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1970/04/23 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第19号
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1970/04/23 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第19号

#1
第063回国会 大蔵委員会 第19号
昭和四十五年四月二十三日(木曜日)
   午前十時二十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     増田  盛君     今  春聴君
     長屋  茂君     青木 一男君
     玉置 猛夫君     津島 文治君
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     鬼丸 勝之君     大谷 贇雄君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     大谷 贇雄君     鬼丸 勝之君
     横川 正市君     久保  等君
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     久保  等君     横川 正市君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         栗原 祐幸君
    理 事         沢田 一精君
                成瀬 幡治君
                鈴木 一弘君
                瓜生  清君
    委 員
                青木 一男君
                青柳 秀夫君
                伊藤 五郎君
                岩動 道行君
                鬼丸 勝之君
                津島 文治君
                中山 太郎君
                矢野  登君
                戸田 菊雄君
                松本 賢一君
                横川 正市君
                上林繁次郎君
                渡辺  武君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       大蔵政務次官   藤田 正明君
       大蔵大臣官房日
       本専売公社監理
       官        熊田淳一郎君
       大蔵省主税局長  細見  卓君
       国税庁長官    吉國 二郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       大蔵省主税局税
       制第一課長    安井  誠君
       大蔵省主税局税
       制第二課長    田辺  昇君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(栗原祐幸君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る四月十八日、増田盛君、長屋茂君及び玉置猛夫君が委員を辞任され、その補欠として今春聴君、青木一男君及び津島文治君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(栗原祐幸君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。藤田大蔵政務次官。
#4
○政府委員(藤田正明君) ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、今次の税制改正の一環として、最近における所得税負担の現状にかんがみ、その負担の軽減をはかるため、所得税の減税を行なうとともに、税制の整備合理化を行なうため、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。
 第一は、中小所得者の所得税負担の軽減をはかるため、課税最低限の引き上げを行なうこととしております。
 すなわち、基礎控除及び配偶者控除をそれぞれ現在の十七万円から十八万円に引き上げるとともに、扶養控除を現在の十万円から十二万円に引き上げることとしております。この結果、夫婦と子供三人の給与所得者の課税最低限は、現在の九十三万五千円から百二万九千円に引き上げられることになります。
 第二は、中堅給与所得者層の所得税負担を緩和するため、給与所得控除の拡充を行なうこととしております。
 すなわち、その控除率を引き上げるとともに適用範囲をも拡大し、十万円の定額控除後の給与の収入金額百万円までは二〇%、二百万円までは一〇%、四百万円までは五%を控除することとしております。
 第三は、税率の緩和をはかることとしております。
 すなわち、主として中堅以下の所得者層の負担軽減をはかる見地から、税率の刻みとその適用区分の大幅な緩和を行なうこととしております。
 第四は、障害者控除等の特別な人的控除の引き上げを行なうこととしております。
 すなわち、障害者控除、特別障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除をそれぞれ一万円引き上げるとともに、いわゆる母子家庭への配慮から配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族の扶養控除を二万円引き上げることとしております。
 以上のほか、医療費控除について実情に即するよう改善をはかり、養護委託老人を受託者の扶養親族に加え老人受託者の負担の軽減をはかり、資産所得について合算課税を行なう場合の最低限度額を引き上げる等、所要の規定の整備を行なうこととしております。
 なお、配当控除については、課税総所得金額一千万円以下の部分の控除率を一〇%、同じく一千万円をこえる部分については五%に引き下げることとしておりますが、これらについては、別途御審議をお願いする租税特別措置法の改正案において、所要の経過措置を講ずることとしております。
 次に、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 政府は、昭和四十五年度の税制改正の一環として、中小法人の内部留保の充実に資するため同族会社の留保所得に対する課税を軽減するとともに、税制の整備合理化をはかるため、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。
 第一は、中小法人の税負担の軽減とその内部留保の充実に資するため、同族会社の留保所得課税についての控除額を引き上げることとしております。
 すなわち、その控除額は、現在、所得金額の三〇%または年百五十万円のいずれか多い金額とされているのでありますが、これを所得金額の三五%または年二百万円のいずれか多い金額に引き上げることとしております。
 第二は、同族会社の範囲について、その縮減合理化をはかることであります。
 すなわち、同族会社の定義を改め、三人以下の株主等及びその同族関係者がその発行済み株式等の五〇%以上を保有している会社に限り同族会社として取り扱うこととしております。
 第三は、課税所得の計算の合理化をはかるため、建設工事の完成後の補修に要する費用の額として見込まれる金額を完成工事補償引き当て金として引き当てることを認める制度を創設することとしております。
 そのほか、主として中小法人の納税手続を簡素化するため、中間申告書の提出を要しない税額の限度を三万円から五万円に引き上げる等、所要の規定の整備合理化を行なうこととしております。
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 政府は、昭和四十五年度の税制改正の一環として、法人税負担を引き上げ、利子・配当課税の特例について漸進的な改善合理化措置を講ずるとともに、企業体質の強化、中小企業対策等に資する特別の措置を講じ、あわせて既存の特別措置について整理合理化をはかるため、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。
 第一は、現下の経済財政事情にかんがみ、法人税負担の引き上げを行なうことであります。
 すなわち、二年間の臨時措置として、普通法人の所得のうち、留保分に対する法人税負担を現行の五%増に引き上げることとしております。ただし、中小法人の所得のうち年三百万円以下の部分の税負担については、特に現状のまま据え置くこととしております。
 第二は、利子・配当課税の特例について、国民の貯蓄態度に与える心理的影響をも考慮して、漸進的な改善合理化の措置を講ずることであります。
 まず、利子課税につきましては、現行の源泉徴収税率の軽減の特例を昭和五十年十二月三十一日まで延長するとともに、昭和四十六年から昭和五十年までの間に支払われる利子のうち、定期預金その他資産性の強い預金等の利子について、総合課税と源泉分離課税との選択を認める源泉分離選択課税制度を創設し、他方、普通預金等要求払い預金の利子については、新たに申告不要制度を創設することとしております。なお、源泉分離課税を選択した場合の税率は、昭和四十六年分及び昭和四十七年分は二〇%、昭和四十八年以後三年分は二五%といたしております。さらに、少額国債の利子の非課税制度につきましても、その適用期限を昭和五十年十二月三十一日まで延長することとしております。
 次に、配当課税につきましては、利子課税の改正に見合って、現行の源泉徴収税率の軽減の特例及び源泉分離選択課税制度並びに少額配当の申告不要制度の適用期限をそれぞれ昭和五十年十二月三十一日まで延長するとともに、源泉分離課税を選択した場合の税率を昭和四十八年以後三年分は二五%とすることとしております。
 なお、昭和四十六年分及び昭和四十七年分の配当控除率については、課税総所得金額一千万円以下の部分を十二・五%、同じく一千万円をこえる部分を六・二五%とすることとしております。
 また、証券投資信託の収益の分配金の課税につきましては、利子課税の特例と同様の措置を講ずるとともに、割引債の償還差益に対する課税の特例につきましても、その適用期限を昭和五十年十二月三十一日まで延長し、発行時における源泉徴収の税率を昭和四十六年分及び昭和四十七年分については八%、昭和四十八年以後三年分については一〇%に引き上げることとしております。
 第三は、企業体質の強化、中小企業対策等に資するための措置を講ずることであります。
 その一は、企業体質の強化をはかるための措置を講ずることでありまして、法人が昭和四十五年五月一日から二年以内に産業体制の整備に資する合併をした場合について割り増し償却制度を創設するとともに、合併登記の登録免許税軽減の特例の適用期限を二年間延長することとしております。
 その二は、中小企業対策のための措置でありまして、下請中小企業振興法の制定に伴い、下請中小企業振興準備金制度及び共同利用施設の特別償却制度を創設するとともに、中小企業者の機械等の割り増し償却制度について業種指定の期限を二年間延長するほか、中小企業構造改善準備金、中小企業の貸し倒れ引き当て金の特例等中小企業に関する課税の特例の適用期限をそれぞれ二年間延長することとしております。
 その三は、過密過疎対策に資するための措置でありまして、ガス事業者の特定ガス供給設備について特定ガス導管工事償却準備金制度を創設するとともに、産炭地域の工業用機械等の特別償却制度について、その対象となる事業及び資産の範囲を拡充することとしております。
 その四は、基礎資源の開発を促進するための措置でありまして、石油開発法人の発行する株式の取得について石油開発投資損失準備金制度を創設するとともに、探鉱準備金及び新鉱床探鉱費の特別控除制度の適用期限を一年間延長することとしております。
 その五は、情報化の促進に資するための措置心ありまして、一定の電子計算機について特別償却制度を創設するほか、電子計算機買い戻し損失準備金の積み立て限度額を引き上げることとして去ります。
 そのほか、住宅貯蓄控除制度、耐火建築物の到り増し償却制度等の住宅対策のための措置、株式売買損失準備金制度、試験研究費の特別税額控除制度及び民間外貨債の利子の非課税措置等についてもそれぞれその適用期限を二年間延長することとしております。
 さらに、農業振興地域の整備に関する法律に其づく勧告による農地の譲渡等について、譲渡所得の特別控除及び事業用資産の買い換えの特例等か設けるとともに、自然公園法の規定により特別保護地区として指定された区域内の土地が国または地方公共団体に買い取られる場合の譲渡所得について特別控除を認めることとしております。
 第四は、既存の特別措置について、実情に応じた整埋合理化を行なうことであります。
 すなわち、適用期限の到来する特別措置のうち、海運業の再建整備にかかる課税の特例等すでにその政策目的を果たしたと認められるもの、または資本構成を改善した場合の特別税額控除制唐等のように政策手段として期待された効果をあげていないと認められるものについては、その適用期限の到来とともに廃止することとしております。
 以上のほか、相続財産を相続後一定期間内に譲渡した場合の譲渡所得の計算方法を合理化する等、所要の規定の整備をはかることとしております。
 以上、三法律案につきまして、その提案の理由及びその内容を申し述べました。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますよう、お願い申し上げます。
#5
○委員長(栗原祐幸君) 次に、補足説明を聴取いたします。細見主税局長
#6
○政府委員(細見卓君) ただいま提案の説明がございました所得税法、法人税法及び租税特別措置法の三法案につきまして、補足して御説明申し上げます。
 まず、所得税法について申し上げます。所得税法の改正は、最近における所得税負担の状況にかえりみまして、中小所得者に重点を置いて所得税の負担を軽減するとともに、あわせて所得税制の整備合理化を行なうことをその内容といたしております。
 第一は、課税最低限の引き上げであります。夫婦と子供三人の給与所得者の課税最低限を百万円程度に引き上げることは、かねてからの懸案でありましたが、先ほど提案理由で御説明申し上げましたように、基礎控除等の諸控除の引き上げによりまして、この課税最低限は百二万八千六百七十四円となるわけであります。また、この結果、昭和四十五年度の所得税の納税人員は、改正前でありますと約二千九百万人となるものと見込まれますが、改正後では約二千八百十万人と見込まれまして、約九十万人の減少となるわけであります。
 第二は、給与所得控除の拡充であります。すなわち、現行法では、給与の収入金額からまず定額控除の十万円を控除し、この控除を行なった後の金額について八十万円までは二〇%、百万円までは一五%、二百万円までは五%、三百万円までは二・五%をそれぞれ控除することとしておりますが、この定率控除の控除率を、百万円までは二〇%、二百万円までは一〇%、四百万円までは五%とそれぞれ引き上げてその拡充をはかっております。
 第三は、税率の緩和であります。これは従来の所得税の減税が課税最低限の引き上げを中心に行なわれてまいりまして、税率構造については基本的な見直しが行なわれていなかったため、最近の所得水準の上昇に伴う所得階層分布の大幅な変化に即応していないのを改善しようとするものであります。この税率の改正は、税制調査会が長期答申で示した具体的内容をそのまま実現するものでありまして、具体的には、昨年の改正によりまして中堅以下の所得階層の税率を緩和することを目的として、従来の一律五%刻みの税率を四%と五%の二段階刻みの税率といたしましたが、今回はさらに、二%と三%の刻みの税率をも加えてきめこまかくすることにより、所得税負担の累進の度合いをなだらかにいたしておるわけであります。
 第四は、障害者控除等の引き上げであります。すなわち、障害者控除や寡婦控除等の特別な人的控除につきましても、現行の九万円の控除額を十万円に、また、いわゆる重度障害者については、現行の十三万円の控除額を十四万円に引き上げますとともに、母子世帯等の負担の軽減をはかるため、配偶者のいない世帯の一人目の扶養控除額につきましても、現行の十一万円から十三万円に引き上げることとしております。
 第五は、所得税制の整備であります。すなわち、最近の医療費支出の実態を勘案いたしまして、医療費控除について、現行は所得の五%相当額をこえる金額の控除が認められておりますが、これを所得の五%相当額と十万円のいずれか低い金額をこえる金額につき控除を認めることとし、また、その最高限度額を現行の三十万円から百万円に大幅に引き上げることにいたしますとともに、老人福祉法により養護を委託された老人を、受託者の扶養親族の範囲に加えることとしております。さらに、現在は主たる所得者の所得と世帯員の資産所得との合計が三百万円をこえる場合には合算課税を行なうことといたしておりますが、今回の税率改正との関連から、この限度額を五百万円に引き上げることといたしますほか、配当所得者について認められておりますところの配当控除率を、課税所得が一千万円以下の部分については現行の二〇%から一〇%に、同じく一千万円をこえる部分については一〇%から五%にそれぞれ引き下げることとしております。
 なお、この配当控除率につきましては、現在、租税特別措置法によりましてそれぞれ一五%と七・五%とされているわけでありますが、改正による負担の激変を緩和するという観点から、別途同法の改正案によりまして所要の経過措置を講ずることといたしております。
 次に、法人税法について申し上げます。
 法人税法の改正は、中小法人の内部留保の充実に資するため同族会社の留保所得に対する課税を軽減するとともに、あわせて法人税制の整備合理化を行なうことをその内容といたしております。
 第一は、中小法人の内部留保の充実に資するため、同族会社の留保所得課税についての控除額を引き上げることであります。すなわち、その控除額は、現在、所得金額の三〇%または年百五十万円のいずれか多い金額とされておりますが、これを所得金額の三五%または年二百万円のいずれか多い金額に引き上げることとしております。
 この引き上げにより、同族会社の留保金課税を受ける会社数は約十万社から約七万社に、その税額も約三百四十億円から約二百三十億円に、それぞれ三割程度減少するものと見込まれます。
 第二は、同族会社の範囲について、その縮減合理化をはかることであります。すなわち、同族会社の定義を改めまして、三人以下の株主等及びその同族関係者が発行済み株式等の五〇%以上を保有している会社に限り同族会社として取り扱うことといたしております。この結果、従来、四人の株主等及びその同族関係者が発行済み株式等の六〇%以上を保有していることにより同族会社として取り扱われていた会社並びに五人の株主等及びその同族関係者が発行済み株式等の七〇%以上を保有していることにより同族会社として取り扱われていた会社は、同族会社に該当しないこととなり、税制の簡素化に役立つものと考えられます。
 第三は、課税所得の計算の合理化をはかるため、建設業につきまして完成工事補償引き当て金制度を創設することであります。建設業におきましては、完成した建設工事につき欠陥があるときは、瑕疵担保責任に基づき補修を行なうこととなっております。そこで、この補修費の支出に充てるため、各事業年度において完成工事補償引き当て金勘定に繰り入れた金額がある場合には、そのうち、最近における補修の実績を基礎として計算した金額に達するまでの金額を損金の額に算入することを認めることとし、所得計算の合理化をはかることといたしております。
 第四は、主として中小法人の納税手続を簡素化するため、中間申告書の提出を要しない税額の限度を三万円から五万円に引き上げることであります。この引き上げの結果、年一回決算の利益法人の約三五%の法人が中間申告書の提出を要しなぐなるものと見込まれております。
 そのほか、昨年十二月に公布されました国民年金法の一部を改正する法律により創設された国民年金基金の信託の収入・支出につきまして課税しないことを明らかにする等、所要の規定の整備等を行なうことといたしております。
 次に、租税特別措置法について申し上げます。
 今回の改正は、当面の経済社会情勢に即応いたしまして、中小企業の税負担に配意しつつ法人税の負担を引き上げ、利子・配当課税の特例について漸進的な改善合理化をはかるための措置を講ずるとともに、企業体質の強化、中小企業対策、過密過疎対策、基礎資源の開発、情報化の促進などに資するため所要の措置を講ずるほか、あわせて既存の特別措置について所要の整理合理化を行なうことをその内容といたしております。
 第一は、法人税負担の引き上げであります。
 今回の引き上げは、普通法人の昭和四十五年五月一日から昭和四十七年四月三十日までの二年間に終了する事業年度の所得のうち三五%の法人税率が適用される留保分について、法人税負担を現行の五%増に引き上げ三六・七五%とすることとしております。なお、資本金が一億円以下の中小法人の所得のうち年三百万円以下の部分については、特に現在の二八%の税率をそのまま据え置くこととし、中小法人の税負担の軽減について特段の配意を行なっております。
 第二は、利子・配当課税の特例の改正であります。
 まず、利子課税につきましては、昭和四十六年一月一日から昭和五十年十二月三十一日までの間における利子所得を定期預金、公社債、貸付信託等のいわゆる資産性の強い預金等にかかわるものと、普通預金、通知預金等のいわゆる要求払いの預金等にかかわるものとの二つに区分いたしまして、前者については一五%の源泉徴収を受けた上で総合課税とするか源泉分離課税とするかのいずれかを納税者が選択できる制度を設け、一方、後者については一五%の税率による源泉徴収だけで確定申告を要しない制度を設けることとしております。源泉分離課税を選択した場合の税率は、昭和四十六年分及び昭和四十七年分については二〇%、昭和四十八年以後三年分については二五%としております。なお、昭和四十五年十二月三十一日までの間につきましては、従来どおり一五%の税率による源泉分離課税を存置することとしております。
 また、少額国債の利子の別ワク非課税制度につきましては、その適用期限を昭和五十年十二月三十一日まで延長することとするほか、発行後最初の四回の利払いに限って非課税とする現行制度を改めて、全期間の利払いを通じて非課税の対象とすることとしております。
 次に、配当課税につきましては、現在、源泉徴収税率を一五%に軽減する特例、二〇%の税率による源泉分離選択課税制度及び一銘柄年五万円以下の少額配当の申告不要の制度がありますが、利子課税の改正と見合って、源泉分離課税を選択した場合の税率を昭和四十八年以後三年分については二五%に引き上げて、これらの特別措置の適用期限を昭和五十年十二月三十一日まで延長することといたしております。
 また、配当控除率につきましては、さきに御説明いたしました所得税法の改正案におきまして、課税総所得金額一千万円以下の部分については現行の二〇%から一〇%に、同じく一千万円をこえる部分については一〇%から五%にそれぞれ引き下げることとしておりますが、改正による負担の激変を緩和するという観点から、昭和四十六年分及び昭和四十七年分についての控除率をそれぞれ一二・五%及び六・二五%とする措置を講じております。
 さらに、証券投資信託の収益の分配金の課税の特例につきましては、従来から利子課税と同様に取り扱っておりまして、今回の改正におきましても利子と同様に二〇%ないし二五%の税率による源泉分離選択課税制度を導入することとしております。また、割引金融債等の償還差益に対する課税の特例につきましては、利子課税の改正に見合って、発行時における源泉分離課税の税率を現在の五%から昭和四十六年及び昭和四十七年に発行されるものについては八%、昭和四十八年以後三年間に発行されるものについては一〇%にそれぞれ引き上げることとしております。
 第三は、企業体質の強化、中小企業対策等に資するための所要の措置を講ずることであります。
 その一は、企業の体質を強化するための措置でありますが、資本自由化等による経済の国際化の急速な進展に対処して、緊急に産業体制の整備を必要とする業種につきまして、昭和四十五年五月一日から昭和四十七年三月三十一日までの間に行なわれた合併が産業体制の整備に資するものと認められる場合には、合併後三年間割り増し償却を認める制度を創設するとともに、現行の合併に関する登記の登録免許税軽減の特例の適用期限を昭和四十七年三月三十一日まで二年間延長することとしております。
 その二は、中小企業対策に資するための措置であります。
 まず、別途今国会に提案されております下請中小企業振興法の制定に伴い、下請中小企業の振興のため、現行の中小企業構造改善準備金制度に準ずる特例を設けることといたしております。
 また、中小企業者の機械等の五年間三分の一割り増し償却制度につきましては、その適用要件となる中小企業近代化促進法による指定業種の指定期限を昭和四十七年三月三十一日まで二年間延長するとともに、中小企業の貸し倒れ引き当て金の繰り入れ限度額の二割増しの特例、中小企業構造改善準備金、中小企業団体の組織に関する法律に基づき承認を受けた協業組合に対する現物出資の課税の特例等の諸制度について、その適用期限をそれぞれ昭和四十七年三月三十一日まで二年間延長することといたしております。
 その三は、過密過疎対策に資するための措置であります。
 すなわち、大都市及びその周辺地域におけるガス供給設備の緊急かつ計画的な整備を促進するため、ガス事業者の特定ガス供給設備につき、その取得のために支出した金額の四分の一を限度として特定ガス導管工事償却準備金をその工事期間中に積み立てることを認める制度を創設するとともに、産炭地域の工業用機械等について認められている初年度三分の一特別償却制度について、その適用対象事業及び対象資産の範囲について拡充を行ない、産炭地域の振興に資することといたしております。
 その四は、石油資源の開発等基礎資源の開発を促進するための措置であります。
 すなわち、石油資源の開発を行なう法人またはこれに対して投融資を行なう法人の株式を取得した場合について、その価格の低落による損失に備えるため、その株式の取得価額の二分の一以下の金額を石油開発投資損失準備金として積み立てることを認める制度を創設するとともに、鉱業を営む法人に適用されている探鉱準備金及び新鉱床探鉱費の特別控除制度については、その適用期限を昭和四十六年三月三十一日まで一年間延長することとし、この間制度の改善合理化について検討を行なうことといたしております。
 その五は、情報化の促進に資するための措置であります。
 すなわち、情報処理の高度化の要請に応じて電子計算機の普及をはかるため、企業が一定規格以上の電子計算機を取得した場合には、取得価額の五分の一の特別償却を認めることとするほか、電子計算機買い戻し損失準備金制度についてその積み立て率を現行の一〇%から一五%に引き上げ、実情に応じた合理化をはかることといたしております。
 その六は、住宅対策に資するための措置であります。
 すなわち、住宅貯蓄を行なった場合の税額控除制度、給与所得者等が事業主から住宅等の譲渡な受けまたは住宅資金の貸し付け等を受けた場合の経済的利益の非課税の特例及び特定の住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の三百万円の特別控除の諸制度については、その適用期限をそれぞれ昭和四十七年十二月三十一日まで二年間延長するほか、耐火建築物を取得した場合の五年間十割増しの割り増し償却制度については、内容の合理化をはかりつつ適用期限を昭和四十七年三月三十一日まで二年間延長することといたしております。
 以上のほか、株式売買損失準備金制度及び試験研究費を増加した場合の税額控除制度についても、適用期限をそれぞれ二年間延長することとし、また、民間外貨債の利子の非課税制度及び利付外貨債の発行差金の非課税制度について、適用対象となる外貨債の償還期間が現在三年以上となっているのを五年以上に改めた上、その適用期限を二年間延長することといたしております。
 さらに、農業振興地域内の農地等を市町村長の勧告、都道府県知事の調停または農業委員会のあっせんにより譲渡した場合の譲渡所得について新たに百五十万円の特別控除を認めるとともに、同地域内の農地等を取得した場合について事業用資産の買い換えの特例及び登録免許税の軽減の特例を認め、国立公園または国定公園内の特別保護地区として指定された区域内の土地を国または地方公共団体に買い取られた場合の譲渡所得について三百万円の特別控除を認めることといたしております。
 第四は、既存の特別措置についてその整理合理化を行なうことであります。
 特別措置につきましては、従来から、その既得権化、慢性化の排除につとめる必要があり、常にその政策目的の合理性、政策手段としての有効性及び負担の公平を阻害する程度等を厳格に比較検討した上、制度の流動的改廃を行なっているところでありますが、今回の改正におきましても、これと同じ見地から、さきに御説明いたしました利子・配当課税の特例について調整合理化をはかることといたしているほか、次のような整理合理化を行なうことといたしております。
 まず、海運業の再建整備にかかる船舶の償却限度額の特例及び日本万国博覧会出展準備金等すでにその政策目的を果たしたと認められるものについては、その適用期限の到来とともに廃止することといたしております。
 次に、資本構成を改善した場合、特定産業構造改善計画に基づき特定の設備を廃棄した場合及び特定の合併をした場合の三税額控除制度、特定織布業構造改善準備金制度及び事業協同組合等の共同教育施設の割り増し償却制度のように政策手段として期待された効果が見られないものについては、所要の経過措置を講じつつその適用期限の到来とともに廃止することといたしております。
 なお、以上のほか、相続税の課税の対象となった資産を相続税の申告期限後二年以内に譲渡した場合には、その資産にかかる相続税額を譲渡所得計算上の取得費に加算することとする等、所要の規定の整備をはかることといたしております。
 以上、提出三法案について補足して御説明申し上げました。
#7
○委員長(栗原祐幸君) これより質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#8
○成瀬幡治君 大臣の出席が午後という話でございますから、それはそれとして、給与所得者の課税が捕捉率が一〇〇%あって、重税感、負担感というものがある。それから中小企業のほうは、これも税にあえいでおみえになりますが、トーゴーサン(一〇・五・三)というようなことで、事業関係はまあ五だと、農民は三だなんという世俗のことばもあるわけですが、そこで、事業所得のことについてちょっとお尋ねしたいわけですが、たとえば自動車に例をとりましても、メーカーに、原価は幾らですかと、こう言ったところが、なかなか物品税の関係がありまして言わない。そこで、集めるほうも非常に苦労しておみえになるようです。それから事業所得のほうでいえば、今度は小売りは幾らで売ったかということもわかるわけです。小売りから所得を計算するということになれば、仕入れ値段が幾らだと、差し引いて必要経費はどれだけ要ったと、だからこれだけ、こういう方式をとっておみえになるだろうと思う。そうすると、メーカーは原価は秘密ですよと言うけれども、卸なりあるいは小売りに当たっていけば、おのずからそこで原価というものが計算がされるものと実は思うわけです。
 そこで、まず最初にお聞きしたいのは、物品税を徴収するときの課税方式というものはどうやっておみえになるのか、たとえば例はあなたのほうで適当な例でいいですからとって説明をしてもらいたいと思います。
#9
○政府委員(吉國二郎君) 物品税は、御承知のとおり、製造課税の分と小売り課税の分がございます……
#10
○成瀬幡治君 製造課税の場合です。
#11
○政府委員(吉國二郎君) 原則といたしまして、製造課税の場合は、製造者の実売価格を中心にして課税をいたすわけでございますけれども現在、課税の大量化に対応いたしまして、一定の物品は法令で指定をいたします。その表示をした販売価格に対して一定の率によって課税標準を決するというやり方をいたしております。これは、たとえば自動車でございますとか電気器具のようなものは、一般に小売り価格を一定の方法で公示をいたしております。したがいまして、その価格に対しまして蔵出し価格というものがある程度一定いたします。したがいまして、小売り価格を前提としてそれに一定率を乗じたものを課税標準にするという制度を取り入れたわけでございます。さらに、販売会社のようなものをつくりまして、販売会社に安く売って販売会社から売るというやり方をいたしますと、その分だけ御承知のように販売価格が安くなりますので、そういう場合には販売会社の価格を中心にして課税決定をする、こういうような三つのグループがあるわけでございます。
