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1970/03/19 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 地方行政委員会 第7号
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1970/03/19 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 地方行政委員会 第7号

#1
第063回国会 地方行政委員会 第7号
昭和四十五年三月十九日(木曜日)
   午後二時十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山内 一郎君
    理 事
                熊谷太三郎君
                安田 隆明君
                山本伊三郎君
                原田  立君
    委員
                鍋島 直紹君
                増田  盛君
                山崎 竜男君
                吉武 恵市君
                若林 正武君
                加瀬  完君
                竹田 四郎君
                和田 静夫君
                阿部 憲一君
   国務大臣
       自 治 大 臣  秋田 大助君
   政府委員
       自治省財政局長  長野 士郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
   説明員
       自治省財政局交
       付税課長     横手  正君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○地方交付税法の一部を改正する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山内一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 理事の辞任についておはかりをいたします。
 内藤君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(山内一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山内一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に安田隆明君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(山内一郎君) 地方交付税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提案理由の説明を聴取いたします。秋田自治大臣。
#6
○国務大臣(秋田大助君) ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
 まず、昭和四十四年度分の地方交付税につきましては、さきに六百九十億円を減額繰り延べることとされていたのでありますが、地方財政等の状況にかんがみ、現行の繰り延べ額のうち三百八十億円を繰り上げて加算することとし、これに伴う地方交付税の総額の特例を設けることとしております。
 次に、補正予算に伴い増加する地方交付税につきましては、さきの給与改定に伴い必要となる財源に充てるほか、現下の要請にこたえて公共用地の先行取得の促進のための経費を充実することとし、このため土地開発基金費にかかる単位費用を引き上げることとしております。なお、これらに要する額をこえる地方交付税については、昭和四十五年度へ繰り越して使用することとしております。
 以上が地方交付税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#7
○委員長(山内一郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。長野財政局長。
#8
○政府委員(長野士郎君) お手元にお配りいたしております地方交付税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案関係資料というのがございますが、その青い二枚目の紙の次をお開き願いますと、法律案要綱がございます。この要綱に基づきまして御説明申し上げます。
 今回の改正は三点ございまして、第一点は、先ほども提案理由の説明にありましたように、地方交付税の四十四年度におきますところの総額の繰り延べが六百九十億円でございましたものを三百十億円に改め、三百八十億円を繰り上げて加算をする、こういう措置がとられましたに伴いまして、これに関連をいたしますところの関係規定を改正する、こういうことが第一点でございます。
 第二番目は、道府県分の土地開発基金費の単位費用を増額いたしまして、新たに土地開発基金の増額配付をいたしたい、こういうことでございます。これに伴いまして府県分は基準財政需要額で三百四十五億円を算入いたしまして、交付団体分で二百八十二億円を追加交付する、こういうことに相なります。
 それから第三番目は、補正予算におきまして九百九十五億円の増額を見たわけでございますが、その中から給与改定等に要します経費といたしまして三百三十一億円と、それからただいま申し上げました土地開発基金費の増額二百八十二億円を差し引きました三百八十二億円につきまして、これを四十五年度に繰り越して使用するという関係の規定を加えるという内容でございます。
 その次の青い紙を開いていただきますと、いま申し上げました関係のことを書いておりまして、その二ページ目の八項というのが非常に複雑な書き方をいたしておりますが、結局それは増額交付の関係と、それから繰り越しの関係の規定を、技術的にわたりますが、規定の整理上こういう複雑な書き方をしたわけでございまして、内容はただいま申し上げたとおりの内容でございます。
 簡単でございますが、補足説明とさせていただきます。
#9
○委員長(山内一郎君) これより質疑に入ります。
 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#10
○和田静夫君 いわゆる財政硬直化ということが表面化をしてから、地方交付税をめぐって予算編成過程で大蔵省と自治省とのやりとりというものが何か年中行事化をしてしまった、そういう感じがいたします。昭和四十三年度は四百五十億円、四十四年度には……これは特に大臣に最初の部分というのはお聞きをしておかないとなりませんので、お聞きを願いたいと思うのですが、四十三年度には四百五十億円、四十四年度には六百九十億円という地方交付税の総額からの減額繰り延べ措置がとられてきたわけですね。そしてこうした措置について、国会では、実は地方交付税の本質にかかわる問題として私自身も取り上げて、かなり突っ込んだ議論をしたのであります。それは六十一通常国会の速記録で明らかであります。ところがそうした議論がから打ちになっている。言ってみれば議論が何ら踏まえられずに昭和四十五年度もまた同じようなやりとりがあり、同じような結末になっておる。私たちがいまここで審議をしようとしているこの法律案は、大蔵省と自治省とのやりとりの結末、言ってみれば妥協点としての昭和四十五年度の地方交付税総額から三百億という減額繰り延べ措置の四十四年度段階でのいわばつじつま合わせのようなものである。そういう意味では、実はまたかという感じが強くて、こうした過程の繰り返しの中から何か新しい事態が生まれようとしているのでありますから、私たちとしても、そのことに無関心でおるわけにはいかないと思うのです。
 そこでお尋ねをしたいのでありますが、昨年一月六日付で福田大蔵大臣と当時の野田自治大臣との間に取りかわされた覚え書き、これには、昭和四十三年及び四十四年度においてとられた特例措置を、今後は避けるようにすると明確になっている。四十五年度にまた同様の特例措置がとられたいきさつは、どういうことであったのか明らかにしてもらいたい。
#11
○国務大臣(秋田大助君) 昨年一月六日に大蔵大臣と前自治大臣との間にかわされました覚え書きの趣旨は今日も生きておるわけでございまして、問題の貸し借りと申しますか、この方式はこれを避けるべく、大蔵大臣との交渉に当たりまして極力その方針によって当たったわけでございます。しかしながら、いろいろ交渉の過程を通じて問題の原則の維持につとめたわけでございますが、結局、向こうの要求に屈したわけではございませんが、いろいろ諸般の事情を考慮いたしまして、ある程度国税三税の自然増収によりまして、行政水準の維持も可能であるということを考えまして、万やむを得ず御承知のような措置をとった次第でございます。覚え書きの趣旨は今日も生きておりますので、今後は、かかるやり方はこれを避けるようにいたしたいと考えております。
#12
○委員長(山内一郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#13
○委員長(山内一郎君) 速記を起こして。
#14
○和田静夫君 大臣がこの覚え書きの趣旨というのを明確に尊重していく、そういう立場で、いま私が述べたような趣旨のことが実現をする、そういう見通しを持たれている、いまの答弁はそういうふうに理解しておいてよろしいですか。
#15
○国務大臣(秋田大助君) この覚え書きの趣旨を徹底し、今後、今回とりましたような措置、すなわち貸し借りを国と地方財政の間に繰り返さないようにするためには、いわゆる特会直入といわれておる国税三税を直ちにこちらのほうの特別会計に入れてもらう。一ぺん国の会計に入れますから、その間にいろいろわずらわしい問題を生じますから、その方法をやめまして、ただいまわれわれが主張をいたしておりますところの特会直入の方法をまずとることが先決要件である、これとあわせてこの問題を論じようということを大蔵大臣との間に、これは覚え書きにはしておりませんが、かたく公約をいたしております。そのことは大蔵大臣も認め、その趣旨で衆議院等においても国会答弁に当たっておるわけであります。しかし大蔵大臣としてはこのやり方には賛成いたしかねるという旨も言っておられますが、しかし自治省との間に相談をしようということは、これは否定されておりません。したがって、この問題を解決するのには前途多難を予想されまするけれども、自治省といたしましてはとくとお話をつけまして、その御了解を得たいと思っております。
