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1970/02/19 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 本会議 第4号
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1970/02/19 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 本会議 第4号

#1
第063回国会 本会議 第4号
昭和四十五年二月十九日(木曜日)
   午後一時四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
 昭和四十五年二月十九日
   午後一時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 第二 参議院予備金支出の件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一及び第二
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴
  追委員及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員、裁判
  官訴追委員、同予備員、九州地方開発審議会
  委員、中国地方開発審議会委員、離島振興対
  策審議会委員、国土開発幹線自動車道建設審
  議会委員、首都圏整備審議会委員、北海道開
  発審議会委員及び日本ユネスコ国内委員会委
  員の選挙
 一、請暇の件
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第三日)。
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。大橋和孝君。
   〔大橋和孝君登壇、拍手〕
#5
○大橋和孝君 私は、日本社会党を代表して、主として内政問題、特に国民生活に深くかかわる諸問題につきまして、佐藤総理をはじめ関係各大臣に率直なる御見解を求めるものであります。
 佐藤総理も言われておりますとおり、本年は、七〇年代への幕あけであり、それは政治的にも経済的にも重大なる転換期であります。しかし、七〇年がまさにそのことばの示すとおり転換期であるためには、六〇年代における諸政策について、国民大衆の生活の立場に立ったこまかな点検ときびしい反省が行なわれ、それに基づいて政治の基本姿勢の思い切った一大転換が行なわれない限り、七〇年代に描くことのできるビジョンといえども、決して総理の言われるような明るいものとはならないであろうと思うのであります。総理は、七〇年代を「内政重視」であると言われておるのでありますが、今日、わが国の安全保障の問題一つを取り上げてみましても、中国をはじめとするアジア諸国とひとしく政治的、経済的な友好を推進していくことなくして、わが国の真の安全保障はあり得ないのであります。したがいまして、日本国民の平和への意思をアジアの民衆に対して正しく伝え、日本の経済力をアジアの民衆のために生かして、アジアの平和と繁栄のためにどのような貢献をすることができるかが七〇年代におけるわが国の外交に課せられておるところの使命であります。そのためにも、内政においてそのような道を歩み続けることのできるような政治、すなわち平和にして民主的、そしてすべての国民がひとしく豊かな日本の国づくり、そのための内政と外交の一体化が求められているのであります。七〇年代における内政の基調は、第一に、形骸化したところの議会制民主政治の再生と補強であり、第二には、生産力第一主義への反省と人間中心の経済運営、第三には、平和と非戦を誓ったところの憲法精神の確認でなければなりません。この基調につきましては、佐藤総理をはじめとして各大臣におかれても全く御異論のないところであろうと思うのであります。総理の率直な御見解をお伺いいたしたいのであります。
 さて、六〇年代の反省の上に立って申し上げますことは、一つは、経済の高度成長によって引き起こされたひずみの問題であります。いま一つは、人間疎外、人間性喪失の問題であります。確かに、わが国の生産力は目ざましい発展を遂げました。フランスのロベール・ギランが、その著書「第三の大国・日本」において、「日本の成功の発頭人は、単にひと握りほどのその指導者ではなく、単に指導層のエリートだけでもない。ごまんという指導されるものの大群であり、無数の人間であり、零細な人々である。日本の成功の功は労働大衆に帰すべきである。」と述べているのであります。しかし、それ以上に、私はこうした経済発展が残していったさまざまなひずみを、また今日、その国民大衆の発しているところの、だれのための経済繁栄か、何のための経済成長かという問いを見落としてはならないと思うのであります。いま一つは、人間疎外、人間性喪失の問題であります。経済繁栄がもたらした豊かさの中で、何でもお金さえ出せば手に入るけれども、自分には手に入れることができない。たとえ手に入れることができたとしても、ほかの人に比べて手に入り方が少ない。こういったような精神的飢餓感、飢餓状態、また機械化されたところの、組織化されたところの産業社会が、個人に対して非情なまでのエネルギーの放出を要求するメカニズム、そういった中で、国民大衆の疎外感はますます膨張し、それがいまやいずれの階層を問わず一般化し、さらに生産第一主義、物質万能の風潮、あるいは人間軽視の政治の中で、およそ人間らしい精神作用のない事件を次から次へと引き起こしている現状であります。経済成長、経済繁栄と申しますが、その裏側の荒廃や悲惨があらゆる部面に噴出しているのであります。そこで、私は、今日国民大衆の生活が具体的にどのような状態にあるのか、そのなまなましい実態を政府の統計、あるいはまた調査をもとにいたしまして明らかにしたいと思うのであります。なぜかと申しますと、第一には、この国民生活の実態について共通の理解がなければ、七〇年代において、なぜ経済政策を中心とする内政の抜本的な転換が必要なのか、また私が提言申し上げたいという具体的な重要施策がなぜ必要なのかを、ともにお考えいただくことができないであろうと思うからであります。第二には、日本丸は一体これからどこへ行くのか、それは単に未来を語る意味ではなく、七〇年の今日、この現実から出発しなければならないと思うからであります。そしてその第三には、そういった客観的な把握、それに基づいた分析を抜きにした政治は、いわゆるナショナル・インタレストをそこなうものになるからであるのであります。あらかじめ断わっておきますけれども、私が申し上げたいところのナショナル・インタレストとは、国民大衆の利益であります。決して国家の利益を意味するものではありません。私が特にこのことを申し上げますのは、七〇年代における内政と外交の一体化という先ほどの政治的課題の中で、ナショナル・インタレストを国家の利益と解釈し、それを名分として、わが国がかつて歩んだ道を逆戻りさせようとする動きがないとは必ずしも言えないからであります。
 さて、第一に、消費者物価の問題であります。去る一月三十日の総理府の発表によりますと、昭和四十四年の消費者物価は前年に比べ五・二%の上昇率であったと報告されております。四十三年五・三%、四十四年五・二%というような、異常なまでの物価の上昇は、世界にも類を見ないことは、昭和三十三年六月から四十四年六月までの十年余の物価上昇率が、アメリカが二七%、西ドイツが二九%、イギリスが四二%、イタリアが四三%に対しまして、何と日本では実に七〇%であったというOECDの報告にもはっきりとあらわれているのであります。このようなけたはずれの物価上昇のために、勤労者の賃金は、この十年間に名目でこそ約二・四倍にまでふえております。しかし、物価上昇分を差し引いた実質では約一・五倍にとどまっているのであります。しかも、この一・五倍にふえた実質賃金も、超過勤務給あるいは特別給によってようやく保たれている賃金であることを労働省の統計は示しているのであります。勤労者の家計収入がいかにもふえたかのようにいわれておりますけれども、その中身はパートタイムなど、主婦の勤労収入や世帯主を含めての内職収入などによって、ようやくカバーされてきたこともまた事実であります。一方、この勤労者に対していかに過酷なまでの税金が課せられているかも、いまや天下周知の事実であります。確かに毎年度幾らかの大衆減税が実施され、四十五年度におきましても課税最低限の引き上げ、各種控除の引き上げ、あるいは税率の改定などを行ないたいとのことでありますが、四十五年度の税の自然増収見込みは一兆三千七百七十億円に対し、所得税の減税はわずかに二千四百六十億円であることから見ましても、いかに減税が少ないものかが理解できると思うのであります。課税最低限の問題一つを取り上げてみましても、夫婦と子供三人のいわゆる標準五人の世帯などは、今日ではまぼろしの家庭だといわれております。厚生省の調査によりますと、現在わが国の標準家族数は三・五人であります。標準五人世帯百二万八千円の課税最低限も、実態に合わせるならば八十八万五千円でしかないのであります。このことは、今日の税制がいかに実態とかけ離れて不合理なものであるかの一例であります。
 現在、わが国民の悩みは、天井知らずの物価の高騰、不公平で重い税金にだけとどまっているのではないのでありまして、わずか一年の間に百万人にも及ぶ死傷者を出し、自動車千台について平均三・三人の人を殺している交通災害は、国民大衆を「あすはわが身」の不安におとしいれているのであります。また、大都会では澄んだ青空を仰げる日が年に数えるほどしかなく、町を流れる川はよごれ、悪臭に満ち、都会はいまや人間の住む所ではなくなったとまでいわれるほどの都市公害は、住民の健康をむしばみつつあるのであります。さらに、四日市、川崎ぜんそく、水俣病、イタイイタイ病など、産業公害は住民の生命さえ脅かし、カネミ油の中毒事件、チクロ問題、有毒色素問題、農薬問題など、食品公害は国民大衆に一体何を食べれば安全なのかと不安を増大させているのであります。一方、住宅対策の立ちおくれは、住宅難を慢性化させ、昭和四十三年の東京問題調査会の報告によりますならば、都内二十三区の全世帯の四分の一が民間アパートに住み、しかも、一人当たり畳数が三畳未満の世帯が半分ある。月収三万円以下の階層で家賃が収入の二〇%以上を占める世帯がやっぱり半分であったというのであります。このような、およそ人間の住まいとは言えないような住宅からのがれ出るためには、公営住宅あるいは公団住宅に入るか、あるいは自力で家を建てる以外にはないのでありますが、前者はその絶対数不足による激烈な競争、後者は地価の異常な高騰による用地難のために、どちらも多くの国民大衆にとっては高ねの花でしかありません。
 では、このような国民大衆の生活の下ささえでありますところの、頼みの綱である社会保障の実態はどうでありましょうか。わが国の社会保障水準が、今日なお十年前の西欧先進諸国の三分の一ないし二分の一でしかないことは、私がここで指摘をするまでもないことであります。とりわけ、生活保護や年金、児童手当など、所得保障部門、老人や児童、母子、心身障害者など、社会福祉部門の立ちおくれが特に目立っているのであります。たとえば生活保護についてみますと、四十五年度予算政府案では、その基準が一四%引き上げられているのでありますが、それは政府見通しにある四十五年度の個人消費支出の伸び率一四・六%さえ下回り、このままでいくならば生活格差の拡大は避けられないのであります。年金制度につきましても全く同様であります。老人、遺族、心身障害者に対する年金が、とうていその方たちの生活を保障しているとは、おせじにも申せない実態であります。たとえば平均寿命の延び、核家族化の進行は、老人の雇用問題と並んで、老齢年金制度の充実はきわめて緊急の政策課題であります。しかしながら、三十八万四千人の厚生年金、老齢年金受給者は、昭和四十四年三月末で一人当たり平均月に八千三百円の年金が支給されているにすぎないのであります。まして、その資格もない三百二十二万人にものぼるところの七十歳以上の老人には、月額わずか千八百円、昭和四十五年度の予算政府案で、やっと月に二千円の老齢福祉年金が支給されるだけであります。今日の物価高のもとで、その一生をわが国の経済発展のためにささげてきた老人に対するこれが年金のすべてであります。児童手当制度につきましては、佐藤総理のたびたびの公約にかかわらず、いつ実施されるのか、その見通しさえ立たず、東京都をはじめ、志あるところの地方自治体が、業を煮やして、独自の児童手当制度を発足させているというのが実態であります。また、社会福祉は、四十五年度予算政府案でも、国家予算の一・三%というこれまでのワクを打ち破ることができなかった、この事実がその立ちおくれを最も端的に物語っているのであります。たとえば養護老人ホームにおける老人一人当たりの一日分の食費が十五円引き上げられたのでありますが、今日十五円で一体何が買えるでありましょうか。内政重視の七〇年代、七〇年をその第一年としたいと言われる総理の施政方針にもかかわらず、昭和四十五年度予算政府案は、国民大衆の実態から見まして、あまりにもその期待とかけ離れたものではないかと思われるのでありますが、この基本的な問題につきまして、総理をはじめ、関係各大臣の御見解をそれぞれ腹蔵なくお聞かせ願いたいのであります。
 さて、このような国民大衆の生活実態の上に立って、これまでの人間性喪失、生産第一主義の経済政策を、人間性回復、国民生活最優先の経済政策へ転換すべきであるということは、おそらく政府におかれましても見解の一致するところであろうと思うのであります。七〇年代への踏み切り台の上に立って、もはや慎重にとか、あるいはまた時間をかけてとか、言いわけを続けることは許されないと思うのであります。たとえて申しますならば、社会保障を拡充するために、より多くの原資を確保することが、わが国の経済成長をより一そう安定的にし、産業の効率的な発展を一そう容易にし、長期的に見るならば経済成長率を高く維持することが可能となる場合も十分に考えられるのであります。むろんそのためには、一定の条件づくりと計画化、さらには制度上の改革が必要であろうと思います。しかし、まさにこれらの具体的な方向を明らかにしていくことこそ、経済政策の持つほんとうの意義があり、七〇年代における政治、経済の哲学があるのではないかと私は考えるのであります。現状維持、あるいはまたその延長線上を前提とする限り、両立はむずかしいと見える目標も、政策の重点を変更し、制度のワク組みを変更することによって、実は互いに補完し合う関係で結びつきながら実施されていくものであると思うのであります。私はいまこそ、そういった前向きの姿勢で取り組む転換のときであると思うのであります。総理及び経済企画庁長官の御見解を伺いたいのであります。
 そこで、私はこの経済政策転換の思想の上に立って、国民大衆の生活にかかわる主要な部面で、特に緊急を要する施策を重点的に提言申し上げたいのであります。それぞれ、関係各大臣の御所見をお伺いする次第であります。
 まず第一に、内田厚生大臣及び佐藤経済企画庁長官にお伺いしたい。七〇年代の政治が人間性喪失、生産第一主義から人間性回復、国民生活優先主義へ転換することができたか、できなかったかということを最も端的にあらわすそのバロメーターは社会保障であります。わが国の社会保障水準を、ここ五年間に社会保障給付費の対国民所得比において一五%まで引き上げることであります。わが国がその生産力において西欧先進諸国を追い抜いた今日では、決して不可能なことではないばかりか、むしろ私は当然のことであろうと思うのであります。しかし、このためには、社会保障政策について、当面、五カ年間に達成すべき主体的な目標を定め、これを総合的計画化し、是が非でも実行するという政府の決意が必要であると思うのであります。
 ここで経済企画庁長官に一つお伺いしたいのでありますが、現在策定中と聞いております新経済社会発展計画は、七〇年代の内政の指針ともいうべきものになると思いますが、この計画を国民の前に明らかにするのはいつか、またいかなる内容を持っているのか、この際明確にしていただきたいのであります。この新経済社会発展計画とあわせて、社会保障拡充五カ年計画を厚生省が策定をして、確実に実行されるという保証を政府が国民の前に行なうべきであると思いますが、この点についても明確な御答弁をいただきたいと思うのであります。
 この計画におきまして、最優先的、最重点的に行なう施策は何であるのか、それは第一に所得保障の拡充であります。所得保障というものは社会保障の根底をなすものであり、また、この部門がわが国の社会保障制度において最も立ちおくれているからであります。すなわち所得保障の拡充とは、一つは年金制度の充実であり、いま一つは生活保護制度の改善であります。年金制度については消費者物価の上昇と国民生活水準の向上に見合うスライド制の確立、及び老齢退職年金月額三万円、老齢福祉年金月額五千円の実施を当面直ちにはかることであると思うのであります。また、生活保護におきましては、被保護者の七五%が老人を中心とする働こうにも働けない人々であること、及び年金制度がきわめて不十分である。こういう現状にかんがみ、当面少なくとも生活保護の成人一人当たり最低生活保障基準を、一般勤労世帯における成人一人当たりの消費水準の六〇%に相当する額にいたすべきであると、こう思うのであります。
 第二には、老人対策であります。老人対策はわが国人口の老齢化が必至である今日、いまにして、その確たる方針とその実施計画を立てなければ、近い将来に必ずや悔いを千載に残すからにほかならないのであります。申し上げるまでもなく、老人対策の基本は、第一義的には、その雇用拡大にあり、国の施策として安らぎと生きがいのある老後を保障することであります。当面、政府がやる気になれば、あすからでも実行できるさきの所得保障の拡充にあわせて、健康保険制度の抜本改革を待つまでもなく、老人医療の無料化を直ちに実施されるよう、特に声を大にして提言をするものであります。
 第三は、医療についてでありますが、この問題はあまりにも多くの問題点を持っておりますので、その一つ一つを取り上げて提言を申し上げることは不可能でありますが、ここでは、その基本的な問題を提起するにとどめたいと思うのであります。すなわち、七〇年代を転機として、健康保険制度、医療制度、診療報酬体系など、医療行政における患者不在を改めて、勇断をもって全制度にわたって一大改革を行なうべきであるということであります。その具体的方策については、私ども社会党は、その用意があることをこの機会に明らかにしておきたいと思うのであります。
 医療につきまして、特に一つだけつけ加えて申し上げたいことは、それは看護婦問題であります。看護婦不足はいまや慢性化いたしまして、国民大衆に対する医療サービスの低下は著しいものがあるのでありますが、この際、私は、看護婦養成機関はすべて学校教育法に基づくものに改めて、それを増設するとともに、一般教育課程にも看護教育を大幅に取り入れて、看護婦という専門職に対する認識を高め、その重要性を教育することは、看護婦の資質の向上、要員の確保に役立つのみでなくして、国民保健の向上、保健知識の高揚にも寄与することが大であろうと思うからであります。むろん、同時に、夜勤制限の完全実施など、労働条件の改善のために政府が特段の努力を尽くすことがなければ、今日の看護婦問題は、その解決のめどさえ失うことは銘記すべきであろうと思うのであります。
 第四は、児童手当の創設であります。この問題についても、衆議院では大きく触れられておりますが、財界の拒否反応にあって、昭和四十五年も発足を見送られたようでありますが、児童手当は、すでに世界六十二カ国で実施されているばかりか、総理御自身も、これまで国会で、しばしばその実施を約束されてきたのであります。したがいまして、私はここでは多くは申し上げません。昭和四十五年中に児童手当制度を実質的に発足させること、このことだけを御忠告申し上げ、御提言を申し上げたいと思います。
 第五に、社会福祉についてでありますが、一言申し上げたいと思いますが、施設の整備にあたりましては、あくまで国及び地方公共団体を中心として整備、運営をするよう、政府の政策の転換をはからなければなりません。そして既存の民間施設に働く職員はこれを準公務員として処遇する方法を考慮すべきであると思うのでありますが、いかがでありましょうか。
 次に、物価問題、税の問題でありますが、すでに衆参両院におきまして、代表質問において種々の角度から取り上げられたのであります。再度詳細に質問を申し上げることは避けたいと思うのでありますが、ただ一点、次の問題にしぼってお伺いしたいのであります。物価問題であります。二月六日、東京問題調査会が土地政策についての根本策と当面の次善の策とを都知事に提案をいたしましたが、政府はこの問題を勇断をもってここで提案を取り上げて実行しなければならないと考えておるのでありますが、この提案についての御見解を伺いたいのであります。
 次に、税制改革について御所見を伺いたいのであります。現行税制の最大の矛盾は税負担の不公平、税の捕捉率の不均衡にあります。言いかえれば、税金を取るべきところから取っていないということに尽きると思うのであります。私は高物価、不公平な重税に苦しむ国民大衆の立場から、今日ほど佐藤内閣の物価対策、税制対策を国民が注視をしているときはないと思うのであります。国民生活の立場からよいと思うことはすべて実行に移すという強い決断と不屈の実行力が必要であると思うのであります。総理、大蔵大臣、経済企画庁長官の決意のほどをお聞かせ願いたいのであります。
 次に、自治大臣に一つだけお伺いいたしたいのであります。地方自治体が三割自治といわれる行政の中で、独自に、建設、農林、商工、民生、労働、衛生等々に関して行政を進めているわけでありますが、これらの行政を進めるにあたって国の力強いバックアップがないために、これが進行していない、あるいは遅々として進まないという実態があるのであります。加えて、こういう実態の中で地域的アンバランスな面が出てきているのであります。自治大臣といたしまして、この状況をどのように考えておられるか。また、たとえば巷間、住民の間にうわさされておりますところの、革新首長の地方自治体に対して、補助金、交付金、特別交付金などで行政の操作をしているといったようなことがまことしやかに流れておりますが、もしもこのようなことが事実であるならばゆゆしき問題であります。もちろん、これらのいわゆる補助金行政は法律なり規則によって行なわれておると思うのでありますが、この際、あらぬ国民の疑惑を払うためにも、自治大臣の明確なる御答弁をお伺いしたいのであります。
 最後に、もう一つ佐藤総理にお尋ねいたしますが、先ごろ日本を訪れましたイギリスの高名な歴史学者トインビー博士は、「戦後の日本は、軍備のないことが経済成長の重要な要件なのだということを世界じゅうの人々に示してくれた、この日本の経験を世界の人々はもっと重視する必要がある」と語っておるのであります。世界第二位あるいは第三位といわれる巨大な生産力を背景に大きく転換しようとしている七〇年代の幕あけにあたりまして、私たち国政に携わっておる者として、このことばはきわめて意味深いものがあると思うのでありますが、総理のこのことばに対する率直な御感想をお聞かせ願いたいのであります。