#12
○成瀬幡治君 その場合の法令で指定しておる永のの業種と――品物でもいいです。品物と、それから算定の方式を、ちょっと方程式を教えてもらいたいと思います。
#13
○政府委員(吉國二郎君) この小売り価格を勝手に変えられると困りますので、指定をいたしますのは、再販売価格維持契約をいたしております本の並びに日刊新聞等で価格を明らかにしている本のの中から、業種別に見て一定率を用いることによって正確な課税標準がつかみ得ると認められるものを法令で指定いたしておりますので、相当の数ございます。一例を申し上げますと、小型普通乗用四輪自動車、これが控除率が二四%ということになっております。それからルームクーラー、電気冷蔵庫、電気ストーブ、その他電気器具が相当数ございます。全体で大項目で十七、小項目で計算いたしますと約四十ぐらいです。
#14
○成瀬幡治君 電気器具は何%ですか。
#15
○説明員(田辺昇君) 税法上のこまかい技術の問題でございますので、私がかわりましてお答え申し上げます。
 電気器具と申しましても、また種類が分かれておりまして、たとえば電気冷蔵庫につきましては、大型でございますと三五%、これを引いた残りが税込みのメーカーの販売価格、それから電気湯わかし器、こういうような系統のものは三六%の控除率になっております。それからテレビなどは、大型が三九%でございまして、三八%が小型のテレビでございます。それからステレオ系統のものは三五%、これは部品でございますが、大体そんなことになっております。
#16
○成瀬幡治君 自動車は……。
#17
○説明員(田辺昇君) 先ほどお答え申し上げましたが、小型自動車が二四%ということになっております。
#18
○成瀬幡治君 この数字は、どうやっておつくりになっておるわけですか、基礎計算はどうやっておみえになっておるのですか。
#19
○説明員(田辺昇君) これは、たとえば自動車なら自動車の例をとりますと、その自動車が末端におきまして何台売れましたか、かりにある店を押えまして、それの小売り価格、一般的に現金正価で表示されている額が幾らであるかというものを合計いたしまして、総額の現金正価の額を出します。それに対応するその台数の実際のメーカーの蔵出し価格、これもまた合計して出しまして、その差額が先ほど申し上げましたような一定率としてはじき出される。この一定率は、具体的には、流通段階、卸と小売りのマージン、大ざっぱに申しまして、そういうものを構成しておるというふうに申し上げられるのではないかと思います。
#20
○成瀬幡治君 そうすると、蔵出しのときですから、いわゆる原価――税込みになっておるかどうかそれは別として、その価格はつかめておるわけですね。
#21
○説明員(田辺昇君) 原価ということばは、通常そのものの製造コストをいうものというふうに理解いたしますと、われわれ物品税のほうでつかむ必要がございますのは、その製造コスト・プラス・メーカーの利潤を合計したものがメーカーの販売価格ということになっておりますので、物品税の課税を行ないます場合は、あえてメーカーの販売価格のさらに奥に入った製造コストをつかむ必要はないというふうに理解しております。
#22
○成瀬幡治君 そうすると、製造コスト・プラス利潤、それが物品税の課税標準だと、こういうふうに理解してよろしいのですね。
#23
○説明員(田辺昇君) そういうことが物品税課税標準の一つのたてまえになっております。
#24
○成瀬幡治君 そうしますと、たとえば自動車で申しますと、二四%ですね、卸、小売りのマージンが。これも大体あなたのほうが調べられて多数がこうなっておる、こういうことですが、あるいはカラー・テレビが大型は三九、小型が三八となっておる。そうすると、卸、小売りの自動車とカラーテレビと二つの内訳をちょっと話していただきたい。
#25
○説明員(田辺昇君) 具体的なメーカーのあるものの価格は、それぞれ実際の価格でございますと、この税法で定めております控除率とマージンの幅は違う面が出てまいりますが、いわばこれは税務執行上の便宜を考慮して、納税者の立場、執行官庁の立場を考慮いたしまして、概算的な平均的な率として定められておるものというふうに御理解いただきたいと思います。
#26
○成瀬幡治君 そういうことは理解するが、具体的にどうやって積み上げて、自動車は二四となっておる、それは、卸はこのくらいで、小売りはこうですよ、テレビのほうの大型を三九としたのは、卸はこうで、小売りはこうだという内訳の説明を願いたい。
#27
○説明員(田辺昇君) これは小売りと卸のマージンの額をはじきました合計額で出しておるということではございませんで、先ほど御説明いたしましたように、ある自動車メーカー、たとえばA、B、Cというものがございますと、メーカーを中心にいたしまして、そこでつくられた物の現金正価の額と、末端の蔵出し価格とを押えまして、その平均的な割合が、たとえば六五%である――税込みでございます――というときに、差額が平均的に三五%が、あるメーカーの自動車に対する末端の現金正価の額に適用される一定率、こういうことでございます。
#28
○成瀬幡治君 私がなぜこういうことを質問しておるかというと、たとえばマージンが小型自動車は二四ですよといえば、今度は販売業者でいうなら、小売りの人と卸の人とはおのずから頭からもう税額はほぼ出てくるわけですよ。小売りが二〇%、卸で四%といえば、すぐ頭で計算できるわけです。電気屋さんでもそういう計算はすぐできるわけですよ。だから、そのことを聞いているわけですよ。
#29
○政府委員(吉國二郎君) いま御説明申し上げましたように、これは課税標準を計算するための率でございますので、実売価格――小売りのいわゆる建て値は実売価格ではございませんで、メーカーがこれで売るべしとして発表した価格でございます。したがいまして、今度は、小売り、卸それぞれが幾らで売るかは関係ないわけでございます。たとえば、百万円という建て値の自動車を出したときに、メーカーがそれを幾らで売っておるか、それを把握いたしまして、百万円の自動車には二四%の控除を行なう、メーカーの出荷価格が出ると、こういう算式でございますから、二四%で七十六万円で売ったといたします、これを仕入れた卸業者が幾らで売るかは関係はないわけでございます。製造者の販売価格をつかむのが目的でございますので、物品税としては、小売りがそれを今度は値引きして売ろうが、卸が値引きして売ろうが、それは関係ないことで、具体的な価格とは、小売り、卸の場合とは関係がない方式になっているわけでございます。
#30
○成瀬幡治君 長官、そのことはわかるわけですよ。私は、二四なら二四をなぜきめたのか、三八をなぜきめたのか、そのことが知りたいんですよ。あなたのほうが腰だめできめたというなら、腰だめでもいいわけですよ。ほんとうにはどうやってきめたのか。
#31
○政府委員(吉國二郎君) これは腰だめではございませんで、いま申し上げましたように、これを決定するときに、多数の自動車製造業者の出荷状況を調べまして、出荷の際のその製造者の販売価格の総計をとり、それに対応する建て値としての小売り価格の総計をとって、それがどの程度の割合になっているかを調べまして、それが中で小売り、卸が移動するために小売り価格が変わることはもちろん現実にはございますけれども、メーカーと建て値との関係はそのときの平均価格でほぼ移動しないという前提でございまして、そのときに率をきめる。したがいまして、率をきめるときは、製造者の具体的な販売価格とそれに対応する小売り建て値との割合できめておる、こういうことなんでございます。ですから、その間の小売り、卸のマージンが幾らかということは、結果として二四として出たわけで、それを積み上げて差し引きしたということではないわけでございます。
#32
○成瀬幡治君 そうすると、卸は抜いちゃって、メーカーと小売りとの間のもので二四と出たと、自動車でいうと。そういうことですか。卸のことは全然検討していないのですか。
#33
○政府委員(吉國二郎君) 製造者が卸におろして小売りに回るわけでございますから、製造業者の販売価格と小売り建て値との比較をとりますと、その控除率の二四には、その建て値どおりでやったならば卸と小売りが合計して得たであろうマージンが含まれる結果になるわけでございます。それを、小売り建て値どおりに売らないで、たとえば卸が値引きしたとか小売りが値引きしたということになれば、実際に売られる価格は、さっき申し上げました百万円とは違って、九十何万円に割り引きして売っておるという事実は出ると思いますが、その場合でも、販売業者の売った価格七十六万円というものは変わりませんので、小売り建て値に対して二四%控除した数字をとれば製造者販売価格は必ずつかめる、こういうシステムになっておるわけでございます。
#34
○成瀬幡治君 私は、二四をかければそれがつかめるということはわかるけれども、なぜ自動車は二四が出てきたか。なぜ冷蔵庫は三五が出てきたのか。湯わかし器は三六が出てきた、テレビの大型は三九だ、小型は三八だ、ステレオは三五だと、どうしてそう違って出てきたのか、そこがどうしてもわからぬのだが、わかるように説明してもらいたいということを言っているわけですよ。
#35
○説明員(田辺昇君) ちょっと説明の仕方がまずかったかと思いますが、具体的な数字で御説明したほうがおわかりいただけるかと思います。
 たとえば、末端の新聞で発表されております現金正価が百万円という品物があったと考えますと、それを末端価格で押えておりますから、末端からはじいてまいりますと、その次の段階の卸の段階では、それを八〇という単位で売っておる。小売り、卸の間の二〇のマージンがあった。そのまた前の流通段階で、まあいろいろございますが、また二〇のマージンがあった、いわば卸マージンが。そうしますと、メーカーの出し値が税込みで六〇であったと、こういうふうにお考えいただきたいと思います。六〇はさらに税金が入っております。二割の物品税が入っておるというふうに考えますと、原価といいますか、メーカーの原価とマージン、利潤を加えた五〇にプラス税金が一〇であった。もう一度申し上げますと、メーカーの税込み蔵出し価格が六〇、卸のマージンが二〇、小売りのマージンが二〇、末端の現金正価が一〇〇である、こういうふうにお考えいただきたいと思います。そこで、一〇〇に対しました税込みのメーカーの蔵出し価格六〇との差額の四〇は、一定率として現在物品税法で規定されておる。これは、その規定いたしました当時の自動車メーカーをサンプルでとりまして、税込み蔵出し価格をサンプルでとりまして、台数、合計金額が出てまいります。それから末端の現金正価の額をとりまして、そこから差額を出しまして、それの末端に対する割合を実際の姿を平均的に出した率であります。これは、たとえばお酒でも同じでございます。ウイスキーが末端で幾らで売られるというときに、一定率が三割、二割五分というように、同じような計算過程で出てまいります。
#36
○成瀬幡治君 そうすると、あなたのほうのたとえば自動車の二四を計算したのは、別なことばで言えば、小売りのマージンがどれだけである、卸のマージンが幾らであったと、それを平均して積み上げたものが二四になりましたよと、テレビで言うなら三九になりましたよと、小型は三八になりましたよと、これでいいですか。それじゃ困りはせぬかなあ。
#37
○説明員(田辺昇君) おわり願うために一つ一つの段階を押えたのですが、計算過程はメーカーを主体に押えまして、一〇〇と六〇だけしか押えてございません。計算の過程ではメーカーが主体でございまして、物品税の課税標準はメーカーの蔵出し価格、税込みを押えたいわけでございますから、末端の小売り現金正価の額とメーカーの蔵出し価格しか押えてございません。ただ、御説明するときに、それではおわかりにくいかと思いまして、その差額は理論的には卸、小売りのマージンが含まれておることでございますが、計算過程は両方の端と端だけをとらえているということでございますので、実際のマージンがどのように卸、小売りに配分されるかは必ずしも反映されておりません。それはまた必要ないことでございます。
#38
○成瀬幡治君 そうすると、これはマージンとは無関係なんだ、無関係できめた数字だと、そういうことなんですか。
#39
○説明員(田辺昇君) 具体的なマージンの数字とは関係のない場合が非常に多い。たとえば一〇〇の末端価格が、実際には八〇で売られる場合もございます。また、七〇、九〇で売られる場合がございますので、具体的なマージンが必ずしも四〇であるというわけではございません。
#40
○成瀬幡治君 いや、割引したことは別ですよ。あなたのほうが、現金正価として新聞等に公表されますと、それを押えて、そして逆算して蔵出し価格というものを押えたんだと、こうおっしゃる。その押えてくるときのやり方というものは何かといえば、マージンがないわけなんですよ。卸なんかへ幾らでおろしたというマージンがないわけなんです。小売りなんかのマージンがないわけです。だから、こういう率をきめて、あなたのほうは、現金正価が幾らなんだから、メーカーは幾ら、それは三八ですよ、二四ですよと、こう言うから、何でそれが三八、二四ときめたのか聞いておって、そこがだんだんわからなくなってくる。どうして二四なり三八なり三九と、こういうふうにいろいろときめておられるか。優遇しておるところもあれば、そうじゃないところもあるわけです。
#41
○説明員(田辺昇君) どうも説明の仕方がたいへんへただったかもしれませんですが、物品税は、いずれにしましても、第二種物品の場合はメーカー課税でございますので、卸、小売りのマージンというものは実際問題としてわれわれは考慮する必要はないのでございますけれども、メーカーの蔵出し価格を個々に押える場合に執行上問題があるということを考慮いたしまして、末端の小売り正価を押え、それと蔵出し価格との割合を出したい、それは逆で言いますとその一定率でございますということを御説明申し上げているわけでございまして、その場合に、末端の小売り現金正価というのは、通常のそのときの状態における卸、小売りのマージンなどはもちろん反映されておりますが、具体的には積み上げているわけではない。われわれのほうとして知りたいのは、メーカーの税込みの蔵出し価格を知りたいということでございます。繰り返し御説明申し上げておりましてたいへん申しわけないのでございますが、言わんとするところはそういうことでございますので、御了承願いたいと思います。
#42
○松本賢一君 ちょっと関連して。聞いていてよくわからないんですが、成瀬さんの聞いておられるのは、なぜ自動車は二十四で、なぜテレビは三十九とか、ステレオは幾らだとかなのか。そういうものによってうんと幅が違っていると、それはおかしいようにしろうとは思うんです。そこのところをちょっと説明してもらいたい。
#43
○政府委員(細見卓君) 私もいままで説明を聞いておりましたから、第三者的に申し上げますと、要するに、話が少し食い違いましたのは、ものによって実は小売り、卸のところのマージンが違う。非常に高いものでございますと、常識的に考えまして、安いマージン率でいいわけです。金額としては大きくなりましても、マージン率としては安くて済むわけです。それから安いものですと、ある程度マージン率が高くなければ商売ができない。あるいは新製品のようなものでありますと、小売り段階あるいは卸段階でかなり販売に努力が要るというようなものでございますと、販売政策として、卸売り価格に対してかなり利潤のある形で小売り価格を想定しませんと、品物を扱ってもらえない。そういうことで、商品によってマージン率が違っている。ただ、この率も、永久にそういうものであるというわけではございませんので、いま申しましたように製品の販売の仕方あるいは価格のその後の変動というようなものに応じまして見直していかなければならないわけで、そういう意味で、ここにございますように、政令でそのつど何年かの期間をおきまして見直しながらこの率は必要であれば変えていくということにいたしておるわけで、利潤率の違いをこれでフォローしてまいる、そういうことであるわけでございます。
#44
○松本賢一君 そうすると、実際に小売り商が売る場合に、非常に大きな割引をして、ほとんどそれが常識になっているような品物があるわけですね。テレビみたいなものは二割くらいは引きますよ、小売り商で。そういう場合は、もう初めから現金小売り価格というものを高いところへ持っていってしまっていると、実際は二割なら二割低いところでいいものを高いところへ持っていっておいてあるということになるのじゃないかと思う。そうすると、おのずから控除率とかなんとかいうようなものもそれによってあなた方のほうでの押え方が変わってこなきやならないのじゃないかというような気がするんですが、そういう点はどうなんですか。
#45
○政府委員(細見卓君) そういうふうに全体の小売り価格が変わってまいりましたときには、いまおっしゃるように見直してまいらなければならぬと思いますが、現在のところ、そういう小売り価格、いわば協定的な小売り価格が破られるというのは、かなり特殊な販売形態をとり、しかも、それに対して小売り価格を下げたことに伴ういろんなリベートだとかいうようなつまり正常でない取引形態というようなものが介入している場合がございます。正常でない形態というものにつきましては、税法のたてまえといたしましては正常の取引自体を前提にいたして課税対象としまして、正常でないものは正常でないものとして表に出てこない。たとえば、メーカーがリベートを出しているということもあり得ると思います。そういうものは別といたしまして、取引形態が、つまり小売り価格がそういうものではとても販売できない、一般に値下げをしなければならないというようなことになりましたときには、その段階においてその一定率というのは当然新しい事態に応じた見直しが必要であろう、かように考えます。それがどの段階で全体を変えるか、つまり過半以上の大多数の取引がこれであるというところまで判断するかということは、具体的に個々のケースで判断したければならない問題であろうかと思います。
#46
○成瀬幡治君 卸を当たれば、すぐ仕入れ値段というものはわかりますね。自動車でもカラーテレビでもわかりますね。
#47
○政府委員(吉國二郎君) たてまえとしてはわかるわけでございます。もちろん、そのほかに、リベートというようなものもございますけれども、その場合にはリベートを差し引けばいいわけでございますから、そういう意味では卸ではわかるはずでございます。
#48
○成瀬幡治君 リベートもわかりましょう……。
#49
○政府委員(吉國二郎君) こういう種類の場合には、表だったリベートでございますから、これはもう必ずわかります。
#50
○成瀬幡治君 リベートは物品税の対象になりますか、それを引いたものを対象にするんですか。
#51
○政府委員(吉國二郎君) 物品税の課税標準としては、リベートとしてきちんときまって出すものは控除するというたてまえで進んでおります。さらに、卸から先の運賃等を負担している場合もございます。そういうものは引くというふうに、実は物品税の課税標準の計算はかなりむずかしい点がございます、個別には。したがいまして、大量の製品についてそれを一々個別に課税標準の計算をするのは困難でございますけれども、そういうものを全部含めて一挙に課税標準が出るようにということでこの一定率を考えましたわけで、したがいまして、一定率を計算する場合の製造者の販売価格には、いまのリベートにも理論的にリベートを調整するとか、卸から先の運賃を負担していればその分を引くとかいう操作をして物品税法上正当な課税標準価格に相当する販売価格を出しまして、それと小売りのいわゆる正価販売価格との率をとって一定率をつくっておるわけでございますので、小売りの建て値さえわかれば必ず正常な販売価格は出る、こういうシステムにして簡素化をはかったわけでございます。
#52
○成瀬幡治君 何でそんなことをしたのですか、あなた。卸で蔵出し価格がわかりさえすれば、それにかければいいじゃないですか。何でそんなややこしい小売りとの関係があるのですか。卸でやりさえすれば、市価というものはわかるのじゃないですか、リベートもわかるのじゃないですか。
#53
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のように、物品税の課税標準というものは、書いてございますように、正常な取引に応じて成立する価格という前提をとっております。個別に安い価格で売ったとかいうような場合には、本来あるべき価格にするのがほんとうの考え方で、第十一条を読みますと、「(課税標準)」のところに、「第二種の課税物品でその製造者が当該物品の製造に係る製造場から移出したもの」に対しましては「その製造者が当該物品を当該移出の時において通常の卸取引数量により、かつ、通常の卸取引形態により、その製造場で行なうと否とを問わず、あらゆる購入者に対して自由に販売のため提供するものとした場合における当該物品の販売価格に相当する金額」と。いわば抽象価格と申しますか、具体的に値引きをしたとか、その場合に、その低い値引きでよろしいというわけにいかないので、正当な価格を求めなければいけないというのがたてまえでございます。したがいまして、特殊な卸屋に特別に多くのリベートを出している、そういう場合には、その卸屋のリベートを抜いた価格で直ちに課税標準としての課税を行なえば、これは物品税としては過少になるわけでございます。したがいまして、極端に言えば、各卸屋ごとにそれに対する販売価格が違う場合にはそれを調整して正当な販売価格を求めなければいかぬというたいへんな手続が要るわけでございます。したがいまして、むしろそれよりも、いま申しましたような意味で計算される正当な価格を、せっかく小売りの建て値はきまっておりますから、それとの率をきめて計算したほうが、個々に計算するよりもはるかに正確であるし、また、手数もかからない。そういうことでこの制度は順次でき上がってきたわけでございます。初めは一つか二つでやっておりましたが、これがふえまして現在四十くらいになっております。
#54
○成瀬幡治君 いろいろ数字がつくられてやってきたということは、それはわかります。しかし、それをどうやってつくったかということがわからないから聞いておるわけです。ダンピングが別扱いされていることはわかりきった話ですよ。そうでなくて、新聞に現金正価は幾らですよといって発表される。そして、卸に当たれば、蔵出し価格は幾らになるかすぐわかる。それが三九で適当になった、あるいは三五が適当であるとおっしゃるなら、私はそれならそれで納得できるんですよ。それはなぜかというと、それらはマージンということになるからです。
#55
○政府委員(細見卓君) いまの成瀬先生の言われるとおりでございます。
#56
○成瀬幡治君 私の言うとおりということになると、マージンですよということになりますよ。
#57
○政府委員(吉國二郎君) マージンに相当する部分を控除しているということでございます。
#58
○成瀬幡治君 そうだろう、マージンということだろう……。
#59
○政府委員(吉國二郎君) 具体的なマージンということではございません。
#60
○成瀬幡治君 よくわかった、そういう意味では。具体的なマージンではない、しかし抽象的なマージンだということなら、それは私もわかります。
 ところで、この間公取委の資料としていただきました審判開始決定書というのを見ました。そうすると、カラーテレビは、パレス会を持ったり十日会を持ったりしていろいろ六社協定をしておみえになるようですが、卸のマージンは大体八%、小売りは大体二二%、そうしてリベートは二%から四%、これは終わりのほうですよ。初めのほうを言いましょうか、もっとあなたのほうに都合の悪い数字を。言いますと、初めのうちは小売りマージンは二〇%、卸マージン及びリベートは――御無礼しました。もっと前を言いますと、一番最初の当時は、小売りマージンは一八%以内、卸マージンは八%以内、及びリベートは平均二%以内、最高四%と、こうなっている。あなたのほうがせっかく三八とか三九という数字をやっておみえになるが、この六社は三〇%前後のようですね。これだけたくさん引いてやると、これはメーカーの課税が少なくされておるわけですね。
#61
○政府委員(吉國二郎君) その表面で言っているのは、おそらくそれは業者が言っていると思いますが、実際の調査をいたしますと、このほかに、リベートが各社秘密で出ておったり、あるいは先ほど申し上げましたように運搬費などを販売の場合に負担するという特約もございます。そういうものは課税標準として引かなければいけない。それやこれやをいたしますと、先生のおっしゃったのは、足しますと三〇%でございますが、それになお、隠れたマージン、リベートとか、あるいは運送費とか、そういうものを差し引きますと、大体三七、八%になるのではないか、かように考えるわけでございます。
#62
○成瀬幡治君 これ以上いろいろなことを言ってもいかぬと思いますから、私はここら辺でほこをおさめようと思っておりますが、とにかく管理価格というものが実際あるんですよ。また、寡占になってくれば当然なんですよ。ですから、よほど徴税のほうも目を光らしておいてもらわないと、あなた、メーカーで二%違うとか五%違うということは、たいへんなことなんですよ。目の色を変えて争うのは一、二%なんですよ。それが、税のほうでいきなり何%というような優遇が出てきた数字になれば、メーカーのほうではもうかってしようがないわけだ。それが、実際小売り価格のほうへ影響して、安く売られるとか、たとえば自動車が非常に安く売られるとかカラーテレビが安く売られるというならいいが、逆に値段の引き上げになっておる、寡占ですからね、協定をされて。ですから、こういうようなことをあなた方のほうが行政で手心をやっておみえになるなら、もう少し目を光らして、値段のほうはどうなっておるかということに目を光らしておいてもらわないと、メーカーだけ優遇してもらっちゃ国民がたまらんですよ。取るべきところから税金は遠慮なく取ってもらわないと、所得税のほうはすべて一〇〇%わかるから取っている。私は、給与所得者の脱税の問題よりも、実はこういうところに問題があると思うんですよ。しかも、こんな甘い数字をつくっていろいろなことをやられるというのは、どうも税に対する不信ばっかりになってしまってたいへんだと思うんですよ。
#63
○政府委員(吉國二郎君) この一定率をきめますには相当シビアーな態度でやっておりますので、実質的には甘いことはないと私は信じております。業界ではけんけんごうごうの非難が出ておりますが、これに対しては断固として適正マージンを見ているわけでございます。
#64
○成瀬幡治君 断固やるという吉國長官の決意ですが、しかし、断固断固でいわゆる断固にならぬようにひとつお願いするよりほかないと思い出す。われわれがとやかく言うわけじゃなくて、あなた方がきめられたことがいいぐあいに――とにかく、聞いておってほんとうのことを言うと私は納得せずに時間が来るのでやめざるを得ないということが非常に残念なんですが、また機会をというわけにいかんでしょうから、実はこの辺のところでやめておきます。
#65
○委員長(栗原祐幸君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#66
○委員長(栗原祐幸君) 速記をつけて。
#67
○成瀬幡治君 私は、税の公平というところで非常に問題にしたいのは、一つはギャンブル所得に対してちょっとお尋ねしておきたいのですが、たとえば競馬とか競輪というのが非常にあるわけです、ボートだとか。二五%というのが入って、あと七五%というものはだれかの所得になっているということは間違いないと思うんです。だれかギャンブルで当てて一時所得とか雑所得があってやられた例はございましょうか。
#68
○政府委員(吉國二郎君) 御承知のように、ギャンブルの所得は一時所得になるわけでございますが、もちろん常習でやっておればそれは事業所得になる場合もございます。よく暴力団等で課税される場合は、事業所得で課税をするわけでございます。一時所得で課税した事例はもちろんあるのでございますけれども、具体的には、私、いま手元には持っておりませんが、所得税課長のあれでは一時所得で課税しておる例があるそうでございます。
#69
○成瀬幡治君 それは、自分から進んで申告されたのか、何か手入れがあってそうしてその結果としてやらざるを得なくなったというのか、どうなんでしょう、そこら辺は。
#70
○政府委員(吉國二郎君) もとより申告納税でございますから、大部分の方は正しく申告されるはずだと私は思いますけれども、いまつかんでおりました例はどうもテラ銭のようでございますので、これは調査の結果調べられたものであると思います。本来は一時所得として申告すべきものでございますけれども、御承知のとおり総体としては一〇〇に対して七五しか払い戻しがないというわけでございますので、所得が出てくるというのはよほどうまくやった場合でございますし、一時所得につきましては譲渡所得とあわせて三十万円の特別控除がございます。そういう関係で、普通、競馬場でもうけた程度のものはなかなか課税所得に入ってこないということは言えるのじゃないかと思います。
#71
○成瀬幡治君 一時所得の対象にギャンブルとしてなるべき金額はどのくらいですか。
#72
○政府委員(吉國二郎君) ただいま申し上げましたように、総体としてはいわゆる胴元が取る分が何%かございますが、本来、かけというのは、もうからないものであるはずなんでございます。個別には、それがうまくやった人はどの程度の一時所得を得ているかというのは、ちょっと私ども手元に資料がございません。推計したものも持っておりませんので、ちょっとお答えしかねる次第でございます。
#73
○成瀬幡治君 これは数字が出るでしょう。二五%引きますね。あと、七五%が配当になるわけですね。その配当をもらうわけですね。ですから、その配当は何%ということはわかりますよ。たとえば、百円でやったときに、百二十五円になったとか、いろんなことになるわけですね。ですから、パーセントで出てきますから、一時所得として課税対象になるべき数字というものは押えられるですよ。
#74
○政府委員(吉國二郎君) それは理論的にはそうでございますけれども、通常、一枚の馬券を買わずに、いろいろのものを買っておりますので、つまり、一つ当たるために十枚買っている人もあり、二十枚買っている人もあり、また、そのレースで当たっても次のレースではずれる人もあるということでございますから、総体として考えれば、要するに一〇〇馬券を買って、七五しか払い戻しがないわけでございますから、本質的には総体としては損なわけでございますね。ですから、うまくやった人はどのくらいもうけたかというのは、これは全く事実に基づくので、推計不可能であろうと思います。
#75
○成瀬幡治君 そうすると、あなたの説明を聞いておると、損した人もあるじゃないか、だから損金も認めるということでしょう。
#76
○政府委員(吉國二郎君) 損金は、御承知のとおり、一時所得の損は他の所得に通算いたしません。損は損で、損しつばなしということになるわけでございます。
#77
○成瀬幡治君 長官、あんたは、ギャンブルに対して初めから課税は取れんわいと、わからんで、という態度なんですか。
#78
○政府委員(吉國二郎君) いや、もちろん私は申告納税というたてまえが非常にいいところがあると思いますので、もうけたと思う人は申告をされるのが納税義務者として当然のことである、かように考えているわけであります。
#79
○成瀬幡治君 それじゃ、競馬、競輪その他ギャンブルでどのくらい申告があったのか、まあ一時所得のものですから、なかなか区別ができないとおっしゃればそうだけれども、三十万円以下、あるいは雑所得になるから五万円以下というのでみんな申告しなかった、こういうふうに善意に解釈をして、善意に申告をすべきものがなかったというようなことになるんですか。
#80
○政府委員(吉國二郎君) 正直なところ、そういう統計をとっておりませんので、いま何とも申し上げかねるので、たいへん申しわけないのでございますけれども、一時所得で申告をしている人ももちろんあると思います。先生がおっしゃったような意味で、一時所得がありながら課税に達しないものもあると思います。
#81
○成瀬幡治君 私も、実は、ギャンブルで申告したという人は寡聞にして聞いておらんのです。こういうものでもうけて税金を払ったということは聞かない。しかし、確かに一時所得であったことも間違いないですね。そういうのは、脱税もけっこうですと追及もしないようです。少しぐらい追跡をされてやられてもいいじゃないかと思うんですけれども、ギャンブルのほうの所得はもう手放しでけっこうですと、こういうことなんですか。
#82
○政府委員(吉國二郎君) 理屈を申しますと、ギャンブルも調べるべきかもしれませんが、税務署の現在の態勢では、むしろより大きい脱税をもし見のがしておるとしますればたいへんな問題石ございますので、そちらのほうに集中をしておるのが実情でございます。
#83
