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1970/04/09 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 法務委員会 第9号
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1970/04/09 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 法務委員会 第9号

#1
第063回国会 法務委員会 第9号
昭和四十五年四月九日(木曜日)
   午前十時十四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小平 芳平君
    理 事
                河口 陽一君
                後藤 義隆君
                山田 徹一君
    委 員
                上田  稔君
                木島 義夫君
               久次米健太郎君
                小林 国司君
                山崎 竜男君
                小林  武君
                松澤 兼人君
                山高しげり君
   国務大臣
       法 務 大 臣  小林 武治君
   政府委員
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  影山  勇君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○沖繩の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資
 格等の付与に関する特別措置法案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小平芳平君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 沖繩の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置法案を議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。小林法務大臣。
#3
○国務大臣(小林武治君) 沖繩の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置法案について、その提案理由を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、沖繩の弁護士等の大部分は、本土と異なる要件によって弁護士資格を取得した者によって占められているのでありますが、近く沖繩の復帰が実現されることとなりましたのに伴い、本土と沖繩との免許資格の一体化施策の一環として、これらの者に対して復帰前に本土の弁護士資格等を付与する特別の道を開き、弁護士資格等の一体化をはかることが相当と考えられますので、この法律案を提出することとしたのであります。
 以下、この法律案の概要を申し上げます。
 まず、沖繩の弁護士資格を有する者で、政令で定める日までに三年以上沖繩の裁判官、検察官または弁護士の職にある者及び沖繩の司法試験に合格し本土で司法修習生の修習と同一の課程を終えた者につきましては、本土の法曹として必要な能力を有するかどうかを判定するための選考を行ない、この選考に合格した者に、本土の弁護士及び判事補、二級の検事となる資格を付与することとしております。
 次に、沖繩の弁護士資格を有する者で右以外の者及び沖繩の司法修習生となる資格を有し目下弁護士資格を取得する過程にある者につきましては、民事及び刑事の実務に関する基礎的素養についての試験を行ない、この試験に合格した者に限り右の選考を受けることができることとしております。
 また、選考を受ける者のために、一定の期間わが国の法令及び法曹の実務に関する講習を行なうこととしております。
 これら選考、試験及び講習は、沖繩が復帰するまでの間に限り行なうものとし、これらに関する事項は、司法試験管理委員会に所掌させることとしております。
 なお、右の選考を受けなかった者またはこれに合格しなかった者で、沖繩で弁護士登録をしている者は、沖繩の復帰の日から五年間に限り、政令で定めるところにより、沖繩地域において弁護士の事務を行なうことができることといたしました。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
#4
○委員長(小平芳平君) 次に、補足説明を聴取いたします。影山司法法制調査部長。
#5
○政府委員(影山勇君) 若干の補足説明を申し上げさせていただきます。
 提案理由の説明にもありましたように、この法律案は、沖繩の復帰に備えて行なわれる本土と沖繩との免許資格の一体化施策の一環として、弁護士資格等の一体化に関する特別の措置を定めようとするものでありまして、昨年成立いたしました沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法による免許資格の一体化措置とその目的を同じくするものであります。ただ、弁護士資格につきましては、沖繩と本土とでその取得の要件がかなり異なっている上に、弁護士の職務は特に公共性が強く、またその資格は裁判官、検察官の任命資格とも共通であることにかんがみまして、これに本土資格を付与するにつきましては、選考及び試験を行なおうとするものであります。
 そこで、この法律案の内容の説明に入るに先立ちまして、まず、沖繩における弁護士資格取得の要件及び沖繩の弁護士資格者の数、その職種等から御説明いたします。
