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1970/05/13 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 法務委員会 第16号
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1970/05/13 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 法務委員会 第16号

#1
第063回国会 法務委員会 第16号
昭和四十五年五月十三日(水曜日)
   午後四時二十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小平 芳平君
    理 事
                河口 陽一君
                後藤 義隆君
                亀田 得治君
                山田 徹一君
    委 員
                上田  稔君
                木島 義夫君
               久次米健太郎君
                小林 国司君
                堀本 宜実君
                山崎 竜男君
                小林  武君
                松澤 兼人君
                山高しげり君
   国務大臣
       法 務 大 臣  小林 武治君
   政府委員
       法務大臣官房長  安原 美穂君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  影山  勇君
       法務省民事局長  新谷 正夫君
       法務省刑事局長  辻 辰三郎君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総長       岸  盛一君
       最高裁判所事務
       総局総務局長   寺田 治郎君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   矢崎 憲正君
       最高裁判所事務
       総局経理局長   大内 恒夫君
       最高裁判所事務
       総局民事局長   矢口 洪一君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   佐藤 千速君
       最高裁判所事務
       総局総務局第一
       課長       林   修君
       最高裁判所事務
       総局人事局給与
       課長       中村 修三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○株式会社監査制度改正反対に関する請願(第一
 五六号)(第一八五号)(第二五五号)(第二
 八七号)(第三〇三号)(第三九八号)(第三
 九九号)(第四〇〇号)(第四〇一号)(第四
 〇二号)(第四〇三号)(第四〇四号)(第一
 一二六号)
○出入国管理法案に関する請願(第一一二七号)
○中国輸出商品交易会への在日中国人の参加実現
 に関する請願(第一四九七号)(第一四九九
 号)(第一五一五号)(第一五六二号)(第一
 五九八号)(第一六一七号)(第一六三八号)
 (第一六八五号)(第一八一五号)(第二二五
 二号)(第二三四九号)(第二四七三号)(第
 二五九〇号)(第二八六三号)(第三〇六六
 号)
○名古屋矯正管区等六管区に交通事犯者集禁刑務
 所設置に関する請願(第一八二三号)
○大分地方法務局四日市出張所の支局昇格実現に
 関する請願(第四一五四号)(第四一五五号)
 (第四二九四号)
○裁判所法の一部改正案反対に関する請願(第四
 二九三号)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小平芳平君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 裁判所法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 なお、この際、審査の都合上、第四二九三号の請願をあわせて議題といたします。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#3
○亀田得治君 最後のだめ押しの質問を若干いたしておきたいと思います。
 まず最初に、地方裁判所における民事事件の中で、最近相当時間がかかるとされておるのが公害関係の訴訟であります。公害訴訟では、加害者である被告が問題になっておる事柄についての資料をたくさん持っておる。普通はなかなか経済力も大きい。ところが、原告である被害者は、突っ込んだ資料というものは自分では持っておらぬわけです。経済力も弱い。そういう状態で、お互いに攻撃、防御をやるわけですが、私は訴訟の公平、迅速という立場から見て、原告側がおおよその立証をすれば、あとはひとつ被告側に反証の責任を負わせる、こういう点をはっきり裁判上打ち立てていかなければ、社会の各種の公害紛争、その解決を早く望んでおる一般の要求、そういうものに応ぜられないと思うんですが、そういう点についての最高裁のひとつ御意見を承っておきたいと思います。
#4
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 公害訴訟の特殊性に関します亀田委員の御指摘の点は、まことにごもっともでございまして、まさにその点が他の事件と公害訴訟というものを区別する大きな問題点であると、私どももそのように考えておるわけでございます。一番問題になりますのは、何と申しましても、ある事実からある結果が生じたものであるかどうか、そのことが、原告が主張いたしますように、原告主張の原因と結果との間にいわゆる因果関係があるかどうかということの事実の認定ということの困難さにあるわけでございます。しかも、正当に御指摘なさいましたように、被害者とされております原告は、一般的に、その前にいろいろな取引関係とか、契約関係とか、そういった関係にあるものではない、一般の住民であるのが通常でございますので、そういった因果関係を裁判所に認定してもらうために提出すべき手持ちの資料というものはほとんどないのが通常でございます。したがいまして、そういった中で自己の主張を立証していくということの困難さというものは一般の事件に比して甚大なるものがあるわけでございまして、その間の調整をどのようにしていくかということが公害事件を的確迅速に処理していく上のポイントである、その点の克服さえなされれば公害訴訟というものもそう他の事件と違ったむずかしさはない、むずかしさはその点に集約されておると言っても過言ではないと存ずるわけでございます。
 したがいまして、私ども、そういった点の克服をどのようにしていくかということ、公害訴訟を担当いたします裁判官といたしましては日夜腐心をしておるというのが現状でございまして、その点の一つの方策といたしまして、ある程度の因果関係というものを立証いたしました場合には、その因果関係の立証――そのように因果関係ありとする立証が実は違うのである、そのような原因からはそのような結果を招かないのであるといったような、反対の証拠と申しますか、少なくとも原告側でなされた立証の過程というものに疑念を抱かしめるような反証がなされない限り、ひるがえって原告のそのような立証をもって因果関係に関する立証ありとするような方向をとっていくということが大きな問題として取り上げられておるわけでございます。私ども、一線で裁判をしております裁判官としては、そういった方向をとることによって、事実上、経済的に差のございます原告と被告の立場というものを、真の対等に近づけていくというようなことになるのではないかということで、御指摘のような方向で努力をしておるというのが一般的な実情ではないか、このように考えておるわけでございます。
#5
