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1970/04/07 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 法務委員会 第8号
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1970/04/07 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 法務委員会 第8号

#1
第063回国会 法務委員会 第8号
昭和四十五年四月七日(火曜日)
   午前十時十五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小平 芳平君
    理 事
                河口 陽一君
                後藤 義隆君
                亀田 得治君
                山田 徹一君
                上田  稔君
                木島 義夫君
               久次米健太郎君
                小林 国司君
                山崎 竜男君
                小林  武君
                山高しげり君
   国務大臣
       法 務 大 臣  小林 武治君
   政府委員
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  影山  勇君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   佐藤 千速君
       最高裁判所事務
       総局民事局第一
       課長       川嵜 義徳君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
   説明員
      警察庁警備局参
      事官        三井  脩君
      法務省刑事局公
      安課長       豊島英次郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (和光大学における強制捜索に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小平芳平君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#3
○亀田得治君 簡単に一点だけお伺いします。この訴訟費用臨時措置法の一部改正、これはたびたび国会に出るわけですが、そのつど、次の機会までには関係法規をひとつ整備して、一本化してわかりやすいものにつくりかえる、こういうことが言われ、特に前回の一部改正のときには、必ず次のときにはきちんとして出す、今回限りですと、こういう説明がされてきたわけですが、にもかかわらず、今回またこのような従来と同じようなやり方がとられておる。これは私は非常に遺憾だと思うんです、こういうことを繰り返すのは。一体関係法規の統一整備という作業がどういう状態になっておるか、この点をひとつ詳細に説明を願いたい。
#4
○政府委員(影山勇君) 訴訟費用臨時措置法を廃止しまして、訴訟費用に関する民事・刑事の基本法をつくるということは、亀田委員御指摘のように、かなり前からの懸案でございまして、特に四十四年の――昨年の六十一国会からは、法務省といたしましても、ぜひ今国会に提出いたしたいという心組みで、私どもの調査部を所管部局といたしまして、これに法務省の民事局、刑事局、それから最高裁の民事局、刑事局という各方面の協力によりまして、事実上の準備会をつくりまして、作業を開始したわけでございます。ところが、だんだん手をつけてみますと、訴訟費用臨時措置法中に組み入れられている金額その他をただ本法に組み入れるということではもちろん足りませんので、訴訟費用というもの全般について検討しなければならないという立場で、これに関する恒久法をつくろう、だんだん欲が出てまいりまして、訴訟費用についての実質的な法規を全部検討するということから始めたわけでございます。
 そういたしますと、この訴訟費用というものは、ただいまの民事訴訟費用法は御承知のように明治二十三年、それから刑事訴訟費用法は大正十年、いずれもかなり古い法律でございまして、訴訟費用は、民事訴訟、刑事訴訟、それから非訟事件と、各方面にわたるわけでございましたので、これらについて実質的な訴訟費用に当たるものはどういうものであるかということからずっと検討を加えてまいったわけでございますが、何ぶんにもいま申しますように法規もたいへん古うございまして、実際の取り扱いにまかせられておる部分が非常に多いわけでございます。そこで、そういう現在の実務の取り扱い方等を調べて、実情を十分調査しなければならないという事態に逢着いたしました。で、これもかねがね覚悟はしていたところでございますが、意外にこの点にひまがとれた。それからそのほかに財政的な面で、旅行日当とかその他日当問題では財政当局との協議も必要だというようなこともございましたために、だいぶおくれてしまったわけでございます。しかし、昨年以来本年一月までに、国会等の他の法案その他によって中断されますまで、民事、刑事で毎月――民事だけで三回、刑事で月二回ぐらいの会合を持ちまして、まあ現在の段階は、このすべての法規を洗いまして、そして大体の構想、総論的な部分を終わりまして、現在各論にかかっているというところでございまして、まあ総論、各論を通じて前々からの調査もございますので、今後は各論に入りますれば、まあいままでのペースが特段におくれるということもなく進行できるのではないかというふうに考えております。
#5
○国務大臣(小林武治君) いまお答えいたしたとおりでありますが、今日までおくれていることは非常に残念に思います。私はこの席で、次の通常国会にはこれを出す、提出をする、そういうことをひとつここで言明をして、事務当局もここでよくお聞きのとおりでございますから、そういうことをお答えいたします。
#6
○亀田得治君 責任者からそういうふうにはっきりお答えいただきましたので、これはそういう期待で私も了解しておきたいと思います。今度こそは最後だ。しかしまあ、責任者の大臣がああいうふうにおっしゃっても、事務当局の作業が進みませんと、事実上また約束不履行ということになりかねないのでございますから、非常に簡単な法律であれば、大臣の責任を果たす意味において、わずかの短期間においてでも作業をして押し切って出すということもこれはできぬこともないが、これは非常に各種のこまかい規定にわたっているものですから、これはやはりどうしても事務当局の準備作業、これをもう確実にやってもらわぬといかぬです。そうすると、来年の国会に出すとしますと、何でしょう、もうあまり期間がないわけでしょう。これは法制審議会にやはりかける事項になりますか。
#7
○政府委員(影山勇君) 現在のところでは、事務当局といたしましては、法制審議会にはかけないでよろしいんではないかというふうに考えております。
#8
○亀田得治君 まあそうなら、相当中間の作業段階というものが省けると思いますね。で、ちょっとお聞きしておきますが、このどの点が非常に処理しにくい問題になっておるのか、実質的に。
#9
○政府委員(影山勇君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、とにかく現在の民事訴訟費用法、刑事訴訟費用法も古いものでございますから、この解釈にまかされていて、そして実務上の取り扱いで解決されている部分が非常に多いわけでございます。で、これらを全部検討いたしまして、なるべく列挙主義的に、これを利用いたします当事者はもちろん、裁判所関係者にもなるべくわかりよく、統一的に全般の均衡のとれたものにしたいという、そういう努力でいろいろまあ時間を要しておるというような実情でございます。
#10
○亀田得治君 もう少し具体的に申し上げると、たとえばいままで訴訟費用という範疇に入らなかったものを新たに加える、あるいは入っていたものを除くとか、そういう問題があるのかどうか。そういうことになると、なかなか検討を要する事項も出ると思います。
 それからもう一つは、具体的な金額の問題ですね、これは相当バランスがとれないといかぬという問題もあろうかと思いますね。どういうところで非常に苦労しているのか。ただ、現在は非常に各種の法規がばらばらに存在するものですから、その実情把握ということが一つの大きな問題だろうと思いますが、しかしこれは皆さんの機関を通じて調べればそんなにむずかしいことじゃないですよ。時間さえかければちゃんと現状というものは明らかになってくるわけです。そこで、整理するといったら、私が指摘したような二つのことに尽きると思うのですね。それで、やる気にさえなれば、そんなに私は問題がないのじゃないか。ただまあ皆さんが、こういう、そして見ようによっては事務的な法律ですからね、あるいは興味がない――まあ公害罪とか、あるいは飛行機乗っ取りの防止の特別法とか、こういうことになると非常に関心も深いだろうけれどもね、こういうのはどっちかというときわめて事務的な色彩の強いやつですからあまり興味がない、それではかどらぬのではないかと実は憶測もしているのです。私はずっと整理してみると、私がいま言ったように、二つくらいに問題が帰着すると思うのですね。
