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1970/03/24 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第10号
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1970/03/24 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第10号

#1
第063回国会 大蔵委員会 第10号
昭和四十五年三月二十四日(火曜日)
   午前十時三十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         栗原 祐幸君
    理 事
                小林  章君
                沢田 一精君
                成瀬 幡治君
                鈴木 一弘君
                瓜生  清君
    委 員
                青木 一男君
                青柳 秀夫君
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                鬼丸 勝之君
                津島 文治君
                中山 太郎君
                丸茂 重貞君
                矢野  登君
                戸田 菊雄君
                松井  誠君
                松本 賢一君
                横川 正市君
                上林繁次郎君
                渡辺  武君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       大蔵政務次官   藤田 正明君
       大蔵省主計局次
       長        橋口  收君
       大蔵省主税局長  細見  卓君
       大蔵省銀行局長  近藤 道生君
       国 税 庁長官  吉國 二郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       大蔵省主税局税
       制第三課長    早田  肇君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国税通則法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣
 送付、予備審査)
○造幣局特別会計法の一部を改正する法律案(内
 閣送付、予備審査)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(栗原祐幸君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 国税通則法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#3
○戸田菊雄君 いままでの審議経過で、重要な諸点については、それぞれ各委員から質問されましたけれども、時間もありませんから、最終の疑問点等について若干質問してまいりたいというふうに思います。
 その第一は、この法案を見ますると、審判所長の権限というものが非常に大きいと思うのですね。たとえば、七十八条の二項「国税不服審判所の長は、国税庁長官が大蔵大臣の承認を受けて、任命する。」あるいは七十九条一項「国税不服審判所に国税審判官及び国税副審判官を置く。」あるいは七十九条四項「国税審判官の資格は、政令で定める。」あるいは七十八条五項「国税不服審判所の組織及び運営に関し必要な事項は政令で、支部の名称及び位置は大蔵省令で定める。」さらに、九十九条にまいりますると、「国税不服審判所長は、国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈と異なる解釈により裁決をするときは、あらかじめその意見を国税庁長官に申し出なければならない。」この申し出があった場合に、「国税庁長官は、国税不服審判所長に対し指示をするときは、国税不服審判所長の意見が審査請求人の主張を認容するものであり、かつ、国税庁長官が当該意見を相当と認める場合を除き、国税審査会の議決に基づいてこれをしなければならない。」等々があるわけですね。こういうことになってまいりまして、非常に権限というものが付与されているわけでありますが、これらの権限はすべて通達によるというようなことになっているわけですね。私は、本来、法律の体系からいけば、こういった諸案件というものはすべて法律でほんとうは入れていくのが至当じゃないかと思うのです。こういう問題についていままでも何回か討議がされてきましたけれども、もう一度国税庁長官のこの辺に対する見解をお示し願いたいと思います。
#4
○政府委員(吉國二郎君) 国税審判所長の権限が幾つかの点で制限されているという関係でございますが、ただいま御指摘になりました点はいずれも政令、省令等で規定する予定でございますので、通達で処置するのはこの委任を受けた部分についてはございません。
 なお、九十九条の規定でございますけれども、国税庁長官の発する通達と申しますのは、御承知のように、税の解釈を統一的に運営するための内部通達でございますから、国民に対して拘束力はないというのが原則でございますが、国税不服審判所長は、その意味でいわば法令の解釈について独自の立場をとり得る。したがって、国税庁長官によって発せられた通達にかかわらず、具体的事案については法令に対する妥当性をみずから判断し得るというところで、非常に大きな権限が与えられていると思うのでございます。ただ、行政上の統一という点から、通達と異なる決定をする場合には国税庁長官に申し出をする。その場合に、国税庁長官が既往の通達にとらわれるおそれがございますので、別に大蔵大臣の任命による審査会を設けまして、その審査会の議に基づいて国税庁長官が決定をする。なお、国税庁長官が審判所長の解釈を妥当と認めた場合は、これは不服審査会にかけるまでもないというたてまえをとっておりますので、そういう意味では、審判所長の権限は、従来の協議団等に比べれば格段の相違があるというふうに考えているわけでございまして、この点は、税制調査会の答申におきましても指摘しているとおりに処置をいたしましたわけでございます。
#5
○戸田菊雄君 そこで、ちょっとお伺いしたいのですが、通達のその内容ですね。私たちは、少なくとも通達というものは、下僚官僚に対して上長がそれぞれ指示ないしは命令、こういうことの示達、こういうことになっているだろうと思うのですが、その通達の意義といいますか、そういうものはどういうことですか。
#6
○政府委員(吉國二郎君) これは、行政組織法に基づいて各省の大臣並びに外局の長官が行政の管理をするために発するものでございまして、所部の管理の行政にあたって法令の解釈あるいは具体的な行為についての指示をいたすものでございます。それは、外部に対しては法的な拘束力は持たないという性質のものでございます。
#7
○戸田菊雄君 いわゆる通達というのは、いまお答えになったように、国家行政組織法の十四条、その解釈でいいわけですね。――そういうことだとすれば、当然これは「命令又は示達」というものになる。その理由は、国税庁長官が、何か審判所の所長が裁決、各般の決定を見る、そういうものに対して非常に抑制をしている、この九十九条からですね。それはなぜかというと、「国税不服審判所長は、国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈と異なる解釈により裁決をするとき、」等「は、あらかじめその意見を国税庁長官に申し出なければならない。」となっているのですね。だから、あくまでも、国税庁長官の通達がある場合、その通達と異なった解釈をする場合には、国税庁長官に申し出なければならない。申し出るということは、即刻意向を聞くということになると思う。そういうことから推していけば、結局国税庁長官の考えと違反するような裁決はしてはいけないと、こういうことになりはしないか。この辺が非常に心配なんですが、これはどういうふうにお考えですか。
#8
○政府委員(吉國二郎君) 行政段階では、法律についての解釈が統一的であることが望ましいと思うのでございます。一つの法律について行政段階で二つの解釈があるということは望ましいことではない。そういう意味では、租税法に関する解釈を国税庁で統一するということは、行政の運営としては必要だと思うのです。したがって、不服審判所長は、具体的な問題について法令を適用する場合には、一応既往の統一的な解釈というものを検討するということは行政の統一としてはやむを得ない点でございますが、通達にいたしましても抽象的なものでございますので、実際に具体的事案については妥当性のないものがあり得るわけでございます。そういう場合に、国税庁の通達に所部の部局は全部拘束されるというたてまえでございますと、審判所長もこれは動きがつかないわけでございます。そこで、審判所長だけは通達に対して別の見解を持ち得るということを特に法令で明らかにする。ただ、その場合に、国税庁としては、それに基づいて反省をし、もし間違っておれば直すということによって統一を保っていく必要がある。したがって、異なる解釈をする場合には一応国税庁長官に申し出をしてくれというたてまえをとったわけでございます。もちろん、その場合に、国税庁長官が、その解釈が正しければ、国税庁みずから処置をとってそれを承認すればいいわけでございますから、そのままでございますが、従来の通達とどうも違う、今度は具体的妥当性もないと考えた場合には、国税庁長官としては一応それは拒否をしなければならないというたてまえになると思いますが、それについては、全く税務行政の系統からはずれた審査会というものの議を経て客観的に判断をして、通達自体の正当性をそこで判定をしてもらう。そこの、いわば国税庁長官が通達を統一するに際しましても、一般の民間の有識者の意見をいれて最終的判断を下す。しかも、その場合には、審査会の議に基づいて、国税庁長官としては、客観的に妥当でないと言われれば通達を直すというたてまえになりました点では、これは行政の段階としては非常に大きな権限だというふうに考えられると思います。
#9
○戸田菊雄君 そうしますと、結果的には、そういう意見が出てきた場合は、通達と異なった場合、それは決して通達で縛るということじゃない、裁決優先だと、こういうことでいいですね、理解は。その場合には、結果が通達と違った角度から出た場合には、通達を直すと、そういうことですか。
#10
