くにさくロゴ
1970/04/23 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 外務委員会 第8号
姉妹サイト
 
1970/04/23 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 外務委員会 第8号

#1
第063回国会 外務委員会 第8号
昭和四十五年四月二十三日(木曜日)
   午前十時十二分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     岩動 道行君     高橋  衛君
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     白木義一郎君     柏原 ヤス君
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     松下 正寿君     萩原幽香子君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     西村 関一君     亀田 得治君
     柏原 ヤス君     白木義一郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         長谷川 仁君
    理 事
                石原慎太郎君
                木内 四郎君
                増原 恵吉君
                森 元治郎君
    委 員
                杉原 荒太君
                高橋  衛君
                廣瀬 久忠君
                三木與吉郎君
                山本 利壽君
                小野  明君
                加藤シヅエ君
                亀田 得治君
                羽生 三七君
                白木義一郎君
   国務大臣
       法 務 大 臣  小林 武治君
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       法務省入国管理
       局長       吉田 健三君
       外務大臣官房領
       事移住部長    遠藤 又男君
       外務省条約局長  井川 克二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   説明員
       行政管理庁行政
       管理局統計企画
       課長       松田 道夫君
       外務省条約局外
       務参事官     山崎 敏夫君
       外務省情報文化
       局文化事業部長  兼松  武君
       運輸省航空局審
       議官       寺井 久美君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本国とアフガニスタン王国との間の文化協定
 の締結について承認を求めるの件(内閣提出、
 衆議院送付)
○日本国政府とフィリピン共和国政府との間の航
 空業務協定の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
○アジア統計研修所の設立及び運営のための援助
 に関する日本国政府と国際連合開発計画との間
 の協定の締結について承認を求めるの件(内閣
 提出、衆議院送付)
○旅券法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(長谷川仁君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十五日、岩動道行君が委員を辞任され、その補欠として高橋衛君が選任されました。次いで、去る二十日、松下正寿君が委員を辞任され、その補欠として萩原幽香子君が選任され、また、昨二十二日、西村関一君が委員を辞任され、その補欠として亀田得治君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(長谷川仁君) 次に、
 日本国とアフガニスタン王国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件
 日本国政府とフィリピン共和国政府との間の航空業務協定の締結について承認を求めるの件
 及びアジア統計研修所の設立及び運営のための援助に関する日本国政府と国際連合開発計画との間の協定の締結について承認を求めるの件
 以上三案件を便宜一括して議題といたします。
 三案件につきましては、去る三月二十四日提案理由の設明を聴取しておりますので、これより補足説明を聴取いたします。
 山崎外務参事官。
#4
○説明員(山崎敏夫君) 三つの条約につきまして、簡単に補足説明をさしていただきます。
 最初に、アフガニスタンとの文化協定でございますが、この協定の内容は、ユーゴスラヴィア等との間の文化協定の内容と大体一致しておりますので、ここでは、特にアフガニスタンとの文化交流の現状について簡単に御説明申し上げます。
 アフガニスタンとの文化交流といたしましては、まず、政府間ベースでは、わが国は昭和三十六年以来毎年二名ずつの学部留学生を受け入れておりまして、昭和四十五年三月一日現在、十名のアフガニスタン学生が日本に留学しております。それから、昭和四十三年にはアフガニスタンのわがほうの大使館主催の日本映画会というものが開催され、さらに昭和四十年のアフガニスタン国立図書館等への日本図書の寄贈及び昭和四十一年の日本語教材送付等も行なわれております。
 次に、民間ベースの文化交流といたしましては、昭和三十八年にアフガニスタン古代美術展が本邦で開催されましたが、その後、毎年数件の日本の学術調査隊や登山隊が派遣されておりまして、また、昭和四十三年には国際文化振興会が日本民族舞踊団をアフガニスタンに派遣しております。
 以上のように、現在、かなり活発にアフガニスタンとの間に文化交流が行なわれているわけでございますが、この協定の締結によってさらに文化交流は盛んになることが期待されると思います。
 次に、フィリピンとの間の航空協定でございますが、一九六六年に日本航空とフィリピン航空との間で東京及びマニラに相互に乗り入れることにつきまして話し合いが行なわれました。これを契機といたしまして、日本航空とフィリピン航空による日本−フィリピン間の航空業務は、日本とフィリピンとの両国政府の行政許可によりまして、日航は一九六七年十一月から、また、フィリピン航空は一九六八年四月から東京−マニラ間で実際の運航が開始されたわけでございます。さらに日本航空は、その後フィリピン政府よりマニラ経由シドニーまでの運航につきましても許可を得ました。したがいまして、現在の運航状況は、日本航空は東京−大阪−台北−マニラ路線を週三便運航しております。さらに、東京香港−マニラ−シドニー路線を週二回やっております。他方、フィリピン航空は、マニラ−東京路線を週二便運航いたしております。現在すでにこういう状況にあるのでございますが、この協定ができますと、この両国間の航空業務をさらに安定した法的基礎の上に置くことになり、さらに発展をはかることができると存じます。この協定の附表をごらんいただきますとわかりますが、この協定では、いま現にやっております路線以外に、さらに広い路線が規定されております。具体的に申しますと、日本側の路線は、「日本国内の地点−台北−高雄−香港−マニラ−インドシナ内の地点−バンコック−クアラ・ランプール及び(又は)シンガポール−ジャカルタ−オーストラリア内の地点−ニュージーランド内の地点−南太平洋における地点−ホノルル」ということで、要するに、いまやっておる以外に、南太平洋を通ってホノルルに行く路線が規定されておるわけでございます。他方、フィリピン側の路線は、「フィリピン内の地点−東京−ホノルル−サン・フランシスコ−ニューヨーク」となっておりまして、フィリピンは現在の東京までの路線以外に、さらに将来は、ホノルル−サン・フランシスコ−ニュー・ヨーク路線と、太平洋路線を運航できる権利を持っておるわけでございます。ただ、これらの路線については、まだ現在のところ具体的な運航計画は出ておりません。
 次に、第三番目に、アジア統計研修所の設立・運営協定について簡単に補足説明をさしていただきます。
 この前の提案理由でも御説明申し上げましたように、この研修所の事業目的は、エカフェ加盟諸国がその経済開発計画を進めるにあたりまして、各種統計資料を整備する必要がありますが、そのためには、まず各国政府において最も不足している統計専門家を養成するという必要がありまして、この協定は、このような統計専門家養成の研修所をわが国に設立し、かつ運営することを目的として、わが国と「国連開発計画」――UNDPと称しておりますが――これとの共同で援助しようということをおもな目的にいたしております。
 このアジア統計研修所自体は、わが国を含むエカフェ加盟国二十カ国が設立するものであります。この事業に対する各国の拠出分、それから研修の内容、研修所の組織、研修実施期間等の事項につきましては、さきに御参考として提出いたしました「アジア統計研修所に関する実行計画」の中に規定してございます。
 その内容をごく簡単にかいつまんで申し上げますと、研修の実施期間は、ただいまのところ、本年六月から五カ年を予定いたしております。わが国は研修所の土地、建物及び機材を提供し、また人件費や奨学金を出しまして、総額約五億円の金を出すことになっております。これはこの支出につきましては、年々の予算で御審議いただくわけでございます。他のエカフェ加盟国の十九カ国は、総額約一億二千万円の拠出を行ないます。また、「国連開発計画」からの援助は、総額約八億七千万円の予定でございます。
 研修のおもな内容としましては、一般コースと上級コースの二つが設けられる予定でございまして、一般コースでは毎年約三十名を対象に十カ月の研修を行ない、また、上級コースでは約十五名を対象に四ないし八週間の高等セミナーを行なう予定でございます。
 次に、研修所の組織としましては、国連側が派遣する所長が一名おりまして、さらにわが国及び国連側がそれぞれ一名ずつ次長を出すことになっております。それ以外に国連側の講師が六、七名、わが国の事務職員が十一名ぐらいがおもなものでございます。この研修所に対するわが国の協力の実施は、行政管理庁が担当することとなっております。
 それから次に、わが国は国連と協力して発展途上国の研修生を受け入れて研修及び訓練を行なっております先例といたしましては、府中の刑務所の構内にございます「アジア極東犯罪防止研修所」と新宿にあります建築研究所の中にございます「国際地震工学研修所」がございまして、双方とも、すでに国会の御承認を得て条約で設立されたものでございます。
 以上をもって、補足説明を終わらしていただきます。
#5
○委員長(長谷川仁君) 以上をもって三案件の説明は終了いたしました。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#6