#16
○和田静夫君 いまの答弁を頭の中にそのまま置いて財政局長に二、三お尋ねいたしますが、自治省と大蔵省との間に大臣間に意見の違いがある、これは私も知っておるわけです。あるいはおそらくそれぞれの官僚、大蔵省と自治省の官僚の方々の間にも意見の違いがある、そう私は思っていますが、自治省の方々は、地方財政問題で大蔵省がこうだとかどうだとかという説明をたくさんされますが、少なくとも同様に国家機構の一部として機能をしている以上、客観的には両者の意思というものは別々に機能するわけのものではないわけです。だからこそ予算編成過程で両省が何べんも、何べんも繰り返して折衝して覚え書きなどというものができ上がる、そう理解をいたしますが、その両者の一致点ですね、その一致点を私たちは内閣の意思として受け取って、その内閣の意思を国会でも問題にしたし議論もしてきたつもりなんです。ところが、その意思が今度のように一年もたたないうちに、大臣は、私たちが議論に参加をしたその主張の上に立ってたいへんな努力をする約束をいまされたわけですけれども、とにかく一年もたたないうちにくつがえされるのであれば、私たちの議論は一体何を判断の基準として議論をしてよいのかわからなくなるのであります。確かに私たちは、新聞であるとか、あるいは自治省の方々が書かれる、あるいは大蔵省の方々が書く諸雑誌を通じて、大蔵省がどのような考え方を持ち、自治省がどのような思考をしているかということを知ってはいますが、そのそれぞれの考え方についてそれぞれの大臣に質問をして議論をもう一ぺん展開をしろということなのか、さきの国会で私自身もあの覚え書きについてあれだけ議論に参加をさせてもらって議論を展開をした、そして内閣としては四十三年度に引き続いて四十四年度も特例措置をとられることとなった、若干変則的なことだけれども。四十五年度以降はそういうことを避けていこうという大臣間の約束もできたことだし了解をしてもらいたいということを国会に対して言明をされたわけですよ。あのときの――一時のがれの答弁だと私は理解をしていません。そしてあの法律が通ったことを考えてみますと、あのときのやりとりを通じての私たちに対する約束ごとというものが破られるということに現実なろうとしておるわけですから、その政治責任は私は問われてもしかたがないと思うのですが、いかがお考えになりますか。
#17
○政府委員(長野士郎君) 先ほどからのお話にありますのは、私どももよくその経過についても存じ上げておるつもりでございます。まあそういうことで昨年の両省の関係につきましては、確かに覚え書きがございまして、二つ問題を指摘しておったわけでございます。大きく言いまして二つ問題を指摘しておりまして、一つは、当分の間交付税率の変更については相互に変更を求めるというようなことはしないということが一つと、それから四十三年度及び四十四年度にとられたような特例措置を今後避けるようにする。そのために別途地方交付税の年度間調整の措置を検討する、こういうことになっておったわけでございます。で、この点につきまして、その後いろいろ両省間で折衝が持たれたわけでございますが、地方交付税の年度間調整という問題につきまして、まあ、正直に申しまして私どもの考えております年度間調整という問題についての考え方と大蔵省の考え方というものとの間には、いろいろ議論はいたしましたが、やはりなかなか両省の意見が一致するところまでまいりません。はっきり申しまして非常に相違をみて、平行線をたどっていたわけでございます。また同時にその内容の中心になりますものは、結局は交付税というものをどう考えるか、交付税の基本的な性格というようなものから出発をしてくるわけでございまして、そういう意味で先ほども大臣が申し上げましたように、その前提として、自治省としては、われわれがかねがね主張しておりますところの特別会計直入方式というものをまず実現しなければならない。これを実現した上での年度間調整ということであるべきだ。同時に年度間調整をいたしますための調整の基準と申しますか、そういうものはやはり地方の自主的な立場に立って調整をするというかっこうでなくちゃいかぬ。元来それは、そういう意味では地方団体ごとに自主的に考えていくということが正しいあり方だと思うけれども、百歩譲ってもそういう地方団体、地方自治というものについての固有の財源としての交付税というものの性格をそこなわない、つまりそれは、地方全体としてでもいいから自主的な判断の上に立って年度間調整というものは考えるべきだ、こういう考え方というものを貫きますためには、やはりどうしても最小限度特別会計直入にするという方式を前提にしなければならぬということがございますが、まあこの考えはやはり一番私どもがいまなお正しい考え方だと思っておりますけれども、この点につきましてなかなか話し合いがつきません。で、四十五年度というものを目標にいたしましての、そういう意味で年度間調整の措置の検討ということは、なお引き続いて行なわざるを得ないという形になったわけでございます。そういう意味で、先ほども大臣申し上げましたが、大蔵大臣と自治大臣の間に、昨年のような覚え書きはございませんけれども、特会直入の方式の可否、年度間調整の問題については引き続き検討するということに相なって今日に至っておる、こういうわけでございます。
#18
○和田静夫君 何か私の質問にずばりと答えられなくて、経過的な説明があったのですが、四十四年度の予算の編成過程で大蔵大臣と自治大臣が、さきに述べましたように昭和四十三年及び四十四年度においてとられた特例措置を今後避けるようにと約束された、そうして前国会での私と大臣間との議論のやり取りの中でも、そうなんだからとにかく了解をして法律案通すことに協力をしてくれ、こういうふうに何べんも言われた。そうすると両省の意思としては、少なくとも四十三年度と四十四年度の特例措置は好ましくない、好ましくないという判断があったということになると私は思うのです。さっきの大臣の答弁の中でも、覚え書きには残していかないけれども、いってみれば自治省側の主張というものがたいへん理解をされているという感じを与える、そういう答弁を考えてみてもそういうふうに判断をされるのですが、特例措置はともあれ好ましくないという判断があった。その判断の根拠というのはずばり言ってどういうことでしょうか。
#19
○政府委員(長野士郎君) お答えになるかどうかわかりませんが、これはやはり交付税の基本的な性格なり、交付税というものが地方の国有の財源ということであります以上は、国税三税の三二%というものにつきまして、これは地方の財源として確保したいということでございますから、それがどういう理由にせよ減額をされて交付されるというような特例、これを俗に貸し借りと言っていると思いますが、そういうことは、そういう原則なりたてまえからいって、これは法律でございますから、法律の特例を開けないわけではございませんけれども、決して好ましいことではない、こういう考え方が基本である、この点につきましては、政府部内でそうじゃないのだという意見は私はないと思っております。いずれもこの点は、避けるべきだという考え方としては一致をいたしておると思っております。
#20
○和田静夫君 そうなると私はきわめて単純に考えてみて、地方交付税が地方団体の固有の財源であるという判断について異論がないとするならば、そもそも地方団体のものを国のレベルでかってにやりとりすべきではない、まあそう思いますね。そこで、いまも言われましたが、地方交付税が地方団体の固有の財源であるということの意味ですけれども、自治省の関係の答弁は、いまもお答えになったように、従来地方交付税法の第六条第一項の文言が「所得税、法人税及び酒税の収入額のそれぞれ百分の三十二をもって交付税とする。」のであって、百分の三十二に相当する額と表現をしてないことを理由に、地方交付税が間接課徴の地方税であるという見解をとっておられたのでありますけれども、その見解はいまも変わっていませんね。
#21
○政府委員(長野士郎君) 変わっていないと思っております。
#22
○和田静夫君 地方交付税が間接課徴の地方税であるというのであれば、つまり地方交付税の本質は地方税なのだということであるならば、そこからは、どう考えてみても、国のレベルで年度間調整を行なうという論理は私は出てこないと、前にも申しましたが、そう思います。
 しかるに、自治省も、最近は、どうも地方交付税制度に年度間調整を導入すること自体には反対をしていないと思われる節が非常に濃厚になってきていると思うのです。たとえば細郷事務次官の発言なんかで見てみますと、地方財政の年度間調整は、個々の地方団体においてそれぞれ行なわれるのが本来の姿であることはもちろんであるが、地方財政全体を通じても、つまり、国のレベルでも年度間調整は考えられてもよい、という言い方になってきているわけですね。こういうことは、地方交付税は地方団体の固有財源であるという言い方が同じようにとられていても、何かその意味するところが大蔵省の見解に非常に近くなってきているふうにとれるのです。大蔵省は、財政制度審議会に提出した資料の中で、御存じのとおり地方交付税が税という名称をとったことによって、平衡交付金と違ってその本質は地方税であるという向きもあるが、大かたの見解としては、平衡交付金と同じく財政調整資金であり、税という名称に決定的な意味はないとしている、と明確に述べているのですね。また昨年五月八日の本委員会において、当時の大蔵省の相澤主計局次長は、私の質問に答えて、「地方交付税の本質につきましては、その財政制度審議会の意見にも出ておりますが、その多くの学説が認めておりますとおり、また昭和十五年に創設されました配付税制度以来の取り扱いが示しておりますとおり、これは、国が地方に交付する、地方財政調整のために国が地方に交付する交付金であるという本質は現在も変わっていないというふうに考えております。ただその総額が、現在の地方交付税制度のもとにおきましては所得税、法人税及び酒税という三税の収入額の一定割合というふうに法律に定められております。その限りにおいてこれは国が義務的に地方に交付すべき金である、そういう意味において大蔵大臣も固有の財源であるというような答弁をしておりますが、私どもはその交付税の本質につきましては先ほど申し上げましたとおりのものであるというふうに考えております。」という答弁があって、それから私とやりとりがあるわけです。私はさきの国会で、ミイラ取りがミイラになったと言ったのでありますが、最近では、自治省の見解も大蔵省のいま読み上げたこの見解と変わらないものになっているのではないかと考えられてしかたがありませんが、いかがですか。