○政府委員(吉國二郎君) 通達自体が誤っているということは私もあまり申し上げたくないわけでございますが、通達そのものが一つの条件を前提として書いておりますから、具体的事案には、通達に当たるけれどもほかの条件があってその通達を直接適用するのは無理だという事案がずいぶんあるわけです。その場合に、通達というものを排除して、具体的妥当性に基づいて決定をするということが望ましいわけでございますが、それを下部の組織に勝手にやらせますと、統一性がとれなくなる。そこで、審判所長にはその権限を与えるという意味で、審判所長は重大な任務を負うことになると思います。もちろん、通達が基本的に間違っておれば、直ちに直すということになりますし、具体的事案については妥当性がない場合には、これを先例として今後通達はそれには適用にならないということを明らかにするつもりでございます。
#11
○松井誠君 いま九十九条について長官の説明がありましたので、関連してそのことでお尋ねをしたいんですが、この九十九条の一項によると、審判所長が国税庁長官に申し出なければならない場合、二つの場合が書いてありますが、最初のほうの「通達に示されている法令の解釈と異なる解釈により裁決をするとき、」、このことはあまり問題ないと思うんですけれども、実際上の問題として、そのあとの「他の国税に係る処分を行なう際における法令の解釈の重要な先例となると認められる裁決をするとき」の「重要な」ということばがあると、実際上問題になると思うんですが、客観的には重要であると思われるにかかわらず、所長がこういう第一項の申し出をしなかった、そういう場合の裁決の効力というのは一体どうなるかということをお尋ねしたい。
#12
○政府委員(吉國二郎君) この法律の趣旨から申しますと、「重要な先例となると認められる」というのは、審判所長みずから判断をするというたてまえをとっておりますので、審判所長が重要な先例でないと判断をして裁決をしたという場合は――この場合は何を意味するかと申しますと、従来通達のカバーしていない分野があり得るわけです。たとえば、新しい事態が発生いたしまして通達が発せられていない、そういう場合に、いわば通達を制定すべき分野について通達なしに判断をしなくちゃならぬというような場合を想定しているわけでございますが、それが従来の通達等から類推して妥当であり、先例として重要でないと判断すれば、それによって決定をして、それ自体は裁決の効力として有効なものであると考えております。
#13
○松井誠君 そうしますと、「重要な」という解釈だけじゃなくて、ともかく九十九条の一項によって客観的には意見を申し出なければならない場合であるのにかかわらず、申し出をしなかった。しかし、その裁決は効力には影響がない、このように考えていいのですね。
 それからもう一つ、申し出に基づいて国税庁長官の指示がある。その指示に反して裁決する――そういうことがあり得るかどうかちょっと想像できませんが、指示に反して裁決したという場合には、その裁決の効力は一体どうなるか。指示を仰がなければならないのにかかわらず仰がなかったという場合とちょっと似ていますが、その場合は一体どうなるか。
#14
○政府委員(吉國二郎君) この点は、法令を制定する場合にいろいろ議論があったわけですが、最初いろいろ考え方がございまして、御指摘のように重要な先例になるような裁決をしようとするときには、国税庁長官が、むしろ指示を求めろという指示をすべきじゃないかという意見もあったわけでございますが、それではなんにもならぬ――というのは、各国税局の段階では問題を知っていますから、一時は、国税局長から国税庁長官に申し出て、この問題はひとつ国税庁長官に申し出をするように指示してくれということが必要ではないかという議論もあったわけでございますが、それはいかぬと。それはやはり国税審判所長が独自の判断によって申し出をすべきだということで割り切ったわけでございます。
 そこで、次は、指示に従わない場合でございますが、形式的には、裁決がございますと、裁決の効力は残ると言わざるを得ないと思います。ただ、その場合には、いわゆる指示権というもの、と、それに従わないという人事上の問題は別個に出てまいります。そこで、一つの指示に対する不順守という問題については、人事系統における問題として処置するよりほかにない。裁決としては効力を生ずると考えざるを得ないと思います。
#15
○松井誠君 それは、内部的な手続の問題だから、効力には影響がないと。それはわかるんですけれども、それでは逆に今度は、そういう場合が実際にあり得るかどうかはわからないのですけれども、指示に反したことが納税者の不利益になるというような場合に、その裁決を受けた納税者自身がそのことを理由にして行政訴訟かなんかやられるというのは、やっぱりできないですか。
#16
○政府委員(吉國二郎君) その裁決自身が納税者の不利益になる場合には、その裁決を問題として訴訟ができますので、不利な場合は、最終解決はまた手段としてはあり得ると思います。
#17
○松井誠君 私がお聞きしたのは、指示に反したというそのことを理由にしてはできないということですね。
#18
○政府委員(吉國二郎君) はい。
#19
○松井誠君 了解いたしました。
#20
○戸田菊雄君 いまの国税庁長官の回答で、もし違反した決定をしたような場合、それは人事上の問題として処置せざるを得ない、こういうことですが、その人事上の処置というのは一体どういうことですか。
#21
○政府委員(吉國二郎君) たいへんいやなことばになりますけれども、一種の懲戒権の対象になるような問題だと思います。
#22
○戸田菊雄君 それはあとはいろいろやられてきましたから言いませんが、そうなってきますと、従来の協議機関というのは国税局長の手続機関だし、今回の審判所というのは国税庁長官の手続機関と、こう解釈せざるを得ない。そういう意味合いになるとまた別になりますからそれはやめますが、私はそういう運用面について十分に配慮をしてもらいたい。これは納税者の利益不利益にすぐかかわってくる問題でありますから、ひとつその点は配慮方をお願いして、次に進みたいと思います。
 もう一つは、通則法の改正に伴って、従来の協議団はいろいろな矛盾がある、同じ穴のムジナ論ということがあって、そういうものを受けていわば税調の答申案というものが出ているわけですね。税調の答申案というものは、ちょっと読みますが、「協議団が国税局長の下に置かれているため後述のような批判を生み、権利救済制度として必ずしも万全なものといい難い面があることは否定できない。」云々「当調査会は慎重な審議を重ねた結果、協議団に代わる新しい審理・裁決機構としての「国税不服審判所」を国税庁の附属機関として設けること、及びその他不服申立ての手続等に関する所要の改善措置を行なうことが適当であるとの結論に達したものである。」さらに「ふり返えつて現行の協議団制度については、協議団が国税局長の指揮下にあり、かつ、国税局長が協議団の議決に基づくにせよ裁決権を保持しているという形をとつている以上、公正な裁決として納税者の納得を得ることが難しいという批判がある。」こういう批判を受けて、「納税者の申し立てる不服について、真に個別性に応じた解決を行なうためには、場合によっては通達に拘束されることなく判断を下すことも必要であると考えられるが、現在のように協議団が執行機関である国税局長の指揮下にある限り、個別事案について通達と異なる取扱いをすることは困難であるという問題がある。」と、こういうものを受けて、今回のいわゆる審判所設置というものをやりなさいと。もちろん、後段でちょっとくずれてきた答申はあるんですけれどもね。あるんですけれども、本旨はここにあったんだと思うのですね。だから、そういうものからいけば、審判所設置の各法体系をずっと見ていきますと、従来の協議制とそう変わった形をとっていないんだ、むしろこの答申に沿わない一つの案になっているのではないか、こういうふうに考えるわけでありまして、この辺は、前段で指摘をしましたように、できるだけ今後の検討事項として――発足をして運用したその後においてそういう事態が必ず発生してくると思う。だから、十分今後検討をさらに積み重ねていっていただきたい、こういう意味で要望をここでは申し上げておきたいと思います。
 それから不服申し立て手続が見直し調査ということになっているのじゃないかというふうに考えるわけですね。問題は、不服申し立て手続における審理の対象、こういうものは一体何におくのか、これは大体二つ論点があると思うのです。一つは、不服申し立て手続における審理の対象というものは、原処分の違法あるいは不当の有無、こういう問題に限って限定をすべきじゃないか。もう一つは、いままでいろいろと長官等の答弁を聞きますると、結局、審理庁は原処分庁の上級機関だから、原処分と同一の立場に立って原処分庁として調査する対象の中という問題、こういう一つの解釈をとっていろいろと処理をされてきたように解釈するのでありますが、この辺の対象、こういうものをどういうところに原点を置いて考えておられるか、この辺をひとつ聞きたいと思います。
#23
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のとおり、税の更正決定は、法律上の権利能力を創設したり、変更したり、消滅さしたりというものではなくて、法律上きまった納税義務の確認という性質を持っているわけでございます。そういう意味では、たてまえとしては租税債権の確認というのが一般の解釈でございます。租税債権そのものが対象であるという考え方がございます。この点は、租税に関する争訟でも、いわゆる行政訴訟の形としては租税債権不存在確認の訴えとして扱われておるわけでございます。そういう意味では、租税債権そのものが対象であるということは、理論的にはあり得るかと思います。先般大臣から青木委員の御質問に対してお答えをいたしましたのは、同時に、今回の審判所というものは、納税者の権利救済というたてまえと別の構成で上級機関でないものにやらしたという点を尊重して考えると、租税債権そのものを確認するにしても、それについての争いの点を確定していくということを主眼にして裁決を行なっていくということが運用として正当ではないのかという御質問だったように思います。大臣からも、そういう意味では、具体的な裁決にあたっては、納税者の申し立てた範囲のものを対象として租税債権の確認を行なうという方向で指導したいというお答えを申した。そういう意味では、対象というものは、理論の上では租税債権そのものでございますけれども、租税債権そのものを確認する方法論としてはいろいろあり得るはずである。その方法論としては、不服のある部分を確定することによってその他の部分を解決をするということも考えられるわけでございます。そういう運営というものを今後の発足後の態度として考えていくべきであろうかということを大臣からお答えしたのでございます。
#24
○戸田菊雄君 私は、端的に聞きたいのは、不服審判所長というものは、国税局長や国税庁長官といういわゆる課税庁じゃないのだろうと思うのです。これははっきりしていると思いますね。そういうことからすれば、この審査手続の段階においていわゆる見直し調査というようなことがあり得ないのじゃないか、そういう解釈をとっておりますが、この辺はどうですか、端的に言って。
#25
