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1970/03/26 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 内閣委員会 第6号
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1970/03/26 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 内閣委員会 第6号

#1
第063回国会 内閣委員会 第6号
昭和四十五年三月二十六日(木曜日)
   午後二時五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         西村 尚治君
    理 事
                石原幹市郎君
                八田 一朗君
                足鹿  覺君
                上田  哲君
    委 員
                源田  実君
                佐藤  隆君
                柴田  栄君
                玉置 猛夫君
                長屋  茂君
                山本茂一郎君
                山崎  昇君
                峯山 昭範君
                片山 武夫君
                岩間 正男君
   国務大臣
       国 務 大 臣  荒木萬壽夫君
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長兼内閣総
       理大臣官房審議
       室長       青鹿 明司君
       人事院事務総局
       管理局長     茨木  広君
       総理府人事局長  栗山 廉平君
       宮内庁次長    瓜生 順良君
       皇室経済主管   並木 四郎君
       行政管理庁行政
       監察局長     岡内  豊君
       農林省農地局長  中野 和仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        相原 桂次君
   説明員
       農林省農政局参
       事官       岡安  誠君
       通商産業省通商
       局次長      楠岡  豪君
       労働省職業安定
       局業務指導課長  保科 真一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○許可、認可等の整理に関する法律案(内閣送付、
 予備審査)
○国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律
 案(内閣送付、予備審査)
○国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の
 処遇等に関する法律案(内閣送付、予備審査)
○総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(西村尚治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 許可、認可等の整理に関する法律案を議題といたします。
 趣旨説明を聴取いたします。荒木行政管理庁長官。
#3
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいま議題となりました許可、認可等の整理に関する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
 政府は、行政の簡素化及び合理化を促進するために許可、認可等の整理をはかってまいりましたが、さらにその推進をはかるため、さきに政府において決定をいたしました行政改革三カ年計画に基づき、計画的に許認可及び報告等の整理を行なうこととし、この法律案を提出することとした次第であります。
 法律案の内容につきまして御説明申し上げますと、第一に、許可、認可等による規制を継続する必要性が認められないものにつきましてはこれを廃止し、第二に、規制の方法または手続の簡素化をはかることが適当と認められるものにつきましては規制を緩和し、第三に、下部機関等において迅速かつ能率的に処理することを要するものにつきましては、処分権限を地方支分部局の長または都道府県知事等に委譲し、第四に、統一的に処理することが適当と認められるものにつきましてはこれを統合することとしております。
 以上により、廃止するもの三十一、規則を緩和するもの二十九、権限を委譲するもの二十二、統合をはかるもの二、計八十四について、四十九法律にわたり所要の改正を行なうことといたしました。
 以上がこの法律案の提案の理由及び概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
#4
○委員長(西村尚治君) 本案の審査は後日に譲りたいと存じます。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(西村尚治君) 国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律案、国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律案、両案を一括議題といたします。
 趣旨説明を聴取いたします。山中総理府総務長官。
#6
○国務大臣(山中貞則君) ただいま議題となりました国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律案外一件につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
 本年二月二十八日付をもって人事院から国家公務員法第二十三条の規定に基づき、国会及び内閣に対して、今国会に別途提案されております労働者災害補償保険法の改正に対応し、国家公務員災害補償法等の改正を行なう必要がある旨の意見の申し出がありましたので、この申し出に基づき、国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律案を作成し、ここに提案をいたした次第であります。
 次に、この法律案の内容の概略を御説明申し上げますと、労働者災害補償保険法の改正法案と全く同じでありまして、その要点は、
 第一に、障害補償年金について、障害等級第一級の年金額を現行の給与日額の二百四十日分から二百八十日分に引き上げる等、障害等級の第一級から第七級までの年金額を約一六・五%引き上げることにしたこと、
 第二に、遺族補償年金について、遺族三人の標準的な遺家族に対する年金額を現行の給与年額の百分の四十に相当する額から百分の五十に相当する額に引き上げる等、遺族数の異なる遺家族についての年金額を平均して約一〇%引き上げることにしたこと、
 第三に、現行では遺族補償年金の受給権者が希望する場合には、死亡職員の給与日額の四百日分に相当する額を一時金として前払いする制度が五年間、すなわち昭和四十六年六月三十日までの暫定措置として定められておりますが、実情にかんがみ、この暫定措置をさらに五年間延長することにしたことであります。
 以上のほか、所要の規定を整備することといたしております。
 なお、この法律案は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内で政令で定める日から施行することといたしております。
 以上、この法律案について簡単に御説明申し上げましたが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に、国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
 近年わが国の国際的地位の向上に伴い、国際機関、外国政府の機関等に技術協力等のため派遣される職員の数が増大しておりますが、現行制度ではこれらの機関に派遣された職員の身分、処遇等に関する取り扱いが必ずしも統一的に行なわれにくいため、種々の不均衡を生じております。
 かかる現状にかんがみ、本年三月五日付けをもって人事院から国家公務員法第二十三条の規定に基づき、国会及び内閣に対して、派遣職員の利益を保護し、安んじて派遣先の業務に従事することができるように、一般職の職員の国際機関、外国政府の機関等への派遣について新たに制度を設け、派遣職員の処遇の適正をはかる必要がある旨の意見の申し出がありましたので、この申し出に基づき、国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律案を作成し、ここに提案をいたした次第であります。
 次に、この法律案の内容の概略を御説明申し上げますと、その要点は、
 第一に、各省各庁の長は、条約その他の国際約束に基づきまたは国際機関等の派遣要請に応じて国際機関等の業務に従事させるために、部内の職員を派遣することができることにしたこと、
 第二に、派遣職員は、派遣期間中、職員としての身分を保有するが、職務に従事しないものとし、派遣が終了したときは、直ちに職務に復帰することにしたこと、
 第三に、派遣職員には、派遣期間中、俸給その他の給与の百分の百以内を支給することができるようにしたこと、
 第四に、派遣職員が派遣先の機関の業務に関し災害を受けたときは、公務上の災害を受けたものとみなして、国家公務員災害補償法による療養補償、障害補償、遺族補償等を行ない、国家公務員共済組合法による廃疾年金、遺族年金を支給する等のことができるようにしたこと、
 第五に、退職手当の算定については、派遣期間を職員としての在職期間として、そのまま通算することにしたこと、
 第六に、特に必要があると認められるときは、派遣職員に往復に要する旅費を支給することができることにしたこと、
 第七に、派遣職員が職務に復帰したときには、任用、給与等の処遇について、他の職員との均衡を失することのないように、適切な配慮が加えられなければならないものとしたことであります。
 以上のほか、この法律は公布の日から三十日を経過した日から施行することとしておりますが、施行に伴う経過措置として、
 第一に、現に国際機関等の業務に従事している休職中の職員は、この法律の施行の日に派遣職員となるものとすること、
 第二に、この法律の施行の日前に、休職等で国際機関等の業務に従事していた期間を有する職員の退職手当の算定については、当該期間を在職期間として通算する等の措置を講ずることにいたしております。
 なお、この際、付言いたしますと、沖繩の復帰が昭和四十七年に予定されておりますが、復帰するまでの間、琉球政府との間に人事交流の計画が定められ、これに基づいて一般職の職員が同政府に派遣されることになれば、この場合にもこの法律を適用することを予定いたしております。
 以上、この法律案について簡単に御説明申し上げましたが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#7
○委員長(西村尚治君) 両案の審査は後日に譲りたいと存じます。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(西村尚治君) 次に、総理府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 御質疑のおありの方は順次御発言願います。
#9
○足鹿覺君 私は、総理府設置法の一部を改正する法律案中、同和対策事業特別措置法の期限延長に伴う部分について、総務長官並びに関係政府当局に若干お尋ねをいたしておきたいと思います。
