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1970/03/10 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第6号
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1970/03/10 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第6号

#1
第063回国会 大蔵委員会 第6号
昭和四十五年三月十日(火曜日)
   午前十時十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         栗原 祐幸君
    理 事
                小林  章君
                沢田 一精君
                成瀬 幡治君
                鈴木 一弘君
                瓜生  清君
    委 員
                青木 一男君
                青柳 秀夫君
                伊藤 五郎君
                岩動 道行君
                大竹平八郎君
                今  春聴君
                津島 文治君
                丸茂 重貞君
                矢野  登君
                木村禧八郎君
                松本 賢一君
                横川 正市君
                渡辺  武君
   政府委員
       大蔵政務次官   藤田 正明君
       大蔵省主税局長  細見  卓君
       国税庁長官    吉國 二郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       大蔵大臣官房審
       議官       高木 文雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国税通則法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(栗原祐幸君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 国税通則法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#3
○成瀬幡治君 最初に、資料要求ということで申し上げたいと思うのですが、今度の百五条に関連をいたしまして、旧所得税法あるいは旧法人税法では滞納処分の執行停止のことが書いてあったわけです。その条文があったのですが、新しい所得税法なり法人税法にはございませんですが、滞納処分の執行停止のことのあった旧所得税法、法人税法の写しがほしいと思います。
 二つ目は、架空名義預金は国税庁としてはやらないようにということで、銀行局長というのですか、何か大蔵部内で話し合いがされておるようですが、それは文書でやられておるのかどうか。もう一つは、ここに銀行局はおられないですが、銀行のほうへは文書で出ておるのじゃないかと思うわけです。ですから、それがあれば、文書を資料としてお出し願いたいと思います。もし、国税庁長官と銀行局長との間の話し合いというものが、文書交換等がなされずに、ただ口頭であるというなら、ここで口頭で御答弁願って差しつかえございません。
#4
○政府委員(吉國二郎君) 前の部分は主税局からお答えすべきものでございますが、法人税法、所得税法についての規定は、直ちに印刷をして御提出いたしたいと思います。
 それから銀行局長との間では、具体的に文書では申し合わせがないのでございますけれども、いわばその結果というべきものが銀行協会等から傘下金融機関に示されておりますので、その内容を印刷して御提出いたしたいと思います。架空名義についての問題でございます。
#5
○成瀬幡治君 そうすると、国税庁長官と銀行局長との間では、文書ではなくて、話し合いですか。
#6
○政府委員(吉國二郎君) そのとおりでございます。
#7
○成瀬幡治君 じゃ、ちょっと話し合いの中身を聞かしていただけませんか。
#8
○政府委員(吉國二郎君) その中身の概要は、そのときに一緒にお示しいたしたいと思います。
#9
○成瀬幡治君 それじゃ、資料が出ましたときにその問題についての説明を承りたいと思います。
 続いて、質疑に入りたいと思いますが、衆議院で、国税通則法の一部を改正する法律案に対する附帯決議というものがなされております。附帯決議に対して、おそらく、速記録を見たわけじゃございませんが、大蔵大臣なり、あるいは主税局長なり、あるいは国税庁長官等、みんな、前向きに検討するとか、あるいは善処するとか、いろいろな話がなされておると思います。そこで、一から七までについて、具体的に――抽象的に考えるといえばそれまでですが、これを具体的にどういうふうに実現することができるものなのか、その説明を承りたいと思います。これは国税庁なりあるいは主税局に関連すると思いますが、それを、この一、二、三、四、五、六、七の順序でひとつお願いしたいと思います。
#10
○政府委員(吉國二郎君) 本法案の議決に際しまして衆議院で付せられました四党提出の附帯決議につきましては、そのときに、大蔵大臣から、この件については十分検討し処理をしたいということを申しております。
 第一の事項につきましては、これは制度将来の問題として考えていくべきものだと思いますが、「人的構成及び運用についてその独立性を強めるよう留意し、」ということは、その際いろいろ質問で明らかになりましたように、国税不服審判所の職員につきましては特別の身分保障等が必要ではないかという御指摘がございました。この点につきましては、一般の公務員につきましての身分保障はございますけれども、特別の身分保障は今回は用意ができませんでした。しかし、この問題については、将来の問題としてでき得れば考えていきたいということで努力をいたしたいということをお答えしているわけでございます。さらに、「国税庁から独立した租税審判制度の創設、出訴と不服申立ての選択等についても、絶えず真剣な検討と努力を行なうべきである。」という点は、これも御質問等から明らかになりましたように、国税庁からむしろ独立をした準司法機関的な租税審判制度をつくるべきではないかという御指摘があったわけでございますのと、出訴と不服申し立てを選択制にして、不服のある者は直ちに出訴し得る体制をとるべきではないかという二点でございますが、これにつきましては、現在の行政段階、あるいは現在の行政組織、司法組織のもとにおきましては、直ちに準司法機関を設けることは非常な困難がございますけれども、国税不服審判所を適正に運営して、その実績が非常に顕著に認められることになれば、おそらく準司法機関に一歩を進める条件というものが成熟するのではないか。その場合には、準司法機関にして、司法裁判所においては第一審を省略するという主張が認められる段階が来るかもしれない。そういう意味では、むしろこの国税不服審判所の運用を十分的確に行なうことによってその事態を早く実現し得るように努力をいたしたいという意味で、今後努力をいたしたいということを申し上げているわけでございます。出訴と不服申し立てにつきましては、これも、同じように、現在の不服申し立ての状況から申しますと、非常に多くの件数があり、事実認定の問題がその大部分を占めておりますので、今後税務の調査体系あるいは不服審査というものを合理化していくことによってそれを減少させることができれば、将来は選択制を導入することも不可能ではない。これもやはり努力にかかっているという意味でお答えをいたしておりますが、そのように考えております。
 二番目は、むしろ運営の問題でございすので、今後直ちに努力をすべき問題であると思いますが、第一点の「納税者がためらうことなく自己の権利救済を求め、その主張を十分行ない得るために、いやしくも税務当局が不服申立人を差別的に取り扱うようなことのないよう、厳に適正な運営を確保すること。」と申しますのは、これは、不服申し立てをしたがためにその後の調査等で意地悪をされるのじゃないかという心配が不服申し立てを妨げているという御意見がございます。私どもは、事実そういうことがあれば非常に申しわけない次第なんで、今後そういうことが絶無になるように、あったといたしましても絶無になるように行政上努力をいたしますということをはっきり申し上げているわけでございます。
 それから第二点の「質問検査権の行使に当たっては、権利救済の趣旨に反しないよう十分配慮すること。特に、国税不服審判所の職員は、その調査が新たな脱税事実の発見のためではないことを厳に銘記の上、納税者の正当な権利救済の実現に努めること。」さらに、今回つけ加えました分として、「なお、審査請求後、原処分庁が答弁書提出を理由として上記のごとき権利救済の趣旨に反する調査を行なうことのないよう、厳に留意すること。」と、これは、今回の通則法におきましては、従来の質問検査権とは別個に、国税通則法の中に審判官に対して質問検査権を与えたわけでございます。その内容は、従来の協議団の有しておりました質問検査権よりはかなり罰則等は軽減されたものではございますけれども、質問検査権が審査の段階で必要であるということはお認めを願ったわけでございますが、本来、今度の改正は、権利救済ということを主眼としてやるべきものであり、納税者の権利救済を全うするための事実発見ということに質問検査権を用いるべきではないか。わざわざ納税者に不利な事実をさがすために質問検査権を用いるというのは、権利救済の本旨にかかわるという御主張でございます。さらに、原処分庁におきましても、今後答弁書を提出する際には、補充的に調査を行なうこともございますけれども、そのときに、わざわざ脱税事実をもう一回掘り起こしてみようというやり方をするのは適当ではないという御趣旨であると思います。私どもは、国税審判所の仕事の運営ということを考えますと、できる限り正しい所得というものを把握することによって納税者の権利を保護するということを第一義的に考えるべきものでございます。この御趣旨にのっとって運営をするように努力いたしますということを申し上げております。
 第三点は、「納税者が審査請求に当って自己の主張を十分に行ない得るよう、税務当局はその処分又は異議決定において附する理由をできる限り詳細に記載するよう努めること。」と。これは、権利救済をいたしますにあたりましても、納税者が税務官庁側の調査の内容について十分熟知することが必要でございますので、今回の通則法の改正におきましては、従来、調査内容について、決定についての理由を付しておりません白色申告者の処分につきましても、異議申し立てがあってその異議を棄却する場合、あるいは異議申し立てがあってなお三カ月の期間が経過した場合、この場合には白色申告者に対しても原処分の理由を明らかにすることにいたしております。したがって、そういう理由につきましては、納税者がよくわかって、それに対して反論し得るように具体的に書くべきではないかという御指摘で、これも当然のことであります。この方向で努力いたすつもりでございます。