○政府委員(吉國二郎君) 見直し調査と申しますよりも、できるだけ当事者間の主張をもとにして、その範囲内で租税債権の確認を行なうという性質を強く持っているものだと思っております。
#26
○戸田菊雄君 法案の九十七条四項ですね、「国税不服審判所長は、審査請求人等」云々と、こうありますが、これらの規定は、いま私が前に申し上げましたような状況からいって、不服申し立てなり審査請求、こういう段階における要請を出した場合に、その内容にからまるいわゆる資料関係ですね、そういうものを提示とかなんとか、そういう意味合いでの調査ならばそれは当然である。もちろん、その場合には、申し立て人なりあるいは審査請求を出した該当納税者はそういう関係書類というものを全部出してくるわけですから、それはその範囲にとどまるべきであって、拒むことはないと思うのですが、それ以外にあらためてそういう申し立てなり審査請求の該当事項以外のものを何か職権によって調査をしていく、再調査をする、こういうようなことがあったのでは、これはやっぱり法律からいってもおかしいのじゃないか。その辺はないでしょうか、どうでしょう。
#27
○政府委員(吉國二郎君) 四項の趣旨は、主張を本人がしておる、しかしその基礎は何にもないという場合に、質問検査を通じてその基礎を明らかにしようとしたに対して、それを拒否をした場合には、その主張が根拠がないものでございますから、それをとり入れないということを言っておるわけでございます。その意味では、先生の言われるように、当事者の主張をもとにして質問検査を行なうということを前提にいたしております。したがいまして、主張のないものについて職権でやることがあるかどうかというのは、これは裁判所の場合でもいわゆる職権主義が一部ございますように、事態がどうも明らかにならない、双方の主張を比較してもなかなか実態が明らかにならない、そこでみずから調査をする必要があるという場合が生ずると思いますけれども、四項の趣旨は本人の主張を明らかにできない場合に限られておるわけでございます。
#28
○戸田菊雄君 時間がありませんから、この問題については最後にもう一点だけお伺いしますが、結局、いま言ったような私が考えるような方向で行きますと、私は、国税通則法は、行政不服審査法あるいは行政事件訴訟法、あるいはいろいろの問題で裁判の判例というものがございますが、そういう傾向に著しく違反する一つの立法措置ではないかと、こういうふうに考えるのですが、この辺の見解はどうですか。
#29
○政府委員(吉國二郎君) 筋道としては、先ほど申し上げましたように、本来租税債権そのものを確認するというたてまえでできております。ただ、その真実と申しましても、常に真実のあらわれ方、把握のしかたというものは決して一つではない。したがって、権利救済というたてまえを前提にしながら真実を発見するという場合に、その運用の方向は若干従来と違うというのは、私は法令的な立場からはいままでの立場をくずしたものとは言えないと思いますけれども、審理のしかたというもの、真実発見の方向としては、かなり大きな変革があると考えてもいいのじゃないかと思います。
#30
○戸田菊雄君 時間もありませんから、あと二、三で終わりたいと思うのですが、過日の委員会で資料要求をしたわけですが、「協議団及び国税不服審判所官職別定数について」と、こういうのをいただきました。この内容を見ますると、行政職と税務職の大別二つになっておりますが、これでいきますと、行政職は、二名と、こういうことになっておる。それから税務職は、協議団本部長・副本部長・支部長は四十八名、協議官は三百二十六名、係長十一名、一般職員は六十二名、計四百四十七名で、その合計が四百四十九名と、こうなっているわけですね。それで、「国税通則法施行令の一部を改正する政令案の要点」という資料の一番末尾に、「国税不服審判所の組織図」が載っているわけです。いままでの協議の過程で聞きますと、支部が東京、大阪、名古屋、関信、札幌、仙台、金沢、広島、高松、福岡、熊本、こういうことになっておりますが、これは東京、大阪、名古屋については大体民間人を登用するということを言われたのですが、その他は民間人の登用はないようなんですね。全体の方針としては不服審判所としてあくまでも権利救済、公平を期すると、こういうたてまえに立つとするならば、こういう各支部に対してもできるだけ民間登用をやってもいいのじゃないか。言ってみれば、公平を期する一定の保証として一定の構成比率はそういうものを採用することはできないのかどうか、この辺の具体的な構想について、おそらく固まっているんだろうと思いますから、ひとつお話し願いたい。
#31
○政府委員(吉國二郎君) 御指摘のように、主要なところではできるだけ発足当時から首席審判官を外部から求めてくることで努力をするつもりでいるわけでございます。具体的にはかなりふさわしい人が得られる可能性があるわけですが、地方全体を通じましてそれだけの人を選べるという見込みはいまのところないものでございますから、発足にあたっては、地方は、できるだけもちろん人格識見の高い者を選ぶつもりでございますけれども、部内あるいは大蔵省部内というところで選ばざるを得ないかと思っております。将来は、人材が得られる限り部外から求めるという態度をとってまいりたいというふうに考えております。ただ、あるいは御指摘かもしれませんけれども、何といっても一般行政職員でございますので、報酬その他からなかなかむずかしい点が地方にまいりますとことにございます。その辺が私も常々頭を悩ましておる点でございますが、考え方としては人材は部外からも求めるという態度でまいるつもりでおります。
#32
○戸田菊雄君 それからここに「首席国税審判官」の下に「管理課」と「国税審判官」、こういうことになっておりますね。この管理課というのは、主として人事異動でこれは埋めるわけですね。そして、その仕事の内容ですね。国税審判官については十分わかりますけれども、管理課というのは一体どのくらいの構成で、各支部ごとにつくられるのだろうと思うわけですが、あるいは本庁においてもつくられるかと思うのですが、その辺はどういう配置になっておりますか。
#33
○政府委員(吉國二郎君) 管理課は、この国税不服審判所を外局といたしましてできるだけ独立的運営を行なわせたいという観点から、会計、物品管理、そういうものとか、あるいは一部の委任を受けた人事についての処理等をつかさどらせる、ちょうどいわば国税庁で申しますと官房の事務に相当するようなものをやらせるために、全国で七十二名の職員で構成をするという前提をとっておるわけでございます。
#34
○戸田菊雄君 そうしますと、七十二名のうち、東京、大阪、名古屋等は大きいのですから、そういうところは比較的多く配置をする、あとは――平均でいきますと、一支部当たり七名見当になっちゃうわけですね。だけれども、東京、大阪というようなところには多く配置していくから、五名見当ということになるわけですか。
#35
○政府委員(吉國二郎君) 東京、名古屋、大阪以外は、大体その程度の人員で済むと思います。
#36
○戸田菊雄君 四十三年度の統計で見ますと、二万一千件程度の審査請求件数があるようですね、私の調べたところでは。この前もその点を長官にお伺いしたのですが、何か最近は減少傾向にあると。税務署の指導がいいためにということなんでしょうが、そういう状況だということです。しかし、私たちのいろいろな推測、あるいはいろいろな調査をしてみますと、審査件数というのはまだ減っていくという状況ではないと思うのです。むしろ、税金に対する不満というものが多いのでありますから、もっとふえてくるのではないか、こういう考えを持つわけです。そういうことになるとすれば、協議団が百二十組あって、今度は減少されて四十組、三分の一程度しか協議団の再編ということがない、そこから来る一つのロスというもの、あるいは、支部単位というものからいっても、いまの管理課、それから次席審判官三名その他の審判官がいろいろあっても、これで全陣容としてそういう権利救済に必要な公平な判断、あるいはスムーズな業務遂行、こういうものがはたして万全なのかどうか、その辺の見解をひとつ承っておきたい。
#37
○政府委員(吉國二郎君) 発生件数が将来ふえないという保証は私もないと思います。四十四年度は、前年に対しまして発生率が七二%程度でございましたのと、繰り越し件数が六〇%程度に減少いたしましたので、四十五年、四十六年あたりはかなり少ない姿で推移するかと思います。もちろん、審査請求が大きくなることは、決して好ましいことではございませんが、実体的に多くなってまいりますれば、審判所そのものの拡大も考えなければいかぬだろうと思います。
 それからあとの四十数組のグループで十分かという点でございますが、従来も、協議団の中には、三名を中心にして協議を行なう場合にも、その協議に実体的に参加できる協議官と、協議官でも実際上は今回設けられました審査官と同じような調査を専任する者とがあり得たわけでございます。今回はそれをはっきり分離をいたしました関係でグループが減ったように見えますけれども、実体的には、従来と同じように、調査に専任する者、その結果によって整理をし協議をする者、分担をいたしておりますので、構成としてはこれで当面十分かと思っております。将来審査請求件数がふえるというような状況になりました場合には、審判所そのものをふやすということが必要でなかろうか。現在、協議団にいたしましても、最初の定員は八百名ぐらいでございましたが、それが現在四百九十名で処置されておるというところから申しますと、定員そのものについては伸縮性はあり得る、また、そうでなければならないと考えております。
#38
○戸田菊雄君 そうしますと、五月一日以降発足する体制はこういうことであるけれども、その後の状況によっては事務運営等によってはきわめて弾力的に運営その他を考えていく、こういうことですね。
#39
○政府委員(吉國二郎君) そのとおりでございます。
#40
○戸田菊雄君 それからこれは小さいことなんですが、九十七条二項ですね、質問検査官の調査の問題でありますが、「その他の職員」とあるんですね、これは具体的に税務職員をさすのか、その辺の解釈が一つ。
 それからもう一つは、各官職の職務内容について、所長、首席、副審判官と、こういうことになっておりますけれども、部長審判官をつくるという意向を聞いたんですけれども、その辺はいかがな見解を持っておられますか。
#41
○政府委員(吉國二郎君) 「その他の国税不服審判所の職員」というのは、審査官を予定しておるわけでございます。
 それから部長審判官と申しますのは、これは東京、大阪などのように相当数大きくなってまいりますと、管理事務というものも若干出てまいります。そういう意味で、裁判所に部長判事がいるように、部長審判官というものを置いておりますが、実体的に審査を協議する段階では全く平等でございます。一つは、処遇の面からも部長というものがあり得るほうがいい処遇が得られるという点もございまして、部長というものを設けるという考え方で進んでおります。
#42
○戸田菊雄君 そうしますと、いまの「その他の職員」というものは、ことでいう税務職員の「国税不服審判所官職別定数表」のいわゆる税務職百三十八名、これをさすわけでございますか。