#23
○政府委員(長野士郎君) いろんな見方も、確かに、交付税をめぐりましては行なわれておることは御指摘のとおりだと思います。
 しかし、私どもは、交付税につきましては、やはり実質的な意味で地方の固有の財源であるというふうに考えておるわけでございますが、ただ、いまの予算の上におきましては、交付税交付金というような形で予算の歳出に立てられるというかっこうが現実には予算の費目としては行なわれておる。やっぱりそういうことが――いろいろそれは、ある意味では予算の作成上というよりは、むしろ意識的にそういう費目の名称を使って予算編成をしたということがあるかもしれませんけれども、これはちょっとせんさくする余地もございませんが、しかしながら、そういう形で予算の歳出に立てられておるということが、いろいろ交付税をめぐる問題を起こしている一つの理由にもなろうかと思います。それから、年度間調整という問題につきましては、お話のような御意見は、もちろん私どもも本質的に地方団体がそれぞれ自主的に行なうべきものだと思います。思いますが、百歩譲りましても、地方財政全体としての立場で、地方財政というサイドで考えていくということがどうしても確保されなければならない。つまり、それは逆に申しますと、――逆と言いますか、まあ、地方財政の運営というものが景気の浮沈によりまして、そういうものに強く結びついた財源としての大きなものが交付税でございますから、そういう意味では、地方団体が安定した形で長期にわたって計画的に財政運営が確保されるというような形での年度間調整ということは、ある面で私どもは望ましいことだと思います。ただ、それがどういう形で行なわれるか、どういうやり方で行なわれるか、年度間調整という限りにおきましては、その面でも確かに長期にわたる財政運営の健全化がはかられるという要素はございます。ただ、それが国の財政の都合というようなことでやられるということになりますと、それはまあことばはいろいろ言われますが、国、地方を通ずる財政の運営の円滑化のためだとか、いろいろな言い方もできますけれども、そういう形でやられるということになりますと、そこにたいへん問題が起きるということで、考えていかなきゃならぬのじゃないだろうか、そういう形のものはやはり避けるべきである、あくまで地方財政の自主的な立場は貫き得る形での年度間調整であるという意味であるならば、またそういう実質を伴った年度間調整であるならば、これはある程度考えていくことがむしろ財政の長期的な、計画的な運営のためむしろ必要だとさえ言ってもいいのじゃなかろうか、こう考えておるわけでございます。問題は、ですから、年度間調整ということばをめぐりましても、やはり立場が違いますというかまあ考えることが違う。考えることの違う中に非常な違いがある面で出てくる。その理由は何かといえば、やはり交付税というものについてのものの考え方が非常に異なる見解もそれぞれあるということでありますけれども、自治省としての考え方が非常にそうでない方向にだんだん進んでおるというようなお話がございましたが、私どもは決してそのように考えてはおりません。
#24
○和田静夫君 大蔵省が、昨年の十月二十三日の財政制度審議会第一特別部会で、地方交付税の年度間調整の要否あるいは調整の程度を判断する基準は、客観性の強い指標を用いるべきであると述べております。そしてその具体例として、経済成長率、政府財貨サービス購入の伸び率、国の一般会計予算規模の伸び率、地方交付税交付金を除いた国の一般会計予算額の伸び率、国税収入の伸び率、地方財政計画の伸び率、地方財政計画上の単独事業費の伸び率をあげております。こうした大蔵省の考え方に対して、自治省はどういう見解をお持ちになるのか、ひとつお聞きしたいのです。
 それからさらに、いま年度間調整の問題について、たとえば「細郷新自治事務次官に聞く」という昨年の十一月七日の自治日報によると、年度間調整制度については検討するということになっているが、まだ成案は持っていません。こういうふうに事務次官は述べているのですが、自治省はそれからかなり時間的に経過を――四カ月ばかりしていますが、それじゃ、いま財政局長述べられたある意味では必要だなどというようなその年度間調整の制度はどういうものなのか、明らかにしてもらいたいと思います。
#25
○政府委員(長野士郎君) 正直に申しまして、この年度間調整のしからば基準ということになりますと、これはきわめて、だれでもことばとして思いつきますが、どういうふうなものを内容とするものに考えたらいいかということになりますと、これがまあ非常にむずかしいことに相なるという感が実を申しまして深いのでございます。年度間調整を検討するにあたりましての年度間調整の基準になりますものに対しまして、先ほども申し上げますように、私どもは長期にわたるこの地方の行財政の計画的な運営のためには必要だと、こう申しておりますが、それではどういうことを基準にしてそのめどを立てるかということになりますれば、結局それはまあ客観的な基準でなければならぬということが一つでございましょうが、同時に、地方の行政水準というものの長期的な見地から計画的に引き上げていくといいますか、推進していくことができるというような一つのものさしといいますか、そういうものを見出していくということが必要になるのじゃないかというふうに思うのでございます。そこで、先ほどお話がございました経済成長率でございますとか、国の一般会計の予算の規模の伸びだとかいろいろ言われておりますけれども、第一こういう資料というものは、過去の経験に徴しましても見込みと実績でずいぶん差も出るわけでございましょうし、またそれが今後の地方行財政の一つの水準なり需要を反映しておるものとも私どもは思わないわけで、経済の成長といいます場合にも、それによって国民の生活水準は上がっていくわけでございましょうが、ただ、それに対応するような地方行政が受け持っておりますところの社会公共的な施設の整備なんということが非常に立ちおくれておるような現状であります場合に、それと必ず合ったテンポでなければならないということになりますと、一そうその開きが、ある面では広く広がっていくということにもなりかねないということもございます。また、景気が不況になるというような場合でも、地方行政の当面担当しておりますものは、景気のいい悪い、好況、不況にかかわりませず、どうしてもやっていかなければならない仕事というものはたくさんあるわけでございますから、そういう意味で行政の水準を長期的に確保していくというものさしといたしまして、国の予算の規模でありますとか、経済成長率というようなものを必ずしも用いるだけで済むというわけではないというふうにも思われます。ですから、こういう面ではあくまで地方の行政水準の長期的な遂行という意味での客観的なものさしというものをつかまえることが、どうしても必要になってくるのじゃないかというふうに思われるわけでございます。まあ、そのものさしの発見ということがいろいろむずかしいわけでございますけれども、議論の中には、確かに国の一般会計の規模と同じ程度の規模であると考えていくのが一番簡単じゃないかという議論も議論としてあり得るかと思いますけれども、私どもとしては、いまこういうことで考えるわけにいかない。それはやはり地方財政の機能とか、地方財政の受け持っている責任というものが、あるいは地方交付税の本来的な性格といたしましても、そういう国家財政にすぐ応じていくというだけのものではない。やはり役割りなり機能なり、それから性格が違っておるというふうにも考えるわけです。正直申しまして、いまのところまだそういうものの研究をさらに続けていかなければならないと思っております。この点については、地方制度調査会におきましても、この基準はもっと慎重に検討しろ、ただ、とりあえずやるべきことは、特別会計直入方式だけをまず実施をしろという答申をいただいておるわけでありまして、私どもも、今後も鋭意こういう意味での検討は続けてまいりたい、こう思っております。
#26
○和田静夫君 昨年十月二十三日の財政制度審議会の第一特別部会で明らかにされた大蔵省の見解の中で、私が特に注目をしたのは、大蔵省が、地方交付税制度が全体として指向しているはずのあるべき行政水準そのものに対してたいへんな攻撃をかけていると判断をいたしたその部面なのです。大蔵省の見解によると、地方の行政水準なんというものは数限りなくある、各地方団体の規模とか、あるいは現在の行政水準なども千差万別である、実際問題として客観的で合理的なシビル・ミニマムの設定なんというもの自体がむずかしいということを大蔵省は言っているのです。そういうことになると思う。つまり大蔵省というのは、基準財政需要額の算定を通じて、あるべき行政水準を設定をして、それを財源的に保障するという地方交付税制度のたてまえそのものを否定をして、基準財政需要額を交付税の単なる配分基準としか考えていない、私は一言で言えばそういうことだろうと思うのです。その大蔵省の見解に対して、自治省の細郷事務次官は昨年の十一月七日の自治日報の一問一答を通じて、「行政施設の基準というんですかそういうものもなしに一体今の複雑に変貌している時代に財政が運営できるかどうか、私は疑問に思いますね。目標なしにゆきあたりばったりの財政運営をしろというのなら別ですが、時代の要請にはマッチしていません。」、こういうふうに述べているわけです。そこで、地方交付税が財源的に保障しようとするあるべき行政水準というものは、一体どういうものであるかということをあらためて考えてみたわけですね。要するに、モデル、すなわち標準的な規模の団体、あるいは施設を選んでおいて、そこにおける経費の実績等を分析をし、検討をして標準経費を算出をする、このモデル計算を媒介とすることによって、この時点でのあるべき行政水準が各地方団体の決算実績など客観的数値とのかかわり合いにおいて設定される。そういうところに地方交付税的財源保障の真髄があると思うのです。しかるに、こういう理念が自治省によって忠実に守られて徹底されてきたのかどうかといいましても、最近における事業費補正の拡充あるいは長期固定化という問題、あるいは土地開発基金費といったようなものを基準財政需要額に算入するといったそういうことを取り上げてみますと、私にはどうも忠実に守られ、反映されてきたというふうに思えないのであります。この法律案でも道府県分の土地開発基金費の単位費用の引き上げが提案されております。一体この単位費用にどういう客観性があるのでしょうか、この単位費用の中にあるべき行政水準という理念そのものがどういう形で具現をしているのですか。何か金が余ったから政策的に少しめんどう見てやろう、そういうことだけであって、つかみ金から逆算をされて単位費用がはじき出されている。こういうことでは、自治省は大蔵省のあるべき行政水準への攻撃に有効にこたえることはできないのではないか。少なくとも私はそう思うのですが、いかがですか。