 三番目は「大蔵大臣は、国税不服審判所長の任命についての承認に当たっては、自らが任命するのと同様に積極的に取りはからうべきである。」と。これは、国税不服審判所長は、一応国税庁の外局という形をとりますので、任命権者は国税庁長官ではございますけれども、先般の前々国会におきまする審議の際に、大蔵大臣の承認を得て国税庁長官は任命権を行なうということに御修正をいただきました。その修正の趣旨は、本来は大蔵大臣が任命するくらいの気持ちであるぞということでございまして、これは大蔵大臣がみずからそのつもりで十分やるということを言っておられるわけでございます。
 それから四番目は、「本法の目的を達するため、国税審判官等がその職務の執行を厳正に行ない得るよう、その身分保障及び処遇等について十分に配慮すべきである。」と。これは、最初に申し上げました身分保障の問題ともからんでおりますが、おそらく、この四番目は、いまの現行法のもとでも、人事権の確立とか、それらの方法によりまして、実際上の身分保障が行なわれ得るはずだという意味だと思いますので、私どもは国税審判所長に対して一部の人事権を委任するということにいたしまして、十分慎重に配慮をいたしてまいりたい、かように考えております。
 五番目は、「新制度への移行に伴う人事配置に当たっては、現在の協議団の職員が不利な取り扱いを受けないよう十分に配慮すべきである。」と。これは、現在、協議団には四百数十名の職員がいるわけでございます。今度国税審判所ができますと、協議団は解消されます。したがって、実際上審査の仕事に当たっておりました多くの人がほかの部門に移るということになりますと、それらの人にとっては非常にマイナスが生ずる場合がある。したがって、それらの人の希望等を十分に考えて、不利に扱わないようにという御趣旨であると思います。これについては、私、衆議院で申し上げたのでございますが、通則法の改正案をつくりました際に、新しい制度では審判官等についてはでき得る限り民間から新しく人を採用したいということを申しておりますが、何と申しましても新制度を発足いたします際にはそのような適材が大量に直ちに得られるとは考えられませんので、さしあたりは部内の職員のうち最も適任者を選んでこれに充てて、順次適材を得て差しかえていくということを考えざるを得ないということを申し上げまして、御了承を得たのでありますが、五番目は、まさにそのような意味において急激な変化を与えないような措置をとっていきたい、かように考えておるわけでございます。
 六番目は、「納税者が自己の正当な権利を安んじて主張しうるよう、納税者の不服に理由があると推測されるときは、支障のない限り、徴収を猶予し又は滞納処分の続行を停止する等運用上十分に配慮すべきである。」と。異議申し立てがございました際には、直ちに執行停止をすべきだという意見もございます。今回の通則法におきましては、一応その内容に応じて審判官が執行停止を要求する、あるいは異議審理庁みずからが執行停止を行なうという方向をとっておりますが、この御趣旨は、納税者の不服に妥当性があるというときには、それを十分に主張できるように執行停止の条文を直ちに発動するように措置していくべきであるというお考えで、これは、私どももそのとおりに実行したい、かように考えております。
 それから七番目の「還付加算金は、延滞税と同様の取扱いをするよう検討すべきである。」ということでございますが、御承知のように、今回、還付加算金について若干の修正をいたしました。これは、更正の請求の期限を二カ月から一年に延期をいたしましたが、それに伴いましてかなり多くの還付の例が出ると思います。本質的には、更正の請求というのは、納税者がみずからの過誤によって多額の金額を納付してしまった、それを返してもらうという問題でございますので、国側には本来責任はないものでございまして、一種の不当利得でございます。そういう意味では、不当利得の法理から申しますと、特に利息を付して返還するという理由もないわけでございますが、少なくともその事実を調査する期間だけは利息をつけることをやめても差しつかえないのではないかということで、更正の請求をしてから三カ月間を経過した日をもって還付加算金の始期としておりますが、これについて衆議院で疑問が出まして、更正決定をした場合には直ちに更正決定の納期日から延滞税がつくではないか、還付加算金についても同様な扱いにすべきではないかという御疑問が出ました。これは、私は、いま申し上げたように、不当利息の問題と角度が違うのではないかという問題はございますけれども、さらに一歩研究を進めてみたらどうかということで附帯決議をおつけいただいたと思うのです。これは法理論として今後検討してまいりたいと、かように考えております。
 以上でございますが、私、第三項でちょっと間違いまして、審判所長の任命を大蔵大臣の承認を得て国税庁長官が任命するというふうに御修正を願ったというふうに申し上げましたが、これは当初からそういう形でございまして、私の間違いでございます。御訂正をさしていただきます。
#11
○成瀬幡治君 第一の人的構成に関連をしてでございますが、もちろんこの問題はこの附帯決議の四または五に関連をするわけですが、審判官のほうは民間より採用をしたいと思うと、しかし最初のうちはそんなわけにもいかないから部内から云々というお話がございましたが、そこで、審査会委員のことはあとでお尋ねすることにして、審判官は、あなたのほうがお考えになっていることは、最初は部内の人たちでやって、それから適宜民間の人たちを起用をしていきたい、採用をしていきたいと、こういうわけですが、そういうような場合にどうやって――民間といったって、税務に特に明るい人でなければいけない。ですから、税理士会であるとか、あるいは納税組合であるとか、そういうような税に関係しているところの者の推薦を受けてやっていこうということを考えられておるのか、何か税務署のほうのめがねにかなった人だけを採用していこうというのか。民間人を採用するのだということに対して、具体的にはどうやっていったらいいだろうということについても検討されているかどうか。
#12
○政府委員(吉國二郎君) 審判官のような格の高い人を採用いたします場合には、御承知のように、競争試験は適用できないということになっております。現在、人事院で採用いたします競争試験の対象になりますのは、上級職公務員の初級の者と中級の者、したがいまして、行(一)の六等級程度の者が競争試験の最高になっているわけであります。したがいまして、審判官等の場合には、当然に選考採用ということになると思います。相当程度の高い職員になりますと、人事院みずから選考をするものに指定いたすことになっております。おそらく審判官あたりは人事院の指定を受けるのではないかと、かように考えます。指定を受けました場合には、もちろん担当の官庁から候補者を出すということはあるわけでございます。そこで、適当な試験を行なう、口頭で試験を行なうことも考えられますが、これは一定はいたしておりません。
 そこで、その候補者を選ぶ場合にどうするかという問題がいま御指摘のところだろうと思います。私どもといたしましては、審判官には、政令の案でお示しをいたしましたように、大学の教授であるとか助教授であるとか、あるいは裁判官、検察官の前歴を有する者、あるいは弁護士、公認会計士、税理士というような人、さらにこれに相当するような公職についておった者、それらのうちで税務について知識経験の十分な者を選ぶというたてまえにいたしておりますので、もちろん当方として積極的にさような人を求めると同時に、でき得れば各関係の団体等から推薦があれば、それについても十分考慮をしていきたい。具体的にどうするかということは、法案成立前でございますので、まだきめてはおりませんが、広く人材を求めていくということで対処したいと考えておるわけでございます。
#13
○横川正市君 ちょっと関連して。審判所の独立性とそれから審判に当たる人の身分の保障というのは大体同格くらいに大切なものじゃないかと思うのですが、そういう独立性を保障するといいますか、あるいは審判官を選択するといいますか、その場合には、税制に明るいとか、あるいは人格がどうだとかいうようなことでは判断のつかない問題がずいぶんたくさん出てくるのじゃないか。そういたしますと、非常にむずかしい人選というものがあるのじゃないか。それをどういうふうに人選をされようとしているのか。実は具体的な事例でお答えいただきたいのですが、たとえば税務所ごとの実態調査をしていただければ、所長の性格によっておそらく税の取り扱いについて甲乙丙丁というものがあるだろうと思うのです。これはもう全然一様に行なわれているというふうには見られない問題があるのじゃないか、そうあってはならぬと思うのですが。ところが、不服審査をした場合にはある程度の考慮があるという場合と、それから不服審査をしなかったために非常な損をしたという、いわゆるうらはらの問題と、それから普通にやっていると、全く不服審査をしたほうが得だと、そういうような不合理な、一般納税者の側で判断をするような事例というものが起こっているとかというような場合ですね、これは国税庁と審判所との関係はどういう関係が生まれてくるか。審判所で行なったものは国税庁で全部一〇〇%オーケーをやるのか、それとも、そうではなしに、審判所で行なったものに対してなおかつ国税庁は判断をして適当に適宜きめられるものか、その点の関連性なんです。非常に抽象的に言いましたが、おそらくぴんと来るだろうと思いますが、その点をお答えいただきたいと思います。
#14
○政府委員(吉國二郎君) 非常に微妙な御質問でございますが、制度といたしましては、今度の改正は審判所に裁決権を与えておりますので、審判所がいたしました裁決は直ちに国税の更正決定に対する修正という形でそのまま働くわけでございます。したがって、国税庁がそこに介入する余地はない。ただ、一点だけ特例がございますのは、従来からの通達の解釈と違う解釈で決定をいたします場合に、審判所長が一応国税庁長官にその旨を申し出る、国税庁長官がそれは不適当であると考えた場合には、審査会の議に付して、その議に基づいて決定を下すという例外がございますけれども、その他の場合は、すべて裁決をしてしまえば、その裁決が直ちに国税としての効力を生ずるわけでございます。そういう意味では、いま御質問がございました、つまり、国税庁としては、この裁決に対して文句をつけるとか、内容的に関与するということはないわけでございますので、独立性はかなり高く維持されるものと考えるわけでございます。
#15
○横川正市君 ここで、私は、独立性とそれから審判所の運営はうらはらの問題だというふうに申し上げたいのですが、どうも行政の面でいつも不信を買うのは何かといいますと、法律の条項を的確に判断をして、そうして間違いがないということであれば、そのことによって行なわれる結果についてだれもが文句が言えない。ところが、実態は、実はそれでは判断のできない幾つかの問題がある。それを生かしていくのが審判所の置かれている趣旨になるんじゃないか。法律違反を行なえというわけじゃありませんけれども、そこに情状とか酌量とかというものがあって審判所としては有機的に活用されてくるんじゃないだろうかというふうに思うわけですが、そういう審判所というものが設立されて国税庁当局としては納税者というものに対してどういう判断をしているのかという、その判断の内容ですね、それをどういう判断をしているかをまずお聞きしたいわけなんですよ。それはなぜかというと、いろいろな意味で、私は取り扱ったことはありませんけれども、取り扱っているという事実はあるわけですね。たとえば国会議員の名刺一枚がある程度の情状酌量につながったなんということを聞く場合があるわけです。そういうことではなしに、審判所が、実は、そういうような意味の権力といいますか、そんなものでなしに、情状酌量ができるならば相当判断として持っていいのではないだろうか。ところが、国税庁の納税者に対するものの考え方が、いつものがれられればのがれたいという立場に立って税というものを考えているんだという立場に立ってくれば、やはり任命者として審判所の運営に何らかの圧力というものがかかるんじゃないかというふうに思うわけですが、その点の運営はどういうふうにされていくわけですか。