 以上で私の質問を終わりますが、総理をはじめ関係大臣が、人間が人間としてより人間らしく生きたいというこの国民の最小限の願望の心を心として、前向きで誠意ある御答弁を切に期待をいたすものであります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(佐藤榮作君) 大橋君にお答えいたします。
 大橋君は一九七〇年代の政治の基調について種々提言を交えながらお述べになりました。要約すれば、内政、外交の一体化をはかれ、こういうことであると、かように考えます。内政、外交の一体化をはかって国運の進展に資すべきことは、もとより政治の責任であります。私が施政方針演説で述べたことは、すでに御理解を得ていると思いますが、重ねてその趣旨を申し述べますと、一九七〇年代の日本の課題は、内面の充実をはかると同時に、内での繁栄と外に対する責務の調和をはからなければならないということであります。特に、国際間の平和を維持することなしに、わが国の発展はあり得ないのでありますから、緊張緩和に努力し、アジア諸国の経済的自立を助け、アジアの民生安定をはかることが肝要であると思うのであります。ただし、緊張緩和といい、経済援助といい、わが国の総合的国力が充実してこそ、初めてその目的を達成することができるものであると考えます。問題は経済が発展し、高密度社会が出現する過程では、これまで以上に人間性を疎外する種々の問題が発生するものと思います。私はこれに真正面から立ち向かうことが、今後の政治の責任であるという意味から、一九七〇年代は内政の年と申したのであります。著名なジャーナリスト、ロベール・ギラン氏の文章を引用されましたが、私も「第三の大国・日本」の著者ギラン氏から日本語版の贈呈を受けましたので、一読する機会を得ました。その中に、御指摘になりましたように、日本の成功の発頭人は、単に一握りほどの指導者だけではなく、無数の人間であり、零細な人々であるというギラン氏の指摘は、まさに当を得たものと感じます。ロベール・ギラン氏に限らず、ここ両三年、日本経済発展の秘密について、諸外国の学者やジャーナリストが、いろいろな角度から分析していることは御承知のとおりであります。その中には、日本人として耳ざわりのよいことばがたくさんあるわけでありますが、それだけに、今後は日本に対する国際的風当たりも強くなることを覚悟しなければならないと思います。その意味で、大橋君の言われるように、自由を守り平和に徹する日本の基本的態度を、アジア各国をはじめ、世界の国々により一そう理解してもらう努力をするとともに、内においては議会民主主義を確立し、人間性を疎外するいろいろな問題を克服するための多大な努力を積み重ねなければならないと思うのであります。党派を越えた御協力を切望する次第でもあります。
 次に、社会保障と経済成長の関連につきましてお尋ねがありました。私は施政方針演説におきまして、七〇年代の国内的課題として社会保障の充実を取り上げたのでありますが、これは経済成長の結果を人間尊重の精神に基づいた社会の調和ある発展のために生かしたいという私の基本的な考え方からとったものであります。もとより、大橋君が主張されるように、社会保障の拡充が経済成長を場合によっては鈍化させるという現象がかりにあったとしても、決してそのようなことで社会保障の軽視するようなことはありません。御安心いただきたいと思います。
 また、大橋君から、いろいろの国内の具体的な事例をあげられまして、将来の社会保障の水準を具体的に示せとのお尋ねがありました。社会保障の将来の姿につきましては、新経済社会発展計画が策定された暁にはある程度お示しできるかと思います。国民所得に対する比率で端的に申し上げかねるのは残念でありますが、社会保障の充実については、大橋君の気持ちと全く変わることはありませんので、御了承を願いたいと思います。いろいろの困難な問題がございますが、前向きにそれぞれの問題を処理してまいりたいと思っております。
 次に、具体的な問題のうち、特に児童手当の問題につきまして私から説明をいたします。来年度予算におきましては遺憾ながらその実現を見送らざるを得ませんでしたが、私は、今後ともその実現に向かって積極的に努力してまいる決意であります。何ぶん新しい、しかも大きな制度であるだけに、社会保障の他の制度や税制なり、給与制度などとの関連において調整を要する問題が多く、このため、児童手当審議会から最終的な答申をいただくためには、なお若干の時間を要する段階であると聞いております。また、その実現と円滑な運営のためには、企業及び地方団体側の十分な御理解と御協力が何よりも必要でありますが、そのような意味合いからは残念ながらまだ十分に実現の機が熟しているとは申せません。私は引き続き児童手当の実現のため最大限の努力を払ってまいる所存でありますので、児童手当の制度が今後の社会保障の諸施策の中にあって最も妥当な位置づけを得られ、かつ国民各界各層の同意を得られるように、この制度を推進されている皆さま方の御支援をいただきたいものと存じます。
 また、地価の抑制が物価対策の中心として重要であることはあらためて申すまでもありません。東京都知事に対する東京問題調査会の答申、その御提案も、今後十分検討して、とるべきものにつきましては積極的に取り上げるのにやぶさかではありません。問題が複雑、困難であるだけに、建設的な御意見は歓迎するところであり、各方面からのお知恵を借りて土地問題の解決に努力したいと考えます。
 最後に、トインビー博士のことばを引用して私の感想を求められました。戦後のわが国の発展は、先ほども申し上げましたように、何よりも国民の努力のたまものでありますが、その他にも、防衛費が比較的少なくて済んだことを含めて、種々恵まれた内外環境があったことは事実であります。トインビー博士は私との会談で、日本人は経済的にりっぱな成果をおさめたが、それにうちょうてんにならず、依然として勤勉に働き続けている、このことはまことにりっぱだと、たいへんほめられたことが印象に残っております。
 私は、一九七〇年代においても、われわれ日本人は誠実に、そして勤勉に時代の推移に対処すれば、必ずや道は開けると信じておりますので、このことを申し上げてお答えといたしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(福田赳夫君) 私に対する質問は、税は公平でなければならない、特に把握において格差があるような事態では困る、こういうようなことかと存じます。私も全く同感でありまして、私は、租税三原則と申しまして、租税は公平であることを要する、第二は負担力に応ずるという性格のものでなければならない、第三は国民との間の摩擦というものをなるべく少なくするようなものでなければならない、かように考えるのでありますが、最近、クロヨンというようなことがいわれまして、私も頭を痛めておるのであります。これは、つまり給与所得者は申告納税でなくて源泉制度をとっている、事業者のほうは申告納税制度をとっている、そこに把握の違いがあるんじゃないか、こういう問題であろうかと思います。私も鋭意申告納税の適正化には努力をいたしておるわけでございますが、必ずしもそこに完全というわけにはいかないものがありまして、新聞等でごらんのとおり、脱税事件とか、そういうものが多々続出することは、まことに遺憾の至りではございますが、そういうものを厳格に把握いたしまして、申告納税でも、源泉徴収におきましても、この把握上の格差がないように特段の努力をいたしていきたい、かように考えておる次第でございます。二月十六日には本年度の申告が始まるわけでございますが、この申告も、どうかひとつ適正に申告していただけるようにということを、いま国民にお願いをいたしておる最中でございます。(拍手)
   〔国務大臣佐藤一郎君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(佐藤一郎君) 大橋さんの御質問にお答えいたします。
 一つは、OECDの調査によりまして過去十年間の消費者物価の上昇傾向を見ますると日本が一番高い、したがって、こういう状況のもとにおいては賃金が幾ら上がっても物価高に食われてしまうんじゃないか、おまえはこれをどう考えるのか、こういう御質問であったように思われます。まさしく、お話のとおりに、十年間を比べますと日本がデンマークに次いで高くなっておる、これはもう数字のとおりでございます。最近の一年をとりますと、これはたいへんな変化でございまして、各国みな、日本よりも先進諸国が高くなってきておりますが、しかし、いずれにしましても、日本の消費者物価が高くなってまいってきておる事実は確かでございます。ただ、御質問の、賃金がせっかく上がっても物価にとられる、超勤でもってせっかくかせぎ、そうして内職でかせいだ、そうして税金も取られて、そのあげくの果てじゃないかというお気持ち、よくわかるのでございますが、こういう高い成長の日本でございますものですから、その十年間における賃金の上昇率もまた相当なものでございます。そうした消費者物価の上昇と賃金の上昇というものを比較をいたしてみまして、消費者物価の上昇分を名目賃金の伸びから差し引いたいわゆる実質の手取り、これの過去十年間の傾向を見てみますと、手取りの伸びはやはり日本が一番多い。まあ逆に言いますと、物価高で賃金が食われる割合は、日本はドイツとともに一番低い。英国は六割が食われております。これが一番高い。その間に五割、四割という国がありますが、ドイツと日本が三割食われる。あまり外国が高いからといって、別に自慢するわけではないのでありますが――自慢すべきことでもございません。私たちも、こうした消費者の物価高と賃金の上昇、こういうことをよく考え合わせまして、そして、こんなにこの成長が高くてはいかぬというので、徐々に安定成長の方向に持っていく、そして、いま御質問のありましたようなことをできるだけ少なくしてまいる、こういう考え方で今後の経済運営をやってまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。
 それから、この経済の成長第一主義でもって、とかく恵まれない人に対する社会保障というものがおろそかになっておるじゃないか、一体、これについておまえはどういう考えを持っておるか、また、新経済計画はどういう立場に立っておるか、こういう御質問だったように思います。私もまさしく、御質問の御趣旨のように、この経済の成長第一主義というものは直さるべきである、今後社会保障の充実に向かってできるだけの努力をしなければならない、こういうふうに深く考えておる次第でございます。現在、御存じのように、新経済社会発展計画、これが練られております。昨年の九月から、審議会をたびたび開きまして、そうして、大体この三月中から、場合によりますと、国会の日程等もありまして、四月に入ると思いますが、三月の末か四月の上旬ごろに、最終的に答申を決定していただく、こういう予定を立てております。その間にありまして、このGNPに対する振替所得がどうなるかということは、まだ率直に申し上げまして、数字が確定いたしておりません。御存じのように、現行計画におきましては、現在の五%余りの振替所得の構成を相当上げる、二%くらい上げる計画になっておりましたが、御存じのように、GNPの上がり方は非常に予想を越えました。そういうこともありまして、達成がなかなか困難になったのでありますが、今後、安定成長を目ざしまして、そうして、その中におけるところの振替所得の比率をできるだけ向上させてまいりたい。目下そういうように考えております。
 それから最後に、都市の問題が非常に重要であるが、東京問題専門委員会の報告をどう考えるかと、こういう御質問でございます。私のほうでも、実は経済審議会に土地政策研究委員会というのがございまして、答申をこの間いただいたのでありますが、内容において非常に類似、重複いたしております。私も、あの委員会の提案しております区画整理事業の推進であるとか、あるいは土地保有税の問題であるとか、いろいろございますが、大いに聞くべきものがあるように思います。できるだけ、ひとつ今後の参考にさせていただきたい、こういうように考えている次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣内田常雄君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(内田常雄君) 大橋さんから、国民所得に対するわが国の社会福祉支給水準が、西欧の諸国に比べて低い、こういう御指摘がございましたが、これは、私は、その数字はそのまま認めてしかるべきだと思うものでございますけれども、また同時に、私といたしましては、この七〇年代を通じて、国民所得に対する社会福祉支出の割合を当然ふやす努力をいたす所存でおります。ただ、大橋さんも御承知と思いますけれども、実態的にいまの日本の社会保障の内容を見まするときに、医療保障についてはもちろんでありますが、また所得保障につきましても、年金制度ができまして今日の受給者はまだ経過的受給者があるだけにすぎない。したがって、二万円年金というようなことが言われましても、拠出制の国民年金で二万円年金を受けている人々は少ないというような状況のもとに、制度そのものとしては、また金額そのものとしては、実質的には決して西欧の先進国におくれていないような、そういう内容を持ってきておることは、ぜひお認めをいただきたいと思います。また、ただいま佐藤国務大臣から言われましたように、最近における日本の国民所得の成長度合いが非常に急速でありましたために、それに対するパーセンテージは社会保障の実質的の伸びにもかかわらず、比率の上にはあらわれなかったというようなことも御考慮願いたいと思いますが、いずれにいたしましても、私は、この社会保障の充実につきましては、経済社会発展計画の作成とも関連をいたしまして、総合的に、計画的に、厚生大臣として誠意ある努力を続けてまいる所存でございます。
 次に、年金の問題につきまして御意見がございまして、二万円年金では少な過ぎる、少なくとも三万円年金というようなお話があり、あるいはまた無拠出の老齢福祉年金につきましても五千円ぐらいにすべきであるというような御意見もございましたが、これも、御承知のように、昭和四十年以来、福祉年金につきましては毎年改善を加えておりまして、金額は大橋先生の御希望のとおりではございませんけれども、今度の予算案におきましても、老齢福祉年金につきましてはある程度の引き上げが行なわれておるわけでございます。また、二万円の拠出年金につきましても、明年度からその経過的な支給が始まりますので、今後私どもの努力といたしましては、これらの所得保障の水準を高めることに十分に配慮いたしてまいりたい。スライド制につきましても、自動的のスライドということはなかなか困難の点がございますけれども、法律の精神をくみまして、貨幣価値等の変動におくれず、また生活水準の国民全体の上昇におくれないような年金の実現に努力をいたしてまいる所存でございます。
 生活保護の基準につきましては、昨年、一昨年よりもさらにこれを引き上げるように明年度の予算に組み込まれておりますことも、大橋先生御承知でございますので、これも御了承いただきたいと思います。
 また、この医療保険の抜本改正とか、あるいはまた社会保険診療報酬等の改正につきましても、患者不在というような問題の御指摘がございました。これは、私は新しく就任をいたしました厚生大臣といたしましても、その方面にも御関係の深い大橋先生からいろいろ御忠言もいただきながら、診療者側とそうして国民との間のほんとうの相互理解、相互協力というようなことに全身全霊を打ち込んで、この問題の解決につとめてまいる所存でございます。
 それから、老人福祉対策につきましては、私は全く大橋先生と憂いをともにするものでございます。日本の人口構造がこれから急速に老齢化いたしてまいりますし、また家族構造も当然変わってまいりますので、いままでのように家族の中で吸収された老人対策というものの分野が狭くなりますので、当然、政府といたしましてはこの方面にきめのこまかい施策を進めるべきであると考えまして、すでに明年度の予算におきましても、これらの点におきましてはある程度やっておりますことを御承知いただきたいと思います。
 看護婦対策につきましてもお話がございましたが、お説ごもっともと思いますけれども、しかし、何にいたしましても、看護婦の供給の急速な拡大をはかりますためには、学校教育法のワク内だけというわけにもまいりませんので、既存の施設等に対する運営費の助成というような方法も考えながら、この問題に対処いたしてまいる所存でございます。
 児童手当につきましては、ただいま総理大臣から誠意をもってお話がありましたので、私からこのことにつきましては御答弁を省略さしていただきますが、いずれにいたしましても、私は前向きに積極的に処置をいたしてまいります。
 社会福祉施設の整備、あるいはそれらの施設に働かれる従業員の処遇の改善につきましては、これもすでに明年の予算におきましても相当程度の努力をいたしておりますこともお認めをいただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣秋田大助君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(秋田大助君) 今日、地方公共団体は、社会経済の進展に対しまして著しい立ちおくれの見られる各種の公共施設の整備を計画的に推進する必要に迫られております。また、過密過疎対策をはじめ公害対策、交通安全対策、広域市町村圏の振興整備など、急速に取り組むべき多くの課題をかかえておるわけでございます。このようなときにあたりまして、私といたしましては、地方自治行政の適切かつ効率的な運営を期するとともに、地方交付税の配分の合理化、地方債の拡充等を通じまして地方財政の充実強化をはかり、地方自治の進展と住民福祉の向上に万全を期する所存でございます。
 また、ただいまお話しのございました補助金等の配分の問題につきましては、いずれのものにつきましても、事業の必要性、効果などを勘案いたしまして、一定のルールにより適正な配分が行なわれるものでありまして、相手によりまして操作が加えられるというようなものでもありませんし、また、そのようなことがあってはならないとかたく考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(重宗雄三君) 鈴木一弘君。
   〔鈴木一弘君登壇、拍手〕
#12
○鈴木一弘君 私は公明党を代表して、政府の所信表明に対して、総理並びに関係閣僚に若干の質問を行なうものであります。
 佐藤総理は、一九七〇年を「内政の年」と銘打っておりますが、その最大の焦点は、物価の上昇をいかに抑制し、国民生活の安定をはかるかということだと思うのであります。私は激動の一九七〇年における日本経済の方途について、物価問題に焦点を当てて質問をしたいと思うものであります。
 政府の経済運営に対する態度を見ると、経済成長第一主義でありますが、一体、国民総生産が自由主義諸国の中で第二位であり、一人当たり国民所得が世界の十九番目であると言っていること自体ふしぎに思うことがあるのであります。国民にとって大事なことは、国民総生産ということより、一年に何着の洋服を国民一人一人が買え、何年で全国民に住まいが行き渡り、食料は、バターはどのくらい、白菜は一人当たりどのくらいになるかという問題を政府はどのように考えているのかという、基本的な生活権に関することであります。この上から国民総生産、国民所得を考えるという、国民生活本位の経済、財政運営こそ必要であると言いたいのであります。ところが、明年度予算は警戒中立型、物価抑制型と言いながら、その実態は防衛費が戦後最大の一七・七%増というものであり、その内容は富国強兵指向型であり、物価上昇型であります。まさに明治時代の殖産興業、富国強兵に戻りつつつあるきざしさえあるのであり、国民の生活権はますます脅かされようとしておるのであります。
 そこで、まず第一に、財政運営の問題についてお伺いいたします。財政運営のいかんが物価上昇を招くからであります。本年一月に、財政制度審議会の報告の中で、「今後さらに経済の持続的成長を実現し、物価の安定を図るためには、需要を押えるという総需要の調整が必要である。このためには財政・金融政策による景気調整が必要である」と述べ、物価の上昇を押えるには総需要を押えることが重要であり、そのためには、節度ある財政の運営がかなめであるとも強調されているのであります。まさに私はこの指摘のとおりだと思うのであります。ところが、政府は、節度ある財政運営どころか、新年度予算では、これを踏みにじって超大型予算とし、景気刺激型、物価上昇型予算になったことは周知の事実であります。一九七〇年の日本経済をいかにして運営していくおつもりなのか。政府の演説では、慎重な財政運営としか述べていないのでありますが、総需要抑制、物価上昇を押える運営はどうするのか、明確なる答弁をしていただきたいのであります。
 第二に、財政の規模と経済成長率から見た物価の上昇についてであります。四十四年度予算について見ると、財政規模が一五・八%の伸び率に対して、経済成長率を一四・四%に見込んでおりましたが、実際には一八・五%になる見通しであります。これに対し、新年度は財政規模では四十四年度を上回るのはもちろんのこと、不況脱出を旗じるしにした四十一年度をさえ上回る一七・九%の伸びであるのに対し、経済成長率は四十四年の実績見込みより少なく見られておりますが、はたしてこれで景気刺激でないと言うのでありましょうか。また、消費者物価においても、四十四年度は五・七%の上昇は避けられない情勢にありますが、新年度予算では、財政規模の伸びが前年度より大きいのに、物価の伸びが前年度より少ないということになっております。これでは、はたして政府が物価を押える意図があるのだろうか。再び政府主導型物価上昇となるのではないかと思うが、はたして四・八%の物価上昇に押えることが可能であるかどうか。また、成長率は過小見込みではないのかどうか、総理の明確な御答弁をいただきたいのであります。
 一方、政府は、前年度実績との比較を避けて、むしろ政府の財貨サービス購入の伸びが少ないので、決して景気刺激型、また物価上昇型にはならないと答弁を繰り返しておるのでありますが、問題は、財貨サービス購入が与える景気刺激の度合いにあるのであり、伸び率だけでは判断できるわけがありません。しかも、政府の財貨サービス購入の内容は、戦前の消費中心型から、現在の投資偏向型に変わってきているのであり、それだけ景気刺激、物価への波及は大きいと見なければなりません。また、財貨サービス購入以外の補助金や振替支出の中でも、景気を刺激するものがあることは明白な事実であり、したがって、この点からも景気刺激型といわざるを得ないのでありますが、どう考えていらっしゃるのか伺いたいところであります。
