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1970/03/03 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第4号
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1970/03/03 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第4号

#1
第063回国会 大蔵委員会 第4号
昭和四十五年三月三日(火曜日)
   午前十時十九分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         栗原 祐幸君
    理 事
                小林  章君
                成瀬 幡治君
                鈴木 一弘君
                瓜生  清君
    委 員
                青木 一男君
                青柳 秀夫君
                伊藤 五郎君
                岩動 道行君
                鬼丸 勝之君
                津島 文治君
                丸茂 重貞君
                松井  誠君
                上林繁次郎君
                渡辺  武君
   政府委員
       大蔵政務次官   藤田 正明君
       大蔵省主計局次
       長        船後 正道君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       大蔵事務次官   澄田  智君
       大蔵大臣官房審
       議官       高木 文雄君
       大蔵大臣官房審
       議官       吉田太郎一君
       大蔵省銀行局長  近藤 道生君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○利率等の表示の年利建て移行に関する法律案
 (内閣提出)
○国税通則法の一部を改正する法律案(内閣送
 付、予備審査)
○空港整備特別会計法案(内閣送付、予備審査)
○派遣委員の報告に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(栗原祐幸君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 澄田大蔵事務次官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。澄田事務次官。
#3
○説明員(澄田智君) 銀行局長の青山俊が辞意を表明いたしておりましたが、本日付をもちまして退任することになりまして、後任に官房長の近藤道生が本日任命されました。
 なお、官房長の後任につきましては、私が事務取扱ということで兼ねて行なうことになりました。
 兼務でございますので、何かと不行き届きのことも多いかと存じますが、それにまた、異動がこういう国会の審議のさなかに行なわれまして、そういう意味でも御迷惑をおかけする次第でございますが、何とぞよろしくお願いいたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(栗原祐幸君) 利率等の表示の年利建て移行に関する法律案、国税通則法の一部を改正する法律案、及び空港整備特別会計法案、以上三案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。藤田大蔵政務次官。
#5
○政府委員(藤田正明君) ただいま議題となりました利率等の表示の年利建て移行に関する法律案外二法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 最初に、利率等の表示の年利建て移行に関する法律案について申し上げます。
 御承知のとおり、わが国におきましては、金利の表示につきまして、主として日歩建てと年利建てとの二つが併用されており、表示方法が統一されていない現況にありますが、これは、国民的能率の観点から好ましいことではなく、また、最近における経済及び国民生活の著しい国際化の動きに即応するためにも、国際慣行に合った金利表示方式を整える必要が強く感じられるのであります。
 このような背景のもとに、先般、公定歩合の年利建て移行が実施された機会に、金融界におきましては、各金融機関の貸し出し金利等の表示が一斉に年利建てに改められ、引き続き、預金金利につきましても、近く全面的に年利建てに移行するため、その準備が進められており、本年四月以降におきましては、各金融機関の適用金利がほとんど例外なく年利建てに統一される見通しであります。
 政府といたしましては、さらに、この際進んで法令等の規定における利率等の表示を年利建てに統一することにより、年利建て表示の一そうの普及、定着をはかる方針を固め、ここにこの法律案を提出することとした次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 この法律案は、利率等を日歩建てで表示しているすべての法律の規定を一括して年利建ての表示に改めるものでありまして、改正の対象としている法律は、国税通則法、地方税法、土地収用法、道路法、農地法等五十八法律であり、改正する条項は百六十四カ所であります。
 また、右の改正によりまして、従来の日歩建ての割合にかえ、新たに規定する年利建ての割合は、公定歩合その他金融機関の適用金利等の体系との関連を考慮して、特別の事情のある場合のほかは、〇・二五%の整数倍の数値に調整することとしております。なお、その調整にあたり、改正前の利率等の水準が端数部分において動くこととなる場合には、国民の負担を軽減する方向に調整する等の原則に基づいて、適切に処置しております。
 さらに、法律の規定における利率等の表示を年利建てに改めることに伴い、日割り計算等に関し明確化を要することとなる事項について、規定の整備を行なうこととしております。
 次に、国税通則法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 政府は、昭和四十五年度税制改正の一環として、最近における社会・経済の諸情勢の進展に即し、納税者の権利救済制度の整備充実をはかることが必要であると考え、この法律案を提出いたした次第であります。
 以下、この法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 第一に、国税に関する審査請求については、現在、各国税局に置かれている協議団が審理を行ない、協議団の議決に基づいて国税局長が裁決することになっておりますが、今回の改正では、課税等
 の処分に関与する税務の執行系統から切り離された機関として国税不服審判所を国税庁に設け、納税者の審査請求について審理・裁決を行なわせることとしております。なお、国税不服審判所には、事案の能率的な処理に資するため、所要の地にその支部を置くこととしております。