 長い期間にわたりましていわれなき差別を受けた同和地区の同胞が、今回の同和対策事業特別措置法の成立を喜び、かつその成果に期待しておるところはきわめて大きいと存ずるのであります。いわれない差別を受け、また経済的にもきわめて恵まれない状態のもとに、しかも住居その他悪い環境のもとで苦しんでこられたわけでありまして、この同胞に対しまして、この措置法が大きく貢献することを私どもは期待をいたし、特に基本的人権の享有を保障する憲法の基本にのっとって、措置法の延長につきましては言うまでもなく賛成するものでございます。しかしながら、この資料として御配付をいただきました関係予算は、必ずしもその裏づけとして十分とは言いがたい面もあるように思います。あとで若干の問題を指摘いたしたいと存じますが、この同和対策の事業の推進につきましては、政府の諮問を受け、これにこたえた答申案を提出され、それに基づいて長期計画が策定をされ、前期、後期五カ年ずつに分かれておると聞いております。この長期計画の目標が妥当であるかいなかということは容易に判定しがたい問題でありますが、この長期計画の問題とは別個に、所管国務大臣としての山中総務長官に、独自の御所見もあり、かつまたこの長期計画等に対してお気づきの点なり、御検討をなすった点もあろうかと思います。それらの点について、全般的な御所見なり、御構想がありまするならば、この際承って、それから各項の具体的な問題に入りたいと思いますので、その点よろしく御了解の上、御答弁をいただきたいと思います。
#10
○国務大臣(山中貞則君) 私は、私どもが国会においてこのような問題を議論し続けていくということが、私たちの民族の恥である、あるいは申しわけない姿であると、まず考えております。私たちの国民の最も誇るべきものは、同一の言語、同一の民族、そうして同一の文字、ここに一億の民族のバイタリティーの起源があると私は思うのでありますが、その中に、ただいま足鹿委員の述べられました、いわれなき差別を受けていると主張する人々を私たちはかかえておる、この現実に目をおおうてはなりませんし、このようなことがなお解決されないまま口をむなしゅうしてしまうことは、私たちの日本の近代国家として、どのように国家が経済的に繁栄しましても、少なくとも諸外国に対してもかっこうのつかない、申し開きのできない姿ではないか。もちろん、日本以外のアメリカにおいても、その他の国々においても、多数の問題をかかえている国なしとはいたしませんが、少なくとも、私たちは日本の政治家でありますから、日本の政治の論戦の中から、すみやかにこのような問題の処理が完全になされ、意識の上においても、現実の姿においても、何ら私たちの同一民族の中に差異のあるものがないという姿を、すみやかにつくり上げなければならぬと考えます。
 そのような基本的な認識に立って、私は就任直後、予算編成の立場に、倉皇の間でありましたが、当たりましたが、少なくとも長期計画の予算としては二年目、そして期限が切れてまいりまする協議会の存置問題につきましても、十分配慮をいたしたつもりであります。率直に申し上げまして、協議会の使命は、特別措置法が制定されて十カ年計画が策定されたことによって、もう終わったのではないかという意見もありました。あるいは、いままで二年ずつ延長してきたのであるから、かりに延長するにしても二年ぐらいでいったほうがいいのではないかという意見もございました。しかし、私といたしましては、やはり前期、後期、計十カ年計画、その初年度がすでに走りだしておりますから、残りの五カ年計画の期間である四カ年、こういう期間は存置をいたしまして、そして特別措置法の生みの親であるこれらの人々の御助言と御指導を、その五カ年計画の進行中の予算はもちろんのこと、あらゆる行政上の実際上の予算の使い方、あるいはそのあり方のよしあし等について率直な御指導、御助言を賜わることが、国家のために私はいいことだと判断をいたしまして、いろいろの意見もございましたが、私の判断で、長期計画の前期の五カ年に合わせて残り四カ年の延長をきめたという次第でございます。
 後ほどこまかな質問がございましょうから、まず初めに私の決意あるいは考え方、政治家としての自分のとらえ方というものをお話しさせていただいた次第でございます。
#11
○足鹿覺君 資料をいただいたのがきょうでありまして、私もよく最近の実態を把握しておりませんが、同和地区の全国の総数は三千五百四十五地区、世帯数が地区全体で三十九万三百十、同和関係が二十六万二千三百四十三、人口が地区全体、これをAとしますと百五十九万九千三百七十、同和関係、これをBとしますと百六万八千三百二となっております。これらの混住率、A割るB掛ける一〇〇の混住率を出しますと六六・八%ということになっておりますが、総理府にお願いしたいのは、業種別世帯人口、業種別世帯がどうなっておるか、また、その人口はどうなっておるかというようなものがありましたならば、この際御発表いただけないでしょうか。
#12
○政府委員(青鹿明司君) 四十二年度に調査をいたしておりますが、その結果を申し上げますと、ただいまわかっておりますのは、一次、二次産業別にどういうような就業構造になっておるかということでございます。一次が三一・八、二次が三二・九、三次が三五・三というふうになっております。それから職業別に見た場合に、これはいわゆる全体を一〇〇にいたしまして、農林漁業関係が三二・一、生産運輸関係が四〇・九、販売サービス関係が一七・一、事務関係が九・九ということになっております。
#13
○足鹿覺君 わかりました。
 そこで、まず最初に一つの問題点として大臣に御所見を承りたいのでありますが、問題は、この十カ年長期計画が達成されたといたしましても、非常に微妙な問題を含んでおります本問題につきましては、この予算対策が最大の成果をあげたといたしましても、要はわれわれ国民が、この同和地区同胞の問題について、全くすべての国民が一体感の認識を持つということにあると思うのであります。そのためには、現在全国的な運動の推進体として解放同盟という全国組織もありますし、他にもいろいろな組織のあることも存じておりますが、それらの人々の方針等はまた別個の問題としまして、環境改善という方向、このこと自体に私は間違いはないと思います。しかし、農村地区に多く見られるのは、一地区に集団生活を営んでおる。それがまた一つのかもし出す微妙な雰囲気を醸成するのではないか、いかように環境を改善いたしましても。したがって、大都市において、たとえば京都市等の実情を見ますと、散居的な、もうばらばらの居住をしております。全く外観的にも全然気づかない。また、地域住民も何らそういうことはとんちゃくしておらない。私は、そういう状態が本来の姿としては、政策目標としては正しいのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、そういう点で、現在の主として都会地外の地方における環境改善というものを進めると同時に、住みよくすると同時に、そこの子弟に十分教育を与え、適所適材で、漸次他の職場へ移り、そうして散居していく。こういうことが政策目標なり、政策の立て方として、一応考えてみなければならぬ点ではなかろうか、こういうふうに思うわけでありまして、この点は私の考えが間違っておれば御指示をいただきたいと思いますが、そういう点につきましての一つの考え方、政策のあり方の基本として、大臣の御所見がありましたならば、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#14
○国務大臣(山中貞則君) 結論から言いまして私同感です。たとえ十カ年計画で環境改善その他に重点を置いた予算措置、行政措置がきわめて満足すべき成果をあげ得たと仮定をいたしましても、問題は、人の心の問題というものを金銭や行政で解決することは不可能だと私は思います。これには閉ざしているほう、あるいは閉ざされていると思うほう、いずれにしても、そのとびらが相互に何の障害も存在しないんだという気持ちの問題に私は帰結するのではなかろうかと思います。
 その意味では居住形態としても、すべての人々がすべての同じ民族として、心も居住地区も、一切が混然として解放されて、そこに何らお互いの間に差異感というものが存在しない民族にならなければ、私は、冒頭申し上げましたように、私たちの国家として申しわけのないことであり、恥ずかしいことである。したがって、これはすべての国民が、自分たちのこととして考えるべきことであって、しかも国民が考えて、そのあとは何にも考えない状態になっていくということが私は理想だと思います。考える必要のない社会、そういうものに私たちすべての政治家が努力していかなければならぬと思いまするし、私はもちろん、当面の各省庁の統括いたしまする主管大臣として、そのような心組みで進むつもりでございます。
#15
○足鹿覺君 そこで、資料としていただきました予算書の三ページをひとつごらんをいただきまして、私の関心の深い農林省所管の農山漁村同和対策事業費、それに関連することについて伺いたいと思いますが、主たる事業は基盤整備事業にあると聞いておるのであります。またその同和地区における基盤整備事業の基準につきましては、従来の基盤整備基準とは異なった基準がとられておると聞いておりますが、それはどういうことでありますか、明らかにしていただきたい。
#16
○説明員(岡安誠君) 農林省関係の同和対策事業につきましては、予算の計上のしかたといたしまして、総合助成といいますか、メニューを示しまして、同和地区の御要望の費目について助成をするということにいたしておりますので、なるべく個々の地区の御要望に沿えるようにというふうに考えて実施をいたしておるのでございますが、事業の大体のメニューは三つございまして、一つは生産基盤の整備に関する事業というのがございます。この中に、いま先生のおっしゃいました土地改良関係の事業が入っておるわけでございます。二番目は、共同利用施設といいますか、その関係の施設の設置、近代化のための事業でございます。それから三番目が、それらに入らないところの事業ということで運用をいたしておるわけでございます。
#17
○足鹿覺君 そういうことでは困るのです。もう少し基盤整備事業の同和対策費対象の施行基準といいますか、そういうことを聞いておるのです。
#18
○説明員(岡安誠君) 同和対策事業の中の土地改良につきましての基準を申し上げますと、私どもといたしましては、大体まあ同和地区というものが、相当、規模が必ずしも大きくないということもございます。それから、先ほどお話がございましたとおり、大体まあ密集して住んでおるということもございますが、ほかの一般農家も混入をしておるということ等を考えまして、大体私ども考えておりますのは、同和の対象農家が十戸以上いるということを限度といたしまして、ただ地区を採択する場合には、同和の農家がその地区で五〇%以上を占めているということを一つの前提にいたしております。さらに土地改良いたします場合には、その土地改良の受益の面積が二ヘクタールということを下限にいたしまして、それで事業を実施いたしておる、かように考えております。
#19
○足鹿覺君 その二ヘクタールというのは、一地区集団をしておる地区をさすのでありますか、相当の距離があっても一団地とみなすのでありますか。
#20
○説明員(岡安誠君) 原則として密接な関係を持つ地域というようにいたしまして運営をいたしておるわけであります。
#21
○足鹿覺君 従来の災害対策の復旧の場合におきましても、いわゆる連続して一定規模以上というものの解釈におきましては、大体五十メートルというようなことが昔からいわれましたが、その運用の弾力的な活用によりまして、あまり距離に重きを置かないで、山間地等においてはこれを適当に処理した事例はたくさんあります。問題は、そういう二ヘクタールというものの集団の状況というものが、判断が非常に大事になると思うのです。元来この地区の人々は極貧の人です。戦前私どもが農民運動をやった際に、一番組織率の高かった地区であります。それはなぜかというと、耕地面積が少ない。その後いろいろと社会も変わり、戦後になって、仕事もほかの仕事もできるようになって、だんだん土地を求めておられますが、あまりいい土地ではありません。しかも転々と、遠距離のところをあちこちに分かれて所有して、総合して一定の面積に達しておる。一つの団地を形成しておるという事例もありますが、大体の形式は散在をしておる。従来しいたげられておった、そういう立場からも、歴史的にそういう経過があるわけであります。そういう実態を踏まえていかなければ、法の活用は私はできないと思いますが、二ヘクタールと限定された理由はどこにありますか、薄弱ではないですか。
#22
○説明員(岡安誠君) 距離等につきまして、いま災害復旧等の例をお話しがあったわけでございますが、私どもは、土地基盤の整備につきまして、やはりその事業を、それぞれによりまして関連性というものがあるというふうに考えております。したがって、基盤整備事業を行ないます際に一体として考え得るようなものにつきましては、ある程度距離がありましても、これを救うというような弾力的な運用は加えるようにいたしております。