#43
○政府委員(吉國二郎君) そのとおりでございます。
#44
○戸田菊雄君 これ以外に税務署職員に一般の審判官が日ごろやった仕事をやらしていくというようなことは一切やらない、こういうことですね。
#45
○政府委員(吉國二郎君) 審判所外の職員に委嘱することはいたしません。
#46
○戸田菊雄君 それから人事交流の問題でこの前もちょっとお尋ねしたんですが、審判官についてはやらないけれども、その他の職員等については適当な時期、具体的には二、三年、そういうことで交流をやっていきたいということなんですね。この場合の弊害については私も心配してこの前も申し上げたんですが、これはやっぱりどうしても審判官内部だけの操作ということにはなっていかないんでしょうね。どうでしょう。
#47
○政府委員(吉國二郎君) 一つは、審判官のグループというものの数が非常に全体として少ない、ことに各地方では非常に少ないために、中でそのまま全体を動かそうといたしますと、将来処遇上にはかなり問題が起こってくると思います。そういう意味では、審判官のほうの最上級の職員、また実力から申しましても最上級の人は、原則として異動はしない。下のほうの職員には、やはり適材適所の観点からある程度の入れかえをいたしませんと、全体の活動そのものが停滞をするというおそれもございます。これはやはり妥当な線で交代を考えなければならないかと、かように考えているわけであります。
#48
○戸田菊雄君 最後でありますけれども、人事交流その他配置転換、こういう場合に、この前、この点は、要望し、長官の回答をいただいたわけでありますが、原則的にはあくまでも本人の希望というものを前提条件にして今後の運用をはかると、そういう原則に立ちますということなんですが、でき得れば、今後、幾つかのわれわれが疑問点を出しているそういう検討事項を含めまして、配置転換については内示制をとるとか、あるいは文字どおり当該組合があるわけですから、そういうものを対象にして十分話し合いをするとか、いい慣行をつくるように御努力をお願いいたしまして、私はこの前回答をいただいておりますから、あえて今回は答弁は要りませんけれども、これで私の質問を終わります。
#49
○政府委員(吉國二郎君) ただいま御指摘がございました点でございますが、実は、四月一日付で全職員から身上申告書を提出してもらうことに――これは四月一日付でございます。提出の時期はおくれましても、四月一日現在で出すことになっております。この不服審判所の設置がきまりますれば、それを含んで全職員に審判所に関する事項を入れた身上申告書を提出してもらうように、実はきょう国税局長会議をやっておりますが、その席上でも私からしっかりと伝達いたしております。その点、各人の希望が明確に表示されることを信じております。
#50
○瓜生清君 私は、主として長官に税務関係の職員の人事問題について若干質問したいと思います。
 少し報道が古いのですが、去年の十二月九日の「サンケイ」に、「税金Gメンに大卒」という記事が載っております。それを見ますと、「大型景気を反映して税務署の仕事はふえる一方なのに、肝心の税金Gメンが収入のよい税理士などに転向するケースが目立つため、人手不足に悩む国税庁は来年度から、初めて大学卒の第一線税務職員を採用、戦力低下の穴を埋めることになった。これまで、第一線の税金Gメンは高校卒に限られていたが「もはや、若い人が成長するのを待ってはいられない。大学卒の人材を国税専門官として採用して即戦力に使いたい」と、同庁では新しい採用制度に期待している。国税庁人事課の説明によると、同庁には現在、全国の税務署員を含めて約四万八千人の職員がいるが、最近、公務員より収入のよい税理士などに転職する人がふえてきた。とくに、経験二十年前後で専門官と呼ばれている第一線税金Gメンの退職が目立ち、三十三年には五百六十三人しかいなかった退職者が、昨年は千七百四十八人と十一年間に三倍。ことしはさらにふえ、二千人を越えそうだという。」と、こういうことが報道されておるわけです。
 私は、まず第一に聞きたいのは、現在、国税庁の定員と実員の関係がどうなっておるのか、教えてもらいたい。
#51
○政府委員(吉國二郎君) 現在、定員が五万一千三百五名でございます。現員が四万九千八百四名、欠員が千五百一名、これが一月一日現在でございます。
#52
○瓜生清君 そうすると、そういう定員と実員との差が千五百人ほどあると。業務量というものは年々ふえておる。これを充員しなきゃならない。ところが、民間との給与の差がある。どうような方法でその充員の対策を立てておられるのか、その点を聞きたい。
#53
○政府委員(吉國二郎君) 欠員が千五百名もあるという問題でございますけれども、これは、御承知のとおり、定員一ぱいに年初はいたしておりまして、それがその期間中に漸次退職者が出て、そうして年度末にはどうしても退職者が相当累積いたしまして、そうしてまた年度初めにおきまして全員を充員するということの繰り返しを行なってきたわけでございます。ところが、最近、退職者が非常にふえてまいりまして、この年中における欠員がふえるという傾向にあります。これは非常に困ったことではございますけれども、新しい採用者はやはり学校を卒業したときに採用いたしますので、四月でないと採用できないという問題がございます。それはある程度期中の欠員はやむを得ないという実積になっておりますが、千五百人にもなったということにつきましては、これは、御承知のとおり、終戦後、地方税と国税の関係を切り離しまして、従来徴収につきましては市町村に徴収委託をいたしておりましたのを国税でみずから徴収をするということにいたした点とか、あるいは、申告納税を採用したということから、二十四、五年ごろまでの間に税務職員が非常な数に膨張いたしまして、その膨張した部分が現在二十年をこえる状況になってまいりました。したがいまして、かなり高年齢の職員がほかの官庁に比べて多くなっているというのが実情でございます。その間にさらに定員がふえて下のほうをたくさん採っておれば全体としてもバランスがとれたわけでございますが、定員自体は昭和二十五年ころからむしろ若干減っております。そのために、当時多数採用いたしました人員が、そのままずっと、いわゆる中ぶくれと称しておりましたが、いまや上ぶくれになっている。そのために、退職年齢に達した者がかなり多くなるということも事実でございます。それが最近にあらわれてまいりましたのが、御指摘のような昭和三十年ごろに比べますと退職者が三倍にもなるという問題なんであります。
 そこで、私どもといたしましても、この退職者がふえることはやむを得ないといたしましても、年初において充員を十分しなければならないということで、従来から全国の高校に対しましていろいろ勧奨いたしまして、四十四年度におきましては高校卒業生千五百名を採用いたしまして税務大学の普通科で一年間の訓練をいたしまして、これが今年の四月には具体的な配置ができる状態になるわけでございます。そういうことで、ことしの四月にはこの千五百人が入ってまいります。もちろん一月からなお退職者が出ます。それにつきましては、従来、上級職あるいは中級職の職員の中から一部採用してまいったわけでございます。しかし、最近の情勢で見ますと、高校の卒業生で進学する者が毎年一割程度ずつ下がっているという状態でございます。この千五百人にさらに退職者がふえるとすれば、来年度は千七百人くらいの新規卒業者を採らなければならないという状況でございますけれども、これがなかなかむずかしい状況にございます。
 それで、話が先にまいるかもしれませんが、今後の採用計画としては、高校生の採用が減ってくる分については、大学卒を一部導入しなければならないという決意をしたわけでございます。もちろん、先ほど申し上げました戦後二十四、五年ごろには、大学卒業生を採ってすぐ協議官あるいは調査官にするというような制度をとったわけでございますが、現在としてはやはり税務の経験を経なければ専門官にするわけにまいりませんので、専門官採用試験とは申しておりますが、専門官になる候補者を大学卒を中心にして採るというたてまえをとったわけでございます。ただし、部内職員でも実力が実際大学卒程度あるという者もございますので、専門官の採用試験につきましては、大学卒を条件にはいたしておりますが、部内で大学卒でない者がこの試験に合格すればその処遇を与えるというたてまえをとりまして、実際外部から採る者は大学卒に限るという前提でこの試験を運用してまいりたい。いわば、就職の形が、高校出と大学出でバランスが非常に変わってきている。従来は大学出が全体の就職者のうちで二%か三%であったものが、最近では二割をこえております。近く三割程度が大学卒業者ということになりますと、高校出だけで税務職員を確保しようということには相当無理が出てくると思います さらに、今後の趨勢を見ますと、これがさらに激しくなると思います。大学卒を高校卒と同じ立場で採用をしていく。ただ、上級職、中級職等の関係もございますから、専門官の試験とは申しながら、当初の初任給等は税務職の六等級の一ということで採用をするというたてまえでございます。
#54
○瓜生清君 そこで、長官、専門官のことですが、いま私の知っておる範囲では、大体、税務署の中堅職員というのは、年齢的にいえば三十五歳から四十歳程度、経験年数からいえば十五年から二十年、それだけの人たちが中心になって税務関係の仕事を処理しておるわけです。そこで、確かに高校卒だけでは人が足りない、大学卒で専門官の試験を受けさせるということですが、これはたしか六カ月の研修を経て三年間の実務に就いてそれから専門官に登用する、こういう段取りになると思うのですが、確かに大学卒と高校卒との学歴の差はあるでしょうけれども、税務問題ということにつきましてはやっぱり相当経験が必要だと思うのです。だから、大学を出てから六カ月の研修をし三カ年の実務をやったから、それではたして高校を出て十五年なり二十年なりの仕事をしてきた人と同じような待遇を与えて対等の仕事ができるものかどうか、その辺はどうですか。
#55
○政府委員(吉國二郎君) この試験は、相当程度の高い試験を実施する予定でございまして、能力のある者しか入れないというたてまえで、たとえ人員が不足をいたしましても不十分な人間を採用するということは考えていないわけでございます。
 それと一般の職員との差ができるという問題につきましては、最初これが採用されましても、問題は四年後に出てまいります。それまでには、いま申し上げましたように、自然退職者が相当数出ますので、専門官というものが一般の職員にもかなり下がって適用ができるようになると思います。一般の職員につきましては、税務大学の本科というのがございますので、この本科を出た場合には専門官になれるわけでございます。その本科の採用試験の条件になります勤務年限を、従来十年でございましたのを八年に切り下げまして、一般職員も税務大学校の本科に入るチャンスを早くいたしまして、さらに税務大学校の本科の定数を倍にいたしまして、そちらで一般職員のほうの権衡を十分とってまいりたい。全体としての資質向上をはかりまして専門官自体も優秀な職員を採るようにいたしますが、一般職員自体も税務大学校その他でさらに研さんを積ませ、また、その質をよくするという措置をとりまして、数年後の姿としてながめた場合には大きなバランスの差がないように配慮をいたしてまいるつもりでございます。
