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1970/03/12 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第7号
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1970/03/12 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第7号

#1
第063回国会 大蔵委員会 第7号
昭和四十五年三月十二日(木曜日)
   午前十時十四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         栗原 祐幸君
    理 事
                沢田 一精君
                成瀬 幡治君
                鈴木 一弘君
    委 員
                青木 一男君
                青柳 秀夫君
                伊藤 五郎君
                岩動 道行君
                大竹平八郎君
                鬼丸 勝之君
                津島 文治君
                丸茂 重貞君
                矢野  登君
                木村禧八郎君
                戸田 菊雄君
                松本 賢一君
                横川 正市君
                上林繁次郎君
                渡辺  武君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       大蔵政務次官   藤田 正明君
       大蔵省主計局次
       長        橋口  收君
       大蔵省主税局長  細見  卓君
       大蔵省関税局長  上林 英男君
       大蔵省理財局長  岩尾  一君
       大蔵省銀行局長  近藤 道生君
       大蔵省国際金融
       局長       奥村 輝之君
       国税庁長官    吉國 二郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       大蔵省主税局税
       制第三課長    早田  肇君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○租税及び金融等に関する調査(当面の財政及び
 金融等に関する件)
○利率等の表示の年利建て移行に関する法律案
 (内閣提出)
○昭和四十五年度の税制改正に関する暫定措置法
 案(内閣送付、予備審査)
○国税通則法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(栗原祐幸君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 租税及び金融等に関する調査を議題とし、当面の財政及び金融等に関する件について調査を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#3
○戸田菊雄君 大蔵大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、時間があまりありませんので、端的に具体的な内容について承ってまいりたいと思います。
 その第一に、預金金利の規制緩和について現在具体的措置内容が進められておる、こういう情勢にあると存じます。ことに、日本銀行、関係金融団体、あるいは公正取引委員会、こういう方面でいろいろ準備をされているように聞くのでありますが、それらの現在までの進捗状況はどういう状況に進んでおるか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
#4
○国務大臣(福田赳夫君) お話しのとおり、いま、金利調整を始めておるのですが、事業債につきましては決定いたしました。それからさらに、金融債につきましても決定いたしております。あと、残ります問題は、それらに関連いたしまして預合金利の問題がございます。これも、ただいま関係方面と調整中でありますが、数日中には大蔵省として案をきめたいと、かように考えております。
#5
○戸田菊雄君 そこで、いま、事業債、金融債、あるいは預金金利など、こういった内容について具体的に作業を進められておる、こういう御回答でございますが、預金金利引き上げの告示はどの辺に考えておられるのですか。それから預金金利のアップの内容等についてはどのようにお考えになっておられるのでしょうか。
#6
○国務大臣(福田赳夫君) 大蔵省の案を数日中にきめまして、これは金利調整審議会とかそういう手続がございますが、そういう御検討を経まして、告示は今月中にはいたしたいと、かように考えておるわけであります。
#7
○戸田菊雄君 預金金利の場合、何%くらいを見込んでおられるのですか。
#8
○国務大臣(福田赳夫君) まだその規模につきましては的確な結論に到達いたしておらないのですが、各方面と調整の上いたしてみたい、こういうことに考えております。いずれにしても、そう大幅なものにはならない、ごく小幅のものである、こういう傾向かと思います。
#9
○戸田菊雄君 若干前後するかもしれませんが、預金金利を引き上げるということは、結果的に郵便貯金の引き上げも均衡上やらざるを得ないのじゃないかというように考えるわけです。また、郵便貯金の引き上げをすれば、結果的に資金運用部預託金利といったものにも影響してくるのではないかというふうに考えるわけです。その辺の一連の関連措置等についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#10
○国務大臣(福田赳夫君) まだ一般金利の預金金利のほうの規模がきまりませんので、その波及がどういうふうになりますか、これにつきましても的確なことは申し上げかねるのです。しかし、これはどうしても郵便貯金等に影響してくる、こういう問題であろうと心得ております。
#11
○戸田菊雄君 その辺は、何といいますか、郵便貯金等による資金の吸収から資金運用部までの運用、こういったところまでの一連の措置等については、当然金融業務の一環として組織的に組み込まれているのじゃないかと思うのです。ですから、その辺に対する配慮というものは今度の預金金利引き上げについて当然必要じゃないんだろうか、こういうふうに考えるのですけれども、その辺の判断はどうでしょうか。
#12
○国務大臣(福田赳夫君) もう当然郵便貯金などに影響してくる問題でありますから、一般の預金金利の幅なんかをどうするかということとにらみ合わせながら、郵政当局とよく調整をとって結論を得たいと、かように考えております。
#13
○戸田菊雄君 そうすると、大臣の考えとしては、預金金利同様、郵便貯金も当然引き上げるべきである、こういう考え方で対処する、指導する、こういうことでございましょうか。
#14
○国務大臣(福田赳夫君) 大体、方向といたしましてはそのとおりに考えております。
#15
○戸田菊雄君 臨金法に基づく規制内容、こういうものは大体どのように考えておられましょうか。また、預金の種類や期間別の問題がございましょうが、こういう問題は具体的にどのようにお考えでしょうか。
#16
○政府委員(近藤道生君) ただいまのは技術的な問題でございますので、私から御説明申し上げたいと存じますが、告示では預金金利の最高限度を定めまして、それを受けまして、日本銀行においてガイドラインというのを定めるという手続になろうかと思います。
#17
○戸田菊雄君 そのガイドラインのおおむね骨格を教えてもらいたい。
#18
○政府委員(近藤道生君) ガイドラインという考え方でございますが、これは、御承知のように、貸し出しの場合には、自主規制というお互い同士の相談できめておるわけでございます。ところが、預金の場合には、これはやはり国民の利益という面から見ますと、預金の場合に天井をきめるということは、貸し出しの天井をきめます場合と違いまして、やや国民の利益に対しては反するおそれもあるというようなところで、公正取引委員会当局とも話し合いの結果、日本銀行におきまして、日本銀行が間に入りましてガイドラインという形で告示を受けた一つの線を打ち出す、それによって自主規制にかわるものとするというのが基本的な考え方でございます。したがいまして、将来は、告示の金利とガイドラインとの間にかなりの開きがあるという場合も考えられるわけでございますが、今回は初めてそれですべり出すわけでございますので、ただいま予想されますのは、おそらくは告示と全く同じ内容のものということですべり出すのではなかろうか。まあ、これは先の話でございますし、まだ私どもがとやかく申し上げることではございませんが、予想としてはそういう形のものになろうかというふうに考えております。
#19
○戸田菊雄君 そうしますと、こういう理解でいいわけですか。結局、基本的には、告示の内容は、大まかな預金の最高限度率ですね、この程度の告示をして、細部にわたる期間の実施やそういう問題については各金融機関の自主性の判断にまかせると、こういう構想でいくということですか。
#20
○国務大臣(福田赳夫君) たてまえはそのとおりにいたしたいと思っております。今度そういう仕組みの変更をするわけでありますが、当面これをどういうふうに実施するかというと、最初のことでもありますので、混乱が起きてはいかないというので、日銀や私どものほうは、金融機関の内面指導というか、そういうような形で、今度告示になる最高限度、これは大体その線で実施をしてもらいたい、こういうふうに考えておるのであります。
#21
○戸田菊雄君 あまり時間がありませんから、詳しくは聞いておられないのですが、これは東北の場合ですけれども、地銀、相銀の場合で、都市銀行とはだいぶ趣を異にするのでありますが――私は基本的にこの金利引き上げは賛成なんですから、心配な点だけをお伺いするわけですから、その点は御了解いただきたい。そうしますと、どうしても最高限度率が引き上がるが、三カ月、六カ月、一年ものでも地場銀行としては当然最高限度率に持っていかざるを得ないだろう。それは当然預金の獲得競争ということになる。そういうことになれば、その波及が金利体系全体に影響してくるのではなかろうか、あるいはその内容によっては弱小金融機関は経営が破綻をするのではなかろうか、こういういろいろな心配がいま実際に金融機関の中では起きているわけですね。だから、そういう問題に対する歯どめをもその内容で考えていかなければたいへんな困難が起こるのじゃないだろうか、こういうふうに理解をするわけなんですが、その辺の歯どめといいますか、そういう問題について大臣のお考えを承っておきたいと思います。
#22
○国務大臣(福田赳夫君) まさしく戸田さんのお話しの点なんかを考慮いたしまして、最高限をかりに高くきめた、そうしてその最高限の中で自由にやっていいのだ、こういう仕組みにはなるのです。なるのですが、その仕組みのとおりに実行する、つまり最高限が高くなって、そして、その中で金融機関によっては自由裁量をするということになりますと、そこでかなり無用の競争なんかが当面出てくるおそれもあるのであります。そういうようなことで、行政指導という立場からいいますと、今度は天井をなるべく低くしておく、そうしてその天井に全部そろえていただく、こういう方式を考えておるわけであります。
#23
○戸田菊雄君 その天井の上げ幅はどの程度に考えておられるのでしょか、これはまだ検討中ですか。
#24
○国務大臣(福田赳夫君) いま定期で五分五厘ということになっておりますね。最高五分五厘ということになっておりますが、この五分五厘というのを幾らか上げるわけです。しかし、その上げ幅を、ただいま御指摘のような心配もありますので、そう多額なものにはしない、ごくわずかな引き上げにしておきまして、しかし引き上げたそのところで皆さんがそろってやっていただきたいのだ、こういうふうなたてまえであります。その上げ幅をどうするかということは関係方面といま調整中でありまして、ここでまだ正式に申し上げる段階になっておらないのであります。
#25
○戸田菊雄君 その上げ幅によっては貸し出し金利等にも相当影響してくるのではないかと考えるわけですね。われわれいろいろ情報に聞くところは、〇・二%ぐらいおおむね考えておるのじゃないだろうか、こういうことですが、かりにそういうことだとすれば、どうしても預金獲得競争の関係から、各金融機関としては、結果的には、三カ月ものですね、現行の五・五%、それを最高限度率に置いて、そうしてお互いが競争をやっていく、こういうことになってくるのじゃないだろうか。そういうことになってくると、当然結果としては貸し出し金利の転嫁方式といいますか、そういう方向に銀行としては考えざるを得ないのじゃないだろうか。そうしますと、その結果として、やはり物価等にも、いろいろその他の関係等もあります。あるいは政府関係機関のそういう関係もあるでしょう。いろいろあるわけでありますから、そういう結果として最後は物価上昇の要因というものを誘発するのじゃないだろうか、こういうふうにも考えられるのですけれども、その辺の関連はどうお考えになっておられますか。
#26
○国務大臣(福田赳夫君) そういうことも考えまして、限度幅をごく軽微な引き上げにとどめておきまして、そうして競争なんかをする必要のない、こういうように全部そろってその最高限度でスタートしてもらう――制度のほうは違うのです。制度のほうは最高限度額の中でいかようにしてもよかろう。金利の自由化という制度になるのでありますが、当面スタートは、ちょっとお話しのような心配もありますので、引き上げ幅をそう大きくしない。そのかわり全部が最高限度のところでやっていただく、こういうことにして当面のすべり出しをなめらかにしていこう、こういうふうに考えております。
#27
○戸田菊雄君 戦前ですね、臨金法が制定される前ですが、臨金法の制定は二十二年だろうと思うのでありますが、戦前は、各銀行の金利協定、そういう紳士協定によって一定の率のバランスというものが確保されてきたと思うのです。そういう面からいけば、今回政府指導に基づいてこういうことを明かにしていくということになりますると、独禁法との関係において若干法律上の疑義があるのではないのだろうか、違反するのではないだろうか、こういう疑義があるのでありますが、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