○森元治郎君 補足説明がありましたが、アフガニスタンとの協定について一つ、二つ伺いますと、大いにいま文化交流をやっているというお話であったが、内容を聞けば、スタートしただけで、親善関係の象徴的な条約というふうに了解してよろしゅうございますか。
#7
○国務大臣(愛知揆一君) アフガニスタンとの文化協定については、ただいまもお話がございましたように、親善友好関係を増進するという、その象徴的な意義ももちろんございますけれども、具体的に申しましても、この協定が締結される前から、たとえば毎年国費の留学生あるいは研修生の受け入れを行なっているわけでございますし、それから、この条約が成立いたしましたならば、アフガニスタン側としてはさらに積極的に日本との学術文化交流の促進について具体的な措置をできるだけとりたいという非常な希望を持っておりますので、この条約の成立によりまして、文化、技術、学術の交流というものにつきましても、相当具体的な促進が見られるものという期待を持っておる次第でございます。
#8
○森元治郎君 この前羽生委員の質問に大臣から答えられたと記憶するんだが、大いに文化交流をやるんだというので勇ましい御答弁があったが、予算面で見ると、本年度の予算見ても、一向に去年、おととしと比べてふえてないんですね。やっぱり金で証拠を示さなければ一生懸命やったという判断はできないんだが、このふえない理由はどういうところにあるんですか。
#9
○国務大臣(愛知揆一君) これは予算編成のテクニカルな要素もございますから、いわゆる文化という名前が使われておりませんでも、たとえば経済協力関係の項目などにも相当のこうした一般的な趣旨が盛られているつもりでございます。
 それから、もちろんわれわれとしても、四十五年度予算でこれで十分だというふうには考えておりませんけれども、たとえば具体的な例を申しますと、日本語の普及事業費については、四十五年度では五割以上予算が増額されております。それから、在外公館の文化活動事業費を例にとってみますと、これはやはり前年度から見て二割四分以上の増額になっておるというような次第でございまして、相当予算面におきましても明らかに積極的になっておることを私としては御説明いたしたいと思います。いま申しましたように、決して十分とは申しませんけれども、相当の伸びは心がけておるつもりでございます。
#10
○森元治郎君 土台が少ないのだから、五割増そうと十割増そうとたいしたことないので、もっとがんばってもらうことにして、航空協定をちょっと一問伺うのだが、附表のようなルートを実際に運航する計画があるのか。ちょっとこの協定を読んだ感じで見ますと、フィリピン側に以遠権を認めた代償としてこの線をフィリピン側と取引した。また同時に、経済上の利益もねらったんだ、実際に本気にやる気があるのかどうか、その点だけ伺っておきたい。
#11
○説明員(寺井久美君) お答えいたします。
 附表の選び方といいますか、設定のいたし方は、できるだけそのときそのときの経済情勢に応じた運航ができるようにお互いに権益の交換をいたします。本件の場合は、日本側がマニラ以遠−シドニー−南太平洋というような線を取りまして、そのかわりにフィリピン側に太平洋路線を与えたということでございます。現在オーストラリアとの間には、マニラからまっすぐ行っておりますが、将来、東南アジアを経由して参ったほうが経済的に有効であるというような状態になりました場合には、マニラから東南アジアを回って行く、つまり、そういうマニラ−東南アジア間のお客なり貨物なりというものの需要が多くなった場合に、そういう路線を運航できる、そういう可能性を残したものでございます。
#12
○森元治郎君 アジア統計研修所のほうに移りますが、日本政府と協定結んだ相手は「国連開発計画」――これは形式上の問題ですがね、「国連開発計画」――UNDPと結んだ。「国連開発機構」とかなんとか言うと話がすっきりするのですが、もちろん、法制局、条約局あたりでも検討したと思うんだが、形式論の説明をちょっと願います。
#13
○説明員(山崎敏夫君) この「国連開発計画」と申しますのは、一般的には後進国に対する国連の技術援助機関でございまして、国連の内部組織上、そういうものは一括してこの「国連開発計画」がやることになっておりまして、普通の後進国との間では、この「国連開発計画」がそれぞれの国と基本協定というものを結んで、それに基づいていろいろな援助計画をやっているわけでございます。これは国連の組織上の問題だと思いますけれども、国連一般とではなくて、「国連開発計画」というものとそれぞれの国と協定を結ぶというのが例になっておりまして、今回の場合もそういうふうに締結されるわけでございます。
 それから、この場合は、特にエカフェが主体となってこういう統計研修所をつくる、それを日本と「国連開発計画」が援助するという一つの三者の結びつきによってできているので若干複雑になっていますが、考え方としては、従来のUNDPが結んでおります協定とそう変わっておりません。
#14
○森元治郎君 私の聞きたいのはそういうことじゃなくて、開発計画という「計画と政府の協定」というこの形が、何とか条約機構とか、国連開発計画機構とかと政府との間の協定だと言うと楽に耳に入るのですが、形式が、「計画と政府の協定」と言うとちょっと奇異な感じがするんだが、そういえばユナイテッド・ネーションズ――国連――との協定もおかしいと言えばおかしかろうということも出てくるかもしれません。その場合に、「国連開発計画と日本との協定」というその計画のうしろに計画機構とかなんとかくっつけば、いかにも協定を結ぶ相手の形ができているように思うのですが、その点です。
#15
○説明員(山崎敏夫君) 仰せのとおり、名前から見ますとちょっと変なんでございますが、これも国連の内部機関ではございますけれども、一応一つの独立したユニットとして認識されておりまして、国連の内部の機関としてそういう協定を結ぶ権限を与えられておるわけでございまして、日本もその国連の加盟国としてそういう「国連開発計画」という一UNDPと申しますが、それを承認し、それとの間に結ぶことにいたしたわけでございます。
#16
○森元治郎君 だれか同僚委員がこの前外務大臣に、常任理事国に立候補する前にもう少しやることがあるんじゃないかというので、大臣は、大いに拠出金とか分担金とか、そういう面で積極的にやりたいという御答弁だったが、この「国連開発計画」に対する拠出金は去年あたりは十七億くらいですか、それで第九番目だ。エカフェ、エカフェとよく出ますが、実績を見ると、西ドイツなりスウェーデンだのという国が案外上のほうにあって、極東から遠いところが上のほうにあって、大国日本が九番目くらいにあるのは、これはどういうことですか。
#17
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一の御質問の「計画」というところとの協定はちょっと奇異に感ずるのではないかということは、確かにそういう感じもしないではないと思いますが、御承知のように、UNDPと通称いわれておりますけれども、「開発計画」と日本語で訳すことがあるいは多少わからない点があるかもしれませんけれども、国連の中の一つのオーガニゼーション――組織――であるというふうに運営され、また、慣行もそうなっておりますので、「開発計画との間の協定」ということにいたしたわけでございます。
 それから第二の点は、実はこのUNDPに対する拠出金は昨年度は四百万ドルでございまして、UNDPの拠出額についての各国の間のかね合い等から申しすれば、GNPだけが一つの指標になるわけではもちろんございませんけれども、GNPを一つの指標として勘定すれば、日本は実は千万ドルくらい拠出をしてもおかしくないと思います。しかし、昨年四百万ドルでありましたのですが、これをできるだけ年度ごとに拡大していきたいということで、今年度といいますか、七〇年度におきましては八十万ドルを増額することにいたしました。それはもう国内的の財政上あるいは予算の編成上におきましては相当むずかしいことであったのでありますけれども、まず最初の一つのステップとしてこれで同意せざるを得なかったという経緯がございますが、今後、こういった点につきましては、年を追うごとに増額をぜひ実現したい、こういうふうに考えております。
#18
○森元治郎君 研修所の人事ですけれども、初めて日本に置かれるので国連の事務総長が所長を任命するわけでしょうが、初代はやっぱり日本でほしいですな。どうも、アメリカの人がなるということですが、初代の所長くらいは、これは幕あけですから、ぜひ日本でやったらどうかと思うが、どういうふうになっていますか。
#19
○説明員(山崎敏夫君) 日本に招致したのでありますから、もちろん日本人の所長があるいは必然ではないかというお説でございますが、先ほど申し上げましたように、これの研修所を設立するという決定はエカフェで行なわれまして、エカフェとしてはいろんな人選の結果、外人の人が適当であるということで特定の人が選ばれましたわけでございまして、わが国もこの場合には二十のうちの一票でございましたので、それに同意いたしたわけでございます。しかし、次長をわがほうから出すことになっておりますし、実際問題、わが日本に置かれるわけでございますので、十分わがほうの意見は反映して運営していけるものと考えております。
#20
○森元治郎君 コンピューターばかりつくって肝心の統計のほうがやっぱり世界的におくれておるようです、学問としてはどうか知らぬが。そういう職員の方、案外日本でもあり余ってはいないようだから、結局、二十カ国のうちの日本だけ一国があまり評価されていないような感じがこの人事の面で見えるのですね。次長は行政管理庁から出すのでしょう。あるいは講師六、七人は国連専門職員をもって充てる。一体、日本人の正式の職員――所長がアメリカ人とすれば、次長が行管から一人で、もう一人次長いるのですか、次長が二人。それから講師が六、七人国連職員をもって充てると言うが、日本では国連職員の積極的な養成もないし、アメリカあたりにうろうろしている英語つかいみたいなのが向こうに入っていくだけで国連職員の養成もできていないが、日本人は一体何名ぐらい、これはスタッフ、メンバーとして入りますか。
#21
○委員長(長谷川仁君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
#22
○委員長(長谷川仁君) 速記を起こして。
#23
○説明員(松田道夫君) 副所長としまして日本人が一人参加いたします。それから、いま先生からお話がありました国連の講師でございますが、これはまだ日本人が立候補といいますか希望を出しておりますけれども、日本人がその講師の中に入るということはまだきまっておりません。そういうような状況でございます。
#24
○森元治郎君 そうすると、結局、この研修所の日本人職員は何名くらい入れるのですか、何名中何名くらい。
#25
○説明員(松田道夫君) 日本人の職員といたしまして十二人、副所長以下十二人でございます。
#26
○森元治郎君 もう少し積極的に国連本部のこういう具体的なところで実力を発揮してもらいたいと思いますので、質問の最後に丁国連の職員というものの日本の養成方法というのはどういうふうになっているのですか。単にアメリカにいる学者ふぜいとか英語のうまい者を入れているように見えるのですがね。日本に帰って来ても使いものにならんが、日本じゃ、まあ英語がしゃべれるだけということではなくて、やっぱり積極的な国連職員の養成をやるべきだと思うが、どんなふうな実態ですか。
#27