#23
○足鹿覺君 農地局長にお伺いいたしますが、一つの事例を申し上げますと、私の出身県であります鳥取県に千代土地改身区というのがございます。これは約六百町歩の国営の県営委託工事で、すでに着工しておる地区でありますが、同地区の人々が負担にたえかねるということで、これがまだ十分全地区完了しておらないのであります。ところが、その工事を進めていく一般地区内に同和地区内の人が耕地を所有しておるわけであります。いわゆる普通の基盤整備事業地域内に耕地を所有しておる。そこで、かりに二ヘクタールというものを、まとまった地域で同和対策事業が行なわれると、これには三分の二の国庫補助が行なわれ、さらに残る三分の一は起債になって市町村がまかない、これを交付税の対象として、地元には、同和地区の住民は負担がなくてもやれると、こういう条件が普通土地改良地区と異なってくるのであります。といたしますと、いわゆる耕地が散在して同和地区の人が持っておられるのは、これはどうなるのでありますか。もしその人々が補助率を同和地区並みに、いま申し上げましたような補助率を属人主義によってつけられるならば、これは喜んで、いままでちゅうちょしておられた人々も一般基盤整備に同調し、工事がスムーズに進んでいくでしょう。ところが、あくまでも農林省が従来の方式にとらわれて、属地主義でいくのだと、また、いまの岡安参事官の御説明によりますと、同和対策の土地基盤整備は、二ヘクタールという一つの属地主義でいくんだ、こういう方針だと、散在して普通の基盤整備事業地域内における耕地所有の同和地区出身者は恩恵を受けることができないということになります。したがって、この際属地主義と属人主義に弾力的に運用をされまして、そして一般地区もスムーズにいくし、また同和地区の人々も貧困なるがゆえに負担にたえかねないということがそれによって救われて、お互いが両立していくような運営にしていくことが好ましいと私は考えるのでありますが、この点について、農地局長、いかがでありますか。
#24
○政府委員(中野和仁君) 同和対策につきましてただいまの先生のお話、お話としてはよくわかるわけでございます。と申しますのは、具体的にあげられました先生の地元の補助整備事業につきましても、この地区を見てみますと、一般の地区としてやれるところが三分の二で、同和対策事業としてやれるところが大体三分の一くらいあるようでございます。そこで、同和対策事業としてやる分につきましては、お話のように、三分の二の補助率で特別の事業をやるということで、それで済むわけでございますけれども、あとのほうをどうするか。それは、ばらばらと同和の方々がおるわけでございます。そこで、それでは属人主義で補助率を引き上げるかということになりますと、これは同和対策の特別措置法によりましても、別に対象地域を指定しているようではありませんけれども、申請で一つの地区をきめてやるということとは別の考え方になるわけでございます。いわば一般の土地改良事業の中に同和の方がおられた場合には、その人に、あるいはその人の土地に着目しまして、それだけの補助率のかさ上げをするというふうな問題になってこようかと思います。そうしますと、先生のお気持ちはわかりますけれども、やはり一つの制度として、新しく関係各省とも相談をしなければならぬ問題かというふうにも受け取れますので、なおひとつ勉強をさせていただきたいというふうに私は現在では考えるわけでございます。
#25
○足鹿覺君 そうしますと、現在の段階では、私が指摘したような普通基盤整備事業地域内における散在しておる耕地については、普通補助率でいく以外にはない、しかし道理はよくわかる。何かそこに隘路があるならば、その隘路を打開しなければならぬ。ことしの場合でも、米の生産調整で、通年基盤整備事業の施行等の問題もさっそく出てきておりますが、これらにひっかかることはないでしょうか。大蔵省とそういう点で打ち合わせをされなければ、農林省の判断だけでは――これは、私が指摘したような、どちらもスムーズに、円滑に、円満にいくことが好ましいと私は思いますし、またその同和立法の趣旨からいって、農林省の既存の属地主義だという、そういうからに閉じ込もったんでは、法が私は死ぬと思うのです。生かしてこれを運用することが政治の要諦であると私は考えますが、その隘路打開についてどのように対処されますか。事務的な限界においてどういうところがむずかしいんだ、ではこれはどうすればいいんだと、事務局の最大の限界でけっこうでありますから、山中長官もおいでになっておりますし、それらの点について隘路があるならばこれを打開していきたい、私はかように思いますから、その点率直に述べていただきたい。
#26
○政府委員(中野和仁君) 先ほどもちょっと触れましたように、この同和対策の特別事業は、一つの対象地域、同和の方々の濃密な地域ということになっておりますが、それを対象にしての事業でございます。したがいまして、それについては特別な助成があるわけでございますが、それ以外の地域につきまして同和の方がまじっておる場合には、その補助率を上げるということになりますと、問題が二つ出てくるかと思います。一つは、その対象地域をなるべく広めてゆるやかにするという問題。それとは別に、この今度の特別措置法とは別の考えか、あるいはその法律との関連をつけますか、その辺は私にもよくわかりませんが、属人的に補助率を上げるという問題になってくるわけでございます。そうしますと、個人の負担を伴う事業――これは農林省だけであるか、あるいはほかの省にもあるかもわかりませんけれども、今度の同和対策のものの考え方を、一つの地域を対象としての事業ということではなくて、個人を対象といいましょうか、属人的な事業、属人的に補助率を上げるという問題に変わってくるわけでございます。かなり検討しなければならない問題を含んでおるというふうに私考えるわけでございます。
#27
○足鹿覺君 大臣、いまお聞きのとおりでありまして、法の精神からいたしまして、あとで労働省所管の問題等についてもここは若干問題を指摘したいと思っておりますが、やはり属人主義的ないろいろな、育英関係もありましょうし、就職の促進対策費の新しい項目も出てきておりますし、属人主義的な方向をとることも間違っておらないと思うんですね、大体そういう方向で進められておる。ところが、この農地の場合は、混入率が問題になりまして、二ヘクタールの中にたとえば若干普通の他地区の人がおっても、高い補助率を受けるという恩典も、これは否定できないわけです。属地主義のこれは矛盾だと思うんで、これは非常にデリケートでありますが、考えてみれば私は解決がつく問題ではないか。ぜひこの点について、関係省と申しますか、農林省と大蔵省ですか、相互間における調整措置を大臣のほうにおいて御善処いただかなければならぬものではないか、そうしないと本年度の事業実施に間に合わないのではないか、かように思いますが、いかがでしょう。
#28
○国務大臣(山中貞則君) 足鹿さんの混入率の属人主義、属地主義に関する真意は、よくわかりました。これは局長答弁が検討の余地があるような話だけれども、役所としては――いまのこの法律は混入率、混住率というものによって地域を指定するんでしょう、そうすると、事務当局としてはいまの答弁は少し行き過ぎた、事務当局としては不可能なことだと、私はいま法律からは思っております。しかし、たとえばその地域を指定する場合でも、その中に住んでいる人だけをとって――居住している人だけをとって混住率を定めているのなら、それはよそに住んでいてもそこに耕地を持って耕している人は当然住んでいる人とみなして、その場合においては地域の中に属人主義をとって一定の土地改良なり基盤整備なりが行なわれてしかるべきだと私は思うんでございまして、そこらはこまかくやってみます。けれども、あなたのほうが私よりか先輩なんで、農村問題ですね。どうなんでしょうか、土地改良というのは地域でどうせやりますから、そうするとその中で、先ほどは、一般の生活環境なりその居住地区の問題等についてはなるべく溶け込んでいくようにという場合、そういうことが方向はいいだろうと、私もそうだと思ったんですけれども、土地改良をやる場合に、その中に何人か同和の人がおるからといって、その人だけに補助率を高くしてはたしていいものだろうかどうだろうか――よその地区ですよ。ということは、同和事業として指定をされない地域について行なわれる土地改良事業等について、その中に何人かの人がおった場合に、その人が所有する反別にかかる負担だけが高率の三分の二で実質負担なしということは、かえっていかがなもんかという気も私はいたします。しかし、法の趣旨は、おっしゃるとおり、いままでの同和の人々に対する国の姿勢というものを法律は打ち出しておるのでありますから、その地域の指定のやり方等の中で、土地改良ならば地域を指定しないで土地改良をやることはできませんし、その中で混住率等の基準が居住していなければならぬというようなことであるならば、それは、私は属人主義で、その地域の中で居住しなくても、耕作しておれば、その比重の一定の基準にのせてあげて、そうすると、そこは補助率の高い事業が行なわれる対象に当然配慮してしかるべきだと思いますが、その他の地域の同和の人々についての補助率だけについては、ちょっといま即答しかねるという気持ちでございます。
#29
○足鹿覺君 だんだん問題が明らかになってきたようでありますが、要するに、二ヘクタールというものが適当であるかどうかは別問題として、混入率五〇%に私は問題があると思うのです。ですから、これをもう少し広げて、そして包括していけば、ある程度緩和した措置になるのではないか、こういう気もいたします。その辺に一つの問題があるのではないかと思うのです。ですから、大きな地域に、うんと何キロも離れたところに一点あると、こういうものを拾い上げて属人主義だと、こういうことは、まあそういう理屈を立てれば立てられぬこともありませんが、そういうことを私は言っておるのではない。あまりにも二ヘクタール、五〇%の混入率という、そのことそれ自体が、私は少し問題を含んでおると思うのです。もっとこの法の適用をしていく場合における法の精神を生かす、そういう意味において善処していただきたいと、かように思うのです。これは、別に法律でも何でもありませんから、ある程度可能な点でありますが、それでもなお――混入率を緩和し適用範囲を拡大してもなお救えないというような大きな事例が出てまいりまするならば、これはまた別途に検討していかなければならぬ場合もあろうかと思いますが、とにかくこれはそういう点で問題があるのです。その点非常にデリケートな問題でありますので、よくひとつ室長のほうも、大臣なり農地局長の答弁の意思等もおくみ取りになりまして、そうして早急にこの問題の解決のために、大臣とともに御協力をいただきたいと思います。そのことがこの問題を解決する今後の糸口ともなれば、今後長い間の仕事でありますから、九年間にわたって行なう事業でありますから、別に一つのワクに閉じこもる必要はないんであります。その点でひとつ再検討をしていただくということをお約束いただいて、次に労働問題をひとつ申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
#30
○国務大臣(山中貞則君) 私も、次官通達になるようでありまして、こまかな内容よく知らなかったもんですから、ちょっと時間をとりまして恐縮でございましたが、私が先ほど申しました、居住していなくともその地域の中に耕作しておれば当然入れているそうでありますから、その点は解決していることらしいんです。ただ問題は、五〇%の根拠いかんということをいま話してみたのですが、五〇%を下げますと、非同和農家の人々の、いわゆる先ほどちょっとおかしい点もあるがとおっしゃった、たまたま同和の人がたとえば四十なら四十いてくれたので、六割――六〇%の人が、普通ならば受けられない高率補助というものの対象の事業になってしまう。そうすると、やはり限度一ぱい見て、同和関係以外の人々が同和の人々のために逆に受ける恩典の限度は五〇%が限度ではありませんでしょうかといういまの話でございます。ただ、特定地域の問題があると言われますと、私はそこは知りませんのでよく事情わかりませんが、このようなケースで、ボーダーラインぎりぎりで乗るはずのものが落っこちておるとかなんとかいう弾力性ですね、そういう問題は、当然法律というものは人間がつくって、人間が運用するものでありますから、そこらの弾力性等の幅の中に入り込める問題であるかどうか、ここらは計数ごとによって、地区ごとによって違うと思いますが、足鹿先生のお気持ちは私はわかりますから、そういうことで、もう少し詰めさせていただきますが、はたして五〇%を下げるということは、ちょっとここでお約束できるかどうか、疑問に思います。