 第二に、不服申し立て期間の延長、不服申し立てについての審理手続の合理化等の措置を講ずることとしております。すなわち、異議申し立て等の期間は、これを一カ月から二カ月に延長することとしております。また、納税者の不服に関する審理手続については、国税不服審判所長は、一定の手続を経て、国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈と異なる解釈により裁決ができることとする等の整備合理化をはかることとしております。
 第三に、納税者が誤って税額を過大に申告したと主張する場合の更正の請求について、現行二カ月の請求期間を一年に延長するとともに、やむを得ない後発的な理由による更正の請求については、さらにその特例を設ける等、所要の改善を行なうこととしております。
 第四に、差し押えにより国税の徴収を確保する措置がとられた場合、または十分な担保が提供されている場合には、差し押え等がされている期間の延滞税を二分の一に軽減する措置を行なうこととしております。
 なお、以上のほか、不服申し立ての補正について口頭または職権の補正を認めること、国税審査会の委員の任命権者を大蔵大臣とすること等、第六十一回国会における衆議院の修正は、この法律案にすべて織り込んでおります。
 次に、空港整備特別会計法案について申し上げます。
 政府におきましては、従来から、公共の用に供される空港の整備及びその円滑な管理運用につとめてまいったのでありますが、これらの事業につきまして、昭和四十五年度以降特別会計を設置し、一般会計と区分して経理することとし、もって空港の整備の促進等に資することが適切であると認められますので、ここにこの法律案を提出することといたした次第であります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、この特別会計は、空港整備法に規定する空港その他の飛行場で公共の用に供されるものの設置、改良、災害復旧、管理等に関する経理を行なうことを目的とするもので、運輸大臣が管理することとしております。
 第二に、この会計は、国の空港の使用料収入、空港整備法に基づく地方公共団体の負担金、一般会計からの繰り入れ金、借り入れ金、受託工事にかかわる納付金及び附属雑収入をその歳入とし、空港整備事業に要する費用、関連工事に要する費用、受託工事に要する費用、空港事務所等の所掌事務の実施に要する費用、借り入れ金の償還金及び利子、他会計への繰り入れ金並びに附属諸費をその歳出とすることとしております。
 第三に、空港整備事業にかかわる施設の整備に要する費用を支弁するため必要があるときは、この会計の負担において借り入れ金をすることがで
 きることとしております。
 その他、この会計の予算及び決算の作成・提出、決算上の剰余金の処分等について必要な事項を定めるとともに、この会計の設置に伴い必要な経過規定及び関係法律の諸規定の整備を行なうこととしております。
 以上が、利率等の表示の年利建て移行に関する法律案外二法案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#6
○委員長(栗原祐幸君) 次に、補足説明を聴取いたします。近藤銀行局長。
#7
○説明員(近藤道生君) 先ほど銀行局長を拝命いたしました近藤道生でございます。御審議の途中での異動でございまして御迷惑をおかけすることと思いますが、よろしくお願いいたします。
 ただいま議題となりました利率等の表示の年利建て移行に関する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 第一は、利率等の水準についてであります。この法律案におきましては、利率等の表示を日歩建てから年利建てに改めることを目的としているのでありまして、利率等の水準につきましては、現行秩序を尊重するという考え方に立ち、改正前の水準を維持することとしているのであります。なお、改正後の年利建ての利率等は、原則として〇・二五%の整数倍の数値に定めておりますので、改正前の日歩建ての利率等をそのまま年利に換算いたしました数値とは、端数部分において一致しない場合もございますが、その場合には、その利率等が延滞金等国民に負担を課するものにかかわるときは端数を切り捨て、逆に、国民に支払う金利にかかわるときは端数を切り上げるという原則によって調整しております。
 第二は、ただいま申し述べた点と関連いたしますが、改正後の年利建ての利率等の刻みの例外についてであります。新たに定める年利建ての利率等は〇・二五%の整数倍とすることを原則としているのでありますが、税関係、社会保険関係等につきましては、との原則によらず、たとえば、七.三%であるとか、十四・六%であるとかのきめ方をしております。これは、これらの関係の延滞税、延滞金等につきましては、納税者など一般国民が、みずからその額を計算して納付するという建前になっており、かつ、延滞等の発生件数も、たとえば、国税の場合年間約五百万件、地方税の場合年間約三千万件、健康保険関係等の場合年間約二百九十万件と、きわめて多数に上る点等を考慮し、年利建て移行に伴って混乱を生じることのないよう、改正前の日歩建ての利率等をそのまま三百六十五倍した数値をパーセント建てで表示することとしているのであります。
 第三は、改正に伴う経過措置についてであります。利率等を日歩建てから年利建てに改めるに際しまして、端数部分を調整したものにつきましては、所要の経過措置を講ずることとしております。この経過措置におきましては、それぞれの延滞金等の性格に応じて、改正後の利率等を最も円滑に適用するよう配意しているのであります。
 以上をもちまして、この法律案の提案理由の補足説明といたします。
#8
○委員長(栗原祐幸君) 高木審議官。
#9
○説明員(高木文雄君) 国税通則法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を補足して御説明申し上げます。
 今回の国税通則法の改正は、最近における社会・経済の進展に即応し、納税者の不服を審理・裁決する機構として国税不服審判所の設置及び不服申し立て期間の延長、不服の審理手続の改善、更正の請求期間の延長等、納税者の権利救済制度について一連の改善措置を講ずることをその内容とするものでありまして、昭和四十三年七月の税制調査会の税制簡素化についての第三次答申を具体化しようとするものでございます。
 以下、今回の改正の概要につきまして、順次御説明申し上げます。
 第一は、国税不服審判所の設置でございます。すなわち、国税に関する審査請求につきましては、現在、国税局長がその下に付置されております協議団の議決に基づきまして裁決を行なうこととされていますけれども、今回の改正は、この協議団を廃止いたしまして、かわって国税庁長官の直属機関としまして、執行系統から切り離された国税不服審判所を設置し、審査請求の審理及び裁決は、国税不服審判所が行なうこととしております。国税不服審判所の構成は、国税不服審判所長の下に国税審判官、国税副審判官その他の職員を置くこととしております。また、不服申し立て人の便宜と事案の能率的な処理に資するため、国税不服審判所には、所要の地に支部を置きまして、国税審判官以下の職員を常駐きせることとしております。
