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1970/04/24 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第20号
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1970/04/24 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 大蔵委員会 第20号

#1
第063回国会 大蔵委員会 第20号
昭和四十五年四月二十四日(金曜日)
   午後一時二十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         栗原 祐幸君
    理 事
                沢田 一精君
                鈴木 一弘君
    委 員
                青木 一男君
                青柳 秀夫君
                伊藤 五郎君
                岩動 道行君
                大竹平八郎君
                今  春聴君
                津島 文治君
                中山 太郎君
                丸茂 重貞君
                矢野  登君
                木村禧八郎君
                戸田 菊雄君
                上林繁次郎君
                渡辺  武君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       大蔵政務次官   藤田 正明君
       大蔵省主税局長  細見  卓君
       国税庁長官    吉國 二郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       厚生大臣官房統
       計調査部長    浦田 純一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(栗原祐幸君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#3
○上林繁次郎君 最初に厚生省のほうからお尋ねをしてみたいと思うのですが、今回の所得税の改正案によりますと、夫婦子三人で課税最低限は百三万円に引き上げよう、こういうことです。そこで、標準家族、夫婦子三人、こういうものを基準として、これに対して夫婦子二人という論議がいま起きてきているわけです。そこで、統計調査部のほうでいままで調査した結果、平均世帯といいますか、世帯構成、この点についてお聞かせ願いたいと思います。
#4
○説明員(浦田純一君) 厚生省では、毎年、厚生行政基礎調査で、先生のお尋ねの世帯人員別に見た世帯の数というものを調査してまいっております。これによりますと、年々、平均世帯人員数は減ってきておりまして、あまり古い数字から申し上げますのもどうかと思いますので、昭和三十九年から申しますと、平均世帯人員数は三十九年が三・八三人、四十年では三・七五人、四十一年では三・六八人、四十二年では三・五三人、四十三年では三・五〇人というふうに減ってきております。ただし、ここで平均世帯人員を出す場合にはひとり者の世帯、そういったものも全部含めた総平均でございます。
#5
○上林繁次郎君 そうしますと、独身世帯を除いた場合にはどういうような構成になりますか。
#6
○説明員(浦田純一君) 一人世帯を除いた世帯の平均で申し上げますと、昭和三十九年では四・四二人、四十年で四・三五人、四十一年で四・二三人、四十二年で四・一四人、最新の四十三年で四・一二人という数字になっております。
#7
○上林繁次郎君 いま、厚生省のほうの統計調査の結果、四十三年度では四・一二人というような結果になっているわけですけれども、今回の改正案はあくまでも夫婦子三人ということが対象になっているわけです。いま厚生省の話があったように、その内容からいって、四人という、夫婦子二人というその構成が絶対的な立場を占めておると言っていいのじゃないかと思っております。そうなってくると、この点についての考え方を今後変えていかなければならぬというふうに思うのですけれども、この点はどういふうに考えておられるのか。
#8
○政府委員(細見卓君) 私どももだんだん家族が核家族化していることは承知いたしておりまして、そういうこともありましてかなり前から標準世帯ということばは使っておりません。標準世帯ということばを使いましたのはおそらく戦後二、三回ぐらいでありまして、それ以後は夫婦子三人でということでやってまいったわけであります。課税最低限と申しますものも、これも法律的ないわゆる厳密な概念というようなものでなくて、日本におきまする所得税の負担のありさまを端的にあらわすいわば標語のようなものでありまして、そういう標語のようなものでありますだけに、戦後所得税負担の非常に重かった時代と今日とを比較する比較の便宜ということでございまして、たとえばお手元にお配りいたしておりまする「税制改正の要綱」というようなものをごらん願いましても、独身者、夫婦者、夫婦子一人、夫婦子二人、夫婦子三人というようなことでお示ししているわけでありまして、それぞれ自分の家族構成に応じてごらん願えばいいと思いますが、ただ、長い所得税負担の経緯を端的にあらわすものとしましては、過去が夫婦子三人でいろいろな論議がなされており、また、夫婦子三人で百万円の課税最低限というのも、夫婦子三人を主体にしてスローガン的にいろいろ議論されたというような経緯を踏まえて、このスローガンは一応実現いたしましたということでありまして、夫婦子三人でない家庭におきましても、夫婦子三人が軽減されたとほぼ同様の傾向で所得税負担は軽減されていると、かように御理解願えれば幸せだと思います。
#9
○上林繁次郎君 標準世帯という表現をしておらぬということなんですが、しかし、あくまでも対象は夫婦子三人と、こういうことになっているわけです。そこで、少し分析してお尋ねをしてみたいのですけれども、たとえば四・一二人ですね、これを基準にして計算してみると、課税最低限はこの場合には八十八万五千円ということになります。五人の場合よりも、したがって、十五万円低い、こういうことになるわけです。課税最低限百万にはちょっと届かぬわけですけれども、その反面、所得税の負担軽減の面から言って、年収百五十万円クラスを見てみますと、五人世帯で見たときには四万二千七百八十六円、こういう税金になるわけですね。それで、四・一二人を対象にして考えたときには五万七千百八十六円ということになる。したがって、五人世帯よりも約一万五千円多く税を納めなければならぬ、こういうことになるわけです。この点を考えると同時に、いま厚生省のほうから話があったように、いわゆる世帯構成というものが大体四人であるという面から言うならば、広く税の軽減の恩恵をこうむらすという考え方を基準にした場合には、あくまでも四人世帯というものを対象にして考えていくべきものではないか、こう思うわけです。この点について何となく明らかでなかったわけなんですが、この点をどういうふうにお考えになっておりますか。
#10
○政府委員(細見卓君) 先ほども申し上げましたように戦後、所得税軽減が一貫して行なわれてまいったわけでありますが、それが端的にどのような姿であったかというのをお示しする意味で、従来から夫婦子三人の世帯をとりまして比較してまいっておるわけでありますが、先ほども申し上げましたように、課税最低限と申しますのは、それ自身が、何といいますか、法律的なといいますか、いわゆる厳格な概念ではないわけでありまして、大体この程度の収入金額あるいは所得金額の方は税金がかかりませんということを日本の所得税の端的な姿としてあらわしているわけでありますので、いわば、先ほども申しましたように、スローガン的なものであった。ところが、先般の長期答申におきましても、一応そういう経緯で夫婦子三人世帯で百万円というのをスローガンとして課税最低限の引き上げあるいは所得税負担の軽減ということが行なわれてまいったわけでありますが、百万円という段階に達したならば、もはやそういうスローガンによって所得税減税の目標を掲げるということは適当でないというような答申をいたしておるわけでありますので、今後におきましては、夫婦子二人だとかあるいは夫婦子一人だとかいうような端的な家族を取り上げまして一つの目標を立てるというようなことでなくて、総合的にあらゆる家族に平等に税負担の軽減が行なわれるように、また、それぞれの担税力に応じた公平な負担が実現できるように、物価や所得の状況等を勘案しながら所得税の減税を考えていくというのが今後の姿であって、スローガンの時代は終わったと、そういうふうに考えております。
#11
○上林繁次郎君 そうしますと、いままでは夫婦子三人というような一つのスローガンだった、そういうスローガンは今後は掲げない。いわゆる内容的に夫婦子一人の場合であっても二人の場合であっても、それはもう平等にいわゆる税の負担というものをかけていく、こういう考え方で今後は進めていくのだ、こういうことなんですね。同時に、それは、さっきから厚生省のほうから話を聞いているように、いままでは夫婦子三人ということでこれをいわゆる一つのスローガンとしてそれでよかったかもしれない。しかし、現在では四人以下ということが考えられている。ですから、そういうことでもって今後いま局長が話されたように全般にわたってということであればけっこうなことだと思うのですけれども、そうだとすると、いつごろから全般にわたってそういったことを実施していこうという目途といいますか、そういうものを持っているのか。なぜそんなことを言うかというと、いまは夫婦子三人という時代ではない、それ以下の時代であるということなんです。ですから、いつごろまでにそういった局長が言われたような考え方を実施していけるのか、その点についてどうですか、見通しは。
#12
○政府委員(細見卓君) 課税最低限と申しましても、これは、基礎控除、配偶者控除、あるいは勤労者においては勤労所得控除というものが組み合わされて、その結果、一定の収入金額あるいは所得金額までの方は税がかからないということでありまして、その基礎控除あるいは扶養控除が何枚組み合わされるかというのが家族数の大小であるわけであります。したがいまして、いままでの減税におきましても、夫婦子三人の世帯だけを対象に減税しておるわけではなくて、一人の世帯につきましては基礎控除の引き上げが行なわれ、夫婦世帯におきましては配偶者控除を加えたものの引き上げが行なわれ、あるいは子供のある世帯におきましてはそれに扶養控除が加わるというような形で、一つ一つの控除がまず考えられて、それが組み合わされたものが世帯単位に課税最低限としては何万円になるというわけでありますので、そういう意味で、私どもは、いままでもいま先生の言われる意味におきましてあらゆる家族に対して公平な負担を求める、あるいは公平な税負担になるような構成というものを絶えず検討してまいったわけでありますし、今後におきましてもそういうことは続けてまいらなければならないと思うのでありますが、ただ、夫婦子三人で百万円というのは非常に区切りのいい数字であったものですから、スローガン的に利用されてまいった――利用されてまいったといいますか、スローガンに使われてまいったわけでありますが、これらにつきましては、先ほど申し上げましたように、日本の給与所得者について夫婦子三人の段階で百万円の免税点ができたということになりますれば、アメリカやフランスは若干日本より高くなっておりますが、イギリスや西ドイツといった国に比べましてすでに免税点としても高くなっておるわけであります。そういう意味で、これは、五人世帯でとりましても、四人世帯でとりましても、傾向は同じことでございます。ただ、国によりましては、扶養控除と基礎控除とを同額にしておる国もございます。あるいは扶養控除と配偶者控除とを同じにしておる国もあります。あるいは日本のように基礎控除と配偶者控除を同じにしている国はほとんどございませんというようなことで、それぞれの国の税制の違いがございますから、家族の数を変えることによって若干の差異は出てまいりますが、日本の免税点が国民所得の大きさから比べましてかなり高いものになっておる、むしろ実質的には一番高いものになっておるということは、何人家族をとっても同じ傾向になるわけでございます。
#13
○上林繁次郎君 先ほど申し上げたことを頭に入れておいていただきたいんですけれども、たとえば四・一二人で計算をすると課税最低限は八十八万五千円である、課税負担の軽減という面から言うと四・一二人は五万七千百八十六円、五人の場合には四万二千七百八十六円、こういうことを申し上げたわけです。これを実質的に現実的に一人の負担について見ますとどういうことになるかというと、これは私が言うまでもなく一五人の場合ですと、四万何がしかを一人に平均してその負担を分配してみますと、約八千五百六十円くらいになるんですね。そして、四人だと、五万七千何がしを四人で負担すると、約一万四千三百円になるんですよ。そういう差があるわけですね、こういった点をどう考えているかということです。
#14
○政府委員(細見卓君) 考え方をむしろ逆にお考え願いまして、百五十万円の収入のある人がどれだけの税金を払っているかというふうにお考え願いたいと思います。その場合に、夫婦だけの方あるいは子供一人の方、子供二人の方というものをお考え願えれば、それだけに生活費がよけいにかかるわけでありますから、同じ百五十万の収入がありましても、家族の多い人のほうが税負担が軽くなっていくという、これが負担の公平じゃないか、かように考えます。
#15
○上林繁次郎君 局長の言う家族が多ければ金がかかるんだという平易な話ですけれども、それじゃいま私がこういうふうに具体的にお尋ねしておるわけですけれども、こまかく分析した上で、五人家族だとこれだけだ、一人の生活費がこれだけだ、すべてそのほかのいろいろなものが加味されてこういった計算が成り立っているのかどうか。そうなると、そういった点をひとつお聞かせ願いたいと、こういうことになるんですけれども。
#16
○政府委員(細見卓君) 所得税の控除につきまして具体的に積み上げていくということにつきましては、先般も申し上げましたように、控除というものは、あらゆる家族構成、あらゆる生活態様の人、あらゆる収入階層の人を含めての平均的な概念でございますので、個々に積み上げてどうこうというのは、なかなかむずかしいそれぞれに判断が入りまして、すべての人をうまく納得さすことはすべての人を納得させないという数字になろうかと思いますが、そういう意味におきまして、非常にこまかく積み上げたという意味ではいろいろ考え方もあろうかと思います。しかし、大局的にごらん願いまして、独身者よりは夫婦者のほうが少なくとも独身の人の倍はかからないにしても生活費がその分だけよけいかかるということは事実でありましょうし、子供二人の人は子供一人の人よりも子供に関して負担がふえ、子供一人がある人は少なくとも子供のない夫婦よりは負担が多くなっていく、その配偶者控除あるいは扶養控除をどのような金額にきめるかということには、各方面の資料等を綿密に検討して、絶えず新しい時代の趨勢に応じて検討を続けてまいらなければならぬと思いますが、しかし、大まかに申しまして、いま言ったように、家族の数というものは即負担能力の差という形になってくるということは言えようかと思います。ただ、所得税におきまして個別に事情をしんしゃくするといたしましても、抽象化した平均化したもの以上のことを控除するというのは、これは非常にむずかしいといいますか、どこの国でもそこまでは手が届かない。多数の納税者を相手にいたしまして税制として構成する場合には、いわば社会的に受け入れられる平均的なものを考えていくということであろうと思います。
#17
○上林繁次郎君 厚生省のほうにもう一度お尋ねしてみたいと思うのですが、今後の人口の推移ですが、現在まあ四・一二人だと、それが今後どういう伸びをしていくか、あるいはまた低下していくか、そういった点の予想、見通しですね、その点についてひとつ……。
#18
○説明員(浦田純一君) 今後人口が増加するか減少するか、そういった見通しにつきましては、実は、厚生省の担当機関といたしまして人口問題研究所のほうで調べておりますので、詳しくはそちらのほうの資料あるいはそちらのほうにお聞きいただきたいと思いますが、現在私どもの所管しております人口動態、つまり、出生の数、あるいは死亡の数、そういったようなものから推計いたしますと、現在――現在と申しましても昨年のことでございますけれども、昨年一年間の出生の率を一応推定いたしますと、人口千人について一八・六というのが出生率でございます。それから死亡率でございますが、これは同じく人口千人につきまして六・八という数字でございます。日本では、人口の増加が、欧米ことにヨーロッパ諸国のように国外からの移入ということはほとんどございませんで、実質上は出生と死亡の差、つまり人口自然増加というのにほとんどたよっておるのでございますが、この出生の一八・六と死亡の六・八の差、つまり人口千人について一一・八というのが自然増加率でございます。パーセントで申しますと、大体一・一七%ということになるわけでございますが、これが毎年目下のところ人口増としてあらわれておるわけでございます。したがいまして、このままでございますと、わずかながらまだ人口増は続いていくということに相なろうかと思います。
#19
○上林繁次郎君 そうしますと、わずかながらということであって、当分まあこの四・一二というこういう状態を続けていく横ばいの状態という考え方でいいわけですね。
#20
○説明員(浦田純一君) 人口の動向とそれから家族の構成数との関係は必ずしも並行するとは考えられませんし、あるいは逆相関があるといったようにも考えられませんが、先生の御質問の今後のいわゆる平均世帯人員の推移いかんということに顧みますと、私どもの先ほど説明してまいりました厚生行政基礎調査の過去の推移から推しはかりますと、まだ、核家族化と申しますか、いわゆる世帯人員の減少傾向は続くのではなかろうか、その勢いは多少減りつつございますけれども、まだ若干減っていくのじゃなかろうかというふうに見通しております。
#21
○上林繁次郎君 そこで、この問題は、いわゆる核家族化という問題ですね、人口は伸びていても家族としては分散していくという、そういう傾向をたどっていく、こういうことは今後考えられるわけです、いまの状態が続いていくということを考えれば。そこで、そうなると、どう考えてもやはり四人以下という考え方が強く持たれるわけですけれども、そこで、先ほどの局長の御答弁でございますが、私は具体的にと言ったのですが、あまり具体的じゃないと思うのです。で、私の聞いているのは、簡単に言えば、いまの四人家族と五人家族との税負担の割合が、あらゆるものを加味した上で、これはもう妥当である――ただ人数が多いからそれだけ経費がかかるから当然その軽減率も違うのだというようなことではなくて、あらゆるものを分析した上でいまのそういう割合が妥当であるのかどうかということを、妥当であるならば、その具体的な根拠といいますか資料といいますか、そういうものをもってお話しを願いたいということを申し上げたのであって、それからいうと、何となくこうばく然としたお話だったのですけれども、まあいずれにしても結論的にそういうことで、いま厚生省のほうからも話がありましたように、核家族化、あるいは人口があまり伸びない、そういったことを考えると、四人世帯というこの考え方は非常に強く浮かんでくるわけです。現在のそういった割合が妥当ならばいい。だけれども、そうでないとするならば、これはやはり対象をその辺の四人という家族を対象にしてもっともっと真剣に考えてみる必要があるんじゃないか、こういうふうに考えるわけですけれどもね。!わかりませんか。
#22