#28
○国務大臣(福田赳夫君) これは政府が指導をするのでありまして、金融界で打ち合わせをしてするのではないのであります。そういうようなことで、独禁法にこれが抵触するというような考え方は少しもいたしておりません。
#29
○戸田菊雄君 それからちょっと重複いたしますが、先ほど、事業債、あるいは金融債、預金金利、こういうことで大臣がおっしゃられたのでありますが、ざっと羅列をしてみますと、郵便貯金があり、あるいは資金運用部の問題があり、あるいは政府関係機関の各種金利の問題がある。あるいは政府保証債、国債、こういう問題等々も全部関係をしてくると思うのであります。ですから、今後これをきっかけにいたしまして種々検討を積み重ねていかなければいけないと思うのでありますが、その検討の機関ですね、どういう段階で全体の金利体系というものがそういうふうに整備されていく、こういう見通しの問題でありますが、その辺はどうでありますか。
#30
○国務大臣(福田赳夫君) まず、政府関係ですね、たとえば開発銀行、それから北東公庫、それからもう一つ中小公庫、これは今度の金利調整措置に伴いましての修正はこれを行なわない、こういう方針でやっていきたいと思っております。これは中小金融機関という関係もあるわけであります。
 それとバランスをとらなければならぬという他の金融機関との関係もありまして、これにはさわらぬ、こういう考えです。それからそもそも今度の措置の発端は、社債や金融債の発行条件と、現実のこれらの証券の取引価格との、乖離というふうに言われておりますが、この乖離幅がだんだん大きくなってくる、こういうことから発足をいたしておるわけなんです。そういうことでありますので、理論的には今度は国債やあるいは政保債というものにも問題が出てくるわけなんです。ところが、金融債や事業債におきましては乖離幅が非常に大きい。一%ぐらい事業債でも乖離幅がある。金融債のほうはもっとある。こういうような状況で、これを是正するということになるわけでありまするが、国債、政保債につきましては乖離幅が非常に少ないんです。国債のごときは事業債の三分の一ぐらいの程度の乖離幅でございますので、事業債、金融債ほど差し迫った事情はないんです。ないのでありますが、今回の措置によりまして事業債、金融債の発行条件を改善をするということになったその結果、国債の発行や政保債の発行にどういう影響を及ぼすであろうかということをよく見詰めてみなければならぬというふうに考えておるわけであります。その状況の推移によりまして、国債がどうも売れない、あるいは政保債も消化されないというような状況になるかならないか、その辺の判断によっては、あるいは国債の条件緩和、政府保証債の条件改定というところまで来ないとも限りませんけれども、ただいまのところは、事業債、金融債の条件改善がどういうふうな影響を国債、政保債等に及ぼすかということを十分よく注意しながら見守ってその推移を見よう、こういうふうに考えておるのであります。
#31
○戸田菊雄君 金利関係は以上で終わりまして、税金問題で若干具体的な内容で質問しておきたいと思うのであります。
 過日の予算委員会で、大臣から、四十六年度以降の税収関係については間接税にウエートを置くといったような御答弁があったのであります。四十六年度以降の直間関係の比率ですね、これはどの程度に一体お考えになっておられるのか、その辺が一つであります。
  それからもう一つは、国民の税負担の問題でありますが、その辺を何%程度に押えていくのか、その辺の見通しを伺いたいと思います。
#32
○国務大臣(福田赳夫君) 今度皆さんに税法の御審議をお願いしておるわけですが、これで一昨年夏の「長期答申」は全部実施すると、こういうことになるわけなんです。そこで、税制改正とすると一つの段階を画する時期に当面をしてくる、こういうことに相なりますが、さて、その後の税制をどういうふうにいたしますかということにつきましては、私は、かねがね、税制というものは、第一に公平でなければならぬ。また、その公平の原則のほかに、第二には負担能力に応じて納税するという思想が貫かれなければならない。それから、しかし、第三には、国民の負担感ということも重視しなければならない。国民との間になるべく摩擦の少ない税制ということもまた考えなければならない。その三つのことを彼此総合勘案しながら考えていく、こういう基本的な考え方をいたしておるわけでございますが、いま「長期答申」を実施しました税制の姿を見ますと、これは直接税に非常にウエートがかかってきておるのであります。戦前は、御承知のとおり、基準年次におきましても、間接税が六五%で直接税が三五%であった。それが、今日、この時点になると、ちょうど逆転して、六五%が直接税で三五%が間接税であると、こういうふうになってきておる。そこで、日本の国民の租税負担全体から見ますると、まだ約一八%くらいでありまして、先進諸国に比べますと、もう非常な低さであります。それにもかかわらず、所得税が高いな高いなという減税の要求があるわけであります。それはなぜかというと、間接税、直接税をひっくるめての租税負担から見ますると、これはかなり低いわが国の国民の租税負担ではあるにもかかわらず、その租税負担の大半が直接税に集中されておる。今後を展望してみますと、いまの税制の体系でいきますと、国民所得の大幅な伸びが今後も予想されると、ますますこの比率が直接税にウエートがかかってくるであろうということが想像されるのであります。
 一方、歳出のことを考えてみますと、これから特に社会資本の需要を充足しなければならぬという問題が起こってくる。御承知のように、すでに新道路五カ年計画というものを四十五年度からスタートしようとしておるわけであります。また、全国新幹線網という問題もいま提起されている。その他、新全国総合開発計画を遂行するという立場にも置かれている日本としては、財政に対する需要がかなり重くなってくることが展望される。その際にどういうふうにこれらの財源を充足するか、こういう問題に当面するわけでありますが、この財源をいまの直接税中心主義でいきますと、国民に対して負担感がかなりきついものになっていく傾向を持つであろうと思います。
 そこで、私は、新しい段階に臨む税制改正と、また、これらの財源充足ということも考えなきゃならぬが、その際には、なるべく直接税に依存するという考え方を避けて、むしろ直接税につきましては積極的にさらに減税をし、国民の税負担感をなくするという、こういう方向を打ち出すべきであるが、さあ、伸びゆく財政需要とそういう直接税の負担を軽減するために一体どういう財源措置をとるかということになれば、これは間接税ということを考えるほかはあるまいじゃないか、そういうふうな考え方、見方をいたしておるわけであります。具体的には、国会でも終わりましたらば、税制調査会にこれからの税制はどうあるべきかということを諮問し、また、各界の意見も広く求めて、そして国民のコンセンサスのもとに新税制をやっていきたいと、かように考えておるのであります。したがって、今日約一八%という租税負担をどういうところまで持っていくか、これは約一八というパーセンテージは多少高くなる傾向を持つであろうと思いますが、どこまで財政需要を、つまり社会資本、社会保障等をどこまでやっていくかという見通しとの関連にもなりまして、いまここで的確なことは申し上げられませんが、多少これが上がっていく傾向がありはしないか。しかし、上がっていっても、国民に重税感を与えないような方向で財源の調達をいたしていきたい、これが私の基本的な考え方でございます。
#33
○戸田菊雄君 構想はよくわかったのでありますが、若干意見はあるのでありますが、きょうは意見は差し控えまして、質問でいきたいと思います。
 それから最近、建設大臣が、道路財源の生み出しとして、物品税の引き上げ、具体的には自動車の乗用車であるとかトラックであるとかを何%か引き上げてそれで道路財源等を生み出したいというようなことを発表なされておるのでありますが、こういう面に対する大臣の見解をお伺いしたいと思います。
 時間がありませんから、全部羅列的に質問事項を申し上げたいと思います。
 もう一つは、最近、国外旅行というのが非常に多くなったんですね。外国に行く、そういう方が非常に多いのでありますが、こういう面に対する出国税の引き上げということを考えておるのか考えておらないのか、この辺に対して。もう一つは、入場税の問題で、いろいろございますが、ことに映画関係でありますけれども、私はある映画館の収支計算書を見せてもらったのでありますが、収入というものは税金にもうほとんど納入してしまって、営業が成り立たないという状況なんです。ことに、最近はテレビが非常に普及いたしておりますから、そういう関係で映画観衆が非常に少なくなった。中には、文部大臣の推選映画なんかは小学校の児童や中学生が見るのでありますが、そういう問題に対して現在も若干の割引はやっておるのでありますけれども、こういうものは無税にしてもいいじゃないかと、こういうふうにも考えるのでありますが、こういった主として映画関係の入場税等について廃止もしくは免税をする意思はないのかどうか、この点が第三点です。
 もう一つは、いま焦点となっている減反奨励金の問題でありますが、これは端的に荒っぽい言い方でありますが、明らかに政府の農業政策の失敗一の結果じゃないかと思うのです。ですから、こういう奨励金には、あの三万幾らの額ですら私は完全な補償金とは言えないと思うのです。ですから、こういう問題に対して免税する考えはないのかどうか、これが第四点。
 もう一つは、地方住民税との関係でありますけれども、大臣は、いま地方財政が非常に潤沢であると。だから、政府が、四十三年には四百五十億借り受け、四十四年度六百九十億借り受け、今回三百八十億程度の地方自治体からの借り受け、こういうものをやっているわけですね。そうだとすれば、いま大臣がおっしゃられましたように、国民の重税負担感というものを解消していくということで多年主張されてまいりました国税と地方住民税の最低限引き上げの問題ですね。だから、そういうところに地方財源があるとすれば、当然この軽減措置をはかっていくのが政治の常道ではないだろうかというふうに考えるわけでありますが、この辺のいままでの大臣の主張と答弁の中で姿勢として若干矛盾をしているのではないかということが考えられるわけです。
 こういう問題について、約六点ほどでありまするけれども、時間がありませんから、一括して質問をいたします。
#34
○国務大臣(福田赳夫君) いま六点というお話しですが、五点です。(笑声)
 まず、第一は、トラック新税と新聞に報道されている問題です。これはなぜそういう考え方が起こってくるかと申しますと、御承知の道路五カ年計画を四十五年度から始めたいということになるわけですが、これは十兆三千五百億円、五年間と、こういうことに相なるのでございまするが、今日の経済情勢を基本とし、また、今日の税制を基本として考えていきますと、この財源が五年間で約三千億円一般財源において不足をするわけであります。これを一体どういうふうに充足するかと、こういう問題になってくる。まあ三千億円といたしますと、年額にいたしまして六百億円です。しかもこれは傾斜的に不足が考えられるのじゃないかと思うのです。あるいは初年度は六百億円というそこまではいかないでも、五百億円の不足になると、こういうようなことになるかもしれませんが、とにかく不足する額が平均年額六百億円のオーダーであります。ですから、四十五年度における税収が一体どうなるか、四十六年度において税収どのくらい見られるかというような観点から、あるいはこれを新税を起こさぬでも吸収し得るかもしれない。しかし、あるいは四十六年度といわず、その先において不足を生ずるような場合もあり得るので、この際まあ見通し得る財源不足に対しまして措置をしておくべきじゃないかというところからこの議論が出てきておるわけなんです。いずれにいたしましても、四十六年度以降の税収が現実に一体どうなるかということを踏んまえての見当になりまするが、しかし、四十六年度予算の編成のときまでには、その財源をどうするかということについて、一応の見当はつけてみたいと、こういうふうに考えております。その財源は、私は、不足するとすれば、間接税ということでいくべきかと思いますが、あるいはガソリンに依存すべしという議論もあります。あるいはいまお話しのように、自動車物品税というようなことでいくべしというような意見を言う人もあります。あるいはそれに類似しますけれども車検税というような形はどうだというようなことを言う人もあるし、また、あるいは自動車に対しまして公債を保有する義務を課するというような方式はどうかというような説をなす者もあります。まあいろいろ構想が出ておりますが、それらの諸構想もひっくるめまして税制調査会でどういう結論を出しますか、それの結論を待って政府の最終的な考え方はきめなけりゃならぬ、こういうふうに考えております。
 それから出国税につきましては、私は、最近のわが国の国民の海外旅行の趨勢等から見まして、外国で空港税や空港利用手数料を取っている例もありますし、その検討を大蔵事務当局にもしばしはお願いをいたしておるわけなんです。おるわけなんでありますが、これは、出国を制限する、海外旅行を制限するということで国際的にかなり問題があると、こういうことを言われるのでありまして、日本はこれだけの外貨を持ちながら海外旅行を制限するとは何事だと、こういうふうな印象にもなるので、OECDの場なんかで議論を巻き起こしはしないか、そういうふうな心配があるというようなことで見送っているのでありますが、それらの方面の理解が完全に得られればこれは実施すべきである、こういうふうに考えております。
 それから第三の入場税、これは私はまことに申しわけないので、先日もここで皆さんに心からなる遺憾の意を表明したのでありますが、この前、この場におきましても、四十五年度にはこれはぜひ軽減方を考えたいと、こういうふうに申し上げたのです。それでその方向で今度の予算の編成にも当たってみたのです。ところが、今度の予算の編成にあたりましては、物品税は一切これの引き下げ等の措置はとらない、こういう大原則を立てたわけであります。つまり、物品税につきましては、各方面から引き下げの要求が非常にある。それを一つでも手をつけたら、これはてんやわんやになってしまう。そこで、まあ一切の物品税の引き下げはいたさないという基本方針をとったのでありますが、物品税にかなり類似した性格を持つ入場税に手をつけますと、物品税には一切触れないという大原則に波及するおそれが出てきたわけなんです。そういうようなことから、私は非常に不本意ではありましたけれども、今度の四十五年度の税制改正ではこれは見送るということにせざるを得なかったのでありますが、私は皆さんに申し上げた考え方は今日なお変えてはおりません。何とかして早い機会にこの考え方を、皆さんも超党派で御賛成のようでありますから、実現をいたしてみたいと、そういうふうに考えております。