○成瀬幡治君 先ほども言われておるように、暴力団との関係もありますし――胴元は大体暴力団が多いだろうと思う。健全なスポーツであった野球にまで伸びてきた。そういうようなことであって、好ましくない方向にこういうギャンブルがいろいろ行きますと、ギャンブルというものを私は頭から一〇〇%悪だときめつけるということもできぬと思いますが、片方では若干の抜け穴がなければならぬだろうということもわかるんですよ。ことほど程度の問題だと思う。ところが、なんにも手綱が引き締まっておらぬので、こういうものはだんだんと拡大されて大きくなっていくばかりなんですよ。ですから、節度というものがおのずから行政の上であっていいだろう。その節度をどこに置くかというのが問題だ。ですから、一つの税としても一つの節度のものになりはしないかという立場に立っていまいろいろな問題を提起しておるわけですがね。ですから、そういう意味で、私は、徴税の責任者である国税庁が何らかの動きを示しておく必要があるだろうと、こう思っておるわけです。
#84
○政府委員(藤田正明君) 成瀬先生のおっしゃることはまことにもっともなんですが、大体、馬券を例にとりますと、百円の中で十円は先に税金として取られておるわけですから、一割はもう全部が税金を納めておるわけなんです。その残りの七五というものが配当になっていくわけです。これはだれの所得に属するか、捕捉するのに非常に困難であろうと思います。申告以外にこれはない。そういう実情がございますけれども、ただいまおっしゃいましたように、ギャンブルが過熱していくことに対して、政府は、どういう処置をとるか、また、税制の面でどういうチェックをするというようにおとりだろうと思うのですが、昭和三十六年に公営競技調査会というものの答申が出て去ります。それによって、現行のギャンブルに類する競馬、競輪、ボートというようなものは、現状維持である、これ以上は伸ばさないというふうな答申がございまして、政府としてはその答申を守って、その線に沿っていっていると思います。
 なお、税制の面でも、おっしゃいましたように何らかの処置をとったらどうかということでございますが、これはひとつ検討をさしていただきます。
#85
○成瀬幡治君 次官の答弁で私もいいと思うんですよ。とにかく、これは八百長がつきものです。ギャンブルというものは八百長がつきものです。しかも、これは、捨てておけば野放しになっていく。ですから、行政の中でどこか絶えず手綱を引き締めさせる姿勢というものがないといけないじゃないか、そういう意味で申し上げているのでして、いまの次官の御答弁で納得いたしますから、これはこれにしておきます。
 それから次にお尋ねしたいのは、主税局長にお尋ねしたいと思っておりますが、交付税がたくさん行き過ぎちゃっているのだから交付税を減らして、三二%というのはとてもたいへんなんだと。だから、いま、あれは政府が借りた形になっておりますね。そういうような議論でいったときに、国税と地方税との問題が大きな問題になるわけです。地方自治体のほうでいえば独立財源がない。それから地方自治体というものは、三割自治というようなことばがある。三割ならええがもっとならたいへんだというような意味です。そういうことは大臣にも御答弁願わなければならぬ政策の問題ですが、一応主税局長としては、国税と地方税とのバランスはいままでの現行法でいいとお考えなのか。そして、このままにしておけば、確かに三税はどんどんふえてまいります。ふえてまいりますから、交付税の伸びは普通の一般財源の伸びよりもよくなるということは確かなんですよね。そういうような点について、何か御見解がございますか。
#86
○政府委員(細見卓君) 地方団体が独自の財源をもって独自な施策を行なうということは、地方自治のたてまえからして一番望ましい姿であることは当然でございますが、問題は、日本のように狭い国土で、産業なりあるいはそのほかの事業活動というようなものが非常に限られた地区に集中してくるという国におきまして、地方団体にまんべんなく存在する財源というのはなかなか見つけにくいわけでございます。御承知のように、法人、個人を含めました所得というのは、だんだん大都市に集中してまいりまして、工場が確かに分散いたしてはまいりますが、それにいたしましても、やっぱり過疎地域というものはどんどん出ていくというのが実情でございますから、そういう意味で独立税を新しく見つけ出すというようなことはなかなかむずかしいわけでございます。そういう意味で、たばこの消費税でありますとかあるいは電気ガス税でありますとかいうようなものが一番普遍性の多い税で、住民税のようなものは、大都市に高所得者が集中する結果、むしろ田舎の住民税は非常に高くなってしまう。あるいは、固定資産税にいたしましても、大都市のほうの評価に比べて地方の評価というのが、一方のほうが非常に値上がりしておるのに一方のほうは値上がりもあまりしない、しかし評価は年々同じような割合で引き上げられている。それから総体的に固定資産税も重いというようなことで、そういう意味で、日本のように全体が一つの経済圏になったところにおきまして独特の財源を見出すというのは非常にむずかしいのじゃなかろうかと思います。
 一方、地方税と国税を見てまいりますと、いまおっしゃいますように、地方税の税額というのは、実は、国税よりも直接税のほうがウエートが大きくなっておるわけなんでございます。これは異様にお考えになるかもしれませんが、現実がそうでございまして、そういう意味で、いまの地方税体系というのに、むしろ国税以上に、間接税的な、何といいますか、つまり、人が住んでいる限り税源があるというような税を見つけなきゃならないのは、国税以上にむしろ問題があるくらいであります。しかし、それはそれといたしましても、地方税の直接税と、国税のいわば三税と申しましても実際に伸びておるのは所得税と法人税ですが、主税が伸びてそれが交付税になっていく。しかも、その主税の伸びは自然増収の八割ぐらいを三税で占めるというような状態でありまして、全体として交付税の伸びのほうが国の財政の伸びよりも大きくなる。そういう意味で、国の財政を圧迫するというようなかっこうになっておるわけであります。そこで、かつて、国と地方との事務配分というものが前提にされた税制を考えるわけでありますから、国の全体の税額をベースにした交付税率というのを考えたらどうかと。事務配分の割合というものは変わらぬわけでありますから、そういう意味で国税全体をベースにした算出の根拠にした交付税を考えたらどうかということも考えたわけでありますが、これは大蔵省がやりますと交付税を切るための知恵だというふうに反発を受けまして、今日まで日の目を見ておらぬわけでありますが、やはり国、地方の事務配分といいますか行政の事務配分を総合して税源についても考え直さないと、このままではやはり大きな行き詰まりが来るのではなかろうかということは考えております。
 ただ、それでは具体的にどういう案があるかということになりますと、大蔵大臣たびたび申し上げておりますように、地方自治との建前論がございまして現実の解決というのはなかなかむずかしゅうございますが、私どもとしては、国、地方を通ずる税制改正というのがもうぼつぼつほっておけない段階に来ておるのではないかと考えております。
#87
○成瀬幡治君 予算編成時期になりますといつも問題になるのは、ただ単に交付税だけにしぼってしまって――私は地方自治体に相当財源を与えてもらわなければならぬという立場に立つわけです。ところが、議論を進めていくと、だんだんと地方自治のほうにそう金はやらぬでもいいじゃないかというような議論になってしまってはたいへん。国がそういう姿勢だというとたいへんなことだになる。地方自治体というものが、三割自治から五割自治になり、七割自治になり、そういうふうになっていかなくちゃいかぬと思う。ところが、議論をすると、どうもさか立ちになっちゃう。しかも、今度、高福祉高負担で、税率を税全体に大体二%アップなんですよ。そうすると、これはたいへんなことなんですね、国でいえば。そうすると、地方もそれに対しての仕事というものが当然地方負担というものもふえてくるわけです。そうすると、二%の財源と申しますか、歳入が二%アップということになると税額を二%アップする、これはたいへんな問題だと実は思うんです。意見を聞いておりますと、何か地方では財源を見つけやすいなんといって、法定外でいくらでもつくっていいようなふうに、これはちょっと私の聞き間違いかもしれぬですが、そんなふうに言われると、どうも、主税局長の意見を聞いていると、地方自治のほうがやり切れぬように思っちゃうんですがね。
#88
○政府委員(細見卓君) そういういまの先生のような御議論があるので、地方税の問題はむずかしいわけです。それじゃ、地方税に、普遍的――普遍的というか、まんべんなくあらゆる地方団体がほぼ行政の必要に応じて、しかも住民からは同じような割合で取れるような税金が現実にあれば、それはそのとおりにするのが理想だと思いますが、所得税のようなものをとりましても、これは長官がいずれお話しする機会もあろうかと思いますが、大都市に所得税なり法人税なりの税額というのはどんどん集中してまいって、いくら人間を大都市に回しても追っつかないというような形があるということは、とりもなおさず、地方税としてそういう所得課税というものを持ってくれば、大都市とそうでない農村地帯あるいは僻村との間に、同じ税で同じ税率で課税したのでは、一方は所得収入がゼロであるのに、一方では非常にたくさんのものが出るというようなことになってまいるわけであります。そこを、それでは望ましい税というのがあるかと。もちろん、地方税に適している条件として、変動がないとか、あるいは普遍的であるとか、あるいは十分な歳入をあげれるとか、いろいろな原則もございますが、その中で日本で一番むずかしいのは、同一の税法で普遍的にそれぞれの団体の必要に応じた程度の歳入が確保できるような税法があれば、それは一番望ましいのでありますが、日本のようにいわば狭い国土に多数の三千からの市町村が存在しておるといたしますと、それに均等に財源が付与できるような税制というのは、私は長い間やってまいりましたが、むしろそういうものはだんだん見つけにくくなる。戦後のある段階は、むしろ均等に発展いたしてまいりましたから、見つけやすかったわけでありますが、むしろそういう意味で非常にむずかしくなってきておる。そういう意味で、衆議院のほうでいろいろ議論が出ましたように、歳入を自分で徴収しなければ地方自治でないのだというような考え方そのものもぼつぼつ考え直さなければならない段階に来ておるのじゃなかろうか。住民に均等な福祉を約束するということであれば、自分のところで取った財源でなければ地方自治というものが成り立たないというふうにお考えになる考え方を変えて、ひも付きでない財源が来る限り、それは国が徴収して地方に分け与えたものであっても、りっぱな独立財源だと考えなければ、とても均等な福祉――むしろ逆に、そういう過疎地域のほうにいろいろな施設をやってまいらなければならぬわけであります。だから、いろいろな行政サービスがむしろ低下しているそういう地域に財源を付与する方法というのは、そういう地方独立税という形では非常にむずかしいのではないかと考えております。
#89
○成瀬幡治君 この問題を議論しますと、事務の再配分の問題等が一番大きな問題になりましょう。しかし、片方では、行政の標準規模というものもある。そういうものもあると思いますが、あなたの議論を聞いていると、交付税をやればいいということになる。交付税の財源をうんとふやして、そうして交付税でどんどんやればいい、ひもつきでなければ。あとのものは、いろいろなことを言うけれども、大体目的税的なものなんですね。だから、そういう議論なら、交付税を減らされる心配はないと思いますので私は安心をしております。この点、よろしくお願いします。(笑声)
 あと、時間ですから、一言だけ聞いておきますが、主税局長、今度租税特別措置法をいろいろ見ておりますと、企業で公害が発生しますね、そういう企業には非常に恩典がたくさん与えられておるわけです。たくさんとは申しませんけれども、とにかく恩典がある。加害者の立場にある人に恩典があるわけです、別なことばで言えば。被害者は国民ですが、公害の被害者に対して何か税制上あるいは金融上優遇措置をお考えになったことはありますか。
#90
○政府委員(細見卓君) 公害対策の第一と申しますのは、やはり根っこの公害が発生しないようにすると、これが第一で、公害を発生するいろいろな企業その他に公害発生を防止するための施設をつくらせるように税制上金融上措置するのがいわば一番正面から取り組んだ方法であることは、お認め願えると思います。そこで、不幸そういう被害者になられた方々について税制上どういうことがいまなされておるかと申しますと、一つは、医療費控除があるわけです。しかし、これは今回限度引き上げその他はいたしますにしても、所得のない方については恩典にならないわけで、多くの場合に公害の被害者だというような方々が二百万も三百万も所得があるというようなわけにもまいらぬと存じますけれども、医療費控除を百万円まで引き上げたことによって、家族の中に一人そういう方ができて、その家全体としては相当の収入があるというような場合には、まあこれも一つの役には立とうかと思います。それからもう一つは、不幸それがさらに障害者の域にまで進んだという方に対しましては、障害者控除、あるいはまた特別な重障害者になられた方には特別障害者控除と、これはそれぞれ一万円引き上げてありますが、特別な控除をいたしまして、重障害者の場合でありますと十四万円を控除するということをいたしております。そういう個人に対しての施策はいたしておりますが、いずれにしましても、これらの控除というのは、所得がない限り恩典が及ばないわけで、問題はそういう方々に医療費なり何なりを支弁するような制度というものの確立が望まれるわけであります。
 そして、御承知のように、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法というのが四十四年十二月から公布になっているわけでございます。これは、都道府県が公害地域として指定された地域の人たちについて医療費その他医療手当等を支給しているわけでありますが、それに対する経費の拠出のために公害防止事業団というのが設けられて、それに対して財界その他から協力態勢として民間側がほぼ半分ということで公害対策協力財団というものを設けたわけでありますが、これに対します資金として一年間約六億円を予定いたしておりますが、これを寄付金の特別ワクとして指定寄付金として、その責任のどうこうということではなくて、企業が進んで寄付をし、ほんとうに必要な医療が行なわれるようないわゆる財政的な裏づけができれるように税制上の措置を講じてございます。
#91
○成瀬幡治君 もう時間がありませんから、またの機会にこの問題についてもう少しお聞きしたいのですが、たとえばいま一番大きいのは、この間公明党さんの調査でも、騒音が一番大きいわけですね。騒音、震動ですが、かりにたとえば高架の道路ができますね。いまかなり高い。そうしますと、高架下に入ったところは、地価も下がりますね。あるいは、その家が木造でかわらがずれてしまう、あるいはたなの物が落ちてどうにもならぬ。そこで、騒音防止のために家を改築しなければならぬ、あるいは木造を耐久の建築にしなくちゃならぬというような問題が出てくるだろうと思います。あるいは、悪臭の問題もありましょう。あるいは、いままでは自分の前で洗たくものは干せたけれども、もう干せなくなってしまった。日照権の問題もありましょう。そういうようなことについて具体的に何か国は対策は講じられておるのかどうか、ないとするならば今後おやりになろうとする気持ちがあるのかどうか。
#92
○政府委員(細見卓君) 公害の問題はこれから真剣に考えてまいらなければならない問題でございますので、いまおっしゃったようなことを含めまして、税制の中にうまくなじんで入ってくるかどうか、十分検討してみたいと思います。
#93
○委員長(栗原祐幸君) 午後一時十分に再開することといたしまして、休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十八分開会
#94
○委員長(栗原祐幸君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#95
○戸田菊雄君 大臣にお伺いをしたいと思うのでありますが、いままでの審議でたびたび大臣も言明をされておるわけでありますが、今後の税増収の対象というものはできるだけ間接税に重点を置いていきたい、こういうことなんでありますが、その場合、間接税の何に一体中心を置いて考えられているのか、その辺の見解をまずお伺いしたい。
#96
○国務大臣(福田赳夫君) お話しのように、私は、今後の税制を検討する場合において、間接税が問題になってくるというふうに見通しを持っておるわけです。国費がだんだんとふえてくる、いま租税負担率は国民所得に対しまして一八%、どうもこの数年間を見通すと、一、二%上がってくる傾向はやむを得ない傾向ではあるまいか、こういうふうに見ておるわけであります。それが一つと、もう一つは、いまの所得税がどうも国民に負担感というものを与えておる、こういうふうに見ておるわけでありまして、これからも経済の様相が変わってきますが、それも配慮しながら所得税減税というものを進めていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。その二つの事情から、どうしてもその補てんということを考えなければならない。その財源補てんの財源対策といたしまして何を考えるかというと、どうしてもこれは間接税にならざるを得ない。ただ、しかし、私は、しばしば申し上げておりますように、間接税中心主義に持っていこうというのじゃない。直接税中心主義は従来のとおりでありますが、その補完的な役割りとしての間接税を強化しよう、こういう考え方であります。したがいまして、いま直ちに全面的な間接税体系の採用、つまり売り上げ高税でありますとか、付加価値税でありますとか、そういうことを考えておるわけじゃないんで、これは十分私は勉強はしてみたいと思うのですが、これを直ちに実施するという考え方は持っておりません。持っておりますのは、個別消費税といいますか、特殊の物品税について新しい対象はないかというようなこととか、あるいは他に適当な消費税対象はないか、そういうようなものをまあ国会でも済みましたらひとつ模索してみたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#97
○戸田菊雄君 ここで税調の答申内容を含めていろいろお伺いをしてまいりたいと思うのでありますが、きょう東畑会長が出席できないということでありますので、相当数省きますけれども、その中の一、二についてお伺いをしたいと思うのであります。
 この答申の内容を見ますと、今後間接税は拡大方向でいきなさい、具体的には間接税の低下に備えて適正化――まあこの適正化ということばをこの前も聞いたのでありますが、私が理解するならばこれは一つの増税政策だと思うのであります。いずれにいたしましても、範囲拡大でいきなさい、こういった方向を言っておるわけですね。いま大蔵大臣の答弁がなされましたように、消費税等を中心に何かいい名目をつけるものはないかというような構想ですね。だから、どうしても考えられることは、新しく新税を創設する、そういう中で税範囲というものを拡大をしたい、こういうことに理解をされるわけでありますが、そういうことになりますと、従来の歴史的な経過なりあるいは今後の状況、財政需要等に伴ってだんだん拡大をしていくわけでありますから、その歳入面を何とか確保していかなければいけない。そうすると、いま大臣が言われたような方向に行かざるを得ない。そうすると、いまのところは早期にそういうことは着手されるかどうかわかりませんが、一つはやっぱりたばこ消費税の創設等が考えられるのではないだろうか、こういうふうに考えるわけなんでありますが、その辺はどうでしょうか。
#98
○国務大臣(福田赳夫君) 税制調査会ではたばこ消費税の創設を示唆いたしておるわけです。しかし、これは収益目的じゃないんです。あるいは、中央、地方の配分という問題に着目し、また、専売公社の企業経営が企業体としてその任を尽くすというためには納付金制度よりは消費税制度が適当である、こういうような考え方に立つものでございますが、私は、いま、消費税に専売納付金を転換するかどうかにつきましては、検討をいたしておる最中なんです。なるほどこの調査会が言うような理由というものは考えられます。特に専売公社は企業体である、その企業体である専売公社が余った益金は、それをそっくり国庫に納付をする、あるいは地方に分け与える、そういうようなことでありますと、企業意欲というか企業経営という面から見まして問題がある。むしろ、調査会が言うように、税はこれだけだというふうにきまっておって、その前提に立って企業運営をしていくというほうがさらに合理的な運営ができる、こういうふうに考えますが、実際問題としますと、中央、地方の配分が技術的に非常にむずかしい問題があるんです。さあ「光」をどういうふうに分けるか、まあいろいろな種類のたばこがあります。その一つ一つについて、配分問題というのが、中央、地方の財政調整ともからまりまして非常にデリケートでむずかしい問題になりますので、まだ結論を得るに至っておらない、そういうような状態でございますが、考え方自体とすると非常にメリットのある考え方でありますので、これは前向きでなお検討を続けてみたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
#99
○戸田菊雄君 いま大臣の答弁のようなことで、答申もおおむねその辺のニュアンスでありますが、結局、政府としては、専売納付金は一定の収入を確保していこうという考えに立っていることは間違いないと思うんですね。かりに、四十三年度にたばこの値段の引き上げをしたが、そういうことになってまいりますと、一面では専売益金の納付金が若干減少していく。だから、政府の立場からは、一定のたばこの納付金の収入というものを確保していく、こういう上に立つとすれば、従来の納付金制度のものを消費税体制に変えて、そうしてあくまでも一定の国庫収入というものを確保できると、こういうふうに行くのは当然だろうというふうに考えます。だから、そういうことになれば、たとえば従価税にすれば、原価が上がれば税収は増大する。さらに、従量税にすれば、原価に関係なく一定の税収は確保できる。そういうことになってくると、たばこの消費税というものは、今後の間接税その他物品税を拡大する方向としては一番手っ取り早いんじゃないか。そうして、なおかつ、政府が一定の国庫収入をあくまでも確保して、一定の収入を厳然と納まるように体制を確保するとすれば、これ以外はないんじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、その結果私は非常に心配するのは、たばこ消費税にかえたときには非常に大衆課税という方向に行くことは免れないと思うんですね。それからもう一つは、現にいま専売公社は企業内としての合理化ということで十カ年基本計画を立てて、さしあたって中期計画五年間で大幅に要員削減といった一連の合理化政策をやっておるわけです。だから、そういう二面性を持ってくる。たばこ消費税というものが成立をした場合には必ずこういう結論になってくると思う。いまそういう二面性の運動がやや進行しつつあるんですね。だから、かりにそういうものを設定をする場合、こういう一つの弊害と申しますか影響といいますか、そういうものをできるだけ排除をしていくような配慮というものが必至じゃないか、こういうふうに考えるのでありますが、その辺、仮定の問題で申しわけないのでありますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
#100
○国務大臣(福田赳夫君) 調査会が言っているのは、増収というわけではないんです。増収は、基本的にはたばこの販売価格の改定、これがなければ、消費税主義をとろうが、あるいは納付金主義をとろうが、多少の違いはあるかもしれませんけれども、そう大した違いはなかろうと思います。問題は、何といいますか、消費税をとるにいたしましても、あるいは納付金制度をとるにいたしましても、納付金の場合におきましては販売価格というものが直接的にきまります。しかし、消費税の場合におきましては、税込めをもって販売価格がきまるということになりますが、その税込め価格の販売価格とそれから納付金制度下における販売価格がそう大きな違いがないということでありますれば、これは私は国民に与える影響というものはそうさしたることはなかろうと、こういうふうにまあ思いますが、とにかく、制度を改正するゆえんのものは、増収ということを考えているわけではないのです。そうではなくて、そのほうが企業経営の面におきまして合理的ではないかと、こういうことなんです。そういうメリットというのは確かに私はあると思いますので、検討に値する考え方だと、こういうふうに考えておりますが、さあこれを実施するということになると、地方との配分というような技術的に末端の処理においてなかなかうるさい問題がありますので、まだ結論を得るに至らない、こういう状態であります。
#101
○戸田菊雄君 次に、やはり答申で実は指摘をしておられるわけでありますが、物品税の課税拡大の問題、いま大臣もちょっとそういうふうな答弁をなさっておられるのでありますが、答申の内容では、「広く一般消費物品及びサービスに対する課税を行なっている西欧諸国の間接税体系とは著しく対照的なところである。」云々ということで、具体的には消費及びサービスに対する課税の比重が非常に低い、そういうことばを使って答申を行なっているわけですね。この内容を私なりにずっと判断をしますというと、一般消費税の中で売り上げ高税ないし変種としての付加価値税、こういうものを将来は設けなさいということを言っているのではないかと思うのです。いま冒頭の答弁で、大臣はいまのところ考えていないと。しかし、早晩こういうものがやはり創設されるということになるのではないか。ことに、大臣は、いままでの答弁の中で、来年は税調に洗いざらいこういった問題をかけて、そうして総ざらいをしていく、そうして今後の答申に従った方向に行くというのであれば、当然これは浮かび上がってくる問題ではないかというふうに実は考えるわけなんです。
 そこで、具体的に考えていった場合に、物品税についてでございますけれども、ことにこの答申が指摘をしている「一部の高級消費財」――これは事務当局に聞きましたら、高級消費財というのはおおむね三つだと言われる。その一つは、絹織物等が入っているわけです。それは、税調の指摘に対して事務当局の見解というものも入ってきているわけですね。当然そういった売り上げ高税というものの創設を早晩やってくるのではないか。これは大臣が税調にはかるわけです。税調はそういう意思を持っているわけです。だから、これを拡大をし、間接税に若干ウエートを置いて、それはもちろん補完的な意味ですけれども、そういうことになってくるということになれば、当然私はここに帰結をしてくるのではないか、こういうふうに考えますけれども、そういう場合に、これは、負担の均衡ということ、あるいは税の公平、こういうものに非常に抵触してくる問題であろうと思うのであります。ですから、そういう問題に対する一つの見通しについて大臣の明確な見解を伺っておきたい。
#102
○国務大臣(福田赳夫君) 税制調査会は消費税について検討するということを言っておりますが、しかし、一般的な売り上げ高税とか、あるいは付加価値税というようなものを目ざしましてこの答申はやっておるわけではないんです。消費税についてもう少し検討してみたらどうだというようなことで、ニュアンスとすれば、むしろそういう一般的な消費税体系論というものを打ち出しているわけではございません、いままでの税制調査会は。私は、一般的な売り上げ高税とか付加価値税というものは物価にかなり大きな影響があるのではないか、こういうふうに見ておるわけであります。いま、何といっても、当面する国民的な課題は物価問題であります。そういう物価問題のむずかしいこの際に、全面的に消費税体系というものを取り入れる、これは私は不可能である、また、なすべきものではない、こういうふうに考えます。
 そこで、個別的な消費税体系の強化、そういう考え方をとるわけでございますが、この個別的な消費税体系、消費税強化というふうに申し上げましても、これは与える物価への影響というものは特に配慮しなければならぬ、そういうふうに考えているわけであります。この物価への影響度、これも重要な要素にしなければならない。しかし、現在のたとえば物品税に例をとりますと、この税がきまりましてから時間もたっており、その間にかなり急激な経済変化もある。そういうようなことから、実情に適しない面もあるように見受けられます。物品税を動かすということは、これは政治的に見まするとなかなか容易なことじゃございませんけれども、その困難を排してひとつ物品税の再検討というものもしてみたい。また、物品税以外におきましても適当な課税対象というものはないものかどうかということもひとつ相談をしてみたいと、こういうふうに考えておりますが、とにかく、税制調査会の意見もよく聞きますが、税制調査会は、付加価値税あるいは売り上げ高税にこれを取り上ぐべしという見解をいま具体的に出しているものではないということをひとつ御了承置き願いたいと思います。
#103
○戸田菊雄君 いま大臣がおっしゃられる、具体的にどういうものを創設しなさい、こういったことは一言も確かに言っておりません。言っておりませんけれども、こういうことは言っているんですね。かって課税が廃止された物品及び新規の物品について課税対象に取り入れなさい、こういうことははっきり言っているんですね。だから、そういうことになりますと、いろいろ想定できますけれども、私はいま指摘したような売り上げ高税というものはその筆頭格に入ってくるのじゃないだろうか、こういう推測をするわけなんであります。こういったことについていろいろ検討してみたい、こういうことでありますが、もうすでにこの答申が出まして、四十三年でありますから、自来今日までおおむね二年間の時日が経過をしているわけですね。この間の事務当局の答弁では、もっぱら所得税減税に重点を置いて検討をしていてそこまで手が回らなかった、こういうことなんでありますが、しかし、少なくともいままでの政府の態度としては、税調答申をでき得るだけ完ぺきに実施していきたい、こういうことでありますから、幾ばくかの間接税、物品税等に対する検討もやられてきているのじゃないかと、こういうふうに考えるのでありますが、その辺の措置についてもし検討されておれば、事務当局のほうからお答えを願いたい。
#104
○政府委員(細見卓君) 間接税の問題は、特に個別物品税の問題は、先ほど大臣からもお答え申しましたように、ねらい打ち的に課税をするわけでありますので、その課税を決定するにあたりましてはいろいろ困難な問題があることは御承知のとおりで、そういう意味で間接税について絶えず私どもは検討してまいらなければならないとは思っておりますが、かっての繊維関係の課税について、三べんも法案を出して三回とも成立を見なかったというような事例もございます。ここで答申で申しておりますことは、そういうようなことがあったにしても、やはり間接税というものが税制の中で相当な役割りを占めるべきものであり、また、その間接税が、物価なりあるいは所得水準の上昇に伴いまして、特に従量税のようなものは相対的に軽くなっていく。しかも、その物品が消品態様の多様化なりあるいは変化に対応できなくて、本来課税理論としては課税すべき物品が課税されないままに放置されておるので、その点についてたとえば従価税を取り入れてみるとか、あるいはまた、新規物品について、かつて課税が廃止されたとかいうようなことにこだわらずに、広く消費の実態に即応した課税ができるように物品を見直すべしというようなのがこの答申の意見でありまして、そういう意味合いにつきましてはいろいろその後の消費の状況というようなものについてそれなりの調査はいたしておりますが、さて、これを課税物品にすべきかというようなことまでは至っておりません。また、新規の物品を新たに課税いたすということになりますと、それなりにたいへんな事柄でありますので、具体的に税制調査会の答申を求めるとか、あるいは品目の品目についても勧告を受けるとかいうようなことまでいたしませんと、ただ事務当局で検討したからこれは課税できるというほど容易なものではないことは御案内のとおりで、その意味でいろいろな検討はいたしておりますが、具体的な案までは至っておりません。
#105
○戸田菊雄君 これは仮定のことで申しわけないのでありますが、かりに税調が来年そういうことで作業をやって、結果的にそういう新税の創設をしなさいと、まあそこまで行くかどうかわかりませんが、いずれにしても事務当局で検討した結果そういうことになったということになれば、当然売り上げ税なり付加価値税というものが浮かび上がってくると思うんですが、その際に、大臣としては、売り上げ税なり付加価値税どっちが現実的に日本の税制にとっていいと思いますか、これは仮定で申しわけないんですが。
#106