#27
○政府委員(長野士郎君) まあいま単位費用のお話がございましたが、確かに交付税におきましても標準団体を想定をいたしまして、そしてそのあるべき行政水準を追求をしておる、こういうことは毎年努力をしてまいってきておるつもりでございます。そして財源の充実に従いまして、なおなお十分でない点もございましょうが、それを追いかけておるという形で現在に至っておるわけでございます。そこで、あるべき行政水準というものにもなお十分に需要として的確に反映をしてないという点もある、むしろ現実の需要に追い回されているという節が事業費補正等では見られるのではないかというお話かもしれないと思いますが、私はやはり両方のものを、現実の財政運営というものもありますから、やはり追っていくという必要も出てくるということになると思います。
 それから今回のと申しますか、土地開発基金費の問題でございますが、これになりますと、たとえば毎年の地方団体が公共用地を確保し、かつその先行取得として考えていかなければならないと私どもに思われます額は相当な額にのぼっております。そこで、今回の改正によりまして府県分の土地開発基金費の単位費用の増額をはかっておりますが、これをはかりましても、なお標準団体あたりにいたしまして十二億程度でございます。千四、五百億にものぼるそういう需要に対しまして、土地開発基金費としては私どもとしてはまだ不十分ではなかろうかというふうにも思っておるわけでございます。まあ他とのいろんな財源の振り分け等もございますから、これをこの程度で考えていくより現実的にはいたしかたないといいますか、そういうことで措置をぜひいたしたいということにいたしておるわけでございますが、また、長期化というお話がございましたけれども、結局あるべき行政水準というものを目ざしておる一つの見方としては、これはいろんな施設整備等におきますところのいろんな機関で、あるいはそれを担当する責任を持つところで立てておりますところの長期計画というようなものは、これは一つのそれぞれの項目におけるところの見方ではございますけれども、やはり一つの目標設定をいたしまして、それを実現するための方策を立て、対策を考えているということでございますが、そういうものをやはり長期的な見方の中ではある程度しんしゃくをしていくということは、やはり長期に考えていくということからいえば、まあ一面固定化というような御批判も受けますけれども、一面においてはやはりそういう必要もあるのではないかというふうにも考えておるわけでありまして、今後も必要な需要というものを見ながら、お話のような一つのモデルと申しますか、そういうものをつかまえまして、それのあるべき水準というものを描きながら近づけていくということ、これは現実の姿に必ずしもとらわれてはよくないという点もございますから、そういうものを見ながら近づけていくという努力は今後も続けてまいりたいと考えております。
#28
○和田静夫君 この法律の提案理由ですが、「地方財政の状況にかんがみ、昭和四十四年度分の地方交付税の総額の特例を設けるとともに普通交付税の額の算定に用いる単位費用の一部を改定し、あわせて補正予算により増額された同年度分の地方交付税の額の一部を昭和四十五年度分の地方交付税の総額に加算して交付することができることとする必要がある。」となっているわけです。ここで言われている昭和四十五年度分の地方交付税の総額に加算して交付する繰り越し額、これは幾らですか。そうしてその算出の根拠を示してもらいたいと思います。
#29
○政府委員(長野士郎君) この四十四年度の補正予算におきまして、先ほども申し上げましたが、国税三税の自然増収に見合いますところの三二%分六百十五億円と、それから四十四年度の当初に六百九十億減額ということになっておりましたが、これに対しまして繰り上げて返還するという三百八十億円、これを合わせまして補正予算におきますところの交付税の増加が九百九十五億円と相なっておるわけであります。その九百九十五億円の中で、給与改定等に必要であります、つまり本年度に財源措置として考えなければならないもの、これが三百三十一億円ございます。それからいまお話のございます土地開発基金費の増が交付団体分として二百八十二億円、これを差し引きました、つまり残り――残りと申すと何でございますけれども、九百九十五億円からその合計の六百十三億円を引きました残りの三百八十二億円、この額を四十五年度に繰り越す、こういうことにいたしたいということでございます。
#30
○和田静夫君 私もこの法律案について、昭和四十五年度交付税総額からの三百億円の減額繰り延べ措置をカバーするものとしての三百八十二億円の繰り越しという性格、それを問題にしてきたつもりですが、補正予算に伴う交付税の次年度への繰り越し措置ですね、私はそのものが、交付税法のたてまえからいってやはり実は問題だと思うわけであります。自治省の、いってみればこれは公認の解説書ですが、山本悟著のこの「精解地方交付税法」の四六ページに次のように書いてありますね。「国の補正予算に伴い交付税の総額が増加された場合で、当該年度中に全額を交付することが適当でない等の特別な事由があるときに、特別立法により、交付税の額の一部が翌年度に繰り越された例がある。」と、まああるわけですが、この特別立法による特殊な例は、昭和三十五年以来特殊な例ではなくて、むしろ一般化してきている、そういう事態について自治省はどういう一体判断をお持ちになるわけですか。
#31
○政府委員(長野士郎君) 交付税につきましては、お話しのとおり、その年度の交付税はその年度に交付すべきものだという考え方は確かにそのとおりだと思います。ただ、現実問題といたしまして、今回の場合もその一つでございますが、現在の時点で、増額になりましたときの追加の交付税を、どのように配分を考えていくのが適当かという問題が、こういう時点になりますと出てくるわけであります。もちろんそれは、当年度における措置をしなければならないものの未措置の分というものは、これは問題はございません。これは当然に措置をしてかかるべきものでございますから、そうでございますが、その余のものにつきましては、これはやはり従来もそういう例があるではないかという御指摘は、まことにそのとおりでございますけれども、そのようなものにつきましては、やはり財政の長期的な運営の確保という面も含めまして、当該年度で留保するという形よりは、むしろ来年度に繰り越して計画的に運営をしていくということが望ましいではないかというようなことも配慮に加えまして、繰り越し措置をいたしたい。これはまあそれが特殊な例ではなくて、常例化しておるではないかという意味では、そういう年度末に至っての追加増額ということが常例化してきておるということと関連をするわけでございますが、しかしながら、これは本来常例化すべきものでは私はない。しかしながら、補正予算の追加増額という形が、これも異例のことではないかと思うのでありますが、こういうものがある程度始まってまいっておりますから、それに応じて交付税の繰り越しということもある面出てこざるを得ないということのように私どもは受けとめざるを得ないのじゃないか、こう考えているのであります。
#32
○和田静夫君 考えておられることの説明はわからぬわけじゃないですが、全く単純に考えてみて、昭和三十五年以来約十年間という形で続きますと、それはもう特殊な事例じゃありませんね。そうじゃないですかね。
#33
○政府委員(長野士郎君) 結局、これは国の補正ということが、補正の必要が出てくるということとも関連をするわけでございますが、その点ではいろいろな行政の施策というものと、一方歳入におきまして、非常な歳入の自然増があるということと、両方の関係も出てくるわけでございます。つまり、それは経済成長が非常に何年か続いておりまして、そしてその点において異常な伸びを示している。その一面、また措置すべき歳出要因というものがいろいろ加わってくる、こういうことの繰り返しが続いてきた。それに応じて交付税においても、増額が年度末に至って、繰り返しというと語弊がございますけれども、相当な回数追加交付という形が出てきた、こういうことではなかろうかと思うのであります。これはしかし、景気に非常に左右される面もあるわけでございまして、私どもこれが常例化しておるというふうに言い切れるものであるかどうか、この点については、やはり相当また別の用心と申しますか、慎重な態度というものもやはり考えておかなければならない。そういたしますと、そういう面で年度間にわたっての健全化のための運営のしかたというものの一つの方法として、年度にわたって繰り越していくということもある程度考えておくことが、財政運営の長期の健全化のためにも適当ではないか、こう考えるわけでございます。
#34
○和田静夫君 お説ですがね、そうすると、これは一体どういうことになるのですかね。自治省が昨年出された「地方交付税制度沿革史」これの一〇五ページですが、昭和三十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案に触れて、「現行の地方交付税制度では、交付税の総額については単年度ごとに年度間の調整を行なう建前はとっておらず、不足ならば調整率で圧縮するし、余った場合は特別交付税に算入することとして毎年度予算に計上された交付税の総額を年度内に配分してしまえという考えもあったが、より計画的かつ合理的な財源配分を行なうためには、年度末近くになって特別交付税として交付するよりも、これを翌年度へ繰り越し、明年度の交付税総額に加算して配分する方が適当と考えられたことから特例法として提案され」云々とあるわけですね。そうすると、この文言には、こうした特別立法をする特殊な事由については何ら触れておらぬわけですね。いまのところは何ら触れておらぬ。「より計画的かつ合理的な財源配分を行なうためには、年度末近くになって特別交付税として交付するよりもこれを翌年度に繰り越し、明年度の交付税総額に加算して配分するほうが適当」なのだ、こういう考え方が根元にあらわれているわけでしょう。そうすれば、自治省においてはこういう考え方がすでに一般化しているのじゃないですか。