 それから減反問題についての税制の適用でございますが、これは転作につきましては一時所得の扱いをする、それから休耕につきましては一般の農業所得の扱いをしようと、そういうふうに考えております。
 最後に、住民税につきましては、全く同感なんです。しかし、住民税というのは、地方の地域社会維持のための財源である。そういうようなことで、勢いこまかくなる。また、こまかくなってたくさんの納税者が地域社会に責任を持つという体制も一面において必要だという面もあると思うんです。そこで、国税と一緒にしなければならぬというふうには考えていないのです。しかし、地方財政の充実に応じまして、住民税のほうにおきましてもその免税点を逐次上げていくという基本的な考え方は、これは堅持していかなければならぬ。そして、直接税の負担感を解消する、そういう方向で努力をすべきものだというふうに考えているわけであります。
#35
○木村禧八郎君 私は、最近の金融政策とそれから円の切り上げ問題について質問したいと思います。この前日本銀行総裁に質問したのですけれども、通貨当局、金融当局としての答弁があったようですが、大蔵大臣としてはどういうふうに考えられているか、質問いたしたいのであります。
 その前に、いま戸田君から預金金利の問題について質問があったのですが、前に大蔵大臣は、物価対策と関連して、物価の安定のめどは、貯蓄を害さない、貯蓄に悪い影響を及ぼさない範囲、こういうことを言われたことがありますね。そうすると、おのずからわかってくるのじゃないですか、限度が。どのくらいか、貯蓄に影響を及ぼさないのは。四十五年度の消費者物価の政府の見通しは四・八%ですわね。それと預金金利との関係です。どういうようにお考えですか。いまの税引きで考えると、四分六厘七毛でしょう。四・八%といいますと、これは預金金利よりも消費者物価の値上がりのほうが上なんですよ。それでは貯蓄を阻害することにならぬというわけにはならないでしょう。物価値上がりが貯蓄の税引き利回りよりも上回っている。そうすれば、貨幣価値がそれ以上に減価するということは、これは矛盾だと思うんですよ。そこで、今回、定期預金の一年ものについてどの程度に上げるか。ですから、税引きで四分八厘を上回るように引き上げなければ矛盾すると思うのです。その点はいかがですか。
#36
○国務大臣(福田赳夫君) まあ預金金利と申しましても、税引き利回りというお話でございますが、少額貯蓄は税は引いておりませんから、いまの五・五%まるまるが収入になるわけですね。ですから、その両方をにらんで考える必要があろうかと、こういうふうに思いますが、理論といたしまして、どうも物価の上昇が預金金利を上回る、これは私は絶対避けていきたい、こういうふうに考えておるのです。遺憾ながら四十四年度の実績はそういかなかった。そこで今度の金利改定はどういう趣旨かといいますと、全体の金利調整という面から出発しておるのでありまして、ただいま申し上げましたような物価との関連というところから出発をしているのではないのです。ないのでありまするけれども、しかし、その問題も重要な問題でありますから、これは考えなきゃならぬ問題でありまして、さすがに木村先生は非常に鋭く見通されまして、税引きの場合を考えてみると今度の預金金利の引き上げの幅が大体見通し得るのではないかというおことばでございますが、それも十分考慮しながら金利調整審議会のほうでは結論を出すのじゃないか、さようなふうに見ておるのであります。
#37
○木村禧八郎君 これは新聞に出ているんです。
 「読売新聞」に出ていますよ、四月二十日ごろ五分七厘五毛に上げるということが。五分七厘五手というと、なるほど税引きにしますと、これは一五%の税金ですが、源泉一五%しますと、四分八厘八毛になるんですよ。そうすると、消費者物価の見通しの四・八%より上回るわけです。少しは上回る。そこで、大蔵大臣がこれまで言ってきたこととつじつまは一応合うんですよ。しかし、実際に物価がそれで安定するかどうか、それは問題ですけれどもね。ですから、大体こういうふうにきまっているのじゃないですか。
#38
○国務大臣(福田赳夫君) どうも、関係者の皆さんの御意見は、お話しのような傾向に動いておるようです。しかし、どうしてもこれは最終的には金利調整審議会のきめることなんで、私どもがこうするのだと言うことにつきましては、これはいささか支障があろうかと思います。これは木村さんの御賢明なる御想像にまかせるほかはあるまいと、かように考えております。
#39
○木村禧八郎君 それでは、「読売新聞」の報道は間違っているんですか。
#40
○国務大臣(福田赳夫君) 「読売新聞」のその記事を私は存じませんけれども、間違っているとも間違っておらぬとも申し上げかねますが、これは全く木村先生の御想像におまかせするほかありません。
#41
○木村禧八郎君 もし、今度予算委員会で質問がございますから、そのときにそうなっていなかったら、また大蔵大臣に質問します。これはいままでの方針と矛盾するわけですからね。それでは待ちましょう。待って、もし五分七厘五毛にならなかったら、これはおかしいわけですよ。大蔵大臣は、自分は消費者物価の値上がりが金利よりも上回ることはどうしても避けたいと言われているのですから、そうならなければおかしいと思う。そうならぬようにされると思う。もしならなかったら、予算委員会でまた論戦の一つの種にしたいと思います。
 次に伺いたいのですが、昨年の九月の日銀の公定歩合の引き上げ及び金融引き締めです。このねらいは、卸売り物価が上がったので、物価対策であるとも言われているわけです。これは日本銀行総裁も言われていますね。その後状況はどうなのか、大蔵省としてはやはり物価対策として金融引き締めというものを考えておるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
#42
○国務大臣(福田赳夫君) それは、物価対策という限られた問題だけじゃないんです。御承知のように、昭和四十二年、三年、四年と引き続きましてわが国の経済成長が一三%をこえるというような、いわゆる異常に高度の成長発展を遂げたわけでございます。ところが、この傾向を見ておりますと、なかなか実質一三%成長という勢いがゆるみそうにない。昨年の上期における金融機関の活動状況、こういうのを見ていますと、実に前年同期の七〇%をこえるというような異常に大幅な数字が出てくるわけです。これは全国銀行の平均の話でありますが、これがさらに信用金庫というような中小相手のものになりますと、またけたが違いまして、一七〇%もふえると、こういうような形勢になっている。そういう傾向と並行いたしまして、昨年の春ごろは日本銀行券が前年に比べまして一五%ぐらいの伸びで落ちついた情勢であったわけでございますが、だんだんと下期になるにつれましてその増加趨勢というものが上がってくる。昨年の暮れから今日までは二〇%増だと、こういうような状態になっておる。こういう状態を放置しておきますと、これは日本経済の前途に非常にむずかしい問題が出てきやしないか。その上、さらに、もう少し掘り下げて考えますと、一三、四%成長というもので行ったらどういうふうになるかというと、これはもう、五年ちょっとで日本経済のスケールが倍になるのです。その倍になった場合の状態を考えてみると、これはまあ非常にけっこうなことであるが、一面におきまして非常にむずかしい問題をはらみますのは、一つは、非常な勢で設備投資が進むということになります。そこで、労働需給の逼迫というものが必ず起きてくる。わが国は潜在労働力はまだかなりあると思う。これは先進諸国に比べまして非常に有利な点だと思いますが、その潜在労働力、休眠労働力を呼びさまさないと、そのまだ活用が行なわれないという段階で設備投資が行なわれ、そしてまた労働力の需要を起こすということになると、これは賃金の高騰、しかも、その賃金の高騰が実質的な高騰ではないので、これは物価の高騰につながってくる。そうして、賃金、物価の悪循環という事態に突入をする。さらに、また、とにかく五年そこそこで物の生産が倍になる。これは農産物を含めての倍ですから、鉱工業生産なんかはずっとふえるわけです。そういうできた品物を一体輸送できるか、貯蔵できるかというようなことを考えますと、道路計画も、あるいは港湾の計画も、あるいは空港の計画も、そんなものにとても及びつきません。そこで、せっかく品物はできたけれどもこれは滞貨にならざるを得ない。滞貨になるようなものをつくりっこありませんから、せっかくできた設備は遊休化する、こういうことになる。あるいは原材料、これもたいへんなものが必要になってくるわけです。鉄鉱石にいたしましても、原油にいたしましても、そうなんです。それを一体海外から順調に入手できるか。粘結炭のことを一つ考えましても、たいへんなことなんです。
 そういういろいろな成長制約要因というものが横たわっておるわけでありますが、これを無視して経済が実質一三、四%の成長発展をしたならば、これは五年に倍どころじゃない。一、二年にしてたいへんなことになってきやしないか。それを考えまして、どうしても成長の速度をここで落とさなければならぬ、こういう考え方なんです。
 物価も大事な問題です。関連して物価も考えておるわけでありますけれども、その奥に横たわるところの成長の速度、これを何とかしなければならぬ。その中心としては、何といっても設備投資である、こういうことを考えながら金融調整というものがとられておる、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。
#43
○木村禧八郎君 大蔵大臣、非常に丁寧に御答弁願うことはありがたいのですけれども、私は十一時二十分までということで、時間がないのです。ですから、簡潔にひとつ――丁寧に答弁してもらって簡潔にと言うのはおかしいのですけれども、時間がないですから、お願いします。
 私が伺いたい点は、こういうことなんです。大体、金融引き締めの政府の意図もわかります。物価対策と同時に、その背後にあるあまり急激な成長ですね、まあ民間設備投資が中心だと思うのですが。しかし、国際収支が非常に黒字が多くなって、それで世界各国から円の切り上げが要請されておる、そういうもとで金融を引き締め金利を上げるということは矛盾じゃないかと思うのです、逆に。それでは今度は国際収支の黒字がふえるんですね。この矛盾をどういうふうにお考えかというんですよ。いままでは、金利政策というのは、国際収支が赤字になったときに金利を引き上げ公定歩合を上げて引き締めたんですね。ところが、今度は、国際収支が大幅な黒字のもとで金融を引き締め公定歩合を上げるということは異例のことだということを日本銀行総裁も言っているわけなんです。黒字幅を少なくしなければならないそういう情勢のもとで、黒字がふえるような政策をとっておる。
 そこで、私が伺いたいのは、その過熱を防ぐのにどうしても財政面で処理しないか。いままでは、昭和四十一年ですか、四十年だか、繰り延べをやったでしょうが、予算の繰り延べを。いま金融だけにしわを寄しているでしょう。過熱過熱といって大蔵大臣がそんなに言うならば、四十四年度の予算の使い方においてなぜ繰り延べその他で財政面でしないのか。国際収支が大幅黒字のときに金利を上げいわゆる金融を締めれば、黒字が大きくなるから、そこにまた円切り上げに対する要請が強くなって矛盾が出てくるから、そういうときには財政面においても処理すべきじゃないか。財政面のほうの政策をウエートをもっと大きくしなければいけないのじゃないかと思うんですよ。その辺、私は、矛盾しているのじゃないかと思う。矛盾というより混乱しているのじゃないか。どうやったらいいかと迷っているんですよね。これは非常にむずかしい問題ですけれども、矛盾した政策だと私は思う。
#44
○国務大臣(福田赳夫君) 国の政策は、予算のきめたとおりなるべくならばそのとおり実行していきたいのですが、皆さんにおかれましても、社会資本が立ちおくれておるという声が圧倒的に多いわけであります。また、社会保障にしても同様な見解であると承知しておりますが、しかし、お話のように、景気調整は、これはほかにもその手段はいろいろありまするけれども、財政と金融が主軸になる。これはまあそのとおりでありまして、これを両々活用しなけりゃならぬというふうに考えております。
 そこで、まず、昨年の九月に金融調整政策をとり、これでまあスタートした。その模様が一体どういうふうになっているかということを見ておるわけです。その模様によっては財政も出動しなければならぬ、こういうふうに考えておるわけです。それから四十五年度の予算の編成では、ですから、公債を減らすとか、あるいは法人税の引き上げをいたしますとか、まあいろいろきめこまかく配慮はいたしておるわけでございますが、金融のほうの引き締めの効果がかなりいまきいてきておる。まだ実体経済の面に対しましては、微々たるものでありまして、この二、三カ月の推移を見る必要があると思うのでありますが、まあ金のほうはかなり詰めてきた。これが実体経済にどういう影響を及ぼすか、二、三カ月よく見まして、そしてその状況によりましては、財政の運営につきましても弾力的な考え方をとらなきやならぬというふうに考えておりますが、まあ常に財政もあるいは金融も一緒の時点で一緒に歩き出さなければならぬというふうに急速に運営するのもどうであろうか。しかし、基本的には、木村先生のおっしゃるとおり、財政と金融が相携えて景気調整の主任務を担当しなければならぬ、そういうふうに考えております。混乱はいたしておりません。
#45
○木村禧八郎君 いままで、景気調整の場合ですよ、行き過ぎるという場合に、いつでも繰り延べ繰り延べということを言っておりましたし、いままで繰り延べをやっていますよ。ところが、今度は、景気が過熱化しているというのに、財政における繰り延べのくの字も言わないじゃないですか。それは、社会資本が立ちおくれているから、公共事業費のほうも減らしたくないということもあると思うんですよ。そこで、いろんな混乱をしているんですよ。社会資本も充実したい。それから円の切り上げも要請されないように国際収支の黒字幅も逓減さしていきたい。物価のほうもあんまり上がらないようにしたい。それから景気の行き過ぎも何とかして押えなければならぬ。混乱しているわけですよ。もっと整理をして、オーソドックスでは、諸外国では、財政のほうを締めて金融のほうで調整しているでしょう。大体それがオーソドックスですよ。アメリカでもそうでしょう。日本の場合は逆なんですよ。財政のほうは締めない、金融のほうでやっている。金融が負担することは、結局、零細中小企業にずっとしわが寄ってくるんですよ。それは非常に問題だと思う。しかし、これは 時間がなくなりますから 今度は予算委員会あたりでまたよくやりますから、十分整理して勉強しておいてください。