○国務大臣(福田赳夫君) 税制調査会がさような答申をしてくるであろうということは想像できませんです。それからかりに万々一そういう御答申がありましても、私どもは、先ほど申し上げました物価体制、物価事情、そういうことを考えますときに、そういう一般的な間接税の増徴ということは適当でない、こういうことで、いま付加価値税あるいは売り上げ高税というようなものにつきましてその利害得失を論じてはおりませんです。
#107
○戸田菊雄君 そうしますと、ここ当分そういうことは考えなくてもよろしいと、こういう見解でいいんでしょうか。
#108
○国務大臣(福田赳夫君) そのように考えております。
#109
○戸田菊雄君 当分の範囲ですけれども、これはおのおの見解によってあれだろうと思うんですが、ただ、私は見のがし得ないのは、オランダでも七二年までには税率を全体統一をして課税体制の整備を行ないたいと。あるいは、フランスでは、もうすでにこの付加価値税というものを創設をして、すでに実行している。あるいは、西ドイツにおいても、そういう実行に入っておるわけですね。ないしは、EECで関係参加国もすべて一九七〇年の一月一日までにそういう体制をとりなさいと。西欧先進諸国家といわれる各国においては、もう一様にそういうことで出発をしておるわけです。日本の場合も、高度経済成長でどんどん財政が拡大をして、どうしても歳入面の検討に迫られる。その場合に、いま言ったようなことが具体的に考えられるとすると、一般的には、いま大臣がおっしゃられたように再検討の時期だと私も思うが、結果的に推し進めていくと、私はどうしてもその辺にぶつからざるを得ないということでいま質問をしたわけですが、こういう諸外国の影響と日本の税制全般のかね合いというものは、大臣は、どうお考えになりますか。
#110
○国務大臣(福田赳夫君) 古くから売り上げ高税なんというようなものをやっておりますフランス、こういう国は、もうその体系が国民の間に定着をしておる、こういうようなことで今日の経済情勢の変化の中においてもそれほど問題は起こしておらぬというふうに思うんですが、いままで一般的にそういう税制をとっていないという国が新たにそういう課税体系をとるということになると、かなりこれは問題を起こしております。たとえば、いまオランダの話がありましたが、オランダが昨年卸売り物価が実に暴騰をいたしたわけであります。あれは、おそらく八、九%卸売り物価が一挙に上がった。なぜかというと、売り上げ高税の創設ということに原因があるというふうに見られておるわけであります。わが国におきましても、いま物価問題をめぐって経済諸事情が非常に大事な時期であるという際でありますので、ここでこの段階で物価問題にほんとに直撃的な影響のあるような売り上げ高税、付加価値税というようなことをやってのけるということはかなり冒険じゃあるまいか、こういうふうに見ておりまして、まあ諸外国の事例、最近に売り上高税を採用したオランダのことなんかを考えてみますと、まさに日本はこの事実をよく踏んまえて行動しなければならないだろう、かように見ておるわけであります。
#111
○戸田菊雄君 しかし、財政面からちょっと検討いたしますと、少なくとも財政収入は今後大幅に増大していく、その中から要素が一つ生まれてくると思います。もう一つは、そういう角度でどうしても増税政策をとらなければいけないということになってくると思うのであります。たとえば成瀬理事の資料の内容をずっと見ましても、たとえば「主要税目別の当初予算における自然増収額及び増収率の推移」あるいは「一人当たり国民所得に対する国税、地方税の負担割合」と、各般の資料がある。非常に膨大にふえてきている。そういうことで、今後もそういうことから歳入面に対する税金から来る収入というのは非常にふえていく傾向にあると思います。あるいは、景気調整を何らかの手段でやっていかなければならないということになる。そういう各般の財政事情から、どうしてもそういう面でも税制の付加価値税なるものの創設はいやおうなしに追い込まれているのじゃないかと思うんです。そういう結果になるような気がするんです。そういうことになりますと、どうしても有効需要抑制ということにならざるを得ない。そういうことになると、大体付加価値税というものが一番効果を発揮するのじゃないかと私は思いますが、その辺の見解は大臣はどうですか。
#112
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、多少見通しについては見解が違うのですがね。日本の経済は今後とも成長発展を続けるであろう。そうすると、その成長発展に伴いまして直接税のほうの収入はかなりふえてくるというふうに見ております。その中におきまして、所得税は、現在の税制をほうっておきますと、私は負担感がかなり高まってくるというふうに思います。そこで、どうしても所得税の減税はしなければならぬというふうに思いますが、その所得税減税によって起きるところの歳入不足、あるいは、これから道路だとか下水道だとか上水道だとか、そういう社会資本の立ちおくれの取り戻しという問題でふえる財政需要、そういうものは大かた自然増収がこれをまかなう、こういうふうになると思うのです。しかし、それでも足りないような状態が出てくるだろうということを考えまするときに、まあその用意もしておかなければならぬというふうに見ておるのでございます。日本の財政が近い将来において全面的な間接税課税制度の採用へ追い込まれるというような状態とは見通しておりませんです。
#113
○戸田菊雄君 事務当局にちょっとお伺いをしたいのでありますが、戦前比でいきまして、現在、所得税のところでけっこうですけれども、倍数でどのくらいになっておりますか、それから物価の値上がりですね、これは大体どのくらいになりましょうか。
#114
○政府委員(細見卓君) 計数は後ほど申し上げますが、その際にぜひお考え願いたいのは、一つは、戦前に昭和九年ないし十一年をとりますと、そのころの税収による収入は当時歳入の半分を若干上回る程度でありまして、しかも、その税収の中の直接税は全体の三割五分程度、間接税が六割五分程度、いまの直接税、間接税のちょうど逆になっておるわけでありますので、そういう意味で、先般も木村委員から、課税最低限を比べて、当時は百五万になる、いまのは百三万じゃないかというお話がございましたが、税構造が全然違いますので、あるいは所得の階層というのも全然違いますので、その点については一がいに言うのはむしろ適当ではないのじゃないかということを大臣が木村委員にお答えしておりますが、そういう意味で、しいて数字を言えとおっしゃれば一億三千六百万でございまして、全体の中の構成比は所得税では二・一%でございます。それが、四十五年におきましては、税収が二兆三千五十五億円で、一二・二%の構成割合になっております。物価倍数は後ほど調べてお答えいたします。いずれにしましても、換算いたしますと、たしか百五万ないし百六万になります、課税最低限は。
#115
○戸田菊雄君 私の調査によりますと、戦前比比較で税金関係は二千六百倍程度ですね。物価は八百六十倍程度じゃないかと思う。ですから、いろいろ調べて見ますと、物価よりも税金のほうがはるかに倍率において大きくなっているわけですね。これはなぜかといえば、いかに税金がいわば低所得者層まで拡大をされて課税されているかということになると思う。納税人員の推移経過の過般の大蔵省の資料を見ましてもそういうことが言えるのでありますが、こういう膨大な税金が比較的低所得層に全体が向けられている。ですから、大臣がおっしゃられるように、所得税減税中心に十分検討すると。しかし、いままでは、主として中堅サラリーマン、百五十万円以上、こういうものを対象に四十五年度も行なわれましたし、今後もそういうふうに言われたのでありますが、何らかの形においてそういう低所得者層に対する減税のきめ手、そういうものをも具体的に検討する時期ではないか。幸いに大臣がそういうことをやるというならば、むしろそういうものを重点に据えて検討することが至当じゃないかと思うのですが、その辺はどうでしょう。
#116
○国務大臣(福田赳夫君) いま戸田さんが戦前対比でいろいろお話しがありましたが、これは五百六十三倍になります。それで戦前基準年次の予算の規模は二十二億円です。そのデフレーターでいきますと、一兆一千億円くらいになりますか。それがいま八兆円になっております。つまり、八倍まではいきませんけれども、八倍近く財政規模が膨大化しておるわけであります。したがいまして、国民の税負担がそれだけふえるということは、これはそのとおりふえておるわけであります。
 問題は、それをどういう階層がまかなうかと、こういう問題でありますが、戦前は一兆一千億、その中の六五%を国民大衆の負担というか消費税でまかなっておるという状態でございますが、今日は直接税でこれをまかなっておる。私は、国民の租税負担力に応じて租税負担が行なわれておる今日の直接税中心の財政のあり方というものは、これはまことにかっこうのいい状態じゃないか、こういうふうに見ておるわけであります。ただ、そのかっこうは、大きく見ると、いい中におきまして御指摘のような所得の低い階層というものが負担感というものを感ずる、そういう点をよく見きわめまして今後の所得税減税問題という問題と取り組んでいかなければならぬかなと、こういうふうに考えておるわけです。ただ、いま財政の規模は膨大になりましたけれども、国民の負担力もまたこれは非常に高くなっておるわけでありまするから、それだけ税がふえましても――しかし、課税最低限というようなところから見ますると、戦前のその一兆一千億円の財政をささえる所得税の最低限は、今日の物価で換算していきますと大体百五万円くらいになるのです。今度はそれを百三万円に持っていこう、こういうのですから、そうその大きな開きはないような状態になってきておるのでありますが、まあしかし国民のいろいろな声を聞きましてきめこまかい配慮をしていかなければならぬ、そういうふうに考えております。
#117
○戸田菊雄君 所得税の減税は引き続いて行なうということは、大臣は何回もおっしゃられているわけです。そうしますと、当然私は自然増収の見合いの中において所得税減税というものを一定の割合で確保していくということは必要じゃないかと思うんですね。三十九年の長期税制答申の中では、自然増収の二〇%程度ですね、こういうものを確保しなさいと。ところが、四十三年の税制答申の中へ来ますと、これが不当に一方的に何だか拘束するような印象を与えるから、こういうものはやめなさいというので、だいぶ関係方面から反論があったわけですね。四十三年の答申の中には、そういうものは全然帳消しになっております。しかし、ほんとうに今後所得税減税というものをいろいろ政府が検討されていくならば、自然増収の一定割合というものをどの程度まで減税措置に回すと、こういうようなことの目標があってもいいのではないか。従来あったのですが、これを何も帳消しにして抹殺するようなこともことさら必要ないのじゃないかと思いますが、この辺はどうでしょう。
#118
○国務大臣(福田赳夫君) 今後の財政はその規模がかなり拡大をしていく、こういうふうに見ておるわけですが、その間に処しまして、経済情勢は長い目で見ればかなりの発展はするだろうと思いますけれども、その年々によってかなりの動きがあるということもまた考えておかなければならぬ、そういう際でありますので、一定の基準を設けて減税を行なうという硬直した考え方はいかがであろうかと、こういうふうに思うわけであります。財政の状況によりましては二〇%以上してもいいじゃないか、あるいは、経済情勢等もにらみ合わせますと、そういう減税をすることは適当でないという、そういう時期もあるかもしれない。要は、経済情勢がこれから変わってきますから、その変わりを見詰めながらきめのこまかい所得税、特に低所得者についての配慮をしていくということじゃなかろうか、そういうふうに考えておるわけであります。
#119
○戸田菊雄君 成瀬理事の資料によりますと、「主要税目別の当初予算における自然増収額及び増収率の推移」というのがある。これを見ますと、所得税の場合でありますけれども、年々自然増収というものが増大している。これは当然だろうと思うのです。当然だろうと思うのでありますが、そういう中で次のページの「自然増収額に対する減税額の割合」というのを見ますと、今年度の場合は確かに一七・九%です。しかし、これは戦後最高といったようなものじゃないんです。前回にもあるわけでありますから、こういうことで一定の計数をながめてまいりますと、四十年が一七・三%、四十一年が二〇・九%、四十二年が一四・七%、四十三年が二・一%、四十四年が一二・六%、四十五年が一七・九%と、こういうことになっている。ただし、これは、四十三年は私の記憶では実質減税ゼロということになっていると思うのでありますが、そういう経緯を見ますると、いずれも従来三十九年の税制答申に基づく二〇%にはほど遠いという状況ですね。もちろん、今年度なんかは、公債発行減額に五百億円回した、そういうこともありますが、しかし、補正予算を組んで自然増収との問題でいろいろ問題になったように、やっぱり私は長期答申で指摘をしたような二〇%程度の減税をやろうと思えばできるんじゃないか、まあこういうように考えるんですね。たとえば、私の計算で、いま社会党案でいう基本的に百五十万円というのはちょっと無理ですから、今次国会で暫定予算でわれわれが出したようなあの程度のものなら、おそらく総体予算で五千八百億円程度ですかね、私はいまそういう記憶があるんですが、その程度あればあの社会党案というのは実現できそうだ。基本要求の五人家族でいった場合に百五十万円、こういう程度で基礎控除その他をずっと整理をしていきますと、おおむね一兆円近い予算がかかってきますから、こうなれば私は自然増収その他財政の状態からいってたいへんなものだと思うのですが、しかし、いまの段階でもその辺ならできそうだと私は思うのでありますが、そういう意味合いで、ひとつ、大臣、今後本問題等については十分検討していただきたいと思うんですが、その辺はどうでしょうか、見通しは。
#120
○国務大臣(福田赳夫君) まあ自然増収の一定割合を目標としながら減税と取り組む、こういうようなお話ですが、私は、自然増収全体を見詰めるということ、これは全然意味がないというふうには思いませんけれども、問題は、いま戸田さんが議論をされておるのは所得税にあるわけですから、所得税の自然増収が幾らある、そのうち一体所得税の減税に幾ら回るのか、こういうことじゃないかというふうに、まあそういう見方も同じ議論からすれば重要な要素になってくるのじゃないか、そういうふうに思いますが、ことしなんかは、争ういう見地から言いますと、実に所得税自然増収額に対して三八%の減税をやっている、こういうことになるわけでありまして、これはかなりの額が所得税減税に回っておる、大きな努力が払われておる、こういうふうに評価していただきたいというふうな気持ちを持っておるわけであります。しかし、問題は、自然増収が幾らあるかということもさることながら、もう一つは、社会資本のおくれの取り戻し、また、社会保障の拡充という問題をどういうふうに扱うか、こういうこともまた考えておかなければならぬ問題でありまして、歳入、歳出をにらみ合わせ、所得税の自然増収が一体どうなるんだろうというようなことも考えながら総合的な判断、これが大事じゃないか、そういうふうな感じがするのですが、御所見もまあ私ども今後いろいろと検討さしていただくことにいたしたいと存じます。
#121
○戸田菊雄君 時間もなくなってまいりましたので、租税特別措置関係ですが、今回、若干の統廃合、合理化を促進して、若干の増収を見たわけです。逆の面で、開発資源とか情報化産業、言ってみれば今後の中心産業にささえられる分については逆に拡大してきたわけですね。そうしますと、税がきわめて不公平になる。そういう税の分担からいって、早期にこれは検討しなさいというようなことになっているわけです。さらに、大蔵省も、いままでいろいろな質問の経過の中で、政策的効果というのは疑いがある、さしてその中に効果は期待できない、こういう言い方をやってきて今回になったんですが、どうしてもこれは拡大の方向に行っているんですね、総体。これを何とかすぼめていくような努力が今後必要だろうと思うのですが、そういう基本的な考えについてはどうでしょうか。
#122
○国務大臣(福田赳夫君) 基本的には、これはどこまでも特別措置であるという認識を持つべきだというふうに考えております。しかし、まあそのときどきの経済情勢によりまして特別措置を必要とする事情が出てくるわけでございまするから、これを大幅に直ちに縮減するということもまた困難かと思いますが、そういう方向で今後とも努力をいたしてみたいと、かように考えます。
#123
○戸田菊雄君 これは審議の中でいままでいろいろお答え願ったわけですが、全く国民が了承できないのは、やはり課税最低限の問題ですね。配当所得は三百四万九千二百五十二円までは全く免税、給与所得は百二万八千六百七十四円、事業所得の場合は七十三万九千円何がし、もっと下がる。だから、こういう不公平を各般の国民は言っているわけですから、これはぜひ今後努力をして、漸減的になると思うのでありますが、でき得るだけ合理化をひとつ進めていただきたい。これは十分御要望を申し上げておきたいのであります。
 そこで、問題は、広告費等の問題であります。これがどのくらい四十五年度に一応見通されておるのか、その辺の内容についてひとつ御説明願いたい。
#124
○政府委員(細見卓君) 大体の金額で申しますと、六千三、四百億円になるのではなかろうかと思いますが、四十四年度の計数で電通調べによりますと、媒体によっても違いますが、六千四、五百億円ではなかろうかと思っております。
#125
○戸田菊雄君 これは成瀬理事提出資料に私はよるわけですが、四十五年度はまだ見込みが立たないということで、四十四年度までで、四十四年度の場合に三千二百八十七億円です。いま、主税局長の説明では、四十五年度の見通しは五千億円をこえるんですね、そういうことになります。そういう理解でいいんですか。
#126
○政府委員(細見卓君) いまの四十四年の見込みが六千三、四百億円じゃなかろうかと申し上げたわけでありますので、大体一、二割くらいの割合で伸びておりますから、四十五年度は若干は伸びるだろうと思います。
#127
○戸田菊雄君 結局、大臣、いま物価引き下げできのうも閣僚会議を開いて一定の方針をきめた。これは非常に重要だと思うんですね。各メーカーが、いま、テレビを見ても、御存じのように大量の広告宣伝をやっているわけですね。それは決してテレビだけではなくて、ラジオでもやっておるし、文書でもやっておる。ですから、国民からすれば、各般の品物を買った場合に、まるっきり広告費を買わされているようなものですね。ですから、こういう段階まで来れば、私は規制措置が必要じゃないかと思いますが、こういう問題について大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
#128
○国務大臣(福田赳夫君) これは非常にむずかしい問題である。というのは、戸田さんのおっしゃるのは、おそらく、広告が行き過ぎだ、過大広告というような傾向もある、これを規制する道はないかということでありますが、これはもう実体的にそういう問題に手を入れるにあらざればなかなか規制というものは十分にはまいらぬのであります。税のほうは、ただ単に補完的な役割りだというにとどまるわけでございます。そういう前提で申し上げますと、税につきましては広告費の扱いというのは非常にデリケートでございます。つまり、これが営業に必要な費用であるということははっきりしているわけです。その営業に必要な法人のいわゆる必要経費、そのうち、それを区分いたしまして、広告の部面につきましてはこれを重課すると、こういうことでございまするから、その考え方としましてもまた実際の適用といたしましてもなかなかやっかいなことじゃなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでありますが、これは税にからめて広告というものをどういうふうに取り扱うべきかというような客観情勢というか、国民の世論というか、そういうものがもう少し成熟しないと手をつけにくいのじゃあるまいか、そういうふうに考えておりますが、私も戸田さんのおっしゃるようなことが頭にないわけじゃないんです。ないんですが、もう少し、国民のこの問題への取り組み方ですね、これを見なきゃならぬじゃないかなと、こういうふうに考えておるわけであります。
#129
○戸田菊雄君 これで終わりますけれども、あと次回に具体的な内容についてはお伺いをしてまいりたいと思います。大臣に、もう一点だけ、交際費課税の問題です。この内容を見ますると、損金不算入額ないし損金不算入割合、これが、四十年から四十四年までずっと見ますると、年々やっぱりふえているわけですね。もっと厳格にこういうものについて課税措置をとっていったらどうか。これも最近はややそういう傾向に来ているようでありまするけれども、やっぱりもう少し交際費等についても私は厳格性をもってやっていったらどうかと思うんですが、その見解を聞いておきたい。
#130
○国務大臣(福田赳夫君) 交際費につきましては、四十四年度に重課という方向の改正をしたばかりでありまして、ことしはまあ手をつけないで来ておりますが、交際費の実態というようなものが四十四年度税制下において一体どういうふうになってきておるかというような実績をもう少し見詰めましてこの問題も検討してみたいと、こういうふうに考えております。衆議院で、四百万円の足切りですね、これについて問題がありまして、社会党の平林代議士から、四百万円というのは少し高い水準じゃないか、これを検討する考えはないかというような御意見がありました。こういうものも含めて今後検討していきたいと、かように考えます。
#131
○鈴木一弘君 これは、大臣に、最初に、非常に大きな構想というような考え方で伺いたいんですが、御承知のように、いま、所得税が、社会保障全体をひっくるめたものの考え方が出てきております。いままでの場合ですと、税を取って、それによって社会保障へ回そうというような考え方があったんですが、税の中に社会保障的な機能を持たせようと、こういう考えが外国にはかなり出できて、つまり、総的合な社会保障の考え方、これが一つの所得の再分配効果ということで、負の所得税といいますか、ネガチブ所得税、そういう形で、もちろんボーダーライン層以上だと思いますが、所得税を納めない段階の人々に対してその納めない所得税の額に応じてそれを給付というような形で与えていく、こういうことが行なわれつつあるわけです。すでにフランスでもこれについての研究がかなり進んでいる。また、アメリカでは、すでに若干実験が行なわれつつあるという話も伺っているわけでありますけれども、そういうような社会保障全般の中での所得税の機能というものを一体どういうふうに持っていくかということは、これから大きな課題であろうと思いますけれども、その点について大臣のお考えをまず伺っておきたいと思います。
#132
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、これはなかなかむずかしい問題であるというふうに考えます。つまり、これも皆さんの非常に批判される特別措置的な考え方になるという面もありますが、それよりも前に、一体、税でそこまで社会保障制度に介入すべきか、こういう問題があるだろうと思うのです。わが国におきましては、社会保障は歳出の面でこれをやっていくという体系をとっておりまするから、このほうが的確にその目ざすところを実現し得る仕組みだというふうに考えますが、いま、ネガチブ所得税というようなことに言及されましたが、これはアメリカあたりでああいう州立法の強いところですから、そこで州立法がどうしても州によりましてはまちまちになる、社会保障制度もまちまちだと、そういうふうなことで、連邦税法でそのまちまちな点を是正する必要があるのじゃないかというようなことから検討されて始めておるというようなことでございますが、わが国におきましては私はアメリカと同じような状態じゃないと思うのです。税が社会保障に貢献をする、それには限界がある。今日でも、社会保障的配慮が全然ないとは言い切るわけにはまいらぬと思います。あるいは課税最低限の問題にいたしましても、あるいはもろもろの特別控除制度というようなものにいたしましても、社会保障的配慮が全然ないとは言いませんけれども、ほんとうに実のある社会保障的な施策をその税によって進めるということでは、私は目ざすところを実現ができないんじゃないかと、そういうふうに思います。税は税で徴収し、そしてそれを財源といたしまして着実に的確に実施できる社会保障というものを歳出においてこれをとり行なっていくという考え方がむしろ常道ではあるまいか。しかし、お話しのように、ネガチブ所得税というようなものを検討しておるという国もありますから、私どももその検討をすることはいたしますが、見通しとすると、なかなかむずかしい問題であると、そういうふうに考えます。
#133
○鈴木一弘君 なるほど、大臣の言うことよくわかりますし、また、見通しも、いま言えと言ってもそれは無理なことはわかっております。検討なさるということでありますが、これはもうアメリカだけでなく、発想のもとはアメリカだけではなくフランス等でもかなり活発にある程度までの成案というようなものが研究はされておるようであります。そういう点で、児童手当の問題がなかなかはっきり申し上げるといままでは踏み切ってこられなかった、そういうものも全部含まれたような形でいまこれができれば入ってくるわけでありますが、そういうような点もあるわけでありますけれども、これは局長でけっこうですけれども、アメリカ等で実験をやっていることについて何かつかんでおられますか、その辺がありましたら伺いたい。
#134
○政府委員(細見卓君) 文献によりまして承知いたしておるのと、先般、租税条約の改定で、当時財務次官補――日本で申しますと主税局長のちょっと上ぐらいになるんですか、税制担当の次官補が参りましてこのネガチブ・インカム・タックスの話も聞いておる、その程度の知識を基礎にいたしまして御説明申し上げますと、アメリカでネガチブ・インカム・タックスというのが起こりました背景は、先ほど大臣が申し上げましたように、社会保障制度がかなり州によって実際の基準が違っておるというような問題がありまして、それをむしろこのネガチブ・インカム・タックスとして統一的に行なってはどうかというようなことが考えられまして、これを最初に言い出したのは金融の問題で皆さんすでに御承知のフリードマンでありまして、フリードマンが「資本主義と自由」という書物の中におきましてこのネガチブ・インカム・タックスの構想を出したわけであります。これは、端的に申し上げますと、課税最低限以上の人については累進的に税がかかる方向になり、従来の所得税と同じでありまして、そのネガチブになるゆえんは、課税最低限以下の人につきまして、一種の税率、つまり課税最低限と実際の収入金額との一定割合をネガチブ・インカム・タックスとして月々の給付を本人に支給するわけであります。この制度のよさとしてフリードマンが申しておりますのは、現行の社会保障制度でありますと、収入がふえますと、そこで急にある段階から社会保障の給付が打ち切られる。ところが、所得税につながっておりますので、所得税の納税義務者までには至らない所得層、従来であれば社会保障を打ち切られた階層、その辺が段階的に所得のふえるのに従って給付額が減っていくという形でネガチブ・インカム・タックスが課されるというか逆に資金を交付されるわけであります。それによりますと、いまの社会保障制度の悪い一面といわれておりまする、勤労意欲を失って、つまり収入がふえると社会保障制度を打ち切られるからもう働くのはいやだというようなことが、収入のふえるに従って少なくともその相当部分が自分の手元に残る、その差額が交付されるというようなことになるので、勤労意欲についてより阻害的でないではないかというようなことがまあ一番の特色として言われるわけであります。そういうフリードマンのほかに、トービンでありますとかあるいはロルフというような人たちが若干こういうものを精密にした理論を立てております。
 それらの考え方に基づきまして、現在、アメリカのニュージャージー州のトレントンにおきまして、百六十家族程度のものについて実験を行なっております。ところが、この制度によりまする長所というのは、先ほど申し上げましたように、アメリカの特殊事情で、連邦ベースでこの社会保障の給付が行なわれる、あるいは、支給にあたりましては、所得の大きさと世帯構成だけが給付額算定の要件となりますので、一般性と客観性を増すというようなこと、あるいは受給者の手続が簡素化されるというような点、それから受給世帯を含みます全世帯について勤労所得水準に比例して可処分所得が高くなるように仕組んであるので、先ほどから申し上げておりますように勤労意欲が高まるという点、それから全所得階層を通じた、つまり所得税の納税者とそれからこのネガチブ・インカムの受給者というような人を通じて、全体の所得再配分の状態がわかるというようなことがございますが、こういう発想が出ましたものの一つに、ケースワーカー――社会保障の実施者によって私的生活が調査されてそれが人権につながるというようなことの逆側に、今度は、所得だけでものを見ておりますので、財産があってそれによってなまけて所得を稼がない人にもこのネガチブ・インカム・タックスが働く、しかも一方では財産が多額にあるというような問題をどうするかとか、あるいは勤労意欲に対してプラスになるとはいいながら、やはり所得がふえるに従って手取りは自分の働いた部分が減っていくわけでありますから、そういう意味でほんとうにそういう勤労意欲の阻害部分が完全に排除できるかどうかというような問題、あるいは現在の各州の貧困問題はそれぞれに特殊性を持っておりますので、こういう大まかな一律の制度でそういうむずかしい問題が解消することができるかどうかというような問題、さらに、費用の問題、あるいは行政の問題があるわけであります。御承知のように、アメリカにおきましては、納税者が約六千万人ばかりおるわけでありますが、そのうちの五千万人につきましては年度末の申告によりまして所得税が返されるわけであります。日本のように二千数百万の納税者がただ源泉徴収だけで事が済んでおる国と違いまして、日本で申せばその二千数百万の人たちがみんな年末において申告をして還付を受けるという形になっておる税制でありますが、そういう国でありますと、こういうネガチブ・インカム・タックスというようなものも、行政的にあるいは可能性があろうかと思いますが、日本のような国になりますと、これだけの事務量をはたして日本の国税当局でさばけるかどうかというような問題、これは理論の問題あるいは主義の問題を離れまして、行政の可能性ということでもう一つ日本に持ってくるにあたりましては大きな問題があろうと思います。
 まあそういうことでありますが、アメリカでは、この制度をさらに進めまして、八百家族程度についてさらに対象とする市町村をふやしまして、いわば貧困問題の研究テーマというような形でなお研究が進められるようになるというふうに聞いております。
#135
○鈴木一弘君 この問題は今後相当慎重に検討しなければならないことですのでこの程度でやめておきますが、ちょっと社会保障の問題に関連しまして、昨年の予算国会のときに、大臣が、この席上で、児童手当についてはこれが支給されるようになってきましても扶養控除というものはなくさないということをはっきり言明されたのでありますけれども、そのお考えはお変わりがないかどうか、この点について。
#136
○国務大臣(福田赳夫君) 確かに、鈴木さんの御質問に対しましてお答えをしております。鈴木さんの御質問は、「児童手当ができたら扶養控除を減らすという考え方はやめてもらいたいと思います。」と、そういう趣旨の質問でございますが、私のほうから「児童手当ができましたら扶養控除のほうは減らすんだという考えは、いま持っておりません。」と、こういうふうにお答えしてありますが、そのとおりに考えております。
#137
○鈴木一弘君 大臣はいまちょっとお忘れになっておったようで非常にあれですが、これは確認をしておきます。ぜひそのようにお願いをしたいと思います。
 さっそくですが、所得税の減税規模の問題で、これは大臣も予算委員会でお答えになったと思いますけれども、今度は初年度が二千四百六十億円という、所得税の減税規模額としても史上最高ということでありますけれども、自然増収として予定されているのが予算額では一兆四千億円ということになっております。その上から見ると、二〇%にもならぬのではないかというそういう考えがあるのですけれども、私どもから見れば、実際にはこれ以上ふやして、思い切って四千億なり五千億あたりまでの減税をするべきではなかったか。そうして、百二万円というような金額でなく、それをさらに上回るようなところまで持っていくべきではなかったか。特にサラリーマンについてはサラリーマン減税ということが強く言われておりましたけれども、給与所得控除の定額部分は動かなかったという実際もございます。そういう点から、私は、二千四百六十億円という初年度の所得税減税規模は少ないんじゃないか、そういう自然増収全体の上から考えるというようにするべきじゃないかと思うのですが、それについてお伺いしたいと思います。
#138