○国務大臣(愛知揆一君) この国連の組織の中に日本人を積極的に入れなければならないということについては、私もかねがね積極的に考えておりますが、これは今度のこの研修所の問題に限りませんで、国連本部の問題もあり、それから、国連の系統の各種の機関全部の問題もございますけれども、御承知のように、非常に少ないわけです。たとえば、上部の幹部クラスの職員ということになりますと、各国に対する一応の割り当ての区分があるのにかかわらず、それにもはるかに日本としては及んでいないという実情であることは御承知のとおりでありますが、これにはやはりいろいろの事情もありますけれども、国連の組織の中に入って活躍し得るだけの、単なる語学力だけの問題ではなくて、それぞれの道における相当の素養のあるりっぱな人でなければならない。ところが、そういった面の養成機関というものは、現に日本には特殊なものは全然ございませんから、自然、従来各方面で活動しておる方にお願いをしていかなければならない。ところが、身分上の関係その他いろいろの問題がございまして、こういう人に行っていただきたいという方はまず反対される、希望しないというような実際上の障害が非常に多いものでございますから、なかなか意にまかせないというのが実情であります。
 それからいま一つは、現に具体的に相当の地位に対して、政府といたしましても大いに支援をして、国連当局にもいろいろの話し合いをしておりますが、なかなか話が進まないという例もございます。これはやはり国連の機構の中の特殊のクライメートということが災いをしているということもあるように見受けられるわけでありまして、そういう点も打開していかなければならない。森さんのお気持ちは私も全く同感でありますけれども、そういう点に実際上の障害がありますことを考えながら、これも各方面のいろいろの努力によって切り開いていかなければならないと考えております。
#28
○森元治郎君 質問ではありませんが、国連国連って遠くのほうでどなっていてもだめで、やっぱり日本の官僚機構でもそうですが、こういう機関の中の各方面にずっと人を配しておるというと、何かをやろうというときに非常な力になるのですね。初めて、「こんにちは」なんて名刺出して言っていたんじゃ、いつまでたっても国連をかき回せないですよ。そういう点、大いに努力を期待して私の質問を終わります。
#29
○杉原荒太君 私は、ごく簡単に一問だけ質問します。先ほどの森委員の質問なさった文化事業に要する予算規模なんですがね。予算の裏づけ、それに関連することを一つだけ。
 それは、ことしの、四十五年度の予算を見てみますと、外務省の協力団体といいますか、この外務省が委託してやらせておる団体に対するいろいろ補助金というか、これを見てみますというと、国際文化事業協会という岸さんが主宰しているのがある。それに対する四十五年予算での補助金は、ほかの団体に比べてみると比較的よくついておるし、また、伸び率もたしかほかの団体に比べてよいというような私は印象を持っておるが、そこで次は質問だが、一体その国際文化事業協会の本年度の計画の中にはアフガニスタンに対する計画も一体含まれておるか。含まれておるとすればどういう種類のものか・それがわかったらひとつ聞かしてもらいたい。それだけです。
#30
○説明員(兼松武君) 先ほど大臣から御説明がございました日本語講座の予算が五〇%以上伸びておりますが、これもアフガニスタンには従来日本語講座はございませんでしたが、今度協定ができますと、向こうもそういうセット・アップをして日本からぜひ先生を送ってくれということを言っておりますので、そういうことがまっ先に取り上げられる問題だと考えます。
#31
○羽生三七君 日本とフィリピンとの航空協定の取り扱いで一問だけ伺いますが、これはまあこちら側でこれ承認をした場合、フィリピンでも直ちにやるのかどうか。もう済んでおるのかどうか。なぜこういうことを伺うかというと、この日比通商航海条約は十年も前にこちらで批准したのに、いまに至るまでフィリピンは批准しておらないのに、最近何か条件を出して批准するとかなんとかということを言っておるようですが、そういうこともあるので、これはこの航空協定についてはどうなのか。それから、いまのそれと関連して、十年前――正確には何年になるか知りませんが――当委員会で承認した日比通商航海条約は、その後フィリピンではどうなっておるのか。これだけをお伺いします。
#32
○国務大臣(愛知揆一君) まず、航空協定の関係は、フィリピン側におきましては手続は済んでおります。で、これはフィリピンの国内の問題でございますけれども、フィリピン側は国会の承認はこれについては必要としないということで、国内手続は済んでおります。
 それから、第二の通商航海条約の問題については、率直に申しまして、ただいまお話しのとおりで、非常に政府としても苦慮いたしております。で、現在のところは、あらためてフィリピンの上院において審議が始まっているところでございますので、重大な関心を持ってその審議の状況を見守っているわけでございまして、政府といたしましては、いまもお話がございましたが、条件というようなものを、実質的な条件というようなものがなくて円滑に上院の承認が得られるように期待をして見守っているのが現状でございます。
#33
○委員長(長谷川仁君) 他に御発言がなければ、三案件に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○委員長(長谷川仁君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより三案件について一括討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○委員長(長谷川仁君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、三案件につきまして順次採決を行ないます。まず、
 日本国とアフガニスタン王国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件
 を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#36
○委員長(長谷川仁君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、
 日本国政府とフィリピン共和国政府との間の航空業務協定の締結について承認を求めるの件
 を問題に供します。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#37
○委員長(長谷川仁君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、
 アジア統計研修所の設立及び運営のための援助に関する日本国政府と国際連合開発計画との間の協定の締結について承認を求めるの件
 を問題に供します。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#38
○委員長(長谷川仁君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、三案件について、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○委員長(長谷川仁君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#40
○委員長(長谷川仁君) 次に、旅券法の一部を改正する法律案
 を議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#41
○亀田得治君 私は、きょう、旅券法に関して、大きく分けて三つのことをお尋ねしたいと思います。その第一は、旅券行政の基本ですね、この点。それから第二の問題は、未承認国、特に朝鮮、中国との関係。それから第三点は、いわゆる数次旅券。この三つに分けて、若干ずつお尋ねをしていきたいと思います。
 初めに、これからの私の質疑にも非常に関係するからお聞きをいたしますが、例の日中の共同声明ですね。非常にきびしいものが出まして、さらに、昨晩藤山さんがお帰りになってその記者会見等を聞いておりますると、非常に、こう、何といいますか、はっきりとした言い方で、日本の対中姿勢の是正を求めておるんですね。藤山さんは、こういうことばをつかっておられました。佐藤内閣が百八十度対中政策を変更するか、あるいは佐藤内閣がやめるか、どっちかしなきゃ、中国との関係の改善は前進せぬだろう――きわめて具体的な表現でおっしゃっております。同じ自民党の中の有力者の方の発言でありますから、これは非常な関心を集めるのは当然でありますが、具体的には外務大臣の問題として、やはり第一次的には直接的にふりかかってくるわけですね。こういう点について、外務大臣としてはどういうふうにお考えになるのか。藤山さんがおっしゃるほどではなくても、若干でもそういう立場を取り入れてそうして考えていくということであれば、私がこれから問題にしようとする旅券行政の基本という問題についても、非常に変わってくるわけですね。そういう意味でお聞きするわけなんですが、外務大臣もおそらく何かこれは真剣に考えておられると思いますが、率直なひとつ御所見を伺っておきたいと思います。
#42
○国務大臣(愛知揆一君) 今度のこの覚書貿易に関連して発表された共同声明というものについては、私はその中の特に二つの点について率直に意見を申し上げたいと思いますが、一つは、日本に軍国主義というものがすでにでき上がっているんだというような趣旨のことが取り上げられておりますが、この点については、政府がどうこうということはもちろんでありますけれども、私は、日本国民全体の感じの中に、そのようなことは全く考えていもしないことであるし、事実にも反することであります。したがって、こういうことを中共側が言っているのかなと、事実に反することだなという印象を非常に強く持たざるを得ないわけであります。
 それからもう一つの点は、沖繩返還問題に関連して、本土の沖繩化ということが取り上げられておりますけれども、沖繩返還については、いまさら申し上げるまでもありませんけれども、核抜き・本土並みということで、しかも、七二年中の返還ということは、私は全国民の悲願の上に立ってでき上がった大きな事績であって、本土が沖繩化するなどということは、どこからそういう解釈が出てくるのか、これまた、私はさようなことについては、何といいますか、実におかしな見解が出てくるものだなという感じを持たざるを得ません。
 この二つの点を中心にいたしまして、今週の火曜日――一昨日でごさいますか――閣議におきましても、全閣僚の一致した感触というもの、これが、官房長官の記者会見における発言においてあらわれているとおりでございまして、この官房長官の発言にあらわれておることは、私も全くそのとおりに考えております。それが、いわゆる覚書についての私の率直な感じでございます。
#43
○亀田得治君 そういたしますと、昨晩、藤山さんが羽田でお話しになったことなどは全然考慮する必要がない、そういう結論ですか。
#44
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、いま申しましたように、この共同声明にあらわれているところの事柄の取り上げ方について、そしてその取り上げた事柄についての見解というものについては、私は先ほど申しましたような見解を持っております。今後、藤山さんはもちろんのこと、古井さんその他の方々のいずれお話を聞く機会もございましょうけれども、やはり基本的なものの考え方、あるいは姿勢というものは、非常に大事だと思いますので、ただいま申しましたような見解が変わるとは、私自身は考えておりません。