#16
○政府委員(吉國二郎君) 一つの点といたしましては、国税庁がどういう判断をするかという点でございますが、実は、この法案を提出いたしますまでの経緯を申し上げますと、国税審判所というものを別につくって裁決権まで与えるということにつきましては、ある意味では部内の職員に対してはかなりきびしい感情を与えていると思います。これは、従来、そう申してはいけないのでございますが、審査請求の場合でも、自分と同じ考えといっては語弊がございますけれども、自分らを指導した上級官庁が見てくれる、自分の誤りがあれば当然直されるという、自分らの判断そのものを指導しておった官庁の考え方とは同じであるという前提があったと思うのですが、それが今回は全くなくなりまして、全く法律、政令等によって判断される、場合によっては通達そのものに対しても異なる決定ができるというわけでございますから、かなり突き放された形になるわけでございます。そういう意味で私はいつか申し上げたことがございますが、この法案は国税庁としては清水の舞台から飛んだくらいの決心でやったわけでございますと申し上げたわけでございます。その点はかなりきびしいものであると考えているわけでございます。
 それからまた、もう一つの点でございますが、法律がきまっており事実がはっきりすれば答えは一つであるということは、これはもう当然でございますが、実際は、事実に対する法律の当てはめという角度は、私は必ずしもぴったりと一つではあり得ない場合があると思うのです。そこに争いがあるわけでございます。その争いの角度を、最初と同じ角度でたどっていく限りは、答えがやはり同じになる可能性がある。それをまた別の角度からたどっていく場合に、結局最後に一律のものを得るという目的は同じであっても答えが違う可能性があり得る。そういう意味で、権利救済という立場を考え、新しい視野で問題を考え直すという能力のあるような人、そういう人が審判官に一番適当であろうかと思うのであります。審判官の人選については、そういう意味ではかなり努力をしてそういう人を選びたい。ことに、今度、審判官の級別定数等は、従来の協議団の級別定数よりかなり高くなっております。したがいまして、かなり上級者と申しますか、そういう判断のとれる円熟者を持っていく可能性もあり得るわけであります。さらにまた、非常にすぐれた人材であれば、従来よりも抜てきをしてそこに持っていくということも可能でございます。そういう点を十分に考えて、その制度の趣旨を生かすような人事をいたしたい、これが私どもの偽らざる気持ちでございます。
#17
○横川正市君 その審判所長あるいは審判官の任期は一応きまって、再任の問題等はどういうふうに運用されますか。
#18
○政府委員(吉國二郎君) これは、最初申し上げましたように、一般の公務員の身分保障のもとにございますので、特に任期というものの定めがないわけであります。したがいまして能力のある限りは、まあある程度の常識的な限界はございますが、その仕事をやっていけるという前提で考えております。
#19
○横川正市君 能力のある限りということは、通常言えば、たとえば裁判官の定年とかあるいは検察官の定年というものと匹敵するわけですか。
#20
○政府委員(吉國二郎君) まあ必ずしもそこまではっきりは考えておりませんが、定年的なものは一応考えずに現在進めていきたいと考えておるわけであります。
#21
○横川正市君 逆に言いますと、それがきまっていないために、げた箱順に、まあちょっとそこに腰かけで二年とか三年とかということをやり得る可能性があるので、そうではなしに、そこまで人選に注意を払い、厳格に選んだのであれば、相当年月その人がそこに勤められるような保障というものは、身分保障と同じくらい必要なんじゃないかという意味でお聞きをしているわけです。
#22
○政府委員(吉國二郎君) ごもっともだと思いますが、私ども、前の長官もお答え申したと思いますけれども、審判官につきましては、一応原則として審判官に移った場合には審判官で終始するという考え方をとりたい、これが原則でございます。最初の場合は、ちょっと先ほど申しましたように、これはそういう実行できない場合がございますが、将来はそういう考え方で進みたい。副審判官以下は、補助者でもございますし、実際の調査をかなりやらなくちゃならぬという任務がございますので、これは適当な時期に交流を考えざるを得ないと思うのですが、最高責任者である審判官については、できるだけさような可逆的な運用はしたくないという考え方で進んでおります。
#23
○木村禧八郎君 いまのに関連しまして、審判官の資格は、七十九条で政令で定めるんですね。いまお話を聞きますと、審判官の地位それから保障についてかなり重要視していると思う。そうしたら、これを特別職にできないものか。そうして、その資格は、そういう身分保障に関するような事項は、政令じゃなくて、法律で定めるようにできないものかどうか。ただいまのようなお話を聞きますと、非常に重要な地位にあるわけです。そんなに重要視するなら、特別職にして、そして身分保障に関する事項は法律できめたらどうか、そう思うわけですよ。言われることとそれからいまの実態とがあまりそぐわないと思うんですがね。
#24
○政府委員(吉國二郎君) 実は、税制調査会の答申の中におきましては、特別職の給与表を設けるとか、そういう特別な扱いをすることが望ましいということが書かれているわけでございます。私ども、その線でずいぶん努力をいたしたのでございますが、御承知のように、海難審判庁の審判官とか特許審判官というかなり昔からある独立性の強い審判官につきましても、現在、一般公務員でございまして、特別職にはなっておりませんし、特別の職階もないわけであります。かたがた、審判官から副審判官まで含めまして四百数十名という組織でございます。特別の俸給表を設けるということは非常な難色がございます。で、今回はそれは私どもとしては断念をしたわけでございますが、御趣旨のとおり、私どもはでき得ればそういうことが望ましいとは思っております。したがいまして、運営に入っても今後ともその点については人事院等と折衝いたしまして、それを絶えず努力していくつもりではございますが、非常に壁が厚いということは事実でございます。
#25
○木村禧八郎君 これは、かりにこの法律を実施してみて、特別職にでもしなければ人材が集まらない、そういうようなことが起こるのじゃないかと思うんですよ。先ほど言われたように、非常に有能な大学教授とか学識経験者とかあるいは税理士とか、そういう中で審判官になる人は、特別職くらいの地位を与え、それの身分保障を法律できめなきゃならぬですよ。ですから、今後運用してみた結果によってまた考慮されるのかどうか。
#26
○政府委員(吉國二郎君) 先のことでございますが、私どもとしてはそういう気持ちをもっていつまでも努力をしたいということを考えておるわけでございすが、なかなか実現はむずかしかろうと思いますけれども、実際に運営してみて要求が強くなってまいりますれば、また一つの突破口が開けるという期待は持っております。
#27
○木村禧八郎君 調査会でもこれはやはり問題になった一つのポイントだと思うんです。
 それからもう一つ伺いたいのですが、審判官なり審判所長、この地位を非常に重要視する。また、この目的からいきましても、確かに非常に重要ですよ。そうしたら、国税不服審判所長は国税庁長官が大蔵大臣の了解を得て任命することになっているのですが、それなら大蔵大臣かなぜ直接任命できないのですか。そのほうがもっとすっきりして、所長の独立性とかいわゆる第三者性というのですか、そのほうが保障されるのじゃないですか。大蔵大臣が任命したらよさそうなものです。審査会委員は大蔵大臣が任命するんですね。大蔵大臣が任命したらよさそうなものなのに、何か非常に軽いような――軽いといっては変ですけれどもね。それなら直接大蔵大臣が任命したらいい。どうですか。
#28
○政府委員(吉國二郎君) この点も実は再三問題になった点でございまして、実は、率直に申し上げますと、最初は国税庁長官の任命であったのが、与党のいろいろの御検討の結果、大蔵大臣の承認を得てということにお直しをいただいたいうような経緯もございます。つまり、実質的には国税庁長官と対等の仕事をする者が国税庁長官の任命では適当ではないという御指摘だと思うのですが、これは毎々申し上げておりますように、現在の日本の行政機構では、一つの行政官庁の処分を裁定する最高責任というものはその行政官庁の最高責任者を最後としておりまして、それから司法裁判所に行くというたてまえをとっておりまして、今回も一応形式上は国税庁の中に置くということにいたしたわけでございますが、その場合に国税庁長官が任命権者になるのでございます。任命権者がありながら上級の任命権者が任命している例というのは皆無ではないわけであります。それは、非常勤の委員会等の委員につきましては、本来の所属長より上の任命権者が任命している例はございます。そういうことから、審査会の委員につきましては大蔵大臣任命ということに御修正を願ってその形にしたわけでございます。常勤の職員につきましては、任命権者以外の人が任命をするという例がないものでございますから、やむを得ず大蔵大臣の承認を得て任命権だけは形式上国税庁長官に留保するということにいたしたわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げました附帯決議は、承認とはいいながら、大蔵大臣が自分でやる気でやれという附帯決議をいただいたわけでございます。実際の任命は大蔵大臣がそれだけの力を入れておやりいただくということは、これはまあ私ども当然だと思っておりますが、形式上は、いまの官庁組織としては、こういう形をとらざるを得なかったということなのでございます。
#29
○木村禧八郎君 これが、先ほどもほかの委員が言われましたように、この前ずいぶん問題になったんですが、それを今度出してくるについてちっとも考慮されていないわけですよね。今度出すなら、その点ぐらい検討されて、そうして、審査会委員のほうは確かに大蔵大臣任命に直してきました。しかし、所長のほうは、あれだけずいぶん問題になっていたのに、ちっとも直ってきていないで、そのままでしょう。あれだけの質疑をいたし、また附帯決議――この附帯決議は何だか書き捨てたような附帯決議になっちゃって、一応国税庁長官任命でもしょうがないような、「大蔵大臣は、国税不服審判所長の任命についての承認に当たっては、自らが任命するのと同様に積極的に取りはからうべきである。」と、これは弱過ぎちゃうんですね。附帯決議についてはわれわれも賛成したんですがいまから見ると弱過ぎると思うんですね。もう大蔵大臣が任命しなくてもよろしいというようなことを承認しちゃったような前提になっているのですが、その点は独立性とか第三者性とかというものをもっとすっきりさせるためには考慮されていいと思うんですが、その点どうですか。
#30