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほども戸田さんからお尋ねがありましてお答え申し上げたのですが、所得税だけの自然増収から見ると、これは三八%ということになるわけであります。所得税減税が、大体自然増収が六千億くらいになりますが、それに対して二千四百億、これはかなり大幅な減税だというふうに私どもは考えておるわけであります。しかし、これをもって満足しているというような考え方じゃないんです。この上とも所得税の減税につきましては努力をいたしたい、こういうふうに考えておりますが、一挙に単年度でこれ以上やれというのは、財政全体を見回し、特に歳出の状態ということを考えるときに、なかなか困難ではあるまいかと思っております。ひとつ御同情をお願い申し上げます。
#139
○鈴木一弘君 これは私手元に資料がありませんのでちょっと言っていただきたいのですが、四十年度からずっと見て、自然増収に対する所得税減税の予算ベースでけっこうでありますけれども規模、それとパーセンテージはどのくらいであるかということを御答弁いただきたいと思います。
#140
○政府委員(細見卓君) 四十年が、自然増収全体に対しまして所得税の一般減税が一七・三%であります。四十一年のそれは、一一〇・九%、つまり自然増収以上の減税をいたしておるわけであります。それから四十二年は一四・七%、四十三年が二・一%、四十四年が十二・六%、四十五年が一七・九%、こういうふうになっております。
#141
○鈴木一弘君 四十一年は特異な例だと思いますが、この表をずっと見ていきますと、四十年の一七・三%、四十二年の一四・七%、それに比べれば今回は確かに上がってきておりますけれども、この連年、はっきり申し上げると、減税規模としては、私どもはパーセンテージ一つを見ると、非常に不満を禁じ得ないような感じがする。実際は、こういうような好調のときに、景気の伸びてくる、また、予定しているよりは成長率も上がるし税の増収も多いであろう、こういう予想がいま立っておりますし、また、言われておりますが、そういうときに思い切って大きく減税するべきだったんじゃないか。その点が、一七・九%というのは、大体予算の成長率と合わせたような形になると思う。その程度以上にするべきではなかったかということを思うのですが、その辺の考え方はいかがでしょう。
#142
○国務大臣(福田赳夫君) ことしは、税制を考える場合におきまして私は非常に迷ったんです。つまり、いま一番経済上の課題は何であるかというと、これは景気の抑制だ。調子が高過ぎる、これを何とか調整しなければならぬ、これが最大の問題だ。そういう際ではありまするが、これは物価調整というような意味ぐらいな減税はしなければならぬ。しかし、それはともかくとして、それ以上の所得税減税をするということは、経済理論からいいますと、これは相矛盾したような考え方になるわけです。購買力をそれだけ開放するということになるわけであります。そこで、いろいろ考えたんですが、まあとにかく従来からのいきさつもある。それから税制調査会の答申もある。国会においてもいろいろお答えをしておりまする事情もある。それらを考えまするときに、所得税の減税は行なうべきだ、そのかわり法人税の増税のほうでこれの埋め合わせをするという考え方をとるべきだというふうに結論としては相なったのであります。まあ、こういう際に、所得税の減税をする。しかも、長期答申の完全実施、自然増収に比べれば非常に大きな比率だと思うのですが三八%を充当する、こういう規模の減税をする。これは私はかなり思い切ったつもりなんでありますが、それでもいろいろおしかりを受けますることは、非常に残念に存じます。
#143
○鈴木一弘君 一つは、私はいまの大臣の答弁の中からあげ足をとるわけじゃありませんが、所得税を、政府としては思い切ったと言っておりますが、私どもとしては不満でありますが、減税をした。しかし、法人税について、その分を、その分というか、法人税についてはこれを引き上げたのだからという話でありますが、この内容を見ていると、前回もこの委員会で申し上げましたけれども、実質三%下がっていたものを、今回は、一・七五でしたか、その程度にしか戻していない。しかも、配当分については、これはそのまま率が変わらずということであります。そういう点を見ろと、これは前回も申し上げましたけれども、社内留保分というのが、パーセンテージでは、最近の二、三年間というものは製造業あるいは法人全企業を見ても八%、いままでは五%あるいは三%だったものが八%にまで上がってきている。そういうように、付加価値額の中に占める社内留保分がふえてきている。こういう点を見ると、法人税の上げ方としては、その付加価値額の二%としましても五千億、三%なら七千五百億というような大きな金額が出てくるわけです。それが今回の法人税の引き上げではたしてそこまで行けるかどうかという点について非常な疑問があるわけでありますが、そういう点、今回の法人税の引き上げで社内留保に回っていた分から何%ぐらい減ってくるものなのか、その点はおわかりになりませんか。
#144
○政府委員(細見卓君) このこと自体からは直接どうなるかといえないのでありまして、この留保分に対する課税がふえた分だけは企業から国に財源が移りかわることは事実でありますが、これがこのあとの配当と留保との関係でどうなっていくかということにつきましては、これは今後の景気状況とかあるいは企業としての資金需要とかいろいろな面に関係いたすわけでありますので、これをもって一がいに将来を予断するというのは困難ではないかと思います。
#145
○鈴木一弘君 配当分について据え置いた理由は何ですか。
#146
○国務大臣(福田赳夫君) これは、昭和四十年、四十一年の法人税減税、あのときもさわらなかったわけです。今度の法人税増徴は、あのとき減らしたのであるから今度は取り戻すというそういう意味もあるわけなんです。当初、私どもは、一律二%の税率引き上げ、こういうことを考えたわけでございますが、その考え方におきましては配当引き当て分は除く、こういう考え方、それをいろいろ議論もし、その議論の経過というものは、まああの不況のときから立ち直った企業ではございまするけれども、蓄積状態が非常に悪化しておるこの悪化の状態もしんしゃくする必要があるのじゃないか、こういう考え方、そういうものを考えると、四十一年に二%落とした、その落とした額だけを取り戻すというその考え方はどうなんだろうという議論も出てまいりまして、それで地方税と合わせて二%という程度、つまり一・七五%というところに落ちつけたわけですが、お尋ねの配当引き当て分につきましては、そういう取り戻しという考え方から言うと、これは当時も据え置かれたのであるから今回も据え置きだと、こういうことに相なった次第であります。
#147
○鈴木一弘君 いま、大臣、これは当時も据え置かれたのだということは、そのとおりであります。四十一年はそうでございます。私は三十六年の時点から話をしていくとわかると思うのですが、三十六年には二八%である。三十九年に二六に下がってきたわけです。そのまま続いているわけであります。三十六年時代には三八%あった社内留保に対する分も、四十一年に一%下げたわけでありますけれども、その前の年にすでに配当のほうについては二%下がっている。一方については御承知のように地方税と合わせて二%という強弁をなさっておりますが、中身では一・七五%で、三%の中から戻ってきた。一方二%についてはこれはそのままずっと据え置きということで、この辺についての考慮というものは全然されなかったということなんですけれども、これはどういうふうに今後考えられる予定ですか。
#148
○政府委員(細見卓君) 三十六年の引き下げは、三十五年にございました、つまり、日本の企業の資本構成が悪いということは、配当は税を一たんかけられた所得から配当するのに対して、利子は御承知のように企業の経費になりますので、いわば税の負担のない形で支払われる、それが今日の日本の資本構成の悪い原因の一つであると。そこで、たまたまドイツにそういう前例がございまして、配当分と留保分について大きく税の格差を設けて配当を促進する。配当は、たとえば一割配当をするといたしますと、その一割の配当を企業が出すことによって十の資本を集めることができるわけであります。つまり、百万円軽課すれば一千万円の資本が集められるというようなたてまえに立ちまして、配当分について税率を軽課して日本の企業資本の構成をよくする、いわゆる企業税制ということでいたしたわけであります。このときに、御承知のように現在のように配当控除率が一部分切り下げられているのは、この配当軽課と見合ったところの措置であることは御案内のとおりでありますが、その二八が、三十五年に二八の税率にいたしたのでありますが、これがなお当時の資本構成是正に十分な役割りを果たしておらないというような観点から二六というのが行なわれたわけでありまして、いわば法人税を総体的に軽課した経緯にのっとって今回の税制改正をいたしたというのと性質の違う、企業資本の構成の是正ということを基本的な考え方といたしまして企業課税はいかにあるべきかという観点でこういう格差を設けた、つまり三八と二八のものを三八と二六にいたしておるのでありますので、今回の負担増を求めるものと経緯が違って、この点については日本の企業あるいは法人に対する税制はいかにあるべきかということをさらに今後の根本的課題として検討いたしてまいりたいということでこの部分については手が触れられておらないわけであります。
#149
○鈴木一弘君 いまの説明の中で大体の概要はわかりますけれども、法人税そのものの実効税率から見ると、配当分と留保分を分けたのは日本と西ドイツだけです。日本のほうがそれをさらに資本金等によって分けられたりしておりますからさらにこまかくなっておりますが、実効税率の上から見れば、だからといって、そういうのを扱わないフランスとかアメリカとかイギリスとかそういうところに比べてみてそんなに大きな変化がないのじゃないですか。私は、だからなぜこう複雑にしなければならないかという点が非常に不思議に思う。わが国の場合に、三百万円をこえるものが実効税率が四五・〇四%、アメリカの場合は二万五千ドルをこえるものについては五三・八七、イギリスはいずれも四五%、西ドイツは四九・〇五%、フランスは五〇%ということになると、特別にめんどうを見たようにおっしゃるけれども、イギリスよりは高くなっている。むしろ私はそういう点では法人税についてはこれでは低いのではないかという感じを持たざるを得ないのですけれども、その点についてどうお考えですか。
#150
○政府委員(細見卓君) 税率の構成が複雑になっておりますのは確かに日本の法人税の特色でございますが、これは、法人税は法人独自の負担を求めるものであるか、あるいは、法人税は所得税の前払いであるかという議論と並行いたしまして、大企業は負担能力が大きく、中小企業は負担能力が小さいというような議論が一方であるわけであります。これらの議論は理論的にはいろいろ相矛盾するものもあろうかと思いますが、いわば世論のような形で中小企業は同じ法人であっても負担能力が小さいのだというような議論がありまして、それで税率が二段がまえになっておる。したがって、配当軽課をいたす場合も、それに応じてまた二段がまえにしなければならないというようなことで確かに税率が複雑にはなっておりますが、しかし、実効負担率は大体四五ないし五〇くらいのところで諸外国も日本とほとんど並んでおるわけでありまして、特に日本が高いということは言えないにいたしましても、日本だけが法人税の負担において異例なものであるとまでは言う必要はないので、経済企画庁などの計数で出てまいります国民所得におきます法人所得と法人税負担との比較から来るいろいろな議論が世上行なわれておりますが、これは課税所得と国民所得との違いについての調整をいたさなければならない問題もございまして、日本の法人税負担が特に異例に低いというようなことにはならない。大体、おしなべて法人税というのは四、五割のものが取られておるということになるのではないかと思います。
#151
○鈴木一弘君 ですから、私が申し上げたいのは、法三章というように税制についても簡単なものがいいにきまっている。イギリス等では税率を四五%にして、それしかないわけであります。それがそのまま実効税率になっているわけですね。日本の場合は、いま局長から答弁があったように中小企業等の問題があるとすれば、せいぜい二段階か三段階に分けるとしても、それを配当分、留保分というふうに分ける必要があるだろうか。むしろそのようなめんどうの見方をするとするならば、アメリカ等は二段階に分かれておりますが、年間二万五千ドルをこえるところについては五三・八七%という非常に高率のものである。しかし、二万五千ドル以下のものについては二八・四八%というように非常に低率である。そういう恩恵の点を見るならば、年間百五十万円以下ないしは三百万円をこえるものについては、そう大きな開きがない、わずか一一%程度です。アメリカの場合は二〇%近く開いている。こういう点を見ると、もう少しこれは交通整理をするなり何かしてやられたほうが、徴税のめんどう、税の計算上のめんどう等、ありとあらゆる点で効果があるのじゃないか。その点、大きな改革を考えられたらいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#152
○国務大臣(福田赳夫君) これはそういう議論もあるわけです。有力なそういう議論もあります。法人税制につきましては、実在説、擬制説というようなところまでさかのぼって再検討せい、こういうような御意見も聞かれるわけでございますが、まあ御意見は十分承りましたから、今後の検討問題にさせていただきます。
#153
○鈴木一弘君 まあ私も法人実在説でいったほうがいいという意見で申し上げたわけでありますが……。
 次に、所得税の問題でありますけれども、サラリーマン同盟あたりが今回の減税の問題についていろいろ言われているその中で、たとえば食費については、このままで考えれば一人一食が五十円から六十円という計算になるんじゃないか。また、家賃は千四十円。子供三人の教育費は月に三千円しか使えない。これが、標準五人世帯で十万円上げて百二万八千円にしたけれども、内容はそういうふうじゃないかということを言っているわけでありますが、私はそこで伺いたいのは、この百二万円というようになった、これは長期答申からこういうことが出てきたわけでありますけれども、じゃその中で一体生計費に充てる分は、これは基礎控除として見ておるのだろうと思います。また、必要経費等は給与所得控除等で見ておるのだろうと思いますが、生計費はどのくらい考えておる、教育費はどのくらいかかると思っている、あるいは家賃等についてはどのくらいかかると思っておるというふうなこまかい基礎計算というものがなければ、税額はこれで一つの大きな目標というものを達成したということが言えないのではないかと思うのですが、その点の基礎の計算の中身、あるいは税制の考え方、これを伺いたいと思います。
#154
○政府委員(細見卓君) かつて課税最低限が低かった三十五、六年ごろにおきましては、たとえばマーケットバスケット方式によりまして最低生活費を計算するというようなことをいたしたこともあるわけでありますが、その後課税最低限のほうは年一〇%ぐらいの割合で引き続き引き上げてまいっておるわけであります。それに反しまして、物価のほうは、せいぜい四ないし最近で五%がやっとであるという程度で、四%ぐらいの上昇でございますので、そういういわゆる最低生活費というものは、もう課税最低限との間においては直接比較して議論しなくてもいいのじゃないかというふうに考えるわけであります。一方、たとえば四十四年の勤労者世帯の調査によりましても、所得は平均で百十七万円程度ございまして、生活費として支出されているものは八十七万円程度というような計数もございます。これは、いわゆる最低生活費というのではなくて、二十万円近い貯蓄のできる状態において、いわば自由にある程度の文化的あるいはレジャーその他にも余裕を持った支出態度で支出されたものが八十七万円程度になっております。そういうことを考えれば、夫婦子三人の場合にこれを換算いたしましても、あるいは夫婦子二人の勤労者世帯の平均家庭の支出されておる家族構成に直しましても、おおむね現在の課税最低限はこれをカバーいたしておるわけでありまして、その意味におきましてはいわゆる最低生活費というものとはかなり違ったものになっておろうと考えておるわけであります。
#155
○鈴木一弘君 家計調査によれば、個人消費支出等から見ればそういうことかもしれないと私も思います。四十三年の八十七万六千六百三十六円ということですから。しかし、私は、その基礎控除の考え方はあくまでも生計費という考え方だったろうと思うのです、基本的な考えはね。給与所得控除というものはあくまでもこれは所得を得るための必要経費だというふうに考えざるを得ない。はたしてそれが適正な額であるかないかという基礎ですね。それを伺いたいんですけれども。
#156
○政府委員(細見卓君) マーケットバスケットなりあるいは個々のアイテムを積み上げて控除というものを算出するということはどういうようにやっておるかというお話かと思いますが、御承知のように、税制におきまする基礎控除あるいは配偶者控除といったような諸控除と申しまするのは、最も平均的な状態におきまする最も平均的な支出であるわけでありまして、そういう意味におきましてはいろいろな家計調査などで出てまいっておるものもこれは平均的なものであります。そういう意味でこういういろいろな家計調査等に出てまいりますものを参考といたしながら一応のめどをつけるわけでありますが、それが個々の世帯にそのまま適応できるかどうかというのは、これらの諸控除というものが平均的なもので、いわばその意味では個性のない金額でありますので、人によって、たとえば卑近な例を申せば、食べ物のほうに非常に金をかける世帯もございましょうし、あるいは家賃のほうに金をかける世帯もございましょうし、あるいは衣料のほうに金をかける世帯もございましょうし、あるいはまた教育に熱心な世帯もございます。そういうものをそれなりに捨象いたしてしまいますと、実際そういったものがどこにおるかというような形にならざるを得ない。そういうものが現在の諸控除であろうかと思います。
#157
○鈴木一弘君 じゃ、はっきり申し上げて、基礎控除、給与所得控除についての計算の基礎というものはない、いわゆる総理府の家計調査、そういうものによって得た個人消費支出なり家計収支なりを引いて、それで大体この程度ならよかろうという、目の子といいましょうか、つかみ取りみたいな形で各控除率がきめられておると、こう理解してよろしいですか。
#158
○政府委員(細見卓君) 基礎控除その他の諸控除と税率とを組み合わせまして所得税の負担は算出されるわけであります。したがいまして、その諸控除と申しますものも、日本の国の平均的な世帯におけるそれぞれの生活費というようなもの、少なくともそういう意味の最低生活費を下回らないということが望ましいということをいままで私ども申し上げてまいりましたが、それは個々の金額、個々に要素的に分解したものを積み上げるということになりますと、先ほど来申し上げておりますように、生活態度というものは人により性によりあるいは年齢によって違うわけでありますので、そういうものとしては、結局、家計調査その他あるいは国民の生計費調査によるいろいろな諸計数の統計的なものを参考にしてきめておるということであります。
#159
○鈴木一弘君 主税局長はいろいろ答弁されますが、中身を言えば目の子勘定であると、そういうことであると私は思う。そこで、これは本来はそういう考え方は非常に困るわけですが、理論生計費的にある程度のものはマーケットバスケットを通じてつかんでおかれるということが非常に大事だと思う。「大蔵省メニュー」等でたたかれたのですから、そういうことでとりあえず扱わないということになったのかもしれません。しれませんけれども、やはり基礎控除をきめるのにも、給与所得控除をきめるのも、扶養控除をきめるのも、久控除をきめるのも、税率やなんか一緒にして裁定生活というものを見ようと。家計の実態調査から調べて、その範囲内でやっていけるというような考え方、それも一つの行き方でしょうけれども、それならば何も基礎控除とか何とか控除というふうに設けることが今度はおかしくなってきてしまうのではないか、そういう考えが出てくるわけであります。その点は、大臣はどうお考えですか。
#160
○国務大臣(福田赳夫君) もう、わが国におきましては、最低限が国際水準並みになっちゃっている、こういうふうに思うのです。ですから、もうマーケットバスケット、大蔵省メニューを論ずる時期ではない、こういうふうに考えておるわけです。それで、いましからば諸控除の内訳は一体どうなんだ、どういうふうに見ているのだというお話でございまするが、これはお話のように、国際水準を見まして、そしてわが国の最低限もこの辺に持っていきたい。国際水準下の課税最低限の中で、さあ少数世帯、多数世帯、こういうようなバランスをどういうふうにとっていくか。あるいは、サラリーマン、これは必要経費を見なきゃならぬという問題がありますけれども、その扱いをどうするか。いろいろそういう問題を配合いたしまして、税率ともあわせまして、大体適正な結論としての課税が行なわれる、こういう角度で諸控除の割り振りがきまっておる、こういうふうにお考えになってしかるべきかと、かように考えておりますが、とにかく、要は、メニューだとかいうふうなことを論議している時期はもう過ぎ去ったのではないか、そういうふうに考えております。
#161
○戸田菊雄君 関連して。大臣からも答弁があったわけですけれども、主税局長、確かに鈴木委員もいろいろ指摘されましたように、大蔵省からそういう給与控除なりあるいは基礎控除なりこういう問題に対するメニューは従来は出しておったわけですね。しかし、ここ二、三年、どういう状況かわかりませんが出ない。しかし、政府全体の動きとしましては私は非常にその辺の疑問を持つわけでありますが、内閣総理府では家計実態調査というのを毎年出しておったわけですね。それから建設省あたりでは、いまの住宅家賃がたとえば三DKで基準というものは二万円だと、こういうふうに各般の消費支出の割合というものをそれぞれ出しているんですね。大蔵省が税金を取るそういう一番枢要な地位にあってそういうものをいろいろ計算してくるわけですが、そういう積算の基礎に対して国民に明らかにしていかないということは、私は税の納税意識といいますか、そういうものに対する影響というものは非常に大きいと思うんですね。だから、いまの政府全体の動きとしてはすべて消費はそういうふうに具体的に出しているが、一番中心の大蔵省ではひた隠しに隠している。だから、鈴木委員が指摘をしましたように目の子勘定だと言われても私はやむを得ないんじゃないかと思うのですね。絶えず所得が上がった上がったと言うけれども、一面物価が上がったりなんかして、そういう経済の各般の変動があるわけですから、そういう面で見れば、どの辺が一体最低生活を営む限度かということは、当然大蔵省としてはつかんでおく必要があるのじゃないかと思うんですね。いま大臣が言うように、メニューの問題でけんけんがくがく論議することそれ自体が有効かどうかは私もいろいろ疑問がありますが、やっぱり一定の積算基礎というものを示していくことが親切なやり方じゃないか、こういうふうに考えるわけですね。だから、具体的に聞きますが、おおむね控除体制の中でいろいろ差し引いて、あと消費生活面にわたると思われる主要な項目で、主食費は一体どのくらいに考えておられるか、副食費はどのくらいに考えておられるか、あるいは、光熱費、教育費、たとえば、小学校、中学、高校にかりに三人おる、また、中学、高校、大学に三人おる、こういうような場合におおむねどの辺に見当を置かれておるのか、住宅費は、たとえば三DKの場合大蔵省はどのくらいに考えておるか、この辺の見解だけ聞かしてくれませんか。
#162
○政府委員(細見卓君) 先ほども申し上げておりますように、全国均一の基準によりまして諸控除を設けてあるわけでありますので、たとえば積雪寒冷地帯の方々の生活費の中身と、それから台風多発地帯の方々の生活費の中身、あるいはまた非常に暖かい地方の方の生活費というものは、これは違うわけであります。したがいまして、税というのは、先ほど来大臣が申し上げておりますように、およそ国民のどの辺の階層の方から負担を求めることにして、できるだけなだらかな形で、しかも累進的に課税をいたしていくか。その場合に、人的控除といたしまして、多数家族の家庭と少数家族の家庭というのにはやはり負担の差を設けてしかるべきだ。その場合に、生活費のようなものは一つの基準になりますが、全体としての税負担がそれによって多数家族の家庭と少数家族の家庭との間に公平性が保たれておるかどうかというのが基準であろうかと思います。その意味で、たとえば、日本の場合は、夫婦子三人の場合でありますと、独身者を一〇〇といたしますと三六〇くらいになろうかと思いますが、それがアメリカでありますと五〇〇になるとか、あるいはドイツあたりになりますと四〇〇くらいの形をとっている。それは、やはり、その国の国民が税負担のあり方としてそういうふうな控除の形式でいくことが負担の公平に近いというふうに判断されておるからそういうふうになっているのだろうと思います。
 一方、また、日本におきまして諸外国に比べて非常に特異な現象は、最近、配偶者といいますか奥さんのことがやかましく言われまして、一般の扶養家族と別にして配偶者控除というものをああいう形で設けている制度は日本だけにある制度でありまして、これは日本の女性の地位が向上したのか、あるいは男性の地位が低下したのか、いずれにいたしましても、そういう形で控除ができておるわけであります。そういうことでありまして、たとえば戦前でありますと、奥さんといえども等額の控除にはならなくて、ただ一律の家族、子供と同じような税額控除が行なわれたというようなことでもありまして、そういうことでやはり社会情勢の進展に即応して、そのときそのときに国民に一番受け入れられる形での諸控除を組み上げておる。その場合の控除というのは、たびたび申し上げますように、具体的なものというより、抽象的にあらゆる人に当てはまる控除の構成でなければなりませんので、生活費から組み上げていくというのは必ずしも適当でない。ただ、それが全体としての生活費をカバーしておるほうが望ましいことは当然でありますが、だからといって、組み立てていかなければならないということになりますと、農村の生活の態様、あるいは都市の生活の態様、あるいは多人数家族と少人数家族の違いといったいろいろな問題あるいはいろいろな家具その他が備わっている家庭とそうでない家庭という違いが出てまいりまして、こういうものはかりに大蔵省でつくりましたといたしましても、一方の人は不足だと言われるだろうし、一方は不要なものがあると言われるでしょうし、そういうことにならざるを得ない。そういう性質のものであります。かつて大蔵省がメニューのようなものをつくったりいたしましたので、即物的に基礎控除その他をお考えになるようになったのでありますが、基本的にはそういうものも控除して、どの辺の階層からどの程度の税負担を求めるのが国民として一番公平な税制かという観点で御判断願いたい、かように思うわけであります。
#163
○戸田菊雄君 関連ですから、これでやめて、あと機会があるときにいろいろお伺いしたいと思います。ただ、いつも大蔵省は言うんですがね、一つは諸外国の例においてと。だけれども、たとえば西ドイツ等の例を見ますと、控除体制の問題でも、かりに子供さん一人おってそれが職業訓練を受けておるということになれば、これは余分に一定の控除のほかに一千マルクの減税をやっている。あるいは、第二子の場合にも同じような同等の控除体制ができておる。そういうシステムがだいぶ違うんですね。
 もう一つは、やっぱり所得平均というものがだいぶ違うと思うんですよ。日本のいまの所得平均、それから西ドイツ、フランス、アメリカ、イギリス、こういった各般の所得平均というのは、ずっと日本より上回っております。そして、なおかつ負担割合というものは低下をさせておるわけですから、何か政府のいろいろな説明を聞くと、所得平均上、税の負担割合というものは日本がむしろ低目になっておるということを言いますが、その所得平均内容が私はだいぶ違うと思う。もう一つは、やっぱり社会保障的な設備要因というものは、日本より相当進んでおることは間違いありません、イギリスにおいてもフランスにおいてもですね。だから、そういう生活環境が相当前進をいたしておるわけでありますから、そういう各般の相対的な比較で見てこないと、諸外国の例では必ずしも適切な比較とは言えないと、こういうふうに考えるのです。
 そういう面から言って、いま聞いているのは、具体的な内容で実はどの辺に見ているか、これは税法とのかね合いも出てくると思うんですね。税法のたてまえは、生活費に食い込んで課税しない、これは大原則なんです。そういう面からいけば、はたして生活費に食い込まない積算基礎というものが大蔵省で適切にやられねば、法律無視ということになるわけでしょう。だから、いろいろな面からそういうことが問題になってくるので、もう少し親切な説明というものがあってしかるべきじゃないか、こういうふうに実は考えるわけなんですがね。その政策的な面ではひとつ大臣のほうからお答えを願いたいと思います。
#164
○政府委員(細見卓君) 最初に、計数にわたる点を申し上げます。
 いま戸田委員がおっしゃいましたように、諸外国は所得が日本よりも高いわけであります。それにかかわりませず、先ほど大臣が申し上げましたように、課税最低限は、日本がたとえば夫婦子三人の場合に今年度で見ましても九十三万五千円であります。それに対しまして、西ドイツが九十六万円、あるいはアメリカが百五十万、イギリスが八十二万円であるというようなことで、百三万円になりますとドイツを上回るわけであります。そういうことで、課税最低限は、これら日本人に比べまして一人当たりの所得が大きい国と比べて、日本の課税最低限のほうが高くなったわけであります。したがいまして、平均国民所得と比較してみますと、日本の課税最低限は平均国民所得の三六%ぐらいのところになるわけであります。それに反しまして、アメリカは二三%、つまりより低いところから税がかかっておるわけで、イギリスが三一%、西ドイツが二九%、フランスが日本より若干高いところの三八%からかかっておりますが、そういうふうに一人当たりの所得の差異を見ますと、日本の課税最低限はむしろかなり逆に高くなっておると言えるわけであります。そこで、もう一つの角度から見まして、日本の納税者と有業人口と申しますか職業を持っておる人たちとの割合を見てみましても、日本は納税者は有業人口の約四五%程度でありますが、これは統計の関係でほかの国はあまり多くはわかりませんが、アメリカでありますと七四%、イギリスでありますと八〇%と、つまり有業人口に対しまする納税者の数から見ましても、日本のほうがより多く課税最低限以下の有業人口がおる。したがって、課税最低限は高いと言えるのではないかと私どもは思っております。これは事実にわたることだけ御説明申し上げておきます。
#165
○国務大臣(福田赳夫君) 主税局長から御答弁申し上げましたように、わが国の課税最低限は、いまや国際水準に達したと、こういうふうに思っておるわけです。いまの説明を聞いていると、少し最低限が高過ぎるというような印象さえも持つような状態でございますが、(笑声)しかし、私は、さらにさらにこれの引き上げに努力する、また、所得税の各部門に検討を加えまして、とにかく負担感緩和という方向に努力をしてみたい、こういうふうに考えておるということで御承知願いたいと思います。
#166
○鈴木一弘君 所得控除の問題に入りましたので、これは大臣にぜひ伺っておきたいのですが、四十六年度において、給与所得控除の定額部分、今回は据え置きになりましたが、いままでの歴史を見ていっても、三十六年、三十九年、四十年とずっと上がってきて、毎年のように上がってまいりましたのが、四十三年から定額控除についてはそのまま据え置きになって、四十五年度も、ああいうような案が出ておりますが、これを二十万円に引き上げるということで検討を進めたいということを衆議院の段階で大臣が答弁をされておりますが、一つは、それが二十万円ということではっきりお進みになる予定なのかどうか、いま一つはそれじゃ比例部分については手をつけるのかつけないのか、この二つについて伺っておきたい。
#167
○国務大臣(福田赳夫君) 所得税全般といたしまして、今後経済情勢の変化というものに応じまして、これに順応するような改正を加えなければならぬ、こういうふうに考えている、このことはしばしば申し上げているとおりでございますが、衆議院で給与の定額控除を二十万円まで引き上げたらどうだというお話がありましたので、また、二十万円までというのは無理かもしらぬが十五万円まではどうじゃというようなお話も承りました。私は、それに対して、今後の検討問題にいたしたい、こういうふうにお答えをいたしておりますが、二十万円を実現するというようなことはお答えをいたしたことばございませんです。まあ十五万円説というものがありまして、とにかくそれに対して今後の検討問題にいたしたいという私の気持ちを申し上げたわけです。