 時間がなくなりましたから、円の切り上げ問題で簡潔に伺いたいと思います。
 IMFの総会で今度は為替の弾力化問題が最終的に決定されるのじゃないかと言われているわけです。これについては、アメリカなんかではニクソンの経済報告にもありまして、アメリカは大体クローリングペッグを主体とする小幅ひんぱんな平価変更方式、こういうふうにありますが、それから前にも御承知のように、八カ国の二十七人の経済学者によって為替変動についての提案がなされていますね。これは、第一の提案は――二つありますが、一つは、クローリングペッグですが、もう一つは、変動幅をもっと自由にする。それから無制限に自由にしてしまえという意見もあるようですけれども、いままでは流動性が非常に問題になっておりましたけれども、今度は、流動性じゃなく、為替の問題ですよ、これが非常に重大な問題になっているんですね、国際間で。それで、いままでは、流動性問題が解決すれば国際通貨不安はなくなると言っていましたが、そうじゃなくて、流動性問題として御承知のようにSDRが創設されても、依然として国際通貨不安ですよ。今度は、為替問題が非常に前面に出てきたんですね。それで、一体、政府はどういうふうに今後これを考えられるのか。いまIMFではどう処理されようとしているのか。この為替の相場の弾力化の問題が具体化してきますと、実質的な円の切り上げと同じ問題が起こってくるわけですよ。そこで、私は伺いたい、現実にどうなっているか。
#46
○国務大臣(福田赳夫君) 簡潔に申し上げますが、第一は、円の切り上げについては、ただいまのところ全然これを考えておりませんです。
 それから第二のIMF等における論議の傾向はどうなっているかというお話でございますが、昨年のIMFの会議でこの問題が議題となったのは、ちょうどあのとき、ドイツのマルクの問題があったわけです。それからそれと前後してポンドの問題があり、フランの問題があった。そういう時期で、国際的通貨不安の最高潮の時期であったわけであります。それだもんですから、為替相場制度を一体どうするかということが大きな話題となり、そしてIMFの機構内においてもこの問題を検討しよう、それからG10(テン)、つまり十カ国の蔵相会議におきましても別にこの問題を検討しようという申し合わせになったわけなんです。自来、その両方において検討が進められておりますが、環境が非常に変わってまいりまして、今日では、通貨不安は、根本的にはいろいろ問題があるにいたしましても、さしあたり火のついたような状態じゃない。そういうことの影響もあるであろうか、大幅な為替相場の変動性はよろしくないという傾向にまず動いておるのでありまして検討するならば、小幅の、そうショッキングでない現行制度の手直し程度のものかなあというのが大かたの関係者の意向のように固まりつつあります。
 その間において、わが日本がどういうふうな態度をとるかというと、私は、現行の固定為替制度、これが一番いいんだ、万一の場合にはまたIMFと相談してこれを変える、これが国際経済を運営する上において見通しを持ってこれに当たり得るということになりますので、今日の固定為替制度相場が一番いいんだと、こういう主張を終始展開をいたしておるわけでありますが、今後も、そういうような最終論議の段階に臨みましても、わが国としては、そういう態度でやっていきたい、こういうふうに考えております。
#47
○木村禧八郎君 最近の為替相場ですね、どのくらいになっていますか。
#48
○政府委員(奥村輝之君) 御質問は、円の相場であると思いますが……
#49
○木村禧八郎君 ええ、ドルに対して。
#50
○政府委員(奥村輝之君) 円のドルに対する相場であると思いますが、いま、私どもは、一ドル三一百六十円の上下一%あるいは〇・七五%の中で電信相場というものを介入しておるわけでございますが、円高のところにまいっております。
#51
○木村禧八郎君 どのくらいですか、円高って。
#52
○政府委員(奥村輝之君) 一番新しい数字は、三月十一日でございますが、三百五十七円五十銭でございます。
#53
○木村禧八郎君 時間がありませんから簡潔に申しますが、こういう円高になってきますと、実際問題として、円建ての契約とかあるいは円為替を利用しなければ損になってくるわけでしょう。そこで、いままでは、外貨をかせぐために外貨建ての取引、それに対しては金融面、財政面、税制面でいろいろ優遇措置を講じてきた。最近では、円建ての取引はわずか一%しかないといわれているんですね。西ドイツでは、前回の切り上げの経験にこりて、マルク建てが普及している。西ドイツでは、今日、八〇%がマルク建てで行なわれているといわれているんですよ。そこで、なぜ円建てあるいは円為替の利用が非常にいま少ないのか。今後、政府は、こういう円建て取引とかあるいは円為替の利用、こういう点についてどういうふうに考えておるか。これには、いままで外貨獲得のために非常に優遇措置を講じた。ところが、なるべく黒字幅の激増をここで防がなきゃならぬ、あまり続いて黒字になればまた円の切り上げを要求されるというようなことでね。そうすると、やはり円建てとか円為替の利用ということが必要になってくる。実際の取引でもそうしないと、今後だんだん円高になってきますと、長期の取引なんか非常な為替リスクが実際問題として出てくるわけですよ。この点をどういうふうに考えるか、いままでどうして一%しか利用されていないのか、今後それに対してそれを促進するような方向でいくのかいかないのか。
#54
○国務大臣(福田赳夫君) まあ円建てがとにかく一%でもあるような状態になってきたことは、私はたいへん喜ばしいことだと思うのでありますが、これをしいて円建てという工作をするのもいかがであろうか、こういうふうに思うわけであります。つまり、取引の関係者は、どこの通貨で建てておくのが一番安全であろうか、よく感覚的にこれを見ておるわけですから、いまのところはどこが一番いいだろうか、こういうふうに言っておるわけですが、それが、日本経済も強くなり、日本経済の体質も改善される、自由化も進んで、また、いろいろな為替の方面の障害も取り除かれる、そこで裸の日本の円の実力はどうなってくるのだろうかということがだんだん出てきますが、裸にした円がどういう見通しであるか、円が一番安定しているという状態ならば、もう工作を施さないで自然に円建てということになってくるわけでありますが、今日の段階では、まだ、ドル建てあるいはポンド建て そういうようなことが円建てとするよりは安全である、そういうふうな見方になっているのだろうと思います。もし日本の経済が裸になってもりっぱなものだということになると、自然におっしゃるようなところにいくんじゃないかと思います。
#55
○木村禧八郎君 どうもありがとうございました。
#56
○鈴木一弘君 先日私は本会議で大臣に質問したわけですけれども、その中で、総需要の問題で、御答弁の中には、総需要を抑制しなければならぬ年である、そういう年柄から言えば、所得税の減税を行なって消費購買力の拡大をするということは避けなければならないというような答弁があったわけでありますが、私はその点で一つ大臣と意見を異にしております。外国に比べると、わが国の場合、国民総支出の中の個人消費支出はまだまだ低いというふうに思わないわけにはいかないわけであります。そういう点から見ましても、所得税の減税というものについての考え方というのは、少し消極的というか、反対方向に考えているのじゃないか、その点を一つ伺いたい。
 それからもう一つは、先日、いわゆる所得税の減税の財源、税の自然増収の伸びというものが非常に低いのではないかという質問をしたわけですけれども、これ一つ考えてみると、昭和四十五年度の税の自然増収というものは前年に比べて一兆三千七百七十億、こうなっております。それから見ると、その自然増収率といいますか、一三・九%ということになってきますが、四十四年のこういう点から見ると、成長率が一五・八、税の自然増収率が二三・九、こういうことから所得の弾性値が一・五一%になっておる。そういうように現在見られておりますが、実際四十四年度の場合を見ると、所得の弾性値が一・七六になっている。
 一・五一にことしは見ておるということはどういうことなんだろうか。むしろ、その差を調べてみれば、二千三百億ぐらいまで実際ふえてくる。何か意図的に減らしたわけじゃないのだろうとは思いますけれども、その点、弾性値のとり方等が低くて、実際は今度やるという百三万円の所得税減税よりも大幅にできるところができないようになっておるのではないか、計算上そんなふうに考えられるかけです。そういう点について一体どういうふうにお考えになって出てきたのか。
#57
○国務大臣(福田赳夫君) まず、個人消費の問題でございますが、確かに、個人消費というものは、諸外国に比べると、わが日本では、GNPの中におけるシェアですね、これは低いわけです。それだけ貯蓄精神がわが国においては高いともいえるというふうに思います。しかし、当面、とにかく経済が非常に過熱化しようとしておる。そういう際に、個人消費に対しましてもほんとうは手を打ちたいんです。ところが、その打つ手というものがなかなかむずかしい。これはどこの国でもそうだろうと思いますが、大体、所得税の増徴というようなところ以外にはそう名案というものがないのじゃないか、こういうふうに思いますが、とにかくいま過熱しようというこの日本経済でございますので、消費にも手をつけなければならぬと、こういうふうには思いますが、さような状態で手がないんです。のみならず、国会における御論議、そういうようなことは顧みますると、逆に減税をしなければならぬ、こういうふうに思いまして、まあ経済理論としては多少食い違うようなところもありますけれども、とにかく政治的な高度の判断から今度は所得税の減税をとにかくやっていこう、景気調整のほうは他の面でひとつ考えよう、こういう判断に立ち至ったわけでございます。
 それから税収の見込み、これにつきましては、四十四年度にこれはいろいろ検討もいたしたわけでありまするが、その後予算を編成いたしましてからの経済成長、これが当時よりは非常に高いものになったということに関連いたしまして租税収入増が出てくるわけでございますが、私どもが当面見通し得るところでは千九百億程度ということに落ち着くわけであります。これは、徴税当局としても、神さまじゃありませんから、もう絶対にこの額どおりになるかというと、そうじゃないと思います。多少の百億か二百億円ぐらいの異同があるかもしれませんけれども、さほど大きな狂いがくるとは見ておりませんです。
 それから四十五年度につきましては、ことしの実績、そういう見通しを踏んまえまして、ただいま御指摘のようないろいろな角度からまあ適正にこれを見積もったというふうに考えておるのでありますが、弾性値の点につきましては、いま主税局長から答弁をいたさせます。
#58
○政府委員(細見卓君) 弾性値の点、非常に技術的でございますから、私から補足して申し上げますと、いま鈴木委員のおっしゃったのは、税収のほうだけをお伸ばしになって弾性値を考えられるとそうなるわけですが、その場合は国民総生産のほうも伸びておるわけでありまして、したがいまして、四十四年度の弾性値は一・三〇であり、四十五年度は、そのことを意識してやったわけじゃありませんが、同じく一・三〇になっているわけであります。
#59
○鈴木一弘君 私ははっきり税のほうから見た税収の弾性値ということで申し上げたわけでありますけれども、そういう点から見ると、まあ二千三百億くらい税が過小じゃないかという見方をしたわけであります。いまの大臣の御答弁もよくわかるのですけれども、総合予算主義というものをとるからには、歳入においても大きな狂いのないような厳格な見積もりというものが必要であろうということを考えるわけです。あとになって、補正を緊急にしなきゃならぬ、あるいは税収見積もりがあまりにも低いために組みかえをしなきゃならぬということじゃいけないのではないかという感じがするわけです。いまの総生産云々からこう言われたわけでありますけれども、私ども考えると、どう見ても精密な計算というのは非常に出にくい。しかし、税全体から見れば、どうしてもまだ非常に過小ではないかということを考えざるを得ないわけです。厳密ないわゆる歳入面というものを考えていくという点については、それがなければ、ほんとうに均衡のとれた予算というようなことには、また、的確な予算ということには最終的になってこない。総合予算制度というものがそういう根底の考え方でくずれてしまうのじゃないかと思うのですが、その点についての考え方をちょっと伺っておきたいと思います。
#60
○政府委員(細見卓君) できるだけ歳入を正確に見積もりたいというのは私どもも念願いたしておることでありまして、その歳入につきましては、お手元へすでに御配付してございます「予算の説明」で、どういうふうに税収を見積もったかということについてそれぞれ公表されております。経済諸指標と税収との関係を明らかにして御判断を願っておるわけであります。確かに、結果的には自然増収が出るようなこともございますが、たとえば四十四年度を見ましても、予算で弾性値一・三八くらいのところで税収を見ておったわけでありますが、国民総生産のほうが大きく伸びまして、結果的には、国民総生産の伸びを予測いたしましたものとの間には一・三〇というような形で国民総生産の大きくなっていくのに応じた税収の動きは大体しておると思うのですが、そういうことで、根っこの基礎になります経済のほうが大きくなって税収が出てきておるというのが実情でございます。
#61
○鈴木一弘君 それからいままでの答弁の中では、いわゆる財貨サービス購入が一四・八%、こういうことから、今回は景気刺激ではないというようなそういう言い方をされてきたわけでありますけれども、国民総支出の中に占める四十四年度の場合を見ると、一二・三で、これも名目成長率の当初の一四・四よりは低いわけでありますが、そういう点ではむしろ今回は成長率が実際は一五・八という名目成長率をとっている。それよりも低いからということで景気刺激的ではないという言い方をしているわけですけれども、財投の伸び率も、一六・三、これは成長率を上回っているわけでありますし、そういう点では、全体は、財貨サービス購入の中に占めている割合というのは、いわゆる消費よりも投資型に変わりつつある。それに、補助金とか振りかえ支出というものを入れると、どうしても景気刺激型ではないか。財政面のほうからは、景気についてはむしろ刺激型をとっており、民間のほうには、先ほどの質問もございましたように、金融引き締め等でシビアにいっている。あまりにも片手落ちだという感じがしてならないわけであります。そういう点は大臣のいままでの御答弁だけでは納得がいかないわけですが、その点についてお伺いしたいと思います。
#62