 第二は、不服申し立て期間の延長及び納税者の不服の審理。裁決手続の合理化でございます。すなわち、異議申し立て期間及び始審としての審査請求期間は、現在、一カ月とされておりますが、今回の改正は、これを二カ月に延長することとしております。また、異議申し立て後三カ月を経過してもなお決定がないという場合には、現在、納税者が特に反対の意思表示をしない限り、三カ月経過のときに自動的に審査請求に移行することとされておりますが、今回の改正は、納税者の意思をより正確に反映する趣旨から、三カ月を経過した後は、納税者の発意により異議決定を経ないで審査請求ができることとしております。なお、納税者には、三カ月経過のときに審査請求ができる旨を教示することとしております。また 審査請求の裁決は、国税不服審判所長が、その指定する国税審判官の合議に基づいて行なうこととしております。さらに、審査請求について裁決をする場合において、現在、執行機関でもある国税局長は、通達と異なる法令解釈によって裁決することが困難でありますが、今回の改正では、国税不服審判所長は、国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈と異なる解釈によって裁決することができることとしております。ただ、このような裁決をする場合、または法令解釈の重要な先例となると認められる裁決をする場合には、課税処分等を行なう場合の法令の解釈と不服の裁決にあたっての法令の解釈との統一ある運用の確保を期する観点から、国税不服審判所長は、あらかじめ、その意見を付して国税庁長官に申し出るということにしております。なお、国税庁長官は、このような国税不服審判所長の申し出に対しまして指示をするという場合には、その問題を非常勤の学識経験者からなる国税審査会に諮問いたしまして、その議決に基づいてこれをしなければならないということにしております。この国税審査会は、国税庁に設けることとしておりますが、その委員は、十名以内で大蔵大臣が任命することとしております。
 第三は、納税者が誤って過大に税額を申告したと主張する場合の更正の請求につきまして、その請求することができる期間を延長したということであります。すなわち、現在、この更正の請求をすることができる期間は、所得税及び法人税の場合は二カ月、その他の国税の場合は一カ月とされておりますけれども、今回の改正は、この期間をいずれの場合も一年に延長することとしております。なお、申告期限後に生じました一定の事由によって更正の請求をいたします場合には、さらにその特例を設けるということにしております。
 第四に、国税の延滞税につきまして、一定の場合にその負担を軽減する措置を講ずることとしております。すなわち、滞納にかかる国税につきまして、差押さえによって徴収を確保する措置がとられた場合、または十分な担保の提供がされている場合には、その差し押えまたは担保の提供がされている期間の延滞税を二分の一に軽減するということにしております。
 さらに、以上のほか、異議申し立てについて補正を求めなければならない場合を明らかにするということ、審査請求の場合を含めて不服申し立て人が口頭で補正し、または軽微な不備を行政庁が職権で補正することができることなど、第六十一回国会における衆議院の修正は、すべてこの法律案に織り込んでおります。
 以上、簡単でございますが、国税通則法の一部を改正する法律案の提案の理由を補足して説明いたした次第でございます。
#10
○委員長(栗原祐幸君) 船後主計局次長。
#11
○政府委員(船後正道君) ただいま議題となりました空港整備特別会計法案につきまして、提案の理由を補足して御説明申し上げます。
 御承知のとおり、近年における航空機の利用の増加は著しいものがあり、これに伴い、公共の用に供される空港について、航空機の大型化、利用旅客の急増等に対処するため必要な滑走路等の施設の拡充、整備を推進することが必要であります。
 また、空港整備事業は、公共事業の中では特定の者の利用に供する度合の最も高いものであり、その意味において、今後は、航空機の利用者及び受益者の負担と協力を得ながらその事業の遂行をはかる必要があるものと考えております。以上の見地から、利用者及び受益者の負担協力関係を明らかにしながら、空港の整備を促進するとともに、その円滑な管理運用をはかるためには、特別会計を設け一般会計と区分して経理することが適切であると考えられますので、今回、空港整備特別会計を設けることといたしたのであります。
 空港整備特別会計は、道路整備特別会計、港湾整備特別会計等の公共事業会計と同様に、公共の用に供される空港の施設の整備という公共事業を行うことを第一の目的としており、また、この会計におきましては、空港の機能を維持し運用する管理作用もあわせて行なうことといたしております。
 次に、この会計の経理の対象となる事業について申し上げますと、運輸大臣の行なう第一種空港及び第二種空港の設置、管理のほか、地方公共団体の設置、管理する第三種空港に対する国庫負担金及び国庫補助金の交付を含んでおりますが、新東京国際空港関係、自衛隊及び米軍の専用飛行場関係並びに航空路管制関係の事業は、その対象といたしておりません。
 このような考え方のもとに、昭和四十五年度のこの会計の歳入歳出の予算額は、ともに百八十四億円余といたしております。
 以上、簡単でありますが、この法律案の提案の理由を補足して御説明申し上げました。
#12
○委員長(栗原祐幸君) 利率等の表示の年利建て移行に関する法律案について、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#13
○成瀬幡治君 銀行局長は、きょう発令のことでございますから、いろいろな都合がございましたら、関係の方でけっこうでございます。
 お尋ねしたい第一は、銀行業務関係についてでございますが、金利の引き上げはどんなかっこうになるやら、その根拠なり、そして今後に予想される影響と申しましょうか、そういうような金利引き上げについての一応の概略とその見通しなどを承りたいと思います。
#14
○説明員(吉田太郎一君) お答えいたします。
 金利の改定につきましては、もう御承知のとおり、戦後ずっといわゆる低金利政策という形で、わが国の金利の水準を国際水準にさや寄せしようということで一貫してできる機会をとらえて金利を引き下げていくという方針がとられてまいりました。それがおよそ二十年ぐらい続いてまいったわけでございますが、最近の状況を見ますと、わが国の経済の実力はもう国際的にも遜色のない形になっております。また、金利の水準につきましても、国際的に見まするとむしろ先進諸国のほうが割り高であるというような状況にも立ち至っておるわけでございます。これからの経済の運営のあり方といたしまして、経済を安定的に発展させてまいりますためには、金利の機能、価格機能と申しますか、そういう経済の合理的な働きを活用することを通じまして経済を安定的に発展させていくということが大切であるという考え方に立ちまして、また、経済の国際化というような環境の中で運営をしていくためには、そういう経済法則にのっとった運営が大事であるということにつきまして金利機能を活用してまいろうという考え方がだんだん深まってきたわけでございます。
 現在の資金需給の環境を見ますと、むしろ資金需要が非常に強く、現在形成されております長期の金利のあり方は、具体的には公社債市場における相場という形で反映されるわけでございます。これが発行価格と実勢とがかなり乖離してまいっておるという状況が去年の秋くらいから顕著になってまいったわけでございます。したがいまして、こういう資金需給の実勢を反映しない金利の姿をできるだけ実情に応じたものに改めていこうという立場から、まず、長期の公社債市場に関係のある金利についてこれを改めようということで、ことしの一月に入りまして、事業債のグループ、A格債、B格債、C格債とございます、そういうものにつきまして、その金利の改定が、産業界と、それからそれを引き受ける証券業界との間で話し合いがまとまったわけでございます。