○政府委員(吉國二郎君) その御意見は私もよくわかるのでございますけれども、附帯決議で言っておりますように、附帯決議の一で、将来の制度として官庁の組織そのものを独立性を与える、準司法機関的な審判所をつくる、また、したがって、それを経た場合には高等裁判所に直接つながるというような理想形態を描く場合には、当然その問題は出てくると思います。その中間に、将来、より独立性の強い人事の運営というものが可能になるかどうか、その途中の段階でも検討していきたいと私は思っております。
#31
○木村禧八郎君 もう一つ、審査会の委員ですね、十名になっておりますが、これはどのように割り振り――割り振りというのは変ですけれども、学識経験者とか、また、税務に明るい人とかというのがあるでしょう。十名というのは、どういうふうにして十名にしたのか、その割り振りですよ。学識経験者何名とか、税理士の人何名とか、何かそういうことは考えられているですか、あるいは民間の人何名とか。
#32
○説明員(高木文雄君) いまのところは、別に、どういうふうに割り振って、そうして特に税務の関係の経験の深い方から何名とか、一般学識経験者から何名、そういう区分は考えておりませんので、やはり審査会の仕事の一番の問題は、国税庁長官がきめております法律の解釈について疑問が出る、それと違う結論を出したいということを審判所が考えました場合に審査会が働いてまいりますので、まあ俗に言うことばでございますが、きわめて円満な常識を備えた一般の学識経験者というものの御判断ということが一番重要であろうと思うわけでございます。
#33
○木村禧八郎君 これは、民間人じゃなくてもいいんでしょう。
#34
○説明員(高木文雄君) むしろ、民間の方といいますか、役所以外の方という考え方でございます。
#35
○木村禧八郎君 それは全部民間人なんですか。
#36
○説明員(高木文雄君) 十名とも役所以外の方という考え方でございます。
#37
○木村禧八郎君 それで、税理士会とかああいうものは、そういうほうに専門の人がおりますわね。そういうような人はどの程度に重要視するわけですか。
#38
○説明員(高木文雄君) 税理士会に属しておられる方々は、税務について非常に詳しい方でございますし、それから第一線における実態などよく御存じなわけでございますから、税理士さんの中から審査会の委員になっていただくということは、非常に好ましいことだとは思いますが、その場合に、特に税理士さんが入っていなければならないという特別の拘束を受けているものでもないと思います。
#39
○成瀬幡治君 審査会委員なりそれから審判官についてのいろいろな質問が出ておるのは、その指摘があるように独立性の問題に関連しています。そこで、いまの答弁を伺いながら非常に心配をしておることは、やっぱし出発が一番大事なんですね。出発最初のときに審判官が民間人からまあ入ったとしても、非常にわずかだった、ほとんど協議団におられた方たちがそのまま来たというかっこうでスタートしますと、大体何年かそれでいってしまうかもしれない。あるいは永久にいってしまうかもしれない。そこで、最初のうちは部内より採用しても時を得て審判官には民間人より採用するという長官の頭をまず変えていかなければいかんと思う。
 そこで、私は具体的にお尋ねするけれども、それじゃ民間人を得るということになると、さて給料は大づかみにどのくらいになるのですか。
#40
○政府委員(吉國二郎君) 御指摘のような点はあると思いますけれども、一応、私どもといたしましては、出発の際に審判所長は必ず部外から求めたい、それから主要な支部と申しますか、重要な支部の首席審判官もできるだけ部外から求めたいと思います。それから審判官の一部でも、とにかく部外からの人を採るという姿を示したいということは考えております。
 ところで、審判所長の職務につきましては、予算上は指定職甲という指定がしてございます。指定職甲と申しますのは、御承知のとおり、大学の学長でございますとか、各省次官、それから外局の長官という程度のものが指定職甲になっておるのが現状でございます。それと同額――まあその方の前歴によりまして指定職甲の中に一から九までの号俸がございますが、これはその実際の前歴によってきまるわけでございまして、ただ、指定職甲にはなるという前提でございます。
 それから東京に駐在する首席審判官、これがいわば東京の国税局長に対応するものでございますが、これは指定職の乙ということになっております。指定職乙と申しますのは、各省の局長、本省の局長級でございます。
 それからその他の首席審判官は、行政職の一等級、つまり現在の国税局長と同じ等級にいたしております。
 それから一般の審判官は、税務職の一等級ないし税務職の特三等級までにわたっておりますが、税務職の一等級と申しますと、非常に大きな署の署長、大署の署長クラスでございます。それから現在の協議団本部長、それが税務職の一等級で、普通の審判官の一番上はそうなります。それから二等級と申しますと、大体中小の署の署長クラスでございます。それから特三等級と申しますと、一番小さいところの署長で、審判官は、原則として署長――それは小さい署があり得るということはございますけれども、署長級以上の等給になるという前提になっております。ただし、その署長級の俸給が少ないという問題はそれはございますけれども、少なくとも税務署における第一線の最高の責任者の職給と同じであるということは申せるわけであります。
#41
○成瀬幡治君 金額でちょっと言ってもらいたい。一番小さいところの署長というのは、特三等級というのは、現行法では幾らになりますか。
#42
○政府委員(吉國二郎君) 特三等級、これは二号俸から十七号俸までございます。
#43
○成瀬幡治君 一番低いところを言ってください。
#44
○政府委員(吉國二郎君) 七万三千二百円、これは本俸だけでございます。それから一番高いところが十一万五千五百円。それから二等級になりますと、二号俸が七万九千七百円、十六号俸が十二万一千四百円。それから一等級になりますと、これは一号俸がございまして、それが八万七千四百円から、十五号俸の十三万五千四百円までということになっております。
 それから指定職になりますと、指定職の乙の一号俸が十四万九千円、九号俸が二十四万円という間にわたっております。
 それから指定職甲になりますと、一号俸が二十四万円、七号俸が三十二万円ということになっております。
#45
○成瀬幡治君 税調の答申で、優遇せよと。それで、人事院との間に何か折衝等があり、人事院も、まあ百五名であるとか、あるいは五百名足らずのものについては、そうしたような別表ということでつくる必要はないだろう、しかしプラス・アルファはめんどうをみてやろうというようなことで若干話し合いがついたというような話を聞いておるのですが、その辺のところはどうなっておるのですか。
#46
○政府委員(吉國二郎君) これはいま申し上げました級別定数が従来よりも高くつけられるという形で実現したわけでございます。
 従来のを申し上げますと、本部長、つまり首席審判官に相当するものは、税務の一等級でございます。行政職の二等級に相当するわけでございます。それが、今回は、首席審判官は指定職かまたは行政の一等級でございますから、そこで一つ上がっているわけでございます。それから審判官も、従来は、協議官でございますと、税務二等級から四等級までにわたっている。それが、さっき申し上げましたように、一等級から特三等級、一段階ずつこう上げてあるのですが、つまり特別の俸給表をつくるという要求は入りませんでしたが、級別定数の設定におきまして協議団の場合よりも一つずつ格上げになっておるということが、これがいわば話し合いの結果でございます。それから管理職手当につきましても、従来よりも若干ずつ引き上げる。それが御指摘の色をつけたという部分であろうかと思います。
#47
○成瀬幡治君 ぼくは、最初に申しましたように、出発が大切ですから、民間人をたくさん入れていただきたい。それに対する御答弁を聞いておりますと、首席国税審判官は部外から持ってくる、こういう話です。そうすると、十一支部あるから、十一人はいいと。あとはさてどういうことになるか。ですから、それと関連をして所得、給与がどれくらいか。かりに税理士さんなら税理士さん、あるいは大学の教授をやっておられた方が下がってくると、あるいは前歴計算とかいろいろなことがあると思うから、あまり高くなりそうもないのだな。国家公務員から来るのはいいかもしれない。そうじゃない人が来ると、本俸が七万三千二百円、管理職手当その他を入れて多くて十万円前後だ。そんな所得で、しかも一〇〇%所得捕捉で、妙味はないわ、おりたわということになれば、たいへんなことになると実は思っているわけですけれども、そこで、実際問題として、あなたのほうから若干折衝なり探ってみたり、いままでいろいろなことがちっとはあったと思うのですが、部外の人たちで、ひとつやってみようというようなそういうようなものが少しは聞こえてきたとか、話し合いがあったとか、やってみたらあまり給料が低いのでおりたというような話があったというのか、どんなものですか。全然話はやってみませんか。
#48
○政府委員(吉國二郎君) さっき私が申し上げたのは審判所長でございます。それから重要な支部、たとえば東京の支部のようなところに相当する首席審判官はどうしても外部から最初から採りたいということを申し上げたので、全部ではないわけであります。
#49
○成瀬幡治君 全部じゃないのですか。
#50
○政府委員(吉國二郎君) それはなかなかむずかしいわけでございます。
 いま御指摘のございました、外部に対して接触したかということでございますが、それは私も法律成立前でございますので、ちょっとやりにくいという面がございまして、接触はこちらから進んではやっておりませんが、審判官というものについて一体どういうものなんだというような問い合わせとか、まあやってみたいという人もないわけではございません。ただ、確かに、税理士さんなど、所得は、具体的には私ども存じませんが、かなり高い方が多いし、有能な方ほどやっぱり相当所得は多いようでございますので、直ちによしという方があるかどうか、その点はかなりおっしゃるようにむずかしい点があると思いますが、大学の教授あるいは助教授という方々の俵給は、一般職の俸給とほぼパラレルでございますから、その点ではそんなに下がるということなしに、あるいは逆に上がるという結果になる場合もあり得ると思うのです。まあそういう意味では、これはむしろ公務員一般の給与の問題になりますので、審判官だけ特別に高いというわけにはなかなかまいらぬという点が私ども悩みの種でございますが、その中でも、いま申し上げたようなところから努力をして、有能な人材を迎えるということを考えておるわけでございます。非常にむずかしさがあるということは御指摘のとおりでございます。
#51
○成瀬幡治君 吉國長官の答弁を聞いておると、民間人を入れよう入れようという姿勢のようだ。ところが、実際はふたをあけてみると、これはゼロだということだな、首席審判官は。東京は、これはあなたが言ったからあるようだが、あとは、大阪、名古屋、関信――関東・信越、札幌、仙台、金澤、広島、そのあたり全部だめだというようなことに受け取るのだが、東京の話はわかるが、それでは部外者の首席審判官はあとはどうなんですか。
#52
○政府委員(吉國二郎君) 実は、大阪、名古屋等につきましても、目当てをもって当たるつもりではございますけれども、まだ法案がこのとおりでございますので、法案成立後精力的に当たるつもりでいろいろ心組みをしておりますが、いまは発動できない状況でございます。
#53