#11
○政府委員(影山勇君) たいへんよく使われる重要な法律でございますけれども、ただいま申し上げましたように、何ぶんにも解釈にまかせられておりまして、御承知のように、たとえば手数料の印紙貼用ということについてもいろいろな問題がございます。たとえば、今度現行のように期日の延期とか続行申請のような中間的なものまで一切申し立てについて手数料を取るということがいいかどうか、これをやはり一定の見地から整理する、そしてもう少し実質的なものにしたいとか、あるいは訴訟前の当事者の準備に関する費用、これも、御承知のように、「権利ノ伸張又ハ防禦ニ必要ナル限度ノ費用」とだけ書いてございまして、もっぱら事務的に解決されている。こういうものを列挙的にできる限り明確にしていきたい。これらのことが意外に手間どっているわけでございます。ただまあ、現段階ではもうすでに相当これらについての資料もできましたし、それから大体総括的な、総論的にこれとこれとこれは大体取り上げ得るだろうかというようなところ、あるいは特に民事訴訟法、刑事訴訟法自身にこれは置く、それからこれは訴訟費用法に置く、こういうような分類は大体できた段階でございます。あとは、いま申し上げましたようなこまかい各論に入りまして、なるべく整然としたものをつくりたいという作業を続行しているわけでございます。まあ現在の進度でいきますれば、来年度の国会までには事務的にも可能だというふうに考えております。
#12
○亀田得治君 そうすると、まあ現状把握のための資料の整備は大体終わっている、それから総論的な骨組みは大体かっこうがついてきている。そうすると、あと各論、これはまあバランスの問題ですね。金額、こういう点も大事なことだと思いますが、まあバランスはまたあとからでも変えれぬこともないわけですし、なかなかどの金額が一番適正かということはむずかしい問題だと思うのです。だから、その辺はひとつある程度のところでやはり議論を打ち切って、ともかくこのきわめて複雑な見にくい現在の体系をわかりやすいものにしてもらうということで、まあいまお聞きしたような状態なら、大臣がさっきおっしゃったような考え方、これはもう事務的に見ても当然私は間に合うはずのものだと思いますので、これはまあ重ねて要望しておきます。
 それで、もう一つお聞きしますがね、具体的な金額の点について、やはりこれは今度の法律で、この事柄については幾らというふうにきちんとやっぱり明示していくことになるんでしょうね。一々これを変えるのはめんどうくさいから他の法規に譲るというふうなことはどうも性格上できないと思っているのですか、そういう点はどうですか、これは念のため聞いておきます。
#13
○政府委員(影山勇君) 手数料等の印紙には、現在、御承知のように、印紙法というものがございまして、これを法律で確定するようになっておりますが、その他の、たとえば証人の日当のようなものについて、これはまだ検討を済んでおりませんが、全くこの物価事情等で、毎年のように上がるというようなものができてまいりますと、あるいは他のいろいろ鑑定人その他のように規則で定めているものもございますので、はたしてどちらが適当であるか、これはいまのところまだきちんと確定しているわけではございません。将来検討いたしたいと、こういうふうに思っております。
#14
○亀田得治君 以上で終わります。
#15
○委員長(小平芳平君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 訴訟費用臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#18
○委員長(小平芳平君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#20
○委員長(小平芳平君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#21
○小林武君 前回は、和光大学における警察官の捜索、差し押えの執行状態について概括的な質問をしたわけです。どういう趣旨でやったかということはすでに先回に明らかになっていると思いますから、これは省略いたしまして、私、この前回の質問の要約のようなものがこれからの質問にも関係いたしますので、一言触れておきたいわけですけれども、私は、前回の質問で一番中心の問題になったのは、学校側が立ち会い並びにかぎを入手するということについて協力的であったかどうか――協力的というか、令状を持っていった者に対してどういう態度をとったかということ、これが大事な問題点だと一つ思うわけです。これについては、警察側の主張するところは、立ち会い及びかぎを入手する保証がなかったとこう考え、裁判所側もやはりそういう見解に、これは警察官のほうの疎明等によって信じていらっしゃるようであります。この点はやはり、この間の質疑を通して、梅根学長が警察側から依頼を受けたのが七時ごろ、それからかぎを渡しなさい、立ち会いなさいということを学長が指示を出したのは七時四十五分から五十分。この点については、刑事訴訟記録の、押収に関する裁判及び司法警察職員の処分に対する準抗告というものの記録によって、梅根学長の考え方は、令状を持って来た者にはかぎを渡し立ち会いをしなさいということは常々話しているということを述べたし、また、いま述べたように、かぎを渡して立ち会いをしなさいということを事実上命じているわけですから、立ち会い及び入手する保証がないということを信じて、あるいは信じたという、入手する保証がなかったと主張する、そういう前提に立ち、そういうたてまえに立ってやったことについては問題があるのではないかということが、私は質疑の中で明らかにされたように思うわけであります。事実また、かぎを使用し、立ち合いを後に求めたわけです。ただ、七時に申し入れをして、そうして七時半にはそこに入る、そういう時間的の余裕のないやり方でやったということについては、これはやはり警察側としては大いに反省する必要があるし、これからこの種のことについては厳重なやはり反省が必要ではないかと思うわけです。それからそのほかにも占拠中の事例があって、学生が抵抗した事例が前にあったわけであります。この点について、そういう事態があったから今度も抵抗されるだろうというような判断をなさったのか。学校側がそれに対して、特に梅根学長の証言の中にも、もう少し時間の余裕があれば説得できたということを述べておりますし、あの教授の皆さんの御発言の中にも、そういうことが述べられているわけでありますから、そこで両者の意思統一を不可能であると即断を下すことはどうか。サッカーの試合のことなども例に述べられておりますけれども、サッカーの試合があるから、これはもう当然また学生が乱暴したらというような断定のもとに、この捜索は非常な短時間の間に学校側の立ち会いを受けないというたてまえに立って行なわれたということを、この前のあれでは強く感じました。そういう感じの上に立って、私の判断に立ってこれから何点か質問するわけでございますけれども、その前に御説明いただきたいのは、○○○○、凶器準備集合、公務執行妨害、建造物侵入という、これは起訴されたわけですか、不起訴ですか。
#22
○説明員(豊島英次郎君) 私の記憶では、起訴されたというふうに記憶いたしております。
#23
○小林武君 ほんとうに起訴されたのですか、これ。何だか起訴されないというようなあれを聞いているのですがね。
#24
○説明員(豊島英次郎君) その点の記憶、私も正確でございませんので、もう一度調査の上正確に答えさせていただきたいと考えております。
#25
○小林武君 これは警察のほうではわからぬですか。
#26
○説明員(三井脩君) 私たちのほうでも、ただいま現在の状況ちょっと承知いたしておりません。事件直後の状態ではまだ処分保留であるというふうに聞いておりましたが、現在どうなっておりますかちょっと確かめておりません。
#27
○小林武君 もう一つ、被疑者の氏名不詳というのがありますね。銃砲刀剣類所持等取締法違反、これはどうですか。
#28
○説明員(三井脩君) これは、本件の問題の翌日の、つまり十一月十日の捜索のときであったと思いますが、この人は少年でございまして、捜索当時は氏名不詳でございます。現在ではもちろんわかっております。で、本人は処分保留でその後釈放になったということを聞いております。
#29
○小林武君 これはぼくの聞き違いですか。氏名不詳のほうは卒業した者でないですか。少年が大学を卒業するということはありますか。何か間違いではありませんか。○○○○は十九歳というからあるいは……。
#30
○説明員(三井脩君) 失礼いたしました。ちょっと○○の場合と混同しておりましたが、氏名不詳のこれは、銃砲の違反という、銃砲・刀剣を不法に所持し、これを使用したという事例でございますが、名前は高橋という人でございますが……。
#31
○小林武君 それは起訴になったのですか。
#32
○説明員(三井脩君) 現在のところ処分保留ということです。
#33
○小林武君 氏名不詳はね。○○はどうです。
#34
○説明員(三井脩君) ○○も、ただいまお答えをいたしましたように、事件後の昨年あたりの状況では処分保留ということに聞いておりましたが、今日起訴になっておるかどうかちょっと確かめておりません。
#35