 その結果、公社債の発行の価格のうち、社債につきましては、いままで、表面利率七分三厘、発行価格九十八円五十銭というものが、この際、表面利率を〇・三%上げまして七・六%にいたします。そして発行価格を九十八円にいたしまして、上げ幅といたしまして〇・四一八%を上げるということになりまして、これを三月から発行いたします社債から適用することになっております。
 こういう社債の金利が改定されますと、それと競合いたしますほかの債券にも当然及んでまいるわけでございます。この結果、長期信用銀行等の発行いたします債券、いわゆる五年ものの利付債と称せられるものにつきましても同様の改定が行なわれる。これは社債ほどの幅ではございませんが、やはり〇・三三八の上げ幅をもちまして三月債から実施されることとなっております。
 こういうように社債と金融債が上がりましたことに伴いまして、同じくそれと競合いたします貸付信託五年もの及び二年ものにつきましても、それに応じて順々にその金利の引き上げが波及してまいります。貸付信託につきましては、五年ものを〇・二%上げることになりまして、三月の二十日から実施される予定になっております。
 現在までのところきまっております引き上げの状況は、大体以上のようなものでございます。ただ、こういう資金吸収の面における金利が上がってまいりますと、それをもとといたしまして貸し出しを行ないます貸し出し金利にも当然及ばざるを得ないわけでございます。この結果、金融債を発行いたしております長期信用銀行、これは三行ございますが、これの長期貸し出しの金利を八・二%から八・五%に〇・三%引き上げることにきまりました。そして、これを四月一日の新規貸し出しから適用するというようになっておるわけでございます。
 以上が、今日までにきまっております金利の引き上げ状況でございます。
 この結果、どういうことがさらに波及してまいりますかという問題でございますが、おそらくは貸付信託の波及してまいります金銭信託、やはり五年ものというものがございます、これをこのままに据え置いておりますと、営業上はなはだ支障があるということで、業界の間でどの程度の上げ幅にするのが適当かということを現在相談をしておる状況でございます。
 なお、さらにそれらが波及するものとして考えられますものは、銀行の定期預金あるいは割引金融債等がございますが、この辺のところについてはまだ決定はいたしておりません。
 以上でございます。
#15
○成瀬幡治君 こういうまだ当然波及と申しますか足並みをそろえなければならないところが出てきますですね。それはいま調整最中と思いますが、いつごろまでに結論が出そうでございますか。
#16
○説明員(吉田太郎一君) これは、特に確定的にいつまでにきめなくては営業上支障がある、あるいは国民経済的に問題があるという、いわばデッドラインのようなものはないかと考えております。ただ、何ぶん競争関係に立っておりますので、一方が上がったのが、そのまま低いままで据え置くということについては、なかなかいわばがまんができないというような関係がございまして、特に普通銀行におきましては、こういう貸付信託等が上がりました場合、おそらくそれについてできるだけ早く上げたいという希望を持っておるように承知しております。ただ、貸付信託あるいは金融債の実際に上がってまいりますのが三月の二十日ぐらいからでございますので、現在はまだその影響は受けていないとも言い得るわけですが、しかし、なかなか営業上いろいろな支障がございまして、さっそく上げてほしいんだという声が私どものほうには参っております。ただ、これは、そういう金融界の関係からだけきめるわけにもまいりません。私どもといたしましては、やはり金利ができるだけ自然な形で金利の水準が決定される、その決定される姿というのは順々に波及していく形できめていきたい、こういうようなことで、現在どのぐらいの時点においてきめることが適当であるかということを検討しておるわけでございますが、おそらく五月ぐらいまでが最終の期限として預金などについては検討しないといけないのではないか、こういうふうに考えております。まだきめておりません。
#17
○成瀬幡治君 お聞きしておりますと、五月ごろに最終結論だということなんですが、前に一度公社債の問題がいろいろとありまして、銀行よさようならというときがあったわけですね。何かそこら辺のところとぴったりこないものがあるんだな。ぼくらでいえば、銀行業務がおくれて、そうして何かちょっと疑惑といっちゃおかしいが、もう少してきぱきやっていいじゃないか。それからもう一つ、大きいものと小さい弱いところの関連もあります。ですから、大きいほらが先にきまって、強いところが先にきまって、弱いところにしわが寄っちゃう。ですから、そういう公平といいますか、そういうものからいっても割り切れないものがある。そこで、聞いておりますと、決定的なものはないじゃないかという認識でいいものかどうかという点について私は疑問を持っております。ですから、いろいろなことがあるだろうと思いますけれども、なるたけ早くやっていただきたいということを希望をするといえばそれまでですけれども、とにかく努力はしてもらいたい。そうして、公平の原則に基づいて、少しでもこのことによって得をした人があってはならないと思います。逆に言えば損をした人があってはならないと思いますから、十分配慮をしてやってもらいたいということを申し上げて、なお関連をしながらあとでまた後刻御質問をこの問題についてはもう少し突っ込んだことを申し上げたいと思いますけれども、きょうは少し先に進めます。
 そういう金利を引き上げられる、そのことはいいのですが、私が一番心配することは、このごろやみ金融の問題がまた出てきましたですね。そこで、きのうの新聞にも出ておりますけれども、暴利の問題ですが、日歩三十銭という公益質屋の関連ですが、こういう問題については何かお考えになっておるのか、あるいは、いま公益質屋を実際運用しておられる状況なり、それから平均金利というものはどんなものか、三十銭というものが妥当か、もっと上げなきゃならないものか、下げなきゃならないものか、そういうことについてどんなふうにお考えになっておりますか。
#18
○説明員(吉田太郎一君) 公益質屋の利率につきましては、厚生省令の公益質屋法施行規則で月利三分ときまっておるわけでございます。これは四十二年の八月一日から適用されておりまして、それ以前では月利一分二厘五毛という形で行なわれておったわけでございします。
 いま成瀬委員の仰せになりました日歩三十銭と申しますのは、公益質屋と申しますよりは、むしろいわば暴利取り締まりという観点からの金利の規制の最高限度のお話ではなかろうか、こういうふうに考えております。これはむしろ社会秩序を乱すぎりぎりの線が日歩三十銭である、こういう考え方でございまして、三十銭の範囲内であれば金融的には正常であるという考え方ではないものだと私どもは理解しております。社会秩序を保つために最大限これだけは守るべきであるという限度が三十銭であるという意味でございまして、むしろそれをこえることは刑事罰の対象にすべき性質のものだと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#19
○成瀬幡治君 ぼくが勉強不足かもしれませんけれども、社会秩序を保つとかいろいろなこともあるけれども、五十銭が三十銭になってきたそのときに一番ネックになったのは何かというと、公益質屋との関係があって、三十銭以下には下げれないのだという議論があり、三十銭という線がきまった一つの大きな理由になっておったように思います。
