香子君
                渡辺  武君
   国務大臣
       文 部 大 臣  坂田 道太君
   政府委員
       文部省管理局長  岩間英太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡辺  猛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本私学振興財団法案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(楠正俊君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 昨六日、小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として渡辺武君が委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(楠正俊君) 日本私学振興財団法案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。
 政府側から岩間管理局長が出席いたしております。
 質疑の申し出がございますのでこれを許します。
#4
○内田善利君 いままでいろいろ審議が尽くされてまいりまして、私も若干質問したいと思いますけれども、重複しないように質問していきたいと思います。
 今回の私学振興財団法案は非常に画期的な法案として、戦後の私学の演じた役割りを大きく評価しての法案であると思います。
 ところが学校、私学関係全部この法案の実現を待望している、そのように思っておったわけですが、最近私のところにたくさんの陳情がまいりまして、この法案には反対であるという陳情を見まして私もびっくりしたわけですが、その内容は、この私学振興財団法案はいままでの私学振興会法と別段変わりはない、むしろ文部省の圧力が強化される法案であると、そういった内容でありますが、確かに今回のこの法案を見ますと、私学振興会のいままでの法案とそう変わってない。そうすれば私学への国庫補助という面は現行法で十分できるじゃないかと、こと新しく新法案は必要ないじゃないかと、こういう意図だと思うのですけれども、この新法案を私学振興会があるにもかかわらず出した意図と言いますか、これをお聞かせ願いたいと思います。
#5
○政府委員(岩間英太郎君) ただいま先生からも御指摘をいただきましたように、このたびの私学に対する人件費を含む経常費の補助というのは、これはまことに画期的なことでございまして、これから私学に対する助成というものを根本的に考え直しながらその発展をはかるというためには、ここでひとつ私学に対する援助の方向につきましてもこれは画期的な方法をもって対処しなければならないのではないかと、そういうふうな考え方でこのたび私学振興財団というものを考えたわけでございます。従来の私学振興会は、これは融資を中心にして行なっているものでございますけれども、このたびはこのような画期的な補助金の交付というものをあわせ、また寄付金の募集、その配付というような仕事も加え、さらに私学のよき協力者でありよき相談相手というような形で私学振興財団にいわばイギリスのUGCが現在果たしておりますような役割りを果たしてもらいたい、そういう気持ちからこのたび私学振興財団の設置ということを考えたわけでございます。したがいまして、私どもはむしろ学術会議が指摘しておりますように、公正な第三者的な機関でもってこういうふうな補助金の配付を行なうということは、文部省が直接補助金の配付を行なうということよりは一段と進んだ方法で、私学に対する助成が強化されるというふうに考えているわけでございまして、決して文部省の権限を強めるということではございませんで、むしろ第三者的な公正な機関でもってこれを行ないたいという点に特色があるわけでございます。
#6
○内田善利君 もう一つは、私立学校法の問題ですけれども、私立学校法と言えば私学の憲法みたいなものであると、そういった基本法が財団法案の中に附則として含まれておる、こういうことを考えた場合に、こういった基本法とも言うべき私学法をこのような財団法の中で軽々しく取り扱っているということで、そういう必要はないんじゃないか、もしそういう必要があれば財団法の中に新しく入れるべきではないかと、これが反対の理由のようですが、この点についてはどうなんでしょう。
#7
○政府委員(岩間英太郎君) 従来から憲法との関係で公の支配に属しない教育の事業につきましては国が援助をすることはできないというふうなことで、学校教育法、それから私学法によりまして私立学校が公の支配に属するというふうなことになっておるわけでございますけれども、これはまあどういう段階までくれば公の支配に属するかという点につきましては、ある程度助成の方法及び内容ともこれは関連することではないかと思います。このたびの補助金は私学の自主性をできるだけ尊重して、経常費につきましてはこれは何に使ってもよろしいと、しかも私学の裏財源というものはこれは極端な場合には必要としないというふうな、非常に私学にとってはその自主性を尊重した使いやすい補助金になっております。しかしながら公の支配に属すると申しますか、国民に対する責任という点から考えますと、私学としてもまたみずからを顧みまして、社会、国民のために責任を果たしていくということが必要になるわけでございます。そういう意味から申しまして最小限度必要とされます経理の公正な運用というもの、さらにこのたびの補助金が教育研究の質的な向上に役立てるという意味のものでございますので、むしろそれに反するようなことはこれは避けてもらいたい、そういう気持ちから私どもとしましては国民のおそらく願いでありますところの最小限度の保障というものをやはり法律上明らかにしておく必要があるのじゃないかという考えから私学法の現在五十九条がございますが、それに付け加えまして新しいやり方の援助というものが開始されますに際しまして、そういうふうな条件を考えたわけでございます。
#8
○内田善利君 法案の中に入りますが、(役員)の第九条ですけれども、きのうも質疑が行なわれたわけですが、この第九条の二項が……、その前に私学振興会の場合は会長がいるわけですが、この今度の私学振興財団には会長制をとらない。その理由ですけれども、振興会に会長制を置いたことに何か不都合があったのかどうか。この点をまずお聞きしたいと思います。
#9
○政府委員(岩間英太郎君) 会長制と申しますのは、これは各省にこういうふうな政府機関がございますけれども、文部省特有の制度と申しますか、ほかにはあまり例がないような制度でございます。そういうことで現在会長制というのが文部省関係の政府機関には置かれておりますけれども、これが決して役に立たないという意味ではもちろんございません。しかし行政機構としましてはできるだけ簡素化の方向に向かっておりますし、また会長に一つそのポストが与えられれば、そのほかの役員につきましてはやはりそれを縮小するというふうな傾向がございますので、この際はむしろ会長、理事長のどちらにウエートがあり、どちらに責任の主体があるかというふうなことが必ずしも明確でないような制度になっておりますので、これをまあ理事長に全責任を負わせる、しかもそのもとでできるだけ事務に堪能の理事を置くということにむしろ重点を注いだわけでございまして、いままでの会長制が必ずしも無意味であったというわけではございませんけれども、全般として組織を簡素化し、しかも能率のよいように、運営が能率的に行なわれるようにという観点から、このたび会長制をやめて、かわりに理事の定員をふやしたと、そういうことでございます。
#10
○内田善利君 会長制があれば理事長と意見の合わない場合もあるんじゃないか、そのように思うわけですが、今回のこの法案では、文部大臣の任命ということが、非常に人選については大きな影響が将来持たされるのじゃないか、このように案ずるわけですが、特に理事長の権限が強化されるということと、次にメンバーですけれども、常勤の理事が四人、非常勤の理事が四人ということですか、非常勤の場合は「置くことができる。」このようになっておりますが、置かない場合もあり得るんじゃないか。そうしますと、非常に少人数になるわけですが、六人の場合もあり得るということですが、いまの振興会のメンバーにしても、二十名ということですが、実際は十四、五名で行なわれている。六、七名は必ず欠席がある、このように聞いておりますし、この非常勤理事を四人置くということは、また少人数になってきますと、やはり私学の方々の主張が反映する場合が少なくなってくるんじゃないか、このように案ずるわけですが、この点はどうなんですか。
#11
○政府委員(岩間英太郎君) 現在も非常勤理事を四名置いているわけでございますけれども、非常勤理事という制度も、これはこういう特殊法人の場合には、非常に例が少ないわけでございます。政府の中でも、これは必要がないんじゃないかというふうな御意見もあったわけでございますけれども、しかし、従来からの沿革もございますし、また、ただいま先生が御指摘になりましたように、私学の意見を反映させるというふうな意味もございますので、非常勤の理事四名というのは、従前どおりこれを置くということにしておるわけでございます。非常勤と申しますのは、これは本務がほかにあって、理事を兼ねることができるわけでございますから、その点で兼職の非常勤の、関係の深い方々を理事にお迎えすることができるわけでございますので、この制度は私は従来からいい制度ではないかというふうに考えておったわけでございまして、その点もこの際継承するということにいたしたわけでございます。
#12
○内田善利君 第十五条ですけれども、「役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、文部大臣の承認を受けたときは、この限りでない。」これは具体的にどういう場合ですか。
#13
○政府委員(岩間英太郎君) 常勤の役員は、これは私どものほうでは専任の方をお願いしたいということを考えているわけでございまして、ほかに職を兼ねていただくことは、ほとんど考えておらないわけでございます。したがいまして、こういう場合はほとんどあり得ないとは思いますけれども、しかし営利を目的とする団体の役員と申しましても、ごく軽微と申しますか、関係のない、職務に支障のない場合もあろうかと思います。そういうような場合がもしございました場合には、それは文部大臣の承認を受けましてそれを認めるということにいたしたいということでございますが、これはやはり個々の具体的な例が出ませんと、いまのところお答えできないわけでございまして、原則としましては、専任で、ほかに役職のない方をお願いしたいということを考えております。
#14
○内田善利君 今回のこの財団法によりまして私学の振興ということをはかるわけですけれども、現在私の地元で、昨年もちょっとお聞きしたわけですが、非常に設備、建物等、終戦後の私学としての大きな役割りを演じてきた福岡電波学園があるわけですけれども、この学校は残念なことにたくさんの不渡り手形を出して、負債が非常に大きくなりまして、りっぱな設備をつくったわけですけれども、不幸にして破産宣告を受けるし、また理事長みずから個人として破産宣告を受けねばならなかったわけですけれども、ここに至った理由と申しますか、というものをお聞きしたいと思います。
#15
○政府委員(岩間英太郎君) これは昨日も御質問がございましたように、過剰な設備投資が、まだ実力も備わらないうちに行なわれたというのがおもな原因だと思います。