○政府委員(細見卓君) つまり、五人を対象にして百万というような一種の目標を掲げての減税政策が行なわれておるのであるから、たとえば夫婦子二人で同様な目標を掲げて減税政策を行なえとおっしゃるのが御趣旨かと思いますが、そこで、先ほど申し上げましたように、税制調査会の答申といたしましては、夫婦子三人で百万円という水準は、夫婦子二人と見ましても世界的に課税最低限の水準としては低いものでなく、いわば貯蓄の余裕もある水準なのだから、今後は、そういうものを目標にして減税政策を考えるのではなくて、具体的に所得なり物価の推移に適応して、独身者にも、夫婦にも、夫婦子一人にも、あるいは夫婦子二人の人たちにも、それぞれに公平に負担の軽減が行なわれるように税制を考えていくべきであって、スローガン的に考えることは必ずしも妥当でない、そういうことを書いておるわけでございます。
#23
○上林繁次郎君 次に、脱税問題で少しお尋ねしてみたいと思います。東京国税局の申告所得税の業種別調査によりますと、脱税十五業種のうち、バー経営者は五〇%のごまかしがある、不動産業者の場合には四九%、また、すし屋の場合は四三%という、いわばこういうような結果がでておりますけれども、これを平均しますと、三八%くらいの高きに至っている。そこで、こういうふうにたくさんなごまかしがあるということはどういうことなのか、と同時に、業種別に脱税の割合それから脱税額、こういったものについてお知らせ願いたいと思います。
#24
○政府委員(吉國二郎君) ただいま御指摘でございましたのは先般新聞に発表された資料だと思いますが、一つ申し上げておきたいのは、現在所得税におきましては各種の調査をいたしております。申告前におきまして申告の相談等に応ずるための事前調査、あるいは申告書が出ましてから申告内容を検討いたしまして申告内容が不適当であると認めたものについて抽出をいたしまして調査をいたします事後調査、さらに事後調査の際に脱漏額が大きいと認めまして特別に日数をかけて調べております特別調査、こういった種類のものが幾つかございます。先般発表いたしたものは、事後調査の結果と特別調査を含んだものを発表したようでございます。したがいまして、この脱税が出たというのは、公然と言ってはいけないのでございますが、申告書を審査した結果、申告不十分と認められるものについて調査をいたしましたので、かような大きな増差所得金額が出たのだということでございます。
 ただいま御質問のございました業種別の脱漏というのは、その当時大きいものの順に東京都のものを調べましたものでは、一番大きいのがバーでございまして、バーが五〇%、不動産仲介業が四九%、すしが四三%、酒場が四三%、パチンコが四一%、ガソリンスタンドが四〇%、中華そばが三九%、同伴旅館が三八%、家庭用電気器具が三六%、外科医が三二%、呉服が三二%、うどんそばが三〇%、産婦人科が二八%、弁護士が二七%、歯科医が一八%、この十五業種を平均いたしますと、大体三八%というような数字を発表いたしたのでございます。で、これは、あくまでもその業種全体がそのような脱税を示しておるというのではございませんで、その業種について調査をいたしましたものについての脱漏割合でございます。したがいまして、全体が同じように脱漏しているというわけではなく、抽出をいたしましたものについての抽出の度合いがかなり正確であったからそのために脱漏所得が多く出たという性質のものであるというふうに御理解を願いたいと思います。
#25
○上林繁次郎君 そうしますと、特に十五業種というふうにこれを取り上げているわけですけれども、これは非常に脱漏が多い。何か業種別の特殊性といいますか、そういうものがあるのですか、そういった点はどうなんでしょう。
#26
○政府委員(吉國二郎君) 業種別の特殊性と申しますか、どうしても現金の収入の多いものについては帳簿上の記録というものが現金を脱漏する割目が高いというようなこともございまして、ここにいま申し上げたものの中には、かなり現金収入の多いものがございます。そういったもので業種川に類型的にかなり問題のある業種というのは一心指摘できると思いますが、その業種のものがみなそうしているというわけでは決してないわけでのります。
#27
○上林繁次郎君 私も全業種がこれをやっているというそんなことは考えておりませんけれども、比較的多いというわけですね。こういう業種が概して脱漏が非常に多い。それに対する何か特別な特殊性があるのかということをお聞きしたわけなんですけれども、一つは現金というお話がありましたけれども、そこで不動産業者も非常に高いわけですね。不動産業者の場合はどういうような手口があるかという、そういったことをお調べになったわけですか。
#28
○政府委員(吉國二郎君) 不動産業について調べました場合の脱税の類型で申し上げますと、御承知のように、二重契約書をつくりまして売買を圧縮いたします、そのために仲介手数料何%というのが圧縮されてしまうというものが一つかなりございます。これは同時に譲渡所得の脱漏にもつながりますので、そういう点はかなり詳しく調べております。それから登記の関係で、たとえば建物などは、原始取得をいたしました場合、つまり自分でつくりました場合は、登記をしないのが普通でございます。そういうものについて未登記でございますと、売買をいたしましても資料がこちらへ参りません。そういうものを落としてしまうというようなケース、あるいは、同じようなかっこうでございますが、自分で建て売りをいたしますとき、土地の売買のごとく仮装して建て売りの建物を含めて売ってしまうということで、土地代金だけで計上をしておるといったケース、こういつた形のものがございまして、そういう点については署側でも十分に調べておりますので、そういう点を重点にいたして調査をいたしているわけであります。
#29
○上林繁次郎君 そこで、簡単にお尋ねします。そういったことに対して、こういった問題はきのうきょう始まったことではないので、当然いろいろな方法が講じられてこなくちゃならなかったわけですけれども、今後のこういった問題に対しての対策、こういったことについてどういうふうにお考えになりますか。
#30
○政府委員(吉國二郎君) もちろん、この調べたもの以外は全部脱税をしていないというわけではございません。しかし、調査の人員その他には限度がございますので、私どもといたしましては、そういう不十分な申告だと認められるものについては逐次調査を進める。しかし、同時に、摘発ということを主眼にすると、一年限りで脱税を処理すればいいという考え方でございますと、これは毎年同じことが繰り返されます。したがいまして、一回調査をし、脱税を指摘した場合には、二回目にそういうことをしないように、いわゆるアフターケアと申しますか、次の申告期には十分注意を促すというような、一度調べたら必ずあとはよくなるというような調査の仕方を考えさしております。したがいまして、次々に調査が回っていけば漸次全体の水準が上がるということを考えていかなければならないと思っておりますのと、また、業種別に組合等がございますので、その業種に特有のいろいろな不正事項があれば、それを組合を通じて注意を促すというような、いわば全体の申告を将来に向かってよくするようなことを含んだ調査体系というものを最近はずっと展開をいたしております。今後もその点を強くやっていきたいと思っております。いわば最終的にはすべてが申告でまかなえるという体制を理想にしてすべての行政を進めていくというのが、一つの迂遠ではございますが対策であろうかと考えます。
#31
○上林繁次郎君 そうすると、いまおっしゃったことは、不動産業者が契約をする、契約ごとにたとえば税務署に通知をするというような、そういう行き方ですか。
#32
○政府委員(吉國二郎君) いま申し上げましたのは、たくさんの契約の中で幾つかそういうものをつくってごまかしをするということでございますので、今後はそういうごまかしをしないようにということを進めていくべきではないかと思っております。
 ついでに申し上げておきますが、昨日大臣からもお話し申し上げたと思いますけれども、ことしの不動産の申告というものは、従来に比べまして申告所得が非常にふえております。そういう点から申しますと、今度の土地税制で長期譲渡につきまして一割分離課税をとった結果、従来に比べて売買価格を正確に申告するということがかなりよくなってまいったように思いますので、仲介業者としても場合によっては顧客に頼まれて圧縮をしている場合もございます。今後そういう点をこういう機会をとらえて改善をはかっていくということも必要である、かように考えておる次第でございます。
#33
○上林繁次郎君 いま私が申し上げた点ですけれども、契約ごとに所轄税務署のほうに通知をするというふうな、そういうようなことはできないもんですか。
#34
○政府委員(吉國二郎君) これは、いまの税法では一年間の所得でございますので、個別には通知をする義務はございません。ただ、御承知のとおり、売買をいたしますと、土地、建物の場合は登記が行なわれます。登記済み通知というものが税務署に回ってまいります。したがいまして、売買の結果というものは、登記がある限りは税務署の資料として集計されるというたてまえになっております。
#35
○上林繁次郎君 脱税の場合、過少申告をしているという場合、それともう一つは故意に申告しなかった、こんなような場合があるのですが、そういうケースの中でどういうのが多いでしょうか。
#36
○政府委員(吉國二郎君) 脱税として告発をするのは査察課の所管でやっておりますが、そのケースで申し上げますと、大体においては単純無申告というのは非常に少なくて、実際は極端な過少申告という形が大部分でございます。
#37
○上林繁次郎君 これは新聞にも発表されているように、不動産業者に非常に脱税が多い。そこで、これを明らかにしていかなきゃならぬと思います。今後もその努力を続けていかれると思いますけれども、査察の回数だとか、そのためには人員が必要になってくる。そういった点では、いまの体制でもって十分そういったことができるのかどうかという、こういう問題があると思うのです。こういう点についてはどうでしょうか。
#38
○政府委員(吉國二郎君) 特別調査の結果がかなり大きな脱漏が出ているという点から申しますと、なお査察が適当と認められる事案が相当あるのじゃないかと思うのです。現在、査察の人員は全国で五百六十人でございます。その他は調査課あるいは税務署で一般の調査に従事しておりますが、いわゆる脱税摘発告発のための調査というのは、全国五百六十人の査察官が当たっておるわけでございます。これは、全国の税務職員の一%強でございます。アメリカなどでは査察の人員が二%くらいでございます。私どもは、だんだんと申告がよくなっていけばむしろ大きなものを集中的に調査をするということが全体の納税意識のためにもいいということ、査察を毎年少しずつふやしておりますけれども、同時に、まだまだ日本の場合は、申告納税二十年の経験で、一般の納税者の申告水準を引き上げる努力というものが必要でございます。査察にそれだけ人員を十分に回すだけまだ余裕がないという点がございます。将来、一般の調査の向上の努力によりまして一般水準が上がってくるにつれて、査察官をふやし、悪質な脱税者を中心に調査を局限していくということが望ましいと思いますが、しばらくはいまの体制でやむを得ないのではないか、かように思っております。
#39
○委員長(栗原祐幸君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#40
○委員長(栗原祐幸君) 速記をつけて。
#41
○木村禧八郎君 私は、税金と物価との関係を中心に質問いたしたいと思います。
 まず、二十二日の物価対策閣僚協議会で、大蔵大臣もこの協議会の一員ではないかと思うのですが、私は新聞で見たんですが、具体的な物価対策として、まず、ケネディ・ラウンドによる関税の引き下げの時期を九カ月ないし一年繰り上げる、それからもう一つは、自由化されていない物資については国内消費の二%程度の輸入を認める、こういう具体策を出されました。これはかなり思い切った措置だと思うのだけれども、しかし、この実効について非常に問題があると思うのです。
 まず、関税を引き下げた場合に、新聞等でも批判されていますが、はたして小売り段階までこの引き下げが及ぶかどうか。過去の経験からいって、関税を引き下げた場合、これが小売り段階まで行っていない、中間で吸収されてしまうというのが過去の実績じゃないかと思うのです。そうしますと、これがはたして物価対策として有効であるかどうか、非常に疑わしいと思います。
 もう一つは、自由化されていない物資については国内消費の二%程度の輸入を認める、そういう措置をとるというのですけれども、しかし、これは何%程度物価引き下げに寄与するか。農産物が多いのですが、もうすでに農林省あたりでは相当抵抗を示しているようです。これではたして物価対策になるかどうかですね。
 そこで、大蔵大臣、率直に伺いたいんですが、政府は、いよいよ物価対策、インフレ対策はもう議論の段階ではない、実行の段階だというので、非常な決意でこれに取り組んでこういう政策を出したと思うんです。しかし、これは非常に部分的であって、いまの二つの具体的な政策についての効果も疑われていることに対して大蔵大臣に御意見を伺いたいとともに、これだけでなく、物価値上げの原因にいろいろあるのでございまして、当委員会は大蔵委員会ですから、そこで、私は、物価対策としての財政、税制面の位置づけというのですか、そういうものを大蔵大臣はどういうふうに考えているか、この二点をまずお伺いしたいと思います。
#42
○国務大臣(福田赳夫君) お話のとおり、物価問題は、いまや実行の段階になってきたと、こういうように思います。そういう角度から、この間も、まあとにかくどしどしやろうというので、何といっても、需給の問題それから木村さんも力説されますがコストの問題それから流通の問題、公正取引の問題等々につきまして積極的にやっていこうと。そこで、具体案につきましては、国会が終了した段階でまた第二次を出すということで、いろいろ準備をいたしております。
 そこで、財政、金融、それから税制、そういった方面でどういう役割りを演ずるかと、こういう問題がありまするが、まず、財政面におきましては、これはドラスチックな政策をとるのですから、どうしたってその政策の及ぼす影響の緩和ということも考えなきゃならぬし、また、需給という問題については生産の増強ということも考えなければならぬ。いろいろ財政的な措置の要るものもあります。そういうものにつきましては、財政の効果というものを十分考えましてそれはやらなければならぬというふうに思っております。
 それからまた、関税政策、これは大蔵当局とすれば減収になる問題でありますが、減収になる面と物価対策に及ぼす面と、これを利害得失を考慮いたしまして、そして必要があればそういう関税政策ということも考えなければならぬ。現に、後進国に対する特恵関税ですね、これもなるべく早い機会に――これがなるべく早い機会というのは、つまりもう今国会じゃ間に合わぬ、立法を要しますから。そこで、次の国会ということになるのですが、かりに秋に臨時国会でもあればその機会、それからそういうことがなければ次の通常国会、こういうことになると思います。いままでのスケジュールでは来年一ぱいでということになっておりますが、そういうことで、臨時国会でもあればまあ一年繰り上げと、こういうことになるし、なくて通常国会で御審議願うということになれば九カ月繰り上げの四月実施と、こういうことでございます。
 それから金融面につきましても同様の配慮が必要であるというように考えておりますし、税につきましても、税はまあ大事な財政の財源でございますから、軽々なことはできませんけれども、これがきわめて物価政策に有効であるという判断がつきますればこの問題も考えなければならぬ、こういうふうに考えております。
#43
○木村禧八郎君 大蔵大臣は物価対策閣僚協議会へ御出席になっているのですか。
#44
○国務大臣(福田赳夫君) 出席しております。
#45
○木村禧八郎君 御出席になって、そこでどういう御発言されているのか、私はその協議会の内容まで立ち入って伺うわけにもいきませんけれじも、われわれが見た限りにおいては、政府は、物価対策に本腰を入れてその具体策に取り組むと言いながら、どの程度物価安定に寄与するか、その戦略目標が全然ないんですよ。とにかく、ケネディ・ラウンドによる引き下げを九カ月なり左繰り上げて実施することによってどの程度物価安定に寄与し得るか、戦略目標がないんですよ。今度の新経済社会発展計画では、自由化を促進することによって〇・七%の物価引き下げに寄与すると、具体的にそういうように出ている、あれは。そういう前提になっているでしょう。とにかく、計数的に全然そうしたいわゆる戦略目標というものを明らかにしないでいたら、上がらぬと言ったって、国民は納得できないと思うんですよ。現在非常に重要なことは、国民に対して政府が心理的な影響を与えることですよ。政府が本腰になって早く物価対策に乗り出したと。そこで、これからは、物価は上がるのでなくして、少なくとも、いまの横ばいか、あるいは政府が目標としている〇・四%にとどめるのだという心理的な影響を与えなければ、これでは、国民が、やっぱり政府は何と言ったって物価は上がるんじゃないかと心理的にインフレマインドをどうしても克服できない。いわゆる値上がりムードというものを鎮静することはできない。いま重要なことは、値上がりムードを押えることです、心理的に。政府がはっきりとこうこうこういう態度をとったから、今度は本気だな、それならあせって物を買わなくともいいだろう、こういう心理的な効果を与えるには、政府が、財界とかあるいは労働界とかに、大幅賃上げをやるなとかなんとかそういうことを、新聞を見ますとほうぼうに各省にも要請しているようですが、そういうことでなくして、政府自身がこういう姿勢をとったからということをまず示すことですよ。そうだと思うんですが、大蔵大臣のいまのお話では、何だかばく然としてちっとも要領を得ないのですが、いかがなですか、その辺の姿勢、かまえが必要だと思うんですがね。物価対策閣僚協議会にお出になって、大蔵大臣は、叱咤激励してそういうことをやはり先頭に立って言わるべきだと思うんですよ、次期総理大臣になろうという人は。
#46
○国務大臣(福田赳夫君) 物価問題につきましては、御鞭撻を受けるまでもなく、これが克服のために陣頭に立っております。まあ木村さんは新聞だけごらんになっているようですが、あれは全貌ではないんです。この間の閣僚会議で議論したあれも、このくらいの厚さのいろいろな問題が百何項目ですかあるわけです。それを一つ一つこなしていこう、こういうことなんです。目標はちゃんと立っているので、あなたが忘れているのです。昭和四十五年度における物価は四・八%以内の上昇にとどめる、こういうことなんです。あなたから御指摘もありまして、すでに根っこが四十四年度で上がっているじゃないか、四・八%じゃ上がり過ぎだと、そういうことで、四・八%をなるべく割るような目標でやっていきたい、こういうように心得えておるわけであります。何といっても、物価問題は当面の最大問題であります。これを政府が忘れているわけではないし、おろそかにしているわけではない、まさにまつ正面から取り組んでいる、こういうことであります。
#47
○木村禧八郎君 それでは、具体的に先ほどから伺っているのですが、関税引き下げによって、その引き下げの効果が小売り段階まで浸透するかどうか。これまでの引き下げの経験から言って、浸透していないというのが実績じゃないですか。おわかりになったなら、どなたからでもいいですから答えてください。
#48
○政府委員(細見卓君) 昔、関税局におりましたので、その経験で申しますと、大豆を下げまして、これは明らかに小売り値段が下がりました。
#49
○木村禧八郎君 いつごろですか。
#50
○政府委員(細見卓君) ケネディ・ラウンドの最初ないし二年目でございます。
#51