○亀田得治君 具体的な事件になりますと、担当の各裁判官がその程度についての判断をしていくことになろうと思いますが、そういう点について最高裁として、裁判に干渉するという意味じゃなしに、特別な裁判官合同なり、意見の交換なり等をやっておられると思いますが、その辺の実際の状況をもう少し可能な限り御説明願いたいと思います。
#6
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 実は公害関係の事件につきましては、三月の中旬でございますか、公害担当の全国の裁判官が最高裁判所に集まりまして、公害に関する種々の問題につきましての会同を持ったわけでございます。で、その席上いろいろなことが問題になりましたけれども、最も会同員の関心を引き、しかも熱心に議論された問題が、御指摘の因果関係について、一般的な問題として原告の立証活動というものをどのように容易にしていくかということに集約されたわけでございます。その因果関係の認定の成否が公害訴訟の成否にかかると言っても過言でないというのが出席全裁判官の意見であったわけでございます。その際に、ある事実からと申しますか、損害の発生した事実というものを直接に認定できる直接な事実があればこれは簡単でございますが、公害の場合はおおむね間接的なもろもろの事実を寄せ集めることによって被害の事実を認定していくということにならざるを得ないので、その間接的な事実から結果としての事実、損害の事実を認定していくということに蓋然性の理論というものを導入すべきではないか、また事実上の推定ということを大幅に大胆に取り入れていくべきではないかということが議論されたわけでございます。蓋然性の理論と申しますのも、また事実上の推定の理論と申しますのも、これはその理論自体としては別に事新しいものではございません。民事訴訟の事実認定におきましては、実務家はしょっちゅうその理論を応用し、適用いたしておるわけでございますが、公害訴訟につきましては、その蓋然性の理論の導入、事実推定の理論の導入といったものが正面から取り上げられ、真剣に議論されたというところに、公害事件の会同の特色があったというふうに申し上げていいのではないかと思います。ただ、こういった問題は、端的に申し上げまして、まだいろいろとそういった理論を適用した結果このような結論になったといったような、いわゆる実例というものがまだそう多くはございませんので、いわば頭の中で考えておると申しますか、それぞれが実際に訴訟を運用していきます途中におきまして思い悩んでおる段階の問題でございますので、蓋然性の理論を適用すると言い、事実上の推定を大胆に用いると申しましても、現実の訴訟にどの程度にこれを応用できるかどうかということは、いわば模索の状態にあるわけでございます。各裁判官から、こういった会同をひんぴんと今後も開催して、おのおのがその時点時点における経験を持ち寄って、もしそれが非常に好結果をもたらすものであるならば、その成果を全国の裁判官が取り上げていくようにしようではないかといったような希望が出、したがって、この種の会同をひんぴんと催してほしいというような熱烈な希望がございまして会同を終わったような次第であったわけでございます。
#7
○亀田得治君 そうすると、現状では、そういう問題について真剣に前向きで検討していこうというような状態であって、まだ各種の具体的なケースについて、思い切っていま申し上げたような考え方が取り入れられて、そうして訴訟を進められておるというふうなものはあまりないのですか、いやそうじゃない、結論はまだ出ておらぬが、そういう立場で進めつつあるケースもあるというふうに言えるのですか、どういうことなんです。
#8
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 具体的な事件でございますので、その段階における各裁判官の心証というもの、具体的にこの事件はどうであるかというふうに端的にお尋ねすることも、会同等の席上においてははばかられたわけでございますが、訴訟の進行といったようなことを著名な事件について見てみますと、われわれが予想いたしましたよりもある程度早く原告側の立証を終わりまして、被告側の反証に移っておるというように、事件の経過と申しますか――がうかがわれますので、そういった考え方を取り入れておられるのではないかというふうに推測されるわけでございますが、ただこれはあくまで具体的な事件の問題でございますので、はたしてそのように言い得るかどうか、それはその具体的な事件の進行過程から見ての私の推論と申しますか、そういったものであるというふうにお聞き取りをいただきたいと存じます。
 その他の問題といたしましては、公害訴訟が今日やかましく世上で論議されるようになりましてから、この理論を正面から適用していって結論を出した訴訟というものは、現在のところはまだないわけでございます。
#9
○亀田得治君 やはり裁判というものは、そのときの社会の情勢にこたえていくということでないと、これは置き去りにされてしまうわけで非常にそういう意味では、この公害訴訟に対してどういう進め方をするのかということは、裁判所の評価からしても非常に大事だと思うのですね。いま御説明のあったような会同等をやはりひんぱんに開いて、お互いの経験をよく交換して、それがお互いの刺激になって、全体がいい方向に行くというふうに、これはひとつ大いに努力してほしいと思うのですね。一つの軌道なりレールができてしまえば、それからはわりあい楽になると思うのですが、最初の間はそれは相当いろいろなむずかしい問題にもぶつかると思いますが、それをやはりあくまでも訴訟の公平、迅速という大原則に立って、ひとつ具体的に解決するようにやってほしいと思うのですね。
 そこで、もう一つは、現状ですと、結局は担当の裁判官の訴訟指揮にゆだねられるかっこうになるわけですが、そうではなしに、民事訴訟法なりあるいは民事訴訟規則等の中に適当な条項を入れて、そうして担当裁判官がさっきから出ておるような方向で仕事を進めていく、そういうことがしやすいようにするということが必要じゃないかと思うのですがね。そういう点はどう理解しておりますか。非常に時間的余裕があり、のんびりやっていても間に合うという問題なら、各人の経験、それを積み上げて一つのルールをつくるということにまかしていいこともあると思うのですが、この公害問題はそういうなまやさしいものでは私はないと思うのですね。民事訴訟法なりあるいは訴訟規則に手を加えるとしても、どこまでも書いたほうがいいのか、これもなかなか研究しなければならぬと思いますが、やはり私はそういう点も研究して、できるならばその点を制度化する――裁判官非常にやりやすいですからね、そういう時期であると思うのですが、これはどうでしょうか。これはどうしても、従来の訴訟指揮の範囲内で幅広くいろいろなことをやっておる裁判官の、まあくせといいますか、性格、習慣からいいますと、あまりそういうところにはタッチしてもらいたくないというふうな気持ちがあるかもしれぬと思うのですが、それは私は、裁判官のならわしとか、そういうものにやっぱりとらわれ過ぎておるので、それよりも大事なのは、社会の要求にどうしても応じたような進行をするか、そのことが私は大事だと思いますね。そういう意味でお聞きするわけですが、そういう点はどういうふうにお考えでしょうか。
#10