○成瀬幡治君 まるでこっちの責任で民間人が入らぬような答弁で、非常に遺憾です。(笑声)あなた、ひきょうだよ、それは。もう少し堂々と、法律案を出したなら自信をもって、しかも、これは五月一日施行でしょう。いろいろなことを言っておるけれども、出発のときの人の問題が一番大きな問題だと思うんです。実は、ぼくは、次席国税審判官についても、触れられておりませんけれども、意見もありますよ。ほんとうに民間人を登用して、ひとつすっきりした形でやってもらいたい。政令の中では、大学の助教授だとか、教授だとか、裁判官なりあるいは検察官の職歴ということまであがっておるんだから、ここにあがっておる人くらいは部外者の中からやってもいい。五項目あるんだから、こういう人を一人ずつ入れても五人ある。もっと言えば、税理士、弁護士、公認会計士等を入れれば十人くらいになってくるわけですね。そういうところからでも推薦候補でいろいろと話し合ってみて適当な人を入れる。しかし、あなたの立場でいえば、せっかくつくってみたところが、協議団の本部長等で、いままでおれのところでとっていた、それを全部よそへとられてしまうということで、官僚の仲間から見れば、部内では、情けないやつだとしかられるかもしれませんが、もともと出発は納税者の権利を守るというそういう立場からやったんですから、そう言うほうが間違いで、むしろ民間人がたくさん入っているのが一番妥当な姿であり、準司法性が――司法性まではいかないけれども、準司法性がそこで貫かれておるものと思っているわけです。ですから、結果をひとつみましょうや。それはこっちの責任じゃないよ、あなたの責任だ、入っておらんのは。その点は強く申し上げて、この問題については打ち切りにして、まだ問題があればまたやります。
 次に、審査官委員の問題についてです。これは、先ほどの御答弁を聞いておりますと、全部民間人を入れていく、こういう御趣旨のようです。それはそういうことで間違いございませんですね。
#54
○政府委員(細見卓君) これは大蔵大臣任命でありますので、私がお答え申し上げますが、民間の方でどちらかといえば、あまり税のことなどより、おっしゃるとおり広い意味の常識のある方で、そういう方が判断されたなら社会現象あるいは経済現象として一番公正妥当な判断だといえる方で、税の専門家を求めることは必ずしも必要ないと、かように考えております。
#55
○成瀬幡治君 そうすると、これは政令では出ないわけですね。
#56
○政府委員(細見卓君) 法律そのものに大蔵大臣の任命となっておりますので、政令には特別に規定することもそうないのじゃないかと思います。
#57
○成瀬幡治君 たとえば、いま候補者にあがっている人は、これは五月一日からで、さあ国会を通ったわと、おっ取り刀でどんなような人が想定されますか。内々交渉しているんじゃないですか。
#58
○政府委員(細見卓君) 先ほどの長官と同じようなことを申し上げますが、あまり越権的なことをしてもいけませんし、まして、この問題は、先ほど申し上げましたように、世間的あるいは社会的にそれなりに評価を受けたりっぱな方々をお願いするわけでありますので、お願いに行きました、実は法案が通りませんでした、またこの次にいたしますというわけにはまいらないので、私どもながらに、やっぱり、社会のリーダーといいますか、良識のあるりっぱな判断力のある方として、そういう評価が確立されたような方をお願いしたいなと考えております。
#59
○成瀬幡治君 ちょっと気になる点は、税のことについては全然無関係のお方と、こういうふうに聞くんですが、たとえば大学で税のことを教えておられる方もあると思うんです。あるいは、公認会計士などをやりながら講師をやっておられる、そういうりっぱな人たちもある。そういう人たち、あるいは税にたんのうな税理士さんの人たちもある。そういう人は一切除外するということですか。
#60
○政府委員(細見卓君) 除外もいたしませんし、積極的に呼び込みもいたしません、そういうわけでございます。
#61
○成瀬幡治君 わからぬ話ですね。それは、税理士なら税理士の人は採りませんよ、公認会計士の人も入れませんよ、こういうことなんですか。それとも、それは積極的に採る方向なのか、できたら積極的には採らない方向にいこうとしておるのか。その答弁は何とでも言えるでしょうね。私らが考えておることは、税にもたんのうな人で、りっぱな人でなければならぬことはわかっているんです。ですから、えこひいきであるとか、根性悪い人ですとか、ひん曲げるとか、そういう人じゃなくて、税金というものは国民の義務だと、言われる以上は、片方では非常に公平なものでなければならぬということなんですね。そういう立場で、しかも税のことが明るい人がいいと思っておる。どうも逆のようなふうに受け取れてしょうがないから、重ねて質問したい。
#62
○政府委員(細見卓君) もちろん、税の知識をお持ちになっておれば、それにこしたことはないので、当然そういう方々についてお願いするような方向で考えていかなきゃならぬと思いますが、この審査会で一番要請されることは、いろいろな予想もつかないような複雑な問題が出てまいろうと思います。それを社会の公正な常識でさばいていただける方というのが一番望ましい。もちろん、その場合に、税の事件としての社会現象でございますから、税に明るい方がおられれば、なおこしたことはないわけでございまして、もちろん税に詳しい方を頭に置きながら選考なり何なりをお願いするということになろうかと思います。
#63
○成瀬幡治君 これは、大体、争点になるのは通達でしょう。法律じゃないわけなんだな。大蔵省がわれわれに知らぬ通達を出したやつが問題になっておる。ですから、よほど税のことに詳しいお方でなければ、その通達の解釈はどうだなんということはなかなかできないと思うんですよ。むしろ税にたんのうな人でなければおかしくないかなあ。あなたのほうでいえば、異議を言うときには、なんにも知らぬ人のほうが赤子の手をねじるようにやりいいわけだ。そういうかっこうにされちゃおかしいと思う。ほんとうは通達の問題になってくるんです、争いは。それはどうですか。
#64
○政府委員(細見卓君) まあ、俗に、森に入って森を見ずということもございますので、何といいますか、あまり専門的なことのささいなことにこだわられるというのは適当でない。基本的には、皆さんに御審議願った法律があって、それが国民の基本的な権利関係を規定いたしておるわけでありますが、それだけではなかなか複雑な課税現象をさばき切れないということで、長官の訓令として、こういう場合はこう考えろ、法律はこう考えておるのだということをいろいろこまかく申し上げておるわけでありますが、それがあまり専門的であるがためにかえって世の中の常識と離れておるというようなことが起こる。それがまた通達について通達行政だといわれるゆえんでもあるわけでありまして、通達そのものを専門的に詰めていけば、そんなに論理が間違っておるというようなことはなくて、世の中の現象のとらえ方として、通達のほうが一方的であるとか、あるいはさらに複雑な他の一面を見落としておるとかというようなことが間々あることであろうと思いますので、そういう点についても御叱正願える方というのが一番望ましいのじゃないか、かように考えておるわけであります。
#65
○木村禧八郎君 ちょっと関連しますが、国税審査会の目的は九十九条にありますね。九十九条で、「国税不服審判所長は、国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈と異なる解釈により裁決をするとき、又は他の国税に係る処分を行なう際における法令の解釈の重要な先例となると認められる裁決をするときは、あらかじめその意見を国税庁長官に申し出なければならない。」と、この申し出があったときに、「国税庁長官は、」「国税審査会の議決に基づいてこれをしなければならない。」と、こういうことになっているわけですね。そこで、この国税審査会の議決は非常に重要ですよ。いま成瀬委員が言われましたように、「国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈と異なる解釈」でしょう、それについて「裁決をする」というのは、相当専門的な知識がないとできないと思うんですよ。それは、単なる常識というのは、まあ良識に反してはもちろんいけないわけですけれども、しかし、常識と同時にやはり専門的な知識がありませんと、通達について、われわれだってそこのところは非常にむずかしいんですね。それから今度は「解釈の重要な先例となると認められる裁決」ですから、これは相当専門的な知識がないと、ただ、学識経験者、常識があるというだけでは済まないのじゃないかと思うんですよ。
 そういうことになると、たとえば大宅壮一君か、ああいう人なんか、とにかく百科辞典みたいな人ですね。それで、一般的常識を代表して大宅君がそういうことになって、通達の法令についての解釈は、結局、大宅君はまた専門家に聞くとかなんとかいうことになるじゃないですかな。さっきの言い方が極端に専門家を排除するような言い方をするから変なことになるのであって、やっぱりこれについては専門的知識を有し良識を有する人というように言わないとですよ。専門的知識はかなり重視しなければならないのは、九十九条からいって当然じゃないですか。
#66
○政府委員(細見卓君) 実は、衆議院のほうで、税務署、税金に関係あった人をここへ入れたのではせっかく審査会をつくった意味がなくなるというお話で、それを受けて、いや、それは、そんな仲間の者は入れませんということを強調いたしました。今度は、しろうとばっかり集めて何ができるのかというお話になって、(笑声)そのちょうどまん中になるような人を得られれば一番いいのじゃないかというように考えております。
#67
○成瀬幡治君 私も、いま木村さんが言われたように、税のことをよくわかっておって、しかも公平だ、こういう順序なんです。順序は、まず前提というものがなければならぬ。それかといって、いま言ったように、出てきた趣旨は納税者の救済ですから、納税者側に立って働く人を選ばなければならぬ、こういうことになると思うんですよ。ですから、そういう姿勢でやってもらえばいいと思うんですよ。
 しかも、これは、衆議院のほうで出された資料というか、大蔵省から出された資料ですが、異議申し立てでやるのはいわゆる金の大小の問題で、しかし、訴訟に発展しておるものは、やはり法律あるいは通達に関しての争いだと思うんです。件数として、まあ額は知らないけれども、五百から千件くらいのものがあるようです。私はどういうことになっておるかよくわかりませんが、非常にむずかしい問題は審査会に行くのじゃないかと思うんです。しかも、審査会の人たちが長引いたりいろいろなことがあってはたいへんなことだと思うから、やはり専門的な知識のある人、しかもこれは取るほうの側ではなくて納めるほうの側の代表の人たちにやっていただくのが非常にいいことだ、そういうふうな形でぜひひとつ人選を進めてもらいたい。
 また、局長は、衆議院のほうで、おまえのほうの仲間がやるのじゃないか、仲間がやるのじゃないかとたいへん言われたので、それがたいへん頭にこびりついておったものだからいまはそう言ったけれども、実は選ぶほうはそうじゃないですよというな形で、五月一日から発足したらそういう人たちに来てもらいたい。ぜひ取り違えのないように、りっぱな人にやはり初めですからやってもらわないといかないと思うのです。少なくとも国税庁長官の前任者がここへすわったなんということになったら、これはちょっとまずいと思う。大蔵省のおば捨て山にはならないようにぜひしてもらいたいと思う。そういう附帯決議をつけたほうがいいかと思っておりますが、まあその点はそれだけにします。