#31
○足鹿覺君 御善処をいただきたいと思います。
 最後に、農林省でひとつ、やっかいな御調査でしょうけれども、この十カ年計画を進める上において、同和地区並びにその関連地域において、いま私が述べたような点も配慮しながら、基盤整備対象地区の面積その他これに関連する実態を御調査いただきたい。そうしなければ、行き当たりばったりのことになると思いますし、私は一つの事例を引いているのでありまして、よその地区のことは私はわかりません、ですから、その実態を把握した上で、さらにまた検討をする余地も出てこようと思いますので、実態把握していただきたいと思いますが、できますね。
#32
○説明員(岡安誠君) 実は、現在の十カ年計画につきましては、各省が共同して調査をいたしました資料に基づきまして計画を立てまして、農林省といたしましてもその計画によって予算要求その他をやっているわけでございます。ただ、この特別措置法ができまして、いろいろ同和地区の方々もこの事業の実施につきまして相当意欲的になっている点がございまして、その後希望等を聞きますと、前の時点における希望と相当違ったような形でもってあらわれてきております。そこで、私どもが事業実施にあたりましては、地方農政局、県庁を通じて、それらの実態の把握並びに希望をよく聞きまして、予算の配分、実施等をいたしておりますが、おっしゃるとおり、必要に応じましてさらに具体的な補足的な調査を今後ともいたしてまいりたい、かように思います。
#33
○足鹿覺君 もう一点労働省所管の問題につきましてお尋ねをいたしますが、長期計画の策定方針に関する意見の中で、「学卒者の就職状況の改善充実をはかるために、同和地区出身者の就職業種、待遇、職場定着性等について調査し、これが対策を講ずること。」ということが述べられておりますが、このことは実際に行なわれておりますか、行なわれておればその結果はどういうふうになっておりますか。
#34
○説明員(保科真一君) 同和地区におられる新規学卒者の就職の問題でございますが、新規学卒者の、特に中卒の方々の就職につきましては、近代産業へ就職していただこうということをねらいといたしまして対策を講じておるわけでございますが、実際の対策といたしまして、特別職業指導校というのを設定いたしまして、同和地区の方々の多い中学校、この中学校には安定所の職員が一般校以上に出かけまして綿密な職業指導を行ない、あるいは実際に近代工場を見ていただいて、認識を深めていただいて近代工場へ就職させるというような方向で就職の促進をはかっておるところでございます。で、先生御承知のように、最近、かように青少年を中心とする求人難の時代でございますので、学卒につきましては従来に比べますと就職状況は非常に改善されてまいっております。実際の定着状況その他でございますが、まあ部分的に調査したものはございますけれども、全国的にかようなものだということは、地域地域の事情によりまして非常に大きな違いもございますので、部分的な調査はございますが、そういう実態を把握いたしまして、地域の実情に応じまして就職の促進をはかっていきたい、こう思っております。
#35
○委員長(西村尚治君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#36
○委員長(西村尚治君) 速記を起こして。
#37
○足鹿覺君 何か私の政府委員出席要求と手違いがあったようでありますので、その点は了承いたしまして、質疑を進めますが、いまのあなたの御答弁は、私の聞いておることと違うんです。私は、この長期計画の策定方針に関する意見というものの中にある「同和地区出身者の就業業種、待遇、職場定着性等について調査し、これが対策を講ずること。」となっておるので、その実態を把握しないで、たとえば就職資金の貸し付けだとかいろいろなことをここへ書いておられますけれども、私はそれではかゆいところへ手が届かない。ほんとうのことを言いますと、業種によっては、その地区の家まで行って、そして最後にはパーと、こういう事例があるんですよ。あなたはそういう事実を知っていますか。ここで指摘しておることは、そういったことのなきことを期するために、こういう実態を調査して対策を講ぜよと言っておるんですよ。そういう中学校の就職率がよくなったとか、大工場に振り向けるようにするとか、そういうことを私は聞いておるんじゃない。
#38
○説明員(保科真一君) 同和地区の就業実態の調査につきましては、総理府の同和対策協議会で調査された調査がございます。労働省独自で全国的な調査はまだいたしておりません。地域地域の就業の実態等の把握につとめまして、地域の実情に応ずるようにやっておる次第でございます。
#39
○足鹿覺君 地域地域の実情に応じてということは、これは都道府県や市町村がおやりになることであって、国の政策を立てこれを実施していく、それは地方の姿勢と取り組みの問題でありまして、少なくとも、先ほども大臣と私とのやりとりの中にもありましたように、私は、相当の教育を受けて、適所適材でいろいろ近代産業やその他必要な職種に就職されていくことが好ましいと、かように思います。思いますが、実情はなかなかそうはいかない。どこに隘路があるかというと、口では言えない実際においては差別をやっている事実がある、業種によっては。だから、いわゆる長期計画の中で「就職業種、待遇、職場定着性等について調査し、これが対策を講ずること。」と、ここで特にこれをうたっておるのは、一般労働行政とは違った困難さがあるから、こういうことを特に指摘しておるのですよ。それを私は聞いておるのですよ。あなたが答弁できなければ、かわって別の人から答弁してください。
#40
○説明員(保科真一君) 先生御指摘のように、特に同和地区の方々におきましては、最近におきましても、同和地区住民であるということを理由に就職できなかったというような事例も見られるところでございます。かような就職差別の事例がありました場合には、職業安定機関を通じまして、事業所に対して是正指導をしております。悪質なそういう就職差別した事例がございましたら、一定期間紹介停止等をいたしまして反省を求めるというような措置を講じて、就職差別の事例の解消につとめている次第でございます。今後とも、事業主に対しまして説明その他受け入れ指導をやりまして、かような事例のないように善処してまいりたいと思います。
#41
○足鹿覺君 就職業種というものを非常に私どもは重視しておるのですよ。つまり、同和地区の同胞諸君は、そのある業種によっては就職がある程度進みますが、ある業種にはなかなか就職は進まない。かりに就職しておっても、好ましくない事態が起きつつある。こういうところから、就職業種というものを非常に重く見ておるわけです。それと、現状において、従来からもありますが、歴史的に、職場が労働条件のよくない職場におりますから、待遇がよくない。したがって定着性がきわめて悪い。そこで、これをどうするかということが今後の問題であって、ここにありますように、就職資金の貸し付けについて新しく一千万円計上された。一人に三万円を貸し付けると。予定人員はこれで三百人余りしかありませんがね。そういうことでは解決のつかない問題が横たわっておるのです。これを私どもは心配をしておるわけでありまして、上司によくお伝えになりまして、この調査をすみやかにしていただきたい。室長にも伺いますし、大臣におかれましても、私がいま指摘したような実態把握の上に立ってこの就職問題を解決していかないと、私は、この問題は解決ができないのじゃないか、また、解決しても、非常に長期を要して、十年計画における目標の達成ということは困難ではないか、かように思いますので、その点特に御配慮をいただきたいと思いますし、室長におきましても、事務的推進には労働省と協力をされまして、この実態把握が実現できるように御尽力を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
#42
○国務大臣(山中貞則君) いまの質疑応答を聞いておりまして、私も感じたことですが、ただ雇用主に対して一定期間就職あっせんを停止するとかいうようなことでは、逆に別な角度からは、たいへんいま求人難であって、雇用状態が非常にいいから、雇用の機会が多いから、就職率も高まったということから、それはきめ手にならぬのじゃないかという気もしますがね。そうすると、これはケースによってはやはり人権問題であろうと私は思います。ケースによっては人権問題であるなという感じがいたします。そうすると、やはり労働省として国の立場で、職安等において、事人権問題に関するほどのケースが出たと思われた場合においては、私はまあ法的な根拠その他は別でありますけれども、人権擁護委員会等に国がかわって何らかの措置をとることを要請するというようなこともあるいは必要なのかもしれない。あるいは、そこまでいかなければ、悲しいことですが、解決しないことが起こっているかもしれないというふうに私も感じました。ただの就職あっせんの一定期間停止では、おそらくききめはなかろう――そういうことを現実にやった雇用主ですからね。――というような気がしてなりませんので、そこらは私の審議室の手元において、どのようなところまで国がめんどうを見て差し上げられるか、あるいは基本的人権を国家がかわって擁護して差し上げられる限度というものはどこまでであるかということについて相談をしてみたいと思います。
#43
○足鹿覺君 以上で、私の質問はまだありますけれども、私どもの同僚委員もお待ちかねのようでありますので、終わります。
#44
○峯山昭範君 私は総理府設置法の一部を改正する法律案の審議にあたりまして、同和対策協議会の問題について、やはり続きまして二、三質問をしたいと思います。
 実は本日の審議の資料といたしまして、「同和対策関係予算案一覧表」というのが配られております。私はきょうこれを見まして感じるのでありますが、同和関係の昭和四十五年度の予算の総額が四十二億三千七百万円となっております。全体的に見まして何となく私は少ないように思うのでありますが、昨年の七月に同和対策の長期計画ができまして、きっとまあ初年度でありますし、青写真の段階であるということもあると私は思うのでありますけれども、全体といたしまして少ないと思うんですが、何となくほかに、この予算表以外に各省庁でほかにあるのかどうか、一ぺんこの点お伺いしたいと思います。
#45
○国務大臣(山中貞則君) 目立つものといたしましては、建設省の住宅関係でワクが――一応内ワクがございまして、その金額はおおむね六十億程度と思います。
#46
○峯山昭範君 そういたしますと、その六十億、それ以外に私は起債等もあるんじゃないかと思うのでありますが、そういうふうなものを含めましても案外全体として少ないのじゃないかと、こういうぐあいに考えます。実は私が調べました大阪、奈良、和歌山、兵庫等の予算を見ましても、大阪府は昭和四十五年度で九十六億四千三百万円ということでありますし、大阪市が百九億となっております。そのほか小さな和歌山県でも四億八千万円というように出ております。こういう点から見ましても、うんと力を入れていただきたいと、このように思います。
 それから次に、先ほどちょっと問題になりました同和問題を解決するためには、やはり先ほどちょっと話がありましたけれども、同和地区というのを掌握するといいますか、把握するということが私は大切じゃないかと思います。現在、先ほどの答弁等によりましても、従来調査が行なわれた、それに基づいていろんな答弁もなされているんじゃないかと思います。私が調べましたところを見ますと、昭和三十七年とそれから四十二年に行なわれたようでありますが、この調査の結果を見ましても、ちょっと食い違いがあるようであります。この辺のところについて、なぜこういうような食い違いが出てきたのか、また、どういうふうな調査をやったのか、できましたら説明をお願いしたいと思います。
#47