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御承知のように、事実の認定につきましては、自由心証主義ということで、証拠によって認定すべきものではございますけれども、どの程度の証拠があればどのような事実を認定していいかどうかということは、裁判官の自由な心証にゆだねられておるわけでございます。したがいまして、極端なことを申しますと、人によりましては、これでも足りない、これだけの証拠でも足りないという方もございますでしょうし、逆にこの程度の証拠でもいいのだという方もあるわけでございます。そこで、その点につきまして、証拠の証明力というものを要求しないで、専門的なことばでございますが、疎明という程度でもいいのだということにするならば、これは別問題でございますが、やはり訴訟手続におきまして事実の認定ということになりますと、それは証明の程度にまで高められたものでなくてはいけないわけでございます。といたしますと、どの程度の証拠があればその証明を得たものとするかということを表から規制していくということは、非常に技術的にも困難な問題でございますし、またそのように規制いたしましても、逆に個々の裁判官によりまして、これをもって証明がありとし、これをもって疎明がありとするということの程度が異なってまいりますので、それをしも一律に定めるということはできにくいことでございます。そういった表からの規制ということは、非常に困難なことではないだろうかというふうに思うわけでございます。で、ある事実がかくかくの原因によって起こったということ、いわゆる因果関係の問題及びその因果関係を起こした原因について、被告が故意または過失があるという、いわゆる故意、過失の問題、こういったものをこの実定法の段階において、ある程度法律の規定で定めていくということは、これは可能な面があろうかと存ぜられます。それにつきましても、たとえば現在鉱業法に規定がございますように、鉱山を採掘した結果、土地の陥没とかそういった被害が生じた場合には、直ちに文句なく採掘業者、なしたものに対して責任を負わせるという、いわゆる無過失の規定等がありますが、たとえば大気の汚染といったような問題になりますと、事実そのものが土地の上の問題のようにはっきりいたしておりませんので、事実の認定の点について法律の規定で、こういう結果が起こったものは当然被告の行為によって起こされたものとするというふうにもきめにくい点があるわけでございます。そのように見てまいりますと、御指摘の点はまことにごもっともな点がございますが、私ども現在の段階におきましては、そういった御指摘の点を十分念頭に置きながら各裁判官が研さんいたしまして、この種事件の迅速、的確な処理ということのために協力する、その結果はおのずと一つに集約されるのではないか。そして、その集約されるところと申しますのは、先ほど申し上げましたように、事実の認定について大胆な考え方を取り入れていくというところにおのずと集約されることになるのであって、むしろ法規の改正といったような問題は、それをやりましてもどうしても救いがたいと思われるような点が今後あるいは出てまいるかと存ぜられますが、そういった際に第二次的なものとして考えていく方向をとったほうがより実務的なのではないだろうか、このように現在のところは一応考えておるわけでございます。
#11
○亀田得治君 この事実の評価ですね、これは各裁判官が認定していくことになりますが、しかし、この公害訴訟で、いわゆる挙証責任の転換ということをいっておるのは、原告がある程度の証明をすれば、今度は被告側の責任に移っていく、こういうことなんですから、それは一体どの時点で移すのか。これは裁判官として間違いのないことをやっていこうという、そういう気持ちの非常に強い人は、このある程度といっても、結局は非常に多くのことを要求することに私はなっていくと思うんですね。ある程度といっているのは、多少普通の事件に比べたら程度が低いけれども、もうこの辺で割り切っていくんだ、そういう考えですね。だから、これはことばをかえて言えば、蓋然性の問題とか、あるいは事実の推定とか、そういう概念とも通ずるだろうと思いますが、ともかく普通の訴訟ほど強いものを原告側には求めない、ここをはっきりしておきませんと、結局は、いろいろやっている、被告のほうからもいろいろな意見が出るだろうし、それにつられていけば普通の訴訟と同じような証明を要求されることになっていくということになるわけですから、そこを制度上、いわゆる証明とそれから証明のもう一つ前の段階、まあ現在の制度ですと証明と疎明、その中間ぐらいの段階のものを、こういうものを一つ想定するのですよ、実際問題としては想定しているのですね。公害担当の裁判官はしているのだが、それを無理やりに、いや自由心証によってちゃんと民事訴訟法にいう証明があったのだ、こういうふうにただ解釈しているだけですよ。まあそういうふうに説明した、そのほうが通りがいいものですから。しかし、実際はそうじゃないでしょう。推定とか、蓋然性とか、そういうもので弱い程度のところで打ち切っていこう、こういう考えなんでしょう。だから、これはやはり従来の訴訟の中で考えられてきたことと多少違った範疇に属するものだと私は思うのです。だから、非常にそれを明確にするなら、民事訴訟法の中に一つの項目を入れることになるかもしれませんが、しかしそこまでやると証明、疎明という二つの型が非常に乱されるおそれがあるのでというのであれば、私は民事訴訟規則の中でもいいと思うのですね。従来の証明というワクの中の一つの扱いというふうなやり方でもいいわけですね。何かやはりそういうことを、決して各担当裁判官の自由心証主義というものを侵害するような形じゃなしに、一項目入れたほうが非常に私ははっきりしてくると思うのです。まあ、あなたのお話を聞きますと、いきなり民事訴訟法に入れていくということよりも、むしろ民事訴訟規則のほうがあるいは適切かもしらぬと思うのですが、何かそういうことを考えなければ、最初の答弁のように、皆が集まって知恵をしぼっておるといったって、それは手おくれになりますよ。民事訴訟規則であれば差しつかえないのじゃないですか、どうなんですか。そういうことは議論になっているのですか。最高裁の中で裁判の訴訟指揮という面での検討はおやりになっているようですね、さっきの報告のとおりに。しかし、私がいま指摘したような角度からの検討というものがなされておらぬのなら答えようもないだろうが、なされておるのか。いるとしたら、それは私のいま申し上げたような点はどのように理解されておるのかお答え願いたい。
#12
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) ただいま御指摘の点につきましても、会同等で、第三の心証の程度に関する、いわば第三の範疇といったようなものが事実上存在するのではないかというような議論がまず第一に出まして、それを一般に一つの法則と申しますか、規則にまで高めていくということは好ましいことではないかといったことも議論がなされたわけでございます。ただ私ども、この件に関しまする蓋然性の理論といい、事実上の推定といい、おまえの言っておることは結局こういうことになるのではないかと御指摘になりました亀田委員のお考えは、まことにごもっともでございますけれども、そういった考え方をこの際取り入れていくことが好ましいかどうか。そういった考えでやっておるわけでございますけれども、いま直ちに第三の範疇といったようなものをつくりましてやっていくことがいいかどうか。もう少しこういった会同、研究会を重ねて勉強していこうではないかというのが、先日開きました公害に対します第一回の会同における大かたの意見であったわけでございます。で、問題の困難さ、公害事件の困難さというものは、先ほども申し上げましたように、この事実認定の困難さということにしぼられておるというわけでございますので、会同出席の裁判官の関心というものは、最終的にはすべてそこに帰着いたしておるようなわけで、ただ明確に第三の範疇を立案する、立法的な措置を講ずるべきだという方向にまでは、まだ現在のところ参らないわけでございますが、私どもといたしましても、決してそういった点についての検討をなおざりにするということではございませんで、そういったことを踏まえながら、具体的に現在提起いたしております訴訟事件の処理についていろいろのくふうをし、そのくふうを持ち寄って一つのあるべき法則をつくっていきたいということが、その底にあったわけでございます。御趣旨の点も、まことにごもっともな点があるかと思いますが、今後なおしばらく検討させていただきたい。で、決してその検討と申しますのは、亀田委員御指摘のような法則を打ち立てることを消極の面から検討するということではございません。むしろ積極面等でそのようなことがなされておるということを前提といたしまして、ただそれを法則化していくかどうかということについて、いましばらく全国の裁判官等ともさらに突き進んだ話し合いをしていけば、おのずとそこに一つの結論が出てくるのではなかろうか、このように考えておるわけでございます。
#13