#45
○亀田得治君 藤山さんは、記者会見の最後で、佐藤内閣がやめるかあるいは百八十度政策転換をするか、二つに一つだというふうな強い表現を使っておっしゃってるわけですね。だから、その点をお聞きしておるわけです。そういう考え方はとんでもないことだということなのか、いや、そうではなしに、やはり相手が共同声明等でそれだけ強く言っておるのは、それなりにまたやはり問題もあるかもしれない、やはり古井さんなり藤山さん等の話も聞いて、聞くべきところがあれば聞かなきゃならぬというふうな、そういうゆとりがあるのかないのか、その点をお聞きしているんです。皆さんの仲間の人がおっしゃっているんですから。たとえば、それは他党であれば統制委員会とかそういうことにもなりかねない問題でしょう。それで非常に奇異に感ずるわけでありますけれども、どういうことなんでしょう。
#46
○国務大臣(愛知揆一君) 党内の問題としていかに今後取り上げられるかということは別問題といたしまして、私の基本的な見解は、先ほど申し上げたとおりでございますし、それから、何よりも明らかなことは、ごく最近に行なわれました総選挙において、大多数の日本国民の考え方というものは、われわれの考え方に対して支持を十分に与えられていることである、これが日本国の国民の意思であり、民主的に表明せられたところの日本国民の大多数の意向であるということは、厳然たる私は事実であると思います。その上に立って私は今後も事に当たってまいりたいと思っております。
#47
○亀田得治君 まあ、入り口のところであまり時間をとりたくもないんですが、総選挙のことを申されましたが、われわれのほうははなはだ不成績で、たいへんぐあいが悪いわけですが、しかし、まあ投票数そのものを見れば、自民党がその支持を受けたと言ったって半分ですね。だから、そんなに大きなことをこれは私は言えないと思うのです。重大な今後の日本の進路について、半分の者が別な方向を向いているということであれば、これはやはり真剣に、率直に違った意見も聞いていかなきゃならぬと私は思うんです。まあ、たまたま選挙のことを引き合いに出されたから私は票数のことを申し上げるわけですが、そこで、どうなんでしょうか、今後中国との関係、これはまあ予算委員会等でもたびたびお聞きはいたしておりますが、あの共同声明の中身には、どうもふに落ちぬところがある、しかし、それはそれとして、中国との関係の改善については大いに前向きに考えるんだということなのか。どうもああいう共同声明が出されるようじゃはなはだおもしろくない、少し前向きに考えようかと思っていたが、少し考え直すということなのか、その辺のところをひとつ最後に承っておきます。
#48
○国務大臣(愛知揆一君) まあ、私は中共側が表明した見解に対して、政府といたしましては、いわば売りことばに買いことばという態度をとるべきではないと思います。日本は、お互いに私は確信を持っていると思いますが、りっぱな国であり、また、言論等においてもこれほど自由な国はない。そこで自由に表明せられ成規の手続によって行なわれた選挙の結果でも明らかであるような日本の国の主体的の立場というものは、私は、先ほど申しましたような現実の姿でもあり、また、考え方は決して間違っていないと思います。そういう立場に立って、まあ売りことばに買いことば的な論争は私は避けるべきだと思います。同時に、率直な感じを申し上げますと、なかなかこれは日中友好とかなんとか申しましても、道はなかなか遠いものだなという感じはせざるを得ない。私の偽らざる感じでございます。
#49
○亀田得治君 では、その程度にして本論に移ります。
 第一の旅券行政に関する基本の問題、私が申し上げましたのはこういう意味なんです。旅券法が制定された当時、国会等においていろいろ法案の審議がありました。なかんずく、この旅券法十三条第一項の第五号、この点については相当詳細な論議がお互い戦わされて、そうしてこの旅券法がつくられた。ところが、その後の旅券行政は、国会の審議とは相当はずれておるのではないか、ことに私がいま申し上げた条文の運用については。で、そういうことが今度は反映して、これが裁判所に持ち込まれる。裁判所としては、裁判所としての慎重な審議の結果一つの結論を出します。三つあるわけですね。三つ、私がいま申し上げたことが。この三つとも非常にギャップができておるんですね。で、私はこういう状態は好ましいことじゃないと思う、こういう状態は。これはやはり旅券行政全体として基本的に考えるべき点があるんじゃないかというふうに思うわけなんです。そういう角度から少しお聞きしたいんですが、そこでまず第一に、これは念のために確かめるわけですが、いわゆる国民が外国に旅行するということ、これは憲法二十二条の基本的人権の中に含まれるものである――これは学説も判例もこの点では一致いたしておりまするが、政府もその点は確認した上で出発しておると思いますが、わかり切ったことのようですが、基本問題をやろうと思いますので、念のためお尋ねしたいと思います。
#50
○国務大臣(愛知揆一君) 一国の国民が原則として旅行の自由を持つというような趣旨において憲法もそういう規定をしているものと、こう考えるととは当然かと思いますが、同時に、旅券というものを考えました場合に、これは単なる、何といいますか、その旅行の自由を認めるために無制限にだれにでも出すという趣旨のものでは私はあり得ないと思います。これは万国共通の考え方であります。旅券というものは日本国民であることの身分を証明するものであり、同時に、海外に渡航いたしました場合に、この日本国民の保護あるいは利便の供与ということについて先方に対して要請をする、この根拠になるものでございますから、そういう関係を十分考えて扱わなければならないものである。そういう意味におきまして制限があるのは私はこれはまた当然のことだろうと思います。
#51
○亀田得治君 そのあとのほうはまたおいおいお尋ねいたしますが、外国に旅行する権利というものは憲法二十二条によって基礎的には保障されておるものだと、それはだからすべてが自由と、そういうことにはなりません。その基礎は憲法二十二条に含まれておる基本的人権である。この理解は政府もはっきりしておるのでしょう。ここをまず確かめておるわけです。
#52
○国務大臣(愛知揆一君) 憲法二十二条を尊重するということは当然のことであり、そして、したがって、海外の渡航等についてもこの憲法の精神を尊重するということは国の当然の責務であると思います。しかし、いま申しましたように、これには同時に制限が付せられることも当然だと私どもは考えております。その趣旨は、最高裁判所の判例においても明らかである、こういうふうに考えております。
#53
○亀田得治君 それは憲法二十二条自身に「公共の福祉に反しない限り」と、ちゃんとあるわけでして、その制限のことを私は何も無視しておるわけじゃないのです。この渡航の権利というものは憲法二十二条に含まれておる権利でしょう。そこだけを端的におっしゃってもらえればいいのです。
#54
○国務大臣(愛知揆一君) しかし、いま亀田さんもおっしゃっておりますように、憲法の規定にも制限があり、また、その制限が付せられることは当然である。ですから、完全な、無制限なる自由じゃございませんと申し上げておるわけです。
#55
○亀田得治君 制限の範囲の問題は、これはまた第二段の問題です。いわゆる渡航の権利というものは憲法二十二条によって最終的には保障されておるものである。これは学説も判例も一致しておるのです。政府もそうでしょうがと、これは念を押しているのです、一番大事なところですから。
#56
○国務大臣(愛知揆一君) 制限が付されておるということを私はしばしば申し上げておるのです。そういう限りにおいてはよろしいが、制限のある自由、こういうふうに申しております。
#57
○亀田得治君 だから、制限のある自由でいいのですが、それは憲法二十二条でしょう。そこをはっきりおっしゃってください。
#58
○国務大臣(愛知揆一君) ですから、先ほど申しましたように、憲法二十二条というものは、国として、政府として尊重することは当然でございます。
#59
○亀田得治君 だって、そこにこの旅行の自由が含まれていなければ――大臣がどうもそこを切り離して答弁なさるものですから、何べんでも同じことの繰り返しになるのですが、やはり外国旅行、これは旅券法によって保障されておることは、これは当然。そのもう一つ奥はどこか、これは憲法二十二条だと。それは旅券法の運用についての当否はいろいろ意見がありましても、その点については、学説、判例ほとんどこれは明確に一致しておるのですが、そこをはっきりおっしゃってもらえませんか。
#60
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、いま申しましたとおり、はっきり申し上げておるつもりでございます。
#61
○亀田得治君 私の質問を肯定されておる立場でしょうか。
#62
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、何べん申し上げても同じ答弁であります。
#63
○亀田得治君 どうもそれじゃ話にならぬじゃないですか、これでは。憲法二十二条に含まれておる権利でしょう。その二十二条ということをあなたはおっしゃらぬわけですね。ことさらにそういうことをぼかす必要はないんじゃないですか。
#64
○国務大臣(愛知揆一君) そうじゃございません。先ほど申し上げたとおり、憲法二十二条を尊重するのは当然でございます。
#65
○亀田得治君 それは尊重するのは当然ですよ、憲法ですから。しかし、その二十二条に、外国に旅行するという国民の権利が含まれていなかったら、それは離れてしまうんじゃないですか。含まれているでしょうという点をお聞きしているのです。
#66
○国務大臣(愛知揆一君) 憲法のもとにおいて現行の旅券法ができておりますし、いまおあげになりました第十三条というものも、この憲法のもとにおいて制定されておるものでございますから、旅券法あるいは海外渡航の自由の制限ということについては、十三条というものがりっぱな法律である。これで一貫したお答えに私はなると思います。
#67
○亀田得治君 まあ、憲法二十二条以外に持っていく場所はないわけですから、大体二十二条の中に含まれておるという意味に理解していいと思いますけれどもね。ことさらにそこを切り離してお答えになるのは、どうもふに落ちんですな。しかし、これくらいにしておこう。奥へ行けぬようになってしまう。
 そこで、したがって、旅行の自由を政府が制限をする、これは憲法自体において、公共の福祉に反する場合には制限していい、こうなっておるわけですね、二十二条に、冒頭に書いてあるわけです。それでなくても、それは当然なことなんです。しかし、二十二条の場合には直接書いてあるわけなんです。しかしながらそういう、原則的には二十二条によって保障されておる権利でありますから、この制限というものはきわめて慎重にやらなければいかんと思うんですね、慎重に。その点はどういうふうにお考えですか。
#68