○政府委員(青鹿明司君) 御指摘のとおり、三十八年の一月一日現在と四十二年の一月一日現在、二回調査をいたしております。前のほうは同和対策審議会――いまの同対協の前身でございますが、同和対策審議会が都道府県に委託をいたしまして実施したものでございます。このときの調査は全体として同和対象地区の概況の把握をするということを主眼に置いたようでございます。調査いたしましたのは、世帯数、人口、混住率、それから同和地区数といったものを調べております。それから四十二年の調査は、今後施策を実施してまいります基礎の資料といたしまして、事業実施の必要がある地区を把握するということに主眼を置いて調査をいたしております。同様、世帯数、人口、就業者数等を調べております。
 それで違いがございますのは、一つは人口構成でございますが、三十八年と四十二年を比べて約四%の人口の減少となっております。それから地区数で申し上げますと、四千百六十地区が三千五百四十五地区になっておりまして、一四・五%低くなっております。これはなぜ減ったのか必ずしも事情が明らかでございませんけれども、ただいま申し上げました三十八年の調査は、ともかく全体として同和地区の概況を押えるということに主眼を置いておりますけれども、地区の全部を網羅的に調べた四十二年のときには、どちらかと申しますというと、事業実施ということを主眼に置いたので、小さな規模の地区が対象から除外されておるという事情が一つあるんじゃないかと思います。
 それから同和対象地区の問題でございますが、御承知のとおり歴史的、社会的な背景を持った問題でございまして、逐次、社会情勢一般の変動とともに、あるいはいわゆるはっきりした区別が観念的にも消滅し、実態的にも解消していくというような事情があったのではないかと思いますが、必ずしも、この地区数の減った理由は、そのために調査をいたしておりませんので、いずれ私どもも推察いたしまするのに、そういうことではないか、かように考えております。
#48
○峯山昭範君 三十七年の調査のときには概況を、四十二年のときには一応施策をやるということで調査されたということでありますが、三十七年の調査では同和地区の地区数は四千六十ですね。四十二年には三千五百四十というふうに減っております。また人口にいたしましても、三十七年の場合は百十一万三千であるのに対して、四十二年のほうは百六万八千人というようにずいぶん減っております。この差は、やはり都道府県の調査のときのいわゆる国庫負担率とか、いろんな問題とからんでくるのじゃないかと思うのですが、その点どういうように理解したらいいかという点を一つ。
 それから具体的に、この昭和四十年八月の審議会の答申によりましても、たとえばいろんな結果が出ております。北海道、東北六県には四十二年のほうには地区が存在しないことになっておりますけれども、その前の調査では東北地区にもそういうような地区がある。また福島のほうにもあるんじゃないか。また別途の情報によれば、福島においてもさらに多くの地区がある。また山形、宮城、岩手にもそういうような地区があるということが確認されているというように、こう記載されてありますが、そういうふうないろんな点考えてみますと、やはり昨年のこの同和対策事業特別措置法が実施された時点以後においては都道府県の考え方もずいぶん一歩前進しているんじゃないかと思うんですが、そういうふうな面におきましては、当然この実態調査というのをやはりやる必要があるんじゃないか、私はこういうぐあいに思うのでありますが、この点いかがでしょう。
#49
○国務大臣(山中貞則君) 確かに特別措置法が制定をされて、その法律に基づいて予算その他で補助率のかさ上げ、その他特別な手当てを国がする義務を負うというようなことが明らかになりましてから、各都道府県あるいは地方自治体全部ですが、同和地区、みずからの行政区域内にある同和地区に対する、事業に対する見る角度が違ってきたことは確かに間違いないと思うのです。そこでいま四十二年以後も、特別措置法ができましてから、さらに各府県の申し出、あるいは地域を通じたり、それぞれの補完についての申請なり調査なりが行なわれておりまして、それぞれの補完措置は適宜なされておるわけでありますけれども、四十五年度に、ことしやるということまではまだ考えておりませんが、特別措置法に基づく十カ年計画の前期五カ年の三カ年ぐらいの計画が進捗したあたりを見計らいまして、それは現実にどこの府県でも大体どういう事業をやればどのくらいの負担で、逆に地方から言うとどのくらいの負担で済むかというような意味も確かに裏ではありましょうから、そういう事業の進捗状況を見て、もう一ぺんやはり大々的な一斉調査というようなものを考えてみようかと思っております。それによって進行中の計画をさらに濃密に、もしくは広くして、実態に即するように、悔いのないものにしていかなければならぬだろうと考えておる次第であります。
#50
○峯山昭範君 それからもう一点お伺いしておきたいのであります。同和対策審議会、三十五年の八月にできまして、それぞれ二年間、一年間と延長になっております。今回も昭和四十一年でしたか、協議会ができまして、一回二年延長になったわけでありますが、そしてそれぞれ同和対策のいわゆる意見書のようなものが出ておるわけでありますが、昨年この同和対策長期計画が策定され、実施の段階といいますか、こうなりました以後は、そういうような計画をつくるまでの協議会とはちょっと性格が変わってくるのじゃないか、こういうぐあいに思うのですが、この点いかがでしょう。
#51
○国務大臣(山中貞則君) 性格と申しますか、実際上こちらのほうで協議会にいろいろと御相談を申し上げたり、御意見を伺ったりする内容が違ってくる。具体的なものを踏まえながらその進行状況等について、あるいは進捗の実態等について御批判なり、御意見なり、あるいは私たちが参考にしてやったほうがいいと思われること等を相談してまいりますので、いままでは主として特別措置法がはっきりと国の方針として明確になるまでは、国が同和事業に対して姿勢を明確にすべきである、態度を明らかにすべきであるという角度からの御意見を主として拝聴しながら、法律も生まれる結果を招来したと思うのでありますけれども、これからはむしろこちらのほうが御意見を伺い、事業の進捗にあやまちなきを期していくという形に内容は変わっていくだろうと思います。
#52
○峯山昭範君 それからもう一点でありますが、この長期計画を見ますと、非常に何となく抽象的であります。各省庁、ずっとずいぶん書いてあるわけでありますが、これをまとめるのは相当たいへんなことじゃないかと思うのでありますが、具体的には総理府の中にこういうふうな仕事を推進していくような機関を私は設ける必要があるのじゃないか。現実にあればいいと思うのですが、そこら辺のところはいかがでしょう。
#53
○国務大臣(山中貞則君) 「色男、金と力はなかりけり」というわけじゃないのですけれども、私のところはずいぶん各省に行政事項がまたがっていて、しかも政府として、国として姿勢なり方針なりを一定の形で進めていかなければならない必要性のあるものをずいぶんたくさん実は預かっているわけです。これを逆に言いますと、たいへんたくさんの仕事を私のところで総括的に所掌させてもらっているようでありますが、実際上の事業について、事業費なりあるいはまた事業の行政面なり、私の役所にはあるかと申しますと、これは皆無に近い。どうしても、これは各省のそれぞれの主管省が行ないます独自の仕事の中に、国の法律で定められた特別措置法の趣旨と目的とをりっぱに果たすような方向に調整していかなければならない役目を、目下のところはそれしかありません。しかし、これを私のところで、建設なり厚生なり労働なり、それぞれの役所から人間を持ってまいりまして、ここに集めて、一カ所でやると申しましても、やはり建設省の住宅は建設省の中でやっていただいて、その中でワクを設けたり、あるいはそれらの企画なり実施のあり方について、総合的に私のほうで調整をとっていくということしか実際上あり得ないのではないかと考えまして、かりにそれをつくってみても、屋上屋を架したような形になって、結局は、いたずらに行政機構がこんがらかってしまうのじゃないかと思います。私、人にもよるでしょうけれども、いろいろのそういう性格のものを預かっておりますが、各省のことをお預かりしていて、わずらわしいという気持ちは私は実は持っておりませんで、私の手元に預けられました以上は、単なる調整機能という、預かっただけでなくて、自分が預かってみておかしいと思う、あるいはこうあるべきことがなされていないこと、それらの問題を、むしろ預けられたことを奇貨としてというのはおかしいのですけれども、その立場において、積極的に各省庁に協力なり牽引力となって進めてまいるつもりで、交通対策その他いろいろと馬力を発揮しているところでありますけれども、この同和問題についても、私のほうで積極的に各省の協力を前提としてイニシアチブをとって、悔いなきを期してまいりたいと思っております。
#54
○峯山昭範君 同和の問題についてもう一点お伺いしておきたいのでありますが、当然この協議会は、これから五カ年でありますから、長期計画と比較いたしましてあと四カ年間足りないのでありますが、私は当然いま長官の話にありましたような面から考えますと、やはりこの長期計画に沿った機関で協議会が必要になってくるのじゃないかと思いますが、この点いかがでしょう。
#55
○国務大臣(山中貞則君) 先ほど足鹿委員にもお答えしましたけれども、今回四年延ばす法律を提出するにいたしましても、協議会の設置目的は、特別措置法が制定され予算の十カ年計画がおおむね目的を達した今日において、もう目的を達したものとして、存続する必要はないではないかという、これは一部の議論ではありませんで正論だと思います。協議会設置のある意味の趣旨からいって正論であるとは思いますけれども、相当に強力な意見もありました。あるいはまた、二年でいいじゃないか、いままで二年ずつだったのだから、という意見もありましたが、重複は避けますけれども、五カ年計画の達成の期間の少くともお目付役といいますか、指南番としてぜひ残ってほしいということを最終的に決断いたしましたということが趣旨でございます。
#56
○峯山昭範君 同和問題は以上で終わりまして、輸出会議の問題について一言だけ質問をしておきたいと思います。
 今回の設置法で輸出会議が貿易会議になるということでありますが、この輸出会議を貿易会議に改める理由なり、そこら辺ちょっと聞きたいのと、それからもう一つは、提案理由を読んで見ますと、発展途上国との貿易がかなり前面に押し出されているわけでありますが、こういうふうな点についてどういうふうな、現在発展途上国との貿易の状況、それから依存度ですね、それが現在どういうぐあいになっているのか、また輸出会議を貿易会議に改めることによってどういうふうな状況になるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
#57
○説明員(楠岡豪君) 御質問の第一点でございますが、貿易会議へ改組する趣旨は、その背景でございます現在の輸出会議は、御承知のように、内閣総理大臣はじめ関係の各大臣、それから日銀とか輸銀、それから民間の業界の代表が構成員となっております。それと一体となりまして、輸出の目標その他基本的な、かつ重要な輸出の施策に関しまして検討する場所となっております。それで産業別輸出会議としまして十二の会議がございまして、さらに全体を総合するということになっております。で、今回特に貿易会議にいたします趣旨は、最近の情勢の変化に応じまして、輸入というのが非常に大きな問題になってきたのでございます。先生ただいまおっしゃいました発展途上国と日本との片貿易が非常に目立ってまいりまして、日本の貿易を伸ばします場合には、輸入もあわせて考えませんと輸出が伸びないという状況でございます。それからまた、日本経済が大型化してまいりますにつれて、今後輸入をどういうふうに統一的にやったらいいか、あるいは安定した輸入源を求めるにはどうしたらいいかというような問題が非常に大きく浮かび上がってきたわけでございます。かような問題をあわせて検討することなくしまして貿易振興を論ずることは非常にむずかしくなった次第でございまして、今回輸出会議とあわせまして輸入会議を設けさしていただきたいというのがこの趣旨でございます。したがいまして、貿易会議におきましては、従来の仕事に加えまして、輸入についての、いわゆる開発輸入とか、輸出の長期的伸展を確保するための輸入といったような問題も御検討いただきまして、その対策を御審議いただくということを私どもとしては期待しておる次第でございます。