 定額の額の問題にいたしましても、あるいは定率の率の問題にいたしましても、これからいろいろ経済情勢が変わってくる、そういう情勢に対していろいろと考えるところがあるということは、これは当然のことであります。これからの経済状態の推移、そういうものとにらみ合わせて所得税減税問題の一環といたしまして十分検討いたしてまいりたい、両者ともあわせてでございます、かように存じております。
#168
○鈴木一弘君 いまの大臣の答弁ですと、十万円の給与所得控除の定額部分を引き上げるということについては、これはまだ十万円になるか五万円になるかわからぬと、しかし、引き上げる方向でやると、こういうように理解してよろしいですね。
#169
○国務大臣(福田赳夫君) そういういろいろな要請もある、それからかたがた経済も変化するであろう、そういうようなものをにらみ合わせながらこれは十分検討いたしてまいりたい、こういうことを申し上げたわけでございます。
#170
○鈴木一弘君 その問題で課税最低限というものはどうしてもここでまた引き上げるのが本来だろうと思うんですが、今回の場合、四十五年度の所得税の改正で年収二百万の人が実際には下がってまいりますけれども、この夫婦子ども三人で年間収入が四十四年度で二百万円の場合よりも、四十五年度にもしこの方が収入が一割ふえて二百二十万円に引き上がってくると、四十四年度の二百万円のときの税額よりもいくらか安くなるんだろうと思う。しかし、もし一五%ふえるということになれば、税額は六千円以上ふえてくる。ですから、今回のように五ケタ昇給というような賃上げの問題が起きてまいりますと、場合によれば一五%などという場合も出てくるのではないか。それでは逆に減税の効果というものは失われてきやしないかというふうにも思うわけですが、その点、どういうふうに考えているのか、ひとつ……。
#171
○国務大臣(福田赳夫君) これはよく言われることでございますが、もし減税なかりせばどうなったんだろう、こういうものと比較してもらいたいのでありまして、自分の所得が多くなってきた、多くなってきたから多い税金を納付すると、これは当然のことじゃあるまいかというふうに思うんです。しかし、減税が行なわれたならという実感を受けるためには、所得が多くなったにもかかわらず納付する税額が減ったということまでいけばよろしゅうございますが、まあ大体今度の減税ではそういうことになるかと思うんですが、刻みがありますから、刻みの区画によりましては、あるいは昇給があった場合に、税は減税にもかかわらずふえてしまった、こういうような例がなしともしないと思います。しかし、基本的には、減税なかりせばふえべかりしものがふえないんだということで御満足願うほかはなかろうと、かように存じております。
#172
○鈴木一弘君 これは大臣に伺っておきたいんですが、所得税と住民税の問題です。これから先、住民税のほうが三十万円も課税最低限が低いということから、自然と要求は住民税のほうへ集中してくることは目に見えておりますが、現在、独身者の場合には年間給与が三十八万、夫婦子ども三人の標準世帯の場合には百二十五万円をこえると、税額は住民税のほうが多くなるということになってまいります。そうすると、せっかく所得税のほうでいろいろ苦労をしていって減税ということをやっても、その効果が、これ以上多い人については、特に独身者の場合には年間三十八万円をこえるというと住民税のほうが高くなるということになってまいります。これは均等割を含んでいない数字でありますから、均等割を含むと、これは大した金額じゃありませんので問題はないと思いますが、これより若干ふえるだろう。そうなると、住民税のあり方を所得税のほうから見てきめなければならないというふうに思ってくるわけです。つまり、三十万という差額よりもこれは詰めなければいけないのではないか、課税最低限をもっと引き上げるようにしなければいけないということにならざるを得ないと思うのです。せっかくの給与所得税の減税の効果というものが住民税のために消えてしまうということではならないだろうと思いますし、その点についての考えを伺っておきたいと思います。
#173
○国務大臣(福田赳夫君) 住民税の課税最低限と所得税の課税最低限が同じだと、そういうことは私は理想論としてはまさにそうあってほしいというふうに思います。しかし、本質的に見てこの両者の最低限の間に違いがあるということがどうしても排除さるべきものであるかというと、私はそうは考えない。やっぱり住民税というものは地方税の主軸をなすものである。その住民税、これは国税のように国をささえる行政の財源になる、こういうのと違いまして、地域社会をささえる財源でありまするから、国税と違いまして幅広くこれが納税者がきまっていくということがあって別に支障がある問題だというふうには考えませんが、経済がだんだん発展し地方財政の力でもついたならばまあ一緒になるということは好ましいことだなあというふうには考えておるんです。それが理想だというふうには考えておりますが、現在の地方財政の状況は急にそこまでは行きかねます。しかしながら、理想はそういうところにありまするから、理想に向かって逐次努力をしていくという姿勢、これが今日のあり方じゃあるまいか、そういうふうに考えている次第であります。
#174
○鈴木一弘君 土地譲渡所得課税の問題についてでありますけれども、けさも大きく新聞に出ましたので関連して伺っておきたいのは、地主所得増に拍車をかけたということで、例の土地譲渡所得課税の分離比例課税の導入が土地の流動を高めたことは確かでありますけれども、売買の相手方がほとんど業者ではないかという心配がある。そうなると、これから一体どうするか。流動化を進めなければならぬという一つの問題、いま一つは、そういうような業者だけに移っていくと、その場合にどこかで一つの利益というものを課税の対象にしないわけにはいかなくなるのではないかというように思うわけです。私の考えでは、今後の開発が進んだ場合には、開発利得税というような特別税を考えなければ、ただいたずらに地主から土地が放出されて、土地については流動化が進むということでいいことかもしれませんが、それからあとの業者等についてはよほど開発利益というものに対する税金を考えておかなければ、ただ流動化は進んだ、地主は確かに分離比例課税でよかったかもしれないけれども、それ以後いわゆる業者のみがもうけるということになってしまったのではいけないのではないかという考えが非常に強くあるわけですが、その辺についても大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
#175
○国務大臣(福田赳夫君) けさの「朝日新聞」に、「地主所得増に拍車、新税制」と、こういうふうに大きく出ておりますが、国税庁の調べたところによりますと、たしかに高位所得者に土地譲渡を行なった者が多いわけです。これはまさしく四十四年度の税制がねらったそのねらいがここにあらわれておるというふうに見ているわけです。つまり、土地の流動化が非常に活発であったということです。ただ、一面において、鈴木さんが持たれるように、そういう人は減税の恩典に浴したわけでありまするから、それで一体他の所得者との感触がどうだろうかという問題でありまするが、この問題は四十年度税制の改正のときもつとにそういう感触があり得べきことは予想しておったわけなんです。そういう感触を犠牲にいたしましても、あえてひとつここで流動化を行ない土地の供給をふやすことこそが今日の土地対策として必要ではないかという考え方に立った次第でありまして、私は、そういう御指摘の味の悪い面はありますけれども、この調査を見て、税制の改正は非常に的確な響きを出しておるというふうな評価をいたしておるわけでありますが、これが行き過ぎますと困ります。しかし、これは来年一ぱいで税率がいまの一割は終わるわけであります。でありまするから、まただんだんと変わった様相にはなりましょうが、他面におきまして、いわゆる短期保有者の投機売買に対しましては重課をしておる、そういうことをやるわけでございまするが、これは数字にはなかなか出てこない。その辺もこの表をお読みになる場合の評価にはひとつ腹の中には入れておいていただきたい、かように存ずるわけでございます。
 それで、問題の資産課税といいますか、公共事業に均てんし利得する者の利益をどういうふうに捕捉するか、これは、今後の土地政策とも関連を持ちながら、その土地政策を誘導し補完する意味において、税制の役割りは重大になってくるというふうに考えております。一番大事な問題は、空閑地税でありますとか、未利用地税でありますとか、土地に関する資産課税が論じられておるわけであります。考え方としてはもうこれらの考え方に私は賛成なんです。ただ、何が一体未利用地であるか、何が空閑地であるかということの判定、これは実際問題として非常にむずかしい問題でございます。そういうようなことで、いま当面、今日の土地対策、またそれに対する税制というものを踏んまえて考えます場合には、固定資産税ですけれども、これに一つのメスを入れる問題点があるように思います。それからもう一つは、いわゆる土地開発税というようなものの問題、これをどういうふうに取り上げるかというようなこと、その他いろいろ考えられましょうが、とにかくまだ土地の制度自体が非常に不安定な状態である。そういう状態におきまして税だけが前進をするというわけにもまいりません。この間、総理が、土地公示制度が設けられるようになった、しかし、いまこれはほんとに拠点都市におけるごくわずかな公示しか行なわれておらぬという状態が、これが普及されるというような状態になると、税の上に大いに活用する余地が生ずるのではないか、たとえば公示価格をこえて売買した、その売買の増差額を徴収するというようなことも考えられるのじゃないかというようなお答えをいたしております。そういう基本的な制度ができますと、いろいろ考えられるところが出てくるのではないかと思いますが、今日ただいまの時点といたしますと、固定資産税の扱いをどうするか、また、土地開発税というものをどういうふうに発展させるかということぐらいと思っておりますが、なおしかし大事な問題でありますので、一生懸命勉強してみたいと、かように考えております。
#176
○鈴木一弘君 この問題は、結局、政府の土地政策確立ということが一番最初になさなければならないことが多少おくれていることから起きていると思います。それは、大臣の御答弁のとおり、慎重に真剣にやってもらいたいと思います。
 ただ一つだけ利子・配当の問題で伺っておきますが、利子の課税の問題のところで、提出不要の支払い調書、限度額以下の分は不要というのがありますが、その限度以下というのは一体どういうふうにするつもりなのか、その内容はまたどういうのか、金額はどの程度なのか、それを伺っておきたいと思います。
#177
○政府委員(細見卓君) 名寄せといいますか、総合して年一回出す場合とそれから一回の支払いごとに出すという二つの場合を想定して出しておりますが、あまり低くいたしますと、これは銀行の手間が非常に煩瑣になりますし、あまり高くいたしますと、総合課税として意味をなさないというようなことになりますので、一回の支払いごとの場合で五千円なり一万円くらいのところで何か適当な基準を選んで検討いたしたい、かように考えております。
  〔委員長退席、理事沢田一精君着席〕
#178
○横川正市君 鈴木さんの質問に関連をするようなかっこうになりますけれども、さっきの生計費非課税の問題で、実は、私も、課税対象として生計費に対する課税をどうするかということは、これはもう明らかにされている点なので、生計費に対しては課税すべきでないという点を踏んまえて、課税する側の大蔵省がいわば他の機関の調査に依存をして一つの基準をきめるということが妥当か、それとも、大蔵省として独自の調査をし、その調査結果に基づいて説明をするようにするほうが妥当かという点で実はお聞きをしようと、こう思っておったんです。
 先ほどの局長の説明で、実は局長のほうではたいへん数字をのみ込んでいるから、すらすらと説明をいたしましたが、どうも、聞いていて、はたして大臣の言われるように非常に水準並みになったのかどうかという点がちょっと理解に苦しむわけなんで、たとえば賃金労働者の賃金の比較率を見ますと、これは物価は別ですが、アメリカの場合には日本の七・何倍、八倍近い所得がある。それから西ドイツが二・七倍くらい、フランスは二・四くらいです。そういう一つの比率、給与に対する倍率といいますか、これは計算の仕方もあるだろうし、比較のあれも数字的にあるだろうと思いますが、そういう面でいきますと、課税対象としての最低生計費というもののとり方というのは非常に違ってくるのじゃないかという気がするんです。
 どういうふうに違うかといいますと、たとえば一億円の所得のある者が九九%課税されても、残りのものはいまのサラリーマンよりはたいへん多いわけで、これはどこまでのものを生計費と認めるかどうかということと何%取っているかということとは実際には違う結果が生まれるんじゃないか。
 それからもう一つは、いろいろ平均的計算をとっておられるようでありますけれども、どうも日本の場合にはある程度の生活水準が他の国と比べてみて低いことが一般的な社会常識だから、その低いところのものを一つの生計費としても他の生計費と比べてみて決してこれは低いと言えないのだ。それは、アメリカにおける生計費が幾らで、フランスにおける生計費が幾らで、日本の生計費が幾らでということは、その国の生活様式とか、生活の内容とか、カロリーのとり方とか、それが違うのだから一般に計数上は表現することはできないのだというふうにいろいろ言われているようなことをまとめて説明をされたようにとれているわけなんですが、もっと比較は所得の面ではどのようになっておって、それに課税のパーセンテージが幾らで、金額がどのくらい、だから大体日本の場合にも匹敵する状態までになったのだという大臣の結論をもう一回説明をしていただきたいと思います。
#179
○政府委員(細見卓君) 最初に、課税最低限から申し上げますと、これは夫婦子三人の場合でありますと、日本の場合が百三万円になるわけであります。これは、日本の平均所得二百七十七万五千円――これは五倍した所得でございます、五人分の平均所得に対しまして約三六%であります。それからアメリカの場合は課税最低限が百五十二万一千円でありまして、これはアメリカの一人当たりの平均所得を五倍いたしました六百三十九万三千円に対して二三・八%であります。イギリスは課税最低限が八十二万六千円でございまして、イギリスの平均所得二百六十万四千円に対しまして三一・七%に相なるわけであります。それから西ドイツは課税最低限が九十六万一千円でございまして、西ドイツの平均所得三百二十六万九千円に対しては二九%になります。また、フランスは同様な係数が三八%になって、課税最低限は日本よりも若干高くなりまして百十七万であります。したがって、金額の絶対額におきまして日本より高いのはフランスの百十七万とアメリカの百五十二万であります。しかし、この差額は約五割程度でありまして、いま横川委員御指摘のように、労働者の賃金その他から見ますと、日本の少なくとも七倍とか八倍とかを一人がとっているということを考え合わせますと、日本の課税最低限は相対的には非常に高い。つまり、より多くの人が失格者になっている、ごく少数の人が納税者になっているということが言えるかと思います。
 それで、もしこれを、総国民所得ということでなくて、有業人口、つまり働いている人たちで見ましても、日本の納税者は未成年者が課税になっておるとかいろいろ議論がこの国会中にもございましたが、有業人口と納税者の割合を見ますと、日本は約四五%、つまり日本の有業人口の四五%が納税者になっているのでありますが、イギリスは八割が納税者になっている。アメリカにおきましては七四%の人が納税者になっている。もちろん、こういう国際比較におきましては、税制の違いもございます、あるいは家族その他の世帯構成の違いもございますので、これをもって一がいにこの数字そのものが真実というか、それ自体意味のある比較として申し上げるわけじゃございませんが、たとえばこういう側面から見ましても、日本の課税最低限はかなり高いところになっており、したがって、日本の所得税納税者というのは、ある程度日本の国内における水準の高いところから納税者になっておる。アメリカやそのほかの国は、国民の所得水準がより低い層から納税者になっておるということが言えようかと思います。
 そこで、もう一つの観点は、それぞれの国の個人所得――つまり、いま申し上げておるのは平均所得でございますので、法人所得のようなものも含まれております。そこで、個人所得との対比で見てまいりますと、個人所得の所得税ということを見てまいりますと、四十三年しかございませんので、便宜見てまいりますと、アメリカでございますと個人所得に対しまして所得税は一一%ぐらいの負担になっております。それに対して、日本は、四・一七%、約四%程度の負担でございます。そのほか、イギリスで見ますと一三%、西ドイツでありますと一〇%、フランスでありますと四%ということになっております。これも、もちろん、いわゆる所得のフローといいますか、年々の所得だけをとらまえておりますので、そのストックと申しますか、いろいろな生活資材の蓄積の度合いというようなものが無視されておりますので、これをもって日本の所得税の率が相当軽いと言うのは適切でないかとは思いますが、少なくともフローでつかまえました限り、日本の所得税というのはかなり軽くなっておるということが言えようかというのを申し上げておるわけでございます。
#180
○横川正市君 私はその説明はあんまりどうも実感がこないものですから、生計費の面でお聞きいたしますと、総理府の家計調査で、標準生計費が世帯で三・八九人の場合に九十六万四千八百四十八円、こういう数字になっておりまして、ことしの物価の上昇率を四・八%と見ますと、この標準生計費の最低は百一万一千百六十円ぐらいになるだろう。これに対して、一体課税の状態はどうかといいますと、大体四人家族が普通の生計になりますと八十六万五千七百七十二円、これに生計費の物価上昇率というものを掛けますと、やはり生計費に最低限から見ても食い込んでいるのではないかという、そういう数字が出てくるわけです。これは、生計費に食い込んでいるかどうかということを見るのには、少し特殊な、何といいますか、万人が認められる係数というものが出ておらないということもあろうと思いますけれども、考え方としては、係数で論議をするよりか、大蔵省の考え方としては生計費課税はしないというたてまえかどうかのほうが聞いてみてはっきりすることだろうと思うので、食い込んでいるか食い込んでいないかという論争よりか、考え方としてその点もお聞きをして、それから先ほど局長が説明されたように、平均的なという考え方で課税するか、それとも相当厳密な資料に基づいて生計費に食い込んでいないという証明をする、そういうたてまえをとって課税をするか、その点をはっきりしておいていただけばいいんじゃないかと思いますが。
#181
○政府委員(細見卓君) いままで、課税最低限に関しまする税制調査会の答申におきましては、課税最低限は最低生活費に食い込むことがないのが望ましいというような答申が何回か出ておるわけであります。三十五、六年ごろにおきましては、やっと生活水準もある程度高まっていき、所得水準も上がった段階でございましたので、そのころ先ほど申しましたようなマーケットバスケット方式のようなものでそういうサイドチェックをいたした時代もございます。しかし、先ほど来申し上げておりますように、理論的に申し上げますれば、課税最低限というものは直接あるわけじゃなくて、諸控除の組み合わせによりまして一定所得階層以上のところから所得税を納めてもらうようにし、しかも、その刻みというのができるだけなだらかにいわゆる担税力に応じたものになるというふうにするのが望ましいというのが理論的に言えることでございまして、その場合に、いろいろな世帯ごとに諸控除を組み合わせたいわゆる課税最低限というものが生活費に食い込んでおらないことが望ましいことは事実でございますが、院の段階でもたびたび申し上げたのでありますが、いわゆる課税最低限、最低生活費というものは判断が要ることでございますし、人によって差があることでございますので、これはいろいろな価値判断の入るものについて議論をいたすことというのは必ずしもそれ自体が有意義なことにはならなくて、そういう価値判断を排除したいわば平均的なものでサイドチェックするという考え方がここまで課税最低限が上がった段階においてはむしろ有効なことではなかろうか。その意味におきましては、横川先生のおっしゃったような家計調査等の結果を見ましても、この方々は二十万円の貯蓄ができるわけですね、年間。そういう余裕のある方々ですから、この方々が支出しておられる八十七万円というものは、何といいましてもかなり自由に買いたいものは買い、使いたいものは使っての生活であろうと思います。これが非常に豊かなものだというふうな言い方はいたしませんが、いわゆる最低生活費、その最低のカロリーを維持する、もう食うだけがすべてだというふうなものではないわけです。
 そこで、それじゃ最低生活費はおまえどう観念するかということになれば、食うだけではだめで、健康で文化的だ、健康で文化的とはどういうことかというふうに判断が無限に入りますので、そういう意味で私どもはこの八十七万円と現在の勤労世帯の課税最低限とを比較いたしますれば、その格差がないわけでございますから、しかも、諸外国と比較いたしましても、おおむね日本の課税最低限はかなり高いほうにある。それに所得水準の差を加えれば、相対的には非常に高いものになっているのじゃないかということで、諸外国の税制がそれじゃ望ましい税制かということはわかりませんので、絶対論としての議論はできないかもしれませんが、比較的に見まして、日本の所得税というのは、そう低額所得層のところからぎりぎりから取っておる、世界でひどい所得税だということにはもう絶対になっていないのじゃないかというふうに考えているというわけでございます。
#182
○横川正市君 いろいろ論争してみて、感じからいえば、結局、ある一つの基準を置いておいて、そしてそれから課税をしていくか。結果的に、そうすると、生計費の分からすると赤字になる、赤字になる分はだれも負担しないから、赤字にならないところの所得の階層から税金を取っておけば、赤字分を補てんしなくても済むので、最低限はできるだけ高い収入のものから取っているというふうに見れるわけですよ。そうでないと、実は、二十八か九の者で、民間の中小企業の課長クラスの――具体的な例ですが、それで住宅公団に入る適正料金――給料をもらっているわけなんですね。それで、当選をして2DKに入りましたら、二万二千円と、それからあれは必要経費ですかが千何ぼで、二万三千何がしかの住宅費がかかるんです。これは民間の一般のアパートはもっと高いわけですが、住宅公団でですね。そうすると、七万六千円の収入がある者が、最低限がですね、その者が、二万三千何がしかの家賃を払って、それで今度は通勤費は全額補てんでなくて、中小企業ですから半分くらいですかね、通勤費が四千八百円くらいかかるのですか、相当遠いですからね、住宅公団の住宅は。そういういわば平均よりかやや高い給料をもらっている者で、住宅費と通勤費だけで約二万七、八千円かけなければ居住することができないという点から考えてみて、はたしてそういうような生計費というものは係数の中でどういう取り扱い方をしているのだろうか。一般の六畳間が、いま、一月九千円くらいするのじゃないですか、東京の場合に。六畳と、ちょっと流しと押し入れがついた場合。そういう住宅に入っている人ならば、これは非常に高いところに入っているから平均にはなりませんということになるかもしれませんけれども、一応公団住宅へ入っているというそういうことを一つの標準にしてとった場合に、生計費のとり方としては一体どうなるだろうか、住宅費の支弁の割合ですね、これはどうなのかという点があると思うのですがね。それで、生計費標準課税の総理府の家計調査というのは、住宅費は幾らに見ていますか。
#183
○政府委員(細見卓君) 地代、家賃を込めまして月額で二千二百九十二円です。したがいまして、年間二万七千円くらいですか、そういうことになっております。
#184
○横川正市君 私の言っているのは月額を言っているんです、年額じゃなくて。さっき、二十万円くらい貯金されるということでしたが、そのくらいは家賃で支弁してしまうということにもなるわけで、生計費のとり方というものに、もう少し大蔵省自体が生計費をとってみたらどうなんですか、標準的なものとして、実際には。
#185
○政府委員(細見卓君) これは、その道の専門家である統計局が、出てきた結果が信憑性があり、また、一般にふえんして差しつかえないようにサンプルのとり方その他について統計的方法の厳密を期してやっておられるものでありまして、私どもが選ぶといたしましても、そこに価値判断を入れては適当でないわけでありますから、そういう意味で、やはり、統計は統計として、もちはもち屋と申しますか、そのほうにまかせたほうがいいのじゃないかと、かように思っております。
#186
○横川正市君 だから、実際には、公団の住宅に入って月額が二万二千円というような、これはまあ高いほうかもしれませんが、一万四千円とか一万一千円というのもありますけれども、それにしても、家計費としての平均係数ですか、これとの間には、ずいぶん大きな差がある。ことに、サラリーマン減税をしてもらいたいという声は、都市のサラリーマンからあがっているわけですよ。ところが、それに答える答え方は、全国平均で答えている。そういうこともあるので、私どもは、やはりその点が高いじゃないか、安くすれという声と、それから説明する側との間に、立場の違いといいますか、かみ合わない問題があるのじゃないか、こういうふうに思います。しかし、それをかりにいま言ったような住宅費をもって見ても、総理府の家計調査から見ても、政府の言う物価の上昇率四・八%を掛けても、なおかつこれは生計費にある程度の食い込みを来たす。それで、物価の上昇率は、ことしは六%以上、来年度は下げると言うけれども、はたして下がるかどうか保証の限りでない状態なので、本格的にはやはり高いという印象をぬぐいされない、そういう内容を含んでおるというふうに思うのです。だから、そういう点では、私は、やはり大蔵省独自で税金を納めてくれというわけですから、実はあなたの生計についてはこういう要素でこういうふうになっておりますよ、だからこれだけの税金を納めてくださいというくらいな、必要資料みたいなものを持ってみたらどうかというふうに思うんですが、重ねてひとつお聞きをします。
#187
○政府委員(細見卓君) 先ほど来申し上げておりますように、二千万を上回るような納税者につきまして、すべての人に当てはまる生活の内訳というものを書けば、結局、中身のないものになろうと思います。この家計調査を見ましても、いまの横川委員御指摘のような高い家賃を払っておられる人も入っており、また、戦前から入っておられるような家で非常に安い家賃の人もおり、それを平均するとこういうかっこうになってまいるわけでありまして、そういう意味でこういう調査が行なわれておるときに、私どものほうで価値判断の入る最低生活費とはこういうものだというような議論をいたすことはいかがなものかとやはり考えます。
#188
○横川正市君 平均平均でもって説明をされるんですが、その平均も、とる方とそれからいろいろ要素になっているものの違いで平均というものもうんと違うのですね。だから、私は具体的な例をいつも申し上げるんですが、たとえば東大を出られて二十何年勤めて局長になられて、そして官舎に入っておって、やれ今度定年になられて、あるいは他に転出されて、官舎から出て土地を求めて家を建てて実際の生活をしなければならなくなって、自分が委員会で説明したのとこんなにも違うのかと、こういう実感があるようでは、本来やはり問題があるんじゃないかと思うのですよ。(笑声)私のところにも国税庁の官舎がありますよ、三DKのやつが、去年か建ちました。あれはどのくらい払っていますか、おそらく三千円台じゃないですか、家賃は。だから、一般の基準のとり方というのが、大臣、これは違うのじゃないかと思うのですよ。だから、私は、実感としては、最高学府も出て、そして局長、次官までなられて、官舎に入っていて、さあ官舎から出て、土地を買って家を建てて入った、退職金はどう、あれはどうというふうにぶつかったときに、実は、サラリーマン同盟とかあるいはユニオンという人たちが、税金は高いじゃないかということを言っているんじゃないかと、こういうふうに思うのですが、それはもう平均ではとれない地位、それから一般的な社会的な処遇、そういったものを持っていても感ずる実感を、営々としてたたき上げや何かで出てきて、大体平均ベース七万か八万くらいでしょう、そういうようなところから税金の問題にぶつかって、そしてある程度もらうようになったが一体これはどういうことなんだというふうな意見が出てくる。その点にもっと納得のできるような説明をしてもらいたいものだと、こういうふうに思うわけなんですよ。これは、ひとつ、どうですかね、実感からどういうふうに説明していただけるか、説明をお願いしたいと思うのです。
#189
○政府委員(細見卓君) まだやめておりませんので、そこまではわかりませんが、(笑声)そういうことのないような税制にいたしたいものだと思っております。
#190
○横川正市君 私は、大臣が最後に言われたように、ある程度国際水準にもそう遜色はない、しかしこれからもう少しひとつ検討いたしましょう、こういうことですから、そのことで答弁は別に要求しませんけれども、しかし、いろいろな要素が私どもは考えられるわけですね。生活の内容は、もう消費を刺激されて、そのことはいい悪いは別にしても、何か生活そのものに消費を高めるような刺激がたくさんある生活をだんだんしいられてきていますね。それは、刺激をされるのが間違いで、刺激されなければこういうふうになりますよということでの立場というものは、普通の社会一般の通念からはだんだん合わなくなってきているわけですから、そういう点もひとつ加味されて検討していただきたい。
 それから予算委員会のときに、私のほうの加瀬さんが、ずいぶんいろいろな例でこまかくただしました。私たちは、笑い話に、すりこ木につばと土をつけて振り回しているやつが何千万も取っておって、そして全く一生懸命働いている者が幾らだと、これはどうなんだと。これも、しかし、一般の社会の常識みたいなものですから、考えれば不思議だと思うのですけれども、実際にどうも不思議でなく通ってしまうということもあるわけですわね。しかし、もっとやはりまじめな者がまじめさを評価されるような、そういう税制だとかそういったものがつくられていいんじゃないかと私は思います。その点はひとつ検討のときに含めていただきたいと思います。
 それから実は先ほど鈴木さんのほうからもちょっと触れられたんですが、企業税制の改正の中で、法人の人格を、税法上、法人擬制説でこれをとらえていくことが妥当なのか、それとも、実際には法人の実在説でとらえることが妥当なのかという論議は、これは大臣もそういう二つの説があるので検討するという答弁をされておりました。私は、一体、法人税というのは、株主の支払うべき所得税の前払いという考え方で二重課税を調整をしているのだという、そういう行き方は現状にはどうもやっぱり合わなくなってきているじゃないか、実際には経営とそれから企業資本とが離れてきて、そして、一般の株主と企業とは、実際問題としては全く別の存在としてお互いが、たとえば一般投資家の場合には、株を買うのは経営に参加しているということよりか、配当所得を得るのが主たる目的で参加をしているという、二つの説明のうちの後段のほうが最近の一つのもう定着した現状じゃないのか、そういうふうに踏まえべきだというふうに思うわけなんですが、これはそういう二つの説があるがというとらえ方でなしに、大臣としてどういうふうに考えられているか、ひとつお聞きをいたしたいと思います。
#191
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの横川さんのお話は、これは法人税法のもう根幹に触れる大きな問題だと思います。確かに、横川さんのおっしゃるように、法人実在という考え方ですね、そういう考え方のほうがわれわれの社会感覚にマッチするのじゃないか、そういう面が多々あると思うし、また、こういうふうに法人の数も多くなり、その型も大きくなる、こういうことになってくると、実感としてそういう感じも私ども抱くわけです。ただ、いままでの税制のやり方をやり返しまして、いわゆる利潤課税方式というような方式をとるというようなことにすると、これはいままでの税体系を根っこからひっくり返した考え方をしなきゃならぬというので、そう簡単な判断もできない、そういうふうに考えております。税制調査会のほうでもいろいろこの問題は議論をしております。私どもも税制を一体どういうふうにするかということにつきましては、これは掘り下げた検討をしてみたい、こうふうに思っておるわけであります。いずれにしても、非常な重要な問題でありますので、ここでどっちがいいのだというふうな意見を申し上げかねますが、ひとつ掘り下げた検討はしてみるということだけは申し上げさせていただきます。
#192