○小林武君 私は起訴されていないようなあれを聞いておるんですが、ただしそれは、ぼくのほうはそういうことについて断言はできませんが、これはぼくは、起訴、不起訴というのはずいぶんこの問題について関係が深いことですから、これはいま明らかにされないということであれば、後日でもけっこうですから、もう一度調べた上に立って私のほうでも質問することにして、それから武闘訓練というのは、これはどういう訓練ですか。一般にあなたのほうで言う武闘訓練というのは、どういうやつを言うのですか。
#36
○説明員(三井脩君) いわゆるゲバ闘争と申しますか、角材その他の凶器類を持って攻撃をかける、そのための集団による行動のしかたというようなものを私たちは武闘訓練というように一般的に考えております。
#37
○小林武君 武闘訓練というからには、一人でやったのは訓練になりますか。一人か二人が何か棒を振り回して何かやったというのは訓練になるわけですか。訓練という名前がついたからには、訓練する者があって、訓練される者があって、そうして幾らか集団でなければならぬような気がするんですよ。普通訓練という場合にはそういう条件じゃないですか。この場合、棒を振り回してそこらを踊り歩いていたら、これは武闘訓練になりますか。そこらのけじめはどうなっておりますか。
#38
○説明員(三井脩君) 武闘訓練というものはよく一般にも言われておりますが、私は多くの場合には、数人以上の集団によって訓練をする、行動練習するという場合が典型的な場合だろうと思いますが、そういう背景の中でウォーミングアップするというようなことで、ただ一人でやったという場合も、広い意味では準備行為である、ゲバルト闘争をやるための準備行為であるという意味で訓練にも含めていいと思いますが、必ずしも厳密にそういうような点について私たちが定義をしていると申しますか、観念を確定しているということではございません。一般に言われている武闘訓練と、こういうふうに考えております。
#39
○小林武君 和光大学の場合の武闘訓練というものは、これはかなりはっきりした何か断定的なあれが書かれておりますわね。あなたのほうでもおそらくそれについての資料を出されたと思うのですけれども、警察のほうではっきりしている和光大学内における武闘訓練というのは、いつごろ、どの場所で、一体どんなのが集まって、一体どのような訓練したのですかね、かなり具体的に明らかにされていることと思うのですが。
#40
○説明員(三井脩君) 警察側の武闘訓練についての説明と申しますのは、おそらく準抗告手続の中で意見を求められ裁判所に提出した書類、その中に言われているのだと思いますけれども、令状の請求の場合の被疑事実の中には、その点は別に言っておらないわけでございます。で、本件の場合には、和光大学を捜索する必要があると考えたのは、簡単に申しますと、和光大学の外で、つまり東京の都心で本件犯罪がございまして、その犯罪に至る過程、またその犯罪が済んでから後に和光大学に立ち入ったとか、あるいはその他の、和光大学と密接な関連があったということで、ここを捜索することによってその資料が入手できるというように考えたわけでございます。
#41
○小林武君 資料として武闘訓練のことについては出ているわけですね、裁判所は。そうすると、武闘訓練なるものの、その訓練の内容、規模、日時というようなものが確定的でないというと、これうわさによってやったのか、そういう確定した事実を述べたのか。私は、裁判所側の準抗告の申し立てに対して棄却をした、それについての内容を調べて見ると、かなり警察側からはっきりした内容のものが示されて、それについて判断したというように見られますが、どういうことか、ちょっと説明してもらいたい。
#42
○説明員(三井脩君) ただいま武闘訓練一般的なことを申し上げたわけでございますが、本件の場合に裁判所で警察が言っておりますのは、むしろそういう場合のことをここで言っておるのではなくて、この大学の中で拳銃を用意をいたしまして、拳銃の発射の練習をした。拳銃を大学の中でつくった、あるいはつくられた拳銃を大学の中で発射をしてみたというような点を、つまりゲバルト闘争のための準備行為をここでやったというところに力点があるというように考えておる次第でございます。したがいまして、東大の御殿下のグランドでやったように、夜中に数百人ずつ二手に分かれてやったというのが常識的に見た武闘訓練ということになろうと思いますが、ここではゲバルト闘争、凶器をもってする襲撃行動の準備、あるいはその準備の一環としての練習、こういうようなものを裁判所で警察としましては意見として申し述べた次第でございます。
#43
○小林武君 裁判所はあなたのほうから言われた資料に基づいてやったと書かれておりますわね。武闘訓練の内容については、この文章としては、「研究室棟を中心として学生らにより改造拳銃、火炎びん、鉄パイプなどで武闘訓練が行なわれたという情報」、こう書いてありますわね。そうすると、あなたのほうでいま言った改造拳銃で何か捜査のあれでは一発ドアに通したとかなんとかというあれがありますけれども、あなたのいまのおっしゃることとはだいぶ違うので、私はこれはもう、大学内でこういうことをやったとしたら、これはかなり大がかりなこと、一人でやるという性格のものじゃないと思います。「改造拳銃、火炎びん、鉄パイプなどで武闘訓練が行なわれた」、「研究室棟を中心として」――中心だから、相当広範囲にわたって、場所も明らかにしているわけですから、私は、裁判所の文章としてはこれくらいにまとめられれば、警察側としてそういう情報を提供した、資料を提供したということになれば、内容的にはもっとはっきりしたものがなければならぬと思うのですがね。いつごろ行なわれたのか、一体そういう情報というのはどこから入手されたのか十分お調べの上だろうと思うのですけれども……。
#44
○説明員(三井脩君) 裁判所に提出いたしました警察側の準抗告申し立てに対する意見という点につきましては、ただいま私が申し上げたようなことでございまして、火炎ビン、武器などの準備訓練、こういうことになっておるわけでございますが、そのほかに準抗告の審理の過程で、あるいは審尋というような形で、警察官も口頭でいろいろ御説明を申し上げたということがあるのかどうか、私はそこまでちょっと調べておりませんが、そういうことであるといたしますと、この疎明以外にいろいろ説明があったものと考えるわけでございます。したがいまして、裁判所がそういうふうな認定をしたということも、あるいはそういうところを根拠にしているのかと手続的には思うわけでございますが、その武器の準備の状況、火炎ビン等による訓練の状況というのが、本件事案の一〇・二一以前にいつどういう形において行なわれたかという点については、ただいま詳細その点を私は承知をしておらないわけでございますが、少なくともこの日に、十一月九日の日に捜索をいたしましたところ、研究室棟のドアに拳銃で撃ったと思われる弾痕が数カ所あったということがございますので、この点につきましては、武器を用いた、武器の使用方法を少なくともためしてみたというようなことが言えるのではないかと思うわけでございます。したがいまして、この武器の問題につきましては、そういう物的な証拠といいますか、そういう客観的なもののほかに、一〇・二一の闘争で逮捕された学生等の取り調べでも、この大学の中で拳銃を持っておったというようなことも出ておりまして、その後、翌日に捜索をして、このとびらを物的証拠として差し押え、さらに捜索の結果、その被疑者を検挙して送致をいたしております。以上のような状況でございまして、この大学を捜索するために必要な状況資料といったようなものにつきましては、その疎明の一環として、ただいまのような武闘訓練が行なわれたと思われる各種の状況を申し述べたということであろうかと、かように感ずる次第でございます。
#45
○小林武君 記録を見ましたが、それについての説明は、これは全部かどうかわかりませんけれども、全部だと思うのですがね。この二冊の中には警察のほうからどういう武闘訓練をやったというあれはなかったように思うのですが、裁判官がその中で、提出された資料に基づいて判断したあれが書かれておるのでありますから、私は、警察側としては、裁判所側の文章として、「改造拳銃、火炎びん、鉄パイプなどで武闘訓練が行なわれた」と、こう書いてありますね、あなたのほうでこのことが出されていないとすると、ちょっとおかしいと思うのですがね。どうして私そういうことを質問するかというと、大学という場所は――大学だからということじゃないですけれども、憲法三十五条のたてまえからいうと当然です。大学でなくたって、国民みなそうだ。しかし、学問の自由という二十三条がありますから、大学の場合はまたそれに付加された配慮というものがあるだろうということは、これはだれでも肯定することだと思う。それについて裁判官がこうおっしゃっているのですね。大学のようなところでは、「いやしくも無関係の部屋にまで捜索の及ぶことがないように場所の限定について十分な検討が不可欠であり、ことに研究室棟のように内部に多数の個々に独立した研究室がある建物については、研究室が本来もっとも直接に学問研究にかかわる施設であるだけに、学問の自由を保障する憲法二三条の趣旨を十分に尊重し、必要最小限度の範囲に限定して表示するよう格別の慎重な配慮が必要である。」、こうまず大学の場所の特定要素を欠いてはならぬということについて述べられておる。その次に、「ぜひとも捜索を必要とする合理的な事由があるため」捜索をやる場合には、「捜索を受ける者の利益と捜索の必要性とを考量したうえで、ある限度のひろがりをもつ表示をすることもやむを得ない」と、ここではそうは言っても「合理的な事由」があったらと、こう述べているわけです。その「合理的な事由」というのは、これはあなたのほうから出た疎明資料によってきめられているということがあるわけですね。そうして、その中のことを述べますというと、研究室棟がその本来あるべき姿から大きく逸脱しているのだ。一部の過激学生によって大学当局の意思を無視して自由にそこが占拠されておる。それから、本件各事実に関する計画や準備――研究室のとびらを利用しての射撃訓練、先ほど言った武闘訓練など、これが、先ほど述べました「合理的な事由」によってその範囲が広がることは、「ある限度のひろがりをもつ表示をすることもやむをえない」という理由になっているわけですよね。そういうことになると、私は警察官がどんな資料を出したかは知らぬが、その点について和光大学側も非常な不満を漏らしているわけだけれども、私は、そういうことから言えば、武闘訓練だとか、あるいは、これからも質問いたしますけれども、研究室棟がその本来あるべき姿から大きく逸脱したという事実をどの程度に警察はつかんでそういう資料を提出されたのかということです。私は、裁判官がどういう判断を下されたかどうかということについてはかれこれ言う必要はない、警察官がそれにどんな資料を提供されたか。