○亀田得治君 それからもう一点、加害者側の被告が持っておる各種の資料ですね、これを早期に裁判所に提出をさせるということが、私は公害訴訟の実態から見て望ましいことだと思うんですよ。ところが、民事訴訟法の三百十二条ですか、これは非常に窮屈なといいますか、使いにくいようですね。われわれが希望するような、ともかく公害訴訟の中心的なものは、加害者が持っておる。こいつを、有利、不利を問わないで、こういう特殊な事件だからともかく裁判所へ持ってこい、これが私はできなければいかぬと思うのですよ。それが伴いませんと、さっき御議論になった挙証責任のある程度の転換ということがありましても、なかなかうまくいかぬ。裁判官としてももう一つ思い切りがつかないというふうなことにもなってくるだろうし、これは非常に大事な点だと思うのですがね。これは任意に持ってこいと言ったって、とても持ってくるものじゃないし、私はこれは制度改正の必要があるように思うのですがね。それじゃどの段階でそういう命令を裁判所が出すかということになりますと、これももちろん問題があります。ある程度のなるほどということが裁判所として理解をしなければいけないと思いますが、そういうこまかい点は別として、この民訴の三百十二条では、これではとても歯が立たぬわけですよ。なぜそういうことを申し上げるかといいますと、公害関係の各種の行政法規がどんどんつくられておるのですが、その中でいろいろな調停制度なりが裁判所と並行してまた生まれつつあるわけですが、これは全部、その関係の文書なり、物件なり、立ち入り検査、これが委員会としてやれる規定を置いているわけです。それを加害者である企業が拒む場合には、制裁を加える制裁規定をちゃんと置いてある。そうして、そういうことができるようにしているわけですね。当然私は、そういう考え方は、従来の訴訟になれておる専門の裁判官では、どうも少し何か飛躍があるようにお感じになるのじゃないかと思いますが、そこが問題だと思います。そういう規定がほかにあるのに、一体裁判所の証拠調べの中にそのようなものがないということこそ、むしろこれはおかしいのでしてね。そういう点をぜひ積極的に私御検討願いたいと思うのですが、どうでしょう。
#14
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 公害の訴訟におきましては、事実をまず詳細に主張をして、それの立証をするという、前段において主張すべき資料がほしいということでございます。その資料を原告が持っていないのが通常であろうということでございまして、亀田委員御指摘のとおりの困難さが、原告側に立証資料の関係において存在するわけでございます。民事訴訟法は、まさしく御指摘のような、そのような主張活動がなされたものとして、証拠認定を置いているわけでございます。そういった文書の提出命令がなされた場合に、その文書を被告側が出さないときには、原告の主張事実が存在したものとして訴訟を進めていくということでございます。しかし、そういった詳細の事実を主張するための資料としての証拠の提出ということになりますと、民事訴訟法の規定はそこまで必ずしも十分にはできていないというのが現状であるかと存じます。ただ私ども、これは今後の研究課題であるとは存じておりますが、調停法規の関係から申しますと、相当大幅に裁判所が事実の取り調べを職権でもってできるという規定が現在まで存在するわけでございます。で、もちろん強制力を伴うかどうかといったようないろんな問題はございますけれども、公害事件というものも、何も訴訟ということから常に始めていかなければいけないという問題ではございませんで、調停等の利用、活用ということも十分考えられるわけでございますので、事件によりましては、むしろ調停を先行させていただいて、そうして、その調停段階においていま言ったような職権による事実の探知という制度を活用することによって事実関係の基礎となる資料を集めていく、そういうものを利用して調停主張の場合に訴訟に先行していくというようなやり方も、実は考えられないわけではないわけでございます。もちろん、民訴自体といたしましても、今後の訴訟推移等から検討すべき点を含んでおることは当然でございまして、そういった方法もあるということを申し上げておきたいと思います。
 いまちょっと申し落としましたが、調停の関係におきましては、調停規則の十二条にその関係の規定が存在するわけでございます。
#15
○亀田得治君 いまそれをさがしておったのですが、十二条は「調停委員会は、職権で、事実の調査及び必要であると認める証拠調をすることができる。」と。これの理解のしかたですが、これは民事訴訟法に、何といいますか、民事訴訟法上の証拠調べの方法ということが前提になっておるというふうには理解できないんでしょうか。そうなりますと、非常に狭くなってきますわね。ここで職権調査ができるんだが、その調査のしかたは民事訴訟法できめておるやり方なんだと、この3項にそういうふうに書いてありますね、「証拠調については、民事訴訟の例による。」と。そういう感じがするんですが、いやそうじゃなしに、そういうことが中心ではあるけれども、そういうものにとらわれないで、もっと広く適宜な手段がとれるんだというふうに理解できるなら、非常に私はいいと思いますが、その点、どうなんです。
#16
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) この十二条の第1項でございますが、「事実の調査及び必要であると認める証拠調」というふうにございまして、後段の「必要であると認める証拠調」というのを受けまして、第3項「証拠調については、民事訴訟の例による。」というふうに規定されておるものと考えております。したがいまして、後段の「証拠調」というのは民事訴訟法の規定によるものでございますが、前段の「事実の調査」と申しますのは、一般に裁判所が特別の方式によらず、強制力にはよらないが裁判の資料を収集することでありまして、したがって、「証拠調」のように厳格なものではなく、調査の方法としては、たとえば参考人を呼んで事情を聴取したり、実地に臨んで事物の形状を検分したり、所在を点検したり、その他事実探知に必要な限り適当と思われる種々の方法をとることができる、そういうことを「事実の調査」と言っておるのだ、このように解し、またそのように運用いたしておるわけでございます。
#17
○亀田得治君 それは、いまお読みになったのは何に書いてあるのですか。
#18
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 実は、私どものほうで出しました調停法規の逐条解説でございまして……。
#19
○亀田得治君 事務総局の。
#20
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) はい。これは総局限りの意見ということでございますが。
#21
○亀田得治君 事務総局――都合の悪いときにはどうも私的な意見だとかおっしゃるから、ちょっと確かめておいたわけですが、これはまあ私的も何もない、きちんとした考え方なんですね、その点は。
#22
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 法律の解釈の問題でございますが、運用実態をも含めまして、現在このように解釈して運用されておるということを解説したものでございます。
#23
○亀田得治君 しかし、いまお読みになったのでも、これは強制力を伴わない、だからそれはいやだったらそれっきりと、こういうものですね。非常に弱いわけです。それは強制力がなかったら、なかなか出しそうにはないわけですね、公害のもとの中心の資料というものは。だから、私は調停の問題はあとからまたちょっと触れますが、調停制度全体の――裁判所の調停制度ですよ――この再検討が必要な時期に来ていると思うのです。当然いまお触れになった十二条なども、そういう意味では私は改正しなきゃいかぬと思うのです。これはほかの行政的な調停方法よりも非常に弱いわけです。そういうわけですが、これは調停規則の場合ですね、いまの御説明は。強制力がない。しかし問題は、いま公害訴訟の段階で問題が出ておるわけです。訴訟の段階でもう少し進んだ資料の把握というものが裁判所としてできるようにすべきじゃないか。別にそういう規定を設けたからといって、何か当事者主義を害するとか、一方に片寄り過ぎるとか、そういうことは言えないと思うのですね。これはもともと非常な力のバランスがくずれているのですから、それを補ってこそ、これはほんとうの当事者主義であり、公平なんですから、何か裁判所が一方のほうに味方するようなかっこうはどうもとりたくないというふうな考え、それはまた大事なことなんです。しかし、公害訴訟でそんな形式的なことを言っておったんじゃあ、結局は、加害者であり、強い者に一方的に味方しているんだと、こういうことになってしまうわけですね。だから、これは当然御検討願っていいんじゃないですか、どうですか。