 第三に、歳入歳出の内容についてであります。物価の安定のための歳入の有効な活用は、いかにして自然増収分の中から減税として国民に戻すかということであります。そこで、まず、自然増収が一兆四千億円の巨額にもかかわらず、実質減税が千七百六十七億円に終わったということはあまりにも少額であり、自然増収に見合わないと思うのであります。最近五カ年間における自然増収に対する減税財源の割合が一七%に達していることから見ても、新年度の予算でそれが一二%に急激に落ちているということは、政府の財政硬直化のしわ寄せを国民に強く負担させていることになり、まことに許せないことであります。少なくとも五千億円ぐらいの減税は見込まれるわけでありますが、このような事実について、国民の納得のいくように答弁をいただきたいのであります。
 次に、歳出における当然増経費の伸びと新規政策費の割合についてであります。四十年度においては、財政の伸びの中に占める当然増に対して新規政策費は約倍になっておりましたが、新年度予算に至っては当然増に対して新規政策費は三分の一と、その割合は全く逆の様相を呈しております。財政硬直化の問題は、このようにますます深刻さを大きくしているのであります。私はこれらの財政硬直化を打開するために、現行の予算編成における実績積み増しによる配分主義を根本的に改め、まず実績の洗い直しをすべきであると思いますが、そのようにする御意思がおありかどうか、お伺いしたいのであります。
 いままで申し上げたような節度のない財政運用では、総需要を引き起こし、物価の上昇を招くと断定するものであります。まさに、政府こそ総需要を拡大しているものではありませんか。この際、財政硬直化にメスを入れるべきであるが、どう努力したのか、またするのかをお伺いしたいのであります。
 また、国債の償還費が年々増加の一途をたどっているということであります。すでに国債の累績額が二兆九千九百五十一億円にもなり、その償還費が新年度で二千九百億円も見込まれております。減税分に回されたのはわずか千七百億円であるのに対してあまりに大きく、決して健全な財政運営とは言えないのであります。私は、このような実態からして、国債発行のストップについて考慮すべき時期に来ていると思いますが、総理の見解を伺いたいのであります。
 均衡予算を戦後続けてきたわが国財政が、不況対策としてとった国債発行であれば、景気回復後は当然やめるべきであります。しかるに、景気回復後もとまらず、そのために従来の景気調整として用いられてきた金融操作の効果は大きく減少してきております。国債発行を軸として財政金融政策を用いるとすれば、国債発行自体、厳密に行なわなければならないはずであります。まして、一般会計財源に回すなどという不明朗な姿ではならないと思うのであります。国債発行当時言われたように、赤字公債として一般財源充当に充てられ、その上、市中の遊び金を吸い上げるといいながら、事実は日銀の買いオペレーションや買い切りオペのため通貨の急膨張を招き、物価上昇の原因ともなっているのであります。重視すべき点は、国債発行が、財源は幾らでもあるという思想と、通貨価値の下落は避けられないという考え、したがって、インフレはやむを得ないという思潮を生み出してきていることであります。引き締めろと一方で言っても、一方で国債による景気刺激を行ない、財政硬直化解消と言いながら償還のための国債費をふやしているのでは、景気調節も、国民への協力依頼も全く説得力のないものとなってくるのであります。このように慢性的財政膨張、金融操作に対する不信を招いた政府の強情ぶりにはあきれ返るばかりとしか言えないのでありますが、国債発行はいつまでに解消をするつもりか、お伺いをしたいのであります。
 もし、やむを得ず発行をするというのであれば、税収その他による会計は一般会計とすることはいままでのとおりでよろしいと思いますが、国債収入による会計は別にするべきであるということであります。すでにアメリカでは、国債収入による投資的経費については別勘定となっているはずであります。このようにすれば、国債を経常的経費に使用することはなくなり、いわゆる赤字公債というおそれはなくなってくるのであります。また、投資的勘定の伸び縮みによって景気調節の効果をあげ得るということになりましょう。したがって、一般会計を二つに分け、国債発行による歳入の分と、いままでの一般会計にするべきであると思うのであります。一般会計に、国債収入とそれによる事業収入を一緒に入れていることは、将来、国債による軍備の拡張とか、殖産興業という産業への強力なてこ入れをたやすくすることであり、これは富国強兵、大企業優先予算への危険性を残すことであり、それだけに強く分離をはかるべきであると思うが、総理の御見解を伺いたいのであります。
 第四に、貿易収支についてであります。貿易収支の見通しについて見ると、四十四年度では輸出を二一・八%に伸ばし、輸入を二〇・六%に押え、輸入よりも輸出の拡大を強く打ち出しているのであります。ところが、新年度予算においては輸出を一四・六%、輸入を一七・五%に伸ばすことにしており、前年度とは貿易方針を一転して輸入の促進をはかろうとしているように見受けられます。このことでまず考えられることは、残存輸入制限の撤廃などに見られる大幅な貿易の自由化の拡大、ひいては自動車などに影響のあるいわゆる資本の自由化の急速な拡大、あるいは関税の引き下げといった日本経済の方向転換であります。そこで、私は、新年度において政府はなぜ貿易収支をいままでの態度と一変して輸入の促進をはかろうとするのか、その基本的政策を伺いたいのであります。
 輸入促進は物価引き下げになるという考えもありますが、卸売り物価に関する限りは輸入意欲の強い原材料、いわゆる銅、アルミなどの非鉄金属等については、海外のインフレ要因をそのまま国内に招き入れるおそれが多いと思うのであります。その証拠に、ここ一、二年間における卸売り物価の上昇の原因の中で、輸入原材料の上昇は実に需要の強さに次ぐ重大な要因となっているのであります。また、世界的にも定評のあるわが国の世界市場に対する需要の強さは、必ずや海外原材料の大幅高騰さえ引き出すことになりかねないのであります。結局、政府が考えている輸入促進の拡大は結果的には卸売り物価の上昇を招き、ひいては消費者物価の上昇につながっているわけであり、いかにして政府は輸入の促進と物価の上昇を調整し、国民福祉の増進を行なおうとしているのか、お答えをいただきたいのであります。
 また、最近、特に中共やソ連が非鉄金属をロンドン市場などで大量に買い付けていることが輸入原材料の急上昇を招いていることは周知のとおりでございますが、これに対する方策はあるのかないのか、どうとられるのか、お伺いをしたいのであります。
 第五に、新年度予算における税制改正についてお伺いをいたします。所得税減税については、昭和四十三年七月の税制調査会の長期答申にある標準世帯夫婦・子供三人の課税最低限百万円を目標にして、今回ようやくその線に達したわけであります。これによる減税額二千四百六十億円は、決して政府の自賛するほどの大幅減税ではないのであります。私は、百万円という目標は二年前の目標であって、その間の物価の上昇率一一・一%を考えればもっと課税最低限を引き上げなくてはならない、最低百三十万円程度が妥当であると思うのでありますが、今後の数年間にどのくらいまで課税最低限を引き上げるのか、構想と決意をお伺いしたい。
 また、五人世帯を標準とすることも、かつて参議院予算委員会での私の質問に対し、総理は四人に改めることの検討をかたく約束をされたのでありますが、その後どう検討されたのか、お伺いをしたいのであります。
 今回の減税は、いずれにしても不十分であり、実際には所得上昇に伴う税の増加分の一部を調整するにとどまっております。しかるに、これをもって所得税減税の目標は達成できたのであるから、今後は所得減税を控え目に押えようとする発言が政府内にあるやに聞き及んでおりますが、これは大いなる誤りであると思うのであります。この際、この点について腹蔵のない明確な答弁をしていただきたいのであります。
 また、法人税についてでありますが、法人税率は、不況対策を理由に昭和四十年度に一%引き下げられ、昭和四十一年度にさらに二%、合わせて三%も引き下げられたのでありますが、その後の景気回復という現状からも、あるいは国際的に見て低い法人税の実態からも、もとに戻すべきであるとする意見が強く出されていたのであります。私は、企業の付加価値額の配分から見ても、三%以上引き上げるべきであると思うのであります。新年度予算においてようやくこれが若干実現したのでありますが、当初、大蔵省の考えていた二%引き上げの線からは大きく後退し、二年間の臨時措置として、留保分については一・七五%の付加税を課することになったのであります。また、法人税の引き上げの問題については、税制調査会の答申原案にあった「法人税の増強による社会資本の充実」とか、「法人の税負担は戦後最低の水準であり、諸外国に比べて相対的に低い」といったような文章が最終答申書では削られているが、率の問題といい、この問題といい、自民党や財界などの圧力に政府が負けた結果ではないかと、このように思うのでありますが、真相はどうなのか、お答えをいただきたいのであります。これは、税財政を私する問題であるだけに、はっきり答えていただきたい。また、それに対する決意を総理の口から国民に明言していただきたいのであります。
 次に、利子、配当課税についてでありますが、利子、配当課税の優遇等、すなわち分離比例課税についても、かなり以前から批判が多く出ており、税制調査会でも本則に戻すべきことを何回となく述べてきたのであります。新年度予算においてようやく手がつけられるようになったのでありますが、やはり財界筋の反発が大きく、結局、利子についても配当についても優遇措置を五年間残したのであります。このことはたいへんな後退であり、本年三月三十一日の特別措置期限切れを目途として廃止するべきであるという国民の多くの期待を裏切ることになったわけであります。その上、従来三年区切りであった特別措置を五年間とするということは、むしろ税制の改悪であるといわなければなりません。利子、配当課税について今後どうする気なのか、即時、特別優遇措置の撤廃をすべきと思うが、答弁をいただきたいのであります。
 七〇年代における課税問題の焦点は、現在のような低所得層からの累進課税、十種に及ぶ所得控除と税額控除による繁雑な平等化措置、租税減免特別措置などを改廃して、税負担の公平化をどの程度まで実現できるかということであります。政府は、七〇年代において税負担の公平化をどのように進めていくつもりか、税による所得の平準化をどうはかるつもりか、その対策と長期的ビジョンを明確にしていただきたいのであります。
 第六に、物価問題についてであります。
 まず、物価政策の基礎となる新経済社会発展計画の策定にあたって、その基本的姿勢についてお伺いをいたします。新計画の課題として、政府は、「物価安定を最優先政策に取り上げる」と、その内容を明らかにしているのであります。さきの所得倍増計画や中期経済計画、あるいは経済社会発展計画など、過去数回にわたってつくられたこれら長期経済計画が現実の政策運営に有効に機能を果たしたことがいまだ一度もなかったことは御存じのとおりであります。その原因は、従来の計画が経済成長率の目標を実勢より常に控え目に見過ぎたことも当然でありましょうが、より本源的には長期的財政計画がないことに基因しているものと考えざるを得ないのであります。この長期の財政計画の上に立っての経済計画でなければ、結局このたびの新経済社会発展計画も、これらの過去の経済計画と同じ轍を踏むことは明らかであろうと思うのであります。私は、この際、まずこの長期にわたる財政の見通しを立てるべきであると思いますが、総理は、その作業に積極的に着手するお考えがあるのかどうか、お伺いしたいのであります。
 次に、経済の寡占化に伴う管理価格の安定の問題についてであります。寡占化が進むことは、大企業の市場支配力を強め、競争を制限するおそれを生じさせるのであり、最悪の場合には、大企業の定めた価格が高いところで固定され、物価の上昇、特定企業だけの高利潤による不公平な分配、競争刺激の喪失や、産出高の制限による成長率の鈍化、失業の発生など、国民経済を破壊するに至ることは、先刻万々御承知のとおりであります。総理は、日本の経済を守り、物価を安定させるため、管理価格の設定について、今後どのように対処していくのか、御答弁をしていただきたいのであります。
 次に、公共料金の値上げが物価上昇の元凶であることは、言をまたないところでありますが、政府は、過去数年間にわたり、国鉄運賃の値上げをはじめとして、積極的に公共料金の値上げを行ない、政府主導型物価上昇を招いているのであります。すでに、今年に入っても、タクシー料金の値上げ決定に続いて、医療費、さらに大手私鉄、地下鉄運賃などの値上げの問題が一斉に続出してきているのであります。このような国民不在の政治姿勢に対して、国民は大いなる政治不信をますます深めているのであります。もはや「物価安定に努力する」、「物価対策を最重点施策とする」といった抽象的な答弁にはもう国民はだまされないというのが偽らざる実感であります。もし、総理がほんとうに物価の安定を目ざし、消費者物価上昇率を四%台に押える決意があり、このことに政治生命をかけているとお考えになっているなら、この引き続く一連の公共料金の値上げをストップさせるべき具体的な実行策を示していただきたいのであります。物価の安定を目ざす総理の勇断ある処置を期待したいのでありますが、その決意がおありかどうか、お伺いしたいのであります。
 また、公共料金の決定に際しては、現在の各種審議会などばらばらに決定をみているのを改め、一本化し、厳正中立な裁定機関を設けて検討し、決定すべきであると考えますが、そういった機関を設ける意思があるかどうか、お伺いをしたいのであります。
 次に、給与所得の大半を占め、極度に国民生活を圧迫している家賃の問題についてお伺いをいたします。昨年、イギリスの経済紙「ファイナンシャル・タイムズ」は、世界の主要都市の生活費調査結果を掲載いたしましたが、それによりますと、「東京の家賃は、 ニューヨークのそれより高く、世界第一位であり、食品は第二位で、安いのは賃金である」と発表し、「住みにくい東京」とらく印を押しております。民間借家の家賃は、総理府統計局の四十四年十一月の調査によれば、東京では三・三平方メートル当たり千八百五十円、前年同期の千七百十円から約八・二%の上昇となっておりますが、現実には一畳当たり千五百円から二千円になっております。その契約内容は、賃貸期間が大体二年、契約のときには、権利金、敷金、礼金、前家賃などを合わせるとざっと十万円ぐらいかかり、やっと落ちつけたと思う間もなく契約期間の二年間があっという間に過ぎてしまい、その上、物価上昇のあおりから家賃を上げてくれと家主に責め立てられ、子供ができたら出ていけという状態でありますが、このような現実を総理ははたして御存じでありましょうか。地価公示制度がいよいよスタートしようとする今日、政府は、これらの状況を踏まえて、家賃の公示制度も考えてしかるべきであると思うのでありますが、お考えを伺いたいのであります。
 また、公共住宅も、地価の高騰、建設費の値上がりの影響を受けて年々上昇し、低家賃であるべきはずの公営住宅も、第一種住宅の場合、月収二万四千円から四万円の入居資格に対し、東京都営住宅の例では、その家賃が八千円から一万円と、入居資格に対して高額になっております。さらに、公団住宅の家賃が三万円になろうというに至っては、これはもう決して庶民のための住宅とは言えないのであります。それでもなお応募率が高いということは、いかに住宅難が深刻であるかということを物語っているものであって、多くの勤労者がやむを得ず高い家賃を払って劣悪な民間の借家に入居しているという実態を見のがしてはならないはずであります。昨年行なわれた住宅世論実態調査によっても、大都市圏の約六割が住宅に不満を持っているという結果が出ております。このような庶民の切実な要求に対して、まず政府のなすべきことは、低家賃の公営住宅を大量に供給することであります。と同時に、公営、公社、公団を含め、公共住宅全般について、現在の原価主義家賃制度を根本的に検討し直し、これら公共住宅を同一管理体制のもとに置き、現実の入居資格に定められた収入から見た適正な価格をきめるべきであると思いますが、総理の所見をお伺いしたいと思うのであります。
 次に、政府の無策を笑うかのように激しい値上がりを続けている地価の問題について、総理並びに経企庁長官にお伺いをいたします。日本不動産研究所の四十四年九月の調査によれば、全国市街地の平均価格指数は、昭和三十年三月の十三倍にもなり、その上、昨年三月以来、半年の間に約一〇%の大幅値上がりを示しております。しかも、最近の傾向としては、地方都市の商業地、住宅地の地価の上昇率が六大都市の上昇率を上回っております。このような傾向が続くならば、この数年で、東京、大阪の二大都市圏の三十キロ圏から三・三平方メートル当たり二十万円以下の土地は姿を消し、それがまた全国に及ぶであろうことは、過去の例から見ても明らかであります。わが国よりはるかに所得水準の高い欧米においてさえ、大都市から一時間程度の住宅地が三・三平方メートル当たり四、五千円であることに比べると、わが国の大衆の暮らしの内容は、政府が自慢する経済成長とはうらはらに、ますます貧弱なものと言わざるを得ないのであります。今日の地価の高騰をこれまで許したのは、政権をとる者の大きな罪悪の一つであります。なぜかならば、政府自身、地価安定について三十年代の後半から地価対策閣僚協議会などで決議したり、宅地審議会、土地問題懇談会、物価問題懇談会などから各種の提案がなされてきたにもかかわらず、一部利害関係者の圧力に屈し、土地問題の解決を放置してきたことが何よりの証拠であります。総理は施政方針演説の中で、「特に、最近における著しい土地価格の上昇は、住宅建設や生活環境の整備をおくらせている」と述べ、また、経企庁長官は経済演説の中で、「強力な総合的土地対策を進め、地価の安定を達成することにより、国民の期待にこたえたい」と述べておりますが、米作削減を中心とする農政の転換と新都市計画法の施行という一大転機を迎えた今日、どのような総合的土地対策を講ずる考えなのか、具体的にお伺いしたいのであります。
 このように、今回の施政方針には疑問が多々あるのでありますが、それを一言にして言えば虚飾と実像の違いであります。警戒中立、物価安定は虚飾で、その実像は景気刺激、物価上昇であるとしか言えないからであります。
 次に、この国民生活無視の傾向は社会保障においても歴然たるものがあります。社会保障制度審議会が昭和四十三年十二月二十三日の申し入れ書の中で、「昭和四十年までは若干の進展があったがその後は停滞気味であり、現在では、人口一人当り水準でいえば前記目標のほぼ三分の一、国民所得に対する比率でいえば目標の二分の一にしか到達していない。すなわち、わが国の社会保障は表面的には大いにすすんだ形になったが、その実質はむしろ後退ぎみと言わねばならない。」と述べております。そこで伺いたいのは、何が欠けて社会保障の充実がおくれたのかということであります。私は、まず欠けているのは社会保障計画であると言いたいのであります。社会保障に対する長期ビジョンは、いまだかって明らかにされたことがありません。これは全く政府の怠慢というほかありません。一体、計画を立てられるのか、ビジョンはどうするのか、お示しいただきたいと思うのであります。
 次に、現在最も必要とされている児童手当と老人対策についてお伺いをいたします。ILOの社会保障最低基準の条約でも、児童手当は重要な部門を構成しているのであり、わが国においても現在二百二十二の地方自治体が、乏しい財源の中から実施に踏み切っていることからも、その重要性は疑いをいれません。また、総理及び歴代の厚生大臣も、昭和四十三年度実施、あるいは昭和四十五年度実施を国民に公約してきたのであります。しかるに、本年度も実施できないということは、国民軽視、国民不在の政治であり、総理の言われる内の繁栄とはほど遠いものであると言わざるを得ません。児童手当実施に一体いつ踏み切るのか、答弁を求めるものであります。
 また、最近の社会構造の変化や生活環境の変化が老人問題をますます深刻な社会問題へと導いております。まさに、社会保障の不備が最も集中的にあらわれているのが、この老人に対する福祉の問題であると言っても過言ではありません。長年、国家社会の発展に貢献してきた老人は明らかに国の功労者であります。ところが、現行の所得保障である年金制度は全く実効がなく、現在の物価高ではしょせん豊かな潤いのある生活は望むべくもない実情であります。また、核家族化の傾向のうち、住宅事情はますます悪化し、さらに老人に欠くことのできない医療保障はあってなきにひとしい現状であります。また、七十歳以上の老人四百三万人のうち、三百十五万人が老齢福祉年金を受給しておりますが、月額二千円で一体何が求められるのでありましょうか。また、六十歳以上で約五十万人近くもいる寝た切り老人の対策のおくれ、さらに、養護、特別養護老人ホーム等の福祉施設は全国に約八百か所、約六万六千余の収容能力にしかすぎず、養護老人ホーム一つを取り上げてみても、入居を希望しながら入居できない老人が全国に四万人もいると推定されております。このように、すでに入居している老人への処遇は言うに及ばず、高い経済力と文化を誇るわが国において、老人の自殺率が世界有数ということは、この上ない恥辱でなくて何でありましょうか。これに行き詰まった老人問題の焦眉の急を告げる所得、住宅、医療、雇用の四項目について今後どう対処されるのか、具体的に対策を明示願いたいのであります。
 最後に繊維の自主規制についてであります。米国は、繊維製品の輸入を制限するため、わが国等関係諸国に対して自主規制を強要してきましたが、昨今のわが国に対する二国間協定締結の申し入れに見られるごとく、米国における繊維製品輸入制限問題は一刻も予断を許さない情勢を迎えているのであります。このような規制要求は、自由な国際貿易に逆行し、ガットの精神に違背するだけでなく、米国繊維産業が好況である現状から見ても不合理なものであります。ケネディ・ラウンドによる関税一括引き下げを通じて、世界通商の拡大を強力に促進してきた米国が、このような措置に訴えようとすることは、大国エゴイズムのあらわれとしか言えないのであります。自主規制の強要は、実質的には輸入割り当てと同等の輸入制限であり、この問題は単に繊維製品だけでなく、その他の商品にも波及するおそれが強いのであります。
 そこで、まず第一に、総理は、包括的協定及び二国間協定の実現を阻止し、あくまでガットの場において問題の解決がはかられるよう、強力な外交交渉を貫き通す決意がおありかどうか。
 第二に伺いたいことは、政府内の繊維の自主規制に対する政治姿勢について、意見の統一ができていないのではないかということであります。下田駐米大使が、本国政府の訓令の趣旨と違った発言をしており、また、前通産大臣と現通産大臣との見解が大きく違ってきておりますが、この際、統一見解を総理より明らかにしていただきたいのであります。