 次に、出訴と不服の権利の問題ですが、長官の答弁を聞いておりますと、行政組織法との関係があり、いろいろな問題があり、今後も検討してみたいと、こうおっしゃる。しかし、こういうふうにしたことも、いきなり裁判のほうへ持っていくというようなことも、金額、高の問題でそう裁判所としてなじまない問題もあるからこういうふうにしたのだと言われる、そのことも私は説明としてはわからぬわけじゃない。しかし片方では、おまえは異議申請のほうを一ぺんやらなければ出訴はできないという、国民の権利のほうを制限しているという純粋な法理論から言われてもちょっとおかしいところがあると思う。そこで、調和をとるということは、私も容易なことじゃないと思うのです。附帯決議では、「絶えず真剣な検討と努力を行なう」と、こういうことになっている。長官も行なうような口ぶりだが、実際できないんじゃないのかな。それも、何か特別に、これはもう初めから通達解釈だと、あるいは法の運用に関連をして、法解釈ですか、そういうものについて疑義があるというようなものについては、いきなり出訴してもいいんじゃないかということが考えられましょうが、初めからもうわかり切った話だというのは今後の問題になると思いますが……。
#68
○政府委員(吉國二郎君) おっしゃるとおり、全部を選択性にするということが時期尚早である、したがって、またいつの時期にそれができるか、それよりももっとほかの考え方を出してという御指摘も確かだと思います。その法令の解釈だけが問題になっているというケースというのが、実はこれも問題になったことでございまして、調査会でも幾つかのケースを洗ってみたわけです。なかなか純粋に法律解釈だけというのは見つかりませんで、やはり事実と常にからみ合っているわけですね。そういう関係で、法律解釈だけということに限定をいたしましても、今度はそれがはたして法律解釈だけであるのかどうか、出訴してみたらそれは法律解釈だけじゃないということで却下されてしまうということになっても困る。そういう点で、確かにおっしゃるような解決方法というのは一つのポイントだと思います。そういう点も含めまして将来考えてみる必要があると思います。私がさっき申し上げたのは、一つは、審判所ができて、審判所自身の裁決が非常に公正に行なわれ、また、税務署のほうの決定もそれを前提としてさらに慎重になり、合理的になっていくということで、件数そのものもだいぶ減少してくるし、決定に対する異議の内容も具体的にはっきりしてくるような段階になりますと、選択を行なっても裁判所が多量の訴訟で応接にいとまがないというような結果にならない時期が来得るのではないか。そういう時期も考えながらあわせて御指摘のような点を検討していく必要があるかと思います。
#69
○成瀬幡治君 次に、二番の(2)、(3)に関連してですが、特に(2)が中心ですが、吉國長官の答弁を承っておって感じましたことは、どう言ったらいいか、一度争いができまして、あるいは国税審判所の職員なりあるいは税務署の人たちが新しい調査を行なわなければならぬ、その調査は権利救済の趣旨に反する調査を行なうのであって、であるから、そういうことは非常に十分注意してやれということですが、したがって、そういう不服あるいは異議申し立て後における審査、調査、あるいは質問その他に基づいては、新たに脱税がおまえこれだけあったよなんということはないというふうに受けとっていいわけですか。国税審判所の職員が調査したら新しい脱税が出てきた、あるいは税務署の人たちがその裏づけの資料をとるために質問調査権を行使して調査したら新しい脱税が出てきた、そういうことがあると思うのです。しかし、そういうことはないのだと、あってもそれは問題にしませんよ、こういうふうに受け取っていいのですか。
#70
○政府委員(吉國二郎君) この場合、非常にむずかしいと申しますか、微妙なところでございますので、少し詳しく申し上げたいと思いますが、前回の国会でもその点が一番問題になりました。それで、いわゆる総額主義というものは適当でないのではないかという御質問がありました。そのときにもいろいろ参考人の先生方も述べておられましたが、現在の税務争訟の形では、御承知のように、いまの裁判所の解釈は、税務争訟というのは税金の債務がないということを主張して争ういわゆる不存在確認の訴えであるという解釈をとってまいりましたが、この場合には常に債務の存在を主張するほうは最後の段階まで新しい事実を主張することができる、最後の口頭弁論まで新しい資料を提出してかまわないという、債権そのものがあるかないかの問題だからという解釈をとっておりますので、それがいままでの行政の段階における税務争訟においても総額主義というものを主張していた根拠でございます。そういう意味では、理論的には、税の調査と申しますか、救済というのは、本質的には国民の納税義務というものを真実に把握してそれで救済が行なわれる、つまり、国民というものは法律の定めるところによって納税の義務を負うけれども、その真実の納税義務以上の義務は負わないし、また、以下で済ませる権利もない、それを正確に実現するものが権利救済であると考える考え方もあるわけでございますが、そのとき私が申し上げたのは、それは理論としてはそういう筋道であろうけれども、権利救済というたてまえをとる場合には、できるだけ納税者の主張するところが真実であるかどうかということを中心に税務署が納税者側の主張を中心にして審理を行なっていけば、わざわざ実際に脱税調査をやってみようかという必要はないはずなんで、当事者の主張を中心にそれが正しいかどうかをできるだけ判断していくというやり方を原則とすることによって、新しい脱税事実が続々として出てくるということはあり得ないような運営をいたしたいということを申し上げた。つまり、できるだけ当事者の主張を比較勘案し、また、その当事者の主張の中で立証できないものがあれば質問検査権でさらにその内容を明らかにいたしますけれども、あくまでも審理を当事者の主張するところを中心にして行なうということをやっていけば、そこに新たな脱税事実が出てくるということはもう原則としてはないという運営をやりたいということを申し上げました。そのときの参考人の教授の方も、理論的には総額主義であるけれども、運用はいわば当事者中心主義をとっていくことによって実質的には争点主義に近いような結果が得られるのではないか、行政段階の解決としてはそのような考え方が実際的ではあるまいかということを述べておられましたが、それに近いような考え方で私たちも実際の運営はやっていきたいということでございます。
#71
○成瀬幡治君 まあ争点主義的な運営をするんだ、争点主義的な運営をしますよと、そういう答弁で、これはいいと思うんです。いいが、しかし、ここはこれで終わった。しかし、実際のことになりますと、異議の申し立てをした、あるいは不服の申し立てをしておるのだと。なんだ、これはもっと洗ってやろうじゃないかというのが人情になってくると思うんです。だから、そこで、争点的な資料だけでほんとうはよさそうなのに、いや、関連があるからあれを持ってこい、これも持ってこいという反対調査をしていこうということになって、実際はおまえのところを調べていったらこんなことがあるんだよ、たいがいのところで妥協しておかぬとあかんぞという話になると思う。また、そうすると思う。そういうことについて、「新たな脱税事実の発見のためではないことを厳に銘記の上、」と、こうなっておる。だから、それから上積みはされぬということになれば、その次に今度は、来年度の所得なりあるいはいろんなことについてはいろいろあるが、今期はその点についてはもう脱税は上積みはされませんよというようなふうにはならぬものですかね。
#72
○政府委員(吉國二郎君) 私は、原則としては、税務署が一ぺん調査をして決定した、それに対して不服がある、それでいわば税務署のほうは調査したのですから、またそれじゃもう一回やれば脱税があってもっと多くなるだろうということは、それは無理だと思うのです。つまり、一ぺん調査したことについて不服があるなら、その範囲にとどまるべきではないか、一応調査をしたということが前提であればですね。さらに不服申し立てをしたらもっと多いのであろうということを考えるのが間違っていると思います。そういう意味では、原則は、納税者に対して一ぺん決定した以上は、その決定の範囲内でできるだけ片づけるという考え方を強く推進してまいりたい。もちろん、そのために原則をそうしてしまいますと、法令的に一ぺん調査決定したら二度と調査決定できないということになりますと、査察問題など非常に困りますから、これは法令的にはそうもいたしませんが、原則的には、納税者に対して調査をし決定して、それに不服が出てくる、そうすれば、常識から申しましても、その納税者に対するその年度の決定の限界も、最初の調査決定のところが限界になるべきじゃなかろうかというふうに考えるべきだと思いますので、そういう考え方を強く持って指導してまいりたい、かように考えているわけでございます。
#73
○成瀬幡治君 これは心がまえの問題であり、いろんな問題がからみますから、長官の気持ちが実際運用の面にあらわれるように十分していただきたい。この法律案審議のわれわれの受け取り方というのは、少なくとも争点主義的な運営がされてくる。だから、結果的には、一度調査をして決定をしたのだから、それに新しいものが出てくるということは非常に少ない、これはまれなことだ、もしあったとしてもそれは非常にまれなことであって、大体出てこないのが原則だと、こういう指導をしているということは大体わかりましたが……
#74
○木村禧八郎君 その点に関連して。こういうふうに解釈していいんですか。一応二百万円なら二百万円ときまりますね。そうすると、不服の申し立てがある。いろいろ調べてみたら百万円であったと、かりに。ところが、税務署が二百万ときめたから、そのきめた額にとらわれて、その点では調査してみたら百万円であったけれども、ほかをまたまた調べたら二百万円になる可能性があると、そういうふうにとらわれると思うんですよ、最終的にいえば。そうすると、それがいわば総額主義というのですか、ぼくは専門家ではないからよく知りませんけれども、そういうのが総額主義で、争点主義というのは、不服申し立てがあって、調べたらその点について争点について解決した場合、それはそれで一応決着するのかしないのか、その点が非常に問題になるということなんじゃないですか、成瀬さんの御質問は。争点主義と総額主義については、そこのところをもう少し明確にして、総額主義にとらわれないように、いわゆる争点主義に基づいて、納税者にいたずらに心理的な圧迫を加えないようにすべきではないかという点が重要ではないかと思います。そういうふうに解釈していいですか。
#75
○政府委員(吉國二郎君) 御指摘のように、総額主義というのは原則は原則でして、理論は総額主義でないと立たないと思うのですけれども、実際の運営はいま申し上げたように争点主義でやっていく。実際問題として、自分が調べた段階では二百万円だと思ったその内容が違っていて百万円だったというものに、さらにそれを維持するためにあっちこっちさがし歩くという運営は極端に避けるということで指導してまいりたいと私自身は思っておりますし、今後もそういう点で進めたい。ささいな、百万円が百三十万円になるということで無理やりやるということは私は間違いだと思います。ただ、よくあると申しますか、と言ってはいけませんが、ごくわずかな争いをしていたところが、うしろに莫大なものがあったという場合には、これはまた別の考慮が必要だと思います。ただ、原則論として、きわめて小さな差で争っているときに、わざわざ小さなものを取り出すという運営は極力避けるということで指導したいと思います。