○国務大臣(愛知揆一君) その点は御同感でございます。したがって、旅券法の、ただいま問題にされておる条文においても、「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為」という、まあいわば異例な表現が使われてあります。それからまた、外務大臣の本件についての処理については、「法務大臣と協議しなければならない」というような厳重な制約もついておるわけでございますから、これの運用については十分配慮していかなければならないということは、法文上もその精神が非常に明らかにされておるし、また、政府としての職権の行使についても十分な配慮をしなければならない、こういうふうに心得ておるわけであります。
#69
○亀田得治君 いま外務大臣がお答えになったような立場で、特に共産圏との旅行について運用されておれば、これはさほど問題が起こらない。しかし、いまお答えになったような状態ではないわけなんですね、実際問題として。
 そこで、問題を分けて若干お聞きしますが、まず私は、昭和二十六年十一月十六日、衆議院の外務委員会において、当時の大橋法務総裁が、この十三条一項の五号につきましてこういうふうに答えておるのですね。ちょっと読んでみます。「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為」でございますから、これは原則としては犯罪になるものに限るだろうと思います。」、きわめてこれ、限定的なんですね。もちろん、「原則として」とありますから、若干それ以外のことも入ってくるわけでしょう。それから、それに対してさらに具体的な説明がありまして、原則として犯罪になるものに限るだろうと言って、さらに続いてその例示をされておるわけですね。全部網羅的に申し上げることはできないと。「ただその顕著なる例として申し上げますならば、刑法の内乱罪、外患罪、国交を害する罪等はこれに当るでありましょうし、また刑法以外の法律としましては、外国為替及び外国貿易管理法、麻薬取締法、銃砲刀剣類等所持取締令等の違反になるごとき行為は、これらに該当すると思うのであります。」と、きわめて限定的に解釈をされておるのですね。これは旅券法が衆議院の法務委員会を通過するその日の最終段階における締めくくり的な質疑の中でおっしゃっておるわけです。大臣、御存じだと思います。で、この考えは私もこれで正しいと思うのですが、こういう考え方を、これは法務大臣が呼ばれて答えておるわけですが、法務大臣なり外務大臣は現在も同じようにお考えになっておりますか。
#70
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまおあげになりました当時の大橋法務総裁の答弁も私はよく承知いたしております。同時に、これは昭和三十一年第二十四国会であると思いますけれども、政府の見解として当時の法制局長官からお答えしたり御説明しているものもございます。全部を読み上げますことは時間の関係もありますから省略いたしますけれども、渡航先の外国の有する国際的条件を背景に考えるべきことは当然といえるのであって、その意味から言えば、渡航先の外国の国内的国際的条件が通常のものである場合は、「「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為」といえば、犯罪行為ないしこれに準ずる行為がこれに該当するでありましょうけれども、渡航先の外国の国内的、国際的な条件が特殊の場合におきましてはそれだけではないのであって、「著しく且つ直接的に日本国の利益又は公安を害する行為」に該当する場合は、それ以外、つまり相手先の外国の国内的、国際的条件が特殊である場合においては、その範囲がそうした犯罪行為だけに該当しない場合があり得るということは当然でありましょうという趣旨の答弁がなされておりますことも御承知のとおりでございます。で、この点は裁判所の判例も認めるところであるということは、当時のこの答弁の上にも明らかにされておるわけでございます。
#71
○亀田得治君 そこで、一番大事なことは法律をつくるときの考え方ですね、これをやはり守っていかなきゃいかんと思うのです。それは情勢の変化によって若干の変更ということはどんな法律でもこれは出てきます。もう百八十度異質な問題が入ってくるということは私は新たな立法だと思うのです。だから、あとからつけ加えられたその国会における答弁というものは、そこに私は問題があると思うのです。この十三条の一項五号ですね、これは何回ずっと読んでも、その外国にいまから旅行しようとするその人、その人の原因によって起こる結果、それをさしておるわけですね。これは間違いないんですよ、直接的ですね。そのような「行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」、こういうことですからね、あくまでも個人の行動なんです、個人の。ところが、あとからつけ加えられた拡張解釈というのは、その個人がどんないい人であろうと、また、見方によってはその個人の行動というものは、たとえば貿易の場合もあるのだし、実質的には、見方によっては、日本の国の利益になるじゃないか。本人にしてみれば、わしが何で日本の国益を害したり公安を害したりする行為をやっていることになるかと、直接のことを言うのですよ。そういう立場で書かれておることはこれは間違いないのです。それを、いつの間にか本人の行為とは離れて、そうして時の政府の政策的な立場から、本人が何とも思っておらぬ行為がそれ自身が国の利益に反するのだ、こういう立て方になってきているわけですね。この点が立法当時になかった考えを押し込んできているわけですよ。それはどういうふうにお考えになるのですか。
#72
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたように、これは渡航ということが前提になっている問題でありますから、渡航者自身の行為、あるいはその行為の効果ということは、渡航先の場所の国内的あるいは国際的な事情が特殊なような場合と認められるような場合は、渡航者の行為がそれと結びついて著しく公安を害する、あるいは国益を害するということがあり得るわけでありまして、渡航者をもちろん中心に考えておる法律でございますけれども、相手先の事情によりましてある特殊の事情と結びつく。そのことを、やはり渡航者の個人中心ではあっても、そういう特殊な場合ということは当然私は想定しなければならないと思うのです。
#73
○亀田得治君 「特殊」と言いますが、その特殊を逆に原則にしているわけでしょう。決して個人の立場を原則にして……。未承認国なんですよ。その場合にはもう初めから、たとえば朝鮮、これはまたあとからやりますが、これは全面ストップなんだ。幾ら出そうかと、逆になっているのです。個人がどんないい人でどんなに実質的には利益がある行為であっても、ともかくストップだ。いろいろ運動すれば若干解除してやる、こういうことでしょう。だから、こういうたてまえにいつの間にか変わっているわけですね。私は旅券法の当初の考え方から見てはなはだしくこれは逸脱だと思うのです。だから、最初にも申し上げたように、渡航の自由と言ったって無制限に自由とはもちろん私も言っているわけじゃない。しかし、この旅券法のたてまえは、ともかく基本的には憲法二十二条によって保障されて、そうして十三条一項五号の運用についてはきびしくやっていこう、こういうことで出発しておるのです。だから、それに該当しないという人には全部出すべきなんですね。ただ、もちろんそういう際に、たとえば外貨の関係で出せぬ、行くことを許すわけにいかぬ。結果的に、これはまた別個な理由ですから、それはしかたがないと思うのですね。だから、旅券法の予想しない問題をここへ出してきて、そうして事実上行けぬようにするのであれば、これは何らかの措置が必要なんです。それを、本人たちが公安とか国益を害しない、何らのそういう関係にもならぬのに、無理やりにこのことばを広く解釈して本人の行動をとめる。全くこれは筋が通らぬわけなんですよ、これは。政府も内心はそういうふうに思っているんだろうけれどもね。そういうところに根本的にやっぱり間違いがあるんですよ。だから、原則は、たとえ共産圏であり未承認国であっても渡航をする、渡航できるというのは、これは原則でしょう、原則。原則と例外が逆になっている、実際の運用。そういうように思いませんか。
#74
○国務大臣(愛知揆一君) 特殊の場合と原則との考え方を中心の御意見ですけれども、私は、「特殊」と申したのは、渡航する先の地域の国内的あるいは国際的な環境が特殊の場合におきまして、渡航する人に対してこの規定を援用しなければならぬことがあり得ると、こういうことを申したわけでございまして、渡航それ自体の原則あるいは例外ということを申したわけじゃございません。
#75
○亀田得治君 その「渡航先の状態によって制限しなきゃならぬことがあり得る」、こういうふうにそのことばだけ聞いておりますと、きわめて多数行けるように感ずるわけですね。だけれども、実際の行政は、渡航先の状態、未承認国というものに対して原則はストップになっているでしょう。そうしてそれを解除する。長い間そういうふうにやっているものだから、いつの間にかみんながそういうふうに勘違いしているわけですよ。それは逆なんですね、法律のたてまえは、何といったって。だから、そういう状態が今度は裁判所にまた反映してくるわけですね。それで、ときどき旅券法関係では負けるわけですね、国の側が。それはあまりにも法律のたてまえと旅券行政が背馳している証拠なんです。裁判所が国の側を負かすと、どうも最近の裁判所はけしからぬとか、そんなことを西郷法務大臣がこの前、えらいおっしゃって、だいぶ問題にもなりましたが、そういうことじゃなしに、そういう判断が出ればこれは多少自分のほうにも問題があるんじゃなかろうかと、やっぱり反省をすべきだろうと思うんです。そうしませんと、これはともかく自分がそんな外国旅行する、未承認国へ行くんだ、政府はいろんなことを言うが、向こうとちゃんと打ち合わせできているし、そんな政府が心配になる保護の関係だってもう心配ないんだと、第一、本人が、わしゃもうその点は心配ないから行くというものを、いや、それでもおまえはあぶないと、そんなこと言う必要がありますかね、これ。そういうような理屈をくっつけたりしてやらされぬわけでしょう。それで訴訟になるわけですよ。それで、具体的にずっと法廷でやってみると、申請した人は、これは普通の人、経済人。そんな、法律に書いてあるような大それた、国の公安じゃ利益じゃ、そんなことに少しも関係ない。考えようによっては、国の利益にもなると思われるというようなことで国が敗れるわけですね。で、この十三条の一項五号については、これは憲法違反ではないという点は最高裁でも明確になっております。この点はわれわれだってその前提で話ししているんです。しかし、この条文そのものが違憲ではないということになっても、だからといって、それを運用する場合に、理由のないはなはだしい制限をする場合には、その点でそれは違法なやはり措置になるんだと、違法。憲法二十二条にやはり違反してくるかっこうになるわけですね。裁判所はその点を言っているわけなんです、その点。だから、そういうことについてもっと謙虚にならなきゃいかぬと思うんですよ。まあ、ずいぶん行政訴訟があります。ちょいちょい負けるのがこの旅券、入管関係ですよ。これは行政に無理があるということなんです、無理が。これはまあ日本の全体の政治体制がそこへ反映していることは、これは私もよくわかります。わかりますけれども、個人には関係のないことでしょう。行政訴訟でも、たとえばなにですね、土地収用の関係なんかは、これは大体国なり企業者側が勝っておりますね。これは、国民のほうが、ああでもないこうでもないと言って居すわるというような事案が多いものですから、自然にそういう結果になるわけですよ。