 経過を申し上げますと、昭和三十三年に学園が創立されましたが、急速に施設の拡充整備を行なったために資金繰りが困難となりまして、高利の融資に依存しました結果、昭和四十二年三月八日、不渡り手形を出しまして、銀行の取引停止処分を受けたわけでございます。その後、教職員、学生、及び債権者の大多数は、学園の再建をはかるために、理事長でございます桑原さんの退陣を要求して、それが原因となりまして学内で対立が生じて、長期にわたる争議になったわけでございます。
 そのために、債権者の間では、学園再建につきまして全く見通しが立てられないために、債権の確保について不安を抱くようになりまして、福岡の地裁に対しまして学園の破産宣告申し立てがされるに至りました。その結果学園は、昭和四十三年七月二日、福岡の地裁から破産宣告を受けました。しかし桑原理事長は依然として退陣の意思がなくて、その後破産法における強制和議案の申請を行ないまして、学園の自主再建を主張いたしましたが、昭和四十三年十一月十八日の債権者集会で、この強制和議案が否決されました。
 前回、先生から御質問ございました際は、そこまで御報告申し上げたわけでございますけれども、昭和四十四年の五月六日に桑原さん個人が破産宣告を受けまして、その後七月十八日、破産管財人から仮理事の選任の申請がございました。昭和四十四年の八月七日には、第二回の債権者集会が開かれまして、学園の再建方策について合議が行なわれた。また裁判長は、債権者に対しまして学園の再建について協力を要請いたしました。現在、笹川良一氏を中心にいたしまして、関係者が学園の再建に努力をしているというふうに聞いておるわけでございます。
 以上がその後の経過でございます。
 なお、四十四年度、四十五年度の入学試験は実施されておりまして、現在授業は正常に行なわれておるわけでございます。なお在学者でございますけれども、高等学校のほうは、ことしの一年生が十五名というふうな非常に少ない数で、定員を下回っておりますが、短大とそれから大学のほうは、やや昨年に比べまして入学者の数が上向いております。したがいまして、学校としましては将来ともこれは再建の望みはあるわけでございますが、しかし理事者の間でいろいろまだ対立がございまして、問題が解決しておりません。現在の状況はそういう状況でございます。
#16
○内田善利君 もう少し聞きたいと思いますが、この理事者が対立しているということですが、問題は、破産宣告を受けた前理事長が、校長としてあるいは理事長として、学長として復帰が可能であるかどうか。その点をお聞きしたい。
#17
○政府委員(岩間英太郎君) これは今後関係者の間でいろいろ御相談があることと思いますけれども、現在、本人が破産宣告を受けているというふうなこと、あるいは本人が過剰な設備投資を行ないまして学校がこのような状態になったということ、いろいろな点を考え合わせますと、私どもとしましては、この際、学校を創設したというふうな功績は認められるわけではございますが、やはり適当な方に後事を託して身を引かれたほうが問題の解決は早いのではないかというふうな観測をいたしておるわけでございます。
#18
○内田善利君 法務省の見解ではまだ登記に理事として残っているけれども、学長として、理事長として残る権利はないんじゃないかという見解だそうですが、この点がいま紛糾の的じゃないかと、このように思うわけですけれども、現在の教授会、部課長会で文部省に対して欠格の問題で、現在の私立学校法の三十八条の5ですか、この欠格事由にないからこういうことが起こっているのだろうと、欠格事由に個人破産者を追加したらこういうことがなくなるんじゃないかということで陳情があったと、こういうふうに聞いておりますけれども、この点について文部省の見解をひとつ。
#19
○政府委員(岩間英太郎君) 現在の私学法の中でも学校の、特にこういうふうな破産というふうな問題が起こりました場合の処置につきましては、法的にまだ完全なものではないというふうな意見がございまして、これはたとえば会社更生法というふうなものがやっぱり私立学校についても必要じゃないんかというふうな意見もございます。そういうふうな意味でなお法的に不備の面はございますけれども、現在のところ学園のこういうふうなごたごたを解決するということは感情的な問題もございまして、なかなかむずかしゅうございます。たとえば名城大学の場合でも大学立法が必要であったというふうないきさつもございまして、こういう問題はある意味では時間が解決してくれるというふうに困難な問題でもあるかと思います。そういう意味で法的な整備が行なわれればすぐこういう問題が解決するということは言いにくいわけでございます。そういう意味で私どももこういう問題につきましては慎重の上にも慎重に対処したいと思っております。要は学校が存続しりっぱに発展していくということが望ましいわけでございますから、そういう方向でなお注意深く見守っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#20
○内田善利君 学校が破産宣告を受けた理由はわかりましたが、個人が破産宣告を受けた理由は何なのか、それから破産宣告を受けたこのような学園が解散せずに、今日まで高等学校一年生の入学数は少ないということですが、これも理由があろうかと思いますが、大学、短大のほうは上向いておるということで今日まで存続してきた理由、これは何なんでしょう。
#21
○政府委員(岩間英太郎君) 個人が破産いたしました理由は、これは一般の場合と同じでございまして、要するに資産よりも借金のほうが上回ったということであろうかと思います。それから、その後今日まで存続してまいりました理由でございますけれども、破産の宣告が行なわれましても現実問題としましては学校には学生、生徒が存在しておるわけでございまして、普通の場合でございましたらそういう学生、生徒が卒業するまでめんどうを見るというふうなことが普通でございましょうけれども、債権者それから管財人あるいは裁判長いろいろな方の御意見によってなお新入生を受け入れて学校を存続させるといういきさつであるとふうな御意見でございましたから、私どももそれに賛成いたしておるわけでございます。
#22
○内田善利君 現在負債はどれくらい残っているか、また昭和四十五年度の収入見込みがおわかりでしたらお聞かせ願いたい。
#23
○政府委員(岩間英太郎君) 四十三年十一月四日の福岡高等裁判所の決定によりますと、資産が約二十六億四千二百万円、負債が約三十億ということのようでございます。本年度の計画につきましては、ちょっと手元に資料がございませんので、お答えできないのでございますが、お許しをいただきたいと思います。
#24
○内田善利君 管財人が次々に変わっているようですけれども、これは何か理由がありますか。
#25
○政府委員(岩間英太郎君) 一口に申し上げますと、なかなか学内のごたごたが解決しないものでございますので、多少いや気がさして、個人的な理由でおやめになっているというようなことではないかと思っております。
#26
○内田善利君 文部省は昭和四十二年以降ですけれども、学園に対して私立大学理科設備補助金、研究設備補助金、それから電波高等学校に対しては理科教育、産業教育の補助金等は出しておられますか。
#27
○政府委員(岩間英太郎君) 四十二年度以降は補助金は出しておりません。
#28
○内田善利君 教職員の給与は滞りなく支払われておりますか。
#29
○政府委員(岩間英太郎君) 給与は支払っているというふうに聞いております。
#30
○内田善利君 先ほど強制和議のところで答えられましたが、強制和議については現在どのようになっておるのですか。
#31
○政府委員(岩間英太郎君) 強制和議は先ほども御説明しましたように、一回強制和議の申し立てはございましたが、これが否決されたわけでございます。現在は、その後笹川良一氏を中心にいたしまして関係者がいろいろ協議をしているわけでございますけれども、そこでうまく片づけるようになりましたら――これは強制和議と申しますのは、学校法人の理事のほうから申請が出されるわけでございますので、この結果によりまして強制和議の申請があるのじゃないかというふうに推測いたしております。
#32
○内田善利君 強制和議が成立したならば、昭和四十二年からいろんな諸補助金はストップされているわけですが、この振興財団法案が成立した場合に、この学校は私の見たところでも、設備も建物も非常に充実した大学、学園であると思いますが、人件費補助等の対象校にぜひなっていただきたいと思いますが、なるかどうか、その辺いかがでしょうか。
#33
○政府委員(岩間英太郎君) 現在、破産になっているわけでございますから、完全な学校法人という形ではないわけでございまして、強制和議の申請がございましたが、これがうまくそろいました場合には、理事会のほうから申請がございまして、文部大臣の承認を得て、これがもとの完全な学校法人にするということになろうかと思います。その場合には当然補助の対象にするということはあり得るわけでございます。
#34
○内田善利君 現在の私学振興会を発展的に解消して、私学振興をはかるという気持ちで強力な振興財団を発足させるわけですけれども、政府の出資金が十億円、これはいままでもこの私学振興会の発足したときが大体そのくらいだったと思うのですけれども、昨年度に比べますと、五億円の減である。それから財政投融資も昨年度に比べて八十億以上の減になっている。こういうことから考えますと、これは発展的解消どころかかえって縮小ではないかと、このように思うわけですが、振興財団として強力な私学の振興をいろいろはかっていくのだという立場からしますと非常に弱い発足ではないかと、十分な機能は発揮できないのではないかと、このように思うわけですが、私学振興会が二十年前に発足したときは大体同じような十億円で発足した、こういう実情があるのですが、その点はどうなんでしょうか。
#35
○政府委員(岩間英太郎君) 御指摘のように、本年度の出資金は十億でございますが、いままでの分を合わせますと約二百億近い額になるわけでございます。それから貸し付け金につきましては、昨年度は約三百四十億ということでございましたが、ことしはそれが三百億になっておるわけでございますけれども、その理由は、一応大学の学生の急増が終わったということで、そのために融資の額が減ったわけでございまして、これは国立大学の場合もやはり昨年よりはことしのほうが金額が減っておりますけれども、これは大学急増が一段落したということの理由によるものでございます。
 それから内容につきましては、いわゆる高利債の肩がわりと申しますか、その関係の融資額を増加いたしますと同時に、年限につきましても従来の七年から十年に延長するというふうな内容の改善を行なってきたのでございます。政府出資金につきましては、ことしは私学に対する補助の関連もございましてこの程度で一応私のほうも引きさがったわけでございますが、これは来年度以降さらに努力をいたしまして、その増額をはかるようにつとめたいと考えております。
#36
○内田善利君 国立と私立との格差の是正という問題ですけれども、教育というものは本来国家権力とは無縁のものである。そういう意味から、東大の年間の予算が二百五十億ということですが、全私学では百三十八億ということで、東大一校の場合が二百五十億で、補助したいという全私学で百三十八億、これでは非常に焼け石に水という感じがするわけですが、年々上がる人件費の補助だけに費やされて実質的な私学の振興、向上というほうには回らないと思うのですけれども、東大一校ではこのように、一校東大だけあげましたけれども、比較にならない非常に大きな金が補助されておるわけですけれども、私学に対する補助がこのように非常に少ないわけですけれども、その点はどうお考えになりますか。
#37