#24
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 決して形式的な当事者の平等ということにだけとらわれるわけではございません。あくまで実質的な平等ということの観点の上に立って釈明権の行使なりあるいは証拠の収集なり証拠の調べなりを行なっていって、そうして妥当な結論に到達するということが裁判官の任務であり、民事訴訟の目的であろうと存じます。そのために、たとえば百三十一条の釈明処分としての証拠調べ、文書の留置等の問題でございますとか、あるいは職権による証拠保全の三百四十七条の規定でございますとか、いろいろの規定があるわけでございます。そのような規定を活用していってどこまでやっていけるかということが、現行法の運用といたしましては最大の急務であるわけでございます。会同等におきましても、このような規定の十二分な活用ということが望ましいのではないかというのが担当裁判官の大方の意見であったわけでございます。しかし、新しい公害のこの事態というものにはたしてそれだけで対処できるものでありますかどうか、私どももその点は、ただいま亀田委員の御指摘の趣旨を体しまして、今後十分に検討をいたしていきたい、このように現在としては考えておるわけでございます。
#25
○亀田得治君 いま二つおあげになった民事訴訟法の規定ですね、そういうものも大いに活用すれば、加害者側のいろいろな資料を早期につかむことができるということであれば、それはそれで一つの処理のしかただと思います。しかし、はたしてそうなるのかどうかですね、どうもそれだけではわからぬということであれば、やはりこの法規の改正について検討をすべき時期だとわれわれは思うのです。裁判所があなた、一番大事なものを握っておらぬで、一体何の指揮が、ほんとうの指揮ができるのですか。一方に必要以上の味方をしてならぬということは、これはもうはっきりしております。しかし、資料を握ったからといって、その資料をどう判断するか、これはもう裁判所の自由心証ですからね。資料だけはこういう社会問題についてはまず何よりもつかむと、これでなければ、それはもうはかどらぬですよ。一番大事なものを、三者の中の一人だけが見て、裁判所が見ておらぬ、そして原告のほうは何があるかわからぬから、少しずつ用心しながらいろいろな主張を出していく、こんなことじゃこれははかどらぬですよ。だから、これはひとつ十分研究してください。
 次に、調停の問題に若干触れておきたいと思うのですが、せっかく裁判所の調停制度というものがあるんですから、この公害紛争というのは、大きいのから、小さいのから、隣近所、非常に種々雑多なんですね。そういうものに応ぜられるような調停制度でなければ意味がないと思うんですね。これは調停制度のずっと過去の経過を振り返ってみましても、小作争議が非常に頻発しているときにはそれを取り入れるとか、それに応じたような体制をつくっていくというふうに、やはりそのときの社会の紛争、それに応じたように変えていっているわけですね。今日これだけこの公害問題が全国的にこう問題になりながら、肝心の裁判所の調停制度がそれに対応するようなものになっておらぬ。これはもう致命的な私は欠陥だと思います。統計を見ますると、調停の件数若干減ってきていますね。まあ事件が減っていることは皆さん喜んでおられるかしれぬが、そうじゃないんで、公害に関するもめごとがもうともかくたくさん起こっているんですよ。それが裁判所に来ぬというのは、それは裁判所が信頼されておらぬからですよ。公害紛争なんというものこそ、非常に大規模な公害紛争はまた特殊な扱いが必要でしょうが、隣近所いろいろありますわね。こういうのは、ほんとうに調停に適する案件なんですね。簡裁らしい特色の発揮できるところなんです、理屈ばかりでいかぬところもあるだろうし。だから、そういうものをしっかり取り組んでおれば、件数がずっと上ってまいらなければいかぬと思うのですよ。いろいろ訴訟事件なんて、そんなものをあまり興味を持たないでね。また本論にだんだん戻りそうだから、その辺は適当にしておきますがね。公害問題というと、あれは何か紛争処理法が最近できた、それはもうそっちにまかしておけばいいんだ、そんなもんじゃ私はないと思うんですよ。ここをひとつ聞いておきたいのです、どういう考えを持っているのかね。裁判所があなた公害訴訟で、もうてきぱき私が指摘したような点を解決して、そしてきちっきちっとこう判決を出していく、これはやはりいろいろな関係者に響きますからね。ああなるほど裁判所はこういう考えだということになればね、それはあなた、公害を出している諸君だって遠慮しますよ。それだけでも。それが出ない。なかなか調停に持ち込んでも、どうもこれ型が違っているもんだから、あまりそういうものをじょうずにこなせるような調停委員の顔ぶれ等から見てもかっこうになっておらぬようだというようなことで、これは毛ぎらいされておるわけなんですよ。しっかりしておったら、あなた、公害紛争処理法なんか要らぬかもしらぬですよ、実際のところ。まあ一応ああいう紛争処理法ができましたがね、しかしあそこで片づかなければまた裁判所へ戻ってくるわけでしょう。だから、それなら初めから、調停段階の問題でも、これはもうもめごとの解決は裁判所がやるんだという、そのやはり自負心を持ってもっと取り組んでいかなければならぬと思うのですよ。この紛争処理法との関係等でどういうふうに、この調停制度というものをお考えになっているのか。まあ私の考えはいま申し上げたとおり。どうなんですか。
#26
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 調停制度は長年の伝統ある制度でございますが、近時その件数が必ずしも多くはないということは、亀田委員御指摘のとおりでございます。私ども、調停制度は、件数の面からばかりではございませんけれども、むしろあらゆる面から曲がりかどに来ているのではないかということを感じまして、何といたしましても全面的にこの制度を再検討いたしまして、今日の複雑な世相にマッチし得て、しかも一般の庶民が気軽に利用できるようないわばアップ・ツー・デートな制度にいたしていきたいということを考えて、先ほども当委員会でそういった審議を行なう決意があるということを申し上げた次第でございます。その気持ちは決して変わっていないわけでございます。やはり現在の紛争解決の手段といたしましては、訴訟が最後のとりでではございますけれども、調停制度はこれと並びまして訴訟にまさるとも劣らないだけの紛争解決としての有力な手段である。ことにわれわれ日本人にとりましては、ある意味でその体質に合ったと申しますか、紛争解決の手段であるというふうに考えておるわけでございます。といたしますと、ありきたりの調停のやり方は各分野で改められるべきものでございましょうし、またこれまでも商事調停、農事調停、あるいは公害調停ということで、それぞれの時代の要求に合うようにいたしてきておりました。といたしますれば、この段階におきましては、亀田委員御指摘の公害等についても、十分これに合うような新しい方式なり手続を取り入れていかなければいけないものではないかというふうに存ずるわけでございます。で、いま申しましたような観点から調停の全面的な検討ということを早急に着手いたしまして、その成果を得て、運用でなせるものは直ちに実行に移し、また法改正等を要するものは関係方面にも緊密に連絡をいたしまして、その成果を期待したい、このように考えておるわけでございます。
#27
○亀田得治君 この調停の対象として、公害紛争というものを重要な部分として考えていきますね。
#28
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) さようなつもりでおります。
#29
○亀田得治君 紛争処理法のほうは、公害といいましても、公害の中で扱う種類を五つに限定しているわけですがね。しかし、いわゆる公害というのは、そんな五つや六つじゃないわけでして、いろいろな種類のものが出てきておるわけですからね。こんな紛争処理法ができたからといって、調停というものが軽く扱われるということにならぬように私は努力してほしいと思う。