 沖繩におきましては、昭和四十三年一月一日に、裁判所法、検察庁法及び弁護士法が施行されて現行の司法制度となったのでありますが、現在在職する裁判官、検察官及び弁護士のほとんど全部は、これら新法が制定されるまでの基本法令であった琉球民裁判所制、一九五二年昭和二十七年でございますが、布告第十二号により資格を付与された者でありまして、その資格が新法施行の際の経過措置として、新法による裁判官、検察官または弁護士の資格とみなされて今日に至っているわけであります。
 そこで、これらの者の資格取得の根拠規定となっておりますただいま申しました布告十二号は、これはお手元に差し上げた資料の三ページにございますが、布告十二号の資格取得要件の内容を御説明いたしますと、弁護士の資格取得要件としてA号、B号、C号、D号の四種が規定されておりますが、このうちのA号と申しますのは、本土の弁護士資格を有する者をさしますので、この法律案の特別措置の対象外としております。
 B号は、「少くとも五年間琉球列島に於て判検事の職務に在つたこと」とされていますが、これは法曹資格がなくても特別に判検事に任命された者が五年間その職にあることにより弁護士の資格を取得することができることを規定したものであります。これに該当する者は、主として戦後の初期におきまして沖繩に法曹資格者がいなかったため、軍政長官等から判検事に適当な者として任命され、その職に五年以上あったことによって弁護士資格を取得したものであります。
 次にC号でございますが、C号は、「公認の法律学校の卒業の証明及び日本若しくは琉球の法律的訓練を要する職務に少くとも二年間の実際的経験を有すること」とされております。ところで、「公認の法律学校」と申しますのは、本土及び沖繩の大学の法学部等であるとされ、また、「日本若しくは琉球の法律的訓練を要する職務」とは、本土または沖繩の裁判所書記官、検察事務官、弁護士事務所事務員等であるとして運用されてきております。
 次にD号でございますが、D号は、「琉球法曹会試験局の試験に依る証明」で、昭和二十七年度以降行なわれてきたいわゆる琉球司法試験の合格者をさすものであります。この試験の科目及び試験問題は、本土の司法試験の第二次試験と類似したところがありますが、受験資格は高校卒程度とされているところが本土と大きく異なり、当初は大学卒でない合格者が多かったのでありますが、最近におきましては、その合格者の大部分を大学卒業者が占めるようになり、また、これまでの合格者五十名中三十一名が本土に委託されて司法修習を受けております。
 以上が沖繩の四つの弁護士資格取得の要件であります。
 次に、新制度になりましてからは、沖繩の弁護士法第四条第四号の規定、すなわち、大学の教授等の職に三年以上あったことにより弁護士資格を取得し登録をしている者が三名おります。なお、昭和四十四年度に沖繩の新司法試験法による司法試験が一回だけ実施されておりますが、その合格者は沖繩の新制度による司法修習生として採用され、目下本土に委託されて司法修習中であり、まだ法曹資格を取得しておりません。
 そこで、資料の一三ページの「沖繩の弁護士資格者数調」というのをごらんいただきますが、この表のA、B、C、Dは、右の布告十二号第七条のA、B、C、Dの各号該当者をさすものでありまして、この区分欄にEといたしておりますのは、沖繩の弁護士法第四条第四号の大学教授等に在職したことにより取得した資格をさすものであります。この表の員数は、いずれも昨年十月末現在の調査により把握した結果で、できるだけ正確を期したものでありますが、それによりますと、沖繩の弁護士資格有数の合計は三百四十三名であります。資格要件別の内訳は、Aが十八名、Bが二十六名、Cが二百四十六名、Dが五十名、Eが三名であります。また、弁護士資格者の職種別の内容は、この表にもございますが、この表の「顕在的資格者」と書いてあるところに入っておりますが、裁判官が五十五名、検察官が三十七名、弁護士が百二十五名でありまして、これらの者をこの表ではただいま申しましたように「顕在的資格者」と表示しておりましてその合計は二百十七名であります。このほかに、現在裁判官、検察官または弁護士の職にない者が百二十六名おりまして、この表では「潜在的資格者」と表示しておりますが、そのうち六十八名は裁判官以外の裁判所職員、三十六名は検察官以外の検察庁職員でありまして、ほとんどがC号に該当する者であります。
 このほかに、布告十二号から新弁護士法への切りかえの際にとられた経過措置によりまして、沖繩の司法修習生となる資格を付与され、目下裁判所書記官、検察事務官等の職にあって近い将来弁護士資格を取得する予定の者が百四十一名おります。
 次に、この法律案の内容について御説明いたします。
 この法律案における措置の主眼とするところは、以上に述べました沖繩の弁護士資格者等に選考によって本土の弁護士資格を与えようとする点にあるのでありますが、御承知のとおり、本土におきましては、弁護士の資格は判事補及び二級の検事の任命資格と共通になっておりますので、今回の特別措置も、沖繩の弁護士資格者に本土の弁護士資格を付与するにあたりましては、判事補及び二級の検事の資格をも同時に付与することとしております。したがいまして、沖繩の裁判官、検察官が本土の裁判官、検察官の任命資格を得るについても、この選考に合格しておくことが必要であります。
 そこで、資料の一ページの「この法律による措置の図解」――折りだたみになっておりますところでございますが、これはこの法律案の趣旨の内容を図解したものでございます。この図のとおり、この法律案による措置の対象は、沖繩の弁護士の資格を有する者で木上の資格を有しない者、すなわち、先ほどの表ではB、C、D、Eに該当する者と、先ほど申しました沖繩の司法修習生となる資格を有し弁護士の資格を取得する過程にある者の全体であります。