○政府委員(岩間英太郎君) 御指摘のとおり、ことしから本格的に力を入れ始めたというふうな点がございまして、補助金の額がまだ十分でございません。四十五年度を一応推計いたしますと、大体私学の経常的な経費の八%程度であろうというふうに一応考えておりますが、先ほど御指摘になりました融資を含めまして、臨時費まで含めますと大体一四%国のほうでめんどうをみるというふうな形になるのではないかと思います。これは前々からも申し上げておりますように、順次増額いたしまして、私学の教育研究の充実というものをはかりたいというふうに考えているわけでございます。
 なお、東大の場合の例をお引きいただきましたのですが、国立大学の場合には、これはそれが望ましいとか、望ましくないとかいうことは別にいたしまして、事実上国立大学が現在日本の学問の研究の水準を維持するということにつきましては、かなり大きな役割りを占めております。特に東大あたりはその中心になっておるというふうな点がございまして、研究費等につきましてかなり大きなウエートがさかれておるという点は、これは特別の事情ではないかというふうに考えております。
#38
○内田善利君 私学の公共性という面でありますが、公教育機関であるということは、国が経常費を助成するかいなかということにかかわらず同様な問題ではないかと思うのです。私学はすべて国民の公教育の機関として適正に運営されなければなりませんし、また憲法あるいは教育基本法にのっとって正しい教育研究が行なわれなければならない、このように思うわけですけれども、今回の改正では、ただ経常費の補助を行なったものに対してだけ公共性を確保するためとして国の権限を強化するというふうになっているわけですけれども、これは非常に不当ではないかと、このように思うわけですけれども、これはどうでしょう。
#39
○政府委員(岩間英太郎君) 現在中教審におきまして、大学のあり方、特に私学のあり方等についていろいろ御検討をいただいておるところでございますが、そういう点で私学の位置づけというものがはっきりいたしました際には、さらに私学法全般を眺めてみるということが必要ではないかと思うわけでございますけれども、現在のところ、私学法のたてまえと申しますのは、ノーサポート、ノーコントロールということがたてまえでございます。それによって私学法というものが一貫して規定が設けられておるわけでございます。しかしながら、憲法との関係もあるためと思いますけれども、特に助成を受けるものにつきましては、これは国のほうでいろいろな制限をするというふうなたてまえになっているわけでございます。このたびの補助金の性質からいたしまして、先ほど申しましたように、経理の公正化、それから教育や研究の質的な向上というものにむしろ反対するようなことを行なうものにつきましては、これは国のほうで中止あるいは変更の命令、あるいは勧告を行ないまして、それに従わないものにつきましては補助金は差し上げるわけにいかないというふうな形をとったわけでございまして、私学法全般の議論につきましては、先生の御指摘にもございますように、私学の公共性というものをもう一度見直すという観点から再検討するということは、これは必要ではないかというふうに考えております。
#40
○内田善利君 またもとに返りますけれども、私立学校法の改正についてですけれども、これは私学関係者あるいは学識経験者等の意見を聞かれたのかどうか、もう一度。
#41
○政府委員(岩間英太郎君) この点につきましては、私どもが補助金を計画いたします際に、私立学校のおもだった関係者、これは私のほうで全部の方々の御意見を承わるということもできないわけでございますけれども、そういう方々の御意見を伺いながら進めたつもりでございます。しかし、全部の私学の関係者の方々の御意見を伺うと、それぞれの御意見があろうかと思います。そのために、先生方のほうにも必ずしも賛成であるというふうな御意見ばかりではないというふうなおことばがございましたが、そういうことであろうと思います。
 なお、私どもは初めはちょっと気がつかなかったのですけれども、学術会議の勧告が四十年に出ておりますけれども、それをずっと見ておりますと、大体においてその勧告の線に沿っておるのじゃないかというふうな気がいたすのでございまして、だれが考えましても人間が考えることというのは同じような結果が出てくるのではないかというふうな気がいたしたわけでございますが、なお、新聞の社説等におきまして、法案ができましてから三社ばかり社説が載ったわけでございますが、いずれも私どもの方向につきましては、私どもとしましては賛成の御意見であったように思うわけでございます。
#42
○内田善利君 時間がきたようでございますが、最後に文部大臣にお聞きをしたいと思いますが、サポート、ノーコントロールがほんとうにできるかどうか、お聞きをしたいと思います。
 最後に、要望として、今度の私学振興財団法の設立によりまして、終戦後教育に貢献してきた私立大学の中で、福岡電波学園あるいは名城大学のような私立大学が出ないようにひとつよく文部大臣のほうで見守っていただきたいということを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
#43
○国務大臣(坂田道太君) 私学というのはやはり建学の精神にのっとりましてその自主性というものを十分発揮していただく、そして特徴ある大学をつくっていただくということが私は非常に望ましいことであるというふうに思いまするので、やはり私学のサポート、ノーコントロール、サポートいたしましても、そのサポートいたしましたお金について、やはりこれは血税でございますから、国民のために明らかにする、適正に使われておるかということはやらなきゃならないけれども、しかし私学自身の教育内容あるいは人事というようなことまで介入するつもりは毛頭ございません。むしろ私学の自主性というものを尊重して、そして私学のりっぱな教育研究というものが行なわれまするように私は期待をし、またそうなっていただかなければならないというふうに思っておる次第でございます。
#44
○萩原幽香子君 非常な時間の制約を受けておりますので、重複を避けたいと存じます。
 まず第一にお尋ねしたいことは、大学生の急増期におきましての大学の新増設の申請の状況並びに設置認可の状況についてお伺いいたしたいと存じます。
#45
○政府委員(岩間英太郎君) 三十九年におきます諮問の件数は、これは法人の設立、組織の変更、それから通信教育の設置、それから学部の増設等を含めまして百三十一件ございました。それに対する認可件数が九十八件でございます。四十年度は諮問件数が百六十一件でございまして、認可件数が百四十五件、四十一年度は諮問件数が百四十九件に対しまして認可件数が百十九件、四十二年度が諮問件数が八十三件に対しまして認可件数が七十一件、四十三年度は諮問件数が四十九件に対しまして三十六件、そのうち四十三年度で大学の新設は三校でございまして、大学の新しい設置というものは非常に減っております。ことしも四件ということでございまして、まあ大体この程度のものではないかと思いますが、なお人員の増が急増期間中は十万人というふうな学生の増加があったわけでございますけれども、ことしあたりでございますと約七千人程度ではないかということでございます。
#46
○萩原幽香子君 この国民の進学意欲の高まりをもっぱら私学の拡大で対処したというような感じがするわけでございますけれども、そういうことになりましたのはなぜでございましょうか、その点についてお伺いいたしたいと存じます。
#47
○政府委員(岩間英太郎君) 端的に申し上げますと、国立あるいは公立の大学の設置あるいは定員の増加というものが非常に需要に対しましておくれておったということも言えると思いますけれども、私立大学の存在が非常に大きくなりましたのは、これは終戦後でございまして、これは終戦によりまして、いわゆる中産階級というものが一応崩壊をしたというふうなことで、しかし教育に対する熱意は非常に高いということで、たとえば東京の父兄がお子さんを京都とかそれから東北の国立大学に行かせるということが非常に困難になった、そのかわりに東京にある早稲田とか慶応とかが、そういう私学に非常に優秀な方が入られるということで私学の質的な向上も行なわれたし、また規模的な拡大も行なわれたというのが実情ではないかというふうな気がするのであります。
#48
○萩原幽香子君 その質的な向上はまことにけっこうですけれども、非常に私学がたくさんできたということにつきまして、新増設の認可に当たっては設置基準を厳格に守っていただいたかどうか、十分な教育研究の行なわれる保障のあるものに限って設置認可を認めるべきだと考えるわけでございますけれども、その点はどうだったのでございましょうか。それがほんとうに守られて認可がなされたものでございましょうか。その点についてひとつ。
#49
○政府委員(岩間英太郎君) 大学の設置の際には、これは大学設置審議会あるいは私立大学審議会におきまして十分審査をいたしましてそれが基準に合っているかどうかを確かめた上で認可をするわけでございますから、その設置のときにおきましては決して手をゆるめたというふうなことはないわけでございますが、しかし設置条件その他の問題につきましては、これはこちらのほうで御指示を申し上げるというふうなことしかできないわけでございまして、残念ながら設置認可のあとでいろいろ問題のある学校が出てまいります、また先ほど内田先生からも御指摘のありましたように、急速な設備投資を行なうというふうなことで学校の内容が悪くなったという例もございます。私どもが御注意を申し上げたにもかかわらず設置を強行されたと申しますか、そういう学校にいろいろ問題があることは事実でございます。しかしながらその際、設置の際に手をゆるめて基準をまげたというふうなことはないと思います。
#50
○萩原幽香子君 その御注意があったのにもかかわらず強行されて、そして問題を起こしているようでありまして、そういうのは全国でどれくらいございますか。
#51
○政府委員(岩間英太郎君) 正確な数はちょっとわかりませんけれども、先般私どものほうで私立大学審議会の委員の方々に御視察をお願いいたしまして、いわゆるアフターケアを行なったわけでございますけれども、先生方のお話によりますと、やはり十数校ごらんになりましてそういうものがどうかというふうな疑問のあるものがあったようでございます。
  〔委員長退席、理事田村賢作君着席〕
また、今回これから大学設置審議会のほうでアフターケアを行なうということにいたしておりますけれども、その際にもまた問題のあるところが若干出てくるのじゃないかというふうに考えております。
#52
○萩原幽香子君 その疑問点と言われましたのですが、一番大きな問題というのはどういうところでございますか。
#53
○政府委員(岩間英太郎君) 一番大きな問題点は学生が集まらないということで、定員百名に対しまして五十名とか六十名とかいうことでございますと、これはせっかく学校をつくったにもかかわらずお客さまが来ないということで、それが一番問題でございます。
#54
○萩原幽香子君 昨日の多田委員の御質問の際に、大臣は、昭和五十年では大体二五%以上が進学希望するだろうと、多田委員のほうからはもっともっとたくさんの希望者があるのではないか、そういうお話が出たわけでございますけれども、そうなりますとまた新設をされるということも出てくるのではないか、こう考えるわけです。今後の私立大学の認可に当たりましてはどういう方針でお臨みになりましょうか承りたいと存じます。
#55
○政府委員(岩間英太郎君) 先ほども申し上げましたように、高校、大学ともに急増期を過ぎまして専攻分野とかあるいはその地域の状況によりましては、いま申し上げましたように入学者が定員を下回るというふうな例が起こることが心配されるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては専攻分野の種類とかあるいは立地条件など、社会的地域的な需要というものを十分検討いたしまして計画を立てますように、事前に指導いたしますとともに、学校の新増設、それから学校保持の寄付行為の認可に当たりましては、これらの点を十分考慮しまして、それから新計画等につきましてもさらに厳格に審査を行なうというふうな方法でもって、いままで起こりましたようなことが再び起こらないように、さらに念を入れて審査を進めていきたいというふうに考えております。