 第三には、アメリカに対する忠実主義により、韓国、台湾、香港などの東南アジア諸国あるいはEEC諸国に対する信用を大きく失う懸念がないかということであります。現に米国は、日本が協定交渉に応じるのを待って、台湾、韓国、香港など東南アジアの輸出国に二国間協定の締結を働きかけようとしているのであります。わが国は、これまで東南アジアの輸出国と協調して米国の繊維規制に反対してきたのであります。いまここで態度を変えるならば、関係国の不信を買うことは必至でありますが、総理は、これら関係国に対してどう対処していくつもりなのか、明確に御答弁を願いたいのであります。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(佐藤榮作君) 鈴木君にお答えいたします。
 お答えをいたします前に、一応御了承を得ておきたいことがございます。と申しますのは、若干の質問をするというお話でありましたが、たいへん事こまかなお尋ねでございますので、とうていこの短時間ではお答えができないように思います。いずれ他の機会等におきまして明確にされるところでもありますので、問題のポイントだけを私からお答えをいたしますから、この点をまずお許しを得たいと思います。
 先ほど、わが国の経済の成長、これは世界第三位だが、人口のパーセントから見ると、たいへん――十九番目か二十番目じゃないか、こういうような御意見が出ておりました。この表現も、実は国民には十分納得ができないものだろうかと思います。まず、国の大きさ、まあ人口一千万以上の国で考えたらどうなるのか、おそらく日本の場合は一人当たり九番目くらいになるだろうと思います。さらにまた、五千万以上の人口の国で考えると、一人当たりの所得は、五番目か四番目、まあその辺ではないかと思います。まあこの辺もよく明確に国民が納得いくように説明する要があろうかと思いますので、まず最初に申し上げておきます。
 そこで、まず第一に、四十五年度予算は、総需要抑制を考えていないという御批判でありましたが、決してそのようなことはありません。国債の発行額を縮減し、法人税の増税を行なうなど、思い切った措置をとっていることはよく御理解いただきたいと思います。
 次に、経済成長率と物価上昇見込みについてでありますが、政府としては適正な想定をいたしたのでありまして、過小でもなければ、また過大でもありません。いずれも多くの政策努力を必要といたしますが、政策、この目標の実現につきましては、実現不可能のものとは私どもは考えておらないのであります。この上とも目標達成のために最善を尽くしていく考えであります。
 次に、減税について不十分であるとの御意見であります。今回の所得税の大幅な減税は、特に中堅サラリーマン階層には大きな軽減となるものであります。また、最近は高福祉高負担の声もあるように、単純に税負担率だけで問題を考えるわけにはいかないと思います。行政サービスの向上を総合的に勘案していただきたい。これまた総合的に御批判をいただきたいと思います。
 次に、当然増の経費が累増してきていることは御指摘のとおりであります。四十五年度予算におきましては、一般予算定員の縮減、あるいは補助金整理を行なうなど、財政硬直化打開の努力を払っておりますが、今後とも留意してまいります。御指摘のとおりに注意してまいります。
 なお、経費の実態の洗い直しは、従来も行なっているところであり、言われるように、単純な実績積み増しの予算ではないことを、よく御理解いただきたいと思います。
 次に、国債発行についての御意見でありまして、また、いろいろ御提案もいただきましたが、公共投資の立ちおくれが指摘されている現在、これをゼロとすることにはそれなりに問題があると思います。むしろ法人税の増税を行なうような事態の中におきましても、公債発行を縮減した努力を買っていただきたい、政府としてはお願いをする次第であります。また、国債による収入は一般会計から切り離せとの御意見でありますが、国債の発行は、財政法の定める目的のためにきびしく限定されているものであり、軍備拡張などに振り向けられるような懸念は全くありませんので、現状で、必要にして十分と、かように考えております。
 税制一般についてのお尋ねがありましたが、これは通産大臣並びに大蔵大臣の説明に譲りたいと思います。
 次に、物価問題に関連する御質問にお答えをいたします。まず、長期財政見通しの策定についてお尋ねがありましたが、流動する経済情勢に即応した弾力的な財政運営にかえって支障をきたしたり、あるいは新たな硬直化の原因となるおそれもありますので、長期財政計画を策定することは考えておりません。またその場合、新社会経済発展計画が著しく実効性を欠くものになるとも考えておりません。私はこの新社会経済発展計画の策定に期待をかけておるような次第であります。
 次に、管理価格についてのお尋ねがありました。管理価格についての現状は、鈴木君とはやや異なった認識を持っておりますが、今後とも独禁法の適正な運用によりまして、競争条件の整備につとめたいと考えております。
 また、公共料金につきましては、米、麦の値段の水準を据え置くこととするほか、そのほかの公共料金につきましても徹底的な経営合理化を行なって、原価の増大を吸収するよう強力に指導し、きびしい態度で臨むこととしております。一律ストップ、これは問題を解決するゆえんではないと私は考えております。
 次に、公共料金を決定するために裁定機関を設けよとの御意見がありましたが、現行制度によってもその要望の趣旨は十分に達成しておりますので、特別の機関をこの上設ける考えはございません。
 さらに鈴木君は、「フィナンシャル・タイムズ」を引用して、「住みにくい東京」と、かように言われましたが、この住みにくい東京に人口がふえて実は弱っておるであります。同じこの「フィナンシャル・タイムズ」の本年度の国際社会金融に関するオスカー賞の総合最優秀賞が日本に与えられていることも十分御認識いただきたいものと考えます。
 さて、御提案のあった家賃の公示制度については、住宅は土地と比べて個別性が著しく強いため、一般的な公示制度になじみにくい面もありますが、今後の検討課題といたします。十分研究して、そうして皆さまの御協力を得て、りっぱな結論を得たいと考えます。
 次に、公共住宅の家賃につきましては、住宅の中高層化による用地の節約等により、できるだけ安い家賃で提供し得るようつとめているところでありますが、公営住宅をはじめ公共家賃、住宅のあり方につきましては、今後とも慎重に検討をしてまいりたいと考えます。
 次に、地価問題につきましては、さきに大橋君にもお答えしたところでありますので、これは省略させていただきます。ただ一つ、この新都市計画法と減反農地の買い上げ措置は相矛盾するものではないことだけ申し上げておきます。
 次に、社会保障の問題でありますが、この社会保障計画の樹立及び児童手当の問題につきましても、先ほど大橋君にお答えしたところでありますので、これまた御了承いただきたいと存じます。
 老人問題につきましては、年金制度の充実、就労対策の強化、対ガン手術等の医療面のサービスの拡充、老人世帯住宅等の建設等により、着々とその対策を講じつつありますが、今後とも一そう努力してまいる考えであります。
 最後に、日米繊維問題についてお尋ねがありました。政府は、国会の各党の満場一致の決議もあることでありますので、これまでも米側に対しまして、規制は包括的なものであってはならず、輸入による重大な被害、またはそのおそれある品目に限って、主要輸出国を交えた協議を通じて解決をはかるべきであるとの立場を繰り返し申し入れております。ガットの精神に沿った解決をはかるべく努力をしているのであります。また、私はニクソン大統領との会談で繊維問題も取り上げましたが、この問題は、当時ジュネーブで予備交渉が始まっていた際でありますので、沖繩の返還とは全く別個のものであり、返還の政治的取引の材料となったというようなことは決してございません。
 下田発言についてのお尋ねの点でありますが、繊維問題は目下日米間の最大の懸案になっており、日米友好関係の維持を考慮して慎重に対処しなければならないと思いますが、現地において、直接米側の空気に触れている下田君としては、このような観点から報道されたような発言をしたのだろうと思います。なお、新旧通産大臣の間に微妙な意見の食い違いがあるとのことでありますが、そのようなことはございません。私自身、何らさような点を感じておりません。私が申し上げるまでもなく、最も国として大事な領土問題につきましても、談笑の間に沖繩返還が解決いたしたのであります。ましてや、貿易の個々の問題等につきまして、両国の間に話し合いがつかないことはない、かように私は思っております。どうかこの問題が早期に解決されることを心から望んでおります。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(福田赳夫君) 鈴木さんから総需要を抑制することが、現下の経済情勢上、また物価問題の処理上非常に重大だということのお話がありましたが、私も、全く同感であります。総需要の構成要因は、何といっても国民消費でありますが、これはなかなか押えるということはむずかしい。またもう一つの要因は、輸出でございますが、これもせっかく輸出基盤を獲得したわが国といたしまして、これをディスカレージするわけにもまいらぬ。そこで残される問題は、民間の設備投資と財政でございます。民間の設備投資につきましては、昨年の九月から、日本銀行が景気調整政策をとり出しておるのでありまして、まだ実質的な効果を上げておりませんけれども、逐次これが実を結んでいく、かように考えております。
 また、財政につきましては、先般からしばしば申し上げておりますとおり、社会保障も、あるいは社会資本の充実も、いろいろな要請はございますけれども、なるべくこれを低位に押える、こういう努力をいたしまして、財貨サービスの購入から言いますると一四・八%という、まあ名目成長率よりは一ポイント下の押え方をいたしたということでございますが、いま鈴木さんが、この財貨サービスは、これはどうも刺激的内容を持っているのじゃないかというようなお話でございますが、これは民間設備投資に比べまして格別変わったことはない、かように考えています。しかし、これがもとになって経済を刺激するというようなことになりますると、これはたいへんですから、この運用上、実行上におきましては特段の配意をしてまいりたい、かように考えております。
 それから、どうも財政が膨張し過ぎる、どうも硬直化に対して努力が足らぬじゃないかというようなおしかりでございますが、これは御激励、御注意としてありがたくちょうだいいたしたいと存じます。ずいぶん努力はしておるのですけれども、なかなかむずかしい。四十五年度の予算におきましても、定員の抑制をする、総定員法の中においてこれを押える。あるいは補助金につきましても、ずいぶん努力をいたしまして、廃止するものが九十七件、また減額をいたすものが六十件、また、公共事業費の補助等におきまして補助率の引き下げを行なうものが十六件と、かなりのものをやっておるのであります。また同時に、そういう同じ見地から、いままで財政でまかなったものを民間の資本でできないかということを考慮をいたしまして、建設省のもろもろの事業等におきましてその構想を取り入れることにいたしております。実績を洗い直して積み直せというお話でございますが、その気持ちでやっておるのです。おるのですが、なかなかこの問題が成果をあげないというのが実情でありまして、今後とも最大の努力をいたしてまいりたいと、かように考えております。
 国債の発行額が多過ぎるのではあるまいか、こういうお話であります。御承知のように、また、ただいま御指摘のように、昭和四十年度以来発行いたしました公債は二兆九千三百十八億円、私はあのとき、国会におきまして、大体四年後には四兆九千億円くらいになるかもしれぬということを申し上げたのですが、そこまでいかぬでほんとうによかったというふうに考えておるのでありますが、しかし、この二兆九千億円という国債の累積額、これは国民総生産に対してわずかに四%なんです。アメリカにおきましては三三%、また、イギリスにおきましては八二%というような重い負担を負っている。それに比べますと、まことに軽微なものでございます。しかし、公債で財政をまかなうということは異例でございますので、これが減少には今後ともつとめていきたい、かように考えております。
 公債の発行は富国強兵、大企業優先につながるのじゃないかという御懸念でございますが、さようなことは全然ありません。これは今後の実績においてこれをごらん願いたい、かように存じます。
 それから四十五年度の減税割合が少ないという御批判でございますが、ことしは、鈴木さんも御指摘のように、総需要を抑制しなければならぬ年である。そういう年柄から言いますれば、所得税の減税を行なって消費購買力の拡大をする、これはとるべからざることなんです。それをあえて逆に所得税の大減税をやるということは、これは七〇年代は内政重視の年であるという考え方に立ちまして、あえて採用した考え方でありますので、御評価のほどお願いしたいと思います。
 なお、課税最低限を百三十万円まで引き上げる考えはないかというお話でありますが、とにかく長期答申も今回完全実施をする、こういう段階でございますので、この先をまたどうするかまでは考えておりません。しかし、国民負担の軽減につきましては、総合的な見地から、これをなお考えていきたい。今後の問題といたしまして御意見を尊重いたしていきたいというふうに考えております。なお、所得税減税はここで一休みして打ち切るかという御懸念でございますが、ただいま申し上げましたとおりでございます。
 法人税の増税につきまして、財界の圧力に屈したんではないかという御批判でございまするが、さようなことは断じてありません。税制調査会の答申をそのまま採用したのであります。
 なお、利子配当特別措置は撤廃すべきではあるまいかという御意見でございますが、これはそう観念的には私はやるべきではないと思うんです。なるほど、税制からいえば、これは特例であります。しかし、今日、日本の国の隆昌繁栄をみておるゆえんのものは何であるかといえば、何といっても貯蓄が旺盛であったということなんです。この貯蓄にいささかでも水をかけるようなことがあっては相ならぬ、こういうふうに考えることは私は正しい考え方である。その考え方と、この観念というか、理論とをどういうふうに調整するか、それが非常な私どもの苦心のあったところでございまして、まあひとつ、この程度が今日のこの情勢下においては妥当ではあるまいか、さように考えております。五年の時限にいたしたのは改悪じゃないかというお話でございまするが、その辺に苦心があったのであります。
 また、長期経済計画、これは財政計画が伴わなければ無意味ではないかというお話でございますが、これはそういう一応考え方もありましょうが、長期にわたって財政計画を数字的に考えるということは、非常にこれは困難であります。しかし、この長期経済計画を実行するには、どういう考え方の財政構想をとるべきかということは、あわせて検討すべきものである、さように考えておりまして、これはその作業が進んでおるものと、さように了承しております。(拍手)
   〔国務大臣佐藤一郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(佐藤一郎君) 御質問がたくさんございましたが、総理、大蔵大臣からすでにお答えの部分もございますから、私の分野で残っておるものを申し上げたいと思います。
 予算も相当伸びたが、経済成長が一一・一%でおさまるか、それから、あるいはまた、物価について四・八%でおさまるか、こういうような御質問がございました。これにつきましては、もちろんわれわれといたしましては、目下の金融引き締めの調整あるいは財政の運用を今後機動的にして、結局、政策努力によってこれを実現し得る自信を持っておる、こう申し上げたいと思います。この一一・一%というのは従来ずっと一三%台が続いておる。ところがあまりにも高過ぎる。そこで、私たちは民間の設備投資あるいは輸出需要を何とか沈静化いたさなければならぬ、こういう立場に立ちまして見通しを立てて、大体一一・一%ぐらいになろう、こういうふうに見ております。その経済成長を安定化することと見合いまして、物価につきましても四・八%ぐらいのところへ持っていけると、こういうふうに思っております。問題は季節商品でございまして、これらについてはなおわれわれもよほど注目をしなければならぬというふうに考えております。
 それからもう一つ、輸入の促進を急にはかるようになったが、これは海外からの輸入インフレをいわゆる助長するものではないか、こういう御質問がございました。御存じのように、私たちは従来から自由化の計画を持っておりました。これを推進いたしたい、そういうことでございますから、突然、自由化あるいはまた輸入自由の促進ということを急に方針変換したわけではございません。もちろん、鈴木さんの御心配がございましたように、原材料の中で一部国際的に非常に高いものがございます。こういうものは、もちろん日本に入りましても一種の影響を与えておることは確かでございますけれども、全体としての経済成長というもののペースを一三%台から一一%に落としていこう、その結果といたしまして、原材料の輸入もおのずから鎮静化してまいる、そういうことで、原材料の輸入が非常にこれからの物価高に対して従来以上に刺激的になるというふうなことのないように持ってまいりたい。今度は逆に、むしろ消費物資については輸入をさらに進めてまいりたい、そうしていわゆる物価抑制その他の見地から見て、全体の政策に沿うような輸入方針をとってまいりたい、これが大まかに目下考えておるような傾向でございます。
 それから寡占価格の問題でございます。これは、御存じのように、最近の物価高の原因は、何といいましても非常な需要の強さでございます。急激なる経済成長に基づき急膨張しました需要に対して供給が追いついてまいらない面が一時的に出ている。そういうことがやはり中心になり、そうして、一部の高生産部門においては、物価を引き上げることなくして賃金の上昇が可能であるけれども、生産性の低い部門においては、結局価格を引き上げることによって初めて賃金上昇が可能であるという、いわゆる賃金の平準化の運動、こういうようないろんな原因がからみ合って、今日の物価高を来たしておることは御存じのとおりでございます。で、今日大観いたしまして、寡占価格というものが一般物価高に大きな影響をもたらすというような状態にはないように思われます。もちろん、個々の問題につきましては、ただいま公取委員会などにおきましても調査をいたしております。その調査の結果はまだ出ておりませんが、これらをよく見ながら対処してまいらなければならないと思います。独禁法の運用を、今後できるだけ厳正にやっていかなければなりません。また、物によっては、輸入を促進することによって一つの牽制を与えなければならない、こういうことも必要であろうと思います。いずれにしましても、不当な価格形成が行なわれませんようにやってまいりたい、こういうふうに考えております。
 それから公共料金につきましては、先ほど総理からもお答えがありました。現在の機構をもちまして、できるだけ抑制の方針を貫いていきたい、こういうふうに思っております。
 大体以上であろうと思います。(拍手)
   〔国務大臣内田常雄君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(内田常雄君) 鈴木さんから御指摘がございましたように、昭和三十七年ごろの社会保障制度審議会から、わが国の社会保障の水準を、昭和四十五年ごろには西欧並みに持っていくことを希望するという、そういう申し入れがございました。しかしながら、これも鈴木さんから御指摘がございましたように、その結果を、今日の国民所得に対するパーセンテージなどから見ますると、いかにも西欧諸国の国民所得に対する比率に及んでおりませんけれども、先刻申し述べましたように、医療保障につきましてはもとより、また年金など所得保障につきましても、ことに昨年の年金制度の大幅な改正によりまして、この年金が本格的支給の時期に達するその時点におきましては、所得保障の中身も、西欧諸国とほとんど遜色のないような状態まできておるわけであります。ただ、先刻も申し述べましたように、最近における国民所得の急上昇したことだとか、年金がまだ未成熟で、経過的措置によって年金を得ている人々のほか、本格的な年金を得ている人々の数が非常に少ないという事態のもとに御指摘のような事態があらわれておるわけでありますが、いずれにいたしましても、私は一九七〇年代における経済の発展なり、あるいは社会構造の変化に伴う摩擦とか、緊張というものを、社会保障の制度によって吸収することがぜひ必要であると考えまして、格段の努力を払ってまいる所存でございます。
 児童手当の問題とか、あるいは老人福祉対策のことにつきましては、総理大臣からかなり詳細な御答弁もございましたので、私からの答弁は他の機会に譲らしていただきたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、昨年の場合、非鉄金属の相場が海外で相当上がりまして、それが輸入を通じまして、わが国の卸売り物価に影響したということは御指摘のとおりと思います。ただ、これらの非鉄金属は、わが国でほとんど供給がございませんので、もし輸入を減らしますと、それだけ国内の需給バランスがさらにはずれるということで、さらに高騰するということでございますから、幸いにしてこれらのものは自由化をされておりますので、短期的には、やはり自由化のメリットを生かした買い方をする、あるいは多少の備蓄を、たとえばロンドンの取引所の中にわが国の名において持つといったようなくふうが、これからも必要になるのではないかと思います。で、言われましたように、御指摘のような国が昨年来買っております。ことに銅でございますが、多少異常な数量でございます。経常の用途をかなり越えておるように思います。それが昨年来の高騰の一つの原因になっておると思いますが、これらのものは、地金はもちろん、鉱石も、国際的な大手の、いわば供給寡占状態になっているものが多うございますので、長期の問題としては、わが国自身が海外資源の開発のために直接に出て行くということが必要な段階である。また、わが国の経済にはそれだけの力ができてきたと考えております。そのための施策につきましては、昭和四十五年度の予算を通じまして御審議を仰ぐことになっております。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(重宗雄三君) 瓜生清君。
   〔瓜生清君登壇、拍手〕
#19
○瓜生清君 私は、民社党を代表して、過日本院で行なわれました佐藤総理大臣の施政方針並びに関係閣僚の外交、財政、経済についての演説に対し、若干の質問をいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 いまや、わが国はもちろんのこと、世界は激しい変化と、それを通じて飛躍的な進歩を遂げようとする一九七〇年代を迎えております。今回の所信表明は、この新しい時代を展望する立場から、従来のパターンを破り、保守政党の立場からではありますが、それなりに今後の具体的な政治構想を述べられた努力に対し、私は敬意を表するものであります。
 それでは、時間がありませんので、直ちに本論に入ります。