#56
○瓜生清君 いまお話に出ました税務大学というのは、どういう性格の大学なんですか、ひとつ教えてもらいたいと思います。
#57
○政府委員(吉國二郎君) 税務大学校と申しますのは、これは学校教育法に基づく大学ではないわけでございます。したがって、大学校といっておりまして、防衛大学校その他とある意味では同じようなものでございますが、現在四つ目的があると申し上げていいと思います。第一は初任教育でございまして、高校卒の人をいまでは一年一カ月半教育を専門的に教育をいたしまして、これが税務職員として配置をされる、これが普通科と申しております。それから相当税務経験を持った中堅職員に対する再教育といたしまして、これが本科と申しておりますが、これが一年間の教育でございます。そのほかに、研究科と申しまして、さらに高い水準の職員を、一部を、これも一年三カ月、これは主として大学に委託生として参らせまして、東大、一橋等に通わせまして研究をさせるということをいたしております。そのほかに、この大学校では、一般職員の一カ月ないし三カ月の短期研修を常時実施いたしております。
 そういう意味で、税務の専門教育をする大学校でございます。したがいまして、一般科目が非常に少ないという点で、学校教育法の大学ないし短期大学には指定がなされておりませんが、内容としては非常に高い水準のものでございます。
#58
○瓜生清君 それを、長官、いわゆる学校教育法による短期大学のようなものに――いま一年とおっしゃいましたが、二年制にするとかなんとかという考え方はないんですか。
#59
○政府委員(吉國二郎君) 私どもも将来の姿としてはそういうことが望ましいと考えているわけでございますが、現在の制度でございますと、学校教育法の大学ということになりますと、一ぺん採用して職員として教育することが不可能でございます。また、そのまま卒業いたしましても、就職については完全な自由になってしまいます。さらに、教官というものが文部教官に限られるということになりますと、税の専門教育にはとうてい当分使いものにならぬということになりまして、実現が相当長期にわたった研究をした上でないと不可能のように思われます。私どもも、何とかせっかく勉強した者に資格を与えてやりたいというつもりで再々文部省とも折衝をしているわけですが、基本的にはそういう難関がございます。将来職業教育というものについて文部省の考え方が変わってまいりますと、これは第一に短期大学の資格というようなものを考え得ると思うのです。したがって、私どもも、そういう前提が成り立ったときには、定員をふやしていただいて、二年制というようなことに向かって努力をいたしたいと思っておりますが、そういう基本条件が整いませんので、当面やむを得ずこのような形で二つの採用系統をとらざるを得ないというのが実情でございます。
#60
○瓜生清君 そこで、話がまたもとに戻りますが、いまいわゆるベテランの税務職員というものはどんどんやめていく傾向にある。で、年度の当初には学校卒を採用して補充される。その途中におけるそういう退職者に対する穴埋めですね、これはどういう方法をとっておられますか。
#61
○政府委員(吉國二郎君) いま申し上げましたように、採用そのものが人事院試験によって行なわれます関係で、途中採用というものはできないたてまえになっております。これは私ども非常に困っていることでございますが、もう少し定員に余裕があれば多数採っておけるわけでございますけれども、定員がぎりぎりでございますので、当分の間この形が続かざるを得ないというのは、私ども非常に困っているわけでございます。
#62
○瓜生清君 そこで、国税専門官のことについてちょっとお伺いしたいのですが、主として民間から採用されるのかどうか、その点はいかがですか。そういうワクというものはないわけですか。
#63
○政府委員(吉國二郎君) 国税専門官と申しますのは、いわゆる税務署における調査官それから徴収官、あるいは国税局における調査官それから査察官といったものを専門官と称しておるわけでございますが、これは一般の事務官よりも税務経験が長く、能力も高くて、重要な調査を行なうために専門官という職制をつくったわけでございます。そういう意味では、税務職員のいわばベテランが入るというたてまえのものでございます。そういう意味では、不服審判所審判官等とは異なりまして、民間から直接採用するという性格のものではないのでございます。
#64
○瓜生清君 次に、話を変えますが、国税不服審判所の発足がなされるわけですが、これができますと、職員の勤務条件にだいぶ変動が生ずるのじゃないかと思うのです。国税庁としては、そういう問題について、職員団体といいますか、労働組合といいますか、そういう団体と協議されたかどうか、それを伺います。
#65
○政府委員(吉國二郎君) この国税不服審判所という問題は、本来は管理運営事項に属する問題ではございます。しかし、昨年の法案審議の段階において、職員組合に対しましては勤務条件等について説明を行ない、また、いわゆる交渉におきましても、三回議題として取り上げ、説明を行なっているわけでございます。その決定そのものについては、管理運営事項として本来の協議事項をはずれるものであり得ると思いますけれども、それに関する勤務条件としてはこのように再三交渉を行なっているわけでございます。
#66
○瓜生清君 どうも、私の知っている範囲内では、この問題については、何といいますか、きわめて職員団体を無視というわけじゃないけれども、軽視して、形式的に話を一、二回やったという程度だと聞いているのですが、その点はいかがです。
#67
○政府委員(吉國二郎君) 私の経験では、私が参りましてからも議題に供して内容を説明したことはございますし、その考え方等についても詳しく私からも話をいたしております。ただ、人事問題とかなんとかということになりますと、これはやはり交渉事項でないものでございますから、一部分だけが話されているという点はあるかと思います。
#68
○瓜生清君 そこで、国税不服審判所の職員ですね、これは現在の協議団の職員をそのまま充てるのかどうか、その点はいかがです。
#69
○政府委員(吉國二郎君) 先般も申し上げましたが、たてまえといたしましては、審判官については相当数の民間人を採用するということを考えているわけでございますけれども、発足の最初におきまして、それだけの適任者が得られることは実際上不可能でございます。出発にあたりましては、現在いる職員を中心にして構成せざるを得ない。ただ、職階等がかなり高くなっている部面がございますから、そういう意味では、現在のままの職員では無理な点がございます。一部入れかえをして準備を進めているわけでございます。しかし、大部分の協議団の職員は相当程度残るというふうにお考え願ってけっこうだと思います。
#70
○瓜生清君 ただいま民間から登用するとおっしゃいましたけれども、どんな方法で、その規模なり、格付けなり、年齢制限等がないのかどうか、そういう点はどうなります。
#71
○政府委員(吉國二郎君) たとえば審判官等は、いわゆる人事院の規則に基づいて採用いたすわけでございます。選考という手段によることになります。選考機関において、必要により試験等を行なって採用する。一般的な公募による試験等は初任者だけに限られておりますので、選考採用ということになっております。処遇は、この間お配りをいたしました職階等に当てはめまして、首席審判官であれば大体行政職の一等級、あるいは東京であれば行政指定職の乙という、役所としては一番高いあれになるわけでございますが、審判官としては税務一等級から特三等級の間まで、その人の経験、実歴、学歴等から勘案をして格付けをしてまいるということになるわけでございます。
#72
○瓜生清君 こまかい質問になるのですが、審判官というのは、定年というものはあるのですか、どうですか。
#73
○政府委員(吉國二郎君) 現在、一般職の公務員には定年というのは実はないのでございます。ただ、御承知だと思いますけれども、全体の人事運営のためにいわゆる指定官職――税務署長とか副署長、あるいは局の課長という人につきましては、各局で事実上の慣行として、ある年齢に達した場合には後進に道を譲ることにいたしておりますが、今回の審判官についてはその慣行はさしあたり適用しないという前提で進めております。
#74
○松井誠君 審査請求の一番最後の段階の裁決のところで、先ほども関連でお尋ねをいたしましたけれども、たいへんこまかいことなんですが、一点だけお聞きをしたいと思います。
 それは、この前の国会でお尋ねをしました責任もありましてお尋ねをしたいのですが、九十八条の二項の審判官の議決方法は一体どうするのかということをお尋ねしましたら、それは政令の案で「過半数」ということになっている。しかし、過半数だけではまかないきれないのじゃないか。三人おりまして三人が三説あるときに、一体過半数とは何なのか。それからこれは三人という保証はなくて偶数のこともあり得るわけですから、四名になった場合に二対二になったときには一体どうするか。そういうことについてこの法令で整備をしておく必要がないかという質問をしたんです。今度出てきました政令の案はやはりこの前と同じで、過半数ということばだけで、いま私が申し上げましたような表決になった場合、議決し得るのかどうか、どうしてまかなうのかですね。
#75
○政府委員(細見卓君) 御指摘の点、私どももいろいろなケースを考えまして実は慎重に検討いたしたわけであります。なお、私たちだけでなくて、法務省にもいろいろ相談いたしまして、何か具体的に政令に規定したらいいのじゃないかということで実は勉強いたしたのであります。結果を申し上げますと、御案内のように、税の事件と申しますのは、いわゆる事実の発見あるいは法令の解釈というようなことがございましても、具体的事象に対する法律の解釈というようなことになりまして、松井先生がお考えになっておられるような一般の刑事事件のように量刑、判断の裁量というものでありますと、三人三様になるということも考えられるわけでありますが、真実は何か、あるいは真実について租税法律主義でその事実に法律をどう適用するかというような問題でありますので、三人が三様になるということは従来の協議団の経験からいたしましてもそういう事実は実は全然ない。どちらかが調査不十分で意見が分かれることは当初の段階ではございますが、十分事実を審理した上においては、法をどう適用するか、量刑のような、つまり具体的な判断にわたるような、価値判断にわたるようなことのない事案でございますので、現状のままで一応やれるのではないだろうか。ただ、しかし、これから争点主義的に運営してまいります過程におきまして、やはり何らかの形でそういう審判手続というものを明らかにしておかなければならないという事態が生じましたときには、遅滞なく、政令でございますから部内でよく検討いたしまして処理いたしたい、かように考えておるわけであります。