#46
○説明員(三井脩君) 令状を請求するときには、文書による資料、あるいは口頭による疎明、その他いろいろ、要するに疎明をいたしまして令状をいただくわけでございますが、この裁判所の決定でいわれておりますところは、要するに、この大学の外で行なわれました犯罪事実に関する計画や準備が大学の中で行なわれたということが一応認められるというところがポイントであるかと思いますが、そういう意味で、そのために大学の中を捜索する必要があると、こういう疎明をいろいろいたしたものというように考えるわけでございまして、その事実、たとえば武闘訓練がなければ大学の中を捜索できないというものではないわけでございまして、凶器準備集合その他の犯罪で逮捕された数十名、これの被疑事実の一証拠固めをするために必要な資料がこの大学の中に十分存在するということが認められれば令状が出していただけると、こういうふうに考えるわけでございまして、一件一件についてここでこまかく令状請求の際には申し述べておると思いますけれども、これは捜査に関連することであるというようなことで、私たちもこまかな詳細を一々承知をいたしておらないし、報告も受けておらないというようなことで、ただいまこういうような問題になっておるというように考えるわけでございます。
#47
○小林武君 この種の問題は、どうなんですか、あなたのほうで、こういう席上であろうとどこであろうと、説明を求められたら何でもしゃべるということはうまくないんですか、これ。どういうものですか、そういう制限ありますかどうですか。
#48
○説明員(三井脩君) いわば捜査の手のうちというようなところにかかわるものもございますし、その中で、たとえば武闘訓練について一応さらっと――私たちは十分だと思いますけれども、先生の御指摘ではまだはっきりしないとおっしゃるわけでございますが、だれから武闘訓練がいつどこでどういう状態で行なわれたということを聞いたというようなことを、公にするといいますか、明らかにすることになりますと、まあそういう協力をするとどこでまた裁判所その他に引っぱり出されて迷惑を受けるかもしれぬというようなことで、協力もいただけないという心配もございますし、また、本件の場合に、警察官が大学の外からそういう状況を見たのか、あるいは内部の人から聞いたのか、周辺の人から聞いたのかという、その辺の――ですから、私たちはこれ以上、疎明する過程での問題である、捜査の中での問題であるということですので、詳細は聞いておりませんし、また一線に対しましてもそういう報告を求めないというような従前のやり方になっておりますので、詳しくは存じないわけでありますが、少なくとも裁判所に令状請求するときに、十分裁判官に令状発付が必要であるという心証を持っていただくだけの資料は出しておるわけでございまして、裁判官に疎明をいたしました資料は、そういう意味では書類で出すものもございますが、口頭で申し上げるものもございまして、これは捜査の過程での状況、こういうことも十分申し上げるわけでございます。ただ、そこで申し上げたのが、どういう資料に基づいて、何であったかというようなこまかなことは、詳細は――大事なことでございましょうけれども、詳細は捜査の中の問題であるということで……。
#49
○小林武君 詳細は秘密ということだね。
#50
○説明員(三井脩君) 秘密という点もありますが、その秘密という意味は、これからの捜査に悪影響を与えないということと、また捜査に協力をいただいた関係者に御迷惑をかけないということもありますし、また、そういう観点から申しますと、さらにほかにも被疑者と疑わしい人間が幾つもそこの中で出てきておると、しかしいろんな十分な疎明資料等が得られないためにこの限度でしぼったというような、いろんな過程もございますので、原則としては、そういう問題については詳細私たちとしては突っ込まない、こういうふうにやってきておるわけでございます。
#51
○小林武君 事実何かがあって、だれもが、万人が認めて、そのことについて警察がいろいろなことをやったことがありますわね。ところが、これは大学側の意向というのは、もうあなたたちの考えたところと非常な隔たりがあるわけですよ。たとえば、この記録の中にあるように、研究室棟がその本来あるべき姿から大きく逸脱したというが、逸脱したと思っていないでしょう大学側は。そんな状況にはなかった。管理者としての立場から、管理する者の立場から、そういうようなことはないということを言ってるんだ。いいですか、そこに問題がぼくはあると思うんですよ。入ってくださいと、とにかくもうどえらいことになりましたということであるなら、これはもう協力すると言っているのだから、立ち会いもあれもやむを得ないと言っているんだから、これは明らかになると思うが、ただ、大学側はそんなことない、こう言ってる、そういうときに、私はいまのあなたのことばに非常にひっかかるわけです。もうそういうことを言ったら、大学なんというのは、常時もうだれやらわからぬけれどもいろんなところから、何というかな、ひそかに探られておるということになる。これはちょっと最高裁の刑事局長さんにお尋ねしたいんですけれども、私の考えでは、東大劇団のポポロ事件に関する大法廷判決の中で、裁判官の補足意見の中に、「大学の教育の場、学問の場に警察官が常に立ち入り、教授その他の研究者の研究、発表及び教授の仕方を監視したり、学問のための学生集会を監視し、これらに関する警備情報を収集する等の警察活動が許されるとすれば、到底学問の自由及び大学の自治が保持されないことは明白であるからである。従って、警察官が特に、警察官職務執行法六条所定の立入権の行使としてではなく、単に、警備情報の収集の目的を以つて大学の教育の場、学問の場に立ち入ることは、憲法二三条の保障する学問の自由ないし大学の自治を侵す違法行為であるといわねばならない。」、こう書いてるんですが、私はこの裁判官の補足意見の中に、大学というふうなことについては、この準抗告の申し立てに対する棄却の決定の中にも触れているように、研究室棟というものに対しては非常に慎重にやれということを述べられておるわけであって、その他から言うというと、ちょっとあなたのあれだというと――あなたというのは、三井さんのおっしゃることだというと、私は大学側がさらにもうこれからいろいろな点で危惧の念を持つのじゃないかということを感じたわけです。刑事局長さんにお尋ねしたいのは、そういう場合に、私が言ったポポロ事件の裁判官の補足意見のような考え方をいまだにわれわれが持っているとしたら、それははなはだもって時代おくれの考え方だということになりますかどうか、それをお伺いしたいわけです。
#52
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) まずポポロの御引用になりました判断でございますが、当該具体的な事件におきまして表明されました意見であることは間違いございませんし、それからただいま問題としておられまするところの東京地裁の決定でございますが、その中に先ほど来御引用になっておられますところの考え方でございますが、基本的な大学というもののあり方についての考え方です。それは共通しているものがあるだろう、かように考える次第でございます。
#53
○小林武君 そうなりますと、三井さんね、私はやっぱり疎明資料というようなものについて多少警察側の説明が不十分でなかったかと思うところがあるし、それから非常に問題点がある。あなたのおっしゃった中には、武闘訓練だけおっしゃったですけれども、私はこの中に書いてある、たとえば一部の過激学生が大学当局の意思を無視して自由に研究室棟に寝泊まりしている、あるいは集会をやっている、それから本件各被疑事実に関する計画や準備というのは武闘訓練その他のことでしょう、計画や準備をやった、研究室のとびらを利用して射撃訓練やった、この具体的なあれ。それから○○○○の供述調書というものも疎明資料として出されたと書いてある。だから、一つの項目あげて言っているわけじゃないのですね。それについて、裁判官としてはこういうことをこの中に述べられているわけです。「大学としてはいやしくもその施設が本来の教育、研究の目的を逸脱して使用されることのないよう十分に管理することが肝要であり、」、こう言っている。「不幸にして捜索等が行なわれる場合には自から積極的にこれに立ち会ってその手続の公正を確認し、必要なときはすすんで鍵等を提供して無駄な破壊を防止することが期待される」と言っている。このことばの中には、その施設が逸脱しているという前の考え方をさらにここで大学に注意を喚起している文章があるんだね。私はこれは、裁判官としては、警察側から出された疎明資料によって、確信とまではいかぬかしらぬけれども、まあ一応の確からしいという推測をお持ちになったのだと思うのだね。だから、その点について、まず研究室棟がその本来あるべき姿から大きく逸脱したということは、一体どういう――何か具体的なあれありますか。