 まず、私は外交問題についてお伺いしますその第一点は、対中国政策であります。ニクソン大統領のグアム・ドクトリンに象徴されるごとく、米国のアジア政策は、軍事的後退と同時に、政治的前進の方向に進みつつあります。ベトナム戦争終結への動き、台湾海峡におけるアメリカ第七艦隊の警備体制の変更、あるいはワルシャワにおける米国側からする米中会談再開の積極的な働きかけ等には、ゆるやかながらも米国の政策の転換を示すものと受け取られる節がございます。また、米国では、対中国貿易規制は、最近相当の緩和措置が講ぜられると同時に、わが国にある米国系資本の会社を通じて、きわめて熱心に対中輸出を盛り上げるなど、軍事、政治、経済の各面にわたって、中国を意識した政策が順次打ち出されております。これらの情勢に比べて、隣国にあるわが国が、何ら前向きの手段を講ぜず、ただ、中国の態度変更を期待する姿勢でいることは、もはや許されないと思われるのであります。佐藤総理大臣は、過ぐる総選挙戦のさなかに、対中国接近について相当積極的な発言をされましたが、選挙が終了するや、これを否定するかのごとき後退姿勢を見せておられます。
 私がお尋ねしたい第一点は、アジアの平和と安定に責任ある行動を問われている日本の政府が、これと最も深い関係を持つ中国に対し不動の方針を持たずに、常に変動するかまえ方であってはならないと思うのであります。現に台湾と北京政府のあることは事実であり、この事実は、すでに北京政府が成立して以来二十年の長きにわたっているのでありますが、この間、日本政府は中国問題の解決に熱意ある姿勢を示したことはほとんどありません。中国にとって見る場合、このような日本政府のあり方こそが問題視されると思われるのであります。しかも、北京政府は、台湾との関係を完全に断ち切ってから出直してこいという条件をつけているわけではありません。これらを考慮した上で、政府において、中国政策に新しい考え方がありますならば、この際、その片りんなりともお示しいただきたいのであります。
 第二にお尋ねしたいのは、対中国貿易の実績が、昭和四十四年度は六億二千万ドルとなり、日本側の態度いかんによっては、これからも相当の伸びが期待されますが、中国側の言う政経不分離について、日本政府がどうしても同調できないとするならば、近い将来、対中貿易公団のごときものを設置し、両国政府がともに納得のできる貿易秩序をつくり出し、あわせて、政府間接近の踏み台として貢献させてはどうかと提案するものでありますが、政府は、これについて検討を約束されるかどうか、御答弁をいただきたいのであります。
 次に、沖繩のことについてお伺いします。私は、昨年行なわれた日米共同声明については多くの疑問を抱くのみならず、今後の日本が、日米共同声明が指向する体制のもとで運ばれることには反対の意見を持っておるものでありますけれども、沖繩の本土復帰が三年後に確約されたことは、日本人として心から喜ぶものであります。しかし、戦後二十五年間、異民族の支配下にあって、アメリカの銃剣のもとに、日本人としての権利を奪われ、本土と比較して、はなはだしくおくれた生活環境の中で、忍従の暮らしを余儀なくされてきた沖繩の同胞に対する政府の対策は、現地沖繩県民の要求を十分に生かし、それに大きな希望を与えるような実りあるものではありません。率直に言って、単に場当たり的な年度予算を組み、しかも、財政の余裕範囲内で現実を糊塗する程度に終始している実態であります。私は、この際、沖繩が法律的な復帰が実現するまでの間、沖繩を本土並みにする準備期間と定め、政府の全責任において、沖繩の社会資本の充実、生活環境の改善、産業振興並びに県民所得の引き上げ等のため三カ年計画を樹立して一千五百億円程度の純投資を断行すべきであると強く要望するものでありますが、この点、政府は真剣な検討をされる決意があるのかどうか、佐藤総理の所信を承りたいのであります。
 次に、私は内政問題について伺います。その第一点は、施政方針を見ますと、「豊かな一九七〇年代の実現」とか、「経済の質的向上」とか、「物価安定に最重点を置く」とか、いわゆる一九七〇年代の政策展望をされましたが、政治とは、またそれに基づく時々刻々の政策とは、裾野から富士山の頂上をながめておることではなく、一合目までにどのようにして到達するのか、さらに二合目以上にどうやって進んでいくのか、富士山への登り方を国民に明示すべきであります。その意味で、政府の施政方針は最近流行の未来学のように抽象的で、当面する一九七〇年、すなわち昭和四十五年度にどう踏み出すのか、実践性がないと思うのであります。そこで、さっそく具体的なことをお尋ねします。
 第一の点は、物価問題について伺います。総理は、明年度の消費者物価上昇を四%台に押えると言われ、公共料金を極力抑制すると言われ、米価も据え置くと言われたのでありますが、経済企画庁長官は、もっと総括的に一九七〇年代は成長と物価安定の両立を求めるとおっしゃいました。しかし、消費者物価が年間五%平均に十年間以上も上昇し続けている原因の究明とその責任についての国民への釈明は何もありません。経済企画庁長官はさきの演説の中で物価政策に触れ、「インフレとの戦いに安易な態度は許されない」と言明し、現在の物価上昇状態をインフレ段階と見ておられます。総理大臣はいま物価高騰に苦しんでいる国民の心情をどのように事実認識しておられるのか、端的に総理の意見を聞きたいと思います。私は現在の経済機構はインフレ・メカニズムそのものだと判断します。たとえば短期的な金融引き締めはあっても、大企業の必要とする長期資金はいつでも信用膨張、すなわち日銀の貸し出し、国債、公債等の発行によって調達され、それだけ通貨がふえております。大企業の資本構成は自己資本が平均一八%にすぎませんから、事業拡大のためには常に借り入れ金にたよらざるを得ません。こういう状態が過去十数年一貫して継続されております。すなわち、産業優先、大企業本位のインフレ・メカニズムを放置したままで物価抑制を幾ら説いても、国民はもう聞きあきて政府を信用いたしません。経済成長と物価安定を正常にすることは一九七〇年代の大きな課題であります。それに対しどんな構想で臨まれようとしているのか、大まかでけっこうですから、総理大臣、大蔵大臣、経済企画庁長官の見解を伺いたいと思います。
 第二に、私は財政の基本的あり方について伺いたいと思います。来年度予算の伸び率は実に一七・九%という大幅なものでありますが、はたしてこれが国民生活の向上に結びついていると言えるでありましょうか。いなと言わざるを得ません。その原因は、一つは、農政費、医療費、防衛費等に予算が大きく食われていることであります。二つは、懸案の課題である行政改革の断行について全く見るべき施策が行なわれず、行政事務費がいたずらに増加していることであります。三つは、依然としてわが国予算が単年度主義で編成され、国民に将来の夢を持たせる財政の長期的ビジョンが欠けていることであります。このような欠陥を持った予算を根本的に改めることが現下緊急の課題であると言わなければなりません。
 そこで、私はこの三点を是正するため、財政硬直化の打開、行政改革の抜本的断行、長期財政計画の作成を行なうべきであると確信する次第でありますが、総理大臣と大蔵大臣の所見をただしたいと思います。
 次に、先ほども問題になりましたが、目下注視の的である日米繊維製品の交渉問題について、くどいようでありますが、お尋ねをいたします。昨年、衆議院並びに参議院の商工委員会及び衆議院本会議において、それぞれ全会一致をもって、「米国政府がわが国の毛、化合繊製品の対米輸出を自主規制せよとの要請は不当であるから絶対反対する。政府もこの方針を堅持すべし」との決議をいたしました。政府は、むしろこれを激励のことばとして受け取り、賛意を表されたのでありますが、昨年十二月の佐藤・ニクソン会談における政府の態度はきわめてあいまいであります。本件の特質は、ガット加盟国であり、ケネディ大統領以来、世界貿易の自由化の最大の提唱国である米国が、ガットを無視し、自分本位の二国間交渉をわが国に強要している点にあります。米国政府の言い分は、大統領選挙公約のあと始末であり、それを圧力団体である米国繊維業界に果たしたいとあせっていることは世界周知の事実であります。わが国の政府が何らか米国政府の面目を立てるような安易な妥協に走れば、それは対米追随外交そのものであります。また、わが国がガット秩序の国際的破壊国になることであり、国内にあっては繊維業界及びそこで働いておる人たちに甚大な被害を与えるばかりか、他の輸出産業にも同じような自主規制を広げる前例を開くことになります。私はこれらの経過にかんがみ、繊維関係の一員といたしまして、今後の推移を深く憂え、政府に次のことをただしたいと思います。
 その一つは、政府には外交権があります。対米交渉する権限があります。しかしながら、その行使はあくまで国民が納得できる線、国民の利益を守る線に沿ってやるのが当然であります。この問題は、あくまでガット第十九条に言う、輸入品の増加が国内産品に重大な損害を与えたとき、輸入規制の緊急措置が許容されるのであります。したがって、まず具体的に品目ごとの損害事実の立証が必要であります。ところが、米国が要請してまいりましたのは、ガットにいう「重大な損害」という事実の提示なく、国内市場が撹乱されるから、毛・化合繊の全体にわたって、包括的輸出規制をしてほしいという、徹底したガット無視の申し入れであると申せます。私は交渉はあくまでガットの場が本筋であり、もし米国がどうしても自己の意思を貫徹したいというのであれば、スタンズ商務長官の言うごとく、ガット加盟国のきびしい非難を受けても、アメリカ議会で堂々と輸入制限立法を成立さしてはどうか、お手並み拝見といこうというぐらいの強硬な態度で、日本政府はこれに対処すべきであると考えます。昭和三十二年に締結しました日米綿製品協定の痛い失敗にかんがみまして、この問題は日米二国間で取りきめるべきではありません。そのことを踏んまえて、固い決意で政府がこの問題を解決されるよう、強く要望しておきます。
 第二は、損害事実の立証は日米間で準備会談をするとしても、その確認は、内にあっては業界の了承が必要であり、外にあっては関係第三国、すなわちガット加盟国の了解を求めるべきであります。これらのファクト・ファインディングの筋道を譲らないように交渉を進めるべきであります。
 第三は、新聞によりますと、佐藤総理は米国のUSニューズ・アンド・ワールド・レポートという雑誌の東京特派員と会見した際、三月十五日から万博が始まるので、そのときまでに合意が成立しないとしたら残念だという談話を発表されたと報道されています。何を根拠にこのような時期を示されたのか。またそれが真実であるのかいなか。いまやわが国にとって、解決の時期が問題なのではなくして、解決の条件が問題なのであります。
 以上の三点について、佐藤総理大臣と通産大臣の御回答を求めます。
 最後に、私は佐藤総理の政治姿勢についてお尋ねをいたします。一九七〇年代は、保守、革新を問わず、流動する内外の諸情勢に適応した政策を立て、戦争と貧困と失業と病気と公害を追放して、国民生活に平和と安定と希望を与える政治を確立しなければなりません。それには、政治に携わる者が一党一派の党利党略を超越して、議会制民主主義を守り抜き、その中から成果を生むことだと確信をいたします。総理はわが国最高の権力者であります。その一挙手一投足は、直ちに国民の幸福と不幸に結びついてまいります。そういった背景をうしろにして、総理は、これから先どのような心がまえで政局を担当されるのか、それをお伺いいたしまして、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(佐藤榮作君) 瓜生君から、まず中国問題に対するお尋ねがありましたので、お答えをいたします。
 日中関係がいつまでも今日のような状態でいいと私は考えてはおりません。相互の立場と国際環境の現実とを理解し合うことによりまして、善隣友好関係を確立できると思うのであります。瓜生君は、政府が中国問題について確固たる方針を持つべきであると言われますが、わが国は一九五二年以来、国民政府を中国の正統政府と認め、同時に、北京政府が中国大陸を支配している事実にかんがみまして、きわめて現実的な政策をとっているのであります。したがって、アジアの緊張緩和をはかるためにも、また、わが国と中国大陸との間に存在する諸問題を解決するためにも、民間レベルでの人の往来、経済、文化の交流を促進するとともに、話がつくならば、適当な第三国における北京政府との大使級会談など、政府間接触をはかり、日中間の諸問題について話し合う門戸を開きたいと考えているものであります。
 また、日中貿易につきましては、今後とも覚書貿易を中心として発展していきたいと思います。御指摘のとおり、双方の政府がともに納得のできる貿易秩序をつくることは望ましいことでありますが、政府としては、当面、覚書貿易の方式と別個に、対中貿易公団のようなものを設置する構想は持っておりません。
 次に、瓜生君は、沖繩を本土並みの水準に引き上げるために三カ年計画の樹立と千五百億円の投資を提案されました。沖繩と本土との一体化につきましては、真に豊かで、将来性のある沖繩県をつくることを目標に、あらゆる面で積極的な施策を講じてまいる決意であり、必要な投資を惜しむものではありません。すでに返還の実現まで中一年を残すのみであり、いわゆる三カ年計画というような計画を組む段階は、すでにそういう段階は過ぎ去り、あとは実行あるのみと、かように考えております。ただいま国会におきまして沖繩の国政参加の問題等もそれぞれ進められておりますし、それらの問題とあわせて、この沖繩県一九七二年復帰、それに備えたいと政府も準備を進めるつもりでございます。
 次に、最近の物価上昇をインフレと見るかとのお尋ねでありました。長期にわたって物価上昇が続き、値上げムードが定着するようになりますと、いずれは経済の安定的成長に大きな混乱をもたらすものと考えます。このような考えから私は断固として値上げムードを断ち切るため、あらゆる政策努力を傾注している次第でありますが、経済企画庁長官は、私と同じような決意をインフレヘの戦いという表現に託したものである。政府は現段階をもってインフレ構造が定着したものとは見てはおりません。
 次に、瓜生君からは、金融引き締めは大企業にはしり抜けになっているとのおしかりでありました。こまかい議論は省きますが、実情は決してさようなものではありませんので、実態をよく御理解いただきたいと思います。
 最後に、瓜生君から財政硬直化打開のための抜本策について御提案がありました。財政硬直化の打開については、常に配慮しているところであり、来年度予算では、公共事業の補助金のうち、すでにその目的は果たしたと見られる特例的な高率負担を引き下げるとともに、民間資本の導入をはかる等のくふうをこらしました。
 お尋ねのありました行政改革につきましては、政府はかねてより鋭意この問題に取り組んでおり、一省庁一局削減や、三カ年計画による定員削減を実施したところであります。行政改革については、今後とも国民福祉の増進のため、能率的な行政を目指して着実にその実効をあげてまいりたいと思います。
 また、瓜生君からは、長期財政計画を作成せよとの御提案でありましたが、これは先ほどの鈴木一弘君にお答えしたように、このような計画をつくることがかえって時に財政の硬直化を招くのではないかと、実は不安もありますので、今後さらに慎重に検討してまいりたいと思います。
 繊維問題について、るるお尋ねがございました。大部分は鈴木君にお答えしたところでごかんべんを願いたいと思いますが、そのうちで特に私がある雑誌社とのインタビューで、この問題を万博という、いわゆるおめでたい機会までにぜひとも繊維問題が解決していれば幸いである、かように言ったことについて、私の気持ちを、また私の考え方をお尋ねでございましたが、私は、日米間でただいまのような問題がいつまでも長く尾を引くことは、これは双方に益するものでない、かように考えております。できるだけ早く、そういうものが片づくことを望んでおります。しかし、私はすでに皆さま方から国会において決議ももらっておるのでありますから、政府を鞭撻しながらも同時にワクをはめられておるという感もいたしておるのであります。そういう点でむずかしい交渉でありますが、できるだけ早く問題を解決したいと、この私の気持ちが率直に伝えられておると思います。万博は何と申しましてもおめでたい機会でありますので、そういう際にまでこの件が尾を引くことは望ましいことではありません。その他の点は、先ほど鈴木君にお答えしたところで御了承いただきたいと思います。
 最後に、私の政治姿勢についてお話がございました。申すまでもなく私どもも民主主義、これは国民のためのものである、そういう観点から、国会の運営は、党利党略にとらわれることなく、超党派的に、真に国民のための、国民とともに政治をする、その態度でありたいと、かように思います。私はそういう意味で、謙虚に私の姿勢を保つ決意でございますから、もし私自身に不適当な発言等があれば、何とぞ御叱声を賜わりますようにお願いしておきます。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(愛知揆一君) 総理の御答弁に私から特につけ加えることはございませんが、中国問題につきましては、従来からの民間レベルの接触と申しますか、交流はそれなりに相当の成果を私はあげておると思うのでありまして、ことに貿易の面におきましては、他国に例のないような実績をあげておりますので、なお一そうこの促進につとめたいと思いますが、同時に、御承知のように、前々からたいへん心配しておりました抑留邦人の問題が一部解決し、釈放してくれたというような状況もございまするので、この際、北京政府が、幸い第三国にはわが国と同様に大使館等を持っておるところも相当ございますので、第三国においての相互の外交機関間の接触に応ずるようになってくれて、そして双方の率直な意見の交換ができるようなことになれば、これが第一歩である、こういうふうに考えまして、いろいろの試みをやっているわけでございます。まだこれといって御報告できるようなものはあらわれてまいっておりませんけれども、私は気長に努力を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 それから繊維につきましては、鈴木議員からの御質疑もございましたが、もちろん、これは政府一体となりまして、全く呼吸を合わせて筋目の通る方法で外交に当たる、これを何よりの基本といたしまして、ただいま、総理のもとに通産相と特に緊密に連絡をいたしまして、筋目の通る態度を堅守してまいりたい、かように考えておる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(福田赳夫君) 今日の日本銀行貸し出し、公債発行による通貨供給方式がインフレ・メカニズムじゃないかというようなお話でありますが、これはどこの国でもそういう通貨供給方式をやっておるわけであって、特別に日本だけがやっておるという状況じゃございません。逆にその運用面から見ますと、日本はよくやっておる、奇跡だ、そういうようなことで、どこにそういう秘策があるのだというようなことを外国から聞かれるような状態でございます。
 ただ、わが国は、戦後廃墟の中から産業が発展をいたした、そういう傾向がありまして、産業の自己資本が非常に少ない。これは各国に比べまして産業体制が非常に劣っておるというような状態でございます。しかし、たとえば今度、昨年の九月から金融調整政策をやっているわけです。そうすると、だれが一番まずこの調整政策の影響を受けるかというと、大企業がまず受けるんです。そういうようなことで、大企業が中心になって長期資本の供給を受けて、それがインフレの危険につながるんだというような御懸念は、実際問題としてもありませんです。
 また、財政問題につきまして、硬直化を打開せよ、行革を推進せよ、また、単年度予算であるが、長期財政計画を立てよという御所見でございますが、これにつきましては、総理がお答えしたとおりでありまして、私としても十分検討いたしたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣佐藤一郎君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(佐藤一郎君) お答えいたします。
 私が演説におきましてインフレという表現を用いましたのは、御存じのように、ずっと消費者物価が相当上昇いたしておりまして、そこへ最近といいますか、本年特にでありますが、御存じのように、卸売り物価の上昇がございます。もし、この卸売り物価の上昇があまり継続性を帯びるようなことになると、これはたいへんなことである。まあ今度の卸売り物価の上昇につきましては、その相当部分が海外のいわゆる輸入価格高、あるいはまた海外への輸出価格高と、こういう海外経済の影響が非常に大きいというふうに一般に言われておりますが、そういうことでもあり、また、一面、消費者物価におきましては、野菜等の季節商品が非常な顕著な上昇を示したと、こういう要素がございます。そういうことでありまして、これが継続性があるというふうに私どもは考えてはおりませんけれども、いずれにしましても、金融引き締め措置をやりまして、そうして卸売り物価を中心とするまず安定をはかりたい、こういう一歩を踏み出しておる最中でございます。経済の全体の状況を大観いたしまして、確かに、設備の稼働でありますとか、あるいはまた労働力の需給の問題でありますとか、その他全体の調子において相当窮屈な点が出ておりますことは確かでございます。しかし、いわゆる超完全雇用というわけではございませんでして、まだまだ労働力の供給を十分にくふうによって出すことができ、また、設備は、御存じのように民間投資の増大によってまかなっております。こういうわけでございますから、すぐ長期的な意味での、いわゆる長く供給を超過するところの長期的な需要の超過というものが現在存在するとは考えておりません。そういう意味におきまして、今日、インフレであると断定するのは早いと思います。しかし、いずれにしても、現在の状態を放置するということは非常に危険であると、こういうふうに感じております。
 まあ、幸いにして、消費あるいは貯蓄の性向は現在なお安定した状況にございます。これを足がかりといたしまして、できるだけすみやかに物価対策を講じてまいりたいと、こういうふうに感じておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(宮澤喜一君) 繊維の規制につきましては、先ほど、総理から、鈴木議員に対するお答えをも御参酌の上で云々という御答弁がすでにございました。総理の答弁されました原則にのっとりまして私ども対処をしてまいりたいと思っております。
 ただいま瓜生議員から御指摘になりましたように、いわゆるLTA、かつての綿製品長期取りきめのような轍を踏むことがあってはならないと思っておりますし、被害またはそのおそれの認定については業界の理解を得なければならない、また、第三国との協調が必要である、これらの点は御指摘になりましたとおり私どもも考えております。(拍手)
#25
○副議長(安井謙君) これにて五分間休憩いたします。