○国務大臣(福田赳夫君) 関税を下げましても、これが物価に影響しなければならない、これはもちろんなんです。関税がケネディ・ラウンドが実施されればどれくらいの効果があるか、これは数字的には測定しておりますが、数字的なこまかい計算を申し上げても無意味だと思いますから申し上げませんが、要は、流通機構に問題が一つあるんです。この流通機構も、かなり思い切った改革をここでするという決意です。これは、第二次の閣僚会議、五月中に開く閣僚会議、これでひとつ結論を得よう、こういうことになっておりますから、決してそういう問題をおろそかにするわけでもなし、また、コストの問題もまた重要な問題になってきておると思うのです。さらには、取引の公正を確保しなければならない。とにかく、思いつき得るあらゆる問題を検討して、しかも物価本位でこれを実施するというかまえなんです。私は、今度は必ず効果があがる、こういうふうに見ております。
#52
○木村禧八郎君 大蔵大臣が流通機構が重要だと言われたそこを聞きたかったんですが、関税を引き下げてそして小売り段階まで浸透するためには、やはりどうしたら浸透するかということのはっきりした具体策こそが必要だと思うんですよ。そこで、やはり流通機構も重要だと思うのです。それからまた、政府はずいぶん輸入政策に重点を置くように言われておりますけれども、輸入しても、たとえば豚肉が高くて輸入しますね。輸入しても、冷凍の倉庫にしまっておいてなかなか放出しない、そういうことがある。最近では、コールドチェーンですか、あれが非常に発達しまして、たとえばサンマなんか非常にとれてもいつもなら下がるのに、これを放出しないで冷凍庫に入れてしまって、そしてそれこそ需給を操作して高い値段で売るということになる。そういうことになれば、流通面においてそこが結局は利害の問題になると思うんですよ。生産者、卸、小売りですか、そういうほうとそれから消費者との関係になるので、結局最後は値段が下がると困るというそうした人の利害関係ですね。その裏にずっと政治がつながっていると言われている。そこがもう一番根っ子だと思うんです。そこのところにメスを入れなければ、いくらくどく言っても、なかなか下がらないじゃないか。流通機構にいままで非常に阻害要因があったのじゃないかと思うんですが、そういうところまでメスを入れていかなければいけないのじゃないですか。
#53
○国務大臣(福田赳夫君) まさにそのとおりでありまして、そういう問題を一つ一ついまやっているのです。たとえばバナナの関税、これは六〇%になっておりますが、これを下げたら一体どうなるか。あるいは小売り値段で下がらぬかもしれない。それには、何というか、それの販売流通機構の問題があるんです。同じ問題がノリについてもある。ノリは、いま、小売り価格が非常に高い。韓国から入れればえらい安いわけでありますが、韓国から安いノリが入ってきた場合に、はたしてそれが消費者に安く行くか、あるいはあれを卸から小売りへと販売するその仕組みに非常に問題がある、こういう問題をやらなければならない。あるいは、私どもの選挙区の白菜が東京に運ばれる。そうすると、何倍の値段になる。生産者価格の何倍の値段で消費者に提供されるわけです。一体それはどういうわけなんだ。しかも、私どもの郷里の高崎あたりでとれる白菜が、東京に一度来て、またあそこに戻っておるというような不合理が指摘されておりますが、ひとつ青空マーケットでもどうなんだというような説もあるのです。いろいろの角度から検討しておりますが、まあ今度は流通問題もかなりみるべきものがあるだろうというふうに考えております。
#54
○木村禧八郎君 流通機構の問題については、もうこれまでもいろいろな角度から検討されてまいりまして、言い古された問題だと思うんです。ですから、問題は、そこに実際にどうメスを入れるかという問題だと思うのです。それは、いろいろな圧力団体等から反対が必ず出てくると思うんですよ。それに対して、政治的なき然とした処理をするその決意がないと、これまでとは違った姿勢でこの物価問題に取り組まなければ、いままでと同じことを繰り返すことになる。その点は強く要望しておきたいと思います。
 それから次に、きょうの新聞なんですけれども、大蔵省が大幅賃上げをけん制している、こういう記事が出ているんです。「大蔵省は、この春の賃上げが当面の財政運営と七〇年代の経済全般に与える影響を重視し、経済企画庁とともに春闘相場がさらに上昇するのを防ぐために各省庁など関係方面に働きかける方針である。」と、こういう記事が出ているんですが、これは事実でございましょうか。
#55
○国務大臣(福田赳夫君) まだその記事は見ておりません。何新聞ですか。
#56
○木村禧八郎君 これは、きょうの「朝日新聞」です。
#57
○国務大臣(福田赳夫君) 別にそういう運動はしておりませんけれども、私が陣頭に立ってそういう主張だけはしております。
#58
○木村禧八郎君 これは、大蔵大臣は陣頭に立っておられないけれども、大蔵省は御承知のわけなんですね。一応了解の上各方面に働きかけておる、こう了承していいわけですね。
#59
○国務大臣(福田赳夫君) いや、働きかけは別にいたしておらないのです。しかし、そういう意見を持っているということにつきましては、私は政府の中でも陣頭に立っているというくらいに熱心な見解を持っております。まあ、とにかく、木村さんもこの間予算委員会で話がありましてコスト問題に触れられましたが、私はたいへん敬意をあの席で表したわけであります。結局、私は一番問題は大幅賃金引き上げ問題である、こういうふうに思うのです。一七、八%の賃上げというのが二、三年も続くという状態であると、これはたいへんなことになるのじゃないか。去年あたりの推移を見ましても、春闘が意外に大幅だった。それから続いて春闘をベースにして追っかけて、一、二カ月おくれてボーナスの支払いが行なわれた。このボーナスの支払いの時点あたりが一つの時期を画しているというふうに私は見ております。つまり、百貨店の売り上げがどんどんふえる。また、通貨の状態が、三、四月のころは前年比一四、五%で落ちついておった。それがボーナスの支払いを契機としましてだんだんと高まってきて、十一、二月のころになりますとこれが二〇%もふえるというような状態になった。あなたはコスト、コストと言われる。たいへん敬意を表しますが、そのコストの中心は何なんだ。私は賃金問題が中心になるのじゃないか、こういうふうに思うのです。大企業の賃上げが行なわれる。そうすると、中小企業も対抗的に引き上げをしなければならぬ。中小企業は売り値にその逃げ口を見つけなきゃならぬ、こういうことになると、どうしても売り値を上げる。私はそこに恒常的な価格騰貴、卸・小売を通ずるところの物価騰貴の大きなネットがある、こういうふうに見ているので、何とか労使が相協力して日本経済が転覆しないように努力をしなければならぬ段階に来ておる、そういう見解であります。
#60
○木村禧八郎君 国際収支は大幅黒字で困っているわけですから、少しくらいの大幅の賃上げが転覆しっこないと思いますが、しかし、一時と非常に情勢が変わっております。私は機会があったらどうしても一ぺん賃金と物価問題について大蔵大臣と――大蔵大臣はコスト、コストと相当言われますし、私も物価値上げについてコストプッシュが影響ないということはちっとも認めぬものです。しかし、それだけじゃないんですね。デマンドブルー――総需要の問題、アドミニスタード・プラス――管理価格、そういうものもあると思うのです。しかし、これは日本だけじゃない。アメリカでも物価と賃金問題は非常に深刻な問題になって、いろいろな文献にも相当出ておりますし、学者もずいぶん研究していますよ。それで、ハンセンなんかという人のを見ますと、ハンセンの「一九六〇年代の経済」という有名な本があるんです。その中で、ハンセンが、物価と賃金問題は非常にむずかしいんだ、これは単なる理論では割り切れないものだ、しかし、物価と賃金問題は非常にピッチホール――落とし穴がある、これは非常にトリッキーな問題がある、こういうことを言っておりますよ。だから、これは、ほんとうに物価値上がりに賃金の値上がりがどの程度影響しているかということを具体的に実態分析をしてみなきゃ、早計に結論は出せないんだと、こう言っていますよ。そして、アメリカでは、有名なアクリーという人のアクリー委員会というのがありまして、物価と賃金の問題については、賃金が上がるからすぐに物価が上がるものじゃないという結論を出しているんですね、アクリー委員会では。つまり、賃金が上がっても、片方で生産性が高まり、もう一つは、企業の分配率が下がれば、賃金を上げても物価に影響はない。ところが、これまでは、その二つの条件、生産性と能率の上昇、生産性と企業の分配率の問題をのけちゃって、前提条件をのけて、物価と賃金だけを比較して、賃金が上がるから物価が上がる、こういう議論をやっているようですが、間違いなんだと、アクリー委員会でははっきりそういう結論を出していますよ。アクリー方式といって、御存じだと思う。ですから、この問題はその単純な問題じゃありませんし、また、コストの中に占める賃金は一〇〇%じゃないんですから、コストの中に、一割とか二割、あるいは三割、そういう比率を占めておるんですよ。だから、賃金が生産性を上回ったからすぐにコスト割れということはないわけですよ。そうでしょう、一〇〇%賃金じゃないんですから。一〇%賃金が上がっても、コストには三%か四%しか響かない。あとにまだ原材料の問題があるでしょう。管理費の問題があるでしょう。販売費の問題があるでしょう。賃金だけが全部のコストじゃないですからね。それを、賃金が生産性をちょっと上回るともうコスト割れのような印象を与えている。コストプッシュだと、こういうんでしょう。ですから、もう少し正確にこの問題にこの問題をとらえるべきであって、それを労働者のほうにばかり大幅賃上げをやるなんていうことを警戒していて、企業のほうに利潤をもっと押えろということをなぜ言わないんですか、利潤分配を押えると。こんなに重大になったら、配当を押えたらどうです。だから、両方にそれをやらなきゃ、何か賃上げにのみ――労働者のほうに賃上げを押えてくれと言うのは、それはいいですよ。しかし、今度は企業のほうにも言うべきですよ。ところが、大幅賃上げにばかり重点を置いている。これは私は間違いだと思う。もう少し冷静に、いままでの研究があるんですから、それでいまの日本の物価値上げの実態をもって客観的に分析すべきですよ。経済企画庁の経済研究所があるでしょう。前に賃金と物価と生産性をこまかく調査していますよ。いまの日本の実態では、むしろ私は賃金は物価におくれているんじゃないかと思う。むしろ、物価が上がるから賃金が上がる。鶏と卵の問題ですね、やっぱりそういう関係にあると思うんです。ですから、単純にすぐにコストインフレとかコストプッシュと言わないで、もっと具体的にいまの物価値上げの実態を詳しく客観的に分析してそうして言わないと、私は重点の置き方が間違ってくると思うんです。
 物価対策でいま一番重点を置くのは、私はやっぱり総需要だと思うんです。一つは、やはり総需要の問題ですよ。その次に管理価格ですね、下方硬直性になっているでしょう、そういうもの。それにいまの賃金の問題コストプッシュの問題。三つあると思うんですよ。近代国家における物価値上がりの問題としては、大きく分けてこの三つあるんですよ。どこに重点を置くか、また、この三つのどれがいまの物価値上がりの一番大きな要因であるか、そこが一番大きな問題であって、具体的に分析してやる必要があると思うんですが、大蔵大臣がどうもほとんど賃上げのみが物価値上がりの大きな原因のような言われ方をしますし、いま春闘を控えて大蔵大臣の一つの牽制球なんですか、非常に政策的な意味をもって言われるのかもしれませんけれども、私は、もう少し客観的に分析されまして、そうして具体的にもっと内容を示されて言われるべきじゃないかと思うんです。労働省はもっと具体的に分析しているので、日本で所得政策をすぐに実行できないのは、そういう点について詰めが十分できていないから簡単に所得政策が打ち出せないと思うのですが、この点、いかがでしょうか。
#61
○国務大臣(福田赳夫君) まあ木村さんとそう違わないんですよ。木村さんは、大事な問題は、需給の問題だと。それから第二は、管理価格の問題だと。第三は賃金問題だと、こう言って、賃金も第三にあげられるものですから、私も先般来深い敬意を表しておるわけなんです。私は、しかし、それが実態であろうと思うんです。私も決して賃金問題だけを言っているわけじゃない。先ほどから、総需要の問題がありますと。それからまた、流通機構の問題がありますと。また、価格管理という問題がありますと。しかし、賃金の問題も、あんまり論議はされていないけれども、これは重大な段階になってきておりますよと、こういうことを申し上げておるわけなんです。私は、意見が一致したと申し上げても支障がない、こういうふうに考えています。
#62
○木村禧八郎君 それは、重大な段階に来ていることは認めます。ただ、賃上げが物価値上がりに影響しないような対策があるわけなんです。それが、さっき言った生産性の問題とそれから企業の分配率の問題なんですよね。そこが問題なんですよ。ですから、賃上げしたからすぐに物価が上がるというふうにストレートに考えちゃいけないんで、アクリー委員会でもそういうふうに二つの条件があるんだと。そういう条件を大蔵大臣がお認めになって賃金問題が重大化しているというなら、全く私と同意見ですよ。
#63
○国務大臣(福田赳夫君) 私も大体同じように考えております。
#64
○木村禧八郎君 それなら次に伺いたいのですが、前に大蔵大臣が需給ギャップの問題のときに、大蔵省だけで調査されたのですね。需給ギャップの資料をいただきまして、実は大蔵大臣のいない通産省の分科会でこれにちょっと触れたわけなんです。これは大蔵大臣が説明され、速記に載っていたものですから、取り上げても差しつかえないのじゃないかと思って、大蔵大臣に断わりなく取り上げたのですけれども、しかし、大蔵大臣に対して私の意見を申し上げませんでしたから、この際簡単にちょっと御意見を申し上げて、さらにまた検討していただきたいと思うんです。それは、要点はこういうところなんです。大蔵大臣が大蔵省範囲内で調査されて、非常に詳しい調査でこれは敬意を表しますけれども、ただ、私のいわゆる需給ギャップと非常に違うところは、大蔵大臣の御調査の需給ギャップというのは、需給ギャップ率イコール供給能力のゆとり率になっているんですね。ゆとり率というのは、二・一から四・六%、こういうことになっているわけです。そうすると、これは、結局、供給能力と、それから実際に生産された実質成長率といいますか、実際に生産された額ですか、生産能力は一〇〇あると、ところが実際に能力が稼働しているのは八〇%かあるいは七〇%、そこに二、三〇%の余裕がある、こういうお話です。それを需給のギャップ、ゆとり率と呼んでいる。しかし、これは、大蔵大臣は、ゆとり率があることで景気刺激的でないし、物価刺激的でない、こういう御趣旨だと思うのです。ところが、むしろ私の場合はそれは逆なんであって、能力が一〇〇あるのにどうして一〇〇稼働しいなのか、一〇〇ある能力が一〇〇稼働したら、これは供給がふえるわけでして、そうすれば物価刺激的にならない、物の供給がふえるのですから。ところが、一〇〇の能力があるのに八〇かあるいは七〇しか動かないというのは、三〇%がどうして動かないのか。従来は、大体二〇%くらい動かないで、絶えず景気変動に備えて予備としてきたのに、最近では一一〇%も稼働しているところがありますし、稼働しないのはむしろほかに原因がある。たとえば、設備は拡張したが、労働力が足りない。原材料が足りない。輸送がこれに伴わない。そのために、せっかく設備を拡張したけれども、それだけ稼働しない。ゆとりがあるということは、むしろマイナス要因です。一〇〇%稼働することが一番いいんでしょう。マイナス要因で、むしろこのギャップがあること自体が物価を引き上げ、景気刺激的要因、むしろ供給不足の要因になるわけです。私の言う景気刺激的であるかないかは、いわゆる能力GNP、供給能力と総需要ですね、いわゆる国民総支出です。個人消費とそれから設備投資、政府財貨サービス、在庫投資、それから住宅投資とか、それから輸出とか海外余剰、そういうものです。それとの比較をしなければならない。ですから、せっかくこうやって苦心されて、これも非常に貴重な資料だと思うんです。これから業種別にお調べになると思うんですが、ぜひ業種別に御調査願いたいと思うのですが、景気刺激的であるかないか、いわゆるインフレギャップ、デフレギャップの問題のときに、私のいま計算したような形のそういう調査もやっぱり必要じゃないかと思うのですが、その点を伺いたい。これも私はむだとは申しません。そう言っちゃ失礼ですが、むしろマイナス要因のほうを大蔵大臣は物価要因のようにここで言われているのは、私は全く意見が違うわけですから、そこのところを……。
#65
○国務大臣(福田赳夫君) それは全く逆ですね。木村さんはマイナス要因を物価要因のごとく言っておられるわけです。能力GNPと、それからGNP、つまり現に生産された量、これが接近をする、これはインフレ圧力なんです。あなたはそれをインフレ圧力と逆に作用するのだというような御見解のようですが、これは私は理解ができない。これははっきり申し上げます。やっぱり需給ですね。需要があるから供給があるのです。需要に従って物をつくっていくわけです。しかし、現実には、設備がそれよりもっとある、こういう状態で、需要がありましてもまだゆとりを持っておる。生産力にはゆとりがあるという状態こそが最も経済にとって安定をしておる状態で、これが需給がぴったりと追いついちゃってしかも生産の余力がない、こういうことになったら、一体どうなりますか。これはもうたいへんなことになる。どうも、せっかくの木村先生の御所見でございますが、この点ばかりは私は返上するというか、賛同するわけにはまいりません。
#66
○木村禧八郎君 これは、また議論になって時間を食いますから、一応検討願います。やはり総需要とそれから能力GNP、供給能力と比較しなければいけないので、大蔵大臣は、供給能力と、それがどれだけ稼働するか、その点の比較だけなんです。そのほかに総需要というものがあるんですよ。総需要との関係を私は問題にしておる。私は、この間の調査も、前年度から稼働しなかったものプラス新しく加わる能力、そういう調査をしてあるんです。ですから、私の調査にも、いわゆる供給能力のゆとり率というもの、あれにはこれも入っております。それに新しく加わる設備能力、それと総需要との関係を問題にしておるのです。ですから、問題の仕方が違うわけなんですよ。何を目的にこういうことを問題にするかというそこが問題になるのであって、結局、いまの日本経済が景気刺激的であるのか、過熱的であるのか、それを判定する場合の一番基本として問題にするわけですから、ここできちっとあまり結論を出すのもどうかと思いますから、大蔵大臣もひとつもう一度その点は御調査なすってください。私も実は調査してみたんですけれども、どうも大蔵大臣のこの御調査は、これはこれでいいんですが、少し趣旨が合わないと思うんです。だから、別の私の申し上げたような御調査も一つ必要じゃないかと思うんです。そうしなければ、いまの経済が景気刺激的であるのかないのかという判定ができないと思うのですが、その点だけ今後もう少し御調査いただきたいと思うのですが、いかがですか。
#67
○国務大臣(福田赳夫君) 総需要を問題にされますが、総需要は、それに輸入を加えるといいますか、それから輸出を差し引く、そうすると、総供給量に一致するわけです。ですから、木村さんがいま御論議されているその総需要ということばを非常に大ざっぱに言うと、総需要は総供給量に一致するわけなんです。ですから、問題はそこに去るのじゃないのです。需要があるから供給があるわけですから、その需要と供給は一致するわけです。GNPはイコール総需要と、こういうことになってくるわけでしょう。問題はそうじゃないのです。総需要がふえた場合にそれを供給するゆとりがあるかどうかということに問題があるのです。私どもは、そのゆとりが一体どのくらいあるかというところに着目をしておるわけですがね。その総需要と総供給に違いがあるかどうかという議論は、これはどうも私も理解できない。これは常に一致をしております。正確に言うと、総生産とそれからプラス輸入マイナス輸出、それと総需要ということは一致しておる。それだけの生産量と、輸入量と輸出したものとを差し引いた量が総需要として国民各階層に配分されておる。全く需要と供給は一致しておるんですよ。生産の能力にどういうゆとりがあるかということが物価問題に影響がある。もし生産量を越えて総需要というものがあるということになれば、これは物価騰貴の要因になります。しかし、そこに生産力にゆとりがあって、それを補てんをするということになれば、これは影響を消してしまうということになるので、そのゆとりが問題だろうというようなわけです。どうも、いまここで木村さんの考え方にひとつなお考えてみましょうというふうに気が進んで言えるような状態ではないのであります。とにかく、木村大先生の言われることでありますから、なお重ねて検討することにいたします。