#76
○松井誠君 それは、経験から言えば、かりに三人いて、三説が出てくるということはないということもあり得るかもしれませんけれども、しかし、理論的にそうなるという保証は何もないわけですね。ことに、いま言われたように、争点主義という方法をとって、しかも、その争点の一つ一つに意見をきめていく、こういうことになりましたときに、なおさらそういう可能性が出てくる。最終的に結論として、たとえば税額なら税額をきめるという審判であったとしますね。そうすると、三人いて、税額が、一人は十万、一人は二十万、一人は三十万、こういうときに、過半数とは一体何なのかということが常識ではわからないわけです。いわんや、四名の審判官がいて、十万、二十万、三十万、四十万とあったときに、過半数とは何かというと、これはますますわからなくなる。裁判所法で規定しているような、少額からだんだん計算していくとか、あるいは被告人に有利な場合から計算していくとかというようなことがないと、多数決ということから当然ああいう裁決の方法というものは出てこないので、あれは非常に技術的なものですから、やはり基準がなきゃ常識だけじゃ出てこない。私は、これは、実務にあたって国税庁が困るだろうというような老婆心から聞くのじゃなくて、租税法定主義という問題からいってこういうことを法律にきめなくていいだろうかという疑問が根本にある。これは、納税者の税額がどんぴしゃり議決によってきまる。したがって、議決のきめ方について法定をしておかないでいいのだろうかという疑問が根本的にある。なるほど、裁判所法に書いてあるようなきめ方でもいろいろ疑問はありましょう。しかし、この間も政府委員の方からお聞きをしたのですけれども、いま言ったような三人三様のときには、どっちから勘定してもいわゆるまん中が多数決になるんだ、低いほうの十万から勘定しても、十万、二十万と勘定すれば、どっちから勘定してもまん中の人が多数決になるんだという話がありましたけれども、十万、二十万、三十万、四十万と四人四様のときに、十万から勘定して多数決といえば三十万になるし、四十万から勘定いけば二十万のところが多数決になる。そういうことを規定しないでいいか。規定をすること自体は、法律にいまさら規定するというのは、これはいろいろの手続きがあってめんどうかもしれない。しかし、政令に規定するということは一挙手一投足の労だと思うんですよ。そういうことにこだわって、あとは常識でできるんだというような言い方をすると、先ほども戸田委員から通達行政の弊害というお話が出ましたけれども、あれも常識でできる、これも常識でできるという、ふくらまして考えるというこの考え方が根本的におかしいんです。どうして裁判所法にせめて書いてあるくらいな、二説でなくて、三説になったときにはこのようにしてきめるんだということが規定できないのですか。
#77
○政府委員(細見卓君) いまお話しのように、十万、二十万、三十万というような説が分かれたというようなことは、理論的には考えられるわけでありますが、税の実際の事案と申しますのは、二十万円になるときに、甲なら甲という取引があったかなかったかということできまるわけで、その甲の取引が半分ぐらいあったかもしれないというような形で二十万を十万に割るということはないわけで、二十万であったか二十万でなかったかという形できめざるを得ない。これが税の多数の取引、それが集合的に出てまいります所得、しかも、その場合に、従来の総額主義的な考え方でありますと、ある程度推計課税をして推計的にこのくらいというようなことについての意見も分かれ得たかと思いますけれども、争点主義的にまいり、しかも、それが真実の発見と事実を法に照らして税法をどう適用するか、特定の事実を税法上課税すべき取引として考えるか、課税できないものとして考えるかということになりますと、私どもは、時間をかけて検討すれば、必ず甲という取引は課税できるか課税できないかというような形にならざるを得ないのではなかろうかというふうに、税の事案がそういうものでありますだけに、そう考えておりますが、しかし、松井先生の御指摘、ほかの裁決にあたってのいろいろの手続規定、これはそれなりに理由があってきめられておることでございますので、われわれも、先ほども申しましたように、やってみて、おかしい問題が出たら、直ちにしかるべきことを法務省とも相談いたしまして裁決の方法についてきめなければならないと、さしあたりはこれでやれるのではないかというくらいのことで、理論的に詰めれば、こんな場合があるじゃないかと言われれば、そういうこともあり得ようかと思いますが、経験的になかったので、とりあえずこういう形にしているわけであります。
#78
○成瀬幡治君 大臣の出席時間等の関係もございますから、なるたけ重複を避けて、あるいは若干重複するかもしれませんが、確認というような意味でお尋ねを申し上げていきたいと思います。
 第一は、これはちょっと関係がありませんが、百五条の関連でありますが、青色申告の場合、旧所得税法なりあるいは法人税法では、不服申し立てをした者に対しては、裁決があるまでは納税者の立場を尊重して滞納処分の執行の停止または猶予という規定があったわけです。それがこの前の改正でなくなってしまった。しかし、これに対して、税法学会などでは、まあ実害がなかったじゃないかと。だから、逆にこうしたようなことが中小企業をいじめることになる、ひいては倒産等の心配も出てくるのだから、せっかく青色申告等を救うようなそういう措置があったのだから、旧法に戻すべきではないかという意見がございます。これに対して税調等では相当の議論があっていまのような改正になったといいますけれども、その辺のところに対してあらためて一ぺん長官の御趣旨なりあるいは局長の御意見を承っておきたいと思います。
#79
○政府委員(細見卓君) 御指摘のように、昭和三十六年以前におきましては、青色申告の特典といたしまして、不服申し立てがあったときには原則として徴収を猶予するということになっておったわけであります。しかし、先生御案内のように、青色申告と白色申告との違いと申しますのは、納税者が所定の帳簿書類を備えておるかどうか、したがって、その結果、所得の算定にあたりましてその帳簿を主にして所得を決定するかしないか、いわゆる所得の計算あるいは課税の段階におきまする特典という点にこの青色申告の特典をしぼるべきじゃないか、徴収のような問題についてまで青色と白色とを差別するというのは行き過ぎではなかろうかというような考え方もございまして、白色申告者と申しましても同じく納税者であり、場合によっては零細な方も多いわけであります。そういう意味で、青色申告というのは、課税にあたって正式に納税者が努力をしてつけておる帳簿を尊重して課税を行なっていく、そこに特典を制限し、また、課税官庁のいろいろな権限もそういう意味で制約を受けるということにするのが至当ではなかろうかというので、国税通則法の改正にあたりましてそういうふうにいたしたわけでございます。
 なお、この点は、もう御案内のとおりでありますが、行政不服審査法におきましてもこういう原則に立っております。
 それで、現実におきましてそれではいろいろ弊害が起こるのではないかという御心配があろうかと思いますが、この点はすでにたびたびお答えもいたしておるかと思いますが、不服申し立てがありました場合には、原則として、差し押えまではいたしますが、公売をいたしてもうあとでその税の問題が間違った課税であったというときに治癒できないようなところまで行ってしまうということだけは押えるということをいたしております。
 なお、差し押えなどにつきましても、いろいろ商売上の都合などもあって、そういうみっともないようなことをやられては困るというような方につきましては、適当な担保があれば差し押えを猶予するというようなことをいたしておるわけでございまして、また、今回のこの御審議願っておるところの通則法の一部改正におきましても、審理庁が、担保の提供を要せずしても、申し立てによって、その職権で、この際は徴収を猶予したほうがいいというものについては徴収を猶予できるようにいたしておることは、御案内のとおりであります。これで、私どもといたしましては、まあそういう方もないとは思いますが、乱訴にわたる、つまり、税金を払うのがいやだから、この際何か一応言っておこうというような方につきまして、そういうことによりまして財産の散逸が行なわれるというようなこともないわけではございませんので、その点、役所の権益と納税者の利益というものの権衡をとってこの辺のところにいたしたというわけでございます。
#80
○成瀬幡治君 次に、六十三条の四項のところの最後に、「免除することができる。」と、こうなっておりますが、これは必ず免除すると、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
#81
○政府委員(細見卓君) 法規裁量でございますから、必ず免除いたさなければならないことになっております。
#82
○成瀬幡治君 七十七条の二項の問題ですが、「一月以内にしなければならない。」と、こういうことなんですが、これは運用の面で十分ひとつ配慮していただきたいと思うのですが、たとえば、暮れと正月が重なってしまって、税理士さんも非常に忙しい、十二月の五日か六日ごろに出した、そうすると正月の五、六日なりあるいは七日ごろまでにちょうど一カ月目が来るというようなことになると、せっかく一カ月にしたわ、これがどうにもならぬというようなことになりますから、これは、やるときには運用の面で十分そういうことのないように願いたいと思うのですが、これはよろしゅうございますか。
#83
○政府委員(吉國二郎君) 十二月の初めに異議申し立ての三カ月が経過するということになりますと、大体七月、八月のころに原処分をした場合がそれに該当します。現在、七月、八月には大体更正決定をやっておりません。したがいまして、実際上はないと思いますが、法人等の異例の場合があった場合には、異議申し立てについての処置を早くするとか、いろいろな手段で、御趣旨のように、できるだけ正月、暮れに期限が来てしまうというようなことのないように配慮いたしたい、かように考えます。
#84
○成瀬幡治君 七十七条の四項に、「正当な理由があるとき」と、こういうのがありまして、続いて、八十四条の五項にも、「正当とする理由が明らかにされていなければならない。」というのがございますが、この場合の正当な理由とはどういうことを指しておるのか。
#85
○説明員(早田肇君) 七十七条の四項は、不服申し立ては、処分があった日の翌日から起算して一年を経過したときはすることができませんが、正当な理由があるときはこの限りでないということになっておるわけであります。一年を経過した以後もできる場合、正当な理由があればすることができますという意味でございまして、この正当な理由の具体的例としましては、税につきましては処分の通知というものが原則としてございますので、あまり該当事例があるとは思いませんが、原則として一年と切りましたことについて、なおそれを補完し権利を救済する意味で、正当な理由があるときにはよろしいということを定めたわけでございます。