   午後三時五十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時四分開議
#26
○副議長(安井謙君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。前川旦君。
   〔前川旦君登壇、拍手〕
#27
○前川旦君 私は、日本社会党を代表し、松澤兼人、大橋和孝両氏の述べられました外交、政治姿勢、経済、物価、税金、社会保障についての質疑に引き続き、若干の質問をいたします。
 総理は、去る十四日、この壇上においてまことに美しい施政方針演説をなされ、一九七〇年代をバラ色に描いてみせられました。しかし、私は、初めにことばありきではなく、初めに行ないあるのが政治であると思います。七〇年代を見通すことも大切ではありますが、同時に、七〇年における矛盾をいかに克服するかということこそ、より大切であろうと思います。そこで、まず最初に住宅問題を取り上げます。
 総理は、四年前の第五十一国会の施政方針演説において次のごとく述べられました。「社会開発のうち、第一の急務は、経済の発展に著しく立ちおくれている生活の場の改善であり、特に住宅対策の拡充である、住生活の安定なくして国民生活の安定はない。このため、昭和四十五年度までに一世帯一住宅の目標を実現すべく、新たに住宅建設五カ年計画を定め、政府施策住宅としては、五年間に二百七十万戸を建設します。」、これは総理もきっと御記憶あろうと思います。この御発言によって、総理は、当時住宅難に苦しむ多数の国民に多大な感銘と期待を与えられたのであります。しかるに、この五カ年計画の最終年度である今回の予算を見ますと、公務員住宅や厚生年金住宅、公社公団の職員住宅あるいは地方公務員住宅など、できるだけかき集めて数のつじつまを合わせてみても、五カ年の累計は二百五十五万二千五百戸にとどまり、総理の約束された二百七十万戸建設は達成されませんでした。数と並んで質の向上についても、計画では昭和四十五年までに少なくとも小世帯については畳九畳、一般世帯については十二畳を上回る居住水準を確保することを最小限の目標としていたはずでありますが、残念ながらこれが実現もまた全く果たすことができませんでした。かくして五カ年計画最終年度を迎えても住宅不足は依然として解決せず、いまなお三百六十万世帯千五百万人に達する人たちが強く住宅難を訴えており、住宅水準も昭和八年の水準を回復しておりません。総理は、みずから約束されたことができなかったというこの政治責任をどうお考えになりますか。私はその責任をきびしく追及しておきます。しかし、私は、ただ政治責任を追求すれば事足れりとするものではありません。過去の失敗、足らざるところを謙虚に批判、点検して、次の方針にどう生かすかということこそ大切であろうと思います。この立場に立ち、やがて開始される第二次五カ年計画の樹立作業にあたり、総理はどのような基本的態度で臨まれるか、失敗の反省をどう生かし、いかなる意気込みで対処されるか、お尋ねいたします。
 次に、建設大臣にお伺いいたします。昭和四十五年から五十年までの五年間には、戦後の出産ブームの若者たちが結婚適齢期に入ってまいります。これにつれて世帯数の分化並びに増加が急速に進み、住宅難は爆発的に進行するであろうことが予想されております。われわれの推定では、この期間、新たに千二百万程度の住宅が必要とされるであろう。そのうち四割を公的資金で建てるとして、五百万戸近い政府施策住宅が必要になろうと思います。第一次計画の六百七十五戸はあまりにも現実からかけ離れておりました。しからば第二次計画において、政府はどの辺に戸数のめどをお立てになるのか、数量をあげて御所見をお伺いいたします。
 また、政府は、依然として一世帯が一戸の住宅を所有するといういわゆる持ち家政策で進まれるのでありましょうか。長期構想としてはともかくとして、いま目前の緊急対策としては、公団住宅や都営、県営、市営住宅など公的借家にとりあえず最重点を置き、最も住宅難の犠牲をこうむっている階層にまず手当てをすることこそ必要ではないかと思いますが、いかがですか。そのことが結果として住宅の需給関係を緩和することになり、持ち家を希望する人にもよい結果を及ぼすと考えられませんか。また、いまの公団、公営住宅は、予算単価が低いために、とかく地価の安い遠隔地に逃げてしまい、その結果、早朝勤務者や深夜まで残業せねばならないようなほんとうの意味の住宅難階層が締め出され、勤務時間にゆとりのあるホワイトカラー階層にとかく恩恵が片寄りがちであります。こうした矛盾を克服するためには、市街地に土地を求め、地価の高さは思い切った高層立体化で消化するなど、きめこまかい政策が必要であると思うのでありますが、いかがお考えになりますか。この三月末には新経済社会発展計画が閣議決定の運びになると聞いております。この計画では、国民生活優先がその基本方針となっており、向こう六年間の政府の行政投資の総ワクがきまる運びになろうと思います。一方、第六次道路整備五カ年計画が、十兆三千五百億という巨額をもってこのワク内に入ってくるものと予想されます。道路予算が伸びれば、そのしわ寄せをもろにかぶるのは住宅予算ではないでしょうか。すでに指摘したように、住宅需要は、昭和五十年まで急激に伸びることが確実に見通せるのでありますから、昭和五十年までは住宅対策に重点を注ぎ、いやしくも他の強い予算に食われることのないよう、国民生活優先の実があがるよう、住宅に対する適正な予算配分をなすべきだと思いますが、総理のお考えをただしたいのであります。
 次に、当面する農政についてお尋ねいたします。今日、五百六十万農家が等しく危惧と不安の念を持って見つめているものは、いわゆる総合農政と米の生産調整であります。私はこの二点にしぼってお尋ねいたします。
 まず、総合農政でありますが、総理は施政方針の中で、「思い切った構造改善によって農業の近代化をはかる」と述べられました。しかしながら、その内容は至ってあいまいなものであります。総理にお伺いいたしますが、総合農政における構造政策の第一の柱は、自立経営農家を育てるという方針でありましょう。しかし、いまのような高度成長経済が続く限り、第一次産業と第二次、第三次産業との格差は、ますます広がるばかりであります。今後も自立経営農家は減少を続けるものと思われるのであります。いまほど農民が農業に希望を失い、自信を失っているときはありません。自立経営農家を一体どうやってお育てになるのか、総理から直接農民にその具体策をお示し願いたいのであります。
 第二に、総理は、二月二日の新聞記者会見で、農業人口が多いことを指摘され、今度の農業予算は転業資金的な性格を持っていることを述べられました。また、新たに設けられる農業者年金も、わが党の主張とは異なり、農民の転廃業促進の方向を強く打ち出されております。しかし、現在の農村には、農基法農政の結果として、若年労働力は、もはやしぼり尽くされております。残っているのは中高年齢層のみであります。これら未熟練中高年齢層を、わずか十五万円、三十五万円の涙金で農村から追い出しても、これを受け入れる職場が一体どれほどありましょうか。せいぜい臨時工か単純労務しかないではありませんか。社会保障制度の立ちおくれているままに、無理に農民を都会にかり立てても、食べていくことさえできないではありませんか。また、新しいアイデアとして、工場を農村に誘致し、農工一体化をはかるという方針を立てられていますが、はたして新たに進出する産業がありましょうか。また、進出させるためのどんな方法がありますか。政府は、内陸向けの産業として、機械工業、弱電気工業、繊維産業等を考えておられるようでありますが、実はこうした業種こそ技術革新のテンポは早く、中高年離農者の入り込む余地はありません。さらに、このような政策は、押し詰めて考えれば、結局は、農家は兼業に徹底して、農業収入の向上よりも、農業外収入の向上をはかることに割り切ってしまえということになるのではないでしょうか。農工一体政策と自立経営農家の育成とどのように結びつき調和するのか、総理のお考えをお示しいただきたいのであります。
 総合農政のもう一つの柱は、価格政策であります。そして具体的価格政策は一度総合的に検討し直すということになっております。では、一体どのような方向で洗い直すのか。たとえば米にかわる作物幾つかを選び、それぞれに生産費、所得の補償できる価格政策を実行し、ごく自然に米作転換の実をあげようとされるのでありますか。しかし、私にはそう思えません。一方で農産物の輸入を促進しながら、また一方では日本農業の国際競争力を高めるという論議がされているときに価格政策を洗い直すということは、結局、価格水準を切り下げ、国際価格にさや寄せし、いたずらに農民を苦しめる結果になるのではありませんか。総理の御見解をお聞きしたいのであります。
 総合農政の三つ目の柱は、食糧の自給率の問題であります。私はいやしくとも独立国である限り、食糧の自給率は高めるのが当然であろうと思います。しかるに、農林大臣は、自給率のこれ以上の低下を防ぐという、まことに消極的態度のように見受けられます。農林大臣は自給率を高める努力をなさるかどうか。自給率を高めるとすれば、手厚い価格支持制度を必要とするわけでありますが、御見解はいかがですか。また、EECが採用しておりますところの輸入農産物に対する課徴金制度をわが国でも採用する必要があると私は思いますが、どうお考えですか。
 次に、米の生産調整についてお伺いいたします。百五十万トンの生産調整は水田をつぶすことで五十万トン、農家の減反で百万トンと方針がきまったのであります。しかし、この百万トン調整については、ことし一年で、あとはもとに戻すのでありましょうか。あるいは一年以上継続する方針なのか、明らかにしていただきたいと思います。生産調整奨励助成金は来年も出るのかどうか、農家の聞きたいのは実はその一点であります。生産調整に協力するかしないか、転作には永年作物を選ぶか、ことし限りのものにするか、いずれにせよ、助成金の見通しが立たないと、農民は行きどころがないのであります。したがって、これは総理から明確にお答えをいただきたいと思います。
 次に、農林大臣に伺いますが、食管制度の根幹を堅持するとはどういう意味なんでしょうか。農家がいま最もおそれているのは米の買い入れ制限であります。私は米の買い入れ制限をすることは食管制度の根幹をくずすことになると思います。農林大臣は買い入れ制限を行なうおつもりか、また、食管法を変えなくとも買い入れ制限ができるとお考えですか。もし、そうお考えなら、これはゆゆしい事態であると私は思いますが、いかがですか。また、生産費所得補償方式は食管制の根幹のうちに入りますか。伝えられるところでは、四十五年産米について銘柄格差の導入、等級間格差の拡大、検査基準の引き上げ等を実施されるとのことでありますが、これは実質的な米価引き下げになるものであって、食管法第三条第二項に違反し、明らかに食管制度の根幹に触れるものと私は思いますが、あなたの御見解をお尋ねいたします。
 次に、今回の生産調整が一〇〇%成功するとは常識的に考えてあり得ません。この場合考えられるのは、割り当ての減反は消化したが生産量は下がらなかったという場合と、減反そのものが消化できなかったという二つの場合が考えられるのであります。そのいずれの場合も、個々の農家に責任は全くありません。かりに減反に協力しても、豊年という自然現象はコントロールできません。また減反が消化されなかったとしても、それは場当たり農政に対する農家の不信感のあらわれであって、その責任はあげて政府が負うものであり、農家が負うべきものではありません。八百十四億という巨額の予算を組み、目標どおり消化できなかったときの政治責任は、どのようにおとりになるつもりですか。さらに、この結果を口実にして食管制度をくずしたり、あるいは地方自治体や農業団体の勤務評定を行ない、事後の政策において差別するなどということは断じてあってはなりません。農林大臣は、この際いかなる報復措置をもとらないと明らかに約束していただきたいのでありますが、いかがですか。米が余るからといって、農家にのみその責任を転嫁し、農家の犠牲において、その打開をはかろうという政府の姿勢を、わが党は認めるわけにはまいりません。生産調整の前に、まずなすべきは米の消費拡大に全力を注ぐことではなかったでしょうか。私は、とりあえず緊急対策として、現在のような米の需給関係が続く限り、今後も米の輸入を一切行なわないことにすべきであり、また、米の栄養価などに対する消費者の偏見を取り除くための啓蒙活動も必要であると思います。みそ、しょうちゅう、せんべい等の原材料等にも内地米を充てるべきであり、米飯による学校給食はこれを拡大すべきであります。アジアの食糧危機は克服されたとは言えません。アジア各国への援助は、米をもって充てるようもっと積極的に取り組み、また、計画的な備蓄米制度を設け、最低六カ月分は蓄積をし、不時の備えをはからねばならないと思います。
 以上の意見に対し、農林大臣の同意を得られますかいなや、お伺い申し上げます。
 最後に、防衛問題についてお伺いいたします。今度のアメリカの国防予算を見ますと、米国の軍事戦略は急カーブで変化しつつあるように見えます。昨年七月、ニクソン大統領はグアム島において記者会見し、「同盟諸国が核兵器でおどかされる場合、米国は保護の手を差し伸べるが、それ以外の場合は同盟国がみずからの力で守るべきだ」と強調しました。そしてこの方向を裏づけて、新国防予算では戦略核兵器の増強に重点を置きつつ、一方、通常兵力の大削減を行なっております。つまり、いままで民主党政権がとってまいりました柔軟反応戦略を放棄して、一昔前のアイゼンハワー共和党政権下における大量報復戦略に戻りつつあると見られるのであります。また、大方の予想では、たとえ米軍が引き揚げても、いざという場合には、有事出兵という方針をとるであろうと見ていたのでありますが、兵員の大量輸送のためのC5A飛行部隊や、高速輸送船等の計画削減は有事駐留の幅も狭いことを示しており、グアム・ドクトリンがきわめて早いテンポで実施されようとしていることがうかがい得ます。こうした海外部隊引き揚げの動きは当然日本をも例外としないでありましょう。つまり、日本にあっては自衛隊の肩がわりが強くしかも早く迫られてくるのではないかと存じますが、外務大臣並びに防衛庁長官のお考えを伺います。
 従来、政府は、基本的な防衛構想として、核兵器はもっぱら米国に依存するとともに、通常兵力においても自衛隊は守備を担当し、攻撃面は米軍にたよると説明してきたのであります。しかるに、自衛隊が完全に肩がわりをはかるとなれば、従来の防衛構想に変化が生じるのではないかとの疑問が起こってまいります。防衛庁長官の言われる自主防衛構想とは、通常兵器による攻撃能力をも今後は自衛隊に持たせていくとのお考えなのか。あるいは従来、総理並びに歴代防衛庁長官がたびたび国会で表明してこられたように、外国に脅威を与えるようなものは持たない、防衛は専守防御にとどめるという方針を継続されるのか、あるいは局地的攻撃能力はこれから認めていこうとされるのか、私は深い危惧の念を抱かざるを得ませんので、この際方針を明らかにしていただきたいと思います。
 次に、総理にお尋ねいたします。政府は、日本の防衛について核抑止力は日米安保条約にたよると常に言明されてまいりました。この方針と核不拡散条約とは複雑にからみ合うことになろうと思います。この条約を批准するとすれば、日本は核兵器をつくらず、持たずの二原則を国際的に約束することになります。この場合、政府の従来の立場からいえば、核についての日本の安全は引き続き米国の核のかさに依存するということになり、核不拡散条約の期間たる二十五年間は、日米安保条約を継続せねばならぬということになってしまいますが、御見解を伺います。
 総理は、昨年二月三日の衆議院予算委員会において、わが党の江田書記長に対し、現在の国際平和は力の関係で保たれている、それも均衡ではなく自由主義陣営のほうが力においてすぐれておる、そこで戦争が起こらないのである旨お答えになりました。また、参議院予算委員会においても、公明党の二宮文造委員の質問に対し同趣旨の答えをされております。私はこのように軍事力に平和の基礎を置くようなお考えは、この際きっぱり清算をしていただきたいと思います。なぜならば、武器では日本を守ることはできないと考えるからであります。一体、軍備は戦争の抑止力となり得るでしょうか。もし抑止力になるとすれば、今日戦争はもうなくなっていなければならないはずであります。戦争を抑止するのは、突き詰めれば人間の理性であり、軍備にあらずしてむしろ軍備の縮小、撤廃であると私は思いますが、総理はそうお考えになりませんか。また、今日のミサイルの発達は、常に攻撃的兵器が防御兵器を上回るという結果を生み出しております。たとえ百万の戦闘機を備えたとしても、わずか一発の中距離弾道弾を防ぐことができるでしょうか。不可能ではありませんか。また、商船のまわりを十重、二十重に軍艦で取り巻いたとしても、四百マイルの遠距離から艦船攻撃ミサイルを撃ち放つ現代の潜水艦攻撃をどうやって防ぐことができますか。これまた不可能ではありませんか。陸上兵力も同様であります。この狭い国土には一億人の国民が生活しております。この国土の上で大軍を動かし、三〇型ロケットや大口径砲、戦車を駆使しての防衛戦争が成り立ち得るでありましょうか。昭和二十年の沖繩攻防戦では約七万人の日本兵士が倒れました。同時に、巻き込まれて死亡した老人、婦女子等は十五万人以上にのぼるといわれております。防衛というものが国民の生命と財産を守るのである限り、国土を舞台とした防衛戦争は成り立ち程ないと私は思います。このように武力には限界があるということを総理はお認めになるべきではありませんか。同時にまた、自由主義陣営が強いから平和が保たれるとの発想から導き出されるものは、絶えず日本が軍備増強に努力せねばならないという結論であります。もし、日本が社会主義国家を仮想敵国とし、自衛力増強をはかればはかるほど、対象国もまたそれに対応して軍備を増強するということになるでしょう。かくして無限の軍拡競争が始まることになりましょう。そして、いたずらに不信感と敵対感情と緊張のみが高まるでありましょう。このことが日本の平和にプラスになるはずはありません。すでにいまの自衛力増強が、アジアにおいて、社会主義国家のみならず、自由主義陳営に属する国からさえ、軍事大国日本の再現として警戒され疑われ始めていることは総理も御存じと思います。そのゆえに、総理は、この際、防衛力の限界をきわめて具体的に明らかにされる必要があると私は思います。総理のお考えをぜひともお伺いしたいのであります。
 最後に、防衛庁長官は就任以来、新たなる防衛理論を提起されました。従来の防衛庁の考え方では、防衛力が主であり、外交政策はそれを補うものか、あるいはせいぜい並列的にしかとらえられていなかったのであります。しかるに、今回、長官は、日本の安全保障は外交政策を主とするものであり、防衛力は従であるとの立場を明らかにされた旨、新聞で報じられております。もしそれが真実であるならば、われわれとしてもきわめて深い関心を抱かざるを得ないのであります。また、長官の考えられる外交とは具体的に何をさしておられるのか。ただ単に軍縮委員会における外交技術のようなものにとどまるのか。あるいはより広く、日本の周囲から緊張緩和をはかっていくことをさされるのか。さらに突っ込めば、日中国交回復や社会主義陣営との個別的不戦条約の締結までお考えなのか、この際明らかにしていただきたいのであります。
 以上、私は当面の問題を中心にお尋ねをいたしました。総理並びに関係閣僚の真剣なる、かつ明快なる御答弁を期待して私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(佐藤榮作君) まず、前川君からは、第一次住宅五カ年計画の政府の住宅施策の目標が達成できなかったことについておしかりを受けましたが、私もまことに達成できなかったことを残念に思っております。国の住宅政策は、公的資金による住宅建設だけで住宅不足を解決しようとしているものではなく、国の施策とあわせて民間の努力も期待し、それと協調してその建設を進めることを基本としております。したがって、総合的に見れば、計画の六百七十万戸の達成は確実と見られる現状におきましては、建設主体別の区分には必ずしもとらわれる必要はないと考えますが、それにしても、政府の達成すべき目標を達成できなかったことについては、重ねて残念だったことをこの機会に申し添えておきます。政府は、四十六年度以降も引き続き第二次住宅建設計画を策定し、意欲的に住宅問題に取り組んでまいる決意でありますが、計画の策定にあたっては、住宅宅地審議会の答申を待って御要望の趣旨に十分沿い得るものとしてまいる考えであります。
 次に、予算面での配慮について御要望がありましたが、昭和四十五年度予算におきましては、住宅対策の伸びは道路整備費や公共事業全体の伸びをかなり上回るものとなっておりますので、この点は御安心を願いたいと思います。今後も所要の財源の確保については努力する決意でございます。
 次に、農業の問題についてお答えをいたします。まず、自立経営農家についてのお尋ねでありますが、何といいましても、農業の中核的なにない手として自立経営農家が育っていくことが農業全体の健全な発展のために望ましいことは御指摘のとおりであります。そして、その育成には近代的な農業の建設が何よりも必要であり、農地法改正をはじめとする構造改革政策や農業基盤整備を促進し、新しい農政の展開の中にその健全な育成をはかってまいります。すなわち、具体的に申しますならば、生産性の高い近代農業をつくることだと、かように考えております。
 また、離農対策につきましてのお尋ねがありましたが、今回新しく創設することとした農業者年金は大きな役割りを果たすものと期待されます。また、労働省におきましても、野原新労働大臣のアイデアにより援助措置強化のための予算を新たに計上いたしまして、職業相談、職業訓練を充実しているところであります。
 また、農地に対する工場誘致は、過疎、過密対策の一環として進めていかねばならぬものと考えます。このため工業団地造成に対する助成や融資等の措置を強化するとともに、農地法の運用緩和を行なうこととしております。なお、工場誘致は自立農家育成の方針と矛盾するのではないかとの御意見でありましたが、私はそのようには思っておりません。兼業農家は兼業農家として安定し、所得の向上をはかることも一つの重要な施策でありますし、また、その離農あと地は自立経営農家の育成に役立つところであると考えます。
 次に、農産物価格政策についてでありますが、長期的に見て国際的価格の動向を勘案しなければならないのでありますが、一面において、生産者、消費者を含む国民的合意の得られる安定的かつ適正な水準であることが必要であり、このような適正な価格政策の運用につとめてまいる所存であります。
 次に、米の生産調整は一年限りのものであるかどうかということについてのお尋ねがありました。米の過剰はきわめて重大な段階に立ち至っております。そういう意味で、ここ一両年で片のつくほど容易な問題であるとは考えておりませんが、新しい農政への展開のもとに、農民諸君、農業団体、地方公共団体等の直接関係者はもちろん、国民一般の御理解、御協力を得て、むしろこのような生産調整という非常事態はなるべく早く解決できる、解除できるようつとめてまいりたいと考えます。
 なお、生産調整奨励金を含め四十六年度の具体的措置については、四十五年度の実情、実施状況を十分見きわめた上であらためて検討いたしたいと思います。特にお尋ねがありましたので、私からこの点を明らかにしておきます。
 次に、グアム・ドクトリンについて、また、いろいろ防衛問題についてお尋ねがありましたが、主として防衛庁長官からお答えすればいいことかと思いますが、私はこの中でまず申し上げておかなければならないことは、ニクソン・アメリカ大統領のいわゆるグアム・ドクトリンによって、自衛隊の性格が攻撃的なものに変わるおそれはないかということであります。この点は防衛庁長官から、また外務大臣等からもお答えいたしますが、お尋ねになりましたことは、私どもにも非常に関心のあることでございますから、基本的な考え方を一言触れておきます。
 申すまでもなく、わが国憲法のたてまえから申しましても、防衛の基本方針は専守防御である。その性格が変わるようなことはございません。憲法が変わらない限りさようなことはないのでありますし、また、佐藤内閣としてはただいま憲法を改正する考え方を持っておりません。はっきり申し上げておきます。
 以下の点は、防衛庁長官からお答えすることにいたします。
 次に、核防条約と日米安保条約との関係についてお尋ねがございました。わが国の核防条約への署名と日米安保条約との関係についてのお尋ねでありますが、核防条約への署名と日米安保条約堅持という方針とは直接関係はございません。安保条約をいつまで堅持するか、これは国民の選択の問題であります。なお、核防条約では、異常な事態の発生により、自国の至高の利益が危うくされると認められるときは脱退ができることになっていることは御承知のとおりであります。これではっきりいたしておるかと思います。
 防衛力の限界いかん、あるいは防衛戦争等についてのお尋ね等がございましたが、基本的な態度をはっきり申し上げて、私のお答えといたします。(拍手)
   〔国務大臣根本龍太郎君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(根本龍太郎君) 私に対する御質問は三つあったと思います。
 まず第一は、現在の第一次住宅五カ年計画六百七十万戸、これは実際の必要量に比べて少なかったではないか。この事実にかんがみて、第二次住宅五カ年計画は相当大幅の計画を立てなけりゃならぬであろう、その数は大体どういうふうに想定するか、こういうようなことが第一点だと思います。御指摘のとおり、現在の住宅五カ年計画は、四年前に計画されたその時点に比べれば、必要量が相当多くなったことは事実でございます。これは、御承知のように、急速なる都会に対する人口の集中と、核家族化したことが非常に住宅需要を増したのでございます。第一次五カ年計画を設定するときには、若干この点については予想が違っておったということは事実でございます。将来についての住宅の数でございまするが、これは現在明確にこの段階で申し上げることは困難でございます。これは、住宅統計調査の資料と、それから、さらには住宅宅地審議会の答申を得まして、慎重に考慮いたしまして、今後の住宅の需要に対する見通しをでき得るだけ確実に把握した後きめたいと思っています。ただし、そのために、御提言になったように、相当の決意をもってこの住宅供給をしなければならないということについては御指摘のとおりでございます。
 その次の御質問は、一世帯一住宅の方針を進めるということは、長期計画としてはうなずけることではあるけれども、当面の住宅事情からするならば、現在一番困っておる低所得者、特にこれらの人々のために、公団あるいは公営等、公的施設に基づく貸し家住宅を重点にすべきではないか、こういう御指摘でありました。そのとおりでございます。したがいまして、今回の予算においても、先ほど総理からお答えありましたとおり、他の公共事業費の伸び率に比べれば、かなりの措置を講じたつもりでございます。しかし、先ほどの第一問に対するお答えで申し上げましたとおり、住宅需要は、低所得者階級のみならず、ほとんどあらゆる人々の住宅需要が多いのでございまして、これをすべて公的な財政でまかなうことはとうてい不可能でございます。そこで、できるだけすべての人々に快適なる住宅を持っていただくためには、広範な施策が必要でございます。すなわち、これだけの経済力のあるわが国でございまするので、民間の資金あるいは民間の創意くふうを住宅政策に相当大幅に導入することが必要であると存ずるのであります。そのために、住宅ローンを相当大幅に活用すること、あるいは住宅金融保険制度を強化していくというようなこと、さらには、各企業において、その従業員に対する持ち家政策を促進するというようなこと等も進めたいと思うと同時に、現在のように、大工さんや左官の非常に人手不足の今日でございまするので、たとえ、お金を持ちましても、そうした建設労務の不足のために、非常に住宅造成がおくれておるのであります。そのために、今後は住宅の工業化でございます。プレハブをもっと進めた工業化を促進することによりまして、住宅労務者の不足による住宅建設の阻害を、できるだけこれは減らしてまいりたいと、かように考えているのでございます。
 第三の点は、現行の公団、公庫の住宅の予算単価が低過ぎやせぬか、そのために、結局、でき得るだけ安い土地を得るために、相当遠隔のところに土地を求める。その結果が、夜勤あるいは早朝勤務するそれらの勤労者の方々の需要に非常にこれはそぐわなくなっている。この点を解決するためには、どうしても市街地あるいは都心に近いところに宅地を求めて高層化を促進すべきである、こういう御指摘でございます。その点はそのとおりでございます。政府といたしましても、まず、工場あと地、あるいは国、あるいは公共団体の持っております土地を活用して、これを高層化するという方針を進めておるのであります。明年度予算におきまして、高層住宅建設戸数の一例を申し上げますれば、公営住宅において、本年度は三千戸でありましたが、予算では一万三千戸にしました。改良住宅、本年度一千戸に対して三千戸、公庫住宅が、本年度三千七百戸に対して四千二百戸、こういうふうに、御指摘の点は全く同感でありますので、このような施策をとっている次第であります。(拍手)
   〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(倉石忠雄君) お答え申し上げます。
 食糧の自給率についてお話がございました。御存じのように、おもな食糧は、大体平均していま八三%前後でございますが、小麦が三〇%そこそこであるものを除きましては、大体その程度、主食の米は一〇〇%以上であることも御存じでございますが、私どもといたしましては、小麦のような特殊なものはいろいろ困難もございますが、その他の問題については、なるべく自給度を落とさないようにいたしたいと思っておるわけであります。大体、一億の国民をかかえておる国が、できるだけその食糧は国内でまかなうということが望ましいことでございます。
 御指摘のように、そういうことのためには価格政策が大事なことではないかというお話で、御同感の至りでありますが、価格政策につきましては、昨年の九月、農政審議会の答申にも、これについて検討せよという御意見もありますので、いま政府は、そういうことについて鋭意検討いたしておりますが、何しろ食糧の価格につきましては、生産者の生活安定もございますけれども、一億の国民みなが消費者でありますので、そういう立場からも相互関連して研究をいたしておる次第でございます。自給度はできるだけ維持してまいりたいと思っておるわけであります。
 それから、食管法を変えなくても買い入れ制限ができると考えるかというお話でございましたが、米の政府買い入れは食糧管理法第三条一項の規定に基づいて行なっておるものでございまして、同条の規定は、「国民食糧ノ確保及国民経済ノ安定」という同法の目的を達成するため、政府が直接管理する必要のある米を政府に売り渡す義務があることを規定いたしておるわけでありまして、必ずしもこの法によって政府に無制限買い入れの義務があるということを規定いたしておるわけではございません。したがって、米の買い入れ制限は、その限りにおいては直ちに食管法の改正を要するものではないと理解いたしております。
 それから、生産費の所得補償方式は根幹のうちに入るかというお話でございましたが、御存じのように、米の政府買い入れ価格は米の再生産の確保を旨として定めるべきことと食管法に定めてあります。これが食管制度の根幹であると考えておるのでありますが、その趣旨を達成するための算定方式は一つに限るというわけではございませんので、生産費所得補償方式というような特定の価格算定方式、これだけが食管制度の根幹であるとは考えておらないわけであります。
 それから、格差についてどのように考えるかというお尋ねでございましたが、米が過剰になりましてから、銘柄格差の導入、あるいは等級間格差の拡大、検査基準の引き上げを実施せよというふうな、いろいろな御意見がございますが、ただいま私どもは、等級間格差については拡大の方向について研究をいたしておりますが、銘柄格差、それから規格検査の改正等につきましては、いろいろ問題がございますので、ただいま鋭意研究を続けておるという最中でございます。
 それからもう一つは、このたびの生産調整が失敗したときにどうするかというお尋ねでございますが、来年度実施しようといたします米の生産調整対策は、申すまでもなく、米の過剰に対処して緊急に米の需給の均衡をはかるためのものでございまして、政府といたしましては所期の目的が達成されるように最善を尽くしておるわけでございます。前川さんも御存じのように、いまたいへんな時期であるということを、米つくりの農家の人々は全部認識しておるばかりじゃございませんで、農業団体、それから全国知事会、あるいは市町村長会並びに市町村議長会というような、地方のあらゆる団体がしばしば会合いたしまして、最終的にその御決定となりましたのは、ただいま政府がとりました方針は、全面的に協力してその実現をはかるという、こういうことで熱心に着手していただいたわけでございますので、こういうふうなやさきに、できなかったときはどうするかなんということはしばらく申し上げないで、御期待申し上げておる次第でございます。それから、当面の米の過剰対策について、小麦輸入の抑制や、学校給食の増大等による消費拡大、アジア各国への援助等は米でやったらどうか。全く同感でありまして、実は韓国、インドネシア、パキスタン等にはすでに現物の米で供与をいたしておりますし、政府は学校給食を鋭意進めております。玄米パンなんというのはたいへんよくできまして、いま学校の子供たちでも評判がとてもいいものがございますので、そういうものにも力を入れておるわけでございます。
 ただ、輸入のことでございますけれども、輸入は、御承知のように、わが国で生産不足しておりますモチ米だけは若干入れますけれども、あとのものは米として輸入いたす考えはございません。
 それから、小麦はやめたらどうだというお話でございましたけれども、これは、小麦からとれるパンその他が、もう日本人のおなかに定着している分がございますので、それをしも拒否するということは、いろいろ反響もございますので、そういう点については、にわかに採用することはできませんが、過剰米対策は、政府が鋭意努力を続けてまいる次第でございます。お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(愛知揆一君) 本年初め以来、アメリカ大統領が教書を次々と出しておりますが、そのいずれにもグアム・ドクトリンに触れておるわけでございます。いまさら申し上げるまでもございませんが、その趣旨とするところは、一国の防衛はその国が第一義的責任を負うことを期待するけれども、同時に、米国としてすでになされている条約上の約束を順守する態勢にあることを保証するというのがその趣旨であって、アメリカとしてはそのために必要な軍事力は引き続き維持する態勢にあるわけでございます。したがって、日米安保体制の背景となるアメリカ側の考え方あるいは国際的な環境というものは基本的な変更はないと、こう考えるべきではないかと思います。で、けさの新聞に出ておりますように、昨十八日のニクソン外交教書に日本に関する部分がだいぶ出ておりますが、日本に関する部分につきましては、先の日米共同声明の文言と同じような趣旨のことが出ておるところから申しましても、いま申しましたことは明らかではなかろうかと思いますが、なお、このニクソン外交教書におきまして、日本に関するくだりにおきまして、日本国民の深い関心事と矛盾する責任を求めないということがありますことは、注目に値するところかと思います。
 それから外交の基本方針について、これは私に対する御質問も含まっておったかと思いますので、一言いたしますが、これは外交演説で申しましたように、私は外交政策の基本はあくまで国際緊張緩和ということである。で、私はよく「平和への戦い」ということばを使わせていただいておりますが、この「平和への戦い」ということは、あえて軍縮等ということだけではなくって、その節も申し上げましたように、イデオロギーを異にする国をも含んで、いずれの国とも友好親善関係でありたい。また、南北問題の解決に努力を新たにしたい。国連軍縮についてこれまた努力を新たにしたい。そして、各種の国際交流を活発にしたい。この四本の柱において「平和への戦い」を戦ってまいりたい、これが私は日本の今後の外交政策の基本であろう、ここに努力を集中してまいりたい、かように考えておるわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(中曽根康弘君) 前川議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、あなたと意見の一致すると思われる部分から申し上げます。
 日本の安全保障について外交的手段が重要であると言われたことについては同感であります。外交とは何かという御質問でありますが、私の解するところでは、外交とは、今日においては、国際平和の形成への国家的努力である、人類文明擁護への国際協力である、そういう非常に重要な問題であると考えています。核兵器時代にあっては、人類の運命は、この各国の外交的努力の力にかかっているとすら私は考えております。
 第二に、戦争を防止するのは、人間の理性と相互理解による軍備縮小であるという部分についても共鳴いたします。これらの意味は、総理大臣の施政方針演説におかれても述べられておられるので、御清読をお願いいたします。しかし、現実の国際関係は理性や外交のみでは動いておりませんのはまことに遺憾であります。現実には、核兵器を伴わない国際紛争が存在しておりまして、中近東や朝鮮半島のような例を見ても明らかであります。このことは、平和を国民のために維持するためにわれわれは無視できない現実であります。したがって、これらの暴力に対処する必要最小限の防衛力は日本においても必要であり、国際的に通用している常識的な平和維持の体制を日本もとるべきであります。
 しからば、その限界はどうであるかという御質問でありましたが、日本国憲法の命ずるところによりまして、明らかに日本の自衛行為や自衛力には限界があると思います。日本国憲法では自衛権は認められております。また、自衛権を保障するに必要な自衛力も認められております。したがって、自衛隊は合憲であります。しかし、文民優位を徹底するということ、それから非攻撃性の装備でなければならないということ、徴兵を行なわないということ、海外出兵を行なわないということ、これらは日本国憲法の命ずるところであると解します。
 それから政治上の取り扱いといたしまして、政府が非核三原則を厳守し、維持しているということを言明しているということも事実であります。
 なお、こういう国政全体のバランスから見ますと、防衛費の限界ということが出てまいりますが、私の解するところでは、社会保障費、教育研究費、公共事業費とのバランスないしはパリティをよく考える必要があって、これらの費用を平常時においてはオーバーしないようにするという考慮が必要であると考えます。
 なお、日本国憲法におきましても、集団安全保障の体制は認められておると思います。現にそのとおり実行しております。ただし、集団安全保障の場合に、双方の行なう協力には憲法上の限界があるということも、厳然たる事実であります。
 次に、グアム・ドクトリンの問題が出ましたが、グアム・ドクトリンによって米軍の肩がわり云々と言われましたが、肩がわりの意思も事実もございません。元来、自分の国は自分で守るべきであり、足りないところは友邦と協力し合うということが現代国家の普通の姿でありまして、そのような国家としての自然体、本来の姿を顕現していくべきものであります。問題は、国民の一部に、一体日本の自衛隊、安全保障というものはアメリカの戦略の手先ではないかとか、そういうような一部の誤解があるのでありますけれども、問題は、日本本位の、日本のための独自の安全保障体制を確立して、その上に立って集団安全保障、日米協力の態様、すなわち提携の内容と限度が明確にされる必要があるということであると思います。これらのことにつきましては、御質問があり次第、おいおい御答弁いたすつもりであります。
 なお、私は日本国憲法の命ずるところに従い、従来どおり専守防衛を目的とする日本独自の安全保障体制を整え、平和憲法下における独立国家として当然行なうべき努力を遂行しようと思っております。
 重ねて申し上げますが、平和維持は国の総合戦略のもとに行なうべきで、その際外交が常に優先して活躍すべきものであり、防衛は、背後でぎりぎりの線を謙虚にかつ厳然として守るべきものであると心得ております。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○副議長(安井謙君) 野坂参三君。
   〔野坂参三君登壇、拍手〕
#34
○野坂参三君 いま国民が大きな関心を持っている問題の一つは、一九七〇年代において、世界、とりわけアジアの中で、わが国がどのような道を進んだらいいかと、こういうことであります。総理は、施政方針演説で、平和に徹する外交、この政策の推進に努力すると述べておられますが、はたして政府の進めている外交は平和の名に値するものでありましょうかどうか。以下、私は日本共産党を代表して、総理の所見をただしたいと思います。
 第一に、政府の外交の基本的な態度に関してお伺いしたいのは、各国人民の自決権の問題であります。言うまでもなく、国と国との友好的で平和な関係は、それぞれの国民が持っている固有の自決権を互いに認め、尊重することによって初めて確立することができるのであります。国連憲章も、人民の同権及び自決の原則の尊重を強調しております。この自決権の原則とは、各国の社会制度、政治体制は、その国民の自由意思によってきめられるべきだということであります。アメリカの独立宣言が、いかなる政府の形態でも、人民はそれを改廃し、新たな政府を組織する権利を有すると述べたのも、まさにこの精神と共通するものであります。きょう、私がここにあらためてこの問題を取り上げるのは、最近の政府の政策や、政界、財界首脳者の発言などに、この民族自決の原則に正面から挑戦するような傾向が露骨になっておるからであります。また、このことが一九七〇年代の日本の進路に重大な影響を与える問題だからでもあります。たとえば自民党内には、釜山に赤旗が立つようなことを対岸の火災視することはできないと、内政干渉を公然と唱える人があります。しかし、どのような政府、どのような体制を選択するかは、その国の人民の固有の権利に属することであって、これに日本が自国の安全を口実にして干渉するなどということは、明らかに民族自決の原則を否定するものであります。これについての総理の見解をただすとともに、一体、総理は諸国民の自決の原則を今後一貫して尊重する用意があるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
 第二に、今日のアジアにおける緊張の根本原因が、太平洋を越えてアジアに大軍を送り込んで、諸国人民の自決権を侵害しておるアメリカ政府の一連の行為にあることは、事実によってますます明白となっております。すなわち、ジュネーブ協定を踏みにじってベトナムに武力介入したアメリカは、一九六四年、ベトナム民主共和国の軍艦が米軍艦に公海上で武力攻撃を加えたとして北爆を開始しました。ところが、それは全く架空の事件であって、戦争拡大の口実をつくるための米軍部のでっち上げであったことは、御存じのように、アメリカ議会の調査によっても明らかにされております。台湾や朝鮮についても事態は本質的に同様であります。台湾では、一九五〇年にトルーマン大統領が、台湾問題は中国の内政問題であって、これに干渉する意図を持たないことを声明したにもかかわらず、その後のアメリカ政府は、みずからのこの声明を踏みにじって、第七艦隊を派遣し、公然と軍事干渉を行なったのであります。朝鮮でも、アメリカ軍は国連軍の名で軍隊を派遣して武力干渉を行ない、一九五三年の軍事停戦協定成立後も、協定できめられた外国軍隊の撤退と平和解決の方針に反して南朝鮮に居すわったのであります。どの事実をとっても、アメリカが自決権を侵し、国際法を無視して平和を踏みにじっている元凶であることは明らかではありませんか。もし、総理が、国連憲章も認めている自決権と国際平和を尊重するというならば、当然このようなアメリカの行為をきびしく糾弾する義務と責任があります。この点について、総理の態度を私はただしたいと思います。
 第三に、一そう重大な問題は、さきの日米共同声明以後、わが国自体がニクソンの新戦略に積極的に追随し、かつての満州生命線論同様、韓国と台湾を日本の生命線と見立てて、アジア諸国の民族自決に対する干渉の道に、再び公然と乗り出しているという問題であります。総理は、昨日のわが党の米原議員の質問に対する答弁などで、「韓国や中華民国の安全が侵されればわが国の安全にとってもゆゆしきことだ」と言っておられます。これは、戦前の軍国主義者が、朝鮮や満州を帝国安全のかかるところ、日本の生命線だとみなして朝鮮の植民地化や中国への侵略戦争を強行したあの論理と全く同じものであります。違うところは、ただそれが今度は、アメリカのアジア侵略政策、ニクソンの新戦略と一体となって進められている点であります。現に、本日発表され、先ほど外務大臣も触れられましたアメリカの外交教書、この中で、ニクソン大統領は、日本とアメリカの協力関係をアジアにおけるニクソン・ドクトリンの成功のかぎだとして、日本の積極的な協力を重視しております。日本共産党は、戦前の日本軍国主義の侵略戦争に一貫して反対したただ一つの政党であります。私は、この生命線論の結果が、アジアの諸国民に甚大な被害を与え、三百万人以上の日本国民の生命を犠牲にしたという歴史の教訓を踏まえて、総理に対し、この危険な道を進むことをやめ、日本の独立と安全、アジアの平和と諸民族の自決権を尊重する道を選ぶことを強く要請するものであります。
 安保条約の固定期限が切れる六月を前にして、一九七〇年の重大なときにあたり、日本共産党は、真に日本とアジアの平和を確保する道は、安保条約の廃棄と、核も基地もない沖繩の全面返還を実現して、日本を平和、中立の国家とすることであり、さらに、すべての軍事ブロックの解消と、真の集団安全保障体制の確立を主張するものであります。