 そこで、調停制度の改革についていろいろ御検討の方針のようですが、一つはやはり人選の問題があろうと思うのですね。特に大都会の場合には、そういう公害に関する問題が処理できるような人選、これを私はぜひ本気で考えてほしい。まあ最近は、この公害に関していろいろ研究しておる専門の学者なり実務家などもたくさんおるわけですね。こういう方を思い切ってやはり活用していく。当然法律家も私は要ると思います。権利義務関係というものがやはりある程度分析されなきゃいかぬでしょうか。らまあそういう、ともかく裁判所側で簡裁のほんとうのこの特色を発揮するためにこういうふうにやるのだから協力してくれと言えば、私は、みんなが公害という問題何とか片づけなきゃいかぬというふうに思っておるのですから、これはもうむしろ裁判所を見直して協力体制をとってくれると思いますよ。
 それと、もう一つは、せっかくそういう制度改正をおやりになるのであれば、さっき御指摘になりましたこの規則の十二条、これをもう少しやはり中身を詳しいものにしてもらって、やはりこの関係の文書なり、物件なり、あるいは必要な場所の立ち入り検査なり、それから単なる任意じゃなしに、相手が反対してもこちらがやれるように、そういう規定をきちっとはっきりとしていくべきだと思うのですね。そういう二つの点が私はまあ大事だと思っておるのですが、どうですか、この点ひとつ。
#30
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御指摘の点は、いずれもまことにごもっともでございます。最初の御指摘の、調停委員にその人を得るということは、調停制度の運用、ことに公害等新しい型の紛争の処理のためにはぜひとも必要なことであろうかと存じております。で、私ども、これは全くむしろ私の私案でございますが、たとえば地方にその人を得られないときには、一定の場所からその事件のために専門の調停委員の方を事件の処理に出向いていただくというようなこと、あるいは、現在調停委員は一つの事件について二名ということで実際上運用いたしておりますけれども、法が二名以上の調停委員を置けると規定いたしておりますのを利用いたしまして、さらに調停委員の数をふやし、委員の専門をそれぞれ発揮していただけるような委員会の構成をとるというようなことも十分考えらるべきではないかというふうに思っておるわけでございまして、そういった点も先ほど申し上げました新規調停委員制度を検討いたします際に十分検討していただきたいというふうに思っておるわけでございます。
 また、後段の十二条の規定の不備という御指摘の点も、最近の立法でございます公害紛争処理法等の例も十分に参考にさせていただきまして、必要な改正を検討していただくと、このようなつもりでおるわけでございます。
#31
○亀田得治君 まあひとつ、民事局長のほうでこの問題だけを軌道に乗せてもらっても、これはたいへんな大きな仕事だと思いますから、しっかりひとつやってほしいと思います。
 で、まあ大体もう質問はこれで一応終わるわけですので、最終的な少しだめ押しを二、三しておきたいと思います。
 その第一は、今回の簡裁の事物管轄の問題結局まあ法曹間の意見が一致しないままに法律改正が進められると、もう最終段階に来ておるわけですが、私はこれは非常にこういうことは遺憾なできごとだと思います。こんなことを繰り返しちゃいかぬと思いますね。で、したがって、今後司法制度の改正にあたっては、法曹三者の意見を一致させて実現させてほしい、こういうふうに思うのですね。そういう点について、この今回のことにもかんがみ、最高裁としてはどういうふうにお考えになっておるか、これは岸事務総長からひとつ基本的な考え方をこの際承っておきたいと思います。
#32
○最高裁判所長官代理者(岸盛一君) まことにごもっともなおことばだと存じます。司法制度というものは、裁判所、検察官、弁護士、この三つの柱によってささえられなければならないものであります。制度の運用あるいは改善についても、常にこの法曹三者が緊密な連絡をとり、意見を戦わして、その上で結論を得べきものだと思います。あるいは意見が対立して意見が合致しないということもあり得ると思いますが、しかし、常にこの法曹三者が緊密な連絡をとりながら慎重に考えていかなければならないことは当然であります。裁判所としましても、今回のような事態ははなはだ遺憾に思っております。しかし、私ども裁判所としましては、決してこの従来の行きがかりにこだわったり、感情的になったりすることはございません。意見の対立等がありましても、法律家の争いはいわば君子の争いでなければならないと思います。御趣旨は、十分に私どもも全く同感でございます。
#33
○亀田得治君 それから、もう一つ念を押しますが、最高裁では審議の中で簡裁の性格なり本質を変えるつもりはないというふうにお答えになっておるわけですが、これはほんとうにそういう気持ちで今後簡裁の特色が発揮できるように育てていくという考えを持っておられるでしょうか。
#34
○最高裁判所長官代理者(岸盛一君) それはそのとおりでございます。簡裁の特色、性格というものを変えることなく、その特色を生かしていくように、今後十分努力いたしたいと考えております。
#35
○亀田得治君 衆議院で附帯決議が、この法律改正が通過するにあたってつけられましたが、本来ならばわれわれの気持ちとしては、ああいう附帯決議がつくのであれば、この法律改正と同時に、附帯決議の実現のための具体策、または必要な事項については法律改正案、これを両方一緒に委員会にかけていただきますと、非常に立場なり考え方がすっきりするわけですよ。しかしまあ、現段階じゃもう過ぎ去ってしまっておるから、それは事実上できませんが、衆議院においても、附帯決議の趣旨を尊重しと、これは大体例文みたいなふうに言われているわけですが、単なる例文じゃなしに、あの附帯決議を尊重して、そうして具体化のために努力していくというふうにお考えになっておると思いますが、念のためお聞きしておきます。
#36
○最高裁判所長官代理者(岸盛一君) 衆議院における附帯決議は、みんなで五項目になっております。その中には、制度の運用に関するもの、それから立法化に関するものと、両方ございます。制度の運用に関する諸問題につきましては、司法行政の許す範囲内でその趣旨を徹底推進させていくように努力いたします。立法化の問題は、これは裁判所一存だけで済まされる問題ではございませんが、しかし、関係方面と緊密な連絡をとりまして、前向きの姿勢で十分に慎重に検討を進めていきたいと考えております。
#37
○亀田得治君 もう一つ最後にお尋ねします。
 これは順序があと先になるんですが、非常に大事なことだと思いますので、事前にお聞きするわけですが、本案につき参議院の法務委員会としても附帯決議をつける相談が各党の間でまとまっております。その案文は事前に最高裁並びに法務省側にも示してあるわけですが、この点についても、衆議院の決議と同じように十分尊重して、その方向でやっていくというふうにお考えになっておるかどうか、それをお聞きしたいと思ったから、事前に実はこれはお示ししてあるわけです。これは事務総長と法務大臣からもお答えを願いたいと思います。
#38
○最高裁判所長官代理者(岸盛一君) ただいま衆議院の附帯決議について申しましたことと、全く同様に考えております。制度に関する問題、立法化の問題について、先ほどちょっと区別して申し上げました、その趣旨を十分尊重して、その方向に努力するということは、全く同様でございます。
#39
○国務大臣(小林武治君) 事務総長と同意見であります。
#40
○委員長(小平芳平君) 他に御発言もなければ、裁判所法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 裁判所法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#42
○亀田得治君 日本社会党を代表しまして、反対の討論をいたします。