○国務大臣(福田赳夫君) 今回の予算は、名目的に非常に膨大化をいたしまして、一般に刺激型ではないかというような印象を与えておることはよく承知しておりますが、実際の内容は、ただいま鈴木さんからも御指摘のように、そう刺激的なものではないというふうに考えております。財貨サービスと申しますが、これは、中央財政はもとより、政府関係機関、また地方財政というものも全部ひっくるめておるのですが、それをさらに分析しますと、中央財政のほうは、この一四・八%よりはまたさらにかなり低いのです。これが平均して一四・八%ということになる原因は、地方財政のほうでかなりのふくらみを見た、こういう内容になっておるわけなんでありますが、まあ財政が景気を刺激しては相ならぬということは、これはもう財政経済運営の鉄則でございますから、実行上におきましても景気の動向の推移を見ながら、この上とも努力をいたしてまいりたい、こういうことでひとつ御了承願いたいと思います。
#63
○鈴木一弘君 それはあとで資料でけっこうですから、財貨サービス購入の中に占める投資的支出の割合を出していただきたいと思います。
 それから次は景気の問題でありますけれども、三菱銀行等も予測しておりますように、アメリカの景気後退というものも行なわれてくる、こういうことで、今年の後半はスローダウンするのではないかということが言われている。アメリカの十月――十二月の国際収支を見ても、十億ドルというような大幅な黒字を出しております。そういう点で、また、鉱工業生産指数も減ってきている。四十三年暮れからの金融引き締めがかなり響いてきているわけです。先日のここで大蔵大臣の所信表明の中で、何とか景気の行き過ぎも現在心配であるから、スローダウンさせたいということを言われたわけです。それといまのアメリカの景気というものが波及してくるのはだいぶ時期もおくれてくるでしょうが、ちょうど政府の施策と合わせてスローダウンが大臣の心配する以上に行くという感じもするわけですけれども、それの問題が一つには物価の調整になるわけであります。一方では、金融をゆるめろという声も非常に多い。その辺の調整が非常にむずかしいところに来ている。その点について、どういうふうに持っていかれようとしておるか、お伺いしておきたいと思います。
#64
○国務大臣(福田赳夫君) 今日の景気の段階は、金融調整政策がかなり浸透してきている。しかし、まだ、金融引き締めの影響は、経済の実体方面、つまり産業界が設備投資の計画を変えようとか、そういうような態度に出るまでには至っておらない。ただ、産業界におきましても、多少何とかこれは考えなけりゃいかんなあという機運が起こってきている、そういう段階、それが今日この時点の情勢ではなかろうかと、こういうふうに見ているわけであります。
 これから先行きはどうだろうということを見てみますると、確かに、機械の受注ですね、つまり先行きを示す有力な指標である機械の受注なんかは、この数カ月間ずっと減ってきておるのであります。これなんかを見ると、一見どうも鎮静化の方向かというような観測も立たないではございませんけれども、しかし、よく見ると、それは金が詰まっておるものだから受注を控えようというのであって、腹の底から設備投資計画の改定までしよう、あるいはスローダウンしようというところまではまだ来ておらないというふうに判断をされるのであります。したがって、これからの日本経済につきましては、そういう国内の動きもありますし、また、輸出の動き、輸出消費ですね、この動き、それで最も関心の高いのはアメリカの景気であります。アメリカの景気は、お話のように、スローダウンをしている。それに伴いまして、わが国の対米輸出は伸び悩みの状態になってきておるのが今日の情勢でございます。一方におきましては、ヨーロッパの経済がわりあいに安定してきた。そういうようなことで、対欧輸出がこれをカバーするというような傾向も出てきておるわけであります。ですから、わが国の輸出需要というか輸出消費、これが大幅にまだ減退をするというようなふうには判断はいたしておらない。もちろん輸出の伸びが多少鈍化するという傾向はやむを得ないと思いますけれども、これが大きく障害にぶつかるような状態とは考えておりません。そういう内外の情勢をこの二、三カ月見なければいかぬのじゃなかろうか。この二、三カ月のそういう実体経済面の動きがどうなるかということをよくとらえ、また、対外経済の方面にもよく注意を払いまして、そして経済の運営に誤りないようにしていきたい。願うところは、過熱にならないように、しかも、あまり急なブレーキをかげて落ち込みにならないように、こういうことでございます。
#65
○鈴木一弘君 そうすると、これからの実体面を二、三カ月見ていく間にということで、輸出もそう大きく下がらないだろう。じゃ一体経済の行き過ぎをどこで押えるか。消費を抑制するというおことばがあったと思いますが、そうすると、先ほどのように国民消費という一番大きなものがありますけれども、これを押える方向に向いていくのかという心配が出てくるわけですけれども、その点はどうでしょう。
#66
○国務大臣(福田赳夫君) 経済理論としては、どうしても国民消費ですね。これが五一%のシェアを持つ最大の経済要因でございますから、これを押えるというところに行くのが当然なんですが、しかし、そういう手がいまないのです。ですから、そっちのほうはそのとおり野放しにしておくほかはないのでございまするが、しかし、設備投資に何としてもメスを入れなければならないのじゃないか、こういうふうに考えまして、金融調整政策はまさに設備投資の行き過ぎを是正しようというねらいをもって始められたのじゃないか。この大勢をしばらく見ていくというほかないのじゃないかと思います。
#67
○鈴木一弘君 これで最後にしたいのでありますけれども、いわゆるすべてにわたって出てまいります一つは、国民生活の要望から公共事業費をふやせということがある。いま一つは、産業基盤の整備ということから公共事業費をふやさなければならない。特に国際社会に経済的に復帰したからには、ここのところに力を入れなければならぬといういろいろな考え方があります。これが国債発一行面ともからんでいるわけであります。それで、公共事業費のこれからの持っていき方なんですけれども、産業基盤整備のほうに総力をあげていくのか、ウエートの置き方でありますけれども、あるいは住宅とか生活環境というようなほうの国民生活基盤のほうにウエートを置いていくのか。いままでの経済運営の方針、あるいは予算の編成方針等も、ここ二、三年見ていくと、だんだんいわゆる高度成長によるひずみ解消の方向というほうに向かっておりますけれども、思い切ってこの辺で公共事業費の問題についても、国民生活基盤の拡充という方向、確立という方向、その方向に持っていくべきじゃないかと考えておるのですが、その点についての今後の方針というものをここで伺いたいと思います。
#68
○国務大臣(福田赳夫君) 社会資本の充実と申しますか、政府の固定資産の形成計画をどういうふうにしていくか、これは総合的にやらなければならぬと思うのです。どっちどれどれに片寄るというわけにもいかない。そこで、新全国総合開発計画を立てまして、全国的にこの問題をながめるという企図を持っておりますし、また、あるいは二十カ年という長い期間にわたる問題でありますから、もう少しそれをこま切れにしなければいかぬということで、近く四十五年度から始まりまして五十年度に及ぶ六カ年の新経済社会発展計画を策定したいと、こういうふうに考えておるわけであります。これは相当作業が進みまして、そして近々これを公表できるという段階になると思いますが、いずれにいたしましても、総合的に一この総合も、いろいろな各部門の総合ということもあり、また、地域的な総合ということもあり、あるいは国外国内両方をにらんでの総合ということもありますが、総合的にバランスのとれた国家投資、これが必要じゃないかと、そういうふうに考えまして、せっかくいま最後の努力を詰めをいたしておる段階でございます。
#69
○渡辺武君 大臣は、先ほど戸田委員に対する御答弁の中で、今後国民の税負担率は高まるということを言われまして、その理由として、道路建設などいわゆる社会資本の充実をあげておられましたけれども、私は、おそらく今後政府は国民の税負担率を高める方向でいろいろ課税をしていくだろうと思うのですが、その一番大きな本質的な原因は、昨年の日米共同声明で日本がいわば義務づけられた、今後の自衛力の増強、あるいはアジア諸国に対する対外援助の拡大、あるいはその背後にある大企業の急激な経済成長ということに対する財政支出の増大というのがあるのじゃないかと思うのです。しかし、その問題は、きょうは時間がありませんので論議しませんが、大臣は、国民の税負担率は高まるけれども、直接税の減税もこのまま進めるということを言われました。ところが、昭和四十三年の税制調査会のあの「長期税制についての答申」の中でこういうことを言っておられるわけですね。課税最低限が百万円程度になったら、その後においては、従来のように一定の金額的な目標をあらかじめ掲げて税制改正の指標とする必然性は失われたと考えるべきであるというふうに言っております。先ほど大臣も、この四十三年の長期税制の答申は大体基本的には達成されたというような見解をとっておられましたけれども、それならば、大臣の言われた今後の直接税の減税の内容は一体何なのか。つまり、税制調査会の言われるように、一定の金額的な目標をあらかじめ掲げて税制改正の指標とするという形での大幅減税は、やらないのか、それともやられるのか、この点について。
#70
○国務大臣(福田赳夫君) その点につきましては、直接税の減税は今後とも進めていきたいと、こういうふうに考えています。先ほど申し上げましたように、国民の同じ税をいただくということにしても、負担感という点についてどう摩擦のないほうがよかろうか、こういうふうに考えまして、租税負担率全体とすると多少上がりぎみになりはしないかというふうには思いますが、直接税についてはこの上とも軽減の方向をとりたいと、かように考えております。
#71
○渡辺武君 私の伺った御趣旨がよくおわかりになっておられないようですけれども、私の伺いたいのは、その直接税減税の内容なんですよ。いわゆる物価調整減税程度の減税を考えておられるのか、それとも、何千億減税というような形で打ち出すいわゆる大幅減税ですね、こういう点を考えておられるか、その点を伺っているんです。
#72
○国務大臣(福田赳夫君) それは、私からいまこの席で申し上げるわけにはいかないのです。税制調査会というものがありまして、なかなかこの関係は機微なものがあるのであります。税制調査会におはかりいたしましてその意見を聞く、また、その他の各方面の意見も聞いて、直接税減税の大綱をきめていくという、こういう手順があるのであります。
#73
○渡辺武君 手順はそのとおりだと思いますが、大臣は減税する減税すると盛んに言われておりますが、しかし、先ほど言いましたように、四十三年の「長期税制についての答申」では、平たく言えば、今後何千億減税というような大幅減税はやらないのだ、もうその必然性はないということを言っているわけですから、大臣のお考えを伺っているわけです。
#74
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、その御指摘の税制調査会の答申、おそらくそれに税制調査会がこだわるとは思いません。また、一応「長期税制答申」が一段落をしたというこういう段階で新たなる角度で御検討くださる、かように考えております。
#75
○渡辺武君 いずれにしましても、今年度戦後最大の大幅減税だというふうに言われておりますけれども、平年度でいえば二千四百六十億円ばかりの減税に比べて、いわゆる自然増収ですね、主としては直接税からあがってくるわけですけれども、これが一兆四千億をこえているというようなところから見ても、従来のいわゆる直接税の減税というのは、物価の値上がりに伴う名目所得の増額、これを背景としての実質上の増税になっているというのは、大臣も先ほど言われましたように重税感が非常に強いということばで表現されましたけれども、そのことば自身が物語っていることじゃないかと思うのですね。それに加えて、これから先、間接税中心の税制体系に移行するというようなことになりますと、国民に対しては非常に大きな重税になってくる。しかも、その背景にあるものが、先ほど申しましたように、今後の日米共同声明に基づく軍事費の増大、あるいは海外支出の増大というようなところが中心になってくるというふうに私ども考えざるを得ない。
 そこで、間接税について伺いたいのですけれども、私、六十一国会のこの委員会で大臣に御質問しましたときに、大臣の御答弁で、間接税中心の税にする必要はあるけれども、間接税は物価を引き上げるので、物価が安定するまではなかなか実現はむずかしい、よく検討したいという御趣旨の発言をされておられます。ところが、先ほど、戸田委員に対する御答弁の中では、四十六年度から間接税中心の税制に移行する考えだというふうな御趣旨の御答弁をしておられますが、一体四十六年度から物価が安定するというふうに考えておるのかどうか、物価問題との関係で間接税中心の税制への移行というのはいつごろと考えておられるのか、その点を伺いたいと思います。
#76
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、いま戸田委員に対して、四十六年度から間接税を実施するというふうには申し上げていないのであります。これは、ことしから勉強しまして、そして結論を得なければならぬが、さしあたり取り急ぐ問題がある。それは何かというと、道路計画の財源不足をどういうふうにしてまかなうかと、こういう問題がある。そこで、その不足が出てくるかこないか、これもまだ来年の財源を見なければならぬとも申し上げたわけでありますが、あり得べき財源不足に対して備える、こういう必要があって、これはまた一般の間接税の問題とは別個の問題になる。しかし、その際におきましても、物価に悪影響があるような施策であってはならぬ、こういうふうに考えておるのでありまして、まあ物価問題には最大の注意を払いながら税制というものをやっていきたい、こういう基本的な考えでおります。
 それから四十六年度において物価が安定するというような、こういうような考え方はいたしておりません。
#77
○渡辺武君 どうも、時間がなくて論議できないので残念ですが、それでは、間接税中心の税制といわれる場合の内容ですね、これを具体的に伺いたいと思います。たとえば、いままでの、酒税とかたばこの税金ですね、あるいは砂糖消費税というような、従来ある個別の間接税を見直し的にこれを改めていくという形にするのか、それとも、いまもちょっと言われましたような、さしあたりの、たとえば自動車新税のような新しい間接税を創設するというような形で考えておられるのか、あるいは、売り上げ税、付加価値税などのような一般的な間接税体系を創設するというような形のものを考えておられるのか、その点を伺いたいと思います。