#56
○国務大臣(坂田道太君) ただいま管理局長からお答えを申し上げましたことで尽きるかと思いますけれども、私どもといたしましては、この二十年の反省ということをいたしますと、やはり私立大学を含めた長期教育計画と申しますか、高等教育機関をどれくらい日本につくったらいいか、そしてそれはやはり地域的な考慮ということも頭に置いて、私立大学の場合は認可をすべきではなかったろうかというようなことも考え合わせられるわけでございます。したがいまして、昨日も申し上げましたとおりに、ただいま中教審において大学の中間報告がこの五月末にはなされるわけでございますが、さらに来年一年かかりまして長期教育計画並びにそれに対する財政裏づけは一体どれくらいかかるかという計量的な計算も試算をいただきまして、そうして将来五年あるいは十年先にはどうすべきかということまで考えていきたいというふうに思っておるようなわけでございます。また一面におきまして、国立にいたしますか、あるいはその他の形態にいたしますかは別といたしまして、新しい構想の大学もひとつつくりたいと考えておりますし、あるいは放送大学というものも設立いたしたいと考えております。そういうようなことを考え合わせまして、今後は国・公・私立合わせてひとつどういうような程度のものをどれくらい、何人ぐらい、そしてそれにはお金はどうかかるのかというようなことから、また私学に対する援助をどういうふうにしていくかということを考えていきたいというふうに思っております。
#57
○萩原幽香子君 ぜひそういう望ましい形の大学ができますように、私たちもほんとうは祈念をしているわけでございますので、このたびいろいろと私学についても問題があるわけでございますけれども、まずお金の問題から考えてみますというと、それが一番の大きな問題になっていろいろ困った状態を起こしているんではないか、こういうふうに考えます。そこで私学も含めまして、教育費というものは一体国民総所得の何%ぐらいが妥当だとお考えでございましょうか。
#58
○国務大臣(坂田道太君) これはなかなかむずかしい問題でございまして、そのことを実は試算をしなければならないと思っておりますが、きのう私はどなたかの質問に対しましてお答えを申し上げたわけでございますけれども、国民総生産に対する、これはまあ大学を含めまして、公教育費の比率というものが昭和三十八年が四・一%、三十九年がやはり四・一%、四十年には四・二%、ところが四十年を境といたしまして、四十一年が四・一%、それから四十二年が四・〇%、四十三年、四十四年はまだ私手元に持っておりませんけれども、しかしこれは少し下がってきているんじゃなかろうか、あるいは横ばいかということかと思います。こういうぐあいに考えますと、四十年までの十年間というのはかなり日本は公教育費の投資というものが世界各国に比べて非常に高い水準をいっておったと思われるわけでございます。しかしながらその間、先進国のイギリス、フランス、ドイツがむしろそうまでなかった、しかしそれではいけない、まさに教育投資の時代であるというような世の中になってきたことに気付きまして、おくればせながらイギリス、フランス、ドイツも急角度に、たとえばイギリスにおいてはUGC、ロビンスレポート等において、一九八〇年までに相当数の大学を建てるということで現実にやっております。またフランスにおきましてもしかりであります。それから西ドイツにおきましてもそうでございます。そういうことで、アメリカにおきましては三十八年が四・五%、三十九年が四・六%、四十年が四・九%、四十一年が四・八%、かなりずっと上がってきておる。イギリスが四・七%、三十八年が四・七%でございますが、それが四十年で五・〇%、昭和三十八年にフランスが三・二%でございましたが、四十一年が三・五%、西ドイツが昭和三十八年に三・一%でございましたが、四十年は三・六%というぐあいにして、だんだん上がってきておるわけで、少くとも四・五%から五%以上はなければいかぬのじゃないかというふうに一応考えられます。しかしながらこの点につきましては、中教審等の試案あるいは試算を伺い、またわれわれのほうでも計算をいたしまして、これからひとつ詰めてまいりたいというふうに考えております。
#59
○萩原幽香子君 いま私は総所得の何%とお尋ねしたのですが、大臣、GNPについてお答えくださったようでございますね。大体フランス、イギリス、アメリカというところで六%ぐらい、それに対して日本では五・五%ぐらい、これは一九六五年の資料のようでございますけれども、とにかくだいぶん日本のほうが低くなっているということは事実のようでございますね。ですからそういうことにつきましても、よほどお考えをいただきまして、いまの大臣のお考えのように日本の国も諸外国に負けないようにやっていただきたいと、こういうふうに考えるわけでございます。坂田文部大臣がずっと大臣をしていてくださると私は非常に安心でございますけれども、大臣がかわられたとたんに、それがまた変わるということになりますと、これはたいへん問題になるわけでございますので、どうぞひとつおかわりになる際も十分申し渡しをお願いをいたしたいと存じます。
  〔理事田村賢作君退席、委員長着席〕
 次に、高等学校以下の私立学校に対する補助についてお尋ねをいたしたいのですが、まず全国で各都道府県が私立学校に対して助成しております状況について、少し具体的に承りたいと存じます。
#60
○政府委員(岩間英太郎君) 現在、都道府県のほうで私学に対しましていろいろ助成を行なっておりますけれども、昭和四十四年度をとってみますと、私学に対する補助は約八十五億三千九百万という数字が出ております。それから私学の団体等に対します補助金が十七億二千九百万、合計いたしまして百二億六千八百万ございます。それから貸し付け金等が約三十一億九千三百万ございますので、合計いたしますと、百三十四億六千百万、約百三十五億の助成が行なわれておるわけでございます。詳細にというお話しでございますので、その内訳を若干申し上げますと、経常費につきましては、八十五億のうちで六十九億六千三百万が経常費でございまして、そのうちで人件費が二十一億九千四百万、それから施設設備費が十一億八千万、その他が三億九千六百万というふうな内訳になっております。それから私学の団体等に対しまする補助金が、私学の共済に対します補助金が六億九千三百万、それから退職金の社団あるいは財団に対します補助が八億九千七百万、その他が一億三千九百万、合計いたしまして、先ほど申しました十七億二千九百万、そのようになっているわけでございまして、これに対します財源措置は、先生も御承知のとおり地方交付税で、その他の行政費の中でやられているわけでございますけれども、その金額が約四十億、このたびは大学の補助にならいまして、交付税のほうでもその他の教育費の中で財源措置をするというような新しい方式をとりまして、金額にいたしまして約八十億、高等学校、小・中学校につきましては一人当たり約四千円、幼稚園につきましては千五百円というふうな見当の金額を積算をいたしております。私どものほうでは、四十億の財源措置に対しまして、先ほど申しましたように約百三十五億の補助を都道府県のほうでやっていただいておりますので、従来どおり都道府県におまかせをしてやっていただいたほうが私学のほんとうの振興のためにはよろしいんじゃないかと、親身になって自分のところの私学をめんどうを見ていただけるのじゃなかろうかということで、地方交付税で財源措置をしたということでございまして、一そうの拡充を希望しているわけでございます。
#61
○萩原幽香子君 四千円と千五百円ということで非常にこれありがたいわけなんですけれども、すでに十九府県では私学の人件費を含む経常費の補助を行なっているというわけでございますね。そういたしますと、そういう府県ではこの分がプラスされますでございましょうか。そういう私が心配をいたしますのは、この交付税では、これだけしか見ていないということになって、かえってマイナスされるような面が出てくるんではないかと、こういう心配を持つわけでございます。たとえて申しますと、義務教育関係でさえも交付税でこれだけしか積算されていないんだからということで、交付税を上回るような学校予算というものをなかなか組んでくれない市町村が多いわけなんですけれども、そういうことになりますとこれはたいへん困るというわけなんですが、その点いかがでございましょうか。
#62
○政府委員(岩間英太郎君) ただいま数字でお示ししましたように、都道府県のほうではかなりめんどうを見ていただいておりますようでございますから、今後もいままでより上回るような財源措置をしていただけるものというふうに考えております。ただいま義務教育につきまして御指摘がございましたが、義務教育とはこれはちょっと違うんじゃないかと思います。それは義務教育の場合は市町村が主体でございまして、財政力の関係から申しますと、市町村と都道府県ではこれは月とスッポンくらい違うわけでございまして、まあ都道府県の知事さんといたしましては、自分の地元の私立学校の振興につきましてはかねてから非常に力を注いでいただいているというふうに考えておりますので、私どももそのようなことがさらに継続され拡大されていくものというふうに期待しているわけでございます。
#63
○萩原幽香子君 ぜひそういうふうにひとつ御指導をよろしくお願いをいたしたいと思います。
 次いで、幼稚園についても国とか地方公共団体の補助が拡大されるべきだと考えるわけでございますけれども、教育条件それから園児の納付金というものは、公立と私立ではどのようになっておりますか承りたいと存じます。
#64
○政府委員(岩間英太郎君) 幼稚園の場合には、公立と私立の納付金の割合は、公立が一に対して私立が約三・六というふうな割合になっております。中身を申し上げますと、公立の場合は保育料が、これは昭和四十四年度でございますけれども八百四十四円、これは月額でございますので年額にいたしますと一万百二十八円、それから入園料が三百円、合計いたしまして一万四百二十八円。それから私立の場合には、保育料が月額二千四百五十三円、年額に直しますと二万九千四百三十六円、それから入園料が四千二百五十三円、受験料が四百七十六円その他の納付金が二千六百円、合計いたしまして三万六千七百六十五円というふうになっております。
#65
○萩原幽香子君 これは府県によって違うようなことはございませんか。いまおっしゃったとおりにどこもなっておりますか。
#66
○政府委員(岩間英太郎君) これは全国平均でございますから、府県によりましてもちろん差があるというふうに思います。
#67
○萩原幽香子君 幼稚園でございますけれども、公立と私立の幼稚園の比率はどうなっておりますでしょうか。
#68
○政府委員(岩間英太郎君) 幼稚園総数約一万に対しまして私立が六千六百でございます。
#69
○萩原幽香子君 いま補助の対象になっておりますのは学校法人立の幼稚園だけでございますね。これは全国でどれくらいございますか。
#70
○政府委員(岩間英太郎君) 学校法人立、それから宗教法人立それから個人立の割合は大体三、三、四の割合でございまして、件数にいたしますと、学校法人立が千七百八十二件、幼児の数が三十六万七千六百四十二人、これは昭和四十四年の五月一日の調査でございます。
#71
○萩原幽香子君 宗教法人立、個人立幼稚園ですけれども、これがなぜその学校法人に切りかえることがむずかしいのか、そういう点についてどのようにお考えでございますか。
#72