 反対理由の第一は、法曹三者――裁判所、法務省、弁護士会の意思統一ができないままにこの法律改正が行なわれるという点であります。法曹界では、司法制度の民主的改革のために、法曹一元の制度が高く評価されているのでありますが、そのような理念から見ても、今回のような法律改正のやり方には賛成できないのであります。審議の中でも明らかになりましたが、この法律改正をこの国会で是が非でも行なわねば地方裁判所がお手あげになるというような差し迫った状態もないと思います。また、審議の中では、裁判所側も簡易裁判所の本質を変える意思がない旨答えており、この点では弁護士会とも意見が一致しておるのでありますから、もう少し時間をかけて相互に冷静に具体的に討議すれば、必ずやよい結論に達し得るはずのものであると思われます。そのようなねばり強い努力を放棄して、意見対立のままこの法律改正を行なうことは、日本の司法制度の将来のために惜しむものであります。
 反対理由の第二は、この法律改正が実施されますと、簡易裁判所の本質がますますゆがめられるおそれがあるという点であります。
 簡易裁判所は現在すでに本来の姿から相当離れております。簡易裁判所は、昭和二十一年三月十四日、国会の裁判法案委員会で木村篤太郎司法大臣が説明したとおり、民事、刑事いずれであっても、いわゆる訴訟についてはきわめて軽微な事件を簡易な手続で扱うところでありますが、数次の法律改正によって次第に裁判権の範囲が拡張されてまいりました。しかも、簡易手続の活用もあまり行なわれず、小型地方裁判所化してきておるのであります。簡易裁判所は調停の面で大いにその特色を発揮しなければならないのでありますが、件数が最近では減少の傾向をたどっております。社会では公害問題をはじめ紛争が多くなっておるのに、調停が少なくなるということは、この制度が社会の変化と実態にふさわしいように活用されていないからであります。簡裁ではまた、捜査段階の令状の発付について十分時間をかけ、令状発付の要件を検討して、人権侵害が起こらぬように司法的抑制の使命を果たさなければならぬのでありますが、必ずしもその使命が果たされておるとは言えないのであります。この点も、審議の中で明らかになりましたように、令状請求を却下するケースがあまりにも少ないということが、その間の事情を物語っていると言えるのであります。
 以上のような簡易裁判所の現在の実態は、政府、最高裁側から意識的につくり出された面があることは、はなはだ残念であります。その最も顕著な例は、昭和二十九年の法律改正であります。その提案理由の中では次のように述べております。「この法律案の改正点の第一は、民事に関する簡易裁判所の事物管轄の範囲を拡張して、裁判所間の権限の分配の適正化をはかったことであります」、中を少し略しまして、「もとより、裁判所法のもとにおける簡易裁判所は、裁判所構成法のもとにおける区裁判所とは、多少その設置の趣旨を異にする点がないわけではありませんが、わが審級制度を大局的に観察するならば、簡易、地方の両裁判所間に見られる以上のような不均衡を是正して、民事第一審事件を適切に配分することが、簡易裁判所設置の本旨に沿うゆえんであって、これにより地方裁判所における事件の渋滞を解消することができ、また簡易裁判所事件の上告審が高等裁判所である関係上、ひいては、最高裁判所の負担の調整にも寄与することができると考えられますので、これらの目的を達するため、簡易裁判所の事物管轄の範囲を拡張する必要があると考えるのであります。」と述べておるのであります。すなわち、簡易裁判所の本来の立場を育てるということよりも、もっぱら地方裁判所と最高裁判所の負担軽減という立場から二十九年の改正が行なわれたことは明らかであります。その結果、簡易裁判所はますます小型地裁化し、最高裁事務総局でつくられた裁判所法逐条解説によりましても、「裁判所法は本来は、簡易裁判所を区裁判所に相当するものとして構想したわけではない」――これは二六八ページですね、ないのに、「今日においては、簡易裁判所は、裁判所構成法上の区裁判所にやや近い性格をもつにいたっているものといわなければならない。」――これは二六九ページ――と評価するようになっておるのであります。また、兼子一氏は、裁判所法の立案に参加した方でありますが、同氏の裁判法一五一ページでは、「裁判所法施行後、上級裁判所の負担軽減のために、簡易裁判所の管轄を次第に拡張する傾向にあり、そのために当初の性格がぼやけてきたことは見のがすことができない」と批判しているのであります。
 今回の第六十三回国会におきまして、簡易裁判所の性格論争が盛んに行なわれまするや、最高裁は簡易裁判所の本質を変える意思がない旨答えているのでありますが、いままで簡裁の本質をゆがめてきた者がそのような答えをされましても、にわかに信用するわけにはいかないのであります。ほんとうに簡易裁判所の本来の姿を育てていこうというのであれば、訴訟事件が減少した時期にこそ絶好の機会が来たと言わなきゃならぬのであります。簡裁の本質を発揮するためには、簡裁の裁判官、職員は国民のために親切に、いままで以上にいわゆる訴訟事件以外のことにも時間をかけなければならないからであります。したがって、今回の法律改正は急いで行なうべきものではありません。この法律改正が行なわれますと、簡裁では訴訟事件が相当ふえて、そのためにいままでより以上に時間を使うことになります。特に現在でも多忙である大都市の簡易裁判所は、増加した訴訟事件の処理に追われ、その結果いよいよ簡裁らしいきめのこまかい国民へのサービスに時間をさけなくなるのであります。
 反対理由の第三点は、地方裁判所の負担軽減の問題は、簡裁の問題と切り離して解決することを考えるべきだという点であります。幸い地方裁判所の刑事事件も減る傾向にありますし、また、民事事件はふえておりますが、審理期間は横ばい状態でありまして、決してどうにもならない状態ではないのであります。地方裁判所の負担を軽くする方法の第一は、何といっても地裁の裁判官の増員を行なうことであります。第二には、裁判の公平と迅速という面から見て、訴訟の指揮、進め方において、検討し改善すべきことが多々あるのであります。たとえば、刑事事件におきまして、検察官の手持ち証拠を第一回公判前に一括して被告人側に開示する問題であります。検察官は、一般の事件ではそのようにやっておりながら、特殊の事件になりますと拒否しておるのであります。そのため、双方があらかじめ論点を明確にし、集中的に審理を進めることを困難にしておるのであります。被告人側の意見も小出しに出さざるを得ないのであります。この問題はすでに長い間法曹界で論議されているところでありますが、これを単に個々の裁判官の訴訟指揮のみにまかすのではなく、法規の改正によって制度的に解決すべき時期に来ておると思うのであります。次に、民事事件においては、公害訴訟が長引くことに対し、被害者からだけではなく、社会的にも大きな批判が起きているのであります。被害者たる原告が一応大まかな立証をすれば、あとは加害者たる被告に挙証責任を負わすべきであります。また、加害者側が持っている関係資料は、有利不利を問わず、すみやかに裁判所に提出させるようにすべきであります。これらのことは、一応訴訟指揮の問題でありますが、しかし、加害者側の資料のすみやかな提出というとなると、訴訟指揮にはおのずから限界があると思われるのでありまして、必要な法改正に踏み切るべきだと思うのであります。このようにしてこそ、裁判所も社会の要求にこたえ得るのであります。私は、以上二つ具体的の問題に触れたのでありますが、この二つを解決しただけでも地方裁判所の負担は相当軽減できると思うのであります。ともかく地方裁判所の問題は地裁として解決をはかるべきであって、本来性格の異なる簡裁を巻き添えにしてはならないのであります。
 最後に、第四の反対理由は、最高裁は、審議の中で、衆議院法務委員会の附帯決議を尊重すると言い、また簡裁の本質は変えないで育てていく旨述べておられます。もしそうであるならば、最高裁は、そのための具体策、さらに必要な法規の改正案を本法律案と同時に国会に提出すべきものであります。そのことは、この法律改正と表裏の関係にあります。切り離してはならぬことであります。しかるに、国会に対し、いまだにそのような具体的提案がないままに、この法律改正のみを先行させることは、はなはだ片手落ちと言わなければなりません。
 以上四点を指摘いたしまして、この法律改正案に対する反対の意見を終わります。
#43
○委員長(小平芳平君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 裁判所法の一部を改正する裁判案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#45