 それから農地法なども、これはずいぶん行政訴訟が多かったものですが、初めの間はずいぶん国が負けたですね。それはやはり法律の専門家でない農業委員などが、そのときの農地改革という一つの政治的な線に乗って、どんどん買い取っていくということが、やはり司法裁判所に来ると判断を受けるわけですね。したがって、それが出れば、農業委員会――現在は農業委員会です、農業委員会でもちゃんとやはり処理のしかたを変えていっているわけですね。そこが私は大事なところだと思うのです。そういうふうにならなければ、一体三権分立という基本というものがくずれます。政府自体がくずすことに私はなると思う。そういうことはね、いろいろな意味でまた妙なはね返りが来ます。自分の都合のいい判決だけ政府は賞揚して、負けたやつはけしからぬと。やっておるやつが悪いのだ。裁判もほかの問題が起きておりますけれども、そういう問題をまた法務委員会でやります。やりますが、私は、この旅券並びに入管は、いわゆる再入国の問題ですが、この件についてはやはり考えてみる必要がある。そうして、本人にどうしても行ってもらいたくないと言うんなら、旅券法としてはこれはやらさぬわけにはいかぬのだ。しかし、日本の政治的な立場がこういう状態だから、まあこの程度で遠慮してくれんかとか、これはまた別個の立場でおっしゃるなら、これはまた一つの筋なんですよ。ちょうど、旅券法ではいいけれども、外貨の関係で実際上はいけないのだ。これはやむを得ぬと思うでしょう、国民だって。そういうすっきりしたことをせなけりゃいかぬですわ。それを無理やりにこの旅券法第十三条一項五号、これは同じ条文が今度の新しい旅券法にも入ってくるから私は言うんですよ。やはり国ですからね、ちょうど三百代言式に無理やりに解釈を押し込んでいくというふうなことはやめたほうがいいと思うのですね。こういう点について、これは法務大臣にも関係あることですからね。法務大臣の場合は例の再入国問題ですね。日本におる外国人、特に朝鮮人並びに中国人です。この方も外国旅行という点については憲法二十二条で保障されておるわけですね。入国とはいうけれども、これは一時的な外国旅行なんだ、実質的には。そういうふうに理解されている問題なんですね。法務大臣に来てもらいましたのはそういう点なんです。だから、私がいま指摘した点ですね、もうすこしくふうのしかたがないものか。私の理論でいきますと、これはどうっといかなければならぬということになるわけでしょう、どうしても。そんな申請している人はとてもこんなところに当てはまらぬですから、五号なんかに。それじゃ困ると言うんなら、困らぬ手だてを考えればいいんです。どういうふうに考えたらいいのか、具体案は私もちょっとこれは浮びませんけれども、それはまた別個な問題ですよ。そういうふうにどうしてならぬの。そうすれば、行政と立法府とそして裁判所と、この三つがぐっと近寄ってくるのですよ。最近はこう三つがぱっと分かれておる。これは旅券法だけだからまだいいけれど、各法律については、そんなこと起きてごらんなさい。そんなあなた、順法精神なんて、そんなこと幾ら言ってもふっ飛んでしまいますよ。この二つの点、ひとつ両大臣から、私の指摘している点、間違いかどうかおっしゃってください。
#76
○国務大臣(愛知揆一君) お答になるかならないか知りませんけれども、少し先へ進ましていただきたいと思うんですけれども、亀田さんのおっしゃることはわからぬでは決してないんです。
 そこで、この委員会で前回にも申し上げたことなんでありますけれども、衆議院におきましても、この件についてはずいぶん熱心な御討議を行なっていただきました。この結果を、この間も御報告して――亀田さんいらっしゃいませんでしたから簡単に申し上げますけれども、政府といたしましては、衆議院の外務委員会におきましても、こう申し上げております。採決の直前におきましての私の考え方ですが、旅券法の一部改正案は、いずれの地域に対しても渡航の制限をする目的に出たものではございません。かつ、いずれの地域に対する渡航の自由につきましても、善意をもって措置いたしますと、こう申しております。それから、「善意をもって措置する」というのは、相手側が入域を認めました場合には渡航手続の簡便化をはかりつつ善処することであります、ということも申し上げております。ただ、この背景になっておりますのは、未承認国でありましても、先ほど申し上げましたように、その国内の事情、あるいはその国を取りまく隣国その他の国際的な環境その他において特殊の事情がございますから、未承認国と申しましても、あるいは共産国と申しましても、単数でございませんものですから、その間に相当の相違がございます。そういう点はひとつ政府にも考えさしていただきたいと、こういう背景のもとに、ただいま申しましたような見解を明らかにいたしたわけでございます。
 それから、渡航の手続の簡便化につきましては、従来未承認共産圏に入国を希望される向きには、多くの渡航の趣意書というようなものを申請以外に取っておりましたが、この書類の部数も大幅に簡素化いたしますし、それからその旅券の申請書と同時に出していただくと。従来は趣意書を先にたくさんいただいて、関係各省で審議をいたしまして、それから旅券の申請手続を受け付けたわけですけれども、そういう点は大幅に簡素化いたしたいと。したがって、申請期間というものもかなり短縮、交付に至りますまでの日数もかなり簡素化されるはずでございます。こういうことも申し上げたわけでございます。そのとおりに実行いたしたいと思っておりますことを申し上げておきたいと思います。
#77
○亀田得治君 いまおっしゃった線、もっと具体的に聞きたい点もありますが、まあ、それはやはり実際の運用ということが非常に大事だと思うんですね。もう少し具体的にいろいろ聞くということも、なかなか大臣の立場もあろうと思いますから、これは控えておきますが、原則と例外がいままでは逆になっていたと、そのために旅券問題について三者の衝突が、矛盾があるような印象を世間に与えておる。これはやはり、これからはまとまるように運用していってほしいと、こういうことなんですね。たとえば昭和三十五年の四月二十八日の、これは中国行きの旅券問題ですね。宮本顕治君の旅券申請を却下したことに対する東京地裁の判決理由なんですけれども、「単に渡行先がわが国と国交未回復の国であるというだけで直にその渡航が前記規定のわが国の利益を害することになると解することは、右規定の制定過程」――「右規定」というのは、旅券法第三条一項五号――その制定過程。あとからつけたりするようなのは、それは若干の変化というのは、法の運用上、裁判所だって考えますよ。だけれども、無から有を生ずるようなことは、そんなことはなかなか承認しませんよ。だから「右規定の制定過程、その規定の仕方」――「規定の仕方」というのは、これは何といったって個人を中心に考えておるわけです。「規定の仕方等から考えて不当な拡張解釈というべく、国民の渡航の自由を実質的に否定する結果となるもので許されないものと考える。」、まあ、ごたごたいろいろ書いてありますが、だから、この点はぜひこういう考え方を、先ほど受知外務大臣がおっしゃった、今後の運用の中に生かしてほしいのですね。同じ判決――地裁はどうもよく政府にたてつくなという感じかもしれませんが、この判決に対して国のほうから控訴があって、そして第二審の東京高裁の判決がまた出たわけですね。これも政府側が負けておるわけです。で、その中で、なるほど行政権行使について、自由裁量のまかされている範囲に裁判所が介入することは適当ではない――政府の立場も十分裁判所は考慮しておるわけですね、ここの言い方は。適当ではない、しかし、渡航の自由という侵すことのできない基本的人権が自由裁量の範囲を逸脱して制約される場合、これを救済することこそ裁判所に課された最大の任務でなければならないと言っている。おそらく控訴申し立てにおいて、政府の自由裁量の範囲だ、そういうことに裁判所はあまりくちばし出すなというふうな趣旨のことを強調したのだと思います。それに対してこういう判決。
 それから、これは私もタッチしておるから記録を持ってきたのですが、例の朝鮮の再入国の問題ですね。二十周年記念に在日朝鮮人が行って帰りたいという問題、これは再入国となっておりますが、実質的な判断は、日本に在留を認められておる人ですから、したがって日本人と同じ立場で考える。したがって、当然これは憲法二十二条によって保障されておる立場の人たという考えてすね。手続は再入国ということで言ってくるわけです。で、これにおいても、結局、結論的には、「再入国許可申請者が日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあるなど公共の福祉に反する場合に限って、再入国の許可を拒否することができるにすぎない趣旨と解さなければならない。」、こういうことで、個人の行為としてやはり見ていかなければいかぬ。これは朝鮮人の再入国の問題についての第一審判決ですが、これまた政府の控訴によって高裁に持ち込まれた。高裁ではやはり政策との関係が相当大きな論議になり、それに対してこういう判断を示しておる。「或る人々が本来享有する海外旅行の自由を行使することが、たとえ政府の当面の政策に沿わないものであっても、政策に沿わないということのみで右自由権の行使が公共の福祉に反するとの結論は導かれないのである。」、こう言っておるわけですね。だから、裁判所はそこまで公共の福祉と政策と個人の基本的人権というものを掘り下げて考えてきておる。そういうところに、私は裁判所を非常に信頼していいと思うのです。いつ政権がかわるかもわからぬし、同じ政権であっても、また政策がいつ変わるかわからぬわけですね。そういうことにとらわれないで、裁判所がそこまで突っ込んで考えている。決して、そんな政府の立場を頭から無視するような裁判所はないのですよ。にもかかわらず、こういう結論を出してきておるわけでしてね。これは私は尊重してやってほしいと思うのです。あとに述べた再入国のやつは、現在最高裁に行っておりますがね。最高裁がどういう最終判断を出すかわかりませんが、従来の傾向から言いますと、これはいろいろ言う人もありますし、ここで私の感じを言って、あとで間違っておったらちょっとぐあい悪いから、それは言いませんがね。いま私が申し上げたような司法の判断ですね、直ちにそれに従うということはなかなか言いにくいだろうと思います。だいぶギャップがありますからね。ことにあとのやつは、最高裁にまだ行って確定しておらぬわけですか。しかし そういう判決を、いや、それはそれだというようなことを政府がおっしゃることは私はないと思う。だから、そこで両大臣に、私がいま引用した四つの判決ですね、こういうものを旅券行政の中に生かしてもらえるかどうか、そういう点についてひとつ承っておきたいと思います。
#78
○国務大臣(愛知揆一君) たいへん私、率直に申しまして、政府の立場に対しても御理解のある御質問をしていただいてありがたいのでございますが、政府といたしましても、最高裁の判決、これは幸いにして旅券法に関する限りは最高裁の判決は政府の見解を大体支持してくれておるように思いますけれども、しかし、地方裁判所の判決等、ただいま御引用になりましたような点も、十分私どもとしては意を体して、そして先ほど申し上げましたように、この旅券法につきましては、やはり未承認国に対する扱いが、ほかの国々に対しましては、御承知のように、今度の改正で非常に楽になるわけでございますけれども、したがって、未承認国に、個別審査といいますか、これが残るわけですから、その審査にあたりましては、そういった点も十分ひとつ念頭に置きまして、先ほど述べましたような原則によって個別的に慎重に検討してまいりたい。その気持ちとしては、先ほど申し上げましたように、制限をするという目的で制定された法律ではないということを頭に置いて処理に当たりたいと、こういうふうに考えております。