○政府委員(岩間英太郎君) 私どもといたしましてはできるだけ学校法人立にしていただきたいということでございますけれども、これは個々の事情がございましてまあ一がいには言えないと思いますが、要するに、学校法人立にいたしますと、まあ財産と申しますかがその学校法人以外のものには使えない、しかも解散いたしました場合にはこれは自由に処分ができない、そういうふうな制限があるわけでございまして、まあそういう意味からなかなか学校法人立にはなりにくいというふうな事情があるのじゃないかというふうに推測されるわけでございます。
#73
○萩原幽香子君 確かにそういうことがまああろうかと思うわけでございますね。そういたしますと、非常にむずかしい、そういう学校法人立に切りかえにくいといったような条件があるといたしますならば、幼児教育について非常に大きな役割りを果たしております宗教法人立あるいは個人立幼稚園に対しても国や地方公共団体は学校法人立と同じように補助をすべきだと考えるわけでございますけれども、その点はいかがでございますか。
#74
○政府委員(岩間英太郎君) 私どもの方針としましては、できるだけ学校法人に切りかえていただきたいというふうなことで学校法人に対しましては優先的に援助をいたしているわけでございますけれども、しかし社会的な実態としましては、確かに宗教法人立の幼稚園あるいは個人立の幼稚園が果たしている役割りというものは、これは無視できないものがあると思います。したがいまして、適当な法的な措置が行なわれる、たとえば個人立、宗教法人立でございますとこれは財産の処分等も、あるいはその幼稚園の廃止等も簡単にできるわけでございますけれども、そういう点につきましてある程度その法的な整備が必要ではないかと考えております。したがいまして、そういうふうな法的な整備が行なわれました際には、当然これに対して助成を行なうということは望ましいことじゃないかというように考えております。
#75
○萩原幽香子君 これは私はぜひやっていただきたいと思うのです。まあいまも三、三、四とおっしゃいましたけれども、そういう、まあ学校法人が三で、あとが三、四と、七対三と、こういうわけでございますから、これはぜひその大きな役割りを果たしているというその比重を考えていただければ、私は宗教法人立も個人立の幼稚園も学校法人同様にやはり補助の対象にすべきだということを考えますので、できるだけ早急にそういう処置がとられますようにお願いをしておきたいと存じます。
 それから幼児教育の立場で今後私立幼稚園というものに対してどういうような方針で臨まれるおつもりかお伺いいたしたいと存じます。
#76
○政府委員(岩間英太郎君) 私立幼稚園が特に幼稚園教育の普及という点につきまして、いままで果たしてまいりました役割りというものは、これは過小評価するわけにはまいりませんし、またそういうことで施設その他につきましても補助を行なっておるというふうな国の措置もとられているわけでございます。今後私どもとして心配いたしますのは、これは公立幼稚園との間でいろいろな問題が起こってくるんじゃないかということでございますが、一つは、先ほど御指摘になりましたように、父兄の負担が私立の場合は高いということがあると思います。それにつきましては、これは幼稚園に対します助成というものを強めてまいりまして、できるだけそういうものの差をなくしていくということが必要ではないかと思いますけれども、しかしながら公立幼稚園と私立幼稚園が保育料の間で争っておったのでは、これは当然私立の幼稚園のほうが負けてしまうというのはわかり切ったことでございまして、そのためにできますならば、私立幼稚園は特色のある保育をしていただきたいということでございまして、その私立の特色を持って公立幼稚園と太刀打ちをするということがぜひ必要ではないかというふうに考えるわけでございます。そういうふうな特色を伸ばすために、国あるいは都道府県のほうで必要な助成を行なうということはこれは必要であると考えます。私どももそういう方向で努力いたしたいというふうに考えます。
#77
○萩原幽香子君 それは全く私立大学と公立大学の場合と考え方は同じことになるわけでございますね。ぜひともそういう方向でお願いをいたしたいと思います。
 それから幼稚園から私立大学に至りますまで、とにかく私学に子弟を学ばせている父兄というのは二重負担を受けているということになるのではないかと思います。そこで、父兄たちは昔のように特別豊かな家庭というわけではなくて、大体三分の二を占める私立大学ということも考えてみますというと、これはなかなか大きな問題ではないだろうかというふうに考えるわけです。
 そこで、この二重負担を解消するために、教育費というようなものについて特に控除制度を創設するというような考え方はございませんでしょうか。これは文部省ではなくて大蔵省の問題になってくると思いますけれども、そういう問題について文部省は大蔵省と折衝をなさったことがおありでございましょうか、承りたいと存じます。
#78
○政府委員(岩間英太郎君) 私どもといたしましては、先生と同じような考えでもって従来から就学費の控除というものを高等学校、大学に学ぶ者につきましては、そういう制度を設けるように大蔵省に対しまして交渉をいたしております。大蔵省の税制調査会におきましてもこれが正式に取り上げられましたことがございましたけれども、個別的な事情を税制上しんしゃくするにはおのずから限界があり、扶養控除等の一般的な控除の拡充により対処することが適当であるというふうな一応結論が出まして、まだ日の目を見ておりませんけれども、これは大臣もたびたび申されておりますように、ぜひ何とかこの制度を実現したいということで、私ども引き続き努力を重ねたいというふうに考えております。
#79
○萩原幽香子君 それではこの制度は日の目を見る可能性はあるわけでございますか。
#80
○政府委員(岩間英太郎君) 今後のことでございますのではっきりしたことは申せませんけれども、私どもとしましては、その実現の努力を重ねてまいりたいということでございます。
#81
○萩原幽香子君 ぜひこれは日の目を見せていただきたいと考えるわけでございます。そこで、そういうものができますまで、この現行の育英資金というものについて、きのうでございましたか銀行の貸し付け制度の問題もお話をいただいたわけでございますけれども、この育英資金も私学に対して厚くしていただくといったような考え方はいかがでございましょうか。
#82
○国務大臣(坂田道太君) きのうも申し上げましたとおりに、育英資金を借ります場合におきましては、国・公・私立を問わず一定の基準がございまして、経済状態の問題、それから成績の問題、この二つを合わせましてやりました結果が実質的には、これは昭和四十三年度でございますが、国立が一般貸与が一五・五%、公立が一三・八%に対しまして私立がわずかに四・六%、それから特別貸与のほうが国立が一九・二%、公立が八・三%、私立が一・五%、こういうことになっておりますが、たとえば一般貸与の国立の実数を申し上げますと三万一千九百九十三人ということに対しまして私立は五万二千五百十四人、かなり多うございますけれども、しかし私立の数が片方は百万、国立は三十万、つまり三分の二であるということを考えると非常に少ないということでございます。しかし、これはいま申し上げますような採用基準というもの、学力の基準、あるいは家計基準というものをやります限りにおいてはいたし方がないということでございますが、
  〔委員長退席、理事田村賢作君着席〕
しかし、それだからといってそのままにしておるわけではなくて、昭和四十二年度から実は特別の貸与制度の中に私立大学に進学する者を対象としたものに高額の貸与額を創設をいたしました。この点は、たとえば国立の場合でございますと自宅通学は五千円、自宅外通学が八千円ということでございますが、私立の場合は自宅通学七千五百円、自宅外通学が一万二千円、こういう制度も導入をしておるということでございます。しかしこれだけでもなかなかむずかしいということでございまして、もちろん私立大学にも、いまお話がございまするように、かなり経済的に不如意な家庭からも入っておる実情が出ておるわけでございまして、たとえば国立でございますと百五十万円以下の年収の家庭の学生たちが七九・三%ございます。約八〇%もあるわけでございます。ところが私立におきましても百五十万円以下が五四・七%、半分を越しております。それから六十万円未満にしましても国立は一七・九%もありますが、私立においては、これすらも四・一%あるということでございますから、相当困った人たちでも私立に入っておる、こういうこと。親としましてはなけなしの金を注ぎ込んでおるし、また同時にアルバイト等をやりまして、みな仕事をして大学に通っておるという実情かと思うわけでございます。この点につきましてはもう一そうの努力が必要でございますが、しかし国立と私立を比べた場合は、かなり中産階級あるいはそれ以上の人たちが私立の大学に学んでおる。しかしこの間も申し上げましたように、私立大学にやる家庭でも、中産階級以上の者でも、たとえばその家庭から二人以上も私立大学に通わせたらもうそれこそあっぷあっぷでございまして、その意味から申し上げましても、できればこの際銀行貸し付け制度というようなものを導入することによって、その中産階級以上のところが救われるのじゃなかろうかというふうにも思うわけでございます。そういうような事柄から今度の予算におきましてその調査費を計上し、そしてアメリカあたりではこれをやっておりますから、十分検討をいたしました上、来年度からは実施に移したいというような意欲を持っておるということを申し添えておきたいと思います。
#83
○萩原幽香子君 もう時間がまいりましたので、ぜひそういったような方途をいろいろな角度から御検討いただきまして、教育の機会均等という立場に立っていただきたいと存じます。現在、私立学校の果たしております役割りの比重というものは非常に大きい。これはもう大臣も感じ、局長さんも十分お認めのようでございますので、あらためて申し上げることもないわけでございますけれども、そういうことを十分考慮いただきまして、今後の助成にあたりましては、私立学校の自主性をそこなうことのないように、しかもその教育目標を十分達成されますように、大幅な助成の増大というものをはかっていただくよう強く要望いたしまして質問を終わりたいと存じます。
#84
○渡辺武君 私はまず最初に、この間、四月二十四日に、衆議院文教委員会でこの法律案原案に対する修正が行なわれましたが、その修正点について御質問したいと、こういうふうに考えます。
 この修正事項を見てみますと、「改正後の私立学校法第五十九条第十項及び第十一項の規定は、政令で定める日までの間は、適用しない。」というふうになっております。つまり、衆議院でも参議院でも委員会などで最も問題になった点、あるいは私学関係者などが最も強く反対している点についての修正が行なわれているわけであります。伺いたいことは、この「政令で定める日までの間」ということは一体どのくらいの期間をさすと見ていいのか、また文部大臣はいつごろからこの適用をしようと考えておられるのか、その点をまず伺いたいと思います。
#85
○政府委員(岩間英太郎君) これは、国民の方々それからそれを代表されております国会の先生方がそういうふうなこともやむを得ないというふうな御判断があったときというふうに一応考えておりますけれども、私どもとしましては、こういうふうな規定は実際上なるべく発動しないことを期待しているわけでございますが、しかしながら、私どもが助成を進めてまいりまして、この助成につきましては、先ほど来申し上げておりますように、非常に私学の自主性を尊重して使いやすい助成になっております。そういうふうな助成をして私学の教育研究の向上を願っているにもかかわらず、それに反するような学校が現実問題として出てまいりました場合には、こういうふうな政令を定めましてそれを排除するようなことも必要と考えております。これにつきましては、これは国民の方々の御賛同を得なければとうていできないということは言うまでもないことでございます。