#35
○政府委員(長野士郎君) それは年度末において交付税が、その額、増額の程度にもよりますけれども、単年度に措置すべきものを上回りまして交付税が増額いたしましたような場合、そういう場合に長期的に安定的な運営を保障する意味で繰り越しということが適当な場合がある。そういう場合には、やはり常例というより、そういう場合が何回か起きてきましたのでそういうことにいたした、いたしたほうがいいということでございまして、たとえばこれが九月に補正されるとか、あるいは十一月に補正があるということになりますと、やはりその年度の中で配分すべきものが需要として十分見込み得るものが出ておるような場合には、これは措置することもできると思いますが、なるべくそういう原則に従っていくということで措置することが適当だと思いますけれども、この三月に至りまして、そういうような大きな額の増加配分ということをいたしますことよりは、三月の増加のような場合には、むしろ翌年度へ繰り越して、計画的に配分をしていくということのほうが適当であるというふうに考えるわけでございます。地方団体といたしましても、これから追加補正をいたしまして、事業を計画的に追加補正をして実行していくということは、とても年度内にできるというふうにも思われません。そうでありますならば、翌年度のものとしてこれを計画的に財源として必要な事業を実施してもらうということのほうが、運営の合理化にも資するのではなかろうか、まあこう考えるわけでございます。
#36
○和田静夫君 自治省の昭和三十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案に対して、衆参の地方行政委員会が付した附帯二決議ですね。
  地方交付税制度の運営の情況をみるに、ここ
 三年間、毎年度百億円程度を翌年度に繰越す措
 置を講じているが、現下の地方財政の動向と地
 方行政水準の現況にかんがみ、政府は、今後次
 の点について検討すべきである。
 一、本制度が、地方交付税の交付の基準の設定
  を通じて地方行政の計画的な運営を保障する
  ことにあるのにかんがみ、基準財政需要額の
  算定にあたっては、進展する地方行財政の実
  態に即した合理的かつ妥当な単位費用の積算
  等を行ない、交付税の全額をその年度内に交
  付できるようにして、地方財源の確保に万全
  を期すること。
 右決議する。
 この附帯決議の実現のために、一体どれだけの努力をされましたか。
#37
○政府委員(長野士郎君) 確かにお話のように、繰り越しということが私どもも原則だというか、たてまえとして、原則で条例であるというふうには考えておるわけではございません。ただ交付税の増額の時期によりましては、やはり来年度にこれを繰り越しまして、そして長期的な安定のある運営に資するほうがむしろ適当だという、そういうことで、繰り越しというか、補正に伴っての単位費用の合理的な改定ということは、なかなか時期的にも技術的にも非常に困難な問題がございます。そういう意味では、今回の場合には土地開発基金に対しますところの単位費用の引き上げ等は、できるだけ可能なものはやっていくというようなことで考えて措置をいたしたいと思っておるわけでございますが、それ以外には、やはり来年度の交付税の問題として、単位費用の改定その他を考えます場合の一つの交付税の総額としてこれを合わせまして、需要の正確な測定に資していくというような方法で、現在まで繰り越しました場合にはそういう計らいをいたしてきたと、まあこういうふうに私どもはやってきたと考えております。
#38
○和田静夫君 では、土地開発基金について若干お尋ねしますが、土地開発基金の設置の状況について、概要と申しますか、お知らせください。
#39
○説明員(横手正君) 土地開発基金の設置状況並びに運用状況につきまして御説明いたします。
 本年の二月末現在でございますが、道府県分にありましては、東京都及び神奈川県並びに栃木県の三県を除きまして、土地開発基金を設置されております。で、二月末現在の積み立て額は二百十四億という結果になっております。なお、その運用状況を見ますと、基金によりましては、直接用地の購入に充てましたものは六十七億円、土地取得の特別会計等に貸し付けて運用いたしておりますものが四十二億円、開発公社あるいは市町村、こうしたところへ貸し付けておりますものが十七億円、その他見返り融資等を条件に金融機関に預託しておるものもございます。運用残高は約七十六億円程度になっております。
 市町村分につきましては、二月末現在では、三百四十六市町村が土地基金を設置いたしておりまして、積み立て総額は三百三十六億円になっております。その運用状況を言いますと、基金によります直接の土地購入、これは百二十一億でございます。それから土地取得の特別会計に対しまする貸し付けが五十六億円、開発公社あるいは見返り融資のための貸し付けあるいは預託、こうしたものが四十一億円、その他いろいろの貸し付けを行なっておりますものもございますが、運用残高は百六億円と、こういうことでございます。
#40
○和田静夫君 地方自治法第二百四十一条第一項は、「普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立て、又は定額の資金を運用するための基金を設けることができる。」、こんなふうになっておりますが、土地開発基金はおそらく後者の「定額の資金を運用するための基金」に該当すると思われますが、この定額の資金運用の具体的方法としては、どのようなことが考えられて、現実に実施されようとしているのでしょうか。
#41
○説明員(横手正君) 地方団体におきまして土地開発基金を設置いたします場合、条例によって設置いたしておりますが、条例の目的に即しまして、土地開発基金の場合におきましては、具体的に申しますと、一億円の基金を積み立てるということにしますと、この一億円を積み立てまして、これによりまして、県なり市町村なり、必要に応じてこれを取りくずして土地を購入いたします。この土地を県なり市町村の一般会計の当該年度の公共用地に充当する場合、この一般会計のほうで用地の取得費を計上いたしまして、土地開発基金で購入しておりますところの土地をそちらへ売り渡すわけでございます。売り渡しますと、その金が土地開発基金のほうへ回収されまして、これが現金としてこの次の土地の取得に充てられる、こういう運用のしかたが通常でございます。
 ただ、現在各団体で行なっておりますのは、そうした運用のほかに土地取得の特別会計、こうした特別会計を地方公共団体で設けておりますが、そうした特別会計への貸し付けに充てるようなこともいたしております。あるいはまた、開発公社等への貸し付け、こうしたことも行なっております。それから県の場合にありましては、市町村に対しまして、公共用地の先行取得の必要がある場合に、直接市町村への貸し付けを行なうということも行なっております。これが個々の団体の条例のきめ方によりまして、そういう運用を行なっておるような状況でございます。
#42
○和田静夫君 そうすると、基金で取得した土地は通常はその地方公共団体の他の会計で買い取る、またそのほかに転売する場合も考えられますね。その場合の転売の基準というのは、どのような形で存在をするのか。また、その際の価格は、当然自治法の九十六条第一項第六号並びに二百三十七条の第二項で言われる適正な対価でなければならないと、それは考えますが、この適正な対価とは適正な時価であると、そう考えてよろしいですか。
#43
○説明員(横手正君) 土地開発基金からその団体の一般会計へ売り渡します場合のいわゆる転売の場合の基準でございますが、これは通常土地開発基金において購入しました価格にその後の利子相当分を加えまして一般会計のほうへ売り渡す、こういうことにいたしております。したがいまして、購入価格よりは多少利子相当分が上がるわけですが、これは一般会計のほうでその利子相当分を受けとめまして、またさらに土地開発基金のほうへ積み立てるというような措置を講じておる団体が多いようでございます。
#44
○和田静夫君 適正な対価ですね、適正な対価というのは、いまの御説明では適正な時価ということにはならぬわけですね。
#45
○説明員(横手正君) 通常の場合、一般会計へ売り渡します場合には、政府資金債の利子相当並みの六分五厘というような利率相当額を上乗せしている団体が多いかと思われます。その場合には、転売の際の時価と購入の際の価格との間にはかなりの差があります。当然数年後において一般会計で必要とするときに土地基金のほうから購入するわけでございますので、その時期においての時価は上がっておりますが、ここに公共用地の先行取得の必要があるわけでございまして、当然こういう基金の制度がなければ、おそらく一般会計においてはかなりの負担になるべきはずのところを、この基金制度の活用によりまして、まあ格安と申しますか、そうした価格で用地の取得ができると、こういう仕組みになっておるわけでございます。なお、地方団体におきましては、基金と一般会計、これはいずれもその団体の内部経済の問題でございますので、通常の場合、数年後の時価において購入ということは行なわれていないわけでございます。
#46
○和田静夫君 いわゆる他に転売をするということは、全然考えられませんか。
#47
○説明員(横手正君) 土地開発基金は、本来条例においてその目的がきめられておりますが、これは公共用地の先行取得という目的のために設置されておるわけでございまして、したがいまして、公共用地以外に転売という事例は考えられないんじゃなかろうかと、こう思っております。
#48
○和田静夫君 たとえば、全国総合開発計画がずっとあれをしていくかわかりませんけれども、私の主張によれば、一定の時期に破綻をする。そういう場合に、いわゆる地方的な工場分散などいうことが新しい意味で行なわれなければならない。そういう誘致のために、取得をしてあったものが転売をされるなどということは、もちろん見通しの問題ですが、全然わかっていませんか。
#49