#68
○木村禧八郎君 これはあんまり議論していると時間がなくなりますから、もうやめますが、実は、名目GNPと、それから能力GNPと、それから実質成長率ですね、この三つの関係があるんですよ。これはまああんまり進んで御承認できなければけっこうです。またこれが速記に載ればいろいろな学者もこれを見ますと検討されると思いますから、いろいろな方にまた御批判をしていただくのもかえってよろしいと思いますから、それはその程度にしておきます。
 次に、税制調査会のあり方についてちょっとこの際質問しておきたいのですが、御承知のように、四十五年度の税調の答申につきましては、各方面から非常に批判がある、税制調査会のあり方について。
 これは武蔵大学教授の佐藤進氏の批判ですが、「今回の税調答申ほど、財界、金融界、証券界その他圧力団体に引きずり回された答申はなかった。また、今回の税制調査会ほど、内閣諮問機関としての税制調査会と自民党の税制調査会、そして大蔵省との一体性が国民の前に明らかにされた存在はなかった。」と、こういう批判が一つあるんです。
 もう一つは、「朝日新聞」の一月二十二日の解説記事ですが、「財界の圧力を媒介とした自民党と大蔵省との妥協の産物をそのまま答申した」というんですね。それで、「実現にこだわるあまり、毎年なれ合いを繰り返していることが税制調査会の権威を傷つけるおそれのあることを委員と大蔵当局は十分考えるべきではなかろうか。」と、こういう記事があります。
 それから前の主税局長であっていま日本銀行の理事をやっておられる泉美之松氏がやはり批判しております。泉さんは、こう言っているんです。「自民党と政府の妥協案をそのまま答申内容に織り込だ点である。今回のように、従来税調でいっていたことの筋からやや離れ、政府と自民党との妥協の産物をそのまま答申に織り込むとなると、果たしてそれでよいかどうか、問題があろう。税調は、年々の改正の細かい内容についてまで、こと細かに答申するのは、税調の権威の点からいっても好ましくないといえよう。余り細かい点にまで首を突込むことになると、さなきだに官僚の「かくれみの」であるといわれている税調の権威が失墜することになりはしないかと惧れられるからである。こうした点については、大蔵省や自治省の当局者の方々も十分留意して戴いて、今後とも税調答申の権威を保つようにお願いしたいものである。」と、こういう御意見なんです。前の主税局長で日銀の理事さんの泉さんでさえ――さえと言ちゃ悪いのですが、さえというのは、当局側であった方さえもこう言われている。
 ですから、これは、大蔵大臣、ひとつ考え直す必要があるんじゃないかと思いますがね。極端にいえば、こういう御用税制調査会は廃したほうが、よほど国民を欺かなくてよろしいと思うんです。これでは、全く何のために税調があるのか、税調の権威いずこにありやですよ。ですから、大蔵大臣、私はやっぱりあんまりこまかい答申をさせるのはよくないと思う。税調だけじゃないです。財政制度審議会でもそうだと思うんです。あまりこまかいことを答申させますと、これは大蔵省の出店みたいになっちゃう。ですから、もっと大局的な答申をさせる、そういうことが必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
#69
○国務大臣(福田赳夫君) 税調は、ことしの答申につきまして、たいへんりっぱな答申であると、こういう称賛も受けております。その反面におきまして、一部にただいま御指摘のような御批判もあったわけです。私は税調の動きというものもよく見ておりますが、東畑会長は、答申を出す数日前、総理大臣をたずねまして、私の主張するこれこれの点が政府でやっていただけないようなことがあるならば、私は重大な決意をしなければならぬというところまで申し上げておるような、そういう決意をもって起草をいたしておられるわけであります。私は、圧力だとかなれ合いだとかいうことばで批評するのは当たっておらんと、こういうふうに申し上げますが、まああまりこまかいところまで立ち入ってというような点になりますと、また私は考えてみる必要もあろうかと思います。よくまた税調の会長さんとも運営につきましては相談をしてまいりたい、かように思います。
#70
○木村禧八郎君 大蔵大臣は、一部にと言われますが、私は単なる一部じゃないと思うんです。とにかく、大新聞の「朝日新聞」「毎日新聞」が筆を揃えて税調の今回のあり方は問題ではないかと。それは委員長の東畑さんのお立場もわからないわけではないですよ。あまり抽象論とかラジカルな改革を答申して、実行されなければなんにもならんじゃないか、だからなるべく実行できるような答申をしたいという、その気持ちはわかりますよね。ですけれども、私はそれが全部政府にいれられなくてもいいと思うんですよ、その年度には。そこが私は問題でね。ですから、本年度は無理だ、来年、再来年と、とにかくそういう答申が必要なんであって、その間のことは政府がきめればいいんであって、御趣旨はよく尊重するといって尊重しないのがずいぶんありますからね。それは政府の権威においてやればいいんです。この点は本年度はできないから来年度とか、前の答申を二カ年間で実現しましたああいうやり方もあるんですからね。これは意見になりますが、とにかく、税調に対しては非常な不信があるということ、権威が失墜しているということは、おおうべくもないと思うんです。この点は今後頭に置かれて諮問をやるように、われわれはこんな御用機関なら廃止してしまえと極論したいくらいなんですけれども、それではあまり実もふたもなくなりますから、これで私は警告を発する程度にしまして、実は、税制調査会の会長さんなりをお呼びして御意見を戸田委員が承るはずであったんですが、お見えにならなかったものですから、それで大蔵大臣に質問したわけです。これはこの程度にしておきまして、今後の実績を見守ることにいたします。
 それから次に伺いたいのは、法人税の転嫁の問題です。四十五年度予算が経済に刺激的でないその一つの理由として、大蔵大臣は、増税をした、つまり、法人税六百十億、利子課税三十億、計六百四十億増税をした、だからそれは景気刺激的でないように作用しているのだと申されておる。しかし、この法人税がもし転嫁をされる、税金がその会社の製品の値段に織り込まれて消費者へ転嫁をされるということになると、これは物価値上がりになるわけですね。そこで、この法人税と転嫁の問題についてどういうふうに見ておられるか、伺いたいと思います。
#71
○国務大臣(福田赳夫君) 古くから租税学説によりますれば、法人税は大体において転嫁されない、こういうことでございますが、近ごろ転嫁があるんじゃないかというような研究があるようであります。まああるといえばあるような気もしますし、ないといえばないと言い切れる問題かもしれませんと思いまするが、要するに、これは、法人税がどうなるかということは、内部留保がどういうふうになっているかということに関連をしてくる問題だと思いますが、利益処分の問題ですから、その内部留保が将来の価格にどういう影響を及ぼすか、こういう問題が理論的にはあるわけでありますが、大体常識論とすると、私は、法人税がその会社の製品価格に影響する度合いというものはネグリジブルなものではあるまいか、そういうふうに見ているわけですが、最近いろいろ学説がありますから、主税局のほうでもいろいろ研究はいたしております。
#72
○木村禧八郎君 法人税が転嫁するのではないかという疑問は、アメリカにおいてすでに一九三〇年代に提起されているといわれていますね。西ドイツでも新しい問題として研究されてきている。日本でも、三十九年の税制調査会の基礎問題小委員会がこの問題を議題としているわけですね。もうすでに税調で問題にしているんです。そして、委嘱研究が行なわれて、その結果が発表されているわけです。「基礎問題小委員会、専門委員報告書」というのがあるんです、三十九年八月に出された。これを見ますと、「政府の歳出効果、インフレーション等が及ぼす要因の排除を技術的に処理できなかったため、明確な計数は求め得られなかった。しかし、法人税の転嫁する可能性は非常に高い」という結論を出しているんです。大蔵大臣が言われるのとは反対なんですよ、結論は。転嫁する可能性は非常に高い、こういう結論なんですよ、税制調査会では。
 ところが、三十九年の旧長期答申では、「法人税の転嫁の実態について今後も引続き検討を進めることが必要である」と、こういうふうにうたいながら、法人税のあり方を、求めるための基礎研究はその後打ち切られてしまったんですね。それで、「現段階では法人税転嫁を前提として法人税制に何らかの措置をとることは時期尚早である」と、こういうことになって、その後、法人税の性格を、転嫁がないものとして、従来どおりの擬制説か実在説かの検討に立ち戻ってしまったといわれている。なぜ打ち切っちゃったか、こんなに重大な問題を。
 大体、結論としては、転嫁する可能性が非常に高いというんです。もしこの転嫁が具体的に明らかになった場合に、法人税のあり方に非常に大きな影響があるわけですよ。いわゆる擬制説自体に大きな影響がありますし、それから物価対策にしても、いや、法人税を増税したからこれは物価刺激的でない、景気抑制的に作用する、そういうことは言えないのです。こういうふうな重大な問題があやふやにされているんですよ。現段階では一応転嫁がないものとしてというんです。ないものとしてといったって、基礎問題小委員会では転嫁の可能性が非常に高いとなっているんですから、こういうことをうやむやにしておいて、そうして実在説、いや擬制説だと議論してもおかしいと思うんです。ですから、これはもっと今後研究を深めて何とかして結論を出すべきじゃないか。税制調査会では、いつもこの問題を問題にしながら、どんどん立ち消えになっちゃう。ですから、これをはっきりさせることによって非常な不利なところがあるのじゃないか。そういうことで打ち切っちゃったのか、そう疑いたくなるんですよ。何かそういう政治的な考慮かあるいは圧力でもかかったのか、そうでなければ、これはある程度までそういう基礎問題小委員会で結論を出したんですから、もっと突っ込んで具体的に研究と調査を進めるべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#73
○国務大臣(福田赳夫君) まあ研究はするにやぶさかではありませんし、研究はいたしたいと思います。しかし、現実の問題としまして、法人税が課税される、それが価格に転嫁されるという度合いというものは、非常に軽微ではないか、私はそういうふうに感じております。これを数字にどういうふうにかあらわせということになると、なかなかこれは問題が複雑で、研究も容易じゃないと思います。一体、そういう私の感じが間違っておるのか、いないのか、そういうものを研究をいたしてみることにいたします。しかし、非常に重大な問題で、これをほうっておくから税制の改正はなかなかむずかしいのだ、あるいはこれは裏に複雑な事情があるので途中で打ち切っておるのだというような、そんな考えは毛頭いたしておりません。
#74
○木村禧八郎君 そういうものがなければ、税制調査会にまた諮問されますか。
#75
○国務大臣(福田赳夫君) 税制調査会というか、大蔵省もそれ自体が調査機能を持っておりますから、大蔵省で研究いたします。
#76
○木村禧八郎君 感じじゃ困るのでありまして、じゃ、その前に、もう一つ伺っておきたいのですが、四十一年の税制調査会の長期税制中間報告では、「法人実在説の立場に立つ法人利潤税の課税方式の検討を示唆するにいたった。」と、そうして「法人税制の理論的構成にもかかわらず、税制の現実は法人税を企業独自の負担と考えざるを得ないような方向に動いてきたことを示すものと認められよう」と、こういう報告になっているわけです。そこで、「法人税の性格を、企業の実態面からみたとき、法人実在説の立場から課税する方向、がより実情に即していることを明らかにし、法人利潤税方式の導入を示唆した。」と、こういうふうに一般には解釈されておるのです。その後どうなったか。利潤税を導入するとか一時いわれておったのですが、実在説、擬制説があまり問題にされなくなったんですが、その擬制説、実在説の問題と、法人税が転嫁するかしないかという問題とは切っても切れない重大関係があるんですよ。もし法人税を、法人実在説にして、利潤税方式にして法人にかけるでしょう。法人にかけたとき、それが転嫁されるならば、現在のような配当控除なんか要らなくなるんですからね。そういうことは問題にならないんです。だから、それは非常に重大問題ですよ。現在は擬制説ですね、シャウプの税制改正で。しかし、いまは、この四十一年答申では、実在説の方向を示しているんですね。法人税の性格を企業の実態面から見れば、法人実在説の立場、そうでしょう。大法人については、株主と経営は分離されているんですね。ほとんど分離されていますよ。問題は、同族会社的なものですね、中小法人、そこが問題だと思うんですけれどもね。それは区別しなければなりませんけれども、この問題はどうするのか、このままほおかぶりしてほうっておくんですか。
#77
○国務大臣(福田赳夫君) 法人実在説という考え方かあるいは擬制説かというようなことのための議論の実益はどこにあるかというと、配当の扱いだろうと思うのです。配当は、法人の配当の扱いのみならず、個人所得の配当の扱いというものにも及ぶわけなんであります。ですから、この考え方を変えまして、そしていわゆる利潤税的な考え方を採用すれば、これは法人、所得両税にまたがって根本的な改正を要する、こういうことになるわけなんです。そこで、なかなかむずかしい問題になってくると、こういうことでございますが、これは検討に値する問題であるという認識を持っておるわけでありますから、今後ともその利害得失を十分検討してみたい、こういうふうに考えております。
#78
○木村禧八郎君 次に、物価調整減税について伺いたいのですが、これは大蔵省で数字をはじいたと思うのですが、四十五年度の物価調整減税をどのくらいに計算しておりますか。
  〔委員長退席、理事沢田一精君着席〕
#79
○政府委員(細見卓君) 消費者物価上昇率を四・八%と見まして、約五百三十億であります。
#80
○木村禧八郎君 それで、これは弾性値を幾らと見ておるのですか。
#81
○政府委員(細見卓君) これはいわゆる物価調整減税でありますから、弾性値は関係ないのじゃないかと思います。
#82
○木村禧八郎君 それでは、前に中山答申で物価調整減税の算式を答申しておるんですよね。その算式によって計算すると、幾らぐらいになりますか。
#83
○政府委員(細見卓君) その方式でやりますと約八百五十億ぐらいになろうかと思いますが、これにつきましては前にも木村先生にお答えしたと思いますが、高額所得層にまで物価調整減税という考え方を入れるのが私どもとしては適当でないという意味で、課税最低限のところで考えた四百八十億を私どもはしいて物価調整減税といえばそういうものだろうと思います。
#84
○木村禧八郎君 それは減税するときには高額所得者の方にも減税するわけですからね。そうでしょう。ですから、一応そういう課税最低限というそういうものを考えないで、突破してやったら幾らになりますか。
#85
○政府委員(細見卓君) いまの八百五十億くらいです。
  〔理事沢田一精君退席、委員長着席〕
#86
○木村禧八郎君 それは弾性値をどのくらいに見ておるのですか。
#87
○政府委員(細見卓君) 弾性値二・一であります。
#88
○木村禧八郎君 それは中山方式でやったのですか。
#89
○政府委員(細見卓君) そのとおりであります。
#90
○木村禧八郎君 おかしいですね。私の計算では、実質所得の伸び、これが問題なんですが、これが政府の一一・一としますね。それから消費者物価の伸びを四・八%と見る、これは政府のとおり。それから所得税の弾性値を二・二と見た場合に、千三百二十八億になるんですよ。かりに弾性値を二と見た場合、千百九十五億になるんです。ですから、もしこれが正しい計算とすれば、二千四百六十一億の所得税減税のうち、千百九十五億ないし千三百二十八億が物価調整減税なんですよ。だから、実質減税というのは半分ですよ、この中山方式の計算ですと。さっきの大蔵省の計算は非常に違いが出てくるのですけれども、それはどういうことなんですか。
#91
○政府委員(細見卓君) 先生の計算と違っておりますのは、おそらく、自然増収の見込み、それから物価調整減税の割合というあたりが違っておりまして、先生の数字は私どもも承知いたしておりますが、そこが違っておるなと思っておるわけでございます。
#92
○木村禧八郎君 それでは具体的に、じゃどこが違っておるのかはっきりしてください。ぼくの計算では、数式を言いましょうか、200(15.9)分の4・8(100+22・2)100=18・45、これが自然増収中に占める実質上の負担増加額の割合で、一八・四五なんですけれども、それで計算すると千百九十六億です。ですから、大蔵省はずいぶん低目ですね。かりに八百五十億にしたって、二千四百六十一億の減税の中から八百五十億は、これはほんとうの減税じゃなくて、物価調整の減税にすぎないということになるのですが、どうしてこんな少な目に出るのですかね。
#93
○政府委員(細見卓君) 分母が私どもの数字では〇・二七七になり、分子が〇・〇六二ということになりまして、その調整割合が二二・四になります。先生は一八・幾らとおっしゃっておったようですが、私どもは二二・四になります。
#94
○木村禧八郎君 一八・四五がですか。
#95
○政府委員(細見卓君) ええ。
#96
○木村禧八郎君 それはどこでそんなに違っておるのかな。二二・幾つ……
#97
○政府委員(細見卓君) 二二・四です。
#98
○木村禧八郎君 どうしてこんなに違うのですか。またあとで詳しい八百五十億の計算を出してください、私のと比べてみますから。とにかく、八百八十億にしておきましょう。私の計算は間違っていないつもりです。前提が実質所得の伸びを一一・一、消費者物価の伸びを四・八と見ておるので、もしこれが四・八じゃなくてこの間のような五・四となると、もっと物価調整減税が必要になるですよ。ですから、大蔵省の計算でも、五・四になれば千億をこえるということになりますよね。減税減税というけれども、大幅減税二千四百六十一億と非常に自慢しておりましたけれども、大した減税じゃないじゃないですか、大蔵大臣。
#99
○国務大臣(福田赳夫君) とにかく、所得税が自然増収六千億ある、その中で二千四百億余りも減税するというのですから、三八%に当たります。これは大幅な減税である、こういうふうに見ております。
#100
○木村禧八郎君 それじゃ、伺いますが、自然増収に対する減税割合は――その前に、地方住民税の物価調整減税はどのくらいになるのですかね。何か計算したものがありますか。
#101
○政府委員(細見卓君) 住民税は、実は計算いたしておりません。
#102
○木村禧八郎君 それは、計算してもらえますか、いますぐここでなくてもいいのですけれども。
#103
○政府委員(細見卓君) 自治省に相談してみまして、後ほど御連絡いたしたいと思います。
#104
○木村禧八郎君 前に計算してもらったことがあるんです。ですから、ひとつお願いします。
 それで、自然増収の中に占める減税割合です。それは、所得税の自然増収の中に占める減税割合と、それから所得税と地方住民税の両方を合わせて国及び地方税の自然増収に占める割合、両方をひとつ……。
#105
○国務大臣(福田赳夫君) 木村さん、いま計算しますから、ちょっと……。
#106
○木村禧八郎君 これは、大蔵省のほうのとらの巻に出ておりますよ、例のとらの巻に。
#107
○政府委員(細見卓君) 所得税のほうはできておりますが、住民税を加算してみませんと、住民税がわからないと、そういう意味でございます。