#86
○国務大臣(坂田道太君) いま管理局長から一応お答えを申し上げたわけでございますが、私どもは、この私学の自主性というものは、これは尊重していかなきゃならない。しかしながら、また同時に、ことしから今度のこの法案によりまして、相当額の血税が私立大学に投入をされるという限りにおいては、その使途というものが、やはり私たちがねらっておりまするような私立大学の健全な発展、振興、そしてまたその教育研究の向上ということに資するために、この私学援助というものに踏み切ったわけでございます。ところが、これがいやしくもこの目的、意図と反しまして変な使い方がもしあったと、そしてそれが大きい社会問題となってまた国民の指弾を受けるというようなことになった場合に、何らの是正措置ができないということであってはならないという意味合いにおきまして、実はこの項というものをわれわれは設けたわけでございます。しかしながらこれは、国会の修正によりましてただいま仰せのとおりになったわけでございますけれども、しかし「政令で定める日まで」ということでございますから、今後、私学援助の額もおそらく毎年相当額つぎ込まれていくと思いますが、その間において、私学側が自主的にほんとうにりっぱな使い方をしておられるということでございますると、これは発動しなくてもいい。また、そのことをこいねがうものでございますけれども、そうでなくて、相当多額のお金はつぎ込んだ、しかしながら、また国民から指弾を受けるような使い方、あるいは私学としてあるまじきようなことがどんどんどんどんあっちにもこっちにも起こるというようなことになった場合には、やはり皆さま方国会にも御相談を申し上げまして、この政令の日をきめなければならないと、かように考えておるわけでございます。
 一面におきましては、百三十二億何千万円のこの程度でもって直ちにこの当該計画の変更または中止を勧告をするというふうなことも、しゃくし定木にやりまするとこれはなかなかむずかしいかと思います。そういうわけでありますから、修正を受けません前におきましても、私といたしましては、この運用につきましては、十分注意をして、私学の自主性というものを尊重しつつやりたいと思います。しかしながら漸次私学助成が相当の額になり、そして、なったにもかかわらず、なおかっこの定員その他もいいかげんにして、そして学生からも教育条件が低下するばかりじゃないか、お金はもらっているじゃないかというようなことを言われるようなことがあってはならないわけなんです。そういうようなどうにもこうにもしようがないような場合には、この項というものを発動せざるを得ないのだ、そのことが、また私は文部省としまして、所轄省としまして国民に対する責任を果たすことにもつながっていくというふうに私は考えておるわけでございまして、いつとは申し上げませんけれども、著しくどうにもこうにもしようがないようなことがあちこちに起こるような場合、あるいはまた相当程度のお金が私学に対して注ぎ込まれるような状況になった場合においては、政令の日を皆さま方と相談してきめたいというふうに考えておる次第でございます。
#87
○渡辺武君 おっしゃることは一応わかりましたけれども、この法律案の附則の第一条ですね、これを読んでみますと、「この法律は、公付の日から施行する。」「ただし」としてただし書きがついているわけですね。「ただし、附則第十一条から第二十四条までの規定は、公布の日から起算して四月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。」ということになっております。そうしますと、これをすなおに読みますと、ただし書きのほうで「附則第十一条から第二十四条までの規定」ということになっておりまして、この修正案が問題にしている点は附則第十三条ですね。そうしますと、この附則第十三条もこのただし書きの中には含まれると思います。したがいまして、「これは公布の日から起算して四月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。」ということで、法律的には、この第十三条も「四月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。」ということになると思う。ですから政令はつまり四カ月以内に必ず出る、そうして法律的には、これはもう発効する、第十三条はですね。そういうことになると思いますがどうですか。
#88
○政府委員(岩間英太郎君) 附則第一条に書いてございますこの政令と申しますのは、これは財団の成立につきまして、私どものほうでは、いつから財団が発足するのかをここできめようということを考えているわけでございまして、これは今度御修正になりました政令とは質的に異なるものでございます。
#89
○渡辺武君 それはおかしいじゃないですか。そんなばかなことはないですよ、よく見てごらんなさい。附則第十三条でしょう。附則第十三条が問題になっているんですよ。「私立学校法の一部を次のように改正する。」として、「第五十九条第一項」云々ということが出ている、まさにこの附則第十三条の問題がこれが今度の修正案で「政令で定める日までの間は、適用しない。」というふうに修正されているのですよ。だとすれば、この附則第一条によれば、「公布の日から起算して四月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。」ということになっているのじゃないですか。
#90
○政府委員(岩間英太郎君) 施行とそれから適用については、これは法律上区別しております。実際に法文は施行されましても、その条文が動くかどうかということは、これは適用ということでやっているわけでございますから、その適用につきまして、政令で定める日までは適用しないということでございますので、政令で定める日以降に適用される、条文の施行は当然四カ月をこえない範囲からきめるわけでございますけれども、そういうことで実際の適用がないということでございます。
 なお、政令につきましては、十四条にも政令というふうなことばがございますし、この政令ということで全部同じ日から動くということではございません。
#91
○渡辺武君 ですからあなたの先ほどの御答弁、ちょっと間違っていたでしょう。十三条の問題じゃないというのは、これは間違っていたと思います。やはり十三条の問題ですよ。そうしてとにかく公布の日から起算して四月をこえない範囲内において政令が出て、その政令で定める日から施行されると、だから法律上はやはりこの法律が公布されてから四カ月以内には、これはもうこの十三条も法律としては生きてくるのですよ。そうでしょう。ただ、それを実際適用していろいろ文部省が持っている権限を発動するかどうかということにつきましては、これはいろいろの考慮がある、こういうことにすぎないでしょう。ですからね、私はやはりこの修正点、これは文部省の腹一つにゆだねられているまことにこれは力の弱い修正点だというふうに考えざるを得ませんよ。これはあとからもっと問題にしたいと思いますけれども、先ほど大臣も言っておられましたけれども、文部省は私学の自主性を尊重する尊重すると言うけれども、まさに私学の自主性をまっこうから踏みにじるような危険が今度の法律案では新たに盛り込まれたというところに特徴があると思う。ですから、国会の承認なくして文部省の政令が出さえすれば、いつでもこれは伝家の宝刀を抜くことができるというような事態に置かれているということは、これはこの修正点が、これは私どもは衆議院では反対いたしましたけれども、全く反対するにふさわしい修正点であったということをはっきり物語っているんじゃないかというふうに思います。
 さて、次に移りますけれども、この附則の第十三条についてでありますが、これは各党の委員からも、自由民主党の委員からさえも指摘されていたと思いますが、私学法の根本精神である私学の自主性とまっこうから踏みにじるような重大な内容を持っているものだと思います。だから私学関係者の方々は、ほとんどすべてこの附則第十三条の適用、特に第十項の適用に強く反対していると思います。私、きょう時間がありませんので全部読む時間がありませんが、大臣も聞かれたと思いますので、簡単に申しますけれども、四月十七日の衆議院の文教委員会に出席した各参考人、これはこの第十三条、特に十項ですね、これがとにかく私学の自主性をそこなうものであるという点で一致した見解をとっておられます。で、日本私立大学連盟の会長の時子山さんですか、この方の陳述された点を一つだけ読んでみますと、「私立学校法第五十九条の第二項、第三項、第四項にすでに規定がありますので、新たにこれを加える必要があるかどうかということで、私立大学の人件費を含む経常費助成拡大に名をかりて大学自治の干渉となるおそれがある、妥当でないという意見を述べておられるわけです。また稗方参考人は、特にこの第十項の第二、第三は削除していただきたいということまでもはっきりと言われているわけです。これは全く正論だと思います。したがって私は文部省がこの附則十三条、これを削除すべきだと思いますけれども、その意思がおありかどうか。
#92
○国務大臣(坂田道太君) その点はございません。
#93
○渡辺武君 そうしますと、文部省はとにかく一番この利害関係の深い当事者である私学関係の人たちが、これがこぞって反対している、しかも自由民主党の中にさえ、与党の中にさえもこれについてはいろいろ疑問の立場をとっておられる方が非常に多い、そういう人たちの意見さえも踏みにじってこの法律案を通そう、削除する意図がないということを言っておられるわけで、よくよくこれは何か深い意図があってのことだということがよくわかると思う。
 そこで、先ほど御答弁の中にありましたけれども、国民の血税を私学補助に使うので、これが適正に使われるかどうか、その効果及び乱脈に使われないような防止措置、そういう点でこの十三条を設けているのだというようなことを言っておられますけれども、私は、大蔵大臣がそういうことをおっしゃるなら、これは大蔵大臣はおそらく教育の問題についてはしろうとであられるだろうから、そんなふうな意見を出されるのもやむを得ないと思うけれども、文部大臣がそんなことをおっしゃるというのはまことに奇怪な感じがいたします。これはあとからの議論で申しますけれども、とにかく憲法あるいはまた教育基本法あるいはまた私立学校法、これらにきめられた教育の基本的原則を守ることこそが文部大臣の主要な任務だと思う。ところが国民の血税を使っているのだ、だからということで私立学校の自主性を公然とそこなうような立法をいまここでしょうとしておられる、これは文部大臣の立場としてはまことに奇怪な立場だと思う。
  〔理事田村賢作君退席、委員長着席〕
 そこで、現在の私立学校法の第五十九条ですね、これによって人件費補助は可能だと思うんですよ。これはわが党の山原委員が衆議院の文教委員会で質問しましたところが、可能でございますという答弁がございました。ですから、現行法でも人件費補助というのは十分にできる、絶対できないということはない。しかも大臣が繰り返し言われるような、これが乱脈に使われないように、あるいは不正に使われないようにということについて、それを防ぐための最小限の権限、これは現行法でもあると思う、その点どうでしょうか。
#94
○政府委員(岩間英太郎君) お説のとおり、現行法でやれない、憲法上間違っておるというふうなことはないと思います。しかし、それぞれ補助金には補助金の目的があるわけでございまして、このたび人件費を含む経常費の補助金、これは私学で非常に扱いやすいようにしてございます、それにつきましては、やはり経理の公正、それから教育の内容や条件あるいはその研究の内容や条件を低下させないということが要請される最小限度の国民的な期待じゃないかと思います。