○横川正市君 もう一つ、これと関連をするわけですが、昭和二十七年ころに法人税率が四二%、それからずっと二十九年までが四二、それから三十年から三十二年まで四〇%、三十三年から三十九年までが三八%、四十年が三七%、四十一年から現在までが三五%と変わって下がってきておるわけです。この下がり方と自己資本の比率の問題ですが、昭和二十七年に四二%の税率で二八・八%だったものが、四十三年の三五%になって自己資本率が一六・八%に下がっているわけなんですが、これは大体三百万以上の点で調査をした資料ですが、この資料は大蔵省の資料と合っているかどうかまずお聞きをして、それからさらに、法人税が率が下がってもなおかつ自己資本率は同じようなかっこうで下がってくることはどういう理由で下がってくるのか、ひとつ御説明をいただきたい。
#193
○国務大臣(福田赳夫君) まず、法人税率がだんだん下がっておる、これはそのとおりです。数字は、違ったところがありますれば、あとから政府委員から申し上げます。それから自己資本の比率が非常に下がってきておる、これもおっしゃるとおりであります。傾向的には間違いはないのですが、これもあとでチェックはいたします。
 そこで、なぜ法人税が下がっておるのに対して自己資本が充実されないかというと、経済の成長の問題があるわけです。非常に急速な拡大をいたしておる、そういうようなことで、成長のために必要な設備投資、また設備ができた場合の運転資金、そういうような資本需要、これが急速に高まる。そこで、急速に高まる資本需要に対する資本調達の方式というものが、これがいわゆる資本市場調達ができないわけです。どうしても借り入れ資本にこれをよらなければならない、こういう形になる。そういうようなことが会社の資産構成を悪化さしておる、こういうような状態かと思うのであります。非常な急速な成長で利益もあり、それから法人税率も下がっておる、政府のほうでも意を使いまして税法上もきめのこまかい配慮をしておるにかかわらず内部留保も十分でない、こういうことは、設備投資の量があまりにも急速に拡大をいたして、それに伴う財源というものが金融資本というか借り入れ資本に依存をされたというところに根本原因がある、こういう認識を持っております。
#194
○横川正市君 大臣の説明のとおりなんですが、実は、私どもは、そういう説明だけでなしに、その場合に自己資本率が非常に低いということは、他の重要な問題をたくさんかかえているわけですね。だから、そういうかかえている問題を解決する方向に行けばいいわけですが、それが行かないで、たとえば四十一年に三七%から三五%に引き下げられて、それで実際上の自己資本率は一八・四%と前年よりか下がっておるわけです。その下がっているという事実と、今度は四十二年には景気がずっと上向きになっておりましても三五%はそのままの据え置きで、それであってもなおかつ四十二年度の自己資本率は一七・五%と下がっているわけですね。これは法人税率というものを既得権化されて、景気が回復をすれば当然復元しなければいけないものを復元をさしておかないという問題は、これはどういうことなんでしょうか。景気が悪くなったからといって下げたわけですから、景気が回復すれば適正な形で復元をさせるというのが税制の問題としては当然だ、こう思うのですが。
#195
○国務大臣(福田赳夫君) まあそういう御疑念のあることは当然かと思いますが、しかし、四十年度に法人税率を一%下げ、これは留保分だけですね、それから四十一年度にまた二%下げた。それで、二%下げたというのがかなり景気回復に響いたというふうに言われておりますが、今回はこの四十一年の二%の減税ですね、これを回復しようかという考え方をとったわけであります。ところが、いままさに横川さんの御指摘のように、資本蓄積がその後も悪化を続けておるこの状態を放置することはできない。さらに、一方において、経済がますます拡大されそうな形勢である。それがまた資本悪化に拍車をかけるであろう。こういうことを考えますと、四十年、四十一年とこの両者を通ずれば三%の引き下げを行なったわけですが、先ほども申し上げましたように二%程度が妥当である、こういう考え方をとったわけであります。ただ、その二%というのが実際は一・七五%になりましたが、まあ地方税と合わせると二%になるというので、一・七五%でもまあ考え方はこれで打ち出せると、そういう見解で落ち着いたわけでありますが、とにかく、いま、わが国におきましては、経済が非常な発展をする、それにつれて会社の資本構成が悪くなる、これは超高度成長のひずみとでも申しましょうか、そういうようなことで、私どもは、この問題は、基本的には成長の高さというものに対して抑制を加えないとこの問題もまた解決されない、こういうふうに見ておるのです。ずいぶんいろいろな面で資本構成の強化、こういうことは努力いたしまするけれども、大きな経済拡大という大波が来てそれらをみな押し流す、これが現状なんですから、何とかしてこの状態は是正しなけりゃならぬ、こういうふうに考えております。
#196
○横川正市君 このことは、日本の企業が自己資本を持たないで、そして借入金によって動いているからこうしなければいけないといういわば保護政策が幾つかとられてきていたわけですね。これはもうそのままの形になってきているわけです。ところが、国際収支の黒字が異常に高まって、その黒字をこのままに伸ばしていくことはやはり円の切り上げ問題と関連して何とかしなければいけない、こういう状況が出てきている。それに対して、優遇措置を取り払って、そして企業が自前で外国との競争場裏で肩を並べて競争するようになる、そういうことのいわばふん切りといいますか、それをやるときに、またこの自己資本率がきわめて悪いからという問題が出てこないか。そこで、自己資本率を高めるということは、これは政治の中で誘導的に行なえないのかどうかという問題が出てくると思うんですよ。この点はどういうようにお考えでしょう。
#197
○国務大臣(福田赳夫君) 資本市場というものが育成され、資本市場において資金の調達ができるようなことになりますれば、かなりこの問題も解消されるというふうに思います。しかし、いま、企業は、留保資金ですね、償却その他の内部留保による資金、また、それに借り入れ資本というものを加えて主力資金を調達する、そして資本市場で調達するということにつきましては非常に困難を感じている、こういう状態なんです。ですから、資本市場を何とかもっと強化しまして、株式資本が設備投資や何かの主力になる、こういうようなことになりまするとこの問題の解決の糸口になるというふうに考えておるわけであります。
 それから税制におきましても、まあ内部留保に努力をするというものにつきましては、特別措置におきまして配慮をするというようなことをやっておりまするけれども、そういう努力もしておるわけですが、まあ何と言っても一番の問題は、もう少し経済の成長発展がなだらかになる、こういうことだと思います。これが、いまのような、いまというか、これまで二、三年続いたような勢いで発展をするということになりますると、どうしてもいかにどう処置いたしましても膨大な資金が要る。これを調達する道というものがどうしても借り入れ資本に片寄っていく、こういうことになり、資本構成を悪化させる、こういうことになりはしないかと思うのです。そこで、私どもとしては、何とか成長の速度をなだらかにしたいということを考えておると同時に、資本市場の育成ということですね、これにももっともっと力を入れなければならぬというふうに考えておるのであります。
#198
○横川正市君 私ども疑問に思うのは、自己資本率が低下して他人資本に依存しながら、どんどん高い成長をしていく。そして、借り入れは、成長という形で自己の製品なら製品の価格が引き上げられることによって借金が返済されていく。そして、なおかつそれで大きな借金をして、そのことによってまたその製品の価格が高くなり、借金をまたその中から償却をしていくということをやりながら、どんどんふくらまるだけはふくらまるけれども、その企業の健全さというものは少しも改善をされていかない。これは、安定成長という面から見て、いまの成長は一体安定成長なのかどうかという点で疑問を持つわけなんですが、その点はどうお考えですか。
#199
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十一年以来、非常に高い成長です。特に四十二年、三年、四年と一三%をこえる実質成長だと、こういう状態、これは私は異常だと思う。これは長続きはできない高さである。できないというのみならず、日本経済が根底からゆすぶられるような事態に当面をするであろう高さである、こういうふうに見ておるわけです。そこで、だんだんとこれを下げていく政策をとらなきしゃならない。そこで、四十五年度には二・一%という目標を立てておるわけでございますが、一一・一%でも実は高過ぎるのです。しかし、急にこれを押えますと、押えたまた衝撃というものがありますものですから、まあ二、三年かけて何とかして一〇%ぐらいの線まで持っていきたいなというふうに考えておりますが、ことしの経済の一一・一%というのは、これはまあ安定速度への段階に来ておる速度である、こういうふうに考えております。
#200
○横川正市君 法人税は、これはもう当然会社に対する課税なわけですが、こういう会社は税金を自分で負担をしないで、そしてその税金分だけコストとして商品価格に含めて実際上は消費者に税金を肩がわりさせている。そういうことを法人税の転嫁と今日言われるわけなんでしょうが、アメリカあたりでも三〇%ぐらいは法人税が消費者に転嫁されている、こういうふうに言われているのですが、日本の場合には一体どの程度法人税が消費者に転嫁をされていると判断をされていますか。
#201
○政府委員(細見卓君) 法人税につきましてそういう転嫁の議論を日本でもいたしまして、三十九年の税制調査会におきまして、専門の学者にお願いして、法人税は転嫁するかしないかということを研究願ったわけでありますが、残念ながら、結論が、法人税の転嫁するかしないかについてはいずれともきめがたいという結論しか出なかったわけでございます。
#202
○横川正市君 これは、実際にはどういうふうになっているか、調べようがないということなんですね。だから、事実上はもうほとんど転嫁されているんじゃないかと思われるのは、予算委員会でも、分科会ですか、原価の本が出ましたね。それは私どもも非常にショッキングな本を読んだという感じがするわけですよ。ですから、そういう原価から見て、その実際上の売り値という価格を見た場合に、一体これは原価と売り値というのはどういうものなんだろうか、どういうからくりがあるんだろうかというふうに非常に不思議に思ったわけですが、税をかけたその税が、これはもう当然会社が払うべき課税であるのを、それをさらに今度は商品のコストに入れて、そしてそれが消費者の負担になってくるという点が、これは調べようがないで済むかどうかという点がちょっと私も問題があるのじゃないかと思うんですが、これは全く調べようがないものなのかどうか。もう少し手を入れて、原価、あるいは販売手数、あるいは販売手段、いろんなコストとなるべき要素、そういったものを計算し、なお利潤を差し引いたものというふうにしていくと、何かこう出てくるような気がするわけですが、全然これは調べられませんか。
#203
○政府委員(細見卓君) アメリカにおきましても、その点、いろいろな学者がいろいろな方法論を立てて研究をいたしておるわけでありますが、学者の数だけ説があるというようなことでございまして、おそらくこれは困難じゃないかと思います。
#204
○横川正市君 これはどうもわからないでたいへんあれですが、アメリカでは大体三〇%ぐらいが消費者に転嫁をされておる、こういうふうに、これはどうもいま言われたようなことであればだれかの学説になるんじゃないかというふうに思いますが、そういうようです。
 そこで、まあ所得が増加するに従って納税者の人口というのがだんだん多くなっていきますね。それで成長経済の中で納税人口がどういうふうに増加をしているかは説明を要しませんけれども、三十三年に申告所得の納税者が二百十万で法人がそのうち四十七万社ぐらいであったときに、職員は五万人ぐらいだというふうにいわれておりますね。そうすると、十年たった四十三年度の資料でいきますと、申告納税者が三百九十一万七千で法人が九十万社というふうに倍増いたしておりますのに、職員の数では千人しかふえておらない。私は、これは不正を実際上どうするかということでの職員の数が少ないとか多いとかいうことよりか、適正な徴税能力といいますか、これは人によるものだと思います。そういう点から見て、これほどに納税人口がふえても職員の数がふえないのはどういうことなんだろうか。この前、大蔵委員会で、淀橋の税務署の現状を見せていただきました。徴税事務が終わった段階でしたからそれほど中は込んでいませんでしたが、率直に言って、機械化されたとか簡素化されたとかいうことだけではなかなかさばき切れなくなってきているのじゃないかということを感ずるわけなんですが、この点では国税庁ではどういうふうにこの関係をお考えになっておられるのか。現状まあおそらくこれはやっているんですからやれるんでしょうけれども、無理があるのかないのか、その点はどうなっておるかですね。
#205
○政府委員(吉國二郎君) 御指摘のとおり、申告所得税の納税者数とか法人の数というものは非常にふえております。それに対しまして徴税関係の人員の増加というものはきわめて少ないということは、御指摘のとおりだと思います。そういう意味では、私どもも予算の請求のつど増員の要求はいたしておりますが、御承知のとおり三年間で総定員五%カットというような環境のもとでございますから、なかなかその要求は通らなかった。しかし、それにもかかわらず、とにかく毎年少しずつふえておるというところは、政府としてやはり税務行政は重要であるという点を認識してやってきておると言えると思うのでございます。しかし、人員がふえるというだけではございませんで、最近は、取引形態が大型化する。また、企業規模も大きくなっております。また、企業の計算もコンピューターが入ったりなんかして複雑化しておりますので、実際問題としては税務行政には相当重荷がかかってきておると思います。私どもも、でき得ればもう少し税務職員をふやすということが望ましいわけでございます。それでなくても、現在、公務員の数が非常に多いということで、縮減をするという時期であります。それらを考えながら、全体のバランスをとって税務職員の充実をはかるように努力をする必要があるのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
 同時に、一方で考えてみますと、新規の職員を採用いたします場合に、最近の労働条件から申しますと、かなり採用が窮屈になってきておるのは事実でございます。したがいまして、一方、納税者の増加等に対応するためには、いま御指摘のあったように、仕事の簡素化といいますか、あるいは人手を非常に食う仕事を機械化するというようなことで、内部的な合理化もあわせてはかっていかなければならない。そういう意味から申しますと、ただ人員だけということでなくて、設備その他に質的な改善を加えるということもやはり今後考えていかなければならないのじゃないかと思っております。
 しかし、何と申しましても、根本は、やはり申告納税というものをほんとうに納税者の間に定着をさせるということでなければならぬと思うのであります。いかに税務行政の職員をふやしましても、全部の納税者を調べ上げるという体制をとろうとしたら、これはもう不可能に近いのであります。また、大部分の納税者の方が全部申告をごまかしておると想定するのがまた無理があると思うのであります。結局は、できるだけ納税意識というものを強くするような外郭的な努力と申しますか、広報宣伝というものを強力に実施をいたしまして、そうしてその中で不正の申告というものをできるだけ選び出して的確にそれを是正するというかっこう、これが税務行政の将来の姿ではないかと思います。全部調べるという体制から徐々に正しい納税者はできるだけ信頼をするというかっこうにいたしまして、同時に不正な納税者に対しては査察等で徹底した調査をするということが行なわれませんと、税務職員をふやしても問題は解決しないのじゃないか。むしろ税務行政の運営のあり方と納税者の納税意識というものとのその相関関係を改善するという努力をあわせてやっていくことが必要であると、かように考えておるわけでございます。
#206
○横川正市君 まあ少なくて仕事があんまりできないほうが喜ばれるかもしらぬ。だから、あまりふやす必要はないというふうな説も出ないとも限らないですが、(笑声)大蔵大臣は、国税関係の職員との間で、労働組合と会って話をしたことがありますか。
#207
○国務大臣(福田赳夫君) ございます。
#208
○横川正市君 大体、組合はどういうふうになっているんですか、国税庁の組合は。
#209
○政府委員(吉國二郎君) 現在、全国的な規模の組合は二つございます。一つは、全国税労働組合、いわゆる全国税と称している労働組合でございます。それと、国税労働組合全国会議というものと、二つございますが、前者が古い労働組合でございます。その後昭和三十六、七年ごろに結成されたのが国税労働組合全国会議でございますが、前者のほうは現在約二千名の人員を擁しております。後者の傘下に入っております者は約二万五千名で、そのほかに、部分的に中国、関西に、これは全国的じゃございませんが、地域的な労働組合が若干ございます。したがいまして、全国的なものとしては、二種類といいますか、二つの組合があるとお考えいただいていいかと思います。
#210
○横川正市君 時間がないので、これはまた別の機会にしますが、労働組合があるんですから、労働条件の問題は別に問題がないんじゃないかと推察をしますが、しかし、大臣御案内のように、一つの組織の中に未組織あるいは組織が左右というふうになっていることは、必ずしも適正な労働条件改善のための労働組織だとは言えないのじゃないだろうかというふうに思いますが、そういう点から考えて、職員の労働密度といいますか、こういうふうに納税申告者が倍以上にもなっているのにふえておらないということと不幸にして関連がありますとやはり問題だと思いますから、その点は十分関心を持っていただくように要望して、私の質問を終わります。
#211
○渡辺武君 大蔵大臣に伺いたいと思います。四月十四日の衆議院の大蔵委員会で、佐藤総理が、輸出割り増し償却、それから技術等海外取引にかかわる所得の特別控除、それから海外市場開拓準備金、これらを来年三月末の期限切れに伴って廃止する方向で検討するというふうに言明されたことは、大臣も御存じだと思います。私ども別にこの税制に賛成するわけじゃないんですけれども、しかし、今後の日本の状態などを考えてみますと、世界的に貿易競争がますます激しくなるし、日本も輸出増強ということが政策の重要な柱になるのじゃないかというふうに思われるわけです。ところが、これらのいわゆる輸出増強のための特別税制ですね、これを廃止するというふうに言われておるわけで、ほんとうに廃止されるのかどうか、また、廃止されるとすればどういう理由から廃止されるのか、そうしてまた、それにかわるものを何かお考えになるのかどうか、この点をまずお伺いしたいと思います。
#212
○国務大臣(福田赳夫君) 先日、衆議院の大蔵委員会で、総理が、社会党の平林委員それからもう一人広瀬委員、この両氏の質問に答えましたわけですが、この御両氏の意見は、輸出優遇課税の廃止という意見を込めての質問で、それに対しまして、総理は、趣旨には賛成です。しかし、これは税制調査会やその他の人の意見も聞かなければならぬし、また、いずれ四十六年三月にいまの輸出優遇税制の期限が到来します。そこで、その際とくとそれらの御意見も承りまして検討いたしましょうと、こういうふうに申し上げているわけでありますが、冒頭に私は御趣旨に賛成ですと言っているものですから、あるいはそれと一緒に含めますと、廃止の方向あるいは改正の方向で検討するのかというふうにも受け取られますし、あるいは、皆さんの意見を聞いて検討しますということだけをとりますと、白紙で検討ということかとも思われますが、そういう発言をしておるんです。いずれにいたしましても、廃止論が出てくるゆえんのものは、いま国際社会で日本が非常な国際収支の黒字を続けておる。その黒字というものはどこから出てきたかというと、まあ日本経済の体質の強いこと、これもあるが、同時にいろいろの面で輸入を押えまた輸出を奨励するという政策をとっておる。このことが国際社会に非常に批判をされているんです。そういう批判がある際だから、また、力もついたこの際だから、廃止したほうがよかろうじゃないかというようなことが、この廃止論の根拠となっておる、そういうふうに見ておるわけでございますが、私といたしましても、国際社会で日本が温室経済をとっている、保護貿易主義をとっている、こういうような状態は好ましい状態ではないと、こういうふうに考えております。したがいまして、来年三月の時点が来るこの際には、まあそのときの時点における日本の国の国際収支が一体どうなっておるだろうか、また、日本の輸出力が依然として強いであろうか、あるいはまた、つまづきを来たしておるであろうか、そういうような点もよく考えなければなりませんけれども、支障がなければこれは改廃の方向だというふうには考えておりますが、いずれにしても、まだいま結論を出す時期ではない、これから慎重に検討いたしたいと、こういうふうに考えております。
#213
○渡辺武君 これは先ほど戸田委員からも触れられたと思いますけれども、ガットですね、別に協定に明確に定めているわけでもなさそうですけれども、輸出割り増し償却などのいわば直接的なやり方での輸出優遇ですね、これは国際的にいろいろ問題になりやすいわけですね。ところが、ガット加盟国の間でも、間接税制によるいわば戻し税のような形で輸出の優遇税制というのは、これはいわば目こぼしにあずかっていると言っても差しつかえないと思うのです。したがって、EEC諸国はすでに付加価値税制をとって、その付加価値税の一環としての戻し税というような形で輸出の促進をはかっておるということは、これは周知のところだと思うんです。私は、EECのように意識的に各国が税制その他を同じ内容のものにだんだんと統一をしていくという方向を努力するということをやると否とにかかわらず、いまの激しい国際競争戦の中に、国際的にいろいろな経済政策がいわば同一水準に漸次向かっていくという傾向は不可避的なものじゃないかという感じがするんですね。EECに加盟はしていないけれども、OECD加盟国などをとってみますと、大国の中では、アメリカがすでにこの付加価値税制採用の方向で連邦議会で検討し始めているというような実情ですし、イギリスと日本はまだその点では本格的な検討に移っていないという状況だと思うんですが、やがてはイギリスもそういう方向に向かうんじゃないか。日本もまたそういう方向に向かうんじゃないかという気がするわけです。いま、大臣は、そのときになってもう少し慎重に検討するということの趣旨を含めながら、一応従来の輸出優遇税制は再検討というようなことをおっしゃいましたが、これにかわるもの、あるいはまた、全然かわるかどうかは別にしましても、付加価値税制を採用しながら、しかもその一環としての戻し税のようなものが将来の日本の税制での一つの形として考えられるじゃないかというふうに思うんですけれども、その点はどうでしょうか。
#214
○国務大臣(福田赳夫君) いま付加価値税制というものも具体的に考えておりませんし、付加価値税を施行してそれに戻しをやってそして輸出を援助しようというようなことはいまのところは念頭にありませんです。
#215
○渡辺武君 戸田委員にも同じようなお答えだったようですけれども、この前の当委員会で私が御質問しまして、そのときの高木審議官の御答弁でしたか、来年度、四十六年度ですかね、物品税制を根本的に洗い直すという趣旨の中には、売り上げ税ですね、あれがいわば肩がわりしているような形で含まれる――売り上げ税が含まれるという意味じゃないですよ。売り上げ税の肩がわりのような趣旨が含まれるというような旨の御答弁があったと思うんです。こんなところを考えてみますと、大臣がよく強調されていますように、直接税ではどうも負担感が強くて困るから、そこで負担感のない形で税収が確保できるような税制を考えたいというふうに常々言っておられると思うんですが、そうしますと、売り上げ税、それからさらに先を考えてみますと、どうしても売り上げ税よりももっと負担感がなく、しかもなめらかに膨張する財政需要にこたえるように大増収をはかることのできる税制として付加価値税制というのが日程にのぼってこなきゃならぬじゃなかろうかという気がするんですが、重ねて伺いたいと思います。
#216
○国務大臣(福田赳夫君) 売り上げ税につきましては、先年苦い経験を持っておりますから、軽々にこれをやろうというようなことは申し上げないことにいたしております。ただ、どういうふうに世界の税制の趨向が動いていくだろうか、そういうものを注目しなければなりませんし、また、わが国といたしましても、経済事情が変化して財政事情も変わっていく、それに対応するかまえ、そういう意味において勉強はしていきたいと思いますが、ここ当分の間、売り上げ税にいたしましても、また付加価値税にいたしましても、これを実施するという考え方は今日いたしておりません。
#217
○成瀬幡治君 ちょっと、前の問題に関連して伺いますが、通産省はああ言う、大臣が。大蔵大臣はあまり賛成じゃないようだ。いまお聞きしておりますと、大蔵大臣もどうも前段は賛成のようだったけれども、廃止は検討してみるというようなふうだった。大蔵大臣は、新聞紙上等、あるいは御意見を聞いておりましても、輸出優遇策の問題については検討してみるというのだが、それはそれとして、通産省はそうではなくて、貿易の自由化のほうが、いわゆる資本の自由化のほうが先じゃないかという見解を出しておりますね。これが一つ。それからもう一つは、戻し税の話が出ましたが、これも一つ考えなくちゃならぬだろう。それから優遇策をとることによってドルがたまってくるという問題が一つあるわけです。ですから、どちらが先になるかという問題があると思います。いま、一ドル百円説というのがある。あるいは、三菱銀行の出した調査によれば、二百四円くらいがどうだろう。そうすると、円の切り上げ等も、将来これはどうなるかわかりませんですけれども、切り上げも頭のうちに入れておかなきゃならぬ。そういうようないろいろなファクターを考えてやらないと、簡単に、はい廃止ですわということになると、しかも、いままでやってきたのは、商社じゃなくて、中小企業の人が多いわけですね、輸出は。ですから、私は、なるほどいまの三つの優遇策は形を変えたようなことで何かの形で残っておらなければ、これはなかなか将来の国際競争の中ではそれこそ裸にされたらたいへんなことになるという考え方を持っているわけです。まあ検討すると言われれば、私よりももっといろいろなことを考えておやりになるだろうと思いますけれども、そう簡単に、いま、はい、国会で質問がありましたから、この問題については廃止の方向で検討しますということは、ショッキングなことばだと思うんです、実際輸出をやっている人たちにとってはですね。ですから、そういうショッキングな心配を与えないように、ほんとうに何を考えておみえになるのかもう少し真意というものが伺いたいと思います。
#218
○国務大臣(福田赳夫君) これは、成瀬さんと同じ社会党の衆議院の議員が衆議院の大蔵委員会で廃止論を出したんです。そこで、総理は、これに対して、趣旨は賛成です。しかし、これは税制調査会その他の意見を聞かなければならぬ問題でありますから、まあ聞くところによると四十六年三月に時限が来るそうだから、その際検討いたしますと、こういうふうに言っておる。きわめて慎重な発言なんです。ところが、これが新聞に出ますと、私は新聞の中身はよく読みませんけれども、表題を読みますと、いまにも廃止する、この国会にも廃止法案が出そうなような空気の書き方になっているわけなんです。そこで、予算委員会でまた重ねて質問が総理に対しましてありました際に、私から、総理はこう考えたのですと、こうお答えをしておるのです。衆議院の大蔵委員会の質問では、税制調査会その他の各方面の意見を聞き、時限の来る来年三月の時点でどうするかということを考えておるということを申し上げた、こういうきわめて慎重なお答えをしたんですという趣旨のことを申し上げておるのです。この問題につきましては、社会党の平林議員とかあるいは広瀬議員とかが言われる趣旨はよくわかります。わかりますが、いま時点で廃止の方向で検討いたしますというお答えはいたさないのです。これはいずれ来年の三月に時限が来る問題ですから、その際の日本の貿易の力、それから国際収支の状態、そういうものをよく見きわめてそうして慎重に検討する、こういうふうに申し上げておるわけですから、どうかひとつよろしく……。
#219
○成瀬幡治君 重ねて念を押す必要はないかもしれないが、税制調査会にどうせ諮問されることは当然なことですね、四十六年に期限が来ますから。しかし、その際、その場合には、廃止の方向じゃないんだと。で、諮問をするのじゃなくて、継続の方向だと、逆に言うと。そういうことになってもちょっとあなた言いにくいかもしれないけれども、まあまあその辺のところの諮問の形になるだろうと、こう思っていいですか。
#220
○国務大臣(福田赳夫君) 国会でもこういういろいろな意見があります、それからこういう国際収支の状況になっております、日本の経済はこういう状態だ、その二点のいろいろな要因をまあ添えまして、これはどういうふうにしたらいいでしょうかというような聞き方になるだろうと思います。いまこの時点では廃止するともあるいは継続するともきめておらぬというのが結論であります。
#221
○渡辺武君 輸出輸入税制ですけれども、私どもこれは大企業優遇の税制でもあるので反対の立場で先ほど御質問したので、中小企業擁護についてはやっぱり別途考える必要があると思っております。その点はひとつ誤解ないように申し上げておきます。
 それで、今度は非常に現実的な問題に移りますけれども、大臣御承知と思いますが、地方公務員ですね、これらの人たちの共済制度掛け金、これが昭和四十年以来所得税本法からはずされまして、所得税法施行令の附則第十一条に経過措置として規定されて今日に至っておるわけです。毎年毎年、予算編成期になりますと、地方から上京してきて、この掛け金を、社会保険控除ですか、あれに繰り入れてくれという陳情が来ていると思うのです。これはやはり昭和四十年までやっていたことでありますし、現行所得税法第七十四条の社会保険控除に明確に規定したらどうだろうかというふうに思いますけれども、その点はどうですか。
#222
○政府委員(細見卓君) かなり込み入ったこまかいことでございますので、私どものほうからお答えしたいと思います。
 この問題につきましては、家族療養費の自己負担分のほとんどが民間においては支払われておるという点を考えまして、この互助会と称されるものの給付の中に、あるいは入学祝いでありますとか、あるいは結婚祝いでありますとかいうようなものは、いわゆる社会保険料控除の対象にするような給付ではないと考えますが、いま申し上げました家族療養費の自己負担分がほとんど民間においては給付されておるというような実情を考えまして、そういうふうなものに変革されることを予定いたしまして、そういう場合には社会保険料控除の対象にするということを政令のほうで規定いたし、なお、すぐといいましても、多数の組合員を相手の仕事でございますので、一年間とりあえず延長いたしまして、その一年間以後は、いま申し上げましたように、家族療養費に限るという要件のもとに社会保険料控除の中に繰り入れるというふうに改正いたしたいと考えております。これは政令事項でございます。
#223
○渡辺武君 ちょっと語尾がよくはっきりしなかったのですが、繰り入れることにしたわけですか。
#224
○政府委員(細見卓君) 家族療養費に限り給付が行なわれるということを要件にいたしまして繰り入れることにいたすというわけでございます。
#225
○渡辺武君 そうしますと、家族療養費の分以外の共済制度または退職年金ですね、これらの掛け金についてはどうですか、それから退職一時金ですね。
#226
○政府委員(細見卓君) それらにつきましては改正をしていただいて、家族療養費に限られるように改めていただく、それらのものは別途の体系にしていただく、こういうふうになると思います。
#227
○渡辺武君 別途の体系にして、社会保険控除の中に入れるということですか、それともどういうことですか。
#228
○政府委員(細見卓君) 別途の体系にしていただきまして、現在の互助会を家族療養費の自己負担分に限るような体系に改めていただきまして、そういうふうに改まった互助会の掛け金は社会保険料控除の対象にいたしますし、それ以外の給付に充てられるいわば原資の払い込みにつきましては、これは社会保険料控除の対象にはならないということで取り扱いたいと思うわけでございます。したがいまして、一挙にそこまではまいらないで、ことし一年につきましては家族療養費に充てれらるものとそれ以外のものとを区別せずに、ことし一年は暫定的に社会保険料控除の対象にする、そういうふうにいたしたいということでございます。
#229