 そこで、現に運用されておる公益質屋の利率というものはどのぐらいのものなのか。それから三十銭というのは、金利がいま少し上げるような方向にある。そうすると、三十銭というのはまだ低いじゃないか、逆に言えばもう少し上げていいじゃないかというようなことになるとたいへんなことになりはしないかと思っておりましたが、その辺のところはどんなものか、お尋ねをしておきたい。
#20
○説明員(吉田太郎一君) 公益質屋の実際に適用されておる金利につきましては、ここで的確にお答えする用意がございませんので、後刻厚生省から答弁いたしますようにいま手配さしていただきたいと思います。
 ただ、日歩三十銭を、五十銭からさらに下がってまいりまして、これをさらに今後下げるべきではないかというお話につきましては、まさにそういう問題がこれから起こり得ることであろうかと私ども考えておるわけでございます。それをこの利率のいま御提案申し上げております法律案の中でそのままにしておるのはなぜかというむしろお尋ねではなかろうかと存じますので、そういう趣旨でお答えさしていただきますと、この法律案は、とりあえず実体にはできるだけ影響をしないで、現在行なわれておる秩序をそのまま年利建てに移行していこうという考え方から、日歩三十銭を年利に換算いたしまして一〇九・五%と、こういうふうに規定しておるわけでございます。これをさらに実際問題としていかに判断すべきかという問題が別途確かにあろうかと存じております。ただ、いままでのところ、この三十銭というのは、昭和二十九年の六月にきまりまして以来動かされておりません。したがいまして、いわば高利貸しの世界と申しますか、庶民金融等の領域におきましてはこの限度をこえるということが刑罰の対象になるということが広く認識されておるわけでございまして、いまこれをこの年利建て移行法の関係でにわかに引き下げるということはむしろ種々混乱を招くおそれもあり、適当ではないのではないかと考えて御提案したわけでございます。確かに、先生のおっしゃいます三十銭そのものを引き下げるべきかどうかという問題は別途にあろうかと存じますが、何ぶん、そういう問題は、一つは資金需給の環境がかなり逼迫していない時期に下げることのほうがむしろ適当ではないだろうか。今日のように非常に需給が逼迫しているときには、下げるということについてはなかなか支障がありはしないか、こういうふうに考えております。
#21
○成瀬幡治君 金融引き締めという一つの政策があり、片一方には金利の引き上げというような問題がある。これを三十銭を上げようじゃないかというふうな方向に動くと実は心配しているんです、逆に。むしろ、この際、三十銭というのは、何といったってこんなお金を借りてやるなんということは企業としても不健全というか、不見識もはなはだしいことになると思うんですよ。ですから、こういうようなことはもう少し下げるような方向に努力をしてもらう、あるいはしてもらったほうがいいんじゃないかと思っております。
 まあこれはこれとして、その次に、長期資金を貸し付けておるのは損保、生保が相当なことをやっておりますが、ここら辺の金利はどういうことになりますか。
#22
○説明員(吉田太郎一君) 保険会社の損保、生保の長期貸し付けにつきましては、特に長期信用金庫のようにプライム・レートと申しますか標準金利的なものはつくっておりません。全く別に個々の取引交渉によってきまっておる状況でございます。したがいまして、今度、生保、損保のほうのコスト関係の移動がない限りは、現状では、長期金利の引き上げが一方で行なわれたから特にそれが影響するというものではないと考えております。ただ、一般の資金需給関係の基調が変化してきたということで、ケース・バイ・ケースで取引問題として金利がきまっていくというように考えておるわけでございます。
#23
○成瀬幡治君 これは銀行局じゃございません、理財局の関係だそうですが、ぼくは資料としてお願いしたいと思っておりますが、生命保険の掛け金、特に平均寿命が年々延びてきておるというときに、掛け金の問題等が利益配当というような形でなされるといえばそれまでかもしれませんけれども、いま平均寿命をどのぐらいにして算定をして掛け金をやっているか。それではちょっとおかしいからというので、配当金等をつけておる制度もございますけれども、どんなふうになっておるのか、その辺のところを、これは簡易保険とも関連がございますから、あの当時の算定基準から現在に移行しておるのに対してどう処置をしておられるのか、何もやっていないのか、何か経過的な措置でいわゆる被保険者にたいして優遇措置をとっているようなところがあるのか、それからいま何かこの問題について検討をされているようなものがあるなら、ついでに経過的なものを参考資料として御提出をお願いしたいと思います。――これはよろしゅうございますか。
#24
○説明員(吉田太郎一君) 承知いたしました。
#25
○成瀬幡治君 次に、新聞にときたま出てまいりますのですが、信用組合が不良貸し付けと申しますか不良貸し出し等をやって預金者にいろいろな迷惑をかけているというような問題が出てまいっております。そこで、これは県の認可ということが大筋かもしれませんけれども、こういうことに対して何か大蔵当局のほうではお考えございましょうか。
#26
○説明員(吉田太郎一君) 先生のおっしゃるとおり、現在は、その信用組合の地区が都道府県の区域を越えないものにございましては管轄都道府県知事、その他のものについては大蔵大臣が監督をすることになっております。全国五百四十の信用組合のうち、直接大蔵大臣の監督にあるものは、都道府県にまたがっております職域組合の二件のみとなっております。したがいまして、信用組合はほとんど大部分都道府県知事の直接監督になっておるわけでございます。これは、一つは、信用組合が、相互扶助と申しますか、非常に封鎖的な性格を持っており、かつ非常に地縁的なものであるという観点から行なわれてきておったものだというように理解をしておるわけでございますが、大蔵省といたしましては、金融行政の一環といたしまして、できるだけ金融政策あるいは金融行政が斉一に行なわれるという見地から、一昨年、各知事にあてまして、信用組合の監督のあり方について統一をとってもらうという意味で基本通達を出しております。それによりまして、一昨年から、信用組合を新設する、あるいは支店を設置する、あるいは営業区域を拡張するというような重要な事項については、事前に大蔵省に協議をしてもらうというようになっております。ただ、その組合の検査については、なにぶん検査官というものが非常に専門的な職能でございまして、すぐにふやすわけにもいきませんし、非常に限られておりますので、これは都道府県におまかせしております。しかし、その検査の励行方については、常時連絡をとって、的確な検査をやっていただきたいというようにあらゆる機会を通じて連絡をとっておる状況でございます。
#27
○瓜生清君 関連してちょっとお伺いしますが、いま信用組合の話が出ましたけれども、大蔵省として、ごちゃごちゃした小さな信用組合たくさんあるわけですが、それを集中的に一つの大きな金融機関に統合するというような意思があるのかないのか、その点を伺いたいと思います。
#28
○説明員(吉田太郎一君) 信用組合の場合には、御承知のように、組合員による運営が行なわれておりますので、特に監督官庁が何らかの形で強制する、あるいは干渉する形で統合を行なうということは慎んでおります。ただ、統合のような気運が生じてまいりました場合には側面的にできるだけの協力をしたい、こういう姿勢にとどまっておるわけでございます。
#29