 それでは、開発途上国との貿易の状況はどうかと申しますと、わが国も輸出におきましては発展途上国への輸出は四三%を占めております。で、これは、たとえばEECが一四%強、アメリカが三一%強というような数字と比べますと、日本の輸出は非常に発展途上国にウエートがかかっているということが申し上げられると思います。その中でも、東南アジアの比重が約六五%を占めまして、特に日本の輸出は東南アジアにウエートがかかっているということが申し上げられると思います。
 それから輸入につきましては、発展途上国の比重は約四〇%でございます。輸出と同様に、これも欧米諸国と比べますと、たとえばEECの一七・七あるいはアメリカの二六%強と比べますと、やはり日本の発展途上国への依存度が多うございまして、中でもやはり東南アジアの比重が高うございます。
 そこで、こういった地域とのバランスでございますが、ごく大ざっぱに申しますと、日本の発展途上国との貿易は、一九六一年には六億二千万ドルの出超でございました。六八年には十二億七千万ドルというような大きな数字になってまいりまして、やはりこのマイナスを日本としても縮めていくという形をとりませんと、つまり、輸入をふやすことによって拡大均衡をはかりませんと、発展途上国への輸入が伸び悩んでいくというかっこうになるわけでございます。
#58
○峯山昭範君 この問題につきましては、時間もありませんので、また次回の通産省設置法のときにお伺いすることにして、私の質問は以上で終わります。
#59
○岩間正男君 法案の審議の問題もありますが、私は、山中総務長官が新任された。したがって、基本的な政治姿勢の問題を含めて、この際お聞きしておきたい。何せきょうは初めての質問でありますから、そういう点も含んで御答弁願いたい。
 大臣に私は公務員制度についてお聞きしたいのですが、現行の公務員制度について総務長官はどういうふうに考えておられるか、この点あらましでいいですから、御見解を述べていただきたい。
#60
○国務大臣(山中貞則君) 公務員制度につきましては、人事院の勧告というものにおきまして、その身分、待遇の保障ということを補完いたしておる機構があるわけでありますが、わが党内閣でありますが、遺憾ながらその保障、身分の補完関係の勧告につきまして、昭和四十四年度予算まで完全実施をしてまいりませんでした。その実績のありますことは、担当大臣としてははなはだ遺憾に思う次第でございますが、昭和四十五年の見通しにつきましては、各省の給与予算の計上あるいは予備費の二百億増の実現等々、完全に五月から実施する、人事院勧告の完全実施に対処する予算も組んでございます。かりに予備費等において、途中で災害その他予期せざる支出があって、人事院給与の完全実施が困難であるような財源状態に現在の経常予算の中でなったと仮定いたしましても、昨年の官房長官談話にありましたごとく、どんなことがあってもその完全実施の線は昭和四十五年から貫徹するという方針においては変わりはございません。したがって、現在のあり方、制度そのものについての批判はいろいろあろうと思いますが、人事院の国家公務員の身分を保障する役目についての政府の対応する姿勢は、たいへんおくれましたけれども、昭和四十五年からきちっとした姿勢をとることができる。そのことはたいへん当然のことでありまするけれども、私はそれでことしからいいのだ、正しい状態にことしから到達できるのだと喜んでおる次第であります。
#61
○岩間正男君 公務員の待遇の問題についてお答えいただいたわけですが、私は公務員制度全般に対しての見解をお聞きしたかったのです。しかし、これは時間の関係から、そのうちに聞くことにします。
 それから、公務員の性格として長官はどういうふうに考えておられるか。これは待遇問題とも深い関係がある問題ですから明らかにしてほしい。公の奉仕者ということを総理は言われておりますが、一体、これは主権者国民に対する奉仕者なのか、あるいは国家権力に対する奉仕者なのか、この点、これは明確にしておく必要があるのじゃないか。この点いかがですか。
#62
○国務大臣(山中貞則君) もちろん、主権者たる国民全体に対する奉仕者でございます。
#63
○岩間正男君 最近は、そういうたてまえにはなっておるが、国家権力の支配が非常に強硬になってきているのじゃないか、こういうことが指摘されるわけですが、さらに公務員の性格としては、公の奉仕者であると同時に、一定の給与を受けて生活をしている労働者であるという性格を持っているわけですね。したがって、その点から考えれば、憲法に保障される基本的人権というものは、これは尊重されるべきだと思うのでありますが、これについてどのようにこれは尊重されておりますか。
#64
○国務大臣(山中貞則君) 先生の御質問の伏線がどこにあるかよくわかりませんが、私は、国家公務員として、ただいま申しました人事院勧告の完全実施なりその他を考えまして、国家公務員が国民全体の奉仕者である立場が、反面において不当に冷遇されておる、あるいは特定の権力に奉仕することを余儀なくされておるというふうには解釈いたしておりません。
#65
○岩間正男君 これも現状分析をしてもっと詳しくやればいいわけですが、最近の傾向、これについては、これも時間の関係で後日に譲ることにします。
 もう一つの問題ですが、憲法との関連ですね。これも明確にしておく必要があるのじゃないかと思うのです。つまり、憲法を、国家権力の支配のもとにあって、さて、憲法を守る立場と同時に、公務員としては、これは憲法においてもそういうようなことが規定されているわけですね。これが、かりにこの問題を抜きにした場合、非常に矛盾を感ずるわけです、これはどういう道を選ぶか、公務員として。この点も基本的な課題としていかがですか。
#66
○国務大臣(山中貞則君) どうもよくわかりませんが、憲法は国民全部がひとしくその地位のいかんにかかわらず守るわけですし、国家公務員は国家公務員として、閣僚は閣僚としてそれぞれの立場において憲法に従うことは言うまでもありません。しかしながら、公務員であることが憲法を順守し、憲法を守ることと違反するというようなことが、どのようなケースにおいて指摘されておるのか存じませんが、本来国家公務員であることの事務そのもの、あるいは日常の国家公務員としての行政事務そのものについては、憲法に違反する行政事務というものを強制しておるものでは原則としてないと、私はそう思っております。
#67
○岩間正男君 これも原則問題の、非常に荒っぽい論議になるわけでございますけれども、たとえば憲法の平和条項あるいは基本的、民主的な権利の条項です。こういう問題で、最近非常に抵触が起こってくるわけです。公務員がこの矛盾で苦しんでいるわけです。この場合にどっちの道を選ぶかというと、やはり論議が非常にあるわけです。しかしこの問題、これやり出すとこれだけでも相当時間がかかりますから、これは課題として残しておきましょう。
 そこで、あなたは給与担当大臣なんですから、その立場からお聞きしたいんですが、先ほど先回りをして伏線を張られたようですが、今度の五月の完全実施と、これに努力をすると、こういうようなことであります。それについてどうしてもはっきりさせなくちゃならないと思うのは、公務員の当然の職責を果たすためには、身分、地位の保障、生活権の保障、これがどうしても前提条件になるわけですね。その点ははっきり、そう考えていいですか。
#68
○国務大臣(山中貞則君) 同感です。
#69
○岩間正男君 そういう中で、そういう原則に立った中で、現在の代償機関としてのこの人事院、それから人事院制度によって行なわれている給与の実施状況ですね、これはどういうふうに、はたしてその機能を果たしておるというふうに考えておられますか、どうですか。
#70
○国務大臣(山中貞則君) いままで人事院が勧告いたしましたことを、昭和四十四年度予算まで、いわゆる勧告どおり実施してこなかった点は率直に私は認めました。そのことがよろしくなかったことも認めました。そして昭和四十五年度から本来あるべき姿になったということを私としては申し上げたつもりでございまして、人事院の勧告の内容がどうである、あるいは人事院の勧告を、事前に、国家権力あるいは政府の権力によって、独立の機構である人事院に対して圧力を加えると、そのようなことがあってはなりませんし、そのようなことはしておりませんから、やはり人事院の独立性というものを尊重された結果を尊重していくということが一番すなおな道であろうかと思っております。
#71
○岩間正男君 そうすると、いままでほとんど、ここ十数年人事院勧告が完全実施されたことがない。ないわけですね。これは認められる。そのために代償機関としての機能は十分に果たされていなかった、こういうことがこれは含まれていますね。ただいまの、これは長官の答弁の中にははっきり含まれていると思うんですね。そういう結果、公務員労働者の生活というものは、これはどういうふうになっておると思いますか。この点の認識はどうです。長官の認識が非常に重要な課題になってきます。この点、給与担当大臣として、とにかく国家公務員、地方公務員もこれは影響受けますから、当然含みます。数百万の公務員労働者の生活権を全く左右するそのポイントにいるあなたとして、こういう結果がどうなったか。代償機関が不完全であったと、こういうようなやり方によって実際は公務員の生活がどういうふうになっているというふうにお考えになりますか。
#72
○国務大臣(山中貞則君) 私は人事院の権能を認め、その勧告を尊重するということにおいて、いままで変わりはなかったと思いますが、財源措置その他について完全実施の線に至らなかった過去の経緯について、正しいことではなかったということを認めておるわけであります。したがってその意味においては、国家公務員のみならず、それに対しておおむね準じてこられた地方公務員の方々につきましても、国のそのような姿勢が完全であったとは思っておりませんが、幸い毎年少しずつ完全にたらんといたしまして、ようやく四十五年度にそのような体制ができ上がりそうでございます。でき上るわけでございまして、これからはいよいよそのような、あと戻りすることのないようにしていかなければならないと決心いたしております。
#73
○岩間正男君 公務員の地位、身分を尊重する、生活権も確保したい、こう念願しておられるというように考えるわけでありますね。そういうような立場に立てば、どうですか、現状を見て。まあ公務員の生活権の問題一つを取って見ても不十分だと思うんですが、この点は認められるわけですな。
#74
○国務大臣(山中貞則君) もうちょっと、先生、何かはっきり言ってくださいませんか。
#75
○岩間正男君 現状がそういう不完全実施でとにかくやってきたわけですから、私は人事院勧告制度そのものも問題になる。いつでもこれは論議の対象になる。非常に薄い、ことに上厚下薄のそういう立場をとっておる、そういう勧告がなされる。しかも不完全な、不十分な非常に低い内容のものさえ完全実施されなかった。当然そこに欠陥が起こるわけでしょう。その欠陥は認められるかどうかということです。
#76
○国務大臣(山中貞則君) 何回も申し上げておりますように、あるべき正常な姿が、財源の都合その他によってできなかったということについては、率直に正しくなかったことを認めております。
#77
○岩間正男君 完全に生活権を尊重する、地位、身分を尊重する、そうして公の奉仕者としての任務を十全に果たすことができる、そういうふうに考えていけば、当然これに対する努力が必要になってくるわけですが、そういう中で、どうですか。公務員の生活実態というものは、これはいろいろ調査してこられたと思いますが、大体次のような事実を知っておりますか。ここに速記がありますけれども、いままで当委員会で問題になった公務員の中には――国家公務員の場合でありますが、生活保護支給額よりも低い、そのような給与を受けておる者が、これは私は指摘をしても、あなたがやるのはわかっておる。期末手当を加えれば高くなる――期末手当は問題にならぬですよ、そうでしょう。期末手当で赤字を埋めておる、そうなれば、何もあれは慰労金とか何にもならぬわけです。そんなことじゃない。本俸で比較しなければならぬ問題ですから、くさびを打っておきます、時間の関係もあるし、これはどうです。
#78
○国務大臣(山中貞則君) そのような事例のあったことを知りません。
#79