 それから八十四条の五項の正当な理由と申しますのは、ただいまの七十七条とは異なりまして、異議の決定につきましてこれまで決定の理由というものの記載が必ずしも十分でないような面もございますので、あえてこの五項におきまして、原処分を維持する場合には、その処分を正当とする理由、なぜ原処分を維持したかということが納税者のほうにはっきりわかるように、処分を正当とする理由を明らかにしなければならないと念のため規定したわけでございます。
#86
○成瀬幡治君 八十四条に、「補佐人とともに」と、こういうことで「補佐人」ということばが出ております。補佐という字も、車へんの輔佐があってみたり、他の法令でいえばですね。こっちは示すへんになっております。あるいは、百九条では、「参加人」ということばが使われておりますが、これはどんなものを予定をしておるのか、御説明願いたいと思います。
#87
○政府委員(細見卓君) 補佐人と申しますのは、本人が口頭でいろいろ申し立てるときに、技術的なこと、あるいは法律の解釈等について専門知識を与える人という意味で、文字どおり補佐をする人であります。
 それから「参加人」は、滞納処分その他のような場合に、その財産と関係のある人というのが参加人でございます。
#88
○成瀬幡治君 それでは、若干意見はございますけれども、大臣もおいでになっておるようですからお尋ねしたいと思うのですが、本案を審議するときに、各委員が、満場一致してと言っていいですが、満場一致というような形で心配をされておることは、納税者の権利救済は異議申請のときから始まっておるんじゃないか、こういうことなんです。その理由は、今度は制度上の改正なんだ、それは権利救済の改正なんだ、こういうことが提案理由等でも説明をされております。青木委員に対する大臣の御答弁等も、速記録がございませんもので資料としていただいたわけですが、それはそれとして、とにかく納税者の権利救済は異議申請の申し立てがあったときから始まっておると解釈すべきが当然であると思いますが、いかがでしょう。
#89
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりに心得ております。
#90
○成瀬幡治君 とすれば、権利救済の本旨に基づくといいますか、そういうふうに基づいて、異議申し立てがあった時点から争点主義が貫かれておる、貫いていくんだというふうに了承してよろしゅうございますか。
#91
○国務大臣(福田赳夫君) それはそうは考えておらないんで、権利救済と申しましても段階があるわけでありまして、異議申し立ての段階は最初の段階になりますが、この段階では原処分庁が見直しを行なうということであります。それから今度審理過程に移るわけでありまして、これは審判所が行なうことであります。審判所におきましてはお話のように争点主義になるわけでありますが、異議申し立ては審判所の審理過程と違いまして、どこが違うかというと、第三者的な審判所が行なうというのと原処分庁が行なうのと大きな違いがあるわけでありますが、そこで、私どもといたしましては、そこにおのずから考え方の違いが出てくると、こういうふうに考えるわけであります。実際の問題としては、白色申告をしておる人、この人が異議申し立てをする、こういう場合におきましては、何も資料がない。争点主義といっても、争点も何もないわけです。そこで、この場合には、完全に見直し調査ということにならざるを得ない、こういうふうに考えます。しかし、青色申告をする場合におきましては、更正決定が指摘をするその点を指摘しまして異議申し立てをするということにおそらくなるだろうと思います。そういう際におきましては、おのずからそこで争点はしぼられてくる。したがって、青色申告の場合の異議申し立てに対する原処分庁の見直し、これはおのずから争点主義ということになってくるであろう、こういうふうに思っておるわけであります。
#92
○成瀬幡治君 大臣、手がたい説明でして、白色が争点で行くかと、この点はわからぬわけではないんですよ。しかし、話を詰めておると、すぐその次に来る問題は争点の問題に来ると思います。最後まで総額で行くわけじゃないんですよ。初めは総額かもしれない。しかし、一皮むけばすぐ争点になるわけですよ。ですから、運用の面として、精神として、異議申請が出ればすぐそれは争点に行くのが当然なことであって、それまでこだわるというのは、何か脱税する悪いやつばかりで、やったらにゃいかんわいというようなことにあなたらがこだわっているような感じがしてしようがないんです。ですから、その点、大臣、そういう運用がどうとかなんとかというのではなくて、一皮はげば、一番初めはそうだったんですが、しかし、その次の第二歩は争点になってくるんですよ。ですから、私は、異議申請が始まれば争点の精神でやられるのは当然なことだというふうに思うわけですが、どうですか。
#93
○国務大臣(福田赳夫君) 白色申告のほうは、とにかく税の執行に必要な書類の整備なんか行なわれておらない、それでありますから、見直し調査という性格にならざるを得ない、そういうふうに思います。また、争点を聞くというふうに言いましても、その争点が必ずしも明らかでない場合が多かろうと思います。ただ、青色のほうにつきましては、お話の筋、これは私は通ると思います。したがいまして、私どもといたしましては、なるべく争点主義の精神にのっとってやっていきたい、かように考えるわけであります。どうも、白色の場合だけは、実際上また理論上もむずかしい問題じゃないか、かように考えます。
#94
○成瀬幡治君 青色は争点ということは問題ないんです。問題になるのはやはり白色なんですよ。ですから、もう一度重ねて申します。初めはなるほど総額かもしれない。しかし、争っていけば、第二歩目に入ったときにすでに争点主義にならざるを得ないんですよ。ですから、私は、争点主義を貫くということで間違いないと思う。どうしてそうこだわるのですか。
#95
○国務大臣(福田赳夫君) お答えは反復するのみになりますが、しかし、御意見のほどはよくお気持ちはわかりました。異議申請段階といえども、これは権利救済段階の問題であるということをよく踏んまえて執行に当たりたい、かように考えます。
#96
○委員長(栗原祐幸君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#97
○委員長(栗原祐幸君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#98
○戸田菊雄君 私は、日本社会党を代表して、国税通則法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場で討論を行なうものであります。
 納税者の権利救済は、一つには、生活費には税金をかけないこと、一つには、権力的な税務行政をやめ、納税者の立場を尊重し、行政不服審査法に規定する法の精神に従って民主的に厳正に実施すること、一つには、不服申し立てについては、憲法で規定されている出訴権の権利を侵さず、現行の訴願前置制を廃止して自由出訴ができることが大切なことであります。
 ところが、今次改正案は、国税通則法の第八章不服審査及び訴訟の項を全面的に変更し、国税庁長官の附属機関としての国税不服審判所を新設し、異議申し立てや審査請求の手続を審判所設置を軸にして変え、この中で税務当局の権限を強め、審査請求を実質的に制限し、納税者の権利を圧迫する不当な内容になっておるのであります。
 すなわち、その第一は、法第七十八条第五項の組織及び運営については省令によるという内容であります。このことは、納税者の権利を生かすも殺すも大蔵省官僚の胸先三寸にあるということであります。
 第二は、法第七十九条四項の国税審判官の資格を政令できめ、国会の審議決定を必要としないわけでありますから、国税審判官も政府の意のままとなり、納税者の立場に立つ国税審判官を一定の比率で構成するという保証は何もないのであります。
 第三は、法第八十条の行政不服審査法との関係の規定であります。政府は、今日までの審議経過の中で、行政不服審査法より後退はいたしておりませんし、改正法案には行政不服審査法の中の手続規定はほとんどそのままで入っていますと言っておりますが、結果は、行政不明の際の手続を変更するための基礎づくりにあるのではないかと推測できるのであります。
 第四には、第八十四条第一項に見られますように行政優先の条項、第八十七条第三項の審査請求をきびしくする条項、第九十二条の却下、並びに九十八条の裁決等は、すべて審判所長の判断一つにかかっている等々、数多くの疑問点が存在するのであります。
 全体を通して、今回の政府提案の国税通則法改正案は、決して納税者の権利救済を目ざし税制の民主化を前進させるものではないのであります。
 政府は、私が前述した諸点を今後さらに検討改善を加えるとともに、今日までの審議経過の中で確約した幾つかの問題について忠実に実行し、その運営に誤りのないよう十分な配慮を熱望いたしまして、私の反対討論を終わります。
#99
○鈴木一弘君 私は、公明党を代表して、ただいま議題になっております国税通則法の一部を改正する法律案について、反対の討論を行ないます。
 国民の納税意識が高まっている一方で、税に対する不満は年々増大してきております。深刻な経済情勢の中で、国民の期待は、今回の権利救済制度、国税通則法改正案に集まっておりましたが、その期待は残念ながら十分実現ができなかったということであります。
 この国税通則法の議論は、過去何回となく行なわれてまいりました。従来の協議団方式を一歩前進させて、国税不服審判所を国税庁長官の直轄の機関とし、裁決権を審判所長に与えることによって審理及びその事務手続が合理的なものになったとのことでありますが、結局は、審査請求、不服申し立ては原処分庁と同一的系列上にある上級庁で裁決が行なわれる以上、国税庁の範囲内の附属機関としての改正にとどまってしまったのであります。政府がうたい上げる、権利救済制度を納税者のために近代的かつ合理的なものへと脱皮しようとするのであるならば、第三者機関として独立させ、準司法的なアメリカのタックス・コートのようなものに勇断をもって改革すべきであると思うのであります。これが反対の第一の理由であります。
 次に、審判官、副審判官の問題でありますが、これらの人事は、広く民間から登用するということで人事交流が行なわれるということでありましたが、仕事が仕事であるだけに、専門的な知識を要するため、民間からの採用は、待遇問題を含めて非常にむずかしいのであります。そこで、やはり国税庁出身者の登用という結果になるでありましょうし、国税庁内の人事のポストがふえたとか、あるいは一つ穴のムジナとかいうような批判がされることのないようにやっていかねばならない。そのように強力に推進すべきでありますし、その点について私どもは不満を持つものであります。
 これらの基本的な問題を解決できずに、いたずらに機構を改めたなどといって、かえって権利救済の精神から逸脱し、徴税強化となってくるおそれがあります。公明党の税制の総点検によっても明らかなように、税金に対する意識で、税金が高いとした人が九三%もいるということは、重税、不公平という現税制を抜本的に改正して、はじめて国民の権利と幸福を実現できる権利救済制度があるわけであります。したがって、納税者の権利救済制度とはだいぶ遠ざかっております国税通則法一部改正案に対しては、反対をするものであります。
#100
○渡辺武君 私は、日本共産党を代表して、国税通則法の一部を改正する法律案に反対するものであります。
 その第一の理由は、本法案が納税者の権利救済制度を改善するなどというものではなく、逆に税務署等の違法不当な処分を救済する制度となっているからであります。もし政府が真に納税者の権利救済をはかるのならば、行政不服審査法第一条に明文化されているように、審理の対象はあくまで原処分の違法性不当性に限定さるべきであり、審理は主として原処分庁の原処分時の資料でなされ、原処分に理由がなければこれを取り消すという制度が適切なものであります。しかるに、この法案は、不服審査の過程で原処分時以後の調査によって発見された原処分庁あるいは国税審判官の資料によって原処分を維持し、見直し調査、総額主義を推し進めようとしています。これは申告納税制度を踏みにじり、国民に対する重税の乱課、違法不当な更正をあとから救済し維持する制度であり、国税不服審判所に新たな課税行為を行なわせる不法を犯すものであり、戦前の覆審の暴挙を公然と復活させるものであります。
 第二の理由は、学説、判例を引用するまでもなく、租税債権を主張する原処分庁にこそ立証責任があるにもかかわらず、本法案は、九十七条で、審査請求人がその主張の基礎を明らかにすることができない場合は主張を採用しないと規定するなど、審査請求人に立証責任を転嫁しているからであります。納税者にとって理由も明らかでない原処分の違法性不当性をなぜ納税者が立証してやらなければならないのか。また、なぜ本来立証のできない債務の不存在を納税者は立証する責任を負わされるのか。まことに理屈の通らない、権利救済にはほど遠い制度と言わなければなりません。
 第三の理由は、本法案は、訴願前置制を法制化し、納税者の出訴権を不当に制限しているからであります。憲法三十二条は、何人も裁判を受ける権利を奪われないとし、その不当な制限を禁じています。また、行政事件訴訟法第八条も、この原則を明確にしています。納税者が不服審査を選ぶか裁判を選ぶかは、納税者の自由選択にまかすべきであり、税務は専門的で内容が複雑だなどとの口実で本法案のごとく不服申し立て前置主義を納税者に押しつけ、出訴権を制限することは、納税者の基本的権利を奪うものであります。
 第四の理由は、審判官に強い質問検査権を与え、審査請求人の関係人、参考人にきびしい罰則でもって帳簿等の提出を強要するなどは、権利救済の趣旨に反するのみならず、基本的人権の侵害を許すものであるからであります。本来、不服審査にあたっての不服申し立て人などに対する調査は、罰則もなく、これに応じないことも自由である審尋程度にすべきことは、行政不服審査法の示しているとおりであります。関係人、参考人に罰則をふりかざして質問検査を行なうのは、権利救済制度の根本趣旨に全くそむくものであります。しかるに、本法案百二十六条は三万円以下の罰金を科し、これが刑事訴訟法六十条と結びついて、関係人、参考人及び関係法人の代表者、従業者を逮捕、勾留できるのであります。なぜこのような重い罰則を伴った質問検査権を新しく規定したのか。政府のねらいは、罰則でもって関係人、参考人をおどしながら、結局、納税者に不服申し立てを断念させること、また、税務署等の不当な乱課を助長させるとともに、新たな課税源を洗い直して原処分を維持するところにあると言わなければなりません。
 以上のような性格を有する本法案は、明らかに納税者の権利救済制度を根本から改悪するものであり、日本共産党は断固としてこれに反対するものであります。
#101
○委員長(栗原祐幸君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○委員長(栗原祐幸君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 国税通則法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#103
○委員長(栗原祐幸君) 多数と認めます。よって、本案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
#104
○沢田一精君 私は、ただいま可決されました法律案に対しまして、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党を代表いたしまして、附帯決議案を提出いたします。
 本法律案の審議過程におきまして論議されたもののうち、重要と思われる四項目についてでありますが、その案文はお手元に配付してございますので、便宜朗読を省略させていただきます。
 よろしく皆さまの御賛同をお願いいたします。
#105
○委員長(栗原祐幸君) ただいまの沢田君提出の附帯決議案を議題といたします。
 沢田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#106
○委員長(栗原祐幸君) 全会一致と認めます。よって、沢田君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、福田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。福田大蔵大臣。
#107
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、これを税務行政のすみずみまで徹底させ、納税者の権利救済に万全を期するよう今後とも一そう努力いたしたいと存じます。
#108
○委員長(栗原祐幸君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○委員長(栗原祐幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#110
○委員長(栗原祐幸君) 次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び造幣局特別会計法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。福田大蔵大臣。
#111
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま議題となりました日本開発銀行法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 この法律案による日本開発銀行法の改正の内容は、日本開発銀行の借り入れ及び債券発行の限度を自己資本の五倍から六倍に引き上げることであります。
 日本開発銀行は、昭和二十六年四月に設立されて以来、長期資金の融通により、わが国経済の再建及び産業の開発の促進につとめてまいっているのでありますが、昭和四十五年度の財政投融資計画においても、同行の貸し出しは、三千百七十億円を予定されており、これに債務保証を加えますと、昭和四十五年度末の同行の貸し付け等の残高は、二兆八百五十億円に達すると見込まれております。
 このように、日本開発銀行につきましては、業務量の一そうの増加が見込まれているところでありますが、貸し出し等の残高につきましては、日本開発銀行法において、自己資本の額と借り入れ金等の限度額との合計額をこえてはならないことと定められておりますので、現行法のままであれば、昭和四十五年度には同行の貸し付け等を抑制して、その残高をこの限度額にとどめなければならず、業務に支障を来たすことと相なります。
 したがいまして、この際、同行の借り入れ金等の限度額を従来の自己資本の五倍から六倍に引き上げ、これにより、貸し付け等の業務量の限度を拡大し、もって同行の業務の円滑な運営をはかろうとするものであります。
 次に、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 造幣局特別会計におきましては、政府の発行にかかる補助貨幣の額面相当額を補助貨幣回収準備資金に積み立てまして、補助貨幣の引きかえまたは回収、造幣局の事業に要する経費等の財源に充てるとともに、この資金に属する現金は資金運用部に預託して運用し、その運用利益金は同資金に編入することによりまして、資金の充実強化をはかっているところであります。
 最近に至るまで、回収準備資金の額は補助貨幣の発行現在額を下回っていたのでありますが、経済規模の拡大等による補助貨幣発行高の増加に伴って運用利益金収入が増加し、その収入が造幣局の事業費等に充てる財源を上回ることになり、このため、回収準備資金の額が補助貨幣の発行現在額をこえることとなりました。
 補助貨幣回収準備資金の目的から見れば、補助貨幣の引きかえまたは回収のための準備として、補助貨幣の発行現在額と同額の回収準備資金を保有していれば十分であり、この発行現在額をこえる額については、これを同資金において保有する意義はないと考えられますので、そのこえる額に相当する金額を一般会計の歳入に繰り入れようとするものであります。
 以上が、日本開発銀行法の一部を改正する法律案外一法律案の提案の理由であります。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#112
○委員長(栗原祐幸君) 両案の自後の審査は、後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十五分散会
     ―――――・―――――
  〔参照〕
   「国税通則法の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案)
一、政府は、国税不服審判所の人的構成及び運用について、その独立性を高めることに留意し、また今後における社会、経済の進展に即応しつつ、国税庁から独立した租税審判制度の創設、出訴と不服申立ての選択についても、絶えず検討を行なうべきである。
一、政府は、国税不服審判所の運営に当つては、その使命が納税者の権利救済にあることに則り、総額主義に偏することなく、争点主義の精神をいかし、その趣旨徹底に遺憾なきを期すべきである。
一、政府は、不服審査に於ける質問検査権の行使に当つて、審査請求段階の国税不服審判所のみならず、異議申立て段階の税務署等の不服申立てに詮いても、それが納税者の権利救済の目的にあることにかんがみ、濫用の弊に陥ることのないよう慎重な配慮を行なうべきである。
一、政府は、不服審査の根本的解決が、納税者と税務当局との相互信頼関係に基づくものであることを銘記し、税務行政執行に当つては、悪質な脱税には厳正に、善意の納税者には寛容に対処し、適正な課税の実現に一層努めるべきである。
 右決議する。
     ―――――・―――――

ソース: 国立国会図書館
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