○成瀬幡治君 農協も、中央は別として、地方にも、たくさん、村単位というんですか、市町村単位に相当金を扱っておりますが、一番問題になるのは、これの行政指導がだれが責任を負うてほんとうにやっておるのかどうか。いまお話を聞いておりますと、専門的な知識のある人がいわゆる検査官でなければならない、そういう検査官というものが少ないんだと。大蔵省自体が少ないぐらいで、あなたのほうはやるように都道府県に対していろいろと通達等を出して、あるいはお願いをしておられるということはわかりましたですが、それじゃそういうことを都道府県は実際どういうことをやっているんだ、どのくらいのことができておるだろうかというようなことについては、通達を出した、指示はしておいたんだ、これで事足れりと考えておいでになるのか、どうでしょう。
#30
○説明員(吉田太郎一君) 私ども、これで十分な検査が行なわれておる状況だとは必ずしも思っておりません。と申しますのは、都道府県によりましてかなりの格差もございます。これは必ずしも正確なものではございませんが、県によりましては、非常によく励行しておられる県におきましては、二年に一度くらいの周期で検査をやっておられるところもあろうかと思います。ただ、その辺のところはかなりその期間が長くなっているところもございます。それは、先生の仰せのようにそれぞれの都道府県の職員の関係かと思いますが、まちまちでございます。ただ、検査の結果につきましては、毎四半期ごとに大蔵省に提出してもらうというようにして、その検査のあり方についてはできるだけアドバイスをするなり御相談に応じているというようにはやっております。
#31
○成瀬幡治君 組合員相互だとはいいますけれども、信用組合と看板をあげておりますと、一般の人は、まあ金庫も銀行も一緒にしてしまいまして預金するわけですね。それからまた、信用組合の人が熱心に掛け金を集めてくるというようなこと、そうして勧誘もされるというようなことで預がされますけれども、さてその預かったほうの人が不良的な運用をされると、まあ不良と言っちゃおかしいですけれども、間違ったことをやられると、たいへんな問題になってまいると思いますから、信用組合と農協とを一緒にしてはいけないと思いますけれども、農協関係なんかでも、帳簿のそろっておらない大福帳的な、あるいは皆さんから預かった預金を保管をする金庫が整備されていないとか、いろいろな問題があると思います。そういうような問題について一般の人たちを保護する立場からぜひ検討をして、間違いの起きないような措置を講ずるようなことをやっていただきたいと思います。
 それから次に、もう一つ、銀行業務のことでお尋ねしておきますが、無記名預金というのがございますね。これは池田大蔵大臣のときからだと思います、たんす預金があってはいかぬから、金の活用といったようなことで。あれは一体やめたらどうかと思うのだが、どうしたものでしょう。
#32
○説明員(吉田太郎一君) 無記名……
#33
○成瀬幡治君 あるいは架空名義、いろいろなものがある。
#34
○説明員(吉田太郎一君) 無記名のものと架空名義のものとございますが、無記名預金の問題につきましては、決して好ましいものであるというようには考えていないわけでございます。ただ、金融慣行といたしましてかなり長い間定着してまいっております制度でございますだけに、この取り扱いにつきましてはできるだけ慎重にする必要があろうかと考えております。たとえば、無記名預金を一挙に廃止しようとした場合に、好ましいことではございませんが、これが架空名義というような形に流れまして、かえって実情をいわば陰湿なものにしてしまうという問題もあろうかと思います。したがいまして、今回の税制改正におきましても、無記名預金につきましては、初めから高い源泉選択の税率を適用するというように扱っているわけでございまして、決して無記名預金を奨励するようなことは一切しない、むしろ漸減する指導をしているわけでございます。実態的にも、金額、口数とも預金総額に占める比率は減少してまいっているような状況でございます。ただ、これを、先ほど申しましたように締め出してまいりますと、架空名義となりますと、今度はその架空名義を追及するという問題がはなはだ実情としてむずかしい問題が起こってきやしないかということで、その辺のかね合いの問題ではないかと考えております。今度の税制におきましては、いま申しましたように、初めから高い税率のものを適用するという扱いでやっていきたいと考えております。
#35
○成瀬幡治君 まあ無記名預金を奨励したと言っちゃおかしいですけれども、あるいはまた定着したとも言われますが、害のほうは全然ないというふうに考えておられるか。これがあることによって、それじゃどういう悪いものが出ておる――全然ないというようにお考えですか。
#36
○説明員(吉田太郎一君) 無記名預金の問題は、金融の制度の問題と考えるのか、あるいは税制のほうの問題と考えるのかと申しますと、一番の弊害のあるのは、やはり脱税といいますか、正規の所得を捕捉することを阻害する問題ではないか、こういうように考えております。ただ、一般の無記名預金以外の預金につきましても、税務当局が金融機関に参りましてすぐその預金を調べることによって所得を、捕捉するということはいかがなものであろうか。むしろ税務調査本来の活動によって所得を追及していった場合に、その人の預金がどうなっておるかという形で追及していくことはあり得ても、一般に銀行に参りまして預金者名簿を全部ずらっと見る形で預金あるいは所得を捕捉するというようなことになっては、一方貯蓄心理にも非常に影響を及ぼし、社会的にも弊害が出てまいります。その辺のところは、税務行政と金融の問題とのかね合いは非常にデリケートな問題があろうかと存じます。その場合に、無記名預金というものがあることが支障があるという問題が確かにあろうかと思います。今度提案しております税制におきましては、それは源泉選択の高い税率を適用する意思があるものと考え、その税率を適用していくということで解決する。あるいは、さらに、脱税の問題につきましては、その脱税者本来の所得追及を通じてその預金などを追及していくべきものであるというのが現状においては一番現実的な方向ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#37
○成瀬幡治君 この問題でそう議論をしようとは思いませんが、銀行のほうとしては、税務署が見してくださいよと言った場合には見せなさいと指導してお見えになるのか。いま聞いておると、どらもわからなくて、所得をつかむそちらの本筋から脱税の追及はいくべきじゃないかと。それはそのとおりだと思う。しかし、そんなことをなかなかやっちゃおれぬ、手っとり早くいかなくちゃならぬと思うのです。どういうふうに御指導になっているのですか。
#38
○説明員(吉田太郎一君) 私どもは、いわば魚釣りと申しますか、そういうような言い方をしておりますが、一般的にどういう人が預金しておるか教えてくれということで銀行なりあるいはその他の金融機関に行くことは差し控えてほしいと言っております。むしろ、税務当局が、かくかくの人間の預金は幾らであるかということを、しかるべき証拠と申しますか、令状のようなものを持って参った場合には、金融機関はこれに当然協力すべきであるというように指導しております。
#39