#54
○説明員(三井脩君) この裁判所の準抗告に関する決定といいまするのは、和光大学側から申し立てがあって、それに対して警察官側に意見があるかということで、少なくとも意見を書面によって提出をした。両者を勘案した上で、あるいは両者を検討した上で裁判官がこういう決定をなされたものというように承知をいたしておりますので、両者側のどっちの言い分が正しいか、どちらにも若干ずつ問題があって、裁判官としてはこれが真相であるとこういうように考えたのか、少なくとも裁判所は、事実認定の点については、両者の意見を聞いた上で、裁判所の判断としてこの決定を示されておるというように考えるわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘の研究室棟がその本来あるべき姿から大きく逸脱しておるというのは、裁判所がおっしゃっておることでございまして、私たちはそういうことまでは言っておらないというように承知をしておるわけでございます。しかし、私たちが言っておることは一体何かというその事実関係はもちろんあるわけでございますが、研究室棟が本来の姿から大きく逸脱しておるというようなまとめ方がいいのかどうかという点は、私としてはよくわかりませんけれども、少なくとも本件の犯罪について、事前の共謀なり、事後にそこに戻ったとか、そういうようなことで、中央市場に乱入して乱暴を働いたというようなことに関してこれは六十九名くらいの学生が現行犯逮捕をされておりますので、その人一人一人について、これが送致をし、でき得べくんば起訴になるというような資料を十分に収集しなければならぬと、こういうことになるわけでありますから、もっぱらそういう観点からこの大学の捜索をしなければならぬというように考えた次第でございます。ただ、裁判所が言っておる研究の本来の姿からだいぶんおかしくなっておる、こういうような点について、もちろんいろいろな資料の疎明を令状をもらうときには当然いたしておりますけれども、この準抗告の過程の審理といいますか、そういう過程でどういうふうに言っておるかということは、私詳細承知をいたしませんけれども、少なくとも当該警察におきます認識といたしましては、この大学の学生がこの一〇・二一の事件を起こす以前からこの大学に寝泊まりをし、そこで会議を持ち、本件事案を敢行するについて計画を練り、準備行為を行なったというような事実を警察側としては疎明をいたした、こういうふうに考えておるわけでございます。これはあるいは余談になるのかもしれませんけれども、和光大学はあるセクトの一つの拠点になっておったというように私たちは見ておるわけでございます。したがいまして、ここでは拠点を持ってこられるくらいですから、和光大学の学生がその中にかなりの影響力を持っておったということは当然わかるわけでございますけれども、単に和光大学の学生だけでなくて、その他の大学生も大ぜいここへ出入りをし、各研究室その他の研究室棟を自分たちの支配下に置いて使っておった。そこから今回の一〇・二一の行動に打って出て、ああいうような事案を敢行したものである。したがって、当然、その行動を起こす計画なり、準備なり、あるいは意思形成に大きな役割りを果たしましたその拠点を捜索しなければならぬ。そこによって資料が十分あったのかということを捜査いたしませんと、これは捜査につきましても、十分捜査すべきものを捜査しないで処理なり事件なりを見ておると、こういうことに警察の立場からいえばなるわけでございまして、警察としては、お説のように、大学の中にそう行ってやりたいというような気もございませんし、大学というのは、いろいろの、ポポロ判決等からも示されておるように、かねてから、その立ち入りの理由が何であれ、立ち入ること自体によっていろいろ問題を起こす、こういうようなところでもありますので、私たちが特に慎重にこの問題について対処しておるという状況でございますので、今回のこの捜索の令状執行というようなものにつきましても、もとより十分な検討の上でこれだけはやらなければならぬということでやったものであるというように考えております。
#55
○小林武君 私は、裁判所などがどう解釈したかを、そのことをかれこれ言っておるわけじゃない。裁判官の書かれたものの中に、この決定書の中に、司法警察官から出された、警察職員から出された疎明資料、その資料に基づいてこういう判断をした、こう言うから、あなたのほうで一体それについて確信があるのかどうかということを、この資料だけであなたに質問しているわけです。だから、そのことを言われないというなら別ですが、言われるならやはりはっきり言うべきじゃないか。たとえば、武闘訓練など、こういう事実があってどうした――だれが調べたということはあなたのほうで言えないそうだから、それは聞かないことにしましょう。しかし、こうこうこういうことがあったということ、確信ですね、これはやはり当然申し述べらるべきではないか。いま話題になったのは、結局研究室棟という重要な場所、これは裁判官のおっしゃる。先ほどから刑事局長の御答弁でも、そう見るべきだ、それは間違いないとおっしゃる。その研究室棟というものを非常に広げてとにかく捜索をしなければならぬということになった合理的な理由というものがあなたのほうの得た資料によって生じたと、こう言っているから、そういう解釈をされているのだから、あなたのほうでそれについて明らかにする必要がないか。それは、ただほかのときであればそういうことは必要がないのですが、大学側が全然私のほうは違いますとこう言っている。そこのところに問題があるから言っている。私は大学という場所がどうであるかというようなことをいまさらここで言う必要はないのです。学問の自由なんということをいまここで議論して、大学の自治とは何だということを言わぬでもよろしい。しかし、そこにはやはり、裁判官も述べられているように、両方の立場というものを考慮してやる節度がなければならぬと思うのです。そのことを言っているのです。だから、前回の質問のときにしつこく言いましたけれども、梅根学長はとにかく協力の態勢はあった。時間的にも許されるものがあるならそういう態勢をとるということはもう明らかになっているのに、その切迫したあれがあるとか、機密が漏れるとか、学生がどうするとか、いろいろなことを条件につけて、あなたのほうで三十分ぐらいの時間の差でしょう。次の氏名不詳の場合のあれについては、大学側が今度は時間的に間に合ったから、そういうあれはありませんでした、こう梅根学長も言っている。私は、そういうところで、何か大学側に対するあなたの考えにちょっと行き過ぎがあるんじゃないか。いま聞いているというと、和光大学というのは、あるセクトの拠点になっておるとか、だいぶ目をつけられたようなことをいうと、なおさらです。和光大学というのは、あなた調べていると思うけれども、あそこは占拠されて授業がとまったということはない。これは御存じです。それは、ほかのいろいろな各問題の中心になったような大学とは事変わっているところがある。そういう点、どうも私はしっくりしないのですけれども、今後のことを私いろいろ考えますのに、私の考え方、多少皆さんと違うかもわからぬけれども、どんどんどんどんあなたたちのようなやり方でやったら、大学が一体ほんとうによくなるのか、私はそうは思わないのです。そのことによって大学問題が解決するとは思わない。ますます一つの青年の不安というものをかき立てたり、反抗というものをかき立てて、ますます、何といいますか、社会不安というようなものが増していくんじゃないかということを考えるわけです。そういうことは国の立場として十分考えなければならぬと思うから、犯罪があったのに何もかまわぬでおけなんていうことを言っているのじゃない。そういう場合に、大学側と警察側が一体相互にどれだけの連絡をとり、どれだけのお互いの立場を理解し合って、そうしてやるかということに重点を置いて、私質問しているわけですからね。それは大学側が、準抗告が却下になった、棄却されたから、今度はどうするというようなことについては、それは大学側との関係だからあれだけれども、私は、そういうだんだん、だんだん両者の間の意見の食い違いが生ずる、警察側にも意見の食い違いが出る、そういうあり方というのは一体いいかどうかということになると、反省をすることは互いに――というよりか、私は警察のほうにあるのじゃないかと思うのです。私は一つのことを言ってあなたたちを何か責めるようだけれども、武蔵野美術大学で起こったことを、今度はとんでもない経済大学へ持っていって機動隊を入れて、学長までおどし上げるというようなこと、そんなことがやはりやられているということ自体に私は問題があると思うのです。そういうようなことが日本じゅうの各大学と警察との間に起こるというようなことが出るとたいへんだから申し上げたのです。だから私は、そういう意味で、裁判官にそういうような解釈をさせるいわゆる疎明資料というようなものについては、警察はもっと大学にわからせるような説明のしかたを隠さずやるべきだと思うのです。