#108
○木村禧八郎君 住民税を一緒にしたものが出ているんですよ。ぼくはそれから引用しているのですから。
#109
○政府委員(細見卓君) いまのとらの巻とおっしゃるものに出ておりますものは、国税・地方税全部のもので、住民税と所得税を合わせたものというものではございません。
#110
○木村禧八郎君 そうですか。それでは国税・地方税全部合わせてけっこうです。
#111
○政府委員(細見卓君) 四十五年は一三%になります。
#112
○木村禧八郎君 昭和三十四年から四十四年まで、これの平均はどのぐらいになりますか。
#113
○政府委員(細見卓君) 後ほど計算いたしますが、四十一年の大幅減税がございますので、率はかなり多くなりますが、それを除きますと、一三%前後であろうかと思います。
#114
○木村禧八郎君 それを除いてしまっちゃしようがない。都合のいい数字だけじゃ……。
#115
○政府委員(細見卓君) 国税だけでございますと、所得税の減税は三十六年から四十五年までが一五・二、所得税だけでありますと三八・八ということになっております。
#116
○木村禧八郎君 そうしますと、過去の十年間の平均よりも四十五年度の自然増収に対るす減税割合は低いんじゃないですか。
#117
○政府委員(細見卓君) いまの国税だけで見てまいりますと、三十六年から四十五年の平均が、所得税の自然増収のうち、所得税の減税が三八というわけでありますから、この間の平均の三三・八よりも四十五年は大きくなり、同じく一般自然増収全体と減税の割合を見ますと、四十五年は一七・九であるのに対しまして、三十六年から四十五年の平均が一五・二でありますから、いずれもこの率よりは大きくなっております。
#118
○木村禧八郎君 それは、目的税である揮発油税であるとか石油ガス税を入れているでしょう。
#119
○政府委員(細見卓君) この自然増収には入れておりません。
#120
○木村禧八郎君 入れておらないでそうなりますか。大体一七・三%ぐらいじゃないですか、過去の三十五年から四十四年は。
#121
○政府委員(細見卓君) 先生のお考えになっておる数字が、たとえば四十三年の酒・たばこの増税をいたしたようなところの計算などがおそらく私どもの考えと違っておるかと思いますが、予算に出てまいります自然増収のうち、目的税の増税を除きました自然増収と、酒・たばこのような増税を除きました自然増収と、一般減税及び所得税の一般減税というものを対比したものが、いま私が申し上げた数字になっております。
#122
○木村禧八郎君 そうすると、減税額においても目的税である揮発油税とか石油ガス税は除いてあるわけですね、どっちも両方とも。
#123
○政府委員(細見卓君) 一部入っております。
#124
○木村禧八郎君 両方除くとどうなるのですか。
#125
○政府委員(細見卓君) ちょっと計算に時間をいただきたいと思います。
#126
○木村禧八郎君 それじゃ、計算してください。これはとらの巻と言っていいかどうか知りませんけれども、四十四年度まで――四十五年度のもいただきましたが、四十四年度までの資料で出したのがあります。ここでは、はっきり自然増収に対する所得税の減税割合は一七・三ですよ。これは泉さんが引用していますよ。前の主税局長がはっきり引用している数字ですよ。それが三十五年−四十四年が一七・三なんですよ。四十五年は一二・八でしょう。そうじゃないですか。ですから、非常に少ないですよ。大幅減税、大幅減税などと言っていても、あまり泉さんを引き合いに出すのは悪いですけれども、泉さんも、はっきり自然増収に対する減税割合は少ないのではないかと言われておりますよ。前に、自然増収の半分を所得税の減税に回せというサラリーマン減税同盟の要求があったけれども、これはまあ財政の実情から見てちょっと無理としても、前に税制調査会が打ち出した自然増収の二割程度を減税財源に充てるべしという答申があったわけですね。それから見ても少ない。ですから、「自然増収見込額に対して四十五年度の税制改正全体の減税規模は少なすぎるとの非難は免がれないであろう。」と前の主税局長の泉さんさえ言っているんですよ。
#127
○政府委員(細見卓君) やっと食い違いがわかりました。いまのおっしゃっている数字は、法人税の増税が差し引いてあるわけでございます。ですから、減税としては、いま所得税の一般減税というのが所得税の中で三八%を占めるような大きな減税でありますが、そのために一方で法人税増税が行なわれている、それで率が低いと、そういう意味でございます。
#128
○木村禧八郎君 じゃ、その結果、結局はあれでしょう、三十五年から四十四年までは、自然増収五兆二千百四十一億、それに対して減税額が九千十億、割合は一七・三%ですね。四十五年度は、自然増収一兆三千七百七十一億に対して減税額が千七百六十八億、一二・八%ですね。
#129
○政府委員(細見卓君) だんだんはっきりしてまいりましたですが、その数字では、たとえば四十三年に行ないました酒の増税が差し引きの形で出ておりますので、減税と増税を差し引きした数字になっております。ですから、減税規模は大きくなっているわけですが、一方で酒の増税が行なわれている。しかも、それはたばこの部分は別ワクになっておるというようなことになっておりますので、その数字につきまして御利用願うときには若干の調整が要るんじゃないか、かように思います。
#130
○木村禧八郎君 だが、前の主税局長の泉さんがちゃんと引用しているんですね。だから、そういういまのことを前提にすればいいんですよ。やっぱり十年平均では一七・三なんです、自然増収に対する減税割合が。ところが、四十五年度は、大幅減税、大幅減税と言いながら、一二・八なんです。ですから、それは大幅減税とあまり自慢はできない。それから前に税制調査会で自然増収の二割ぐらいは減税すべしという答申もあるんですね。なぜこの減税が少なかったというのです。四十五年度は、一兆三千七百七十一億、こんなに自然増収がありながら、いままでより減税割合は少ないんですよ。だから、私は、政府の言うことは反対で、大幅減税と自慢しているが、自然増収に対しては減税割合が少ないというんですよ。なぜ減税割合が前の平均率よりも著しく少ないのか。だから、もっと減税すべきではなかったか。あとで具体的に申しますけれども、とにかく具体的に内容を見れば、それは低額所得層に対する減税割合は非常に少ないですよ。税率の引き下げ方なんか高額所得層に非常に大きな税率引き下げをやったり、それから配当所得者に対してのものすごい課税最低限の引き上げを行なっているが、低額所得のほうは、減税しても、その割合が非常に少ない。高額所得層が非常に減税割合が大きいですね。ですから、低額所得層のほうに減税が少ない、こういうことできているんじゃないかと思うのですが、なぜこんなにいままでよりも減税が少ないのですか。
#131
○政府委員(細見卓君) 計数にわたることですから私から申し上げておきますと、四十年から見まして、四十年が、いまの私どもがことし法人税の増税を差し引かない全体の減税というので一七・九とお答えいたしておりますそれに当たるものが一七・三、四十一年は自然増収よりも大幅な減税が行なわれております。これは一一〇%ぐらいになります。四十二年が一四・七、四十三年が一一・一、四十四年が一二・六で、四十五年が一七・九と、四十年代における最大の減税規模になっております。
#132
○木村禧八郎君 数字的に言いますと、たいへんな違いなんです。四十一年が二〇四・一、四十二年が一一・六、四十三年が六・一、四十四年が一三・三、なぜこんな相違が出てきたのですかね、大蔵省の資料なんですよ、これは。
#133
○政府委員(細見卓君) 計数のつくり方でありまして、いまのは、目的税のようなものが除かれておるとか、あるいは、一方では減税をいたして一方では増税をいたしたような場合に減税だけをとってあるとかいうような計数の違いじゃないかと思います。
#134
○木村禧八郎君 これは前に大蔵省が出した資料なんですよ。ですから、私はこれをもとにしている。いまのお話は、ずいぶん変えてしまっているんですね。そこで、過去の平均の自然増収に対する減税の割合が低く出ている。四十五年が高く出ている。これは何か私は操作をしているように思うんですよ。そうでなければ、あまりにも違い過ぎますよ。おかしいですね。
#135
○政府委員(細見卓君) 何の操作もいたしておりませんで、いま申しましたように、一方で減税を行ない、一方で増税を行なった年の計算の仕方について法人税増税分を差し引いたネットの減税だけを取り上げれば木村先生のような大きな数字になり、法人税の増税分を差し引かない一般減税の数字で申し上げれば私が先ほど申し上げたような数字になります。ですから、木村先生のような数字で申せば、ことしの法人税の増税分を差し引けばまた率は低くなるわけでございます。――ことしの法人税の増税部分を計算せずに、所得税の一般減税だけを見れば、率としては大きくなるわけでございます。
#136
○木村禧八郎君 それはそうですよ。所得税減税二千四百億幾らですね、それを問題にしているんですからね。ですから、法人税を引けば率が低くなるでしょう。ですから、これまでの計算はそうですよ、増税も引くんですよ、純減税でしょう。
#137
○政府委員(細見卓君) 木村先生の持っておられる大きいほうの割合になっておるのは、差し引きしていない数字でございます。私がいま読み上げましたのが差し引きした数字でございます。ですから、木村先生のやり方でやるのならば、四十五年も差し引きしない数字で比較しなければならないことになろうかと思います。
#138
○木村禧八郎君 そうすると、一五・幾らになるんですか、四十五年度を差し引かないと。
#139
○政府委員(細見卓君) ことしの税収から泉さんのその計数のように出そうとすれば、ガソリン税の増収分を差し引きますので、それを差し引きますと一七・九がおそらく十八とか一八・幾らとへいう数字になるわけでございます。
#140
○木村禧八郎君 それで、自然増収を一兆三千七百七十一億としますと、減税額は幾らなんです。
#141
○政府委員(細見卓君) 二千四百六十一億でございます。
#142
○木村禧八郎君 そうしますと、割合はどうなるのですか。
#143
○政府委員(細見卓君) 一七・九でございます。
#144
○木村禧八郎君 そうなると、過去のよりは〇・大ですか多くなるんですね。じゃ、住民税と両方合わせて幾らですか――住民税じゃない、地方税です。
#145
○政府委員(細見卓君) いまの一七・九の割合というのは、御対照願いたいのでありますが、四十年が一七・三、四十一年が一一〇・九、四十二年が一四・七、四十三年が一一・一、四十四年が一二・六でございますから、四十一年の特別大きな数字をのけますと、三%程度は高い平均になろうかと思います。
#146
○木村禧八郎君 さっきの一七・九というのは、四十年からですか、四十一年からですか。私が聞いておるのは、昭和三十五年から聞いておるんですよ。
#147
○政府委員(細見卓君) 三十六年を申し上げますと一六・一、三十七年が八・六、三十八年が八・八、三十九年が九・一でございます。それを入れれば、さらに平均が低くなります。
#148
○木村禧八郎君 全然数字が違うんです。どうしたんですか、おかしいじゃないですか。これは大蔵省の資料ですよ。私がもらった資料では、三十五年がプラス三%、三十六年が二一・九、三十七年が二一・八、三十八年が一七・三、三十九年が一五.五、四十年が一九・〇、こんなに違うんです。これじゃ議論にならぬですわ。
#149
○政府委員(細見卓君) 木村先生のは、いわゆる差し引きましたネットベースのものでございますし、私のほうのやつはグロスベース、この違いでございます。
#150
○木村禧八郎君 私のほうといったって、大蔵省の資料ですよ。
#151
○政府委員(細見卓君) どちらの数字も正確でございまして、四十五年をそれで申し上げますと、一二・八になりますが、それは三十六年からとってまいればそういうことでありますが、今の法人税の増税というようなもの、あるいは酒税の増税というようなものをどう考えるかということの、つまりグロスで出したものとネットで出したものの二つの違いでございます。
#152
○木村禧八郎君 じゃ、これはあとで整理してあれしましょう。とにかく、大蔵省の資料で私は計算したものですから。それから私だけじゃないのです。前の主税局長の泉氏さんも、自然増収に対する減税割合が非常に少ない、これでは減税が少な過ぎるという非難は免れないと、その論拠としてこういう数字をあげているんですから。これは泉さんのここに引用している資料を私は見たんですよ。大蔵省の原稿で見ましたら、やっぱりこうなっているんですよ。だから、四十四年度のはこうなっているんですから、四十五年度で変えているんですよ。とらの巻を見てごらんなさい。
#153
○政府委員(細見卓君) 立ち入ったお話でございますが、もうずっと同じ方式をとってまいっておりまして、木村委員の言われるように過去が比較的減税割合が多くなっておりましたのは、最近のように一方で減税し一方で増税といいますか調整的なことを過去は行なわれなくて、一方的な減税で、最近におきましては、たとえば所得税を減税して、酒、たばこの増税を行なったとか、あるいは目的税の増税を行なったとか、そういう要素が違ってまいりまして、それがネットであらわすのとグロスであらわすのとの差になって、最近になってそのネットとグロスの差が大きくなってきている、そういうことでございます。
#154
○木村禧八郎君 それでは、大蔵大臣に伺いますが、今後この自然増収と減税割合ですね、前の税調の答申でも、自然増収の大体二〇%ぐらいは減税すべきじゃないかという答申があったわけです。機械的にこれにとらわれるわけにはいかないと思いますがね。その年度のいろいろな財政事情等もありましょうが、半分ぐらいは減税したらどうか、国民に返したらどうか、こういう意見もあるのですけれども、しかし、過去の例を見まして、自然増収の大体二割ぐらいはさしあたって減税に回わすべきじゃないか、前の答申もあるんですけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
#155
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、所得税につきましては減税をしていきたいというふうに考えております。しかし、一方におきまして、七〇年代の大きな課題として、社会資本といいますか、道路でありますとか、下水道、上水道、港湾、河川、あるいは航空諸施設というようないろいろな社会資本充実の諸問題をかかえておるわけです。それから社会保障という問題もかかえておる。そうすると、全体とすると国民の税負担が多少上がる傾向になるであろう、こういうふうに考えられるのでありまして、そういうことを考えますと、自然増収の何%を減税するんだというはっきりした方針、姿勢というものを打ち出しがたい。この席でお答え申し上げることができますのは、所得税減税につきましては今後積極的にこれをまだ進めていきたい、こういうことでございます。
#156
○木村禧八郎君 次に、利子・配当の特別措置について伺いますが、利子・配当の特別措置を行なう目的は一体どこにあるのですか、あらためてひとつ伺っておきたい。
#157
○国務大臣(福田赳夫君) これは、御承知のように、わが国の貯蓄等を見ますると、非常に好調です。これは他の先進諸国と比べものにならないような好調である、こういうことなんです。この好調の原因が一体何にあるかということを考えてみなければなりませんけれども、やっぱり勤倹貯蓄という風潮がわが日本に牢固としてある、こういうことが中心であるというふうには考えまするけれども、やっぱり戦後の財政金融諸施策よろしきを得て国民が貯蓄にいそしむその基盤というものがゆるぎなく今日に至っておる、こういうことだろうと思います。その間におきまして、貯蓄というものは非常に大事です。つまり、今日よく世界で目をみはるような経済大発展をなし遂げたその背後のささえをなしておるものは、これは貯蓄なんです。その貯蓄というものにつきまして慎重な配慮を払う、また、これに誘導的な援助を与えるということはきわめて大事である、こういうことがこの特別措置の存在するゆえんであります。
#158
○木村禧八郎君 そうしますと、貯蓄を奨励するというのですか、貯蓄を増加させる、貯蓄に有利なような措置として利子・配当の特別措置を行なう、そこに政策目的がある、こういうことですね。
#159
○国務大臣(福田赳夫君) さようでございます。
#160
○木村禧八郎君 大蔵省から資料をいただいたんですが、「金融機関別個人貯蓄の動向」というので、利子課税制度の推移によって貯蓄がふえたか減ったかという調査なんです。利子課税をやったからふえたとも言えませんし、利子課税がないときも貯蓄がふえているんです。利子課税を行なったときに貯蓄がふえたり、利子課税がなくなって貯蓄が減ったりしているんです。ですから、一律に言えないんですよ。たとえば、具体的に申しますと、全国の銀行個人預金については、定期預金と定期性以外の預金については、二十八年八月から三十年六月まで一〇%の分離課税をやっておる、そのときの貯蓄の伸び率は、全国銀行の個人の預金は九、定期預金は一二・一、定期性以外は四・一です。三十年七月から三十二年三月まで非課税にしたところが、これは貯蓄が今度はふえているんです。ふえているんですけれども、今度逆に四十年四月から四十二年六月まで、従来の五%の分離課税を一〇%の分離課税に税率を上げているのです。ところが、貯蓄はふえているんです。税率を上げて貯蓄がふえている。全国銀行個人預金については、七・八から八・〇に、それから一五%に上げてもまた貯蓄がふえているんですね。ですから、利子の特別措置によって貯蓄がふえたかふえないかは、過去の統計を見るとこれはわからぬですよ。ですから、従来大蔵省がいろいろ調査した結果、私の聞いているところでは、貯蓄に影響があるのは、税引き所得がふえたとき、可処分所得がふえたときに貯蓄がふえている。だから、この税金関係で貯蓄がふえたり減ったりするのではないということが過去の実績でわかっているわけです。ですから、この利子の特別措置は政策目的に合わない。配当についても、いわゆる資本の蓄積に役立っていないんですね。そういうものを存続しておくことは、これは不合理だけでなく、多少役に立つとしても、そのマイナス面との比較をしなければならないですね。前の三十九年の税制調査会の答申では、「利子配当課税の特例等資産所得に対する租税特別措置は、一部の高額資産所得者を著しく優遇するものであって、この措置に伴って生ずる弊害が大きく、しかもその弊害を償うに足るほどの政策的効果も実証し難いので、これを廃止すべきものと考えられる。なお、これを廃止する際には、何分にも長年にわたる措置であるだけに国民に与る心理的影響等を考慮して、経過的措置を設ける等の配慮が必要であると認めた。」と。だから、経過措置はとるべきであるが、多少メリットがあるとしても、デメリットのその弊害のほうが著しく大きい、だから廃止すべきであるとはっきり答申しているのですよ。その答申に基づいて少しずつやってきていますけれども、今度の改正も全くなまぬるい。それで五年間もまた延期しちゃったんですよ。五年間も延ばしゃって、それで五年間これに対して論議が起こらないようにしてしまったんですね。それで、五年後においてもこれを廃止するのかしないのか、はっきり出ていないのですよ。それで、私の調べた限りにおいては、政策目的に合ってるかどうかは具体的に実証できない。大蔵大臣は、貯蓄がふえている、勤倹貯蓄、いろいろ言っていますけれども、それは貯蓄増強推進委員会で出している「国民は何のために貯蓄するか」というあの調査をごらんになればわかりますよ。これは勤倹貯蓄の精神が旺盛だからとかなんとかそんなものじゃないのでして、社会保障が不十分だから、貯蓄して貨幣価値が下がって損であることはわかっていながら貯蓄せざるを得ないのですよ。あそこに、何のために貯蓄するか、はっきりと書いてあるでしょう。まず病気です。その次に教育貯蓄です。その次に老後の安定です。その次に住宅のためです。政府の社会保障政策が貧弱であるから、政府にたよれないから、貨幣価値が下がって損であることがわかっていながら一生懸命貯蓄しているのが実態なんですよ。ですから、利子に特別措置をやったから貯蓄がふえてる、そんなものじゃないですね。ですから、こんなものは廃止すべきですよ。廃止すべきだと思うのですけれども、大蔵大臣はいつ廃止するのですか。
#161
○国務大臣(福田赳夫君) 五年たった後において、その時点で、経済全体の動きがどうなりますか、その中における貯蓄のウエートはどうかというようなことを慎重に考えまして結論を出したい、こういうふうに考えます。
#162
○木村禧八郎君 これは三十九年の答申は尊重されたわけなんですか。
#163
○国務大臣(福田赳夫君) 答申の考え方は尊重します。尊重したからこそ今度改正を行なう、こういうことでございます。いま木村委員が、この特別措置が一体どういうふうに働いたかというふうなことを所見を述べられましたが、たとえば三十年、三十一年、あれは一萬田さんが大蔵大臣として登場され、貯蓄が大事だということで利子についての非課税をやったのです。そのときなんかは非常に効果が数字上も出てきているというふうに思うわけでありますが、その後それは変遷はあります。ありますがこれはやっぱり長期的に見ていただく必要があるだろうと思うのです。問題はそこにあるのじゃないのです、私どもの配慮は。もしこれを撤廃したら、いま物価も上がります。貯蓄については非常に抑制的な働きの強いときです。そういうときにこれを一挙に撤廃するというようなことをしたら貯蓄が一体どうなるか、これは非常に心配なことなんです。私どもは経済全体をほんとうに真剣に考えております。おりますが、そのいろいろな角度から検討して、ここでいささかも貯蓄にゆるみが来るというような状態だったら、これは日本経済というものはもうたいへんなことになる。そういうような配慮から、今回は微温的というふうに批評はされまするけれども、まあ一歩前進という結論をいたしたわけでありますが、税制調査会の考え方もこれは尊重しなければならぬ、そういうようなことで、とにかく前進をする、しかしそう急激的なことはできない、やっぱり貯蓄は大事だ、こういうことです。いまあるこの制度が撤廃された場合の影響というものを真剣に考えているのだ、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#164
○木村禧八郎君 諸外国ではこういうような制度はないのです。それで、いま大蔵大臣が言われましたが、相互銀行の個人預金は一萬田さんが非課税にしたどきに減っているんです。前の一六・五%から一三・七%に減っております。郵便貯金は前の一二%から一一・一%に減っているんです。非課税になって減っているんです。だから、必ずしも特別措置と貯蓄とは相関関係にあるのではない。ですから、これを撤廃しても貯蓄には影響がないのです。また、ほかの要素によって、インフレーションになりますから貨幣価値が下がるから、そこでもって名目的に、貯蓄がふえるということはあります。それからさっき言ったいま一つ、社会保障が不十分ですから、ますます貯蓄をしなければならない、政府が十分やってくれないのですから。貯蓄増強推進委員会のアンケートにはっきり出ているんですよ、何のために貯蓄をするかということが。それはみんな政府の社会保障が不十分だからという結論ですよ。ですから、何もこれを撤廃したからといって貯蓄は減らないんです。政府が社会保障を不十分にしておけば貯蓄はふえます。(笑声)それはそのとおりですよ。社会保障が完全なら、何のために貯蓄をするんですか。貯蓄をする必要はないですよ。それは、別荘を持ったり自動車を持ったりする人は必要でしょう。しかし、最低生活が保障されていたら何のために貯蓄をするんですか。それは道楽のために貯蓄するわけじゃないですからね。老後の安定とか、あるいは高等教育を受けるとか、病気になったときとか、そういうことをみんな国がやってくれたらどうですか。社会主義になったらそれは違います。そういう国へ行ってごらんなさいよ。そこが違うわけなんですよね。いまは社会主義じゃないですからね。ですから、貯蓄をしなければならない。そうでしょう。やむを得ずしかたなく貯蓄せざるを得ないように追い込んできているんですよ、いまの政策が。だから、なかなかうまいですよ、やり方が。社会保障を充実させると貯蓄しない。社会保障を充実させないと貯蓄をする。その貯金がみんな設備拡張のほうに向いていくんです。実にいまの仕組みはうまくできていますね、いまの政策は。大蔵大臣は、さっき、五年たった後が何かあいまいで、いままでこんなにはっきり答申が出ているのに、もう少し色よい返事されたらいかがですか。
#165
○国務大臣(福田赳夫君) 木村さんは社会保障のことを言われますが、貯蓄議論からいえば、社会保障を充実すれば、これはただじゃできないのです。今度は社会保険料という形で強制貯蓄が必要になってくるわけです。これは同じです、貯蓄議論から言うと。
 まあそれはそれといたしまして、とにかく先ほどから申し上げておりまするように、ただいまこの制度を急激に変えるということが一体大事な貯蓄にどういう影響を及ぼすかということを考えますと、これは軽々にはできない。税制調査会も答申していますから、それを尊重しながら、しかも現実的な政策態度をとらなきゃならぬという結論がこうなっておるというふうに御理解願います。
#166
○木村禧八郎君 次に伺いますが、今度の税制改正で利子より配当を優遇しているのはどういうわけですか。
#167
○国務大臣(福田赳夫君) これは、利子と配当は慎重にバランスをとりまして、こういう御提案におこたえしているわけであります。
#168
○木村禧八郎君 バランスをとったということですね。バランスがとれていないです。たとえば利子と配当とのバランスをはかるために、普通預金その他の要求払い預金の利子は総合の対象としたいわけですね。そうでしょう。それで源泉徴収のみにとどめているわけですね。そうですね。それで申告不用の制度を設けるとかいろいろと苦心しているけれども、従来、一社五十万円未満の配当については、二〇%の源泉選択税率は、一五%の配当控除と合わせて三五%の実効負担になるわけですね。今回は、源泉選択税率は二五%になるわけですね。そうでしょう。で、配当控除が一〇%上しますと、合わせて三五%の実効負担ですね。従来と変わらない。いわんや、昭和四十六年及び四十七年は、選択税率が二〇%、配当控除が一二・五%なんですね。そうしますと、合わせて三二・五%の実効負担なんです。利子より下がっちゃうでしょう。バランスをとるといったって、とれないじゃないですか。これは人によって意見はありましょうが、利子と配当との源泉選択税率は、同じではなくて、配当のほうが五%ぐらい高くあるべきだ。配当所得者のほうが利子所得者よりやはり富裕である、ゆとりがあると見るべきじゃないか。同じであって、バランスがとれていない。ところが、三二・五%になっちゃうでしょう。利子よりも低くなっちゃうのですよ。だから、逆になっちゃうですね。バランスとれていないでしょう。むしろアンバランスが激化してきている。この点、私はおかしいと思うのですが、どうなんですか。
#169
○政府委員(細見卓君) 配当控除率と源泉徴収税率と足したものが配当の税額である、あるいは税率であるというふうに観念いたしますか、あるいは、そういう源泉選択を選んだ人はすでに配当控除というのは初めから放棄しておる人たちでありますから、源泉徴収税率そのもので比較するかどうかということの判断の違いが先生と私どもとの意見の違いであるかと思いますが、私どもは、利子も配当も、先ほど来法人税の御議論でありましたように、百円の金は百円の金として同じように考えろ、配当だけに配当控除があるのはおかしいという御議論のような観点からすれば、むしろ同じ税率であることが適当であるのではないかと思います。
#170
○木村禧八郎君 同じじゃなくて、配当のほうが下がるということです。二〇%と一二・五%で三二・五%になる。同じじゃないですよ。四十六年、四十七年は下がるんですよ、それよりも。
#171
○政府委員(細見卓君) その点は、私どもは、配当控除を受けることを放棄した者の税率としてはやはりその段階において利子が百円あるいは配当が百円というものが同じ課税になるということで、それでバランスがとれるのではないかと考えるわけでございます。
#172
○木村禧八郎君 おかしいですね。さっき言いましたように、あれでしょう、三二・五%になるんでしょう。
#173
○政府委員(細見卓君) いまのお話は源泉徴収税率に配当控除率を足しておられるのでありますが、私どもは、そこの配当控除率を源泉徴収税率として考えなくていいのではないか、現在すでにそういう意味におきましては源泉徴収税率は三五%であるというような議論もあるいはあろうかと思いますが、それはむしろ実情に合わないのであって、源泉選択をする方は初めから配当控除を放棄しておられる、そういう意味で百円の収入に対して同じように二〇%の税率というのは、利子も配当も同じである限り平等であろうというふうに考えているわけであります。
#174
○木村禧八郎君 私は見解が違いますが、もう時間もありませんから、このくらいにしておきます。
 今度の所得税の減税は、上に厚く、下に薄いといわれているのでありますけれども、私が計算してみましたら、減税割合と税負担の軽減割合とが逆になっていますね。たとえば夫婦子供三人で見ますと、百万円の人は五千三百十円の減税額になっている。一〇〇%の減税割合ですね。ところが、税負担の軽減割合は〇・五三%ですよ。今度は三百万円の人を見ますと減税割合は二七%、税負担の軽減割合は三・三八%です。それから六千万円の人を見ると、減税割合は四・七%、税の負担軽減割合は四・七〇%です。八千万円の人は、減税割合は四・八ですけれども、税の負担軽減割合は四・九〇です。高額所得層ほど税負担の軽減割合がずっと多くなる。百万円の人は〇・五三なのに、八千万円の人は四・九〇なんです。
 しかも、こうしてみればなおよくわかるんですね。一万円に対する軽減割合というものを出しますと、課税所得六十万円の人は百円の減税になる。ところが、百二十万円の人は二百六十六円です。それから五百万円の人は四百六十八円の減税ですね。六百万円の人は四百五十六円の減税です。六十万円の人は百円の減税で六百万円の人は四百五十六円減税になる、一万円に対して。こういう減税の仕方というものは非常に不合理じゃないですか。八千万円の人が一万円に対して二百八十九円の減税で、六十万円の人はたった百円なんです。
 ところが、政府の減税割合からみると、低額所得の人がうんと減税割合としては大きいのです。百万円の人が一〇〇%減税で、高額所得者はずっと減税割合は減っている。ところが、税負担軽減の割合になると、高額所得者がずっと割合が大きくなっている。ですから、政府の発表がわれわれに配付されますが、あれを見ると、みな税金の減税割合だけしか出ていない。いわゆる低額所得者はうんと大きい減税割合になっているのですが、税負担割合になると高額所得者はずっと軽くなっている。これでは逆だと思うんですよ。金額からいったら、もちろん所得の多い人が減税額が多いのはあたりまえでしょう。たとえば百万円の所得者が五千三百十円ですけれども、八千万円の所得者は二百四十一万二千七百五十円減税になる。これは、所得が多いから、減税額が多いのは当然であるかもしれない。しかし、負担軽減割合が百万円の人が〇・五三%なのに八千万円の人が四・九〇%というのは、課税の不公平を直すといいながら、逆に高額所得層のほうが減税が多くなってきておる。だから、低額所得層のほうは、高額所得層を減税するための一つの手段に使われていると、どうもそういうような気がするんですよね。これは今後の減税のときにやはり考えていただかないとですよ。ですから、上厚下薄ということをいうのですけれども、一万円当たりの減税に直してみると非常にはっきりするんですよ。これは、大蔵大臣、いかがでしょうか。
#175
○国務大臣(福田赳夫君) 今回は、御指摘のように、低所得者に対する負担の軽減というものが中堅所得者に比べると多少少なかったというような御批判があるかもしれません。しかし、これは税率調整を今度したわけでありまして、いままでは課税最低限をずっとまあ引き上げてきております。これはもう端的に低額所得者に重く響くわけでございますが、今回は同時に税率調整をした。税率調整によって中堅所得者の負担軽減というものがあるものですから、それと見比べての御議論ということになるだろうと思いますが、少し長い目をもってこれを比べてごらんになりますと、これは少額所得者にかなりの軽減になっておる。特に私は御指摘申し上げたいのは、とにかく給与所得者では五人世帯では百三万円まで課税が全然ないと、こういうことになるのですから、百三万円以下の者に対しましては、税はゼロだと、非常に大きな負担の軽減がある、こういうふうにごらんを願いたいのであります。
#176
○木村禧八郎君 その低額所得者層のほうの税負担、減税が多くなってきているということも認めますよ、課税最低限が上がるのですから。ですけれども、減税割合と負担の軽減割合というものを見ますと、あまりにもこれは不公平過ぎると思う。それから税金の減税を要求すると同時に税負担のいわゆる不公平を是正せよという世論が大きいわけですね。ところが、実際に見ますと、これではもうあまりにも高額所得層擁護に過ぎるのじゃないかということが非常にはっきり出ているわけです。ですから、こういう点を心しませんと、減税割合だけ見ると非常に公平みたいに見えるけれども、税負担軽減割合を見ますと、たいへんな違いなんですよ。これは直していただかないと、これはますます不信感を強めるわけなんです。
#177
○政府委員(細見卓君) 私は実は先生のお話がよくわからないのでありますが、たとえば三百万のところをごらん願いましても、つまり一二・五〇をベースにいたしまして、一二・五〇と九・一二との差額を割りますと、同じく軽減割合になるわけであります。もし先生の言でもってしますと、同じ額を引かない限り減税にならないと、高額所得者のほうに行き過ぎるということかと思いますが、たとえば今回免税点が十万上がったといたしますと、上積み税率が一〇%の方はどうやったって一万しかまからないわけでありますし、五〇%の税率に当たっておられる方は五万円まかるわけでありますから、これはやはり割合で見ていただかないと、もし先生の言われるように、上も下も一万円なければいかぬとか、上も下も二万円ということになれば、むしろ高額所得層に年々重課していくか、あるいは控除につきましてかつてございましたようなバニシングの方法を入れて上のほうで消してしまうというようなやり方をしない限り、これはそういうことになるわけでありますし、負担の軽減というときには軽減割合で考えればいいのじゃないか。百万円納めておった方が、三万円下がったのは三%でありますし、三万円納めておった人が一万円下がれば、これは三割ということでありますから、そういうふうに御判断願うのが軽減の筋ではないか。累進税率を持っております限り必ずそういう現象は出ますし、もしそれを同じようにしようということであれば、高額者には年々増額していかなければならぬということになるのではないかと思います。
#178
○木村禧八郎君 私は高額所得層に増税せよとまでは言いませんけれども、主税局長、計算してみたことがあるんですか。あなたのほうからもらった資料があるんですが、国民はだまされませんよ。そんな減税割合だけでいかにも高額所得層のほうの減税割合が下がったような、そんなことで国民はだまされませんよ、いまあなたが言ったようなことは。少なくとも税負担軽減割合においてもっと低所得層の割合が大きいように、これが国民の実際の受け取り方なんですよ。だから、不公平だ不公平だということが大きくなってきたんですよ。それは、さっき言った一万円に対してどれだけの減税になるか計算してみればはっきりわかるんですよ。一種のトリックですよ、減税割合は。
#179
○政府委員(細見卓君) たとえば百万円のところをごらん願いまして、〇・五三%の軽減割合になるわけですね。もしこれを全部〇・五三%……
#180
○木村禧八郎君 全部というのじゃない。
#181
○政府委員(細見卓君) というところに持っていけば、〇・五三%よりは必ず大きくなるわけですね、どういたしましても。だから、それが悪いといわれれば、もう高額所得層を増税する以外にないわけです。相対的に。
#182
○木村禧八郎君 そんなことを言っているのじゃない。百万円の人は〇・五三%、八千万円の人は四・九〇%、あまり開き過ぎるということを言っている。それは累進ですから少し大きくなってもいいですよ。百万円の人が〇・五三%、八千万円の人は四・九〇%じゃありませんか。約十倍ですよ、そういうことを言っておるんです。もっと縮めなさい。
#183
○政府委員(細見卓君) いずれにいたしましても、百万円の方は〇・五三%の負担割合しかないわけでございますから、そう言われることは、要するに、累進税率の緩和のようなことはやるなという御意見としかとれないわけでございますが。――〇・五三%の負担割合になる税金しか納めておらないわけでございますから、もっと下の方でありますと、たとえば九十何万という方でございますと、おそらく〇・何%の税負担しかない方もあるわけでございますから、そういう方と比べて上のほうが大きくなるというのは、これは納税額が大きくなっており、累進税率が大きくなっておる。したがって、先ほど申しましたような同じように免税点が十万円上がりましても、平均税率が五〇%になっておる方は、五万円どうしても下がる、それから一〇%の税率ならば一万円、それから控除の関係で二%くらいの上積み税率になっておる方は二万円しか下がりようがない、これはいたし方がないのじゃないかと思います。
#184
○木村禧八郎君 いたし方がないのじゃない。三十万円から六十万円の人ですか、今度は税率の軽減は二%くらいでしょう。そうでしょう。三千万円以上の人が、六千万円くらいですか、五%でしょう、軽減割合が、税率のですよ。低額所得層の税率の緩和は二%で、六千万円以上の人は五%の税率緩和をするんですよ。そういうことをやるからこうなるんですよ。そうでしょう。ですから、表面的な減税というか、私は同じにせよと言っているわけじゃないですよ。あまりひど過ぎるというんです、高額所得層のほうの減税の仕方が。だから、もっと公平にするなら、高額所得層のほうには累進税率を緩和する必要はないですよ。五%も税率をなぜ下げるのですか。それでもっとなぜ低額所得のほうの緩和をしないのですか。六千万円以上の人が五%も大幅の税率引き下げをして、それで三十万円の人が二%、六十万円の人が四%しか税率が引き下げられていない。そうでしょう。そういうところに非常に不公平があるんです。だから、国民が、ただ税負担が重いだけでなくて、不公平だ不公平だと言うのは、こういうところから出てくるんですよ。これはやはりわれわれとしては問題にしなければなりませんし、主税局長は何か極端なことを言うのであって、〇・五%みんなそういうわけにいかないと。そんなことを言っているのじゃないんですよ。あまりに極端過ぎる、このあれが。高額所得層の軽減割合は低額所得の十倍ですよ、税負担軽減の割合が。十倍も違うんです。だから、もっとそれをスローカーブにすべきじゃないか。そうして、スローカーブにしたのをもっと下のほうを減税する。大体、中堅以下のほうが非常に減税が少ないでしょう。それは今後の税制はそういうところを直してもらわなければ困る。いまのお話だと、直せないというんでしょう。直せないのですか、この不公平を。
#185
○政府委員(細見卓君) あまり細部にわたってもどうかと思いますが、二%の税率軽減になる方は、十万円の人も百万円の人も一千万円の人も、その部分は二%下がっておる、根っこが下がるわけですから。三%下がった分は、同じく十万円の人にも二十万円の人も三十万円の人もあるいは一千万円の人にも下がるわけでありまして、それが所得が一千万、二千万という人におきましては、税率が順繰りに累進的に積み上げていった税率の集積がいま申しました負担割合になっております。したがいまして、下のほうを二%下げ、上は五%ということじゃなくて、下を二%下げたものは、十万円の人にも一千万円の人にも九百万円の人にも同じように響いていく。そこが、結局、減税額として見ますと、一千万円の人には二%がより多く響く、こういうことでありまして、その意味で今度改正しました累進構造そのものをどう評価するかという評価の議論はございましょうと思いますが、この累進構造そのものを前提としたいわば物理的というか数学的に出てくるものにつきましては、それなりの特別な先ほど申しましたバニシングエグゼンプションというような制度でも入れない限り、累進構造はそういうふうに働かざるを得ないということを申し上げたわけでございます。
#186
○木村禧八郎君 これは私も具体的な案をつくりますから。こんな不合理な税制改正はないと思います。ですから、もっと不均衡を是正するようなそうした累進率の改正の仕方なり、それから負担割合、これは計算すればできないことはないと思います。
 大蔵大臣、いまの質問聞いておりまして、どうなんでしょうか、減税割合と税の負担軽減割合と逆になっておるんですよ。それから税率の軽減が、低所得層のほうは二%で、高額所得層の税率緩和が五%ですね。ですから、国民は、やっぱり上のほうに厚く下に薄いという感じをこういうところから抱くわけなんですよ。こういう点はやっぱり縮めるように、不均衡を直すように今後お考えになれないだろう、その点が質問のポイントなんですが、いかがでしょうか。
#187
○国務大臣(福田赳夫君) これは、税制の技術の面から言いましてもなかなかむずかしいものかと思います。下のほうのたとえば控除を引き上げろということになれば、それはずっと上のほうにも及んでくる、こういう点があり、なかなかむずかしい問題と思いますが、とにかく負担率という問題これも一つの御所見でございます。これもまた今後の税制改正上の研究問題にさしていただきたいと、かように思います。
#188
○木村禧八郎君 負担の公平という問題ですね、これはやっぱり国民が非常に求めているわけで、減税もさることながら、これはまだほかにも不公平な点もございますけれども、いまの点は特に顕著ですから、この次の税制改正のときにひとつ考慮していただきたいと思います、もう間に合いませんので。
 次に伺いたいのですが、新経済社会発展計画におきまして五十年度の財政収支が出ているんですね、財政収支の構成比ですか。これを見ますと、政府の経常収入で税及び税外負担が、五十年度は七八・七%、四十四年度の実績見込みが八二・五%で、税及び税外負担の割合が非常に減るわけなんですね。それから社会保険負担が五十年度は二〇・八%、四十四年度の実績見込みが十六・九%で、社会保険負担割合が非常にふえるわけですね。それで、この内容を知りたいわけなんですよね。社会保険負担割合がものすごくふえて、一六・九から二〇・八になる。それから税及び税外負担が八二・五から七八・七に減るわけです、割合が。これは具体的にどういう内容でこういうふうになるのか。社会保険負担がものすごく引き上げられるのじゃないかと思うのです。この点はどういうわけでこういうふうになるのか、少し中身をお答えいただきたい。
#189
○政府委員(細見卓君) 税及び税外収入の構成割合は確かに減ってはおりますが、同時に、税及び税外収入の国民所得に対する負担割合も一・七%程度ではありますが、ふえているというわけでありまして、税の増収を考えながらも、社会保障の充実その他の振替所得の構成が大きくなるものですから、姿としてはそういう姿に、税負担もやはり徐々ではありますが増加するという形になっております。
#190
○木村禧八郎君 特に伺いたいのは、社会保険負担が二八・九から二〇・八にものすごくふえるでしょう。これは社会保険料が相当引き上げられるということなんですか、内容は。
#191
○国務大臣(福田赳夫君) 今度の新経済社会発展計画では、社会保障制度を充実させよう、こういう努力をすることにしております。それで、おそらく二ポイントくらい上がりましょうか、そういうことを考えておるわけでございます。それに伴いまして社会保険料負担というものもふえてくる。税とその社会保険料負担を合算いたしますると、これもいままでの国民の租税負担というものに比べまして二ポイントくらいふえる、こういう傾向になると思います。新経済社会発展計画では、社会保障を充実するということと、社会資本を充実する、こういうことで大きな骨組みができておるわけであります。それがいま御指摘の数字に出てきておるのだと、こういうふうに思います。
#192
○木村禧八郎君 私も、新経済社会発展計画の小委員会のほうの答申ですね、あの中で、国民所得に占める社会保障の給付割合というのですか、いま日本は六六%ですね、それを六八%ぐらいまで二%くらい上げるという答申というのですか報告になっておりますね、それでそうなると思うのですけれども、それはいわゆる高福祉高負担政策ですが、保険料を上げるという形になるのですか、社会保険料を上げるという……。
#193
○政府委員(細見卓君) 社会保険がこれからの社会保障制度の中心をなすだろうと思います。したがって、その負担のふえていく社会給付をどうするか、その財源をどこに求めるか、こういうことになると思います。それは社会保険料だと、こういうことにだんだんなってくるわけであります。
#194
○木村禧八郎君 そうすると、この税負担のほうもふえますか。
#195
○政府委員(細見卓君) 税負担のほうも大体二ポイントぐらいふえ、社会保険料のほうも大体二ポイントくらいふえると思います。ただ、過去の伸び率が社会保険料のほうが大きかったものですから、構成として大きくなる、こういうわけでございます。
#196
○木村禧八郎君 日本の国民所得に対する税負担率は諸外国よりも低いとよくいわれますが、しかし、平均の国民所得に対して、たとえばアメリカの平均所得に対して日本の税制を適用した場合、これは負担率は決して軽くないと思うんですね、負担率は。国民所得に対する税負担割合を比較すると、よそより低いのですけれども、平均国民所得に対して日本の税制を適用した場合、それは日本のほうがずっと高いですよ、税率が。ですから、国民所得に対する税負担割合だけで日本の税負担が軽い軽いと、こう見ちゃいけないのじゃないかと思うんですよ。
 それから税引き所得ですね、可処分所得でよその国の国民所得とを比較してみると、よその国は税負担は重いようですけれども、税引きで見ると、その可処分所得は日本よりもかなり高いですね。ですから、その点を考慮されないで国民所得の税負担割合だけで見ると、いかにも日本の税負担が軽いようで、だからもっと増税してもいいように見えますけれども、しかし、それではいけないのではないかと思うのですが、そういう点を十分考慮されて高福祉高負担というような場合も考えませんと、従来より日本の税負担割合は軽い軽いといわれるけれども、ああいうような国民所得に対する税負担割合の機械的な比較だけではいけないと思うのですが、その点はどうなんですか。
#197
○政府委員(細見卓君) それはそのとおりだと思います。しかし、現実の問題とすると、わが国の一人当たりの国民所得は、少なくともヨーロッパ諸国に比べると、ほとんどもう近接してきておる、そういうような状態であります。そのヨーロッパ諸国の負担割合が三〇%だ、これに比べてわが国は一八%だ、こういうのですから、これはかなり軽い、こういうふうに言って差しつかえないと、こう考えております。
#198
○木村禧八郎君 私は大蔵省から資料をいただいたんですが、もう時間がありませんからやめますが、この資料によりましても、日本の税制を適用した場合は、イギリスを除いて、イギリスは違いますが、アメリカでも、フランスでも、みな日本より非常に負担割合は高いですよ。それは四十五年度について調査してもらったんですよ。ですから、その点はやはり考慮に入れませんと、ただ機械的なああした計算だけで、国民の税負担が軽いからもっと増税しろ、高福祉高負担でいいというような――一体、だれの負担をふやすかという場合に、いままでのような単純な税金負担が軽いというようなああいうふうな比較の仕方ではいけないと思うんですよ。四十五年度現在のそれで計算してもらったんですが、それによっても違うのですよ。
#199
○政府委員(細見卓君) ということは、日本国民所得はまだ低いわけです。アメリカの水準に達するときにはつまり日本の累進税構造はきついというわけです。ですから、その意味では、先ほどの問答の逆になるわけですが、累進構造を緩和しなければアメリカよりは重い負担になる。アメリカの所得水準に日本が達したときには重い水準になる。そういう意味で、税率の緩和というのも、現段階で所得が大きくなって次の段階に上がったというようなときには税率も見直さなければならない、こういうことになるのじゃないかと考えます。
#200
○木村禧八郎君 緩和に反対しているわけじゃない、緩和の仕方なんです。
 それじゃ、以上で終わります。
#201
○鈴木一弘君 先ほどの木村さんの質同で私も伺おうと思ったことがだいぶ出ましたので、省略してお尋ねいたしたいと思います。
 最初に、例の利子課税の問題ですが、これが貯蓄奨励云々ということで、実体は貯蓄奨励じゃないということが実証されてきたわけですけれども、私もちょっと観点を変えて、同じ大蔵省からいただいた資料から見て、平均貯蓄率を見ても、三十年代に比べれば、四十年代になると、一九%以上、二〇%近くなっている。しかし、分離の方向は、四十二年から一五%分離だということになってきている。こういうのを見ると、やはりそういうことには全然関係がないのじゃないかということがはっきりと言えると思うのですね。これは可処分所得に対するいわゆる国民所得計算における個人貯蓄ですね、その平均貯蓄率がいま申し上げたようなかっこうになっているけれども、また、先ほど、大臣が、昭和三十年に例の非課税にしたときには非常に貯蓄が増加したじゃないかということを言われた。なるほどそれはそうでしょうけれども、その逆に、郵便貯金やなんかは減っているという傾向も出てきております。農協預金等も減っているし、あるいは相互銀行の個人預金が減っているというような傾向もあります。そういうことで、利子課税を優遇したからといって、私は、やはり木村さんと同じように、これは貯蓄の奨励には絶対ならないというように思うのですけれども、その点、国民総貯蓄のGNP比率とか、そういうものから考えてみて、わが国はものすごく外国より高いじゃないかということが言われております。そうなると、これは貯蓄の利子優遇ということが個人貯蓄の増加には結びついていないということがはっきり言えると思うのですが、先ほど指摘されたような別の要因で動いているのじゃないかと思いますが、その点をもう一度伺いたいと思います。
#202
○国務大臣(福田赳夫君) 貯蓄がわが国において非常に強い。これは、一つは、先ほども申し上げましたように、国民のそういう性向、これがあると思うのです。これは、明治以来、長いわが国の伝統みたいになっているかと思うのです。それからもう一つは、最近は、日本が高度成長しておる、そうしていわゆる貯蓄し得る余裕というものが出てきた、可処分所得というものが年とともに拡大をされている、こういうことだと思うのです。それから政府のとったいろいろな施策ですね。たとえばそのうちには利子・配当の優遇措置、こういうものが響いておるというふうに思います。これが非常に端的にあらわれたのは三十年、三十一年で、いま郵便貯金がというようなお話がありますが、郵便貯金はもともと非課税なんです。一般の貯蓄はそのとき非課税になったものですから、今度は一般の貯蓄を選択しようというので郵便貯金が逃げたという面もあろうかと、こういうふうに思いますが、そのこと自体はこの制度のごりやくを物語っておるというふうに見られる節もなきにしもあらず、こういうふうに考えます。
 いずれにしても、私が申し上げているのは、いま利子・配当優遇だということで定着しておる。これをこの段階で大幅にいじくるということが大事な貯蓄問題にどういう影響があるだろうか、これは軽々には私はできないと、そういうふうに思うわけです。そこで、時限をきめましてなだらかにこの問題の処置をいたそうと、こういう結論に達したわけであります。
#203
○鈴木一弘君 どうも、大蔵大臣はだいぶ矛盾したことを言われているような気がしてしょうがないのですが、可処分所得が伸びたらそれじゃ貯蓄が伸びるかということ、これはいただいた資料から見ても、四十二年、四十三年は、可処分所得の対前年度比率というのは伸び方は同じですけれども、貯蓄率の伸びというのはふえております。ただ、可処分所得の伸びが、四十年、四十一年では、四十一年のほうが対前年度比では伸び率として減っておりますけれども、貯蓄率は伸びている。こうなると、可処分所得の増加だけでもはかれないという感じがするし、また、先ほどの貯蓄が優遇がもともとされていたがそれが逃げたんじゃないかというお話がありましたけれども、相互銀行あたりの個人預金を見れば逆に減っているということも言えるし、だから、ちょっと利子・配当優遇だけによって貯蓄が奨励されているという感覚は私はどう考えても変なんですが、この点を……。
#204
○国務大臣(福田赳夫君) 従来の優遇措置がどういう影響を及ぼしたかという見方につきましては、これはもう水かけ論です。それはしばらくおきます。私はおきますが、しかし、いまの税制を断層的に変えたら一体どうなるんだということを考えまするときに、これはたいへんな影響があるだろう、こういうふうに見ておるわけであります。その辺を心配しておるのだということなんです。
#205
○鈴木一弘君 水かけ論とおっしゃったんですが、これは、はっきり申し上げて大蔵省の資料で私は言っていますので、水かけ論より確定的な議論じゃないかと思ったんですけれども、それはさておきますが、個人貯蓄の奨励がインフレの防止になる、こんなことも一部には役立つということを言われた意見もありますけれども、いま総需要の抑制という点から考えて貯蓄の奨励というような措置があると。しかし、その個人消費の抑制が、この利子・配当の特別措置をなくしたからといって、直ちに貯蓄がそのまま個人消費に回るわけじゃないだろうというふうに思うのですけれども、その辺の感覚はどんなふうにつかまれておりますか。
#206
○国務大臣(福田赳夫君) これは、やり方によってはたいへんな影響があるだろうと思います。場合によったら、なだれ的な影響も押えられないというふうに、ほんとうに真剣に考えております。
#207
○鈴木一弘君 国民所得の中に占めている個人消費の割合ですね、これは昭和三十年代に比べてだんだん落ちてきているということは、大臣御存じのとおりだと思うのですけれども、諸外国に比べてもそんなに大きくはないはずです。そうなると、いま大臣が、もしはずしたらばたいへんなことになるのじゃないかと、いわゆる積んで置くよりもということで、いろいろ換物、物に換えるというふうになるのか。そう言ったって、現実には、物に換える物がない、土地投資とかそういうものしかないというのが現実ですからね。そういう点から考えると、はずしたからといって私は貯蓄が減るということはないのじゃないかというふうに思うのですけれどもね、そのまま直ちに個人消費支出になってしまうということは。そう考えると、私はわからないのですけれども、大臣の言われておることが。
#208
○国務大臣(福田赳夫君) これは全く見解の相違と言うほかはないと思います。つまり、これはこれから先の問題です。まだこれから実験してみなけりゃならぬものですから。実験して間違ったらたいへんなことになるだろう、こういうことを実は心配をいたしておるわけであります。私は、これは必要以上に神経質に扱うべき問題であろうという態度でおります。
#209
○鈴木一弘君 それじゃ、これは、データ的にですが、例の非課税にしたときがありますが、あのときに個人消費支出は大幅な減少でございましたですか。
#210
○政府委員(細見卓君) 三十年と三十五年とを見てみますと、三十年は六三・七、三十五年は五五・九と、その前後が比較がございませんのでよくわかりませんが、たとえばそのもう一つ前の二十五年が六〇・七という意味では、若干ふえておるのではないかと思います。
#211
○鈴木一弘君 二十五年が六〇・七ならば、三十年に非課税にしたときに六三・七で、非課税にしたならば、貯蓄もふえたかもしれませんけれども、一方では個人消費支出もうんとふえたということで、これはかえって優遇措置を施すと個人消費支出がふえてインフレ傾向になると、そういうことにもならないですか、これは。
#212
○政府委員(細見卓君) 前後の数字がわかりませんのではっきりいたさないのでありますが、その六三・七という数字だけが手元にございまして、二十九年、三十一年と比較しなければちょっと佃とも言えませんので、数字についてはその程度でごかんべん願いたいと思います。
#213
○鈴木一弘君 これはあとでひとつ効果の点を聞いてみないと、先ほど大臣の言われた、はずしてしまったらたいへんなことになるのではないかということが、はたしてたいへんなことになるのかならないのか、いままでのやってきた実績から具なければわかりませんので、あとで資料としていただきたいと、そのように思います。
 問題は、利子・配当の分離課税というこういうような優遇策というのは、はっきり申し上げると、優遇されていくのは高額所得者ばかりである。本来、所得税というのは、所得の平準化効果というのが非常にあるわけですけれども、それをかえってそこなっていくのじゃないか。財産所得に対して優遇措置がある、そうすると、貯蓄性向の高いところの高額所得者のほうが優遇されて、低額の所得者というのは逆に所得税の車課税ということで苦しめられていく。先ほどの木村さんの論理ではありませんけれども、低額所得者に対する所得税の重課によって高額所得者が優遇されて、しかも貯蓄が奨励されるということになると、非常な犠牲というものを払わされているような感じを受けるし、結果としてそうした所得は非常に不公平になるというそういう心配があるんですが、その点はどういうふうにつかまえておりますか。
#214
○国務大臣(福田赳夫君) 貯蓄といっても、少額のものが大半を占めるわけなんです。決して高額者が貯蓄をしておるというふうにも限らない。しかし、高額であろうが、低額であろうが、これは貯蓄がなければ困るのです。貯蓄ができてこそ、ビルも建ちます、道もできます、川もきれいになります、こういうことなんで、大所得者の貯蓄、また低額所得者の貯蓄、これはともどもに貴重なるわが日本経済の推進力であると、こういうふうに考えておるのでありまして、ただ、その扱いのニュアンスは違います。少額は免税だと、こういりふうにまでしておるわけでありますが、とにかく優遇措置にここで大きな変化を来たしたならば、かなり影響があるのではあるまいか、それを心配するわけであります。
#215
○鈴木一弘君 少額の非課税云々はよくわかっているのですけれども、その上のほうの問題が私は半準化作用をぶっこわしているということを申し上げているわけですが、以上ずっと見てくると、とうしても利子・配当の分離課税が貯蓄の奨励になるなんということは、はっきり申し上げて目的かすっかり変わってしまったような感じがするので、やはりこれは本来を言えば直ちに廃止するという方向がほんとうだろうと思う。ところが、法条を見てくると、五年間の特別措置の延長だと。特別措置というもののあり方は、本来はそんなに長期間なものなのかということなんですね。五年間はいじれないというふうに何かシークレットゾーンみたいなものをつくってしまった感じでしてね。むしろ、本来ならば、せいぜいやっても二年問というのがほんとうだろうと思う。五年間も延ばしたということは、特別措置じゃなくて永久伝的な感じを私は受けてしまう。その特別措置のあり方自身に疑問を持たざるを得ないわけですけれども、その点を伺いたいんですが。
#216
○国務大臣(福田赳夫君) こういうものは、ある程度長い見通しを国民に持っていただくということが必要だろうと思うんです。二年というと、もり来年の暮れになると、これはどうするかと、こういう論議が始まる。まあ二年じゃちょっと短か過ぎると、こういうふうに考えたわけであります。そこで、まあ大体いろいろなものが五年計画です。ですから、この利子のほうも五年計画だというふうにいたしまして、しかし、それにしても、途中で段階を設けるほうがよかろうというので、二年目に一つの区切りを設ける。国民は、これを見て、自分の生活設計なり、あるいは事業設計をするなり、そういうことについて、税制はこうなっていると、そういうようなことで生計にいそしむことができると、こういう考え方であります。
#217
○鈴木一弘君 どの計画も五年じゃないか、長期的なものが必要だと。長期的なものが必要だということになると、これはあげ足をとるわけじゃありませんけれども、半永久的ということですか。すべての計画は五カ年計画であるかもしれませんが、道路を見ても、あるいは治山治水の五カ年計画を見ても、大体三カ年目には、施工率が五〇%か五二%ぐらいのところで再び改定をするというふうになっているわけですよ。そういうようなことは、はっきり申し上げれば、経済情勢の猛烈な推移があるということです。その大きな推移があるときに、五カ年間というような長期なものを設けてしまったというのは、私は、その意味でも、「特別」という名前のついている措置ですからね、ただの措置法ではない、「特別」という名前がついているだけに、これは非常な疑問があるわけなんですよ。だから、大臣のことばを返してまたあげ足をとるようかもしれませんけれども、その点、どうにも理解ができないんですけれどもね。
#218
○国務大臣(福田赳夫君) 今度、特に利子につきましては、源泉選択というかなり思い切った構想を打ち出しておるわけです。これはかなり高く評価をされておるというふうに考えます。しかし、これが国民の間に定着をするというのには時間がかかるだろう、こういうふうに見るわけです。かなり大きな変革、これを打ち出したわけでありますから、国民への定着の期間というものも見なければならぬ。それからさらに、いろいろな計画が五年、五年というふうになっておる。二年ではとにかく短か過ぎる。こういうふうないろいろな角度から今回は五年とし、途中で二年目に段階を設ける、こういうきめこまかい考え方をとったわけであります。
#219
○鈴木一弘君 これはどうも水かけ論になりそうで、私はきめこまかくないから。五年間になったのじゃないかという感じがしているわけであります。
 これはちょっと各条目になるわけでありますけれども、試験研究費の租税特別措置の税額控除制度の問題ですが、四十五年度における試験研究費はどのぐらい大体見ておりますか。
#220
○政府委員(細見卓君) 見込みでありますが、六千五百億ぐらいになるのではないかと思います。
#221
○鈴木一弘君 どうして二年間、今回延ばしたのかどうか。
#222
○政府委員(細見卓君) 試験研究は、資本の自由化あるいは経済の国際化を迎えて、日本が独自の技術で国際競争場裏に出ていくための一番重要なものであるわけでありますので、その意味で、この特別措置を延長して、その場合に、二年が――ほかの措置も大体二年になっておりますので、二年間延長いたした、こういうわけであります。
#223
○鈴木一弘君 この試験研究費の控除については、技術開発の促進であるとか国民経済全体を伸ばすということから特に取り上げられた措置であろうと思うんですけれども、これはものによってセレクションすべきじゃないか。たとえば、これから特にやらなきゃならないような開発研究にはこれを及ぼすけれども、現在の産業界等の状態を見れば、非常に好調です。しかも、国際収支の面でも大きな黒字が出ている。こういうようないろいろなことを考えると、試験研究費については、自分の社でも十分まかなえるというような能力を持っているのじゃないか。それに対して、あえて税法で、一つめんどうを見てあげるというのであれば、私はもう少し中身をセレクションされたらいいんじゃないか。一つ一つの項目を、どういうのについてはこうするということを、はっきり出されたらいいんじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。
#224
○政府委員(細見卓君) 一般的に、租税特別措置による場合と補助金による場合との比較をする場合に言われることは、税制上の措置は、企業に対して干渉せずに、いわば企業秘密というようなものに対して税制というのは非常に上手にといいますかうまく働く。一方、補助金でありますと、せっかくの新しい技術その他を開発いたしましても、それの検査なりあるいは検定のようなものを合格しなければいかぬ。そうすると、企業秘密が漏れるというようなことから、新技術の開発というようなことについては税制のほうが補助金よりもむしろある意味では有利だと。特に、個々の企業の産業化を目前にしたような技術の開発につきましては、試験研究費をこういう形で優遇していくのが非常にいいのではないかと。特殊な大資本を要するようなビッグサイエンスのようなことは別でありますが、こういうものについてはむしろこの制度のほうがいいのだと一般に言われております。
#225
○鈴木一弘君 すぐ企業化できるようなものにはいいと。私は、逆に、一番大事なものは、基礎研究が日本ではおくれているわけですね、基礎研究のほうに本気になって回す、税制優遇を厚くするというように考え方を整理されたほうがいいんじゃないかということが一つあるわけです。
 もう一つは、試験研究費の中には、研究所の人たちの人件費等も全部入っているわけですね。その点でこれは非常に大きいわけですけれども、人件費の縦分けですね、これもよほどしっかりしないと、ただありとあらゆる人数だけに入ってしまうということになるわけですけれども、その点についてはどういうふうにつかまえていますか。
#226
○政府委員(細見卓君) 試験研究と申しますのは、やっぱり優秀な頭脳を集めて、その人に試験研究をしてもらうというのが基本であります。むしろ、そういう意味では、人件費が非常に大きな役割りを占めるものであるわけでありますが、その人件費の中にも、おっしゃるように非常に庶務的な仕事をしておる人もあるいはおろうかと思いますが、それを区別するということもなかなか困難であるということで、今回の延長にあたりましては、そういう点も検討はいたしたのでありますが、成案を得ないまま延長いたしております。ただ、何といたしましても、繰り返しになりますが、試験研究というのは、物件費よりも人件費がおもなものであり、しかも、それがかなり高給な、あるいは昇給をどんどんしてもらって、そうして優秀な科学技術者を集めるという一面がありますので、人件費だから不適当だという議論はないものと考えているわけであります。
#227
○鈴木一弘君 時間がありませんので、所得税の各控除について若干伺っておきたいんですが、最初に、特別障害者控除、障害者控除でありますが、今回の改正案は一万円ずつ引き上げることになっております。これは、特に特別障害者というのは、身体障害者なら二級以上ということで歩行困難であるとかいろいろなことがあるわけであります。当然、ここには、家族の中にあっても介護人的な存在がなければならない。あるいは、そういうのがない場合には、特別のお手伝いさんを借りてくるなり、あるいは介護人を雇い入れなければならないというような感じがするわけであります。現在、介護手当その他の制度というものが十分できておるわけじゃありませんので、そういう意味から言うと、普通の障害者が十万円で、特別障害者がそれより四万円高い十四万円というような金額は、私はその十四万円が介護手当になるのかどうか考えてみたのでありますけれども、月割りに直せばわずか三千円くらいだと、これは介護手当的なと言うとおかしいんですけれども、そういうことも考えて、むしろ特別障害者控除については障害者控除の倍くらいに持っていくというように実態を考えてやられたほうがいいんじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、その点いかがでございましょうか。
#228
○政府委員(細見卓君) 一応、普通の障害者に比べまして、特別な重度障害者については、介護の手間がかかるとかあるいはいろいろな費用もかかろうということで四万円の差を設けておるのでありますが、この差が適当であるかどうかということにつきましては、今後の改正にあたりましては、実態を調査いたしながら改正する必要があれば検討してまいりたいと思います。
#229
○鈴木一弘君 これは、十四万円の中で、算定の基礎ですね、どういうような基礎なんですか。介護に使うのはどのくらいとか、本人についてはどのくらいであるとか、あるいは特別にいわゆる歩行具を買わなければならないとか、いろいろそういうようなことが出てまいるわけでありますが、通常の人よりも手間はかかるし、道具は必要だし、生活していくのもたいへんだと、その算定の基礎はどうなっておりましょうか。
#230
○政府委員(細見卓君) 同じ障害者でありましてもいろいろな方があるわけでありまして、精神薄弱という方、あるいは身体の障害のある人、あるいは戦病の関係でも特別後遺症というような方がおられるわけでありまして、それらの方々をひっくるめて総合的に諸控除のバランスと申しますかそういうもので四万円ぐらいの差ということで、一応税制調査会にもおはかりをし、厚生省その他の御意見も聞きまして、その程度の差でよかろうということでこういう差にいたしておるわけでありますが、なお、この重度障害者のほうの控除額がその他の障害者に比べて適当でないという御意見がありますのならば、それはよく承って今後の検討のあれにいたしたいと思います。
#231
○鈴木一弘君 確かに、精薄なんかの重度の場合、あるいは身体障害者の場合にも重度の場合は、絶えずついていなければならないわけですね。しかも、まだ成人のいわゆる施設というのは非常に少ないということがあるわけです。家庭内でもってかかえ込まなければならない。そうすると、家族がおっても、家族の一人はかかり切っていなければならないということがあるわけです。その心労は普通の人以上だろうということは、これは想像にかたくありませんし、悲惨なくらいにまで感ずるときがあるわけであります。その点は十分考えてもらいたいと思います。
 それから次は、交通費いわゆる通勤費の問題です。通勤費の非課税が現在三千六百円、二キロ以上の場合に自動車の場合が六百円それから原動機付の場合には七百円というふうになっていると思ったのですが、最近自動車での通勤がふえている。自動車工場に行けば、八割から九割が自動車通勤である。そのほかのところも自動車通勤が非常にふえているわけでありますが、そういう実態から見ると、四十三年度に改正したいわゆる通勤費の非課税の問題は、これはもう少し実態に合わせるということが必要じゃないかと思いますが、特に自動車通勤についてはどうですか。
#232
○政府委員(細見卓君) 通常の通勤費として考えられるものにつきまして控除するということにいたしておるわけでありますが、「その通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当――つまり通常のもの――のうち、一般の通勤者につき通常必要である――まあ通常はかり出てくるのでありますが――と認められる部分として政令で定めるもの」という法律の趣旨もございまして、通常のものを考えるわけでありますが、それは税務当局が何が通常な通勤費であるかということをきめるのは必ずしも適したものでないので、人事院が広く民間給与の実態を調べまして、人事院の勧告におきましてどういう通勤交通機関を使うかをも含めまして勧告をいたしております。それが通常の通勤のために必要な経費であろうということで、その勧告の金額までを非課税にする。その交通機関が、人事院で自動車も必要であるということになりますれば、私どもはそれも含めまして考えるわけでありまして、いま私どもが自動車がいいというようなことをきめるのは、われわれはその筋の責任者としては必ずしも適さないのではないかと考えております。
#233
○鈴木一弘君 これは自動車が通常の通勤の交通機関ではないというような考え方が出ているわけですね。官公庁等から見ればそうかもしれません。が、民間産業でしたら、そんなことじゃ、はっきり言って常識外であろうということが言えるわけです。御存じのように、新しい工場等を見れば、駐車場の整備がなされていなかったら人も集まらないという状態のことは、よくおわかりのとおりです。それが、税法上は、いつまでたっても、こんなふうに原動機付まで認める、いわゆるバイクまでしか認めないと。しかしミニカーあたりを使っているのは、これはモータリゼーションが進んだせいもありますけれども、完全にそこまで行っているという感じですね。通常の交通機関になっているという感じなんです。いまの人事院の話もありましたけれども、まあそれもあるかもしれませんけれども、態度としては私ははっきり出すべきじゃないかと思うんですけれどもね。これは、先ほどの障害者の問題とあわせて、大臣、いかがですか。
#234
○政府委員(細見卓君) 大臣がお答えになる前に、いま自動車は入っておるのでございまして、原動機付自動車等利用者となっておりまして、それには自動車を含めて九百円となっておるわけであります。
 なお、人事院勧告に出てまいりますものは、民間給与の実態調査の結論が出ているわけでありまして、民間がいま鈴木先生の言われるように自動車を活発に利用するという状況になりますれば、人事院勧告にもその旨反映してくることになり、人事院勧告に出ましたものは政令でそのまま受けるというたてまえになっております。
#235
○鈴木一弘君 これは、原動機付というのは、自動車のことなんですか。どうして自動車とはっきり言わないのですかね。自動車のことは大蔵省では原動機付と何でも言うんですか。
#236
○政府委員(細見卓君) モーターがついておる交通用具ということになっておりますので、自動車を含んでおります。(笑声)
#237
○鈴木一弘君 まあ漫才みたいになりましたけれども、ちょっと無理をしている答弁のように思います。はっきり言えば、原動機付といえば、原動機付の自転車とかバイクとかいうものであろうと、これはだれでも想像がつくわけであります。自動車の場合だったら七百円というのは、いかに何でも少ないということが言えると思うんですね。その点、十分な配慮をお願いしたいと思うのですけれども、いかがですか。
#238
○国務大臣(福田赳夫君) 人事院勧告は尊重したいと、こういうふうに思っておりますが、時勢が変化してくればその時勢の変化に応じて人事院は勧告を行なうと、かように思います。その際はこれを尊重してまいるという方針でございます。
#239
○鈴木一弘君 次は、例の医療費控除の問題でありますが、昨年この委員会で申し上げ、大臣は医療費控除については十分考慮する、検討するということを言われて、その検討の結果が今回の法案には入ってきておりますが、私どもが期待したような状態ではなかった。私は、所得の三%相当額以上で、最高限度額は三十万を五十万にしたらどうかという提案をしたわけでありますが、今回は、所得の五%相当額――これは前と変わらないわけです。あと、十万円というのがついたわけであります、そのどちらかということで。最高限度額は百万円となりましたが、この十万円ということになりますと、所得の五%相当額というのは、二百万円の人が十万円になるわけです。そうなると、二百万円以上の所得のある人が十万円について適用して得をする。二百万以下の人については、私はむしろ所得の三%のほうを強めて、五%を三%に下げることのほうが効果があるのじゃないか。だから、見た目では、二百万以上の人に優遇措置を講じたというふうにしかとれないのでありますけれども、本来の医療費等で非常な異常な支出があって困るというのは、やはり私は低所得の方だと思うのです。高所得の人は、一千万、二千万の所得あれば、百万円の緊急な医療費の出費があってもこたえないと思いますけれども、二百万以下の人であれば、かなりの額になってくるわけであります。これはそういう点の考え方が少しおかしいのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
#240
○政府委員(細見卓君) 五%にいたしましたときは、たとえば国会議員の先生方の場合でありますと、五百万で五%二十五万円ということになりまして、普通入院なさっておられて二十万ぐらい費用がかかった場合にも一文も引いてもらえないというようなこともありまして、十万円と、つまり一定の金額という観念を入れたほうがよくなかろうかということで十万円というのを入れたわけであります。それは、三%がいいのか、五%がいいのか、議論が分かれるところではございますが、しかし、一応、通常のといいますか、簡単なかぜ引きとか、あるいは腹痛とかいう程度のことは、これは人間生きておる限りだれにもあることでございますので、その程度のものは特に医療費の控除の対象になっていなくて、これはやはり異常な医療費が出て生活に異常な負担がかかったという方々に対して控除を認めるのが筋だという考え方に立っております。その意味におきましては、たとえば非常に特殊な病気にかかった子弟を持っておられる方というような方につきましては、年に五十万も六十万もあるいは百万もかかる方もおられますので、金額に制限をあまり置くのはいかがなものか。むしろ、金額はある程度野放しにして、ほんとうに困っておられる方のほうを考えたらどうか。ただ、一方、金額をそれじゃ青天井にしたらどうかという議論が出ましたときに、青天井にいたしましたときには、このごろは、かなり豪華な病院と申しますか、かなりぜいたくな医療施設ができておりますので、そこまで医療費控除の対象にするのはいかがなものか。そうすると、金額を野放図にいたしておきますと、税務当局で適正な医療施設であるかどうかというようなことの判定もしなければならない。そういうようなこともありまして、まあ百万ぐらいであればごく通常の医療、しかもかなり難病の方も医療費をまかなえるのではなかろうか、そういうような検討をいたしまして、十万円とそれから百万円ということを入れてまいったわけでございます。
#241
○鈴木一弘君 三百万円の人がたとえば二十万円の医療費がかかったという場合と、百五十万円ぐらいの人が二十万円の医療費がかかった場合では、これは負担の限度が全然違うわけですね。しかし、その控除額は同じく十万円を使うわけですから、その点ではまあ改善はされて前進は認めるけれども、不満であると言わざるを得ない。だから、こういうのをいじくっていかれるときには、その基準というものは、上のほうだけを見ないで、やはり低所得のほうを見てやっていただきたい。そういうような方向で今後とも検討してもらいたいと思うのです。そうでないと、せっかくの税の改正、減税が喜ばれないという結果を生んでしまうわけでありますから、せっかくの苦労が実らないということで、これはとんでもないことです。
 それからこれは大臣にお伺いしたいのですが、住宅控除というもの、これを私どもも提唱しておりますけれども、この住宅控除というのを現在のような状況のときには設けるべきではないか。特に家を借りているような人の場合ですね、いろいろありますけれども。現在の税制では、新しく自分が家を建てるときとか、そういうときに限られておるようでありますが、住宅控除を何か考えるということはございませんか、その点についてお伺いしたいと思います。
#242
○国務大臣(福田赳夫君) これは、申し上げるのは恐縮ですが、考えるということはいたしたくないのです。つまり、衣食住はこれはもう人間のどうしても生活の基本です。であればこそ、基礎控除というようなこともあるわけです。まあだれでもいい住宅に入りたい。それですから、住宅のよしあしにかかわらずその住宅費はこれを控除します、これは私どもはそういう考え方はとりたくない。また、それじゃ限度を設けてどうかというようなことでございますけれども、これも同じような考え方、程度の差があるというだけで、なかなかこれはむずかしい問題ではないか、こういうふうに考えます。
#243
○鈴木一弘君 時間がないので、最後にしたいと思いますが、先ほどの障害者控除について、特別障害者の問題については大臣はどういうふうにお考えか。先ほどの局長の答弁では、十分に調査の上という話でした。そして、計算の基礎等もはっきりしておりません。それだけに、実態をもう一ぺん調べていただいてこれは直していただきたいと思うのですけれども、その点はどうですか。
#244
○国務大臣(福田赳夫君) そのようにいたしたいと思います。
#245
○委員長(栗原祐幸君) 三案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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