○成瀬幡治君 まあ、実際は、協力しなければ令状に切りかえますよということになるから、行けば実際はみんな協力しています。実情はそうなんです。ですから、まあ無記名預金をなくすれば架空名義にしてしまうのだ、どうだというようなことは、概念としてはいろいろとありますが、片方じゃ税の公平化、それはトーゴーサン(十・五・三)だとかクロヨン(九・六・四)だとかいろいろありますけれども、しかし、ぼくは、税との関係の上においてちょっとお考えいただいたほうがいいんじゃないか。そういうことは、納税に対する国民の思想というもののレベルアップから考えても不適当じゃなかろうか。あるいは、今後進めていく物価対策、特に土地の所有のような問題についても、たとえば二千万円の土地を持っておるけれども、実際は四、五十万しか価値をあげられないというようなことになれば、土地というものの活用というのですか、公に持ち得るというようなことに対する一つの思想の確立というような面から見ても、こういうような点についてはもう少し行政をレベルアップしていくという立場から、思い切って決断をすべきときにきているんじゃないかというふうに考えておりますけれども、まあいろんな事情等があるようでございますが、一度御検討をお願いしたいと思っております。
 最後に、このごろ、銀行が、不動産業をはじめ、相当な多角的な経営をやっておる。あるいは、それが本来ならばみんなの金融機関であるべきものが、非常に制約をされて、特定なところだけの金融機関になっていくというようなことにもなると思います。ですから、また、銀行の合併等の問題も出てまいっております。また、大蔵省もどうもそういうようなことについては賛成のようでございますが、少なくともあまり系列化されてしまってやると、銀行の本来の使命から逸脱して財閥銀行のようになってしまえばどうもおかしいことになるんじゃないか。ですから、金融の民主化から言っても、まあ考え方というものはいろんなことがあって理屈をつければ多角化していくのもやむを得ないものもあるかと思いますけれども、本来の業務に専念をするように行政指導をやるべきである、ほかのものについては相当きびしく銀行監査等で追及をしておく必要があると思いますが、どうでございましょう。
#40
○説明員(吉田太郎一君) 私ども、全く先生のおっしゃるとおりに考えておるわけでございます。銀行法にも、他業を行なうことを禁止しておるわけです。銀行業務として許し得るのは、本来の法律に書いてあるものと、それに付随する業務、その付随する業務ということについては、非常に制限的に考えておるわけでございます。ただ、一般的に世間から見ますと、銀行そのものが経営しておるかのごとき印象を持つような宣伝と申しますか、大衆化というようなことで宣伝をしておる向きもないわけではございません。ただ、それは、資本関係が一緒である。たとえば金融機関は一割まではほかの会社の株主になり得るわけでございますが、そういう資本的な系列を通じて系列会社がやっておるというものが銀行自身が経営しているような印象を与えておるといった向きもないわけではないかと考えております。しかし、金融機関の経営の健全性をそこなうようなことがあれば、私ども、検査を通じて非常にきびしくその是正をやっております。したがいまして、金融機関の経営には影響のないものばかりだと申し上げて差しつかえないかと存じます。
#41
○成瀬幡治君 私、形式的なことじゃないと思うんですよ。実質的に、資本はなるほど一割かもしれないけれども、たとえばそれは貸し付け金でやっていくとか、運用資金を出して行くとか、いろんなやり方があると思います。もう一つは、人の問題もございますですね。ですから、形式の問題じゃなくて、実質的にどうなっておるかということで、あなたたちが見たって、いや、あなた方だけでなくて、われわれが判断しても、おかしいと思うものがいくらでもあるんですよ。そこを立ち入って行政指導するのは、なるほど少し行き過ぎな面もあるかもしれない。しかし、そこまでやっていいじゃないかと思う、こと銀行に関しては。これぐらい保護されているものはないわけですから、みんなの金融機関として。だから、そういう形式論のことを私は言うのじゃないんです。もう少し実体論から、いまのかっこうでいいと私は決して思わぬのですよ。あなた方のほうはいいと思っているのか、そこが問題だと思う、現状認識の点で。行き過ぎはないと、こういうふうに判断されているのかどうかという点です。−銀行全部だとは言いませんよ。
#42
○説明員(吉田太郎一君) 私ども、実は、形式的に判断しておるつもりはございません。ごもっともなお話でございまして、ただ、検査で、不良融資あるいは情実融資と申しますか、一つのところにかたまって貸してしまうというようなことがある場合に、系列であろうがなかろうが、非常にきびしくやっておるという趣旨でございます。ただ、人的な系列、あるいは自分の担保にした不動産の処分のために子会社をつくっているというような問題が確かにあるわけでございます。それが金融機関の経営上非常に重荷になっておるとかいう問題も一つあり得るかと思いますが、現在のところそういうような問題はないように思います。
 ただ、先生のお話しになっておるのは、銀行の経営に影響があるというよりも、社会的な問題として一つの企業をまるがかえに金融機関がやっておるのはけしからぬではないか、こういうお話ではないかと思います。それについては、単に経営の資産内容がいいとか悪いとか、貸し出し内容がどうこうという問題ではなくて、それが社会的な機能としてはなはだ好ましくないという問題が生じておるとするならば、私どもとしては確かにその辺のところについては是正をしなくてはいけないのではないかと思っております。ただ、現在までのところ、特にその弊害と考えられるものについて具体的なケースというものがございませんので、もちろん今後どういうふうに変化していくかわかりませんが、いまのところ特に目立った規制というようなものはいたしておりません。
#43
○瓜生清君 吉田さんね、まだそこまでのことはきまっていないと思うけれども、いま金融再編成ということばがよく新聞紙上に出ておりますね。大蔵省はそれに対してどういう考え方なのか、ふわふわとしたものでもいいから、あなたのお考え方を聞かせてもらいたいと思います。
#44
○説明員(吉田太郎一君) 現在まで、金融機関の経営は、さっき成瀬先生もおっしゃいましたように、いわば過保護という傾きがあったかと思います。また、それはそれなりに、そうすることによって日本経済を大きく成長さしていくための一つの金融資金の中核として戦後盛り立ててきた意味があったようにも思います。ただ、こういうふうに日本経済がもう国際化する段階において、従来とも、経営の中身にまで大蔵省が手取り足取りして経営者の立場に立っていろいろ考えるという時代はもう過ぎつつある。大蔵省の金融行政と金融機関の経営との間に距離ができて、本来経営の責任に属するものは経営者が考えていく、大蔵省は単に金融機関の経営が健全になるということだけではなくてむしろその社会的な機能あるいは経済的な機能に着目した面で監督をしていくということになりつつあろうかと思います。その考え方が金融の効率化というような表現であらわれておるわけでございまして、金融機関の経営がある程度の競争、適正な競争の中にさらされることによって、より効率的、より国民経済的に、メリットのある形にしていこうというのが、現在のところの大蔵省の行政の姿勢でございます。で、それが行き着くところ、いわゆる金融再編成という形で、金融機関の合併統合という形になり得るということは、私どもはむしろ期待しておると申し上げて差しつかえないかと存じます。ただ、そういう理念的に望ましいことと実際に生きておる企業が合併に踏み切るということの間の距離というものは実に距離があるものでございまして、そういう姿勢あるいはそういう環境をつくっておっても、いますぐ再編成が実現されるということはなかなかむずかしいのではないかと考えておりすす。
#45