 私はここでひとつ大学側のあれを読み上げると、全部読みません、要点だけ言いますと、研究室名三〇一番という石原教授の研究室のことです。「十一月九日に警察官の捜索を受け、入口のとびらと柱が破壊された。この研究室では、ゼミ及びプロゼミの授業を行なっており、その際学生が出入りしますが、それ以外の時間に研究会等で学生が使用を希望するときは、研究目的、使用曜日、時間を申し出させて、私の承認の上で使用を許可しています。使用が夜間にわたるときはあらかじめ必要書類に記入させており、学生が三〇一号室に宿泊したことは一度もありません。」、こう言っている。
 研究室名三二四番、人文学部人間関係学科、安永研究室では、「私の研究室を学生が研究会その他で使用することはしばしばありますが、いずれも私が承認した上でのことで、使用後の整理等も学生に自発的にやらしている。泊まったことがないかというと、泊まったことはあります。それは、研究会の必要上、あるいは大学祭の準備等のためであり、それ以外の目的で宿泊したことはない。」と、こう言っている。
 三一九番という研究室は、「ゼミナール、プロゼミに使用しています。学生がそれ以外に私の承認なく無断で使用したことはありません。」、北原教授の研究室ではそう言っている。
 それから人文学部の芸術学科、宮川教授の研究室では、「私の研究室は、管理者としての私の承認のある場合だけ、学生が研究等のために使用することがありました。今後も同様の扱いをする所存です。承認のある場合だけだ、それ以外に無断で使用させたことはありません。」、こう言っている。
 多木研究室の場合には、「芸術学科の場合には、ゼミナール学生一に開放されており、教員とゼミナール学生との研究討論の場として位置づけられています。研究室の体をなしていなかったというのは、不当である。研究室のあり方に対する無理解だと思います。」と、こう書いてあるのですがね。
 問題のあったところの研究室というのは、かなりそういうふうに出しているので、これをどっちを信用したらいいのかということです。逸脱して体をなしていなかった、あるべき姿から大きく逸脱しておったということと、学校側の立場がこのぐらい食い違っているのですね。そうすると、一体警察側はこれに対してぼくははっきりこうこうですということを言ってもらいたいぐらいですね。なお、これについては、梅根学長が記録の中に証人として述べていることは、先般のあのときに申し上げました、こういうふうに考えますが、警察側はこの点についてどうですか。ここでやりとりばかりやっても時間ばかり食いますが、納得のいくような説明を文書で出すとかなんとかはできないわけですか、その他の機会でもけっこうです。
#56
○説明員(三井脩君) 事捜査の内容に関しますので、なかなか御期待に沿いにくい点もあると思いますが、できるだけこういう場におきまして、私たちも申し上げられることをできるだけ申し上げるということにいたしたいと思います。
#57
○小林武君 それで、いまのぼくの申し述べた、特に和光大学の研究室側のそれぞれの責任のある方々の意見というのは、どう思いますか。あなたのほうとずいぶん開きがある。
#58
○説明員(三井脩君) この捜索は、事件が十月二十一日に起こりまして、実施いたしました捜索は十一月九日、十日――九日の日には捜索並びに検証を実施した、こういうことでございまして、つまり約七十名の者を検挙し一これは現行犯逮捕でございますが、それの捜査の過程でいろいろ出てきた事実、それからその他の方法によりまして警察官が知った事実、こういうものから、ぜひともここを捜索する必要があると、こういうようなことでございますので、あるいは調書で、だれがこういうことを言ったというようなことは調書になっておるわけですから、文書もはっきりあろうということになろうと思いますけれども、これは裁判の過程でその調書等は明らかにされるべきもので、その他の機会に必ずしも言っていいかどうかという点には問題があろうかと思うわけでございます。ただ、そういう意味で、この問題につきましては、われわれも慎重にやったつもりでございますけれども、大学側もたしなめられておりますように、警察側の執行の方法についてもたしなめられておるところがこの決定の上にもあるわけでございます、そういうような点につきましては、目標は大学というようなところでありますので、きわめて慎重に、大学の研究、運営というものと警察上の捜査の必要性というものとがおのずから両立するように、われわれとしてはできるだけ慎重な検討を加えるというのが基本態度でございますが、具体的な場合に、あるいはその辺のかね合いが、大学当局者のおっしゃることと、大学当局の立場から考えた場合と、警察側の立場から考えた場合と、食い違いが出てくる。この点は、ある程度はいつまでたっても解消しない、見解の相違ということもあろうかと思いますが、現在まで多くの場合には、私たちは大学側の無理解ということのほうが多いという場合がいままでの経過では多いわけでございますけれども、学生があばれましてもう二年以上になっておる、こういう事態の経過の中で、おのずから両者の関係がどうあるべきかというような点については世間もだんだん理解を深めておりますし、私たちもその執行のやり方について経験を重ねるに従いまして、一そうどういう方法がトラブルがなくて、また的確な目標とする資料が入手できるかというような捜査資料の確保というような点につきましても研究、検討を重ねてまいっておりますので、こういう問題については、いやしくも両者の間に、大学といえども、警察といえども、法律を維持するという点については一致しておるはずでございますので、それが両者の個別的な利害あるいは感情といったことによって現場的なトラブルが起こらないように、妥当な方法を研究して慎重にやってまいりたいということを考えておる次第でございます。
#59
○小林武君 ちょっといまの御発言については私は納得いかぬのですね。感情的だとか立場の相違だとかいうことで議論される問題じゃない。問題の中心は、憲法三十五条と二十三条の問題なんです。しかも、それにかかわる問題について、それぞれ刑事訴訟法とか関係の規則によってどう一体やったらいいかという、どうやることが適法であるかどうかということの問題なんです、言うてみれば。しかし、ごくささいなところでの感情問題というのは、これはありますよ。ごくささいな問題についてのそういうことは、自制するということができる。そういう問題に発展していると私は思わないのです。もっと大もとの問題で議論されていることですからね。
 それともう一つ、やはりあなたたちというものが大学を見る目ということについて、これはもう日本国民全体が不幸なことだと思いますよ。不幸なことであるけれども、これがまた日本だけの特例かというと、そうでもない。世界じゅうに吹き荒れている一つの大きな騒動ですね。若者の反抗なんですよ。このことをどう処理するかということが、これからの、おそらく先進国、後進国を問わず、いわばその国の発展とか世の中のためになるとかいうことについて大学というようなものがどんな貢献をするかということ、その貢献によってどう一体国民や民族的なものが満足するような状況をつくり出すかということにかかっているわけですから、私は、そういう大きな態度でものを見た場合に、見方があると思うのですよ。その点は、非常にあなたたちの場合は、何か犯罪ということだけの、そしてもう絶対的な警察権力というようなものにこだわり過ぎているのじゃないかと思うようなところがある。何でもそれは正しいというようなところ――ぼくはたくさんの事例は知りませんけれども、私の見た限りにおいては、幾つかの問題について見るというと、どう考えたって常識からいって無理だということがたくさんありますよ。ただしかし、一方的に私は責めようと思いませんけれどもね。だから、どうですか、こういう問題たくさんあるじゃないですか。この前も例にとりましたけれども、労働基本権としてストライキやるのはあたりまえだという考え方と、あるいは地方公務員法でもってストライキを、労働基本権があってもそれをとにかく許さないという、そういう一つの法律もある。しかし、憲法上の国民の権利というようなものをどう処理するかということは、これはやっぱり判例にも出ているわけですから、その場合にも、もういまの判決の中には、判例の中には、比較考量、相互の立場を考えるというようなことを言われておる。一方的にこれを無視することはできないということを言われているのですけれども、そういうものは今度のあの中にも裁判官として述べられておるわけだけれども、その点について、あなたのいまのお話だというと、非常にぼくは、大学が悪いからやむを得ないのだと、もっと協力すべきが当然だというようなふうに聞こえる発言は、なかなか納得いかぬのですよ。それをやっていったらどういうことになるかということを心配しておりますよ、正直言って、力でもってやるというようなやり方を。私は前の安保の六〇年以降の警察官と学生とのやり合いを見ていて、学生側の急にとにかく何だかヘルメットをかぶったり、それからいろいろな武装をやるというのは、どうしてああなったかといったら、私はとにかく議会の議員面会所の前でもって少数の学生がものすごく武装した警官によってやられたときに看病したものだから、見ていてあまりかわいそうだから倒れるのを救急車を呼ぶ手伝いまでした。そのときに、片方のほうは全く何も持っていない。ヘルメットもかぶっていない。そのころは手ぶらであった。あの状況から、だんだん何かいろいろなものを頭にかぶったり手に持ったりするというようになったということは、私はやはりこれはお互いが刺激し合ってそうなったと思っております、影響し合って。だから、そのことだけでものを解決しようとしても、この問題は解決できないと思いますよ。そういうたてまえから、まあ皆さんのほうでもひとつ十分御検討をいただきたいし、それからもっとはっきりしたことをわれわれにも述べていただきたいと思うわけです。私はひとつ、あなたのほうに冒頭にお伺いした、起訴されているか不起訴になったのかという事実がまだ残っておりますから、そのことの事実が明らかになり、また若干の点について時間がありますれば後日質問したいと思います。きょうはもうこれで、時間がございませんから。