○説明員(横手正君) 答弁を繰り返すようでございますが、本来ならば公共用地の先行取得ということになりますので、他への転売ということはほとんどあり得ないかと思います。ただ、現実の問題としては、あるいは将来そういうような公共用地のためとして購入しておりました土地を、他へ転売するというようなこともあり得るかと思います。そういうような団体の内部経済外、他への転売というようなことがありました場合、当然その団体としては適正な時価相当で売り渡しということを考えてまいるだろうと思いますが、現在のおそらく各地方団体においては、土地開発基金といいますものは、そうした民間への転売、こうしたものを目的の中へ掲げていないと思います。ほとんどは公共用地、もしくはせいぜい幅を広げて言いましても、公共用地の代替用地といいますか、そうしたものまでだろうというふうに思われますので、そういう事例はほとんどないのではなかろうかというふうに考えております。
#50
○和田静夫君 ほとんどないんじゃなくて、必ず存在するんじゃないですか。たとえば、この間通った法律案で、竹田委員と大臣側とのやりとりがあって、公共施設とは何か、公共住宅団地の中へつくられるところのマーケットは公共施設か、診療所はどうか、それははずされるわけでしょう。ですから、その用地の中に大団地ができれば、必然的につくらなければならぬものでしょう。したがって、あなたが言われるような形で予測ができないのではなくて、私は必ず転売の問題は出ると思う。
#51
○説明員(横手正君) いまの事例の場合になりますと、土地開発基金から別な地方団体の一般会計なり特別会計なりへ、一たん予算化されて、そのあとの問題になるんじゃなかろうか、かように思います。それぞれの団体において大規模な住宅団地を造成して、住宅の建設をはかるというような場合には、ただいまお話しのような各種の施設の設置ということも考えられるわけですが、そういう場合には当然適正な時価によって関係者との間の売り渡しが行なわれる、あるいは貸し付けが行なわれる、こういうかっこうになってまいります。先ほど私が購入価格と一定利息の範囲内でと申しましたのは、その団体、同じ団体内の決済関係はそういうかっこうで行なわれるわけですが、それが一たん他との関係になれば、当然適正な時価ということが基準になってまいろう、こう思います。
#52
○和田静夫君 各地方団体がそれぞれの資金によって具体的に何を取得しようとしているかということについては、必ずしも明らかでないと思うんですけれども、その点についての自治省の指導方針というのはありますか。
#53
○説明員(横手正君) これは土地開発基金の制度の活用を、本年度から特に地方団体に指導いたしておりますが、その趣旨とするところは、公共用地の先行取得でございます。二年先、三年先なりに当然必要となりますような公共用地、これを早めに手に入れる、それによりまして土地の値上がりしました際に大きな財政負担になることをできるだけ安く押えて処理する。こういった方向のことを行なわせるがためでして、目的とするところは、公共用地の先行取得と、こういうことで地方団体の指導にも当たっているわけでございます。
#54
○和田静夫君 四十五年度の予算編成の過程で、いわゆる減反農地買い取りの問題がたいへん問題になりました。そしてそのときに、この基金の活用が話題になったのでありますが、この基金が都市化の進展に伴う地価の上昇という、そういう状態を踏まえて、比較的市街化された部分の公共用地確保を目的としたものである以上は、この基金の性格というのは、米価調整に伴う減反農地買い上げに私は全くなじまないと思うのですがね。自治省の見解を聞いておきたいと思います。
#55
○政府委員(長野士郎君) 土地開発基金は、先ほど来お話がありますように、公共用地の先行取得を目的としておるものでありますから、それが都市的なところでは市街地に公共用地を先行取得するという必要が多く起こってくるということは、これはもう当然だろうと思います。同時に、またいろんな公共用地の取得の必要がいろんな場所にも必要になってくるわけでございますから、そこで農地をその場合に取得することが適当だということであります場合には、それはその運用の範囲内で水田買い上げということが行なわれることも私どもは決して差しつかえるものじゃないと思っております。そういうおのずからの範囲は限定がありますが、そこでまあ水田買い上げ問題というのは、目下のある意味では急務ということにも言われておりますから、それと公共用地の先行取得という目的が合致します限り、そういう活用をはかるということも、これはあえてそれを妨げなきゃならないという理由は、私どもはないと思っておりますが、土地取得のための基金の活用ということで水田の問題を考えました場合には、いま申し上げますように、公共用地の先行取得ということの範囲を出るべきものでは私はもちろんない。しかし、これは土地開発基金だけではなくて、起債におきましても、公共用地の先行取得債でありますから、そういうものをにらみ合わせながら弾力的な活用が公共用地の先行取得としては行なわれていくと、こういうことに相なっておりまして、その場合に水田買い上げということの一つの大きな方向とも適合する限りは、水田の買い上げということは差しつかえるものじゃなかろうと考えております。
#56
○和田静夫君 私は減反農地の買い上げなどというこの思想というか、そういう問題意識が、非常な勢いで表面に出ていって、やりとりの過程で出てきた。そういうことになると、都市計画的な観点から公共用地を確保するという、そういう観点というのは、たいへん希薄になっていくというふうに、やりとりを見ながら思っておったんですが、そうじゃありませんか。
#57
○政府委員(長野士郎君) 都市計画との関連で、確かにいろんな用地の土地の利用区分というようなものもあるわけでありましょうから、そういう場合にはもちろんそれに従って、都市計画事業を遂行する上で必要な公共用地の先行取得でありますならば、その都市計画の範囲内で先行取得をしていくということは、これは私は当然だろうと思うのであります。ただ公共用地といいましてもいろいろなものがございますから、庁舎とか、そういう施設の敷地とか用地というものもございましょうし、道路の拡幅あるいは駐車場、いろいろなものがあるわけでございまして、それから学校の用地、その他もございますから、そういうものの配置というものは、都市計画地域でありますれば、都市計画の事業遂行ということに合致してやっていくということは、もうお説のとおりでありまして、そういう際に、その場所にたまたま農地があったと、あるいは宅地があったと、道を隔ててあるいは農地あるいは宅地である場合に、農地の買い上げという国策といいますか、そういう問題をあわせて考えれば、どちらを買うことも許されるという場合がありました場合に、農地を買うということでありましても、これは一向に差しつかえないことではなかろうかと思います。
#58
○和田静夫君 まあきょうの冒頭の大臣の答弁というのを静かに見守ってみたいと、こう思いますが、こういうようなパターンでこういう法律ができてくるということについては、残念ながら反対せざるを得ません。
#59
○原田立君 若干お伺いしたいと思います。先ほども年度間調整の問題がいろいろと議論されましたけれども、四十三年、四十四年、四十五年と三回ここでやってきたわけですが、こういうようなことが今後も必要と考えているのか、自治省はどうなんですか、今後も必要だと思われるのかどうか。
#60
○政府委員(長野士郎君) 年度間調整という場合に、いろいろな意味があるわけでございまして、私どもは、厳密にいいますと、先ほど来申し上げておりますように、交付税総額を減額して国との間で貸し借りをするというようなことが、それも年度間調整だと言ってしまえば、広義においてそうでございましょうけれども、そういうような形の調整というものがあるとしますと、そういう形のものは、これは避けるべきであるというふうに思っておりますが、本来地方団体あるいは地方財政の立場におきまして、財政運営を長期に安定していきますために、つまりそれは景気の好況とか不況に影響なく、地方団体としては、いわゆる生活環境の整備とか教育あるいは消防、治安というふうな問題は、そういうものと関係なく、当然整備をしていかなければならない問題でございますから、そういう意味で長期安定的にやっていきますために必要な年度間調整というものは、これはあるだろうと思うのでございまして、そういう意味での年度間調整につきましては、ぜひとも新しい基準を置いて、地方財政の自主的な立場において考え得るような目標を設定、それに到達する基準というようなものを客観的なものをとらまえまして調整をしていくということは、これは必要だろうと思っておりますが、いまのようないわゆる貸し借り的な年度間調整は、これは避けるべきだ、こう思っております。
#61
○原田立君 自治省と大蔵省が話し合って地方交付税の総額を変える、翌年に繰り越していく、そういうふうなことはやるべきではないというお話のようです。それから地方団体の中で年度間調整ということは、これはあり得るであろうというお話だと思うのです。それで、そういうふうにはっきりしておりながら、私たちも四十三年のときも四十四年のときも、こういうような措置は行なうべきではないということを強く言ってきた。ところが、また今度四十五年度もやろう。こうなると、自治省は一体そんなにまで、私と同じような考え方で基本があるのに、それをまたどうして四十五年度も同じようなことをやるのか、はなはだ疑問に思っている。政治的配慮ということで今度なったのか、どういう理由でこうなったのか、その点はいかがですか。
#62
○政府委員(長野士郎君) これは、先ほども大臣がお答えになりましたとおり、年度間調整をこういう形でやるということは、これは避けるべきものであるけれども、諸般の情勢からいたしまして、来年度の地方財政の問題を考えました場合に、交付税の総額も一相当な伸びを示し、また地方税の自然増収も、相当大幅な減税にもかかわらず、相当な増加が見込み得る。そういうこととも関連をいたしまして、いま総額の減額ということを考えます場合には、今年度からの繰り越しもあわせて考えますというと、四十四年度と同程度あるいはそれ以上に地方の行政水準の引き上げということの見通しがつき得るということでございますので、いろいろな事情から万やむなくということになりましょうか、減額措置を講ずることになったということだと思います。そういう形ではありますが、結局それも後年度におけるところのある意味の財源保障ということにもなるわけでありますから、やり方としての問題いろいろございますが、来年度の財政運営にもまずまず支障もないという見通しのもとに、そういう措置をとらざるを得なかった、こういうことだと思っております。