#76
○木村禧八郎君 指導だけでなく、何か規定を設けることはできないのですか。
#77
○政府委員(吉國二郎君) 一ぺんその規定をしてしまいますと、一ぺん決定したらあと追加決定はできないようなことになりますと、これはまたむずかしい問題になります。そういう意味では、私は、運営通達というものがございますから、はっきり職員に対する訓令としてはそういう考え方を明らかにしていきたいと思います。
#78
○成瀬幡治君 この質問検査権の問題についていろいろと質問したいのですが、いま附帯決議の話ですから、ひとつ資料だけお願いしておきたいと思います。
 公認会計士が処分されておる件数と主たるその理由。処分も、処分内容を少し知らせてもらいたい。特に、大口脱税があってみたり、あるいは紛飾決算等あり、それとともにそういうものがある。それが一つ。
 それから二つ目は、税務署の人たちが、一般の法人なり、あるいは事業をやっておられる事業税等の対象ですか、そういうようなところに行かれるときに、通知をしてお行きになるのが大体原則――令状じゃない、任意調査の場合は事前通告をされるのが原則だと思うのです。そこで、あなたのほうで出張名簿等がありまして、そのときに、これは事前通告して行ったとか、あるいはせずに行ったとかということがわかるような出張名簿になっているのか、その点はよくわかりませんが、もし何もそういう事前に通告をせずに行ったというのは非常におかしいことだと思う。ですから、その出張をされるときには、事前に局長なりあるいは課長に、私はどこどこの調査に行きますよということを言って書いて行かれるのか、それを受けてすぐやられるのか。どうも事前に通告なしで行かれるほうが多いような気がするから、そこら辺を調べて、事前に通告をして行った、いや通告なしで行ったのだというようなそういうものについての何かあなたのほうに資料がないものだろうか、そういう資料がほしいと思います。
#79
○政府委員(吉國二郎君) 公認会計士の問題は、実は証券局の問題でございますので、証券局のほうで出せる範囲で連絡をいたしておきます。資料を提出いたします。
 それから事前通知でございますが、事前通知の実績というものは実は私どもとっておりませんので、正確な数字がございませんけれども、所得税については一部調査したのがございます。所得税については、いわゆる事後調査と申しまして、申告書が出ましてから、申告書の内容を審査して、これはどうも少しおかしいというものを調べているのが事後調査でございますが、その中でも、いわば査察には値しないけれども相当な脱税が予想されるという特別調査と一般調査に分かれますか、特別調査のほうでは事前通知をしたのは一五%、それから一般調査の場合は約三〇%が事前通知をしております。これは、御承知のように、税務署の調査というのは、いわゆる指導的な臨戸調査といったような調査とか、あるいは事前調査とか、いろいろございますけれども、法人のほうで申しますと、臨戸調査という指導的な意味の調査が全体の法人数の一五%ぐらい、それから特別に限定をしてこれは所得について問題があると見て実地調査をいたしますのが一五%ぐらい、合わして三割ぐらいは年間に調査をするわけでございますが、臨戸指導は全部事前通知をしております。それに対して、実地調査のほうは、そういうある程度問題のある法人であるために、事前通知をしない例のほうが多いと思います。
 そういう意味では、調査のしかたといいますか、対象によって、事前通知をしたりしなかったりするというやり方をしておりますが、具体的にどれぐらい事前通知をし、どれぐらいしていないかという資料は、私ども統計として持っておりませんので、さっき申し上げました所得税についていつか御質問があって、特別に四十二年度にとった数字がいま申し上げた数字でございます。
#80
○成瀬幡治君 これは税理士会なんかのほうがよくわかると思うんですが、あなたのほうも私は事前通告が原則だと思うんですよ、任意調査は。疑って取ってやろうなんというのはおかしい話でね。ですから、そういうような点についてあなたは監督の立場にある責任者ですから、たとえば税理士会が何か調査をしておるものはないかとかなんとかいうそういうような資料を取り寄せられると、実際どんなふうに運営されておるか、事前通知というのが実際行なわれて、そして協力を得てトラブルもなく円満な行政が行なわれておるかどうか。鬼よりこわいなんて言われちゃいかんですから、そういうふうでなければならないと思うんです。ですから、そういう立場でそういう資料等はとっておらぬというのはちょっとおかしいと思うんです。今後そういうものをとるようにされるとともに、もしなんなら業界のほうにも税理士会というのがあるのですから、協力を得て、実際の運営がどうなっておるかというようなことは今後やっていかれるのが好ましいと思います。この問題については、ぼくはあらためてもう一度質問を申し上げたいと思っておりますから、いまはこの程度にして、また資料が出ましたときに御質問申し上げたいと思います。
 次に、六番です。六番で、妥当性があると判断をしたときは、「徴収を猶予し又は滞納処分の続行を停止する」、こういうような点については考えていきたいというお話があったわけですが、実際問題としてこういうことがあり得るのかどうかという点についてちょっと疑問があるんですが、実際問題としてどうでしょうか。
#81
○政府委員(吉國二郎君) ちょっと御質問の趣旨が……。
#82
○成瀬幡治君 それではもう一度申し上げます。
 「徴収を猶予し又は滞納処分の続行を停止する」という、そういうようなことが、異議の申し立てを受けて、それはごもっともですといってそういうことが実際行なわれるようなケースが想定されるかどうかという点、もしあるとするなら、どういう場合がこういうことで想定されるのか。
#83
○政府委員(細見卓君) 資料を検討いたしておりますが、どういう場合が想定されるかというお話でございますと、たとえば、更正決定をいたしまして、それでこれだけの税額が不足だということで差し押えをいたしたといたします。ところが、不服申し立てが出てきて、それが他人の所得であったというようなことが、かりに名義が違っておったというようなことが起こりましたような場合に、その手続をとっておりますと三日とか四日とか決定にかかるというようなものを、もうすぐ、たとえば係のほうで、それを取り消しましょうと。徴収の処分の手続がどうあろうと、たとえばきょうその財産を他人に渡さないと不渡りが出るというようなものが起こったときには、そういうことをするというようなことが考えられる事態だと思います。
#84
○木村禧八郎君 ちょっと関連して。これは、こっちの資料のほうには、「納税者の不服に理由があると推測されるときは、」となっている。それは不服申し立てを行なったとき、納税者の立場を尊重して、裁決があるまでその事実にかかる滞納処分の執行の停止とかあるいは徴収猶予、こういうことじゃないのですかね。そうでしょう。ただ推測されるというだけではなくて、不服申し立てを行なったときは、その裁決があるまでは滞納処分の執行を停止する、それで徴収を猶予する、こういうことじゃないのですか、ここのところは。
#85
○委員長(栗原祐幸君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#86
○委員長(栗原祐幸君) 速記をつけて。
#87
○政府委員(吉國二郎君) いま御疑問の趣旨がわかりましたが、納税者が異議申し立てをいたしました場合には、普通は、滞納をする、税を納めない、それに対しては、原則として差し押え処分までは行なえる。しかし、公売処分はやってはいけないというのが現行の体制でございます。それに対して、必要があるときは、納税者の申し立てで滞納処分の続行を停止するとか、あるいは職権で続行を停止することができるといういまの法制になっております。それに対して、この六の附帯決議の文言は、「納税者の不服に理由があると推測されるときは、」という言い方をしておりまして、その必要があるときはと書いてあります。法律の運用を、納税者の申し立てていることが一応これは正当性がありそうだと推測されたら、その必要性にひっかけて続行を停止すれば、納税者は安んじてゆっくりといろいろな資料を出してもいいと。ところが、相当理由がある主張をしているにかかわらず、どんどん滞納処分をやられてしまいますと、あせってどうにもうまくいかないという問題がございますので、まあ客観的に見てこれは相当理由がありそうだというときは、どんどん思い切ってやりなさいという御趣旨だと思いまして、そういうことの扱いは今後やっていきたいということな申し上げたわけでございます。
#88
○成瀬幡治君 これとそれから七に関連しておるわけですが、あなたのほうで試算をされたことがあるというふうにちょっと聞いておりますから、資料として提出してもらいたいのですが、納税者が不服の申し立てを行ないますね。そうしてそういうものに対する滞納処分の執行を停止しまたは徴収を猶予されるというときに、その額がどのくらいになっているか。あるいは、額を試算されたことはないですか、大づかみに。
#89
○政府委員(吉國二郎君) 実際に税務署段階で異議申し立てが出た場合には、徴収関係と連絡いたしまして、必要な場合は滞納処分を待つというようなことは実際やっておりますのですけれども、数字的なものをこちらで集めてはいないものでございますから、数字として御提出するのは、サンプルでこれから調べるといたしましてもちょっと時間がかかりますので、その数字的な点はごかんべん願いまして、実は、税務署では、異議申し立てがあった場合には、徴収との間で連絡をいたしまして、大体において滞納処分について考慮を払っているというのが実情だと思います。
#90
○成瀬幡治君 附帯決議のほうは以上で、また新しい問題が出たり気づきましたら御質問を申し上げることにいたしまして、あと、滞納で差し押さえられましてそしてそういう物件が国へ入ってくるわけですが、いままでに、実際滞納であなたのほうは競売に付されまして、あるいは競売に付されなかったかもしれませんが、物件をとったものが、たとえば一年間に、昭和四十二年以降でよろしゅうございますが、どのくらい件数があって、額があるかということは、どのぐらいございましょうか。
#91
○委員長(栗原祐幸君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#92
○委員長(栗原祐幸君) 速記をつけて。
#93
○政府委員(吉國二郎君) たいへん遅延をして申しわけございませんが、ちょっといま計数が出ませんので、あとで計数を調べまして申し上げたいと思います。公売の件数は、大ざっぱな感じでございますが、年間二千件ぐらいしかないようでございまして、最後の公売処分までやるのはわりに限られてるようでございます。−数字が出ましたので申し上げますが、引き揚げ公売という、財産を引き揚げてきて公売をした件数でございますが、これが四十二年から四十三年の十月から九月までの間に人員で二千百四でございます。その公売によりまして徴収しようとした額が二十五億八千六百三十五万円ということになっております。四十三年から四十四年までは、その同じ数字が、千八百二十七件、金額にいたしまして二十五億四千二百二十六万円という数字になっております。大体、年間二千件くらいの公売処分が行なわれておるということでございます。
#94