○岩間正男君 これはもう十分に調べてほしいのであります。これはこの前、ちょうど一昨年の十二月二十日の委員会で、全港湾建設労働組合小倉支部の例でありますが、百七十三人の無税者を対象としたら、生活保護基準を下回る者が六十六人いる。それは全く同じ資格、同じ年齢構成から家族構成、そういうものをちゃんと調査してあるのです。この実態について一体調査したのかどうか。その後この問題を取りあげて、はたして解決するために努力をしたのかどうか。これはしたかしないか。これも時間の関係で、答弁が長くなるなら要らぬ。協力する。あとでやってもいい。
#80
○政府委員(栗山廉平君) 私知りませんが、答弁していいですか。
#81
○岩間正男君 長くなりそうだな。その後どう努力したかということだけやってください。
#82
○政府委員(栗山廉平君) 私聞き漏らして――神奈川県に一人あったということを聞いておりますが、それ以外は、実は聞いておらないわけです。――失対でございますか。
#83
○岩間正男君 時間の関係で、調査してこの次に報告してください。それをどう処理したか。
 その次、給与のみで生活できないで、アルバイトやあるいは金を借りるとか、実家からの仕送りで赤字を補てんしている。そういうものは非常に多いわけです。これをどうつかんでおるのですか。これは全体としての調査ができておるかどうか。
#84
○政府委員(栗山廉平君) そういう調査はできておりません。
#85
○岩間正男君 長官どうです。こういう調査がなくて、あなたの言われたように公務員の生活権を守ると言ったって、これは話にならぬ。どういうことですか。
#86
○国務大臣(山中貞則君) 調査をかりにするにしましても、個人的な借金をどのような理由で、どういう先からしているのか、そこまではなかなか調査に実は乗らないのじゃないかと思うのです。
#87
○岩間正男君 生活の家計でいいのです。家計の赤字が出ているのです。それをどう見ているのですか。その調査をやらなくてはだめです。やらないで待遇改善と言ってみたって話にならぬ。
#88
○国務大臣(山中貞則君) 消費支出の内容、可処分所得のおのおのの使い道その他によって、いろいろと、ある人は家を建てるための短期借り入れのこともありましょうし、あるいは自動車を買うためにちょっと借りて、だんだんそれを返していって自動車に乗るというものもあるいはおるかもしれませんし、その態様というのは、人おのおの可処分所得の振り向け方にもよりましょうから、調査といいましても一律になかなか――傾向、動態等については、あるいは調査可能かもしれませんが、しかしおっしゃることは、実態という意味においては重要なポイントでもあろうと思いますから、もう少し研究さしてください。
#89
○岩間正男君 これは調査ができましょう、そこのところは。標準の賃金、家計、そういうものを基礎にしてやっていってもいいわけです。これは一人一人の個人的なそのことを言っているわけじゃありません。しかしとにかく家計支出が赤字になっているのは非常に多いわけです。この問題も私は指摘した。ことにあなたの足元でたいへん起こっている。御存じですか。
#90
○国務大臣(山中貞則君) 知りません。
#91
○岩間正男君 ほら、それだからだめです。この前もこれは問題にしたのでありますが、この前、総理府恩給局の例です。それは実際あそこの職員組合が調べている。行(一)の六等級以下の労働者二百人のうちで、五十人から六十人がとにかくやっていけない。そこでアルバイトをやっている。何と清掃会社にアルバイトに出ている。そうして夜二時間程度やっている。その中には、ひどい例は五人で十人分の仕事をする。そして五人で分けて赤字補てんをやっているというなまなましい実例が報告されている。これについて、最近どうなっているかといってこれを調べてみたわけです。全然これは解消されていない。これは恩給局でも最近アンケートをとった。四百三十人のうち二百四十人、五五・八%は、これは他の収入を加えなければ生活できない。それから、生活が苦しくていままでと変わらないというのが四百十二人のアンケート中二百三十八人出ておりまして、五八%。それから四百十二人中百五十二人が、これは生活がますます苦しくなっていく。これはいいところを加えましても、四百十二人のうち三百九十人、九五%、こういう形が実はあなたの足元で出ているのですね。こういうものを踏まえなければ、ここのところをやはり具体的に、ことにまあ私はそういう点に、あなたの若さをこういうところに振り向ける必要があるのじゃないかと思います。基本的な政治姿勢の問題として、どうでしょうか。
#92
○国務大臣(山中貞則君) 私は、大体歴代大臣は総理府本部で就任のあいさつをするだけだったそうでありますが、私はまっすぐ、統計局、恩給局は別の庁舎に入っておりますので、行きまして、向こうでもねぎらいのことばと私の拘負並びに今後の決意、奮起、その他について親しく――親しくというとあれですが、直接話をいたしました。いまおっしゃったような調査は政府の調査ではないと思いますが、どのような理由でアルバイトをするのか、あるいは食っていけないというのがどのようなことから言われているのか、そこらのところが、まあ親がかりの人もおりましょうし、あるいは家族持ちの人もおりましょうし、いろいろ態様は違うと思いますが、調査そのものが、おそらく政府の調査では、私のところの調査ではないと思いますが、そこらのところの、もし生活の実態というのが公務員たるべき正当な生活が保障されていないと客観的にはっきりと立証されるようなことがありますならば、私もあらためて調査の上善処いたします。
#93
○岩間正男君 何よりもあなたの足元の総理府の中で起こっている問題ですから、できれば職員組合のそういうアンケートを徴して説明を聞いてください。できれば、団体交渉という形をとらなくたって話し合いを進めたらどうです。そうすれば、そこのところを見ると、他の官庁もみんな同じような状態があるんです。そこで初めてあっと驚くんです。そうですよ。驚くんです。だから、いままでの行政というやつはほんとうに何か宙に浮いている。足元を見なければならぬ、足元を。こういう現実から考えていかなければ、こういう給与問題というものの根本的な解決ということはあり得ないんです。ここが私のいまの公務員の身分保障、それからほんとうに職責を全うするそういう点、したがっていまのようなやり方になれば、結局国家公務員法の百一条の職務専念の条項というのは果たしたくても果たせないという実情に追い込まれている。これは認めますか。
#94
○国務大臣(山中貞則君) まあおれは待遇が悪いから公務員の職務には専念しないという言い方も、まっすぐつないで言っていいかどうか、そこのところわかりませんが、もちろん待遇に自分は満足であるという――かりにアンケートを取った場合に、自分は何の不服もなくて満足であるという、イエスであるという答えを出す人はあまりないということは、これはまた逆に常識だろうと思いますが、国家公務員の仕事を忠実に果たすに足らない俸給である、したがって自分は忠実に果たす必要はないということにつないで議論すべきものかについては、そこらのところは問題のあるところだと思います。
#95
○岩間正男君 職務専念のこの規則を守ると食えない。食おうとすれば、どうしてもアルバイトをやらなければならない、ここに追い込まれている公務員の姿をはっきりつかまないと、いまのような御答弁が出てくる。ここはやはりいかぬと思います。ここははっきり答えられる必要がある。兼職禁止の問題もやはり同じことになりますね。これは規則があったって守られないということをちゃんとあたりまえのことにして、その辺に乗っかっての給与の行政をやったって、これはほんとうに担当大臣としてのいままでの職責を果たした人はない、全部。だから、閣議だって主張できない、ここは。ここのところは明確にする必要があると思います。
 それからもう一つ、とにかくほんとうに公務員の身分、生活を保障して、そうして十分の職責をつとめさせるためには、どうしても私はもっと給与のやり方というものを考えなきゃならぬ。私は口はあまりうまいほうじゃない、心はいいが。パンをちぎって投げ与えているということばがある。私はそういうことばを使っている。パンをちぎって投げ与えるような給与にて怒り深まりぬ公務員労働者、あなたも歌をつくるからわかるだろうと思う、こういう状態になっていますよ。そうですよ。なぜもう少しほんとうにあの人事院勧告というものを、大体まあ七月段階だ、今度は六月だ、今度は五月だと、パンをちぎって投げ与えている。昨年のごときは六月実施をやったけれども、今度はどうですか、あの例の手当ですね、あれを今度ははね返らないというようなやり方までとったんでしょう。あんなのは全く話にならぬ。これは政治的操作といわれてもしかたがない。事実そうでしょう。ここのところで公務員の労働者というものをどういうふうに政府は考えているかという基本的姿勢を問われているわけです。これにあなたが答えるかどうかということ、これも一つのテスト・ケースになっているんです。どうなんです。
#96
○国務大臣(山中貞則君) すなおな歌よみの岩間先生すなおな歌を御披露なさったんですが、まあ見方によってはそういう歌もできましょうし、あるいは、ことしからは完全実施である。去年はボーナス抜きであるから核抜きでしたけれども、ことしはちゃんとするということでありますから、まあおそき春であるということで、またここに、これで当然だとはいっても、またある意味では自分たちの権利が守られたという喜びの歌をつくっても私は歌にやはりなると思うんでありまして、その意味ではこれからはいまのようなおしかりのないようにずっと努力をしてまいります。
#97
○岩間正男君 最後に一問。
#98
○委員長(西村尚治君) もう一問でいいですね。簡潔にお願いします。
#99
○岩間正男君 それでは、いま公務員労働者が要求しておるわけですね、春闘が始まり、それとの関連もあって、これは要求を出しておる。これは要求をつかんでおられると思いますが、五月実施というような中途はんぱな形じゃないわけですね、実際は。これは四月でしょう、四月実施の要求です。それから一万円要求、これは御存じだと思う。このような要求というのは、これははいまちょっと非常に短い時間だから十分意を尽くさなかったのですけれども、私が質問したそういう点から明らかにできると思うのです。したがって、このような問題についてほんとうに本格的に検討しなければならぬ。とにかくパンをちらつかしておいて、しっぽを振らせるというような方法をとったのでは、これはもうほんとうに戦前への復帰ですからね。こういう形が一方で公務員に要求されるというようなことは、これは憲法違反なことは明確です。したがって、こういう点について私はもっと本格的に取り組まなければならぬと思う。つまり給与の問題を利用して、逆に公務員の団結権、それから当然持っている基本的な労働者としての権利、こういうもの、公務員法そのものがこれはもうすでに問題だ、政令二百一号時代からこれは問題なんです、そもそも。だから根本にさかのぼればここまでいかなければならない。そうして当然諸外国がやっているように、公務員労働者のこれは罷業権、それから団結権、団体交渉権、労働三権というものはむしろ返すほうが私は正しいというふうに考えられるわけです。いまのような不完全なこういうかっこうで、まるで権力に従属したというような形で給与の問題を扱ってはいかぬと思う。これは単に給与問題だけではなくて、全く基本的な日本の国家体制の中の一つの課題になるわけです。そういう点について最後に決意を伺っておきたい。
#100
○国務大臣(山中貞則君) 四月実施にいたしますと、春闘相場、いわゆる民間の春闘で妥結いたしました相場の反映がその年になされないということになるおそれがありますから、やはり春闘相場を反映して、なるべくそれに近づけたベースに直されるというのがやはり五月実施で、それが一番完全実施じゃなかろうかと私は思うのでありますが、これは人事院の――私は専門の立場にありませんので、私の感想を申し述べただけであります。
 それから労働三権等を国家公務員に付与するかいなかの問題でありますが、これは私だけの判断でできないことでありまするし、国民全体への奉仕者という立場と、スト権その他を含むものを付与すべきかどうかということについては、これは総理を含めた最高の政府全体の判断ということで結論を得なければ、私一人では言明できないところであります。
#101
○委員長(西村尚治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。
 総理府設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#102