#63
○原田立君 はなはだ局長の御答弁は矛盾していると思いますね。いまのお話の中にも、諸般の情勢によりというまくらことばを置いておいて、そして万やむを得なかったのだというふうにお話しになったようですが、前のお答えのときには、国と地方との貸し借りというものはあるべき性格のものでないということをはっきり断言なさった。たいへん矛盾していると思いますね。これは先ほども和田委員からもお話がありましたけれども、地方自治の本旨を守るという大きな問題、あるいは地方交付税は地方団体の固有の財源である、そういう問題、そういうのが背景になっている。諸般の情勢により万やむを得なかったということで基本がくずされるということは納得しがたい。これは四十三年もやり、四十四年もやり、そして今度もやるということになると、四十六年もやるのかというふうにお聞きしたくなります。一括してお答え願います。
#64
○政府委員(長野士郎君) この前の、昨年の自治・大蔵両大臣の覚え書きは、私どもはそのままその精神にのっとって考えていかなきゃならないものと思っておりますから、今後はぜひそういう措置を避けるようにしていきたい。まあそのためには、やはり別途に交付税における年度間調整制度、さらには特別会計直入方式の可否について自治・大蔵両省の間で検討を続けていくということになっているわけであります。昨年からことしにかけましても、そういう意味での年度間調整についての検討は両省間で行なわれてきたわけでございますが、やはり年度間調整というものの制度を確立するための用意というものがなお十分でないということで、年度間調整というものが現実には制度的に行なうことができなかったという状況でございます。そこで本年もさらに続けて特別会計直入の方式の可否、年度間調整の引き続きの検討ということを両省間において行なっていくということに了解をしておるわけでございます。そういうことでございますので、本年においても万やむを得なかったということになっておるわけでございますが、来年度、あるいは再来年度でございますか、再来年度さらにやるのかというお尋ねに対しましては、私どもは、ぜひ避けたい、そうして合理的な年度間調整の方式にこれを切りかえていきたいというふうに考えております。
#65
○原田立君 何度もくどく言うようなんですけれども、四十三、四十四、四十五と三年も引き続きやって、そのつどだまされたような、そんなふうな気がしているわけなんです。こういうふうな不明朗な空気は実際やめるべきだと思うんですね。いま局長のお話によりますと、特別会計のほうに入れることを本格的に検討する、そういうお話なんですけれども、これははたして、これから先の話になるだろうと思うが、そういう形のものは近い将来一体できるのかどうか。まあ普通、福田大蔵大臣も地方の固有の財源であると言っておるし、地方制度調査会の答申にも、それは特会のほうに入れるべきだ、こう言っておりますし、
  〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕
また、たったいま担当の局長の答弁も、早く入れるようにしたいということなんですけれども、その見通しはどうなんですか。
#66
○政府委員(長野士郎君) 私ども考えておりますのも地方制度調査会が答申しておりますのも同じというより、むしろ私どもも地方制度調査会の答申の趣旨に沿いまして地方の財政対策というものは当然に考えていくべきものだと思っております。
 特別会計直入と申しますのは、現在国税三税の三二%が国の一般会計予算の歳出として組み込まれている、そこから特別会計へ入るという仕組みになっております。それが交付税交付金という形で組み込まれておりますが、そのことが国の財政の非常に硬直化の原因のような意見といいますか、そういう論議が非常に多いわけであります。それはやはり歳出の経費の一費目と考えるからこそそういう議論が出るわけでございまして、元来そういうものではないということを明らかにいたしますためには、これは特別会計直入というのは単なる技術的なものというよりはむしろそういう本来の性格を明確にする意味でもどうしても必要だというふうに地方制度調査会もお考えのようでございますし、私どももその趣旨に沿って努力をしてまいりたいと思いますが、他面別の意見も非常にあることでありますから、その特別会計直入方式を実現するという見通しというものは、これはたいへんいろいろな意味で困難はあると思いますけれども、できる限りの努力をしてまいりたいと考えております。
  〔理事熊谷太三郎君退席、委員長着席〕
#67
○原田立君 できるだけの努力じゃ困るんですよ。四十三年のときも、やりません、できるだけの努力をしますと言って、四十四年やったわけなんです。四十四年のときは、絶対やりませんと言って、四十五年またやるわけなんです。ここでまた、一生懸命努力する、努力すると言っても、四十七年、四十八年もやったら、それはうそつきになっちゃう。それで、そんなことがあってはならないということで聞いているわけです。局長が相当困難と言うんだから、だいぶむずかしいんでしょうね。これはまあひとつ大臣にも、局長のほうから、こういうふうなことはもうやらないように、国と地方との、大蔵省と自治省でかってに貸し借りをやるようなことはもう断じてやらないという方向で行ってもらいたいことを強くお伝え願いたいと思うのです。
 それから、別な問題に入りますけれども、この四十四年度三百八十二億円が翌年繰り越しになっているんですけれども、これはまあ現時点になってこういうふうな処置をしたということなのか、それともあらあらこういう予測は最初のほうからできておったのか、その点はどうなんでしょうか。くそ意地悪い言い方をすれば、最初からこういうふうにやる計画を持っていたのを最初は出さなかった、いまここへきて出しているんじゃないかというような感じがするんですけれども、その点のお考えはいかがですか。
#68
○政府委員(長野士郎君) 四十四年度の補正予算がどういう形と内容になってまいるかということは私どもは昨年からある予測を持っておったかということでございますならば、このような形になるという予測は持っておりません。したがいまして、給与改定におきましても、昨年の臨時国会で御決議を願いましたように、当時給与改定の財源に不足を生じました。そこで、二百億円を借り入れまして、そして給与改定の財源に充てることができるということをお認めを願った法律改正をいたしたわけであります。ただその当時は、追加補正ということが、内容ははっきりはいたしませんまでも、ある程度国として避けられないのじゃないかという予測はいたしておりました。そこで、あの法律には、もしあとで追加補正のことが起きました場合には、交付税がそれによって増額されました場合は、増額される限りにおいて二百億円の借り入れというものがだんだん減っていってよろしいんだという形の法律の附則を課していただきまして、御承認を願ったわけでございます。結果におきましては、先ほどから申し上げておりますように、九百九十五億円という交付税の増加を見たわけでございます。そこで、給与改定関係経費三百三十一億というものもこれで処置をすることができましたので、二百億円の借り入れという必要はなくなったわけであります。それから、土地開発基金費二百八十二億円を追加して配分することもできることになりました。それでその余の三百八十二億円を来年にまあ繰り越すということになりました。このことは、結局、国税三税の増加に伴いまして、地方財政におけるところの緊急な歳出要因があるということで、国としても、六百九十億円の交付税の減額、それの借り入れという形を取りやめまして、三百八十億円を繰り上げて返してきた――繰り上げて返してきたというと語弊がございますけれども、繰り上げて返してきて、結局三百十億円の減額にとどまったということでございまして、そのようなことでございますので、この内容が当初から当然わかっておったということではございません。
#69
○原田立君 初めからわかってないんならそれでけっこうですが、こういうふうに交付税を非常に小刻みにいろいろやっている、そう疑いたくなる。こういうふうな変なふうなことはないように強く希望したい。
 それから、四十三、四、五で国に貸し付けた残りが約九百十億円になるのです。これは一体どういうふうに国から地方に返ってきますか、はっきりしているだろうと思いますけれども。
#70
○政府委員(長野士郎君) 九百十億円につきましては、この次の交付税法の一部改正法で御審議を願うわけでございますが、これは四十六年度から四十八年度までの間に、四十六年度三百十億、四十七年度三百億、四十八年度三百億ということで、そういうことで交付税総額にそれぞれの年度に加算するということになっております。ただし、地方財政の状況その他の状況に応じては、年度割りというものの額は別の法律の定めるところによって変更されることがあるというただし書きもついておりますけれども、そういう形で、いまのところは三百十、三百、三百という形で、それぞれの年度に交付税総額に加算するということになっております。
#71
○原田立君 自治省から、地方交付税の特別会計へ繰り入れる件についての諮問を地方制度調査会に、その問題に限って諮問をする、そういう考えはありませんか。前回昭和四十五年度の答申ですね、四十五年度に対する予算案の答申の中に一部載っております。しかしあれはほんの一部の要素でしがなかったように思うのです。あれでは非常に弱いのではないか。だから、もっと、地方制度の、地方公共団体の根幹をゆすぶるような、こういう地方交付税の大きな問題なんですから、地方交付税を特別会計に入れる件についての、それだけの強力な諮問をするような、そういう考え方はないかどうか。私も地方制度調査会の委員になってやっておるわけなんだけれども、大蔵省のほうから見ると、そういう答申などは全然無視されてしまうということがたいへん不満の種になっておるわけです。もっと強力に、特別会計に入れるようにバックアップするためにも、地方制度調査会に諮問する気持ちはないのかどうか。
#72