○成瀬幡治君 これは、数字を出してもらって、それが出たときもう一ぺん御質問申し上げたいと思います。
 それから次に……
#95
○木村禧八郎君 資料をさがしている間に私から……。
 九十八条、裁決の問題ですが、質問いたしたい点は、裁決期間に何らの定めがないのですね。ですから、事案が未解決のまま長期にわたる場合、審査請求人は非常に不利な立場に置かれる。そこで、事案を受理してから裁決までの期間は何か定められないのかどうなのか、あらかじめ。そして、その期間を経過しても裁決がない場合に、審査請求人の申し立てを認める、こういう措置が講じられないのかということなんですね。
#96
○政府委員(細見卓君) 審査請求事案は、もう御承知のように、難易千差万別でございまして、非常に簡単にそれこそ一月ないし二月で片づくものもあろうかと思いますが、従来の協議団におきます審査の期間を見ましても、再調査を経て審査請求になるような事案につきましては事実関係もかなり複雑であるというようなことで、一律に何カ月ということで切るのはやはり問題があろうかということで現状のような規定にいたしているわけでありますが、ただ、そういうことによりまして、漫然と審査請求に引っぱられておって、裁判所で早く決着をつけたい人が、その審査請求があるものだから、訴願前置があるものだから、出訴によって権利救済がはかれないという点については、これは配慮しなければいけないというので、この条文にございますように、三カ月をたって何にも決定しないときは、裁判所へ申し出ていただいて出訴する権限が与えられるということにいたしておりますが、税務事案はまさに大小さまざまでございますので、一律に審査の期間を法律できめるというのはいかがなものか。ただ、運用にあたりましては、これは長官の申し上げることですが、できるだけ短期にして納税者の権益を保護するように心がけなければならないことは、もう法律全体を通ずる精神であろうかと、かように考えております。
#97
○木村禧八郎君 長官はどうなんですか、運用方法は。
#98
○政府委員(吉國二郎君) 従来の審査決定をいたしましたものの実績は、大体八・五カ月、八カ月半でございます。これは、一つは、その中には、別の件で訴訟が起こっているためにおくれたというもの、それから査察調査を受け刑事事件で告発しておりますためにおくれたとかというものを含んでおりますために八・五カ月になっておりますが、もう少し短いと思います。普通の案件は、そのうち二・五カ月が裁決の期間、つまり、原処分庁と申しますか、原局のほうとの協議にかかっているものでございます。したがいまして、今度は、裁決に関しましては原局の意見は全然参酌いたしませんから、二カ月分は減ると思います。したがいまして、いままでの実績から申しましても、平均で六・五カ月ぐらいにはなると思いますが、さらにそれは短縮し得ると思います。したがいまして、できるだけやむを得ず訴訟に持ち込むというような事蛇心を起こさないように努力いたしたいと思います。
#99
○成瀬幡治君 差し押えと関連するわけですけれども、これはあなたのほうで資料はないだろうけれども、差し押えられることによって、いままでは金融の道がついておったけれども、金融がぴたっととまっちゃって中小企業が倒産に追い込まれるというのは相当あるだろうと思います。銀行がどうこうせずにおってもそういうことがあります。そういうような面から何か調査されたりいろいろされたようなことは大蔵省はいままでないのでしょうか。
#100
○政府委員(吉國二郎君) 差し押えによって金融がつかなくなってつぶれたという事例は特に調査したことはございませんが、現在徴収猶予とかいろいろな制度がございますが、そのときには、非常常にこまかく資金繰り計算をいたしまして、資金繰りがたつようにしながら徴収猶予を認めているというのが実情でございます。したがいまして、不動産などにつきましては、二重差し押えということで、金融機関等と二重に差し押えをしている例もございますけれども、差し押えをしたがために倒産に追い込まれたという話もときどき聞かされることがございますが、具体的に私どもでつかんだ事例はないのでございますが、そういうことがないようにということで、かなりこまかい資金繰り計算の通達を出しまして、納税者の資金繰りがほんとうに動きがとれなくなってしまうということがないように配慮はいたしております。
#101
○成瀬幡治君 そうすると、国税徴収法に基づく――第五章にありますが、国税徴収法の、たとえば資金繰りがつかなくて倒産に追い込まれるというようなときがあると判断をしたようなときに、ほんとうに言うなら、あなたのほうはおそく行っても、担保を設定すれば先取りができるわけです。一つの延期の理由になりますか。
#102
○政府委員(吉國二郎君) 営業の休廃止をせざるを得ないというようなときには、徴収猶予の理由として扱っております。それから実際徴収猶予という形によらずに、一応滞納処分中ではあるけれども、その徴収を月割り額で指示をして、その納付計画に基づいて納付させるというような実際上の扱いもいたしております。
 なお、御承知のように、新しい、昭和三十三年に改正をいたしました徴収法におきましては、超過差し押えの禁止というような規定をはっきり置きまして、滞納税額以上の価値のあるものを押えるということをしないように、また、滞納処分の結果、一部税額が入って差し押え額が税額をオーバーした場合には、その部分だけ差し押えを解除する道を開くとかいうことにいたしておりますので、わずかな滞納金額で大きな財産を押えてしまうというようなことは現在行なっておりませんので、おそらく特殊な例として、脱税をしてそれを全部使ってしまった、そのためにほかの財産を押えなくちゃならぬという事態が起きた場合は別といたしまして、普通の営業をして滞納した場合には、税金に相当する分だけ差し押えたからといって、営業そのものに大きな支障を与えるという結果になることはあり得ないと思います。何千万という脱税をして手元に一つも残っていないという例がときどきございますが、こういう場合には、実際差し押えるとわやになってしまうということはあり得ると思います。
#103
○木村禧八郎君 最後に一つだけ。税務関係のほうは、減額、増額にも実質的には五年間の更正決定権を認められているんですね。ところが、納税者は、増額を修正申告による、また、減額は更正の請求によるという場合ですね、両者の請求期間に違いがある。前者は五年ですか、後者は三年でしたか、とにかく違いがある。これは五年一本に統一できないかということです。納税者が減額のための更正を請求した場合でも、その決定権は税務官庁にある。申告納税制度の趣旨に照らして、更正請求は修正申告に一本化して、その期間を五年に統一できないだろうか。増額のほうは五年だけれども、減額の場合は三年、非常に不利じゃないかと思うんですね。
#104
○政府委員(細見卓君) 更正決定は、御承知のように、詐欺、不正のような特殊な行為が行なわれた場合には五年間でありますが、通常は三年を除斥期間といたしております。それに対して更正の請求は、つまり納税者のほうで税金をよけい払い過ぎているからそれを返してくれという更正の請求、これは従来は一カ月というのが原則で、ただ、所得税と法人税につきましてはそれを二カ月にしておった。今回、それを、つまり納税者が普通に去年の申告が間違っておった、あるいはこの間の申告は間違っておったというふうに気がつかれるのはこの次の申告を出されるときであろうということで、税制調査会等で各委員の方々もおっしゃり、そういう意味で一年にして、つまりその翌年申告を出したときに思い出せないことはもう思い出せないのじゃなかろうかということで一年にいたしたわけでございます。ただ、その場合に、申し上げておきたいのは、たとえば裁判などによりまして、ある売り上げがあったと思ったのが、それが実はその売り上げにならなかったとかというようなものにつきましては、そういう裁判その他によって確定した事後救済の道はありますが、通常の場合は、翌年申告を出すときに、去年の申告はちょっと多過ぎた、ことし帳簿を照らし合わしてみて、ということで大半は救済できるのじゃなかろうか。やかましい議論を申し上げれば、法律関係をできるだけ早期に安定しておきたい。たとえば、納税証明のようなものをいろいろ出すわけでございますね。たとえば建設業者やなんかの方について、実はあのときはどうも大きくて違っておりましたというような事案も起こりますので、法律関係の安定ということと納税者の権利の救済ということと、バランスをとってみますと、まあ二年というところは、少なくとも現状の二カ月をそれこそ六倍にしたわけですから、まあまあというような感じで、答申もいただいており、私どもも現状ではこれで足りるのではないかと考えているわけでございます。
#105
○木村禧八郎君 どうも国のほうがふやすような場台には五年で、減額のほう、納税者の有利の場合は少ない。あなたはバランス、バランスと言うけれども、そこのバランスが、どうも取るほうに有利になっているような感じがするわけなんです。
#106
○政府委員(細見卓君) それはあまりむずかしい話にしてはいかがと思いますが、納税者の方は自分一人のことを覚えておられればいいわけです。自分一人のことを計算なさればいいわけですが、税務官庁のほうは、いわば不特定多数と申しますか、特定多数と申しますか、特定多数の方を相手として、その方の申告がよかったか悪かったかということを調べるということになりますと、それこそ、人員の問題、あるいは事務量の問題等からしましても、やはり三年ぐらいは目こぼしのないようにするのにはかかるというのが実情で、片一方、納税者のほうは、自分だけのことをおきめ願うのですから、まあこれは一年あればいいのじゃないかというような感じでございます。
#107
○木村禧八郎君 取る者と納める者との立場の違いということもやっぱり頭に入れなくちゃいかぬと思います。この法律案はとにかく納税者の立場に立っての法のあれですから、それに関連して質問しているのですけれども、バランスといったって、そこのところに取る者と取られる者との間にアンバランスがありますと、それを同じようにしてどこが悪いのですかね、実際問題として。それだけ伺って終わります。どこが悪いのですか、実際上。国益に反するのですか。一緒にしてどこが悪いのですかね。
#108
○政府委員(細見卓君) 基本的に、申告納税で申告が完了したときに国との間の租税の債権債務は確定するというのが一番望ましい状態であるわけでありまして、それがまあ一年ぐらいの間は思い違いを思い出されるときもあろうかということで、この次の申告を出すときまでに間違いがあったら見直していただく。もちろん、国のほうに三年間の更正のあれがあると申しましても、減額の更正――調査の結果、納税者のほうが言っておられるものが多過ぎるというようなときには、納税者のほうへ、それはほっておいてというようなことではなくて、あなたのほうはこれこれ申告が多過ぎますということは親切に御連絡はしておるはずでございますので、そういう意味で、それこそ二千数百万の納税者と、五万足らずの税務職員でやる場合のことを考えれば、事務量からしても三年というのが特に長い期間だということもない、むしろぎりぎりの事務処理の期間だということを考えれば、私どもは、それなりにこの辺でバランスがとれておるのじゃないかと思っておるわけであります。
#109
○委員長(栗原祐幸君) 本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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