#60
○亀田得治君 関連してちょっと一つお聞きしますが、本件の捜索について準抗告が出ました。そうしてそれに対して、三月九日付で東京地裁の刑事第九部で決定がおりたわけですね。決定の趣旨は、捜索を違法とは認めない、こうなっておるわけですが、その内容において、先ほど警察のほうから言われたように、執行の方法等について警察側の反省を求めている点もあるわけですね。その点については、警察はすなおにこの決定が指摘した点については反省をしておるわけですか。ともかく結論としては、これは適法であるかどうかという点については、適法という決定にはなっておる。しかし、適法でありさえすればいいというものではない。適法であると同時に、絶えず世間が見ても妥当なものでなければならぬ。両方兼ね備えることが一番いい権力の行使のしかたになるわけですね。そういう意味で裁判官が指摘をしておると思うわけですが、この件についてはどういうふうに受け取っておられるのか、その点を一つお聞きしておきたい。
#61
○説明員(三井脩君) 先般来御指摘がありますように、本件のような事案の場合は、どちらもいろいろ立場があると申しますか、警察は捜査を完ぺきにやりたい、大学のほうでは名目が何であれ大学の中に入って来てもらうのは好ましくない、こういう基本的な立場があろうと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、社会の秩序、法的な秩序を維持しなければならないという大目的については両者当然一致しておると思うわけでございますので、今度は具体的なケースについてのそれの実施と申しますか、警察側から申しましたら捜査の実施という具体的案件について両者の考え方なり気持ちなりというものにいろいろそごが出てくるということは、とにかく大学問題の場合にしばしばあるわけでございますが、この場合に、結局何が両者の立場なり両者の関係にけじめをつけるかと申しますと、結局法律であるということになるわけで、私たちとしては法律に従って的確に実施をするということが一番の任務でございます。この点につきましては、ただいま御指摘のように、適法であるということはいわば最低限の基準でございまして、これを割ったのでは法を執行する警察官としては失格であるわけでございますから、適法であるというやり方をまずやらなければならぬ。そのためには、捜査の途中でも裁判官の令状請求というチェックなり介入というようなこともあるわけでございますが、それをそういうような立場で適法にやるのは最低限であって、御指摘のように、同時に適法の中でも妥当であるというようなことが、世間から見てもそう思われるし、われわれ自身もこれは妥当なやり方だというような自信がある、こういうようなやり方をすべきであるというように考えておるわけでございます。本件につきましては、御指摘のように、しばしば申し上げておりますが、大学側をたしなめるとともに、われわれの側にもたしなめられている点が幾つかあるわけでございまして、この決定が出まして、われわれは率直にこういうような点について検討する――なるほど適法ではあったけれども妥当という点については問題がある、こういうような指摘のようにわれわれは感じて、その点についてはすなおに、かつ率直に反省をし、検討を加えていくという態度で望んでおるわけでございます。
#62
○亀田得治君 これは具体的に、本件にタッチされた警察官の方がおるわけですが、その方々に対してはいまおっしゃったような指示はすでにされたわけですか、まだ研究中なんですか、どっちなんですか。
#63
○説明員(三井脩君) 指示――内容は指示と申し上げていいと思いますが、いわゆる通達とか、あるいは全員集めて文書で渡すとかいうようなことではなくて、さっそく資料をつくりまして、この点につきましてはこの状況を資料化して問題点を指摘して渡しておるということでございます。一人一人の警察官に全員文書でいっておるということではないわけでございますが、執行の責任者等は十分知っておりますし、このことが従事した警察官にも伝えられておるというように私たちは考えております。
#64
○亀田得治君 伝えられておると思うということのようですが、それはひとつ大事なことですから念を押していただきたいと思いますが、どうですか。
#65
○説明員(三井脩君) いつどういう形でというような特定の日時というようなことをあるいは御返事するのはむずかしいかと思いますが、こういうことは一回言っただけでわかったと言ってもまた忘れては困ることでありますし、繰り返し教養の時間に言う。たとえばここで申しますと、制服の機動隊員と、それから私服の公安部員――公安係の警察官と両方が行ってこれに従事して当たっておるわけでございますから、こういうような問題点があるというのは、機動隊の場合は機動隊の課程の中で教養の時間というのがあります。その中で、捜査手続に関する教養あるいは研究その他いろいろありますが、また実技もあるわけでございますが、そういう時間に徹底をする。私服の警察官につきましては、これは自分で疎明資料をつくる、あるいは令状請求に従事するということでございますから、これは当然のことながら自分の問題として承知しなければ次の仕事ができない、こういう立場でございますから、十分徹底しておるというふうに私たちは自信を持っております。
#66
○亀田得治君 特にまあ必要以上に錠をこわしたという点、この点は裁判官も具体的にこれは指摘しておる点ですね。で、訴訟法だけを見れば、捜索の執行について錠をはずすことができるということは、これは書いてあるわけですが、しかし、そのことだけを執行に当たる者が頭に入れておると、ついやっぱり間違いをおかす。これはどんな条文でもみんな同じだと思うんです。どんなことができるという権限は書いてあるのですけれども、これは書いてあるのだからどんどんやったらいいんだというものでは絶対にないわけですね。絶えず必要な限度をこえちゃならない。これはもう一々書くのはめんどうくさいから書いてないわけでしょう。だからまあそういう点は、ぜひやはりこれは平素の訓練ということも必要なんじゃないかと思いますね。これはまあ希望しておきます。
 それからもう一つは、さっきからの質疑応答を聞いておりますと、捜索の必要性についての疎明を裁判所に対して警察から行なったと、ここではその内容について言うのははばかるという趣旨のことのようでありますが、まあ非常に詳細なことは多少まだ事件が落着しておらぬとすれば問題点があろうかと思いますが、こういう事柄についてどういう人の疎明があったのだというふうな、項目的に説明されるということぐらいは当然あっていいんじゃないかと思うんですね。そうしませんと、適法であるかどうか、これはまあ裁判所が最終的に決定する問題ですが、国会で審議をしておるのは、適法、違法の問題だけじゃなしに、やはり権力の行使の妥当性というものについてもこれは審議の対象にするわけですからね、そのことの判断がこっちはつかぬわけです。だから、そういう意味で、もう少しその点は説明があってしかるべきじゃないかというふうに私は考えるのです。それはまあ、今後のさらに関連した捜査に支障があるとか、あるいは公判の進行上支障があるとか、何か具体的な理由があれば、それはまた別だと思いますがね。まあこういう捜査段階の疎明資料ですからね、そんなに私は関係があるとは考えないわけなんです。どうでしょうかね。さっきからのようなことで、それは申し上げませんということになりますと、前例になっても私困りますので、どういう問題が今後起こるかわからぬ、そういう場合に、これはもう以前和光大学のことでお断わり申し上げたのでというようなことになったのじゃ、これは国会の運営上困るわけです。この点やはり、警察としても差しつかえないことは、これは大っぴらに申し上げるということのほうが、これは堂々としていていいわけですね。どうでしょう。
#67
○説明員(三井脩君) 本件につきましては、すでに特別抗告がなされておりまして、これに対する結論がまだ出ておらないというようなことで、いま御指摘の問題になっておることずばりが最高裁にかかっておるというような状況でございますので、少なくともそれ以前の段階で申し上げるわけにはまいらないというように思いますし、同時に、いまの令状を請求する場合の疎明といいますのは、裁判官がどういう心証をとって発付したかという裁判官の心証のとり方の問題の適否がおのずから問題になってくる。ここでおっしゃいますのは、その前の出した資料で裁判官をごまかしたのだろうというあるいはお気持ちかもしれませんけれども、そういう意味で、この問題は簡単にここで全部をお話し申し上げていい問題かどうか、私の判断ではちょっとむずかしいような気もいたしますが、いずれにいたしましても、こういうような問題について、私たちが適法かつ妥当に仕事をしておるという点について疑念のある向きには十分御説明を申し上げるという基本線においては、私たちはいままでも一貫しておると思いますし、現在もそう思っておるわけでございます。その方法をどういうふうにしたらいいかというような点につきましては、さらに検討の時間をいただきたいというふうに思うわけでございます。
#68