○渡辺武君 そのことし一年暫定的というのが地方にいる人たちにとっては非常に困っていることなんですね。だから、毎年毎年陳情に来なければならぬということになっているんですよ。ですから、これはよけいな費用をかけて、よけいな苦労、よけいな心配をさせることですから、その辺はひとつ検討されて、ことしは一年延長されるとして、来年度から、やはり、地方の人たちが切実に望んでおる額はそう大きくない。あとからまたお聞きたいと思うのですけれども、租税特別措置で大企業などにまけている税金に比べてみればほんのささいなものですよ。しかし、地方の人たちの生活の実態からすればこれは非常に切実なものだと思うのです。ですから、来年度からそう限定しないで、いまの要望を全面的に組み入れて、そうして社会保険控除の中に組み入れてほしいと思うのですけれども、その点はどうですか。
#230
○政府委員(細見卓君) この点につきましては、関係の責任者との間に話し合いをつけまして、明年以降は、いま申し上げましたように、家族療養費の自己負担分に限るような給付にすると。したがって、ことし一年は暫定的にその移り変わりの期間として現状のままで控除を認めるということで十分お話し合いをいたしましたので、御了承を得ていると私どもは考えております。
#231
○渡辺武君 そうすると、地方から上京してきた人たちはそれで納得したということですか。――わかりました。
 それでは、次に移ります。まず、最初に、配当控除の問題について質問したいと思いますが、今度の税制改正では、個人株主の配当控除率を昭和四十六年、四十七年には、課税所得金額一千万円以下の部分については現行の一五%から十二・五%に下げるということになりましたですね。それから一千万円以上は現行の七・五%から六・二五%に引き下げるということになっております。それから昭和四十八年、四十九年には、一千万円以下の部分は一〇%、一千万円以上は五%というふうに引き下がることになっていますけれども、なぜこのような改正が行なわれたのか、その目的はどこにあるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
#232
○政府委員(細見卓君) 今回の所得税法の改正によりまして、従来は基礎控除その他の諸控除の引き上げに終始しておった税制改正であったわけでありますが、今回の改正は、御承知のように、税率を大幅に緩和いたしたわけであります。正確に申せば昨年度と今年度の税制改正ということになりますが、その結果、配当控除率によりまして、つまり配当控除による税額緩和が行なわれることによりまして、所得税を払わなくてもいいいわゆる配当所得者の課税最低限が大幅に拡大するというような思わざるいわば付随的な効果が生ずることになったわけでありますので、いろいろな感触、各方面の意見を考えまして、この際はやはり配当控除率についてもある程度の引き下げを行なって、この税率緩和が配当所得者だけに非常に大きくなるというような点について一応の手当てをいたしたというわけでございます。
#233
○渡辺武君 そうしますと、負担の公平化というような趣旨ですか。
#234
○政府委員(細見卓君) そのとおりであります。
#235
○渡辺武君 それでは、ちょっと伺いますけれども、昭和四十五年、初年度ですね、初年度の配当所得者の課税最低限、それから平年度の課税最低限ですね、これは幾らくらいになりますか。
#236
○政府委員(細見卓君) 初年度でありますと三百四十六万一千円、それから平年度にいたしますと三百四万九千円ということになります。
#237
○渡辺武君 その数字は正確ですか、初年度というか。私どもの調べたところでは、初年度三百六十二万八千八百円、平年度は三百七十四万六百円ということです。
#238
○政府委員(細見卓君) いまのお話は、配当控除改正なしということで初年度の税率その他の見方が違うのではないかと思いますが。
#239
○渡辺武君 もう一回ちょっとおっしゃってください、初年度と平年度ですね。
#240
○政府委員(細見卓君) 改正がなければ平年分が三百七十四万になるとおそらくお考えになっておるのだろうと思いますが、改正いたしておりますので四十五年初年度分は三百四十六万一千円というわけです。それからそれがさらに軽課措置が行なわれて改正すれば三百四万九千円ということになるわけでございます。
#241
○渡辺武君 そうしますと、いまの数字として申しますと、平年度の四十三年はどのくらいになりますか。
#242
○政府委員(細見卓君) 二百三十六万約四千円ということでございます。
#243
○渡辺武君 そうしますと、給与所得の課税最低限ですね、これが四十三年は八十三万三千二百二十五円、四十五年は百二万八千六百七十四円ということですね。ところが、いまの配当所得者の課税最低限は、四十三年が二百三十六万三千八百六十六円、それから四十五年が三百四十六万円です。そうしますと、この数字からして見ましても、給与所得者の課税最低限とそれから配当所得者の課税最低限ですは、その差が拡大する傾向にあるということになると思いますが、どうですか。
#244
○政府委員(細見卓君) 中間期間におきましてはそういう現象も起こりますが、一〇%の配当控除になりますと御承知のように二百四十万くらいになりまして、またその次に二百四十三万になりまして、この差は縮小するわけでありまして、その意味で配当控除率が経過的に控除されており、また、経過的な現象ということでございます。
#245
○渡辺武君 四十三年度を見てみますと、給与所得者の課税最低限とそれから配当所得者の課税最低限の差額は約百五十三万円ですね。ところが、四十五年度になりますと、その差が二百三、四十万になるわけですね。つまり、課税最低限の開きがだんだん年々大きくなる傾向になっている。ですから、いま負担の公平ということを趣旨にして今度の税率の引き下げをやったんだとおっしゃいますけれども、しかし、自分の腕で働いて給与をもらってかせいでいる人たちの課税最低限と、それからよその会社の株を持ってその配当をもらって生活している人たちの課税最低限の差額がだんだん開いてきて、そうして個人株主は有利だという方向がここ数年前からはっきりあらわれている。これでは、私は、負担の公平化とは言えないと思うんですが、その点はどうでしょうか。
#246
○政府委員(細見卓君) 同様な議論は全体の減税額についてもお話があるわけでありまして、減税により減税される金額が高額所得者ほど多い、低額所得者は少ないのに高額所得者のほうが多いという議論があるわけでありまして、やはり減税がどういうふうな効果を及ぼしたかという場合には、その場合でありますと負担率でありますし、この場合におきましても配当所得者と一般の給与所得者の課税最低限のたとえば割合というようなものでみてまいりますと、四十三年に二・八四であるわけですが、それが二百四十三万になった状態におきましては二・三六になり、それから四十五年におきましてはほぼ横ばい程度の割合になっておるわけであります。
#247
○渡辺武君 いや同じ所得者であって、自分で働いて給与を取っている人たちの払う税金の課税最低限と、そうして、働いているか働いていないかは別にいたしましても、いずれにしてもこれは不労所得ですね、ひとの会社の株を持ってその配当で暮らしているという人たち、その人たちのほうが課税最低限がはるかに高いし、そうして年々その差が開いてきているというこの傾向は、これは無視できないと思いますね。ですから、もし負担の公平ということを言うならば、やはり給与所得者の課税最低限をもっと引き上げるべきだというふうに思います。これは、時間もないので、あまり詳しく議論できませんので次に移りますけれども。
 ところで、四十五年一月の税制調査会の答申を見てみますと、配当控除制度について次のように言っております。「配当控除制度は、従来、法人を株主の集合体と観念し、法人税を個人株主の所得税の前払いとみる考え方を前提として、法人と個人株主を通ずる二重課税を調整するための措置として説明されてきている。」と、こういうように言われているわけですね。ところが、今回の措置によりますと、個人株主の配当控除率は引き下げられた。それにもかかわらず、法人の支払う配当の法人税率はそのままに据え置かれている、こういうことだと思うのですね。これでは、先ほども議論がありましたけれども、政府がいままでとってきたいわゆる法人擬制説の立場がこの部分でくずれたと見て差しつかえないのじゃないかというふうに思われますが、その点はどうでしょうか。
#248
○政府委員(細見卓君) 法人税と所得税とのいわば二重課税排除の方式につきましては、シャウプの勧告によりましてできたときにはまさに完全な制度であったわけでありますが、それ以後におきましては、たとえば三十二年において、所得税の減税をいたしておれば、理論からいたせば配当控除率は高くしなければいかぬわけですが、それが逆に切り下げられておるとか、あるいはまた、法人税率の引き下げを行ないました場合には配当控除は切らなければいかぬわけですが、それが切られておらないとかいうようなこと、あるいは、さらには、増資配当免税というような制度も行なわれておりましたときにはこの配当控除が行なわれたとかいうようなことでございまして、この制度は、私どもが申し上げるのはあるいは適当でないのかもしれませんが、どうも趣旨一貫しない動きがいままでもあったことは事実でございまして、その意味におきまして、今回においては、むしろ各種所得間の税の公平化という点に重点を置いて、法人税と所得税とを含めた税制の基本的あり方につきましては、先ほど来大臣が答えておりますように今後の課題といたしまして、増資配当軽課の方式にいたしましても、あるいは配当控除の問題にいたしましても、その場合に、しかしなお日本の場合には法人の九九%はいわば同族会社でございまして、同族会社について配当軽課措置、配当控除制度というものをはたして廃止していいのかどうか、その辺にずいぶん問題がございます。そういうことになりますと、事業の形態を選ぶことについていろいろ税制のほうで差別があるというようなことにもなりますので、そこいらを含めまして総合的に法人税、企業税制のあり方、それと所得税との関連というものは、非常にむずかしいが今後の解決しなければならない根本問題だと、かように考えております。
#249
○渡辺武君 詳しい御答弁がありましたけれども、肝心のところを言ってもらいたいんですよ。それは、私の伺ったのは、従来、法人擬制説で、法人の支払う配当の法人税率と個人株主の配当控除率、これは言ってみれば相互補完するものとしてきめられておったわけですね。今度は、一方は据え置いている、他方は引き下げだ、こういうことになっているわけですから、法人擬制説そのものが全面的にとは言わないけれども、この部分についてはすでにもう当てはまらなくなっている。いま御答弁の中で趣旨一貫しないという表現がありましたが、まさにそういう状態になっているということは、これは事実でしょうね。
#250
○政府委員(細見卓君) 必ずしも首尾一貫しない改正が行なわれてきており、今回のものについてもそういう擬制説ということからは説明しにくい改正である、かように思っております。
#251
○渡辺武君 そうしますと、個人株主の配当控除率は引き下げられた。しかし、今度、法人のほうの受け取り配当益金不算入ですね、これについてはそのまま据え置かれているという状況ですね。そうしますと、この部分では法人擬制説は生きているというふうに見て差しつかえありませんか。
#252
○政府委員(細見卓君) 今回の改正が各種所得者間の負担の公平ということを主として考えておりますので、そういう点については従来の制度がそのまま残っておるというわけでございます。
#253
○渡辺武君 そうしますと、一方では法人擬制説でやっている、他方ではそれがもうくずれて、しかもそれを承知の上でさらに首尾一貫しない措置をとっている、これは税の体系としては私は矛盾していると思う。これはどうでしょうか。
#254
○政府委員(細見卓君) 矛盾しておるというふうに考えるのか、あるいは、日本のいわゆる株式会社というのが一律に規定できないものであるかどうか、そういうところでございまして、一律に規定できないものを一律に規定しておるからあちこち矛盾ができるというふうに考えるのか。ですから、その辺を含めまして、日本にある九九%の同族会社の課税と、新しい東京電力でありますとかそのほかの大きな会社とはたして同じ法人税法で規定していいかどうかという矛盾が端的に出ている意味では、矛盾があろうかと思います。
#255
○渡辺武君 私は、法人擬制説から法人実在説へ移れというような議論をいまここで事あらためてやろうと思いませんので、その問題から次の問題に移りたいと思うんですけれども、いまおっしゃったように法人擬制説が一部では事実上くずれている。しかも、それを承知の上でやっておられるわけですね。そして、いまの御答弁によりますと、同じ法人でも大法人と中小法人ではいろいろ違った面があるんだということまでおっしゃっておられる。そうだとするならば、私は、同族会社の留保金に対する特別課税ですね、これをこの際廃止されたらどうだろうというふうに思います。これは、もう私が申し上げるまでもなくよく御存じのとおり、この同族会社の留保金に対する特別課税というのは、まさに法人擬制説そのものから出てきていることだと思うんですね。しかも、これが、同族会社はほとんどもう中小企業が多いわけですけれども、中小企業にとっては大きな負担になっているということは、いまさら私が申し上げるまでもないことだと思うんですね。大法人にはこういうことはない。ところが、まさに中小法人である同族会社にはこういう特別な制度が依然として残されている、こういうことだと思う。この際、こういう中小企業いじめと言って差しつかえないような税制は廃止したらどうだろうと思いますけれども、どうですか。
#256
○政府委員(細見卓君) たいへんいいところに気がついていただきましたのですが、法人の問題を考えますときに、一方では個人事業者との間のバランスをとらなきゃならない、一方では大法人とのバランスをとらなきやならないということが起こりまして、個人事業者の場合でありますと、その年のもうけは完全に個人に総合されまして累進課税になるわけです。ところが、法人形態をとりますと、比例税率によって、しかもそう高くない比例税率によって課税されるわけであります。そこで、個人事業の形態をとる人と法人形態――同族会社で事実上その個人一族で支配しておる同族会社との間の税負担のアンバランスが生ずる。そこで、こういう同族会社は留保課税を置かなきゃならない。これは、同族会社の留保課税の方式は、擬制説とか実在説とかいわれている考え方とは実は関係なく、アメリカのように実在説をとっておる国もこういう制度をやっておりますし、イギリスのように新しい税制をとっておる国にもやはりこういう制度があるわけでございまして、実は、個人と法人とのバランス、また、日本の同族会社と大法人とのバランス、まさにこの三つがからみ合っておりまして、そういう意味で企業課税というのはたいへんむずかしいところで、基本的に勉強しなければならないと、かように考えておるわけであります。
#257
○渡辺武君 大臣、いま御答弁がありましたけれども、いろいろ理屈をつけようと思えばいろいろな理屈がつくものだというふうに思いながら伺っていたんですが、しかし、実際問題としましていま大法人と中小法人とのバランスというようなことを言っておられましたけれども、大法人についてはもうこういう制度はなくて、しかも、中小法人にだけ、しかも同族会社にだけ留保金に対する特別課税の問題ですけれども特別に苦しめているんですね。しかも、御承知のように、同族会社は、よそから借り入れるといったって、なかなか借り入れることのできないような実情に置かれていて、したがって、どうしても内部留保を高めなければならないといういわば経済的必然性に追い込まれているわけでしょう。だから、内部留保せざるを得ない。ところが、それに特別な税金がかかっておる。特別これは重いと思うのです。で、個人所得税が重いということは、これは当然なことなんだから、だから個人所得税並みに重いやつをかけるのだという議論は、成り立たないわけですよ。ですから、そういう意味で、いま、中小企業の人から、これはもう御存じかと思いますけれども、右も左もないのです、みんな一緒になってこれは廃止してほしいという大運動をやっているわけですね。日本商工会議所、日本中小企業団体連盟、日本中小企業政治連盟、全国法人会連合会、全国青色申告会総連合、その他等々、たくさんの中小企業団体がまあいわば一致してこの税制の廃止を求めておるという実情だと思うのです。ですから、これを廃止するかどうかですね、ぜひ廃止していただきたいと思うのですけれども、大臣に御答弁をいただきます。
#258
○国務大臣(福田赳夫君) これは、各方面から御要請のあることは、よく承知しております。しかし、いま渡辺さんおっしゃるようにこれは中小企業だからというのじゃないのです。中小企業でも、あるいは大企業でも、ひとしく同族会社でありますればこれは留保を否認する、こういうたてまえをとっておるわけです。必ずしもこれは中小企業いじめというようなたてまえでございません。同族であるというところに問題がある。同族会社が内部留保をして配当をしない、そういう際におきましては、これは個人の事業者との間に非常に大きなアンバランスを生ずる。そこで、まあ皆さん、同族会社の方々から見れば、これはもうこの制度は廃止されたらどうだ、こういうような意見になると思いますが、税制の公平ということを期してお預かりいたしております私どもといたしましては、この問題はそう簡単にはいかない、こういうふうに考えておるわけであります。いろいろな人からいろいろな御意見が出ておる問題でございますので、検討はいたしまするけれども、これはなかなかそう簡単にまいらない問題であるというふうに考えておるものであります。
#259
○渡辺武君 ブリジストンタイヤとその辺の小さな同族会社の中小企業とは、これは全く違うんですから。だから、同じ同族会社でも、それは確かに大企業はありますよ。普通法人ですよ、問題は。普通法人と比べてみれば、明らかに不当に重い税金がかかるような仕組みのもとに置かされておるわけですから、その点、ひとつ大臣、十分に考慮しながら、廃止の方向で検討していただきたいと重ねて要望して、次の質問に移ります。もう、大臣、けっこうです。
 次に、利子所得に対する課税の問題について質問したいと思います。四十三年七月の税制調査会の長期答申によりますと、現行の利子、配当に対する特例措置は基本的にはこれを廃止する方向で対処すべきであるというふうに言っております。また、四十五年一月の税制調査会の答申でも、利子所得に対する課税の特例については、総合課税の本則に復帰することを基本的方向としつつ、制度の改正が国民の貯蓄態度に与える心理的影響をも配慮して、漸進的にその改善合理化を図ることが適当であると考えるというふうに言っておりますが、一体いつまでに総合課税に復帰されるのか、どのような道筋を通って復帰するのか、その点を伺いたいと思います。
#260
○政府委員(細見卓君) 将来のことはなかなか予測しにくい現状でございますので、非常に経済の状況も変わってまいりますし、国民の生活環境も変わってまいりますので、一がいには予測できないと思いますが、私どもは、いまお読み願った長期答申の方針というのを基本的な指針として、この方向で努力を今後とも続けてまいらなければならないと、かように考えております。
#261
○渡辺武君 基本的な指針とするということであれば、なるべく早くやはりこういう方向は実行したらどうだろうかというふうに私は思うのですけれども、それにしましても、今度の税制改正で政府は利子所得に対する優遇措置を今後五年間も続けるとしておりますね、その理由は一体何でしょうか。
#262
○政府委員(細見卓君) やはり利子配当に対する制度が二年くらいの短期でたびたび変わるということは、ある程度長期の目標なり計算によって資産の運用がなされることを考えますと、無用の混乱を引き起こすことになるので、ある程度将来の見通しをつけた資産の運用にあたっての計算といいますか考慮に入れ得る期間を考えまして、一応五年程度が望ましい安定的な税制としての期間ではないか、かように考えたわけでございます。
#263
○渡辺武君 昭和三十六年の税制調査会の答申を見てみますと、利子所得に対する課税方式の変遷は必ずしも全体としての貯蓄の増加に影響しなかったと、ただ課税上有利な形態の方向へ増加の流れを変えるにすぎないという趣旨のことを言っておりますね。ですから、この利子所得に対する課税方式ですね、このたびの措置、これも別に貯蓄増強というような趣旨ではないということは、これは確認できますか。
#264
○政府委員(細見卓君) いまお読み願ったというか、長期税制としてお読み願った基本的方向を踏まえながら、しかし漸進的に進むことによって、無用の金融資産選択の上での混乱を引き起こさないということを考えておるわけであります。税制が預貯金の動向と関係があるかないかにつきましては、あるという意見もあり、ないという意見もあり、先ほどの法人税の話と同様でありまして、なかなか確定的なこれだというような両方のコンセンサスといいますか、両方の意見の一致を見るというのが非常にむずかしいことでありますので、大事をとって金融資産の選択に無用の混乱が生じないように漸進的な措置をとっておるわけであります。
#265
○渡辺武君 私は、別に、税制調査会の言っていることが一から十まで正しいんだなんて思っちゃいませんけれども、しかし、少なくとも大蔵省がお気に入りの税制調査会が、利子所得に対する特別な措置、これは別に貯蓄の増強に役に立っていないのだということをはっきり言っている。もう何らの名目もなくなってしまった。それにもかかわらず、今度の措置で五年間も延長する。これは全く理解できないのです。
 そこで、基本的にそういう方向を目ざすとおっしゃっておられるので、さらに伺いますけれども、今度新しく源泉選択制度を創設しているわけですけれども、課税所得幾らから源泉分離課税を選んだほうが有利か、あるいは総合課税を選んだほうが有利なのか、分岐点は一体どこにあるのか、その点をまず伺いたいと思います。
#266
○政府委員(細見卓君) つまり、源泉選択を選んだほうが有利になるということは、上積み税率が二一%のところからが境になるわけであります。したがいまして、課税所得で申せば百五十万円ということになります。したがって、給与所得者で見ますと、二百六十七万円程度の給与所得者からが源泉選択を選んだほうが有利になるというわけでございます。
#267
○渡辺武君 利子所得者のほうは……。
#268
○政府委員(細見卓君) 利子所得だけで申し上げますと、利子所得だけで二百二十七万二千円という金額の収入のところから上積みの税率がちょうど二一%になりますので、それをこえる利子所得がある人については源泉分離が有利になるわけであります。
#269
○渡辺武君 分岐点が二百二十何万円ですか。
#270
○政府委員(細見卓君) 二百二十七万二千……約三千円であります。
#271
○渡辺武君 この所得税法の一部改正法律案の第八十九条の第一項ですね、これを見てみますと、百二十万円をこえ百五十万円以下の金額の場合は税率百分の十八、それから百五十万円をこえ二百万円以下の金額の場合は税率百分の二十一と、こうなっていますね。これからしますと、百五十万円が大体分岐点というふうに考えられますけれども、その点、どうですか。
#272
○政府委員(細見卓君) 先ほど申し上げましたように、課税所得は百五十万円でありまして、いま申し上げましたのは、所得者として夫婦子三人の場合の所得者としての収入は二百二十七万三千円、つまり控除を合わせた金額でございます。
#273
○渡辺武君 それでは、この課税所得で申しまして、課税所得一千万、それから二千万、五千万というふうに段階をつけまして、総合課税で利子所得に対する課税を納める場合と、それから分離課税で納める場合と、税金はどんなふうになりますか。
#274
○政府委員(細見卓君) 計算をいたしてまいりましたのは、いま申しました夫婦子三人の世帯としての利子所得を考えておりまして、それでしたら一千万、二千万というのは一応計算いたしております。それでよろしゅうございますか。
#275
○渡辺武君 ええ。
#276
○政府委員(細見卓君) それでは、それを申し上げますと、一千万円の場合でありますと、総合課税の場合が三百二十二万三千円になりまして、これが二〇%の分離でありますから、分離の場合は、一千万の場合は二百万、したがって、差額が百二十二万三千円で、軽減割合が約四割の三八%になります。
 それから二千万の場合でありますと、総合にいたしますと八百六十八万四千円でありまして、これが分離の場合は二千万の二〇%で四百万でありますから、軽減が四百六十八万四千円でありまして、五三・幾ら、約五四%くらいの軽減になります。
 それから三千万になれば、当然この軽減割合がふえるわけでありまして、総合にすれば一千四百六十四万五千円でありますが、これが分離の場合は六百万円でありますから、したがって、軽減割合は五九%、こういう数学になります。
#277
○渡辺武君 そうしますと、所得額が大きければ大きくなるほど分離課税でいったほうが有利だということになっていますね、大体課税所得百五十万円を分岐点としまして。そういうことになっているとすれば、つまり大口の利子所得者の場合は、制度的にも分離課税が有利だということになっているわけですから、大口の利子所得者が総合課税でやるというようなことはとうてい考えられないわけですね。そうでしょう。そうしますと、先ほどは基本的には総合課税の方向を目ざしたいといっていながら、今回の措置では総合課税を目ざすどころか、高額の利子所得者についてはますます分離課税の方向に追いやるような措置になっていると思いますが、この点、どうでしょう。
#278
○政府委員(細見卓君) 現状は一切が分離課税になっているわけでありますから、一五%限りの税率でとどまっておるわけであります。その意味におきましては、源泉分離制度になっておるわけで、少なくともたてまえとしては申告であり、源泉分離という制度が入っておるわけです。ただ、その場合に、おっしゃるように金額の多いほうが有利だということは事実でありますが、それは現在と比べればそれにしましても税負担が大きくなってきておることはお認め願いたいと思います。
#279
○渡辺武君 そういうことを伺っているわけじゃないんですよ。先ほど、あなたは、基本的には税制調査会の言っているように総合課税の方向を目ざしたいと言っておられる。ところが、現実に今度の措置でやっておるものは総合課税を目ざしていないでしょう。五年間期限を延長して、しかもどこが分岐点だと言ったら、大体課税所得百五十万円以上の所得を持っている人たち、これは総合課税どころか、分離でやったほうがはるかに有利だという税制になっちゃっている。これでは、口で総合課税を目ざしますといっても、事実上制度的にそれを打ち消しているということになるのじゃないかということです。
#280
○政府委員(細見卓君) 考え方によるわけでありますが、一番完全なのは分離課税であり、一番完全なのは総合課税、その中に入りますのが総合課税をたてまえにした源泉分離ということであろうかと思います。
#281
○渡辺武君 禅問答みたいな答弁をされましたが、まあ事実は事実ですから、次に移ります。
 租税特別措置法の一部を改正する法律案のほうですけれども、第三条の三の三項それから四項の規定ですね、これは架空名義の預金、元本の隠蔽などを防ぐための規定と思われますけれども、その点、どうでしょうか。
#282
○説明員(安井誠君) 私からお答えさせていただきます。
 三条の三の規定は、利子所得の源泉徴収税率の軽減を定めた規定でございまして、総合課税の適用を受けます利子所得につきましては一五%の源泉徴収税率で済ませるというのがたてまえになっているわけであります。そういたしますと、総合課税を受けると言いながら、実は本来であれば上積み税率が二〇%あるいは二五%以上の方が総合課税を受けるのだと称しておきながら、あとで虚偽の氏名を言われたために総合ができない場合がある。その場合には、三項によりまして、それが税務署でわかりましたときには、銀行のほうに御連絡いたしまして、次の四項にございますように、源泉選択税率と通常の税率との差額に相当する税額だけその段階で納めてもらう。もちろん、これは納めてもらっただけでは済まないわけでございまして、その虚偽の申告をしたことがわかりますと、その人たちにとりましてはこれは総合課税でございまして、たとえ上積み税率が五〇であろうと六〇であろうとそれは納めてもらう。それはあくまでも税務署のほうの問題だということでございます。
#283
○渡辺武君 そうしますと、総合課税の場合は告知とか調書というのが必要になってくるわけですね。住所氏名を偽られちゃ困るわけですから、住所氏名をちゃんと告知しなければならないことになるわけですね。そうしますと、源泉分離の場合にはそういうきびしい規定がついていないのはどういうわけですか。
#284
○政府委員(細見卓君) 源泉選択は、制度としては源泉選択税率によって徴収しておけばいいわけでありますが、源泉選択制度そのものの要求する範囲にとどめておるわけであります。
#285
○渡辺武君 そこの点に私は先ほど来問題にしている一つの問題点があると思うんです。あなた方は、これは総合課税を基本的に目ざしたのだということを盛んに言っておられながら、先ほど私が明らかにしたとおり、実際上大口の利子所得者については源泉分離でいったほうが有利だということで、総合課税のほうに移行できないように事実上仕組んでおるのです。ところが、いま質問した点でも同じようなことが言えると思う。総合課税のときは住所氏名についてはちゃんと告知しろと、もしそれを告知しなかったときにはこれこれだという規定をちゃんとここでつくっておる。ところが、源泉分離についてはそういうことをやろうとしない。もしかりにあなた方が総合課税をほんとうに目ざしていくならば、現在の源泉分離の制度についてもその準備としてやはり住所氏名の告知その他は考えておかなければならぬというふうに思います。ところが、その点が全然ない。ですから、総合課税の方向を基本的に目ざすというのは口先だけの御答弁じゃなかろうかという気がするのですけれども、その点、どうでしょうか。
#286
○政府委員(細見卓君) 源泉選択の場合は御承知のように源泉選択申告書が提出されるわけでありますので、その意味で特にこの源泉選択を選択した人たちだけをゆるくしておるということではないと思います。総合課税との関連におきましては、源泉選択の税率のいかんにもよろうと思いますが、その税率が引き上げられるなりあるいは大幅に改定されたときにおきましては総合課税を選んだほうが有利にもなるといいますか、総合課税の方向へより近づくわけでありまして、そういう意味で二〇、二五というふうな税率もできておるわけでありまして、私どもは総合課税の方向に向かっておる改正であると、かように考えております。
#287
○渡辺武君 時間が来たのでこれで終わりますが、やはりいまの御答弁では私は納得できないと思うんですよ。つまり、基本的に目ざすという立場、私どもはこういうものはよろしく総合課税にすべきだと思う。しかし、そういうことを一方で御答弁されながら、他方で高額の利子所得者に対しては源泉分離課税のほうが有利だという制度をすでにつくってしまっている。しかも、租税特別措置法の一部を改正する法律案のいま言った三条の三の三、これをよく見てみますと、総合課税でやる人たちについては住所氏名をちゃんと告知しなきゃならぬし、そういうことを虚偽の申告をした場合の措置もちゃんときまっておる。ところが、源泉分離課税でやる人たちは、住所氏名を虚偽の通告をしてもこれはかまわぬと、言ってみればですよ。架空名義の預金をするのもいわば自由自在、元本の隠蔽をやるのもいわば自由自在というような仕組みになっている。これは、高額所得者を擁護する制度であると同時に、また、あなた方のみずから言われている総合課税を目ざすということ自身を否定する措置だと思います。大体、戦前から戦後、いままでを通じて、利子所得者に対して総合課税にしたというような例はありますか。私は一回もないと思う。あっても例外措置だと思うですね。ですから、利子所得者について総合課税を目ざすなんていうのは私はうそだと思う。その点、どうでしょうか。
#288
○政府委員(細見卓君) かつてシャウプによる税制改正におきまして総合課税になっております。しかし、まあ戦前のような日本の所得税制が比較的資本の蓄積も浅いし、あるいは日本独特の所得税制を生み出していく過程で一方では資本蓄積を進めなければならなかったような時代と、だんだん経済全体の様子も変わってまいりますので、今後の方向としては、国民みんなが資産を持って、その資産所得については勤労所得と同じように課税されていくというのは、日本にもだんだんそういう時代が来るのではないか、そういう意味で総合課税というものも夢ではないと私は考えております。
#289
○理事(沢田一精君) 三案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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