 経理の公正につきましては、これは昭和四十年の学術会議の勧告にも明らかにされておるところでございまして、決してその補助金というものは、単なる赤字の補てんではないということも指摘されておるわけでございます。そういう意味から申しまして、現行法でできると申しますのは、これは行政措置としてできるわけでございますから、そういうことはやはり法律上明らかにしまして国会に御審議をいただきますし、また国民の前に明らかにする、また私学の関係者にそれを十分周知させるということが必要であろうということで、このたび規定を設けたわけでございます。
#95
○国務大臣(坂田道太君) 先ほどの御質問にちょっとお答えをしたいと思うのですけれども、私学の自主性ということは、私学は何でもかんでも後手にやっていいということではない。やはり教育基本法、ただいまおっしゃったように、あるいは学校教育法、あるいは大学設置基準、そういうものにのっとってやるべきものだと私は思います。それがたとえば人事であるとかあるいは教育の内容であるとか、そういうようなことに国家権力が干渉をするというようなことは避けるべきであるという意味において自主性というものを尊重するということであって、血税であるお金がどんなにでも使われていいと、そして使われてしまってどうにもならないときにも何らの是正措置もないというようなことは、かえって国民全体に対して責任を負っているわれわれといたしましてはおかしいと思うのです。そういう是正の道があってこそ初めて私は意味があるのではなかろうかと、こういうふうに思うのであります。ですから、大蔵大臣がどうだ、こうだじゃなくて、文部大臣であるからこそ、むしろ教育研究の質的向上のために使われておるかどうかというようなことについて関心を持ち、あるいは是正措置をとるということも一つの考え方であるということはひとつ御了解を賜わりたいと、かように思うのです。萩原先生、先ほどお尋ねになりましたように、一ぺん設置基準に会ったらそれから先は私学はどんなことをしておっても何にもできないというようなことがあったとするならば、それはなかなかうまくいかないと私は思うのです。しかし現在の私学法で行きますと、この前の名城大学と同じように、新たに立法をして、そしてやる以外によい方法はない。もう解散だけですね。ですから、その中途にいろいろこういうふうなことをやられてはどうですかというようなことをやることはむしろ親切ではないか。それは人事やあるいは基本的な教育の内容までも踏み込むということであれば、先生の御指摘のようなことも私はうなずけるわけでございますけれども、そうではなくて、やはり教育研究の質的向上を願っているのに、それが著しくこの世の中の人たちのひんしゅくを買うような状況がもし私学においてあると、それでそういうものがあちこちに出てくるというようなときに、何ら是正措置がないというようなことはいかがかということなのです。しかし、これを実際において運用する場合においては注意をしなければいけないということは、私は当然かと思います。しかし先生のようなお話ではどうも私のほうも納得がいかないのでございますけれども、何か私が間違えておりましょうか。
#96
○渡辺武君 私が伺ったことについて端的にお答えいただきたいと思うのです。時間があまりありませんし、大臣の御見解は私速記録などで十分これは拝見してよく承知しております。端的にひとつお答えをいただきたい。私の伺ったのは、それは大臣のおっしゃるように、金を出した、多少は金の使い道について何とかこれはもう規制をする必要があるのではないかと、もしその大臣がおっしゃることがこれはかりに正しいとするならば、私どもだって、また私学関係者の人だって、金をもらって何に使おうとおれのかってだと言って、教育の本来の目的に反したようなことに使いまくろうと考えている人たちはおそらくないと思うのです。国民をそんな目で見てはいかぬと思うのです、特に私学関係者を。しかしそれはとにかくといたしまして、私学法では一これは大臣よく知っております。私も時間がないから詳しく法律の条文などを読みませんけれども、第五条の一項及び二項では、ここでは文部省は私学に対して一般的に閉鎖権を持っている。それから第六条では報告書提出の請求権などいろいろな権限を持っている。またこの助成をした場合のような学校についてはこの五十九条に審査権、それから報告を徴する権利、それから予算の変更についての勧告権、役員解任についての勧告権その他等々を持っているわけです。また、会計検査院法の第二十三条によれば、必要に応じて会計経理の検査ができるということもちゃんときめられているのです。何も今度のような立法措置を講じなくても、大臣のおっしゃるようなことは現行法だって十分に私はできると思う。現行法にそういう権限が最低限――私はこれはまあ必ずしも正しいとは思いませんけれども、とにかく最低限こういう権限を文部省は持っているのにかかわらず、何で今度この附則十三条その他のような全く私学の自主性をまっこうから踏みにじるような規定をあえてここで立法化しようとするのか、私は疑問にたえない。ところで、大臣の言われたいろいろな不正があった場合というけれども、いろいろな不正は確かにありました。日本大学、山梨学院大学などは最も典型的な例です。現在の法律にいろいろな権限を文部大臣は与えられている。一体日本大学や山梨学院大学について文部省はどのような措置を講じたか、この点を伺いたいと思う。
#97
○政府委員(岩間英太郎君) 日本大学や山梨学院大学についていろいろな問題が起こりましたことは、これは私どものほうでもたいへん遺憾に思っているわけでございますが、山梨学院大学につきましては、一番私どもの関係で大きいのは補助金の不正使用ということでございます。これにつきましては補助金の返還を命じております。それから十分な単位がないのに卒業させたとか、あるいは免許法の違反があったとかということにつきましても、これは是正の措置を命じております。
 それから日本大学につきましては、これは税金の問題、それから横領の問題等がございましたが、これは私どもの範囲ではございませんので、日本大学の特に紛争を契機といたしまして寄付行為の変更というふうなことがございましたので、これにつきましては行為を改めるということにつきまして必要な指示を与えてこれを認可しております。また入学試験に際しまして寄付金の問題でございました。芸術学部で寄付金を事前に徴収するというふうなことがございましたので、これにつきましても是正の措置を命じております。
 そういうふうにいたしまして、私どものほうで指導によりまして是正される部分につきましては、これは必要な指導を加えましてその是正措置が行なわれているわけでございますけれども、ここで法律上明らかにしておりますのは、是正措置につきましていろいろ指導、助言をいたしまして、なおかつそれに従わない場合にどうするかということを規定しているわけでございまして、必要な指導、助言でもってそれが十分目的が達せられればそれで私どものほうは十分なのではないかというふうに考えているわけでございます。
#98
○渡辺武君 山梨学院大学について多少の措置をとったということは私も伺っているわけですね。しかし、日本大学についてはどうですか。二十億円の使途不明金がある。それから会計課長が逮捕された。大体古田会頭をはじめとして首脳部陣がこれにどうのこうの関係しているのじゃないかというようなこともこれはもう大体公然の秘密と言われていることなんです。これについて文部省がはたしてこの私立学校法、これにきめられているような審査権、報告を徴する権利、予算の変更についての勧告権、役員の解任についての勧告権、かなり大きな権限を持っておられるが、これについてはたして発動したかどうか。世間はまことに疑惑を持っているのですよ、この問題は。なお、時間もないので引き続き申しますけれども、これは会計検査院だって法二十三条に言う経理検査権、これを当然発動してそうしてこの検査をするということをやっても私は当然のことだというふうに思われます。文部省のほうは自分が権限を持っているのにもかかわらずその権限も発動しないで、四十三年度の分については補助をストップしたけれども、四十四年度についてはまた助成を始めているような状況で、しかもこの日本大学が、私ここに五月二日の読売新聞持ってまいりましたけれども、裏口入学ですね。千百万円も父兄から金とって、そして裏口入学をやらせようとしている。この事件にやっぱり日本大学が一枚かんでいる。それから昭和大学の医学部、これも一枚加わっている。しかもこの一連の事件で文部省の管理局振興課のある係長がやはり一枚この事件にかんでいる、こういうふうな状況。またこの参議院の決算委員会では、日本大学の裏口入学について現職文部大臣も関係しておったというようなことまでが委員会の席上で発表されるというような事態 一体こういう事態に対して何で現行法をきびしく適用しないのか。現行法を適用するならば、こういう事態についてももっと適切な処置がとれるはずだというふうに私ども考えるわけです。その点どうですか。
#99
○政府委員(岩間英太郎君) 私どもが私学に対しまして、いろいろな事件がございました場合に、それを正す方法といたしましては、先ほど申し上げましたように、指導、助言ということでまず第一にやっているわけでございまして、その指導、助言を聞かない場合に初めて法律の条項を適用するということが正しいのではないかと考えております。先生がいろいろ御指摘になりました事態につきましては、たいへん遺憾でございますが、そういうことはできるだけこれを指導、助言によりまして是正ができれば、そういう方法でもってやりたいということでございまして、たとえば日大につきましては、寄付行為の変更、それから公認会計士の導入その他いろいろやっておりますので、しばらく様子を見守りたいということでございます。
#100
○渡辺武君 私の言いたいのは、こういうことなんですよ。現行法でちゃんと文部省権限を与えられている。それさえも発動しない。しかも今度の法律案によれば、先ほども申しました私学の自主性、これをまっこうから踏みにじるような規定を新たに設けて、これを法律として制定しようとしている、この点なんですよ。しかも今度の附則第十三条で言われている点ですね。これは昭和二十四年の第六国会ですか、あそこでまさに政府が盛り込もうとして、そうして国会で全会一致で修正、削りとられた、そのいわば学校教育に対する国家権力の全面的な介入を許すと同じ内容のものが全面的に盛り込まれているという特徴がある。文部大臣は私学の自主性を尊重する尊重するというけれども、もうすでに第六国会のあの事態を見れば、これが私学の自主性を尊重するようなものじゃないということは、これは明らかなことだ。それをあえてして、いまここで新たに盛り込んで法律として制定しようとする、言語道断だと言わなきゃならぬですよ。これは昨年十一月の日米共同声明ではっきりと言われているように、日米軍事同盟体制を一そう強化する、それと結びついて日本の軍国主義の復活を促進する、これが至上命令として前にある。したがって、それに合致したように日本の教育制度に対する国家権力の全面的な介入をやる、そういう軍国主義の復活あるいは産学協同体制、こういう方向に国立大学はもとよりのこと、私立大学その他も全面的に持っていこうとする、そういう意図があればこそ、こういうことをやったと思わざるを得ない。いま大臣首を振っておられますけれどもね。憲法、教育基本法、これは私が申し上げるまでもなく、憲法の第二十三条には「学問の自由は、これを保障する」とはっきりとうたわれているわけでしょう。教育基本法の第十条、これも私申し上げるまでもない。こういう教育の基本的な原則に基づいて文部省設置法第五条でも、大学、高専などの運営に関しては、文部省は指導、助言ができるだけだということをはっきりときめている。その原則に基づいて私学法第一条には、特に私学というのは、これは教育についての創意性を発揮させるというところに特徴があるので、したがって私学の自主性を尊重する、重んずるということを根本精神としてうたい込んでいるわけですね。ところが今度の法律案は特に附則十三条、これは先ほど申しましたように、この自主性をまっこうからそこなう、そういうものだと思うのです。よろしくこれは削除すべきだと思うけれども、どうですか。その点重ねて大臣の見解を聞きたいと思います。