○成瀬幡治君 あなたのほうで、貸し付けですか、貸し出しというんですか、たとえばAの会社に対して最高の限度額、貸し出し制限を設けるというような、そういう思想は出てまいりませんか。
#46
○説明員(吉田太郎一君) ちょっと、いまのは、貸し出しの……
#47
○成瀬幡治君 貸し付けと申しますが……。
#48
○説明員(吉田太郎一君) 金額のワクでございますか。
#49
○成瀬幡治君 そうそう。
#50
○説明員(吉田太郎一君) 金融機関ごとにワクと申しますものは、もう御承知のとおりでございまして、資金ポジションと申しますか、預貸率……
#51
○成瀬幡治君 ぼくの言うのは、一会社に対してです、民間会社の。
#52
○説明員(吉田太郎一君) これは、かねてから、そういう一つの問題として、昭和三十年代以来研究あるいは議論のあるところでございます。おそらく、これは、一つは、金融機関の自己資本を基準にいたしまして、一つの企業に何割以上貸してはいけないというほうからのきめ方が一つあり得るかと思います。もう一つは、相手方の企業が一つの銀行から幾ら以上借りてはいけないという考え方があり得るわけですが、実際的なのは、金融機関のほうで一つの企業に対して自分の自己資本の二割なら二割以上こえてはならないというような考え方があろうかと思います。ただ、今日の経済のように、一つの金融機関と一つの会社を比べてみた場合に、具体的に例をあげるのもどらかと思いますが、たとえば八幡一つをつかまえて、一つの金融機関がとてもまかない切れないというな実情の場合に、これをあまりこまかくいたしますと、非常に分散した形で、むしろ融資の自主性というものが失われていくというような弊害もあるわけでございます。むしろ企業に引きずり回されてしまうというような問題もあろうかと思います。中小企業の場合は、むしろそういう制限があってもあまり意味はないわけでございます。国民経済的にいわゆる大口限度を設けるということは、かねてから金融制度調査会でも一つの検討事項として扱ってまいったわけでございますが、今日までのところまだ結論が出ていない状況でございます。いろいろの弊害というようなことも考えられますので、そういう限度を設けるべきだという結論はまだ出ておりません。
#53
○成瀬幡治君 金融民主化の問題ですね、いろいろな点であると思いますが、結論が出ないという――たとえば八幡のような問題一つを例にとれば、確かにたくさんのところでやっております。それから中小企業でいえばそれもまた問題ではないかといえばそれまでですが、金融のモラルとして一つの限度額というものがその中にあってもいい。これは法律としてどうこうということではなくて、モラルとしてあるのが当然ではないかと思います。そこで、まあいろいろと検討してみたとおっしゃるのだが、そういう慣行というのですか不文律的のものが、法律としてとかあるいは規則としてどうこうというのではなくて、モラルとして必要ではないかということを痛切に感じておるのですが、どんなものですか。
#54
○説明員(吉田太郎一君) 仰せのとおりでございます。したがいまして、融資の大口集中ということについては決して望ましいことではないのだということで、たとえば検査に参りましても、大口のものについてはリストを出してもらうとかというような形で、奨励的なことは実はやっておりません。むしろ、金融機関の経営の立場からいって、一つに集中するということはそれが融資のいかんによっては非常に金融機関の経営そのものに打撃を与えるわけでございますから、大口集中を奨励するどころか、むしろ望ましくないという姿勢で臨んでおることは事実であります。ただ、これを、いまも先生がおっしゃいましたように、一挙に何らかの形で規制することはなかなかむずかしい、こういうふうに理解しておるわけでございます。
#55
○成瀬幡治君 これもずっと問題になっておったのですけれども、従業員から会社が預金を預かるといってはおかしいのですけれども、実際はそういう社内預金ということばがあるわけですね。これはどんなふうに片づいたのですか。まだそのままになっておるのですか。検討、検討で来ておるのですか。
#56
○説明員(吉田太郎一君) 確かに前からの問題でございます。ただ、昭和四十一年の三月、もう先生御存じかとも思いますが、労働省は、社内預金に関する規制を強化するために、労働基準法の施行規則の一部を改正いたしまして、一連の措置をとったわけでございます。これは、もう御承知でございますが、戦後非常にふえてまいりました社内預金につきまして、その取り扱いが放漫に流れて債権保全に不安があるというような御批判もございましてとられた制度でございまして、中央労働基準審議会の答申を受けて実施されたわけであります。
 そのおもな内容は、労働基準法の十八条に基づく貯蓄金管理協定というものに関連いたしまして、預金の利率、それから預け入れ限度などについて適正化をはかろうというわけでございます。労働省に定期的に貯蓄金管理の状況が報告されていることになっています。ただ、この実施と同時に二年間の猶予期間を置いておりまして、その期限が実は四十三年の三月末になっておるわけであります。これは、具体的には、預金者の範囲がその会社にいる労働者に限るというようなこと、あるいは預金者一人当たりの限度についてはその事業場の賃金の水準等を考慮してきめる、それから利率については一定の範囲内ということ、それから預金の保全方法等についても規定をしておるわけでございます。これが、その後、大蔵省といたしましても、以上の考え方に基づきまして、銀行に対しましても銀行の行員預金等について大体同じような扱いをやっておるわけでございます。現在そういうような状況でございまして、ちょっと具体的な計数がどうなっておるかというようなことにつきましてはいま実は用意をしておりませんので、後刻必要でございましたらまた御報告させていただきたいと思います。
#57
○成瀬幡治君 労働省とあなたのほうとの関連で、主管は労働省だとおっしゃればそれまでですが、一つの銀行業務ですわね。いろんなことは全部労働省に一切おまかせしておられますか。全然これについては大蔵省としてはノータッチだと、こういうことですか。
#58
○説明員(吉田太郎一君) 大蔵省としては、社内預金は本来望ましいものではないという姿勢で労働省に御相談をしておるわけでございます。ただ、これは、労働の慣行が長く続いてまいっておるだけになかなか規制することもいろいろの点で障害があるといろ点で、両者の話し合いでいろいろやらざるを得ない性質のもので、大蔵省としては、労働省にまかしておるというよりは、本来、資金の流れ等を乱すものでもあり、また正規の金融機関のように正確に債権が保全されておるものとは考えられないだけに、むしろこういうものは望ましくないという形でいろいろ御相談をしておるわけでございます。
#59
○委員長(栗原祐幸君) 本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#60
○委員長(栗原祐幸君) この際、おはかりいたします。
 先般、当委員会は、租税及び金融等に関する実情調査のため、東海・近畿地方へ委員派遣を行ないましたが、派遣されました委員の方々から報告書が委員長の手元に提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#61
○委員長(栗原祐幸君) 異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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