○委員長(西村尚治君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○委員長(西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#104
○委員長(西村尚治君) 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#105
○峯山昭範君 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案の審議にあたりまして、二、三質問をしたいと思います。初めに皇室会議並びに皇室経済会議についてお伺いしたいと思います。
 内閣法のたてまえから申しますと、総理府の主務大臣は内閣総理大臣ということになっておりますけれども、事実上は総理府総務長官が総理府の長でありますし、担当の国務大臣でもあります。本日のこの内閣委員会でのこれからの審議にあたりましての答弁も、いわゆる外局たる宮内庁を総括する総理府の総務長官としての立場で答弁をされるんじゃないかと私はこう思います。その立場にある総理府総務長官が、いわゆる宮廷費、皇族費の定額の改定をきめるこの皇族経済会議の正式のメンバーに入っていないというのは、私はまことにおかしいと思うんです。しかも皇室経済法によりますと、会計検査院の院長がこのメンバーに入っておりますし、総務長官が入っていないというのは、結局この皇室典範並びに皇室経済法の制定になった当時に、私は総理府総務長官が設けられていなかったからじゃないかと、こういうように思うわけです。三十二年に総理府総務長官が設けられ、さらに四十年ですか、四十年に総理府総務長官が国務大臣になりました以後も、この皇室典範にしましても、皇室経済法にいたしましても、まだ改正されておらないわけであります。当然、私はこの際、政府は、この皇室典範並びに皇室経済法の改正を提案して、そして総理府総務長官を正式のメンバーに入れるべきじゃないか、こういうぐあいに思います。したがって、この正式のメンバーに入れないという関係から、一昨年も皇室経済に関する懇談会とかいうような会合を非公式につくって、そしてこの皇室経済に関する問題を審議するというような便法的な方法をやっているわけでありますが、この点について、やはり私は総務長官を入れるべきだと、こういうように思うわけでありますが、総務長官の御意見を初めに伺いたいと思います。
#106
○国務大臣(山中貞則君) 確かに所管いたしております総理府の総務長官たる者が構成員でないということについてはおかしいと思います。その構成のメンバーを見ますと、予算の問題でありますから、経済会議の場合には、大蔵大臣や会計検査院長が入っておりますから、当然予算をこのようにして御審議いただく責任者たるべき大臣である総理府総務長官もその構成員になるべきである、こう思いますけれども、しかし、入っていてもよろしいし、また入らないからといって、そう特別に問題があるとも思いませんが、ただ御質問が、将来先にあるのかもしれませんが、私はずっと内廷費、宮廷費、皇族費等の過去の改定の足どりを振り返ってみまして、いろいろの配慮もあったのでありましょうが、今回は二年目でありまして、わりと近いのでありますが、比較的これが行なわれていない、相当長い間据え置かれたままである、しかも、このことは国家公務員や物価その他の諸情勢とにらみ合わしてきめるということになっておるとすれば、物価の背景もしくは国家公務員の給与の毎年の引き上げ等から考えて、今後の運営としては、開いたら当然上げるという会議でなくて、上げるべき年であるか、上げないで済む年であるか等も含めて皇室経済会議は毎年開くべき会議であると私は思いまして、そのように今後は総理にも進言をいたし、宮内庁とも連絡をいたしまして、毎年この会議が開かれて、少なくとも議論がしていただけるということにしたいものと念願しております。別なことまでつけ加えて恐縮であります。
#107
○峯山昭範君 次に、今回の改正になっております皇族費の問題についてちょっとだけお伺いしたいと思うんですが、皇室経済法の第六条の規定のいわゆる立法の精神から申しまして、現在、宮内庁で考えておられる、本日の委員会にもこの皇族費の改正というのが提案されておりますが、その立場とは多少違うんじゃないか。すなわちその皇族費は、この第六条によりますと、「皇族としての品位保持の資に充てるために、」と、こういうぐあいにありますが、私は各皇族のいわゆる殿邸とかの建設費用、そういうふうなものも私はこの皇族費の中に含まれて当然なものじゃないか、こういうぐあいに私は思うんですが、したがって、その額をも含めて、いわゆる定額とは別にそういうふうなものも計上すべきじゃないか、こういうぐあいに思うわけです。その意味では、昨年から宮廷費のほうに予算をとりまして、三笠宮やそれから秩父宮等々、順次、皇族の殿邸を建設していることを宮内庁のほうから私ちょっと聞いておりますが、皇室経済法のたてまえからすれば、この皇族の殿邸の建設は宮廷費で建設するのじゃなくて、やはり皇族費のほうから支出されて建設するのが私は筋合いじゃないか、こういうぐあいに思うんですが、この点いかがでしょうか。
#108
○政府委員(瓜生順良君) その点はこの皇室経済法のたてまえからまいりますので、皇室経済法には、「皇族費は、皇族としての品位保持の資に充てるために、年額により毎年支出するもの及び」云々とありますが、要するに、いわゆる歳費的に一年幾らというようにして、その金額を施行法のほうで基礎的にこうだというようにきめるというようなたてまえをとっておりまして、皇族に必要な経費はこれは皇族費とするというふうな規定のたてまえになっておらないわけであります。一方、陛下などの内廷の関係は、ちょうどこの皇族費にあたる分が内廷費ということになっておりまして、その他の皇室に関する公的なお活動の経費とか、それから皇室用財産の維持管理、それから建設の経費というのは宮廷費で組むというようなたてまえになっておりますので、そういうふうになっておるわけでございまして、これは法律のたてまえからそういうようになっておるわけでございます。
#109
○峯山昭範君 この点についてはもうけこっうです。
 次に、今回の皇族費の改定は、七百二十万円を八百三十万円に改める、こういうぐあいになっておるわけですが、この八百三十万円の計算の基礎ですね、これはどういうふうなところからこういうぐあいに出てきたのか、その点をお伺いしたいと思います。
#110
○政府委員(瓜生順良君) 皇族費の関係は、現在基礎が七百二十万でありますが、そのうちで、この生活諸費と人件費、二つに大分けしますと分かれると思います。生活諸費というものは主として物件費、人件費はいろいろ御使用になっている人の給与でありまするが、その関係の生活諸費のほうに対しましては、過去二年間、この皇族費が据え置かれておりましたので、二年間における物価指数の上がった指数を考え、それをかけます。それで二年間に物価指数は一一・五%上がっております。したがって、二・五%をかけたものを加える。また人件費のほうは二年間に人事院の勧告による公務員のベースアップの関係でございまするが、それが二年間に一九%上がっております。そこで一九%を増加いたしまして、それでいきますと七百二十万円が八百三十万、百十万ふえるというふうになるのでございます。
#111
○峯山昭範君 次に、現在万博が開かれているわけでありますが、各国の皇族並びに国賓の方々が次々と訪問されておるわけでありますが、皇室の方々のこれらの方々に対するいわゆる接待についてはどういうぐあいになっておるのか。またその予算等はどういうふうになっておるのか、その点をひとつ。
#112
○政府委員(瓜生順良君) この万博関係で各国の元首または皇族の方、あるいは総理、閣僚級の方がたくさんお見えになりますが、皇室のほうでどういうふうにこれをもてなしていかれますかといいますると、各国の元首がお見えになった場合には皇居に招かれまして午さん会をお開きになるのであります。それから外国の皇族が見えました場合は、やはりお互い王室同士のおつき合いということもございまして、やはり宮中に招かれて午さん会があります。しかし午さん会の内容はちょっと違います。元首が見えた場合には総理とか外務大臣も出られて公式のものになりますが、外国の皇族の場合でありますると、原則としてこちら側の皇族さんが皆さんそろっておいでになり、もてなしをされるというふうに、ちょっとお内輪のような形になるのでございます。それから外国の総理級の方がお見えになりますると、そういう場合は午さん会、そういうのはございません。で、総理級の方がお見えになりますると、天皇陛下が宮中がお会いになりましていろいろお話をされる、いわゆる謁見というのがあるわけであります。なお閣僚級の方がお見えの場合、これは相当お見えになるんですが、そういう方は万博の名誉総裁である皇太子殿下がこの閣僚級の方にはお会いになっていろいろお話しになるというふうになっております。で、これは平素の場合に元首が見える場合は国賓、ステートゲストというようにして見えます場合ですが、そういう場合では晩さん会があったり、もっとはででありますが、今度のは万博のための政府のお客というのでたくさんの方が見えますので、これは平素の場合よりは幾らか簡略にはなりますが、それでもなおたくさんのお客がお見えになりますので、そのもてなしに当たられるわけであります。
#113
○峯山昭範君 もう一問で終わりたいと思いますが、宮内庁当局も当然この国民の象徴としての天皇のあり方については、常に研究をしておられると思いますし、また心労もされておると思いますけれども、先日の万博の開会式の天皇御出席の際、一人の少女から花束を、直接、天皇がお受けになったというほほえましい光景がありましたけれども、ああいうようなことは、やはり国民一般から非常に好評を受けていると、私はこういうぐあいに思うんですが、こういうふうな機会がごく自然にどんどん得られることこそ、私は天皇としての地位もだんだん国民の中に定着してくるんじゃないかと、こういうように思うんですが、そういうような点から考えましても、たとえば新年の国民の慶賀を受けられる際の防弾ガラスですか、ああいうようなものもこれから何とかくふうをしていただけないものかと、こういうぐあいに思うんですが、この点いかがでしょう。以上で私の質問は終わります。
#114
○国務大臣(山中貞則君) ちょっと宮内庁から答えにくいと思いますが、陛下もまた宮内庁も、たいまだのお話のような陛下でありたいし、皇族でありたいと念願しておられることは間違いないと思います。ただ、不特定多数の人たちの前に直接立たれた場合に、今日までさしたることもなかったんですが、昨年のできごととして、パチンコですね、これをやった青年がおりましたが、パチンコで済んだんですが、銃器携帯等特にやかましい日本でありますから、まあまあそういうこともないとかりにいたしましても、もしものことがありました場合には、やはりわれわれの、俗に言うおやじでありますし、国の象徴である陛下に、もしものことがあったらという配慮はある程度しなければならないだろう。もちろんなま身で、何もへだてないでお立ちになりたい気持ちは陛下のほうにも十分おありのようにお察しをいたしておりますが、そこらのところは国民も全部お互いが同じ気持ちにならないと、やはりあまり好ましくない事態等は、予測できるものは防ぐ措置をしなければならないのじゃないかと私は思っております。
#115
○委員長(西村尚治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終了したものと認め、これより討論に入ります。――別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めます。
 これより採決を行ないます。皇室経済法施行法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#116
○委員長(西村尚治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 審査報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#117
○委員長(西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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