 今回の措置は、これらの全体を二つのグループに分けております。
 図の上のほうから説明いたしますと、第一は、試験を経なくても選考を受けることのできるグループでありまして、まず、沖繩の弁護士資格者中、裁判官、検察官または弁護士に三年以上在職する者は、司法試験管理委員会が行ないますところの本土の法曹としての能力があるかどうかを判定するための選考を受けることができるのでありまして、この選考に合格したときに、裁判所法第六十七条の規定による司法修習生の修習を終えたものとみなすこととしております。したがいまして、さきに申し上げましたように、弁護士となる資格のほか、判事補、二級の検事となる資格を取得することとなります。
 次に、沖繩の司法試験に合格し、本土に委託されて司法修習を受けた者は、右の実務経験が三年未満または皆無でありましても、右の三年以上在職の者と同じに取り扱うこととしております。
 これら三年以上の在職者及び本土に委託されて司法修習を受けた者を、後ほど申し上げます試験を受けさせることなく選考の対象とすることとしましたのは、これらの者の沖繩におきます法曹としての実務経験または本土における法曹教育の実績を尊重するのが相当と考えられたからであります。
 第二は、試験を受けなければ選考に進むことのできないグループでありまして、その一は、沖繩の弁護士資格を有する者で、前記以外の者であります。すなわち、裁判官、検察官または弁護士としての実務経験三年未満または皆無であって、しかも本土で司法修習を受けていない者でありまして、そのほとんどがC号該当者であります。これらの者は、法曹としての実務経験が未熟または皆無の者でありますので、法曹として必要な民事・刑事に関する実務についての基礎的素養を備えているかどうかを判定するための筆記試験を行ないまして、その合格者に限り、右の選考に加わることができることとしております。
 その二は、沖繩の司法修習生となる資格を有し弁護士資格を取得する過程にある者も、同様に右の試験を受けることができることといたしました。これらの者の大部分は、前述のとおり、裁判所書記官等の職にありまして、昭和四十六年以降に沖繩の弁護士資格を取得できるのでありますが、この際これらの者にも試験を受ける機会はこれを与えることとしたのであります。
 ところで、選考でございますが、選考は口述その他の方法によって行なわれる予定でありますが、選考の性質上、沖繩における法曹としての実務経験等も合否の判定にあたってしんしゃくされるべきものと考えております。なお、選考は、試験、講習とともに司法試験管理委員会に臨時に所掌させることとしました。
 この委員会は、御承知のとおり、法務事務次官、最高裁判所事務総長及び日本弁護士連合会の推薦する弁護士をもって構成される機関であります。
 次に、試験につきましては、その科目及び方法は政令で定めることとなりますが、試験の方法として、たとえば民事・刑事の実務記録によりまして出題をすること等が考えられます。
 なお、試験を受けることができる者は、この法律の施行の日において引き続き一年以上沖繩に住所を有する者に限ることといたしました。この特別措置の性質上、沖繩と関係のない者はもとより、沖繩に本籍があっても現在沖繩に住所がない者までを試験の対象とすることは相当でないと考えたからであります。
 次に、講習について説明いたします。講習は、選考を受けようとする者のために、本土の法令及び民事・刑事に関する実務について行なうことといたしております。
 この講習は、本土と沖繩との間で法令及び民事・刑事の実務が異なっているところがあると考えられますので、これを補うために行なうことを目的とするものであります。
 右の講習は、その目的等にかんがみまして、これを受けることは選考の要件とはされておりませんが、国が右のような趣旨で行なう講習でありますので、選考の対象者ができるだけ参加することが望ましいと考えております。
 なお、講習は、沖繩に本土の法曹実務家を講師として派遣して行なう予定でありまして、期間は三カ月程度、科目は民事裁判、刑事裁判、検察、民事弁護、刑事弁護を予定しております。
 これら選考、試験及び講習は、沖繩が復帰するまでの間に限り行なうことといたしておりまして、その実施の時期は政令で定めることとなっておりますが、第一回目は昭和四十五年度に行ない、第二回目は復帰に近い時期に実施する予定であります。
 次に、暫定措置について説明いたします。選考を受けなかった者または選考に合格しなかった者でありましても、沖繩の復帰の日の前日におきまして沖繩の法令による弁護士登録をしている者は、復帰の日から五年間に限り、政令で定めるところにより沖繩地域において弁護士の事務を行なうことができることとしております。このように地域制限つきで弁護士の事務を行なうことを認めますのは、昭和二十八年に奄美群島が復帰いたしました際にとられた措置と同様であります。
 最後に、その他、現在沖繩におります外人弁護士の復帰後の取り扱い、並びに沖繩の裁判官、検察官または弁護士の在職年数を本土の判事、一級の検事等の任命資格とされる在職年数に通算するかどうかにつきましては、現在のところ検討中でありまして、法的措置が必要と認められる場合は、沖繩復帰の際の経過措置法令中に所要の規定を設けたいと考えております。
 以上、この法律案の内容を補足して御説明申し上げた次第であります。
#6
○委員長(小平芳平君) 以上で説明は終了いたしました。
 本案に対する自後の審査は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時三十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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