○政府委員(長野士郎君) 地方制度調査会におきましては、お話のとおりの経過できておりますが、地方制度調査会は元来地方制度の抜本的な改革という形で引き続き審議をいただいておるわけでありまして、四十五年度の当面の地方税財政対策についての答申というのも、これは地方制度調査会の御発議におきまして答申をいただいたというかっこうになっております。したがいまして、地方制度調査会でお取り上げいただく問題は、地方制度調査会が個々に諮問を得て答申をするという形ではなくて、一般的に広く地方制度調査会として必要な問題についてお取り上げいただくというのが従来の慣例になっておるようでございます。現在は、広域行政と申しますか、大都市制度というものを、引き続き都市制度の改革につきまして御審議を願っておるところでありますが、地方制度調査会としてお取り上げいただくということは、これは御自由でございますが、いままでの諮問のしかたとしては、個々の問題を諮問するという形をとっておりませんので、その点はなお検討が要るんじゃなかろうか。非常に伝統がある地方制度調査会でございますので、ちょっとそれができるというふうにも私どもは即答いたしかねる次第でございます。
#73
○原田立君 土地開発基金ですけれども、当初算入額六百二十七億交付税で見ているということだそうでありますか、実際にこれがいま昭和四十四年度末にきて、どういうふうなぐあいで運用されてきたか、この点どうですか。
#74
○説明員(横手正君) 土地開発基金の運用の状況は、先ほどもちょっと申し上げましたが、本年の二月末現在におきましては、道府県におきましては、東京、神奈川、栃木の三県を除きまして基金を設置いたしております。積み立て額は二百十四億円でございます。このうち、基金によりまして直接土地購入を行なっておりますものが六十七億円、その他、特別会計あるいは開発公社等への貸し付けその他を行なっておりまして、運用残高は七十六億円というような状況でございます。市町村分にありましては、同じく二月末現在でございますが、三百四十六団体が設置いたしておりまして、その基金の積み立て金の総額は三百三十六億円になっております。その運用状況を見ますと、基金自体によります用地の取得が百二十一億円でございます。そのほか、特別会計や開発公社への貸し付け、こうしたものがございまして、運用残高は百六億円と、こういうような状況でございます。
#75
○原田立君 そういうことは、法の約束どおり公正に使われたと、こういうふうに認識なさっておられるんですか。要するに、六百二十七億交付税で処置したわけでしょう。それがそのとおりのようなものになっていると、こういうふうに当局は判断しているのか、それとも、ほかのほうに流用されちゃって所期の目的を達しないような状況と、こう判断しているのか、そこのところを聞いているんです。
#76
○説明員(横手正君) 本年度、道府県分につきまして土地開発基金費の需要額の算入措置は、四十六県につきまして二百五十億円でございましたが、府県は現在までの積み立て額が二百十四億円でございます。さらに、年度内あるいは四十五年度の当初予算での積み立て予定額を合わせますと、おそらく六百七十億円をこえる額になるんじゃなかろうか、明年度の当初においてはその程度の額になろうかと思われます。また、市町村におきましては、現在三百四十六市町村でございますが、本年度、算入対象となりました市町村は四百三団体でございまして、算入額は三百七十七億円になっております。二月末の市町村の設置状況から見ますと、私どものほうで土地開発基金が必要であろうと推測しました市町村につきましては大体基金の設置を行なっておるようでございますので、四十四年度の当初において基金制度の活用を進めたいと思っておりました趣旨はほぼ達成されておるのじゃないかと、かように見ております。
#77
○原田立君 予定どおりいったというようなお答えでありますが、いまのお話は、追加算入額を加えたものの合計のことですね、その報告は。市町村の三百三十六億、道府県団体が二百十四億と、こういうことは。
#78
○説明員(横手正君) 道府県分の二百十四億並びに市町村分の三百三十六億円は、これは本年の二月末現在の積み立て金の総額でございます。
#79
○原田立君 それでは資料要求しておきたいのですけれども、道府県の場合の二百八十二億追加算入額ですね、これの府県別の配付見込み一覧表ができるかどうか、まあできれば出してもらいたいし、それから、これは全体で、道府県及び十万以上の都市及び大都市周辺市町村への配分実績、こういうふうなことがもうすでにおわかりだろうと思いますが、地方団体別に一覧表を出してもらえるかどうか。
#80
○説明員(横手正君) 最初の、今回追加措置予定額の二百八十二億円の道府県分の見込み額、これはできますので、あとでお届けいたしたいと思います。
 なお、市町村分の個々の団体ごとの算入額、こういうことになりますと、関係の市町村の需要額のうちから都市開発基金費だけを取り出さなきゃなりませんので、かなり日数がかかろうかと存じます。これを大分けいたしまして、市と町村、こうした形で分けますならば、早急にそうした資料は用意いたしたいと思います。
#81
○原田立君 早くできなければ、市町村でまとめてもけっこう。そのあと詳細のができたらば見せてください。
 それから、今回の追加算入額ですね、道府県だけ追加算入をして、市町村にはしていない。まあ市町村のほうは数が非常に多いから、計算のしかたがややこしい、むずかしいので翌年度回しにするんだという、そういう御説明もちょっとお聞きしたわけなんですけれども、やはりこういう土地の先行取得というようなのは、先に延びれば延びるほど土地の代金というものは高くなるんですから、なるべく早くしてやったほうがいいんじゃないか、こんなふうに思うわけなんです。それで、今回県だけやって市町村を抜いたのは一体どういうわけなのかお聞きしたい。
#82
○説明員(横手正君) 今年度の追加措置としましては、道府県分のみに限っておりますが、これは実は関連の国の補正予算並びにいま御審議願っております改正法案、これが成立いたしましたあとにおきまして、事務処理といたしましては、地方団体につきまして普通交付税の再算定の事務を行なわなければならないわけでございます。そういうようなのがございますので、時間的な面からやむを得ず道府県分のみに限っております。
 なお、市町村分につきましては、明年度算入対象の市町村の範囲を拡充いたすことを予定しておりますが、それによりまして算入の総額自体も増額させる意向で、単位費用の決定を行なっておるわけでございます。
#83
○原田立君 基本的なことを言うことになるんですけれども、土地開発基金のようなそういう性格のものは、本来ならば起債によって行なうべきではないか、それで交付税等の中に入れるのは少し筋が違うのじゃないか、こう思うのです。ところが実際は交付税に入っている。土地開発基金は今後は起債等によって行なっていく、そういう方向にすべきではないかと基本的には思うのですが、その点の見解はどうですか。
#84
○政府委員(長野士郎君) お話のような御意見も、もちろんあると思います。ただ、土地開発基金に対する、どう申しますか、需要が非常に大きいのは、土地の先行取得という関係では、やはり相当弾力的に――と申しますことは、ある程度具体的な計画ということがはっきりいたします前にも、やはり土地の取得というものはなるべく早くしておくということが適当であるというケースが非常に多いわけでございます。先行取得債の関係になりますと、やはり個々の事業の特定化ということがどうしても関連をしてまいりまして、何かわからぬものに一般的に起債を充当するという形が、どうしても起債の許可の性質からいたしまして、とりにくいわけでございます。また同時に、基金は、健全な運営という意味では、基金を一定期間循環さしまして、そうして土地の先行取得に充てるということが非常に有効なわけでございますが、そういう点では、起債でございますというと、やはりそこに一定の土地の値上がりということももちろんございますけれども、同時に起債の許可というものが、具体的なものについて、確定したものに許可をするという形になりますので、非常に制約もありますし、またそれについての利子負担ということもありまして、弾力的な運用が欠けるきらいが非常に多いわけでございます。しかし、現在は、この両者を二つ組み合わせまして合理的な便利なような運用ができることを私どもは期待しておるわけでございます。と申しますのは、全体量といたしましても土地の先行取得に対する要求というものが非常に強いわけでございまして、いまの土地開発基金費でもなお不十分というようなかっこうでございますので、土地の先行取得債のほうも増額をいたしまして、そうしてその先行取得の需要に充てていきたいと思っております。
#85
○原田立君 もう一つの別の面からいきますと、今回のこの市町村に割り振りをしたその内容は、人口十万以上の都市、あるいは中間的都市、あるいは大都市周辺の町村、特定のものに限っているわけでありますけれども、交付税法第三条の原則、すなわち、その行政について合理的かつ妥当な行政水準を維持するようにつとめなければならないという基本的な面から見ると、この市町村にはやるけれどもこっちの市町村にはやらないというようなことは公平の原則からいっても妥当ではないのじゃないか、不平等ではないか、かような点を思うのでありますが、こういう交付税法第三条の基本等に反してはならないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
#86
○政府委員(長野士郎君) 地方団体はそれぞれの任務を持っておるわけでございますが、一般的な法制的な対等な権能を持っておることは、これはもうおっしゃるまでもございません。けれども、現実の地方団体の行政活動を見ておりますというと、その中にはおのずから施設の整備あるいは各法令によりまして義務づけられました任務も必ずしも一様ではないという点もございまして、したがいまして、その現実の需要にある程度対応しながら措置をしていくという必要もあるわけでございます。土地開発基金費の問題も同じ問題ということで、その需要の大きいところから措置をしてまいってきておるわけでございます。来年度におきましては、先ほど交付税課長が申し上げましたように、今度は市はすべて算入対象にしながら、また町村についても対象団体をなるべく広げまして、そしてその現実の需要に合うように持っていきたい、こう考えております。
#87
○委員長(山内一郎君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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