○委員長(小平芳平君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
#46
○亀田得治君 この際、私は、ただいま可決されました裁判所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案を提出いたしたいと思います。自民党、社会党、公明党、二院クラブの各会派を代表して提出いたします。
 附帯決議案文を朗読いたします。
一、今後、司法制度の改正にあたっては、法曹三者(裁判所、法務省、弁護土会)の意見を一致させて実施するように努めなければならない。
一、政府及び最高裁判所は、簡易裁判所設立の趣旨を尊重し、民事訴訟法第二編第四章「簡易裁判所の訴訟手続に関する特則」を活用すると共に、公害の多発等社会情勢の変化に対応した調停制度の刷新強化をはかるべきである。
 更に、簡易裁判所に於ては、犯罪捜査における強制処分のための令状の発付が適正に行なわれ、人権侵害がおこらないように努めなければならない。
一、不動産に関する訴訟その他複雑な事件の第一審裁判については、地方裁判所が取扱うようにすべきである。そのため、民事訴訟法第三十条第二項、第三十一条の二を活用すると共に、必要ならば民事訴訟法文は民事訴訟規則を改正すべきである。
一、地方裁判所に於ては、裁判の公平と迅速のために、刑事事件に於ては、検察官手持証拠を被告人側に事前一括開示するようにし、民事事件に於ては、公害事件の挙証責任について、被害者側の負担を軽減するようにすベきである。そのため必要ならば、法令の改正について検討すべきである。
  右決議する。
 以上であります。
#47
○委員長(小平芳平君) ただいま亀田君から提出されました附帯決議案を議題といたします。
 ただいまの附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#48
○委員長(小平芳平君) 全会一致と認めます。よって、亀田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 この際、小林法務大臣から発言を求められておりますので、これを許可いたします。小林法務大臣。
#49
○国務大臣(小林武治君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨にありますように、司法において適正に正義が実現できることは、ひとしく国民の望むところでありますので、政府としても慎重に検討してまいりたい所存であります。
#50
○委員長(小平芳平君) なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#52
○委員長(小平芳平君) 請願の審査を行ないます。
 第一五六号株式会社監査制度改正反対に関する請願外三十三件を一括して議題といたします。
 便宜速記を中止しまして審査を行ないます。速記をとめて。
  〔速記中止〕
#53
○委員長(小平芳平君) 速記を起こして。
#54
○松澤兼人君 この請願の一八二三、これはすでに衆議院におきましても採択せられているのでありますが、この請願の一覧表の一番下覧にありますように、前回も、大阪矯正管区加古川刑務所について、交通事犯の刑務所――交通事犯専門の刑務所を設置してもらいたいという請願があったわけでございますが、そのときは審議未了になりました。先ほど言いましたように、衆議院におきましてはこれが採択になっているわけであります。今回あらためて名古屋矯正管区等六管区に交通事犯者集禁刑務所設置に関する請願として、前に請願のありました大阪矯正管区加古川刑務所に含めて、今後法務省としては交通事犯の専門の刑務所をつくってもらいたいという趣旨であります。で、この請願者は、もうすでに皆さんおなじみの粂君という非常に熱心な老人であります。前にも一ぺん私このことで質問したのでありますが、そういう方向で計画を立ててみようと、そういうような御答弁があったように思うんです。したがいまして、大阪矯正管区加古川刑務所を含めて、各管区に一カ所、そういう専門の交通刑務所というものを設置してもらいたい。私も同感でありますので、これにつきまして法務省としての御見解をこの際承っておきたいと思います。
#55
○政府委員(安原美穂君) 詳しい数字はちょっと記憶がございませんが、松澤先生の御指摘のように、現在千葉の市原刑務所、これが交通事犯、業務上過失事犯の禁錮囚を集禁しておりまして、きわめて矯正効果を高くあげておりますので、できることならばそういう近代的な集禁施設を全国にできるだけ数多く設けたいというのが法務省の考え方でございます。ただ、御指摘のように、各管区に一つ置くほどに交通事犯の禁錮囚あるいは教育囚がおるわけでもございませんので、適正な規模におきまして御指摘のような施設をできるだけ数多く設けたいというのがわれわれの考え方でございます。
#56
○松澤兼人君 それでは、何か年次計画か、あるいは四十五年度にどうするとか、あるいは四十六年でどうするとかいう、そういう計画があったらお示し願いたいと思います。
#57
○政府委員(安原美穂君) 現在交通事犯のいわゆる体刑を受けておるのが全国で二千人あるようでございます。現在のところ市原刑務所ができましたが、御案内のように、刑務所は各地の施設が非常に老朽化しておるものが多うございますので、交通事犯の集禁刑務所だけを年次計画を立てるという計画は、残念ながらまだ樹立いたしておりません。十分に検討したいと思っております。
#58
○亀田得治君 請願の最後の件ですが、大分地方法務局四日市出張所、これを支局にしてほしいという請願、これは理由は、端的に申し上げますと、この場所が市になった、市になったが、出張所であるために、戸籍あるいは人権擁護関係の仕事、そういう仕事については隣の市まで出かけていかなきゃいかぬ、これははなはだ不便でもあるし、この際ひとつそれらの仕事も取り扱える支局に昇格をしてほしいという要求ですが、いろいろこまかく事情を聞きましてもごもっともだと思う点があるわけですが、法務省側の御意見を承っておきたいと思います。
#59
○政府委員(新谷正夫君) 御存じのように、最近の社会経済情勢の変化というものはたいへん著しいものがございます。これに即応いたしますように、法務局の支局、出張所の適正配置というものを検討したいということで、現にその作業に入っておるのでございます。大分地方法務局の四日市出張所の支局昇格の件につきましても、そのような意味におきまして前向きに検討いたしていきたいと思います。
#60
○委員長(小平芳平君) ただいま請願を審査いたしました結果、第一四九七号、第一四九九号、第一五一五号、第一五六二号、第一五九八号、第一六一七号、第一六三八号、第一六八五号、第一八一五号、第二二五二号、第二三四九号、第二四七三号、第二五九〇号、第二八六三号、第三〇六六号、第一八二三号、第四一五四号、第四一五五号及び第四二九四号の請願は、議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#61
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#63
○委員長(小平芳平君) 継続調査要求についておはかりいたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#64
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#66
○委員長(小平芳平君) 委員派遣についておはかりいたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査のため、閉会中委員派遣を行なうこととし、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#67
○委員長(小平芳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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