 最後に、私は、いま大きな問題になっている出版妨害の問題について、総理にたださなければなりません。総理は、本国会において、「言論、出版の自由が不当に抑圧されていることがないよう、政府として十分配慮する」、こう繰り返し言明されております。ところが、昨日、わが党の米原議員が、公明党、創価学会から出版妨害を受けた多数の被害者の訴えを具体的に提起したのに対しては、総理は何一つ明確な具体的な答弁を行なっておりません。特に、米原議員が、自民党の田中幹事長の出版妨害、言論買収への介入という重大な疑惑について総理の所信をただしたのに対しては、答弁を回避したのであります。それだけでなく、「個人の名前をあげることは慎しんでいただいたほうがいい」と述べ、反対に、質問者への非難をもって答えたのであります。田中角榮氏は単なる個人ではありません。自民党の諸君がよく御存じのとおりです。与党自民党の幹事長といえば国政に重大な責任を負う要職の一つであります。その人物に出版妨害への介入という疑惑がかかり、当人も、「おせっかいをやいた」と言って、介入の事実そのものを認めたという事態は、決して個人の私事に属することではありません。それは政府、与党全体の責任にもつながる国政上の重大問題であります。もし、言論、出版の自由を擁護する政府の責任についての総理のことばが真実のものであるならば、進んで直ちにその真相を究明し、事の是非を国民の前に明らかにするのが当然であります。ところが、総理は、それをしないばかりか、国会での質問にしても、個人の問題だと称して答弁を回避し、責任のない態度をとっておられます。総理のこうした態度こそは、総理が施政方針演説で民主主義軽視の風潮を厳に戒めておきながら、みずからそれにそむくものと言わざるを得ません。
 そこで、私は総理にあらためて次のことをお尋ねします。第一に、総理は、藤原弘達氏や内藤国夫氏その他多くの被害者が訴えている公明党による出版妨害について、国会で真実を究明すべき重要問題とは考えていないのかどうか。
 第二に、総理は、自民党幹事長に出版妨害への介入という重大な疑惑が寄せられていることを知っておられたのかどうか。もし知っておられたとしたら、出版の自由に責任を負う政府の総理として、その真相究明の努力をされたのかどうか。
 最後に、この問題の真相を国会の場で、ここで国民の前に明らかにする用意があるかどうか、総理の明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 自由を守り平和に徹し、他国の内政には干渉しない、いずれの国とも仲良くするというのがわが国の外交の基本方針であることは、すでにたびたび申し上げておりますので、御承知のとおりであります。それぞれの国のその国の政治体制は、いま御指摘になりましたが、言うまでもなく、それぞれのその国民の自由な意思できめることは当然であります。諸国民の自決の原則は、その意味において尊重されなければなりません。この点では、共産党と私と意見が一致しておるように思います。米国もまた、アジア諸民族の自決権を尊重し、それを擁護することを基本政策としております。ベトナムにおきましても、南ベトナム人が北越からの武力介入なしに、選挙を通じ、自由にみずからの将来を決定し得る環境をつくるために、南越政府の要請に基づいて南越に対し支援を行なっているものであります。したがって、米国の行為は、自決権の侵害ではなく、野坂さんの主張とは逆に、これこそ自決権の尊重であり、その擁護そのものであると私は考えます。
 次に、日米共同声明は、日米両国がともに民主主義と自由の原則を指針として、世界の平和と繁栄の不断の探求のため、特に国際緊張緩和のために両国の協力を維持強化していくことを明らかにしております。韓国や中華民国のごとき近隣諸国の安全は、申すまでもなく、わが国の安全にとってきわめて密接な関係があります。万一、その安全が侵されるような事態が発生すれば、まさしくわが国の安全にとってもゆゆしきことであります。隣に問題が起これば、私どもはこれをゆゆしき問題にするのはあたりまえであります。このような場合に、わが国が自主的判断に基づいて事前協議を適正に運用し、前向きの態度をもって事態に対処することは当然であります。満蒙防衛論と同様だというようなお話がございましたが、韓国、中華民国、それぞれ独立国であります。りっぱな独立国であります。それを、わが国の生命線などと、かように申すことは、これはとんでもないことであります。したがって、発想的にも理念的にも戦前の満蒙防衛論とは本質的に違うということを野坂さんもぜひ御理解していただきたいと思います。私は、わが国の憲法のたてまえから申しましても、自衛隊の海外派兵などということはあり得ないのでありますから、いたずらに国民を不安におとしいれるような言辞を弄すべきではないと思います。大政党である日本共産党の諸君に対しましても、どうかその点をはっきり、憲法を守れ、こういうことを申していただきたいと思います。
 次に、言論、出版の妨害問題についてのお話であります。昨日、衆議院で米原君にお答えいたしましたとおり、私どもは、民主主義は国民のためのものであり、言論の自由があり暴力が否定されてこそ、民主主義は健全な発達を遂げるものであります。言論、出版の自由は、憲法上保障された権利であります。政府としては、言論や出版が不当に抑圧されることのないよう十分配慮してまいりたいと考えます。
 そこで、具体的に私の自民党の幹事長の問題についてお尋ねがございました。私は総裁でございます。幹事長がどういうことをしているかよく話は聞いております。私自身が、ただいま幹事長のやった事柄を、この際に、いわゆる言論の圧迫、こういう形で取り上げるべき筋のものでないということをはっきり申し上げて私の答弁を終わらしていただきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#36
○副議長(安井謙君) 山田勇君。
   〔山田勇君登壇、拍手〕
#37
○山田勇君 佐藤総理、お疲れさまでございます。長時間にわたっての御答弁、まことに御苦労と存じますが、本日最後になりました私の質問に対しましても、誠意をもってわかりやすくお答え願いたいと思います。
 さて、六十一国会の幕切れは、いまだに思い出してもりつ然とするものがあります。強行採決、審議拒否、与野党の硬化したパターンの繰り返しは、遂に大学措置法でその頂点に達し、国会を取り巻く立法反対のデモの中で、あたかも議会制民主主義の最後にとどめを刺すごとく、実質審議ゼロのまま、参議院議長は法案の可決、成立に断を下しました。マスコミはこぞって政府与党の独裁化を攻撃し、国会の形骸化を訴えました。参議院の良識も国会の権威も、さらに戦後長年にわたってつちかってきた民主主義さえも、一朝にして崩壊したのではないかと思ったのであります。もちろん、国会の内外から国会運営正常化の声はほうはいとしてわき上がりました。しかしながら、総選挙を経て今日に至る間に、いつとはなく国会正常化の機運は薄れたように見受けられるのは、まことに残念なことであります。われわれは、ここでいま一度深く国民の前に反省し、選良の名に恥じぬ国会運営に心をいたさなければならないと思うのであります。
 さて、国会の正常化には正副議長の党籍離脱、議長の権限強化等、具体的な国会法の改正はもちろんのことでありますが、一方、私は別の面から深く掘り下げた正常化への道を探求することも重要ではないかと思うのであります。総理は、施政方針演説の冒頭で、「総選挙において示された国民各位の支持と信頼にこたえるべく」云々と申されておりますが、何となくそらぞらしく独善的に聞こえたのは、私一人ではなかったと考えるのであります。国会は、いまや国民から遠くなり、政治不信はますます蔓延する傾向にあります。このことは、昨年末の総選挙が戦後最低に近い投票率であったことがはっきりと物語っておるのであります。さらに、与党たる自民党の得票率が過半数を割りながら、三百という大量の議席を保持している矛盾に考えをいたすとき、現に行なわれている政治の欺瞞性を強く感じないわけにはおられません。そこで、真に議会制民主主義を守り、国民の総意に基づく国会運営を期するならば、直ちに次の二点を実行に移す覚悟と決断を総理に強く求めるものであります。
 その第一点は、すでに幾度となく問題になりながら、一向に具体的な方策として進展しない政治資金規制強化の問題であります。昨年暮れの総選挙におきましては、十当七落というようなことばがちまたにはやりました。一億円ならば当選、七千万円では落選といった声がささやかれていました。もしこれが事実とすれば、私にはどうしてそんな多額の金が必要なのかさっぱりわかりません。また、財界から約二十五億円の金が国民協会を通じて自民党へ総選挙の資金として調達されるというような新聞記事が目にとまりましたが、国民の目には政府与党と財界のつながりに釈然としないものを感じるのは当然のことと思うのであります。選挙にはある程度の金はかかる、その資金調達の必要性もわかるのではありますが、多額の金を集め、選挙に使うことが選挙の勝利につながる可能性が強いとすれば、国会や政治が一部の特権階級に独占支配されるおそれなしとは言えないのであります。これでは議会制民主主義の前提となる政権の移動は存立いたしません。政治資金の規制を強化することによって、各党、各候補者の資金面での不平等をより少なくすることが、選挙を明朗にし、公正にする一つの大きな手段であることに間違いはありません。昨年一月三十一日に、第二院クラブ青島議員も政治資金規制について総理に質問を行なっておりますが、その際、総理は、どうしても法案を成立させたいと、強い決意を述べられました。また、一歩でも前進して、改善の方向で取り組むと申されましたが、今回の施政方針演説の中に一言もお触れになっていないのはどういうわけでしょうか。
 第二点は、衆議院並びに参議院地方区の定数是正の問題であります。このことは、有権者の一票の重みが選挙区によって非常に大きな開きがあり、たとえば大阪三区では十二万一千余票を獲得しても落選し、千葉二区では三万二千余票で当選している。この例は極端ではありますが、このほかにも人口の多い選挙区が人口の少ない選挙区のほうより議員定数が少ないといった矛盾も指摘されております。総理も、新年の記者会見で、有権者の多い選挙区が激増しており、小選挙区だ、何だかんだという前に、定数是正が最も必要だと申しておられましたが、秋田自治大臣は、第六次選挙制度審議会で衆議院の定数是正について諮問する意思のないことを述べ、さらに参議院地方区については答申がおくれそうな気配でありますが、これでは総理のお考えと全く逆なものであり、さらに国民の期待を裏切るものと言わなければなりません。
 以上二点について、改正法案提出等、具体的な方策を国民の前に示し、国会正常化への総理の積極的な熱意を披瀝していただきたいのであります。
 続いて大蔵大臣にお伺いいたします。
 大臣は、財政演説の中で「消費者物価のみならず比較的安定していた卸売り物価にも上昇傾向が見られ、物価の動向には楽観を許さないものがある。」、また、「成長経済政策を進めながら物価安定を確保することはきわめて困難なことである」と認めておられ、また四十五年度予算編成にあたり、当初は警戒中立型と口をすっぱく申しておられましたが、でき上がった予算案は景気刺激の超大型インフレ予算となっております。物価高に悩む庶民にとって、経済成長に重点を置き、国民生活を犠牲にしている予算案に怒りを覚えるものであります。
 さて、具体的に一、二お伺いいたしますが、老人や母子世帯、また身体障害者の生活扶助基準引き上げについてでありますが、大蔵原案では、前年度に比べわずか一〇%のアップしか内示されず、その後の復活要求でやっと一四%に引き上げられたとはいうものの、厚生省要求の一六%はもちろん、政府見通しの個人消費支出伸び率の一四・六%をも下回るということは、全く了解に苦しむものであります。また、施設の老人、子供、身障者などの飲食費についても、大蔵原案は前年比五・八%アップに押えられ、これも一応、政府案では四十四年度並みの九・一%に引き上げられましたが、自衛隊創設以来の大幅な防衛費の引き上げがすんなりと認められるのに比べ、どうして大蔵省は力の弱い人々に冷たい仕打ちをするのか、お伺いしたいです。
 佐藤総理は施政方針演説の中で、「経済繁栄の恩恵にあずかることの少ない老人、母子家庭など恵まれない人々に対して、あたたかい充実した手を差し伸べなければならない」と申されております。施設の保母さんや寮母さんの増員要求、また施設の改築、老人ホームの増設、老人医療の無料化、児童手当の早期実現等、大蔵大臣の理解ある前向きの姿勢を示していただきたいのであります。
 さて、もう一点は、例年のことで年中行事化しておるようでございますが、国民にとって何とも腹の虫を押えかねるのは、予算編成過程における予算の分取り合戦であります。国民の血と汗の結晶ともいうべき税金が、一部圧力団体や地方の陳情団によって、かって気ままに山分けされているような感じを受けるのでありますが、もちろん地方の窮状を訴えて予算措置を願うのは決して悪いことではありません。しかしながら、新聞の社会面にまで報道されているように、各地方自治体からはその長を先頭に、二万人にも及ぶ陳情集団が国会周辺にひしめき、その経費は、陳情先の関係各省庁に対するみやげ、接待費、それを合わせて数十億円にのぼる金が自治体の会計から浪費され、その間の行政機能の低下などを考え合わせますと、まさに常軌を逸していると申さなければなりません。このような編成プロセスの一面を持った予算案に対し、たとえ失言とはいえ、野党に予算修正の余地なしと言った総理発言は、国会軽視もはなはだしいと憤慨するものであります。また、陳情行動も、見方によれば政府の意図するとしないとにかかわらず、民主主義に反した中央集権化につながるものと思うのですが、大蔵大臣は、このような陳情行動についてどのようなお考えか、率直な御所見をお伺いいたします。
 短時間で意の通じないところもあったかと思いますが、所信をまじえた私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(佐藤榮作君) 山田君にお答えいたします。
 前国会を顧みながら、今国会、そういうことが過去のようであってはならない、政治は確かに日に新たに心改めてほんとうに国民のための政治をするということで取り組んでいきたいと思います。
 そこで、私が申し上げるまでもなく、選挙が民主主義の基盤でありますし、民主主義を発展させるためには、公正で自由に表明された国民の意思が正しく国政に反映されるような制度の確立が必要なことは申すまでもありません。私がいま担当しておりますものは行政府の問題であります。ただいま御指摘になりました点は、主として立法府で処理される問題だと思っております。もちろん、私は同時に政党の総裁でもありますから関心ないとは申しません。また、施政演説で申しましたように、これらの条件を整備することについて、政府自身ももちろん考えていくということを申しておりますから、その辺は「おれ知らぬ」ということじゃございません。私自身も皆さま方と一緒になって、この国会の正常化に一そうの努力を払いたい。それには何と申しましても、皆さま方とともどもでないと、政府を責めるだけでは不十分でございますよということを申しておるわけであります。
 順序は別になりますが、参議院の地方区の定数是正につきましては、参議院議員の選挙制度改善の一環として、ただいま選挙制度審議会に検討をお願いしているところであります。さらに、衆議院議員の定数につきましても、選挙区制、総定数との関連もにらみ合わせながら、今後慎重に検討いたします。これは別に自治大臣とも食い違ってはおりません。
 また、お尋ねになりました政治資金規正法の問題でありますが、この改正につきましては、過去三回も提案いたしましたが、いずれも廃案となったにがい経験がありますから、いま一度、十分の研究を行なってみたいと考えているものであります。
 国会法の改正につきましては、一昨日以来、衆参両院でいろいろな御提案がありました。私は国民に対する信頼を高めるためにも、国会が正常かつ機能的に運営されるよう、すみやかに国会法が改正されることを心から期待しております。いろいろ御意見を述べられ、最後の質問者ではありましたが、たいへん力の入ったお尋ねでありました。
 私はただ一言申し上げますが、これはよく速記録を見ていただきたいと思いますのは、予算そのものに国会に修正権がないというような考え方にとれるようなちょっと発言がありましたが、私はさようなことを申しておるわけではありませんので、国会はもちろん予算といえども修正権はあるということでありますから、それらの点は御承知のことだと思いますが、私、特に触れられたので、ちょっと気になりますから、一言申し上げておきます。ありがとうございました。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(福田赳夫君) 今年度の予算が、血も涙もない冷酷なる予算であるというようなきつい御批判でございましたが、私どもは全くそれは逆に考えております。私がここで申し上げましたように、これからは経済の成長の成果を国民生活の中に取り入れていく、吸収していく、質的成長へというふうに転換をすると、こう申し上げたのはさようなことでございまして、社会保障予算におきましても、総額から言いまして一兆一千億円、七兆九千億円という予算の中で実に一四%を占める、防衛費は七・二%であります。そういう位置になってしまいました。私は、しばしば思い出すんですが、十五年前になりますか、一兆円予算と言われたんです。そのとき、社会保障費が千億円にならない。シェアからいうと、一〇%にならないのです。何とかして一千億円にしたいという考えだったわけですが、いまやそれが一兆一千億円になっている。これはかなりの施設ができるわけでありまして、生活扶助費にいたしましても、いま御批判がありましたが、東京都では三万円から三万四千円程度の支給を受けるというところまできておるわけであります。
 その他、大蔵省は、予算の編成の過程におきまして、査定の戦略といたしまして、こまかい、小さいことを言って、しまいには少しこれを肉づけをするという手段をとりますが、終局のでき上がった予算につきましては、ここに厚生大臣もおられますが、よくやっていただきましたと、かように言っておる次第であります。
 陳情予算だ、圧力予算だというようなお話でございますが、私はなるべくそういうふうなことにならないように気をつけております。しかし、予算の編成でございますので、なるべくたくさんの人にお目にかかりたいと思っておりまして、まあ、老人でありますとか、身体障害者でありますとか、あるいは婦人の方でありますとか、つとめて会うようにいたしております。また、各党――社会党あるいは民社党、これは十分お話を承りました。また、公明党のほうからお話がありませんので、わざわざ竹入委員長に御注文はありましょうかと、お伺いを立てたほどでございます。各方面の意見を広く伺って、遺漏のない予算を編成することは、これは当然でございまするけれども、圧力によって予算の編成を動かすというようなことは断じていたしませんから御安心をいただきたいと思います。(拍手)
#40
○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#41
○副議長(安井謙君) 日程第二、参議院予備金支出の件を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長徳永正利君。
   〔徳永正利君登壇、拍手〕
#42
○徳永正利君 御報告いたします本院予備金の支出額は、昭和四十三年度分三百二十六万九千五百二十円であります。これは在職中に死亡されました議員谷村貞治君の御遺族に対する弔慰金であります。
 議院運営委員会の承認を経て支出したものでありますが、ここに本院の承諾をお願いする次第であります。(拍手)
#43
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本件を問題に供します。本件は、委員長報告のとおり承諾することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。よって、本件は承諾することに決しました。
     ―――――・―――――
#45
○副議長(安井謙君) この際、おはかりいたします。
 西村尚治君から裁判官弾劾裁判所裁判員予備員を、宮崎正雄君、近藤信一君から裁判官訴追委員を、楠正俊君、黒木利克君、小野明君から裁判官訴追委員予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#47
○副議長(安井謙君) つきましては、この際、
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員一名、裁判官訴追委員二名、同予備員三名及び、
 欠員中の裁判官弾劾裁判所裁判員一名、
 九州地方開発審議会委員二名、
 中国地方開発審議会委員一名、
 離島振興対策審議会委員二名、
 国土開発幹線自動車道建設審議会委員、
 首都圏整備審議会委員、
 北海道開発審議会委員各一名、
 日本ユネスコ国内委員会委員二名の選挙を行ないます。
#48
○佐藤隆君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名することとし、裁判官訴追委員予備員の職務を行なう順位は、これを議長に一任することの動議を提出いたします。
#49
○矢山有作君 私は、ただいまの佐藤君の動議に賛成いたします。
#50
○副議長(安井謙君) 佐藤君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に小野明君、
 同予備員に長屋茂君、
 裁判官訴追委員に津島文治君、竹田四郎君、
 同予備員に鈴木省吾君(第二順位)、玉置猛夫君(第三順位)、増田盛君(第四順位)、
 九州地方開発審議会委員に谷口慶吉君、柳田桃太郎君、
 中国地方開発審議会委員に中津井真君、
 離島振興対策審議会委員に沢田一精君、田口長治郎君、
 国土開発幹線自動車道建設審議会委員に河野謙三君、
 首都圏整備審議会委員に中村喜四郎君、
 北海道開発審議会委員に河口陽一君、
 日本ユネスコ国内委員会委員に平泉渉君、八田一朗君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#52
○副議長(安井謙君) この際、おはかりいたします。
 中山太郎君から海外旅行のため、来たる二十四日から十八日間、中村正雄君から海外旅行のため、来たる二十八日から十二日間、それぞれ請暇の申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#53
○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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