#78
○国務大臣(福田赳夫君) 一般的な売り上げ高税というようなことになると、これは物価に直撃的なはね返りを見せるであろう、こういうふうに考えます。これは非常に慎重な配慮を要すると思います。しかし、先ほど申し上げましたような当面の問題があるわけでありますが、そういう問題は、これはそういう一般的な問題と切り離して考えたい、こういうふうに存じているわけでございます。
 いずれにいたしましても、私は、いまおことばがありましたが、間接税中心というふうには考えていないのです。そうじゃないけれども、直接税が今後も傾向的には税のシェアがだんだん大きくなる。今日六五%でありまするが、さらにさらに大きくなるであろう。これは国民に負担感ということを大きく植えつけるわけでございまするから、それは避けていかなければならぬ。それにはまあ間接税も取り入れなきゃならぬ。直接税の減税を行なう財源をどうするかということを考えるにいたしましても、間接税構想というものは取り入れていかなきゃならぬ。そういう意味の間接税構想であります。間接税をわが国の税制の中心にしよう、そういうようなことは毛頭考えておりません。
#79
○渡辺武君 そうしますと、付加価値税もしくは売り上げ税というようなことについてはさしあたり考えていないという御趣旨ですか。
#80
○国務大臣(福田赳夫君) これにつきましては、非常に慎重に取り扱いたいと、かように考えております。
#81
○委員長(栗原祐幸君) 本件の質疑は、この程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#82
○委員長(栗原祐幸君) 次に、利率等の表示の年利建て移行に関する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、三月五日質疑を終局しておりますので、これより討論に入ります。
 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○委員長(栗原祐幸君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 利率等の表示の年利建て移行に関する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#84
○委員長(栗原祐幸君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#85
○委員長(栗原祐幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#86
○委員長(栗原祐幸君) 次に、昭和四十五年度の税制改正に関する暫定措置法案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。福田大蔵大臣。
#87
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま議題となりました昭和四十五年度の税制改正に関する暫定措置法案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、昭和四十五年度の税制改正において、内国税に関しましては、最近における国民負担の状況及び経済財政事情を勘案して、所得税負担の大幅な軽減により平年度約三千五十億円の減税を行なう一方、法人税負担を引き上げるとともに、利子、配当課税をはじめとする租税特別措置の整理合理化等をはかりたいと考えております。また、関税に関しましては、わが国を取り巻く貿易環境の変化及び国内産業の動向等に対応するため、関税率及び関税の減免制度につき所要の調整を行ないたいと考えております。
 これらの税制改正のための諸法案につきましては、今国会において逐次御審議をお願いいたすわけでございますが、これらの税制改正に先立ち、さしあたり二つの措置を講ずることが適当であると考え、ここに、この法律案を提出いたした次第であります。
 まず、第一は、昭和四十五年度の税制改正のうち、国民の期待の大きい所得税の減税について、その効果をすみやかに及ぼすことであります。
 すなわち、昭和四十五年四月一日から同月三十日までの間に支払われる給与所得及び退職所得につきまして、別途、所得税法で改正を予定いたしております基礎控除等の各種控除の引き上げ、給与所得控除の拡充及び税率の緩和を織り込んで計算した源泉徴収税額表により所得税の源泉徴収を行なうこととしております。
 第二は、租税特別措置法、物品税法の一部を改正する法律等及び関税暫定措置法に規定されております内国税及び関税に関する特別措置のうち、昭和四十五年三月三十一日にその適用期限が到来するものについて、その期限を四月三十日まで延長することであります。
 すなわち、この法律案によって適用期限が延長されるものは、租税特別措置法におきましては、利子所得に対する所得税の分離課税、配当所得に対する所得税の源泉選択課税、中小企業者の取得する土地の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減等の措置、物品税法の一部を改正する法律等におきましては、トランジスターテレビ受像機、電子楽器等に対する暫定的非課税または税率の軽減等の措置であります。また、関税暫定措置法におきましては、農林漁業用重油の免税、国産原油の購入にかかる関税の還付等の減免、還付制度のほか、バナナ、石油化学用揮発油、トウモロコシ等四百九十九品目に対する暫定税率の適用であります。
 以上、昭和四十五年度の税制改正に関する暫定措置法案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し述べました。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#88
○委員長(栗原祐幸君) 次に、補足説明を聴取いたします。細見主税局長。
#89
○政府委員(細見卓君) 補足して御説明申し上げます。
 昭和四十五年度の税制改正に関する暫定措置法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げたいと思います。
 この法律案は、本年四月中に支払われる給与所得及び退職所得に対する源泉徴収の特例と、それから本年三月三十一日に期限の到来する内国税及び関税の特別措置等の適用期限を暫定的に四月三十日まで延長することとの二つをその内容といたしております。
 まず、源泉徴収の特例について申し上げます。
 昭和四十五年四月分の給与所得と退職所得につきまして、従来の税額表にかえて、この法律案の別表として定められている税額表によって源泉徴収を行なうことといたしております。
 この昭和四十五年四月分の給与所得の源泉徴収税額表は、昭和四十五年度の税制改正の一環として改正を予定いたしております基礎控除等の引き上げ及び税率の緩和等を織り込んだところで計算しているのでありまして、これにより所得税の負担は相当に軽減されまして、夫婦子三人の給与所得者を例にとりますと、現在おおむね月収七万八千円未満であれば源泉所得税を納めなくてもよいのでありますが、この法律案によりますと、おおむね月収八万七千円未満であれば源泉所得税を納めなくてよいことになるのであります。
 また、昭和四十五年四月分の退職所得の源泉徴収税額表も、給与所得の場合と同じように、改正が予定されている税率の緩和を織り込んで計算してあります。
 次に、本年三月三十一日に期限の到来いたします内国税及び関税の特別措置等の適用期限の延長について申し上げます。
 この法律案によって適用期限が延長されます特別措置等のうち、内国税に関するものは、租税特別措置法及び物品税法の一部を改正する法律等に規定されているところでありまして、租税特別措置法においては預貯金等の利子所得に対する分離課税及び税率の軽減、少額国債の利子の非課税、配当所得に対する二〇%の税率による源泉選択課税、一銘柄五万円以下の配当所得についての確定申告不要制度、配当等にかかわります配当所得の源泉徴収税率の軽減、中小企業者の取得する土地の所有権の移転登記に対する税率の軽減、法人の合併の場合の登記の税率の軽減等の十一項目の措置、物品税法の一部を改正する法律等においてはトランジスターテレビのうちカラーテレビ及び十三型以上の白黒テレビ並びに電子楽器の非課税及び温蔵庫、白黒のマイクロテレビ等に対する税率の軽減措置がその内容となっております。また、関税に関するものは、関税暫定措置法に定めまする農林漁業用重油の免税、国産原油の購入にかかる関税の還付等十二の暫定減免・還付制度及び四百九十九品目の暫定税率であります。この暫定税率の内訳を申し上げますと、第一に、暫定増税となっておりますものがバナナ等十九品目、第二に、暫定減税となっておりますものが石油化学用揮発油等四百六十八品目、第三に、暫定的に関税割当制度を適用しておりますものがトウモロコシ等十二品目となっております。
 これらの内国税及び関税に関する特別措置等につきまして、適用期限をいずれも本年四月三十日一まで延長しようとするものであります。
 以上をもちまして、昭和四十五年度の税制改正に関する暫定措置法案につきましての補足説明を終わらせていただきます。
#90
○委員長(栗原祐幸君) 本案の自後の審査は、後日に譲ることといたします。
#91
○委員長(栗原祐幸君) 次に、国税通則法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#92
○上林繁次郎君 今回の通則法の改正の提案理由を見ますと、こういうふうに書いてあります。最近における社会・経済の諸情勢の進展に対応するためと、こういうふうにあるわけですが、大蔵委員会で大蔵大臣はまたこういうふうに言っております。協議団に対するいろいろな批判、見方が出てきておる。だから、審判所に切りかえるのだと、こういうようなことを言っているわけですが、この点何がちょっと食い違うような感じがするわけですが、この点はどうかということです。それからこの批判とか見方とかいうことを大蔵大臣は言っておりますけれども、その批判とか見方というのはどういうものをさしているのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
#93
○政府委員(細見卓君) 税制改正の一環と申しますのは、たとえば更正の請求期間のようなものにつきまして、従来は一カ月ないし二カ月でありましたものを一年にするというような、具体的に納税者の権利を拡張する方向で改正いたしておるものもございますが、
   〔委員長退席、理事沢田一精君着席〕
さらに、基本的には、納税者が、経済現象が複雑になってまいりまして、税法の適用等におきまして従来の通達をもっては律し切れないいろいろな複雑な経済現象というのが出てまいります。そういうものにつきまして、一律な課税を受けるのでなくて、それぞれ個別な事情を非常に自由に主張できるというような体制をつくることがやはり税務行政の民主化という上において非常に重要なものであろうということで、その意味で全体としての税制改正の一環あるいは納税者の権利を擁護する方向での税務行政の大きな方向に沿った措置であるという意味で申し上げておるわけであります。
 それから従来のそれでは協議団に対してどういう批判があったかということでありますが、私ども率直に申し上げまして、各行政機関が持っておりまする不服処理あるいは審査の処理につきましての体制として、税務において協議団制度というものがシャウプ勧告によってではありますが発足いたしまして、とにかく第三者的にあるいは合議的に審理ができるようになっておるということは、日本の行政機構の中におきましてはかなり進歩した制度であったとは思うのでありますが、裁決権が国税局長にございます。つまり執行部のほうにありましたものですから、執行をやっておる人と同一人であったということから、どうしても協議団の審理というものが裁決に直接反映しない、つまり主管部の影響というものがある程度強いということ――実際はかなり運営において改善はされてきておったのではありますが、そういう批判があったということも事実でありますので、そういう点を顧みまして、今回は、いわば国税庁長官が持っておりまする不服審判といいますか、不服の処理に関する権限をそういう課税徴収の直接の系統から切り離しまして、不服審判所の系統に総括するという形で、そういう課税関係の官署からの影響を遮断した、その意味で大きく民主化されておる、あるいは納税者の権利擁護の方向に
 一歩進めたものと、かように考えておるわけであります。
#94
○上林繁次郎君 そうしますと、協議団制度から不服審判制度に移行する、この制度が確立された場合、いままでの批判、こういうものが解消され、また、国民の権利救済が保障されるというふうに考えているわけですね、その点をはっきりと。
#95
○政府委員(細見卓君) これはあるいは政務次官からお答え願うことかもしれませんが、私どもは、今回こういう制度の改正をお願いしてこういう案を提案いたしておりますのは、そういうものの根絶の方向へ大きく一歩を進めるゆえんであろうと考えておるわけであります。
    〔理事沢田一精君退席、委員長着席〕
#96
○上林繁次郎君 まあ批判の理由はいろいろとあると思うんです。そこで、先ほど大蔵大臣が直接税から間接税に移行するというような意向を漏らしたわけですけれども、こういう問題も納税に対するトラブルをなくしていく一つの原因になるかもしれない、こういう感じもします。とにかく、いろいろと批判を受けてきた原因というものはあると思いますね。たとえば最近新聞をにぎわしております脱税問題、こういう問題も納税に対する国民の不信感を買っておると、こういうふうにも考えられるわけです。そこで、こういう機構というものを分離してつくるということもけっこうだけれども、そういう面で、たとえばいま申し上げたとおり脱税問題、こういう問題をもっと強力に解決していく処置、方法というものがとられていかないと、国民の納税に対するトラブルというものはなかなか解消できないんじゃないか。いわゆる納税に対する一つの不信感、こういうものが国民にあると思うのです。その辺のところをどう考えておるか、いかがでございましょう。
#97
○政府委員(吉國二郎君) 現在の納税に対する国民の感情というものの中には、実際の納税に不公平がありはしないかという問題に端を発した不信感が相当程度あるということは、御指摘のとおりだと思います。現在、税務行政といたしましては二つの方面でこれを解決する方向をとっておるわけであります。一つは、納税者自身の申告の正確さを高めるということだと思います。これは、本来、申告納税のたてまえをとっておりますので、最もよくみずからの所得を知っておるのは納税者でございます。したがって、納税者の申告が正しく行なわれれば、本質的には問題は解決するわけでございますが、それについて申告納税の意義その他がまだまだ徹底していない面があると思います。そういう意味では、政府のPRの諸施策等に不十分な点があるかと思います。したがいまして税務署の行政におきましても、いわゆる申告援助と申しますか、申告を正しく出すという方向の行政、これを強めていくということが第一。第二点では、そうは申しながらも、現実に世俗的に言われておりますいろいろのことはございます。事業所得者の申告が不十分ではないかという意味の言説が相当に行き渡っている事実もございます。したがいまして、できるだけ効果的な能率的な調査を実施をいたしまして、その不適当な申告を是正するということにさらに一段と努力をする必要があると思います。ことに、大口の脱税者というものが放置されているということは、国民に対する影響が非常に大きいという点からも、現在強制捜索を許されております査察の人員というものを最近少しずつではございますけれども増加をさせまして、査察の陣容を強化するということで、悪意の有意の脱税者に対してはきびしい措置をとる、同時に、税の不知その他によって、悪意ではないにしても、正しくない申告を出しておる者に対しては、その後の申告が正しく行なわれるような指導を加味して行政を行なっていく、こういうことで地道な努力を払っていくことが必要だと思います。同時に、国民全体が、納税というものが、現在においては、いわゆる昔の権力関係というものよりは、みずからの選んだ国会議員――国会によってできた法律をみずから実行するという意識を早く高めるということにさらに大きな努力を払う必要がある、かように考えておるわけでございます。
#98
○上林繁次郎君 それでは、具体的な問題に入っていきたいと思いますけれども、いままで各年度においてなされた審査請求件数はどのくらいあったか、それからそれを各協議団別にするとどういうことになるか、この点をひとつ……。
#99
○政府委員(吉國二郎君) 四十二年度におきましては審査請求の発生件数は全体で一万二千四百二十件、四十三年度は一万八百三十三件でございます。このうち、全部申し上げてもいいんですけれども、おも立ったところを申し上げますと、四十二年度におきましては、東京国税局管内では三千四百九十二件、それから大阪局管内では三千六百五十八件、名古屋国税局管内では千五百十三件、関東信越国税局管内八百九十一件、広島局管内七百六十七件、以下ほかの局におきましては大体三、四百件ということになっております。これに対しまして、四十三年は、若干様子が変わりまして、東京国税局管内は三千二百三十七件、大阪局管内が二千五百五十九件、名古屋局管内が千二百七十三件関東信越管内が七百八十件、広島局管内が七百六十五件、その他の局はほぼ同じというかっこうになっております。
#100
○上林繁次郎君 年度内において処理ができなくて、次年度に繰り越されたもの、こういうものがあると思いますけれども、そういう件数をこれも年度別にお知らせ願いたい。
#101
○政府委員(吉國二郎君) 審査請求で申し上げますと、四十一年から四十二年に繰り越されました件数が八千百六十二件ということになっております。それから四十二年から四十三年に繰り越されました件数が一万二百二十三件ということになっております。
#102
○上林繁次郎君 そうしますと、繰り越された分と審査請求の件数と、どうですか、そう変わりがないということじゃないんですか。相当な数を占めるですね。
#103
○政府委員(吉國二郎君) 御指摘のように、毎年の発生をほぼこなして、繰り越しは漸次それを減らしていくという傾向にございます。で、現在の状況でございますと、四十四年から四十五年へ繰り越す件数は、おそらく五千件程度に減少すると思います。四十三年から四十四年に繰り越しました件数が、いま申し上げませんでしたが、約七千九百件程度でございます。だいぶ減ってまいっております。したがいまして、ことしはそれが五千件程度に減少いたします。そういたしますと、今後の発生件数にあわせてこの繰り越し件数をこなしてまいりますと、これはほぼ三、四年で漸減するという感じでございます。
#104
○上林繁次郎君 相当な件数が繰り越されているということだけは間違いないわけですけれども、その原因ですね、なぜそういうふうにたくさんのものが繰り越されているのかということなんですけれども、その点を……。
#105
○政府委員(吉國二郎君) 一つは、御承知のとおり、法人税等は、随時発生をいたしますので、年度末近く発生したものは当然繰り越しになってしまうという経過的なものが一つございます。
 それから二番目には、審査請求にかなり時間がかかるものがあるという点だと思います。この時間がかかります点は、たとえば一年以上未決のまま残っておるというものの中をいろいろ調べてみますと、査察事件で刑事訴追を受けてる、しかしその内容について不服があるからということで、異議を申し立てておるもの、あるいは審査請求をしておるもの、あるいは、その前年度に訴訟事件が起きておりまして、同じ内容の課税決定があったと、これに対して審査請求をしておる、したがって、その訴訟推移を見なければ審査ができないというようなもの等を合わせまして、約五〇%以上を占めております。そういうことで、審査請求の性格から申しまして、処理を遷延せざるを得ないものがかなりあるということが第二番目の原因ではないかと思います。
#106
○上林繁次郎君 そこで、たとえば昭和四十三年においては一万八百三十三件の審査請求があったということですね。これをこの定員から見ますと、百五名の審判官で担当するわけですけれども、これを振り分けますと、一人年間百件ぐらい、三日に一件、まあこういうような割合になるわけですけれども、こういう状態で十分な調査、審判ができるかどうかという人的な問題、こういった点はどうかということですね。
#107
○政府委員(吉國二郎君) 審判官の数は百五名でございますけれども、同時に、副審判官、審査官という要員が置いてございまして、副審判官は、審判官を助けてその事務を補佐するという職務を持っております。審査官は、審判官、副審判官の命を受けて事務の整理に当たる、事実上調査その他を担当するわけで、そういう意味で副審判官が百三十三名、審査官が百三十八名おりますので、合計で審判所長以下三百七十七名という数字でお考えをいただくという必要があるかと思うのであります。もちろん、合議をもって最後の裁決の案をつくる者は、三人の審判官、場合によっては審判所長の指定した副審判官が参加いたしまして、最後の決はそれでまとめてまいるのは事実でありますが、その前段階の調査あるいは下調べ、これは裁判所と同様に、審査官、副審判官等がこれを担当いたしますので、従来の協議団がちょうどこれと同じ人数でやってまいったわけでありますが、昨年の実績等で見ますと、一年間に一人当たりでこなしました件数を考えますと、今後審査請求が若干減りぎみであるということからいたしまして、この人数でさしあたり支障はない、かように考えておる次第でございます。
#108
○上林繁次郎君 さしあたり支障はないということですけれども、われわれの考え方からすれば、そうやってたくさんのものが繰り越されてくる、定員を見るといま申し上げたような状態であると、そういったところに人的な問題が大きな影響を与えているじゃないか、こういう感じがするわけですね。で、そちらのほうから資料をいただいたんですけれども、四十三年度の審査請求事件の発生件数ですね、これを見ますと、いまお話がありましたけれども、東京国税局は三千二百三十七、それで一つ飛びまして大阪が二千五百五十九ですね、こういうようになっております。そこで、定員の配分の問題ですけれども、そういう立場から東京の定員を見ますと、九十九になっておりますね。それから大阪は百二十二になっております。これで件数はどうかといいますと、東京の件数のほうがはるかに多いわけですね。こういった問題は、しろうと考えかもしれないけれども、非常に矛盾を感ずるんですが、この点の配分の基準といいますか、そういったものをひとつお話し願いたいと思います。
#109
○政府委員(吉國二郎君) 二月二十七日に御提出をいたしました「定員配分予定表」、これは予算請求その他の基礎としてつくられたものでございますが、従来の審査請求の実績をかなり機械的に最小二乗法で引き伸ばしまして件数を推定した関係があります。先ほど御説明いたしましたが、四十二年度では大阪のほうが件数が多い。しかも、四十一年度になりますと、東京の二千八百八十二件に対しまして、大阪は四千五十一件であります。そういう関係で、急速に状況は変わってきておりますので、私どもはこの「配分予定表」をつくります当時では、まだ十分にその点を勘案するいとまがなかったわけでございます。正式に法案が成立をいたしました際には、あらためて精密に考え方を詰めまして再修正をしたい、実際に合わせたいと考えております。
#110
○上林繁次郎君 その点、やはり一つの問題点でもあると思いますので、これはひとつがっちりとやるべきではないか、こう思います。
 それで、何といいましても、通則法の問題点でございますけれども、今度国税庁と審判所が別個の立場といいますか、独立した立場で審判所が発足する、こういうことなんですけれども、確かに機構の上では一歩前進だと思います。だけれども、私は、やはり人事の問題が何といっても大きな問題になってくるのじゃないかと思うのです。人事においていままでと何ら変わりのないような状態ならば、これはさっぱり変わりばえがないわけです。それでなくても、同じ一つ穴のムジナだと言われておる。今度、へたすると、二つ穴のムジナだと言われかねない。こういうことで、この点、今度は、審判所長の任命権は大蔵大臣にあるわけですね。
#111
○政府委員(吉國二郎君) 大蔵大臣の承認を得て国税庁長官が任命いたします。
#112
○上林繁次郎君 そこで、審判所長の人事については、いろいろな立場、角度から考えてこの人選をしないと、また問題がある。そこで、どういった基準でこの審判所長の任命をどういう人を選んでくるかということです、簡単に言えば、その考え方について……。
#113
○政府委員(吉國二郎君) 大蔵大臣の承認を得る問題でございますので、私が勝手に申すのはいかがとは思いますけれども、一般的な考え方としてはおそらく大蔵省も同じお考えだと思いますので一応申し上げたいと思います。
 審判所長は、もちろん法律、経済について深い知識と経験を持たれた方であり、また、審判所そのものを運営していかれる能力を持たれた方という、人格的にもすぐれた方である必要があるように思います。審判所長みずからの名において裁決はされますが、その内容は合議によって決定されるわけでございますから、そういう意味では、税の全くの専門家である必要はなく、むしろ一般的な学識経験の高い方を選ぶべきではないか、かように考えておるわけでございまして、もちろん成立と同時に選ばれる第一代の方は、部外から、主として関係の学会と申しますかの方が一番適当ではないかと考えますが、いまのところまだ法案の段階でございますので具体的な人選には入っておりませんが、大体の考え方はそういう考え方で進めております。
#114
○上林繁次郎君 政務次官、ひとつ……。
#115
○政府委員(藤田正明君) いま国税庁長官が申し上げたとおりでございまして、制度の趣旨を体しまして、人格識見のすぐれた人物を民間から起用いたしたい、かように大蔵省は考えております。
#116
○上林繁次郎君 そこで、まあ理論的には確かにそうあるべきだと思います。しかし、現実的には、すぐれた学識経験者、いま売り出しのそうそうたるメンバーをこの座に据えようということになりますと、いろいろな問題が起きてくるだろうと思います。まず給与の問題にしてもそうだろうし、なかなかこれは理論のように簡単にはいかないという感じがするわけです。その辺をどのように割り切っていくか、手を打っていくかということになると、非常にむずかしい問題だと思うのです。その辺に自信があるのかないのか。自信がないのに、幾ら理論的にこうであると言っても、それは何にもならぬのであって、その点をひとつはっきりしたものをお聞かせ願いたいと思います。
#117
○政府委員(吉國二郎君) 御指摘のとおり、公務員の給与制度が一般の給与に比べまして低いとよく言われております。そのために、しばしば政府関係機関その他の給与が公務員と比較されて問題があったりするようなこともございます。そこで、今度の国税審判所長にできるだけりっぱな人を迎えるという意味では、この点で人事院等に非常に配慮を願いまして、所長は指定職の甲ということで予算の請求をいたし、それが認められております。指定職の甲と申しますのは、これは決してまあ高いとは思いませんけれども、各省の次官、外局の長官までのものでございます。最低が一号俸で月額で二十四万円、これに若干の手当がつきますが、そういうことで、政府部内ではいわば最高級の俸給を認めてもらったわけでございます。これは、ちなみに、国立大学でも、学部長の場合に指定職の乙でございます。指定職甲になるのは、学長というような地位にならないとならない。そういう意味では、まあ相当な方が給与としては迎えられる体制をとっているわけでございます。
#118
○上林繁次郎君 あまり長くなってもあれですけれども、しかし、その問題も、確かにいまのお話もわかりますが、理屈どおりにはいかないものでしてね。ですから、簡単に解決できる問題じゃないと思うのです。で、いま一線で働いてがんばっておるような方、こういう方はちょっと無理ではないかという感じがするわけです。ですから、定年になるようなそういう立場の人たちが選ばれてくるような感じがするんです、外部からということになるとですね。その点はひとつ前向きの姿勢でもって取り組んでもらって、そうして優秀な方を引っぱってきてもらいたい、こう思います。
 次に、逐条的に若干伺いたいと思うのですけれども、六十三条の四項の差し押えまたは担保提供の場合、「二分の一に相当する金額を限度として、免除することができる。」と、こうあるわけですね。そうしますと、二分の一を限度ですから、三分の一の場合も四分の一の場合もあると、こういうことになるわけですね。その点はどうでしょうか。
#119
○説明員(早田肇君) 六十三条四項におきまして今回となりました措置は延滞税の軽減でございますが、現在、国税が滞納になりますと、滞納の日からまず日歩二銭の延滞税がつくわけでございます。確定申告のような場合でございますと、申告期限から一カ月経過いたしますと、その二銭にさらに加えまして、なるべく早く納付を完了していただくという意味で間接強制的にさらに二銭がつく。したがいまして、原則的には、利子相当分の二銭、それから具体的に税金を納付していただく日から一カ月たつと、さらに間接強制部分として二銭がついて、合計四銭になるというわけでございます。これは、確定申告の場合でございませんで、今度更正があったというような場合は、更正があった日から一カ月たった日が具体的に税金を納付する日になるわけでございます。その具体的に納付する日からさらに一カ月間税金を完納されませんと、その日から四銭になる。したがって、更正の日から二カ月、申告期限から更正をいたしまして二カ月たつ日まではすべて二銭で、その日以後が全部四銭ということになるわけでございます。この二銭部分、要するに納付を間接的に強制する部分について、この四項で、今回新しい措置をしておるわけでございますが、これは、現在でございますと、滞納になってそのまま一カ月たって差し押えをする。差し押えいたしましても、さらに四銭つく。しかし、差し押えと申しますのは、間接強制以上の直接強制でございます。現実に国として債権確保措置がとられたわけでございます。その部分についてさらに納付を間接的に強制する上積みの二銭部分をつけておるということもいろいろ問題もあります。納付する納税者のほうにとっても、その部分についてまた納付に苦しむというようなことがございます。具体的に国が債権を確保する措置がとられた場合には二分の一にする。二分の一にしますということは、四銭の二分の一で、つまり利子部分はいただきますが、納付は間接的に強制する上積み部分の二銭を免除するということになっております。
#120
○上林繁次郎君 そうしますと、これは単純な質問かもしれませんけれども、担保のないような人に対するときにはどうなりますか。
#121
○説明員(早田肇君) 担保がないと申しますか、本件の場合には国がすでに差し押えいたしましたので、担保提供があるのと同じで、国が直接的に債権確保措置を講じた場合でございます。
#122
○上林繁次郎君 そこがちょっとわからないですね。この項は、差し押えと担保の提供ですよね。そういうものがない場合がありますよね。
#123
○政府委員(吉國二郎君) 御質問の趣旨は、おそらく差し押え財産も担保もない場合には日歩二銭が免れないのではないかというお話だと思います。いま三課長が御説明申し上げましたように、現在の法制では、差し押えと利子を高めるという間接強制が実はダブっているわけでございます。古い税制では、延滞金というものがつけられましても、差し押えをいたしますと延滞金はそのまま停止という税制がございました。つまり、当時は、延滞金というのは、利子という観念がございませんで、もっぱら強制のためのものとして考えられておりましたので、差し押えをいたしますれば直接強制するわけでございますから、延滞金がとまるという考え方になったわけでございます。したがいまして、現在のように日歩二銭というのは常につく利子部分であるという考え方ができましたので、上積みの二銭だけが従来の延滞金に相当すると考えていいわけでございます。そういたしますと、間接強制の方法として金銭でいくか、物の差し押えでいくか、どっちかをとろうという法制でございますので、差し押え物件がない場合はどうしても利子のほうでいかざるを得ない。そこで四銭が残ります。それに対して、直接差し押えした場合には、そのほうの強制ができますので、ダブルことはやめて二銭に軽減する、こういう制度をとりましたので、御指摘のように、財産のないものについては日歩四銭という強制的な意味の利子の加算は免れるという結果になるわけでございます。
#124
○上林繁次郎君 次にいきますが、七十五条の四項の第三号ですね、ここには、正当な理由がある場合には異議申し立てをしないで審査請求ができる、こういう項のようですが、これは具体的にどういうものがあるか答えていただきたい。と同時に、いままでの例からいって、正当な理由というふうに納税者側のほうは考えるわけですが、それで審査請求をした。けれども、四十三年度には千三百七十九件却下されておる。このような場合、救済はどういうふうにしていくのか。
#125
○政府委員(細見卓君) 「正当な理由」の具体的な事例につきましては、税制三課長からお答え申し上げたいと思いますが、そういう形で訴訟のほうが却下された場合におきましても、審査請求は当然有効でございますから、不服申し立てなりあるいは審査の請求なりということはできるわけで、その場合に、多くの場合審査請求なり不服申し立てなり異議申し立てというようなことで訴願前置をいたしておりますのは、そもそも訴願前置の精神でありますところの、事実問題についての具体的な確定というようなものは、主として審査請求あるいは異議申し立ての段階で処理して、法廷においては、むしろそこで処理できなかったより高次の問題を処理したいという、つまり訴願前置の根本精神から来る裁判所の判断があって、多くの場合、そうして出訴されたものは事実問題がからんでおる。単なる法律の解釈じゃなくて、事実問題がからんでおる。しかも、それを飛ばして出訴しなければならないほどの緊急の事態というようなものも考えられないということで却下になっておるのであろうかと思います。そういうわけで、権利救済の道はこの訴願前置の段階を経ていただくことによってその道は閉ざされておらないというわけでございます。
#126
○説明員(早田肇君) 「正当な理由」について御説明申し上げます。
 たとえば法人税で、青色申告者が、この場合にそれについて更正がございますと、青色申告者でございますから、直ちに審査請求をすることができるわけでございます。したがって、法人税の案件については審査請求に回る。その場合に、たとえばその法人税の更正の原因が認定賞与の問題で、その認定賞与につきましては、所得税の問題で、かつ青色申告ではございませんから、原則として異議申し立てを通らなければならないわけでございます。これは事柄が事実上一体でございます。そういう場合には、異議申し立てを経ないことについて正当な理由がある。また、更正が二度あった。一回目の更正についてはすでに審査請求に行く。その場合に、二回目の更正につきまして、原則的に白色であれば異議申し立てを通らなければなりません。そういう場合は異議申し立てを通らないで、直ちに審査請求しても、この「正当な理由」というもので十分カバーできると思われる。大体、例としてはそういう例が多いわけでございます。
#127
○上林繁次郎君 次に移りますが、七十七条「(不服申立期間)」で、この四項ですけれども、一年を経過した場合には不服申し立てをすることができない、こういうことなんですが、その場合に、これもやはり「正当な理由」が問題だろうと思うのです。で、具体的に判断の基準をこの点についてもひとつお聞かせ願いたいと思います。
#128
○政府委員(細見卓君) 最初に、先ほどの私が答弁いたしましたのは、正当な理由があって訴願を飛ばして出訴する場合だと誤解いたしまして答弁いたしました。その点は訂正さしていただきます。
 それからこの問題につきましては、「正当な理由」というのは、それこそ具体的にその事案について判断すべき事柄でありますので、一がいに申し上げることはできないかと思いますが、通例考えられますのは、たとえば、ある行為について、裁判とか、あるいは、そのほかの、納税者にとって予期しなかった事態によってその取引関係などが否決されると申しますか、存在しないものとされたというような事態がございますれば、それが正当な理由になるというわけでございます。
#129
○上林繁次郎君 次にいきますが、七十九条「(国税審判官等)」の第三項ですけれども、これによりますと、副審判官は所長の指名で審判官の職務を行なうことができる、こういうことになっているわけです。その指名の基準、資格、こういうものについては何も定められていないのですが、この点はどうでしょう。
#130
○政府委員(吉國二郎君) 現在考えております副審判官の処遇等におきましては、審判官の一番下の職給と同等の職給を持つ副審判官も置けるようにいたしております。つまり、副審判官の中には、若くてそこまで行けないけれども、実力は非常にすぐれておるという者もあり得ると思います。そういう点から、具体的に国税審判所長が判断をいたしまして、審判官たるの職務を行なっても差しつかえないと認定した者を指名するという予定でございますので、そういう具体的な基準と申しますか点は、今後具体的な指名の方法として固めてまいりまして、審判所長からの訓令等で明らかにしたい、かように考えております。
#131
○上林繁次郎君 そこで、この副審判官の方たちは、大体行政機関につながる方が多いということなんです。こういう方たちが審判官の職務を行なうことができるということになりますと、やはりいままでと何ら変わりがないようなにおいを漂わすんじゃないか、こういう感じがいたしますが、この点をもう少しはっきりしておかないと、国民の側から見て、なんだ、いままでと変わらないじゃないか、こういうようなことになるんじゃないか、こう思いますが、どうでしょう。
#132
○政府委員(吉國二郎君) 副審判官につきましては、確かに審判官とはやや趣を異にいたしまして、税務職員との交流を考えざるを得ないという点があると思います。ただ、御承知のように、国税不服審判所も、所得の実態を把握するという面では、税務調査と非常に似た点がございます。そういう意味では、税務調査にたんのうな者が含まれていることもまた必要であろう。そういう観点から、副審判官、審査官というものが取り入れられているわけでございますが、その副審判官の中から、適当な人は将来そのまま審判官になり得る道も開くべきだと得いますが、そういう意味で副審判官の中にはこの不服審判所の仕事に従事して最も適性を示す者も生じてくると思いますが、そういう意味で指名その他を十分に考慮いたしまして、むしろ将来の審判官の供給源の一つとしても副審判官を考えていくということが自然ではなかろうかと思いますが、十分に注意をして人選をいたす考えでございます。
#133
○上林繁次郎君 十分に注意をしていく必要があると思うんですけれども、私が言うまでもなく、御承知のとおり、副審判官というのは、行政機関とつながっている、絶えず出入りをしている、どっちかと言えば行政機関側である、こういう見方を、これは国のほうとしてはそういう考え方ではないかもしれませんが、国民の側からすればそういう考え方をせざるを得ない。ということは、自分が不利な見方をされたときには、どうしてもそういうことになると思う。また、そういう行政機関に――はっきり言いますと、また行政機関にこの審判所から戻るというような立場であると思うんですよ。そうすると、そちらとの関係性なんかも出てきて、やはり公平ないわゆる見方というのはできないんじゃないか、こういうような感じもするわけです。できから、そういう意味からも、この点はもう一歩明らかにすべきだ、こういうふうに思います。
#134
○政府委員(吉國二郎君) 確かに、御指摘のように、人事が仕事に影響するという面は否定するわけにはまいらぬと思いますが、ただ、これはてまえみそになりますけれども、税務職員というのは非常に職務に忠実でございまして、その職場に行けばその職場の仕事を全力をあげてするという気風がございます。現に協議団の中にも、いま一つ穴のムジナと申されておりますけれども、協議団の議決いたしました案件について担当部局と意見が違うというのは相当たくさんございます。そういうことは、現在も一つ穴のムジナと言われて協議当たっている職員が、やはり納税者の権利救済という立場で再審査に当たっているということを意味していると思いますので、今後は原局との関係も断ち切られますので、一そう自由な立場で審判ができるとい5点では、私は、人事の点についても十分配慮いたしながらそういう気風を審判所の中に育てていくという努力によって解決し得る面が多いのじゃないかと思いますし、もちろん副審判官にもでき得れば部外からの採用を考えるべきだ、かように考えております。
#135
○上林繁次郎君 九十六条の「(原処分庁からの物件の提出及び閲覧)」、この納税者の閲覧請求権についてはどのように運用していくかということですね、この点についてひとつ……。
#136
○政府委員(吉國二郎君) 従来からの行政不服審査法の規定によりますと、審査請求人は、原処分庁から提出された書類その他の物件の閲覧を求めることができるというたてまえになっております。ただ、その場合に、税の関係では、取引先その他第三者の利害に関する部分が相当ございますので、正当な理由あるときには閲覧請求を承認しないことができるというたてまえもあわせてとっております。従来閲覧請求がありました実績はあまり数はございませんが、四十一年の実績をとってみますると、四月から十二月の間に約三百件ばかりの閲覧請求が行なわれております。今後は、税務署から弁明書その他の書類を出させるということになりますので、閲覧請求に応ずる余地もかなり多くなると思います。そういう点では、公正に閲覧請求に対処したい、かように考えておるわけでございます。
#137
○上林繁次郎君 いまおっしゃったように、「第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるとき」とありますが、これは具体的にどういうような場合をさすのか、その点をひとつ……。
#138
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のように、もちろん公正な調査をすべきものでございますけれども、同時に、調査にあたっては秘密事項というのもございます。現在公開をしていない標準率などがございますので、そういう一般の官庁における秘密事項に対応するもので開示がされないものがあるといったような場合には、その部分は開示をしないということが必要になっているという例もございます。
#139
○上林繁次郎君 そこで、私の心配する点は、いわゆる閲覧拒否権、これを乱用されたのではたいへんだと思うんですね。そこで、そういう乱用されないという具体的な保証、こういったものが私は必要だというふうに考えるのですが、この点はどうでしょうか。
#140
○政府委員(吉國二郎君) いわば納税者の権利保護に必要な限りでは、できるだけ公正な扱いをするという考え方を徹底していくということが一番大事ではないかと思います。したがいまして、審判所におきましては、できるだけ「第三者の利害を害する」とかあるいは「正当な理由」というものを制限的に運用する考え方でいくべきものではないか。客観的に申しますとなかなかむずかしいわけでございますけれども、これがやはり今後の運用における態度によってきまってくると思います。その態度をしっかりときめてかかるということが必要であろうかと思います。
#141
○委員長(栗原祐幸君) 本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時散会
ソース: 国立国会図書館
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