#101
○国務大臣(坂田道太君) 終戦直後のお話でございますけれども、終戦直後のときの私立大学のあり方と今日とでは非常に違ってきている。世界の大学が変わってきている、これはひとつ認めていただきたいというふうに思います。終戦直後あるいは戦前におきましては、全く国からお金をもらわないでも私学はやっていけたわけです。しかしもう今日はそういうわけにはいかないわけです。そういうふうに変わってきた。そしてまた一人当たりの学生に対する経費は非常に高くなっている。また非常にたくさんの学生が学ぶようになってきた。これはけっこうなことです。しかし、昔のように私学の基金、寄付金だけで、納付金やあるいは授業料だけでまかなうことはできない。アメリカのようなああいう金持ちと言われた国で、昔は私立大学は基金が三分の一、それから寄付金が三分の一、そうして授業料が三分の一ということで、多額のお金をロックフェラーとかカーネギーとか、その他のところから借りてもらって、そうして運営をしておる。そうして授業料や納付金というものもそうたいしたお金ではなかった。ところが今日では、アメリカといえどももうカーネギーやロックフェラーやフォードや、そういうふうなお金は、もう学校経費のわずかなお金でしかなくなった。連邦政府のお金やあるいは州のお金というものが注ぎ込まれなければ、学術の発展や教育の研究の充実というものはできないようになってきた、こういうことでございまして、やはり日本におきましても、いつも申し上げますように、国立大学の三十万に対しては、学生一人当たり八十万、しかし私立大学の百万に対しては、学生一人当たり一万円以下のお金しか出しておらぬという、こういう現状は改めなければ、真の意味における教育の研究というものはやれないのだ。単に三十万だけの学生が学生ではないので、百六十万の国・公・私立を合わせた学生に対して、政府はどう考えていくんだということを考えていくべきであるということで私学援助に踏み切ったわけです。これは私は明治以来画期的なことであると思う。終戦直後は、とうてい私学の人たちさえ考えておらなかったことである。しかし今日はもうそういうことをやっておったんでは教育研究ができない、私学の先生の給料を払うことができない。したがって国からお金を補助してもらう、当然なんだ、こういう機運が出てきた。そうしてそのお金については、やはりそれが正しく使われるという意味において、やはり経理を明らかにするとか、公認会計士を置くとか、あるいは会計検査院の検査を受けるとかいうような、いままでそういうこともやりたくなかったかもしれないけれども、当然なこととして受け入れようとしておられるわけであります。また当然そうでなければならないと私は思うのです。イギリスのUGCにおきましても、従来は先生がおっしゃるように全くのノーコントロールですから、会計検査院すらタッチできないような状況だった。しかし一九六八年には改めまして、いままで大蔵省のところにあったUGCというものを科学教育省のもとに置いて、そうして会計検査院を設けて、そうしてやはり多額のお金を払ったものが有効適切に使われておるかどうかということに対して国民に対する責任を負うような形にしたわけです。私はその意味から申しまして、先生が御指摘になるほどこれが私学の自主性というものをそこなうものであるというふうには思いません。どうしても思えないのであります。
 それよりも、いま御指摘になりましたような山梨学院大学の問題とかあるいは日大の問題とか、いろいろございます。きょう午前中にございましたような、福岡の電波学園のような問題もございます。こういうような問題に対して、やはりこういうようなことを場合によったら発動するということで解散命令を出す、つぶしてしまうということではなくして、どうしても是正の道がないというふうなことじゃなくて、その前に何らか考えるというような、項目を生かすことによって是正をとらせる道を開いたほうが、むしろ私学のためにも、またそこにおる学生のためにもなるのじゃなかろうかというふうに私どもは考えたわけでございます。しかし、このことにつきましては、衆議院におきまして修正を受けたわけです。修正を受けた以上は行政当局といたしましてはそれを尊重しなければなりません。したがいまして、私はこの条項はこのままにいたしまして、しかしながら成立の日まで、これを眠らすいうことに承知をいたしたわけでございます。
#102
○渡辺武君 大臣、その私学に対する国家の補助、助成、これを盛んに強調しておられたけれども、これは当然のことですよ。それは終戦直後だって、いまだって、若干の条件は違うにしても、終戦直後だってやはり私学には補助、助成の非常に強い要望があったですよ。ですからその私学に対する補助、助成を出すということと、そのことを口実として私学に対して国家権力の全面的な介入をやるということとは、全くこれは別な問題として考えなければならぬですよ。英語は使いたくないけれども、サポート・バット・ノーコントロールということばがあるでしょう。これは私学関係者一致してそのことを要望しておられる。ところで、大臣は意識的にこの第十三条の十項、これを軽く表現しておられるけれども、大臣の言われたような点だけじゃないでしょう。どうですか。十項の一ですね。学校法人の関係者に対して質問権を持つ。それからまた立ち入って物件を検査する権利を持っている。それからまた、この学校の学科が、「大学院の研究科の増設又は収容定員の増加に係る計画」これについて変更または中止を勧告することができる。また私立学校が設備、授業その他の事項について云々した場合にはその変更を命ずることができる。たいへんな権限ですよ、これは。ただ単に金の使い道について監査するというようなもんじゃない。先ほど私申しましたけれども、昭和二十四年の第六国会で、まさに与党まで含めて全会一致で削り取ったその反動的な内容を全面的にここに盛り込んでいる、ここに特徴があると見なければならぬ。これはもう大臣幾ら私はそう思いませんと言ったって、客観的な事実です、これは。しかも日大その他の問題言われたけれども、大臣自身が裏口入学に関係するというような大学、文部省がその点について自分が持っている正当な権利でさえも十分に発動しないということは当然考えられることです。文部省自身の怠慢を、これを私学関係者になすりつけて、だからこういうきびしい措置が必要なんだというようなことで今度出してきた。これは言語道断だと私は思う。もう時間がないのでこれははしょって申しますけれども今度の私学財団そのものの機構ですね。これまた、まるっきり、もう文部省の一部局にほかならないように強い統制が進むようになっている。いままでも何ですね、私学振興会法には、定款をつくることもありましたし、特にこの「評議員会」というのがあって、これは適当な権限を持っている。そうしてこの評議員会には、これは私学関係者も入ることができるように法定されている。事実上過半数を占めるということで、私学関係者の意見が十分に反映されるような形になっておった。ところが今度の財団法を見ますというと、定款は削られる。しかも一定の権限を持っていた評議員会、これは諮問機関にほかならない運営審議会というようなものに格下げされてしまった。しかも運営審議会には私学関係者が入れるのか入れないのか、法的な保障は何にもないという状態です。そうしておいて、実質上非常に強い権限を持っている理事長を文部大臣の任命とする、こういうことになっている。これはまるっきりこの財団、つまり政府が補助を出す、サポートするということを口実として、コントロールするための機構としてつくられるものだということが、私は非常にはっきりしていると思う。
 そこで最後に一言だけ伺いますけれども、私はいままでの大臣の御答弁によって、この法案の内容は、これは私学関係者御自身が指摘しておられますように人件費補助、その他を口実に私学の自主性、独自性を踏みにじって、結局のところ私学を国家統制に導くほかの何ものでもないと思います。そうし……。
#103
○委員長(楠正俊君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#104
○委員長(楠正俊君) 速記を始めて。
#105
○渡辺武君 これは大臣、先ほど世界の傾向と言いましたけれども、世界の傾向に反しているのですよ。大体イギリスでも、あくまでもサポート・バット・ノーコントロールという原則に基づいてやっているわけでありますから、ですから、そういう点は十分にひとつ考え直してもらいたいと思う。特に私ども共産党は、現在の私学の状態を考えた場合に、当然私学の教育研究の発展を促す立場から、少なくとも早急に国立大並みの施設、あるいは勉学条件をつくることは必要だというように考えております。その場合に、いま申しましたように、あくまでもサポート・バット・ノーコントロール、この原則に基づいてやらなければならないと思います。ことしの三月、日本の教育学者のすべてを結集している日本教育学会が、私学助成に関する見解を発表しました。これによりますと、助成の前提としては、一、私学の自主性、これは私学法第一条に規定されている「自主性」ですが、それを尊重して、私学の自主性と水準向上の努力を積極的に発展させるような助成であることが必要だ。第二番目には、助成基準が十分に客観化されていることが必要だ。第三番目は、助成金の配分と使途、会計は公開されることが必要である。四、助成金、会計に限らず、私学の経理は公開されることが必要だというようなことを含めた五点をあげております。私どもはその立場に立って助成基準を――文部大臣から独立した自主的な私学助成審議会の設置などを言っておられるのを心から賛成するわけです。この点について、文部大臣は読んでおられると思いますので、どういう見解をお持ちなのか、伺いたいと思います。
#106
○国務大臣(坂田道太君) 私、いま仰せられました、その何か学会というのがよくわからないわけですが、全国の何か学者を集められたということだけれども、学術会議なら私も承知をいたしておりますけれども……。
#107
○渡辺武君 日本教育学会です。
#108
○国務大臣(坂田道太君) まあ教育学会がどういうことを言っておられるかわかりませんが、先ほど管理局長も学術会議からの四十年のこの勧告ですか、そういうものもございますが、おおむね言っておられることは、私はこの法案に織り込んだつもりでおるわけでございまして、先ほど申しますように、大かたの新聞もそう悪いような法案ではないように、私のほうでは受け取ったわけでございますが、先生のほうではどういうようにお受け取りになったかわかりませんですけれども、そういうことでわれわれも私学の側とも相談し、あるいは各界、各層の意見も聞きながら、実は取りまとめたわけでございます。しかしながら、まあ国会におきまして、いろいろ皆さん方の御意見を伺いましたわけでございますから、もしこれを通していただけますならば、その運用につきましては、十分私学の側の自主性を尊重して、その運用をはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#109
○委員長(楠正俊君) 暫時休憩をいたします。
   午後四時休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト