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1970/03/17 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第8号
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1970/03/17 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第8号

#1
第063回国会 大蔵委員会 第8号
昭和四十五年三月十七日(火曜日)
   午前十時二十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         栗原 祐幸君
    理 事
                小林  章君
                成瀬 幡治君
                鈴木 一弘君
                瓜生  清君
    委 員
                青木 一男君
                青柳 秀夫君
                伊藤 五郎君
                岩動 道行君
                大竹平八郎君
                鬼丸 勝之君
                津島 文治君
                中山 太郎君
                矢野  登君
                木村禧八郎君
                戸田 菊雄君
                松本 賢一君
                横川 正市君
                上林繁次郎君
                渡辺  武君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       大蔵政務次官   藤田 正明君
       大蔵大臣官房審
       議官       高木 文雄君
       大蔵省主計局次
       長        船後 正道君
       大蔵省主税局長  細見  卓君
       大蔵省国際金融
       局長       奥村 輝之君
       国税庁長官    吉國 二郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       大蔵省主税局税
       制第三課長    早田  肇君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国税通則法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○経済及び技術協力のため必要な物品の外国政府
 等に対する譲与等に関する法律の一部を改正す
 る法律案(内閣送付、予備審査)
○国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に
 伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案
 (内閣送付、予備審査)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(栗原祐幸君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 国税通則法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#3
○木村禧八郎君 それでは、国税通則法のこの改正についての質問を中心に大臣にお尋ねしたいのですが、その前に、一つだけ、この前、戸田委員が大蔵大臣に入場税について質問しましたが、その際の大蔵大臣の答弁では、これはあまりに無責任だと思う。
 この前は、大蔵大臣は、私に、はっきりと、四十五年度でこの問題については前向きに処理するということを言われた。約束されたんですよ。ですから、もし今度のこの国会でできないなら、次にはどうするぐらいのことを具体的にあなた言わないと、これは無責任だと思う。それで、最近、大蔵大臣は無責任が非常に多いんです。たとえば交付税の借り上げについても、それは四十四年度でああいうことはやらぬということは自治省と約束してあるんですよ。それもやったでしょう。総合予算主義だってまた侵しているでしょう。あなたはどうも公約を守らないそういう傾向があります。特に入場税についてははっきりと約束されたんですから、国会の約束を、この間のような答弁で、あれで解決したと、済ましたと思ったらたいへんな問題ではないかと思う。ですから、もし今度できないなら、どうしてできないのか、そうしてこの次はどう処理するのか、この間の答弁に対してどう責任をとるのか、だからこの次はこうすると、今度はこうこうこうでできないからとはっきりそこを釈明されませんと、私はこの間はっきり約束されたことに対してあのような答弁では納得できない。この問題についてお伺いしてから本論に入りたいと思います。
#4
○国務大臣(福田赳夫君) 入場税につきましては、私も非常に残念に思っているんです。率直に申し上げますが、今回の税制改正にあたりましては、大蔵当局におきましては入場税の軽減案をつくったのです。それは、競輪だとか、あるいは競馬でありますとか、そういうようなものは軽減するわけにはいかない。しかし、その他のいわゆる文化的といいますか、そういうものにつきましてはひとつ思い切って軽減いたしましょうと、そういう趣旨の原案をつくったのです。ところが、一方におきまして物品税の問題というのが出てきた。物品税はこの際一切手を触れたくない、そういう考えがあったわけであります。物品税とこの入場税は、多少似通ったところがあるのであります。そういうようなところから、この入場税の軽減案を出しますと、物品税のほうにこれが波及するおそれが十分看取されたわけなんであります。そういうようなことで、入場税をここで手をつけるということになると、それが、一波万波、物品税全体にたいへんな影響を及ぼしてくるというのっぴきならない形勢がありまして、私も、最後の段階で、非常に残念とは思ったのでありますが、今回はこれを犠牲にせざるを得ないなと、こういう判断をせざるを得なかったわけなんであります。さようなわけで、この入場税問題は、確かに、本委員会におきまして、これは四十五年度において軽減措置を講じますと、こういうことを申し上げたことはよく記憶しておるわけなんでありますが、そういうような状況でできなかったことはまことに私も遺憾千万に存じておるわけでございます。なるべくすみやかなる機会にこの考え方を実現をいたしたい、かような考えでございます。
#5
○木村禧八郎君 すみやかというのは、次の国会あたりですか、次の年度ですか。
#6
○国務大臣(福田赳夫君) まあ次の年度と、まあ常識的にはなりましょうが、私の気持ちは、とにかく次の年度と言わず、なるべく早く、こういうふうでありますが、まあ結論としては来年度に相なろうかと、かように存じます。
#7
○木村禧八郎君 もう少しこれを詰めたいと思うのですけれども、またの機会に質問いたします。
 国税通則法に関して私はまだ一ぺんも質問してなかったのですが、きょうは、質問調査権を中心にこれから大臣の御意見を伺いたいと思います。
 御承知のように、今度の国税通則法の改正の趣旨は、提案理由にもございますように、「最近における社会・経済の諸情勢の進展に即し、納税者の権利救済制度の整備充実をはかることが必要である」と考えてこの改正案を出したというのが提案理由になっておるわけですね。ですから、納税者の権利救済制度の整備充実、これが今度の改正の主要な目的であるわけですね。そういう観点から、そういう立場から、特に質問調査権についてお伺いしたいのです。理想から言えば、大蔵大臣はよく御存じのように、国税不服審判所などは必要でないようになるのが一番理想だと思うんですね。税務署が更正決定する、それに対して異議がない、こういうことが一番望ましいわけですね。それに対して、これまで協議団制度があったんですけれども、それをもう少し進めて国税不服審判所の制度になったわけですよ。したがって、こういう制度が現状において必要であるのは、その前段の更正決定ですか、そこに一つ問題があって、これに異議を申し立てられるから、そこでまた次の見直し調査が行なわれ、そうしてそれに対してまた審査請求があるということになってきてこういう制度が必要になるわけですね。ですから、私は、更正が行なわれて、そうしてそれに対して異議申し立てが出てくる、その前の段階において異議申し立てがないようなそうした更正決定が行なわれることが一番望ましいことだと思うんです、理想としては。
 そこで、私は、前の段階の質問調査につきまして、事前調査、事後調査等ございましょうが、その点について具体的に伺いたいんです。ことに、税務調査権、これは納税者の権利救済、権利擁護のために非常に重要でございます。私は、税務官庁側の更正決定をする場合の事前調査あるいは事後調査、まずこの法的根拠ですね、それはどういうところにあるか、それからまず伺っていきたいと思います。
#8
○政府委員(細見卓君) 調査権は、それぞれ所得税法及び法人税法その他の、たとえば相続税でありますと相続税法とか、各税法にそれぞれ質問検査権がございまして、御承知のようにそれについては行政罰がついておるわけであります。
#9
○木村禧八郎君 そうすると、各税法に基づいてこの質問検査を行なうわけですね。それには罰則があるわけですね。
#10
○政府委員(細見卓君) それぞれ罰則がございます。
#11
○木村禧八郎君 もちろん、憲法三十条でわれわれには納税義務があります。そうして、そういう質問検査については、基本的人権なりあるいは生活権を脅かさない範囲において、それを受忍する――それを耐え忍ぶ、そういう義務がわれわれにはあるわけですね。それはわれわれも認めているわけです。しかし、それが非常に乱用された場合は非常に問題になるのではないか。それが乱用されて、そうして更正が納税者が納得がいかないという場合に異議申し立てが出てくるわけですから、それが乱用されている例が非常にあると思うのです。
 そこで、具体的に伺いますが、最近、小さい飲食店に対して深夜の夜間調査をやって、しかも、これは確定申告の前にやる。そのやり方も、事前通告もなくてこういうことがやられている。最近、これは東京の中心部で相当行なわれているということを聞いているわけなんです。そういう事実を御存じないですか、非常に調査権が乱用されているのではないかと言われているのですけれども。
#12
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のとおり、調査には、事前調査もございますし、事後調査もございます。申告指導というものを的確に行なうために、事前に業種によっては調査をする必要もあることもあると思いますが、ことに、ただいま御指摘のございました夜間調査の場合、これは麻布等でやっていることを私も承知しておりますが、この麻布・六本木あたりの飲食店におきましては、昼間は本人がいなくて締まっておりまして自宅に帰っております。夜間でないと本人がいないという事情が非常に多いのでございます。そのために、やむを得ず、夜間の調査も任意調査としていたしておりますが、できるだけ営業その他に差しつかえないように配慮をしてやっている次第でございます。
#13
○木村禧八郎君 調査の時間制限につきましては、国犯法の八条、国税徴収法の百四十三条にこのような時間の制限の規定がございますが、しかし、例外もありまして、なるべくそれは原則として日中に行なわれるというのがたてまえになっていると思うのです。しかし、いま、夜間営業が常態であるような場合には、例外として夜間でも調査権の行使ができるというような規定がある。しかし、これを一般化することは問題だと思うんですね。さっきもお話しのように、昼間は締まっていていない、しかし営業している、そういうような場合に夜間調査をするということですね。これは、営業妨害になったり、あるいはまた、最近、おとり調査と言われておりますが、お客さんのようなふりをして入って行って調査をする。もし、これが税務職員だったら、本人の承諾を得なければ、これは居住権の侵害になるわけですね。そうでしょう、入っちゃ困るというのに、無理に入るのですから。ですから、お客さんを装って、一ぱい飲んで、それで調査をするというような事例があるんですよ。そういうのは、これは乱用ではないかと思うのですが、それはいかがですか。
#14
○政府委員(吉國二郎君) 営業しているところに調査をするということは、これは一般的にはむしろ普通でございます。営業場に臨場しなければ調査はできないのでございまして、ただ、夜間営業の場合は特殊な形になるということは、御指摘のとおりだと思います。ただ、営業中に調査をする場合には、営業に支障を与えないことは、これは常識上当然でございますので、その点は十分注意してやらしているわけでございます。
 おとり調査と仰せになるのは、ちょっと私もはっきりいたしませんが、情報といいますか、自分の体験によって情報を得るということ自体は、決しておとり調査とは言えないと思いますが、それほど苦心をして税務職員が正しい調査をしようとしている点もお考えをお願いしたいと思うのでございます。
#15
○木村禧八郎君 それは、質問調査権の行使につきましては、営業しているときに調査しなければよく調査はできないと言いますけれども、しかし、それには限界があるわけですね。そこが問題なんですよ。限界を越えるか越えないかが非常に問題なんです、質問調査をやる場合には。納税者の営業活動あるいは私生活の平穏に多少とも影響があるような場合には、それは乱用になってくる。
 それから事前に通知をした上で調査に行くのがこれは望ましいのじゃないか。ところが、事前通告をしていないで、いきなり行くと、こういうことは乱用にならぬのですか。
#16
○政府委員(吉國二郎君) 事前通告をして調査をするということももちろん好ましいことでございますけれども、調査そのものを事前に通告しなければ乱用ということには私ども考えておりません。ことに、現金を扱う商売等におきましては、帳簿と現金との一致ということが調査の出発点でございます。帳簿だけがからでついておりましても、これは何にもならないんで、その帳簿と実際の動態が一致しているかどうかを調べるということが、実を申しますと調査の一番の眼目である場合がございます。そういう場合には事前に通知をしない場合がございますけれども、これは調査の一つの方法としてやむを得ない場合があるかと思いますが、これはできるものは事前通知するという立場で進んでおりますので、御了察をいただきたいと思います。
#17
○木村禧八郎君 それは、いまの国税長官の御答弁は、普通の税法のたてまえについての答弁をされているので、それはもうあたりまえなんですよ。あたりまえのことなんですよ。ただ、問題は、それが実は営業妨害になったり私生活の平穏を乱すかどうか、そこが非常にデリケートなところなんです、ほんとうは。たとえば一ぱい飲み屋なんか、ママさん営業というのがありますね。そういうところへ調査に行ってごらんなさいな。ママさん一人しかいないのですからね、経営者は。そうしたら、営業妨害になるでしょう、実際には。しかし、ある程度営業妨害になっても、全然ないというわけにはいかないでしょう。どうしても営業に影響があり、私生活に多少の影響は出てくるでしょう。全然ないとは言えないでしょう。それまで否定したらできません、これは。ですから、われわれもそこまで極端に考えているわけではありません。どうせ憲法三十条でわれわれ納税の義務があって、そういう質問調査権については受忍しなければならぬそういうあれがありますから、ある程度の営業に対する影響、私生活の平穏に対する影響、これはまあ認めざるを得ないと思います。そこまで否定はできないと思う。ただ、そこが、実際問題として、いま話したように、一人の経営者の場合、それで一ぱい飲み屋なんかやっているところへ夜間に行ってごらんなさい。それは、そちらへ手間をとられて、お客さんのほうのめんどう見るどころじゃなくなる。それは、多少じゃなく、かなりの営業に対する妨害になったり、また、私生活の平穏に対する非常な侵害になってくると思うんです。それからまた、事前に通告しなければならないという法律上の義務はなくても、事前通告しないで行くと、これはやはり人権の侵害になるおそれもあると思うんですよ。
 私は、時間がございませんから、私が質問している一つの資料を、どういう資料で質問しているかをお示しします。それはもうお読みになっていると思いますが、そのほうが御答弁もやりやすいと思いますから。これは「法律時報」の三月号で、「税務調査権の実態と法的限界」ということについて、日本大学の北野弘久という人が、いままでのそうした、ことに民商ですね、民商関係の裁判になりました裁判の判決を中心として、非常に詳しく質問調査権の限界についてこれまでの判決をもとにしてずっと詳しく論じておるわけです。その中で、先ほど質疑の中で明らかになりましたように、税務官庁としては税法に基づいて質問調査権がある、そうしてまた、事前通告しなくてもよろしい、また、ある程度営業に影響を与えてもしかたがないと言われる、それは否定していないんです。ただ、それが限界を越えて質問調査が行なわれているんじゃないか、また、実態において行なわれているというところに問題があるんです。そういうことを、これは一つの例ですよ、今度の改正に関して重要だから私は質問しているんです、一つの例として。そういう形で調査をして決定された更正決定に対しては、必ずそこに異議申し立てがあると思うんですよ、そういう形では。異議申し立てがあるから、そこで見直し調査をしなければならない。それに対して今度は審査請求がある。そして、協議団が必要である、今度は国税不服審判所が必要である、こういうことになってくるんです。ですから、一番の根源のところ、この問題の一番根源のところをいま質問しているんです。それについて、もっと実態に即した答弁をしていただきませんと、それはわかり切ったことを答弁をされているわけなんです。こういう事例があるんですから、そこで、もしそういうことがあれば、調べて、ないようにするとか、そういう答弁でないと、抽象論では困る。
#18
○政府委員(吉國二郎君) 御指摘のとおり、調査の段階が不十分でございますと、異議申し立てが生ずるということは非常に多いと思います。そして、また、調査の方法が悪かったという場合にも異議申し立てがあると思います。したがいまして、私どもといたしましては、通則法の改正案を提出いたします前後から、調査の慎重さと、さらに不幸にして異議申し立てが出た場合には、異議申し立てを十分に調査をして、その段階で納得がいくのはできるだけ処理をするという体制をとるように全体としても処置をいたしてまいりました。今後ともそのつもりでやっていくつもりでございます。
 なお、調査が不十分であったという場合には、もちろん調査のやり方に欠陥がある場合もございます。先ほど仰せになりました受忍義務というものが十分に徹底せずに調査拒否ということが行なわれる場合に調査内容が徹底しないという場合もございます、これは間々例外ではありましょう。ただ、そういうこともございまして、私どもといたしましても、納税者の側、及び税務職員の側、お互いの理解を深めるという行政を今後展開していかなければ、問題はなかなか解決しないと思います。ことに、調査の限界というものは、税務官署側の態度、納税者側の態度、両方の態度からその限界が出てまいると思います。お互いに理解し合い信頼し合うという体制が今後とも必要であろうと思います。現在は調査における信頼の確保ということを私も強く指示をしておりますし、今後とも具体的に指示をしてまいりたいというふうに考えております。
#19
○木村禧八郎君 私は、単なる夜間だけではなくて深夜の調査が行なわれていることを問題にしているのでして、深夜調査ですると、どうしたってこれは十分な調査がやれないのじゃないか。深夜ですから、お客さんが来たりなんかすれば、やはり十分な調査ができない。そういうような調査をもとにしてやれば、見込みで更正決定がされる可能性が出てくると、こう思うわけです。
 それからもう一つ、これは税務職員の人から聞いたんですけれども、深夜の調査というのは健康上非常によくない、昼夜ぶっ通しで勤めるようなことになって参ってしまうというような話も聞いているんです。
 双方にとって深夜の調査は一考を要するんじゃないか、こう考えるんですが、いかがでしょうか。ことに、小飲食店の場合を例に質問しているんですけれども、そういう事例が現に行なわれているわけです。これは相当それに問題があるのではないか。これは一つの例ですが、それに類似したことがかなり行なわれているのではないか。いま、具体的な一つの例をとって御質問しているんです、これが特徴的ですから。この法案の国税不服審判所の一番問題になっている質問調査権についての特徴的な点をとらえて具体的に質問しているわけですが、そういうことは一考を要するのではないかと思うのですが、どうでしょう。
#20
○政府委員(吉國二郎君) もとより深夜調査を私ども好んでやっているわけではないのでございますけれども、そういう小飲食店の場合、帳簿が一切備えられていなかったり、昼間参りましても本人はいないし、本人の住居におもむいても、本人の自宅にも帳簿はない、店は締まっておりましてこれはあけるわけにまいらない、そういう場合には、調査としてはどうしても営業中に行かざるを得ない。実際問題といたしましては、できるだけ営業終了の時間を聞いて、営業終了に至ってから帳簿調査をするというような配慮はいたしておりますが、そうなりますと、ほんとうに深夜になってしまう。このごろは三時、四時の営業というのは幾らでもございます。そういうところは、大体においてその店には住まっておりませんので、三時、四時に終わるとアパートかなんかに帰ってしまう。そういう点で、実は、税務職員のほうがかわいそうだと思っておりまして、ただいまおっしゃるとおり、からだにもよくございませんので、できるだけ避けたいと思います。また、帳簿を持って住居に帰っているからといえば、そういうところに行って調べている場合もございます。これは特殊な例であると思います。普通こういうことはあり得ないのでございますので、できるだけお互い研究し合って納得のいく調査をしたい、かように考えるわけでございます。
#21
○木村禧八郎君 それから法定の申告期限前の事前調査というのは、これはどうなんですか、これは原則として許されないんじゃないですか。
#22
○政府委員(吉國二郎君) 所得税法及び法人税法で納税義務者といっておりますのは、納税義務が抽象的にあるという判断がつく者については調査をするというたてまえをとっております。したがいまして、帳簿の確実性その他を調査するためにその所得が進行しておる段階でも調査ができるというのが従来からの考え方でございます。学者の一部には、その段階では質問調査権は使えないという主張をしておられる方もございますが、現在のところ、裁判所の態度としては調査を否定はしておりません。ただ、事前調査を必要とする者しない者ということははっきり分かれると思いますので、その点は今後とも十分な判定をしてやっていくべきだと思います。
#23
○木村禧八郎君 これは、法律自体が法定申告期限前の調査を予定している場合は例外的に許されるといわれておるわけですね。しかし、一般的には、もし法定申告期限前の事前調査が原則として許されるということになれば、これは申告制度のもう否定になってしまいますよ。それを破壊することじゃないですか、申告制度を。
#24
○政府委員(吉國二郎君) 国税通則法の二十四条に、「税務署長は、納税申告書の提出があった場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。」ということを言っておりますが、原則として、申告納税というものにおきましては、具体的な幾らという義務が発生することにつきましては、国税通則法は十五条その他において具体的な納税義務をうたっておりますけれども、所得税、法人税等におきましては、納税義務者というのは、一般的に納税義務を生ずべき地位にある者という解釈で従来から進めてきております。したがって、具体的に納税義務とは関係なしに、納税義務のある者、あると認められる者については、調査を進めてまいっております。したがって、申告書が提出された場合に、明らかに調査したところと違えば、直ちに更正もできるという理論構成をとっておるわけでありまして、事前調査そのものが違法であるとか不当であるとかいうことはないと思いますが、漸次私どもは事後調査に切りかえるという方向で、十数年来だんだん事後調査に切りかえていることは事実でございます。従来は、昭和二十年代におきましてはほとんど全部が事前調査であったことは、御承知のとおりであります。しかし、できるだけ事後調査に切りかえるということで、現在、申告が出てから調査をするもののほうが相当数が多くなっているということは事実であると思います。
#25
○木村禧八郎君 納税の義務がある者と、納税の義務があると認められる者と、二つあるわけですよね。いまお話しした納税の義務がある者、申告を提出する者は、申告書を提出することによって納税の義務というものを自分から認めているわけです。しかし、申告書を提出しなくても、いろいろな客観的な情勢から納税の義務のある者と認める場合、そういうものはありますわね。そして、もしその人が申告しなければ、これは税務署のほうで更正決定してしまうわけでしょう。決定してしまう。白色のような場合はできるわけですね。しかし、いずれにしても、納税の義務のある者が申告書を出さなければ、税務署のほうで一方的に決定できるわけですけれども、納税の義務がある者、つまり申告書を提出するそういう人に対して、法定の申告期間以前においてこれを調査するということは、申告内容が不明であるのにその更正決定の準備をすることになってしまうわけです。そういうことになると、いまの申告制度に対して、これを破壊することになるのじゃないか、そういう疑いが相当出てくる。それで、学者の意見でも、「法定申告期限前の、いわば事前調査は、原則として許されないものと解すべきであろう。」と。ただし、例外がある。「法自体が法定申告期限前の調査を予定している場合には、例外的に許されるものとしなければならない。」と。原則はやはりいまの申告納税制度を民主的な納税制度として確立する上においては、法定の申告期限前の事前調査は許されないものと、例外はいろいろここにありますけれども、そういうふうに私は解釈すべきじゃないかと思うのですが、先ほどの御答弁では、何か原則としても法定の申告期限前の事前調査は許されるような御答弁だったものですから、私は、これでは申告納税制度は破壊してしまう、そういう考えでいままで運営しておったとなれば重大な問題であると、こう思うわけなんです。
#26
○政府委員(吉國二郎君) いま御指摘になっております論文を書いている教授は、これは具体的な事件で原告側の証人になると思われる人で、当局と反対の立場にある人なんでございますので、批判をするのは差し控えますけれども、通説といたしましては事前の調査も認めておるわけでございます。ただ、御指摘のように、申告納税が理想的形態になった場合には、事後調査で十分であるという事態は当然来ると思います。ただ、御承知のように、申告納税がここまでまいりますまでに二十年の間、申告納税の確立のためにいろいろな手段をとってまいりました。先ほど申しましたように、形では事後調査に移行するという形をとって、漸次申告納税に近づく立場をとってまいりました。長い伝統の上に立った税務でございますので、その事前調査、事後調査の配分についても、一つの経過を経て具体的な理想の姿に近づくべきであると私は思うのでございます。いまの段階では、申告の指導というためにも事前調査がある程度必要であり、また、事実それによって申告が現実に行なわれている例もたくさんあるわけでございます。そういう意味では漸進的に理想に近づくべきものだとは私も思いますけれども、いまの段階で事前調査を全部廃止するというところまではまいらぬという感じがするわけでございます。
#27
○木村禧八郎君 全部廃止するわけにはいかないと言われますが、たてまえですよ、たてまえとしては法定申告期限前の事前調査は、いわゆる申告納税制度の精神からいって好ましいものじゃないと、こういう考え方なんですよ。で、この法律学者によれば、これは許されないものと、このいうようにはっきり言われておりますが、少なくともたてまえとしてはそういうことは好ましくないことは、申告納税制度の精神からいって、そうじゃないですか。その前に、申告内容不明の段階において更正決定の準備がされていくことになれば、これは当然、当然にですよ、申告納税制度というものに対して悪い影響を与えることは、これはもう明白じゃないかと思うんですが、もうさっき、なるべく理想の形に近づけたいと言われましたが、それはやはり法定申告期限前の事前調査は好ましくないという、そういう立場から言われているか、どうかですね。
#28
○政府委員(吉國二郎君) 申告納税が、何と申しますか、理想に達すれば、事前調査の必要はなくなると私も思います。申告納税が育つ段階にまだあると私は思いまして、事前調査がなお必要な段階であるという意味で申し上げたわけでございます。
#29
○木村禧八郎君 私は、事前調査を、あるいは事後調査ですね、そういうものを、さっきも最初に言いましたように、否定しているわけではないのであって、ただ、法定の申告期限前の事前調査、それを言っているんですよ。その法定の申告期限前の事前調査というのは、確かに、申告納税の者
 に対して、これは私自身今度自分の立場に立っても、まだ申告もしないのに事前調査が行なわれるということは、とにかく申告納税に対して非常に悪い影響を与えるでしょう。自分がそういう立場に立ったら、そうでしょう。どうなんですか。
#30
○政府委員(吉國二郎君) 申告期限前に調査をするということは納税者を疑っているのじゃないかという点を御指摘になっていると思います。ただ、御承知のとおり、白色申告者の中には、帳簿の設備がなく、実際に申告に参りましても、税務署に相談をして、いろいろ、自分の売り上げはこんなものだが、申告は幾らになるのでしょう、所得が幾らになるんでしょうというようなことを聞く人が実は非常に多いのでございます。そういう意味では、税務署といたしましては、申告内容を予想せずに一応調査をしておくということが必要な業種も事実まだ存在をするという点は、実際問題としてはこれは否定できないところであると思います。そういう意味では、申告納税の確立したすべての人が帳簿を持った時代になれば、事前調査というものは必要もなくなり、また、それが納税者の信頼を裏切る結果になるおそれもなくなると思いますけれども、いまの段階ではそこに近づく第一歩である、数歩を踏み出した段階でございます。なお、できるだけ十分な注意を払いつつ、適正な調査をする方向で処置をいたしてまいりたいと思います。
#31
○木村禧八郎君 次に伺いたいのですが、青色申告の場合ですね、推計課税というのは正しくないと思うんですが、それは認められているんですか、青色申告の場合。
#32
○政府委員(吉國二郎君) 青色申告につきましては、帳簿を検査をし、その帳簿に従って誤りを指摘して決定するというのがたてまえでございます。もしも帳簿が全く青色といいながらでたらめでございました場合には、青色申告の承認を取り消してからでないと推計課税はしないというたてまえになっております。
#33
○木村禧八郎君 実際に、いまお話ししたような青色申告を取り消した後でない場合に、青色申告の段階において推計課税があったら、どうしますか。
#34
○政府委員(吉國二郎君) 青色申告につきましては、青色申告を取り消すまでもないけれども、売り上げを脱漏したことが明らかであるという事実が出た場合に、その売り上げ脱漏額が幾らであったかということについて推計をする場合は事実あると思います。これは、青色申告者自身が脱漏の部分を証明してくれば、それによって是正すべきものだと思います。
#35
○木村禧八郎君 青色申告は、さっきも長官が言われましたが、個々の納税者の記帳に基づいて調査をして、それで記帳に基づいて指導するということですね。ところが、一般的な推計課税の基準を用いて課税するということは、青色申告を奨励している当局の趣旨と矛盾すると思うんです。そういう事例があるんですよ。それは、札幌国税局長の通達で「青色申告に対する権衡査案的方法の実施要領について」というものが出ているんですね、昨年十二月十六日に。これを見ますと、推計課税というものをここで指導している内容がある。こういうことはどうなんですか、これは矛盾していやしないですか。
#36
○政府委員(吉國二郎君) 青色申告者を全部調べるというたてまえはとっておりませんので、青色申告者のうち記帳が正しいと認められるものと正確でないと認められるものと分けて、正確でないというものを目ざして調査をするたてまえでございます。札幌国税局長の推計の問題は、対象を推計する場合に、一応推計をいたしてみまして、その水準から見て非常に所得が低過ぎるというのは、特殊な事情があるか、あるいは帳簿に不適正な部分があるか、いずれかであるという意味で調査をすべきであるということで、対象を推計し、それに基づいて調査をすることを前提としておるわけであります。推計課税そのものをやるということではないわけでございます。
#37
○木村禧八郎君 権衡査案これは専門用的語ですが、これは、結局、推計課税の前提になるものじゃないですか。
#38
○政府委員(吉國二郎君) いわゆる帳簿のない者に対する推計課税をいたします場合にも、その具体的な生活状況とか取引状況のほかに、類似業者との間の所得のつり合いというものを見る必要がございますので、それで権衡査案ということが行なわれるわけでございます。そういう意味では、それをもって課税標準を決定する場合もございますが、青色申告の場合は、それによって課税標準を一応査定してみまして、具体的な申告がそれと著しく違っている場合に調査の対象にあげるということにいたしておるわけでございます。実際の決定は調査の上でいたすということになるわけでございますから、権衡査案そのままで課税をするわけではございません。
#39
○木村禧八郎君 これはあとでまた通達をお見せしますから、具体的に見ていただいてから……。いわゆる権衡査案は、私は、結果的には推計課税になると思うんです。
 そこで私は、こういう質問をしましたのは、最初に申し上げましたように、国税不服審判所を設けることによってほんとうに納税者の権利が救済されるかどうか、その実際的効果を判定するためにこういう質問をしてきたんです。これは、税務官庁側の税金を取る側の質問調査権ですね。それも、事前調査、事後調査も、いわゆる罰則というものを背景にしているわけですね。任意調査であるけれども罰則を背景にしている。実質的には強制調査の実質を備えてくると思うんです。もちろん国税徴収法とかあるいは国税犯則取締法の調査権とは違いますけれども、しかし、罰則があるという点については、任意調査であっても強制的な性質を帯びる。更正決定があって異議申し立てがあって、今度は再調査をやる、そういう場合にそういうような調査が行なわれたら、これはもう異議申し立てがあれば、今度は、これまでの取る側の質問調査とは違うわけですね、違う段階に入る。それは、納税者の権利救済の立場に立った調査でなければだめですよ、その段階からは。ところが、その調査の場合の法的根拠はどうなっているのですか。これまで、私は、衆参両院の速記録を見てまいりました。ところが、国税長官の御答弁を見ますと、異議申し立ての段階ではやはり各税法に基づくんだと。それから調査請求の場合は、これは今度の改正で罰則は除く、ただし第三者については罰則があると、こういう解釈なんです。そうでしょう、そういうことじゃないですか。
#40
○政府委員(細見卓君) そのとおりであります。
#41
○木村禧八郎君 そうなると、納税者の権利擁護、権利救済の立場からの調査に罰則があるというのはどういうことですか。
#42
○政府委員(細見卓君) 今回の不服審判所制度全体あるいは国税通則法全体をごらん願いますとおわかりになりますように、納税者の権利救済をできるだけ公正に、しかも、なるべく迅速に処理をいたしたいというのが基本的な考え方でございます。いくら公正に処理をいたすといたしましても、長くかかる、あるいは手間が非常にかかるということでは、ほんとうの意味の救済にならない。そういう意味で、異議申し立ての再調査と申しますのは、多くの場合、事実関係の認識の違いが、課税側の主張、納税者側の異議の申し立ての違いでありまして、その場合、納税者にとっては実際以上の税を払っていただくことは間違いであると同時に、また、納税者にとっては正当な納税額を納めていただくこともこれは広い意味での権利救済であるわけでありまして、そういう意味で税務署の段階で迅速に簡潔に処理をいたしたいということを考えまして、再調査におきましては別に税務職員に新たな調査権を与えるというようなことでなしに、真実を発見し、その過程で納税者の権利の救済もできるということを考えておるわけであります。また、実際問題といたしましても、異議を申し立てられておる方が、いろいろこういう点が税務署の調査と違っておるのだということを言われた。それに対して調査に行ったときに先ほど来、調査拒否の罰則の点を非常に強調なさっておりますが、むしろそういう納税者においては進んで調査を受けて真実を発見して適正な救済を受けたいというのが真実じゃないかと、かように考えます。
#43
○木村禧八郎君 まあ拒否すれば不利であるから、拒否すれば、結局、税務署側の調査に協力しない、結果としては税務署のほうの決定を承認したことになってしまうから、拒否はできない。しかし、実際問題として、取る側の質問調査――事前あるいは事後調査――そのときは罰則がある。それと同じように、今度は納税者の権利救済の段階に入っての調査について、やはり取る側の質問調査権と同じように、罰則のあるそうした各税法に基づいて見直し調査をやるということは、結局、いままでやった原処分維持のための調査になってしまう。実際問題は。どうなんですか。
#44
○政府委員(細見卓君) その辺を考えまして、これはたびたび長官が衆議院の御審議の段階でも申し上げておりますように、つとめて最初の調査に当たった者と違う者を充てて、そうしてそういう原処分を追認するというか、原処分を是認する方向での調査というような意図を持たないように、しかも、職員の配置等を考えて、実際的に納税者の権利救済になり、また、税務職員がそういうことのために特別な調査権を持つというような複雑な構成をとらなくても、そういう運営で納税者の権利救済になるようにやってまいりたいと、これは私が答えるのは妙でありますが、長官がたびたび衆議院の段階で申し上げておったところであります。
#45
○木村禧八郎君 衆議院段階では、運営運営と言っている。それでは保証がないんですよ。結局、実際は、原処分維持のための調査になる。そうじゃないように運営でやると言われましても、実際問題はそうでしょう。取る側で決定したものに異議申し立てがあって、そうして異議申し立てがあった人のほうに有利になるように調査するでしょうか。
 ことに罰則があるんですよ。罰則を背景として、結局、納税者を間接的に強迫したり、取り下げをさせる。そういう方向に実態はあるんです、権力を握っているんですから、それに罰則がありますから。そういうときには、罰則がないようにすべきじゃないか。異議申し立てになったら、これは権利救済の段階です。その以前、更正決定の段階は、取るほうの段階ですよ。審査請求の段階では、これは拒否しても不利になるから、罰則がない。これはあたりまえですよ、そのことは。ここが一番問題なんです。だから、私らの主張は、主張というか要求は、権利救済の段階に入った、異議申し立ての段階に入った調査は、罰則を取るべきだ。そうでなければ、最初の更正決定の場合の調査とちっとも変わらなくなる。権利救済にならぬ。どうしてもそこのところが単なる運営というだけでは保証がないのであって、実際はやはり結局原処分維持のための調査になっておりますし、なっていく。ここが一番重要です。だから、ここでいろいろな審査請求があり、国税不服審判所というようなものが必要になってくるが、これではあまり独立性一がありませんから非常に不十分ですし、しかも、裁判に持って行くにはこの段階を通らなけりゃならぬじゃないですか、どうしたって。これを省いてすぐ裁判に持って行けない。
#46
○政府委員(吉國二郎君) 行政不服審査法におきましても、三十二条におきまして、「前五条の規定は、審査庁である行政庁が他の法令に基づいて有する調査権の行使を妨げない。」という規定がございまして、従来の不服審査法におきましても、審査庁が当該権限を持った審査庁である場合には、その固有の調査権を行使することができるというたてまえをとっております。したがって、いまの異議申し立てに関しましては、いわば不服審査法のたてまえをそのままとっているのでありまして、もちろん、再三申し上げておりますように、運用においては権利救済の趣旨にかなうような運用をするというのがたてまえでございますけれども、調査権そのものは、行政不服審査法の体系から申しましても、当該官庁の固有の調査権によるというたてまえでございます。
#47
○木村禧八郎君 しかし、固有の調査権によることになっているけれども、それには、本人については罰則がないんですよ。第三者についてはある。
#48
○政府委員(吉國二郎君) 各行政庁の本来の調査権でございますと、質問検査権があれば本人にも罰則があるというたてまえになりますが、審査のための特別な調査権ではなくして、本来固有の調査権をそのまま使うというたてまえがいまの不服審査法のたてまえでございます。
#49
○木村禧八郎君 そうすると、今度は、この異議申し立ての段階、それから行政不服審査をする、そのときの調査については、あなたの説明では、いわゆる異議申し立ての段階では各税法に基づく。ところが、審査請求の場合はそうじゃないんです。審査請求の場合は、本人には罰則を通用しないことにした。ところが、第三者には罰則があるんだと、こういうあなた答弁です。
#50
○政府委員(吉國二郎君) いま申し上げましたとおり、その審査が――一般的に申しまして、審査が当該行政官庁の負担において行なわれると申しますか、権限において行なわれる段階では、その当該官庁の調査権がそのまま使われる。特別の審査庁が行なう場合には、その審査庁についての調査権が不服審査法で規定されている。今回の国税通則法におきましては、審査請求、つまり国税不服審判所が調査を行なう段階におきましては、特別の質問検査権等を設けまして、税法の国有の調査権は行使をしないというたてまえにしたわけでございますから、いまの不服審査法のたてまえとぴったり合致しているわけです。従来は、協議団の場合も国税の分野に入っておりましたから、税法の規定を使っておりました。これはやはり不適当であろうというので今回改めたわけでございます。
#51
○木村禧八郎君 拒否した場合は、これは実益がありませんからね、納税者に。しかし、もうこれでこの点については最後の質問にいたしますが、結論的に、権利救済の段階に入って、そのときの調査も、税金を取るほうの税務官庁の更正決定のための事前調査、事後調査、その調査権と同じ罰則を伴う調査権をもとにして見直し調査をやることは、結局原処分維持のための調査になってしまうから、それは違った、罰則を伴わないような調査にしないと、これは納税者の権利救済にならない、こう思うわけです、私の考えは。最後に、この点について、せっかく大蔵大臣も来られているわけですから、最終的な私の質問で、この罰則を取るべきだ、この段階では。そうしなければ、権利救済にならぬ。結局、原処分維持のための調査になってしまう。いますぐにお答えできなければ、この点は重要だから、今後もっと検討して調査してみるとか――たてまえからいったら、大蔵大臣、そうじゃないですか。たてまえからいったらおかしいと思うんですよ。納税者の権利救済の段階に入って、税務署のいままでの質問調査権と同じものがやはりここに入ってくるわけです。現実には原処分の維持になる。
#52
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの問題は、国税庁長官、主税局長からお答えをしたとおり、行政不服に共通した問題と思うのです。つまり、権利救済と申しましてもいろいろ段階があるわけで、行政に非常に近い段階と、審判に近い審判の段階、こう二つの段階がある。その二つの段階で調査の方法等が差別がある、これは公に認められておるところなんです。しかし、木村先生のおっしゃること、わかなぬわけでもございません。したがいまして、これでやってみて、この実績がどうなるか、そういうようなことを見ながらなお今後検討してみる、かようにいたしたいと思います。
#53
○戸田菊雄君 ちょっと本問題で関連質問をしたいのでありますがごく簡単にあれしますが、昨年の国税通則法一部改正の修正点として、わが党からも十七項目でいろいろ言っておりますが、その一点がここに問題があるわけです。いろいろ論議をしてきて、いま木村委員が指摘されたようにいろいろ疑問があるわけです。大臣も答弁をされ、国税庁長官も答弁されたわけですが、さしあたってそこまでいかなければ、当面過料というようなことで置きかえることができないのかどうか、これは百歩譲ってそういう方向でどうなのか、その辺の見解はどうなんですか。
#54
○政府委員(細見卓君) お話しになっておりますのは、おそらく審判官の調査に対して拒否した場合の、第三者的な人たちに対する罰金のお話でありますが、これもやはり基本的には税の調査でありまして、その税につまり第三者が協力をしていただかなければ、国税についていろいろ不服不平があって申し出ておられる方について審判官が真実を調べるために、どうしても取引関係のある方とかあるいはそのほかの関係のある方について真実のことをお聞きできなければ、納税者の権利というものは救済できなわけでありまして、したがって、今度の罰則の考え方は、先ほど来木村先生もおっしゃっているように、御本人がこのことについて不平不服だということで申し出られておって、何が不服だということをおっしゃらないことは、これはしょうがありません、取り上げようがありませんから。しかし、納税者が、これこれの取引が何某との間にある、したがって、自分の所得はそんなにないんだというときに、何某といわれる人が、いや、わしはそのことは知らぬと、実際協力せぬと言われたんでは、せっかくの納税者の権利が救済できないと、そういうことを考えまして、あらゆる税法の中で一番軽い罰にいたしておるわけでありまして、これは過料というようなものではないと、かように考えております。むしろ、衆議院の御質問では、御記憶がおありであろうと思いますが、この程度の罰では軽いのではないか、もっと重科して、ほんとうの意味で困って審判所へ訴えておる納税者が救済できるように第三者に強い協力義務を課していいのじゃないか、したがって、当然義務の裏返しとして罰則ももっと強くしていかなきゃならぬのじゃないかというような御議論もあったような状態で、この辺もいろいろ御議論のあるところであろうかと思います。
#55
○木村禧八郎君 あと二つ、大蔵大臣に簡単に質問いたします。
 その一つは、これは前にもちょっと関連質問したんですけれども、国税審査会の委員につきまして、これは十人になっているんですが、この委員は、修正によって、大蔵大臣が任命するということになりました。委員の構成についてこの間の政府側の答弁を聞いておりますと、なるべく税務にしろうとの人を委員にするほうがいいという御意見で、専門家を何か排除するような御答弁があったんですよ。ところが、この国税審査委員会の委員は非常に重要な役割りを持っています。九十九条には、「国税不服審判所長は、国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈と異なる解釈により裁決をするとき、又は他の国税に係る処分を行なう際における法令の解釈の重要な先例となると認められる裁決をするときは、あらかじめその意見を国税庁長官に申し出なければならない。」と、こうなっている。国税庁長官の指示等があるんです。そうして、百条に、「前条第二項の規定に基づき国税庁長官から意見を求められた事項について調査審議するため、国税庁に国税審査会を置く。」と、こうなっておる。ですから、非常に重要なんです。この審判所の目的は、さっきから何回も言いますように、納税者の権利救済が目的なんでありますから、そうなれば、納税者の権利救済に役立つようなそういうような委員をやはりこの中に含めるべきではないか。具体的には、たとえば税理士会の人を非常に排除するような、そういう印象を受けたんですよ。この点についてはどうなんですか。私は、税理士会のほうでは、日本税理士連合会の推薦する者を三分の一ぐらいの委員を出したらどうかというそういう要望がありますということを聞いています。そのとおりにしたらいいかどうか私もわかりません。しかし、権利救済の立場なら、やっぱり納税者の立場を擁護するそういう立場に立った人を委員に加えるべきである。なるべくしろうとのほうがいい、あまり専門的でなく常識の豊かな人を入れたいと。そういう人も入って悪いというわけじゃないんですよ。ですけれども、このたてまえがそうでしょう。納税者の権利救済がたてまえなんだから、やっぱりそういう立場に立った人をかなり入れなければいけない。この点はどうでしょう。
#56
○国務大臣(福田赳夫君) まだ法案が御審議中なのに、人事まで申し上げると、こういうことは潜越かと存じます。しかし、まあ大体の方向といたしましては、これはなるべく従来の税にこだわりを持つというような方でないほうがいい。公正な立場で広い見識をもって判断をしてくれる人がいいのではないか、そういうふうに考えるわけです。学界でありますとか、あるいは法曹界でありますとか、あるいはいま御指摘の税理士界であるとか、まあ幅広く選考しなければならぬと思いますが、しかし、要は、いままでの税務行政のあり方に先入観を持つというような色彩があまり濃厚でないほうがむしろ権利救済ということに役立つのではないかという感じを持っているわけであります。税理士界を排除するという意向は毛頭持っておりません。
#57
○木村禧八郎君 いま、しかし、非常に重要な御答弁だと思うんですよ。中身も相当確かに重要だと思うんです。というのは、これまでの税務行政を支持し、合理化し、国民が税金に対する非常に不満を持っていますね、それは実態がそうなんだからね、それに対して何かそうでないような印象を与えるような人を入れる、PR用というのですかな、(笑声)そういうようなことと、それから今度、政府が、日本は国民所得に対する税負担率は軽い軽いと宣伝しているわけですから、もう少し税金をよけい取ったらいいじゃないか、高福祉高負担を支持するような人を入れる、どうも何かそこに底意があるような気もするんです。(笑声)だから、そうなると、一そうその人選は重要だと思うんですよ。その点は、変に政府の苛斂誅求を合理化するようなそういう御用学者みたいな者を入れることがないようにくぎを刺しておきますが、いかがですか。
#58
○国務大臣(福田赳夫君) つつしんで御意見を承ります。(笑声)
#59
○木村禧八郎君 最後に、これは六十一国会の衆議院の大蔵委員会の附帯決議があるんですよ。
 「新制度への移行に伴う人事配置に当たっては、現在の協議団の職員が不利な取り扱いを受けないよう十分に配慮すべきである。」と、こういう附帯決議で、そのためには、具体的に人事異動前にあらかじめ協議団関係職員個々の希望意見をつぶさに聴取し、その意思を完全に尊重すること、本人の意思に反する一方的な配転、職種変更及び退職強要を一切行なわないこと、こういうようなことがあるんです。これについて具体的にいまどういうように措置されようとしておるか。
 それから、五月一日実施の予定なわけですね。ところが、定期異動というのは七月だと聞いていますが、その間はどういうふうにおつなぎになっていくのか、その具体的な処理ですけれども、これを伺いまして、質問を終わります。
#60
○国務大臣(福田赳夫君) まだ法案は御審議中ではありますが、おそらく御可決願い、本法案が成立するであろうという前提のもとに、人事についてもかねがね配意し、その心組みで処置しております。
 それからこの附帯決議につきましては、このとおり尊重してまいります。
#61
○木村禧八郎君 事務当局からもう少し具体的に……。
#62
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のとおり、七月一日が定期異動日でございます。したがいまして、これを言うとしかられるかもしれませんが、前に国会では一月一日から実施という予定でございました。そういたしますと、そこで非常な人事異動が起こるということも考えられます。そこで、最初の段階では、前々申し上げておりますように、現在の協議団にいる人、あるいはそれに対してよりすぐれた人を入れるということで処置してまいりたいということでございますので、かなり犠牲を払って準備は進めてまいりました。さらに、現在の協議団の人の処遇――もちろん残る人もあると思いますが、については、人事に関する身上申告書等を十分にとりまして、その意向等を十分に参酌をいたしたいと思っております。もちろん定員がきまっておりますことでございますし、級別定数も非常に高くなりましたから、そのまま意見を全部採用するというわけにはまいりませんが、極力あとう限り本人の希望をとりまして、十分に納得のいく措置をとるべく準備を進めております。
#63
○木村禧八郎君 五月一日実施、これはまだ審議の段階でありますけれども、一応それを前提にしたら、かなり具体的に準備ができていなきゃならぬですよ。もうすぐ四月になるんですよ。ですから、もう少し具体的に、それを前提としてというふうに前提を置いてですよ。いままで、まだ審議中だから言えない言えないと言ってきているんですよね。それを前提としてもう少し具体的にね。それで、七月異動ということが前提になっているんです。毎年そうなっているらしいですけれども、そうなると、それとの関連においていろいろ職員については不安とか動揺があるように見受けられるんですよ。ですから、こうこうこういう段取りでやるんだから、心配ないならないと、こういう点が問題なら、こういうふうに処理するということを、やはりもう言われていいんじゃないでしょうかな。そのほうがかえってよくはないですか。
#64
○政府委員(吉國二郎君) 五月一日に幸いにして実施ができるという場合に備えまして、私ども、七月一日の人事とは別個に十分準備を進めております。また、審判所長それから
 首席審判官等につきましては、できる限り外部から採用するという前提でおりますけれども、これだけは法案が通りませんと交渉ができませんので、内部的に選考しておるという段階ではございますが、基準としてはそういう人は外部から採るという前提で進めております。その他、重要人事については、すでに大体の人選を終えておるということは申し上げられると思います。
#65
○上林繁次郎君 私は、先日の委員会でもって一度お尋ねしたことがあるんですが、大臣がおいでにならなかったので、きょうはちょうど大臣がおいでになりますので、大臣の口からはっきりとお答えをいただきたいとこう思うわけでございます。いまも人事のことがいろいろと問題になりましたけれども、私も人事のことについて一点だけお尋ねしておきたいと思います。
 国税通則法の改正にあたって最も大事な点と思われる問題は、国民の権利救済、これがやっぱり主体である。そういう立場から、従来、いままでの体制は同じ穴のムジナだ、そういうふうな批判があったわけですね。そういう批判が改正後もあったのでは、これは改正した価値がない。そこで、私は、そういう批判を受けないために、人事の問題が一つの大きな問題であろう、こう思うわけです。そこで、特にお尋ねしたい点は、審判所長の問題ですけれでも、審判所長の任命にあたっては、大臣に関係がある。したがって、大臣にお尋ねするわけですが、審判所長の選任にあたってはどのような人事を考えておられるのか、この点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#66
○国務大臣(福田赳夫君) 所長の任命は、国税庁長官が行ないますが、私の承認を求めることになっており、私も全責任をもってこの人事に当たってみたいと考えております。この人事は非常に重要でありまして、いままでの税務行政というものとあんまり深いつながりのないほうがかえってよくはないか。広く高い見識を持った、また、人格高潔な、こういう方にお願いするのがよくはあるまいか。実際問題としてそういう方を物色しておりまして、そういう方がおりましても、お引き受け願えるかどうか、そういう点が非常にむずかしいのでございますが、この人選につきましてはそういう見地から誤りなきを期していきたい、全力を尽くしていきたい、かように考えます。
#67
○上林繁次郎君 その基本的な考え方はよくわかりますけれども、そうしますと、外部から――先ほど申し上げたように、いままでのような体制だと、国民から見れば、やはり改正しても同じじゃないかという感じを抱かせる。そこで、お尋ねしているわけですけれども、いまの大臣のお話ですと、外部からそういう適切な人を持ってくる、こういう考え方でよろしいわけですか。
#68
○国務大臣(福田赳夫君) そういう考え方でございます。大蔵省の行政に直接の関係がある、つまり、大蔵省にもと勤めておったとか、あるいは外郭団体に勤めておられたとか、そういう人は好ましくない。全くいままで大蔵省の行政と関係がなかった、こういう方が適切であると、こういうふうに考えます。
#69
○上林繁次郎君 端的に申しますと、そうなりますと、外部ということになりますが、外部の優秀な学者、こういうようなことが考えられるわけですけれども、その場合、実際に条件としていろいろな条件があると思います。条件というのは、人的な条件でなくて、受け入れる側の条件があると思う。その条件に、はたしてマッチするかどうかということが問題だろうと思うんです。給与の問題であるとか、そういった問題が一つの問題点となって出てくると思いますけれども、その点については問題はないでしょうか。
#70
○国務大臣(福田赳夫君) 給与のことが一つの問題になるわけなんです。しかし、ごしんぼう願って俸給表の適用も大体きまるわけですが、指定職甲を所長には適用するということを考えております。しかし、いま給与水準が高いものですから、なかなかこの辺にも問題はあろうかというふうに考えますが、この辺でお願いしたいという考えでございます。
#71
○上林繁次郎君 その問題は非常にむずかしい問題だと思う。これはしつこくお尋ねするわけじゃありませんけれども、審判所長の問題で、先ほども申し述べましたとおり、国民から改正後も同じような感じで見られてはならないので、国民の権利救済という立場からそれを最も実のあるものにしていくためには、どうしても人事ということが問題だと思うのでお話ししているわけですが、これは大いに前向きの姿勢でもって、そういういままでの批判を受けないような体制をひとつ確立していただきたい、このようにお願いをしておきます。
 それからもう一点お尋ねをしておきたいのですが、先日、たしか戸田議員の質問だったと思います。それに対する大臣の御答弁の中で、国税の今後の徴税方法ですね。それは、現在の税体系が直接税に重点がかかっておる。それを間接税に移行していくというようなお話があったわけです。その場合、現在、国民の税に対する関心が相当高まってきておる。今後もますます税に対する国民の関心というものは深まってくると思うんです。そういう問題とからめて、国民のせっかくそういう税に対する盛り上がりというものが間接税移行ということによって減少してしまうのではないか、こういうような感じがするわけなんですが、この点についての大臣の考え方をお尋ねをしておきたいと思います。
#72
○国務大臣(福田赳夫君) いま、わが国の国民の税負担というものは、先進諸国に比べまして非常に低い水準なんです。にもかかわらず、国民の中には税に対する負担感というものを訴える人が多い。それはなぜかということを調べてみますと、いまのその低い国民の負担でございますけれども、低い国民負担の中の直接税の割合というものがだんだんと高まってきておる。今日では六五%が直接税だ。今後、国民経済の発展ということを考えると、ますます、所得税、法人税、そういう直接税の税体系に占めるウエートというものが高くなってくる。一方において、そういうものに対する負担感の訴えというものがありまするから、これの軽減というものを考えなければならぬ。ならぬが、考えてみますると、国家の需要というものもだんだんふえてくる。その財源を一体どこに求めるかということになると、一方においては直接税の負担感を軽減すると同時に、そのよって生ずるところの不足をまかなう方式というものも考えなければならぬ。そうすると、どうしても間接税ということになるのじゃないか、こういうふうに思っておるわけであります。
 間接税中心主義ということがいわれておりますが、決して中心主義という考えは持っておりません。直接税中心主義は堅持してまいります。ただ、全体の中に占めるところの間接税のウエートはもう少し高くてもいいのではあるまいか、そういうふうに考えておるわけであります。決してその考え方は国民の税に対する関心をそぐというような結果にはなるはずはない、こういうふうに考えております。
#73
○上林繁次郎君 まあなるはずはないという大臣の大確信でありますので、その点は私はそういうように信じます。
 私の質問は以上でございます。
#74
○横川正市君 一つだけお聞きをいたしたいのですが、これは官庁組織のメンツ上の問題も関連しているのではないかと思うのですけれども、四十三年一月三十一日の東京地裁の判決の新聞記事がここに出ているのですが、それをちょっと読みますと、「営業活動を停滞させる税務調査は違法」、これは毎日、それから「税務署の調査行き過ぎは結社の自由と名誉侵害」、これは産経、「税務署は行き過ぎ」というのが朝日、「国が敗訴――税務調査の限界示す」、これが日経、「税金調査に行き過ぎ」、これが東京、こういうふうに出ているのですが、これはいまどういうふうになっておりますか。
#75
○政府委員(吉國二郎君) その事件は、いわゆる中野民商事件というもので、この件につきましては現在控訴中でございます。
#76
○横川正市君 大臣にその点でお答えいただきたいと思いますが、いわば結果的には税務署の体制に対してずいぶん辛らつな判決をもらったということになるのだけれども、こういう判決が出ても控訴をして戦うというのは、国の立場がそうさせると思うんですね。
 私は、実は、これとは直接関係はないのですが、不服審判所の問題に二つ問題があると思うんです。一つは、役所の権限と、それから審判所の権限とを、単に形式的あるいはことばの上の問題だけではなしに、どういうふうに格づけをしていくかということと、それからもう一つは、大臣が先ほどちょっと答弁されているんですが、予算のこともあるのでというが、気骨反骨いろいろなものを総合して一級クラスというふうに選ぼうとすれば、当然それに対価として支払われるべきものを用意しないで求めるということは非常にむずかしいというふうに思うのですが、この二つの点ではどうお考えになりますか。
#77
○政府委員(吉國二郎君) これの控訴をいたしましたことにつきましては、税務行政の執行についての判断が承服できない点が多々ございますので、これを明らかにするという意味でやっておりますので、こだわっているわけではないわけでございます。
 それから審判所にいたしましても、先ほど来た大臣が言っておられますように、従来の行政にこだわらないように他から人材を求める。そのためには、先ほど大臣が言われました指定職甲という俸給は、いわば国税庁長官――私と同格のものでございます。国税庁長官と全く同格かあるいはそれ以上の俸給をもって迎えようということでございますので、官庁組織としてはまず最高の待遇をしようということでございますから、われわれとしては誠意を尽くしてさような人材をくどき落とすという努力はいたしたいと考えております。
#78
○渡辺武君 私は、改正法案の九十七条四項について、大蔵大臣に質問をしたいと思います。
 この九十七条の第四項は、御承知のとおり、国税不服審判所長は、審査請求人等が、正当な理由がなく、審判官の質問その他に応じないため審査請求人等の主張の全部又は一部についてその基礎を明らかにすることが著しく困難になった場合には、その部分に係る審査請求人等の主張を採用しないことができるということがきめられている条項であります。私がこの問題を大臣に質問したいという理由は、まさにこの条項が現行の通則法にはなかったことで、今度新しく挿入された点でありますし、いわば今度の改正の一つの重要な核心になっているのじゃないかと思うからであります。特に国民の間でこの点について不安と疑問が非常にあるわけであります。私どももいろいろ伺いたい点があるのですけれども、時間の都合でたった一点だけ伺いたいと思います。衆議院の大蔵委員会で、二月の二十七日でしたか、わが党の小林政子委員が、この問題について次のような質問をいたしました。審査請求人はもとより、関係人、参考人、それから原処分庁も、担当審判官や不服審判所の職員の質問、検査に応じても、なおかつ審査請求人の主張の基礎を明らかにすることができず、また、原処分庁の主張の基礎も明らかにすることができなかった場合にはどうなるのかという質問をいたしました。つまり、原処分庁も審査請求人も質問に応じた。いいですか、質問に応じたけれども、なおかつ双方ともその主張の基礎を明らかにすることができなかった。この場合には審判官はどういう基準によって審判をするのかと、こういう質問をしたわけです。ところが、それに対して、いまここにおられる吉國国税庁長官は、どちらの資料を総合してどういう結論を出すかは、まさに神聖な審判官の心証だと思うというふうに答えておられるわけです。これは私は答弁にならぬと思う。小林委員の質問したことは、基準は何かということです。ところが、それについて、心証で判断するのだということですね。これでは答弁にならぬと思いますので大臣に伺うわけですけれども、一体、こういう場合、どういうような基準で判断したらいいのか、国税不服審判官はですよ。私は、納税者の審査請求というのは、これは原処分庁の不法不当な処分に対して不服申し立てが出されたことである。ですから、国税不服審判所が不服申し立て人の権利救済の機関であるとするならば、権利救済制度のたてまえからしても、また、現行税法の申告納税制度のたてまえからしても、いまのような場合には、当然原処分庁の主張を取り下げるべきだというふうに考えますけれども、その点、大臣はどうお考えになりますか。
#79
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、結論から申し上げますと、そうは考えておりません。審査請求をしながら、その請求の事実を明らかにしない。のにもかかわらず、その主張を採用しなければならぬ、そういうことはあり得べからざることだというふうに思います。どちらからも証拠があがらぬという際には、審判所がその真実の発見にみずから努力をする、そして真実の発見をどこまでもやっていくということ、こういう以外にはないと思います。
#80
○渡辺武君 そうしますと、審判官の心証によるということですか。
#81
○国務大臣(福田赳夫君) まあ心証も一つのあれでしょうが、物証の発見、これにも努力をしなければならぬ、そういうことかと思います。
#82
○渡辺武君 大臣は私の質問がよくおわかりになってい悔いと思うんですよ。つまり、審判官が職権なりその他によっていろいろ調査した。そして双方とも応じた。原処分庁も不服申し立て人も応じたと。それでも、なおかつ、原処分庁も、自分の主張の基礎を明らかにできなかった、不服申し立て人も自分の主張の基礎を明らかにできなかった、こういう場合に、審判官は一体どういう基準でもって判断するのか、こういうことです。
#83
○国務大臣(福田赳夫君) それは、第三者もおりまするし、いろいろな外形調査ということもやりまするし、まあ当事者同士の主張等も直接な証拠というわけでないにいたしましてもいろいろ参考にはなりましょうし、それらを総合して審判庁が真実を発見する、こういうことだと思います。
#84
○渡辺武君 結局、そうしますと、審判官の心証によるという結論になってしまうと思いますが、それじゃ私はまるで基準がないことになるのじゃないかと思うんです。つまり、審判官の実際の運用上の手心によって判断される、こういうことになってしまうと思う。ですから、ある不服申し立て人に対してはその主張を採用する、しかし、ある不服申し立て人に対しては主張を採用しない。全然基準がないのだから、審判官の心証によってそういうことにならざるを得ない。これは非常に不公平なことになると思います。
 そこで、時間もないので、私は、もう少し話をはっきりさせるために、税務争訟の場合に最も普遍的に起こり得る可能性のある具体的なケースを一つ申し上げて、大臣の意見を伺いたいと思うんです。たとえば、ここに審査請求人が自分の所得は百万円だというふうに申告をしたとします。ところが、税務署のほうは、更正で、いや所得は百五十万円だというふうに主張したとします。差額は五十万円。ところで、この場合に、仕入れや経費などこれの合計額が一千万円だったとする。そうして、これについては、原処分庁もそれは一千万円だということは認めておる。つまり、不服申し立て人も原処分庁も、その点では意見が一致しておる。ただ、売り上げ金額がそれぞれ見解が違う。税務署のほうは、千百五十万円売り上げがあるのだと言っている。ところが、納税者のほうは、いや一千一百万円だと言っている。五十万円の食い違いがそこにある。ところで、不服申し立て人のほうは、自分の主張の基礎を明らかにするということは、どういうことかといえば、税務署が言っている上積みの五十万円の売り上げはなかったのだということを証明しなきゃならぬ。税務署のほうはどうか、五十万円の上積みがあるんだということを証明すればいい。ところで、なかったということをどうして証明できますか。あるということは証明できます。しかし、売り上げかなかったということは証明できないんです。あの三億円事件の容疑者を見てごらんなさい。ある日、ある時間に、三億円を強奪したこと。いや、しなかったんだということを証明しなきゃならぬ。証明できっこないんです。その証明としてどういうことをしたか。その時間には自分はほかの場所にいたんだと、就職試験の面接に行っていたんだという別の存在をもって証明した。いわば推定したにすぎない。存在しなかったということを証明することは不可能に近い。別な存在をもって間接的に証明しなければならぬ。だからして、不服申し立て人が五十万円の売り上げがなかったんですということを主張して、それを証明しようと思ったって、そもそもできないことです。ところが、どうです。税務署のほうは、いや売り上げは千百五十万円あるんだといって主張している。そのうちの千百万円までは双方意見が一致しているのだから、上積みの五十万円の存在は、これは税務署は証明しようと思えばできる。そうでしょう。その場合に、税務署は、その五十万円の上積みの売り上げの存在を証明することができなかった。納税者のほうも、いま申し上げましたように、存在しないのでしょう、これは証明できないんだから、当然証明できない。そういう場合に、一体、どちらの主張を採用するのか、どちらの主張を取り下げるのか。私は、五十万円の上積みの売り上げがあるんだということを主張した税務署、これの主張を取り下げる、これが当然だと思うんです。どうですか。これは大臣に答えてもらいたい。
#85
○政府委員(細見卓君) 非常に技術的な計算にわたることですから私がお答え申し上げますが、税務当局が百五十万円とおそらく推計いたしましたときには、渡辺委員の言われるように売り上げと仕入れということだけでなくて、たとえば財産の増加状況でありますとか、あるいはそのほかのものによりまして、どうしても五十万円の収入があるはずだということを申し上げておるわけでありまして、いまの五十万円については、たとえばそういう資産がふえておるのは別のことでどうなったのだということで議論もできるのでございまして、ものごとの一面だけをお取り上げになっていらっしゃれば、何かそれだけで抜け道がないように見えますが、事柄には表と裏とがございまして、収入があるときにはそれが財産となるというわけでありますから、したがって、総合的に判断できることであります。少なくともこれからの審判官にはそれくらいの判断ができる人が当然なるわけでありますから、そういう意味で問題はないと思います。
#86
○渡辺武君 それは答弁にならぬですよ。私は、財産の存在その他いろいろこまかいことを言っていたら問題が複雑になるから、問題を単純化する意味でいま申しました売り上げその他を言ったにすぎない。問題は非常に明確だと思う。税務署のほうは、五十万円の上積みがあるということを主張した。主張した限りは、十分な資料があるから証明できるはずだ。めちゃくちゃに乱課しているという事実がない限り、正当に証明できるはずですよ。ところが、納税者のほうはどうか。五十万円の売り上げがございませんということを証明しなきゃならぬのですよ。いいですか。できっこないんです、そんなことは。その場合はどうするかということですよ。
#87
○国務大臣(福田赳夫君) それこそ審判所なんでありまして、審判所長は、両者の意見を伺って、どこらに真実があるかということを公正に判断する、こういうことであります。
#88
○渡辺武君 その審判官の公正な判断なるものの基準を私は聞いているんです。審判官が自分の心証だけで、ある場合には税務署の主張を取り下げさせる、ある場合には不服申し立て人の主張を取り下げさせる、こういうことでは当然不公平な判決が出てくる。それじゃいかぬと思う。大臣のような立場になってくれば、いくらでもどんどん更正をぶっかける。そうして、いざ国税不服審判所の審査の段階でどちらでもやれる、こういうことになるでしょう。不服申し立て人の主張を、そもそもだれが考えたって証明できないことを証明しろと強要して、そうして証明できないからといってその主張を取り下げさせる、採用しないということなら、いくらだって税金をかけられる、こういうことになるわけじゃないですか。
#89
○国務大臣(福田赳夫君) これは、税務署が幾らと主張すると、これに対して審査請求人が不服がある。そうすると、税務署の主張が正しいかどうかということを審判官は審査するわけですよ。そこで間違いがあるなと判断すれば、これを取り入れないということになるし、税務署の主張のほうが正しいという心証になりますれば、これを採用するということになるわけであります。これはもう裁判の原則だと思うのです。裁判官のさような審判をくつがえすに足る主張が請求人にできるかどうか、その辺が問題だろうと思います。
#90
○青木一男君 先国会において大蔵委員会でたびたび私が審査制度の本質に関する質問で、この国税不服審判所は、審査請求、答弁書その他の事項に盛られた問題のどちらの人が正しいかということについて審判すべきであって、新しい課税限度を取り上げるべき任務ではないのだということを繰り返して質問したのでございますが、その点の内容は繰り返しませんが、大蔵大臣から大蔵省の確たる御見解を伺っておきたいと思います。
#91
○国務大臣(福田赳夫君) 前々国会で青木委員からまさに御指摘の点があったわけでございます。その後、大蔵当局は、慎重にこの問題を検討して.みたのであります。その結論を申し上げますと、非常に傾聴すべき御意見だという見解であります。国税不服審判所が成立した暁には、それが納税者の権利の救済機関であることにかんがみ、審査を申し立てられた事項、これに対する答弁書に記載された事項、さらに納税者側の反論内容を基礎として審理裁決が行なわれるよう指導する考えであります、こういう結論に到達いたしました。
#92
○青木一男君 いまの問題は、審査制度の本質に関する問題でありまして、昭和二十五年の税法改正で、審査制度というものは審判である、従来のように覆審ではないということが税法上はっきりしたにもかかわらず、その後税務当局の考えがその法の精神に沿わない点が非常にあったのであります。でありますから、この前の委員会における政府委員のような答弁が出てくるのであります。ただいまの大蔵大臣の答弁ではっきり大蔵当局の責任ある見解がわかったのでございまして、今度は審判所という名前まで変わったのでありますから、審判所は国税局のような税務署の補助機関ではないのだと、こういう立場をはっきりして今度の新しい法律の解釈及び運用については誤りなきを期していただきたい、この点を強く要望して、私の質問を終わります。
#93
○委員長(栗原祐幸君) 午後一時再開することといたしまして、休憩いたします。
   午後零時五分休憩
    ―――――――――――――
   午後一時二十三分開会
#94
○委員長(栗原祐幸君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 経済及び技術協力のため必要な物品の外国政府等に対する譲与等に関する法律の一部を改正する法律案、及び、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。藤田大蔵政務次官。
#95
○政府委員(藤田正明君) ただいま議題となりました経済及び技術協力のため必要な物品の外国政府等に対する譲与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 御承知のように、現行の法律によりますと、経済及び技術協力のため譲与等をすることができるものは、物品に限られており、また、譲与等の相手方も、開発途上にある外国の政府とその機関、国際連合とその専門機関に限られておりますが、経済及び技術協力を効果的に実施するためには、譲与等をすることができるものとして、物品のほか、船舶、建物等を加えるとともに、譲与等の相手方につきましても、新たに、国際連合とその専門機関以外の一定の国際機関を追加する必要があります。
 次に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
 昭和二十七年八月、わが国が国際通貨基金及び国際復興開発銀行に加盟して以来、この二つの国際機関がわが国経済の発展に寄与するとともに、世界経済の成長と安定に多大の貢献をいたしてまいりましたことは、申すまでもないところであります。
 この間、これら両機関は、資金需要等の拡大に伴い、昭和三十四年及び昭和四十一年に増資を行ない、わが国も追加出資に応じたのでありますが、さらに今回、世界経済及び国際貿易の発展に対処するため、昨秋の年次総会において増資の方針が決議され、このほど増資案の決定を見るに至りました。この増資案よりますと、国際通貨基金の割り当ての総額は約二百八十九億ドルに、国際復興開発銀行の出資額の総額は約二百五十四億ドルになり、わが国につきましては、最近におけるわが国経済の成長を反映いたしまして、国際通貨基金の割り当て額は十二億ドルに、国際復興開発銀行への出資額は十億二千三百万ドルに、それぞれ増額されることとなっております。したがって、わが国としては、国際通貨基金に四億七千五百万ドル、邦貨に換算して一千七百十億円、国際復興開発銀行に二億五千四十万ドル、邦貨に換算して九百一億四千四百万円の追加出資が必要となったわけでありますが、国際流動性の増強と発展途上国に対する開発援助の充実に積極的に協力する等の見地から、これに応ずることといたしたいと存じます。
 この法律案におきましては、今回の両機関に対する追加出資に応ずるため、これに必要な規定を設けることといたしております。
 国際復興開発銀行への出資については、従来どおりの取り扱いといたしておりますが、国際通貨基金への出資については、外国為替資金特別会計の負担において行なうことといたしました。これは、特別引き出し権制度の発足等に伴い、同基金とわが国との取引が複雑かつひんぱんとなってきていることをも勘案し、この際同基金に関する他の取引と同様に、出資についても、外貨資金の管理を行なう外国為替資金特別会計に一元化し、かつ、その取引の機動的運営をはかろうとするものであります。それと同時に、同基金に対する出資が国際通貨制度上の金融機能の充実強化に充てられるという特殊な性格にかんがみ、なるべく一般財源に依存しないこととするような制度にしようとするものであります。また、これに伴い、同基金に対し、円貨にかえて交付する国債につきましては、その名称を基金通貨代用証券とし、同基金が保有する円貨について、基金通貨代用証券により外国為替資金に回収することができることとするほか、基金通貨代用証券について、償還の請求を受けた場合には、一定の範囲内で日本銀行に対しこれを買い取ることを命ずることができることといたしております。
 このほか、この法律案におきましては、わが国の国際通貨基金に対する貸し付け金債権を日本銀行に譲渡できることとするとともに、今回の国際通貨基金への追加出資のうち、金及び現金で払い込みを必要とされる分についての財源に充てるため、外国為替資金特別会計の積み立て金の一部四百四十四億六千万円を限り、外国為替資金に組み入れることができることとする等の措置を講じ、その他所要の規定の整備をはかっております。
 以上が、経済及び技術協力のため必要な物品の外国政府等に対する譲与等に関する法律の一部心改正する法律案外一法律案の提案の理由及びその概要であります。
 何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同くださいますよう、お願い申し上げます。
#96
○委員長(栗原祐幸君) 次に、補足説明を聴取いたします。船後主計局次長。
#97
○政府委員(船後正道君) ただいま議題となりました経済及び技術協力のため必要な物品の外国政府等に対する譲与等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を補足して御説明申し上げます。
 まず、譲与等をすることができるものとして、新たに、船舶、建物等を加えることについてでございますが、御承知のとおり、従来は、物品のみが譲与等をすることができるものとなっておりますため、開発途上の国から船舶、建物等の供与の要請があった場合にも、資材を相手国に供与して、これを組み立てさせるとか、資金を相手国に供与して、相手国に日本から調達させる等の方法をとらざるを得なかったわけでございます。このような方法は、従来、船舶、建物等を直接相手国に供与することができないためにやむを得ずとられたものでございまして、今後効果的に経済及び技術協力を行なってまいりますためには、船舶、建物等を直接相手国に供与できる途を開いておく必要があるわけでございます。
 次に、譲与等の相手方として国際連合とその専門機関以外の一定の国際機関を追加しようとする点についてでございますが、近年、特に東南アジア地域におきましては、国際連合以外の地域的国際機関が増加しており、わが国といたしましても、これらの国際機関に積極的に協力し、もって経済及び技術協力の一そうの推進をはかっていく必要があるわけでございます。
 以上、提案の理由を補足して御説明申し上げました。
 何とぞ、よろしくお願いいたします。
#98
○委員長(栗原祐幸君) 奥村国際金融局長。
 政府委員(奥村輝之君) 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由説明を補足し、法案の具体的な内容につきまして、御説明申し上げます。
 まず、第一に、わが国の国際通貨基金と国際復興開発銀行に対する出資額につきまして、国際通貨基金につきましては現在の七億二千五百万ドルの割り当て額を十二億ドルに増額し、また、国際復興開発銀行につきましては現在の七億七千二百六十万ドルの出資額を十億二千三百万ドルに増額することといたし、この追加出資に応ずる権限を政府に付与していただくものであります。
 この点に関連いたしまして、今回の増資の概要につきまして御説明申し上げますと、国際通貨基金につきましては、その割り当て額の総額が約二百十三億ドルから約二百八十九億ドルに約三五・五%増額されることになっておりますが、わが国をはじめ前回の増資以降におきまして経済成長が著しかった国につきましては、特に大幅な増額が行なわれることになっております。
 また、国際復興開発銀行につきましては、各加盟国の国際通貨基金における出資比率と国際復興開発銀行における出資比率とをできるだけ同一にしようという従来からの慣行によりまして、今回、国際通貨基金において特別に大幅な増額を認められた国につきまして、出資額の増額を行なうこととなっており、その結果、国際復興開発銀行の出資額の総額は、約二百三十二億ドルから約二百五十四億ドルに増額されることになっております。
 第二に、両機関への増額の払い込みの内訳につきまして御説明申し上げますと、国際通貨基金につきましては、増額の全額を払い込まなければならないのでありますが、増額の二五%(一億一千八百七十五万ドル)については金で、一%(四百七十五万ドル)については円現金で、残り七四%(三億五千百五十万ドル)については、無利子、要求払いの基金通貨代用証券で払い込むことになっております。
 国際復興開発銀行につきましては、増額の一〇%のみを払い込めばよいことになっておりますが、増額の一%(二百五十万四千ドル)についてはドルで、〇・〇九%(二十二万五千三百六十ドル)については円現金で、残り八・九一%(二千二百三十一万六百四十ドル)については、無利子、要求払いの通貨代用国庫債券で払い込むことになっております。
 これらの払い込みは、本年十月三十日またはわが国が同意通告をした日のいずれかおそい日から三十日以内に払い込まなければならないことになっております。
 第三に、両機関への出資の取り扱いについて御説明申し上げますと、国際復興開発銀行への出資につきましては、従来どおりの取り扱いといたしておりますが、国際通貨基金への出資につきましては、外国為替資金特別会計の負担において行なうことといたしました。これは、特別引き出し権制度の発足等に伴い、同基金とわが国との取引が複雑かつひんぱんとなってきていることをも勘案し、この際同基金に関する他の取引と同様に、出資についても、外貨資金の管理を行なう外国為替資金特別会計に一元化し、かつ、その取引の機動的運営をはかろうとするものであります。それと同時に、同基金に対する出資が、国際通貨制度上の金融機能の充実強化に充てられるという特殊な性格にかんがみ、なるべく一般財源に依存しないこととするような制度にしようとするものであります。これに伴い、同基金に対し、円貨にかえて交付する国債につきましては、その名称を基金通貨代用証券とするとともに、同基金が保有する円貨について、基金通貨代用証券により外国為替資金に回収することができることとするほか、基金通貨代用証券について、償還の請求を受けた場合には、その償還の結果、国際通貨基金の保有する円貨及び基金通貨代用証券の額の合計額が、わが国の割り当て額の七五%未満となる場合に限り、その差額の範囲内において、日本銀行に対しこれを買い取ることを命ずることができることといたしております。このように、日本銀行に対し買い取ることを命ずることができる場合を限定いたしましたのは、これが外国により円貨が借り出されている状態にあるからであります。したがいまして、基金通貨代用証券により円貨を回収した場合または外貨を引き出した場合において、日本銀行が買い取った基金通貨代用証券があるときは、直ちにこれを償還することといたしております。
 第四に、以上申し上げましたように、国際通貨基金に対する出資を外国為替資金特別会計から行なうこととすることに伴い、今回の国際通貨基金への追加出資のうち、金及び円現金で払い込むことが必要とされる分の財源に充てるため、外国為替資金特別会計の積み立て金の一部四百四十四億六千万円を限り、外国為替資金に組み入れることができることといたしました。
 このほか、今回の増資に伴いまして、次のような改正をいたしております。すなわち、わが国の国際通貨基金に対する貸し付け金債権を日本銀行に譲り渡し、及びこれを日本銀行から譲り受けることができることとするとともに、日本銀行におけるその取り扱いについて規定を設けております。
 また、国際通貨基金への出資額が増額されることに伴い、特別引き出し権の配分の受入れ限度額を新しい出資額まで増額すると同時に、特別引き出し権制度発足以降の運用の状況にかんがみ、国際通貨基金協定の円滑な履行を確保するため必要があると認めるときは、右のほか特別引き出し権の配分を受け入れることができることといたしました。
 さらに、今回の増資により、わが国は、両機関において加盟国中第五位の出資額を有することになりますので、両機関の協定により、わが国は、両機関の理事を任命し得る地位を獲得することになりますので、両機関の理事は、内閣が任命することといたしました。
 このほか、外国為替資金特別会計法等につきまして、所要の規定の整備をはかっております。
 以上をもちまして補足説明といたします。
#99
○委員長(栗原祐幸君) 両案の自後の審査は、後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#100
○委員長(栗原祐幸君) 次に、休憩前に引き続き、国税通則法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#101
○戸田菊雄君 時間もありませんから、私は項目ごとに数点関係者に質問してまいりたいと考えますが、その前に、冒頭に、一応資料の要求をいたしておきたいと思うのでありますが、それは、午前中の木村委員の質問にこたえて、大蔵大臣、国税庁長官等のお答えがあったわけですが、おおむね五月一日以降実施したい、こういう意向を漏らされた。したがって、そういう移行措置等に対する具体的問題が幾つか疑問があるわけであります。そういう問題に対する資料を二点ほど要求しておきたいと考えます。
 その一つは、人事異動に伴っての協議団局別、官職別、こういう職務内容が種々組まれておると思うのでありますが、人事異動一覧表といいますか、そういうものがあれば、ひとつ資料として御提示願いたい、これが第一。
 それから第二は、組織運営等につきまして、もっぱら政令、省令等で運用をはかっていく、そういう内容が数多くあると思いますが、そういう政令、省令の内容について資料要求をしたい。
 この二点について、まず長官の見解を承っておきます。
#102
○政府委員(吉國二郎君) 具体的な人事はまだ動かす段階に来ておりませんので、いまの協議団の級別定数、それに対して新しい審判所における級別定数の区分、これの比較表というものを御提出いたしたいと思います。
#103
○政府委員(細見卓君) 組織政令並びに省令につきましては、要点をすでにお手元へお配りしておると思います。
#104
○戸田菊雄君 わかりました。
 それで、第一の問題は、資料が来ましてからさらに詳しくやってまいりたいと思うのですが、従来の協議団は、税務相談を含めまして、具体的に記憶をしているのでは、四十八名と考えております。今回不服審判所が発足をいたしますと、百名の審判官、それから副審判官が百三十名、それから国税審査官等、職員が総体として四百四十九名、そういうことになりますと、改正後の協議団にどういう形で具体的に人事組み込みをやっていくのか。いま、長官は、まだ人事異動のそういった具体的作業までは完成しておらないという話でありますが、先ほども大蔵大臣からちょっと意見はあったのでありますが、わかる範囲内でけっこうでございますから、この辺の内容について御説明を願いたいと思います。
#105
○政府委員(吉國二郎君) 今回、国税不服審判所ができますと、審判所といたしましては税務相談をあわせて行なうわけにまいりませんので、審判所から分離いたしまして、各国税局に国税相談官というものを設けることにいたしました。十一局に相談室長を置きまして相談官を配置することにいたしております。その総数は四十八名でございます。したがいまして、人数から申しますと、現在の協議団の人数と、国税不服審判所と新たに設けられます相談官との合計がほぼ一致するというかっこうになるわけでございます。ただ、今度の審判所の職級別の配置はかなり高い部分が出ております。したがいまして、現在の協議団をそのまま移行するわけにまいらぬ点がございます。そういう点につきましては、十分本人の希望等を参酌いたしまして、そこに若干の入れかえを行なわざるを得ないと思いますが、総数としては減少するというかっこうにはならないわけでございますので、人材を適材適所に配置しておおむね問題のない人事異動が行なわれるという見通しで現在作業にかかろうとしておるところでございます。
#106
○戸田菊雄君 そうしますと、協議団と相談所というものはそれぞれ独立をされていくわけですね。いま、相談所関係職員というのは四十八名おられる。いまの長官の回答ですと、必ずしもいまの相談所におる四十八名含めてのそのまま税務関係相談所に独立したものに組みかえていくというものではないということですね。その場合には、さっきも回答があったように、当該関係職員等については、十分本人の意向というものをしんしゃくをして、その上に立って協議もしくは理解の上に立ってこれらの善後措置をとっていくということなんですか、どうなんですか、その辺が第一点であります。
 それからもう一つは、税務相談所の登用関係が、そういうことになりますと、二種類出てくるのではないだろうか、こういうふうに考えるわけですね。その一つは税務署から直接登用を考えていく、そういう道があると思う。もう一つは民間登用、従来関係してきた民間の六十歳以上、こういった方々も関係してくるのではないかと考えます。そういうおおむね二通りくらいの登用方式というものが考えられますけれども、その場合の具体的措置等についてはいかに処置をとっていくか、あるいは、その辺の対比はどのくらい想定されるのか、税務署登用関係がどのくらいあって、民間登用のそういう該当者はどのくらい考えておられるのか、その辺の問題について御回答願いたいと思います。
#107
○政府委員(吉國二郎君) 第一点につきましては、この直後に身上申告を徴取することになっております。それに詳しく意見を述べてもらうことにいたしております。
 第二番目の点でございますが、いまおっしゃいました協議団として民間から採用した人と申しますのは、昭和二十五年に協議団あるいはその他調査官、徴収官に充てるため相当の数の民間の人を採用した――民間と申しますか、新規採用した、特別の資格で採用したというものをお示しだと思いますけれども、現在協議団にそのとぎの採用者が残っておりますのは四十数名にすぎないのでございます。したがいまして、協議団と申しましても、実際はそういった方々が一般の税務に入っておられるのが大部分でございます。その後、お互いに入り繰りがございまして、現在では四十数名しか残っておらない。私どもは、このとき採用した人を特別扱いしているというよりも、やはり一般の税務職員としての構成として考えておりますので、特にこの人たちが民間出というふうな扱いで考えているわけではございませんが、もちろん協議団の中でいままでずっと仕事をして能力のある人が相当多いわけでございます。十分にその点は今後とも考えていく必要があるだろう、かように考えております。
#108
○戸田菊雄君 これは二月二十五日の衆議院大蔵委員会の議事録でありますけれども、そのときわが党の広瀬秀吉委員が本問題について若干触れておられ、長官が回答されているわけでありますが、この中で、「現在協議団の協議官になっている人の中には、実は昨年の七月にかなり有力な人を入れてございます。ですから、かなりの数がそのまま移行しても差しつかえない」と、こう回答になっておられますね。そうなりますと、はみ出すのは一体具体的に何名くらい予想しているのか、その辺の具体的な数字がわかればお答えを願いたいと思います。
  〔委員長退席、理事小林章君着席〕
 それからもう一つは、いま長官が回答されましたように、身上調査に基づいて本人の意向を十分生かしていくんだという基本方針はわかるのですが、やはり、総体的な異動措置の中には、やむを得ず配転という形が出てくるだろうと思うんですね。そういう場合、ほんとうに本人の了解であくまでもそういうものを追求しながらやっていく、最後まで円満解決でというそういう心持ちでこれを推し進めていくのかどうかですね。その辺の問題についてももう一回お伺いしておきたいと思います。
 さらに、同じように、これは二十七日でありますが、衆議院大蔵委員会においてわが党の阿部委員がいろいろ質問した中において、苦情相談所の仕事をしておる関係職員の一部転勤について、長官がいろいろと回答をなされておるわけです。しかし、明確に、「現在の協議団で納税者の権利保護に十分な能力を持っている人はできるだけ残したい、」と、こういうことでありますが、従来から作業をやってきた関係上、私は、やっぱりいずれも有能な方が多いのではないかと思うんです。そういうところでことさら不服審判所ができたからといってそういうものを再度再点検をするというようなことは、どうも納得いかない点があるんですね。だから、でき得ればそういうものは希望する者は全員組み込むという方向にはいかないものかどうか、この辺の具体的な数字についてさらにお伺いしておきたいと思います。
#109
○政府委員(吉國二郎君) これはたいへんおしかりを受けるかもしれませんが、一月一日という前提がございましたので、去年の七月にはその主要な人事についてはかなり配慮をして準備をした面がございます。したがいまして、そのときに若干の入れかえは行なわれておるということになるわけでございますが、なにせ、今度は、あとでごらんいただきますとおわかりになると思いますが、級別定数等はかなり違ってまいりますので、片や審査官というものができておりまして、そういう関係では協議団の一部はなお転出を要する部分が出てくる可能性はあると思います。その場合に、人事記録等を十分に参酌をし、少なくとも不利益な取り扱いにならぬようにその点については十分配慮するつもりでございますし、また、先般申し上げましたように、長く協議団におりまして法令等についても非常に詳しい人もたくさんおります。税務相談官として有益な仕事ができる人も十分あります。協議団には向かなくても、そちらの方面には十分という人もおります。そういうそれらの能力を十分勘案いたしまして、全部を総点検するという意味ではなくて、それによって級別定数等で、どうしても動かさざるを得ない階層、こういうものについて十分な判断をしてやるという考え方で対処してまいりたいと思います。
#110
○戸田菊雄君 あとで相当影響してまいりますから、もう一点確認をしておきたい。そうしますと、いまの長官の答弁ですと、結果的には配転等を伴う場合には不利益は与えない。もう一つは、この苦情処理その他の移転措置等については、あくまでも本人の希望に従ってと、こういうものを原則に据えて不服審判所の移行に対処すると、こういうことでよろしゅうございましょうか。
#111
○政府委員(吉國二郎君) さような原則をもって対処したいと思います。
#112
○戸田菊雄君 次に、九十七条二項の問題でありますけれども、九十七条は、御存じのように、「(審理のための質問、検査等)、」と、こういうことになっておるわけでありますけれども、この中で二項にまいりますと、「国税審判官、国税副審判官その他の国税不服審判所の職員は、相当審判官の嘱託により、又はその命を受け、前項第一号又は第三号に掲げる行為をすることができる、」と、こういうことになっているわけですね。
  〔理事小林章君退席、委員長着席〕
現在、審判官と副審判官の職務内容はこれで明示されていると思うのです。その他の職員というものは一体どういうものをさすのか、具体的内容についてひとつ説明していただきたい。
#113
○政府委員(吉國二郎君) 審判官、副審判官という本来の職員のほかに、これらの審判官、副審判官を補助いたしまして調査等を担当する職員として審査官というものを設ける予定でございます。これは省令事項として資料を提出してございます。
#114
○戸田菊雄君 申しわけないのでありますけれども、その省令の資料をちょっと見ておりませんので、あとの質問のときに回していきたいと思います、よく見せていただきまして。
 わかりましたが、そうしますと、いま長官がお答えになった内容ですと、その他の職員の中には税務職員というかっこうでそういうものは入ってこないということですね、こう理解をしていいですか。
#115
○政府委員(吉國二郎君) いわゆる国税局系統の職員は入らないわけでございます、このその他の職員の中には。
#116
○戸田菊雄君 それから人的交流の問題でありますけれども、審判官は人的交流はやらないという原則ですね。ただし、税務職員等の交流は、その他のいわば首席、副審判官、こういう問題については人事交流を考えておるわけですね。こういう問題になりますと、えてして、いまの不服審判所の制度全体を見てまいりますと、特権階級といいますか、まあ言い方は悪いのでありますが、そういうものが逐次養成されていくようなきらいなしとしないという印象を受けるわけです。ですから、たとえば一般税務職員としてそういうものを人事交流をやるなら、各税全体をタッチしていくようになるわけです。そうしますと、税務全体の、一般、物品、あるいは直接税、間接税、全部に関与することになりますから、そういう意味合いでは、何か人事交流によって相当弊害というものも起きてくるような印象を受けるのでありますが、そういう人事交流の問題については具体的にどうお考えになりますか。
#117
○政府委員(吉國二郎君) 副審判官以下につきましては、実際に審判所の判断というものに事実認定が非常に多いということから、いわゆる調査としての判断能力が必要である場合が多いと思います。最後の整理をした事項について判断を下す審判官は、もちろん調査能力も必要でございますが、同時に一般の知識経験というものもあわせて持つ人が当然あってしかるべきだと思いますけれども、副審判官以下につきましては、税務調査というものについての能力が必要であると思います。また、その人たちがそこで補助的な仕事をしながら、次第にある意味では審判官に適応する知識能力を備えていく可能性もある。同時に、また、逆に、そこで仕事をしながらも現局に戻ってさらに調査能力を高めるという必要もあるということから、この段階では交流ということを考えざるを得ないと思いますけれども、その交流をいたしましても、それによって審判所の判断が著しく影響を受けるようなことがないように、交流については非常に慎重に、また、一時に一斉にかえるというようなことをせずに、十分な配慮をもってやっていくべきである、かように考えておるわけでございます。
#118
○戸田菊雄君 そうしますと、結果的には、審判官についてはやらないけれども、副審判官や首席等については人事交流をしてまいりたい、こういうことですね。
#119
○政府委員(吉國二郎君) そういうことになると思います。ただ、一つ申し上げておきたいのは、審判官が、最初の段階では、再々申し上げておりますが、直ちに民間の方が間に合いませんので、中には、民間の方が入られるに際して、勤め得る人を一時税務側に受け入れるということは例外として起こると思いますが、審判官については大体その後は交流ということは考えないということで、その下の者にだけ考えるという原則でまいりたいと思います。
#120
○戸田菊雄君 そうしますと、先ほど木村委員が触れられましたように、首席十名のうち、大体色分けはどうお考えになっていくのか、もう一度確かめておきたいと思います。
#121
○政府委員(吉國二郎君) でき得れば、首席については部外からかなりの数を仰ぎたいとは思っております。ことに、重要な局においては、案件も多いし、管理能力も必要でございますので、税務部外から――たとえば東京などは、相当地位も高くしてございますので、外部からも迎え得るような態勢にあり、そういうところには外部から首席を求めるという考え方で進めたいと思います。
#122
○戸田菊雄君 具体的に何名、こういうことにはまだなっていないわけですね。
#123
○政府委員(吉國二郎君) 最終の段階ではまだ何名というふうな適任者は求め得ないと思いますが、漸次大きな局で処遇からいっても相当な人が採れるというところには拡大をしていくつもりでございます。
#124
○戸田菊雄君 四十三年度の審査請求件数は大体どのくらいあるのでしょうか、ちょっと教えていただきたい。
#125
○政府委員(吉國二郎君) 四十三年度の審査請求件数は、発生件数は一万八百三十三件でございます。
#126
○戸田菊雄君 そうしますと、従来の協議団の処理内容からいきますと、大体、審判官九十名、ほかに三十名が入りまして百二十名、こういうことですね。従来三名の協議官ということになりますと、不服審判所に移行した以降は、結局、四十組というかっこうになると思うんですね。それから従来は、私の計算でまいりますと、大体百二十組、そうしますと、件数は、われわれの推測はまだ確定数こうだということは言い切れませんけれども、どうしてもこれからやはり税金に対する関心度がいろいろ深まってまいりますし、従来からの件数からいっても相当多くなってきておる、そういうことがうかがわれるのでありますが、これではたして完全な審査というものができていくのかどうかということが心配されるんですね。相当減っていく思いますね、三名協議制でいきますから。そうすると、従来までは百二十組でやられたものが四十組、三分の一です。ですから、件数がふえる。審査内容の協議制というものでそれだけ仕事に携わる人が減っていくわけです。この辺は一体どういうふうに理解をされておるでしょうか。
#127
○政府委員(吉國二郎君) 協議いたしましても、最終的な決定を合議によってきめるということでございますので、担当の審判官はその担当ごとに案件を持ちまして調査をし事案を整理して、最後の合議に付するというかっこうになりますので、そういう意味では、今回、審判官、副審判官というものはありますが、従来の協議団はそれを一括して協議団と呼んでおりました。そういう意味から申しますと、四百四十九の定員というものは、従来とほぼ同じ感覚で仕事をこなすことはできると思うのです。そういう意味から申しますと、従来大体一万件程度の発生がございましたが、四十四年度は若干それが減っておりますし、四十五年度もさらに減る見込みがあるので、さらに、繰り越し件数と申しますか、前年からの未済件数が最近急速に減ってまいりまして、おそらく四十五年度におきましては従来の七割程度になるであろう。そこで、案件全体がおそらく七、八割に減少すると考えられますので、今回の制度によってその程度のものならば当面問題なしに処理していけると考えているわけでございます。
#128
○戸田菊雄君 一定の統計は持っておられるのでしょうが、減ってきていると、こういうことですが、うまく体裁よく税務署あたりで審査件数をできるだけあげないように何かそういうことをやっているという情報なんかもいろいろ受けるのでありますが、何かそういうことで意識的に審査請求というものを押えたかっこうで件数を実際減らしていく、そうして合議制度、三人協議官の中身というものが少なくなっても合法的に進められるというようなことに意識的にやっていないのかという気がするんですが、その辺はどうでしょうか。
 それからもう一つは、合議制で副審判官を入れてはどうかと考えているんですがね。不服審判所制度の全体をながめてみますと、私は、副審判官を入れて合議制度に持っていってはどうかと考えるのですが、どうですか。
#129
○政府委員(吉國二郎君) 審査請求が減ってまいりましたのは、おそらく更正決定件数が四十四年度はだいぶ減っておりますので、異議申し立て自体も減っておりますから、作為的な点はないと思います。ただ、繰り越し件数が減った点は、新しい審判所に負担をかけないためにかなり努力をして、一部協議団の人数を臨時にふやしたりいたしまして処理しました関係で、押せ押せでおくれてきたものがだいぶ整理でついてきたという点はあろうと思いますが、今後はそういう点はふえないと思いますので、大体この傾向で行くのではないかと考えるわけであります。
 それから二番目は、副審判官につきましては、法律上も、審判所長またはその委任を受けた首席審判官が指定した副審判官は、合議に加え得ることにいたしております。副審判官に相当な人を充てれば、これが合議に相当参加できるかっこうになると思いますが、御指摘の点は十分配慮してまいりたいと思います。
#130
○戸田菊雄君 ただいまの点は、あとで省令その他の関連でまた聞いていきたいと思うのであります。
 次に、定年勧奨の問題で、いままでの慣行ですと、おおむね五十八歳程度まで来ると定年勧奨できる、こういう慣行でいろいろやられてきたように聞いているのでありますが、やはり権利救済でありますから、公平を期するということになれば、それで先ほど来青木委員のほうからも指摘がありましたように、文字どおり独立した形で審判所の体制をとるとするならば、当然審判官や関係職員の皆さんに対する待遇というものは永久に保障していく、いわば裁判制度のように、そういうことでなければほんとうの意味で権利救済はできないのじゃないか。これは前からも何回か論議をされてきた諸点でありますから、いまあえてあまり繰り返しをしようという考えはないのですけれどもね。だから、そういう意味合いにおいて、どうしても待遇の面で裁判官同様の待遇といいますか、そういうものを保障していくように今後検討すべきではないかと思うんですが、その辺の考えについてはどうですか。
#131
○政府委員(吉國二郎君) 退職勧奨ということではないのでございますが、いわゆる指定官職――署長、副署長等に就任した者につきましては、後輩に道を譲るというような意味で、各局のそういう人事の実態に応じまして、ある年数になると自発的に退職をするという慣習みたいなものができておりますが、この審判所の場合は、まさにそういう意味では判断力がある限りは決して何歳ということに限らずに仕事をしてもらっていいのではないか。ただ、能力がなくなった人がいればかえって権利救済になりませんから、その点はもちろん問題がございますけれども、一般の指定官職とは違った感触で運営をするのは当然だと思います。大体、一般職の公務員の現状では、ちょっと特別な身分保障を求めることは困難でございますので、今回はそれはできておりませんが、運営上はそんな点で考えていく余地が十分あり得ると思います。
#132
○戸田菊雄君 裁判官並みの待遇に近づける、運用として十分考慮する、こういうことと受け取っていいですか。
#133
○政府委員(吉國二郎君) まあ定年というものを一般の人と同じように考えないという点から申しますと、裁判官が六十五歳というはっきりした線が出ておりますけれども、それと同じというわけにはまいらぬかもしれませんが、現在署長等が五十数歳ということでいわば自発的にやめていくのとはかなり大きな差ができると考えております。
#134
○戸田菊雄君 それからもう一点聞いておきたいのでありますが、それは、現在の協議団がどうも本来の趣旨に沿って必ずしも内容を充実させてきたというふうには考えられない。いわば本来の権利救済という面からいくならば、相当ひん曲がったかっこうで来ておった従来のものも、個々のケース、いろんな審理案件等の内容を見ますると、幾つかそういうものが指摘できるんですが、そういう意味合いで、その根源をいろいろ追ってみますと、私の理解では、やはり人事交流にあったんじゃないか、こういう考えを持つんですよ。ですから、今回の審判官ができてそれぞれの関係職員が指名をされる、そういうことになれば、やはり人事交流というものは、先ほど、審判官、副審判官等についてはやっていきたいという長官の回答でございますが、どうしてもいろいろな部面でそういう弊害というものがむしろ多い、こういうふうに考えるものですから、それらの人事交流にあたっては、前の労働条件の態様でお伺いしたように、本問題についてもできるだけ本件の申し出、そういうもの以外は人事交流というものはできるだけ避けていく、こういうことにはいかないものでしょうかね。その辺の見解はどうでしょう。
#135
○政府委員(吉國二郎君) 私は、この審判所の声価が高まれば高まるほど、出ていきたいという人が減って、入りたい人がふえるということになると思うわけでございまして、そういうふうな結果を招来するような運営をすることがその問題の解決の一番いい面ではないか。一ぺん入った人が帰りたい帰りたいというようなことを一斉に言うようになりますと、これはまた逆に先生のおっしゃる本人の意思を縛っておくことになります。むしろ本人が帰りたくないというような声価のあがったりっぱな審判所をつくっていくという努力をすることが問題の解決の近道であると思いますが、審判所長がおきまりになりましたらその点では特に要望したいと考えております。
#136
○戸田菊雄君 私の一番心配するのは、民間登用になるんですね。待遇を具体的に賃金で見ると十四、五万円だ、じゃいままでの税理士とか別な仕事をやっていたら収入の面からいっても非常によろしいと、そういうことになって、長官が指名をする場合にどうも二の足を踏んでしまうということがないかどうかというようなことも一回非常に危惧をする点なんであります。ですから、そういう面で、何といってもそういう待遇総体を含めまして、年齢あるいは給与、そういう問題もできるだけ裁判官並みに近づけていくように、より審判所の充実した運営をはかっていくためにはそういう根底が必要じゃないか、こういうふうに考えますし、いま長官がお答えになった、それは本人の希望があって出たいというやつを押えていくことも無視をすることになる、こういうことでありますが、私の言っているのは逆のほうでありまして、本人の申し出がない限りそこから人事交流にはみ出させてやらないというようなことが必要じゃないだろうか、こういうふうに考えるわけです。そういう対象というものは、やはり、審判官とか副審判官、審査官、総体の職員にすべて当てはまっていくものでなければいけないだろう、こういうふうに考えるわけです。ですから、そういうことで、ことに民間登用である、こういう者について非常に心配をされるのでその辺の質問をしたわけなんでありますが、もう一度民間登用の問題について一言お聞かせを願いたいと思います。
#137
○政府委員(吉國二郎君) 私は、人事交流という点が、税務当局との人事交流と思いましたのでお答えを申し七げたのでありますが、民間から登用した方がずっとやっていきたいというのを無理に出るというような運用はしたくない、これははっきり申し上げておきます。
#138
○戸田菊雄君 時間がありませんから先へ急ぎますが、異議申し立ての申請の内容は変わらないんですけれども、未済事案が、五月一日以降移行する際に、従来の協議団の取り扱ってきた未済事案があると思うんです。これは五月一日以降にいって何%くらいになって、その未済事案の今後の解決、そういうものは一体どういうふうに移行されていくのか、この辺の見解をひとつ承りたい。
#139
○政府委員(吉國二郎君) 現在のところ、推計いたしまして、約五千件程度の未済になると思います。これは法律上新制度による審査請求とみなされますので、審判所で直ちに扱っていくことになるわけでございます。
#140
○戸田菊雄君 そうしますと、未済事案として残されて審判所が発足をしてその中で解決をしていく、こういうことになるわけですね。新しい機構ができるから、従来の協議団取り扱いのものはこの際一挙に解決をしてしまえということではないんですね。そのまま残ったものは残ったで五月一日に持ち越して、所定の手続に従ってそれぞれ審理決定をしていくということになるわけですね。
#141
○政府委員(吉國二郎君) 全く新しく発生するものと同様に処置することになります。
#142
○戸田菊雄君 いまの国税庁の職員の年齢平均は何歳くらいでしょうか。
#143
○政府委員(吉國二郎君) 三十七、八歳前後でございます。
#144
○戸田菊雄君 七月一日で再度また異動期が来るわけですが、その異動の対象人員は総体の何分の一くらいずつ行なわれておりますか。
#145
○政府委員(吉國二郎君) これは局の状況によっても違いますけれども、平均的に申しますと、二五ないし二六%程度でございます。
#146
○戸田菊雄君 毎年その程度になっていくわけでしょうけれども、そうすると、大体三分の一程度配転の対象ということになるわけですね。そうしますと、具体的な資料もあるわけですが、きょうはそこまで入れませんから、あとで触れますけれども、最近、本人の希望を無視した形の配転措置が非常に多いということを聞いておるわけです。具体的な事例はこの次にあれしますけれども、こういう問題について、国税庁としては、二年に一回、三年に一回という現在の人事交流、配転、こういう問題について、何かもう少し検討していく必要はないのかどうか。たとえば、本人がかりに福島なら福島から東京へ転勤をしてきたということになりますと、どうも、団地に入っても、役所へ行っても、外者扱いされるようなそういう印象を非常に受けるという人があるわけですね。また、東京でそういう待遇を受けているのはいやだから、今度は福島へ戻ろうとすれば、東京へ行ったんだからということでまた福島のほうからよそ者扱いをされる。どっちへ行っても浮かばれないという幾つかの事例があるようです。そういうことになると、税務行政の面からいっても、あるいは全体の職場環境の明朗性といいますか、そういう面からいっても、非常にまずいものになってくるようなケースが多くあるようであります。ですから、そういう弊害をなくすためには、さっき国税庁長官の審判所移行に伴っての人事異動、こういうものの原則を確認しましたけれでも、通常の配転の場合でもこういうものがあっていいのではないか、こういうふうに考えるわけなんですけれども、その辺の取り扱いは従来と今後の問題についてどうでしょうか。
#147
○政府委員(吉國二郎君) 従来から、職員の身上については、非常に詳しい調査をいたし、また、本人の身上申告もとりまして、十分本人の希望等を調査しているわけでございますが、何ぶんにも御指摘のように全国に散らばっている税務署でございまして、同じところにいたいという人もあれば、早くもとのところへ帰りたいという人もございます。そういう意味では希望が全部片寄っている傾向がございますので、どうしてもこの中で勤務年限その他から希望に沿えない結果が生ずるということはある程度やむを得ないと思いますが、できるだけ本人の意向がはっきりするように処置をとって、身上調査については十分な念を入れておるわけでございます。確かに、本人の意に沿わない配転というものもこれはあり得ると思います。ただ、たとえば一番いい例でございますが、北海道では札幌に帰るというのがほとんど全部の希望でございますが、名寄だとか網走あたりの職員はやはり帰りたい。しかし、札幌にいる人は動かない。がんばっている限りは非常に不公平な結果が出てまいりますので、その辺はやはり全体の公平を考えて適宜配転を行なわなくちゃならぬとい5事情もございます。そういう点で、全体の公平を考えながら、できるだけ本人の意思、また環境を考えて、そのために人事担当者は非常な苦労をいたしておりまして、その人事記録だけでも膨大な数にのぼるような状況でございます。
#148
○戸田菊雄君 本問題は非常に全般的な問題ですから私もむずかしい問題だろうと思います確かに、北海道の例など、いま長官がおっしゃられるような例は数多くあると思う。それだけに、やっぱりこれは運用についての基準というものを明確にしておかなければいけないと思う。いま私たちがいろいろとタッチしている範囲では、どうもそのときそのときの場当たり主義的にそういう配転措置というものをやられる。言ってみれば長官のほうで一方的に押し切ってしまう、こういう形が非常にあるんじゃないか。たとえば、手続上見ても、いま、大蔵省関係の配転等については、内示制というのはないんですね。やっぱり内示制というものをつくって、一定の基準をそこに置いて、そうして組合もあることなんですから、近代社会国家になったわけですから、そういう組合を対象に一つの土俵の中で協議体制を踏んでいく。こういうことになれば、もう少し円滑にいくんではないか。あるいはまた、長官のほうでこれはいいと思ってやった人事でも、口には出さないけれども大きな不満を持っておる、こういう者が数多くいると思うんですよ。そういうものを解消するためにも、私は、そういった配転、あるいは人事交流、こういった全般の問題について、内示制というものをとられていいのではないか、こういうふうに考えるんですが、この辺はどうですか。
#149
○政府委員(吉國二郎君) こういう大きな組織における人事異動について内示というものが事実上困難であるということと、先ほど来申し上げましたような、本質的に本人の希望と非常に違うものも生じ得る、その配置上の要請というものもあるという点から申しますと、いまのところ私どもは内示をする考えはないわけでございますけれども、その点についてはできるだけ身上調査を徹底するという方向をもって対処をいたしたい、かように考えているわけでございます。なかなかその点、むずかしいことでございますが、人事の具体的内容についての把握については毎年より改善をはかっているつもりでございます。
#150
○戸田菊雄君 最後の回答に来るとおかしい回答になっちゃうんですが、いままでのいろいろな質問の経過を見ますと、長官は、大体内示制度に行ってもいいのじゃないかという答弁をしてきているんですよね。だけれども、詰めの段階へ来ると、どうも逃げられるんですが、まあいずれにしても、相当そういうことで混乱なり、不満なり、あるいは職場環境の問題があるようですから、あとで具体的な問題で質問していきたいと思うんですが、ひとつ真剣に本問題については検討していただきたいと思います。
 最後に、時間がありませんから最後になりますけれども、経理計算が最近非常にコンピューター方式に切りかえられつつある。そういうものが、現地の税務署その他に行って各般の税務署作業をやる上において、こっちの徴収事務体制というものが非常におくれておるのじゃないかという気がするのであります。たとえば、一定の申告とかという場合、あるいは何か税務署で調査をやるというと、それはコンピューターに全部入っています、こういうことになる。何かやっぱりそういう面で現地に対しても非常に労働強化になっているようですから、これらの改善施策を考えられておるのかどうか、その辺を伺って、きょうはこの程度にして終わりたいと思います。
#151
○政府委員(吉國二郎君) コンピューターを税務事務の中に導入するということにつきましては、国税庁において八年にわたって検討し、実験をしてまいりました。率直に申しまして、定員がなかなかふえにくい状況であり、しかも、定員だけの職員が年度末になりますと退職者が相当出てまいりまして欠員を生ずるという状況におきましては、手作業的なものをできるだけ圧縮して、それによって現在いる人間の能率を高めるということが必要であるという点からコンピューターの導入を考えておりますが、かなり広範に導入したいと思っております。しかし、これはあくまでも人員の不足を補うもので、合理化とよく言われる意味の合理化ではないのでございまして、これからますます手不足になるのを機械で補充しようという趣旨のものでございます。したがいまして、これによる現場の手数がふえるというようなことであってはならない。手数が減る方向で慎重に検討していきたい。導入にいたしましても、確実なものから漸進的に導入いたしましてその成果があがるような措置をとるべく慎重な検討をいたしております。
#152
○渡辺武君 私は、まず最初に、異議申請段階の審査庁の質問検査権、このことについて御質問したいと思います。
 国税庁長官は、第六十一国会のときの、四十四年七月十五日の当委員会で、松井委員に対する答弁の中で、異議申請についての審査庁の調査にあたっては、行政不服審査法三十二条の規定を待たずとも、所得税法の二百三十四条など国税庁の調査権を適用できると、いわばもともと調査権を持っているという趣旨のことを述べておられます。これは御記憶ですか。
#153
○政府委員(吉國二郎君) さように申したように覚えております。
#154
○渡辺武君 速記録を読んでもいいんですけれでも、長くなりますのでやめます。ところが、他方、同じ松井委員に対する答弁の中で、今度は、三十二条の規定があるから異議審理庁は各税法の質問検査権を行使して調査ができるのだという趣旨のことも述べておられるわけです。これも同じ日の答弁の中でそういうふうに述べておられます。この答弁は全く食い違った答弁だというふうに思いますけれども、現在は一体どちらの立場に立っておられるのですか。
#155
○政府委員(吉國二郎君) 異議審査につきましては、審査庁が、当該官庁である場合と、特別の審査庁である場合とがあるわけでございます。したがいまして、当該官庁の場合には、当該官庁の職員は、その当該官庁における質問検査権を持ち得ることは当然できる。不服審査法の三十二条の規定は、いわばそれをオーソライズしたものであるという解釈でございますので、場所によって若干言い方が違っておりますけれども、趣旨はそういう意味で申し上げたわけでございます。
#156
○渡辺武君 そうしますと、三十二条の規定を待たずとも、当該官庁の場合は、もともと各税法の質問検査権を行使する、そうして異議審査の場合の調査をやることができるということですね。
#157
○政府委員(吉國二郎君) 不服審査法ができる前からさような解釈で進んでおります。事実それでやってまいっております。
#158
○渡辺武君 そうすると、長官は、いま言われたような御答弁を当委員会で言われる以前は、行政不服審査法三十二条の規定があるから、だから異議審査庁は各税法による質問検査権を異議審査にあたって適用できるというふうに言っておられたわけですね。ところが、今回の通則法改正案によりますと、御存じのとおり、改正案第八十条で行政不服審査法の諸規定を取り入れるにあたって三十二条を含めた手続規定は全部削り落としてしまったわけですね。ですから、今度の改正案は三十二条の規定は適用できないということになりました。だから、従来の立場では各税法の質問検査権の行使をできる法的根拠がなくなった。しかも、異議申請の審査に対しての調査権の規定は今度の改正案にはないわけですね、特段の規定が。したがって、改正案によれば、異議申請の審査に対して審査庁は何の質問検査権も持たなくなるのではないかという趣旨のことを松井委員が質問したわけです。そうしましたところが、これに対して、長官は、先ほど申しましたように、三十二条の規定を待たずとももともと調査権はあるんだというふうに答えたわけですね。いまもそんなふうに答えられたわけですね、当該官庁というまあ特定はしましたけれども。
 そこで、私伺いたいんですけれども、もし当該官庁の場合でもそれが異議の審査をするという場合、三十二条の規定を待たずとも各税法による質問検査権を行使できるといういま言われた長官の解釈が法的な根拠のないものだという場合ですよ、この場合には、今度の改正案では、異議申請を審査する場合の審査庁は調査権を全然持たない、質問検査することができないというふうに結論してもいいと、思いますけれども、どうですか。
#159
○政府委員(吉國二郎君) まず仮定で三十二条が創設的であるとお考えになったという仮定がそうではないのでございますから、仮定の質問とは思いますけれども、かりに三十二条で動いたといたしましても、今度は三十二条を排除しておりますから、その各税務職員たる者はすべて質問検査権を行使し得るという前提がそのまま生きてまいりますので、質問検査権は各税法に、おいて与えられていると解釈すべきであると思います。
#160
○渡辺武君 私、念のためにあらかじめお断わりしておきますけれども、行政不服三十二条の規定によって、この不服申し立てを審査する行政庁ですね、これが各税法の調査権を行使できるようになったという解釈は、これは根本的に間違っていると思うですね。三十二条はそう解釈すべきじゃないと思うんです。しかし、この問題についてはいずれ時間をとってなお御質問したいと思いますけれども、いま長官は非常に重大なことを言われたですね。三十二条の規定を待たずとも、いわばもともと調査権はあるんだ、各税法にと、こういうことを言われたわけですね。それでは、そういうことを規定した明文があるかどうか、法的根拠はどうか、これを伺いたいと思います。
#161
○政府委員(吉國二郎君) 異議申し立てと申しますものも、課税標準の調査を求めているわけです。調査のため必要がある場合には質問検査を行ない得るというのが現在の法律の規定でございます。したがいまして、異議申し立ての際に調査をいたす場合に必要があれば質問検査はでき得るというのが、これは昔からの規定でございます。
#162
○渡辺武君 私の伺っているのは、法の解釈じゃないんです。どこに法の明文があるのか、あなたの言われたようなことをきめた法の明文がどこにあるのかということを伺っているわけです。
#163
○政府委員(吉國二郎君) 所得税法の二百二十四条をお読みいただけば明白でございます。
#164
○渡辺武君 所得税法二百三十四条ですね、これは所得税を課税する場合の質問検査権を規定したものですね。所得税法というのは、これはまあ私が吉國さんに言うのは仏の耳に念仏ということになるかもわかりませんけれども、第一条を見ましても、私ここに書き抜いてありますけれども、「この法律は、所得税について、納税義務者、課税所得の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続、源泉徴収に関する事項並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。」というふうに書いて、法全体の趣旨を述べているわけですね。つまり、一言で言えば、法の趣旨は課税処分ということにあるわけですね。で、二百三十四条の質問検査権は、この法の根本趣旨である課税のための質問検査権にすぎない。納税者に納税義務を履行させるために必要な質問検査権だというふうに見なきゃならぬと思います。ですから、不服審査にあたっての調査権ですね。これは課税行為とは根本的に違って、行政不服審査法第一条にもはっきり書かれておりますように、現処分庁の法律に基づく不当不法な処分に対して不服の申し立てがあったと。その不服の申し立てについて、不服申し立て人の権利を救済するという趣旨で行使されなきゃならぬ調査権ですよ。ですから、これは課税行為とは全然違うんです。根本的に違った立場です。そういう立場に立った調査権でなきゃならぬ。ところが、いまおっしゃった解釈によりますと、課税のための調査権が権利救済の場合の調査権に適用できると。これは根本的に私は間違っていると思う。その点はどうですか。
#165
○政府委員(吉國二郎君) 私に法的根拠がないとおっしゃるように、そちらの御解釈にも法的根拠がないように思います。また、所得税法は、何も課税に関してばかり規定しているのではなくて、納税者の申告についても規定をいたしておるわけでございます。結局、所得税法というものは、最終的には適正な所得が決定されではじめて成り立つものでございます。権利救済にいたしましても、税務官庁が誤った調査によって誤った所得を決定している場合に権利を救済すべきで、正しい所得を決定している限り権利救済ということはあり得ないわけでございます。そういう意味では、調査と申しますのは、正しい所得を調査するということでございます。所得税法はそういう意味で調査に対して質問検査権を与えているわけでございまして、異議申し立てにいたしましても、税務官庁が審査庁である場合には当然調査権があるというのが通説でございます。
#166
○渡辺武君 あなたの言われる権利救済の際の調査権、そうして課税をやる場合の質問検査権、これを全く混同して考えておられる。それがどんなにひどいものかということは、たとえばこの二種類の調査権の罰則を見ると非常にわかると思うんです。所得税法の二百三十四条、これは調査権ですね。御存じのように、二百四十二条の八号によって罰則がきめられておりますね。もし納税者が答弁をしない、もしくは偽りの答弁をした、あるいはまた検査を拒んだり妨げた、または忌避したとき、この場合には一年以下の懲役、二十万円以下の罰金だ。非常にきびしい罰則がついているわけです。私は、こういうきびしい罰則のついた調査権、これは憲法第三十八条との関係で適法かどうかという問題があると思うんです。同時にまた、申告納税制度というたてまえから考えてみても、こんなきびしい罰則がついた調査権を発動してそうして納税者を調査すると。こんなのが無制限にできるかというと、できるものじゃないと思う。申告納税制度のたてまえに立てば、これは厳密に制限しながら行使しなきゃならぬ、こういうふうに思います。思いますけれども、しかし、このきびしい罰則のついた質問検査権というのは、これは納税者に納税義務を履行させるという見地からこのきびしい質問検査権があるので、これが所得税法の二百三十四条によって規定されているというふうに理解できないこともないと思う。ところが、これと違って、行政不服審査法に原則的に示されてる不服審査のための調査権――不服審査のための調査権ですよ。課税行為のための調査権じゃない、不服審査のための調査権、これは御承知のように行政不服審査法の二十七条から三十一条にわたってきめられておりますね。そうでしょう。そうしてこの三十条でしたか、審査請求人に対しては、「審尋」ということばを使っているんですね。審尋をする。つまり、審尋というのは、これは質問された人がこれを拒否することもできる。拒否しても罰則はない。また、今度の改正案に出ているように、その主張を採用しないこともあるというような、これはまあ事実上の罰則ですけれども、そういうこともない。そういう審尋をするんだということが書かれている。非常に軽いです。なぜ軽いのか。これは権利救済というたてまえからして当然のことだと思う。原処分庁の不法、不当な処分によって問題が起こった、それに対して、私の権利を救済してほしいといって申し出ている、その納税者に対して罰則のついたきびしい調査権を適用するというのは、これは権利救済制度の根本的なたてまえからはずれてる。そうでしょう。権利救済のたてまえに立つならば、不服申し立てをしたその人に対する質問は、これはその人の不服審査について足らないところを補正してやるというような程度にとどめて、できるだけその人の権利を救済するという、そういう立場に立って行なわれるのが当然だと思う。ところが、吉國さんのいまの解釈によりますと、その権利を救済しなきゃならぬ不服申し立て人に対して、きびしい罰則のついた所得税法の質問検査権を適用してもいいんだと。ずいぶんひどいことになるじゃないですか。権利救済なんてどこかすっ飛んじゃいますよ、それじゃ。ですから、そのことにもはっきりあらわれておりますように、権利救済の場合の調査権と課税処分の場合の質問検査権、これは厳密に区別しなきゃならぬ。
 ですから、私、もう一度伺いますけれども、解釈じゃなくして、明文で、三十二条の規定を待たずとも、不服申し立てに対する審査庁が各税法のきびしい罰則のついた質問調査権を適用できるという明文がどこにあるのかと、それを答えていただきたい。
#167
○政府委員(吉國二郎君) そもそもこの罰則につての御感触がだいぶ私どもと違うと思うのでございますが、私どもはこれは罰則を目的として規定されたものではないと思うのでございます。申告納税のたてまえから申しますと、納税者は正しい申告をし、その内容について調査に当たる官庁にすべてを開示するということが国民的義務であるという意味で、間接強制をつけたと思います。つまり、罰則で打つために設けたというよりは、納税者というものは申告をし、同時にその申告の所得がどうして計算されたかということを明らかにする義務がある、これが間接強制をした、また、許される根源であると思います。そういう意味では、この規定を私どもは罰則を適用しようという意思で運用しているのはほとんどございません。いわば、納税者が自発的に申告の内容、所得の内容を開示してこそ、申告納税の真髄が発揮できるわけです。そういう意味では、異議申し立ての際に罰則は必要ないではないかというお話も、その点はわかるのでございますけれども、先ほども細見主税局長が申しましたように、本来権利救済を願う人であれば、その申告内容、さらに所得内容について全面的に開示をして少しもこわくない人がやるべきものだと思う。その意味では、異議申し立てをして、質問検査を妨げなければならない理由というものがない。したがって、罰則の適用ということも起こり得ないではないか。したがって、おっしゃるように二つ質問検査権に対する罰則を書き分けるということも、立法論としては可能であると思いますけれども、それをあえて、現在同じ質問検査権で動き得る規定になっているだけに、特にこれを分ける必要はあるまいということで新たに規定を設けなかったのであるという主税局長の説明がありました。私は、やはりさような点で、質問検査権を発動して異議申し立てを処理する、それによって罰則を適用するなどという事態は絶対に起こり得ない、かように申し上げたいと思うのであります。
 明文根拠とおっしゃいましたが、これはまさに二百三十四条そのものが明文であると言わざるを得ないと思います。
#168
○渡辺武君 二百三十四条を読んでください。三十二条の規定を待たずとも、この権利が不服申し立ての審査の際に使うことができるということが書いてありますか。書いてないじゃないですか。
#169
○政府委員(吉國二郎君) 所得の調査を行なう場合には質問検査権を行使し得ると書いてあるわけでございます。所得の調査を行なうことによって異議申し立ての内容が正当であるかどうかが判定するわけで、もともと課税標準が正しいかどうかの争いでありますから、課税標準を調査せずして答えは出ないのでございます。
#170
○渡辺武君 所得の調査が必要かどうかということはあなたの解釈でしょう。権利の救済をしなければならぬ、これは行政不服審査法第一条にはっきりとうたわれている。不服申し立て人に対して審査する場合に、その不服申し立て人に対して権利の救済をする、その立場からやるのだということがはっきり書かれている。ですから、二百三十四条、これはその権利の救済をするための調査権であるということがどこか明文でちゃんと示されているなら、これはあなたの言っていることが正しいと思う。しかし、示されていないじゃないですか。所得の調査をするときにはということでしょう。権利救済の場合、はたして所得の調査を主目的として必要なのかどうかということについては論争の余地がありますよ。また、そういう明文だってありはしない。勝手に法律解釈をしてはいけませんよ。明文はないじゃないですか。
#171
○政府委員(細見卓君) どうも、話を聞いておりましてよくわからないのでございますが、所得税について権利の救済ということは、正しい所得を上回る所得を課税官庁が決定しておったというときに、それを権利救済するということが起こり得るわけで、正しくない所得を同時にあくまで主張できるというわけではないことは、これは憲法のたてまえから当然のことでありまして、そのために調査権というのは正しい所得を調べる。正しい所得を調べることが、即、所得税の場合はほかの調査と違いますから、権利の救済につながることである。その意味で、私どもは、これが再調査の調査権に当然になるというふうに思いますし、午前に申し上げましたように、その調査権の罰則を使わなければならないというような事態というのは、通常の場合は考えられないと思います。
#172
○渡辺武君 その罰則を使わなければならぬようなことは通常考えられないというようなあなたの考えを聞いているのじゃないんですよ。繰り返し申します。いいですか。三十二条の規定を待たずとも、たとえば所得税法の二百三十四条の質問検査権が異議申請の場合、権利救済の場合行使することができるということを定めた明文がおるかと聞いておる。明文はないじゃないですか。あなた方は公務員でしょう。法律に基づいてものごとを解釈しなければならぬ。法律に基づいて行政行為をやらなければならぬと思うんですよ。そういう義務がある。明文がないのに、どうしてそんな勝手な解釈をするのです。あなた方は、課税をする、あるいは徴税をするというのに便利なような立場から法律を解釈しているにすぎない。
#173
○政府委員(細見卓君) 同じことを二人で申し上げたほうが、公務員同士のあれで見解の統一があらわせると思いますので、私が申しますが、たびたび長官が申し上げておりますように、所得税に関する調査というわけでありまして、再調査の対象になりましたものも所得税でございますから、所得税に関する調査で当該職員が調査するのは、これほど明文はないと私は思うのであります。
#174
○渡辺武君 そうすると、明文がないということを言われたわけですね。
#175
○政府委員(細見卓君) これほど明らかな明文はないということでございます。
#176
○成瀬幡治君 関連して。質問調査権の問題はぼくもあとでやりたいと思っておりますが、カテゴリーとして、たとえば所得税法では第二百三十四条、法人税法では百五十三条、国税通則法では九十七条――今度の改正案ですよ、それから国税犯則取締法では一条にあるわけなんですよ。みんなあるわけです。それが、全部同じものじゃないのじゃないかという趣旨だと思うんですよ。ですから、こういうふうに、法律によって条文が全部違っているのじゃないか。しかも、それについての罰則規定も違っておるのじゃないか。したがって、たとえば審判所に異議申し立てをして、そうしていろいろとやってきたときにやられるところの質問調査権というものは、国税通則法九十七条に基づくところの質問調査権でなければならないんだと、こういうふうに解釈するわけです。それを、いやそうじゃないんだと。異議申し立てが出たのだけれども、それは、所得税ならば所得税法の二百三十四条の質問調査権でやるんだよと、こうなると、ごっちゃになっちゃう。あるいは、法人税で出れば、法人税法の百五十三条に基づいての調査権発動ですよということになると、罰則もそちらを適用されることになってくるんですよ。ですから、そこを混同せずに、しっかり法律でカテゴリーがきまっておるのですから、ですから、これは第何条に基づくところの質問調査権だと、こういうふうに明確にしていかないとこんがらかるじゃないかということを渡辺君は言っているのじゃないかと思う。それを、いま聞いていると、不服審判所にそういうものが申し出られても、それは所得税に関する調査であるから二百三十四条でやるんだと言われれば、ぼくは、異議があると、こう言わなきゃならぬと思います。
#177
○政府委員(細見卓君) どうも、私どもの説明がまずかったのかも知れませんが、審査請求が不服審判所に出てまいりまして審判官が調査する場合は、この九十七条によりますところの新たなる質問検査権であるわけでありまして、税務署のほうへ異議申し立てが出てきて当該税務署のほうで調査するものにつきましては、所得税なり法人税なりの当該職員の調査権が働きますと、かように申し上げているわけでありまして、その意味で、立法論としていろいろ御批判はあったかと思いますが、今回の不服審判所は、従来のそういうそれぞれの当該官庁が持っております調査権を制約いたしまして、審査請求の段階において不服審判所においては調査権をこういうふうに新たに制約した形で出しておるということに、立法論としての権利救済をより重視した点をお認め願いたいと、かように申し上げているわけであります。
#178
○渡辺武君 いま争われておりますのは、つまり所得税法二百三十四条と、それから法人税法で言いますと百五十三条から百五十七条までですか、ああいう各税法が持っている質問検査権ですね、これを不服審査の場合に適用することができるかどうか、その明文はあるのかどうかということなんです。あなた方は、その質問検査権そのものの中に明文が書かれていると言うのだけれども、どう縦に読んでも、横から読んでも、これを不服審査の場合に使うことができるということは一項も書いてない。ただ、あなた方が、所得の調査だからこれは使えるのだという解釈をしているにすぎない。いいですか、そうでしょう。明文はないんだ。しかし、それじゃ話が行き違いになって、あなた方も、メンツ上から、明文のないことをやっていた、違法行為をやっていたというのじゃたいへんでしょう。それでがんばっているんだと思うのです。論理は明らかだと思う。――ちょっと待ってください。それで、別のほうから私はあなたに聞いてみたいと思う。
 不服審査にあたっては、ちゃんと明文で示されているんだ。いいですか。国税に関する法律に基づく処分に対する不服申し立て、これについて定めた現行の法律は何ですか。――もう一回申しますよ。国税に関する法律に基づく処分に対する不服申し立てについて定めた現行の法律は何ですか。
#179
○政府委員(吉國二郎君) 国税通則法並びに行政不服審査法であります。
#180
○渡辺武君 これは明快な答弁、そのとおりです。
 じゃ、その現行の国税通則法ですね、これにはどういうことが書いてありますか。第八章に、「不服審査及び訴訟」についての定めがはっきりと出ていましょう。国税通則法というのは、これは税法の基礎になっているものですわね。当然守らなければならない。不服審査の場合は、質問検査権にせよ何にせよ、この定めによって解釈しなければいかぬのだ。勝手な解釈は許さぬのですよ。いいですか。その第八章の第一節「不服審査」第一款「通則」となっています。その第七十五条にはっきりと書いてありましょうが。異議申請もこれは不服審査ですよね。異議審査、これは不服審査です。ですから、異議申請についても書いてあると見なければならぬ。七十五条に何と書いてあります。ちょっと読んでみてください。
#181
○政府委員(吉國二郎君) 七十五条「国税に関する法律に基づく処分に対する不服申立てについては、この節及び他の国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、行政不服審査法の定めるところによる。」とあります。
#182
○渡辺武君 そうでしょう。それじゃ、明文に基づいてひとつ検討しましょうや、勝手な解釈じゃなくて。
 それじゃ聞きますが、いまこの七十五条に書いてある「他の国税に関する法律」で不服申し立てについて「別段の定めがあるもの」、これは一体何ですか。いいですか、「他の国税に関する法律」で不服申し立てについて「別段の定めがあるもの」は。
#183
○政府委員(吉國二郎君) 国税徴収法の第八章に「不服審査及び訴訟の特例」を規定しております。
#184
○渡辺武君 ありましょう。そうすると、そのほかにはないですか、「国税に関する法律」で不服申し立てについて「別段の定め」を持ったものは。所得税はどうですか。いま議論になっておる所得税は、不服申し立てについて別段の定めがありますか。
#185
○政府委員(吉國二郎君) 所得税法には別にございません。
#186
○渡辺武君 法人税法はどうですか。
#187
○政府委員(吉國二郎君) 同じでございます。
#188
○渡辺武君 ないでしょう。いま問題になっている所得税法や法人税法には、異議申請つまり不服申し立てですね、これについて「別段の定め」はないんですよ。だから「別段の定め」のないときは、いいですか、国税通則法の七十五条によれば、「行政不服審査法の定めるところ」によってやらなければならぬと、これは明文でもってはっきりとうたってある。行政不服審査法によってやらなければならぬと。いいですか。なるほどその前に「この節」と書いてありますね。第一節です。第一節には「別段の定め」がありますか。
#189
○政府委員(細見卓君) あとに――ほかにもあるのかもしれませが、卒然と見てみました感じでは、七十六条でたとえば期間の問題などについて特例が設けられておるのが著しい点だと思います。
#190
○渡辺武君 そうでしょう。そうしますと、ほかにないわけですからね。いいですか。あなた方がまさに従わなければならぬ国税通則法の第七十五条によれば、国税に関する不服申し立てについては国税不服審査法の定めるところによらなければならぬ、こう書いてある。これは明文です。あなた方、行政不服審査法に基づいて異議申請の場合の調査権も発動しなきゃならぬのですよ。それ以外の解釈は絶対許すことはできないんだ。ちゃんとこれは国会できめた法律です。行政庁が勝手な解釈をして、国会できめた法律の上に自分の解釈を置いたら、これは権力主義的な行政になっちゃう。国会を侮辱することになりますよ。
 さて、そこで聞きますが、その前にちょっと確かめておきましょう。「行政不服審査法の定めるところによる。」ということになっているけれども、その点はあなた確認しますね。これは異議申請も審査請求もみなそうですね。――そうですね。記録にとどめておいてくださいよ。
 それじゃ、伺いますけれども、行政不服審査法の定める調査権、これはどういうもんですか。どこに明文で定めてありますか。
#191
○政府委員(細見卓君) 三十二条で「前五条の規定は、」云々とあるわけです。
#192
○渡辺武君 何ですって。その「前五条の規定」、これも調査権でしょう、行政不服審査法に明記されている。二十七条から三十一条にちゃんと明記されているのじゃないですか。どうですか。
#193
○政府委員(細見卓君) 審査法のほうはそうでありますし、私が申し上げたのは三十二条で各国有の税法に基づく調査権の行使を妨げないと書いてある、そういう意味です。
#194
○渡辺武君 ちょっとその辺でまた勝手な解釈をされちゃ困りますから、はっきり確認しておきましょう。いいですか。国税通則法は、異議申請や審査請求についてこの法律に基づかなきゃならぬと書いてある。その行政不服審査法の調査権、これは第二十七条から第三十一条、そうですね。そこに定めてあるんですね。答えてください。
#195
○政府委員(細見卓君) そのとおりであります。
#196
○渡辺武君 そうして、三十二条には、これも間違うと困るからはっきり読んでおきますけれども、「前五条の規定は、――つまりいまあなたが確認した二十七条から三十一条までの五条の規定です――審査庁である行政庁が他の法令に基づいて有する調査権の行使を妨げない。」と、こういうことになっているんですね。
 ところで、伺いたいけれども、いま読んだ行政不服審査法の二十七条から三十一条の中に、所得税法の二百三十四条の質問検査権は含まれていますか。
#197
○政府委員(吉國二郎君) この段階では当然含まれております。
#198
○渡辺武君 おりません。
#199
○政府委員(吉國二郎君) おります。
#200
○渡辺武君 含まれておるですか。まことに奇妙な答弁をお伺いする。二十七条から三十一条までの……
#201
○政府委員(吉國二郎君) それは聞き違いました。三十二条かと思いました。三十一条まではもちろん不服審査法固有の審査でございます。
#202
○渡辺武君 固有の――私の聞いているのは、所得税法二百三十四条は含まれているのか、所得税法二百三十四条にはっきりきめられている質問検査権は行政不服審査法の二十七条から三十一条までの間に含まれているかということです。はっきり答弁してください。
#203
○政府委員(吉國二郎君) 含まれておりません。
#204
○渡辺武君 法人税法百五十三条から七条、ここできめられている質問検査権、これはこの五つの行政不服審査法の二十七条から三十一条までに含まれておりますか。
#205
○政府委員(細見卓君) 含まれておりません。
#206
○渡辺武君 そうしますと、こういうことになるですね。三十二条の規定があるから、あなた方は、所得税法二百三十四条だとか、法人税法百五十三条から七条だとか、こういう各税法の質問検査権が不服審査の場合にも適用できるんだ、こういうわけですね。三十二条の規定がなければ適用できないという結論に達していいでしょう。どうですか。
#207
○政府委員(吉國二郎君) これは、まさに、先ほど御指摘がありましたように、三十二条は念のための規定であると申し上げたのがその意味でございます。三十二条が創設的な規定ではない、確認的な規定であるという意味でございます。
#208
○渡辺武君 どうもはっきりわからぬのですがね。もう一回説明してください。説明していただきたいところはこういうところなんですよ。あなたは、この三十二条は説明的な規定だと、こう言われた。しかし、明文でこれは示されているものなんです、説明的規定かどうかしらぬけれども。とにかく明文で示された法律には従わなければならぬ、あなた方は、いいですか。その点をはっきり確認した上で説明してください。
#209
○政府委員(吉國二郎君) 三十二条は、審査庁が独自の調査権を持っていることを、前五条ができたためにそれを行使ができなくなるものではないという規定でございます。
#210
○渡辺武君 その解釈は非常に問題がある、一番最初申しましたけれども。しかし、そうすると、もしこの三十二条の規定がなければ、いいですか、三十二条の規定がなければ、異議申請にせよ、審査請求にせよ、審査庁が行使できる質問権、調査権、これは行政不服審査法の二十七条から三十一条にきめられた調査権に限ると、それ以外にはないということになりますね。
#211
○政府委員(吉國二郎君) 説明的と申しますか、確認的規定という意味は、なくても行使できるという前提であるから、確認的規定という解釈になっているわけでございます。
#212
○渡辺武君 なくても行使ができるということは明文でどこに書いてあるかということで私はあなたをいままで追及してきた。明文ではどういうことになっています。勝手な解釈はやめてくださいよ。いいですか。説明的な規定だとか、三十二条がなくてもそもそもあるんだ、それは、どこに書いてある。明文で書いてないじゃないですか。明文で書いてあるのは、いいですか、先ほど私が申しましたように、現行国税通則法には、国税に関する不服の申し立て、つまり、異議申請にしろ、審査請求にせよ、各税法に別段の定めがない場合、あるいは第一節に別段の定めがない場合には、行政不服審査法の定めるところによるんだと書いてある。そこで、その行政不服審査法、法に基づいて見ている、明文に基づいて。そうでしょう。その行政不服審査法の調査権は二十七条から三十一条以外にない、これはあなた方がいま確認したところです。三十二条に規定がある。しかし、もしこの三十二条の規定を除いたらどういうことになる。残ったものは二十七条から三十一条しかないじゃないですか。
#213
○政府委員(細見卓君) そこのところで全く見解が食い違っていることがだんだん明らかになってまいりまして、私どもがこの行政不服審査法三十二条を読みますのは、従来の行政官庁が持っておった、あるいは審査庁が持っておった調査権を否定するものではないということの念のため規定と読んでおるわけでございまして、この行政不服審査法ができたから、従来のそういう各行政庁が持っておった調査権をこれによって否定するものじゃない。行政不服審査法による調査権は、おっしゃるとおり、三十一条まででありますが、それ以外の調査権というものを否認するものじゃないということの念のため規定、そこで渡辺先生との見解の違いがやっとはっきりわかってまいりました。
#214
○渡辺武君 そんな解釈を聞いているのではないんですよ。あなた方は明文に基づいて行動しなきゃならぬです。法律というものはできるだけ厳格に書いてある。明文で指示したのに基づいてあなた方は行政行為をやらなきゃならぬ。それが義務です、あなた方の。明文でちゃんと定めてある。いままであなた方に確認したのはそのことでしょう、そうでしょう。異議申立にせよ、審査請求にせよ、国税に関する不服の申し立てについては別段の定めはないんですから、行政不服審査法の定めによらなければならぬ。その行政不服審査法の定める調査権というものはどこに書いてある。二十七条から三十一条、三十二条をもし除いたらこれしかない。単純明瞭ですよ。よけいな解釈をしちゃいかんですよ。三十二条の解釈もあなた方の解釈は違っている。違っているけれども、いずれにしても、解釈であることは解釈、明文で書いてあることじゃない。これが注意規定だとか任意規定だとかいうことはどこに書いてあります。三十二条がなくても、もともと各税法の調査権が不服審査の場合に適用できるなんというのは、明文で書いてないんですよ。明文で書いてあるのは、いま私が申しましたとおり、行政不服審査法に基づくところによってやらなきゃならぬのだとはっきり明文で書いてある。そうでしょう。
#215
○政府委員(吉國二郎君) これがなぜ念のため規定であるという解釈になっているかと申しますと、行政不服審査におきましては、それぞれ実体法の規定が適用されて不服審査が行なわれるわけでございます。渡辺先生も、国税通則法だけで不服審査ができるとはお考えにならないと思います。所得税法の各条章を適用して、はじめて所得の決定ができるわけでございます。そういう意味におきまして、各税法の規定が基礎として用いられることは、言うまでもないところでございます。そこで、各税法あるいは他の実体法において定めているような調査権が不服審査の段階で否定されるものではないというのが当然の解釈であるがゆえに、三十二条が妨げるものではないという規定を置いたのが解釈であるわけであります。
#216
○渡辺武君 だから、解釈そのものを――間違っているけれども、私は解釈を聞いているのじゃないんですよ。どこで明文が定められているかということなんです。行政庁が、明文にこう定めてあるけれども私はこう解釈しますといって、明文に定められてないことを勝手にやったら、とんでもないことになりますよ。もしかりにあなた方の規定が規定どおりとしても、今度の改正案ではこの三十二条を削り落としているでしょう。そうですね。手続規定を全部削り落とした。その中に三十二条も入っているわけです。だから、三十二条の規定があるから、この三十二条の解釈でもともと各税法の質問検査権が異議の審理の場合にも適用できるというあなた方の論拠も、それとともに削り落とされている、こういうことになりましょう。
#217
○政府委員(細見卓君) 三十二条によりまして、従来持っている各税の調査権というものを殺すといいますか、行使を禁使することでないということを書いているわけでありますから、禁止的な規定でもなければ、創設的な規定でもない、念のための規定であると。したがいまして、この条文が、新しい国税通則法の一部改正でその条文の引用を排除いたしておりましても、従来からありました、つまり従来の行政不服審査法の制定によって国税に関する調査権というものが何ら制約を受けないという立場はそのまま生き残って、この国税不服審査法のほうにそのまま継承されてきているということになるのであろうと私は思います。
#218
○渡辺武君 何を言っているんですか、あなた。立場というけれども、あなた方は法に明文もされていない勝手な立場をとっちゃ困りますよ。法の明文に基づけば私の言ったとおりです。これは重大問題ですよ。
#219
○政府委員(細見卓君) 法文というものは、私は、字を読んで解釈するのが法文で、その解釈は決して禁止的なものでもなければ創設的なものでもない、念のため規定であると、そういう解釈をせざるを得ないと、それが字句どおりの解釈であるということをたびたび申し上げているのでありますが、どうも……。
#220
○渡辺武君 それでは、あなた方の条文解釈、三十二条の条文解釈そのものも根本的に間違っているということをいまから私は質問の中で明らかにしたいと思います。いいですか。三十二条をはっきり読んで下さい。「前五条の規定は、審査庁である行政庁が他の法令に基づいて有する調査権の行使を妨げない。」、こういうことなんですね。「審査庁である行政庁」ですよ。「審査庁である行政庁」というのは、所得税法にきめられたことに基づいて課税その他をやる課税庁もしくは原処分庁と言ってもいい。原処分庁である行政庁とは違うんだ、機能が違う。行政行為はそれぞれ機能が違うのに応じてそれぞれその機能を規定した法律があるはずだ。まさに不服申し立てについてこれをどうするかということについては、特断の定めがなければ、この行政不服審査法に基いてやらなきゃならぬ、こういうことがきめられている。異議申請があって、その異議申請を審査する場合には、これは、同じ行政庁でも、課税行為をやる行政庁ではない。異議の審査をやる行政庁、つまり審査庁である行政庁、その場合には、この行政不服審査法の定めるところによってやらなきゃならぬとはっきり書いてある。あなた方はそこのところを全く取り違えている。そうして、説明規定だとかなんとか勝手な解釈をしている。法の上に行政庁の勝手な解釈を置いている。これは職権乱用ですよ。もう少し説明しましょう。審査庁である行政庁というのは、平たく言えば、ある行政庁が異議の審査をする場合はと言ってもいい。ある行政庁が異議の審査をする場合、その行政庁が、いままでは、課税行為をやって所得税やなんか課税していた。徴収もしていた。しかし、異議の審査をする場合には、その異議の審査について他の法令に基づいて有する調査権の行使を妨げないということです。三十二条はそういうことが書いてあるんですよ。
 ところで、聞きますけれども、ほかの法令で審査庁である行政庁が持っている調査権というものはどういうものですか。審査庁である行政庁が不服申し立てを審査するその場合に持っている調査権というのはどういうものですか。
#221
○説明員(早田肇君) 異議申し立てを行政不服審査法で審査いたします場合には、要するに、その処分をした審査庁でございます。その処分をする審査につきましては、その処分に関して調査権限を持っているものはこれはたくさんあると思います。たとえば、これは行政不服審査法の立案に当たった人の書いた資料でありますが、「医療法二十五条に基づく厚生大臣、都道府県知事又は保健所を設置する市の市長が病院、診療所等の開設者又は管理者に報告を求める。」というようなものも載っております。そこにあわせまして、「国税関係法において認められる国税局長、税務署長の調査権のようなものである。」ということも書いてございます。
#222
○渡辺武君 個人の解釈を聞いているのじゃないんですよ。いいですか。あなた方にわからなきゃ、私が申し上げますわ。公職選挙法には、不服申し立てについての審査、この審査をする規定があるんです。それから地方税法にもありますよ。不服申し立てについて審査をする、その場合の規定がある。それからまた、地方公務員法にもある。不服申し立てがあったときに、それをどう審査するかという特段の定めがある。いままで申し上げたのは、それぞれ、その場合に調査権はある。調査権は規定されている。それから、まだある。国家公務員法にもある。国家公務員の不服申し立てについて審査する場合にはこうしなさい、その場合の調査権はこれこれだと、ちゃんときまっている。それから、まだあります。労働保険審査官及び労働保険審査会法、ここでも、不服申し立てがあったときに、それを審査するにはどうしたらいいか、その場合の調査権はこれこれであるということがちゃんと定められている。まだあります。社会保険審査官及び社会保険審査会法、ここにも、不服申し立てがあったときに、その審査についての規定がある。同時に、また、その場合の調査権についての規定がある。いま、三十二条で、「審査庁である行政庁が他の法令に基づいて有する調査権の行使を妨げない。」というのは、まさに他の法令で審査庁である行政庁として持っている権限、調査権も含めて、その行使を妨げないと言っているにすぎない。課税の場合の調査権、質問検査権である所得税法二百三十四条――所得税法には、さっきあなたが確認したように、異議の申し立てについて審査する特段の定めはないじゃないですか。法人税法にもないんだ。その異議の審査をする場合に、こういうふうにやりなさい、その場合の調査権はこれこれだというふうにもし所得税法にきめられているならば、それに基づいたらいい。その行使を妨げないと言っている。しかし、所得税法にも、法人税法にも、不服申し立てについての審査の特段の定めはない。そうしてまた、その審査にあたって、調査権はどういうふうに発動するか、その規定もない。所得税法二百三十四条というのは、不服申し立て審査の場合の調査権ではないですよ。不服申し立ての場合の審査の場合の調査権というのは、私が申しました公職選挙法二百十二条、そこには異議申し立てについての審査の規定がある。それからまた、二百六十五条、二百五十三条などにも書かれている。そうして、その場合の質問検査についての規定もある。そういうものですよ。あなた方の解釈は、税金を取るという立場でどう都合よく法律をねじ曲げて解釈するか、そういう立場に立って解釈しているから、そんな間違った解釈が出てくる。勝手な解釈を明文にうたわれている法律の上に置くわけにいかぬのだ。どうですか。
#223
○政府委員(細見卓君) 行政不服審査法の四十八条におきまして、異議申し立てについては審査請求に関する規定を準用するということになっておりまして、したがいまして、国税の異議申し立てについても、この規定は、御承知のように今回の通則法の改正で排除いたしておりませんから、したがって、審査庁となる審査庁の調査権限は、先ほど来申し上げておる所得税の調査権限である、こういうわけでございます。――間違いました。排除いたしておりますので、したがって、もともとの、もとのとおりになるわけであります。
#224
○渡辺武君 いまおっしゃったことがよくわからなかったんですが、もう少しはっきり説明してください。これは審査請求に関する規定の準備というところですか、四十八条というのは。
#225
○説明員(早田肇君) ちょっと御説明いたします。
 いま局長のほうが四十八条を準用していると御説明をいたしましたのは、三十二条におきまして、「前五条の規定は、審査庁である行政庁が他の法令に基づいて有する調査権の行使を妨げない。」、ここに関連して御説明したわけでございます。この審査庁という意味は、四十八条で異議申し立てに準用されておりますから、それぞれ原処分庁の調査権についてもその四十八条で準用しております三十二条で規定が適用されてくるということを申し上げたわけでございます。四十八条は、今回の改正法では、これは適用を除外いたしております。で、一番最後に局長が申されたことは、適用が除外されておりますので、従来、どおり所得税法の調査権が適用になるということを申し上げたわけでございます。
#226
○渡辺武君 いまおっしゃった四十八条というのは、あなたがおっしゃったのはぼくにはよく理解できないのですが、どういうことですか。
#227
○説明員(早田肇君) 四十八条の意味は――もとに戻りまして、三十二条は、審査庁、これはいわゆる審査請求、二段目の請求の規定でございます。それで、そういう審査請求の前に原処分庁に対して異議を申し立てる、いわゆる始審的な不服申し立て、それの手続等について四十八条で規定している。したがって、第一次的な処分を行なった役所が異議申し立てについていろいろ行為をする場合の根拠の規定は、この四十八条がそれぞれの条文を準用して行なっておりますので、結局、審査請求と同じような手続に異議申し立てもなってくるということでございます。
#228
○渡辺武君 その解釈はおかしいですよ。三十二条の「前五条の規定は、審査庁である行政庁」というのは、審査請求のこの場合だけだとおっしゃいましたね。そんなばかなことがありますか。これは不服申し立て一切を審査する審査庁と、そういうことですよ。てんで、まるっきりなっちゃいないじゃないですか。異議申請も審査請求も不服申し立てでしょう。不服申し立てについては変わりない。その不服申し立てを審査する庁が、これがここに書かれている審査庁、これは前のほうを読めばよくわかります。そんな牽強付会なことを言っちゃいけませんよ。
#229
○説明員(早田肇君) もう一度繰り返して申し上げますが、これは法律技術上の問題でございますが、行政不服審査法で、不服申し立てば原則として審査請求、それは処分をした役所の上級官庁に対してするが、その前に法律で定めがある場合には異議申し立てを処分庁にするという二段がまえに法令ができておるわけでございます。それで、ずっと行政不服審査法の初めのほうで書いておりますことは、上級庁に対していたします審査請求についての規定がまず書かれておりまして、あとのほうで処分庁についての不服申し立て、これはいわゆる異議申し立て、それが書いてございます。その関係の手続等について、四十八条で、上級庁に対する審査手続、審査請求の手続と同様の手続を準用しておると、こういうことでございます。
#230
○渡辺武君 どうも、おっしゃることがよくわかりませんね。かりに、あなたの言うように、三十二条の規定が審査請求の場合の審査庁についての規定だというのだったら、三十二条の規定があるから、これは注意規定で、そもそも異議申請についての調査権はもともとあるんだという議論もおかしな議論じゃないですか。
#231
○説明員(早田肇君) いままで行なっておりました協議団は、税務署に対しまして上級官庁でございます。国税局長に対するものは審査請求でございますから、一応この三十二条が関係してくるわけでございます。
#232
○渡辺武君 その説明もおかしいじゃないですか。異議申請を税務署にやるわけでしょう。そうでしょう。その場合に、税務署長はその不服申し立てについて審査しなきゃならぬわけだ。それは、一体、審査庁ですか、そうじゃないのですか。
#233
○説明員(早田肇君) 四十八条で準用いたしております三十二条の審査庁でございます。異議申し立てば税務署長にいたします。これは行政不服審査法の規定の適用関係では、その上級庁に対する異議申し立てではなくて、処分庁に対する異議申し立てでございますから、いわゆるここで申します処分についての異議申し立ての条項の適用になる。その適用になっております四十八条で、そこいらの手続が三十二条にいわばのりなさいという形になっておるということでございます、私が申し上げておりますのは。
#234
○渡辺武君 どうも、法律解釈で、あなたのおっしゃることは私よく理解できません。しかし、私がいままで申し上げたことは、何回も申しましたけれども、異議申請の場合にも、これは審査請求についてもそうなんですけれども、三十二条の規定がなくても、もともと各税法の調査権は、不服申し立てを審査するその場合に適用できるんだと、こういう議論ですね。これには法の明文が何にもない。そうして、私が何回も申しましたとおり、現行国税通則法に明示しているように、もし不服申し立ての審査について特段の定めがない場合には、行政不服審査法の定めるところによって不服申し立てに対する審査をやらなければならぬ。その場合の質問検査権、調査権、これは二十七条から三十一条までの五条にはっきりときめられている。これは、もうだれが読んでも否定することのできない明文だと私は思う。三十二条があろうとなかろうと、これは否定することのできない明文だと思う。ですから、その明文に立つ以上、所得税法の二百三十四条その他の各税法が持っている課税行為のための質問検査権、これは不服申し立ての審査の場合には適用できない。
 それをむりやり法の解釈をねじ曲げて適用しようとするから、だから、そもそも権利救済の制度であるべき不服申し立て審査にきびしい罰則のついた調査権を適用するという矛盾にぶつかってくるんだ。権利救済という根本的な趣旨に反したようなそういうことがなぜ生まれるのか。これは法の解釈をねじ曲げてやっておるというところから来ているんだ。そこのところは非常に大事な問題だと思う。あなた方の主張がもしかりに正しいとするなら、どういうことになるか。異議申請の場合には一年以下の懲役、二十万円以下の罰金というようなきびしい罰則のついた所得税法二百三十四条が適用される。いいですね。ところが、審査請求のときにはどうなるか。審査請求のときには、今度の改正案の九十七条でしたか、そしてまたそれについての罰則、これを見てみれば、本人は質問検査を拒否しても処罰されないことになっている。本人は救済されている。審査請求の場合に本人が救済されて、異議申請のときには本人は一年以下の懲役にぶち込まれる、二十万円以下の罰金を取られる。何でそんな区別ができたのです。ひどい矛盾じゃないですか。これは法の体系が一貫していないということを示している。なせ法の体系が一貫していないか。途中でそれをねじ曲げて解釈して法を適用している人がいるから、あなた方のように。そうでしょう。この問題は重要な問題だし、もうだいぶ時間もたちましたから、この次にあなた方の答弁をもう一回伺いたいと思う。
#235
○政府委員(吉國二郎君) 一つ申し上げておきたいと思いますが、いまの渡辺先生の御説によりますと、従来の制度三十二条がかりに創設的規定といたしましても、三十二条も所得税及び審査請求について調査権の行使を認めるということになりますと、一年以下の懲役その他の規定が、従来は異議申し立てにも審査請求にも適用があった。しかし、今回はそれを排除いたしまして、審査請求は国税局の職員がやるものでないから、調査権を排除いたしまして、別に軽い罰則にして権利救済の実をあげることにいたしたということはお認めになると思います。つまり、従来よりは審査請求の点についてはるかに軽くなったという点はお認めになると思います。従来の行政不服審査法のもとにおいては、いずれも、審査請求も異議申し立ても、同じくきびしい質問検査権の罰則が適用になっておったということも事実であります。したがいまして、今回の改正は、審査請求において非常に軽減が行なわれておるということはお認め願えると思います。
#236
○渡辺武君 そんなことを認めるわけにはまいりませんよ。そうでしょう。大体、現行の国税通則法によれば、明文の示したところによれば、異議申請にしても審査請求にしても、罰則のない行政不服審査法の調査権が適用されるのが正しかった。あなた方がそこのところをねじ曲げて、そうして課税行為の場合のきびしい罰則のついた質問検査権が、異議申請の場合にも審査請求の場合にも適用できる。また、実際適用してきた。だから、今度の改正案は、それに比べればなるほど軽くなっているように見える。しかし、法の正しい適用である行政不服審査法の五つの調査権、これが正しい適用だ。それと比べれば、まことにひどい調査権になっているんですよ、今度の改正案は。そうでしょう。本人だってそうですよ。事実上質問検査を拒否して、主張の根拠が明らかにならなければその主張を採用しないこともあるよ、こういうことになっておる。そうして、関係人、参考人、これは三万円以下の罰金です。三万円以下の罰金といえば、刑事訴訟法によれば、これは勾留される可能性があるんですよ。そんなひどい罰則が今度はじめて国税通則法の中に公然と盛り込まれた。いままでは、あなた方がねじ曲げて解釈しているから、各税法の質問検査権は適用できると言っているけれども、しかし、現行国税通則法をすなおに読んで、その条文に基づいて厳密に解釈すれば、行政不服審査法の二十七条から三十一条の調査権しかいままでは適用できなかった。あなた方もおそらくそれに気づいていたと思う。気づいていたけれども、それをねじ曲げて解釈して、各税法の質問検査権を適用して、これは大問題になるおそれがあるから、いまのうちに行政不服審査法の手続規定は全部削り落として、そうして、比較にならないほどきびしい質問検査権を今度の改正案に盛り込んだ、これが私は今度の改正案の一つの核心だと思う。絶対に軽くなったなんて言えるものじゃないですよ。そんなことを認めるわけには絶対できない。
#237
○政府委員(吉國二郎君) 三十二条で明文でそれを規定しております。それを御否定になるならばこれはまあそういうことになると思いますが、従来から、この規定は、一般には――まあ渡辺先生の特殊な解釈は別といたしまして、一般に認められた解釈でございますから、三十二条そのものは少なくとも一般の調査権を認めているわけでございますから、従来の法体制においては、異議申し立て、審査請求について罰則が適用があったことは明らかでございます。その点を抜かして、三十一条までおっしゃるのは不公平であろうかと思います。やはり、三十二条までお読みいただいて、その上で比較をしていただくと、やはり軽くなったということであるはずでございます。
#238
○委員長(栗原祐幸君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#239
○委員長(栗原祐幸君) 速記をつけて。
 本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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