○亀田得治君 これはまあ、なかなか微妙な点があることは、私もよく了解できますが、令状を出す立場の裁判官には説明をする、これは令状をほしいから説明するわけだ。しかし、そのような令状請求という警察の行動が妥当かどうかという部分は、これはやはりこちらで審議の対象にしていいわけですよ。たとえば何らの疎明資料もないのに、あるいは何らの疎明資料がないということはないけれども非常に不十分であるのに、裁判官の非常に忙しい時間を見計らって、そうして何か多少じょうずにとってくるというようなことがもしあったとしたら、これは裁判官自身も批判されなければなりませんが、その前にそのようなことを行なう請求者のほうがこれは批判されなければいかぬわけですね。その部分は、何といったってこれは国会、特に法務なり地方行政等のやはり審議の対象になるわけですよ。その際に一体どれだけのものをそろえて相手を錯誤におちいらせておったのか、こういうことになれば、どうしたってその中身を言うてもらわなければ判断できぬことですね。だから、そういう意味で、疎明資料の点はともかくノータッチだ、審議上そういうことにはしてはいかぬし、まあいまのお答えによっても、そういうふうにはお考えになっておらぬようですね。特別抗告でまだ最高裁で扱い中であるというふうなことも勘案してよく取り扱い上検討したいということですから、それはひとつよく研究してほしいと思いますが、たてまえとしてはやはり当不当という点についての御判断はいつでも受けて立つというたてまえじゃなければいかぬですわね、中身を明らかにして受けて立つ。
#69
○説明員(三井脩君) いまの御説明のとおりでございまして、私たちとしては十分にそういう内容について疑念のないように努力をいたしたいと思います。その際に、なまの資料と申しますか、関係者に迷惑がかかるとか、今後の捜査に影響があるとか、あるいは公判その他いろんな案件もあることでございますので、同類の事案もあることでございますので、そういうような観点を考慮いたしまして、できるだけひとつそういうふうに御説明申し上げる努力をいたしたいというふうに考えております。
#70
○亀田得治君 これはひとつ、非常にこの問題で審議をされている小林さんのほうと、よくそこは研究してみてください。
 それと、最高裁にちょっとお聞きしますが、これは特別抗告をして最高裁のほうにいっているわけですが、大体いつごろになりますか、結論が出るのは。
#71
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 特別抗告の申し立てが三月十四日にございまして、記録が最高裁にもうすでに参ったようでございます。したがいまして、事の性質上、できる限りすみやかな結論を出すということで裁判所のほうとしては進めておるということであろうと思いますが、いつごろということはちょっと私どものほうとしてはわかりかねるわけでございます。もちろん、先ほど申し上げましたような性質上、なるべくすみやかにということで裁判官も検討をされていることと存ずる次第でございます。
#72
○亀田得治君 警察のほうで疎明資料について項目的に国会で説明をしたということがあっても、そのことが特別抗告の最高裁における裁判に影響をする、そんなことは考えられぬでしょう。裁判官は裁判官として、そういう国会における説明とは別個に記録等そのものに直接依拠して判断をするわけですから、少しも私は関係ないと思うんだが、その点刑事局長どういうふうに考えますか。
#73
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) かなりデリケートな問題ではないかと思います。具体的な事件でございますし、それが最高裁で判断されようとしておりますので、それは確かに記録でということではございますけれども、やはりかたがた、国会のほうで当該、同じ事件について――結局面は違うという点はございますが、かなりその点は関連性においてデリケートなことになるわけでございまするので、まあ警察のほうの御説明のしかた、あるいはその内容ということもあろうかと存じますが、具体的な事件がこれから最高裁判所において判断されようとしているということはひとつ十分にお含みおきをいただきたいことだと存ずるのでございます。
#74
○亀田得治君 警察が説明しようとすることは、これは最高裁も記録等によってちゃんと把握していることなのと違いますか。
#75
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) まあそのことを前提にして申し上げますと、まさにそうであろうとは思うのでございまするが、訴訟記録というものの公開の問題、これと関連してまいることになるかと思います。訴訟記録の公開の問題になりますると、公訴の提起前におきましては記録の公開というものは原則としてしないということになりますものでございまするから、やはりその点におきましても問題があるということでございます。
#76
○亀田得治君 いや、その点の問題があるから微妙であることは間違いないんだが、そうなりますと訴訟上一段落がつくまでは警察の行動についての批判というものがなかなか制約される、こういうことになるわけですわね。国会でやっているのは、裁判所のように適法か違法かということよりももっと範囲が広いわけですね。範囲の広い部分についての若干の説明を求めておるわけですがね。それに非常に支障がくるわけです。そうして、求めている説明というのは、訴訟記録自体の公開を求めておるわけじゃないわけです、ここではね。
#77
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 実質的に記録の公開になるというようなことでございませんで、御審議の面が違うということで差しつかえないではないかという、こういう御趣旨かと存じます。結局御審議のしかたの問題ではなかろうか。かたがた、具体的意見が訴訟上係属しておって、それについて最高裁判所の判決、決定がやがて出るであろうということ、そのことを御念頭にお置きくださいまして、面の違う点から御調査をなさるということであろうと思いますが、基本的にはその点では面が確かに違うわけでございます。ただ具体的な事件があるということを十分御留意をいただきまして御調査をいただきたいと、かような趣旨でございます。
#78
○亀田得治君 まあ、裁判所が扱っている問題に対して、何かそれに圧力をかけるというふうな意味での国会の調査権の発動というものは、これはもう自制しなければいかぬということは、われわれもこれはしょっちゅう言っておることです。ただ、それに便乗して、そうしてただすべきことも放置されるということじゃ、これはまたいかぬ。大体まあ意味は御理解願ったと思いますが、まあそういうことですから、ひとつ警察のほうも差しつかえない範囲で説明は適当な方法でやはりやってほしいと考えますね。
#79
○小林武君 ちょっと一言だけ。先ほどの御答弁の中で、疎明資料で裁判官をごまかしておるというなにがありましたけれども、そういう角度でものを議論しておらないので、そういうあなた発言なさったでしょう。それはごまかすとかごまかさぬという話ではない。問題が問題だということは、ぼくは先ほど来話している。だから、ごまかしたとか、ごまかされたとか、ごまかしたことに対してどうだという議論になると、これはちょっとあなたのほうへ、記録の問題にしろ、それからいろいろ取り扱いの問題にしろ、これはちょっとぐあい悪いですわね。そういう角度で質問しておらないということだけは、これは亀田さんの発言に対するあれだけれども、そのことはまた、私の前回と今回の質問に対しても、あなたがそういうことをお考えになっているわけじゃないだろうけれども、ことばじりとらえて言うわけじゃないけれども、ただ記録に残ることだから、やはりごまかしてやった、ごまかしをあれしたなんていう議論はこの席ではやってないということをやはりお互いに確認する必要がある、こう思うのですがね。
#80
○説明員(三井脩君) さっき亀田先生が裁判官に錯誤を与えるというふうにもおっしゃいましたが、あるいはそういうことばのほうが適切かという――令状発付した裁判官と資料提供して疎明をした警察官との関係、この点を調査の対象にされるという場合に、裁判官の立場はすでにはっきりしておるという段階におきましては、そういうような点が問題になるのかなというような点もあろうかということを申し上げたわけでありまして、先生の御質問がそういう意味であるということではありませんで、令状請求のその裁判官と警察官との関係を突っ込んでいきますと、裁判官の立場がすでに客観的に文書によって明らかにされておる以上、警察官のそれに裁判官の錯誤を与えるようなことがあったのかということが問題になるのだと、もう一つは、すでに裁判官の立場は明らかにされた、その立場がおかしいと、こういうことになるのか、結論はいずれか、あるいは、客観的にといいますか、現状が一番いいということになるのか、結論は三つしかないのだろうと思ったものですから、そういうことを言ったわけでございますが、ことばといたしましては錯誤というようなことばが適当かと思いますので、そのように考えております。決して御質問がそういうことであると、こういうふうにいささかでも思って言っているわけではございません。
#81
○委員長(小平芳平君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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