#79
○亀田得治君 法務大臣、どうですか。
#80
○国務大臣(小林武治君) 裁判所の判決に従うあるいは尊重するのはこれは当然でありまするし、したがって、他の一般の事案についても、参考にすべきことと、こういうふうに考えます。
#81
○亀田得治君 じゃ、基本問題はこの程度にいたして先へ進みたいと思います。
 まず、これは衆議院でも相当論議されたことですが、いま広州で開かれている交易会ですね、このために日本におる華僑総会の方々が行きたいということで申請がありましたか、十三名か許可されなかった。まあ、政府としては、従来の里帰りから一歩ワクを広げたんで、その努力は認めてくれという意味のことを衆議院等でもおっしゃっているわけですが、その点はよくわれわれ理解するわけです。理解いたしますが、この十三名が不許可になったというその理由がどうもはっきりしないわけなんです。私が先ほどから申し上げておるような立場で考えるならば、何も十三名の方にそんな危険な行動が予想されるというものでは私はなかろうと思うのです。もしあるなら、それをおっしゃってもらったらいいですがね。どうもそういう点の説明もないようですし、はなはだその点が不明確なんですね。これは法務大臣のほうの所管だと思いますが。
#82
○国務大臣(小林武治君) これは、従来御承知のように、要するに、再入国の場合は、未承認国については、あるいは親族を訪問するとかあるいは墓参をするとか、そういうふうな主として人道的立場においてのみこれを認めた。先般の場合は、それを拡張して、経済問題についても、日本の国益に合うと、こういうふうなことについてはひとつそこまで拡張しようと、こういうことで認めたわけでありますが、その承認をされなかった者は、そういう趣旨から言うて、貿易の関係者ではなかったとか、単なる世話役であったとか、こういうふうな個々の審査によってそして十三人の未承認ができたと、こういうことであります。あれは別段、御承知のように、団体で申し込まれたということでありませんで、渡航というものは、やっぱり一人一人についての妥当性を審査して認めると、こういうことで、大体貿易とか経済とか、そういう関係の方に限定する。その中には、いま私が申したように、貿易に関係のない人もある。あるいは単なるお世話で行く人もある。こういうふうな人がありましたから、そういう方は除いた。大体私が申したような理由でやっておりますが、もしもっと詳しくと言うならば、局長からお答えをいたします。
#83
○亀田得治君 局長からでもいいですが、十三名のうち四名は華僑総会の事務局の人のようですね。そういう世話役というものが必要な場合が多いわけでして、ことさらに私は除く必要がないと思いますね、本体が認められておるのですから。あとの九名の方は、これは全部貿易に関係のある人なんでしょう。貿易には関係があるが、華僑総会の役員とか、そういったようなことが取り上げられておるんじゃないですか。だから、その辺、もうちょっと詳しく局長からでも説明してください。
#84
○政府委員(吉田健三君) ただいまの御質問にお答えしますが、三十一名の申請者の中で十三名の方が不許可になったということで、そのうちの四名は華僑総会の事務局員、あとの九名が、それぞれ貿易もやっておられますが、同時に、華僑総会の指導的な立場にある役職にもついておられた。そこで、先ほど両大臣から御答弁がありました基本方針によりまして、個別審査で、直接広州交易会に深いかかわり合いを持っている方を中心に個別審査したわけでございます。本件は、先ほどの法務大臣のお話のように、新しい先例として一歩踏み切った段階の問題であるわけでございますが、いろんな立場からそれぞれ異なった意見もあることは当然先生が御推察くださるところであろうと思います。ここで複雑な要素が加味されておるところ、最も有効に実現可能な線を打ち出してこれを促進していくということを私たち関係者として審査いたしましたときに、事務局の方はまあ四名、若い方ですが、これは貿易には直接関係ない方でお世話役と。しかしながら、オリンピックの団体のマネージャーとかコーチとかいうのと違いまして、貿易を直接やっておられる方の、しかもことばもできるし、事情にもそうふなれではない、ある意味では母国と言っておられるところに行かれるわけでありますから、団体行動ということではないのでございまして、むしろ、個々に自分で取引をされるというのがたてまえであろうかと思うわけでございます。したがいまして、事務局というのは、これは必ずしも今度の一歩踏み切った段階における情勢におきまして不可欠な必要性のものではないであろうというふうに考えられるわけでございます。
 次に、九名の方が華僑総会のそれぞれの役職についておられるということも、確かにそれぞれの責任ある政府内の関係機関におきましていろんな角度から検討されたわけでございまして、しかし、役職についておるということ自体からは、だれそれは役職についているからいけないということではございませんので、現に許可になっておる二十一名の中に役職についておられる方もある。そこで結局、いろんな意見の出ている中で、この新しい方向を一歩踏み出していくというところで、広州交易会は毎年春、秋と二回あるわけですが、今度二十一名の方に積極的に参加していただいて、その効果、結果をさらに検討して、今後はたしてどの程度のものが実際必要かということがあるいは検討されることになるかと思うわけでございますが、いまの段階におきましては、角をためて牛を殺すようなことになってはいけないと、いろんな関係の意見を総合しまして、政府として二十一名の方が許可になったと、こういう結論になったわけでございます。
#85
○亀田得治君 個別審査と言いますが、これは十三名の本人の方に事情をお聞きになりましたか、直接。
#86
○政府委員(吉田健三君) すべての方には聞いておりませんが、間接的にも、また私直接ではなくても、私の部下の人が会って話を聞いておるケースもございます。
#87
○亀田得治君 十三名について私お聞きしているんですが、十三名の方に直接、あなたの部下でもいいですけれども、だれとだれに聞いたんですか。
#88
○政府委員(吉田健三君) ただいま、だれとだれに聞いたか、ちょっと手元に正確な資料がございませんので、いまの点はお答え申し上げかねます。
#89
○亀田得治君 これはまあお調べになって御報告願いたいと思います。といいますのは、皆さんのほうは、まあ警察庁とかあるいは公安調査庁の資料とか、そういうものをよりどころにしていろいろ検討されたと思います。しかし、こういう本人の基本的人権に関する問題についてその希望がいれられないというようなおそれのあることについては、これはやはり直接本人に適当な方が聞く。これはもう最小限度大事なことなんですね。そういう、調査といいましても、案外、本人に聞いてみたら、ああそういうことだったかということがたくさんあるわけです。だから、裁判所でも、いわゆる間接的な証拠なんというものはこれは証拠価値がないわけなんですね。そんなことはまだたくさんあるわけでしょう、日常。だから、そういう、まああなたがお調べになっても、あるいは一人か二人に聞いておるかもしれぬが、ほとんど聞いていないんじゃないですか。私はそういうことはよくないと思うんですよ。認める場合はいいですよ、認める場合は。人の喜ぶことをするんだから、そんなにごちゃごちゃせぬでもいいですが。
 そこで、もう一つお聞きしますが、個別審査をした。で、この人は従来どういうことをやっておったかと、そういうことだろうと思いますが、しかし、この人が中国に行って何かやりゃせぬだろうか、いわゆる公安なり国益、これに直結していくようなことをやりゃせぬだろうか、そういう判断をしたんですか、せぬのですか。その辺は、まあまあ今度初めてやるんだから、三十四名のうち二十一名ですか、行きゃたいしたものじゃないかというふうな気持ちで処理されておるのか、どっちなんですか。そこをちょっと確かめておきたい。
#90
○委員長(長谷川仁君) 吉田局長、ちょっとお伺いしますが、答弁に先立ちまして、ただいま亀田委員から、この十三名に関する資料請求ございましたが、この資料報告はできますか。
#91
○政府委員(吉田健三君) だれに会ったかという点でございますか。
#92
○亀田得治君 直接調べをした……
#93
○政府委員(吉田健三君) 直接調査をした対象の方はだれだれかということですか。
#94
○亀田得治君 次回までに出してください。
#95
○政府委員(吉田健三君) 亀田先生の言われる、直接調査の必要性につきましては、私も同感でございます。できるだけ私たちもそういうふうにいたしたいと思います。ただ、個別審査の内容というのはきわめて微妙であり、かつ個人にかかわりのある点がございますので、公に、どういうふうに会って、どういうふうな調査をしたかと言うことはいかがなものかと思われる点もございますので、直接調査の結果の資料を提出するかどうかという点につきましても、ただいま直接お答えすることを留保さしていただきたいと思います。
#96
○亀田得治君 私は、調査の内容のこまかいことを一々聞いては、それは個人の秘密に関することもあるでしょうし、そんなことは当然私もわかっております。ただ、その行政の進め方として問題を考えておるのです、進め方として。本人が真剣な気持ちで出しておるものを、本人の言い分を聞かないで没にしてしまう。そういう処理のしかたはよくないと、こういう意味で言っているわけですから、本人に直接当たったか当たらぬか。もし当たったとしたら、だれとだれにはだれが当たった、その点だけでいいです。中身まで出せとは言いません。それだったらいいでしょう。
#97
○政府委員(吉田健三君) 個々の方が真剣に申請を出されたということでありましたが、実は華僑総会のほうから、一括して名前をずっと書いて、これを考えてくれということで申請が出ておる。個々の方の陳情なり具体的な説明は、申請者のほうからも積極的にわれわれにはなされなかったわけでございまして、全体としてこれだけの人が希望者ですという資料を私たちが預かったわけでございます。もちろん、先生十分御承知のように、旅券を持たない人たちでございますので、正式の手続としましては、多少通式行為であるかどうか問題があるわけでございますが、個々の人が申請を出すというのがたてまえでありますけれども、今回は一括した書類で、一括――ただ陳情書という形で置いていかれたわけでございます。しかし、事の内容に着目しましてこちらのほうで調査をしたというわけでございますから、ただいま御指摘の点につきましては……
#98
○亀田得治君 当たったか当たらぬかのところだけを知らしてください。これだけなら簡単なことです。これはいいでしょう。中身まではいいわけです。
#99
○政府委員(吉田健三君) これは法務省だけがやったわけじゃございませんで、法務省は最終的に調整して、法務大臣の権限によって本件の許可がなされたわけでございますけれども、いろんな関係機関において調査と意見を総合して私どものほうに出されておるわけでございますから、各方面がどういうふうな調査をしたかというところまで具体的に、本人にどういうふうな会い方をしてどういうふうに聞いておるかということになりますと、非常に複雑になって微妙になってくると思いますので、非常に困難であろうというふうに考えております。
#100
○森元治郎君 関連して。
 私は渡航関係でいつも感ずるのですがね、局長。今度は三十四名から申請が出ているが、この三十四名中二十一名を再入国許可したわけですね、今度は七割でいこうか、今度は六割でいこうかというふうに大ざっぱに腰だめで。だから、七割なら二十何名とか、その範囲で選んでいるような。問題を非常にシリアスに、いまおっしゃった、一人一人を各関係機関がいろいろ調べているというお話だけれども、それほどシリアスでなくて、大ざっぱに取り扱っているのじゃないかという印象を受けるのですが、違いますか。
#101
○政府委員(吉田健三君) ただいまの、パーセンテージを先に出してそのワクにはめていったというようなことは毛頭ございません。これは、いろんな立場の人によりまして意見がそれぞれ違っておると先ほども申し上げたわけでございますが、極端な意見では一人も出す必要がないという意見もございますし、それから、非常にもっと多く出すべきではないかという立場の方もある。いろいろそういう関係を調整いたしまして、個別的に審査をしていって、結局二十一名という線が出たので、最初にワクをきめて当てはめたということは毛頭ございませんので、もしそういう印象を与えたとすれば、今後さらに注意していきたいと思います。
#102
○国務大臣(小林武治君) 私からちょっと申し上げておきますが、いまの問題は、私からどの程度なんということは指示したこともございませんし、結果的にこの程度が許可できると、いろいろの調査の結果、私に申し出がございましたので、最終決定は私がしたと、こういうことでありまして、まあ、いまいろいろお話ありますことは、これは今後必ず問題が起きてくると、こういうふうに思いますから、個々の調査にしましても、亀田委員がいろいろ言われたこと、こういうことは参考にして今後にも対処したいと、かように考えます。
 それから、いま申すように、個々にどういう調査をしたとか、あれに当たったとかこれに当たったとか、こういうようなことは、私は、役所としてそういうことは公の席で出すべきことでないと、こういうふうに思います。しかし、やり方はもう、お話しのように、やっぱり人権に関することだから、われわれのほうも慎重にいたして、そうしてお話しのような趣旨に沿ってやるべきだと、かように考えます。
#103
○亀田得治君 外務大臣、十二時半でしたかね。
#104
○委員長(長谷川仁君) 亀田委員にお願いしたいのですが、いまの資料請求の件は後ほど理事会で打ち合わせいたしたいと思うのですが。
#105
○亀田得治君 そうですか。そうしてください。名前など内容にまで触れぬでもいいから、行政のあり方としてお聞きしているだけですから、内容まで知りたいのじゃないのですから、そういう手続が踏まれておれば、われわれもあとはもうおまかせしていいわけだ、ある意味で。そういう意味で聞いておるのですから、理事会でひとつ御相談願います。
 そこで、さっき中途はんぱになったのだが、その個別審査をする際のねらいですね。過去のことを調べたのか。この人が行って何をやるだろうかと、どっちを重点に置いて調べたわけですか。そこだけおっしゃってください。あんまり時間ないので簡単に。どっちでもいいから。
#106
○政府委員(吉田健三君) 個別審査の重点は、個々の人がこの交易会に出ることによって、積極的に貿易促進あるいは国の利益にどういうふうに役立つかということを積極的に調べたわけでございまして、在留管理の面から、許可を出すとまずいのではないかという考慮がさらに別の観点からこれにつけ加わっておるわけでございますが、いままでの経歴もそれから今後の動向ということも総合的に考慮されておりますが、具体的にどういう程度にというのは、個人の資料によりましてここで正式に言うのはちょっと、審査の内容でございますので、遠慮したいと思います。
#107
○亀田得治君 まあ、また法務委員会でもなお聞く機会があるかもしれませんが、いまおっしゃった中で、この人たちが行くことによって国の利益にどういうふうに役立つかというふうなことをちょっとおっしゃったわけですが、これは私はちょっとおかしいのじゃないかと思うのですよ。国の利益に反してはいかぬと、こう法律は押えておるのですよ。そんな、あなた、積極的に日本の国の利益にどれだけプラスになるかと、そんなことまで法律は要求もしておらぬし、また、そんなことを要求するのはそれは間違いですわ。だから、もしそういう基準があるとしたら、一体そんな基準どこからどういう根拠で持ってきておるのか、ちょっと聞いておきたいのだが、それはもう課題にしておきますわ、外務大臣にもうちょっと聞きたいですから。それは忘れぬようにしておいてくださいよ。
 それで、華僑総会に対して、どうも外務省なり法務省なり、何か偏見を持っているのじゃないかという感じがするのですね、見ていて。華僑総会は、御存じのように、在日華僑の愛国団結、相互援助、それから権利擁護、日中友好、こんなようなことでまとまっておる団体なんですね。自分たちの仲間の団体なんです。もちろん、この人たちに関係のある問題が出てくれば、それに対して国会に陳情に来たりいろいろいたします。しかし、それは私は当然だと思うんです。どこの国に行ったって、そこの国におる外国人は懇願に行くと思うんです。しかし、それを飛び越えて日本の政治に介入するとか、そんなことはしておりませんよ、そんなことは。だから、その辺に何か、系統が違うとかなんとかいうようなことで、何か偏見と誤解があるように思うんですが、そういう点はないですか。これは両大臣、たいへん大事な根本問題ですから、ちょっとお聞きしておきます。
#108
○国務大臣(愛知揆一君) 格別偏見を持つというようなことはないと私は考えておりますが、ただ、何ぶんにも、中国問題というものはなかなか複雑で微妙な問題でもございますので、そういう関連において、やはり十分注視しておく必要はあるんじゃないかと考えております。
#109
○亀田得治君 法務大臣、どうですか。
#110
○国務大臣(小林武治君) 私も別段偏見は持っておりません。
#111
○亀田得治君 まあ、ここでお聞きしているとスムースにいくんですが、なかなか実際になると、こうつかえるわけですが、あとから、局長にちょっと調査願っておった件は聞きます。先に大臣のほう。大臣が出られてから聞くことにいたします。
 そこで、朝鮮の問題をじゃあ一点外務大臣にお聞きしますが、昭和三十六年四月二十日の韓国に対する口上書を出してから、北朝鮮との貿易、ずうっと続いてきているわけですね。年々若干ずつこれがふえていっております、御承知のとおり。私は、貿易が進めば当然それに関連して人の往来もくっつくのが当りまえだと思うんですね。だから、将来これはふえる見込みがあるわけですから、当然これはふえていくと思うんですね。ふえなきゃならぬと思うんです、往来する人が。で、貿易はふえるけれども、人は実績どおりだと、こんなことは私はないと思うんですね。それでは、いままでよりも減らしたと、実質的にはそういうことにわれわれは感ずるわけですね。だから、その点はいま論議やめて希望しておきますが、二十一日のソウル新聞ですが、韓国は今度は共産圏貿易を検討し始めたと、こういう記事が出ておりますね。これも韓国も、実際問題として、そのほうが、そうせざるを得ないということに、だんだん貿易量がふえれば、なっていくんだろうと思います。いままでそういうことをきらっておったわけですね。そういう立場からも北朝鮮と日本との貿易に対してずいぶん文句をつけているわけです。今度は自分のほうでもそういうことを検討し始めておるわけですね。担当の李大臣の談話としてソウル新聞にそういうことが出たわけです。これは政府系の新聞ですから間違いないと思うんですが、もちろんその内容は、共産圏といっても北朝鮮を相手にしておるのではないようですね。しかし、それにしても、そういう変化が韓国自身にも出ているということであれば、私は、日本と北朝鮮との貿易について従来以上の積極的な立場をおとりになっても何とかそこはスムースにいくのじゃないか、愛知さんの立場に立っても――という感じがして、いずれにしてもこれはいいことだというふうに感じているのですが、その点どうでしょうか。
#112
○国務大臣(愛知揆一君) 私はこの二十一日の韓国政府の談話と申しますものはまだ見ておりませんし、分析もいたしておりませんが、日本の立場としましては、従来の貿易の実績などもございますから、渡航の問題についてはケース・バイ・ケースに慎重に検討してまいりたいと考えております。
#113
○亀田得治君 いわゆる横すべりに対して今度は罰則がついているわけですね。罰則自身について私たち非常に問題にしているわけですが、しかし、いま罰則を取ってくれと言っても、なかなか政府としも応じられる立場にないこともわかります。したがって、罰則の前提でお話をしますが、罰則をつける以上は必要な人数はやってやらなければならぬということが当然これは裏につくわけですよ、実績でなしに。人を満たしてやらないで罰則つけているというたら、つけているほうが悪いということになりますから、何といったって。だから、罰則と必要性、まあ数など言う必要はありません。必要性の充足というものは、これはもう表裏一体だというふうに理解していいと思うのですが、どうですか。
#114
○国務大臣(愛知揆一君) お話しのとおり罰則がつきましたから、正常な経済目的というようなことについてわざわざよそから入り込んできて罰則の対象になるというようなことは避けるような運用をしなければならない、そういうふうに考えております。
#115
○亀田得治君 それじゃもう一つ、今度はまあたとえば中国行きの旅券をもらって北京に行った。ほんとうに初めから予想しない――北京に行っていて、朝鮮との関係ができて、行かなければならぬというようなことになった場合、あるいはまた、反対の場合もあろうと思います。そういう場合に、今度罰則がありますから、政府の了承を取らなければいかぬわけですが、たとえば電報で外務省のほうに連絡する。電報でそのイエス、ノーを打ち返していく。こういう便法というものは講ぜられるかどうかということですね。といいますのは、最初の旅券を取る場合に政府としてもちゃんと所定の審査をやっているわけですから、どういう人だということはおよそわかっているわけですね。だから、これは当初予想しない事態です。いままでの横すべりと違い、これはほんとうにそこへ行ってから――そうでなければ初めからこっちで取って行けばいいのだから、いま私の申し上げたようなことが起きた場合に電報などでやるというのはできるかというふうなことは検討できますか。
#116
○国務大臣(愛知揆一君) まあ第一に、なるべく初めからわかるようにしておいていただきたいということは希望いたしますが、しかし、貿易の商機を逸するというようなことが渡航先で起きたような場合においては、できるだけの便宜の措置は講じて差し上げたい、こう思っております。具体的に電報でどういうふうになるかとか、これは事務当局にもいろいろいま検討してもらっておるところでございます。主義として、できるだけ簡便な措置ができるようにしてあげたい、こういう気持ちでおります。
#117
○委員長(長谷川仁君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト